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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1310605
審判番号 不服2014-14366  
総通号数 195 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-07-23 
確定日 2016-02-04 
事件の表示 特願2013- 6069「フォトダイオードの製造方法及びフォトダイオード」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 4月11日出願公開、特開2013- 65912〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成21年9月25日に出願した特願2009-221098号(優先権主張 平成21年2月24日、同年6月5日)の一部を平成25年1月17日に新たな特許出願としたものであって、平成26年1月20日付けで拒絶理由が通知され、同年3月24日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年4月28日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年7月23日付けで拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、同時に手続補正がされ、平成27年7月9日付けで当審による拒絶理由が通知され、同年9月9日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。

2.本願発明
本願の請求項8に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成27年9月9日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項8に記載された次のとおりのものと認める。
「第1導電型の半導体からなり、互いに対向する第1主面及び第2主面を有すると共に前記第1主面側に第2導電型の半導体領域が形成されたシリコン基板を備え、
前記シリコン基板には、前記第2主面側に前記シリコン基板よりも高い不純物濃度を有する第1導電型のアキュムレーション層が形成されていると共に、前記第2主面における少なくとも第2導電型の前記半導体領域に対向する領域に不規則な凹凸が形成されており、
前記シリコン基板の前記第2主面における第2導電型の前記半導体領域に対向し、かつ、不規則な前記凹凸が形成された前記領域は、前記アキュムレーション層の表面に含まれていると共に、光学的に露出し、
少なくとも第2導電型の前記半導体領域に対向する前記領域に不規則な凹凸が形成された前記第2主面が光入射面とされて、前記第2主面から入射した光が前記シリコン基板内を進む、裏面入射型であることを特徴とするフォトダイオード。」

