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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01N
管理番号 1313854
審判番号 不服2014-7396  
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-04-21 
確定日 2016-04-20 
事件の表示 特願2012- 7121「光断層撮影システム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 1月31日出願公開、特開2013- 19884〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本願発明
本願は、平成24年1月17日(パリ条約による優先権主張 平成23年7月8日、台湾)の出願であって、平成25年12月16日付けで拒絶査定されたのに対し、平成26年4月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、それと同時に手続補正がなされ、そして、当審において平成27年7月22日付けで拒絶理由を通知し、これに対し、同年10月27日付けで意見書及び手続補正書が請求人より提出されたものである。
そして、本願の請求項1ないし5に係る発明は、平成27年10月27日付け手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるものと認められるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
光線を放射する光源、
回折格子を含まない検出装置、
光遅延装置、
凸形円筒状レンズ、及び
前記光線を第1参照光線と第1サンプル光線に分けるビームスプリッターであって、前記第1参照光線は、前記光遅延装置に入射され、前記第1サンプル光線は、前記凸形円筒状レンズに入射され、サンプルに焦点が合わせられ、且つ前記光遅延装置から反射された第2参照光線及び前記サンプルから反射された第2サンプル光線は、前記ビームスプリッターを通過して前記検出装置に入射されるビームスプリッター、
を含み、
第一次元に沿った前記第2参照光線の異なる部分は、異なる光路長を有し、
第二次元に沿った前記第2参照光線の異なる部分は、同じ光路長を有し、
前記第一次元及び前記第二次元は互いに垂直であり、
前記第一次元及び前記第二次元は、共に前記第1参照光線の入射方向に垂直であり、
前記第一次元に沿った前記第2サンプル光線の異なる部分は、前記サンプルの同一縦軸の反射光であり、
前記第二次元に沿った前記第2サンプル光線の異なる部分は、前記第二次元に沿った前記サンプルの異なる部分からの反射光であり、
前記凸形円筒状レンズによって前記サンプルに焦点が合わせられた前記第1サンプル光線は、前記第二次元に沿った帯状の形状を有し、
前記光遅延装置は、一次元曲面鏡、円筒鏡、または平面鏡を含み、前記平面鏡の反射面は、前記第1参照光線の入射方向に垂直でなく、
スキャンとフーリエ変換を行わない、
光断層撮影システム。」

第2 当審の拒絶理由
当審において平成27年7月22日付けで通知した拒絶の理由の概要は、引用例として、本願の優先日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった国際公開第2010/113985号(以下「引用例」という。)を提示し、平成27年10月27日付け手続補正書で補正される前の請求項1ないし6に係る発明は、引用例に記載された発明であるか、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

第3 引用例について
1 引用例の記載事項
なお、下記の摘記事項において、2で記載する引用発明の認定に関連する部分に下線を当審において付与した。
(1-ア)
「発明が解決しようとする課題
[0009]図12に示した距離測定装置91では、白色光を用いているため高い分解能を得ることができる反面、可動ミラー914を走査するため、測定に長時間を要し、また可動機構があるために装置が大型化する。さらに、図12に示した距離測定装置92では、機械的なメンテナンスが必要となり、加えて製造コストも高くなる。
[0010]なお、従来、図12において、可動ミラー914を固定ミラーとし、干渉プロファイル測定器915の手前に回折格子を設けた距離測定装置が存在する。しかし、この距離測定装置では干渉プロファイル測定器915におけるデータの演算処理(フーリエ変換等)に長時間を要してしまう。
[0011]図14に示した距離測定装置92では、固定ミラー924を走査しないので可動走査機構が不要であり、メンテナンスも不要となる反面、コム光源921を周波数により走査しているため、測定に長時間を要するし、白色光を用いた図12の測定装置のような高分解能を得ることができない。
[0012]本発明の目的は、光源として所定帯域光(白色光等の広帯域光を含む)を生成する光源を使用し、可動走査機構を持たず、かつフーリエ変換等の演算をしないことで短時間での測定が可能であり、しかも高分解能の測定に対応できる干渉計を提供することである。
[0013]本発明の他の目的は、伝播方向に垂直な断面上での一次元位置に応じて光路長が変化した変調光を生成することができる光路長変調器(この光路長変調器の前段または後段にコム光発生用の分光器を設けてもよい)を用いて、深さ方向の一次元断層、あるいは深さ方向の二次元断層の測定にも適した干渉計を提供することである。
課題を解決するための手段
[0014]本発明の干渉計は、(1)から(6)を要旨とする。
(1)
広帯域光を生成する光源と、
伝播方向に垂直な断面上での一次元位置(たとえば断面上に想定したXY座標のX方向の位置)に応じて光路長が変化した変調光を生成する光路長変調器と、
前記光源が生成した広帯域光を測定対象に照射し反射させる光学系と、
前記光路長変調器が生成した変調光と前記測定対象からの反射光とを受光する一次元光検出器とからなることを特徴とする干渉計。」

