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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03B
管理番号 1314144
審判番号 不服2014-23170  
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-11-14 
確定日 2016-05-06 
事件の表示 特願2007-253094「ディジタルX線検出器」拒絶査定不服審判事件〔平成20年4月17日出願公開、特開2008-90304〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成19年9月28日(パリ条約による優先権 2006年10月3日、米国)に出願した特許出願であって、その手続の経緯の概要は、以下のとおりである。
平成22年 9月22日:手続補正書
平成24年12月13日:拒絶理由通知(同年同月18日発送)
平成25年 3月12日:意見書
平成25年 9月 6日:拒絶理由通知(同年同月17日発送)
平成25年12月11日:意見書
平成25年12月11日:手続補正書(以下、これによりなされた補正を「本件補正」という。)
平成25年12月25日:拒絶理由通知(平成26年1月8日発送)
平成26年 4月 2日:意見書
平成26年 7月 8日:拒絶査定(同年同月15日送達)
平成26年11月14日:審判請求


2 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正による補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの、以下のものである。
「X線(22)の受光に応答して電気信号を出力するように構成されている検出器サブシステム(68)と、
該検出器サブシステム(68)を受け入れる少なくとも一つの開口(70)を有し、かつ可動部分を含まない単一個構成の保護筐体(62)と
を備えたX線検出器(60)。」


3 刊行物の記載事項及び引用発明
(1)原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に頒布された刊行物である特開2002-311526号公報(以下、「引用例」という。)」には、「X線画像撮影装置」(発明の名称)に関して以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。なお、説明の便宜上、対応する図面を挿入する。

ア 「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、保守性を向上させた携帯型のX線画像撮影装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、X線撮影として最も一般的な方法はフィルム/スクリーン法であり、これは感光性フィルムと、X線に感度を有している蛍光体を組み合わせて撮影する方法である。X線を照射すると発光する希土類から成る蛍光体をシート状にしたものを感光性フィルムの両面に密着して保持し、被写体を透過したX線を蛍光体で可視光に変換し、感光性フィルムによりその光を捉えた後に、このフィルムを現像することにより像を可視化する。
【0003】第2の撮影方法として、コンピューテッドラジオグラフィ(CR)と呼ばれる方法も実用化されている。この方法は放射線の透過画像を一旦蛍光体中に潜像として蓄積した後に、励起光を照射することにより潜像を読み出す方式である。例えば、或る種の蛍光体にX線、α線、β線、γ線、電子線、紫外線等の放射線を照射すると、この放射線のエネルギの一部が蛍光体中に蓄積される。また、この蛍光体に可視光等の励起光を照射すると、蓄積されたエネルギに応じて蛍光体が輝尽発光を示す。
【0004】このような性質を示す蛍光体は、蓄積性蛍光体又は輝尽性蛍光体と呼ばれている。この蓄積性蛍光体を利用することにより、人体等の被写体の放射線画像情報を蓄積性蛍光体のシートに一旦記録し、その際にこの蓄積性蛍光体シートをレーザー光等の励起光を用いて走査することにより輝尽発光光を生じさせ、得られた輝尽発光光を光電的に読み取ることにより画像信号を取得し、この画像信号に基づいて写真感光材料等の記録材料、CRT等の表示装置に、被写体の放射線画像を可視像として出力させる放射線画像情報記録再生システムが、特開昭55-12429号公報、特開昭56-11395号公報等において提案されている。
【0005】また、近年においては第3の撮影方法として、半導体センサを使用して同様にX線画像を撮影する装置が開発されている。この種のシステムは、従来の銀塩写真を用いる放射線写真システムと比較すると、極めて広範囲の放射線露出域の画像を記録できるという利点を有している。即ち、広範囲のダイナミックレンジのX線を光電変換手段により読み取って電気信号に変換した後に、この電気信号を用いて写真感光材料等の記録材料やCRT等の表示装置に放射線画像を可視像として出力させることにより、放射線の露光量の変動に影響され難い放射線画像を得ることができる。
【0006】第1の撮影方法を用いたX線フィルム画像撮影装置においては、撮影後にフィルムを撮影装置から取り出す必要性がある。そのため、携帯型のX線フィルム画像撮影装置においては、上カバーと下カバーを用いた筐体の構造となっており、上下のカバーを開けることによってフィルムを取り出している。
【0007】第2の撮影方法を用いたX線CR撮影装置においては、フィルムの代りにIP(イメージングプレート)が撮影装置内に設けられており、撮影が終了すると画像読取装置内にカセッテごと入れることにより、蓄積性蛍光体をレーザー光等の励起光で走査して輝尽発光光を生じさせ、得られた輝尽発光光を光電的に読み取ることにより画像信号を得る。そのため、携帯型の小型な撮影装置においては、レーザー光の照射と輝尽発光光の読み取りが容易で、かつ自動的に行うことができる構造とする必要性がある。また、読取装置の種類を増やさないため、全てを同一の構造にすることが望ましく、第1の撮影方法と同様に上下のカバーを開けることによりIPを取り出し、読取装置を介して画像信号を取得している。
【0008】第3の撮影方法を用いたX線画像撮影装置においては、第2の撮影方法のように輝尽発光光を読み取る仕組みでないため、携帯型の小型な装置にすることが可能である。従来の携帯型のX線画像撮影装置においては、例えば米国特許5,804,832号に示すように、筐体を上下に分離することができるカバーを用い、下カバーから順番に組み立てる方法が用いられている。
【0009】図6は半導体センサを用いたX線画像撮影装置の断面図を示しており、上下に分離可能な下カバー1a、上カバー1bから成る筐体1内には、衝撃吸収材2を介してセンサ支持プレート3、半導体センサであるX線検出センサ4、蛍光体5が積層され、更に蛍光体5の上面には衝撃吸収材6が配置されている。
【図6】