3.引用例
(1)引用例の記載事項
ア 引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された特開2005-45073号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審が付与した。以下、同じ。)。
(ア) 「【0001】
本発明は、裏面入射型光検出素子に関するものである。」
(イ) 「【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面とともに本発明による裏面入射型光検出素子の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0019】
図1は、本発明による裏面入射型光検出素子の第1実施形態を示す断面図である。裏面入射型ホトダイオード1は、裏面側から被検出光を入射し、被検出光の入射によりキャリアを生成し、生成したキャリアを検出信号として表面側から出力するものである。裏面入射型ホトダイオード1は、N型半導体基板10、P^(+)型不純物半導体領域11、凹部12、及び被覆層13を備えている。N型半導体基板10としては、例えば、リン等のN型不純物が添加されたシリコン基板を用いることができる。N型半導体基板10の不純物濃度は、例えば10^(12)?10^(15)/cm^(3)である。また、N型半導体基板10の厚さt1は、例えば200?500μmである。
【0020】
N型半導体基板10の表面(第1面)S1側における表層の一部には、P^(+)型不純物半導体領域11が形成されている。P^(+)型不純物半導体領域11は、ボロン等のP型不純物が添加されており、N型半導体基板10とpn接合を構成している。P^(+)型不純物半導体領域11の不純物濃度は、例えば10^(15)?10^(20)/cm^(3)である。また、P^(+)型不純物半導体領域11の深さは、例えば0.1?20μmである。
【0021】
N型半導体基板10の裏面(第2面)S2におけるP^(+)型不純物半導体領域11に対向する領域には、凹部12が形成されている。凹部12は、被検出光の入射部となる。凹部12は、裏面S2から表面S1に向かって幅が次第に狭くなる形状をしている。具体的には、凹部12の形状は、例えば裏面S2から表面S1に向かって幅が次第に狭くなる四角錐状又はテーパ状とすることができる。凹部12の深さは、例えば2?400μmである。また、凹部12が形成されることにより、N型半導体基板10のうち凹部底面S3及びP^(+)型不純物半導体領域11で挟まれた領域は、裏面S2側からの被検出光の入射により発生したキャリアが表面S1側表層に設けられたP^(+)型不純物半導体領域11付近まで達し易くなるように、他の領域よりも薄板化されている。また、この薄板化された領域の厚さは、例えば10?200μmである。
【0022】
N型半導体基板10の裏面S2上には、被覆層13が設けられている。被覆層13は、被検出光に対して透明な樹脂、すなわち被検出光の波長に対して充分な透過率をもつ樹脂からなる。このような樹脂として、例えば、エポキシ系、シリコーン系、アクリル系若しくはポリイミド系のもの、又はこれらの複合素材からなるものが挙げられる。この被覆層13は、裏面S2を保護する保護層、及び凹部12へと入射する被検出光を透過させる透過窓材として機能する。また、被覆層13は、凹部12上に設けられている部分が、凹部12の外縁部14上に設けられている部分に対して窪んでいる。すなわち、凹部12が形成されている部分に設けられた被覆層13の表面は、凹部12の外縁部14に設けられた被覆層13の表面よりもN型半導体基板10側に入り込んでいる。ここで、外縁部14とは、N型半導体基板10のうち凹部12を側方から包囲している部分を指す。外縁部14上の被覆層13の厚さは、例えば5?500μm、好ましくは250μmである。
【0023】
また、裏面入射型ホトダイオード1は、N^(+)型高濃度不純物層21、N^(+)型高濃度不純物半導体領域22、絶縁膜23,24、アノード電極25、及びカソード電極26を備えている。N^(+)型高濃度不純物層21は、N型半導体基板10の裏面S2側の表層全体に形成されている。N^(+)型高濃度不純物層21は、N型不純物がN型半導体基板10よりも高濃度に添加されている。N^(+)型高濃度不純物層21の不純物濃度は、例えば10^(15)?10^(20)/cm^(3)である。また、N^(+)型高濃度不純物層21の深さは、例えば0.1?20μmである。
【0024】
N^(+)型高濃度不純物半導体領域22は、N型半導体基板10の表面S1側における表層に、P^(+)型不純物半導体領域11と所定の距離を隔てて形成されている。N^(+)型高濃度不純物半導体領域22は、N^(+)型高濃度不純物層21と同様にN型不純物が高濃度に添加されており、後述するカソード電極26とのコンタクト層であるとともに、表面S1における表面リーク電流を抑制する機能をもつ。N^(+)型高濃度不純物半導体領域22の不純物濃度は、例えば10^(15)?10^(20)/cm^(3)である。また、N^(+)型高濃度不純物半導体領域22の深さは、例えば0.1?30μmである。
【0025】
絶縁膜23及び絶縁膜24は、それぞれN型半導体基板10の表面S1及び裏面S2上に形成されている。絶縁膜23,24は、例えばSiO_(2)からなる。絶縁膜23の厚さは、例えば0.1?2μmである。一方、絶縁膜24の厚さは、例えば0.05?1μmである。また、絶縁膜23には、開口(コンタクトホール)23a,23bが形成されており、一方の開口23aはP^(+)型不純物半導体領域11の部分に、他方の開口23bはN^(+)型高濃度不純物半導体領域22の部分に設けられている。
【0026】
