• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1312274
審判番号 不服2014-21699  
総通号数 197 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-27 
確定日 2016-03-10 
事件の表示 特願2011-275050「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 6月24日出願公開、特開2013-123588〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年12月15日の出願であって、平成24年12月18日付けで拒絶の理由が通知され、平成25年2月19日に意見書及び手続補正書が提出され、平成25年11月1日付けで拒絶の理由が通知され、平成26年1月9日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成26年7月29日付けで補正の却下の決定がなされるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、平成26年10月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成26年10月27日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成26年10月27日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】
コード化された遊技結果の情報を出力可能であり、該遊技結果の情報を集計する外部装置を備える遊技システムに適用可能な遊技機であって、
遊技に係る演出を行う演出手段と、
該演出手段が行う演出に係る演出情報を複数記憶する記憶手段と、
該記憶手段に記憶された複数の前記演出情報のうちの一つの演出情報に対応する演出を前記演出手段に行わせる演出制御手段と、
切替状態に応じて前記演出制御手段に対して演出情報を切り替える命令を与える演出切替スイッチと、
を備え、
所定日時において遊技結果を前記外部装置により集計した値が所定の基準を満たすことにより前記演出切替スイッチが切り替えられた場合、前記演出制御手段は、前記演出手段に行わせる演出に係る前記一つの演出情報を、前記記憶手段に記憶される他の演出情報に切り替えることを特徴とする遊技機。」(平成25年2月19日付けの手続補正書)
から、
「【請求項1】
コード化された遊技結果の情報を出力可能であり、所定のタイミングで該遊技結果の情報を集計する外部装置を備える遊技システムに適用可能な遊技機であって、
遊技に係る演出を行う演出手段と、
該演出手段が行う演出に係る演出情報を複数記憶する記憶手段と、
該記憶手段に記憶された複数の前記演出情報のうちの一つの演出情報に対応する演出を前記演出手段に行わせる演出制御手段と、
切替状態に応じて前記演出制御手段に対して演出情報を切り替える命令を与える演出切替スイッチと、
を備え、
前記演出制御手段は、前記タイミングで前記遊技結果を前記外部装置により集計した値が所定の基準値を満足することにより前記演出切替スイッチが切り替えられて以降は、前記演出手段が行う演出を、現在行われている前記一つの演出情報に対応する演出から前記記憶手段に記憶されている前記一つの演出情報とは異なる他の演出情報に対応する演出に切り替え、前記遊技結果を前記外部装置により集計した値が所定の基準を満足しないことにより前記演出切替スイッチが切り替えられなければ、前記演出手段が行う演出を、現在行われている前記一つの演出情報に対応する演出に維持することを特徴とする遊技機。」(平成26年10月27日付けの手続補正書)
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために審決にて付した。)。

2 補正の目的等
上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「外部装置」に関して、遊技結果を集計するのが、補正前の「所定日時において」から、補正後の「所定のタイミングで」と補正され、「所定のタイミング」は、例えば、大当たり時のタイミング、遊技者が操作したタイミング等、日時とは無関係のタイミングも含むものである。
そして、「演出制御手段」に関する「前記タイミングで前記遊技結果を前記外部装置により集計した値が所定の基準値を満足することにより前記演出切替スイッチが切り替えられて以降は、前記演出手段が行う演出を、現在行われている前記一つの演出情報に対応する演出から前記記憶手段に記憶されている前記一つの演出情報とは異なる他の演出情報に対応する演出に切り替え、前記遊技結果を前記外部装置により集計した値が所定の基準を満足しないことにより前記演出切替スイッチが切り替えられなければ、前記演出手段が行う演出を、現在行われている前記一つの演出情報に対応する演出に維持する」との補正も、「前記タイミング」との記載があるから、日時以外のタイミングで遊技結果を集計することを含むものである。
よって、上記補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。
そして、上記補正は、請求項の削除(同条第5項第1号)、誤記の訂正(同条第5項第3号)、明りょうでない記載の釈明(同条第4号)のいずれの要件を目的とするものでもない。
なお、請求人は「出願当初の明細書[0181]?[0186]段落、図43、図44等の記載に基づきます。」(審判請求書第4頁第5?7行)と主張しているだけで、補正の目的については言及していない。
以上のことから、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3 独立特許要件について
本件補正については、上記2で述べたとおりである。
しかしながら、仮に、上記補正の目的が適法であるとして、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)についても以下に検討する。

(1)刊行物1に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された特開2011-167455号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は審決で付した。以下同じ。)。

(1-a)「【0001】
本発明は、所定の遊技を行うことが可能であって、遊技に伴って演出が実施される遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の遊技機として、日時を特定可能とする計時を行う時計装置を備えるとともに、有効期間と対応付けられた2次元コードや画像等のコンテンツが複数記憶され、時計装置による計時結果が、各コンテンツに対応付けられた有効期間内であるか否かを判定して、有効期間内であると判定したときに、該有効期間に対応するコンテンツを所定タイミングで表示出力する遊技機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
・・・
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の遊技機では、遊技機に記憶されている2次元コードや画像等の各コンテンツに対応する有効期間を予め設定しておく必要があるので、これら有効期間を、例えばプロモーション等によって変更したい場合には、全ての遊技機の有効期間を変更しなければならず、これらの変更に対応できずに非常に不便であるという問題があった。また、各コンテンツに対応する有効期間が予め遊技機に記憶(設定)されているので、遊技機に備えられている時計装置の設定を変更することで、各コンテンツを容易に表示出力させることができてしまうという問題もあった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、遊技に伴って実施される所定演出が出現する時期の変更に対応することのできる利便性の高い遊技機を提供することを目的とする。」

(1-b)「【0015】
本発明が適用された遊技システムは、図1に示すように、遊技場に設置された本発明の遊技機の一例であるスロットマシン1と、インターネットに接続された本発明の管理装置の一例である管理サーバ1000と、から構成され、スロットマシン1と、管理サーバ1000と、は2次元コード読み取り機能及びインターネットへの接続機能を備える携帯端末1001を介してデータのやり取りを行うことが可能とされている。」

(1-c)「【0040】
メインCPU41aは、計時機能、タイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備え、ROM41bに記憶されたプログラム(後述)を実行して、遊技の進行に関する処理を行うととともに、遊技制御基板40に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。ROM41bは、メインCPU41aが実行するプログラムや各種テーブル等の固定的なデータを記憶する。RAM41cは、メインCPU41aがプログラムを実行する際のワーク領域等として使用される。I/Oポート41dは、メイン制御部41が備える信号入出力端子を介して接続された各回路との間で制御信号を入出力する。」

