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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01V
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01V
管理番号 1312143
審判番号 不服2014-18536  
総通号数 197 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-09-17 
確定日 2016-03-11 
事件の表示 特願2010-274904「地下鉄列車振動を活用した地震動の増幅特性の推定方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 6月28日出願公開、特開2012-122896〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
特許出願: 平成22年12月9日
拒絶理由通知: 平成26年1月20日(発送日:同年2月18日)
意見書: 平成26年3月6日
拒絶理由通知: 平成26年5月9日(発送日:同年6月3日)
意見書: 平成26年6月12日
手続補正: 平成26年6月12日
拒絶査定: 平成26年6月30日(送達日:同年7月29日)
拒絶査定不服審判の請求: 平成26年9月17日
手続補正: 平成26年9月17日
拒絶理由通知: 平成27年7月6日
(以下、「当審拒絶理由1」という。発送日:同年同月28日)
手続補正: 平成27年8月10日(以下、「本件補正1」という。)
拒絶理由通知(最後): 平成27年8月26日
(以下、「当審拒絶理由2」という。発送日:同年9月15日)
手続補正: 平成27年10月7日(以下、「本件補正2」という。)
意見書: 平成27年10月7日(以下、「本件意見書」という。)
上申書: 平成27年10月28日


第2 補正の却下の決定

[結論]
本件補正2を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正2によって、特許請求の範囲は、以下のように補正された。

(補正前)
「 【請求項1】
地下鉄線路を走行する列車の振動を地中の地震動センサと地表の地震動センサで同時に測定し、前記地中の地震動センサと前記地表の地震動センサで測定されたデータのフーリエ変換を行い、該フーリエ変換が行われた地中の地震動センサのデータに対する前記フーリエ変換が行われた地表の地震動センサのデータの比を求め、当該地点における表層地盤の振動増幅特性を直接的に把握する地下鉄列車振動を活用した地震動の増幅特性の推定方法であって、前記地下鉄列車の編成数の変更により、励起される地下鉄列車振動の継続時間を変更可能にし、該変更に伴う表層地盤の振動増幅特性を把握することを特徴とする地下鉄列車振動を活用した地震動の増幅特性の推定方法。
【請求項2】
地下鉄線路を走行する列車の振動を地中の地震動センサと地表の地震動センサで同時に測定し、前記地中の地震動センサと前記地表の地震動センサで測定されたデータのフーリエ変換を行い、該フーリエ変換が行われた地中の地震動センサのデータに対する前記フーリエ変換が行われた地表の地震動センサのデータの比を求め、当該地点における表層地盤の振動増幅特性を直接的に把握する地下鉄列車振動を活用した地震動の増幅特性の推定方法であって、前記地下鉄列車の車体重量の変更により、励起される地下鉄列車振動の周期特性を変更可能にし、該変更に伴う表層地盤の振動増幅特性を把握することを特徴とする地下鉄列車振動を活用した地震動の増幅特性の推定方法。
【請求項3】
地下鉄線路を走行する列車の振動を地中の地震動センサと地表の地震動センサで同時に測定し、前記地中の地震動センサと前記地表の地震動センサで測定されたデータのフーリエ変換を行い、該フーリエ変換が行われた地中の地震動センサのデータに対する前記フーリエ変換が行われた地表の地震動センサのデータの比を求め、当該地点における表層地盤の振動増幅特性を直接的に把握する地下鉄列車振動を活用した地震動の増幅特性の推定方法であって、前記地下鉄列車の列車速度の変更により、励起される地下鉄列車振動の周期特性を変更可能にし、該変更に伴う表層地盤の振動増幅特性を把握することを特徴とする地下鉄列車振動を活用した地震動の増幅特性の推定方法。
【請求項4】
地下鉄線路を走行する列車の振動を地中の地震動センサと地表の地震動センサで同時に測定し、前記地中の地震動センサと前記地表の地震動センサで測定されたデータのフーリエ変換を行い、該フーリエ変換が行われた地中の地震動センサのデータに対する前記フーリエ変換が行われた地表の地震動センサのデータの比を求め、当該地点における表層地盤の振動増幅特性を直接的に把握する地下鉄列車振動を活用した地震動の増幅特性の推定方法であって、前記地下鉄列車の車軸配置の変更により、励起される地下鉄列車振動の周期特性を変更可能にし、該変更に伴う表層地盤の振動増幅特性を把握することを特徴とする地下鉄列車振動を活用した地震動の増幅特性の推定方法。」

