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審決分類 審判 査定不服 特29条特許要件(新規) 特許、登録しない。 A61N
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 A61N
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 A61N
管理番号 1312144
審判番号 不服2014-22253  
総通号数 197 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-11-03 
確定日 2016-03-11 
事件の表示 特願2011-265347号「磁力線によるオーラ(単磁荷エネルギー)発生装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 6月13日出願公開、特開2013-116249号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年12月3日の出願であって、平成25年3月5日付けで特許請求の範囲及び明細書についての手続補正がされ、平成26年2月27日付けで拒絶理由が通知され、同年3月28日付けで意見書が提出されたが、同年8月28日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年11月3日付けで拒絶査定不服審判が請求されたものである。


第2 原査定の理由
原査定は、「この出願については、平成26年2月27日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって、拒絶をすべきものです。」というものであるところ、その平成26年2月27日付け拒絶理由通知書に記載した理由の概要は、次のとおりである。
<理由1>
平成25年3月5日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

明細書段落【0008】に新たに追加された事項は、当初明細書等には全く記載されていなかった事項であり、また、当初明細書等の記載から自明な事項でもない。

<理由2>
この出願の請求項1に記載されたものは、下記の点で特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。

請求項1に記載されたオーラ発生装置をみるに、当該装置は、オーラ、つまり単磁荷エネルギーを発生させるものであるが、「オーラ」や「単磁荷エネルギー」の存在は科学的に未だ裏付けられていない。
そうしてみると、請求項1に記載のものは、自然法則を利用したものであるとは認められず、特許法第29条第1項柱書でいう「発明」に該当しない。

<理由3>
この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

発明の詳細な説明には、オーラ(単磁荷エネルギー)を発生させるような装置を作ることができるように記載されているとはいえないとともに、オーラ(単磁荷エネルギー)を発生させる装置が使用できることも記載されているとはいえない。
よって、発明の詳細な説明には、発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない。


第3 当初明細書等の記載事項及び平成25年3月5日付け手続補正の内容
1 当初明細書等の記載事項
願書に最初に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面(以下「当初明細書等」という。)には、「磁力線によるオーラ(単磁荷エネルギー)発生装置」(発明の名称)に関し、以下の事項が記載されている。
(1)特許請求の範囲
「【請求項1】
4種類の同じ大きさの円形磁力線を、中心の円形磁力線を3等分する位置が3種類の円形磁力線の中心になるように組み合わせる。中心の円形磁力線とその他3種類の円形磁力線では、磁力線を互いに逆方向に回転させる。円形磁力線の回転方向は時計回り、反時計回りの2通りあるため、円形磁力線の組合せ方法は2通りになる。このような円形磁力線の組合せによりオーラ(単磁荷エネルギー)を発生させる、オーラ(単磁荷エネルギー)発生装置。」