(1-d)「【0049】
演出制御基板90には、スロットマシン1の前面扉1bに配置された液晶表示器51(図2参照)、演出効果LED52、スピーカ53、54、前述したリールLED55等の演出装置が接続されており、これら演出装置は、演出制御基板90に搭載された後述のサブ制御部91による制御に基づいて駆動されるようになっている。
【0050】
尚、本実施例では、演出制御基板90に搭載されたサブ制御部91により、液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55等の演出装置の出力制御が行われる構成であるが、サブ制御部91とは別に演出装置の出力制御を直接的に行う出力制御部を演出制御基板90または他の基板に搭載し、サブ制御部91がメイン制御部41からのコマンドに基づいて演出装置の出力パターンを決定し、サブ制御部91が決定した出力パターンに基づいて出力制御部が演出装置の出力制御を行う構成としても良く、このような構成では、サブ制御部91及び出力制御部の双方によって演出装置の出力制御が行われることとなる。尚、本実施例では、一部の演出、例えば、ボーナス確定画面の表示演出については、表示するボーナス確定画面の種別がサブ制御部91にて生成される決定用乱数に基づいて、サブ制御部91により決定されるようになっている。」

(1-e)「【0150】
演出パターンは、内部当選コマンドを受信した際に、内部当選コマンドが示す内部抽選の結果に応じた選択率にて選択され、RAM91cに設定される。演出パターンの選択率は、ROM91bに格納された演出テーブルに登録されており、サブCPU91aは、内部当選コマンドを受信した際に、内部当選コマンドが示す内部抽選の結果、後述するレベル及び演出設定に応じて演出テーブルに登録されている選択率を参照し、その選択率に応じて複数種類の演出パターンからいずれかの演出パターンを選択し、選択した演出パターンを当該ゲームの演出パターンとしてRAM91cに設定するようになっており、同じコマンドを受信しても内部当選コマンドの受信時に選択された演出パターンによって異なる制御パターンが選択されるため、結果として演出パターンによって異なる演出が行われることがある。」

(1-f)「【0325】
本実施例のサブCPU91aは、予め定められた達成条件が成立したことを条件にポイントを付与し、10ポイント獲得する毎にレベルを加算するようになっている。そしてレベルの値が一定値を超える毎に、実行される可能性のある演出の種類数を増加させるようになっている。詳しくは、レベル1?10の場合に用いる演出テーブル1、レベル11?20の場合に用いる演出テーブル2、レベル21以上の場合に用いる演出テーブル3を備えており、演出テーブル2には、演出テーブル1に登録されている演出パターンに加えて演出テーブル1に登録されていない演出パターンが定められており、演出テーブル3には、演出テーブル1、2に登録されている演出パターンに加えて演出テーブル1、2に登録されていない演出パターンが定められており、演出テーブル1?3のうち現在のレベルに
応じた演出テーブルを用いて演出パターンを選択することにより、レベルが10を超えた場合、20を超えた場合にそれぞれ演出パターンが増加することとなる。
【0326】
また、レベルの値が一定値を超える毎に、演出設定として選択可能な項目を増加させるようになっている。詳しくは、遊技者の選択操作により演出の頻度(演出設定1)、メインとなるキャラクタ(演出設定2)、キャラクタの衣装(演出設定3)、演出の背景デザイン(演出設定4)、BGM(演出設定5)を選択可能とされており、これら演出設定においてレベルが10を超えるまでは、例えば、3種類の通常キャラクタA?Cから選択可能であり、レベルが10を超えると、これらキャラクタA?Cに2種類のスペシャルキャラクタD、Eを加えた5種類から選択可能となり、レベル20を超えるとキャラクタA?Eにさらに2種類のプレミアムキャラクタF、Gを加えた7種類から選択可能となる(図36(c)参照)。」

(1-g)「【0338】
具体的には、図30(a)に示すメニュー画面からパスワードの入力を選択し、管理サーバ1000にて発行された遊技用パスワードを入力することにより、以前の遊技実績に応じたレベル及び演出設定を引き継いで遊技を行うことが可能となる。
【0339】
遊技用パスワードは、後に詳述するが、後述する管理サーバ1000にて管理されている遊技者個人の遊技実績に応じたレベル及び演出設定と、遊技者の要求に応じて管理サーバ1000が遊技用パスワードを発行する毎に生成する鍵データと、各遊技者を個々に識別可能な遊技者IDの下4桁である遊技者ID’と、発行日付と、を特定可能な9文字からなる文字データである。
【0340】
メニュー画面は、ゲーム終了後(設定変更後)から賭数が設定されるまでの制御状態において、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち左、右のストップスイッチ8C、8Rが同時に操作されたとき、すなわち操作検出コマンドが示す操作スイッチの検出状態が、ストップスイッチ8C、8Rの検出状態のいずれかがOFFの状態で、ストップスイッチ8L、8Rの検出状態がともにON、ストップスイッチ8Lの検出状態がOFFに変化した場合に、液晶表示器51に表示される。
【0341】
この状態でストップスイッチ8L、8C、8Rを操作してパスワードメニューを選択することにより、図30(b)に示すパスワード入力画面が表示される。そして、ストップスイッチ8L、8C、8R、MAXBETスイッチ6を操作することでパスワードを入力する。
【0342】
これら入力するパスワードとしては、上記した遊技用パスワードのみならず、管理サーバ1000から配信される期間限定演出を出現可能とするための演出開放用パスワードも入力することができる。尚、この実施例では、遊技用パスワードと演出開放用パスワードを総称して単にパスワードと呼称する場合がある。
パスワード入力画面には、パスワード表示欄と、文字選択欄と、が設けられており、ストップスイッチ8Lが操作されると、文字選択欄のカーソルが右方向に移動し、ストップスイッチ8Cが操作されると、文字選択欄のカーソルが左方向に移動し、ストップスイッチ8Rが操作されると、文字選択欄のカーソルが下方向(最下段の場合には最上段へ)に移動する。そして、任意の位置にカーソルを移動し、MAXBETスイッチ6を操作することで、文字選択欄のカーソルが位置する文字がパスワード表示欄に表示され、次の文字が選択可能となる。
【0343】
そして上記の手順を繰り返して9文字からなるパスワードの全ての入力が終了し、入力したパスワードが、発行日付等が不適切でない正規の遊技用パスワードであると認証され、該遊技用パスワードから特定される遊技者ID’が、既にRAM91cの保持領域において割り当てられた遊技用パスワード情報記憶領域内の遊技者ID格納領域に記憶されている遊技者ID’と異なる場合には、該遊技用パスワード情報記憶領域内の個人履歴格納領域に記憶されている遊技履歴のうち、総ゲーム数、BB回数、RB回数、ポイント数、達成ミッション番号等の値が初期化されるとともに、レベル値が、遊技用パスワードから解析されるレベルに更新記憶され、遊技用パスワードから解析される演出設定1?4がRAM91cに割り当てられた演出設定格納領域に設定され、これに伴い以前の遊技履歴に応じたレベル値及び演出設定が引き継がれることとなる。
【0344】
また、入力したパスワードが演出開放用パスワードである場合には、時計装置97から取得した時間情報から特定されるその時点が、該演出開放用パスワードから解析される期間情報から特定される開放期間内に該当する場合において、該演出開放用パスワードから解析される演出情報から特定される演出設定が演出設定格納領域に設定されることで、所定の期間限定演出、例えば、図36(c)に示すように、プレミアムキャラクタHによる演出が決定可能(出現可能)とされる。」

