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審決分類 |
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H01L 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L |
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管理番号 | 1311571 |
審判番号 | 不服2014-7822 |
総通号数 | 196 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-04-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-04-25 |
確定日 | 2016-03-09 |
事件の表示 | 特願2009- 87031「光源モジュール及び表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成22年10月21日出願公開、特開2010-239021〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 平成21年 3月31日 特許出願 平成24年12月28日 拒絶理由通知(平成25年1月8日発送) 平成25年 3月 8日 意見書・手続補正書 平成25年 8月23日 拒絶理由通知(同年8月27日発送) 平成25年10月28日 意見書・手続補正書 平成26年 1月24日 補正の却下の決定(平成25年10月28日付 け手続補正) 拒絶査定(同年1月28日送達) 平成26年 4月25日 本件審判請求・手続補正書 平成26年 8月11日 上申書 第2 平成26年4月25日付け手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成26年4月25日付け手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の概略 (1)本件補正は、補正前の特許請求の範囲(平成25年3月8日付け手続補正により補正された特許請求の範囲)の請求項1に、 「発光素子と、 前記発光素子から放射される光を入射する入射面と、前記入射面から入射した光を反射する反射面と、前記反射面で反射した光を屈折して側面方向へ出射する出射面とを有する透明材料からなる光方向変換素子と、 前記光方向変換素子に設けられるホルダ片とを有し、 前記ホルダ片は、前記光方向変換素子側に向けて開口する収納部を有し、前記収納部内に前記発光素子を搭載する回路基板を保持する構成を有してなり、 前記光方向変換素子に光拡散剤を含有してなり、 前記光拡散剤の含有量は、前記透明材料100重量%に対して0.01重量%以上0.1重量%以下であることを特徴とする光源モジュール。」 とあるものを、 「発光素子と、 前記発光素子から放射される光を入射する入射面、前記入射面から入射した光を反射する反射面、及び前記反射面で反射した光を屈折して側面方向へ出射する出射面を有する光方向変換部と、嵌合部が形成されたケース部とを有する透明材料からなる光方向変換素子と、 前記光方向変換素子の前記ケース部の前記嵌合部に嵌合して前記入射面側に設けられるホルダ片とを有し、 前記ホルダ片は、前記光方向変換素子側に向けて開口する収納部を有し、前記収納部内に前記発光素子を搭載する回路基板を保持する構成を有してなり、 前記光方向変換素子の前記光方向変換部及び前記ケース部に光拡散剤を含有してなり、前記入射面に入射して前記反射面に向かう光のうち、一部の光を前記光拡散剤によって前記入射面から入射した光線の方向を変更して第1の光として前記反射面の裏側から表側に向けて透過させ、残りの光を前記光拡散剤又は前記反射面で反射させて第2の光として前記出射面から前記側面方向に出射させ、 前記光拡散剤の含有量は、前記透明材料100重量%に対して0.01重量%以上0.1重量%以下とすることにより、前記第1の光の光量と前記第2の光の光量とを所定の比率としたことを特徴とする光源モジュール。」 に補正する補正事項を含むものである。 (2)上記請求項1についてする補正は、 ア 透明材料からなる「光方向変換素子」について、補正前は、「前記発光素子から放射される光を入射する入射面と、前記入射面から入射した光を反射する反射面と、前記反射面で反射した光を屈折して側面方向へ出射する出射面とを有する」ものであったものを、補正後は、「前記発光素子から放射される光を入射する入射面、前記入射面から入射した光を反射する反射面、及び前記反射面で反射した光を屈折して側面方向へ出射する出射面を有する光方向変換部」と「嵌合部が形成されたケース部」とを有するものにする補正事項、 イ 光方向変換素子に設けられる「ホルダ片」について、補正前は、「前記光方向変換素子に設けられる」ものであったものを、「前記光方向変換素子の前記ケース部の前記嵌合部に嵌合して前記入射面側に設けられる」ものにする補正事項、 ウ 光拡散剤について、補正前は、「前記光方向変換素子」に含有するものであったものを、「前記光方向変換素子の前記光方向変換部及び前記ケース部」に含有し、「前記入射面に入射して前記反射面に向かう光のうち、一部の光を前記光拡散剤によって前記入射面から入射した光線の方向を変更して第1の光として前記反射面の裏側から表側に向けて透過させ、残りの光を前記光拡散剤又は前記反射面で反射させて第2の光として前記出射面から前記側面方向に出射させ」るものにする補正事項、 エ 「光拡散剤の含有量」について、補正前は、「前記透明材料100重量%に対して0.01重量%以上0.1重量%以下」であったものを、「前記透明材料100重量%に対して0.01重量%以上0.1重量%以下とすることにより、前記第1の光の光量と前記第2の光の光量とを所定の比率とした」ものにする補正事項、 からなる。 2 補正の適否 上記補正事項アは、光方向変換素子が、「嵌合部が形成されたケース部」を有することを限定するところ、補正前の請求項1においては、透明材料からなる光方向変換素子が入射面、反射面、出射面を有することによって特定されていたのに対し、補正後の請求項1においては、上記特定事項に加えて、「嵌合部が形成されたケース部」という構成によっても特定されることになったものである。そうすると、請求項1の補正は、補正前の請求項には存在しなかった構成を付加するものというべきである。したがって、請求項1の補正は、特許法17条の2第5項2号かっこ書に規定する「補正前の請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するもの」という要件を充足しない。 よって、本件補正は、その余の補正事項について検討するまでもなく、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3 独立特許要件 本件補正は、上記2に記載したとおり却下すべきものであるが、以下、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許受けることができるものであるか否か、念のため検討しておく。 (1)引用例と引用発明 ア 引用例の記載事項 本願の出願前日本国内又は外国において頒布され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用例である国際公開第2008/007492号には、図面とともに以下の記載がある(当審注:下線は当審が付加した。)。 (ア)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 光を入射する光入射面を有する凹部、前記光入射面から入射した光を反射する光反射面、および前記光反射面で反射した光を側方に出射する光出射面を有する光方向変換部と、 前記光方向変換部の前記凹部に空隙を設けて配置され、前記光入射面に前記光を入射する発光部とを備えたことを特徴とする光源モジュール。 【請求項2】 さらに、配置空間を有するユニット本体と、配置空間に配置された回路基板とを備え、 前記発光部は、回路基板上に搭載されている請求の範囲第1項に記載の光源モジュール。 … 【請求項5】 前記ユニット本体は、前記発光ランプを保持するホルダ片を備え、 前記光方向変換部は、前記ホルダ片に嵌合する嵌合部を有する請求の範囲第2項に記載の光源モジュール。」 (イ)「【0010】 従って、本発明の目的は、取付作業の簡素化及び製造コストの低廉化を図ることができるとともに、発光むら及び色むらの発生を十分に抑制することができ、かつ汎用性のある光源モジュール、面発光ユニット及び面発光装置を提供することにある。」 (ウ)「【0015】 [第1の実施の形態] … 【0025】 <発光ランプ7,7,…の構成> 発光ランプ7,7,…は、図8に示すように、それぞれが光取出側に白色光を出射する発光部としてのLED28及びこのLED28からの出射光を入射して側方に出射する光方向変換部としての光方向変換用光学素子29を有し、回路基板6のランプ搭載側に実装されている。