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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01L
審判 査定不服 特29条の2 特許、登録しない。 G01L
管理番号 1309089
審判番号 不服2014-25630  
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-12-15 
確定日 2015-12-24 
事件の表示 特願2011-511953「内燃機関のチャンバ測定のための圧力センサ」拒絶査定不服審判事件〔平成21年12月10日国際公開、WO2009/146565、平成23年 7月28日国内公表、特表2011-522263〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2009年5月12日(パリ条約による優先権主張2008年6月4日、スイス国)を国際出願日とする出願であって、平成25年7月8日付けで拒絶理由が通知され、平成26年1月14日付けで手続補正がなされたが、平成26年8月11日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成26年12月15日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成26年12月15日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成26年12月15日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線は、補正箇所である。)。
「【請求項1】
ハウジング(2)と、圧力を捕捉するための圧力要素(3)と、圧力の方向に前記圧力要素(3)の下流で前記ハウジング(2)内に配置され、センサ要素(5)を有する測定要素(4)と、ダイアフラム(7)とを備え、前記ダイアフラム(7)は、その第1の端部(9)で前記圧力要素(3)に連結(16)によって恒久的に連結され、その第2の端部(10)で連結(19)において前記ハウジング(2)に恒久的に直接又は間接的に連結される、内燃機関のチャンバ(29)内の測定のための圧力センサ(1)であって、閉じた力経路(20)が、作動中に前記ダイアフラム(7)から直接前記測定要素(4)を介して、前記圧力要素(3)を介さずに通るように、前記圧力要素(3)は前記ダイアフラム(7)によって支持され、該ダイアフラム(7)は前記測定要素(4)に支持され、前記ダイアフラム(7)は、前記測定要素(4)上に支持される範囲(8)と、前記ハウジング(2)への前記連結(19)との間の圧力伝達のための弾性的に効果的な範囲(11)を有し、前記弾性的に効果的な範囲(11)は、前記ダイアフラム(7)の残部より薄い材料の厚さを有することを特徴とする圧力センサ。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の平成26年1月14日付けの手続補正による特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
ハウジング(2)と、圧力を捕捉するための圧力要素(3)と、圧力の方向に前記圧力要素(3)の下流で前記ハウジング(2)内に配置され、センサ要素(5)を有する測定要素(4)と、ダイアフラム(7)とを備え、前記ダイアフラム(7)は、その第1の端部(9)で前記圧力要素(3)に恒久的に連結され、その第2の端部(10)で連結(19)において前記ハウジング(2)に恒久的に直接又は間接的に連結される、内燃機関のチャンバ(29)内の測定のための圧力センサ(1)であって、閉じた力経路(20)が、作動中に前記ダイアフラム(7)から直接前記測定要素(4)を介して、前記圧力要素(3)を介さずに通るように、前記圧力要素(3)は前記ダイアフラム(7)によって支持され、該ダイアフラム(7)は前記測定要素(4)に支持され、前記ダイアフラム(7)は、前記測定要素(4)上に支持される範囲(8)と、前記ハウジング(2)への前記連結(19)との間の圧力伝達のための弾性的に効果的な範囲(11)を有し、前記範囲
(8)は、前記ダイアフラム(7)の残部より薄い材料の厚さを有することを特徴とする圧力センサ。」

(3)上記補正は、
ア 本件補正前の請求項1の「前記ダイアフラム(7)は、その第1の端部(9)で前記圧力要素(3)に恒久的に連結され」を「前記ダイアフラム(7)は、その第1の端部(9)で前記圧力要素(3)に連結(16)によって恒久的に連結され」と補正し、恒久的な連結について「連結(16)によって」との限定を付し、
イ 「前記ダイアフラム(7)の残部より薄い材料の厚さを有する」範囲について、(測定要素(4)上に支持される)「前記範囲(8)」との不合理な記載を、本来の正しい記載である、「前記弾性的に効果的な範囲(11)」と補正するものである。
ウ よって、審判請求書の「請求の理由」、「本願発明が特許されるべき理由」、「(2)」に「上記、手続補正書による特許請求の範囲に係る補正が、誤記の訂正、又は限定的減縮を目的とすることは明らかであると思料致します。」と記載されているとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号(特許請求の範囲の減縮)及び第3号(誤記の訂正)に掲げる事項を目的とするものに該当する。

2 補正の適否
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)先願明細書等の記載事項
ア 引用先願
原査定の拒絶の理由に引用された、先願(特願2009-539679号)は、本願の優先権主張の日(2008年6月4日)前である2007年10月16日に国際出願され、本願の優先権主張の日後に国際公開(国際公開第2008/068101号)され、その後、特許法第184条の4第1項に規定する翻訳文が提出された、国際特許出願であるPCT/EP2007/061021号が、国内移行されたものである。
そして、先願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面(以下、「先願明細書等」という。)には、以下の事項が記載されている(ウムラウト母音は「'」「'」で囲み、エスツェットは「ss」で代用した。なお、翻訳及び段落番号は、特表2010-511880号公報(以下、「公表公報」という。)によるものであり、下線は当審で付与したものである。)。

(ア)「Anspr'u'che
1. Druckmesseinrichtung (1) zur Anordnung in einer Kammer einer Brennkraftmaschine, insbesondere Druckmessgl'u'hkerze f'u'r eine luftverdichtende, selbstz'u'ndende Brennkraftmaschine, mit einem Geh'a'use (3) , einem Kraft'u'bertragungselement (5) , das an einer kammerseitigen 'O'ffnung (6) des Geh'a'uses (3) zumindest teilweise aus dem Geh'a'use (3) ragt, einem Drucksensor (19), der in einem Innenraum (11) des Geh'a'uses (3) angeordnet ist, wobei der Drucksensor (19) mit dem Kraft'u'bertragungselement (5) in Wirkverbindung steht, und einer Membran (10), die den Innenraum (11) des Geh'a'uses (3), in dem der Drucksensor (19) angeordnet ist, gegen'u'ber der kammerseitigen 'O'ffnung (6) abdichtet,
dadurch gekennzeichnet,
dass die Membran (10) einen Kraft'u'bertragungsabschnitt (23) aufweist, der zumindest im Wesentlichen in einer axialen Richtung des Kraft'u'bertragungselements (5) orientiert ist, und dass der Drucksensor (19) zumindest mittels des Kraft'u'bertragungsabschnitts (23) der Membran (10) mit dem Kraft'u'bertragungselement (5) in Wirkverbindung steht.

2. Druckmesseinrichtung nach Anspruch 1,
dadurch gekennzeichnet,
dass die Membran (10) einen Radialabschnitt (26) aufweist, der zumindest im Wesentlichen senkrecht zu der axialen Richtung orientiert ist.

3. Druckmesseinrichtung nach Anspruch 2,
dadurch gekennzeichnet,
dass die Membran (10) einen Befestigungsabschnitt (30) aufweist, der 'u'ber den Radialabschnitt (26) mit dem Kraft'u'bertragungsabschnitt (23) verbunden ist, und dass die Membran (10) an dem Befestigungsabschnitt (30) zumindest mittelbar mit dem Geh'a'use (3) verbunden ist.

