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審決分類 審判 査定不服 特37 条出願の単一性( 平成16 年1 月1 日から) 特許、登録しない。 B65G
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 B65G
管理番号 1310000
審判番号 不服2014-21121  
総通号数 195 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-17 
確定日 2016-01-13 
事件の表示 特願2012- 35933「積込みヘッドへ食品を運搬する装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 7月19日出願公開、特開2012-136354〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2006年7月28日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2005年10月20日、米国)を国際出願日とする特願2008-536567号(以下、「原出願」という。)の一部を平成24年2月22日に新たな特許出願としたものであって、同日に上申書が提出され、平成25年8月30日付けで拒絶理由が通知され、同年12月3日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成26年6月11日付けで拒絶査定がされ、同年10月17日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に明細書及び特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、平成27年2月10日に上申書が提出され、その後、当審において、同年6月11日付け(発送日:同年6月16日)で応答期間を発送の日から30日以内とする審尋がされたが、応答期間内には回答書が提出されず、応答期間経過後の同年7月23日に上申書が提出されたものである。なお、同年7月23日に提出された上申書は、請求人から応答期間内に回答書が提出できない旨の連絡があったので、応答期間経過後に上申書として提出することを認めたものである。

第2 平成26年10月17日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成26年10月17日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 平成26年10月17日付けの手続補正の内容
平成26年10月17日に提出された手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲については、本件補正により補正される前の(すなわち、平成25年12月3日に提出された手続補正書により補正された)下記(1)に示す特許請求の範囲の記載を下記(2)に示す特許請求の範囲の記載へ補正するものである。

(1)本件補正前の特許請求の範囲
「【請求項1】
食品を保持するように構成され、複数のプーリの周りを回転するベルトに接続された複数のバスケットと、1つの前記プーリの軸に枢動可能に取り付けられた端部ガイドとを備え、端部ガイドは、食品がバスケットから端回転部に設けられた開口部を通って落下される第1の位置から、端回転部の開口部が端部ガイドによって閉じられる第2の位置へ旋回可能であり、
食品を受けるように構成された2以上のレーンと、各レーンの入口付近に設けられた第1のセンサと、各レーンの開口部に隣接して取り付けられた分流器とを備えることを特徴とする冷却コンベヤ。
【請求項2】
1対のプーリの周りに取り付けられ、プーリ上で間に間隔を空けて広がる1対のOリングと、プーリの間に配置され、Oリング間の広がりを狭める狭小化部とを備えることを特徴とする食品運搬用積込みコンベヤ。
【請求項3】
複数の指部が設けられた運搬ホイールと、複数のスロットが設けられた第2のホイールとを備え、指部とスロットとが連動して、食品をスロット内にとらえるよう、運搬ホイールは第2のホイールに重なり合っていることを特徴とする食品を運搬する配向機。
【請求項4】
頂部プーリおよび底部プーリの周りに取り付けられ、間欠的な積込みに対応して、連続的に積降しをするための緩衝地帯を設けるよう垂直に往復するベルトを備え、ベルトは、作動可能に配向機に接続され、配向機は、複数の指部が設けられた運搬ホイールと、複数のスロットが設けられた第2のホイールとを備えることを特徴とする食品運搬用バッファコンベヤ。
【請求項5】
外周内に形成されたカムスロットを備える少なくとも1つの駆動ホイールと、カムスロット内に受けられるよう形成された少なくとも1つのカムフォロワを備える誘導部材と、誘導部材から外側に延出する1対のパドルとを備えることを特徴とする位置合わせ機構。
【請求項6】
少なくとも2つのレーンが設けられた拡散用コンベヤを備え、一方のレーンと他方のレーンとは、互いに角度を有しており、各レーンは、その上に置かれた食品を整列させるよう、ローラによってかしめられたベルトを備えることを特徴とする積込みステーションへ食品を運搬する装置。
【請求項7】
1対のプーリの周りに張架されたベルトと、プーリ間に配置され、1対の周縁部と切欠き中心部とが設けられているローラとを備え、ここでベルトは、ベルトの中心がローラの切欠き中心部内にくるよう、ローラの周縁部によって支持されていることを特徴とする食品運搬用コンベヤ。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲
「【請求項1】
少なくとも2つのレーンが設けられた拡散用コンベヤを備え、一方のレーンと他方のレーンとは、互いに角度を有しており、各レーンは、その上に置かれた食品を整列させるよう、ローラによってかしめられたベルトを備えることを特徴とする積込みステーションへ食品を運搬する装置。
【請求項2】
食品を保持するように構成され、複数のプーリの周りを回転するベルトに接続された複数のバスケットと、1つの前記プーリの軸に枢動可能に取り付けられた端部ガイドとを備え、端部ガイドは、食品がバスケットから端回転部に設けられた開口部を通って落下される第1の位置から、端回転部の開口部が端部ガイドによって閉じられる第2の位置へ旋回可能であり、
食品を受けるように構成された2以上のレーンと、各レーンの入口付近に設けられた第1のセンサと、各レーンの開口部に隣接して取り付けられた分流器とを備えることを特徴とする積込みステーションへ食品を運搬する装置。
【請求項3】
1対のプーリの周りに取り付けられ、プーリ上で間に間隔を空けて広がる1対のOリングと、プーリの間に配置され、Oリング間の広がりを狭める狭小化部とを備えることを特徴とする積込みステーションへ食品を運搬する装置。
【請求項4】
複数の指部が設けられた運搬ホイールと、複数のスロットが設けられた第2のホイールとを備え、指部とスロットとが連動して、食品をスロット内にとらえるよう、運搬ホイールは第2のホイールに重なり合っていることを特徴とする積込みステーションへ食品を運搬する装置。
【請求項5】
頂部プーリおよび底部プーリの周りに取り付けられ、間欠的な積込みに対応して、連続的に積降しをするための緩衝地帯を設けるよう垂直に往復するベルトを備え、ベルトは、作動可能に配向機に接続され、配向機は、複数の指部が設けられた運搬ホイールと、複数のスロットが設けられた第2のホイールとを備えることを特徴とする積込みステーションへ食品を運搬する装置。
【請求項6】
外周内に形成されたカムスロットを備える少なくとも1つの駆動ホイールと、カムスロット内に受けられるよう形成された少なくとも1つのカムフォロワを備える誘導部材と、誘導部材から外側に延出する1対のパドルとを備えることを特徴とする積込みステーションへ食品を運搬する装置。
【請求項7】
1対のプーリの周りに張架されたベルトと、プーリ間に配置され、1対の周縁部と切欠き中心部とが設けられているローラとを備え、ここでベルトは、ベルトの中心がローラの切欠き中心部内にくるよう、ローラの周縁部によって支持されていることを特徴とする積込みステーションへ食品を運搬する装置。」
(なお、下線は、補正箇所を示すためのものである。)

