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審決分類 審判 査定不服 特29条特許要件(新規) 特許、登録しない。 G09B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09B
管理番号 1310057
審判番号 不服2015-2207  
総通号数 195 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-02-04 
確定日 2016-01-14 
事件の表示 特願2010- 92010「草書体及び行草体の練習用テキスト」拒絶査定不服審判事件〔平成23年11月 4日出願公開、特開2011-221379〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成22年4月13日の出願であって、平成26年2月17日付けで手続補正書が提出され、同年10月29日付けで拒絶の査定がなされ、これに対し、平成27年2月4日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に手続補正書が提出されて特許請求の範囲を補正する手続補正がなされたものである。


第2 平成27年2月4日付け手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容

本件補正は、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の(すなわち、平成26年2月17日付けで提出された手続補正書により補正された)特許請求の範囲を、下記(2)に示す特許請求の範囲へと補正することを含むものである。

(1)本件補正前の特許請求の範囲
「【請求項1】
左側欄に楷書体の漢文字を書き、
その右側の右側欄を上側欄と下側欄とに区分し、
上側欄には楷書体に該当する草書体の漢文字を書き、
下側欄には楷書体に該当する行草体の漢文字を書き、
草書体と行草体の各漢文字を書いた上側欄と下側欄のそれぞれの右側には、草書体近似型の文字と行草体近似型の文字とをそれぞれ書き込んだ草書体近似型欄と行草体近似型欄とを設け、
更に、草書体近似型欄と行草体近似型欄の右側に、
草書体と行草体のそれぞれの漢文字を複数の構成片に分解して、各構成片に近似した数字やアルファベットや特殊記号や一般記号や平仮名文字や片仮名文字よりなる草書体近似構成片と行草体近似構成片をそれぞれ並記した草書体近似構成片欄と行草体近似構成片欄とを設け、
草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字はそれぞれ近似構成片を組み合わせて草書体及び行草体の漢文字に近似するように組み立てた文字とした
ことを特徴とする草書体及び行草体の練習用テキスト。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲
「【請求項1】
左側欄に楷書体の漢文字を書き、
その右側の右側欄を上側欄と下側欄とに区分し、
上側欄には楷書体に該当する草書体の漢文字を書き、
下側欄には楷書体に該当する行草体の漢文字を書き、
草書体と行草体の各漢文字を書いた上側欄と下側欄のそれぞれの右側には、草書体近似型の文字と行草体近似型の文字とをそれぞれ書き込んだ草書体近似型欄と行草体近似型欄とを設け、
更に、草書体近似型欄と行草体近似型欄の右側に、
草書体と行草体のそれぞれの漢文字を複数の構成片に分解して、各構成片に近似した数字やアルファベットや特殊記号や一般記号や平仮名文字や片仮名文字よりなる草書体近似構成片と行草体近似構成片をそれぞれ並記した草書体近似構成片欄と行草体近似構成片欄とを設け、
草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字はそれぞれ近似構成片を組み合わせて草書体及び行草体の漢文字に近似するように組み立てた文字とし、
楷書体の「口」という漢文字の草書体近似型の文字は、平仮名の「い」とした構成とし、
楷書体の「口」という漢文字の行草体近似型の文字は、数字「1」と「1」の右方に配置する数字「2」とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「日」という漢文字の草書体近似型の文字は、アルファベットの「n」と特殊記号としての斜め線とを組み合わせると共に、「n」の中央空間部に斜め線を挿入した構成とし、
楷書体の「日」という漢文字の行草体近似型の文字は、アルファベットの「b」と「b」の半円弧中空部に挿入する特殊記号としての上方湾曲した半円弧の線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「白」という漢文字の草書体近似型の文字は、アルファベットの「S」と「S」の下方に配置する特殊記号としての右端かぎ状の横直線と「S」の左側方に配置する逆山形線と「S」の右側方に配置する一般記号としての右下り勾配の斜め線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「白」という漢文字の行草体近似型の文字は、アルファベットの「b」と「b」の半円弧中空部に挿入する特殊記号としての上方湾曲した半円弧の線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「文」という漢文字の草書体近似型の文字は、アルファベットの「S」と「S」の下半部に交差する状態で重ねた一般記号としての左側凸状湾曲した半円弧の線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「文」という漢文字の行草体近似型の文字は、アルファベットの「L」と「L」の下方に配置する一般記号としての左下り勾配の斜め線と左下り勾配の斜め線中途部で交差する一般記号としての右下り勾配の斜め線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「耳」という漢文字の草書体近似型の文字は、アルファベットの「z」と「z」の右方に配置する一般記号としての右側凸状湾曲した半円弧の線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「耳」という漢文字の行草体近似型の文字は、アルファベットの「z」と「z」の右方に接触して配置するアルファベットの「y」とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「斗」という漢文字の草書体近似型の文字は、特殊記号としての逆山形線と逆山形線の右側半の斜め線に交差して重ねた特殊記号としての垂直線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「斗」という漢文字の行草体近似型の文字は、一般記号としての右側凸状湾曲の半円弧の線とその下方に配置した同じ形状の半円弧の線と下方の半円弧の線の更に下方に左側端が位置するように配置した一般記号としての水平横線と同水平横線の中途部に交差する特殊記号としての垂直線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「汁」という漢文字の草書体近似型の文字は、アルファベットの小文字「r」と「r」の右方に特殊記号としての数字の4を反転した線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「汁」という漢文字の行草体近似型の文字は、特殊記号としての斜め線とその下方に配置したアルファベットの小文字「r」と「r」の右方に配置した特殊記号としての数字の4を反転した線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「私」という漢文字の草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字は、一般記号としての左下り勾配の斜め線とその下方に特殊記号としての釣り針状とした線と釣り針状とした線の中途部に重ねて配置した数字の「2」と数字の「2」の右方に配置したアルファベットの小文字「s」とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「王」という漢文字の草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字は、数字の「7」と数字の「7」の斜め線の中途部に重ねて配置した数字の「2」とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「引」という漢文字の草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字は、数字の「3」と数字の「3」の右方に配置した数字の「1」とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「夕」という漢文字の草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字は、アルファベットの小文字「s」と「s」の下方の湾曲した中途部に重ねて配置した一般記号としての右側凸状湾曲した半円弧の線とを組み合わせにより構成とした
ことを特徴とする草書体及び行草体の練習用テキスト。」(下線は審決で付した。以下同じ。)

