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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G21K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G21K
管理番号 1308231
審判番号 不服2014-20140  
総通号数 193 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-06 
確定日 2015-12-02 
事件の表示 特願2009- 84273「電子線照射装置及び電子線照射方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年10月21日出願公開、特開2010-236982〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯
本願は、平成21年3月31日の出願であって、平成25年7月31日付けで拒絶理由が通知され、同年10月3日付けで意見書が提出されるとともに同日付けで手続補正がなされ、同年12月19日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成26年2月18日付けで意見書が提出されるとともに同日付で手続補正がなされたが、同年7月14日付けで同年2月18日付け手続補正の却下の決定がなされるとともに同日付けで拒絶査定がなされた。本件は、これに対して同年10月6日に審判請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。


第2 平成26年10月6日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成26年10月6日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 平成26年10月6日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は、本件補正前の平成25年10月3日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1である
「 【請求項1】
芯線とその芯線を被覆する被覆部とを有する電線に電子線を照射することにより前記被覆部に所定の処理を施すために用いられる電子線照射装置であって、
前記電子線を50kVから300kVまでの範囲内の加速電圧で発生させる電子線発生部と、
前記電線に前記電子線を照射する処理が行われる照射室と、
前記電子線発生部内の真空雰囲気と前記照射室内の照射雰囲気とを仕切ると共に前記電子線を前記照射室内に取り出す照射窓部と、
前記照射窓部から前記照射室内に取り出された前記電子線が前記電線に照射される照射空間に、前記電線を搬送する搬送手段と、
巻き取られている前記電線を前記照射室内に送り出すための巻出し装置と、
前記照射室から外部に送り出された前記電線を巻き取るための巻取り装置と、
を備え、
前記巻出し装置及び前記巻取り装置のうち少なくとも一方には電気的に接地されている接地部が設けられており、前記接地部には前記電線の端部における前記芯線が電気的に接続され、前記電子線の照射による前記電線の帯電を防止することを特徴とする電子線照射装置。」を
「 【請求項1】
芯線とその芯線を被覆する被覆部とを有する電線に電子線を照射することにより前記被覆部に所定の処理を施すために用いられる電子線照射装置であって、
前記電子線を50kVから300kVまでの範囲内の加速電圧で発生させる電子線発生部と、
前記電線に前記電子線を照射する処理が行われる照射室と、
前記電子線発生部内の真空雰囲気と前記照射室内の照射雰囲気とを仕切ると共に前記電子線を前記照射室内に取り出す照射窓部と、
前記照射窓部から前記照射室内に取り出された前記電子線が前記電線に照射される照射空間に、前記電線を搬送する搬送手段と、
巻き取られている前記電線を前記照射室内に送り出すための巻出し装置と、
前記照射室から外部に送り出された前記電線を巻き取るための巻取り装置と、
を備え、
前記巻出し装置及び前記巻取り装置のうち少なくとも一方には電気的に接地されている接地部が設けられており、前記接地部には前記電線の端部における露わになった前記芯線が固定されることにより前記芯線が電気的に接続され、その露わになった前記芯線を前記接地部に固定して電気的に接続した状態のまま、前記照射室内で前記電線に電子線を照射する処理を行い、前記電子線を照射する処理が終了した後も前記電線が除電されるまでの間、前記電線の前記芯線を前記接地部に固定して電気的に接続した状態にしておくことにより、前記電子線の照射による前記電線の帯電を防止することを特徴とする電子線照射装置。」とする補正を含むものである(下線は請求人が付与したとおりである。)。

2 本件補正の目的
本件補正は、補正前の請求項1の「前記接地部には前記電線の端部における前記芯線が電気的に接続され」ることを「前記接地部には前記電線の端部における露わになった前記芯線が固定されることにより前記芯線が電気的に接続され」ることとし、補正前の請求項1の「前記電子線の照射による前記電線の帯電を防止すること」を「その露わになった前記芯線を前記接地部に固定して電気的に接続した状態のまま、前記照射室内で前記電線に電子線を照射する処理を行い、前記電子線を照射する処理が終了した後も前記電線が除電されるまでの間、前記電線の前記芯線を前記接地部に固定して電気的に接続した状態にしておくことにより、前記電子線の照射による前記電線の帯電を防止すること」とすることを含むものであるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)を、進歩性要件(特許法第29条第2項)について以下に検討する。

(1)本願補正発明の認定
本願補正発明は、上記1において、補正後のものとして記載したとおりのものと認める。

(2)刊行物、各刊行物の記載事項及び引用発明の認定
ア 原査定における拒絶理由通知に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2001-242299号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の記載がある(下線は当審で付与した。)。

