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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 A61B
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 A61B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1311124
審判番号 不服2014-14538  
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-07-25 
確定日 2016-02-10 
事件の表示 特願2012- 1509「胸部圧迫適用中の生理学的信号を解析する装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 5月17日出願公開、特開2012- 91021〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成16年10月26日に国際出願した特願2006-539552号(パリ条約による優先権主張 2003年11月6日 (US)アメリカ合衆国、2004年2月24日 (US)アメリカ合衆国)の一部を、平成24年1月6日に新たな特許出願としたものであって、平成25年4月30日付けで拒絶理由が通知され、同年11月7日に意見書が提出され、平成26年3月18日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、それと同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 平成26年7月25日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成26年7月25日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について
本件補正は、本件補正前の請求項1及び請求項1を引用する請求項8を、請求項1及び請求項4として、以下のように補正することを含むものである。

「【請求項1】
胸部圧迫適用中の生理学的信号を取得する手段と、
胸部圧迫の速度を検出するように構成された速度センサーの出力を取得する手段と、
前記胸部圧迫に起因する前記生理学的信号中の少なくとも一つの信号アーチファクトを低減するために前記速度センサーの出力を使用する手段とを備え、前記生理学的信号はIPG(インピーダンス呼吸曲線記録)信号及びICG(インピーダンス心拍記録)信号の一方または両方を含む、胸部圧迫適用中の生理学的信号を解析する装置。」
「【請求項4】
アーチファクトの低減された前記生理学的信号を処理して心室細動が存在するか否かを判定する心室細動検出アルゴリズムを更に備える請求項1に記載の装置。」(下線は、補正箇所を示す。)

上記補正は、本件補正前の請求項1及びその請求項1を引用する請求項8における「生理学的信号」について、「IPG(インピーダンス呼吸曲線記録)信号及びICG(インピーダンス心拍記録)信号の一方または両方を含む」ものに限定するもので、いわゆる限定的減縮を目的とするものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものを含むものである。
そこで、本件補正後の請求項1及び4に係る発明(以下「本件補正発明1」及び「本件補正発明4」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に違反しないか)、いわゆる独立特許要件について検討する。

2 独立特許要件について
(1)進歩性(特許法29条2項)について
ア 引用例1およびその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の最先の優先日よりも前に頒布された刊行物である特表2002-529157号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は、当審において下記の引用発明の認定に関連する箇所に付加したものである。)。

(ア) 「【0001】
(発明の属する技術分野)
本発明は、心肺機能蘇生法(CPR)の適用を援助するための装置に関する。特に、本発明のある態様は、CPRの成果を監視してより良いCPRの適用を容易にするための装置に関する。」

(イ) 「【0012】
CPRを適用する内科医、医療補助者、及び他のヘルスケアの専門家が、蘇生の進行中に、患者の心電図(ECG)、特に、心拍リズムの連続的な変化に気が付いたのでは致命的である。心拍リズムの不正確な評価は、不適切な治療処理又は適切な治療抑制を引き起こし得る。しかしながら、CPRに於ける胸部圧縮は、測定されたECG信号に人為的な成分を導き、その解釈を困難にする。CPR中、ECGの解釈を容易にするために一般に使用されるやや不十分なアプローチは、人為的な成分のない取得期間を提供するための胸部圧縮の間欠停止である。このアプローチでは問題が発生する。1つには、胸部圧縮が停止したとき、血流力学の維持ロスがある。また、ECGは、一旦、胸部圧縮が再開されれば、解釈が困難又は不可能なままとなる。さらに、律動の突然な変化は、実質的な遅延の後まで正しく認識されることはない。さらにまた、心停止からの生存が、CPR中に引き起こされる血流に関係することが示され、かつ、胸部圧縮の中断が血流を減少させるので、これらの中断によって生存が非常に危うくなる。」

