• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1313503
審判番号 不服2014-23395  
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-11-17 
確定日 2016-04-06 
事件の表示 特願2011-545534「電子/正孔励起阻止層を用いた有機太陽電池の開路電圧の向上」拒絶査定不服審判事件〔平成22年10月21日国際公開、WO2010/120393、平成24年 7月 5日国内公表、特表2012-515438〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯
本願は、2010年1月12日(パリ条約による優先権主張 2009年1月12日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成25年10月23日付けで拒絶理由が通知され、平成26年4月30日付けで意見書が提出されるとともに同日付けで手続補正がなされ、同年7月10日付けで拒絶査定がなされ、本件は、これに対して同年11月17日に審判請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。


第2 平成26年11月17日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成26年11月17日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 平成26年11月17日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により、本件補正前の平成26年4月30日付け手続補正の特許請求の範囲の請求項22である
「【請求項22】
暗電流を抑制することによる感光性光電子デバイスの電力変換効率を増加させる方法であって、デバイスに以下を組み込むことを含む:
第一電極および光活性領域の間の少なくとも一の電子阻止層;この際、前記少なくとも一の電子阻止層は、
前記光活性領域内のドナー物質に隣接し、
前記ドナー物質の最低非占有分子軌道(LUMO)エネルギーレベルよりも少なくとも0.2eV高いLUMOエネルギーレベルを有し、
20Å?500Åの範囲の厚みを有し、
有機半導体、無機半導体、高分子、金属酸化物、またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも一の物質を含む、方法。」が、
「【請求項18】
暗電流を抑制することによる感光性光電子デバイスの電力変換効率を増加させる方法であって、デバイスに以下を組み込むことを含む:
第一電極および光活性領域の間の少なくとも一の電子阻止層;この際、前記少なくとも一の電子阻止層は、
前記光活性領域内のドナー物質に隣接し、
前記ドナー物質の最低非占有分子軌道(LUMO)エネルギーレベルよりも少なくとも0.2eV高いLUMOエネルギーレベルを有し、
20Å?500Åの範囲の厚みを有し、
有機半導体、無機半導体、またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも一の物質を含み、
前記有機半導体は、トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(III)(Alq_(3))、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-(1,1’-ビフェニル)-4’-ジアミン(TPD)、4,4’-ビス[N-(ナフチル)-N-フェニル-アミノ]ビフェニル(NPD)、サブフタロシアニン(SubPc)、ペンタセン、スクアレイン、銅フタロシアニン(CuPc)、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)、クロロアンモニウムフタロシアニン(ClAlPc)、トリス(2-フェニルピリジン)(Ir(ppy)_(3))から選択される少なくとも一であり、
前記無機半導体は、Si、II-VI、およびIII-Vの少なくとも一である、
を含む、方法。」
と補正された(下線は請求人が付与したものである。)。

2 本件補正の目的
本件補正により、補正前の請求項22において、「電子阻止層」が含む「物質」の選択肢から「高分子、金属酸化物」を削除することによって「電子阻止層は、」「有機半導体、無機半導体、高分子、金属酸化物、またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも一の物質を含む」ことを「電子阻止層は、」「有機半導体、無機半導体、またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも一の物質を含」むことと限定し、さらに、「電子阻止層」が含む「物質」の選択肢のうちの「有機半導体、無機半導体」について、「前記有機半導体は、トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(III)(Alq_(3))、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-(1,1’-ビフェニル)-4’-ジアミン(TPD)、4,4’-ビス[N-(ナフチル)-N-フェニル-アミノ]ビフェニル(NPD)、サブフタロシアニン(SubPc)、ペンタセン、スクアレイン、銅フタロシアニン(CuPc)、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)、クロロアンモニウムフタロシアニン(ClAlPc)、トリス(2-フェニルピリジン)(Ir(ppy)_(3))から選択される少なくとも一であり、前記無機半導体は、Si、II-VI、およびIII-Vの少なくとも一である」と限定するものである。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものを含むものである。

3 独立特許要件
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項18に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)を新規性(特許法第29条第1項第3号)について以下に検討する。

(1)本願補正発明の認定
本願補正発明は、上記1において、本件補正後の請求項18として記載したとおりのものと認める。

(2)刊行物の記載事項及び引用発明の認定
本願の優先日前に頒布された文献である、国際公開第2007/55931号(以下「引用文献1」という。)には、以下の記載がある(訳文は、ファミリーである特表2009-515339号の記載を摘記した。また、下線は当審にて付与した。)。

