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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  C09J
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C09J
審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  C09J
管理番号 1309355
審判番号 無効2015-800082  
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-02-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2015-03-30 
確定日 2016-01-04 
事件の表示 上記当事者間の特許第4753196号発明「光学部材用粘着剤組成物及び該粘着剤組成物を用いた光学部材用粘着シート」の特許無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯

平成14年 8月29日 本件出願(特願2002-250458号)
平成23年 6月 3日 設定登録(特許第4753196号)
平成27年 3月30日 無効審判請求
同 年 5月21日 審判事件答弁書提出
同 年 6月22日 審理事項通知
同 年 7月15日 口頭審理陳述要領書提出(被請求人)
同 年 7月17日 口頭審理陳述要領書提出(請求人)
同 年 7月30日 口頭審理
同 年 9月10日 上申書提出(被請求人)



第2 本件特許発明

本件特許に係る発明は,特許請求の範囲の請求項1?3に記載された以下のとおりのものである(以下,「本件特許発明1」?「本件特許発明3」といい,併せて「本件特許発明」ともいう。また,本件発明に係る明細書を「本件特許明細書」という。)

「【請求項1】
(a)(メタ)アクリル酸アルキルエステル100重量部に対して,(b)分子内に水酸基を有する単量体0.5?5重量部と,(c)分子内に,カルボキシル基,アミド基,アミノ基の何れかの官能基を有する単量体0.05?2重量部とを含有する単量体混合物の共重合体であり,ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによる重量平均分子量が50万以上200万以下のアクリル系ポリマー100重量部と,
ポリオール変性キシリレンジイソシアネート架橋剤0.01重量部以上5重量部以下とを含有することを特徴とする光学部材用粘着剤組成物。
【請求項2】
アクリル系ポリマーが,溶液重合又は塊状重合により得られたものであることを特徴とする請求項1記載の光学部材用粘着剤組成物。
【請求項3】
支持体と,支持体の片面又は両面に粘着剤層を設けた粘着シートであって,
粘着剤層が,(a)(メタ)アクリル酸アルキルエステル100重量部に対して,(b)分子内に水酸基を有する単量体0.5?5重量部と,(c)分子内に,カルボキシル基,アミド基,アミノ基の何れかの官能基を有する単量体0.05?2重量部とを含有する単量体混合物の共重合体であり,ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによる重量平均分子量が50万以上200万以下のアクリル系ポリマー100重量部と,ポリオール変性キシリレンジイソシアネート架橋剤0.01重量部以上5重量部以下とを含有する粘着剤組成物からなる粘着剤層であることを特徴とする光学部材用粘着シート。」



第3 請求人の主張

請求の趣旨
特許第4753196号の請求項1乃至請求項3に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求める。

無効理由
1 本件特許発明1ないし3は,甲第1号証に記載された発明に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。
2 本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は,当業者が,本件特許発明1ないし3の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでないから,特許法第36条第4項第1号の規定に違反するものである。
3 本件特許明細書の特許請求の範囲の記載は,本件特許発明1ないし3が本件特許明細書の発明の詳細な説明に記載したものでないから,特許法第36条第6項第1号の規定に違反するものである。

(審決注:なお,無効理由2及び3について,養生期間を評価するにあたり,保持力を示すデータが必要であることを追加する請求の理由の補正は許可されなかった(第1回口頭審理調書)。)

証拠方法
甲第1号証:特開平8-104855号公報
甲第2号証:特開平7-324183号公報
甲第3号証:特開平10-60400号公報
甲第4号証:特開平8-157797号公報
甲第5号証:特開2002-241732号公報
甲第6号証:特許第4134350号公報



第4 被請求人の主張

答弁の趣旨
結論同旨(本件無効審判の請求は成り立たない。審判費用は審判請求人の負担とするとの審決を求める。)

証拠方法
乙第1号証:綜研化学株式会社 粘着・機能樹脂部 室井佐知が作成した平成27年7月1日付けの実験成績報告書



第5 当審の判断

事案に鑑み,無効理由2及び3について先に判断する。

1.無効理由2(特許法第36条第4項第1号)について
(1)本件特許発明に適用される実施可能要件について
特許法36条4項1号には,発明の詳細な説明の記載は,「…その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること」でなければならない旨が規定されている。
そして,物の発明における発明の実施とは,その物の生産,使用等をする行為をいうから(特許法2条3項1号),物の発明については,例えば明細書にその物を製造することができ,使用することができることの具体的な記載があるか,そのような記載がなくても,明細書及び図面の記載並びに出願当時の技術常識に基づき当業者がその物を製造し,使用することができるのであれば,実施可能要件を満たすということができる。

(2)本件特許明細書の記載事項
ア 本件特許明細書には,次の事項が記載されている。
0a.「【発明の属する技術分野】
本発明は,透明性を要求される光学部材用粘着剤組成物,及び,この粘着剤組成物を用いた光学部材用粘着シートに関し,さらに詳しくは,特定のアクリル系共重合体と特定のイソシアネート硬化剤を含有する光学部材用粘着剤,及び,この粘着剤組成物を使用した粘着剤層を支持体の片面又は両面に設けた光学部材用粘着シートに関するものである。」(段落【0001】)

0b.「【従来の技術】
液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイパネル(PDP)などのフラットパネルディスプレイ(FPD)が,様々な分野で表示装置として使用されている。これらの表示装置には,外部光源からの反射を防ぐための反射防止フィルムや表示装置の擦過による傷の防止のためのプロテクトフィルムなどが使用されている。
また,カソードレイチューブ(CRT)やFPDを表示装置として利用するだけでなく,それらの表面にタッチパネルを設けて,入力装置としても利用されている。このタッチパネルにも,保護フィルム,反射防止フィルムやITO蒸着樹脂フィルムなどが使用されている。
これらのフィルムは,粘着剤(感圧性接着剤)により貼着され使用されているが,高透明性及び高耐久性などが要求されるために,その粘着剤としては主としてアクリル系粘着剤が使用されている。さらに,LCDでは偏光板や位相差板を積層する際にもアクリル系粘着剤が使用されている。
アクリル系粘着剤としては,アルキル基の炭素数が1?20のアクリル酸アルキルエステルを主成分としアクリル酸などの官能基含有単量体及び共重合可能なその他のモノマーを共重合させたアクリル系ポリマー,そのアクリル系ポリマーが有する官能基と反応性を有する有機基を分子内に2個以上有する架橋剤,及び,場合によっては粘着付与樹脂などを添加したものが多く,アクリル系ポリマーの単量体配合,アクリル系ポリマーの分子量や分子量分布,架橋剤及び粘着付与樹脂の配合量などを適宜選択することにより,その粘着特性を調製している。
このアクリル系粘着剤の架橋剤としては,イソシアネート化合物,エポキシ化合物,アミン化合物,アジリジン化合物,メラミン化合物及び金属キレートなどが知られているが,中でもイソシアネート化合物は架橋反応後の粘着剤のタック感及び被着体への接着性に優れていることから広く使用されている。
しかしながら,架橋剤としてイソシアネート化合物を使用したアクリル系粘着剤は,他の架橋剤を使用したアクリル系粘着剤と比較すると,架橋後のウレタン構造に基因して耐光性,透明性が低下する傾向にあり,粘着剤組成物の養生(エージング)時間が長く,芳香族イソシアネート化合物を使用すると得られる粘着剤が黄変しやすく,脂肪族又は脂環族イソシアネート化合物を使用すると白化しやすい。
こうした中で,特開平7-324183号公報には,ポリイソシアネート化合物とポリオールとの反応生成物であって,3級炭素に結合したイソシアネート基を少なくとも2個以上有するポリイソシアネート変性物と,遊離のカルボキシル基を含有するアクリル系共重合体とからなる粘着剤組成物が,十分満足できるポットライフを有し,塗膜の耐候性及び透明性に優れることが開示されている。しかしながら,この粘着剤組成物は支持体に塗布した後の架橋反応が遅く,粘着性能が安定するまでにかなりの時間がかかるため,生産性の向上の市場要求を満足していない。」(段落【0002】?【0005】)

0c.「【発明が解決しようとする課題】
本発明は,透明性,耐光性及び耐候性を満足するだけでなく,経時的な黄変が無く,塗布(粘着加工)後の養生時間の短い,アクリル系光学部材用粘着剤組成物及びそれを用いた光学用粘着シートを提供することを課題としている。」(段落【0006】)

0d.「本発明の光学部材用粘着剤組成物は,単量体成分(a)(メタ)アクリル酸アルキルエステル100重量部に対して,単量体成分(b)分子内に水酸基を有する単量体0.5?5重量部と,単量体成分(c)分子内に,カルボキシル基,アミド基,アミノ基の何れかの官能基を有する単量体0.05?2重量部とを含有する単量体混合物の共重合体であり,ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによる重量平均分子量が50万以上200万以下のアクリル系ポリマー100重量部と,ポリオール変性キシリレンジイソシアネート架橋剤0.01?5重量部とからなる。また,前記アクリル系ポリマーは,溶液重合又は塊状重合により得られたものが好ましい。
本発明の光学用粘着シートは,支持体の片面又は両面に,前記光学部材用粘着剤組成物からなる粘着剤層を形成したものである。」(段落【0007】)