(補正後)
「 【請求項1】
地下鉄線路を走行する列車の振動を地中の地震動センサと地表の地震動センサで同時に測定し、前記地中の地震動センサと前記地表の地震動センサで測定されたデータのフーリエ変換を行い、該フーリエ変換が行われた地中の地震動センサのデータに対する前記フーリエ変換が行われた地表の地震動センサのデータの比を求め、当該地点における表層地盤の振動増幅特性を直接的に把握する地下鉄列車振動を活用した地震動の増幅特性の推定方法であって、前記地下鉄列車の編成数の変更により、励起される地下鉄列車振動の継続時間を変更可能にし、該変更に伴う表層地盤の振動増幅特性を把握することを特徴とする地下鉄列車振動を活用した地震動の増幅特性の推定方法。
【請求項2】
地下鉄線路を走行する列車の振動を地中の地震動センサと地表の地震動センサで同時に測定し、前記地中の地震動センサと前記地表の地震動センサで測定されたデータのフーリエ変換を行い、該フーリエ変換が行われた地中の地震動センサのデータに対する前記フーリエ変換が行われた地表の地震動センサのデータの比を求め、当該地点における表層地盤の振動増幅特性を直接的に把握する地下鉄列車振動を活用した地震動の増幅特性の推定方法であって、前記地下鉄列車の車体重量の変更により、震源に見立てた列車振動の変更に伴う表層地盤の振動増幅特性を把握することを特徴とする地下鉄列車振動を活用した地震動の増幅特性の推定方法。
【請求項3】
地下鉄線路を走行する列車の振動を地中の地震動センサと地表の地震動センサで同時に測定し、前記地中の地震動センサと前記地表の地震動センサで測定されたデータのフーリエ変換を行い、該フーリエ変換が行われた地中の地震動センサのデータに対する前記フーリエ変換が行われた地表の地震動センサのデータの比を求め、当該地点における表層地盤の振動増幅特性を直接的に把握する地下鉄列車振動を活用した地震動の増幅特性の推定方法であって、前記地下鉄列車の列車速度の変更により、震源に見立てた列車振動の変更に伴う表層地盤の振動増幅特性を把握することを特徴とする地下鉄列車振動を活用した地震動の増幅特性の推定方法。
【請求項4】
地下鉄線路を走行する列車の振動を地中の地震動センサと地表の地震動センサで同時に測定し、前記地中の地震動センサと前記地表の地震動センサで測定されたデータのフーリエ変換を行い、該フーリエ変換が行われた地中の地震動センサのデータに対する前記フーリエ変換が行われた地表の地震動センサのデータの比を求め、当該地点における表層地盤の振動増幅特性を直接的に把握する地下鉄列車振動を活用した地震動の増幅特性の推定方法であって、前記地下鉄列車の車軸配置の変更により、震源に見立てた列車振動の変更に伴う表層地盤の振動増幅特性を把握することを特徴とする地下鉄列車振動を活用した地震動の増幅特性の推定方法。」(下線は補正箇所。)

2 検討
最後の拒絶理由通知である当審拒絶理由2に応答してなされた上記補正のうち、請求項2ないし4の補正はいずれも、「・・・励起される地下鉄列車振動の周期特性を変更可能にし、該変更に伴う表層地盤の振動増幅特性を把握する」なる記載を、「・・・震源に見立てた列車振動の変更に伴う表層地盤の振動増幅特性を把握する」と変更することにより、「・・・周期特性を変更可能に」することを削除するものであって、この点は、請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものではないから、特許請求の範囲の減縮にはあたらず、また請求項の削除や誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明でないことも明らかである。
したがって、本件補正2は、特許法第17条の2第5項(補正の目的)のいずれの規定にも適合していない。

3 まとめ
したがって、本件補正2は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正2は前記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし4に係る発明は、本件補正1によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項2ないし4は次のとおりである。

