• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  A47J
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A47J
管理番号 1310944
審判番号 無効2014-800134  
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-04-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2014-08-21 
確定日 2016-01-25 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4884938号発明「連続蒸煮原料冷却装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 請求のとおり訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第4884938号についての手続の経緯の概要は以下のとおりである。
平成18年11月28日 特許出願
平成23年12月16日 特許権の設定登録
平成26年8月21日 特許無効審判請求
平成26年11月17日 答弁書及び訂正請求(第1回目)
平成27年1月23日 弁駁書(第1回目)
平成27年3月27日 口頭審理陳述要領書(請求人及び被請求人)
平成27年4月10日 口頭審理
平成27年4月27日付け 審決予告
平成27年6月29日 訂正請求(第2回目)
平成27年8月21日 弁駁書(第2回目)
平成27年9月17日付け 被請求人に対する審尋
平成27年10月8日 回答書(被請求人)
平成27年10月20日付け 請求人に対する審尋
平成27年11月2日 回答書(請求人)
平成27年11月24日付け 補正許否の決定及び審理終結通知

第2 訂正請求について
本件特許の訂正について、平成26年11月17日付け訂正請求(第1回目)及び平成27年6月29日付け訂正請求(第2回目)がされているが、「訂正の請求がされた場合において、その審判事件において先にした訂正の請求があるときは、当該先の請求は、取り下げられたものとみなす」(特許法第134条の2第6項)と規定されているから、訂正請求(第2回目)における訂正の請求のみを審理の対象とする。

1.平成27年6月29日付け訂正請求(以下、「本件訂正」という。)の内容
本件訂正における訂正事項は、以下のとおりである。なお、下線は、訂正箇所を示す。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「通気性コンベア上に積層原料を支持し、」とあるのを、「通気性コンベアの上側移行部上に積層原料を支持し、」と訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「蒸気噴出管を配管して蒸煮室を形成し、」とあるのを、「蒸気噴出管を配管して蒸煮室を形成し、上記蒸煮室の下方に上記上側移行部の下方空室を形成し、」と訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に「該噴出管から噴出する冷却水を該原料に供給し、」とあるのを、「該噴出管から噴出するミストを該原料に供給し、」と訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1に「該原料に供給し、」とあるのを、「該原料に供給し、該ミストが積層蒸煮原料を上から下に通過するように構成し、」と訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項1に「上記冷却水の付着した上記積層原料に」とあるのを、「上記ミストの噴出による冷却水の付着した上記積層原料に」と訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項1に「冷却水の集水部に設けた冷却空気排出用吸引ブロワにより、」とあるのを、「上記上側移行部の下部の冷却水の集水部に設けた冷却空気排出用吸引ブロワにより、」と訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項1に「送風可能となし、」とあるのを、「送風可能となし、上記集水部を経て余剰ミストを上記冷却空気排出用吸引ブロワを介して機外に排出し、」と訂正する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項1に「気化潜熱を大気に奪うように形成した」とあるのを、「気化潜熱を大気に奪うように形成し、上記集水部の下端を洗浄水配管に接続し、凝縮水を該洗浄水配管の後端から排水し、」と訂正する。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項1の上記訂正事項8の後に、引き続いて「前方の上記下方空室の底板を緩傾斜に傾斜させ、」を追加する訂正を行う。
(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項1の上記訂正事項9の後に、引き続いて「上記緩傾斜の下端を上記洗浄水配管の延長部に接続し、切換弁を介して上記緩傾斜のドレン管に接続し、」を追加する訂正を行う。
(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項1の上記訂正事項10と、上記請求項1の「連続蒸煮原料冷却装置。」の間に、「上記切換弁を操作して上記下方空室の上記緩傾斜のドレンを排水し得るように構成した」を追加する訂正を行う。
(12)訂正事項12
明細書の段落【0009】欄に記載された「通気性コンベア上に積層原料を支持し、」とあるのを、「通気性コンベアの上側移行部上に積層原料を支持し、」と訂正する。
(13)訂正事項13
飯最初の段落【0009】欄に「蒸気噴出管を配管して蒸煮室を形成し、」とあるのを、「蒸気噴出管を配管して蒸煮室を形成し、上記蒸煮室の下方に上記上側移行部の下方空室を形成し、」と訂正する。
(14)訂正事項14
明細書の段落【0009】欄に記載された「該噴出管から噴出する冷却水を該原料に供給し、」とあるのを、「該噴出管から噴出するミストを該原料に供給し、」と訂正する。
(15)訂正事項15
明細書の段落【0009】欄に記載された「該原料に供給し、」とあるのを、「該原料に供給し、該ミストが積層蒸煮原料を上から下に通過するように構成し、」と訂正する。
(16)訂正事項16
明細書の段落【0009】欄に記載された「上記冷却水の付着した上記積層原料に」とあるのを、「上記ミストの噴出による冷却水の付着した上記積層原料に」と訂正する。
(17)訂正事項17
明細書の段落【0009】欄に「冷却水の集水部に設けた冷却空気排出用吸引ブロワにより、」とあるのを、「上記上側移行部の下部の冷却水の集水部に設けた冷却空気排出用吸引ブロワにより、」と訂正する。
(18)訂正事項18
明細書の段落【0009】欄に「送風可能となし、」とあるのを、「送風可能となし、上記集水部を経て余剰ミストを上記冷却空気排出用吸引ブロワを介して機外に排出し、」と訂正する。
(19)訂正事項19
明細書の段落【0009】欄に「気化潜熱を大気に奪うように形成した」とあるのを、「気化潜熱を大気に奪うように形成し、上記集水部の下端を洗浄水配管に接続し、凝縮水を該洗浄水配管の後端から排水し、」と訂正する。
(20)訂正事項20
明細書の段落【0009】欄における上記訂正事項19の後に、引き続いて「前方の上記下方空室の底板を緩傾斜に傾斜させ、」を追加する訂正を行う。
(21)訂正事項21
明細書の段落【0009】欄における上記訂正事項20の後に、引き続いて「上記緩傾斜の下端を上記洗浄水配管の延長部に接続し、切換弁を介して上記緩傾斜のドレン管に接続し、」を追加する訂正を行う。
(22)訂正事項22
明細書の段落【0009】欄における上記訂正事項21と、明細書の段落【0009】欄の「連続蒸煮原料冷却装置。」の間に、「上記切換弁を操作して上記下方空室の上記緩傾斜のドレンを排水し得るように構成した」を追加する訂正を行う。

