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審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1308818
審判番号 不服2014-9427  
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-05-21 
確定日 2015-12-10 
事件の表示 特願2009- 82922号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成22年10月21日出願公開、特開2010-233669号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成21年3月30日の出願であって、平成25年4月19日付で拒絶の理由が通知され、平成25年6月28日付けで意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成26年2月17日付け(発送日:平成26年2月25日)で拒絶査定がなされ、これに対して、同年5月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、手続補正がなされたところ、平成27月5月11日付けで当審による拒絶の理由が通知され、これに対して、同年7月9日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明について
1 本願発明
本願の請求項1から5に係る発明は、平成27年7月9日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1から5に記載された事項により特定されるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりのものである。
「【請求項1】
遊技中に第1の抽選契機が発生すると、所定の内部抽選に必要な第1抽選要素を取得する第1抽選要素取得手段と、
前記第1抽選要素取得手段により取得された前記第1抽選要素を記憶する第1抽選要素記憶手段と、
遊技中に第2の抽選契機が発生すると、前記内部抽選に必要な第2抽選要素を取得する第2抽選要素取得手段と、
前記第2抽選要素取得手段により取得された前記第2抽選要素を記憶する第2抽選要素記憶手段と、
前記第1抽選要素又は前記第2抽選要素のいずれか一方だけが記憶されている場合、その記憶されている前記第1抽選要素又は前記第2抽選要素のいずれかを消費して前記内部抽選を実行する一方で、前記第1抽選要素及び前記第2抽選要素の両方が記憶されている場合、前記第1抽選要素よりも前記第2抽選要素を優先的に消費して前記内部抽選を実行する内部抽選実行手段と、
前記内部抽選実行手段により前記第1抽選要素を用いて前記内部抽選が実行されると、所定の変動時間にわたり第1図柄を変動表示させた後に前記第1図柄を停止表示させ、このときの停止表示態様を用いて前記内部抽選の結果を表出させる第1図柄表示手段と、
前記内部抽選実行手段により前記第2抽選要素を用いて前記内部抽選が実行されると、所定の変動時間にわたり第2図柄を変動表示させた後に前記第2図柄を停止表示させ、このときの停止表示態様を用いて前記内部抽選の結果を表出させる第2図柄表示手段と、
前記第1抽選要素又は前記第2抽選要素のいずれかを消費して行われた前記内部抽選の結果が当選に該当した結果、前記第1図柄表示手段により前記第1図柄が当選の態様で停止表示されるか、もしくは前記第2図柄表示手段により前記第2図柄が当選の態様で停止表示されるかのいずれか一方の条件が満たされると、特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
前記第1図柄表示手段による前記第1図柄の変動表示か、もしくは前記第2図柄表示手段による前記第2図柄の変動表示のいずれか一方に際して、少なくとも前記変動時間内に前記第1図柄又は前記第2図柄のいずれかの変動表示に対応させた変動表示演出を実行した後、その変動表示後の前記第1図柄又は前記第2図柄のいずれかの停止表示態様に対応させた結果表示演出を実行する図柄演出実行手段と、
前記第1抽選要素記憶手段により前記第1抽選要素が新たに記憶された場合、前記内部抽選実行手段により消費される前にその新たな前記第1抽選要素を用いて少なくとも前記内部抽選の結果を事前に判定する先判定手段と、
前記第1抽選要素記憶手段により新たに記憶された特定の前記第1抽選要素について前記先判定手段による事前の判定結果が特定の条件を満たす場合、その特定の前記第1抽選要素が前記内部抽選実行手段により消費されるまでの特定期間を利用して、少なくとも前記図柄演出実行手段により実行される前記変動表示演出に際して予め定められた進行態様に基づいて内容が変化することで基本となるストーリーが開始から完結に向かう過程を表す先判定演出を演出用の操作部材に対する操作入力を介することなく実行する先判定演出実行手段と、
前記特定期間内に前記第2抽選要素記憶手段により前記第2抽選要素が新たに記憶された場合、前記第2抽選要素を優先的に消費して行われる前記内部抽選について前記第2図柄表示手段により前記第2図柄が変動表示される際、前記先判定演出の進行態様に付加された進行態様に基づいて内容が変化することで前記基本となるストーリーが完結に向かうまでの途中の内容を補う内容の派生演出を、前記基本となるストーリーが完結に向かう過程の途中に実行する派生演出実行手段と
を備えた遊技機。」

2 先願発明
平成27年5月11日付けの当審による拒絶理由通知に引用された本願発明の出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた特許出願である特願2008-232013号(特開2010-63603号の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

(a)「【0006】
本願発明はそれらの問題に鑑み、連続予告演出中に優先変動を実施するもう一方の特別図柄に係る始動口に遊技球が入球した場合でも、遊技者が連続予告演出の中断を意識することなく期待感を継続して遊技することが可能な弾球遊技機を提供することを目的とする。」

(b)「【0034】
第1始動口31に遊技球が入球(第1特別図柄始動スイッチ31a(図2参照)にて遊技球を検出)すると、第1特別図柄表示装置29において第1特別図柄が変動を開始し、所定時間後に停止する。また、第2始動口32である普通電動役物40に入球(第2特別図柄始動スイッチ32a(図2参照)にて遊技球を検出)すると、第2特別図柄表示装置30において第2特別図柄が変動表示を開始し、所定時間後に停止する。
【0035】
第1特別図柄及び第2特別図柄の変動中は、窓部28aに配置された演出図柄表示装置54bにおいて各々の特別図柄の変動に連動した演出態様を表示する。また、第1特別図柄と第2特別図柄は、第1始動口と第2始動口への入球順に関係なく、第2特別図柄の変動停止を優先して実施する。具体的には、第1特別図柄の保留記憶がある場合、第2特別図柄の変動が停止し且つ第2特別図柄保留記憶が無い状態となって、第1特別図柄保留記憶分の変動を開始する。
【0036】
第1特別図柄及び第2特別図柄の態様に応じて後述する大入賞口ソレノイド33c(図2参照)を駆動させる。大入賞口ソレノイド33cを駆動させると、ほぼ同期して大入賞口ユニット33の扉部材が駆動して、大入賞口33aへの入球(カウントスイッチ33b(図2参照)での検出率)が可能となるように構成されている。」

(c)「【0039】
主制御装置50の出力端には、遊技盤中継端子板62を介して大入賞口33aの扉部材を駆動する大入賞口ソレノイド33cと、普通電動役物31の羽根部材を駆動する普通電役ソレノイド40bとが接続されており、図柄表示装置中継端子板64を介して第1特別図柄を表示する第1特別図柄表示装置29と、第1特別図柄の保留数を表示する第1特図保留数表示装置29aと、第2特別図柄を表示する第2特別図柄表示装置30と、第2特別図柄の保留数を表示する第2特図保留数表示装置30aと、普通図柄を表示する普通図柄表示装置41と、普通図柄の保留数を表示する普図保留数表示装置41aとが接続されており、裏配線中継端子板63及び外部接続端子板61を介して図示しないホールコンピュータ70と、が接続されている。」

(d)【0048】
本実施形態におけるパチンコ機は確率変動機として構成されている。具体的に説明すると、本実施形態のパチンコ機による遊技は、大入賞口33aを閉鎖した遊技と大入賞口33aを開放する大当たり遊技とに大別され、大入賞口33aを閉鎖した遊技には、大きく分類して、通常確率状態(以下、通常状態)と、該通常状態に比べて遊技者にとって有利な状態となる高確率状態(以下、確率変動状態)とが存在する。また通常状態は、第1特別図柄、第2特別図柄及び普通図柄の変動時間を短縮する時短状態を含む。」