0e.「単量体成分(c)分子内にカルボキシル基,アミド基,アミノ基の何れかの官能基を有する単量体の官能基は,拡散フィルム,反射防止フィルムのように外部から紫外線を受ける場合は,アミノ基及びアミド基がより好ましく,LCDに使用される偏光板や位相差板の貼着には,カルボキシル基がより好ましい。
前記単量体混合物の配合量は,単量体成分(a)100重量部に対して,単量体成分(b)0.1重量部以上10重量部以下,単量体成分(c)0.05重量部以上3重量部以下であるが,好ましくは,成分(a)100重量部に対して,成分(b)0.5重量部以上5重量部以下,成分(c)0.05重量部以上2重量部以下である。単量体成分(a)?(c)をこの数値範囲にすることにより,後述するポリオール変性キシリレンジイソシアネートとの架橋反応が速やかに進行する。」(段落【0012】?【0013】)

0f.「…また,前記アクリル系ポリマーのゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(Mw)は,50万以上200万以下であり,好ましくは60万以上180万以下である。Mwが,50万未満であると,接着耐久性が不十分であり,Mwが200万を超えると,支持体(基材)の伸縮に対する追従性が悪くなり,被着体からのハガレ等が生じやすくなる。」(段落【0015】)

0g.「<製造例1>アクリル系ポリマー溶液A
n-ブチルアクリレート100重量部,2-ヒドロキシエチルアクリレート4重量部,アクリル酸0.5重量部,酢酸エチル90重量部および過酸化ベンゾイル0.1重量部を反応容器に入れ,この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した。ついで,撹拌下に70℃に昇温して8時間反応させ,アクリル系ポリマー溶液Aを得た。得られたアクリル系ポリマーAのGPCによるMwは120万であった。
<製造例2>アクリル系ポリマー溶液B
n-ブチルアクリレート100重量部,2-ヒドロキシエチルアクリレート2重量部,アクリルアミド1重量部,酢酸エチル100重量部およびアゾビスイソブチロニトリル0.2重量部を反応容器に入れ,この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した。ついで,撹拌下に60℃に昇温して4時間反応させた。4時間後,トルエン100重量部,α-メチルスチレンダイマー5重量部,アゾビスイソブチロニトリル2重量部を加え,90℃に昇温し,さらに4時間反応させ,アクリル系ポリマー溶液Bを得た。得られたアクリル系ポリマーBのGPCによるMwは70万であった。
<製造例3>アクリル系ポリマー溶液C
2-エチルヘキシルアクリレート100重量部,4-ヒドロキシブチルアクリレート0.5重量部,アクリルアミド2.5重量部,酢酸エチル90重量部および過酸化ベンゾイル0.07重量部を反応容器に入れ,この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した。ついで,撹拌下に73℃に昇温して8時間反応させ,アクリル系ポリマー溶液Cを得た。得られたアクリル系ポリマーCのGPCによるMwは140万であった。
<製造例4>アクリル系ポリマー溶液D
製造例1において,アクリル酸を4重量部に変更した以外は,製造例1と同様にしてアクリル系ポリマー溶液Dを得た。得られたアクリル系ポリマーDのGPCによるMwは130万であった。
<製造例5>アクリル系ポリマー溶液E
製造例1において,アクリル酸をなくした以外は,製造例1と同様にしてアクリル系ポリマー溶液Eを得た。得られたアクリル系ポリマーEのGPCによるMwは120万であった。
<製造例6>アクリル系ポリマー溶液F
製造例1において,2-ヒドロキシエチルアクリレートを0.05重量部に変更した以外は,製造例1と同様に反応させ,アクリル系ポリマー溶液Fを得た。得られたアクリル系ポリマーFのGPCによるMwは110万であった。
<製造例7>アクリル系ポリマー溶液G
製造例1において,2-ヒドロキシエチルアクリレートを12重量部に変更した以外は,製造例1と同様に反応させ,アクリル系ポリマー溶液Gを得た。得られたアクリル系ポリマーGのGPCによるMwは140万であった。
<製造例8>アクリル系ポリマー溶液H
製造例1において,酢酸エチル90重量部を酢酸エチル10重量部,トルエン80重量部に変更した以外は,製造例1と同様に反応させ,アクリル系ポリマー溶液Hを得た。得られたアクリル系ポリマーHのGPCによるMwは30万であった。
<製造例9>塊状重合によるアクリル系ポリマーの製造
第1工程として,2-エチルヘキシルアクリレート100重量部,2-ヒドロキシエチルメタクリレート2重量部,ジメチルアミノエチルアクリレート1重量部を反応容器に入れ,この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後,撹拌下に50℃に昇温させた。ついで,2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)0.025重量部を加えたところ,反応系の温度が上昇し,冷却を行わずに重合反応を進めたところ,反応系の温度が119℃まで達し,その後徐々に下がり始めた。2-エチルヘキシルアクリレート20重量部,2-ヒドロキシエチルメクリレート0.4重量部,ジメチルアミノエチルアクリレート0.2重量部を投入して,反応系の温度を110℃まで冷却した。さらに,水浴により室温まで冷却し,アクリル系部分重合物を得た。
次いで,第2工程として,このアクリル系部分重合物100重量部に,光重合開始剤(商品名:ダロキュア1173,チバガイギー(株)製)0.3重量部を添加し,よく撹拌して重合性組成物を得た。それを剥離処理したポリエステルフィルムに塗布し,窒素ガス雰囲気下において,10W/m^(2)で360秒間,その後3000W/m^(2)で45秒間,高圧水銀ランプより光を照射して光重合を行い,25μmのアクリル系ポリマー層を設けた。このアクリル系ポリマー層のGPCによるMwは115万であった。

<実施例1>
アクリル系ポリマー溶液Aの固形分100重量部に,トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物0.05重量部を添加し,よく撹拌して粘着剤組成物を得た。それを剥離処理したポリエステルフィルムに塗布し乾燥させ,25μmの粘着剤層を設けた後,それを偏光フィルムの片面に転写し,温度23℃,湿度65%の条件で熟成させた。
<実施例2>
アクリル系ポリマー溶液Bの固形分100重量部に,トリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネート0.7重量部を添加し,よく撹拌して粘着剤組成物を得た。それを剥離処理したポリエステルフィルムに塗布し乾燥させ,25μmの粘着剤層を設けた後,それを偏光フィルムの片面に転写し,温度23℃,湿度65%の条件で熟成させた。
<実施例3>
アクリル系ポリマー溶液Cの固形分100重量部に,トリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネート付加物0.1重量部を添加し,よく撹拌して粘着剤組成物を得た。それを剥離処理したポリエステルフィルムに塗布し乾燥させ,25μmの粘着剤層を設けた後,それを偏光フィルムの片面に転写し,温度23℃,湿度65%の条件で熟成させた。
<実施例4>
製造例9において,第2工程の重合性組成物を,アクリル系部分重合物100重量部に対して,トリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネート付加物0.5重量部をさらに添加した以外は同様にして,剥離処理したポリエステルフィルム上に25μmの粘着剤層を得た。それを偏光フィルムの片面に転写し,温度23℃,湿度65%の条件で熟成させた。
<比較例1>
実施例1において,アクリル系ポリマー溶液Aをアクリルポリマー溶液Dに変更した以外は,実施例1と同様にした。
<比較例2>
実施例1において,アクリル系ポリマー溶液Aをアクリルポリマー溶液Eに変更した以外は,実施例1と同様にした。
<比較例3>
実施例1において,アクリル系ポリマー溶液Aをアクリルポリマー溶液Fに変更した以外は,実施例1と同様にした。
<比較例4>
実施例1において,アクリル系ポリマー溶液Aをアクリルポリマー溶液Gに変更した以外は,実施例1と同様にした。
<比較例5>
実施例1において,アクリル系ポリマー溶液Aをアクリルポリマー溶液Hに変更した以外は,実施例1と同様にした。
<比較例6>
実施例1において,トリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネート付加物を0.001重量部に変更した以外は,実施例1と同様にした。
<比較例7>
実施例1において,トリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネート付加物を6重量部に変更した以外は,実施例1と同様にした。
<比較例8>
実施例1において,トリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネート付加物をトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネートに変更した以外は,実施例1と同様にした。
<比較例9>
実施例1において,トリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネート付加物をトリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネートに変更した以外は,実施例1と同様にした。
〈評価試験〉
ゲル分率
粘着剤組成物を塗工後,1,3,5,7,10,15日におけるゲル分率を測定した。
ゲル分率は,支持体上で温度23℃,湿度65%RHの条件で熟成させている粘着剤の約0.1gをサンプル瓶に採取し,酢酸エチルを30cc加えて24時間振とうした後,該サンプル瓶の内容物を200メッシュのステンレス製金網にてろ別し,金網上の残留物を100℃で2時間乾燥させて乾燥重量を測定し,次式[I]より求めた。結果を表2に示す。
【式1】