ア 「[0003] The present invention generally relates to organic photosensitive optoelectronic devices. More specifically, it is directed to organic photosensitive optoelectronic devices including an ultra-thin low mobility active layer that is responsive to near infrared.」
【0003】
本発明は概して有機感光性オプトエレクトロニクス装置に関する。より詳細には、近赤外に応答する超薄低移動性活性層を含む有機感光性オプトエレクトロニクス装置に関する。

イ 「[0019] A photosensitive device comprises a series of organic photoactive layers disposed between a first electrode and a second electrode. Each layer in the series is in direct contact with a next layer in the series. The series of organic photoactive layers is arranged to form at least one donor-acceptor heterojunction. The series of organic photoactive layers includes a first organic photoactive layer comprising a first host material serving as a donor, a second organic photoactive layer comprising a second host material disposed between the first organic photoactive layer and a third organic photoactive layer, and the third organic photoactive layer comprising a third host material serving as an acceptor. The first host material, the second host material, and the third host material are different. The second organic photoactive layer serves as an acceptor relative to the first organic photoactive layer or as a donor relative to the third photoactive layer. A distance from any point within the second host material of the second organic photoactive layer to a boundary of that layer is not more than one exciton diffusion length over a majority of the area of the second organic photoactive layer. Preferably, the distance from any point within the second host material of the second organic photoactive layer to a boundary of that layer is not more than one exciton diffusion length over an entirety of the area of the second organic photoactive layer.

[0020] The second organic photoactive layer may be a unitary layer having openings there through, the first organic photoactive layer being in direct contact with the third organic photoactive layer through said openings, or the second organic photoactive layer may a discontinuous layer having a plurality of islands comprising the second host material, the first organic photoactive layer being in direct contact with the third organic photoactive layer in- between the islands.

[0021] The second host material is preferably a small molecule. The first host material and said third host material are also preferably small molecules. The small molecule second host material preferably has an absorption coefficient of at least 5 x 10^( 4) cm ^(-1) across a wavelength band from 600 nm to 900 nm.

[0022] Each of the first organic photoactive layer, the second organic photoactive layer, and the third organic photoactive layer may have a different absorption spectra.

[0023] The second organic photoactive layer may serve as a donor, with the first host material and the second host material having different absorption spectra. Serving as a donor, the HOMO of the second host material is preferably no more than 0.16 eV above a HOMO of the first host material, and the band gap of the second host material is preferably less than a band gap of the first host material. If serving as a donor, the second host material may have a hole mobility of less than 1 x 10^(-9) cm^(2) /Vs and an absorption coefficient of at least 5 x 10^(4) cm^(-1) across a wavelength band from 600 nm to 900 nm. Examples of the second host material to serve as a donor include tin (II) phthalocyanine (SnPc) and lead phthalocyanine (PbPc). An example of a third host material for the third host material to serve as an acceptor with the SnPc or PbPc donor is C_(60).」
【0019】
感光性装置は第1電極と第2電極との間に配置される一連の有機光活性層を備える。一つの配列中の各々の層は配列中の隣の層と直接接触している。有機光活性層の配列は、少なくとも一つのドナー・アクセプターへテロ接合を形成するように配置される。有機光活性層の配列は、ドナーとしてはたらく第1ホスト材料を含む第1有機光活性層、前記第1有機光活性層と第3有機光活性層との間に配置された第2ホスト材料を含む第2有機光活性層、及びアクセプターとしてはたらく第3ホスト材料を含む第3有機光活性層を含む。第1ホスト材料、第2ホスト材料、及び第3ホスト材料は異なる。第2有機光活性層は第1有機光活性層に対してアクセプターとして働き、第3光活性層に対してドナーとして働く。第2有機光活性層の第2ホスト材料内部の任意の点からその層の境界までの距離は、第2有機光活性層の大部分の領域にわたって1励起子拡散長以下である。好ましくは、第2有機光活性層の第2ホスト材料内部の任意の点からその層の境界までの距離は、第2有機光活性層の全領域にわたって1励起子拡散長以下である。
【0020】
第2有機光活性層は、それを通る開口部を有する一体の層であってよく、第1有機光活性層は前記開口部を通じて第3有機光活性層と直接接触し、又は第2有機光活性層は第2ホスト材料を含む複数の島を有する不連続層であり、第1有機光活性層が前記島の間で第3有機光活性層と直接接触させられてよい。
【0021】
第2ホスト材料は好ましくは低分子である。第1ホスト材料及び前記第3ホスト材料も、好ましくは低分子である。低分子第2ホスト材料は、好ましくは600nmから900nmまでの波長帯にわたって吸収係数が少なくとも5×10^(4)cm^(-1)である。
【0022】
第1有機光活性層、第2有機光活性層及び第3有機光活性層の各々は異なる吸収スペクトルを有してよい。
【0023】
第2有機光活性層は、第1ホスト材料と第2ホスト材料とが異なる吸収スペクトルを持つ状態で、ドナーとして働いてよい。ドナーとして働くとき、第2ホスト材料のHOMOは好ましくは第1ホスト材料のHOMOよりも0.16eVを超えずに高く、第2ホスト材料のバンドギャップは好ましくは第1ホスト材料のバンドギャップよりも低い。ドナーとして働く場合、第2ホスト材料は1×10^(-9)cm^(2)/Vs未満の正孔移動度を有して、及び600nmから900nmまでの波長帯にわたって吸収係数が少なくとも5×10^(4)cm^(-1)であってよい。第2ホスト材料がドナーとして働く例は、スズ(II)フタロシアニン(SnPc)及び銅フタロシアニン(PbPc)を含む。SnPc又はPbPcドナーと共にアクセプターとして働く第3ホスト材料に関する第3ホスト材料の例はC_(60)である。