(e)「【0053】
次に、主制御装置50が行う保留記憶処理について図3を用いて説明する。保留記憶処理は、本願発明における第1保留記憶手段と第2保留記憶手段と第1遊技実行条件成立時判定手段と連続報知演出許可手段とを含む処理となる。尚、メインルーチンとして行われる各処理は従来技術にそったものであるため、説明は割愛する。
【0054】
保留記憶処理が開始されると、第1始動口31に遊技球が入球(第1特別図柄始動スイッチ31aが遊技球を検知)したか否か判定する(S10)。肯定判定であれば(S10:YES)、主制御装置50に既に格納されている第1保留記憶数が最大値(本願発明では4個)未満であるか否か判定する(S11)。肯定判定であれば(S11:YES)、当否乱数等の各種乱数を抽出し第1保留記憶として主制御装置50の保留記憶数に応じた記憶領域に記憶する (S12)。この構成が第1保留記憶手段となる。
【0055】
続いて、確率変動フラグが0であるか否か判定する(S13)。確率変動フラグとは、主制御装置50にて記憶される値であり、確率変動フラグが0のときは、大当り確率が通常状態であることを、確率変動フラグが1のときは、確率変動状態であることを主制御装置50が判断するための値である。本願発明では、第1始動口31、第2始動口32及び普通図柄作動ゲート42への遊技球入球時に、取得した各種乱数を判定するのは大当り確率が通常状態時のみであるが、判定処理は確率変動状態時に同様に行う構成でもよい。
【0056】
S13が肯定判定(大当り確率が通常状態)であれば(S13:YES)、最も新しく記憶された第1保留記憶を読み出し、大当り判定用乱数が通常確率時の大当り判定用テーブル1と異なるか否か判定する(S14)。肯定判定(大当り値とは異なる)であれば(S14:YES)、リーチ決定用乱数が通常時にスーパーリーチとなる値か否か判定する(S15)。S15が肯定判定(スーパーリーチとなる)か(S15:YES)、S14が否定判定(大当り判定用乱数が大当り値と一致)であれば(S14:NO)、連続予告許可信号をサブ統合装置53に送信する(S16)。尚、連続予告許可信号の内容は、大当り判定に基づく許可なのか、スーパーリーチ判定に基づく許可なのかが判断できる構成となっている。上記構成が、本願発明における第1遊技実行条件成立時判定手段と、その判定手段に基づく連続報知演出許可手段となる。本実施例では、第1始動口入球時に取得した各種乱数の中で、大当りとスーパーリーチに係る乱数(大当り判定用とリーチ決定用)の判定を基に保留記憶処理時に連続予告許可信号を送信する構成としたが、同じタイミングで他の乱数(例えば確率変動乱数や大当り図柄決定用乱数や変動パターン選択用乱数)の判定、または他の複数の乱数の判定の組合せを基に送信する構成でもよい。
・・・
【0058】
尚、上記S12で抽出し記憶する乱数の種類には、大当り判定用乱数、確率変動乱数、リーチ決定用乱数、変動パターン選択用乱数及び大当り図柄決定用乱数等があり、各乱数とそれぞれの判定に用いるテーブル構成は従来技術にそったものである。また、第1始動口入球時に連続予告を許可するか否かを判定する専用の乱数を取得し記憶する構成としてもよく、それに合わせ連続予告許可テーブルを備える構成としてもよい。」

(f)「【0063】
図3に示す処理の説明に戻り、S17の処理が終わるか、S10で否定判定(S10:NO)か又はS11で否定判定(S11:NO)の場合、第2始動口32に遊技球が入球したか否か判定する(S18)。肯定判定であれば(S18:YES)、主制御装置50に既に格納されている第2保留記憶数が最大値(=4個)未満であるか否か判定する(S19)。肯定判定であれば(S19:YES)、当否乱数等の各種乱数(第1始動口入球時と同種)を抽出し第2保留記憶として主制御装置50の保留記憶数応じた記憶領域に記憶する (S20)。この構成が第2保留記憶手段となる。
【0064】
続いて、確率変動フラグが0であるか否か判定する(S21)。肯定判定であれば(S21:YES)、当否乱数等の各種乱数を抽出し、抽出された各種乱数の判定処理を行う(S22)。S22の処理の後か、S21が否定判定(確率変動状態)の場合(S21:NO)、第2特別図柄の保留記憶数を示す保留記憶数指示信号をサブ統合装置53に送信する(S23)。S23の処理が終わるか、S18で否定判定(S18:NO)か又はS19で否定判定(S19:NO)の場合、リターンとなる。」

(g)「【0065】
次に、サブ統合装置53(本願発明における演出制御装置)が実行する処理について説明する。図4に示す保留球数・連続予告処理では、主制御装置50から第1保留球数指示信号を受信したか否か判定する(S30)。肯定判定であれば(S30:YES)、第1保留球数カウンタの値に1を加え(S31)、1を加えた値に該当する表示態様を指定する信号を演出図柄制御装置54aに送信する(S32)。
・・・
【0067】
S34が肯定判定(連続予告未実施)であれば(S34:YES)、第1保留球数カウンタの値が4か否かを判定する(S35)。この判定処理が本願発明における所定条件判断手段となり、本実施例では第1保留球数が4個を所定条件とするが、この条件に限るものではない。肯定判定であれば(S35:YES)、連続予告許可信号が大当り判定に基づくものか否かを判定する(S36)。肯定判定であれば(S36:YES)、連続予告フラグの値に1をセットする(S36a)。S36が否定判定であれば(S36:NO)、連続予告フラグの値に2をセットする(S36b)。従ってサブ統合装置53は、主制御装置50から連続予告許可信号を受信した場合、その時点で連続予告が未実施であれば、第1特別図柄の保留球数が4個(当該「保留球数・連続予告」処理によって4個となる)であることを条件に、連続予告を実施することになる。」

(h)「【0081】
次に、第1特別図柄の連続予告演出で、演出図柄表示装置54bに表示される演出図柄態様について説明する。本実施例では、連続予告許可信号を受信した際、ほぼ同時に受信した第1保留球数指示信号を含め、第1特別図柄の保留球数が4個ある場合を条件に第1特別図柄の連続予告を開始する。従って連続予告は4回の第1特別図柄の変動が毎回行われることとなる。本実施例では、その4回の第1特別図柄の変動態様を所謂カウントダウン(大当りへの秒読み)形式の演出で表現している。
【0082】
図7に第1特別図柄の連続予告で、演出図柄表示装置54bに表示する1回目の変動から4回目の変動までの演出表示態様を示す。連続予告演出の1回目の変動の表示態様(図5のS47で選択される表示態様)では、画面中央上部に「4」の数字が大きく表示され、画面の左、中、右、に位置する演出図柄は「4」の前で変動表示を行う(「4」は演出図柄の背面に表示)。同様に2回目の変動の表示態様(図5のS49で選択される表示態様)では、画面中央上部に「3」が、3回目の変動の表示態様(図5のS51で選択される表示態様)では、画面中央上部に「2」が、4回目(最後)の変動の表示態様(図5のS53で選択される表示態様)では、画面中央上部に「1」が表示される。カウントダウンを表す図形の大きさ形状及び表示位置はこれに限るものではなく、表示中に動き(拡縮や移動等)のあるものでもよい。また、図形と文字を組み合わせたものでもよい。
【0083】
本実施例では、カウントダウン形式を用いて連続予告演出を行ったが、複数の特別図柄の変動に亘って継続性が認識可能な演出であればこれに限るものではなく、物語が継続して展開されるものでもよく、変動回数が進むに連れ、遊技者の期待感が徐々に上昇する演出構成が好適といえる。
【0084】
次に、連続予告演出実施中に第2始動口に入賞した場合に、演出図柄表示装置54bに表示される第2特別図柄の演出態様(本願発明における請求項3の遊技者に有利な結果となるか否かの期待度を報知する)について説明する。サブ統合装置53が受信した連続予告許可信号がスーパーリーチ判定に基づくものであった場合、図8の(1)信頼度1(2)信頼度2(3)信頼度3の破線中に示す態様のいずれかが、第2特別図柄変動指示コマンドに対応して選択される。(連続予告第2特図カウンタの値が1の場合、変動時間を大中小と区分し、大の場合は(3)を、中の場合は(2)を、小の場合は(1)を選択する。)尚、連続予告実施中の第2特別図柄変動指示コマンドの受信に起因してサブ統合装置53が独自に生成する乱数を用いて表示態様を選択する構成としてもよい。
・・・
【0086】
上記したように本実施例では、第1特別図柄の連続予告の大当り期待度を、☆の数又はその大きさの違いで表現し遊技者に報知する。従って、期待度の順は(5)プレミアム表示>(4)大当り>(3)信頼度3>(2)信頼度2>(1)信頼度1となる。信頼度の大小を伝える演出手段は、この表示態様に限るものではなく、文字、数字、図形、及びその組合せや、動き(画面上での変化)のある表示態様としても何ら問題ない(例えばパーセント表示やレベルメータ等)。また、本願発明の連続予告では図7で示したようにカウントダウンの演出態様を表示するが、連続予告中に第2始動口に入賞した場合、どのカウント中の入賞かによってカウントダウンの間(途中)の態様を表示(例えばカウントダウン「3」の表示とカウントダウン「2」の表示の間に第2特別図柄の変動を行う場合、その演出表示態様では「2.5」を表示する。)する演出としてもよい。同様に、連続予告中に物語等の進行を表示する場合は、その物語に関係するカットイン画面等を表示することにより継続性を保持するものでもよい。」

