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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G03B
管理番号 1311757
審判番号 不服2014-17786  
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-09-08 
確定日 2016-03-03 
事件の表示 特願2011-140653「装置」拒絶査定不服審判事件〔平成23年12月22日出願公開、特開2011-257759〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成17年 3月31日に出願した特願2005-100823号の一部を平成23年 6月24日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯の概要は、以下のとおりである。
平成23年 6月24日:上申書
平成23年 6月24日:手続補正書
平成25年 3月25日:拒絶理由通知(同年4月2日発送)
平成25年 5月16日:意見書
平成25年 5月16日:手続補正書(以下、これによりなされた補正を「本件補正前の補正」という。)
平成26年 2月25日:拒絶理由通知(同年3月4日発送)
平成26年 4月11日:意見書
平成26年 4月11日:手続補正書
平成26年 7月 8日:平成26年 4月11日提出の手続補正書でした補正の却下の決定(同年同月15日発送)
平成26年 7月 8日:拒絶査定(同年同月15日送達)
平成26年 9月 8日:手続補正書(以下、これによりなされた補正を「本件補正」という。)
平成26年 9月 8日:審判請求

第2 補正の却下の決定
[結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
(1)本件補正前の補正により補正された特許請求の範囲の請求項1(以下「本件補正前の特許請求の範囲の請求項1」という。)の記載は、以下のとおりである。
「【請求項1】
少なくとも一部の光を透過する対象物と、
前記対象物の背面側に設けられ、パターン光を照射可能な発光部と、を有し、
前記発光部は、前記対象物の背面側から前記対象物に常時、前記対象物を透過する光を照射し、時間に応じて、前記対象物に照射する前記光のパターンを異ならせることが可能である装置。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、以下のとおりである。なお、下線は、当審が付したものである(以下同様。)。
「【請求項1】
少なくとも一部の光を透過し、前記光の透過度が相対的に高い部分と低い部分とを備える対象物と、
前記対象物の背面側に設けられ、パターン光を照射可能な発光部と、を有し、
前記発光部は、前記対象物の背面側から前記対象物に常時、前記対象物を透過する光を照射し、時間に応じて、前記対象物に照射する前記光のパターンを異ならせることが可能である装置。」

2 補正の目的
請求項1についての本件補正は、(A)出願当初明細書の段落【0034】及び【0036】?【0038】等の記載に基づいて、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)における、「対象物」について、「光の透過度が相対的に高い部分と低い部分とを備える」との限定を付加し、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本件補正後発明」という。)とするものであり、(B)本願発明と本件補正後発明の産業上の利用分野は、ともに、装置(段落【0001】)であり、(C)本願発明と本件補正後発明の解決しようとする課題は、ともに、盗撮等を防止したい撮影対象物が、一般的に用いられている撮影装置によりそのままの状態で撮影されるのを防ぐ技術を提供すること(段落【0006】)であるから、本件補正は、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たすとともに、平成18年法律第55号改正附則3条1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第4項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
そこで、本件補正後発明が、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下、検討する。

3 独立特許要件の検討
(1)引用例1の記載事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2002-341449号公報(以下「引用例1」という。)には、「撮像妨害方法及びシステム」(発明の名称)に関して以下の事項が記載されている。

ア 「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、投影システムにおいてスクリーン上から映像が不正に複製されるのを妨害するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】かかる不正行為を妨害する技術を提案するものに以下のようなものがある。この技術は、人間の視覚特性と撮像カメラの撮像特性の違いに着目し、妨害手段として赤外線光を使用するものである。具体的には、映像投影機の近傍位置その他の遠方位置に配置した赤外線光投射機からスクリーン面に向けて赤外線光を投射し、その反射光が不正行為者の撮像カメラに入射されるようにする仕組みを採用する。すなわち、不正に撮像された映像に、本編の映像とは無関係な赤外線光の光像を記録させる仕組みを採用する。この結果、不正に撮像された映像の画質は損なわれ、場合よっては不正行為地の特定も可能となる。勿論、赤外線光は人間には認識されないので、視聴者が本編の映像を楽しむ上では何らの支障はない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、一般に使用される映画用スクリーンは赤外線光の反射率があまり高くない。このため、従来システムのように、赤外線光投射機を映像投影機と隣接するように配置したのでは、光路長が長くなる上に反射率の低いスクリーン面での反射を必須とするため、従来システムが想定するような効果を実際に得るのは困難である。また、不正行為者の撮像結果に有効な妨害エネルギーを与えるには、かなり出力の高い赤外線投射機を使用する必要があるという技術的課題があった。
【0004】本発明は以上の課題を考慮したもので、低出力の赤外線投射機を用いながら、従来技術と同等又はそれ以上の妨害効果が得られる実用技術を提案することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するため、以下の各手段を提案する。
【0006】(A)第1の手段として、スクリーン側に配置した少なくとも一基以上の赤外線光投射手段より視聴者方向に赤外線光を投射し、赤外線光が不正行為者の撮像手段に入射されるようにする手法を提案する。このように反射率の低いスクリーン面での赤外線光の反射を必要としない手法を採用することにより、投射された赤外線光を効率良く不正行為者の撮像手段に入射させることができる。かくして、低出力の赤外線光投射手段を用いる場合でも十分な光量の赤外線光を撮像手段に入射させることができる。」

