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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1308839
審判番号 不服2014-20885  
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-15 
確定日 2015-12-10 
事件の表示 特願2012-285692号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成25年3月28日出願公開、特開2013-56267号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概要
本願は、平成22年10月29日に出願した特願2010-244722号の一部を平成24年12月27日に新たな特許出願(特願2012-285692号)としたものであって、平成26年2月7日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月14日に意見書及び手続補正書が提出され、さらに、同年4月28日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年6月24日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年7月9日付けで、同年6月24日に提出された手続補正書でした補正の却下の決定がなされ、同日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年7月15日)、それに対し、同年10月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。


第2 平成26年10月15日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成26年10月15日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の概要
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、平成26年4月14日に提出された手続補正書における
「演出画像を表示する演出表示手段と、
前記演出表示手段に表示させる演出画像の表示制御を行う演出制御手段と、
操作指示を入力する操作入力手段と、
前記操作入力手段への前記操作指示の入力および前記操作指示の開放を検知する操作検知手段と、
を備え、
前記演出制御手段は、予め設定された操作許可時間内に前記操作検知手段により検知された前記操作指示の入力回数を操作回数として計数し、前記操作回数に基づいて前記演出表示手段に表示させる演出画像の表示制御を行うとともに、前記操作指示の入力後、前記操作指示の開放を検知しない場合には、前記操作指示の開放を検知するまで、前記操作指示の疑似入力を経過時間に応じて、前記操作回数として計数し、さらに、前記操作指示の疑似入力を計数する間隔を、等間隔に設定することを特徴とする遊技機。」
から、審判請求時に提出された手続補正書における
「演出画像を表示する演出表示手段と、
前記演出表示手段に表示させる演出画像の表示制御を行う演出制御手段と、
操作指示を入力する操作入力手段と、
前記操作入力手段への前記操作指示の入力および前記操作指示の開放を検知する操作検知手段と、
を備え、
前記演出制御手段は、予め設定された操作許可時間内に前記操作検知手段により検知された前記操作指示の入力回数を操作回数として計数し、前記操作回数に基づいて前記演出表示手段に表示させる演出画像の表示制御を行うとともに、前記操作指示の入力回数は、前記操作検知手段による前記操作指示の開放を検知した後、再度の前記操作指示の入力を検知するたびに加算し、前記操作指示の入力後、前記操作指示の開放を検知しない場合には、前記操作指示の入力から予め設定された長押し認定時間が経過してから前記操作指示の開放を検知するまで、前記操作指示の疑似入力を経過時間に応じて、前記操作回数として計数し、さらに、前記操作指示の疑似入力を計数する間隔を、等間隔に設定することを特徴とする遊技機。」
に補正された(下線部は補正箇所を示す。)。

2 補正の適否
審判請求時の補正によって、請求項1の記載は、上記1.のように補正された。
そして、補正後の請求項1は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である演出制御手段に関して、「前記操作指示の入力回数は、前記操作検知手段による前記操作指示の開放を検知した後、再度の前記操作指示の入力を検知するたびに加算」することを限定するとともに、操作回数を計数する期間に関して、「前記操作指示の開放を検知するまで」と期間の終点を限定したものを「前記操作指示の入力から予め設定された長押し認定時間が経過してから前記操作指示の開放を検知するまで」と期間の終点に加えて、期間の始点を限定したものであり、かつ、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そして、本件補正は新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か)について以下に検討する。

(1)刊行物1
原査定における拒絶の理由に引用文献1として提示された特開2010-46210号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は審決で付した。以下同じ。)。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は遊技機に関し、詳細には、遊技者による操作手段の操作に応じて演出内容を変化させることが可能な遊技機に関する。」

イ 「【0020】
図1に示すように、パチンコ機1の上半分の部分には、発射ハンドル7の操作により図示外の発射機から発射された遊技媒体としての遊技球が流下する遊技盤2が設けられている。この遊技盤2は略正方形であり(図2参照)、透明なガラス板を保持した前面枠13で保護されている。遊技盤2の下方部には、発射機に遊技球を供給し、且つ賞品球を受ける上皿5が設けられており、上皿5の中央には、遊技者によって操作される操作ボタン20が配設されている。そして、上皿5の直下には、賞品球を受ける下皿6が設けられ、下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。さらに、前面枠13の上部の左右の角にはスピーカ48がそれぞれ設けられており、前面枠13の前面には演出用の電飾ランプが多数設けられている。」

