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審決分類 審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  G01B
審判 全部無効 2項進歩性  G01B
審判 全部無効 特17条の2、3項新規事項追加の補正  G01B
審判 全部無効 1項3号刊行物記載  G01B
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G01B
管理番号 1308561
審判番号 無効2012-800141  
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-02-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2012-08-31 
確定日 2015-11-26 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第3843969号「回転角検出装置」の特許無効審判事件についてされた平成25年5月20日付け審決に対し,知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成25年(行ケ)第10174号,平成26年2月26日判決言渡)があったので,さらに審理のうえ,次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
被請求人は,特願2000-147238号(優先日:平成11年11月1日及び平成12年1月31日)の一部について,平成15年7月11日に,新たな特許出願(発明の名称:「回転角検出装置」,出願番号:特願2003-273606号,公開番号:特開2004-004114号,以下「本件出願」という。)をした。
本件出願の審査の経緯は,概略,以下のとおりである。
平成17年 2月10日:拒絶理由通知(同年同月22日発送)
平成17年 4月20日:手続補正書(以下「本件補正」という。)
平成17年 4月20日:意見書
平成18年 4月17日:拒絶理由通知(同年同月25日発送)
平成18年 6月21日:手続補正書
平成18年 6月21日:意見書
平成18年 7月13日:特許査定(同年同月25日送達)
平成18年 8月25日:設定登録
(特許第3843969号,以下「本件特許」という。)

請求人は,平成24年8月31日,本件特許に対して特許無効審判を請求した(無効2012-800141号,以下,「本件無効審判」という。)。請求の趣旨は,「特許第3843969号発明の明細書の請求項1に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求める。」である。なお,本件出願の(現実の)出願日は,平成14年4月17日法律第24号の施行後であるから,請求の趣旨における「明細書の請求項1」との記載は,「特許請求の範囲の請求項1」と読み替える。
本件無効審判の手続の経緯は,概略,以下のとおりである。
平成24年11月30日:答弁書(以下「答弁書」という。)
平成24年11月30日:訂正請求書
(以下,この訂正請求書による訂正の請求を「先の訂正請求」という。)
平成25年 1月25日:弁駁書(以下「弁駁書1」という。)
平成25年 3月 7日:審理事項通知書(同年同月11日発送)
平成25年 4月 5日:口頭審理陳述要領書(請求人)
平成25年 4月 5日:口頭審理陳述要領書(被請求人)
平成25年 4月19日:口頭審理
平成25年 5月 1日:審理終結通知(同年同月7日発送)
平成25年 5月20日:審決
(同年同月30日送達,以下「先の審決」という。)
平成26年 2月26日:判決
(以下「判決」という。)
平成26年 3月17日:訂正請求申立書
平成26年 5月22日:訂正請求書
(以下,この訂正請求書を「本件訂正請求書」という。)
平成26年 7月 4日:弁駁書(以下「弁駁書2」という。)
なお,本件訂正請求書による訂正がされたので,特許法134条の2第6項の規定により,先の訂正請求は取り下げられたものとみなされる。

第2 本件訂正について
1 訂正の内容
本件訂正は,本件特許の特許請求の範囲及び明細書を,本件訂正請求書に添付した特許請求の範囲及び明細書のとおり訂正することを求めるものである。
訂正の内容は,以下のとおりである。下線は,訂正箇所を示す。
(1) 訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1に,
「【請求項1】
磁石を有し,被検出物の回転に伴って回転するロータコアと,このロータコアの磁石の磁力を受けて前記被検出物の回転角度を検出し同じ配列の3つの端子を有し且つ同形状を有する複数の磁気検出素子と,2つは前記磁気検出素子の出力を外部に取り出し,また1つは前記磁気検出素子に電源電圧を外部から印加し,さらに1つは前記磁気検出素子を外部に接地するための,少なくとも4つの外部接続端子とを備えた非接触式の回転角度検出装置であって,
前記複数の磁気検出素子は,並列に180度逆方向で配置され,前記複数の磁気検出素子が夫々有する前記3つの端子の内の各磁気検出素子の同一位置に配置された端子の少なくとも2つの同一位置に配置された各端子は各磁気検出素子の同一位置に配置された端子毎に同じ方向へ引き出されて前記外部接続端子のいずれかと接続されていることを特徴とする回転角度検出装置。」
とあるのを,
「【請求項1】
磁石を有し,被検出物の回転に伴って回転するロータコアと,このロータコアの磁石の磁力を受けて前記被検出物の回転角度を検出し同じ配列の3つの端子を有し且つ同形状を有する複数の磁気検出素子と,2つは前記磁気検出素子の出力を外部に取り出し,また1つは前記磁気検出素子に電源電圧を外部から印加し,さらに1つは前記磁気検出素子を外部に接地するための,少なくとも4つの外部接続端子とを備えた非接触式の回転角度検出装置であって,前記磁気検出素子の3つの端子は,電源電圧を印加する信号入力用,信号出力用,及び接地用の端子であり,前記複数の磁気検出素子は,並列に180度逆方向で配置されて3つの端子は前記磁気検出素子の同一面より引き出され,前記複数の磁気検出素子が夫々有する前記3つの端子の内の各磁気検出素子の同一位置に配置された端子の少なくとも2つの同一位置に配置された各端子であって前記信号入力用及び前記接地用の端子は各磁気検出素子の同一位置に配置された端子毎に同じ方向へ引き出されて前記外部接続端子のうち電源電圧を印加する信号入力用端子及び接地端子と接続されていることを特徴とする回転角度検出装置。」
と訂正する。

(2) 訂正事項b
明細書の【0009】欄に,
「請求項1に記載の発明によれば,磁石の磁力を受けて被検出物の回転角度を検出し同じ配列の3つの端子を有し且つ同形状を有する複数の磁気検出素子を,並列に180度逆方向で配置し,複数の磁気検出素子が夫々有する3つの端子の内の各磁気検出素子の同一位置に配置された端子の少なくとも2つの同一位置に配置された各端子は各磁気検出素子の同一位置に配置された端子毎に同じ方向へ引き出されて外部接続端子のいずれかと接続することにより,外部接続端子を含めた磁気検出素子の組み付けが簡単になる。」
とあるのを,
「請求項1に記載の発明によれば,磁石の磁力を受けて被検出物の回転角度を検出し同じ配列の3つの端子を有し且つ同形状を有する磁気検出素子の3つの端子は,電源電圧を印加する信号入力用,信号出力用,及び接地用の端子であり,複数の磁気検出素子を,並列に180度逆方向で配置されて,3つの端子は磁気検出素子の同一面より引き出され,複数の磁気検出素子が夫々有する3つの端子の内の各磁気検出素子の同一位置に配置された端子の少なくとも2つの同一位置に配置された各端子であって信号入力用及び接地用の端子は各磁気検出素子の同一位置に配置された端子毎に同じ方向へ引き出されて外部接続端子のうち電源電圧を印加する信号入力用端子及び接地端子と接続することにより,外部接続端子を含めた磁気検出素子の組み付けが簡単になる。」
と訂正する。

(3) 訂正事項c
明細書の【0048】欄に,
「2個のホールIC61,62は,本発明の電気部品,非接触式の磁気検出素子に相当するもので,図11に示したように,永久磁石6の内周側に対向して配置されて,第1実施例のホールIC31,32と同様に作動し,それぞれ3種類のリード線61a?61c,62a?62cがリードフレーム63側に取り出されている。なお,リード線61a,62aは,2個のホールIC61,62の出力端子で,リード線61b,62bは,2個のホールIC61,62の入力端子で,リード線61c,62cは,2個のホールIC61,62の接地端子である。」
とあるのを,
「2個のホールIC61,62は,本発明の電気部品,非接触式の磁気検出素子に相当するもので,図11に示したように,永久磁石6の内周側に対向して配置されて,第1実施例のホールIC31,32と同様に作動し,それぞれ3種類のリード線61a?61c,62a?62cがリードフレーム63側に取り出されている。なお,リード線61a,62aは,2個のホールIC61,62の入力端子で,リード線61b,62bは,2個のホールIC61,62の出力端子で,リード線61c,62cは,2個のホールIC61,62の接地端子である。」
と訂正する。

2 訂正の適否について
(1) 訂正事項a
訂正事項aのうち,「前記磁気検出素子の3つの端子は,電源電圧を印加する信号入力用,信号出力用,及び接地用の端子であり,」との構成を付加する訂正(以下「訂正事項a1」という。)は,磁気検出素子が有する3つの端子が,「電源電圧を印加する信号入力用,信号出力用,及び接地用の端子」の3種類であることを特定する訂正である。したがって,訂正事項a1は,特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。
また,第1実施例において,磁気検出素子(ホールIC)が有する3つの端子(リード線)が接続される外部接続端子(リードフレーム)は,それぞれ,電源電圧が印加される信号入力用端子(40),信号出力用端子(41,42)及び接地端子(43)の3種類であるから,磁気検出素子が有する3つの端子も,電源電圧を印加する信号入力用の端子,信号出力用の端子及び接地用の端子の3種類である。
そうしてみると,訂正事項a1は,本件特許の明細書等(明細書,特許請求の範囲又は図面をいう。以下同じ。)に記載した事項の範囲内においてした訂正である。
さらにまた,訂正事項a1は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。

訂正事項aのうち,「3つの端子は前記磁気検出素子の同一面より引き出され」との構成を付加する訂正(以下「訂正事項a2」という。)は,磁気検出素子が有する3つの端子が引き出される起点が,「磁気検出素子の同一面より」であると特定する訂正である。したがって,訂正事項a2は,特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。
また,第1実施例において,「2個のホールIC31,32を並列に180度逆方向で配置している」(段落【0021】)ことを示す図5及び図6,並びに,「2個のホールICとリードフレームを示した図」(段落【0029】)である図7(a)より,ホールIC31,32から3つの端子(リード線)が引き出される起点を有している面(以下「下面」という。)が,2個のホールIC31,32の同一面であることは明らかである。
そうしてみると,訂正事項a2は,本件特許の明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正である。
さらにまた,訂正事項a2は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。

訂正事項aのうち,「前記複数の磁気検出素子が夫々有する前記3つの端子の内の各磁気検出素子の同一位置に配置された端子の少なくとも2つの同一位置に配置された各端子は各磁気検出素子の同一位置に配置された端子毎に同じ方向へ引き出されて前記外部接続端子のいずれかと接続されている」
とあるのを,
「前記複数の磁気検出素子が夫々有する前記3つの端子の内の各磁気検出素子の同一位置に配置された端子の少なくとも2つの同一位置に配置された各端子であって前記信号入力用及び前記接地用の端子は各磁気検出素子の同一位置に配置された端子毎に同じ方向へ引き出されて前記外部接続端子のうち電源電圧を印加する信号入力用端子及び接地端子と接続されている」
とする訂正(以下「訂正事項a3」という。)は,
「前記複数の磁気検出素子が夫々有する前記3つの端子の内の各磁気検出素子の同一位置に配置された端子の少なくとも2つの同一位置に配置された各端子」であって「各磁気検出素子の同一位置に配置された端子毎に同じ方向へ引き出され」る端子の種類が,「前記信号入力用及び前記接地用の端子」であることを特定するとともに,「前記信号入力用及び前記接地用の端子」が「前記外部接続端子のうち電源電圧を印加する信号入力用端子及び接地端子と接続されている」ことを特定する訂正である。したがって,訂正事項a3は,特許請求の範囲の減縮に相当する。
また,本件訂正前の特許請求の範囲,並びに,明細書の発明の詳細な説明の,(ア)技術分野(段落【0001】),(イ)背景技術(段落【0002】?【0003】),(ウ)発明が解決しようとする課題(段落【0004】?【0008】),(エ)課題を解決するための手段(段落【0009】),(オ)発明を実施するための最良の形態の〔第一実施例の構成〕(段落【0010】?【0012】及び【0019】?【0028】),(カ)〔第1実施例の組付方法〕(段落【0029】?【0033】)及び(キ)〔第1実施例の効果〕(段落【0038】?【0040】及び【0042】)より,本件特許の明細書の発明の詳細な説明には,「磁石の磁力を受けて被検出物の回転角度を検出し同じ配列の3つの端子を有し且つ同形状を有する複数の磁気検出素子を,並列に180度逆方向で配置し,複数の磁気検出素子が夫々有する3つの端子の内の各磁気検出素子の同一位置に配置された端子の少なくとも2つの同一位置に配置された各端子は各磁気検出素子の同一位置に配置された端子毎に同じ方向へ引き出されて外部接続端子のいずれかと接続する構成」が開示されているものと認められる。
そして,第1実施例は,「2個のホールIC31,32を,並列に180度逆方向で配置することにより,リードフレーム33を含めた2個のホールIC31,32の組み付けが簡単になる。」(段落【0040】)ことを〔第1実施例の効果〕としているのであるから,「2個のホールIC31,32を並列に180度逆方向で配置している」(段落【0021】)ことを示す図5および図6において,「電源電圧(例えば5Vのバッテリ電圧)を2個のホールIC61,62にそれぞれ印加する」(段落【0022】)信号入力(VDD)用端子40と接続されるホールIC31,32の夫々の端子(リード線)が「信号入力用の端子」であり,接地(GND)用端子43と接続されるホールIC31,32の夫々の端子(リード線)が「接地用の端子」であることは明らかである。
よって,訂正事項a3は,本件特許の明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正である。
さらにまた,訂正事項a3は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。

(2) 訂正事項b
訂正事項bは,訂正事項aによる特許請求の範囲の記載との整合を図った訂正である。したがって,訂正事項bは,不明瞭な記載の釈明を目的とした訂正である。また,訂正事項bが,本件特許の明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないことは,訂正事項aと同様である。

(3) 訂正事項c
訂正事項cは,発明の詳細な説明の段落【0048】において,リード線61a,62aが,ホールICの「出力端子」とあるのを,「入力端子」と訂正するとともに,リード線61b,62bが,ホールICの「入力端子」とあるのを「出力端子」と訂正するものである。
ここで,段落【0048】?【0055】の記載とともに,図11からは,リード線61a及び62aが信号入力用端子70に共通して接続され,リード線61b及び62bがそれぞれ信号出力用端子71及び72に接続されていることが理解できる。そうしてみると,段落【0048】における,リード線61a及び62aがホールICの「出力端子」であるとの記載は,「入力端子」の誤記であり,また,リード線61b及び62bがホールICの「入力端子」であるとの記載は,「出力端子」の誤記である。
したがって,訂正事項cは誤記の訂正を目的とした訂正である。また,訂正事項cは,出願当初明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。

3 まとめ
以上のとおりであるから,訂正事項a?cは,いずれも特許法134条の2第1項ただし書の規定に適合し,また,同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定にも適合する。
したがって,本件特許の特許請求の範囲及び明細書を,本件訂正請求書に添付した特許請求の範囲及び明細書のとおり訂正することを認める。

第3 本件発明
上記第2のとおり本件訂正は認められるので,本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は,平成26年5月22日付の訂正請求書に添付された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「磁石を有し,被検出物の回転に伴って回転するロータコアと,このロータコアの磁石の磁力を受けて前記被検出物の回転角度を検出し同じ配列の3つの端子を有し且つ同形状を有する複数の磁気検出素子と,2つは前記磁気検出素子の出力を外部に取り出し,また1つは前記磁気検出素子に電源電圧を外部から印加し,さらに1つは前記磁気検出素子を外部に接地するための,少なくとも4つの外部接続端子とを備えた非接触式の回転角度検出装置であって,前記磁気検出素子の3つの端子は,電源電圧を印加する信号入力用,信号出力用,及び接地用の端子であり,前記複数の磁気検出素子は,並列に180度逆方向で配置されて3つの端子は前記磁気検出素子の同一面より引き出され,前記複数の磁気検出素子が夫々有する前記3つの端子の内の各磁気検出素子の同一位置に配置された端子の少なくとも2つの同一位置に配置された各端子であって前記信号入力用及び前記接地用の端子は各磁気検出素子の同一位置に配置された端子毎に同じ方向へ引き出されて前記外部接続端子のうち電源電圧を印加する信号入力用端子及び接地端子と接続されていることを特徴とする回転角度検出装置。」
なお,本件訂正後の明細書を「本件特許明細書」といい,本件訂正後の明細書,特許請求の範囲又は図面を総称して「本件特許明細書等」という。
また,本件出願の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面を総称して「出願当初明細書等」という。

第4 請求人の主張
審判請求書,弁駁書1,口頭審理陳述要領書(請求人)及び弁駁書2の記載内容を総合すると,請求人の主張は,概略,以下のとおりである。なお,事案に鑑みて,弁駁書2の記載に倣って記載した。
1 無効理由2(36条の無効理由)
請求項1には,「前記複数の磁気検出素子が夫々有する前記3つの端子の内の各磁気検出素子の同一位置に配置された端子の少なくとも2つの同一位置に配置された各端子であって前記信号入力用及び前記接地用の端子は各磁気検出素子の同一位置に配置された端子毎に同じ方向へ引き出されて前記外部接続端子のうち電源電圧を印加する信号入力用端子及び接地端子と接続されている」との構成が記載されているが,このような構成は,発明の詳細な説明のどこにも記載されていない。
すなわち,第1実施例では,各磁気検出素子の少なくとも2つの同一位置に配置された各端子であって前記信号入力用及び前記接地用の端子を,端子毎に同じ方向に引き出す構成とはなっておらず,信号入力用,接地用または信号出力用を問わず,すべての端子がただ同一方向に引き出されている(甲7)。
【甲7】

端子を,端子毎に同じ方向へ引き出すとは,参考資料2のような状態を指すのであるが,第1実施例はこのようになっていない。
【参考資料2】

従って,本件特許では,発明の詳細な説明に記載されていない事項が請求項1に記載されているから,特許法36条6項1号に違反している。また,発明の詳細な説明には,請求項1に係る発明の実施の形態の記載がなく,当業者は発明の実施をすることができないから,特許法36条4項にも違反している。
よって,本件特許は,特許法36条6項1号又は4項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから,特許法123条1項4号の規定により無効にされるべきである。

2 無効理由1(新規事項の追加補正の無効理由)
本件特許は,その審査の過程で新規事項を追加する特許法第17条の2第3項違反の補正が行なわれており,かつ,この補正制限違反は,本件訂正によっても治癒していない。
すなわち,「各磁気検出素子の・・・少なくとも2つの同一位置に配置された各端子は・・・端子毎に同じ方向に引き出されて」の構成は,本件補正(甲8)で追加された構成であるが,この構成は,出願当初明細書等に存在しない構成である。従って,本件補正は,出願当初明細書等に記載のない新規事項を追加する補正である。そして,本件訂正で,2つの同一位置に配置された各端子を,信号入力用及び接地用の端子に限定し,これらの端子が接続される外部接続端子を,電源電圧を印加する信号入力用端子及び接地用端子に限定したが,この限定をしてみたところで,上記補正制限違反の構成は残ったままである。
よって,本件特許は,特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものであるから,特許法123条1項1号の規定により無効にされるべきである。

3 無効理由3(29条1項3号及び29条2項の無効理由)
(1) 請求項1に係る発明は,甲1に記載の発明と実質的に同一である。
(2) 請求項1に係る発明は,甲1に記載の発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものである。
(3) 請求項1に係る発明は,甲1に記載の発明及び甲2に記載の発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものである。
(4) 請求項1に係る発明は,甲1に記載の発明及び周知慣用技術(甲5及び6)に基づいて,当業者が容易に発明できたものである。
(5) 請求項1に係る発明は,甲1に記載の発明,甲2に記載の発明及び周知慣用技術(甲5及び6)に基づいて,当業者が容易に発明できたものである。
(6) 請求項1に係る発明は,甲1に記載の発明及び周知慣用技術(甲2?6)に基づいて,当業者が容易に発明できたものである。
以上のとおり,請求項1に係る発明は,特許法29条1項3号に該当し,また,特許法29条2項の規定により,特許を受けることができないから,特許法123条1項2号の規定により無効にされるべきである。

4 証拠方法
甲1:特開平5-157506号公報
甲2:実願平1-61302号(実開平2-150585号)
のマイクロフィルム
甲3:特開平9-294060号公報
甲4:特開平8-135466号公報
甲5:子供の科学 47巻5号(昭和59年5月1日発行)
甲6:子供の科学 48巻7号(昭和60年7月1日発行)
甲7:実施例1の斜視図(請求人作成)
甲8:平成17年4月20日提出の手続補正書(本件補正)
甲9:平成17年4月20日提出の意見書
甲10:平成18年4月17日付けの拒絶理由通知書
甲11:平成18年6月21日提出の手続補正書
甲12:特許3843969号(本件特許の特許公報)

第5 被請求人の反論
答弁書及び口頭審理陳述要領書(被請求人)の記載内容を総合すると,被請求人の反論は,概略,以下のとおりである。
1 無効理由2(36条の無効理由)に対し
発明の詳細な説明には,第1実施例及び第3実施例として,請求項1に対応する構成が記載されている。
本件特許は,特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対して特許されたものであるとはいえず,また,同条4項に規定する要件を満たしていない特許出願に対して特許されたものであるともいえない。

2 無効理由1(新規事項の追加補正の無効理由)に対し
出願当初明細書等には,第1実施例及び第3実施例として,請求人が指摘する構成が記載されている。
本件特許は,特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものであるとはいえない。

3 無効理由3(29条1項3号及び29条2項の無効理由)に対し
請求項1に係る発明は,甲1?6に記載の発明ないし周知慣用技術とは全く異なるものであり,また,これら発明ないし周知慣用技術を組み合わせても,請求項1に係る発明の構成は得られない。
請求項1に係る発明は,特許法29条1項3号に該当するものであるとはいえず,また,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえない。

第6 当審の判断
1 無効理由2(36条の無効理由)について
(1) 特許請求の範囲の記載
本件特許の請求項1には,以下のとおり記載されている。
「【請求項1】磁石を有し,被検出物の回転に伴って回転するロータコアと,このロータコアの磁石の磁力を受けて前記被検出物の回転角度を検出し同じ配列の3つの端子を有し且つ同形状を有する複数の磁気検出素子と,2つは前記磁気検出素子の出力を外部に取り出し,また1つは前記磁気検出素子に電源電圧を外部から印加し,さらに1つは前記磁気検出素子を外部に接地するための,少なくとも4つの外部接続端子とを備えた非接触式の回転角度検出装置であって,前記磁気検出素子の3つの端子は,電源電圧を印加する信号入力用,信号出力用,及び接地用の端子であり,前記複数の磁気検出素子は,並列に180度逆方向で配置されて3つの端子は前記磁気検出素子の同一面より引き出され,前記複数の磁気検出素子が夫々有する前記3つの端子の内の各磁気検出素子の同一位置に配置された端子の少なくとも2つの同一位置に配置された各端子であって前記信号入力用及び前記接地用の端子は各磁気検出素子の同一位置に配置された端子毎に同じ方向へ引き出されて前記外部接続端子のうち電源電圧を印加する信号入力用端子及び接地端子と接続されていることを特徴とする回転角度検出装置。」