(i)「【0089】
次に、実施例2を説明する。本実施例ではパチンコ機を構成する部品とその電気的接続は実施例1と共通であり、特別に説明のない部分については共通内容であり重複する説明は割愛する。
【0090】
本実施例は、第1特別図柄の連続予告実施中(詳しくは連続予告を行う最後の第1特別図柄の変動が開始するまで)に第2始動口に遊技球が入球した場合、主制御装置50で行う特別図柄変動処理において、第1特別図柄の継続性を保持する専用の変動パターンテーブルから第2特別図柄の変動パターンを選択する構成となる。
【0091】
本実施例における保留記憶処理について、図9に示す保留記憶処理2を用いて説明する。(保留記憶処理2は、本願発明における第1保留記憶手段と第2保留記憶手段と第1遊技実行条件成立時判定手段と連続報知演出許可手段とを含む処理となる。)保留記憶処理2が開始されると、第1始動口31に遊技球が入球したか否か判定する(S70)。肯定判定であれば(S70:YES)、主制御装置50に既に格納されている第1保留記憶数が最大値(=4個)未満であるか否か判定する(S71)。肯定判定であれば(S71:YES)、当否乱数等の各種乱数を抽出し第1保留記憶として主制御装置50の保留記憶数に応じた記憶領域に記憶する (S72)。
【0092】
続いて、確率変動フラグが0であるか否か判定する(S73)。S73が肯定判定(大当り確率が通常状態)であれば(S73:YES)、最も新しく記憶された第1保留記憶を読み出し、大当り判定用乱数が通常確率時の大当り判定用テーブル1と異なるか否か判定する(S74)。肯定判定(大当り値とは異なる)であれば(S74:YES)、リーチ決定用乱数が通常時にスーパーリーチとなる値か否か判定する(S75)。」

(j)【0096】
続く、S81以降の図9に示す処理は、図3で説明したS18からS24の内容と同一のため説明は割愛する。尚、上記S72で抽出し記憶する乱数の種類は実施例1と同様であり、連続予告許可の判定も実施例1で記載した他の構成としてもよい。
【0097】
次に、サブ統合装置53が実行する処理について説明する。上記したように、本実施例では連続予告演出を行うか否かの条件判定(第1保留記憶数=4)を主制御装置50で実施する。従ってサブ統合装置53に送信する連続予告許可(実行)信号は、連続予告演出の実行を指示する信号となり、本実施例のサブ統合装置53が行う保留球数・連続予告処理2は、実施例1で図4のS35で説明した判定部を削除したものとなる。また、サブ統合装置53は、受信した連続予告許可(実行)信号の内容(大当り判定かスーパーリーチ判定か)によって、実施例1と同様に独自に連続予告フラグをセットする。演出図柄変動処理は実施例1の内容と同一となる。」

(k)「【0098】
次に、主制御装置が行う特別図柄変動処理について説明する。本実施例では、連続予告実施中(詳しくは連続予告に係る第1特別図柄の最後の変動が開始するまで)に第2始動口に入球すると、連続予告時専用の変動パターンテーブルから第2特別図柄の変動パターンを選択する処理を行う。この処理は、保留記憶処理2において、第1始動口入球時に取得した各種乱数の判定(大当り判定、リーチ判定)により連続予告の許可(実行)を指示する時点で設定した、主連続予告フラグの値(1)に従って行われる。また、連続予告が実行された場合、主連続予告フラグの値は連続予告に係る第1特別図柄の最後の変動が開始する時点で0(連続予告未実施を主制御装置50が判断する値)に設定される。
【0099】
図11に示す特別図柄変動処理を開始すると、第1特別図柄の変動が停止中か否かを判定する(S100)。肯定判定ならば(S100:YES)、第2特別図柄の変動が停止中か否かを判定する(S101)。肯定判定ならば(S101:YES)、確率変動フラグの値が0か否か判定する(S102)。確率変動フラグとは、主制御装置50にて記憶される値であり、確率変動フラグが0のときは、大当り確率が通常状態であることを、確率変動フラグが1のときは、確率変動状態であることを主制御装置50が判断するための値である。本実施例では通常状態において発明内容が実行されるため、確率変動フラグの値が0の場合に、以降の発明に係る処理を実施する。尚、確率変動フラグの値が1の場合は(S102:NO)、確率変動状態時の処理に進むが、従来技術と変わりないため説明は割愛する。
【0100】
S102が肯定判定ならば(S102:YES)、第2保留記憶が有るか否か判定する(S103)。肯定判定ならば(S103:YES)、第2保留記憶を読み出し保留記憶領域のシフト処理を行う(S104)。第2保留記憶が複数個ある場合には、格納されてから最も時間が経過している保留記憶から読み出す。S104の処理を終えると、読み出した第2保留記憶の当否乱数が判定テーブル1(確率変動状態中は、当りとなる確率が高くなる別の判定テーブルを用いる)の当否判定値と一致するか否か判定する(S105)。肯定判定であれば(S105:YES)、第2保留記憶の確率変動乱数が確率変動判定テーブルと一致するか否か判定する(S106)。
【0101】
S106が肯定判定であれば(S106:YES)、確率変動図柄の大当たり図柄となることを判断し、最終的に確定表示される第2特別図柄の確率変動図柄の種類を選択する(S107)。S106が否定判定であれば(S106:NO)、非確率変動図柄の大当たり図柄となることを判断し、第2特別図柄が最終的に確定表示される非確率変動図柄の種類を選択する(S108)。S107、S108の処理の後、主連続予告フラグの値が0か否か判定する(S109)。肯定判定であれば(S109:YES)、通常状態専用のテーブルから当たり用の変動パターンを選択する処理を行う(S110)。確率変動図柄で大当りする場合と、非確率変動図柄で大当りする場合で異なる変動パターンテーブル、又は確率変動図柄で大当りの場合は、所定の確率で専用の変動パターンテーブルを用いて変動パターンを選択する構成としてもよい。」

(l)「【0104】
S110、S118、S114、S115の処理の後、上記処理により決定した確定図柄の種類と変動パターンを基に、第2特別図柄表示装置30上に第2特別図柄を表示制御する処理を行い(S116)、サブ統合装置53に第2特別図柄の変動パターン指示コマンドを送信する処理を行う(S117)。S100、S101が否定判定 (S100:NO、S101:NO)、又はS117の処理を終えると、リターンに抜ける。S103が否定判定の場合(第2保留記憶の記憶がない場合)は(S103:NO)、図12の処理に進む。」