2 本件補正の適否
まず、本件補正における補正の前後の請求項の対応関係及び補正の内容を検討する。
(1)本件補正は、特許請求の範囲の請求項1については、本件補正前の特許請求の範囲の請求項6を請求項1に繰り上げたものであり、「発明特定事項」は補正されていない。
(2)本件補正は、特許請求の範囲の請求項2については、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1を請求項2に繰り下げるとともに末尾の記載を「冷却コンベア。」から「積込みステーションへ食品を運搬する装置。」と補正するものである。
(3)本件補正は、特許請求の範囲の請求項3については、本件補正前の特許請求の範囲の請求項2を請求項3に繰り下げるとともに末尾の記載を「食品運搬用積込みコンベヤ。」から「積込みステーションへ食品を運搬する装置。」と補正するものである。
(4)本件補正は、特許請求の範囲の請求項4については、本件補正前の特許請求の範囲の請求項3を請求項4に繰り下げるとともに末尾の記載を「食品を運搬する配向機。」から「積込みステーションへ食品を運搬する装置。」と補正するものである。
(5)本件補正は、特許請求の範囲の請求項5については、本件補正前の特許請求の範囲の請求項4を請求項5に繰り下げるとともに末尾の記載を「食品運搬用バッファコンベヤ。」から「積込みステーションへ食品を運搬する装置。」と補正するものである。
(6)本件補正は、特許請求の範囲の請求項6については、本件補正前の特許請求の範囲の請求項5を請求項6に繰り下げるとともに末尾の記載を「位置合わせ機構。」から「積込みステーションへ食品を運搬する装置。」と補正するものである。
(7)本件補正は、特許請求の範囲の請求項7については、本件補正前の特許請求の範囲の請求項7に対応するものであり、その末尾の記載を「食品運搬用コンベヤ。」から「積込みステーションへ食品を運搬する装置。」と補正するものである。