イ 「【0010】
【発明の実施の形態】(A)概念的実施形態
まず、本願明細書で提案する撮像妨害方法及びシステムの概念的実施形態を説明する。
【0011】(1)スクリーン上に投影された映像が不正に撮像されるのを妨害する方法として、視聴者側から見てスクリーン後方に配置された少なくとも一基以上の赤外線光投射手段より視聴者方向に赤外線光を投射し、当該赤外線光が不正行為者の撮像手段に入射されるようにするものを提案する。
【0012】この方法は反射率の低いスクリーン面での反射を必要としないため、投射された赤外線光を効率良く不正行為者の撮像手段に入射させることができる。しかも低出力の赤外線光投射手段を用いる場合でも十分な光量の赤外線光を撮像手段に入射させることができる。
【0013】なお赤外線光の投射方法としては様々な方法が考えられるが、一例として以下のようなものが考えられる。例えば赤外線光の少なくとも一部がスクリーン以外の空間を通る方法、赤外線光の少なくとも一部がスクリーンを透過する方法、赤外線光の少なくとも一部がスクリーン上に配置された通過部を通る方法その他が考えられる。
【0014】ここで1番目の例や3番目の例のように、赤外線光が撮像手段に直接入射される方式の場合には光量が極端に低下する要因がないため、非常に高い妨害効果が期待できる。
【0015】なお1番目の例には、スクリーン以外の物体であって赤外線光の反射率の高いもの(例えば、壁や赤外線光反射鏡(いわゆるホットミラー))で反射される場合も含まれる。もっとも、ここでの赤外線光を反射させる物体は赤外線光を散乱させるものでも良い。以下、赤外線光を反射させるものに同じである。
【0016】また3番目の例の通過部には、一方向に伸びる切れ目や隙間(例えばスリット)、スクリーンを貫通する穴部(例えば、小孔、穴、)その他の赤外線光がスクリーンの裏側から表側に通過できる構造体が考えられる。ここで、通過部はスクリーン上に1つ以上設けられていれば良い。もっとも、通過部が多いほど一般にはスクリーン前方に出力される赤外線光は増加する。また通過部は、スクリーン全面に均一に配置されていても良いし、特定の領域(例えば、スクリーン中央部やスクリーン周辺部)にのみ集中していても良い。
【0017】これに対し、2番目の例のようにスクリーンを透過した赤外線光が撮像手段に直接入射される場合には、スクリーンの構造にもよるが、かなりの妨害効果を期待できる。特に、本来の映像がスクリーン後方より投射されるタイプでは、赤外線光の透過率も高いと考えられるため、十分な妨害効果が期待できる。
【0018】なお2番目の例には、赤外線が透過する領域が他の領域に比べて部材の厚みが薄くなっており(例えば、凹形状となっており)赤外線光が透過し易くなっているもの、赤外線光を透過し易い部材が埋め込まれており当該部材を透過する方法、スクリーン全体が赤外線光を透過し易いものその他が考えられる。
【0019】以上いずれの場合にも、スクリーン上への映像の投射方向は、視聴者側からスクリーン方向への場合と、視聴者から見てスクリーン後方側からスクリーン方向(視聴者方向)への場合のいずれもが考えられる。後述する他の方法についても同様である。
・・・(中略)・・・
【0062】(9)投影システムのスクリーン上に投影された映像が不正に撮像されるのを妨害するシステムとして、不正行為者の撮像手段に赤外線光が入射されるように、視聴者側から見てスクリーン後方に少なくとも一基以上の赤外線光投射手段を配置するものを提案する。
【0063】このシステムは、前述の(1)の方法に対応するものである。すなわち、このシステムはスクリーン後方より赤外線光を投射し、スクリーン面での反射を不要とすることで、赤外線光を効率良く不正行為者の撮像手段に入射させるものである。(1)の記載はこのシステムでも流用する。」