(2) 発明の詳細な説明の記載
これに対し,本件特許の明細書の発明の詳細な説明には,以下のとおり記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は,被検出物の回転角度を検出する非接触式の磁気検出素子をロータコアに設けられた磁石に対向して配置した回転角度検出装置に関するもので,例えば自動車の回転弁の回転角度を検出するホール素子,ホールIC等の非接触式の磁気検出素子を備えた回転角度検出装置に係わる。」

イ 「【背景技術】
【0002】
従来より,スロットル弁等の回転弁の回転角度を検出するスロットルポジションセンサとしては,特開昭62-182449号公報および特開平2-130403号公報に開示された構造のものがある。先ず,特開昭62-182449号公報で開示されたスロットルポジションセンサは,スロットル弁のシャフトの先端に可変抵抗体部を有する絶縁基板が固定されてスロットル弁のシャフトの回転に伴ってシャフトと一体的に回転し,センサケース側に固定された固定端子と接触することで,外部へ出力するものである(第1従来例)。
【0003】
また,特開平2-130403号公報で開示されたスロットルポジションセンサは,スロットル弁のシャフトの先端に磁界発生源である永久磁石とヨークを保持部材を介して固定してスロットル弁のシャフトと一体的に回転するように構成され,スロットル弁のシャフトの回転角度を検出するホール素子と信号処理回路部は基板に配置され,リードフレームを介してコネクタに接続され,外部へ出力するものである(第2従来例)。
【特許文献1】特開昭62-182449号公報
【特許文献2】特開平2-130403号公報」

ウ 「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが,第1従来例のスロットルポジションセンサのセンサケース側には,樹脂一体成形等で配設された入出力用のコネクタピンと樹脂成形後に何らかの機械的手段で固定された固定端子とが設けられているが,上記の絶縁基板との組み付けに関し,センサケース側に特別な工夫を施した構成を有していない。これにより,センサケース側の固定端子とスロットル弁のシャフトと一体的に回転する絶縁基板との位置関係がズレ易く,スロットル弁の開度の検出精度が低下するという問題があった。
【0005】
一方,第2従来例のスロットルポジションセンサにおいて,基板,リードフレーム,コネクタ等の電気部品は樹脂による一体成形でモジュール化され,スロットルボディにねじ固定される。このとき,スロットルボディ側にはモジュールの収容部の取り付け精度を上げるための機械加工が成されている。このような組み付けでは,スロットル弁のシャフトのスラストガタの影響が残るという問題や,種々の部品組み付けに先立つ加工の精度や加工工数が必要となるという問題がある。
【0006】
ここで,ホール素子等の磁気検出素子と永久磁石を用いて被検出物の回転角度を検出する回転角度検出装置が知られている。この回転角度検出装置の構成部品であるステータコアについて,磁気回路の効率アップを図る上で,ステータコア間を磁気的に遮断し,且つ一定幅の磁気検出ギャップを規制するために,ステータコアが2分割されてステータコア間を樹脂製のスペーサにより固定するか,あるいは樹脂のインサート成形により固定する方法がとられている。
【0007】
また,ステータコアと他の部品との結合(固定)を行うためには,磁気回路上不要となる部分についても,磁性材料(磁気回路部と同一材料)にて形成することが必要となる。これらのステータコアの構造では,部品点数が増えコストアップにつながる上,磁気回路上重要となる複数のステータコア間やロータコアとの位置精度(エアギャップ等)を高精度に確保することが困難となると共に,磁気回路の効率を低下させる原因となるという問題がある。
【0008】
本発明の目的は,磁気検出素子および外部接続端子の組み付けを簡単にすることのできる回転角度検出装置を提供することにある。」

エ 「【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば,磁石の磁力を受けて被検出物の回転角度を検出し同じ配列の3つの端子を有し且つ同形状を有する磁気検出素子の3つの端子は,電源電圧を印加する信号入力用,信号出力用,及び接地用の端子であり,複数の磁気検出素子を,並列に180度逆方向で配置されて,3つの端子は磁気検出素子の同一面より引き出され,複数の磁気検出素子が夫々有する3つの端子の内の各磁気検出素子の同一位置に配置された端子の少なくとも2つの同一位置に配置された各端子であって信号入力用及び接地用の端子は各磁気検出素子の同一位置に配置された端子毎に同じ方向へ引き出されて外部接続端子のうち電源電圧を印加する信号入力用端子及び接地端子と接続することにより,外部接続端子を含めた磁気検出素子の組み付けが簡単になる。」

オ 「【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
〔第一実施例の構成〕
発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。図1ないし図7は本発明の第1実施例を示したもので,図1は回転角度検出装置の主要構成を示した図で,図2は内燃機関用吸気制御装置を示した図で,図3および図4はセンサカバーを示した図である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【0011】
本実施例の内燃機関用吸気制御装置は,内燃機関(エンジン)への吸気通路を形成するスロットルボディ(本発明のハウジングに相当する)1と,このスロットルボディ1内に回動自在に支持されたスロットル弁(スロットルバルブ)2と,このスロットル弁2のシャフト部であるスロットルバルブシャフト(以下シャフトと略す)3と,シャフト3を回転駆動するアクチュエータ4と,このアクチュエータ4を電子制御するエンジン制御装置(以下ECUと呼ぶ)とを備えている。
【0012】
そして,内燃機関用吸気制御装置は,自動車のアクセルペダル(図示せず)の踏み加減に基づいてエンジンに流入する吸入空気量を制御することでエンジンの回転速度をコントロールするものである。なお,ECUには,アクセルペダルの踏み加減を電気信号(アクセル開度信号)に変換し,ECUへどれだけアクセルペダルが踏み込まれているかを出力するアクセル開度センサが接続されている。また,内燃機関用吸気制御装置は,スロットル弁2の開度を電気信号(スロットル開度信号)に変換し,ECUへどれだけスロットル弁2が開いているかを出力する回転角度検出装置5を備えている。」

カ 「【0019】
回転角度検出装置5は,所謂スロットルポジションセンサで,磁界発生源である円筒形状の永久磁石6と,樹脂成形品(センサカバー)7側に一体的に配置された2個のホールIC31,32と,これらのホールIC31,32と外部のECUとを電気的に接続するための導電性金属薄板よりなるリードフレーム(複数のターミナル)33と,2個のホールIC31,32への磁束を集中させる鉄系の金属(磁性材料)よりなる2分割されたステータコア34とから構成されている。
【0020】
永久磁石6は,スロットル弁2およびそのシャフト3と一体的に回転する鉄系の金属(磁性材料)製のロータコア17の内周面に接着剤等を用いて固定され,あるいは樹脂と一体モールドにより固定され,回転角度検出装置5の磁気回路に磁束を与える部品である。本実施例の永久磁石6は,着磁方向が径方向(内周側がN極,外周側がS極)の半円弧形状の磁石部分と,着磁方向が径方向(内周側がS極,外周側がN極)の半円弧形状の磁石部分とから構成されている。なお,ロータコア17には,シャフト3に対してアイドルリング位置に取り付けるための位置決め用孔18が開設されている。
【0021】
2個のホールIC31,32は,本発明の非接触式の磁気検出素子に相当するもので,永久磁石6の内周側に対向して配置され,感面にN極またはS極の磁界が発生すると,その磁界に感応して起電力(N極の磁界が発生すると+電位が生じ,S極の磁界が発生すると-電位が生じる)を発生するように設けられている。本実施例では,図5および図6に示したように,2個のホールIC31,32を並列に180度逆方向で配置している。
【図5】

【図6】

【0022】
リードフレーム33は,図5および図6に示したように,コネクトホルダー35およびセンサカバー7内に埋設されて位置決め保持されており,導電性金属(銅板等)よりなり,信号入力(VDD)用端子40,2枚の信号出力(OUT1,OUT2)用端子41,42および接地(GND)用端子43等から構成されている。信号入力用端子40は,電源電圧(例えば5Vのバッテリ電圧)を2個のホールIC61,62にそれぞれ印加する導電板である。
【0023】
また,信号出力用端子41,42は,本発明の外部接続端子に相当するもので,2個のホールIC31,32の出力,つまりスロットル弁2の開度(スロットル開度)信号を取り出すための導電板である。なお,信号入力用端子40,信号出力用端子41,42および接地用端子43は,各端子間の距離を所定の間隔に保つように複数の連結片44,45を有し,これらの連結片44,45は,2次成形前に切断される。なお,2個のホールIC31,32のリード線(リードワイヤ)36,37とリードフレーム33との接続部分は,PBT等の熱可塑性樹脂よりなるコネクトホルダー(第1樹脂成形品:1次成形品)35により被覆されている。
【0024】
ステータコア34の中央部には,平行磁場を形成するための一定幅の磁気検出ギャップが直径方向に貫通するように形成され,具体的には,ステータコア34が一定幅の磁気検出ギャップを形成するように2分割されて磁気検出ギャップの幅がコネクトホルダー35によって規制され,その磁気検出ギャップに2個のホールIC31,32が配置されている。
【0025】
そして,2分割されたステータコア34は,コネクトホルダー35の外周にそれぞれ嵌め合わされて固定されている。ステータコア34には,2個のホールIC31,32との間に例えば0.2mmのクリアランスを確保するための溝部38,およびコネクトホルダー35の外周に嵌合される嵌合部39が設けられている。なお,コネクトホルダー35は,2分割されたステータコア34間に磁気検出ギャップの幅を形成するための樹脂製のスペーサを構成する。
【0026】
センサカバー7は,図2に示したように,スロットルボディ1の開口側を閉塞すると共に,軽量で製造容易,且つ安価で,回転角度検出装置5の各端子間を電気的に絶縁するPBT等の熱可塑性樹脂よりなる樹脂成形品(第2樹脂成形品:2次成形品)が採用されている。このセンサカバー7は,スロットルボディ1の開口側に設けられた凸状部46に嵌め合わされる凹状部47を有し,図示しないクリップによってスロットルボディ1と締結により組み付けられている。
【0027】
したがって,凸状部46と凹状部47とを嵌合するようにスロットルボディ1とセンサカバー7とを組み付けることにより,センサカバー7側に配置固定された2個のホールIC31,32とスロットルボディ1に回転自在に支持されるシャフト3と一体的に回転するロータコア17の内周に配置固定された永久磁石6との位置関係のズレを解消できる。
【0028】
そして,センサカバー7の側面には,コネクタ49が一体的に設けられている。そのコネクタ49は,センサカバー7の側面に一体成形された絶縁樹脂製のコネクタシェル50,リードフレーム33の信号入力用端子40,信号出力用端子41,42および接地用端子43の先端部(コネクタピンを構成する)51?54,およびモータ9のモータ用通電端子22の先端部(コネクタピンを構成する)55,56等から構成されている。
【0029】
〔第1実施例の組付方法〕次に,本実施例の回転角度検出装置5の組付方法を図1ないし図7に基づいて簡単に説明する。ここで,図5は2個のホールICとリードフレームを示した図で,図6は2個のホールICとリードフレームとの接続部分を示した図で,図7(a)は2個のホールICとリードフレームを示した図で,図7(b)は1次樹脂成形品を示した図で,図7(c)はステータコアを示した図である。
【図7】

【0030】
導電性金属薄板をプレス成形することによって所定の形状のリードフレーム33を形成する。そして,図5および図7(a)に示したように,2個のホールIC31,32のリード線36,37と信号入力用端子40,信号出力用端子41,42および接地用端子43とを電気的に接続する。
【0031】
そして,図7(b)に示したように,2個のホールIC31,32のリード線36,37,信号入力用端子40,信号出力用端子41,42および接地用端子43よりなる電気配線部品の一部(接続部分)を,例えばPBT樹脂による一体成形(射出成形)によって一体化する(1次成形工程)。このとき,2個のホールIC31,32は,第1樹脂成形品(コネクトホルダー)35の図示上端面より感面を露出するように突出した状態で第1樹脂成形品35に保持されている。これにより,第1樹脂成形品35に,2個のホールIC31,32およびリードフレーム33が一体化される。
【0032】
そして,図7(c)に示した2分割されたステータコア34を第1樹脂成形品35の外周にそれぞれ嵌め合わせて固定する(組付工程)。このとき,2個のホールIC31,32は,2分割されたステータコア34によって囲まれるように覆われている。これにより,第1樹脂成形品35に,ステータコア34が固定され,2個のホールIC31,32との間に例えば0.2mmのクリアランスが確保される。
【0033】
そして,図1に示したように,2個のホールIC31,32のリード線36,37,信号入力用端子40,信号出力用端子41,42および接地用端子43,ステータコア34,モータ用通電端子22を,例えばPBT樹脂による一体成形(射出成形)によって一体化する(2次成形工程)。これにより,第2樹脂成形品(センサカバー)7に,2個のホールIC31,32,リードフレーム33,ステータコア34およびモータ用通電端子22が一体化(モジュール化)される。」

キ 「【0034】
〔第1実施例の作用〕
次に,本実施例の内燃機関用吸気制御装置の作用を図1および図2に基づいて簡単に説明する。
【0035】
運転者がアクセルペダルを踏み込むと,アクセル開度センサよりアクセル開度信号がECUに入力される。そして,ECUによってスロットル弁2が所定の開度となるようにモータ9が通電されて,モータ9の出力軸が回転する。そして,出力軸が回転することによりピニオンギヤ20が回転して中間減速ギヤ21の大径ギヤ26にトルクが伝達される。
【0036】
そして,大径ギヤ26の回転に伴って小径ギヤ27が回転すると,小径ギヤ27と噛み合う樹脂ギヤ16が回転する。これにより,樹脂ギヤ16をインサート成形したロータコア17が回転するので,シャフト3が所定の回転角度だけ回転し,スロットルボディ1に形成されるエンジンへの吸気通路内においてスロットル弁2が所定の回転角度に保持される。
【0037】
一方,回転角度検出装置5は,ロータコア17と一体的に回転する永久磁石6の位置を2個のホールIC31,32によって検出して,信号出力用端子41,42を介してECUにスロットル開度信号を送る。このスロットル開度信号によってECUはどれだけ燃料を噴射するかを判断する。」

ク 「【0038】
〔第1実施例の効果〕
以上のように,スロットル弁2へ直接組み付ける構成の回転角度検出装置5においては,2個のホールIC31,32とリードフレーム33の信号入力用端子40,信号出力用端子41,42および接地用端子43との配置構成と樹脂成形を行う1次成形工程,その後のステータコア34の配置構成(組付工程)と,第2樹脂成形品(センサカバー)7との樹脂成形を行う2次成形工程の各成形工程で,2個のホールIC31,32に樹脂成形時や組み付け時の熱や力(成形圧等)を加えないようにすることができると共に,2個のホールIC31,32の配置位置を高精度に確保することができる。
【0039】
それによって,2個のホールIC31,32,リードフレーム33,ステータコア34,モータ用通電端子22を樹脂一体成形によって一体化してなるセンサカバー7を,スロットル弁2へ組み付けた際に,スロットル弁2のシャフト3側に固定された永久磁石6とセンサカバー7側に一体化された2個のホールIC31,32との間のギャップを容易に確保することができる。また,2個のホールIC31,32と永久磁石6との位置関係のズレを防ぐことで,スロットル弁2の開度を高精度に検出することができる。
【0040】
また,本実施例のスロットル弁2へ直接組み付ける構成の回転角度検出装置5では,図5および図6に示したように,2個のホールIC31,32を,並列に180度逆方向で配置することにより,リードフレーム33を含めた2個のホールIC31,32の組み付けが簡単になる。
【0041】
なお,一方のホールIC31に対して他方のホールIC32の出力は,エンジンのアイドリング位置からスロットル弁2の全開方向に向けて逆方向に傾斜する出力となるが,ECU側でトリミングするか,ホールIC自体に書き込みを行ってトリミングすることにより,2個の磁気検出素子の出力信号をエンジンのアイドリング位置からスロットル弁2の全開方向に向けて右上がりに傾斜する信号とすることができる。
【0042】
ここで,2個のホールIC31,32を使用する理由は,一方のホールICが故障しても他方のホールICによりスロットル開度を検出できるようにするためと,一方のホールICの誤作動を検出できるようにするためである。」

(3) 判断
前記(2)によれば,本件明細書には,(A)従来のホール素子等の磁気検出素子と永久磁石を用いて被検出物の回転角度を検出する回転角度検出装置においては,構成部品であるステータコアの構造上,磁気回路上重要となる複数のステータコア間やロータコアとの位置精度(エアギャップ等)を高精度に確保することが困難であるとともに,磁気回路の効率を低下させるなどの課題があったこと,(B)本件発明は,磁気検出素子及び外部接続端子の組み付けを簡単にすることのできる回転角度検出装置を提供することを目的とし,上記課題を解決するための手段として,磁石の磁力を受けて被検出物の回転角度を検出し同じ配列の3つの端子を有し且つ同形状を有する磁気検出素子の3つの端子は,電源電圧を印加する信号入力用,信号出力用,及び接地用の端子であり,複数の磁気検出素子を,並列に180度逆方向で配置されて,3つの端子は磁気検出素子の同一面より引き出され,複数の磁気検出素子が夫々有する3つの端子の内の各磁気検出素子の同一位置に配置された端子の少なくとも2つの同一位置に配置された各端子であって信号入力用及び接地用の端子は各磁気検出素子の同一位置に配置された端子毎に同じ方向へ引き出されて外部接続端子のうち電源電圧を印加する信号入力用端子及び接地端子と接続する構成を採用し,これにより,外部接続端子を含めた磁気検出素子の組み付けが簡単になる効果を奏することが開示されているものと認められる。
すなわち,本件特許明細書の段落【0021】の「2個のホールIC31,32は,本発明の非接触式の磁気検出素子に相当するもので,永久磁石6の内周側に対向して配置され,感面にN極またはS極の磁界が発生すると,その磁界に感応して起電力(N極の磁界が発生すると+電位が生じ,S極の磁界が発生すると-電位が生じる)を発生するように設けられている。本実施例では,図5および図6に示したように,2個のホールIC31,32を並列に180度逆方向で配置している。」との記載,段落【0022】の「リードフレーム33は,図5および図6に示したように・・・信号入力(VDD)用端子40,2枚の信号出力(OUT1,OUT2)用端子41,42および接地(GND)用端子43等から構成されている。信号入力用端子40は,電源電圧(例えば5Vのバッテリ電圧)を2個のホールIC61,62にそれぞれ印加する導電板である。」との記載,段落【0030】の「図5および図7(a)に示したように,2個のホールIC31,32のリード線36,37と信号入力用端子40,信号出力用端子41,42および接地用端子43とを電気的に接続する。」との記載,段落【0040】の「本実施例のスロットル弁2へ直接組み付ける構成の回転角度検出装置5では,図5および図6に示したように,2個のホールIC31,32を,並列に180度逆方向で配置することにより,リードフレーム33を含めた2個のホールIC31,32の組み付けが簡単になる」との記載,段落【0041】の「なお,一方のホールIC31に対して他方のホールIC32の出力は,エンジンのアイドリング位置からスロットル弁2の全開方向に向けて逆方向に傾斜する出力となる」との記載及び段落【0042】の「ここで,2個のホールIC31,32を使用する理由は,一方のホールICが故障しても他方のホールICによりスロットル開度を検出できるようにするためと,一方のホールICの誤作動を検出できるようにするためである。」との記載,並びに,図5?7の記載を総合して判断すると,図5及び6に記載された2個のホールIC31,32のリード線は,「電源電圧を印加する信号入力用,信号出力用,及び接地用」の3種類であって,図5及び6において,ホールIC31のリード線の配列は,図中左から順に,信号出力用のリード線,接地用のリード線,電源電圧を印加する信号入力用のリード線であり,ホールIC31に対して並列に180度逆方向で配置されたホールIC32のリード線の配列は,図中左から順に,電源電圧を印加する信号入力用のリード線,接地用のリード線,信号出力用のリード線であると認められる。
そうしてみると,第1実施例には,「磁気検出素子および外部接続端子の組み付けを簡単にすることのできる回転角度検出装置を提供」することを目的課題とし,「リードフレーム33を含めた2個のホールIC31,32の組み付けが簡単になる」効果を得るために,
ア 「永久磁石6が固定され,スロットル弁2およびそのシャフト3と一体的に回転するロータコア17と,このロータコア17が与える磁界を受けてスロットル弁2の回転角度(スロットル開度)を検出する2つのホールIC31,32を有し,
ホールIC31,32は同じ配列の3つのリード線を有し且つ同形状を有する2つのホールIC31,32を,並列に180度逆方向で配置し,複数のホールIC31,32が夫々有する3つのリード線の内の各ホールIC31,32の同一位置に配置されたリード線の少なくとも2つの同一位置に配置された各リード線は各ホールIC31,32の同一位置に配置されたリード線毎に同じ方向へ引き出されてリードフレーム33のいずれかと接続されている」こと,
および,
イ 上記「各ホールIC31,32の同一位置に配置されたリード線の少なくとも2つの同一位置に配置された各リード線」は,「電源電圧を印加する信号入力用のリード線」及び「接地用のリード線」であって,それぞれリードフレーム33の「信号入力(VDD)用端子40」及び「接地(GND)用端子43」に接続されること,
が開示されているものと認められる。
そして,本件特許明細書の発明の詳細な説明には,変形例として,段落【0088】に「非接触式の磁気検出素子としてホール素子または磁気抵抗素子等を使用しても良い。」と記載され,段落【0090】に「本発明の回転角度検出装置を,車両用空調装置のエアミックスドアおよびそのシャフトの回転角度(開度)を検出するポテンショメータに適用しても良い。」と記載されているから,これらの記載も合わせ考えれば,本件特許の請求項1に係る発明は,「磁気検出素子および外部接続端子の組み付けを簡単にすることのできる回転角度検出装置を提供すること」(段落【0008】)との目的課題に対処でき,また,特許請求の範囲の記載は,発明の詳細な説明に開示された範囲を越えていないと認めることができる。
以上のとおりであるから,本件特許の特許請求の範囲の記載は,特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであることとの要件に適合するものといえる。
したがって,本件特許は,特許法36条6項1号に規定する要件を満たしている。
また,上記のとおり,本件特許明細書の発明の詳細な説明の第1実施例は,本件発明の具体的な態様を記載しているといえるから,本件特許明細書の発明の詳細な説明は,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に,記載しなければならない,との要件に適合するものといえる。
したがって,本件特許は特許法36条4項に規定する要件を満たしている。

