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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06K
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06K
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 G06K
管理番号 1311634
審判番号 不服2014-12892  
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-07-03 
確定日 2016-02-23 
事件の表示 特願2013- 68024「出力デバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月 8日出願公開、特開2013-152741〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成19年8月29日に国際出願した特願2009-527497号(パリ条約による優先権主張外国庁受理 平成18年9月11日及び平成19年4月24日 米国(US))の一部を平成24年6月21日に特願2012-139709号として新たな特許出願をし、更にその一部を平成25年3月28日に特願2013- 68024号として特許出願をしたものであって、平成25年7月30日付け拒絶理由の通知に対し、平成26年2月5日付けで手続補正がなされたが、同年2月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年7月3日付けで拒絶査定不服審判の請求及び手続補正がなされたものである。

第2.平成26年7月3日付けの手続補正についての補正却下の決定
(補正却下の決定の結論)
平成26年7月3日付けの手続補正を却下する。
(理由)
1.補正後の本願発明
平成26年7月3日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、本件補正後の請求項1については、
本件補正前には、
「【請求項1】
携帯型メディアデバイスのコネクタを介して出力されるオーディオを聴くための出力デバイスであって、
少なくとも1つのイヤホンと、
前記少なくとも1つのイヤホンへの配線を備える首掛け式の首ひもと、
前記首ひもを介して前記少なくとも1つのイヤホンに接続されるコネクタ配列であって、直方体状基部と、前記携帯型メディアデバイスの前記コネクタに接続するために用いられ、前記直方体状基部の長手方向の一端から突出するオスオーディオジャックと、を有する、コネクタ配列と、
を備える、出力デバイス。」

とあったものが、

「【請求項1】
携帯型メディアデバイスのコネクタを介して出力されるオーディオを聴くための出力デバイスであって、
少なくとも1つのイヤホンと、
前記少なくとも1つのイヤホンへの配線を備える首掛け式の首ひもと、
前記首ひもを介して前記少なくとも1つのイヤホンに接続されるコネクタ装置とを備え、
前記コネクタ装置は、直方体状基部と、前記携帯型メディアデバイスの前記コネクタの上面に接続するために用いられ、前記直方体状基部の長手方向の一端から突出するオスオーディオジャックと、を有し、前記オスオーディオジャックは前記出力デバイスと前記携帯型メディアデバイスとの間の唯一のコネクタであり、前記オスオーディオジャックは前記コネクタ装置の底面の中心からずれた位置にあり、前記コネクタ装置は前記携帯型メディアデバイスの前記コネクタの前記上面と実質的に同じ長さを有し、
前記配線は、前記コネクタ装置の上部の第1端に接続されている第1配線部分と、前記コネクタ装置の前記上部の第2端に接続されている第2配線部分とを含み、
前記第2端は前記第1端の反対側にあり、前記第1配線部分と前記第2配線部分との間に前記コネクタ装置の前記上部に沿って隙間が存在する、出力デバイス。」
と補正された。

上記補正は実質的に、
ア.本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「コネクタ配列」について、「コネクタ装置」と補正し、
イ.上記「コネクタ配列」について、補正前は「直方体状基部と、前記携帯型メディアデバイスの前記コネクタに接続するために用いられ、前記直方体状基部の長手方向の一端から突出するオスオーディオジャックと、を有する、」とあったのを「・・コネクタ装置は、直方体状基部と、前記携帯型メディアデバイスの前記コネクタの上面に接続するために用いられ、前記直方体状基部の長手方向の一端から突出するオスオーディオジャックと、を有し、前記オスオーディオジャックは前記出力デバイスと前記携帯型メディアデバイスとの間の唯一のコネクタであり、前記オスオーディオジャックは前記コネクタ装置の底面の中心からずれた位置にあり、前記コネクタ装置は前記携帯型メディアデバイスの前記コネクタの前記上面と実質的に同じ長さを有し、」と限定し、
ウ.同じく本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「配線」について、「前記配線は、前記コネクタ装置の上部の第1端に接続されている第1配線部分と、前記コネクタ装置の前記上部の第2端に接続されている第2配線部分とを含み、前記第2端は前記第1端の反対側にあり、前記第1配線部分と前記第2配線部分との間に前記コネクタ装置の前記上部に沿って隙間が存在する」との限定を付加するものである。

2.本件補正の適否について
ここで、審判請求人は、補正の根拠について、「この補正は例えば図17B及び明細書中の対応する説明に基づきます。この補正は補正前の発明特定事項である配線、オスオーディオジャック及びコネクタ装置(補正前はコネクタ配列)の位置関係を限定的に減縮するものです。従って、本補正は審判請求時の補正要件を満たしています。」と主張しているので、本件補正が審判請求時の補正として適法か否かを検討する。
2-1.上記アに係る補正について
上記アに係る補正前の「コネクタ配列」を「コネクタ装置」とする補正は、本来その意であることが明細書、特許請求の範囲又は図面の記載などから明らかな字句・語句の誤りを、その意味内容の字句・語句に正すこととは認められないから、特許法第17条の2第5項第3号に掲げる誤記の訂正を目的とするものには該当しない。さらに、同項第4号に掲げる拒絶の理由に示す事項についてする明りょうでない記載の釈明を目的とするものにも該当しないことは明らかである。
ここで、上記アに係る補正の根拠として審判請求人が主張する「図17B及び明細書中の対応する説明」について見てみると、
本件出願の図17Bには、首掛け式の出力デバイス460が記載されているが、図面記号は、出力デバイス460と携帯型メディアデバイス200の二つだけで、「コネクタ装置」を特定するような図面及び図面記号の記載はない。
また、明細書及び図面には、「コネクタ」及び「コネクタに関連する用語」として、「コネクタ」(段落【0012】,【0019】,【0020】,【0026】?【0028】,【0031】,【0048】,【0093】,【0096】,【0100】,【図1】)、「コネクタ領域」(段落【0020】)、「コネクタ配列」(段落【0026】,【0030】)、「コネクタアセンブリ」(段落【0079】,【0081】)、「コネクタ本体」(段落【0079】)、「コネクタ構成」(段落【0100】)の各記載が認められるものの、本件補正後の「コネクタ装置」なる用語は本願明細書及び図面のどこにも記載されていない。
なお、補正前の発明特定事項である「コネクタ配列」に対応すると思われる本件出願の原出願の優先権主張の基礎となる外国語書面出願明細書の記載である「a connector arrangement」は、本願明細書の段落【0026】では「コネクタ配列105」と、段落【0100】では「コネクタ構成」とそれぞれ翻訳されており、「a connector arrangement」が、本件補正後の「コネクタ装置」に該当するとも認められない。
そうすると、上記アに係る補正前の「コネクタ配列」を「コネクタ装置」とする補正は、本願明細書及び図面の全てにおいて「コネクタ装置」についての記載は無く、「コネクタ装置」が、本願明細書及び図面の全ての記載を総合することにより導かれる自明の技術的特定事項でもない。
したがって、上記アに係る補正は、新規事項の追加に当たり、「願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において」するものとは認められない。
よって、上記アに係る補正は、「コネクタ配列」を「コネクタ装置」とする補正であり、補正後の「装置」なる用語は、補正前の「配列」なる用語を限定的に減縮するものではなく、補正により、補正前の「配列」なる用語を補正後の「装置」なる用語に置き換えるものであるから、上記アに係る補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとは認められない。