ウ 「【0024】
そして、図柄表示装置8の中央には、LCDからなる表示画面28が配設されている。この表示画面28には、動画やメッセージ等様々な映像が表示される。特に、大当たり判定の結果を示す3つのデモ図柄が画面中央に表示される。そして、判定結果を遊技者に報知するための演出である報知演出が開始されると、特別図柄の変動に同期してデモ図柄が変動を開始し、高速変動を経て低速変動となり、左、右の順で停止する。そして、左右のデモ図柄が同一の図柄となれば、判定結果が大当たりの可能性があることを示す様々なリーチ演出が行われて、全てのデモ図柄が同一となれば、大当たり遊技が開始されることとなる。一方で、低速変動後に停止した左右のデモ図柄が異なる図柄であれば、リーチ演出が行われることなくそのまま中央のデモ図柄も停止し、判定結果がはずれであることが示される。
【0025】
次に、図3及び図4を参照して、操作ボタン20について説明する。図3は、オート状態解除中の操作ボタン20の部分断面図であり、図4は、オート状態設定中の操作ボタン20の部分断面図である。尚、オート状態とは、常に又は断続的にボタンが押下されている状態(本発明における「操作恒常検出状態」)である。操作ボタン20は、主に基部90、柱部93、及び操作部96により構成されている。」

エ 「【0031】
一方で、所定位置よりもさらに下方へ操作部96が押し込まれると、柱部93は第二バネ102の弾性力に抗して下降していく。すると、戻りコイルバネ111の上端部に形成された爪部112は、第一ガイド溝105及び第二ガイド溝106に沿って移動し、操作部96が最も下方の終点位置まで押し込まれると、爪部112は第二ガイド溝106の上端部に位置する。この状態から遊技者が手を離すと、爪部112は図3における紙面右側へ付勢されているため、第二ガイド溝106でなく第三ガイド溝107に沿って移動し、第三ガイド溝107と第四ガイド溝108との接続部に係止される。すると、図4に示すように、操作部96は押し込まれた状態で保持され、保持されている間、操作部96が押し込まれていることが押し込み検出スイッチ98によって検出される。これにより、遊技者は、ボタンのオート状態を設定することができる。尚、操作部96が押し込まれて保持されると、押し込まれていない状態では上方に突出していた操作部96は、その上面が基部90の上面に滑らかに接続されることとなる。従って、遊技者は、操作部96が上方に突出しているか否かを確認するだけで、オート状態が設定されているか否かを容易に把握することができる。
【0032】
そして、図4に示す状態からさらに操作部96が押し込まれると、紙面右側へ付勢されている爪部112は、第四ガイド溝108の右端部へ移動する。この状態から遊技者が手を離すと、爪部112は第五ガイド溝109に沿って移動し、段部110を紙面奥側へ落下して第一ガイド溝105の下端部へ位置する。これに伴い、操作部96は初期位置へ戻る。そして、操作部96が再び押し込まれると、爪部112は段部110及び第一ガイド溝105にガイドされて、同じ動作を行うこととなる。このように、本実施の形態では、ボタンのオート状態の設定と、手動によるボタンの押下とを、共に1つの操作ボタン20を用いて行うことができる。
【0033】
次に、本実施の形態のパチンコ機1の電気的構成について、図5を参照して説明する。図5は、パチンコ機1の電気的構成を示すブロック図である。図5に示すように、制御部40は、主基板41、電源基板42、演出制御基板43、払出制御基板45、ランプドライバ基板46、中継基板47、及びサブ統合基板58から構成されている。この制御部40は、パチンコ機1(図1参照)の裏側(背面側)に設けられている。」

