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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1310624
審判番号 不服2014-25156  
総通号数 195 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-12-08 
確定日 2016-02-04 
事件の表示 特願2012-199265「偽造防止ラベル検証システム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 3月27日出願公開、特開2014- 56299〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成24年9月11日の出願であって、平成26年6月20日付けで拒絶理由通知がなされ、平成26年8月6日付けで意見書の提出とともに手続補正がなされたが、平成26年9月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月8日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで審判請求時の手続補正がなされたものである。

第2.補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成26年12月8日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正前と補正後の発明
上記審判請求時の平成26年12月8日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成26年8月6日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載の、
「【請求項1】
各種データやコマンドが入力される入力部と、
偽造防止ラベル作成用のデータが格納される記憶部と、
作成された偽造防止ラベルがプリントアウトされるプリンターと、
サーバ装置との間で通信を行う通信部と、
ラベル作成のためのデータ処理を行うCPUと、から構成されている偽造防止ラベル作成装置:
前記偽造防止ラベル作成装置又は他所に存在する通信機器との間で通信を行う通信部と、
偽造防止ラベル作成装置から送付されたシリアル番号データが格納される記憶部と、
記憶部に格納されたシリアル番号データと受信された通信データ(シリアル番号データ)とを照合するデータ照合部と、
データ格納及びデータ照合のためのデータ処理を行う処理制御部としてのCPUとから構成されているサーバ装置:および、
ユーザにより保有され、通信機能を有するユーザ端末:
により構成され、
前記偽造防止ラベル作成装置の通信部とサーバ装置の通信部には、有線による通信デバイス、赤外線通信デバイス、ブルーツースによる通信デバイス、或いは無線通信デバイスのうち少なくともいずれか一つが用いられ、
前記偽造防止ラベル作成装置によりシリアル番号と認証サイトへのアクセス情報が含まれた偽造防止ラベルが作成されてユーザに送付されるとともに、シリアル番号は参照データとして前記サーバ装置へ送付され、
前記サーバ装置では、ユーザ端末から入力されたシリアル番号と前記サーバ装置へ参照データとして送付されたシリアル番号の認証処理が行われる、
ことを特徴とする偽造防止ラベル検証システム。」
という発明(以下、「補正前の発明」という。)を、
「【請求項1】
各種データやコマンドが入力される入力部と、
偽造防止ラベル作成用のデータが格納される記憶部と、
作成された偽造防止ラベルがプリントアウトされるプリンターと、
サーバ装置との間で通信を行う通信部と、
ラベル作成のためのデータ処理を行うCPUと、から構成されている偽造防止ラベル作成装置:
前記偽造防止ラベル作成装置又は他所に存在する通信機器との間で通信を行う通信部と、
偽造防止ラベル作成装置から送付されたシリアル番号データが格納される記憶部と、
記憶部に格納されたシリアル番号データと受信された通信データ(シリアル番号データ)とを照合するデータ照合部と、
データ格納及びデータ照合のためのデータ処理を行う処理制御部としてのCPUとから構成されているサーバ装置:および、
ユーザにより保有され、通信機能を有するユーザ端末:
により構成され、
前記偽造防止ラベル作成装置により作成される偽造防止ラベルは、当該偽造防止ラベルの検証を行う証明サイトのアドレス情報が含まれているバーコードと、偽造防止ラベルに一意に割り当てられたシリアル番号とが印刷表示され、且つシリアル番号は擦り剥し操作により除去される目隠し材により覆われており、
前記偽造防止ラベル作成装置の通信部とサーバ装置の通信部には、有線による通信デバイス、赤外線通信デバイス、ブルーツースによる通信デバイス、或いは無線通信デバイスのうち少なくともいずれか一つが用いられ、
前記偽造防止ラベル作成装置により前記偽造防止ラベルが作成されてユーザに送付されるとともに、偽造防止ラベル内のシリアル番号は参照データとして前記サーバ装置へ送付され、
前記サーバ装置と前記ユーザ端末との間では、ユーザ端末においてバーコードデータからサーバ装置アドレスが解析されてサーバ装置の画像認証サイトへアクセスが行われ、サーバ装置からユーザ端末へ向けて、入力すべき数字(キャプチャ)の表示部と、その数字の入力枠と、要求指示ボタンとが設けられた画像認証サイトの画像が送付され、その後ユーザ端末から前記数字の入力枠への書き込み情報と、要求指示ボタンの操作情報がサーバ装置に送付され、サーバ装置はこの要求指示ボタンの操作情報を受信した後にシリアル番号の証明サイトの画像をユーザ端末へ向けて送付して、ユーザ端末から入力されたシリアル番号データと前記サーバ装置へ参照データとして送付されたシリアル番号の認証処理を行う、
ことを特徴とする偽造防止ラベル検証システム。」
という発明(以下、「補正後の発明」という。)に補正するものである。なお、下線は補正箇所を示すものとして審判請求人が付加したものである。

2.新規事項について
(1)本件補正により新たに追加された「前記偽造防止ラベル作成装置により作成される偽造防止ラベルは、当該偽造防止ラベルの検証を行う証明サイトのアドレス情報が含まれているバーコードと、偽造防止ラベルに一意に割り当てられたシリアル番号とが印刷表示され、且つシリアル番号は擦り剥し操作により除去される目隠し材により覆われており」との補正は、例えば明細書の第【0013】段落の記載に基づくものであるから、新規事項を追加するものではない。

