• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  A63F
管理番号 1314629
審判番号 無効2014-800210  
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2014-12-17 
確定日 2016-04-25 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第5052665号発明「スロットマシン」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5052665号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5052665号に係る出願(以下,「本件出願」という。)は,平成19年6月25日に出願した特願2007-166915号の一部を平成22年12月22日に新たな特許出願としたものであり,平成24年8月3日に特許権の設定登録がなされ,その後,請求人日本電動式遊技機特許株式会社から無効審判の請求がなされたものである。
以下において,請求以後の経緯を整理して示す。

平成26年12月17日 審判請求書の提出
平成27年 3月27日 審判事件答弁書・訂正請求書の提出(被請求人)
平成27年 6月 8日 審判事件弁駁書の提出(請求人)
平成27年 9月 9日 審理事項通知書
平成27年 9月30日 口頭審理陳述要領書の提出(被請求人)
平成27年10月14日 口頭審理陳述要領書の提出(請求人)
平成27年10月28日 口頭審理陳述要領書(2)の提出(請求人)
平成27年10月28日 口頭審理
平成27年11月 2日 上申書の提出(被請求人)
平成27年11月20日 上申書の提出(請求人)

第2 当事者の主張概要
1 請求人の主張概要
請求人は,「特許第5052665号の請求項1に係る特許(以下,「本件特許」という。)を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求め」,無効とすべき理由を次のように主張すると共に,証拠方法として甲第1?9号証を提出している。
そして,平成27年3月27日に提出された訂正請求について,当事者間に争いがあり,その訂正の認否により,無効理由は以下のようになる。

(1)訂正が認められない場合
(訂正前)本件発明について
(無効理由)
本件特許の請求項1に係る発明(以下,「本件発明」という。)は,甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明に基づいて,本件発明の出願前に当事者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであって,その特許は同法第123条第1項第2号に該当し,無効とすべきである。

(2)訂正が認められる場合
(訂正後)本件訂正発明について
(無効理由)
平成27年3月27日付け訂正請求書により訂正された本件特許の請求項1に係る発明(以下,「本件訂正発明」という。)は,甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明及び周知技術,または,甲第1号証ないし甲第9号証に記載された発明に基づいて,本件訂正発明の出願前に当事者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであって,その特許は同法第123条第1項第2号に該当し,無効とすべきである。

(証拠方法)
甲第1号証:特開2007-130176号公報
甲第2号証:パチスロ必勝本2007年7月号,第50?53頁,辰巳出版株式会社,平成19年6月21日発売(写し)(請求人が提出した甲第2号証の最後に添付されているパチスロ必勝本2007年6月号第142頁の左下欄に,「パチスロ必勝本7月号 ・・・ 次号は6月21日(木)発売」と記載されているから,パチスロ必勝本7月号は平成19年6月21日発売と認定した。)
甲第3号証:パチスロ攻略マガジンドラゴン2007年7月号,第16?20頁,株式会社双葉社,平成19年6月21日発行(写し)
甲第4号証:特開2005-74064号公報
甲第5号証:特開2004-267769号公報
甲第6号証:特開2006-75650号公報
甲第7号証:特開2007-151571号公報
甲第8号証:特開2005-66373号公報
甲第9号証:特開2002-52123号公報

2 被請求人の主張
被請求人は,平成27年3月27日付けで審判事件答弁書を提出し,「本件審判請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め」(答弁の趣旨),同日付けの訂正請求に基づく訂正後の請求項1について,無効理由は理由がない旨,主張している。

第3 訂正請求について
1 本件訂正請求
被請求人は,平成27年3月27日付け訂正請求書により本件特許の明細書(以下,「本件特許明細書」という。),特許請求の範囲を,本件請求書に添付した明細書,特許請求の範囲のとおりに訂正することを求めた(以下,この訂正を「本件訂正」という。)。本件訂正の内容は次のとおりである。下線は,訂正箇所を示す。

(1)訂正事項1
請求項1における
「遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームを開始させることが可能となり,複数種類の識別情報を変動表示させる可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し,該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能であるスロットマシン」という記載を,
「遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームを開始させることが可能となり,複数種類の識別情報を変動表示させる可変表示部として左可変表示部と中可変表示部と右可変表示部とを有する可変表示装置を備え,すべての可変表示部に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し,すべての可変表示部各々に導出された表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能であるスロットマシン」と訂正する。

(2)訂正事項2
請求項1における
「前記可変表示装置の表示結果が導出される前に,前記遊技用価値を用いることなく次のゲームを行なうことが可能な再ゲーム入賞と,前記遊技用価値の付与を伴う付与入賞とを含む複数種類の入賞各々の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段」という記載を,
「いずれの可変表示部にも表示結果が導出される前に,前記遊技用価値を用いることなく次のゲームを行なうことが可能な再ゲーム入賞と,前記遊技用価値の付与を伴う付与入賞とを含む複数種類の入賞各々の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段」と訂正する。

(3)訂正事項3
請求項1における
「前記事前決定手段の決定結果に応じて,前記可変表示装置の表示結果を導出させる導出制御手段」という記載を,
「前記事前決定手段の決定結果に応じて,すべての可変表示部各々に表示結果を導出させる導出制御手段」と訂正する。

(4)訂正事項4
請求項1における
「前記導出制御手段は,前記事前決定手段により前記再ゲーム入賞の発生を許容する旨が決定されているときには必ず前記再ゲーム入賞を発生させる再ゲーム入賞表示結果を導出させ,」という記載を,
「前記導出制御手段は,前記事前決定手段により前記再ゲーム入賞の発生を許容する旨が決定されているときには必ず前記再ゲーム入賞を発生させる再ゲーム入賞表示結果の組合せを導出させ,」と訂正する。

(5)訂正事項5
請求項1における
「前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときに前記複数種類の入賞のうち予め定められた不利移行の入賞が発生したことを条件として,前記不利遊技状態に制御する不利遊技状態制御手段」という記載を,
「前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときに,前記複数種類の入賞のうち予め定められた第1不利移行入賞が発生したことを条件として,前記不利遊技状態のうち最大ゲーム数が第1ゲーム数に定められている不利遊技状態であって,制御されてから前記第1ゲーム数を消化する間において,所定演出が実行された後,前記初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御される旨を報知する演出が実行される第1不利遊技状態に制御し,前記複数種類の入賞のうち,入賞を発生させる表示結果の組合せを構成する前記左可変表示部の識別情報が前記第1不利移行入賞と共通する一方で前記右可変表示部の識別情報が前記第1不利移行入賞と異なるように定められた第2不利移行入賞が発生したことを条件として,前記不利遊技状態のうち最大ゲーム数が前記第1ゲーム数よりも多い第2ゲーム数に定められている不利遊技状態であって,制御されてから前記第1ゲーム数を消化する間において,前記所定演出が実行された後,前記初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御されない旨を報知する演出が実行される第2不利遊技状態に制御する不利遊技状態制御手段」と訂正する。

(6)訂正事項6
請求項1における
「前記不利遊技状態において,前記付与入賞の発生を前記初期遊技状態であるときと同じ確率で許容し,前記再ゲーム入賞の発生についてのみ前記初期遊技状態であるときよりも低い確率で許容するように,複数種類の入賞各々の発生を許容するか否かを決定し,」という記載を,
「前記不利遊技状態において,前記付与入賞の発生を前記初期遊技状態であるときと同じ確率で許容し,前記再ゲーム入賞の発生についてのみ前記初期遊技状態であるときよりも低い確率であって前記第1不利遊技状態であるか前記第2不利遊技状態であるかにかかわらず同じ確率で許容するように,複数種類の入賞各々の発生を許容するか否かを決定し,」と訂正する。

(7)訂正事項7
請求項1における
「さらに前記初期遊技状態であるか前記不利遊技状態であるかに関わらず前記不利移行の入賞の発生を許容するか否かを決定し,」という記載を,
「さらに前記初期遊技状態であるか前記不利遊技状態であるかに関わらず,前記第1不利移行入賞の発生を許容するか否かおよび前記第2不利移行入賞の発生を許容するか否かを決定し,」と訂正する。

(8)訂正事項8
請求項1における
「前記不利遊技状態制御手段は,前記不利遊技状態に制御していることを特定しているときにおいて前記不利移行の入賞が発生しても前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに不利遊技状態に制御せず,前記不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が規定ゲーム数に到達するまで当該不利遊技状態に制御し,」という記載を,
「前記不利遊技状態制御手段は,
前記第1不利遊技状態に制御していることを特定しているときにおいては,前記第1不利移行入賞および前記第2不利移行入賞のいずれが発生しても前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに前記第1不利遊技状態および前記第2不利遊技状態のいずれにも制御せず,前記第1不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が前記第1ゲーム数に到達するまで当該第1不利遊技状態に制御し,
前記第2不利遊技状態に制御していることを特定しているときにおいては,前記第1不利移行入賞および前記第2不利移行入賞のいずれが発生しても前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに前記第1不利遊技状態および前記第2不利遊技状態のいずれにも制御せず,前記第2不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が前記第2ゲーム数に到達するまで当該第2不利遊技状態に制御し,」と訂正する。

(9)訂正事項9
請求項1における
「前記初期遊技状態制御手段は,前記不利遊技状態が開始された後に消化したゲーム数が前記規定ゲーム数に到達したときに,当該不利遊技状態を終了させて前記初期遊技状態に制御する」という記載を,
「前記初期遊技状態制御手段は,
前記第1不利遊技状態が開始された後に消化したゲーム数が前記第1ゲーム数に到達したときに,当該第1不利遊技状態を終了させて前記初期遊技状態に制御し,
前記第2不利遊技状態が開始された後に消化したゲーム数が前記第2ゲーム数に到達したときに,当該第2不利遊技状態を終了させて前記初期遊技状態に制御する」と訂正する。

(10)訂正事項10
本件特許明細書の段落【0009】における
「遊技用価値(メダル,クレジット)を用いて1ゲームに対して所定数の賭数(3,ただしレギュラーボーナス中は1)を設定することによりゲームを開始させることが可能となり,複数種類の識別情報を変動表示させる可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し,該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能であるスロットマシン(スロットマシン1)であって,」という記載を,
「遊技用価値(メダル,クレジット)を用いて1ゲームに対して所定数の賭数(3,ただしレギュラーボーナス中は1)を設定することによりゲームを開始させることが可能となり,複数種類の識別情報を変動表示させる可変表示部として左可変表示部と中可変表示部と右可変表示部とを有する可変表示装置を備え,すべての可変表示部に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し,すべての可変表示装置部各々に導出された表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能であるスロットマシン(スロットマシン1)であって,」と訂正する。

(11)訂正事項11
本件特許明細書の段落【0009】における
「前記可変表示装置の表示結果が導出される前に,前記遊技用価値を用いることなく次のゲームを行なうことが可能な再ゲーム入賞と,前記遊技用価値の付与を伴う付与入賞とを含む複数種類の入賞各々の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段(S402)」という記載を,
「いずれの可変表示部にも表示結果が導出される前に,前記遊技用価値を用いることなく次のゲームを行なうことが可能な再ゲーム入賞と,前記遊技用価値の付与を伴う付与入賞とを含む複数種類の入賞各々の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段(S402)」と訂正する。

(12)訂正事項12
本件特許明細書の段落【0009】における
「前記事前決定手段の決定結果に応じて,前記可変表示装置の表示結果を導出させる導出制御手段(S403)」という記載を,
「前記事前決定手段の決定結果に応じて,すべての可変表示部各々に表示結果を導出させる導出制御手段(S403)」と訂正する。

(13)訂正事項13
本件特許明細書の段落【0009】における
「前記導出制御手段は,前記事前決定手段により前記再ゲーム入賞の発生を許容する旨が決定されているときには必ず前記再ゲーム入賞を発生させる再ゲーム入賞表示結果を導出させ,」という記載を,
「前記導出制御手段は,前記事前決定手段により前記再ゲーム入賞の発生を許容する旨が決定されているときには必ず前記再ゲーム入賞を発生させる再ゲーム入賞表示結果の組合せを導出させ,」と訂正する。

(14)訂正事項14
本件特許明細書の段落【0009】における
「前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときに前記複数種類の入賞のうち予め定められた不利移行の入賞(移行入賞,オレンジA?XおよびチェリーA?Xのうちいずれか)が発生したことを条件として,前記不利遊技状態(RT1?RT4,図9(b)のリプレイの判定値数参照)に制御する不利遊技状態制御手段(図23のS1011c,S1011d,S1011g,S1011h)」という記載を,
「前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときに,前記複数種類の入賞のうち予め定められた第1不利移行入賞が発生したことを条件として,前記不利遊技状態のうち最大ゲーム数が第1ゲーム数に定められている不利遊技状態であって,制御されてから前記第1ゲーム数を消化する間において,所定演出が実行された後,前記初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御される旨を報知する演出が実行される第1不利遊技状態に制御し,前記複数種類の入賞のうち,入賞を発生させる表示結果の組合せを構成する前記左可変表示部の識別情報が前記第1不利移行入賞と共通する一方で前記右可変表示部の識別情報が前記第1不利移行入賞と異なるように定められた第2不利移行入賞が発生したことを条件として,前記不利遊技状態のうち最大ゲーム数が前記第1ゲーム数よりも多い第2ゲーム数に定められている不利遊技状態であって,制御されてから前記第1ゲーム数を消化する間において,前記所定演出が実行された後,前記初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御されない旨を報知する演出が実行される第2不利遊技状態に制御する不利遊技状態制御手段(図23のS1011c,S1011d,S1011g,S1011h)」と訂正する。

(15)訂正事項15
本件特許明細書の段落【0009】における
「前記不利遊技状態において,前記付与入賞の発生を前記初期遊技状態であるときと同じ確率で許容し,前記再ゲーム入賞の発生についてのみ前記初期遊技状態であるときよりも低い確率で許容するように,複数種類の入賞各々の発生を許容するか否かを決定し,」という記載を,
「前記不利遊技状態において,前記付与入賞の発生を前記初期遊技状態であるときと同じ確率で許容し,前記再ゲーム入賞の発生についてのみ前記初期遊技状態であるときよりも低い確率であって前記第1不利遊技状態であるか前記第2不利遊技状態であるかに関わらず同じ確率で許容するように,複数種類の入賞各々の発生を許容するか否かを決定し,」と訂正する。

(16)訂正事項16
本件特許明細書の段落【0009】における
「さらに前記初期遊技状態であるか前記不利遊技状態であるかに関わらず前記不利移行の入賞の発生を許容するか否かを決定し,」という記載を,
「さらに前記初期遊技状態であるか前記不利遊技状態であるかに関わらず,前記第1不利移行入賞の発生を許容するか否かおよび前記第2不利移行入賞の発生を許容するか否かを決定し,」と訂正する。

(17)訂正事項17
本件特許明細書の段落【0009】における
「前記不利遊技状態制御手段は,前記不利遊技状態に制御していることを特定しているときにおいて前記不利移行の入賞が発生しても前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに不利遊技状態に制御せず,前記不利遊技状態に制御して
から消化したゲーム数が規定ゲーム数に到達するまで当該不利遊技状態に制御し,」という記載を,
「前記不利遊技状態制御手段は,
前記第1不利遊技状態に制御していることを特定しているときにおいては,前記第1不利移行入賞および前記第2不利移行入賞のいずれが発生しても前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに前記第1不利遊技状態および前記第2不利遊技状態のいずれにも制御せず,前記第1不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が前記第1ゲーム数に到達するまで当該第1不利遊技状態に制御し,
前記第2不利遊技状態に制御していることを特定しているときにおいては,前記第1不利移行入賞および前記第2不利移行入賞のいずれが発生しても前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに前記第1不利遊技状態および前記第2不利遊技状態のいずれにも制御せず,前記第2不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が前記第2ゲーム数に到達するまで当該第2不利遊技状態に制御し,」と訂正する。

(18)訂正事項18
本件特許明細書の段落【0009】における
「前記初期遊技状態制御手段は,前記不利遊技状態が開始された後に消化したゲーム数が前記規定ゲーム数(RT1:500ゲーム,RT2:10ゲーム,RT3:330ゲーム,RT4:10ゲーム)に到達したときに,当該不利遊技状態を終了させて前記初期遊技状態に制御する(図23のS1012参照)。」という記載を,
「前記初期遊技状態制御手段は,
前記第1不利遊技状態が開始された後に消化したゲーム数が前記第1ゲーム数に到達したときに,当該第1不利遊技状態を終了させて前記初期遊技状態に制御し,
前記第2不利遊技状態が開始された後に消化したゲーム数が前記第2ゲーム数に到達したときに,当該第2不利遊技状態を終了させて前記初期遊技状態に制御する(図23のS1012参照)。」と訂正する。

(19)訂正事項19
本件特許明細書の段落【0010】における
「再ゲーム入賞の発生を許容する旨の決定がされる確率が所定確率である不利遊技状態が開始されてから規定ゲーム数消化することにより,当該不利遊技状態が終了して再ゲーム入賞の発生を許容する旨の決定がされる確率が所定確率より高い初期遊技状態に制御される。」という記載を,
「再ゲーム入賞の発生を許容する旨の決定がされる確率が所定確率である不利遊技状態が開始されてから規定ゲーム数である第1ゲーム数および第2ゲーム数のうちいずれかを消化することにより,当該不利遊技状態が終了して再ゲーム入賞の発生を許容する旨の決定がされる確率が所定確率より高い初期遊技状態に制御される。」と訂正する。

(20)訂正事項20
本件特許明細書の段落【0011】を削除する。

(21)訂正事項21
本件特許明細書の段落【0167】における
「遊技を行なう上で次にように異なる戦略を立てることができ,遊技の興趣を向上させることができる。」という記載を,
「遊技を行なう上で次のように異なる戦略を立てることができ,遊技の興趣を向上させることができる。」と訂正する。

2 本件訂正の適否についての判断
(1)訂正事項1について
(1-1)訂正の目的について
訂正事項1は,「可変表示装置」という記載を「可変表示部として左可変表示部と中可変表示部と右可変表示部とを有する可変表示装置」と訂正することにより,「可変表示装置」の構成を具体的に限定し,「可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了」という記載を「可変表示装置を備え,すべての可変表示部に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了」と訂正することにより,「1ゲームが終了」するタイミングを「可変表示装置」の「すべての可変表示部に表示結果が導出されること」であると具体的に限定し,「該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能である」という記載を「すべての可変表示部各々に導出された表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能である」と訂正することにより,「入賞が発生可能である」「該可変表示装置に導出された表示結果」が「すべての可変表示部各々に導出された表示結果の組合せ」であることを具体的に限定する訂正であるから,特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。

(1-2)新規事項の追加,特許請求の範囲の拡張又は変更について
本件特許明細書の段落【0531】には「上記の実施の形態では,可変表示装置2は,外周部に複数の図柄を所定順に配した3つのリール2L,2C,2Rを備えるものとし,これらのリール2L,2C,2Rの回転駆動によって図柄を可変表示させるものとしていた。」と,本件特許明細書の段落【0468】には「該停止したリール2L,2C,2Rに対応する可変表示部に表示結果が導出された後」と,本件特許明細書の段落【0034】には「本実施の形態のスロットマシン1の筐体内部には,外周に複数種の図柄が配列されたリール2L,2C,2R(以下,左リール,中リール,右リールともいう)が水平方向に並設されており,図1に示すように,これらリール2L,2C,2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉に設けられた透視窓3から見えるように配置されている。」と,本件特許明細書の段落【0050】には「入賞ラインとは,各リール2L,2C,2Rの透視窓3に表示された図柄の組合せが入賞図柄の組合せであるかを判定するために設定されるラインである。」と,本件特許明細書の段落【0052】には「そして全てのリール2L,2C,2Rが停止されることで1ゲームが終了し,有効化されたいずれかの入賞ライン(以下有効ラインと呼ぶ)上に予め定められた図柄の組合せ(以下,役とも呼ぶ)が各リール2L,2C,2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し,その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され,クレジットに加算される。」と記載されているから,本件特許の願書に添付した特許請求の範囲,明細書及び図面(以下,「本件特許明細書等」という。)には,スロットマシンが「可変表示部として左可変表示部と中可変表示部と右可変表示部とを有する可変表示装置」を有する点,「可変表示装置を備え,すべての可変表示部に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了」する点,「すべての可変表示部各々に導出された表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能である」点が記載されているといえる。
したがって,訂正事項1は,本件特許明細書の段落【0034】,【0050】,【0052】,【0468】,【0531】の記載に基づくものであって,本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
また,訂正事項1は,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。
よって,訂正事項1は,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(2)訂正事項2について
(2-1)訂正の目的について
訂正事項2は,上記「(1)訂正事項1について」において「可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了」という記載を「可変表示装置を備え,すべての可変表示部に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了」と訂正することにより,整合性の取れなくなった「前記可変表示装置の表示結果が導出される前に」という記載を,整合性のとれた「いずれの可変表示部にも表示結果が導出される前に」という記載にする訂正であるから,特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。

(2-2)新規事項の追加,特許請求の範囲の拡張又は変更について
本件特許明細書の段落【0145】には「次に,内部抽選について説明する。内部抽選は,上記した各役への入賞(入賞表示結果の導出)を許容するかどうかを,可変表示装置2の表示結果が導出表示される以前に(実際には,スタートスイッチ7操作時に),決定するものである」と記載されており,「スタートスイッチ7操作時」は,「いずれの可変表示部にも表示結果が導出される前」であることは明らかであるから,本件特許明細書等には,スロットマシンが「事前決定手段」で「再ゲーム入賞と」「付与入賞とを含む複数種類の入賞各々の発生を許容するか否かを決定する」タイミングを,「前記可変表示装置の」「いずれの可変表示部にも表示結果が導出される前に」とする点が記載されているといえる。
したがって,訂正事項2は,本件特許明細書の段落【0145】の記載に基づくものであって,本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
また,訂正事項2は,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。
よって,訂正事項2は,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(3)訂正事項3について
(3-1)訂正の目的について
訂正事項3は,上記「(1)訂正事項1について」において「可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了」という記載を「可変表示装置を備え,すべての可変表示部に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了」と訂正することにより,整合性の取れなくなった「前記可変表示装置の表示結果を導出させる」という記載を,整合性のとれた「すべての可変表示部各々に表示結果を導出させる」という記載にする訂正であるから,特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。

(3-2)新規事項の追加,特許請求の範囲の拡張又は変更について
本件特許明細書の段落【0036】には「各リール2L,2C,2Rは,各々対応して設けられリールモータ32L,32C,32R(図3参照)によって回転させることで,各リール2L,2C,2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示されるとともに,各リール2L,2C,2Rの回転を停止させることで,透視窓3に3つの連続する図柄が表示結果として導出表示されるようになっている。」と,本件特許明細書の段落【0203】には「このため,いずれかの役に当選している場合には,当選役を4コマの範囲で最大限引き込み,当選していない役が揃わないように引き込む引込コマ数が定められた停止制御テーブルが作成され,リールの停止制御が行なわれる。」と記載されているから,本件特許明細書等には,スロットマシンが「前記事前決定手段の決定結果に応じて,すべての可変表示部各々に表示結果を導出させる導出制御手段」を有する点が記載されているといえる。
したがって,訂正事項3は,本件特許明細書の段落【0036】,【0203】の記載に基づくものであって,本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
また,訂正事項3は,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。
よって,訂正事項3は,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(4)訂正事項4について
(4-1)訂正の目的について
訂正事項4は,上記「(1)訂正事項1について」において「該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能である」という記載を「すべての可変表示部各々に導出された表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能である」と訂正することにより,整合性の取れなくなった「前記再ゲーム入賞を発生させる再ゲーム入賞表示結果を導出させ」という記載を,整合性のとれた「前記再ゲーム入賞を発生させる再ゲーム入賞表示結果の組合せを導出させ」という記載にする訂正であるから,特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。

(4-2)新規事項の追加,特許請求の範囲の拡張又は変更について
そして,本件特許明細書の段落【0132】には「リプレイは,初期遊技状態またはRTにおいて入賞ラインのいずれかに「バナナ-バナナ-バナナ」の組合せが揃ったときに入賞となる。前述したように,メロンおよびリプレイは,原則として,ストップスイッチ8L,8C,8Rを操作したタイミングに関わらず,入賞可能なものとなっている。」と記載されているから,本件特許明細書等には,スロットマシンが「前記導出制御手段は,前記事前決定手段により前記再ゲーム入賞の発生を許容する旨が決定されているときには必ず前記再ゲーム入賞を発生させる再ゲーム入賞表示結果の組合せを導出させ」る構成を有する点が記載されているといえる。
したがって,訂正事項4は,本件特許明細書の段落【0132】の記載に基づくものであって,本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
また,訂正事項4は,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。
よって,訂正事項4は,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(5)訂正事項5について
(5-1)訂正の目的について
訂正事項5は,「前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときに前記複数種類の入賞のうち予め定められた不利移行の入賞が発生したことを条件として,前記不利遊技状態に制御する不利遊技状態制御手段」という記載を,「前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときに,前記複数種類の入賞のうち予め定められた第1不利移行入賞が発生したことを条件として,前記不利遊技状態のうち最大ゲーム数が第1ゲーム数に定められている不利遊技状態であって,制御されてから前記第1ゲーム数を消化する間において,所定演出が実行された後,前記初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御される旨を報知する演出が実行される第1不利遊技状態に制御し,前記複数種類の入賞のうち,入賞を発生させる表示結果の組合せを構成する前記左可変表示部の識別情報が前記第1不利移行入賞と共通する一方で前記右可変表示部の識別情報が前記第1不利移行入賞と異なるように定められた第2不利移行入賞が発生したことを条件として,前記不利遊技状態のうち最大ゲーム数が前記第1ゲーム数よりも多い第2ゲーム数に定められている不利遊技状態であって,制御されてから前記第1ゲーム数を消化する間において,前記所定演出が実行された後,前記初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御されない旨を報知する演出が実行される第2不利遊技状態に制御する不利遊技状態制御手段」と訂正することにより,「不利移行の入賞」が「第1不利移行入賞」と「第2不利移行入賞」であり,「不利遊技状態」が「第1不利遊技状態」と「第2不利遊技状態」であると限定すると共に,「第1不利遊技状態」と「第2不利遊技状態」のそれぞれの状態におけるゲーム数と実行される演出を限定し,さらに,「第1不利移行入賞」と「第2不利移行入賞」を発生させる表示結果の組合せを構成する識別情報に,共通する構成と異なる構成があることを具体的に限定する訂正であるから,特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。

(5-2)新規事項の追加について
新規事項の追加について,両当事者間で争いがあるので,以下双方の主張について検討する。
a 請求人の主張
(ア)「第1ゲーム数」,「第2ゲーム数」について
(ア1) 本件特許明細書には,各遊技状態における継続ゲーム数に大きな差(「第1ゲーム数」として10ゲーム,「第2ゲーム数」として500ゲーム・330ゲーム 。段落【0138】,【0143】参照。)がある点が記載されている。
「第1ゲーム数」と「第2ゲーム数」を追加する訂正を行う際には,単に「第2ゲーム数」が「第1ゲーム数」より多いというだけではなく,「第1ゲーム数」と「第2ゲーム数」の間には相当数の差が設けられる旨記載しなければならないにも関わらず,そのような記載でないから,訂正事項5は本件特許発明の効果及び,技術的意義を変更するものであり,新規事項の追加に該当する(審判事件弁駁書第7頁第2行?第8頁第13行)。

(ア2) 被請求人が引用する本件特許明細書の段落【0438】の「異なるゲーム数」の「RT1?RT4」とは,「前述したRT1?RT4のうち,RT2またはRT4に制御された場合には,規定ゲーム数が10ゲームであるため,10ゲーム消化することにより再び初期遊技状態に制御される。一方,RT1またはRT3に制御された場合には,規定ゲーム数が10ゲームよりも極端に多いゲーム数(RT1:500,RT3:330)である」(段落【0159】)の「RT1?RT4」である。
消化ゲーム数が「1ゲーム」異なればよいなどという開示示唆は本件特許明細書には存在せず,1ゲームでもゲーム数が異なればよい「第1不利遊技状態」「第2不利遊技状態」は,新規事項の追加である(口頭審理陳述要領書第9頁第4?17行)。

(イ)「所定演出」について
(イ1) 訂正事項5に記載の「所定演出」は,「複数ゲームの期間を跨いで継続して実行される,初期遊技状態に再度制御されるか否かに関わる連続演出」でなければならないにも関わらず,大幅な上位概念化を行うことは,遊技機のゲーム性に係る技術的事項に新たな技術的事項を導入する新規事項の追加に該当する。
訂正の根拠となる本件特許明細書中には,「復活成功演出」,「復活失敗演出」が「復活連続演出中」に行われることが記載されている(段落【0352】)。これに対し,訂正事項5においては,初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御される旨を報知する演出(第1不利遊技状態),初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御されない旨を報知する演出(第2不利遊技状態)を実行するのは,「所定演出が実行された後」である点においても,訂正根拠とされる本件特許明細書の開示との間の齟齬があり,新規事項の追加に該当する(審判事件弁駁書第8頁第14行?第9頁第17行)。

(イ2) 被請求人がいう「復活連続演出のうち復活成功演出または復活失敗演出に至るまでの演出」とは,【図30】の「RT1?RT4に移行後10Gに至る復活連続演出」であるとしか解せない。「所定演出」をそのように特定しなければ,依然として新規事項の追加の瑕疵は解消しない(口頭審理陳述要領書第9頁第18行?第10頁第5行)。

b 被請求人の主張
(あ)「第1ゲーム数」,「第2ゲーム数」について
本件特許明細書の段落【0438】には,「オレンジおよびチェリーのうち入賞した種類に応じて,規定ゲーム数が異なるRT1?RT4に制御される。これにより,オレンジおよびチェリーのうち入賞した種類によって,初期遊技状態に再び制御されるまでに必要な消化ゲーム数を異ならせることができ,遊技の興趣を向上させることができる。」と記載されており,「第1ゲーム数」と「第2ゲーム数」とを異ならせることに技術的意義を有することにより,遊技の興趣をより一層向上させる発明が記載されている。
よって,本件特許明細書等には,「第1ゲーム数」と「第2ゲーム数」の間に相当数の差を設けるという概念的に下位の発明だけではなく,「第1ゲーム数」と「第2ゲーム数」とを異ならせることに技術的意義を有する発明が記載されているから,「第1ゲーム数」と「第2ゲーム数」とが規定されている訂正事項5は,本件特許明細書等に記載されている(口頭審理陳述要領書第4頁第9行?第6頁第22行)。

(い)「所定演出」について
本件訂正発明の構成要件【F2】では,「所定演出」に関して「制御されてから前記第1ゲーム数を消化する間において」実行されることが規定され,さらに第1ゲーム数を消化する間において,所定演出実行後に「前記初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御される旨を報知する演出」あるいは「前記初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御されない旨を報知する演出」が実行されることが規定されている。
本件特許明細書(段落【0227】,【0352】,図30)には,「10ゲーム間において,復活連続演出のうちの復活成功演出または復活失敗演出に至るまでの演出を実行した後に,復活連続演出のうちの復活成功演出または復活失敗演出を実行する」という実施例が記載されているから,本件訂正発明の構成要件【F2】は,本件特許明細書における「復活連続演出」に相当する技術事項を規定する構成要件であって,本件特許明細書に記載されている。
それゆえ,構成要件【F2】が「大幅な上位概念化」に該当するものであるとはいえない。
本件特許明細書の「復活連続演出のうちの復活成功演出または復活失敗演出に至るまでの演出」が,構成要件【F2】の「所定演出」に対応し,「復活連続演出のうちの復活成功演出または復活失敗演出」が,構成要件【F2】の「前記初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御される旨を報知する演出」および「前記初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御されない旨を報知する演出」に対応するから,本件特許明細書の「復活連続演出」の最初から最後までの演出が,構成要件【F2】の「所定演出」に対応するものではない。
また,本件特許明細書には,「復活連続演出のうちの復活成功演出または復活失敗演出」を,「復活連続演出のうちの復活成功演出または復活失敗演出に至るまでの演出」後に実行することが記載されている(口頭審理陳述要領書第6頁第23行?第10頁第5行)。

c 当審の判断
(請求人の上記a(ア)の主張に対して)
請求人は,「第1ゲーム数」と「第2ゲーム数」を追加する訂正については,上記a(ア)において言及したように,「第1ゲーム数」と「第2ゲーム数」の間には相当数の差が設けられる旨記載しなければならないにも関わらず,そのような記載でないから,訂正事項5は新規事項の追加に該当する旨主張している。また,消化ゲーム数が「1ゲーム」異なればよいなどという開示示唆は本件特許明細書には存在せず,1ゲームでもゲーム数が異なればよい「第1不利遊技状態」「第2不利遊技状態」に係る訂正事項5は新規事項の追加である旨主張している。
しかしながら,後述するように,本件特許明細書の段落【0438】には,「オレンジXに入賞したとき」の「第1ゲーム数」と「オレンジA?オレンジHに入賞したとき」の「第2ゲーム数」の間に相当数の差を設けるという概念的に下位の発明だけではなく,「オレンジXに入賞したとき」の「第1ゲーム数」と「オレンジA?オレンジHに入賞したとき」の「第2ゲーム数」とを異ならせることに技術的意義を有する発明が記載されているといえる。このことから,「第2ゲーム数」は,「第1ゲーム数」よりも1ゲームでも多ければいいといえると共に,「前記第1ゲーム数よりも多い第2ゲーム数」という記載が,技術的意義を変更する新規事項の追加であるとはいえない。

(請求人の上記a(イ)の主張に対して)
また,請求人は,「所定演出」については,上記a(イ)において言及したように,訂正事項5に記載の「所定演出」は,「複数ゲームの期間を跨いで継続して実行される,初期遊技状態に再度制御されるか否かに関わる連続演出」でなければならないにも関わらず,大幅な上位概念化を行うことは,新規事項の追加に該当する旨主張している。
しかしながら,後述するように,本件訂正発明の「所定演出」に相当する,復活連続演出のうちの復活成功演出または復活失敗演出に至るまでの演出は,初期遊技状態が復活したか復活しなかったかを報知するものではなく,復活連続演出の構成の一部であるから,「所定演出」であるといえる。このことから,「所定演出」が連続演出である旨限定する必要はない。
また,本件訂正発明では,「所定演出」に関して「制御されてから前記第1ゲーム数を消化する間において」実行されることが規定され,さらに第1ゲーム数を消化する間において,所定演出実行後に「前記初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御される旨を報知する演出(復活失敗演出)」あるいは「前記初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御されない旨を報知する演出(復活成功演出)」が実行されることが規定されているから,本件訂正発明の「所定演出」という記載は,大幅な上位概念化に該当するとはいえず,遊技機のゲーム性に係る技術的事項に新たな技術的事項を導入する新規事項の追加に該当するとはいえない。

訂正事項5の新規事項の追加について判断する。
本件特許明細書の段落【0030】には「(9) 前記不利遊技状態制御手段は,前記初期遊技状態に制御されているときに前記移行入賞のうちの特定移行入賞(オレンジX,チェリーX)が発生したことを条件として,前記事前決定手段により該特定移行入賞の発生を許容する旨の決定がされる確率(オレンジA?XおよびチェリーA?Xの判定値数は(2195+1881)=4076,当選確率は4076/65536≒1/16)の逆数よりも規定ゲーム数が小さい特定不利遊技状態(RT2およびRT4の規定ゲーム数:10)に制御する特定不利遊技状態制御手段を含む。」と,本件特許明細書の段落【0134】には「次にオレンジの入賞役について説明する。オレンジAは,初期遊技状態またはRTにおいて入賞ラインのいずれかに,左リール2Lに「オレンジ」の図柄が導出され,且つ右リール2Rに「赤7」の図柄が導出されたときに入賞となる。オレンジBは,初期遊技状態またはRTにおいて入賞ラインのいずれかに,左リール2Lに「オレンジ」の図柄が導出され,且つ右リール2Rに「白7」の図柄が導出されたときに入賞となる。同様に,オレンジC?オレンジXでは,左リール2Lについての図柄が「オレンジ」となり,右リール2Rについての図柄が,それぞれ「BAR」,「バナナ」,「オレンジ」,「メロン」,「チェリー」,「星」,「ブドウ」となる。オレンジA?オレンジXのいずれも,中リール2Cに導出される図柄の種類を問わないが,図柄の種類を問わないことを「any」で表わすものとする。」と,本件特許明細書の段落【0138】には「初期遊技状態においてオレンジA?オレンジXに入賞したときには,次のゲームから入賞したオレンジの役の種類に応じて予め定められた規定ゲーム数の間だけ(但し,ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に入賞するまでに限る),遊技状態がRTに制御される。オレンジA?オレンジHに入賞したときには,規定ゲーム数が500に設定されているRT1に制御され,オレンジXに入賞したときには,当該オレンジX入賞時の遊技状態が優先適用されて規定ゲーム数が10に設定されているRT2に制御される。」と,本件特許明細書の段落【0227】には「遊技演出は,・・・,RT1?RT4に移行されてから所定回(たとえば,10回)ゲームが行なわれるまでの間に初期遊技状態に再度制御されるか否か(すなわち制御されているRTがRT2またはRT4であるか否か)に関わる結果を報知する復活連続演出,・・・を含む。」と,本件特許明細書の段落【0352】には「タイミング7は,オレンジおよびチェリーのうちいずれかに当選したときのタイミングを示している。また,タイミング8は,タイミング7で当選した入賞役に入賞し,RT1?RT4のうちいずれかに制御されたときのタイミングを示している。タイミング8では,(a)欄で示されるようにRT1?RT4に制御され,(b)欄で示されるようにRT1?RT4に移行されてから10ゲームに亘って行なわれる復活連続演出が開始されている。なお,タイミング8で制御されたRTがRT2またはRT4であった場合には,復活連続演出中に初期遊技状態が復活したまたは復活する旨の復活成功演出が行なわれる。また,タイミング8で制御されたRTがRT1またはRT3であった場合には,RT1またはRT3に制御されており,復活連続演出中に初期遊技状態が復活しない旨の復活失敗演出が行なわれる。復活に成功する旨および失敗する旨を報知するタイミングは,復活連続演出が開始されてから10ゲームが終了した後BETコマンドを新たに受信するまでのタイミングであればよい。」と,本件特許明細書の段落【0438】には「また,オレンジおよびチェリーのうち入賞した種類に応じて,規定ゲーム数が異なるRT1?RT4に制御される。これにより,オレンジおよびチェリーのうち入賞した種類によって,初期遊技状態に再び制御されるまでに必要な消化ゲーム数を異ならせることができ,遊技の興趣を向上させることができる。」と記載されている。
本件特許明細書の記載と訂正事項5の記載の対応関係を見ると,「オレンジX」が「第1不利移行入賞」に,「復活成功演出」が「前記初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御される旨を報知する演出」に,「RT2」が「第1不利遊技状態」に,「オレンジA?オレンジH」が「第2不利移行入賞」に,「復活失敗演出」が「前記初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御されない旨を報知する演出」に,「RT1」が「第2不利遊技状態」に対応する。
また,本件特許明細書の段落【0138】の記載と訂正事項5の記載の対応関係を見ると,「オレンジXに入賞したとき」の「第1ゲーム数」が「10」に,「オレンジA?オレンジHに入賞したとき」の「前記第1ゲーム数よりも多い第2ゲーム数」が「500」に対応するが,本件特許明細書の段落【0438】には,「オレンジおよびチェリーのうち入賞した種類によって,初期遊技状態に再び制御されるまでに必要な消化ゲーム数を異ならせることができ,遊技の興趣を向上させることができる。」と記載されているから,本件特許明細書には,「オレンジXに入賞したとき」の「第1ゲーム数」と「オレンジA?オレンジHに入賞したとき」の「第2ゲーム数」の間に相当数の差を設けるという概念的に下位の発明だけではなく,「オレンジXに入賞したとき」の「第1ゲーム数」と「オレンジA?オレンジHに入賞したとき」の「第2ゲーム数」とを異ならせることに技術的意義を有する発明が記載されているといえる。このことから,「第2ゲーム数」は,「第1ゲーム数」よりも1ゲームでも多ければいいといえる。
それに,本件特許明細書の段落【0352】には,復活連続演出中に,復活成功演出または復活失敗演出が行われる点が記載されており,復活成功演出または復活失敗演出に至るまでの期間においても,復活連続演出は行われている。このことから,復活連続演出は,復活成功演出または復活失敗演出に至るまでの演出と,復活成功演出または復活失敗演出とから構成されているといえる。復活連続演出のうちの復活成功演出または復活失敗演出に至るまでの演出は,初期遊技状態が復活したか復活しなかったかを報知するものではなく,復活連続演出の一部を構成するものであるから,「所定演出」であるといえる。
これらのことから,本件特許明細書等には,スロットマシンが「前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときに,前記複数種類の入賞のうち予め定められた第1不利移行入賞が発生したことを条件として,前記不利遊技状態のうち最大ゲーム数が第1ゲーム数に定められている不利遊技状態であって,制御されてから前記第1ゲーム数を消化する間において,所定演出が実行された後,前記初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御される旨を報知する演出が実行される第1不利遊技状態に制御し,前記複数種類の入賞のうち,入賞を発生させる表示結果の組合せを構成する前記左可変表示部の識別情報が前記第1不利移行入賞と共通する一方で前記右可変表示部の識別情報が前記第1不利移行入賞と異なるように定められた第2不利移行入賞が発生したことを条件として,前記不利遊技状態のうち最大ゲーム数が前記第1ゲーム数よりも多い第2ゲーム数に定められている不利遊技状態であって,制御されてから前記第1ゲーム数を消化する間において,前記所定演出が実行された後,前記初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御されない旨を報知する演出が実行される第2不利遊技状態に制御する不利遊技状態制御手段」を有する点が記載されているといえる。
したがって,訂正事項5は,本件特許明細書の段落【0030】,【0134】,【0138】,【0227】,【0352】,【0438】の記載に基づくものであって,本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。

よって,請求人の上記(1)a(ア)?(イ)の主張は採用することができない。

(5-3)特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項5は,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。
よって,訂正事項5は,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(6)訂正事項6について
(6-1)訂正の目的について
訂正事項6は,「であって前記第1不利遊技状態であるか前記第2不利遊技状態であるかにかかわらず同じ確率」という記載を追加することにより,「不利遊技状態」における「再ゲーム入賞の発生」をどのように「許容する」か具体的に特定する訂正であるから,特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。

(6-2)新規事項の追加,特許請求の範囲の拡張又は変更について
本件特許明細書の段落【0154】には「図9(b)および(c)は,遊技状態がRTであるときであって,内部抽選において取得されるリプレイの判定値数を示す図である。なお,遊技状態がRTであるときの,リプレイ以外の入賞役の内部抽選において取得される判定値数は,図9(a)で示した判定値数と同様である。すなわち,遊技状態がRTであるときの内部抽選において取得される各抽選対象役の判定値数は,図9(a)で示したリプレイの内部抽選において取得される判定値数を,図9(b)および(c)で示すリプレイの内部抽選において取得される判定値数に置き換えたものとなる。」と,本件特許明細書の段落【0155】には「図9(b)は,遊技状態がオレンジまたはチェリーに入賞した後に制御されるRT1?RT4のいずれかであって,リプレイの内部抽選において取得される判定値数を示す図である。たとえば,設定値が1?4のときに,内部抽選の対象役が,リプレイであるときに「9100」が判定値数として取得される。」と記載され,図9(a)には,「初期遊技状態」においてリプレイと判定する判定値の数が設定1?4の場合,それぞれ「47956」「47966」「47976」「47986」である点が図示され,図9(b)には,「第1不利遊技状態」である「RT2」と「第2不利遊技状態」である「RT1」においてリプレイと判定する判定値の数が共に「9100」である点が図示されているから,本件特許明細書等には,スロットマシンが「前記不利遊技状態において,」「前記再ゲーム入賞の発生についてのみ前記初期遊技状態であるときよりも低い確率であって前記第1不利遊技状態であるか前記第2不利遊技状態であるかにかかわらず同じ確率で許容する」点が記載されているといえる。
したがって,訂正事項6は,本件特許明細書の段落【0154】,【0155】,図9(a)(b)の記載に基づくものであって,本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
また,訂正事項6は,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。
よって,訂正事項6は,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(7)訂正事項7について
(7-1)訂正の目的について
訂正事項7は,上記「(5)訂正事項5について」において「不利移行の入賞」が「第1不利移行入賞」と「第2不利移行入賞」であると訂正することにより,整合性の取れなくなった「前記初期遊技状態であるか前記不利遊技状態であるかに関わらず前記不利移行の入賞の発生を許容するか否かを決定し」という記載を,整合性のとれた「前記初期遊技状態であるか前記不利遊技状態であるかに関わらず,前記第1不利移行入賞の発生を許容するか否かおよび前記第2不利移行入賞の発生を許容するか否かを決定し」という記載にする訂正であるから,特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。

(7-2)新規事項の追加,特許請求の範囲の拡張又は変更について
本件特許明細書の段落【0151】には「図9(a)は,遊技状態が初期遊技状態であるときの内部抽選において取得される各抽選対象役の判定値数を示す図である。たとえば,・・・オレンジA?オレンジHであるときに「940」が,オレンジA?オレンジXであるときに「2195」が・・・判定値数として取得される。図9(a)には,設定値が2?4のときについても同様に,内部抽選において取得される各抽選対象役の判定値数が示されている。」と,本件特許明細書の段落【0154】には「図9(b)および(c)は,遊技状態がRTであるときであって,内部抽選において取得されるリプレイの判定値数を示す図である。なお,遊技状態がRTであるときの,リプレイ以外の入賞役の内部抽選において取得される判定値数は,図9(a)で示した判定値数と同様である。」と記載されているから,本件特許明細書等には,スロットマシンが「前記初期遊技状態であるか前記不利遊技状態であるかに関わらず,前記第1不利移行入賞の発生を許容するか否かおよび前記第2不利移行入賞の発生を許容するか否かを決定」する構成を有する点が記載されているといえる。
したがって,訂正事項7は,本件特許明細書の段落【0151】,【0154】の記載に基づくものであって,本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
また,訂正事項7は,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。
よって,訂正事項7は,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(8)訂正事項8について
(8-1)訂正の目的について
訂正事項8は,上記「(5)訂正事項5について」において「不利移行の入賞」が「第1不利移行入賞」と「第2不利移行入賞」であり,「不利遊技状態」が「第1不利遊技状態」と「第2不利遊技状態」であり,「第1不利遊技状態」と「第2不利遊技状態」のそれぞれの状態におけるのゲーム数が「第1ゲーム数」と「第2ゲーム数」であると訂正することにより,整合性の取れなくなった「前記不利遊技状態制御手段は,前記不利遊技状態に制御していることを特定しているときにおいて前記不利移行の入賞が発生しても前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに不利遊技状態に制御せず,前記不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が規定ゲーム数に到達するまで当該不利遊技状態に制御し」という記載を,整合性のとれた「前記不利遊技状態制御手段は,前記第1不利遊技状態に制御していることを特定しているときにおいては,前記第1不利移行入賞および前記第2不利移行入賞のいずれが発生しても前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに前記第1不利遊技状態および前記第2不利遊技状態のいずれにも制御せず,前記第1不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が前記第1ゲーム数に到達するまで当該第1不利遊技状態に制御し,前記第2不利遊技状態に制御していることを特定しているときにおいては,前記第1不利移行入賞および前記第2不利移行入賞のいずれが発生しても前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに前記第1不利遊技状態および前記第2不利遊技状態のいずれにも制御せず,前記第2不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が前記第2ゲーム数に到達するまで当該第2不利遊技状態に制御し」という記載にする訂正であるから,特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。

(8-2)新規事項の追加,特許請求の範囲の拡張又は変更について
本件特許明細書の段落【0306】には「ステップS1011においては,RT1?RT4に制御されていることおよび制御されているRTの残りゲーム回数を示すRT1カウンタ?RT4カウンタのうちすべての値が0であるか否か,すなわち,RT1?RT4のいずれにも制御されていないかが判定される。RT1カウンタ?RT4カウンタのうちいずれかの値が0でない,すなわちRT1?RT4のいずれかに制御されていると判定されたときには,対応するRTカウンタの値を1だけ減算しステップS1023へ移行する。なお,ステップS1012で減算された結果,対応するRTカウンタの値が0になれば,当該RTが終了し,初期遊技状態に移行される。RT1カウンタ?RT4カウンタのうちすべての値が0である,すなわちRT1?RT4中でないと判定されたときには,ステップS1005へ移行する。」と,本件特許明細書の段落【0307】には「オレンジA?Xのうちいずれかが入賞していると判定されたときには,オレンジXが入賞したか否かが判定される(ステップS1011b)。オレンジXが入賞したと判定されたときには,ステップS1011cにおいて,前述したRT2カウンタの値に規定ゲーム数の10を設定し,ステップS1023へ移行される。一方,オレンジXが入賞していないと判定されたときには,オレンジA?Hのいずれかが入賞しているため,ステップS1011dにおいて,前述したRT1カウンタの値に規定ゲーム数の500を設定し,ステップS1023へ移行される。」と記載され,図23には,S1011以降の処理において,RT1?4のいずれかであるときには,S1012においてRTカウンタの値が1減算されるが,オレンジA?X,チェリーA?Xに入賞するか否かに関わらず,S1011c?S1011hの処理が行なわれないため,新たにRT1?RT4に制御し直すことなく,既に制御されているRT1?RT4のいずれかの制御を継続させる点が図示されているから,本件特許明細書等には,スロットマシンが「前記不利遊技状態制御手段は,前記第1不利遊技状態に制御していることを特定しているときにおいては,前記第1不利移行入賞および前記第2不利移行入賞のいずれが発生しても前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに前記第1不利遊技状態および前記第2不利遊技状態のいずれにも制御せず,前記第1不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が前記第1ゲーム数に到達するまで当該第1不利遊技状態に制御し,前記第2不利遊技状態に制御していることを特定しているときにおいては,前記第1不利移行入賞および前記第2不利移行入賞のいずれが発生しても前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに前記第1不利遊技状態および前記第2不利遊技状態のいずれにも制御せず,前記第2不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が前記第2ゲーム数に到達するまで当該第2不利遊技状態に制御 」する点が記載されているといえる。
したがって,訂正事項8は,本件特許明細書の段落【0306】?【0307】,図23の記載に基づくものであって,本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
また,訂正事項8は,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。
よって,訂正事項8は,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(9)訂正事項9について
(9-1)訂正の目的について
訂正事項9は,上記「(5)訂正事項5について」において「不利遊技状態」が「第1不利遊技状態」と「第2不利遊技状態」であり,「第1不利遊技状態」と「第2不利遊技状態」のそれぞれの状態におけるのゲーム数が「第1ゲーム数」と「第2ゲーム数」であると訂正することにより,整合性の取れなくなった「前記初期遊技状態制御手段は,前記不利遊技状態が開始された後に消化したゲーム数が前記規定ゲーム数に到達したときに,当該不利遊技状態を終了させて前記初期遊技状態に制御する」という記載を,整合性のとれた「前記初期遊技状態制御手段は,前記第1不利遊技状態が開始された後に消化したゲーム数が前記第1ゲーム数に到達したときに,当該第1不利遊技状態を終了させて前記初期遊技状態に制御し,前記第2不利遊技状態が開始された後に消化したゲーム数が前記第2ゲーム数に到達したときに,当該第2不利遊技状態を終了させて前記初期遊技状態に制御する」という記載にする訂正であるから,特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。