ウ 「[0077] Research into developing a small molecule photosensitive device has yielded a new architecture which, in addition to achieving NIR responsivity, may be used to tune and/or broaden the sensitivity of any donor-acceptor heterojunction. By incorporating a thin sensitizing layer between donor and acceptor, this new architecure enables the construction of photosensitive devices which retain their overall device thickness, but which can produce photocurrent in a part of the spectrum otherwise inaccessible using other materials.

[0078] In addition, a larger array of different materials are available for use as the thin sensitizing layer than would otherwise be viable as either a conventional donor or acceptor layer. For example, a material having low charge carrier mobility can be employed without a loss of device performance. By pairing the thin sensitizing layer with an energetically favorable donor or acceptor layer, the thin sensitizing layer contributes to photocurrent, without impeding carrier transport between the donor and acceptor.」
【0080】
低分子感光性装置を開発するための研究は、NIR応答性を達成することに加えて、任意のドナー・アクセプターへテロ接合の感度を調整及び/又は広げるために使用される可能性がある新たな構造を生んだ。ドナー及びアクセプターの間に増感薄層を組み込むことによって、この新しい構造は感光性装置の構築を可能にし、前記装置は全体にわたる装置厚みを維持するが、他の材料を用いて別の方法では利用することができないスペクトルの一部における光電流の生成が可能である。
【0081】
さらに、別の方法では従来のドナー又はアクセプター層のどちらかとして実施可能であるだろうが、増感薄層としての使用に関して異なる材料のより大きな配列が使用できる。例えば、電荷キャリア移動度が低い材料が、装置性能を損なうことなく用いられてよい。増感薄層をエネルギー的に好ましいドナー又はアクセプター層と対にすることによって、増感薄層はドナーとアクセプターとの間のキャリア輸送を妨げることなく光電流に貢献する。

エ 「[0085] Referring to FIG. 11, the thin sensitizing layer 980 may serve as a donor, having a different host material than donor layer 152. Preferably, the HOMO of the thin sensitizing layer 980 is no more than 5kT above the HOMO of the donor layer 152 (k being the Boltzmann constant and T being the operating temperature), thereby avoiding the trapping of holes at the donor layer (152)-sensitizing layer (980) interface. This difference in HOMO levels is illustrated as ΔE_(1) in FIG. 11.」
【0088】
図11を参照すると、増感薄層980はドナー層152とは異なるホスト材料を有するドナーとして働いてよい。好ましくは、増感薄層980のHOMOは、ドナー層のHOMOより5kTを超えずに高く(kはボルツマン定数であり、Tは操作温度である)、それによってドナー層(152)・増感層(980)界面における正孔のトラッピングを回避する。HOMOレベルのこの差は、図11においてΔE_(1)として説明される。