次に、本件補正の目的について検討する。
上記(1)ないし(7)のとおり、本件補正により、補正前の請求項は削除されてないので、本件補正は、請求項の削除を目的とするものではない。
また、本件補正により、請求項2ないし7に係る発明は、その対象が変更されていることから、本件補正は、請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものとはいえないし、本件補正前の各請求項に記載された発明と本件補正後の各請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるともいえないので、本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。
さらに、本件補正前の請求項1ないし5及び7の末尾の記載に誤記はないので、本件補正は誤記の訂正を目的とするものではない。
さらにまた、本件補正前の特許請求の範囲に明りようでない記載が原因となる拒絶理由は通知されていないし、実際、本件補正前の請求項1ないし5及び7の末尾の記載は明りようであるから、本件補正は、明りようでない記載の釈明を目的とするものではない。

したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項各号に規定される何れの事項を目的とするものでもないので、同法第17条の2第4項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。

第3 拒絶理由について
1 本願発明
以上のとおり、本件補正は却下されたため、本願の特許請求の範囲の請求項1ないし7に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明7」という。)は、平成25年12月3日に提出された手続補正書により補正された明細書及び特許請求の範囲並びに願書に最初に添付された図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、本願発明1ないし7は、上記第2[理由]1(1)のとおりである。

2 原査定の拒絶の理由等
(1)原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由の概要は次のとおりである。

「この出願については、平成25年 8月30日付け拒絶理由通知書に記載した理由1によって、拒絶をすべきものです。
なお、意見書及び手続補正書の内容を検討しましたが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。
備考
(理由1)
請求項1に係る発明と、請求項2-7に係る発明とは、食品を取り扱う装置という共通の技術的特徴を有している。しかしながら、当該技術的特徴は、例示するまでもなく、先行技術に対する貢献をもたらすものではないから、当該技術的特徴は、特別な技術的特徴であるとはいえない。
そして、請求項1の特別な技術的特徴は、「端部ガイドは、食品がバスケットから端回転部に設けられた開口部を通って落下される第1の位置から、端回転部の開口部が端部ガイドによって閉じられる第2の位置へ旋回可能であること」である。
他方、請求項2の技術的特徴は「プーリの間に配置され、Oリング間の広がりを狭める狭小化部とを備えること」であり、請求項3-4の技術的特徴は「複数の指部が設けられた運搬ホイールと、複数のスロットが設けられた第2のホイールとを備えること」であり、請求項5の技術的特徴は「カムスロットを備える少なくとも1つの駆動ホイールと、少なくとも1つのカムフォロワを備える誘導部材と、誘導部材から外側に延出する1対のパドルとを備えること」であり、請求項6の技術的特徴は「少なくとも2つのレーンが設けられた拡散用コンベヤを備え、各レーンは、その上に置かれた食品を整列させるよう、ローラによってかしめられたベルトを備えること」であり、請求項7の技術的特徴は「1対のプーリの周りに張架されたベルトと、1対の周縁部と切欠き中心部とが設けられているローラとを備え、ベルトの中心がローラの切欠き中心部内にくるよう、ローラの周縁部によって支持されていること」である。
よって、請求項1に係る発明と、請求項2-7に係る発明との間に、ほかに同一の又は対応する特別な技術的特徴は存在しない。
したがって、請求項1に係る発明と、請求項2-7に係る発明とは、同一の又は対応する特別な技術的特徴を有しない。
以上のことから依然として、この出願は、特許法第37条に規定する要件を満たさない。
なお、理由2に関して、今回補正された請求項1の「食品を受けるように構成された2以上のレーンと、各レーンの入口付近に設けられた第1のセンサと、各レーンの開口部に隣接して取り付けられた分流器とを備えること」について、特開2002-338038号公報(【0013】、図2-4等)には、2つのライン3a,3bと、各ラインに設けられたセンサ4a,4bと、各ラインに設けられたエアジェット6a,6bとを備える振分け装置が記載されているから、審判請求される際は考慮されたい。」