(1-イ)
「発明の効果
[0020]本発明の干渉計によれば、光源として所定帯域光(白色光等の広帯域光を含む)を生成する光源を使用でき、また可動走査機構を持たないように構成でき、かつフーリエ変換等の演算をしないことで短時間での測定ができ、しかも高分解能の測定ができる。
[0021]本発明の干渉計は、断層像の測定や、深さ方向の一次元断層、あるいは深さ方向の二次元断層の測定も可能である。」

(1-ウ)
「[0067]図11は、本発明の干渉計の第8実施形態の説明図である。図9の干渉計(マイケルソン型)は、表面点までの距離や、深さ方向の二次元断層像を、分光デバイス631を有する光路長変調器63を使用したが、本実施形態では、光路長変調器63に、分光デバイスを使用していない。
図11の干渉計は、第6実施形態の干渉計6と同様、測定対象89の(表面点までの距離や、深さ方向の一次元断層像)を取得することができるし、各深さにおける測定対象89の属性(エネルギー構造情報,屈折率,透過率,反射率等)を取得することができる。
[0068]図11において干渉計8は、白色光源81と、ビームスプリッタ88と、変調ミラー833と、光検出器84と、レンズ系852とを備えている。
[0069]変調ミラー833は、白色光源81からの白色光をビームスプリッタ82を介して入射し、時間シフトした光を出射するものである。
[0070]変調ミラー833は、階段状に構成されたミラーであり、反射距離に応じて時間シフトした光を生成することができる。本実施形態では、変調ミラー833は逆経路で出射するように配置されている。変調ミラー833側からの反射光は、ビームスプリッタ42に入射される。
[0071]一方、白色光源81からの白色光はビームスプリッタ82を透過して、レンズ系852(シリンドリカル)により測定対象Oに照射される。そして、測定対象Oの反射光(散乱光)は、レンズ系852を介してビームスプリッタ82により反射される。
[0072]ビームスプリッタ82は、変調ミラー833の出射光と、測定対象Oの反射光とを合波し、レンズ系853(シリンドリカルレンズ),854,855を介して光検出器84に入射される。」

(1-エ)上記図11として、以下の図面が記載されている。
[図11]


2 引用発明について
(1)上記摘記(1-ウ)及び(1-エ)は「本発明の干渉計の第8実施形態」であり、摘記(1-ア)に記載されている「発明が解決しようとする課題」、「本発明の目的」及び「課題を解決するための手段」に対応するものである。
したがって、摘記(1-ウ)の「干渉計」は、「可動走査機構を持たず、かつフーリエ変換等の演算をしない」ものであり、摘記(1-ウ)の「変調ミラー」は、「伝播方向に垂直な断面上での一次元位置(たとえば断面上に想定したXY座標のX方向の位置)に応じて光路長が変化した変調光を生成する光路長変調器」のことであり、「光検出器」は摘記(1-ア)の[0010]の課題を解決したものであるから、「回折格子を設け」ていないものである。