(m)【0105】
図12に示す処理では、図11のS103の否定判定に続いて第1保留記憶が有るか否か判定する(S120)。肯定判定ならば(S120:YES)、第1保留記憶を読み出し保留記憶領域のシフト処理を行う(S121)。第1保留記憶が複数個ある場合には、格納されてから最も時間が経過している保留記憶から読み出す。
【0106】
S121の処理を終えると、読み出した第1保留記憶の当否乱数が判定テーブル1(確率変動状態中は、当りとなる確率が高くなる別の判定テーブルを用いる)の当否判定値と一致するか否か判定する(S122)。肯定判定であれば(S122:YES)、第1保留記憶の確率変動乱数が確率変動判定テーブルと一致するか否か判定する(S123)。S123が肯定判定であれば(S123:YES)、確率変動図柄の大当たり図柄となることを判断し、最終的に確定表示される第1特別図柄の確率変動図柄の種類を選択する(S124)。S123が否定判定であれば(S123:NO)、非確率変動図柄の大当たり図柄となることを判断し、第1特別図柄が最終的に確定表示される非確率変動図柄の種類を選択する(S125)。
【0107】
S124、S125の処理の後、主連続予告フラグの値が0か否か判定する(S126)。肯定判定であれば(S126:YES)、通常状態専用のテーブルから当たり用の変動パターンを選択する処理を行う(S127)。S126が否定判定であれば(S126:NO)、第1連続予告時専用のテーブルから当たり用の変動パターンを選択する処理を行い(S128)、主連続予告フラグの値に0をセットする(S140)。」

(n)「【0110】
S127、S129、S132、S137の処理の後、又はS135の否定判定の場合(S135:NO)、上記処理により決定した確定図柄の種類と変動パターンを基に、第1特別図柄表示装置29上に第1特別図柄を表示制御する処理を行い(S138)、サブ統合装置53に第1特別図柄の変動パターン指示コマンドを送信する処理を行う(S139)。サブ統合装置53は、主制御装置50からのコマンド受信に従って、連続予告演出を実施する。S120が否定判定 (S120:NO)、又はS139の処理を終えると、リターンに抜ける。」

(o)「【0114】
以上が実施例2の説明となる。第1特別図柄が行う連続予告の演出態様は、実施例1と同じだが、その場合の第1特別図柄の変動秒数は、第1連続予告時専用テーブルの設定時間と、連続予告が開始されてから何回目の変動かを判断する処理を加えることにより連続予告を演出することが可能となる。具体的には、連続予告が開始された1回目の変動から3回目の変動までの変動時間を同一とし、最後の4回目の変動(大当りかスーパーリーチ)で一気に期待感を煽ったり、1回目から3回目にかけて徐々に変動時間を長くしそれに合わせ期待感を徐々に煽る等の演出が行える。」

(p)【図面の簡単な説明】の【図11】?【図12】の説明として、「主制御装置50」が「特別図柄変動処理」を行うことが記載されている。

(q)前記(k)の段落【0098】?【0100】、前記(m)の段落【0105】、【0106】の記載及び前記(p)の記載から、主制御装置50は、特別図柄変動処理において、第1特別図柄の変動が停止中であり、第2特別図柄の変動が停止中であれば、まず、第2保留記憶が有るか否か判定し、肯定判定ならば、第2保留記憶を読み出し保留記憶領域のシフト処理を行い、第2保留記憶が複数個ある場合には、格納されてから最も時間が経過している保留記憶から読み出し、読み出した第2保留記憶の当否乱数が当否判定値と一致するか否か判定し、前記第2保留記憶が有るか否かの判定において、第2保留記憶が無ければ、第1保留記憶が有るか否か判定し、肯定判定ならば、第1保留記憶を読み出し保留記憶領域のシフト処理を行い、第1保留記憶が複数個ある場合には、格納されてから最も時間が経過している保留記憶から読み出し、読み出した第1保留記憶の当否乱数が当否判定値と一致するか否か判定するものといえる。

(r)前記(i)の実施例2は、当該(i)の段落【0089】に記載されているように、「特別に説明がない部分については」実施例1と「共通内容」であり、前記(j)の段落【0097】に記載されているように、「演出図柄変動処理」は「実施例1」(具体的には、前記(g)及び(h)の処理)と同じ内容となる旨が記載されている。

上記の事項を総合すると、先願明細書等の実施例2には、次の発明が記載されていると認められる(以下「先願発明」という。)。
「第1始動口31に遊技球が入球(第1特別図柄始動スイッチ31aが遊技球を検知)したか否か判定し、肯定判定であれば、当否乱数等の各種乱数を抽出する主制御装置50と、
主制御装置50が抽出した当否乱数等の各種乱数を第1保留記憶として、記憶領域に記憶する第1保留記憶手段と、
第2始動口32に遊技球が入球したか否か判定し、肯定判定であれば、当否乱数等の各種乱数を抽出する主制御装置50と、
主制御装置50が抽出した当否乱数等の各種乱数を第2保留記憶として、記憶領域に記憶する第2保留記憶手段と、
を備え、
前記抽出し記憶する当否乱数等の各種乱数の種類には、大当り判定用乱数等があり、
主制御装置50は、特別図柄変動処理において、第1特別図柄の変動が停止中であり、第2特別図柄の変動が停止中であれば、まず、第2保留記憶が有るか否か判定し、肯定判定ならば、第2保留記憶を読み出し保留記憶領域のシフト処理を行い、第2保留記憶が複数個ある場合には、格納されてから最も時間が経過している保留記憶から読み出し、読み出した第2保留記憶の当否乱数が当否判定値と一致するか否か判定し、前記第2保留記憶が有るか否かの判定において、第2保留記憶が無ければ、第1保留記憶が有るか否か判定し、肯定判定ならば、第1保留記憶を読み出し保留記憶領域のシフト処理を行い、第1保留記憶が複数個ある場合には、格納されてから最も時間が経過している保留記憶から読み出し、読み出した第1保留記憶の当否乱数が当否判定値と一致するか否か判定し、
主制御装置50が、読み出した第1保留記憶の当否乱数が当否判定値と一致するか否か判定して選択する最終的に確定表示される第1特別図柄の種類と変動パターンを基に、第1特別図柄を表示する第1特別図柄表示装置29であって、第1特別図柄は変動を開始し、所定時間後に停止する第1特別図柄表示装置29と、
主制御装置50が、読み出した第2保留記憶の当否乱数が当否判定値と一致するか否か判定して選択する最終的に確定表示される第2特別図柄の種類と変動パターンを基に、第2特別図柄を表示する第2特別図柄表示装置30であって、第2特別図柄は変動表示を開始し、所定時間後に停止する第2特別図柄表示装置30と、
を備え、
遊技は、大入賞口33aを閉鎖した遊技と大入賞口33aを開放する大当たり遊技とに大別されているところ、主制御装置50は、第1特別図柄及び第2特別図柄の態様に応じて大入賞口ソレノイド33cを駆動させ、ほぼ同期して大入賞口ユニット33の扉部材が駆動して、大入賞口33aへの入球が可能となるものであり、
前記第1特別図柄及び第2特別図柄の変動中は、各々の特別図柄の変動に連動した演出態様を表示する演出図柄表示装置54bと、
を備え、
主制御装置50は、保留記憶処理において、第1始動口31への遊技球入球時に、取得した当否乱数等の各種乱数を判定するものであり、最も新しく記憶された第1保留記憶を読み出し、大当り判定用乱数が大当り値と一致すると判定した場合で第1保留記憶数が4と条件判定された場合に、連続予告許可信号をサブ統合装置53に送信し、
主制御装置50から連続予告許可信号を受信した場合に、連続予告を実施するサブ統合装置53を備え、
前記サブ統合装置53が実施する第1特別図柄の連続予告演出で、演出図柄表示装置54bに表示される演出図柄態様について、連続予告は4回の第1特別図柄の変動が毎回行われることとなるところ、その4回の第1特別図柄の変動態様は所謂カウントダウン(大当りへの秒読み)形式の演出で表現され、1回目の変動の表示態様では、画面中央上部に「4」の数字が大きく表示され、2回目の変動の表示態様では、画面中央上部に「3」が、3回目の変動の表示態様では、画面中央上部に「2」が、4回目(最後)の変動の表示態様では、画面中央上部に「1」が表示されるものであり、複数の特別図柄の変動に亘って継続性が認識可能な演出であればこれに限るものではなく、物語が継続して展開されるものでもよく、変動回数が進むに連れ、遊技者の期待感が徐々に上昇する演出構成が好適であり、
主制御装置50は、保留記憶処理において、第2始動口32への遊技球入球時に、取得した当否乱数等の各種乱数を判定するものであり、
サブ統合装置53は、連続予告演出実施中に第2始動口32に入賞した場合に、演出図柄表示装置54bに表示される第2特別図柄の演出態様について、どのカウント中の入賞かによってカウントダウンの間(途中)の態様を表示(例えばカウントダウン「3」の表示とカウントダウン「2」の表示の間に第2特別図柄の変動を行う場合、その演出表示態様では「2.5」を表示する。)する演出とするものであり、連続予告中に物語等の進行を表示する場合は、その物語に関係するカットイン画面等を表示することにより継続性を保持するものでもよいこととする、弾球遊技機。」