発光ランプ7,7,…のうち互いに隣り合う2つの発光ランプ7,7間の寸法は間隔は100mm程度に設定されている。 【0026】 LED28は、図9に示すように、青色光を発する青色LED素子284及びこの青色LED素子284から発する青色光で励起されて黄色光を発する珪酸塩系の蛍光体285を含有する封止樹脂286をパッケージ282で封止してなり、回路基板6の素子搭載側に配置されている。そして、青色LED素子284から発する青色光と蛍光体から発する黄色光との混合に基づいて前述したように白色光を出射するように構成されている。青色LED素子284としては、例えば発光波長領域を450nm?460nmとするGaN系半導体化合物からなる青色LED素子が用いられる。蛍光体285としては、珪酸塩系の蛍光体の他に、例えばYAG(Yttrium Aluminum Garnet)蛍光体等のガーネット系蛍光体を用いてもよい。 【0027】 パッケージ282は、白色の樹脂材料から形成され、リフレクタとなる傾斜面281aおよび底面281bからなる凹部281を有する。凹部281の底面281bから一対のリード283A,283Bが外側に導出している。一対のリード283A,283Bの一方の端部に青色LED素子284が電気的に接続し、一対のリード283A,283Bの他方の端部で回路基板6上の導電パターンに電気的に接続している。 【0028】 光方向変換用光学素子29は、図8に示すように、LED28から出射される光を入射する光入射面29Aと、この光入射面29Aから入射した光を反射する光反射面29Bと、この光反射面29Bで反射した光を側方(斜め前後方向)に出射する光出射面29Cとを有し、回路基板6のランプ搭載側に配置され、全体がPMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂等の透明材料によって形成されている。そして、LED28から出射された光が光入射面29Aに入射すると、その大部分の光を屈折させ、これら屈折光を光反射面29Bで全反射し、さらに光出射面29Cから屈折させて斜め前方及び斜め後方・側方に、また光反射面29B(界面)からそれぞれ出射するように構成されている。 … 【0034】 光出射面29Cは、図8に示すように、均一の外径をもつ円周面で形成されている。そして、前述したように光反射面29Bで反射した光を斜め前方及び斜め後方・側方に出射するように構成されている。また、光出射効率を高めるために、内部反射と屈折を起こし難い構造とし、鏡面であることが好ましい。光出射面29Cは円周面で形成されている場合について説明したが、多角柱(三角柱,四角柱,…)の側面で形成してもよい。光出射面29Cには、光拡散性をもたせるために、粗面加工を施してもよい。この粗面加工を施す代わりに、光方向変換用光学素子29に光拡散剤を混入しても光拡散性を高めることができる。」 (エ)「【0054】 [第2の実施の形態] 図14は、本発明の第2の実施の形態に係る面発光ユニットの全体を示す組立斜視図である。図15は、本発明の第2の実施の形態に係る面発光ユニットの発光ランプを説明するために示す断面図である。図15(a)は図14のA-A断面図を、図15(b)は図14のB-B断面図をそれぞれ示す。図16は、本発明の第2の実施の形態に係る面発光ユニットの発光ランプにおける光方向変換部を説明するために示す図である。図16(a)は斜視図を、図16(b)は平面図を、図16(c)は下面図をそれぞれ示す。図17は、本発明の第2の実施の形態に係る面発光ユニットの発光ランプにおける光方向変換部を説明するために示す断面図である。図14?図17において、図1?図8及び図13と同一又は同等の部材・部位については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。 【0055】 図14に示すように、第2の実施の形態に示す面発光ユニット101は、長尺サイズのユニット本体102と、このユニット本体102上にその長手方向に並列して配置された複数(本実施の形態では4個)の発光ランプ103,103,…とを備えた点に特徴がある。 【0056】 このため、ユニット本体102は、各発光ランプ103,103,…の光方向変換部に嵌合する凹部102Aを有するアルミニウム等の金属材料からなる断面略C字状の板部材によって形成され、他のユニット本体に接続し得るように構成されている。