ウ 「【0100】(B)具体的実施形態
続いて、本願明細書で提案する撮像妨害方法及びシステムの具体的実施形態を説明する。
(1)第1の実施形態例
図1に、第1の実施形態例を示す。
【図1】

この実施形態例は、スクリーン後方から客席方向に赤外線光を投射する方式の発明に関するものである。なお図1は、映画館その他の劇場システムへの適用例を表わしている。なお言うまでもなく技術自体は、ホームシアターにも適用可能である。いずれにしても、スクリーン上に投影される映像は、映画だけでなくテレビジョン番組その他の著作物を含む。続いて、図1に示すシステムを構成する各装置の具体例を説明する。
【0101】プロジェクタ装置1は、スクリーン2に視聴対象となる映像を投影する投影装置である。プロジェクタ装置1には、例えば映画フイルムを投影するフイルムプロジェクタ、スライドを投影するスライドプロジェクタ、OHP(Overhead Projector)、ディジタル画像をそのまま投影する液晶プロジェクタ、DMD(digital micromirror device)プロジェクタやCRTプロジェクタ等がある。
【0102】なお図1は、プロジェクタ装置1を客席4の後ろ側に配置し、スクリーン表面での反射光を視聴者が視聴するタイプについて表わしているが、プロジェクタ装置1の配置位置はこれに限るものでない。例えば、プロジェクタ装置1を客席4の前方(すなわち、スクリーン2と客席4の間)に配置する場合、客席4の上部に配置する場合、側壁側に配置する場合が考えられる。勿論、スクリーン後方から映像を投影し、その透過光を視聴者が視聴する方式の場合(いわゆる背面投影型の場合)には、プロジェクタ装置1はスクリーン2の後方に配置される。
【0103】図1のスクリーン2は、劇場用のスクリーンである。一般にはスクリーン後方に配置された音源からの音を視聴者側に効率よく伝搬させるべく、サウンド・パーフォレーションと呼ばれる音源用の穴(背面と前面を直結する通気孔その他の構造)が形成されている。サウンド・パーフォレーションの形状、大きさ、配置は問わない。図2はサウンド・パーフォレーションの一例である。
【図2】

もっとも本願明細書の場合、サウンド・パーフォレーションは赤外線光をスクリーン後方から前面に通過させるための通過部として利用される。
【0104】なお、図1のスクリーン2は、サウンド・パーフォレーションを有しないものでも構わない。ただしその場合には、スクリーン自体が赤外線光を透過し易い素材で構成されていたり、赤外線光を透過し易い部材が埋め込まれていたり、スクリーンの厚みが部分的に薄くなっている等の特性を有することが望まれる。
【0105】赤外線光投射装置3は、スクリーンに投影された映像が不正に撮像されるのを妨害すべく赤外線光を投射する投射装置である。赤外線光は視聴者に知覚されない一方で、撮像手段のCCD(固体撮像素子)には感知されるという特質を利用する。赤外線光投射装置3には、例えば発光ダイオードその他の赤外線光を主成分とする光束を発光する素子の他、赤外線光通過フィルタを光路上に配置し、赤外線光のみを最終的に出力させる形態のもの、可視光カットフィルタや紫外線カットフィルタを光路上に配置し、赤外線光を最終的に出力させる形態のもの等が考えられる。
【0106】赤外線光投射装置3の配置位置は、スクリーンの背面近傍が一般的であると考えられる。ただし、場所はスクリーン面を含む仮想基準面に対して客席4から見て後方に配置されていればどこでも良い。例えば赤外線光投射装置3をスクリーン2の斜め後方(スクリーン2の枠外)に配置し、赤外線光の一部又は全てがスクリーン2以外の空間を通って客席4に投射されるようにしても良い。なおスクリーン自体に埋め込まれていても良い。
【0107】またスクリーン後方の空間であれば、赤外線光投射装置3が配置される高さは問わない。スクリーン2の下段付近(スクリーン2の下辺より赤外線光投射装置3の高さが上の場合もあれば下の場合もある。)でも良いし、スクリーン2の中段付近でも良いし、スクリーン2の上段付近(スクリーン2の上辺より赤外線光投射装置3の高さが上の場合もあれば下の場合もある。)でも良い。なお赤外線光投射装置3を配置する最適な高さは、客席4とスクリーン2の位置関係によっても異なる。一般には、不正な撮像に使用される撮像手段の撮像範囲内(若しくは画角内)に収まるように赤外線光投射装置3を配置する。
【0108】なお赤外線光の投射方向は、投射された光束が不正な撮像が行われ得る領域又は空間へ向かっていれば良い。少なくとも、客席4の配置された領域において障害物のない状態で撮像が可能な高さの範囲を投射光束で覆うことが可能な方向が選択される。例えば、図3に示すように、スクリーン2の左右両端付近に赤外線光投射装置3を配置する場合には、当該配置位置より斜め前方に赤外線光を投射させるようにしても良い。
【図3】

