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審決分類 |
審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 G11B 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G11B |
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管理番号 | 1314163 |
審判番号 | 不服2015-2498 |
総通号数 | 198 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-06-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-02-09 |
確定日 | 2016-05-06 |
事件の表示 | 特願2012-519476「物理クラスタを形成する装置及び方法、再生装置、再生方法並びに情報記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 1月13日国際公開、WO2011/005047、平成24年12月20日国内公表、特表2012-533138〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成22年7月9日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2009年7月9日 米国(US) 2009年9月4日 韓国(KR))を国際出願日とする出願であって、手続の概要は以下のとおりである。 手続補正 :平成24年 3月 5日 拒絶理由通知 :平成25年11月29日(起案日) 意見書 :平成26年 4月 3日 手続補正 :平成26年 4月 3日 拒絶査定 :平成26年10月 2日(起案日) 拒絶査定不服審判請求 :平成27年 2月 9日 手続補正 :平成27年 2月 9日 第2 平成27年2月9日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成27年2月9日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.本件補正 平成27年2月9日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲及び明細書についてするもので、請求項1については、本件補正前に、 「 【請求項1】 物理クラスタを形成する装置において、 ユーザデータ及び前記物理クラスタのアドレス情報を生成し、前記アドレス情報に第1パリティを付加することによって、前記アドレス情報を第1ECC符号化し、所定変調方法によって前記第1ECC符号化されたアドレス情報を変調し、前記変調されたアドレス情報に第2パリティを付加する制御部と、 前記第2パリティが付加された前記アドレス情報と前記ユーザデータをインターリービングすることによって前記物理クラスタを形成するピックアップ部と、を備えることを特徴とする装置。」 とあったところを、 本件補正後、 「 【請求項1】 物理クラスタを形成する装置において、 ユーザデータ及び前記物理クラスタのアドレス情報を生成し、前記アドレス情報に第1パリティを付加することによって、前記アドレス情報を第1ECC符号化し、所定変調方法によって前記第1ECC符号化されたアドレス情報を変調し、前記変調されたアドレス情報に第2パリティを付加することによって前記第2パリティが付加された前記変調されたアドレス情報を第2ECC符号化する制御部と、 前記第2ECC符号化されたアドレス情報と前記ユーザデータをインターリービングすることによって前記物理クラスタを形成するピックアップ部と、を備え、 前記変調は、前記第2ECC符号化が行われる前に遂行されることを特徴とする装置。」 とするものである。 上記本件補正の内容は、請求項1について、発明特定事項である、制御部が「前記変調されたアドレス情報に第2パリティを付加する」動作について、前記変調されたアドレス情報に第2パリティを付加する「ことによって前記第2パリティが付加された前記変調されたアドレス情報を第2ECC符号化する」と限定し、制御部が「所定変調方法によって前記第1ECC符号化されたアドレス情報を変調」する動作について、「前記第2ECC符号化が行われる前に遂行される」と限定したものである。 本件補正は、発明特定事項を限定するものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか)否かについて、以下検討する。 2.先願明細書等 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張の日前の特許出願であって、本願の優先権主張の日後に公開された特願2009-114241号(平成21年5月11日出願、特開2010-262713号)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「先願明細書等」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。