【表2】

黄変性
上記実施例1?4,比較例1?9において,偏光フィルムの代わりに25μmポリエステルフィルムを用いて光学部材用粘着シートを作成した。温度23℃,湿度65%RHで7日間熟成して得られた粘着シートを,100℃の乾燥機中に15日間静置した後,色の変化を目視で観察した。結果を表2に示す。「○」は黄変していないことを示し,「△」は僅かに黄変がみられることを示し,「×」は黄変が顕著であることを示す。
ポットライフ
上記実施例1?4,比較例1?9において,得られた粘着剤組成物を温度23℃,湿度65%の条件で静置し,粘着剤組成物調製後から粘度の上昇が発生するまでの時間を観察した。結果を表2に示す。「◎」は12時間以上,「○」は6時間以上?12時間未満,「×」は6時間未満であることを示す。
耐久性
上記実施例1?4,比較例1?9において,得られた光学部材用粘着シートを厚さ0.5mmの無アルカリガラス板の片面にラミネータロールを用いて貼り付けた。次いで,50℃,5気圧のオートクレーブに20分保持して接着させた。
こうして得られた試料を100℃,60℃90%RHの条件下に500時間放置し,光学部材の剥離,接着界面での発泡を目視にて観察した。結果を表3に示す。表中の「○」は実用上問題ないことを意味し,「△」は実用に問題が発生する可能性があることを意味し,「×」は実用に問題があることを示す。
【表3】

」(段落【0019】?【0046】)

0h.「【発明の効果】
本発明の光学部材用粘着剤は,前記実施例で示した如く,黄変性に優れ,工業的に十分なポットライフを有するだけでなく,従来の粘着剤組成物と比較して,塗工後,速やかに架橋構造が完結しゲル分率が安定するために,短時間で粘着特性が安定する。そして,本発明の光学部材用粘着剤を使用した本発明の光学部材用粘着シートは,粘着加工(塗工)後,速やかに使用することができ,生産性を大幅に向上させるものである。」(段落【0047】)

なお,本件特許明細書の段落【0029】の「トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物」との記載は,他の部分(例えば,段落【0038】,【0039】,【0041】及び【0043】)並びに特許請求の範囲の記載からみて,「トリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネート付加物」の誤記であることは明らかである。そして,この点は,請求人も認めているところである(審判請求書18頁最下行?19頁2行)。

(3)本件特許発明の解決課題や技術的意義など
上記(2)の摘記によれば,本件特許発明について,概ね次のとおりのことがいえる。
ア 本件特許発明は,透明性,耐光性及び耐候性を満足するだけでなく,経時的な黄変が無く,塗布(粘着加工)後の養生時間の短い,アクリル系光学部材用粘着剤組成物及びそれを用いた光学用粘着シートを得ることを目的(解決課題)とするものであり,分子内に水酸基を有する単量体を(メタ)アクリル酸アルキルエステル100重量部に対して,0.5?5重量部と,分子内に,カルボキシル基,アミド基,アミノ基の何れかの官能基を有する単量体を(メタ)アクリル酸アルキルエステル100重量部に対して,0.05?2重量部とを含有する単量体混合物の共重合体であり,ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによる重量平均分子量が50万以上200万以下のアクリル系ポリマーと,ポリオール変性キシリレンジイソシアネート架橋剤をアクリル系ポリマー100重量部に対して0.01重量部以上5重量部以下とを含有することで,透明性,耐光性及び耐候性を満足するだけでなく,経時的な黄変が無く,塗布(粘着加工)後の養生時間が短いという有利な効果を発揮するものである。
イ そして,本件特許発明は,光学部材用粘着剤組成物に含有されるアクリル系ポリマーの原料である単量体混合物の1単量体成分である「分子内に水酸基を有する単量体の量について,(メタ)アクリル酸アルキルエステル100重量部に対して,「0.5?5重量部」と特定する(以下,「構成要件A」という。)ものであるところ,本件特許明細書には,かかる特定事項の技術的意義として,「単量体成分(a)?(c)をこの数値範囲にすることにより,後述するポリオール変性キシリレンジイソシアネートとの架橋反応が速やかに進行する。」(摘記0e)と記載されている。そして,本件特許明細書の実施例においても分子内に水酸基を有する単量体の量が0.5?4重量部含まれるものが具体的に記載されており,比較例3には,当該量が0.05重量部含まれるアクリル系ポリマーFを用いたものでは,ゲル分率が15日経過しても低い,すなわち塗布(粘着加工)後の養生時間が長いことが記載され,比較例4には,当該量が12重量部含まれるアクリル系ポリマーGを用いたものでは,ゲル分率が1日経過しただけで高い値となる,すなわち塗布(粘着加工)後の養生時間が短すぎることが記載されている。
ウ また,本件特許発明は,光学部材用粘着剤組成物に含有されるアクリル系ポリマーの原料である単量体混合物の1単量体成分である「分子内に,カルボキシル基,アミド基,アミノ基の何れかの官能基を有する単量体の量について,(メタ)アクリル酸アルキルエステル100重量部に対して,「0.05?2重量部」と特定する(以下,「構成要件B」という。)ものであるところ,本件特許明細書には,かかる特定事項の技術的意義として,「単量体成分(a)?(c)をこの数値範囲にすることにより,後述するポリオール変性キシリレンジイソシアネートとの架橋反応が速やかに進行する。」(摘記0e)と記載されている。そして,本件特許明細書の実施例においても分子内に,カルボキシル基,アミド基,アミノ基の何れかの官能基を有する単量体の量が0.5?1重量部含まれるものが具体的に記載されており,比較例2には,当該単量体を含まないアクリル系ポリマーEを用いたものでは,ゲル分率が15日経過しても安定しない,すなわち塗布(粘着加工)後の養生時間が長いことが記載され,比較例1には,当該量が4重量部含まれるアクリル系ポリマーDを用いたものでは,ポットライフが6時間未満であることから×の評価であることが記載されている。
エ さらに,本件特許発明は,光学部材用粘着剤組成物に含有されるアクリル系ポリマーの分子量について,「ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによる重量平均分子量が50万以上200万以下」と特定する(以下,「構成要件C」という。)ものであるところ,本件特許明細書には,かかる特定事項の技術的意義として,「Mwが,50万未満であると,接着耐久性が不十分であり,Mwが200万を超えると,支持体(基材)の伸縮に対する追従性が悪くなり,被着体からのハガレ等が生じやすくなる。」(摘記0f)と記載されている。そして,本件特許明細書の実施例においてもゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによる重量平均分子量が70?140万であるものが具体的に記載されており,比較例5には,当該値が30万であるアクリル系ポリマーHを用いたものでは,ゲル分率が15日経過しても安定しない,すなわち塗布(粘着加工)後の養生時間が長いことが記載されている。
オ そして,本件特許発明は,光学部材用粘着剤組成物に含有されるポリオール変性キシリレンジイソシアネートの量について,アクリル系ポリマー100重量部に対して「0.01重量部以上5重量部以下」と特定する(以下,「構成要件D」という。)ものであるところ,本件特許明細書には,実施例においてもポリオール変性キシリレンジイソシアネートの量が0.05?0.7重量部含まれるものが具体的に記載されており,かかる特定事項の技術的意義として,比較例6には,当該量が0.001重量部含まれるものでは,ゲル分率が15日経過しても0である,すなわち塗布(粘着加工)後の養生時間が長いことが記載され,比較例7には,当該量が6重量部含まれるものでは,ゲル分率が1日経過しただけで高い値となる,すなわち塗布(粘着加工)後の養生時間が短すぎることが記載されている。
カ また,本件特許発明は,光学部材用粘着剤組成物に含有される架橋剤の種類を「ポリオール変性キシリレンジイソシアネート」と特定する(以下,「構成要件E」という。)ものであるところ,本件特許明細書には,実施例においても「トリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネート付加物」が具体的に記載されており,かかる特定事項の技術的意義として,比較例8には,「トリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物」を用いたものでは,黄変性に劣るとともに,ゲル分率が15日経過しても安定しない,すなわち塗布(粘着加工)後の養生時間が長いことが記載され,比較例9には,「トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物」を用いたものでは,黄変性に劣るとともに,ゲル分率が10日経過してやっと安定する,すなわち塗布(粘着加工)後の養生時間が長いことが記載されている。