(9-2)新規事項の追加,特許請求の範囲の拡張又は変更について
本件特許明細書の段落【0306】には「ステップS1011においては,RT1?RT4に制御されていることおよび制御されているRTの残りゲーム回数を示すRT1カウンタ?RT4カウンタのうちすべての値が0であるか否か,すなわち,RT1?RT4のいずれにも制御されていないかが判定される。RT1カウンタ?RT4カウンタのうちいずれかの値が0でない,すなわちRT1?RT4のいずれかに制御されていると判定されたときには,対応するRTカウンタの値を1だけ減算しステップS1023へ移行する。なお,ステップS1012で減算された結果,対応するRTカウンタの値が0になれば,当該RTが終了し,初期遊技状態に移行される。RT1カウンタ?RT4カウンタのうちすべての値が0である,すなわちRT1?RT4中でないと判定されたときには,ステップS1005へ移行する。」と,本件特許明細書の段落【0307】には「オレンジA?Xのうちいずれかが入賞していると判定されたときには,オレンジXが入賞したか否かが判定される(ステップS1011b)。オレンジXが入賞したと判定されたときには,ステップS1011cにおいて,前述したRT2カウンタの値に規定ゲーム数の10を設定し,ステップS1023へ移行される。一方,オレンジXが入賞していないと判定されたときには,オレンジA?Hのいずれかが入賞しているため,ステップS1011dにおいて,前述したRT1カウンタの値に規定ゲーム数の500を設定し,ステップS1023へ移行される。」と記載されているから,本件特許明細書等には,スロットマシンが「前記初期遊技状態制御手段は,前記第1不利遊技状態が開始された後に消化したゲーム数が前記第1ゲーム数に到達したときに,当該第1不利遊技状態を終了させて前記初期遊技状態に制御し,前記第2不利遊技状態が開始された後に消化したゲーム数が前記第2ゲーム数に到達したときに,当該第2不利遊技状態を終了させて前記初期遊技状態に制御する」点が記載されているといえる。
したがって,訂正事項9は,本件特許明細書の段落【0306】?【0307】の記載に基づくものであって,本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
また,訂正事項9は,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。
よって,訂正事項9は,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(10)訂正事項10?20について
(10-1)訂正の目的について
訂正事項10?20は,上記「(1)訂正事項1について」?「(9)訂正事項9について」の訂正により,特許請求の範囲の請求項1における特許請求の範囲の減縮,及び明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正を行った結果,記載表現が一致しなくなった本件特許明細書の記載を,訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるための訂正であり,特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明に該当する。

(10-2)新規事項の追加,特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項10?20は,上記「(1)訂正事項1について」?「(9)訂正事項9について」の特許請求の範囲の訂正により,記載表現が一致しなくなった本件特許明細書の記載を,訂正後の特許請求の範囲の記載に整合させるための訂正であり,上記「(1)訂正事項1について」?「(9)訂正事項9について」の訂正は,既に検討したように,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
したがって,訂正事項10?20は,本件特許明細書等の記載に基づくものであって,本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
また,訂正事項10?20は,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。
よって,訂正事項10?20は,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(11)訂正事項21について
(11-1)訂正の目的について
訂正事項21は,「次にように」という日本語として不明瞭な記載を,「次のように」という明瞭な記載に訂正するものであるから,特許法第134条の2第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。

(11-2)新規事項の追加,特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項21は,日本語として不明瞭な記載を明瞭な記載にする訂正であるから,本件特許明細書等に記載された事項の範囲内で行うものである。
したがって,訂正事項21は,本件特許明細書等の記載に基づくものであって,本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく,本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。
また,訂正事項21は,訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。
よって,訂正事項21は,特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

3 まとめ
以上のとおりであるから,本件訂正は,特許請求の範囲の減縮,及び明瞭でない記載の釈明を目的とし,しかも,本件特許明細書等に記載されている事項の範囲内のものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでない。
したがって,本件訂正は,特許法第134条の2第1項ただし書き第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし,かつ同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので適法な訂正と認める。

第4 本件訂正発明
上記のとおり本件訂正を認めるので,本件特許に係る発明は,本件訂正により訂正された明細書(以下,「訂正明細書」という。)及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのもの(以下,「本件訂正発明」という。)と認める(【A】?【J2】は,本件訂正発明の記載を分説するため当審で付した。)。

「【請求項1】
【A】 遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームを開始させることが可能となり,複数種類の識別情報を変動表示させる可変表示部として左可変表示部と中可変表示部と右可変表示部とを有する可変表示装置を備え,すべての可変表示部に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し,すべての可変表示部各々に導出された表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能であるスロットマシンであって,
【B】 いずれの可変表示部にも表示結果が導出される前に,前記遊技用価値を用いることなく次のゲームを行なうことが可能な再ゲーム入賞と,前記遊技用価値の付与を伴う付与入賞とを含む複数種類の入賞各々の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と,
【C】 前記事前決定手段の決定結果に応じて,すべての可変表示部各々に表示結果を導出させる導出制御手段と,
【D】 初期遊技状態と,前記初期遊技状態よりも遊技者にとって不利な不利遊技状態とを含む複数種類の遊技状態のうちいずれかに制御する遊技状態制御手段とを備え,
【E】 前記導出制御手段は,前記事前決定手段により前記再ゲーム入賞の発生を許容する旨が決定されているときには必ず前記再ゲーム入賞を発生させる再ゲーム入賞表示結果の組合せを導出させ,
【F】 前記遊技状態制御手段は,
【F1】 予め定められた初期化条件が成立したときに,前記初期遊技状態に制御する初期遊技状態制御手段と,
【F2】 前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときに,前記複数種類の入賞のうち予め定められた第1不利移行入賞が発生したことを条件として,前記不利遊技状態のうち最大ゲーム数が第1ゲーム数に定められている不利遊技状態であって,制御されてから前記第1ゲーム数を消化する間において,所定演出が実行された後,前記初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御される旨を報知する演出が実行される第1不利遊技状態に制御し,前記複数種類の入賞のうち,入賞を発生させる表示結果の組合せを構成する前記左可変表示部の識別情報が前記第1不利移行入賞と共通する一方で前記右可変表示部の識別情報が前記第1不利移行入賞と異なるように定められた第2不利移行入賞が発生したことを条件として,前記不利遊技状態のうち最大ゲーム数が前記第1ゲーム数よりも多い第2ゲーム数に定められている不利遊技状態であって,制御されてから前記第1ゲーム数を消化する間において,前記所定演出が実行された後,前記初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御されない旨を報知する演出が実行される第2不利遊技状態に制御する不利遊技状態制御手段とを含み,
【G】 前記事前決定手段は,
【G1】 前記初期遊技状態において,前記付与入賞と,前記再ゲーム入賞とを含む複数種類の入賞各々の発生を許容する旨を所定確率で決定し,
【G2】 前記不利遊技状態において,前記付与入賞の発生を前記初期遊技状態であるときと同じ確率で許容し,前記再ゲーム入賞の発生についてのみ前記初期遊技状態であるときよりも低い確率であって前記第1不利遊技状態であるか前記第2不利遊技状態であるかにかかわらず同じ確率で許容するように,複数種類の入賞各々の発生を許容するか否かを決定し,
【G3】 さらに前記初期遊技状態であるか前記不利遊技状態であるかに関わらず,前記第1不利移行の入賞の発生を許容するか否かおよび前記第2不利移行入賞の発生を許容するか否かを決定し,
【H】 前記不利遊技状態制御手段は,
【H1】 前記第1不利遊技状態に制御していることを特定しているときにおいては,前記第1不利移行入賞および前記第2不利移行入賞のいずれが発生しても前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに前記第1不利遊技状態および前記第2不利遊技状態のいずれにも制御せず,前記第1不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が前記第1ゲーム数に到達するまで当該第1不利遊技状態に制御し,
【H2】 前記第2不利遊技状態に制御していることを特定しているときにおいては,前記第1不利移行入賞および前記第2不利移行入賞のいずれが発生しても前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに前記第1不利遊技状態および前記第2不利遊技状態のいずれにも制御せず,前記第2不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が前記第2ゲーム数に到達するまで当該第2不利遊技状態に制御し,
【J】 前記初期遊技状態制御手段は,
【J1】 前記第1不利遊技状態が開始された後に消化したゲーム数が前記第1ゲーム数に到達したときに,当該第1不利遊技状態を終了させて前記初期遊技状態に制御し,
【J2】 前記第2不利遊技状態が開始された後に消化したゲーム数が前記第2ゲーム数に到達したときに,当該第2不利遊技状態を終了させて前記初期遊技状態に制御することを特徴とする,スロットマシン。」

第5 甲各号証の記載事項
請求人の提出した甲各号証はいずれも,本件出願遡及日前に頒布されたものであって,以下の記載事項と発明が認められる。なお,下線は当審で付した。

1 甲第1号証(特開2007-130176号公報)
甲第1号証には,図面と共に以下の事項が記載されている。

(甲1ア)「【0009】
「役」には,例えば,遊技媒体を投入しないで遊技を再実施できる「再遊技」のための「再遊技役」や,入賞すると予め定められた数の遊技媒体の払い出しを行なう一般役が含まれる。また,後述するように,遊技を遊技者にとって有利に進行させる「当たり遊技」を行なうための「当たり役」が含まれる場合もある。」

(甲1イ)「【0012】
再遊技選択高状態に変更するための「所定の開始要件」については,例えば,所定回数の遊技を消化したことを開始要件にすることも可能であるし,所定の役に当選し,かつその役に応じた図柄が停止して入賞することを開始要件にすることも可能である。また,後述するように,当たり遊技のような特定の遊技状態が終了したことを開始要件にすることも可能であるし,その他の様々な事象を,開始要件に設定することが可能である。」

(甲1ウ)「【0039】
また,スロットマシン10の筐体の上方には,液晶ディスプレイパネルから構成される表示装置70が設けられている。なお,表示装置70は,上述した液晶ディスプレイパネルに限られず,画像情報や文字情報を遊技者が遊技中に視認し得る装置であれば,その他あらゆる表示装置を用いることが可能である。この表示装置70においては,様々な演出画像を表示することができる。
スロットマシン10の筐体の内部には,3個のリール40L,40C及び40Rが回転自在に設けられている。リール40L,40C及び40Rは,リング状の形状であり,このリール40L,40C及び40Rの外周面には,図柄が印刷されたリールテープが貼り付けられている。リール40L,40C及び40Rの各々には,例えば,21個の図柄が等間隔で配置されている。これらの図柄の配列は,リール40L,40C及び40Rの各々で異なる。これらのリール40L,40C及び40Rの各々は,上述した表示窓22L,22C及び22Rを介して視認可能に設けられている。リールが停止しているときには,1つの表示窓において,1本のリールの連続した3つの図柄が視認可能となる。このため,3つの表示窓22L,22C及び22Rの全てからは,合計9個の図柄が視認可能となる。
・・・
【0041】
操作パネル部30の前面の左側には,スタートスイッチ50が傾動可能に設けられている。操作パネル部30の前面の中央部には,3つのストップスイッチ52L,52C及び52Rが設けられている。ストップスイッチ52Lは左リール40Lに対応し,ストップスイッチ52Cは中リール40Cに対応し,ストップスイッチ52Rは右リール40Rに対応している。
【0042】
上述したスタートスイッチ50を遊技者が傾動操作すると,上述した3つの40L,40C及び40Rは,一斉に回転を始める。3つのリール40L,40C及び40Rが回転したときには,リール40L,40C及び40Rの各々の外周面に描かれている図柄は,表示窓22L,22C及び22Rの各々において上から下へと移動表示される。」

(甲1エ)【0046】
スロットマシン10の筐体の下方の右側には,筐体の内部に収納されたスピーカ(図示せず。尚,後述する図3に示すスピーカ64に対応する。)から発せられた音を筐体の外部へ出すための透音穴60が設けられている。スロットマシン10の筐体の下方の中央部には,遊技媒体払出口62が設けられている。リール40L,40C又は40Rが停止して,有効ライン上に停止表示された図柄の組合せが,所定の組合せ,即ち役を構成する図柄の組合せとなり,役に入賞したときには,その組合せに応じて予め定められた枚数の遊技媒体が遊技媒体払出口62から払い出される。
【0047】
上述のように,スロットマシン10における遊技は,停止させられた複数のリール40
L,40C又は40Rの停止位置により定まる図柄の組合せによって遊技結果が定まる遊技である。また,この遊技は,スタートスイッチ50を遊技者が傾動操作する度に行なわれ,複数のリール40L,40C又は40Rの回転開始から回転停止までの行程を1回の遊技として,繰り返され得る遊技である。
【0048】
上述の役の種類には,例えば,当たり役,一般役,再遊技役等の種類がある。当たり役は,抽選で当たり役に当選し,その当たり役に応じた図柄が揃って入賞したときには,遊技を遊技者にとって有利に進行させる当たり遊技を行なうことができる役である。また,一般役は,抽選で一般役に当選し,その一般役に応じた図柄が揃って入賞すると,予め定められた数の遊技媒体の払い出しが行なわれる役である。また,再遊技役は,抽選で再遊技役に当選し,再遊技役に応じた図柄が揃って入賞したときに,遊技媒体を新たに投入することなく再遊技(リプレイとも称する。)が行なえるようにした役である。」

(甲1オ)「【0069】
<主制御回路100の説明>
制御回路100は,役抽選手段410と,リール制御手段440と,当たり遊技制御手段450と,再遊技制御手段460と,再遊技選択高状態制御手段470とを含む。
【0070】
役抽選手段410は,役抽選処理によって,役(当たり役であるBB役とRB役,一般役,再遊技役)の抽選を行なうものである。役抽選手段410は,例えば,役抽選用の乱数発生器112(ハード乱数等)と,この乱数発生器112が発生する乱数を抽出する乱数抽出手段420と,乱数抽出手段420が抽出した乱数値に基づいて役の当選の有無及び当選役を判定する乱数判定手段430とを備えている。この役抽選手段410による制御処理は,役抽選処理サブルーチン(図6,図7参照)に示される。
【0071】
リール制御手段440は,スタートスイッチ50から発信されたリール回転開始信号を受信することによって,モータ80L,80C,80Rの制御を行なって,リール40L,40C,40Rを回転させ,そして,ストップスイッチ52L,52C,52Rから発信されたリール停止信号の受信または所定時間の経過によって,リール40L,40C,40Rを停止させるリール作動に関する制御を行なう。停止の制御においては,当選した役に対応して,停止図柄が揃うまたは揃わないようにするための図柄組合せ制御を行なう。このリール制御手段440による制御処理は,リール変動,停止サブルーチン(図8参照)に示される。
・・・
【0074】
再遊技選択高状態制御手段470は,所定の開始要件を達成したときに,遊技の態様を,役抽選手段により再遊技役が当選する確率がより高い値に設定されたRT作動状態(再遊技選択高状態)に変更し,RT作動状態(再遊技選択高状態)に変更後,所定の解除要件を達成したときに,RT作動状態(再遊技選択高状態)を解除する制御処理を行なう。」

(甲1カ)「【0079】
図5には,主制御回路100で行なわれる制御処理のメインルーチンを示す。図6から図14には,このメインルーチンで行なわれる制御処理である各サブルーチンを示す。」

(甲1キ)「【0085】
<メインルーチンの説明>
まず,メインルーチンの制御処理の説明を,図5のフローチャートを用いながら説明する。このメインルーチンでは,遊技者が遊技媒体を投入して,複数の図柄が表示された複数のリールを回転させて停止させるまでの1工程を1回とする遊技を,1回行なうときの制御処理を示す。
・・・
【0089】
また,ステップS13の判断で,もし,クレジットされた遊技媒体が有る(YES)と判別したときには,次に,ベット操作信号を受信したか否かを判断する(ステップS14)。このベット操作信号は,遊技者がベットスイッチ32,34または36の何れか1のスイッチを操作したときに発信される。この判断で,もし,ベット操作信号を受信していない(NO)と判別したときには,再びステップS12に戻り,ステップS12からステップS14までの判断処理を繰り返し実行する。ステップS14の判断で,もし,ベット信号を受信した(YES)と判別したときには,受信したベット操作信号からベット数を検出する(ステップS15)。そして,遊技媒体の投入またはクレジットされた遊技媒体の使用の何れの場合においても,検出したベット数を新たなベット数としてRAM110に記憶し,クレジットされた遊技媒体を使用する場合には,同時に,遊技媒体のクレジット数から,検出したベット数分の枚数だけ減じる処理を行なう(ステップS16)。そして,役抽選処理サブルーチン(ステップS18)へ進む。
・・・
【0091】
ステップS18の役抽選処理サブルーチンでは,役抽選手段410による役抽選が行なわれ,当選した役に応じて,RBフラグ,BBフラグ,再遊技フラグ,一般役フラグをオンにするフラグオンの処理が行なわれる。このサブルーチンの詳細については,図6と図7のフローチャートを用いて後述する。
【0092】
役抽選処理サブルーチン(ステップS18)に引き続いて,この役抽選の結果に基づいて,リール40L,40C,40Rを回転させてから停止させるリールの動きに関する制御処理を行なうリール変動,停止サブルーチン(ステップS19)が行なわれる。このリール変動,停止サブルーチンは,リール制御手段440によって行なわれ,このサブルーチンの詳細については,図8のフローチャートを用いて後述する。」

(甲1ク)「【0103】
BB作動時一般抽選表は,BB遊技中であって,かつRB遊技中ではない状態の場合に用いる抽選表である。もし,BB遊技中であってRB遊技中の場合には,上述の図18に示すRB用抽選表を用いる。BB作動時一般抽選表では,図柄番号1?5の5種類の一般役と,図柄番号6のRB役と,図柄番号7のはずれが設定されている。ここで,後述するBB未作動時一般抽選表(図21参照)と比較すると,BB作動時一般抽選表では,再遊技役及びBB役がない設定になっている。
【0104】
図柄番号1?3の一般役1?3は,入賞図柄として何れもチェリーが設定されている。まず,図柄番号1の一般役1は,役抽選における当選確率が1/240であって,左リールの図柄が白チェリーであれば,残り2つのリールの図柄については,何れの図柄であっても入賞するように設定されている。図柄番号2の一般役2は,役抽選における当選確率が1/240であって,左リールの図柄が赤チェリーであれば,残り2つのリールの図柄については,何れの図柄であっても入賞するように設定されている。図柄番号3の一般役3は,役抽選における当選確率が1/240であって,左リールの図柄が青チェリーであれば,残り2つのリールの図柄については,何れの図柄であっても入賞するように設定されている。
【0105】
また,図柄番号4の一般役4は,役抽選における当選確率が1/10であって,3つのリール共にベルの図柄が揃う場合に入賞するように設定されている。図柄番号5の一般役5は,役抽選における当選確率が1/100であって,3つのリール共にスイカの図柄が揃う場合に入賞するように設定されている。
・・・
【0108】
NRTは,初期状態では0に設定されており,RT作動状態の開始要件が満たされたとき,具体的には,BB遊技が終了したときにNRTの値に1をインプットする(図10のステップS107,図11のステップS134参照)ようになっている。また,RT作動状態において,RT作動状態の解除要件が満たされたとき,具体的には,RT作動状態における遊技数が所定回数に達したとき(図6のステップS41),BB役に当選したとき(図7のステップS54参照),及び一般役1?3が入賞したとき(図14のステップS183参照)に,NRTの値に0をインプットしてRT作動状態を解除する。
・・・
【0110】
ステップS37に引き続き,ROM108に記憶されたRT作動時一般抽選表を読み出す(ステップS38)ここで,RT作動時一般抽選表の実施例を図20に示す。
【0111】
RT作動時一般抽選表では,図柄番号1?5の5種類の一般役と,図柄番号6の再遊技役と,図柄番号7のRB役と,図柄番号8のBB役と,図柄番号9のはずれが設定されている。このRT作動時一般抽選表と,通常の遊技状態において用いるBB未作動時一般抽選表(図21参照)と比較すると,設定されている役と図柄は同一であるが,RT作動時一般抽選表では,図柄番号6の再遊技役の当選確率が,BB未作動時一般抽選表よりも大きな値が設定されている。以下に,RT作動時一般抽選表について,図柄番号順に説明する。」

(甲1ケ)「【0114】
また,図柄番号7のRB役は,役抽選における当選確率が1/600であって,3つのリール共に青7の図柄が揃う場合に入賞するように設定されている。図柄番号8のBB役は,役抽選処理における当選確率が1/300であって,3つのリール共に赤色の7の図柄が揃う場合に入賞するように設定されている。従って,図20と図21との比較で明らかなように,RT作動時においては,通常の遊技状態に比べて,再遊技役の役抽選における当選確率がより高く設定されているが,一般役,当たり役については全く同一に設定されている。RT作動時におけるはずれの確率は,再遊技役が当選する確率が高く設定されている分,通常の遊技状態に比べて低く設定されている。」

(甲1コ)「【0117】
本実施形態では,RTMAXの値として5000が設定されている。ただし,このRT作動状態においてこの遊技回数に達する前に,BB役に当選する場合(図7のステップS54参照)や一般役1?3が入賞した場合(図14のステップS183参照)には,RT作動状態を解除することになる。
【0118】
次に,ステップS36の判断に戻って,もし,NRTの値が0以下である(NO)と判別したときには,ROM108に記憶したBB未作動時一般抽選表を読み出す(ステップS42)。ここで,BB未作動時一般抽選表の実施例を図21に示す。
【0119】
BB未作動時一般抽選表は,既に説明したように,通常の遊技状態において用いられる抽選表であり,図柄番号1?5の5種類の一般役,図柄番号6の再遊技役,図柄番号7のRB役,図柄番号8のBB役,及び図柄番号9のはずれが設定されている。図柄番号1?5の5種類の一般役は,上述のBB作動時一般抽選表(図19参照)と,役抽選における当選確率及び図柄の設定共に,同一の設定がなされている。図柄番号6の再遊技役は,役抽選処理における当選確率が1/7.3であって,3つのリール共にリプレイの図柄が揃う場合に入賞するように設定されている。」

(甲1サ)「【0149】
次に,BB遊技の終了条件を達成しているか否かを判断する(ステップS105)。この判断で,もし,BB遊技の終了条件を達成している(YES)と判別したときには,NBB及びNRBの値に0をインプットして,RB遊技状態,BB遊技状態を解除する(ステップS106)。
【0150】
次に,NRTの値として1をインプットしてRT作動状態を設定し(ステップS107),RT作動状態における遊技数を数えるためのカウンタRTKAISUの値に,0をインプットして初期化する(ステップS108)。そして,RT開始信号を副制御回路200へ送信して(ステップS109),本サブルーチンを終了する。副制御回路200では,ステップS109で送信されたRT開始信号に基づき,演出実施回数決定サブルーチンのステップS240の判断処理を行なう(図17参照)。
・・・
【0158】
次に,BB遊技の終了条件が達成したか否かを判断する(ステップS132)。この判断で,もし,BB遊技の終了条件を達成している(YES)と判別したときには,NBBの値に0をインプットしてBB遊技状態を解除する(ステップS133)。そして,NRTの値として1をインプットしてRT作動状態を設定し(ステップS134),RT作動状態における遊技数を数えるためのカウンタRTKAISUの値に0をインプットして初期化する(ステップS135)。そして,RT開始信号を副制御回路200へ送信して(ステップS136),本サブルーチンを終了する。副制御回路200では,ステップS136で送信されたRT開始信号に基づき,演出実施回数決定サブルーチンのステップS240の判断処理を行う(図17参照)。」

(甲1シ)「【0170】
<一般役入賞処理サブルーチン>
次に,役当選時処理サブルーチン(図12参照)において,ステップS145で一般役に入賞したと判断したときに実施する一般役入賞処理サブルーチン(ステップS148参照)の詳細な説明を,図14に示すフローチャートを用いて説明する
【0171】
まず,NRTの値が0より大きいか否かを判断する(ステップS181)。この判断で,もし,NRTの値が0以下である(NO),つまり,RT作動状態でないと判断された場合には,そのままステップS184へ進む。ステップS181の判断で,もし,NRTの値が0より大きい(YES)と判別したときには,次に,一般役1?3が入賞したか否かを判断する(ステップS182)。この判断で,もし,一般役1?3が何れも入賞していない(NO)と判別したときには,そのままステップS184へ進む。
【0172】
ステップS182の判断で,もし,一般役1?3が入賞した(YES)と判別したとき,つまり,RT作動時において一般役1?3が入賞したと判別したときには,NRTの値に0をインプットしてRT作動状態を解除し(ステップS183),ステップS184へ進む。本実施形態では,役抽選で一般役1?3に当選した場合であっても,遊技者のリールの停止操作によって,一般役1?3が入賞する場合も入賞しない場合もあり,入賞しない場合にはRT作動状態が継続する。また,遊技者は,リールの停止操作を行なうに当たり,後述する副制御回路200による一般役ランプ(報知図形)を用いた演出を参照して,リールの停止操作を行なうことができる。」

(甲1ス) 段落【0198】には,「【0198】・・・役抽選で一般役1?3に入賞したときには,左リール40Lで図柄チェリーが停止すれば,他のリールの停止図柄に関わらず入賞する設定になっている。」と記載されているが,上記(甲1シ)の段落【0172】の記載からも明らかなように,役抽選で行われるのは,役の入賞でなく,役の当選であるから,段落【0198】の記載は,「【0198】・・・役抽選で一般役1?3に当選したときには,左リール40Lで図柄チェリーが停止すれば,他のリールの停止図柄に関わらず入賞する設定になっている。」の誤記であるといえる。
よって,段落【0198】には,以下の内容が記載されている。
「【0198】
そして,ステップS227の判断で,もし,全停止信号を受信した(YES)と判別したときには,次に,点灯している一般役ランプを全て消灯して(ステップS228),本サブルーチンを終了する。
なお,本実施形態では,役抽選で一般役1?3に当選したときには,左リール40Lで図柄チェリーが停止すれば,他のリールの停止図柄に関わらず入賞する設定になっている。」

(甲1セ)「【0200】
また,上述の実施形態では,RT作動状態の解除要件として,BB役に当選した場合や,所定回数の遊技を行なった場合が設定されているが,必ずしも,これらの要件を設定する必要はなく,また,その他の要件を設定することも可能である。」

(甲1ソ) 上記(甲1ウ)の段落【0041】,上記(甲1オ)の段落【0070】,上記(甲1キ)の段落【0091】?【0092】の記載を参酌すると,図5には,ステップS19で左リール40L,中リール40C,右リール40Rを回転させる前に,ステップS18で役(当たり役であるBB役とRB役,遊技媒体を投入しないで遊技を再実施できる再遊技,役入賞すると遊技媒体の払い出しを行う一般役)抽選を行う点が記載されているといえる。

(甲1タ) 上記(甲1ク)の段落【0110】?【0111】,上記(甲1オ)の段落【0070】,【0074】の記載を参酌すると,図20には,役抽選手段410は,RT作動状態(再遊技選択高状態)において,一般役1,一般役2,一般役3,一般役4,一般役5,再遊技,RB役,BB役について,1/240,1/240,1/240,1/10,1/100,1/1.5,1/600,1/300の当選確率で役抽選を行う点が記載されているといえる。

(甲1チ) 上記(甲1ク)の段落【0110】?【0111】,上記(甲1オ)の段落【0070】,【0074】の記載を参酌すると,図20?21には,役抽選手段410は,RT作動状態(再遊技選択高状態)であるか通常の遊技状態であるかにかかわらず,一般役1?3について,1/240の当選確率で役抽選を行う点が記載されているといえる。

(甲第1号証に記載された発明の認定に対する両当事者の主張)
甲第1号証に記載された発明の認定について,両当事者間で争いがあるので,以下双方の主張について検討する。
a 請求人の主張
(ウ)「RT作動状態移行前の状態が通常の遊技状態であるか否か」について
(ウ1) 段落【0012】には,当たり役(上記実施例におけるBB遊技)の遊技状態が終了したこと(換言すればRT作動状態に移行する前の遊技状態をBBとすること)を再遊技選択高状態(本件発明における通常遊技状態)の開始要件とするばかりでなく,これと並列して,「再遊技選択高状態に変更するための『所定の開始要件』については,例えば,所定回数の遊技を消化したことを開始要件にすることも可能であるし,所定の役に当選し,かつその役に応じた図柄が停止して入賞することを開始要件にすることも可能である」と記載されている。
よって,甲第1号証には,RT作動状態に移行する前の遊技状態として通常の遊技状態(BB未作動状態)が開示されている(審判事件弁駁書第10頁第1行?第11頁第19行)。
(ウ2) 段落【0012】には「再遊技選択高状態に変更するための『所定の開始要件』については,例えば,(1)所定回数の遊技を消化したことを開始要件にすることも可能であるし,(2)所定の役に当選し,かつその役に応じた図柄が停止して入賞することを開始要件にすることも可能で,また,後述するように,(3)当たり遊技のような特定の遊技状態が終了したことを開始要件にすることも可能である」と記載されている。
段落【0012】の「(1)所定回数の遊技を消化したこと」とは「RT作動時」の「開始要件」であるから,「所定回数の消化」が「RT作動時」と「BB未作動時」を跨ぐこともありえない。
さすれば,「(1)所定回数の遊技を消化したこと」がRT作動の開始要件となる状態とは,「BB未作動時」すなわち通常の遊技状態しかあり得ない(口頭審理陳述要領書第10頁第6行?第12頁末行)。

(エ)「通常の遊技状態において一般役に入賞するか否か」について
(エ1) 甲第1号証【図12】「役当選時処理サブルーチン」のS141において,入賞図柄判定がなされる。この入賞図柄判定は,甲第1号証【図9】S95において当選した役に対応する図柄組合せが表示されているか否かの判定である。
また,甲第1号証【図21】(BB未作動時の一般抽選表の実施例を示す図)には,BB未作動時(通常の遊技状態)に一般役1?3を抽選していることが記載されており,一般役1?3に当選した場合には,その入賞判定が行われる(前述の【図12】S141)ことは明らかである。
BB未作動時(通常の遊技状態)に一般役1?3の入賞が発生しないなどという開示はない。
従って,【図9】【図12】【図14】のフローチャート,【図21】のBB未作動時(通常の遊技状態)の一般抽選表及び本件出願時の当業界の技術常識から,甲1発明にはBB未作動時(通常の遊技状態)においても一般役1?3の当選及び入賞の判定を行っていることは明らかである(審判事件弁駁書第11頁第20行?第15頁第24行)。

(エ2) 甲第1号証(段落【0103】?【0105】)には,BB作動時において,一般役(一般役1?3を含む)が「BB作動時一般抽選表」に基づき抽選され,図柄が揃えば「入賞」することが明記されている。
BB作動時の処理である【図11】のフローチャートにおいて,S126の「再遊技役入賞?」でNOの場合,S129で「一般役フラグオフ」となるが,明細書には一般役(一般役1?3を含む)の入賞が判断されることが開示されていることから,上記フローチャートにおいてはS129の「一般役フラグオフ」の前にその処理が行われており,記載が省略されているに過ぎないことは明らかである。
一方,技術常識として,BB作動時に一般役の当選,入賞を判断するにも関わらず,BB未作動時(通常の遊技状態)に一般役の当選,入賞を判断しないスロットマシンは考えられない。
従って,一般役入選サブルーチンを示す【図14】においても,BB未作動時(S181でNO)のときに一般役の入賞が判断されないのではなく,BB遊技中処理サブルーチンを示す【図11】のS126とS129の間の記載と同様,一般役(一般役1?3を含む)の入賞判断処理は,自明事項であるがゆえに記載が省略されているにすぎない。
更に付け加えれば,甲第1号証の【図15】の一般役ランプサブルーチンにおける演出制御で,RT作動状態でない場合(通常の遊技状態の場合),一般役(一般役1?3を含む)の入賞に導くために,点消灯による演出が行われることが段落【0184】,【0194】に記載されている(口頭審理陳述要領書第3頁第4行?第9頁第1行,第13頁第1?22行)。

b 被請求人の主張
(う)「RT作動状態移行前の状態が通常の遊技状態であるか否か」について
(う1) RT作動状態に移行する前の遊技状態として甲第1号証に記載されている状態は「BB」であり,甲第1号証には,RT作動状態に移行する前の遊技状態が「通常の遊技状態」であることは記載されていない(審判事件答弁書第5頁第28行?第6頁第18行)。

(う2) 甲第1号証の段落【0012】の記載からでは,いずれの状態において「所定回数の遊技を消化」することにより所定の開始要件が成立するのかが不明である。
よって,甲第1号証には,「所定回数の遊技を消化」することにより所定の開始要件が成立することが記載されているとしても,所定回数の遊技を消化する状態が「通常の遊技状態」であることについて記載されているとはいえない(口頭審理陳述要領書第10頁第7?末行)。

(え)「通常の遊技状態において一般役に入賞するか否か」について
(え1) 甲第1号証には,通常の遊技状態であると判断した場合に一般役1?3が入賞したか否かを判断する処理を行うことについて記載されていないから,甲第1号証には,「通常の遊技状態に制御していることを特定しているときにおいて一般役1?3に入賞」することが記載されているといえない(審判事件答弁書第6頁第19行?第7頁第19行)。

(え2) 甲第1号証には,【図12】のS141に関し,段落【0161】において「まず,上述のリール変動,停止サブルーチンによって停止したリール図柄が入賞しているか入賞図柄判定を行なう(ステップS141)。」ことが記載されているものの,「甲第1号証【図9】S95において当選した役に対応する図柄組合せが表示されているか否か」を判定することについて記載されていない。
「BB未作動時(通常の遊技状態)に一般役1?3の入賞が発生しないなどという開示はない。」ことからでは,依然として「BB未作動時(通常の遊技状態)に一般役1?3の入賞が発生する」か否か不明である(口頭審理陳述要領書第3頁第21行?第4頁第6行,第11頁第1行?第13頁26行)。

請求人及び被請求人の主張を踏まえ,甲第1号証に記載された発明の認定を行う。
(甲1ツ) 上記(甲1コ)の段落【0118】には,「S36の判断に戻って,・・・,NRTの値が0以下である(NO)と判別したときには,・・・BB未作動時一般抽選表を読み出す(ステップS42)」と記載されており,上記(甲1コ)の段落【0119】には,「BB未作動時一般抽選表は,・・・,通常の遊技状態において用いられる」と記載されているから,図14の説明である上記(甲1シ)の段落【0171】の「まず,NRTの値が0より大きいか否かを判断する(ステップS181)。この判断で,もし,NRTの値が0以下である(NO),つまり,RT作動状態でないと判断された場合には,」という記載の「RT作動状態でないと判断された場合」は,「通常の遊技状態と判断された場合」であるといえる。
上記(甲1チ)の「図20?21には,役抽選手段410は,RT作動状態(再遊技選択高状態)であるか通常の遊技状態であるかにかかわらず,一般役1?3について,1/240の当選確率で役抽選を行う点が記載されている。」との認定事項,上記(甲1ス)の「【0198】・・・役抽選で一般役1?3に当選したときには,左リール40Lで図柄チェリーが停止すれば,他のリールの停止図柄に関わらず入賞する設定になっている。」との記載から,RT作動状態(再遊技選択高状態)であるか通常の遊技状態であるかにかかわらず,役抽選で一般役1?3に当選したときには,左リール40Lで図柄チェリーが停止すれば,一般役1?3の入賞は発生するといえる。
上記(甲1コ)の段落【0108】には,「RT作動状態の開始要件が満たされたとき,具体的には,BB遊技が終了したときに・・・RT作動状態の解除要件が満たされたとき,具体的には,RT作動状態における遊技数が所定回数に達したとき(図6のステップS41),BB役に当選したとき(図7のステップS54参照),及び一般役1?3が入賞したとき(図14のステップS183参照)に」と記載されているから,RT作動状態の開始要件が満たされるのは,BB遊技が終了したときであり,RT作動状態の解除要件が満たされるのは,RT作動状態における遊技数が所定回数に達したとき,BB役に当選したとき,及び一般役1?3が入賞したときであるメイン実施例が記載されているといえる。
しかしながら,上記(甲1セ)の段落【0200】には「RT作動状態の解除要件として・・・所定回数の遊技を行なった場合が設定されているが,必ずしも,これらの要件を設定する必要はなく」と記載され,上記(甲1イ)の段落【0012】には,「再遊技選択高状態に変更する・・・開始要件・・・は,例えば,所定回数の遊技を消化したことを開始要件にすることも可能」と記載されているから,RT作動状態の開始要件が満たされるのは,BB遊技が終了したとき,及び所定回数の遊技を行なった場合であり,RT作動状態の解除要件が満たされるのは,BB役に当選したとき,及び一般役1?3が入賞したときであるといえる。
上記(甲1イ)の段落【0012】には,「再遊技選択高状態に変更する・・・開始要件・・・は,例えば,所定回数の遊技を消化したことを開始要件にすることも可能」と記載されているが,「所定回数の遊技を消化」するのがどの遊技状態であるか明確でない。甲第1号証には,RT作動状態(再遊技選択高状態)以外の遊技状態として,上記(甲1コ)の段落【0119】に記載された通常の遊技状態,上記(甲1サ)の段落【0149】に記載されたRB遊技状態及びBB遊技状態があるが,スロットマシンの技術常識を考慮すると,RB遊技状態及びBB遊技状態は,おおよそのゲーム数が決まっており,有利な遊技状態であるRB遊技状態及びBB遊技状態の途中において,別の遊技状態に変更することが想定されているとは思えないから,通常の遊技状態において,所定回数の遊技を消化したことによりRT作動状態(再遊技選択高状態)になるといえる。それに,スロットマシンの技術常識を考慮すると,所定回数の遊技を消化することにより遊技状態を変更する場合,所定回数が複数の遊技状態に跨がった回数であるような特殊なケースが想定されているとは思えないから,同一の遊技状態(通常の遊技状態)の回数であるといえる。これらのことから,通常の遊技状態において所定回数の遊技を消化したことによりRT作動状態(再遊技選択高状態)になるといえる。
以上のことから,上記(甲1シ)の段落【0171】?【0172】,上記(甲1オ)の【0074】,上記(甲1コ)の段落【0108】,【0118】?【0119】,上記(甲1サ)の段落【0149】,上記(甲1ス)の段落【0198】,上記(甲1セ)の段落【0200】の記載を参酌し,変形例の記載である上記(甲1イ)の段落【0012】の記載を考慮すると,図14及び上記(甲1イ)の段落【0012】には,S181において,NRTの値が0以下である(NO)通常の遊技状態と判断された場合,S182?S183の一般役1?3が入賞したと判別したときのRT作動状態(再遊技選択高状態)を解除する処理を行わず,S181において,NRTの値が0より大きいRT作動状態(再遊技選択高状態)と判別した場合,S182において一般役1?3が入賞したと判別したときに,S183において,RT作動状態(再遊技選択高状態)を解除して通常の遊技状態にし,通常の遊技状態において所定回数の遊技を消化したことによりRT作動状態(再遊技選択高状態)になるようにした点が記載されている。

(被請求人の上記b(う)の主張に対して)
被請求人は,「RT作動状態移行前の状態が通常の遊技状態であるか否か」について,上記b(う)において言及したように,甲第1号証には,RT作動状態に移行する前の遊技状態が「通常の遊技状態」であることは記載されていない旨主張する。
しかしながら,上記(甲1ツ)において既に検討したように,甲第1号証の上記(甲1イ)の段落【0012】の記載,上記(甲1コ)の段落【0119】の記載,上記(甲1サ)の段落【0149】の記載から,通常の遊技状態において所定回数の遊技を消化したことによりRT作動状態(再遊技選択高状態)になる点が記載されているといえるので,RT作動状態(再遊技選択高状態)の前の状態は,通常の遊技状態であるといえる。

仮に,RT作動状態(再遊技選択高状態)に変更する前の状態として,通常の遊技状態だけでなく,通常の遊技状態以外の状態も想定されているとしても,通常の遊技状態が全く想定されていないとはいえないから,RT作動状態(再遊技選択高状態)に変更する前の状態が,通常の遊技状態であるとの認定は,間違っていない。
よって,被請求人の上記b(う)の主張は採用することができない。

(被請求人の上記b(え)の主張に対して)
被請求人は,「通常の遊技状態において一般役に入賞するか否か」について,上記b(え)において言及したように,甲第1号証には,通常の遊技状態において一般役1?3に入賞することが記載されていない旨主張する。
しかしながら,上記(甲1ツ)において既に検討したように,上記(甲1チ)の図20?21からの認定事項,上記(甲1ス)の段落【0198】の記載から,通常の遊技状態において一般役1?3に入賞することが記載されているといえる。

また,上記a(エ)において請求人が主張しているように,甲第1号証(段落【0103】?【0105】)には,BB作動時(BB遊技状態)において,一般役(一般役1?3を含む)が「BB作動時一般抽選表」に基づき抽選され,図柄が揃えば「入賞」することが明記されている。
BB作動時(BB遊技状態)の処理である【図11】のフローチャートにおいて,S126の「再遊技役入賞?」でNOの場合,S129で「一般役フラグオフ」となるが,明細書には一般役(一般役1?3を含む)の入賞が判断される点が開示されているから,上記フローチャートにおいてはS129の「一般役フラグオフ」の前に一般役(一般役1?3を含む)の入賞が判断される処理が行われており,一般役(一般役1?3を含む)の入賞が判断される処理の記載が省略されているに過ぎないことは明らかである。
一方,技術常識として,BB作動時(BB遊技状態)に一般役の当選,入賞を判断するにも関わらず,BB未作動時(通常の遊技状態)に一般役の当選,入賞を判断しないスロットマシンは考えられない。
したがって,一般役入選サブルーチンを示す【図14】においても,BB未作動時(通常の遊技状態)(S181でNO)のときに一般役の入賞が判断されないのではなく,BB遊技中処理サブルーチンを示す【図11】のS126とS129の間の記載と同様,一般役(一般役1?3を含む)の入賞判断処理の記載が省略されているにすぎない。
これらのことからも,通常の遊技状態において一般役1?3に入賞するといえる。
よって,被請求人の上記b(え)の主張は採用することができない。

次に,本件訂正発明の構成に対応させて,甲第1号証に記載されたの内容を検討する。
(甲1a1) 上記(甲1キ)の「【0089】・・・遊技媒体の投入またはクレジットされた遊技媒体の使用・・・において・・・検出したベット数を新たなベット数として」,「【0085】・・・遊技媒体を投入して・・・遊技を,1回行なう」との記載から,
甲第1号証には,「遊技媒体の投入またはクレジットされた遊技媒体の使用において検出したベット数を新たなベット数として遊技を1回行う」ことができるものである点が記載されているといえる。

(甲1a2) 上記(甲1ウ)の「【0042】・・・3つのリール40L,40C及び40Rが回転したときに・・・各々の外周面に描かれている図柄・・・表示窓22L,22C及び22Rの各々において上から下へと移動表示される」,「【0041】・・・左リール40L・・・中リール40C・・・右リール40R」,「【0039】・・・3個のリール40L,40C及び40Rが・・・設けられ・・・リール40L,40C及び40Rの各々には・・・21個の図柄が・・・配置」との記載から,
甲第1号証には,「3つの左リール40L,中リール40C及び右リール40Rが回転したときに各々の外周面に描かれている21個の図柄が上から下へと移動表示される表示窓22L,22C及び22R」がある点が記載されているといえる。

(甲1a3) 上記(甲1エ)の「【0047】・・・複数のリール40L,40C又は40Rの・・・回転停止まで・・・を1回の遊技とし」との記載,上記(甲1ウ)の「【0041】・・・左リール40L・・・中リール40C・・・右リール40R」との記載から,
甲第1号証には,「複数の左リール40L,中リール40C,右リール40Rの回転停止までを1回の遊技とする」点が記載されているといえる。

(甲1a4) 上記(甲1オ)の「【0071】停止の制御において・・・当選した役に対応して,停止図柄が揃うまたは揃わないようにする」との記載,上記(甲1エ)の「【0046】・・・スロットマシン10・・・リール40L,40C又は40Rが停止して,有効ライン上に停止表示された図柄の組合せが・・・役を構成する図柄の組合せとなり,役に入賞し」との記載,上記(甲1ウ)の「【0041】・・・左リール40L・・・中リール40C・・・右リール40R」との記載から,
甲第1号証には,「停止制御において当選した役に対応して停止図柄が揃うまたは揃わないようにし,左リール40L,中リール40C,又は右リール40Rが停止して,有効ライン上に停止表示された図柄の組合せが役を構成する図柄の組合せとなると,役に入賞するスロットマシン10」が記載されているといえる。

(甲1b) 上記(甲1ソ)の「左リール40L,中リール40C,及び右リール40Rを回転させる前に,役(当たり役であるBB役とRB役,当たり役であるBB役とRB役,遊技媒体を投入しないで遊技を再実施できる再遊技役,入賞すると遊技媒体の払い出しを行なう一般役)抽選を行う」との認定事項,上記(甲1オ)の「【0070】役抽選手段410・・・役(当たり役であるBB役とRB役,一般役,再遊技役)の抽選を行なう」との記載から,
甲第1号証には「左リール40L,中リール40C,右リール40Rを回転させる前に,役(当たり役であるBB役とRB役,遊技媒体を投入しないで遊技を再実施できる再遊技役,入賞すると遊技媒体の払い出しを行う一般役)抽選を行う役抽選手段410」が記載されているといえる。

(甲1c) 上記(甲1オ)の「【0071】リール制御手段440は,・・・リール40L,40C,40Rを停止させる・・・停止の制御においては,当選した役に対応して,停止図柄が揃うまたは揃わないようにする・・・図柄組合せ制御を行なう。」との記載,上記(甲1ウ)の「【0041】・・・左リール40L・・・中リール40C・・・右リール40R」との記載から,
甲第1号証には「当選した役に対応して,左リール40L,中リール40C,右リール40Rを停止させる停止制御において停止図柄が揃うまたは揃わないようにする図柄組合せ制御を行うリール制御手段440」が記載されているといえる。

(甲1d) 上記(甲1サ)の「【0158】・・・BB遊技の終了条件を達成・・・したときに・・・RT作動状態を設定し」との記載,上記(甲1ツ)の「通常の遊技状態において所定回数の遊技を消化したことによりRT作動状態(再遊技選択高状態)になるようにし」との認定事項,上記(甲1ケ)の「【0114】・・・RT作動時においては,通常の遊技状態に比べて,再遊技役の役抽選における当選確率が・・・高く設定されているが,一般役,当たり役については全く同一に設定されている。」と記載され,上記(甲1オ)の「【0074】再遊技選択高状態制御手段470は,・・・遊技の態様を・・・RT作動状態(再遊技選択高状態)に変更し,・・・RT作動状態(再遊技選択高状態)を解除する制御処理を行なう。」との記載,上記(甲1ツ)の「RT作動状態を解除して通常の遊技状態にし」との認定事項から,
甲第1号証には「BB遊技の終了条件を達成したとき及び通常の遊技状態において所定回数の遊技を消化したことにより設定され,通常の遊技状態に比べて再遊技役の役抽選における当選確率が高く設定されているが,一般役,当たり役については全く同一に設定されているRT作動状態(再遊技選択高状態)と,通常の遊技状態にする制御処理を行う再遊技選択高状態制御手段470」が記載されているといえる。

(甲1e) 上記(甲1エ)の「【0048】・・・再遊技役は,抽選で再遊技役に当選し,再遊技役に応じた図柄が揃って入賞したときに」との記載,上記(甲1オ)の「【0071】リール制御手段440は,・・・当選した役に対応して,停止図柄が揃うまたは揃わないようにするための図柄組合せ制御を行なう。」との記載から,
甲第1号証には「抽選で再遊技役に当選し,再遊技役に応じた図柄が揃ったときに再遊技役が入賞となるが,リール制御手段440は,当選した役に対応して停止図柄が揃うまたは揃わないようにする図柄組合せ制御を行うものである」点が記載されている。

(甲1f1) 上記(甲1オ)の「【0074】再遊技選択高状態制御手段470は,所定の開始要件を達成したときに,・・・RT作動状態(再遊技選択高状態)に変更し,」との記載,(甲1サ)の「【0158】・・・BB遊技の終了条件を達成・・・したときに・・・RT作動状態を設定し」との記載,(甲1ツ)の「通常の遊技状態において所定回数の遊技を消化したことによりRT作動状態(再遊技選択高状態)になるようにし」との認定事項から,
甲第1号証には「再遊技選択高状態制御手段470は,BB遊技の終了条件の達成又は通常の遊技状態において所定回数の遊技の消化により,RT作動状態(再遊技選択高状態)に設定する」点が記載されているといえる。

(甲1f2) 上記(甲1コ)の「【0117】・・・RT作動状態において・・・一般役1?3が入賞した場合(図14のステップS183参照)には,RT作動状態を解除する」との記載,上記(甲1オ)の「【0074】・・・RT作動状態(再遊技選択高状態)」との記載,上記(甲1ツ)の「RT作動状態を解除して通常の遊技状態にし」との認定事項から,
甲第1号証には「RT作動状態(再遊技選択高状態)において一般役1?3が入賞した場合(図14のステップS183参照),通常の遊技状態にし」た点が記載されているといえる。

(甲1g1) 甲第1号証には,上記(甲1タ)の「役抽選手段410は,RT作動状態(再遊技選択高状態)において,一般役1,一般役2,一般役3,一般役4,一般役5,再遊技,RB役,BB役について,1/240,1/240,1/240,1/10,1/100,1/1.5,1/600,1/300の当選確率で役抽選を行う」点が記載されているといえる。

(甲1g2) 上記(甲1ケ)の「【0114】・・・RT作動時においては,通常の遊技状態に比べて,再遊技役の役抽選における当選確率が・・・高く設定されているが,一般役,当たり役については全く同一に設定され」との記載,上記(甲1オ)の「【0074】・・・RT作動状態(再遊技選択高状態)」との記載から,
甲第1号証には「RT作動状態(再遊技選択高状態)においては,通常の遊技状態に比べて再遊技役の役抽選における当選確率が高く設定されているが,一般役,当たり役については全く同一に設定され」た点が記載されているといえる。

(甲1g3) 上記(甲1チ)の「RT作動状態(再遊技選択高状態)であるか通常の遊技状態であるかにかかわらず,一般役1?3について,1/240の当選確率で役抽選を行う」との認定事項,上記(甲1ス)の「【0198】・・・役抽選で一般役1?3に当選したときには,左リール40Lで図柄チェリーが停止すれば,他のリールの停止図柄に関わらず入賞する設定になっている。」との記載から,
甲第1号証には「RT作動状態(再遊技選択高状態)であるか通常の遊技状態であるかにかかわらず,一般役1?3について,1/240の当選確率で役抽選を行い,役抽選で一般役1?3に当選したときには,左リール40Lで図柄チェリーが停止すれば,他のリールの停止図柄に関わらず入賞する設定になっている」点が記載されているといえる。

(甲1h) 上記(甲1オ)の「【0074】再遊技選択高状態制御手段470は,・・・RT作動状態(再遊技選択高状態)を解除する」との記載,上記(甲1ツ)の「通常の遊技状態・・・場合,・・・一般役1?3が入賞した・・・ときのRT作動状態(再遊技選択高状態)を解除する処理を行わず」との認定事項から,
甲第1号証には「再遊技選択高状態制御手段470は,通常の遊技状態の場合,一般役1?3が入賞したときのRT作動状態(再遊技選択高状態)を解除して通常の遊技状態にする処理を行わ」ないようにした点が記載されているといえる。

(甲1a1)?(甲1h)に記載された事項を総合すると,甲第1号証には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる(【a】?【j】は,甲1発明の記載を分説するため当審で付した。)。

「【a】 遊技媒体の投入またはクレジットされた遊技媒体の使用において検出したベット数を新たなベット数として遊技を1回行うことができるものであり,3つの左リール40L,中リール40C及び右リール40Rが回転したときに各々の外周面に描かれている21個の図柄が上から下へと移動表示される表示窓22L,22C及び22Rがあり,複数の左リール40L,中リール40C,右リール40Rの回転停止までを1回の遊技とし,停止制御において当選した役に対応して停止図柄が揃うまたは揃わないようにし,左リール40L,中リール40C,又は右リール40Rが停止して,有効ライン上に停止表示された図柄の組合せが役を構成する図柄の組合せとなると,役に入賞するスロットマシン10であって,
【b】 左リール40L,中リール40C,及び右リール40Rを回転させる前に,役(当たり役であるBB役とRB役,遊技媒体を投入しないで遊技を再実施できる再遊技役,入賞すると遊技媒体の払い出しを行なう一般役)抽選を行う役抽選手段410と
【c】 当選した役に対応して,左リール40L,中リール40C,右リール40Rを停止させる停止制御において停止図柄が揃うまたは揃わないようにする図柄組合せ制御を行うリール制御手段440と,
【d】 BB遊技の終了条件を達成したとき及び通常の遊技状態において所定回数の遊技を消化したことにより設定され,通常の遊技状態に比べて再遊技役の役抽選における当選確率が高く設定されているが,一般役,当たり役については全く同一に設定されているRT作動状態(再遊技選択高状態)と,通常の遊技状態にする制御処理を行う再遊技選択高状態制御手段470とを含み,
【e】 抽選で再遊技役に当選し,再遊技役に応じた図柄が揃ったときに再遊技役が入賞となるが,リール制御手段440は,当選した役に対応して停止図柄が揃うまたは揃わないようにする図柄組合せ制御を行うものであり,
【f】 再遊技選択高状態制御手段470は,
【f1】 BB遊技の終了条件の達成又は通常の遊技状態において所定回数の遊技の消化により,RT作動状態(再遊技選択高状態)に設定し,
【f2】 RT作動状態(再遊技選択高状態)において一般役1?3が入賞した場合(図14のステップS183参照),通常の遊技状態にし,
【g】 役抽選手段410は,
【g1】 RT作動状態(再遊技選択高状態)において,一般役1,一般役2,一般役3,一般役4,一般役5,再遊技,RB役,BB役について,1/240,1/240,1/240,1/10,1/100,1/1.5,1/600,1/300の当選確率で役抽選を行い,
【g2】 RT作動状態(再遊技選択高状態)においては,通常の遊技状態に比べて再遊技役の役抽選における当選確率が高く設定されているが,一般役,当たり役については全く同一に設定され,
【g3】 RT作動状態(再遊技選択高状態)であるか通常の遊技状態であるかにかかわらず,一般役1?3について,1/240の当選確率で役抽選を行い,役抽選で一般役1?3に当選したときには,左リール40Lで図柄チェリーが停止すれば,他のリールの停止図柄に関わらず入賞する設定になっており,
【h】 前記再遊技選択高状態制御手段470は,
通常の遊技状態の場合,一般役1?3が入賞したときのRT作動状態(再遊技選択高状態)を解除して通常の遊技状態にする処理を行わないようにした
【j】 スロットマシン10。」