また例えば、スクリーン2の上段付近に赤外線光投射装置3を配置するのであれば、赤外線光の投射方向は斜め下向きとなる。なお妨害効果を高める上では、不正な撮像に使用される撮像手段の光学系の光軸と赤外線光の光軸とができるだけ平行になるようにするのが望ましい。
【0109】ただし、赤外線光反射鏡(いわゆるホットミラー)やその他の赤外線光反射部材を用いて赤外線光の光軸を変更する場合には、反射後の光軸が上記所定の領域又は空間に向かっていれば良い。また前述のように赤外線光を反射手段で反射させるのではなく、赤外線光投射装置3そのものを駆動し、赤外線光の投射方向が前述の所定の領域又は空間に向くようにしても良い。例えば、赤外線光投射装置3を水平方向に駆動し、反射光が客席側を走査するようにしても良い。
【0110】いずれにしても、撮像装置の光学軸と赤外線光の光軸との角度差ができるだけ小さくなるように、赤外線光投射装置の配置(位置及び高さ)や投射方向を決定することが望まれる。これは撮像装置の光学軸と赤外線光の光軸との角度差が小さいと、それだけ赤外線光が記録され易くなり妨害効果が高くなるためである。このことは他の実施形態例においても同様である。
【0111】また赤外線光は光束に広がりをもつ拡散光のようなものでも良いし、光束を絞ったスポット光のようなものでも良い。またスクリーン上に焦点を結ぶように赤外線光を投射し、所定の情報(例えば、出力日時、出力場所、スクリーン番号、出力装置、出力実行者その他の不正行為地を特定するのに必要な情報)が文字情報(記号その他の識別可能な図形情報を含む)が記録されるようにしても良い。なおこれらの情報を与える赤外線光は常時発光(点灯)の場合が一般的であるが、赤外線光を間欠的に発光される方式により所定の情報を与えることも可能である。
【0112】この他、赤外線光の投射方法には、赤外線光を間欠的に発光する方法もある。赤外線光を間欠的に投射すると、記録された画面の輝度が本編の映像とは無関係に変動するため視聴自体を困難とさせることができる。なお、間欠タイミングや赤外線光投射装置3の発光位置を制御することにより、記録された光像の出現タイミングや出現位置により所望の情報が読み取れるようにすることもできる。因みに、前述したいずれの間欠発光手法を採用するかは問わない。具体的な発光手法については後述する他の実施形態で説明する。
【0113】また、赤外線光投射装置3の数は1基に限らない。例えば、図1や図3においては、赤外線光投射装置3を2基用いる場合を表わしている。当然3基以上の赤外線光投射装置3を配置するのは自由である。また図1や図3では、一基の赤外線光投射装置3に赤外線発光素子が1つしか搭載されていないかのように表わしているが、一基の赤外線光投射装置3に複数個の赤外線発光素子が搭載される場合もあり得る。この場合、全ての赤外線発光素子を同時に発光制御するか、個別に発光制御するかは自由である。
【0114】本実施形態のようにスクリーン2の後方より客席に向けて赤外線光を投射することにより、すなわちスクリーン上に投影された映像を不正に撮像する撮像装置とこれを妨害する赤外線光を投射する赤外線光投射装置3とが向き合うように配置し、赤外線光投射装置3から投射された赤外線光が直接的に撮像装置に入射されるようにしたことにより、撮像装置に入射される赤外線光の光量を増加させることができる。
【0115】この結果、従来システム以上に高い妨害効果を期待できる。また従来システムと同程度の妨害効果で良い場合には、従来システム以上に発光輝度(出力)の小さい赤外線光投射装置3を使用できる。このことは装置やシステムの経済性を高める効果をもつ。
【0116】なお赤外線光がスクリーンを透過する場合でも、スクリーンに赤外線光を透過し易いものを用いることにより(例えば、材質自体が透過し易いものの他、赤外線光を透過し易い部材が部分的に埋め込まれているものや赤外線光を透過し易い凹部が部分的に形成されているものを用いることにより)、従来システム以上の妨害効果を実現できる。特に、このように赤外線光を透過し易いスクリーンの場合には、従来システムを適用しても十分な光量の反射光を期待し得ないため、本実施形態例の方が断然有利である。例えば、背面投影型のプロジェクタ装置を用いるシステムの場合には、従来システムを適用しても期待するような効果は得られない。
【0117】以上のように、赤外線光がどのような経路でスクリーン前方領域又は空間に出力される場合でも、本実施形態に係るシステムは従来システム以上の妨害効果を実現できる。」

