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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F24F
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F24F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F24F
管理番号 1310238
審判番号 不服2014-18902  
総通号数 195 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-09-22 
確定日 2016-01-21 
事件の表示 特願2010-103829「天井埋め込み型空気調和機」拒絶査定不服審判事件〔平成23年11月17日出願公開、特開2011-232001〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
1 手続の経緯
本願は,平成22年4月28日の出願であって,平成25年12月16日付けで通知された拒絶の理由に対して,平成26年2月24日に意見書が提出されたが,平成26年6月18日付けで拒絶査定されたものであり,これに対して,平成26年9月22日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され,平成27年8月12日付けで通知された拒絶の理由に対して,平成27年10月16日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。


2 本願発明及び発明の詳細な説明の記載
本願の請求項に係る発明は,平成27年10月16日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるものと認められるところ,その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,以下のとおりのものである。
「天井に埋め込み設置されるユニット本体に制御箱が付設され,該制御箱内に制御基板が設けられている天井埋め込み型空気調和機において,
前記制御基板上にエラーコード表示用のLEDが複数設置され,その少なくとも一つの前記LEDに対して前記制御箱の蓋の開閉と連動するスイッチを介して電気を給電する電気回路を設けることにより,当該LEDが前記制御箱の照明灯として兼用化されているとともに,
前記制御基板上の前記LEDの周辺に,少なくともマイコン,マイコン書替え用コネクタ,運転データ出力用コネクタおよび各種ディップスイッチが配設されていることを特徴とする天井埋め込み型空気調和機。」

また,平成27年10月16日に手続補正された明細書における発明の詳細な説明には,以下の事項が記載されている。
(1)「【0008】 本発明によれば,制御箱内に設けられている制御基板上にエラーコード表示用のLEDが複数設置され,その少なくとも一つのLEDに対して制御箱の蓋の開閉と連動するスイッチを介して電気を給電する電気回路を設けることにより,当該LEDが制御箱の照明灯として兼用化されているとともに,制御基板上のLEDの周辺に,少なくともマイコン,マイコン書替え用コネクタ,運転データ出力用コネクタおよび各種ディップスイッチが配設されているため,天井裏に設置されている天井埋め込み型空気調和機の制御箱を点検する際,制御箱の蓋を開放することにより,連動するスイッチを介してエラーコード表示用のLEDの一つに電気が給電され,当該LEDが点灯されることから,エラーコード表示用LEDを照明灯として兼用化し,そのLEDを照明灯として当該LEDの周辺に配設されているマイコン,マイコン書替え用コネクタ,運転データ出力用コネクタおよび各種ディップスイッチ等に対して,設定の確認・変更,バージョンの確認(マイコンの制御ROMの表面に記載のバージョン情報確認),コネクタおよび配線の確認,運転データ取得用ケーブルの接続等の所要の点検作業を行うことができる。従って,専用の照明灯を省くことにより,その分だけ制御箱あるいは制御基板を小型化することができるとともに,構成の簡素化,低コスト化を図ることができ,しかも点検作業の容易化と効率アップを図ることができる。」
(2)「【0019】 また,複数のエラーコード表示用LED19,20の中の少なくとも一つのLED19に対しては,図4に示されるように,制御箱14の蓋15の開閉と連動してオン/オフされるスイッチ24を介して,蓋15が開放され,スイッチ24がオンとされることにより蓄電装置25から電気が給電可能な電気回路が設けられており,エラーコード表示系の回路と並列に電気回路が設けられた構成とされている。これによって,複数のエラーコード表示用LED19,20の中の一つであるエラーコード表示用LED19は,制御箱14の点検時,制御基板16の周辺を照らす照明灯として兼用化されるようになっている。」


3 当審の拒絶の理由及び平成25年12月16日付けで通知された拒絶の理由
当審において,平成27年8月12日付けで通知した拒絶の理由の概要は以下のとおりである。
(1)【拒絶の理由1】(発明の明確性要件違反)
この出願は,特許請求の範囲の記載が次の点で,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
請求項1における「前記制御基板上にエラーコード表示用のLEDが設置され,その少なくとも一つの前記LEDに対して前記制御箱の蓋の開閉と連動するスイッチを介して電気が給電可能とされることにより,当該LEDが前記制御箱の照明灯として兼用化」する構成を,具体的にどのように実現しているのか不明瞭である。

(【拒絶の理由2】は省略)