「 【請求項2】
地下鉄線路を走行する列車の振動を地中の地震動センサと地表の地震動センサで同時に測定し、前記地中の地震動センサと前記地表の地震動センサで測定されたデータのフーリエ変換を行い、該フーリエ変換が行われた地中の地震動センサのデータに対する前記フーリエ変換が行われた地表の地震動センサのデータの比を求め、当該地点における表層地盤の振動増幅特性を直接的に把握する地下鉄列車振動を活用した地震動の増幅特性の推定方法であって、前記地下鉄列車の車体重量の変更により、励起される地下鉄列車振動の周期特性を変更可能にし、該変更に伴う表層地盤の振動増幅特性を把握することを特徴とする地下鉄列車振動を活用した地震動の増幅特性の推定方法。
【請求項3】
地下鉄線路を走行する列車の振動を地中の地震動センサと地表の地震動センサで同時に測定し、前記地中の地震動センサと前記地表の地震動センサで測定されたデータのフーリエ変換を行い、該フーリエ変換が行われた地中の地震動センサのデータに対する前記フーリエ変換が行われた地表の地震動センサのデータの比を求め、当該地点における表層地盤の振動増幅特性を直接的に把握する地下鉄列車振動を活用した地震動の増幅特性の推定方法であって、前記地下鉄列車の列車速度の変更により、励起される地下鉄列車振動の周期特性を変更可能にし、該変更に伴う表層地盤の振動増幅特性を把握することを特徴とする地下鉄列車振動を活用した地震動の増幅特性の推定方法。
【請求項4】
地下鉄線路を走行する列車の振動を地中の地震動センサと地表の地震動センサで同時に測定し、前記地中の地震動センサと前記地表の地震動センサで測定されたデータのフーリエ変換を行い、該フーリエ変換が行われた地中の地震動センサのデータに対する前記フーリエ変換が行われた地表の地震動センサのデータの比を求め、当該地点における表層地盤の振動増幅特性を直接的に把握する地下鉄列車振動を活用した地震動の増幅特性の推定方法であって、前記地下鉄列車の車軸配置の変更により、励起される地下鉄列車振動の周期特性を変更可能にし、該変更に伴う表層地盤の振動増幅特性を把握することを特徴とする地下鉄列車振動を活用した地震動の増幅特性の推定方法。」

2 当審拒絶理由2
当審拒絶理由2は、平成27年8月10日付けでした手続補正(本件補正1)は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない、というものである。

3 判断
本件補正1により、請求項2ないし4は、「・・・励起される地下鉄列車振動の周期特性を変更可能に」する地震動の増幅特性の推定方法の発明に補正されたが、願書に最初に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には周期特性を変更可能とする記載はなく、また自明でもない。
例えば、当初明細書等において、車体重量の変更(請求項2に係る発明に対応)に関する記載は
「【0017】
(2)地下鉄列車の車体重量を変更することにより、震源に見立てた列車振動を変更することができ、その変更に伴う表層地盤の振動増幅特性を把握することができる。つまり、地下鉄列車の荷重を大きくすると、それに伴った列車振動を大きくすることができ、その変更に伴う表層地盤の振動増幅特性を把握することができる。・・・」
というものであり、車体重量の変更によって変更可能とされているのは振動の大きさであって、周期特性ではないことが明らかである。
また、列車速度若しくは車軸配置の変更(それぞれ請求項3若しくは請求項4に係る発明に対応)に関する記載は
「 【0017】
・・・
上記以外にも、地下鉄列車の速度や車両の車軸配置などにより、地下鉄列車の仕様を変更することができる。また、上下線列車の運行や平行地下鉄路線の運行、地下鉄列車が走行する軌道表面の平滑性などにより地下鉄列車振動を変化させることができる。」
とあるのみであって、周期特性を変更可能とすることについて記載されておらず、また自明でもない。

したがって、上記補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

なお、当初明細書等に周期特性を変更可能とする記載がない点については、審判請求人も本件意見書において「〔C〕すなわち、今回の拒絶理由で新規事項として指摘されました請求項2ないし4に記載の「励起される地下鉄列車振動の周期特性を変更可能にする」点は承服し、・・・」と述べているものである。また上申書の内容を検討したが、「・・・出願人が分割出願を希望しているため、再度、拒絶理由通知書の発行をお願い致したく上申致します。」と主張されているのみであって、上記の点に関する反論はなされていない。

4 むすび
以上のとおり、平成27年8月10日付けでした手続補正(本件補正1)は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしておらず、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-11-20 
結審通知日 2015-12-15 
審決日 2016-01-04 
出願番号 特願2010-274904(P2010-274904)
審決分類 P 1 8・ 572- WZ (G01V)
P 1 8・ 55- WZ (G01V)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 秀直阿部 知  
特許庁審判長 酒井 伸芳
特許庁審判官 堀 圭史
中塚 直樹
発明の名称 地下鉄列車振動を活用した地震動の増幅特性の推定方法  
代理人 清水 守  

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