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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  A63F
審判 全部無効 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  A63F
審判 全部無効 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  A63F
管理番号 1308551
審判番号 無効2013-800133  
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-02-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2013-07-26 
確定日 2015-11-09 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4705350号「遊技機」の特許無効審判事件についてされた平成26年 5月16日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成26年(行ケ)第10153号平成27年 3月 5日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 請求のとおり訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
特許第4705350号(以下「本件特許」という。)は、平成16年8月20日に出願され、平成23年3月18日に特許権の設定登録がなされたものであり、その後、請求人日本電動式遊技機特許株式会社から無効審判が請求されたものである。
そして、その以降の手続の経緯の概要は、以下のとおりである。

平成25年 7月26日差出 無効審判請求書の提出(請求人)
平成25年10月21日 答弁書の提出(被請求人)
平成26年 1月14日差出 口頭審理陳述要領書の提出(請求人)
平成26年 1月14日 口頭審理陳述要領書の提出(被請求人)
平成26年 1月27日 口頭審理陳述要領書(2)の提出(請求人)
平成26年 1月27日 口頭審理
平成26年 5月16日付け 本件審判の請求は、成り立たない、審判費 用は、請求人の負担とするとの審決
平成27年 3月 5日 特許庁が無効2013-800133号事件 について平成26年5月16日にした審決を 取り消す、訴訟費用は被告の負担とするとの 判決
平成27年 3月27日 訂正請求申立書(被請求人)
平成27年 5月25日 訂正請求書(被請求人)
平成27年 7月 2日 弁駁書(請求人)

第2 訂正請求について
1.本件訂正請求
被請求人は、平成27年5月25日付けの訂正請求書により特許第4705350号の明細書(以下「特許明細書」という。)、特許請求の範囲を訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正することを求めた(以下、この訂正を「本件訂正」という。)。本件訂正の内容は次のとおりである。下線は、訂正箇所を示す。

(1)訂正事項1
請求項1の「前記所定の確率に基づいて算出される払出率について設定された段階を示す情報を記憶する特定領域と、遊技の進行状況に関する情報を記憶する領域として記憶すべき情報の重要度に応じて分けられた特別領域と一般領域とを含む遊技用記憶手段」を、
「前記所定の確率に基づいて算出される払出率について設定された段階を示す情報を記憶する特定領域と、遊技の進行状況に関する情報を記憶する領域として記憶すべき情報の重要度に応じて分けられた特別領域と一般領域と、所定領域とを含み、前記特別領域、前記特定領域、前記所定領域、前記一般領域の順となるように各領域の開始アドレスが割り当てられている遊技用記憶手段」と訂正する。

(2)訂正事項2
請求項1の「前記設定変更手段による段階の変更の際に、前記遊技用記憶手段に含まれる領域のうちの前記一般領域に記憶されている情報を初期化する初期化手段」を、
「前記設定変更手段による段階の変更の際に、前記遊技用記憶手段に含まれる複数の領域各々の開始アドレスのうちの前記所定領域の開始アドレスを設定して、前記一般領域を含む領域であって当該開始アドレスから初期化最終アドレスまでの領域に記憶されている情報を初期化する初期化手段」と訂正する。

(3)訂正事項3
請求項1の初期化手段について、「前記初期化手段は、前記設定変更手段による段階の変更の際ではないときにおいて初期化条件が成立したときに、前記設定変更手段による段階の変更の際に設定する開始アドレスとは異なる開始アドレスであって当該成立した初期化条件に応じて予め定められた領域の開始アドレスを設定して、当該開始アドレスから前記初期化最終アドレスまでの領域に記憶されている情報を初期化し、」と訂正する。

(4)訂正事項4
請求項1の「前記演出制御手段は、前記初期化制御情報を受信することによって前記演出用記憶手段の記憶情報のうち少なくとも演出の実行に関する情報を初期化し、前記設定制御情報を受信することによって前記設定された段階に関する記憶情報を前記演出用記憶手段に記憶する」を、
「前記演出制御手段は、
前記設定制御情報を受信することによって、前記設定された段階に関する記憶情報を前記演出用記憶手段に記憶し、
前記初期化制御情報を受信することによって、前記演出用記憶手段の記憶情報のうち少なくとも演出の実行に関する情報を初期化するとともに前記設定された段階に関する記憶情報についても初期化する」と訂正する。

(5)訂正事項5
特許明細書の段落【0010】の「前記所定の確率に基づいて算出される払出率について設定された段階(設定値)を示す情報を記憶する特定領域(設定値ワーク112-3)と、遊技の進行状況に関する情報を記憶する領域として記憶すべき情報の重要度に応じて分けられた特別領域(特別ワーク112-2)と一般領域(一般ワーク112-5?7)とを含む遊技用記憶手段(RAM112)」を、
「前記所定の確率に基づいて算出される払出率について設定された段階(設定値)を示す情報を記憶する特定領域(設定値ワーク112-3)と、遊技の進行状況に関する情報を記憶する領域として記憶すべき情報の重要度に応じて分けられた特別領域(特別ワーク112-2)と一般領域(一般ワーク112-5?7)と、所定領域とを含み、前記特別領域、前記特定領域、前記所定領域、前記一般領域の順となるように各領域の開始アドレスが割り当てられている遊技用記憶手段(RAM112)」と訂正する。

(6)訂正事項6
特許明細書の段落【0010】の「前記設定変更手段による段階の変更の際に、前記遊技用記憶手段に含まれる領域のうちの前記一般領域に記憶されている情報を初期化する初期化手段(ステップS116、S117)」を、
「前記設定変更手段による段階の変更の際に、前記遊技用記憶手段に含まれる複数の領域各々の開始アドレスのうちの前記所定領域の開始アドレスを設定して、前記一般領域を含む領域であって当該開始アドレスから初期化最終アドレスまでの領域に記憶されている情報を初期化する初期化手段(ステップS116、S117)」と訂正する。

(7)訂正事項7
特許明細書の段落【0010】の初期化手段について、「前記初期化手段は、前記設定変更手段による段階の変更の際ではないときにおいて初期化条件が成立したときに、前記設定変更手段による段階の変更の際に設定する開始アドレスとは異なる開始アドレスであって当該成立した初期化条件に応じて予め定められた領域の開始アドレスを設定して、当該開始アドレスから前記初期化最終アドレスまでの領域に記憶されている情報を初期化し、」と訂正する。

(8)訂正事項8
特許明細書の段落【0010】の「前記演出制御手段は、前記初期化制御情報を受信することによって前記演出用記憶手段の記憶情報のうち少なくとも演出の実行に関する情報を初期化し(ステップS607)、前記設定制御情報を受信することによって前記設定された段階に関する記憶情報を前記演出用記憶手段に記憶する(ステップS609)」を、
「前記演出制御手段は、
前記設定制御情報を受信することによって、前記設定された段階に関する記憶情報を前記演出用記憶手段に記憶し(ステップS609)、
前記初期化制御情報を受信することによって、前記演出用記憶手段の記憶情報のうち少なくとも演出の実行に関する情報を初期化するとともに前記設定された段階に関する記憶情報についても初期化する(ステップS607)」と訂正する。

2.本件訂正請求についての当事者の主張
(1)訂正事項1
被請求人は、訂正事項1に係る訂正は、特許法第134条の2第1項但し書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮に該当するものであり、特許明細書の段落【0043】、【0128】の記載などに基づいているから、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであると説明する。
請求人は、特許明細書の段落【0043】にも【0128】にも遊技用記憶手段に「所定領域」が存在することの記載はなく、訂正事項1は願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものではない。また、特許明細書に記載のない「所定領域」の内容を把握することはできず、不明な構成を新たに追加する訂正は、特許請求の範囲の減縮にはあたらないと主張する(弁駁書第2頁第20行?第5頁第12行)。
請求人は、特許明細書の段落【0101】、【0156】、【0160】には、訂正事項1とほぼ同一の「所定の領域」という文言が使用されており、明細書及び特許請求の範囲全体を通じて統一して用語を関連付けるとすれば、「所定の領域」(「所定領域」)とは「一般領域」の一部の領域と解される。しかしながら、訂正後の請求項1は、「一般領域」とは別の新たな領域として「所定領域」を追加することになるものであり、明細書の記載に沿わない内容を付加する訂正事項1は願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものではないと主張する(弁駁書第5頁第13行?第6頁第17行)。

(2)訂正事項2
被請求人は、訂正事項2に係る訂正は、特許法第134条の2第1項但し書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮に該当するものであり、特許明細書の段落【0043】、【0135】、【0144】、【0176】の記載などに基づいているから、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであると説明する。
請求人は、被請求人摘示のいずれの段落にも、そもそも遊技用記憶手段に「所定領域」が存在することの記載がなく、また、「特定領域」、「特別領域」、「一般領域」以外の「所定領域」がいずれの領域を示すものかを示す記載はなく、訂正事項2は願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものとは言えない。また、明細書に記載のない「所定領域」の構成を追加したことをもって特許請求の範囲の減縮にあたることは明確ではないと主張する(弁駁書第7頁第5行?第8頁第7行)。

(3)訂正事項3
被請求人は、訂正事項3に係る訂正は、特許法第134条の2第1項但し書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮に該当するものであり、特許明細書の段落【0043】、【0135】、【0139】、【0176】、【0199】、【0200】の記載などに基づいているから、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであると説明する。
請求人は、訂正事項3は願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものとは言えない。また、明細書に記載のない「所定領域」の構成を追加したことをもって特許請求の範囲の減縮にあたることは明確ではないと主張する(弁駁書第7頁第5行?第8頁第7行)。

(4)訂正事項4
被請求人は、訂正事項4に係る訂正は、特許法第134条の2第1項但し書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮に該当するものであり、特許明細書の段落【0180】の記載などに基づいているから、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであると説明する。

(5)訂正事項5?8
被請求人は、訂正事項5?8に係る訂正は、訂正事項1?4との整合を図るためのものであるから、特許法第134条の2第1項但し書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明に該当するものであり、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであると説明する。

3.本件訂正請求の適否について
(1)訂正事項1
ア.訂正の目的について
特許明細書の段落【0128】には、「図7は、遊技制御基板101のRAM112のメモリマップを示す図である。図示するように、RAM112の記憶領域は、スタック領域112-1と、特別ワーク112-2と、設定値ワーク112-3と、重要ワーク112-4と、一般ワークI112-5と、一般ワークII112-6と、一般ワークIII112-7と、未使用領域112-8とに分けられる。それぞれの領域の先頭アドレスは、add、add+A、add+B、add+C、add+D、add+E、add+F、add+Gとなっている。RAM112の最終アドレスは、add+Hとなっている。」と記載されている。
また、図7から、RAM112の記憶領域が、「特別ワーク」、「設定値ワーク」、「重要ワーク」、「一般ワーク」の順に配置され、開始アドレスもその順に割り当てられていることが把握できる。
よって、特許明細書に記載された「特別ワーク」、「設定値ワーク」、「重要ワーク」、「一般ワーク」は、それぞれ、訂正事項1における「特別領域」、「特定領域」、「所定領域」、「一般領域」に相当するものといえる。
そうしてみると、訂正事項1は、遊技記憶手段に、特許明細書に記載の「重要ワーク」に相当する「所定領域」が含まれる点を限定するとともに、遊技記憶手段における開始アドレスに関して、「特別領域、特定領域、所定領域、一般領域の順となるように各領域の開始アドレスが割り当てられている」点を限定する訂正であるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

請求人は、特許明細書に記載のない「所定領域」の内容を把握することはできず、不明な構成を新たに追加する訂正は、特許請求の範囲の減縮にはあたらないと主張する。
確かに、特許明細書には「所定領域」との記載自体はない。しかしながら、段落【0128】、図7などの記載から、「所定領域」が特許明細書に記載の「重要ワーク」を意味することは明らかであり、「重要ワーク」の構成は、段落【0129】に記載されているから、請求人が主張する不明な構成を新たに追加するものとはいえない。

イ.願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項(以下「願書に添付した明細書等」という。)の範囲内か否かについて
訂正事項1における「所定領域」は、特許明細書に「重要ワーク」として記載されており、「特別領域、特定領域、所定領域、一般領域の順となるように各領域の開始アドレスが割り当てられている」という技術的事項についても、段落【0128】、図7などに実質的に記載されているから、訂正事項1は、願書に添付した明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。
よって、訂正事項1は、願書に添付した明細書等の範囲内においてされたものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

請求人は、特許明細書には「所定領域」が存在することの記載はなく、訂正事項1は願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものではない旨主張する。
しかしながら、訂正事項1は、願書に添付した明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において、何ら新たな技術的事項を導入するものではなく、単に「所定領域」との文言が記載されていないことをもって、直ちに、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものではないとすることはできない。
また、請求人は、特許明細書には「所定の領域」という文言が使用されており、この「所定の領域」を、請求項1に記載された「所定領域」と解すると、「所定領域」とは「一般領域」の一部の領域となり、訂正事項1は明細書の記載に沿わない内容を付加することになる旨主張する。
しかしながら、「所定領域」と「所定の領域」とは、文言上、異なり、区別できるものであり、願書に添付した明細書等のすべてを総合すれば、両者が関連付けられないことは明らかであるから、訂正事項1は明細書の記載に沿わない内容を付加するものとはいえない。

ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否かについて
訂正事項1は、遊技用記憶手段に関して限定事項を付加するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

(2)訂正事項2
ア.訂正の目的について
特許明細書の【0043】には、「上記遊技機が前記スロットマシンである場合において、前記遊技制御手段は、記憶されているデータに異常があったときに消去されるデータを記憶する第1記憶領域(特別ワーク112-2以下の領域)と、前記段階設定手段により段階が設定されたときに消去されるデータを記憶する第2記憶領域(重要ワーク112-4以下の領域)と、特定の遊技状態間で遊技状態の移行があったときに消去されるデータを記憶する第3記憶領域(一般ワークI112-5以下の領域)と、1ゲームが終了したときに消去されるデータを記憶する第4記憶領域(一般ワークIII112-7以下の領域)とが順に設けられた遊技用記憶手段(RAM112)を備えていてもよい。」と記載されている。
また、段落【0135】には、「RAM112の領域をクリアする条件が成立したときには、成立した条件に応じたアドレスを、CPU111の所定のアドレスレジスタに設定する。ここで、条件に応じたアドレスとは、電源投入時にRAM112が壊れていた場合にはadd+A、設定値の変更操作が終了した場合にはadd+C、ビッグボーナスが終了した場合にはadd+D、ビッグボーナスの終了とならずにゲームが終了した場合にはadd+Fである。そして、CPU111は、設定したアドレスからRAM112の最終アドレスadd+Hとなるまで、所定のアドレスレジスタに設定されたアドレスを1ずつ加算しながら、該アドレスレジスタが示すアドレスのデータをクリアしていくものとなる。」と記載されている。
そして、図7から、「重要ワーク」にはadd+Cの開始アドレスが設置されており、「重要ワーク」の下に「一般ワーク」が配置されていることが把握できるから、段階設定手段により段階が設定されたときに消去されるデータに「一般ワーク」が含まれることは明らかである。
よって、特許明細書には、段階設定手段により段階が設定されたときには、重要ワークの開始アドレスを設定して、一般領域を含む領域であって当該開始アドレスから初期化最終アドレスまでの領域に記憶されている情報を初期化することが記載されており、また、前記(1)ア.より特許明細書に記載された「重要ワーク」は、訂正事項2における「所定領域」に相当するものであるといえる。
そうしてみると、訂正事項2は、初期化手段について、「設定変更手段による段階の変更の際に、遊技用記憶手段に含まれる複数の領域各々の開始アドレスのうちの所定領域の開始アドレスを設定して、一般領域を含む領域であって当該開始アドレスから初期化最終アドレスまでの領域に記憶されている情報を初期化する」点を限定する訂正であるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ.願書に添付した明細書等の範囲内か否かについて
訂正事項2にかかる技術的事項は、段落【0043】、【0135】、図7などに実質的に記載されているから、訂正事項2は、願書に添付した明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。
よって、訂正事項2は、願書に添付した明細書等の範囲内においてされたものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

請求人は、そもそも遊技用記憶手段に「所定領域」が存在することの記載はなく、「特定領域」、「特別領域」、「一般領域」以外の「所定領域」がいずれの領域を示すものかを示す記載はないから、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものとは言えない旨主張する。
しかしながら、上記(1)アで述べたとおり、特許明細書に記載された「特別ワーク」、「設定値ワーク」、「重要ワーク」、「一般ワーク」は、それぞれ、「特別領域」、「特定領域」、「所定領域」、「一般領域」に相当するものであり、特許明細書に記載された「重要ワーク」が、「所定領域」に相当することは、上記(2)アにおける段落【0043】、【0135】などの記載からも裏付けられる。
したがって、訂正事項2における「所定領域」は、「重要ワーク」として特許明細書に実質的に記載されているから、願書に添付した明細書等の範囲内においてするものではないということはできない。

ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否かについて
訂正事項2は、初期化手段に関して限定事項を付加するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

(3)訂正事項3
ア.訂正の目的について
特許明細書の段落【0135】には、設定変更手段による段階の変更の際ではないときにおいて段階の変更の際に設定するadd+Cではない開始アドレスであるadd+A、add+Dなどを設定して初期化することが記載されている。
訂正事項3は、初期化手段について、「設定変更手段による段階の変更の際ではないときにおいて初期化条件が成立したときに、設定変更手段による段階の変更の際に設定する開始アドレスとは異なる開始アドレスであって当該成立した初期化条件に応じて予め定められた領域の開始アドレスを設定して、当該開始アドレスから初期化最終アドレスまでの領域に記憶されている情報を初期化」する点を限定する訂正であるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ.願書に添付した明細書等の範囲内か否かについて
訂正事項3は、段落【0135】などの記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等の範囲内においてされたものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
よって、請求人の主張は採用できない。

ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否かについて
また、訂正事項3は、初期化手段に関して限定事項を付加するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

(4)訂正事項4
ア.訂正の目的について
特許明細書の段落【0180】には、受信したコマンドが初期化コマンドであった場合に、RAM122のデータをクリアし、この際、保存されていた設定値もクリアされることが記載されている。
訂正事項4は、演出制御手段について、「設定制御情報を受信することによって、設定された段階に関する記憶情報を前記演出用記憶手段に記憶し、初期化制御情報を受信することによって、演出用記憶手段の記憶情報のうち少なくとも演出の実行に関する情報を初期化するとともに前記設定された段階に関する記憶情報についても初期化する」する点を限定する訂正であるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ.願書に添付した明細書等の範囲内か否かについて
訂正事項4は、段落【0180】などの記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等の範囲内においてされたものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否かについて
訂正事項4は、演出制御手段に関して限定事項を付加するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

(5)訂正事項5?8について
ア.訂正の目的について
訂正事項5?8は、訂正事項1?4との整合を図るため、特許明細書の段落【0010】の記載を訂正後の請求項1の内容に合わせて訂正するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ.願書に添付した明細書等の範囲内か否かについて
訂正事項5?8は、願書に添付した明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等の範囲内においてされたものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否かについて
訂正事項5?8は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

(6)小活
以上のとおり、訂正事項1?8は、いずれも訂正要件を満たしているものであるから、訂正明細書、特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正することを認める。

4.まとめ
したがって、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書きに掲げるいずれかの事項を目的とするものであり、同条第9項において準用する同法126条第5項、第6項の規定に適合するので、適法なものと認める。

第3 本件特許に係る発明
本件特許に係る発明は、訂正された特許請求の範囲の請求項1?3に記載された次のとおりのものである(以下、「本件発明1」ないし「本件発明3」という。)。

【請求項1】
前面扉を開放状態とすることにより操作可能となる設定変更操作手段を備える遊技機であって、
遊技の進行を制御すると共に、遊技の進行状況に応じた制御情報を送信する遊技制御手段と、
前記遊技制御手段から送信された制御情報を受信し、該受信した制御情報に基づいて少なくとも前記遊技に関する演出の実行を制御するものであって、書き換え可能な演出用記憶手段を含む演出制御手段とを備え、
前記遊技制御手段は、
所定の入賞の発生を許容する旨を、所定の確率で事前に決定する事前決定手段と、
前記所定の確率に基づいて算出される払出率について設定された段階を示す情報を記憶する特定領域と、遊技の進行状況に関する情報を記憶する領域として記憶すべき情報の重要度に応じて分けられた特別領域と一般領域と、所定領域とを含み、前記特別領域、前記特定領域、前記所定領域、前記一般領域の順となるように各領域の開始アドレスが割り当てられている遊技用記憶手段と、
前記前面扉が開放状態となっているか否かを検出する開放検出手段と、
前記開放検出手段により前記前面扉が開放状態となっている旨が検出され、さらに前記前面扉を開放状態とすることにより操作可能となる変更許可開始操作手段が操作されることにより所定の設定変更許可条件を成立させて、設定変更期間を開始させる変更期間開始制御手段と、
前記設定変更期間において、少なくとも前記設定変更操作手段が操作されることによって、前記特定領域に記憶された段階を変更する設定変更手段と、
前記設定変更期間が開始されたときに、前記遊技用記憶手段に情報が記憶されている変更前の段階を表示手段に表示させる段階表示制御手段と、
前記設定変更期間が開始したときに、前記演出用記憶手段の記憶情報を初期化することを指示する初期化制御情報を前記演出制御手段に送信する初期化制御情報送信手段と、
前記設定変更期間が終了したときに、該変更後の前記設定された段階に関する情報を含む設定制御情報を送信する設定制御情報送信手段と、
前記設定変更手段による段階の変更の際に、前記遊技用記憶手段に含まれる複数の領域各々の開始アドレスのうちの前記所定領域の開始アドレスを設定して、前記一般領域を含む領域であって当該開始アドレスから初期化最終アドレスまでの領域に記憶されている情報を初期化する初期化手段とを備え、
前記初期化手段は、前記設定変更手段による段階の変更の際ではないときにおいて初期化条件が成立したときに、前記設定変更手段による段階の変更の際に設定する開始アドレスとは異なる開始アドレスであって当該成立した初期化条件に応じて予め定められた領域の開始アドレスを設定して、当該開始アドレスから前記初期化最終アドレスまでの領域に記憶されている情報を初期化し、
前記演出制御手段は、
前記設定制御情報を受信することによって、前記設定された段階に関する記憶情報を前記演出用記憶手段に記憶し、
前記初期化制御情報を受信することによって、前記演出用記憶手段の記憶情報のうち少なくとも演出の実行に関する情報を初期化するとともに前記設定された段階に関する記憶情報についても初期化する
ことを特徴とする遊技機。

【請求項2】
前記遊技制御手段は、前記開放検出手段により前記前面扉が閉鎖状態となっている旨が検出されているときに前記変更許可開始操作手段が操作されたときに、所定の情報を報知する閉鎖状態報知手段とをさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。

【請求項3】
前記演出制御手段は、前記初期化制御情報を受信してから前記設定制御情報を受信するまで、前記設定変更手段により段階の変更が行われている旨を報知する設定変更報知手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の遊技機。

第4 当事者の主張
1.請求人の主張の概要
(1)無効理由について
請求人は、審判請求書において、「特許第4705350号の請求項1ないし3項に係る特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め」(請求の趣旨)、無効とすべき理由を次のように主張するとともに、証拠方法として甲第1?14号証を提出した。

(無効理由)
本件発明1?3は、甲第1号証に記載された発明に周知技術を適用することにより容易に想到できた事項であり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであって、本件発明1?3に係る特許は、同法123条第1項第2号により無効とすべきである。

<証拠方法>
甲第 1号証:特開2002-191753号公報
甲第 2号証:特開2004-223077号公報
甲第 3号証:特開2003-245405号公報
甲第 4号証:特開2000-254272号公報
甲第 5号証:特開2004-135843号公報
甲第 6号証:特開2003-299772号公報
甲第 7号証:特開2004-41479号公報
甲第 8号証:特開2003-236053号公報
甲第 9号証:特開2001-87460号公報
甲第10号証:特開2003-190421号公報
甲第11号証:特開2000-126371号公報
甲第12号証:特開2004-147786号公報
甲第13号証:特開2003-245402号公報
甲第14号証:特開2004-201796号公報

そして、請求人は、平成26年1月10日付け(平成26年1月14日差出)の請求人陳述要領書とともに甲第15?18号証を提出した。
甲第15号証:特開平6-114140号公報
甲第16号証:特開2004-135844号公報
甲第17号証:特開2003-225352号公報
甲第18号証:特開2003-93580号公報

さらに、請求人は、平成27年7月2日付けの弁駁書とともに甲第19?22号証を提出した。
甲第19号証:特開2002-360778号公報
甲第20号証:特開2002-360774号公報
甲第21号証:特開2004-49461号公報
甲第22号証:特開2004-97334号公報

(2)訂正請求について
本件訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものではなく、特許法第134条の2第9項が準用する同法126条第5項に違反する。したがって、本件訂正は成り立たない旨、主張した。また、本件訂正は、特許請求の範囲を減縮するものではなく、特許法第134条の2第1項に違反する。この点からも、本件訂正は成り立たない旨、主張した。

2.被請求人の主張の概要
被請求人は、平成25年10月21日付けで答弁書を提出し、「本件無効審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め」(答弁の趣旨)、本件発明1?3に係る特許について、無効理由は存在しない旨、主張した。

第5 甲各号証の記載事項、及び甲第1号証に記載された発明
甲第1?22号証には、それぞれ以下の記載がある。
(1)甲第1号証:特開2002-191753号公報
(1-a)「【0003】入賞態様は、スタートレバーが操作された直後に入賞態様決定手段で行われる乱数抽選によって決定され、各リールが遊技者によって停止操作される前には既に定まっている。機械内部で決定された入賞態様は内部当選フラグとして記憶される。その後、遊技者の停止ボタン操作および内部当選フラグの種類に応じて各リールの回転がリール停止制御回路によって停止制御され、内部当選フラグに対応する入賞の図柄組合せが入賞ライン上に停止表示されると、遊技者は入賞を実際に体験できる。」

(1-b)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の遊技機では、液晶表示装置といった表示装置に表示される情報は、遊技者によって行われる遊技の興趣を向上させる情報や、遊技者の便宜を図る情報である。つまり、上記従来の遊技機では、液晶表示装置といった表示装置に表示される情報は、遊技者によって行われる遊技の興趣を向上させる情報や、遊技者の便宜を図る情報である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、遊技に使用される複数の図柄を可変表示する可変表示装置と、この可変表示装置とは別に設けられた種々の情報を表示する表示装置と、この表示装置に遊技機管理情報を表示させる表示制御手段とを備え、遊技機を構成した。」

(1-c)「【0009】本構成においては、表示制御実行手段によって表示制御手段の表示制御が実行された場合に、遊技機管理情報の表示装置への表示が行われる。このため、遊技機管理情報の表示装置への表示は、表示制御実行手段を操作することの出来る遊技店関係者だけが行え、一般の遊技者は行えない。よって、遊技機管理情報は、遊技店関係者だけに表示されるため、その内容を秘密に保つことが出来る。」

(1-d)「【0019】また、キャビネット38内部のホッパー72の隣には電源ボックスユニット51が設けられている。この電源ボックスユニット51の前面にはメインスイッチ52、リセットスイッチ53および抽選確率設定用鍵型スイッチ54が設けられている。メインスイッチ52はスロットマシン1が動作するために必要とされる電力供給を断続するスイッチであり、リセットスイッチ53はエラー動作を解除する時と抽選確率を設定する時に操作されるスイッチである。また、抽選確率設定用鍵型スイッチ54は抽選確率を設定する時および設定された抽選確率を確認する時に操作される。」

(1-e)「【0040】図8に示すメイン制御基板61における制御部はマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)63を主な構成要素とし、これに乱数サンプリングのための回路を加えて構成されている。マイコン63は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うメインCPU(中央演算処理装置)64と、プログラム記憶手段であるプログラムROM(リード・オンリ・メモリ)65およびバックアップ機能付き制御RAM(ランダム・アクセス・メモリ)66とを含んで構成されている。CPU64には、基準クロックパルスを発生するクロックパルス発生回路67および分周器68と、一定範囲の乱数を発生する乱数発生器69および発生した乱数の1つを特定する乱数サンプリング回路70とが接続されている。さらに、後述する周辺装置(アクチュエータ)との間で信号を授受するI/Oポート71が接続されている。ROM32は、入賞確率テーブル、シンボルテーブル、入賞シンボル組合せテーブル、およびシーケンスプログラムを格納するように記憶部が区分されている。」

(1-f)「【0046】また、このI/Oポート71にはサブ制御部通信ポート79が接続されており、マイコン63はこのサブ制御部通信ポート79を介してサブ制御基板62へ信号を送出する。図9に示すサブ制御基板62には、この信号を受信するメイン制御部通信ポート88が設けられている。」