以上より、上記アに係る補正は、特許法第17条の2第3項新規事項の追加に該当するとともに、同法第17条の2第5項各号に掲げるいずれを目的とするものにも該当しないから、本件補正は、特許法第159条で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.独立特許要件の予備的判断
3-1.特許請求の範囲の減縮を目的とする補正について
上記2で本件補正は却下すべきものとしたが、上記アに係る補正が、上記イ・ウに係る補正と同様に、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとして、本件補正後の上記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについての判断も示す。

3-2.特許法第29条第2項違反
(1)本願補正発明の技術的意義について
本願明細書には、次の記載がある。なお、下線は当審で付与した。
(発明を実施するための形態)
「さらに、携帯型メディアデバイスは、単一の統合型コネクタを備えてよく、そうすれば、他のデバイスへの接続に必要なスペースが低減される。単一の統合型コネクタは、例えば、データのアップロード/ダウンロード、電力の伝送、および、オーディオなどのメディアの出力のための機能を含んでよい。一実施形態では、単一の統合型コネクタは、さらに、内部軸ジャックとして実現されることで、メディアデバイスの表面への影響が最小限になる。」(段落【0019】)
「メディアデバイスとのインターフェース接続のためのコネクタのほとんどは、横方向に並んで離間されるため、細長くのびるコネクタ領域を必要とし、それにより、小型の携帯型メディアデバイスを最小化しつつコネクタを配置することが困難になっていることを理解されたい。逆に、本発明のジャックは、メディアデバイスの表面の周囲に広がるのではなく、メディアデバイス内に伸びる点状の開口部を備える。開口部は、その軸に沿って軸方向に離間した複数の接点を備えており、それらの接点は、プラグが軸に沿って開口部に挿入された時に、対応する接点と接触する。さらに、その接続は、特定の向きを必要としない。360°対称であることにより、プラグを任意の向きで挿入することが可能である。したがって、ユーザは、プラグをジャックに結合する際に考える必要がない。一実施例では、したがって、メディアデバイスは、横方向に並んだ接点(例えば、従来のUSBポートおよびFIREWIREポートなど)を有する細長いポートを備えない。」(段落【0020】)
「一実施形態では、接続モジュール104は、(ハウジング102を通しての)物理的な有線接続を介しての相互作用を可能にするコネクタ配列105に接続される。コネクタ配列105は、電力、データ、および、メディアを分配する目的の1または複数のコネクタを備えてよい。例えば、コネクタは、メディアジャック、データポート、電力端子などを備えてよい。メディアは、例えば、オーディオ、画像、ビデオなどが該当しうる。データは、シリアル、パラレル、USB、FIREWIREなどに対応してよい。」(段落【0026】)
「特定の一実施形態では、メディアデバイス100は、スペースを節約することでメディアデバイス100の小型化を可能にするために、単一の統合型コネクタだけを備える。単一の統合型コネクタは、複数のコネクタの機能を1つのコネクタに統合したものである。例えば、単一の統合型コネクタは、電力、データ、および、メディアの機能を備えてよく、それにより、電力供給、データ通信、および、メディア転送(例えば、オーディオ、ビデオ)が、単一の場所で実行されることを可能にする。」(段落【0027】)
「単一のコネクタは、幅広く変更されてよい。一実施例では、コネクタは、ハウジング内に伸びて結合軸に沿って軸プラグを受け入れる内部ジャックである。ジャックは、その機能(例えば、電力、データ、メディア)の各々を可能にするために、軸方向に離間した複数の端子または接点を備える。端子は、軸プラグがジャックに挿入された時に、対応する接点と接触する。そのように、ジャックは、オーディオメディアをヘッドホン/スピーカに供給できるようにヘッドホン/スピーカに関連付けられたヘッドホンまたはスピーカのプラグ、および/または、ビデオメディアをディスプレイに供給できるようにディスプレイに関連付けられたビデオプラグを受け入れることができる。(以下略)」(段落【0028】)
「メディアデバイス100は、さらに、メディアデバイスをユーザが簡単に持ち運んだり身につけたりすることを可能にするために、ハウジング102に一体化された取り付け機構116を備えてよい。その結果、メディアデバイスは、持ち運ぶ際にも、運搬および操作が容易になる。取り付け機構は、幅広く変更されてよい。例えば、取り付け機構は、ストラップ、首ひも、クリップなどを含んでよい。」(段落【0040】)
「メディアデバイス200は、さらに、ハウジング202の第1の端部キャップ203B内に伸びるコネクタ204を備える。コネクタ204は、メディアデバイス200とそれに接続されたデバイスとの間で入力電力、I/Oデータ、および/または、出力メディアをやり取りできるように、対応するコネクタを受け入れるよう構成される。コネクタ204は、メディアデバイス200に対してメディアまたはその他のデータをアップロードまたはダウンロードするために用いられてよい。例えば、コネクタ204は、曲、プレイリスト、オーディオブック、電子ブックなどを、メディアデバイス200内のメモリデバイスにダウンロードするために用いられてよい。コネクタ204は、さらに、メディアデバイス200に電力供給および充電を行うためのインターフェースとして機能してもよい。例えば、携帯型メディアデバイス900が、コネクタ204を介して電源またはホストデバイスに接続された時に、充電式バッテリを充電することができる。コネクタ204は、さらに、オーディオなどのメディアをメディア出力装置(例えば、スピーカまたはヘッドホンなど)に出力するためのインターフェースとして機能してもよい。コネクタ204は、例えば、第1の端部キャップ203Bを通してハウジング内に伸びる軸ジャックに対応してよい。軸ジャックは、軸方向に配列され空間的に隔離された複数の接点または端子(例えば、電力、オーディオ、ビデオ、データの端子を備える。それらの端子は、各機能専用のものであってよく、一部の例では、それらの端子が共用されてもよい。」(段落【0048】)
「図17Aおよび17Bは、携帯型メディアデバイス200の単一の統合型コネクタを通して出力されるオーディオを聴くために利用可能なオーディオ出力デバイス450および460の例を示す図である。図17Aは、イヤホンを備え、いくつかのワイヤとオスジャックとを介してメディアデバイスに接続する従来の出力デバイスを示す。一方、図17Bは、イヤホンと、イヤホンへのワイヤを中に通した首ひもと、オスオーディオジャックを含むコネクタ構成とを備える首掛け式の出力デバイスを示す図である。首掛け式のデバイスは、さらに、首ひものサイズを調節するための調節可能な留め具を備えてもよい。明らかに、首掛け式のデバイスは、メディアデバイスがユーザの首の周りに身につけられることを可能にする。」(段落【0100】)
以上の記載によると、本願補正発明は、「図17Bにおいて、携帯型メディアデバイス200の単一の統合型コネクタを通して出力されるオーディオを聴くために利用可能なオーディオ出力デバイス460に例示されるように、イヤホンと、イヤホンへのワイヤを中に通した首ひもと、オスオーディオジャックを含むコネクタ構成とを備える首掛け式の出力デバイスにより、ユーザがメディアデバイスをユーザの首の周りに身につけられることを可能にするもので、首掛け式の出力デバイスは、首ひものサイズを調節するための調節可能な留め具を備えることもできる。」との技術的意義を有するものと認められる。