オ 「【0037】
次いで、サブ統合基板58、演出制御基板43、及びランプドライバ基板46について説明する。サブ統合基板58には、CPU581、RAM582、及びROM583が設けられている。そして、演出制御基板43及びランプドライバ基板46と、操作ボタン20の操作有効報知LED97、押し込み検出スイッチ98、及び押下検出スイッチ99と、音声を発生させるスピーカ48とに接続されている。そして、主基板41から送信されるコマンドに従って、演出の総合的な制御を行う。特に、所定の場合には操作ボタン20の操作を有効とし、操作されたか否かを検出して、検出結果に応じて演出を制御する。また、演出制御基板43は、CPU43aや図示外の入力インタフェイス、RAM及びROMを内蔵しており、表示画面28の制御を行っている。また、ランプドライバ基板46には、CPU46aや図示外の入力インタフェイス、RAM及びROMが内蔵されており、役物装置30と、パチンコ機1の前面に設けられている照明装置35とに接続されている。そして、サブ統合基板58から送信されるコマンドに基づいて、役物装置30の振動動作及び遊技球の停留解除の制御と、照明装置35の発光の制御とを行っている。」

カ 「【0056】
カウンタ記憶エリアには、主に、操作有効期間カウンタ、連打回数カウンタ、及びラウンド数計数カウンタが記憶されている。操作有効期間カウンタは、操作ボタン20の操作が有効となる期間である操作有効期間を計測するためのタイマカウンタである。連打回数カウンタは、1回の操作有効期間中に操作ボタン20が断続的に操作された累計の回数を計数するカウンタである。ラウンド数計数カウンタは、1回の大当たり遊技中に行われる大入賞口16,17の開閉動作の回数(ラウンド数)を計数するためのカウンタである。
・・・
【0058】
次に、サブ統合基板58で行われるサブ統合基板処理、報知演出制御処理、及び大当たり遊技演出処理について、図8乃至図17を参照して説明する。図8は、サブ統合基板58で行われるサブ統合基板処理のフローチャートであり、図9及び図11は、サブ統合基板58で行われる報知演出制御処理のフローチャートであり、図10は、箱120及びボ
タン操作指示121の表示態様の一例を示す図である。また、図12は、報知演出制御処理の中で行われる役物リーチ制御処理のサブルーチンのフローチャートであり、図13は、ボタン連打指示123及び遊技説明124の表示態様の一例を示す図である。また、図14は、報知演出制御処理の中で行われる演出選択リーチ制御処理のサブルーチンのフローチャートであり、図15は、演出候補126、演出選択指示メッセージ127、及びオート解除誘導メッセージ128の表示態様の一例を示す図である。また、図16は、報知演出制御処理の中で行われる押下時間指定演出制御処理のサブルーチンのフローチャートであり、図17は、サブ統合基板58で行われる大当たり遊技演出処理のフローチャートである。サブ統合基板処理は、主基板41からコマンドを受信した場合に、CPU581において実行される。また、報知演出制御処理は、報知演出実行フラグが「ON」とされており、且つサブ統合基板処理が行われていない間にCPU581において実行され、大当たり遊技演出処理は、大当たり遊技演出実行フラグが「ON」とされており、且つサブ統合基板処理が行われていない間にCPU581において実行される。」