(2)明細書の【発明の詳細な説明】欄
「【技術分野】
【0001】
本発明は、オーラ(単磁荷エネルギー)発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、磁力線を用いてオーラ(単磁荷エネルギー)を発生させる装置は存在しなかった。単磁荷は従来の科学では未発見である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、磁力線を用いるオーラ(単磁荷エネルギー)発生装置は存在しなかった。本発明は、この課題を解消するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
同じ大きさの円形磁力線で、円の中心位置が異なるものを4種類組み合わせる。1種類の円形磁力線上の点で、円形磁力線を3等分する3点を、3種類の円形磁力線の中心点とする。中心の磁力線と、周囲の3種類の磁力線では、磁力線の回転が逆方向になるように、磁力線を組み合わせる。4種類の円形磁力線を含む平面が、引力方向と直行するように、磁力線の方向を定める。磁力線の回転方向は時計回り、反時計回りの2通りあるため、磁力線の組合せ方法は2通りになる。科学では証明されていないが、これらの磁力線の組合せで、中心円の中心部からオーラ(単磁荷エネルギー)が放射されるのである。
【0005】
これらの円形磁力線を、磁石を用いて構成する。同じ大きさの円形の磁石を4つ組み合わせる。複数の磁石をつなげて円形磁石を構成することも可能。円形磁石を電磁石の組合せで構成することも可能。また、円形磁石を磁石と電磁石の組合せで構成することも可能である。円形磁石内部の磁力線が磁石の円形方向になるように、磁石のN極とS極を配置する。中心に1つの円形磁石、周囲に3つの円形磁石を配置する。中心の円形磁石上の点で、円形磁石を3等分する3点を、周囲に配置する3つの円形磁石の中心とする。4つの円形磁石で構成される平面が、引力方向と直行するように磁石を配置する。中心の円形磁石と、周囲の3つの円形磁石では、磁力線の回転方向が逆方向になるように円形磁石を配置する。磁力線の回転方向は時計回り、反時計回りの2通りあるため、磁石の組合せ方法は2通りになる。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、オーラ(単磁荷エネルギー)の生成が可能となる。単磁荷エネルギーは人の活動エネルギーであるため、健康維持、回復に効果がある。医療器具として使用可能である。また、人の精神を調和させる作用があるため、ストレス解消にも効果的である。台風や地震の本質的な原因は人の不調和な精神にあるため、本発明は台風や地震の消去にも効果的である。単磁荷エネルギーには浮力(反重力)としての作用があるため、浮力エネルギーとしても利用できる。単磁荷は単電荷(電子)と同様にエネルギー源であるため、電磁気エネルギー生成装置としても使用できる。
・・・
【発明を実施するための形態】
【0008】
同じ大きさの円形の磁石を4つ組み合わせる。円形磁石内部の磁力線が磁石の円形方向になるように、磁石のN極とS極を配置する。中心に1つの円形磁石、周囲に3つの円形磁石を配置する。中心の円形磁石上の点で、円形磁石を3等分する3点を、周囲に配置する3つの円形磁石の中心とする。4つの円形磁石で構成される平面が、引力方向と直行するように磁石を配置する。中心の円形磁石と、周囲の3つの円形磁石では、磁力線の回転方向が逆方向になるように円形磁石を配置する。磁力線の回転方向は時計回り、反時計回りの2通りあるため、磁力線の組合せ方法は2通りになる。これら2種類の磁力線組合せ方法を実現するために、図1下図のN極とS極を入れ替えたのが図2下図。図1、図2共にオーラ(単磁荷エネルギー)が発生する。」

2 平成25年3月5日付け手続補正による補正事項
平成25年3月5日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は、次の補正事項1?3を包含するものである。
(1)補正事項1
請求項1を
「【請求項1】
4種類の同じ大きさの円形磁力線を、中心の円形磁力線を3等分する位置が3種類の円形磁力線の中心になるように組み合わせる。中心の円形磁力線とその他3種類の円形磁力線では、磁力線を互いに逆方向に回転させる。円形磁力線の回転方向は時計回り、反時計回りの2通りあるため、円形磁力線の組合せ方法は2通りになる。このような円形磁力線の組合せによりオーラ(単磁荷エネルギー)を発生させる、オーラ(単磁荷エネルギー)発生装置。
単磁荷とは単一の磁荷(N極、もしくはS極)のみを持つもののことであり、物理学で一般的に用いられる用語である。但し、物理学では未発見である。本発明で使用する「オーラ(単磁荷エネルギー)」とは、この物理学で未発見の単磁荷によるエネルギーのことである。」
と補正する。

(2)補正事項2
明細書段落【0002】を
「【0002】
従来、磁力線を用いてオーラ(単磁荷エネルギー)を発生させる装置は存在しなかった。単磁荷とは単一の磁荷(N極、もしくはS極)のみを持つもののことであり、物理学で一般的に用いられる用語である。但し、物理学では未発見である。本発明で使用する「オーラ(単磁荷エネルギー)」とは、この物理学で未発見の単磁荷によるエネルギーのことである。」
と補正する。