2.訂正請求の適否
(1)訂正事項1
訂正前の請求項1では、「通気性コンベア上に積層原料を支持し、」として、積層原料が、単に、通気性コンベアの上に支持されているとしていたのに対し、訂正後の請求項1では、「通気性コンベアの上側移行部上に積層原料を支持し、」とし、積層原料が通気性コンベアの「上側移行部上」に支持されていることに限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記限定事項は、願書に添付した明細書の段落【0010】、【0022】に記載されているから、訂正事項1は、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項1は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(2)訂正事項2
訂正前の請求項1では、「機函内を移動する通気性コンベアに積層原料を支持し、該原料の上部に上記噴出管を配管して蒸煮室を形成し、」として、冷却部より前の蒸煮室を特定していたのに対し、訂正後の請求項1では、蒸煮室の構成として「上記蒸煮室の下方に上記上側移行部の下方空室を形成し、」と訂正することで、蒸煮室側の構成として、上側移行部の下に下方空室が形成されていることを特定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項2は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記限定事項は、願書に添付した明細書の段落【0016】に「両側空間9c,9cを上側移行部4’の下方空室12に連通させる。」と説明されており、図3においても、蒸煮室側のコンベアの上側移行部4’の下方に下方空室12が形成されていることが明記されているから、訂正事項2は、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
請求人は、平成27年8月21日付の弁駁書(第2回目)及び同年11月2日付の回答書において、訂正事項2について、「蒸煮室」とは別の「下方空室」という新たな構成を追加した上で、訂正前の発明を限定することにより、訂正前の発明とは目的の全く異なる別の発明に変更されたものであり、特許請求の範囲の実質的変更に該当すると主張しているが、訂正事項2は、「連続蒸煮原料冷却装置」の発明における発明特定事項を直列的に付加するものであり、そのカテゴリーや、対象、「原料を蒸煮後冷却の速い連続蒸煮原料冷却装置を得ること」という目的(明細書段落【0006】)を変更するものとはいえないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(3)訂正事項3
訂正前の請求項1における「冷却水」を、訂正後の請求項1では「ミスト」に限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項3は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記限定事項は、願書に添付した明細書の段落【0010】に記載されているから、訂正事項2は、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項3は、「冷却水」を下位概念である「ミスト」に訂正するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(4)訂正事項4
訂正前の請求項1では、「噴出管から噴出する冷却水を該原料に供給し、」として、冷却水が積層蒸煮原料に単に噴出されることのみを特定していたのに対し、訂正後の請求項1では、「該原料に供給し、」の後に、「該ミストが積層蒸煮原料を上から下に通過するように構成し、」と訂正し、積層原料に供給されたミストの通過態様を具体的に特定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項4は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、ミストが積層蒸煮原料を上から下に通過することについては、願書に添付した明細書の段落【0010】に記載されているから、訂正事項4は、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項4は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(5)訂正事項5
訂正前の請求項1では、「上記冷却水の付着した上記積層原料に」として積層原料には単に「冷却水」が付着したという特定をしていたのに対し、訂正後の請求項1では、「上記ミストの噴出による冷却水の付着した上記積層原料に」と訂正し、積層原料に付着した冷却水はミストの噴出によるものであると特定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、当該訂正事項5は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、ミストの噴出による冷却水が積層原料に付着することについては、願書に添付した明細書の段落【0010】の「ミスト又はシャワーが積層蒸煮原料を上から下に通過し、附着水は蒸発気化し、」の記載から自明といえるから、訂正事項5は、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項5は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(6)訂正事項6
訂正前の請求項1では、冷却空気排出用吸引ブロワが設けられる冷却水の集水部の位置は何ら限定されていないのに対し、訂正後の請求項1では、上記冷却水の集水部の位置を「上記上側移行部の下部」と特定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項6は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、冷却水の集水部が上記上側移行部の下部にあることについては、願書に添付した明細書の段落【0025】に記載されているから、訂正事項6は、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項6は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(7)訂正事項7
訂正前の請求項1では、冷却水の集水部に設けた冷却空気排出用吸引ブロワにより、冷却水の付着した積層原料に送風可能とした構成であったのに対し、訂正後の請求項1では、冷却水の集水部に設けた冷却空気排出用吸引ブロワにより、冷却水の付着した積層原料に送風可能とし、さらに上記集水部を経て余剰ミストを上記冷却空気吸引用排出ブロワを介して機外に排出することを特定することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、訂正事項7は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記集水部を経て余剰ミストを冷却空気排出用吸引ブロワを介して機外に排出することについては、願書に添付した明細書の段落【0025】欄に「該集水部15を経て余剰ミストを機外に排出し、」と記載されており、図9に、余剰ミストは、冷却空気排出用吸引ブロワ15’’を介して機外に排出される構成が開示されているから、訂正事項7は、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
さらに、訂正事項7は、発明特定事項を直列的に付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(8)訂正事項8
訂正前の請求項1では、冷却水の集水部に設けた冷却空気排出用吸引ブロワにより、冷却水の付着した積層原料に送風可能とした構成であったのに対し、訂正後の請求項1では、上記集水部の下端を洗浄水配管に接続し、凝縮水を該洗浄水配管の後端から排水することを特定することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、訂正事項8は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記集水部の下端を洗浄水配管に接続し、凝縮水を該洗浄水配管の後端から排水することについては、願書に添付した明細書の段落【0025】欄に記載されているから、訂正事項8は、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
請求人は、平成27年8月21日付の弁駁書(第2回目)及び同年11月2日付の回答書において、訂正事項8について、「集水部」とは別の「洗浄水配管」を接続するという新たな構成を追加した上で、訂正前の発明を限定することにより、訂正前の発明とは目的の全く異なる別の発明に変更されたものであり、特許請求の範囲の実質的変更に該当すると主張しているが、訂正事項8は、「連続蒸煮原料冷却装置」の発明における発明特定事項を直列的に付加するものであり、そのカテゴリーや、対象、「原料を蒸煮後冷却の速い連続蒸煮原料冷却装置を得ること」という目的(明細書段落【0006】)を変更するものでないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(9)訂正事項9
訂正前の請求項1では、冷却部より前方の蒸煮室を、機函内を移動する通気性コンベアに積層原料を支持し、該原料の上部に蒸気噴出管を配管して蒸煮室を形成し、と特定していたのに対し、訂正後の請求項1では、冷却室の前方の蒸煮室側の構成として、前方の上記下方空室の底板を緩傾斜に傾斜させていることを特定することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、訂正事項9は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、前方の上記下方空室の底板を緩傾斜に傾斜させることについては、願書に添付した明細書の段落【0026】に記載されているから、訂正事項9は、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
請求人は、訂正事項9についても、訂正事項2と同様に、平成27年8月21日付の弁駁書(第2回目)及び同年11月2日付の回答書において、「蒸煮室」とは別の「下方空室」という新たな構成を追加した上で、訂正前の発明を限定することにより、訂正前の発明とは目的の全く異なる別の発明に変更されたものであり、特許請求の範囲の実質的変更に該当すると主張しているが、訂正事項9についても、「連続蒸煮原料冷却装置」の発明における発明特定事項を直列的に付加するものであり、そのカテゴリーや、対象、「原料を蒸煮後冷却の速い連続蒸煮原料冷却装置を得ること」という目的(明細書段落【0006】)を変更するものとはいえないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(10)訂正事項10
訂正前の請求項1では、冷却部の前方の蒸煮室側のドレン排水については言及していなかったのに対し、訂正後の請求項1では、蒸煮室側のドレン排水について、上記緩傾斜の下端を上記洗浄水配管の延長部に接続し、切換弁を介して上記緩傾斜のドレン管に接続することを特定することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、訂正事項10は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記緩傾斜の下端を上記洗浄水配管の延長部に接続し、切換弁を介して上記緩傾斜のドレン管に接続する構成については、願書に添付した明細書の段落【0026】に記載されているから、訂正事項10は、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
請求人は、訂正事項10についても、訂正事項2、9と同様に、平成27年8月21日付の弁駁書(第2回目)及び同年11月2日付の回答書において、「蒸煮室」とは別の「下方空室」という新たな構成を追加した上で、訂正前の発明を限定することにより、訂正前の発明とは目的の全く異なる別の発明に変更されたものであり、特許請求の範囲の実質的変更に該当すると主張しているが、訂正事項10についても、「連続蒸煮原料冷却装置」の発明における発明特定事項を直列的に付加するものであり、そのカテゴリーや、対象、「原料を蒸煮後冷却の速い連続蒸煮原料冷却装置を得ること」という目的(明細書段落【0006】)を変更するものとはいえないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(11)訂正事項11
訂正前の請求項1では、冷却部の前方の蒸煮室側のドレン排水については言及していなかったのに対し、訂正後の請求項1では、蒸煮室側のドレン排水について、上記切換弁を操作して上記下方空室の上記緩傾斜のドレンを排水し得るように構成したことを特定することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、訂正事項11は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、切換弁を操作して上記下方空室の上記緩傾斜のドレンを排水し得るように構成した点については、願書に添付した明細書の段落【0026】に記載されているから、訂正事項11は、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
請求人は、訂正事項11についても、訂正事項2、9、10と同様に、平成27年8月21日付の弁駁書(第2回目)及び同年11月2日付の回答書において、「蒸煮室」とは別の「下方空室」という新たな構成を追加した上で、訂正前の発明を限定することにより、訂正前の発明とは目的の全く異なる別の発明に変更されたものであり、特許請求の範囲の実質的変更に該当すると主張しているが、訂正事項11についても、「連続蒸煮原料冷却装置」の発明における発明特定事項を直列的に付加するものであり、そのカテゴリーや、対象、「原料を蒸煮後冷却の速い連続蒸煮原料冷却装置を得ること」という目的(明細書段落【0006】)を変更するものとはいえないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(12)訂正事項12?22
訂正事項12?22は、それぞれ上記訂正事項1?11に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るための訂正である。
よって、訂正事項12?22は、上記訂正事項1?11に伴い不明瞭となった記載の釈明を目的とするものであり、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でもない。