(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機高分子、特に電線を被覆した有機高分子に電子線を照射し、その架橋反応を促進させる電子線照射装置及びこれを用いた電線製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より電線の耐熱性等の特性を向上させる目的で、電線に電子線を照射することが行われてきた。この電子線照射を行うための装置として、直流高圧発生装置と電子流制御装置を備えた電子線照射装置が一般に利用されている。すなわち、直流高圧発生装置はフィラメントで発生した電子を加速するための電界を形成し、電子流制御装置は発生した電子流をモニターしながらフィラメントに供給する交流を調整する。」

(イ)「【0015】図1は電子線照射装置のシステム構成図であり、図2は電子線が照射される電線Wの斜視図である。本電子線照射装置から出射された電子線は、走査管SCTにより電線の幅方向に沿って左右に振られ、装置下部に配置された電線Wの列に照射される。
【0016】すなわち、この装置で電子線照射処理が行われる製品は、銅又は銅合金等の導体CMの周囲に塩化ビニルやポリエチレンなどの樹脂被覆(有機高分子)OPを施した電線Wであり、電線Wに電子線を照射することで、有機高分子OPを架橋させ、その耐熱性等の特性を向上させる。
【0017】本装置を用いた製造ラインでは、電線Wは電線供給源から電線送り機構を介して、キャプスタンに供給される。このキャプスタンは平行に置かれた2本の筒状ローラR1,R2を備えている。電線Wはローラに数十回巻き付けられた後、巻取機にてドラムに巻き取られる。電線Wの巻き付け方としては、ローラR1,R2全体に同一方向で巻き付けるものも考えられるが、本装置においてはローラR1,R2の回転軸方向からみた時に電線Wが八の字を描くように巻き付ける。巻き付けられた電線列には電子線が照射され、電子線照射によって有機高分子OPの架橋反応が促進する。
【0018】電子線は、加速管ACT内の上部に配置されたフィラメントFから発生する。すなわち、本電子線照射装置は加速管ACT上部に電子線発生部を備え、電子線発生部にはフィラメントFが配置されている。フィラメントFは螺旋状に巻かれた導電体から構成されており、図示しない筒体内に収納されている。
【0019】フィラメントFに交流電流を通電することにより、当該フィラメントFが加熱され、熱電子が加速管ACT内に放出される。フィラメントFから発生した熱電子は引出電極による電界によって下方に取出され、加速管ACT内の内部電界に従って下方へと加速される。
【0020】加速された電子は加速管ACTの下部に連通した走査管SCT内に入射する。走査管SCTは、電線の配列方向(幅方向)に沿った長さが、電線の長手方向に沿った長さよりも長く、電子は幅方向に沿って走査される。電子の走査及び収束は電磁コイルによって行う。すなわち、加速管ACTから走査管SCT内に導入される電子は収束用電磁コイルEM1によって収束し、続いて偏向用電磁コイルEM2によって幅方向に偏向走査される。なお、加速管ACT及び走査管SCT内は走査管SCTに接続された真空ポンプVPによって減圧されている。
【0021】走査管SCTの底面側開口は金属薄膜FLMによって封止されている。加速された電子線は金属薄膜FLMを貫通し、大気中に配置された電線Wに照射され、電線列の下側に配置された電子収集体(ビームキャッチャー)BCにより収集される。なお、金属薄膜FLMは電子透過性と機械的強度の観点から厚さ30?50μmのTiから構成されている。
【0022】フィラメントFには変圧器(フィラメントトランス)Tを介して周波数fの電流(交流)が供給される。トランスTの一次巻線M1に電圧を印加すると、一次巻線M1に電流(励磁電流)が流れ、これに応じて磁束が発生し、当該磁束がトランスTの図示しない鉄心内を通る。この磁束によって二次巻線M2に電圧(二次電圧)が発生する。二次電圧によって二次巻線M2と負荷(フィラメントF)に電流(二次負荷電流)が流れる。なお、二次電流によって磁束が発生するが、この磁束によって一次巻線M1に電圧が発生し、この磁束と等しい量の磁束を発生するのに必要な電流(一次負荷電流)が一次巻線M1に流れている。
【0023】トランスTの一次巻線M1に供給される交流電圧は発電機Gによって発生させる。発電機Gは絶縁シャフト等を介してモータMの回転軸に機械的にリンクしており、モータMを回転させると、発電機Gが回転数に応じた周波数の交流電圧を発生し、これがトランスTに入力される。これにより、結果的にフィラメントFに交流が流れ、フィラメントFが加熱される。
【0024】モータMの回転はインバータ回路Iから出力される制御信号に同期しており、インバータ回路Iからの出力信号の周波数を増加させると、モータMの回転速度が増加し、フィラメントFに供給される交流の周波数fが上昇する。
【0025】フィラメントFとグランドとの間には直流高圧発生回路HVが介在し、フィラメントFには高圧が印加されている。詳細に説明すれば、トランスTを介してフィラメントFとグランドとの間には最大2000kVの高電圧が印加されている。交流の通電によってフィラメントFから発生した熱電子は、内部電界に従って加速管ACT内を直流的にグランド方向に流れる。なお、電流は電子流の進行方向とは逆向きに流れる。
【0026】加速管ACT内部には、リング状の加速用電極ACRが複数配置されている。加速用電極ACRの電位は、フィラメントFから走査管SCTに近づくに従って上昇し、フィラメントFで発生した電子を走査管SCT方向に加速する電界が加速管ACT内に形成されている。なお、加速用電極ACR間に電位差を設けるため、各電極ACR間には抵抗Rが介在している。
【0027】直流高圧発生回路HVとグランドとの間には電流計CDが接続されており、電流計CDはフィラメントFから発生・放出される単位時間当たりの電子量(電流)を測定している。
【0028】フィラメントFから発生する電流Aは、電流計CDでモニターされ、制御装置CONTに入力される。制御装置CONTは、フィラメントFから発生する電流Aが一定となるようにインバータ回路Iを制御する。すなわち、制御装置CONTは、電流Aが減少すればインバータ回路Iから出力される制御信号(交流)の周波数(以下、インバータ周波数とする)を上昇させ、電流Aが増加すれば当該インバータ周波数を低下させる。
【0029】電流Aを一定としながら、電子線照射を連続して行っていると、電線Wを被覆した有機高分子OPが一定の割合で架橋していく。すなわち、本装置を用いた電線製造方法においては、交流を通電することによりフィラメントFから発生した電子を電線Wを被覆した有機高分子OPに照射して有機高分子OPの架橋反応を促進させる。」