(2)本件補正により新たに追加された「前記サーバ装置と前記ユーザ端末との間では、ユーザ端末においてバーコードデータからサーバ装置アドレスが解析されてサーバ装置の画像認証サイトへアクセスが行われ、サーバ装置からユーザ端末へ向けて、入力すべき数字(キャプチャ)の表示部と、その数字の入力枠と、要求指示ボタンとが設けられた画像認証サイトの画像が送付され、その後ユーザ端末から前記数字の入力枠への書き込み情報と、要求指示ボタンの操作情報がサーバ装置に送付され、サーバ装置はこの要求指示ボタンの操作情報を受信した後にシリアル番号の証明サイトの画像をユーザ端末へ向けて送付して」との補正も、明細書の第【0019】-第【0021】段落の記載に基づくものであるから、新規事項を追加するものではない。

3.補正の目的について
(1)本件補正により新たに追加された「前記偽造防止ラベル作成装置により作成される偽造防止ラベルは、当該偽造防止ラベルの検証を行う証明サイトのアドレス情報が含まれているバーコードと、偽造防止ラベルに一意に割り当てられたシリアル番号とが印刷表示され、且つシリアル番号は擦り剥し操作により除去される目隠し材により覆われており」は、補正前の「前記偽造防止ラベル作成装置によりシリアル番号と認証サイトへのアクセス情報が含まれた偽造防止ラベルが作成されて」における「シリアル番号と認証サイトへのアクセス情報が含まれた偽造防止ラベル」との発明特定事項を具体的に限定するもの(特許請求の範囲の限定的減縮)であり、また、補正前の発明と補正後の発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
なお、「前記偽造防止ラベル作成装置により前記偽造防止ラベルが作成されてユーザに送付されるとともに、偽造防止ラベル内のシリアル番号は参照データとして前記サーバ装置へ送付され」との補正は、上記補正に伴って記載を整合させるためのものである。
よって、当該補正は特許法第17条の2第5項第2号でいう特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)本件補正により新たに追加された「前記サーバ装置と前記ユーザ端末との間では、ユーザ端末においてバーコードデータからサーバ装置アドレスが解析されてサーバ装置の画像認証サイトへアクセスが行われ、サーバ装置からユーザ端末へ向けて、入力すべき数字(キャプチャ)の表示部と、その数字の入力枠と、要求指示ボタンとが設けられた画像認証サイトの画像が送付され、その後ユーザ端末から前記数字の入力枠への書き込み情報と、要求指示ボタンの操作情報がサーバ装置に送付され、サーバ装置はこの要求指示ボタンの操作情報を受信した後にシリアル番号の証明サイトの画像をユーザ端末へ向けて送付して」との補正について、明細書の第【0020】段落には「図9はこの認証動作の各処理において表示される各種画像イメージの例を示す図である。図9(a)は上記画像認証サイト画面31である。この図に示すように、画像認証サイト画面31には入力すべき数字(キャプチャ)の表示部32と、その数字の入力枠33と、要求指示ボタン(OKボタン)34とが設けられている。このように要求指示ボタン34以外に数字入力枠33を設けている理由は、要求指示が正しくユーザによってなされていること(すなわち、応答者がコンピュータでないこと)をCPU24が認識して不正アクセスを防止するためである。」と記載しているように、上記「画像認証サイトの画像」はコンピュータの自動アクセスによる不正なアクセスを防止するためのものであるが、補正前の発明にはユーザ端末に関して「ユーザ端末から入力されたシリアル番号」との発明特定事項しか記載されておらず、そもそも上記不正アクセスを防止するための「画像認証サイト」に関する発明特定事項は一切なく、上記補正は、補正前の発明の発明特定事項を限定するものではないから特許請求の範囲の限定的減縮とはいえないものである。
よって、当該補正は特許法第17条の2第5項第2号でいう特許請求の範囲の減縮には該当しないものである。
また、当該補正は、同第1号の請求項の削除、同第3号の誤記の訂正、同第4号の明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しないことは明らかである。

4.まとめ
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願の請求項に係る発明について
平成26年12月8日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成26年8月6日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
各種データやコマンドが入力される入力部と、
偽造防止ラベル作成用のデータが格納される記憶部と、
作成された偽造防止ラベルがプリントアウトされるプリンターと、
サーバ装置との間で通信を行う通信部と、
ラベル作成のためのデータ処理を行うCPUと、から構成されている偽造防止ラベル作成装置:
前記偽造防止ラベル作成装置又は他所に存在する通信機器との間で通信を行う通信部と、
偽造防止ラベル作成装置から送付されたシリアル番号データが格納される記憶部と、
記憶部に格納されたシリアル番号データと受信された通信データ(シリアル番号データ)とを照合するデータ照合部と、
データ格納及びデータ照合のためのデータ処理を行う処理制御部としてのCPUとから構成されているサーバ装置:および、
ユーザにより保有され、通信機能を有するユーザ端末:
により構成され、
前記偽造防止ラベル作成装置の通信部とサーバ装置の通信部には、有線による通信デバイス、赤外線通信デバイス、ブルーツースによる通信デバイス、或いは無線通信デバイスのうち少なくともいずれか一つが用いられ、
前記偽造防止ラベル作成装置によりシリアル番号と認証サイトへのアクセス情報が含まれた偽造防止ラベルが作成されてユーザに送付されるとともに、シリアル番号は参照データとして前記サーバ装置へ送付され、
前記サーバ装置では、ユーザ端末から入力されたシリアル番号と前記サーバ装置へ参照データとして送付されたシリアル番号の認証処理が行われる、
ことを特徴とする偽造防止ラベル検証システム。」

