• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1313436
審判番号 不服2015-3678  
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-02-26 
確定日 2016-04-13 
事件の表示 特願2011-506017「通信端末制御システム」拒絶査定不服審判事件〔平成22年9月30日国際公開,WO2010/110188〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2010年3月15日(優先権主張 日本国特許庁受理2009年3月26日)を国際出願日とする出願であって,平成26年2月26日付けで拒絶理由が通知され,同年4月18日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされ,同年6月27日付けで最後の拒絶理由が通知され,同年9月2日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが,同年12月4日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成27年2月26日付けで拒絶査定不服の審判請求がなされるとともに同日付けで手続補正がなされたものである。

第2 補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成27年2月26日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 本願発明と補正後の発明
上記手続補正(以下「本件補正」という。)は,本件補正前の平成26年9月2日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された

「無線通信機能とWEBブラウザ機能を備えたWEBブラウザとを搭載した外部機器と,
前記無線通信機能と前記WEBブラウザ機能を備えたWEBブラウザプログラムとを搭載した携帯電話機とを有し,
前記外部機器は前記無線通信機能を経由して前記携帯電話機にアクセスし,前記携帯電話機の前記WEBブラウザプログラムを起動させて,前記携帯電話機のブラウザ画面に表示された情報を前記外部機器の前記WEBブラウザを用いて制御すること特徴とする携帯電話制御システム。」

という発明(以下「本願発明」という。)を,平成27年2月26日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された

「無線通信機能とWEBブラウザ機能を備えたWEBブラウザとを搭載した外部機器と,
前記無線通信機能と前記WEBブラウザ機能を備えたWEBブラウザプログラムと各種データを格納している記憶部とを搭載した携帯電話機とを有し,
前記外部機器は前記無線通信機能を経由して前記携帯電話機にアクセスし,前記携帯電話機の前記WEBブラウザプログラムを起動させて,前記携帯電話機のブラウザ画面に表示された情報を前記外部機器の前記WEBブラウザを用いて制御し,前記ブラウザ画面に表示された情報のメニューを選択表示させることを特徴とする携帯電話制御システム。」(下線部は補正箇所を示す。)

という発明(以下「補正後の発明」という。)に補正することを含むものである。

2 補正の適否
(1)新規事項の有無,シフト補正要件及び補正の目的要件
前記補正は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において,本願発明の「携帯電話機」について「各種データを格納している記憶部」を搭載した点,及び,同じく「ブラウザ画面に表示された情報」の表示について「前記ブラウザ画面に表示された情報のメニューを選択表示させる」点で限定するものである。
したがって,上記補正は,特許法第17条の2第3項(新規事項)及び第4項(シフト補正)の規定に適合することは明らかであり,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(2)独立特許要件
上記補正は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから,上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのか否かについて,以下検討する。

ア 補正後の発明
上記「1 本願発明と補正後の発明」の項で,「補正後の発明」として認定したとおりである。

イ 引用例と引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された,本願出願前に公開された刊行物である米国特許出願公開第2008/0248834号明細書(以下「引用例」という。)には,その発明の名称を「SYSTEM AND METHODS FOR PROVIDING ACCESS TO A DESKTOP AND APPLICATIONS OF A MOBILE DEVICE」(当審仮訳:モバイル機器のデスクトップ及びアプリケーションへのアクセスを提供するためのシステム及び方法)として図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア) 「[0011] FIG. 1 illustrates a communications system 100 suitable for implementing various embodiments. Although FIG. 1 depicts a limited number of elements for purposes of illustration, it can be appreciated that the communications system 100 may include more or less elements as well as other types of elements in accordance with the described embodiments.」
(当審仮訳:[0011] 図1は種々の実施形態を実施するのに適した通信システム100を示す。図1は,例示のために限定数の構成要素を示しているが,通信システム100は,より多くの又はより少ない要素を含んでもよく,また実施形態に従った他のタイプの構成要素を含んでいてもよいことが理解されよう。)