絶縁膜23上の開口23a,23bを含む領域には、それぞれアノード電極25及びカソード電極26が形成されている。これらの電極25,26の厚さは、例えば1μmである。また、これらの電極25,26は、それぞれ開口23a,23bを充填するように設けられている。これにより、開口23aを通してアノード電極25がP^(+)型不純物半導体領域11と、開口23bを通してカソード電極26がN^(+)型高濃度不純物半導体領域22とそれぞれ直接に接続されている。アノード電極25及びカソード電極26としては、例えばAlが用いられる。
【0027】
さらに、裏面入射型ホトダイオード1は、パッシベーション膜31、支持膜32、充填電極33a,33b、UBM(Under Bump Metal)34a,34b、及びバンプ35a,35bを備えている。パッシベーション膜31は、N型半導体基板10の表面S1上において、絶縁膜23、アノード電極25及びカソード電極26を覆うように設けられている。また、パッシベーション膜31のうちアノード電極25及びカソード電極26上に設けられた部分に、後述する充填電極33a,33bが充填される貫通孔31aが形成されている。パッシベーション膜31は、例えばSiNからなり、N型半導体基板10の表面S1を保護するものである。パッシベーション膜31は、例えばプラズマCVD法により形成することができる。また、パッシベーション膜31の厚さは、例えば1μmである。
【0028】
パッシベーション膜31上には、支持膜32が形成されている。支持膜32は、N型半導体基板10を支持するものである。また、支持膜32のうちパッシベーション膜31の貫通孔31aに対応する部分に、貫通孔31aと共に充填電極33a,33bが充填される貫通孔32aが形成されている。支持膜32の材料としては、例えば樹脂、或いはプラズマCVD等によるSiO_(2)を用いることができる。また、支持膜32の厚さは、例えば2?100μm、好ましくは50μmである。
【0029】
充填電極33a,33bは、貫通孔31a,32aに充填されるとともに、一端がそれぞれアノード電極25及びカソード電極26に接することにより、P^(+)型不純物半導体領域11及びN^(+)型高濃度不純物半導体領域22と電気的に接続されている。また、充填電極33a,33bの他端は、ともに支持膜32の表面に露出している。すなわち、充填電極33a,33bは、パッシベーション膜31及び支持膜32を貫通して、それぞれアノード電極25及びカソード電極26から支持膜32表面まで延びている。また、充填電極33a,33bは、略円柱状をしている。これらの充填電極33a,33bは、電極25,26と後述するバンプ35a,35bとを電気的に接続するためのものである。充填電極33a,33bは、例えばCuからなる。また、貫通孔31a,32aの直径は、例えば10?200μm、好ましくは100μmである。
【0030】
充填電極33a,33bの支持膜32表面に露出する部分には、UBM34a,34bが形成されている。UBM34a,34bは、例えばNi及びAuの積層膜からなる。また、UBM34a,34bの厚さは、例えば0.1?5μmである。
【0031】
UBM34a,34bの充填電極33a,33bと反対側の面上には、バンプ35a,35bが形成されている。したがって、バンプ35a,35bは、それぞれアノード電極25及びカソード電極26と電気的に接続されている。バンプ35a,35bは、UBM34a,34bとの接触面を除いては略球状をしている。バンプ35a,35bとしては、例えば半田、金、Ni-Au、Cu、又は金属フィラーを含む樹脂等を用いることができる。」
(ウ) 「【0039】
N型半導体基板10の裏面S2側の表層全体にN^(+)型高濃度不純物層21が形成されている。裏面S2表層のうち凹部12の底面S3に設けられたN^(+)型高濃度不純物層21は、アキュームレーション層として機能する。これにより、N型半導体基板10で発生したキャリアが底面S3付近で再結合するのを防ぐことができる。このため、より高感度な裏面入射型ホトダイオード1が実現されている。このとき、N^(+)型高濃度不純物層21の不純物濃度は、10^(15)/cm^(3)以上であることが好ましい。この場合、N^(+)型高濃度不純物層21は、アキュームレーション層として好適に機能することができる。」
(エ) 「【0041】
図3?図8を参照しつつ、図1に示す裏面入射型ホトダイオード1の製造方法の一例を説明する。まず、表面S1及び裏面S2が(100)面であるN型シリコンウエハからなるN型半導体基板10を準備する。このN型半導体基板10に熱酸化を施すことにより、N型半導体基板10の表面S1にSiO_(2)からなる絶縁膜を形成する。また、絶縁膜の所定部分を開口し、開口部からN型半導体基板10にリンをドープすることによりN^(+)型高濃度不純物半導体領域22を形成する。その後、N型半導体基板10を酸化させて、表面S1に絶縁膜を形成する。また、絶縁膜の所定部分を開口し、開口部からN型半導体基板10にボロンをドープすることによりP^(+)型不純物半導体領域11を形成する。その後、N型半導体基板10を酸化させて、表面S1に絶縁膜23を形成する(図3(a))。
【0042】
次に、N型半導体基板10の裏面S2を研磨して、N型半導体基板10の裏面S2上に、LP-CVDによりSiN82を堆積させる(図3(b))。また、凹部12を形成するために、裏面S2上のSiN82に開口85を形成する(図4(a))。そして、開口85からKOH等によるエッチングを行うことにより凹部12を形成する(図4(b))。
【0043】
次に、SiN82を除去した後、凹部12が形成されたN型半導体基板10の裏面S2側に対しイオン注入等を用いてN型不純物をドープすることにより、裏面S2側における表層全体にN^(+)型高濃度不純物層21を形成する(図5(a))。その後、熱酸化を施すことにより裏面S2側における表層全体に絶縁膜24を形成する(図5(b))。表面S1の絶縁膜23に電極のためのコンタクトホールを形成し、表面S1にアルミニウムを堆積させてから所定のパターニングを施すことにより、アノード電極25及びカソード電極26を形成する(図5(c))。」
(オ) 図1「