2 補正目的について
本件補正により、本件補正前の請求項1の「草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字」を、
「楷書体の「口」という漢文字の草書体近似型の文字は、平仮名の「い」とした構成とし、
楷書体の「口」という漢文字の行草体近似型の文字は、数字「1」と「1」の右方に配置する数字「2」とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「日」という漢文字の草書体近似型の文字は、アルファベットの「n」と特殊記号としての斜め線とを組み合わせると共に、「n」の中央空間部に斜め線を挿入した構成とし、
楷書体の「日」という漢文字の行草体近似型の文字は、アルファベットの「b」と「b」の半円弧中空部に挿入する特殊記号としての上方湾曲した半円弧の線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「白」という漢文字の草書体近似型の文字は、アルファベットの「S」と「S」の下方に配置する特殊記号としての右端かぎ状の横直線と「S」の左側方に配置する逆山形線と「S」の右側方に配置する一般記号としての右下り勾配の斜め線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「白」という漢文字の行草体近似型の文字は、アルファベットの「b」と「b」の半円弧中空部に挿入する特殊記号としての上方湾曲した半円弧の線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「文」という漢文字の草書体近似型の文字は、アルファベットの「S」と「S」の下半部に交差する状態で重ねた一般記号としての左側凸状湾曲した半円弧の線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「文」という漢文字の行草体近似型の文字は、アルファベットの「L」と「L」の下方に配置する一般記号としての左下り勾配の斜め線と左下り勾配の斜め線中途部で交差する一般記号としての右下り勾配の斜め線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「耳」という漢文字の草書体近似型の文字は、アルファベットの「z」と「z」の右方に配置する一般記号としての右側凸状湾曲した半円弧の線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「耳」という漢文字の行草体近似型の文字は、アルファベットの「z」と「z」の右方に接触して配置するアルファベットの「y」とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「斗」という漢文字の草書体近似型の文字は、特殊記号としての逆山形線と逆山形線の右側半の斜め線に交差して重ねた特殊記号としての垂直線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「斗」という漢文字の行草体近似型の文字は、一般記号としての右側凸状湾曲の半円弧の線とその下方に配置した同じ形状の半円弧の線と下方の半円弧の線の更に下方に左側端が位置するように配置した一般記号としての水平横線と同水平横線の中途部に交差する特殊記号としての垂直線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「汁」という漢文字の草書体近似型の文字は、アルファベットの小文字「r」と「r」の右方に特殊記号としての数字の4を反転した線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「汁」という漢文字の行草体近似型の文字は、特殊記号としての斜め線とその下方に配置したアルファベットの小文字「r」と「r」の右方に配置した特殊記号としての数字の4を反転した線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「私」という漢文字の草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字は、一般記号としての左下り勾配の斜め線とその下方に特殊記号としての釣り針状とした線と釣り針状とした線の中途部に重ねて配置した数字の「2」と数字の「2」の右方に配置したアルファベットの小文字「s」とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「王」という漢文字の草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字は、数字の「7」と数字の「7」の斜め線の中途部に重ねて配置した数字の「2」とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「引」という漢文字の草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字は、数字の「3」と数字の「3」の右方に配置した数字の「1」とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「夕」という漢文字の草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字は、アルファベットの小文字「s」と「s」の下方の湾曲した中途部に重ねて配置した一般記号としての右側凸状湾曲した半円弧の線とを組み合わせにより構成とした」
と補正する事項(以下「補正事項」という。)が追加されたものである。