(ウ) 「【0035】
図3,4は、例えば図1に示す概略図に従って実施された圧縮モニタ10を有する携帯型モジュールの例示的な機械的配置を示す。図示するモジュール11は、外側フランジ部37を有する円形ベース36を備える。ベース36上には、回路基板38が取り付けられている。回路基板38は、ファスナ40によりベース36に固定されている。第1および第2ジャイロスコープ24,25、加速度計12、インジケータ18、電源20、およびインターフェース26を含む複数の構成要素が基板38上に直に取り付けられている。
【0036】
図示するモジュールは、直径が約3インチで、高さが約0.5インチである。図3は、回路基板38上に互いに対して直角に取り付けられた第1および第2のジャイロスコープ24,25を示す。これらは、各縦軸のそれぞれの周囲の角速度を測定する。図示する加速度計12は、TO-100パッケージ(10ピン缶)内に収納され、加速度(垂直)に対する感度の軸が回路基板38の平面に直交する。加速度計12は、堅固な取付面とともに回路基板38との電気的接続を与える直角サポート43に取り付けられている。」

(エ) 「【0043】
図8は、受容者にCPRを自動的に施与するための自動圧縮装置59を含む、種々の蘇生補助装置に接続されたCPR受容者を示す。より具体的には、自動圧縮装置59は、所望の胸部圧縮周波数で受容者の脊椎に向かう方向に所望の胸部変位を生じさせるために、受容者の胸部に対して内方径方向の力を適用する。
【0044】
受容者に接続された補助装置は、エアーチューブ60に連結された換気マスク58、ECG電極とこれに対応するECG信号線56、細動除去電極62、および、それにより生成された、検出された加速度信号を含む信号を伝送するためのケーブル44に接続されたCPR胸部圧縮モニタ10´を有する。
【0045】
全体のアセンブリは、自動化された方法で受容者47の蘇生を容易にする。このような構成は、例えば受容者が救急車で搬送されている場合を含む種々の状況において特に有効である。受容者が搬送される間、蘇生の努力が継続されることになれば、受容者を病院に搬送する間にできるだけ早く蘇生の努力を提供することにより助かる機会が増加する。
【0046】
図示するように、受容者は換気マスク58を含む換気装置に接続され、これにより呼吸の努力が施与されることを可能にする。ECG監視装置(図示せず)に接続されたECG信号線56によって患者の心電図および関連する心拍リズム情報を監視することができる。CPRは、自動圧縮装置59により自動的に施与可能である。細動除去装置(図示せず)に細動除去線64を介して接続された細動除去電極62の使用により時宜にかなった細動除去を適用できる。自動圧縮装置59は圧縮モニタ10´により生成される信号によって制御可能であり、これにより適当な圧縮力を適当な周波数で受容者の胸部に適用することができる。
【0047】
また、圧縮モニタ10´により生成された加速度信号は、ケーブル44を介して回収されることができ、CPRの施与と同時にECG信号線56を介して得られるECG信号を処理するために使用可能である。より具体的には、CPRが施与されるとき、ECG信号は影響を及ぼされてCPR誘発成分(CPR-induced artifact)を含んでもよい。さらに後述されることになるECGプロセッサは、CPR誘発成分を除去することで結果として処理されたECG信号を意味があり、かつ、わかりやすいものにするように、ECG信号を処理するのに設けられてもよい。」