2.引用発明
原審の拒絶理由に引用された特開2007-66036号公報(以下、「引用文献」という。)には、「証明システムおよび証明方法」の発明に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。
(a)【0001】
本発明は、特に生鮮食品や商品等の不正販売を防止するために正規品であることを証明する技術に関する。」
(b)「【0012】
図1は、本発明に係る証明システムのブロック図である。
本発明に係る証明システム100は、各商品ごとに、その産地(海産物の場合には水揚げ漁港)、生産者名(海産物の場合には水産業者)、生産日付(海産物の場合には水揚げ日付)などの生産情報を入力するための業務システム1と、市場出荷日付や出荷組合や海産問屋名等の流通情報を入力する流通情報管理システム2と、前記業務システム1から前記生産情報及び前記流通情報管理システム2から前記流通情報を受信及び記憶する商品情報データベース4を含む業務サーバ3と、前記業務サーバ3から、ユーザーに公開する公開データを受信及び記憶する公開データベース6を含むデータベースサーバ5と、前記公開データ及び前記公開データに対応する識別コードである二次元バーコード9が表示されたラベルなどの流通証明書8を接続されたプリンタで出力するための前記業務サーバ3のパソコン端末7と、前記データベースサーバ5と前記公開データの送受信を行うインターネット公開サーバ11とを備える。
【0013】
図2は、本発明に係る流通証明書の一例を示す図である。
流通証明書8には、各商品、例えば関さばの水揚げ漁港、水産業者、水揚げ日付、期限などの生産情報が公開データとして、二次元バーコード9とともに印刷されている。二次元バーコード9は、固定のインターネットのホームページアドレスと、各商品の流通情報が暗号化された識別コードの情報、例えばhttp://www3.***.com/para=****-****/といった内容を有している。
このような流通証明書が、例えば関さばのヒレもしくは容器などに付されたラベルに表示されている。なお、前記流通証明書は貼付可能なシール形式でもよく、また、通常は前記流通証明書はラベルのシールで隠されており、商品名が表示されたラベルのシールを剥がすと前記流通証明書があらわれるように構成してもよい。一旦剥がしたシールは貼付できないような素材で構成するとよい。
【0014】
図3は、本発明に係る証明システムのフローチャートを示す図である。
まず、業務システム1において商品の生産情報を入力する(S1)。
次に、流通情報管理システム2において市場出荷日付、期限などの流通情報を入力する(S2)。
【0015】
次に、業務システム1の生産情報及び流通情報管理システム2の流通情報が業務サーバ3内の商品情報データベース4へ送信される(S3)。
次に、業務サーバ3の各パソコン端末7において各商品の流通証明書8の作成用のデータが作成され、二次元バーコード9が付与され、各パソコン端末7に接続されたプリンタで流通証明書8の作成用のデータと二次元バーコード9が印刷、発行される(S4)。
このようにして発行された二次元バーコード9を商品(例えば関さば)の尾びれ等に貼付する。
【0016】
次に、流通証明書8としての二次元バーコード9を、ユーザーのバーコードリーダー機能を有するカメラ付携帯電話10のカメラで撮影して、読み取る(S5)。読み取られた二次元バーコード9の内容は、カメラ付携帯電話10の液晶モニタに表示される。
次に、カメラ付携帯電話10において、ユーザーが現在いる市場や店舗などの識別コードを入力するように要求がなされ、ユーザーが市場や店舗などに掲示されている識別コードに相当する4桁の番号を入力する(S6)。このステップは省略される場合もある。このステップを省略して、各ユーザーが最終消費者として購入した商品を、家庭に持ち帰り、家庭で、流通証明書8としての二次元バーコード9を撮影して照合・問い合わせをすることができる。
【0017】
次に、読み取った二次元バーコード9の内容である固定インターネットアドレス(http://www3.***.com/)と、各商品に対応する暗号化された識別コード(para=****-****)と、店舗などの識別コードとを基にインターネット公開サーバ11へ問い合わせを行う(S7)。すなわち、カメラ付携帯電話10の液晶モニタに表示された固定インターネットアドレスを選択し、インターネットへ接続するための接続ボタンを押すことにより上記の各種データがインターネット公開サーバ11へ送信される。
【0018】
次に、インターネット公開サーバ11からデータベースサーバ5に対して識別コードである二次元バーコード9と店舗などの識別コードに基づく該当商品の識別情報の取得のための送信が行われる(S8)。
次に、データベースサーバ5は、受信した識別コードである二次元バーコード9と店舗などの識別コードに基づいて公開データベース6において該当商品の識別情報との照合を行い、識別情報の有無を調査してその照合結果と、識別情報が有る場合には該当する公開データをインターネット公開サーバ11に送信する(S9)。
【0019】
次に、インターネット公開サーバ11はカメラ付携帯電話10に対して照合結果と該当する公開データを送信し、カメラ付携帯電話10の表示部である液晶モニタに照合結果と該当する公開データが表示され、ユーザーがその情報内容を目にして、実際の商品のラベルなどの表示内容と照合することができる(S10)。
【0020】
図4は、本発明に係る照合処理のフローチャートを示す図である。
データベースサーバ5は、カメラ付携帯電話10から送信されてきた二次元バーコード9の内容に対応する暗号化された識別コードと、データベースサーバ5内の該当する公開データベース6における該当識別情報との照合を行い、照合結果が合致して正当であると認識される場合は(S21でOK)、S22へ進む。
一方、照合結果として合致するものがなく不当であると判断される場合は(S21でNG)、S25へ進む。」
(c)「【0023】
S22では、インターネット公開サーバ11を通じて、カメラ付携帯電話10に正規判断信号及び該当する公開データが送信され、カメラ付携帯電話10の表示部に証明表示がなされ(S23)、かつ、該当する公開データが表示される(S24)。例えば、「本商品は正規品の「関さば」です。水揚げ漁港=大分県佐賀関、水産業者=*******、水揚げ日付=*年*月*日」という表示がなされる。
【0024】
S25では、データベースサーバ5は、カメラ付携帯電話10から送信されてきた識別コードは正規データでないと判断し、インターネット公開サーバ11を通じて、カメラ付携帯電話10に無効判断信号を送信し、カメラ付携帯電話10の表示部に無効表示がなされる(S26)。例えば、「本商品は正規品の「関さば」ではありません。お買い上げ店へご連絡ください。」という表示がなされる。
【0025】
これにより、ユーザーは、現在いる市場や店舗が、例えば正規品の関さば等の販売を行っている市場や店舗であるかどうかを直ちにかつ容易に上記のセキュリティーチェックを行って、判断及び確認することができる。また、消費者としてのユーザーが、商品に表示されている商品名(例えば「関さば」)が正規品の「関さば」であるか否を、カメラ付携帯電話10の表示部で確認することができる。」