上記補正事項は、本件補正前の請求項1の「草書体及び行草体の練習用テキスト」における「草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字」を具体的に特定したものであるから、上記補正事項は、特許法第17条の2第5項第2号に係る「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
また、上記補正事項は、特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するところはない。

3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の上記請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、平成27年2月4日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、上記「1 (2)本件補正後の特許請求の範囲」の【請求項1】に記載したとおりのものと認める。

(2)発明該当性(特許法第29条第1項柱書)について
ア 特許法第2条第1項には、発明について、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう」と規定され、同法第29条第1項柱書には、「産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。」と規定されている。
したがって、請求項に係る発明が「自然法則を利用した技術的思想の創作」でないときは、その発明は特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしておらず、特許を受けることができない。
そして、ここにいう「技術的思想」とは、一定の課題を解決するための具体的手段を提示する思想と解されるから、発明は、自然法則を利用した一定の課題を解決するための具体的手段が提示されたものでなければならず、単なる人為的な取決め、数学や経済学上の法則、人間の心理現象に基づく経験則(心理法則)、情報の単なる提示のように、自然法則を利用していないものは、発明に該当しないというべきである。
また、『審査基準 第II部 第1章 1.1発明に該当しないものの類型 (4)自然法則を利用していないもの』には、
『請求項に係る発明が、自然法則以外の法則(例えば、経済法則)、人為的な取決め(例えば、ゲームのルールそれ自体)、数学上の公式、人間の精神活動に当たるとき、あるいはこれらのみを利用しているとき(例えば、ビジネスを行う方法それ自体)は、その発明は、自然法則を利用したものとはいえず、「発明」に該当しない。
逆に、発明を特定するための事項に自然法則を利用していない部分があっても、請求項に係る発明が全体として自然法則を利用していると判断されるときは、その発明は、自然法則を利用したものとなる。
以上のように、どのような場合に、全体として自然法則を利用したものとなるかは、技術の特性を考慮して判断する。』
と記載されている。
そして、上記判断に当たっては、願書に添付した特許請求の範囲の記載全体を考察し、その技術的内容については明細書及び図面の記載を参酌して、自然法則を利用した技術的思想が、課題解決の主要な手段として提示されているか否かを検討すべきである。