【0010】このX線画像撮影装置では、X線検出センサ4を撮影ごとに取り出す必要性はないが、保守点検や組立のし易さを実現するためには、保守性が良く、各部品を取り出し易い装置とする必要性がある。ところが、図6に示すX線画像撮影装置においては、下カバー1aにそれぞれの部品が順次に組み付けられており、例えば上位置に取り付けられた衝撃吸収材6等のみの部品は、取り出し難い構造となっている。
【0011】図7は半導体センサを用いないX線画像撮影装置の外観図を示しており、このX線画像撮影装置では筐体開閉用機構11を介して下カバー12aと上カバー12bを開けることにより、フィルム13又はIP14を取り出し易い構造となっている。
【図7】

【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、半導体センサを使用する電気的に複雑な構造を有するX線画像撮影装置は、従来からあるフィルムカセッテと呼ばれる携帯型のX線画像撮影装置と比較すると、保守点検の際に時間や手間が掛かり、効率が低下するという問題がある。そのため、X線検出センサを含む部品ユニットは、下カバー上に順番に積み上げる構造ではなく、独立した部品ユニットとして筐体から取り外し易い構造となっていることが好ましい。
【0013】また、半導体センサは強度的に弱い材質から構成されていることが多いため、薄型軽量にするためには衝撃吸収材等を用いる必要が生ずる。しかし、この衝撃吸収材を半導体センサの前面に配置するとX線が吸収され、更に生じた散乱線のために画像がぼけるという問題がある。このため、外部からの衝撃を受ける確率が少なく被曝線量を低減したい場合には、この衝撃吸収材を取り外すことが容易な構造にすることが望まれている。
【0014】本発明の目的は、上述の問題点を解消し、保守性を向上させたX線画像撮影装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための請求項1に係る本発明は、被写体を透過したX線をX線検出センサで検出するX線画像撮影装置において、前記X線検出センサを含むユニット化したユニット部品を、筐体内に該筐体とは別体として取り出し可能に内蔵したことを特徴とするX線画像撮影装置である。」