4. Druckmesseinrichtung nach Anspruch 3,
dadurch gekennzeichnet,
dass die Membran (10) an dem Befestigungsabschnitt (30) mit einem Sensork'a'fig (17) verbunden ist.」(第14頁第1行?第15頁第10行)
(翻訳:【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの室内に配置される圧力測定装置(1)、例えば空気圧縮型自己着火式エンジンの圧力測定グロープラグであって、ハウジング(3)と、前記ハウジング(3)の燃焼室側の開口(6)にて少なくとも部分的に前記ハウジング(3)から突出している力伝達素子(5)と、前記ハウジング(3)の内室(11)に配置されている圧力センサ(19)と、前記圧力センサ(19)が配置されている前記ハウジング(3)の前記内室(11)の前記燃焼室側の開口(6)をシールしているダイアフラム(10)とを備えており、前記圧力センサ(19)は前記力伝達素子(5)に作用の点で接続されている、
圧力測定装置において、
前記ダイアフラム(10)は少なくとも実質的に前記力伝達素子(5)の軸方向に配向されている力伝達部分(23)を有し、前記圧力センサ(19)は少なくとも前記ダイアフラム(10)の前記力伝達部分(23)によって前記力伝達素子(5)に作用の点で接続されていることを特徴とする圧力測定装置。
【請求項2】
前記ダイアフラム(10)は少なくとも実質的に軸方向に対して垂直に配向されているラジアル部分(26)を有する、請求項1記載の圧力測定装置。
【請求項3】
前記ダイアフラム(10)は前記ラジアル部分(26)ひいては前記力伝達部分(23)に接合されている固定部分(30)を有しており、前記ダイアフラム(10)は前記固定部分(30)の箇所で少なくとも間接的に前記ハウジング(3)に接合されている、請求項2記載の圧力測定装置。
【請求項4】
前記ダイアフラム(10)は前記固定部分(30)の箇所でセンサケージ(17)に接合されている、請求項3記載の圧力測定装置。)

(イ)「 7. Druckmesseinrichtung nach einem der Anspr'u'che 1 bis 6,
dadurch gekennzeichnet,
dass ein Ende des Radialabschnitts (26) in ein Ende des Kraft'u'bertragungsabschnitts (23) 'u'bergeht.」(第15頁第19?22行)
(翻訳:【請求項7】
前記ラジアル部分(26)の端部は前記力伝達部分(23)の端部に移行している、請求項1から6までのいずれか1項記載の圧力測定装置。)

(ウ)「9. Druckmesseinrichtung nach einem der Anspr'u'che 1 bis 8,
dadurch gekennzeichnet,
dass der Kraft'u'bertragungsabschnitt (23) eine erste Anlagefl'a'che (12), an der das Kraft'u'bertragungselement (5) an der Membran (10) anliegt, und eine zweite Anlagefl'a'che (13) aufweist, die der ersten Anlagefl'a'che (12) abgewandt ist, und dass 'u'ber die zweite Anlagefl'a'che (13) eine Kraft'u'bertragung auf den Drucksensor (19) erfolgt.

10. Druckmesseinrichtung nach Anspruch 9,
dadurch gekennzeichnet,
dass zumindest ein Kraft'u'bertragungselement (14) vorgesehen ist, das einerseits an der zweiten Anlagefl'a'che (13) der Membran (10) anliegt und das andererseits mit dem Drucksensor (19) in Wirkverbindung steht.」(第15頁第27行?第16頁第13行)
(翻訳:【請求項9】
前記力伝達部分(23)は前記力伝達素子(5)が前記ダイアフラム(10)に接している第1の接合表面(12)と、該第1の接合表面(12)から離れた第2の接合表面(13)とを有し、また、該第2の接合表面(13)を介して力が前記圧力センサ(19)に伝達される、請求項1から8までのいずれか1項記載の圧力測定装置。
【請求項10】
一方では前記ダイアフラム(10)の前記第2の接合表面(13)に接し、かつ、他方では前記圧力センサ(19)に作用の点で接続されている力伝達素子(14)が少なくとも1つ設けられている、請求項9記載の圧力測定装置。)

(エ)「Stand der Technik
Die Erfindung betrifft eine Druckmesseinrichtung zur Anordnung in einer Kammer einer Brennkraftmaschine. Speziell betrifft die Erfindung eine Druckmessgl'u'hkerze zur Anordnung in einer Vor-, Wirbel- oder Brennkammer einer luftverdichtenden, selbstz'u'ndenden Brennkraftmaschine.」(第1頁第4?9行)
(翻訳:【技術分野】
【0001】
本発明はエンジンの室内に配置される圧力測定装置に関する。殊に、本発明は空気圧縮型自己着火式エンジンの予燃焼室式燃焼室、渦流室式燃焼室、または燃焼室内に配置される圧力測定グロープラグに関する。」)

(オ)「Eine Druckeinwirkung auf das Kraft'u'bertragungselement oder auf ein weiteres mit dem Kraft'u'bertragungselement verbundenes Element der Druckmesseinrichtung verursacht in der Regel eine linear-elastische Einfederung der im Kraftpfad befindlichen Bauteile. Dadurch kann ein Kraftimpuls 'u'bertragen werden, der mit einem Druck im Brennraum, dem Brennraumdruck, korreliert. Eine M'o'glichkeit der Erfassung ist dadurch gegeben, dass ein im Kraftpfad vorgespanntes Kraftmessmodul, das den Drucksensor aufweist, die Kraftimpulse vom Kraft'u'bertragungselement erfasst .

Die Membran, die als Metallmembran, insbesondere Stahlmembran, ausgebildet sein kann, dichtet den Innenraum des Geh'a'uses, in dem der Drucksensor angeordnet ist, gegen'u'ber der kammerseitigen 'O'ffnung ab, so dass 'u'ber die kammerseitige 'O'ffnung in das Geh'a'use eindringende, heisse Brennstoffgase nicht an den Drucksensor und andere Elemente der Gl'u'hstiftkerze gelangen. 」(第2頁第12行?28行)(翻訳:【0007】
圧力測定装置の力伝達素子またはこの力伝達素子に接合されている別の素子に作用する圧力は、通常、力伝達経路にある素子の線形弾性のバネたわみを引き起こす。これによって、燃焼室内の圧力、つまり燃焼室圧と相関する力のインパルスが伝達される。こうして、力伝達経路においてプレバイアスされ、圧力センサを有する力測定モジュールが力伝達素子の力のインパルスを検出することによって検出の手段が得られる。
【0008】
金属ダイアフラム、特に鋼ダイアフラムとして形成されているダイアフラムは圧力センサが配置されているハウジングの内室の燃焼室側の開口をシールしており、そのためこの燃焼室側の開口を介してハウジング内へ入り込む高温の燃料ガスは圧力センサおよびグロープラグの他の素子へ達しない。)

(カ)「In vorteilhafter Weise umfasst die Membran einen Radialabschnitt, der im Wesentlichen senkrecht zu der axialen Richtung orientiert ist. Dadurch wird eine vorteilhafte elastische Einfederung der Membran erm'o'glicht.

Vorteilhaft ist es, dass die Membran einen Befestigungsabschnitt aufweist, der 'u'ber den Radialabschnitt mit dem Kraft'u'bertragungsabschnitt verbunden ist, und dass die Membran an dem Befestigungsabschnitt zumindest mittelbar mit dem Geh'a'use verbunden ist. Dabei kann die Membran an dem Befestigungsabschnitt mit einem Sensork'a'fig oder direkt mit dem Geh'a'use verbunden sein. Die Verbindung kann beispielsweise durch Schweissen, insbesondere Laserschweissen, ausgebildet sein. Bei der Verbindung des Befestigungsabschnitts mit dem Geh'a'use besteht der Vorteil, dass eine optimierte Ausgestaltung des Befestigungsabschnitts im Hinblick auf das Verbindungsverfahren m'o'glich ist. Beispielsweise kann der Befestigungsabschnitt eine relativ grosse Wandst'a'rke aufweisen, um eine zuverl'a'ssige Verbindung zu erm'o'glichen. Ferner kann der Befestigungsabschnitt eine gewisse Erstreckung, insbesondere in axialer Richtung, aufweisen, um eine gr'o'ssere Toleranz f'u'r die Positionierung der Verbindung oder der Verbindungsstellen zu erm'o'glichen. In vorteilhafter Weise ist die Membran an dem Radialabschnitt zumindest mittelbar mit dem Geh'a'use verbunden. Dabei kann die Membran an dem Radialabschnitt mit dem Sensork'a'fig verbunden sein. Dies hat den Vorteil, dass der Anteil der temperaturbedingten L'a'ngen'a'nderung der Membran, der eine Einwirkung auf die Druckmessung hat, weitgehend verringert oder sogar vollst'a'ndig eliminiert werden kann. F'u'r Spezialanwendungen, insbesondere f'u'r Laboranwendungen, kann dadurch die Genauigkeit der Druckmessung weiter verbessert werden. Je nach Anwendungsfall kann dies gegebenenfalls den etwas gr'o'sseren Aufwand bei der Befestigung der Membran mit dem Geh'a'use verglichen mit der Ausgestaltung mit Befestigungsabschnitt rechtfertigen .