(4) 請求人の主張について
請求人は,概略,以下のア及びイのとおり主張している(なお,上記のとおり,記載の根拠としては,第1実施例で十分であるから,第3実施例についての請求人の主張は省略した。また,特許法17条の2第3項違反と,特許法36条6項1号及び特許法36条4項違反に関して重複して主張された内容をまとめて記載した。)。
ア 本件発明は,明細書の発明の詳細な説明及び図面に記載がない。すなわち,第1実施例(図5?7)の端子引き出し構造は,このような構成となっていない。
「端子毎の同じ方向への引き出し」とは,参考資料2のような状態(端子毎に隣り合わせ,中間に他の端子が介在せずひと纏めにできる状態)をいうが,第1実施例では,3つの端子は,甲7に記載されているように,いずれも一方向にまっすぐ延びて外部接続端子に接続されており,「端子毎に同じ方向に引き出す構成」となっていない。つまり,すべての端子がただ同一方向に引き出されているだけで,なんら特徴のある取り出し方はなされていない。
第1実施例(図5?7)において,外部接続用端子(接地用端子43)は,先の方で一つにまとめられている(配線が共通化されている)が,これは外部接続端子の方の構成であり,請求項1の「接地用端子(リード線)を端子毎に引き出す構成とは無関係である。
よって,「端子毎に」同じ方向に引き出す構成は本件特許の明細書の発明の詳細な説明に記載されていない(審判請求書5頁13行?8頁8行,弁駁書1の3頁末行?6頁7行,口頭審理陳述要領書(請求人)3頁3?25行及び4頁下から2行?5頁20行,弁駁書2の4頁1行?7頁17行)。
イ 図6のホールIC31,32のリード線のうち,信号入力用の端子,接地用の端子には符号が振られていない(符号36,37の振られた端子は出力用の端子である。)から,信号入力用の端子の引き出し構造,接続構造を特定できない(弁駁書1の4頁14?22行,口頭審理陳述要領書(請求人)5頁12?20行,弁駁書2の6頁15?23行)。

しかしながら,
ア について
本件特許の請求項1には,「前記信号入力用及び前記接地用の端子は各磁気検出素子の同一位置に配置された端子毎に同じ方向へ引き出され」と記載されているから,本件特許の請求項1は,「各磁気検出素子の同一位置に配置された端子」である「前記信号入力用及び前記接地用の端子」が「前記信号入力用及び前記接地用の端子」毎に同一方向へ引き出されていることを記載していることは明らかである。
そして,第1実施例の図5?7及びその説明より,「前記信号入力用及び前記接地用の端子」が「前記信号入力用及び前記接地用の端子」毎に同一方向へ引き出されていることは明らかである。
また,請求人は,「端子毎の同じ方向への引き出し」とは,参考資料2のような状態(端子毎に隣り合わせ,中間に他の端子が介在せずひと纏めにできる状態)をいうと主張するが,発明の詳細な説明の第1実施例には,「前記信号入力用及び前記接地用の端子」が「端子毎に同一方向へ引き出され」との意味を,参考資料2のような状態(端子毎に隣り合わせ,中間に他の端子が介在せずひと纏めにできる状態)で,「前記信号入力用及び前記接地用の端子」を引き出す意味に解釈すべきことは何ら記載されていない。
したがって,請求人の主張は,請求項1の記載に関する独自の解釈を前提として「発明の詳細な説明に記載されていない事項が請求項1に記載されている」とするもので,理由がない。

イ について
図6のホールIC31,32のリード線のうち,信号入力用の端子,接地用の端子に符号が振られていないとしても,本件特許明細書の段落【0030】の「そして,図5および図7(a)に示したように,2個のホールIC31,32のリード線36,37と信号入力用端子40,信号出力用端子41,42および接地用端子43とを電気的に接続する。」との記載及び図5?7より,信号入力(VDD)用端子40と接続されるホールIC31,32の夫々の端子(リード線)が「信号入力用の端子」であり,接地(GND)用端子43と接続されるホールIC31,32の夫々の端子(リード線)が「接地用の端子」であることは当業者にとって明らかである。
よって,請求人の主張は採用できない。

(5) 小括
本件特許は,特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対して特許されたものであるとはいえず,また,同条4項1号に規定する要件を満たしてない特許出願に対して特許されたものであるともいえない。

2 無効理由1(新規事項の追加補正の無効理由)について
本件特許明細書等と出願当初明細書等の相違(補正箇所)は,特許請求の範囲,段落【0009】(特許請求の範囲に対応する記載),段落【0048】(第3実施例の記載箇所)及び段落【0095】(符号の説明)のみであって第1実施例の記載箇所(段落【0010】?【0042】及び図1?7)は,補正されていない。
そうしてみると,出願当初明細書等に「各磁気検出素子の・・・少なくとも2つの同一位置に配置された各端子・・・は・・・端子毎に同じ方向へ引き出されて」の構成が記載されていると判断できることは,前記1と同様である。
よって,本件特許は,出願当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入する補正をした特許出願に対してされたものとはいえないから,特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものであるとはいえない。
(なお,本件訂正により,「端子毎に同じ方向へ引き出されて」とされた端子は「前記信号入力用及び前記接地用の端子」と特定されている。)

(請求人の主張について)
請求人の主張は,上記「1」「(4) 請求人の主張について」にまとめて述べたとおりである。そして,該主張に理由がないことも,上記「1」「(4) 請求人の主張について」に述べたとおりである。

3 無効理由3(29条1項3号及び29条2項の無効理由)について
(1) 本件発明
本件発明を請求人の主張に倣って,構成要件毎に分説して記載すれば,以下のとおりである。
「A 磁石を有し,被検出物の回転に伴って回転するロータコアと,
B このロータコアの磁石の磁力を受けて前記被検出物の回転角度を検出し同じ配列の3つの端子を有し且つ同形状を有する複数の磁気検出素子と,
C 2つは前記磁気検出素子の出力を外部に取り出し,また1つは前記磁気検出素子に電源電圧を外部から印加し,さらに1つは前記磁気検出素子を外部に接地するための,少なくとも4つの外部接続端子とを備えた非接触式の回転角度検出装置であって,
D 前記磁気検出素子の3つの端子は,電源電圧を印加する信号入力用,信号出力用,及び接地用の端子であり,前記複数の磁気検出素子は,並列に180度逆方向で配置されて3つの端子は前記磁気検出素子の同一面より引き出され,前記複数の磁気検出素子が夫々有する前記3つの端子の内の各磁気検出素子の同一位置に配置された端子の少なくとも2つの同一位置に配置された各端子であって前記信号入力用及び前記接地用の端子は各磁気検出素子の同一位置に配置された端子毎に同じ方向へ引き出されて前記外部接続端子のうち電源電圧を印加する信号入力用端子及び接地端子と接続されていることを特徴とする回転角度検出装置。」

(2) 甲1の記載
甲1には,図面とともに,以下の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】 内燃機関のスロットルバルブの開度を検出するスロットルポジションセンサであって,
上記スロットルバルブに連動して回転するロータと,
該ロータの先端に固定され,該ロータの回転軸と直交する磁路を形成する磁石と,
該磁石により形成された磁路に配設され,該磁路での磁界方向を検出する2個の磁電変換素子と,
各磁電変換素子により得られた検出信号を各々処理して外部に出力する2個の信号処理回路と,
上記各部を収納するハウジングと,
を備えたことを特徴とするスロットルポジションセンサ。」

イ 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,内燃機関のスロットルバルブの回転軸に取り付けられ,スロットルバルブ開度を検出するスロットルポジションセンサに関する。」

ウ 「【0002】
【従来の技術】従来より,内燃機関のスロットルバルブの開度を検出するスロットルポジションセンサとして,例えば,実開昭59-41708号公報に開示されている導電樹脂抵抗体の接点摺動による可変抵抗器型のスロットルポジションセンサや,特開平2-298802号公報に開示されている磁気検知方式による非接触型のスロットルポジションセンサが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし,上記前者の可変抵抗器型スロットルポジションセンサは,導電樹脂抵抗体上にて接点を摺動させるものであるため,使用に伴いその摺動部分で劣化が生じ,耐久寿命に限界があるといった問題があった。
【0004】一方,上記後者の磁気検知方式によるスロットルポジションセンサは,非接触型であるため,耐久性が非常に高く,可変抵抗器型のような問題はないが,磁電変換素子からの検出信号に対して増幅等の処理を施す信号処理回路が設けられているため,センサ内で磁電変換素子や回路素子の故障或は断線等の異常が発生しても,何等かの信号が出力されることとなり,その出力信号から故障診断を行うことができずに,スロットルバルブ開度を誤検出してしまうことがあった。尚この場合,2個のセンサを使用すれば,各センサからの検出信号の違いからセンサの故障診断を行なうことができるが,これではコストアップ,サイズアップとなってしまう。
【0005】本発明はこうした問題を解決するためになされたもので,磁電変換素子を使用した非接触型のスロットルポジションセンサにおいて,その出力信号からセンサの故障を容易に検出できるようにすることを目的としてなされた。」

エ 「【0006】
【課題を解決するための手段】即ち,上記目的を達成するためになされた本発明は,内燃機関のスロットルバルブの開度を検出するスロットルポジションセンサであって,上記スロットルバルブに連動して回転するロータと,該ロータの先端に固定され,該ロータの回転軸と直交する磁路を形成する磁石と,該磁石により形成された磁路に配設され,該磁路での磁界方向を検出する2個の磁電変換素子と,各磁電変換素子により得られた検出信号を各々処理して外部に出力する2個の信号処理回路と,上記各部を収納するハウジングと,を備えたことを特徴とするスロットルポジションセンサを要旨としている。
【0007】
【作用】このように本発明のスロットルポジションセンサにおいては,スロットルバルブに連動して回転するロータの先端に,ロータの回転軸と直交する磁路を形成する磁石が固定されているため,磁路での磁界方向はロータの回転角度,延いてはスロットルバルブの開度に応じて変化する。磁電変換素子は,この磁路での磁界方向を検出することにより,スロットルバルブの開度に応じた検出信号を発生し,信号処理回路は,その検出信号を処理して外部に出力する。また本発明では,磁電変換素子及び信号処理回路が2個ずつ備えられており,各信号処理回路が各磁電変換素子からの検出信号を各々処理して外部に出力する。」

オ 「【0008】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面と共に説明する。尚,以下の説明において,図1は本実施例のスロットルポジションセンサの内部構成を表す断面図,図2は図1におけるA-B-C-A線に沿った断面図,図3は図1におけるD-E-C-A線に沿った断面図,図4はスロットルポジションセンサの底面図,図5は図2におけるF-F線に沿った断面図である。
【0009】図1?図4に示す如く,本実施例のスロットルポジションセンサは,樹脂製で中空のハウジング1を備えている。ハウジング1の中心部には,ベアリング3が埋設されており,このベアリング3には,磁性材からなる中空のロータ5が回転自在に設けられている。またロータ5の図1に示す下端部には,スロットルバルブの回転を受けるレバー7が固設されており,このレバー7とハウジング1との間にはコイルバネ9が設けられている。
【図1】

【0010】図4に示す如く,このコイルバネ9の両端にはフック部9a,9bが形成されており,これら各フック部9a,9bは,夫々,ハウジング1に形成された突起部1a及びレバー7に形成された溝部7aに係止されている。この結果,コイルバネ9は,スロットルバルブに連動して回動するレバー7とロータ5とをスロットルバルブの閉方向(矢印X方向)に付勢する。
【図4】

【0011】一方,ロータ5の図1における上端外周部にはワッシャ10が固設されており,このワッシャ10とベアリング3の図1における上端外周部との間には,ウェーブ状の弾性のあるワッシャ11が設けられている。つまり,このワッシャ11により,図1に示すZ方向のガタが発生しないようにされている。
【0012】またロータ5の内周部には,同心円筒状で,ロータ5の回転軸と直交する方向に着磁された,Nd-Fe-B系等の希土類からなる永久磁石15が,磁力及び接着により固定されている。次に永久磁石15の図1における上方には,4個の貫通コンデンサ17がはんだ等により電気的に接続固定され,中央に穴部20aが形成され,周囲にハウジング1への取付穴が形成された非磁性の導電材からなるケース20が配設されている。またこのケース20の更に上方には,ホール素子21,22,各種回路素子23,及び4個のターミナル24が実装され,且つホール素子21,22を収納しているホルダ25が固定されたプリント基板27が配設されている。そしてこれらケース20及びプリント基板27は,スクリュ29にてハウジング1に固定されている。
【0013】ここでホルダ25は,ホール素子21,22のプリント基板27への固定及び位置決めを行うためのもので,図5に示す如く,ホール素子21,22は,ホルダ25のラッチ25aにより,ホルダ25の壁に押し付けられて,固定及び位置決めされる。
【図5】

【0014】またこのようにホール素子21,22は,ホルダ25を介してプリント基板27に位置決め固定されるため,ホール素子21,22の位置は,上記構成により,ハウジング1,プリント基板27及びホルダ25の各々の寸法・精度によって決定されるが,本実施例では,ホール素子21,22がロータ5の回転軸と直交する磁界を感磁して同レベルの検出信号が得られるように,各ホール素子21,22は,永久磁石15の中空部内にて,ロータ5の回転軸に沿った面に平行で,しかも回転軸を中心に対称な位置に配設されている。
【0015】次にハウジング1のコネクタ部31に埋没された4個のコネクタターミナル32は,ケース20に固定された4個の貫通コンデンサ17と,プリント基板27に実装された4個のターミナル24とを夫々接続するためのもので,これにより,プリント基板27に実装された各種回路素子23に外部から電源供給を行ない回路素子23を動作させると共に,この動作によって得られる検出信号を外部に取り出すことが可能となる。
【0016】また上記プリント基板27の図1における上方のハウジング開口部1bには,ゴムパッキン34が設けられ,更にその上に磁性材のカバー35を設けて,ハウジング開口部1bの周縁を熱かしめすることにより,これら各部が固定されている。またプリント基板27の図1における上方には,ヒューミシールのような防湿剤36が充てん又は塗布され,ゴムパッキン34により密閉された内部を湿気から保護するようにされている。また図2,図3に示す如く,ハウジング1の外側の,ロータ5の回転軸を中心として対称な2ヶ所には,ブッシュ38が埋没された相手取付部1cが形成されている。
【図2】

【図3】

【0017】このように構成された本実施例のスロットルポジションセンサにおいては,レバー7がスロットルバルブの回転軸に連結され,その回転に伴いロータ5が回転する。するとこの回転に伴い永久磁石15が,ホール素子21,22の周りを回転するため,ホール素子21,22の感磁面に対する磁界方向が図6に示すように変化する。
【図6】

【0018】この結果,ホール素子21,22からの出力VH は,次式(1) の如く変化し,
VH =VA ・sinθ …(1)
図7に示す如く,ロータ5が-90°から+90°へ回転する間に,-VA から+VA へと正弦波上を連続的に変化する。
【図7】

【0019】次にこうした出力特性が得られるホール素子21,22を動作させて,検出信号を取り出すためのセンサ回路は,プリント基板27に形成された回路パターンとプリント基板に実装された回路素子23とにより,図8に示す如く構成されている。
【図8】

【0020】図に示す如く,プリント基板27には,センサ回路として,ホール素子21用センサ回路50とホール素子22用センサ回路60とが各々独立して形成されており,上記4個のターミナル24の内,2つのターミナル24a,24bが,各センサ回路50,60からの検出信号出力端子として使用され,他の2つのターミナル24c,24dが,電源供給用端子,即ち電源電圧(Vcc)供給用の端子及び接地(Gnd)用の端子として使用される。
【0021】そしてこの電源供給用端子となるターミナル24c,24dからの電源供給ライン,即ちVccライン及びGndラインは,プリント基板27上で回路素子に接続される前に2つに分割され,上記各センサ回路50,60に個別に電源供給を行なうようにされている。尚図においてコンデンサC1は,電源供給ライン上のノイズを除去するためのコンデンサである。」

カ 「【0022】次に上記各センサ回路50,60は,夫々,以下のように構成されている。即ち,まずホール素子21用センサ回路50は,正の温度特性を有する感温抵抗器R1と抵抗器R2?R6とからなり,ホール素子21駆動のための基準電圧V11を発生する温度補償回路51,演算増幅器OP1と抵抗器R7とからなり,温度補償回路51からの基準電圧V11に基づきホール素子21を定電流駆動する駆動回路52,演算増幅器OP2,OP3と抵抗器R8?R10とからなり,ホール素子21の各出力端子電圧を通過させるバッファ回路53,演算増幅器OP4とトランジスタTR1と抵抗器R11?R17とからなり,バッファ回路53を通過してきた各出力端子電圧を差動増幅する差動増幅回路54,演算増幅器OP5と抵抗器R18,R19とからなり,抵抗器R18,R19により電源電圧VCCを分圧した基準電圧V12により差動増幅回路54の増幅出力電位を増加させる基準電圧生成回路55,及び,コンデンサC2と抵抗器R20,R21とからなり,差動増幅回路54からの増幅出力をスロットルバルブの開度を表す検出信号V1(負荷抵抗RL1両端の電圧)として外部に出力するフィルタ回路56により構成されている。
【0023】またホール素子22用センサ回路60は,ホール素子21用センサ回路50と同様,正の温度特性を有する感温抵抗器R31と抵抗器R32?R36とからなり基準電圧V21を発生する温度補償回路61,演算増幅器OP11と抵抗器R37とからなり基準電圧V21に基づきホール素子22を定電流駆動する駆動回路62,演算増幅器OP12,OP13と抵抗器R38?R40とからなるバッファ回路63,演算増幅器OP14とトランジスタTR11と抵抗器R41?R47とからなる差動増幅回路64,演算増幅器OP15と抵抗器R48,R49とからなり基準電圧V22を生成して差動増幅回路64の増幅出力電位を増加させる基準電圧生成回路65,及び,コンデンサC12と抵抗器R50,R51とからなり,差動増幅回路64からの増幅出力をスロットルバルブの開度を表す検出信号V2(負荷抵抗RL2両端の電圧)として外部に出力するフィルタ回路66により構成されている。
【図9】

【0024】この結果,上記各センサ回路50,60からは,スロットルバルブ開度に対応した図9に実線で示す如き検出信号V1,V2が出力されることとなり,この検出信号V1,V2からスロットルバルブの開度を知ることができる。尚図9に実線で示す検出信号V1,V2の特性は,スロットルバルブ開度が0度のときの磁界方向に対して各ホール素子21,22の感磁面を-30度オフセットさせたときの出力特性であり,次式(2) の如く記述できる。
【0025】V1,V2=K・sin(θ-30)+VM …(2)
即ち,本実施例では,このように構成することにより,ホール素子21,22が出力する図7に示す正弦波信号の内,できるだけリニアに変化する領域の信号を検出信号V1,V2として出力できるようにしているのである。尚,上記(2) 式において,Kはセンサ回路50,60の増幅特性に対応した定数であり,VMは基準電圧生成回路55,65によるオフセット電圧(V12,V22)である。
【0026】以上説明したように本実施例のスロットルポジションセンサにおいては,ハウジング1内に2個のホール素子21,22と,各ホール素子21,22を夫々動作させて検出信号を出力する2個のセンサ回路50,60とを組み込み,スロットルバルブ開度に対応した2つの検出信号V1,V2を出力するようにされている。
【0027】このため本実施例のスロットルポジションセンサからの検出信号V1,V2に基づきエンジン制御等を行なう制御装置側では,これら各検出信号V1,V2を比較することにより,スロットルポジションセンサの故障診断を行なうことが可能となる。
【0028】つまりスロットルポジションセンサの故障としては,センサ構造の不具合による機械的な故障と,センサ回路内での断線・短絡,ホール素子や回路素子の不具合等による電気系の故障に大別でき,機械的な故障は,安全率を高く設定することにより故障率を0に近づけることが可能である。しかし電気系の故障は,その原因がホール素子や回路素子等の部品不良やはんだ付不良等であるから,故障率を0にするのは不可能であり,また部品不良等によって,センサ回路から図9に点線,で示すような故障診断が困難な検出信号が出力されることがあるので,従来のように一つの検出信号を出力するスロットルポジションセンサにおいては,その出力信号から故障診断を行なうことができない。しかし本実施例のスロットルポジションセンサにおいては,上記のように2つの検出信号V1,V2を出力するように構成されているため,各検出信号V1,V2を比較することにより,スロットルポジションセンサの故障診断を確実に行なうことができるようになるのである。よって本実施例のセンサ1個により,従来センサ2個分に相当する故障診断機能を持つことができ,システム全体のコストダウン,小型化に寄与できる。
【0029】また本実施例のスロットルポジションセンサにおいては,外部から電源を取り込むための電源供給ラインを,ターミナル24c,24dにより,Vccライン及びGndラインの各1本とし,各ラインを,プリント基板27上で回路素子に接続される前に2つに分割して,各センサ回路50,60に電源供給を行なうようにし,しかも検出信号は,検出すべきスロットルバルブ開度領域(図9に示す0?90度の領域)において,必ず,0Vより大きい下限ホールド電圧と電源電圧より小さい上限ホールド電圧との間の電圧となるようにされている。このため,例えば図10に示す如く,エンジン等の制御回路から電源を取り込むためのVccライン及びGndラインを各々2本として,2つのセンサ回路に各々電源供給を行なうようにした場合に比べて,故障診断機能を低下させることなく,電源供給用の端子(ターミナル)を減らして,センサの小型化及びコストダウンを図ることが可能となる。
【図10】



キ 「【0033】また本実施例では,磁電変換素子にホール素子21,22を使用し,各ホール素子21,22を,ロータ5の回転軸に沿った面に平行且つ回転軸を中心に対称な位置に配設しているため,ホール素子21,22の各感磁面に印加される磁界強度を常に等しくすることができる。このため各センサ回路50,60から出力される検出信号V1,V2を等しくすることができ,故障診断を高精度に行うことが可能となる。」
・・・ 中略 ・・・
ク 「【0036】また更に本実施例では,ホール素子21,22を,ホルダ25に収納してプリント基板27に固定しているため,ホール素子21,22の位置決めが容易であり,しかもホルダ25により,長時間の使用に伴う温度・振動ストレスによるホール素子21,22のリードのシャフト回転方向へのねじれを防止することができるため,スロットルポジションセンサの耐久性も確保できる。」
・・・ 中略 ・・・
ケ 「【0038】【発明の効果】以上説明したように,本発明のスロットルポジションセンサにおいては,2個の磁電変換素子と,各磁電変換素子からの検出信号を処理して外部に出力する2個の信号処理回路とを備え,各信号処理回路から2つの検出信号を出力するようにされている。このため本発明のスロットルポジションセンサにおいては,各信号処理回路から出力される2つの検出信号に基づき,スロットルポジションセンサの故障診断を,簡単且つ正確に行うことが可能となる。」

(甲1に記載された発明)
ア 段落【0001】より,「スロットルバルブの回転軸に取り付けられ,スロットルバルブの開度を検出するスロットルポジションセンサ」との技術事項が読み取れる。

イ 段落【0010】より,「スロットルバルブに連動して回動するロータ5」との技術事項が読み取れる。

ウ 段落【0012】より,「ロータ5には,永久磁石15が固定されている」との技術事項が読み取れる。

エ 段落【0001】,【0007】,【0014】及び【0017】より,「ロータ5の回転に伴い永久磁石15の磁界を感磁して,スロットルバルブの開度に応じた検出信号を発生する,2個のホール素子21,22」との技術事項が読み取れる。

オ 段落【0014】及び【0033】より,「2個のホール素子21,22は,プリント基板27に位置決め固定される」こと及び「2個のホール素子21,22がロータ5の回転軸と直交する磁界を感磁して同レベルの検出信号が得られるように,各ホール素子21,22は,永久磁石15の中空部内にて,ロータ5の回転軸に沿った面に並行で,しかも回転軸を中心に対称な位置に配設されている。」との技術事項が読み取れる。