(2)平成25年8月30日付けで通知した拒絶理由の概要
平成25年8月30日付けで通知した拒絶理由の概要は次のとおりである。

「1.この出願は、下記の点で特許法第37条に規定する要件を満たしていない。

請求項1に係る発明と、請求項2-8に係る発明とは、食品を取り扱う装置という共通の技術的特徴を有している。しかしながら、当該技術的特徴は、例示するまでもなく、先行技術に対する貢献をもたらすものではないから、当該技術的特徴は、特別な技術的特徴であるとはいえない。
そして、請求項1の特別な技術的特徴は、「端部ガイドは、食品がバスケットから端回転部に設けられた開口部を通って落下される第1の位置から、端回転部の開口部が端部ガイドによって閉じられる第2の位置へ旋回可能であること」であり、請求項2の「2以上のレーンと、各レーンの入口付近に設けられた第1のセンサと、各レーンの開口部に隣接して取り付けられた分流器とを備えること」であり、請求項3の「プーリの間に配置され、Oリング間の広がりを狭める狭小化部とを備えること」であり、請求項4-5の「複数の指部が設けられた運搬ホイールと、複数のスロットが設けられた第2のホイールとを備えること」であり、請求項6の「カムスロットを備える少なくとも1つの駆動ホイールと、少なくとも1つのカムフォロワを備える誘導部材と、誘導部材から外側に延出する1対のパドルとを備えること」であり、請求項7の「少なくとも2つのレーンが設けられた拡散用コンベヤを備え、各レーンは、その上に置かれた食品を整列させるよう、ローラによってかしめられたベルトを備えること」であり、請求項8の「1対のプーリの周りに張架されたベルトと、1対の周縁部と切欠き中心部とが設けられているローラとを備え、ベルトの中心がローラの切欠き中心部内にくるよう、ローラの周縁部によって支持されていること」である。
よって、請求項1に係る発明と、請求項2-8に係る発明との間に、ほかに同一の又は対応する特別な技術的特徴は存在しない。
したがって、請求項1に係る発明と、請求項2-8に係る発明とは、同一の又は対応する特別な技術的特徴を有しない。
以上のことから、この出願は、特許法第37条に規定する要件を満たさない。
この出願は特許法第37条の規定に違反しているので、請求項2-8に係る発明については特許法第37条以外の要件についての審査を行っていない。
なお、本出願を分割し、新たに出願される場合も、37条の要件を満たすか否かを十分検討されたい。

2.この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項1について、引用文献1-3
引用文献1(第9コラム第41-52行、図7等)には、バスケット24と、揺動可能なシュート33と、を備える食品用バスケットコンベヤ14において、シュート33の位置により、スターホイール16に供給するか否か選択するものが記載されている。
引用文献2(第2ページ右下欄第14行-第3ページ左上欄第8行、図2等)には、回転体の軸10にアーム15を介してゲート板16を枢着し、シュート17の上端開口を閉塞又は開放するようにゲート板16を駆動させるものが記載されている。
引用文献3(【0037】,【0044】、図1等)には、食品をバスケットコンベヤで冷却しながら搬送することが記載されている。
引用文献1に記載のシュートを、引用文献2に記載のゲート板のように回転体の軸に枢動可能に取り付けるとともに、引用文献1に記載のバスケットコンベヤを、引用文献3にみられるように冷却し、請求項1に係る発明のように構成することは、当業者であれば容易に想到し得ることである。
引 用 文 献 等 一 覧
1:米国特許第2948093号明細書
2:特開昭52-126394号公報
3:特開2004-325154号公報」