オ 「[0090] Referring to FIG. 12, the thin sensitizing layer 980 may serve as an acceptor, having a different host material than acceptor layer 154. Preferably, the LUMO of the thin sensitizing layer 980 is no more than 5kT below the LUMO of the acceptor layer 154, thereby avoiding the trapping of electrons at the acceptor layer (154)-sensitizing layer (980) interface. This difference in LUMO levels is illustrated as △E_( 2) in FIG. 12.」
【0093】
図12を参照すると、増感薄層980はアクセプター層154とは異なるホスト材料を有するアクセプターとして働いてよい。好ましくは、増感薄層980のLUMOはアクセプター層154のLUMOより5kTを超えて低いことがなく、それによってアクセプター層(154)・増感層(980)の界面における電子のトラッピングを回避する。LUMO準位におけるこの差は、図12においてΔE_(2)として示される。

カ 「[00101] The photogeneration process in organic materials starts with the absorption of a photon that creates an exciton, or bound electron-hole pair. In efficient organic photovoltaic devices, the exciton is then dissociated at a donor-acceptor interface into free charge carriers, which are subsequently collected at their respective electrodes. Using a tin(II) phthalocyanine (SnPc) layer as the electron donor in double heterostructure organic solar cells, the SnPc layer efficiently converts incident NIR light to photocurrent. Power conversion efficiencies of η_(p) = (1.0 ±0.1)% under 1 sun standard AM1.5G (air mass 1.5 global) solar illumination are possible. The high efficiency results since the fill factor is FF = 0.5 for ultrathin SnPc layers, whereas previously demonstrated devices (X. J. Wang et al., Applied Physics Letters 85, 5081 (2004)) had FF = 0.32. This high FF is achieved through control of SnPc layer thickness such that its low hole mobility does not negatively impact device performance.」
【0104】
有機材料における光生成プロセスは、励起子を生成するフォトンの吸収又は電子・正孔対の結合で開始する。効率的な有機光起電性装置において、その後励起子はドナー・アクセプター界面において自由な電荷キャリアに解離され、前記電荷キャリアはその後各々の電極において収集される。二重ヘテロ構造有機太陽電池において電子ドナーとしてスズ(II)フタロシアニン(SnPc)層を用いると、SnPc層は効率的に入射NIR光を光電流に変換する。1sun標準AM1.5G(air mass 1.5 global)太陽照度の下でη_(p)=(1.0±0.1)%の電力変換効率が可能である。超薄SnPc層に関する曲線因子がFF=0.5であるので高効率が結果として得られるが、以前実施された装置(X.J.Wangら、Applied Physics Letters 85,5081(2004))はFF=0.32であった。この高FFはSnPc層厚みの制御を通じて達成され、その低い正孔移動度は装置性能に悪い影響を与えない。

キ 「[00105] FIG. 18 illustrates the J- V characteristics of a device with the structure ITO/CuPc(100Å)/SnPc(50Å)/C_(60)(540Å)/BCP(75Å)/Ag (here CuPc denotes copper phthalocyanine, and BCP is bathocuproine) in the dark and under various illumination intensities (Po) of AM1.5G standard solar illumination. The donor-acceptor heterojunction is defined at the SnPc/C _(60) interface and BCP serves as an exciton blocking layer. Fitting the dark current to classical p-n junction diode theory (see J. Xue et al., Applied Physics Letters 84, 3013-3015 (2004)) yields a series resistance of Rs = 0.17Ωcm^(2) and an ideality factor of n = 1.96 ±0.05. An energy level scheme is shown in the inset to FIG. 18, where the highest occupied molecular orbital energy levels are measured by ultraviolet photoelectron spectroscopy. The lowest unoccupied molecular orbital energies are estimated using the optical energy gap of each material.」
【0108】
図18は、暗所において、及びAM1.5G標準太陽照度の様々な照明強度(P_(0))の下で、ITO/CuPc(100Å)/SnPc(50Å)/C_(60)(540Å)/BCP(75Å)/Ag構造(ここでCuPcは銅フタロシアニンを、及びBCPはバトクプロインを表す)を有する装置のJ-V特性を説明する。ドナー・アクセプターへテロ接合は、SnPc/C_(60)界面において画定され、BCPは励起子阻止層として働く。暗所電流を古典的p-n接合ダイオード理論にフィッティングすることで(J.Xueら、Applied Physics Letters 84,3013-3015(2004)を参照されたい)、直列抵抗Rs=0.17Ωcm^(2)及び理想的因子(ideality factor)n=1.96±0.05をもたらす。エネルギー準位の概略図は図18の挿入図に示され、最高被占分子軌道エネルギー準位は紫外線光電子分光計によって測定される。最低空分子軌道エネルギーは各々の材料の光学的エネルギーギャップを用いて評価される。