以上、(a)?(c)の記載によれば、引用文献には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「生鮮食品や商品等の不正販売を防止するために正規品であることを証明する技術に関し、
証明システム100は、各商品ごとに、その産地(海産物の場合には水揚げ漁港)、生産者名(海産物の場合には水産業者)、生産日付(海産物の場合には水揚げ日付)などの生産情報を入力するための業務システム1と、
市場出荷日付や出荷組合や海産問屋名等の流通情報を入力する流通情報管理システム2と、
前記業務システム1から前記生産情報及び前記流通情報管理システム2から前記流通情報を受信及び記憶する商品情報データベース4を含む業務サーバ3と、
前記業務サーバ3から、ユーザーに公開する公開データを受信及び記憶する公開データベース6を含むデータベースサーバ5と、
前記公開データ及び前記公開データに対応する識別コードである二次元バーコード9が表示されたラベルなどの流通証明書8を接続されたプリンタで出力するための前記業務サーバ3のパソコン端末7と、
前記データベースサーバ5と前記公開データの送受信を行うインターネット公開サーバ11とを備え、
前記流通証明書8には、各商品、例えば関さばの水揚げ漁港、水産業者、水揚げ日付、期限などの生産情報が公開データとして、二次元バーコード9とともに印刷され、二次元バーコード9は、固定のインターネットのホームページアドレスと、各商品の流通情報が暗号化された識別コードの情報、例えばhttp://www3.***.com/para=****-****/といった内容を有しており、
前記証明システム100は、
業務システム1において商品の生産情報を入力し(S1)、
流通情報管理システム2において市場出荷日付、期限などの流通情報を入力し(S2)、
業務システム1の生産情報及び流通情報管理システム2の流通情報が業務サーバ3内の商品情報データベース4へ送信され(S3)、
業務サーバ3の各パソコン端末7において各商品の流通証明書8の作成用のデータが作成され、二次元バーコード9が付与され、各パソコン端末7に接続されたプリンタで流通証明書8の作成用のデータと二次元バーコード9が印刷、発行され(S4)、発行された二次元バーコード9を商品(例えば関さば)の尾びれ等に貼付し、
流通証明書8としての二次元バーコード9を、ユーザーのバーコードリーダー機能を有するカメラ付携帯電話10のカメラで撮影して、読み取り(S5)、
読み取った二次元バーコード9の内容である固定インターネットアドレス(http://www3.***.com/)と、各商品に対応する暗号化された識別コード(para=****-****)を基にインターネット公開サーバ11へ問い合わせを行い(S7)、
インターネット公開サーバ11からデータベースサーバ5に対して識別コードである二次元バーコード9に基づく該当商品の識別情報の取得のための送信が行われ(S8)、
データベースサーバ5は、受信した識別コードである二次元バーコード9に基づいて公開データベース6において該当商品の識別情報との照合を行い、識別情報の有無を調査してその照合結果と、識別情報が有る場合には該当する公開データをインターネット公開サーバ11に送信し(S9)、
インターネット公開サーバ11はカメラ付携帯電話10に対して照合結果と該当する公開データを送信し、カメラ付携帯電話10の表示部である液晶モニタに照合結果と該当する公開データが表示され、ユーザーがその情報内容を目にして、実際の商品のラベルなどの表示内容と照合することができる(S10)ものであり、
前記データベースサーバ5は、カメラ付携帯電話10から送信されてきた二次元バーコード9の内容に対応する暗号化された識別コードと、データベースサーバ5内の該当する公開データベース6における該当識別情報との照合を行い、
照合結果が合致して正当であると認識される場合は(S21でOK)、インターネット公開サーバ11を通じて、カメラ付携帯電話10に正規判断信号及び該当する公開データが送信され、カメラ付携帯電話10の表示部に証明表示がなされ(S23)、かつ、該当する公開データが表示され(S24)、例えば、「本商品は正規品の「関さば」です。水揚げ漁港=大分県佐賀関、水産業者=*******、水揚げ日付=*年*月*日」という表示がなされ、
一方、照合結果として合致するものがなく不当であると判断される場合は(S21でNG)、データベースサーバ5は、カメラ付携帯電話10から送信されてきた識別コードは正規データでないと判断し、インターネット公開サーバ11を通じて、カメラ付携帯電話10に無効判断信号を送信し、カメラ付携帯電話10の表示部に無効表示がなされ(S26)、例えば、「本商品は正規品の「関さば」ではありません。お買い上げ店へご連絡ください。」という表示がなされるものであり、
これにより、消費者としてのユーザーが、商品に表示されている商品名(例えば「関さば」)が正規品の「関さば」であるか否を、カメラ付携帯電話10の表示部で確認することができる、証明システム。」