(オ) 「【0060】
図10に示すように、例えばECG信号線56で得られる測定されたECG信号e_(m)は、真のECG信号eと真のCPRノイズ信号a(CPR誘発成分)との合計と等しいと仮定できる。本発明の目的は、測定されたECG信号e_(m)が入力されて、CPR誘発成分のない処理された測定ECG信号e_(m)´が出力されるサブシステムを提供することにある。
【0061】
CPR誘発成分の除去に向けての最初の方法として、図11に示すような帯域フィルタ66が使用されてもよい。この方法では、測定されたECG信号e_(m)は、真のECG信号eとCPRノイズの重ね合わせとして見られる。フィルタ66は、前記成分をできるだけ抑えながら、できるだけ多くのECG信号を選択的に保護する。この方法による問題は、それら各信号の成分が周波数域の同じ部分に同時に存在するために、CPR誘発成分から真のECG信号を分離するのが困難なことである。
【0062】
図12は、CPRに影響されたECG信号の処理に関係のある幾つかの波形を示す。最初の波形a_(r)は、CPR誘発成分を“表す”測定可能な信号を表す。その信号は、力、加速度、距離、速度、動作、またはベストの信号で構成されてもよく、それぞれはCPR誘発成分のいくつかの様相を表す。図示する実施形態では、信号a_(r)は、図1に示す装置の加速度計12により生成された加速度信号からなる。
【0063】
次の波形は、CPRの間に測定された測定ECG信号e_(m)である。さらに次の波形a_(p)は、予想される人為的成分である。最後の波形e_(m)´は、CPR誘発成分を除去するように処理されている処理済み測定ECG信号である。図12に示す処理済み測定ECG信号e_(m)´は、後述するような線形予想濾波(linear predictive filtering)を用いて生成された。
【0064】
真のECG信号eと人為的成分aが時間および周波数域の両方で重なっているとき、前記人為的成分に相関する分かれた信号が利用できるのであれば、それら2つを区別することはなお可能である。測定されるECG信号e_(m)を生じさせる方法は、真のECG信号eと人為的成分波形aとの合計として表される(modeled)。この方法は、図13に示される。真のCPRノイズ信号は、測定可能な入力a_(r)により乱される線形システムHの出力として処理される。
【0065】
ここに開示する実施形態による線形予測濾波の目的は、加速度信号a_(r)を測定されるECG信号e_(m)内の人為的成分すなわちaからなる波形に変換する線形システムHを特定する(identify)ことにある。このシステムが特定されれば、入力として加速度信号a_(r)を用いて模擬システムHの出力a_(p)をとることにより、線形予想濾波を用いて人為的成分を予想することができる。この線形予想信号a_(p)を測定されたECG信号e_(m)から減じれば、結果としての信号が、図14に示される装置の出力において処理されたECG信号e_(m)´として示される推認される真のECG信号である。」

上記摘記事項(ア)?(オ)を含む引用例1全体の記載を総合すると、上記引用例1には、
「ECG(心電図)電極とこれに対応するECG信号線、それにより生成された、検出された加速度信号を含む信号を伝送するためのケーブルに接続された、CPR(心肺機能蘇生法)胸部圧縮モニタ、およびサブシステムを含む装置であって、
前記サブシステムは、CPRの間に測定されたECG信号e_(m)が入力されて、CPR誘発成分のない処理された測定ECG信号e_(m)´が出力されるものであり、
入力として加速度信号a_(r)を用いて模擬システムHの出力a_(p)をとることにより、線形予想濾波を用いて人為的成分を予想し、この線形予想信号a_(p)を測定されたECG信号e_(m)から減じることにより真のECG信号と推認されるECG信号e_(m)´を出力する、装置。」

イ 対比
(ア) 本件補正発明1と引用発明を対比する。

a 引用発明の「ECG(心電図)電極」は、CPR(心肺機能蘇生法)の間に測定ECG(心電図)信号e_(m)を測定するものであるから、引用発明の「ECG電極」と、本件補正発明1の「胸部圧迫適用中の生理学的信号を取得する手段」であって、「前記生理学的信号」が「IPG(インピーダンス呼吸曲線記録)信号及びICG(インピーダンス心拍記録)信号の一方または両方を含む」ものとは、「胸部圧迫適用中の生理学的信号を取得する手段」で共通する。