3 対比・判断
(1)対比
本願発明と先願発明とを対比する。

ア 先願発明において、「第1始動口31に遊技球が入球(第1特別図柄始動スイッチ31aが遊技球を検知)したか否か判定」することが、遊技中に行われることは明らかであり、第1始動口に入球したか否かの判定が「肯定判定であれば、当否乱数等の各種乱数を抽出」し、抽出した「当否乱数」に基づいて当否の内部抽選を行うことは明らかである。
これらのことから、先願発明の「第1始動口31に遊技球が入球(第1特別図柄始動スイッチ31aが遊技球を検知)したか否か判定」することが、本願発明の「遊技中に第1の抽選契機が発生する」ことに相当する。
また、先願発明の「第1保留記憶」となる「当否乱数等の各種乱数」は、第1始動口に入球したことにより抽出するものであるから、本願発明の「所定の内部抽選に必要な第1の抽選要素」に相当する。
以上のことから、先願発明の「第1始動口31に遊技球が入球(第1特別図柄始動スイッチ31aが遊技球を検知)したか否か判定し、肯定判定であれば、当否乱数等の各種乱数を抽出する主制御装置50」が、本願発明の「遊技中に第1の抽選契機が発生すると、所定の内部抽選に必要な第1抽選要素を取得する第1抽選要素取得手段」に相当する。

イ 先願発明の「第1保留記憶手段」は、本願発明の「第1抽選要素記憶手段」に相当する。
このことから、先願発明の「主制御装置50が抽出した当否乱数等の各種乱数を第1保留記憶として、記憶領域に記憶する第1保留記憶手段」が、本願発明の「前記第1抽選要素取得手段により取得された前記第1抽選要素を記憶する第1抽選要素記憶手段」に相当する。

ウ 先願発明において、「第2始動口32に遊技球が入球したか否か判定」することが、遊技中に行われることは明らかであり、第2始動口に入球したか否かの判定が「肯定判定であれば、当否乱数等の各種乱数を抽出」し、抽出した「当否乱数」に基づいて当否の内部抽選を行うことは明らかである。
これらのことから、先願発明の「第2始動口32に遊技球が入球したか否か判定」することが、本願発明の「遊技中に第2の抽選契機が発生する」ことに相当する。
また、先願発明の「第2保留記憶」となる「当否乱数等の各種乱数」は、第2始動口に入球したことにより抽出するものであるから、本願発明の「所定の内部抽選に必要な第2の抽選要素」に相当する。
以上のことから、先願発明の「第2始動口32に遊技球が入球したか否か判定し、肯定判定であれば、当否乱数等の各種乱数を抽出する主制御装置50」が、本願発明の「遊技中に第2の抽選契機が発生すると、所定の内部抽選に必要な第2抽選要素を取得する第2抽選要素取得手段」に相当する。

エ 先願発明の「第2保留記憶手段」は、本願発明の「第2抽選要素記憶手段」に相当する。
このことから、先願発明の「主制御装置50が抽出した当否乱数等の各種乱数を第2保留記憶として、記憶領域に記憶する第2保留記憶手段」が、本願発明の「前記第2抽選要素取得手段により取得された前記第2抽選要素を記憶する第2抽選要素記憶手段」に相当する。

オ 先願発明において「保留記憶を読み出し保留記憶領域のシフト処理を行」うことは、読み出された保留記憶を消去することを意味するから、記憶されていた保留記憶を読み出し消費(使用)する時であることは明らかである。
また、先願発明の「読み出した」「保留記憶の当否乱数が当否判定値と一致するか否か判定」することは、本願発明の「内部抽選を実行する」ことに相当する。

カ 先願発明では、特別図柄変動処理において、「第1保留記憶」の有無に関わらず、「まず、第2保留記憶が有るか否か判定し、肯定判定ならば、第2保留記憶を読み出し保留記憶領域のシフト処理を行い、第2保留記憶が複数個ある場合には、格納されてから最も時間が経過している保留記憶から読み出し、読み出した第2保留記憶の当否乱数が当否判定値と一致するか否か判定」し、また「第2保留記憶が無ければ、第1保留記憶が有るか否か判定し、肯定判定ならば、第1保留記憶を読み出し保留記憶領域のシフト処理を行い、第1保留記憶が複数個ある場合には、格納されてから最も時間が経過している保留記憶から読み出し、読み出した第1保留記憶の当否乱数が当否判定値と一致するか否か判定」するから、前記オより、先願発明は、本願発明の「前記第1抽選要素又は前記第2抽選要素のいずれか一方だけが記憶されている場合、その記憶されている前記第1抽選要素又は前記第2抽選要素のいずれかを消費して前記内部抽選を実行する」一方で、「前記第1抽選要素及び前記第2抽選要素の両方が記憶されている場合、前記第1抽選要素よりも前記第2抽選要素を優先的に消費して前記内部抽選を実行する」構成を有している。

キ 前記オ及びカより、先願発明の「特別図柄変動処理において、第1特別図柄の変動が停止中であり、第2特別図柄の変動が停止中であれば、まず、第2保留記憶が有るか否か判定し、肯定判定ならば、第2保留記憶を読み出し保留記憶領域のシフト処理を行い、第2保留記憶が複数個ある場合には、格納されてから最も時間が経過している保留記憶から読み出し、読み出した第2保留記憶の当否乱数が当否判定値と一致するか否か判定し、前記第2保留記憶が有るか否かの判定において、第2保留記憶が無ければ、第1保留記憶が有るか否か判定し、肯定判定ならば、第1保留記憶を読み出し保留記憶領域のシフト処理を行い、第1保留記憶が複数個ある場合には、格納されてから最も時間が経過している保留記憶から読み出し、読み出した第1保留記憶の当否乱数が当否判定値と一致するか否か判定」する「主制御装置50」は、本願発明の「前記第1抽選要素又は前記第2抽選要素のいずれか一方だけが記憶されている場合、その記憶されている前記第1抽選要素又は前記第2抽選要素のいずれかを消費して前記内部抽選を実行する一方で、前記第1抽選要素及び前記第2抽選要素の両方が記憶されている場合、前記第1抽選要素よりも前記第2抽選要素を優先的に消費して前記内部抽選を実行する内部抽選実行手段」に相当する構成を含んでいる。

ク 前記オで検討したように、先願発明の「主制御装置50が、読み出した第1保留記憶の当否乱数が当否判定値と一致するか否か判定」することは、本願発明の「前記内部抽選実行手段により前記第1抽選要素を用いて前記内部抽選が実行される」ことに相当する。
また、先願発明の「変動パターンを基に」、「第1特別図柄は変動を開始し、所定時間後に停止する」ことは、本願発明における「所定の変動時間にわたり第1図柄を変動表示させた後に前記第1図柄を停止表示させ」ることに相当する。
そして、先願発明の「主制御装置50が、読み出した第1保留記憶の当否乱数が当否判定値と一致するか否か判定して選択する最終的に確定表示される第1特別図柄」は、本願発明の「内部抽選の結果を表出させる」「停止表示態様」に相当する。
以上のことから、先願発明の「主制御装置50が、読み出した第1保留記憶の当否乱数が当否判定値と一致するか否か判定して選択する最終的に確定表示される第1特別図柄の種類と変動パターンを基に、第1特別図柄を表示する第1特別図柄表示装置29であって、第1特別図柄は変動を開始し、所定時間後に停止する第1特別図柄表示装置29」は、本願発明の「前記内部抽選実行手段により前記第1抽選要素を用いて前記内部抽選が実行されると、所定の変動時間にわたり第1図柄を変動表示させた後に前記第1図柄を停止表示させ、このときの停止表示態様を用いて前記内部抽選の結果を表出させる第1図柄表示手段」に相当する。