ク 図11


ケ 図12


コ 図18

上記キの記載も参酌すると、上記コの図18から、CuPcの最低空分子軌道エネルギーは3.6eVであって、SnPcの最低空分子軌道エネルギーは4.0eVであることが看取できる。

サ 上記キの「ITO/CuPc(100Å)/SnPc(50Å)/C_(60)(540Å)/BCP(75Å)/Ag構造(ここでCuPcは銅フタロシアニンを、及びBCPはバトクプロインを表す)を有する」「装置」が、上記カの「有機光起電性装置」であることは明らかである。

シ 上記キの「ITO/CuPc(100Å)/SnPc(50Å)/C_(60)(540Å)/BCP(75Å)/Ag構造(ここでCuPcは銅フタロシアニンを、及びBCPはバトクプロインを表す)を有する装置」において、上記イ、エないしカ、クないしコの記載を参酌すると、「CuPc(100Å)」はドナーとして働き、「C_(60)(540Å)」はアクセプターとして働き、「SnPc(50Å)」は「C_(60)(540Å)」に対してドナーとして働き、「CuPc(100Å)」に対してアクセプターとして働くことは、明らかである。

ス ドナー及びアクセプターの間に増感薄層を組み込むことによって光電流が増える(上記ウ)。増感薄層には、ドナーとして働くもの(上記エ、ク)、アクセプターとして働くもの(上記オ、ケ)の2種類がある(上記ウ)。また、上記カより、電子ドナーとしてSnPcを用いると、高効率の電力変換効率が得られる。
そして、上記キの「ITO/CuPc(100Å)/SnPc(50Å)/C_(60)(540Å)/BCP(75Å)/Ag構造(ここでCuPcは銅フタロシアニンを、及びBCPはバトクプロインを表す)を有する装置」においても「SnPc(50Å)」を有するものであり、「SnPc(50Å)」は、上記シより、ドナーとして働く増感薄層である。
すると、上記キの「ITO/CuPc(100Å)/SnPc(50Å)/C_(60)(540Å)/BCP(75Å)/Ag構造(ここでCuPcは銅フタロシアニンを、及びBCPはバトクプロインを表す)を有する装置」によって、高い電力変換効率が得られることは明らかである。
したがって、引用文献1には、「ITO/CuPc(100Å)/SnPc(50Å)/C_(60)(540Å)/BCP(75Å)/Ag構造(ここでCuPcは銅フタロシアニンを、及びBCPはバトクプロインを表す)を有する装置」において「高い電力変換効率を得る方法」が記載されているといえる。

上記アないしスより、引用文献1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「有機光起電性装置において高い電力変換効率を得る方法であって、
前記有機光起電性装置は、ITO/CuPc(100Å)/SnPc(50Å)/C_(60)(540Å)/BCP(75Å)/Ag構造を有し、
前記CuPc(100Å)は、ドナーとして働き、前記C_(60)(540Å)はアクセプターとして働き、前記SnPc(50Å)はドナーとして働く増感薄層であり、
前記CuPcの最低空分子軌道エネルギーは3.6eVであり、前記SnPcの最低空分子軌道エネルギーは4.0eVである、方法。」