ユニット本体102の材料としては、金属材料の他にABS樹脂等の樹脂材料が用いられる。ユニット本体102には、図15(a)及び(b)に示すように、凹部102Aの底面一部を切り起こし形成することにより、複数の発光ランプ103,103,…をそれぞれ保持する複数のホルダ片104,104,…(図15では1個のみ図示)が設けられている。ホルダ片104,104,…には、その両側縁を折り曲げ形成することにより、複数の回路基板106(後述)を保持する段状部104A,104Aがそれぞれ設けられている。段状部104A,104Aには、上下方向に開口する2個のピン挿通孔(図示せず)がそれぞれ設けられている。ユニット本体102の長手方向両端部には、ケース2の背面板2C(共に図1に示す)に面発光ユニット101を取り付けるための貫通孔102B,102B(図14に示す)が設けられている。なお、単一の発光ランプ103および単一のホルダ片104は、光源モジュールを構成する。また、ケーブルによって直列的に接続された複数の発光ランプ103および複数のホルダ片104も、光源モジュールを構成する。 【0057】 発光ランプ103,103,…は略略同一の構成であるため、一の発光ランプ103についてのみ説明すると、発光ランプ103は、図15(a)及び(b)に示すように、光取出側に白色光を出射する発光部としてのLED28と、LED28からの出射光を入射して側方に出射する光方向変換部としての光方向変換用光学素子105と、この光方向変換用光学素子105の光入射側端面とホルダ片104の段状部104A,104Aとの間に介在する回路基板106とを有し、ユニット本体102の凹部102A(図14に示す)内に装着されている。 【0058】 光方向変換用光学素子105は、図15(a),(b)及び図16(a)?(c)に示すように、ホルダ片104に嵌合する凹部(嵌合部)108及びLED28を収容する凹部109に加え、LED28から出射される光を入射する光入射面29Aと、この光入射面29Aから入射した光を反射する光反射面29Bと、この光反射面29Bで反射した光を側方及び斜め前後方向に出射する光出射面29Cとを有し、ユニット本体102のランプ搭載側に配置され、全体が光方向変換用光学素子29と同様にPMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂等の透明材料によって形成されている。そして、LED28から出射された光が光入射面29Aに入射すると、その大部分の光を屈折させ、これら屈折光を光反射面29Bで全反射し、さらに光出射面29Cから屈折させて斜め前方及び斜め後方・側方に、また光反射面29B(界面)からそれぞれ出射するように構成されている。 【0059】 光方向変換用光学素子105には、図16(c)及び図17に示すように、光入射側面に突出する第1位置決め用ピン106A,106A及び第2位置決め用ピン106B,106B,106B,106Bが設けられている。第1位置決め用ピン106A,106Aは、光入射面29Aの近傍に位置し、回路基板106のピン嵌合孔(図示せず)に嵌合されている。第2位置決め用ピン106B,106B,106B,106Bは、光入射側面上の4隅部に位置し、段状部104A,104Aのピン嵌合孔(図示せず)に嵌合されている。また、光方向変換用光学素子105には、ケーブル107を挿通させるケーブル挿通用の切り欠き106C,106C,106C,106Cが、これら切り欠き106C,106C,106C,106Cに連通する樹脂充填用の空間部106D,106D,106D,106D及びこれら各空間部部106D,106D,106D,106Dに連通する基板接続用の空間部106E,106E,106E,106Eがそれぞれ設けられている。 【0060】 回路基板106は、図15(a)及び(b)に示すように、発光ランプ103のLED28の背面に露出する電極端子部と電気的に接続する配線パターン(図示せず)を有し、光方向変換用光学素子105の凹部108内に配置されている。回路基板106には、図15(b)に示すように、ツェナーダイオードからなる電子部品110が搭載されている。これにより、発光ランプ103,103,…のうちいずれかの発光ランプ103が故障等によって点灯しなくなった場合にも他の発光ランプ103,103,…の点灯が可能となる。回路基板106,106,…のうち互いに隣り合う2つの回路基板106,106はケーブル107によって直列に接続されている。 