(4)本件特許発明に係る実施可能要件の有無について
本件特許発明に関し,(1)で述べた実施可能要件の有無について以下検討する。
本件特許明細書には,上記(2)で摘記したとおり,構成要件A?Eおよびそれらの組み合わせについて記載されており,例えば本件特許明細書の実施例において具体的に記載されている(上記(2)0g)。そして,それら構成要件の各々について各特定された数値範囲内とすることは当業者であれば格別の困難なく制御・製造することができるものであるといえる。
したがって,本件特許明細書の記載は,当業者が本件特許発明を容易に実施することができる程度に記載されているといえ,実施可能要件を満たすものである。

(5)請求人の主張について
請求人は,本件特許明細書と甲第6号証の記載とを照らし合わせれば,本件特許のゲル分率のデータは,架橋剤を変更してもゲル分率の値が全く同一であったり,架橋剤が同一であってもゲル分率の値が大きく異なるものになっていたりして,技術常識に反する結果になっているから,ゲル分率のデータは信頼性が欠如しており,その結果,本件特許明細書の記載は,当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていないと主張する。
しかし,上記主張は採用の限りでない。
すなわち,乙第1号証の実験成績証明書から,甲第6号証の実施例1(段落【0031】)における「トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物」との記載は「トリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネート付加物」の誤記であると認めることができる。
そうすると,請求人の主張するような技術常識に反する結果は,そもそも存在しないといえるから,請求人の上記主張は根拠がない。

(6)まとめ
以上のとおりであるから,請求人の主張に係る無効理由2には理由がない。

2.無効理由3(特許法第36条第6項第1号)について
(1)本件特許発明に適用されるサポート要件について
特許請求の範囲の記載が,サポート要件に適合するか否かは,特許請求の範囲の記載と明細書の発明の詳細な説明の記載とを対比し,特許請求の範囲に記載された発明が,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲内のものであるか否か,また,その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断される。

(2)本件特許明細書の記載
本件特許明細書には,上記1(2)で摘記したとおりの記載がある。

(3)本件特許発明に係るサポート要件の充足の有無について
これを本件特許発明についてみると,本件特許明細書の記載から,上記1(3)で認定のとおり,光学部材用粘着剤組成物として従来用いられていたものは,透明性,耐光性及び耐候性を満足するだけでなく,経時的な黄変が無く,塗布(粘着加工)後の養生時間が短いといった課題を同時に解決するものではなかったところ,本件特許明細書の記載に接した当業者は,アクリル系ポリマーにおいて,構成要件Aを満足することで,塗布(粘着加工)後の養生時間が短い光学部材用粘着剤組成物が得られ,構成要件Bを満足することで,塗布(粘着加工)後の養生時間とポットライフの両立を図り,構成要件Cを満足することで,接着耐久性や支持体(基材)の伸縮に対する追従性を確保するとともに,塗布(粘着加工)後の養生時間の改善を図り,構成要件Dを満足することで,塗布(粘着加工)後の養生時間の最適化を図り,構成要件Eを満足することで,黄変性を改善するとともに,塗布(粘着加工)後の養生時間を改善するものであると理解することができる。
そうすると,これらを総合すれば,構成要件A?Eを共に満足することで,透明性,耐光性及び耐候性を満足するだけでなく,経時的な黄変が無く,塗布(粘着加工)後の養生時間が短いといった課題を同時に解決するアクリル系光学部材用粘着剤組成物及びそれを用いた光学用粘着シートを得るといった課題の解決を図ることができることを当業者は認識できるといえる。
したがって,本件特許発明に係る特許請求の範囲の記載は,当業者が本件特許発明の課題を解決できると認識できる範囲内のものであるといえるから,サポート要件を満たすものである。

(4)請求人の主張について
請求人は,上記1(5)と同様に,本件特許明細書と甲第6号証の記載とを照らし合わせれば,本件特許のゲル分率のデータは,架橋剤を変更してもゲル分率の値が全く同一であったり,架橋剤が同一であってもゲル分率の値が大きく異なるものになっていたりして,技術常識に反する結果になっているから,ゲル分率のデータは信頼性が欠如しており,その結果,本件特許発明は,本件特許明細書に明確かつ十分に記載された発明とはいえないと主張する。
しかしながら,上記1(5)でも述べたとおり,乙第1号証によれば,甲第6号証の実施例1(段落【0031】)における「トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物」との記載は「トリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネート付加物」の誤記であることがあきらかであるといえる。
そうすると,請求人の主張する矛盾は,そもそも存在しないものであるといえるから,請求人の上記主張は根拠がなく,採用の限りでない。

(6)まとめ
以上のとおりであるから,請求人の主張に係る無効理由3には,理由がない。

3.無効理由1(特許法第29条第2項)について
(1)甲第1?5号証の記載事項
ア 甲第1号証には,次の事項が記載されている。
1a.「【請求項1】 アクリル系ポリマーと,
β-ケトエステル構造を有し,アルコキシ基を有するシラン化合物とからなり, 該アクリル系ポリマー100重量部に対して,該シラン化合物を0.001?5重量部の量で含有することを特徴とする液晶素子用感圧接着剤組成物。
【請求項2】 上記シラン化合物のβ-ケトエステル構造が,アセトアセチル基であることを特徴とする請求項第1項記載の液晶素子用感圧接着剤組成物。
【請求項3】 上記アクリル系ポリマーが,アルキル(メタ)アクリレート60?99重量部,官能基を有するモノマー1?20重量部および他の共重合可能なモノマー0?20重量部との共重合体であることを特徴とする請求項第1項記載の液晶素子用感圧接着剤組成物。
【請求項4】 基板の表面に,偏光板または偏光板と位相差板との積層板が配置された二枚の基板により形成された間隙に,液晶が充填された液晶素子において,
該基板の表面に,偏光板または偏光板と位相差板との積層板が,
アクリル系ポリマーと,
β-ケトエステル構造を有し,アルコキシ基を有するシラン化合物とからなり,該アクリル系ポリマー100重量部に対して,該シラン化合物を0.001?5重量部の量で含有する感圧接着剤組成物により,貼付されていることを特徴とする液晶素子。」(特許請求の範囲の請求項1?4)

1b.「本発明は,ガラス基板と偏光板,または,ガラス基板と,偏光板と位相差板との積層板との接着に特に適した感圧接着剤組成物を提供することを目的としている。
さらに詳しくは本発明は,液晶素子を構成するガラス基板に偏光板または偏光板と位相差板との積層板を適度な強度で確実に接着すると共に,製造工程でこの偏光板または偏光板と位相差板との積層板を剥離する必要性が生じた場合には,ガラス基板などの液晶セルに損傷を与えることなく剥離することができ,しかもこのガラス基板上に接着剤が残留しにくい液晶素子用感圧接着剤組成物を提供することを目的としている。
また,本発明は,上記のような接着剤組成物で偏光板または偏光板と位相差板との積層板がガラス基板上に貼着された液晶素子を提供することを目的としている。」(段落【0009】?【0011】)

1c.「また,官能基含有アクリル系モノマーの例としては,アクリル酸,メタクリル酸,β-カルボキシエチルアクリレート,2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート,クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート,ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート,ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート,グリシジル(メタ)アクリレート,(メタ)アクリルアミド,N-メチロール(メタ)アクリルアミドおよびN-エチロール(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。これは単独であるいは組み合わせて使用することができる。本発明で使用されるアクリル系ポリマーは,上記官能基含有アクリル系モノマーから誘導される繰り返し単位を,通常は1?20重量%,好ましくは2?10重量%の量で有している。」(段落【0021】)

1d.「特に本発明の液晶素子用感圧接着剤組成物には,架橋剤が配合されていることが好ましい。本発明で使用される架橋剤の例としては,イソシアネート系化合物,エポキシ系化合物,アミン系化合物,金属キレート化合物およびアジリジン系化合物を挙げることができる。
架橋剤のうち,イソシアネート系化合物の例としては,トリレンジイソシアネート,水素化トリレンジイソシアネート,トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネートアダクト,トリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネートアダクト,トリフェニレンメタントリイソシアネート,イソホロンジイソシアネート,および,これらのケトオキシムブロック物またはフェノールブロック物を挙げることができる。」(段落【0045】?【0046】)