3.対比
そこで、本願発明と引用発明を対比する。
(1)引用発明の「証明システム」は、「生鮮食品や商品等の不正販売を防止するために正規品であることを証明する技術」であって、「消費者としてのユーザーが、商品に表示されている商品名(例えば「関さば」)が正規品の「関さば」であるか否を、カメラ付携帯電話10の表示部で確認することができる」システムであり、当該機能を実現する目的で「ラベルなどの流通証明書8」を「商品(例えば関さば)」に添付し、正規品であることを証明するものであることから、引用発明の「ラベルなどの流通証明書8」は本願発明の「偽造防止ラベル」に相当する。

(2)本願発明の「各種データやコマンドが入力される入力部と、偽造防止ラベル作成用のデータが格納される記憶部と、作成された偽造防止ラベルがプリントアウトされるプリンターと、サーバ装置との間で通信を行う通信部と、ラベル作成のためのデータ処理を行うCPUと、から構成されている偽造防止ラベル作成装置」は、本願の明細書の第【0011】段落にも「・・・この実施の形態に係る偽造防止ラベル検証システムにおいて符号1は偽造防止ラベル作成装置(以下、単にラベル作成装置という)であり、2はサーバ装置、3、4はユーザ端末としての携帯電話及びスマートフォンである。ラベル作成装置1はラベル発行者(例えばラベルの製造を委託されたラベル印刷会社や正規製品の製造会社)の下に配置され、パソコン5及びこれに接続されたプリンター6から構成されるとともに、通信線8を介してサーバ装置2に接続されている。」と記載されているように、複数の装置から構成されたシステム(装置)であることを前提として対比する。

(2-1)引用発明の「各商品ごとに、その産地(海産物の場合には水揚げ漁港)、生産者名(海産物の場合には水産業者)、生産日付(海産物の場合には水揚げ日付)などの生産情報を入力するための業務システム1」、「市場出荷日付や出荷組合や海産問屋名等の流通情報を入力する流通情報管理システム2」、「前記業務システム1から前記生産情報及び前記流通情報管理システム2から前記流通情報を受信及び記憶する商品情報データベース4を含む業務サーバ3」、「業務システム1において商品の生産情報を入力し(S1)」、「流通情報管理システム2において市場出荷日付、期限などの流通情報を入力し(S2)」との事項によれば、上記「業務システム1」及び「流通情報管理システム2」は各種情報が入力される入力部を構成するものである。
また、引用発明の「業務システム1の生産情報及び流通情報管理システム2の流通情報が業務サーバ3内の商品情報データベース4へ送信され(S3)」によれば、上記「業務システム1」及び「流通情報管理システム2」は、入力された各種情報を「業務サーバ3内の商品情報データベース4」へ送信することから、送信のためのコマンドも入力されるものであることも当業者であれば自明である。

(2-2)引用発明の「前記公開データ及び前記公開データに対応する識別コードである二次元バーコード9が表示されたラベルなどの流通証明書8を接続されたプリンタで出力するための前記業務サーバ3のパソコン端末7」、「前記流通証明書8には、各商品、例えば関さばの水揚げ漁港、水産業者、水揚げ日付、期限などの生産情報が公開データとして、二次元バーコード9とともに印刷され、二次元バーコード9は、固定のインターネットのホームページアドレスと、各商品の流通情報が暗号化された識別コードの情報、例えばhttp://www3.***.com/para=****-****/といった内容を有しており」、及び、「業務サーバ3の各パソコン端末7において各商品の流通証明書8の作成用のデータが作成され、二次元バーコード9が付与され、各パソコン端末7に接続されたプリンタで流通証明書8の作成用のデータと二次元バーコード9が印刷、発行され(S4)」との事項によれば、引用発明の「ラベルなどの流通証明書8」を作成するために、該「ラベルなどの流通証明書8」の作成用のデータ作成や「二次元バーコード9」の付与などのデータ処理を行う「パソコン端末7」(これらのデータ処理を行うCPUを備えていることは自明)は、本願発明の「ラベル作成のためのデータ処理を行うCPU」に相当し、また、引用発明の上記「流通証明書8の作成用のデータと二次元バーコード9が印刷、発行され」る「プリンタ」は、本願発明の「作成された偽造防止ラベルがプリントアウトされるプリンター」に相当するものである。

(2-3)引用発明の「パソコン端末7」において作成される「ラベルなどの流通証明書8」に印刷される内容には、「各商品、例えば関さばの水揚げ漁港、水産業者、水揚げ日付、期限などの生産情報が公開データ」とは別に「二次元バーコード9」が印刷されており、該「二次元バーコード9」は、「固定のインターネットのホームページアドレスと、各商品の流通情報が暗号化された識別コードの情報、例えばhttp://www3.***.com/para=****-****/といった内容を有して」おり、この「固定のインターネットのホームページアドレス」はなんらかの入力手段によって上記「パソコン端末7」に入力され設定されたデータであるといえるし、また、該「パソコン端末7」はパソコンである以上、各種データや例えば印刷のためのコマンドが入力される入力部を備えることは単なる技術常識である。
そうすると、引用発明における、上記(2-1)の「業務システム1」、「流通情報管理システム2」及び「パソコン端末7」は、本願発明の「各種データやコマンドが入力される入力部」に相当するものである。

