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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 G21F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 G21F
管理番号 1311065
審判番号 不服2014-9169  
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-04-28 
確定日 2016-02-08 
事件の表示 特願2013-135522「放射線の収束方法と放射線収束物による電流の増幅方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 1月30日出願公開、特開2014- 16345〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成25年6月12日(特許法第41条に基づく優先権主張 平成24年6月13日)に特許出願したものであって、平成25年8月7日付けで拒絶理由が通知され、同年10月7日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、平成26年1月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月28日に拒絶査定不服審判請求がなされるとともに、同時に手続補正がなされたものである(なお、前記平成26年4月28日になされた手続補正は、同年6月9日付けの手続補正指令書(方式) に基づいて、同年7月7日に特許請求の範囲の全文を単位とした補正がなされた。)

2 平成25年8月7日付け拒絶理由通知の概要
平成25年8月7日付け拒絶理由通知の概要は、以下のとおりである。
「この出願は、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号及び第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

請求項1-5,明細書等について
(1)請求項1-4に係る発明は、「放射線の収束方法」に関するものであり、請求項1-4に係る発明の「収束」は、明細書を参酌すると、「収束」を半導体ナノ結晶粒子(コロイド)に、β線により帯電させ、α線をクーロン核力(この用語の妥当性については後述する。)により吸引させ、中性子を核力により捕獲させることを意味すると考えるが、このような意味は、本来の「収束」にはない。すなわち、「放射線の収束」とは、当業者の常識では、機械的、静電的あるいは磁場的に放射線をコヒーレントなものにすることをいう。したがって、請求項1-4の「放射線の収束」は、当業者がその技術的意味を把握できない明りょうでない記載事項である。
また、請求項3,5の「放射線収束物」の「収束」も上述の理由により明りょうでない記載事項である。
(2)請求項1には、放射線の収束方法について記載されているが、半導体ナノ結晶粒子(コロイド)によって、どうして、α線,β線,γ線,中性子線が帯電、吸引、捕獲されるのか明りょうでない。
すなわち、γ線については、明細書中に半導体ナノ結晶粒子(コロイド)にどのようにして「収束」されるのか記載されていない。
また、α線,β線,中性子については、明細書に一応「収束」について説明がなされているが、半導体ナノ結晶粒子における凝集・帯電現象は、プラズマ中における現象であり、プラズマ発生条件もせいぜい大気圧程度の圧力下に過ぎず、請求項1-5における重水や体液(血液やリンパ液など)のような高密度環境において、ダストプラズマのような凝集・帯電現象が起きるとは技術常識からして認めることはできない。
つまり、化学気相成長が生じるようなせいぜい大気圧条件下においては、ナノ結晶粒子とナノ結晶粒子との間には原料ガスやプラズマ生成ガスが存在するだけであり、電子がナノ結晶粒子に付着する過程においては、他のガス原子・分子あるいはクラスタに衝突する確率は低く、電子がナノ結晶粒子に付着する確率は一定程度あるものと認められるが、重水などが存在する場合は、1MeV程度の電子の場合、その飛程が4mm程度と空気中に比べて格段に小さく、果たして、β線が水中のナノ結晶粒子に衝突付着することができるのか、また、負電荷の塊に成長するのか疑問である。ましてや、α線は空気中での飛程が30mm程度であり、水中ではほとんど進むことはできず、α線やβ線については、収束するために半導体ナノ結晶粒子(コロイド)にたどり着くことすらできないのではないかとの疑問がある。なお、体液中のα粒子の飛程は約10μm,7Liの飛程が約5μmと知られている。
次に、γ線や中性子であるが、重水中のその飛程は相対的に大きいが(体液中では、中性子については相対的に飛程は短い。)、γ線をどのようにして「収束」するのか、明細書には記載も示唆もない。
そして、仮に、中性子が半導体ナノ結晶粒子(コロイド)に、十分な確率で衝突したとしても、「核力」の及ぼす範囲が極めて小さく、半導体ナノ結晶粒子(コロイド)が中性子を捕獲することができるか疑問であるし、そもそも、原子あるいは分子の集合体である半導体ナノ結晶粒子(コロイド)に「核力」という概念が当てはまるのか疑問である。
また、α線については、明細書で「クーロン核力」という、当業者においてあまり知られていない用語を用いているが、意味不明である。仮に、クーロン力であったとしても、重水や体液中で、どの程度α線を吸引できるのか疑問である。
仮に、上記放射線について半導体ナノ結晶粒子(コロイド)において「収束」されたとしても、上記半導体ナノ結晶粒子(コロイド)を構成する原子と核反応を生じる可能性があり、新たに、二次放射線を放出することになり、半導体ナノ結晶粒子(コロイド)による安全な収束が可能なのか疑問である。
結局のところ、明細書には、理論式があるだけで、実際、重水や体液中において、いかなる種類の半導体ナノ結晶を用いてどの程度の放射線を吸引等したのか実証がなされておらず、当業者の技術常識や経験則からすると、請求項1に係る発明の「上記の原理により半導体ナノ結晶コロイドに収束させて安全に最終処理する」は、当業者からみて明りょうではない。これは、請求項2-5に係る発明にも当てはまり、上述と同様の理由で明りょうでない。
(3)請求項2の「メルトダウン核分裂炉を収束させる」は、いかなるメルトダウンにより溶融した炉心を有する核分裂炉がいかなる状態になることをいうのか明りょうでない。
・・・(途中省略)・・・
なお、この出願は、出願内容が著しく不明確であるから、請求項1-5に係る発明については、新規性進歩性等の特許要件についての審査を行っていない。
<留意点>
本願は、特願2012-147772号を優先権主張の基礎としているが、本願請求項1-5に記載されている事項については、上記いずれの優先権主張の基礎出願にも記載されていないので、本願の優先権主張の効果を認めることはできない(上記優先権主張の基礎出願には、「半導体ナノ結晶粒子(コロイド)に収束させる」ことは全く記載されておらず、その他、人体内部被ばく治療や放射線免疫治療や起電方法についても全く記載されていない。)。
したがって、手続補正の結果、新規性進歩性等の審査が可能になったとしても、先行技術調査の基準日は、現実の出願日である平成25年6月12日となることに留意されたい。」