イ 引用例2
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された特開2008-66584号公報(以下、「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)「【0001】
本発明は、半導体基板の裏面から導入された光を電圧信号に変換する光センサに関し、より詳細には、長波長の赤外線を電圧信号に変換するのに適した光センサに関する。」
(イ)「【0015】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、被検出光を最大に効率良く利用し、高いS/N比を有した超小型かつ低消費電力で、長波長の赤外線を電圧信号に変換するのに適した光センサを提供することにある。」
(ウ)「【0029】
図1及び図2は、本発明の光センサの一実施例を説明するための断面図である。
本発明の光センサ1は、半導体基板10の表面に少なくとも第1導電型の半導体層20を含む第1メサ21と、少なくとも第2導電型の半導体層40を含む第2メサ41とが積層されたPN又はPINフォトダイオードからなる光を吸収する部分2を有し、半導体基板10の裏面から入射した光の輝度に応じた信号を電圧で出力するものである。
【0030】
そして、第2導電型の半導体層40の表面の面積が、第1導電型の半導体層20と半導体基板10との接触面の面積よりも小さくなるような順メサ形状を備えている。
【0031】
なお、符号30はI層、50は保護層、61は第1導電型の半導体層の電極、62は第2導電型の半導体層の電極、70は絶縁層、80は反射層を示している。
【0032】
まず、半導体基板10上に第1メサ21及び第2メサ41が形成される。この第1メサ21は、第1導電型の半導体層20を含むと同時に、この第1導電型の半導体層20の電極61が形成される部分を含んでいる。第2メサ41は、第1メサ21上に形成され、PINフォトダイオードの場合、少なくともI層30及び第2導電型の半導体層40を含むが、PNフォトダイオードの場合、少なくとも第2導電型の半導体層40を含んでいる。また、両方の場合でも、第2メサ41が第1導電型の半導体層20の一部を含んでも良い。
【0033】
半導体基板10上に、第1導電型の半導体層20が形成されて、その上に光を吸収するI層30が形成される。更にその上、第2導電型の半導体層40が形成される。被検出光が半導体基板10の裏面から入射し、I層30まで進入した場合には、光はI層30で吸収されて電子とホールが発生し、光センサの出力電圧が発生する。なお、符号11は半導体基板10の裏面の粗面を示している。」
(エ)「【0055】
本発明の光センサでは、その使用時、光が入射する裏面は粗面11であることが好ましい。すなわち、基板入射する光は、通常、基板の屈折率と大気の屈折率等によって決定される反射率によって、反射されて損失する。しかしながら、基板の裏面を粗面とすることで、基板へ入射する散乱光分(前方散乱分)を増すことが出来、光の損失が抑制される。図1,図2,図4,図5で示したように、被検出光の入射面は基板10の裏面となり、その裏面の粗度をコントロールすることで、大気と基板10との界面で発生する光の反射を抑制することができ、PN又はPIN構造へ進入する光強度を高めることができる。
【0056】
更に、光が斜めに裏面に入射した場合、裏面が鏡面処理されていれば、光の大部分が外界へ反射され、光電変換されなくなるが、粗面の場合、斜めに入射した光が散乱されながら基板内部へ進むから、PN又はPINメサ部分まで進入することが可能となり、光の吸収が高められる。粗面のもう一つの効果は、図6を利用して説明する。図6に示した垂直光Pが基板10の裏面に入射した場合、その光が基板10の裏面に入射すると、一部が直進に進むが、一部の光線が散乱されて、他方向に進む。直進に進んだ光はフォトダイオードに吸収されないが、散乱された光の一部がフォトダイオードに入り、光の吸収効率が高められる。これによって、センサの感度が改善される。垂直光Qも基板の裏面で散乱されるが、散乱された光が半導体層と保護層の界面で反射され、光を吸収する部位へすすむことができる。このような効果は、前述の屈折率の関係にある場合、より顕著になる。」
(オ)図1「