3.訂正請求に対する結論
以上のとおり、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、同法同条第9項で準用する同法第126条第5項及び6項に適合するものである。
よって、本件訂正を認める。

第3 本件発明
本件訂正により訂正された請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、以下のとおりである。
「機函内を移動する通気性コンベアの上側移行部上に積層原料を支持し、該原料の上部に蒸気噴出管を配管して蒸煮室を形成し、上記蒸煮室の下方に上記上側移行部の下方空室を形成し、
該蒸煮室の後方に冷却水噴出管を積層原料の上方に設け、該噴出管から噴出するミストを該原料に供給し、該ミストが積層蒸煮原料を上から下に通過するように構成し、かつ該冷却水噴出管の上部を大気に連通させて、上記ミストの噴出による冷却水の付着した上記積層原料に、上記上側移行部の下部の冷却水の集水部に設けた冷却空気排出用吸引ブロワにより、送風可能となし、上記集水部を経て余剰ミストを上記冷却空気排出用吸引ブロワを介して機外に排出し、該原料に付着した上記冷却水を気化させ、気化潜熱を大気に奪うように形成し、
上記集水部の下端を洗浄水配管に接続し、凝縮水を該洗浄水配管の後端から排水し、
前方の上記下方空室の底板を緩傾斜に傾斜させ、
上記緩傾斜の下端を上記洗浄水配管の延長部に接続し、切換弁を介して上記緩傾斜のドレン管に接続し、
上記切換弁を操作して上記下方空室の上記緩傾斜のドレンを排水し得るように構成した連続蒸煮原料冷却装置。」

第4 当事者の主張の概要
1.請求人の主張
請求人は、本件特許第4884938号の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明について特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、以下のように主張する。
(無効理由1-1)「切換弁を操作して上記下方空室の上記緩傾斜のドレンを排水し得るように」した構成の技術的意義が理解できないから、不明確であり、特許法第36条第6項第2号の要件を満たしていない。
(無効理由1-2)「上記緩傾斜の下端を上記洗浄水配管の延長部に接続し、切換弁を介して上記緩傾斜のドレン管に接続し、」における「上記緩傾斜のドレン管」が如何なる意味であるか不明であり、特許法第36条第6項第2号の要件を満たしていない。
(無効理由2)本件発明は、審決の予告で引用された甲第1号証、甲第3号証及び甲第7号証と、2回目の訂正に起因して追加した甲第8号証ないし甲第17号証(審決注:平成27年8月21日付の弁駁書(第2回目)の「第4 進歩性欠如(特許法第29条第2項) 1 概略」(8ページ)には、「・・・ないし甲第19号証」との記載があるが、同弁駁書及び平成27年11月2日付けの回答書において具体的に記載されているのは、甲第17号証までであるから、明らかな誤記と認める。)の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
そして、請求人が提出した証拠方法は、以下のとおりである。
甲第1号証:実願昭60-122039号(実開昭62-30600号)のマイクロフィルム
甲第2号証:実願昭56-120168号(実開昭58-24200号)のマイクロフィルム
甲第3号証:特開2000-154957号公報
甲第4号証:本件特許の審査時の平成23年6月20日付け手続補正書
甲第5号証:本件特許審査時の平成23年6月20日付け意見書
甲第6号証:本件特許審査時の平成23年4月19日(発送日)付け拒絶理由通知書
甲第7号証:特公昭39-24571号公報
甲第8号証:特開昭62-75196号公報
甲第9号証:特開平6-141972号公報
甲第10号証:特開昭56-68362号公報
甲第11号証:特開平3-47066号公報
甲第12号証:特開昭58-157416号公報
甲第13号証:実願昭52-032720号(実開昭53-126990号)のマイクロフィルム
甲第14号証:特開2006-274043号公報
甲第15号証:特開平6-96354号公報
甲第16号証:特開2003-151026号公報
甲第17号証:特開2006-304872号公報

2.被請求人の主張
被請求人は、本件無効審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、請求人の主張する無効理由及び証拠によっては、本件発明を無効にすることはできないと主張した。
そして、被請求人の提出した証拠方法は以下のとおりである。
乙第1号証:本件発明と甲第1号証、甲第2号証との対比表
乙第2号証:甲第1号証における第1図乃至第4図
乙第3号証:株式会社フジワラテクノアートの会社概要
乙第4号証:甲第1号証における第4図の拡大図
乙第5号証:甲第1号証における第3図乃至第5図
乙第6号証:本件発明に係る特許公報の図9の拡大図
乙第7号証:特開平7-317930号公報

第5 当審の判断
1.無効理由1-1について
請求人は、「切換弁を操作して上記下方空室の上記緩傾斜のドレンを排水し得るように」の技術的意義が理解できないから、不明確であると主張しているが、技術的意義が理解できるか否かにかかわらず、「切換弁を操作して上記下方空室の上記緩傾斜のドレンを排水し得るように」との記載は明確であり、該記載を発明特定事項として含む「連続蒸煮原料冷却装置」に係る発明も不明確とはいえない。
よって、特許法第36条第6項第2号の要件を満たしていない、とすることはできない。

2.無効理由1-2について
請求人は、「上記緩傾斜の下端を上記洗浄水配管の延長部に接続し、切換弁を介して上記緩傾斜のドレン管に接続し、」における「上記緩傾斜のドレン管」が如何なる意味であるか不明であると主張しているが、該記載を、本件発明の連続蒸煮原料冷却装置に関する発明の詳細な説明の記載、特に、図5と共に解釈すれば、「上記緩傾斜のドレン管」が、上記緩傾斜のドレンのための管」と解釈できることは明らかであり、如何なる意味であるかが不明であるとまではいえない。そして、該記載を発明特定事項として含む「連続蒸煮原料冷却装置」に係る発明も不明確とはいえない。
よって、特許法第36条第6項第2号の要件を満たしていない、とすることはできない。