3 本願の請求項1ないし5に係る発明
本願の請求項1ないし5に係る発明(以下それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明5」という。)は、平成26年7月7日に補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載されたとおりであって、これを分説すると、次のとおりである。
「【請求項1】
A 塵などを含んで負に帯電したダストプラズマを化学気相成長(Chemical Vapor Deposition)反応させて、半導体ナノ結晶粒子とし、
B 放射性廃棄物から放射されるβ線(電子線)を、この粒子に帯電させて負電荷の塊に成長させ、
C 粒子内に起きた電界により、静電気力が及ぶのを利用して、放射される正に帯電したα粒子を減速材との衝突で電界の静電エネルギ以下に減速させて収束し、
D 蓄積したα粒子の及ぼす核力により中性子を捕食し、
E 励起するエネルギとしてγ線や他の放射線を連鎖により収束しつくす、
F 放射線の収束方法。
G ここで、半導体ナノ結晶粒子が放射線をエネルギとして質量により保持する事を「収束する」という。
H ステンレス構造体貯蔵プールをコンクリで覆って、α粒子の減速材として用いる重水で満たし、この貯蔵プールを循環冷却して、半導体ナノ結晶コロイドを混入する。
I 貯蔵プールの中に使用停止後5年冷却した燃料集合体を水没させ、この放射性廃棄物から放射される放射線を、上記の原理により半導体ナノ結晶コロイドに収束させ安全に最終処理する、放射線の収束方法。
【請求項2】
J 請求項1に記載の原理により、廃炉にするため重水を入れたメルトダウン核分裂格納容器に、於いて、循環冷却水に半導体ナノ結晶コロイドを混入して循環し、これに放射線を収束させてメルトダウン核分裂炉を収束させる、放射線の収束方法。
【請求項3】
K 請求項1に記載の半導体ナノ結晶コロイドを血液循環させて、放射線を収束させ、外部循環させる血液に電圧をかけて負に帯電しているこの放射線収束物を透析ろ過する、人体内部被ばく治療に関する放射線の収束方法。
【請求項4】
L 放射線免疫治療に置いて、中性子とそれに増感効果のあるほう素との反応を利用して、正常細胞にあまり損傷を与えず、半導体ナノ結晶コロイドを腫瘍細胞に投与することにより、核分裂によって放射されるα粒子と7Li原子核を収束し、癌のみを選択的に破壊する放射線の収束方法。
【請求項5】
M 請求項1に記載の方法で生成する放射線収束物よる電流の増幅方法で、放射線収束物コロイドを入れたタンクに二次コイルの炭素繊維電極を浸し、一次コイルに電流を流して、相互インダクタンスにより二次コイルの炭素繊維内に放射線収束物を移動させて電流を流す電流の増幅方法。」