(1-g)「【0047】サブ制御基板62における制御部はマイコン81を主な構成要素とし、これに乱数サンプリングのための回路を加えて構成されている。マイコン81も、メイン制御基板61におけるマイコン63と同様、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うサブCPU82と、プログラム記憶手段であるプログラムROM83およびバックアップ機能付き制御RAM84とを含んで構成されている。」

(1-h)「【0049】また、I/Oポート87には画像制御IC(高集積化回路)90および音源IC91が接続されている。画像制御IC90には、キャラクタ・データが記憶されたキャラクタROM92およびカラーディスプレイ表示用メモリであるビデオRAM93が接続されており、画像制御IC90は、マイコン81の制御の下、7インチの液晶表示装置22に画像表示を行う。後述するように、マイコン81は、その時の遊技状態および当選フラグの種類といった情報をメイン制御部通信ポート88を介してメイン制御基板61から取り込み、取り込んだ遊技状態および当選フラグに基づいて表示する画像演出パターンを選択する。そして、画像制御IC90を制御して選択したパターンを液晶表示装置22に表示させる。」

(1-i)「【0052】・・・入賞確率テーブルは、サンプリング回路70で抽出された乱数を各入賞態様に区分けするために使用され、乱数発生器69で発生する一定範囲の乱数を各入賞態様に区画するデータを記憶している。同図におけるa1?a3、b1?b3、c1?c3、d1?d3、e1?e3、f1?f3は予め設定された数値データであり、サンプリング回路70で抽出された乱数を各入賞態様に区画する際に用いられる。このデータは、投入メダル枚数が1枚の場合には「a1?f1」、2枚の場合には「a2?f2」、3枚の場合には「a3?f3」の各数値の組合せが用いられる。
【0053】これら数値は通常「a<b<c<d<e<f」の大小関係に設定され、抽出された乱数値がc未満であれば小当たり入賞(小ヒット)となり、この場合、a未満の場合には「チェリー」当たり要求フラグが立ち、a以上b未満の場合には「ゴング」当たり要求フラグ、b以上c未満の場合には「パンチングボール」当たり要求フラグが立つ。また、抽出された乱数値がc以上d未満であれば「再遊技」当たり要求フラグが立つ。また、抽出された乱数値がd以上e未満であれば中当たり入賞(中ヒット)となって「RB」当たり要求フラグが立ち、抽出された乱数値がe以上f未満であれば大当たり入賞(大ヒット)となって「BB」当たり要求フラグが立つ。また、f以上であれば入賞なしの「ハズレ」当たり要求フラグが立つ。」

(1-j)「【0060】まず、遊技開始時の初期化処理が行われる(図12、ステップ101)。この初期化処理では、サブ制御部通信ポート79からサブ制御基板62へ演出初期化指令が送信され、メイン制御基板61およびサブ制御基板62間における通信データが初期化される。」

(1-k)「【0061】また、電源ボックスユニット51の設定用鍵型スイッチ54が時計方向に90度回動されてオンされた状態でメインスイッチ52が投入され、スロットマシン1に電源供給が開始された場合には、サブ制御部通信ポート79からサブ制御基板62へサポートメニュー表示指令が送信される。サブCPU82は、このサポートメニュー表示指令を受信すると、画像制御IC90を制御して液晶表示装置22に後述するサポートメニュー画面を表示させる。
【0062】次に、メインCPU64により、前回遊技終了時にRAM66に記憶されていたデータを消す遊技終了時のRAMクリア処理が行われる(ステップ102)。」

(1-l)「【0066】次に、スタートレバー30の操作により、スタートスイッチ30Sからのスタート信号入力があったか否かが判別される(ステップ106)。この判別が“YES”の場合、次に、前回の遊技から4.1秒経過しているか否かが判別される(ステップ107)。4.1秒経過していない場合には、4.1秒経過するまで遊技開始の待ち時間が消化される(ステップ108)。スタートレバー30の操作がこの4.1秒経過前に行われると、上述したサウンド単独演出指示指令がメイン制御基板61からサブ制御基板62へ送信され、スピーカ96からリール回転不可音が出音させられる。
【0067】前回遊技から4.1秒経過すると、次に、乱数発生器69で発生した抽選用の乱数がサンプリング回路70によって抽出され(ステップ109)、その後、上記の4.1秒をカウントするための1遊技監視用タイマがセットされる(ステップ110)。次に、ステップ109で抽出された乱数に基づき、確率抽選処理、つまり入賞判定が行われる(図13,ステップ111)。
【0068】この確率抽選処理は、図15および図16に示すフローチャートに従って行われ、サンプリング回路70によって特定された1つの乱数値が、入賞確率テーブル(図10参照)においてどの入賞グループに属する値になっているか判断されることによって行われる。つまり、まず、RAM66内に確保された確率抽選値の累積領域がクリアされる(図15,ステップ131)。次に、RAM66内の当選番号記憶領域に当選番号1がセットされる(ステップ132)。この当選番号は図17の遊技状態別抽選データテーブルに示されているものであり、当選番号1はチェリーの当選に相当している。」

(1-m)「【0077】ステップ148において抽選回数が規定回数に達すると、特定された乱数の値Xが確率抽選値累積値Dの最大値以上であるものとされ、いずれの入賞態様の区画にも属さないものとして、抽選結果はハズレとなる。従って、当選番号にハズレの番号0がセットされる(ステップ149)。
【0078】次に、当選番号に応じた当たり要求フラグがセットされる(ステップ150)。当たり要求フラグの種類には、「チェリー」、「ゴング」、「パンチングボール」、「再遊技」、「RB」、および「BB」の6種類があり、この中のいずれか1つの当たり要求フラグがRAM66の所定領域にセットされる。いずれの当たり要求フラグも立っていない場合には「ハズレ」になる。ここで当たり要求フラグがセットされているとは、その入賞態様に内部当選しているということである。
【0079】当たり要求フラグは、RAM66中に確保された1バイトの当たり要求フラグ格納領域に、図19(b)に示すように記憶されている。」

(1-n)「【0127】また、画面の下方には、システム情報および各設定1?6に対する出玉率が常に表示されている。ここで、設定とは、遊技機の出玉率を予め定められた6段階中の1つに設定することを意味し、出玉率とは、遊技機に投入されたメダルの総数に対する遊技者に払い出されたメダルの総数の割合のことを言う。
【0128】サブCPU82は、十字キー23で選択されてAボタン24で決定されたサポートメニュー画面を液晶表示装置22に表示する(ステップ164)。この画面表示の際、サブCPU82は要求された画面表示に必要な遊技機管理情報をRAM84から読み出す。ここで、サブCPU82、ROM83およびRAM84は、液晶表示装置22に遊技機管理情報を表示させる表示制御手段を構成している。また、メイン制御基板61のマイコン63、電源ボックスユニット51のメインスイッチ52および設定用鍵型スイッチ54は、この表示制御手段による表示制御を実行させて液晶表示装置22に遊技機管理情報を表示させる表示制御実行手段を構成している。
【0129】サポートメニュー画面から抜け出すには、1?6の設定値を設定した後にスタートレバー30をオンにし、さらに、設定用鍵型スイッチ54を反時計方向に90度回動してオフする。設定値は、メインスイッチ52を一度オフの状態にし、設定用鍵型スイッチ54をオンにした状態でメインスイッチ52をオンにし、その後、リセットスイッチ53を押す毎に順次変更される。」

(1-o)「【0240】図48は総合データクリア画面を示している。同画面に表示されているように、Aボタン24を操作すると、サブ制御基板62のRAM84に確保されている遊技機データ記憶領域の総合データがクリアされる。」

(1-p)「【0252】図52は設定履歴確認画面を示している。この設定履歴確認画面は、出玉率の設定変更の履歴を一覧形式で表示する画面であり、設定日時と設定値とが表示される。これらの設定日時と設定値とのデータは、メイン制御基板61から送信されて来、サブ制御基板62のRAM84に記憶される。図56はこの設定履歴情報処理を示すフローチャートであり、サブ制御基板62のサブCPU82は、設定履歴情報処理に当たり、まず、設定値変更コマンドがメイン制御基板61から送信されて来たか否かを判別する(図56、ステップ171)。設定値変更コマンドが送信されて来ない場合には、サブCPU82は設定履歴情報処理を終える。また、設定値変更コマンドが送信されて来た場合には、サブCPU82は、設定が行われた現在時刻および設定値を、設定が行われる毎に順次RAM84に格納する(ステップ172)。
【0253】前記の表示制御手段は、この設定履歴確認画面の表示要求があった場合、RAM84に記憶されたこれらデータを読み出し、図示するように液晶表示装置22に表示する。ここで、RAM84は、遊技機に予め設定されているデータ(設定値データ)の変更の履歴を記憶する記憶手段を構成しており、前記の表示制御手段は、この記憶手段に記憶された設定データ変更履歴情報を遊技機管理情報として液晶表示装置22に表示している。このように設定値の履歴を表示することにより、ホール側が設定の推移を確認することが出来るばかりではなく、遊技者の不正行為(いわゆるゴト行為)によって設定が変更されたか否かを、ホール側がこの設定履歴画面を見ることで確認することが出来る。」

(1-q)「【0265】図55はドアオープン監視機能画面を示している。スロットマシン1の電源が断たれている間、主に遊技店の営業時間外の間に、前面扉37が開けられたことを、例えばセンサといったハードウエアで監視している。そして、スロットマシン1に電源が投入された時に、サブCPU82は、そのハードウエアをチェックし、前面扉37が開けられた形跡を検出した場合には、図示するようなメッセージを液晶表示装置22に表示する。遊技店関係者は、このメッセージにより、営業時間外に遊技機に不正行為が行われた可能性が高いことを把握することが出来る。
【0266】ここで、サブCPU82および上記のハードウエハは遊技機の扉の開閉を監視する扉開閉監視手段を構成しており、前記の表示制御手段は、この扉開閉監視手段によって検出された扉の開情報を遊技機管理情報として液晶表示装置22に表示している。」

(1-r)「【0269】また、本実施形態によるスロットマシン1では、電源ボックスユニット51の設定用鍵型スイッチ54がオンされた状態でメインスイッチ52が投入された場合に、遊技機管理情報の液晶表示装置22への表示が行われる。このため、遊技機管理情報の液晶表示装置22への表示は、前面扉37を開けて各スイッチ52、54を操作することの出来る遊技店関係者だけが行え、一般の遊技者は行えない。よって、遊技機管理情報は、遊技店関係者だけに表示されるため、その内容を秘密に保つことが出来る。」

(1-s)段落【0129】から、メインスイッチ52、リセットスイッチ53、設定用鍵型スイッチ54は、設定値を変更する設定変更操作手段であり、図2から、これらのスイッチは、遊技機であるスロットマシン1の前面扉37を開放状態とすることにより操作可能となることが把握できる。

これらの事項を総合すると、甲第1号証には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「前面扉37を開放状態とすることにより操作可能となるメインスイッチ52、リセットスイッチ53、設定用鍵型スイッチ54、を備える遊技機であって、
その時の遊技状態および当選フラグの種類といった情報を送信するメイン制御基板61と、
前記メイン制御基板61から送信されたその時の遊技状態および当選フラグの種類といった情報を取り込み、該情報に基づいて表示する画像演出パターンを選択し、選択した画像演出パターンを液晶表示装置22に表示させるものであって、RAM84を含んで構成されるサブ制御基板62とを備え、
前記メイン制御基板61は、
スタートレバー30の操作が行われると、乱数発生器69で発生した乱数に基づき入賞判定が行われる確率抽選処理を行い、
確率抽選処理によりセットされた当選番号に応じた当たり要求フラグを1バイトの当たり要求フラグ格納領域に領域に記憶するRAM66と、
前回遊技終了時にRAM66に記憶されていたデータを消す遊技終了時のRAMクリア処理を行うメインCPU64を備え、
前記サブ制御基板62は、
前面扉37の開閉を監視するサブCPU82およびセンサからなる扉開閉監視手段を備え、
前記扉開閉監視手段により前記前面扉37が開けられた形跡を検出した場合には、メッセージを液晶表示装置22に表示し、
前記メイン制御基板61から設定値変更コマンドが送信されると、設定日時および設定値を前記RAM84に記憶し、設定履歴確認画面の表示要求があった場合に、RAMに記憶された設定値データを液晶表示装置22に表示し、
Aボタン24を操作すると、サブ制御基板62のRAM84に確保されている遊技機データ記憶領域の総合データがクリアされる遊技機。」

(2)甲第2号証(特開2004-223077号公報)
(2-a)「【0013】上記スロットマシンにおいて、前記入賞可能情報設定手段は、特定の操作をすることによってクリアすることが可能な記憶領域(一般ワーク112-2)に設けられ、前記決定情報持越手段は、前記特定の操作をすることによってクリアすることが不可能な記憶領域(特別ワーク112-3)に設けられているものとすることができる。」

(2-b)「【0064】重要ワーク112-1は、ビッグボーナス終了時にクリアされると不都合が生じることのあるデータを記憶するワーク領域である。重要ワーク112-1は、電源投入時にRAM112が壊れていた場合と設定スイッチ91による設定が終了した場合にのみクリアされる。一般ワーク112-2は、ビッグボーナス終了時にクリアしてもよいデータを記憶するワーク領域であり、詳細を後述する当選フラグ設定部301を含む。遊技状態を示すフラグや各種カウンタなどもほとんどがここに記憶される。一般ワーク112-2は、ビッグボーナス終了時の他に、電源投入時にRAM112が壊れていた場合と設定が終了した場合にクリアされる。」

(2-c)「【0065】特別ワーク112-3は、演出制御基板102に送信するコマンドやソフトウェア乱数を生成するためのワーク領域であり、詳細を後述するストック数記憶部302を含む。特別ワーク112-3は、電源投入時にRAM112が壊れていた場合にのみクリアされる。」

(3)甲第3号証(特開2003-245405号公報)
(3-a)「【0029】図3は、設定スイッチ31による設定変更操作あるいはRAMクリアスイッチ32によるRAMクリア操作が行われる場合のフローチャートを示す。まず、制御部25では、設定変更操作が行われたか否かがチェックされ(S10)、これがNOの場合、RAMクリア操作が行われたか否かがチェックされる(S20)。S10やS20がYESの場合、RAM28内にボーナスフラグが貯留されているか否かがチェックされ(S30)、これがYESの場合、ボーナスフラグデータ、そして成立している場合のボーナス確定ランプフラグデータが記憶されているエリアを除くその他のRAMエリアがクリアされ(S40)、S30がNOの場合、RAMエリアの全てがクリアされる(S50)。」

(3-b)「【0034】例えば、上記実施形態においては、ボーナス入賞の種類毎に複数個のフラグを記憶可能となっているが、その代わりに、ボーナス入賞の種類毎の貯留数データを記憶するようにしてもよく、要は、ボーナス入賞に当選したがまだ成立には至っていないものの回数を制御部が把握できるようになっていれば、その記憶形態は問わない。また、入賞当選関連情報には、これらフラグデータ、貯留数データ、ボーナス確定ランプ点灯フラグデータの他に、当選順序データや当選時間データなどを含めるようにしてもよい。入賞当選関連情報に、貯留数データやその入賞の種類データ及び/又は当選順序データを含めるならば、当選順序データ等の履歴データが把握されるため、設定変更操作後やRAMクリア操作後にボーナス入賞を正確に放出することが可能となる。」

(3-c)「【0040】また、上記実施形態においては、設定スイッチによる設定変更操作あるいはRAMクリアスイッチによるRAMクリア操作のどちらによっても(第1の指示手段)、入賞当選関連情報が保守されるようになっているが、RAM内を完全にクリアする場合も必要であろうから、例えば何れか一方の操作によってあるいは別途設けられた専用スイッチや専用キーによって(第2の指示手段)、入賞当選関連情報も含めてRAM内が完全にクリアされるようにしてもよい。また、設定スイッチとRAMクリアスイッチを一つのスイッチで兼用するようにしてもよい。」

(4)甲第4号証(特開2000-254272号公報)
(4-a)「【0090】<制御装置>上述した一連の遊技動作は、筐体3内に設けられた制御装置31により制御される。この制御装置31を、図2に基づいて説明する。図2に示すように、制御装置31は、CPU33、ROM34、RAM35、CPU33の動作クロック信号を生成するためのクロック回路36、ビッグボーナスの発生確率を設定するための確率設定部37を備えている。」

(4-b)「【0106】確率設定スイッチ42により、ビッグボーナスの発生確率を設定するには、まず電源スイッチを一旦オフにした後、設定用鍵型スイッチをオンにした状態で電源スイッチをオンにする。
【0107】当該操作により、RAMエリアに記憶された値のうち、ビッグボーナスの発生確率の設定値、打ち止め処理を行うか否かの打ち止め設定スイッチ44の状態、自動精算を行うか否かの切り替えスイッチの状態を除く全ての値がクリアされる。この状態において、リセットスイッチを操作する毎に、ビッグボーナスの発生確率の設定値が「1」?「6」まで順次増加する。」

(4-c)「【0109】つぎに、設定用鍵型スイッチをオフにすると、ビッグボーナスの発生確率の設定値、打ち止め処理を行うか否かの打ち止め設定スイッチ44の状態、自動精算を行うか否かの切り替えスイッチの状態が一時的に保持され、RAMエリアがクリアされた後、一時的に保持された設定値等がRAMエリアに再記憶される。」

(4-d)「【0110】また、現時点におけるビッグボーナスの発生確率の設定値は、設定用鍵型スイッチをオンとすることにより確認することができる。この場合にも、現時点における設定値が、画像表示部13に表示される。ただし、ビッグボーナス中、レギュラーボーナス中、再遊技中、打ち止め状態、エラー発生中、遊技メダル払い出し中、および遊技メダル回収中には、設定値の確認を行うことはできない。」

(5)甲第5号証(特開2004-135843号公報)
(5-a)「【請求項1】遊技の際の利益付与確率を変更するための設定変更装置及び遊技の際に各種装置を作動させるための制御回路基板を備えた筐体と、この筐体に回動自在に取り付けられる前面扉とを有する遊技機において、前記筐体に、閉じ位置にある前記前面扉を検知し、前記制御回路基板に向けて検知信号を出力する扉検知センサを設けるとともに、前記制御回路基板に、前記扉検知センサの検知信号の出力信号に応じて、前記設定変更装置による前記利益付与確率の設定変更信号を無効にするか否かを判定する設定変更判定手段を設け、前記扉検知センサにより前記前面扉の検知信号が出力された場合に、前記設定変更判定手段は、前記設定変更装置からの利益付与確率の設定変更信号を無効とすることを特徴とする遊技機。」

(5-b)「【0003】このようにして形成されるスロットマシンは、各制御回路基板により駆動制御される。このうち、遊技の際に払い出される遊技媒体の払い出し確率(ペイアウト率)の設定変更は、電源装置に組み込まれる設定変更入力部で行われる。この設定変更入力部は、例えば6段階のペイアウト率から1つを選択するための設定変更ボタンや、打ち止めの際に終了させるか否かを決定するスイッチ等から構成される。このうち、ペイアウト率を変更する場合には、電源装置の前面に設けられた鍵穴に専用の鍵となる設定キーを挿入し、設定変更を有効とする位置まで設定キーを所定方向に回転させる。そして、スロットマシンの電源をオンにし、設定変更ボタンを操作した後に所定の操作を行うことでペイアウト率の設定変更を実行することができる。
【0004】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような設定変更は、電源装置や周辺回路を短絡(ショート)させることでも可能となるため、スロットマシンが遊技場に配設されている場合に、例えば遊技者が前面扉に穴を開けたり、隙間から道具を用いて電源装置や周辺回路を短絡させて所定の信号を出力させれば容易に不正な設定変更を行うことができるという問題がある。」

(5-c)「【0006】【課題を解決するための手段】?本発明の遊技機は、遊技の際の利益付与確率を変更するための設定変更装置及び遊技の際に各種装置を作動させるための制御回路基板を備えた筐体と、この筐体に回動自在に取り付けられる前面扉とを有するものであり、前記筐体に、閉じ位置にある前記前面扉を検知し、前記制御回路基板に向けて検知信号を出力する扉検知センサを設けるとともに、前記制御回路基板に、前記扉検知センサの検知信号の出力信号に応じて、前記設定変更装置による前記利益付与確率の設定変更信号を無効にするか否かを判定する設定変更判定手段を設け、前記扉検知センサにより前記前面扉の検知信号が出力された場合に、前記設定変更判定手段は、前記設定変更装置からの利益付与確率の設定変更信号を無効とするものである。」

(5-d)「【0013】次に、上記構成を有するスロットマシンの作用について説明する。図3に示すように、遊技場の特定の店員がペイアウト率の変更を行う場合には、まず前面扉4を開ける(図中点線)。前面扉4を開けると、前面扉開閉センサ35からCPU41への検出信号の入力が停止することを受けて、設定変更判定部44は設定変更が有効であると判定する。そして、シリンダ29に設定キー28を差し込んで図中矢印方向に、且つオンとなる位置まで回転させた後に主電源となる電源スイッチ23をオンにする。これにより、設定変更ボタン30の操作(他の操作も必要な場合は、所定の操作も含む)が有効となるので、設定変更ボタン30を操作して設定変更を行う(図2参照)。設定変更ボタン30の操作による設定変更信号の入力を受けて、主制御部43は設定変更信号に対応するペイアウト率の設定値をメモリ42のRAM領域に記憶する。そして、設定キー28を逆方向に回転させ、シリンダ29から設定キー28を取り外した後に前面扉4を閉じると、ゲームが行える状態となる。」

(6)甲第6号証(特開2003-299772号公報)
(6-a)「【0035】図3に示すように、初期設定入力部51は筐体11の内部に設けられ、前面扉12を開いた状態でのみ操作可能である。初期設定入力部51には、このスロットマシン10の主電源となる電源スイッチ52と、設定変更キー53をシリンダ54に挿入してから設定変更を行う設定変更ボタン55と、BBモードが終了した時点で打ち止めにするか否かを選択できるスライドスイッチ56が設けられている。遊技場の作業者がペイアウト率の変更を行う場合には、電源が投入された状態で、設定変更キー53によってシリンダ54をオン位置に回転させて設定変更が可能な状態にし、設定変更ボタン55を操作することによって、異なる6段階のペイアウト率に対応する設定値を入力する。この設定値はメモリ32のRAM領域に書き込まれる。」

(6-b)「【0047】また、上記実施形態では、ペイアウト率の設定を入力する際に用いる初期設定入力部から特典付与条件を入力したが、入力方法としてはこれに限られない。例えば、設定変更キーによってシリンダをオン位置に回転し、ストップボタンのいずれかを押す回数によって特典付与条件を選択して入力しても良い。また、既存のものを利用せず、新たに入力装置を設けても良い。なお、遊技者によって設定を不正に変更されないためには、入力方法は複数の手順によって行われるようにし、さらに、その少なくとも1つは筐体内部に設けて、前面扉を開かなければ操作できないとすることが望ましい。」

(7)甲第7号証(特開2004-41479号公報)
(7-a)「【0050】ROM(リード・オンリー・メモリ)312は、各種制御を行うためのプログラムや、後述する各種テーブルデータ等を記憶する記憶手段の一つである。RAM(ランダム・アクセス・メモリ)313は、MainCPU310によって処理されるプログラムのワークエリアを有し、可変データ等を記憶する記憶手段の一つである。」

(7-b)「【0064】ステップS101では、設定値変更許可スイッチ326がオンに設定されているか否かを判断し、設定値変更許可スイッチ326がオンに設定されている場合には、ステップS102に進み、オンに設定されていない場合には、図9(b)に示す遊技開始処理に移行する。
【0065】ステップS102では、RAM313に格納されている現在の設定値を取得すると共に、設定値表示器341に、取得した設定値を表示する。」

(8)甲第8号証(特開2003-236053号公報)
(8-a)「【0056】ホッパータンク57の側部には、メイン電源をon/offするメインスイッチ部65と、ビッグボーナスの終了時や遊技中にエラーが生じた場合等において再びゲームを続行可能な状態にリセットするための第2リセットボタン66と、入賞確率を変更可能とする設定ボタン67と、自動精算機能をon/offする自動精算選択スイッチ部68と、自動打止め機能をon/offする打止め選択スイッチ部69と、遊技場の管理者等が所持する特定のキーを挿入可能な設定キー挿入部70と、が前面に設けられた電源ユニット64が配設されている。
【0057】本実施例では、設定キー挿入部70に特定のキーを挿入して時計回りに90度回転した状態、すなわちonの状態で電源投入を行う操作により、後述する設定キースイッチ82のonが検出され、遊技状態の初期化、すなわちRAM212の記憶内容の初期化が実行されるとともに、前記設定ボタン67の操作が有効となり、この設定ボタン67の操作による入賞確率、すなわち出玉率の変更が実行可能となる。すなわち、設定キーがonの状態で電源投入する操作が、本発明における遊技状態(RAM)をクリアする操作並びに出玉率の設定操作として機能することとなる。」

(8-b)「【0132】設定キースイッチ82がonであった場合には、遊技状態の初期化を行うメイン初期化処理を実行するとともに(Sa2)、入賞確率の設定値の変更が実施可能な設定変更処理を実行する(Sa3)。
【0133】メイン初期化処理では、図11に示すように、演出状態の初期化を指示する旨の初期化コマンド(初期化情報)を生成してRAM212のコマンド送信テーブルに設定し(Sb1)、この設定した初期化コマンドを演出制御基板201に送信する後述のメインコマンド送信処理(Sb2)を行った後、レジスタ及びRAM212をクリアする処理(Sb3)を行い、更に必要な初期値の設定処理(Sb4)を行う。後に詳述するが、初期化コマンドの送信により、演出制御基板201が制御する演出状態並びに表示制御基板300の制御状態も初期化されることとなる。」

(8-c)「【0176】サブ初期化処理では、図21に示すように、初期画面表示を指示する旨の表示制御コマンドを生成してRAM232のコマンド送信テーブルに設定し(Sm1)、このコマンド送信テーブルに設定されている表示制御コマンドを表示制御基板300に対して送信するための後述するサブコマンド送信処理を実行する(Sm2)。これにより初期画面表示を指示する旨の表示制御コマンドが送信され、この表示制御コマンドを受信した表示制御基板300により液晶表示器135に初期画面が表示される。次いで、レジスタ及びRAM232をクリアする処理(Sm3)を行い、更に、必要な初期値の設定処理(Sm4)を行う。」

(9)甲第9号証(特開2001-87460号公報)
(9-a)「【0032】RAMクリアボタン75cは、制御用RAM74の記憶エリアのうち、スロットマシンの出玉率の設定値の記憶エリア以外のエリアをクリアにする(初期化する)ためのボタンである。すなわち、遊技状態を初期状態に戻すときに使用するリセットボタンである。例えばRAMクリアボタン75cをオンにした状態で電源を投入すると有効になる。設定キースイッチ75dは、スロットマシンの出玉率の段階設定を行うためのスイッチである。段階設定は、予め設けられた複数段階中の1つに設定する。」

(9-b)「【0039】(サブ制御基板)サブ制御基板80は、スロットマシンの制御のうち、特に演出に係る部分を担当するものであり、サブCPU81、プログラムROM83及び制御用RAM84を搭載している。サブCPU81は、サブ制御基板80全体の制御をつかさどるものである。なお、サブCPU81は、処理能力や開発言語等に何ら制約はない。プログラムROM83及び制御用RAM84は、演出用周辺機器85の出力に関するプログラムやデータ等を記憶しておく記憶手段である。特に制御用RAM84は、本発明におけるサブメモリに相当するものである。」

(9-c)「【0053】(遊技情報初期化判別手段)遊技情報初期化判別手段71dは、電源投入後に、制御用RAM74にバックアップされた上記遊技情報を初期化するか否かを判別するものである。ここで、遊技情報初期化判別手段71dは、上述の設定キースイッチ75dにより、スロットマシンの出玉率の設定値が変更されたときは、遊技情報を初期化すると判断する。また、上述したRAMクリアボタン75cがオンにされた状態で電源が投入されたときも同様である。
【0054】(遊技情報初期化実行手段)遊技情報初期化実行手段71eは、遊技情報初期化判別手段71dで初期化すると判別したときは、制御用RAM74にバックアップされた遊技情報の初期化を実行するものである。ここでは、制御用RAM74の記憶エリアのうち、スロットマシンの出玉率の設定値の記憶エリアを除く全ての記憶エリアを初期化する。設定キースイッチ75dによりスロットマシンの出玉率の設定値が変更されたときは、変更後の設定値を、制御用RAM74の設定値の記憶エリアに書き込むとともに、設定値の記憶エリア以外の全ての記憶エリアを初期化する。
【0055】(初期化命令送信手段)初期化命令送信手段71fは、遊技情報初期化実行手段71eにより初期化を実行するときは、サブ制御基板80に対して初期化命令を送信するものである。これは、メイン制御基板70側の制御用RAM74を初期化するときは、サブ制御基板80側の制御用RAM84も初期化する必要があるので、制御用RAM84にバックアップした出力情報を初期化する命令(コマンド)を送信するものである。」