(1-h)「【0358】
そして、遊技者が遊技を終える場合には、当該遊技者の遊技履歴、現在のレベル、演出設定、達成ミッションの履歴(ミッション番号)等を特定可能な2次元コードを取得し、2次元コードから特定される内容を管理サーバ1000が備える後述の遊技者データベースの内容に反映させることができるようになっている。
【0359】
具体的には、図30(a)に示すメニュー画面からコード出力を選択することにより、2次元コードが生成され、図30(c)に示すように、生成された2次元コードが液晶表示器51に表示される。出力される2次元コードには、図32に示すように、管理サーバの所在を示すURLと、鍵データ格納領域に格納されている鍵データと、個人履歴格納領域に記憶されている遊技履歴である総ゲーム数、BB回数、RB回数、レベル、達成ミッションの種類(番号)と、演出設定格納領域に格納されている演出設定1?5と、作成日時(作成月日と時刻)、継続フラグの有無、がシンボル化されている。
【0360】
そして、この2次元コードを携帯端末1001により読み取り、2次元コードから特定される管理サーバ1000のURLにアクセスすることで、作成日時が鍵データに対応して遊技者データベースに記憶されている発行日時以降であることを条件に、2次元コードから特定される内容が管理サーバ1000の遊技者データベースの内容に反映されるようになっている。」

(1-i)「【0377】
遊技用パスワードの発行要求に応じて遊技用パスワードが発行されると携帯端末1001には、発行された遊技用パスワードが配信されて表示されることとなり、遊技者は表示された遊技用パスワードをスロットマシン1に入力する。そして遊技用パスワードが入力されたスロットマシン1では、入力されたパスワードを解析する図37に示すパスワード解析処理がサブCPU91aにより実施される。
【0378】
パスワード解析処理においてサブCPU91aは、まず、入力されたパスワードの鍵データを解析して、該鍵データが演出開放用パスワードを示す「00000」であるか否かに基づいて、入力されたパスワードが演出開放用パスワードであるか否かを判定する(Sp1)。
・・・
【0386】
そしてSp9のステップでは、セットされている場合には、コード出力済みフラグ、電断フラグ、設定変更フラグを全てリセットし、入力された遊技用パスワードの解析にて特定したレベル値に、個人履歴格納領域のレベル値を更新するとともに、入力された遊技用パスワードの解析にて特定した演出設定1?4を演出設定格納領域に設定(セット)した後(Sp10)、遊技用パスワード情報記憶領域内の鍵データ格納領域に入力された遊技用パスワードの解析にて特定した鍵データを更新記録し、入力日付格納領域に入力日付として当日の日付を更新記憶する(Sp11)。
【0387】
以上のように、入力された遊技用パスワードを解析し、遊技用パスワードに含まれる発行日付が、本日以前のものであり、遊技用パスワードから特定される遊技者ID’が、遊技者ID格納領域に格納されている遊技者ID’と異なっていると確認されると、遊技用パスワードから特定されるレベル及び演出設定がスロットマシン1側に設定されることにより、管理サーバ1000にて管理されているレベル及び演出設定を引き継いで遊技を行うことが可能となる。
【0388】
また、後述するように、遊技中において演出開放用パスワードを入力することによって決定可能(出現可能)とされた期間限定演出が、該期間限定演出の開放期間中において、遊技用パスワードを入力するのみで再度決定可能(出現可能)とされるので、遊技者が繰返し演出開放用パスワードを入力する必要がなく、遊技者の利便性を向上することができる。
【0389】
また、新たな遊技用パスワードの入力前に遊技を実施していた遊技者が開放対象遊技者であることにより期間限定演出が決定可能(出現可能)とされていても、新たな遊技用パスワードを入力した遊技者が開放対象遊技者でなければ、期間限定演出が決定不能(出現不能)とされるので、演出開放用パスワードを入力した遊技者に対してのみ期間限定演出が決定可能(出現可能)とされることとなり、これら演出開放用パスワードの価値を向上や、演出開放用パスワードを取得するために管理サーバ1000へのアクセスを増加させることができるが、本発明はこれに限定されるものではなく、一旦、決定可能(出現可能)とされた期間限定演出を、例えば、開放対象遊技者以外の遊技者であっても、遊技用パスワードの入力を条件に決定可能(出現可能)としたり、或いは、営業終了に伴って電断停止されるまで決定可能(出現可能)としても良い。
【0390】
一方、遊技者ID’が一致する場合には、Sp6の判定においてYesと判定されてSp14のステップに進み、コード出力済みフラグがセットされているか否かを判定する。
【0391】
コード出力済みフラグがセットされている場合、つまり、2次元コードが出力されることで遊技履歴が管理サーバ1000に反映されている可能性がある場合には、その時点の遊技履歴の内、ゲーム数、BB回数、RB回数、クリアミッション番号を、継続時点遊技履歴として記憶するとともに、継続フラグをセットした後(Sp15)、前述したSp9?Sp11の処理を実施して当該処理を終了する。」