なお、特許法第29条第2項違反の検討に際し、本件補正後の「コネクタ装置(補正前はコネクタ配列)」は、本願明細書中のオーディオ出力デバイスに関する唯一の図面とその具体的記載である、【図17B】とそれに対応する段落【0100】の記載から、【図17B】において、オーディオ出力デバイス460と携帯メディアデバイス200とを接続する下部にオスオーディオジャックと上部に首ひもを備えた直方体状のもの(図17Bは平面図のみなので側面が長方形状としか認識できない)として対比・判断を行うこととする。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された実用新案登録第3117739号公報(以下、「引用例1」という。)には、「首ぶら下げ式イヤホン装置」について、図面とともに以下の各記載がある。なお、下線は当審で付与した。
ア.「【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
一種の携帯式電子音楽再生装置と組合せて使用するイヤホン装置であって、
一つのソケット、一つのぶら下げコードと、一つの電気信号線と、一つの固定クリップと、一つの滑りクリップとを含み、
前記一つのソケットはそのソケット上にスロットを設け、そのスロットは携帯式電子音楽再生装置のソケット挿入に相応しく、そのスロットはUSBソケットの左・右音源およびマイクロホンの電気信号線に接続する接続端子に対応する端子を設けて、携帯式電子音楽再生装置の音声信号をスロットに伝送させ、
前記一つのぶら下げコードは、ソケットを通し、そのぶら下げコードの両端は互いに組合せた安全切り離しジョイントを設け、
前記一つの電気信号線は、ぶら下げコードを通し、その電気信号線の一端はジャックに接続し、他端はぶら下げコード外部にぶら下げて、この端にイヤホン出力端子を設け、
前記一つの固定クリップは、電気信号線をぶら下げコードに固定し、
前記一つの滑りクリップは、電気信号線の位置を調節でき、
使用するとき、電気信号線は滑りクリップによりその所在位置を調節して、首にぶら下げて、携帯式電子音楽再生装置のソケットをスロットに挿入したとき、滑りクリップを固定クリップを離れた位置より、固定クリップの所在位置に移動させ、ぶら下げコードから電気信号線を切り離して、イヤホン出力端子を耳に装着でき、これにより、イヤホンはソケットに接続したスロットと携帯式電子音楽再生装置のソケットを接続して携帯式電子音楽再生装置の音源をイヤホン出力端子に出力することを特徴とする、
首ぶら下げ式イヤホン装置。」(2頁1?22行目)

イ.「【課題を解決するための手段】
【0004】
本考案の一つの目的は、一種の首ぶら下げ式イヤホン装置を提供するもので、携帯式電子音楽再生装置に組合せて使用するイヤホン。そのぶら下げコードに接続ジャックを設け、そのジャックに内側に引き込むUSBスロットを設け、そのスロットは携帯式電子音楽再生装置のUSBジャックの挿入に適し、そのぶら下げコードに電気信号線を内部に設ける。その電気信号線は一つの固定クリップを通してぶら下げコードのそばに垂れ込み、その電気信号線上に滑りクリップを設け、その滑りクリップの他端はぶら下げコードに嵌め込んでおく、電気信号線は滑りクリップにより所在位置を変更できる。利用者は首にぶら下げて、ソケットを携帯式電子音楽再生装置ジャックに挿入したとき、滑りクリップを固定クリップから離れておく、電気信号線をぶら下げコードを離しておき、イヤホン出力端子を耳に装着できる。これにより、イヤホンはソケットのスロットと携帯式電子音楽再生装置のソケットに接続することにより、携帯式電子音楽再生装置の音源をイヤホンの出力端に出力でき、新たに音源プラグ(DC PLUG)を用意する必要がない。さらに、固定クリップと滑りクリップとの組合せにより、電気信号線をぶら下げコードに固定でき、ふらふらに揺れない。」(3頁5?20行目)