(ウ)図1


(エ)図2

上記(ア)ないし(エ)より、引用文献1には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「銅又は銅合金等の導体CMの周囲に塩化ビニルやポリエチレンなどの樹脂被覆(有機高分子)OPを施した電線Wに電子線を照射することで、有機高分子OPを架橋させる、電子線照射装置であって、
加速管ACT上部に電子線発生部を備え、電子線発生部にはフィラメントFが配置され、前記フィラメントFに交流電流を通電することにより、当該フィラメントFが加熱され、熱電子が前記加速管ACT内に放出され、フィラメントFから発生した熱電子は引出電極による電界によって下方に取出され、加速管ACT内の内部電界に従って下方へと加速され、加速された電子は加速管ACTの下部に連通した走査管SCT内に入射し、前記フィラメントFとグランドとの間に最大2000kVの高電圧が印加されるものであり、
前記加速管ACT及び前記走査管SCT内は、前記走査管SCTに接続された真空ポンプVPによって減圧され、前記走査管SCTの底面側開口は金属薄膜FLMによって封止され、加速された電子線は前記金属薄膜FLMを貫通し、大気中に配置された前記電線Wに照射されるものであり、
キャプスタンは平行に置かれた2本の筒状ローラR1,R2を備えており、前記電線Wの巻き付け方としては、前記ローラR1,R2の回転軸方向からみた時に前記電線Wが八の字を描くように巻き付けられ、巻き付けられた電線列には電子線が照射されるものであり、
前記電線Wは電線供給源から電線送り機構を介して、前記キャプスタンに供給されるものであり、
前記電線Wはローラに数十回巻き付けられた後、巻取機にてドラムに巻き取られる、
電子線照射装置。」

イ 原査定における拒絶理由通知に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開平3-192616号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の記載がある(下線は当審で付与した。)。

(ア)「[産業上の利用分野]
本発明は、絶縁被覆ボンディングワイヤの製造方法、同ワイヤのスプール捲形態、同ワイヤ用スプールケースおよび同ワイヤの輸送梱包具に関する。
さらに詳しくは、半導体装置の結線に用いられるボンディングワイヤがワイヤ基材に絶縁性樹脂材を被覆してなる構造を備えた絶縁被覆ボンディングワイヤである場合の製造から輸送までの各段階における帯電防止手段に関する。」(第2頁左上欄第2行?第11行)