In vorteilhafter Weise geht ein Ende des Radialabschnitts in ein Ende des Kraft'u'bertragungsabschnitts 'u'ber, so dass die Membran n'a'herungsweise in Form einer H'u'lse ausgebildet ist, die sich im Radialabschnitt radial erweitert.」(第4頁第9行?第5頁第17行)
(翻訳:【0011】
有利な手段では、ダイアフラムは軸方向に対して実質的に垂直に配向されているラジアル部分を含んでいる。これにより、ダイアフラムの有利な弾性のたわみが可能となる。
【0012】
有利には、ダイアフラムはそのラジアル部分ひいては力伝達部分に接合されている固定部分を有しており、このダイアフラムはその固定部分の箇所で少なくとも間接的にハウジングに接合されている。ここで、このダイアフラムは固定部分の箇所でセンサケージに接合されるかまたは直接ハウジングに接合されてもよい。この接合は例えば溶接、特にレーザ溶接することによって形成されていてもよい。ここで、固定部分をハウジングに接合する場合には、接合プロセスを考慮した固定部分の最適な形態を実現できるという利点が存在する。例えば、この固定部分は信頼性の高い接合を可能とするために比較的大きな壁厚を有していてもよい。また、この固定部分は接合または接合場所の位置決め用のより大きな余裕部分を可能にするために、ある程度の延長部を、特に軸方向に有していてもよい。
【0013】
有利な手段では、ダイアフラムはそのラジアル部分の箇所で少なくとも間接的にハウジングに接合されている。ここで、ダイアフラムはラジアル部分の箇所でセンサケージに接合されていてもよい。このことはダイアフラムの温度に起因して生じる長さの変化のうち、圧力測定に影響を与える成分が大幅に低減されるか、または完全に消去されるという利点を有する。そのために、特殊な適用状況、特に実験室での適用に際して圧力測定の精度が更に改善される。ただしこのことは、適用状況に応じて、ダイアフラムをハウジングに固定する形態では、固定部分を備える形態と比較して、場合によってはいくらか大きなコストがかかることがある。
【0014】
有利な手段では、ラジアル部分の端部は力伝達部分の端部につながっており、ダイアフラムは近似にスリーブの形状として形成されている。このスリーブの形状とはラジアル部分にて放射状に広がる形状である。)

(キ)「Ausf'u'hrungsformen der Erfindung
Fig. 1 zeigt ein erstes Ausf'u'hrungsbeispiel einer Druckmesseinrichtung 1 in einer schematischen, axialen Schnittdarstellung. Die Druckmesseinrichtung 1 ist dabei als Druckmessgl'u'hkerze 1 f'u'r eine luftverdichtende, selbstz'u'ndende Brennkraftmaschine ausgestaltet. Ein stabf'o'rmiges Heizelement 2 der Druckmessgl'u'hkerze 1 ragt bei Vor- und Wirbelkammermotoren in die Kammer der Brennkraftmaschine und bei Motoren mit Direkteinspritzung in eine Brennkammer des Motors. Die erfindungsgem'a'sse Druckmessgl'u'hkerze 1 eignet sich jedoch auch f'u'r andere Anwendungsf'a'lle. Ferner kann die Druckmesseinrichtung 1 auch als Druckmessz'u'ndkerze oder als Druckmesseinspritzventil f'u'r gemischverdichtende, fremdgez'u'ndete Brennkraftmaschinen ausgestaltet sein.

Die Druckmessgl'u'hkerze 1 weist ein Geh'a'use 3 mit einem Dichtkonus 4 auf. Das stabf'o'rmige Heizelement 2 ist abschnittsweise von einem Kraft'u'bertragungselement 5 umgeben und mit diesem verbunden. Das Geh'a'use 3 weist eine kammerseitige 'O'ffnung 6 auf, an dem das von dem Kraft'u'bertragungselement 5 umgebene Heizelement 2 aus dem Geh'a'use 3 ragt. Das Kraft'u'bertragungselement 5 ist in diesem Ausf'u'hrungsbeispiel als St'u'tzrohr f'u'r das Heizelement 2 ausgestaltet. Das Kraft'u'bertragungselement 5 kann allerdings auch Teil des Heizelements 2 sein, zum Beispiel bei einem Heizelement 2, das ein metallisches Heizrohr mit innenliegender Heizwendel aufweist.

Das stabf'o'rmige Heizelement 2 ist mit einer Gl'u'hstromleitung 8 verbunden, die auf geeignete Weise mit einem Steuerger'a't oder dergleichen verbindbar ist. Ferner ist das Heizelement 2 direkt oder indirekt mit dem Geh'a'use 3 elektrisch kontaktiert, so dass 'u'ber das Geh'a'use 3 im montierten Zustand der Druckmessgl'u'hkerze 1 eine Verbindung mit elektrischer Masse 9 herstellbar ist. Durch die Gl'u'hstromleitung 8 k'o'nnen relativ grosse Str'o'me, beispielsweise von mehreren Ampere fliessen, um die zum Aufheizen des Heizelements 2 ben'o'tigte Energie zu dem Heizelement 2 zu f'u'hren. Die Aufheizung erfolgt dabei vorzugsweise im Bereich einer Gl'u'hspitze 9 des Heizelements 2.

Innerhalb des Geh'a'uses 3 ist eine Metallmembran 10 vorgesehen, die einen Innenraum 11 des Geh'a'uses 3 gegen'u'ber der kammerseitigen 'O'ffnung 6 abdichtet. Durch die Abdichtung wird verhindert, dass 'u'ber die kammerseitige 'O'ffnung 6 in das Geh'a'use 3 eindringende heisse Verbrennungsgase in den Innenraum 11 gelangen. Die Metallmembran 10 weist an einem Ende eine erste Anlagefl'a'che 12 auf, an der das Kraft'u'bertragungselement 5 an der Metallmembran 10 anliegt. Ferner weist die Metallmembran 10 eine zweite Anlagefl'a'che 13 auf, an der eine erste Kraft'u'bertragungsh'u'lse 14 anliegt. Ausserdem ist die Metallmembran 10 mittels einer Schweissnaht 15, die beispielsweise durch Laserschweissen ausgestaltet sein kann, mit dem Geh'a'use 3 verbunden. Ausserdem ist die Metallmembran 10 durch eine weitere Schweissnaht 16, die ebenfalls durch Laserschweissen ausgestaltet sein kann, mit einem Sensork'a'fig 17 verbunden. Zumindest im Wesentlichen innerhalb des Sensork'a'figs 17 ist die erste Kraft'u'bertragungsh'u'lse 14 angeordnet. Ferner ist eine zweite Kraft'u'bertragungsh'u'lse 18, die an der ersten Kraft'u'bertragungsh'u'lse 14 anliegt, innerhalb des Sensork'a'figs 17 angeordnet. Innerhalb des Sensork'a'figs 17 ist ausserdem ein Drucksensor 19 angeordnet. Der Drucksensor 19 liegt einerseits an der zweiten Kraft'u'bertragungsh'u'lse 18 an. Ferner st'u'tzt sich der Drucksensor 19 an einem Fixierelement 20 ab, das mittels einer Schweissnaht 21 mit dem Sensork'a'fig 17 verbunden ist. Der Sensork'a'fig 17 ist mittels einer weiteren Schweissnaht 22 mit dem Geh'a'use 3 verbunden. Die Schweissnaht 22 kann gegebenenfalls auch entfallen.

Der Drucksensor 19 steht 'u'ber die zweite Kraft'u'bertragungsh'u'lse 18, die erste Kraft'u'bertragungsh'u'lse 14 und einen Kraft'u'bertragungsabschnitt 23 der Metallmembran 10 mit dem Kraft'u'bertragungselement 5 in Wirkverbindung. Dabei sind an den Enden des Kraft'u'bertragungsabschnitts 23 der Metallmembran 10 die beiden Anlagefl'a'chen 12, 13 ausgestaltet, die voneinander abgewandt sind. Durch einen Druck im Brennraum, das heisst in der Kammer der Brennkraftmaschine, ergibt sich in Bezug auf die Fl'a'che der Gl'u'hspitze 9 eine Kraft 24 in Richtung einer Achse 25 des Kraft'u'bertragungselements 5, die auf den Drucksensor 19 gerichtet ist. Der Drucksensor 19 ist innerhalb des Sensork'a'figs 17 vorzugsweise so montiert, dass eine gewisse Vorspannung des Drucksensors 19 im drucklosen Zustand, das heisst bei verschwindender Kraft 24, erreicht ist. Die Kraft 24 verst'a'rkt diese Vorspannung, so dass aus der resultierenden Beaufschlagung des Drucksensors 19 der momentane Druck in der Kammer der Brennkraftmaschine bestimmbar ist. Durch eine Erw'a'rmung der Metallmembran 10, die durch 'u'ber die 'O'ffnung 6 in das Geh'a'use 3 eindringende heisse Verbrennungsgase hervorgerufen sein kann, erfolgt eine gewisse thermische L'a'ngen'a'nderung des Kraft'u'bertragungsabschnitts 23 der Metallmembran 10. Diese L'a'ngen'a'nderung des Kraft'u'bertragungsabschnitts 23 wirkt sich in einer gewissen Verstellung des Kraft'u'bertragungselements 5 in axialer Richtung, das heisst entlang der Achse 25, aus. Allerdings ist die Position der zweiten Anlagefl'a'che 13 des Kraft'u'bertragungsabschnitts 23 der Metallmembran 10 von dieser L'a'ngen'a'nderung nicht betroffen, so dass die Beaufschlagung des Drucksensors 19 und damit auch die Druckmessung nicht beeinflusst ist.