(9-d)「【0074】ステップS4では、遊技情報初期化判別手段71dは、設定キースイッチ75dが操作されたか否か、すなわちスロットマシンの出玉率の設定値が変更されたか否かを判別する。設定キースイッチ75dが操作されて設定値が変更されたと判別したときはステップS7に進み、設定キースイッチ75dが操作されていないと判別したときはステップS12に進む。
【0075】ステップS3からステップS5に進んだときは、遊技情報初期化実行手段71eは、制御用RAM74の設定値以外の遊技情報の全てを初期化する。そして次のステップS6で、初期化命令送信手段71fは、サブ制御基板80に対して、制御用RAM84にバックアップした出力情報を初期化する旨の初期化命令を送信する。次にステップS11に進んで、通常遊技時の進行処理を行う。
【0076】これに対し、ステップS4からステップS7に進んだときは、ステップS7及び次のステップS8において、それぞれ上記のステップS5及びステップS6と同様に、制御用RAM74の初期化及び初期化命令の送信を行う。」

(9-e)「【0081】次のステップS27では、復帰情報受信判別手段81eは、初期化命令送信手段71fからの初期化命令を受信したか否かを判別する。受信したと判別したときはステップS31に進み、受信していないと判別したときはステップS28に進む。」

(9-f)「【0084】ステップS27からステップS31に進んだときは、ステップS31及びステップS32において、上記ステップS25及びステップS26と同様の処理が行われる。すなわち、出力情報が初期化されるとともに、演出用周辺機器85が初期状態とされる。」

(10)甲第10号証(特開2003-190421号公報)
(10-a)「【0085】演出制御基板201には、制御部230と、各スピーカ136a、136b、137から音を出力させるためのスピーカ駆動回路235と、液晶表示器135を表示制御するための表示駆動回路236と、各種ランプを点灯あるいは点滅させるためのランプ駆動回路237と、が搭載されている。
【0086】制御部230は、サブCPUとしてのCPU231と、必要なデータの書き込み、及び書き出しができるサブメモリとしてのRAM232と、制御プログラムを格納するROM233と、I/Oポート234と、を含む。制御部230も、制御部210と同様に1チップマイクロコンピュータにて構成されている。」

(10-b)「【0113】図10に示すように、電源が投入されると、まず、設定キースイッチ82がonであるか否かを確認する(Sa1)。すなわち設定値の変更または遊技状態の初期化を行うための操作に基づく電源投入であるかを確認する。
【0114】設定キースイッチ82がonであった場合には、遊技状態の初期化を行う遊技情報初期化実行処理としてのメイン初期化処理を実行するとともに(Sa2)、入賞確率の設定値の変更が実施可能な設定変更処理を実行する(Sa3)。
【0115】メイン初期化処理では、図11に示すように、レジスタ及びRAM212をクリアする処理(Sb1)を行った後、演出状態の初期化を指示する旨の初期化コマンドをコマンドテーブルにセットし(Sb2)、このセットした初期化コマンドを演出制御基板201に送出するコマンド送出処理(Sb3)を行い、更に必要な初期値の設定処理(Sb4)を行う。後に詳述するが、この初期化コマンドの送信により、演出制御基板201が制御する演出状態も初期化されることとなる。すなわち、メイン初期化処理は、初期化命令送信処理としても機能する。」

(10-c)「【0147】尚、Sg1においてサブバックアップデータが保存されていないと確認された場合や、Sg2、Sg3において遊技制御基板200から初期化コマンドを受信した場合、すなわち遊技制御部210のCPU211より演出状態の初期化が指示された場合にも、サブ初期化処理を実行する。
【0148】サブ初期化処理では、図17に示すように、レジスタ及びRAM232をクリアする処理(Sh1)を行った後、必要な初期値の設定処理(Sh2)を行う。更に、演出制御基板201が制御する各種ランプや表示器、スピーカ等の出力状態を初期状態とする(Sh3)。すなわち、レジスタやRAM232の初期化に伴って演出用周辺機器の出力状態も初期化されることとなる。」

(11)甲第11号証(特開2000-126371号公報)
(11-a)「【0037】この設定スイッチ46により、ビッグボーナス・ゲームの発生確率を設定するには、まず電源スイッチを一旦オフにした後、設定用鍵型スイッチをオンにした状態で電源スイッチをオンにする。
【0038】当該操作により、RAMエリアに記憶された値のうち、ビッグボーナス・ゲームの発生確率の設定値、打ち止め処理を行うか否かの切り替えスイッチの状態、自動精算を行うか否かの切り替えスイッチの状態を除く全ての値がクリアされる。また、スロットマシン1の前面に設けられた表示部には、現時点におけるビッグボーナス・ゲームの発生確率の設定値が表示される。現時点における設定値の表示は、例えば7セグメントLED等からなり、賞として払い出す遊技メダル枚数を表示するための遊技メダル払出数表示部により行われる。」

(11-b)「【0041】つぎに、設定用鍵型スイッチをオフにすると、ビッグボーナス・ゲームの発生確率の設定値、打ち止め処理を行うか否かの切り替えスイッチの状態、自動精算を行うか否かの切り替えスイッチの状態が一時的に保持され、RAMエリアがクリアされた後、一時的に保持された設定値等がRAMエリアに再記憶される。」

(12)甲第12号証(特開2004-147786号公報)
(12-a)「【0032】以上のように構成された実施形態のスロットマシンにおいて、遊技制御装置1およびサブ制御装置2が行う処理の概略について説明する。図5は、遊技制御装置1に配備されたCPU(以下、メインCPUという)が実行する処理のメインルーチン及びタイマ割込時に実行するタイマ割込ルーチンを表すフローチャートである。電源が投入されると、まず、設定キースイッチがオンであるか否かが判別される(ステップS10)。設定キースイッチがオンでない場合はステップS12の初期化処理に移行する。また、設定キースイッチがオンの場合にはステップB1の設定値変更処理が行われ、入賞役の発生を許容するか否かに関する当選確率が複数段階(この実施形態では設定1?設定6までの6段階が予め定められている。)のうちから選択されて設定される。なお、入賞役の発生を許容するか否かに関する当選確率の設定状態は、RAMの設定値記憶エリアに記憶される。メインCPUは、設定値変更処理を行うと初期化処理に進み、設定値記憶エリアを除くRAMのデータ記憶エリアを初期化する(ステップS12)。」

(13)甲第13号証(特開2003-245402号公報)
「【0024】設定値を変更するときには、調整技術者が機台のドアを開くと(S101)、扉部分に仕込まれたリミットスイッチ23が開扉を検出し、検出信号を入力部11を介して異常警報装置10に伝達する(S201、S301)。次に、遊技機制御装置の電源スイッチを投入すると(S102)、制御装置に電源が供給されて立ち上がる(S202)。異常警報装置10は電源スイッチの投入を検出して遊技機が稼動状態に入ったことを知る(S302)。正規の変更行為では、正しい物理鍵を使って(S103)設定値ロック機構を解除する(S203)。ロックが解除されたことはロック機構22で検出して異常警報装置10に伝達される(S303)。
【0025】さらに、その時点における設定値が表示器24に表示され(S204)、その値は異常警報装置10にも伝達される(S304)。異常警報装置10は、設定値保存部16に記録されていた正規の設定値と新しく知らされた現時点における設定値を比較して、同じ値であることを確認する。値が異なる場合は、前回正規に設定値変更を行った後に不正な変更があったと考えられるので、出力部13を介してランプ26や警報器27などに警報表示したり、ホールコンピュータ30に警報信号を送って管理室内に警報するようにしてもよい(S401)。」

(14)甲第14号証(特開2004-201796号公報)
(14-a)「【0005】このように、従来の遊技機において鍵という機構面以外のセキュリティ対策がなかった。予め定められた設定変更の手順を知っている者であれば、不正設定を行うことができてしまった。」

(14-b)「【0007】【発明を解決するための手段】この発明は、内部動作に関する設定変更を行うための設定キースイッチ及び設定スイッチと、前記設定キースイッチが設定可能状態にされ、かつ、前記設定スイッチが操作されたときに予め定められた手順に従い設定変更を行う制御部とを備える遊技機であって、前記制御部は、前記設定キースイッチが設定可能状態にされ、かつ、前記設定スイッチが操作されたとき、予め定められたハードキースイッチを確認し、その状態が前回の設定変更時に保存された状態と一致するときに予め定められた手順に従い設定変更を行うとともに、今回のハードキースイッチの状態を保存し、両者が一致しなかったとき、設定変更を行わずにエラー報知を行うものである。」

(15)甲第15号証(特開平6-114140号公報)
「【0024】まず、遊技場の管理者等によってドアスイッチ44が操作された場合には、その操作信号がスイッチ・センサ回路55を介してI/Oポート49に与えられる。所定のキーによりキースイッチ43がキー操作された場合には、その操作信号がスイッチ・センサ回路55を介してI/Oポート49に入力される。このキースイッチにより、ゲームモードと確率設定モードの切換えが行なわれ、確率設定モードになっている場合には、ドアスイッチ44の検出出力に基づいて後述するように当りの確率が入力設定される。」

(16)甲第16号証(特開2004-135844号公報)
(16-a)「【請求項1】遊技の際の利益付与確率を変更するための設定変更装置及び遊技の際に各種装置を作動させるための制御回路基板を備えた筐体と、この筐体に回動自在に取り付けられる前面扉とを有する遊技機において、前記筐体内部に、閉じ位置にある前記前面扉を検知する扉検知センサと、前記扉検知センサからの前面扉の検知信号の有無に応じて、前記設定変更装置の操作による設定変更信号が無効であるか否かを判定する信号判定手段とを設け、前記扉検出センサの検知信号が出力された場合に、前記信号判定手段では前記設定変更装置の操作による設定変更信号を無効とすることを特徴とする遊技機。」

(16-b)「【0004】しかしながら、このような設定変更は、電源装置や周辺回路を短絡(ショート)させることでも可能となるため、スロットマシンが遊技場に配設されている場合に、例えば遊技者が前面扉に穴を開けたり、隙間から道具を用いて電源装置や周辺回路を短絡させることで、所定の信号を出力させれば容易に不正な設定変更を行うことができるという問題がある。」

(16-c)「【0010】この電源装置22の近傍には、前面扉4の閉じ状態を検知するための前面扉開閉センサ35が設けられている。この前面扉開閉センサ35は、前面扉4が閉じ位置に位置した場合に検知信号を電源装置22の信号判定部36に向けて出力する(図3参照)。」

(16-d)「【0013】次に、上記構成を有するスロットマシンの作用について説明する。図3に示すように、遊技場の特定の店員がペイアウト率の変更を行う場合には、まず前面扉4を開ける(図中点線)。前面扉4を開けると、前面扉開閉センサ35から信号判定部36への検出信号の入力が停止する。これを受けて、信号判定部36は設定変更の操作が有効であると判定する。そして、シリンダ29に設定キー28を差し込んで図中矢印方向に、且つオンとなる位置まで回転させた後に、電源スイッチ23をオンにした状態で設定変更ボタン30の操作(他の操作も必要な場合は、所定の操作も含む)を行って設定変更を行う(図2参照)。設定変更ボタン30の操作による設定変更信号の入力を受けて、CPU41は設定変更信号に対応するペイアウト率の設定値をメモリ42のRAM領域に記憶する。」

(16-e)「【0014】パチンコ店等の遊技場で、遊技者が例えば前面扉4に穴を開けて設定変更を不正に行おうとする場合がある。この場合、前面扉開閉センサ35からのオン信号が信号判定部36へと出力されているので、偽造キー等によりシリンダ29をオンとなる位置まで回転させた後に設定変更ボタン30を操作しても、信号判定部36により設定変更信号が主制御回路基板40へと出力されなくなる。これにより、前面扉4を閉じた状態では、設定変更ボタン30の操作が無効となる。」

(17)甲第17号証(特開2003-225352号公報)
(17-a)「【0060】ユニット部材360の下方に設けられる遊技用中継基板338には、その前面側には前述した各種表示器108?110や各種LED111?117が設けられているとともに、後面側(図3中手前側)には、設定値を表示可能な1つの7セグ表示器からなる設定値表示器124が設けられている。」

(17-b)「【0073】図4は、スロットマシン1に設けられた各種基板と電気部品との接続状況を説明するためのブロック図である。」

(18)甲第18号証(特開2003-93580号公報)
(18-a)「【0024】次に、図3、図4を参照して、スロットマシン100の制御部の構成について説明する。図3は、主に主制御部300のブロック図、図4は主に副制御部400のブロック図である。主制御部300は、主制御基板200上に搭載され、副制御部400は副制御基板210上に搭載される。」

(18-b)「【0041】まず、RAM319に格納されている設定値を取得し、これを現在の設定値として払出枚数表示器124に表示する。次いで、設定スイッチ222が押下された否かを判断し、設定スイッチ222が押下された場合は、設定値をインクリメントする。」

(19)甲第19号証(特開2002-360778号公報)
(19-a)「【0049】不正行為者は、他の遊技者と同様に上記したパチスロ遊技を行うか、行っているふりをして不正行為の機会を伺う。そして、透明なセル板等の不正操作具を、コイン排出口40とホッパー出口22との隙間や、前面扉2と筐体本体部3との隙間から少しずつ奥に挿入する。このとき、不正行為者は、遊技機内部を目視できないので、指先の感覚を頼りに不正操作具を挿入して強制払い出しスイッチ26を探し出す。そして、不正操作具が強制払い出しスイッチ26らしきものにぶつかると、取り敢えず不正操作具を上下左右にやみくもに動かしてオン操作しようと試みる。」

(19-b)「【0051】さらに、遊技制御装置7は、本発明の異常状態報知手段としても機能し、強制払い出しスイッチ26が監視基準時間を経過する前にオン以外の状態、即ち、中立状態やオフ状態に変化すると、異常状態の旨を報知する。この異常状態の報知は、例えば、パチスロ遊技機1の外部に異常報知信号を出力することで行われる。この異常報知信号は、例えば、ホールコンピュータ(所謂管理装置)に出力され、異常報知信号を出力したパチスロ遊技機1を特定する。そして、ホールコンピュータのオペレーターは、そのパチスロ遊技機1での不正行為者の行動を監視カメラで撮像したり、店員等に連絡して不正行為の有無を確認させたりできるので、不正行為に対する迅速な対応ができる。」

(20)甲第20号証(特開2002-360774号公報)
(20-a)「【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の強制払い出しスイッチはオン操作すれば直ちにコインが排出されるので、遊技者の中には、セル板等の不正操作具を用いる等して外部から強制払い出しスイッチをオン操作し、コインを不正に獲得する不心得な者がいる。この場合、前面扉は閉じられているか、極く僅かに開かれているだけであるので、強制的に払い出しされたコインは、賞として払い出されたコインと同じ経路を辿って受け皿に排出され、外部からは不正行為を発見し難い。」

(20-b)「【0074】そして、図8に示すように、この第2実施形態では、払い出し制御手段としての遊技制御装置7は、前面扉2の完全開放状態において強制払い出しスイッチ26がオン操作された場合にのみ、強制払い出し動作を実行させる。その他の場合には、強制払い出し動作は実行しない。さらに、遊技制御装置7は、強制払い出しスイッチ26がオン操作された際の報知内容を、前面扉2の開放状態に応じて設定しており、オン操作時の状況に適した報知を行うようにしている。即ち、前面扉2が全くの閉状態であるにも拘わらず強制払い出しスイッチ26が操作された場合には、不正行為の疑いが強いので異常状態を報知し、そのパチスロ遊技機1に店員を急行させる。また、不完全開放状態で強制払い出しスイッチ26が操作された場合には、条件が不成立である旨の報知を行い、前面扉2の開放を促す。さらに、完全開放状態で強制払い出しスイッチ26が操作された場合には、正規の手順による強制払い出し動作であると考えられるので、強制払い出し実行中の報知を行う。」

(21)甲第21号証(特開2004-49461号公報)
「【0047】
図8は、ホールサポートメニューについて示した図である。この画面は、設定変更を行っているときに、表示画面5aに表示されるものである。つまり、設定変更機能はホール(遊技店)の者しか行えないようになっていることから、このホールサポートメニューもホールの者しか行えないようになっている。このホールサポートメニューとは、後述する副制御回路で行われる種々の制御に関する設定を行えるものであり、設定可能な制御が各種メニューとして表示されるものである。ホールの者は、十字ボタン26、○ボタン27、×ボタン28を操作することによって、複数のメニューの中から一のメニューを選択し、選択したメニューの設定を行うことができる。」

(22)甲第22号証(特開2004-97334号公報)
「【0050】
一方、段階設定スイッチ101がONのとき(S3)、即ち設定モードが選択されているときは、CPU21の制御の下に、RAM23に記憶されている現在の入賞率の設定値nをCPU21に内蔵された図示しないレジスタに記憶し(S5)、この現在の入賞率の設定値nを表示LED53に表示する(S6)。この表示を視認することにより現在の入賞率の設定値nを確認できる。続いて、CPU21は、アラーム(警報音)を発生するようサブ制御部30に制御信号を出力する。この制御信号を受けたサブCPU31は、サウンドデータ33又は/及び音声メモリ34に記憶された所定のデータに基づいて、音響出力部40を制御して、例えばサイレンのような音や「設定値の変更中です。」といった合成音声をスピーカ12から出力する(S7)。」

第6 無効理由の判断
1.本件発明1について
1-1 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。

ア 甲1発明における「メイン制御基板61」は、本件発明1の「遊技制御手段」に相当し、以下同様に、「サブ制御基板62」は「演出制御手段」に、「RAM84」は「書き換え可能な演出用記憶手段」に、それぞれ、相当する。

イ 甲1発明における「抽選確率設定用鍵型スイッチ54、メインスイッチ52、リセットスイッチ53」は、該3つのスイッチを協働させて設定変更をするものであるから、本件発明1の「設定変更操作手段」に相当する。
よって、甲1発明の「前面扉37を開放状態とすることにより操作可能となるメインスイッチ52、リセットスイッチ53設定用鍵型スイッチ54、を備える遊技機」は、本件発明1の「前面扉を開放状態とすることにより操作可能となる設定変更操作手段を備える遊技機」に相当する。

ウ 甲1発明における「その時の遊技状態および当選フラグの種類といった情報」とは、本件発明1の「遊技の進行状況に応じた制御情報」に相当するものであり、メイン制御基板61が、遊技の進行を制御することは自明な事項である。
よって、甲1発明の「その時の遊技状態および当選フラグの種類といった情報を送信するメイン制御基板61」は、本件発明1の「遊技の進行を制御すると共に、遊技の進行状況に応じた制御情報を送信する遊技制御手段」に相当する。

エ 甲1発明における「画像演出パターンを選択し、選択した画像演出パターンを液晶表示装置22に表示させる」ことは、本件発明1の「遊技に関する演出の実行を制御する」ことに相当する。
よって、甲1発明の「メイン制御基板61から送信されたその時の遊技状態および当選フラグの種類といった情報を取り込み、該情報に基づいて表示する画像演出パターンを選択し、選択した画像演出パターンを液晶表示装置22に表示させるものであって、RAM84を含んで構成されるサブ制御基板62」は、本件発明1の「遊技制御手段から送信された制御情報を受信し、該受信した制御情報に基づいて少なくとも前記遊技に関する演出の実行を制御するものであって、書き換え可能な演出用記憶手段を含む演出制御手段」に相当する。

オ 甲1発明においては、「スタートレバー30の操作が行われると、乱数発生器69で発生した乱数に基づき入賞判定が行われ」、入賞はリールが停止操作される前に既に定まっているから、事前に決定する事前決定手段を有しているといえる。
よって、甲1発明の「スタートレバー30の操作が行われると、乱数発生器69で発生した乱数に基づき入賞判定が行われる確率抽選処理を行い」は、本件発明1の「所定の入賞の発生を許容する旨を、所定の確率で事前に決定する事前決定手段」に相当する。

カ 甲1発明の「確率抽選処理によりセットされた当選番号に応じた当たり要求フラグを1バイトの当たり要求フラグ格納領域に領域に記憶するRAM66」と、本件発明1の「所定の確率に基づいて算出される払出率について設定された段階を示す情報を記憶する特定領域と、遊技の進行状況に関する情報を記憶する領域として記憶すべき情報の重要度に応じて分けられた特別領域と一般領域と、所定領域とを含み、前記特別領域、前記特定領域、前記所定領域、前記一般領域の順となるように各領域の開始アドレスが割り当てられている遊技用記憶手段」とは、「遊技に関する情報を記憶する遊技用記憶手段」という点で共通する。

キ 甲1発明の「前回遊技終了時にRAM66に記憶されていたデータを消す遊技終了時のRAMクリア処理を行うメインCPU64」と、本件発明1の「設定変更手段による段階の変更の際に、前記遊技用記憶手段に含まれる複数の領域各々の開始アドレスのうちの前記所定領域の開始アドレスを設定して、前記一般領域を含む領域であって当該開始アドレスから初期化最終アドレスまでの領域に記憶されている情報を初期化する初期化手段とを備え、前記初期化手段は、前記設定変更手段による段階の変更の際ではないときにおいて初期化条件が成立したときに、前記設定変更手段による段階の変更の際に設定する開始アドレスとは異なる開始アドレスであって当該成立した初期化条件に応じて予め定められた領域の開始アドレスを設定して、当該開始アドレスから前記初期化最終アドレスまでの領域に記憶されている情報を初期化」する点とは、「遊技用記憶手段の初期化を行う初期化手段」という点で共通する。

ク 甲1発明の「メイン制御基板61から設定値変更コマンドが送信されると、設定日時および設定値を前記RAM84に記憶」する点は、本件発明1の「設定制御情報を受信することによって、設定された段階に関する記憶情報を演出用記憶手段に記憶」する点に相当する。
そして、メイン制御基板61は、設定制御情報(設定値変更コマンド)を送信する設定制御情報送信手段を有することは自明な事項である。

ケ 甲1発明の「Aボタン24を操作すると、サブ制御基板62のRAM84に確保されている遊技機データ記憶領域の総合データがクリアされる」と、本件発明1の「初期化制御情報を受信することによって、前記演出用記憶手段の記憶情報のうち少なくとも演出の実行に関する情報を初期化するとともに前記設定された段階に関する記憶情報についても初期化する」とは、「所定の条件で、演出用記憶手段の記憶情報を初期化する」点で共通する。

コ よって、本件発明1と甲1発明とは、
「前面扉を開放状態とすることにより操作可能となる設定変更操作手段を備える遊技機であって、
遊技の進行を制御すると共に、遊技の進行状況に応じた制御情報を送信する遊技制御手段と、
前記遊技制御手段から送信された制御情報を受信し、該受信した制御情報に基づいて少なくとも前記遊技に関する演出の実行を制御するものであって、書き換え可能な演出用記憶手段を含む演出制御手段とを備え、
前記遊技制御手段は、
所定の入賞の発生を許容する旨を、所定の確率で事前に決定する事前決定手段と、
遊技に関する情報を記憶する遊技用記憶手段と、
設定制御情報を送信する設定制御情報送信手段と、
遊技用記憶手段の初期化を行う初期化手段とを備え、
前記演出制御手段は、
前記設定制御情報を受信することによって、設定された段階に関する記憶情報を前記演出用記憶手段に記憶し、
所定の条件で、演出用記憶手段の記憶情報を初期化する
ことを特徴とする遊技機。」
で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
遊技制御手段が備える遊技用記憶手段に関して、
本件発明1は「所定の確率に基づいて算出される払出率について設定された段階を示す情報を記憶する特定領域と、遊技の進行状況に関する情報を記憶する領域として記憶すべき情報の重要度に応じて分けられた特別領域と一般領域と、所定領域とを含み、前記特別領域、前記特定領域、前記所定領域、前記一般領域の順となるように各領域の開始アドレスが割り当てられている」のに対し、
甲1発明は、そのように特定されていない点。

[相違点2]
開放検知手段、変更期間開始制御手段、及び設定変更手段に関して、
本件発明1は、遊技制御手段に「開放検知手段」を備え、「開放検出手段により前面扉が開放状態となっている旨が検出され、さらに前記前面扉を開放状態とすることにより操作可能となる変更許可開始操作手段が操作されることにより所定の設定変更許可条件を成立させて、設定変更期間を開始」させ、「設定変更期間において、少なくとも前記設定変更操作手段が操作されることによって、前記特定領域に記憶された段階を変更する」ものであるのに対して、
甲1発明は、サブ制御基板62(演出制御手段)に、扉開閉監視手段(開放検知手段)を備えるものであり、前面扉を開放状態とすることにより操作可能となる変更許可開始操作手段を備えるものでも、それに引き続いて所定の設定変更許可条件を成立させて、設定変更期間を開始させ、設定変更期間において特定領域に記憶された段階に変更するものでもない点。

[相違点3]
段階表示制御手段に関して、
本件発明1は、遊技制御手段に「設定変更期間が開始されたときに、前記遊技用記憶手段に情報が記憶されている変更前の段階を表示手段に表示段階表示制御手段」を備えているのに対して、
甲1発明は、サブ制御基板62(演出制御手段)において、液晶表示装置22の設定履歴確認画面に表示させるものであり、設定変更期間との関係について明記されていない点。

[相違点4]
初期化制御情報送信手段に関して、
本件発明1は、遊技制御手段に「設定変更期間が開始したときに、演出用記憶手段の記憶情報を初期化することを指示する初期化制御情報を前記演出制御手段に送信する設定制御情報送信手段」を備え、演出制御手段は、「前記初期化制御情報を受信することによって、前記演出用記憶手段の記憶情報のうち少なくとも演出の実行に関する情報を初期化するとともに前記設定された段階に関する記憶情報についても初期化する」するものであるのに対して、
甲1発明は、Aボタン24を操作すると、サブ制御基板62のRAM84に確保されている遊技機データ記憶領域の総合データがクリアされる点が記載されているものの、設定変更と関連する発明特定事項を有していない点。

[相違点5]
遊技制御手段が備える設定制御情報送信手段に関して、
本件発明1は「設定変更期間が終了したときに、該変更後の前記設定された段階に関する情報を含む設定制御情報を演出制御手段に送信」するものであるのに対して、
甲1発明は、メイン制御基板61から設定値変更コマンドがサブ制御基板62に送信するための「設定制御情報送信手段」に相当する手段を有しているものの、設定変更期間と関係について明記されていない点。

[相違点6]
遊技制御手段が備える初期化手段に関して、
本件発明1は、「設定変更手段による段階の変更の際に、遊技用記憶手段に含まれる複数の領域各々の開始アドレスのうちの所定領域の開始アドレスを設定して、一般領域を含む領域であって当該開始アドレスから初期化最終アドレスまでの領域に記憶されている情報を初期化する初期化手段とを備え、前記初期化手段は、前記設定変更手段による段階の変更の際ではないときにおいて初期化条件が成立したときに、前記設定変更手段による段階の変更の際に設定する開始アドレスとは異なる開始アドレスであって当該成立した初期化条件に応じて予め定められた領域の開始アドレスを設定して、当該開始アドレスから前記初期化最終アドレスまでの領域に記憶されている情報を初期化」するものであるのに対して、
甲1発明は、前回遊技終了時にRAM66(遊技用記憶手段)に記憶されていたデータを消す遊技終了時のRAMクリア処理を行うものの、RAM66(遊技用記憶手段)がどのような領域を含み、どのように初期化するかについて明記されていない点。

1-2 判断
上記相違点について検討する。
相違点1、6は、いずれも、遊技用記憶手段に割り当てられた開始アドレスに関連するものなので、まとめて検討する。

1-2-1 相違点1、6について
(1)請求人の主張
ア.甲第1号証の段落【0252】において、設定値のデータがメイン制御基板からサブ制御基板に送信され、サブ側のRAMに記憶されている以上、メイン側のRAMには、送信元となるデータである設定値が記憶されていることは自明である(口頭審理陳述要領書(2)第2頁第4?11行)。
イ.段階の変更の際に、遊技用記憶手段に含まれている一般領域に記憶されている情報を初期化することとは、設定変更の際に当選フラグが初期化されることを指すのである。しかるところ、甲第4号証の段落【0109】、甲第11号証の段落【0041】の記載から、一般領域に記憶されている情報である当選フラグが、設定変更に際して初期化されているといえる(口頭審理陳述要領書(2)第3頁第9行?第4頁第16行)。