キ 「【0074】
次に、図12及び図13を参照して、報知演出制御処理中で行われる役物リーチ制御処理について説明する。役物装置30を動作させるリーチ演出を実行する「役物リーチ」の変動パターンが指定された場合、ボタン連打指示123(図13参照)が表示画面28に表示されて(S94)、操作ボタン20の連打を行うことが遊技者に促される。次いで、遊技説明124が表示画面28に表示される(S95)。本実施の形態における「役物リーチ」では、操作ボタン20の連打に応じて役物装置30が振動する。そして、大当たり判定の結果が大当たりとなっており、且つ連打回数が所定数以上となれば、役物装置30に停留されている遊技球がクルーン34に排出される。遊技説明124では、この「役物リーチ」についての説明が行われる。
【0075】
次いで、操作有効報知LED97が点灯されて、操作ボタン20の操作が有効となっていることが遊技者に報知され(S96)、オート連打ペース抽選処理が行われる(S97)。このオート連打ペースとは、操作ボタン20のオート状態が設定されている間に所定の演出が実行され、操作ボタン20が断続的に押下されたとみなして演出を制御する場合の、単位時間当たりの押下検出回数である。本実施の形態では、1秒間当たり2回、4回、6回の3つのオート連打ペースが設けられており、このいずれかが抽選によって決定される。ここで、3つのオート連打ペースは全て、遊技者が操作ボタン20を可能な限り早く連打した場合の連打数の平均値よりも小さくなるようにあらかじめ設定されている。そして、操作有効期間カウンタがセットされる(S98)。
【0076】
次いで、操作ボタン20のオート状態が設定されているか否かが判断され(S101)、設定されていれば(S101:YES)、操作ボタン20が押下されたことを示す押下検出フラグを、決定されたオート連打ペースで「ON」とする処理が行われる(S105)。オート状態が設定されていなければ(S101:NO)、操作ボタン20が押下されたか否かが押し込み検出スイッチ98によって判断され(S102)、押下された場合には(S102:YES)、押下検出フラグが「ON」とされる(S103)。また、押下されていない場合には(S102:NO)、そのまま次の判断へ移行する。
【0077】
次いで、押下検出フラグが「ON」とされているか否かが判断される(S107)。「OFF」とされている場合には(S107:NO)、そのままS113の判断へ移行する。「ON」とされている場合には(S107:YES)、役物装置30を1回振動させる処理がランプドライバ基板46に対して行われ(S108)、役物装置30が振動したことを示す効果音を発生させる処理が行われる(S109)。そして、1回の演出における操作ボタン20の累計連打回数を計数する連打回数カウンタに「1」が加算され(S110)、押下検出フラグが「OFF」とされて(S111)、操作有効期間が経過したか否かが判断される(S113)。操作有効期間が経過していない場合には(S113:NO)、S101の判断へ戻り、押下検出結果に応じて役物装置30を振動させる一連の処理が繰り返し行われることとなる。
【0078】
操作有効期間が経過した場合には(S113:YES)、操作有効報知LED97が消灯された後、今回の操作有効期間中の操作ボタン20の累計連打回数が、所定値以上となっているか否かが判断される(S115)。連打回数カウンタの値が所定値以上となって
いれば(S115:YES)、指定された「役物リーチ」の変動パターンが大当たりの変動パターンである場合に、役物装置30に停留されている遊技球がクルーン34に排出されて(S116)、累計連打回数に応じてその後の演出が制御され(S117)、役物リーチ制御処理が終了する。また、累計連打回数が所定値に達していない場合には(S115:NO)、遊技球はクルーン34に排出されることなく、累計連打回数に応じた演出が行われて(S117)、役物リーチ制御処理が終了する。累計連打回数に応じた演出とは、例えば、遊技球がクルーン34に排出された場合には、「大当たり確定」等のメッセージが表示画面28に表示される。また、遊技球がクルーン34に排出されなかった場合には、累計連打回数が多い程、大当たりとなる期待度が高いことを示す演出が実行され易い。
【0079】
このように、本実施の形態では、「役物リーチ」を実行する際にオート状態が設定されていれば、操作ボタン20が断続して押下される場合と同じ演出を実行することができる。よって、遊技者は、操作ボタン20を連打することが面倒である場合や恥ずかしい場合、実際に操作ボタンを連打しなくても、連打した場合に実行される演出を楽しむことができる。また、オート状態が設定されている場合のオート連打回数が抽選によって決定されるため、オート状態設定中の演出は単調となることなく、多様な演出を遊技者に楽しませることができる。さらに、遊技者は、より多くの回数操作ボタン20を連打したい場合には、オート状態を解除して自ら操作ボタン20を連打することもできる。よって、遊技者は所望の演出を楽しむことができる。」

ク 「【0095】
また、図12のS105及び図17のS163で、操作ボタン20が所定時間当たりに複数回断続して押下されるタイミングで押下検出フラグを「ON」とするサブ統合基板58のCPU581が「断続操作結果生成手段」として機能する。また、図14のS126で、オート解除誘導メッセージ128を表示画面28に表示させるサブ統合基板58のCPU581及び演出制御基板43が「解除指示手段」として機能する。また、図9のS54,72、図12のS98、図14のS132、図16のS143、及び図17のS160で操作有効期間を設定するサブ統合基板58のCPU581が「有効期間設定手段」として機能し、図9のS56,73、図12のS102、図14のS135、図16のS147、及び図17のS164で操作ボタン20の押下を有効とするサブ統合基板58のCPU581が「有効制御手段」として機能する。また、図9のS52、図12のS94、図14のS122、及び図17のS158でメッセージを表示させるサブ統合基板58のCPU581、演出制御基板43、及び表示画面28、さらには図9のS53、図12のS96、図14のS131、及び図16のS142で操作有効報知LED97を点灯させるサブ統合基板58のCPU581及びランプドライバ基板46が「操作有効報知手段」として機能する。」