3.無効理由2について
(1)甲各号証の記載事項(下線は、当審にて付与したものである。)
甲第1号証には、以下の事項が記載されている。
(1-a)「 1 複数の仕切板(1)により仕切られた複数の蒸煮室(2)を有する蒸煮装置(3)と空冷ダクトを有する冷却装置(4)とに連続して通過する1本のエンドレスコンベア(5)を設置したことを特徴とする連続甘藷蒸煮冷却装置。」(実用新案登録請求の範囲)
(1-b)「そのため、ここではエンドレスベルトにバーコンベアを採用し、第5図に示すように、バー(20)から上方へフィン(21)を突出させて勾配走行時に甘藷のずり落ちを防止する構造としている。」(4ページ14?18行)
(1-c)「複数の蒸煮室(2)内にはスチーム噴射ノズル(9)がそれぞれ設けられており、蒸煮室間をエンドレスコンベア(5)が後方へと移動しながら、その上部のさつま芋を蒸煮する。この時生じる凝縮水と装置の洗浄水を排水するために、コンベアの下方へ排水受(16)とそのダクトが設けられている。」(5ページ1?6行)
(1-d)「冷却装置(4)は空気冷却方式であって、前記エンドレスコンベア(5)をもう一方の端部スプロケット(10)で張架し、コンベア下方に複数の空気排出口(11)を設けて、これらを排風ダクト(12)で集中排気している。従って、冷却空気は上部開放の冷却装置(4)内でコンベア上のさつま芋の上方から下方へと通過して冷却する。この時滴下する水は第4図のように排水受(17)に受けられ排水口(18)から装置外へと排出される。」(5ページ7?15行)
(1-e)

(第1図)
(1-f)

(第3図)
(1-g)

(第4図)

(1-h)

(第5図)

甲第3号証には、以下の事項が記載されている。
(3-a)「青果を冷却する方法であって、チャンバ内に青果を連続的に搬入する工程と、搬入された青果に対して噴霧装置から水を噴霧する工程と、前記水を噴霧された青果に対して低温低湿の空気を供給する工程と、前記低温低湿の空気を供給された後の青果をチャンバ内から連続的に搬出する工程とを有することを特徴とする、青果の冷却方法。」(【請求項1】)
(3-b)「既述したように、冷却時間の短縮を意図するには空気の顕熱では限界があるので、今日では、例えば特開平8-285423号公報に開示されたような、水の蒸発潜熱を利用して被冷却物を急速に冷却する方法が提案されている。これは、被冷却物の表面にミスト状の水を噴霧し、その後乾燥した冷却空気を被冷却物に送って蒸発を促進させて急速に冷却するものである。」(【0007】)
(3-c)「・・・また水を噴霧するとは、水のミストを吹き付けて青果に付着させることである。・・・搬入された青果に対して次々と水を噴霧し、また水が噴霧された青果に対して低温低湿の空気を供給すると、噴霧された水の粒子は青果の表面やその近傍で蒸発し、その際青果から蒸発潜熱を奪う。それによって青果は急速に冷却される。・・・」(【0011】)
(3-d)「・・・なお蒸発しなかったミストは、予冷庫2の底部に落ちドレン管13から排出される。」(【0030】)

甲第7号証には、以下の事項が記載されている。
(7-a)「1 醸造用蒸米を通風により放冷するに当り、蒸米の放冷の途中において、これに霧状の水滴を供給し、蒸米の表面に微細な水滴を覆うように付着させ、これを通風によつて蒸発させて冷却効果を高めるとともに任意の乾燥度の蒸米を得ることを特徴とする醸造用蒸米の放冷方法。」(特許請求の範囲)
(7-b)「こしきで蒸された蒸米を図に示す放冷機の上方の網1の水平部の上に載せ、ここで蒸米の塊りを解きほぐしながら順次左方に送り、攪砕機2,2の回転によってさらに細かく塊りを砕きながら網1の斜面部を自重によって自然落下させ、左端の取出口3から取り出すものとする。その間において蒸米は排風機4の運転により矢印のような通風作用を受けて冷却され、取出口3に至るまでに予定の温度に冷却されて、蒸米はそのまま発酵タンクへ運ばれ、順次流れ作業的に仕込まれるものである。」(1ページ左欄、発明の詳細な説明の5?13行)
(7-c)「本発明においてはこの放冷の間に、放冷機の上方に網1に向かって設けた、網1の全幅に亙り開口する噴霧口5から霧状の水滴を蒸米に供給して、微細な水滴によって米粒の表面を覆うように付着させ、以後取出口3に至るまでの間において、この蒸米はさらに網1上で通風を受けることにより、蒸米の表面に付着した水滴は蒸発され、従って通風により過度に蒸米が乾燥するのを防止する一方、水分の蒸発によって蒸米に冷却効果を高めることができる。」(1ページ左欄、発明の詳細な説明の14?21行)
(7-d)「本発明においては以上説明の如く蒸米の米粒表面に直接微細な水滴を付着させ、これに通風してその水滴を蒸発さも、その気化のための潜熱によつて直接蒸米を冷却するので、必要に応じて水滴の供給量と、排風機の排風量を適宜調節することにより、冷却される蒸米の乾燥度を任意に簡単容易に調節できるのみならず、蒸米の冷却温度も極めて簡単な操作で随意に調節することができるものである。」(1ページ左欄最終行?右欄6行)
(7-e)

(図)

甲第8号証には、以下の事項が記載されている。
(8-a)「本発明は蒸気設備におけるドレンの排除方法に関するものである。
従来、蒸気を熱源として用いる加熱器或は該加熱器用の蒸気配管等の蒸気設備からドレンを排除するに際しては、所望位置に公知のスチームトラップを設け、排除管を介して排水溝等へ自動的に排除する方法が採られている。
前記スチームトラップの作動原理は、・・・に大別できるが、いずれも比較的小型で而も安価であるから、極めて汎用性に優れ、また基本原理的には蒸気漏れが殆ど生じない構造であるから、特に短期的には所望通りの効果を奏する。」(1ページ右下欄2行?下から3行)

甲第9号証には、以下の事項が記載されている。
(9-a)「本発明は、被蒸煮物、例えば納豆、味付け煮豆、米穀、その他穀物類の蒸煮に適用する横型の回分式(バッチ式)蒸煮缶に関するものである」(【0001】)
(9-b)「上記熱処理時、被蒸煮物から発生する煮汁、及び飽和蒸気のドレンを煮汁及びドレン排出管16から煮汁濾過フィルター17へ送り、ここで煮汁を濾過し、濾過後の煮汁を電動蒸気抜弁(缶内圧力を徐々に下げる場合に動作する電動弁)18、スチームトラップ(缶内圧力上昇時に発生する煮汁と飽和蒸気のドレンとを排出する場合に動作するスチームトラップ)19、第3の管路に設けたバイパス弁(通常のバイパス弁)20の何れかを経て排出する。」(【0016】)
(9-c)「缶内洗浄を行うときには、自動圧力プログラムコントローラ12に予め設定している洗浄パターンを選択して、洗浄水用電磁弁23を開き、高圧水ポンプ25を作動し、洗浄水タンク24内の洗浄水を高圧水ポンプ25→洗浄水用電磁弁23→洗浄水配管26→圧力缶1内に分散配置した各高圧洗浄水噴霧ノズル28から圧力缶1内へ噴射して、圧力缶1内の各部を洗浄する。」(【0018】)
(9-d)