(イ) 「[0012] As shown, the communications system 100 may comprise a mobile device 102. In some embodiments, the mobile device 102 may be implemented as a combination handheld computer and mobile telephone, sometimes referred to as a smart phone. It can be appreciated that while certain embodiments may be described with the mobile device 102 implemented as a smart phone by way of example, the mobile device 102 may be implemented as other types of user equipment (UE) or wireless computing devices such as a mobile telephone, personal digital assistant (PDA), combination mobile telephone/PDA, handheld device, mobile unit, subscriber station, game device, messaging device, media player, pager, or other suitable mobile communications devices.」
(当審仮訳:[0012] 図示されているように,通信システム100は,モバイル機器102を含むことができる。いくつかの実施形態では,モバイル機器102は,ハンドヘルドコンピュータと移動電話の組み合わせで実現でき,それはしばしばスマートフォンと呼ばれる。ある実施形態は,一例としてスマートフォンとして実現されるモバイル装置102で説明することができるが,モバイル機器102は,携帯電話,携帯情報端末(PDA),携帯電話/PDA,ハンドヘルドデバイス,移動ユニット,加入者局,ゲーム装置,メッセージング・デバイス,メディアプレーヤー,ポケットベル,又は他の適切なモバイル通信デバイスのような,他のタイプのユーザ機器(UE)やワイヤレスコンピューティングデバイスとして実現されてもよいことが理解される。)

(ウ) 「[0019] The mobile device 102 may provide a variety of applications for allowing a user to accomplish one or more specific tasks. Exemplary applications may include, without limitation, a web browser application (e.g., Internet Explorer(R), Mozilla(R), Firefox(R), Safari(R), Opera(R), Netscape Navigator(R)), telephone application (e.g., cellular, VoIP, PTT), networking application, messaging application (e.g., e-mail, IM, SMS, MMS), contacts application, calendar application, word processing application, spreadsheet application, database application, media application (e.g., video player, audio player, multimedia player, digital camera, video camera, media management), location based services (LBS) application, gaming application, and so forth.」(当審注:原文で○内にRが記載された記号を「(R)」で記載した。以下の記載も同様である。)
(当審仮訳:[0019] モバイル機器102は,ユーザーが1つまたは複数の特定のタスクを達成するための様々なアプリケーションを提供することができる。例示的なアプリケーションに制約はなく,ウェブ・ブラウザ・アプリケーション(例えば,Internet Explorer(登録商標),Mozilla(登録商標),Firefox(登録商標),Safari(登録商標),Opera(登録商標),Netscape Navigator(登録商標)),電話アプリケーション(例えば,携帯電話,VoIP,PTT),ネットワーキングアプリケーション,メッセージング・アプリケーション(例えば,電子メール,IM,SMS,MMS),連絡先アプリケーション,カレンダアプリケーション,ワードプロセッシングアプリケーション,スプレッドシートアプリケーション,データベースアプリケーション,メディアアプリケーション(例えば,ビデオプレーヤ,オーディオプレーヤ,マルチメディアプレーヤ,デジタルカメラ,ビデオカメラ,メディア管理),ロケーションベース・サービス(LBS)アプリケーション,ゲームアプリケーションなどを含むことができる。)

(エ) 「[0020]The applications may comprise or be implemented as executable computer program instructions stored on computer-readable storage media such as volatile or non-volatile memory capable of being retrieved and executed by a processor to provide operations for the mobile device 102. The memory also may implement various databases and/or other types of data structures (e.g., arrays, files, tables, records) for storing data for use by the processor and/or other elements of the mobile device 102. 」
(当審仮訳:[0020]アプリケーションは,実行可能なコンピュータプログラム命令を含み,又は前記命令として実行されるものであり,前記命令は,揮発性または不揮発性メモリ等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶され,モバイル機器102の操作を提供するためにプロセッサによって読み出されて実行されるものである。前記メモリは,モバイル機器102のプロセッサおよび/または他の要素によって使用されるデータを格納するための様々なデータベース及び/又は他のタイプのデータ構造(例えば,アレイ,ファイル,テーブル,レコード)を実装することができる。)

(オ) 「[0021] In various implementations, an application may provide a user interface (UI) 104 to communicate information between the mobile device 102 and a user. The mobile device 102 may comprise various components or devices for interacting with the application such as a display 106 for presenting the UI 104 and a keypad 108 for inputting data and/or commands. 」
(当審仮訳:[0021] 種々の実施形態では,アプリケーションは,モバイル機器102とユーザとの間で情報を通信するためにユーザインターフェース(UI)104を提供することができる。モバイル機器102は,UI 104を表示するためのディスプレイ106やデータ及び/又はコマンドを入力するためのキーパッド108のような,前記アプリケーションと対話するための様々なコンポーネント又はデバイスを含むことができる。)

