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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C10L
管理番号 1313501
審判番号 不服2014-19663  
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-01 
確定日 2016-04-06 
事件の表示 特願2008-288305号「メタンガス濃縮装置および方法ならびに燃料ガスの製造装置および方法」拒絶査定不服審判事件〔平成21年10月22日出願公開、特開2009-242773号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯
この出願は、特許法第41条に基づく優先権主張を伴う平成20年11月11日(優先権主張:平成20年3月14日、出願番号特願2008-65636号)の出願であって、平成25年8月27日付けの拒絶理由を通知したところ、同年10月30日に意見書及び手続補正書が提出され、平成26年6月20日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年10月1日に審判請求がなされるとともに手続補正書が提出され、その後、平成27年9月28日付けの当審による拒絶理由を通知したところ、同年11月26日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

II.本願発明
本願請求項4に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成27年11月26日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項4に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項4】
メタンガスと熱量調節用の高熱量ガスとを含む燃料ガスの製造装置であって、
有機物を分解して得られたバイオガスに対して高熱量ガスを添加してバイオガスと高熱量ガスとの混合ガスとする高熱量ガス添加手段と、
上記混合ガスから二酸化炭素を優先的に透過させる分離膜によりメタンガスおよび高熱量ガスを濃縮する第1濃縮装置と、
上記第1濃縮装置の透過ガスからさらに二酸化炭素を優先的に透過させる分離膜によりメタンガスおよび高熱量ガスを回収する回収装置とを備え、
上記添加手段は、第1濃縮装置に導入するガスを昇圧する昇圧手段の上流において昇圧前の低圧なバイオガスに対して高熱量ガスを添加して高熱量ガスの液化を防ぐとともに、
上記バイオガス中のメタンガス濃度に応じ、バイオガスおよび高熱量ガスの導入を開閉するように構成されている
ことを特徴とする燃料ガスの製造装置。」

III.当審による拒絶理由の概要
平成27年9月28日付けの当審による拒絶理由は、「本件出願の請求項4ないし6に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された特開2007-254572号公報記載の発明および従前の周知技術に基いて当業者であれば容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」旨を理由の一つにするものである。

IV.特開2007-254572号公報に記載の事項
当審による拒絶理由において引用された特開2007-254572号公報(以下、「引用例」という。)には、以下の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素及びメタンを含む混合ガスから高濃度のメタンを回収するシステムと、その運用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
廃棄物からエネルギーを回収する方法の一環として、下水汚泥、畜糞、生ゴミなどの嫌気性消化により発生する消化ガスを原料として、メタンガスを取り出す技術が開発されている。嫌気性消化ガスは主としてメタンと二酸化炭素との混合ガスであり、その含有比率はほぼ6:4である。このためメタンとともに二酸化炭素も分離回収することができれば、大気中の二酸化炭素を削減する効果も期待できる。
【0003】
消化ガス中からメタンと二酸化炭素とを分離回収する方法としては、化学吸収法、物理吸収法、SPA法、ガス分離法などが提案されているが、これらの分離操作のうち、ガス分離膜を使用した分離法が、他の分離法に比較してシステムを簡単に構成できること、装置が比較的小規模で実現可能であるという点において有利である。
【0004】
ガス分離膜を使用して混合ガスからメタンを濃縮して取り出す技術に関しては、既に多くの特許出願がなされており、その代表的なシステムが特許文献1に開示されている。このシステムの要部は図1に示すように、二酸化炭素の分離膜を2段に接続し、1段目の分離膜1で混合ガス中の二酸化炭素を透過させて非透過側から濃縮されたメタンガスを取り出し、透過した二酸化炭素濃度の高いガスを2段目の分離膜2に送ってその透過側から更に二酸化炭素を濃縮して取り出すとともに、非透過側ガスを1段目の分離膜1の入口に返送するように構成したものである。
【0005】
しかしこのシステムは、コンプレッサ3で加圧した混合ガスを1段目の分離膜1に供給して高濃度メタンを回収し、分離膜1の透過ガスを2段目の分離膜2に供給するため、1段目の分離膜1で圧力の低下した透過ガスをコンプレッサ4で再昇圧したうえで2段目の分離膜2に供給するか、2段目の分離膜2の透過側を真空ポンプ5で減圧するなどの追加的な圧力操作が必要となる。このため省エネルギー的なシステムとは言い難いうえ、高濃度メタンと高濃度二酸化炭素を同時に回収するためには大きな膜面積(1段目と2段目の合計膜面積)を要するという問題があった。
【特許文献1】特開2001‐949号公報」

