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審決分類 審判 査定不服 特29条の2 特許、登録しない。 C09K
管理番号 1314147
審判番号 不服2014-23891  
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-11-25 
確定日 2016-05-06 
事件の表示 特願2012-526107号「熱伝達組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成23年3月3日国際公開、WO2011/023923、平成25年1月31日国内公表、特表2013-503230号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2010年(平成22年)4月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2009年(平成21年)8月28日 英国(GB))を国際出願日とする出願であって、平成25年12月16日付けの拒絶理由通知に応答して平成26年4月3日付けの手続補正書と意見書が提出されたが、拒絶理由通知に記載した理由2ないし4により、平成26年7月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成26年11月25日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に、請求項の削除を目的とした手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1ないし52に係る発明は、平成26年11月25日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲請求項1ないし52に記載された事項により特定されるものであり、請求項1に係る発明は次のとおりである(以下、「本願発明」という)。

「【請求項1】55?70重量%のR‐1234yf、25?40重量%のR‐134a、及び2?10重量%のR‐32からなる(但し、以下の組成物:
【表1】


を除く)熱伝達組成物。」

3.原査定の理由
原査定の理由は、平成25年12月16日付けの拒絶理油通知における理由2ないし4であり、そのうちの理由3は、この出願の請求項1-36、41-48、52-56に係る発明は、その出願の日前の外国語特許出願(特許法第184条の4第3項の規定により取り下げられたものとみなされたものを除く)であって、その出願後に国際公開がされた特願2011-537566号(国際公開2010/059677号)の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の外国語特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記外国語特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない(同法第184条の13参照)、というものである。

4.引用出願
原査定の拒絶理由に引用された特願2011-537566号(以下、「先願」という)は、この出願の優先権主張の日(2009年8月28日)前である2008年11月19日を優先日として、この出願の出願日前の2009年11月18日に国際出願され、この出願の優先権主張の日後に国際公開(国際公開2010/059677号)され、その後特許法第184条の4第1項に規定する翻訳文が提出された、国際特許出願PCT/US2009/064921である。
先願の、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲(なお、図面は添付されていない)(以下、「先願明細書」という)には、以下の事項が記載されており、そして、先願において優先権主張の基礎となる米国出願61/116,029(2008年11月19日出願)の出願当初明細書にも同じ事項が記載されている。
なお、先願明細書の以下の摘示事項については、先願明細書の翻訳文が記載されている特表2012-509390号公報(以下、「公表公報」という)の該当箇所の訳文をもって示し、先願明細書と公表公報の双方における記載箇所を明示した。

(ア)先願明細書:第60頁3行?15行の請求の範囲1.
公表公報:特許請求の範囲【請求項1】
「1.HFO-1234yf、HFC-152a、およびHFC-134a;
HFO-1234yf、HFC-125、およびHFC-152a;
HFO-1234yf、HFC-125、およびHFC-134a;
HFO-1234yf、HFC-32、およびHFC-134a;
HFO-1234yf、HFC-32、HFC-125、およびHFC-134a;
HFO-1234zeおよびHFC-32;
HFO-1234zeおよびHFC-125;
HFO-1234ze、HFC-125、およびHFC-152a;
HFO-1234ze、HFC-125、およびHFC-134a;
HFO-1234ze、HFC-32、およびHFC-134a;ならびに
HFO-1234ze、HFC-32、HFC-125、およびHFC-134a;
を含む組成物からなる群から選択される組成物。」

(イ)先願明細書:第10頁10行?14行
公表公報:段落【0036】
「出願人が『含む(comprising)』などの制約のない用語で発明またはその一部を定義した場合、その説明は(他に記載されない限り)、『から本質的になる(consisting essentially of)』または『からなる(consisting of)』という用語を用いて同様にこのような発明を説明すると解釈されるべきであることは、容易に理解されるはずである。」

(ウ)先願明細書:第31頁15行?25行
公表公報:段落【0113】
「使用方法
本明細書に開示される組成物は、伝熱組成物、エアロゾル噴射剤、起泡剤、発泡剤、溶媒、洗浄剤、キャリア流体、置換乾燥剤、バフ研磨剤、重合媒体、ポリオレフィンおよびポリウレタン用の膨張剤、気体誘電体、消火剤、および鎮火剤として有用である。さらに、液体または気体の形態で、開示される組成物は、熱源からヒートシンクへ熱を運ぶために使用される作動流体としての機能も果たすことができる。このような伝熱組成物は、流体が相変化(すなわち、液体から気体、そして反対または逆方向)を受けるサイクルにおける冷媒としても有用である。」