2 甲第2号証(パチスロ必勝本2007年7月号,第50?53頁)
甲第2号証には,以下の事項が記載されている。

(甲2ア) 第50頁左下欄には,「ボーナス&小役払い出し構成」と記載されると共に,ボーナスや小役などの図柄組合せ及び各払い出し枚数が記載されている。

(甲2イ) 第51頁右下欄には,「?ゲームフロー? これがアストロの出玉イメージだ」,「通常時 72G周期でRT突入 通常時を72G消化するたびにRTに突入する。」,「RTシステムを把握しよう アストロタイム・RTと2種類のRTが存在し,いずれもチェリー入賞でパンクする。アストロタイム中はチェリーナビが発生するため,内部的に抽選された差枚数に達するまで出玉を増加させることが可能。」,「2種類のRT チェリーハズシでRTは延命可能 RT平均継続ゲーム数19.7G 延命するほどコインが増加 RTはチェリー入賞で終了する。しかし,チェリーナビが発生した場合はチェリーの入賞を回避しRTを延命することが可能」,「ボーナス後はRT 設定変更後もRT」,「4種類のボーナス ・・・ ボーナス後は必ずRTへ ボーナスはBIG・CTそれぞれ2種類ずつの計4種類存在。BIGなら約260枚,CTなら約52枚のコインを獲得でき,ボーナス後は必ずRTに突入する」と記載されている。

(甲2ウ) 第52頁右上欄には,「RT中の基本事項 基本事項1 RT突入条件 ボーナス後 通常時を72G消化後(周期) RT突入条件は,全てのボーナス後orRT終了から72G後の2種類。RT突入後は,液晶に変化はないがリールの右のランプや台枠ランプの点滅で突入を知らせてくれることがある 基本条項2 RT終了条件 ボーナス成立 チェリー入賞 RT終了条件は,ボーナス成立またはチェリー入賞となっている。しかし,ボーナス後は必ずRTに突入するため,事実上チェリーが入賞しない限りRTは終了しないのだ」と記載されている。

(甲2エ) 第52頁右下欄には,「基本条項4 RT中詳細 ・・・ RT中はコインを増やしながら次回ボーナスの抽選を受けられる。」と記載されている。

3 甲第3号証(パチスロ攻略マガジンドラゴン2007年7月号,第16?20頁)
甲第3号証には,以下の事項が記載されている。

(甲3ア) 第17頁右下欄には,「おさらい RTとアストロタイムの関係 RTシステム ・・・ RT終了,72G消化すれば必ずRTに突入。いずれかのチェリー入賞で終了する。」と記載されている。

4 甲第4号証(特開2005-074064号公報)
甲第4号証には,図面と共に以下の事項が記載されている。

(甲4ア) 「【0023】
スロットマシン1には,3個のリール10a?10cが回転可能に内蔵されている。各リール10a?10cにはそれぞれ複数コマ(例えば21コマ)の絵柄が付され,対応する絵柄表示窓19a?19cを介して,それぞれ3コマの絵柄が同時に表示される。表示される絵柄は各リール10a?10cの停止位置によって決まり,全リール停止時には常に9個の絵柄が3行3列のマトリックス状に整列表示される。」

(甲4イ) 「【0053】
また,CPU40は,時短ゲームの確率抽選テーブルTsを用いて入賞役の抽選処理を行い,その当選役を当選役フラグFLにセットする( ステップS202)。確率抽選テーブルTsは,通常ゲームの確率抽選テーブルTnと比較して,リプレイ役の当選確率のみを大幅に高くしたものである。通常,リプレイ役の絵柄は,遊技者によるストップ操作のタイミングにかかわらず,常に引き込み可能にリール10a?10c上に配置されており,抽選処理でリプレイ役に当選すれば必ず入賞する。このため,時短ゲームでは高い確率でリプレイ役に入賞することになる。」

5 甲第5号証(特開2004-267769号公報)
甲第5号証には,図面と共に以下の事項が記載されている。

(甲5ア) 「【0069】
本実施形態のスロットマシン1における役の種類としては,赤7役,青7役,BAR役,ベル役,スイカ役,チェリー役,およびリプレイ役があることは上述した通りである。赤7役および青7役の成立はビッグボーナスに移行する契機となる一方,BAR役の成立はレギュラーボーナスに移行する契機となる。また,小役の種類によってプレイヤーが獲得できる遊技価値は各々異なる。スロットマシン1の制御においては,遊技価値の相違に応じた制御が必要とされることから,遊技価値に着目して各種の役を分類しておくと便利である。赤7役と青7役とは,ともにビッグボーナスに移行する契機となる。そこで,本実施形態のスロットマシン1は,これらの役に1つの賞群を割り当てる。赤7役および青7役を含む賞群をBB賞という。また,他の役は,各役に対応して各賞群がある。BAR役に対応する賞群をRB賞,ベル役に対応する賞群をベル賞,スイカ役に対応する賞群をスイカ賞,チェリー役に対応する賞群をチェリー賞,リプレイ役に対応する賞群をリプレイ賞という。」

(甲5イ) 「【0124】
この例では,内部抽選においてリプレイ賞に当選した場合には,リプレイ賞に必ず入賞するように停止テーブルが選択される。従って,直前のゲームの内部抽選結果がリプレイ賞の当選を示す場合には,当該ゲームはリプレイゲームとなる。上述したようにリプレイゲームは,メダルを投入することなく直前のゲームで有効化された入賞ラインが有効となるので,メダルは消費されない。従って,リプレイゲームにかかる時間を短縮したとしても,単位時間当たりのメダルの消費枚数を所定枚数内に制限することができ,一連のゲームを早く進行させることができる。この結果,プレイヤーを待たせる時間を短くすることができ,一連のゲームを円滑に進行させることが可能となる。」

6 甲第6号証(特開2006-75650号公報)
甲第6号証には,図面と共に以下の事項が記載されている。

(甲6ア) 「【0030】
パネル表示部Dの内側には,各々の外周面に複数種類の図柄が描かれた3列の左・中・右リールR1,R2,R3が回転自在に設けられている。図2に,左・中・右リールR1,R2,R3の構造を示し,図3に,右リールR3の詳細な構造を示す。各リールR1?R3は,環状の形状をしており,その表面(表示窓4a?4cから視認可能な面)には各種の図柄が印刷されている。また,右リールR3の裏面には,一部を除いて,光を遮光する遮光膜Sが形成されている。遮光膜Sが形成された部分では,裏面側から光を照射しても光が透過しない。一方,各図柄部分は,遮光膜Sが形成されておらず,光を散乱させるための凹凸部材Pが右リールR3の裏面に形成されている。くわえて,各図柄部分は,リール自体が白色半透明になっている。図3に示す例では,図柄「7」の輪郭部分の内部に凹凸部材Pが形成されている。」

(甲6イ) 「【0042】
スロットマシン1が実行可能なゲームの種類としては,通常ゲーム,レギュラーボーナスゲーム(以下,RBゲームと称する),ビッグボーナスゲーム(以下,BBゲームと称する),及びリプレイタイムゲーム(以下,RTゲームと称する)がある。なお,通常ゲームには,リプレイ賞の入賞を条件にメダルを投入することなく直前のゲームと同一の条件でプレイ可能なリプレイゲームが含まれる。リプレイタイムゲームは,通常ゲームと比較してリプレイ賞に当選する確率が高く設定されているゲームである。RBゲームの開始賞をRB賞,BBゲームの開始賞をBB賞という。なお,RB賞及びBB賞は入賞により15枚のメダルが払い出されるが,リプレイ賞に入賞してもメダルの払い出しはない。また,リプレイタイムゲームは,所定の開始条件が充足されると実行され,所定の終了条件が充足されると終了する。開始条件としては,例えば,ゲーム結果が非入賞となり,且つ,リールR1?R3の表示態様が所定の態様となることを条件とする。なお,BB賞に入賞したこと,BBゲームが終了したこと,あるいは,内部抽選でBB賞に当選したことを採用することができる。」

(甲6ウ) 「【0068】
図6(B)にRTゲームで選択される賞群抽選テーブルTBL12を示す。この例では,リプレイ賞を除いて各賞の抽選区分の幅は,通常ゲームの賞群抽選テーブルTBL11に示されるように通常ゲームと等しい。従って,リプレイ賞を除く各賞の当選確率は,RTゲームでも通常ゲームでも同じである。一方,RTゲームにおけるリプレイ賞の当選確率は,通常ゲームと比較して大きくなるように設定されている。なお,RTゲームにおいて,ハズレの当選確率を「0」に設定し,その分,リプレイ賞の当選確率が高くなるように設定してもよいし,BB賞,RB賞およびCB賞の抽選を行わないようにしてその分に相当する抽選区分の幅をRB賞の抽選区分の幅に加えるようにしてもよい。」

(甲6エ) 「【0124】
獲得メダル枚数が450枚を超えて,ステップS182の判定条件が否定される場合には,CPU31は処理をステップS183に進め,BBゲーム中の獲得メダル枚数を表示する(ステップS183)。一方,獲得メダル枚数が450枚を越える場合には,BBゲーム中フラグをクリアし(ステップS184),さらに,RBゲーム中であるか否かをRBゲーム中フラグを参照して判定し(ステップS185),RBゲーム中であればRBゲーム中フラグをクリアする(ステップS186)。これにより,BBゲーム中にRB賞に入賞してRBゲームを実行している期間において,RBゲーム本来の終了条件に到達しない場合でも,獲得メダル枚数が基準枚数を超えればRBゲームを中断する制御が可能となる。また,BBゲーム中にRB賞に入賞すると,RBゲーム開始処理(ステップS148)が行われるが,RB賞に入賞したゲームで基準枚数を超えたと判断された場合には,BBゲーム中フラグがクリアされ(S184),かつ,RBゲーム中フラグがクリアされ(S186)るので,RBゲームを一度も実行しないままBBゲームを終了させる制御が可能となる。なお,BBゲーム中ではない単独RBゲーム中においては,S152の判定条件が否定されるので,RBゲームを開始させることなくRBゲームを終了させることはない。また,ステップS182の処理を実行するCPU31は,獲得メダル枚数(獲得数量)を最大獲得枚数MAXbb(所定数量)より少ない基準枚数(基準数量)と比較する比較手段として機能する。さらに,ステップS184?ステップS186の処理を実行するCPU31は,比較手段の比較結果を参照して獲得メダル枚数(獲得数量)が基準枚数(基準数量)を超えた場合に,現在のゲームでBBゲーム(特定ゲーム)を終了して次のゲームからゲーム状態を通常ゲームに移行させるゲーム状態管理手段として機能する。

(甲6オ) 「【0139】
[B.第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係るスロットマシン1bについて説明する。スロットマシン1bは上述のスロットマシン1と同様の構成を有する。よって,以降の説明では,スロットマシン1の説明で用いた各部の名称および符号をそのまま用いる。スロットマシン1bがスロットマシン1と異なるのは,RT開始出目として複数種類の出目を抽選によって導出する点である。具体的には,図38に示すようにRTゲームは,付与される遊技価値が10ゲームのRTゲーム数となる第1RTゲームrt1と,付与される遊技価値が100ゲームのRTゲーム数となる第2RTゲームrt2に大別される。そして,第1RTゲームrt1を導出するRT1出目として「プラム-ベル-ベル」を採用する。一方,第2RTゲームrt2を導出する出目としてはRT2A,RT2B,及びRT2Cを採用する。RT2A出目は「赤7-白7-白7」の図柄の並びであり,RT2B出目は「白7-赤7-白7」の図柄の並びであり,RT2C出目は「白7-白7-赤7」の図柄の並びである。なお,第1実施形態と同様にRT1用出目を「プラム-ベル-ベル」,RT2A用出目を「プラム-プラム-赤7」,RT2B用出目を「プラム-プラム-白7」,RT2C用出目を「プラム-プラム-BAR」に設定してもよい。
【0140】
このスロットマシン1bにおいては,図13を参照して説明した当選フラグセット処理の替わりに,図39に示す当選フラグセット処理を採用する。この処理では上述したステップS40?S56の処理に続いて,CPU31は通常ゲームの内部抽選でハズレとなったか否かを判定する(ステップS57)。ハズレである場合には,RT出目抽選処理を実行し(ステップS58),通常ゲームでハズレでない場合は当選フラグセット処理を終了する。図40にRT出目抽選処理の内容を示す。
【0141】
まずCPU31は,0?255の範囲で変化する乱数値を取得する(S200a)。次にCPU31は,RT1出目に当選したか否かを,取得した乱数値が抽選テーブルTBL41のRT1出目の抽選区分データが示す範囲に属するか否かで判定する(S200b)。この場合,抽選テーブルTBL41として図41に示すものを用いる。この抽選テーブルTBL41は上述したROM35に格納される。
【0142】
ステップS200bの判定条件が肯定された場合は,RT出目データのビット0のRT1出目当選フラグを「1」にセットする(S200b1)。次にCPU101は,RT2A出目に当選したか否かを,取得した乱数値が抽選テーブルTBL41のRT2A出目の抽選区分データが示す範囲に属するか否かで判定し(S200c),属していると判定した場合は,RT出目データのビット1のRT2A出目当選フラグを「1」にセットする(S200c1)。
【0143】
次にCPU101は,RT2B出目に当選したか否かを,取得した乱数値が抽選テーブルTBL41のRT2B出目の抽選区分データが示す範囲に属するか否かで判定し(S200d),属していると判定した場合は,RT出目データのビット2のRT2B出目当選フラグを「1」にセットする(S200d1)。
【0144】
次にCPU101は,RT2C出目に当選したか否かを,取得した乱数値が抽選テーブルTBL41のRT2C出目の抽選区分データが示す範囲に属するか否かで判定し(S200e),属していると判定した場合は,RT出目データのビット3のRT2C出目当選フラグを「1」にセットする(S200e1)。
・・・
【0147】
RT1用出目停止データテーブル群X1は,RT出目データがRT1用出目を指示する場合に選択され,進みコマ数が4コマの範囲でRT1用出目「プラム-ベル-ベル」を引き込むように設定されている。この例では,「プラム」,「ベル」は図4に示すように4コマの範囲内に配置されているので,100%引き込むことができる。即ち,内部抽選でハズレとなり,且つ,RT出目抽選でRT1用出目に当選した場合には,必ず「プラム-ベル-ベル」で停止し,第1RTゲームrt1が実行される。なお,BBゲームの開始賞に当選したゲームでBB賞を取りこぼした場合にも「プラム-ベル-ベル」で停止して第1RTゲームrt1が開始されるように停止データテーブル群の選択が行われる。このように停止データテーブル群の選択を行うと,停止図柄が「プラム-ベル-ベル」となった場合,BB賞に当選していなくても,プレイヤーにBB賞に当選したとの期待を抱かせることができる。この結果,ゲームの進行に起伏を持たせることができ,趣向性が向上する。
【0148】
RT2A用出目停止データテーブル群X2は,RT出目データがRT2A出目を指示する場合に選択され,進みコマ数が4コマの範囲でRT2A出目「赤7-白7-白7」を引き込むように設定されている。RT2B用出目停止データテーブル群X3は,RT出目データがRT2B出目を指示する場合に選択され,進みコマ数が4コマの範囲でRT2B出目「白7-赤7-白7」を引き込むように設定されている。RT2用出目停止データテーブル群X4は,RT出目データがRT2C出目を指示する場合に選択され,進みコマ数が4コマの範囲でRT2C出目「白7-白7-赤7」を引き込むように設定されている。このように第2RTゲームrt2の開始条件となる出目を複数設けたのは,プレイヤーが意図的にRT2用の出目をリールストップボタンの操作により狙えないようにするためである。内部抽選でハズレとなる確率は,何らかの賞に当選する確率と比較して大きい。仮に,第2RTゲームrt2の開始出目が一種類であるとすれば,スキルの高いプレイヤーが常に当該開始出目を狙って停止操作が行うと,容易に第2RTゲームrt2を実行することが可能となる。しかしながら,本実施形態のように開始出目を複数設けることによって,プレイヤーが第2RTゲームを狙っても第2RTゲームrt2が開始される可能性を低減することができる。一方,所定条件が充足されるとRTナビが発動されるので,プレイヤーに第2RTゲームrt2を付与することが可能となる。
【0149】
なお,RT2A出目に対応するRTゲーム数を50ゲーム,RT2B出目に対応するRTゲーム数を70ゲーム,RT2C出目に対応するRTゲーム数を100ゲームといったように,RTゲームの各開始出目とRTゲーム数とを各々対応付けてもよい。
また,この例では,抽選により得られたRT出目データに従って,停止データテーブル群X1?X5の選択が行われ,RT1出目,RT2A出目,RT2B出目,及びRT2C出目が導出されると,各出目に対応するゲーム数のRTゲームが付与される。各RT開始出目とRTゲーム数は対応付けられてROM35に記憶されており,CPU31は,この記憶内容を参照してRTゲーム数を決定し,当該ゲーム数だけリプレイ賞の当選確率が高くなるように賞群抽選テーブルを選択する。」

7 甲第7号証(特開2007-151571号公報)
甲第7号証には,図面と共に以下の事項が記載されている。

(甲7ア) 「【0002】
例えば,停止ボタンを備えたスロットマシン,いわゆるパチスロ機は,正面の表示窓内に複数の図柄を表示する機械的回転リールを複数配列して構成した変動表示装置,或いはリール上の図柄を画面に表示する電気的変動表示装置を有する。遊技者のスタート操作に応じて,制御手段が変動表示装置を駆動して各リールを回転させることにより,図柄を変動表示させ,一定時間後自動的に或いは遊技者の停止操作により,各リールの回転を順次停止させる。このとき,表示窓内に現れた各リールの図柄が特定の組合せ(入賞図柄)になった場合にコイン,メダル等の遊技媒体を払出すことで遊技者に利益を付与するものである。」

(甲7イ) 「【0019】
図1は,本発明の一実施例の遊技機1の外観を示す斜視図である。遊技機1は,いわゆるパチスロ機である。この遊技機1は,コイン,メダル,遊技球又はトークンなどの他,遊技者に付与された,もしくは付与される遊技価値の情報を記憶したカード等の遊技媒体を用いて遊技する遊技機であるが,以下ではメダルを用いるものとして説明する。」

(甲7ウ) 「【0038】
図3は,液晶表示装置131の概略構成を示す斜視図である。はじめに,リール3L,3C,3Rの内部構造について説明する。リール3L,3C,3Rの内部には,リール3L,3C,3Rの回転が停止した場合に各図柄表示領域21L,21C,21Rに現われる縦3列の図柄(合計9個の図柄)の裏側にLED収納用回路基板が設置されている。LED収納用回路基板は,夫々3つ(即ち合計で9つ)のLED収納部を有し,ここに複数のLEDランプが設けられている。」

(甲7エ) 「【0060】
ここで,実施例の役には,BB1,BB2,ミドルボーナス(以下「MB」と略記する),赤チェリー,ベル,スイカ,RT1,RT2,RT3,複合役,及びリプレイが設けられている。また,BB1,BB2及びMBを総称して,以下「ボーナス」という。BB1,及びBB2を総称して,以下「BB」という。RT1,RT2,及びRT3を総称して,以下「RT」という。また,BBは,第1種特別役物に係る役物連続作動装置である。RTは,後述のRT区間が作動する契機となる役である。
・・・
【0062】
また,実施例の遊技状態には,基本的に,一般遊技状態,RB遊技状態,及びチャレンジボーナス遊技状態(以下「CB遊技状態」と略記する)がある。遊技状態は,基本的に,内部当籤役の決定に用いる内部抽籤テーブルの種類,リールの停止制御の態様(いわゆる「滑りコマ数」の最大数など)により区別できる。具体的には,遊技状態は,内部当籤する可能性のある役の種類,内部当籤する確率,最大の滑りコマ数などにより区別できる。
【0063】
一般遊技状態は,持越役のない通常区間と,通常区間よりもリプレイに内部当籤する確率が高いリプレイタイム区間(以下「RT区間」と略記する)と,持越役のある持越区間とで構成される。持越区間では,ボーナスに内部当籤することがなく,通常区間,RT区間では,ボーナスに内部当籤することがある。RT区間では,通常区間,持越区間よりもリプレイに内部当籤する確率が高い。
【0064】
したがって,通常区間と,RT区間と,持越区間とは,基本的に,互いに異なる遊技状態である。持越役は,対応する図柄組合せが有効ラインに沿って並ぶことが一又は複数のゲームにわたり許容(内部当籤役に応じて許容)される役である。持越役は,内部当籤役に含まれる。RT区間以外の一般遊技状態の遊技区間を,以下「非RT区間」という。
【0065】
RT区間であるか否かは,RT遊技数カウンタが1以上であるか否かにより判別できる。RT遊技数カウンタには,RTに対応する図柄組合せが有効ラインに沿って表示された場合に,成立したRTに対応して50,100,又は200のいずれかがセットされ(後述のRT作動チェック処理),BBが成立した後の一般遊技状態の開始時に50がセットされる(後述の図26のステップS139)。RT遊技数カウンタの値は,一のゲームで1減算される(後述の図16のステップS10)。また,ボーナスに内部当籤した場合に,そのカウンタの値は0に更新(クリア)される。
【0066】
持越区間であるか否かは,持越役の有無により判別できる。持越役が無く,RT遊技数カウンタの値が0の場合には,通常区間である。」

(甲7オ) 「【0076】
MB作動中フラグがオフに更新される条件を充足した場合に,MB作動中フラグがオフに更新されるが,このMB作動中フラグがオフに更新されたことを契機に,CB作動中フラグがオフに更新された状態が維持される。したがって,MB作動中フラグがオンであるときは,CB作動中フラグがオンに更新される。すなわち,MB成立後は,MB作動中フラグがオフに更新されるまでCB遊技状態となる。
【0077】
図5は,遊技機1における遊技処理動作を制御する主制御回路71と,主制御回路71に電気的に接続する周辺装置(アクチュエータ)と,主制御回路71から送信される制御指令に基づいて液晶表示装置131,スピーカ9L,9R,LED類100a及びランプ類100bを制御する副制御回路72とを含む回路構成を示す。なお,スピーカ9L,9Rの音量は,音量調節部103の操作で調整できる。」

(甲7カ) 「【0093】
図6の(2)に示す表示例Bは,表示例Aにおいて行われた第3停止操作に起因して停止表示した図柄の停止態様の一例を示す。具体的には,液晶表示部2bが有する図柄表示領域21L,21C,21Rに“ベル-ベル-赤7”が有効ラインに沿って表示されている。図6の(3)に示す表示例Cは,表示例Aにおいて行われた第3停止操作に起因して停止表示した図柄の停止態様の一例を示す。具体的には,液晶表示部2bが有する図柄表示領域21L,21C,21Rに“ベル-ベル-青7”が有効ラインに沿って表示されている。図6の(4)に示す表示例Dは,表示例Aにおいて行われた第3停止操作に起因して停止表示した図柄の停止態様の一例を示す。具体的には,液晶表示部2bが有する図柄表示領域21L,21C,21Rに“ベル-ベル-BAR”が有効ラインに沿って表示されている。
・・・
【0096】
したがって,一回の抽籤により,RT1,RT2,及びRT3の3つが内部当籤役として決定され,左のリール3Lに対応する左の停止ボタン7L,中央のリール3Cに対応する中央の停止ボタン7Cによる停止操作を行った後に,“ベル”が有効ラインに沿って表示された場合(図6の(1))には,右のリール3Rが有する中段の図柄停止位置(即ち,有効ライン)に“赤7”,“青7”,及び“BAR”のいずれかが停止表示することが許容される。なお,ベルが内部当籤役として決定され,左のリール3Lに対応する左の停止ボタン7L,中央のリール3Cに対応する中央の停止ボタン7Cによる停止操作を行った後に,“ベル”が有効ラインに沿って表示された場合には,右のリール3Rが有する中段の図柄停止位置に“赤7”,“青7”,及び“BAR”が停止表示することは許容されない。
・・・
【0098】
他方,“赤7”の目押し操作により,“ベル-ベル-赤7”が有効ラインに沿って表示され,RT1が表示役となった場合(図6の(2))には,200ゲームに亘りRT区間が継続するという利益が付与される。“青7”の目押し操作により,“ベル-ベル-青7”が有効ラインに沿って表示され,RT2が表示役となった場合(図6の(3))には,100ゲームに亘りRT区間が継続するという利益が付与される。“BAR”の目押し操作により,“ベル-ベル-BAR”が有効ラインに沿って表示され,RT3が表示役となった場合(図6の(4))には,50ゲームに亘りRT区間が継続するという利益が付与される。
【0099】
このように,内部当籤役としてRT1,RT2,及びRT3の3つが決定された旨の報知が行われた場合には,右のリール3Rが有する中段の図柄停止位置に“赤7”,“青7”,及び“BAR”のいずれかが停止表示することが許容されるが,目押し操作の難易度が異なり,この目押し操作の難易度に応じて得られる利益が異なるので,遊技者は,“赤7”,“青7”,及び“BAR”のいずれの図柄を狙って停止操作するかを自己の技量により選択することができる」

(甲7キ) 「【0109】
有効ラインに沿って“ベル-ベル-赤7”が並ぶと表示役がRT1になり,メダルが9枚払出され,RT遊技数カウンタに200がセットされることによりRT区間に移行する。有効ラインに沿って“ベル-ベル-青7”が並ぶと表示役がRT2になり,メダルが9枚払出され,RT遊技数カウンタに100がセットされることによりRT区間に移行する。有効ラインに沿って“ベル-ベル-BAR”が並ぶと表示役がRT3になり,メダルが9枚払出され,RT遊技数カウンタに50がセットされることによりRT区間に移行する。有効ラインに沿って“リプレイ-リプレイ-リプレイ”が並ぶと表示役がリプレイになり,メダルが自動投入される。」

(甲7ク) 「【0114】
図10を参照して,内部抽籤テーブルについて説明する。内部抽籤テーブルは,遊技状態毎に設けられ,投入枚数毎に当籤番号に対応する下限値及び上限値により示される数値範囲の情報を備えている。図10の(1)は,一般遊技状態用内部抽籤テーブルを示す。図10の(2)は,RB遊技状態用内部抽籤テーブルを示す。RT区間では,基本的には,一般遊技状態用内部抽籤テーブルに示す数値範囲の情報が用いられる。ただし,RT区間において投入枚数が3である場合には,当籤番号が7に対応する上限値の値は,「15028」ではなく「61513」が用いられる。すなわち,当籤番号が7に対応するリプレイが当籤する確率は,非RT区間では,「8980/65536」であり,RT区間では,「55465/65536」である。なお,CB遊技状態用内部抽籤テーブルは省略する。」

(甲7ケ) 「【0210】
実施例では,CB遊技状態において,RT1,RT2,及びRT3が当籤するようにCB遊技状態用内部抽籤テーブル(図示せず)が構成されるが,これに限られるものではない。例えば,CB遊技状態において,RT1,RT2,及びRT3が当籤しないようにCB遊技状態用内部抽籤テーブルを構成してもよい。このようにすることで,CB遊技状態が途中で終了してRT区間となることがないので,CB遊技状態において得られる利益(メダルの獲得枚数)を担保することができる。」

(甲7コ) 図10(1)の一般遊技状態用内部抽籤テーブルでは,図11のRT1?RT3に相当する当籤番号4?6に当籤するが,図10(2)のRB遊技状態用内部抽籤テーブルでは,RT1?RT3に相当する当籤番号4?6に当籤しない点が図示されている。

8 甲第8号証(特開2005-66373号公報)
甲第8号証には,図面と共に以下の事項が記載されている。

(甲8ア) 「【0029】
特別ゲームというのは,一般ゲームよりも入賞確率が高いというような,一般に,遊技者にとって有利な条件のゲームである。一般ゲームというのは,特別な条件を要することなく通常行われるゲームを言う。特別ゲーム実行遊技状態においては,遊技装置が実行するゲームが所定の特別ゲームとなる。
・・・
【0031】
特別ゲームの1種又は2種以上が特定特別ゲームであり,特定特別ゲーム実行遊技状態においては,遊技装置が実行するゲームが所定の特定特別ゲームとなる。但し,上記[3]のBBが特定特別ゲームであって,途中でRBを開始することによりBBを中断し,RB終了によりBBが再開される場合のように,特定特別ゲームにおける所定の入賞等の一定条件成立により別の遊技状態となって特定特別ゲーム実行遊技状態が一時中断されることも有り得る。各特定特別ゲーム実行遊技状態には複数の級が設けられている。」

(甲8イ) 「【0091】
このスロットマシンにおいては,高確率再遊技ゲームが特定特別ゲームであり,BB(ビッグボーナスゲーム)実行遊技状態の終了後,高確率再遊技ゲーム実行可能回数が抽選により振り分けられ,高確率再遊技ゲーム実行遊技状態となる。」

(甲8ウ) 「【0123】
BB(ビッグボーナスゲーム)実行遊技状態の終了後,制御部50において,高確率再遊技ゲーム実行可能回数(高確率再遊技ゲーム実行遊技状態の級)が,抽選により,50,100又は150に振り分けられる。抽選により振り分けられた高確率再遊技ゲーム実行可能回数(例えば100回)が制御部50の高確率再遊技ゲーム可能回数カウンターに書き込まれ,高確率再遊技ゲーム可能回数表示用デジタル表示器36(現状表示及び継続可否表示手段)に「50」(現状表示)が表示され,高確率再遊技ゲーム実行遊技状態が開始される。高確率再遊技ゲームの回数が所定数量であると共に仮終了用数量であり,所定条件を満たす数値はこの場合100,所定仮条件を満たす数値を50及び100とする。
【0124】
高確率再遊技ゲームが1回消化される度に制御部50の高確率再遊技ゲーム可能回数カウンターを「1」ずつ減算すると共に高確率再遊技ゲーム可能回数表示用デジタル表示器36の表示を「1」ずつ減算して表示(現状表示)する。これを繰り返して高確率再遊技ゲームを50回消化すると,高確率再遊技ゲーム可能回数表示用デジタル表示器36(LUCKY)が00乃至99の数字を素早く変更しつつ約5秒間表示(抽選状表示)した後,継続可表示「FF」を表示し,その後「50」を表示(現状表示)する。
【0125】
更に高確率再遊技ゲームが1回消化される度に制御部50の高確率再遊技ゲーム可能回数カウンターを「1」ずつ減算すると共に高確率再遊技ゲーム可能回数表示用デジタル表示器36の表示を「1」ずつ減算して表示(現状表示)することにより高確率再遊技ゲームを再度50回(合計100回)消化すると,高確率再遊技ゲーム可能回数表示用デジタル表示器36(LUCKY)が00乃至99の数字を素早く変更しつつ約5秒間表示(抽選状表示)した後,継続不可表示「--」を表示し,その後「00」を表示する。次いでステップS1に戻る。」

9 甲第9号証(特開2002-52123号公報)
甲第9号証には,図面と共に以下の事項が記載されている。

(甲9ア) 「【0002】
【従来の技術】この種のスロットマシンにおいて従来から一般的に知られているものでは,たとえば,複数の可変表示部の表示結果が所定の表示態様となった場合に所定の入賞が発生する。入賞が発生すれば,クレジットやコイン等の有価価値,および/または再ゲーム(リプレイゲーム)などの有利な遊技価値が遊技者に付与される。また,所定条件の成立により,たとえば,ビッグボーナスゲーム等の,遊技者にとって通常の遊技状態よりも有利な特別遊技状態となり,他の所定条件の成立によりこの特別遊技状態が終了するものがある。
・・・
【0005】この通常遊技状態における遊技者所有の有価価値の減少を,遊技者の技量にしたがって防ぐことを可能にし,それによって遊技の興趣を向上させる技術としてAT(Assist Time)状態と呼ばれる特別な遊技状態が導入されたスロットマシンがある。一般的なスロットマシンでは,賭数を入力した後,スタートレバーを押した時点で内部的に発生させた乱数を用いて入賞の発生を許容するか否かを事前決定し,その事前決定結果にしたがって可変表示部の可変表示を停止制御する。この内部的な事前決定結果を遊技者が知ることはできない。
【0006】AT状態とは,この内部的な抽選により発生を許容する旨が事前決定された入賞のうち,小役と呼ばれる,有価価値の払出を伴う入賞について遊技者に告知する遊技状態である。この報知により内部抽選の結果小役入賞の発生を許容する旨が決定されたことが分かると,遊技者は小役を発生させるための表示態様を得るべく目押しを試みる。したがって,遊技者の技量にしたがって,可変表示装置の表示結果を小役発生のための表示態様にそろえることが比較的高い率で可能となり,その結果,AT状態における遊技者所有の有価価値の減少を遊技者の技量に応じて防止することができる。このAT状態は,所定数のゲームが終了するという終了条件が成立すると終了する。」

(甲9イ) 「【0071】ビッグボーナスゲーム終了後,AT状態とするか否か,およびAT状態とする場合に何ゲームにわたってAT状態を維持するか(AT状態中での最大継続ゲーム回数)に関する抽選が内部的に行なわれ,抽選に当選した場合には遊技状態がAT状態となる。
【0072】内部抽選の結果,小役当選とすることが決定されており,それがその小役の種類とともに遊技者に報知されている場合には,遊技者はその小役の表示結果を得るべく目押しをする。その結果,遊技者の技量にもよるが,目押しを行なわない場合と比較して小役入賞を得る率を高くすることができる。この実施の形態では,このAT状態は,AT状態となった後に行なわれたゲーム数が,抽選により決定される,AT状態ごとに変化可能な所定の数(30,70,90のうちのひとつ)を超えた場合,またはAT状態中においてビッグボーナスゲームの内部当選があり,ビッグボーナス当選フラグがセットされた場合,のいずれか早い方の終了条件が成立することにより終了する。
【0073】このように,スロットマシン1ではAT状態の終了条件の一つの条件要素として,AT状態において最大継続ゲーム回数に達したことという条件要素が規定されており,かつその最大継続ゲーム回数が複数態様定義されており,乱数に応じてその複数態様の最大継続ゲーム回数の一つが選択されるために,AT状態ごとに終了までにAT状態が継続するゲーム数が一定ではなくなり,多様性のある遊技を提供できる。さらに,ビッグボーナスゲーム終了時に行なわれる抽選により決まるゲーム数に関する条件要素と,ビッグボーナス当選という条件要素とのいずれか早いほうの条件要素が成立することによりAT状態が終了するために,同一の終了条件が設定された場合であってもAT状態の終了時期が多様化する。さらに,ゲーム数に関する条件ではAT状態が終了するはずのないタイミングでAT状態が終了した場合には,遊技者はビッグボーナスゲームが内部当選したことを知ることができ,そのために遊技の興趣がいっそう向上する。」

(甲9ウ) 「【0097】なお,同様の効果を実現すべく,AT状態を70ゲームにわたり継続することが決定された場合であっても,ゲーム回数表示器25には最初にたとえば『30』と表示して各ゲーム終了ごとに1ずつカウントダウンして表示し,30ゲームが終了した時点で再度『40』を表示してカウントダウンを続行するような方式としてもよい。」

第6 無効理由の判断
1 対比
対比について,両当事者間で争いがあるので,以下双方の主張について検討する。
(1)請求人の主張
(オ)構成要件【F1】の「予め定められた初期化条件」について
特許請求の範囲には「予め定められた」としか規定がないが,発明の詳細な説明を参酌すると,本件特許明細書の段落【0505】には,「スロットマシン1に設けられた操作部・・・の特定の操作を検出したときに,RT状態を初期化できるようにしてもよい(遊技状態フラグの値を初期遊技状態を示す値に更新)。その特定の操作は,たとえば,2以上の操作部の所定の操作を組合せたものとすることが考えられるが,設定変更に関わる操作とはまったく異なる手順であってもよく,設定変更のための操作の一部の操作を含む,他の操作との組合せによる操作手順であってもよい」と記載されている。
従って,初期化条件として設定変更が選択された場合,必然的に,本件訂正発明の「初期遊技状態」は「設定変更後に制御される」状態となる。
即ち,本件訂正発明の構成要件【F1】の「初期化条件」に「ボーナス終了,RT1?RT4で規定ゲーム数終了」のほかに「設定変更のための操作」を含む(口頭審理陳述要領書第2頁第3?20行)。

(カ)甲1発明の「RT作動状態」が本件訂正発明の「初期遊技状態」(構成要件【D】)に相当するかについて
上記(オ)でも述べたように,初期遊技状態に制御する初期化条件とは,「ボーナス終了,RT1?RT4で規定ゲーム数終了,設定変更のための操作」である。
これに対して甲1発明の「RT作動状態」への移行条件には,「設定変更のための操作」に相当するものが存在しない。
つまり,甲1発明の「RT作動状態」は,初期化条件の1つであるボーナス終了後に移行する本件訂正発明の「初期遊技状態」である点については一致するが,設定変更のための操作に応じて移行する「初期遊技状態」ではない点で相違する(口頭審理陳述要領書第2頁第21行?第3頁第3行)。

(キ)構成要件【D】について
(キ1) 初期化条件について,特許請求の範囲には「予め定められた」としか規定がないため,発明の詳細な説明を参酌すると,本件特許明細書段落【0505】には,「スロットマシン1に設けられた操作部・・・の特定の操作を検出したときに,RT状態(通常の遊技状態)を初期化できるようにしてもよい(遊技状態フラグの値を初期遊技状態(RT作動状態)を示す値に更新)。その特定の操作は,たとえば,2以上の操作部の所定の操作を組合せたものとすることが考えられるが,設定変更に関わる操作とはまったく異なる手順であってもよく,設定変更のための操作の一部の操作を含む,他の操作との組合せによる操作手順であってもよい」と記載されている。
従って,初期化条件として設定変更が選択された場合,必然的に,本件訂正発明の「初期遊技状態」(RT作動状態)は「設定変更後に制御される」状態となる。
これに対し,甲第1号証には「設定変更」によって移行する遊技状態に関する明記はないが,設定変更によって遊技状態が通常の遊技状態に初期化されることは,例示するまでもなく,本件出願時における技術常識であり同号証に記載されているに等しい事項である(審判事件弁駁書第15頁第25行?第17頁第15行)。

(キ2) 設定変更のための操作が初期化条件であることは,本件特許明細書に記載されているところから明らかである(口頭審理陳述要領書第13頁第23行?第14頁第3行)。

(ク)構成要件【H1】および【H2】について
上記「第5 1(甲第1号証に記載された発明の認定に対する両当事者の主張)a(エ)(エ1)」で述べた通り,甲1発明においても,遊技状態がBB未作動時(通常の遊技状態)である場合に一般役1?3の当選及び入賞の判定が行われていることは明らかである(審判事件弁駁書第17頁第16行?第18頁第4行)。

(ケ)構成要件【J1】および【J2】について
被請求人の主張が当を得ないものであることは,上記「第5 1(甲第1号証に記載された発明の認定に対する両当事者の主張)a(ウ)(ウ1)」で述べた通りである(審判事件弁駁書第18頁第5?11行)。

(2)被請求人の主張
(お)構成要件【F1】の「予め定められた初期化条件」について
本件特許明細書の段落【0009】には,「予め定められた初期化条件(ボーナス終了,RT1?RT4で規定ゲーム数消化)が成立したときに,」と記載されている。
よって,「ボーナス終了」および「RT1?RT4で規定ゲーム数消化」は,本件訂正発明の「予め定められた初期化条件」に相当する(口頭審理陳述要領書第3頁第5?10行)。

(か)甲1発明の「RT作動状態」が本件訂正発明の「初期遊技状態」(構成要件【D】)に相当するかについて
上記(お)で説明したとおり,「ボーナス終了」は,本件訂正発明の「予め定められた初期化条件」に相当する。このため,「ボーナス終了」したときに制御される状態は,本件訂正発明の「初期遊技状態」に相当する。
一方,甲1発明の「RT作動状態」は,「BB遊技の終了条件を達成している(YES)と判別したときに」制御される状態である。
よって,甲1発明の「RT作動状態」は,本件訂正発明の「初期遊技状態」に相当する(口頭審理陳述要領書第3頁第11?20行)。

(き)構成要件【D】について
(き1) 請求人は,設定変更後に制御される初期遊技状態が,本件発明では「不利遊技状態よりも再遊技役の当選確率が高い遊技状態」である一方,甲1発明では「通常の遊技状態」である旨を主張するが,「初期遊技状態」に制御する契機が規定されている【F1】では,「予め定められた初期化条件が成立したときに,前記初期遊技状態に制御する」と規定されており,初期遊技状態が「設定変更後に制御される」状態とは規定されていない。
また,甲第1号証には,「設定変更」に関する技術事項が記載されていないため,甲第1号証には,請求人が主張する「設定変更後に制御される」状態について記載されておらず,「設定変更後に制御される」状態が通常の遊技状態であることが甲第1号証に記載されているということはできない(審判事件答弁書第7頁第21行?第8頁第15行)。

(き2) 請求人からの主張は,なぜ,「初期化条件として設定変更が選択された場合」のみに着目した上で「本件訂正発明の『初期遊技状態』・・・は『設定変更後に制御される』状態となる。」ことを主張しているのか,その意図を全く理解することができない(口頭審理陳述要領書第13頁第27行?第15頁第6行)。

(く)構成要件【H1】および【H2】について
(く1) 上記「第5 1(甲第1号証に記載された発明の認定に対する両当事者の主張)b(え)(え1)」で説明したとおり,甲第1号証に「通常の遊技状態に制御していることを特定しているときにおいて一般役1?3に入賞しても,RT作動状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに通常の遊技状態に制御せず,通常の遊技状態に制御してから消化したゲーム数が所定回数に到達するまで通常の遊技状態に制御する」技術が記載されているとはいえない(審判事件答弁書第8頁第16?28行)。

(く2) 上記「第5 1(甲第1号証に記載された発明の認定に対する両当事者の主張)b(え)(え2)」で説明したとおり,「甲1発明にはBB未作動時(通常の遊技状態)においても一般役1?3の当選及び入賞の判定を行っていることは明らかである。」ということはできない(口頭審理陳述要領書第15頁第7?11行)。

(け)構成要件【J1】および【J2】について
(け1) 上記「第5 1(甲第1号証に記載された発明の認定に対する両当事者の主張)b(う)(う1)」で説明したとおり,甲第1号証に「通常の遊技状態が開始された後に消化したゲーム数が所定回数に到達したときに,通常の遊技状態を終了させてRT作動状態に遊技状態を制御する」技術が記載されているとはいえない(審判事件答弁書第8頁末行?第9頁第8行)。

(け2) 上記「第5 1(甲第1号証に記載された発明の認定に対する両当事者の主張)b(う)(う2)」で説明したとおり,「甲第1号証には,RT作動状態に移行する前の遊技状態として通常の遊技状態(BB未作動状態)が開示されている。」ということはできない(口頭審理陳述要領書第15頁第12?16行)。

(3)当審による対比
本件訂正発明と甲1発明とを対比する。

(a1) 甲1発明の「遊技媒体」,「ベット数」,「遊技」は,それぞれ,本件訂正発明の「遊技用価値」,「賭数」,「ゲーム」に相当する。
また,甲1発明の「遊技媒体の投入またはクレジットされた遊技媒体の使用において検出したベット数」は,本件訂正発明の「所定数」に相当する。
以上のことから,甲1発明の「遊技媒体の投入またはクレジットされた遊技媒体の使用において検出したベット数を新たなベット数として遊技を1回行うことができるものであり」は,本件訂正発明の「遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームを開始させることが可能となり」に相当する。

(a2) 甲1発明の「図柄」,「上から下へと移動表示される」は,それぞれ,本件訂正発明の「識別情報」,「変動表示させる」に相当する。
また,甲1発明の「表示窓22L,22C及び22R」は,本件訂正発明の「可変表示部」及び「左可変表示部と中可変表示部と右可変表示部」に相当すると共に,甲1発明の「表示窓22L,22C及び22R」全体は,本件訂正発明の「可変表示装置」に相当する。
それに,甲1発明の「外周面に描かれている21個の図柄」が,複数種類の図柄であることは,図柄の組合せが異なる複数種類の役があることからも明らかである。
以上のことから,甲1発明の「3つの左リール40L,中リール40C及び右リール40Rが回転したときに各々の外周面に描かれている21個の図柄が上から下へと移動表示される表示窓22L,22C及び22Rがあり」は,本件訂正発明の「複数種類の識別情報を変動表示させる可変表示部として左可変表示部と中可変表示部と右可変表示部とを有する可変表示装置を備え」に相当する。

(a3) 甲1発明の「複数の左リール40L,中リール40C,右リール40Rの回転停止」により,表示結果が導出されることは明らかである。
このことから,甲1発明の「複数の左リール40L,中リール40C,右リール40Rの回転停止までを1回の遊技とし」は,本件訂正発明の「すべての可変表示部に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し」に相当する。

(a4) 甲1発明の「図柄の組合せ」,「スロットマシン10」は,それぞれ,本件訂正発明の「表示結果の組合せ」,「スロットマシン」に相当する。
このことから,甲1発明の「停止制御において当選した役に対応して停止図柄が揃うまたは揃わないようにし,左リール40L,中リール40C,又は右リール40Rが停止して,有効ライン上に停止表示された図柄の組合せが役を構成する図柄の組合せとなると,役に入賞するスロットマシン10」は,本件訂正発明の「すべての可変表示部各々に導出された表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能であるスロットマシン」に相当する。

(b) 甲1発明の「遊技媒体を投入しないで遊技を再実施できる再遊技役」,「入賞すると遊技媒体の払い出しを行なう一般役」,「役抽選手段410」は,それぞれ,本件訂正発明の「前記遊技用価値を用いることなく次のゲームを行なうことが可能な再ゲーム入賞」,「前記遊技用価値の付与を伴う付与入賞」,「事前決定手段」に相当する。
また,上記(a4)において既に言及したように,甲1発明は,「停止制御において当選した役に対応して停止図柄が揃うまたは揃わないように」するものであるので,当選した役に入賞しない場合もあるといえるから,役に当選することにより入賞が許容された状態になるといえる。
以上のことから,甲1発明の「左リール40L,中リール40C,及び右リール40Rを回転させる前に,役(当たり役であるBB役とRB役,遊技媒体を投入しないで遊技を再実施できる再遊技役,入賞すると遊技媒体の払い出しを行なう一般役)抽選を行う役抽選手段410」は,本件訂正発明の「いずれの可変表示部にも表示結果が導出される前に,前記遊技用価値を用いることなく次のゲームを行なうことが可能な再ゲーム入賞と,前記遊技用価値の付与を伴う付与入賞とを含む複数種類の入賞各々の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段」に相当する。

(c) 甲1発明の「リール制御手段440」は,本件訂正発明の「導出制御手段」に相当する。
このことから,甲1発明の「当選した役に対応して,左リール40L,中リール40C,右リール40Rを停止させる停止制御において停止図柄が揃うまたは揃わないようにする図柄組合せ制御を行うリール制御手段440」は,本件訂正発明の「前記事前決定手段の決定結果に応じて,すべての可変表示部各々に表示結果を導出させる導出制御手段」に相当する。

(d) 甲1発明の「再遊技選択高状態制御手段470」は,本件訂正発明の「遊技状態制御手段」に相当する。
また,甲1発明の「RT作動状態(再遊技選択高状態)」は,「通常の遊技状態に比べて再遊技役の役抽選における当選確率が高く設定されているが,一般役,当たり役については全く同一に設定されている」と共に,本件訂正発明の「不利遊技状態」は「初期遊技状態よりも遊技者にとって不利」であるから,甲1発明の「通常の遊技状態」は,本件訂正発明の「不利遊技状態」に相当する。
それに,本件特許明細書の段落【0009】には,「予め定められた初期化条件(ボーナス終了,RT1?RT4で規定ゲーム数消化)が成立したときに,前記初期遊技状態(初期遊技状態,図9(a)のリプレイの判定値数参照)に制御する」と記載されているから,本件訂正発明の「初期遊技状態」は,BB遊技等のボーナス終了後の遊技状態,及び不利遊技状態(RT1?RT4)で規定ゲーム数消化した遊技状態であるといえる。甲1発明の「RT作動状態(再遊技選択高状態)」は,「BB遊技の終了条件を達成したとき及び通常の遊技状態において所定回数の遊技を消化したことにより設定され」るから,本件訂正発明の「初期遊技状態」に相当する。
以上のことから,甲1発明の「BB遊技の終了条件を達成したとき及び通常の遊技状態において所定回数の遊技を消化したことにより設定され,通常の遊技状態に比べて再遊技役の役抽選における当選確率が高く設定されているが,一般役,当たり役については全く同一に設定されているRT作動状態(再遊技選択高状態)と,通常の遊技状態にする制御処理を行う再遊技選択高状態制御手段470とを含み」は,本件訂正発明の「初期遊技状態と,前記初期遊技状態よりも遊技者にとって不利な不利遊技状態とを含む複数種類の遊技状態のうちいずれかに制御する遊技状態制御手段とを備え」に相当する。

(e) 甲1発明は,「抽選で再遊技役に当選し,再遊技役に応じた図柄が揃ったときに再遊技役が入賞となるが,リール制御手段440は,当選した役に対応して停止図柄が揃うまたは揃わないようにする図柄組合せ制御を行うものであ」るから,再遊技役に当選したときに必ず再遊技役に入賞するか不明である。
このことから,甲1発明の「抽選で再遊技役に当選し,再遊技役に応じた図柄が揃ったときに再遊技役が入賞となるが,リール制御手段440は,当選した役に対応して停止図柄が揃うまたは揃わないようにする図柄組合せ制御を行うものであり」と,本件訂正発明の「前記導出制御手段は,前記事前決定手段により前記再ゲーム入賞の発生を許容する旨が決定されているときには必ず前記再ゲーム入賞を発生させる再ゲーム入賞表示結果の組合せを導出させ」とは,「前記導出制御手段は,前記事前決定手段により前記再ゲーム入賞の発生を許容する旨が決定されているときには」「前記再ゲーム入賞を発生させる再ゲーム入賞表示結果の組合せを導出させ」る点で共通している。

(f1) 甲1発明の「BB遊技の終了条件の達成又は通常の遊技状態において所定回数の遊技の消化」は,本件訂正発明の「予め定められた初期化条件が成立」に相当する。
また,甲1発明は,「RT作動状態(再遊技選択高状態)に設定」するから,本件訂正発明の「初期遊技状態に制御する初期遊技状態制御手段」を有しているといえる。
以上のことから,甲1発明の「再遊技選択高状態制御手段470は,BB遊技の終了条件の達成又は通常の遊技状態において所定回数の遊技の消化により,RT作動状態(再遊技選択高状態)に設定し」は,本件訂正発明の「前記遊技状態制御手段は,予め定められた初期化条件が成立したときに,前記初期遊技状態に制御する初期遊技状態制御手段」「を含み」に相当する。