(3)対比・判断
ア 本願補正発明と引用発明1を対比する。
(ア)引用発明1の「有機光起電性装置」及び「ITO」は、本願補正発明の「感光性光電子デバイス」及び「第一電極」に、それぞれ相当する。
(イ)引用発明1の「有機光起電性装置において高い電力変換効率を得る方法」は、本願補正発明の「感光性光電子デバイスの電力変換効率を増加させる方法」に相当する。
(ウ)引用発明1の「SnPc(50Å)はドナーとして働く増感薄層であり、」「C_(60)(540Å)はアクセプターとして働」くものであるから、引用発明1の「SnPc(50Å)/C_(60)(540Å)」が、本願補正発明の「光活性領域」に相当し、また、引用発明1の「SnPc(50Å)」は、本願補正発明の「ドナー物質」に相当する。
(エ)引用発明1において、CuPcの最低空分子軌道エネルギーは3.6eVであって、SnPcの最低空分子軌道エネルギーの4.0eVよりも少なくとも0.2eV高いことから、引用発明1の「SnPc(50Å)」から「CuPc(100Å)」への電子の移動が抑制されることは明らかであるので、引用発明1の「ドナーとして働」く「CuPc(100Å)」は、本願補正発明の「電子阻止層」に相当する。
(オ)上記(ウ)及び(エ)での検討を踏まえると、引用発明1の「前記有機光起電性装置は、ITO/CuPc(100Å)/SnPc(50Å)/C_(60)(540Å)/BCP(75Å)/Ag構造を有し、
前記CuPc(100Å)は、ドナーとして働き、前記C_(60)(540Å)はアクセプターとして働き、前記SnPc(50Å)はドナーとして働く増感薄層であり、
前記CuPcの最低空分子軌道エネルギーは3.6eVであり、前記SnPcの最低空分子軌道エネルギーは4.0eVである」ことは、本願補正発明の「デバイスに以下を組み込むことを含む:
第一電極および光活性領域の間の少なくとも一の電子阻止層;この際、前記少なくとも一の電子阻止層は、
前記光活性領域内のドナー物質に隣接し、
前記ドナー物質の最低非占有分子軌道(LUMO)エネルギーレベルよりも少なくとも0.2eV高いLUMOエネルギーレベルを有し、
20Å?500Åの範囲の厚みを有し、
有機半導体、無機半導体、またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも一の物質を含み、
前記有機半導体は、トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(III)(Alq_(3))、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-(1,1’-ビフェニル)-4’-ジアミン(TPD)、4,4’-ビス[N-(ナフチル)-N-フェニル-アミノ]ビフェニル(NPD)、サブフタロシアニン(SubPc)、ペンタセン、スクアレイン、銅フタロシアニン(CuPc)、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)、クロロアンモニウムフタロシアニン(ClAlPc)、トリス(2-フェニルピリジン)(Ir(ppy)_(3))から選択される少なくとも一であり、
前記無機半導体は、Si、II-VI、およびIII-Vの少なくとも一である、
を含む」ことに相当する。

イ 上記(ア)ないし(オ)より、本願補正発明と引用発明1は、
「感光性光電子デバイスの電力変換効率を増加させる方法であって、デバイスに以下を組み込むことを含む:
第一電極および光活性領域の間の少なくとも一の電子阻止層;この際、前記少なくとも一の電子阻止層は、
前記光活性領域内のドナー物質に隣接し、
前記ドナー物質の最低非占有分子軌道(LUMO)エネルギーレベルよりも少なくとも0.2eV高いLUMOエネルギーレベルを有し、
20Å?500Åの範囲の厚みを有し、
有機半導体、無機半導体、またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも一の物質を含み、
前記有機半導体は、トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(III)(Alq_(3))、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-(1,1’-ビフェニル)-4’-ジアミン(TPD)、4,4’-ビス[N-(ナフチル)-N-フェニル-アミノ]ビフェニル(NPD)、サブフタロシアニン(SubPc)、ペンタセン、スクアレイン、銅フタロシアニン(CuPc)、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)、クロロアンモニウムフタロシアニン(ClAlPc)、トリス(2-フェニルピリジン)(Ir(ppy)_(3))から選択される少なくとも一であり、
前記無機半導体は、Si、II-VI、およびIII-Vの少なくとも一である、
を含む、方法。」
の点で一致し、以下の相違点1で相違している。

<相違点1>
「感光性光電子デバイスの電力変換効率を増加させる方法」が、本願補正発明では、「暗電流を抑制することによる」のに対して、引用発明1では明らかでない点。

ウ 上記の相違点1について検討する。
上記ア(エ)で示したように、引用発明1の「前記CuPcの最低空分子軌道エネルギーは3.6eVであって、前記SnPcの最低空分子軌道エネルギーは4.0eVである」ことから、引用発明1の「SnPc(50Å)」から「CuPc(100Å)」への電子の移動が抑制されることは明らかであり、「SnPc(50Å)」から「CuPc(100Å)」への電子の移動が抑制されることにより、暗電流が抑制されることは、当業者には自明のことである。
そうすると、引用発明1において、「有機光起電性装置において高い電力変換効率を得る方法」には、「暗電流を抑制することによ」り、「高い電力変換効率を得る方法」も含まれているといえるので、上記相違点1は実質的な相違点ではない。