【0061】 [第2の実施の形態の効果] 以上説明した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果(1)?(6)と同様の効果が得られる。」 (オ)「【0062】 [第3の実施の形態] 図18は、本発明の第3の実施の形態に係る面発光ユニットの発光ランプにおける光方向変換部を説明するために示す断面図である。この第3の実施の形態の光方向変換用光学素子は、第1の実施の形態の光方向変換用光学素子29において、上部の光反射面29Bと側面の光出射面29Cとの間に傾斜した光反射面29Dを設けたものである。 【0063】 LED28から出射された光を光方向変換用光学素子29の底面の第2光入射面29cから入射した光を、上面の光反射面29Bで反射させ、側面の光出射面29Cからほとんど出射させるが、光反射面29Bと光出射面29Cとの間に概円錐の一部形状の光反射面29Dを設けることにより、光反射面29Bで反射した光の一部を光反射面29Dで反射させ、さらに底面の微細な凹凸からなる拡散面29Eで拡散反射させて、上部の光反射面29Bから光を出射させる。なお、光方向変換用光学素子29に拡散面29Eを設けずに基板6の上面に拡散面を設けてもよい。 【0064】 これにより、第1の実施の形態では、光を全面的に側面出射させているため、厚さが特に薄い面光源に使用した場合に光源直上が暗くなってしまう。光源上方向にも光を出射させることにより、超薄型の場合においても均一の面光源を得ることができる。」 (カ)図15は、以下のとおりのものである。 イ 引用発明 (ア)上記ア(エ)の【0056】の記載によれば、発光ランプ及びホルダ片が光源モジュールを構成するところ、特許請求の範囲の記載と、第2の実施形態の面発光ユニットの発光ランプ及びホルダ片が構成する光源モジュールに基づいて引用発明を認定する。その際、第2の実施形態に係る面発光ユニットを説明する箇所には、「図14?図17において、…図1?図8及び図13と同一又は同等の部材・部位については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する」(【0054】)と記載されているから、同一の符号が付されている部材・部位について実施形態1の記載を参酌する。 (イ)上記ア(ア)によれば、引用例には以下の光源モジュールが記載されている。 「光を入射する光入射面を有する凹部、前記光入射面から入射した光を反射する光反射面、および前記光反射面で反射した光を側方に出射する光出射面を有する光方向変換部と、 前記光方向変換部の前記凹部に空隙を設けて配置され、前記光入射面に前記光を入射する発光部と、 配置空間を有するユニット本体と、 配置空間に配置された回路基板とを備え、 前記発光部は、回路基板上に搭載され、 前記ユニット本体は、前記発光ランプを保持するホルダ片を備え、 前記光方向変換部は、前記ホルダ片に嵌合する嵌合部を有する、 光源モジュール。」 (ウ)上記ア(エ)の【0057】の記載によれば、発光部はLEDである。 (エ)上記ア(エ)の【0058】の記載によれば、光方向変換用光学素子は、ホルダ片に嵌合する凹部(嵌合部)及びLEDを収容する凹部に加え、LEDから出射される光を入射する光入射面と、この光入射面から入射した光を反射する光反射面と、この光反射面で反射した光を側方及び斜め前後方向に出射する光出射面とを有する。 (オ)上記ア(ウ)の【0025】、【0028】の記載によれば、光方向変換部としての光方向変換光学素子は透明材料によって形成され、LEDから出射された光が光入射面に入射すると、その大部分の光を屈折させ、これら屈折光を光反射面で全反射し、さらに光出射面から屈折させて斜め前方及び斜め後方・側方に、また光反射面(界面)からそれぞれ出射する。 (カ)上記ア(エ)の記載によれば、光方向変換用光学素子の光入射側端面とホルダ片の段状部との間に介在する回路基板を有する。 してみると、引用例には、以下の発明が記載されている。 