イ これを本願補正発明についてみるに、本願補正発明は、平成27年2月4日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、上記「1 (2)本件補正後の特許請求の範囲」の【請求項1】に記載したとおりであり、本願明細書には、図面とともに以下の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、漢字や平仮名等の書体の中でも難しいとされる草書体及び行草体の練習用テキストに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、文字書体には漢字や平仮名に関して各種の書体が考えられている。一般に、基本的な源流となる書体は図117に示すような隷書体(イ)と称されるものであり、この隷書体(イ)から草書体(ロ)、行書体(ハ)、楷書体(ニ)等の書体が分流されている。かかる各種書体以外に、古来より手紙文に使用されている書体として行草体(ホ)という独特の書体が存在する。これは、書体のうち、行書体と草書体との中間に位置する書体であり、書きやすさと読みやすさを兼ねそなえていることから、古来より日常的に使用され、特に手紙文などには頻繁に使用される。このように行草体は、文字書体のなかでも今日最も人気のある文字書体として知られている。これは、隷書体を崩して流れるような筆流で書するものであるため初心者には書くことが難しく、通常は模範となる行草体で書き示した漢字や平仮名等の文字を模倣しながら繰り返し練習して行草体文字の型を覚える。特に行草体文字を構成する構成片が独特の型をしているため、その構成片の型を覚えることから初めて、次いで構成片の組合せのバランスを覚えて全体の行草体文字を習得していく。この理は、行草体の基本となる草書体においても同様である。文字の書体の変遷から見れば、上記したように隷書体から草書体が分流しているため、本来は草書体が行草体の基本として位置しており、そのため、基本的には草書体文字を習得してから行草体文字の型も覚えて行草体文字の習得へと移行するのが自然である。しかし、草書体文字の型と行草体文字の型を並行しながら二文字書体を同時に習得する場合もあり、或は、それぞれの型を個別に習得する場合もある。
【0003】
上記のように模範となる文字を模倣しながら練習する方法として、例えば、特許文献1に示すように、模範文字を見ながら練習文字を入力できる文字学習機を使用することが開示されている。かかる文字学習機は、表示装置に模範文字を表示し、表示装置に表示された模範文字を見ながら練習文字を手書き入力手段で入力し、この手書き入力手段により入力された練習文字の筆圧情報を記憶し、模範文字の筆圧情報と練習文字の筆圧情報とを比較して、模範文字と練習文字との1画1画における相違点を指摘するように構成されている。しかし、この文字学習機では、楷書体の模範文字を練習するに過ぎないものであるため、草書体や行草体の練習を行うためには、その独特の書体の故に上記のような楷書体の模範文字練習を行う文字学習機では、不充分であり、草書体や行草体の練習を簡便に行うことは難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-121098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来の文字学習機では、楷書体の模範文字を見ながら入力手段を用いて練習するものであるため、仮に文字学習機を改良して草書体の文字を練習できるようにしたとしても、初心者が独特の型を有する草書体文字を構成する構成片を覚えながら、さらに、構成片の組合せのバランスを覚えて全体の草書体文字を習得することは、至難の技であった。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、草書体文字及び行草体文字の型を容易に習得することができる草書体及び行草体の練習用テキストを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来の課題を解決するために、請求項1に記載の草書体及び行草体の練習用テキストは、左側欄に楷書体の漢文字を書き、その右側の右側欄を上側欄と下側欄とに区分し、上側欄には楷書体に該当する草書体の漢文字を書き、下側欄には楷書体に該当する行草体の漢文字を書き、草書体と行草体の各漢文字を書いた上側欄と下側欄のそれぞれの右側には、草書体近似型の文字と行草体近似型の文字とをそれぞれ書き込んだ草書体近似型欄と行草体近似型欄とを設け、更に、草書体近似型欄と行草体近似型欄の右側に、草書体と行草体のそれぞれの漢文字を複数の構成片に分解して、各構成片に近似した数字やアルファベットや特殊記号や一般記号や平仮名文字や片仮名文字よりなる草書体近似構成片と行草体近似構成片をそれぞれ並記した草書体近似構成片欄と行草体近似構成片欄とを設け、草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字はそれぞれ近似構成片を組み合わせて草書体及び行草体の漢文字に近似するように組み立てた文字とし、
楷書体の「口」という漢文字の草書体近似型の文字は、平仮名の「い」とした構成とし、
楷書体の「口」という漢文字の行草体近似型の文字は、数字「1」と「1」の右方に配置する数字「2」とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「日」という漢文字の草書体近似型の文字は、アルファベットの「n」と特殊記号としての斜め線とを組み合わせると共に、「n」の中央空間部に斜め線を挿入した構成とし、
楷書体の「日」という漢文字の行草体近似型の文字は、アルファベットの「b」と「b」の半円弧中空部に挿入する特殊記号としての上方湾曲した半円弧の線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「白」という漢文字の草書体近似型の文字は、アルファベットの「S」と「S」の下方に配置する特殊記号としての右端かぎ状の横直線と「S」の左側方に配置する逆山形線と「S」の右側方に配置する一般記号としての右下り勾配の斜め線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「白」という漢文字の行草体近似型の文字は、アルファベットの「b」と「b」の半円弧中空部に挿入する特殊記号としての上方湾曲した半円弧の線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「文」という漢文字の草書体近似型の文字は、アルファベットの「S」と「S」の下半部に交差する状態で重ねた一般記号としての左側凸状湾曲した半円弧の線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「文」という漢文字の行草体近似型の文字は、アルファベットの「L」と「L」の下方に配置する一般記号としての左下り勾配の斜め線と左下り勾配の斜め線中途部で交差する一般記号としての右下り勾配の斜め線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「耳」という漢文字の草書体近似型の文字は、アルファベットの「z」と「z」の右方に配置する一般記号としての右側凸状湾曲した半円弧の線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「耳」という漢文字の行草体近似型の文字は、アルファベットの「z」と「z」の右方に接触して配置するアルファベットの「y」とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「斗」という漢文字の草書体近似型の文字は、特殊記号としての逆山形線と逆山形線の右側半の斜め線に交差して重ねた特殊記号としての垂直線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「斗」という漢文字の行草体近似型の文字は、一般記号としての右側凸状湾曲の半円弧の線とその下方に配置した同じ形状の半円弧の線と下方の半円弧の線の更に下方に左側端が位置するように配置した一般記号としての水平横線と同水平横線の中途部に交差する特殊記号としての垂直線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「汁」という漢文字の草書体近似型の文字は、アルファベットの小文字「r」と「r」の右方に特殊記号としての数字の4を反転した線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「汁」という漢文字の行草体近似型の文字は、特殊記号としての斜め線とその下方に配置したアルファベットの小文字「r」と「r」の右方に配置した特殊記号としての数字の4を反転した線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「私」という漢文字の草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字は、一般記号としての左下り勾配の斜め線とその下方に特殊記号としての釣り針状とした線と釣り針状とした線の中途部に重ねて配置した数字の「2」と数字の「2」の右方に配置したアルファベットの小文字「s」とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「王」という漢文字の草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字は、数字の「7」と数字の「7」の斜め線の中途部に重ねて配置した数字の「2」とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「引」という漢文字の草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字は、数字の「3」と数字の「3」の右方に配置した数字の「1」とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「夕」という漢文字の草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字は、アルファベットの小文字「s」と「s」の下方の湾曲した中途部に重ねて配置した一般記号としての右側凸状湾曲した半円弧の線とを組み合わせにより構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、左側欄に楷書体の漢文字を書き、その右側の右側欄を上側欄と下側欄とに区分し、上側欄には楷書体に該当する草書体の漢文字を書き、下側欄には楷書体に該当する行草体の漢文字を書き、草書体と行草体の各漢文字を書いた上側欄と下側欄のそれぞれの右側には、草書体近似型の文字と行草体近似型の文字とをそれぞれ書き込んだ草書体近似型欄と行草体近似型欄とを設け、更に、草書体近似型欄と行草体近似型欄の右側に、草書体と行草体のそれぞれの漢文字を複数の構成片に分解して、各構成片に近似した数字やアルファベットや特殊記号や一般記号や平仮名文字や片仮名文字よりなる草書体近似構成片と行草体近似構成片をそれぞれ並記した草書体近似構成片欄と行草体近似構成片欄とを設け、草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字はそれぞれ近似構成片を組み合わせて草書体及び行草体の漢文字に近似するように組み立てた文字としたので、草書体文字に大略近似した型を簡単に覚えることができ、覚えたこの全体型を模写しながら草書体文字の練習をするので、短期間のうちに難しい行草体文字の型を習得し易くなる効果がある。」
(イ)「【0467】
[草書体文字及び行草体文字の練習に使用するテキストについて]
本発明の実施例の草書体文字及び行草体文字の練習方法に使用するテキストとしては次のような形態が考えられる。すなわち、図91?図115に示すように左側欄に楷書体の文字を1文字ずつ列記する欄を設ける。その右側欄の上側欄に草書体の文字、下側欄に行草体の文字を記載する欄を設ける。
【0468】
そして、さらに右側欄の上側欄には、草書体近似構成片を組み立てて作成した草書体文字に近似した草書体近似型の文字を書き込む草書体近似型欄を設けておく。右側欄の下側欄には、行草体近似構成片を組み立てて作成した行草体文字に近似した行草体近似型の文字を書き込む行草体近似型欄を設けておく。
【0469】
草書体近似型の欄の右側方においては、草書体文字をいくつかの構成片に分解した後に各構成片に近似した数字やアルファベット等の草書体近似構成片を記入する欄を草書体近似型の欄の右側に隣接して設けており、この草書体近似構成片の欄に記載されたこれらの草書体近似構成片を組合せて草書体文字に近似した草書体近似型の文字を作成する。そして、この草書体近似構成片の欄の右側には、必要に応じて空白欄を設けて近似構成片を手本にしながら練習が出来るようにしている。
【0470】
このように草書体の所定文字について、テキスト中の文字の草書体を構成する複数の構成片に分解して、各構成片に近似した数字やアルファベット等の草書体近似構成片を草書体近似構成片の欄から選択し、これらの近似構成片によって草書体文字の全体の型に近似した組み合わせを行い、草書体近似型の文字をつくる。草書体の練習を行う人は、この近似草書体たる草書体近似型の文字を基本的な型として、本来の草書体を見ながら草書体文字の練習を行う。
【0471】
特に、このテキストで草書体近似型の文字を練習する場合は、数字やアルファベットや記号や片仮名や平仮名等の日常使用する草書体近似構成片のうち、特に草書体の筆順に適合するような草書体近似構成片を選択することにより、更に本来の草書体に近い状態で草書体近似構成片を基にして草書体文字の書き方の練習が行える。
【0472】
行草体近似型の欄の右側方においては、行草体文字をいくつかの構成片に分解した後に各構成片に近似した数字やアルファベット等の行草体近似構成片を記入する欄を設け、行草体近似型の欄の右側に隣接しており、この行草体近似構成片の欄に記載されたこれらの行草体近似構成片を組合せて行草体文字に近似した行草体近似型の文字を作成する。そして、この行草体近似構成片の欄の右側には、必要に応じて空白欄を設けて近似構成片を手本にしながら練習が出来るようにしている。
【0473】
このように行草体の所定文字について、テキスト中の行草体を構成する複数の構成片に分解して、各構成片に近似した数字やアルファベット等の行草体近似構成片を行草体近似構成片の欄から選択し、これらの近似構成片によって行草体文字の全体の型に近似した組み合わせを行い、行草体近似型の文字をつくる。行草体の練習を行う人は、この近似行草体たる行草体近似型の文字を基本的な型として、本来の行草体を見ながら行草体文字の練習を行う。
【0474】
特に、このテキストで行草体近似型の文字を練習する場合は、数字やアルファベットや記号や片仮名や平仮名等の日常使用する行草体近似構成片のうち、特に行草体の筆順に適合するような行草体近似構成片を選択することにより、更に本来の行草体に近い状態で行草体近似構成片を基にして行草体文字の書き方の練習が行える。」
(ウ)