エ 結論
以上アないしウでの検討によれば、引用発明1は本願補正発明の構成をすべて備えている。
よって、本願補正発明は、引用発明1である。

(4)独立特許要件についての小括
以上検討のとおり、本願補正発明は、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものである。

4 本件補正についての結び
上記3の検討によれば、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1 本願発明
上記のとおり、本件補正は却下されたので、本願の特許請求の範囲の各請求項に係る発明は、平成26年4月30日付けで補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし36に記載された事項によって特定されるものと認められるところ、その請求項22に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2」「1」において、本件補正前の特許請求の範囲の請求項22として示したとおりのものである。

2 刊行物の記載事項及び引用発明の認定
(1)原査定の拒絶の理由に用いられた、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開2008-91381号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の記載がある(下線は当審で付与した。)。

ア 「【0001】
本発明は、有機半導体材料の光起電力効果を利用した有機光電変換素子及びその製造方法に関するものである。」

イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、開放電圧を高め、光電変換効率を向上させることができる有機光電変換素子及びその製造方法を提供することにある。」

ウ 「【0023】
(実施例1)
ITO膜を表面に形成したガラス基板(30mm×30mm)を用い、このITO膜を陽極として用いた。ITO膜を、イソプロピルアルコール洗浄及びUV-オゾン処理した。その表面抵抗値は85Ω/cm^(2)であった。ITO膜の上に、真空蒸着装置を用いて、三酸化モリブデン(MoO_(3))を膜厚10nmとなるまで形成し、金属酸化物層とした。真空度は5×10^(-5)Paとし、室温の条件で金属酸化物層を形成した。引き続き、金属酸化物層の上に、銅フタロシアニン(CuPC)からなる電子供与層(膜厚30nm)、フラーレン(C60)からなる電子受容層(膜厚40nm)、BCPからなる励起子ブロック層(膜厚10nm)、及びアルミニウム(Al)からなる陰極(膜厚50nm)をこの順序で積層し、光電変換素子を作製した。この光電変換素子の面積は、0.1cm^(2)となるようにした。
【0024】
図1は、作製した光電変換素子の各層のエネルギーレベルを示す図である。図1に示すように、陽極1であるITO膜の仕事関数は-4.7eVであり、金属酸化物層2を形成する三酸化モリブデンの仕事関数は-5.6eVであり、電子供与層3を形成するCuPCのHOMOエネルギーレベルは-5.2eVであり、LUMOエネルギーレベルは-3.5eVである。また、電子受容層4を形成するフラーレン(C60)のHOMOエネルギーレベルは-6.2eVであり、LUMOエネルギーレベルは-4.5eVであり、励起子ブロック層5を形成するBCPのHOMOエネルギーレベルは-7.0eVであり、LUMOエネルギーレベルは-3.5eVである。また、陰極6であるAl膜の仕事関数は-4.3eVである。」

ウ 図1

エ 上記イより、引用文献2には、「有機光電変換素子」の光電変換効率を向上させる方法が記載されているといえる。

上記アないしエより、引用文献2には次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「有機光電変換素子の光電変換効率を向上させる方法であって、
前記前記有機光電変換素子は、ITO膜の上に、真空蒸着装置を用いて、三酸化モリブデン(MoO_(3))を膜厚10nmとなるまで形成し、金属酸化物層とし、引き続き、前記金属酸化物層の上に、LUMOエネルギーレベルは-3.5eVである銅フタロシアニン(CuPC)からなる電子供与層(膜厚30nm)、フラーレン(C60)からなる電子受容層(膜厚40nm)、BCPからなる励起子ブロック層(膜厚10nm)、及びアルミニウム(Al)からなる陰極(膜厚50nm)をこの順序で積層した、方法。」