(イ)「【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、二酸化炭素及びメタンを含む混合ガスから二酸化炭素を分離してメタンを濃縮するシステムであって、二酸化炭素の透過膜を複数段組み合せて前段の透過膜の非透過ガスを後段の透過膜の入口に導くことを特徴とするものである。なお、透過膜2段で構成されるシステムにおいては、後段における入口ガス流量に対する膜面積を大きくすることが好ましい。更に、2段目以降の透過膜の透過ガスを、当該透過膜より前段の透過膜の上流側に還流させるラインを備えた構成とすることが好ましく、二酸化炭素の透過膜がDDR型ゼオライト膜であることが好ましい。
【0008】
また上記したメタン濃縮システムの運用に際しては、二酸化炭素及びメタンを含む混合ガスとして、下水汚泥、畜糞、生ゴミのいずれかから発生するバイオガスを使用することができる。また、濃縮されたメタンガスを燃料または原料として使用することができ、分離された二酸化炭素を液化炭酸ガスまたは中和処理剤として使用することができる。」

(ウ)「【図1】





V.引用例に記載の発明
(エ)上記(ア)(イ)からして、引用例の「本発明」は、濃縮されたメタンガスを燃料または原料として使用するものであると共に、引用例の「背景技術」を前提にするものであるといえることからして、引用例の「背景技術」についても、引用例の「本発明」と同じく、濃縮されたメタンガスを燃料または原料として使用するものであるということができるので、引用例(背景技術)には、「濃縮されたメタンガスを燃料として使用する」、つまり、「濃縮されたメタンガス(燃料)を製造する」ことが記載されているということができる。

(オ)上記(ア)(ウ)からして、引用例(背景技術)には、「分離膜1に導入するガスを加圧するコンプレッサ3の上流において加圧前の低圧な消化ガスに対して分離膜2の非透過ガスを添加して消化ガスと分離膜2の非透過ガスとの混合ガスにする添加手段」が記載されているということができる。

上記記載事項(ア)ないし(ウ)、及び、検討事項(エ)(オ)からして、引用例(背景技術)には、
「濃縮されたメタンガス(燃料)を製造するシステムであって、
下水汚泥、畜糞、生ゴミなどの嫌気性消化により発生し、主として二酸化炭素及びメタンガスを含む消化ガスに対して分離膜2の非透過ガスを添加して消化ガスと分離膜2の非透過ガスとの混合ガスとする添加手段と、
混合ガス中の二酸化炭素を透過させて二酸化炭素濃度の高い透過ガスを取り出すと共に、メタンガスが濃縮された非透過ガスを取り出す分離膜1と、
二酸化炭素濃度の高い透過ガス中の二酸化炭素を透過させて更に二酸化炭素が濃縮された透過ガスを取り出すと共に、非透過ガスを取り出す分離膜2とを備え、
添加手段は、分離膜1に導入するガスを加圧するコンプレッサ3の上流において加圧前の低圧な消化ガスに対して分離膜2の非透過ガスを添加する、濃縮されたメタンガス(燃料)を製造するシステム。」(以下、「引用例記載の発明」という。)が記載されているものと認める。