(カ)図6「



ウ 周知例
本願の優先日前に頒布された特開2005-56875号公報(以下、「周知例」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)「【0067】
(太陽電池の製造方法)
以下、本発明にかかる太陽電池の製造方法における実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、ここで説明する製造方法は一例である。本発明の特質は、大きな凹凸を持つシリコン基板にパッシベーション膜を形成し、研削やエッチングにより凸部パッシベーション膜に開口部を設けることで裏面パッシベーション効果と印刷適合化を図ることにあり、太陽電池製造方法としてはここで説明する方法に限定されるものではない。
【0068】
(太陽電池の製造方法における実施形態1)
本発明にかかる太陽電池の一の製造方法について、図1を参照しながら説明する。まず、図1(a)に示すp型のシート状シリコン基板2を洗浄した後、図1(b)に示すように、シート状シリコン基板2の受光面(表面)側に反射防止のための微小な凹凸(シート状シリコン基板2の凹凸面上の凹部2aおよび凸部2b、2cと区別するためテクスチュア4と呼ぶ)をつけるために、シート状シリコン基板2を水酸化ナトリウム水溶液およびアルコールの混合液で異方性エッチングを行なう。次に、図1(c)に示すように、n^(+)型層5を形成する。n^(+)型層の形成は、凹凸面側に拡散防止膜としてTG(Titanate Glass)を塗布し、受光面(表面)側にはケイ酸エチル、カルボン酸、エタノールおよび五酸化リンを主成分とするPSG(Phospho-Silicate Glass)を塗布し、その後熱拡散炉にて加熱することにより行なう。PSGからシート状シリコン基板2中にリンが拡散されることで、受光面(表面)側にn+型層5が形成される。その後フッ酸で洗浄し、TGおよびPSGを除去する。なお、n+型層の形成法としてはこれに限定されるものではなく、たとえば、オキシ塩化リン(POCl3)を用いたリンの気相拡散法を用いてもよい。
【0069】
その後、図1(d)に示すように、熱酸化法により凹凸面(裏面)側および受光面(表面)側にパッシベーション膜6として酸化シリコン膜を形成する。酸化シリコン膜を形成する熱酸化の条件は、酸素雰囲気下800℃で4時間としており、このときの膜厚は約100nmである。この熱酸化条件は一例であり、この条件に限定されることなく一般的な熱酸化法の条件により酸化シリコン膜の形成が可能である。しかし、酸化シリコン膜の厚さが不充分であると、後に印刷するアルミニウムが酸化シリコン膜を突き抜けてp型のシート状シリコン基板2中に拡散してしまうため、50nm以上の製膜が可能な条件を選ばなくてはならない。また、裏面のパッシベーション膜6としては酸化シリコン膜だけに限定されるものではなくプラズマCVD法で製膜された窒化シリコン膜を用いてもよいが、アルミニウムペーストとの親和性という点で酸化シリコン膜のほうが望ましい。
【0070】
次に、図1(e)に示すように、図1(d)におけるパッシベーション膜6の凸部6b,6cに開口部7を設けると同時に凹凸を緩和する。パッシベーション膜6の凸部6b,6cの開口法については後述する。
【0071】
次に、図1(f)に示すように、受光面(表面)側に反射防止膜8として窒化シリコン膜をプラズマCVD法により200nm堆積させる。反射防止膜の材料は窒化シリコンに制限されるものではなく、プラズマCVD法で形成した酸化シリコン膜、常温CVD法で形成した酸化チタン膜、真空蒸着法で形成した酸化アルミニウム膜などを用いることができる。次に、図1(g)に示すように、凹凸面側にアルミニウムペーストを印刷法により印刷し、焼成を行ない、凹凸面側開口部においてp^(+)型層11を形成すると同時に裏面電極10を形成する。その後、受光面(表面)側にAgペーストをグリッド状に印刷し、焼成を行ない、反射防止膜8とパッシベーション膜6をファイアスルーすることで受光面電極9を形成する。最後に、はんだディップを行ない、太陽電池を完成させる。」
(イ)図1「



(2)引用発明の認定
ア 引用例1に記載された「N^(+)型高濃度不純物半導体領域22」、「P^(+)型不純物半導体領域11」及び「絶縁膜23」のそれぞれの構造について検討する。
【0041】の記載によれば、N型シリコンウエハからなるN型半導体基板10を、まず、熱酸化して「表面S1」に「絶縁膜」を形成し、次に、該絶縁膜の所定部分を開口して、開口部からN型半導体基板10にリンをドープすることにより「N^(+)型高濃度不純物半導体領域22」を形成し、次に、N型半導体基板10を酸化させて、「表面S1」に「絶縁膜」を形成し、次に、該「絶縁膜」の所定部分を開口して、開口部からN型半導体基板10にボロンをドープすることにより「P^(+)型不純物半導体領域11」を形成し、次に、N型半導体基板10を酸化させることで、「表面S1」の「絶縁膜23」を形成していることから、「N^(+)型高濃度不純物半導体領域22」及び「P^(+)型不純物半導体領域11」は、いずれも「N型シリコンウエハからなるN型半導体基板10」にリン又はボロンをドープすることによって形成され、「絶縁膜23」は、「N型シリコンウエハからなるN型半導体基板10」、「N^(+)型高濃度不純物半導体領域22」又は「P^(+)型不純物半導体領域11」を酸化して形成されたものと認められる。
そして、「絶縁膜23」は、「N型シリコンウエハからなるN型半導体基板10」を酸化して得られるものであるから、その材質は「SiO_(2)」であることは明らかである。