(1-j)「【0397】
遊技者が、その時点において開放されている期間限定演出をスロットマシン1で実施させたい場合には、上記のようにして遊技用パスワードを入力した後、管理サーバ1000から配信された期間限定演出用ページに含まれる演出開放用パスワードを、遊技用パスワードと同様に入力すれば良い。
【0398】
このようにして入力された演出開放用パスワードは、前述したSp1のステップにおいて演出開放用パスワードであると判定されてSp20のステップに進み、入力された演出開放用パスワードを解析することにより演出開放期間を特定するとともに、その時点が演出開放期間に該当するか否か、つまり、その当日が演出開放期間の開始日付と終了日付の範囲内の日であるかを判定する。
【0399】
該判定において該当しない場合には、入力された演出開放用パスワードを無効として当該処理を終了する一方、その時点が演出開放期間に該当する場合には、Sp22のステップに進んで、該入力された演出開放用パスワードを解析して得た演出情報から特定される演出設定を演出設定格納領域に設定(セット)することにより、該演出開放用パスワードに対応した期間限定演出が出現可能(決定可能)とされる。そして、演出開放用パスワード情報記憶領域に該期間限定演出に対応付けてSp20のステップにて特定した演出開放期間(期間情報)を記憶するとともに、その時点において遊技者ID格納領域に記憶されている遊技者ID’を当該期間限定演出の開放対象遊技者として登録して(Sp23)、当該処理を終了する。」

(1-k)「【0424】
以上説明したように、本実施例の遊技システムでは、携帯端末1001にて遊技用パスワードの発行要求を行うことで、過去の遊技実績に応じた演出設定やレベルを特定するための遊技用パスワードを取得し、スロットマシン1にて遊技を開始する際に入力することで、過去の遊技実績、すなわち他のスロットマシンなどで行った際のレベルや演出設定を反映した演出を実行させることが可能となり、遊技の終了時に携帯端末1001にて2次
元コードを取得して更新要求を行うことにより管理サーバ1000で管理されている当該遊技者の遊技実績やレベルを新たな遊技実績に更新し、次回新たな遊技実績に基づく演出設定やレベルを特定するための遊技用パスワードを取得できるようになるため、長期間にわたり継続性のある演出を行わせることができる。
【0425】
特に本実施例では、スロットマシン1が、遊技者によって入力された遊技用パスワードを解析し、過去の遊技実績に基づく演出設定やレベルを特定する構成であるため、スロットマシン1などの個々の遊技機と、他の遊技機、管理サーバ1000と接続することなく、他の遊技機で遊技を行った過去の遊技実績(遊技履歴)を反映した演出を行うことも可能となる。」

(1-l)「【0457】
また、前記実施例では、管理サーバ1000が、遊技者からのアクセスに応じて予め記憶されている期間限定演出用ページを配信することで、全ての遊技者に同一の演出開放用パスワードを提供するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら演出開放用パスワードを、遊技用パスワードと同様に、遊技者の遊技実績やレベル等の遊技者関連情報に応じて、例えば、高実績や特定の実績を有する遊技者や、高レベルの遊技者には、開放される期間限定演出の種類を多くしたり、開放される期間限定演出の種別を変更したり、或いは開放期間(時間)を長くしたり、期間限定演出が決定されて出現される確率を高くする等のように、個々の遊技者の遊技実績やレベルに応じて異なる演出開放用パスワードを提供するようにしても良く、この場合にあっては、本実施例の演出開放用パスワードと遊技用パスワードとを統合した1つのパスワードとして、遊技者が該統合された1つのパスワードのみを入力することで、該遊技者の遊技実績に応じた演出並びに開放演出が実行されるようにすれば良く、この場合には、前記実施例における遊技用パスワードも演出用パスワードとなり、管理サーバ100において管理されている個々の遊技者の遊技実績やレベルに応じた期間限定演出を、スロットマシン1において実施できるようになる。」

(1-m)段落【0150】から、ROM91bには演出テーブルが格納されており、CPU91aは、複数種類の演出パターンからいずれかの演出パターンを選択して、選択した演出パターンをRAM91cに設定するから、ROM91bは、液晶表示器51が行う演出に係る演出パターンを複数記憶していることは自明な事項である。

(1-n)段落【0341】、【0342】から、ストップスイッチ8L、8C、8R、MAXBETスイッチ6は、演出開放用パスワード、又は遊技用パスワードを入力するものといえる。

(1-o)段落【0326】、【0338】、【0344】、【0360】、【0424】から、サブ制御部19は、入力されたパスワードが、管理サーバ1000のURLにアクセスすることで反映される遊技者の遊技実績やレベルに応じて提供される演出開放用パスワードであると判定されるとプレミアムキャラクタHによる期間限定演出を決定可能とし、遊技用パスワードと判定されると遊技者の遊技実績に応じたレベル、演出設定を引き継いで、キャラクタA?EにさらにプレミアムキャラクタF、Gを加えた7種類からレベルに応じて選択された演出を実行可能であるといえる。

上記の事項を総合すると、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「刊行物1発明」という。)。
「遊技者の遊技履歴、現在のレベル、演出設定等を特定可能な2次元コードを液晶表示画面51に表示し、2次元コードから特定される管理サーバ1000のURLにアクセスすることで、2次元コードから特定される内容が遊技者データベースの内容に反映される管理サーバ1000を備える遊技機システムを構成する遊技機であって、
演出装置として液晶表示器51と、
該液晶表示器51が行う演出に係る演出パターンを複数記憶するROM91bと、
該ROM91bに記憶された複数の演出パターンから選択された演出パターンで演出を行う液晶表示器51を制御するサブ制御部91と、
演出開放用パスワード、又は遊技用パスワードを入力するストップスイッチ8L、8C、8R、MAXBETスイッチ6と、
を備え、
前記サブ制御部19は、入力されたパスワードが、管理サーバ1000のURLにアクセスすることで反映される遊技者の遊技実績やレベルに応じて提供される演出開放用パスワードであると判定されるとプレミアムキャラクタHによる期間限定演出を決定可能とし、遊技用パスワードと判定されると遊技者の遊技実績に応じたレベル、演出設定を引き継いで、キャラクタA?EにさらにプレミアムキャラクタF、Gを加えた7種類からレベルに応じて選択された演出を実行可能とする遊技機。」