(2-4)引用発明の「業務サーバ3」は、「前記業務システム1から前記生産情報及び前記流通情報管理システム2から前記流通情報を受信及び記憶する商品情報データベース4を含む」ものであって、「前記流通証明書8には、各商品、例えば関さばの水揚げ漁港、水産業者、水揚げ日付、期限などの生産情報が公開データとして、二次元バーコード9とともに印刷され」ることから、「ラベルなどの流通証明書8」を作成するための「生産情報」が格納される記憶部である「商品情報データベース4」を含むものである。
また、引用発明の「業務サーバ3」は、「前記業務サーバ3から、ユーザーに公開する公開データを受信及び記憶する公開データベース6を含むデータベースサーバ5」との事項から、「データベースサーバ5」との間で通信を行う通信部を備えていることも明らかである。
そして、引用発明の「データベースサーバ5」は、「流通証明書8としての二次元バーコード9を、ユーザーのバーコードリーダー機能を有するカメラ付携帯電話10のカメラで撮影して、読み取り(S5)」、「読み取った二次元バーコード9の内容である固定インターネットアドレス(http://www3.***.com/)と、各商品に対応する暗号化された識別コード(para=****-****)を基にインターネット公開サーバ11へ問い合わせを行い(S7)」、「インターネット公開サーバ11からデータベースサーバ5に対して識別コードである二次元バーコード9に基づく該当商品の識別情報の取得のための送信が行われ(S8)」との処理に基づいて、「データベースサーバ5は、受信した識別コードである二次元バーコード9に基づいて公開データベース6において該当商品の識別情報との照合を行い、識別情報の有無を調査してその照合結果と、識別情報が有る場合には該当する公開データをインターネット公開サーバ11に送信し(S9)」との処理を行うものであることから、本願発明の「サーバ装置」に対応するものである。
そうすると、引用発明の「業務サーバ3」は、本願発明の「偽造防止ラベル作成用のデータが格納される記憶部」及び「サーバ装置との間で通信を行う通信部」を備えるものである。

(2-5)以上の(2-1)?(2-4)から、引用発明は、「業務システム1」、「流通情報管理システム2」、「業務サーバ3」、「パソコン端末7」及び「プリンタ」により「ラベルなどの流通証明書8」を作成するものであることから、これらは本願発明でいう「偽造防止ラベル作成装置」を構成するものである。
そうすると、本願発明と引用発明は、後記する点で相違するものの、
「各種データやコマンドが入力される入力部と、
偽造防止ラベル作成用のデータが格納される記憶部と、
作成された偽造防止ラベルがプリントアウトされるプリンターと、
サーバ装置との間で通信を行う通信部と、
ラベル作成のためのデータ処理を行うCPUと、から構成されている偽造防止ラベル作成装置」
を備える点で共通する。

(3)本願発明の「サーバ装置」と、引用発明の「データベースサーバ5」を詳細に比較する。

(3-1)引用発明の「データベースサーバ5」は、「前記業務サーバ3から、ユーザーに公開する公開データを受信及び記憶する公開データベース6を含む」との事項から、「業務サーバ3」との間で通信を行うための通信部を備えることは明らかである。
また、引用発明の「前記データベースサーバ5と前記公開データの送受信を行うインターネット公開サーバ11」、「流通証明書8としての二次元バーコード9を、ユーザーのバーコードリーダー機能を有するカメラ付携帯電話10のカメラで撮影して、読み取り(S5)、読み取った二次元バーコード9の内容である固定インターネットアドレス(http://www3.***.com/)と、各商品に対応する暗号化された識別コード(para=****-****)を基にインターネット公開サーバ11へ問い合わせを行い(S7)、インターネット公開サーバ11からデータベースサーバ5に対して識別コードである二次元バーコード9に基づく該当商品の識別情報の取得のための送信が行われ(S8)、データベースサーバ5は、受信した識別コードである二次元バーコード9に基づいて公開データベース6において該当商品の識別情報との照合を行い、識別情報の有無を調査してその照合結果と、識別情報が有る場合には該当する公開データをインターネット公開サーバ11に送信し(S9)、インターネット公開サーバ11はカメラ付携帯電話10に対して照合結果と該当する公開データを送信し、カメラ付携帯電話10の表示部である液晶モニタに照合結果と該当する公開データが表示され、ユーザーがその情報内容を目にして、実際の商品のラベルなどの表示内容と照合することができる(S10)ものであり」との事項によれば、「データベースサーバ5」は、ユーザの「カメラ付携帯電話10」からの問い合わせの受信、及び、その回答の送信を、インターネットとの接続インターフェイスとなる「インターネット公開サーバ11」を介して行うことから、実質的にユーザの「カメラ付携帯電話10」との間で通信を行うための通信部を備えているといえるし、また、ユーザの上記「カメラ付携帯電話10」は本願発明の「他所に存在する通信機器」に相当する。
そうすると、本願発明の「サーバ装置」と、引用発明の「データベースサーバ5」は、
「前記偽造防止ラベル作成装置又は他所に存在する通信機器との間で通信を行う通信部」
を備える点で一致する。

(3-2)引用発明の「受信した識別コードである二次元バーコード9に基づいて公開データベース6において該当商品の識別情報との照合を行い」、及び、「前記データベースサーバ5は、カメラ付携帯電話10から送信されてきた二次元バーコード9の内容に対応する暗号化された識別コードと、データベースサーバ5内の該当する公開データベース6における該当識別情報との照合を行い」との事項から、「データベースサーバ5」は、「カメラ付携帯電話10」から送信されてきた「暗号化された識別コード」と「公開データベース6」に格納された「識別情報」との照合(「暗号化された識別コード」を復号化したものが「識別情報」と考えられる)を行うものであり、本願発明では「シリアル番号」を使用している点で相違するものの、どちらも商品毎に発行される唯一のデータである点で共通し、また、引用発明の前記「公開データベース6」は本願発明の「記憶部」に相当するものである。
そうすると、本願発明の「サーバ装置」と、引用発明の「データベースサーバ5」は、
「記憶部に格納された商品毎に発行される唯一のデータと受信された通信データ(商品毎に発行される唯一のデータ)とを照合するデータ照合部」
を備える点で共通する。