(エ)先願明細書:第38頁1行?9行
公表公報:段落【0133】
「実施例1
蒸気漏出の影響
約23℃の温度で初期組成物が容器に充填され、組成物の初期蒸気圧が測定される。初期組成物の50重量パーセントが除去されるまで、温度を一定に保持しながら組成物を容器から漏出させ、この時点で、容器内に残存している組成物の蒸気圧が測定される。結果は表2に示される。」

(オ)先願明細書:表2のうちの「1234yf/32/134a」の欄(第
41?42頁)
公表公報:段落【0137】【表5】と段落【0137】【表6】のう
ちの「1234yf/32/134a」の欄








(カ)先願明細書:表5のうちの「HFO-1234yf/HFC-32/H
FC-134a」の欄(第50頁)
公表公報:段落【0151】【表13】のうちの「HFO-1234y
f/HFC-32/HFC-134a」の欄





5.先願明細書に記載の発明
(キ)上記(ア)及び(イ)からして、先願明細書には、「HFO-1234yf、HFC-134a、およびHFC-32からなる組成物」が記載されているということができる。

(ク)上記(オ)からして、先願明細書には、「HFO-1234yf/HFC-134a/HFC-32の組成wt%が、例えば『65/30/5wt%』及び『70/25/5wt%』である」ことが記載されているということができる。

上記(ア)ないし(カ)の記載事項及び上記(キ)(ク)の検討事項より、先願明細書には、
「HFO-1234yf、HFC-134a、およびHFC-32からなり、HFO-1234yf/HFC-134a/HFC-32の組成wt%が、例えば『65/30/5wt%』及び『70/25/5wt%』である組成物。」(以下、「先願発明」という)が記載されているものと認める。

6.対比、判断
本願発明と先願発明とを対比する。
先願発明の「組成物」は、明細書中の記載(上記(ウ)参照)によれば、「伝熱組成物」として使用されるものであるから、本願発明の「熱伝達組成物」に相当する。
また、先願発明の「HFO-1234yf」、「HFC-134a」及び「HFC-32」は、技術常識からして、本願発明の「R‐1234yf」、「R‐134a」及び「R‐32」それぞれに相当する。
さらに、先願発明の「および」は、本願発明の「及び」に相当する。
そうすると、両発明は、「R‐1234yf、R‐134a、及びR‐32からなる熱伝達組成物。」である点で一致し、次の点で一応相違している。

<相違点>
本願発明では、熱伝達組成物におけるR‐1234yf、R‐134a、及びR‐32の重量%が「55?70重量%」、「25?40重量%」、及び「2?10重量%」であり、そのうち、「以下の組成物:
【表1】


を除く」とされているのに対して、先願発明では、HFO-1234yf(R-1234yf)、HFC-134a(R-134a)、及びHFC-32(R-32)の組成wt%が、例えば「65/30/5wt%」及び「70/25/5wt%」である点。