(図1)

甲第10号証には、以下の事項が記載されている。
(10-a)「本発明は、果物、魚類等の食品を蒸気熱処理するヒーラ-やエキゾーストボツクス等の両端開放型スチームトンネルの使用に当り、蒸気使用量の最適な自動熱管理制御を体系的に行う省エネルギー(以下省エネと略す)法およびその実施に直接使用する装置に関する。」(2ページ右上欄7?12行)
(10-b)「本発明装置Aは、支脚1により下支され天井頂部長手方向所要箇所に外部から目視確認可能な温度計2および大気と連通自在な空気排出ダクト3を設けた保温材製トンネルカバー4と底面に設けた右傾斜の傾斜排水槽5とからなり、両側壁に扉6を開閉自在に取付けた両端開放型スチームトンネルB内の全長に亘り水平貫通し処理対象物を定速搬送するネツトコンベヤ又はスラツトコンベヤCを無端張架し、」(6ページ左下欄11?19行)

甲第11号証には、以下の事項が記載されている。
(11-a)「1.発明の名称 醸造原料米の蒸きょう(当審注:「きょう」はしょくへんに強の文字を表す。以下同じ。)装置」(1ページ左下欄2?3行)
(11-b)

(第1図)
(11-c)
「9は洗滌水、ドレン水等の排水バルブ、・・・である。」(3ページ左上欄3?6行)

甲第12号証には、以下の事項が記載されている。
(12-a)「1.発明の名称 全自動型芋蒸し器」(1ページ左下欄2?3行)
(12-b)

(第3図)
(12-c)「器体1の漏斗型の底面板36の中央位置にドレン管37を連通すると共にドレン管37にT型状に排蒸気管38を連通し、ドレン管37にドレンバルブ39、ストレーナ40を連通すると共に排蒸気管38に排気バルブ41を連通させ、」(3ページ右上欄下から3行?左下欄2行)
(12-d)「そして最後に給水管30より上下受皿機構や器体内へ水を噴射して洗浄しなからドレン管37より排水して洗浄を終了し、再び芋蒸し作動のために待機するものである。」(4ページ左下欄7?10行)

甲第13号証には、以下の事項が記載されている。
(13-a)「この考案は穀類蒸し器に関し、目的とするところは、密閉ボツクス内へ均等に蒸気を分散させることによって、穀類を平均的に蒸せるようにすると共に極めてコンパクトで耐久性に優れた穀類蒸し器を提供することにある。」(1ページ下から6?2行)
(13-b)

(第1図)
(13-c)「その底2を上戸形とし、その最低部にドレーン抜き3が取付き、且つ上端開口部は、蓋4で密閉されている。」(2ページ下から3行?3ページ1行)

甲第14号証には、以下の事項が記載されている。
(14-a)「本発明は・・・軽油代替燃料の製造方法と、そのための装置に関する。」(【0001】)
(14-b)「(29)は同じく回収液排出路(27)の下端交叉部に介挿設置された空気圧式の自動方向切換弁(ボールバルブ)であり、これによって回収液排出路(27)の後方に向かう粗製グリセリン排出口(30)と、前方に向かう中和液や洗浄水の排出口(31)とを切り換え使用するようになっている。」(【0062】)

甲第15号証には、以下の事項が記載されている。
(15-a)「本発明は、カップ式飲料自動販売機に搭載したレギュラーコーヒー製造装置に関する。」(【0001】)
(15-b)「・・・そして、レギュラーコーヒーの販売時にシリンダ3aの壁温が基準温度以下に冷えている場合には、正規の原料の投入,抽出工程に先立って、制御部12からの指令により、まず切換弁10をドレンパイプライン9側に切換え(切換弁ON)た上で、温水タンク4から湯をシリンダ3aに投入してブリューア3を予熱するとともに、その予熱湯をドレンパイプライン9を通じて排水容器8に排水し、しかる後に切換弁10をOFFにして飲料供給パイプライン側に戻した上で、次のコーヒー抽出工程に移行する。・・・」(【0014】)

甲第16号証には、以下の事項が記載されている。
(16-a)「本発明は、販売飲料に添加する氷を製造する製氷機として、機内にマンドレル式製氷機として知られているバッチ方式の製氷機を搭載したカップ式自動販売機を対象に、前記製氷機の運転に伴って発生した製氷残水を機内で処理する製氷残水処理装置に関する。(【0001】)
(16-b)「また、残水タンク13から下方に排水管14を引出して排水バケツ8,および新たに追加装備した蒸発皿15との間に配管し、さらに排水管14には開閉弁(二方電磁弁)16,および排水切換弁(三方電磁弁)17を接続し、後記するように残水タンク13からドレン水として排出する残水の排水経路を蒸発皿15,排水バケツ8のいずれかに切換えるようにしている。ここで、蒸発皿15には水位検出器22(フロート22aとマイクロスイッチを組合せたフロート式スイッチ)を付設し、後記のように蒸発皿15の水位があらかじめ設定した上限水位に上昇した際にフロート式スイッチから信号を制御部23に出力し、これを基に排水切換弁17を蒸発皿から排水バケツ側に切り換えるようにしている。」(【0018】)

甲第17号証には、以下の事項が記載されている。
(17-a)「本発明は、例えば浴室等において、その室内空間に対し加熱された湯水をミストにして噴霧することによりサウナ感を得るために用いられるミスト発生装置及びこのミスト発生装置を備えた浴室乾燥機に関する。」(【0001】)
(17-b)「・・・上記の給湯配管61が給湯電磁弁611及び給湯流検知手段としての給湯流量センサ612を介して接続される一方、給水配管63も給水電磁弁631を介して接続されている。・・・」(【0034】)
(17-c)「上記の給湯電磁弁611及び給水電磁弁631がその開閉切換により液・液熱交換器31に供給するミスト用水として給湯か給水かの供給切換えを行うミスト用水切換手段を構成し、・・・」(【0036】)
(17-d)「 又、上記各実施形態では給湯電磁弁611と給水電磁弁631との組み合わせによりミスト用水切換手段を構成しているが、これに限らず、例えば給湯配管と給水配管との合流部に配設した三方切換弁等によりミスト用水切換手段を構成してもよい。」(【0074】)

(2)本件発明と甲1発明との対比
上記記載事項(1-e)によれば、スチーム噴射ノズルは、さつま芋の上部に配管されており、冷却装置は、蒸煮室の後方に設けられているものと認められる。
したがって、上記記載事項(1-a)?(1-g)より、甲第1号証には以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。
「蒸煮装置内を移動するバーコンベア上にさつま芋を支持し、さつま芋の上部にスチーム噴射ノズルを配管して、蒸煮室を形成し、蒸煮室の後方に冷却装置を設け、冷却装置は上部開放とし、コンベア下方に設けた空気排出口から排風ダクトで集中排気することによりさつま芋の上方から下方に冷却空気を通過させ、さつま芋を冷却するようにしたものであり、冷却装置において滴下する水は、コンベア下部の排水受に受けられ排水口から装置外へ排出されるようにし、蒸煮室で生じる凝縮水と洗浄水はコンベアの下方の排水受とそのダクトにより排水されるようにした連続甘藷蒸煮冷却装置。」