エ 引用例1の段落【0111】(上記ウ参照。)における「スクリーン上に焦点を結ぶように赤外線光を投射し、所定の情報(・・・中略・・・)が文字情報(・・・中略・・・)が記録されるようにしても良い。」との記載は、段落【0105】(上記ウ参照。)における「赤外線光は視聴者に知覚されない一方で、撮像手段のCCD(固体撮像素子)には感知されるという特質を利用する」との記載等から、「スクリーン上に焦点を結ぶように赤外線光を投射し、所定の情報(・・・中略・・・)が文字情報(・・・中略・・・)として撮像手段に記録されるようにしても良い。」の意味であることは明らかである。
よって、引用例1には、概念的実施形態(9)を適用した具体的実施形態である「第1の実施形態例」として、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。なお、段落の番号は、引用発明の認定の際に活用した引用例1の記載箇所を示すために併記したものである。

「【0062】不正行為者の撮像手段に赤外線光が入射されるように、視聴者側から見てスクリーン2後方に少なくとも一基以上の赤外線光投射手段3を配置した、投影システムのスクリーン上に投影された映像が不正に撮像されるのを妨害するシステムであって、
【0116】スクリーン2は、赤外線光を透過し易い部材が部分的に埋め込まれている又は赤外線光を透過し易い凹部が部分的に形成されている、赤外線光を透過し易いスクリーンであり、
【0105】赤外線光投射装置3は、スクリーンに投影された映像が不正に撮像されるのを妨害すべく、視聴者に知覚されない一方で、撮像手段のCCD(固体撮像素子)には感知されるという特質を有する赤外線光を投射する投射装置であり、【0111】所定の情報(例えば、出力日時、出力場所、スクリーン番号、出力装置、出力実行者その他の不正行為地を特定するのに必要な情報)が文字情報(記号その他の識別可能な図形情報を含む)として撮像手段に記録されるように、スクリーン2上に焦点を結ぶように赤外線光を常時発光(点灯)で投射するものである、
【0062】投影システムのスクリーン上に投影された映像が不正に撮像されるのを妨害するシステム。」


(2)引用例2の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2003-57753号公報(以下「引用例2」という。)には、「撮像妨害方法及びシステム」(発明の名称)に関して以下の事項が記載されている。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、投影システムにおいてスクリーン上から映像が不正に複製されるのを妨害するための技術に関する。
・・・(中略)・・・
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように赤外線光を用いることによって、十分な抑止効果と妨害効果を実現できる。しかし重要なコンテンツを保護するためには、多様な妨害技術の確立が望まれる。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本願発明においては、以下の条件を満たす可視光線を用いる撮像妨害技術を提案する。
条件1.ヒトの視覚特性上、上記妨害用の可視光線の光像はスクリーン上に投影された映像と弁別が困難である。
条件2.撮像手段の撮像特性上、スクリーン上の映像を不正に撮像すると、上記妨害用の可視光線の光像がスクリーン上の映像と弁別可能に記録される。
【0005】かかる条件を満足する可視光線を用いれば、赤外線光を用いる場合と同様の効果を実現できる。すなわち通常の視聴では認識されないが、不正に撮像された映像を視聴すると本編の内容とは別のない映像や情報が認識されるようにできる。」

イ 「【0059】(B)概念的実施形態
続いて、前述した条件1及び条件2を満たす可視光線を用いる各実施形態に共通の概念的実施形態を説明する。
・・・(中略)・・・
【0070】(5)スクリーン上の映像を不正に撮像すると2次元的な光像パターンが同時に記録されるように、スクリーン上の複数箇所に妨害用の可視光線を所定の組み合わせで投射する方法を提案する。この実施形態は、不正な撮像行為の実行時に、図16や図17に示すような光像が再生画面上に現れるようにすることを意図したものである。
【図16】