(2)引用発明
してみれば,上記引用例の記載事項を総合すると,引用例1には,以下の発明が記載されていると認められる。
「白色光源と、ビームスプリッタと、変調ミラーと、回折格子を設けていない光検出器と、レンズ系とを備える、測定対象の表面点までの距離や、深さ方向の一次元断層像を取得することができ、各深さにおける測定対象の属性(エネルギー構造情報,屈折率,透過率,反射率等)を取得することができる干渉計であって、
変調ミラーは、白色光源からの白色光をビームスプリッタを介して入射し、時間シフトした光を出射するもので、階段状に構成されたミラーであり、反射距離に応じて時間シフトした光を生成することができるもので、
変調ミラー側からの反射光は、ビームスプリッタに入射され、白色光源からの白色光はビームスプリッタを透過して、レンズ系(シリンドリカル)により測定対象に照射され、測定対象の反射光(散乱光)は、レンズ系を介してビームスプリッタにより反射され、ビームスプリッタは、変調ミラーの出射光と、測定対象の反射光とを合波し、光検出器に入射される、干渉計において、
上記変調ミラーは、伝播方向に垂直な断面上での一次元位置(たとえば断面上に想定したXY座標のX方向の位置)に応じて光路長が変化した変調光を生成する光路長変調器であり、
可動走査機構を持たず、かつフーリエ変換等の演算をしない、
干渉計。」(以下「引用発明」という。)

第4 対比・判断
1 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、以下のとおりである。
(1)引用発明の「白色光源」、「回折格子を設けていない光検出器」、「ビームスプリッタ」、「測定対象」は、順に、本願発明の「光線を放射する光源」、「回折格子を含まない検出装置」、「ビームスプリッター」、「サンプル」に相当する。

(2)引用発明の「反射距離に応じて時間シフトした光を生成することができる」「変調ミラー」である「光路長変調器」は、本願発明の「光遅延装置」に相当する。

(3)シリンドリカルレンズとは、凸形円筒状レンズで帯状の形状に焦点を合わせるものであり、引用発明の「レンズ系(シリンドリカル)」は、摘記(1-エ)の図11に記載されているように凸形円筒状レンズであるから、本願発明の「凸形円筒状レンズ」に相当する。

(4)引用発明の「変調ミラー」に「ビームスプリッタを介して入射」する「白色光源からの白色光」及び「ビームスプリッタを透過して、レンズ系(シリンドリカル)により測定対象に照射され」る「白色光源からの白色光」は、本願発明の「ビームスプリッター」で「分け」られる「光遅延装置に入射され」る「第1参照光線」及び「凸形円筒状レンズに入射され、サンプルに焦点が合わせられ」る「第1サンプル光線」に相当する。
また、引用発明の「ビームスプリッタに入射され」「測定対象の反射光と」「合波し、光検出器に入射される」「変調ミラーの出射光」及び「レンズ系を介してビームスプリッタにより反射され」「変調ミラーの出射光と」「合波し、光検出器に入射される」「測定対象の反射光」は、本願発明の「ビームスプリッターを通過して前記検出装置に入射される」「光遅延装置から反射された第2参照光線」及び「サンプルから反射された第2サンプル光線」に相当する。

(5)引用発明の「変調ミラー」は「伝播方向に垂直な断面上での一次元位置(たとえば断面上に想定したXY座標のX方向の位置)に応じて光路長が変化した変調光を生成する光路長変調器」であるから、「変調ミラーの出射光」は一次元位置であるX方向の位置に応じて光路長が変化するものであり、二次元位置に対応するY方向の位置に応じては光路長が変化しないものといえる。してみれば、「変調ミラーの出射光」は上記(4)で述べたとおり本願発明の「第2参照光線」であるから、引用発明の「伝播方向に垂直な断面上での一次元位置(たとえば断面上に想定したXY座標のX方向の位置)に応じて光路長が変化した変調光を生成する光路長変調器」である「変調ミラーの出射光」は、本願発明の「第一次元に沿った」「異なる部分は、異なる光路長を有し、第二次元に沿った」「異なる部分は、同じ光路長を有」する「第2参照光線」に相当する。
また、「伝播方向」は光の伝播方向で「変調ミラー」に「入射」する「白色光」の方向といえ、「XY座標」はX方向とY方向は互いに垂直であり、X方向とY方向は上記のとおり第一次元と第二次元である。してみれば、「変調ミラー」に「入射」する「白色光」は上記(4)で述べたとおり本願発明の「第1参照光線」であるから、引用発明の「伝播方向に垂直な断面上」「に想定したXY座標のX方向」とY方向は、本願発明の「互いに垂直であり」「共に前記第1参照光線の入射方向に垂直であ」る「前記第一次元及び前記第二次元」に相当する。