(3-3)引用発明では、各商品に対応する「識別情報」を、「業務サーバ3」と「パソコン端末7」のどちらで生成しているのかについては記載されていない。
しかしながら、上記(3-2)で示したように、「データベースサーバ5」の「公開データベース6」には照合対象となる「識別情報」が格納されている必要があること、また、照合に関しての「照合結果が合致して正当であると認識される場合は(S21でOK)、インターネット公開サーバ11を通じて、カメラ付携帯電話10に正規判断信号及び該当する公開データが送信され、カメラ付携帯電話10の表示部に証明表示がなされ(S23)、かつ、該当する公開データが表示され(S24)、例えば、「本商品は正規品の「関さば」です。水揚げ漁港=大分県佐賀関、水産業者=*******、水揚げ日付=*年*月*日」という表示がなされ」との事項を考慮すれば、「業務サーバ3」と「パソコン端末7」のどちらで生成されたとしても、対応する商品の「ユーザーに公開する公開データ」と共に「識別情報」が、「業務サーバ3」から「データベースサーバ5」の「公開データベース6」に送信され、格納されることになると考えるのが相当である。
そうすると、本願発明の「サーバ装置」と、引用発明の「データベースサーバ5」は、
「偽造防止ラベル作成装置から送付された商品毎に発行される唯一のデータが格納される記憶部」
を備える点で共通する。

(3-4)引用発明の「データベースサーバ5」は、「公開データベース6」へのデータの格納及びデータの照合のためのデータ処理を行っており、また、サーバもコンピュータであるから各種データ処理を行う処理制御部としてのCPUを備えていることも自明である。
そうすると、本願発明の「サーバ装置」と、引用発明の「データベースサーバ5」は、
「データ格納及びデータ照合のためのデータ処理を行う処理制御部としてのCPU」
を備える点で一致する。

(3-5)以上(3-1)?(3-4)から、本願発明と引用発明は、後記する点で相違するものの、
「前記偽造防止ラベル作成装置又は他所に存在する通信機器との間で通信を行う通信部と、
偽造防止ラベル作成装置から送付された商品毎に発行される唯一のデータが格納される記憶部と、
記憶部に格納された商品毎に発行される唯一のデータと受信された通信データ(商品毎に発行される唯一のデータ)とを照合するデータ照合部と、
データ格納及びデータ照合のためのデータ処理を行う処理制御部としてのCPUとから構成されているサーバ装置」
を備える点で共通する。

(4)引用発明の「流通証明書8としての二次元バーコード9を、ユーザーのバーコードリーダー機能を有するカメラ付携帯電話10のカメラで撮影して、読み取り(S5)、読み取った二次元バーコード9の内容である固定インターネットアドレス(http://www3.***.com/)と、各商品に対応する暗号化された識別コード(para=****-****)を基にインターネット公開サーバ11へ問い合わせを行い(S7)」との事項によれば、「ユーザーのバーコードリーダー機能を有するカメラ付携帯電話10」は、ユーザが保有するものであることは明らかであり、また、「二次元バーコード9」に含まれる「固定インターネットアドレス(http://www3.***.com/)」と「暗号化された識別コード(para=****-****)」に基づき「インターネット公開サーバ11」に問い合わせ行うことから通信機能を備えていることも自明である。
そうすると、本願発明と引用発明は、後記する点で相違するものの、
「ユーザにより保有され、通信機能を有するユーザ端末」
を備える点で共通する。

(5)本願発明の「前記偽造防止ラベル作成装置によりシリアル番号と認証サイトへのアクセス情報が含まれた偽造防止ラベルが作成されてユーザに送付されるとともに、シリアル番号は参照データとして前記サーバ装置へ送付され」及び「前記サーバ装置では、ユーザ端末から入力されたシリアル番号と前記サーバ装置へ参照データとして送付されたシリアル番号の認証処理が行われる」との事項について検討する。

(5-1)引用発明の「ラベルなどの流通証明書8」に印刷される「二次元バーコード9」には、「固定インターネットアドレス(http://www3.***.com/)」と、「各商品に対応する暗号化された識別コード(para=****-****)」が含まれており、当該「固定インターネットアドレス(http://www3.***.com/)」は、ユーザの「カメラ付携帯電話10」から問い合わせを送る通信先であり、いわゆるインターネットサイトへのアクセス情報である。
また、引用発明の「ラベルなどの流通証明書8」は、「発行された二次元バーコード9を商品(例えば関さば)の尾びれ等に貼付し」との事項から、商品に貼付されて販売されて最終的にユーザに送付されることになるのは明らかである。
また、上記(3-3)で示したように、ユーザの「カメラ付携帯電話10」から送付される「暗号化された識別コード」と照合を行うための「識別情報」が、「業務サーバ3」から「データベースサーバ5」の「公開データベース6」に送信されるものであり、また、該「識別情報」は送付される「暗号化された識別コード」の照合対象として参照される参照データであるといえる。

(5-2)引用発明の「データベースサーバ5」は、「前記データベースサーバ5は、カメラ付携帯電話10から送信されてきた二次元バーコード9の内容に対応する暗号化された識別コードと、データベースサーバ5内の該当する公開データベース6における該当識別情報との照合を行い、照合結果が合致して正当であると認識される場合は(S21でOK)、インターネット公開サーバ11を通じて、カメラ付携帯電話10に正規判断信号及び該当する公開データが送信され、カメラ付携帯電話10の表示部に証明表示がなされ(S23)、かつ、該当する公開データが表示され(S24)、例えば、「本商品は正規品の「関さば」です。水揚げ漁港=大分県佐賀関、水産業者=*******、水揚げ日付=*年*月*日」という表示がなされ、一方、照合結果として合致するものがなく不当であると判断される場合は(S21でNG)、データベースサーバ5は、カメラ付携帯電話10から送信されてきた識別コードは正規データでないと判断し、インターネット公開サーバ11を通じて、カメラ付携帯電話10に無効判断信号を送信し、カメラ付携帯電話10の表示部に無効表示がなされ(S26)、例えば、「本商品は正規品の「関さば」ではありません。お買い上げ店へご連絡ください。」という表示がなされるものであり」との処理を行うものであり、上記照合処理は要するに「カメラ付携帯電話10」から送信されてきた「識別コード」が正規のものであるかを認証する処理であるし、また、ユーザの「カメラ付携帯電話10」からみれば、前記「固定インターネットアドレス(http://www3.***.com/)」に基づきアクセスしたインターネットサイトは、商品に貼付された「ラベルなどの流通証明書8」が正規のものであるか否か、つまり商品が正規品であるか否かを認証するための認証サイトであるといえる。