VI.対比・判断
本願発明と引用例記載の発明とを対比する。
○引用例記載の発明の「濃縮されたメタンガス(燃料)」、「製造するシステム」、「下水汚泥、畜糞、生ゴミなどの嫌気性消化により発生し、主として二酸化炭素及びメタンガスを含む消化ガス」、「分離膜1」、「分離膜2」、「加圧」及び「コンプレッサ3」は、本願発明の「燃料ガス」、「製造装置」、「有機物を分解して得られたバイオガス」、「第1濃縮装置」、「回収装置」、「昇圧」及び「昇圧手段」それぞれに相当する。

○引用例記載の発明の「分離膜2の非透過ガス」と、本願発明の「熱量調節用の高熱量ガス」及び「高熱量ガス」とは、「添加ガス」という点で一致する。

○引用例記載の発明の「添加手段」と、本願発明の「高熱量ガス添加手段」とは、「添加手段」という点で一致する。

○引用例記載の発明の「濃縮されたメタンガス(燃料)を製造するシステム」と、本願発明の「メタンガスと熱量調節用の高熱量ガスとを含む燃料ガスの製造装置」とは、「メタンガスを含む燃料ガスの製造装置」という点で一致する。

○引用例記載の発明の「混合ガス中の二酸化炭素を透過させて二酸化炭素濃度の高い透過ガスを取り出すと共に、メタンガスが濃縮された非透過ガスを取り出す分離膜1」と、本願発明の「混合ガスから二酸化炭素を優先的に透過させる分離膜によりメタンガスおよび高熱量ガスを濃縮する第1濃縮装置」とは、「混合ガスから二酸化炭素を優先的に透過させる分離膜によりメタンガスを濃縮する第1濃縮装置」という点で一致する。

○引用例記載の発明の「二酸化炭素濃度の高い透過ガス中の二酸化炭素を透過させて更に二酸化炭素が濃縮された透過ガスを取り出すと共に、非透過ガスを取り出す分離膜2」と、本願発明の「第1濃縮装置の透過ガスからさらに二酸化炭素を優先的に透過させる分離膜によりメタンガスおよび高熱量ガスを回収する回収装置」とは、「第1濃縮装置の透過ガスからさらに二酸化炭素を優先的に透過させる分離膜によりメタンガスを回収する回収装置」という点で一致する。

○引用例記載の発明の「添加手段は、分離膜1に導入するガスを加圧するコンプレッサ3の上流において加圧前の低圧な消化ガスに対して分離膜2の非透過ガスを添加する」と、本願発明の「添加手段は、第1濃縮装置に導入するガスを昇圧する昇圧手段の上流において昇圧前の低圧なバイオガスに対して高熱量ガスを添加して高熱量ガスの液化を防ぐとともに、
バイオガス中のメタンガス濃度に応じ、バイオガスおよび高熱量ガスの導入を開閉するように構成されている」とは、「添加手段は、第1濃縮装置に導入するガスを昇圧する昇圧手段の上流において昇圧前の低圧なバイオガスに対して添加ガスを添加」するという点で一致する。