ウ.「【実施例】
【0008】
本考案は一種の首掛け式イヤホン装置に関わるもので、図3に示すとおり、一種の携帯式電子音楽再生装置と組合せて使用する装置である。そのうち、携帯式電子音楽再生装置100は、本考案においてApple II ipod shuffleを用いる。しかし、この種の技術を熟知する者は、同様または類似の携帯式電子音楽再生装置100に代わることができる;その携帯式電子音楽再生装置100の一端に音源ジャック(DC JACK)102を設け、他端にUSBソケット101を設ける。そのUSBソケット101に9この接続ピン(PIN)を設け、そのうち、4個の接続ピン(PIN)は一般のUSB電気信号線の接続に提供するものである。さらに、5つの接続ピン(PIN)は外部の左・右音源出力とマイクロホンの電気信号接続用である。さらに、そのソケット101の両側に向かい合わせた溝103を設ける。
【0009】
そのイヤホンにソケット10を設け、ソケット10に内側に引き込むスロット11を設け、その,スロット11は携帯式電子音楽再生装置100のUSBジャック101挿入に適し、スロット11にUSBジャック101の左・右音源とマイクロホン電気信号接続するための5つの接続ピン(PIN)に合わせる端子111を設けて、携帯式電子音楽再生装置100に保存された音楽はジャック101により、イヤホンに伝送できる。さらに、スロット11の両側はそれぞれに突起体12を設け、これらの突起体12はジャック101の溝103と組合せる。これらの突起体12とソケット10接続する端にバネ(図示していない)を設けて、ジャック101をスロット11に挿入するとき、突起体12と溝103との組合せにより、緊密に結合させ、抜けにくい。

【0012】
使用するときは、図4、5に示すとおり、ぶら下げコード13を首にぶら下げて、ソケット10を携帯式電子音楽再生装置100に差し込んだ後、滑りクリップ17は固定クリップ15の離れた位置より、固定クリップ15の所在場所に移動して、電気信号線16をぶら下げコード13から切り離す、イヤホン出力端子18は耳に装着できる。これにより、イヤホンはソケット10のスロット11と携帯式電子音楽再生装置100ジャック101に挿入すれば、携帯式電子音楽再生装置100の音源は新たに音源プラグ(DC PLUG)104を用意する必要がなく、イヤホン出力端子18に入力できる。さらに、固定クリップ15と滑りクリップ17との組合せにより、電気信号線16をぶら下げコード13に固定でき、ふらふらしない。」

・上記引用例1に記載の「首ぶら下げ式イヤホン装置」は、上記「ア」の記載事項によれば、ソケットと、ぶら下げコードと、電気信号線とを含み、携帯式電子音楽再生装置と組合わせて使用するイヤホン装置において、ソケットに携帯式電子音楽再生装置のソケット挿入に適したスロットを設けて、携帯式電子音楽再生装置の音声信号をスロットに伝送させ、電気信号線はぶら下げコードを通して、一端はジャックに接続し、他端はぶら下げコード外部にぶら下げてイヤホン出力端子を設け、使用する際には、スロットと携帯式電子音楽再生装置のソケットを接続して首にぶら下げ、イヤホン出力端子を耳に装着するものである。
・上記「イ」の記載事項によれば、上記「ア」のスロットがUSBスロットで、携帯式電子音楽再生装置のUSBジャックの挿入に適しており、イヤホンはソケットのスロット(USBスロット)と携帯式電子音楽再生装置のソケット(USBジャック)に接続することにより、携帯式電子音楽再生装置の音源をイヤホンの出力端に出力でき、新たに音源プラグ(DC PLUG)を用意する必要がない。
・上記「ウ」の記載事項によれば、イヤホンは、スロットにジャックを挿入すれば、USBスロット及びUSBジャックの接続ピンを介して、携帯式電子音楽再生装置の左・右音源出力とイヤホンとを電気信号接続でき、スロットの両側に突起体を設けてジャックの溝と組合せ、ジャックをスロットに挿入するとき、突起体と溝との組合せにより、緊密に結合させ抜けにくい。
・なお、上記「イ」及び「ウ」の記載から、「ソケット10」と「接続ジャック」、「USBソケット101」と「USBジャック101」とは、同じ意味で使用されていることが明らかである。
・ここで、引用例1の【図3A】、【図4】、【図5】を参照すると、引用例1の「ぶら下げコード13」は、「ソケット10の上部の一端と、同じく上部の反対側の他端とに、間隔を空けてそれぞれ一本ずつ、あわせて2本のぶら下げコード13を設け、ぶら下げコード13の両端は、互いに組合せる安全切り離しジョイント14により接続して首からぶら下げるようにし」、「ぶら下げコード13内部に電気信号線16を通して、電気信号線16の一端はソケット10に設けたスロット11の端子111に接続し、他端はぶら下げコード外部にぶら下げたイヤホン出力端子18に接続され」ていることが読み取れる。
・さらに、引用例1の【図3A】、【図4】、【図5】を参照すると、引用例1の「ソケット10」は、「上面がやや丸みを有した直方体状基部で、携帯式電子音楽再生装置100と接続結合すると、ソケット10と携帯式電子音楽再生装置100とが一体感を有するもの」であることが読み取れる。

したがって、上記記載事項を総合勘案すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「ソケットと、ぶら下げコードと、電気信号線とを含み、携帯式電子音楽再生装置と組合わせて使用するイヤホン装置において、ソケットに携帯式電子音楽再生装置のソケット挿入に適したスロットを設けて、携帯式電子音楽再生装置の音声信号をスロットに伝送させ、電気信号線はぶら下げコードを通して、一端はソケットに接続し、他端はぶら下げコード外部にぶら下げてイヤホン出力端子を設け、使用する際には、スロットと携帯式電子音楽再生装置のソケットを接続して首にぶら下げ、イヤホン出力端子を耳に装着するものであって、スロットがUSBスロットで、携帯式電子音楽再生装置のソケットがUSBジャックからなり、USBスロットとUSBジャックとを接続するだけで、携帯式電子音楽再生装置の音声信号をイヤホン出力端子に出力することを特徴とする、首ぶら下げ式イヤホン装置。」