(5-3)以上(5-1)及び(5-2)から、本願発明と引用発明は、後記する点で相違するものの、
「前記偽造防止ラベル作成装置により商品毎に発行される唯一のデータと認証サイトへのアクセス情報が含まれた偽造防止ラベルが作成されてユーザに送付されるとともに、商品毎に発行される唯一のデータは参照データとして前記サーバ装置へ送付され、
前記サーバ装置では、ユーザ端末から入力された商品毎に発行される唯一のデータと前記サーバ装置へ参照データとして送付された商品毎に発行される唯一のデータの認証処理が行われる」
る点で共通する。

(6)引用発明の「証明システム」は、上記(5-2)で示したように、「ラベルなどの流通証明書8」に印刷された「暗号化された識別コード」が正規のものであるかを照合することにより、「ラベルなどの流通証明書8」自体が偽造でないこと、また、それにより商品が正規品であることを検証するための検証システムであるといえる。
そうすると、本願発明と引用発明は、後記する点で相違するものの、
「偽造防止ラベル検証システム」
である点で共通する。

(7)以上(1)?(6)によれば、本願発明と引用発明は以下の点で一致し、また、相違している。
<一致点>
「各種データやコマンドが入力される入力部と、
偽造防止ラベル作成用のデータが格納される記憶部と、
作成された偽造防止ラベルがプリントアウトされるプリンターと、
サーバ装置との間で通信を行う通信部と、
ラベル作成のためのデータ処理を行うCPUと、から構成されている偽造防止ラベル作成装置:
前記偽造防止ラベル作成装置又は他所に存在する通信機器との間で通信を行う通信部と、
偽造防止ラベル作成装置から送付された商品毎に発行される唯一のデータが格納される記憶部と、
記憶部に格納された商品毎に発行される唯一のデータと受信された通信データ(商品毎に発行される唯一のデータ)とを照合するデータ照合部と、
データ格納及びデータ照合のためのデータ処理を行う処理制御部としてのCPUとから構成されているサーバ装置:および、
ユーザにより保有され、通信機能を有するユーザ端末:
により構成され、
前記偽造防止ラベル作成装置により商品毎に発行される唯一のデータと認証サイトへのアクセス情報が含まれた偽造防止ラベルが作成されてユーザに送付されるとともに、商品毎に発行される唯一のデータは参照データとして前記サーバ装置へ送付され、
前記サーバ装置では、ユーザ端末から入力された商品毎に発行される唯一のデータと前記サーバ装置へ参照データとして送付された商品毎に発行される唯一のデータの認証処理が行われる、
ことを特徴とする偽造防止ラベル検証システム。」

[相違点1]
「商品毎に発行される唯一のデータ」について、本願発明では「シリアル番号データ」であるのに対し、引用発明では「識別情報」としか記載がなく、どのように生成される情報かは不明である点。

[相違点2]
本願発明では、「前記偽造防止ラベル作成装置の通信部とサーバ装置の通信部には、有線による通信デバイス、赤外線通信デバイス、ブルーツースによる通信デバイス、或いは無線通信デバイスのうち少なくともいずれか一つが用いられ」と限定しているのに対し、引用発明ではそのような限定がない点。

4.当審の判断
(1)[相違点1]について
引用発明の「識別情報」も、商品が正規品であることを示す商品毎に発行される唯一のデータであり、また、一般に商品に対して付与する唯一のデータとして、シリアル番号を付与することは引用例を示すまでもなく周知の技術であるから、引用発明においても商品毎に発行される唯一のデータとして周知の「シリアル番号」を採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
(2)[相違点2]について
引用発明の「前記偽造防止ラベル作成装置の通信部」と「サーバ装置の通信部」に相当する通信部としてどのような通信デバイスが使用されているかは確かに記載されていないが、技術常識を考慮すれば一般的な有線による通信デバイスを使用して通信を行っていると考えるのが相当である。
そして、本願発明では複数の通信デバイスのうち「少なくともいずれか一つが用いられ」との限定があるものの、選択肢としての複数の通信デバイスの中には「有線による通信デバイス」が含まれていることから、本願発明と引用発明は、この点で相違するものではない。
なお、上記選択肢としてのその他の通信デバイスである赤外線通信デバイス、ブルーツースによる通信デバイス、無線通信デバイスも、引用例を示すまでもなく周知の通信デバイスでしかなく、また、これらの通信デバイスが引用発明の通信部として適用不可能であるという格別の理由も見当たらないから、これら周知の通信デバイスを引用発明の通信部として採用することも、当業者であれば容易に想到し得たことである。
(3)そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

5.まとめ
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

第4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-11-17 
結審通知日 2015-11-24 
審決日 2015-12-07 
出願番号 特願2012-199265(P2012-199265)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (G06Q)
P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 梅岡 信幸  
特許庁審判長 手島 聖治
特許庁審判官 川崎 優
金子 幸一
発明の名称 偽造防止ラベル検証システム  
代理人 酒井 一  
代理人 蔵合 正博  

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