上記より、本願発明と引用例記載の発明とは、
「メタンガスを含む燃料ガスの製造装置であって、有機物を分解して得られたバイオガスに対して添加ガスを添加してバイオガスと添加ガスとの混合ガスとする添加手段と、混合ガスから二酸化炭素を優先的に透過させる分離膜によりメタンガスを濃縮する第1濃縮装置と、第1濃縮装置の透過ガスからさらに二酸化炭素を優先的に透過させる分離膜によりメタンガスを回収する回収装置とを備え、添加手段は、第1濃縮装置に導入するガスを昇圧する昇圧手段の上流において昇圧前の低圧なバイオガスに対して添加ガスを添加する、燃料ガスの製造装置。」という点で一致し、以下の点で相違している。
<相違点>
本願発明では、『メタンガス「と熱量調節用の高熱量ガスと」を含む燃料ガスの製造装置であって、
有機物を分解して得られたバイオガスに対して「高熱量ガス」を添加してバイオガスと「高熱量ガス」との混合ガスとする「高熱量ガス」添加手段と、
混合ガスから二酸化炭素を優先的に透過させる分離膜によりメタンガス「および高熱量ガス」を濃縮する第1濃縮装置と、
第1濃縮装置の透過ガスからさらに二酸化炭素を優先的に透過させる分離膜によりメタンガス「および高熱量ガス」を回収する回収装置とを備え、
添加手段は、第1濃縮装置に導入するガスを昇圧する昇圧手段の上流において昇圧前の低圧なバイオガスに対して「高熱量ガス」を添加「して高熱量ガスの液化を防ぐとともに、
バイオガス中のメタンガス濃度に応じ、バイオガスおよび高熱量ガスの導入を開閉するように構成されている」』のに対して、
引用例記載の発明では、『濃縮されたメタンガス(燃料)を製造するシステムであって、
下水汚泥、畜糞、生ゴミなどの嫌気性消化により発生し、主として二酸化炭素及びメタンガスを含む消化ガスに対して分離膜2の非透過ガスを添加して消化ガスと分離膜2の非透過ガスとの混合ガスとする添加手段と、
混合ガス中の二酸化炭素を透過させて二酸化炭素濃度の高い透過ガスを取り出すと共に、メタンガスが濃縮された非透過ガスを取り出す分離膜1と、
二酸化炭素濃度の高い透過ガス中の二酸化炭素を透過させて更に二酸化炭素が濃縮された透過ガスを取り出すと共に、非透過ガスを取り出す分離膜2とを備え、
添加手段は、分離膜1に導入するガスを加圧するコンプレッサ3の上流において加圧前の低圧な消化ガスに対して分離膜2の非透過ガスを添加する』、つまり、
『メタンガスを含む燃料ガスの製造装置であって、
有機物を分解して得られたバイオガスに対して「分離膜2の非透過ガス」を添加してバイオガスと「分離膜2の非透過ガス」との混合ガスとする添加手段と、
混合ガスから二酸化炭素を優先的に透過させる分離膜によりメタンガスを濃縮する第1濃縮装置と、
第1濃縮装置の透過ガスからさらに二酸化炭素を優先的に透過させる分離膜によりメタンガスを回収する回収装置とを備え、
添加手段は、第1濃縮装置に導入するガスを昇圧する昇圧手段の上流において昇圧前の低圧なバイオガスに対して「分離膜2の非透過ガス」を添加する』点。(当審注:相違箇所は、「 」内の事項である。)

以下、<相違点>について検討する。
(a)一般に、メタンガスを含む燃料ガスの製造装置において、燃料ガスの熱量を高めるために、熱量調節用の高熱量ガスをメタンガスに添加して、メタンガスと熱量調節用の高熱量ガスとを含む燃料ガスを製造することは、従前の周知技術(例えば、当審による拒絶理由において周知文献として引用した特開2003-89798号公報の【0023】等、同特開2002-226878号公報の【0009】ないし【0012】【図1】等、同特開2004-300206号公報の【0029】等、特開2001-55952号公報の【請求項4】等、参照)(以下、「周知技術1」という。)であり、一方、引用例記載の発明は、濃縮されたメタンガス(燃料)を製造するシステム、つまり、メタンガスを含む燃料ガスの製造装置であって、引用例記載の発明と従前の周知技術1とは、メタンガスを含む燃料ガスの製造装置という点で軌を一にしている。
ここで、引用例記載の発明について、メタンガスを含む燃料ガスは、有機物を分解して得られたバイオガスを出発物にするものであり、このバイオガスの発生量が微生物の活性度等に応じて変動し、熱量が不足する場合が生じ得ることは、当業者であれば当然に予測できることであり、熱量が不足して燃料ガスの熱量を高める必要が生じたとき、上記の点で軌を一にする従前の周知技術1を適用することで、燃料ガスの熱量を高めるために、熱量調節用の高熱量ガス(添加ガス)をメタンガスに添加して、メタンガスと熱量調節用の高熱量ガスとを含む燃料ガスを製造することは、当業者であれば容易に想起し得ることである。