(なお、下線は当審で付与した。) (1)「【0001】 本発明は、光ディスク等の記録媒体、およびその記録媒体に対応する記録装置、記録方法、再生装置、再生方法に関する。」 (2)「【0005】 ところが、現行バージョンのブルーレイディスク(以下「Ver1.0ディスク」ともいう)に対応して各種スペックが決められ、既に市販されているディスクドライブ装置(以下「Ver1.0ドライブ」ともいう)との間で問題が生ずるおそれがある。 例えば3層以上の多層構造などとされる新たなバージョンのブルーレイディスク(以下「Ver2.0ディスク」ともいう)が、将来的に市販されるようになると、ユーザサイドではVer2.0ディスクをVer1.0ドライブに装填することも起こりえる。 基本的には同一のブルーレイディスクフォーマットであるため、Ver2.0ディスクをVer1.0ドライブで記録又は再生が絶対に不可能というわけではない。しかし、Ver2.0ディスクを、高密度化や多層化により実現すると、Ver1.0ドライブが備えた各種スペックでは不十分となることが想定される。 すると、Ver2.0ディスクをVer1.0ドライブで記録再生する場合において、記録エラーや再生エラーの発生頻度が高くなる恐れがある。 【0006】 本発明はこのような事情に鑑み、Ver2.0ディスクをVer1.0ドライブに装填しても、記録再生ができないようにするものである。つまり、中途半端に記録再生ができるよりは、Ver1.0ドライブに対するVer2.0ディスクの互換性が無いようにする。これによってユーザサイドでのブルーレイディスクシステムの使用性を逆に高める。」 (3)「【0028】 まず図3には、メインデータ(ユーザーデータ)についてのECCフォーマットを示している。 ECC(エラー訂正コード)としては、メインデータ64KB(=1セクターの2048バイト×32セクター)に対するLDC(long distance code)と、BIS(Burst indicator subcode)の2つがある。 【0029】 図3(a)に示すメインデータ64KBについては、図3(b)のようにECCエンコードされる。即ちメインデータは1セクタ2048Bについて4BのEDC(error detection code)を付加し、32セクタに対し、LDCを符号化する。LDCはRS(248,216,33)、符号長248、データ216、ディスタンス33のRS(reed solomon)コードである。304の符号語がある。 【0030】 一方、BISは、図3(c)に示す720B(Byte)のデータに対して、図3(d)のようにECCエンコードされる。即ちRS(62,30,33)、符号長62、データ30、ディスタンス33のRS(reed solomon)コードである。24の符号語がある。 【0031】 図5(a)にメインデータについてのフレーム構造を示している。 上記LDCのデータと、BISは図示するフレーム構造を構成する。即ち1フレームにつき、データ(38B)、BIS(1B)、データ(38B)、BIS(1B)、データ(38B)が配されて155Bの構造となる。つまり1フレームは38B×4の152Bのデータと、38BごとにBISが1B挿入されて構成される。 フレームシンクFS(フレーム同期信号)は、1フレーム155Bの先頭に配される。1つのブロックには496のフレームがある。 LDCデータは、0,2,・・・の偶数番目の符号語が、0,2,・・・の偶数番目のフレームに位置し、1,3,・・・の奇数番目の符号語が、1,3,・・・の奇数番目のフレームに位置する。 【0032】 BISはLDCの符号より訂正能力が非常に優れた符号をもちいており、ほぼ、すべて訂正される。つまり符号長62に対してディスタンスが33という符号を用いている。 このため、エラーが検出されたBISのシンボルは次のように使うことができる。 ECCのデコードの際、BISを先にデコードする。図5(a)のフレーム構造において隣接したBISあるいはフレームシンクFSの2つがエラーの場合、両者のあいだにはさまれたデータ38Bはバーストエラーとみなされる。このデータ38Bにはそれぞれエラーポインタが付加される。LDCではこのエラーポインタをつかって、ポインターイレージャ訂正をおこなう。 これによりLDCだけの訂正より、訂正能力を上げることができる。 BISにはアドレス情報等が含まれている。このアドレス情報は、ROMタイプディスク等で、ウォブリンググルーブによるアドレス情報がない場合等につかわれる。もちろん記録可能ディスクにおける再生時のアドレス取得にも使用できる。 【0033】 なお、最小記録単位となるRUB(recording unit block:記録再生クラスタ)は、図5(a)に示したメインデータのECCブロックの496フレームに、その前後に2フレームのPLL等のためのリンクエリアを付加した498フレームで構成される。」 (4)「【0040】 [2.データ内アドレスの記録再生] 本例のディスク(Ver2.0ディスク)におけるデータ内アドレスの記録再生について説明する。データ内アドレスとは、図3,図5(a)で述べたメインデータのECCブロック構造においてBISに含まれるアドレス情報のことである。 【0041】 図6(a)(b)は、Ver1.0ディスクと、Ver2.0ディスク(本実施の形態のディスク)におけるアドレスユニットナンバ(AUN)構造を示している。 まず図6(a)のように、Ver1.0ディスクは、4シンボル(1シンボル=8ビット)のAUNとしてAUN0?AUN3で形成される。