4 本願特許法第36条第4項第1号及び同条第6項第2号に規定する要件を満たしていないことについて
(1)本願発明1の、「E 励起するエネルギとしてγ線や他の放射線を連鎖により収束しつくす」との発明特定事項に係り、平成25年8月7日付け拒絶理由で通知した理由の(2)(上記2)で示した点について
ア 放射線の「収束」に関して、本願発明1は、「G ここで、半導体ナノ結晶粒子が放射線をエネルギとして質量により保持する事を『収束する』という。」と定義する。
そうすると、本願発明1には、「E 励起するエネルギとしてγ線や他の放射線を連鎖により収束しつくす」との発明特定事項があることから、上記Gの定義によれば、上記Eは、「半導体ナノ結晶粒子がγ線や他の放射線をエネルギとして質量により保持する」ことを意味することとなる。
なお、この「半導体ナノ結晶粒子がγ線や他の放射線をエネルギとして質量により保持する」ことについて、本願明細書の段落【0027】の「ここで言う『収束』は、集め束ねること、すなわちエネルギを蓄積し、保持することである。熱にエネルギ変換される『遮蔽』と違い、質量の増分として保持されるエネルギとしての蓄積を言う。熱に変化するのでなくエネルギとして蓄積する事である。」という記載を参酌すると、「半導体ナノ結晶粒子」は、γ線や他の放射線を「収束」することにより質量が増加するものと解される。

イ 本願明細書には、γ線を収束する点に係り、下記の記載がある(下線は当審が付した。以下同じ。)。
(ア)「【0020】
次に、放射線の収束方法について説明する。この半導体ナノ結晶粒子が放射線収束物に成長するには、核分裂雰囲気で帯電され、大きな負電荷を持つ塊となることが必須である。不安定な負電荷を持ったこの塊は、α崩壊で飛び交うα粒子を収束する。核内は核力を増し、核力で雰囲気に飛び交う中性子を捕食する。雰囲気には、γ線も照射されていて、これが半導体ナノ結晶粒子内にエネルギを励起する。電子で帯電された半導体ナノ結晶粒子は、α粒子吸引と中性子捕食が連鎖し、γ線を収束し続ける。核分裂で放出する核崩壊エネルギは、各粒子の運動エネルギとγ線の総和と考えられ、帯電が定常状態に達するまで収束され続ける。」