b 引用発明の「ケーブル」は、「CPR胸部圧縮モニタ」で生成された「加速度信号」を「伝送するため」のものである。そして引用発明の「サブシステム」は、「加速度信号」を用いて、「CPRの間に測定されたECG信号e_(m)」から「CPR誘発成分のない処理された測定ECG信号e_(m)´」を得るものであるから、「加速度信号」は、「CPR」に伴うものであることは明らかである。そうすると、引用発明の「ケーブル」と、本件補正発明1の「胸部圧迫の速度を検出するように構成された速度センサーの出力を取得する手段」とは、「胸部圧迫に関連する物理パラメータを検出する手段の出力を取得する手段」で共通する。

c 引用発明の「サブシステム」は、「模擬システムH」によって、「加速度信号a_(r)」から「線形予想信号a_(p)」を得て、「この線形予想信号a_(p)を測定されたECG信号e_(m)から減じることにより」「CPR誘発成分のない処理された測定ECG信号e_(m)´」すなわち「真のECG信号」を得るものであるから、引用発明の「サブシステム」と、本件補正発明1の「前記胸部圧迫に起因する前記生理学的信号中の少なくとも一つの信号アーチファクトを低減するために前記速度センサーの出力を使用する手段」とは、「前記胸部圧迫に起因する前記生理学的信号中の少なくとも一つの信号アーチファクトを低減するために、胸部圧迫に関連する物理パラメータを検出する手段の出力を使用する手段」で共通する。

d 引用発明である「装置」は、「サブシステム」により「CPR誘発成分のない処理された測定ECG信号e_(m)´」を得るものであるから、引用発明の「装置」は、その構成・機能からみて、本件補正発明1の「胸部圧迫適用中の生理学的信号を解析する装置」に相当する。

以上から、本件補正発明と引用発明とは、次の(イ)に記載する点で一致し、続く(ウ)に記載する各点で相違する。
(イ) 一致点
「胸部圧迫適用中の生理学的信号を取得する手段と、
胸部圧迫に関連する物理パラメータを検出する手段の出力を取得する手段と、
前記胸部圧迫に起因する前記生理学的信号中の少なくとも一つの信号アーチファクトを低減するために、胸部圧迫に関連する物理パラメータを検出する手段の出力を使用する手段とを備えた、胸部圧迫適用中の生理学的信号を解析する装置。」

(ウ) 相違点
相違点1:「胸部圧迫に関連する物理パラメータを検出する手段の出力を取得する手段」および「前記胸部圧迫に起因する前記生理学的信号中の少なくとも一つの信号アーチファクトを低減するために、胸部圧迫に関連する物理パラメータを検出する手段の出力を使用する手段」について、本件補正発明1は、両手段における「胸部圧迫に関連する物理パラメータを検出する手段の出力」が、「胸部圧迫の速度を検出するように構成された速度センサーの出力」であるのに対し、引用発明は、「CPR胸部圧縮モニタ」で生成された「加速度信号a_(r)」である点。

相違点2:生理学的信号について、本件補正発明1は、「IPG(インピーダンス呼吸曲線記録)信号及びICG(インピーダンス心拍記録)信号の一方または両方を含む」のに対して、引用発明はECG(心電図)信号である点。

ウ 判断
(ア)相違点1について
引用例1には、上記ア(オ)で摘記した段落【0062】に「CPR誘発成分を“表す”測定可能な信号を表す。その信号は、力、加速度、距離、速度、動作、またはベストの信号で構成されてもよく」と記載されているように、CPR誘発成分を”表す”信号、つまり、胸部圧迫に起因する生理学的信号中の信号アーチファクトに関連するものとして、加速度信号と同様に速度信号を用いることが示唆されていることから、引用発明において、「胸部圧迫に関連する物理パラメータを検出する手段の出力」として、加速度信号に変えて、「速度信号」を用いること、すなわち、本件補正発明1のように胸部圧迫の「速度」を検出するように構成された「速度センサの出力」を用いることは当業者が容易になし得たことである。