ウ 上記記載によれば、本願補正発明は、
(ア)提示する情報を「草書体と行草体のそれぞれの漢文字を複数の構成片に分解して、各構成片に近似した数字やアルファベットや特殊記号や一般記号や平仮名文字や片仮名文字よりなる草書体近似構成片と行草体近似構成片」と「それぞれ近似構成片を組み合わせて草書体及び行草体の漢文字に近似するように組み立てた草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字」とし、
(イ)提示する態様を「左側欄に楷書体の漢文字を書き、その右側の右側欄を上側欄と下側欄とに区分し、上側欄には楷書体に該当する草書体の漢文字を書き、下側欄には楷書体に該当する行草体の漢文字を書き、草書体と行草体の各漢文字を書いた上側欄と下側欄のそれぞれの右側には、草書体近似型の文字と行草体近似型の文字とをそれぞれ書き込んだ草書体近似型欄と行草体近似型欄とを設け、更に、草書体近似型欄と行草体近似型欄の右側に、草書体近似構成片と行草体近似構成片をそれぞれ並記した草書体近似構成片欄と行草体近似構成片欄とを設け」とする特定の提示項目及び特定の配置とし、
(ウ)それをテキストに記載し、これによって、
(エ)本来の草書体及び行草体を見つつ、近似構成片を手本にしながら、草書体文字及びの行草体文字の練習を行うテキストとする、
という具体的手段により、草書体文字及び行草体文字の型を容易に習得するという課題を解決するものである、と認められる。