この4シンボルを、ビットA0?A31で示している。 A0?A4の5ビットは、クラスタ内ナンバである。クラスタは、データの記録単位である1つのRUB(recording unit block:記録再生クラスタ)を構成する単位である。 A5?A23の19ビットは、クラスタアドレスとなる。 A24?A26の3ビットはレイヤーナンバ(記録層のナンバ)となる。 A27?A31はリザーブとされている。 【0042】 これに対しVer2.0ディスクの場合は、AUN構造は図6(b)のようになる。 4シンボルのAUN0?AUN3としてのビットA0?A31において、A0?A4の5ビットは、クラスタ内ナンバである。 A5?A24の20ビットは、クラスタアドレスとなる。 A25?A27の3ビットはレイヤーナンバとなる。 A28?A31はリザーブとされている。 つまり、大容量化によって総クラスタ数が増えることに対応し、クラスタアドレスのビット数を20ビットにしている。 【0043】 このようなアドレス情報のエラー訂正符号化(ECCエンコード)は、図7のアドレスユニット単位で行われる。 図7(a)では、それぞれ9バイトのアドレスユニットAU0?AU15を示している。 アドレスユニットAU0は、アドレスフィールドAF0,0?AF8,0で構成される。 アドレスユニットAU1は、アドレスフィールドAF0,1?AF8,1で構成される。 同様にしてアドレスユニットAU15までがそれぞれ9バイトで構成される。 1つのアドレスフィールドAFは1バイト(1シンボル)である。 【0044】 この9バイトのアドレスユニット単位でECCエンコードが行われる。アドレスユニットAUは、図6に示したAUNとパリティを含む。 例えばアドレスユニットAU0を例に採ると、図7(b)のようになる。 アドレスユニットAU0のアドレスフィールドAF0,0、AF1,0、AF2,0、AF3,0については、アドレスユニットナンバAUN3,AUN2,AUN1,AUN0が、それぞれ割り当てられる。 アドレスフィールドAF4,0はフラグビットとされる。 アドレスフィールドAF5,0?AF8,0には、パリティ(Parity3?Parity0)が割り当てられる。 このアドレスユニット単位のECCエンコードによるエラー訂正は、9シンボル内に4シンボルのパリティを持つことで、2シンボル以内の誤りを訂正できる能力を持つことになる。 即ちアドレスユニットとして形成されるエラー訂正符号化データは、RS(9,5,5)、符号長9、データ5、ディスタンス5のRSコードである。 【0045】 図8に、メインデータブロック内のアドレスユニットの配置を示す。このメインデータブロックは図5(a)に示したものである。 496フレームのメインデータブロックにおいて、31フレーム単位でアドレスユニットがBISを用いて配置される。 1フレームにつきBISは3バイトあり、31フレームでは、BISは93バイトとなるが、そのうちの先頭の9バイトでアドレスユニットが配置される。残りのBISバイトにはコントロールデータ等が配置される。 図示のように、アドレスユニットAU0を構成するアドレスフィールドAF0,0?AF8,0は、最初の31フレームにおいてBISの9バイトに配置される。 またアドレスユニットAU1を構成するアドレスフィールドAF0,1?AF8,1は、2番目の31フレームにおけるBISの9バイトに配置される。 以降、同様にアドレスユニットAU2?AU15が、同様に各31フレーム内のBISに配置される。 【0046】 上述したようにBISはエラー訂正能力は高いものであるが、アドレスユニットのエラー訂正については、アドレスユニット単位で行われる。これは迅速性が要求されるアドレスデコードに関しては、図3(d)のBISブロックを用いた訂正では間に合わないためである。 そのためアドレス情報の訂正能力はアドレスユニットAUの訂正能力に依存するものとなり、上述のように2シンボル以内の訂正が可能とされる。 換言すれば、3シンボル以上のエラーは訂正できないものとなる。さらに言えば、3シンボル以上のエラーを敢えて生じさせると、アドレスが復号できないことになる。 【0047】 本実施の形態では、Ver2.0ディスクは、Ver1.0ドライブにおいて記録再生ができないようにする。記録再生ができないようにするには、Ver1.0ドライブにおいてアドレスデコードができないようにすればよい。アドレス情報が復号できなければ、記録再生のためのアクセスができないためである。 そこで上記のようなアドレスユニットAUとしてECCエンコードされるアドレス情報の記録再生に関して次のような処理を行う。 【0048】 本例のVer2.0ディスクに対して情報を記録する際、まずアドレス情報のエラー訂正符号化については、Ver1.0ディスクと共通のエラー訂正符号化を行う。つまり図7に示したアドレスユニットAU単位のエラー訂正符号化である。 但し、そのままアドレス情報を図8のメインデータブロックのBISに割り当てていくのではなく、9シンボル(9個のアドレスフィールド)のアドレスユニットAUの一部を変形する。具体的には所定のシンボルにおいて全部又は一部のビットを反転させる。その上で、一部ビット反転されたエラー訂正符号化データ(アドレスユニット)を、図8のようにBISに割り当て、メインデータブロックを形成して記録する。」 (5)「【0096】 ディスク100(Ver2.0ディスク)は、図示しないターンテーブルに積載され、記録/再生動作時においてスピンドルモータ2によって一定線速度(CLV)で回転駆動される。 そしてディスク100が記録可能タイプのディスクである場合、光学ピックアップ1によってディスク100上のグルーブトラックのウォブリングとして埋め込まれたADIP情報の読み出しがおこなわれる。 また記録時には光学ピックアップによってトラックにメインデータがフェイズチェンジマークや色素変化マークとして記録され、再生時には光学ピックアップによって記録されたマーク(ユーザデータ及びデータ内アドレス等)の読出が行われる。 ディスク100が再生専用タイプのディスクである場合、光学ピックアップ1によってディスク100上のエンボスピット列によるトラックからユーザデータやデータ内アドレス等の読出が行われる。」 (6)「【0110】 以上のようなサーボ系及び記録再生系の各種動作はマイクロコンピュータによって形成されたシステムコントローラ10により制御される。 システムコントローラ10は、AVシステム20からのコマンドに応じて各種処理を実行する。」 上記摘示事項及び図面の記載から以下のことがいえる。 (a)先願明細書等には、「記録装置」が記載されている(摘示事項(1))。 (b)メインデータ(ユーザーデータ)についてのECC(エラー訂正コード)としては、メインデータ64KBに対するLDCと、BISの2つがある(摘示事項(3))。 (c)BISは、720B(Byte)のデータに対して、パリティを付加してECCエンコードされる(摘示事項(3)、図3(c)、(d))。 (d)メインデータは、LDCのデータと、BISとがインターリーブされたフレーム構造を構成する(摘示事項(3)、図5(a))。 (e)BISにはアドレス情報等が含まれている(摘示事項(3))。 (f)アドレス情報は、クラスタアドレスを含む(摘示事項(4))。 (g)アドレス情報のエラー訂正符号化(ECCエンコード)は、アドレスユニット単位で行われ、パリティが付加される(摘示事項(4)、図7)。 (h)メインデータブロックにおいて、アドレスユニットがBISを用いて配置される(摘示事項(4))。 (i)ディスクに対して情報を記録する際、まずアドレス情報のエラー訂正符号化については、アドレスユニットAU単位のエラー訂正符号化を行う。9シンボル(9個のアドレスフィールド)のアドレスユニットAUの一部のビットを反転させる。その上で、一部ビット反転されたエラー訂正符号化データ(アドレスユニット)を、BISに割り当て、メインデータブロックを形成して記録する(摘示事項(4))。 (j)光学ピックアップによってメインデータが記録される(摘示事項(5))。 (k)各種動作はシステムコントローラ10により制御される(摘示事項(6))。 以上を総合勘案すると、先願明細書等には、次の発明(以下「先願発明」という。)が記載されているものと認める。 「記録装置であって、 メインデータ(ユーザーデータ)についてのECC(エラー訂正コード)としては、メインデータ64KBに対するLDCと、BISの2つがあり、 BISは、720B(Byte)のデータに対して、パリティを付加してECCエンコードされ、 メインデータは、LDCのデータと、BISとがインターリーブされたフレーム構造を構成し、 BISにはアドレス情報等が含まれており、 アドレス情報は、クラスタアドレスを含み、 アドレス情報のエラー訂正符号化(ECCエンコード)は、アドレスユニット単位で行われ、パリティが付加され、 メインデータブロックにおいて、アドレスユニットがBISを用いて配置され、 ディスクに対して情報を記録する際、まずアドレス情報のエラー訂正符号化については、アドレスユニットAU単位のエラー訂正符号化を行い、9シンボル(9個のアドレスフィールド)のアドレスユニットAUの一部のビットを反転させ、その上で、一部ビット反転されたエラー訂正符号化データ(アドレスユニット)を、BISに割り当て、メインデータブロックを形成して記録し、 光学ピックアップによってメインデータが記録され、 各種動作はシステムコントローラ10により制御される記録装置。」 3.対比・判断 そこで、本件補正発明と先願発明とを対比する。 (1)物理クラスタを形成する装置 先願発明の「メインデータブロック」(図5(a))は、「物理クラスタ」といえる。 したがって、本件補正発明と先願発明とは、「物理クラスタを形成する装置」である点で一致する。 (2)ユーザデータ及びアドレス情報の生成 先願発明のLDCには「ユーザデータ」が含まれ、BISには「アドレス情報」が含まれ、「アドレス情報」には「クラスタアドレス」が含まれる。 したがって、本件補正発明と先願発明とは、「ユーザデータ及び前記物理クラスタのアドレス情報を生成」する点で一致する。 (3)第1ECC符号化 先願発明のアドレス情報のエラー訂正符号化については、アドレスユニットAU単位のエラー訂正符号化を行い、パリティが付加される。 したがって、本件補正発明と先願発明とは、「前記アドレス情報に第1パリティを付加することによって、前記アドレス情報を第1ECC符号化」する点で一致する。 (4)変調 先願発明は、9シンボル(9個のアドレスフィールド)のアドレスユニットAUの一部のビットを反転させる。 したがって、本件補正発明と先願発明とは、「所定変調方法によって前記第1ECC符号化されたアドレス情報を変調」する点で一致する。 (5)第2ECC符号化 先願発明は、一部ビット反転されたエラー訂正符号化データ(アドレスユニット)を、BISに割り当てる。BISは、720B(Byte)のデータに対して、パリティを付加してECCエンコードされる。 したがって、本件補正発明と先願発明とは、「前記変調されたアドレス情報に第2パリティを付加することによって前記第2パリティが付加された前記変調されたアドレス情報を第2ECC符号化する」点で一致する。 (6)制御部 先願発明の「システムコントローラ10」は、各種動作を制御する。 したがって、本件補正発明と先願発明とは、「ユーザデータ及び前記物理クラスタのアドレス情報を生成し、前記アドレス情報に第1パリティを付加することによって、前記アドレス情報を第1ECC符号化し、所定変調方法によって前記第1ECC符号化されたアドレス情報を変調し、前記変調されたアドレス情報に第2パリティを付加することによって前記第2パリティが付加された前記変調されたアドレス情報を第2ECC符号化する制御部」を備える点で一致する。 (7)物理クラスタの形成 先願発明は、一部ビット反転されたエラー訂正符号化データ(アドレスユニット)を、BISに割り当て、メインデータブロックを形成する。メインデータは、LDCのデータと、BISとがインターリーブされたフレーム構造を構成する。 したがって、本件補正発明と先願発明とは、「前記第2ECC符号化されたアドレス情報と前記ユーザデータをインターリービングすることによって前記物理クラスタを形成する」点で一致する。 (8)ピックアップ部 先願発明の「光学ピックアップ」は、メインデータを記録する。 したがって、本件補正発明と先願発明とは、「前記第2ECC符号化されたアドレス情報と前記ユーザデータをインターリービングすることによって前記物理クラスタを形成するピックアップ部」を備える点で一致する。 (9)変調の遂行 先願発明は、9シンボル(9個のアドレスフィールド)のアドレスユニットAUの一部のビットを反転させ、その上で、一部ビット反転されたエラー訂正符号化データ(アドレスユニット)を、BISに割り当てる。BISは、720B(Byte)のデータに対して、パリティを付加してECCエンコードされる。 したがって、本件補正発明と先願発明とは、「前記変調は、前記第2ECC符号化が行われる前に遂行される」点で一致する。 そうすると、本件補正発明と先願発明とは、全ての点で一致する。 したがって、本件補正発明は、先願明細書等に記載された発明と同一であり、しかも、本件出願の発明者が先願明細書等に記載された発明をした者と同一でなく、また本件出願の時において、その出願人が上記先願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4.本件補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 平成27年2月9日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし11に係る発明は、平成26年4月3日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2[理由]1.」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。 2.先願明細書等 原査定の拒絶の理由で引用された先願明細書等及びその記載事項は、上記「第2[理由]2.」に記載したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は、上記「第2[理由]3.」で検討した本件補正発明から、発明特定事項である、制御部が「前記変調されたアドレス情報に第2パリティを付加する」動作について、前記変調されたアドレス情報に第2パリティを付加する「ことによって前記第2パリティが付加された前記変調されたアドレス情報を第2ECC符号化する」との構成を削除し、制御部が「所定変調方法によって前記第1ECC符号化されたアドレス情報を変調」する動作について、「前記第2ECC符号化が行われる前に遂行される」との構成を削除したものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明が、上記「第2[理由]3.」に記載したとおり、先願明細書等に記載された発明と同一であるから、本願発明も、同様の理由により、先願明細書等に記載された発明と同一である。 4.むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-11-25 |
結審通知日 | 2015-12-01 |
審決日 | 2015-12-14 |
出願番号 | 特願2012-519476(P2012-519476) |
審決分類 |
P
1
8・
161-
Z
(G11B)
P 1 8・ 575- Z (G11B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 堀 洋介 |
特許庁審判長 |
森川 幸俊 |
特許庁審判官 |
関谷 隆一 酒井 朋広 |
発明の名称 | 物理クラスタを形成する装置及び方法、再生装置、再生方法並びに情報記録媒体 |
代理人 | 大貫 進介 |
代理人 | 伊東 忠彦 |
代理人 | 伊東 忠重 |