(3)周知技術
本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物(3-1)乃至(3-5)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。
(3-1)原査定の拒絶の理由に引用された特開2005-123853号公報(以下「引用例2」という。)
「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯ヘッドホンに関し、特に首に掛けて帯行できるヘッドホンに関する。
(中略)
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、以上に述べたような従来のパーソナル用ヘッドホンまたはイヤホンの現状に鑑み、使用されるオーディオ機器をも首掛けストラップに保持して簡便に使用できる首掛けヘッドホンを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するため、本発明は、使用者の首に掛けることができる首掛けストラップの中間部左右に左右イヤホンのコードを固定し、コードを誘導した同首掛けストラップの下部に外部接続用接続ジャックを設け、この接続ジャックを介して前記左右イヤホンに電気的に接続されるオーディオ本体を機械的に着脱可能に接続ジャックに結合した首掛けヘッドホンを提案するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ペンダント型に作るオーディオ本体を首掛けストラップに吊って帯行
してイヤホンで音楽を聴取できるから、使い勝手のよい首掛けヘッドホンを得ることができる。
(中略)
【実施例1】
【0008】
以下、図1から図3について本発明の実施例の詳細を説明する。
図1は本発明による首掛けヘッドホンの全体を示し、使用者の首に掛けることができる首掛けストラップ1の中間部左右には左右イヤホン2L,2Rのコード2aを固定してある。つまり、ユーザの身長などに応じて調節コマ3で長さを調節できる首掛けストラップ1の下部には前記コード2aを誘導した外部接続用接続ジャック4が設けられる。
【0009】
そして、この接続ジャック4は前記左右イヤホン2L,2Rに電気的に接続されるオーディオ本体5に機械的に着脱可能に結合され、同オーディオ本体5に予め内臓メモリに記憶される音楽またはメッセージなどのオーディオソースを左右イヤホン2L,2Rから聴取できる。
このオーディオ本体5の表面には+音量ボタン6、-音量ボタン7、停止ボタン8が配置され、これらのボタンの操作により聴取状態がコントロールされる。」

(3-2)原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-103493号公報(以下「引用例3」という。)
「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、オーディオ機器およびそのヘッドホンに関する。」
「【0018】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ジャック15およびプラグ65は、オーディオ信号L、R以外に、直流電圧VCC、表示用のシリアルデータDISP、リモコン用のシリアルデータREMOのアクセスにも使用されるので、上記のように7接点とされているが、このため、プラグ65の接点A?Gは、例えば図5に示すような構成とされている。
【0019】すなわち、プラグ65の接点A?Cは、一般のヘッドホンなどにおける接点と同様、全体がほぼ円柱状に構成されるとともに、その先端から順に接点A、B、Cとされている。また、プラグ65の接点D?Gは、接点A?Cと同一平面内に位置する絶縁基板Hの上に配列されている。そして、ジャック15は、そのような構成のプラグ65を差し込むことができ、かつ、プラグ65を差し込んだとき、その接点A?Gがジャック15の接点A?Gに接触して接続されるような構成とされている。
【0020】ところが、このようにジャック15およびプラグ65の接点数を多くすると、ジャック15およびプラグ65が大きくなってしまい、プレーヤ1の小型化の妨げとなってしまう。
【0021】この発明は、このような問題点を解決しようとするものである。」
「【0045】そして、この場合、ヘッドホン6にリモコン操作部60を設けても、ヘッドホンジャック35およびヘッドホンプラグ65は、それらの接点数が4接点と少ないので、小型化することができ、この結果、プレーヤ1の小型化に寄与することができる。
【0046】図4は、ヘッドホンプラグ85の一例の外観を示す。このプラグ85は、いわゆる110号プラグと同様の形状とされるもので、接点A?Dが全体として円柱状に構成されるとともに、その先端から順に接点A、B、C、Dとされる。そして、接点Dが把持部85Hに固定されるとともに、この把持部85Hを通じてヘッドホンコード86が引き出される。なお、接点A?Dの大きさは、一般のステレオプラグと同一とされるものであり、すなわち、直径3.5 φ、長さ14mmとされる。
【0047】また、図示はしないが、ヘッドホンジャック35は、このヘッドホンプラグ85に対応した構成とされ、すなわち、一般に使用されている、いわゆるステレオジャックよりも接点Cが1つ多いジャックとされる。
【0048】そして、このような構成であれば、図5に示すこれまでのヘッドホンプラグ65(およびジャック15)に比べ、接点D?Fのためのスペースが不要になるので、このプラグ65よりも型化することができ、プレーヤ1の小型化に起用することができる。」
「【0051】また、上述においては、プレーヤ1がカセットテープを再生する場合であるが、CDやMDなどを再生するプレーヤあるいは記録再生装置であってもよい。
【0052】
【発明の効果】この発明によれば、ヘッドホンコードの途中に設けたリモコン操作部からプレーヤをリモコンする場合でも、そのヘッドホンプラグやヘッドホンジャックを小型化することができ、プレーヤの小型化に寄与することができる。」

(3-3)原査定の拒絶の理由に引用された実願平2-22188号(実開平3-116575号公報)のマイクロフィルム(以下「引用例4」という。)
「3.考案の詳細な説明
(産業上の利用分野)
本考案は、例えばヘットホンステレオなどと称されるリモートコントロール付ステレオカセットレコーダやリモートコントロール付ポータブルタイプディスクプレーヤーに用いるリモートコントロール付ヘッドホン用コネクタに関するものである。」(明細書2頁1行?8行)
「(考案が解決しようとする課題)
しかしながら、従来のジャックではコネクタタイプなので、セット付属品のリモートコントロール付ヘッドホン装置にしか使用できず、ユーザが既に持っているヘッドホン装置やより音質の良い市販のヘッドホン装置を使用することができないという問題点があった。
本考案の目的は、セット付属のヘッドホン装置以外のヘッドホン装置でも使用できるリモートコントロール付ヘッドホン用コネクタを提供することにある。」(明細書3頁7行?17行)
「(実施例)
(中略)
本実施例のリモートコントロール付ヘッドホン用プラグ3は、第2図乃至第5図に示すように、共通のプラグハウジング10の同じ正面側の面にオーディオ信号用単頭プラグ本体13とリモートコントロール信号用コネクタタイププラグ本体14とが共に同じ向きで突設された構造になっている。
オーディオ信号用単頭プラグ本体13は、3個のコンタクト13a,13b,13cを2個の絶縁カラー13d,13eで互いに絶縁し同心的に配置して設けてある。
リモートコントロール信号用コネクタタイププラグ本体14は、表面が相手側との接触面になっている4本のコンタクト14b?14eを絶縁プレート14aに組込んである。
リモートコントロール付ヘッドホン用ジャック15は、第6図乃至第8図に示すように、共通のジャックハウジング16の同じ側の面にオーディオ信号用単頭プラグ本体受口17とリモートコントロール信号用コネクタタイププラグ本体受口18とが並設されている。」(明細書5頁12行?6頁17行)