カ 段落【0015】及び【0020】,並びに,スロットルポジションセンサの断面図である図2及び8より,「スロットルポジションセンサは,プリント基板に実装された4個のターミナル24を備える」こと及び「プリント基板27には,センサ回路として,ホール素子21用センサ回路50とホール素子22用センサ回路60とが形成され,上記4個のターミナル24の内,2つのターミナル24a,24bが,各センサ回路50,60からの検出信号出力端子として使用され,他の2つのターミナル24c,24dが,外部からの電源供給用端子,即ち電源電圧(Vcc)供給用の端子及び接地(Gnd)用の端子として使用される。」との技術事項が読み取れる。

キ 段落【0019】及び【0036】,並びに,図1?3,5,6及び8(回路図に符号21,22で示されたホール素子の結線)より,2つのホール素子21,22が4つの端子(リード)を有し,それらの端子は同一面(プリント基板27と対向する面)を起点として引き出されることが見て取れる。
また,段落【0018】,【0026】,【0027】及び【0033】の記載より,2つのホール素子21,22として,同じ出力特性を有する同一の部品が用いられていることは明らかである。
したがって,「2つのホール素子21,22は同形状で,同じ配列の4つの端子(リード)を有し,4つの端子(リード)は,ホール素子21,22の同一面(プリント基板27と対向する面)を起点としてプリント基板27の方向に引き出される」との技術事項を読み取ることができる。

ク 段落【0022】,【0023】及び【0036】,並びに,図5及び8より,「ホール素子21の4つの端子(リード)は,ホール素子21用センサ回路50の駆動回路により定電流で駆動するための一対の端子(リード)及びホール素子21用センサ回路50により差動増幅されてセンサ回路50からの検出信号出力端子(ターミナル24a)の検出信号となる,一対の出力電圧端子(リード)であり,ホール素子22の4つの端子(リード)は,ホール素子22用センサ回路60の駆動回路により定電流で駆動するための一対の端子(リード)及びホール素子22用センサ回路60により差動増幅されてセンサ回路60からの検出信号出力端子(ターミナル24b)の検出信号となる,一対の出力電圧端子(リード)である。」との技術事項を読み取ることができる。

ケ 図1,図2(図1におけるA-B-C-A線に沿った断面図),図3(図1におけるD-E-C-A線に沿った断面図)及び図5(図2におけるF-F線に沿った断面図)より,ホール素子21の4つの端子(リード)のうち2つの端子(リード)と,ホール素子22の4つの端子(リード)のうち2つの端子(リード)とは,それぞれ反対方向に折り曲げられてからプリント基板27に固定されていることが見て取れる。

上記ア?ケを総合勘案すると,甲1には,次の発明が記載されている(以下「引用発明」という。)。
「スロットルバルブの開度を検出するスロットルポジションセンサであって,
永久磁石15が固定され,スロットルバルブに連動して回動するロータ5と,
ロータ5の回転に伴い永久磁石15の磁界を感磁して,スロットルバルブの開度に応じた検出信号を発生する,2個のホール素子21,22と,
プリント基板に実装された4個のターミナル24を備え,
プリント基板27には,センサ回路として,ホール素子21用センサ回路50とホール素子22用センサ回路60とが形成され,上記4個のターミナル24の内,2つのターミナル24a,24bが,各センサ回路50,60からの検出信号出力端子として使用され,他の2つのターミナル24c,24dが,外部からの電源供給用端子,即ち電源電圧(Vcc)供給用の端子及び接地(Gnd)用の端子として使用され,
2つのホール素子21,22は同形状で,同じ配列の4つの端子(リード)を有し,4つの端子(リード)は,ホール素子21,22の同一面(プリント基板27と対向する面)を起点としてプリント基板27の方向に引き出され,2個のホール素子21,22は,プリント基板27に位置決め固定されるが,ホール素子21の4つの端子(リード)のうち2つの端子(リード)と,ホール素子22の4つの端子(リード)のうち2つの端子(リード)とは,それぞれ反対方向に折り曲げられてからプリント基板27に固定され,
ホール素子21の4つの端子(リード)は,ホール素子21用センサ回路50の駆動回路により定電流で駆動するための一対の端子(リード)及びホール素子21用センサ回路50により差動増幅されてセンサ回路50からの検出信号出力端子(ターミナル24a)の検出信号となる,一対の出力電圧端子(リード)であり,ホール素子22の4つの端子(リード)は,ホール素子22用センサ回路60の駆動回路により定電流で駆動するための一対の端子(リード)及びホール素子22用センサ回路60により差動増幅されてセンサ回路60からの検出信号出力端子(ターミナル24b)の検出信号となる,一対の出力電圧端子(リード)であり,
2個のホール素子21,22がロータ5の回転軸と直交する磁界を感磁して同レベルの検出信号が得られるように,各ホール素子21,22は,永久磁石15の中空部内にて,ロータ5の回転軸に沿った面に並行で,しかも回転軸を中心に対称な位置に配設される,
スロットルポジションセンサ。」

(3) 甲2の記載
甲2には,図面とともに,以下の事項が記載されている。
ア 実用新案登録請求の範囲(1頁5?12行)
「(1)一対の磁電変換ICと,前記一対の磁電変換ICが夫々取付方向を反転させて両面に取付けられたリードフレームと,を有し,
前記磁電変換ICの電源入力及び出力が共通接続されて夫々リードフレームに接続され,2方向の磁界を検出するようにしたことを特徴とする磁電変換素子。」

イ 1頁14?16行
「〔考案の分野〕
本考案はN極及びS極を検出する磁電変換素子に関するものである。」

ウ 2頁18行?3頁20行
「〔課題を解決するための手段〕
本考案はN極及びS極を検出する磁電変換素子であって,一対の磁電変換ICと,一対の磁電変換ICが夫々取付方向を反転させて両面に取付けられたリードフレームと,を有し,磁電変換ICの電源入力及び出力が共通接続されて夫々リードフレームに接続され,2方向の磁界を検出するようにしたことを特徴とするものである。
〔作用〕
このような特徴を有する本考案によれば,リードフレームの保持面の両面に夫々検知方向が反転するように磁電変換ICを取付け,その出力を共通接続して検出出力とするようにしている。こうすれば磁石のN極とS極とを表面又は裏面のいずれかの磁電変換ICによって検出して出力するようにしている。
〔考案の効果〕
そのため本考案によれば,極めて簡単な構成でN極とS極とを検出することが可能となる。従って専用のICを設計する場合に比べて大幅に価格を低減することができ,又専用ICを用いず外付け回路で二方向磁界タイプとする場合に比べ大幅に小型化することが可能となる」

エ 4頁1行?5頁20行
「〔実施例の説明〕
次に本考案の実施例について図面を参照しつつ説明する。第1図(a),(b)は本考案の一実施例による磁電変換素子の夫々異なる方向からの斜視図である。この磁電変換素子はリードフレーム1?3を有し,リードフレーム1のベース1a上には後述する構造を有するホールIC4が取付けられ,その3つの端子が夫々リードフレーム1?3にワイヤボンディングにより接続されている。そしてこのリードフレーム1のベース1aの裏面にも同様の構造を有するホールIC5が取付けられ,その各端子はリードフレーム1?3にワイヤボンディングによって接続される。こうしてリードフレーム1のベース1aの両面にホールIC4,5を取付け,破線で示す整形樹脂6によって磁電変換素子を構成する。
【第1図】

第2図はこのホールIC4,5とリードフレームとの接続を示す回路図である。本図に示すようにホールIC4,5は夫々定電圧回路4a,5aを有しており,定電圧がホール素子4b,5bに供給される。ホール素子4b,5bは相異なる方向の磁界の強さを検出するものであり,その出力は夫々増幅回路4c,5cを介してシュミットトリガ回路4d,5dに与えられる。シュミットトリガ回路4d,5dは所定の閾値で増幅出力を弁別し出力トランジスタ4e,5eを介して外部に出力するものである。さてリードフレーム2(当審注:第2図では「3」と記載されている。)にはこの出力トランジスタ4e,5eのコレクタ端が共通に接続されており,ホールIC4,5の電源の正及び負の入力端が夫々共通接続されてリードフレーム3(当審注:第2図では「2」と記載されている。)及び1に接続されている。
【第2図】

このように構成された磁電変換素子においては,第3図に示すように磁電変換素子の近傍の回転軸に沿って磁石7が回転した場合には,そのN極の接近及びS極の接近でホールIC4又は5が交互に動作するため,第4図(a)に示すような出力が得られることとなる。このように2つのホール素子をリードフレームの両面に設けることによってN極とS極との双方に対して感度を持つ磁電変換素子とすることができる。」
【第3図】

【第4図】


以上ア?エの記載及び図面を総合勘案すると,甲2には,次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているものと認められる。
「一対のホールICが夫々取り付け方向を反転させて両面に取り付けられたリードフレーム1?3を有し,
リードフレーム1のベース1a上にはホールIC4が取り付けられ,その3つの端子が夫々リードフレーム1?3にワイヤボンディングにより接続され,このリードフレーム1のベース1aの裏面にも同様の構造を有するホールIC5が取り付けられ,その各端子はリードフレーム1?3にワイヤボンディングにより接続され,こうしてリードフレーム1のベース1aの両面にホールIC4,5を取り付けた電磁変換素子であって,
ホールIC4,5の電源の正及び負の入力端が各々共通に接続されてリードフレーム3及び1に接続され,ホールIC4,5の出力トランジスタ4e,5eのコレクタ端が共通にリードフレーム2に接続されて,
磁石のN極とS極とを表面又は裏面のいずれかのホールICによって検出し,N極とS極との双方に対して感度を持ち,磁石の回転角に応じたオンオフを出力する,電磁変換素子。」
(なお,リードフレームの符号は,摘記事項エの記載に従った。)

(4) 甲3の記載
甲3には,図面とともに,以下の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,例えば空気圧により機械的仕事を行なわせる場合に使用されるいわゆる空気圧シリンダ等において,そのピストンの最適動作位置を設定するためにマグネットを利用して位置検出を行なう無接点型磁気スイッチ,特に磁気センサとしてホール素子を使用した磁気スイッチに関するものである。」

イ 「【0015】
【発明の実施の形態】以下,図面に示した実施形態に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は,本発明による無接点型磁気スイッチの一実施形態を示している。即ち,図1において,無接点型磁気スイッチ10は,ケース11の内部に設けられた二つのホール素子12,13と,ケース11の表面に取り付けられた表示灯14と,ケース11内に備えられた電源回路及び検出回路とを含んでいる。上記ホール素子12,13はそれぞれ通常の構成のホール素子であって,それぞれ逆方向の磁束を検知し得るように,互いに逆向きに配設されている。この場合,ホール素子12,13は互いに背中合わせに接触して配設されている。
【図1】

【0016】図2は無接点型磁気スイッチ10の電気的構成の一例を示している。即ち,図2において,無接点型磁気スイッチ10は,センサ回路15,電源回路としての定電圧回路16,検出回路としての表示出力回路17と,保護回路18とから構成されている。
【図2】

【0017】センサ回路15は,二つのホール素子12,13が,それぞれ定電圧回路16からの定電圧Vを駆動電圧として印加されると共に,マグネット等の磁束を検出したときに,その感知信号を出力端子12a,13aから一つに纒めて出力するようになっている。
【0018】定電圧回路16は,外部から供給される定電圧Vccを互いに直列に接続されたツェナーダイオード16a及び抵抗16bにより駆動電圧Vとして安定化し,トランジスタ16cを介してセンサ回路15に供給するようになっている。
【0019】表示出力回路17は,ホール素子12,13の出力端子12a,13aからの感知信号に基づいて,表示灯としてのLED17aが点灯すると共に,二つのスイッチングトランジスタ17b,17cを介して,検出信号を出力端子Voutから出力するようになっている。
【0020】保護回路18は,駆動電圧Vccをダイオード18a及びコンデンサ18bにより保護すると共に,表示出力回路17からの検出信号を,ツェナーダイオード18cを介して所定電圧以上にならないようにする。
【0021】本発明による無接点型磁気スイッチ10は以上のように構成されており,例えば空気圧シリンダのピストン位置を検出するために,空気圧シリンダのシリンダチューブ2の外側面に取り付けられる。この状態において,通常は,無接点型磁気スイッチ10は,ホール素子12,13に対してマグネットの磁束が作用しないので,ホール素子12,13の出力端子12a,13aは共にLレベルであり,LED17aは点灯せず,トランジスタ17b,17cは共にオンとなるので,出力端子Voutはトランジスタ17bを介してアース接続されることになり,出力端子Voutは低インピーダンスとなる。
【0022】ここで,図1に示すように,空気圧シリンダのピストン3に取り付けられたマグネット3aが接近してくると,ホール素子12,13のうち,何れか一方のホール素子12または13がマグネット3aによる磁束を感知して,出力端子12aまたは13a側に電流を流すことになる。これにより,出力端子12aまたは13aから信号が出力される。従って,表示出力回路17は,この信号によってLED17aが点灯すると共に,トランジスタ17b,17cがオフとなるので,出力端子Voutはオープンレベルとなる。かくして,マグネット3aそして検知すべき物体,即ちピストンの位置が検出されることになる。」

ウ 「【0024】図4は本発明による無接点型磁気スイッチの第三の実施形態を示している。図4において,無接点型磁気スイッチ30は,図1に示した無接点型磁気スイッチ10と比較して,互いに背中合わせに接触しているホール素子12,13の代わりに,互いに並んで接触するように逆向きに配設された二つのホール素子31,32を備えている点を除いては,同じ構成である。この構成によれば,図1の無接点型磁気スイッチ10と同様に動作することになる。」
【図4】


エ 「【0027】【発明の効果】以上述べたように本発明によれば,二つのホール素子が互いに逆向きに配設されているので,どちら向きの磁束であっても,何れか一方のホール素子がこの磁束を感知し得ることになる。従って,無接点型磁気スイッチが極性を有しないことになるので,例えば空気圧シリンダ等に対して取付方向が指定されることがなく,取付けが容易に行なわれ得ることになる。かくして,本発明によれば,検出すべきマグネットの磁気極性がいずれの方向であっても,確実に位置検出が行なわれ得るようにした,極めて優れた無接点型磁気スイッチが提供される。」

以上ア?エの記載及び図面を総合勘案すると,甲3には,次の技術事項が記載されている。
「無接点型磁気スイッチであって,
ケース11の内部に設けられた二つのホール素子12,13(31,32)と,ケース11の表面に取り付けられた表示灯14と,ケース内に備えられた電源回路及び検出回路とを含み,上記ホール素子12,13(31,32)はそれぞれ通常の構成のホール素子であって,それぞれ逆方向の磁束を検知しうるように,互いに背中合わせに接触して配設するか,あるいはこの代わりに互いに並んで接触するように逆向きに配設され,
無接点型磁気スイッチは,センサ回路15,電源回路としての定電圧回路16,検出回路としての表示出力回路17とから電気的に構成され,
センサ回路15は,二つのホール素子12,13(31,32)が,それぞれ定電圧回路16からの定電圧を駆動電圧として印加されるとともに,マグネット等の磁束を検出したときに,その感知信号を出力端子12a,13aから一つに纏めて出力し,
無接点型磁気スイッチは,Vcc(+),出力端子Vout及びGND端子を有し,Vcc(+)は電源回路としての定電圧回路16に接続され,二つのホール素子12,13(31,32)の出力端子12a,13aからの感知信号に基づいて,表示灯としてのLED1aが点灯すると共に,二つのスイッチングトランジスタ17b,17cを介して,検出信号を出力端子Voutから出力し,
検出すべきマグネットの磁気極性がいずれの方向であっても,確実に位置検出が行なわれ得る,無接点型磁気スイッチ。」

(5) 甲4の記載
甲4には,図面とともに,以下の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,例えば直線移動する被検出部材の移動位置を検知するポジションセンサの配置構造に関する。本発明は,例えば直動式ピストンバルブを備えた気化器のピストンバルブの開度を検出する場合に好適であるので,以下気化器の開度検出を例にとって説明する。」

イ 「【0033】上記各磁気センサ28a,28bは,交番型ホールIC等からなる検知素子及び増幅回路基板をパッケージ内に収容し,該パッケージからアース用グランド端子40a,入,出力端子40b,40cを突出して構成されており,該センサの検知部Sはパッケージの中心Cからグランド端子40a側にオフセットしている(図8参照)。」
【図8】


ウ 「【0034】上記基板27には,各磁気センサ28a,28bの端子40a?40cが接続されるパッド41,及び外部導出用リード線29が接続されるランド42がパターン形成されており,該パッド41,ランド42は図示しない回路配線を介して接続されている。これらの回路配線は,上記基板27の表面にメッキ等により銅箔膜を形成し,該銅箔膜に上記各パッド41,ランド42,配線パターンに応じたフォトレジスト膜を形成した後,エッチング処理を施して形成されたものである。また上記各端子40a?40c及び各リード線29は,上記パッド41,ランド42上にクリーム半田を塗布し,これをリフロー炉で加熱することによりリフロー半田付けして接続されている。」
【図9】


エ 「【0043】図10?図13は,それぞれ請求項3?6の発明の一実施例によるポジションセンサの配置構造を説明するための図であり,図中,図6と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0044】図10は,各磁気センサ28a,28bを,各々の検知部Sのオフセット方向が上記永久磁石25の移動方向xと一致し,かつ各検知部Sが相手側寄りに位置するように配置した例である。この実施例では,各磁気センサ28a,28bの検知部Sを同じ側にオフセットさせたので,上記実施例に比べて検出ピッチをさらに小さくできる。また各センサ28a,28bのグランド端子40aのパッド41を共通化でき,この点からピッチをさらに小さくできる。」
【図10】


以上ア?エの記載及び図面を総合勘案すると,甲4には,次の技術事項が記載されている。
「基板27には,各磁気センサ28a,28bの端子40a?40cが接続されるパッド41,及び外部導出用のリード線29が接続されるランド42がパターン形成されており,該パッド41,ランド42は回路配線を介して接続され,
各磁気センサ28a,28bは,交番型ホールIC等からなる検知素子及び増幅回路基板をパッケージ内に収容し,アース用グランド端子40aは,パッケージの一方の側から突出して配置され,入,出力端子40b,40cは,パッケージの一方の側とは反対の側から突出して配置され,該センサの検知部Sはパッケージの中心からグランド端子40aの側にオフセットしており,
各磁気センサ28a,28bを各々の検知部Sのオフセット方向が永久磁石25の移動方向xと一致し,かつ検知部Sが相手側寄りに位置するように配置し,各センサ28a,28bのグランド端子40aのパッド41を共通化した,被検出部材の移動位置を検知するポジションセンサの配置構造。」

(6) 甲5の記載
甲5には,図とともに,次の技術事項が記載されている。
ア 119頁の表題
「FMラジオを使った模型モーターのコントロール」

イ 119頁左欄16?20行
「発振側は,FMの周波数(75?90MHz)が送信できる一石の発振回路と,スイッチの働きをする2石の低周波の発振器の合計3石の回路で,スイッチで切り換えると,ワイヤレス・マイクにもなります。」
【121頁の部品組み付け図】


121頁の部品組み付け図のトランジスタの端子の記号について,「B」,「C」及び「E」が,それぞれ「ベース」,「コレクタ」及び「エミッタ」を意味することは明らかであるから,上記ア及びイ,並びに,図の記載を総合勘案すると,甲5には,以下の技術事項が記載されている。
「2つのトランジスタが並列に互いに逆向きで配置され,両トランジスタのエミッタ端子(リード線)が,端子板のピンに共通して接続された,配線構造。」が記載されている。
さらに,甲5には,「両トランジスタのベースとコレクタを,それぞれ抵抗を介して端子板のピンに共通して接続すること」も記載されている。

(7) 甲6の記載
甲6には,図とともに,次の技術事項が記載されている。
ア 114頁の表題
「押してスタートさせるプラモデルカー」

イ 115頁右上欄1?8行
「回路 Tr1のベースと330Ωの間の電極にわずかな電流が流れると,100μFのコンデンサーに充電されて,10kΩを通してTr2に放電される時に,Tr2とTr3のシュミット回路が動作して,Tr4がONになり,モーターが回転します。」
【115頁の部品組み付け図(上から2番目の図)】


115頁の部品組み付け図のトランジスタの端子について,「E」がエミッタを意味することは明らかであるから,上記ア及びイ,並びに,図の記載を総合勘案すると,甲6には,以下の技術事項が記載されている。
「2つのトランジスタTr2とTr3が並列に互いに逆向きで配置され,両トランジスタTr2,Tr3のエミッタ端子(リード線)が,端子板のピンに共通して接続された,配線構造。」