ケ 前記オで検討したように、先願発明の「主制御装置50が、読み出した第2保留記憶の当否乱数が当否判定値と一致するか否か判定」することは、本願発明の「前記内部抽選実行手段により前記第2抽選要素を用いて前記内部抽選が実行される」ことに相当する。
また、先願発明の「変動パターンを基に」、「第2特別図柄は変動表示を開始し、所定時間後に停止する」ことは、本願発明における「所定の変動時間にわたり第2図柄を変動表示させた後に前記第2図柄を停止表示させ」ることに相当する。
そして、先願発明の「主制御装置50が、読み出した第2保留記憶の当否乱数が当否判定値と一致するか否か判定して選択する最終的に確定表示される第2特別図柄」は、本願発明の「内部抽選の結果を表出させる」「停止表示態様」に相当する。
以上のことから、先願発明の「主制御装置50が、読み出した第2保留記憶の当否乱数が当否判定値と一致するか否か判定して選択する最終的に確定表示される第2特別図柄の種類と変動パターンを基に、第2特別図柄を表示する第2特別図柄表示装置30であって、第2特別図柄は変動表示を開始し、所定時間後に停止する第2特別図柄表示装置30」は、本願発明の「前記内部抽選実行手段により前記第2抽選要素を用いて前記内部抽選が実行されると、所定の変動時間にわたり第2図柄を変動表示させた後に前記第2図柄を停止表示させ、このときの停止表示態様を用いて前記内部抽選の結果を表出させる第2図柄表示手段」に相当する。

コ 先願発明の「大入賞口33aを開放する」遊技は「大当たり遊技」であるから、「第1特別図柄及び第2特別図柄の態様に応じて大入賞口ソレノイド33cを駆動させ、ほぼ同期して大入賞口ユニット33の扉部材が駆動して、大入賞口33aへの入球が可能となる」遊技は「大当たり遊技」であり、この「大当たり遊技」は本願発明の「特別遊技」に相当する。

サ、前記ク、ケで検討したように、先願発明では、「読み出した第1保留記憶の当否乱数が当否判定値と一致するか否か判定して」「最終的に確定表示される第1特別図柄の種類」が選択され、また「読み出した第2保留記憶の当否乱数が当否判定値と一致するか否か判定して」「最終的に確定表示される第2特別図柄の種類」が選択されるものであり、「抽出し記憶する当否乱数等の各種乱数の種類には、大当り判定用乱数等があ」る。
このことから、先願発明の「大入賞口ソレノイド33cを駆動させ、ほぼ同期して大入賞口ユニット33の扉部材が駆動して、大入賞口33aへの入球が可能となる」「第1特別図柄及び第2特別図柄の態様」は、「読み出した第1保留記憶の当否乱数」が「大当たり判定用乱数」であって「当否判定値と一致」したときに「最終的に確定表示される第1確定図柄の種類」であるか、「読み出した第2保留記憶の当否乱数」が「大当たり判定用乱数」であって「当否判定値と一致」したときに「最終的に確定表示される第2確定図柄の種類」であることは、「大当たり」という文言からも明らかである。
そして、先願発明は「保留記憶を読み出し保留記憶領域のシフト処理を行い」、「保留記憶が複数個ある場合には、格納されてから最も時間が経過している保留記憶から読み出し、読み出した」「保留記憶の当否乱数が当否判定値と一致するか否か判定」するものであるから、先願発明が「読み出した保留記憶」の「当否乱数が当否判定値と一致するか否か判定」するにあたり、「保留記憶」を消費して、「保留記憶領域」の「シフト処理」をしていることは明らかである。

シ 前記コ及びサより、先願発明の「第1特別図柄及び第2特別図柄の態様に応じて大入賞口ソレノイド33cを駆動させ、ほぼ同期して大入賞口ユニット33の扉部材が駆動して、大入賞口33aへの入球が可能と」する「主制御装置50」は、本願発明の「前記第1抽選要素又は前記第2抽選要素のいずれかを消費して行われた前記内部抽選の結果が当選に該当した結果、前記第1図柄表示手段により前記第1図柄が当選の態様で停止表示されるか、もしくは前記第2図柄表示手段により前記第2図柄が当選の態様で停止表示されるかのいずれか一方の条件が満たされると、特別遊技を実行する特別遊技実行手段」に相当する構成を含んでいる。

ス 先願発明では、「第1特別図柄の連続予告演出で、演出図柄表示装置54bに表示される演出図柄態様」について、後でも検討するように「連続予告演出実施中に第2始動口に入賞した場合に、演出図柄表示装置54bに表示される第2特別図柄の演出態様について、どのカウント中の入賞かによってカウントダウンの間(途中)の態様を表示(例えばカウントダウン「3」の表示とカウントダウン「2」の表示の間に第2特別図柄の変動を行う場合、その演出表示態様では「2.5」を表示する。)する演出とするものであ」るから、「第1特別図柄」の「演出態様」と「第2特別図柄の演出態様」は、切り替わることでいずれか一方が表示されるものであることは明らかである。
そうすると、先願発明の「前記第1特別図柄及び第2特別図柄の変動中は、各々の特別図柄の変動に連動した演出態様を表示する」ことは、本願発明の「前記第1図柄表示手段による前記第1図柄の変動表示か、もしくは前記第2図柄表示手段による前記第2図柄の変動表示のいずれか一方に際して、少なくとも前記変動時間内に前記第1図柄又は前記第2図柄のいずれかの変動表示に対応させた変動表示演出を実行」することに相当する。

セ 前記ク、ケで検討したように、先願発明の「第1特別図柄」と「第2特別図柄」は、「当否乱数が当否判定値と一致するか否か判定して選択する最終的に確定表示される」「特別図柄の種類と変動パターンを基に」表示され、「特別図柄は変動を開始し、所定時間後に停止する」ものであり、先願発明の前記「演出態様」は、「前記第1特別図柄及び第2特別図柄の変動中は、各々の特別図柄の変動に連動」するものであるから、先願発明は、本願発明の「少なくとも前記変動時間内に前記第1図柄又は前記第2図柄のいずれかの変動表示に対応させた変動表示演出を実行した後、その変動表示後の前記第1図柄又は前記第2図柄のいずれかの停止表示態様に対応させた結果表示演出を実行する」ことに相当する構成を有している。

ソ 前記ス及びセより、先願発明の「前記第1特別図柄及び第2特別図柄の変動中は、各々の特別図柄の変動に連動した演出態様を表示する演出図柄表示装置54b」が、本願発明の「前記第1図柄表示手段による前記第1図柄の変動表示か、もしくは前記第2図柄表示手段による前記第2図柄の変動表示のいずれか一方に際して、少なくとも前記変動時間内に前記第1図柄又は前記第2図柄のいずれかの変動表示に対応させた変動表示演出を実行した後、その変動表示後の前記第1図柄又は前記第2図柄のいずれかの停止表示態様に対応させた結果表示演出を実行する図柄演出実行手段」に相当する。

タ 先願発明の「保留記憶処理において、第1始動口31への遊技球入球時」は、前記ア、イで検討したように、先願発明が、第1始動口31に遊技球が入球したか場合に当否乱数等の各種乱数を抽出して記憶領域に記憶する構成を備えるから、本願発明の「前記第1抽選要素記憶手段により前記第1抽選要素が新たに記憶された場合」に相当する。

チ 先願発明の「主制御装置50」は、「保留記憶処理において、第1始動口31への遊技球入球時に、取得した当否乱数等の各種乱数を判定するものであり、最も新しく記憶された第1保留記憶を読み出し、大当り判定用乱数が大当り値と一致すると判定した場合で第1保留記憶数が4と条件判定された場合に、連続予告許可信号をサブ統合装置53に送信」するものであり、「特別図柄変動処理において、第1特別図柄の変動が停止中であり、第2特別図柄の変動が停止中であれば」、「第1保留記憶が有るか否か判定し、肯定判定ならば、第1保留記憶を読み出し保留記憶領域のシフト処理を行い、第1保留記憶が複数個ある場合には、格納されてから最も時間が経過している保留記憶から読み出し、読み出した第1保留記憶の当否乱数が当否判定値と一致するか否か判定」するものである。そして、「第1始動口31への遊技球入球時」は、「第1特別図柄の変動」時より前であるから、「保留記憶処理において」「取得した当否乱数等の各種乱数を判定する」時は、「特別図柄変動処理において」「第1保留記憶を読み出し保留記憶領域のシフト処理を行」う時よりも前であることは明らかである。