ケ 「【0097】
また、オート状態の設定方法自体も変更可能である。例えば、遊技者が演出実行時の押下や連打にのみ用いる押しボタンとは別に、オート状態の設定及び解除を行うための専用のスイッチやボタンを配設してもよい。また、押しボタンが所定時間以上長押しされることによって、オート状態の設定及び解除を切り替える構成としてもよい。この場合、オート状態が設定中であるか否かを遊技者に容易に把握させるために、例えば押しボタンの内部にLEDを配設し、オート状態が設定されているか否かに応じてLEDの発光態様を変化させることもできる。」

コ「【0099】
また、本実施の形態で操作ボタン20を連打させる演出を実行する場合(例えば、図12に示す役物リーチ制御処理参照)、操作ボタン20の操作有効期間が開始する前にオート連打ペースを予め決定し、操作有効期間内では一定のペースで押下検出フラグを「ON」としている。しかし、オート状態が設定される毎にオート連打ペースを決定してもよい。この場合、遊技者は、所望の連打ペースが決定されるまで繰り返しオート状態の解除及び設定を行うことも可能となるため、オート状態を利用してより自由に演出を楽しむことができる。」

サ 上記エの記載事項、及び、【図3】?【図4】の図示内容から、刊行物1には、「オート状態に設定されているときに、さらに操作部96が押し込まれ、遊技者が手を離すと操作部96は初期位置へ戻り、オート状態を解除する」ことが示されていると認められる。

シ 上記キ?クの記載事項から、刊行物1には、「サブ統合基板58のCPU581が、オート状態が設定されていれば(S101:YES)、操作ボタン20(操作部96)が押下されたことを示す押下検出フラグを、決定されたオート連打ペースで「ON」とする処理を行う(S105)「断続操作結果生成手段」として機能する」ことが示されていると認められる。

上記ア?ク、コの記載事項、上記サ?シの認定事項を総合すると、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「刊行物発明」という。)。
「図柄表示装置8の中央に配設され、動画やメッセージ等様々な映像が表示されるLCDからなる表示画面28と、
主基板41から送信されるコマンドに従って、演出の総合的な制御を行う演出制御基板43に接続されているサブ統合基板58と、
表示画面28の制御を行う演出制御基板43と、
遊技者によって操作される操作ボタン20(操作部96)と、
操作ボタン20(操作部96)が押下されたか否かを判断する押し込み検出スイッチ98と、
操作部96が押し込まれていることが押し込み検出スイッチ98によって検出されることにより、遊技者は、断続的にボタンが押下されている状態であるオート状態を設定することができ、
オート状態に設定されているときに、さらに操作部96が押し込まれ、遊技者が手を離すと操作部96は初期位置へ戻り、オート状態を解除することができ、
サブ統合基板58で行われる報知演出制御処理では、
1回の操作有効期間中に操作ボタン20(操作部96)が断続的に操作された累計の回数を連打回数カウンタを用いて計数し、
累計連打回数に応じてその後の演出を制御(S117)し、
押下検出フラグが「ON」とされている場合には(S107:YES)、1回の演出における操作ボタン20(操作部96)の累計連打回数を計数する連打回数カウンタに「1」が加算(S110)され、押下検出フラグが「OFF」とされ(S111)、操作有効期間が経過していない場合には(S113:NO)、押下検出結果に応じて役物装置30を振動させる一連の処理が繰り返し行われ、
サブ統合基板58が、オート状態が設定されていれば(S101:YES)、操作ボタン20(操作部96)が押下されたことを示す押下検出フラグを、決定されたオート連打ペースで「ON」とする処理を行う(S105)「断続操作結果生成手段」として機能し、
1秒間当たり2回、4回、6回の3つのオート連打ペースが設けられており、このいずれかが抽選によって決定され、
操作有効期間内では一定のペースで押下検出フラグを「ON」とされている遊技機。」

(2)対比
本件補正発明と刊行物発明とを対比する。
ア 刊行物発明における「図柄表示装置8の中央に配設され、動画やメッセージ等様々な映像が表示されるLCDからなる表示画面28」は、「動画やメッセージ等様々な映像」といった画像を演出に用いるものであるから、本件補正発明における「演出画像を表示する演出表示手段」に相当する。