【図17】

因みに図16は再生画面31上に2個の光点32からなる光像パターンが表示される場合、図17は再生画面31上に3個の光点32からなる光像パターンが表示される場合である。
【0071】ここで光点の記録位置や同時に表示可能な個数に応じて所望の情報を表すことができる。例えば、所望の情報として、出力日時、出力場所、スクリーン番号(各スクリーンを一意に特定可能な番号)、出力装置番号(出力装置を一意に特定する番号)、出力実行者その他の不正行為地を特定するのに必要な情報の任意の一つ又は複数を2値的な点像パターンにより表すことができる。
【0072】なお点像の形状を可変できる場合には、その分多くの情報を表現することができる。なお光点の記録位置や同時に表示される光像の個数に意味をもたせるのではなく、点像全体によって表される2次元的な形状(図形、記号、その他の識別可能な形状)に意味をもたせることもできる。
【0073】光像パターンは、本編の映像の上映中、常に同じでも良いし、定期又は不定期に変更されても良い。また光像パターンは、本編の上映中、常時投影されていても良いし、間欠的に投影されても良い。
【0074】勿論この実施形態も、可視光線放射装置の配置場所はスクリーンの前でも後ろでも良い。また本編の映像を投影する投影装置の配置場所はスクリーンの前でも後ろでも良い。またスクリーンに向けて放射される妨害用の可視光線が反射手段で反射されたものでも良い。
【0075】なお単に撮像画像の視聴を困難にすることを目的とするのであれば、多数の光像が記録されるように妨害用の可視光線を放射すれば良い。また、可視光線の投射位置(点灯位置)を任意に変更させても良い。」

ウ よって、引用例2には、概念的実施形態(B)として、以下の事項(以下「引用例2に記載の技術事項」という。)が記載されているものと認められる。なお、段落の番号は、引用例2に記載の技術事項を認定した際に活用した引用例2の記載箇所を示すために併記したものである。
「【0001】投影システムにおいてスクリーン上から映像が不正に複製されるのを妨害するために、【0004】以下の条件を満たす可視光線を用いる撮像妨害技術であって、
条件1.ヒトの視覚特性上、上記妨害用の可視光線の光像はスクリーン上に投影された映像と弁別が困難である。
条件2.撮像手段の撮像特性上、スクリーン上の映像を不正に撮像すると、上記妨害用の可視光線の光像がスクリーン上の映像と弁別可能に記録される。
【0070】スクリーン上の映像を不正に撮像すると、【0072】点像全体によって表される2次元的な形状(図形、記号、その他の識別可能な形状)により【0071】所望の情報を表す【0070】2次元的な光像パターンが同時に記録されるように、スクリーン上の複数箇所に、【0059】前記条件1及び条件2を満たす、【0070】妨害用の可視光線を所定の組み合わせで投射する方法であり、
【0071】前記所望の情報は、出力日時、出力場所、スクリーン番号(各スクリーンを一意に特定可能な番号)、出力装置番号(出力装置を一意に特定する番号)、出力実行者その他の不正行為地を特定するのに必要な情報の任意の一つ又は複数であり、
【0073】前記光像パターンは、本編の映像の上映中、常に同じでも良いし、定期又は不定期に変更されても良いし、また前記光像パターンは、本編の上映中、常時投影されていても良いし、間欠的に投影されても良いものであり、
【0072】点像の形状を可変できる場合には、その分多くの情報を表現することができるものである、方法。」

(3)対比及び判断
ア 対比
本件補正後発明と、引用発明を対比すると、以下のとおりとなる。
(ア)引用発明は「投影システムのスクリーン上に投影された映像が不正に撮像されるのを妨害するシステム」に関するものであるから、引用発明の「スクリーン2」は、投影や撮像の対象であることは明らかである。また、引用発明の「スクリーン2」は、「赤外線光を透過し易い部材が部分的に埋め込まれている又は赤外線光を透過し易い凹部が部分的に形成されている、赤外線光を透過し易いスクリーン」であるから、少なくとも一部の赤外線を透過するものであって、赤外線光の透過度が相対的に高い部分と低い部分とを備えていることは明らかである。また、本願の明細書の段落【0078】における「以上の実施の形態において、発光部100の光源101が照射する光が、赤外線である場合を例として説明したが、光源101は、赤外線領域外の波長や、紫外線等、他の波長を有する光を照射する構成とすることもできる」との記載から、本件補正後発明の「光」が赤外線を含むことは明らかである。
よって、引用発明の「スクリーン2」は、本件補正後発明の「対象物」に相当し、本件補正後発明の「少なくとも一部の光を透過し、前記光の透過度が相対的に高い部分と低い部分とを備える」との特定事項を備えている。