(8) 対比
ア 引用発明における「永久磁石15」が,本件発明の「磁石」に相当する。
イ 引用発明における「スロットルバルブ」が,本件発明の「被検出物」に相当する。
ウ 引用発明における「永久磁石15が固定され,スロットルバルブに連動して回動するロータ5」が,本件発明の「磁石を有し,被検出物の回転に伴って回転するロータコア」に相当する。
エ 引用発明における「スロットルバルブの開度」が,本件発明の「被検出物の回転角度」に相当する。
オ 本件特許明細書には,【0088】に「本実施例では,非接触式の磁気検出素子としてホールIC31,32,61,62,95を使用した例を説明したが,非接触式の磁気検出素子としてホール素子または磁気抵抗素子等を使用しても良い。」と記載されているから,引用発明における「2個のホール素子21,22」が,本件発明の「複数の磁気検出素子」に相当する。
カ 引用発明における「ロータ5の回転に伴い永久磁石15の磁界を感磁して,スロットルバルブの開度に応じた検出信号を発生する,2個のホール素子21,22」が,本件発明の「このロータコアの磁石の磁力を受けて前記被検出物の回転角度を検出」する「複数の磁気検出素子」に相当する。
キ 引用発明における「2つのホール素子21,22は同形状で,同じ配列の4つの端子(リード)を有」することと,本件発明の「複数の磁気検出素子」が「同じ配列の3つの端子を有し且つ同形状を有する」こととは,「複数の磁気検出素子」が「同じ配列の3つ又は4つの端子を有し且つ同形状を有する」点で共通する。
ク 引用発明の「プリント基板に実装された4個のターミナル24」と本件発明の「少なくとも4つの外部接続端子」とを比較すると,
(ア)引用発明の「ターミナル24a」は,「ホール素子21」の「一対の出力電圧端子(リード)」からの出力電圧が「ホール素子21用センサ回路50により差動増幅され」て印加される「検出信号出力端子」である。また,「ターミナル24b」は,「ホール素子22」の「一対の出力電圧端子(リード)」からの出力電圧が「ホール素子22用センサ回路60により差動増幅され」て印加される「検出信号出力端子」である。
そうしてみると,引用発明における「ターミナル24a」及び「ターミナル24b」,つまり,「各センサ回路50,60からの検出信号出力端子」が,次の相違点は別として,本件発明の「磁気検出素子の出力を外部に取り出」す「2つ」の「外部接続端子」に相当するといえる。
(イ)引用発明の「ホール素子21」は,「ホール素子21用センサ回路50の駆動回路により定電流で駆動」されるものであって,電源電圧(Vcc)を外部から印加し,また外部に接地して駆動されるものではない。「ホール素子22」についても同様である。
しかし,「ホール素子21」を定電流で駆動するためには,ホール素子21用センサ回路50の駆動回路により,ホール素子21の一対の端子(リード)間に電圧が印加され,また,「ホール素子22」を定電流で駆動するためには,ホール素子22用センサ回路60の駆動回路により,ホール素子22の一対の端子(リード)間に電圧が印加されていることは明らかであるから,引用発明の「他の2つのターミナル24c,24d」,つまり,「外部からの電源供給用端子,即ち電源電圧(Vcc)供給用の端子及び接地(Gnd)用の端子」と本件発明の「1つは前記磁気検出素子に電源電圧を外部から印加し,さらに1つは前記磁気検出素子を外部に接地するため」の2つの「外部接続端子」とは,「磁気検出素子を駆動する電圧を得るための,1つは電源電圧を外部から印加し,さらに1つは外部に接地する」2つの「外部接続端子」である点で共通する。
ケ 引用発明における,「2個のホール素子21,22」と「4個のターミナル24を備え」た「スロットルバルブの開度を検出するスロットルポジションセンサ」が,次の相違点は別として,本件発明の,「複数の磁気検出素子」と「少なくとも4つの外部接続端子とを備えた非接触式の回転角度検出装置」に相当する。
コ 引用発明における,ホール素子21の一対の出力電圧端子(リード)の出力電圧は,ホール素子21用センサ回路50により差動増幅されて検出信号出力端子(ターミナル24a)の検出信号となり,また,ホール素子22の一対の出力電圧端子(リード)の出力電圧は,ホール素子22用センサ回路60により差動増幅されて検出信号出力端子(ターミナル24b)の検出信号となるものである。
よって,上記「ク」(イ)で述べたことを踏まえれば,引用発明における「ホール素子21の4つの端子(リード)は,ホール素子21用センサ回路50の駆動回路により定電流で駆動するための一対の端子(リード)及びホール素子21用センサ回路50により差動増幅されてセンサ回路50からの検出信号出力端子(ターミナル24a)の検出信号となる,一対の出力電圧端子(リード)であり,ホール素子22の4つの端子(リード)は,ホール素子22用センサ回路60の駆動回路により定電流で駆動するための一対の端子(リード)及びホール素子22用センサ回路60により差動増幅されてセンサ回路60からの検出信号出力端子(ターミナル24b)の検出信号となる,一対の出力電圧端子(リード)であ」ることと,本件発明の「磁気検出素子の3つの端子は,電源電圧を印加する信号入力用,信号出力用,及び接地用の端子であ」ることとは,「磁気検出素子の3つ又は4つの端子は,磁気検出素子を駆動する電圧を印加する一対の端子,及び1つ又は差動増幅される2つの信号出力用の端子」の点で共通する。
サ 引用発明の「2個のホール素子21,22がロータ5の回転軸と直交する磁界を感磁して同レベルの検出信号が得られるように,各ホール素子21,22は,永久磁石15の中空部内にて,ロータ5の回転軸に沿った面に並行で,しかも回転軸を中心に対称な位置に配設され」,「2つのホール素子21,22は同形状で,同じ配列の4つの端子(リード)を有し,4つの端子(リード)は,ホール素子21,22の同一面(プリント基板27と対向する面)を起点としてプリント基板27の方向に引き出され」ることと,本件発明の「前記複数の磁気検出素子は,並列に180度逆方向で配置されて3つの端子は前記磁気検出素子の同一面より引き出され」ることとは,「前記複数の磁気検出素子は,前記磁気検出素子から端子を引き出す起点を有する面が同じ方向(法線の方向)を向くように近接して配置されて3つ又は4つの端子は前記磁気検出素子の同一面より引き出され」る点で共通する。
なお,以下,「磁気検出素子から端子を引き出す起点を有する面」を,磁気検出素子の「下面」あるいは,「下面(磁気検出素子から端子を引き出す起点を有する面)」ということがある。
シ 引用発明の「2つのホール素子21,22は同形状で,同じ配列の4つの端子(リード)を有し,4つの端子(リード)は,ホール素子21,22の同一面(プリント基板27と対向する面)を起点としてプリント基板27の方向に引き出され」,「ホール素子21の4つの端子(リード)のうち2つの端子(リード)と,ホール素子22の4つの端子(リード)のうち2つの端子(リード)とは,それぞれ反対方向に折り曲げられてからプリント基板27に固定され」,「ホール素子21」を「定電流で駆動するための一対の端子(リード)」は,「ホール素子21用センサ回路50の駆動回路」を介して「ターミナル24c」つまり「外部からの電源供給用端子,即ち電源電圧(Vcc)供給用の端子」と,「ターミナル24d」つまり「接地(Gnd)用の端子」に接続され,「ホール素子22」を「定電流で駆動するための一対の端子(リード)」は,「ホール素子22用センサ回路60の駆動回路」を介して「ターミナル24c」つまり「外部からの電源供給用端子,即ち電源電圧(Vcc)供給用の端子」と,「ターミナル24d」つまり「接地(Gnd)用の端子」に接続されていることと,本件発明の「前記複数の磁気検出素子が夫々有する前記3つの端子の内の各磁気検出素子の同一位置に配置された端子の少なくとも2つの同一位置に配置された各端子であって前記信号入力用及び前記接地用の端子は各磁気検出素子の同一位置に配置された端子毎に同じ方向へ引き出されて前記外部接続端子のうち電源電圧を印加する信号入力用端子及び接地端子と接続されていること」とは,今までの対比を踏まえると,次の相違点は別として,「前記複数の磁気検出素子が夫々有する前記3つ又は4つの端子の内の各磁気検出素子の同一位置に配置された端子の少なくとも2つの同一位置に配置された各端子であって前記磁気検出素子を駆動する電圧を印加する一対の端子は,引き出されて,磁気検出素子を駆動する電圧を得るための,1つは電源電圧を外部から印加し,さらに1つは外部に接地する,2つの外部接続端子と接続されている」点で共通する。

すると,本件発明と引用発明とは,次の点で一致する。
「磁石を有し,被検出物の回転に伴って回転するロータコアと,このロータコアの磁石の磁力を受けて前記被検出物の回転角度を検出し同じ配列の3つ又は4つの端子を有し且つ同形状を有する複数の磁気検出素子と,2つは前記磁気検出素子の出力を外部に取り出し,また2つは磁気検出素子を駆動する電圧を得るための,1つは電源電圧を外部から印加し,さらに1つは外部に接地する,少なくとも4つの外部接続端子とを備えた非接触式の回転角度検出装置であって,前記磁気検出素子の3つ又は4つの端子は,磁気検出素子を駆動する電圧を印加する一対の端子,及び1つ又は差動増幅される2つの信号出力用端子であり,前記複数の磁気検出素子は,下面(磁気検出素子から端子を引き出す起点を有する面)が同じ方向(法線の方向)を向くように近接して配置されて3つ又は4つの端子は前記磁気検出素子の同一面より引き出され,前記複数の磁気検出素子が夫々有する前記3つ又は4つの端子の内の各磁気検出素子の同一位置に配置された端子の少なくとも2つの同一位置に配置された各端子であって前記磁気検出素子を駆動する電圧を印加する一対の端子は,引き出されて,磁気検出素子を駆動する電圧を得るための,1つは電源電圧を外部から印加し,さらに1つは外部に接地する,2つの外部接続端子と接続されていることを特徴とする回転角度検出装置。」

また,両者は,次の点で相違する。
相違点1
本件発明では,「少なくとも4つの外部接続端子」のうちの2つの「外部接続端子」は,「1つは前記磁気検出素子に電源電圧を外部から印加し,さらに1つは前記磁気検出素子を外部に接地するため」のものであるのに対し,
引用発明では,「4個のターミナル24」のうち「ターミナル24c,24d」が,「電源供給用端子,即ち電源電圧(Vcc)供給用の端子及び接地(Gnd)用の端子として使用され」ているものの,ホール素子21は,「ホール素子21用センサ回路50の駆動回路により定電流で駆動」され,ホール素子22は,「ホール素子22用センサ回路60の駆動回路により定電流で駆動」されており,「ターミナル24c,24d」は,ホール素子21,22に電源電圧(Vcc)を外部から印加するものでも,ホール素子21,22を外部に接地(Gnd)するためのものでもない点。

相違点2
本件発明では,「複数の磁気検出素子」が「同じ配列の3つの端子を有し」,「磁気検出素子の3つの端子は,電源電圧を印加する信号入力用,信号出力用,及び接地用の端子であ」るのに対し,引用発明では,「2個のホール素子21,22」が「同じ配列の4つの端子(リード)を有し」,「ホール素子21の4つの端子(リード)は,ホール素子21用センサ回路50の駆動回路により定電流で駆動するための一対の端子(リード)及びホール素子21用センサ回路50により差動増幅されてセンサ回路50からの検出信号出力端子(ターミナル24a)の検出信号となる,一対の出力電圧端子(リード)であり,ホール素子22の4つの端子(リード)は,ホール素子22用センサ回路60の駆動回路により定電流で駆動するための一対の端子(リード)及びホール素子22用センサ回路60により差動増幅されてセンサ回路60からの検出信号出力端子(ターミナル24b)の検出信号となる,一対の出力電圧端子(リード)であ」る点。

相違点3
本件発明では,「前記複数の磁気検出素子は,並列に180度逆方向で配置されて3つの端子は前記磁気検出素子の同一面より引き出され」ているのに対し,引用発明では,「端子(リード)は,ホール素子21,22の同一面(プリント基板27と対向する面)を起点としてプリント基板27の方向に引き出され」ているものの,端子(リード)の本数が「4つ」であることはともかくとして,「2個のホール素子21,22がロータ5の回転軸と直交する磁界を感磁して同レベルの検出信号が得られるように,各ホール素子21,22は,永久磁石15の中空部内にて,ロータ5の回転軸に沿った面に並行で,しかも回転軸を中心に対称な位置に配設され」ることが示されているだけで,ホール素子21,22が,並列に180度逆方向で配置されていることは示されていない点。

相違点4
本件発明では,「前記複数の磁気検出素子が夫々有する前記3つの端子の内の各磁気検出素子の同一位置に配置された端子の少なくとも2つの同一位置に配置された各端子であって前記信号入力用及び前記接地用の端子は各磁気検出素子の同一位置に配置された端子毎に同じ方向へ引き出されて前記外部接続端子のうち電源電圧を印加する信号入力用端子及び接地端子と接続されている」のに対し,引用発明では,端子(リード)の本数が「4つ」であることはともかくとして,「端子(リード)は,ホール素子21,22の同一面(プリント基板27と対向する面)を起点としてプリント基板27の方向に引き出され」ているものの,ホール素子21の4つの端子(リード)のうち2つの端子(リード)と,ホール素子22の4つの端子(リード)のうち2つの端子(リード)とは,それぞれ反対方向に折り曲げられてからプリント基板27に固定されており,さらに,「ホール素子21」を「定電流で駆動するための一対の端子(リード)」は,「ホール素子21用センサ回路50の駆動回路」を介して「ターミナル24c」つまり「電源供給用端子,即ち電源電圧(Vcc)供給用の端子」と,「ターミナル24d」つまり「接地(Gnd)用の端子」に接続され,「ホール素子22」を「定電流で駆動するための一対の端子(リード)」は,「ホール素子22用センサ回路60の駆動回路」を介して「ターミナル24c」つまり「電源供給用端子,即ち電源電圧(Vcc)供給用の端子」と,「ターミナル24d」つまり「接地(Gnd)用の端子」に接続されている点。

(9) 用語の技術的意味について
以下,上記各相違点を判断するにあたり,本件発明に記載された「複数の磁気検出素子は,並列に180度逆方向で配置されて3つの端子は前記磁気検出素子の同一面より引き出され」及び「各磁気検出素子の同一位置に配置された端子毎に同じ方向へ引き出されて」の技術的意味について検討する。
ア 「複数の磁気検出素子は,並列に180度逆方向で配置されて3つの端子は前記磁気検出素子の同一面より引き出され」の技術的意味について
本件特許明細書には,第1実施例に関して次の記載がある。
(ア)「【0021】
2個のホールIC31,32は,本発明の非接触式の磁気検出素子に相当するもので,永久磁石6の内周側に対向して配置され,感面にN極またはS極の磁界が発生すると,その磁界に感応して起電力(N極の磁界が発生すると+電位が生じ,S極の磁界が発生すると-電位が生じる)を発生するように設けられている。本実施例では,図5および図6に示したように,2個のホールIC31,32を並列に180度逆方向で配置している。」
(イ)「【0040】
また,本実施例のスロットル弁2へ直接組み付ける構成の回転角度検出装置5では,図5および図6に示したように,2個のホールIC31,32を,並列に180度逆方向で配置することにより,リードフレーム33を含めた2個のホールIC31,32の組み付けが簡単になる。
【0041】なお,一方のホールIC31に対して他方のホールIC32の出力は,エンジンのアイドリング位置からスロットル弁2の全開方向に向けて逆方向に傾斜する出力となるが,ECU側でトリミングするか,ホールIC自体に書き込みを行ってトリミングすることにより,2個の磁気検出素子の出力信号をエンジンのアイドリング位置からスロットル弁2の全開方向に向けて右上がりに傾斜する信号とすることができる。」
また,本件特許明細書には,第2実施例に関して次の記載がある。
(ウ)「〔第2実施例〕
【0043】図8は本発明の第2実施例を示したもので,2個のホールICとリードフレームとの接続部分を示した図である。
【0044】本実施例では,2個のホールIC31,32を,直列に同方向で配置することにより,リードフレーム33を含めた2個のホールIC31,32の組み付けが簡単になる。」

これら(ア)?(ウ)の記載,並びに,図5,6及び8より,以下(a)及び(b)の事項が理解できる。
(a) 第1実施例は,本件発明に対応する実施例であるが,「2個のホールIC31,32を並列に180度逆方向で配置」したとされる図5および図6には,ホールIC31,32の下面(磁気検出素子から端子を引き出す起点を有する面)が扁平な台形に描かれ,ホールIC31の下面と,ホールIC32の下面とが左右に隣接して並べられ,かつ,ホールIC31の下面の扁平な台形とホールIC32の下面の扁平な台形との上下が逆さまとなるように配置され,この配置により,ホールIC31の下面における3本のリード線(リードワイヤ)の起点とホールIC32の下面における3本のリード線(リードワイヤ)の起点とが横一列に並んでいることが見て取れる。
これに対し,第2実施例(平成18年6月21日付の手続補正書(甲11)により削除された請求項2に係る発明に対応する実施例)に係る図8は,「2個のホールIC31,32を,直列に同方向で配置」した図とされているが,図8は,ホールIC31の下面の扁平な台形と,ホールIC32の下面の扁平な台形とが,同じ向きに上下に積み重ねられており,この配置により,ホールIC31の下面の3本のリード線(リードワイヤ)の起点とホールIC32の下面の3本のリード線(リードワイヤ)の起点とが上下2列に並んでいることが見て取れる。
(b) ホールICの「感面にN極またはS極の磁界が発生すると,その磁界に感応して起電力(N極の磁界が発生すると+電位が生じ,S極の磁界が発生すると-電位が生じる)を発生する」(段落【0021】)ことを考慮すると,第1実施例の「一方のホールIC31に対して他方のホールIC32の出力は,エンジンのアイドリング位置からスロットル弁2の全開方向に向けて逆方向に傾斜する出力となる」(段落【0041】)ことは,ホールIC31とホールIC32との感面の向きが磁界の方向に対し逆方向となるように配置されていることの結果であると理解できる。
上記(a)(b)からみて,本件特許の請求項1の「前記複数の磁気検出素子は,並列に180度逆方向で配置されて3つの端子は前記磁気検出素子の同一面より引き出され」とは,2つの磁気検出素子の下面(磁気検出素子から端子を引き出す起点を有する面)が180度逆方向(磁界に対する感面が磁界に対して逆方向となる向き)で,2つの磁気検出素子の下面それぞれにおける3つの端子の起点が一列に並ぶように並べて配置することと解釈できる。

イ 「各磁気検出素子の同一位置に配置された端子毎に同じ方向へ引き出されて」の技術的意味について
平成17年4月20日付の意見書(甲9)に「次に,刊行物1(当審注:甲1)に記載の発明では,複数の磁気検出素子が直列に同方向で配置されていますが,図2の記載によれば,各磁気検出素子の端子は磁気検出素子毎に各々反対方向に引き出されている点が開示されているのみで,各磁気検出素子の同じ位置の端子が同じ位置の端子毎に同じ方向に引き出されている点は一切開示がありません。よって,刊行物1に記載の発明と本願発明とは全く異なるものであります。」(4頁9?13行)と記載されている。
第1実施例の記載及び上記意見書における主張を勘案すれば,「各磁気検出素子の同一位置に配置された端子毎に同じ方向へ引き出されて」とは,各磁気検出素子の同じ種類の端子は,異なる方向に引き出されるのではなく,同じ方向に引き出されること,つまり,本件特許の請求項1では,2つの磁気検出素子の「信号入力用の端子及び接地用の端子」が「端子毎に同じ方向へ引き出され」ていることを意味していると,解釈できる。

(10) 判断
ア 請求項1に係る発明は,甲1に記載の発明と実質的に同一であるか
上記相違点1?4は,形式的な相違点とはいえないから,本件発明との実質的な相違点である。
よって,本件発明は,29条1項3号に該当しない。

(請求人の主張について)
請求人は,概略,以下(ア)?(ウ)のとおり主張している。
(ア)本件訂正後の請求項1の「並列に180度逆方向で配置」することの定義が不明であるから,本件発明と引用発明とは実質的に相違しない旨主張している(審判請求書10頁下から4行?11頁2行,弁駁書6頁13?21行,口頭審理陳述要領書(請求人)5頁下から3行?6頁12行,弁駁書2の14頁9?22行)。
(イ)甲1における端子の引き出しは,「端子毎に同じ方向へ引き出されて」いる点で本件特許の図5?7の実施例と相違しないから,この点からも本件発明は,実質的に引用発明と相違しない旨主張している(審判請求書11頁6?15行,弁駁書1の7頁19?20行,弁駁書2の13頁21行?14頁4行)。
(ウ)本件発明の「3つの端子を有する磁気検出素子」と引用発明の「4つの端子を有するホール素子」とは,「3つの端子を有する磁界検出素子」の点で一致すると主張している(審判請求書9頁11?25行,弁駁書2の12頁7?24行)。

しかしながら,
(ア)について
本件特許明細書の記載より,本件特許の請求項1の「前記複数の磁気検出素子は,並列に180度逆方向で配置されて3つの端子は前記磁気検出素子の同一面より引き出され」の意味は,上記「(9)ア」のように解釈すべきであって,引用発明の2つの「ホール素子21,22」の配置(2個のホール素子21,22がロータ5の回転軸と直交する磁界を感磁して同レベルの検出信号が得られるように,各ホール素子21,22は,永久磁石15の中空部内にて,ロータ5の回転軸に沿った面に並行で,しかも回転軸を中心に対称な位置に配設される)が,本件特許の請求項1の「並列に180度逆方向で配置」に該当しないことは明らかである。
よって,請求人の主張は「並列に180度逆方向で配置」するとの要件に関する独自の解釈に基づく主張であって,理由がない。

(イ)について
端子の本数はともかくとして,甲1における端子の引き出しが,「端子毎に同じ方向へ引き出されて」いる点で本件特許の図5?7の実施例と相違しないとしても,このことから直ちに上記相違点1?4が実質的な相違でなくなるものではない。

(ウ)について
素子について「3つの端子を有し」と規定した場合には,素子の端子数は3つであると解するのが自然である。また,本件特許の請求項1において,外部接続端子の数については「少なくとも4つの」と記載される一方で,磁気検出素子の端子については「3つの」と区別して記載されている。このことからも,本件発明の磁気検出素子の端子の数を「少なくとも3つ」と解することはできない。よって,引用発明の4つの端子を有するホール素子は,本件発明の,3つの端子を有する磁気検出素子に該当しない。
よって,請求人の主張は採用できない。

イ 請求項1に係る発明は,甲1に記載の発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるか
上記相違点1?4は,本件発明との実質的な相違点であって,上記相違点1?4が,甲1に記載の発明に基づいて当業者が容易になし得たものと認めるに足る根拠は見出せない。
よって,本件発明は,甲1に記載の発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。

ウ 請求項1に係る発明は,甲1及び甲2に記載の発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるか
まず,甲2発明と本件発明を対比すると,
甲2発明における「一対のホールIC」が,本件発明の「複数の磁気検出素子」に相当する。
次に,甲2発明における「一対のホールIC」は,「磁石の回転角に応じたオンオフを出力する,電磁変換素子」を構成するものであって,「同様の構造を有する」ものであるから,本件発明の「被検出物の回転角度を検出し同じ配列の3つの端子を有し且つ同形状を有する複数の磁気検出素子」に相当する。
次に,甲2発明における「ホールIC4,5の電源の正及び負の入力端が各々共通に接続され」る「リードフレーム3及び1」が,本件発明の「外部接続端子のうち電源電圧を印加する信号入力用端子及び接地端子」に相当する。
次に,甲2発明において「ホールIC4,5の電源の正及び負の入力端が各々共通に接続されてリードフレーム3及び1に接続され,ホールIC4,5の出力トランジスタ4e,5eのコレクタ端が共通にリードフレーム2に接続されて」いるから,「リードフレーム3及び1」に「ホールIC4,5の電源の正及び負の入力端」を「ワイヤボンディング」により接続するための「ワイヤ」が,本件発明の「磁気検出素子の3つの端子」のうち「電源電圧を印加する信号入力用」,及び「接地用の端子」に相当する。
同様に,「リードフレーム2」に「ホールIC4,5の出力トランジスタ4e,5eのコレクタ端」を「ワイヤボンディング」により接続するための「ワイヤ」が,本件発明の「磁気検出素子の3つの端子」のうち「信号出力用」の「端子」に相当する。
また,甲2発明において「ホールIC4,5」は「同様の構造を有する」ものであるから,甲2の第1図より,「ホールIC4,5」の「3つの端子」を「夫々リードフレーム1?3にワイヤボンディング」により接続するための「ワイヤ」が「ホールIC4,5」の同一面より引き出されていることは明らかである。よって,甲2発明において「同様の構造を有する」「ホールIC4,5」の「3つの端子」が「夫々リードフレーム1?3にワイヤボンディング」により接続するための「ワイヤ」によって引き出されていることが,本件発明の「3つの端子は前記磁気検出素子の同一面より引き出され」ていることに相当するといえる。