3 審判請求書の概要
審判請求書の概要は次のとおりである。

「【請求の趣旨】 ・・・(略)・・・
【請求の理由】
【手続の経緯】
・・・(略)・・・
【拒絶査定の要点】
・・・(略)・・・
【本願発明が特許されるべき理由】
(1)本願発明の説明
別紙手続補正書に係る請求項(以下において、「新たな請求項」といいます。)1に係る発明は「少なくとも2つのレーンが設けられた拡散用コンベヤを備え、一方のレーンと他方のレーンとは、互いに角度を有しており、各レーンは、その上に置かれた食品を整列させるよう、ローラによってかしめられたベルトを備えることを特徴とする積込みステーションへ食品を運搬する装置。」であることを要旨とします。
(2)補正の根拠の明示
平成25年12月3日付け手続補正書の特許請求の範囲における請求項(以下において、「元の請求項」といいます。)6を新たな請求項1に繰り上げ、新たな請求項2以下の請求項は元の請求項を繰り下げました。
つぎに、元の請求項1の「冷却コンベア」を、新たな請求項2では「積込みステーションへ食品を運搬する装置」と補正しました。当該補正は、不明瞭な記載の釈明に該当します。
つぎに、元の請求項2の「食品運搬用積込みコンベヤ」を、新たな請求項3では「積込みステーションへ食品を運搬する装置」と補正しました。当該補正は、不明瞭な記載の釈明に該当します。
つぎに、元の請求項3の「食品を運搬する配向機」を、新たな請求項4では「積込みステーションへ食品を運搬する装置」と補正しました。当該補正は、不明瞭な記載の釈明に該当します。
つぎに、元の請求項4の「食品運搬用バッファコンベヤ」を、新たな請求項5では「積込みステーションへ食品を運搬する装置」と補正しました。当該補正は、不明瞭な記載の釈明に該当します。
つぎに、元の請求項5の「位置合わせ機構」を、新たな請求項6では「積込みステーションへ食品を運搬する装置」と補正しました。当該補正は、不明瞭な記載の釈明に該当します。
つぎに、元の請求項7の「食品運搬用コンベヤ」を、新たな請求項7では「積込みステーションへ食品を運搬する装置」と補正しました。当該補正は、不明瞭な記載の釈明に該当します。
つぎに、願書に最初に添付した明細書における発明の名称の「積込みヘッドへ食品を運搬する装置および方法」を「積込みヘッドへ食品を運搬する装置」と補正しました。
したがって、今回の補正は、新規事項の追加等には該当せず特許法第17条の2第3?6項に規定する要件を満たすものと確信します。
(3)理由1について
今回の補正によって、この出願は特許法第37条に規定する要件を満たすものと確信します。
したがって、理由1は解消しました。
【むすび】
以上より、原査定を取り消す、本願発明は特許すべきものである、との審決を求めます。」

4 平成27年6月11日付け審尋の概要
平成27年6月11日付け審尋の概要は次のとおりである。

「この審判事件について、下記の点に対する回答書を、この審尋の発送の日から30日以内に提出して下さい。

請求人は、審判請求書において、「(3)理由1について
今回の補正によって、この出願は特許法第37条に規定する要件を満たすものと確信します。
したがって、理由1は解消しました。」とのみ述べているが、「特許法第37条に規定する要件を満たす」との根拠が示されていないので、説明されたい。
即ち、「請求項1に係る発明の特別な技術的特徴は「・・・」であり、請求項2に係る発明の特別な技術的特徴は「・・・」であり、・・・、請求項7に係る発明の特別な技術的特徴は「・・・」である。」というように、各請求項に係る発明毎に特別な技術的特徴を特定し、それぞれの特別な技術的特徴が同一であるのか、又は対応するものであるのか、さらに対応するものであるとしたら、どのような対応関係にあるのかを説明されたい(「特許・実用新案 審査基準」の「第I部 第2章 発明の単一性の要件 2.発明の単一性の判断 2.2 基本的な考え方(事例1?13)」(http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/tjkijun_i-2.pdf)を参照されたい。)。
なお、平成26年10月17日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に係る発明において、全ての請求項に係る発明において同一の技術的特徴は、「積込みステーションへ食品を運搬する装置」という技術的特徴であるが、該技術的特徴は、先行技術に対する貢献をもたらすものではない(例えば、該技術的特徴は、平成25年8月30日付け拒絶理由通知書において、引用文献として提示した特開昭52-126394号公報及び特開2004-325154号公報並びに平成26年6月11日付け拒絶査定において、なお書きの箇所で提示した特開2002-338038号公報に記載された発明も有している。)ので、特別な技術的特徴とはいえない。
また、上記のとおり、請求人が「今回の補正によって、この出願は特許法第37条に規定する要件を満たすものと確信します。」と述べていることについて、即ち請求人が既に検討済みのことについて、説明を求めるための審尋であるから、応答期間は、相応の期間として30日とする。」