Die Metallmembran 10 weist ausserdem einen Radialabschnitt 26 auf, der zumindest im Wesentlichen senkrecht zu der axialen Richtung, das heisst senkrecht zu der Achse 25, orientiert ist. Eine thermische Ausdehnung des Radialabschnitts 26 wirkt sich nicht auf die axiale Position der zweiten Anlagefl'a'che 13 aus, so dass auch hierdurch kein Einfluss auf die Druckmessung mittels des Drucksensors 19 erfolgt. In dem in der Figur 1 dargestellten Ausf'u'hrungsbeispiel erfolgt die Befestigung der Metallmembran 10 an dem Geh'a'use 3 direkt an dem Radialabschnitt 26. Thermisch bedingte L'a'ngen'a'nderungen der Metallmembran 10 wirken sich somit zumindest im Wesentlichen nicht auf die Druckmessung aus. Hierdurch kann eine sehr hohe Genauigkeit bei der Druckmessung, insbesondere eine verzerrungsfreie Druckmessung, mittels des Drucksensors 19 erzielt werden.」(第6頁第15行?第10頁第6行)
(翻訳:【0017】
本発明の実施例
図1には、圧力測定装置1の第1の実施例が概略的な軸方向の断面図で示されている。ここで、この圧力測定装置1は空気圧縮型自己着火式エンジン用の圧力測定グロープラグ1として構成されている。この圧力測定グロープラグ1のロッド状のヒータ素子2は予燃焼室式エンジンおよび渦流室式エンジンではエンジンの燃焼室内へ、また、直接燃料噴射部を備えるエンジンではエンジンの燃焼室内へ突出している。もっとも、本発明による圧力測定グロープラグ1は他の適用状況にも適している。さらになお、この圧力測定装置1は混合ガス圧縮型外部供給点火式エンジン用の圧力測定点弧プラグまたは圧力測定燃料噴射バルブとして構成されていてもよい。
【0018】
この圧力測定グロープラグ1は円錐状シール4の付いたハウジング3を有する。ロッド状ヒータ素子2は部分的に力伝達素子5によって囲まれ、力伝達素子5に接合されている。ハウジング3は燃焼室側の開口6を有しており、そこでは力伝達素子5によって囲まれているヒータ素子2がハウジング3から突出している。この力伝達素子5はこの実施例ではヒータ素子2に対する支持管として構成されている。もっとも、この力伝達素子5は、例えばヒータ素子2が内部にヒートコイルの付いた金属製ヒータ管を有する場合には、このヒータ素子2の一部であってもよい。
【0019】
このロッド状ヒータ素子2は適切な手段で制御装置またはその他の素子と接続状態にあるグロー電流線路8に接続されている。また、このヒータ素子2は直接的または間接的にハウジング3と電気的に接触接続されているため、ハウジング3を介して圧力測定グロープラグ1を据え付けた状態で電気的アース9との接続が形成される。グロー電流線路8をとおって比較的大きな電流、例えば数アンペアの電流が流れ、その結果ヒータ素子2を加熱するために必要とされるエネルギをヒータ素子2へ案内する。ここで有利には、この加熱はヒータ素子2のグロープラグの先端9の領域で発生するのである。
【0020】
ハウジング3の中に、ハウジング3の内室11の燃焼室側の開口6をシールする金属ダイアフラム10が設けられている。このシールによって、燃焼室側の開口6を介してハウジング3の中に入り込む高温の燃焼ガスが内室11の中に達することが防止される。金属ダイアフラム10は力伝達素子5がこの金属ダイアフラム10に接している第1の接合表面12を端部に有する。また、この金属ダイアフラム10は第1の力伝達スリーブ14が接している第2の接合表面13も有する。さらに、この金属ダイアフラム10は、例えばレーザ溶接によって形成されている第1の溶接シーム15によってハウジング3に接合されている。そのうえ、この金属ダイアフラム10は、同様にレーザ溶接によって形成されている第2の溶接シーム16によってセンサケージ17にも接合されている。少なくとも、実質的にセンサケージ17の中に第1の力伝達スリーブ14が配置されている。さらに、第1の力伝達スリーブ14に接する第2の力伝達スリーブ18もまたセンサケージ17の中に配置されている。また、このセンサケージ17の中には圧力センサ19も配置されている。この圧力センサ19は一方で第2の力伝達スリーブ18に接している。また、この圧力センサ19は、第3の溶接シーム21によってセンサケージ17に接合されている固定素子20に支えられている。このセンサケージ17は第4の溶接シーム22によってハウジング3に接合されている。この第4の溶接シーム22は場合によっては省略してもよい。
【0021】
圧力センサ19は第2の力伝達スリーブ18、第1の力伝達スリーブ14および金属ダイアフラム10の力伝達部分23を介して力伝達素子5に作用の点で接続されている。ここで、金属ダイアフラム10の力伝達部分23の端部に、相互に離間している2つの接合表面12,13が構成されている。燃焼室内の圧力、つまりエンジンの室内の圧力により、グロープラグの先端9の表面に対して、圧力センサ19に配向されている力伝達素子5の軸線25の方向に力24が生じる。有利には、この圧力センサ19はセンサケージ17の中で、加圧されていない状態、つまり力24のない時に、圧力センサ19のある程度のプレバイアスが得られるように据え付けられている。力24がバイアスを増大させるため、結果として生じる圧力センサ19の加圧状態からエンジンの室内の瞬時の圧力が求められる。開口6を介してハウジング3に入り込む高温の燃焼ガスにより引き起こされる金属ダイアフラム10の加熱によって、金属ダイアフラム10の力伝達部分23におけるある程度の熱による長さの変化が生じる。この力伝達部分23の長さの変化は軸方向で、つまり軸線25に沿って力伝達素子5のある程度のオフセットに作用する。ただし、金属ダイアフラム10の力伝達部分23の第2の接合表面13の位置には、この長さの変化が関与しないため、圧力センサ19の加圧状態、それに伴う圧力測定は影響されないのである。
【0022】
また、金属ダイアフラム10は少なくとも実質的に軸方向に対して垂直、つまり軸線25に対して垂直に配向されているラジアル部分26を有する。ラジアル部分26の熱による伸長は第2の接合表面13の軸上の位置に作用しないため、圧力センサ19による圧力測定にはどんな影響も生じないのである。図1に示されている本発明の実施例では、金属ダイアフラム10をハウジング3に固定することはラジアル部分26のすぐ近傍で行われる。それゆえ、金属ダイアフラム10の熱に起因する長さの変化は少なくとも実質的に圧力測定に作用しない。これによって、圧力センサ19による圧力測定、特に歪みのない圧力測定の際にきわめて高い精度を達成することができるのである。)