(2)被請求人の主張
ア.メイン制御基板のRAMに確率抽選データをセットするという甲第1号証の記載から、甲第1号証に記載の遊技機が、設定値のデータをメイン制御基板のRAMに記憶するものであるとはいえない(口頭審理陳述要領書第3頁第6行?5頁第15行)。
イ.甲第4号証、甲第11号証、および甲第12号証のいずれにも、「遊技用記憶手段に含まれる領域のうち一般領域に記憶されている情報を初期化する契機を設定変更手段による段階の変更の際とする」という技術的事項は記載されていない(口頭審理陳述要領書第5頁第16行?第6頁第25行)。

(3)当審の判断
まず、本件発明1の「特別領域」、「特定領域」、「所定領域」、「一般領域」がどのような領域であるのかを検討する。
上記「第2 3.(1)ア」を踏まえると、本件発明1における「特別領域」、「特定領域」、「所定領域」、「一般領域」は、特許明細書に記載された「特別ワーク」、「設定値ワーク」、「重要ワーク」、「一般ワーク」に、それぞれ、相当するものである。
そして、特許明細書の段落【0129】?【0131】によれば、特別ワーク(特別領域)は、演出制御基板102に送信するコマンドやソフトウェア乱数を生成するためのワーク領域であり、設定値ワーク(特定領域)は、設定値を保持するワーク領域であり、重要ワーク(所定領域)は、ビッグボーナス終了時にクリアされると不都合が生じることのあるデータを記憶するワーク領域であり、一般ワーク(一般領域)は、ビッグボーナス終了時にクリアしてもよいデータを記憶するワーク領域で、ビッグボーナス中フラグを設定するための領域、ビッグボーナスにおける払出メダル枚数をカウントするカウンタのための領域、レギュラーボーナス中フラグ、RT中フラグを設定するための領域、ビッグボーナス当選フラグ、レギュラーボーナス当選フラグ、RT当選フラグを設定するための領域などを含んでいると解される。
甲第2号証には、本件発明1と同様の特別ワーク、設定値ワーク、重要ワーク、一般ワークが記載されており(段落【0064】?【0065】参照)、これらは、それぞれ、本件発明1の「特別領域」、「特定領域」、「所定領域」、「一般領域」にそれぞれ相当するものである。
一方、甲第2号証には、遊技制御基板101のRAM112のワーク領域は、重要ワーク(所定領域)、一般ワーク(一般領域)、特別ワーク(特別領域)、設定値ワーク(特定領域)及び非保存ワークと、未使用領域と、スタック領域としての未使用中スタック領域及び使用中スタック領域の順に構成されており(段落【0063】、図6参照)、内部当選確率の設定変更がされた場合には、重要ワーク(所定領域)と一般ワーク(一般領域)、未使用領域及び未使用スタック領域をクリアすることが記載されている(段落【0088】?【0091】、図7、図10参照)。
そして、上記甲第2号証に記載されたワーク領域の順序は、本件発明1における開始アドレスが割り当てられている特別領域、特定領域、所定領域、一般領域の順とは異なるものであり、また、甲第2号証には、初期化の際の開始アドレスに関する記載はない。
甲第3号証には、設定変更操作が行われると、RAM28内にボーナス確定ランプフラグデータが貯留されているか否かがチェックされ、YESの場合、ボーナス確定ランプフラグデータが記憶されているエリアを除くその他のRAMエリアがクリアされ、NOの場合、RAMエリアの全てがクリアされる点が記載されている(段落【0029】参照)。
甲第4号証には、設定値変更の際に、ビッグボーナスの発生確率の設定値、打ち止め処理を行うか否かの打ち止め設定スイッチ44の状態、自動精算を行うか否かの切り替えスイッチの状態を除くすべての値を、遊技制御手段の遊技記憶手段からクリアする点が記載されている(段落【0090】、【0106】、【0107】参照)。
甲第11号証には、設定値変更の際に、RAMエリアに記憶された値のうち、ビッグボーナス・ゲームの発生確率の設定値、打ち止め処理を行うか否かの切り替えスイッチの状態、自動精算を行うか否かの切り替えスイッチの状態を除く全ての値がクリアされる点が記載されている(段落【0037】、【0038】参照)。
甲第12号証には、メインCPUは、設定値変更処理を行うと初期化処理に進み、設定値記憶エリアを除くRAMのデータ記憶エリアを初期化する点が記載されている(段落【0032】参照)。
しかしながら、甲第2?4号証、甲第11号証、甲第12号証には、「特別領域、特定領域、所定領域、一般領域の順となるように開始アドレスが割り当てられている遊技用記憶手段」(以下、「構成A」という。)、及び「設定変更手段による段階の変更の際に、遊技用記憶手段に含まれる複数の領域各々の開始アドレスのうちの前記所定領域の開始アドレスを設定して、前記一般領域を含む領域であって当該開始アドレスから初期化最終アドレスまでの領域に記憶されている情報を初期化する初期化手段とを備え、前記初期化手段は、前記設定変更手段による段階の変更の際ではないときにおいて初期化条件が成立したときに、前記設定変更手段による段階の変更の際に設定する開始アドレスとは異なる開始アドレスであって当該成立した初期化条件に応じて予め定められた領域の開始アドレスを設定して、当該開始アドレスから前記初期化最終アドレスまでの領域に記憶されている情報を初期化」する点(以下、「構成B」という。)は、記載されておらず、構成A、Bが周知技術であるとは認められない。
また、他の証拠方法を見ても、このような構成A、Bを開示するものは見当たらない。
そして、効果について、本件発明1は、構成A、Bにより、「成立した条件に応じて異なる処理は、クリアする領域の先頭アドレスの設定だけであり、その他は同一のRAMクリア処理で行うことができるので、制御が容易になる。また、クリアする領域の先頭アドレス以外には、成立した条件に応じてクリアする領域を細かく指定するためのデータが必要なく、RAM112を領域別にクリアするためのデータ量を小さくすることができる。」(段落【0200】参照)という効果を奏するものであり、この効果は、甲1発明、甲第2?4号証、甲第11号証、甲第12号証の記載事項、及び他の証拠方法から予測し得るものとはいえない。
以上を踏まえると、甲1発明において、周知技術を適用し、相違点1に係る本件発明1の構成とすること、及び相違点6に係る本件発明1の構成とすることは、いずれも当業者が容易になし得たものとはいえない。

1-2-2 相違点2について
(1)請求人の主張
ア.甲第6号証には、「前面扉を開けなければ操作できない」(段落【0047】)ことが記載されているから、前面扉の開放状態を検出する技術は、同号証に記載されているに等しい(口頭審理陳述要領書第2頁第1?17行)。
イ.開放検出手段を遊技制御基板に設けるか、演出制御基板に設けるかについては、演出制御手段に設けたとするならば開閉情報を演出制御手段側の表示装置に表示可能といった利点が生じ得ることが想定されても、遊技制御基板に設けたところで格別の技術的意義は見いだせず、斯かる事項は、出願時当業者が適宜選択できた設計事項にすぎない(口頭審理陳述要領書第2頁第18?第3頁第18行)。

(2)被請求人の主張
ア.甲第6号証には、前面扉の開放状態を検出する技術について記載されているとはいえないから、「開放検出手段により前面扉が開放状態となっている旨を検出し、前面扉が開放状態の場合にのみ操作可能となる変更許可開始操作手段により所定の設定変更許可条件を成立させて、これにより設定変更期間を開始させる」点は、周知技術であるとはいえない(答弁書第5頁第20行?第7頁第5行)。
イ.甲1発明は、「演出制御手段」に対してではあるが、「開放検出手段」を既に備えている。このことを考慮すれば、「開放検出手段を遊技制御手段に備える」という技術が周知であったとしても、「演出制御手段」が既に備えている「開放検出手段」を、わざわざ、「遊技制御手段」側に備えるように変更する動機付けが存在するとはいえない(答弁書第6?26行)。

(3)当審の判断
スロットマシン等の遊技機の技術分野において、開放検出手段により前面扉が開放状態となっている旨を検出し、前面扉が開放状態の場合にのみ操作可能となる変更許可開始操作手段により所定の設定変更許可条件を成立させて、これにより設定変更期間を開始し、この設定変更期間において、設定変更操作手段を操作されることによって設定値を変更することは、周知の技術である(例えば、甲第5号証の段落【0003】?【0006】、【0013】、甲第15号証の段落【0008】、【0014】、【0024】、甲第16号証の段落【0004】、【0010】、【0013】参照)。
なお、甲第6号証は、前面扉の開放を開放検出手段により検出する技術を開示するものではない。
そして、開放検出手段を遊技制御手段に備えさせるか又は演出制御手段に備えさせるかは、当業者が適宜なし得る設計事項といえる。
よって、甲1発明において、設定変更の不正対策を万全なものとするために、周知の技術を適用し、前面扉の開放検出手段を遊技制御手段に設けるとして、相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者であれば容易に想到できるものである。

1-2-3 相違点3について
(1)請求人の主張
甲第4号証において、段階表示制御手段(確率設定スイッチ42)は、図2のとおり、遊技制御手段(制御装置31)に備えており、甲第7号証には、図7のとおり、設定値表示器341(段階表示手段)は遊技制御手段(主制御部300)に備わっている(口頭審理陳述要領書第3頁第19行?第4頁第4行)。

(2)被請求人の主張
甲第4号証には、複数の制御装置を備えた上で、「段階表示制御手段」を「メイン制御基板100」側が備えることについて記載されていないから、「遊技制御手段」と「演出制御手段」とを備えた上で「段階表示制御手段」を「遊技制御手段」側で備える技術が周知技術であるとはいえない。
よって、甲1発明の「段階表示制御手段」を「遊技制御手段」側で備えるようにする動機付けは存在しない(答弁書第8頁第12行?第10頁第28行)。

(3)当審の判断
スロットマシンの技術分野において、遊技制御手段は、設定変更期間が開始されたときに、遊技用記憶手段に記憶されている変更前の段階を表示手段に表示する点は、周知の技術である(例えば、甲第7号証の段落【0064】、【0065】、甲第17号証の段落【0060】、【0061】、甲第18号証の段落【0041】参照。)。
なお、甲第4号証は、遊技動作が制御装置31により制御されるものであり、本件発明1のような遊技制御手段と演出制御手段を備えるものではないから、演出制御手段が変更前の段階を表示手段に表示することを開示するものではない。
よって、甲1発明において、周知の技術を適用し、相違点3に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

1-2-4 相違点4について
(1)請求人の主張
「演出用記憶手段の記憶情報のうち少なくとも演出の実行に関する情報を初期化する」点において、本件発明1と甲1発明とは共通しており、その契機が、設定変更期間開始時か、Aボタン操作時かの点で相違するのみのなのである。しかして、設定変更期間開始時に演出用記憶手段の記憶情報を初期化する点は、出願時周知の技術である(口頭審理陳述要領書第5頁?第8頁第8行)。

(2)被請求人の主張
甲第1号証には、初期化はスロットマシン1に初めて電源が投入された場合にだけ実行されるとの記載があるから(段落【0124】)、甲1発明に「設定変更開始時に演出用記憶手段の記憶情報を初期化する」との周知技術の構成を適用すると、設定変更が開始されたときに遊技機管理情報が初期化されてしまい、設定変更の際に遊技機管理情報を表示することができなくなり、表示情報を有効活用するという甲1発明本来の目的に反することでになる(答弁書第15頁第1行?第16頁第13行)。

(3)当審の判断
スロットマシンの技術分野において、設定値を変更する際に、遊技制御手段から演出制御手段に送信される信号によって、演出制御手段の演出用記憶手段の記憶情報を初期化することは、周知の技術である(例えば、甲第8号証の段落【0132】、【0133】、甲第9号証の段落【0054】、【0055】、【0076】参照。)。
そして、演出制御手段の演出用記憶手段の記憶情報には、演出の実行に関する情報や設定値が含まれていることは、自明な事項であるから、設定値を変更する際に、演出の実行に関する情報とともに設定値を初期化することは当業者が適宜なし得たことである。
よって、甲1発明において、周知の技術を適用し、相違点4に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

1-2-5 相違点5について
本件発明1における「設定情報送信手段」に関して、特許明細書の段落【0010】には、「設定変更期間が終了したときに(ステップS111(YES))、該変更後の前記設定された段階に関する情報を含む設定制御情報(状態コマンド)を送信する設定制御情報送信手段(ステップS119)」と記載されており、段落【0142】には、ステップS111は、設定キースイッチ92がOFF状態とされたかどうかの判定であることが記載されているから、設定変更期間が終了したときとは、設定キースイッチ92をOFF状態としたときであり、設定値の変更操作の終了時であるといえる。
ここで、甲1発明において「メイン制御基板61から設定値変更コマンドが送信される」のは、「メインスイッチ52、リセットスイッチ53、設定用鍵型スイッチ54」による操作が終了した時、すなわち、設定値の変更操作の終了時であることは、当業者にとって自明な事項である。
よって、相違点5に係る本件発明1の構成は、甲1発明から当業者が適宜なし得たことである。

1-3 小活
以上によれば、相違点1、6に係る本件発明1の構成については、容易想到とすることができないから、本件発明1は、甲1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできず、本件発明1の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

2.本件発明2について
2-1 対比
本件発明2と甲1発明とを対比すると、両者の一致点は、上記「1-1 コ」で述べた[一致点]と同様であり、相違点は、[相違点1]ないし[相違点6]に加え、以下の点でも相違する。

[相違点7]
本件発明2は、遊技制御手段は、開放検出手段により前面扉が閉鎖状態となっている旨が検出されているときに変更許可開始操作手段が操作されたときに、所定の情報を報知する閉鎖状態報知手段とをさらに備えるのに対して、甲1発明には、そのような特定がされていない点。

2-2 判断
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項をすべて含み、さらに相違点7に係る限定事項を付加したものである。そして、本件発明1は、上記「1-2」、「1-3」で述べたとおり、甲1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易になし得たものではないから、本件発明2も、同様の理由により、甲1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易になし得たものとはいえない。

2-3 小活
したがって、本件発明2は、甲1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできず、本件発明2の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

3.本件発明3について
3-1 対比
本件発明3と甲1発明とを対比すると、両者の一致点は、上記「1-1 コ」で述べた[一致点]と同様であり、相違点は、[相違点1]ないし[相違点6]、または[相違点1]ないし[相違点7]に加え、以下の点でも相違する。

[相違点8]
本件発明3は、演出制御手段は、初期化制御情報を受信してから設定制御情報を受信するまで、設定変更手段により段階の変更が行われている旨を報知する設定変更報知手段をさらに備えるのに対して、甲1発明には、そのような特定がされていない点。

3-2 判断
本件発明3は、本件発明1の発明特定事項をすべて含み、さらに相違点8に係る限定事項を付加したものである。そして、本件発明1は、上記「1-2」、「1-3」で述べたとおり、甲1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易になし得たものではないから、本件発明3も、同様の理由により、甲1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易になし得たものとはいえない。