(2)刊行物2に記載された発明
新たに引用する特開平10-244045号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(2-a)「【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来のパチンコ機は、演出表示が1種類のみであり、同じ演出表示が何度も繰り返されるものであるため、遊技者に飽きられ易く、短時間で遊技者の遊技に対する興味を喪失させてしまいがちであった。
【0004】本発明の目的は、上記従来のパチンコ機が有する問題点を解消し、演出表示がバラエティーに富んでおり、趣向性が高いため、遊技者がいつまでも遊技を楽しむことができる遊技機を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる本発明の内、第1の発明の構成は、複数の図柄を表示可能な図柄表示部が設けられており、所定条件が充足された場合に、その図柄表示部に表示された図柄が変動し、所定時間後に停止表示となり、停止表示となった図柄が特定の図柄である場合に、遊技者に特定の価値を与える特定遊技状態が生起する遊技機であって、前記図柄表示部に表示された図柄が所定時間変動しない場合には、図柄表示部の表示が、複数の演出表示の中から選択された何れかの演出表示に切り替わることにある。
【0006】第2の発明の構成は、第1の発明において、前記演出表示の選択が、前記特定遊技状態の積算生起回数、あるいは前記図柄の積算変動回数に応じて行われることにある。
【0007】第3の発明の構成は、第1の発明において、前記演出表示の選択が、電源投入時に行われることにある。」

(2-b)「【0014】さらに、制御装置18には、大当たりカウンタ10、図柄変動カウンタ11等の積算カウンタが内蔵されている。そして、大当たりカウンタ10の積算計数値Xは、電源投入後、後述する「大当たり状態」が生起する毎に、1ずつ加算されるようになっており、図柄変動カウンタ11の積算計数値Yは、電源投入後、後述する図柄変動が実行される毎に、1ずつ加算されるようになっている。」

(2-c)「【0022】また、Bプログラムにおいては、S108で、図柄表示部3の図柄が停止表示となってから30S経過したか否か判断される。そして、30S経過したと判断された場合には、S109で、大当たりカウンタ10の数値Xが10より小さいか否か、あるいは図柄変動カウンタ11の数値Yが100より小さいか否か判断される。S109で大当たりカウンタ10の数値Xが10以上である、あるいは図柄変動カウンタ11の数値Yが100以上であると判断された場合には、引き続きS110が実行され、大当たりカウンタ10の数値Xが15より小さいか否か、あるいは図柄変動カウンタ11の数値Yが200より小さいか否か判断される。そして、大当たりカウンタ10の数値Xが15以上である、あるいは図柄変動カウンタ11の数値Yが200以上であると判断された場合には、S111で、図柄表示部3の液晶画面において、第3演出表示プログラムが実行され、第3演出表示であるキャラクターがサッカーをしている動画が表示される。一方、S109で大当たりカウンタ10の数値Xが10より小さい、あるいは図柄変動カウンタ11の数値Yが100より小さいと判断された場合には、図柄表示部3の液晶画面において、第1演出表示プログラムが実行され、第1演出表示であるキャラクターがゴルフをしている動画が表示され、S110で大当たりカウンタ10の数値Xが15より小さい、あるいは図柄変動カウンタ11の数値Yが200より小さいと判断された場合には、第2演出表示プログラムが実行され、第2演出表示であるキャラクターが野球をしている動画が表示される。
【0023】パチンコ機1aは、上記の如く、Aプログラム、Bプログラムが実行され、「大当たり状態」の積算生起回数、あるいは図柄変動の積算回数に応じて、第1?第3演出表示の内の何れかが選択されるため、遊技者は、遊技状況に応じて3種類の演出表示を楽しむことができる。パチンコ機1aは、このように演出図柄がバラエティーに富んだものであり、きわめて趣向性が高いので、遊技者は、いつまでも飽きることなく遊技を楽しむことができる。」
上記の事項を総合すると、刊行物2には、次の発明が記載されていると認められる(以下「刊行物2発明」という。)。
「制御装置18に、大当たりカウンタ10、図柄表示カウンタ11等の積算カウンタを内蔵させ、大当たりカウンタ10の数値Xが15以上である、あるいは図柄変動カウンタ11の数値Yが200以上であると判断された場合には、キャラクターがサッカーをしている動画が表示され、大当たりカウンタ10の数値Xが15より小さい、あるいは図柄変動カウンタ11の数値Yが200より小さいと判断された場合には、キャラクターが野球をしている動画が表示される遊技機。」

(3)対比
本願補正発明と刊行物1発明とを対比する。

ア 刊行物1発明の「遊技者の遊技履歴、現在のレベル、演出設定等を特定可能な2次元コード」は、本願補正発明の「コード化された遊技結果の情報」に相当する。
よって、刊行物1発明の「遊技者の遊技履歴、現在のレベル、演出設定等を特定可能な2次元コードを液晶表示画面51に表示し」は、本願補正発明の「コード化された遊技結果の情報を出力可能であり」に相当する。

イ 刊行物1発明の「2次元コードから特定される内容」が反映されるのは、遊技者が「2次元コードから特定される管理サーバ1000のURLにアクセス」するタイミングである。そして、この「アクセスする」タイミングは、「所定のタイミング」ということができる。また、遊技者の遊技実績やレベルを管理サーバー1000に反映させることは、アクセスする度に遊技実績やレベルを遊技者毎にまとめていくものであるから、遊技結果を集計することを意味するものである。
そして、刊行物1発明の「管理サーバ1000」は本願補正発明の「外部装置」に相当するものである。
よって、刊行物1発明の「2次元コードから特定される管理サーバ1000のURLにアクセスすることで、2次元コードから特定される内容が遊技者データベースの内容に反映される管理サーバ1000を備える遊技機システムを構成する遊技機」は、本願補正発明の「所定のタイミングで該遊技結果の情報を集計する外部装置を備える遊技システムに適用可能な遊技機」に相当する。

ウ 刊行物1発明の「演出装置として液晶表示器51」は、本願補正発明の「遊技に係る演出を行う演出手段」に相当し、刊行物1発明の「液晶表示器51が行う演出に係る演出パターンを複数記憶するROM91b」は「演出手段が行う演出に係る演出情報を複数記憶する記憶手段」に相当する。

エ 刊行物1発明の「ROM91bに記憶された複数の演出パターンから選択された演出パターンで演出を行う液晶表示器51を制御するサブ制御部91」は、本願補正発明の「記憶手段に記憶された複数の演出情報のうちの一つの演出情報に対応する演出を演出手段に行わせる演出制御手段」に相当する。