甲1発明の「蒸煮装置内」は、本件発明の「機函内」に相当し、甲1発明の「スチーム噴射ノズル」は、本件発明の「蒸気噴出管」に相当する。
また、さつま芋を支持するのがコンベアの上側移行部上であることは、装置の構造上自明であるし、上記記載事項(1-e)及び(1-g)によれば、「蒸煮室の下方に上記上側移行部の下方空室を形成し」たものであることも明らかである。
さらに、甲1発明の「バーコンベア」は、上記記載事項(1-h)によれば、バーとバーの間に隙間があるものと認められるし、上記記載事項(1-d)によれば、甲1発明は、「コンベア下方に設けた空気排出口から排風ダクトで集中排気することによりさつま芋の上方から下方に冷却空気を通過させ」るものと認められるから、甲1発明の「バーコンベア」は、「通気性コンベア」であるといえる。
また、本件発明における「送風」は、積層原料を支持する通気性コンベアの上側移行部の下部に設けられた冷却空気排出用吸引ブロワによるものであるから、原料の上方から下方への送風であるという点で、甲1発明と一致しているといえる。
また、本件発明は、冷却水噴出管が積層原料の上方に設けられた冷却部において、冷却水噴出管の上部を大気に連通させるものであるから、冷却装置が上部開放である甲1発明とは、冷却部が大気に連通しているものであるという点で一致している。
さらに、甲1発明における「冷却装置において滴下する水」は、本件発明における「凝縮水」に相当し、冷却装置における「排水受」は、そこで受けられた水が排水口から装置外へ排出されるようにしたものであるから、排水口にむけて「集水」するものと認められ、本件発明における「集水部」に相当する。
加えて、甲1発明における「蒸煮室で生じる凝縮水」は、本件発明における「ドレン」に相当し、甲1発明における蒸煮室の「コンベア下方の排水受」は、上記記載事項(1-f)によれば、本件発明における「上記下方空室の底板を緩傾斜に傾斜させ」たものに相当する。そして、上記記載事項(1-f)によれば、甲1発明は、「コンベア下方の排水受」の下端を「ダクト」に接続したものであるから、「上記緩傾斜」の下端をドレンと洗浄水の排水のための管に接続したものであるという点で本件発明と一致している。
以上より、本件発明と甲1発明とを対比すると、両者は、
「機函内を移動する通気性コンベアの上側移行部上に原料を支持し、該原料の上部に蒸気噴出管を配管して蒸煮室を形成し、該蒸煮室の後方に、原料の上方から下方へ送風可能とされ、大気に連通させて原料を冷却するようにした冷却部を設け、上記上側移行部の下部の集水部の下端から凝縮水を排水し、前方の上記下方空室の底板を緩傾斜に傾斜させ、上記緩傾斜の下端をドレンと洗浄水の排水のための管に接続し、上記緩傾斜のドレンを排水し得るように構成した連続蒸煮原料冷却装置。」である点で一致し、以下の3点で相違している。

(相違点1)原料が、本件発明は、「積層原料」であることが特定されているのに対し、甲1発明は、原料であるさつま芋が「積層」されていることが特定されていない点。
(相違点2)冷却部が、本件発明は、ミストを原料に付着させ、それに原料の上方から下方へ送風し、その気化潜熱を奪うことにより冷却するものであり、具体的には、「冷却水噴出管を積層原料の上方に設け、該噴出管から噴出するミストを該原料に供給し、該ミストが積層蒸煮原料を上から下に通過するように構成し、かつ該冷却水噴出管の上部を大気に連通させて、上記ミストの噴出による冷却水の付着した上記積層原料に、上記上側移行部の下部の冷却水の集水部に設けた冷却空気排出吸引ブロワにより、送風可能となし、上記集水部を経て余剰ミストを上記冷却空気排出用吸引ブロワを介して機外に排出し、該原料に付着した上記冷却水を気化させ、気化潜熱を大気に奪うように形成し」たものであるのに対し、甲1発明は、「コンベア下方に設けられた空気排出口から排風ダクトで集中排気することにより原料の上方から下方に冷却空気を通過」することのみにより形成したものである点。
(相違点3)
冷却部における凝縮水、蒸煮室におけるドレン、及び、洗浄水の排水のための構造として、本件発明は、集水部の下端を洗浄水配管に接続し、凝縮水を該洗浄水配管の後端から排水し、さらに、緩傾斜の下端を上記洗浄水配管の延長部に接続し、切換弁を介して上記緩傾斜のドレン管に接続し、上記切換弁を操作して上記下方空室の上記緩傾斜のドレンを排水し得るように構成したものであるのに対し、甲1発明は、凝縮水を排水口から排水すること、及び、ドレンと洗浄水とを管から排水することが特定されているのみである点。

(3)相違点についての検討
相違点1について検討する。
コンベア上に載置した原料を連続的に処理する装置において、より効率よく原料を処理するために原料を積層することは、当業者の常套手段に過ぎない。
したがって、甲1発明において、処理する原料を積層するよう構成することは当業者が容易に想到し得ることである。

次に、相違点2について検討する。
上記記載事項(3-a)?(3-c)、(7-a)?(7-d)によれば、食品を効率よく冷却する方法において、ミストを噴霧し、それに対して通風してその気化潜熱を奪うことにより冷却するという方法は、当業者に周知の手法であったと認められる。しかも、上記記載事項(7-a)?(7-d)によれば、蒸した醸造原料を冷却する方法に関するものであるという点で、甲1発明と共通の技術分野に属するものと認められる甲第7号証において、霧状の水滴を噴霧する、すなわち、ミストを原料に付着させ、それに対して排風機により原料の上から下に通風してその気化潜熱を奪い、効率よく冷却を行う方法が記載されているのであるから、甲1発明において、さらに効率よく冷却を行うために、単にさつま芋に対して上方から下方に冷却空気を通過するだけでなく、ミストをさつま芋に付着させ、それに対して冷却空気を通過することにより、さつま芋に付着した水を気化させ、気化潜熱を奪うよう形成することは、当業者が容易に着想することである。
次に、このような着想を具体化するための手段について検討する。
ミストをさつま芋に付着するために、ミスト噴出管をさつま芋の上方に設けることは当業者の設計事項に過ぎない。
また、高温の蒸されたさつま芋を自然冷却すれば、通常、空気の流れは、下から上へ向かうものとなるところ、甲1発明のように排風ダクトで集中排気することにより、上方から下方に冷却空気を通過させるためには、コンベア下部の排水受、すなわち、集水部から、空気排出口、排風ダクトへと続く排風経路に冷却空気排出用吸引ブロワを設ける必要があることは自明である。そして、冷却空気排出用吸引ブロワを、集水部から排風ダクトへの排風経路のうち、集水部に設けるものとすることも設計事項に過ぎない。
さらに、上記記載事項(7-d)には、ミストの供給量と、排風機の排風量を適宜調節することにより、蒸米の冷却温度を調節できることも記載されているので、蒸煮原料が積層されているのであれば、よりミストの供給量や冷却空気排出用吸引ブロワの排風量を増やすなどして、ミストが積層蒸煮原料を上から下に通過するよう構成することは当業者が当然に行うことであり、余剰のミストが冷却空気排出用吸引ブロワを介して機外に排出されることも自明である。
以上のことから、甲1発明の冷却装置において、コンベア下方に設けられた空気排出口から排風ダクトで集中排気することにより、原料の上方から下方に冷却空気を通過するだけでなく、原料の冷却効率をより向上させるために、ミストを原料に付着させ、それに対して冷却空気を通過することにより、原料に付着した水を気化させ、気化潜熱を奪うようにするための具体的態様として、「冷却水噴出管を積層原料の上方に設け、該噴出管から噴出するミストを該原料に供給し、該ミストが積層蒸煮原料を上から下に通過するように構成し、かつ該冷却水噴出管の上部を大気に連通させて、上記ミストの噴出による冷却水の付着した上記積層原料に、上記上側移行部の下部の冷却水の集水部に設けた冷却空気排出吸引ブロワにより、送風可能となし、上記集水部を経て余剰ミストを上記冷却空気排出用吸引ブロワを介して機外に排出し、該原料に付着した上記冷却水を気化させ、気化潜熱を大気に奪うように形成した」ものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