以下、上記(ア)?(エ)について、それぞれ検討する。
(ア)提示する情報を「草書体と行草体のそれぞれの漢文字を複数の構成片に分解して、各構成片に近似した数字やアルファベットや特殊記号や一般記号や平仮名文字や片仮名文字よりなる草書体近似構成片と行草体近似構成片」と「それぞれ近似構成片を組み合わせて草書体及び行草体の漢文字に近似するように組み立てた草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字」とすること
そもそも、「楷書体の漢文字」、「楷書体に該当する草書体の漢文字」及び「楷書体に該当する行草体の漢文字」はいずれも、文字を、自然法則とは無関係な人為的な取決めである書体にしたがって表現したものにすぎず、同様に、「草書体と行草体のそれぞれの漢文字を複数の構成片に分解して、各構成片に近似した数字やアルファベットや特殊記号や一般記号や平仮名文字や片仮名文字よりなる草書体近似構成片と行草体近似構成片」とすること及び「それぞれ近似構成片を組み合わせて草書体及び行草体の漢文字に近似するように組み立てた草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字」とすることも、自然法則とは無関係な人為的な取決めにしたがって表現したものであるから、自然法則を利用したものとはいえない。

(イ)提示する態様を「左側欄に楷書体の漢文字を書き、その右側の右側欄を上側欄と下側欄とに区分し、上側欄には楷書体に該当する草書体の漢文字を書き、下側欄には楷書体に該当する行草体の漢文字を書き、草書体と行草体の各漢文字を書いた上側欄と下側欄のそれぞれの右側には、草書体近似型の文字と行草体近似型の文字とをそれぞれ書き込んだ草書体近似型欄と行草体近似型欄とを設け、更に、草書体近似型欄と行草体近似型欄の右側に、草書体近似構成片と行草体近似構成片をそれぞれ並記した草書体近似構成片欄と行草体近似構成片欄とを設け」とする、特定の提示情報を特定の配置とすること
本願補正発明において、「草書体及び行草体の練習テキスト」は、【図91】に例示されているように特定の提示情報を特定の配置としたものである。
上側欄に草書体の漢文字、下側欄に行草体の漢文字、上側欄と下側欄のそれぞれの右側に草書体近似型の文字欄及び行草体近似型の文字欄を設け、更に、草書体近似型欄と行草体近似型欄の右側に、草書体近似構成片と行草体近似構成片をそれぞれ並記した草書体近似構成片欄と行草体近似構成片欄とを配置すれば、草書体(行草体)の練習を行う人は、草書体近似型の文字(行草体近似型の文字)を基本的な型として、本来の草書体(行草体)を見ながら草書体文字(行草体文字)の練習を行え、特に、このテキストで草書体近似型の文字(行草体近似型の文字)を練習する場合は、本来の草書体(行草体)に近い状態で草書体近似構成片(行草体近似構成片)を基にして草書体文字(行草体文字)の書き方の練習が行えるという、模写しながら草書体文字もしくは行草体文字の練習が行えるという一定の効果が認められるものの、そのような提示する態様自体は、何ら自然法則を利用した具体的手段を伴うものではなく、情報の単なる提示の域を超えるものではない。