(ク)「Fig. 3 zeigt den in Fig. 1 mit III bezeichneten Ausschnitt einer als Druckmessgl'u'hkerze 1 ausgestalteten Druckmesseinrichtung entsprechend einem dritten Ausf'u'hrungsbeispiel der Erfindung. In diesem Ausf'u'hrungsbeispiel weist die Metallmembran 10 einen Befestigungsabschnitt 30 auf, der 'u'ber den Radialabschnitt 26 mit dem Kraft'u'bertragungsabschnitt 23 verbunden ist. Der Befestigungsabschnitt 30 ist dabei zumindest im Wesentlichen in axialer Richtung entlang der Achse 25 gefhr'u't. Ferner addieren sich die L'a'nge der Metallmembran 10 in axialer Richtung und die L'a'nge des Befestigungsabschnittes 30 in axialer Richtung entlang der Achse 25 zumindest im Wesentlichen zur Gesamtl'a'nge der Metallmembran 10 in axialer Richtung. Durch die Einwirkung der heissen Brennstoffgase oder dergleichen kommt es zu einer periodischen Erw'a'rmung und Abk'u'hlung der Metallmembran 10, was thermisch bedingte L'a'ngen'a'nderungen zur Folge hat. 'A'nderungen der L'a'nge des Kraft'u'bertragungsabschnitts 23 der Metallmembran 10 wirken sich dabei nicht auf die Vorspannung des Drucksensors 19 aus. Durch die thermischen L'a'ngen'a'nderungen der L'a'nge des Befestigungsabschnitts 30 in axialer Richtung kommt es zu einer gewissen periodischen Entlastung der Vorspannung des Drucksensors 19. Allerdings ist die gesamte, auf Grund der thermischen L'a'ngen'a'nderung der Metallmembran 10 in axialer Richtung erfolgende periodische Entlastung des Drucksensors 19 reduziert, da nur die L'a'nge des Befestigungsabschnitts 30 zu f'u'r die Druckmessung wesentlichen Entlastungen f'u'hrt. Der Befestigungsabschnitt 30 weist einen Teil 31 mit gr'o'sserer Wandst'a'rke auf, um eine ausreichende Dicke der Metallmembran f'u'r die Schweissbadsicherung beim Laserschweissen zu gew'a'hrleisten. 'U'ber die Erstreckung des Teils 31 in axialer Richtung kann ausserdem eine gewisse Toleranz zur Positionierung der Schweissnaht gew'a'hrleistet werden, um die Herstellung der Druckmessgl'u'hkerze 1, insbesondere im Rahmen einer Massenfertigung, zu erleichtern. Die L'a'nge des Befestigungungsabschnitts 30 in axialer Richtung ist vorzugsweise m'o'glichst kurz.

Die in den Fig. 1 bis 3 dargestellten Druckmesseinrichtungen 1 illustrieren beispielhaft m'o'gliche Ausgestaltungen der Erfindung. Dabei kann insbesondere die Wandst'a'rke der Metallmembran 10 an den jeweiligen Anwendungsfall angepasst werden und auch variieren. Insbesondere kann die Wandst'a'rke der Metallmembran 10 dort relativ d'u'nn ausgef'u'hrt werden, wo eine gewisse Flexibilit'a't der Metallmembran 10 erw'u'nscht ist, insbesondere im Bereich der 'U'berg'a'nge zwischen dem Kraft'u'bertragungsabschnitt 23 und dem Radialabschnitt 26 sowie dem Radialabschnitt 26 und dem Befestigungsabschnitt 30. Ferner kann die Metallmembran 10 auch L-f'o'rmig ausgebildet sein. Die Herstellung der Metallmembran 10 kann beispielsweise durch Drehen eines Werkstoffs aus einem hochfesten Stahl erfolgen. Die Metallmembran kann beispielsweise eine Wandst'a'rke von 0,3 mm aufweisen. 」(第11頁第3行?第12頁第22行)
(翻訳:【0024】
図3には、本発明による第3の実施例に応じた圧力測定グロープラグ1として構成される圧力測定装置のうち、図1においてIIIを附した部分が示されている。この第3の実施例では、金属ダイアフラム10はそのラジアル部分26に接合された固定部分30を有しており、ここで、金属ダイアフラム10は固定部分30からラジアル部分26を介して力伝達部分23へ移行している。この場合、この固定部分30は少なくとも実質的に軸線25に沿って軸方向に案内されており、また、軸方向の金属ダイアフラム10の長さと軸線25に沿った軸方向の固定部分30の長さとが加算されて少なくとも実質的に金属ダイアフラム10の軸方向の全長になっている。ここで、高温の燃料ガスまたはその他のものの影響によって、金属ダイアフラム10の周期的な加熱および冷却が生じ、このことが熱に起因する長さの変化をもたらす。ただし、金属ダイアフラム10の力伝達部分23の長さの変化は圧力センサ19のプレバイアスに作用しない。なぜなら、軸方向の固定部分30の長さの熱による変化によって、圧力センサ19のプレバイアスのある程度の周期的な脱離は生じるけれども、圧力センサ19において、金属ダイアフラム10の軸方向の熱による長さの変化に基づいて生じる周期的な負荷の脱離の全体が低減されるからである。これは、固定部分30の長さのみが圧力測定に関与する負荷の脱離に影響するためである。また、固定部分30は、レーザ溶接する時に溶接池の確保に関して金属ダイアフラムの十分な厚さを保証するために、比較的大きな壁厚を備える部分31を有する。さらに、軸方向の部分31の拡張部分によって、圧力測定グロープラグ1の製造を、特に大量生産の範囲において容易にするために、溶接シームの位置を決めるためのある程度の余裕部分が保証される。有利には、軸方向の固定部分30の長さが可能な限り短くされる。
【0025】
図1から図3に示されている圧力測定装置1は本発明の考えられる実施形態を例示している。この場合特に、金属ダイアフラム10の壁厚はその時その時の適用状況に適合化され、様々に変わる。特に、この金属ダイアフラム10の壁厚は、金属ダイアフラム10のある程度のフレキシビリティが所望される箇所、特に力伝達部分23からラジアル部分26への移行領域、並びにラジアル部分26から固定部分30への移行領域内で比較的薄く構成される。また、金属ダイアフラム10はL字形に形成されている。例えば、金属ダイアフラム10は高強度の鋼(hochfester Stahl)製の原材料を旋削することによって製造される。有利には、この金属ダイアフラムは0.3mmの壁厚を有する。)

(ケ)図1には、ハウジング(3)内のセンサケージ(17)の中に、第1の力伝達スリーブ(14)、第2の力伝達スリーブ(18)、圧力センサ(19)、及び固定素子(20)が配置されていることが示されている。

なお、図1に描かれた第1の接合表面(12)の引出線は、正しくは、図2、図3のとおり、ダイアフラム10の力伝達部分(23)が力伝達素子(5)に接している箇所を指すように描かれるべきものである。

イ 実施例1と実施例3とに共通な技術事項については、一方の技術事項についての記載が他方の技術事項についてもあてはまるから、上記記載から、先願明細書等には、次の技術事項が記載されているといえる。
a 【請求項1】より、「エンジンの室内に配置される圧力測定装置(1)であって、ハウジング(3)と、前記ハウジング(3)の燃焼室側の開口(6)にて少なくとも部分的に前記ハウジング(3)から突出している力伝達素子(5)と、前記ハウジング(3)の内室(11)に配置されている圧力センサ(19)と、前記圧力センサ(19)が配置されている前記ハウジング(3)の前記内室(11)の前記燃焼室側の開口(6)をシールしているダイアフラム(10)とを備えている圧力測定装置。」との技術事項が読み取れる。

b 【請求項1】、【請求項2】及び段落【0024】より、「前記ダイアフラム(10)は少なくとも実質的に前記力伝達素子(5)の軸方向に配向されている力伝達部分(23)と(【請求項1】)、実質的に軸方向に対して垂直に配向されているラジアル部分(26)と(【請求項2】)、そのラジアル部分26に接合された固定部分30を有しており、ここで、金属ダイアフラム10は固定部分30からラジアル部分26を介して力伝達部分23へ移行している(【0024】)。」との技術事項が読み取れる。

c 段落【0011】より「ダイアフラムは軸方向に対して実質的に垂直に配向されているラジアル部分により、ダイアフラムの有利な弾性のたわみが可能となる。」との技術事項が読み取れる。


d 【請求項9】及び段落【0020】より、「前記力伝達部分(23)は、前記力伝達素子(5)が前記ダイアフラム(10)に接している第1の接合表面(12)と、該第1の接合表面(12)から離れた第2の接合表面(13)とを有し、また、該第2の接合表面(13)を介して力が前記圧力センサ(19)に伝達され(【請求項9】)、金属ダイアフラム10は力伝達素子5がこの金属ダイアフラム10に接している第1の接合表面12を端部に有する(【0020】)。」との技術事項が読み取れる。