5 平成27年7月23日に提出された上申書の概要
平成27年7月23日に提出された上申書の概要は次のとおりである。

「平成27年6月11日起案(同年6月16日発送)の審尋に対して下記のとおり上申致します。
1.本願発明が特許されるべき理由を説明致します。
審判官殿は、・・・(略)・・・とのご指摘です。
2.本出願が特許法第37条に規定する要件を満たし、よって本願発明が特許されるべき理由を説明致します。
本件審判請求人は、平成25年12月3日付け提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項(以下において、「元の請求項」といいます。)を、下記に示す手続補正書(案)により補正をする準備がございます。当該手続補正書(案)により補正した特許請求の範囲の請求項(以下において、「補正案の請求項」といいます。)は、十分に特許性を有するものであります。
以下に、下記手続補正書(案)の記載内容と共に意見を述べます。
3.補正内容について説明致します。
まず、元の請求項6の項番号を繰り上げ補正案の請求項1とする補正をしました。上記補正に伴って、その他の請求項の項番号を整合させました。
つぎに、補正案の請求項2の補正は、願書に最初に添付した明細書(以下において、「当初明細書」といいます。)の段落[0016]、[0020]および[0022]の欄の記載から自明な事項です。
つぎに、補正案の請求項3の補正は、当初明細書の段落[0042]?[0046]の欄の記載から自明な事項です。
つぎに、補正案の請求項4の補正は、当初明細書の段落[0047]?[0052]の欄の記載から自明な事項です。
つぎに、補正案の請求項5の補正は、当初明細書の段落[0028]?[0032]の欄の記載から自明な事項です。
つぎに、補正案の請求項6の補正は、当初明細書の段落[0050]?[0052]の欄の記載から自明な事項です。
つぎに、補正案の請求項7の補正は、当初明細書の段落[0038]の欄の記載から自明な事項です。
下記の手続補正書(案)における今回の補正は、翻訳文等に記載した事項の範囲内においてしたものです。
4.理由1について説明致します。
補正案の請求項1に係る発明は、「各レーンは、その上に置かれた食品を整列させるよう、ローラによってかしめられたベルトを備える」という特別な技術的特徴を有します。補正案の請求項1に従属する補正案の請求項2?7も同様の特別な技術的特徴を有します。
したがって、今回の補正により、補正案の請求項1?7は、特許法第37条および特許法第29条第2項の規定する要件を満たしたものと思料致します。
したがって、理由1に記載の理由は解消しました。
以上の説明および今回の補正案から、補正案の請求項1-7に係る発明はいずれも、特許法第37条および特許法第29条第2項に規定する発明に該当せず、特許を受けることができるものと確信します。
5.まとめ
以上ご説明いたしました通り、本願補正案の請求項1?7に記載された発明は特許されるべきであり、本願出願人は、是非とも特許審決を得たいと考えております。そのため、審判官殿には、是非とも補正の機会を与えていただきますようお願い申し上げます。また、審判官殿の忌憚の無いご見解を賜ることができれば幸甚に存じます。
以上
<手続補正書(案)>
[手続補正1]
[補正対象書類名] 特許請求の範囲
[補正対象項目名] 全文
[補正方法] 変更
[補正の内容]
[書類名]特許請求の範囲
[請求項1]
少なくとも2つのレーンが設けられた拡散用コンベヤを備え、一方のレーンと他方のレーンとは、互いに角度を有しており、各レーンは、その上に置かれた食品を整列させるよう、ローラによってかしめられたベルトを備えることを特徴とする積込みステーションへ食品を運搬する装置。
[請求項2]
冷却コンベヤと、
食品を受けるように構成された2以上のレーンと、
各レーンの入口付近に設けられた第1のセンサと、
各レーンの開口部に隣接して取り付けられた分流器と、
前記各レーンに設けられた第1のセンサの下流に位置する第2のセンサと、
前記各レーンに設けられた開口部が隣接して取り付けられている第2の分流器とを備える、積込みステーションへ食品を運搬する装置であって、
前記冷却コンベヤは、食品を保持するように構成され、複数のプーリの周りを回転するベルトに接続された複数のバスケットと、1つの前記プーリの軸に枢動可能に取り付けられた端部ガイドとを備え、
前記端部ガイドは、食品がバスケットから端回転部に設けられた開口部を通って落下される第1の位置から、前記端回転部の開口部が前記端部ガイドによって閉じられる第2の位置へ旋回可能であることを特徴とする請求項1に記載の積込みステーションへ食品を運搬する装置。
[請求項3]
食品運搬用積込みコンベヤを備える、積込みステーションへ食品を運搬する装置であって、
前記食品運搬用積込みコンベヤは、1対のプーリの周りに取り付けられ、前記プーリ上で間に間隔を空けて広がる1対のOリングと、前記プーリの間に配置され、Oリング間の広がりを狭める狭小化部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の積込みステーションへ食品を運搬する装置。
[請求項4]
食品を運搬する配向機を備える、積込みステーションへ食品を運搬する装置であって、
前記食品を運搬する配向機は、複数の指部が設けられた運搬ホイールと、複数のスロットが設けられた第2のホイールとを備え、
前記指部とスロットとが連動して、食品をスロット内にとらえるよう、前記運搬ホイールは前記第2のホイールに重なり合っていることを特徴とする請求項1に記載の積込みステーションへ食品を運搬する装置。
[請求項5]
食品運搬用バッファコンベヤを備える、積込みステーションへ食品を運搬する装置であって、
前記食品運搬用バッファコンベヤは、頂部プーリおよび底部プーリの周りに取り付けられ、間欠的な積込みに対応して、連続的に積降しをするための緩衝地帯を設けるよう垂直に往復するベルトを備え、
前記ベルトは、作動可能に配向機に接続され、
前記配向機は、複数の指部が設けられた運搬ホイールと、複数のスロットが設けられた第2のホイールとを備えることを特徴とする請求項1に記載の積込みステーションへ食品を運搬する装置。
[請求項6]
位置合わせ機構を備える、積込みステーションへ食品を運搬する装置であって、
前記位置合わせ機構は、外周内に形成されたカムスロットを備える少なくとも1つの駆動ホイールと、前記カムスロット内に受けられるよう形成された少なくとも1つのカムフォロワを備える誘導部材と、前記誘導部材から外側に延出する1対のパドルとを備えることを特徴とする請求項1に記載の積込みステーションへ食品を運搬する装置。
[請求項7]
食品運搬用コンベヤを備える、積込みステーションへ食品を運搬する装置であって、
前記食品運搬用コンベヤは、1対のプーリの周りに張架されたベルトと、前記プーリ間に配置され、1対の周縁部と切欠き中心部とが設けられているローラとを備え、前記ベルトは、該ベルトの中心が前記ローラの切欠き中心部内にくるよう、前記ローラの周縁部によって支持されていることを特徴とする請求項1に記載の積込みステーションへ食品を運搬する装置。」