(ウ)それをテキストに記載すること
本願補正発明は、「草書体及び行草体の練習テキスト」とされていることから、「テキスト」という物品を特定していると認められるが、その構成については、何ら特定されていない。
そして、本願明細書の発明が解決しようとする課題(【0005】及び【0006】)、課題を解決するための手段(【0007】)及び発明の効果(【0008】)の記載によれば、本願補正発明は、「テキスト」に、草書体の漢文字及び行草体の漢文字、草書体の漢文字及び行草体の漢文字に近似するように組み立てた草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字、並びに草書体近似構成片及び行草体近似構成片を記載し、模写することで草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字、並びに草書体の漢文字及び行草体の漢文字を習得し易くなるという点に創作性がある発明と認められ、「テキスト」は、草書体の漢文字及び行草体の漢文字、草書体の漢文字及び行草体の漢文字に近似するように組み立てた草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字、並びに草書体近似構成片及び行草体近似構成片を記載したものにすぎず、それ以上の情報提示の具体的手段を特定するものではない。
そうすると、本願補正発明は、「草書体及び行草体の練習テキスト」と特定することにより物品を形式的には特定しているものの、実質的には、情報を提示するための単なる紙媒体と何ら異なるものではない。
そうすると、「草書体及び行草体の練習テキスト」といった、物品の漠然とした特定をもって、本願補正発明が自然法則を利用したものであると評価することはできない。

(エ)本来の草書体及び行草体を見つつ、近似構成片を手本にしながら、草書体文字及びの行草体文字の練習を行うテキストとすること
本願補正発明は、「テキスト」に、草書体の漢文字及び行草体の漢文字、草書体の漢文字及び行草体の漢文字に近似するように組み立てた草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字、並びに草書体近似構成片及び行草体近似構成片を記載し、模写することで草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字、並びに草書体の漢文字及び行草体の漢文字を習得し易くなるという効果を奏するものである。
独特の型を有する草書体文字を、複数の構成片に分解して、各構成片に近似した数字やアルファベットや特殊記号や一般記号や平仮名文字や片仮名文字よりなる草書体近似構成片とし、近似構成片を組み合わせて草書体の漢文字に近似するように組み立てた草書体近似型の文字を模写することに着目し、模写することで草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字、並びに草書体の漢文字及び行草体の漢文字を習得し易くなる点については、専ら、個人の熟練により到達するものであって、自然法則に基づくものではない。

エ 以上に検討したとおり、本願補正発明は、その課題、課題を解決するための具体的手段として特定された構成、効果等の技術的意義を検討しても、自然法則を利用した技術的思想が、課題解決の主要な手段として提示されていると評価することができないから、特許法第2条第1項に規定された「発明」に該当するということができない。

よって、本願補正発明は、特許法第29条第1項柱書の規定する要件を満たしていない。

(3)むすび
以上のとおりであって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成26年2月17日付けの特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。
「左側欄に楷書体の漢文字を書き、
その右側の右側欄を上側欄と下側欄とに区分し、
上側欄には楷書体に該当する草書体の漢文字を書き、
下側欄には楷書体に該当する行草体の漢文字を書き、
草書体と行草体の各漢文字を書いた上側欄と下側欄のそれぞれの右側には、草書体近似型の文字と行草体近似型の文字とをそれぞれ書き込んだ草書体近似型欄と行草体近似型欄とを設け、
更に、草書体近似型欄と行草体近似型欄の右側に、
草書体と行草体のそれぞれの漢文字を複数の構成片に分解して、各構成片に近似した数字やアルファベットや特殊記号や一般記号や平仮名文字や片仮名文字よりなる草書体近似構成片と行草体近似構成片をそれぞれ並記した草書体近似構成片欄と行草体近似構成片欄とを設け、
草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字はそれぞれ近似構成片を組み合わせて草書体及び行草体の漢文字に近似するように組み立てた文字とした
ことを特徴とする草書体及び行草体の練習用テキスト。」」(以下「本願発明」という。)