e 【請求項3】より、「前記ダイアフラム(10)は前記固定部分(30)の箇所で少なくとも間接的に前記ハウジング(3)に接合される。」との技術事項が読み取れる。

f 段落【0020】及び図1より、「ハウジング(3)内のセンサケージ(17)の中に、第1の力伝達スリーブ(14)、第2の力伝達スリーブ(18)、圧力センサ(19)がそれぞれ接して配置され、またセンサケージ(17)の中に、圧力センサ19を支える固定素子20が配置されている。」との技術事項が読み取れる。

g 段落【0021】より、「圧力センサ19は第2の力伝達スリーブ18、第1の力伝達スリーブ14および金属ダイアフラム10の力伝達部分23を介して力伝達素子5に接続される。」との技術事項が読み取れる。

h 段落【0018】より、「ヒータ素子2は、力伝達素子5に接合されており、この力伝達素子5は、ヒータ素子2の一部であってもよい。」との技術事項が読み取れる。

i 段落【0021】より、「燃焼室内の圧力、つまりエンジンの室内の圧力により、圧力センサ19に配向されている力伝達素子5の軸線25の方向に力24が生じ、この圧力センサ19はセンサケージ17の中で、加圧されていない状態、つまり力24のない時に、圧力センサ19のある程度のプレバイアスが得られるように据え付けられている。」との技術事項、及び「力24がバイアスを増大させるため、結果として生じる圧力センサ19の加圧状態からエンジンの室内の瞬時の圧力が求められる。」との技術事項が読み取れる。

j 段落【0025】より、「この金属ダイアフラム10の壁厚は、金属ダイアフラム10のある程度のフレキシビリティが所望される箇所、特に力伝達部分23からラジアル部分26への移行領域、並びにラジアル部分26から固定部分30への移行領域内で比較的薄く構成される。」との技術事項が読み取れる。

ウ これらのことから、先願明細書等には、次の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されていると認められる(なお、図面における参照番号は、括弧付きの数字に統一して記載した。)。
「エンジンの室内に配置される圧力測定装置(1)であって、ハウジング(3)と、前記ハウジング(3)の燃焼室側の開口(6)にて少なくとも部分的に前記ハウジング(3)から突出している力伝達素子(5)と、前記ハウジング(3)の内室(11)に配置されている圧力センサ(19)と、前記圧力センサ(19)が配置されている前記ハウジング(3)の前記内室(11)の前記燃焼室側の開口(6)をシールしているダイアフラム(10)とを備えている圧力測定装置において、
前記ダイアフラム(10)は少なくとも実質的に前記力伝達素子(5)の軸方向に配向されている力伝達部分(23)と、実質的に軸方向に対して垂直に配向されているラジアル部分(26)と、そのラジアル部分(26)に接合された固定部分(30)を有しており、ここで、金属ダイアフラム(10)は固定部分(30)からラジアル部分(26)を介して力伝達部分(23)へ移行しており、
ダイアフラムは軸方向に対して実質的に垂直に配向されているラジアル部分により、ダイアフラムの有利な弾性のたわみが可能となリ、
前記力伝達部分(23)は、前記力伝達素子(5)が前記ダイアフラム(10)に接している第1の接合表面(12)と、該第1の接合表面(12)から離れた第2の接合表面(13)とを有し、また、該第2の接合表面(13)を介して力が前記圧力センサ(19)に伝達され、
金属ダイアフラム(10)は力伝達素子(5)がこの金属ダイアフラム(10)に接している第1の接合表面(12)を端部に有し、
前記ダイアフラム(10)は前記固定部分(30)の箇所で少なくとも間接的に前記ハウジング(3)に接合され、
ハウジング(3)内のセンサケージ(17)の中に、第1の力伝達スリーブ(14)、第2の力伝達スリーブ(18)、圧力センサ(19)がそれぞれ接して配置され、またセンサケージ(17)の中に、圧力センサ(19)を支える固定素子(20)が配置され、
圧力センサ(19)は第2の力伝達スリーブ(18)、第1の力伝達スリーブ(14)および金属ダイアフラム(10)の力伝達部分(23)を介して力伝達素子(5)に接続され、
ヒータ素子(2)は、力伝達素子(5)に接合されており、この力伝達素子(5)は、ヒータ素子(2)の一部であってもよく、
燃焼室内の圧力、つまりエンジンの室内の圧力により、圧力センサ(19)に配向されている力伝達素子(5)の軸線(25)の方向に力(24)が生じ、この圧力センサ(19)はセンサケージ(17)の中で、加圧されていない状態、つまり力(24)のない時に、圧力センサ(19)のある程度のプレバイアスが得られるように据え付けられており、力(24)がバイアスを増大させるため、結果として生じる圧力センサ(19)の加圧状態からエンジンの室内の瞬時の圧力が求められ、
この金属ダイアフラム(10)の壁厚は、金属ダイアフラム(10)のある程度のフレキシビリティが所望される箇所、特に力伝達部分(23)からラジアル部分(26)への移行領域、並びにラジアル部分(26)から固定部分(30)への移行領域内で比較的薄く構成される、
圧力測定装置。」