(イ)引用発明の「赤外線光投射手段3」は、本件補正後発明の「発光部」に相当する。
また、引用発明の「赤外線光投射手段3」は、「視聴者側から見てスクリーン2後方に」「配置」されたものであるから、本件補正後発明の「対象物の背面側に設けられ」との特定事項を備えている。
また、本件補正後発明の「パターン光」は、本願の明細書の段落【0041】における「発光部100がパターン形状を有する光を撮影対象物200に照射する構成とする」との記載等から、「パターン形状を有する光」を含むものであることは明らかである。そして、引用発明の「赤外線光投射手段3」は、「所定の情報」「が文字情報(記号その他の識別可能な図形情報を含む)として撮像手段に記録されるように、スクリーン2上に焦点を結ぶように赤外線光を」「投射するもの」であり、「記号その他の識別可能な図形情報を含む」「文字情報」は、パターン形状を有しているといえるから、引用発明の「赤外線光投射手段3」は、本件補正後発明の「パターン光を照射可能な」との特定事項を備えている。

(ウ)引用発明の「赤外線光投射手段3」は、「赤外線光を常時発光(点灯)で投射するもの」であるから、上記(ア)?(イ)を踏まえると、引用発明の「赤外線光投射手段3」と、本件補正後発明の「発光部」は、本件補正後発明の「前記発光部は、前記対象物の背面側から前記対象物に常時、前記対象物を透過する光を照射し」との点で共通する。

(エ)引用発明の「投影システムのスクリーン上に投影された映像が不正に撮像されるのを妨害するシステム」は、「視聴者側から見てスクリーン2後方に少なくとも一基以上の赤外線光投射手段3を配置した」ものであるから、引用発明の「投影システムのスクリーン上に投影された映像が不正に撮像されるのを妨害するシステム」と、本件補正後発明の「装置」は、「対象物と、」「発光部と、を有」する「装置」である点で共通する。
なお、本件補正後発明の「装置」は、出願当初の明細書又は特許請求の範囲における「撮影防止システム」との記載を、当初明細書の段落【0028】の「以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム・・・(中略)・・・等の間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。」との記載に基づいて「装置」と補正したものであり、両者は実質的に相違しないものと認められるが、仮に相違するものであったとしても「システム」を「装置」とすることは当業者に容易である。

イ 一致点及び相違点
本件補正後発明と引用発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。
(一致点)
「少なくとも一部の光を透過し、前記光の透過度が相対的に高い部分と低い部分とを備える対象物と、
前記対象物の背面側に設けられ、パターン光を照射可能な発光部と、を有し、
前記発光部は、前記対象物の背面側から前記対象物に常時、前記対象物を透過する光を照射する装置。」

(相違点)
「発光部」が、本件補正後発明では「時間に応じて、前記対象物に照射する前記光のパターンを異ならせることが可能である」のに対し、引用発明ではそのような特定がなされていない点。

ウ 相違点についての判断
(ア)引用例2に記載の技術事項は、「前記光像パターンは、本編の映像の上映中、常に同じでも良いし、定期又は不定期に変更されても良いし、また前記光像パターンは、本編の上映中、常時投影されていても良いし、間欠的に投影されても良い」ものであるから、本編の映像の上映中、光像パターンを常時投影するとともに定期又は不定期に変更するものを含んでおり、それは、本件補正後発明の「対象物に常時」、「光を照射し、時間に応じて、前記対象物に照射する前記光のパターンを異ならせる」との構成に相当するものである。また、引用例2に記載の技術事項において、「点像の形状を可変できる場合には、その分多くの情報を表現することができる」ものであり、本編の映像の上映中、光像パターンを定期又は不定期に変更するものは、光像パターンが上映中常に同じものであるものに比べて「多くの情報を表現することができる」ことは明らかである。

(イ)引用発明は「投影システムのスクリーン上に投影された映像が不正に撮像されるのを妨害するシステム」であり、引用例2に記載の技術事項は「投影システムにおいてスクリーン上から映像が不正に複製されるのを妨害するため」の「撮像妨害技術」であるから、両者は同一の技術分野に属するものである。

(ウ)また、引用発明は、「出力日時、出力場所、スクリーン番号、出力装置、出力実行者その他の不正行為地を特定するのに必要な情報」が「記号その他の識別可能な図形情報を含む」「文字情報」「として撮像手段に記録されるように」、「スクリーン2上に焦点を結ぶように赤外線光を常時発光(点灯)で投射する」ものであり、引用例2に記載の技術事項は、「出力日時、出力場所、スクリーン番号」、「出力装置番号」、「出力実行者その他の不正行為地を特定するのに必要な情報の任意の一つ又は複数」が「点像全体によって表される2次元的な形状(図形、記号、その他の識別可能な形状)により所望の情報を表す」ように、「スクリーン上」に「妨害用の可視光線」を「投射する」ものであるから、両者は、スクリーン上に不正行為地を特定するのに必要な情報を2次元的な形状の光として投射する、という共通の特定事項を備えている。