3-3 小活
したがって、本件発明3は、甲1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできず、本件発明3の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書きに掲げるいずれかの事項を目的とするものであり、同条第9項において準用する同法126条第5項、第6項の規定に適合するので、請求のとおり訂正を認める。
そして、本件発明1?3は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではないから、本件発明1?3に係る特許は、請求人の主張する無効理由及び提出した証拠方法によっては無効とすることができない。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遊技機
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシンやパチンコ遊技機等の遊技機に関し、特に所定の確率に基づいて算出される払出率を定めた複数種類の段階(いわゆる設定値)を有する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一例としてのスロットマシンは、一般に、外周部に識別情報としての複数種類の図柄が描かれた複数(通常は3つ)のリールを有する可変表示装置を備えており、各リールは、遊技者がスタートレバーを操作することにより回転を開始し、また、遊技者が各リールに対応して設けられた停止ボタンを操作することにより、その操作タイミングから予め定められた最大遅延時間の範囲内で回転を停止する。そして、全てのリールの回転を停止したときに導出された表示態様に従って入賞が発生する。
【0003】
スロットマシン毎に定められた各役の入賞が発生するためには、一般的には、事前(通常はスタートレバー操作時)に行われる内部抽選に当選して当選フラグが設定されていなければならない。内部抽選では、ハードウェアまたはソフトウェアにより定期的に更新される内部抽選用の乱数を抽出し、抽出した乱数の値を、設定値、賭け数及び遊技状態に応じて用意された当選判定用テーブルを比較することによって、遊技状態に応じて定められた各役に当選したかどうかを判定するものとしている。
【0004】
ここで、遊技店において個々のスロットマシンにおけるメダルの払出率を異ならせることができるように、内部抽選における各役の当選確率を設定値に応じて変化させることができるようになっている。つまり、スロットマシンにおける遊技は、設定値に応じて異なるものとなるが、実際の遊技を行うための設定値と異なって認識された設定値によって演出されるのを防ぐため、遊技制御基板と演出制御基板とを分けて制御回路を構成したスロットマシンでは、1ゲーム毎に設定値に関する情報を含むコマンドを遊技制御基板から演出制御基板に送信するものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2003-10381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のスロットマシンでは、遊技制御基板における実際上の設定値と演出制御基板において認識している設定値とが統一されるのに、若干のタイムラグが生じる場合がある。また、設定値の変更操作を行っている期間においては、演出制御基板では設定値の変更操作を行う前の遊技状態が継続しているものと認識する。このように少なくとも設定値の変更操作を終了するまでは、演出制御基板における設定値や遊技状態の認識としては、変更操作前のものが継続してしまうことになる。これにより、設定値の変更操作が終了するまでの間、その前の設定値や遊技状態での演出が継続してしまう場合があり、設定値の変更操作を行っている間、煩わしさを感じさせてしまうことがあった。
【0007】
ところで、設定値は、その値の違いに応じて内部抽選の当選確率が異なるものとするため、この操作についての不正を防止することが重要な課題となる。設定値を正当に変更することができるのは、遊技店の店員などの限られた者だけであり、この場合には、スロットマシンの前面扉を開放した筐体内部にある各種のスイッチを操作することで、設定値の変更を行うものとしている。つまり、正当な設定値の変更操作は、前面扉を開放しなければ行うことができない。
【0008】
これに対して、設定値の変更操作を行うための各種スイッチは、電気的なスイッチによって構成される。このため、前面扉が閉じたままでも外部からの信号によってこれらのスイッチが作動してしまうと、設定値が変更されてしまうことがある。さらに、パチンコ遊技機においても特図ゲームの当選確率を設定値に応じて異なるものとしているため、スロットマシンにおいて生じていたのと同じ問題が生じるものとなっていた。
【0009】
本発明は、所定の確率に基づいて算出される払出率を定めた複数種類の段階を有する遊技機おいて、当該段階の変更時における煩わしさを解消するとともに、当該段階の不正な変更が行われるのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明にかかる遊技機は、
前面扉を開放状態とすることにより操作可能となる設定変更操作手段(設定スイッチ91)を備える遊技機であって、
遊技の進行を制御すると共に、遊技の進行状況に応じた制御情報(コマンド)を送信する遊技制御手段(遊技制御基板101)と、
前記遊技制御手段から送信された制御情報を受信し、該受信した制御情報に基づいて少なくとも前記遊技に関する演出の実行を制御するものであって、書き換え可能な演出用記憶手段(RAM122)を含む演出制御手段(演出制御基板102)とを備え、
前記遊技制御手段は、
所定の入賞の発生を許容する旨を、所定の確率で事前に決定する事前決定手段(ステップS203)と、
前記所定の確率に基づいて算出される払出率について設定された段階(設定値)を示す情報を記憶する特定領域(設定値ワーク112-3)と、遊技の進行状況に関する情報を記憶する領域として記憶すべき情報の重要度に応じて分けられた特別領域(特別ワーク112-2)と一般領域(一般ワーク112-5?7)と、所定領域とを含み、前記特別領域、前記特定領域、前記所定領域、前記一般領域の順となるように各領域の開始アドレスが割り当てられている遊技用記憶手段(RAM112)と、
前記前面扉が開放状態となっているか否かを検出する開放検出手段(扉開放センサ95、ステップS107)と、
前記開放検出手段により前記前面扉が開放状態となっている旨が検出され(ステップS107(NO))、さらに前記前面扉を開放状態とすることにより操作可能となる変更許可開始操作手段(設定キースイッチ92)が操作されることにより所定の設定変更許可条件を成立させて(ステップS101(YES))、設定変更期間を開始させる変更期間開始制御手段と、
前記設定変更期間において、少なくとも前記設定変更操作手段が操作されることによって、前記特定領域に記憶された段階を変更する設定変更手段(ステップS113、S115)と、
前記設定変更期間が開始されたときに、前記遊技用記憶手段に情報が記憶されている変更前の段階を表示手段に表示させる段階表示制御手段(ステップS109)と、
前記設定変更期間が開始したときに、前記演出用記憶手段の記憶情報を初期化することを指示する初期化制御情報(設定変更コマンド)を前記演出制御手段に送信する初期化制御情報送信手段(ステップS108)と、
前記設定変更期間が終了したときに(ステップS111(YES))、該変更後の前記設定された段階に関する情報を含む設定制御情報(状態コマンド)を送信する設定制御情報送信手段(ステップS119)と、
前記設定変更手段による段階の変更の際に、前記遊技用記憶手段に含まれる複数の領域各々の開始アドレスのうちの前記所定領域の開始アドレスを設定して、前記一般領域を含む領域であって当該開始アドレスから初期化最終アドレスまでの領域に記憶されている情報を初期化する初期化手段(ステップS116,S117)とを備え、
前記初期化手段は、前記設定変更手段による段階の変更の際ではないときにおいて初期化条件が成立したときに、前記設定変更手段による段階の変更の際に設定する開始アドレスとは異なる開始アドレスであって当該成立した初期化条件に応じて予め定められた領域の開始アドレスを設定して、当該開始アドレスから前記初期化最終アドレスまでの領域に記憶されている情報を初期化し、
前記演出制御手段は、
前記設定制御情報を受信することによって、前記設定された段階に関する記憶情報を前記演出用記憶手段に記憶し(ステップS609)、
前記初期化制御情報を受信することによって、前記演出用記憶手段の記憶情報のうち少なくとも演出の実行に関する情報を初期化するとともに前記設定された段階に関する記憶情報についても初期化する(ステップS607)
ことを特徴とする。
【0011】
上記遊技機では、設定変更期間が開始したときに送信される初期化制御情報により演出用記憶手段の演出の実行に関する記憶情報が初期化される。これにより、段階の変更操作を行っている間に、演出制御手段において変更前の段階に基づく演出が継続することがなく、煩わしさを感じさせることがない。また、設定変更期間が終了したときに送信される設定制御情報により新たに設定された段階に関する情報が演出制御手段の演出用記憶手段にも記憶される。これにより、段階を変更した後に直ぐ、その変更後の段階に基づく演出を行うことができるようになる。
【0012】
また、段階の変更を行うための設定変更操作手段は、前面扉を開放しなければ操作をすることができない。ここで、設定変更手段により段階の変更を行うことができるのは設定変更期間となっている場合だけであるが、この設定変更期間は、前面扉を開放状態とすることにより操作可能となる変更許可開始操作手段が操作されるだけではなく、前面扉そのものが開放状態となっていることを条件として成立する。このため、前面扉が閉じられたまま遊技機の外部からの信号操作によって変更許可開始操作手段や設定変更操作手段が操作されたものとする信号が入力されたり、前面扉に穴を開けるなどして不正に変更許可開始操作手段や設定変更操作手段が操作されても設定されている段階が変更されることはないので、不正な段階の設定により払出率が不正に変更されてしまうのを未然に防ぐことができる。
【0013】
上記遊技機において、
前記遊技制御手段は、前記開放検出手段により前記前面扉が閉鎖状態となっている旨が検出されているときに前記変更許可開始操作手段が操作されたときに(ステップS107(YES))、所定の情報を報知する閉鎖状態報知手段(エラー報知)とをさらに備えるものとすることができる。
【0014】
この場合には、前面扉が閉じられたままで不正に変更許可開始操作手段が操作されている場合には、そのことが閉鎖状態報知手段から報知されて外部に知らされることとなる。このような外部への報知によって、不正な段階の設定により払出率が不正に変更されてしまうのを防ぐことができる。
【0015】
上記遊技機において、
前記演出制御手段は、前記初期化制御情報を受信してから前記設定制御情報を受信するまで、前記設定変更手段により段階の変更が行われている旨を報知する設定変更報知手段(液晶表示器4、ステップS608、S611)をさらに備えるものとすることができる。
【0016】
この場合には、段階の変更操作が行われていれば、そのことが段階設定報知手段から報知されて外部に知らされることとなる。このような外部への報知がされているときに権限を持った者の操作でなければ不正な操作であることが分かるので、不正な段階の設定により払出率が不正に変更されてしまうのを防ぐことができる。
【0017】
上記遊技機において、
前記初期化制御情報と前記設定制御情報との少なくとも一方は、前記遊技制御手段が遊技の進行のために前記演出制御手段に送信する他の制御情報と兼用されているものとしてもよい。
【0018】
ここで、前記遊技制御手段が、該遊技制御手段が備える遊技用記憶手段(RAM112)の記憶情報を初期化したときに、該初期化した旨を通知するための初期化通知制御情報(初期化コマンド)を送信する初期化通知制御情報送信手段(ステップS106)をさらに備える場合には、
前記初期化制御情報は、前記初期化通知制御情報と兼用されているものとしてもよい。
【0019】
また、前記遊技制御手段が、遊技状態を通知するために送信する遊技状態通知制御情報を送信する遊技状態通知制御情報送信手段(ステップS208)をさらに備える場合には、
前記設定制御情報は、前記遊技状態通知制御情報と兼用されているものとしてもよい。
【0020】
この場合には、制御情報の種類を制限することができ、制御情報に関して必要な記憶容量を小さくすることができる。また、演出制御手段における制御情報の種類の判断に要する負荷も軽減することができる。特に初期化制御情報を初期化通知制御情報と兼用することで、遊技用記憶手段の記憶情報の初期化に合わせて演出用記憶手段手段の演出の実行に関する記憶情報も初期化することができる。また、設定制御情報を各ゲームにおいて送信する遊技状態通知制御情報と兼用することで、各回のゲームにおいて遊技制御手段と演出制御手段とにおける設定された段階の認識が食い違うのを確実に防ぐことができる。
【0021】
上記遊技機は、
所定周波数のパルス信号を発生するパルス発生回路(115a)と、
nビット(nは2以上の整数)配列のデータ信号を、前記パルス発生回路からパルス信号が入力されるごとに最下位ビットのレベルを第1レベルと第2レベルとで交互に反転するとともに、下位からm-1番目(mは2以上の整数:m≦n)のビットのレベルが第1レベルから第2レベルに反転されるごとに下位からm番目のビットのレベルを第1レベルと第2レベルとで交互に反転して出力するカウンタ回路(下位カウンタ115b、上位カウンタ115c)と、
遊技者の操作に起因する所定の抽出条件が成立することにより、前記カウンタ回路が出力しているnビット配列のデータ信号をラッチし、ラッチしたnビット配列のデータ信号をビット配列順を変えることなく出力するラッチ回路(サンプリング回路116)とをさらに備えるものとすることができる。
【0022】
ここで、前記遊技制御手段は、
前記ラッチ回路が出力したnビット配列のデータ信号をそのまま遊技の進行に関する所定の決定を行うための判定用数値データ(内部抽選用の乱数)として該遊技制御手段が備える判定領域に入力する入力手段と、
前記数値データ入力手段に入力された判定用数値データの値に応じて、前記遊技の進行に関する所定の決定(内部抽選)を行う遊技進行決定手段(ステップS203)とを備えるものとすることができる。
【0023】
また、前記遊技制御手段は、
該遊技制御手段が備える特定領域(汎用レジスタ111GR)に、前記ラッチ回路が出力したnビット配列のデータ信号をビット配列順を変えることなくnビットの数値データとして入力する入力手段(ステップS402)と、
前記特定領域に入力されたnビットの数値データのうちの特定のビットのデータと、該数値データのうちの他のビットのデータを入れ替えて(ステップS403)、該入れ替えを行ったnビットの入替数値データを、遊技の進行に関する所定の決定を行うための判定用数値データ(内部抽選用の乱数)として前記遊技制御手段が備える判定領域に入力する(ステップS405)数値データ入力手段(図3(b))と、
前記数値データ入力手段に入力された判定用数値データの値に応じて、前記遊技の進行に関する所定の決定(内部抽選)を行う遊技進行決定手段(ステップS203)とを備えるものとすることができる。
【0024】
ここでは、カウンタ回路から抽出したnビット配列のデータ信号に対応した数値データに対して、入替手段によって特定のビットのデータと他のビットのデータを入れ替えた入替数値データを、判定用数値データとして入力するものとしている。このため、判定用数値データの周期性を失わせることができ、遊技の進行に関する所定の決定に対して狙い打ちがされるのを防ぐことができる。また、遊技制御用マイクロコンピュータにおける特定のビットの入れ替えだけで、入力手段が入力した数値データの周期性を失わせることができ、特別な回路を設けることなく、処理負荷がそれほど大きくならない。
【0025】
また、前記遊技制御手段は、
該遊技制御手段が備える特定領域(汎用レジスタ111GR)に、前記ラッチ回路が出力したnビット配列のデータ信号をビット配列順を変えることなくnビットの第1の数値データとして入力する入力手段(図14)と、
所定のタイミングで第2の数値データを更新する数値更新手段(リフレッシュレジスタ111R)と、
前記所定の抽出条件が成立することにより、前記数値更新手段が更新する第2の数値データを抽出する数値抽出手段(図14)と、
上位kビット(kは自然数:k<n)と下位jビット(j=n-k)の第1の数値データにおける上位kビットに対して前記数値抽出手段が抽出した第2の数値データを用いて所定の演算を行う演算手段(図14)と、
前記演算手段による演算後の上位kビットと前記下位jビットからなる演算結果数値データを、遊技の進行に関する所定の決定を行うための判定用数値データ(内部抽選用の乱数)として前記遊技制御手段が備える判定領域に入力する数値データ入力手段(図14)と、
前記数値データ入力手段に入力された判定用数値データの値に応じて、前記遊技の進行に関する所定の決定(内部抽選)を行う遊技進行決定手段(ステップS203)とを備えるものとすることができる。
【0026】
ここでは、カウンタ回路から抽出したnビット配列のデータ信号に対応した第1の数値データの上位kビットに対して、数値抽出手段により数値更新手段から抽出した第2の数値データを用いて所定の演算を行った演算結果数値データを、判定用数値データとして入力するものとしている。第2の数値データを用いて第1の数値データに対してそのまま演算を行うのではなく、第1の数値データの上位kビットに対して演算を行うことにより演算結果数値データが示す数値のバラツキが大きくなる。このため、判定用数値データの周期性を失わせることができ、遊技の進行に関する所定の決定に対して狙い打ちがされるのを防ぐことができる。また、遊技制御用マイクロコンピュータにおける数値更新手段からの第2の数値データの抽出と上位kビットに対する演算だけで、入力手段が入力した第1の数値データの周期性を失わせることができ、特別な回路を設けることなく、処理負荷がそれほど大きくならない。
【0027】
また、前記遊技制御手段は、
該遊技制御手段が備える特定領域(汎用レジスタ111GR)に、前記ラッチ回路が出力したnビット配列のデータ信号をビット配列順を変えることなくnビットの第1の数値データとして入力する入力手段(図15)と、
所定のタイミングで第2の数値データを更新する第1の数値更新手段(リフレッシュレジスタ111R)と、
所定のタイミングで前記第2の数値データとは異なる第3の数値データを更新する第2の数値更新手段(リフレッシュレジスタ111R)と、
予め定められた抽出条件が成立することにより、前記第1の数値更新手段から第2の数値データを抽出する第1の数値抽出手段(図15)と、
所定の抽出条件が成立することにより、前記第2の数値更新手段から第3の数値データを抽出する第2の数値抽出手段(図15)と、
上位kビット(kは自然数:k<n)と下位jビット(j=n-k)の第1の数値データにおける上位kビットに対して前記第1の数値抽出手段が抽出した第2の数値データを用いて所定の演算を行い、下位jビットに対して前記第2の数値抽出手段が抽出した第3の数値データを用いて所定の演算を行う演算手段(図15)と、
前記演算手段による演算後の上位kビットと該演算後の下位jビットからなる演算結果数値データを、遊技の進行に関する所定の決定を行うための判定用数値データ(内部抽選用の乱数)として前記遊技制御手段が備える判定領域に入力する数値データ入力手段(図14)と、
前記数値データ入力手段に入力された判定用数値データの値に応じて、前記遊技の進行に関する所定の決定(内部抽選)を行う遊技進行決定手段(ステップS203)とを備えるものとすることができる。
【0028】
ここでは、カウンタ回路から抽出したnビット配列のデータ信号に対応した第1の数値データの上位kビットと下位jビットに対して、数値抽出手段により数値更新手段から抽出した第2の数値データを用いて所定の演算を行った演算結果数値データを、判定用数値データとして入力するものとしている。第2の数値データを用いて第1の数値データに対してそのまま演算を行うのではなく、第1の数値データの上位kビットに対しても演算を行うことにより演算結果数値データが示す数値のバラツキが大きくなる。下位jビットに対しても演算を行うことによりバラツキがさらに大きくなる。このため、判定用数値データの周期性を失わせることができ、遊技の進行に関する所定の決定に対して狙い打ちがされるのを防ぐことができる。また、遊技制御用マイクロコンピュータにおける第1、第2の数値更新手段からの第2、第3の数値データの抽出と上位kビット及び下位jビットに対する演算だけで、入力手段が入力した第1の数値データの周期性を失わせることができ、特別な回路を設けることなく、処理負荷がそれほど大きくならない。
【0029】
なお、上記遊技機は、
前記カウンタ回路及び前記ラッチ回路の代わりに、前記遊技制御手段の外部に備えられ、該遊技制御手段に対して第1の数値データを出力する別個の制御手段を備えるものとしてもよい。
この場合、当該制御手段は、前記カウンタ回路におけるデータ信号の更新方法と同じように数値データを更新する数値データ更新手段と、所定の抽出条件が成立することにより前記数値更新手段が更新している数値データを(第1の数値データとして)抽出し、前記遊技制御手段に出力する数値抽出手段を備えることができる。これにより、前記入力手段により当該制御手段が出力した数値データ(第1の数値データとして)が前記特定領域に入力されることとなる。
【0030】
また、前記演算手段は、前記第1の数値データの上位kビットに対して、第2の数値データを加算、減算、論理演算(論理和、論理積など)を行うことなどにより、前記所定の演算を行うことができる。また、下位jビットに対して第3の数値データを用いて、加算、減算、論理演算(論理和、論理積など)を行うことなどにより、前記所定の演算を行うことができる。演算の結果によって生じたオーバーフローやアンダーフローは、上位kビット及び下位jビットのそれぞれの範囲で調整するものとすることができる。
【0031】
さらに、前記パルス発生回路の発生するパルス信号の周波数は、前記遊技制御用マイクロコンピュータの動作クロック(CPU111の動作クロック)の周波数とは異なることが好ましい。
ここで、前記パルス信号の周波数は、前記動作クロックの周波数よりも大きいことがさらに好ましい。
【0032】
この場合には、遊技制御用マイクロコンピュータの処理周期に、カウンタ回路からラッチしたデータ信号により入力される(第1の)数値データの更新が同期することがなくなる。特にパルス信号の周波数を動作クロックの周波数よりも大きくすることによって、カウンタ回路からラッチしたデータ信号により入力される数値データの更新速度を速くできるので、より狙い打ちの防止に効果がある。
【0033】
上記遊技機は、例えば、1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームを開始させることが可能となり、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示させる可変表示装置(可変表示装置2)に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能であるスロットマシンであってもよい。この場合において、
前記遊技制御手段は、
ゲーム毎に前記可変表示装置に表示結果が導出される以前に、所定のタイミングで所定の範囲内において更新される数値データを、遊技の進行に関する所定の決定するための判定用数値データとして前記遊技制御手段が備える判定領域に入力する数値データ入力手段(ステップS301)と、
いずれか1種類以上の入賞表示結果について、前記判定領域に入力された判定用数値データに対して前記事前決定手段が導出を許容する旨を決定することとなる判定値の数を示す判定値データ(判定値数)を、前記複数種類の段階に共通して(設定値についての共通フラグが設定)記憶するとともに、前記段階に共通して判定値データが記憶されていない2種類以上の入賞表示結果について、前記判定領域に入力された判定用数値データに対して前記事前決定手段が導出を許容する旨を決定することとなる判定値の数を示す判定値データを、前記段階の種類に応じて個別に(設定値についての共通フラグが未設定)記憶する判定値データ記憶手段(図4:遊技状態別テーブル、図5:判定値数の記憶領域)と、
前記設定変更手段により設定された段階に対応して前記判定値データ記憶手段に記憶された判定値データに応じて、前記判定領域に入力された判定用数値データが前記入賞表示結果の種類毎に導出を許容する旨を示しているか否かを判定し(ステップS307、S308)、導出を許容する旨を示していると判定された種類の入賞表示結果の導出を許容する旨の決定を遊技に関する所定の決定として行う事前決定手段(ステップS311)とをさらに備えるものとすることができる。
【0034】
この場合において、判定値データ記憶手段は、いずれか1種類以上の入賞表示結果について複数種類の段階に共通して判定値データを記憶している。このように複数種類の段階に共通して判定値データが記憶される1種類以上の入賞表示結果については、判定値データの記憶に必要な記憶容量が少なくて済む。
【0035】
なお、判定値データを段階の種類に応じて個別に記憶するとは、必ずしも段階の種類の数だけ個別に判定値データを記憶するものだけを意味するものではなく、全ての段階の種類に共通して判定値データを記憶するのでなければ、これに含まれるものとなる。例えば、段階の種類が6種類(第1段階?第6段階)ある場合、第1?第3段階までは共通、第4?第6段階までは共通といった場合も、判定値データを段階の種類に応じて個別に記憶するものとなる。
【0036】
また、前記設定変更手段により設定可能な複数種類の段階は、前記事前決定手段が入賞表示結果を導出させることを許容する割合がその全ての種類において互いに異なっていなければならないというものではなく、一部の種類における前記許容する割合が他の種類における前記許容する割合と異なっていればよい。もっとも、全ての種類において異なっていることを妨げるものではない。
【0037】
上記遊技機が前記スロットマシンである場合に、
前記事前決定手段は、前記設定変更手段により設定された段階に対応して前記判定値データ記憶手段に記憶された判定値データを、入賞表示結果の種類毎に順次前記判定領域に入力された判定用数値データに加算する加算手段(ステップS307)を備え、前記加算手段の加算結果が前記所定の範囲を越えた(オーバーフローした)か否かを判定し(ステップS308)、該判定の結果により前記所定の範囲を越えると判定されたときの加算を行った判定値データに対応した種類の入賞表示結果の導出を許容する旨を示していると判定するものとすることができる(ステップS308(YES))。
【0038】
この場合には、入賞表示結果の種類毎に判定値データ記憶手段から判定値データを取り出した後、これに判定値用数値データを加算することで、そのまま当該種類の入賞表示結果の導出を許容するか否かを判定することができる。つまり、判定値データに基づいて入賞表示結果毎の判定値を許容判定値登録手段に登録するといった処理が必要ないので、処理効率が高いものとなる。
【0039】
なお、前記事前決定手段は、前記加算手段の代わりに、前記設定変更手段により設定された段階の種類に対応して前記判定値データ記憶手段に記憶された判定値データを、入賞表示結果の種類毎に順次前記判定領域に入力された判定用数値データから減算する減算手段を備えるものとしてもよい。この場合、
前記判定手段は、前記減算手段の減算結果が前記所定の範囲よりも小さくなったか否かを判定し、該判定の結果により前記所定の範囲よりも小さくなったと判定されたときの減算を行った判定値データに対応した種類の入賞表示結果の導出を許容する旨を示していると判定するものとすることができる。
【0040】
上記遊技機が前記スロットマシンである場合において、
前記遊技制御手段は、前記所定数の賭数として定められた複数種類の賭数段階のうちから、ゲーム毎にいずれかの種類の賭数段階(1、2または3)の賭数を設定する賭数設定手段(ステップS202)をさらに備えるものとすることができ、
前記判定値データ記憶手段は、前記段階に共通して判定値データが記憶されていない2種類以上の入賞表示結果について、前記判定領域に入力された判定用数値データに対して前記事前決定手段が導出を許容する旨を決定することとなる判定値の数を示す判定値データを、前記段階及び前記賭数段階の種類に応じて個別に(BET数についての共通フラグが未設定)記憶することができる。ここで、
前記事前決定手段は、前記設定変更手段により設定された段階及び前記賭数設定手段により設定された賭数段階に対応して前記判定値データ記憶手段に記憶された判定値データに応じて、前記判定領域に入力された判定用数値データが前記入賞表示結果の種類毎に導出を許容する旨を示しているか否かを判定するものとすることができる。
【0041】
この場合には、設定された賭数段階の種類によっても導出の許容が決定される確率が異なる入賞表示結果もあるが、判定値データ記憶手段は、このような入賞表示結果の判定値データを前記段階及び前記賭数段階の種類に応じて個別に記憶するものとしている。賭数段階の種類に関わらずに導出の許容が決定される入賞表示結果の判定値データは、判定値データ記憶手段において共通化して記憶させればよいので、判定値データ記憶手段に必要な記憶容量が少なくて済む。
【0042】
なお、前記賭数設定手段を備えるもの(前記設定変更手段を備えていても備えていなくてもよい)とする場合は、
前記判定値データ記憶手段は、いずれか1種類以上の入賞表示結果について、前記判定領域に入力された判定用数値データに対して前記事前決定手段が導出を許容する旨を決定することとなる判定値の数を示す判定値データを、前記複数種類の賭数段階に共通して(BET数についての共通フラグが設定)記憶するとともに、前記賭数段階に共通して判定値データが記憶されていない2種類以上の入賞表示結果について、前記判定領域に入力された判定用数値データに対して前記事前決定手段が導出を許容する旨を決定することとなる判定値の数を示す判定値データを、前記賭数段階の種類に応じて個別に(BET数についての共通フラグが設定)記憶するものとしてもよい。この場合において、
前記事前決定手段は、前記賭数設定手段により設定された賭数段階に対応して前記判定値データ記憶手段に記憶された判定値データに応じて、前記判定領域に入力された判定用数値データが前記入賞表示結果の種類毎に導出を許容する旨を示しているか否かを判定する判定手段を備え、該判定手段により導出を許容する旨を示していると判定された種類の入賞表示結果の導出を許容する旨を決定することができる。
【0043】
上記遊技機が前記スロットマシンである場合において、
前記遊技用記憶手段は、記憶されているデータに異常があったときに消去されるデータを記憶する第1記憶領域(特別ワーク112-2以下の領域)と、前記設定変更手段により段階が変更されたときに消去されるデータを記憶する第2記憶領域(重要ワーク112-4以下の領域)と、特定の遊技状態間で遊技状態の移行があったときに消去されるデータを記憶する第3記憶領域(一般ワーク I112-5以下の領域)と、1ゲームが終了したときに消去されるデータを記憶する第4記憶領域(一般ワーク III112-7以下の領域)とが順に設けられたものとしてもよい。この場合において、
前記遊技制御手段は、前記遊技用記憶手段に記憶されたデータを消去するときに、該データの消去の契機に応じた記憶領域以降の全ての記憶領域に記憶されたデータを消去するデータ消去手段(ステップS104、S117、S514、S516:RAMクリア処理)をさらに備えるものとすることができる。
【0044】
この場合には、データの消去の契機に応じて遊技用記憶手段のうちで消去する先頭の位置を指定すれば、データの消去の契機に関わらずに同一の処理で遊技用記憶手段のデータを消去することができる。これにより、データの消去の契機に応じてデータを消去する記憶領域を細かく指定するためのデータが必要なくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0046】
図1は、この実施の形態にかかるスロットマシンの全体構造を示す正面図である。スロットマシン1は、筐体本体と、筐体本体に対して開閉可能に構成された前面扉とから構成される。図1では、前面扉を閉鎖状態とした場合を示している。スロットマシン1の前面扉は、施錠装置19にキーを差し込み、時計回り方向に回動操作することにより開放状態とすることができる。筐体本体の前面扉との接触部に設けられた扉開放センサ95(図2参照)により前面扉が開放状態となっているかどうかが検出される。
【0047】
このスロットマシン1の上部前面側には、可変表示装置2が設けられている。可変表示装置2は、筐体の内部に収納され、3つのリール3L、3C、3Rから構成されるリールユニット3と、前面扉に設けられ、リール3L、3C、3Rに描かれた図柄を上中下段の三段に表示させる表示窓とによって構成される。リール3L、3C、3Rは、それぞれリールモータ3ML、3MC、3MR(図2参照)の駆動によって回転/停止させられる。
【0048】
リール3L、3C、3Rの外周部には、それぞれ「赤7」、「青7」、「BAR」、「JAC」、「スイカ」、「チェリー」、「ベル」といった互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で、それぞれ21個ずつ描かれている。また、リールユニット3内には、リール3L、3C、3Rのそれぞれに対して、その基準位置を検出するリールセンサ3SL、3SC、3SR(図2参照)と、背面から光を照射するリールランプ3LPとが設けられている。
【0049】
また、可変表示装置2の周囲には、各種表示部が設けられている。可変表示装置2の下側には、ゲーム回数表示部21と、クレジット表示部22と、ペイアウト表示部23とが設けられている。ゲーム回数表示部21は、7セグメント表示器によるゲーム回数表示器51(図2参照)によって構成され、後述するビッグボーナス、レギュラーボーナス、RT時のゲーム数、入賞数、或いは払出メダル総数を表示する。
【0050】
クレジット表示部22は、7セグメント表示器によるクレジット表示器52(図2参照)によって構成され、後述するようにメダルの投入枚数及び払い出し枚数に応じてデータとして蓄積されたクレジットの数を表示する。ペイアウト表示部23は、7セグメント表示器によるペイアウト表示器53(図2参照)によって構成され、入賞が成立した場合に払い出されるメダルの枚数を表示する。
【0051】