(3)先願発明との対比
ア 本件補正発明と先願発明とを対比する。
(ア)先願発明の「ハウジング(3)」が、本件補正発明の「ハウジング(2)」に相当する。
(イ)先願発明の「前記ハウジング(3)の燃焼室側の開口(6)にて少なくとも部分的に前記ハウジング(3)から突出している力伝達素子(5)」は、「ヒータ素子(2)」と「接合」されており、「ヒータ素子(2)の一部であってもよく」、「燃焼室内の圧力、つまりエンジンの室内の圧力により、圧力センサ(19)に配向されている力伝達素子(5)の軸線(25)の方向に力(24)が生じ」るから、本件補正発明の「圧力を捕捉するための圧力要素(3)」に相当する。
(ウ)先願発明の「圧力センサ(19)」が、本件補正発明の「センサ要素(5)」に相当する。
(エ)先願発明では、「ハウジング(3)内のセンサケージ(17)の中に、第1の力伝達スリーブ(14)、第2の力伝達スリーブ(18)、圧力センサ(19)がそれぞれ接して配置され、またセンサケージ(17)の中に、圧力センサ(19)を支える固定素子(20)が配置され、圧力センサ(19)は第2の力伝達スリーブ(18)、第1の力伝達スリーブ(14)および金属ダイアフラム(10)の力伝達部分(23)を介して力伝達素子(5)に接続され」ているから、先願発明における「第1の力伝達スリーブ(14)、第2の力伝達スリーブ、圧力センサ(19)」及び「圧力センサ(19)を支える固定素子(20)」が、本件補正発明の「圧力の方向に前記圧力要素(3)の下流で前記ハウジング(2)内に配置され、センサ要素(5)を有する測定要素(4)」に相当する。
(オ)先願発明の「ダイアフラム(10)」が、次の相違点1、2は別にして、本件補正発明の「ダイアフラム(7)」に相当する。
(カ)先願発明の「ダイアフラム(10)」が「少なくとも実質的に前記力伝達素子(5)の軸方向に配向されている力伝達部分(23)」を有し、 「前記力伝達部分(23)は前記力伝達素子(5)が前記ダイアフラム(10)に接している第1の接合表面(12)」を有し、「金属ダイアフラム(10)は力伝達素子(5)がこの金属ダイアフラム(10)に接している第1の接合表面(12)を端部に有し」ていること、すなわち、「ダイアフラム(10)」がその「端部」に有する「第1の接合表面(12)」で「力伝達素子(5)」に接し、力を伝達していることと、本件補正発明の「前記ダイアフラム(7)は、その第1の端部(9)で前記圧力要素(3)に連結(16)によって恒久的に連結され」ることとは、「前記ダイアフラム(7)は、その第1の端部(9)で前記圧力要素(3)に接合して力を伝達している」点で共通する。
(キ)先願発明の「前記ダイアフラム(10)は前記固定部分(30)の箇所で少なくとも間接的に前記ハウジング(3)に接合され」ることが、本件補正発明の「前記ダイアフラム(7)は」、「その第2の端部(10)で連結(19)において前記ハウジング(2)に恒久的に直接又は間接的に連結される」ことに相当する。
(ク)先願発明の「エンジンの室内に配置される圧力測定装置(1)」は、「燃焼室内の圧力、つまりエンジンの室内の圧力」を測定するものであるから、本件補正発明の「内燃機関のチャンバ(29)内の測定のための圧力センサ(1)」に相当する。
(ケ)先願発明では、閉じた力伝達経路は、「金属ダイアフラム(10)」の「固定部分(30)からラジアル部分(26)を介して力伝達部分(23)」へ、そして、該「力伝達部分(23)」の「第2の接合表面(13)を介して」「前記圧力センサ(19)に伝達され」、さらに「圧力センサ(19)を支える固定素子(20)」から「金属ダイアフラム10」の「固定部分30」へと戻り、「力伝達素子(5)」を通っていないことは明らかである。
よって、先願発明における上記閉じた力伝達経路が「力伝達素子(5)」を通っていないことが、本件補正発明の「閉じた力経路(20)が、作動中に前記ダイアフラム(7)から直接前記測定要素(4)を介して、前記圧力要素(3)を介さずに通る」ことに相当するといえる。
(コ)先願発明において、「金属ダイアフラム(10)」の「力伝達部分(23)」が、「力伝達素子(5)が前記ダイアフラム(10)に接している第1の接合表面(12)」を有していることが、本件補正発明の「前記圧力要素(3)は前記ダイアフラム(7)によって支持され」ることに相当する。
(サ)先願発明において、「金属ダイアフラム(10)」の「力伝達部分(23)」の「第2の接合表面(13)を介して力が前記圧力センサ(19)に伝達され」ることは、より具体的には、「金属ダイアフラム(10)」の「力伝達部分(23)」の「第2の接合表面(13)」を介して力が「第1の力伝達スリーブ(14)」に伝達されることを意味しているから、先願発明における「金属ダイアフラム(10)」と「第1の力伝達スリーブ(14)」とが、「金属ダイアフラム(10)」の「力伝達部分(23)」の「第2の接合表面(13)を介して」、力を「圧力センサ(19)に伝達」するように配置されることが、本件補正発明の「該ダイアフラム(7)は前記測定要素(4)に支持され」ることに相当する。
(シ)先願発明における「金属ダイアフラム(10)」の「力伝達部分(23)」の「第2の接合表面(13)」が、本件補正発明の「前記ダイアフラム(7)」の「前記測定要素(4)上に支持される範囲(8)」に相当する。
(ス)先願発明において「ダイアフラム(10)は前記固定部分(30)の箇所で少なくとも間接的に前記ハウジング(3)に接合され」ているから、「金属ダイアフラム(10)」の「固定部分(30)」における、ハウジング(3)への「接合」が、本件補正発明における「前記ダイアフラム(7)」の「前記ハウジング(2)への前記連結(19)」に相当する。
(セ)先願発明における「金属ダイアフラム(10)」は、「固定部分(30)からラジアル部分(26)を介して力伝達部分(23)へ移行して」おり、「ラジアル部分により、ダイアフラムの有利な弾性のたわみが可能とな」っている。よって、上記(シ)、(ス)を踏まえれば、先願発明の「金属ダイアフラム(10)」における、「力伝達部分(23)」の「第2の接合表面(13)」と、「固定部分(30)」におけるハウジング(3)への「接合」との間の「ダイアフラムの有利な弾性のたわみが可能とな」っている範囲と、本件補正発明の「ダイアフラム(7)」における、「前記測定要素(4)上に支持される範囲(8)と、前記ハウジング(2)への前記連結(19)との間の圧力伝達のための弾性的に効果的な範囲(11)」とは、「ダイアフラム(7)」における、「前記測定要素(4)上に支持される範囲(8)と、前記ハウジング(2)への前記連結(19)との間の弾性的な範囲(11)」の点で共通する。

イ 以上のことから、本件補正発明と先願発明との一致点及び一応の相違点は、次のとおりである。
(一致点)
ハウジング(2)と、圧力を捕捉するための圧力要素(3)と、圧力の方向に前記圧力要素(3)の下流で前記ハウジング(2)内に配置され、センサ要素(5)を有する測定要素(4)と、ダイアフラム(7)とを備え、前記ダイアフラム(7)は、その第1の端部(9)で前記圧力要素(3)に接合して力を伝達しており、その第2の端部(10)で連結(19)において前記ハウジング(2)に恒久的に直接又は間接的に連結される、内燃機関のチャンバ(29)内の測定のための圧力センサ(1)であって、閉じた力経路(20)が、作動中に前記ダイアフラム(7)から直接前記測定要素(4)を介して、前記圧力要素(3)を介さずに通るように、前記圧力要素(3)は前記ダイアフラム(7)によって支持され、該ダイアフラム(7)は前記測定要素(4)に支持され、前記ダイアフラム(7)は、前記測定要素(4)上に支持される範囲(8)と、前記ハウジング(2)への前記連結(19)との間の弾性的な範囲(11)を有することを特徴とする圧力センサ。

(相違点1)
本件補正発明では、前記ダイアフラム(7)は、その第1の端部(9)で前記圧力要素(3)に「連結(16)によって恒久的に連結され」ているのに対し、先願発明では、「ダイアフラム(10)」がその「端部」に有する「第1の接合表面(12)」で「力伝達素子(5)」に接合され、「ダイアフラム(10)」の「力伝達部分(23)」に力が伝達されていることは示されているものの、「ダイアフラム(10)」がその「端部」に有する「第1の接合表面(12)」で、「力伝達素子(5)」と連結によって恒久的に連結されていることは明記されていない点。

(相違点2)
本件補正発明では、ダイアフラム(7)は、前記測定要素(4)上に支持される範囲(8)と、前記ハウジング(2)への前記連結(19)との間の「圧力伝達のための」弾性的に「効果的な」範囲(11)を有し、「前記弾性的に効果的な範囲(11)は、前記ダイアフラム(7)の残部より薄い材料の厚さを有する」のに対し、先願発明では、「金属ダイアフラム(10)」の「力伝達部分(23)」の「第2の接合表面(13)」(本件補正発明における、「測定要素(4)上に支持される範囲(8)」に相当する。)と、「固定部分(30)」における、ハウジング(3)への「接合」(本件補正発明における、「ハウジング(2)への前記連結(19)」に相当する。)との間に「ダイアフラムの有利な弾性のたわみが可能とな」っている範囲を有しているものの、「圧力伝達のための」弾性的に「効果的な」範囲を有し、前記弾性的に「効果的な」範囲は、金属ダイアフラム(10)の「残部より薄い材料の厚さを有する」ことについて明示的な記載がなされていない点。

(4)判断
以下、一応の相違点について判断する。
ア 相違点1について
先願発明の「ダイアフラム(10)」は「前記圧力センサ(19)が配置されている前記ハウジング(3)の前記内室(11)の前記燃焼室側の開口(6)をシールしている」ものである。
そして、「力伝達素子5」と、「ダイアフラム(10)」の「力伝達部分(23)」との間では、先願の国際出願日における国際出願の明細書(上記「2」「(2)」「ア」「(オ)」、公表公報の段落【0007】参照。)に記載されているように、「燃焼室内の圧力、つまり燃焼室圧と相関する力のインパルス」が繰り返し伝達されるのであるから、「力伝達素子5」と、「ダイアフラム(10)」の端部の「第1の接合表面(12)」との接合が、このような過酷な機械的ストレスに晒されながらも、常に「燃焼室側の開口(6)をシール」するためには、その接合は、恒久的に機械的ストレスに耐えられる程度に確実性のある手段、すなわち、連結によって実現される必要があることは、当業者にとって明らかなことである。
よって、先願発明において、「ダイアフラム(10)」が、その「端部」に有する「第1の接合表面(12)」で「力伝達素子(5)」と連結によって恒久的に連結されていることは、当業者にとって記載されているに等しい事項である。
したがって、上記相違点1は、実質的な相違点ではない。

イ 相違点2について
(ア)「圧力伝達のための」弾性的に「効果的な」範囲について
先願発明の「ダイアフラムの有利な弾性のたわみが可能とな」っている範囲は、弾性のたわみを可能とするため、「金属ダイアフラム(10)のある程度のフレキシビリティが所望される箇所」を備えているといえる。
そして、先願発明の「ダイアフラムの有利な弾性のたわみが可能とな」っている範囲における、「金属ダイアフラム(10)のある程度のフレキシビリティが所望される箇所」では、その箇所のフレキシビリティが大きいほど、つまり、弾性的に「効果的」であるほど、「金属ダイアフラム(10)」の「力伝達部分(23)」における力の伝達が阻害されずに行われることは、力学的に明らかなことである。
よって、先願発明の「ダイアフラムの有利な弾性のたわみが可能とな」っている範囲における、上記「金属ダイアフラム(10)のある程度のフレキシビリティが所望される箇所」が、本件補正発明における「圧力伝達のための弾性的に効果的な範囲(11)」に相当するといえる。