(b)一般に、ガスを昇圧する昇圧手段(ガスブースター)の上流において昇圧前の低圧なバイオガスに対して熱量調節用の高熱量ガス(LPG)(添加ガス)を添加してバイオガスと高熱量ガスとの混合ガスにすると共に、バイオガスの流路と高熱量ガスの流路のそれぞれに弁を設けることは、従前の周知技術(例えば、上記特開2002-226878号公報の【0009】ないし【0012】【図1】等、参照)(以下、「周知技術2」という。)であり、一方、引用例記載の発明は、ガスを加圧するコンプレッサ3(昇圧手段)の上流において加圧前の低圧な消化ガス(バイオガス)に対して分離膜2の非透過ガス(添加ガス)を添加して消化ガスと分離膜2の非透過ガスとの混合ガスにするものであって、引用例記載の発明と従前の周知技術2とは、ガスを昇圧する昇圧手段の上流において昇圧前の低圧なバイオガスに対して添加ガスを添加してバイオガスと添加ガスとの混合ガスにするという点で軌を一にしている。
ここで、上記(a)で示したように、引用例記載の発明について、熱量調節用の高熱量ガス(添加ガス)を添加するとき、上記の点で軌を一にする従前の周知技術2を適用することで、ガスを昇圧する昇圧手段(コンプレッサ3)の上流において昇圧前の低圧なバイオガスに対して熱量調節用の高熱量ガス(添加ガス)を添加してバイオガスと高熱量ガスとの混合ガス(分離膜2の非透過ガスを含む混合ガス)にすると共に、バイオガスの流路と高熱量ガスの流路のそれぞれに弁を設けることは、当業者であれば容易に想起し得ることである。

(c)上記(b)で示したように、引用例記載の発明について、ガスを昇圧する昇圧手段(コンプレッサ3)の上流において昇圧前の低圧なバイオガスに対して熱量調節用の高熱量ガス(添加ガス)を添加してバイオガスと高熱量ガスとの混合ガスにすると共に、バイオガスの流路と高熱量ガスの流路のそれぞれに弁を設けるとき、
・添加手段は、高熱量ガス(分離膜2の非透過ガスの添加を含む)添加手段となり、
・高熱量ガスは、昇圧前の(低圧の)バイオガスに添加されることからして、液化が妨げられた状態で添加されるものとなり、
・バイオガスの流路と高熱量ガスの流路のそれぞれに設けられた弁は、バイオガスおよび高熱量ガスの流量を調整する(例えば、バイオガス中のメタンガス濃度に応じ、バイオガスおよび高熱量ガスの導入を開閉する)ものとなり、
・第1濃縮装置(分離膜1)においてメタンガスおよび高熱量ガスが濃縮されることとなり、
・回収装置(分離膜2)においてメタンガスおよび高熱量ガスが回収されることとなるのは、
当然の帰着であるというべきである。

(d)上記(a)ないし(c)からして、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項を構成することは、引用例記載の発明及び従前の周知技術1、2に基いて当業者であれば容易になし得ることである。

そして、本願発明の「高熱量ガスの液化を防ぐ」等の作用効果は、引用例記載の発明及び従前の周知技術1、2に基いて当業者であれば十分に予測し得るものである。
したがって、本願発明は、引用例記載の発明及び従前の周知技術1、2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

VII.むすび
上記のとおり、本願発明は、引用例記載の発明及び従前の周知技術1、2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-01-28 
結審通知日 2016-02-02 
審決日 2016-02-15 
出願番号 特願2008-288305(P2008-288305)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (C10L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 安藤 達也  
特許庁審判長 冨士 良宏
特許庁審判官 橋本 栄和
豊永 茂弘
発明の名称 メタンガス濃縮装置および方法ならびに燃料ガスの製造装置および方法  
代理人 森本 直之  

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