「光を入射する光入射面を有する凹部、前記光入射面から入射した光を反射する光反射面、および前記光反射面で反射した光を側方に出射する光出射面を有する光方向変換部と、 前記光方向変換部の前記凹部に空隙を設けて配置され、前記光入射面に前記光を入射する発光部と、 配置空間を有するユニット本体と、 配置空間に配置された回路基板とを備え、 前記発光部は、回路基板上に搭載され、 前記ユニット本体は、前記発光ランプを保持するホルダ片を備え、 前記光方向変換部は、前記ホルダ片に嵌合する嵌合部を有する、 光源モジュールであって、 発光部はLEDであり、 光方向変換部としての光方向変換光学素子は透明材料によって形成され、 光方向変換用光学素子は、ホルダ片に嵌合する凹部(嵌合部)及びLEDを収容する凹部に加え、LEDから出射される光を入射する光入射面と、この光入射面から入射した光を反射する光反射面と、この光反射面で反射した光を側方及び斜め前後方向に出射する光出射面とを有し、 LEDから出射された光が光入射面に入射すると、その大部分の光を屈折させ、これら屈折光を光反射面で全反射し、さらに光出射面から屈折させて斜め前方及び斜め後方・側方に、また光反射面(界面)からそれぞれ出射し、 回路基板は、光方向変換用光学素子の光入射側端面とホルダ片の段状部との間に介在する、 光源モジュール。」(以下「引用発明」という。) (2)対比 本願補正発明と引用発明を対比する。 ア 本願補正発明の「発光素子」と、引用発明の「LED」である「発光部」を対比すると、両者は相当関係にある。 イ 本願補正発明の「前記発光素子から放射される光を入射する入射面、前記入射面から入射した光を反射する反射面、及び前記反射面で反射した光を屈折して側面方向へ出射する出射面を有する光方向変換部」と、引用発明の「光を入射する光入射面を有する凹部、前記光入射面から入射した光を反射する光反射面、および前記光反射面で反射した光を側方に出射する光出射面を有する光方向変換部」を対比する。 引用発明は、「LEDから出射された光が光入射面に入射する」し、「光出射面から屈折させて斜め前方及び斜め後方・側方に…出射」することを踏まえると、両者は相当関係にある。 ウ 本願補正発明の「嵌合部が形成されたケース部」と、引用発明の「ホルダ片に嵌合する凹部(嵌合部)」を対比すると、両者は、相当関係にある。 エ 本願補正発明の「透明材料からなる光方向変換素子」と、引用発明の「光方向変換部としての光方向変換光学素子は透明材料によって形成され」ることを対比する。引用発明の「光方向変換光学素子」が本願補正発明の「光方向変換素子」に相当する。してみると、両者は相当関係にある。 オ 本願補正発明の「前記光方向変換素子の前記ケース部の前記嵌合部に嵌合して前記入射面側に設けられるホルダ片」と、引用発明の「光方向変換用光学素子」が有する「凹部(嵌合部)」に嵌合する「ホルダ片」を対比する。 引用発明の「ホルダ片」は「発光ランプ」を備えるから、引用発明の「ホルダ片」は、光方向変換部の光入射面側に位置するものである。そして、引用発明の「光方向変換用光学素子」、「凹部(嵌合部)」は、それぞれ、本願補正発明の「光方向変換素子」、「ケース部」に相当する。そうすると、両者は、相当関係にある。 カ 本願補正発明の「前記ホルダ片は、前記光方向変換素子側に向けて開口する収納部を有し、前記収納部内に前記発光素子を搭載する回路基板を保持する構成を有してな」ることと、引用発明の「回路基板は、光方向変換用光学素子の光入射側端面とホルダ片の段状部との間に介在」し「配置空間に配置」されることを対比する。 引用発明の「光入射側端面とホルダ片の段状部との間」の「配置空間」が、本願補正発明の「開口する収納部」に相当し、引用発明の「ホルダ片」は段状部で回路基板を保持しているとも言える。そして、引用発明が「発光部は、回路基板上に搭載され」るとの特定事項を備えることを考慮すると、両者は相当関係にある。 キ 以上のことから、両者は、 「発光素子と、 前記発光素子から放射される光を入射する入射面、前記入射面から入射した光を反射する反射面、及び前記反射面で反射した光を屈折して側面方向へ出射する出射面を有する光方向変換部と、嵌合部が形成されたケース部とを有する透明材料からなる光方向変換素子と、 前記光方向変換素子の前記ケース部の前記嵌合部に嵌合して前記入射面側に設けられるホルダ片とを有し、 前記ホルダ片は、前記光方向変換素子側に向けて開口する収納部を有し、前記収納部内に前記発光素子を搭載する回路基板を保持する構成を有してなる 光源モジュール。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 相違点:(1)本願補正発明は、「前記光方向変換素子の前記光方向変換部及び前記ケース部に光拡散剤を含有してなり、前記入射面に入射して前記反射面に向かう光のうち、一部の光を前記光拡散剤によって前記入射面から入射した光線の方向を変更して第1の光として前記反射面の裏側から表側に向けて透過させ、残りの光を前記光拡散剤又は前記反射面で反射させて第2の光として前記出射面から前記側面方向に出射させ」るのに対し、引用発明は、そのようなものでなく、 (2)本願補正発明は、「前記光拡散剤の含有量は、前記透明材料100重量%に対して0.01重量%以上0.1重量%以下とすることにより、前記第1の光の光量と前記第2の光の光量とを所定の比率とした」のに対し、引用発明は、そのようなものでない点。 (3)判断 以下、上記相違点について判断する。 ア はじめに、本願補正発明において、「前記光拡散剤の含有量は、前記透明材料100重量%に対して0.01重量%以上0.1重量%以下とすることにより、前記第1の光の光量と前記第2の光の光量とを所定の比率とした」ことの技術的な意味を、発明の詳細な説明の記載を参酌して検討する。 本願の発明の詳細な説明には、 「【0027】 図4には、光方向変換素子10により光方向が変換された光線が模式的に示されている。透明樹脂100重量%に対する光拡散剤14の添加量を0.01重量%以上0.1重量%以下の範囲内に調整することで、LED40から発する光が光方向変換素子10内において多方向に適度に拡散され、光方向変換素子10の光反射面12dの裏側から表側へ向けて透過する光が略均一に拡散放射される。これにより、光方向変換素子10の形状や歪みなどによる光の強弱のムラを解消することができる。」 との記載がある。 上記記載によれば、「前記光拡散剤の含有量は、前記透明材料100重量%に対して0.01重量%以上0.1重量%以下とすることにより、前記第1の光の光量と前記第2の光の光量とを所定の比率とした」ことの技術的な意義は、LED40から発する光が光方向変換素子10内において多方向に適度に拡散され、光方向変換素子10の光反射面12dの裏側から表側へ向けて透過する光が略均一に拡散放射され、これにより、光方向変換素子10の形状や歪みなどによる光の強弱のムラを解消することにあるものと認められる。 イ 光拡散剤は、透明な材料(樹脂等)に含ませることで、光を拡散させて、配向特性を制御しうるものであることは、例えば下記a?cに記載されるように、周知の技術手段である。 a 特開2007-227791号公報(「【0025】…また、透光性樹脂に蛍光物質および拡散剤を予め含ませておくだけで配光特性を改善できる…」との記載を参照。なお、この刊行物は、原査定の理由に引用された刊行物である。) b 特開2007-227590号公報(「【背景技術】【0002】 従来存在する発光装置は拡散性の高い配光を得るため、粉体状の拡散剤を透光性樹脂内に混入させている。」との記載を参照。) c 特開2001-77427号公報(【0019】…また、モールド部材には、所望に応じて…、配光特性を滑らかにする拡散剤など種々の添加剤を含有させることもできる。) ところで、引用例の実施の形態1を説明する欄には、「【0034】…光出射面29Cには、光拡散性をもたせるために、粗面加工を施してもよい。この粗面加工を施す代わりに、光方向変換用光学素子29に光拡散剤を混入しても光拡散性を高めることができる。」との記載がある。ここで、引用発明は、光方向変換部の入射面に入射した光を、光出射面から斜め前方及び斜め後方・側方に、また光反射面(界面)からそれぞれ出射するものであるところ、光方向変換部に光拡散剤を混入することにより、拡散性の高い配光となり、光反射面(界面)から出射する上方向の光が増えるであろうことは、当業者に明らかな事項である。 ウ 上記ア、イを踏まえて検討する。引用発明は、光方向変換部の光出射面から斜め前方、斜め後方、側方に、また光反射面(界面)から上方にそれぞれ出射する光源モジュールであるところ、光源モジュールを適用する面光源の特性等に応じ、斜め前方、斜め後方、側方、光反射面(界面)からそれぞれ出射する光量に最適な光量(配光)があるものと認められる(例えば、引用例の第3の実施の形態には、上記(1)ア(オ)に記載されるように、超薄型の面光源に適用する際には、光源上方に出射する光量を多くすることが開示されている。)。そうすると、引用発明1の光源モジュールにおいて、光源上方に出射する光量が多くなる配光と為すことは、適用する面光源の特性に応じて当業者が適宜なし得ることであり、その際、配光を調整する手段として、上記イで検討した光拡散剤を用いる周知の手段を採用して、光方向変換部(光方向変換用光学素子)に光拡散剤を含有させることに困難性は無い。そして、光拡散剤をどの程度含有させるかは、必要とする上方への出射光量(配光特性)や、光方向変換部の形状等に応じて、当業者が適宜設定しうる設計事項と認められ、また、光拡散剤の含有量を透明材料100重量%に対して0.01重量%以上0.1重量%以下とする数値範囲も格別のものとは認められない。 