(イ)「第1図、第2図に示すように、この装置例は絶縁被覆ボンディングワイヤの公知の連続的な製造方法を基本構造としている。
即ち、第1図に示すように、供給スプール1から送出されたワイヤ基材2が焼付炉3で焼付加工されて樹脂被覆機構4に供給され、樹脂被覆機構4で絶縁樹脂材5が被覆され焼付炉6を通過して焼付処理されて絶縁被覆ボンディングワイヤ7が形成され、この絶縁被覆ボンディングワイヤ7が作業巻取リスブール8に巻取られるようになっている。そして、第2図に示すように、作業巻取りスプ-ル8からは、所定長の絶縁被覆ボンディングワイヤ7が製品巻取りスプール9に再度巻取すされるようになっている。
なお、前記樹脂被覆機構4は、第3図に詳細に示されるように、液状の絶縁樹脂材5を貯溜する樹脂溜槽41と、樹脂溜槽41に貯溜された絶縁樹脂材5とワイヤ基材2との双方に接触してワイヤ基材2に絶縁樹脂材5を付着するコータロール42と、コータロール42に連続して設けられワイヤ基材2に付着した絶縁樹脂材5を均一に塗布する樹脂均一塗布治具43とを備えている。また、この樹脂被覆機構4に対してはワイヤ基材2、絶縁被覆ボンディングワイヤ7の循環ライン10が設けられ、繰返し塗布により絶縁樹脂材5がムラなく被覆されるようになっている。
また、ワイヤ基材2、絶縁被覆ボンディングワイヤ7の送り手段としては、ガイドローラ20、駆動ローラ30が設けられている。
本発明では、供給スプール1、作業、製品巻取リスブール8,9を含めて、ワイヤ基材2、絶縁樹脂材5、絶縁被覆ボンディングワイヤ7との接触部材を可能な限り導電性材質(例えば、ステンレス、カーボン入りポリプロピレン)としてあり、特にガイドローラ20、供給ローラ30、コークロール42にはアース線40を接続しである。このアース線40は、第3図に示すようにガイドローラ20、コータロール42の軸受20’、42’を利用するのが好ましい。なお、図示していないが、ガイドローラ20、供給ローラ30、コータロール42以外にも、可能な限りアース線40を接続するのが好ましい。
さらに、本発明では、製品巻取りスプール9付近に、絶縁被覆ボンディングワイヤ7に対し積極的除電を行なう積極的除電機構50を設けである。
この積極的除電機構50は、第2図ではイオンを吹付ける除電ブロア50aを示してあり、絶縁被覆ボンディングワイヤ7および製品巻取りスプール9に吹付けがなされるようになっている。また、第4図では水を含浸させたガーゼ、スポンジ等の接触剤50bに絶縁被覆ボンディングワイヤ7を接触させるようにしである。なお、製品巻取りスプール9手前に設けられているのは、金属ガイド60である。また、第5図では第4図の接触剤50bに加えて絶縁被覆ボンディングワイヤ7を挟付ける挟持接触剤50c(接触剤50bと同様に水を含浸させたガーゼ、スポンジ等)を設けである。さらに、第6図では金属水槽50dの内部に設けた金属ローラ50eで絶縁被覆ボンディングワイヤ7が水中を通過するようにしてあり、水中を通過した絶縁被覆ボンディングワイヤ7に対しては拭取材50f、乾燥ブロア50gを設けてある。なお、このような積極的除電機構50にも、可能な限りアース線40を接続してある。
この結果、絶縁被覆ボンディングワイヤ7の製造中途段階では、ワイヤ基材2、絶縁性樹脂材5、絶縁被覆ボンディングワイヤ7の夫々の接触部材を可能な限り導電性材質としたことで静電気の起生が略防止され、また仮に静電気が起生じてもアース線40により除電される。さらに、絶縁被覆ボンディングワイヤ7の製造最終段階では、巻取りスプール9付近で絶縁被覆ボンディングワイヤ7に対し積極的除電機構50により積極的除電を行なうこと、およびアース線40からの除電により、絶縁被覆ボンディングワイヤ7の帯電が完全に防止されることになる。
以上、図示した巻替え工程を含む実施例の外に、作業巻取りスプール8を用いず直接製品巻取りスプール9に絶縁被覆ボンディングワイヤ7を巻取る実施例とすることも可能である。この実施例では、第1図の作業巻取リスブール8が製品巻取りスプール9となり、積極的除電機構50はこの製品巻取リスブール9付近に設けられることになる。」(第3頁右上欄第19行?第4頁右上欄第20行)