最後に、相違点3について検討する。
上記記載事項(9-a)?(9-d)には、蒸煮装置において、煮汁及びドレンを排出するための管と、洗浄水を排水するための管を、装置の下部に独立して設けることが記載されており、上記記載事項(1-c)、(1-f)、(11-a)?(11-c)、(12-a)?(12-d)には、蒸煮装置において、ドレンと洗浄水を一本の配管で排水することが記載されている。
また、上記記載事項(3-d)には、ミストを用いた冷却装置における余剰ミストの凝縮水を排水するための配管を装置の下部に設けることが記載されている。
しかしながら、蒸煮室と冷却部とを含む連続蒸煮冷却装置において、冷却部においては、洗浄水と凝縮水を共通の洗浄水配管から排水するのに対し、蒸煮室においては、洗浄水配管とは別にドレンを排水するためのドレン管を設けることは、上記記載事項(9-a)?(9-d)、(1-c)、(1-f)、(11-a)?(11-c)、(12-a)?(12-d)の他、上記記載事項(10-a)?(10-b)、(13-a)?(13-c)に基づいても、当業者が容易に想到し得るとはいえない。
さらに、上記記載事項(14-a)?(14-b)、(15-a)?(15-b)、(16-a)?(16-b)、(17-a)?(17-d)における技術は、いずれも、甲1発明とは大きく異なる技術分野に関するものではあるが、これらから、流体の流れる経路の切換に切換弁を用いることが常套手段であって、上記記載事項(8-a)、(9-b)、(13-a)、(13-c)等から、蒸煮装置において蒸気ロスを防止することが周知の課題であるとしても、冷却部においては、洗浄水と凝縮水を共通の洗浄水配管から排水するのに対し、蒸煮室においては、洗浄水配管とは別にドレンを排水するためのドレン管を設けた連続蒸煮冷却装置の具体的構成として、集水部の下端を洗浄水配管に接続し、凝縮水を該洗浄水配管の後端から排水し、さらに、緩傾斜の下端を上記洗浄水配管の延長部に接続し、切換弁を介して上記緩傾斜のドレン管に接続し、上記切換弁を操作して上記下方空室の上記緩傾斜のドレンを排水し得るように構成したものとすることまでもが、当業者が容易に想到し得ることであるとは到底いえない。