ツ 前記タ及びチより、先願発明の「保留記憶処理において、第1始動口31への遊技球入球時に、取得した当否乱数等の各種乱数を判定するものであり、最も新しく記憶された第1保留記憶を読み出し、大当り判定用乱数が大当り値と一致すると判定した場合で第1保留記憶数が4と条件判定された場合に、連続予告許可信号をサブ統合装置53に送信」する「主制御装置50」は、本願発明の「前記第1抽選要素記憶手段により前記第1抽選要素が新たに記憶された場合、前記内部抽選実行手段により消費される前にその新たな前記第1抽選要素を用いて少なくとも前記内部抽選の結果を事前に判定する先判定手段」に相当する。

テ 先願発明の「最も新しく記憶された第1保留記憶を読み出し、大当り判定用乱数が大当り値と一致すると判定した場合」は、本願発明の「前記第1抽選要素記憶手段により新たに記憶された特定の前記第1抽選要素について前記先判定手段による事前の判定結果が特定の条件を満たす場合」に相当する。

ト 先願発明の「連続予告」は、「第1保留記憶数が4と条件判定された場合」に行われる「演出」であり、前記オで検討したように、「主制御装置50」は「第1保留記憶を読み出し保留記憶領域のシフト処理を行い、第1保留記憶が複数個ある場合には、格納されてから最も時間が経過している保留記憶から読み出し、読み出した第1保留記憶の当否乱数が当否判定値と一致するか否か判定」するものであり、前記カで検討したように、「第1特別図柄」は「読み出した第1保留記憶の当否乱数が当否判定値と一致するか否か判定して選択する最終的に確定表示される第1特別図柄の種類と変動パターンを基に」「表示」されるものであり、前記ケで検討したように、「演出図柄表示装置54b」は「前記第1特別図柄及び第2特別図柄の変動中は、各々の特別図柄の変動に連動した演出態様を表示する」ものであるから、「連続予告」の「演出」の最後に消費される「第1保留記憶」は、「連続予告許可信号をサブ統合装置53に送信」することを判定した「最も新しく記憶された第1保留記憶」であるといえる。
そうすると、先願発明の「連続予告」は、「最も新しく記憶された第1保留記憶」が消費されるまで行われるものといえるから、本願発明の「その特定の前記第1抽選要素が前記内部抽選実行手段により消費されるまでの特定期間を利用して」行われる「先判定演出」に相当する。
加えて、先願発明には、連続予告の演出表示態様について、演出用の操作部材に対する操作入力を介することを要する構成がないから、先願発明の「連続予告」は演出用の操作部材に対する操作入力を介することなく実行されるものと認められる。

ナ 先願発明の「演出図柄表示装置54bに表示される演出図柄態様について、連続予告は4回の第1特別図柄の変動が毎回行われることとなるところ、その4回の第1特別図柄の変動態様は所謂カウントダウン(大当りへの秒読み)形式の演出で表現され、1回目の変動の表示態様では、画面中央上部に「4」の数字が大きく表示され、2回目の変動の表示態様では、画面中央上部に「3」が、3回目の変動の表示態様では、画面中央上部に「2」が、4回目(最後)の変動の表示態様では、画面中央上部に「1」が表示されるもの」は、本願発明の「少なくとも前記図柄演出実行手段により実行される前記変動表示演出に際して予め定められた進行態様に基づいて内容が変化することで基本となるストーリーが開始から完結に向かう過程を表す先判定演出」に相当する。
また、先願発明の「複数の特別図柄の変動に亘って継続性が認識可能な演出であればこれに限るものではなく、物語が継続して展開されるもの」も、また、本願発明の「少なくとも前記図柄演出実行手段により実行される前記変動表示演出に際して予め定められた進行態様に基づいて内容が変化することで基本となるストーリーが開始から完結に向かう過程を表す先判定演出」に相当する。

ニ 前記テ、ト及びナより、先願発明の「保留記憶処理において、第1始動口31への遊技球入球時に、取得した当否乱数等の各種乱数を判定するものであり、最も新しく記憶された第1保留記憶を読み出し、大当り判定用乱数が大当り値と一致すると判定するかリーチ用決定乱数がスーパーリーチとなる値であると判定した場合で第1保留記憶数が4と条件判定された場合に、連続予告許可信号をサブ統合装置53に送信」する「主制御装置50から連続予告許可信号を受信した場合に、連続予告を実施するサブ統合装置53」であって、「第1特別図柄の連続予告演出で、演出図柄表示装置54bに表示される演出図柄態様について、連続予告は4回の第1特別図柄の変動が毎回行われることとなるところ、その4回の第1特別図柄の変動態様は所謂カウントダウン(大当りへの秒読み)形式の演出で表現され、1回目の変動の表示態様では、画面中央上部に「4」の数字が大きく表示され、2回目の変動の表示態様では、画面中央上部に「3」が、3回目の変動の表示態様では、画面中央上部に「2」が、4回目(最後)の変動の表示態様では、画面中央上部に「1」が表示されるものであり、複数の特別図柄の変動に亘って継続性が認識可能な演出であればこれに限るものではなく、物語が継続して展開されるものでもよく、変動回数が進むに連れ、遊技者の期待感が徐々に上昇する演出構成が好適であ」る「連続予告」を実施する「サブ統合装置53」は、本願発明の「前記第1抽選要素記憶手段により新たに記憶された特定の前記第1抽選要素について前記先判定手段による事前の判定結果が特定の条件を満たす場合、その特定の前記第1抽選要素が前記内部抽選実行手段により消費されるまでの特定期間を利用して、少なくとも前記図柄演出実行手段により実行される前記変動表示演出に際して予め定められた進行態様に基づいて内容が変化することで基本となるストーリーが開始から完結に向かう過程を表す先判定演出を演出用の操作部材に対する操作入力を介することなく実行する先判定演出実行手段」に相当する。

ヌ 先願発明の「連続予告演出実施中に第2始動口に入賞した場合」は、前記ウ、エで検討したように、先願発明が、第2始動口32に遊技球が入球したか場合に当否乱数等の各種乱数を抽出して記憶領域に記憶する構成を備えるから、本願発明の「前記特定期間内に前記第2抽選要素記憶手段により前記第2抽選要素が新たに記憶された場合」に相当する。

ネ 先願発明は、前記カで検討したように、本願発明の「前記第1抽選要素及び前記第2抽選要素の両方が記憶されている場合、前記第1抽選要素よりも前記第2抽選要素を優先的に消費して前記内部抽選を実行する内部抽選実行手段」を備えており、前記ケで検討したように、「第2特別図柄」が「読み出した第2保留記憶の当否乱数が当否判定値と一致するか否か判定して選択する最終的に確定表示される第2特別図柄の種類と変動パターンを基に」「第2特別図柄表示装置30」に「表示」されるものであり、前記スで検討したように、「演出図柄表示装置54b」が「前記第1特別図柄及び第2特別図柄の変動中は、各々の特別図柄の変動に連動した演出態様を表示する」ものであるから、先願発明の「演出図柄表示装置54bに」「第2特別図柄の演出態様」が「表示される」時は、本願発明の「前記第2抽選要素を優先的に消費して行われる前記内部抽選について前記第2図柄表示手段により前記第2図柄が変動表示される際」に相当する。