(イ)相違点2について
除細動時に患者から取得する生理学的信号として、ECGではなくICGを用いることは、下記の刊行物2に示されているとおり、本願の最先の優先日前に公知のことである。また、引用例1には、上記ア(エ)で摘記した段落【0044】に「受容者に接続された補助装置は、・・・細動除去電極62・・・を有する。」及び段落【0046】に「細動除去装置(図示せず)に細動除去線64を介して接続された細動除去電極62の使用により時宜にかなった細動除去を適用できる。」と記載されているとおり、除細動装置と組み合わせることが示唆されているから、引用発明において、測定対象をECGからICGに変え、その際、ICGが心臓内の血液量の変化に応じた信号であり、胸部を圧迫して心臓から血液を強制的に送り出す心肺機能蘇生時に、その影響をうけることは明らかであるので、ECGと同様にCPR誘発成分を除去し、真のICG成分を得るようにすることは当業者が容易になし得ることである。

刊行物2:
本願の最先の優先日よりも前に頒布された刊行物であるPaul W. Johnston et al.”959-104 The Potential Use of Impedance Cardiography as a Hemodynamic Sensor for Automated External Defibrillators”Journal of the American College of Cardiology,1995,Vol.25,Issue 2,Supplement 1,Pages 211Aには、次の事項が記載されている(下線は当審において付加したものである)。
「 Automated external defibrillators use ECG analysis algorithms to identify ventricular fibrillation (VF) and ventricular tachycardia (VT). VT can be associated with a wide range of blood pressures and automated defibrillators determine the need for DC shock based on the heart rate alone. The incorporation of a hemodynamic sensor may improve the accuracy of an automated defibrillator. The impedance cardiogram (ICG) has been used to non-invasively measure cardiac output and its peak value, dz/dt(max), correlates well with aortic blood flow. We have developed a system whereby the ICG can be recorded at cardiac arrests through the same two ECG/defibrillator pads, placed in an antero-apical position, that are used to monitor or shock the patient. At 103 cardiac arrest calls and in 20 healthy volunteers (C) the ICG was recorded for a period of at least 10s without CPR artefact: 9 records were rejected because of poor quality. The rhythms were divided into VF, asystole (As), agonal rhythm (Ag), electromechanical dissociation (EMD), VT requiring DC shock (VTs) and VT not requiring DC shock (VTns). The ICG tracings were ensemble averaged to remove any electrical noise and dz/dt(max) was measured.
(表省略)
C was significantly greater than all other rhythms. VTns was significantly greater than the pulseless rhythms EMD, Ag, VF and As. There was no significant difference between VTs and the pulseless rhythms. Thus the ICG is a potential hemodynamic sensor for automated external defibrillators.」
(当審仮訳:自動体外式除細動器は、心室細動(VF)および心室頻拍(VT)を識別するためにECG解析アルゴリズムを使用する。 VTは、広い範囲の血圧に関連付けることができ、自動除細動器は、心拍数のみに基づいてDCショックの必要性を決定する。血行動態センサを組み込むことは、自動除細動器の精度を向上させることができるかもしれない。インピーダンス心拍記録(ICG)は、非侵襲的に心拍出量と、そのピーク値、大動脈の血流とよく相関するDZ / DT(最大)を測定するために使用されてきた。私たちは、患者の監視や衝撃するために使用されている、前 - 頂端位置に配置された同じ2つのECG /除細動パッドを介して、心停止時にICGを記録することができるシステムを開発した。 103回の心停止の呼び出し及び20人の健康なボランティア(C)において、ICGが、CPRアーチファクトなしに、少なくとも10秒の期間にわたって記録され、9レコードは品質が悪いため除外された。リズムは、VF、心静止(AS)、末期リズム(Ag)、電動収縮解離(EMD)、DCショックを必要とするVT(VTs)、DCショックを必要としないVT(VTns)、に分けられた。電気的ノイズを除去するためICGトレーシングは全体的に平均され、DZ / DT(最大)が計測された。
Cは、他のすべてのリズムよりも有意に大きかった。 VTnsは、脈なしリズムであるEMD、Ag、VF及びAsよりも有意に大きかった。 VTsと脈なしリズムの間に有意差は認められなかった。したがって、ICGは、自動体外式除細動器のための潜在的な血行動態のセンサーである。)