してみると、引用発明おいて、光方向変換部に拡散部に輝度が均一になる程度の光拡散剤を含有させ、上記相違点に係る本願補正発明の発明特定事項と為すことは、当業者が容易に想到し得たことと認められる。 エ 本願補正発明が奏する作用効果は、引用発明、上記周知の技術手段及び引用例の記載に基づいて当業者が容易に予測しうる程度のものであり、格別のものとは認められない。 (カ)したがって、本願補正発明は、引用発明、上記周知の技術手段及び引用例の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許出願の際独立して特許受けることができない。 4 本件補正についてのむすび 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。また、本件補正後の発明は、特許出願の際独立して特許受けることができないものであるから、いずれにしても却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成22年7月16日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「発光素子と、 前記発光素子から放射される光を入射する入射面と、前記入射面から入射した光を反射する反射面と、前記反射面で反射した光を屈折して側面方向へ出射する出射面とを有する透明材料からなる光方向変換素子と、 前記光方向変換素子に設けられるホルダ片とを有し、 前記ホルダ片は、前記光方向変換素子側に向けて開口する収納部を有し、前記収納部内に前記発光素子を搭載する回路基板を保持する構成を有してなり、 前記光方向変換素子に光拡散剤を含有してなり、 前記光拡散剤の含有量は、前記透明材料100重量%に対して0.01重量%以上0.1重量%以下であることを特徴とする光源モジュール。」(以下「本願発明」という。) 2 引用する引用例と引用発明 原査定の拒絶の理由に引用された引用例、その記載事項、及び引用発明は、前記「第2 3(1)」に記載したとおりである。 3 対比・判断 本願発明は、前記「第2 3」で検討した本願補正発明から、発明を特定するために必要な事項である、光方向変換素子が「嵌合部が形成されたケース部」を有するとの限定、ホルダ片について「ケース部の前記嵌合部に嵌合して前記入射面側に設けられる」との限定、光拡散剤について「前記光方向変換素子の前記光方向変換部及び前記ケース部」に含有するとの限定、光方向変換素子について「前記入射面に入射して前記反射面に向かう光のうち、一部の光を前記光拡散剤によって前記入射面から入射した光線の方向を変更して第1の光として前記反射面の裏側から表側に向けて透過させ、残りの光を前記光拡散剤又は前記反射面で反射させて第2の光として前記出射面から前記側面方向に出射させ」るとの限定、光拡散剤の含有量の技術的な意義について「前記第1の光の光量と前記第2の光の光量とを所定の比率と」するとの限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 3(3)」に記載したとおり引用発明、周知の技術手段及び引用例の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明、周知の技術手段及び引用例の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明、周知の技術手段及び引用例の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-04-02 |
結審通知日 | 2015-04-07 |
審決日 | 2015-04-23 |
出願番号 | 特願2009-87031(P2009-87031) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(H01L)
P 1 8・ 121- Z (H01L) P 1 8・ 572- Z (H01L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 百瀬 正之 |
特許庁審判長 |
吉野 公夫 |
特許庁審判官 |
小松 徹三 星野 浩一 |
発明の名称 | 光源モジュール及び表示装置 |
代理人 | 遠藤 和光 |
代理人 | 平田 忠雄 |