(ウ)「この実施例では、第7図、第8図に示すように、前述の製品巻取リスブール9と同様のスプール本体9はボス91とフランジ92とからなる糸巻形であって、導電材により形成した場合を示す。
ボス91は絶縁被覆ボンディングワイヤ7が捲回されるもので、円筒形に形成されている。
フランジ92はボス91に捲回された絶縁被覆ボンディングワイヤ7の捲回積層状態を保形するもので、リング状に形成されボス91の両側に相対して設けられている。このフランジ92の外周縁の一部には、切欠部92aが設けられている。
ボス91に捲回された絶縁被覆ボンディングワイヤ7の捲回端部7’は、第9図に示すようにライター等により加熱して絶縁被覆を除去し、かつ球状に拡張され、または第10図に示すように打圧され扁平に拡張され、前記切欠部92xからフランジ92の外側へ引出されている。そして、この捲回端部7’は、導電性テープ60(例えば、銅箔テープ)あるいは絶縁性の紙テープ60’で貼着固定されている。なお、第9図のように捲回端部7’が球状の場合には、フランジ92にポンチ穴92bを設けて導電性テープ60による貼着固定を容易にするとともに、該テープ60によってフランジとの接触面を増大させている。また、導電性テープ60による貼着固定を補助するため、絶縁被覆ボンディングワイヤ7の引出し部分の前記切欠部92a近くを通常のテープ70で貼着固定してある。
なお、前記第9図の捲回端部7’の構造では、ポンチ穴92bに捲回端部7’係合して導電性テープ60による貼着固定が強固になる利点がある。これに対し、前記第10図の捲回端部7’の構造では、ポンチ穴92bが不要である等工作が容易で、しかも扱いが容易な紙テープ60’を使用しても捲回端部7’とフランジ92との接触導通面積が広く確保できる。
このような実施例によると、フランジ92へ絶縁被覆ボンディングワイヤ7の捲回端部7’が引出されているため、スプール本体9に捲回された絶縁被覆ボンディングワイヤ7からスプール本体9へ導通が確保され、また絶縁被覆ボンディングワイヤ7の捲回端部7’のワイヤ基材とフランジ92との接触導通面積が広く確保されているため、ボンディングワイヤ7からスプール本体9への導通が良好となり、スプール本体9が接触する導電性の外部部材を介して除電されるため、絶縁被覆ボンディングワイヤ7の帯電が有効に防止されることになる。
尚、上述の第7図、第8図では捲回端部7’はボンディングワイヤ7の終端部を示したが、該ワイヤ7の始端部(第8図の符号80で示す)を、前述の第9図又は第10図の如くワイヤ基材aをフランジ92に導通状にテープ止めすることもよい。
その場合においては、前述の第2図に示すように、作業用巻取りスプール8からのスプール本体9への巻替えの際、すなわちボンディングワイヤをスプール捲きする際においても始端部80、フランジ92、スプール本体9を介して外部部材(巻取り軸)へ除電し得、又、第2図に示す如く、ガイドローラ20にアース線40を接続したりスプール本体1付近に除電ブロア50を設けて除電を行なえば、スプール本体9に巻取られる絶縁被覆ボンディングワイヤ7への帯電防止をさらに有効に行なうことができる。
又、上記実施例は、スプール本体9を導電材(例えばアルミ製又はクロムメツキした樹脂製)として全表面が導電面である場合を説明したが、この場合でボンディングワイヤ7を単層の整列巻きをしたときは該ワイヤ7の絶縁被覆すが導電面に直接接触しているので、それら絶縁被覆す外表面に帯電する静電気もまたスプール本体9を通して除電できる。
スプール本体9を絶縁性とする場合、例えばアルミ製のスプール本体表面にアルマイト処理した場合には、前記ボンディングワイヤの捲回端部7’を接合させる部分及びスプール本体9が外部部材に接触する部分を部分的に表面処理を除去して導電面とするものである。」(第4頁左下欄第4行?第5頁右上欄第20行)

(エ)第1図


(オ)第2図


(カ)第7図


(キ)第8図


(ク)第10図


(ケ)上記(イ)の引用文献2の第3頁右下欄第17行?第19行の「なお、図示していないが、ガイドローラ20、供給ローラ30、コータロール42以外にも、可能な限りアース線40を接続するのが好ましい。」との記載事項により、上記(イ)の引用文献2の「スプール本体9が接触する導電性の外部部材を介して除電されるため」ように「外部部材」にアース線を接続することは明らかである。

上記(ア)ないし(ケ)より、引用文献2には以下の発明(以下「引用文献2に記載された事項」という。)が記載されていると認められる。
「絶縁被覆ボンディングワイヤである場合の製造から輸送までの各段階において、ボンディングワイヤ7の捲回端部7’は絶縁被覆が除去され、かつ打圧され扁平に拡張され、捲回端部7’と製品巻取りスプール9のフランジ92との接触導通面積が広く確保されることで、ボンディングワイヤ7からスプール本体9への導通が良好となり、前記製品巻取りスプール本体9が接触する導電性の外部部材にアース線を接続して除電されて、前記絶縁被覆ボンディングワイヤ7の帯電が有効に防止される、絶縁被覆ボンディングワイヤ7の製造装置」