そこで「(8) 対比」の相違点1?4について検討する。
(ア)甲2発明では,「一対のホールICが夫々取り付け方向を反転させて」リードフレーム1のベース1aの両面に取り付けられているものの,ホールIC3の3つの端子を有する面と,ホールIC4の3つの端子を有する面は,それぞれリードフレーム1のベース1aの表面側と裏面側にあるから,ホールIC4,5のワイヤボンディングによるワイヤが接続される3つの端子は,横一列に並ぶように並べて配置されていない。
よって,甲2発明は,本件発明の「前記複数の磁気検出素子は,並列に180度逆方向で配置され」との要件を備えていない。
(イ)甲2発明は,「磁石のN極とS極とを表面又は裏面のいずれかのホールICによって検出し,N極とS極との双方に対して感度を持ち,磁石の回転角に応じたオンオフを出力する,電磁変換素子」とするために,「ホールIC4,5の出力トランジスタ4e,5eのコレクタ端が共通にリードフレーム2に接続されて」いる。つまり,一対のホールICの出力を共通接続して検出出力とするようにしている。
よって,甲2発明は,本件発明の「磁気検出素子の出力を外部に取り出」す「2つ」の外部接続端子を備えていない。
(ウ)甲2発明は「ホールIC4,5の電源の正及び負の入力端が各々共通に接続されてリードフレーム3及び1に接続され」るものであるが,甲2の第1図を見る限り,リードフレーム1に接続される「ワイヤ」は,「ホールIC4,5」から,上下別々の方向へ引き出されている。
よって,甲2発明は,本件発明の「前記複数の磁気検出素子が夫々有する前記3つの端子の内の各磁気検出素子の同一位置に配置された端子の少なくとも2つの同一位置に配置された各端子であって前記信号入力用及び前記接地用の端子は各磁気検出素子の同一位置に配置された端子毎に同じ方向へ引き出されて前記外部接続端子のうち電源電圧を印加する信号入力用端子及び接地端子と接続されている」との要件を備えていない。
以上(ア)?(ウ)のとおりであるから,引用発明と甲2発明とが「磁気検出素子を用いた検知技術」という同じ技術分野に属するとしても,故障診断のために2つの素子を設けた(二重化)引用発明に,両方向(N極及びS極)を検出することを目的として一対のホールICの出力を共通接続して検出出力とするようにした甲2発明を適用すべき理由はなく,また仮に引用発明に甲2発明を適用しても,本件発明の相違点3に係る「前記複数の磁気検出素子は,並列に180度逆方向で配置されて」との要件及び相違点4に係る「前記信号入力用及び前記接地用の端子は各磁気検出素子の同一位置に配置された端子毎に同じ方向へ引き出されて前記外部接続端子のうち電源電圧を印加する信号入力用端子及び接地端子と接続されている」との要件が導かれることにはならない。
よって,本件発明は,甲1及び甲2に記載の発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものではない。

(請求人の主張について)
請求人は,概略,以下のとおり主張している。
甲2には,本件発明の構成要件Dに対応する構成が開示されている。すなわち,本件特許(甲12)と甲2とは,2つの磁気検出素子を並列に180度逆方向に配置している点で同じであり,また,各磁気検出素子の信号入力用及び接地用のリード線(端子)を,信号入力用および接地用の外部端子(リードフレーム)に共通接続している点でも同じである。したがって,引用発明において,ホール素子21,22に代えて甲2発明のホールIC4,5を用い,2つのホールIC4,5の配置と端子の引き出し方法にこの甲2に開示された技術を適用すれば,本件発明のすべての要件が得られる。なお,この場合,甲2発明の磁気検出素子はホールICであるから,引用発明のプリント基板,センサ回路,ターミナル等は不要となって,本件第1実施例と同じになる。そして,引用発明と甲2発明は,磁気検出素子を用いた検知技術である点で技術分野が共通するから,本件発明は,甲1と甲2とに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである旨,主張している(審判請求書16頁5行?17頁8行,弁駁書1の6頁13行?7頁4行,口頭審理陳述要領書(請求人)6頁13?19行,弁駁書2の18頁7行?19頁17行)。

しかしながら,「前記複数の磁気検出素子は,並列に180度逆方向で配置されて3つの端子は前記磁気検出素子の同一面より引き出され」及び「各磁気検出素子の同一位置に配置された端子毎に同じ方向へ引き出されて」の技術的意味は上記(9)ア及びイのとおりであるから,引用発明に甲2発明を適用しても,本件発明の要件が得られないことは上述のとおりである。
また,引用発明は,故障診断のために2つの素子を設けた(二重化した)ものである。引用発明のホール素子を甲2に記載のホールICに置き換えたのでは,一対のホールICの出力が共通接続された検出出力が得られることになり,故障診断のために二重化した引用発明の目的課題を達成し得ないことになる。よって引用発明のホール素子21,22に代えて甲2発明のホールIC4,5を用いることは,当業者が容易に想到し得ないことである。
よって,請求人の主張は採用できない。

エ 請求項1に係る発明は,甲1及び周知慣用技術(甲5及び6)に基づいて,当業者が容易に発明できたものか
甲5及び6には,「2つのトランジスタが並列に互いに逆向きで配置され,両トランジスタのエミッタ端子(リード線)が,端子板のピンに共通して接続された,配線構造。」が記載されている。
しかし,引用発明の「ホール素子21,22」は「ロータ5の回転軸と直交する磁界を感磁して」,「検出信号」を得る素子であるから,ロータ5の回転に伴う磁石からの磁界の変化を精度良く検出できるよう,磁気検出素子の配置に関しては,その向き(感磁面の方向)が重要な要素となっていることは明らかである。
素子の向きが問題とならないトランジスタについて,2つのトランジスタを互いに並列に逆向きで配置し,両トランジスタのエミッタ端子(リード線)を,端子板のピンに共通して接続する配線構造が周知慣用技術(甲5及び6)であったとしても,このことから直ちに,甲1の「ロータ5の回転軸と直交する磁界を感磁して同レベルの検出信号が得られるように,各ホール素子21,22は,永久磁石15の中空部内にて,ロータ5の回転軸に沿った面に並行で,しかも回転軸を中心に対称な位置に配設される」,「2個のホール素子21,22」の配置を,本件発明のように「並列に180度逆方向で配置」するように変更することが当業者にとって容易になし得たものであるということはできない。
また,引用発明に甲5及び6に記載の周知慣用技術を適用しても,上記相違点1?4が解消することにもならない。
よって,本件発明は,甲1及び周知慣用技術(甲5及び6)に基づいて,当業者が容易に発明できたものではない。

(請求人の主張について)
請求人は,概略,以下のとおり主張している。
2つの素子を並列に180度逆向きに配置し,その結果隣り合った端子を共通の外部接端子と接続することは,甲5及び6に示すように,周知慣用技術である。したがって,この周知慣用技術を甲1に適用して,甲1の2つのホール素子21,22を甲5及び6のトランジスタ素子のごとく並列に180度逆方向に配置し,甲1の図8に示すように,2つの素子21,22で共用されるようになっている電源電圧Vcc供給用の外部接続端子24c,接地Gnd用の外部接続端子24dに対して,各素子21,22の信号入力端子,接地用端子を端子毎に共通に接続するようにすれば,本件発明の構成Dと同じ構成が得られる(審判請求書14頁10?18行,弁駁書1の7頁下から2行?8頁4行,口頭審理陳述要領書(請求人)7頁4?7行,弁駁書2の19頁21行?20頁末行)。

しかしながら,引用発明のホール素子21の4つの端子(リード)がホール素子21用センサ回路50に接続され,ホール素子22の4つの端子(リード)がホール素子22用センサ回路60に接続されているのは,引用発明がホール素子21用センサ回路50とホール素子22用センサ回路60とを独立して形成し,Vccライン及びGndラインをプリント基板27上で回路素子に接続される前に2つに分割し,各センサ回路50,60に個別に電源供給することで故障診断機能を持たせるためである(甲1の段落【0020】?【0021】,及び【0028】?【0029】)から,引用発明のホール素子21,22について,同一位置に配置された端子を,端子毎に同じ方向に引き出して共通の外部接続端子と接続すること,すなわち,配線の共通化は,引用発明において,ホール素子21,22の4本の端子と4個のターミナル24との間にホール素子21用センサ50,ホール素子22用センサ60が独立して介在している点を見落としているばかりでなく,引用発明の技術的特徴である上記故障診断機能とも相容れないことである。
よって,請求人の主張は採用できない。

オ 請求項1に係る発明は,甲1に記載の発明,甲2に記載の発明及び周知慣用技術(甲5及び6)に基づいて,当業者が容易に発明できたものか
上記ウ及びエの判断を総合して検討しても,請求項1に係る発明は,甲1に記載の発明,甲2に記載の発明及び周知慣用技術(甲5及び6)に基づいて,当業者が容易に発明できたものとはいえない。

カ 請求項1に係る発明は,甲1に記載の発明及び周知慣用技術(甲2?6)に基づいて,当業者が容易に発明できたものか
(ア)請求項1に係る発明は,甲1に記載の発明及び甲2に記載された周知慣用技術に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるか
前記「ウ」で述べたとおり,引用発明に甲2に記載された周知慣用技術を適用すべき理由はなく,仮に適用したとしても,相違点3,4が解消することにはならない。

(イ)請求項1に係る発明は,甲1発明及び甲3に記載された周知慣用技術(以下「甲3記載技術」という。)に基づいて,当業者が容易に発明できたものか
まず,甲3記載技術と本件発明とを対比すると,甲3記載技術の「二つのホール素子12,13(31,32)」が本件発明の「複数の磁気検出素子」に相当する。また,甲3記載技術において「ホール素子12,13(31,32)はそれぞれ通常の構成のホール素子であ」るから,同一の部品と考えるのが自然である。よって,甲3記載技術における「それぞれ逆方向の磁束を検知しうるように」,「互いに並んで接触するように逆向きに配設され」ることが,本件発明の「複数の磁気検出素子は,並列に180度逆方向で配置され」ることに相当する。
次に,甲3記載技術の「ホール素子12,13(31,32)」の「定電圧回路16に接続され」る端子,接地端子(甲3の図2の回路図より明らか)及び「出力端子12a,13a」が,本件発明の「磁気検出素子の3つの端子」である,「電源電圧を印加する信号入力用,信号出力用,及び接地用の端子」に相当する。
次に,甲3記載技術の「ホール素子12,13(31,32)」の接地端子が「GND端子」に接続されていることは,甲3の図2の電気的構成から明らかであるから,甲3記載技術の「GND端子」が,本件発明の「磁気検出素子を外部に接地するため」の「外部接続端子」に相当する。

しかしながら,
a 甲3には,「ホール素子12,13(31,32)」の「定電圧回路16に接続され」る端子,接地端子(甲3の図2の回路図より明らか)及び「出力端子12a,13a」の「3つの端子」の形状やその引き出し面,引き出し方についての具体的記載がない。
よって,甲3の記載からは,「ホール素子12,13(31,32)」自体を「どちら向きの磁束であっても,何れか一方のホール素子がこの磁束を感知しうる」(甲3の段落【0027】)ように,「並列に180度逆方向で配置」することが読み取れるに過ぎない。
b さらに,甲3記載技術が,「ホール素子12,13」を「互いに並んで接触するように逆向きに配設」するのは「ホール素子12,13」が「それぞれ逆方向の磁束を検知しうるように」するためであって,甲3記載技術の「二つのホール素子12,13(31,32)」が,「マグネット等の磁束を検出したときに,その感知信号」は,「出力端子12a,13aから一つに纏めて出力」され,「表示灯としてのLED1aが点灯すると共に,二つのスイッチングトランジスタ17b,17cを介して,検出信号を出力端子Voutから出力」するものである。
これに対して,引用発明は,「2つの検出信号V1,V2を・・・比較することにより,スロットルポジションセンサの故障診断を確実に行なう」(甲1の段落【0028】)ことを課題とし,そのために「2個のホール素子21,22がロータ5の回転軸と直交する磁界を感磁して同レベルの検出信号が得られるように」しているのであるから,引用発明に,両方向(N極及びS極)を検出することを目的とする甲3記載技術を適用する理由が存在しない。さらに,引用発明の「ホール素子21,22」の配置を,甲3記載技術のように,「それぞれ逆方向の磁束を検知しうるように」,「互いに並んで接触するように逆向きに配設」したのでは,ホール素子21とホール素子22とで,ロータ回転角θ(deg)に対するホール素子出力VH(mV)(甲1の図7)が正負反対の値となってしまい,甲1の課題である「スロットルポジションセンサの故障診断を確実に行う」こととは相容れない変更となってしまうことは明らかである。
よって,相違点3について,引用発明に甲3記載技術を適用する動機付けがなく,相違点3は当業者が容易になし得たことではない。
c また,甲3記載技術は,「センサ回路15は,二つのホール素子12,13が,それぞれ定電圧回路16からの定電圧を駆動電圧として印加されるとともに,マグネット等の磁束を検出したときに,その感知信号を出力端子12a,13aから一つに纏めて出力し」,「無接点型磁気スイッチは,Vcc(+),出力端子Vout及びGND端子を有し,Vcc(+)は電源回路としての定電圧回路16に接続され,二つのホール素子12,13の出力端子12a,13aからの感知信号に基づいて,表示灯としてのLED1aが点灯すると共に,二つのスイッチングトランジスタ17b,17cを介して,検出信号を出力端子Voutから出力」するものであって,甲3記載技術のVcc(+)は,本件発明の「磁気検出素子に電源電圧を外部から印加」する「外部接続端子」ではなく,また,甲3記載技術の「出力端子Vout」は,1つであって,「二つのホール素子12,13(31,32)」の「感知信号を出力端子12a,13aから一つに纏めて出力」し,「表示灯としてのLED1aが点灯すると共に,二つのスイッチングトランジスタ17b,17cを介して,検出信号を出力端子Voutから出力」するものであるから,甲3記載技術は,本件発明の「磁気検出素子の出力を外部に取り出」す「2つ」の「外部接続端子」を備えていない。
よって,引用発明に甲3記載技術を適用しても,相違点1,2及び4が解消することにはならない。

(ウ)請求項1に係る発明は,甲1に記載の発明及び甲4に記載された周知慣用技術(以下,「甲4記載技術」という。)に基づいて,当業者が容易に発明できたものか
甲4記載技術と本件発明とを対比すると,甲4記載技術の「磁気センサ28a,28b」の夫々の「パッケージ」から突出して配置される「入,出力端子40b,40c」及び「アース用グランド端子40a」は,本件発明の「磁気検出素子の3つの端子」である「電源電圧を印加する信号入力用,信号出力用,及び接地用の端子」に相当する。
しかし,甲4記載技術の「磁気センサ28a,28b」の配置は,「各々の検知部Sのオフセット方向が永久磁石25の移動方向xと一致し,かつ検知部Sが相手側寄りに位置するように配置し,各センサ28a,28bのグランド端子40aのパッド41を共通化した」ものであって,「各磁気センサ28a,28b」の「アース用グランド端子40aは,パッケージの一方の側から突出して」「相手側寄り」に引き出されて「パッド41」に「共通」に接続され,これに対し,「各磁気センサ28a,28b」の「入,出力端子40b,40c」は,「相手側寄り」とは反対の側から突出して配置されるものである。
よって,甲4記載技術の「磁気センサ28a,28b」の夫々の「パッケージ」の配置は,「磁気センサ28a,28b」の夫々の「パッケージ」から突出して配置される「入,出力端子40b,40c」及び「アース用グランド端子40a」の起点が一列に並ぶものではなく,又感磁面が磁界に対して180度逆方向となるものでもないから,本件発明の「並列に180度逆方向で配置」とは異なるものである。
よって,引用発明に甲4記載技術を適用しても,相違点1?4が解消することにはならない。

(エ)請求項1に係る発明は,甲1に記載の発明及び甲5及び6に記載された周知慣用技術に基づいて,当業者が容易に発明できたものか
既に前記「エ」にて述べたとおり,請求項1に係る発明は,甲1に記載の発明及び甲5及び6に記載された周知慣用技術に基づいて,当業者が容易に発明できたものではない。

(オ)また,上記(ア)?(エ)の対比・判断を総合して検討しても,請求項1に係る発明は,甲1に記載の発明及び周知慣用技術(甲2?6)に基づいて,当業者が容易に発明できたものではない。

(請求人の主張について)
請求人は,概略,以下(ア)?(エ)のとおり主張している。
(ア)甲3の段落【0024】及び【0027】,並びに,図4には,ホール素子12,13について,訂正後本件明細書の第1実施例の磁気検出素子31,32の配置と同じ磁気検出素子の配置が開示されている。甲3には,また,図1に「互いに逆向きに背中合わせ」,図6に「互いに背中合わせで水平」となる配置例が記載されていることから,2つの磁気検出素子をどのように配置するかは設計的事項である旨主張している(審判請求書第13頁6?19行,弁駁書2の21頁19行?22頁6行)。
(イ)引用発明のホール素子21,22に代えて甲2発明のホールIC4,5を用いて2つのホールICを並列に180度逆方向にする配置し,甲2発明のリードフレーム2,1に対するホールIC4,5の信号入力用及び接地用の端子(リード線)の引き出し方法とその接続に,甲5及び6の周知慣用技術を適用すれば,第1実施例と同じ構成となる旨主張している(弁駁書2の21頁2?9行)。
(ウ)仮に,「並列に180度逆方向」が本件特許の図6のような配置をいうのだとしても,この配置と全く同じ配置が甲3の2つのホール素子31,32の配置関係を記す図4に明確に開示されており,甲5及び6にも一般技術として記載されており周知慣用技術である(審判請求書13頁6?19行,14頁10?18行,弁駁書1の7頁下から2行?8頁4行,口頭審理陳述要領書(請求人)6頁20行?7頁7行,弁駁書2の21頁14行?22頁6行,19頁21行?20頁末行)。
(エ)同一位置に配置された端子を,端子毎に同じ方向に引き出して共通の外部接続端子と接続すること,すなわち,配線の共通化は,甲4(図10,段落【0044】の7?9行),甲5(121頁の部品組み付け図),甲6(115頁の部品組み付け図)に示すように周知慣用技術である(審判請求書13頁下から6行?14頁23行,弁駁書1の8頁2?4行,弁駁書2の22頁14?20行)旨主張している。

しかしながら,引用発明の「ホール素子21,22」は「ロータ5の回転軸と直交する磁界を感磁して」,「検出信号」を得る素子であるから,ロータ5の回転に伴う磁石からの磁界の変化を精度良く検出できるよう,磁気検出素子の配置に関しては,その向き(感磁面の方向)が重要な要素となっていることは明らかである。
そして,引用発明に甲3記載技術を適用する動機付けがないことは,上記「カ」「(イ)」「b」で述べたとおりである。甲3に「訂正後本件明細書の第1実施例の磁気検出素子31,32の配置と同じ磁気検出素子の配置」や「互いに逆向きに背中合わせ」,「互いに背中合わせで水平」といった配置例が記載されているからといって,これらの配置例のみをもって,引用発明のホール素子21,22の配置を「訂正後本件明細書の第1実施例の磁気検出素子31,32の配置と同じ磁気検出素子の配置」に変更することが容易であるとはいえない。
また,上記「カ」「(イ)」「c」で述べたとおり,仮に,甲3の「訂正後本件明細書の第1実施例の磁気検出素子31,32の配置と同じ磁気検出素子の配置」を引用発明のホール素子21,22の配置に用いたとしても,上記相違点1,2,4が当業者にとって容易なし得ることにはならない。
次に,引用発明と甲2発明とを組み合わせることが当業者といえども困難であることは,既に,前記「ウ 請求項1に係る発明は,甲1及び甲2に記載の発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるか」において述べたとおりである。また,甲2のホールIC4,5は,「ホールIC4,5の電源の正及び負の入力端」ばかりでなく,「ホールIC4,5の出力トランジスタ4e,5eのコレクタ端」もリードフレーム3に共通に接続されているのであるから,これに甲5及び6の周知慣用技術を適用しても,本件特許明細書に記載された第1実施例と同じ構成にはならないことは明らかである。
さらに,同一位置に配置された端子を,端子毎に同じ方向に引き出して共通の外部接続端子と接続すること,すなわち,配線の共通化が周知慣用技術だとしても,引用発明に該周知慣用技術を直ちには適用できないこと,適用したとしても,本件発明の構成が得られないことは,既に,前記「エ 請求項1に係る発明は,甲1及び周知慣用技術(甲5及び6)に基づいて,当業者が容易に発明できたものか」において述べたとおりである。
よって,請求人の主張は採用できない。

(11) まとめ
以上のとおり,(A)本件発明と甲1号証に記載された発明(引用発明)には,前記相違点1?4が存在する,(B)引用発明は,4端子のホール素子及び信号処理回路を前提とする発明であるから,この構成を,本件発明のように3端子のホールICに置き換えることは想定されていない,(C)引用発明のホール素子は1個で既に両方向(N極及びS極)の磁界を検出できるように構成されているから,両方向(N極及びS極)を検出することを目的として素子を2つ設けた甲2発明及び甲3発明と組み合わせる理由が存在しない,(D)引用発明のホール素子は,磁界に対して「同方向」であり,素子の向きが問題となる引用発明のホール素子において,これを「逆方向」とする動機づけがない,(E)引用発明のホール素子は,「直列」であり,これを「並列」とする動機づけがない,(F)引用発明はホール素子及び信号処理回路の二重化を目的とする発明であるから,素子の端子を共通接続する甲5発明及び甲6発明を適用する理由がない(阻害要因がある)。
したがって,(1)本件発明は,甲1に記載の発明と実質的に同一であるとはいえず,(2)本件発明は,甲1に記載の発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるともいえず,(3)本件発明は,甲1に記載の発明及び甲2に記載の発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるともいえず,(4)本件発明は,甲1に記載の発明及び周知慣用技術(甲5及び6)に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるともいえず,(5)本件発明は,甲1に記載の発明,甲2に記載の発明及び周知慣用技術(甲5及び6)に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるともいえず,(6)本件発明は,甲1に記載の発明及び周知慣用技術(甲2?6)に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるともいえない。

第7 むすび
本件特許は,特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対して特許されたものであるとはいえず,同条4項に規定する要件を満たしてない特許出願に対して特許されたものであるともいえず,本件特許は,特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものであるとはいえず,本件発明は,特許法29条1項3号に該当するものであるとはいえず,また,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるともいえない。
したがって,本件特許は,請求人が主張する無効理由1?3によって無効とすることはできない。
また,本件審判に関する費用については,特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により,請求人の負担とする。