(カ) 「[0022] As shown, a connection 110 may be established between the mobile device 102 and a terminal 112. In various embodiments, the mobile device 102 may comprise one or more input/output (I/O) interfaces for establishing the connection 110 with the terminal 112. The I/O interfaces may comprise, for example, a serial connection port, an IR port, a Bluetooth(R)interface, a network interface, a WiFi interface, a WiMax interface, a cellular network interface, a wireless network interface card (WNIC), a transceiver, and so forth.」
(当審仮訳:[0022] 示されているように,接続110は,モバイル機器102と端末112との間で確立され得る。様々な実施形態では,モバイル機器102は,端末112との接続110を確立するための1つ以上の入力/出力(I/O)インタフェースを含むことができる。I/Oインタフェースは,例えば,シリアル接続ポート,赤外線ポート,ブルートゥース(登録商標)インターフェース,ネットワーク・インターフェース,WiFiインターフェース,WiMAXインターフェース,セルラー方式ネットワーク・インターフェース,ワイヤレスネットワーク・インターフェース・カード(WNIC),トランシーバ,等を含むことができる。)

(キ) 「[0024](略)In other implementations, the connection 110 may comprise a short range wireless connection (e.g., Bluetooth(R)connection, IR connection) to communicatively couple the mobile device 102 to the terminal 112 when in close proximity. In some implementations, the connection 110 may comprise a network connection between the mobile device 110 and the terminal 112 such as a WiFi connection, WiMax connection, Ethernet connection, cellular network (e.g., 1G/2G/3G) connection, or other suitable packet data or switched connection in accordance with the described embodiments. 」
「[0024](略)他の実施形態では,近接した位置にある場合の接続110は,モバイル機器102を端末112に通信可能に短距離無線接続(例えばブルートゥース(登録商標)接続,赤外線接続)を含むことができる。いくつかの実施形態において,接続110は,記載された実施形態に従って,WiFi接続,WiMAX接続,イーサネット接続,セルラーネットワーク(例えば,1G/2G/3G)接続,または他の適切なパケットデータ交換接続のような,モバイル機器110と端末112の間のネットワーク接続を含むことができる。」

(ク) 「[0025](略)Although the terminal 112 is shown as a PC for purposes of illustration, it can be appreciated that the terminal may be implemented by any suitable type of computing device in accordance with the described embodiments.」
(当審仮訳:[0025](略)端末112は例示のためにPCとして示されているが,記載された実施形態に応じて任意の適切なタイプのコンピュータデバイスで実現されてもよいことが理解され得る。)

(ケ) 「[0026] When the connection 110 is established, the mobile device 102 may be arranged to provide a portable application environment which can drive the terminal 112 so that applications on the mobile device 102 may be accessed by and used from the terminal 112. The portable application environment provided by the mobile device 102 may allow the terminal 112 to achieve the same functionality provided by one or more applications of the mobile device 102 without the need to install any additional software on the terminal 112 related to such applications. 」
(当審仮訳:[0026] 接続110が確立されると,モバイル機器102は,端末112を駆動するポータブルアプリケーション環境を提供するように構成することができ,それによりモバイル機器102上のアプリケーションは,端末112からアクセスされて使用できる。モバイル機器102によって提供されるポータブルアプリケーション環境は,そのようなアプリケーションに関連する端末112上のいかなる追加のソフトウェアをインストールする必要がなく,端末112は,モバイル機器102の1つ以上のアプリケーションにより提供される機能性と同一の機能性を達成することができる。)

(コ) 「[0027] In various embodiments, the desktop and/or one or more applications of the mobile device 102 may be accessed from a web browser (e.g., Internet Explorer(R), Mozilla(R), Firefox(R), Safari(R), Opera(R), Netscape Navigator(R)) on the terminal 112. Using the web browser of the terminal 112, a user may navigate or “surf” to an Internet Protocol (IP) address or other suitable network address of the mobile device 102. When connected, the terminal 112 and the mobile device 102 may establish a client/server relationship in which the terminal 112 acts as the client and requests services from the mobile device 102 acting as the server. Accordingly, the web browser of the terminal 112 may be served up applications hosted by the mobile device 102.」
(当審仮訳:[0027] 様々な実施形態では,モバイル機器102のデスクトップ及び/又は1つ以上のアプリケーションは,端末112上のウェブ・ブラウザ(例えば,Internet Explorer(登録商標),Mozilla(登録商標),Firefox(登録商標),Safari(登録商標),Opera(登録商標),Netscape Navigator(登録商標))からアクセスすることができる。端末112のウェブ・ブラウザを使用して,ユーザは,モバイル機器102のインターネットプロトコル(IP)アドレス又は他の適切なネットワークアドレスにナビゲート又は「サーフィン」することができる。接続されると,端末112とモバイル機器102はクライアント/サーバの関係を確立することができ,端末112はクライアントとして動作し,サーバとして動作するモバイル機器102からサービスを要求する。その結果,端末112のウェブ・ブラウザは,モバイル機器102によってホストされているアプリケーションを提供され得る。)