ノ 先願発明の「どのカウント中の入賞かによってカウントダウンの間(途中)の態様を表示(例えばカウントダウン「3」の表示とカウントダウン「2」の表示の間に第2特別図柄の変動を行う場合、その演出表示態様では「2.5」を表示する。)する演出」は、基本となるストーリーであるカウントダウンが完結に向かうまでの途中の内容を補うものであるから、本願発明の「前記先判定演出の進行態様に付加された進行態様に基づいて内容が変化することで前記基本となるストーリーが完結に向かうまでの途中の内容を補う内容の派生演出」に相当する。
また、先願発明の「連続予告中に物語等の進行を表示する場合は、その物語に関係するカットイン画面等を表示することにより継続性を保持するものでもよい」演出も、当該「カットイン画面等」が「物語に関係する」ものであって当該「物語」の「継続性を保持するもの」でもよく、「カットイン画面」以外のものも含んでいるから、本願発明の「前記先判定演出の進行態様に付加された進行態様に基づいて内容が変化することで前記基本となるストーリーが完結に向かうまでの途中の内容を補う内容の派生演出」に相当する。

ハ 先願発明の「カウントダウンの間(途中)」は、本願発明の「前記基本となるストーリーが完結に向かう過程の途中」に相当する。

ヒ 前記ヌ、ネ、ノ及びハより、先願発明の「連続予告演出実施中に第2始動口に入賞した場合に、演出図柄表示装置54bに表示される第2特別図柄の演出態様について、どのカウント中の入賞かによってカウントダウンの間(途中)の態様を表示(例えばカウントダウン「3」の表示とカウントダウン「2」の表示の間に第2特別図柄の変動を行う場合、その演出表示態様では「2.5」を表示する。)する演出とするものであり、連続予告中に物語等の進行を表示する場合は、その物語に関係するカットイン画面等を表示することにより継続性を保持するものでもよい」こととする「サブ統合装置53」は、本願発明の「前記特定期間内に前記第2抽選要素記憶手段により前記第2抽選要素が新たに記憶された場合、前記第2抽選要素を優先的に消費して行われる前記内部抽選について前記第2図柄表示手段により前記第2図柄が変動表示される際、前記先判定演出の進行態様に付加された進行態様に基づいて内容が変化することで前記基本となるストーリーが完結に向かうまでの途中の内容を補う内容の派生演出を、前記基本となるストーリーが完結に向かう過程の途中に実行する派生演出実行手段」に相当する。

(2)判断
そこで、本願発明と先願発明とを比較すると、両者は、
「遊技中に第1の抽選契機が発生すると、所定の内部抽選に必要な第1抽選要素を取得する第1抽選要素取得手段と、
前記第1抽選要素取得手段により取得された前記第1抽選要素を記憶する第1抽選要素記憶手段と、
遊技中に第2の抽選契機が発生すると、前記内部抽選に必要な第2抽選要素を取得する第2抽選要素取得手段と、
前記第2抽選要素取得手段により取得された前記第2抽選要素を記憶する第2抽選要素記憶手段と、
前記第1抽選要素又は前記第2抽選要素のいずれか一方だけが記憶されている場合、その記憶されている前記第1抽選要素又は前記第2抽選要素のいずれかを消費して前記内部抽選を実行する一方で、前記第1抽選要素及び前記第2抽選要素の両方が記憶されている場合、前記第1抽選要素よりも前記第2抽選要素を優先的に消費して前記内部抽選を実行する内部抽選実行手段と、
前記内部抽選実行手段により前記第1抽選要素を用いて前記内部抽選が実行されると、所定の変動時間にわたり第1図柄を変動表示させた後に前記第1図柄を停止表示させ、このときの停止表示態様を用いて前記内部抽選の結果を表出させる第1図柄表示手段と、
前記内部抽選実行手段により前記第2抽選要素を用いて前記内部抽選が実行されると、所定の変動時間にわたり第2図柄を変動表示させた後に前記第2図柄を停止表示させ、このときの停止表示態様を用いて前記内部抽選の結果を表出させる第2図柄表示手段と、
前記第1抽選要素又は前記第2抽選要素のいずれかを消費して行われた前記内部抽選の結果が当選に該当した結果、前記第1図柄表示手段により前記第1図柄が当選の態様で停止表示されるか、もしくは前記第2図柄表示手段により前記第2図柄が当選の態様で停止表示されるかのいずれか一方の条件が満たされると、特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
前記第1図柄表示手段による前記第1図柄の変動表示か、もしくは前記第2図柄表示手段による前記第2図柄の変動表示のいずれか一方に際して、少なくとも前記変動時間内に前記第1図柄又は前記第2図柄のいずれかの変動表示に対応させた変動表示演出を実行した後、その変動表示後の前記第1図柄又は前記第2図柄のいずれかの停止表示態様に対応させた結果表示演出を実行する図柄演出実行手段と、
前記第1抽選要素記憶手段により前記第1抽選要素が新たに記憶された場合、前記内部抽選実行手段により消費される前にその新たな前記第1抽選要素を用いて少なくとも前記内部抽選の結果を事前に判定する先判定手段と、
前記第1抽選要素記憶手段により新たに記憶された特定の前記第1抽選要素について前記先判定手段による事前の判定結果が特定の条件を満たす場合、その特定の前記第1抽選要素が前記内部抽選実行手段により消費されるまでの特定期間を利用して、少なくとも前記図柄演出実行手段により実行される前記変動表示演出に際して予め定められた進行態様に基づいて内容が変化することで基本となるストーリーが開始から完結に向かう過程を表す先判定演出を演出用の操作部材に対する操作入力を介することなく実行する先判定演出実行手段と、
前記特定期間内に前記第2抽選要素記憶手段により前記第2抽選要素が新たに記憶された場合、前記第2抽選要素を優先的に消費して行われる前記内部抽選について前記第2図柄表示手段により前記第2図柄が変動表示される際、前記先判定演出の進行態様に付加された進行態様に基づいて内容が変化することで前記基本となるストーリーが完結に向かうまでの途中の内容を補う内容の派生演出を、前記基本となるストーリーが完結に向かう過程の途中に実行する派生演出実行手段と
を備えた遊技機。」
である点で一致し、相違点はない。

よって、本願発明は、先願発明と同一であり、また、差異があったとしても、課題解決のための具体化手段における微差であり、実質的に同一である。

(3)請求人の主張について
請求人は、平成27年7月9日付け意見書において「先願発明2は、「連続予告中に物語等の進行を表示する場合は、その物語に関係するカットイン画面等を表示することにより継続性を保持する」というものであるが、「物語に関係するカットイン画面等」というだけでは、本願発明(請求項1)の「派生演出」と実質的に同一と言えるほどの技術思想は十分に特定されていない。通常、「カットイン画面」と言えば、「それまで表示していた画面中に他の画像(例えば、物語のキャラクターのアップ等)が割り込んでくる画面」を意味するものと当業者は理解する。しかしながら、単なる「カットイン画面」が特段のストーリー性を有することはないから、これを「基本となるストーリーが完結に向かうまでの途中の内容を補う内容」と実質的に同一であるとは到底言えない。」と主張している。
しかしながら、前記第2 3(2)のノにおいて既に述べたように、「例えばカウントダウン「3」の表示とカウントダウン「2」の表示の間に第2特別図柄の変動を行う場合、その演出表示態様では「2.5」を表示する。)する演出」は、本願発明の「前記先判定演出の進行態様に付加された進行態様に基づいて内容が変化することで前記基本となるストーリーが完結に向かうまでの途中の内容を補う内容の派生演出」に相当する。
また、仮に、先願発明の「カウントダウン」が、本願発明の「基本となるストーリー」とはいえないとしても、先願発明の「物語」は、本願発明の「ストーリー」に相当し、先願発明の「カットイン画面等」は、「物語に関係する」ものであって当該「物語」の「継続性を保持するもの」でもよく、出願人が主張する「カットイン画面」以外のものも含んでいるから、本願発明の「基本となるストーリーが完結に向かうまでの途中の内容を補う内容」の「派生演出」となんら異なるものではなく、上記出願人の主張は採用できない。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、先願発明と同一であり、しかも、本願発明の発明者が先願発明の発明者と同一であるとも、また、本願の出願時に、その出願人が先願発明の出願人と同一であるとも認められないので,特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。

したがって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-10-06 
結審通知日 2015-10-13 
審決日 2015-10-28 
出願番号 特願2009-82922(P2009-82922)
審決分類 P 1 8・ 161- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 酒井 保  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 平城 俊雅
関 博文
発明の名称 遊技機  
代理人 山崎 崇裕  

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