(ウ)効果について
引用例1の上記ア(オ)で摘記した段落【0065】の記載などから、引用発明が、CPR誘発成分を除去した信号を得るものであって、CPRの影響を受けずに生理学的信号の解析が続けられ、CPRを中断する必要がないことは当業者にとって明らかであるので、本件補正発明1が奏する効果は、引用例1及び刊行物2の記載事項、特に引用例1の記載事項から当業者が十分に予想しうる程度のものである。

(エ)請求人の主張について
請求人は審判請求の理由において、「引用例1には、速度センサーの出力が、胸部圧迫適用中のIPG信号またはICG信号の信号アーチファクトの低減に有効であることは開示されておらず、またこのことは周知技術でもない。」と主張している。しかし、引用例1では、上記ア(オ)で摘記したとおり、CPR誘発成分を表す測定可能な信号として速度信号が挙げられていることから(段落【0062】)、CPR誘発成分の影響をうけるICG信号においても、引用発明が有用であることは当業者であれば、十分認識しうることであるから、上記主張は採用できない。
また、速度センサーを用いることについて低演算負荷という効果も主張しているが、本件補正発明1は、「速度センサーの出力を使用する手段」が、どのようにして速度センサーの出力を使用するのか特定されていないので、速度センサーを用いることによって、必ずしも演算負荷が軽減されるとはいえず、本件補正発明1の発明特定事項に基づく効果ではない。なお、仮に、本件補正発明1の発明特定事項に基づく効果であるとしても、速度センサーを用いることによって、演算内容によっては演算負荷が軽減される場合があることは当業者が十分予想しうるものである。

ウ 小括
よって、本件補正発明1は、引用発明、並びに、引用例1及び刊行物2の記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(2)サポート要件(特許法第36条第6項第1号)について
本件補正発明4では、「アーチファクトの低減された前記生理学的信号を処理して心室細動が存在するか否かを判定する心室細動検出アルゴリズムを更に備える」と特定されており、「生理学的信号」については、本件補正発明4が引用する本件補正発明1で、「前記生理学的信号はIPG(インピーダンス呼吸曲線記録)信号及びICG(インピーダンス心拍記録)信号の一方または両方を含む、」と特定されていることから、本件補正発明4は、「アーチファクトの低減されたIPG(インピーダンス呼吸曲線記録)信号を処理して心室細動が存在するか否かを判定する心室細動検出アルゴリズムを更に備える」ことを発明特定事項として含むものである。
発明の詳細な説明には、この発明特定事項に関連する記載として、段落【0008】に「本発明の好ましい実施例には以下の一つ以上を組み込むことができる。生理学的信号は、ECG信号、IPG信号、ICG信号またはパルス酸素濃度信号などの各種生理学的信号のいずれであってもよい。・・・(途中省略)・・・その方法は、アーチファクトの低減された生理学的信号を処理して心室細動が存在するか否かを判定する心室細動検出アルゴリズムを含むことができる。(以下省略)」という記載、及び段落【0036】に「特に、センサーが、速度信号が取り出される運動センサーの近くの胸郭上にある場合、フィルタによって、他の生理学的信号、例えば当業者によく知られているインピーダンス心拍記録信号(ICG)、インピーダンス呼吸曲線記録信号(IPG)またはパルス酸素濃度信号の質を高めることもできる。インピーダンス呼吸曲線記録信号における圧迫アーチファクトの最小化は、前記方法のどれを使っても行うことができる。」という記載がある程度であり、「アーチファクトの低減されたIPG(インピーダンス呼吸曲線記録)信号を処理して心室細動が存在するか否かを判定する心室細動検出アルゴリズム」を直接明示する記載は存在しない。
そして、「IPG(インピーダンス呼吸曲線記録)信号」が、心臓の動きではなく、呼吸を反映した信号でり、IPG(インピーダンス呼吸曲線記録)信号に基づいて心室細動が存在するか否かを判定することは当業者に広く知られていたとは認められないことを考慮すれば、上記摘記を含む発明の詳細な説明全体を総合的にみても、「アーチファクトの低減されたIPG(インピーダンス呼吸曲線記録)信号を処理して心室細動が存在するか否かを判定する心室細動検出アルゴリズム」が実質的に記載されているとはいえない。
したがって、本件補正発明4は、発明の詳細な説明に記載したものではなく、特許法第36条第6項第1号の規定する要件を満たしていないので、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(3)実施可能要件(特許法第36条第4項第1号)について
上記(2)で述べたように、本件補正発明4は、「アーチファクトの低減されたIPG(インピーダンス呼吸曲線記録)信号を処理して心室細動が存在するか否かを判定する心室細動検出アルゴリズムを更に備える」ことを発明特定事項として含むものである。
しかし、この発明特定事項に関連する記載としては、上記(2)で摘記した段落【0008】及び【0036】の記載がある程度であり、本願の発明の詳細な説明には、IPG(インピーダンス呼吸曲線記録)信号を処理して心室細動が存在するか否かを判定する心室細動検出アルゴリズムについて何ら具体的に記載されていない。また、本願出願時において、IPG(インピーダンス呼吸曲線記録)信号に基づいて心室細動が存在するか否かを判定することは当業者に広く知られていたとは認められず、このような技術常識を考慮すると、その判定を行うための心室細動検出アルゴリズムは、明細書及び図面に具体的な記載がなくても当業者が実施できるといえるものではない。
したがって、発明の詳細な説明が、本件補正発明4を当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえず、本件補正発明4についての発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないので、特許出願の際独立して特許を受けることができない。