(サ) 「[0028] In various embodiments, one or more applications hosted by the mobile device 102 may be implemented as browser-based applications comprising scripted programming language. Exemplary browser-based applications may comprise Basic, Java, and other web applications running scripting languages such as JavaScript, ECMAScript, VBScript, Adobe Macromedia Flash, Java, or other suitable scripted programming language in accordance with the described embodiments. It can be appreciated that in such embodiments, the applications hosted by the mobile device 102 may be authored using the same paradigm that is used to author web sites. Accordingly, the applications on the mobile device 102 may be configured to be accessed by a web browser running on the terminal 112 as well as a web browser running locally on the mobile device 102.」
(当審仮訳:[0028] 様々な実施形態では,モバイル機器102によってホストされる1つ以上のアプリケーションは,スクリプトプログラミング言語を含むブラウザベースのアプリケーションとして実行することができる。典型的なブラウザベースのアプリケーションは,Basic,Java,及びスクリプト言語を実行している他のウェブアプリケーションを含み,このスクリプト言語は,説明した実施形態に従い,JavaScript,ECMAScript,VBScript,Adobeマクロメディア・フラッシュ,Java,または他の適切なスクリプトプログラミング言語を含むことができる。このような実施形態では,モバイル機器102によってホストされたアプリケーションは,ウェブサイトを記述するために使用される同じパラダイムを使用して記述し得ることが理解される。これにより,モバイル機器102上のアプリケーションは,モバイル機器102上でローカルに実行されるウェブ・ブラウザによるアクセスと同様に,端末112上で動作するウェブ・ブラウザによってアクセスされるように構成することができる。)

(シ) 「[0033] When connected to the terminal 112, the mobile device 102 may serve up a UI 114 to the terminal 112 for interacting with the desktop and/or applications of the mobile device 102. The UI 114 may run on the terminal 112 and provide access to the functionality of the mobile device 102 without installing any software on the terminal 112. In various embodiments, the UI 114 may comprise a browser-based UI served by the mobile device 102 and viewed within a web browser of the terminal 112. The web browser running on the terminal 112 may present the UI 114 in response to content received from the mobile device 102 over an HTTP path via the connection 110. The terminal 112 may act as a client using its Internet browser as the UI 114 for using the applications on the mobile device 102 without the need to install software. The mobile device 102 may act as a server (e.g., Internet server, HTTP server) and locally run the applications and respond to service requests from the browser on the terminal 112.」
(当審仮訳:[0033] 端末112に接続されると,モバイル機器102は,端末112にUI 114を提供して,モバイル機器102のデスクトップ及び/又はアプリケーションと対話することができる。UI 114は,端末112上で動作し,端末112にいかなるソフトウェアをインストールすることなく,モバイル機器102の機能へのアクセスを提供することができる。様々な実施形態では,UI 114は,モバイル機器102によって提供され,端末112のウェブ・ブラウザ内で閲覧されるブラウザベースのUIを含むことができる。端末112上で動作するウェブ・ブラウザは,接続110を介してHTTP経路上でモバイル機器102から受信したコンテンツに応じてUI 114を提示することができる。端末112は,ソフトウェアをインストールする必要もなく,モバイル機器102上のアプリケーションを利用するためのUI 114としてのインターネットブラウザを使用して,クライアントとして機能することができる。モバイル機器102は,サーバ(例えば,インターネットサーバ,HTTPサーバ)として動作し,ローカルでアプリケーションを実行し,端末112のブラウザからのサービス要求に応答することができる。)