よって,結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
回転角検出装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検出物の回転角度を検出する非接触式の磁気検出素子をロータコアに設けられた磁石に対向して配置した回転角度検出装置に関するもので、例えば自動車の回転弁の回転角度を検出するホール素子、ホールIC等の非接触式の磁気検出素子を備えた回転角度検出装置に係わる。
【背景技術】
【0002】
従来より、スロットル弁等の回転弁の回転角度を検出するスロットルポジションセンサとしては、特開昭62-182449号公報および特開平2-130403号公報に開示された構造のものがある。先ず、特開昭62-182449号公報で開示されたスロットルポジションセンサは、スロットル弁のシャフトの先端に可変抵抗体部を有する絶縁基板が固定されてスロットル弁のシャフトの回転に伴ってシャフトと一体的に回転し、センサケース側に固定された固定端子と接触することで、外部へ出力するものである(第1従来例)。
【0003】
また、特開平2-130403号公報で開示されたスロットルポジションセンサは、スロットル弁のシャフトの先端に磁界発生源である永久磁石とヨークを保持部材を介して固定してスロットル弁のシャフトと一体的に回転するように構成され、スロットル弁のシャフトの回転角度を検出するホール素子と信号処理回路部は基板に配置され、リードフレームを介してコネクタに接続され、外部へ出力するものである(第2従来例)。
【特許文献1】特開昭62-182449号公報
【特許文献2】特開平2-130403号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、第1従来例のスロットルポジションセンサのセンサケース側には、樹脂一体成形等で配設された入出力用のコネクタピンと樹脂成形後に何らかの機械的手段で固定された固定端子とが設けられているが、上記の絶縁基板との組み付けに関し、センサケース側に特別な工夫を施した構成を有していない。これにより、センサケース側の固定端子とスロットル弁のシャフトと一体的に回転する絶縁基板との位置関係がズレ易く、スロットル弁の開度の検出精度が低下するという問題があった。
【0005】
一方、第2従来例のスロットルポジションセンサにおいて、基板、リードフレーム、コネクタ等の電気部品は樹脂による一体成形でモジュール化され、スロットルボディにねじ固定される。このとき、スロットルボディ側にはモジュールの収容部の取り付け精度を上げるための機械加工が成されている。このような組み付けでは、スロットル弁のシャフトのスラストガタの影響が残るという問題や、種々の部品組み付けに先立つ加工の精度や加工工数が必要となるという問題がある。
【0006】
ここで、ホール素子等の磁気検出素子と永久磁石を用いて被検出物の回転角度を検出する回転角度検出装置が知られている。この回転角度検出装置の構成部品であるステータコアについて、磁気回路の効率アップを図る上で、ステータコア間を磁気的に遮断し、且つ一定幅の磁気検出ギャップを規制するために、ステータコアが2分割されてステータコア間を樹脂製のスペーサにより固定するか、あるいは樹脂のインサート成形により固定する方法がとられている。
【0007】
また、ステータコアと他の部品との結合(固定)を行うためには、磁気回路上不要となる部分についても、磁性材料(磁気回路部と同一材料)にて形成することが必要となる。これらのステータコアの構造では、部品点数が増えコストアップにつながる上、磁気回路上重要となる複数のステータコア間やロータコアとの位置精度(エアギャップ等)を高精度に確保することが困難となると共に、磁気回路の効率を低下させる原因となるという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、磁気検出素子および外部接続端子の組み付けを簡単にすることのできる回転角度検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、磁石の磁力を受けて被検出物の回転角度を検出し同じ配列の3つの端子を有し且つ同形状を有する磁気検出素子の3つの端子は、電源電圧を印加する信号入力用、信号出力用、及び接地用の端子であり、複数の磁気検出素子を、並列に180度逆方向で配置されて、3つの端子は磁気検出素子の同一面より引き出され、複数の磁気検出素子が夫々有する3つの端子の内の各磁気検出素子の同一位置に配置された端子の少なくとも2つの同一位置に配置された各端子であって信号入力用及び接地用の端子は各磁気検出素子の同一位置に配置された端子毎に同じ方向へ引き出されて外部接続端子のうち電源電圧を印加する信号入力用端子及び接地端子と接続することにより、外部接続端子を含めた磁気検出素子の組み付けが簡単になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
〔第一実施例の構成〕
発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。図1ないし図7は本発明の第1実施例を示したもので、図1は回転角度検出装置の主要構成を示した図で、図2は内燃機関用吸気制御装置を示した図で、図3および図4はセンサカバーを示した図である。
【0011】
本実施例の内燃機関用吸気制御装置は、内燃機関(エンジン)への吸気通路を形成するスロットルボディ(本発明のハウジングに相当する)1と、このスロットルボディ1内に回動自在に支持されたスロットル弁(スロットルバルブ)2と、このスロットル弁2のシャフト部であるスロットルバルブシャフト(以下シャフトと略す)3と、シャフト3を回転駆動するアクチュエータ4と、このアクチュエータ4を電子制御するエンジン制御装置(以下ECUと呼ぶ)とを備えている。
【0012】
そして、内燃機関用吸気制御装置は、自動車のアクセルペダル(図示せず)の踏み加減に基づいてエンジンに流入する吸入空気量を制御することでエンジンの回転速度をコントロールするものである。なお、ECUには、アクセルペダルの踏み加減を電気信号(アクセル開度信号)に変換し、ECUへどれだけアクセルペダルが踏み込まれているかを出力するアクセル開度センサが接続されている。また、内燃機関用吸気制御装置は、スロットル弁2の開度を電気信号(スロットル開度信号)に変換し、ECUへどれだけスロットル弁2が開いているかを出力する回転角度検出装置5を備えている。
【0013】
スロットルボディ1は、アルミニウムダイカスト製でスロットル弁2を収容保持する装置本体ハウジングである。そして、スロットルボディ1は、エンジンのインテークマニホールドにボルト等の締結具を用いて固定されている。このスロットルボディ1には、シャフト3の一端部をボールベアリング(ころがり玉軸受:本発明の軸受部に相当する)11を介して回転自在に支持するベアリングホルダ12と、シャフト3の他端部をスラストベアリング(プレーンメタル軸受:本発明の軸受部に相当する)13を介して回転自在に支持するベアリングホルダ14と、モータ9を収容するモータ収容部15とを有している。
【0014】
スロットル弁2は、本発明の被検出物(回転体)に相当するもので、エンジンに吸入される空気量をコントロールするバタフライ形の回転弁で、シャフト3の外周にねじ等の締結具を用いて固定されている。本実施例のスロットル弁2は、略円板形状に形成されている。
【0015】
シャフト3は、被検出物(回転体)のシャフト部に相当するものである。このシャフト3の一端部には、樹脂ギヤ16をインサート成形したロータコア17がかしめ等の手段を用いて固定されている。そして、ロータコア17の外周には、スロットル弁2およびそのシャフト3をエンジンがアイドル回転速度の時の初期位置に戻すためのコイル状のリターンスプリング19が装着されている。
【0016】
アクチュエータ4は、ECUにより電子制御されるモータ9と、このモータ9の出力軸の外周に固定されたピニオンギヤ20と、このピニオンギヤ20と噛み合って回転する中間減速ギヤ21と、この中間減速ギヤ21と噛み合って回転する前述した樹脂ギヤ16とを有し、スロットル弁2およびそのシャフト3を回転駆動する被検出物駆動手段である。
【0017】
モータ9は、センサカバー7内に埋設されて位置決め保持されたモータ用通電端子22、このモータ用通電端子22に一体的に接続されて、センサカバー7内よりモータ9側に突出したモータ接続端子23、およびこのモータ接続端子23に着脱自在に接続するモータ給電端子24を介して通電されて作動する駆動源である。また、ピニオンギヤ20は、樹脂により一体成形され、モータ9の出力軸に着脱自在に固定されて、出力軸と一体的に回転する円筒ウォームである。
【0018】
中間減速ギヤ21は、樹脂により一体成形され、回転中心を成す固定軸25の外周に回転自在に嵌め合わされて、一端部の外周に一体的に設けられた大径ギヤ26、および他端部の外周に一体的に設けられた小径ギヤ27等から構成されている。なお、大径ギヤ26は、円筒ウォームホイールである。
【0019】
回転角度検出装置5は、所謂スロットルポジションセンサで、磁界発生源である円筒形状の永久磁石6と、樹脂成形品(センサカバー)7側に一体的に配置された2個のホールIC31、32と、これらのホールIC31、32と外部のECUとを電気的に接続するための導電性金属薄板よりなるリードフレーム(複数のターミナル)33と、2個のホールIC31、32への磁束を集中させる鉄系の金属(磁性材料)よりなる2分割されたステータコア34とから構成されている。
【0020】
永久磁石6は、スロットル弁2およびそのシャフト3と一体的に回転する鉄系の金属(磁性材料)製のロータコア17の内周面に接着剤等を用いて固定され、あるいは樹脂と一体モールドにより固定され、回転角度検出装置5の磁気回路に磁束を与える部品である。本実施例の永久磁石6は、着磁方向が径方向(内周側がN極、外周側がS極)の半円弧形状の磁石部分と、着磁方向が径方向(内周側がS極、外周側がN極)の半円弧形状の磁石部分とから構成されている。なお、ロータコア17には、シャフト3に対してアイドルリング位置に取り付けるための位置決め用孔18が開設されている。
【0021】
2個のホールIC31、32は、本発明の非接触式の磁気検出素子に相当するもので、永久磁石6の内周側に対向して配置され、感面にN極またはS極の磁界が発生すると、その磁界に感応して起電力(N極の磁界が発生すると+電位が生じ、S極の磁界が発生すると-電位が生じる)を発生するように設けられている。本実施例では、図5および図6に示したように、2個のホールIC31、32を並列に180度逆方向で配置している。
【0022】
リードフレーム33は、図5および図6に示したように、コネクトホルダー35およびセンサカバー7内に埋設されて位置決め保持されており、導電性金属(銅板等)よりなり、信号入力(VDD)用端子40、2枚の信号出力(OUT1、OUT2)用端子41、42および接地(GND)用端子43等から構成されている。信号入力用端子40は、電源電圧(例えば5Vのバッテリ電圧)を2個のホールIC61、62にそれぞれ印加する導電板である。
【0023】
また、信号出力用端子41、42は、本発明の外部接続端子に相当するもので、2個のホールIC31、32の出力、つまりスロットル弁2の開度(スロットル開度)信号を取り出すための導電板である。なお、信号入力用端子40、信号出力用端子41、42および接地用端子43は、各端子間の距離を所定の間隔に保つように複数の連結片44、45を有し、これらの連結片44、45は、2次成形前に切断される。なお、2個のホールIC31、32のリード線(リードワイヤ)36、37とリードフレーム33との接続部分は、PBT等の熱可塑性樹脂よりなるコネクトホルダー(第1樹脂成形品:1次成形品)35により被覆されている。
【0024】
ステータコア34の中央部には、平行磁場を形成するための一定幅の磁気検出ギャップが直径方向に貫通するように形成され、具体的には、ステータコア34が一定幅の磁気検出ギャップを形成するように2分割されて磁気検出ギャップの幅がコネクトホルダー35によって規制され、その磁気検出ギャップに2個のホールIC31、32が配置されている。
【0025】
そして、2分割されたステータコア34は、コネクトホルダー35の外周にそれぞれ嵌め合わされて固定されている。ステータコア34には、2個のホールIC31、32との間に例えば0.2mmのクリアランスを確保するための溝部38、およびコネクトホルダー35の外周に嵌合される嵌合部39が設けられている。なお、コネクトホルダー35は、2分割されたステータコア34間に磁気検出ギャップの幅を形成するための樹脂製のスペーサを構成する。
【0026】
センサカバー7は、図2に示したように、スロットルボディ1の開口側を閉塞すると共に、軽量で製造容易、且つ安価で、回転角度検出装置5の各端子間を電気的に絶縁するPBT等の熱可塑性樹脂よりなる樹脂成形品(第2樹脂成形品:2次成形品)が採用されている。このセンサカバー7は、スロットルボディ1の開口側に設けられた凸状部46に嵌め合わされる凹状部47を有し、図示しないクリップによってスロットルボディ1と締結により組み付けられている。
【0027】
したがって、凸状部46と凹状部47とを嵌合するようにスロットルボディ1とセンサカバー7とを組み付けることにより、センサカバー7側に配置固定された2個のホールIC31、32とスロットルボディ1に回転自在に支持されるシャフト3と一体的に回転するロータコア17の内周に配置固定された永久磁石6との位置関係のズレを解消できる。
【0028】
そして、センサカバー7の側面には、コネクタ49が一体的に設けられている。そのコネクタ49は、センサカバー7の側面に一体成形された絶縁樹脂製のコネクタシェル50、リードフレーム33の信号入力用端子40、信号出力用端子41、42および接地用端子43の先端部(コネクタピンを構成する)51?54、およびモータ9のモータ用通電端子22の先端部(コネクタピンを構成する)55、56等から構成されている。
【0029】
〔第1実施例の組付方法〕次に、本実施例の回転角度検出装置5の組付方法を図1ないし図7に基づいて簡単に説明する。ここで、図5は2個のホールICとリードフレームを示した図で、図6は2個のホールICとリードフレームとの接続部分を示した図で、図7(a)は2個のホールICとリードフレームを示した図で、図7(b)は1次樹脂成形品を示した図で、図7(c)はステータコアを示した図である。
【0030】
導電性金属薄板をプレス成形することによって所定の形状のリードフレーム33を形成する。そして、図5および図7(a)に示したように、2個のホールIC31、32のリード線36、37と信号入力用端子40、信号出力用端子41、42および接地用端子43とを電気的に接続する。
【0031】
そして、図7(b)に示したように、2個のホールIC31、32のリード線36、37、信号入力用端子40、信号出力用端子41、42および接地用端子43よりなる電気配線部品の一部(接続部分)を、例えばPBT樹脂による一体成形(射出成形)によって一体化する(1次成形工程)。このとき、2個のホールIC31、32は、第1樹脂成形品(コネクトホルダー)35の図示上端面より感面を露出するように突出した状態で第1樹脂成形品35に保持されている。これにより、第1樹脂成形品35に、2個のホールIC31、32およびリードフレーム33が一体化される。
【0032】
そして、図7(c)に示した2分割されたステータコア34を第1樹脂成形品35の外周にそれぞれ嵌め合わせて固定する(組付工程)。このとき、2個のホールIC31、32は、2分割されたステータコア34によって囲まれるように覆われている。これにより、第1樹脂成形品35に、ステータコア34が固定され、2個のホールIC31、32との間に例えば0.2mmのクリアランスが確保される。
【0033】
そして、図1に示したように、2個のホールIC31、32のリード線36、37、信号入力用端子40、信号出力用端子41、42および接地用端子43、ステータコア34、モータ用通電端子22を、例えばPBT樹脂による一体成形(射出成形)によって一体化する(2次成形工程)。これにより、第2樹脂成形品(センサカバー)7に、2個のホールIC31、32、リードフレーム33、ステータコア34およびモータ用通電端子22が一体化(モジュール化)される。
【0034】
〔第1実施例の作用〕
次に、本実施例の内燃機関用吸気制御装置の作用を図1および図2に基づいて簡単に説明する。
【0035】
運転者がアクセルペダルを踏み込むと、アクセル開度センサよりアクセル開度信号がECUに入力される。そして、ECUによってスロットル弁2が所定の開度となるようにモータ9が通電されて、モータ9の出力軸が回転する。そして、出力軸が回転することによりピニオンギヤ20が回転して中間減速ギヤ21の大径ギヤ26にトルクが伝達される。
【0036】
そして、大径ギヤ26の回転に伴って小径ギヤ27が回転すると、小径ギヤ27と噛み合う樹脂ギヤ16が回転する。これにより、樹脂ギヤ16をインサート成形したロータコア17が回転するので、シャフト3が所定の回転角度だけ回転し、スロットルボディ1に形成されるエンジンへの吸気通路内においてスロットル弁2が所定の回転角度に保持される。
【0037】
一方、回転角度検出装置5は、ロータコア17と一体的に回転する永久磁石6の位置を2個のホールIC31、32によって検出して、信号出力用端子41、42を介してECUにスロットル開度信号を送る。このスロットル開度信号によってECUはどれだけ燃料を噴射するかを判断する。
【0038】
〔第1実施例の効果〕
以上のように、スロットル弁2へ直接組み付ける構成の回転角度検出装置5においては、2個のホールIC31、32とリードフレーム33の信号入力用端子40、信号出力用端子41、42および接地用端子43との配置構成と樹脂成形を行う1次成形工程、その後のステータコア34の配置構成(組付工程)と、第2樹脂成形品(センサカバー)7との樹脂成形を行う2次成形工程の各成形工程で、2個のホールIC31、32に樹脂成形時や組み付け時の熱や力(成形圧等)を加えないようにすることができると共に、2個のホールIC31、32の配置位置を高精度に確保することができる。
【0039】
それによって、2個のホールIC31、32、リードフレーム33、ステータコア34、モータ用通電端子22を樹脂一体成形によって一体化してなるセンサカバー7を、スロットル弁2へ組み付けた際に、スロットル弁2のシャフト3側に固定された永久磁石6とセンサカバー7側に一体化された2個のホールIC31、32との間のギャップを容易に確保することができる。また、2個のホールIC31、32と永久磁石6との位置関係のズレを防ぐことで、スロットル弁2の開度を高精度に検出することができる。
【0040】
また、本実施例のスロットル弁2へ直接組み付ける構成の回転角度検出装置5では、図5および図6に示したように、2個のホールIC31、32を、並列に180度逆方向で配置することにより、リードフレーム33を含めた2個のホールIC31、32の組み付けが簡単になる。
【0041】
なお、一方のホールIC31に対して他方のホールIC32の出力は、エンジンのアイドリング位置からスロットル弁2の全開方向に向けて逆方向に傾斜する出力となるが、ECU側でトリミングするか、ホールIC自体に書き込みを行ってトリミングすることにより、2個の磁気検出素子の出力信号をエンジンのアイドリング位置からスロットル弁2の全開方向に向けて右上がりに傾斜する信号とすることができる。
【0042】
ここで、2個のホールIC31、32を使用する理由は、一方のホールICが故障しても他方のホールICによりスロットル開度を検出できるようにするためと、一方のホールICの誤作動を検出できるようにするためである。
〔第2実施例〕
【0043】
図8は本発明の第2実施例を示したもので、2個のホールICとリードフレームとの接続部分を示した図である。
【0044】
本実施例では、2個のホールIC31、32を、直列に同方向で配置することにより、リードフレーム33を含めた2個のホールIC31、32の組み付けが簡単になる。
〔第3実施例〕
【0045】
図9ないし図12は本発明の第3実施例を示したもので、図9は回転角度検出装置の主要構成を示した図で、図10は内燃機関用吸気制御装置を示した図で、図11は2個のホールICおよび4個のチップコンデンサとリードフレームとの接続部分を示した図である。
【0046】
本実施例の内燃機関用吸気制御装置は、第1実施例と同様にして、エンジンへの吸気通路を形成するスロットルボディ1と、このスロットルボディ1内に回動自在に支持されたスロットル弁2と、このスロットル弁2のシャフト3を回転駆動するアクチュエータ4と、このアクチュエータ4を電子制御するエンジン制御装置(以下ECUと呼ぶ)とを備えている。
【0047】
回転角度検出装置5は、本発明のターミナル装置に相当するもので、磁界発生源である円筒形状の永久磁石6と、樹脂成形品(センサカバー)7側に一体的に配置された2個のホールIC61、62と、これらのホールIC61、62と外部のECUとを電気的に接続するための導電性金属薄板よりなるリードフレーム(複数のターミナル)63と、2個のホールIC61、62への磁束を集中させる鉄系の金属(磁性材料)よりなる分割型のステータコア64とから構成されている。
【0048】
2個のホールIC61、62は、本発明の電気部品、非接触式の磁気検出素子に相当するもので、図11に示したように、永久磁石6の内周側に対向して配置されて、第1実施例のホールIC31、32と同様に作動し、それぞれ3種類のリード線61a?61c、62a?62cがリードフレーム63側に取り出されている。なお、リード線61a、62aは、2個のホールIC61、62の入力端子で、リード線61b、62bは、2個のホールIC61、62の出力端子で、リード線61c、62cは、2個のホールIC61、62の接地端子である。
【0049】
リードフレーム63は、コネクトホルダー65およびセンサカバー7内に埋設されて位置決め保持されており、信号入力(VDD)用端子70、2枚の信号出力(OUT1、OUT2)用端子71、72、2枚の接地(GND)用端子73、74、および4個のチップコンデンサ75?78等から構成されている。
【0050】
このリードフレーム63は、2個のホールIC61、62のリード線61a?61c、62a?62cの先端部をスポット溶接することにより電気的に接続している。そして、リードフレーム63の両端面には、銀(Ag)メッキが施されている。なお、銀メッキは、4個のチップコンデンサ75?78の端子部が接続する側のリードフレーム63の片端面に施されていても良く、あるいは4個のチップコンデンサ75?78の端子部が接続する部位のみの一部に施されていても良い。
【0051】
信号入力用端子70は、本発明の外部接続端子に相当するもので、導電性金属(銅板等)よりなり、電源電圧(例えば5Vのバッテリ電圧)を2個のホールIC61、62にそれぞれ印加する導電板である。また、2枚の信号出力用端子71、72は、本発明の外部接続端子に相当するもので、導電性金属(銅板等)よりなり、2個のホールIC61、62の出力信号、すなわち、スロットル弁2の開度(スロットル開度)信号を外部に取り出すための導電板である。さらに、2枚の接地用端子73、74は、導電性金属(銅板等)よりなり、2個のホールIC61、62の接地用端子(リード線)61c、62cをボデーアース部に取り出すための導電板である。
【0052】
4個のチップコンデンサ75?78は、剥き出しの状態でリードフレーム63の片端面に接着剤を用いて電気的に接続されている。これらのチップコンデンサ75?78は、自車のAM・FMラジオやトランシーバ、パーソナル無線機等、他車や一般家庭のテレビ等に影響を与える電波ノイズ(障害電波、雑音電波)の発生を防止すると共に、安定した出力を取り出すようにするためのEMC(電磁環境悪化防止:Electro Magnetic Compatibility)用コンデンサで、且つEMI(電磁波障害:Electro Magnetic Interference)対策用コンデンサである。
【0053】
2個のチップコンデンサ75、76は、図11に示したように、2枚の信号出力用端子71、72と2枚の接地用端子73、74との間にそれぞれ接続されている。また、2個のチップコンデンサ77、78は、図11に示したように、1枚の信号入力用端子70と2枚の接地用端子73、74との間に接続されている。
【0054】
そして、各チップコンデンサ75?78の両端子部の表面は、例えば銀(Ag)-鉛(Pd)合金にて表面処理されている。そして、各チップコンデンサ75?78の両端子部と信号入力用端子70、信号出力用端子71、72および接地用端子73、74とは、例えば銀(Ag)ペーストよりなる接着剤を用いて電気的に接続されている。
【0055】
なお、2個のホールIC61、62のリード線61a?61c、62a?62cと信号入力用端子70、2枚の信号出力用端子71、72、2枚の接地用端子73、74との接続部分、および4個のチップコンデンサ75?78の端子部とそれらの端子との接続部分は、紫外線硬化の樹脂(例えばエポキシ系樹脂:脂低成形圧樹脂)よりなるコネクトホルダー(樹脂成形品、第1樹脂成形品:1次成形品)65により被覆されている。
【0056】