以下、この一応の相違点について検討する。
本願発明の熱伝達組成物におけるR‐1234yf、R‐134a、及びR‐32の重量%について、明細書には、好ましい重量%である「(i)約20?約90重量%R‐1234yf、(ii)約10?約60重量%R‐134a、および(iii)約1?約20重量%R‐32」(段落【0026】)、「(i)約30?約85重量%R‐1234yf、および(ii)約15?約55重量%R‐134a、および(iii)約1?約15重量%R‐32」(【0028】)、「(i)約40?約80重量%R‐1234yf、および(ii)約20?約50重量%R‐134a、および(iii)約1?約10重量%R‐32」(【0029】)、「(i)約50?約75重量%R‐1234yf、および(ii)約25?約45重量%R‐134a、および(iii)約1?約10重量%R‐32」(【0030】)、「(i)約55?約70重量%R‐1234yf、および(ii)約25?約40重量%R‐134a、および(iii)約2?約10重量%R‐32」(【0031】)、「(i)約55?約65重量%R‐1234yf、および(ii)約30?約40重量%R‐134a、および(iii)約2?約8重量%R‐32」(【0032】)が記載され、また、さらに好ましい重量%である「58、38、4」、「59、37、4」、「60、36、4」、「61、35、4」、「62、34、4」、「63、33、4」、「64、32、4」、「65、31、4」、「66、30、4」、「67、29、4」、「68、28、4」(段落【0033】【表2】)が記載されており、これらの重量%のいずれも、本願発明のR‐1234yf、R‐134a、及びR‐32の重量%の「55?70重量%」、「25?40重量%」、及び「2?10重量%」の範囲内に入っているものの、本願発明において実施例に記載されているのは、「63重量%」、「33重量%」、及び「4重量%」のただ一つのみであり、本願発明の重量%と、本願発明から外れる重量%との比較などはなされていないことからして、本願発明において、R‐1234yf、R‐134a、及びR‐32の重量%を「55?70重量%」、「25?40重量%」、及び「2?10重量%」と特定したことについて、本願明細書の段落【0037】において、「当業者であれば、この明細書の開示に基づき、燃焼性、GWP、冷却性能などの望ましい組合せを有した本発明の組成物を生産するために適した量のR‐1234yf、R‐134a(およびR‐32)を選択することができるであろう」と記されているとしても、上記「55?70重量%」、「25?40重量%」、及び「2?10重量%」の範囲内のすべてにおいて顕著な効果が奏されるかどうかは不明である。
一方、先願発明において、HFO-1234yf(R-1234yf)、HFC-134a(R-134a)、及びHFC-32(R-32)の組成wt%について、先願明細書には、表2(上記(オ)で示した段落【0137】【表5】と【0137】【表6】参照)、及び、表5(上記(カ)で示した段落【0151】【表13】参照)において、さまざまな上記の組成wt%の記載があり、特に、表2(上記(オ)で示した【0137】【表6】参照)には、「55?70重量%」、「25?40重量%」、及び「2?10重量%」の範囲内にある「65/30/5wt%」及び「70/25/5wt%」が記載されているところ、上記で示したように、さまざまな上記の組成wt%が記載されていることからして、先願発明は、上記「65/30/5wt%」及び「70/25/5wt%」のみに限定されるものではない。
そして、上記「65/30/5wt%」及び「70/25/5wt%」それぞれの「初期P(Psia)、初期P(kPa)、50%漏出後(Psia)、50%漏出後(kPa)、デルタP(%)」は、表2(上記(オ)で示した【0137】【表6】参照)からして、「114.0、786、104.0、717、8.8%」及び「110.4、761、103.8、716、6.0%」であって、特に、初期P(Psia)、初期P(kPa)、50%漏出後(Psia)、50%漏出後(kPa)の数値(実測値)については同等であり、また、「65/30/5wt%」と「70/25/5wt%」は、近接する組成wt%ポイントであることからして、上記「65/30/5wt%」及び「70/25/5wt%」と、これらの間であると共に本願発明の重量%の範囲内にある「65より大きく70未満/25より大きく30未満/5wt%」とについて、両者の「初期P(Psia)、初期P(kPa)、50%漏出後(Psia)、50%漏出後(kPa)、デルタP(%)」の数値を仮想で比較したとき、上記からして、この数値に大きな差異があるとは言い難く、よって、先願発明は、上記「65より大きく70未満/25より大きく30未満/5wt%」を包含するものであるといわざるをえない。
また、上記で示したように、本願発明の「55?70重量%」、「25?40重量%」、及び「2?10重量%」の範囲内のすべてにおいて顕著な効果が奏されるかどうかは不明であることからして、本願発明において、「65より大きく70未満/25より大きく30未満/5wt%」を選択することに格別の技術的意義が存するとは言い難い。
そうすると、本願発明が「(但し、以下の組成物:
【表1】


を除く)」ものであるとしても、この「除く」のみでもって先願発明との同一性を回避することはできない。
したがって、本願発明は、上記先願明細書に記載された発明と同一である。

7.むすび
以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第184条の13の規定により読み替えて適用される特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、したがって、請求項2ないし52に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-12-02 
結審通知日 2015-12-03 
審決日 2015-12-17 
出願番号 特願2012-526107(P2012-526107)
審決分類 P 1 8・ 16- Z (C09K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 馬籠 朋広  
特許庁審判長 星野 紹英
特許庁審判官 橋本 栄和
豊永 茂弘
発明の名称 熱伝達組成物  
代理人 高村 雅晴  
代理人 加島 広基  
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