(ス) 「[0034] At the terminal 112, a user may view the UI 114 on a display 116 and interact with one or more applications of the mobile device 102 by inputting data and/or commands using devices or components such as a keyboard 118 and a mouse 120. The key strokes and clicks of the user at the terminal 112 may be sent to and interpreted by the mobile device 102 as key press events for interacting with the desktop, applications, and/or other resources of the mobile device 102.」
(当審仮訳:[0034] 端末112において,ユーザは,ディスプレイ116上でUI 114を見て,キーボード118及びマウス120などのデバイス又はコンポーネントを使用してデータ及び/又はコマンドを入力することにより,モバイル機器102の1つ以上のアプリケーションと対話することができる。端末112におけるユーザのキーストロークおよびクリックは,モバイル機器102に送られ,該モバイル機器102のデスクトップ,アプリケーション,及び/又は他のリソースとの対話のためのキー押下イベントとして,モバイル機器102によって解釈される。)

(セ) 「[0037] The user may configure the device 102 using the terminal 112 from a local or remote location. The user also may locally or remotely configure various resources on the mobile device 102 such as the phonebook or media store.」
(当審仮訳:[0037] ユーザは,ローカル又はリモートの場所から端末112を用いてモバイル機器102を設定し得る。ユーザは,また,電話帳又はメディア記憶のようなモバイル機器102上の様々なリソースをローカル又はリモートで設定し得る。)

(ソ) 「[0041] In some embodiments, the UI 114 displayed by the terminal 112 may show an exact copy of the user interface 104 of the mobile device 102. In such embodiments, the browser of the terminal 112 may depict the browser based applications of the mobile device 102 in the same way as they appear and are run on by the browser of the mobile device 102. In some cases, the UI 104 of the mobile device 102 and the UI 114 of the terminal 112 may be presented at the same time. Accordingly, the UI 114 displayed by the terminal 112 may provide a supplemental user interface for the user showing the UI 104 of the mobile device 102.」
(当審仮訳:[0041] いくつかの実施形態では,端末112で表示されたUI 114は,モバイル機器102のユーザ・インタフェース104の正確なコピーを示してもよい。かかる実施形態では,端末112のブラウザは,モバイル機器102のブラウザベースのアプリケーションが,該モバイル機器102のブラウザで表示されるのと同じ方法で表現することができる。いくつかの場合に,モバイル機器102のUI 104と端末112のUI 114を同時に表示してもよい。このように,端末112で表示されたUI 114は,モバイル機器102のUI 104を見るユーザにとって補足的ユーザインターフェースを提供することができる。)

(タ) 「[0047] FIG. 2 illustrates one embodiment of a communications system 100 comprising a mobile device 102 displaying a UI 104 and communicating via a connection 110 (e.g., Bluetooth(R)connection, IR connection) with a terminal 112. As shown, the terminal 112 may display an enhanced browser based UI 114. In this embodiment, the application on the mobile device 102 may detect the environment for the application and self-adjust the UI 114 served to terminal 112 for display on a larger screen. The UI 114 may provide more content and/or additional functionality as compared to the UI 104.」
(当審仮訳:[0047] 図2は,UI 104を表示するモバイル機器102と,接続部110(例えば,Bluetooth(登録商標)接続,赤外線接続)を介して通信する端末112を含む通信システム100の一実施形態を示す。図示されているように,端末112は,拡張されたブラウザベースUI 114を表示してもよい。本実施形態において,モバイル機器102上のアプリケーションは,アプリケーションのための環境を検出し,端末112のUI 114に大画面を表示するために,自己調整することができる。UI 114は,UI 104と比較して,より多くのコンテンツ及び/又は追加の機能を提供することができる。)

(チ) 「[0050] FIG. 5 illustrates one embodiment of a logic diagram 200, which may be representative of the operations executed by one or more embodiments described herein. In this embodiment, the logic diagram 200 may comprise establishing a connection from a mobile device to a terminal (block 210), running a browser based application locally on the mobile device (block 220), and serving a browser based user interface to a browser of the terminal via the connection for interacting with the application on the mobile device (block 230). It can be appreciated that the logic diagram 200 may comprise various other operations in accordance with the described embodiments.」
(当審仮訳:[0050] 図5は,論理図200の1つの実施形態を示し,本明細書に記載する1以上の実施形態で実行される処理の典型でありうる。本実施形態では,論理図200は,モバイル機器から端末への接続を確立し(ブロック210),モバイル機器は局所的にブラウザベースのアプリケーションを実行し(ブロック220),モバイル機器上のアプリケーションと対話するための接続を介して端末のブラウザにブラウザベースのユーザインタフェースを提供する(ブロック230)。論理図200は,説明した実施形態に応じて様々な他の処理を含み得ることが理解できる。)