(エ)また、引用発明では、不正行為地を特定するための情報として複数の情報が挙げられており、引用発明において、不正行為地を特定するために多くの情報を投射することは当業者に自明な課題である。さらに、引用発明において、「赤外線光投射装置3」(発光部)が、時間に応じて、「スクリーン2」(対象物)に照射する光のパターンを異ならせることを妨げる特段の事情もない。

(オ)上記(ア)?(エ)から、引用発明において、不正行為地を特定するために多くの情報を投射するという当業者に自明な課題を解決するため、あるいは、単なる設計変更として、撮像妨害技術という同一の技術分野に属し、かつスクリーン上に不正行為地を特定するのに必要な情報を2次元的な形状の光として投射するという共通の特定事項を有する、引用例2に記載の技術事項を適用して、引用発明における「赤外線光投射装置3」が、「スクリーン2」に「文字情報」を「常時発光(点灯)で投射」するとともに、「定期又は不定期に変更する」ようにすることで、上記相違点に係る本件補正後発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得た事項である。

エ 効果
(ア)上記相違点に係る本件補正後発明の発明特定事項により奏される効果について、平成25年5月16日提出の意見書には「発光部が発する光のパターンを時間に応じて変化させることで、撮影対象物を撮影した画像データ中に様々な種類のパターンが付与される構成を実現しています。結果、画像データに対する編集処理は面倒なものとなりますので、撮影意欲の減退効果等が期待されます。」及び「時間に応じてパターンを変化させることで、画像データ中のパターンに基づいて盗撮時刻を推定することも可能となります。かかる点からも、盗撮抑止効果を期待できます。」との主張がなされているが、本願の明細書にはそのような記載はなく、本件補正後発明が奏する効果とは認められない。
また、仮にそのような効果があったとしても、引用発明並びに引用例1及び2の記載事項から当業者が予測できた効果である。

(イ)審判請求書の(3-2)では、本件補正後発明の「少なくとも一部の光を透過し、当該光の透過度が相対的に高い部分と低い部分とを備える対象物」との構成により、明細書の段落【0036】?【0039】に記載のような優れた作用効果を実現することができる旨の主張がなされているが、明細書の段落【0036】?【0039】に記載されているのは「対象物」が「ポスター」であり、かつ、透過度が相対的に高い部分と低い部分の両方にわたって発光部から光が照射される場合の効果である。前記主張は、請求項の記載に基づくものではなく、採用できない。
また、当該構成に基づく効果があったとしても、引用発明は当該構成を有することから、当該効果は、引用発明も奏するものであり格別顕著なものではない。

(ウ)よって、本件補正後発明の発明特定事項により奏される効果について、格別顕著な点は見いだせない。

オ 小括
したがって、本件補正後発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された引用例1に記載された引用発明及び引用例2に記載の技術事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。


(4)独立特許要件違反についてのまとめ
本件補正後発明は、引用例1に記載された引用発明及び引用例2に記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、本件補正後発明は、特許法29条2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。


4 補正却下の決定についてのまとめ
本件補正は、平成18年法律第55号改正附則3条1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に違反するので、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。



第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(本願発明)は、前記第2[理由]1(1)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略、この出願の請求項1?5に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用例1?2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

3 引用例1及び2の記載事項並びに引用発明
引用例1及び2の記載事項並びに引用発明は、前記第2[理由]3(1)?(2)に記載したとおりである。

4 対比及び判断
本願発明は、本件補正後発明における「前記光の透過度が相対的に高い部分と低い部分とを備える対象物」との構成から、「前記光の透過度が相対的に高い部分と低い部分とを備える」との限定を削除したものである。
そうすると、本願発明の構成を全て含み、さらに他の限定を付したものに相当する本件補正後発明が、前記第2[理由]3(3)?(4)で述べたとおり、引用例1に記載された引用発明及び引用例2に記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであることを考慮すると、本願発明も、同様に、引用例1に記載された引用発明及び引用例2に記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
また、本願発明が奏する効果は、引用発明並びに引用例1及び2の記載事項から予測できる範囲内のものであり、顕著なものであるとはいえない。



第4 まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された引用発明及び引用例2に記載の技術事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-10-05 
結審通知日 2015-10-06 
審決日 2015-10-19 
出願番号 特願2011-140653(P2011-140653)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G03B)
P 1 8・ 575- Z (G03B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 登丸 久寿  
特許庁審判長 樋口 信宏
特許庁審判官 清水 康司
佐竹 政彦
発明の名称 装置  
代理人 丸山 隆夫  
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