3 対比・判断
ア 対比
(ア)引用発明2の「有機光電変換素子」及び「ITO」は、本願発明の本願補正発明の「感光性光電子デバイス」及び「第一電極」に、それぞれ相当する。
(イ)引用発明2の「有機光電変換素子の光電変換効率を向上させる方法」は、本願発明の「感光性光電子デバイスの電力変換効率を増加させる方法」に相当する。
(ウ)引用発明2の「銅フタロシアニン(CuPC)からなる電子供与層(膜厚30nm)、フラーレン(C60)からなる電子受容層(膜厚40nm)」は、本願発明の「光活性領域」に相当し、引用発明2の「銅フタロシアニン(CuPC)」は本願発明の「ドナー物質」に相当する。
(エ)三酸化モリブデン(MoO_(3))の電子親和力(LUMOエネルギーレベル)は-2.4eV程度であることが技術常識(特開2008-270731号公報の【0120】参照。)であるから、引用発明2において、「三酸化モリブデン(MoO_(3))」のLUMOエネルギーレベルは、「銅フタロシアニン(CuPC)」の「LUMOエネルギーレベル」の「-3.5eV」よりも少なくとも0.2eV高いので、引用発明2の「銅フタロシアニン(CuPC)からなる電子供与層」から「三酸化モリブデン(MoO_(3))」から形成される「金属酸化物層」への電子の移動が抑制されることは明らかである。
すると、引用発明2の「金属酸化物層」は、本願発明の「電子阻止層」に相当する。
(オ)上記(ウ)及び(エ)での検討を踏まえると、引用発明2の「前記前記有機光電変換素子は、ITO膜の上に、真空蒸着装置を用いて、三酸化モリブデン(MoO_(3))を膜厚10nmとなるまで形成し、金属酸化物層とし、引き続き、前記金属酸化物層の上に、LUMOエネルギーレベルは-3.5eVである銅フタロシアニン(CuPC)からなる電子供与層(膜厚30nm)、フラーレン(C60)からなる電子受容層(膜厚40nm)、BCPからなる励起子ブロック層(膜厚10nm)、及びアルミニウム(Al)からなる陰極(膜厚50nm)をこの順序で積層した」ことは、本願発明の「デバイスに以下を組み込むことを含む:
第一電極および光活性領域の間の少なくとも一の電子阻止層;この際、前記少なくとも一の電子阻止層は、
前記光活性領域内のドナー物質に隣接し、
前記ドナー物質の最低非占有分子軌道(LUMO)エネルギーレベルよりも少なくとも0.2eV高いLUMOエネルギーレベルを有し、
20Å?500Åの範囲の厚みを有し、
有機半導体、無機半導体、高分子、金属酸化物、またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも一の物質を含む」ことに相当する。

イ 上記(ア)ないし(オ)より、本願発明と引用発明2は、
「感光性光電子デバイスの電力変換効率を増加させる方法であって、
デバイスに以下を組み込むことを含む:
第一電極および光活性領域の間の少なくとも一の電子阻止層;この際、前記少なくとも一の電子阻止層は、
前記光活性領域内のドナー物質に隣接し、
前記ドナー物質の最低非占有分子軌道(LUMO)エネルギーレベルよりも少なくとも0.2eV高いLUMOエネルギーレベルを有し、
20Å?500Åの範囲の厚みを有し、
有機半導体、無機半導体、高分子、金属酸化物、またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも一の物質を含む、方法。」
の点で一致し、以下の相違点2で相違している。

<相違点2>
「感光性光電子デバイスの電力変換効率を増加させる方法」が、本願発明は、「暗電流を抑制することによる」のに対して、引用発明2では明らかでない点。

ウ 上記相違点2について検討する。
上記ア(エ)で示したように、引用発明2の「三酸化モリブデン(MoO_(3))」の電子親和力(LUMOエネルギーレベル)は-2.4eV程度であって、「銅フタロシアニン(CuPC)」の「LUMOエネルギーレベル」は「-3.5eV」であることから、引用発明2の「銅フタロシアニン(CuPC)」から「三酸化モリブデン(MoO_(3))」への電子の移動が抑制されることは明らかであり、「銅フタロシアニン(CuPC)」から「三酸化モリブデン(MoO_(3))」への電子の移動が抑制されることにより、暗電流が抑制されることは、当業者には自明のことである。
そうすると、引用発明2において、「感光性光電子デバイスの電力変換効率を増加させる方法」には、「暗電流を抑制することによ」り、「電力変換効率を増加させる方法」も含まれているといえるので、上記相違点2は実質的な相違点ではない。

エ 結論
以上アないしウでの検討によれば、引用発明2は本願発明の構成をすべて備えている。

4 結び
以上のとおり、本願発明は、引用発明2であり、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができないものであるから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-10-29 
結審通知日 2015-11-10 
審決日 2015-11-24 
出願番号 特願2011-545534(P2011-545534)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 和田 将彦  
特許庁審判長 森林 克郎
特許庁審判官 井口 猶二
伊藤 昌哉
発明の名称 電子/正孔励起阻止層を用いた有機太陽電池の開路電圧の向上  
代理人 八田国際特許業務法人  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