イ 引用例1に記載された「N^(+)型高濃度不純物層21」及び「絶縁膜24」のそれぞれの構造について検討する。
【0042】、【0043】の記載によれば、凹部12が形成されたN型半導体基板10に、N型不純物をドープすることによって、まず、「N^(+)型高濃度不純物層」が形成され、次に、該「N^(+)型高濃度不純物層」を熱酸化することによって、「絶縁膜24」が形成されたものであるから、イオン注入等を用いてN型不純物をドープして形成された「N^(+)型高濃度不純物層」の表層の一部が熱酸化によって「絶縁膜24」に改質され、該「N^(+)型高濃度不純物層」の熱酸化によって改質されない残りの部分が、「N^(+)型高濃度不純物層21」となったものということができる。
そして、「絶縁膜24」は、「N型シリコンウエハからなるN型半導体基板10」を熱酸化して得られるものであるから、その材質は「SiO_(2)」であることは明らかである。

ウ 引用例1に記載された「N型シリコンウエハからなるN型半導体基板10」の「表面(第1面)S1」と「裏面(第2面)S2」とは、シリコンウエハの表面と裏面であるから、互いに対向していることは明らかである。

エ 引用例1に記載された「N型半導体基板10に、N型不純物をドープすることによって」形成された「N^(+)型高濃度不純物層」は、「N型半導体基板10」よりも高い不純物濃度を有することは明らかである。

オ 引用例1の記載及び上記のア?エを総合勘案すると、引用例には、
「互いに対向する表面(第1面)S1(以下、「表面S1」という。)及び裏面(第2面)S2(以下、「裏面S2」という。)を有するN型シリコンウエハからなるN型半導体基板10において、
表面S1に、P^(+)型不純物半導体領域11と、P^(+)型不純物半導体領域11と所定の距離を隔てて、N^(+)型高濃度不純物半導体領域22と、SiO_(2)からなる絶縁膜23とが形成され、
裏面S2に、表面S1のP^(+)型不純物半導体領域11に対向する領域には、被検出光の入射部となる凹部12が形成され、
裏面S2全体に、アキュムレーション層として機能する、N型半導体基板10よりも高い不純物濃度を有するN^(+)型高濃度不純物層21と、該N^(+)型高濃度不純物層21上に、N^(+)型高濃度不純物層21を熱酸化することによって形成されたSiO_(2)からなる絶縁膜24が形成され、
裏面S2上には、裏面S2を保護する保護層及び凹部12へと入射する被検出光を透過させる透過窓材として機能する被覆層13が設けられ、
絶縁膜23上の開口23a,23bを含む領域には、それぞれアノード電極25及びカソード電極26が形成され、
N型半導体基板10の表面S1の絶縁膜23、アノード電極25及びカソード電極26を覆うように設けられたパッシベーション膜31が形成され、
該パッシベーション膜31上に支持膜32が形成され、
該パッシベーション膜31のうちアノード電極25及びカソード電極26上に設けられた部分に、貫通孔31aが形成され、貫通孔31aには、充填電極33a,33bが充填され、
充填電極33a,33bは、P^(+)型不純物半導体領域11及びN^(+)型高濃度不純物半導体領域22と電気的に接続され、
充填電極33a,33bの他端は、ともに支持膜32の表面に露出し、
充填電極33a,33bの支持膜32表面に露出する部分には、UBM(Under Bump Metal)34a,34bが形成され、
UBM34a,34bの充填電極33a,33bと反対側の面上には、バンプ35a,35bが形成された裏面入射型ホトダイオード1。」(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(3)引用例2、周知例の記載事項
ア 引用例2について
引用例2には、光センサの感度を改善するために、光センサの半導体基板に入射する散乱光分(前方散乱分)を増し、光の損失を抑制し、半導体基板のPN又はPIN構造へ進入する光強度を高め、光の吸収効率を高めるために、光が入射する半導体基板の面を粗面とすることが開示されていると認められる。
また、上記粗面とは、散乱光分を増すものであるから、不規則な凹凸が形成されたものであることは明らかである。