6 当審の判断
特許法第37条には、
「二以上の発明については、経済産業省令で定める技術的関係を有することにより発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するときは、一の願書で特許出願をすることができる。」と規定され、
また、特許法施行規則第25条の8には、
「特許法第37条の経済産業省令で定める技術的関係とは、二以上の発明が同一の又は対応する特別な技術的特徴を有していることにより、これらの発明が単一の一般的発明概念を形成するように連関している技術的関係をいう。
2 前項に規定する特別な技術的特徴とは、発明の先行技術に対する貢献を明示する技術的特徴をいう。
3 第一項に規定する技術的関係については、二以上の発明が別個の請求項に記載されているか単一の請求項に択一的な形式によって記載されているかどうかにかかわらず、その有無を判断するものとする。」と規定されている。

そこで、本願発明1ないし7について検討すると、請求項1ないし7の記載(上記第2[理由]1(1)を参照。)からみて、本願発明1ないし7の間に同一の又は対応する技術的特徴は文言上明らかにない。また、原査定(上記第3 2(1)を参照。)において指摘したように、請求項1ないし4及び6の記載からみて、本願発明1ないし4及び6は、「食品を取り扱う装置」という同一の又は対応する技術的特徴を有しているといえるかもしれないが、請求項5には、食品に関する記載はなく、本願発明5は「食品を取り扱う装置」という特徴を有していないことは明らかなので、本願発明1ないし7の間に同一の又は対応する技術的特徴があるとはいえない。そもそも、「食品を取り扱う装置」という技術的特徴は、平成25年8月30日付け拒絶理由通知書において、引用文献として提示した原出願の優先日前に日本国内において、頒布された刊行物である特開昭52-126394号公報及び特開2004-325154号公報並びに原査定(上記第3 2(1)を参照。)において、なお書きの箇所で提示した原出願の優先日前に日本国内において、頒布された刊行物である特開2002-338038号公報に記載された発明も有しており、先行技術に対する貢献を明示する技術的特徴、即ち特別な技術的特徴とはいえない。