(3)対比・判断
ア 本願補正発明と引用発明を対比する。
(ア)引用発明の「銅又は銅合金等の導体CM」、「塩化ビニルやポリエチレンなどの樹脂被覆(有機高分子)OP」、「電線W」、「走査管SCTの底面側開口」、「電線送り機構」及び「巻取機」は、本願補正発明の「芯線」、「被覆部」、「電線」、「照射窓部」、「搬送手段」及び「巻取り装置」に、それぞれ相当する。
(イ)引用発明の「銅又は銅合金等の導体CMの周囲に塩化ビニルやポリエチレンなどの樹脂被覆(有機高分子)OPを施した電線W」は、本願補正発明の「芯線とその芯線を被覆する被覆部を有する電線」に相当する。
(ウ)引用発明の「電線Wに電子線を照射することで、有機高分子OPを架橋させる、電子線照射装置」は、本願補正発明の「電線に電子線を照射することにより前記被覆部に所定の処理を施すために用いられる電子線照射装置」に相当する。
(エ)引用文献1の「(2)」「ア」「(1)」の【0002】の「この電子線照射を行うための装置として、直流高圧発生装置と電子流制御装置を備えた電子線照射装置が一般に利用されている。すなわち、直流高圧発生装置はフィラメントで発生した電子を加速するための電界を形成」するとの記載事項も参酌すると、引用発明の「加速管ACT」が電子線を加速電圧で発生させることは明らかである。
(オ)引用発明の「前記加速管ACT及び前記走査管SCT]は、「前記走査管SCTに接続された真空ポンプVPによって減圧され、前記走査管SCTの底面側開口は金属薄膜FLMによって封止され」るものであるから、引用発明の「前記加速管ACT及び前記走査管SCT」は、本願補正発明の「電子線発生部」に相当する。
(カ)引用発明の「キャプスタン」又は「電線列」と、本願補正発明の「照射室」は、「照射部」という点で共通する。
(キ)引用発明の「走査管SCTの底面側開口」と「大気中に配置された前記電線W」の間の隙間は、本願補正発明の「照射空間」に相当する。
(ク)引用発明の「電線供給源」が巻き取られている電線Wを送り出すための巻出し装置を備えていることは技術常識であることにより、引用発明の「電線供給源」は、本願補正発明の「巻出し装置」に相当する。
(ケ)上記(エ)及び(オ)より、引用発明の「加速管ACT上部に電子線発生部を備え、電子線発生部にはフィラメントFが配置され、前記フィラメントFに交流電流を通電することにより、当該フィラメントFが加熱され、熱電子が前記加速管ACT内に放出され、フィラメントFから発生した熱電子は引出電極による電界によって下方に取出され、加速管ACT内の内部電界に従って下方へと加速され、加速された電子は加速管ACTの下部に連通した走査管SCT内に入射し、前記フィラメントFとグランドとの間に最大2000kVの高電圧が印加されるものであり、」「前記加速管ACT及び前記走査管SCT」を備えることと、本願補正発明の「前記電子線を50kVから300kVまでの範囲内の加速電圧で発生させる電子線発生部」「を備え」ることは、「前記電子線を加速電圧で発生させる電子線発生部」「を備え」ることの点で一致する。
(コ)上記(オ)及び(カ)より、引用発明の「前記加速管ACT及び前記走査管SCT内は、前記走査管SCTに接続された真空ポンプVPによって減圧され、前記走査管SCTの底面側開口は金属薄膜FLMによって封止され、加速された電子線は前記金属薄膜FLMを貫通し、大気中に配置された前記電線Wに照射されるものであ」ることと、本願補正発明の「前記電線に前記電子線を照射する処理が行われる照射室と、前記電子線発生部内の真空雰囲気と前記照射室内の照射雰囲気とを仕切ると共に前記電子線を前記照射室内に取り出す照射窓部」「を備え」ることは、「前記電線に前記電子線を照射する処理が行われる照射部と、前記電子線発生部内の真空雰囲気と前記照射部内の照射雰囲気とを仕切ると共に前記電子線を前記照射部内に取り出す照射窓部」「を備え」ることの点で一致する。
(サ)上記(カ)及び(キ)より、引用発明の「加速された電子線は前記金属薄膜FLMを貫通し、大気中に配置された前記電線Wに照射されるものであり、」「前記電線Wの巻き付け方としては、キャプスタンは平行に置かれた2本の筒状ローラR1,R2を備えており、前記ローラR1,R2の回転軸方向からみた時に前記電線Wが八の字を描くように巻き付けられ、巻き付けられた電線列には電子線が照射されるものであって、」「前記電線は」「電線送り機構を介して、前記キャプスタンに供給される」ことと、本願補正発明の「前記照射窓部から前記照射室内に取り出された前記電子線が前記電線に照射される照射空間に、前記電線を搬送する搬送手段」「を備え」ることは、「前記照射窓部から前記照射部内に取り出された前記電子線が前記電線に照射される照射空間に、前記電線を搬送する搬送手段」「を備え」ることの点で一致する。
(シ)上記(カ)、(ク)及び技術常識から、通常電線供給源に配置された電線は巻き取られた状態にあることより、引用発明の「前記電線Wは電線供給源から電線送り機構を介して、前記キャプスタンに供給されるものであ」ることと、本願補正発明の「巻き取られている前記電線を前記照射室内に送り出すための巻出し装置」「を備え」ることは、「巻き取られている前記電線を前記照射部内に送り出すための巻出し装置」「を備え」ることの点で一致する。
(ス)上記(カ)より、引用発明の「前記電線Wはローラに数十回巻き付けられた後、巻取機にてドラムに巻き取られる」ことと、本願補正発明の「前記照射室から外部に送り出された前記電線を巻き取るための巻取り装置」「を備え」ることは、「前記照射部から外部に送り出された前記電線を巻き取るための巻取り装置」「を備え」ることの点で一致する。