イ 周知例について
周知例には、受光面に反射防止のための凹凸(テクスチュア4)を備えた太陽電池のシート状シリコン基板2が記載され、その形成は、
まず、太陽電池のシート状シリコン基板2を異方性エッチングして、その受光面に反射防止のための微小な凹凸(テクスチュア4)を付け、
次に、該微小な凹凸(テクスチュア4)にリンを拡散させて、n^(+)型層を形成し、
次に、該n^(+)型層を熱酸化してn^(+)型層に酸化シリコン膜を形成することによって行われる、
微小な凹凸(テクスチュア4)を備えた、n^(+)型層及び酸化シリコン膜を有するシート状シリコン基板2が開示されていると認められる。
また、技術常識によれば、「n^(+)型層」は、「シリコン基板2」よりも高濃度不純物層であることは明らかであり、「酸化シリコン膜」は、絶縁層であって、「微小な凹凸(テクスチュア4)」は、「n^(+)型層」及び「酸化シリコン膜」及び「シート状シリコン基板2」の全てに形成されていることも明らかである。

4.対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「N型」、「N型半導体」、「P型」、「表面(第1面)S1(表面S1)」、「裏面(第2面)S2(裏面S2)」、「被検出光」、「裏面入射型ホトダイオード」は、本願発明の「第1導電型」、「第1導電型の半導体」、「第2導電型」、「第1主面」、「第2主面」、「光」、「フォトダイオード」にそれぞれ相当する。
イ 引用発明の「表面S1」に形成された「P^(+)型不純物半導体領域11」は、本願発明の「第1主面側」の「第2導電型の半導体領域」に相当する。
ウ 引用発明の「互いに対向する表面(第1面)S1及び裏面(第2面)S2を有するN型シリコンウエハからなるN型半導体基板10」は、本願発明の「第1導電型の半導体からなり、互いに対向する第1主面及び第2主面を有する」「シリコン基板」に相当する。
エ 引用発明の「N型半導体基板10」の「裏面S2全体に、アキュムレーション層として機能する、N型半導体基板10よりも高い不純物濃度を有するN^(+)型高濃度不純物層21」が「形成され」ていることは、本願発明の「シリコン基板には、第2主面側に前記シリコン基板よりも高い不純物濃度を有する第1導電型のアキュムレーション層が形成されている」ことに相当し、引用発明の「アキュムレーション層として機能する、N型半導体基板10よりも高い不純物濃度を有するN^(+)型高濃度不純物層21」は、本願発明の「第1導電型のアキュムレーション層」に相当する。
オ 引用発明の「裏面S2」には、「被検出光の入射部となる凹部12が形成され」ており、裏面S2から入射する被検出光が、N型半導体基板を進むことで、被検出光を検出するものであることは明らかであるから、引用発明の「裏面S2」は、本願発明の「第2主面が光入射面とされ」る構成に相当し、引用発明の「裏面入射型光検出素子」は、本願発明の「第2主面から入射した光がシリコン基板内を進む、裏面入射型である」点で共通する。
カ 引用発明の「裏面S2」に形成された「SiO_(2)からなる絶縁膜24」は、光を透過するものであることは明らかであるから、引用発明の「裏面S2」に形成された「N^(+)型高濃度不純物層21」と本願発明の「第2導電型の前記半導体領域に対向する領域」の「不規則な凹凸が形成された領域」とは、光学的に露出している点で共通する。
キ 引用発明は、「N^(+)型高濃度不純物層21」上にN^(+)型高濃度不純物層21を熱酸化することによって形成されたSiO_(2)からなる「絶縁膜24」を備えているところ、本願発明は、「シリコン基板よりも高い不純物濃度を有する第1導電型のアキュムレーション層」上に、絶縁膜を設けることを排除するものではなく、しかも、技術常識によれば、「シリコン基板よりも高い不純物濃度を有する」層の表面は、空気中の酸素によって容易に酸化されて、SiO_(2)からなる絶縁層を形成することは明らかであるから、引用発明が「絶縁膜24」を備えることは、本願発明との相違点にはならない。
ク 引用発明は、「アノード電極25」、「カソード電極26」、「パッシベーション膜31」、「支持膜32」、「貫通孔31a」、「充填電極33a、33b」、「UBM34a、34b」及び「バンプ35a、35b」を備えているところ、本願発明は、これらの構成を備えることを排除するものではない。