(3)補正事項3
明細書段落【0008】を
「【0008】
同じ大きさの円形の磁石を4つ組み合わせる。円形磁石内部の磁力線が磁石の円形方向になるように、磁石のN極とS極を配置する。中心に1つの円形磁石、周囲に3つの円形磁石を配置する。中心の円形磁石上の点で、円形磁石を3等分する3点を、周囲に配置する3つの円形磁石の中心とする。4つの円形磁石で構成される平面が、引力方向と直行するように磁石を配置する。中心の円形磁石と、周囲の3つの円形磁石では、磁力線の回転方向が逆方向になるように円形磁石を配置する。磁力線の回転方向は時計回り、反時計回りの2通りあるため、磁力線の組合せ方法は2通りになる。これら2種類の磁力線組合せ方法を実現するために、図1下図のN極とS極を入れ替えたのが図2下図。図1、図2共にオーラ(単磁荷エネルギー)が発生する。
逆に、単磁荷エネルギー(引力の逆方向)が発生すると、水平方向の磁界(多数の円形)が発生する。これが図1及び図2における4つの円形の磁力線である。円の大きさは様々であり、特定されない。単磁荷エネルギーで磁界を発生させると、電磁誘導により電界が発生し、電流が流れる。私たちは肉体を動かす際、脳に電流を発生させる。この電流を発生させる時に使用するエネルギーが単磁荷エネルギーである。
オーラ(単磁荷エネルギー)の確認方法を以下に説明する。全ての存在は認識の結果である。認識は2種類の意識の相互作用で成立する。この2意識は互いに直行している。この2意識が物理学の電界と磁界に相当する。単電荷(電子)が発見され、単磁荷が未発見だったのは、認識の主体が磁界で、客体が電界のためである。磁界は認識の客体ではないため、単磁荷は測定されなかったのである。単磁荷を測定するためには、認識の主体と客体を入替え、主体が電界、客体が磁界の状態を実現する必要がある。これを実現するためには、認識方法を90°方向転換すればよい。通常の認識では、視線方向が主体、その直行成分が客体になる。これを90°回転させると、視線方向の成分が客体になり、認識可能になる。これが単磁荷を認識する方法である。本発明で単磁荷エネルギーが発生していることは、上記の方法で確認した。尚、単磁荷は物理学で未発見のため、測定装置は存在しない。よって、機械的に測定を行うことはできない。もし単磁荷測定装置を開発すれば、それ自体が特許申請に相当する発明である。」
と補正する。


第4 当審の判断I(理由1について)
上記「第3」の2(3)の補正事項3により明細書の発明の詳細な説明に新たに追加された「オーラ(単磁荷エネルギー)の確認方法」に関する事項が、当初明細書等に記載した事項の範囲内であるか否かについて検討する。
本件補正後の段落【0008】の記載によれば、「オーラ(単磁荷エネルギー)の確認方法」とは、具体的には、「単磁荷を測定するためには、認識の主体と客体を入替え、主体が電界、客体が磁界の状態を実現する必要があ」り、「これを実現するためには、認識方法を90°方向転換すればよ」く、「通常の認識では、視線方向が主体、その直行成分が客体になる」ので、「これを90°回転させると、視線方向の成分が客体になり、認識可能にな」り、「これが単磁荷を認識する方法であ」って、「本発明で単磁荷エネルギーが発生していることは、上記の方法で確認した」というものである。
そこで、当初明細書等の記載を検討するに、「図1、図2共にオーラ(単磁荷エネルギー)が発生する。」(上記「第3」の1(2)の段落【0008】)などと、単磁荷エネルギーが発生するという結果に関する記載はあるものの、当該単磁荷エネルギーが発生したことを確認するための具体的な方法に関する記載は何ら見当たらない。
また、当初明細書等の記載全体を参酌しても、このような確認方法が自明な事項であるともいえない。

請求人は、審判請求書において、オーラの確認方法は当初明細書等に記載した「オーラ(単磁荷エネルギー)」から自明な事項である旨、主張する。
しかしながら、当初明細書等に「単磁荷は従来の科学では未発見である。」と記載されているように(上記「第3」の1(2)の段落【0002】)、この出願当時、単磁荷の存在自体が確認されていないのであるから、存在し得ない単磁荷に関するエネルギーを確認する手法が技術常識であったとはいえない。
そうすると、当初明細書等における「オーラ(単磁荷エネルギー)」という記載に接した当業者が、当該記載から直ちにオーラの確認方法を認識・理解できるためには、単磁荷や単磁荷の発するエネルギーに関し、技術常識を越える知見が要求されることとなるが、通常の知識こそ有するものの、通常の知識としての技術常識を越える知見を有しない当業者が、当初明細書等の「オーラ(単磁荷エネルギー)」なる記載に基づいてオーラ(単磁荷エネルギー)の確認方法までをも認識・理解する術はないのであるから、請求人の上記主張は採用できない。