(f2) 甲1発明の「一般役1?3」は,本件訂正発明の「第1不利移行入賞」及び「第2不利移行入賞」と,「不利移行入賞」である点で共通している。
また,甲1発明は,上記(f1)において既に検討したように,「通常の遊技状態において所定回数の遊技の消化」だけでなく,「BB遊技の終了条件の達成」「によりRT作動状態(再遊技選択高状態)に変更」するから,甲1発明の「所定回数」は,本件訂正発明の「最大ゲーム数」である「第1ゲーム数」及び「第2ゲーム数」と,「最大ゲーム数」である所定「ゲーム数」である点で共通している。
以上のことから,上記(f1)において既に検討した「BB遊技の終了条件の達成又は通常の遊技状態において所定回数の遊技の消化により,RT作動状態(再遊技選択高状態)に設定し」という構成を含む甲1発明の「RT作動状態(再遊技選択高状態)において一般役1?3が入賞した場合(図14のステップS183参照),通常の遊技状態にし」と,本件訂正発明の「前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときに,前記複数種類の入賞のうち予め定められた第1不利移行入賞が発生したことを条件として,前記不利遊技状態のうち最大ゲーム数が第1ゲーム数に定められている不利遊技状態であって,制御されてから前記第1ゲーム数を消化する間において,所定演出が実行された後,前記初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御される旨を報知する演出が実行される第1不利遊技状態に制御し,前記複数種類の入賞のうち,入賞を発生させる表示結果の組合せを構成する前記左可変表示部の識別情報が前記第1不利移行入賞と共通する一方で前記右可変表示部の識別情報が前記第1不利移行入賞と異なるように定められた第2不利移行入賞が発生したことを条件として,前記不利遊技状態のうち最大ゲーム数が前記第1ゲーム数よりも多い第2ゲーム数に定められている不利遊技状態であって,制御されてから前記第1ゲーム数を消化する間において,前記所定演出が実行された後,前記初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御されない旨を報知する演出が実行される第2不利遊技状態に制御する不利遊技状態制御手段とを含み」とは,「前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときに,前記複数種類の入賞のうち予め定められた」「不利移行入賞が発生したことを条件として,」「最大ゲーム数が」所定「ゲーム数に定められている」「不利遊技状態に制御」「する不利遊技状態制御手段とを含み」である点で共通している。

(g1) 甲1発明の「一般役1,一般役2,一般役3,一般役4,一般役5」は,本件訂正発明の「付与入賞」に相当する。
甲1発明の「当選確率」の「当選」は,上記(b)において既に検討したように,入賞が許容された状態であるから,甲1発明の「1/240,1/240,1/240,1/10,1/100,1/1.5,1/600,1/300の当選確率で役抽選を行い」は,本件訂正発明の「複数種類の入賞各々の発生を許容する旨を所定確率で決定し」に相当する。
以上のことから,甲1発明の「役抽選手段410は,RT作動状態(再遊技選択高状態)において,一般役1,一般役2,一般役3,一般役4,一般役5,再遊技,RB役,BB役について,1/240,1/240,1/240,1/10,1/100,1/1.5,1/600,1/300の当選確率で役抽選を行い」は,本件訂正発明の「前記事前決定手段は,前記初期遊技状態において,前記付与入賞と,前記再ゲーム入賞とを含む複数種類の入賞各々の発生を許容する旨を所定確率で決定し」に相当する。

(g2) 甲1発明の「RT作動状態(再遊技選択高状態)においては,通常の遊技状態に比べて再遊技役の役抽選における当選確率が高く設定されているが,一般役,当たり役については全く同一に設定され」と,本件訂正発明の「前記不利遊技状態において,前記付与入賞の発生を前記初期遊技状態であるときと同じ確率で許容し,前記再ゲーム入賞の発生についてのみ前記初期遊技状態であるときよりも低い確率であって前記第1不利遊技状態であるか前記第2不利遊技状態であるかにかかわらず同じ確率で許容するように,複数種類の入賞各々の発生を許容するか否かを決定し」とは,「前記不利遊技状態において,前記付与入賞の発生を前記初期遊技状態であるときと同じ確率で許容し,前記再ゲーム入賞の発生についてのみ前記初期遊技状態であるときよりも低い確率で」「許容するように,複数種類の入賞各々の発生を許容するか否かを決定し」ている点で共通する。

(g3) 甲1発明の「一般役1?3の入賞」は,本件訂正発明の「不利移行の入賞」に相当する。
甲1発明は「RT作動状態(再遊技選択高状態)であるか通常の遊技状態であるかにかかわらず,一般役1?3について,1/240の当選確率で役抽選を行い,役抽選で一般役1?3に当選したときには,左リール40Lで図柄チェリーが停止すれば,他のリールの停止図柄に関わらず入賞する設定になって」いるから,甲1発明は,役抽選で一般役1?3(不利移行)の入賞の発生を許容するか否かの決定をしているといえる。
以上のことから,甲1発明の「RT作動状態(再遊技選択高状態)であるか通常の遊技状態であるかにかかわらず,一般役1?3について,1/240の当選確率で役抽選を行い,役抽選で一般役1?3に当選したときには,左リール40Lで図柄チェリーが停止すれば,他のリールの停止図柄に関わらず入賞する設定になっており」と,本件訂正発明の「さらに前記初期遊技状態であるか前記不利遊技状態であるかに関わらず,前記第1不利移行の入賞の発生を許容するか否かおよび前記第2不利移行入賞の発生を許容するか否かを決定し」とは,「さらに前記初期遊技状態であるか前記不利遊技状態であるかに関わらず,前記」「不利移行の入賞の発生を許容するか否か」「を決定し」ている点で共通する。

(h) 上記(f2)において既に検討した甲1発明の「RT作動状態(再遊技選択高状態)の場合」は,本件訂正発明の「初期遊技状態に制御されていることを特定しているとき」に相当する。
また,甲1発明の「通常の遊技状態の場合」は,本件訂正発明の「第1不利遊技状態に制御していることを特定しているとき」と「不利遊技状態に制御していることを特定しているとき」である点で共通している。
甲1発明は,「通常の遊技状態の場合,一般役1?3が入賞したときのRT作動状態(再遊技選択高状態)を解除して通常の遊技状態にする処理を行わないようにした」という構成と,上記(f2)において既に検討した「RT作動状態(再遊技選択高状態)において一般役1?3が入賞した場合(図14のステップS183参照),通常の遊技状態にし」という構成を有するから,本件訂正発明の「前記」「不利遊技状態に制御していることを特定しているときにおいては,」「前記」「不利移行入賞」「が発生しても前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに前記」「不利遊技状態」「に」「制御せず」に相当する構成を有しているといえる。
また,本件特許明細書の段落【0143】には「初期遊技状態においてチェリーA?チェリーXに入賞したときには,次のゲームから入賞したチェリーの役の種類に応じて予め定められた規定ゲーム数の間だけ(但し,ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に入賞するまでに限る),遊技状態がRTに制御される。」と記載されているから,本件訂正発明の「第1不利遊技状態」,「第2不利遊技状態」は,ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に入賞することにより終了するものである。本件訂正発明の構成要件【F1】には,「前記第1不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が前記第1ゲーム数に到達するまで当該第1不利遊技状態に制御し」と,構成要件【F2】には,「前記第2不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が前記第2ゲーム数に到達するまで当該第2不利遊技状態に制御し」と記載されているが,これらの記載の前に「前記第1不利遊技状態に制御していることを特定しているときにおいては,前記第1不利移行入賞および前記第2不利移行入賞のいずれが発生しても」,「前記第2不利遊技状態に制御していることを特定しているときにおいては,前記第1不利移行入賞および前記第2不利移行入賞のいずれが発生しても」と記載されている。これらのことから「前記第1不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が前記第1ゲーム数に到達するまで当該第1不利遊技状態に制御し」,「前記第2不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が前記第2ゲーム数に到達するまで当該第2不利遊技状態に制御し」という記載は,ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に入賞したときのことではなく,「第1不利遊技状態」又は「第2不利遊技状態」に制御している時に,「第1不利移行入賞」および「第2不利移行入賞」のいずれかに入賞した場合のことであるといえる。
そして,甲1発明は,上記(f1)において既に検討した「通常の遊技状態において所定回数の遊技の消化により,RT作動状態(再遊技選択高状態)に設定し」という構成を有するから,本件訂正発明の「前記」「不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が前記」所定「ゲーム数に到達するまで当該」「不利遊技状態に制御し」に相当する構成を有しているといえる。
以上のことから,上記(f2)において既に検討した「RT作動状態(再遊技選択高状態)において一般役1?3が入賞した場合(図14のステップS183参照),通常の遊技状態にし」という構成,及び上記(f1)において既に検討した「通常の遊技状態において所定回数の遊技の消化により,RT作動状態(再遊技選択高状態)に設定し」という構成を含む甲1発明の「前記再遊技選択高状態制御手段470は,通常の遊技状態の場合,一般役1?3が入賞したときのRT作動状態(再遊技選択高状態)を解除して通常の遊技状態にする処理を行わないようにした」と,本件訂正発明の「前記不利遊技状態制御手段は,前記第1不利遊技状態に制御していることを特定しているときにおいては,前記第1不利移行入賞および前記第2不利移行入賞のいずれが発生しても前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに前記第1不利遊技状態および前記第2不利遊技状態のいずれにも制御せず,前記第1不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が前記第1ゲーム数に到達するまで当該第1不利遊技状態に制御し,前記第2不利遊技状態に制御していることを特定しているときにおいては,前記第1不利移行入賞および前記第2不利移行入賞のいずれが発生しても前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに前記第1不利遊技状態および前記第2不利遊技状態のいずれにも制御せず,前記第2不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が前記第2ゲーム数に到達するまで当該第2不利遊技状態に制御し」とは,「前記不利遊技状態制御手段は,前記」「不利遊技状態に制御していることを特定しているときにおいては,前記」「不利移行入賞」「が発生しても前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに前記」「不利遊技状態」「に」「制御せず,前記」「不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が前記」所定「ゲーム数に到達するまで当該」「不利遊技状態に制御し」ている点で共通する。

(j) 上記(f1)において既に検討した甲1発明の「再遊技選択高状態制御手段470は」,「通常の遊技状態において所定回数の遊技の消化により,RT作動状態(再遊技選択高状態)に設定し」という構成及び「スロットマシン10」と,本件訂正発明の「前記初期遊技状態制御手段は,前記第1不利遊技状態が開始された後に消化したゲーム数が前記第1ゲーム数に到達したときに,当該第1不利遊技状態を終了させて前記初期遊技状態に制御し,前記第2不利遊技状態が開始された後に消化したゲーム数が前記第2ゲーム数に到達したときに,当該第2不利遊技状態を終了させて前記初期遊技状態に制御することを特徴とする,スロットマシン」とは,「前記初期遊技状態制御手段は,前記」「不利遊技状態が開始された後に消化したゲーム数が前記」所定「ゲーム数に到達したときに,当該」「不利遊技状態を終了させて前記初期遊技状態に制御」「することを特徴とする,スロットマシン」である点で共通する。

(請求人の上記(1)(オ)?(キ)の主張に対して)
請求人の上記(1)(オ)?(キ)の主張は,関連するのでまとめて検討する。
請求人は,甲1発明の構成要件【F1】の「予め定められた初期化条件」について,上記(1)(オ)において主張したように,本件訂正発明の構成要件【F1】の「初期化条件」に,「ボーナス終了,RT1?RT4で規定ゲーム数終了」のほかに「設定変更のための操作」を含む旨主張し,甲1発明の「RT作動状態」が本件訂正発明の「初期遊技状態」(構成要件【D】)に相当するかについて,上記(1)(カ)において主張したように,甲1発明の「RT作動状態」は,初期化条件の1つであるボーナス終了後に移行する本件訂正発明の「初期遊技状態」である点については一致するが,設定変更のための操作に応じて移行する「初期遊技状態」ではない点で相違する旨主張し,構成要件【D】について,上記(1)(キ)において主張したように,甲第1号証には「設定変更」によって移行する遊技状態に関する明記はないが,設定変更によって遊技状態が通常の遊技状態に初期化されることは,例示するまでもなく,本件出願時における技術常識であり同号証に記載されているに等しい事項である旨主張している。

まず,甲1発明の構成要件【F1】の「予め定められた初期化条件」について検討する。
上記キにおいて既に検討したように,本件特許明細書の段落【0009】には「予め定められた初期化条件(ボーナス終了,RT1?RT4で規定ゲーム数消化)が成立したときに,」と記載されているから,「ボーナス終了,RT1?RT4で規定ゲーム数消化」が「予め定められた初期化条件」であるといえる。
また,本件特許明細書の段落【0504】?【0505】には,以下のように記載されている。
「【0504】
本発明は,上記の実施の形態に限られず,種々の変形,応用が可能である。以下,本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形態様について説明する。
【0505】
(1) スロットマシン1に設けられた操作部(スタートレバー7,1枚BETスイッチ5,MAXBETスイッチ6,精算スイッチ10,ストップスイッチ8L,8C,8R,選択スイッチ56,決定スイッチ57,設定キースイッチ37,リセット/設定スイッチ38等)の特定の操作を検出したときに,RT状態を初期化できるようにしてもよい(遊技状態フラグの値を初期遊技状態を示す値に更新)。その特定の操作は,たとえば,2以上の操作部の所定の操作を組合せたものとすることが考えられるが,設定変更に関わる操作とはまったく異なる手順であってもよく,設定変更のための操作の一部の操作を含む,他の操作との組合せによる操作手順であってもよい。」
本件特許明細書の段落【0504】?【0505】の記載は,実施の形態の変形態様についての説明であると共に,記載された内容が「予め定められた初期化条件」であるとは記載されていないから,本件訂正発明の構成要件【F1】の「予め定められた初期化条件」が「設定変更のための操作」を含んでいるとはいえない。

仮に,請求人が上記(1)(オ)において主張するように,本件訂正発明の構成要件【F1】の「予め定められた初期化条件」に「ボーナス終了,RT1?RT4で規定ゲーム数終了」のほかに「設定変更のための操作」を含むとした場合について検討すると,甲1発明には,設定変更のための操作に関する記載はなく,設定変更後の遊技状態に関する記載もない。甲1発明には設定変更に関する記載がないから,甲1発明に設定変更に関する技術を適用できるとはいえない。
このことから,本件訂正発明の構成要件【F1】の「予め定められた初期化条件」に「設定変更のための操作」を含む必要がないので,「設定変更のための操作」を含んでいないといえる。

また,仮に請求人が上記(1)(キ)において主張するように,設定変更操作によって遊技状態が通常の遊技状態になる場合について検討すると,甲1発明は本件訂正発明と異なり,甲1発明の「通常の遊技状態(初期遊技状態)」は「RT作動状態(再遊技選択高状態)」よりも不利な状態であるから,甲1発明が設定変更操作によって通常の遊技状態(初期遊技状態)になるとすると,「通常の遊技状態(初期遊技状態)」よりも不利な遊技状態が存在しなくなる。
このことにより,本件訂正発明と甲1発明の相違点として,構成要件【D】の「前記初期遊技状態よりも遊技者にとって不利な不利遊技状態」が新たに相違点として加わるだけでなく,構成要件【F2】【G2】【G3】【H1】【H2】【J1】【J2】の「不利遊技状態」に関する構成が新たに相違点として加わり,本件訂正発明と甲1発明とが全く異なる発明になる。
したがって,本件訂正発明の構成要件【F1】の「予め定められた初期化条件」に「設定変更のための操作」を含む必要がないので,「設定変更のための操作」を含んでいないといえる。
また,本件訂正発明の構成要件【F1】の「予め定められた初期化条件」に「設定変更のための操作」を含む必要がないので,「設定変更のための操作」を含んでいないといえるから,甲1発明の「RT作動状態(再遊技選択高状態)」は,本件訂正発明の「初期遊技状態」に相当する。

以上のことから,本件訂正発明と甲1発明の構成要件【D】に関する対比を行った上記(d)において既に検討したように,甲1発明の「RT作動状態(再遊技選択高状態)」は,本件訂正発明の「初期遊技状態」に相当し,本件訂正発明と甲1発明の構成要件【F】【F1】に関する対比を行った上記(f1)において既に検討したように,甲1発明の「BB遊技の終了条件の達成又は所定回数の遊技の消化」は,本件訂正発明の「予め定められた初期化条件が成立」に相当する。
よって,請求人の上記(1)(オ)?(キ)の主張は採用することができない。

(被請求人の上記(2)(く)の主張に対して)
被請求人は,甲1発明の構成要件【H1】および【H2】については,上記(2)(く)において言及したように,甲第1号証に「通常の遊技状態に制御していることを特定しているときにおいて一般役1?3に入賞しても,RT作動状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに通常の遊技状態に制御せず,通常の遊技状態に制御してから消化したゲーム数が所定回数に到達するまで通常の遊技状態に制御する」技術が記載されているとはいえない旨主張する。
しかしながら,上記(h)において既に検討したように,甲1発明は「通常の遊技状態の場合,一般役1?3が入賞したときのRT作動状態(再遊技選択高状態)を解除して通常の遊技状態にする処理を行わないようにした」という構成,「RT作動状態(再遊技選択高状態)において一般役1?3が入賞した場合(図14のステップS183参照),通常の遊技状態にし」という構成,「通常の遊技状態において所定回数の遊技の消化により,RT作動状態(再遊技選択高状態)に設定し」という構成を有するから,甲第1号証には「通常の遊技状態に制御していることを特定しているときにおいて一般役1?3に入賞しても,RT作動状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに通常の遊技状態に制御せず,通常の遊技状態に制御してから消化したゲーム数が所定回数に到達するまで通常の遊技状態に制御する」技術が記載されているといえる。
よって,被請求人の上記(2)(く)の主張は採用することができない。

(被請求人の上記(2)(け)の主張に対して)
被請求人は,甲1発明の構成要件【J1】および【J2】については,上記(2)(け)において言及したように,甲第1号証に「通常の遊技状態が開始された後に消化したゲーム数が所定回数に到達したときに,通常の遊技状態を終了させてRT作動状態に遊技状態を制御する」技術が記載されているとはいえない旨主張する。
しかしながら,上記(j)において既に検討したように,甲1発明は「RT作動状態(再遊技選択高状態)を解除して通常の遊技状態にし,所定回数の遊技を消化したことによりRT作動状態(再遊技選択高状態)にし」ているから,甲第1号証には「通常の遊技状態が開始された後に消化したゲーム数が所定回数に到達したときに,通常の遊技状態を終了させてRT作動状態に遊技状態を制御する」技術が記載されているといえる。
よって,被請求人の上記(2)(け)の主張は採用することができない。

上記(a1)?(j)から,本件訂正発明と甲1発明とは,
「遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームを開始させることが可能となり,複数種類の識別情報を変動表示させる可変表示部として左可変表示部と中可変表示部と右可変表示部とを有する可変表示装置を備え,すべての可変表示部に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し,すべての可変表示部各々に導出された表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能であるスロットマシンであって,
いずれの可変表示部にも表示結果が導出される前に,前記遊技用価値を用いることなく次のゲームを行なうことが可能な再ゲーム入賞と,前記遊技用価値の付与を伴う付与入賞とを含む複数種類の入賞各々の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と,
前記事前決定手段の決定結果に応じて,すべての可変表示部各々に表示結果を導出させる導出制御手段と,
初期遊技状態と,前記初期遊技状態よりも遊技者にとって不利な不利遊技状態とを含む複数種類の遊技状態のうちいずれかに制御する遊技状態制御手段とを備え,
前記導出制御手段は,前記事前決定手段により前記再ゲーム入賞の発生を許容する旨が決定されているときには前記再ゲーム入賞を発生させる再ゲーム入賞表示結果の組合せを導出させ,
前記遊技状態制御手段は,
予め定められた初期化条件が成立したときに,前記初期遊技状態に制御する初期遊技状態制御手段と,
前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときに,前記複数種類の入賞のうち予め定められた不利移行入賞が発生したことを条件として,最大ゲーム数が所定ゲーム数に定められている不利遊技状態に制御する不利遊技状態制御手段とを含み,
前記事前決定手段は,
前記初期遊技状態において,前記付与入賞と,前記再ゲーム入賞とを含む複数種類の入賞各々の発生を許容する旨を所定確率で決定し,
前記不利遊技状態において,前記付与入賞の発生を前記初期遊技状態であるときと同じ確率で許容し,前記再ゲーム入賞の発生についてのみ前記初期遊技状態であるときよりも低い確率で許容するように,複数種類の入賞各々の発生を許容するか否かを決定し,
さらに前記初期遊技状態であるか前記不利遊技状態であるかに関わらず,前記不利移行の入賞の発生を許容するか否かを決定し,
前記不利遊技状態制御手段は,
前記不利遊技状態に制御していることを特定しているときにおいては,前記不利移行入賞が発生しても前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに前記不利遊技状態に制御せず,前記不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が前記所定ゲーム数に到達するまで当該不利遊技状態に制御し,
前記初期遊技状態制御手段は,
前記初期遊技状態制御手段は,前記不利遊技状態が開始された後に消化したゲーム数が前記所定ゲーム数に到達したときに,当該不利遊技状態を終了させて前記初期遊技状態に制御することを特徴とする,スロットマシン」である点で一致し,以下の点で相違している。

[相違点1]
「前記導出制御手段」による「前記事前決定手段により前記再ゲーム入賞の発生を許容する旨が決定されているときに」「前記再ゲーム入賞を発生させる再ゲーム入賞表示結果の組合せを導出させ」る制御に関して,
本件訂正発明は,「必ず」「再ゲーム入賞表示結果の組合せを導出させ」るのに対し,
甲1発明は,再遊技役に応じた図柄が揃う(再ゲーム入賞表示結果の組合せを導出させる)のが,「必ず」かどうか不明である点。

[相違点2]
「前記遊技状態制御手段」の「不利遊技状態制御手段」による制御に関して,
本件訂正発明は,「前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときに,前記複数種類の入賞のうち予め定められた第1不利移行入賞が発生したことを条件として,前記不利遊技状態のうち最大ゲーム数が第1ゲーム数に定められている不利遊技状態であって,制御されてから前記第1ゲーム数を消化する間において,所定演出が実行された後,前記初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御される旨を報知する演出が実行される第1不利遊技状態に制御し,前記複数種類の入賞のうち,入賞を発生させる表示結果の組合せを構成する前記左可変表示部の識別情報が前記第1不利移行入賞と共通する一方で前記右可変表示部の識別情報が前記第1不利移行入賞と異なるように定められた第2不利移行入賞が発生したことを条件として,前記不利遊技状態のうち最大ゲーム数が前記第1ゲーム数よりも多い第2ゲーム数に定められている不利遊技状態であって,制御されてから前記第1ゲーム数を消化する間において,前記所定演出が実行された後,前記初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御されない旨を報知する演出が実行される第2不利遊技状態に制御する不利遊技状態制御手段とを含」む(構成【F2】)のに対して,
甲1発明は,RT作動状態(再遊技選択高状態)(初期遊技状態)において,一般役1?3(不利移行入賞)が入賞した場合に,BB遊技の終了条件の達成又は通常の遊技状態において所定回数(ゲーム数)の遊技の消化によりRT作動状態(再遊技選択高状態)(初期遊技状態)に設定する通常の遊技状態(不利遊技状態)にする手段を含むが,通常の遊技状態(不利遊技状態)が1種類しかなく,所定演出・報知する演出を行わないので,そのような構成でない点。

[相違点3]
「前記事前決定手段」の「複数種類の入賞各々の発生を許容するか否か」の「決定」に関して,
本件訂正発明は,「前記不利遊技状態において,前記付与入賞の発生を前記初期遊技状態であるときと同じ確率で許容し,前記再ゲーム入賞の発生についてのみ前記初期遊技状態であるときよりも低い確率であって前記第1不利遊技状態であるか前記第2不利遊技状態であるかにかかわらず同じ確率で許容するように,複数種類の入賞各々の発生を許容するか否かを決定」する(構成【G2】)のに対して,
甲1発明は,RT作動状態(再遊技選択高状態)(初期遊技状態)においては,通常の遊技状態(不利遊技状態)に比べて再遊技役(再ゲーム入賞)の役抽選における当選確率がより高く設定され,一般役(付与入賞),当たり役については全く同一に設定されているが,通常の遊技状態(不利遊技状態)が1種類しかないので,そのような構成でない点。

[相違点4]
「前記事前決定手段」の「不利移行の入賞の発生を許容するか否か」の「決定」に関して,
本件訂正発明は,「さらに前記初期遊技状態であるか前記不利遊技状態であるかに関わらず,前記第1不利移行の入賞の発生を許容するか否かおよび前記第2不利移行入賞の発生を許容するか否かを決定」する(構成【G3】)のに対して,
甲1発明は,RT作動状態(再遊技選択高状態)(初期遊技状態)であるか通常の遊技状態(不利遊技状態)であるかにかかわらず,一般役1?3の入賞(不利移行の入賞)の発生を許容するか否か役抽選により決定するが,通常の遊技状態(不利遊技状態)が1種類しかないので,そのような構成でない点。

[相違点5]
「前記不利遊技状態制御手段」による「制御」に関して,
本件訂正発明は,「前記第1不利遊技状態に制御していることを特定しているときにおいては,前記第1不利移行入賞および前記第2不利移行入賞のいずれが発生しても前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに前記第1不利遊技状態および前記第2不利遊技状態のいずれにも制御せず,前記第1不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が前記第1ゲーム数に到達するまで当該第1不利遊技状態に制御し,前記第2不利遊技状態に制御していることを特定しているときにおいては,前記第1不利移行入賞および前記第2不利移行入賞のいずれが発生しても前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに前記第1不利遊技状態および前記第2不利遊技状態のいずれにも制御せず,前記第2不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が前記第2ゲーム数に到達するまで当該第2不利遊技状態に制御」する(構成【H1?2】)のに対して,
甲1発明は,通常の遊技状態(不利遊技状態)の場合,一般役1?3(不利移行入賞)が入賞したときのRT作動状態(再遊技選択高状態)(初期遊技状態)を解除して通常の遊技状態(不利遊技状態)にする処理を行わず,RT作動状態(再遊技選択高状態)(初期遊技状態)において一般役1?3(不利移行入賞)が入賞した場合,通常の遊技状態(不利遊技状態)にし,通常の遊技状態(不利遊技状態)において所定回数(所定ゲーム数)の遊技の消化により,RT作動状態(再遊技選択高状態)(初期遊技状態)に設定するが,通常の遊技状態(不利遊技状態)が1種類しかないので,そのような構成でない点。

[相違点6]
「前記初期遊技状態制御手段」の「制御」に関して,
本件訂正発明は「前記第1不利遊技状態が開始された後に消化したゲーム数が前記第1ゲーム数に到達したときに,当該第1不利遊技状態を終了させて前記初期遊技状態に制御し,前記第2不利遊技状態が開始された後に消化したゲーム数が前記第2ゲーム数に到達したときに,当該第2不利遊技状態を終了させて前記初期遊技状態に制御する」(構成【J1?2】)のに対し,
甲1発明は,通常の遊技状態(不利遊技状態)において所定回数(所定ゲーム数)の遊技の消化により,RT作動状態(再遊技選択高状態)(初期遊技状態)に設定するが,通常の遊技状態(不利遊技状態)が1種類しかないので,そのような構成でない点。

2 判断
事案の事情により,まず相違点2から判断する。

2-1 相違点2について
相違点2について,両当事者間で争いがあるので,以下双方の主張について検討する。

(1)請求人の主張
(コ)相違点2(相違点a)について
(コ1) 説明の都合上,相違点2(相違点a)を(相違点a-1)と(相違点a-2)として説明する。
(相違点a-1)本件訂正発明の遊技状態制御手段は,「第1不利移行入賞」及び「左可変表示部の識別情報が前記第1不利移行入賞と共通する一方で前記右可変表示部の識別情報が前記第1不利移行入賞と異なるように定められた第2不利移行入賞」とを有し,それらの入賞を条件にそれぞれ異なる「第1不利遊技状態」及び「第2不利遊技状態」に移行するのに対し,甲1発明は,単に「不利移行入賞」の入賞を条件として「不利遊技状態」に移行する点。
(相違点a-2)本件訂正発明における「第1不利遊技状態」が「最大ゲーム数が第1ゲーム数に定められている不利遊技状態であって,制御されてから前記第1ゲーム数の消化する間において,所定演出が実行された後,前記初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御される旨を報知する演出が実行され」,「第2不利遊技状態」が「最大ゲーム数が前記第1ゲーム数よりも多い第2ゲーム数に定められている不利遊技状態であって,制御されてから第1ゲーム数を消化する間において,前記所定演出が実行された後,前記初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御されない旨を報知する演出が実行される」のに対し,甲1発明ではこのような演出を行う記載がない点。
相違点a-1については,甲第6?7号証に示される周知技術(周知技術A)又は刊行物記載事項Aである。
従って,相違点a-1は,甲1発明及び,周知技術A又は刊行物記載事項Aに基づき本件出願時において当業者が容易に想到できたものである。
相違点a-2については,「『最大ゲーム数が第1ゲーム数に定められている遊技状態であって,制御されてから前記第1ゲーム数を消化する間において,所定演出が実行された後,元の遊技状態へ第1ゲーム数の消化後に制御される旨を報知する演出が実行される第1遊技状態』と,『最大ゲーム数が第1ゲーム数より多い第2ゲーム数であって,制御されてから前記第1ゲーム数を消化する間において,所定演出が実行された後,元の遊技状態へ第1ゲーム数の消化後に制御されない旨を報知する演出が実行される第2遊技状態』とを有する遊技状態制御手段を備える構成」は,甲第8?9号証に示される周知技術(周知技術C)又は刊行物記載事項Cである。
従って,相違点a-2は,甲1発明,甲第2?3号証,周知技術A及び周知技術C又は,刊行物記載事項A及び刊行物記載事項Cに基づき本件出願時において当業者が容易に想到できたものである。
以上,本件訂正発明と甲1発明との相違点aは,甲1発明,甲第2?3号証,及び甲第6?7号証に示される周知技術A,甲第8?9号証に示される周知技術C,又は刊行物記載事項A,刊行物記載事項Cに基づいて,本件出願時において当業者が容易に想到できた事項である(審判事件弁駁書第31頁第12行?第35頁第16行)。

(コ2) 相違点a-1については,甲1発明には,RT作動時(初期遊技状態)から不利移行役(一般役1?3)によってBB未作動時(通常の遊技状態)に移行する技術が開示されている。有利不利を問わず,特定役の入賞を契機に遊技状態間を遷移する技術が周知(周知技術A)である以上,これを甲1発明の不利移行役(不利移行入賞)に適用することを試みることは,当業者の通常の創作能力の発揮にすぎない。
相違点a-2については,「所定演出の後」に「元の遊技状態へ所定ゲーム数の消化後に制御する旨を報知する演出」と「制御されない旨を報知する演出」が甲第1号証に開示されていないことに尽きる。
従って,甲第8?9号証(周知技術C)に接した当業者であれば,甲1発明の初期遊技状態から不利遊技状態への制御に際し,元に戻る旨を報知する演出と戻らない旨を報知する演出の適用を試みることは,格別の困難性なく想到し得る事項である。
相違点a-1と相違点a-2については,甲第6?7号証に,右図柄の目押しによりゲーム性を向上させる旨の記載があるからといって,本件訂正発明と同じ構成の,異なる2つの移行役が上記甲号各証に開示されている事実は揺るがない。
そして,甲第8?9号証は,2つの移行役に入賞した場合のそれぞれの演出の制御について,元に戻る旨を報知するか報知しないかという本件訂正発明と同じ構成を開示している。
両者を甲1発明の不利移行制御に適用できないという理由は無い(口頭審理陳述要領書第16頁第13行?第20頁第14行)。

(コ3) 甲第8?9号証は「高確率再遊技状態」,「AT状態」という一般の遊技状態とは異なる遊技状態を備える構成を開示する点で共通し,かつ,異なる遊技状態間で遊技状態の遷移が発生するか否かを遊技者に対して注目させるという構成が開示されている点においても共通しているから,甲第8?9号証に開示されている技術的事項を周知技術Cとして認定することに何ら誤りはない。
周知技術Cとは,異なる遊技状態間で遊技状態の遷移が発生するか否かを遊技者に対して注目させる技術であり,遊技者の期待感に関わる極めて当たり前の効果を奏するものに過ぎない。
そして,甲第1号証は,有利な遊技状態から不利な遊技状態へ移行する実施例と,不利な遊技状態から有利な遊技状態に移行する実施例とを記載するもの,すなわち,異なる遊技状態間での遊技状態の遷移が発生するものである。
そうすると,当業者であれば,異なる遊技状態間で遊技状態の遷移という共通の機能作用に動機付けられ,周知技術Cを甲1発明のRT作動状態へ適用することのみならず,BB未作動状態(通常の遊技状態)への適用を試みることは当然のことである。
また,甲第6号証及び甲第7号証に開示されている周知技術Aとは,左可変表示(左識別情報)が共通で右可変表示(右識別情報)が異なる二つの移行役の入賞を条件に,異なる「第1遊技状態」及び「第2遊技状態」に移行する構成という以上のものでも,以下のものでもない(口頭審理陳述要領書(2)第2頁第2行?第5頁第22行)。

(コ4) 甲1発明における「不利移行役(一般役1?3)の入賞」が成立したことを条件に不利遊技状態(RT未作動状態)に制御する構成は本件訂正発明との一致点であり,甲第6?7号証に示される技術(周知技術A)についても周知であることから,当業者であれば周知技術Aを必要に応じて適宜採用することは単なる設定的事項に過ぎない。
甲第6?7号証には,右リールに遊技者を注目させ,移行図柄が停止されたときに制御される遊技状態を積極的に示唆する効果も示唆されている。
しかしながら,その効果は,遊技者が右リールに停止する図柄(移行役)と移行役入賞後に移行する遊技状態との関係(例:プラム-ベル-ベルの場合RT100ゲーム)を把握している場合にのみ奏されるものである。
そうすると,当業者であれば,周知技術Aだけでは全ての遊技者に遊技状態の移行後のゲーム数を知らせることが不可能であることは容易に理解できる事項であり,この事項を解消するために周知技術Aに周知技術Cを適用することは容易に想到し得た事項である(上申書第2頁第1行??第5頁第9行)。

(2)被請求人の主張
(こ)相違点2(相違点a)について
相違点a-1については,甲第6?7号証に記載のスロットマシンは,RT1への移行図柄を構成する左図柄とRT2への移行図柄を構成する左図柄とに対して同じ図柄を採用した意図について記載はなく,効果も何ら記載されていない。つまり,甲第6?7号証に記載のスロットマシンは,2つの移行図柄の左図柄を同じ図柄としたことに技術的意義を有するものではない。
甲第6?7号証から「第1移行図柄組合せと,左可変表示部の識別情報が第1移行図柄組合せと共通する一方で右可変表示部の識別情報が第1移行図柄組合せと異なるように定められた第2移行図柄組合せと」を有する技術事項を取り出す根拠が存在しないから,当該技術事項を取り出して甲第1号証に記載の発明に適用する動機も存在しない。
さらに,甲第6?7号証に記載の移行図柄は,RTに移行させるための組合せであり,甲第1号証には,「RT」が記載されている。
よって,甲第6?7号証から「第1移行図柄組合せと,左可変表示部の識別情報が第1移行図柄組合せと共通する一方で右可変表示部の識別情報が第1移行図柄組合せと異なるように定められた第2移行図柄組合せと」を有する技術事項を仮に取り出すことができたとしても,甲第1号証に記載の「RT」に移行させるための組合せに適用せずに,敢えてRTを終了させる一般役1?3の組合せに適用する動機は全く存在しない。
甲第6?7号証に記載の移行図柄は「RT」への移行図柄であるのに対し,甲第1号証における一般役1?3はRTを終了させる組合せであり,甲第6?7号証に記載の移行図柄と甲第1号証における一般役1?3とは真逆の機能を有するものであるため,「共通の課題を解決する」ことを動機として「適用を試みる」ことはできない。
相違点a-2については,甲第8号証における「高確率再遊技」と甲第9号証における「AT状態」とを上位概念化して共通の「第1遊技状態」および「第2遊技状態」であるとし,請求人が周知であると主張する技術Cが甲第8?9号証に記載されているとはいえない。
甲第6?7号証に記載の移行図柄は,「移行図柄のうち右図柄に遊技者を注目させるもの」であるから,移行図柄が停止されたときに制御される遊技状態を積極的に示唆するものである。
一方,甲第8?9号証に記載されていると主張する技術Cは,制御された遊技状態の継続ゲーム数に対する期待感を演出によって高めるものであるから,遊技状態への制御が開始されたときには当該遊技状態(継続ゲーム数)が特定できていないことを前提とする技術である。
よって,仮に「相違点a-1」について甲第6?7号証に記載の移行図柄を甲第1号証に記載の発明に適用できた場合には,移行図柄のうち右図柄に遊技者を注目させて,移行図柄が停止されたときに制御される遊技状態を積極的に示唆するものとなり,技術Cの前提を欠くため,さらに技術Cを適用する動機が存在しない(口頭審理陳述要領書第16頁第21行?第25頁第15行)。

(3)当審の判断
ア 請求人は,相違点2(相違点a)を,(相違点a-1)と(相違点a-2)に分け,(相違点a-1)は,甲1発明及び,甲第6?7号証に示される周知技術(周知技術A)又は刊行物記載事項Aから容易であり,(相違点a-2)は,甲1発明,甲第2?3号証,甲第6?7号証に示される周知技術(周知技術A)又は刊行物記載事項A,甲第8?9号証に示される周知技術(周知技術C)又は刊行物記載事項Cから容易である旨主張しているので,この点について検討する。

イ まず,請求人が(相違点a-1)と主張する点について検討する。
甲第6号証には,上記「第5 6(甲6ア)?(甲6オ)」に記載した,第1有利移行入賞(RT1出目)に入賞すると最大ゲーム数が第1ゲーム数(10ゲーム)である第1有利遊技状態(第1RTゲームrt1)に制御し,第1有利移行入賞と左識別情報(「プラム」)が同一で右識別情報(「ベル」と「赤7」又は「白7」又は「BAR」)が異なる第2有利移行入賞(RT2A?C出目)に入賞すると最大ゲーム数が第1ゲーム数よりも多い第2ゲーム数(100ゲーム)である第2有利遊技状態(第1RTゲームrt2)に制御する構成が記載されている。

ウ 甲第7号証には,上記「第5 7(甲7ア)?(甲7コ)」に記載した,第1有利移行入賞(RT3)に入賞すると最大ゲーム数が第1ゲーム数(50ゲーム)である第1有利遊技状態(50ゲームに亘りRTが継続する状態)に制御し,第1有利移行入賞と左識別情報(「ベル」)が同一で右識別情報(「BAR」と「青7」又は「赤7」)が異なる第2有利移行入賞(「RT1」又は「RT2」)に入賞すると最大ゲーム数が第1ゲーム数よりも多い第2ゲーム数(100ゲーム又は200ゲーム)である第2有利遊技状態(100ゲーム又は200ゲームに亘りRTが継続する状態)に制御する構成が記載されている。

エ しかしながら,甲第6?7号証に記載されているのは,第1?2有利移行入賞の入賞を契機に第1?2有利遊技状態に制御する発明のみであり,第1?2不利移行入賞の入賞を契機に第1?2不利遊技状態に制御する点は全く記載されておらず,周知であるともいえない。
そして,通常の遊技状態から不利遊技状態に制御する点も甲第6?7号証には記載されておらず,他の証拠にも記載されていない。
しかも,甲1発明の一般役1?3は「RT」を終了させ「通常の遊技状態(不利遊技状態)」にするものであるのに対して,甲第6?7号証に記載された発明の第1?2有利移行入賞は「通常の遊技状態(不利遊技状態)」から「RT」に制御するものであり,移行入賞による移行前後の遊技状態が異なるから,甲1発明のRTを終了する前の状態である「RT作動状態(再遊技選択高状態)」に,RTを開始する甲第6?7号証に記載された発明を適用することはできない。

オ 甲第6?7号証に記載された発明から,仮に請求人の主張する遊技状態の不利有利を問わない,左可変表示(左識別情報)が共通で右可変表示(右識別情報)が異なる二つの移行役の入賞を条件に,異なる「第1遊技状態」及び「第2遊技状態」に移行する一般化した周知の技術(周知技術A)が導かれるとしても,当該一般化した周知技術Aから、初期遊技状態において,第1不利移行入賞に入賞すると(最大ゲーム数が第1ゲーム数である)第1不利遊技状態に制御し,第1不利移行入賞と左識別情報が同一で右識別情報が異なる第2不利移行入賞に入賞すると(最大ゲーム数が第1ゲーム数よりも多い第2ゲーム数である)第2不利遊技状態に制御する構成(以下,「構成【F21】」という。)が直接導かれることはない。さらに、第1?2不利移行入賞の入賞を契機に第1?2不利遊技状態に制御する点,通常の遊技状態から不利遊技状態に制御する点は周知ではない。
したがって,甲1発明に甲第6?7号証に記載された一般化した周知技術Aを適用しても,上記構成【F21】にはならない。

カ 次に,請求人が(相違点a-2)と主張する点について検討する。
甲第2号証には,上記「第5 2(甲2ウ)」に記載した「RT突入条件は,全てのボーナス後orRT終了から72G後の2種類。」である点,「RT終了条件は,ボーナス成立またはチェリー入賞となっている。」点が記載されいる。
甲第3号証には,上記「第5 3(甲3ア)」に記載した「RT終了,72G消化すれば必ずRTに突入。いずれかのチェリー入賞で終了する。」点が記載されいる。
しかしながら,甲第2?3号証には,複数の不利遊技状態で演出報知を行う技術は記載されていない。

キ 甲第8号証には,上記「第5 8(甲8ア)?(甲8ウ)」に記載した,最大ゲーム数が第1ゲーム数(50)である第1有利遊技状態(高確率再遊技ゲームが50回継続する状態)の第1ゲーム数を消化する間において,所定演出(「「1」ずつ減算する表示(現状表示)」及び「00乃至99の数字を素早く変更する表示(抽選状表示)」)が実行された後第1ゲーム数の消化後に通常の遊技状態(一般ゲーム)に制御される旨の報知演出(継続不可表示「--」を表示する)を実行し,最大ゲーム数が前記第1ゲーム数よりも多い第2ゲーム数(100又は150)である第2有利遊技状態(高確率再遊技ゲームが100又は150回継続する状態)の前記第1ゲーム数を消化する間において,前記所定演出が実行された後,通常遊技状態に制御されない旨の報知演出(継続可表示「FF」を表示する)を実行する構成が記載されている。

ク 甲第9号証には,上記「第5 9(甲9ア)?(甲9ウ)」に記載した,最大ゲーム数が第1ゲーム数(30)である第1有利遊技状態(AT状態を30ゲーム維持する状態)の第1ゲーム数を消化する間において,所定演出(最初に『30』と表示して各ゲーム終了ごとに1ずつカウントダウンする表示)が実行され,最大ゲーム数が前記第1ゲーム数よりも多い第2ゲーム数(70又は90)である第2有利遊技状態(AT状態を70又は90ゲーム維持する状態)の前記第1ゲーム数を消化する間において,前記所定演出が実行された後,通常遊技状態に制御されない旨の報知演出(再度『40』を表示する)を実行する構成が記載されている。

ケ しかしながら,甲第9号証には,第1ゲーム数の消化後に通常の遊技状態に制御される旨の報知演出を実行する(所定演出が実行された後,元の遊技状態へ第1ゲーム数の消化後に制御されない旨を報知する演出が実行される)構成は記載されていない。
このことから,請求人の主張する「『最大ゲーム数が第1ゲーム数に定められている遊技状態であって,制御されてから前記第1ゲーム数を消化する間において,所定演出が実行された後,元の遊技状態へ第1ゲーム数の消化後に制御される旨を報知する演出が実行される第1遊技状態』と,『最大ゲーム数が第1ゲーム数より多い第2ゲーム数であって,制御されてから前記第1ゲーム数を消化する間において,所定演出が実行された後,元の遊技状態へ第1ゲーム数の消化後に制御されない旨を報知する演出が実行される第2遊技状態』とを有する遊技状態制御手段を備える構成」(周知技術C)は周知ではなく,甲第9号証にも記載されていない。

コ また,甲第8号証に記載されているのは,有利遊技状態中において,有利遊技状態が継続するか否かを報知する技術であり,有利不利を問わない遊技状態から元の遊技状態に戻ることを報知する技術ではないから,甲1発明に甲第8号証に記載された発明を適用しても,最大ゲーム数が第1ゲーム数である第1有利遊技状態の第1ゲーム数を消化する間において,所定演出が実行された後第1ゲーム数の消化後に通常の遊技状態に制御される旨の報知演出を実行し,最大ゲーム数が前記第1ゲーム数よりも多い第2ゲーム数である第2有利遊技状態の前記第1ゲーム数を消化する間において,前記所定演出が実行された後,通常遊技状態に制御されない旨の報知演出を実行する制御をする構成(以下,「構成【F22】」という。)にはならない。

サ 次に,甲1発明に、甲第6?7号証に記載された発明又は一般化した周知技術Aと、甲第8号証に記載された発明を同時に適用できるかについて検討する。
甲第6?7号証に記載された発明及び一般化した周知技術Aを、甲1発明に適用できないことは、上記エ?オにおいて既に検討したとおりである。
甲第6?7号証に記載された発明及び一般化した周知技術Aは,移行図柄(移行入賞)が表示されたときの右図柄(右識別情報)により,ゲーム数が第1ゲーム数であるか第2ゲーム数であるか把握できる発明又は技術であり,甲第8号証に記載された発明は,移行図柄(移行入賞)が表示された後の第1ゲーム数消化中の報知演出により,ゲーム数が第1ゲーム数であるか第2ゲーム数であるか把握できる発明である。
仮に甲1発明に甲第6?7号証に記載された発明又は一般化した周知技術Aが適用できたとしても、甲1発明に甲第6?7号証に記載された発明又は一般化した周知技術Aを適用した右図柄(右識別情報)により第1ゲーム数であるか第2ゲーム数であるか把握した後の第1ゲーム数消化中において,甲第8号証に記載された発明を適用して第1ゲーム数であるか第2ゲーム数であるか報知する報知演出を行う必要がないから,甲1発明に甲第6?7号証に記載された発明又は一般化した周知技術Aと、甲第8号証に記載された発明を同時に適用することはできない。

シ 請求人は,甲第6?7号証には,右リールに遊技者を注目させ,移行図柄が停止されたときに制御される遊技状態を積極的に示唆する効果も示唆されているが,その効果は,遊技者が右リールに停止する図柄(移行役)と移行役入賞後に移行する遊技状態との関係(例:プラム-ベル-ベルの場合RT100ゲーム)を把握している場合にのみ奏されるものである。そうすると,当業者であれば,甲第6?7号証に記載された周知技術Aだけでは全ての遊技者に遊技状態の移行後のゲーム数を知らせることが不可能であることは容易に理解できる事項であり,この事項を解消するために周知技術Aに甲第8?9号証に記載された周知技術Cを適用することは容易に想到し得た事項である旨主張している。
本件特許明細書の段落【0144】には,「なお,オレンジおよびチェリーについては,ともに,左リール2Lの図柄のみ入賞役パネル89に表わされ,中・右リール2C,2Rの図柄が表わされていない。」と記載されており,この記載から,本件訂正発明では,遊技者が入賞役パネル89の記載からでは,不利移行役であるオレンジおよびチェリーに,右図柄が異なりゲーム数の異なる複数種類の役があることが把握できないので,遊技者が右リールに停止する図柄と移行入賞後に移行する遊技状態との関係を把握していないといえる。
しかしながら,遊技者が右リールに停止する図柄と移行入賞後に移行する遊技状態との関係を把握していない点が記載されているのは本件訂正発明であり,甲第6?7号証に記載された発明ではない。
したがって,既に検討したように,甲1発明に甲第6?7号証に記載された発明と甲第8号証に記載された発明を同時に適用することはできない。

ス また,他の証拠をみても,相違点2に係る本件訂正発明の構成だけでなく,上記構成【F21】及び【F22】も記載されておらず,周知であるともいえない。
したがって,甲1発明,甲第2?3号証に記載された発明,周知技術A及び周知技術C,又は甲第6?9号証に記載された発明に基づいて,相違点2に係る本件訂正発明の構成とすることは,当業者が容易になし得たものであるとはいえない。

2-2 相違点3?4について
(1)請求人の主張
(サ)相違点3(相違点b)について
(サ1) 相違点3(相違点b)について
「移行前の遊技状態と移行後の複数の遊技状態で付与入賞の発生確率を同じにし,リプレイ役の発生確率のみ異ならせる構成」は,甲第6?7号証に示される周知技術(周知技術B)又は刊行物記載事項Bである(審判事件弁駁書第35頁第17行?第36頁第1行)。

(サ2) 甲第6号証の段落【0068】には「図6(B)にRTゲームで選択される賞群抽選テーブルTBL12を示す。この例では,リプレイ賞を除いて各賞の抽選区分の幅は,通常ゲームの賞群抽選テーブルTBL11に示されるように通常ゲームと等しい。従って,リプレイ賞を除く各賞の当選確率は,RTゲームでも通常ゲームでも同じである。一方,RTゲームにおけるリプレイ賞の当選確率は,通常ゲームと比較して大きくなるように設定されている」ということが開示されており,周知技術Bの存在は揺るぎはない。
一方,本件特許明細書には,不利遊技状態において再ゲーム入賞の発生についてのみ初期遊技状態であるときよりも低い確率であって第1不利遊技状態であるか第2不利遊技状態であるかに関わらず同じ確率で許容する構成とすることについて,格別の作用効果が明記されているともいえない。
よって,相違点3(相違点b)は,甲1発明,甲第2?3号証,甲第6?7号証に示される周知技術A及び,周知技術B又は刊行物記載事項A及び,刊行物記載事項Bに基づき本件出願時において当業者が容易に想到できたものである(口頭審理陳述要領書第20頁第15行?第21頁第5行)。

(2)被請求人の主張
(さ)相違点3(相違点b)について
(さ1) 相違点3(相違点b)に係る本件訂正発明の構成は,甲第2?5号証のいずれにも記載されていないのであるから,甲第1?5号証に基づいて当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない(審判事件答弁書第13頁第4?14行)。

(さ2) 甲第6?7号証には,「複数のRT」という技術事項がRT以外の状態をも含み,「リプレイ役の発生確率については移行前よりも高確率になる」という技術事項が「リプレイ役の発生確率については移行前よりも低確率になる」ものをも含む点において上位概念化された「移行前の遊技状態と移行後の複数の遊技状態で付与入賞の発生確率を同じにし,リプレイ役の発生確率のみ異ならせる構成」について記載されていない。
よって,「移行前の遊技状態と移行後の複数の遊技状態で付与入賞の発生確率を同じにし,リプレイ役の発生確率のみ異ならせる構成」は,周知技術であるということはできない。
また,甲第6?7号証に記載されている構成は,RTに移行されたときの発生確率に関する構成であり,甲第1号証には,RTが記載されている。
よって,甲第6?7号証に記載されている「付与入賞の発生確率については移行前と変化せず,リプレイ役の発生確率については移行前よりも高確率になる」構成を,甲第1号証に記載の「RT」に移行されたときの発生確率に適用するのではなく,敢えて「RT」終了後の「RT未作動時」(通常の遊技状態)に移行されたときの発生確率に適用する動機は存在しない(口頭審理陳述要領書第25頁第16行?第26頁第16行)。

(3)当審の判断
ア 相違点3?4は,関連するのでまとめて検討する。
相違点3に係る本件訂正発明の構成は,「前記不利遊技状態において,前記付与入賞の発生を前記初期遊技状態であるときと同じ確率で許容し,前記再ゲーム入賞の発生についてのみ前記初期遊技状態であるときよりも低い確率であって前記第1不利遊技状態であるか前記第2不利遊技状態であるかにかかわらず同じ確率で許容するように,複数種類の入賞各々の発生を許容するか否かを決定」する構成(以下,「構成【G2】」という。)である。
相違点4に係る本件訂正発明の構成は,「さらに前記初期遊技状態であるか前記不利遊技状態であるかに関わらず,前記第1不利移行の入賞の発生を許容するか否かおよび前記第2不利移行入賞の発生を許容するか否かを決定」する構成(以下,「構成【G3】」という。)である。
上記構成【G2】及び【G3】は,不利遊技状態として第1不利遊技状態と第2不利遊技状態とがあることを前提とする構成であり,上記【G3】は,さらに,第1不利遊技状態にする第1不利移行入賞と,第2不利遊技状態にする第2不利移行入賞とがあることを前提とする構成である。

イ 請求人は,相違点3(相違点b)は,甲第6?7号証に示される周知技術(周知技術B)又は刊行物記載事項Bであり,相違点3(相違点b)は,甲1発明,甲第2?3号証,甲第6?7号証に示される周知技術(周知技術A)又は刊行物記載事項A,甲第6?7号証に示される周知技術(周知技術B)又は刊行物記載事項Bから容易である旨主張している。