可変表示装置2の左側には、1枚賭け表示部24、2枚賭け表示部25、26、及び3枚賭け表示部27、28が設けられている。1枚、2枚、3枚賭け表示部24?28は、賭け数(1、2または3)に応じて有効化されたライン(以下、有効ラインという)に対応してそれぞれ1枚、2枚、3枚賭けランプ54?58(図2参照)が点灯状態となることで、各ゲームにおける有効ラインを遊技者に示す。1枚、2枚、3枚賭け表示部24?28は、また、後述する役への入賞があった場合に1枚、2枚、3枚賭けランプ54?58が点滅状態となることで、後述する役に入賞した有効ラインを遊技者に示す。
【0052】
可変表示装置2の右側には、投入指示表示部29と、スタート表示部30と、ウェイト表示部31と、リプレイ表示部32と、ゲームオーバー表示部33とが設けられている。投入指示表示部29は、投入指示ランプ59(図2参照)が点灯状態となることで、メダルが投入可能なことを示す。スタート表示部30は、スタートランプ60(図2参照)が点灯状態となることで、スタート可能、すなわちスタートレバー11の操作受付可能であることを示す。ウェイト表示部31は、ウェイトランプ61(図2参照)が点灯状態となることで、後述するウェイトがかかっていることを示す。リプレイ表示部32は、リプレイランプ62(図2参照)が点灯状態となることで、後述するリプレイ入賞をしたことを示す。ゲームオーバー表示部33は、ゲームオーバーランプ63(図2参照)が点灯状態となることで、スロットマシン1が打ち止めになったことを示す。
【0053】
可変表示装置2の上側には、液晶表示器4が設けられている。液晶表示器4は、遊技状態に応じた様々な演出用の画像を表示する。また、液晶表示器4には、遊技に直接的または間接的に関わる様々な情報を表示することが可能であり、後述する設定値の変更操作が行われていることの報知のためにも用いられる。
【0054】
また、可変表示装置2の下方に設けられた台状部分の水平面には、メダル投入口13と、1枚BETボタン14と、MAXBETボタン15と、精算ボタン16とが設けられている。1枚BETボタン14及びMAXBETボタン15には、データとして蓄積されたクレジット(最大50)から賭け数の設定を可能としているときに点灯するBETボタンランプ70a、70b(図2参照)が内部に配されている。
【0055】
メダル投入口13は、遊技者がここからメダルを投入するものであり、投入指示部29が点灯しているときにメダルの投入が投入メダルセンサ44(図2参照)によって検出されると、賭け数が設定され、或いはクレジットがデータとして蓄積される。1枚BETボタン14及びMAXBETボタン15は、データとして蓄積されているクレジットから賭け数(それぞれ1、3)を設定する際に遊技者が操作するボタンであり、遊技者によって操作されたことが1枚BETスイッチ45(図2参照)またはMAXBETスイッチ46(図2参照)によって検出されると、クレジットからの賭け数の設定が行われる。精算ボタン16は、クレジットの払い出しを指示するためのボタンであり、精算スイッチ47(図2参照)によって操作が検出されると、データとして蓄積されたクレジットに応じたメダルが払い出される。
【0056】
その台状部分の垂直面には、スタートレバー11と、停止ボタン12L、12C、12Rとが設けられている。スタートレバー11は、ゲームを開始する際に遊技者が操作するもので、その操作がスタートスイッチ41(図2参照)によって検出されると、リール駆動モータ3ML、3MC、3MRが駆動開始され、リール3L、3C、3Rが回転開始する。
【0057】
停止ボタン12L、12C、12Rは、それぞれ遊技者が所望のタイミングでリール3L、3C、3Rの回転を停止させるべく操作するボタンであり、その操作がストップスイッチ42L、42C、42R(図2参照)で検出されると、リール3L、3C、3Rの回転が停止される。停止ボタン12L、12C、12Rの操作が可能となっていることを、その内部に備えられた操作有効ランプ63L、63C、63R(図2参照)が点灯状態となることにより、遊技者に示す。
【0058】
さらに、停止ボタン12L、12C、12Rを覆うパネルが、ボーナス告知部36として適用されている。ボーナス告知部36は、ボーナス告知ランプ66(図2参照)が点灯状態となることで、後述するボーナス入賞が可能となっていることを遊技者に告知する。また、停止ボタン12Rの右側には、メダルが詰まったときなどにおいてスロットマシン1に機械的に振動を与えるメダル詰まり解消ボタン18が設けられている。
【0059】
スロットマシン1の下部前面側には、メダル払い出し口71と、メダル貯留皿72とが設けられている。メダル払い出し口71は、ホッパー80(図2参照)によって払い出しが行われたメダルを外部に排出するものである。メダル貯留皿72は、払い出されたメダルを貯めておくためのものである。メダル貯留皿72の上の前面パネルには、内部に設置された蛍光灯6(図2参照)が発した光が照射される。
【0060】
スロットマシン1の下部前面側と、上部前面側の左右とには、それぞれ演出手段としてのスピーカ7U、7L、7Rが設けられている。スピーカ7U、7L、7Rは、入賞時及びボーナス突入時の効果音の出力や、異常時における警報音の出力を行うと共に、遊技状態に応じた様々な演出用の音声の出力を行う。
【0061】
さらに、スロットマシン1の前面側には、可変表示装置2及び液晶表示器4の周囲を取り囲むように、演出手段としての遊技効果ランプ75A?75M(図2参照)の発光により光による演出を行う遊技効果表示部5A?5Mが設けられている。遊技効果表示部5A?5Mは、遊技の進行状況に応じた様々なパターンで光による演出を行うものである。なお、遊技効果表示部5A?5Mの発光色は、単色からなるものであっても、複数色からなるものであっても構わない。
【0062】
図2は、このスロットマシン1の制御回路の構成を示す図である。図示するように、このスロットマシン1の制御回路は、電源基板100、遊技制御基板101、演出制御基板102、リール中継基板103、リールランプ中継基板104及び外部出力基板105に大きく分けて構成される。
【0063】
電源基板100は、AC100Vの外部電源電圧を変圧し、遊技制御基板101その他のスロットマシン1の各部に動作電力を供給する。図2では、遊技制御基板101、ホッパー80、各スイッチ91?94にのみ接続されているように示しているが、電源基板100は、他の各部への電力の供給も行っている。電源基板100は、スロットマシン1の内部に設けられ、メダルの払い出し動作を行うホッパーモータ82と、メダルの払い出しを検知する払い出しセンサ81とから構成されるホッパー80に接続されている。
【0064】
電源基板100は、後述する内部抽選への当選確率を設定し、これに基づいて算出されるメダルの払出率の設定値(設定1?設定6)を変更するための設定スイッチ91、設定スイッチ91を操作有効とする設定キースイッチ92、内部状態(RAM112)をリセットする第2リセットスイッチ93、及び電源のON/OFF切り替えを行うメインスイッチ94に、前面扉が開放状態にあることを検出する扉開放センサ95にもそれぞれ接続されており、これらのスイッチ、センサの検出信号を遊技制御基板101へと送る。スイッチ91?94は、スロットマシン1の内部に設けられている。
【0065】
遊技制御基板101は、スロットマシン1における遊技の進行全体の流れを制御するメイン側の制御基板であり、CPU111、RAM112、ROM113及びI/Oポート114を含む1チップマイクロコンピュータからなる制御部110を搭載している。また、乱数発生回路115、サンプリング回路116その他の回路を搭載している。
【0066】
CPU111は、計時機能、タイマ割り込みなどの割り込み機能(割り込み禁止機能を含む)を備え、ROM113に記憶されたプログラム(後述)を実行して、遊技の進行に関する処理を行うと共に、スロットマシン1内の制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。CPU111は、8ビット(1バイト)を1として処理を行うものである。RAM112は、CPU111がプログラムを実行する際のワーク領域として使用される。ROM113は、CPU111が実行するプログラムや固定的なデータを記憶する。RAM112とROM113のアドレスの割り当ては、メーカにおける開発用機種とホールに納入される量産機種とで異なる。I/Oポート114は、遊技制御基板101に接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
【0067】
RAM112は、DRAM(Dynamic RAM)が使用されており、記憶しているデータ内容を維持するためのリフレッシュ動作が必要となる。CPU111には、このリフレッシュ動作を行うためのリフレッシュレジスタが設けられている。リフレッシュレジスタは、8ビットからなり、そのうちの下位7ビットがCPU111がROM113から命令をフェッチする度に自動的にインクリメントされるもので、その値の更新は、1命令の実行時間毎に行われる。なお、RAM112の構成については後述する。
【0068】
乱数発生回路115は、後述するように所定数のパルスを発生する度にカウントアップして値を更新するカウンタによって構成され、サンプリング回路116は、乱数発生回路115がカウントしている数値を取得する。乱数発生回路115は、遊技の進行に使用される乱数の種類毎に設けられていて、乱数の種類毎にカウントする数値の範囲が定められている。CPU111は、その処理に応じてサンプリング回路116に指示を送ることで、乱数発生回路115が示している数値を乱数として取得する(以下、この機能をハードウェア乱数機能という)。後述する内部抽選用の乱数は、ハードウェア乱数機能により抽出した乱数をそのまま使用するのではなく、ソフトウェアにより加工して使用するが、その詳細については詳しく説明する。
【0069】
CPU111は、また、タイマ割り込み処理により、RAM112の特定アドレスの数値を更新し、こうして更新された数値を乱数として取得する機能も有する(以下、この機能をソフトウェア乱数機能という)。CPU111は、I/Oポート114を介して演出制御基板102に、各種のコマンドを送信する。これらのコマンドは、それぞれ8ビットで構成される。なお、遊技制御基板101から演出制御基板102へ情報(コマンド)は一方向のみで送られ、演出制御基板102から遊技制御基板101へ向けて情報(コマンド)が送られることはない。
【0070】
遊技制御基板101には、1枚BETスイッチ45、MAXBETスイッチ46、スタートスイッチ41、ストップスイッチ42L、42C、42R、精算スイッチ47、第1リセットスイッチ48、投入メダルセンサ44が接続されており、これらのスイッチ/センサ類の検出信号が入力される。また、リール中継基板103を介して、リールセンサ3SL、3SC、3SRの検出信号が入力される。I/Oポート114を介して入力されるこれらスイッチ/センサ類の検出信号、或いは前述したように電源基板100を介して入力される各種スイッチの検出信号に従って、遊技制御基板101上のCPU111は、処理を行っている。
【0071】
遊技制御基板101には、また、流路切り替えソレノイド49、ゲーム回数表示器51、クレジット表示器52、ペイアウト表示器53、投入指示ランプ59、1枚賭けランプ54、2枚賭けランプ55、56、3枚賭けランプ57、58、ゲームオーバーランプ63、スタートランプ60、リプレイランプ62、BETボタンランプ70a、70b、操作有効ランプ63L、63C、63Rが接続されており、CPU111は、遊技の進行状況に従ってこれらの動作を制御している。
【0072】
また、遊技制御基板101には、リール中継基板103を介してリールモータ3ML、3MC、3MRが接続されている。CPU111は、ROM113内の遊技状態に対応したリール制御テーブルを参照して、リール中継基板103を介してリールモータ3ML、3MC、3MLを制御して、リール3L、3C、3Rを停止させる。
【0073】
演出制御基板102は、スロットマシン1における演出の実行を制御するサブ側の制御基板であり、CPU121、RAM122、ROM123及びI/Oポート124を含む1チップマイクロコンピュータからなる制御部120を搭載している。また、乱数発生回路125及びサンプリング回路126を搭載しており、CPU121は、サンプリング回路126により乱数発生回路125がカウントしている値を取得することにより、遊技制御基板101と同様のハードウェア乱数機能を形成している。割り込み処理によるソフトウェア乱数機能も有している。
【0074】
CPU121は、ROM123に記憶されたプログラム(後述)を実行して、演出の実行に関する処理を行うと共に、演出制御基板102内の各回路及びこれに接続された各回路を制御する。演出の実行は、I/Oポート124を介して遊技制御基板101から受信したコマンドに基づいて行われる。RAM122は、CPU121がプログラムを実行する際のワーク領域として使用される。ROM123は、CPU121が実行するプログラムや固定的なデータを記憶する。I/Oポート124は、演出制御基板102に接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
【0075】
演出制御基板102には、遊技効果ランプ75A?75M、液晶表示器4、スピーカ7L、7R、7U、蛍光灯6、ウェイトランプ61、ボーナス告知ランプ66が接続されている。また、リールランプ中継基板104を介してリールランプ3LPが接続されている。演出制御基板102の制御部は、これら各部をそれぞれ制御して、演出を行っている。
【0076】
リール中継基板103は、遊技制御基板101と外部出力基板105及びリールユニット3との間を中継している。リール中継基板103には、また、満タンセンサ90が接続されており、その検出信号が入力される。満タンセンサ90は、スロットマシン1の内部に設けられ、ホッパー80からオーバーフローしたメダルを貯留するオーバーフロータンク内のメダルが満タンになったことを検知するものである。
【0077】
リールランプ中継基板104は、演出制御基板102とリールユニット3との間を中継している。外部出力基板105は、ホールの管理コンピュータなどの外部装置に接続されており、遊技制御基板101からリール中継基板103を介して入力されたビッグボーナス中信号、レギュラーボーナス中信号、RT中信号、リール制御信号、ストップスイッチ信号、メダルIN信号、メダルOUT信号を、当該外部装置に出力する。
【0078】
上記スロットマシン1においては、設定値に応じてメダルの払出率が変わるものであり、後述する内部抽選の当選確率は、設定値に応じて定まるものとなる。以下、設定スイッチ91による設定値の変更操作について説明する。
【0079】
設定値を変更するためには、設定キースイッチ92をON状態としてからメインスイッチ92によりスロットマシン1の電源をONする必要がある。設定キースイッチ92をON状態とせずに電源をONした場合、RAM112のデータが正常であれば電源断前の状態に復帰するが、RAM112のデータが壊れていて電源断前の状態に復帰できないと、RAM112の特別ワーク以下の領域がクリアされ、設定値が1に設定される。このとき、初期化コマンドが遊技制御基板101から演出制御基板102に送られる。
【0080】
設定キースイッチ92をON状態として電源をONすると、設定値の変更操作が可能となるが、ここで設定値の変更操作が可能となる前に、設定変更コマンドが遊技制御基板101から演出制御基板102に送られる。設定変更コマンドを受信することにより、演出制御基板102のCPU121は、設定値の変更操作中である旨を例えば液晶表示器4に表示するなどして報知する。
【0081】
設定値の変更操作が可能な期間において、設定スイッチ91が操作されると、設定値が1ずつ更新されていく(設定6からさらに操作されたときは、設定1に戻る)。そして、スタートレバー11が操作されてから設定キースイッチ92がOFFされると、設定値の変更が確定する。このとき、RAM112の重要ワーク以下の領域がクリアされ、ボーナス当選フラグが設定されていた場合にはこれが消去され、ボーナス中フラグが設定されていた場合にはこれが消去される。
【0082】
また、設定値の確定により、状態コマンドが遊技制御基板101から演出制御基板102に送られるが、この状態コマンドは、各ゲームの終了時において演出制御基板102に送られる状態コマンドで兼用されている。演出制御基板102のCPU121は、状態コマンドを受信したときに設定値の変更中である旨を報知していれば、この報知を終了させる。
【0083】
上記スロットマシン1においては、可変表示装置2の賭け数に応じて設定された有効ライン上に役図柄が揃うと、入賞となる。入賞が発生するためには、当該役の内部当選フラグが設定されている必要があるが、その詳細については後述する。入賞の際には、メダルの払い出しが行われ、また、入賞に伴って遊技状態が変化させられる。以下、これらの入賞と判定される“役”について説明する。
【0084】
通常の遊技状態において、賭け数に応じた有効ライン上に、例えば「BAR」が3つ揃った場合、レギュラーボーナス入賞となり、遊技状態がレギュラーボーナスに移行する。レギュラーボーナスは、レギュラーボーナスゲーム(JACゲーム)と称されるゲームを所定回(例えば、12回)だけ行うこと、または所定回(例えば、8回)だけ入賞する(有効ライン上に「JAC」が揃う:JAC入賞)ことにより終了する。遊技状態がレギュラーボーナスにある間は、レギュラーボーナス中フラグがRAM112に設定される(次に説明するビッグボーナス中に提供された場合を含む)。
【0085】
賭け数に応じた有効ライン上に、例えば「赤7」が3つ揃った場合には、ビッグボーナス入賞となり、遊技状態がビッグボーナスに移行する。ビッグボーナスにおいては、小役ゲームと称されるゲームを行うことができる。この小役ゲームでは、比較的高い確率で有効ライン上に「JAC」が揃い(JACIN入賞)、JACIN入賞すると、前述したレギュラーボーナス(JACゲーム)が提供される。ビッグボーナスは、当該期間において遊技者に払い出したメダルの枚数が規定枚数に達したときに終了する。遊技状態がビッグボーナスにある間は、ビッグボーナス中フラグがRAM112に設定される。
【0086】
賭け数に応じた有効ライン上に、例えば「青7」が3つ揃った場合には、RT入賞となり、遊技状態がRT(Replay Time)に移行する。RTでは、内部抽選におけるリプレイの当選確率が通常の遊技状態よりも高くなるが、他の役の当選確率は通常の遊技状態と変わらない。RTは、所定ゲーム数を消化することによって終了する。遊技状態がRTにある間は、RT中フラグがRAM112に設定される。なお、以下の説明において単に「ボーナス」といった場合は、特に断りがない限り、ビッグボーナス、レギュラーボーナス及びRTを含むものとする。
【0087】
また、レギュラーボーナスゲーム以外のゲームで、有効ライン上に「スイカ」または「ベル」が揃った場合、或いは左のリール3Lについて「チェリー」が現れた場合には、小役入賞となる。ビッグボーナス期間中において提供される小役ゲーム及びレギュラーボーナスゲーム(ビッグボーナス中を含む)を除き、有効ライン上に「JAC」が揃った場合には、リプレイ入賞となる。なお、以下の説明において小役といった場合には、特に断りがない限り、リプレイ、JAC、JACINのボーナス以外の役を全て含むものとする。それ以外の表示態様が可変表示装置2に導出表示された場合には、いずれの役にも入賞しなかったこと、すなわちハズレとなる。
【0088】
以上説明した役への入賞があった場合には、リプレイ入賞であった場合を除いて、それぞれの役に応じた枚数のメダルが払い出される(但し、クレジット数が50に達するまでは、役に応じた数のクレジットがデータとして蓄積され、この場合もメダルと同様に有価価値を払い出したこととなる)。また、メダルの払い出しの枚数は、ベルの小役が8枚、チェリーの小役が2枚である他は、全て15枚である。
【0089】
以下、内部抽選について説明する。内部抽選は、後述する各役への入賞を許容するかどうかを、可変表示装置2の表示結果が導出表示される以前に(実際には、スタートレバー11の操作時)、決定するものであり、ゲーム毎に取得した内部抽選用の乱数(0?16383の整数)を、設定スイッチ91により設定された設定値、遊技者が設定した賭け数、及び現在の遊技状態に対応した各役の判定値数を加算していくことによって、CPU111が行うものである。内部抽選における当選は、排他的なものであり、1ゲームにおいて複数が同時に当選することはない。
【0090】
まず、内部抽選用の乱数の取得について、図3を参照して詳しく説明する。内部抽選用の乱数は、ハードウェア乱数機能により乱数発生回路115から乱数を抽出し、これをCPU111がソフトウェアによって加工することによって取得されるものとなる。内部抽選用の乱数を取得するときには、ボーナス告知ランプ66を点灯するか否かを決定する告知決定用の乱数も取得される。なお、乱数発生回路115から抽出した、或いはこれを加工した乱数の最下位ビットを第0ビット、最上位ビットを第15ビットと呼ぶものとする。
【0091】
図3(a)は、乱数発生回路115の構成を詳細に示すブロック図である。図示するように、乱数発生回路115は、パルス発生回路115aと、下位カウンタ115bと、上位カウンタ115cとから構成されている。下位カウンタ115b及び上位カウンタ115cは、いずれも8ビット(1バイト)のカウンタであり、下位カウンタ115bが第0ビット?第7ビット、上位カウンタ115cが第8ビット?第15ビットの合計で16ビットのデータ信号を出力する。
【0092】
パルス発生回路115aは、CPU111の動作クロックの周波数よりも高く、その整数倍とはならない周波数(互いに素とすることが好ましい)でパルス信号を出力する。パルス発生回路115aの出力するパルス信号が下位カウンタ115bにクロック入力される。
【0093】
下位カウンタ115bは、パルス発生回路115aからパルス信号が入力される度に第0ビットのデータ信号をHレベルとLレベルとで交互に反転させる。正論理を適用するものとすると、Hレベルの論理値が1でLレベルの論理値が0に対応する。負論理の場合は、論理値が1の場合をLレベル、論理値が0の場合をHレベルと読み替えればよい。第0ビットのデータ信号のレベルがHレベルからLレベルに反転するとき、すなわち第0ビットのデータ信号の論理値が1から0に変化する度に第1ビットのデータ信号のレベルをHレベルとLレベルとで交互に反転させる。
【0094】
同様に、第m-1ビットのデータ信号のレベルがHレベルからLレベルに反転するとき、すなわち第m-1ビットのデータ信号の論理値が1から0に変化する度に第mビットのデータ信号のレベルをHレベルとLレベルとで交互に反転させる。また、第7ビットのデータ信号のレベルがHレベルからすなわち第7ビットのデータ信号の論理値が1から0に変化する度に桁上げ信号を出力する。下位カウンタ115bの出力する桁上げ信号が上位カウンタ115cにクロック入力される。
【0095】
上位カウンタ115cは、下位カウンタ115bから桁上げ信号が入力される度に第8ビットのデータ信号をHレベルとLレベルとで交互に反転させる。第9ビットのデータ信号のレベルがHレベルからLレベルに反転する度に第9ビットのデータ信号のレベルをHレベルとLレベルとで交互に反転させる。同様に、第m-1ビットのデータ信号のレベルがHレベルからLレベルに反転する度に第mビットのデータ信号のレベルをHレベルとLレベルとで交互に反転させる。
【0096】
下位カウンタ115bのデータ信号を下位8ビットとし、上位カウンタ115cのデータ信号を上位8ビットとした16ビットのデータ信号の論理値は、パルス発生回路115aがパルス信号を出力する度に、0(0000h)→1(0001h)→2(0002h)→…→65535(FFFFh)と値が更新毎に連続するように更新され、最大値の65535(FFFFh)の次は初期値の0(0000h)へと値が循環して、乱数発生回路115から出力されるものとなる。
【0097】
サンプリング回路116は、ラッチ回路から構成され、CPU111からのサンプリング指令に基づいて、乱数発生回路115からそのときに出力されている16ビットのデータ信号をラッチし、ラッチしたデータ信号を出力する。CPU111は、I/Oポート114を介してサンプリング回路116から入力されたデータ信号に対応した数値データを、乱数発生回路115が発生する乱数として抽出するものとなる。なお、以下では、乱数発生回路115から出力されるデータ信号は、その論理値に応じた乱数として説明するものとする。
【0098】
図3(b)は、乱数発生回路115から抽出した乱数をCPU111がソフトウェアにより内部抽選用の乱数に加工するまでの説明図である。乱数発生回路115から抽出された乱数は、CPU111が有する16ビットの汎用レジスタ111GRに格納されるものとなる。
【0099】
乱数発生回路115から抽出された乱数が汎用レジスタ111GRに格納されると、CPU111は、他の汎用レジスタまたはRAM112の作業領域を用いて、汎用レジスタ111GRの下位バイト(下位カウンタ115bから抽出した値)と、上位バイトの値(上位カウンタ115cから抽出した値)とを入れ替える。
【0100】
次に、CPU111は、抽出された乱数に対して上位バイトと下位バイトとが入れ替えられた乱数の値を、8080hと論理積演算をする。CPU111の処理ワードは1バイトなので、実際には上位バイトと下位バイトとについて順次論理積演算を行うものとなる。この論理積演算によって第15ビットと第7ビットは常に1となる。さらに、CPU111は、上位1バイト(第8ビット?第15ビット)までを1ビットずつ下位にシフトし、これによって空いた第15ビットに1を挿入する。
【0101】
CPU111は、このときに汎用レジスタ111GRに格納されている値を、内部抽選用の乱数として取得してRAM112の所定の領域に記憶させ、これに各役の判定値数を順次加算していくものとなる。内部抽選用の乱数の第15ビットと第14ビットは常に1となるので、内部抽選用の乱数は、14ビット(16384)の大きさを有する乱数ということになり、実質的に0?16383の値をとるものとなる。
【0102】
なお、乱数発生回路115からの乱数の抽出から加工を終了するまでの間は、CPU111に対する割り込みが禁止される。CPU111に対して割り込みが発生することによって、当該割り込み処理ルーチンで汎用レジスタ111GRの内容が書き換えられてしまうのを防ぐためである。
【0103】
次に、内部抽選において用いられる判定値数について説明する。この実施の形態にかかるスロットマシン1では、設定値、賭け数及び遊技状態(これらをまとめて遊技状況という)に応じて役の種類と、役毎に当選とされる判定値の数を示す判定値数の格納場所を登録した遊技状態別テーブルが予め用意されている。
【0104】
図4は、遊技状態別テーブルの例を示す図である。図4に示す遊技状態別テーブルは、ROM113に予め格納されている。遊技状態別テーブルは、遊技状態に応じて定められている役と、それぞれの役に対応する判定値数の記憶されたアドレスとを登録したテーブルである。判定値数は、その値が256以上のものとなるものもあり、1ワード分では記憶できないので、判定値数毎に2ワード分の記憶領域を用いて登録されるものとなる。
【0105】
また、判定値数は、設定値及び賭け数に関わらずに共通となっているものと、設定値および/または賭け数に応じて異なっているものとがある。判定値数が設定値に関わらずに共通である場合には、設定値についての共通フラグが設定され(値が「1」とされ)、判定値数が賭け数に関わらずに共通である場合には、賭け数(BET数)についての共通フラグが設定される(値が「1」とされる)。設定値及び賭け数の両方に関わらずに判定値数が共通であれば、両方のフラグが設定されるものとなる。
【0106】
図4(a)は、レギュラーボーナス(ビッグボーナス中を含む)の遊技状態にあるときに参照される遊技状態別テーブルを示す。レギュラーボーナスにおいては、内部抽選の対象となる役としてJACのみが登録されている。レギュラーボーナスにおいては、1枚賭けのみが可能となるので、判定値数は、賭け数に関わらずに共通であり、また、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、設定値にも関わらずに共通なものとなっている。
【0107】
図4(b)は、ビッグボーナス中の小役ゲームの遊技状態にあるときに参照される遊技状態別テーブルを示す。ビッグボーナスにおいては、内部抽選の対象となる役としてJACIN、「スイカ」の小役、「ベル」の小役、「チェリー」の小役の4種類が登録されている。いずれの役の判定値数も、設定値に関わらず共通なものとなっているが、「スイカ」の小役及び「ベル」の小役については、設定値の違いにより判定値数は変わらないが、賭け数に応じて判定値数が異なっている。
【0108】
図4(c)は、RTの遊技状態にあるときに参照される遊技状態別テーブルを示す。RTにおいては、内部抽選の対象となる役として、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、「スイカ」の小役、「ベル」の小役、「チェリー」の小役、リプレイの6種類が登録されている。ビッグボーナス及びレギュラーボーナスについては、設定値及び賭け数に応じて判定値数が異なっている。もっとも、賭け数が1または2の場合には、設定値に関わらず賭け数が共通となっている。
【0109】
「スイカ」の小役及び「ベル」の小役については、設定値の違いにより判定値数は変わらないが、賭け数に応じて判定値数が異なっている。「チェリー」の小役については、賭け数に応じて判定値数は変わらないが、設定値に応じて賭け数が異なっている。リプレイの判定値数は、設定値及び賭け数に関わらずに共通なものとなっている。
【0110】
図4(d)は、通常の遊技状態にあるときに参照される遊技状態別テーブルを示す。通常の遊技状態においては、内部抽選の対象となる役として、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、「スイカ」の小役、「ベル」の小役、「チェリー」の小役、リプレイ、RTの7種類が登録されている。ビッグボーナス及びレギュラーボーナスについては、設定値及び賭け数に応じて判定値数が異なっている。もっとも、賭け数が1または2の場合には、設定値に関わらず賭け数が共通となっている。
【0111】
「スイカ」の小役及び「ベル」の小役については、設定値の違いにより判定値数は変わらないが、賭け数に応じて判定値数が異なっている。「チェリー」の小役については、賭け数に応じて判定値数は変わらないが、設定値に応じて賭け数が異なっている。リプレイの判定値数は、設定値及び賭け数に関わらずに共通なものとなっている。RTの判定値数も、設定値及び賭け数に関わらずに共通なものとなっている。
【0112】
なお、遊技状態がRTにあるときは、重ねてRTに当選しないことと、リプレイ当選確率が高くなる以外、内部抽選における他の役の当選確率は、通常の遊技状態の場合と同じである。このため、RTにあるときに参照される遊技状態別テーブルに登録されている判定値数のアドレスは、リプレイを除いて設定値及び賭け数が同じであれば、通常の遊技状態にあるときに参照される遊技状態別テーブルに登録されている判定値数のアドレスと同じになっている。
【0113】
図5は、遊技状態別テーブルに登録されたアドレスに基づいて取得される判定値数の記憶領域を示す図である。この判定値数の記憶領域は、開発用の機種ではRAM112に、量産機種ではROM113に割り当てられたアドレス領域に設けられている。例えばアドレスADDは、レギュラーボーナスの遊技状態別テーブルによりJACの役について参照されるアドレスであるが、ここに格納された判定値数が16375であるので、レギュラーボーナスにあるときにはJACの当選を判定するための判定値数として16375が取得される。
【0114】
また、例えばアドレスADD+32は、通常の遊技状態またはRTで賭け数が3、設定値が6であるときにビッグボーナスについて参照されるアドレスであるが、ここに格納された判定値数が60であるので、通常の遊技状態またはRTで賭け数が3、設定値が6のときにはビッグボーナスの当選を判定するための判定値数として60が取得される。なお、アドレスADD+74、ADD+76は、それぞれRT、通常の遊技状態においてリプレイ当選を判定するための判定値数を格納したアドレスであるが、それぞれに格納された判定値数が5120、2245と異なっていることから、通常の遊技状態におけるリプレイ当選確率とRTにおけるリプレイ当選確率とが異なるものとなる。
【0115】
また、通常の遊技状態またはRTであるときの「スイカ」の小役の判定値数は、賭け数が1であればアドレスADD+50に、賭け数が2であればアドレスADD+52に、賭け数が3であればアドレスADD+54に記憶されている。もっとも、アドレスADD+50、ADD+52、ADD+54に記憶されている判定値数は、いずれも68であるので、通常の遊技状態またはRTにおける「スイカ」の小役の当選確率は、賭け数に関わらずに同じものとなる。
【0116】
さらに、通常の遊技状態またはRTであるときの「チェリー」の小役の判定値数は、設定値が1であればアドレスADD+62に、設定値が2であればアドレスADD+64に、設定値が3であればアドレスADD+66に、設定値が4であればアドレスADD+68に、設定値が5であればアドレスADD+70に、設定値が6であればアドレスADD+72に記憶されている。もっとも、アドレスADD+62、ADD+64、ADD+66、ADD+68、ADD+70、ADD+72に記憶されている判定値数は、いずれも269であるので、通常の遊技状態またはRTにおける「チェリー」の小役の当選確率は、設定値に関わらすに同じものとなる。
【0117】
内部抽選は、取得した内部抽選用の乱数に設定値、賭け数及び遊技状態に応じた各役の判定値数を加算していき、オーバーフローしたときに当該役を当選と判定するものである。図6は、内部抽選用の乱数の値及び各役の判定値数と、当選役との関係の例を示す図である。図6では、通常の遊技状態で、賭け数が3、設定値が6の場合を示している。ここでの役の種類は、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、「スイカ」の小役、「ベル」の小役、「チェリー」の小役、リプレイ、及びRTであり、それぞれの判定値数が60、30、68、3562、269、2245、16となっている。
【0118】
ビッグボーナスについて、いずれについての個別に判定値数を記憶したアドレスを遊技状態別テーブルに登録している。ここで賭け数3、設定値6に対応して登録されたアドレスADD+32に記憶された判定値数は30となっている。この判定値数の30が加算されるものとすると、内部抽選用の乱数の値が16324?16383であるときに加算結果がオーバーフローして、ビッグボーナスに当選となる。
【0119】