したがって、上記補正事項3により追加された事項は、当初明細書等に記載された事項でなく、また、上記補正事項3による補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてした補正とはいえない。


第5 当審の判断II(理由2、3について)
上記「第4 当審の判断I(理由1について)」において検討したとおり、本件補正は不適法な補正であるが、本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるもの(以下、便宜上「本願補正発明」という。)、本件補正後の明細書の発明の詳細な説明の記載に関し、理由2、3についても、念のため検討する。
1 理由2について
特許法第2条第1項には、「この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」と規定され、同法第29条第1項柱書には、「産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。」と規定されている。
したがって、請求項に係る発明が「自然法則を利用した技術的思想の創作」でないときは、その発明は特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしておらず、特許を受けることができない。例えば、発明を特定するための事項の少なくとも一部に、自然法則に反する手段があるときは、請求項に係る発明は自然法則を利用したものとはいえず、「発明」に該当しない(平成27年9月改訂前「特許・実用新案審査基準」の「第II部第1章1.1(3)」等を参照)。
そこで、本願補正発明が、「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるか否か、即ち特許法第2条第1項に定義された「発明」に該当するか否かについて、検討する。

本願補正発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりの
「【請求項1】
4種類の同じ大きさの円形磁力線を、中心の円形磁力線を3等分する位置が3種類の円形磁力線の中心になるように組み合わせる。中心の円形磁力線とその他3種類の円形磁力線では、磁力線を互いに逆方向に回転させる。円形磁力線の回転方向は時計回り、反時計回りの2通りあるため、円形磁力線の組合せ方法は2通りになる。このような円形磁力線の組合せによりオーラ(単磁荷エネルギー)を発生させる、オーラ(単磁荷エネルギー)発生装置。
単磁荷とは単一の磁荷(N極、もしくはS極)のみを持つもののことであり、物理学で一般的に用いられる用語である。但し、物理学では未発見である。本発明で使用する「オーラ(単磁荷エネルギー)」とは、この物理学で未発見の単磁荷によるエネルギーのことである。」
というものである(上記「第3」の2(1)の補正事項1参照)。
ところで、本願補正発明における「オーラ(単磁荷エネルギー)」とは、本件補正後の請求項1にも特定されているように、「物理学で未発見の単磁荷によるエネルギー」のことであるところ、少なくともこの出願当時の物理学において、「単磁荷」及び「単磁荷によるエネルギ-」は、単に未発見であるだけでなく、その存在が証明されているものでもないのであるから、「単磁荷」及び「単磁荷によるエネルギ-」は、それぞれの存在自体が、既知の物理法則に反する事項であるというほかはない。
また、本願補正発明の「装置」は、「オーラ(単磁荷エネルギー)を発生させる」ものであって、「単磁荷エネルギーには浮力(反重力)としての作用があるため、浮力エネルギーとして利用できる」(段落【0006】)というものであるが、この「反重力」なる力が、既知の物理法則に反する力であることからみても、「オーラ(単磁荷エネルギー)」は、既知の物理法則に反するエネルギーといわざるを得ない。
そうすると、少なくとも「円形磁力線の組合せによりオーラ(単磁荷エネルギー)を発生させる、オーラ(単磁荷エネルギー)発生装置」なる事項を特定事項として含む本願補正発明は、既知の物理法則に反する未発見の「単磁荷」及び「単磁荷によるエネルギ-」の存在を前提とするものであるから、自然法則を利用したものとはいえない。
よって、本願補正発明は、特許法第2条第1項に定義された「発明」に該当しない。