(3-4)実願昭49-137158号(実開昭51-63188号公報)のマイクロフィルム(以下「引用例5」という。)
「本考案の目的は通常市販されているイヤホン2以上を音響再生装置の1個のイヤホンジャックに接続するための簡単なアダプタを提供することにある。
上記目的を達成するために本考案によるイヤホン用アダプタは、1個のプラグと、2以上のジャックと、胴部を有し、プラグは市販されているすべての音響再生装置のイヤホンジャックに結合しやすくするために胴部の一面の段部に固定されている。この胴部の他面に固定されている2以上のジャックは胴部内で電気的に接続されている。」(明細書2頁1行?12行)
「第6図は他の実施例を示す正面図である。この場合プラグは胴部の端部の突出部に設けてある。このような構造によれば、音響再生装置のイヤホン用ジャックが凹部の端部に設けられている場合にも支障なく使用できる。
以上の説明から明らかなように本考案によるアダプタを使用すればアダプタのジャックに通常のイヤホンプラグを挿入することにより、2人で同時に再生音を聞くことができる。また一人で両耳にイヤホンをあてて聞くことも可能となる。」(明細書4頁2行?12行)

(3-5)実願昭63-62365号(実開平1-165988号公報)のマイクロフィルム(以下「引用例6」という。)
「(産業上の利用分野)
本考案は、携帯式ステレオカセットプレーヤーの無線送信に関するものである。
(考案の概要)
本考案は、携帯式ステレオカセットプレーヤーのヘッドフォン出力端子に、前記携帯式ステレオカセットプレーヤーのヘッドフォン出力信号を増幅する増幅器、前記出力信号のFM変調を行うFM変調器及び前記増幅器、前記FM変調器を駆動せしめるバッテリーを具備することにより、微弱電波によって前記FM変調信号を送信する機能を有した信号入力部にヘッドフォンプラグを備えた小型パッケージ形状のアダプタを前記ヘッドフォンプラグをプラグインすることにより密着する。」(明細書2頁1行?14行)
「(課題を解決するための手段)
上記問題点を解決するために、本考案においては、ヘッドフォン出力信号を増幅する増幅器、FM変調を行うFM変調器及び、前記増幅器、前記FM変調器を駆動せしめるバッテリーを具備した、信号入力部にヘッドフォンプラグを備えた小型のパッケージを携帯式ステレオカセットプレーヤーのヘッドフォン出力端子に前記ヘッドフォンプラグをプラグインすることにより、携帯式ステレオカセットプレーヤーにゴムバンド等で密着させるようにした。」(明細書4頁14行?5頁4行)
「第2図は、本考案を携帯式ステレオカセットプレーヤーに密着した外観図である。携帯式ステレオカセットプレーヤー6と、携帯式ステレオカセットプレーヤー用無線アダプタ1は、ヘッドフォン出力端子7とヘッドフォンプラグ5とによって接続される。密着方法の例としては、携帯式ステレオプレーヤー6の形状を特定できるものであれば、第2図(A)で示すように携帯式ステレオカセットプレーヤー6に携帯式ステレオカセットプレーヤー用無線アダプタ1に固定用の止メ具13を設けることにより冠着することが可能である。又、携帯式ステレオカセットプレーヤー6の形状を特定できない場合には、第2図(B)で示すように自由度のあるゴムバンド12を用いることによって固定する。この際、バンドの材質の例としてゴムとしたが、ビニル,布等であっても同じ働きをすることは勿論である。」(明細書6頁4行?20行)

(4)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを対比すると、
ア.引用発明における「携帯式電子音楽再生装置と組合せて使用する首ぶら下げ式イヤホン装置」は、本願補正発明における「携帯型メディアデバイスのオーディオを聴くための首掛け式出力デバイス」と共通することは明らかであり、引用発明の「ぶら下げコード」は、首にぶら下げるものであるから、本願補正発明の「首ひも」に相当し、引用発明の「電気信号線」は、ぶら下げコードを通してイヤホン出力端子とソケットを電気接続するものであるから、本願補正発明の「配線」に相当する。

イ.引用発明における「ソケット」は、携帯式電子音楽再生装置のソケット(USBジャック)挿入に適したスロットを設けて、携帯式電子音楽再生装置と組合せ、ソケットには電気信号線の一端がぶら下げコードを通して接続し、電気信号線の他端はぶら下げコード外部にぶら下げてイヤホン出力端子に接続されていることから、本願補正発明の「コネクタ装置」に、引用発明における「携帯式電子音楽再生装置のソケット(USBジャック)」は、ソケットに設けたスロットに挿入して携帯式電子音楽再生装置の音声信号をスロットに伝送するものであるから、本願補正発明の「携帯型メディアデバイスのコネクタ」に、それぞれ相当するとみることができる。そして、引用発明におけるイヤホンは、ソケットのスロット(USBスロット)と携帯式電子音楽再生装置のソケット(USBジャック)とを接続するだけで、携帯式電子音楽再生装置の音声信号をイヤホン出力端子に出力することができるものであるから、USBスロットとUSBジャックは、ソケットと携帯式電子音楽再生装置との間の唯一の接続手段に該当する。