オ 刊行物1発明においては、サブ制御部19は、「ストップスイッチ8L、8C、8R、MAXBETスイッチ6」から入力されたパスワードが演出開放用パスワードであるかどうかを判定して演出を決定しているから、「演出開放用パスワード、又は遊技用パスワードを入力するストップスイッチ8L、8C、8R、MAXBETスイッチ6」からサブ制御部19(演出制御手段)に対して、演出情報を切り替えるための信号を送信していることは自明な事項である。
よって、刊行物1発明の「演出開放用パスワード、又は遊技用パスワードを入力するストップスイッチ8L、8C、8R、MAXBETスイッチ6」と、本願補正発明の「切替状態に応じて演出制御手段に対して演出情報を切り替える命令を与える演出切替スイッチ」とは、「演出制御手段に対して演出情報を切り替える信号を与える演出切替部」という点で共通する。

カ 刊行物1発明において、「遊技者の遊技実績やレベル」が反映されるのは、「管理サーバ1000のURLにアクセス」するタイミングであるから、このタイミングは「所定のタイミング」であるといえる。また、遊技者の遊技実績やレベルを管理サーバー1000に反映させることは、アクセスする度に遊技実績やレベルを遊技者毎にまとめていくものであるから、遊技結果を集計することを意味するものである。
よって、刊行物1発明の「管理サーバ1000のURLにアクセスすることで反映される遊技者の遊技実績やレベル」は、本願補正発明の「前記タイミングで前記遊技結果を前記外部装置により集計した値」に相当する。
刊行物1発明において、期間限定演出等の演出パターンはROM91b(記憶手段)に記憶されており、入力されたパスワードが、演出開放用パスワードであると判定されるとプレミアムキャラクタHによる期間限定演出を決定可能とし、遊技用パスワードと判定されるとキャラクタA?EにさらにプレミアムキャラクタF、Gを加えた7種類からレベルに応じて選択された演出を実行可能とするから、演出開放用パスワードと判定した場合には、「キャラクタA?EにさらにプレミアムキャラクタF、Gを加えた7種類からレベルに応じて選択された演出」とは異なる演出に切り替え、遊技用パスワードと判定されると遊技者の遊技実績に応じたレベル、演出設定を引き継ぐから、「キャラクタA?EにさらにプレミアムキャラクタF、Gを加えた7種類からレベルに応じて選択された演出」を維持するといえる。
よって、刊行物1発明の「サブ制御部19は、入力されたパスワードが、管理サーバ1000のURLにアクセスすることで反映される遊技者の遊技実績やレベルに応じて提供される演出開放用パスワードであると判定されるとプレミアムキャラクタHによる期間限定演出を決定可能とし、遊技用パスワードと判定されると遊技者の遊技実績に応じたレベル、演出設定を引き継いで、キャラクタA?EにさらにプレミアムキャラクタF、Gを加えた7種類からレベルに応じて選択された演出を実行可能」とする点と、本願補正発明の「演出制御手段は、前記タイミングで前記遊技結果を前記外部装置により集計した値が所定の基準値を満足することにより前記演出切替スイッチが切り替えられて以降は、前記演出手段が行う演出を、前記一つの演出情報に対応する演出から前記記憶手段に記憶されている前記一つの演出情報とは異なる他の演出情報に対応する演出に切り替え、前記遊技結果を前記外部装置により集計した値が所定の基準を満足しないことにより前記演出切替スイッチが切り替えられなければ、前記演出手段が行う演出を、前記一つの演出情報に対応する演出に維持する」点とは、「演出制御手段は、前記タイミングで遊技結果を外部装置により集計した値に応じて、演出手段が行う演出を、一つの演出情報に対応する演出から記憶手段に記憶されている一つの演出情報とは異なる他の演出情報に対応する演出に切り替えるか、又は一つの演出情報に対応する演出に維持する」点で共通する。

キ したがって、本願補正発明と刊行物1発明とは、
「コード化された遊技結果の情報を出力可能であり、所定のタイミングで該遊技結果の情報を集計する外部装置を備える遊技システムに適用可能な遊技機であって、
遊技に係る演出を行う演出手段と、
該演出手段が行う演出に係る演出情報を複数記憶する記憶手段と、
該記憶手段に記憶された複数の前記演出情報のうちの一つの演出情報に対応する演出を前記演出手段に行わせる演出制御手段と、
前記演出制御手段に対して演出情報を切り替える信号を与える演出切替部と、
を備え、
前記演出制御手段は、前記タイミングで前記遊技結果を前記外部装置により集計した値に応じて、前記演出手段が行う演出を、前記一つの演出情報に対応する演出から記憶手段に記憶されている前記一つの演出情報とは異なる他の演出情報に対応する演出に切り替えるか、又は一つの演出情報に対応する演出に維持する遊技機」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
演出切替部に関して、本願補正発明は、「切替状態に応じて演出制御手段に対して演出情報を切り替える命令を与える演出切替スイッチ」であるのに対し、刊行物1発明は、「演出開放用パスワード、又は遊技用パスワードを入力するストップスイッチ8L、8C、8R、MAXBETスイッチ6」である点。

[相違点2]
演出制御手段に関して、「演出手段が行う演出を」、「一つの演出情報に対応する演出から記憶手段に記憶されている一つの演出情報とは異なる他の演出情報に対応する演出に切り替え」るのは、本願補正発明では、「外部装置により集計した値が所定の基準値を満足することにより演出切替スイッチが切り替えられて以降」とする対して、刊行物1発明では「入力されたパスワード」が「演出開放用パスワードであると判定され」て以降であり、演出切替スイッチを有さないとともに、所定の基準値もない点。

[相違点3]
演出制御手段に関して、「演出手段が行う演出を」、「一つの演出情報に対応する演出に維持する」のは、本願補正発明では、「外部装置により集計した値が所定の基準を満足しないことにより演出切替スイッチが切り替えられなければ」であるのに対して、刊行物1発明では、「入力されたパスワード」が「遊技用パスワードであると判定され」るとであり、演出切替スイッチを有さないとともに、所定の基準値もない点。

[相違点4]
演出制御手段に関して、本願補正発明では、演出を切り替える場合は「現在行われている一つの演出情報に対応する演出から」「一つの演出情報とは異なる他の演出情報に対応する演出」に切り替え、演出を維持する場合は「
現在行われている前記一つの演出情報に対応する演出に維持する」のに対して、刊行物1発明では、「現在行われている」演出から切り替えるのか、
「現在行われている演出」に維持するのか否か不明である点。

