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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する C12N
管理番号 1314607
審判番号 訂正2016-390020  
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2016-02-04 
確定日 2016-03-25 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4970483号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4970483号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?3および8?9について訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第4970483号は、平成15年3月4日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2002年3月4日、米国)を国際出願日とする特願2003-574116号の一部を平成21年3月26日に新たな特許出願としたものであって、平成24年4月13日に設定登録され、平成28年2月4日に本件訂正審判の請求がなされたものである。

第2 請求の要旨
本件訂正審判は、本件特許の特許請求の範囲を、審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は、下記(ア)および(イ)のとおりである。

(ア)訂正事項1
請求項1における「キナーゼドメイン受容体(KDR)」を「血管内皮増殖受容体-2(VEGFR-2)」と訂正する。

(イ)訂正事項2
請求項3における「KDR」を「VEGFR-2」と訂正する。

第3 当審の判断
1.本件特許明細書の記載
本件特許明細書には、以下の事項が記載されている。
(1)「【0017】
略語-VEGF、血管内皮増殖因子;bFGF、基本線維芽細胞増殖因子;KDR、キナーゼ挿入ドメイン含有受容体(VEGF受容体2とも呼ばれる);・・・」
(2)「【0019】
発明の詳細な説明
本発明は、VEGFR-2(KDR)の細胞外ドメインに特異的に結合する抗体を提供する。」

2.訂正事項1について
(1)訂正の目的の適否
本件特許明細書の上記記載事項(1)、(2)によれば、「KDR」は「キナーゼ挿入ドメイン含有受容体」であり、その別名が「VEGF受容体2(VEGFR-2)」であること、「VEGF」とは「血管内皮増殖因子」を意味することが明らかである。
これに対して、訂正前の請求項1の「キナーゼドメイン受容体(KDR)」の下線部の記載は、上記記載事項(1)のとおり、本件特許明細書において、略語「KDR」を意味するとされる「キナーゼ挿入ドメイン含有受容体」とは一致しておらず、本件特許明細書と整合しないから、「キナーゼドメイン受容体(KDR)」の記載はその意味するところが明瞭でない。
してみると、訂正前の「キナーゼドメイン受容体(KDR)」を含む請求項1の記載は明瞭でなく、これをKDRの別名である「血管内皮増殖受容体-2(VEGFR-2)」と訂正することで請求項1は明瞭な記載となるから、上記訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)新規事項の追加の有無について
本件特許明細書の記載から、「KDR」の用語と「血管内皮増殖受容体-2(VEGFR-2)」の用語が同じものを意味することが明らかであるから、訂正事項1は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、特許法第126条第5項に規定する要件に適合するものである。

(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
「KDR」の用語と「血管内皮増殖受容体-2(VEGFR-2)」の用語が同じものを意味することは技術常識からも明らかであり、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第126条第6項に規定する要件に適合するものである。

3.訂正事項2について
(1)訂正の目的の適否
請求項3において「KDR」を「VEGFR-2」とする訂正は、訂正事項1により、請求項3が引用する請求項1の「キナーゼドメイン受容体(KDR)」の記載が「血管内皮増殖受容体-2(VEGFR-2)」と訂正されることによって、請求項3が不明瞭な記載とならないように、請求項3の記載を訂正後の請求項1の記載に整合させることを目的とするものであるから、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)新規事項の追加の有無について
上記2.(2)と同様に、訂正事項2は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、特許法第126条第5項に規定する要件に適合するものである。

(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
上記2.(3)と同様に、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第126条第6項に規定する要件に適合するものである。

第4 むすび
以上のとおり、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項および第6項の規定に適合するものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号53により表される軽鎖可変ドメイン及び配列番号24により表される重鎖可変領域ドメインを含む、血管内皮増殖因子受容体-2(VEGFR-2)に選択的に結合する単離抗体またはその断片。
【請求項2】
前記断片が単一鎖抗体、Fab、単一鎖Fv、ダイアボディ、及びトリアボディから成る群から選択される、請求項1に記載の抗体またはその断片。
【請求項3】
前記抗体又はその断片が、VEGFのVEGFR-2との結合を阻害する、請求項1又は2に記載の抗体またはその断片。
【請求項4】
配列番号53および配列番号24により表されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む、単離ポリヌクレオチド。
【請求項5】
請求項4に記載のポリヌクレオチドを含む、発現ベクター。
【請求項6】
請求項5に記載の発現ベクターを含む組み換え宿主細胞。
【請求項7】
配列番号24を含むポリペプチド及び配列番号53を含むポリペプチドを産生する、請求項6に記載の組み換え宿主細胞。
【請求項8】
請求項1?3のいずれか一項に記載の抗体またはその断片の有効量を含む、血管新生を抑制するための医薬組成物。
【請求項9】
請求項1?3のいずれか一項に記載の抗体またはその断片の有効量を含む、腫瘍増殖を低減するための医薬組成物。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2016-03-02 
結審通知日 2016-03-04 
審決日 2016-03-15 
出願番号 特願2009-76394(P2009-76394)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (C12N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐々木 大輔  
特許庁審判長 中島 庸子
特許庁審判官 高堀 栄二
三原 健治
登録日 2012-04-13 
登録番号 特許第4970483号(P4970483)
発明の名称 KDRに特異的なヒト抗体及びその利用  
代理人 松谷 道子  
代理人 落合 康  
代理人 落合 康  
代理人 松谷 道子  
代理人 鮫島 睦  
代理人 鮫島 睦  

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