(イ)「【0030】
半導体ナノ結晶粒子はクーロン相互作用に基づき帯電・凝集を活発に行うもので、液体雰囲気では十分分子間力は残ったままで、たかだか400Kの温度下では、放射線の動くのに十分なエネルギを持ち、成長が活性化する。半導体ナノ結晶粒子の伝導体は逆オージェ電子を励起して励起子に費やされるので、β粒子は帯電に寄与する。励起子は、重水との衝突によって、結晶粒子の静電エネルギ以下に減速されたαイオン(α粒子)を、再結合する。αイオンは、重水分子間に及ぶクーロン力によって、吸引、結合が連鎖される。
このとき、α粒子のファンデンワールス半径は重なりを帯び、そのエネルギバンドに、クーロン結合によって静電気力を失ったα粒子の質量欠損の重なりが及ぶ。この重なりは、核力をなし、これをクーロン核力と呼ぶ。
半導体ナノ結晶粒子(例としてSiの結晶)が、Si原子とα粒子が結晶し、そのα粒子の質量欠損の重なりとして、クーロン核力を及ぼしている。この重なりにより「クーロン核力」が示される。
α粒子とSi原子が面心立方格子の結晶を組んでいるとする。α粒子の共有結合半径とSi原子の共有結合半径が隣接して結晶し、α粒子のファンデンワールス半径の重なりにクーロン核力が生じる。α粒子のファンデンワールス力の重なり、つまりクーロン核力は、励起子との釣り合いで中性的であるアルファ粒子の凝集力である。この引力は、核力を及ぼし、中性子を捕食する。
クーロン核力は、α粒子の質量欠損の重なりである。高速中性子は、核分裂断面積が小さ過ぎて、なかなか核反応しにくい。熱中性子は、結晶粒子に吸収さてもクーロン核力のエネルギ障壁を超えることができず、α粒子と中性子のなす核として、収束される可能性が大きい。
半導体ナノ結晶粒子は、α粒子により膨張し、中性子の捕食により成長する。中性子を食いだした半導体ナノ結晶粒子は、粒子内のα粒子と中性子を繋ぎ止めるためにエネルギを必要とする。ここで、雰囲気中のγ線等の放射線を収束する。半導体ナノ結晶粒子のα粒子吸収は、半導体ナノ結晶粒子内の負の電荷が定常状態に達するまで継続する。α粒子が蓄積して半導体ナノ結晶粒子内の負電荷と釣り合って、静電気力が定常状態に達するまで、半導体ナノ結晶粒子のα粒子収束が続く。
この時、クーロン核力が、中性子捕食に消費されつくされるまで中性子捕食が続く。中性子捕食が続く限り、γ線等の放射線収束が連鎖する。半導体ナノ結晶粒子は、約12.5GeVのエネルギを収束しつくす。
【0031】・・・(途中省略)・・・
α粒子と中性子のなす核ごと結晶を維持するために、中性子の質量欠損分、α粒子の質量欠損分に同等のエネルギを必要とする。
α粒子と中性子のなす核内のエネルギバンドは、中性子の質量欠損量(α粒子の質量欠損量に同等)でエネルギ励起の空席を設け励起する。
励起状態の原子核がγ線を放出して安定な基底状態になるように、各粒子が収束されたこの状態では、空席を埋めるために励起したエネルギバンドにエネルギを吸引して収束する必要がある。
核反応を起こすために必要な最低エネルギをしきい値という。
クーロン核力のエネルギ障壁64MeVで、中性子の質量欠損の重なりが、クーロン核力と釣り合う時、中性子のしきい値になるから、γ線のエネルギが7MeVでは、到底超えることができない。
クーロン核力は、半導体の伝導帯でオージェ電子とα粒子の正孔が励起子を励起するクーロン力でα粒子の電荷が中和され、質量欠損だけが重なりをみせるものである。よって、結合エネルギだけが励起して、ファンデンワールス力のかさなりを帯びるので、引力となって中性子を捕食する。
中性子の質量欠損量は、クーロン核力量まで重なりを見せる。これは、単純に中性子の基底状態を積み上げた時の励起状態で、その重なりの高さがしきい値に励起エネルギを加算したものの高さ以上であるため、総計的な基底状態にエネルギ総量が埋まらずエネルギを欲するもので、α粒子と中性子のなす核は過不足を満たすエネルギを模索する。この時α粒子と中性子のなす核はγ線をエネルギとして収束する。
雰囲気中にγ線が飛び交う核分裂雰囲気では、半導体ナノ結晶粒子は、α粒子と中性子を束ねることを維持するためにγ線を収束する。」

ウ 上記イによれば、本願明細書には、「γ線を収束する」ことの説明はなされているものの、「γ線を収束する」ことに係り、半導体ナノ結晶粒子が「γ線」や他の放射線をエネルギとして収束するとの記載はあるが、「半導体ナノ結晶粒子がγ線をエネルギとして質量により保持する」こと(特に、下線部)は、本願明細書及び図面に記載がない。
また、本願の優先日当時に、半導体ナノ結晶粒子がγ線のエネルギーにより質量が増加するという現象は知られていないから、当業者が本願明細書及び図面の記載に基づいて、「半導体ナノ結晶粒子がγ線をエネルギとして質量により保持する」ことを実施をすることはできないし、「半導体ナノ結晶粒子がγ線をエネルギとして質量により保持する」ことの意味内容を明確に理解することもできない。