イ 刊行物発明における「主基板41から送信されるコマンドに従って、演出の総合的な制御を行う演出制御基板43に接続されているサブ統合基板58」と、「表示画面28の制御を行う演出制御基板43」とを併せたものは、表示画面28における表示演出の総合的な制御を行うものであるから、本件補正発明における「演出表示手段に表示させる演出画像の表示制御を行う演出制御手段」に相当する。

ウ 刊行物発明における「遊技者によって操作される操作ボタン20(操作部96)」は、遊技者が操作ボタン20(操作部96)を操作することにより所定の入力指示がなされることが、当業者にとって明らかであるから、本件補正発明の「操作指示を入力する操作入力手段」に相当する。

エ 刊行物発明における「操作ボタン20(操作部96)が押下されたか否かを判断する押し込み検出スイッチ98」と、本件補正発明の「操作入力手段への操作指示の入力および操作指示の開放を検知する操作検知手段」とを対比する。

刊行物発明において、「押下されたか否かを判断する」ことは、操作部96が押し込まれていることを検出すること、及び、その状態からさらに操作部96が押し込まれ、遊技者が手を離し、操作部96が初期位置へ戻ること(すなわち、開放状態となること)によりオート状態が解除されたことを検出することを判断することを含むものであるから、本件補正発明における「操作指示の入力および操作指示の開放を検知する」ことに相当する。

したがって、刊行物発明における「押し込み検出スイッチ98」は、本件補正発明における「操作検知手段」に相当する。

オ 刊行物発明における「累計連打回数に応じてその後の演出を制御(S117)」することは、演出が、表示画面28に画像を表示させることにより行われるものであるから、本件補正発明の「操作回数に基づいて演出表示手段に表示させる演出画像の表示制御を行う」ことに相当する。

カ 刊行物発明における「サブ統合基板58で行われる報知演出制御処理では、1回の操作有効期間中に操作ボタン20(操作部96)が断続的に操作された累計の回数を連打回数カウンタを用いて計数」することと、本件補正発明の「予め設定された操作許可時間内に操作検知手段により検知された操作指示の入力回数を操作回数として計数」することとを対比する。

上記イにおいて検討したように、刊行物発明における「サブ統合基板58」は、「演出制御手段」に含まれるものである。
そして、刊行物発明における「1回の操作有効期間中」、「操作ボタン20(操作部96)が断続的に操作された累計の回数」、及び、「連打回数カウンタを用いて計数」することは、それぞれ、本件補正発明の「予め設定された操作許可時間内」、「操作検知手段により検知された操作指示の入力回数」、及び、「操作回数として計数」することに相当する。

又、上記イにおいて検討したように、刊行物発明のサブ統合基板58と演出制御基板43とを併せたものが、本件補正発明の「演出制御手段」に相当するものである。

したがって、刊行物発明における「サブ統合基板58で行われる報知演出制御処理では、1回の操作有効期間中に操作ボタン20(操作部96)が断続的に操作された累計の回数を連打回数カウンタを用いて計数」することは、本件補正発明における「演出制御手段は、予め設定された操作許可時間内に操作検知手段により検知された操作指示の入力回数を操作回数として計数」することに相当する。

キ 刊行物発明における「押下検出フラグが「ON」とされている場合には(S107:YES)、1回の演出における操作ボタン20(操作部96)の累計連打回数を計数する連打回数カウンタに「1」が加算(S110)され、押下検出フラグが「OFF」とされ(S111)、操作有効期間が経過していない場合には(S113:NO)、押下検出結果に応じて役物装置30を振動させる一連の処理が繰り返し行われ」ることは、押下検出フラグが「ON」とされ、一旦、「OFF」とされた後に、再度、「ON」とされるたびに、操作ボタン20の累計連打回数を計数する連打回数カウンタへの加算が繰り返し行われることから、本件補正発明における「操作指示の入力回数は、操作検知手段による操作指示の開放を検知した後、再度の操作指示の入力を検知するたびに加算」されることに相当する。

ク 刊行物発明における「サブ統合基板58が、オート状態が設定されていれば(S101:YES)、操作ボタン20(操作部96)が押下されたことを示す押下検出フラグを、決定されたオート連打ペースで「ON」とする処理を行う(S105)「断続操作結果生成手段」として機能」することと、本件補正発明における「演出制御手段は」、「操作指示の入力後、操作指示の開放を検知しない場合には、操作指示の入力から予め設定された長押し認定時間が経過してから操作指示の開放を検知するまで、操作指示の疑似入力を経過時間に応じて、操作回数として計数」することとを対比する。