(4)まとめ
したがって、本件発明は、甲第1号証、甲第3号証及び甲第7号証ないし甲第17号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、請求人の主張するいずれの無効理由にも理由がない。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
連続蒸煮原料冷却装置
【技術分野】
【0001】
本発明は甘藷等の焼酎醸造用原料を常法により連続的に蒸煮し、引続いてこれを冷却する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、機函内に蒸煮室及び冷却室を調圧室から流下するエアカーテンによって区画し、1個の通気性可動床によって始端部から終端部に間歇移動し、終端開口部から蒸煮冷却された原料甘藷粒子を機外に排出し、連続蒸煮処理する装置が開発された(例えば特許文献1)。
【0003】
上記蒸煮室では積層された原料を通過した余蒸気はブロワにより下部の排出路からドレンを経て機外に排出され、
【0004】
その後天井側に別に設けた冷風管から噴出する冷気によって該α化甘藷粒子を適温に冷却した。
【0005】
従って蒸気室では、蒸煮開始部附近では冷凍原料の温度が低いため蒸気は熱水となって機外に排出されるが解凍完了部附近では蒸気のまま機外に排出されるためバッチ式の蒸煮装置と比較して多量の蒸気ロスが発生した。
【0006】
又冷却部では送風又は吸引による空冷であったため外気温度の高い夏場や焼酎仕込みにおける低温発酵が求められる場合等では蒸煮原料の冷却に時間が掛っていた。
【0007】
【特許文献1】特開2006-174986号(段落「0016」第5?6行目、図6(ロ)図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は甘藷等の原料を蒸煮後冷却の速い連続蒸煮原料冷却装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため本発明は
機函内を移動する通気性コンベアの上側移行部上に積層原料を支持し、該原料の上部に蒸気噴出管を配管して蒸煮室を形成し、上記蒸煮室の下方に上記上側移行部の下方空室を形成し、該蒸煮室の後方に冷却水噴出管を積層原料の上方に設け、該噴出管から噴出するミストを該原料に供給し、該ミストが積層蒸煮原料を上から下に通過するように構成し、かつ該冷却水噴出管の上部を大気に連通させて、上記ミストの噴出による冷却水の付着した上記積層原料に、上記上側移行部の下部の冷却水の集水部に設けた冷却空気排出用吸引ブロワにより、送風可能となし、上記集水部を経て余剰ミストを上記冷却空気排出用吸引ブロワを介して機外に排出し、該原料に付着した上記冷却水を気化させ、気化潜熱を大気に奪うように形成し、上記集水部の下端を洗浄水配管に接続し、凝縮水を該洗浄水配管の後端から排水し、前方の上記下方空室の底板を緩傾斜に傾斜させ、上記緩傾斜の下端を上記洗浄水配管の延長部に接続し、切換弁を介して上記緩傾斜のドレン管に接続し、上記切換弁を操作して上記下方空室の上記緩傾斜のドレンを排水し得るように構成した連続蒸煮原料冷却装置、
によって構成される。
【0010】
従って、通気性コンベアの上側移行部上の積層原料(甘藷粒子)が蒸煮室を通過した後、後部にある冷却部では冷却水噴出部から噴出するミスト又はシャワーが積層蒸煮原料を上から下に通過し、附着水は蒸発気化し、気化潜熱が大気に奪われるから上記積層原料は短時間に冷却する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上述のように構成したので
蒸煮室で蒸煮された積層原料が冷却部で気化潜熱が奪われて、外気温度の高い夏場や焼酎仕込みにおける低温発酵が求められる場合でも短時間で冷却を行うことのできる連続蒸煮原料の冷却装置が得られる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
床面19に機枠1を介して前後方向に長い水平機函2を設ける。
【0013】
該機函2の中程水準には長手方向に水平レール3,3を設け、該レール3,3上には通気性コンベア4の前後端スプロケット20,20間のレール3,3上を摺動する上側移行部4’を支持する。このコンベア4は上記レール3,3上を摺動する無端チェン3’,3’に相互間隙tを介して架設したプレート4”によって形成される(図7?図8)。
【0014】
機函2の直立前端板2’の内側には上記上側移行部4’の前端部上方に原料投入口17を開口し、その内部隔壁5(第1隔壁)に往復回動直立軸18’を枢支し、該軸18’の下端に往復水平回動腕18”を設けて供給冷凍原料の上面均し機18を形成する(図3にその状態を示す)。
【0015】
上記内部隔壁5(第1隔壁)及び上記水平回動腕18”の下端は均された積層原料10の上面10’に近接し、同一水準に下端を揃えた複数(13個)の隔壁5,5,5・・・を機函2の内側壁2a,2a間に上記前後方向と直角に設ける。
【0016】
上記内部隔壁5(第1間隔)と第2隔壁5との間にエア吸引室9を設け、最終隔壁5(第13隔壁)とその前の第12隔壁5との間に空室9aを形成し、前部のエア吸引室9に大気への吸引ブロワ9’(図2)を接続し、後部の空室9aの上端を密閉し、該空室9aの両側空間9c,9cを上側移行部4’の下方空室12に連通させる。
【0017】
又上記第2隔壁5と第3隔壁5との間及び後部の第12隔壁5と第11隔壁5との間に前後のエア押込み室即ち調圧室8,8を形成し、該調圧室8,8のそれぞれ上端開口部8’,8’を上方に突出し、該開口部8’,8’にそれぞれ調圧用押込ブロア8”を接続し、該室8,8内の空気を下向に押込む。
【0018】
このようにした調圧室8,8の下端開口部に対応する位置に空気排出函8a,8aを設け、上記調圧室8,8内の空気を積層原料10を通過して機函2の両外側に上記排出函8a,8aの両端開口部8b,8bから排出し、積層原料10内にエアカーテンを形成することができ、後部のエアカーテンの一部エアを上記空室9aから両側空間9c,9cを経て下方空室12に吸引することができる(図6)。
【0019】
前後の上記調圧室8,8の中間には7個の隔壁5を等間隔に設けてこれらの隔壁5,5・・・によって8個の蒸煮室7,7・・・を形成し、各蒸煮室7,7・・・内には蒸気噴出管6をそれぞれ配管し、各蒸煮室7,7・・・にそれぞれ蒸気を供給する。
【0020】
前部の上記エア吸引室9は後部の調圧室8と上記上側移行部4’の下方空室12で連通させる。
【0021】
従って前部のエア吸引室9の上記大気への吸引ブロワ9’(図2)から空気を吸引し、上記下方空室12内を負圧となして各蒸煮室7,7・・・から積層原料10を通過して下方空室12内に入った余蒸気を前部のエア吸引室9内に強制移行させ上記吸引ブロワ9’(図2)によって大気に排出することができる。
【0022】
そして上記隔壁5,5・・・(第1?第13隔壁)の下縁にそれぞれ上記コンベア4の上側移行部4’上に供給された積層原料10の上面10’に圧接する合成ゴム等による弾性板11を設け、圧接によって8個の蒸気蒸煮室7,7・・・を互に独立させ、
【0023】
それによって、噴出蒸気を積層原料10を通過してそれぞれ下方空室12内に進入させることができる。
【0024】
ところで後方の第13隔壁5の後方では機函2の天井部を除去して大気に連通させ、積層原料10の上方の冷却水噴出管14を設け、冷却水14’を噴出させて冷却部13を形成する。
【0025】
上記冷却部13における上記上側移行部4’の下部には冷却水の集水部15を5個並設し、これらの集水部15,15・・・のそれぞれ側面に気化潜熱による冷却空気排出用吸引ブロワ15”を設け、該集水部15を経て余剰ミストを機外に排出し、これらの集水部15,15・・・の下端を洗浄水配管21に接続し、凝縮水を該配管21の後端から排出する。
【0026】
又前方の下方空室12の底板を緩傾斜15’に傾斜させ、緩傾斜15’,15’の下端を上記洗浄水配管21の延長部に接続し、切換弁22を介して緩傾斜15’のドレン管23に接続し、切換弁22を操作して上記緩傾斜15’のドレンを排水することができる。
【0027】
尚図中24は原料均し装置18の駆動用電動機、25は原料排出口、26は通気性コンベア4の駆動用原動機、27は冷却部13の上部被覆金網である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は焼酎原料の甘藷を連続的に蒸煮してα化し、引続いて効率よく冷却して5?6m/mに粉砕、加水して仕込み原料となし、引続いてポンプ輸送により醗酵仕込みタンク内に連続投入し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の連続蒸煮原料冷却装置を示す側面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の縦断側面図である。
【図4】図3A-A線による縦断背面図である。
【図5】図3C-C線による縦断背面図である。
【図6】図3B-B線による縦断背面図である。
【図7】通気性コンベアの上側移行部の一部斜視図である。
【図8】上記コンベアの一部側面図である。
【図9】図3D-D線による縦断背面図である。
【図10】図1の正面図である。
【図11】図1の背面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 機枠
2 機函
3 水平レール
4 通気性コンベア
4’ 上側移行部
5 隔壁
6 蒸気噴出管
7 蒸煮室
8 調圧室
9 エア吸引室
10 積層原料
10’ 上面
11 弾性板
12 下方空室
13 冷却部
14 冷却水噴出管
14’ 冷却水
15 集水部
15’ 緩傾斜
16,16’ 連管
17 原料投入口
18 原料均し装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機函内を移動する通気性コンベアの上側移行部上に積層原料を支持し、該原料の上部に蒸気噴出管を配管して蒸煮室を形成し、上記蒸煮室の下方に上記上側移行部の下方空室を形成し、
該蒸煮室の後方に冷却水噴出管を積層原料の上方に設け、該噴出管から噴出するミストを該原料に供給し、該ミストが積層蒸煮原料を上から下に通過するように構成し、かつ該冷却水噴出管の上部を大気に連通させて、上記ミストの噴出による冷却水の付着した上記積層原料に、上記上側移行部の下部の冷却水の集水部に設けた冷却空気排出用吸引ブロワにより、送風可能となし、上記集水部を経て余剰ミストを上記冷却空気排出用吸引ブロワを介して機外に排出し、該原料に付着した上記冷却水を気化させ、気化潜熱を大気に奪うように形成し、
上記集水部の下端を洗浄水配管に接続し、凝縮水を該洗浄水配管の後端から排水し、
前方の上記下方空室の底板を緩傾斜に傾斜させ、
上記緩傾斜の下端を上記洗浄水配管の延長部に接続し、切換弁を介して上記緩傾斜のドレン管に接続し、
上記切換弁を操作して上記下方空室の上記緩傾斜のドレンを排水し得るように構成した連続蒸煮原料冷却装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2015-11-24 
結審通知日 2015-11-26 
審決日 2015-12-15 
出願番号 特願2006-319529(P2006-319529)
審決分類 P 1 113・ 537- YAA (A47J)
P 1 113・ 121- YAA (A47J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 正浩  
特許庁審判長 郡山 順
特許庁審判官 飯室 里美
田村 明照
登録日 2011-12-16 
登録番号 特許第4884938号(P4884938)
発明の名称 連続蒸煮原料冷却装置  
代理人 森 寿夫  
代理人 森 廣三郎  
代理人 藤井 重男  
代理人 木村 厚  
代理人 藤井 重男  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