イ「【0021】
【発明の実施の形態】本発明を図1?図4に図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。図1は第1の実施の形態におけるX線画像撮影装置システムの構成図を示しており、X線画像撮影装置21には、複数の光電変換素子を二次元状に配置した検出面を有するX線検出センサ22が内蔵されており、このX線画像撮影装置21の上方にはX線発生装置23が配置されている。
【図1】


またX線画像撮影装置21には、画像処理部24を介してモニタ25が接続されている。
【0022】X線発生装置23から発せられたX線は被写体Sに照射され、この被写体Sを透過したX線は、二次元状に配置された複数の光電変換素子を有するX線検出センサ22において検出され、X線検出センサ22から出力される画像信号を画像処理部24でデジタル画像処理することにより、モニタ25に被写体SのX線画像を表示する。
【0023】光電変換素子を用いたX線検出センサ22としては、a-Seセンサや、蛍光体と組み合わせたa-Siセンサ等が用いられている。また、蛍光体には支持体として、CaWO_(4)やCd_(2)O_(2)S:Tbを塗布した増感紙又はCsl等の蛍光体結晶が用いられている。これらの蛍光体は放射線照射量に比例した強度の蛍光を発する特性を有しているため、放射線像はこの蛍光体において可視光像に変換され、その後に光電変換素子によって画像信号を出力することとなる。
【0024】一般に、光電変換素子を用いたX線検出センサ22は強度的に衝撃に弱く、筐体とX線検出センサ22の表面は密着することなく或る程度の空間を設けており、衝撃により筐体が撓んだ場合でも、X線検出センサ22が変形しないような構成になっている。また、蓄積性蛍光体をレーザー光等で発光させて読み取る仕組みが不要なため、空間に衝撃吸収材を入れることにより、携帯に適した薄型で小型な外形を実現することも可能である。
【0025】図2は本実施の形態におけるX線画像撮影装置の分解斜視図を示しており、筐体31の引出面32には開閉可能な蓋部33が設けられており、この筐体31の内壁にはレール34が付設されていて、X線検出センサ22等の各部品をユニット化したユニット部品35が、レール34に沿って出し入れ可能となっている。また、筐体31における蓋部33の反対側には、X線撮影装置を携帯するための取っ手36が設けられている。
【図2】


【0026】このユニット部品35には、例えばX線を検出可能な光や電子に変換する蛍光体、X線検出センサや電気部品等を守る衝撃吸収材、X線画像撮影装置に外部から荷重等が掛かった際にX線検出センサ22等に降伏点以上の撓みが発生するのを防止するセンサ支持プレート、X線撮影装置の内部で発生する熱に対する放熱部品、外部環境やX線撮影装置内部環境に対するセンサ部品等の各部品が備えられている。
【0027】ユニット部品35の引き出し方法は、全体を一度引き出してから、個々に又は全体を取り出すような構成とされている。また、初めから例えば壊れ易い部分や重要な部分を個々に取り出す等の様々な方法が考えられ、引き出し方法としてレール34の他に、ワイヤを用いて引き出してもよい。
【0028】このように、ユニット部品35と筐体31を別体とすることにより、ユニット部品35が取り出し易い構造となる。また、X線画像撮影装置は取っ手36を備えて携帯に有利としているため、筐体31の汚れや傷に対して交換が容易となるため、ユニット部品35だけでなく筐体31の保守性も向上する。」

(2)引用発明
上記(1)から、引用例には、第1の実施の形態として以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。なお、引用発明の認定に際して参考にした引用例の記載箇所を、段落番号で付記する。