レギュラーボーナスについて、いずれについての個別に判定値数を記憶したアドレスを遊技状態別テーブルに登録している。ここで賭け数3、設定値6に対応して登録されたアドレスADD+48に記憶された判定値数は60となっている。この判定値数の30とビッグボーナスの判定値数の60と合わせて90が加算されるものとすると、内部抽選用の乱数の値が16294?16323であるときに加算結果がオーバーフローして、レギュラーボーナスに当選となる。
【0120】
「スイカ」の小役について、設定値について共通に判定値数を記憶したアドレスを遊技状態別テーブルに登録している。ここで賭け数3に対応して登録されたアドレスADD+54に記憶された判定値数は68となっている。この判定値数の68とそれまでに加算された判定値数とを合わせて158が加算されるものとすると、内部抽選用の乱数の値が16226?16293であるときに加算結果がオーバーフローして、「スイカ」の小役に当選となる。
【0121】
「ベル」の小役については、設定値について共通に判定値数を記憶したアドレスを遊技状態別テーブルに登録している。ここで賭け数3に対応して登録されたアドレスADD+60に記憶された判定値数は3562となっている。この判定値数の3562とそれまでに加算された判定値数とを合わせて3720が加算されるものとすると、内部抽選用の乱数の値が12664?16225であるときに加算結果がオーバーフローして、「ベル」の小役に当選となる。
【0122】
「チェリー」の小役については、賭け数について共通に判定値数を記憶したアドレスを遊技状態別テーブルに登録している。ここで設定値6に対応して登録されたアドレスADD+72に記憶された判定値数は269となっている。この判定値数の269とそれまでに加算されれた判定値数と合わせて3889が加算されるものとすると、内部抽選用の乱数の値が12395?12663であるときに加算結果がオーバーフローして、「チェリー」の小役に当選となる。
【0123】
リプレイについては、設定値と賭け数の双方に共通して判定値数を記憶したアドレスを遊技状態別テーブルに登録している。リプレイについて登録されたアドレスADD+76に記憶された判定値数は2245となっている。この判定値数の2245とそれまでに加算されれた判定値数と合わせて6234が加算されるものとすると、内部抽選用の乱数の値が10150?12394であるときに加算結果がオーバーフローして、リプレイに当選となる。
【0124】
RTについては、設定値と賭け数の双方に共通して判定値数を記憶したアドレスを遊技状態別テーブルに登録している。RTについて登録されたアドレスADD+78に記憶された判定値数は16となっている。この判定値数の16とそれまでに加算されれた判定値数と合わせて6250が加算されるものとすると、内部抽選用の乱数の値が10134?10149であるときに加算結果がオーバーフローして、RTに当選となる。
【0125】
これらの判定値数に基づいて算出される各役のおおよその当選確率は、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、「スイカ」の小役、「ベル」の小役、「チェリー」の小役、リプレイ、及びRTのそれぞれについて、1/273.1、1/546.1、1/240.9、1/4.6、1/60.9、1/7.3、1/1024.0(小数第2以下四捨五入)となる。なお、内部抽選用の乱数の値が0?10133であるときには、加算結果がオーバーフローすることがなく、全ての役にハズレとなる。
【0126】
また、ビッグボーナス当選フラグ、レギュラーボーナス当選フラグまたはRT当選フラグが既に設定されているときには、ビッグボーナス、レギュラーボーナスまたはRT(設定されている当選フラグの種類と異なっていてもよい)に当選したと判定されても、ビッグボーナス当選フラグ、レギュラーボーナス当選フラグまたはRT当選フラグが重ねて設定されることはなく、その当選が破棄される。
【0127】
上記した内部抽選において当選と判定された役については、当該役の当選フラグがRAM112に設定される。また、ビッグボーナス、レギュラーボーナス(ビッグボーナス中に提供された場合を含む)、RTの遊技状態にあることを示すビッグボーナス中フラグ、レギュラーボーナス中フラグ、RT中フラグもRAM112に設定される。さらに、設定値や賭け数についてもRAM112に記憶される。そこで、RAM112の構成について説明する。
【0128】
図7は、遊技制御基板101のRAM112のメモリマップを示す図である。図示するように、RAM112の記憶領域は、スタック領域112-1と、特別ワーク112-2と、設定値ワーク112-3と、重要ワーク112-4と、一般ワーク I112-5と、一般ワーク II112-6と、一般ワーク III112-7と、未使用領域112-8とに分けられる。それぞれの領域の先頭アドレスは、add、add+A、add+B、add+C、add+D、add+E、add+F、add+Gとなっている。RAM112の最終アドレスは、add+Hとなっている。
【0129】
スタック領域112-1は、スタックのための領域であり、スタックポインタもここに含まれる。特別ワーク112-2は、演出制御基板102に送信するコマンドやソフトウェア乱数を生成するためのワーク領域である。設定値ワーク112-3は、設定値を保持するワーク領域であり、設定値の変更操作の終了時に当該確定した設定値が、電源投入時にRAM112が壊れていた場合に設定値1を示すデータが入れられる。重要ワーク112-4は、ビッグボーナス終了時にクリアされると不都合が生じることのあるデータを記憶するワーク領域である。
【0130】
一般ワーク112-5?7は、ビッグボーナス終了時にクリアしてもよいデータを記憶するワーク領域である。一般ワーク112-5?7は、ビッグボーナス終了時以外にクリアしてもよいかの条件に応じて、一般ワーク I112-5、一般ワーク II112-6、一般ワーク III112-7に分けられる。未使用領域112-8は、RAM112のうちの使用されていない領域である。
【0131】
一般ワーク I112-5は、ビッグボーナス中フラグを設定するための領域と、ビッグボーナスにおける払出メダル枚数をカウントするカウンタのための領域とを含んでいる。一般ワーク II112-6は、レギュラーボーナス中フラグ、RT中フラグを設定するための領域と、ビッグボーナス当選フラグ、レギュラーボーナス当選フラグ、RT当選フラグを設定するための領域と、レギュラーボーナス及びRTにおける消化ゲーム数をカウントするカウンタのための領域と、レギュラーボーナスにおける入賞ゲーム数をカウントするカウンタのための領域とを含んでいる。一般ワーク III112-7は、小役、リプレイ、JAC、JACINの当選フラグを設定するための領域を含んでいる。
【0132】
特別ワーク112-2は、電源投入時にRAM112が壊れていた場合にのみ全体がクリアされる。重要ワーク112-4は、電源投入時にRAM112が壊れていた場合と設定値の変更操作が終了した場合にのみ全体がクリアされる。一般ワーク I112-5は、電源投入時にRAM112が壊れていた場合と設定値の変更操作が終了した場合の他に、ビッグボーナスが終了したときに全体がクリアされる。
【0133】
一般ワーク II112-6も、電源投入時にRAM112が壊れていた場合と設定値の変更操作が終了した場合の他に、ビッグボーナスが終了したときに全体がクリアされるが、ゲーム終了時の条件に応じて必要な箇所がクリアされる(すなわち、フラグが消去され、カウンタが初期化される)。一般ワーク III112-7は、電源投入時にRAM112が壊れていた場合と設定値の変更操作が終了した場合の他に、ビッグボーナスが終了したか否かに関わらず各ゲームの終了時に全体がクリアされる。未使用領域112-8をクリアする条件も、一般ワーク III112-7と同じである。
【0134】
以上の条件から、電源投入時にRAM112が壊れていた場合には、特別ワーク112-2以下の領域全体がクリアされる。設定値の変更操作が終了したときには、重要ワーク112-4以下の領域全体がクリアされる。ビッグボーナスが終了したときには、一般ワーク I11-5以下の領域全体がクリアされる。ビッグボーナスの終了とならずにゲームが終了したときには、一般ワーク III112-7以下の領域全体がクリアされる。
【0135】
RAM112の領域をクリアする条件が成立したときには、成立した条件に応じたアドレスを、CPU111の所定のアドレスレジスタに設定する。ここで、条件に応じたアドレスとは、電源投入時にRAM112が壊れていた場合にはadd+A、設定値の変更操作が終了した場合にはadd+C、ビッグボーナスが終了した場合にはadd+D、ビッグボーナスの終了とならずにゲームが終了した場合にはadd+Fである。そして、CPU111は、設定したアドレスからRAM112の最終アドレスadd+Hとなるまで、所定のアドレスレジスタに設定されたアドレスを1ずつ加算しながら、該アドレスレジスタが示すアドレスのデータをクリアしていくものとなる。
【0136】
演出制御基板102のCPU121は、遊技制御基板101のCPU111から送られてくるコマンドに基づいて各種の演出を行うものとしている。上記した初期化コマンドまたは設定変更コマンドを受信したときには、それまで実行されていた演出を停止してからRAM122をクリアするものとしている。また、設定変更コマンドを受信したときには、設定値の変更操作中である旨を液晶表示器4に表示して遊技者に報知するものとしている。この報知は、状態コマンドを受信することによって、終了させられるものとなる。
【0137】
以下、この実施の形態にかかるスロットマシン1における動作について説明する。スロットマシン1の動作は、メインスイッチ94をONすることで電源が投入されることによって開始するが、この電源投入時において特別な処理が行われるものとなる。
【0138】
図8は、遊技制御基板101のCPU111が電源投入時において実行する処理を示すフローチャートである。スロットマシン1の電源が投入されると、まず、設定キースイッチ92が鍵操作されてON状態となっているかどうかを判定する(ステップS101)。設定キースイッチ92がOFF状態となっていれば、RAM112のデータが壊れてなく、正常な状態であるかどうかを判定する(ステップS102)。RAM112が正常な状態であれば、電源が遮断される前の状態に復帰して、ゲームの処理を開始する。
【0139】
RAM112のデータが壊れていた場合には、RAM112のクリアする領域の先頭アドレスとしてadd+Aをアドレスレジスタに設定する(ステップS103)。そして、詳細を後述するRAMクリア処理を行うことにより、RAM112のadd+A以降の領域、すなわち特別ワーク112-2以下の領域をクリアする(ステップS104)。さらに、クリアした設定値ワークに設定値の初期値として1を記憶させる(ステップS105)。さらに初期化コマンドを生成して、これを演出制御基板102に送信する(ステップS106)。そして、後述するゲームの処理を開始させるものとなる。
【0140】
設定キースイッチ92がON状態となっていれば、扉開放センサ95の検出信号に基づいて前面扉が開放されているかどうかを判定する(ステップS107)。前面扉が開放されていれば、不正な設定値の変更操作が行われようとしている可能性があるので、エラー終了する。ここでは、前面扉が開放状態で設定値の変更操作が行われた旨のエラーコードを、ゲーム回数表示部21に表示させるなどして報知する。エラーコマンドを送信して、演出制御基板102のCPU121に、スピーカ7L、7R、7Uからエラー音を出力させたり、液晶表示器4にエラーコードを表示させるものとしてもよい。
【0141】
前面扉が開放されていなければ、設定値の変更操作が行われている旨を示す設定変更コマンドを生成して、これを演出制御基板102に送信する(ステップS108)。また、設定値ワークに記憶された設定値を所定のエリアに読み出し、ゲーム回数表示器51を制御することにより、この設定値をゲーム回数表示部21に表示させる(ステップS109)。
【0142】
次に、スタートレバー11が操作されているかどうかを判定する(ステップS110)。スタートレバー11が操作されていなければ、そのままステップS112の処理に進む。スタートレバー11が操作されていた場合には、設定キースイッチ92がOFF状態とされたかどうかを判定する(ステップS111)。設定キースイッチ92がOFF状態とされていなければ、ステップS112の処理に進む。
【0143】
ステップS112では、設定スイッチ91が操作されたかどうかを判定する。設定スイッチ91が操作されていなければ、ステップS109の処理に戻る。設定スイッチ91が操作されていれば、設定値を1だけ加算し(ステップS113)、加算した結果が7となったかどうかを判定する(ステップS114)。加算した結果が7となっていなければ、そのままステップS109の処理に戻る。加算した結果が7となった場合には、設定値を初期値の1に戻し(ステップS115)、ステップS109の処理に戻る。こうして設定値の更新が行われてからステップS109に戻った場合には、更新された後の設定値がゲーム回数表示部21に表示されるものとなる。
【0144】
ステップS107でスタートレバー11が操作されていて、ステップS108で設定キースイッチ92がOFF状態とされた場合には、RAM112のクリアする領域の先頭アドレスとしてadd+Cをアドレスレジスタに設定する(ステップS116)。そして、詳細を後述するRAMクリア処理を行うことにより、RAM112のadd+C以降の領域、すなわち重要ワーク112-4以下の領域をクリアする(ステップS117)。また、現在の設定値を確定して、これを設定値ワーク112-3に記憶させ、ゲーム回数表示器51を制御することにより、ステップS109でゲーム回数表示部21に表示された設定値を表示消去する(ステップS118)。
【0145】
さらに、状態コマンド送信処理を実行し、RAM112に記憶されている現在の設定値、ビッグボーナス中フラグ、レギュラーボーナス中フラグ及びRT中フラグの状態に基づいて状態コマンドを生成し、これを演出制御基板102に送信する(ステップS119)。ここで送信する状態コマンドは、ステップS118で設定値ワーク112-3に記憶させた設定値と、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、RTのいずれの状態にもないことを示す。なお、この状態コマンド送信処理は、次に説明する1ゲームの処理の最後で実行されるものと同じである。そして、次に説明するゲームの処理を開始させるものとなる。
【0146】
電源投入時の処理が終了し、電源断前の状態に復帰するか、ゲーム開始となると、1ゲームずつの処理を繰り返して行うものとなる。なお、以下の説明において“ゲーム”といった場合には、狭義には、スタートレバー11の操作からリール3L、3C、3Rを停止するまでをいうものとする。もっとも、ゲームを行う際には、スタートレバー11の操作前の賭け数の設定や、リール3L、3C、3Rの停止後にメダルの払い出しや遊技状態の移行も行われるので、これらの付随的な処理も広義には“ゲーム”に含まれるものとする。
【0147】
図9は、遊技制御基板101のCPU111が実行する1ゲーム分の処理を示すフローチャートである。この処理は、電源を投入し、所定のブート処理を行った後、または設定スイッチ91の操作により設定変更を行った直後にも実行される。1ゲームの処理が開始すると、まず、RAM112の未使用領域112-8をクリアする処理(add+Gをアドレスレジスタに設定して、RAMクリア処理を行うことによる)を含む初期処理が行われる(ステップS201)。
【0148】
次に、1枚BETボタン14またはMAXBETボタン15を操作することにより、或いはメダル投入口13からメダルを投入することにより賭け数を設定し、スタートレバー11を操作することにより当該ゲームの実質的な開始を指示するBET処理を行う(ステップS202)。もっとも、前のゲームでリプレイ入賞していた場合には、リプレイフラグにより前のゲームと同じ賭け数が自動設定される(この段階でリプレイフラグが消去される)ので、そのままスタートレバー11を操作してゲームの開始を指示すればよい。
【0149】
BET処理により賭け数が設定され、スタートレバー11が操作されると、内部抽選用の乱数を抽出し、抽出した乱数の値に基づいて上記した各役への入賞を許容するかどうかを決定する抽選処理を行う(ステップS203)。この抽選処理では、それぞれの抽選結果に基づいて、RAM112に当選フラグが設定される。なお、抽選処理の詳細については後述する。
【0150】
抽選処理が終了すると、次にリール変動開始処理が行われる(ステップS204)。リール変動開始処理では、前回のゲームでのリール3L、3C、3Rの回転開始から1ゲームタイマが計時する時間が所定時間(例えば、4.1秒)が経過していることを条件に、リールモータ3ML、3MC、3MRを駆動させ、左、中、右の全てのリール3L、3C、3Rを回転開始させる。これにより、可変表示装置2において図柄が変動表示される。ここで、前回のゲームでの回転開始から所定時間が経過していない場合、回転開始待ちとなり、ウェイトランプ61を点灯させることによりその旨をウェイト表示部31で報知する。また、次回のゲームのための1ゲームタイマの計時を開始する。
【0151】
その後、リール変動停止処理が行われる(ステップS205)。リール変動停止処理では、リールの回転開始から所定の条件(回転速度が一定速度に達した後、リールセンサ3SL、3SC、3SRにより基準位置を検出すること)が成立した後、停止ボタン12L、12C、12Rを操作有効とし、それぞれ遊技者によって操作されることにより、当選フラグの設定状況に応じて、リールモータ3ML、3MC、3MRを駆動停止させ、リール3L、3C、3Rの回転を停止させる。これとともに、リール停止コマンドを演出制御基板102に送信する。また、所定の条件が成立してからの経過時間が所定時間(例えば、30秒)となったときに、リール3L、3C、3Rの駆動を強制的に停止させる。
【0152】
リール3L、3C、3Rの駆動がそれぞれ停止すると、その停止時における表示態様において、ステップS202のBET処理で設定した賭け数に応じた有効ライン上に上記したいずれかの役図柄が導出表示されたかどうかを判定する入賞判定処理が行われる(ステップS206)。この入賞判定処理でいずれかの役に入賞したと判定されると、遊技制御基板101において発生した入賞に応じた各種の処理が行われる。
【0153】
入賞に応じた処理として、ビッグボーナス入賞した場合にビッグボーナス当選フラグの消去とビッグボーナス中フラグの設定を行う。レギュラーボーナス入賞またはJACIN入賞した場合にレギュラーボーナス当選フラグまたはJACIN当選フラグの消去とレギュラーボーナス中フラグの設定を行う。RT入賞した場合にRT当選フラグの消去とRT中フラグの設定を行う。リプレイ入賞した場合にリプレイフラグの設定を行う。また、リプレイ以外の役に入賞した場合には、入賞した役の種類に応じた払出予定数を一般ワーク III112-7に設定する。
【0154】
入賞判定処理が終了すると、払出処理が行われる(ステップS207)。払出処理では、入賞判定処理において設定した払い出し予定数だけクレジットを増加させる。但し、データとして蓄積されているクレジットの数が50に達した場合は、ホッパーモータ82を駆動させることにより、超過した枚数のメダルをメダル払い出し口71から払い出させる。また、入賞に関わらない各種の処理(ボーナス当選フラグ以外の当選フラグの消去やボーナスの終了に関する処理を含む)も行われる。なお、払出処理の詳細については後述する。
【0155】
払出処理が終了すると、状態コマンド送信処理が行われる(ステップS208)。状態コマンド送信処理は、RAM112に記憶されている現在の設定値、ビッグボーナス中フラグ及びレギュラーボーナス中フラグに基づいて状態コマンドを生成し、これを演出制御基板102に送信するもので、ステップS114で実行されたものと同じである。そして、1ゲーム分の処理が終了し、次の1ゲーム分の処理が開始する。
【0156】
次に、上記したステップS203の抽選処理について詳しく説明する。図10は、CPU111がステップS203で実行する抽選処理を詳細に示すフローチャートである。抽選処理では、まず、詳細を後述する乱数取得処理を行う。この乱数取得処理においては、乱数発生回路115が発生する乱数に基づいて、内部抽選用の乱数の値が取得されることとなる(ステップS301)。さらに、今回のゲームの遊技状況として、ビッグボーナス中フラグ、レギュラーボーナス中フラグ、またはRT中フラグの設定の有無により区別される現在の遊技状態と、ステップS202のBET処理で設定された賭け数と、現在設定されている設定値とを取得して、一般ワーク III112-8の所定の領域に保存する(ステップS302)。
【0157】
次に、現在の遊技状態に応じた遊技状態別テーブルに登録された役について順番に処理対象として、共通フラグの設定状態を参照する(ステップS303)。その結果、設定値とBET数のいずれについても共通フラグが設定されているかどうかを判定する(ステップS304)。いずれについても共通フラグが設定されていれば、遊技状態別テーブルの当該役について登録されているアドレスに格納されている判定値数を取得する(ステップS305)。そして、ステップS307の処理に進む。
【0158】
一方でも共通フラグが設定されていなければ、当該役についてステップS302で取得した現在の設定値及び賭け数に対応して遊技状態別テーブルに登録されているアドレスに格納されている判定値数を取得する(ステップS306)。そして、ステップS307の処理に進む。ステップS307では、ステップS305またはS306で取得した判定値数を内部抽選用の乱数の値に加算し、加算の結果を新たな内部抽選用の乱数の値とする。ここで、判定値数を内部抽選用の乱数の値に加算したときにオーバーフローが生じたかどうかを判定する(ステップS308)。
【0159】
オーバーフローが生じた場合には、処理対象としている役がビッグボーナス、レギュラーボーナス、またはRTのいずれかであるかを判定する(ステップS309)。いずれかであった場合には、前回以前のゲームにおいて既にビッグボーナス当選フラグ、レギュラーボーナス当選フラグ、またはRT当選フラグ(処理対象としている役と異なってもよい)が設定されているかどうかを判定する(ステップS310)。ビッグボーナス当選フラグ、レギュラーボーナス当選フラグ、またはRT当選フラグが設定されていれば、そのまま抽選処理を終了して、図9のフローチャートに復帰する。
【0160】
ステップS309で処理対象としている役がビッグボーナス、レギュラーボーナス、RTのいずれでもなかった場合、或いはステップS310でビッグボーナス当選フラグ、レギュラーボーナス当選フラグ、RT当選フラグのいずれも設定されていなければ、処理対象としている役の当選フラグを、役の種類に応じて一般ワーク112-5?7の所定の領域に設定する(ステップS311)。そして、抽選処理を終了して、図9のフローチャートに復帰する。
【0161】
また、ステップS308でオーバーフローしていないと判定された場合には、遊技状態別テーブルに登録された役のうちで未だ処理対象としていない役があるかどうかを判定する(ステップS312)。未だ処理対象としていない役があれば、ステップS303の処理に戻り、処理対象を次の役として処理を継続する。処理対象としていない役がなければ、抽選処理を終了して、図9のフローチャートに復帰する。
【0162】
次に、ステップS301の乱数取得処理について詳しく説明する。図11は、CPU111がステップS301で実行する乱数取得処理を詳細に示すフローチャートである。乱数取得処理では、まず、CPU111に対する割り込みを禁止する(ステップS401)。次に、サンプリング回路116にサンプリング指令を出力し、乱数発生回路115が発生している乱数をラッチさせ、ラッチさせた乱数の値をI/Oポート114から入力して、これを抽出する。乱数発生回路115から抽出された乱数の値は、汎用レジスタ111GRに格納される(ステップS402)。
【0163】
次に、汎用レジスタ111GRに格納された乱数の下位バイトの値と上位バイトの値を、一般ワーク III112-7を用いて互いに入れ替える(ステップS403)。次に、汎用レジスタ111GRに格納された乱数の値を8080hと論理積演算する(ステップS404)。さらに上位バイト(第15?第8ビット)を1ビットずつ下位にシフトし、これによって空いた第15ビットに1を挿入する。このときに汎用レジスタ111GRに格納された値が内部抽選用の乱数として取得され、一般ワーク III112-7の所定の領域に保存される(ステップS405)。そして、ステップS401で禁止した割り込みを許可してから(ステップS406)、乱数取得処理を終了して、図10のフローチャートに復帰する。
【0164】
次に、上記したステップS207の払出処理について詳しく説明する。図12は、CPU111がステップS207で実行する払出処理を詳細に示すフローチャートである。まず、一般ワーク III112-7に設定された払い出し予定数が0となるまで、払い出し予定数を1ずつ減算していきながらホッパー80を制御してメダルを1枚ずつ排出させることで、入賞した役に対応した数のメダルを遊技者に払い出す。但し、クレジットの数が50に達していなければ、メダルを1枚ずつ排出する代わりにクレジットの数を1ずつ加算していく(ステップS501)。
【0165】
次に、一般ワーク II112-6にRT中フラグが設定されているかどうかにより、現在の遊技状態がRTとなっているかどうかを判定する(ステップS502)。現在の遊技状態がRTとなっていれば、一般ワーク II112-6に設けられたゲーム数カウンタを用いて当該RTにおける消化ゲーム数をカウントする(ステップS503)。そのカウント結果として、RTの終了条件となったかどうかを判定する(ステップS504)。
【0166】
RTの終了条件となっていれば、一般ワーク II112-6に設定されているRT中フラグを消去するとともに、一般ワーク II112-6に設けられたゲーム数カウンタの値をクリアする(ステップS505)。そして、ステップS513の処理に進む。RTの終了条件となっていなければ、そのままステップS513の処理に進む。
【0167】
現在の遊技状態がRTとなっていなければ、一般ワーク II112-6にレギュラーボーナス中フラグが設定されているかどうかにより、現在の遊技状態がレギュラーボーナス(ビッグボーナス中に提供された場合を含む)になっているかどうかを判定する(ステップS506。現在の遊技状態がレギュラーボーナスとなっていなければ、そのままステップS510の処理に進む。
【0168】
現在の遊技状態がレギュラーボーナスとなっていれば、一般ワーク II112-6に設けられたゲーム数カウンタを用いて当該レギュラーボーナスにおける消化ゲーム数をカウントするとともに、入賞数カウンタを用いて当該レギュラーボーナスにおける入賞ゲーム数をカウントする(ステップS507)。そのカウント結果として、レギュラーボーナスの終了条件となったかどうかを判定する(ステップS508)。
【0169】
レギュラーボーナスの終了条件となっていれば、一般ワーク II112-6に設定されているレギュラーボーナス中フラグを消去するとともに、一般ワーク II112-6に設けられたゲーム数カウンタ及び入賞数カウンタの値をクリアする(ステップS509)。そして、ステップS510の処理に進む。レギュラーボーナスの終了条件となっていなければ、そのままステップS510の処理に進む。
【0170】
ステップS510では、一般ワーク I112-5にビッグボーナス中フラグが設定されているかどうかにより、現在の遊技状態がビッグボーナス(レギュラーボーナス中である場合を含む)になっているかどうかを判定する。現在の遊技状態がビッグボーナスとなっていなければ、ステップS513の処理に進む。
【0171】
現在の遊技状態がビッグボーナスとなっていれば、一般ワーク I112-5に設けられた払出数カウンタを用いて当該ビッグボーナスにおける払出メダル枚数をカウントする(ステップS511)。そのカウント結果として、ビッグボーナスの終了条件となったかどうかを判定する(ステップS512)。ビッグボーナスの終了条件となっていなければ、ステップS513の処理に進む。ビッグボーナスの終了条件となっていれば、ステップS515の処理に進む。
【0172】
ステップS513では、ビッグボーナスの終了以外で今回のゲームが終了する場合となるので、RAM112のクリアする領域の先頭アドレスとしてadd+Fをアドレスレジスタに設定する。そして、詳細を後述するRAMクリア処理を行うことにより、RAM112のadd+F以降の領域、すなわち一般ワーク III112-7以下の領域をクリアする(ステップS514)。そして、払出処理を終了して、図9のフローチャートに復帰する。
【0173】
これにより、今回のゲームの終了時において、小役、リプレイ、JAC、JACINの当選フラグは消去されるが、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、RTの当選フラグは消去されないこととなる。ビッグボーナス中フラグ、レギュラーボーナス中フラグ、RT中フラグが設定されている場合において、これらは消去されないこととなる。また、今回のゲームの遊技状況や内部抽選用の乱数などもクリアされることとなる。
【0174】
ステップS515では、ビッグボーナスの終了で今回のゲームが終了する場合となるので、RAM112のクリアする領域の先頭アドレスとしてadd+Dをアドレスレジスタに設定する。そして、詳細を後述するRAMクリア処理を行うことにより、RAM112のadd+D以降の領域、すなわち一般ワーク I112-5以下の領域をクリアする(ステップS516)。そして、払出処理を終了して、図9のフローチャートに復帰する。
【0175】
これにより、今回のゲームの終了時において、小役、リプレイ、JAC、JACINの当選フラグが消去されることとなる。ここではビッグボーナス、レギュラーボーナス、RTの当選フラグが設定されている場合はない。ビッグボーナス中フラグとレギュラーボーナス中フラグ(設定されている場合)も消去されることとなる。ここではRT中フラグが設定されている場合はない。また、今回のゲームの遊技状況や内部抽選用の乱数などもクリアされることとなる。
【0176】
次に、上記したステップS104、S117、S514及びS516のRAMクリア処理について詳しく説明する。RAMクリア処理では、RAM112のアドレスレジスタに設定されたアドレスのデータをクリアする。アドレスレジスタの値がRAM112の最終アドレスであるadd+Hとなっていなければ、アドレスレジスタの値を1加算し、さらに当該アドレスのデータをクリアする。アドレスレジスタの値がadd+Hとなっていたときには、当該アドレスのデータをクリアしてRAMクリア処理が終了となる。
【0177】
以上のようなゲームの繰り返しにおいて、遊技制御基板101のCPU111は、通常の遊技状態、RT、レギュラーボーナス及びビッグボーナスの間で遊技状態の移行を行っており、遊技の進行状況に応じてコマンドを演出制御基板102に送信している。これに対して、演出制御基板102のCPU121は、遊技制御基板101から受信したコマンドに基づいて、独自の演出を行っている。以下、演出制御基板102のCPU121が各種の演出を行うために実行する処理について説明する。
【0178】
図13は、演出制御基板102のCPU121が実行するコマンド受信待機処理を示すフローチャートである。演出制御基板102側では、遊技制御基板101から送られてくるコマンドを受信したかどうかを判定している(ステップS601)。コマンドを受信するまでは、ステップS601の処理を繰り返し、コマンドの受信を待機している状態にある。遊技制御基板101からいずれかのコマンドを受信すると、受信したコマンドの種類が何であるかを判定する(ステップS602)。
【0179】
受信したコマンドの種類がステップS106で送信された初期化コマンドであった場合には、液晶表示器4への画像の表示、遊技効果LED75および/またはリールランプ3LPの点灯、或いはスピーカ7からの音声の出力などにより現在行っている演出を停止させる(ステップS603)。演出を停止させると、RAM122のデータをクリアする(ステップS604)。この際、保存されていた設定値もクリアされるが、ここでの設定値は必ず1となるので、RAM112に設定値として1を保存する(ステップS605)。そして、ステップS601の処理に戻る。
【0180】
受信したコマンドの種類がステップS108で送信された設定変更コマンドであった場合には、液晶表示器4への画像の表示、遊技効果LED75および/またはリールランプ3LPの点灯、或いはスピーカ7からの音声の出力などにより現在行っている演出を停止させる(ステップS606)。演出を停止させると、RAM122のデータをクリアする(ステップS607)。この際、保存されていた設定値もクリアされるが、設定値の変更操作が終了したときの状態コマンドで新たな設定値が通知されるので、そのままにしておく。また、液晶表示器4に設定値の変更操作中である旨を示す情報を表示して、その旨を遊技者に報知する(ステップS608)。そして、ステップS601の処理に戻る。
【0181】
受信したコマンドの種類がステップS119またはS208で送信された状態コマンドであった場合には、当該状態コマンドが示す設定値や、ビッグボーナス中、レギュラーボーナス中或いはRT中であることを示す情報をRAM122に保存する(ステップS609)。さらに、液晶表示器4において設定値の変更操作中である旨が報知されているかどうかを判定する(ステップS610)。設定値の変更操作中である旨が報知されていなければ、そのままステップS601の処理に戻る。報知されていれば、液晶表示器4に表示された情報を消去して、設定値の変更操作中である旨の報知を終了する(ステップS611)。そして、ステップS601の処理に戻る。
【0182】
また、受信したコマンドの種類が他のコマンドであった場合には、それぞれのコマンドの種類に応じた処理(本発明と関係ないので、詳細は省略)を実行する(ステップS612)。その後、ステップS601の処理に戻る。
【0183】
以上説明したように、この実施の形態にかかるスロットマシン1では、遊技状態に応じて定められた各役の当選確率を定める判定値数は、遊技状態別テーブルから参照されるアドレスに格納されている。その格納先のアドレスは、設定値および/または賭け数に応じて異なっている場合もあるが、設定値および/または賭け数に関わらずに当選確率を同一とするものとした役については、格納先のアドレスが共通化しており、すなわち、設定値および/または賭け数に関わらずに判定値数が共通化して格納されるものとなる。このように判定値数を共通化して格納することで、そのために必要な記憶容量が少なくて済むようになる。
【0184】