上記引用例の前記摘記事項(ア)ないし(チ)の記載,図面の記載並びにこの分野における技術常識を考慮すると,引用例には以下の事項が記載されているといえる。

a 引用例では,通信システム100はモバイル機器102を含み(摘記事項(イ)[0012]),前記モバイル機器102と端末112との間で接続110を確立する(摘記事項(カ)[0022])ものであり,FIG.1の記載と合わせて,「通信システム100」は,お互いに接続される「モバイル機器102」及び「端末112」とを備えている。
そして,前記「接続110」について,摘記事項(キ)[0024]及び(タ)[0047]には,「短距離無線接続」や「WiFi」等の例が記載されているから,「モバイル機器102」及び「端末112」 は,それぞれ共通の「無線接続機能」を「搭載」しているといえる。さらに,摘記事項(ケ)[0026]の記載から,「前記端末112は,前記無線接続機能を経由して前記モバイル機器102にアクセスし」といえる。

b 引用例の前記「端末112」は,摘記事項(コ)[0027]の記載からみて,「ウェブ・ブラウザ機能を備えたウェブ・ブラウザ」を「搭載」していることは明らかである。

c 引用例の前記「モバイル機器102」は,摘記事項(ウ)[0019]の記載からみて,「ウェブ・ブラウザ機能を備えたウェブ・ブラウザ・アプリケーション」を「搭載」していることは明らかである。
さらに,前記「モバイル機器102」は,摘記事項(エ)[0020]の記載からみて,「モバイル機器102のプロセッサおよび/または他の要素によって使用されるデータを格納する」「メモリ」を「搭載」しているといえる。

d 引用例には,摘記事項(シ)[0033]の記載からみて,「端末112」は,「モバイル機器102」から「ウェブ・ブラウザ」内で閲覧できるブラウザ・ベースの「UI114」の提供を受け,該「UI114」から,すなわちウェブ・ブラウザから「モバイル機器102」の機能へアクセスすることができるものであり,この場合,「モバイル機器102」はサーバとして動作し,ローカルで前記アプリケーションを実行し,「端末112」のブラウザからのサービス要求に応答するものである。
さらに,摘記事項(セ)[0037]には,前記機能に関し,ユーザが,端末112を用いてリモートでモバイル機器102を設定することができ,また,電話帳又はメディア記憶のようなモバイル機器102上の様々なリソースをリモートで設定し得る旨の記載がある。
してみると,モバイル機器102上の様々なリソースをリモートで設定し得るようにするために,端末112のウェブ・ブラウザに前記モバイル機器102上の様々なリソースが設定し得るようにするための情報が表示されることは明らかである。
これらの事項を総合すると,引用例には,「端末112のウェブ・ブラウザに表示されたモバイル機器102上の様々なリソースが設定し得るようにするための情報を該端末112のウェブ・ブラウザを用いて設定する」ことが記載されていると認められる。

e 摘記事項(ソ)[0041]に記載された,端末112で表示されたUI 114は,モバイル機器102のユーザ・インタフェース104の正確なコピーを示すことができ,また,モバイル機器102のUI 104と端末112のUI 114を同時に表示することができる点を勘案すると,前記dで検討した「端末112のウェブ・ブラウザに表示されたモバイル機器102上の様々なリソースが設定し得るようにするための情報」と同じ情報を同時に「モバイル機器102のウェブ・ブラウザ」に表示する態様も,引用例に記載の事項から自明な事項であると認められる。
このとき,前記「様々なリソース」を「設定し得るようにするため」に,様々なリソースのいずれかを選択できるように表示させることは明らかであるから,「前記ウェブ・ブラウザに,前記携帯電話上の様々なリソースを選択し得るようにするための情報を表示させる」ことも自明な事項である。

f 引用例の摘記事項(イ)[0012]には,「モバイル機器102」として「携帯電話」が例示され,摘記事項(ク)[0025]には,「端末112」として「PC」が例示され,該「PC」は,前記「携帯電話」からみて「外部機器」といえる。

g 前記dより,前記「通信システム100」を,端末(外部機器)によりモバイル機器(携帯電話)を制御するシステム,すなわち,「携帯電話制御システム」と捉えることができる。