「(【0025】)引出面32を有する筐体31と、前記筐体31の引出面32に設けられた開閉可能な蓋部33と、前記筐体31における蓋部33の反対側に設けられた取っ手36とを有し、前記筐体31の内壁にはレール34が付設されており、X線検出センサ22をユニット化したユニット部品35が、前記レール34に沿って出し入れ可能となっている、(【0021】)X線検出センサ22が内蔵されたX線画像撮影装置21であって、
(【0022】)前記X線検出センサ22は、二次元状に配置された複数の光電変換素子を有し、被写体Sを透過したX線を検出して前記被写体SのX線画像を表示するための画像信号を出力するものである、
(【0021】)X線画像撮影装置21。」


4 対比及び判断
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比すると、以下のとおりとなる。
ア 検出器サブシステムについて
引用発明の「X線検出センサ22」は、本願発明の「検出器サブシステム」に相当する。引用発明の「X線検出センサ22」は、「二次元状に配置された複数の光電変換素子を有し、被写体Sを透過したX線を検出して前記被写体SのX線画像を表示するための画像信号を出力する」ものであるから、引用発明の「X線検出センサ22」と、本願発明の「検出器サブシステム」は、「X線の受光に応答して電気信号を出力するように構成されている」点で共通する。

イ 保護筐体について
引用発明の「引出面32」は、本願発明の「開口」に相当する。引用発明の「筐体31」が、ユニット部品35を保護する作用・機能を有することは明らかであり、引用発明の「引出面32」はユニット部品35を出し入れするために筐体31に設けられた開口であるから、引用発明の「筐体31」と、本願発明の「保護筐体」は、「検出器サブシステムを受け入れる少なくとも一つの開口を有」する「保護筐体」である点で共通する。

ウ X線検出器について
引用発明の「X線画像撮影装置21」は、本願発明の「X線検出器」に相当する。また、引用発明の「X線画像撮影装置21」は、「引出面32を有する筐体31と、前記筐体31の引出面32に設けられた開閉可能な蓋部33と、前記筐体31における蓋部33の反対側に設けられた取っ手36とを有し」、「X線検出センサ22が内蔵された」ものであるから、引用発明の「X線画像撮影装置21」と、本願発明の「X線検出器」は、「検出器サブシステムと」「保護筐体とを備え」ている点で共通する。

(2)一致点及び相違点
上記(1)から、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。
(一致点)
「X線の受光に応答して電気信号を出力するように構成されている検出器サブシステムと、
該検出器サブシステムを受け入れる少なくとも一つの開口を有する保護筐体と
を備えたX線検出器。」

(相違点1)「保護筐体」が、本願発明では「可動部分を含まない」のに対し、引用発明では、「可動部分を含まない」といえるか否か定かでない点。
(相違点2)「保護筐体」が、本願発明では「単一個構成」であるのに対し、引用発明では、「単一個構成」であることが特定されていない点。

(3)相違点についての判断
ア 相違点1について
(ア)本願発明の「可動部分を含まない」「保護筐体」との構成に関して、請求項及び明細書には定義や説明が記載されていないが、その文言からは、「保護筐体」自身に「可動部分」がないことを特定していると解するのが自然である。
(イ)引用発明の「筐体31」(保護筐体)には、開閉可能な蓋部33及び取っ手36が設けられているものの、「筐体31」自体は可動する部材を含んで構成されてはいないから、引用発明の「筐体31」は「可動部分を含まない」ものである。よって、上記相違点1は実質的な相違点ではない。
(ウ)仮に、本願発明の「可動部分を含まない」「保護筐体」との構成が、「保護筐体」に「可動部分」が取り付けられていない、という意味であると解釈しても、引用発明の「筐体31の引出面32に設けられた開閉可能な蓋部33」は、「引出面32」を開放及び閉塞することで、「X線検出センサ22をユニット化したユニット部品35」を「出し入れ」するために設けられているものであるから、「引出面32」を開放及び閉塞するための「蓋部33」を、ヒンジ等を用いて「可動部分」として構成するか、ネジ等を用いて可動しない脱着部分として構成するのかは、コスト、利便性、強度等、それぞれのメリット・デメリットを総合的に勘案して、当業者が適宜決定できる設計上の事項にすぎない。よって、引用発明の「筐体31の引出面32」に「開閉可能な蓋部33」を設ける代わりに、可動しない脱着可能な蓋部を設けることで、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは当業者が適宜なし得たことである。