ウ 上記「2-1 相違点2について」(3)において既に検討したように,甲第6?7号証には,第1有利移行入賞,第1有利遊技状態,第2有利移行入賞,第2有利遊技状態を有しているが,不利遊技状態として第1不利遊技状態と第2不利遊技状態とがある構成,第1不利遊技状態にする第1不利移行入賞と,第2不利遊技状態にする第2不利移行入賞とがある構成は記載されていない。
また,上記「2-1 相違点2について」(3)において既に検討したように,甲1発明に甲第6?7号証に記載された発明を適用することはできない。甲1発明に甲第6?7号証に記載された発明を適用しても,不利遊技状態として第1不利遊技状態と第2不利遊技状態とがある構成,第1不利遊技状態にする第1不利移行入賞と,第2不利遊技状態にする第2不利移行入賞とがある構成にはならない。

エ それに,上記「2-1 相違点2について」(3)において既に検討したように,甲第2?3号証には,RT突入条件,RT終了条件について記載されているが,不利遊技状態として第1不利遊技状態と第2不利遊技状態とがある構成,第1不利遊技状態にする第1不利移行入賞と,第2不利遊技状態にする第2不利移行入賞とがある構成については記載されていない。

オ 請求人は,甲第6号証の段落【0068】には「図6(B)にRTゲームで選択される賞群抽選テーブルTBL12を示す。この例では,リプレイ賞を除いて各賞の抽選区分の幅は,通常ゲームの賞群抽選テーブルTBL11に示されるように通常ゲームと等しい。従って,リプレイ賞を除く各賞の当選確率は,RTゲームでも通常ゲームでも同じである。一方,RTゲームにおけるリプレイ賞の当選確率は,通常ゲームと比較して大きくなるように設定されている」ことが開示されており,周知技術Bの存在は揺るぎはない旨主張する。
しかしながら,上記構成【G2】は,不利遊技状態として第1不利遊技状態と第2不利遊技状態とがあることを前提とする構成であり,既に検討したように,甲6発明には,不利遊技状態として第1不利遊技状態と第2不利遊技状態とがある構成について記載されていないから,上記構成【G2】にはならない。

カ また,他の証拠をみても,不利遊技状態として第1不利遊技状態と第2不利遊技状態とがあることを前提とする上記構成【G2】,及び不利遊技状態として第1不利遊技状態と第2不利遊技状態とがあり,さらに,第1不利遊技状態にする第1不利移行入賞と,第2不利遊技状態にする第2不利移行入賞とがあることを前提とする上記構成【G3】は記載されておらず,周知であるともいえない。
したがって,甲1発明,甲第2?3号証に記載された発明,周知技術A及び周知技術B,又は甲第6?7号証に記載された発明に基づいて,相違点3及び4に係る本件訂正発明の構成とすることは,当業者が容易になし得たものであるとはいえない。

2-3 相違点5?6について
(1)請求人の主張
(シ)相違点5?6(相違点c)について
(シ1) 相違点5?6(相違点c)は上記甲1発明が備える構成(不利移行役及び不利遊技状態)を単に複数とした程度のものに過ぎない(審判事件弁駁書第36頁第2?16行)。
(シ2) 相違点5?6(相違点c)は上記甲1発明が備える構成(不利移行役及び不利遊技状態)を単に複数とした程度のものに過ぎない。
従って,相違点5?6(相違点c)は甲1発明,甲第6?7号証に示される周知技術A及び,周知技術B又は刊行物記載事項A及び,刊行物記載事項Bに基づき本件特許出願時において当業者が容易に想到できたものである(口頭審理陳述要領書第21頁第6?20行)。

(2)被請求人の主張
(し)相違点5?6(相違点c)について
(し1) 相違点5?6(相違点c)に係る本件訂正発明の構成は,甲第2?5号証のいずれにも記載されていないのであるから,甲第1?5号証に基づいて相違点5?6(相違点c)に係る本件訂正発明の構成に当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない(審判事件答弁書第13頁第15行?第15頁第1行)。

(し2) 上記「第5 1(甲第1号証に記載された発明の認定に対する両当事者の主張)b(え)(え2)」で説明したとおり,「甲1発明にはBB未作動時(通常の遊技状態)においても一般役1?3の当選及び入賞の判定を行っていることは明らかである。」とはいえない。
また,上記「第5 1(甲第1号証に記載された発明の認定に対する両当事者の主張)b(う)(う2)」で説明したとおり,「甲第1号証には,RT作動状態に移行する前の遊技状態として通常の遊技状態(BB未作動状態)が開示されている。」とはいえない。
以上より,相違点cに係る本件訂正発明の構成は,甲第1?9号証に基づいて当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない(口頭審理陳述要領書第26頁第17行?第27頁第19行)。

(3)当審の判断
ア 相違点5?6は,関連するのでまとめて検討する。
相違点5に係る本件訂正発明の構成は,「前記第1不利遊技状態に制御していることを特定しているときにおいては,前記第1不利移行入賞および前記第2不利移行入賞のいずれが発生しても前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに前記第1不利遊技状態および前記第2不利遊技状態のいずれにも制御せず,前記第1不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が前記第1ゲーム数に到達するまで当該第1不利遊技状態に制御し,前記第2不利遊技状態に制御していることを特定しているときにおいては,前記第1不利移行入賞および前記第2不利移行入賞のいずれが発生しても前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに前記第1不利遊技状態および前記第2不利遊技状態のいずれにも制御せず,前記第2不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が前記第2ゲーム数に到達するまで当該第2不利遊技状態に制御」する(以下,「構成【H1?2】」という。)
相違点6に係る本件訂正発明の構成は,「前記第1不利遊技状態が開始された後に消化したゲーム数が前記第1ゲーム数に到達したときに,当該第1不利遊技状態を終了させて前記初期遊技状態に制御し,前記第2不利遊技状態が開始された後に消化したゲーム数が前記第2ゲーム数に到達したときに,当該第2不利遊技状態を終了させて前記初期遊技状態に制御する」構成(以下,「構成【J1?2】」という。)である。
上記構成【H1?2】及び【J1?2】は,第1不利移行入賞に入賞すると最大ゲーム数が第1ゲーム数である第1不利遊技状態に制御し,第2不利移行入賞に入賞すると最大ゲーム数が第1ゲーム数よりも多い第2ゲーム数である第2不利遊技状態に制御することを前提とする構成である。

イ 請求人は,相違点5?6は,上記甲1発明が備える構成(不利移行役及び不利遊技状態)を単に複数とした程度のものに過ぎないから,相違点5?6は甲1発明,甲第6?7号証に示される周知技術(周知技術A)又は刊行物記載事項A,甲第6?7号証に示される周知技術(周知技術B)又は刊行物記載事項Bから容易である旨主張しているので,検討する。

ウ 既に検討したように,上記構成【H1?2】及び【J1?2】は,第1不利移行入賞に入賞すると最大ゲーム数が第1ゲーム数である第1不利遊技状態に制御し,第2不利移行入賞に入賞すると最大ゲーム数が第1ゲーム数よりも多い第2ゲーム数である第2不利遊技状態に制御することを前提とする構成であるから,上記甲1発明が備える構成(不利移行入賞及び不利遊技状態)を単に複数とした程度のものではない。

エ また,上記「2-1 相違点2について」(3)において既に検討したように,甲第6?7号証には,第1不利移行入賞に入賞すると最大ゲーム数が第1ゲーム数である第1不利遊技状態に制御し,第2不利移行入賞に入賞すると最大ゲーム数が第1ゲーム数よりも多い第2ゲーム数である第2不利遊技状態に制御する構成は記載されていない。
それに,上記「2-1 相違点2について」(3)において既に検討したように,甲1発明に甲第6?7号証に記載された発明を適用することはできない。甲1発明に甲第6?7号証に記載された発明を適用しても,第1不利移行入賞に入賞すると最大ゲーム数が第1ゲーム数である第1不利遊技状態に制御し,第2不利移行入賞に入賞すると最大ゲーム数が第1ゲーム数よりも多い第2ゲーム数である第2不利遊技状態に制御する構成にはならない。

オ そして,他の証拠をみても,第1不利移行入賞に入賞すると最大ゲーム数が第1ゲーム数である第1不利遊技状態に制御し,第2不利移行入賞に入賞すると最大ゲーム数が第1ゲーム数よりも多い第2ゲーム数である第2不利遊技状態に制御することを前提とする上記構成【H1?2】及び【J1?2】は記載されておらず,周知であるともいえない。
したがって,甲1発明,甲第2?3号証に記載された発明,周知技術A及び周知技術B,又は甲第6?7号証に記載された発明に基づいて,相違点5及び6に係る本件訂正発明の構成とすることは,当業者が容易になし得たものであるとはいえない。

2-4 相違点1について
スロットマシンにおいて,「事前決定手段により前記再ゲーム入賞の発生を許容する旨が決定されているときには必ず前記再ゲーム入賞を発生させる再ゲーム入賞表示結果の組合せを導出させ」ることは,上記「第5 4」に記載の甲第4号証((甲4イ)の段落【0053】には「通常,リプレイ役の絵柄は,遊技者によるストップ操作のタイミングにかかわらず,常に引き込み可能にリール10a?10c上に配置されており,抽選処理でリプレイ役に当選すれば必ず入賞する。」と記載されている。),上記「第5 5」に記載の甲第5号証((甲5イ)の段落【0124】には「この例では,内部抽選においてリプレイ賞に当選した場合には,リプレイ賞に必ず入賞するように停止テーブルが選択される。」と記載されている。)にも記載されているように周知(以下,「周知技術1」という。)である。
したがって,甲1発明に上記周知技術1を適用して,上記相違点1に係る本件訂正発明の構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。

3 まとめ
以上のことから,本件訂正発明と甲1発明との相違点は1?6であるが,相違点2?6に係る本件訂正発明の構成は,甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明及び周知技術,または,甲第1号証ないし甲第9号証に記載された発明に基づいて,本件訂正発明の出願前に当事者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
したがって,本件訂正発明は特許法第29条第2項の規定に反してされた特許であるとはいえず,特許法第123条第1項第2号の規定に該当せず,その特許は無効とされるべきものではない。

第7 むすび
本件訂正発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではないから,当該発明に係る特許は,請求人の主張する無効理由及び提出した証拠方法によっては無効にすることはできない。
審判に関する費用については,特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により,請求人が負担すべきものとする。