3 以上、上記2(1)ないし(3)で指摘したとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反してなされたものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?26に係る発明は、願書に最初に添付された特許請求の範囲に記載されたとおりであり、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。

「胸部圧迫適用中の生理学的信号を取得する手段と、
胸部圧迫の速度を検出するように構成された速度センサーの出力を取得する手段と、
前記胸部圧迫に起因する前記生理学的信号中の少なくとも一つの信号アーチファクトを低減するために前記速度センサーの出力を使用する手段とを備える、胸部圧迫適用中の生理学的信号を解析する装置。」

2 引用例及びその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1とその記載事項は、上記第2の2(1)アに記載したとおりである。

3 本願発明と引用発明との対比・判断
本願発明は、上記第2の2(1)イ及びウで対比・検討した本件補正発明1から「前記生理学的信号はIPG(インピーダンス呼吸曲線記録)信号及びICG(インピーダンス心拍記録)信号の一方または両方を含む」という限定事項を削除したものであって、本願発明は本件補正発明1を内包しており、前記限定事項は、本件補正発明1の上記第2の2(1)ウ(イ)で検討した相違点2に係る構成である。
そうすると、本願発明と引用発明とは、上記第2の2(1)イ(ウ)の相違点1で相違し、その他の点で一致することは明らかであり、この相違点1についての判断は、上記第2の2(1)ウ(ア)のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び引用例1の記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その余の請求項に係る発明について言及するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-09-11 
結審通知日 2015-09-15 
審決日 2015-09-29 
出願番号 特願2012-1509(P2012-1509)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A61B)
P 1 8・ 536- Z (A61B)
P 1 8・ 121- Z (A61B)
P 1 8・ 537- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小島 寛史  
特許庁審判長 三崎 仁
特許庁審判官 松本 隆彦
▲高▼見 重雄
発明の名称 胸部圧迫適用中の生理学的信号を解析する装置  
代理人 本田 淳  
代理人 恩田 誠  
代理人 恩田 博宣  
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