(6)本願発明の「前記第一次元に沿った前記第2サンプル光線の異なる部分は、前記サンプルの同一縦軸の反射光であり、前記第二次元に沿った前記第2サンプル光線の異なる部分は、前記第二次元に沿った前記サンプルの異なる部分からの反射光であ」ることにより、本願明細書に記載されているように「第一次元300に沿った干渉像の成分(component)は、縦方向(サンプル6の光線の伝播方向)においてサンプル6の構造情報に対応でき、この構造情報はサンプル6の異なる深さの構造情報を表す。また、第二次元302に沿った干渉像の成分は、第二次元302に沿ったサンプル6の構造情報に対応でき、この構造情報は第二次元302に沿ったサンプル6の異なる位置の構造情報を表す。」(【0018】)ことができるものである。
一方、引用発明の「測定対象の表面点までの距離や、深さ方向の一次元断層像を取得することができ、各深さにおける測定対象の属性(エネルギー構造情報,屈折率,透過率,反射率等)を取得する」「変調ミラーの出射光と」「合波し」「光検出器に入射される」「測定対象の反射光」において、「深さ方向」は本願発明の「サンプルの同一縦軸」の方向であり、「測定対象の反射光」が「合波」する「変調ミラーの出射光」のX方向とY方向すなわち第一次元と第二次元の関係は上記(5)で述べたとおりである。
してみれば、引用発明の「測定対象の表面点までの距離や、深さ方向の一次元断層像を取得することができ、各深さにおける測定対象の属性(エネルギー構造情報,屈折率,透過率,反射率等)を取得する」「変調ミラーの出射光と」「合波し」「光検出器に入射される」「測定対象の反射光」は、本願発明の「前記第一次元に沿った」「異なる部分は、前記サンプルの同一縦軸の反射光であり、前記第二次元に沿った」「異なる部分は、前記第二次元に沿った前記サンプルの異なる部分からの反射光であ」る「第2サンプル光線」に相当する。

(7)引用発明の「レンズ系(シリンドリカル)により測定対象に照射され」る「白色光源からの白色光」は、上記(3)及び(4)より、本願発明の「前記凸形円筒状レンズによって前記サンプルに焦点が合わせられた」「前記第二次元に沿った帯状の形状を有」する「第1サンプル光線」に相当する。

(8)引用発明の「可動走査機構を持たず、かつフーリエ変換等の演算をしない」ことは、本願発明の「スキャンとフーリエ変換を行わない」ことに相当する。

(9)引用発明の「測定対象の深さ方向の一次元断層像を取得する」「干渉計」は、本願発明の「光断層撮影システム」に相当する。

してみれば、本願発明と引用発明とは、
(一致点)
「光線を放射する光源、
回折格子を含まない検出装置、
光遅延装置、
凸形円筒状レンズ、及び
前記光線を第1参照光線と第1サンプル光線に分けるビームスプリッターであって、前記第1参照光線は、前記光遅延装置に入射され、前記第1サンプル光線は、前記凸形円筒状レンズに入射され、サンプルに焦点が合わせられ、且つ前記光遅延装置から反射された第2参照光線及び前記サンプルから反射された第2サンプル光線は、前記ビームスプリッターを通過して前記検出装置に入射されるビームスプリッター、
を含み、
第一次元に沿った前記第2参照光線の異なる部分は、異なる光路長を有し、
第二次元に沿った前記第2参照光線の異なる部分は、同じ光路長を有し、
前記第一次元及び前記第二次元は互いに垂直であり、
前記第一次元及び前記第二次元は、共に前記第1参照光線の入射方向に垂直であり、
前記第一次元に沿った前記第2サンプル光線の異なる部分は、前記サンプルの同一縦軸の反射光であり、
前記第二次元に沿った前記第2サンプル光線の異なる部分は、前記第二次元に沿った前記サンプルの異なる部分からの反射光であり、
前記凸形円筒状レンズによって前記サンプルに焦点が合わせられた前記第1サンプル光線は、前記第二次元に沿った帯状の形状を有し、
スキャンとフーリエ変換を行わない、
光断層撮影システム。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)
光遅延装置が、本願発明では、「一次元曲面鏡、円筒鏡、または平面鏡を含み、前記平面鏡の反射面は、前記第1参照光線の入射方向に垂直でな」いものであるのに対し、引用発明では、階段状に構成されたミラーである点。