エ したがって、本願の発明の詳細な説明は、経済産業省令(特許法施行規則第24条の2)で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえないから、本願は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
また、本願発明1ないし3、5は、「半導体ナノ結晶粒子がγ線をエネルギとして質量により保持する」ことの意味内容が理解できない結果、発明が不明確となるから、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(2)本願発明1ないし4における発明特定事項である放射線の「収束」に係り、平成25年8月7日付け拒絶理由で通知した理由の(2)及び(3)(上記2)で示した点について
放射線の収束に関して、本願発明1では、「G ここで、半導体ナノ結晶粒子が放射線をエネルギとして質量により保持する事を『収束する』という。」と定義する。
そうすると、本願発明1には、「C 粒子内に起きた電界により、静電気力が及ぶのを利用して、放射される正に帯電したα粒子を減速材との衝突で電界の静電エネルギ以下に減速させて収束」すること、及び、「D 蓄積したα粒子の及ぼす核力により中性子を捕食」するとの発明特定事項があることから、上記Gの定義によれば、上記Cは、「半導体ナノ結晶粒子がα粒子をエネルギとして質量により保持する」こと、また、上記Dは、「半導体ナノ結晶粒子が中性子をエネルギとして質量により保持する」ことを意味することとなる。
しかしながら、平成25年8月7日付け拒絶理由で通知した理由の(2)で示したとおり、たとえ、このような現象が生じるとしても確率的に低いものであって、放射性廃棄物から放射される放射線のほとんどを収束することができないことは明らかであるから、本願発明1の「E 励起するエネルギとしてγ線や他の放射線を連鎖により収束しつくす」ことができないことも明らかである。
また、放射性廃棄物から放射される放射線のほとんどを収束することができないことは明らかであるから、核分裂炉のメルトダウンを収束させる(この「収束」は通常の意味での「収束」である。)ことができないことは明らかである。
同様に、「半導体ナノ結晶コロイド」も放射線のほとんどを収束することができないことは明らかであるから、人体内部での被ばくを防ぐことができないことは明らかである。
すると、本願発明1の発明特定事項Iの「貯蔵プールの中に使用停止後5年冷却した燃料集合体を水没させ、この放射性廃棄物から放射される放射線を、上記の原理により半導体ナノ結晶コロイドに収束させ安全に最終処理する」こと、本願発明2の発明特定事項Jの「放射線を収束させてメルトダウン核分裂炉を収束させる」こと、本願発明3の発明特定事項Kの「人体内部被ばく治療」すること、及び、本願発明4の発明特定事項Lの「癌のみを選択的に破壊する」ことがなぜ実現できるのか、本願明細書、平成25年10月7日付けの意見書及び審判請求書を踏まえても明確に理解することはできない。
したがって、本願の発明の詳細な説明は、経済産業省令(特許法施行規則第24条の2)で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえないから、本願は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
また、本願発明1ないし4は、それぞれ、「貯蔵プールの中に使用停止後5年冷却した燃料集合体を水没させ、この放射性廃棄物から放射される放射線を、上記の原理により半導体ナノ結晶コロイドに収束させ安全に最終処理する」こと、「放射線を収束させてメルトダウン核分裂炉を収束させる」こと、「人体内部被ばく治療」すること、及び、「癌のみを選択的に破壊する」ことの意味内容が理解できない結果、発明が不明確となるから、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(3)まとめ
以上によれば、本願の発明の詳細な説明は、経済産業省令(特許法施行規則第24条の2)で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえず、また、本願発明1ないし5は不明確であるから、本願は、特許法第36条第4項第1号及び同条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

5 請求人の要請について
(1)本件請求人は、平成26年4月28日付けの審判請求書において
「(l)指摘事項(7)について
実際に実証実験して下記証拠物件を提出する予定。
1.「放射線収束における質量増加とエネルギ収束」成績証明書。
2.「半導体ナノ結晶粒子における放射能収束」の成績証明書。
3.「半導体ナノ結晶ゲルBNCT動物臨床試験」成績証明書。
2014年後期に大学機関に研究生として成績証明書作成に勤めるため、成績証明書提出には一年間の猶予をいただきたく「上申書」を提出いたします。
4.本願発明が特許されるべき理由
本願については下記証拠提出物件により、明らかに本願発明の「放射線の収束及び放射線収束物による電流増幅方法」が立証される理由により特許されるべきである。」
と要請し、その後、平成27年4月14日付けの上申書において
「2015年後期に東京工業大学大学院を受験し成績証明書作成に勤めるため、下記1?3の成績証明書提出には一年間の猶予をいただきたく「上申書」を提出いたします。
1.「放射線収束における質量増加とエネルギ収束」成績証明書。
2.「半導体ナノ結晶粒子における放射能収束」の成績証明書。
3.「半導体ナノ結晶ゲルBNCT動物臨床試験」成績証明書。
【その他】 平成26年4月28日に、審判請求書を提出済み。」
と再度要請する。

(2)しかしながら、平成26年4月28日付けの審判請求時より1年を経過しており、再度1年間の猶予をみるべき格別の事由は見当たらない。

6 むすび
以上のとおり、本願は、特許法第36条第4項第1号及び同条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、本願は拒絶されるべきものである。

よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-06-11 
結審通知日 2015-07-07 
審決日 2015-08-21 
出願番号 特願2013-135522(P2013-135522)
審決分類 P 1 8・ 537- Z (G21F)
P 1 8・ 536- Z (G21F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山口 敦司  
特許庁審判長 伊藤 昌哉
特許庁審判官 松川 直樹
土屋 知久
発明の名称 放射線の収束方法と放射線収束物による電流の増幅方法  
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