よって,結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
スロットマシン
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、コイン遊技機等のスロットマシンに関する。詳しくは、遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームを開始させることが可能となり、複数種類の識別情報を変動表示させる可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能であるスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンは、一般に、外周部に識別情報としての複数種類の図柄が描かれた複数(通常は3つ)のリールを有する可変表示装置を備えており、各リールは、遊技者がスタートレバーを操作することにより回転を開始し、また、遊技者が各リールに対応して設けられた停止ボタンを操作することにより、その操作タイミングから予め定められた最大遅延時間の範囲内で回転を停止する。そして、全てのリールの回転を停止したときに導出された表示結果に従って入賞が発生する。
【0003】
入賞となる役の種類としては、小役、ボーナス、リプレイといった種類がある。ここで、小役の入賞では、小役の種類毎に定められた数のメダルが払い出されるという利益を遊技者が得ることができる。ボーナスの入賞では、次のゲームからレギュラーボーナスやビッグボーナスといった遊技者にとって有利な遊技状態へ移行されるという利益を遊技者が得ることができる。リプレイ入賞では、賭数の設定に新たなメダルを消費することなく次のゲームを行なうことができるという利益を得ることができる。
【0004】
ボーナス役を含めた各役の入賞が発生するためには、一般的には、事前(通常はスタートレバー操作時)に行なわれる内部抽選に当選して当選フラグが設定されていなければならない。そして、内部抽選に当選している役を構成する図柄の組合せを有効なラインに揃えるようにするとともに、内部抽選に当選していない役を構成する図柄の組合せを有効なラインに揃えないようにするリール制御が行なわれる。
【0005】
このようなスロットマシンには、リプレイ入賞による賭数の設定にメダルを消費しないで済むという利益を遊技者が得られることを利用して、通常の遊技状態とはリプレイ以外の役の当選確率を変えずにリプレイの当選確率を変化(当選確率を向上)させるRT(Replay Time)を、ビッグボーナスやレギュラーボーナスのようなボーナス以外の遊技状態として定めているものがある。また、このようなRTに制御する期間は、ビッグボーナスが終了してからゲームが所定回行なわれるまでのもの(たとえば、特許文献1参照)や、所定のRT図柄が導出されてからゲームが所定回行なわれるまでのもの(たとえば、特許文献2参照)があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3581379号公報
【特許文献2】特開2005-131323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のスロットマシンにおいては、RTに制御されてゲームが所定回行なわれるとRTが終了し、再度RTに制御させるためには内部抽選によってビッグボーナスを入賞させるかもしくはRT図柄を導出させることが必須条件であった。しかしながら、特許文献1および特許文献2のスロットマシンでは、ビッグボーナスやRT図柄を構成する役に当選するか否かが一定確率に従って抽選されるものである。このため、RTに制御されることに対する期待感を高めることができず、遊技の興趣を低下させる虞があった。
【0008】
この発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、リプレイに当選する確率が高い遊技状態に制御されることに対する期待感を高めることにより、遊技の興趣を向上させることができるスロットマシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 遊技用価値(メダル、クレジット)を用いて1ゲームに対して所定数の賭数(3、ただしレギュラーボーナス中は1)を設定することによりゲームを開始させることが可能となり、複数種類の識別情報を変動表示させる可変表示部として左可変表示部と中可変表示部と右可変表示部とを有する可変表示装置を備え、すべての可変表示部に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、すべての可変表示部各々に導出された表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能であるスロットマシン(スロットマシン1)であって、
いずれの可変表示部にも表示結果が導出される前に、前記遊技用価値を用いることなく次のゲームを行なうことが可能な再ゲーム入賞と、前記遊技用価値の付与を伴う付与入賞とを含む複数種類の入賞各々の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段(S402)と、
前記事前決定手段の決定結果に応じて、すべての可変表示部各々に表示結果を導出させる導出制御手段(S403)と、
初期遊技状態と、前記初期遊技状態よりも遊技者にとって不利な不利遊技状態とを含む複数種類の遊技状態のうちいずれかに制御する遊技状態制御手段(S404、S405)とを備え、
前記導出制御手段は、前記事前決定手段により前記再ゲーム入賞の発生を許容する旨が決定されているときには必ず前記再ゲーム入賞を発生させる再ゲーム入賞表示結果の組合せを導出させ、
前記遊技状態制御手段は、
予め定められた初期化条件(ボーナス終了、RT1?RT4で規定ゲーム数消化)が成立したときに、前記初期遊技状態(初期遊技状態、図9(a)のリプレイの判定値数参照)に制御する初期遊技状態制御手段(図14のS211b、図22のS907、S909、図23のS1012)と、
前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときに、前記複数種類の入賞のうち予め定められた第1不利移行入賞が発生したことを条件として、前記不利遊技状態のうち最大ゲーム数が第1ゲーム数に定められている不利遊技状態であって、制御されてから前記第1ゲーム数を消化する間において、所定演出が実行された後、前記初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御される旨を報知する演出が実行される第1不利遊技状態に制御し、前記複数種類の入賞のうち、入賞を発生させる表示結果の組合せを構成する前記左可変表示部の識別情報が前記第1不利移行入賞と共通する一方で前記右可変表示部の識別情報が前記第1不利移行入賞と異なるように定められた第2不利移行入賞が発生したことを条件として、前記不利遊技状態のうち最大ゲーム数が前記第1ゲーム数よりも多い第2ゲーム数に定められている不利遊技状態であって、制御されてから前記第1ゲーム数を消化する間において、前記所定演出が実行された後、前記初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御されない旨を報知する演出が実行される第2不利遊技状態に制御する不利遊技状態制御手段(図23のS1011c、S1011d、S1011g、S1011h)とを含み、
前記事前決定手段は、
前記初期遊技状態において、前記付与入賞と、前記再ゲーム入賞とを含む複数種類の入賞各々の発生を許容する旨を所定確率で決定し、
前記不利遊技状態において、前記付与入賞の発生を前記初期遊技状態であるときと同じ確率で許容し、前記再ゲーム入賞の発生についてのみ前記初期遊技状態であるときよりも低い確率であって前記第1不利遊技状態であるか前記第2不利遊技状態であるかに関わらず同じ確率で許容するように、複数種類の入賞各々の発生を許容するか否かを決定し、
さらに前記初期遊技状態であるか前記不利遊技状態であるかに関わらず、前記第1不利移行入賞の発生を許容するか否かおよび前記第2不利移行入賞の発生を許容するか否かを決定し、
前記不利遊技状態制御手段は、
前記第1不利遊技状態に制御していることを特定しているときにおいては、前記第1不利移行入賞および前記第2不利移行入賞のいずれが発生しても前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに前記第1不利遊技状態および前記第2不利遊技状態のいずれにも制御せず、前記第1不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が前記第1ゲーム数に到達するまで当該第1不利遊技状態に制御し、
前記第2不利遊技状態に制御していることを特定しているときにおいては、前記第1不利移行入賞および前記第2不利移行入賞のいずれが発生しても前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに前記第1不利遊技状態および前記第2不利遊技状態のいずれにも制御せず、前記第2不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が前記第2ゲーム数に到達するまで当該第2不利遊技状態に制御し、
前記初期遊技状態制御手段は、
前記第1不利遊技状態が開始された後に消化したゲーム数が前記第1ゲーム数に到達したときに、当該第1不利遊技状態を終了させて前記初期遊技状態に制御し、
前記第2不利遊技状態が開始された後に消化したゲーム数が前記第2ゲーム数に到達したときに、当該第2不利遊技状態を終了させて前記初期遊技状態に制御する(図23のS1012参照)。
【0010】
このような構成によれば、少なくとも、再ゲーム入賞の発生を許容する旨の決定がされる確率が所定確率である不利遊技状態が開始されてから規定ゲーム数である第1ゲーム数および第2ゲーム数のうちいずれかを消化することにより、当該不利遊技状態が終了して再ゲーム入賞の発生を許容する旨の決定がされる確率が所定確率より高い初期遊技状態に制御される。すなわち、不利遊技状態に制御された場合であっても、遊技者自らゲームを規定ゲーム数分行なうことにより当該不利遊技状態を終了させて初期遊技状態に制御することができる。このため、たとえば不利遊技状態を終了させる旨が内部決定されること等により当該不利遊技状態を終了させるような遊技者が関与し得ないスロットマシンと比較して、遊技者がゲームを規定ゲーム数分行なうことにより当該不利遊技状態を終了させることができるため、遊技者のゲームへの介入度合いを高めて遊技の興趣を向上させることができる。
【0012】
(2) 配線パターンが形成されているとともに該配線パターンに電気的に接続するコネクタ(基板側コネクタ620a)を有し、ゲームを進行させる制御を行なう遊技制御手段(メイン制御部41)を搭載した遊技制御基板(遊技制御基板40)と、
該遊技制御基板へゲームの進行に関わる信号を出力する第1の電子部品と、前記遊技制御基板よりゲームの進行に関わる信号が入力される第2の電子部品とのうち少なくとも一方を含む遊技用電子部品(投入メダルセンサ31)と、
ケーブルを接続するための第1コネクタ(コネクタ621a)と第2コネクタ(コネクタ622g)とを有し、前記遊技用電子部品と前記遊技制御基板との間での信号の入出力を中継する中継基板(操作部中継基板110)と、
前記遊技制御基板側のコネクタと接続されるコネクタを一方端に、前記中継基板側の前記第1コネクタと接続されるコネクタを他方端に有し、前記遊技制御基板と前記中継基板とを電気的に接続する第1ケーブル(ケーブル600a)と、
前記中継基板側の第2コネクタと接続されるコネクタを一方端に有し、前記遊技用電気部品が他方端に接続される第2ケーブル(ケーブル601g)とを備え、
前記第1ケーブルと前記遊技制御基板とのコネクタ接続部分(コネクタ620a、コネクタ610a部分)、前記第1ケーブルと前記中継基板とのコネクタ接続部分(コネクタ611a、コネクタ621a部分)、および前記第2ケーブルと前記中継基板とのコネクタ接続部分(コネクタ622g、コネクタ612g部分)の各々は、該コネクタ接続に関わる解除規制部位を破壊しない限り解除不能である接続解除規制状態になっている(コネクタ規制部材500、650)。
【0013】
このような構成によれば、前記第1ケーブルと前記遊技制御基板とのコネクタ接続部分、前記第1ケーブルと前記中継基板とのコネクタ接続部分、および前記第2ケーブルと前記中継基板とのコネクタ接続部分の各々は、該コネクタ接続に関わる解除規制部位を破壊しない限り、解除不能である接続解除規制状態になっているため、遊技制御基板および中継基板における3箇所のコネクタ接続部分のいずれにおいても、痕跡を残さずに打ち込み器具などの不正器具を接続することができなくなる。その結果、打ち込み器具を用いた不正行為が行なわれることを極力防止できる。
【0014】
(3) 前記遊技制御基板を収容する基板ケース(基板ケース200)と、
該基板ケースと別体に設けられ、該基板ケースに取り付けられた状態において当該基板ケースに収容された遊技制御基板側のコネクタ(基板側コネクタ620a)と前記第1ケーブルのコネクタ(ケーブル側コネクタ610a)との接続を解除不能とする規制部材(コネクタ規制部材500)と、
所定の取り外し規制部位(封止片232)を破壊しない限り、前記スロットマシンの本体(取付ベース250)に対する前記基板ケースの取り外しが不能となるように該スロットマシンの本体と該基板ケースとを連結する連結手段(ワンウェイネジ)とを備え、
前記連結手段による前記基板ケースと前記スロットマシンの本体との連結により、前記基板ケースからの前記規制部材の取り外しを規制する規制部材取り外し規制手段が構成される。
【0015】
このような構成によれば、取付側部材を基板ケースに取り付けた状態で基板側コネクタに対してケーブル側コネクタを接続し、その後、特殊部材を取付側部材に取り付けて一体化し、規制部材を構成することで、当該基板ケースに収容された基板の基板側コネクタとケーブル側コネクタとの接続が解除不能とされるとともに、この状態で連結手段により基板ケースとスロットマシンの本体とを連結することで基板ケースからの規制部材の取り外しが規制されることになり、取り外し規制部位を破壊して基板ケースとスロットマシンの本体との連結を解除しなければ、基板側コネクタからケーブル側コネクタとの接続を解除できない状態となる。すなわち取り外し規制部位の破壊という痕跡を残さなければケーブル側コネクタを基板ケースから分離することができない状態となり、痕跡を残さずに打ち込み器具などの不正器具を接続することができなくなる。また、故障などにより基板を収容した基板ケースごと基板を交換する場合には、取り外し規制部位を破壊して基板ケースとスロットマシンの本体との連結を解除すれば、規制部材を基板ケースから取り外してケーブル側コネクタと基板側コネクタとの接続が解除可能となるため、無駄に規制部材を破壊することなく、基板側コネクタからケーブル側コネクタを分離させて基板ケースごとスロットマシンの本体から取り外すことが可能となる。一方、ケーブルのみを交換する場合には、分離規制部位を破壊して特殊部材を取り外すことで基板側コネクタとケーブル側コネクタとの接続が解除可能となるため、無駄に基板ケースを破壊することなく、基板側コネクタからケーブル側コネクタを分離させてケーブルを基板ケースから取り外すことが可能となる。
【0016】
(4) 前記遊技制御基板側のコネクタの周辺位置に設けられた取付部(係止孔部513)と、
該取付部に取り付けると、所定の分離規制部位(接続片522a)を破壊しない限り、該取付部からの分離が不能となる特殊部材(コネクタカバー520)とを備え、
前記第1ケーブル側のコネクタ(ケーブル側コネクタ610a)を前記遊技制御基板側のコネクタ(基板側コネクタ620a)に接続した状態で前記特殊部材を前記取付部(係止孔部513)に取り付けることで、該特殊部材(コネクタカバー520)の一部(被覆部521)が前記第1ケーブル側のコネクタ(ケーブル側コネクタ610a)の抜き方向に重なる位置に配置され、該第1ケーブル側のコネクタ(ケーブル側コネクタ610a)の抜き方向への移動を規制する。
【0017】
このような構成によれば、ケーブル側コネクタを基板側コネクタに接続した後、基板側コネクタ周辺に設けられた取付部に対して特殊部材を取り付けるのみで、特殊部材の一部がケーブル側コネクタの抜き方向に重なり、ケーブル側コネクタの抜き方向への移動が規制されるので、ケーブル側コネクタと基板側コネクタとの接続の解除を規制するにあたり、その組み付け作業を軽減できる。また、たとえば、遊技制御基板が基板ケースに収容された状態であっても、そのままの状態でケーブル側コネクタを基板側コネクタに接続し、その後取付部に対して特殊部材を取り付けるのみでよく、このような場合には、ケーブル側コネクタと基板側コネクタとの接続の解除を規制するにあたり、その組み付け作業を一層効果的に軽減できる。また、特殊部材は一度取付部に対して取り付けられると、分離規制部位を破壊しない限り取り外すことができなくなるため、痕跡を残さずに打ち込み器具などの不正器具を接続することができなくなる。
【0018】
また、取付部は、前記基板側コネクタの周辺位置に設けられているものであればよく、遊技制御基板自体に設けられているものであってもよいし、遊技制御基板を収容する基板ケースに設けられているものであってもよいし、遊技制御基板または基板ケースに取り付けられる部材に設けられるものであってもよい。
【0019】
(5) ゲームを進行させる制御を行なうためのデータを読出しおよび書込み可能に記憶する記憶領域を有し、前記複数種類の入賞のうち前記初期遊技状態よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態への移行を伴なう特別入賞の発生を許容させる旨が決定されている旨を示す特別決定データ(特別役の当選フラグ)を記憶するとともに、前記スロットマシンへの電力供給が停止しても前記記憶領域に記憶されているデータを所定期間保持するデータ記憶手段(RAM41c)と、
前記スロットマシンの起動時に、前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づいて前記スロットマシンの制御状態を復帰させる遊技制御状態復帰処理(起動処理)を実行する遊技制御状態復帰処理手段と、
ゲームを進行させる制御を行なう遊技制御手段(メイン制御部41)を搭載した遊技制御基板(遊技制御基板40)と、
該遊技制御基板へゲームの進行に関わる信号を出力する第1の電子部品と、前記遊技制御基板よりゲームの進行に関わる信号が入力される第2の電子部品とのうち少なくとも一方を含む遊技用電子部品(投入メダルセンサ31)と、
前記電力供給が停止している状態で前記遊技制御基板と前記遊技用電子部品との接続が解除された場合(たとえば、基板側コネクタ620aとケーブル側コネクタ610aとの接続が解除された場合、基板側コネクタ621aとケーブル側コネクタ611aとの接続が解除された場合、基板側コネクタ622gとケーブル側コネクタ612gとの接続が解除された場合等)に、前記データ記憶手段に保持されているデータを初期化させる停電時データ初期化手段(バックアップ電源VBBがケーブル600a-操作部中継基板110-ケーブル601g-投入メダルセンサ41-ケーブル601g-操作部中継基板110-ケーブル600aを経由して遊技制御基板40のメイン制御部41に供給される)とを備える。
【0020】
このような構成によれば、打ち込み器具などの不正器具を接続するには、たとえば遊技制御基板と遊技用電子部品とを接続するコネクタを解除することが必要となるが、無理矢理コネクタの接続を解除して打ち込み器具を使用し、不正に特別役の当選を設定しても、正規のコネクタと交換するためにコネクタの接続を解除することでデータ記憶手段のデータが初期化されてしまうので、打ち込み器具を使用して特別役が当選した状態に設定したスロットマシンを、遊技店の営業開始時等において遊技客に提供するといった不正営業を防止することができる。
【0021】
なお、前記スロットマシンへの電力供給が停止している状態で遊技制御基板と遊技用電子部品との接続が解除された場合に、前記データ記憶手段に保持されているデータを初期化させる停電時データ初期化手段は、回路構造上、前記スロットマシンへの電力供給が停止している状態で前記基板側コネクタと前記ケーブル側コネクタとの接続が解除された場合に前記データ記憶手段に保持されているデータが失われるものであってもよいし、前記スロットマシンへの電力供給が停止している状態で遊技制御基板と遊技用電子部品との接続が解除されたか否かを監視する監視手段を設けるとともに、接続が解除された場合にはその旨を記憶しておき、起動時に接続が解除された旨が記憶されている場合にデータ記憶手段に保持されているデータを制御的に初期化するものであってもよい。
【0022】
また、遊技制御基板と遊技用電子部品との接続が解除された場合とは、遊技制御基板と遊技用電子部品とを接続するための遊技制御基板側コネクタと遊技用電子部品側コネクタとの接続が機械的に解除された場合及び電気的に解除された場合のどちらでもよい。
【0023】
また、前記停電時データ初期化手段が、前記遊技用電子部品と前記遊技制御基板との間における前記配線上のコネクタ同士での接続のうち少なくとも1カ所以上のコネクタ同士の接続が解除された場合に、前記データ記憶手段に保持されているデータを初期化させることが好ましく、このようにすることで、打ち込み器具を使用して特別役が当選した状態に設定したスロットマシンを、遊技店の営業開始時等において遊技客に提供するといった不正営業を一層効果的に防止することができる。
【0024】
(6) ゲームの進行に関わる情報を報知する報知手段(クレジット表示器11や遊技補助表示器12、ペイアウト表示器13、液晶表示器51など)と、
ゲームを進行させる制御を行なうためのデータを読出しおよび書込み可能に記憶する記憶領域を有し、前記複数種類の入賞のうち前記初期遊技状態よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態への移行を伴なう特別入賞の発生を許容させる旨が決定されている旨を示す特別決定データ(特別役の当選フラグ)を記憶するとともに、前記スロットマシンへの電力供給が停止しても前記記憶領域に記憶されているデータを所定期間保持するデータ記憶手段(RAM41c)と、
前記事前決定手段により前記特別入賞の発生を許容する旨が決定され、該特別入賞が発生しなかったときに、当該特別入賞の発生を許容する旨の決定を次ゲーム以降に持ち越す持越手段(S405、特別ワーク41c-3)と、
前記スロットマシンの起動時に、前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づいて前記スロットマシンの制御状態を復帰させる遊技制御状態復帰処理(起動処理)を実行する遊技制御状態復帰処理手段と、
前記遊技制御状態復帰処理手段によって前記スロットマシンの制御状態を復帰させる際に、前記特別決定データ(特別役の当選フラグ)が記憶されているか否かを判定する特別決定データ判定手段(図13のS107a)と、
前記特別決定データ判定手段が前記特別決定データが記憶されていると判定したときに、前記報知手段を用いて、前記特別入賞の発生が許容されている旨を報知する制御を行なう起動時報知制御手段(図13のS107b、サブ制御部91に対してボーナスの当選を示す電源投入コマンドを送信し、ボーナスの確定報知を指示する)とを備える。
【0025】
このような構成によれば、打ち込み器具などの不正器具を接続するには、一度電源を切る必要がある(電源を切らずにコネクタを外すと故障の原因となる)が、無理矢理コネクタの接続を解除して打ち込み器具を使用し、不正に特別入賞の当選を設定しても、遊技制御手段を再起動させた際に、特別入賞に当選していることが外部から容易に判別できてしまうので、打ち込み器具を使用して特別入賞が当選した状態に設定したスロットマシンを、遊技店の営業開始時等において遊技客に提供するといった不正営業を効果的に抑止することができる。また、報知手段として、専用の報知手段を用いる場合に比較して、スロットマシンの製造コストを抑えることができる。
【0026】
(7) ゲームの進行に関わる情報を報知する報知手段(クレジット表示器11や遊技補助表示器12、ペイアウト表示器13、液晶表示器51など)と、
ゲームを進行させる制御を行なうためのデータを読出しおよび書込み可能に記憶する記憶領域を有し、前記複数種類の入賞のうち前記初期遊技状態よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態への移行を伴なう特別入賞の発生を許容させる旨が決定されている旨を示す特別決定データ(特別役の当選フラグ)を記憶するとともに、前記スロットマシンへの電力供給が停止しても前記記憶領域に記憶されているデータを所定期間保持するデータ記憶手段(RAM41c)と、
前記スロットマシンの起動時に、前記データ記憶手段に記憶されているデータに基づいて前記スロットマシンの制御状態を復帰させる遊技制御状態復帰処理(起動処理)を実行する遊技制御状態復帰処理手段と、
前記遊技制御状態復帰処理手段によって前記スロットマシンの制御状態を復帰させる際に、前記報知手段を用いて、復帰させる制御状態(制御される遊技状態すべて(たとえば、初期遊技状態、RT1?RT5、ボーナス等)、制御される遊技状態のうち所定の遊技状態(たとえば、初期遊技状態、RT1?RT5、ボーナス等のうち、初期遊技状態およびボーナスだけ))を報知する制御を行なう起動時報知制御手段(図13のS107a、S107b、サブ制御部91に対してボーナスの当選を示す電源投入コマンドを送信し、ボーナスの確定報知を指示する、変形例(2)参照)とを備える。
【0027】
このような構成によれば、打ち込み器具などの不正器具を接続するには、一度電源を切る必要がある(電源を切らずにコネクタを外すと故障の原因となる)が、無理矢理コネクタの接続を解除して打ち込み器具を使用し、不正に特別入賞の当選を設定しても、遊技制御手段を再起動させた際に、特別入賞に当選していることが外部から容易に判別できてしまうので、打ち込み器具を使用して特別入賞が当選した状態に設定したスロットマシンを、遊技店の営業開始時等において遊技客に提供するといった不正営業を効果的に抑止することができる。また、報知手段として、専用の報知手段を用いる場合に比較して、スロットマシンの製造コストを抑えることができる。
【0028】
(8) 前記事前決定手段は、前記複数種類の入賞のうち前記初期遊技状態よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態(ビッグボーナス)への移行を伴なう特別入賞(ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2))の発生を許容する旨を、逆数が前記規定ゲーム数の期待値(オレンジ入賞したときのRT平均規定ゲーム数:(0.3×500+0.7×10)=157、チェリー入賞したときのRT平均規定ゲーム数:(0.4×330+0.6×10)=138、オレンジ入賞する確率とチェリー入賞する確率とは同じであるためRT平均規定ゲーム数は(157+138)/2=147.5)より大きい確率(ビッグボーナスの判定値数は(10+10+50+50+20+20+20+20+50+50)=300、当選確率は300/65536≒1/218)で決定する。
【0029】
このような構成によれば、不利遊技状態に制御された場合であっても、特別入賞の発生を許容する旨が決定されるまでに当該不利遊技状態が終了して初期遊技状態に制御されることに対し遊技者に期待感を抱かせることができ、適度に遊技者の期待感を煽ることができる。
【0030】
(9) 前記不利遊技状態制御手段は、前記初期遊技状態に制御されているときに前記移行入賞のうちの特定移行入賞(オレンジX、チェリーX)が発生したことを条件として、前記事前決定手段により該特定移行入賞の発生を許容する旨の決定がされる確率(オレンジA?XおよびチェリーA?Xの判定値数は(2195+1881)=4076、当選確率は4076/65536≒1/16)の逆数よりも規定ゲーム数が小さい特定不利遊技状態(RT2およびRT4の規定ゲーム数:10)に制御する特定不利遊技状態制御手段を含む。
【0031】
このような構成によれば、特定不利遊技状態に制御された場合には、特定移行入賞の発生を許容する旨の決定がされるまでに終了して初期遊技状態に制御されることに対し遊技者に期待感を抱かせることができ、適度に遊技者の期待感を煽ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】スロットマシンの全体構造を示す正面図である。
【図2】可変表示装置を構成する各リール上における図柄の配列を示す図である。
【図3】スロットマシンの制御回路の全体構成を示すブロック図である。
【図4】遊技制御基板と該遊技制御基板に接続される遊技用電子部品との配線接続状態を示す概略図である。
【図5】メイン制御部に対するバックアップ電源の供給ラインを示す回路図である。
【図6】演出制御基板に搭載された表示制御回路の構成を示すブロック図である。
【図7】遊技制御基板内のRAMの格納領域を示す図である。
【図8】入賞となる役の図柄組合せを示す図である。
【図9】判定値数の記憶領域の例を示す図である。
【図10】遊技制御基板内のROMに格納されたテーブルインデックスの構成を示す図である。
【図11】ビッグボーナス中のボーナス中演出を示す図である。
【図12】液晶表示器に表示される演出の画像の表示態様を説明する図である。
【図13】遊技制御基板内の制御部が実行する起動処理を示すフローチャートである。
【図14】遊技制御基板内の制御部が実行する設定変更処理を示すフローチャートである。
【図15】遊技制御基板内の制御部が実行するRAM異常エラー処理を示すフローチャートである。
【図16】遊技制御基板内の制御部が、1ゲーム毎に実行するゲーム制御処理を示すフローチャートである。
【図17】BET処理を詳細に示すフローチャートである。
【図18】BET処理を詳細に示すフローチャートである。
【図19】精算処理を詳細に示すフローチャートである。
【図20】抽選処理を詳細に示すフローチャートである。
【図21】リール回転処理を詳細に示すフローチャートである。
【図22】入賞判定処理を詳細に示すフローチャートである。
【図23】払出処理を詳細に示すフローチャートである。
【図24】演出制御基板内のサブ制御部が実行する演出制御メイン処理を示すフローチャートである。
【図25】演出初期設定処理を詳細に示すフローチャートである。
【図26】演出制御復旧処理を詳細に示すフローチャートである。
【図27】演出制御割り込み処理を示すフローチャートである。
【図28】演出バックアップ処理を詳細に示すフローチャートである。
【図29】演出制御処理および音量調節処理を示すフローチャートである。
【図30】遊技演出実行処理およびナビ実行処理の一例を示すタイミングチャートである。
【図31】音量調節処理の一例を示すタイミングチャートである。
【図32】音量調節処理の一例を示すタイミングチャートである。
【図33】音量調節処理の一例を示すタイミングチャートである。
【図34】音量調節処理の一例を示すタイミングチャートである。
【図35】基板ケースおよび基板ケースをスロットマシンの本体をなす筐体に取り付けるための取付ベース、コネクタ規制部材を示す分解斜視図である。
【図36】基板ケースおよび基板ケースをスロットマシンの本体をなす筐体に取り付けるための取付ベース、コネクタ規制部材を示す分解斜視図である。
【図37】基板ケースを取付ベースに組み付けた状態を示す斜視図である。
【図38】コネクタ規制部材を構成する取付側部材およびコネクタキャップの要部拡大斜視図である。
【図39】(a)は、図38のA-A断面図であり、(b)(c)は、図38のB-B断面図である。
【図40】基板ケースを取付ベースに組み付け、更に取付側部材に対してコネクタキャップを装着した状態を示す斜視図である。
【図41】(a)は、図40のC-C断面図であり、(b)は、図40のD-D断面図である。
【図42】コネクタ規制部材を構成する載置台およびカバー部材を示す分解斜視図である。
【図43】載置台に対してカバー部材を組み付けた状態を示す斜視図である。
【図44】(a)は、図43のE-E断面図であり、(b)は、図43のF-F断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、この実施の形態にかかるスロットマシンの全体構造を示す正面図である。スロットマシン1は、前面が開口する筐体(図示略)と、この筺体の側端に回動自在に枢支された前面扉と、から構成されている。
【0034】
本実施の形態のスロットマシン1の筐体内部には、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リールともいう)が水平方向に並設されており、図1に示すように、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉に設けられた透視窓3から見えるように配置されている。
【0035】
リール2L、2C、2Rの外周部には、図2に示すように、それぞれ「メロン」、「ブドウ」、「バナナ」、「チェリー」、「オレンジ」、「星」、「赤7(図2においては黒塗りの7)」、「白7(図2においては白抜きの7)」、「BAR」といった互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で、それぞれ21個ずつ描かれている。リール2L、2C、2Rの外周部に描かれた図柄は、透視窓3において各々上中下三段に表示される。また、リール2L、2C、2Rの図柄が描かれた部分以外は白色であり、高い透過率で光を透過するようになっており、図柄が描かれた部分についても、その図柄の色彩に応じて光を透過するようになっている。
【0036】
各リール2L、2C、2Rは、各々対応して設けられリールモータ32L、32C、32R(図3参照)によって回転させることで、各リール2L、2C、2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示されるとともに、各リール2L、2C、2Rの回転を停止させることで、透視窓3に3つの連続する図柄が表示結果として導出表示されるようになっている。
【0037】
リール2L、2C、2Rの内側には、リール2L、2C、2Rそれぞれに対して、基準位置を検出するリールセンサ33と、リール2L、2C、2Rを背面から白色光で照射するリールLED55と、が設けられている。
【0038】
また、前面扉の各リール2L、2C、2Rの手前側(遊技者側)の位置には、液晶表示器51(図3参照)の表示領域51aが配置されている。液晶表示器51は、液晶素子に対して電圧が印加されていない状態で、透過性を有するノーマリーホワイトタイプの液晶パネルを有しており、表示領域51aの透視窓3に対応する透過領域および透視窓3を介して遊技者側から各リール2L、2C、2Rが視認できるようになっている。また、液晶表示器には、液晶パネルの表面にノングレア加工を施したノングレアタイプの液晶表示器と、グレア加工(光沢加工)を施したグレアタイプの液晶表示器と、があるが、本実施の形態では、表示領域51aの表面にグレア加工が施されたグレアタイプの液晶表示器を用いている。また、表示領域51aの透過領域を除く領域の裏面には、背後から表示領域51aを照射するバックライト(図示略)が設けられているとともに、更にその裏面には、内部を隠蔽する隠蔽部材(図示略)が設けられている。
【0039】
液晶表示器51は、複数の画素がマトリックス状に形成された液晶パネルの間に液晶素子を封入して構成されるもので、液晶ドライバ(図示略)から出力される駆動信号により各画素の電圧を制御することで液晶素子の配向状態を変化させることにより光の透過率を変化させる。
【0040】
液晶表示器51の各画素は、その背面側のバックライトの白色光およびリールLED55の白色光(但し、図柄の部分では図柄の色に応じて白色光でなくなる場合がある)のうちで液晶素子の配向状態に応じてR(赤)、G(緑)およびB(青)の光を透過させカラー画像を表示させる。
【0041】
各画素は、RGBのそれぞれについて32階調の表示を行なう。各画素のRGBの値を(R,G,B)として表わすが、(0,0,0)であればバックライトの白色光またはリールLED55の白色光が透過せずに黒色の表示となるが、(31,31,31)であれば、透明の表示になってリール2L、2C、2Rに描かれた図柄の部分はその色、それ以外の部分は白色の表示になる。(0,0,0)と(31,31,31)以外のRGB値では、それぞれの値が大きくなるに従って赤、緑、青の色味が強くなる。
【0042】
また、前面扉には、メダルを投入可能なメダル投入部4、メダルが払い出されるメダル払出口9、クレジット(遊技者所有の遊技用価値として記憶されているメダル数)を用いてメダル1枚分の賭数を設定する際に操作される1枚BETスイッチ5、クレジットを用いて、その範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数(本実施の形態では後述の通常遊技状態(初期遊技状態ともいう)、RT(リプレイタイム)1?5においては3、後述のレギュラーボーナスにおいては1)を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットとして記憶されているメダルおよび賭数の設定に用いたメダルを精算する(クレジットおよび賭数の設定に用いた分のメダルを返却させる)際に操作される精算スイッチ10、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L、2C、2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8R、既に行なわれた遊技に関する遊技履歴データの閲覧や初期化、演出モードを選択する際に操作される選択スイッチ56および決定スイッチ57、が遊技者により操作可能にそれぞれ設けられている。また、前面扉には、複数種類の入賞役を構成する図柄の組合せが記された入賞役パネル89が取り付けられている。
【0043】
また、前面扉には、クレジットとして記憶されているメダル枚数が表示されるクレジット表示器11、後述するビッグボーナス中のメダルの獲得枚数やエラー発生時にその内容を示すエラーコード等が表示される遊技補助表示器12、入賞の発生により払い出されたメダル枚数が表示されるペイアウト表示器13が設けられている。
【0044】
また、前面扉には、賭数が1設定されている旨を点灯により報知する1BETLED14、賭数が2設定されている旨を点灯により報知する2BETLED15、賭数が3設定されている旨を点灯により報知する3BETLED16、メダルの投入が可能な状態を点灯により報知する投入要求LED17、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が有効である旨を点灯により報知するスタート有効LED18、ウェイト(前回のゲーム開始から一定期間経過していないためにリールの回転開始を待機している状態)中である旨を点灯により報知するウェイト中LED19、後述するリプレイゲーム中である旨を点灯により報知するリプレイ中LED20が設けられている。
【0045】
また、MAXBETスイッチ6の内部には、1枚BETスイッチ5およびMAXBETスイッチ6の操作による賭数の設定操作が有効である旨を点灯により報知するBETスイッチ有効LED21(図3参照)が設けられており、ストップスイッチ8L、8C、8Rの内部には、該当するストップスイッチ8L、8C、8Rによるリールの停止操作が有効である旨を点灯により報知する左、中、右停止有効LED22L、22C、22R(図3参照)がそれぞれ設けられている。
【0046】
また、前面扉の内側には、所定のキー操作により後述するRAM異常エラーを除くエラー状態および後述する打止状態を解除するためのリセット操作を検出するリセットスイッチ23、後述する設定値の変更中や設定値の確認中にその時点の設定値が表示される設定値表示器24、メダル投入部4から投入されたメダルの流路を、筐体内部に設けられた後述のホッパータンク(図示略)側またはメダル払出口9側のいずれか一方に選択的に切り替えるための流路切替ソレノイド30、メダル投入部4から投入され、ホッパータンク側に流下したメダルを検出する投入メダルセンサ31が設けられている。
【0047】
筐体内部には、前述したリール2L、2C、2R、リールモータ32L、32C、32R、リールセンサ33、リールLED55からなるリールユニット(図示略)、メダル投入部4から投入されたメダルを貯留するホッパータンク(図示略)、ホッパータンクに貯留されたメダルをメダル払出口9より払い出すためのホッパーモータ34、ホッパーモータ34の駆動により払い出されたメダルを検出する払出センサ35、電源ボックス(図示略)が設けられている。
【0048】
電源ボックスの前面には、後述のビッグボーナス終了時に打止状態(リセット操作がなされるまでゲームの進行が規制される状態)に制御する打止機能の有効/無効を選択するための打止スイッチ36、後述のビッグボーナス終了時に自動精算処理(クレジットとして記憶されているメダルを遊技者の操作によらず精算(返却)する処理)に制御する自動精算機能の有効/無効を選択するための自動精算スイッチ29、起動時に設定変更モードに切り替えるための設定キースイッチ37、通常時においてはRAM異常エラーを除くエラー状態や打止状態を解除するためのリセットスイッチとして機能し、設定変更モードにおいては後述する内部抽選の当選確率(出玉率)の設定値を変更するための設定スイッチとして機能するリセット/設定スイッチ38、電源をON/OFFする際に操作される電源スイッチ39が設けられている。
【0049】
本実施の形態のスロットマシン1においてゲームを行なう場合には、まず、メダルをメダル投入部4から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するには1枚BETスイッチ5、またはMAXBETスイッチ6を操作すればよい。遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1?L5(図1参照)のうち遊技状態に応じて定められた入賞ラインが有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。遊技状態に対応する規定数を超えてメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。
【0050】
入賞ラインとは、各リール2L、2C、2Rの透視窓3に表示された図柄の組合せが入賞図柄の組合せであるかを判定するために設定されるラインである。本実施の形態では、図1に示すように、各リール2L、2C、2Rの上段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL1、各リール2L、2C、2Rの下段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL2、リール2Lの下段、リール2Cの中段、リール2Rの上段、すなわち右上がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL3、リール2Lの上段、リール2Cの中段、リール2Rの下段、すなわち右下がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL4、各リール2L、2C、2Rの中段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL5の5種類が入賞ラインとして定められており、通常遊技状態、RT1?RT5においては規定数の賭数が設定されると入賞ラインL1?L5の全てが有効となり、レギュラーボーナスにおいては規定数の賭数が設定されると入賞ラインL1、L2のみが有効となる。
【0051】
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示される。
【0052】
そして全てのリール2L、2C、2Rが停止されることで1ゲームが終了し、有効化されたいずれかの入賞ライン(以下有効ラインと呼ぶ)上に予め定められた図柄の組合せ(以下、役とも呼ぶ)が各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され、クレジットに加算される。また、クレジットが上限数(本実施の形態では50)に達した場合には、メダルが直接メダル払出口9(図1参照)から払い出されるようになっている。なお、複数の有効ライン上にメダルの払出を伴う図柄の組合せが揃った場合には、有効ラインに揃った図柄の組合せそれぞれに対して定められた払出枚数を合計し、合計した枚数のメダルが遊技者に対して付与されることとなる。ただし、1ゲームで付与されるメダルの払出枚数には、上限(本実施の形態では、15枚)が定められており、合計した払出枚数が上限を超える場合には、上限枚数のメダルが付与されることとなる。また、いずれかの有効ライン上に、遊技状態の移行を伴う図柄の組合せが各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には図柄の組合せに応じた遊技状態に移行するようになっている。
【0053】
また、本実施の形態におけるスロットマシン1にあっては、ゲームが開始されて各リール2L、2C、2Rが回転して図柄の変動が開始した後、いずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに、当該ストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリールの回転が停止して図柄が停止表示される。ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作から対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止するまでの最大停止遅延時間は190ミリ秒である。リール2L、2C、2Rは、1分間に80回転し、80×21(1リール当たりの図柄コマ数)=1680コマ分の図柄を変動させるので、190ミリ秒の間では最大で4コマの図柄を引き込むことができることとなる。つまり、停止図柄として選択可能なのは、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに表示されている図柄と、そこから4コマ先までにある図柄、合計5コマ分の図柄である。
【0054】
このため、たとえば、ストップスイッチ8L、8C、8Rのいずれかが操作されたときに当該ストップスイッチに対応するリールの下段に表示されている図柄を基準とした場合、当該図柄から4コマ先までの図柄を下段に表示させることができるため、その結果として当該図柄から6コマ先までの図柄を上段に表示させることができる。すなわち、リール2L、2C、2R各々において、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうちいずれかが操作されたときに当該ストップスイッチに対応するリールの下段に表示されている図柄を含めて7コマ以内に配置されている図柄を入賞ライン上に表示させることができる。
【0055】
図3は、スロットマシン1の構成を示すブロック図である。スロットマシン1には、図3に示すように、遊技制御基板40、演出制御基板90、電源基板100が設けられており、遊技制御基板40によって遊技状態が制御され、演出制御基板90によって遊技状態に応じた演出が制御され、電源基板100によってスロットマシン1を構成する電気部品の駆動電源が生成され、各部に供給される。
【0056】
電源基板100には、外部からAC100Vの電源が供給されるとともに、このAC100Vの電源からスロットマシン1を構成する電気部品の駆動に必要な直流電圧が生成され、遊技制御基板40および遊技制御基板40を介して接続された演出制御基板90に供給されるようになっている。
【0057】
特に、本実施の形態のスロットマシンにおいては、電源基板100で生成された電圧を各部に供給する電源ラインのうち、少なくとも後述するサブ制御部91(CPU91a)および後述する表示制御回路92に電圧を供給する電源ラインと、液晶表示器51に搭載された後述する液晶駆動回路215に電圧を供給する電源ラインと、後述するLED駆動回路93に電圧を供給する電源ラインと、後述するリールLED55に電圧を供給する電源ラインと、がそれぞれ電気的に独立して配線されている。
【0058】
なお、電気的に独立して配線するとは、同一ケーブルもしくは同一基板上に配線されている場合でも、これらの配線ラインが電気的に非接触状態で設けられていることである。
【0059】
また、電源基板100には、前述したホッパーモータ34、払出センサ35、打止スイッチ36、自動精算スイッチ29、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38、電源スイッチ39が接続されている。
【0060】
遊技制御基板40には、前述した1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R、精算スイッチ10、リセットスイッチ23、投入メダルセンサ31、リールセンサ33が接続されているとともに、電源基板100を介して前述した払出センサ35、打止スイッチ36、自動精算スイッチ29、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38が接続されており、これら接続されたスイッチ類の検出信号が入力されるようになっている。
【0061】
また、遊技制御基板40には、前述したクレジット表示器11、遊技補助表示器12、ペイアウト表示器13、1?3BETLED14?16、投入要求LED17、スタート有効LED18、ウェイト中LED19、リプレイ中LED10、BETスイッチ有効LED21、左、中、右停止有効LED22L、22C、22R、設定値表示器24、流路切替ソレノイド30、リールモータ32L、32C、32Rが接続されているとともに、電源基板100を介して前述したホッパーモータ34が接続されており、これら電気部品は、遊技制御基板40に搭載された後述のメイン制御部41の制御に基づいて駆動されるようになっている。
【0062】
遊技制御基板40には、CPU41a、ROM41b、RAM41c、I/Oポート41dを備えたマイクロコンピュータからなり、遊技の制御を行なうメイン制御部41、所定範囲(本実施の形態では0?65535)の乱数を発生させる乱数発生回路42、乱数発生回路から乱数を取得するサンプリング回路43、遊技制御基板40に直接または電源基板100を介して接続されたスイッチ類から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路44、リールモータ32L、32C、32Rの駆動制御を行なうモータ駆動回路45、流路切替ソレノイド30の駆動制御を行なうソレノイド駆動回路46、遊技制御基板40に接続された各種表示器やLEDの駆動制御を行なうLED駆動回路47、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をメイン制御部41に対して出力する電断検出回路48、電源投入時またはCPU41aからの初期化命令が入力されないときにCPU41aにリセット信号を与えるリセット回路49、その他各種デバイス、回路が搭載されている。
【0063】
CPU41aは、計時機能、タイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備え、ROM41bに記憶されたプログラム(後述)を実行して、遊技の進行に関する処理を行なうととともに、遊技制御基板40に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。ROM41bは、CPU41aが実行するプログラムや各種テーブル等の固定的なデータを記憶する。RAM41cは、CPU41aがプログラムを実行する際のワーク領域等として使用される。I/Oポート41dは、メイン制御部41が備える信号入出力端子を介して接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
【0064】
また、メイン制御部41には、停電時においてもバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、CPU41aによりリフレッシュ動作が行なわれてRAM41cに記憶されているデータが保持されるようになっている。
【0065】
乱数発生回路42は、後述するように所定数のパルスを発生する度にカウントアップして値を更新するカウンタによって構成され、サンプリング回路43は、乱数発生回路42がカウントしている数値を取得する。乱数発生回路42は、乱数の種類毎にカウントする数値の範囲が定められており、本実施の形態では、その範囲として0?65535が定められている。CPU41aは、その処理に応じてサンプリング回路43に指示を送ることで、乱数発生回路42が示している数値を乱数として取得する(以下、この機能をハードウェア乱数機能という)。後述する内部抽選用の乱数は、ハードウェア乱数機能により抽出した乱数をそのまま使用するのではなく、ソフトウェアにより加工して使用する。また、CPU41aは、前述のタイマ割込処理(メイン)により、特定のレジスタの数値を更新し、こうして更新された数値を乱数として取得する機能も有する(以下、この機能をソフトウェア乱数機能という)。
【0066】
電断検出回路48は、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧の低下を検出(たとえば、所定電圧以下になったか否か判定)したときに、電圧低下信号をメイン制御部41に対して出力する回路である。メイン制御部41は、特に図示はしないが、割込入力端子を備えており、この割込入力端子に電圧低下信号が入力されることで外部割込が発生し、メイン制御部41のCPU41aは外部割込に応じて電断割込処理を実行する。
【0067】
電断割込処理においては、当該処理の開始にともなってその他の割込処理の実行を禁止する。そして、使用している可能性がある全てのレジスタをRAMに退避させる処理が行なわれる。これにより、電断復旧時に、元の処理に復帰できるようにする。
【0068】
次いで、全出力ポートを初期化した後、RAMに記憶されている全てのデータに基づいてRAMパリティを計算してパリティ格納領域41c-7(図7参照)にセットし、RAMアクセスを禁止する。そして何らの処理も行なわないループ処理に入る。すなわち、そのまま電圧が低下すると内部的に動作停止状態になる。よって、電断時に確実にメイン制御部41は動作停止する。
【0069】
このように電断割込処理においては、その時点のRAMパリティを計算してパリティ格納領域41c-7に格納されるようになっており、次回起動時において計算したRAMパリティと比較することで、RAMに格納されているデータが正常か否かを確認できるようになっている。
【0070】
次に、リセット回路49は、電源投入時においてメイン制御部41が起動可能なレベルまで電圧が上昇したときにメイン制御部41に対してリセット信号を出力し、メイン制御部41を起動させるとともに、メイン制御部41から定期的に出力される信号に基づいてリセットカウンタの値がクリアされずにカウントアップした場合、すなわちメイン制御部41が一定時間動作を行なわなかった場合にメイン制御部41に対してリセット信号を出力し、メイン制御部41を再起動させる回路である。
【0071】
CPU41aは、I/Oポート41dを介して演出制御基板90に、各種のコマンドを送信する。遊技制御基板40から演出制御基板90へ送信されるコマンドは一方向のみで送られ、演出制御基板90から遊技制御基板40へ向けてコマンドが送られることはない。遊技制御基板40から演出制御基板90へ送信されるコマンドの伝送ラインは、ストローブ(INT)信号ライン、データ伝送ライン、グラウンドラインから構成されているとともに、演出中継基板80を介して接続されており、遊技制御基板40と演出制御基板90とが直接接続されない構成とされている。演出中継基板80は、遊技制御基板40から演出制御基板90へ送信される情報の一方向性を担保するために設けられた基板である。演出中継基板80は、この状態を調べることによって遊技制御基板40や演出制御基板90を調べなくても、遊技制御基板40のメイン制御部41に不正な信号(特に演出制御基板90に外部から入力されるようになっている信号)が入力されるような改造がなされていないかどうかをチェックすることができるようにするものである。
【0072】
演出制御基板90には、前述した選択スイッチ56、決定スイッチ57が接続されており、これら接続されたスイッチ類の検出信号が入力されるようになっている。
【0073】
演出制御基板90には、スロットマシン1の前面扉に配置された液晶表示器51(図1参照)、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55等の電気部品が接続されており、これら電気部品は、演出制御基板90に搭載された後述のサブ制御部91による制御に基づいて駆動されるようになっている。
【0074】
演出制御基板90には、メイン制御部41と同様にCPU91a、ROM91b、RAM91c、I/Oポート91dを備えたマイクロコンピュータにて構成され、演出の制御を行なうサブ制御部91、演出制御基板90に接続された液晶表示器51の表示制御を行なう表示制御回路92、演出効果LED52、リールLED55の駆動制御を行なうLED駆動回路93、スピーカ53、54からの音声出力制御を行なう音声出力回路94、電源投入時またはCPU91aからの初期化命令が一定時間入力されないときにCPU91aにリセット信号を与えるリセット回路95、演出制御基板90に接続されたスイッチ類から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路96、日付情報および時刻情報を含む時間情報を出力する時計装置97、その他の回路等、が搭載されており、CPU91aは、遊技制御基板40から送信されるコマンド、演出制御基板90に接続されたスイッチ類の検出を受けて、演出を行なうための各種の制御を行なうとともに、演出制御基板90に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。
【0075】
CPU91aは、メイン制御部41のCPU41aと同様に、割込機能(割込禁止機能を含む)を備える。サブ制御部91の割込端子(図示略)は、コマンド伝送ラインのうち、メイン制御部41がコマンドを送信する際に出力するストローブ(INT)信号線に接続されており、CPU91aは、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させて、メイン制御部41からのコマンドを取得し、バッファに格納するコマンド受信割込処理を実行する。また、CPU91aは、クロック入力数が一定数に到達する毎、すなわち一定間隔毎に割込を発生させて後述するタイマ割込処理(サブ)を実行する。また、CPU91aにおいても未使用の割込が発生した場合には、もとの処理に即時復帰させる未使用割込処理を実行するようになっている。
【0076】
また、CPU91aは、CPU41aとは異なり、ストローブ信号(INT)の入力に基づいて割込が発生した場合には、電断割込処理(サブ)を除く他の割込に基づく割込処理の実行中であっても、当該処理に割り込んでコマンド受信割込処理を実行し、電断割込処理(サブ)を除く他の割込が同時に発生してもコマンド受信割込処理を最優先で実行するようになっている。
【0077】
また、サブ制御部91にも、停電時においてバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、CPU91aによりリフレッシュ動作が行なわれてRAM91cに記憶されているデータが保持されるようになっている。
【0078】
次に、遊技制御基板40と該遊技制御基板40に接続される各種遊技用電子部品との配線接続状態の詳細について、図4に基づいて説明する。なお、図4は、遊技制御基板40と該遊技制御基板40に接続される遊技用電子部品との配線接続状態を示す概略図である。
【0079】
図4には、遊技制御基板40と接続される各種スイッチ、センサ等の電子部品のうち、賭数を設定する際に操作される1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6、ゲームを開始させる際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L、2C、2Rの回転を停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8R、賭数を設定するために投入されたメダルを検出する投入メダルセンサ31、リール2L、2C、2Rを回転させるためのリールモータ32L、32C、32R、リール2L、2C、2Rの回転を検出するためのリールセンサ33L、33C、33R、ホッパータンクに貯留されたメダルをメダル払出口9より払い出すためのホッパーモータ34、入賞の発生に伴い払い出されるメダルを検出する払出センサ35および演出制御基板90が示されており、他のスイッチ、センサ等の図示は省略されている。
【0080】
演出制御基板90を除く上記遊技用電子部品5、6、7、8、31、32L、32C、32R、33L、33C、33R、34、35は、ゲームの進行に関わる信号を遊技制御基板40に入出力する電子部品である。ゲームの進行に関わる信号とは、たとえば、ゲームを開始可能な状態とするための賭数の設定操作、ゲームを開始させるための操作、リール2L、2C、2Rの表示結果を導出させるための操作等、ゲームの進行操作に応じて遊技制御基板40に出力される信号や、投入メダルの検出、リールの基準位置の検出、払出メダルの検出等、ゲームの進行に応じて遊技用電子部品から出力されて遊技制御基板40に入力される信号と、スタート操作の検出に応じてリール2L、2C、2Rを駆動させるための駆動信号や、入賞の発生に伴いメダルを払い出すホッパーを駆動するための駆動信号等、ゲームの進行に応じて遊技制御基板40から出力されて遊技用電子部品に入力される信号と、を含む。
【0081】
そして、これら遊技用電子部品5、6、7、8、31、32L、32C、32R、33L、33C、33R、34、35は、ゲームの進行に応じて遊技制御基板40に信号を出力する第1の電子部品と、ゲームの進行に応じて遊技制御基板40からの信号が入力される第2の電子部品と、からなる。
【0082】
具体的には、賭数を設定する際に操作される1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6および階数を設定するために投入されたメダルを検出する投入メダルセンサ31は、該操作またはメダルの検出に基づいて遊技制御基板40にBET信号を出力する第1の電子部品である。メイン制御部41は、該BET信号の受信に基づいて賭数の設定処理を行なうため、これら電子部品がないと賭数を設定することができない。すなわち、賭数を設定しないとゲームが開始可能な状態とならないため、1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6および投入メダルセンサ31はゲームの進行に必要な遊技用電子部品である。
【0083】
ゲームを開始させるための操作を検出するスタートスイッチ7は、該操作の検出に基づいて遊技制御基板40にスタート信号を出力する第1の電子部品である。メイン制御部41は、該スタート信号の受信に基づいてゲームを開始する処理(リール回転処理等)を行なうため、この電子部品がないとゲームを開始することができない。すなわち、スタートスイッチ7はゲームの進行に必要な遊技用電子部品である。
【0084】
リール2L、2C、2Rの表示結果を導出させるための操作を検出するストップスイッチ8L、8C、8Rは、該操作の検出に基づいて遊技制御基板40にストップ信号を出力する第1の電子部品である。メイン制御部41は、該ストップ信号の受信に基づいて該当するリール2L、2C、2Rの回転を停止して表示結果を導出する処理を行なうため、この電子部品がないとリール2L、2C、2Rの表示結果を導出することができない。すなわち、ストップスイッチ8L、8C、8Rはゲームの進行に必要な遊技用電子部品である。
【0085】
リール2L、2C、2Rの回転を検出するリールセンサ33L、33C、33Rは、リールの基準位置の検出信号を遊技制御基板40に出力する第1の電子部品である。メイン制御部41は、該リールの基準位置の検出信号の受信に基づいて該当するリール2L、2C、2Rの図柄の位置を把握して回転を停止する処理等を行なうため、この電子部品がないと各リール2L、2C、2Rの表示結果の導出や入賞の判定等を行なうことができない。すなわち、リールセンサ33L、33C、33Rはゲームの進行に必要な遊技用電子部品である。
【0086】
入賞の発生に伴い払い出されるメダルを検出する払出センサ35は、該メダルの検出に基づいて遊技制御基板40にメダル払出信号を出力する第1の電子部品である。メイン制御部41は、該払出メダル検出信号の受信に基づいて、発生した入賞に応じた枚数のメダルを払い出す払出処理を行なうため、この電子部品がないと発生した入賞に応じた枚数のメダルを払い出すことができない。すなわち、払出センサ35はゲームの進行に必要な遊技用電子部品である。
【0087】
また、リール2L、2C、2Rを回転させるリールモータ32L、32C、32Rは、遊技制御基板40から出力される駆動信号が入力される第2の電子部品である。このリールモータ32L、32C、32Rは、遊技制御基板40から出力される駆動信号の入力に基づいてリール2L、2C、2Rを回転させて図柄の変動表示を開始するものであるが、該信号入力に基づいて実際にリール2L、2C、2Rを回転しなかったとしても、メイン制御部41は、リールの駆動信号を出力した後に上記リールセンサ33L、33C、33Rからの信号が入力されることで、リールが回転したとしてゲームを進行する制御を行なうことができる。しかし、このリールセンサ33L、33C、33Rから信号が遊技制御基板40に入力されるタイミングは、リールの駆動信号の出力後でないとエラーとなるため、前述した打ち込み器具によりゲームを進行させる場合において、リールの回転の検出に基づく信号の出力タイミングを計るためにはリールの駆動信号が必要となる。すなわち、リールモータ32L、32C、32Rは、ゲームの進行に必要な遊技用電子部品である。
【0088】
また、メダルの払い出しを行なうホッパータンクを駆動するホッパーモータ34は、入賞の発生に応じて遊技制御基板40から出力される駆動信号が入力される第2の電子部品である。このホッパーモータ34は、遊技制御基板40から出力される駆動信号の入力に基づいてホッパータンクを駆動させてメダルを払い出すものであるが、該信号入力に基づいて実際にホッパータンクを駆動しなかったとしても、メイン制御部41は、ホッパータンクの駆動信号を出力した後に上記払出センサ35からの信号が入力されることで、メダルが払い出されているとしてゲームを進行する制御を行なうことができる。しかし、この払出センサ35から信号が遊技制御基板40に入力されるタイミングは、ホッパータンクの駆動信号の出力後でないとエラーとなるため、前述した打ち込み器具によりゲームを進行させる場合において、払出メダルの検出に基づく信号の出力タイミングを計るためには該ホッパータンクの駆動信号が必要となる。すなわち、ホッパーモータ34は、ゲームの進行に必要な遊技用電子部品である。
【0089】
また、これら遊技用電子部品5、6、7、8、31、32L、32C、32R、33L、33C、33R、34、35は、基本的には複数の機種に共通して継続使用される電子部品であり、故障等が発生しない限り本体から取り外して交換する機会は少ないので、スロットマシンの本体所定箇所に固設されている。これに対して遊技制御基板40や演出制御基板90等は、機種変更の際には交換が必要となるため、その際には本体から取り外される。つまり、遊技制御基板40を取り外す際には遊技用電子部品5、6、7、8、31、32L、32C、32R、33L、33C、33R、34、35との接続を解除する必要があるため、遊技用電子部品5、6、7、8、31、32L、32C、32R、33L、33C、33R、34、35と遊技制御基板40とは中継基板を経由して接続されているとともに、これら基板同士および基板と遊技用電子部品とはケーブルを介して接続されている。またケーブルと基板とは、ケーブルの端部に設けられたケーブル側コネクタと基板の配線パターンと電気的に接続された基板側コネクタとの接続により電気的に接続されている。
【0090】
具体的に説明すると、1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R、投入メダルセンサ31は、操作部中継基板110を経由して遊技制御基板40と配線接続され、リールモータ32L、32C、32Rおよびリールセンサ33L、33C、33Rは、リール中継基板120を経由して遊技制御基板40と配線接続され、ホッパーモータ34および払出センサ35は、電源基板100を経由して遊技制御基板40と配線接続され、演出制御基板90は、演出中継基板80を経由して遊技制御基板40と配線接続されている。
【0091】
操作部中継基板110、リール中継基板120、電源基板100、演出制御基板90には、遊技制御基板40と各電子部品5、6、7、8、31、32L、32C、32R、33L、33C、33R、34、35とを接続するための配線パターン(図示略)が設けられており、各電子部品5、6、7、8、31、32L、32C、32R、33L、33C、33R、34、35から遊技制御基板40に対して出力される検出信号または遊技制御基板40から供給(入力)される電力や信号等を中継可能とされている。
【0092】
また、このように各種電子部品と遊技制御基板40とを、スロットマシン1の本体所定箇所に取り付けた各中継基板110、120、100、80を経由して配線接続することで、遊技制御基板40からスロットマシン1の本体所定箇所に個々に配設される複数の電子部品との配線の取りまとめが容易になるとともに、コネクタ接続部が常に中継基板または遊技制御基板40に設けられることになり、これにより各電子部品それぞれのコネクタ接続部が固定されるため、配線接続作業時においてコネクタ接続部を探したり、接続する配線の種類を間違うこと等が防止される。
【0093】
遊技制御基板40と操作部中継基板110とは、ケーブル600aを介して接続され、遊技制御基板40とリール中継基板120とは、ケーブル600bを介して接続され、遊技制御基板40と電源基板100とは、ケーブル600cを介して接続されており、また、演出制御基板90と演出中継基板80とは、ケーブル600dを介して接続されている。
【0094】
操作部中継基板110と1枚BETスイッチ5とはケーブル601aを介して接続され、操作部中継基板110とMAXBETスイッチ6とはケーブル601bを介して接続され、操作部中継基板110とスタートスイッチ7とはケーブル601cを介して接続され、操作部中継基板110とストップスイッチ8Lとはケーブル601dを介して接続され、操作部中継基板110とストップスイッチ8Cとはケーブル601eを介して接続され、操作部中継基板110とストップスイッチ8Rとはケーブル601fを介して接続され、操作部中継基板110と投入メダルセンサ31とはケーブル601gを介して接続されている。
【0095】
また、リール中継基板120とリールモータ32Lとはケーブル601hを介して接続され、リール中継基板120とリールモータ32Cとはケーブル601jを介して接続され、リール中継基板120とリールモータ32Rとはケーブル601lを介して接続されている。また、リール中継基板120とリールセンサ33Lとはケーブル601iを介して接続され、リール中継基板120とリールセンサ33Cとはケーブル601kを介して接続され、リール中継基板120とリールセンサ33Lとはケーブル601mを介して接続されている。また、電源基板100とホッパーモータ34とはケーブル601nを介して接続され、電源基板100と払出センサ35とはケーブル601oを介して接続され、演出中継基板80と演出制御基板90とはケーブル601pを介して接続されている。
【0096】
これら各ケーブル600a?600c、601a?601oは、各基板に対してコネクタ接続されており、基板との配線接続を解除可能となっている。具体的には、ケーブル600aの両端には、ケーブル側コネクタ610a、611aが設けられており、一方のケーブル側コネクタ610aは、遊技制御基板40に固設された基板側コネクタ620aに接続可能なコネクタであり、他方のケーブル側コネクタ611aは、操作部中継基板110に固設された基板側コネクタ621aに接続可能なコネクタである。ケーブル600bの両端には、ケーブル側コネクタ610b、611bが設けられており、一方のケーブル側コネクタ610bは、遊技制御基板40に固設された基板側コネクタ620bに接続可能なコネクタであり、他方のケーブル側コネクタ611bは、リール中継基板120に固設された基板側コネクタ621bに接続可能なコネクタである。ケーブル600cの両端には、ケーブル側コネクタ610c、611cが設けられており、一方のケーブル側コネクタ610cは、遊技制御基板40に固設された基板側コネクタ620cに接続可能なコネクタであり、他方のケーブル側コネクタ611cは、電源基板100に固設された基板側コネクタ621cに接続可能なコネクタである。ケーブル600dの両端には、ケーブル側コネクタ610d、611dが設けられており、一方のケーブル側コネクタ610dは、遊技制御基板40に固設された基板側コネクタ620dに接続可能なコネクタであり、他方のケーブル側コネクタ611dは、演出中継基板80に固設された基板側コネクタ621dに接続可能なコネクタである。
【0097】
また、一端が1枚BETスイッチ5に接続されたケーブル601aの他端には、操作部中継基板110に固設された基板側コネクタ622aに接続可能なケーブル側コネクタ612aが設けられている。一端がMAXBETスイッチ6に接続されたケーブル601bの他端には、操作部中継基板110に固設された基板側コネクタ622bに接続可能なケーブル側コネクタ612bが設けられている。一端がスタートスイッチ7に接続されたケーブル601cの他端には、操作部中継基板110に固設された基板側コネクタ622cに接続可能なケーブル側コネクタ612cが設けられている。一端がストップスイッチ8Lに接続されたケーブル601dの他端には、操作部中継基板110に固設された基板側コネクタ622dに接続可能なケーブル側コネクタ612dが設けられている。一端がストップスイッチ8Cに接続されたケーブル601eの他端には、操作部中継基板110に固設された基板側コネクタ622eに接続可能なケーブル側コネクタ612eが設けられている。一端がストップスイッチ8Rに接続されたケーブル601fの他端には、操作部中継基板110に固設された基板側コネクタ622fに接続可能なケーブル側コネクタ612fが設けられている。一端が投入メダルセンサ31に接続されたケーブル601gの他端には、操作部中継基板110に固設された基板側コネクタ622gに接続可能なケーブル側コネクタ612gが設けられている。