上記(ア)ないし(ス)より、本願補正発明と引用発明は、
「芯線とその芯線を被覆する被覆部を有する電線に電子線を照射することにより前記被覆部に所定の処理を施すために用いられる電子線照射装置であって、
前記電子線を加速電圧で発生させる電子線発生部と、
前記電線に前記電子線を照射する処理が行われる照射部と、
前記電子線発生部内の真空雰囲気と前記照射部内の照射雰囲気とを仕切ると共に前記電子線を前記照射部内に取り出す照射窓部と、
前記照射窓部から前記照射部内に取り出された前記電子線が前記電線に照射される照射空間に、前記電線を搬送する搬送手段と、
巻き取られている前記電線を前記照射部内に送り出すための巻出し装置と、
前記照射部から外部に送り出された前記電線を巻きとるための巻取り装置と、
を備える電子線照射装置。」
の点で一致し、以下の各点で相違するものと認められる。

<相違点1>
「加速電圧」が、本願補正発明では、「前記電子線を50kVから300kVまでの範囲内」であるのに対して、引用発明では、「フィラメントFとグランドとの間に最大2000kVの高電圧が印加され」ている点。

<相違点2>
「照射部」が、本願補正発明では、「照射室」であるのに対して、引用発明では、「照射室」については明記されていない点。

<相違点3>
本願補正発明が、「前記巻出し装置及び前記巻取り装置のうち少なくとも一方には電気的に接地されている接地部が設けられており、前記接地部には前記電線の端部における露わになった前記芯線が固定されることにより前記芯線が電気的に接続され、その露わになった前記芯線を前記接地部に固定して電気的に接続した状態のまま、前記照射室内で前記電線に電子線を照射する処理を行い、前記電子線を照射する処理が終了した後も前記電線が除電されるまでの間、前記電線の前記芯線を前記接地部に固定して電気的に接続した状態にしておくことにより、前記電子線の照射による前記電線の帯電を防止する」のに対して、引用発明では、そのような構成は備えていない点。

イ 判断
(ア)上記相違点1について
電線Wに電子線を照射することで、有機高分子OPを架橋させる、電子線照射装置において、加速電圧を100kVから300kV程度とすることは周知技術(特開平10-288700号公報の【0026】参照。)である。また、引用発明において「フィラメントFとグランドとの間」に印加する電圧を「2000kV」から低くすることに阻害要因も見当たらない。そして、本願明細書において「加速電圧」の数値範囲の臨界的意義も認められない。
してみると、引用発明において「フィラメントFとグランドとの間」に印加する電圧を50kVから300kVまでの範囲内とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(イ)上記相違点2について
電線Wに電子線を照射することで、有機高分子OPを架橋させる、電子線照射装置において、「照射室」を備えることは、周知技術(特開平10-288700号公報の【0016】?【0020】、図2参照。)であり、引用発明において上記周知技術を用いて、引用発明の「キャプスタン」や「電線列」に外枠を設けるなどして照射室を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(ウ)上記相違点3について
芯線(導体)とその芯線を被覆する被覆部(絶縁体)を有する電線(ケーブル)に電子線を照射することにより前記被覆部に所定の処理を施すために用いられる電子線照射装置であって、電子線の照射による電線の帯電を防止するという課題は周知(特開昭54-152184号公報の全文、全図参照。特に第2頁左上欄第16行?第20行の「電子線4の照射により、絶縁体3中に発生した二次電子および吸収電子の電子雲が・・・導体2の方向へ拡散され、電子雲の形成がなくなり」との記載事項により、電子線の照射による電線(ケーブル)の帯電が防止されることは明らかである。)である。