刊行物発明における「オート状態」は、「操作部96が押し込まれていること」が検出されることにより設定され、操作部96が初期位置へ戻ることにより、解除されるものである。すなわち、刊行物発明における「オート状態」は、操作部96の開放が検出されるまで継続されるものである。
したがって、刊行物発明における「オート状態が設定されていれば(S101:YES)」は、本件補正発明における「操作指示の入力後、操作指示の開放を検知しない場合には、」「操作指示の開放を検知するまで」に相当する。

また、刊行物発明において、「オート状態」が設定されている間、「決定されたオート連打ペースで押下検出フラグを「ON」とする処理」が行われ、「連打回数カウンタに「1」が加算(S110)」される。
ここで、刊行物発明における「操作ボタン20(操作部96)が押下されたことを示す押下検出フラグを」「「ON」とする処理を行う」こと、「決定されたオート連打ペース」は、それぞれ、本件補正発明の「操作指示の疑似入力」が発生したこと、「経過時間に応じ」ることに相当する。また、刊行物発明では、「押下検出フラグが「ON」」されると、「連打回数カウンタに「1」が加算(S110)され」るが、上記エにおいて検討したように、刊行物発明における「連打回数カウンタを用いて計数」することは、本件補正発明の「操作回数として計数」することに相当する。
したがって、刊行物発明における「操作ボタン20(操作部96)が押下されたことを示す押下検出フラグを、決定されたオート連打ペースで「ON」とする処理を行う(S105)」ことは、本件補正発明における「操作指示の疑似入力を経過時間に応じて、操作回数として計数」することに相当する。

ゆえに、刊行物発明における「サブ統合基板58のCPU581は、オート状態が設定されていれば(S101:YES)、操作ボタン20(操作部96)が押下されたことを示す押下検出フラグを、決定されたオート連打ペースで「ON」とする処理を行う(S105)「断続操作結果生成手段」として機能」することと、本件補正発明の「演出制御手段は」、「操作指示の入力後、操作指示の開放を検知しない場合には、操作指示の入力から予め設定された長押し認定時間が経過してから操作指示の開放を検知するまで、操作指示の疑似入力を経過時間に応じて、操作回数として計数」することとは、「演出制御手段は、操作指示の入力後、操作指示の開放を検知しない場合には、操作指示の開放を検知するまで、操作指示の疑似入力を経過時間に応じて、操作回数として計数」することで共通する。

ケ 刊行物発明における「1秒間当たり2回、4回、6回の3つのオート連打ペースが設けられており、このいずれかが抽選によって決定され、操作有効期間内では一定のペースで押下検出フラグを「ON」とされている」ことは、「1秒間当たり2回、4回、6回の3つのオート連打ペース」が、それぞれ、「一定のペース」であることから、本件補正発明における「操作指示の疑似入力を計数する間隔」が、「等間隔に設定」されることに相当する。

コ 上記ア?ケより、本件補正発明と刊行物発明は、
「演出画像を表示する演出表示手段と、
前記演出表示手段に表示させる演出画像の表示制御を行う演出制御手段と、
操作指示を入力する操作入力手段と、
前記操作入力手段への前記操作指示の入力および前記操作指示の開放を検知する操作検知手段と、
を備え、
前記演出制御手段は、予め設定された操作許可時間内に前記操作検知手段により検知された前記操作指示の入力回数を操作回数として計数し、前記操作回数に基づいて前記演出表示手段に表示させる演出画像の表示制御を行うとともに、前記操作指示の入力回数は、前記操作検知手段による前記操作指示の開放を検知した後、再度の前記操作指示の入力を検知するたびに加算し、前記操作指示の入力後、前記操作指示の開放を検知しない場合には、前記操作指示の入力から予め設定された長押し認定時間が経過してから前記操作指示の開放を検知するまで、前記操作指示の疑似入力を経過時間に応じて、前記操作回数として計数し、さらに、前記操作指示の疑似入力を計数する間隔を、等間隔に設定する遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]
操作指示の疑似入力を操作回数として計数を開始するときに関して、
本件補正発明は、期間の始点が「操作指示の入力から予め設定された長押し認定時間が経過してから」であるのに対して、
刊行物発明は、操作部96が押し込まれていることが押し込み検出スイッチ98によって検出されてからであるが、本件補正発明の上記構成を備えていない点。