2 理由3について
特許法36条4項1号には、発明の詳細な説明に記載するべき事項に関する要件として、「その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること」と規定されている。
そして、上記条文中の「その実施をすることができる」とは、請求項に記載の発明が物の発明にあってはその物を作ることができ、かつ、その物を使用できることである(平成27年9月改訂前「特許・実用新案審査基準」の「第I部第1章3.2.1(2)参照)。
そこで、本願補正発明の「装置」が、発明の詳細な説明に、「作ることができる」ように、また、「使用できる」ように記載されているかについて検討する。

本願補正発明の「装置」は、「オーラ(単磁荷エネルギー)を発生させる」ことにより、明細書段落【0006】に記載されるような「健康維持、回復」、「ストレス解消」、「台風や地震の消去」、「浮力(反重力)」等の作用効果を奏するという「装置」であるから、当該「装置」を「作ることができ」、かつ、「使用できる」ためには、作られた「装置」から、上記の各作用効果を奏することができる程度にオーラ(単磁荷エネルギー)が実際に発生している必要がある。
ところで、本願補正発明における「オーラ(単磁荷エネルギー)」とは、本件補正後の請求項1にも特定されているように、「物理学で未発見の単磁荷によるエネルギー」のことであるから、「単磁荷」や「単磁荷によるエネルギー」の存在を確認するためには、物理学に関する通常の知識を超える知見が要求されることとなるが、物理学に関する通常の知識こそ有するものの、通常の知識を超える知見を有しない当業者には、本願補正発明の「装置」からオーラが実際に発生していること、さらには、その発生したオーラのエネルギー量が段落【0006】に記載の各作用効果を実現するに十分な大きさであることを、それぞれ確認する術のないことは、技術常識からみて明らかである。
ただ、本件補正後の明細書の段落【0008】には、「オーラ(単磁荷エネルギー)の確認方法」に関し、「単磁荷を測定するためには、認識の主体と客体を入替え、主体が電界、客体が磁界の状態を実現する必要がある。これを実現するためには、認識方法を90°方向転換すればよい。通常の認識では、視線方向が主体、その直行成分が客体になる。これを90°回転させると、視線方向の成分が客体になり、認識可能になる。これが単磁荷を認識する方法である。本発明で単磁荷エネルギーが発生していることは、上記の方法で確認した。」なる記載が一応ある。
しかしながら、「通常の認識では、視線方向が主体、その直行成分が客体になる。これを90°回転させると、視線方向の成分が客体になり、認識可能になる。」という記載自体が技術的に意味不明であるし、また、仮に、ある特定の人物の目で何らかのエネルギーの発生を感知することができたとしても、その感知されたエネルギーが、物理学で未発見の単磁荷によるエネルギーであると確定できる客観的な裏付けも明らかではないのであるから、「オーラ(単磁荷エネルギー)の確認方法」に関する上記記載によっても、当業者の誰もがオーラの存在を確認できるとはいえない。
また、当該「オーラ(単磁荷エネルギー)の確認方法」に関連し、請求人は、審判請求書において「オーラの確認方法は、人の感覚器官を用いる方法である。目でオーラを把握する。よってこの方法を用いると、目で光を見ることと同様に、オーラの発生を明確に把握することができる。よって、オーラの発生は客観的に裏付けられている。」などと主張するが、本件補正後の明細書の発明の詳細な説明の記載によっても「オーラの発生は客観的に裏付けられている。」ことを肯定すべき客観的な根拠は見当たらず、請求人の主張は採用できない。
したがって、本件補正後の明細書の発明の詳細な説明の記載に基づいて、本願補正発明の「装置」からオーラが実際に発生しているものと当業者が認識・確定できるとはいえないのであるから、本件補正後の明細書の発明の詳細な説明の記載は、本願補正発明について、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。


第6 むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
また、本願補正発明は、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしておらず、さらに、本願は、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-11-19 
結審通知日 2015-12-15 
審決日 2016-01-04 
出願番号 特願2011-265347(P2011-265347)
審決分類 P 1 8・ 536- Z (A61N)
P 1 8・ 1- Z (A61N)
P 1 8・ 55- Z (A61N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 村上 聡  
特許庁審判長 内藤 真徳
特許庁審判官 関谷 一夫
熊倉 強
発明の名称 磁力線によるオーラ(単磁荷エネルギー)発生装置  

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