2 当審の判断
(1)相違点について
引用発明の干渉計は「測定対象の表面点までの距離や、深さ方向の一次元断層像を取得することができ、各深さにおける測定対象の属性(エネルギー構造情報,屈折率,透過率,反射率等)を取得する」ものであり、深さ方向において連続した断層像、属性が取得されることが望ましいことは明らかであるから、そのために、「測定対象の反射光と」「合波し、光検出器に入射される」「変調ミラーの出射光」の「光路長」を連続して変化させるべく、引用発明の「階段状に構成されたミラー」について、その階段状を極限的に小さくする、すなわち「平面鏡」とし、その反射面に入射する白色光(本願発明の「第1参照光線」)に対して傾けて、すなわち「第1参照光線の入射方向に垂直でない」ようにして、光路長を連続的に変化させることは当業者が容易になし得たことである。
加えて、干渉計において、変調ミラーとして、平面鏡の反射面を傾けて(変調ミラーに入射する光の方向に対して垂直でない)配置することにより、光路長を連続的に変化させることは優先日前に周知のこと(例えば、特表2005-535882号公報の【0009】?【0010】及び【図2】、米国特許出願公開第2008/0174785号明細書のFig.2及び[0028]?[0030]、等参照)であるから、当該周知技術に鑑みて、引用発明の「階段状に構成されたミラー」に代えて、本願発明のように「平面鏡」を用い、その「反射面」を「光線の入射方向に垂直でな」いように構成することは当業者が容易になし得たことである。

(2)効果について
本願発明の効果は、「時間領域OCT」「この技術の欠点は、参照アームに縦方向(軸方向)のスキャンをする必要があることであり、イメージング速度を向上させることを難しくしている。」、「フーリエ領域、または周波数領域OCT」「サンプル内の構造情報の取得は、干渉信号のフーリエ変換のためにコンピュータプログラムを用いることを必要とする。」(【0003】?【0005】)という課題を解決する、「光断層撮影システム500の干渉計の参照アームは、縦(軸)方向に沿ってスキャンすることを要求されない。また、干渉計で受けた干渉信号は、コンピュータプログラムを用いてフーリエ変換されることを要求されない。」というものであるが、当該効果は、引用例の摘記(1-ア)及び(1-イ)に記載されているように、引用発明の効果に他ならず、格別顕著なものではない。

(3)請求人の主張について
請求人は,平成27年10月27日付け意見書で,
「引用例には、本願請求項1における「・・・前記光遅延装置は、一次元曲面鏡、円筒鏡、または平面鏡を含み・・・」という技術的特徴がありませんので、「・・・第一次元に沿った前記第2参照光線の異なる部分は、異なる光路長を有する・・・」という技術的特徴が開示も示唆もされておりません。
(b)また、引用例は変調ミラー833を光遅延装置としていますが、その第2サンプル光線の光路は「変化不連続な階段状」ですので、光検出器84の解像度や精度が悪くなります。
これに対して、本願発明の光遅延装置3は、一次元曲面鏡を含むものですので、異なる光路長を有する第2参照光線を取得し、検出装置5によって受けた干渉像の精度がより高くなります。」(下線は請求人が引いたものである。)と主張している。
しかしながら、本願発明は「前記光遅延装置は、一次元曲面鏡、円筒鏡、または平面鏡を含み、前記平面鏡の反射面は、前記第1参照光線の入射方向に垂直でなく」と特定されており、光遅延装置を「一次元曲面鏡」に限定して解釈されるべきものではなく、「平面鏡を含み、前記平面鏡の反射面は、前記第1参照光線の入射方向に垂直でな」いものを含むものであるから、当該「一次元曲面鏡」に限定したことによる効果を主張することは、当を得たことではない。

3 小括
したがって、本願発明は、引用発明に基づいて、あるいは、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、その余の請求項に係る発明について言及するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-11-20 
結審通知日 2015-11-24 
審決日 2015-12-08 
出願番号 特願2012-7121(P2012-7121)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲高▼場 正光  
特許庁審判長 郡山 順
特許庁審判官 三崎 仁
▲高▼見 重雄
発明の名称 光断層撮影システム  
代理人 筒井 大和  
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