そして、引用発明の「電線Wに電子線を照射することで、有機高分子OPを架橋させる、電子線照射装置」と引用文献2に記載された事項の「絶縁被覆ボンディングワイヤ7の製造装置」とは、電線の製造という点で共通しているので、上記課題を解決するために、引用発明の「巻取機」の「ドラム」に、引用文献2に記載された事項を適用して、本願補正発明の以下の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
引用文献2に記載された各事項と適用する引用発明の各特定事項の関係を示すと次のとおりである。
・引用発明の「巻取機」に、引用文献2に記載された事項の「前記製品巻取りスプール本体9が接触する導電性の外部部材にアース線を接続して除電され」ることを適用して、本願補正発明の「前記巻出し装置及び前記巻取り装置のうち少なくとも一方には電気的に接地されている接地部が設けられ」るようにすること。
・引用発明の「電線W」及び「巻取機」に、引用文献2に記載された事項の「ボンディングワイヤ7の捲回端部7’は絶縁被覆が除去され、かつ打圧され扁平に拡張され、捲回端部7’と製品巻取りスプール9のフランジ92との接触導通面積が広く確保されることで、ボンディングワイヤ7からスプール本体9への導通が良好とな」ることを適用して、本願補正発明の「前記電線の端部における露わになった前記芯線が固定されることにより前記芯線が電気的に接続され」るようにすること。
・引用発明の「巻取機」に、引用文献2に記載された事項の「絶縁被覆ボンディングワイヤである場合の製造から輸送までの各段階において、」「前記製品巻取りスプール本体9が接触する導電性の外部部材にアース線を接続して除電され」ることを適用して、本願補正発明の「その露わになった前記芯線を前記接地部に固定して電気的に接続した状態のまま、前記照射室内で前記電線に電子線を照射する処理を行い、前記電子線を照射する処理が終了した後も前記電線が除電されるまでの間、前記電線の前記芯線を前記接地部に固定して電気的に接続した状態にしておく」ようにすること。

以上のとおり、上記各相違点は、引用発明、引用文献2に記載された事項及び周知技術から当業者が容易に想到し得ることである。
そして、本願補正発明が奏する作用効果も、当業者が予測できる域を超えるものではない。

(4)結論
よって、本願補正発明は、引用発明、引用文献2に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)小括
以上検討のとおり、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものである。

4 本件補正の却下の決定についての結び
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1 本願発明
上記のとおり、本件補正は却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成25年10月3日付けの手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項によって特定されると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2」[理由]「1」において、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1として示したとおりのものである。

2 刊行物、各刊行物の記載事項及び引用発明の認定
上記「第2」[理由]「3」「(2)」のとおりである。

3 対比・判断
上記「第2」[理由]「2」「本件補正の目的」のとおり、本願発明は、本願補正発明の「前記接地部には前記電線の端部における露わになった前記芯線が固定されることにより前記芯線が電気的に接続され」ることを「前記接地部には前記電線の端部における前記芯線が電気的に接続され」ることとし、本願補正発明の「その露わになった前記芯線を前記接地部に固定して電気的に接続した状態のまま、前記照射室内で前記電線に電子線を照射する処理を行い、前記電子線を照射する処理が終了した後も前記電線が除電されるまでの間、前記電線の前記芯線を前記接地部に固定して電気的に接続した状態にしておくことにより、前記電子線の照射による前記電線の帯電を防止すること」を「前記電子線の照射による前記電線の帯電を防止すること」としたものである。
そして、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに限定を付加した本願補正発明が、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである以上、上記「第2」[理由]「3」での検討と同様の理由により、本願発明は引用発明、引用文献2に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。


4 結び
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項について言及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-10-01 
結審通知日 2015-10-05 
審決日 2015-10-19 
出願番号 特願2009-84273(P2009-84273)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G21K)
P 1 8・ 575- Z (G21K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 林 靖  
特許庁審判長 森林 克郎
特許庁審判官 松川 直樹
井口 猶二
発明の名称 電子線照射装置及び電子線照射方法  
代理人 半田 昌男  
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