2分割されたステータコア64は、第1実施例と同様にして、コネクトホルダー65の外周にそれぞれ嵌め合わされて固定されている。ステータコア64には、2個のホールIC61、62との間にクリアランスを確保するための溝部68、およびコネクトホルダー65の外周に嵌合される嵌合部69が設けられている。
【0057】
〔第3実施例の組付方法〕
次に、本実施例の回転角度検出装置5の組付方法を図9ないし図12に基づいて簡単に説明する。ここで、図12(a)は2個のホールICとリードフレームを示した図で、図12(b)は1次樹脂成形品を示した図で、図12(c)はステータコアを示した図である。
【0058】
導電性金属薄板をプレス成形することによって所定の形状のリードフレーム63を形成し、リードフレーム63の両端面または片端面に銀メッキを施す。そして、図11および図12(a)に示したように、2個のホールIC61、62のリード線61a?61c、62a?62cと信号入力用端子70、信号出力用端子71、72および接地用端子73、74の先端部(図11おいて図示上端部)とを、例えばスポット溶接等の接合手段を用いて電気的に接続する。
【0059】
そして、各チップコンデンサ75?78の両端子部を銀-鉛合金にて表面処理した後に、2枚の信号出力用端子71、72と2枚の接地用端子73、74との間にそれぞれ掛け渡すように2個のチップコンデンサ75、76を、銀ペーストよりなる接着剤を用いて電気的に接続する。また、1枚の信号入力用端子70と2枚の接地用端子73、74との間にそれぞれ掛け渡すように2個のチップコンデンサ77、78を、銀ペーストよりなる接着剤を用いて電気的に接続する。これにより、各チップコンデンサ75?78をリードフレーム63に剥き出しで接合することができる。
【0060】
そして、図12(b)に示したように、2個のホールIC61、62のリード線61a?61c、62a?62c、信号入力用端子70、信号出力用端子71、72、接地用端子73、74およびチップコンデンサ75?78よりなる電気配線部品の一部(接続部分)を、例えばエポキシ系樹脂による一体成形(低圧成形)によって一体化する(1次成形工程)。これにより、第1樹脂成形品65に、2個のホールIC61、62およびリードフレーム63が一体化される。
【0061】
そして、図12(c)に示した2分割されたステータコア64を第1樹脂成形品65の外周にそれぞれ嵌め合わせて固定する(組付工程)。これにより、第1樹脂成形品65に、ステータコア64が固定され、2個のホールIC61、62との間に所定のクリアランスが確保される。
【0062】
そして、図9に示したように、2個のホールIC61、62のリード線61a?61c、62a?62c、信号入力用端子70、信号出力用端子71、72および接地用端子73、74、チップコンデンサ75?78、ステータコア64、モータ用通電端子22を、例えばPBT樹脂による一体成形(射出成形)によって一体化する(2次成形工程)。これにより、第2樹脂成形品(センサカバー)7に、2個のホールIC61、62、リードフレーム63、ステータコア64およびモータ用通電端子22が一体化(モジュール化)される。
【0063】
〔第3実施例の効果〕
以上のように、スロットル弁2へ直接組み付ける構成の回転角度検出装置5においては、2個のホールIC61、62とリードフレーム63との配置構成と射出成形よりも成形圧が低圧の樹脂一体成形を行う1次成形工程、その後のステータコア34の配置構成(組付工程)と、第2樹脂成形品(センサカバー)7との射出成形(樹脂一体成形)を行う2次成形工程の各成形工程で、2個のホールIC61、62に樹脂成形時や組み付け時の熱や力(成形圧等)を加えないようにすることができると共に、2個のホールIC61、62の配置位置を高精度に確保することができる。それによって、第1実施例と同様な効果を達成することができる。
【0064】
本実施例では、1次成形工程時に射出成形よりも成形圧が低圧の樹脂一体成形を行っているので、4個のチップコンデンサ75?78に高圧の成形圧を加えることなく、1次成形工程を行うことができる。これにより、4個のチップコンデンサ75?78がリードフレーム63から剥がれ出すことを防止することができる。また、本実施例では、1次成形工程時に射出成形よりも成形圧が低圧の樹脂一体成形を行っているので、2次成形工程時の射出成形に耐え得る1次成形を行うことができる。
【0065】
本実施例では、1次成形工程にて例えばエポキシ系樹脂による成形圧が低圧の樹脂一体成形を用いたが、比較的にチップコンデンサ75?78に変形を与えないようにしてチップコンデンサ75?78の回りを保護するような樹脂成形が望ましい。また、1次成形工程が低圧成形のため、2個のホールIC61、62のリード線取出し部までをエポキシ系樹脂(コネクトホルダー65)により覆うことができる。この場合には、第1実施例よりも防水性を向上することができる。
【0066】
本実施例では、リードフレーム63の両端面または片端面に銀メッキを施し、チップコンデンサ75?78の端子部を銀-鉛合金により表面処理し、銀ペーストよりなる接着剤を用いてチップコンデンサ75?78の端子部をリードフレーム63に電気的に接続することにより、1次成形工程時に熱が加わる等して仮に接着剤、表面処理剤、銀メッキ等が酸化しても、両者の接合手段として高温の熱が加わると溶け出してしまう半田材を用いた場合と比較してチップコンデンサ75?78とリードフレーム63との接続強度や導電率が低下することはない。これにより、安定した電源電圧を2個のホールIC61、62に供給できると共に、安定した出力を2個のホールIC61、62から取り出すことができる。
〔第4実施例〕
【0067】
図13ないし図17は本発明の第4実施例を示したもので、図13はロータコア、永久磁石、2分割されたステータコアの配置関係を示した図で、図14は回転角度検出装置の主要構成を示した図である。
【0068】
本実施例の回転角度検出装置は、スロットルボディに一体的に設けられたハウジング90と、このハウジング90の図示右端の開口部分を閉塞するためのセンサカバー(第2樹脂成形品)92と、スロットルバルブ(図示せず)等の被検出物の回転軸93の回転に伴って回転する円筒カップ形状のロータコア94と、センサカバー92側に一体的に配設された複数個の磁気検出素子である2個のホールIC95と、ロータコア94と磁気回路を形成する2分割された円柱状のステータコア100と、各ホールIC95のリード線(リードワイヤ)96と外部のECU(図示せず)とを電気的に接続するための導電性金属薄板よりなるリードフレーム(外部接続端子)97とから構成されている。
【0069】
回転角度検出装置のハウジング90は、スロットルバルブ等の被検出物の回転軸93が軸受(ボールベアリング)98を介して回動自在に支持している。この回転軸93の先端部には、鉄系金属等の磁性材料で形成されたロータコア94がかしめ等により固定されている。このロータコア94の内周側には、ステータコア100が同軸状に配置されている。
【0070】
また、ロータコア94のうち径方向に対向する位置に形成された2個の切欠き部84には、それぞれ永久磁石99が1個ずつ嵌め込まれて接着剤等の接合手段を用いて固定されている。2個の永久磁石99は、同じ極性の磁極をロータコア94の半円弧部分を介して磁気的に対向させることで、2個の永久磁石99の磁界がロータコア94の内部で互いに反発し合うように配置されている。
【0071】
ロータコア94の内周面は、各永久磁石99の近傍部分を除いて、ステータコア100の外周面に微小なエアギャップを介して対向している。これにより、図13に矢印で示したように、各永久磁石99のN極から出た磁束がロータコア94の内部を経由してステータコア100を通過し、ロータコア94の内部を経由して各永久磁石99のS極に戻る。さらに、ロータコア94の内周側のうちの各永久磁石99の近傍部分には、各永久磁石99の両極とステータコア100との間の磁束の短絡を防止するための空隙89が形成されている。
【0072】
センサカバー92は、PBT等の熱可塑性樹脂よりなる樹脂成形品(第2樹脂成形品:2次成形品)が採用されて、PBT等の熱可塑性樹脂製のスペーサ(第1樹脂成形品:1次成形品)91と共に、各ホールIC95のリード線96およびリードフレーム97を保持している。なお、センサカバー92の図示上端部には、リードフレーム91の先端部と外部のECUに接続するワイヤーハーネスのコネクタを電気的に結合するためのコネクタ87が一体的に形成されている。
【0073】
次に、本実施例の2分割されたステータコア100の構造を図13ないし図17に基づいて簡単に説明する。ここで、図15は2分割されたステータコアを示した図で、図16は2分割されたステータコアの結合構造を示した図である。
【0074】
本実施例のステータコア100の中央部には、平行磁場を形成するための一定幅の磁気検出ギャップ81が直径方向に貫通するように形成され、具体的には、ステータコア100が一定幅の磁気検出ギャップ81を形成するように2分割されている。
【0075】
そして、2分割されたステータコア100は、略半円板形状の磁性プレート110を板厚方向に複数積層して圧入または接着により一体化された略半円柱形状の第1ステータコア部(第1積層コア部)101、略半円板形状の磁性プレート120を板厚方向に複数積層して圧入または接着により一体化された略半円柱形状の第2ステータコア部(第2積層コア部)102、および第1、第2ステータコア部101、102の一端部を圧入または接着等により結合する円板形状の非磁性プレート130によって構成されている。なお、第1、第2ステータコア部101、102は、磁性プレート110、120を複数積層した積層体としているが、鉄系金属材料を鋳造成形することにより一体部品としても良い。
【0076】
ここで、各磁性プレート110、120は、本発明の磁性材料に相当するもので、鉄系金属板、珪素鋼板が使用されている。また、非磁性プレート130は、本発明の非磁性材料に相当するもので、PBT、PPS、ナイロン等の非磁性樹脂板、エポキシ系樹脂、ステンレス鋼、真鍮、アルミニウム等の非磁性金属板が使用される。また、図16に示したように、磁性プレート110、120には、位置決めを行うための1個または複数個の凸部111、121と1個または複数個の凹部112、122とが設けられ、非磁性プレート130には、複数個の貫通孔131が設けられている。
【0077】
そして、非磁性プレート130の表面上に磁性プレート110、120を重ね合わせて、非磁性プレート130の貫通孔131内に1枚目の磁性プレート110、120の凸部111、121を嵌め合わせ、次に、1枚目の磁性プレート110、120の表面上に2枚目の磁性プレート110、120を重ね合わせて、1枚目の磁性プレート110、120の凹部112、122内に2枚目の磁性プレート110、120の凸部111、121を嵌め合わせる。
【0078】
この嵌合作業を順次行って、最後にパンチ等を凹部112、122に入れて加圧することで、凸部111、121を凹部112、122に圧入して、板厚方向に複数の磁性プレート110、120を積層すると共に、これらの一端部に非磁性プレート130を結合する。これにより、各磁性プレート110、120の芯出しを行うことで、それらの間に一定幅の磁気検出ギャップ81を確保しながら非磁性プレート130に簡単に積層配置することができる。
【0079】
したがって、本実施例のロータコア94と共に磁気回路を構成するステータコア100を、磁性プレート110、120と非磁性プレート130とを組み合わせることで、図17に示したように、樹脂製のセンサカバー92に樹脂製のスペーサ91を設けなくても、第1、第2ステータコア部101、102間を磁気的に遮断でき、且つ一定幅の磁気検出ギャップ81を確保できる。これにより、2分割されたステータコア100を1部品で構成できるので、部品点数を削減でき、コストダウンを図ることができる。また、樹脂製のスペーサ91を廃止できる。つまり、第1、第2実施例のように1次成形の後に2次成形を行ってセンサカバー7を構成したものと比較して、1次成形を廃止して、センサカバー92とステータコア100の一体成形を1回の樹脂成形で実現することができる。
【0080】
また、第1、第2ステータコア部101、102の一端部を非磁性プレート130によって結合して、第1、第2ステータコア部101、102間を磁気的に遮断することによって、第1、第2ステータコア部101、102間に一定幅の磁気検出ギャップ81を容易に確保することができる。これにより、第1、第2ステータコア部101、102間の位置精度(磁気検出ギャップ81)を高精度に確保することが非常に容易となる。また、第1、第2ステータコア部101、102の一端部を非磁性プレート130によって結合するだけで、磁気検出ギャップ81の幅を一定幅に保つことができるので、磁気回路の効率アップを図ることができる。
〔第5実施例〕
【0081】
図18ないし図20は本発明の第5実施例を示したもので、図18は2分割されたステータコアを示した図で、図19および図20は2分割されたステータコアの結合構造を示した図である。
【0082】
本実施例では、2分割されたステータコア100を、磁性プレート110を板厚方向に複数積層または焼結してなる第1ステータコア部101と、磁性プレート120を板厚方向に複数積層または焼結してなる第2ステータコア部102と、第1、第2ステータコア部101、102の一端部を結合する非磁性プレート130と、第1、第2ステータコア部101、102の他端部を結合する非磁性プレート(本発明の非磁性材料に相当する)140とから構成している。ここで、非磁性プレート130、140は、第1、第2ステータコア部101、102を結合することで磁気検出ギャップ81の幅を規制している。
【0083】
また、図19に示したように、磁性プレート110、120には、積層位置の位置決めを行うための複数個の貫通孔113、123が設けられ、非磁性プレート130には、複数個の貫通孔113、123とそれぞれ軸線上に形成される複数個の貫通孔133が設けられている。そして、非磁性プレート140には、板厚方向に複数積層された磁性プレート110、120の各貫通孔113、123および非磁性プレート130の各貫通孔133を貫通する複数個の支軸部143が設けられている。あるいは、図20に示したように、非磁性プレート140に形成した各貫通孔142、板厚方向に複数積層された磁性プレート110、120の各貫通孔113、123および非磁性プレート130の各貫通孔133を貫通する複数個の支軸部品(樹脂等の円柱形状の非磁性材料)170が設けられている。
【0084】
したがって、本実施例のステータコア100は、非磁性プレート140に一体成形された支軸部143、あるいは非磁性プレート140に対して別体で設けられた支軸部品170が複数の磁性プレート110、120および非磁性プレート130を貫通することで芯出しを実施できる。つまり複数の磁性プレート110、120が直径方向および周方向に位置決め固定される。
〔第6実施例〕
【0085】
図21は本発明の第6実施例を示したもので、2分割されたステータコアを示した図である。
【0086】
2分割されたステータコア100は、両端部が非磁性プレート130、140で結合された第1、第2ステータコア部101、102によって構成されている。そして、本実施例では、第1、第2ステータコア部101、102を、ロータコア94と共に磁気回路を構成する部分を各3枚の磁性プレート110、120で形成し、他の部分を4枚の非磁性プレート150と1枚の非磁性プレート160で形成して磁気回路の効率を向上している。
【0087】
なお、本実施例では、略円環板形状の非磁性プレート150よりも略円環板形状の非磁性プレート160の方が直径が小さくなるように形成されている。また、非磁性プレート130、150、160の中央部には、貫通孔136、156、166が形成されている。それらの貫通孔136、156、166は、第1、第2ステータコア部101、102間に配設される2個のホールIC95のリード線96を外部に取り出すための取出し孔である。
【0088】
〔変形例〕
本実施例では、非接触式の磁気検出素子としてホールIC31、32、61、62、95を使用した例を説明したが、非接触式の磁気検出素子としてホール素子または磁気抵抗素子等を使用しても良い。また、電気部品としてホールIC61、62等の磁気検出素子の他に、感温素子等の他の検出素子、モータ、発光体、発電体を用いても良い。
【0089】
本実施例では、樹脂成形品、第2樹脂成形品としてセンサカバー7を使用した例を説明したが、樹脂成形品、第2樹脂成形品として絶縁基板を使用しても良い。この場合には、磁気検出素子とターミナルとステータコアを第2樹脂成形品(絶縁基板)によって一体化してなるセンサユニットが形成される。
【0090】
本実施例では、本発明の回転角度検出装置を、スロットル弁2およびそのシャフト3の回転角度を検出するスロットルポジションセンサに適用した例を説明したが、本発明の回転角度検出装置を、車両用空調装置のエアミックスドアおよびそのシャフトの回転角度(開度)を検出するポテンショメータに適用しても良い。
【0091】
本実施例では、本発明をアクチュエータ4によりスロットル弁2およびそのシャフト3を回転駆動するようにした内燃機関用吸気制御装置に適用した例を説明したが、本発明をアクセルペダルの踏み込み量をワイヤーケーブルやアクセルレバーを介して機械的にスロットル弁2およびそのシャフト3に伝え、スロットル弁2およびそのシャフト3を作動させるようにした内燃機関用吸気制御装置に適用しても良い。
【0092】
第1実施例では、磁界発生源として円筒形状の永久磁石6を採用した例を説明したが、磁界発生源として分割型の永久磁石を採用しても良い。また、第4実施例では、磁界発生源として2個の永久磁石99を採用した例を説明したが、磁界発生源として円筒形状の永久磁石を採用しても良い。なお、第3実施例において、チップコンデンサ77、78のいずれか一方のコンデンサの静電容量を、2個のチップコンデンサ75、76の静電容量をAとした場合に2Aとすれば、チップコンデンサ77、78のいずれか一方を廃止できる。
【0093】
第3実施例では、リードフレーム63とチップコンデンサ75?78の接合手段として、銀(Ag)ペーストよりなる接着剤を使用した接着方法を用いたが、リードフレーム63とチップコンデンサ75?78の接合手段として、半田付けまたはろう付け等の接合方法を用いても良い。ろう材としては、銀ろう(銀-銅-亜鉛等の合金)が望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】回転角度検出装置の主要構成を示した断面図である(第1実施例)。
【図2】内燃機関用吸気制御装置を示した断面図である(第1実施例)。
【図3】センサカバーを示した正面図である(第1実施例)。
【図4】センサカバーを示した平面図である(第1実施例)。
【図5】2個のホールICとリードフレームを示した平面図である(第1実施例)。
【図6】2個のホールICとリードフレームとの接続部分を示した拡大図である(第1実施例)。
【図7】(a)は2個のホールICとリードフレームを示した側面図で、(b)は1次樹脂成形品を示した断面図で、(c)はステータコアを示した断面図である(第1実施例)。
【図8】2個のホールICとリードフレームとの接続部分を示した拡大図である(第2実施例)。
【図9】回転角度検出装置の主要構成を示した断面図である(第3実施例)。
【図10】内燃機関用吸気制御装置を示した断面図である(第3実施例)。
【図11】2個のホールICおよび4個のチップコンデンサとリードフレームとの接続部分を示した拡大図である(第3実施例)。
【図12】(a)は2個のホールICとリードフレームを示した側面図で、(b)は1次樹脂成形品を示した断面図で、(c)はステータコアを示した断面図である(第3実施例)。
【図13】ロータコア、永久磁石、2分割されたステータコアの配置関係を示した説明図である(第4実施例)。
【図14】回転角度検出装置の主要構成を示した断面図である(第4実施例)。
【図15】2分割されたステータコアを示した断面図である(第4実施例)。
【図16】2分割されたステータコアの結合構造を示した断面図である(第4実施例)。
【図17】回転角度検出装置の主要構成を示した断面図である(第4実施例)。
【図18】2分割されたステータコアを示した断面図である(第5実施例)。
【図19】2分割されたステータコアの結合構造を示した断面図である(第5実施例)。
【図20】2分割されたステータコアの結合構造を示した断面図である(第5実施例)。
【図21】2分割されたステータコアを示した断面図である(第6実施例)。
【符号の説明】
【0095】
1 スロットルボディ(ハウジング)
2 スロットル弁(被検出物)
3 シャフト
4 アクチュエータ
5 回転角度検出装置(ターミナル装置)
6 永久磁石
7 センサカバー(樹脂成形品、第2樹脂成形品)
9 モータ
11 ボールベアリング(軸受部)
13 スラストベアリング(軸受部)
17 ロータコア
31 ホールIC(非接触式の磁気検出素子)
32 ホールIC(非接触式の磁気検出素子)
33 リードフレーム
34 ステータコア
35 コネクトホルダー(第1樹脂成形品)
40 信号入力用端子(外部接続端子)
41 信号出力用端子(外部接続端子)
42 信号出力用端子(外部接続端子)
43 接地用端子(外部接続端子)
61 ホールIC(電気部品、非接触式の磁気検出素子)
62 ホールIC(電気部品、非接触式の磁気検出素子)
63 リードフレーム
64 ステータコア
65 コネクトホルダー(樹脂成形品、第1樹脂成形品)
70 信号入力用端子(外部接続端子)
71 信号出力用端子(外部接続端子)
72 信号出力用端子(外部接続端子)
73 接地用端子(外部接続端子)
74 接地用端子(外部接続端子)
75 チップコンデンサ
76 チップコンデンサ
77 チップコンデンサ
78 チップコンデンサ
81 磁気検出ギャップ
90 ハウジング
91 スペーサ(第1樹脂成形品)
92 センサカバー(第2樹脂成形品)
93 スロットル弁(被検出物)の回転軸
94 ロータコア
95 ホールIC(磁気検出素子)
96 リード線(リードワイヤ)
97 リードフレーム(外部接続端子)
99 永久磁石
100 ステータコア
101 第1ステータコア部
102 第2ステータコア部
110 磁性プレート(磁性材料)
113 貫通孔
120 磁性プレート(磁性材料)
123 貫通孔
130 非磁性プレート(非磁性材料)
133 貫通孔
140 非磁性プレート(非磁性材料)
142 貫通孔
143 支軸部
150 非磁性プレート(非磁性材料)
160 非磁性プレート(非磁性材料)
170 支軸部品
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石を有し、被検出物の回転に伴って回転するロータコアと、このロータコアの磁石の磁力を受けて前記被検出物の回転角度を検出し同じ配列の3つの端子を有し且つ同形状を有する複数の磁気検出素子と、2つは前記磁気検出素子の出力を外部に取り出し、また1つは前記磁気検出素子に電源電圧を外部から印加し、さらに1つは前記磁気検出素子を外部に接地するための、少なくとも4つの外部接続端子とを備えた非接触式の回転角度検出装置であって、前記磁気検出素子の3つの端子は、電源電圧を印加する信号入力用、信号出力用、及び接地用の端子であり、前記複数の磁気検出素子は、並列に180度逆方向で配置されて3つの端子は前記磁気検出素子の同一面より引き出され、前記複数の磁気検出素子が夫々有する前記3つの端子の内の各磁気検出素子の同一位置に配置された端子の少なくとも2つの同一位置に配置された各端子であって前記信号入力用及び前記接地用の端子は各磁気検出素子の同一位置に配置された端子毎に同じ方向へ引き出されて前記外部接続端子のうち電源電圧を印加する信号入力用端子及び接地端子と接続されていることを特徴とする回転角度検出装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2014-09-08 
結審通知日 2014-09-18 
審決日 2014-09-30 
出願番号 特願2003-273606(P2003-273606)
審決分類 P 1 113・ 113- YA (G01B)
P 1 113・ 537- YA (G01B)
P 1 113・ 561- YA (G01B)
P 1 113・ 121- YA (G01B)
P 1 113・ 536- YA (G01B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 飯野 茂  
特許庁審判長 清水 稔
特許庁審判官 樋口 信宏
新川 圭二
登録日 2006-08-25 
登録番号 特許第3843969号(P3843969)
発明の名称 回転角検出装置  
代理人 関 直方  
代理人 井口 亮祉  
代理人 坂田 洋一  
代理人 碓氷 裕彦  
代理人 佐久間 邦郎  
代理人 中村 広希  
代理人 南林 薫  
代理人 栗川 典幸  
代理人 井口 亮祉  
代理人 大須賀 晃  
代理人 中村 広希  
代理人 桂巻 徹  
代理人 小林 幸夫  
代理人 碓氷 裕彦  
代理人 小野 亨  
代理人 國分 孝悦  
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