上記a乃至gを総合すると,引用例には,以下に掲げる発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「無線接続機能とウェブ・ブラウザ機能を備えたウェブ・ブラウザとを搭載した外部機器と,
前記無線接続機能と前記ウェブ・ブラウザ機能を備えたウェブ・ブラウザ・アプリケーションと,プロセッサおよび/または他の要素によって使用されるデータを格納するメモリとを搭載した携帯電話とを有する携帯電話制御システムにおいて,
前記外部機器は,前記無線通信機能を経由して前記携帯電話にアクセスし,前記携帯電話の前記ウェブ・ブラウザ・アプリケーションが動作しており,前記携帯電話のウェブ・ブラウザに表示された前記携帯電話上の様々なリソースが設定し得るようにするための情報を前記外部機器のウェブ・ブラウザを用いて設定し,前記ウェブ・ブラウザに前記携帯電話上の様々なリソースを選択し得るようにするための情報を表示させることを特徴とする携帯電話制御システム。」

ウ 公知例と公知技術
原査定の拒絶理由に引用された特開2006-101341号公報(以下「公知例」という。)には,その発明の名称を「通信システムおよび無線通信装置」として図面とともに以下の事項が記載されている。

a 「【0001】本発明は,PC等の外部機器から無線通信端末のブラウザ用のネットワークへアクセスするために使用する通信システム,無線通信装置に関する。」
b 「【0016】(略)特に,無線通信装置1に内蔵する無線通信装置用ブラウザ・ソフト(閲覧手段:以下,専用ブラウザと記す)により,外部I/F6を介した外部機器10から,無線通信事業者が運営する無線通信装置ブラウザ用の専用ネットワーク上のWebサーバ(携帯専用サイト)へのアクセスを制御する(リモートブラウザモード)。」
c 「【0024】(略)この形態では,外部I/F6は,RS232C(Recommended Standard 232 version C)やUSB(Universal Serial Bus)等の有線のシリアル通信や,近距離無線通信や赤外線通信を利用し,外部機器10と接続する。」
d 「【0029】上記構成をもつ無線通信装置1と外部機器10が接続され,外部機器10側から専用ブラウザの起動指示がなされると,これに従い無線通信装置1に内蔵されているブラウザが起動する(無線通信装置1が外部機器10に接続された時点で,専用ブラウザを起動するようにしてもよい)。このブラウザが起動した状態では,制御部5は,外部機器10から,操作部14を用いたユーザの入力操作に係る情報(ユーザにより操作されたキーボードのキーの押下状態を示す情報や,マウスの状態を示す情報:上記操作内容)を受け,これに応じた専用サーバへのアクセス制御を行う。」
e 「【0052】例えば,無線通信装置は携帯電話通信網に接続する装置であれば,携帯電話機でも,データ通信デバイスでも,外部機器に内蔵して用いる通信モジュールでも構わない。」

上記a乃至eを総合すると,公知例には,以下に掲げる技術(以下「公知技術」という。)が記載されていると認める。

「外部機器から携帯電話機に無線通信接続して前記携帯電話機のブラウザを起動すること。」

エ 引用発明と補正後の発明との対比・判断
(ア) 対比
上記引用発明と補正後の発明とをこの分野における技術常識を考慮して対比する。

a 引用発明の「外部機器」,「携帯電話」及び「携帯電話制御システム」は,それぞれ補正後の発明の「外部機器」,「携帯電話機」及び「携帯電話制御システム」に相当する。

b 引用発明の「無線接続機能」,「ウェブ・ブラウザ機能」及び「ウェブ・ブラウザ・アプリケーション」は,それぞれ補正後の発明の「無線通信機能」,「WEBブラウザ機能」及び「WEBブラウザプログラム」に相当する。

c 引用発明の「プロセッサおよび/または他の要素によって使用されるデータ」は,補正後の発明の「各種データ」ということができるから,引用発明の「メモリ」は補正後の発明の「記憶部」に相当する。

d 前記a乃至cより,引用発明の「前記外部機器は前記無線接続機能を経由して前記携帯電話にアクセスし」は,補正後の発明の「前記外部機器は前記無線通信機能を経由して前記携帯電話機にアクセスし」に相当する。

e 引用発明の「前記携帯電話の前記ウェブ・ブラウザ・アプリケーションが動作しており」と補正後の発明の「前記携帯電話機の前記WEBブラウザプログラムを起動させて」とは,下記の相違点1を除き「前記携帯電話機の前記WEBブラウザプログラムが起動されており」の点で一致する。