(2)【拒絶の理由3】(実施可能要件違反)
この出願は,発明の詳細な説明の記載が次の点で,特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
本願明細書の段落【0008】や【0021】の記載(合議体注:平成27年10月16日に手続補正された明細書の段落【0008】や【0019】に相当)について,LEDが蓋の開閉と連動して点灯するのであれば,LEDがエラーコードをどのように表示するのか不明瞭である。
また,「エラーコード表示用のLED」はエラーの種類等を識別するコードを,具体的に,どのように表示しているのか不明瞭である。すなわち,LEDに対しては,単にオン/オフされるスイッチを介して電気が給電可能に構成されているのみであり,エラー時にその種類等を識別する「コード」を表示するような機能を有しているとは言えず,エラーのコードを具体的にどのように表示しているのか不明瞭である。
上記エラーコード表示用のLEDは,表示灯としての機能は有しているとしても,エラーコード表示機能をどのように実現しているのか記載されていない。
よって,この出願の発明の詳細な説明は,当業者が請求項に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。

また,平成25年12月16日付けで通知された拒絶の理由の概要は以下のとおりである。
(3)【拒絶の理由】(進歩性違反)
この出願の下記の請求項1?4に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物1?3に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項 1
・引用文献等 1,2
・備考
引用文献1(特開2010-8006号公報)に記載された発明の天井埋め込み型の空気調和機の電装品箱の照明装置の構成,及び,引用文献2(特開2001-182962号公報)に記載された発明の「空気調和機」において,電装箱の蓋を開くことによって照明装置を点灯させることを知り得た当業者であれば,請求項1に係る発明のようにエラーコード表示用のLEDに制御箱(電装箱)の蓋の開閉と連動するスイッチを介して電気を給電可能とすることは,格別創意を要することではない。

(略)

・請求項 4
・引用文献等 1?3
・備考
制御基板上のLED周辺にマイコン等の機器を配置することは,引用文献3(特開2005-233539号公報)に記載(図5参照)されているように本願出願前当業者に周知の事項であって,当業者であれば適宜採用することができる程度の事項にすぎないものである。


4 当審の判断
(1)【拒絶の理由1】(発明の明確性要件違反)について
本願発明の「前記制御基板上にエラーコード表示用のLEDが複数設置され,その少なくとも一つの前記LEDに対して前記制御箱の蓋の開閉と連動するスイッチを介して電気を給電する電気回路を設けることにより,当該LEDが前記制御箱の照明灯として兼用化されている」事項は,不明瞭である。
すなわち,エラーコード表示用のLEDを利用しているとはいえ,「制御箱の蓋の開閉と連動するスイッチ」によって「LEDが制御箱の照明灯」として用いられている以上,このLEDは制御箱の蓋が開放すると点灯(常灯)する箱内の照明灯としての機能を奏するものと考えられる。そして,このように照明灯として点灯しているものにおいて,どのようにエラーコードを表示し,兼用化を図っているのか明確でない。
また,本願発明においては,エラーコード表示用のLEDを用いることが特定されているものの,エラーコード自体がどのようなコードであるのか,どのような表示であるのか何ら特定されておらず,照明灯と兼用化できることの構成を明確に把握することができない。
したがって,本願発明の上記発明特定事項からは,LEDは制御箱の照明灯として機能することは理解できるものの,エラーコード表示として機能することが明確に理解できないことから,兼用化しているという発明特定事項の技術的意味を当業者が理解できず,出願時の技術常識を考慮するとエラーコードを表示するための発明特定事項が明確ではない。
したがって,本願発明は,特許を受けようとする発明が明確でなく,特許法第36条第6項第2号の規定により特許を受けることができない。

なお,審判請求人は,平成27年10月16日の意見書において,「エラーコードをLEDで表示することについては,種々のものがあり,例えば,色の異なる複数のLED(本願明細書の段落0018に記載の2個のLED19,20)を設け,エラーを各LEDの消灯,点灯,連続点滅,1回点滅,2回点滅,あるいはそれらの組み合わせ等により表示し,識別するもの等があり,その構成自体に格別なものはない」と主張している。しかしながら,エラーコードを表示する専用のLEDとして格別なものでなかったとしても,照明灯として点灯(常灯)するものにおいて,審判請求人が提示するようなLEDをどのように採用してエラーコードを表示・識別するのか,そして兼用化を図れるものとなるのか何ら明細書において明らかにされていない。
また,「制御箱の蓋の開閉と連動するスイッチを介して電気を給電する電気回路を設け,エラーコード表示系の電気回路と並列の電気回路を構成することにより,当該LEDを照明灯に兼用化できることは,当業者において自明のことと思料します。」としているが,並列の電気回路を備えるものとしても,制御箱の蓋が開放したときには,常にLEDが点灯し,照明灯として機能することになり,エラーコードの表示・識別の機能を果たせないことには変わりはない。