(3)当審の判断
上記相違点について検討する。
刊行物1には、オート状態の設定方法の変形例として、上記(1)ケには、「押しボタンが所定時間以上長押しされることによって、オート状態の設定及び解除を切り替える構成としてもよい。」こと(以下、「刊行物1に記載された技術事項」という。)についても記載されている。
刊行物1に記載された「押しボタンが所定時間以上長押しされる」という技術事項は、本件補正発明の「操作指示の入力から予め設定された長押し認定時間が経過」することに相当する。
したがって、刊行物発明に、上記刊行物1に記載された操作ボタン20(操作部96)に関する変形例の技術事項を適用して、オート状態の始点を操作ボタン20(操作部96)が所定時間以上長押しされたときとし、上記相違点に係る本件補正発明の構成にすることは、当業者が容易になし得たものである。
また、本件補正発明により奏される効果は、当業者が、刊行物発明及び刊行物1に記載された技術事項から予測し得る範囲内のものであって、格別のものではない。
ゆえに、本件補正発明は、当業者が刊行物発明及び刊行物1に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

(4)請求人の主張について
請求人は、平成26年10月15日の審判請求書において、「(c)本願発明と引用発明(引例1?3)との対比
引例1には、「オート状態が設定されていれば、オート連打ペース(単位時間当たりの押下検出回数が、1秒間当たり2回、4回、6回)で押下検出フラグが「ON」とされる」ことが記載されています。
すなわち、引例1に記載の発明は、オート状態の設定中では、直ちに決定されているペースで押下検出フラグを「ON」としています。したがって、操作ボタンの操作とともに連打が開始されてしまいます。」(第5頁第15?21行)と主張する。
しかしながら、上記「(3)当審の判断」において検討したように、請求人が「操作とともに連打が開始され」るとする操作ボタン20(操作部96)を、所定時間以上長押しされたときに連打が開始されるようにすることは、刊行物発明の構成の一部を刊行物1に記載された技術事項に基づいて置き換えることにより当業者が容易になし得たものであるから、上記請求人の記主張は採用できない。

(5)小括
上記(1)?(4)において検討したように、本件補正発明は、当業者が刊行物発明及び刊行物に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成26年4月14日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「演出画像を表示する演出表示手段と、
前記演出表示手段に表示させる演出画像の表示制御を行う演出制御手段と、
操作指示を入力する操作入力手段と、
前記操作入力手段への前記操作指示の入力および前記操作指示の開放を検知する操作検知手段と、
を備え、
前記演出制御手段は、予め設定された操作許可時間内に前記操作検知手段により検知された前記操作指示の入力回数を操作回数として計数し、前記操作回数に基づいて前記演出表示手段に表示させる演出画像の表示制御を行うとともに、前記操作指示の入力後、前記操作指示の開放を検知しない場合には、前記操作指示の開放を検知するまで、前記操作指示の疑似入力を経過時間に応じて、前記操作回数として計数し、さらに、前記操作指示の疑似入力を計数する間隔を、等間隔に設定することを特徴とする遊技機。」

2 刊行物
刊行物1及びその記載事項、刊行物発明は、前記「第2 3(1)刊行物」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、上記「第2 1補正の内容」において検討した本件補正発明から、演出制御手段に関して、「前記操作指示の入力回数は、前記操作検知手段による前記操作指示の開放を検知した後、再度の前記操作指示の入力を検知するたびに加算」するとの限定を省くと共に、操作回数を計数する期間に関して、「前記操作指示の入力から予め設定された長押し認定時間が経過してから前記操作指示の開放を検知するまで」とあったものを、「前記操作指示の開放を検知するまで」とその限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、他の発明特定事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2で検討したとおり、刊行物発明と刊行物1に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、本願発明も、同様に、刊行物発明と刊行物1に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明できたものである。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-10-05 
結審通知日 2015-10-06 
審決日 2015-10-20 
出願番号 特願2012-285692(P2012-285692)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 秋山 斉昭  
特許庁審判長 本郷 徹
特許庁審判官 関 博文
長崎 洋一
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人 エビス国際特許事務所  

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