(イ)材料の厚さについて
先願発明には「この金属ダイアフラム(10)の壁厚は、金属ダイアフラム(10)のある程度のフレキシビリティが所望される箇所、特に力伝達部分(23)からラジアル部分(26)への移行領域、並びにラジアル部分(26)から固定部分(30)への移行領域内で比較的薄く構成される」(下線は当審で付与した。)ことが示されている。
そして、先願発明の「ダイアフラムの有利な弾性のたわみが可能とな」っている範囲における「金属ダイアフラム(10)のある程度のフレキシビリティが所望される箇所」が、本件補正発明における「圧力伝達のための弾性的に効果的な範囲(11)」に相当するものといえることは、上記(ア)で述べたとおりであるから、先願発明の「ダイアフラムの有利な弾性のたわみが可能とな」っている範囲において、該「金属ダイアフラム(10)のある程度のフレキシビリティが所望される箇所」(本件補正発明における、「圧力伝達のための弾性的に効果的な範囲(11)」に相当する。)の「金属ダイアフラム(10)の壁厚」が「比較的薄く構成され」ることが、本件補正発明の「前記弾性的に効果的な範囲(11)は、前記ダイアフラム(7)の残部より薄い材料の厚さを有する」ことに相当するといえる。

(ウ)小括
よって、先願発明には、「ダイアフラムの有利な弾性のたわみが可能とな」っている範囲における、「金属ダイアフラム(10)のある程度のフレキシビリティが所望される箇所」を、その「壁厚」が「比較的薄く構成され」るようにすること(本件補正発明でいう、「圧力伝達のための弾性的に効果的な範囲(11)を有し、前記弾性的に効果的な範囲(11)は、前記ダイアフラム(7)の残部より薄い材料の厚さを有する」こと)が実質的に示されているといえる。

(エ)別の観点からの判断
また、次の観点からも、先願発明には、相違点2に係る本件補正発明の構成が実質的に示されているといえる。
つまり、先願発明は「ダイアフラムは軸方向に対して実質的に垂直に配向されているラジアル部分により、ダイアフラムの有利な弾性のたわみが可能とな」るのであるから、先願発明の該「ラジアル部分」の「効果的」な「弾性のたわみ」によって、「金属ダイアフラム(10)」の「力伝達部分(23)」における力の伝達が行われていることは、力学的に明らかなことである。
そうであれば、先願発明の該「ラジアル部分」は、本件補正発明における「圧力伝達のための弾性的に効果的な範囲(11)」に相当するといえる。
さらに、先願発明の該「ラジアル部分」は、「ダイアフラムの有利な弾性のたわみが可能とな」るための部分であるから、先願発明の「金属ダイアフラム(10)のある程度のフレキシビリティが所望される箇所」、つまり「比較的薄く構成され」る箇所でもある。
よって、先願発明には、「金属ダイアフラム(10)のある程度のフレキシビリティが所望される箇所」である「ラジアル部分」を、その「壁厚」が「比較的薄く構成され」るようにすること(本件補正発明でいう、「圧力伝達のための弾性的に効果的な範囲(11)を有し、前記弾性的に効果的な範囲(11)は、前記ダイアフラム(7)の残部より薄い材料の厚さを有する」こと)が実質的に示されているといえる。

(オ)相違点2についてのまとめ
上記(ア)?(ウ)、または上記(エ)で述べたとおり、先願発明において、「金属ダイアフラム(10)」が、「力伝達部分(23)」の「第2の接合表面(13)」(本件補正発明における、「測定要素(4)上に支持される範囲(8)」に相当する。)と、「固定部分(30)」における、ハウジング(3)への「接合」(本件補正発明における、「ハウジング(2)への前記連結(19)」に相当する。)との間の「圧力伝達のための」弾性的に「効果的な」範囲を有し、前記「弾性的に」効果的な範囲は、金属ダイアフラム(10)の「残部より薄い材料の厚さを有する」ことは、当業者にとって記載されているに等しい事項である。
したがって、相違点2は、実質的な相違点ではない。

ウ よって、本件補正発明は、先願明細書等に記載された発明と同一であり、しかも、本件補正発明の発明者が先願明細書等に記載された発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が先願の出願人と同一でもないので、本件補正発明は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される特許法第29条の2の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(5)本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成26年12月15日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成26年1月14日付けの手続補正書の特許請求の範囲に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 先願発明
原査定の拒絶の理由で引用された先願およびその記載事項は、前記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、前記第2[理由]で検討した本件補正発明から、「恒久的な連結」について付された「連結(16)によって」との限定事項を削除し、さらに、「前記ダイアフラム(7)の残部より薄い材料の厚さを有する」範囲について、「前記弾性的に効果的な範囲(11)」が正しい記載であるところ、これを(測定要素(4)上に支持される)「前記範囲(8)」と誤記のある記載に戻したものである。
そうすると、本願発明と先願発明の一応の相違点は、次のとおりのものである。

(相違点1)
本願発明では、前記ダイアフラム(7)は、その第1の端部(9)で前記圧力要素(3)に「恒久的に連結され」ているのに対し、先願発明では、「ダイアフラム(10)」がその「端部」に有する「第1の接合表面(12)」で「力伝達素子(5)」に接合され、「ダイアフラム(10)」の「力伝達部分(23)」に力が伝達されていることは示されているものの、「ダイアフラム(10)」がその「端部」に有する「第1の接合表面(12)」で、「力伝達素子(5)」と恒久的に連結されていることは明記されていない点。

(相違点2)
本願発明では、ダイアフラム(7)は、前記測定要素(4)上に支持される範囲(8)と、前記ハウジング(2)への前記連結(19)との間の「圧力伝達のための」弾性的に「効果的な」範囲(11)を有し、「前記範囲(8)は、前記ダイアフラム(7)の残部より薄い材料の厚さを有する」のに対し、先願発明では、「金属ダイアフラム(10)」の「力伝達部分(23)」の「第2の接合表面(13)」(本願発明における、「測定要素(4)上に支持される範囲(8)」に相当する。)と、「固定部分(30)」における、ハウジング(3)への「接合」(本願発明における、「ハウジング(2)への前記連結(19)」に相当する。)との間に「ダイアフラムの有利な弾性のたわみが可能とな」っている範囲を有しているものの、「圧力伝達のための」弾性的に「効果的な」範囲を有し、前記(弾性的に「効果的な」)範囲は、金属ダイアフラム(10)の「残部より薄い材料の厚さを有する」ことについて明示的な記載がなされていない点。

そこで、上記相違点について検討すると、
(相違点1)について、先願発明の「力伝達素子5」と「ダイアフラム(10)」の端部の「第1の接合表面(12)」との接合が、恒久的に機械的ストレスに耐えられる程度に接合されている必要があること、すなわち、恒久的に連結されていることは、前記第2[理由]2(4)「ア 相違点1について」に記載したのと同様の理由により、当業者にとって自明のことである。
よって、上記相違点1は、実質的な相違点ではない。

(相違点2)について、本願発明の「前記ダイアフラム(7)の残部より薄い材料の厚さを有する」範囲についての、「前記範囲(8)」との記載は、「前記弾性的に効果的な範囲(11)」の誤記であるから、前記第2[理由]2(4)「イ 相違点2について」に記載したのと同様の理由により、上記相違点2は、実質的な相違点ではない。

よって、本願発明は、先願明細書等に記載された発明と同一であり、しかも、本願発明の発明者が先願明細書等に記載された発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が先願の出願人と同一でもないので、本願発明は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。

4 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論とおり審決する。
 
審理終結日 2015-07-21 
結審通知日 2015-07-22 
審決日 2015-08-12 
出願番号 特願2011-511953(P2011-511953)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G01L)
P 1 8・ 16- Z (G01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 三笠 雄司  
特許庁審判長 酒井 伸芳
特許庁審判官 清水 稔
関根 洋之
発明の名称 内燃機関のチャンバ測定のための圧力センサ  
代理人 特許業務法人浅村特許事務所  

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