(2)【拒絶の理由3】(実施可能要件違反)について
本願の発明の詳細な説明(上記2(1)(2)参照)によれば,エラーコード表示用LEDは,蓋が開放されたときに,制御基板の周辺を照らす照明灯としての機能を有することが具体的に記載されているものの,エラーコード表示の機能をどのようにして実施しているのか何ら具体的に記載されていない。よって,照明灯として兼用化するエラーコード表示用LEDにおいて,エラーコード表示に関する技術的手段についての具現すべき構成が不明瞭であるばかりでなく,その具現すべき構成が出願時の技術常識に基づいても当業者が理解できないため,当業者が請求項1ないし3に係る発明の実施をすることができない。
したがって,本願の発明の詳細な説明は,当業者が請求項に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでなく,特許法第36条第4項第1号の規定により特許を受けることができない。

なお,審判請求人は,平成27年10月16日の意見書において「エラーコード表示用のLEDは,上記した通り,制御基板上に複数(明細書の段落0018に記載の2個のLED19,20)設置されており,エラーコードの表示方法も上記の通り様々です。ここでは,複数のLEDの一つを,例えば運転エラーコード表示用とし,正常運転中は点滅,エラー発生時(異常停止時等)には消灯することにより運転エラーを表示するLEDとして機能させ,他の一つを,例えば点灯,連続点滅,1回点滅,2回点滅する等により具体的なエラーコードを表示するLEDとして機能させる構成としています。エラーコードは,リモコンにも表示するのが通常であり,リモコン側でもエラーコードを確認することができ,従って,例えば運転エラーコード表示用のLEDを制御箱の照明灯として兼用化すべく,制御箱の点検時に蓋の開閉と連動するスイッチを介して給電する電気回路を並列に設けた構成としても,制御箱側で主たるエラーコードの確認に支障を来すことはなく,所期の目的を達成し得ることは,当業者において自明のことと思料します。」といった主張をしている。しかしながら,「エラーコードは,リモコンにも表示するのが通常であり,リモコン側でもエラーコードを確認することができ」ることに関しては,そもそも出願当初の明細書,特許請求の範囲又は図面に記載も示唆もなされていないものである。さらに,当該主張によれば,運転エラーコードの表示については,リモコン側で確認するものであって,制御箱側での確認を要しないこととなり,制御箱に設けた運転エラーコード表示用LEDは,照明灯としての機能を有しつつも,エラーコード表示の機能を有しないものともいえる。したがって,照明灯としての機能と運転エラーコード表示する機能とを兼用化していることにならない。
また,「制御基板上に設けられている複数のエラーコード表示用のLEDの中の一つを照明灯に兼用化し,そのLEDを制御箱の点検時に照明灯として使用する」といった主張をしているが,エラーコード表示用のLEDの中の一つを照明灯として使用することは,制御箱の点検の際に使用する(専用の)照明灯を設けたことの主張にほかならない。

(3)【拒絶の理由】(進歩性違反)について
ア 引用例
本願の出願の前に日本国内において頒布され,平成25年12月16日付けで通知された拒絶の理由に引用された特開2001-182962号公報(以下「引用例」という。)には,図面と共に次の事項が記載されている。

(ア) 「【0016】【発明が解決しようとする課題】しかしながら,上記従来の構成は,室内ユニットの機体2が天井内に設置され,機体2内の電装装置を収納した電装箱が天井裏に設置された場合,設置施工者が自ら照明灯を持ちアドレス及びその他の設定を行わなければならないので,設置施工が困難であり,誤設定のおそれがあるという欠点があった。」

(イ) 「【0027】図1において31は空気調和機の電装装置を納めた電装箱,32は電装箱31を開閉する蓋,33は電装箱31内を照明する照明装置,34は電源装置,35は照明装置33と直列に電源装置34に接続され蓋32の開閉と連動するタイマ付き照明スイッチである。」

(ウ) 「【0029】まず,電装箱31に蓋32を開くことにより,タイマ付き照明スイッチ35の接点が閉じ,電源装置34と照明装置33が接続され,照明装置33が点灯し,電装箱31内を照明する。」

(エ) 上記に記載の事項を総合すると引用例には,次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認めることができる。

「天井内に設置される室内ユニットの機体2と,天井裏に設置され機体2内の電装装置を収容した電装箱31とを有する空気調和機において,電装箱31の蓋32を開くことにより,タイマ付き照明スイッチ35の接点が閉じ,電源装置34と照明装置33が接続され,照明装置33が点灯し,電装箱31内を照明する空気調和機。」