(4)判断
上記相違点について検討する。
ア 相違点1について
本願補正発明の「切替状態に応じて演出制御手段に対して演出情報を切り替える命令を与える演出切替スイッチ」は、演出切替SWが切り替えられると演出選択フラグを変更する処理を行うことと解される(本願明細書段落【0179】参照)。
そして、遊技機の技術分野において、切替状態に応じて(スイッチが切り替えられると)演出制御手段で実行される演出を切り替えるように構成した演出切替スイッチを設けることは、本願出願前において周知の技術である(例えば、特開2011-147761号公報の段落【0242】、特開平10-244045号公報の段落【0036】参照)。
よって、刊行物1発明に上記周知の技術を適用し、パスワードの入力に換えて演出切替スイッチにより演出制御手段に対して演出情報を切り替える命令を与えるように構成し、上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

イ 相違点2?4について
相違点2?4は関連するのでまとめて検討する。
まず、切替状態に応じて(スイッチが切り替えられると)遊技機に演出を切り替える演出切替スイッチを設けることは、相違点1で検討したとおり、周知の技術であり、そのことを前提として相違点2について検討する。
刊行物1発明の「管理サーバ1000のURLにアクセスすることで反映される遊技者の遊技実績やレベル」は、上記「3(3)カ」で検討したとおり、本願補正発明の「前記タイミングで前記遊技結果を前記外部装置により集計した値」に相当するものである。
よって、刊行物1発明は、所定のタイミングで遊技結果を外部装置により集計した値に応じて、演出手段が行う演出を、他の演出情報に対応する演出に切り替えるか、又は一つの演出情報に対応する演出に維持するものといえる。
一方、刊行物2発明において、「大当たりカウンタ10の数値X」、「図柄表示カウンタ11の数値Y」は、遊技結果であるといえる。また、「大当たりカウンタ10の数値Xが15以上である、あるいは図柄変動カウンタ11の数値Yが200以上であると判断された場合」とは、所定の基準値を満足する場合であり、その場合には、キャラクターの動画が現在行われている野球からサッカーに切り替えられ、「大当たりカウンタ10の数値Xが15より小さい、あるいは図柄変動カウンタ11の数値Yが200より小さいと判断された場合」とは、所定の基準値を満足しない場合であり、その場合には、キャラクターの動画が現在行われている野球に維持されるといえる。
すなわち、刊行物2発明は、遊技結果を集計した値が所定の基準値を満足する場合には現在行われている演出を切り替え、所定の基準値を満足しなければ現在行われている演出に維持することを開示するものといえる。
刊行物1発明と刊行物2発明とは、遊技結果を集計した値に応じて演出手段が行う演出を切り替えるか、又は維持する遊技機という点で共通するものである。
よって、刊行物1発明に刊行物2発明を適用し、所定のタイミングで遊技結果を外部装置により集計した値が所定の基準値を満足することにより演出手段が行う演出を、現在行われている一つの演出情報に対応する演出から記憶手段に記憶されている一つの演出情報とは異なる他の演出情報に対応する演出に切り替え、遊技結果を外部装置により集計した値が所定の基準を満足しないことにより、現在行われている一つの演出情報に対応する演出に維持するように構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、刊行物1発明に刊行物2発明を適用する際に、上記周知の技術を採用し、集計した値が所定の基準値を満足することにより切替スイッチを切り替えるように構成することは当業者が適宜なし得たことである。
なお、仮に、刊行物1発明の「管理サーバ1000のURLにアクセスすることで反映される遊技者の遊技実績やレベル」が、本願補正発明の「前記タイミングで前記遊技結果を前記外部装置により集計した値」に相当しないとしても、外部装置で遊技結果を集計すること自体は周知の事項に過ぎない。
以上のことから、刊行物1発明に、刊行物2発明及び周知の技術を適用し、上記相違点2?4に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

請求人は、平成26年1月9日付けの意見書において、刊行物1には、所定日時において遊技結果を前記外部装置により集計した値が所定の基準を満たすことにより前記演出切替スイッチが切り替えられた場合に、演出手段に行わせる演出に係る演出情報を他の演出情報に切り替えるという要素はない旨主張する(第2頁第41?45行参照)。
しかしながら、上記相違点2で検討したとおり、集計した遊技結果が所定の基準を満たすことにより演出切替スイッチを切り替える点は、刊行物2発明に開示されているものである。
また、請求人は、刊行物1において、「遊技履歴」と「演出開放用パスワード」との間に特に関連性はなく、「演出開放用パスワード」は、外部装置で集計した遊技結果に基づいて発行されるものではない旨主張する(第2頁第46?50行参照)。
しかしながら、刊行物1の段落【0457】には、「個々の遊技者の遊技実績やレベルに応じて異なる演出開放用パスワードを提供するようにしても良く、・・・管理サーバ100において管理されている個々の遊技者の遊技実績やレベルに応じた期間限定演出を、スロットマシン1において実施できるようになる。」と記載されており、「演出開放用パスワード」は、外部装置で集計した遊技結果に基づいて発行されるものといえる。
よって、請求人の主張は採用できない。

ウ 本願補正発明が奏する効果について
上記相違点1、2によって本願補正発明が奏する効果は、当業者が刊行物1発明、刊行物2発明、及び周知の技術から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。

エ まとめ
以上のように、本願補正発明は、当業者が刊行物1発明、刊行物2発明、及び周知の技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(4)小活
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

4 補正却下の決定についてのむすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
さらに、本件補正が、特許法第17条の2第5項の規定に違反しないとしても、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成25年2月19日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

「【請求項1】
コード化された遊技結果の情報を出力可能であり、該遊技結果の情報を集計する外部装置を備える遊技システムに適用可能な遊技機であって、
遊技に係る演出を行う演出手段と、
該演出手段が行う演出に係る演出情報を複数記憶する記憶手段と、
該記憶手段に記憶された複数の前記演出情報のうちの一つの演出情報に対応する演出を前記演出手段に行わせる演出制御手段と、
切替状態に応じて前記演出制御手段に対して演出情報を切り替える命令を与える演出切替スイッチと、
を備え、
所定日時において遊技結果を前記外部装置により集計した値が所定の基準を満たすことにより前記演出切替スイッチが切り替えられた場合、前記演出制御手段は、前記演出手段に行わせる演出に係る前記一つの演出情報を、前記記憶手段に記憶される他の演出情報に切り替えることを特徴とする遊技機。」