また、平成27年7月23日に提出された上申書(上記第3 5を参照。)における請求人の主張によると、本願発明6と同じ発明である本件補正後の請求項1に係る発明の特別な技術的特徴は、「各レーンは、その上に置かれた食品を整列させるよう、ローラによってかしめられたベルトを備える」という技術的特徴であるが、請求項1ないし5及び7には、「各レーンは、その上に置かれた食品を整列させるよう、ローラによってかしめられたベルトを備える」という記載はなく、また、請求項1ないし5及び7は請求項6を引用するものでもないので、本願発明1ないし5及び7は上記技術的特徴を有していないし、さらに、本願発明1ないし5及び7が上記技術的特徴に対応する技術的特徴を有しているとも認められない。

したがって、本願発明1ないし7は同一の又は対応する特別な技術的特徴を有していないので、本願発明1ないし7が単一の一般的発明概念を形成するように連関している技術的関係を有しているとは認められず、本願発明1ないし7が発明の単一性の要件を満たす一群の発明であるとはいえない。

7 むすび
以上のとおり、本願は特許法第37条に規定する要件を満たしていない。

第4 本件補正が適法なものであるとした場合の拒絶理由について
上記第2のとおり、本件補正は却下されるべきものであるが、仮に、審判請求書において請求人が主張するように(上記第3 3を参照。)、本件補正が明りようでない記載の釈明を目的とするもので、適法なものであるとして、本件補正後の請求項1ないし7に係る発明について、検討する。
本件補正後の請求項1ないし7に係る発明(以下、「本願補正発明1」ないし「本願補正発明7」という。)は、上記第2[理由]1(2)のとおりである。

そして、本件補正後の請求項1ないし7の記載(上記第2[理由]1(2)を参照。)からみて、本願補正発明1ないし7の同一の又は対応する技術的特徴は、各請求項末尾の「積込みステーションへ食品を運搬する装置」という技術的特徴であるが、該技術的特徴は、原出願の優先日前に日本国内において、頒布された刊行物である上記特開昭52-126394号公報、特開2004-325154号公報及び特開2002-338038号公報に記載された発明も有しており、先行技術に対する貢献を明示する技術的特徴、即ち特別な技術的特徴とはいえない。

また、平成27年7月23日に提出された上申書(上記第3 5を参照。)における請求人の主張によると、本願補正発明1の特別な技術的特徴は、「各レーンは、その上に置かれた食品を整列させるよう、ローラによってかしめられたベルトを備える」という技術的特徴であるが、本件補正後の請求項2ないし7には、「各レーンは、その上に置かれた食品を整列させるよう、ローラによってかしめられたベルトを備える」という記載はなく、また、本件補正後の請求項2ないし7は本件補正後の請求項1を引用するものでもないので、本願補正発明2ないし7は上記技術的特徴を有していないし、また、本願補正発明2ないし7が上記技術的特徴に対応する技術的特徴を有しているとも認められない。

さらに、上記上申書は、審判請求書における「今回の補正によって、この出願は特許法第37条に規定する要件を満たすものと確信します。」と述べていることについての説明を求める平成27年6月11日付け審尋(上記第3 4を参照。)に対する回答に相当するものであるが、該上申書において、請求人は、補正案を提示し、それについて、特許法第37条に規定する要件を満たす旨述べるだけで、審判請求書における「今回の補正によって、この出願は特許法第37条に規定する要件を満たすものと確信します。」という記載の根拠を何ら説明していない。

したがって、本願補正発明1ないし7は同一の又は対応する特別な技術的特徴を有していないので、本願補正発明1ないし7が単一の一般的発明概念を形成するように連関している技術的関係を有しているとは認められず、本願補正発明1ないし7が発明の単一性の要件を満たす一群の発明であるとはいえない。

以上のとおり、本件補正が適法なものであるとしても、本願は特許法第37条に規定する要件を満たしていない。

第5 むすび
上記第3又は4のとおり、本願は特許法第37条に規定する要件を満たしていないので、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-08-11 
結審通知日 2015-08-18 
審決日 2015-09-01 
出願番号 特願2012-35933(P2012-35933)
審決分類 P 1 8・ 65- Z (B65G)
P 1 8・ 57- Z (B65G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土井 伸次  
特許庁審判長 伊藤 元人
特許庁審判官 佐々木 訓
加藤 友也
発明の名称 積込みヘッドへ食品を運搬する装置  
代理人 竹沢 荘一  
代理人 中馬 典嗣  

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