ウ.また、引用例1の【図3A】、【図4】、【図5】を参照すると、引用発明の「ぶら下げコード13」は、「ソケット10の上部の一端と、同じく上部の反対側の他端とに、間隔を空けてそれぞれ一本ずつ、あわせて2本のぶら下げコード13を設け、ぶら下げコード13の両端は、互いに組合せる安全切り離しジョイント14により接続して首からぶら下げるようにし」、「ぶら下げコード13内部に電気信号線16を通して、電気信号線16の一端はソケット10に設けたスロット11の端子111に接続し、他端はぶら下げコード外部にぶら下げたイヤホン出力端子18に接続され」ており、上記「ア.」で検討したように、引用発明の「電気信号線」は、本願補正発明の「配線」に相当するから、引用発明と本願補正発明とは、「配線は、コネクタ装置の上部の第1端に接続されている第1配線部分と、前記コネクタ装置の前記上部の第2端に接続されている第2配線部分とを含み、前記第2端は前記第1端の反対側にあり、前記第1配線部分と前記第2配線部分との間に前記コネクタ装置の前記上部に沿って隙間が存在する」形態を有する点で共通する。

エ.さらに、引用例1の【図3A】、【図4】、【図5】を参照すると、引用発明の「ソケット10」は、「上面がやや丸みを有した直方体状基部で、携帯式電子音楽再生装置100と接続結合すると、ソケット10と携帯式電子音楽再生装置100とが一体感を有するもの」であるから、「ソケット10の直方体状基部は、携帯式電子音楽再生装置100の上面に接続されるもので、ソケット10の直方体状基部は、携帯式電子音楽再生装置100の上面と実質的に同じ長さを有し」ているといえる。ここで上記「イ.」で検討したように、引用発明の「ソケット10」は、本願補正発明の「コネクタ装置」に相当するから、引用発明と本願補正発明とは、「コネクタ装置の直方体状基部と携帯型メディアデバイスの上面とを接続結合させるもので、コネクタ装置は携帯型メディアデバイスの接続側上面と実質的に同じ長さの形態を有する」点で共通する。

そうすると、本願補正発明と引用発明とは、
「携帯型メディアデバイスのコネクタを介して出力されるオーディオを聴くための出力デバイスであって、
少なくとも1つのイヤホンと、
前記少なくとも1つのイヤホンへの配線を備える首掛け式の首ひもと、
前記首ひもを介して前記少なくとも1つのイヤホンに接続されるコネクタ装置とを備え、
前記コネクタ装置は、直方体状基部と、前記携帯型メディアデバイスの前記コネクタの上面に接続するために用いられ、前記コネクタは前記出力デバイスと前記携帯型メディアデバイスとの間の唯一のコネクタであり、前記コネクタ装置は前記携帯型メディアデバイスの前記コネクタの前記上面と実質的に同じ長さを有する」点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
コネクタ装置について、本願補正発明では、「コネクタの構造が、直方体状基部から突出するオスオーディオジャックで、携帯型メディアデバイスとコネクタ装置との接続が、内部ジャックからなるコネクタとオスオーディオジャックで構成されている」のに対し、引用発明ではソケットと携帯式電子音楽再生装置の接続が、ソケット側のUSBスロットと携帯式電子音楽再生装置側のUSBジャックとで構成されている点。

(相違点2)
コネクタ装置について、本願補正発明では、「コネクタ装置のオスオーディオジャックの位置が、直方体状基部の長手方向の一端から突出し、前記コネクタ装置の底面の中心からずれた位置にある」のに対し、引用発明では、ソケットにおける接続箇所の位置についての特定がなされていない点。

(5)判断
そこで、上記相違点について検討する。
(5-1)相違点1について
携帯型メディアデバイスのコネクタを介して出力されるオーディオを聴くための出力デバイスにおいて、携帯型メディアデバイスと出力デバイスのコネクタ装置との接続を、内部ジャックからなるコネクタとオスオーディオジャックで構成することは、引用例2乃至引用例6に記載されているように周知の事項である。

(5-2)相違点2について
携帯型メディアデバイスのコネクタを介して出力されるオーディオを聴くための出力デバイスにおいて、携帯型メディアデバイスの内部ジャックからなるコネクタと接続する出力デバイスのコネクタ装置のオスオーディオジャックの位置が、直方体状基部の長手方向の一端から突出し、携帯型メディアデバイスの内部ジャックからなるコネクタの位置に対応して、コネクタ装置の底面の中心からずれた位置とすることも、引用例3乃至引用例6に記載されているように周知の事項である。

そうすると、引用発明1の携帯型メディアデバイスのコネクタを介して出力されるオーディオを聴くための出力デバイスのコネクタ装置のコネクタ構造に、引用例2乃至引用例6に記載された周知技術である「内部ジャックからなるコネクタとオスオーディオジャックにより接続する構成」と、引用例3乃至引用例6に記載された周知技術である「オスオーディオジャックの位置が、直方体状基部の長手方向の一端から突出し、携帯型メディアデバイスの内部ジャックからなるコネクタの位置に対応して、コネクタ装置の底面の中心からずれた位置とすること」とを適用して本願補正発明のように構成することは、当業者が容易になし得るものである。
そして、本願補正発明が奏する効果についてみても、引用例1及び周知技術から当業者が十分に予測できたものであって格別なものとはいえない。