1e.「【実施例1】2-エチルへキシルアクリレート25重量部,n-ブチルアクリレート43重量部,スチレン3重量部,エチルアクリレート20重量部,アクリル酸7重量部,2-ヒドロキシエチルアクリレート2重量部,酢酸エチル100重量部およびアゾビスイソブチロニトリル0.2重量部を反応器に入れ,この反応器内の空気を窒素ガスで置換した後,攪拌下に,窒素雰囲気中でこの反応液を63℃に昇温し,2時間反応させた。別に酢酸エチル10重量部にアゾビスイソブチロニトリル0.05重量部を溶解させた溶液を調製した。こうして調製したアゾビスイソブチロニトリルの溶液10重量部を,63℃に昇温された反応液中に2時間かけて滴下した。
さらに,この反応液を72℃に昇温し,上記と同様にして調製したアゾビスイソブチロニトリルの溶液10重量部を4時間かけて滴下した。上記のようにして操作して全体で8時間重合させることにより,アクリル系ポリマーの酢酸エチル溶液220重量部を得た。この酢酸エチル溶液中におけるアクリル系ポリマーの濃度は45重量%である。
上記の反応液220重量部(アクリル系ポリマー100重量部に相当)に次式[II]で表されるシラン化合物0.1重量部と,架橋剤としてポリイソシアネート化合物(商品名:コロネートL,日本ポリウレタン(株)製)2重量部とを加えてよく攪拌して本発明の接着剤組成物を得た。
【化3】

上記のようにして得られた接着剤組成物をポリエステル製離型フィルムに塗布した後乾燥させた(接着剤組成物の乾燥塗布厚25μm)。次いで,この離型フィルム上に塗布された接着剤組成物を,厚さ0.20mmの偏光板上に転写し,温度23℃湿度65%の条件で7日間熟成させた後,この偏光板とガラス基板とを温度50℃,圧力5kg/cm^(2)の条件で20分間保持して接着させた。
こうして接着した偏光板とガラス基板との接着力について,JIS-Z-0237およびJIS-Z-0238に準じて初期接着強度(23℃で1時間放置した後の接着強度)を測定した。さらに,同様にして調製したサンプルを80℃で10時間放置した後23℃まで放冷し,この温度で1時間放置した後の接着強度を測定した。両者の接着強度が低い方が剥離性が良好であることを表している。さらに,上記接着強度を測定した際に,ガラス基板表面への接着剤の残留性(のり残り)を目視観察して評価した。
また,同様にして調製したサンプルを20×30cm^(2)に裁断して上記条件下で接着させ,100℃ × 500時間および60℃90%RH × 500時間放置条件後の発泡および剥離の発生状態を目視観察して評価した。
結果を表1に示す。上記のようにして調製した偏光板を表面に貼り合わせた液晶素子は良好な特性を示した。
・・・

」(段落【0070】?【0090】)

イ 甲第2号証には,次の事項が記載されている。
2a.「【請求項1】 遊離のカルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体と3級炭素に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物とを含有することを特徴とする粘着剤組成物。
【請求項2】 3級炭素に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物が3級炭素に結合したイソシアネート基を有するジイソシアネートのポリオール付加物,3量体及び水付加物から選ばれる反応生成物であることを特徴とする請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】 3級炭素に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物がm-またはp-α,α,α′,α′-テトラメチルキシリレンジイソシアネートであることを特徴とする請求項1または2に記載の粘着剤組成物。
【請求項4】 遊離のカルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体の酸価が0.1?200KOHmg/gであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の粘着剤組成物。」(特許請求の範囲の請求項1?4)

2b.「【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は,十分満足できるポットライフを有し,塗膜の耐光性及び透明性に優れ,かつ基材に対して充分な密着性を有する遊離のカルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体と特定のポリイソシアネート化合物とを主成分とする粘着剤組成物を提供することにある。」(段落【0003】)

2c.「不飽和カルボン酸類としては,アクリル酸,メタクリル酸,マレイン酸,フマル酸,イタコン酸またはクロトン酸等が挙げられる。不飽和カルボン酸類は,主として粘着性や基材に対する粘着性を付与するために用いる。(メタ)アクリル系共重合体に導入されるカルボキシル基量は樹脂固形分中酸価として通常0.1?200KOHmg/gであり,好ましくは5?150KOHmg/gである。酸価が0.1KOHmg/g以下では粘着性や基材に対する密着性が低下し,200KOHmg/g以上では,ポリイソシアネート化合物を添加した場合のポットライフが短くなる。」(段落【0006】)

2d.「【実施例】以下,本発明を実施例により更に詳細に説明するが,本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお,「部」は重量部,「%」は重量%を示す。
(1)アクリル系共重合体溶液(アクリル○1(審決注:「○」は次の数字が丸付きアラビア数字であることを示す。以下同様。)?○5)の製造
攪拌機,温度計,還流冷却器および滴下漏斗を備えた四つ口フラスコに,トルエン97.5部,酢酸エチル52.5部,過酸化ベンゾイル0.02部を入れ,均一に混合後80℃に昇温し,表-1に示す所定量のアクリル酸ブチル,アクリル酸を滴下し,80℃で反応し遊離のカルボン酸基含有アクリル系共重合体溶液を得た。得られた樹脂の酸価,粘度,分子量を表-1に示す。
〔分子量測定方法〕
得られたアクリル樹脂の分子量の測定は,樹脂分0.2重量%のTHF溶液を調整し,東ソー製GPC装置HLC-8020,カラムG3000HXL/G4000HXL/G6000HXLを使用した。注入量20μl,流速1.0ml/min,圧力40kg/cm^(2 ),RI検出器RANGE32で測定し,標準ポリスチレンに換算した重量平均分子量及び数平均分子量を算出した。
〔粘度測定方法〕
得られたアクリル樹脂の粘度測定はE型粘度計 VISCONIC EHD-R型(東機産業(株)製)を使用した。測定温度25℃,サンプル量1.5ml,標準ローター(1°34′)で測定した。
(2)ポリイソシアネート化合物の製造
ポリイソシアネート溶液○1
攪拌機,温度計,還流冷却器,滴下漏斗および装置全体を窒素雰囲気下にする装置を備えた四つ口フラスコに,m-α,α,α′,α′-テトラメチルキシリレンジイソシアネート935.8部にジブチルジオクチルスズ0.006部仕込み80℃に加熱後,激しく攪拌しながら,溶融したトリメチロールプロパン64.2部を2時間にわたり一定速度で滴下漏斗から滴下して加えた。この間反応溶液温度を上記温度に調節した。滴下終了後溶液を80℃でさらに4時間反応させた。
この透明粘調溶液を分子蒸留装置 MS-300型 回転薄膜式(柴田化学器械工業製)にて,蒸留温度170?180℃,供給量10?20g/分,減圧度0.5torrで蒸留を行い,未反応のm-α,α,α′,α′-テトラメチルキシリレンジイソシアネートを除去し,m-α,α,α′,α′-テトラメチルキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物を得た。得られたm-α,α,α′,α′-テトラメチルキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物750部に対し,酢酸エチル250部仕込みNCO含有量9.7%のポリイソシアネート溶液を得た。
ポリイソシアネート溶液○2
攪拌機,温度計,還流冷却器および滴下漏斗を備えた四つ口フラスコに,酢酸エチル250部,m-α,α,α′,α′-テトラメチルキシリレンジイソシアネート633.2部を仕込み80℃に加熱後,1,4-ブタンジオール116.8部を30分に亘って滴下し5時間上記温度で反応を行いNCO含有量10.8%のポリイソシアネート溶液を得た。
〔実施例1?5および比較例1〕
表-1に示すアクリル系共重合体溶液であるアクリル○1ないし○5のいずれか100部に対して表-2に示すポリイソシアネート溶液を所定量加えて得られた粘着剤組成物溶液を離型紙上に乾燥後の厚さが30μmとなるように塗布し十分に乾燥後粘着剤組成物を得た。以下に示す評価試験を行い,その結果を表-2に示した。
〔比較例2〕
表-1に示すアクリル○2とGP105A(三菱化成(株)製,トルイレンジイソシアネートを原料とするトリメチロールプロパン付加物,NCO含有量13.2%)とを用い実施例1と同様の操作を行い粘着剤組成物を得た。以下に示す評価試験を行い,その結果を表-2に示した。
〔比較例3〕
表-1に示すアクリル○2とNY218A(三菱化成(株)製,イソホロンジイソシアネートを原料とするトリメチロールプロパン付加物,NCO含有量10.2%)とを用い実施例1と同様の操作を行い粘着剤組成物を得た。以下に示す評価試験を行い,その結果を表-2に示した。
〔比較例4〕
表-1に示すアクリル○2とNY710A(三菱化成(株)製,ヘキサメチレンジイソシアネートを原料とするトリメチロールプロパン付加物,NCO含有量13.0%)とを用い実施例1と同様の操作を行い粘着剤組成物を得た。以下に示す評価試験を行い,その結果を表-2に示した。
〔評価試験〕
(1)ポットライフ
アクリル系共重合体とポリイソシアネート樹脂溶液を表-1に示す部数で23℃において混合後初期粘度が2倍になるまでに要した時間を測定した。
(2)透明性
ガラス板上に塗布し十分に乾燥後目視により観察した。
○は透明,×は白濁。
(3)粘着力
幅20mmのステンレス板に2kgのゴムローラを往復させる方法で圧着し,JIS Z 0237に準じ23℃,相対湿度65%条件下に1時間放置したのち300mm/min.で引き剥がした時の粘着力を測定した。
(4)耐光性
紫外線オートフェードメーター FAL-SP・H(スガ試験機(株)製)100時間後の黄変性を目視により観察した。
○は変化せず,△はやや黄変,×は黄変。
・・・