2 刊行物
刊行物1の記載事項、及び刊行物1発明は、上記「第2 3(1)」に記載したとおりである。

3 対比
本願発明は、上記「第2」で検討した本願補正発明から「外部装置」に関して、遊技結果を集計するのが「所定のタイミング」から「所定日時において」とするとともに、「演出制御手段」に関する「前記タイミングで前記遊技結果を前記外部装置により集計した値が所定の基準値を満足することにより前記演出切替スイッチが切り替えられて以降は、前記演出手段が行う演出を、現在行われている前記一つの演出情報に対応する演出から前記記憶手段に記憶されている前記一つの演出情報とは異なる他の演出情報に対応する演出に切り替え、前記遊技結果を前記外部装置により集計した値が所定の基準を満足しないことにより前記演出切替スイッチが切り替えられなければ、前記演出手段が行う演出を、現在行われている前記一つの演出情報に対応する演出に維持する」との限定を省いたものである。

本願発明と刊行物1発明とを対比する。
ア 刊行物1発明の「2次元コードから特定される管理サーバ1000のURLにアクセスすることで、2次元コードから特定される内容が遊技者データベースの内容に反映される管理サーバ1000を備える遊技機システムを構成する遊技機」は、本願発明の「該遊技結果の情報を集計する外部装置を備える遊技システムに適用可能な遊技機」に相当する。

イ 刊行物1発明の「管理サーバ1000のURLにアクセスすることで反映される遊技者の遊技実績やレベル」は、本願発明の「遊技結果を外部装置により集計した値」に相当する。
刊行物1発明において、期間限定演出等の演出パターンはROM91b(記憶手段)に記憶されており、演出開放用パスワードであると判定されるとプレミアムキャラクタHによる期間限定演出を決定可能とし、遊技用パスワードと判定されると遊技者の遊技実績に応じたレベル、演出設定を引き継いで、キャラクタA?EにさらにプレミアムキャラクタF、Gを加えた7種類からレベルに応じて選択された演出を実行可能とするから、演出開放用パスワードと判定した場合には、演出開放用パスワードと判定しない場合や遊技用パスワードと判定した場合に行われる演出とは異なる演出に切り替えているといえる。
よって、刊行物1発明の「サブ制御部19は、入力されたパスワードが、管理サーバ1000のURLにアクセスすることで反映される遊技者の遊技実績やレベルに応じて提供される演出開放用パスワードであると判定されるとプレミアムキャラクタHによる期間限定演出を決定可能とし、遊技用パスワードと判定されると遊技者の遊技実績に応じたレベル、演出設定を引き継いで、キャラクタA?EにさらにプレミアムキャラクタF、Gを加えた7種類からレベルに応じて選択された演出を実行可能」とする点と、本願発明の「所定日時において遊技結果を外部装置により集計した値が所定の基準を満たすことにより演出切替スイッチが切り替えられた場合、演出制御手段は、演出手段に行わせる演出に係る一つの演出情報を、記憶手段に記憶される他の演出情報に切り替える」点とは、「遊技結果を外部装置により集計した値に応じて、演出制御手段は、演出手段に行わせる演出に係る一つの演出情報を、記憶手段に記憶される他の演出情報に切り替える」点で共通する。

そして、上記「第2 2(3)」における検討を踏まえると、本願発明と刊行物1発明とは、
「コード化された遊技結果の情報を出力可能であり、該遊技結果の情報を集計する外部装置を備える遊技システムに適用可能な遊技機であって、
遊技に係る演出を行う演出手段と、
該演出手段が行う演出に係る演出情報を複数記憶する記憶手段と、
該記憶手段に記憶された複数の前記演出情報のうちの一つの演出情報に対応する演出を前記演出手段に行わせる演出制御手段と、
前記演出制御手段に対して演出情報を切り替える命令を与える演出切替部と、
を備え、
遊技結果を前記外部装置により集計した値に応じて、前記演出制御手段は、前記演出手段に行わせる演出に係る前記一つの演出情報を、前記記憶手段に記憶される他の演出情報に切り替える遊技機。」
である点で一致し、
上記「第2 3(3)」における[相違点1]に加えて、以下の点で相違する。

[相違点5]
演出制御手段に関して、本願発明は、「所定日時において遊技結果を外部装置により集計した値が所定の基準を満たすことにより演出切替スイッチが切り替えられた場合、演出制御手段は、演出手段に行わせる演出に係る一つの演出情報を、記憶手段に記憶される他の演出情報に切り替える」のに対して、刊行物1発明は「サブ制御部19は、入力されたパスワードが、管理サーバ1000のURLにアクセスすることで反映される遊技者の遊技実績やレベルに応じて提供される演出開放用パスワードであると判定されるとプレミアムキャラクタHによる期間限定演出を決定可能とし、遊技用パスワードと判定されると遊技者の遊技実績に応じたレベル、演出設定を引き継いで、キャラクタA?EにさらにプレミアムキャラクタF、Gを加えた7種類からレベルに応じて選択された演出を実行可能」とする点。

4 判断
上記相違点5について検討する。
刊行物1発明において、演出を期間限定演出に切り替える「演出開放用パスワード」は、遊技者の遊技実績やレベルに応じて提供されるものであるから、その提供の際には遊技実績やレベルに何らかの基準(所定の基準)を設け、これを満たすことで「演出開放用パスワード」を提供することは当業者が容易に想到し得たことといえる。
また、遊技機の技術分野において、切替状態に応じて演出制御手段で実行される演出を切り替えるように構成した演出切替スイッチを設けることは、上記「第2 3(4)ア」で述べたとおり、周知の技術である。
そして、外部装置によるデータの集計を随時行うか所定日時において行うかについては、データを集計する装置の設計にあたり適宜設定される事項に過ぎない。
よって、刊行物1発明に上記周知の技術を適用し、集計した値が所定の基準値を満足することにより切替スイッチを切り替えるように構成し、上記相違点5に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
上記相違点1については、上記「第2 3(4)ア」で述べたとおりであるから、本願発明は、当業者が刊行物1発明、及び周知の技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。

5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-01-06 
結審通知日 2016-01-12 
審決日 2016-01-26 
出願番号 特願2011-275050(P2011-275050)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小河 俊弥  
特許庁審判長 本郷 徹
特許庁審判官 関 博文
平城 俊雅
発明の名称 遊技機  
代理人 鈴木 均  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