なお、審判請求人は、審判請求書において、本願補正発明の出力デバイスは、
(特徴A)直方体状基部の長手方向の一端から突出するオスオーディオジャックが、出力デバイスと携帯型メディアデバイスとの間の唯一のコネクタであり、コネクタ装置の底面の中心からずれた位置にあり、コネクタ装置が携帯型メディアデバイスのコネクタの上面と同じ長さを有すること。
(特徴B)首掛け式の首ひもに含まれる少なくとも1つのイヤホンへの配線が、コネクタ装置の上部の第1端に接続されている第1配線部分と、コネクタ装置の上部の第2端に接続されている第2配線部分とを含み、第1端は第2端の反対側にあり、第1配線部分と第2配線部分との間にコネクタ装置の上部に沿って隙間が存在すること。
の二つの特徴を有することで、
a 出力デバイスに携帯型メディアデバイスを、一体感を有するように取り付けることができる(特徴Aより)。
b ユーザが出力デバイスに携帯型メディアデバイスを取り付け、首掛け式の首ひもを首に掛けた場合に、携帯型メディアデバイスを正しい姿勢に維持しやすくなる(特徴Bより)。
との効果を奏する旨主張している。
しかしながら、上記主張は、本願明細書中のオーディオ出力デバイスに関する唯一の図面である【図17B】に基づいて主張しているもので、上記特徴A及びBを有する目的・効果等の技術的意義については、本願明細書には、段落【0100】の「ユーザがメディアデバイスをユーザの首の周りに身につけられることを可能にするもの」との記載のほかには何らの記載もないから、その技術的意義は【図17B】から読み取れるものに留まるものである。
そして、たとえ審判請求人の主張する効果が、【図17B】から読み取れるものであったとしても、上記「a」の「出力デバイスと携帯型メディアデバイスの上面とを実質的に同じ長さとすることで、一体感を有するように取り付けること」は、引用例1(特に【図3A】,【図4】,【図5】)や引用例6(特に【第2図】)も「出力デバイスと携帯型メディアデバイスの上面とを実質的に同じ長さとすることで、一体感を有するように取り付けることができる」という同じ効果を奏するものであり、上記「b」の「首掛け式の首ひもを首に掛けた場合に、2本の首ひもの間に、出力デバイスの上部に沿って隙間を設けることによって、携帯型メディアデバイスを正しい姿勢に維持しやすくなる」ことも、物を2本のひもでぶら下げる際に、物の上面で2本のひもをなるべく離してぶら下げることにより、ぶら下げた物が回転したりせずに姿勢が安定することは技術常識であり、引用例1(特に【図3A】,【図4】,【図5】)や引用例2(特に【図1】)においても同じ効果を奏するものである。したがって、本願補正発明の効果が格別のものとは認められない。

さらに、審判請求人は、審判請求書において、「引用例1には、USB型のメディアプレーヤに接続するイヤホン装置が記載されているが、引用例1では、メディアプレーヤをPCに直接接続できるように、メディアプレーヤがオス型のUSB端子を有しており、イヤホン装置がメス型のUSB端子を有している。引用例1において、イヤホン装置のUSB端子をオス型に変更した場合には、メディアプレーヤに接続できなくなる。また、イヤホン装置にオスオーディオジャックを追加したとしても、メス型のUSB端子を有しているので、このオスオーディオジャックは唯一のコネクタではないから、引用例1を主引例として本願発明が得られることはない」旨主張している。
しかしながら、引用例1は、メディアプレーヤとイヤホン装置との接続に際し、メディアプレーヤのオス型USB端子と、イヤホン装置のメス型USB端子とを唯一のコネクタとして接続するものであり、この唯一のコネクタは、メディアプレーヤの音源出力とイヤホン装置の入力とを接続するものであれば種々選択が可能なものであり、引用例2乃至引用例6に記載されているように、周知の内部ジャックからなるコネクタとオスオーディオジャックにより接続する構成を選択して、コネクタの構成をUSB端子による接続から、内部ジャックからなるコネクタとオスオーディオジャックにより接続するものとすることは、当業者が容易になし得るものである。その際に選択したコネクタ(接続ジャック)の構成において一対のオス型とメス型のうち、どちらをオス型とし、どちらをメス型とするかは、接続する周辺機器との関係で適宜選択する設計的事項であり、メディアプレーヤにおいては、メディアプレーヤ本体からオス型端子が突出することは携帯性等からも好ましくないので、引用例2乃至引用例6に記載されているようにメディアプレーヤ本体は、メス型(内部ジャックからなるコネクタ)を備えることが一般的である。そうすると、引用例1のコネクタ構成に周知技術を適用して内部ジャックからなるコネクタとオスオーディオジャックとすることに、特段の技術的困難性は認められない。
よって、請求人の上記主張を採用することはできない。

(5)特許法第29条第2項違反についてのむすび
したがって、本願補正発明は、引用発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3-3.特許請求の範囲の減縮を目的とする補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

4.本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、上記「2.」で既述したように、特許法第17条の2第3項新規事項の追加に該当するとともに、同法第17条の2第5項各号に掲げるいずれを目的とするものにも該当しないから、本件補正は、特許法第159条で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
また、本件補正は、新規事項の追加に該当せず、補正の目的の要件を満たしているとしても、上記「3.」で既述したように、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
平成26年7月3日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成26年2月5日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、上記「第2.1.」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

(1)引用例
原査定の拒絶の理由で引用された引用例及び周知技術の記載事項は、上記「第2.3-2.(2)及び(3)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、上記「第2.3-2.」で検討した本願補正発明から実質的に、
ア.発明特定事項である「オスオーディオジャック」について、「オスオーディオジャックは出力デバイスと携帯型メディアデバイスとの間の唯一のコネクタであり、オスオーディオジャックはコネクタ装置の底面の中心からずれた位置にあ」る旨の限定を省き、
イ.同じく発明特定事項である「コネクタ配列」について、「コネクタ配列」を「コネクタ装置」と補正し、「コネクタ装置は携帯型メディアデバイスのコネクタの上面と実質的に同じ長さを有し、」とする限定を省き、
ウ.同じく発明特定事項である「配線」について、「配線は、コネクタ装置の上部の第1端に接続されている第1配線部分と、コネクタ装置の上部の第2端に接続されている第2配線部分とを含み、
第2端は第1端の反対側にあり、第1配線部分と第2配線部分との間にコネクタ装置の上部に沿って隙間が存在する」との限定を省いたものに相当する。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、更に他の限定事項を付加したものに相当する本願補正発明が上記「第2.3-2.」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-09-29 
結審通知日 2015-10-02 
審決日 2015-10-14 
出願番号 特願2013-68024(P2013-68024)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06K)
P 1 8・ 57- Z (G06K)
P 1 8・ 561- Z (G06K)
P 1 8・ 121- Z (G06K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山澤 宏石丸 昌平中野 浩昌  
特許庁審判長 酒井 朋広
特許庁審判官 森川 幸俊
井上 信一
発明の名称 出力デバイス  
代理人 木村 秀二  
代理人 永川 行光  
代理人 下山 治  
代理人 大塚 康弘  
代理人 高柳 司郎  
代理人 大塚 康徳  
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