イ 相違点2について
(ア)本願の優先日前には、放射線画像を記録するための部材を収納する筐体を単一の部材で形成することは周知技術であったと認められる(以下「周知技術1」という。例えば、原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された特開2004-1995号公報の段落【0071】?【0073】には、「放射線画像記録シート」が「収容されたカセッテ110」における「筐体116」及び「蓋体118」を「樹脂等の一体成形によって構成」することが記載されており、原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用された特開2000-267209号公報の段落【0068】には、「放射線画像変換シート12′が収納されている」「カセッテ9′」を「矩形箱型の一体成形」とすることが記載されており、特開2000-275762号公報の段落【0014】には、「放射線記録媒体を収納する」「カセッテ」の「筐体12および蓋体14」を「樹脂等の一体成型によって構成」することが記載されており、特開2002-311527号公報の段落【0017】及び【0030】には、「X線検出センサ12が内蔵され」た「X線画像撮影装置」を「角筒型の筐体にすることにより、一体構造」とすることが記載されている。)
(イ)引用発明では、「筐体31」(保護筐体)をどのように形成するのかは特定されておらず、引用例の記載から「筐体31」の形成を特定のものに限定すべき特段の事情も見いだせない。よって、引用発明の「筐体31」について、「放射線画像を記録するための部材を収納する筐体」という共通の作用・機能を有する特定事項を備え、技術分野が同一の又は関連する周知技術1を適用し、引用発明の「筐体31」を単一の部材で形成することで、本願発明の「単一個構成」とし、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得た事項である。あるいは、そもそも筐体とは機器を収めている箱であるから、相違点2に係る構成は、機器を適切に収めることができる範囲内で、コスト、利便性、強度等、それぞれのメリット・デメリットを総合的に勘案して、当業者が適宜決定できる設計上の事項にすぎない。
(ウ)なお、上記(1)イでは、引用発明の「筐体31」が本願発明の「保護筐体」に相当するものとしたが、仮に、引用発明の「筐体31」及び「取っ手36」が本願発明の「保護筐体」に相当すると解釈されるべきものであったとしても、特開2002-82172号公報の段落【0012】における「図14に示すように筐体2の一端面に枠状の把手10を一体に設けた電子カセッテ1”」との記載及び図14、段落【0040】における「把持用筒部54と把持用孔部55」が形成された「筐体本体52と蓋体53」との記載及び図5、特開2006-113053号公報の段落【0023】における「上側カバー54及び下側カバー56は集合的に、組み立てられたときに把手50を形成する。」との記載及び図3?4などから、放射線画像撮影装置の筐体と把手を一体に形成することは本願の優先日前に周知技術であったところ(以下「周知技術2」という。)、引用発明の「筐体31」及び「取っ手36」について、上記周知技術1及び2を適用することで、本願発明の「単一個構成」とし、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、上記(イ)で述べたとおり、コスト、利便性、強度等、それぞれのメリット・デメリットを総合的に勘案して、当業者が適宜決定できる設計上の事項にすぎない。

(4)効果
上記相違点1?2に係る本願発明の発明特定事項により奏される効果について、格別顕著な点は見いだせない。

(5)まとめ
上記(1)?(4)のとおり、本願発明は、引用例に記載された引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。


5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-11-24 
結審通知日 2015-12-01 
審決日 2015-12-15 
出願番号 特願2007-253094(P2007-253094)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G03B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高橋 雅明  
特許庁審判長 樋口 信宏
特許庁審判官 佐竹 政彦
清水 康司
発明の名称 ディジタルX線検出器  
代理人 田中 拓人  
代理人 荒川 聡志  
代理人 黒川 俊久  
代理人 小倉 博  

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