f 引用発明の「前記携帯電話のウェブブラウザ」は,補正後の発明の「前記携帯電話機のブラウザ画面」に相当する。
そして,引用発明の「前記携帯電話上の様々なリソースが設定し得るようにするための情報」は,補正後の発明の「情報」に含まれる。

g 本願明細書(段落【0008】の第1及び第2の実施形態)を参照すると,情報の「制御」とは,情報を閲覧,設定,編集又は削除することを含むことから,引用発明の「設定」は,補正後の発明の「制御」に含まれる。そうすると,引用発明の「前記外部機器のウェブ・ブラウザを用いて設定する」ことは,補正後の発明の「前記外部機器の前記WEBブラウザを用いて制御」することに相当する。

h 引用発明の「前記ウェブ・ブラウザに前記携帯電話上の様々なリソースを選択し得るようにするための情報を表示させること」と補正後の発明の「前記ブラウザ画面に表示された情報のメニューを選択表示させること」とは,下記の相違点2を除き,「前記ブラウザ画面に表示された情報を選択できるように表示すること」で一致する。

そうすると,引用発明と補正後の発明は,以下の点で一致し,また,相違する。

(一致点)
「無線通信機能とWEBブラウザ機能を備えたWEBブラウザとを搭載した外部機器と,
前記無線通信機能と前記WEBブラウザ機能を備えたWEBブラウザプログラムと各種データを格納している記憶部とを搭載した携帯電話機とを有し,
前記外部機器は前記無線通信機能を経由して前記携帯電話機にアクセスし,前記WEBブラウザプログラムは起動されており,前記携帯電話機のブラウザ画面に表示された情報を前記外部機器の前記WEBブラウザを用いて制御し,前記ブラウザ画面に表示された情報を選択できるように表示させることを特徴とする携帯電話制御システム。」

(相違点1)
一致点の「WEBブラウザプログラム」の「起動」に関して,「起動させる」主体が,補正後の発明では「外部機器」であるのに対し,引用発明では特定されていない点。

(相違点2)
一致点の「情報を選択できるように表示させること」について,補正後の発明では,「情報のメニューを選択表示」させるのに対し,引用発明ではそのような特定がなされていない点。

(イ) 相違点1,2についての検討
「外部機器から携帯電話機に無線通信接続して前記携帯電話機のブラウザを起動すること。」(前記「ウ 公知例と公知技術」の項参照。)が公知技術として知られているから,引用発明において,外部機器が携帯電話にアクセスして,携帯電話のウェブ・ブラウザ・アプリケーションを起動させることは,当業者が容易になし得たことである。(相違点1)
その際,起動されたウェブ・ブラウザに,「携帯電話上の様々なリソースを選択し得るようにするための情報を表示させる」態様として,周知の「メニューの選択表示」を採用することは,当業者が必要に応じて適宜になし得た事項に過ぎない。(相違点2)

そして,補正後の発明が奏する作用効果も,引用発明及び公知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

(ウ) 小括
以上のとおり,補正後の発明は,引用発明と公知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 むすび
したがって,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本願発明は,上記「第2 補正却下の決定」の項の「1 本願発明と補正後の発明」の項で「本願発明」として認定したとおりである。

2 引用発明
また,引用発明は,上記「第2 補正却下の決定」の項の「2 補正の適否」の項の「(2)独立特許要件」の項の「イ 引用例と引用発明」の項で「引用発明」として認定したとおりである。

3 引用発明と本願発明との対比・判断
そこで,引用発明と本願発明とを対比するに,本願発明は,補正後の発明から,本件補正に係る限定を省いたものである。
そうすると,本願発明の構成に前記限定を付加した補正後の発明が,「第2 補正却下の決定」の項の「2 補正の適否」の項の「(2)独立特許要件」の項で検討したとおり,引用発明及び公知技術に基いて容易に発明することができたものであるから,補正後の発明から前記限定を省いた本願発明も,同様の理由により,当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明及び公知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
本願は,その余の請求項に論及するまでもなく拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-11-12 
結審通知日 2015-11-17 
審決日 2015-12-01 
出願番号 特願2011-506017(P2011-506017)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04M)
P 1 8・ 121- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉村 伊佐雄  
特許庁審判長 大塚 良平
特許庁審判官 山本 章裕
中野 浩昌
発明の名称 通信端末制御システム  
代理人 丸山 隆夫  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