」(段落【0022】?【0036】)

ウ 甲第3号証には,次の事項が記載されている。
3a.「

」(段落【0031】)

エ 甲第4号証には,次の事項が記載されている。
4a.「〈比較例3〉表-1に示すアクリル○2にGP105A(三菱化学(株)製,トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物の酢酸エチル溶液,樹脂固形分75%,NCO含有量13.2%)を実施例1と同様の操作を行い粘着剤組成物を得た。以下に示す評価試験を行い,その結果を表-2に示した。」(段落【0044】)

オ 甲第5号証には,次の事項が記載されている。
5a.「【請求項1】水酸基を有する粘着性ポリマーと架橋促進剤とを含む粘着剤組成物であって,揮発性酸をも含むことを特徴とする,粘着剤組成物。
【請求項2】前記架橋促進剤が,錫,亜鉛,鉛,ビスマスから選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属有機化合物である,請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】前記揮発性酸が,全炭素数2?20のアルキルカルボン酸である,請求項1または2に記載の粘着剤組成物。
【請求項4】前記粘着性ポリマーが,(メタ)アクリル系重合体である,請求項1から3までのいずれかに記載の粘着剤組成物。
【請求項5】さらに,1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物をも含む,請求項1から4までのいずれかに記載の粘着剤組成物。
【請求項6】請求項1から5までのいずれかに記載の粘着剤組成物が基材に塗布されてなる,粘着製品。」(特許請求の範囲請求項1?6)

5b.「【従来の技術】粘着剤には,粘着力と凝集力を両立させるため,架橋を施すことが一般的である。架橋システムとしては,OH/イソシアネート,酸/エポキシ,酸/金属キレート,酸/オキサゾリン,酸/アミンなど種々の系があるが,中でもOH/イソシアネート系の架橋システムが,基材への密着性や物性バランスに優れることから,最も汎用的に使用されている。従来から,上記OH/イソシアネート系の架橋システムにおいては,架橋速度を上げ,架橋反応が完結して安定した粘着性能が得られるまでの養生時間を短縮する目的で,架橋促進剤として金属化合物やアミン化合物を添加したり,内部触媒としてポリマー酸価を上げる手法が採用されている。
しかし,粘着性ポリマーは一般に分子量が高いため,架橋促進剤を添加したり,ポリマー酸価を高くすると,ポットライフ(可使時間)が短くなり,作業性を損なうといった問題があった。この問題を解決し,ポットライフを延長させる手法として,樹脂溶液の固形分を低く設定する方法が考えられるが,粘度が低くなりすぎると,塗工性を損なう等の問題が起こるため,実用的ではなかった。さらに,ポリマーと架橋剤との相溶性を小さく設定することにより,架橋速度を上げつつ,充分なポットライフを保持させることが可能となるが,この方法によれば,乾燥皮膜が白濁してしまうため,透明性が求められる用途では使用できない場合があった。この現象は,特に,架橋密度を高く設定する必要がある再剥離用途や保護部材用途において顕著であった。
このように,安定した粘着性能が得られるまでの養生時間の短縮と,充分なポットライフとを両立させうる粘着剤組成物として,実用的に満足できるものはこれまで知られていなかった。
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明が解決しようとする課題は,高架橋密度であっても,安定した粘着性能が得られるまでの養生時間が短く,しかも充分なポットライフを保持しうる粘着剤組成物,および,これを用いた粘着製品を提供することである。なお,ポットライフを維持する目的で,従来から,イソシアネート基を有する化合物を使用直前に配合する,いわゆる2液型としての使用により,貯蔵安定性を確保することは行われているが,実際の使用場面においては,混合から塗布作業までの間にトラブルが生じた場合などを考慮すると,2液が混合されてから数時間程度のポットライフは必要とされており,これは,2液型とすることによっては解決し得ない問題であった。したがって,本発明でいうポットライフとは,OH/イソシアネート系の架橋システムにおいて水酸基とイソシアネート基とが混ざりあってからの可使時間をいうものである。」(段落【0002】?【0005】)

5c.「【実施例】以下に本発明を具体的に説明するが,本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお,以下において「部」は重量部を示し,「%」は重量%を示す。
〔製造例1(水酸基含有粘着性ポリマーの合成)〕
攪拌機,温度計,冷却器,滴下ロート,不活性ガス導入管を装着したフラスコに,アクリル酸2-エチルヘキシル182.4部,アクリル酸ブチル48部,アクリル酸ステアリル2.4部,アクリル酸2-ヒドロキシルエチル7.2部,および酢酸エチル293.3部を仕込み,窒素ガス封入下,攪拌しながら86℃にまで加熱し,さらに,過酸化ベンゾイル系開始剤(ナイパーBMT-K40,日本油脂製)0.48部を添加し,反応温度を約86℃に維持して重合反応を行った。次いで,アクリル酸2-エチルヘキシル273.6部,アクリル酸ブチル72部,アクリル酸ステアリル3.6部,アクリル酸2-ヒドロキシルエチル10.8部,酢酸エチル:10部,トルエン60部,および過酸化ベンゾイル系開始剤(ナイパーBMT-K40,日本油脂製)0.36部からなるモノマープレミックスを滴下ロートに入れ,開始剤の投入から約10分後から,約60分間かけて添加し,反応を継続した。モノマープレミックスの添加終了後,約3時間重合反応を継続し,反応を終了した。なお,反応中,粘度の上昇に伴って酢酸エチルやトルエンを適宜追加し,最終の不揮発分が約33%になるように調整した。
得られた水酸基含有粘着性ポリマー溶液は,不揮発分32.5%,粘度390mPa・s(25℃,B型粘度計,ローターNo. 2,回転数30/秒)であり,該粘着性ポリマーの重量平均分子量(Mw)は約45万,数平均分子量(Mn)は4.7万(ポリスチレン換算ゲルパーミエーションクロマトグラフ)であり,該粘着性ポリマー樹脂固形分の水酸基価は15mgKOH/g(計算値)であった。
〔実施例1?4および比較例1?9〕
製造例1で得られた水酸基含有粘着性ポリマー溶液100重量部に,表1に記載の配合比率で,架橋促進剤としてジブチル錫ジラウレート,および,揮発性酸として酢酸を配合し,10分以上攪拌した。次いで,得られた混合物に,表1に記載の配合比率で,イソシアネート架橋剤(「コロネートL-55E」日本ポリウレタン工業株式会社製)を投入した後,10分以上攪拌し,本発明の粘着剤組成物(1)?(4)および比較用の比較粘着剤組成物(1)?(9)を得た。

実施例1?4で得られた粘着剤組成物(1)?(4)および比較例1?9で得られた比較粘着剤組成物(1)?(9)について下記の粘着物性試験を行った。結果を表2に示す。
(常態接着力および熱処理接着力)
得られた粘着剤組成物を直ちに,38μmPET(「東レルミラー38」東レ株式会社製)上に,可変式アプリケーターを用いて乾燥塗膜が20±2μmとなるように塗工し,105℃で2分間乾燥後,シリコーン系離型ライナーフィルムで粘着面を覆い,40℃にて3日間熟成し,その後,常態(23℃,65%RH)で調温して,粘着試料とした。
他方,鏡面SUS板(日本テストパネル株式会社製)を酢酸エチルを含ませたガーゼで拭き,乾燥後に23℃,65%RHで1時間以上調温して,被着体とした。23℃,65%RH雰囲気下にて,上記被着体に上記粘着試料を25mm幅で貼り付け,2kgのゴムローラーで一往復圧着させた。次いで,常態接着力の場合は,23℃,65%RHで1時間放置して,熱処理接着力の場合は,80℃で1時間熱処理後,23℃,65%RHで1時間放置して,それぞれ180度剥離力を測定した。なお,引き剥がし速度は,300mm/分とし,測定温度は23℃とした。そして,180度剥離力が目標値(25g)未満のものを「○」,目標値(25g)以上のものを「×」として評価した。
(再剥離性)
熱処理接着力測定後の被着体の汚染程度を目視にて観察し,汚染のないものを「○」,汚染のあるものを「×」とした。
(ポットライフ)
イソシアネート架橋剤の配合時点から,粘度およびゲル化の程度を観察し,粘度の上昇が少なく塗工可能な状態が維持できているまでの時間を測定し,24時間以上であったものを「○」,8時間以上24時間未満であったものを「△」,8時間未満で塗工不可能なものを「×」とした。なお,塗工不可能とは,実用上きれいな塗膜が得られないことを意味し,塗膜が,例えば,筋や泡やムラが生じた状態,平滑性のない荒れた状態,曇った状態,塗布厚が一定にならない状態などになることを指す。