ケ そうすると、上記ア?クから、本願発明と引用発明とは、
「第1導電型の半導体からなり、互いに対向する第1主面及び第2主面を有すると共に前記第1主面側に第2導電型の半導体領域が形成されたシリコン基板を備え、
前記シリコン基板には、前記第2主面側に前記シリコン基板よりも高い不純物濃度を有する第1導電型のアキュムレーション層が形成され、
前記アキュムレーション層は光学的に露出し、
前記第2主面が光入射面とされて、前記第2主面から入射した光が前記シリコン基板内を進む、裏面入射型であるフォトダイオード。」である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点)
「アキュムレーション層」の「第2導電型の半導体領域に対向する領域」の「表面」について、本願発明は、「不規則な凹凸が形成されて」いるのに対し、引用発明の「N^(+)型高濃度不純物層21」に不規則な凹凸が形成されることは規定されていない点。

ここで、相違点について検討する。
引用例1には、「より高感度な裏面入射型ホトダイオード1が実現されている。」((ウ)【0039】)と記載されているように、引用発明の「裏面入射型光ホトダイオード」は、より高感度に構成するという課題を有することは明らかである。
そうすると、光センサの感度を改善するために、光センサの半導体基板へ入射する散乱光分(前方散乱分)を増し、光の損失を抑制するために、光が入射する半導体基板の面を不規則な凹凸を形成することが開示された引用例2に接した当業者は、引用発明において、「裏面入射型光ホトダイオード」の感度を改善するために、「N型半導体基板10」へ入射する散乱光分(前方散乱分)を増すように構成すること、すなわち、引用発明の「裏面入射型光ホトダイオード」の「N型半導体基板10」の被検出光が入射する面に、不規則な凹凸を形成することが望ましいと理解するというべきである。
そして、引用発明の「裏面入射型光ホトダイオード」の「N型半導体基板10」の被検出光が入射する面に凹凸を形成するに際して、引用発明のような、高濃度不純物層及び高濃度不純物層の熱酸化によって形成された絶縁体層を有する半導体基板においては、凹凸が、半導体基板、高濃度不純物層及び絶縁体層の全てに形成されることは周知例に示されるように周知であるから、引用発明の「裏面S2」の「アキュムレーション層として機能する」「N^(+)型高濃度不純物層21」の光の入射面、すなわち、「P^(+)型不純物半導体領域11」に対向する「N^(+)型高濃度不純物層21」の領域の表面に不規則な凹凸を形成することは、当業者が容易に想到し得たことである。

5.当審の拒絶理由通知とそれに対する請求人の応答について
平成26年7月23日付けの手続補正書の請求項8の「前記第2主面における少なくとも第2導電型の前記半導体領域に対向する領域に不規則な凹凸がパルスレーザ光の照射により形成されており」という記載は、「不規則な凹凸」について、「パルスレーザ光の照射により」という製造に関して技術的な特徴や条件が付されたものであり、「不規則な凹凸」の構成が不明確といえるものであったために、平成27年7月9日付けで当審において特許法第36条第6項第2号違反の拒絶理由を通知した。
これに対し、平成27年9月9日付けの手続補正書によって、上記「パルスレーザ光の照射により形成されており」という発明特定事項を削除する補正がされたことで、該「不規則な凹凸」はその形成方法は特定されないものとなったことから、原審の拒絶査定を維持せざるを得なくなり、本審決をするに至った。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用例2の記載事項及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく拒絶されるべきである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-11-25 
結審通知日 2015-12-01 
審決日 2015-12-15 
出願番号 特願2013-6069(P2013-6069)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 眞壁 隆一  
特許庁審判長 川端 修
特許庁審判官 井口 猶二
土屋 知久
発明の名称 フォトダイオードの製造方法及びフォトダイオード  
代理人 城戸 博兒  
代理人 池田 正人  
代理人 柴山 健一  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 黒木 義樹  
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