もっとも、同じ遊技状態の遊技状態別テーブルから同一の役について設定値および/または賭け数に応じて参照される判定値数を格納したアドレスが異なっていても、異なるアドレスにおいて格納されている判定値数は同じ場合がある。つまり、同一の役について設定値および/または賭け数に応じて判定値数が別々に登録されていても、その判定値数は同じという場合がある。
【0185】
一般に開発段階においては、少なくとも一部の役について設定値および/または賭け数に応じて判定値数を調整しながら(すなわち、内部抽選の当選確率を調整しながら)、シミュレーションを行っていくものとしている。当初の判定値数として、設定値および/または賭け数に応じて異なる判定値数を登録しておいたが、シミュレーションにより調整を行った結果として、設定値および/または賭け数が異なる場合の判定値数が同一になる場合もある。当初の判定値数として、設定値および/または賭け数に応じて同一の判定値数を登録しておいたが、シミュレーションの結果により当初から登録してあった判定値数がそのまま用いられる場合もある(シミュレーションの結果により当初とは異なる判定値数すなわち、設定値および/または賭け数に応じて異なる判定値数となる場合もある)。そして、それぞれの場合におけるシミュレーションで適切な結果の得られた判定値数を、量産用の機種に設定する判定値数として選ぶものとしている。
【0186】
ここで、シミュレーションにより調整された判定値数が結果として設定値および/または賭け数に関わらずに同じになったとしても、その開発段階でのアドレス割り当てと同じアドレスの割り当てで判定値数をROM113に記憶して、そのまま量産用の機種とすることができる。このため、量産用の機種において判定値数の格納方法を開発用の機種から変更する必要がなく、最初の設計段階から量産用の機種に移行するまでの開発を容易に行うことができるようになる。
【0187】
また、内部抽選は、取得した内部抽選用の乱数に、遊技状態別テーブルに登録された各役の判定値数を加算していき、その加算の結果がオーバーフローしたか否かによって、それぞれの役の当選の有無を判定するものとしている。このため、遊技状況に応じた各役の判定値数をそのまま用いて内部抽選を行うことができる。なお、実際の当選判定を行う前に当選判定用テーブルを生成する場合にはループ処理が2回必要になるが、この実施の形態によれば、抽選処理におけるループ処理が1回で済むようになり、抽選処理全体での処理効率が高いものとなる。
【0188】
また、乱数取得処理によって取得される内部抽選用の乱数は、サンプリング回路116により乱数発生回路115から抽出した乱数をそのまま使用するのではなく、ソフトウェアにより加工してから使用するものとしている。乱数発生回路115は、パルス発生回路115aのパルス信号の周波数で高速に更新して乱数を発生しているが、ソフトウェアにより加工した後の内部抽選用の乱数では、その加工によって更新の周期性が失われるものとなる。
【0189】
これに対して、内部抽選では各役に対応した判定値数を内部抽選用の乱数の値に順次加算していくことにより行うため、図6に示したように各役を当選とする内部抽選用の乱数の値は、固まってしまうこととなる。これに対して、ソフトウェアによる加工で内部抽選用の乱数の周期性を失わせ、その値をバラつかせることによって、遊技者による狙い打ちを可能な限り防ぐことができる。
【0190】
しかも、乱数発生回路115のカウンタ115b、115cの値を更新させるためにパルス発生回路115aが発生するパルス信号の周波数は、CPU111の動作クロックの周波数よりも高く、整数倍ともなっていない。このため、乱数発生回路115が発生する乱数の更新が、CPU111が行う処理と同期しにくくなる。しかも、パルス発生回路115aのパルス信号の周波数の方を高くすることで、乱数発生回路115が発生する乱数の更新速度を非常に速いものとすることができる。
【0191】
一方、ソフトウェアによる乱数の加工は、サンプリング回路116により乱数発生回路115から抽出した乱数の上位バイトと下位バイトとを入れ替え、第15、第7ビットをマスクした後、上位バイトをビットシフトするだけでよい。従って、16ビット(実際にはマスクされて14ビット)という比較的大きな乱数であっても、周期性を失わせるために必要な加工の処理に要する負荷がそれほど大きくならず、容易に取得することができる。このように大きな乱数が取得できることで、内部抽選における確率設定を細かく行うことができるようになる。
【0192】
また、設定値の変更操作は、設定キースイッチ92をON状態としてメインスイッチ94により電源をONすることで可能となるが、このときには設定変更コマンドが演出制御基板102に送信される。設定変更コマンドを受信することによって、演出制御基板102では実行中の演出が停止され、RAM122のデータがクリアされる。そして、設定値の変更操作を行う際に、演出制御基板102において変更前の設定値に基づく演出が継続することなくなるので、そのような演出による煩わしさを感じさせることがない。
【0193】
演出制御基板102において設定変更コマンドを受信したときには、状態コマンドを受信するまで、液晶表示器4により設定値の変更操作中である旨が報知される。設定変更コマンドは設定値の変更操作の開始時に送信され、状態コマンドは設定値の変更操作の終了時に送信されるので、この間に設定値の変更操作が行われているということである。液晶表示器4に報知を行うことによって、設定値の変更操作が行われていると外部から分かることとなり、不正な設定値の変更操作が行われるのを防ぐことができる。
【0194】
電源投入時にRAM112が壊れていた場合にも初期化コマンドが送信されることによって演出制御基板102では実行中の演出が停止され、RAM122のデータがクリアされるので、演出制御基板102のRAM122が壊れていないときに遊技制御基板101の側の状態と異なる演出が実行することなくなるので、そのような演出による煩わしさを感じさせることがない。初期化コマンドを受信したときには、演出制御基板102のRAM122にも設定値として1が記憶されるので、遊技制御基板101の設定値ワーク112-3に記憶された実際の設定値と異なる演出が実行されるのを防ぐことができる。
【0195】
また、スタートレバー11を操作した後に設定キースイッチ92をOFF状態とすると、設定値に関する情報を含む状態コマンドが演出制御基板102に送信される。この状態コマンドを受信することによって、演出制御基板102のRAM122にも変更後の設定値が保存されることとなる。これにより、スタートレバー11を操作してから設定キースイッチ92をOFF状態とすることで演出制御基板102の側で認識される設定値も確実に変更後のものに更新され、設定値の変更操作を終了した後のゲームにおいて、変更後の設定値に基づく演出を確実に行えるようになる。
【0196】
ところで、スタートレバー11を操作して設定キースイッチ92をOFF状態として設定値を確定させたときに演出制御基板102に送信される状態コマンドは、各ゲームの終了時に送信される状態コマンドと兼用されている。このように状態コマンドの兼用を行うことで、遊技制御基板101及び演出制御基板102において複数種類のコマンドを取り扱うのに必要な記憶容量を小さくできる。また、演出制御基板102のCPU121がコマンドの種類を判断する際の処理負荷も小さくすることができる。
【0197】
さらに、変更後の設定値を確定させたときにはRAM112の重要ワーク112-4以下の領域がクリアされるが、これによって各役の当選フラグが全て消去される、ビッグボーナス中フラグ、レギュラーボーナス中フラグ或いはRT中フラグが設定されていても、消去されることとなる。状態コマンドは、設定値に関する情報だけでなく、遊技状態に関する情報も含んでいるので、設定値の変更が行われた後に行われるゲームにおいて、演出制御基板102の側で認識する遊技状態が遊技制御基板101の側で認識する遊技状態と食い違うことがなく、遊技状態に応じた演出を確実に行うことができる。
【0198】
また、設定値の変更操作は、設定キースイッチ92をON状態として電源を投入すると可能となるが、この操作が行われても前面扉が開放されていなければエラーとなる。このため、外部からの不正な信号操作によって設定スイッチ91や設定キースイッチ92が操作されたものとする信号がCPU111に入力されても、エラーとなって設定値が変更されることはない。また、前面扉に穴を開けて設定スイッチ91や設定キースイッチ92を操作しても、エラーとなって設定値が変更されることがない。これにより、不正な設定値の変更操作が行われるのを防ぐことができる。しかも、ここでエラーが生じたことは、エラーコードの表示などにより外部に報知されるものとなるので、この報知によっても不正な設定値の変更操作が行われるのを防ぐことができる。
【0199】
ところで、遊技制御基板101のRAM112は、スタック領域112-1と、特別ワーク112-2と、設定値ワーク112-3と、重要ワーク112-4と、一般ワーク I112-5と、一般ワーク II112-6と、一般ワーク III112-7と、未使用領域112-8とに分けられるが、成立した条件に応じて一部の領域がクリアされることがある。ここでRAM112をクリアする条件が成立した場合、成立した条件に応じてアドレスを設定して、その最終アドレスまで全てクリアすればよい。
【0200】
このため、成立した条件に応じて異なる処理は、クリアする領域の先頭アドレスの設定だけであり、その他は同一のRAMクリア処理で行うことができるので、制御が容易になる。また、クリアする領域の先頭アドレス以外には、成立した条件に応じてクリアする領域を細かく指定するためのデータが必要なく、RAM112を領域別にクリアするためのデータ量を小さくすることができる。
【0201】
本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形態様について説明する。
【0202】
上記の実施の形態では、電源投入時にRAM112が壊れていた場合には初期化コマンドが、設定値の変更操作を開始するときには設定変更コマンドが、遊技制御基板101から演出制御基板102に送信されるものとなっていた。これに対して、設定値の変更操作中であることを報知しないのであれば、設定時の変更操作を開始するときにも設定変更コマンドではなく、電源投入時にRAM112が壊れていた場合と同じ初期化コマンドを送信するものとしてもよい。
【0203】
演出制御基板102のCPU121は、初期化コマンドを受信したときにはRAM122に設定値として1を記憶させるが、設定値の変更操作が終了したときには状態コマンドが送信されるので、ゲームが開始可能となるまでにはRAM122にも正しい設定値が記憶されることとなり、問題が生じることはない。このように設定値の変更操作の開始時に送信するコマンドを初期化コマンドと兼用することで、遊技制御基板101及び演出制御基板102において複数種類のコマンドを取り扱うのに必要な記憶容量を小さくでき、CPU121がコマンドの種類を判断する際の処理負荷も小さくすることができる。
【0204】
なお、設定値の変更操作を終了したときに遊技制御基板101から演出制御基板102に送信するコマンドは、各ゲームの終了時において送信する状態コマンドとは異なる種類のコマンドとしてもよい。設定値の変更操作を終了した旨を示すコマンドを受信したときには、CPU121は、これによって直ちに設定値の変更操作中である旨の報知を終了させるものとすることができる。
【0205】
上記の実施の形態では、設定値の変更操作を開始したときに送信される設定変更コマンドにより設定値の変更操作中である旨の報知が開始され、設定値の変更操作が終了したときに送信される状態コマンドにより設定値の変更操作中である旨の報知が終了されるものとしていた。もっとも、設定値の変更操作が行われた旨の報知は、このように設定値の変更操作の開始から終了までの期間において継続して行わなくても、当該期間における任意のタイミングにおいて行うものとすることができる。
【0206】
例えば、演出制御基板102のCPU121は、設定変更コマンドを受信してから所定時間だけ、設定値の変更操作が開始された旨を報知するものとすることができる。また、設定値の変更操作の終了時に各ゲームの終了時において送信する状態コマンドとは異なる種類のコマンドを送信するものとした場合、演出制御基板102のCPU121は、当該コマンドを受信したときに、設定値の変更操作が行われた旨を報知するものとすることもできる。
【0207】
上記の実施の形態では、判定値数記憶領域は、2バイトの領域を用いて、それぞれの場合における判定値数を記憶するものとしていた。もっとも、一般的なスロットマシンでは、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、或いはRTといった役の判定値数は、いずれの遊技状況においても255を超えるものが設定されることはあり得ない。このように255を超える判定値数を設定する必要がないものについては、1バイトの領域だけを用いて、判定値数を記憶するものとしてもよい。
【0208】
上記の実施の形態では、判定値数は、設定値1?6の全体に共通して記憶されているか、設定値1?6のそれぞれに対して個別に記憶されているかであった。もっとも、設定値1?6の全体に共通して判定値数が記憶されない(設定値についての共通フラグが設定されない)ものとして、例えば、設定値1?3については判定値数が共通、設定値4?6については判定値数が共通のものとすることもできる。賭け数についての判定値数についても同様で、例えば賭け数1と2については共通、賭け数3では個別とすることもできる。
【0209】
上記の実施の形態では、設定値等に応じて取得した判定値数を内部抽選用の乱数の値に順次加算していたが、取得した判定値数を取得した内部抽選用の乱数の値から順次減算して、減算の結果を新たな内部抽選用の乱数の値とするものとしてもよい。判定値数を内部抽選用の乱数の値から減算するときには、内部抽選用の乱数の第15ビットと第14ビットとを「0」として、減算の結果にオーバーフロー(ここでは、減算結果がマイナスとなること)が生じたかどうかを判定するものとすることができる。
【0210】
上記の実施の形態では、ビッグボーナス当選フラグ、レギュラーボーナス当選フラグ或いはRT当選フラグが設定されているか否かに関わらず、遊技状態が通常またはRTにあるときにはビッグボーナス及びレギュラーボーナス(並びにRT(通常の遊技状態にあるとき)の判定値数を取得して、これらの役の当選の有無を判定するものとしていた。但し、ビッグボーナス当選フラグ、レギュラーボーナス当選フラグ或いはRT当選フラグが設定されているときには、これらの役に当選したものと判定されても、対応する当選フラグを設定しないものとしていた。
【0211】
これに対して、ビッグボーナス当選フラグ、レギュラーボーナス当選フラグ或いはRT当選フラグが既に設定されているときには、これらの役の抽選自体を行わないものとしてもよい。すなわち、ビッグボーナス当選フラグ、レギュラーボーナス当選フラグ或いはRT当選フラグが設定されているときには、これらの役に対応した判定値数を内部抽選用の乱数に加算したりしないものとしてもよい。この場合には、判定値数を内部抽選用の乱数に加算した結果のオーバーフロー判定を行う回数が少なくて済むようになる。
【0212】
上記の実施の形態では、内部抽選は、取得した内部抽選用の乱数の値に遊技状況に応じた各役の判定値数を順次加算していき、加算結果がオーバーフローしたときに当該役を当選と判定するものとしていた。これに対して、遊技状況に応じた各役の判定値数に応じて、各役を当選と判定する判定値を定めた当選判定用テーブルをゲーム毎に作成し、取得した内部抽選用の乱数の値を各役の判定値と比較することで、内部抽選を行うものとしてもよい。
【0213】
レギュラーボーナスの場合は、賭け数が1に固定されるので、ゲーム毎に当選判定用テーブルを作成しないで、レギュラーボーナスの開始時のみに当選判定用テーブルを作成するものとしてもよい。レギュラーボーナスでは1枚賭けでゲームを行うが、それ以外のゲームでは必ず3枚賭けでゲームを行うものとした3枚賭け専用機でも、ゲーム毎に当選判定用テーブルを作成しないで、設定値の変更操作がなされた後か、遊技状態に変化があったときのゲームにおいてのみ、当選判定用テーブルを生成するものとしてもよい。
【0214】
上記の実施の形態では、通常の遊技状態とRTとで、別々の遊技状態別テーブルが用いられていた。もっとも、通常の遊技状態とRTとで適用される判定値数の異なる役は、リプレイと、RT(通常の遊技状態のみの役である)だけである。このため、通常の遊技状態とRTとで遊技状態別テーブルを共通化し、リプレイとRTについては、設定値と賭け数に応じて判定値数が格納されていることを示す共通フラグと同様の共通フラグを用いて、異なる判定値数が適用させるようにすることができる。
【0215】
上記の実施の形態では、乱数発生回路115から抽出した乱数の上位バイト全体を下位バイトで置換し、下位バイト全体を上位バイトで置換するという入れ替えを行っていた。これに対して、乱数発生回路115から抽出した乱数のビットのうちの特定のビットのデータを他のビットのデータ(但し、マスクされる第7、第15ビット以外)で置換するだけであってもよい。また、乱数発生回路115から抽出した乱数の値を、そのまま内部抽選用の乱数として取得するものとしてもよい。さらに、上記の実施の形態とは異なる方法により内部抽選用の乱数に加工するものとしてもよい。
【0216】
図14は、乱数発生回路115から抽出した乱数をCPU111がソフトウェアにより内部抽選用の乱数に加工するまでの処理(ステップS301)の第1の変形例の説明図である。この第1の変形例でも、乱数発生回路115から抽出された乱数は、CPU111が有する16ビットの汎用レジスタ111GRに格納されるものとなる。
【0217】
乱数発生回路115から抽出された乱数が汎用レジスタ111GRに格納されると、CPU111は、さらに内部のリフレッシュレジスタ111Rの値を加工用の乱数として抽出する。CPU111は、汎用レジスタ111GRの上位バイトの値(上位カウンタ115cから抽出した値)にリフレッシュレジスタ111Rから抽出した加工用の乱数を加算する。汎用レジスタ111GRの下位バイトの値(下位カウンタ115bから抽出した値)は、そのままにしておく。
【0218】
次に、CPU111は、汎用レジスタ111GRの値、すなわち上位バイトに加工用の乱数を加算した値を、8080hと論理積演算をする。さらに、CPU111は、上位1バイト(第8ビット?第15ビット)までを1ビットずつ下位にシフトし、これによって空いた第15ビットに1を挿入する。CPU111は、このときに汎用レジスタ111GRに格納されている値を内部抽選用の乱数として取得し、これに判定値数を順次加算していくものとなる。
【0219】
図15は、乱数発生回路115から抽出した乱数をCPU111がソフトウェアにより内部抽選用の乱数に加工するまでの処理(ステップS301)の第2の変形例の説明図である。この例でも、乱数発生回路115から抽出された乱数は、CPU111が有する16ビットの汎用レジスタ111GRに格納されるものとなる。
【0220】
乱数発生回路115から抽出された乱数が汎用レジスタ111GRに格納されると、CPU111は、さらに内部のリフレッシュレジスタ111Rの値を加工用の乱数として抽出する。CPU111は、汎用レジスタ111GRの上位バイトの値(上位カウンタ115cから抽出した値)にリフレッシュレジスタ111Rから抽出した加工用の乱数を加算する。また、汎用レジスタ111GRの下位バイトの値(下位カウンタ115bから抽出した値)にもリフレッシュレジスタ111Rから抽出した加工用の乱数を加算する。
【0221】
次に、CPU111は、汎用レジスタ111GRの値、すなわち上位バイト及び下位バイトにそれぞれ加工用の乱数を加算した値を、8080hと論理積演算をする。さらに、CPU111は、上位1バイト(第8ビット?第15ビット)までを1ビットずつ下位にシフトし、これによって空いた第15ビットに1を挿入する。CPU111は、このときに汎用レジスタ111GRに格納されている値を内部抽選用の乱数として取得し、これに判定値数を順次加算していくものとなる。
【0222】
以上説明した第1、第2の変形例では、リフレッシュレジスタ111Rの値を加工用の乱数として抽出し、これを乱数発生回路115から抽出した乱数の上位バイト(第2変形例では、さらに下位バイト)に加算して、乱数の加工を行うものとしている。ここで適用した乱数の加工には、少なくとも加工用の乱数を上位バイトに加算する処理を含んでいる。これにより、内部抽選用の乱数のバラツキを大きくすることができ、遊技者による狙い打ちを可能な限り防ぐことができる。
【0223】
また、加工用の乱数をリフレッシュレジスタ111Rから抽出するものとしたことで、加工用の乱数を生成する手段として特別な構成が必要ない。しかも、リフレッシュレジスタ111Rの値は、CPU111の命令フェッチ毎に更新されるもので、その更新間隔は一定しないので、ランダム性の高い乱数を加工用の乱数として抽出することができる。そして、加工用の乱数のランダム性が高いことから、これを用いて生成される内部抽選用の乱数のランダム性も高くなる。
【0224】
なお、上記第1、第2の変形例において、乱数発生回路115から抽出した乱数の上位バイト(及び下位バイト)にリフレッシュレジスタ111Rから抽出した値を加算していたが、リフレッシュレジスタ111R以外でハードウェアまたはソフトウェアにより周期的に更新される値を加算してもよい。また、リフレッシュレジスタ111Rから抽出した値(或いは、リフレッシュレジスタ111Rに代わるものの値)を加算するのではなく、減算や、論理和、論理積などの論理演算を行ってもよい。
【0225】
また、上記の実施の形態で示した上位バイトと下位バイトとの入れ替えのようなビットの置換を、第1、第2の変形例に併用するものとしてもよい。上記第1、第2の変形例においても、乱数発生回路115からの乱数の抽出から加工を終了するまでの間は、汎用レジスタ111GRの内容が書き換えられてしまうのを防ぐため、CPU111に対する割り込みが禁止されるものとなる。
【0226】
また、第2の変形例においては、乱数発生回路115から抽出した乱数の上位バイトと下位バイトにそれぞれ加算する加工用の乱数を、リフレッシュレジスタ111Rから異なるタイミングで別々に抽出してもよい。上位バイトに加算する加工用の乱数を更新する手段と、下位バイトに加算する加工用の乱数を更新する手段とを別々に用意し、それぞれから上位バイト用、下位バイト用の加工用の乱数を抽出する手段を設けるものとしてもよい。この場合において、上位バイト用の加工用の乱数を更新する手段と下位バイト用の加工用の乱数を更新する手段の一方をリフレッシュレジスタ111Rによって構成するものとすることができる。
【0227】
上記の実施の形態では、乱数発生回路115が発生する乱数、すなわちハードウェア乱数機能により抽出した乱数をソフトウェアにより加工する場合に本発明を適用した場合について説明した。しかしながら、上記したソフトウェアによる乱数の加工は、ソフトウェアにより周期的に更新される乱数に適用してもよい。例えば、制御部110を構成するマイクロコンピュータとは第1のマイクロコンピュータにおいてタイマ割り込みなどにより周期的に更新される乱数を、CPU111が第2のマイクロコンピュータに指示を送って抽出させ、I/Oポート114を介してCPU111に入力して、汎用レジスタ111GRに格納するものとすることができる。第2のマイクロコンピュータの機能は、制御部110を構成するマイクロコンピュータに含まれていてもよい。この場合にも、加工後に取得される乱数の値をバラつかせることができるようになり、遊技者による狙い打ちの防止の効果を図ることができる。
【0228】
上記の実施の形態では、遊技の進行に関わる情報や演出の実行に関わる情報であって、変更する必要のある情報は、それぞれ遊技制御基板101と演出制御基板102のRAM112、122に記憶されるものとなっていた。これに対して、設定値のように頻繁に更新されることがない情報は、電気的に書き換え可能な不揮発性のメモリ(EEPROM、フラッシュメモリなど)に記憶させるものとしてもよい。上記の実施の形態のRAM112、122のデータの初期化に対応して、このような不揮発性のメモリのデータを初期化するものとしてもよい。
【0229】
上記の実施の形態では、遊技制御基板101のRAM112について、成立した条件に応じてクリアすべき領域の先頭アドレスを設定して、最終アドレスまでを全てクリアするものとしていた。演出制御基板102のRAM122についても、成立した条件に応じてクリアする領域が定められるのであれば、RAM112と同様に領域を配置し、成立した条件に応じたアドレスから最終アドレスまでを全てクリアするものとすることができる。成立した条件の種類は、コマンドによって演出制御基板102のCPU121に通知するものとすることができる。
【0230】
上記の実施の形態では、通常の遊技状態以外の遊技者にとって有利な遊技状態としては、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、RTの3つであり、いずれも遊技制御基板101による処理で制御されるものであった。これに対して、当選している小役の種類や、小役を入賞させるための停止ボタン12L、12C、12Rの操作順序を告知するAT(Assist Time)を、遊技者に有利な遊技状態として設けるものとしてもよい。このATは、演出制御基板102による処理で制御するものとすることができる。
【0231】
遊技状態をATに移行させるか否かのAT抽選の当選確率、遊技状態をATに移行させてから終了までのATゲーム数の決定確率、遊技状態がATにあるときにゲーム毎に告知を行う確率などについても、設定値に従って異なるものとすることができる。上記のように設定値の変更が確定したときの状態コマンドの送信によって、演出制御基板102で認識される設定値も確実に更新することができるので、遊技制御基板101で認識されている設定値と食い違いを生じることなく、演出制御基板102においてATに関する制御を行えるようになる。
【0232】
上記の実施の形態では、可変表示装置2は、外周部に複数の図柄を所定順に配した3つのリール3L、3C、3Rを備えるものとし、これらのリール3L、3C、3Rの回転駆動によって図柄を可変表示させるものとしていた。しかしながら、液晶表示装置などの表示装置上で仮想的に図柄を可変表示させるものを、上記のような可変表示装置2の代わりに用いてもよい。
【0233】
上記の実施の形態では、本発明をスロットマシンに適用した場合を例として説明した。これに対して、設定値に応じて特図ゲームの大当たり確率を異なるものとするパチンコ遊技機があり、このようなパチンコ遊技機では、上記したスロットマシン1と同様に設定値の変更操作が行われる。パチンコ遊技機でも、上記したスロットマシン1と同様に、遊技の進行を制御する遊技制御基板と特図ゲームの実行等の演出を制御する演出制御基板とに分けて、制御回路を構成するものとしている。
【0234】
上記したスロットマシン1に適用した設定値の変更操作の開始時と終了時におけるコマンドの送信は、パチンコ遊技機において適用することができる。これらのタイミングで送信されるコマンドを他のコマンドと兼用することも、パチンコ遊技機において適用することができる。設定値の変更操作中である旨を報知することも、パチンコ遊技機において適用することができる。前面扉が開放状態にあることを条件として設定値の変更操作を可能とすることも、パチンコ遊技機においても適用することができる。
【0235】
また、パチンコ遊技機において特図ゲームの結果を大当たりとするか否かは、大当たり判定用乱数を取得し、該取得した乱数の値に応じて決定するものとしているが、上記した内部抽選用の乱数の取得方法を、大当たり判定用乱数の取得のためにも適用することができる。図14、図15で示した変形例の内部抽選用の乱数の取得方法も、大当たり判定用乱数の取得のためにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0236】
【図1】本発明の実施の形態にかかるスロットマシンの全体構造を示す正面図である。
【図2】図1のスロットマシンの制御回路の全体構成を示すブロック図である。
【図3】(a)は、乱数発生回路の構成を示すブロック図であり、(b)は、乱数発生回路から抽出した乱数をソフトウェアにより内部抽選用の乱数に加工するまでの説明図である。
【図4】遊技状態別テーブルの例を示す図である。
【図5】判定値数の記憶領域の例を示す図である。
【図6】判定値数、内部抽選用の乱数の値と当選役の関係の例を示す図である。
【図7】遊技制御基板のRAMのメモリマップを示す図である。
【図8】遊技制御基板内の制御部が、電源投入時に実行する処理を示すフローチャートである。
【図9】遊技制御基板内の制御部が、1ゲーム毎に実行する処理を示すフローチャートである。
【図10】図9の抽選処理を詳細に示すフローチャートである。
【図11】図10の乱数取得処理を詳細に示すフローチャートである。
【図12】図9の払出処理を詳細に示すフローチャートである。
【図13】演出制御基板内の制御部が実行する処理を示すフローチャートである。
【図14】乱数発生回路から抽出した乱数をソフトウェアにより内部抽選用の乱数に加工するまでの第1変形例の説明図である。
【図15】乱数発生回路から抽出した乱数をソフトウェアにより内部抽選用の乱数に加工するまでの第2変形例の説明図である。
【符号の説明】
【0237】
1 スロットマシン
2 可変表示装置
91 設定スイッチ
92 設定キースイッチ
94 メインスイッチ
95 扉開放センサ
101 遊技制御基板
102 演出制御基板
111 CPU
111R リフレッシュレジスタ
111GR 汎用レジスタ
112 RAM
115 乱数発生回路
116 サンプリング回路
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面扉を開放状態とすることにより操作可能となる設定変更操作手段を備える遊技機であって、
遊技の進行を制御すると共に、遊技の進行状況に応じた制御情報を送信する遊技制御手段と、
前記遊技制御手段から送信された制御情報を受信し、該受信した制御情報に基づいて少なくとも前記遊技に関する演出の実行を制御するものであって、書き換え可能な演出用記憶手段を含む演出制御手段とを備え、
前記遊技制御手段は、
所定の入賞の発生を許容する旨を、所定の確率で事前に決定する事前決定手段と、
前記所定の確率に基づいて算出される払出率について設定された段階を示す情報を記憶する特定領域と、遊技の進行状況に関する情報を記憶する領域として記憶すべき情報の重要度に応じて分けられた特別領域と一般領域と、所定領域とを含み、前記特別領域、前記特定領域、前記所定領域、前記一般領域の順となるように各領域の開始アドレスが割り当てられている遊技用記憶手段と、
前記前面扉が開放状態となっているか否かを検出する開放検出手段と、
前記開放検出手段により前記前面扉が開放状態となっている旨が検出され、さらに前記前面扉を開放状態とすることにより操作可能となる変更許可開始操作手段が操作されることにより所定の設定変更許可条件を成立させて、設定変更期間を開始させる変更期間開始制御手段と、
前記設定変更期間において、少なくとも前記設定変更操作手段が操作されることによって、前記特定領域に記憶された段階を変更する設定変更手段と、
前記設定変更期間が開始されたときに、前記遊技用記憶手段に情報が記憶されている変更前の段階を表示手段に表示させる段階表示制御手段と、
前記設定変更期間が開始したときに、前記演出用記憶手段の記憶情報を初期化することを指示する初期化制御情報を前記演出制御手段に送信する初期化制御情報送信手段と、
前記設定変更期間が終了したときに、該変更後の前記設定された段階に関する情報を含む設定制御情報を送信する設定制御情報送信手段と、
前記設定変更手段による段階の変更の際に、前記遊技用記憶手段に含まれる複数の領域各々の開始アドレスのうちの前記所定領域の開始アドレスを設定して、前記一般領域を含む領域であって当該開始アドレスから初期化最終アドレスまでの領域に記憶されている情報を初期化する初期化手段とを備え、
前記初期化手段は、前記設定変更手段による段階の変更の際ではないときにおいて初期化条件が成立したときに、前記設定変更手段による段階の変更の際に設定する開始アドレスとは異なる開始アドレスであって当該成立した初期化条件に応じて予め定められた領域の開始アドレスを設定して、当該開始アドレスから前記初期化最終アドレスまでの領域に記憶されている情報を初期化し、
前記演出制御手段は、
前記設定制御情報を受信することによって、前記設定された段階に関する記憶情報を前記演出用記憶手段に記憶し、
前記初期化制御情報を受信することによって、前記演出用記憶手段の記憶情報のうち少なくとも演出の実行に関する情報を初期化するとともに前記設定された段階に関する記憶情報についても初期化する
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記遊技制御手段は、前記開放検出手段により前記前面扉が閉鎖状態となっている旨が検出されているときに前記変更許可開始操作手段が操作されたときに、所定の情報を報知する閉鎖状態報知手段とをさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記演出制御手段は、前記初期化制御情報を受信してから前記設定制御情報を受信するまで、前記設定変更手段により段階の変更が行われている旨を報知する設定変更報知手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の遊技機。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2015-09-10 
結審通知日 2015-09-16 
審決日 2015-09-29 
出願番号 特願2004-241610(P2004-241610)
審決分類 P 1 113・ 121- YAA (A63F)
P 1 113・ 851- YAA (A63F)
P 1 113・ 853- YAA (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岡崎 彦哉  
特許庁審判長 本郷 徹
特許庁審判官 平城 俊雅
関 博文
登録日 2011-03-18 
登録番号 特許第4705350号(P4705350)
発明の名称 遊技機  
代理人 速見 禎祥  
代理人 白井 宏紀  
代理人 中田 雅彦  
代理人 大代 和昭  
代理人 森田 俊雄  
代理人 白井 宏紀  
代理人 深見 久郎  
代理人 森田 俊雄  
代理人 大代 和昭  
代理人 深見 久郎  
代理人 岩坪 哲  
代理人 中田 雅彦  
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