イ 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
その機能・構成からして,引用発明の「天井内に設置される室内ユニットの機体2」は,本願発明の「天井に埋め込み設置されるユニット本体」に相当し,以下同様に,「電装箱」が「制御箱」に相当する。そして,引用発明の「空気調和機」は,室内ユニットの機体が天井内に設置されていることから,本願発明の「天井埋め込み型空気調和機」に相当するものと認められる。
また,引用発明の「照明装置33」と本願発明の「エラーコード表示用のLED」とは,制御箱内の照明灯として用いる「照明装置」の限りにおいて一致しており,引用発明の「電装箱31の蓋32を開くことにより,タイマ付き照明スイッチ35の接点が閉じ,電源装置34と照明装置33が接続され,照明装置33が点灯し,電装箱31内を照明する」構成は,本願発明の「照明装置に対して制御箱の蓋と連動するスイッチを介して電気を給電する電気回路を設けることにより,照明装置が制御箱の照明灯とされている」構成と一致していることは明らかである。

したがって,両者は,
「天井に埋め込み設置されるユニット本体と,制御箱とを有する天井埋め込み型空気調和機において,照明装置に対して制御箱の蓋と連動するスイッチを介して電気を給電する電気回路を設けることにより,照明装置が制御箱の照明灯とされている天井埋め込み型空気調和機。」
の点で一致し,以下の点で相違している。

<相違点1>
本願発明では,「ユニット本体に制御箱が付設され」ているのに対して,引用発明では,天井内に設置される室内ユニットの機体2と,天井裏に設置され機体2内の電装装置を収容した電装箱31とを有するものの,機体2に電装箱31が付設されているのか不明である点。

<相違点2>
本願発明では,「制御箱内に制御基板が設けられている」とともに,「制御基板上にエラーコード表示用のLEDが複数設置され」,「制御基板上のLEDの周辺に,少なくともマイコン,マイコン書替え用コネクタ,運転データ出力用コネクタおよび各種ディップスイッチが配設されている」のに対して,引用発明では,電装装置及び照明装置が,そのように具体的に特定されていない点。

<相違点3>
本願発明では,「エラーコード表示用のLEDが制御箱の照明灯として兼用化されている」のに対し,引用発明では,そのように特定されていない点。

ウ 判断
上記各相違点について検討する。
<相違点1>について
引用発明において,機体2内の電装装置を収容した電装箱31を天井裏のどこに設置するかは,当業者が必要に応じて適宜に設計しうるものであり,天井内に設置される室内ユニットの機体2に付設することは,当業者が容易になし得たものである。
したがって,引用発明をして,本願発明の上記相違点1に係る発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

<相違点2>について
特開2005-233539号公報(【0057】,【0059】,図5等参照)に例示されるように,機器を制御する装置として,制御基板(コントロール基板)を設けるとともに,制御基板上に点灯状態によって機器の故障等の確認ができるメンテナンス用のサービスLEDの周辺にマイコン等の機器を配置すること,及び,審判請求人が平成27年10月16日の意見書において提示した特開平9-21578号公報(【0019】,【0022】等参照)に例示されるように,機器の状態表示手段としてエラーコード表示用のLEDを設けることは,それぞれ本願の出願以前から当業者に周知の事項であって,当業者であれば適宜採用することができる程度の事項にすぎないものである。また,当該周知の事項を採用するに当たり,LEDを幾つ設けるかは当業者が必要に応じて適宜に採用しうるものであって,複数設置することに何ら困難性はない。
したがって,引用発明をして,本願発明の上記相違点2に係る発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

<相違点3>について
特開2001-25525号公報(【0030】,(【0031】等参照)に例示されるように,照明灯としてエレクトロルミネセンス(LED)を用いることが本願の出願以前から当業者に周知の事項であって,引用発明における照明装置として,エラーコード表示用として利用できるようなLEDを採用することに何ら困難性はない。そして,エラーコード表示用のLEDを照明灯として兼用化することは,上記4(1)及び(2)で述べたように,LEDを実質的に照明灯としてのみ機能させることとなり,専用の照明灯を設けることと変わりはないことより,当業者が適宜になし得たものといえる。
したがって,引用発明をして,本願発明の上記相違点3に係る発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

そして,本願発明の全体構成により奏される作用効果も,引用発明及び周知の事項から当業者が予測し得る範囲内のものである。

エ 小括
よって,本願発明は,引用発明及び周知の事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


5 むすび
以上のとおり,本願は,特許法第36条第4項第1号に規定により特許を受けることができないため,また,本願発明は,特許法第36条第6項第2号及び同法第29条第2項の規定により特許を受けることができないため,本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は,同法第49条第2号及び同条第4号の規定に該当し,拒絶をされるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-11-17 
結審通知日 2015-11-24 
審決日 2015-12-07 
出願番号 特願2010-103829(P2010-103829)
審決分類 P 1 8・ 536- WZ (F24F)
P 1 8・ 537- WZ (F24F)
P 1 8・ 121- WZ (F24F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 仲村 靖  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 田村 嘉章
永石 哲也
発明の名称 天井埋め込み型空気調和機  
代理人 上田 邦生  
代理人 藤田 考晴  

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