2 発明該当性(特許法第29条第1項柱書)について
本願発明は、上記「第2 3 (1)本願補正発明」で検討した本願補正発明の「草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字」に関して、
「楷書体の「口」という漢文字の草書体近似型の文字は、平仮名の「い」とした構成とし、
楷書体の「口」という漢文字の行草体近似型の文字は、数字「1」と「1」の右方に配置する数字「2」とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「日」という漢文字の草書体近似型の文字は、アルファベットの「n」と特殊記号としての斜め線とを組み合わせると共に、「n」の中央空間部に斜め線を挿入した構成とし、
楷書体の「日」という漢文字の行草体近似型の文字は、アルファベットの「b」と「b」の半円弧中空部に挿入する特殊記号としての上方湾曲した半円弧の線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「白」という漢文字の草書体近似型の文字は、アルファベットの「S」と「S」の下方に配置する特殊記号としての右端かぎ状の横直線と「S」の左側方に配置する逆山形線と「S」の右側方に配置する一般記号としての右下り勾配の斜め線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「白」という漢文字の行草体近似型の文字は、アルファベットの「b」と「b」の半円弧中空部に挿入する特殊記号としての上方湾曲した半円弧の線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「文」という漢文字の草書体近似型の文字は、アルファベットの「S」と「S」の下半部に交差する状態で重ねた一般記号としての左側凸状湾曲した半円弧の線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「文」という漢文字の行草体近似型の文字は、アルファベットの「L」と「L」の下方に配置する一般記号としての左下り勾配の斜め線と左下り勾配の斜め線中途部で交差する一般記号としての右下り勾配の斜め線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「耳」という漢文字の草書体近似型の文字は、アルファベットの「z」と「z」の右方に配置する一般記号としての右側凸状湾曲した半円弧の線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「耳」という漢文字の行草体近似型の文字は、アルファベットの「z」と「z」の右方に接触して配置するアルファベットの「y」とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「斗」という漢文字の草書体近似型の文字は、特殊記号としての逆山形線と逆山形線の右側半の斜め線に交差して重ねた特殊記号としての垂直線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「斗」という漢文字の行草体近似型の文字は、一般記号としての右側凸状湾曲の半円弧の線とその下方に配置した同じ形状の半円弧の線と下方の半円弧の線の更に下方に左側端が位置するように配置した一般記号としての水平横線と同水平横線の中途部に交差する特殊記号としての垂直線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「汁」という漢文字の草書体近似型の文字は、アルファベットの小文字「r」と「r」の右方に特殊記号としての数字の4を反転した線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「汁」という漢文字の行草体近似型の文字は、特殊記号としての斜め線とその下方に配置したアルファベットの小文字「r」と「r」の右方に配置した特殊記号としての数字の4を反転した線とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「私」という漢文字の草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字は、一般記号としての左下り勾配の斜め線とその下方に特殊記号としての釣り針状とした線と釣り針状とした線の中途部に重ねて配置した数字の「2」と数字の「2」の右方に配置したアルファベットの小文字「s」とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「王」という漢文字の草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字は、数字の「7」と数字の「7」の斜め線の中途部に重ねて配置した数字の「2」とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「引」という漢文字の草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字は、数字の「3」と数字の「3」の右方に配置した数字の「1」とを組み合わせにより構成とし、
楷書体の「夕」という漢文字の草書体近似型の文字及び行草体近似型の文字は、アルファベットの小文字「s」と「s」の下方の湾曲した中途部に重ねて配置した一般記号としての右側凸状湾曲した半円弧の線とを組み合わせにより構成とした」
との限定を省くものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の発明特定事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記「第2 3 独立特許要件について」に示したとおり、特許法第2条第1項でいう「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なもの」に該当するものとは認められないことから、本願発明も同様の理由により、特許法第2条第1項でいう「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なもの」に該当するものとは認められない。

よって、本願発明は、特許法第2条第1項でいう「発明」に該当しないものであり、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないので、特許を受けることができない。


3 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なものとはいえず、特許法第2条第1項でいう「発明」に該当しないものであり、特許法第29条第1項柱書の規定する要件を満たしていないので、本願は拒絶すべきものである。


よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-11-13 
結審通知日 2015-11-17 
審決日 2015-11-30 
出願番号 特願2010-92010(P2010-92010)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G09B)
P 1 8・ 1- Z (G09B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 有家 秀郎  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 吉村 尚
藤本 義仁
発明の名称 草書体及び行草体の練習用テキスト  
代理人 松尾 憲一郎  
代理人 松尾 憲一郎  
代理人 松尾 憲一郎  

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