」(段落【0029】?【0035】)

(2)甲第1号証に記載された発明
甲第1号証において,1eで摘記するところからすると,酢酸エチルは反応溶媒であり,アゾビスイソブチロニトリルは反応開始剤であり,架橋剤である「ポリイソシアネート化合物(商品名:コロネートL,日本ポリウレタン(株)製)」は,甲第3号証によれば,トリレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト,すなわち「トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート」であることがみてとれる(摘記3a)。
そうすると,甲第1号証には,次の発明(以下,「甲1発明」という。)が記載されているといえる。

「2-エチルへキシルアクリレート25重量部,n-ブチルアクリレート43重量部,スチレン3重量部,エチルアクリレート20重量部,アクリル酸7重量部,2-ヒドロキシエチルアクリレート2重量部を含有する反応液を重合させることにより得られたアクリル系ポリマー100重量部に,
次式[II]で表されるシラン化合物0.1重量部と,架橋剤としてトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート2重量部とを加えてなる,
液晶素子用感圧接着剤組成物。
【化3】

[II]」

(3)対比・判断
ア 本件特許発明1について
(ア)本件特許発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「2-エチルへキシルアクリレート」,「n-ブチルアクリレート」及び「エチルアクリレート」は,本件特許発明1の「(a)(メタ)アクリル酸アルキルエステル」に,また,同様に「アクリル酸」は「(c)分子内に,カルボキシル基,アミド基,アミノ基の何れかの官能基を有する単量体」に,「2-ヒドロキシエチルアクリレート」は「(b)分子内に水酸基を有する単量体」に,それぞれ相当する。
また,本件特許発明1では,(a)(メタ)アクリル酸アルキルエステル100重量部に対しての単量体(b)及び(c)の含有量が特定されているところ,甲1発明における「アクリル酸」(単量体(c)に相当)と「2-ヒドロキシエチルアクリレート」(単量体(b)に相当)の含有量を「2-エチルへキシルアクリレート」,「n-ブチルアクリレート」及び「エチルアクリレート」の合計量を100重量部として換算すると,「アクリル酸」は7.95重量部,「2-ヒドロキシエチルアクリレート」は2.27重量部と計算される。そうすると,甲1発明の「2-ヒドロキシエチルアクリレート」の含有量は,本件特許発明1の「(b)分子内に水酸基を有する単量体0.5?5重量部」と重複一致している。
また,甲1発明における「トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート」は,ポリオール変性トリレンジイソシアネートの範疇に属するものであるから,本件特許発明1における「ポリオール変性キシリレンジイソシアネート」とは,「ポリオール変性ジイソシアネート」である点で共通するものである。
さらに,甲1発明の「液晶素子用感圧接着剤組成物」は,本件特許発明1の「光学部材用粘着剤組成物」に相当することは明らかである。
なお,甲1発明が「スチレン3重量部」を含有している点について,本件特許明細書に,「前記単量体混合物には,必要に応じて,その他の単量体(d)を混合させても良い。その他の単量体の例としては,・・・スチレン・・・等を挙げることができる。その他の単量体(d)の混合比は,単量体成分(a)アクリル酸アルキルエステル100重量部に対して,50重量部以下,好ましくは30重量部以下,特に好ましくは10重量部以下である。」(段落【0014】)と記載されていること,また,甲1発明が「式[II](式の記載省略。)で表されるシラン化合物0.1重量部」を含有している点については,本件特許明細書に,「本発明の光学部材用粘着剤組成物には,本発明の効果を損なわない範囲で有れば,シランカップリング剤,酸化防止剤,紫外線吸収剤,粘着付与剤,可塑剤等を配合しても良い。」(段落【0017】)と記載されていることから,いずれも実質的な相違点とはならない。
そうすると,両発明は,「(a)(メタ)アクリル酸アルキルエステル100重量部に対して,(b)分子内に水酸基を有する単量体0.5?5重量部と,(c)分子内に,カルボキシル基,アミド基,アミノ基の何れかの官能基を有する単量体とを含有する単量体混合物の共重合体であるアクリル系ポリマー100重量部と,
ポリオール変性ジイソシアネート架橋剤とを含有してなる光学部材用粘着剤組成物。」である点で一致し,次の点で相違する。

相違点1:アクリル系ポリマーを構成する分子内に,カルボキシル基,アミド基,アミノ基の何れかの官能基を有する単量体(アクリル酸)の使用量について,本件特許発明1は(メタ)アクリル酸アルキルエステル100重量部に対して,「0.05?2重量部」であると特定するのに対して,甲1発明は換算値として「7.95重量部」である点

相違点2:アクリル系ポリマーのゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによる重量平均分子量について,本件特許発明1は「50万以上200万以下」であると特定するのに対して,甲1発明ではそのような特定がない点

相違点3:光学部材用粘着剤組成物に含有されるポリオール変性ジイソシアネート架橋剤について,本件特許発明1は,「ポリオール変性キシリレンジイソシアネート」をアクリル系ポリマー100重量部に対して0.01重量部以上5重量部以下含有すると特定するのに対して,甲1発明は「トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート」をアクリル系ポリマー100重量部に対して2重量部加えてなると特定する点

(イ)上記の相違点について以下に検討する。
a 相違点1についての検討
(a) 相違点1に係る構成(単量体(c)の使用量,すなわち構成要件B)の本件特許発明1における技術的意義は,上記第5_1(2)ウで述べたとおり,ポリオール変性キシリレンジイソシアネートとの架橋反応を速やかに進行させることにあると認められ,当該単量体(c)を含まないアクリル系ポリマーEを用いたものでは,ゲル分率が15日経過しても安定しない,すなわち塗布(粘着加工)後の養生時間が長くなり,当該単量体(c)の使用量が多すぎるアクリル系ポリマーDを用いたものでは,ポットライフが6時間未満であり「×」の評価となることが認められる。
そうすると,本件特許発明1において,構成要件Bは,ゲル分率が3日程度で安定する,すなわち塗布(粘着加工)後の養生時間が短いことと,十分満足できるポットライフを有することとを両立するという技術的意義を有するものであり,単量体(c)の使用量が少なければ,塗布(粘着加工)後の養生時間が長くなり(ゲル分率が安定しない),逆に,単量体(c)の使用量が多すぎれば,ポットライフが短くなるという関係にあるといえる。
(b) なお,単量体(c)は,分子内に,カルボキシル基,アミド基,アミノ基の何れかの官能基を有する単量体であるところ,当該官能基がカルボキシル基である場合には,単量体(c)の使用量と得られるアクリル系ポリマーの酸価とは相関を有するものであるといえる。
そうすると,単量体(c)の有する官能基がカルボキシル基である場合には,上記関係は,単量体(c)の使用量が多すぎれば,すなわち,アクリル系ポリマーの酸価が大きすぎれば,ポットライフが短くなるという関係にあるということができる。
(c) 他方,甲第1号証には,「本発明は,液晶素子を構成するガラス基板に偏光板または偏光板と位相差板との積層板を適度な強度で確実に接着すると共に,製造工程でこの偏光板または偏光板と位相差板との積層板を剥離する必要性が生じた場合には,ガラス基板などの液晶セルに損傷を与えることなく剥離することができ,しかもこのガラス基板上に接着剤が残留しにくい液晶素子用感圧接着剤組成物を提供することを目的としている」(摘記1b)と記載されているとおりであって,ポットライフに関しては記載も示唆もされていない。そして,甲1発明のような液晶素子用感圧接着剤組成物はポットライフが短いということが技術常識であるともいえない(ちなみに,甲1発明におけるアクリル系ポリマーの酸価を計算すると,54.5KOHmg/g(=7÷72.06÷100×56110)と計算され,かかる値は,下記(d)のとおり,甲第2号証でポットライフが短くなるとする200KOHmg/gをかなり下回るものである。)。
そうすると,甲1発明において,ポットライフが短いという課題を認識し,かかるポットライフを長くしようとする動機があるとはいえない。
そうである以上,仮に,他の証拠(甲第2号証及び甲第5号証)に,請求人が主張するような技術の開示(ポットライフの長さとアクリル系ポリマーの酸価とが対応関係を有すること,すなわちポットライフを長くするためにアクリル系ポリマーの酸価を小さくすれば良いこと)があったとしても,これら証拠に開示の技術を甲1発明に組み合わせる動機がない。
(d) また,そもそも,以下に述べるとおり,各証拠には,請求人が主張するような技術の開示はない。
すなわち,甲第2号証には,「遊離のカルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体と3級炭素に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物とを含有することを特徴とする粘着剤組成物」(摘記2a)において「(メタ)アクリル系共重合体に導入されるカルボキシル基量は樹脂固形分中酸価として通常0.1?200KOHmg/gであり,好ましくは5?150KOHmg/gである。酸価が0.1KOHmg/g以下では粘着性や基材に対する密着性が低下し,200KOHmg/g以上では,ポリイソシアネート化合物を添加した場合のポットライフが短くなる」(摘記2c)と記載されている。
しかしながら,かかる記載は,あくまでもカルボキシル基量が大きすぎる(200KOHmg/g以上)とポットライフが短くなることを記載するに留まり,カルボキシル基量とポットライフとが相関関係を有するものであることを示すものではない。
また,甲第5号証には,「ポリマー酸価を高くすると,ポットライフ(可使時間)が短くなり,作業性を損なうといった問題があった」(摘記5b)と記載されているものの,この記載の前に「従来から,上記OH/イソシアネート系の架橋システムにおいては,架橋速度を上げ,架橋反応が完結して安定した粘着性能が得られるまでの養生時間を短縮する目的で,…内部触媒としてポリマー酸価を上げる手法が採用されている。」(摘記5b)とも記載されており,ポットライフ(可使時間)のみを考慮してポリマー酸価を低くする技術を開示するものではないといえる。なぜなら,甲第5号証に接した当業者はポリマー酸価を低くした結果,養生時間など他の性質にも影響を及ぼすと理解するからである。
甲第5号証は,ポットライフ(可使時間)を長くするには単純にポリマー酸価を低くすれば良いとする技術を開示するものではない。
(e) そうすると,甲第2号証及び甲第5号証の記載からは,ポットライフの長さとアクリル系ポリマーの酸価とが対応関係を有すること,すなわちポットライフを長くするためにアクリル系ポリマーの酸価を小さくすれば良いことが周知の事項であったとはいうことができない。
(f) してみると,甲1発明において,ポットライフを長くすることを目的として,他の証拠(甲第2号証及び甲第5号証)に開示された技術を組み合わせる動機がないし,仮に,組み合わせたとしても,相違点1に係る構成とすることは,たとえ当業者であっても到底容易であるとはいえない。
(g) 本件特許発明1における相違点1に係る効果は上記(a)で述べたとおりであって,そのような効果は当業者であっても予測し得ないものである。
(h) 相違点1についてのまとめ
以上のとおりであるから,相違点1は想到容易とはいえない。