【0098】
また、一端がリールモータ32Lに接続されたケーブル601hの他端および一端がリールセンサ33Lに接続されたケーブル601iの他端には、リール中継基板120に固設された基板側コネクタ622hに接続可能なケーブル側コネクタ612hが設けられている。一端がリールモータ32Cに接続されたケーブル601jの他端および一端がリールセンサ33Cに接続されたケーブル601kの他端には、リール中継基板120に固設された基板側コネクタ622iに接続可能なケーブル側コネクタ612iが設けられている。一端がリールモータ32Rに接続されたケーブル601lの他端および一端がリールセンサ33Rに接続されたケーブル601mの他端には、リール中継基板120に固設された基板側コネクタ622jに接続可能なケーブル側コネクタ612jが設けられている。
【0099】
また、一端がホッパーモータ34に接続されたケーブル601nの他端および一端が払出センサ35に接続されたケーブル601oの他端には、電源基板100に固設された基板側コネクタ622kに接続可能なケーブル側コネクタ612kが設けられている。
【0100】
また、ケーブル601pの両端には、ケーブル側コネクタC2、C3が設けられており、一方のケーブル側コネクタC2は、遊技制御基板40に固設された基板側コネクタC1に接続可能なコネクタであり、他方のケーブル側コネクタC3は、演出制御基板90に固設された基板側コネクタC4に接続可能なコネクタである。
【0101】
なお、本実施の形態では、各電子部品5、6、7、8、31、32L、32C、32R、33L、33C、33R、34、35からはコネクタを介すことなく配線が延出されているが、コネクタを介して配線と接続されていてもよい。
【0102】
上述のように、各基板と各ケーブルとは、基板側に設けられる基板側コネクタ620a?620d、621a?621d、622a?622k、C1、C4と、ケーブル側に設けられるケーブル側コネクタ610a?610d、611a?611d、612a?612k、C2、C3とからなる一対のコネクタ(雄コネクタと雌コネクタ)を介して配線接続されており、基板側コネクタからケーブル側コネクタを抜脱することにより配線接続を解除することができるようになっている。特に、遊技制御基板40、操作部中継基板110、リール中継基板120、電源基板100、演出制御基板90は、スロットマシン1の筐体または前面扉の所定箇所に取り付けられていることで、基板側コネクタからケーブル側コネクタを抜脱しやすいので、遊技制御基板40や演出制御基板90の交換が容易に行なうことができる。
【0103】
まず第1の電子部品に関して具体的に説明すると、1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6または投入メダルセンサ31と遊技制御基板40との間に設けられるケーブルのコネクタのうちいずれかのコネクタに打ち込み器具のコネクタが接続され、該打ち込み器具から遊技制御基板40にBET信号が不正に出力されると、賭数の設定操作が行なわれていないのに賭数が設定される虞がある。スタートスイッチ7と遊技制御基板40との間に設けられるケーブルのコネクタのうちいずれかのコネクタに打ち込み器具のコネクタが接続され、該打ち込み器具から遊技制御基板40にスタート信号が不正に出力されると、ゲームの開始操作を行なうことなくゲームが開始される虞がある。ストップスイッチ8L、8C、8Rと遊技制御基板40との間に設けられるケーブルのコネクタのうちいずれかのコネクタに打ち込み器具のコネクタが接続され、該打ち込み器具から遊技制御基板40にストップ信号が不正に出力されると、停止操作を行なうことなくリールの回転が停止される虞がある。リールセンサ33L、33C、33Rと遊技制御基板40との間に設けられるケーブルのコネクタのうちいずれかのコネクタに打ち込み器具のコネクタが接続され、該打ち込み器具から遊技制御基板40にリール回転信号が不正に出力されると、リールを回転させることなく各リール2L、2C、2Rの表示結果の導出や入賞の判定等が行なわれる虞がある。払出センサ35と遊技制御基板40との間に設けられるケーブルのコネクタのうちいずれかのコネクタに打ち込み器具のコネクタが接続され、該打ち込み器具から遊技制御基板40にメダル払出信号が不正に出力されると、メダルを払い出すことなくメダルの計数が行なわれる虞がある。
【0104】
第2の電子部品に関して具体的に説明すると、リールモータ32L、32C、32Rと遊技制御基板40との間に設けられるケーブルのコネクタのうちいずれかのコネクタでの接続が解除されて遊技制御基板40から出力される駆動信号を打ち込み器具等で取得できることになると、リールの駆動信号が遊技制御基板40から出力されたタイミングを打ち込み器具側で特定できるので、本来リールセンサ33L、33C、33Rから遊技制御基板40に入力されるリール回転検出信号を、打ち込み器具からリール回転後の適正なタイミングで出力されてしまう虞がある。また、ホッパーモータ34と遊技制御基板40との間に設けられるケーブルのコネクタのうちいずれかのコネクタでの接続が解除されて遊技制御基板40から出力される駆動信号を打ち込み器具等で取得できることになると、ホッパータンクの駆動信号が遊技制御基板40から出力されたタイミングを打ち込み器具側で特定できるので、本来払出センサ35から遊技制御基板40に入力される払出メダル検出信号を、打ち込み器具からホッパータンクの駆動後の適正なタイミングで出力されてしまう虞がある。
【0105】
このように、ゲームの進行に応じて第1の電子部品5、6、7、8、31、33L、33C、33R、35から出力され、本来であれば遊技制御基板40に入力される信号が打ち込み器具から出力された場合、メイン制御部41は該信号の受信に基づいてゲームを進行する制御を行なうことができるとともに、ゲームの進行に応じて遊技制御基板40から出力され、本来であれば第2の電子部品32L、32C、32R、34に入力される信号が打ち込み器具に入力された場合、打ち込み器具側では、メイン制御部41がリールモータやホッパーモータの駆動後に出力する信号の出力タイミング等を特定可能となり、これに基づいて新たな信号が遊技制御基板40に入力された場合には、メイン制御部41は該信号の受信に基づいてゲームを進行する制御を行なうことができるので、ゲームを自動的に進行させるといった不正行為が実施される虞がある。よって、本実施の形態では、打ち込み器具の接続による不正行為を防止する種々の対策が施されている。
【0106】
次に、遊技制御基板40におけるメイン制御部41への電源まわりの構成を説明する。遊技制御基板40には、電源基板100の電圧生成回路により生成された+5Vの直流電圧が供給される。電源基板100から供給された+5Vの直流電圧は、メイン制御部41の駆動電源としてVDD入力端子に供給されるとともに、図5に示すように、遊技制御基板40上で分岐して+5V(VBB)の直流電圧の供給ラインを形成する。そして、この+5V(VBB)の直流電圧の供給ラインは、逆流防止用のダイオード312を介してメイン制御部41のメモリバックアップ電源入力端子VBBに接続されているとともに、電源基板100側でグラウンドレベルに接続され、その間には大容量の図示されないコンデンサが設けられている。これにより+5V(VBB)の直流電圧をコンデンサに蓄積可能とされ、スロットマシン1に対する電力供給が遮断されたときに、コンデンサに蓄積された電圧を、メイン制御部41におけるRAM41cの記憶状態を保持するためのバックアップ電源として供給できるようになっている。
【0107】
また、本実施の形態では、+5V(VBB)の直流電圧の供給ラインは、遊技制御基板40上で直接メイン制御部41のメモリバックアップ電源入力端子VBBに接続されているのではなく、図5に示すように、遊技制御基板40と操作部中継基板110を配線接続するケーブル600a、操作部中継基板110、操作部中継基板110と投入メダルセンサ31を配線接続するケーブル601gを経由し、更に、投入メダルセンサ31で折り返して、ケーブル601g、操作部中継基板110、ケーブル600aを経由して再度遊技制御基板40に接続され、メイン制御部41のメモリバックアップ電源入力端子VBBに接続されている。すなわちスロットマシン1に対する電力供給が遮断されたときに、コンデンサに蓄積された電圧は、遊技制御基板40からケーブル600a-操作部中継基板110-ケーブル601g-投入メダルセンサ31-ケーブル601g-操作部中継基板110-ケーブル600aを経由した後、メイン制御部41に供給され、メイン制御部41におけるRAM41cの記憶状態が保持されるようになっている。
【0108】
このため、本実施の形態では、スロットマシン1に対する電力供給が遮断されている状態で、遊技制御基板40の基板側コネクタ620aとケーブル600aのケーブル側コネクタ610aとの接続、ケーブル600aのケーブル側コネクタ611aと操作部中継基板110の基板側コネクタ621aとの接続、操作部中継基板110の基板側コネクタ622gとケーブル601gのケーブル側コネクタ612gとの接続、のいずれかの接続を解除することで、バックアップ電源の供給ラインが切断され、メイン制御部41のRAM41cのデータを保持できず、消失することとなる。すなわち遊技制御基板40と投入メダルセンサ31との間のコネクタ同士の接続が1カ所でも解除されると、メイン制御部41のRAM41cに保持されているバックアップデータが消失するようになっている。
【0109】
次に、演出制御基板90に搭載された表示制御回路92の構成を説明する。図6は、演出制御基板90に搭載された表示制御回路92の構成を示すブロック図である。図示するように、表示制御回路92には、VDP(Video Display Processor)141と、CGROM(Character Generator ROM)142とが含まれている。VDP141は、液晶表示器51にて画像表示を行なうための高速描画機能や表示出力機能などを有しており、サブ制御部91からの指令に従った画像処理を実行する。CGROM142は、液晶表示器51に演出として表示される画像の要素データや動画像データ(演出データ)を記憶する。
【0110】
VDP141は、ホストインタフェース151と、転送制御回路152と、CGROMインタフェース153と、描画回路154と、一時記憶メモリ155と、フレームバッファメモリ156と、表示回路157と、動画像用デコーダ158とを備えている。
【0111】
ホストインタフェース151は、サブ制御部91との間で各種データをやりとりするためのアドレス入力端子やデータ入出力端子などを含んで構成されている。転送制御回路152は、サブ制御部91からの指令に基づき、CGROM142から読み出された演出データを一時記憶メモリ155の演出データ領域に転送する制御を行なう。CGROMインタフェース153は、CGROM142に記憶されている演出データを読み出すためのアドレス出力端子やデータ入力端子を含んで構成されている。
【0112】
描画回路154は、一時記憶メモリ155の演出データ領域に記憶された演出データに基づいて液晶表示器51に表示させる画像の画像データを作成するための描画処理を実行する。一時記憶メモリ155は、たとえば、VRAM(Video RAM)などにより構成され、CGROM142から読み出された演出データを記憶する演出データ領域を備えている。また、一時記憶メモリ155には、サブ制御部91からの指令に基づいて、演出モードを示す情報、或いは透過領域にリール透過オブジェクトを設定する旨の情報や透過領域を半透過にする旨の情報なども記憶される。
【0113】
フレームバッファメモリ156は、たとえば一時記憶メモリ155とは異なるVRAMなどを用いて構成され、描画回路154による描画処理により作成される画像の画像データを記憶する。フレームバッファメモリ156は、2フレーム分のものがあり、1フレーム期間毎に画像データの書き込み用と読み出し用とが切り替えられる。表示回路157は、フレームバッファメモリ156(読み出し用)から読み出した画像データを階調データとし、同期信号を付加した画像信号を液晶表示器51の液晶ドライバに出力する。動画像用デコーダ158は、CGROM142から演出データとして動画像データを読み出した場合に、これをデコードする回路である。
【0114】
次に、遊技制御基板40のRAM41cの構成について説明する。図7は、RAM41cの記憶領域の構成を示す図である。図示するように、RAM41cには、重要ワーク41c-1、一般ワーク41c-2、特別ワーク41c-3、設定値ワーク41c-4、非保存ワーク41c-5、スタック領域41c-6、パリティ格納領域41c-7、および未使用領域41c-8を含む複数の記憶領域が設けられている。
【0115】
これらの記憶領域のうち、特に、設定値ワーク41c-4は、後述する内部当選の当選確率を定める設定値を格納する領域である。パリティ格納領域41c-7は、電源の遮断時においてRAMパリティを格納する領域である。また、RAM41cは、停電時においてもバックアップ電源により電力が供給され、記憶されているデータが保持されるようになっている。
【0116】
一般ワーク41c-2は、各ゲームの終了時においてクリアされる領域であり、小役、リプレイの当選フラグと入賞フラグ設定領域は、ここに設けられている。特別ワーク41c-3は、1ゲームごとに後述する払出処理においてクリアされることはなく、後述する遊技状態を示すフラグおよびビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)の当選フラグの設定領域は、ここに設けられている。
【0117】
スタック領域41c-6は、CPU41aのレジスタから退避したデータが格納される領域であり、ゲームの進行に応じて、データが格納されていないすなわち使用されていない未使用スタック領域と、データが格納されている使用中スタック領域とから構成される。スタック領域41c-6は、RAM41cの領域のうち、予め定められた開始アドレスから最終アドレスまでに対応する領域が割り当てられている。そして、使用中スタック領域は、スタック領域41c-6の開始アドレスからデータが実際に格納された格納アドレスまでに対応する領域をいう。格納アドレスは、データが格納される毎に変化するアドレスである。未使用スタック領域は、格納アドレスの次のアドレスからスタック領域41c-6の最終アドレスまでに対応する領域をいう。スタック領域41c-6の未使用スタック領域は、後述するようにゲーム毎(たとえば、ゲーム開始時)にクリアされる領域である。
【0118】
未使用領域41c-8は、ゲームの進行に応じて更新されるデータの読み出しおよび書き込みが行なわれることなく、使用することが定義されていない領域であり、後述するようにゲーム毎(たとえば、ゲーム開始時)においてクリアされる領域である。
【0119】
本実施の形態のスロットマシン1は、設定値に応じてメダルの払出率が変わるものであり、後述する内部抽選の当選確率は、設定値に応じて定まるものとなる。以下、設定値の変更操作について説明する。
【0120】
設定値を変更するためには、設定キースイッチ37をON状態としてからスロットマシン1の電源をONする必要がある。設定キースイッチ37をON状態として電源をONすると、設定値表示器24に設定値の初期値として1が表示され、リセット/設定スイッチ38の操作による設定値の変更操作が可能な設定変更モードに移行する。設定変更モードにおいて、リセット/設定スイッチ38が操作されると、設定値表示器24に表示された設定値が1ずつ更新されていく(設定4から更に操作されたときは、設定1に戻る)。そして、スタートスイッチ7が操作されると設定値が確定し、確定した設定値がメイン制御部41のRAM41cに格納される。そして、設定キースイッチ37がOFFされると、遊技の進行が可能な状態に移行する。
【0121】
上記スロットマシン1においては、可変表示装置2のいずれかの入賞ライン上に役図柄が揃うと、入賞となる。入賞となる役の種類は、遊技状態に応じて定められているが、大きく分けて、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)への移行を伴う特別役と、メダルの払い出しを伴う小役と、賭数の設定を必要とせずに次のゲームを開始可能となる再遊技役とがある。なお、ビッグボーナス(1)およびビッグボーナス(2)を単にビッグボーナスという場合もある。また、ビッグボーナスをBBと示す場合がある。ビッグボーナスを単にボーナスという場合もある。
【0122】
図8は、このスロットマシン1において入賞となる役の種類、可変表示装置2における図柄の組合せ、ボーナスの終了条件、および次のゲームから移行されるRTの種類を説明する図である。本実施の形態におけるRTの種類としては、再遊技役に当選する確率が各々異なるRT1?RT5が設けられている。なお、RT1?RT5に制御されている遊技状態を単にRTという場合もある。
【0123】
ビッグボーナス(1)は、初期遊技状態またはRTにおいて入賞ラインのいずれかに「赤7-赤7-赤7」の組合せが揃ったときに入賞となる。ビッグボーナス(2)は、初期遊技状態またはRTにおいて入賞ラインのいずれかに「白7-白7-白7」の組合せが揃ったときに入賞となる。ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)が入賞すると、遊技状態がそれぞれビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に移行する。
【0124】
ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)においては、当該ビッグボーナス(1)または当該ビッグボーナス(2)が終了するまで、レギュラーボーナスに繰り返し制御される。遊技状態がビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)にある間は、それぞれビッグボーナス(1)中フラグまたはビッグボーナス(2)中フラグがRAM41cに設定される。また、レギュラーボーナスにある間は、レギュラーボーナス中フラグがRAM41cに設定される。すなわち、ビッグボーナス(1)中フラグまたはビッグボーナス(2)中フラグがON状態に設定されている間は、ゲームが開始されるときにレギュラーボーナス中フラグがON状態に設定されていないときに、繰り返しレギュラーボーナス中フラグをON状態に設定される。
【0125】
ビッグボーナス(1)は、遊技者に払い出したメダルの枚数が270枚以上になったことを条件として終了する。一方、ビッグボーナス(2)は、遊技者に払い出したメダルの枚数が270枚以上になったことを条件として終了する。
【0126】
ビッグボーナス(1)およびビッグボーナス(2)に内部当選してから、該当選したビッグボーナスが入賞するまでの間、RT5に遊技状態が制御される。また、ビッグボーナス(1)およびビッグボーナス(2)のいずれかが終了した後は、初期遊技状態に遊技状態が制御される。
【0127】
また、ビッグボーナス(1)が入賞したとき、ビッグボーナス(2)が入賞したとき、ビッグボーナス(1)が終了した後、およびビッグボーナス(2)が終了した後には、クレジットの精算を除いて、遊技者のいずれの操作も無効となり、遊技の進行が不能となるフリーズ状態に一定期間制御される。また、打止機能が有効に設定されている場合にビッグボーナス(1)が終了したとき、およびビッグボーナス(2)が終了したときには、クレジットの精算を除いて、遊技者のいずれの操作も無効となり、遊技の進行が不能となる打止状態にリセット/設定スイッチ38が操作されるまで制御される。
【0128】
後述する内部抽選においてビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に当選していても、ストップスイッチ8L、8C、8Rをこれらの役に入賞可能とする適正なタイミングで操作しなければ、これらの役に入賞することはない。ビッグボーナス(1)およびビッグボーナス(2)各々を構成する図柄が、リール2L、2C、2R各々において5コマ以内に配置されていないためである。もっとも、これらの役に当選しているが適正なタイミングで操作されなかったために入賞しなかった場合には、所定のチャンス目(入賞の観点で言うと、はずれ)が導出されることがある。
【0129】
一方、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、後述する12枚A?12枚C、オレンジA?X、チェリーA?X以外の、メロンまたはリプレイが後述する内部抽選において当選したときには、これらの役を構成する図柄が、リール2L、2C、2R各々において5コマ以内に配置されているため、原則として、ストップスイッチ8L、8C、8Rを操作したタイミングに関わらず入賞可能なものとなっている。
【0130】
12枚Aは、いずれかの入賞ラインに「赤7-オレンジ-オレンジ」の組合せが揃ったときに入賞となり、初期遊技状態およびRT中において12枚のメダルが払い出される。12枚Bは、いずれかの入賞ラインに「白7-オレンジ-オレンジ」の組合せが揃ったときに入賞となり、初期遊技状態およびRT中において12枚のメダルが払い出される。12枚Cは、いずれかの入賞ラインに「BAR-オレンジ-オレンジ」の組合せが揃ったときに入賞となり、初期遊技状態およびRT中において12枚のメダルが払い出される。後述する内部抽選において12枚A?12枚Cのいずれかに当選していても、ストップスイッチ8Lをこれらの役に入賞可能とする適正なタイミングで操作しなければ、これらの役に入賞することはない。12枚A?12枚Cを構成するリール2Lの図柄(「赤7」、「白7」、「BAR」)が、リール2Lにおいて5コマ以内に配置されていないためである。
【0131】
メロンは、いずれかの入賞ラインに「メロン-メロン-メロン」の組合せが揃ったときに入賞となり、初期遊技状態およびRT中において10枚のメダルが払い出される。なお、12枚A?12枚C、およびメロンは、ビッグボーナス中において入賞することにより、15枚のメダルが払い出される。
【0132】
リプレイは、初期遊技状態またはRTにおいて入賞ラインのいずれかに「バナナ-バナナ-バナナ」の組合せが揃ったときに入賞となる。前述したように、メロンおよびリプレイは、原則として、ストップスイッチ8L、8C、8Rを操作したタイミングに関わらず、入賞可能なものとなっている。
【0133】
リプレイに入賞したときには、メダルの払い出しはないが次のゲームを改めて賭数を設定することなく開始できるので、次のゲームで設定不要となった賭数3に対応した3枚のメダルが払い出されるのと実質的には同じこととなる。
【0134】
次にオレンジの入賞役について説明する。オレンジAは、初期遊技状態またはRTにおいて入賞ラインのいずれかに、左リール2Lに「オレンジ」の図柄が導出され、且つ右リール2Rに「赤7」の図柄が導出されたときに入賞となる。オレンジBは、初期遊技状態またはRTにおいて入賞ラインのいずれかに、左リール2Lに「オレンジ」の図柄が導出され、且つ右リール2Rに「白7」の図柄が導出されたときに入賞となる。同様に、オレンジC?オレンジXでは、左リール2Lについての図柄が「オレンジ」となり、右リール2Rについての図柄が、それぞれ「BAR」、「バナナ」、「オレンジ」、「メロン」、「チェリー」、「星」、「ブドウ」となる。オレンジA?オレンジXのいずれも、中リール2Cに導出される図柄の種類を問わないが、図柄の種類を問わないことを「any」で表わすものとする。
【0135】
オレンジA?オレンジXの内部抽選においては、後述するように、オレンジA?オレンジHすべての当選、およびオレンジA?オレンジXすべての当選について抽選される。内部抽選において、オレンジA?オレンジXに当選しているときには、オレンジを引込み可能なタイミング(リール2Lの下段に図柄番号15?20および0の図柄のうちいずれかが位置しているタイミング)でストップスイッチ8Lを操作すると左リール2Lの上段または下段に「オレンジ」の図柄が停止し(レギュラーボーナス以外では中段に停止することはない)、右リール2Rについて「ブドウ」が7コマ以内で配置されているので、ストップスイッチ8Rの操作タイミングに関わらず上段または下段のいずれかに「ブドウ」が停止してオレンジXに入賞する。オレンジXに入賞せずにオレンジA?オレンジHに入賞となることはない。ここで、右リール2Rの上段または下段に「ブドウ」が停止したときには、下段または上段に「メロン」、「オレンジ」、「星」、「チェリー」、「バナナ」のいずれかが停止するので、オレンジXに入賞したときには、同時にオレンジD?オレンジHのいずれかが入賞する。本実施の形態においては、オレンジXの入賞がオレンジA?オレンジHの入賞よりも優先して適用される。なお、オレンジXが入賞するときには、他の入賞ラインにオレンジA?オレンジHのいずれも入賞しないようにしてもよい。たとえば、右リール2Rの図柄配列のうち「ブドウ」の2つ上および2つ下に配置された図柄をオレンジA?オレンジHの右リール2Rの図柄と異なる図柄(たとえば、ブランク図柄)にしてもよい。
【0136】
内部抽選においてオレンジA?オレンジHに当選しているときには、オレンジを引込み可能なタイミング(リール2Lの下段に図柄番号15?20および0の図柄のうちいずれかが位置しているタイミング)でストップスイッチ8Lを操作すると左リール2Lの上段または下段に「オレンジ」の図柄が停止し(レギュラーボーナス以外では中段に停止することはない)、ストップスイッチ8Rの操作タイミングに関わらず右リール2Rの上段と下段のいずれにも「ブドウ」が停止することはない。この場合、右リール2Rの上段及び下段に停止した図柄に応じて、オレンジA?オレンジHのうちの2つに同時に入賞することとなる。なお、オレンジA?オレンジHのうちいずれかが入賞するときには、他の入賞ラインに他のオレンジの役が入賞しないようにしてもよい。たとえば、右リール2Rの図柄配列のうちオレンジA?オレンジHの右リール2Rの図柄の2つ上および2つ下に配置された図柄をオレンジA?オレンジXの右リール2Rの図柄と異なる図柄(たとえば、ブランク図柄)にしてもよい。
【0137】
もっとも、左リール2Lについて「オレンジ」の図柄は7コマ以内で配置されているとは限らないので、ストップスイッチ8Lの操作タイミングによっては、オレンジA?オレンジXまたはオレンジA?オレンジHに当選していても、これを取りこぼすこともある。
【0138】
オレンジA?オレンジXのいずれに入賞したときにも、1入賞ラインにつき2枚のメダルが払い出される。レギュラーボーナス以外の遊技状態では左リール2Lの上段または下段に「オレンジ」が停止し、2つの入賞ラインでオレンジA?オレンジXのうちの2つに入賞となるので、合計4枚のメダルが払い出される。初期遊技状態においてオレンジA?オレンジXに入賞したときには、次のゲームから入賞したオレンジの役の種類に応じて予め定められた規定ゲーム数の間だけ(但し、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に入賞するまでに限る)、遊技状態がRTに制御される。オレンジA?オレンジHに入賞したときには、規定ゲーム数が500に設定されているRT1に制御され、オレンジXに入賞したときには、当該オレンジX入賞時の遊技状態が優先適用されて規定ゲーム数が10に設定されているRT2に制御される。
【0139】
次にチェリーの入賞役について説明する。チェリーAは、初期遊技状態またはRTにおいて入賞ラインのいずれかに、左リール2Lに「チェリー」の図柄が導出され、且つ右リール2Rに「赤7」の図柄が導出されたときに入賞となる。チェリーBは、初期遊技状態またはRTにおいて入賞ラインのいずれかに、左リール2Lに「チェリー」の図柄が導出され、且つ右リール2Rに「白7」の図柄が導出されたときに入賞となる。同様に、チェリーC?チェリーXでは、左リール2Lについての図柄が「チェリー」となり、右リール2Rについての図柄が、それぞれ「BAR」、「バナナ」、「オレンジ」、「メロン」、「チェリー」、「星」、「ブドウ」となる。チェリーA?チェリーXのいずれも、中リール2Cに導出される図柄の種類を問わないが、図柄の種類を問わないことを「any」で表わすものとする。
【0140】
チェリーA?チェリーXの内部抽選においては、後述するように、チェリーA?チェリーHすべての当選、およびチェリーA?チェリーXすべての当選について抽選される。内部抽選において、チェリーA?チェリーXに当選しているときには、チェリーを引込み可能なタイミング(リール2Lの下段に図柄番号1?14の図柄のうちいずれかが位置しているタイミング)でストップスイッチ8Lを操作すると左リール2Lの上段または下段に「チェリー」の図柄が停止し(レギュラーボーナス以外では中段に停止することはない)、右リール2Rについて「ブドウ」が7コマ以内で配置されているので、ストップスイッチ8Rの操作タイミングに関わらず上段または下段のいずれかに「ブドウ」が停止してチェリーXに入賞する。チェリーXに入賞せずにチェリーA?チェリーHに入賞となることはない。ここで、右リール2Rの上段または下段に「ブドウ」が停止したときには、下段または上段に「メロン」、「オレンジ」、「星」、「チェリー」、「バナナ」のいずれかが停止するので、チェリーXに入賞したときには、同時にチェリーD?チェリーHのいずれかが入賞する。本実施の形態においては、チェリーXの入賞がチェリーA?チェリーHの入賞よりも優先して適用される。なお、チェリーXが入賞するときには、他の入賞ラインにチェリーA?チェリーHのいずれも入賞しないようにしてもよい。たとえば、右リール2Rの図柄配列のうち「ブドウ」の2つ上および2つ下に配置された図柄をチェリーA?チェリーHの右リール2Rの図柄と異なる図柄(たとえば、ブランク図柄)にしてもよい。
【0141】
内部抽選においてチェリーA?チェリーHに当選しているときには、チェリーを引込み可能なタイミング(リール2Lの下段に図柄番号1?14の図柄のうちいずれかが位置しているタイミング)でストップスイッチ8Lを操作すると左リール2Lの上段または下段に「チェリー」の図柄が停止し(レギュラーボーナス以外では中段に停止することはない)、ストップスイッチ8Rの操作タイミングに関わらず右リール2Rの上段と下段のいずれにも「ブドウ」が停止することはない。この場合、右リール2Rの上段及び下段に停止した図柄に応じて、チェリーA?チェリーHのうちの2つに同時に入賞することとなる。なお、チェリーA?チェリーHのうちいずれかが入賞するときには、他の入賞ラインに他のチェリーの役が入賞しないようにしてもよい。たとえば、右リール2Rの図柄配列のうちチェリーA?チェリーHの右リール2Rの図柄の2つ上および2つ下に配置された図柄をチェリーA?チェリーXの右リール2Rの図柄と異なる図柄(たとえば、ブランク図柄)にしてもよい。
【0142】
もっとも、左リール2Lについて「チェリー」の図柄は7コマ以内で配置されているとは限らないので、ストップスイッチ8Lの操作タイミングによっては、チェリーA?チェリーXまたはチェリーA?チェリーHに当選していても、これを取りこぼすこともある。
【0143】
チェリーA?チェリーXのいずれに入賞したときにも、1入賞ラインにつき2枚のメダルが払い出される。レギュラーボーナス以外の遊技状態では左リール2Lの上段または下段に「チェリー」が停止し、2つの入賞ラインでチェリーA?チェリーXのうちの2つに入賞となるので、合計4枚のメダルが払い出される。初期遊技状態においてチェリーA?チェリーXに入賞したときには、次のゲームから入賞したチェリーの役の種類に応じて予め定められた規定ゲーム数の間だけ(但し、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に入賞するまでに限る)、遊技状態がRTに制御される。チェリーA?チェリーHに入賞したときには、規定ゲーム数が330に設定されているRT3に制御され、チェリーXに入賞したときには、当該チェリーX入賞が優先適用されて規定ゲーム数が10に設定されているRT4に制御される。
【0144】
前述した入賞役パネル89には、図8を用いて説明した入賞役各々の組合せが記されている。たとえば、“BB:赤7-赤7-赤7or白7-白7-白7、12枚:赤7/白7/BAR-オレンジ-オレンジ、メロン:メロン-メロン-メロン、リプレイ:バナナ-バナナ-バナナ、オレンジ:オレンジ-any-any、チェリー:チェリー-any-any”と表されている。なお、オレンジおよびチェリーについては、ともに、左リール2Lの図柄のみ入賞役パネル89に表わされ、中・右リール2C、2Rの図柄が表わされていない。これは、オレンジおよびチェリーについては、実質的に、左リール2Lに「オレンジ」か「チェリー」が導出されると、中・右リール2C、2Rに導出された図柄に関わらず、入賞が確定するためである。これにより、遊技者に対して左リール2Lにオレンジやチェリーの図柄が導出されることにより、オレンジやチェリーに入賞したことを認識させることができる。しかし、そもそもオレンジやチェリーの入賞役として複数種類設定されていることを特定不能にすることができるため、オレンジやチェリーのうちどの種類に入賞したかを特定不能にすることができる。その結果、たとえばオレンジXやチェリーXが入賞したことを遊技者が特定不能にすることができるため、RT1およびRT2のいずれに制御されたのか、またはRT3およびRT4のいずれに制御されたのか特定不能にすることができる。
【0145】
次に、内部抽選について説明する。内部抽選は、上記した各役への入賞(入賞表示結果の導出)を許容するかどうかを、可変表示装置2の表示結果が導出表示される以前に(実際には、スタートスイッチ7操作時に)、決定するものである。内部抽選では、乱数発生回路42から内部抽選用の乱数(0?65535の整数)が取得される。そして、遊技状態に応じて定められた各役について、取得した内部抽選用の乱数と、遊技状態と、リセット/設定スイッチ38により設定された設定値に応じて定められた各役の判定値数に応じて行なわれる。
【0146】
前述したROM41bには、内部抽選において当選と判定される役を判断するために用いられる当選役テーブルが予め格納されている。当選役テーブルの登録内容は、予め定められた役を示すものとなる。各ゲームにおいて抽選対象となる役が参照される。本実施の形態における当選役テーブルは、ROM41bに格納されており、所定の役が抽選対象として読み出される。
【0147】
具体的に、当選役テーブルは、遊技状態がレギュラーボーナス以外の状態であるときに、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、ビッグボーナス(1)+オレンジA?オレンジH、ビッグボーナス(1)+オレンジA?オレンジX、ビッグボーナス(1)+チェリーA?チェリーH、ビッグボーナス(1)+チェリーA?チェリーX、ビッグボーナス(2)+オレンジA?オレンジH、ビッグボーナス(2)+オレンジA?オレンジX、ビッグボーナス(2)+チェリーA?チェリーH、ビッグボーナス(2)+チェリーA?チェリーX、12枚A、12枚B、12枚C、メロン、オレンジA?オレンジH、オレンジA?オレンジX、チェリーA?チェリーH、チェリーA?チェリーX、リプレイが順番に抽選対象として読み出されるように構成されている。なお、入賞役の間に“+”および“?”を表記することにより、内部抽選において同時に複数の入賞役が抽選対象役として読み出されることを示す。たとえば、ビッグボーナス(1)+オレンジA?オレンジHと表記されている場合は、内部抽選においてビッグボーナス(1)、オレンジA、オレンジB、オレンジC、…およびオレンジHが同時に抽選対象役として読み出されることを示す。本実施の形態における、ビッグボーナス(1)およびビッグボーナス(2)は、各々、オレンジA?オレンジH、オレンジA?オレンジX、チェリーA?チェリーH、およびチェリーA?チェリーX各々と抽選対象役として同時に読出されて、重複して当選し得る。また、オレンジの入賞役については、オレンジA?オレンジHが抽選対象役として同時に読み出される場合と、オレンジA?オレンジXが抽選対象役として同時に読み出される場合とがある。また、チェリーの入賞役については、チェリーA?チェリーHが抽選対象役として同時に読み出される場合と、チェリーA?チェリーXが抽選対象役として同時に読み出される場合とがある。また、当選役テーブルは、遊技状態がビッグボーナス中に提供されるレギュラーボーナスであるときに、12枚A?12枚Cとメロンとを順番に抽選対象役として読み出されるように構成されている。
【0148】
なお、当選役テーブルは、遊技状態に関わらず、抽選対象役として同じ入賞役が読み出されるように構成されたものであってもよい。この場合、遊技状態がレギュラーボーナスであるときに、ビッグボーナス(1)等の特別役や、リプレイ等の再遊技役が抽選対象役として読み出された場合であっても、抽選しない、または抽選を行なって当選した場合であっても当選フラグを設定しないように構成してもよい。
【0149】
内部抽選では、内部抽選の対象役について定められた判定値数を、内部抽選用の乱数に順次加算し、加算の結果がオーバーフローしたときに、その対象となっている役に当選したものと判定される。当選と判定されると、当該役の当選フラグがRAM41cに設定される。抽選対象役として複数の入賞役が読み出されている場合に当選と判定された場合には、当該読み出されている複数の入賞役各々に対応する当選フラグがRAM41cに設定される。たとえば、ビッグボーナス(1)+オレンジA?オレンジHが抽選対象役として読み出されて当選と判定されたときには、ビッグボーナス(1)の当選フラグ、オレンジAの当選フラグ、オレンジBの当選フラグ、オレンジCの当選フラグ、…およびオレンジHの当選フラグがRAM41cに設定される。判定値数は、ROM41bに予め格納された役別テーブルに登録されている判定値数の格納アドレスに従って読み出されるものとなる。各役の判定値数は、設定値に関わらずに共通になっているものと、設定値に応じて異なっているものとがある。判定値数が設定値に関わらずに共通である場合には、共通フラグが設定される(値が「1」とされる)。
【0150】
図9は、遊技状態および設定値に基づいて取得される各抽選対象役の判定値数を示す図である。この判定値数は、開発用の機種ではRAM41cに、量産機種ではROM41bに割り当てられたアドレス領域に設けられている記憶領域に格納されている。
【0151】
図9(a)は、遊技状態が初期遊技状態であるときの内部抽選において取得される各抽選対象役の判定値数を示す図である。たとえば、設定値が1のときに、内部抽選の対象役がビッグボーナス(1)であるときに「10」が、ビッグボーナス(2)であるときに「10」が、ビッグボーナス(1)+オレンジA?オレンジHであるときに「50」が、ビッグボーナス(1)+オレンジA?オレンジXであるときに「50」が、ビッグボーナス(1)+チェリーA?チェリーHであるときに「20」が、ビッグボーナス(1)+チェリーA?チェリーXであるときに「20」が、ビッグボーナス(2)+オレンジA?オレンジHであるときに「20」が、ビッグボーナス(2)+オレンジA?オレンジXであるときに「20」が、ビッグボーナス(2)+チェリーA?チェリーHであるときに「50」が、ビッグボーナス(2)+チェリーA?チェリーXであるときに「50」が、12枚Aであるときに「270」が、12枚Bであるときに「270」が、12枚Cであるときに「270」が、メロンであるときに「10200」が、オレンジA?オレンジHであるときに「940」が、オレンジA?オレンジXであるときに「2195」が、チェリーA?チェリーHであるときに「1254」が、チェリーA?チェリーXであるときに「1881」が、リプレイであるときに「47956」が、判定値数として取得される。図9(a)には、設定値が2?4のときについても同様に、内部抽選において取得される各抽選対象役の判定値数が示されている。
【0152】
図9(a)に示すように、設定値として設定されている値が大きいほど、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)の内部抽選において取得される判定値数が大きくなっている。これにより、設定値が大きいほど、内部抽選において特別役に当選する確率を高くすることができる。
【0153】
また、ビッグボーナス(1)およびビッグボーナス(2)は、ともに、単独で当選する確率よりも、オレンジA?オレンジH、オレンジA?オレンジX、チェリーA?チェリーH、およびチェリーA?チェリーXのうちいずれかの組合せと重複して当選する確率の方が高くなるように、判定値数が設定されている。このため、オレンジやチェリーが入賞したときには、ビッグボーナスに当選していることに対する期待感を遊技者に抱かせることができる。
【0154】
図9(b)および(c)は、遊技状態がRTであるときであって、内部抽選において取得されるリプレイの判定値数を示す図である。なお、遊技状態がRTであるときの、リプレイ以外の入賞役の内部抽選において取得される判定値数は、図9(a)で示した判定値数と同様である。すなわち、遊技状態がRTであるときの内部抽選において取得される各抽選対象役の判定値数は、図9(a)で示したリプレイの内部抽選において取得される判定値数を、図9(b)および(c)で示すリプレイの内部抽選において取得される判定値数に置き換えたものとなる。
【0155】
図9(b)は、遊技状態がオレンジまたはチェリーに入賞した後に制御されるRT1?RT4のいずれかであって、リプレイの内部抽選において取得される判定値数を示す図である。たとえば、設定値が1?4のときに、内部抽選の対象役が、リプレイであるときに「9100」が判定値数として取得される。
【0156】
図9(c)は、遊技状態がボーナスに内部当選したときに制御される制御されるRT5であるときであって、リプレイの内部抽選において取得される判定値数を示す図である。たとえば、設定値が1?4のときに、内部抽選の対象役が、リプレイであるときに「21000」が判定値数として取得される。
【0157】
図9(a)?図9(c)で示したように、リプレイに当選する確率が、初期遊技状態であるときに47956/65536(設定値が1のとき)≒73.17%?47986/65536(設定値が4のとき)≒73.22%となり、RT1?RT4であるときに9100/65536≒13.88%となり、RT5であるときに21000/65536≒32.04%となるように判定値数が設定されている。このように、リプレイに当選する確率は、少なくともRT1?RT4であるときよりも初期遊技状態のときの方が極端に高くなるように判定値数が設定されている。このため、初期遊技状態は、RT1?RT4であるときよりもリプレイに当選する確率が極めて高い点において、遊技者にとって有利な遊技状態といえる。逆に、RT1?RT4は、初期遊技状態であるときよりもリプレイに当選する確率が極めて低い点において、遊技者にとって不利な遊技状態といえる。
【0158】
RT1?RT4へは、前述したように初期遊技状態であるときにオレンジまたはチェリーに入賞することにより移行される。初期遊技状態であるときのオレンジA?HおよびオレンジA?X各々の判定値数の合計は、(940+2195)=3135である。このため、初期遊技状態であるときにオレンジA?HまたはオレンジA?Xに当選する確率は、3135/65536≒4.7%になる。また、初期遊技状態であるときのチェリーA?HおよびチェリーA?X各々の判定値数の合計は、(940+2195)=3135である。このため、初期遊技状態であるときにチェリーA?HまたはチェリーA?Xに当選する確率は、3135/65536≒4.7%になる。このように、オレンジに当選する確率とチェリーに当選する確率とが同じである。よって、RT1またはRT3に制御される確率と、RT2またはRT4に制御される確率とが同じである。
【0159】
また、前述したRT1?RT4のうち、RT2またはRT4に制御された場合には、規定ゲーム数が10ゲームであるため、10ゲーム消化することにより再び初期遊技状態に制御される。一方、RT1またはRT3に制御された場合には、規定ゲーム数が10ゲームよりも極端に多いゲーム数(RT1:500、RT3:330)であるため、ボーナスに当選しない限りRT2またはRT4に制御された場合と比較して長い期間に亘り不利な遊技状態でゲームを行なわなければ初期遊技状態に制御されない。また、オレンジA?Hに入賞して移行されるRT1の規定ゲーム数は、チェリーA?Hに入賞して移行されるRT3の規定ゲーム数(330ゲーム)よりも多いゲーム数(500ゲーム)が設定されている。また、オレンジまたはチェリーに当選しているときでもストップスイッチ8Lの操作タイミングによって、当選しているオレンジまたはチェリーを入賞させず、RTへ移行されることを回避することができる。このため、仮にRT1に制御される確率とRT3に制御される確率とが同じであるならば、規定ゲーム数が異なる点に着目して、規定ゲーム数がチェリー入賞時のRTよりも多いオレンジを入賞させないタイミングで遊技者がストップスイッチ8Lを操作して、オレンジを入賞させないように遊技を行なうことが考えられる。
【0160】
しかしながら、本実施の形態においては、以下に説明するように、RT1?RT4各々に制御される確率を異ならせており、確率が異なることに伴ってどのように遊技を行なうかによって遊技者にとって有利な初期遊技状態でゲームを行なうことができる回数等を異ならせることができる。このため、規定ゲーム数、RT1?RT4各々に制御される確率、および確率に基づき求められる各種理論値を考慮して、オレンジおよびチェリーのうちどちらを入賞させないようにストップスイッチ8Lを操作して遊技を行なうか、遊技を行なう上で戦略を立てることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0161】
[RT1?RT4各々に制御される確率について]
RT1には、初期遊技状態であるときにオレンジX以外のオレンジA?Hに入賞することにより移行される。初期遊技状態であるときのオレンジA?Hの判定値数は、940である。このため、初期遊技状態であるときにオレンジA?Hに当選する確率は、940/65536≒1.43%になる。
【0162】
RT2には、初期遊技状態であるときにオレンジXに入賞することにより移行される。初期遊技状態であるときのオレンジXを含むオレンジA?Xの判定値数は、2195である。このため、初期遊技状態であるときにオレンジA?Xに当選する確率は、2195/65536≒3.34%になる。
【0163】
RT3には、初期遊技状態であるときにチェリーX以外のチェリーA?Hに入賞することにより移行される。初期遊技状態であるときのチェリーA?Hの判定値数は、1254である。このため、初期遊技状態であるときにチェリーA?Hに当選する確率は、1254/65536≒1.91%になる。
【0164】
RT4には、初期遊技状態であるときにチェリーXに入賞することにより移行される。初期遊技状態であるときのチェリーXを含むチェリーA?Xの判定値数は、1881である。このため、初期遊技状態であるときにチェリーA?Xに当選する確率は、1881/65536≒2.87%になる。
【0165】
このように、本実施の形態においては、オレンジA?H、オレンジA?X、チェリーA?H、およびチェリーA?Xの判定値数を異ならせて設定することにより、RT1?RT4に制御される確率を異ならせることができる。
【0166】
また、RT1に制御される確率と、RT2に制御される確率との比は、(RT1確率:RT2確率)=(1.43:3.34)となる。このため、チェリーを入賞させないようにストップスイッチ8Lを操作して遊技を行なった場合には、約4.7回オレンジに入賞したうちの3.34回はオレンジXが入賞して、RT2に制御される。これに対し、RT3に制御される確率と、RT4に制御される確率との比は、(RT3確率:RT4確率)=(1.91:2.87)となる。このため、オレンジを入賞させないようにストップスイッチ8Lを操作して遊技を行なった場合には、約4.7回チェリーに入賞したうちの2.87回はチェリーXが入賞して、RT4に制御される。これにより、チェリーを入賞させないようにストップスイッチ8Lを操作して遊技を行なった場合の方が、オレンジを入賞させないようにストップスイッチ8Lを操作して遊技を行なった場合にRT4に制御される割合よりも、高い割合でRT2に制御される。
【0167】
また、前述したように、RT2およびRT4は、規定ゲーム数として、RT1およびRT3よりも極めて少ないゲーム数が設定されている。このため、遊技者は、RTに制御されるならばRT2またはRT4に制御されることを望むと考えられる。よって、RT2またはRT4に制御される割合に着目した場合には、規定ゲーム数が異なる点に着目した場合と全く逆に、チェリーを入賞させないタイミングで遊技者がストップスイッチ8Lを操作して、チェリーを入賞させないように遊技を行なうことが考えられる。その結果、遊技者は、規定ゲーム数を重視するか、RT2またはRT4に制御される割合を重視するかを選択することによって、遊技を行なう上で次のように異なる戦略を立てることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0168】
たとえば、RT2またはRT4に制御される割合を重視する場合には、RTのうち最大ゲーム数が規定ゲーム数として設定されているRT1に制御され得るというリスクを負うが、規定ゲーム数が10ゲームのRT2に制御される割合がオレンジに入賞した場合よりも高くなるように、チェリーを入賞させないように遊技を行なうことができる。また、規定ゲーム数を重視した場合には、規定ゲーム数が10ゲームのRT4に制御される割合が低くなるというリスクを負うが、RTに制御された場合の最大ゲーム数がRT1の500ゲームよりも少なくなるように、オレンジを入賞させないように遊技を行なうことができる。
【0169】
なお、遊技者は、ビッグボーナスが発生するまでの期間において、極力メダルを消費しないように、ゲームを消化したいと願うものである。このため、リプレイ当選確率が極端に高い初期遊技状態や、規定ゲーム数が極めて少ないRT2およびRT4で、より多くゲームを消化できることに対して、遊技者は期待している。その結果、RT1?RT4各々に制御される確率のみならず、確率に基づき求められる継続率、継続回数、および、平均継続ゲーム数などの各種理論値は、どのように遊技を行なうか、どのような戦略を立てるかを遊技者が検討する上で極めて重要な値といえる。たとえば、継続率とは、初期遊技状態に制御されているときにビッグボーナスが発生した後かまたはRT2またはRT4に制御された後に初期遊技状態に再度制御される割合をいう。継続回数とは、ビッグボーナス、RT2およびRT4のうちいずれかに移行された後に初期遊技状態に再度制御される回数をいう。平均継続ゲーム数とは、継続して制御される初期遊技状態において消化することができる平均ゲーム数をいう。以下、遊技をどのように行なうか、どのような戦略を採用するかによって、前述した継続率、継続回数、および、平均継続ゲーム数などの各種理論値にどの程度開きが生じるかについて説明する。
【0170】
なお、以下の説明で、Aはビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、オレンジX、チェリーXに当選する実質的な確率を示し、BはオレンジXおよびチェリーXに当選せずオレンジA?HまたはチェリーA?Hにのみ当選する実質的な確率(ビッグボーナスと同時当選する確率を除く)を示し、Cは12枚A?12枚C、メロン、およびリプレイ等に当選することにより実質的に初期遊技状態が終了しない確率を示している。
【0171】
また、継続率は、次の(式1)を用いて計算した値を採用している。
継続率=A/(A+B) …(式1)
また、継続回数は、次の(式2)を用いて計算した値を採用している。
【0172】
継続回数=1/(1-継続率) …(式2)
また、平均継続ゲーム数は、次の(式3)を用いて計算した値を採用している。
【0173】
平均継続ゲーム数=〔1/(1-C)+30〕×継続回数 …(式3)
なお、後述するように、初期遊技状態に制御されてから、オレンジまたはチェリー等に当選したときに、該当選した入賞役を報知するナビ演出が3回まで行なわれる。また、オレンジまたはチェリーに当選する確率は、1/20×2=1/10であるため、約10ゲームに1回ナビ演出が行なわれる。よって、ナビ演出により報知される入賞役を入賞させないことにより、初期遊技状態において、少なくとも10×3=30ゲーム行なうことができる。このため、(式3)中において30を加算している。
【0174】
[各種理論値?戦略を立てずに遊技を行なった場合]
まず、オレンジやチェリーのうちいずれか一方を入賞させないように遊技を行なう等の戦略を採用することなく、遊技を行なった場合について説明する。
【0175】
何らの戦略も採用していない場合には、Aはビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、オレンジX、チェリーXに当選する確率である4376/65536となり、BはオレンジXおよびチェリーXに当選せずオレンジA?HまたはチェリーA?Hにのみ当選する確率である2194/65536になり、Cは12枚A?12枚C、メロン、およびリプレイに当選する確率である58966/65536になる。
【0176】
これらの値を上記の(式1)?(式3)に代入すると、
継続率≒66.6%
継続回数≒2.99回
平均継続ゲーム数≒119.7ゲーム となる。
【0177】
[各種理論値?オレンジを入賞させないように遊技を行なった場合]
次に、オレンジを入賞させないように遊技を行なった場合について説明する。
【0178】
オレンジを入賞させないように遊技を行なった場合には、Aはビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、チェリーXに当選する確率である2181/65536となり、BはチェリーXに当選せずチェリーA?Hにのみ当選する確率である1254/65536になり、Cは12枚A?12枚C、メロン、リプレイ、オレンジ(ビッグボーナスと同時当選を除く)に当選する確率である62101/65536になる。
【0179】
これらの値を上記の(式1)?(式3)に代入すると、
継続率≒63.4%
継続回数≒2.73回
平均継続ゲーム数≒134.0ゲーム となる。
【0180】
[各種理論値?チェリーを入賞させないように遊技を行なった場合]
次に、チェリーを入賞させないように遊技を行なった場合について説明する。
【0181】
チェリーを入賞させないように遊技を行なった場合には、Aはビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、オレンジXに当選する確率である2495/65536となり、BはオレンジXに当選せずオレンジA?Hにのみ当選する確率である940/65536になり、Cは12枚A?12枚C、メロン、リプレイ、チェリー(ビッグボーナスと同時当選を除く)に当選する確率である62101/65536になる。
【0182】
これらの値を上記の(式1)?(式3)に代入すると、
継続率≒72.6%
継続回数≒3.64回
平均継続ゲーム数≒179.0ゲーム となる。
【0183】
以上、本実施の形態においては、RT1?RT4各々に制御される確率を異ならせたことに起因して、遊技をどのように行なうか、どのような戦略を採用するかによって、前述した継続率、継続回数、および、平均継続ゲーム数などの各種理論値に開きが生じる点について説明した。その結果、遊技者は、規定ゲーム数を重視するか、RT2またはRT4に制御される割合を重視するかを選択することに加えて、継続率、継続回数、および、平均継続ゲーム数などの各種理論値に基づき、どのように遊技を行なうか戦略を立てることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0184】
たとえば、チェリーを入賞させないように遊技を行なうことにより、平均継続ゲーム数が多く、次回ビッグボーナスが発生するまでのゲームを初期遊技状態で消化できる割合を高くすることができる。また、オレンジを入賞させないように遊技を行なうことにより、RT3に制御された場合であってもその最大ゲーム数がRT1の500ゲームよりも少ない330ゲームになるため、いわゆるハマリ期間が極力短くなるように遊技を進めることができる。
【0185】
なお、チェリーを入賞させないように遊技を行なった場合には、RTのうち最大ゲーム数(500ゲーム)が規定ゲーム数として設定されているRT1に制御され得るというリスクを負う。また、オレンジを入賞させないように遊技を行なった場合には、チェリーを入賞させないように遊技を行なう場合よりも前述した各種理論値の有利度合いが低い(たとえば平均継続ゲーム数が少ない)というリスクを負う。よって、短い期間(たとえば、1日)における遊技者の収支は、採用した戦略によって大きく開きがでる可能性がある。しかし、長い期間(たとえば、1週間)における遊技者の収支は、採用した戦略によって差が出ず、同じ設定値であれば一定値または一定範囲内に収束するように設定されている。
【0186】
また、算出した理論値のうち平均継続ゲーム数からもわかるように、遊技の仕方次第で継続して初期遊技状態で実行されるゲーム回数が変化する。このため、スロットマシン1のビッグボーナス終了後から実行されたゲーム回数に基づき、遊技者にとって有利な状態を見極めて遊技を行なういわゆるハイエナ行為をし難くすることができる。たとえば、RT1またはRT3に制御されてから所定ゲーム消化したときにある遊技者が遊技を終了したスロットマシンについて、他の遊技者は当該スロットマシンのゲーム回数を確認しても、ビッグボーナス終了後から何ゲーム消化したときにRT1またはRT3に制御されたのか、およびRT1またはRT3に制御されてから何ゲーム消化したのか特定することができない。このため、他の遊技者は、ゲーム回数に基づき、遊技者にとって有利な状態であるか否かを見極めることができない。その結果、本実施の形態のスロットマシンでは、遊技者が遊技を終了したタイミングに関わらず、他の遊技者によるハイエナ行為をし難くすることができるため、ゲーム回数を報知することによりスロットマシンの稼働率を低下させてしまうといった不都合の発生を未然に防止することができる。
【0187】
なお、遊技状態がレギュラーボーナスであるときの内部抽選において取得される各抽選対象役の判定値数は、たとえば、設定値が1?4のときに、内部抽選の対象役が12枚A?12枚Cであるときに「6200」が、メロンであるときに「54100」が判定値として取得される。このように、小役が当選する確率は、初期遊技状態であるときよりもレギュラーボーナスのときの方が高くなるように判定値数が設定されている。このため、レギュラーボーナスは、初期遊技状態であるときよりも遊技者にとって有利な遊技状態といえる。
【0188】
なお、前述したように当選役テーブルを遊技状態に関わらず抽選対象役として同じ入賞役が読み出されるように構成した場合には、遊技状態がレギュラーボーナスであるときの内部抽選において、内部抽選の対象役が12枚A?12枚Cであるときに「6200」が、メロンであるときに「54100」が判定値として取得され、該内部抽選の対象役がこれら小役以外の特別役および再遊技役のときに判定値数が取得されないように構成してもよい。
【0189】
次に、リール2L、2C、2Rの停止制御について説明する。CPU41aは、リールの回転が開始したとき、および、リールが停止し、かつ未だ回転中のリールが残っているときに、ROM41bに格納されているテーブルインデックスおよびテーブル作成用データを参照して、回転中のリール別に停止制御テーブルを作成する。そして、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作が有効に検出されたときに、該当するリールの停止制御テーブルを参照し、参照した停止制御テーブルの引込コマ数に基づいて、操作されたストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止させる制御を行なう。
【0190】
図10は、ROM41bに格納されたテーブルインデックスを示す図である。図示するように、テーブルインデックスには、内部当選状況別に、テーブル作成用データが格納された領域の先頭アドレスが格納されている。
【0191】
内部当選状況が異なったりする場合でも、同一の制御が適用される場合においては、テーブル作成用データが格納された領域の先頭アドレスとして同一のアドレスが格納されており、このような場合には、同一のテーブル作成用データを参照して、停止制御テーブルが作成されることとなる。ここで、テーブル作成用データは、停止操作位置に応じた引込コマ数を示す引込コマ数データと、リールの停止状況に応じて参照すべき引込コマ数データのアドレスとからなる。
【0192】
リールの停止状況に応じて参照される引込コマ数データは、全てのリール2L、2C、2Rが回転しているか、左リール2Lのみ停止しているか、中リール2Cのみ停止しているか、右リール2Rのみ停止しているか、左、中リール2L、2Cが停止しているか、左、右リール2L、2Rが停止しているか、中、右リール2C、2Rが停止しているか、によって異なる場合があり、さらに、リール2L、2C、2Rの内のいずれかが停止している状況においては、停止済みのリールの停止位置によっても異なる場合がある。
【0193】
テーブル作成用データには、それぞれの状況について、参照すべき引込コマ数データのアドレスが回転中のリール別に登録されている。それぞれの状況に応じて参照すべき引込コマ数データのアドレスは、テーブル作成用データの先頭アドレスに基づいて特定でき、この特定されたアドレスから、それぞれの状況に応じて必要な引込コマ数データを特定できるようになっている。なお、リールの停止状況や停止済みのリールの停止位置が異なる場合でも、同一の引込コマ数データが適用される場合においては、引込コマ数データのアドレスとして同一のアドレスが登録されているものもあり、このような場合には、同一の引込コマ数データが参照されることとなる。
【0194】
また、引込コマ数データは、停止操作が行なわれたタイミング別の引込コマ数を特定可能なデータである。リールモータ32L、32C、32Rには、168ステップ(0?167)の周期で1周するステッピングモータを用いている。すなわちリールモータ32L、32C、32Rを168ステップ駆動させることでリール2L、2C、2Rが1周することとなる。そして、リール1周に対して8ステップ(1図柄が移動するステップ数)毎に分割した21の領域(コマ)が定められており、これらの領域には、リール基準位置から0?20(図2参照)の領域番号が割り当てられている。
【0195】
一方、1リールに配列された図柄数も21であり、各リールの図柄に対して、リール基準位置から0?20の図柄番号が割り当てられているので、0番図柄から20番図柄に対して、それぞれ0?20の領域番号が順に割り当てられていることとなる。そして、引込コマ数データには、領域番号別の引込コマ数が所定のルールで圧縮して格納されており、引込コマ数データを展開することによって領域番号別の引込コマ数を取得できるようになっている。
【0196】
停止制御テーブルは、前述のようにテーブルインデックスおよびテーブル作成用データを参照して作成される。停止制御テーブルには、0?20の領域番号に対応して、各領域番号に対応する領域が停止基準位置(この実施の形態では、透視窓3の下段図柄の領域)に位置するタイミング(リール基準位置からのステップ数が各領域番号のステップ数の範囲に含まれるタイミング)でストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出された場合の引込コマ数がそれぞれ設定されている。
【0197】
次に、停止制御テーブルの作成手順について説明すると、まず、リール回転開始時においては、そのゲームにおける内部当選状況に応じたテーブル作成用データの先頭アドレスを取得する。そして取得した先頭アドレスに基づいてテーブル作成用データを特定し、特定したテーブル作成用データから全てのリール2L、2C、2Rが回転中の状態に対応する各リールの引込コマ数データのアドレスを取得し、取得したアドレスに格納されている各リールの引込コマ数データを展開して全てのリール2L、2C、2Rについて停止制御テーブルを作成する。
【0198】
また、リール2L、2C、2Rのうちのいずれか1つが停止したとき、またはいずれか2つが停止したときには、リール回転開始時に取得した先頭アドレス、すなわちそのゲームにおける内部当選状況に応じたテーブル作成用データの先頭アドレスに基づいてテーブル作成用データを特定し、特定したテーブル作成用データから停止済みのリールおよび当該リールの停止位置の領域番号に対応する未停止リールの引込コマ数データのアドレスを取得し、取得したアドレスに格納されている各リールの引込コマ数データを展開して未停止のリールについて停止制御テーブルを作成する。
【0199】
次に、CPU41aがストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出したときに、該当するリールに表示結果を導出させる際の制御について説明する。
【0200】
ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出すると、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数に基づいて停止操作位置の領域番号を特定し、停止操作が検出されたリールの停止制御テーブルを参照し、特定した停止操作位置の領域番号に対応する引込コマ数を取得する。そして、取得した引込コマ数分リールを回転させて停止させる制御を行なう。具体的には、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数から、取得した引込コマ数引き込んで停止させるまでのステップ数を算出し、算出したステップ数分リールを回転させて停止させる制御を行なう。これにより、停止操作が検出された停止操作位置の領域番号に対応する領域から引込コマ数分先の停止位置となる領域番号に対応する領域が停止基準位置(この実施の形態では、下段図柄の領域)に停止することとなる。
【0201】
また、テーブルインデックスには、一の遊技状態における一の内部当選状況に対応するテーブル作成用データの格納領域の先頭アドレスとして1つのアドレスのみが格納されており、さらに、一のテーブル作成用データには、一のリールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置)に対応する引込コマ数データの格納領域のアドレスとして1つのアドレスのみが格納されている。すなわち一の内部当選状況に対応するテーブル作成用データ、およびリールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置)に対応する引込コマ数データが一意的に定められており、これらを参照して作成される停止制御テーブルも、一の内部当選状況、およびリールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置)に対して一意となる。このため、内部当選状況、リールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置)の全てが同一条件となった際に、同一の停止制御テーブル、すなわち同一の制御パターンに基づいてリールの停止制御が行なわれることとなる。
【0202】
また、引込コマ数として0?4の値が定められており、停止操作を検出してから最大4コマ図柄を引き込んでリールを停止させることが可能である。すなわち停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5コマの範囲から図柄の停止位置を指定できるようになっている。また、1図柄分リールを移動させるのに1コマの移動が必要であるので、停止操作を検出してから最大4図柄を引き込んでリールを停止させることが可能であり、停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5図柄の範囲から図柄の停止位置を指定できることとなる。
【0203】
また、テーブルインデックスには、いずれかの役に当選している場合に対応して、当選役を4コマの範囲で最大限に引き込み、当選していない役が揃わないように引き込む引込コマ数が定められたテーブル作成用データのアドレスが格納されている。このため、いずれかの役に当選している場合には、当選役を4コマの範囲で最大限引き込み、当選していない役が揃わないように引き込む引込コマ数が定められた停止制御テーブルが作成され、リールの停止制御が行なわれる。
【0204】
また、テーブルインデックスには、はずれの場合に対応して、いずれの役も揃わないように引き込む引込コマ数が定められたテーブル作成用データのアドレスが格納されている。このため、はずれの場合には、いずれの役も揃わない引込コマ数が定められた停止制御テーブルが作成され、リールの停止制御が行なわれる。これにより、停止操作が行なわれた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している役の図柄を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行なわれ、当選していない役の図柄は、最大4コマの引込範囲ではずして停止させる制御が行なわれることとなる。
【0205】
また、テーブルインデックスには、特別役と小役が同時に当選した場合や、特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で小役が当選した場合(ビッグボーナス(1)+オレンジA?H、ビッグボーナス(1)+12枚Aなど)に対応して、当選した特別役を4コマの範囲で最大限に引き込むように引込コマ数が定められているとともに、当選した特別役を最大4コマの範囲で引き込めない停止操作位置については、当選した小役を4コマの範囲で最大限に引き込むように引込コマ数が定められたテーブル作成用データのアドレスが格納され、リールの停止制御が行なわれる。これにより、停止操作が行なわれた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している特別役の図柄を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行なわれ、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している特別役の図柄を引き込めない場合には、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している小役の図柄を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行なわれ、当選していない役の図柄は、4コマの引込範囲ではずして停止させる制御が行なわれることとなる。すなわちこのような場合には、小役よりも特別役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、特別役を引き込めない場合にのみ、小役を入賞させることが可能となる。
【0206】
また、テーブルインデックスには、特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で再遊技役が当選した場合(ビッグボーナス(1)+リプレイ)に対応して、再遊技役を4コマの範囲で最大限に引き込むように引込コマ数が定められたテーブル作成用データのアドレスが格納され、リールの停止制御が行なわれる。これにより、停止操作が行なわれた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で再遊技役の図柄を揃えて停止させる制御が行なわれる。特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で再遊技役が当選した場合には、遊技者によるストップスイッチ8L、8C、8Rの操作タイミングに関わらずに、必ず再遊技役が揃って入賞することとなる。すなわちこのような場合には、特別役よりも再遊技役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、必ず再遊技役が入賞することとなる。
【0207】
なお、リプレイに当選している場合においては、すべてのリールの停止制御テーブルとして、全ての領域番号に対して当選しているリプレイを構成する図柄を表示結果として特定する引込コマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、すべてのリールの停止制御が行なわれる。
【0208】
また、テーブルインデックスには、オレンジA?HまたはオレンジA?Xが当選した場合に対応して、左リール2Lについて「オレンジ」の図柄を4コマの範囲で最大限に引き込み上段または下段に停止させ、右リール2RについてオレンジA?Hに当選している場合に「ブドウ」を上段または下段に停止させず、右リール2RについてオレンジA?Xに当選している場合に「ブドウ」を上段または下段に停止させるように、引込コマ数が定められたテーブル作成用データのアドレスが格納され、リールの停止制御が行なわれる。
【0209】
また、テーブルインデックスには、チェリーA?HまたはチェリーA?Xが当選した場合に対応して、左リール2Lについて「チェリー」の図柄を4コマの範囲で最大限に引き込み上段または下段に停止させ、右リール2RについてチェリーA?Hに当選している場合に「ブドウ」を上段または下段に停止させず、右リール2RについてチェリーA?Xに当選している場合に「ブドウ」を上段または下段に停止させるように、引込コマ数が定められたテーブル作成用データのアドレスが格納され、リールの停止制御が行なわれる。
【0210】
遊技制御基板40の側においては、前述したように内部抽選が行なわれ、その結果とストップスイッチ8L、8C、8Rの操作タイミングとに従ってリール2L、2C、2Rの回転が停止し、入賞が発生するものとなる。入賞の発生により、配当としてメダルの払い出しや遊技状態の移行が与えられるが、このように遊技制御基板40の側における遊技の進行状況に応じて、演出制御基板90の側で独自の演出が行なわれる。このような演出を行なうためには、演出制御基板90のCPU91aは、遊技制御基板40の側における遊技の進行状況を認識できなければならないが、このような遊技の進行状況に関する情報は、全てコマンドとして遊技制御基板40から演出制御基板90に送信される。
【0211】