b 相違点3についての検討
(a) 相違点3に係る構成(ポリオール変性ジイソシアネート架橋剤が「ポリオール変性キシリレンジイソシアネート」であること,すなわち構成要件E)の本件特許発明1における技術的意義は,上記第5_1(2)カで述べたとおり,「トリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物」を用いたものでは,黄変性に劣るとともに,ゲル分率が15日経過しても安定しない,すなわち塗布(粘着加工)後の養生時間が長いことが認められ,「トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物」を用いたものでは,黄変性に劣るとともに,ゲル分率が10日経過してやっと安定する,すなわち塗布(粘着加工)後の養生時間が長いことが認められる。
そうすると,本件特許発明1において,構成要件Eは,ゲル分率が3日程度で安定する,すなわち塗布(粘着加工)後の養生時間が短いことと,経時的な黄変がないこととを両立するという技術的意義を有するものであり,「ポリオール変性キシリレンジイソシアネート」以外のポリオール変性ジイソシアネート架橋剤を用いたのでは,塗布(粘着加工)後の養生時間が長くなり(ゲル分率が安定しない),かつ,黄変性に劣るという関係にあるといえる。
(b) 他方,甲第1号証には,上記a(c)のとおり,黄変性に関する記載も示唆もされていない。そして,甲1発明のような液晶素子用感圧接着剤組成物は黄変性に劣るという技術常識があるともいえない。
そうすると,甲1発明において,黄変性に劣るという課題を認識し,かかる黄変性を改善しようとする動機があるとはいえない。
そうである以上,仮に,他の証拠(甲第2号証)に,請求人が主張するような技術の開示(架橋剤として「トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート」を用いた場合には黄変が生じ,黄変を防止ないし改善するために「トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート」に代えて「ポリオール変性キシリレンジイソシアネート」を用いれば良いこと)があったとしても,当該証拠に開示の技術を甲1発明に組み合わせる動機がない。
(c) また,そもそも,以下に述べるとおり,当該証拠には,請求人が主張するような技術の開示はない。
すなわち,甲第2号証には,表1及び表2(摘記2d)から,表-2では架橋剤として「ポリイソシアネート溶液○1」または「ポリイソシアネート溶液○2」を用いた場合には透明性及び耐光性共に「○」であり,架橋剤として「GP105A」を用いた場合(比較例3)には透明性及び耐光性共に「×」であることがみてとれる。そして,甲第4号証によれば,「GP105A」は,トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物である(摘記4a)ことが理解でき,これは化合物として,甲1発明における「トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート」に相当することまでは理解できる。
しかしながら,甲第2号証の実施例のアクリル系共重合体○1?○3及び○5は,官能基としてヒドロキシル基を有さず,カルボキシル基のみを有するものであって,甲1発明とは単量体(b)の有無の点でも相違するものである。
そうすると,甲第2号証の表-1及び表-2の上記記載は,あくまでも甲第2号証の表-1及び表-2に記載された「アクリル系共重合体○1ないし○5」と「ポリイソシアネート溶液○1」または「ポリイソシアネート溶液○2」とを組み合わせた場合に,透明性及び耐光性に優れる一方で,「アクリル系共重合体○2」と「GP105A」すなわち「トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物」とを組み合わせた場合に,透明性及び耐光性に劣ることを記載するに留まるものというべきである。
甲第2号証は,黄変を防止するには単純に「ポリオール変性キシリレンジイソシアネート」を用いれば良いとする技術を開示するものではない。
(d) そうすると,甲第2号証の記載からは,アクリル系ポリマーの架橋剤として,「トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物」を用いれば黄変が生じ,「ポリオール変性キシリレンジイソシアネート」を用いれば黄変が生じないこと,すなわち,架橋剤として「トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート」を用いた場合には黄変が生じ,黄変を防止ないし改善するために「トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート」に代えて「ポリオール変性キシリレンジイソシアネート」を用いれば良いことが周知の事項であったとはいえない。
(e) してみると,甲1発明において,黄変を改良することを目的として,他の証拠(甲第2号証)に開示された技術を組み合わせる動機がないし,仮に,組み合わせたとしても,相違点3に係る構成とすることは,たとえ当業者であっても到底容易であるとはいえない。
(f) 本件特許発明1における相違点3に係る効果は上記(a)で述べたとおりであって,そのような効果は当業者であっても予測し得ないものである。
(g) 相違点3についてのまとめ
以上のとおりであるから,相違点3は想到容易とはいえない。

(ウ)小括
以上のとおり,本件特許発明1は甲1発明と相違点1?3において相違するものであり,これらの相違点のうち相違点1及び3は想到容易とはいえないのであるから,相違点2について検討するまでもなく,本件特許発明1は,甲1に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたということはできない。

イ 本件特許発明2について
本件特許発明2は,本件特許発明1を直接的に引用する発明であって,本件特許発明1を特定するために必要な事項をすべて含むものである。そして本件特許発明1が甲第1号証に記載された発明から容易といえないのは上述のとおりであるから,本件特許発明2も同様の理由により,甲第1号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 本件特許発明3について
本件特許発明3は,支持体と支持体の片面又は両面に粘着剤層を設けた光学部材用粘着シートに係るものであって,当該粘着剤層は,本件特許発明1に係る粘着剤組成物からなる粘着剤層である。
そうすると,本件特許発明3は,甲1発明とは,少なくとも上記第5_3(3)ア「本件特許発明1について」で述べた相違点1及び3で相違するものである。そして,これらの相違点が上で述べたとおり想到容易とはいえないのであるから,本件特許発明3は,甲第1号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)まとめ
以上のとおりであるから,請求人の主張する無効理由1には理由がない。



第6 結び
以上のとおり,請求人の主張する理由及び証拠方法によっては,本件特許発明1?3に係る特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については,特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により,請求人が負担すべきものとする。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-11-09 
結審通知日 2015-11-11 
審決日 2015-11-26 
出願番号 特願2002-250458(P2002-250458)
審決分類 P 1 113・ 121- Y (C09J)
P 1 113・ 537- Y (C09J)
P 1 113・ 536- Y (C09J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中西 聡齋藤 恵中野 孝一  
特許庁審判長 須藤 康洋
特許庁審判官 小野寺 務
田口 昌浩
登録日 2011-06-03 
登録番号 特許第4753196号(P4753196)
発明の名称 光学部材用粘着剤組成物及び該粘着剤組成物を用いた光学部材用粘着シート  
代理人 江藤 保子  
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