遊技制御基板40から演出制御基板90に送信されるコマンドには、少なくともBETコマンド、当選状況通知コマンド、リール回転コマンド、リール停止コマンド、入賞情報コマンド、払出開始コマンド、払出終了コマンド、遊技状態コマンド、打止コマンド、エラーコマンド、設定開始コマンド、初期化コマンド、電源投入コマンド、BET解除コマンド、クレジット返却コマンドが含まれている。遊技制御基板40から演出制御基板90に送信されるコマンドには、これ以外のコマンドも含まれているが、本発明に直接関わるものではないため、詳細な説明を省略している。
【0212】
BETコマンドは、メダルの投入枚数、すなわち賭数の設定に使用されたメダル枚数を特定可能なコマンドであり、メダル投入時、1枚BETスイッチ5またはMAXBETスイッチ6が操作されて階数が設定されたときに送信される。
【0213】
当選状況通知コマンドは、内部当選フラグの当選状況、並びに成立した内部当選フラグの種類を特定可能なコマンドであり、スタートスイッチ7が操作されてゲームが開始したときに送信される。
【0214】
リール回転コマンドは、リールの回転の開始を通知するコマンドであり、リール2L、2C、2Rの回転が開始されたときに送信される。
【0215】
リール停止コマンドは、停止するリールが左リール、中リール、右リールのいずれかであるか、該当するリールの停止操作位置の領域番号、該当するリールの停止位置の領域番号、を特定可能なコマンドであり、各リールの停止制御が行なわれる毎に送信される。
【0216】
入賞情報コマンドは、入賞の有無、並びに入賞の種類、入賞時のメダルの払出枚数を特定可能なコマンドであり、全リールが停止して入賞判定が行なわれた後に送信される。
【0217】
払出開始コマンドは、メダルの払出開始を通知するコマンドであり、入賞やクレジット(階数の設定に用いられたメダルを含む)の精算によるメダルの払出が開始されたときに送信される。また、払出終了コマンドは、メダルの払出終了を通知するコマンドであり、入賞およびクレジットの精算によるメダルの払出が終了したときに送信される。
【0218】
遊技状態コマンドは、次ゲームの遊技状態(通常遊技状態であるか、RT中であるか、ビッグボーナス中であるか等)およびRTの残りゲーム数を特定可能なコマンドであり、ゲームの終了時に送信される。
【0219】
打止コマンドは、打止状態の発生または解除を示すコマンドであり、BB終了後、エンディング演出待ち時間が経過した時点で打止状態の発生を示す打止コマンドが送信され、リセット操作がなされて打止状態が解除された時点で、打止状態の解除を示す打止コマンドが送信される。
【0220】
エラーコマンドは、エラー状態の発生または解除を示すコマンドであり、エラーが判定され、エラー状態に制御された時点でエラー状態の発生を示すエラーコマンドが送信され、リセット操作がなされてエラー状態が解除された時点で、エラー状態の解除を示すエラーコマンドが送信される。
【0221】
設定開始コマンドは、設定変更モードの開始を示すコマンドであり、設定開始時、すなわち設定変更モードに移行した時点で送信される。
【0222】
初期化コマンドは、遊技状態が初期化された旨を示すコマンドであり、設定終了時、すなわち設定変更モードの終了時に送信される。電源投入コマンドは、電源が投入された旨を示すコマンドである。BET解除コマンドは、BETを解除した旨を示すコマンドであり、精算スイッチ10が操作されてBETカウンタの値が0になったときに送信される。クレジット返却コマンドは、クレジットを返却した旨を示すコマンドであり、精算スイッチ10が操作されてクレジットカウンタの値が0になったときに送信される。
【0223】
演出制御基板90のCPU91aは、このように遊技制御基板40のCPU41aから送られてくるコマンドに基づいて、後述するように、各種の演出を行なうものとしている。
【0224】
なお、演出制御基板90においては、リール停止コマンドに基づいて可変表示装置2の表示結果を判断するための停止図柄テーブルがRAM91cに設けられている。もっとも、リール停止コマンドは、停止したリールの種類と中段に停止した図柄の番号しか情報として含んでいないので、これだけではどのような図柄が停止しているかどうかが判断できないので、ROM91bにはリール2L、2C、2Rに配置された全ての図柄を示すテーブルが予め記憶されており、このテーブルを参照して停止図柄テーブルにリール2L、2C、2Rに停止されている図柄が登録される。
【0225】
演出を行なうために、サブ制御部91のRAM91cには、各種カウンタと、各種フラグを設定する領域と、遊技状態コマンド、リール停止コマンド、入賞情報コマンド、および当選状況通知コマンドに基づいて、各役の当選状況、リール2L、2C、2Rに導出された表示結果の組合せ、入賞の発生の有無を示す情報、遊技制御基板40の側で進行しているゲームにおいて適用される遊技状態を保存する領域(当選状況および遊技状態については、2回分)もRAM91cに設けられている。
【0226】
サブ制御部91の制御により実行される演出のうちで、表示制御回路92に出力する指令に基づいて液晶表示器51に画像を表示することによる演出として、遊技状態に応じた遊技演出、初期遊技状態中であるときであって所定の報知条件が成立しているときに小役の当選に関わる遊技者にとって有利な情報を報知するナビ演出がある。
【0227】
遊技演出は、遊技状態がビッグボーナスにあるときに実行されるボーナス中演出(ビッグボーナスに入賞したときに実行されるボーナス入賞演出、ビッグボーナスが終了したときに実行されるボーナス終了演出を含む)、遊技状態が初期遊技状態であるときおよび初期遊技状態中にボーナス当選して移行されたRT5であるときに複数ゲームに亘って実行される高確率連続演出、RT1?RT4に移行されてから所定回(たとえば、10回)ゲームが行なわれるまでの間に初期遊技状態に再度制御されるか否か(すなわち制御されているRTがRT2またはRT4であるか否か)に関わる結果を報知する復活連続演出、RT1またはRT3に移行された場合であって復活連続演出が行なわれた後に実行される低確率時演出を含む。遊技演出を行なうための画像の要素データや動画像データは、CGROM142に記憶されている。
【0228】
連続演出は、複数ゲームの期間を跨いで継続して実行されるため、実際に実行される期間は全てのリールが停止してから次にスタートスイッチ7が操作された次のゲームが開始されるまでの期間も含めて継続的に実行されるものとなっている。
【0229】
ボーナス中演出では、図11に示すように各リールの中段領域に跨って「BONUS GAME」と描かれた帯状の画像が表示されるようになっている。ビッグボーナス中は、常にレギュラーボーナスに制御されるとともに、レギュラーボーナスでは有効な入賞ラインがL1およびL2、すなわち各リールの上段領域を跨ぐ入賞ラインと下段領域に跨る入賞ラインに制限され、全てのリールについて中段領域に停止した図柄は入賞判定の対象とならないため、各リールの中段領域に跨って帯状の画像が表示されることで、レギュラーボーナス中に有効となる入賞ラインが認識しやすくなるとともに、レギュラーボーナス中においては入賞判定の対象とならないリール前面の領域を利用して画像を表示する演出が行なわれるため、インパクトのある演出を実現できるうえに、入賞判定の対象となる図柄の視認を妨げることがないようになっている。
【0230】
ボーナス入賞演出は、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)またはレギュラーボーナスが入賞したときに実行され、これら入賞が発生した次のゲームのために階数を設定したときに前述したボーナス中演出が開始される。
【0231】
なお、前述したボーナス中演出、高確率連続演出、および復活連続演出等の連続演出が行なわれているときには、複数ゲームに亘って一連の遊技音が継続して出音される。このように、複数ゲームに亘って継続して出音される遊技音を、連続遊技効果音という。遊技演出を行なうための遊技音(連続遊技効果音を含む)を発生させるための遊技音データは、音声出力回路94に搭載されているROMに記憶されている。なお、遊技音の発生は、サブ制御部91が音声出力回路94に、現在の遊技状態に応じた遊技音データの読出指令や発生開始指令、終了指令などを出力することにより、音声出力回路94により制御されて実行される。
【0232】
また、ナビ演出は、初期遊技状態に制御されてから、12枚A?12枚C、オレンジA?X、チェリーA?Xのうちいずれかが当選したときに、3回まで当選した役に応じたキャラクタを表示することにより、当選した入賞役を報知する演出をいう。ナビ演出として、たとえば、12枚AまたはチェリーA?Xのうちいずれかが当選しているときには、赤色のキャラクタを出現させる演出が行なわれる。また、12枚BまたはオレンジA?Xのうちいずれかが当選しているときには、白色のキャラクタを出現させる演出が行なわれる。また、12枚CまたはオレンジA?Xのうちいずれかが当選しているときには、黒色のキャラクタを出現させる演出が行なわれる。
【0233】
また、演出制御基板90のCPU91aは、遊技者の選択スイッチ56および決定スイッチ57の操作に基づいてRAM91cに記憶された所定の遊技履歴を液晶表示器51に表示させる履歴表示演出を行なうものとしている。履歴表示演出は、単に遊技履歴を情報として表示するだけではなく、CPU91aは、さらに所定期間以上に亘って継続して遊技の進行のための操作が行なわれていないときに(ただし、リール2L、2C、2Rの回転開始から停止までのゲーム中である場合を除く)、液晶表示器51において所定のデモ演出を行なうものとしている。履歴表示演出もデモ演出も、リール2L、2C、2Rの回転が停止しているゲーム中でない期間において行なわれる。
【0234】
これらの演出は、表示制御回路92に演出データの書込指令や演出の開始指令、終了指令などを出力することにより、表示制御回路92のVDP141により制御されて実行される。VDP141は、演出データの書込指令を受け取ると、該指令に対応した演出データをCGROM142から読み出し、一時記憶メモリ155の演出データ領域に書き込む。演出の開始指令を受け取ると、一時記憶メモリ155の演出データ領域に演出データが書き込まれていれば、演出の終了指令を受け取るまでの各フレーム期間において、1フレーム毎に描画回路154により書き込まれている演出データに対応した画像データをフレームバッファメモリ156に展開して、表示回路157により液晶表示器51に出力させるものとしている。
【0235】
このようなVDP141の制御により液晶表示器51に演出用の画像を表示させるためのデータは、演出データとして予めCGROM142に格納されている。これらの演出データは、演出モード毎に用意されており、サブ制御部91からの書込指令に基づいて一時記憶メモリ155の演出データ領域に書き込まれる演出データは、そのときの演出モードに対応したものとなる。また、履歴表示演出の演出データもデモ演出の演出データも予めCGROM142に格納されている。
【0236】
もっとも、液晶表示器51は、リール2L、2C、2Rの前面側の透過領域に亘っても設けられているので、この透過領域に表示される画像の状態によってはリール2L、2C、2Rに描かれている図柄の視認性が損なわれ、ゲームの進行に影響が生じてしまう場合もある。そこで、スタートスイッチ7が操作されてからリール2L、2C、2Rの全てが回転停止するまでは透過領域のうち少なくとも入賞判定の対象となる入賞判定領域を非表示(すなわち、透過領域(入賞判定領域)の各画素のRGB値を(31,31,31)として完全透過状態とする)にする。
【0237】
リール2L、2C、2Rの全てが回転を停止すると、液晶表示器51において演出が開始されるものの、透過領域(入賞判定領域)の各画素は、本来表示される画像よりも透過度が高い(すなわち、RGB値が(31,31,31)に近い)半透過状態に制御され、透過領域(入賞判定領域)を含む領域で画像が表示されていても、透過領域(入賞判定領域)の背面にあるリール2L、2C、2Rに描かれた図柄を視認できるようにしている。ただし、リール2L、2C、2Rの表示結果に応じて小役が入賞し、これに応じてメダルが払い出される場合には、メダルの払い出し中は入賞した役を確実に確認できるようにするために透過領域(入賞判定領域)は非表示にされたままで、メダルの払い出しを完了してから透過領域(入賞判定領域)の画像が半透過状態に制御されるものとなる。
【0238】
液晶表示器51に表示される画像の画像データは、各フレーム期間においてフレームバッファメモリ156(書き込み用)に展開されるが、フレームバッファメモリ156に画像データを書き込む際に、前面側のオブジェクトの画像データが残るようにZバッファ法を用いている。スタートスイッチ7の操作からリール2L、2C、2Rの全ての停止まで(ただし、メダルの払い出しを伴う場合には払い出し完了まで)の期間において、透過領域(入賞判定領域)に対応する位置の最前面に透過領域オブジェクトが設定されるものとなっている。
【0239】
透過領域オブジェクトは、RGB値を(31,31,31)とする完全に透明のオブジェクトであり、各フレーム期間で最優先でフレームバッファメモリ156への画像データの書き込みの処理が行なわれるものとなっている。透過領域オブジェクトの画像データの書き込みにより、透過領域(入賞判定領域)に対応する部分のZバッファに書き込まれているZ値は最前面の値を示す最小値となるので、演出データに応じた動画像や静止画像の画像データが透過領域(入賞判定領域)に対応する部分には書き込まれることがない。
【0240】
また、透過領域(入賞判定領域)を半透過状態とするための手法としては、白加算処理と半透明処理の2通りの方法があり、そのいずれかを適用することができる。演出データの種類の違いや、本来透過領域(入賞判定領域)以外の領域とともに一体的に表示される画像の状態に応じて、白加算処理と半透明処理の何れを実行するかを使い分けるものとしてもよい。ここで、本来の画像データにおけるRGB値を(Rs,Gs,Bs)とし、半透過状態にする処理を経た後の画像データにおけるRGB値を(Rd,Gd,Bd)で表わすものとする。
【0241】
白加算処理を行なう場合、透過領域(入賞判定領域)の画像データにおけるRGB値は、次のようにして算出される。
【0242】
Rd=Rs+16(if Rd>31 then Rd=31)
Gd=Gs+16(if Gd>31 then Gd=31)
Bd=Bs+16(if Bd>31 then Bd=31)
半透明処理を行なう場合、透過領域(入賞判定領域)の画像データにおけるRGB値は、次のようにして算出される(ただし、αは、半透明度を表すα値のことである)。
【0243】
Rd=16*α+Rs*(1-α)
Gd=16*α+Gs*(1-α)
Bd=16*α+Bs*(1-α)
図12は、液晶表示器51に表示される演出の画像の表示態様を説明する図である。図12(a)は、リール2L、2C、2Rの前面側に当たる透過領域(入賞判定領域)を非表示にも半透過にもしなかった場合の例を示す。デモ演出や履歴表示演出は、この状態で行なわれるが、図に示されるように、透過領域(入賞判定領域)に表示される画像(特に透過度の低い色の濃い画像が表示される場合)によっては、透過領域(入賞判定領域)の背面にあるリール2L、2C、2Rに描かれた図柄がほとんど視認できなくなってしまう。
【0244】
図12(b)は、リール2L、2C、2Rの前面側にある透過領域(入賞判定領域)を非表示にした場合の例を示す。スタートスイッチ7の操作からリール2L、2C、2Rの全てが回転停止して可変表示装置2に表示結果が導出されるまで(メダルの払い出しがある場合は払い出しを完了するまで)に演出が行なわれる場合は、この状態で画像の表示が行なわれる。ここでは、図に示されるように、透過領域(入賞判定領域)には画像が表示されずに透過領域(入賞判定領域)の背面にあるリール2L、2C、2Rに描かれた図柄が完全に透過して遊技者に視認されることとなる。
【0245】
図12(c)は、透過領域3L、3C、3Rの前面側にある透過領域(入賞判定領域)を半透過にした場合の例を示す。リール2L、2C、2Rの全てが回転停止して可変表示装置2に表示結果が導出された後(ただし、メダルの払い出しがある場合は払い出しを完了した後)に次のゲームでスタートスイッチ7が操作されるまでには、この状態で画像の表示が行なわれる。ここでは、図に示されるように、透過領域(入賞判定領域)を含む液晶表示器51の全領域で一体的に画像の表示による演出が行なわれるものの、透過領域(入賞判定領域)の背面にあるリール2L、2C、2Rに描かれた図柄がある程度透過して視認することができるようになる。
【0246】
サブ制御部91の制御により実行される演出のうちで、LED駆動回路93に出力する指令に基づいてリールLED55の点灯状態を変化させることによる演出として、入賞演出がある。
【0247】
入賞演出は、原則としていずれかの役が有効ラインに揃ったときに、有効ラインに揃った役の構成図柄に対応するリールLED55を点滅させることで入賞した役を報知する演出である。
【0248】
以下、この実施の形態にかかるスロットマシン1における処理について説明する。スロットマシン1においては、ゲームの処理が1ゲームずつ繰り返して行なわれることで遊技が進行されるものであるが、そのためには、遊技の進行が可能な状態となっていなければならない。遊技の進行が可能な状態であるためには、CPU41aを含むメイン制御部41が起動された状態で正常範囲の設定値が設定値ワーク41c-4に格納されており、RAM41cに格納されたデータに異常がないことが条件となる。
【0249】
図13は、遊技制御基板40のCPU41aが実行する起動処理を示すフローチャートである。この起動処理は、遊技制御基板40のリセット回路49からリセット信号が入力されてメイン制御部41が起動されたときに行なわれる処理である。なお、リセット信号は、電源投入時およびメイン制御部41の動作が停滞した場合に出力される信号であるので、起動処理は、電源投入に伴うメイン制御部41の起動時およびメイン制御部41の不具合に伴う再起動時に行なわれる処理となる。
【0250】
起動処理では、まず、内蔵デバイスや周辺IC、スタックポインタ等を初期化し(ステップS101)、RAM41cへのアクセスを許可する(ステップS102)。そして、設定キースイッチ37がONの状態か否かを判定する(ステップS103)。設定キースイッチ37がONでなければ、RAM41cに記憶されているデータのうちパリティ格納領域41c-7を除く全てのデータに基づいてRAMパリティを計算する(ステップS104)。
【0251】
次に、ここで計算したRAMパリティがパリティ格納領域41c-7に格納されているRAMパリティ、すなわち前回の電源断時に計算して格納されたRAMパリティと比較し(ステップS105)、双方のRAMパリティが一致したか否か、すなわちRAMに格納されているデータが正常か否かを判定する(ステップS106)。なお、本実施の形態では、RAMパリティによるRAM41cが正常か否かの判定は、起動処理においてのみ行なわれるようになっている。
【0252】
ステップS106においてRAMパリティが一致していなければ、RAM41cに格納されているデータが正常ではないので、図15に示すRAM異常エラー処理に移行する。RAMパリティが一致していれば、RAM41cに格納されているデータが正常であるので、スタック領域41c-6に格納されているレジスタを復帰する(ステップS107)。次に、電断前の状態でいずれかの特別役が当選しているか否かを判定し(ステップS107a)、電断前の状態でいずれかの特別役が当選している場合には、特別役の当選を示す電源投入コマンドを生成して、演出制御基板90に送信して(ステップS107b)、ステップS108の処理に進む。一方、電断前の状態でいずれの特別役も当選していない場合には、特別役の非当選を示す電源投入コマンドを生成して、演出制御基板90に送信して(ステップS107c)、ステップS108の処理に進む。ステップS108では、割込禁止を解除して、電源断前の処理に戻る。
【0253】
また、ステップS103において設定キースイッチ37がONの状態であれば、割込禁止を解除して(ステップS110)、図14に示す設定変更処理に移行する(ステップS111)。そして、設定変更処理の終了後、遊技の進行が可能な状態となってゲーム制御処理に移行する。
【0254】
図14は、CPU41aがステップS111で実行する設定変更処理を詳細に示すフローチャートである。設定変更処理では、まず、設定変更モード中である旨を示す設定変更フラグをRAM41cの所定の領域に設定し(ステップS201)、設定値ワーク41c-4に格納されている設定値(設定変更処理に移行する前に設定値ワーク41c-4の値は1に書き換えられているので、ここでは1である)を読み出す(ステップS202)。
【0255】
その後、リセット/設定スイッチ38およびスタートスイッチ7の操作の検出待ちの状態となる(ステップS203、S204)。ステップS203においてリセット/設定スイッチ38の操作が検出されると、ステップS202において読み出した設定値に1を加算し(ステップS205)、加算後の設定値が5であるか否か、すなわち正常範囲を越えたか否かを判定する(ステップS206)。加算後の設定値が5でなければ、再びステップS203、S204のリセット/設定スイッチ38およびスタートスイッチ7の操作の検出待ちの状態に戻る。加算後の設定値が5であれば、設定値を1に補正して(ステップS207)、再びステップS203、S204のリセット/設定スイッチ38およびスタートスイッチ7の操作の検出待ちの状態に戻る。
【0256】
ステップS204においてスタートスイッチ7の操作が検出されると、その時点で選択されている変更後の設定値を設定値ワーク41c-4に格納して設定値を確定する(ステップS208)。その後、設定キースイッチ37がOFFの状態となるまで待機する(ステップS209)。そして、ステップS209において設定キースイッチ37がOFFの状態になったと判定されると、ステップS201でセットした設定変更フラグを消去する(ステップS210)。次に、電断前の遊技状態がビッグボーナスであったか否かを判定する(ステップS211a)。ビッグボーナスでなかったときには、ステップS211cの処理に進む。一方、ビッグボーナスであったときには、特別ワーク41c-3に格納されている遊技状態フラグの値を初期遊技状態を示す値に更新し(ステップS211b)、ステップS211cの処理に進む。ステップS211cでは、RAM41cに格納されているデータ(スタック領域41c-6のうち使用中スタック領域のデータ、設定値ワーク41c-4に格納された設定値、および特別ワーク41c-3に格納されている遊技状態を示す値を除く)を初期化し(ステップS211c)、図13のフローチャートに復帰しゲーム制御処理に移行する。ステップS211a?S211cの処理により、設定変更処理が行なわれるときに、その設定が行なわれる前の遊技状態がビッグボーナスであったときには初期遊技状態に遊技状態を移行させる一方、その設定が行なわれる前の遊技状態が初期遊技状態またはRTであったときにはその遊技状態のまま復帰させる。
【0257】
図15は、遊技制御基板40のCPU41aが実行するRAM異常エラー処理を詳細に示すフローチャートである。RAM異常エラー処理では、ペイアウト表示器13を制御してRAM異常エラーコードをペイアウト表示器13に表示した後(ステップS301)、いずれの処理を行なわないループ処理に移行する。
【0258】
上記のように起動処理においては、設定キースイッチ37がONの状態でない場合に、電源断時に計算したRAMパリティと起動時に計算したRAMパリティとを比較することで、RAM41cに記憶されているデータが正常か否かを判定し、RAM異常エラー処理に移行する。RAM異常エラー処理では、RAM異常エラーコードをペイアウト表示器13に表示させた後、いずれの処理も行なわないループ処理に移行するので、ゲームの進行が不能化される。
【0259】
RAMパリティが一致しなければ、割込が許可されることがないので、一度RAM異常エラー処理に移行すると、設定キースイッチ37がONの状態で起動し、割込禁止が解除されるまでは、電源が遮断しても電断割込処理は行なわれない。すなわち、電断割込処理において新たにRAMパリティが計算されて格納されることはないので、メイン制御部41が起動しても設定キースイッチ37がONの状態で起動した場合を除き、常にRAMパリティは一致することがないので、メイン制御部41を起動させてゲームを開始(再開)させることができないようになっている。
【0260】
そして、RAM異常エラー状態に一度移行すると、設定キースイッチ37がONの状態で起動し、設定変更処理が行なわれてリセット/設定スイッチ38の操作により新たな設定値が選択・設定されるまで、ゲームの進行が不能な状態となる。すなわち、RAM異常エラー状態に移行した状態では、リセット/設定スイッチ38の操作により新たに設定値が選択・設定されたことを条件に、ゲームの進行が不能な状態が解除され、ゲームを開始(再開)させることが可能となる。なお、RAM異常エラー以外のエラー状態では、RAMパリティの不一致の問題がないため、リセットスイッチ23またはリセット/設定スイッチ38の操作でのみゲームの進行が不能な状態を解除し、ゲームを再開させることができる。
【0261】
以上のように遊技の進行が可能な状態となると、スロットマシン1においてゲームの処理が1ゲームずつ繰り返して行なわれることとなる。以下、スロットマシン1における各ゲームについて説明する。なお、スロットマシン1における“ゲーム”とは、狭義には、スタートスイッチ7が操作されてからリール2L、2C、2Rが停止するまでをいうものであるが、ゲームを行なう際には、スタートスイッチ7の操作前の賭数の設定や、リール2L、2C、2Rの停止後にメダルの払い出しや遊技状態の移行も行なわれるので、これらの付随的な処理も広義には“ゲーム”に含まれるものとする。なお、遊技制御基板40から演出制御基板90へのコマンドの送信は、本発明の説明に必要なものだけを説明し、そうでないコマンドの送信については、説明を省略する。
【0262】
図16は、遊技制御基板40のCPU41aが1ゲーム毎に行なうゲーム制御処理を示すフローチャートである。この処理は、電源を投入し、所定のブート処理を行なった後、またはリセット/設定スイッチ38の操作により設定変更を行なった直後にも実行される。1ゲームの処理が開始すると、まず、1枚BETスイッチ5またはMAXBETスイッチ6を操作することにより、あるいはメダル投入口4からメダルを投入することにより賭数を設定し、スタートスイッチ7を操作することにより当該ゲームの実質的な開始を指示するBET処理を行なう(ステップS401)。前のゲームでリプレイ入賞していた場合には、リプレイゲーム中フラグにより前のゲームと同じ賭数(この実施の形態では3)が自動設定される(この段階でリプレイゲーム中フラグが消去される)。なお、BET処理の詳細については後述する。
【0263】
BET処理により賭数が設定され、スタートスイッチ7が操作されると、内部抽選用の乱数を抽出し、抽出した乱数の値に基づいて遊技状態に応じて定められた各役への入賞を許容するかどうかを決定する抽選処理を行なう(ステップS402)。抽選処理では、RAM41cにおける当選フラグの設定状況を示す当選状況通知コマンドが演出制御基板90に送信される。なお、抽選処理の詳細については後述する。
【0264】
抽選処理が終了すると、次にリール回転処理が行なわれる(ステップS403)。リール回転処理では、前回のゲームでのリール2L、2C、2Rの回転開始から1ゲームタイマが計時する時間が所定時間(たとえば、4.1秒)が経過していることを条件に、リールモータ32L、32C、32Rを駆動させ、左、中、右の全てのリール2L、2C、2Rを回転開始させる。リール2L、2C、2Rの回転開始から所定の条件(回転速度が一定速度に達した後、リールセンサ333SL、3SC、3SRにより基準位置を検出すること)が成立すると、ストップスイッチ8L、8C、8Rを操作有効とする。その後、ストップスイッチ8L、8C、8Rが遊技者によって操作されることにより、リールモータ32L、32C、32Rを駆動停止させ、リール2L、2C、2Rの回転を停止させる。リール2L、2C、2Rの回転開始時、および回転停止時に、それぞれリール回転コマンド、リール停止コマンドが演出制御基板90に送信される。なお、リール回転処理の詳細については後述する。
【0265】
リール2L、2C、2Rの駆動がそれぞれ停止すると、その停止時における表示結果において、入賞ライン上に上記したいずれかの役図柄が導出表示されたかどうかを判定する入賞判定処理が行なわれる(ステップS404)。この入賞判定処理でいずれかの役に入賞したと判定されると、遊技制御基板40において発生した入賞に応じた各種の処理が行なわれる。ここで、入賞の判定結果を示す入賞情報コマンドが演出制御基板90に送られる。なお、入賞判定処理の詳細については後述する。
【0266】
入賞判定処理が終了すると、払出処理が行なわれる(ステップS405)。払出処理では、入賞判定処理において設定した払い出し予定数だけメダルの払出しまたはクレジット加算させる。ただし、データとして蓄積されているクレジットの数が50に達した場合は、ホッパーモータ34を駆動させることにより、超過した枚数のメダルをメダル払出口9から払い出させる。また、入賞に関わらない各種の処理(たとえば、ビッグボーナスの終了制御に関する処理や、持ち越しのない当選フラグの消去など)も行なわれる。なお、払出処理では、特別ワーク41c-3に格納されるビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)の当選フラグが消去されない。これにより、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)の当選フラグは、次のゲームに持ち越される。払出処理の最後、すなわち1ゲームの最後で次のゲームの遊技状態を示す遊技状態コマンドが演出制御基板90に送られる。なお、払出処理の詳細については後述する。そして、1ゲーム分の処理が終了し、次の1ゲーム分の処理が開始する。
【0267】
次に、上記したステップS401のBET処理について詳しく説明する。図17は、CPU41aがステップS401で実行するBET処理を詳細に示すフローチャートである。BET処理では、RAM41cにおいて賭数の値が格納されるBETカウンタの値をクリアする(ステップS501)。次に、前回のゲームのリプレイ入賞に基づくリプレイゲーム中フラグがRAM41cに設定されているかどうかにより、当該ゲームがリプレイゲームであるか否かを判定する(ステップS502)。
【0268】
当該ゲームがリプレイゲームであると判定された場合には、BETカウンタの値を1だけ加算し(ステップS503)、現在のBETカウンタの値を示すBETコマンドを生成して、演出制御基板90に送信する(ステップS504)。また、これによってBETカウンタの値が規定数(レギュラーボーナス中にリプレイは抽選されないため、S502でYESの場合は3)であるかどうかを判定する(ステップS505)。BETカウンタの値が規定数に達するまで、ステップS503、S504の処理を繰り返して行ない、BETカウンタの値が規定数に達すると、スタートスイッチ7の操作の検出待ちの状態で待機する(ステップS506)。スタートスイッチ7の操作が検出されると、図16のフローチャートに復帰する。
【0269】
当該ゲームがリプレイゲームでなければ、BETカウンタの値が規定数(すなわち、1または3)であるか否かを判定する(ステップS507)。BETカウンタの値が規定数であれば、RAM41cにおいてクレジットの値が格納されるクレジットカウンタの値が50であるか否かを判定する(ステップS508)。クレジットカウンタの値が50であれば、流路切替ソレノイド30をOFFの状態とし、メダルの流路を払出側として新たなメダルの投入を禁止する(ステップS509)。そして、ステップS511の処理に進む。BETカウンタの値が規定数でない場合、またはクレジットカウンタの値が50でない場合には、流路切替ソレノイド30をONの状態とし、メダルの流路をホッパータンク側としてメダルの投入が可能な状態とする(ステップS510)。そして、ステップS511の処理に進む。
【0270】
クレジットカウンタの値とBETカウンタの値の双方が0の場合、または精算スイッチ10の操作が検出されていなければ、投入メダルセンサ31により投入メダルの通過が検出されたかどうかを判定する(ステップS514)。投入メダルの通過が検出されていれば、BETカウンタの値が規定数(すなわち、1または3)であるか否かを判定する(ステップS515)。BETカウンタの値が規定数でなければ、BETカウンタの値を1だけ加算して(ステップS516)、現在のBETカウンタの値を示すBETコマンドを生成して、演出制御基板90に送信する(ステップS517)。そして、ステップS507の処理に戻る。
【0271】
BETカウンタの値が規定数であれば、クレジットカウンタの値が50であるか否かを判定する(ステップS518)。クレジットカウンタの値が50であれば、そのままステップS507の処理に戻る。クレジットカウンタの値が50でなければ、クレジットカウンタの値を1だけ加算する(ステップS519)。
【0272】
投入メダルの通過が検出されてない場合には、BETカウンタの値が規定数(すなわち、1または3)であるか否かを判定する(ステップS520)。BETカウンタの値が規定数であれば、スタートスイッチ7の操作が検出されたかどうかを判定する(ステップS521)。スタートスイッチ7の操作が検出されていなければ、ステップS507の処理に戻る。スタートスイッチ7の操作が検出されていれば、流路切替ソレノイド30をOFFの状態とし、メダルの流路を払出側として新たなメダルの投入を禁止する。また、1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6、精算スイッチ10の操作を無効とする(ステップS522)。そして、BET処理を終了して、図16のフローチャートに復帰する。
【0273】
BETカウンタの値が規定数でなければ、クレジットカウンタの値が0であるかどうかを判定する(ステップS523)。クレジットカウンタの値が0であれば、ステップS507の処理に戻る。クレジットカウンタの値が0でなければ、1枚BETスイッチ5により1枚BETスイッチ5の操作が検出されたかどうかを判定する(ステップS524)。1枚BETスイッチ5の操作が検出されていなければ、MAXBETスイッチ6によりMAXBETスイッチ6の操作が検出されたかどうかを判定する(ステップS525)。MAXBETスイッチ6の操作も検出されていなければ、ステップS507の処理に戻る。
【0274】
1枚BETスイッチ5の操作が検出されていれば、クレジットカウンタの値を1だけ減算し(ステップS526)、BETカウンタの値を1だけ加算して(ステップS527)、現在のBETカウンタの値を示すBETコマンドを生成して、演出制御基板90に送信する(ステップS528)。そして、ステップS507の処理に戻る。
【0275】
MAXBETスイッチ6の操作が検出されていれば、クレジットカウンタの値が0であるかどうかを判定する(ステップS529)。クレジットカウンタの値が0でなければ、クレジットカウンタの値を1だけ減算し(ステップS530)、BETカウンタの値を1だけ加算して(ステップS531)、現在のBETカウンタの値を示すBETコマンドを生成して、演出制御基板90に送信する(ステップS532)。ここで、BETカウンタの値が規定数(すなわち、1または3)になったかどうかを判定する(ステップS533)。BETカウンタの値が規定数であれば、ステップS507の処理に戻る。BETカウンタの値が規定数でなければ、ステップS529の処理に戻る。ステップS529でクレジットカウンタの値が0であると判定されると、ステップS507の処理に戻る。
【0276】
次に、ステップS513の精算処理について詳しく説明する。図19は、CPU41aがステップS513で実行する精算処理を詳細に示すフローチャートである。精算処理では、流路切替ソレノイド30をOFFの状態とし、メダルの流路を払出側として新たなメダルの投入を禁止する(ステップS601)。また、ホッパーモータ34をONの状態として駆動させる(ステップS602)。
【0277】
次に、BET数を精算するのか否かを判定する(ステップS603)。すなわち、BETカウンタの値が0であるか否かが判定され、0でないときにBET数を精算すると判定し、0であるときにBET数を精算しないと判定される。
【0278】
BET数を精算すると判定したときには、BETカウンタの値を1だけ減算し(ステップS609)、BETカウンタの値が0であるか否かを判定する(ステップS610)。ステップS610においてBETカウンタの値が0でないと判定されたときには、ステップS609へ移行され、BETカウンタの値が0であると判定されたときには、ステップS611へ移行される。なお、BETカウンタの値が0であると判定されたときに、BET解除コマンドを生成して、演出制御基板90に送信する。
【0279】
一方、BET数を精算しないと判定したときには、クレジットカウンタの値が0であるか否かを判定する(ステップS604)。クレジットカウンタの値が0であると判定されたときには、メダルを払い出すことなくそのまま精算処理を終了する。一方、クレジットカウンタの値が0でないと判定されたときには、クレジットカウンタの値を1だけ減算し(ステップS606)、クレジットカウンタの値が0になったか否かを判定する(ステップS607)。ステップS607においてクレジットカウンタの値が0になっていないと判定されたときには、ステップS606へ移行され、クレジットカウンタの値が0であると判定されたときには、ステップS611へ移行される。なお、クレジットカウンタの値が0であると判定されたときに、クレジット返却コマンドを生成して、演出制御基板90に送信する。
【0280】
ステップS611においては、ホッパーモータ34をOFFの状態として駆動を停止させる。そして、精算処理を終了して、元の処理に復帰する。
【0281】
次に、上記したステップS402の抽選処理について詳しく説明する。図20は、CPU41aがステップS402で実行する抽選処理を詳細に示すフローチャートである。抽選処理では、今回のゲームで設定されたBET数(賭数)を読み出す(ステップS701)。次に、読み出した階数が規定枚数(たとえば、1または3)であるかどうかを判定する(ステップS702)。読み出した賭数が規定枚数でないときには、RAM異常エラーとなり、図15に示したRAM異常エラー処理を行なうものとする。読み出した賭数が規定枚数であるときには、ステップS703の処理に進む。
【0282】
ステップS703では、RAM41cの設定値ワーク41c-4に記憶されている設定値を読み出す。ここで、読み出した設定値が本来とり得るべき値である1以上4以下の範囲にあるかどうかを判定する(ステップS704)。読み出した設定値が1以上4以下の範囲になければ、RAM異常エラーとなり、図15に示したRAM異常エラー処理を行なうものとする。
【0283】
読み出した設定値が1以上4以下の範囲にあれば、前述した当選役テーブルに登録されている抽選対象役のうち遊技状態に応じた抽選対象役を順番に読み出す(ステップS705)。次に、読み出した抽選対象の役について役別テーブルに登録されている共通フラグの設定状況を参照し(ステップS706)、共通フラグがON状態であるか否かを判定する(ステップS707)。
【0284】
共通フラグがON状態であれば、読み出した抽選対象役について遊技状態に対応して役別テーブルに登録されているアドレスに格納されている判定値数を取得する(ステップS708)。そして、ステップS710の処理に進む。共通フラグがON状態でなければ、RAM41cに設定されている設定値を読み出し、抽選対象の役について遊技状態および設定値に対応して役別テーブルに登録されているアドレスに格納されている判定値数を取得する(ステップS709)。そして、ステップS710の処理に進む。
【0285】
ステップS710では、ステップS708またはS709で取得した判定値数をRAM41cの判定領域に記憶された内部抽選用の乱数(乱数発生回路42から抽出された乱数、乱数発生回路42から抽出された乱数をソフトウェアにより所定の手順で加工された乱数、ステップS710において加算された乱数等を含む)の値に加算し、加算の結果を新たな内部抽選用の乱数の値とする。そして、判定値数を内部抽選用の乱数の値に加算したときにオーバーフローが生じたかどうかを判定する(ステップS711)。
【0286】
オーバーフローが生じていない場合には、抽選対象となる役のうちで未だ処理対象としていない役があるかどうかを判定する(ステップS712)。未だ処理対象としていない役があれば、ステップS705の処理に戻り、当選役テーブルに登録されている次の抽選対象役を処理対象として処理を継続する。処理対象としていない役がなければ、ステップS721の処理に進む。
【0287】
オーバーフローが生じた場合には、ステップS720に移行する。ステップS720においては、ステップS705で読出した抽選対象役の当選フラグをON状態に設定する。読み出した抽選対象役が複数の入賞役であった場合には、当該複数の入賞役各々の当選フラグがON状態に設定される。抽選対象役がビッグボーナスを含む場合であって、RT1?RT4に制御されていることおよび制御されているRTの残りゲーム回数を示すRT1?RT4カウンタの値が設定されている場合には0に初期化して、RT5に制御されていることを示すRT5カウンタの値を1にセットしてRT5に遊技状態を制御される。なお、各種フラグおよび各種カウンタの値は、RAM41cの所定領域において記憶・更新される。
【0288】
ステップS721では、RAM41cにおける当選フラグの設定状況に応じて当選状況通知コマンドを生成し、これを演出制御基板90に送信する。そして、抽選処理を終了して、図16のフローチャートに復帰する。
【0289】
次に、ステップS403のリール回転処理について詳しく説明する。図21は、CPU41aがステップS403で実行するリール回転処理を詳細に示すフローチャートである。リール回転処理では、まず、前のゲームのリール回転開始時点からウェイトタイム(たとえば、約4.1秒)が経過したか否かを判定し(ステップS801)、ウェイトタイムが経過していなければ、ウェイトタイムが経過するまで待機する。ウェイトタイムが経過していれば、ウェイトタイムを新たに設定してその計時を新たに開始する(ステップS802a)。なお、ウェイトタイムは、RAM41cの所定領域において記憶された値を所定間隔で減算更新することにより計時される。
【0290】
次に、リールモータの回転開始時のワーク初期化コードをレジスタに設定し、リールの回転を開始させる(ステップS803)。ここで、リール2L、2C、2Rが回転開始したことを示すリール回転コマンドを生成し、演出制御基板90に送信する(ステップS804)。そして、テーブルインデックスを参照して、テーブル作成用データを特定し、特定したテーブル作成用データに基づいて、当該ゲームの遊技状態、内部当選状況、他のリールの停止状況に対応する停止制御テーブルを、回転中のリール別に作成し(ステップS805)、停止準備完了時のワーク初期化コードをレジスタに設定する(ステップS806a)。これにより、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が有効となる。
【0291】
次に、ストップスイッチ8L、8C、8Rのいずれかの有効な操作が検出されたか否かを判定する(ステップS807)。いずれのストップスイッチの操作も検出されていなければ、リール回転エラー(一定期間以上、リールセンサ33によりリール基準位置が検出されない場合に判定されるエラー)が発生したか否かを判定する(ステップS808)。リール回転エラーが発生していなければ、ステップS807に戻る。
【0292】
また、ステップS808においてリール回転エラーの発生が判定された場合には、リール回転エラーを示すエラーコードをレジスタに設定し(ステップS809)、所定のエラー処理に移行する(ステップS810b)。これに伴い、リール2L、2C、2Rの回転も一時的に停止する。そして、エラーが解除された場合には、再びステップS803に戻り、リール2L、2C、2Rの回転が再開する。
【0293】
ステップS807においてストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出された場合には、操作されたストップスイッチに対応するリールモータ(32L、32C、32Rのいずれか)における、その時点のリール基準位置からのステップ数(停止操作位置)を取得し、該当するリールの停止制御テーブルを参照して引込コマ数を特定して、停止位置を停止リールに対応するワークに設定する(ステップS811)。ここで、停止されるリールの種類および該リールについて停止される図柄を示すリール停止コマンドを生成し、演出制御基板90に送信する(ステップS812)。その後、操作されたストップスイッチに対応するリール(2L、2C、2Rのいずれか)の回転が停止するまで待機する(ステップS813)。
【0294】
そして、操作されたストップスイッチに対応するリール(2L、2C、2Rのいずれか)の回転が停止すると、リール2L、2C、2Rの全てが停止したか否かを判定し(ステップS814)、全てのリール2L、2C、2Rの回転が停止していなければ、ステップS805に戻る。全てのリール2L、2C、2Rの回転が停止していれば、リール回転処理を終了して、図16のフローチャートに復帰する。
【0295】
次に、上記したステップS404の入賞判定処理について詳しく説明する。図22は、CPU41aがステップS404で実行する入賞判定処理を詳細に示すフローチャートである。入賞判定処理では、遊技状態に応じた入賞対象役を最初から順に読み出す(ステップS901)。次に、当該読み出した役の図柄組合せが5本の入賞ラインL1?L5のうちのいずれかに揃っているかどうかを判定する(ステップS902)。
【0296】
当該役の図柄組合せが揃っていれば、当該役の入賞フラグをRAM41cに設定して(ステップS903)、ステップS904の処理に進む。当該役の図柄組合せが揃っていなければ、そのままステップS904の処理に進む。ステップS904では、当該遊技状態に応じた役のうちで未だ入賞判定の対象としていない役があるかどうかを判定する。未だ入賞判定の対象としていない役があれば、ステップS901の処理に戻り、当該遊技状態に応じた次の役を読み出すものとする。
【0297】
当該遊技状態に応じた役の全てを入賞判定の対象としていれば、次に、RAM41cにリプレイの入賞フラグが設定されているかどうかにより、リプレイ入賞したかどうかを判定する(ステップS905)。
【0298】
リプレイ入賞していなければ、RAM41cにビッグボーナス(1)の入賞フラグが設定されているかどうかにより、ビッグボーナス(1)入賞したかどうかを判定する(ステップS906)。ビッグボーナス(1)入賞していれば、RAM41cにおいて、ビッグボーナス(1)中フラグをON状態に設定すると共に、ビッグボーナス(1)当選フラグをOFF状態に設定する。また、RAM41cに設定されているRT5カウンタの値を初期化してRTを終了させて、残り払出枚数を示すボーナスカウンタ(Bカウンタ)の値を270に設定する(ステップS907)。なお、ステップS907においては、さらに、ビッグボーナス(1)入賞後にフリーズ状態に制御するための、ボーナス入賞時演出待ち時間を設定する。そして、ステップS913の処理に進む。また、ビッグボーナス(1)中フラグがON状態に設定されている期間は、レギュラーボーナスに制御される。
【0299】
ビッグボーナス(1)入賞していなければ、RAM41cにビッグボーナス(2)の入賞フラグが設定されているかどうかにより、ビッグボーナス(2)入賞したかどうかを判定する(ステップS908)。ビッグボーナス(2)入賞していれば、RAM41cにおいて、ビッグボーナス(2)中フラグをON状態に設定すると共に、ビッグボーナス(2)当選フラグをOFF状態に設定する。また、RAM41cに設定されているRT5カウンタの値を初期化してRTを終了させて、残り払出枚数を示すボーナスカウンタの値を270に設定する(ステップS909)。なお、ステップS909においては、さらに、ビッグボーナス(2)入賞後にフリーズ状態に制御するための、ボーナス入賞時演出待ち時間を設定する。そして、ステップS913の処理に進む。また、ビッグボーナス(2)中フラグがON状態に設定されている期間は、レギュラーボーナスに制御される。ビッグボーナス(2)入賞していなければ、ステップS913の処理に進む。
【0300】
ステップS905においてリプレイに入賞していれば、ステップS912でRAM41cにおいてリプレイゲーム中フラグをON状態に設定することによりリプレイゲームを設定する。このリプレイゲーム中フラグは、次のゲームで賭数が自動設定されると消去されるものとなる。そして、ステップS913の処理に進む。
【0301】
ステップS913では、RAM41cにおいてON状態に設定されている入賞フラグ(但しはずれの場合は入賞フラグの設定はない)に基づいて入賞した役の種類、および当該入賞に伴って払出されるメダルの枚数を示す入賞情報コマンドを生成して、演出制御基板90に送信する。そして、入賞判定処理を終了して、図16のフローチャートに復帰する。
【0302】
次に、上記したステップS405の払出処理について詳しく説明する。図23は、CPU41aがステップS405で実行する払出処理を詳細に示すフローチャートである。払出処理では、まず、RAM41cにおいてON状態に設定されている入賞フラグを読み出し(ステップS1001)、ステップS1002に移行される。ステップS1002においては、ステップS1001において読み出された入賞フラグが、12枚A?12枚C、メロン、オレンジA?X、およびチェリーA?Xのうちの小役の入賞フラグであるか否かを判定することにより、メダルの払い出しを伴う小役入賞があったかどうかを判定する(ステップS1002)。小役入賞していなければ、そのままステップS1009の処理に進む。
【0303】
小役入賞していれば、ホッパー80を制御することにより、当該枚数のメダルの払い出し、またはクレジット加算され(ステップS1003)、払出数がカウントされる(ステップS1004)。ステップS1004においてカウントされた払出数は、RAM41cにおいて記憶される。そして、ステップS1009の処理に進む。
【0304】
ここで、ステップS1002で小役入賞していないと判定されるか、ステップS1004で払出数がカウントされることで、1ゲームが終了したものと判定されることとなる。すなわち、小役入賞していた場合には、メダルの払い出しが終了し払出数がカウントされた時点でゲームの終了と判定されるが、小役入賞していないときには、メダルの払い出しをせずに全リールの回転が停止された時点でゲームの終了と判定されるのと同じことになる。
【0305】
ステップS1009では、RAM41cにボーナス中フラグがON状態に設定されているかどうかにより、現在の遊技状態がビッグボーナス中(ここではビッグボーナスに当選したゲームを除く)であるか否かを判定する。現在の遊技状態がビッグボーナス中でなければ、ステップS1011へ移行する。
【0306】
ステップS1011においては、RT1?RT4に制御されていることおよび制御されているRTの残りゲーム回数を示すRT1カウンタ?RT4カウンタのうちすべての値が0であるか否か、すなわち、RT1?RT4のいずれにも制御されていないかが判定される。RT1カウンタ?RT4カウンタのうちいずれかの値が0でない、すなわちRT1?RT4のいずれかに制御されていると判定されたときには、対応するRTカウンタの値を1だけ減算しステップS1023へ移行する。なお、ステップS1012で減算された結果、対応するRTカウンタの値が0になれば、当該RTが終了し、初期遊技状態に移行される。RT1カウンタ?RT4カウンタのうちすべての値が0である、すなわちRT1?RT4中でないと判定されたときには、ステップS1005へ移行する。
【0307】
ステップS1005では、RT5カウンタの値に基づき、RT5中であるか否かを判定する。RT5中であると判定されたときには、ステップS1023へ移行する。RT5中でないと判定されたときには、オレンジA?Xのうちいずれかが入賞したか否かが判定される(ステップS1011a)。オレンジA?Xのうちいずれかが入賞していると判定されたときには、オレンジXが入賞したか否かが判定される(ステップS1011b)。オレンジXが入賞したと判定されたときには、ステップS1011cにおいて、前述したRT2カウンタの値に規定ゲーム数の10を設定し、ステップS1023へ移行される。一方、オレンジXが入賞していないと判定されたときには、オレンジA?Hのいずれかが入賞しているため、ステップS1011dにおいて、前述したRT1カウンタの値に規定ゲーム数の500を設定し、ステップS1023へ移行される。
【0308】
オレンジA?Xのうちいずれも入賞していないと判定されたときには、チェリーA?Xのうちいずれかが入賞したか否かが判定される(ステップS1011e)。チェリーA?Xのうちいずれかが入賞していると判定されたときには、チェリーXが入賞したか否かが判定される(ステップS1011f)。チェリーXが入賞したと判定されたときには、ステップS1011gにおいて、前述したRT4カウンタの値に規定ゲーム数の10を設定し、ステップS1023へ移行される。一方、チェリーXが入賞していないと判定されたときには、チェリーA?Hのいずれかが入賞しているため、ステップS1011hにおいて、前述したRT3カウンタの値に規定ゲーム数の330を設定し、ステップS1023へ移行される。
【0309】
一方、ステップS1009において現在の遊技状態がビッグボーナス中であると判定されたときには、RAM41cのボーナスカウンタの値からステップS1004においてカウントされた払出数を差引いた値を、ボーナスカウンタの値として更新し、払出数のカウンタの値をクリアして初期化する(ステップS1010)。ステップS1013へ移行する。なお、ステップS1010では、RAM41cのカウンタを用いて、当該ボーナスにおけるゲーム数および入賞数をカウントする。
【0310】
ステップS1013においては、ボーナスカウンタの値が0であるか否かが判定される。すなわち、ボーナスに対応して予め定められた払出枚数分のメダルが払い出されたか否かが判定される。ボーナスカウンタの値が0でないと判定されたときには、ステップS1023へ移行される。一方、ボーナスカウンタの値が0であると判定されたときには、ビッグボーナス(1)中であるか否かが判定される(ステップS1014)。ビッグボーナス(1)中であると判定されたときには、ビッグボーナス(1)中フラグをOFF状態に設定し、ビッグボーナスにおけるゲーム数および入賞数をカウントするためのカウンタの値をクリアして初期化し(ステップS1015)、ステップS1023へ移行される。なお、ステップS1015においては、さらに、ビッグボーナス(1)の終了後にフリーズ状態に制御するための、エンディング演出待ち時間を設定する。ステップS1014においてビッグボーナス(1)中でないと判定されたときには、ステップS1017へ移行される。
【0311】
ステップS1017では、ビッグボーナス(2)中であるか否かが判定される。ビッグボーナス(2)中であると判定されたときには、ビッグボーナス(2)中フラグをOFF状態に設定し、ビッグボーナスにおけるゲーム数および入賞数をカウントするためのカウンタの値をクリアして初期化し(ステップS1018)、ステップS1023へ移行される。なお、ステップS1018においては、さらに、ビッグボーナス(2)の終了後にフリーズ状態に制御するための、エンディング演出待ち時間を設定する。ステップS1017においてビッグボーナス(2)中でないと判定されたときには、ステップS1023へ移行される。なお、ビッグボーナスに入賞したときに、ステップS907またはS909においてRT5カウンタの値が初期化されているため、ビッグボーナス終了後は、初期遊技状態に制御される。
【0312】
ステップS1023においては、RAM41cにおけるビッグボーナス(1)中フラグ、ビッグボーナス(2)中フラグ、およびRTカウンタに基づいて、次のゲームで適用される遊技状態を示す遊技状態コマンドを生成して、演出制御基板90に送信する(ステップS1023)。そして、払出処理を終了して、図16のフローチャートに復帰し、1ゲームの処理が終了する。
【0313】
以上のようなゲームの繰り返しにおいて、遊技制御基板40のCPU41aは、初期遊技状態、RT1?RT5、ビッグボーナスの間で遊技状態の移行を行なっており、遊技の進行状況に応じてコマンドを演出制御基板90に送信している。これに対して、演出制御基板90のCPU91aは、遊技制御基板40から受信したコマンドに基づいて、独自の演出を行なっている。
【0314】
次に、本実施の形態におけるサブ制御部91のCPU91aが実行する各種制御内容を、図24?図33に基づいて以下に説明する。
【0315】
演出制御基板90では、電源基板100から電源電圧の供給を受けると、サブ制御部91が起動する。図24は、サブ制御部91のCPU91aが実行する演出制御メイン処理を示すフローチャートである。演出制御メイン処理を開始すると、まず、所定の演出初期設定処理を実行する(Ss1)。演出初期設定処理の詳細については後述する。
【0316】
演出初期設定処理を終了すると、たとえばサブ制御部91の内部状態などといった演出制御基板90における制御状態を電力供給停止時の状態に復旧させるための演出制御復旧処理を実行する(Ss2)。演出制御復旧処理の詳細についても後述する。
【0317】
演出制御復旧処理を実行した後には、割込禁止としてから(Ss3)、演出側乱数値更新処理を実行して(Ss4)、割り込みを許可する(Ss5)という、一連の処理を繰り返して実行する。Ss4にて実行される演出側乱数値更新処理は、演出制御基板90の側で用いられる乱数値の全部または一部をソフトウェアにより更新するための処理である。
【0318】
図25は、図24のSs1においてサブ制御部91のCPU91aが実行する演出初期設定処理を詳細に示すフローチャートである。演出初期設定処理では、まず、割込禁止に設定し(Ss101)、割り込みモードの設定を行なう(Ss102)。
【0319】
次に、スタックポインタの指定アドレスの設定など、スタックポインタに関わる設定を行なう(Ss103)。また、サブ制御部91における内蔵デバイスレジスタの設定(初期化)を行なう(Ss104)。そして、サブ制御部91における内蔵周辺回路であるCTC(カウンタ/タイマ)およびPIO(パラレル入出力ポート)の設定(初期化)を行なう(Ss105)。その後、RAM91cをアクセス可能に設定する(Ss106)。
【0320】
この後、たとえば、VDP141に所定の初期化信号を送信してから、VDP141の内蔵レジスタにセットするための初期設定データを送信するなどといったVDP141の初期設定を行なう(Ss107)。これにより、VDP141では、サブ制御部91から受信した初期化信号や初期化データなどに基づき、たとえば、一時記憶メモリ155やフレームバッファメモリ156の記憶内容を初期化したり、転送制御回路152や描画回路154或いは動画像用デコーダ158などにより実行中の処理や初期化を中断したり、液晶表示器51の表示画面に対応したフレームバッファメモリ156における記憶領域の割り当てを行なって表示領域を設定したり、液晶表示器51における表示画像の更新周期を設定すると行なった各種設定動作のうちの少なくとも1つを実行する。
【0321】
次に、たとえばROM91bに記憶されている乱数初期設定データに基づき乱数回路134の動作設定を行なうなど演出制御基板90の側で用いられる乱数値を生成するための設定を行なう(Ss108)。さらに、たとえばROM91bに記憶されている割り込み初期設定データに基づきリセット/割込コントローラの設定やCTCのレジスタ設定を行なうことなどにより割り込みの設定を行なう(Ss109)。これにより、サブ制御部91では、所定時間(たとえば、2ミリ秒)毎に演出動作を制御するためのタイマ割込が発生することになる。そして、演出初期設定処理を終了する。
【0322】
図26は、図24のSs2においてサブ制御部91のCPU91aが実行する演出制御復旧処理を詳細に示すフローチャートである。まず、RAM91cのデータチェックを行ない、チェック結果が正常であるか否かを判定する(Ss201)。ここでの処理では、たとえば、RAM91cの所定領域における記憶データを用いてチェックサムを算出し、算出されたチェックサムとRAM91cの演出制御バッファ設定部に設けられた演出チェックサムバッファに記憶されているチェックサムとを比較する。演出チェックサムバッファには、前回の電力供給停止時に同様の処理によって算出されたチェックサムが記憶されている。この演出チェックサムバッファは、バックアップ電源によってバックアップされるRAM91cのバックアップ領域に含まれており、電力供給が停止した場合でも、所定期間は演出チェックサムバッファの内容が保存されることとなる。算出されたチェックサムと演出チェックサムバッファに記憶されているチェックサムとの比較結果が不一致であれば、チェック結果が正常でないと判断される。
【0323】
RAM91cのデータのチェック結果が正常である場合には、RAM91cの演出制御フラグ設定部に設けられた演出バックアップフラグがONとなっているか否かを判定する(Ss202)。演出バックアップフラグの状態は、電力供給が停止するときに、演出制御フラグ設定部に設定される。そして、この演出バックアップフラグの設定箇所がバックアップ電源によってバックアップされることで、電力供給が停止した場合でもバックアップフラグの状態は保存されることとなる。
【0324】
演出バックアップフラグがONであるときには、演出バックアップフラグをクリアしてOFF状態とし(Ss203)、その後にサブ制御部91の内部状態などを電力供給が停止されたときの状態に戻すための復旧時における設定を行なう(Ss204)。たとえば、ROM91bに格納されているバックアップ時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し、バックアップ時テーブルの内容を順次RAM91c内の作業領域に設定する。ここで、RAM91cの作業領域がバックアップ電源によってバックアップされている場合には、バックアップ時設定テーブルには、作業領域のうちで初期化してもよい領域についての初期化データが設定されていればよい。続いて、バックアップ電源によりバックアップされるRAM91cのバックアップ領域から、制御状態を復旧させるための演出バックアップ用データを読み出し、その読み出しデータに応じてCPU91aの内蔵レジスタやRAM91cの作業領域の設定を、サブ制御部91が再起動される以前の状態に復旧させる。
【0325】
この後、ステップSs204での設定に基づき、たとえばVDP141に復旧後の状態に応じた表示制御指令を送信することなどにより、VDP141における各種制御の再開設定を行なう(Ss205)。なお、Ss205の処理を実行した後には、たとえば、Ss204における制御状態の復帰によりプログラムカウンタに設定された対比値に対応する処理に復帰するようにすればよい。
【0326】
また、Ss201でRAM91cのデータのチェック結果が異常である場合や、Ss202で演出バックアップフラグがOFFである場合には、RAM91cの初期化を行なう(Ss206)。RAM91cの初期化に続いて、サブ制御部91の内部状態などを初期状態とするための初期化時における設定を行なう(Ss207)。
【0327】
なお、演出制御復旧処理では、メイン制御部41から電源投入コマンドを受信したときに、特別役の当選を示す電源投入コマンドであれば液晶表示器51などによって特別役の当選を示す告知演出を実行し、その後その特別役が入賞するまで継続する制御を行なうのに対して、特別役の非当選を示す電源投入コマンドであれば、演出制御復旧処理を終了する。
【0328】
また、演出制御復旧処理では、電源投入コマンドか、初期化コマンドを受信するまでは、演出バックアップが正常であってもその演出状態に復帰することもなく、他のコマンドを受信してもそれに応じて演出の制御は行なわないようになっている。このため、起動時にメイン制御部41とサブ制御部91のコマンド送信ラインを非接続とし、その後メイン制御部41とサブ制御部91とを接続しても、サブ制御部91は、電源投入コマンドや初期化コマンドを受信していないため、演出の制御が行なわれることはなく、起動時にメイン制御部41とサブ制御部91のコマンド送信ラインを非接続としても、サブ制御部91側で電源投入コマンドの受信を回避し、特別役の当選を示す告知演出の実行を回避することは不可能である。
【0329】
すなわち、メイン制御部41の起動時に電断前の状態に復帰し、かつ電断前から特別役が当選している場合には、特別役の当選を示す電源投入コマンドを送信し、特別役の当選を示す電源投入コマンドをサブ制御部91が受信すると、特別役の当選を示す告知演出を実行するとともに、サブ制御部91側で電源投入コマンドの受信を回避し、特別役の当選を示す告知演出の実行を回避することは不可能であるため、このようにメイン制御部41の起動時に電断前の状態に復帰し、かつ電断前から特別役が当選している場合には、必ず特別役の当選が報知されることとなる。
【0330】
また、サブ制御部91では、Ss109での割り込みの設定によって所定の時間間隔(たとえば、2ミリ秒)で演出の進行を制御するための割り込みが発生し、リセット/割込コントローラによりRAM91cのタイマ割込フラグがON状態にセットされる。図27は、タイマ割込フラグがON状態にセットされたことに応答して、サブ制御部91のCPU91aが実行する演出制御割り込み処理を示すフローチャートである。
【0331】
演出制御割り込み処理では、まず、タイマ割込フラグをクリアしてOFF状態とし(Ss301)、内部レジスタの内容を退避する(Ss302)。次に、詳細を後述する演出バックアップ処理を実行して、サブ制御部91が再起動された場合に再起動の以前における制御状態を復旧させるために必要なデータのバックアップを行なう(Ss303)。そして、I/Oポート91dに含まれる所定の出力ポートに初期化信号をON状態とするための制御データをセットすることなどにより、リセット回路95をクリアする(Ss304)。
【0332】
次に、遊技制御基板40から送信された各種コマンドを解析するためのコマンド解析処理を実行し(Ss305)、さらに詳細を後述する演出制御処理を実行する(Ss306)。この演出制御処理により、スロットマシン1における遊技の進行状況に応じて、液晶表示器51への画像の表示させるとともに、スピーカ53、54から遊技音を発生させるなどによる各種演出が行なわれる。次に、後述する音量調節処理を実行する(Ss306a)。この音量調節処理により、スロットマシン1における遊技の進行状況に応じて、スピーカ53、54から発生させる遊技音の音量が調節される。次に、演出側乱数値更新処理が行なわれて、演出制御基板90の側にて乱数回路(図示略)等によりカウントされる各種の乱数値が更新される(Ss307)。その後、Ss302で退避したレジスタの内容を復帰させてから(Ss308)、演出制御割り込み処理を終了する。
【0333】
図28は、図27のSs303においてサブ制御部91のCPU91aが実行する演出バックアップ処理を詳細に示すフローチャートである。演出バックアップ処理においては、RAM91cの所定領域における記憶データなどを用いて、演出バックアップ用のデータの設定を行なう(Ss401)。ここで、たとえばRAM91cの演出フラグ設定部に設けられた各種フラグの値やRAM91cの演出制御タイマ設定部に設けられた各種タイマの値によりサブ制御部91での制御状態や表示制御回路92での各種処理の進行状況が特定できるのであれば、これらのフラグやタイマの値を示すデータにより、演出バックアップ用データを構成すればよい。また、たとえばCPU91aの内蔵レジスタ(たとえば、プログラムカウンタ)の格納値などからサブ制御部91の制御状態や表示制御回路92での各種処理の進行状況が特定できるのであれば、こうした内蔵レジスタの格納値を示すデータにより、演出バックアップ用データを構成すればよい。或いは、フラグやタイマの値を示すデータと内蔵レジスタの格納値を示すデータとを組合せることにより、演出バックアップデータを構成してもよい。その他にも、サブ制御部91での制御状態や表示制御回路92での各種処理の進行状況を特定して再起動後に復旧可能とする任意のデータが、演出バックアップ用データに含まれていてもよい。
【0334】
次に、たとえばRAM91cの所定領域における記憶データを用いてチェックサムを算出することなどにより、チェックデータを作成する(Ss402)。そして、RAM91cの演出制御フラグ設定部に設けられた演出バックアップフラグをON状態にセットして(Ss403)、演出バックアップ処理を終了する。なお、RAM91cの一部がバックアップ電源によってバックアップされる場合には、Ss401にて作成した演出バックアップ用データや、Ss402で作成したチェックデータ、Ss403でON状態に設定した演出バックアップフラグを示すデータなどを、演出バックアップ処理の終了時にRAM91cのバックアップ領域に記憶させるようにすればよい。
【0335】
図29は、サブ制御部91のCPU91aが図27のSs306およびSs306aにおいて実行する演出制御処理および音量調節処理の一例を示すフローチャートである。
【0336】
図29(a)は、演出制御処理を示すフローチャートである。演出制御処理では、CPU91aは、後述するデモ期間である場合に、デモ演出を実行するデモ演出実行処理を行ない(ステップSs501)、その他の処理を行なう(ステップSs504)。デモ期間とは、たとえば、連続演出中およびボーナス中演出実行中を除く期間であって、ゲーム終了後所定時間(たとえば30秒)経過してからBETコマンドを新たに受信するまでの期間をいう。これにより、たとえば、デモ期間になるとBETコマンドを新たに受信するまで、所定のデモ演出が実行される。
【0337】
デモ演出を開始する場合、CPU91aは、デモ演出開始を指令するデモ演出開始信号を表示制御回路92に出力する。表示制御回路92は、デモ演出開始信号を受信すると、デモ演出を行なうための演出データをCGROM142から読み出し、一時記憶メモリ155に記憶し、描画回路154によりフレームバッファメモリ156に描画された画像データが表示回路157により液晶表示器51に所定のデモ演出を開始する。
【0338】
一方、演出制御処理では、デモ期間以外である場合に、遊技状態に応じた遊技演出(連続演出を含む)を実行する遊技演出実行処理が行なわれる(ステップSs502)。また、所定の報知条件成立時に、当選役を報知するナビ演出を実行するナビ実行処理を行ない(ステップSs503)、その他の処理を行なう(ステップSs504)。所定の報知条件とは、たとえば、12枚A?12枚C、オレンジ、およびチェリーのうちいずれかに当選し、かつ、初期遊技状態に制御されてから12枚A?12枚C、オレンジ、およびチェリーのうちいずれかに当選した回数が3回以内であることをいう。
【0339】
遊技演出を開始する場合、CPU91aは、対応する遊技演出開始を指令する遊技演出開始信号を表示制御回路92に出力する。表示制御回路92は、遊技演出開始信号を受信すると、対応する遊技演出を行なうための演出データをCGROM142から読み出し、一時記憶メモリ155に記憶し、描画回路154によりフレームバッファメモリ156に描画された画像データが表示回路157により液晶表示器51に対応する遊技演出を開始する。一時記憶メモリ155に連続演出を行なうための演出データが記憶されている場合には、当該連続演出が終了するまでの間、たとえばBETされることなくゲームが所定時間行なわれていない場合であっても、表示制御回路92は、一時記憶メモリ155にデモ演出を行なうための演出データが記憶されることがないように、一時記憶メモリ155への書き込みを禁止してデモ演出等その他の演出を行なわない。
【0340】
また、その他の処理においては、たとえば、遊技演出に応じた遊技音をスピーカ53、54から発生させるための処理が行なわれる。スピーカ53、54から遊技音を発生する演出を行なう場合、CPU91aは、音声出力回路94に遊技演出に応じた遊技音を発生させるための指令信号を出力する。
【0341】
また、その他の処理においては、たとえば、連続演出中およびボーナス中演出実行中を除く期間であってゲームが行なわれていない期間に、遊技者の選択スイッチ56および決定スイッチ57の操作に基づいて、所定の遊技履歴を液晶表示器51に表示させる履歴表示演出を実行する履歴表示演出実行処理が行なわれる。なお、連続演出を実行している間は、選択スイッチ56および決定スイッチ57の操作を無効化して、履歴表示演出が実行されないように制御している。
【0342】
ここで、サブ制御部91のCPU91aが実行する遊技演出実行処理およびナビ実行処理の内容について、図30に示すタイミングチャートに基づいて説明する。
【0343】
図30においては、横軸によって時間の経過が示され、縦軸の上から、(a)欄では遊技状態が示され、(b)欄では遊技演出が示され、(c)欄では高確率連続演出中の12枚A?12枚C、オレンジ、およびチェリーの当選状況が示され、(d)欄ではナビ演出の実行が示されている。なお、図30中の下欄に示す丸付き数字は、(a)?(d)のそれぞれにおけるタイミングを示しており、以下、単に数字で、タイミング1?タイミング13と表示する。
【0344】
タイミング1は、ビッグボーナスが終了したとき、およびRT1?RT4のいずれかで規定ゲーム数消化してRTが終了したときのうちいずれかのタイミングを示している。タイミング1では、(a)欄で示されるように初期遊技状態に制御され、(b)欄で示されるように初期遊技状態中に行なわれる高確率連続演出が行なわれている。
【0345】
タイミング2は、初期遊技状態中にビッグボーナスに入賞してボーナス中演出が開始されたときのタイミングを示している。タイミング2では、(a)欄で示されるようにボーナスに制御され、(b)欄で示されるようにボーナス中演出が開始されている。
【0346】
タイミング3は、ビッグボーナスが終了したときのタイミングを示している。タイミング3では、(a)欄で示されるように初期遊技状態に再度制御され、(b)欄で示されるように高確率連続演出が開始されている。
【0347】
タイミング4は、初期遊技状態に制御されてからはじめて12枚A?12枚C、オレンジ、およびチェリーのうちいずれかに当選したときのタイミングを示している。タイミング4では、(c)欄で示されるように12枚A?12枚C、オレンジ、およびチェリーのうちいずれかに当選し、(d)欄で示されるように当選した入賞役を報知するナビ演出が実行されている。
【0348】
タイミング5は、12枚A?12枚C、オレンジ、およびチェリーのうちいずれかに当選したときであって、当該当選が初期遊技状態に制御されてから3回目の当選であるときのタイミングを示している。タイミング5では、(c)欄で示されるように12枚A?12枚C、オレンジ、およびチェリーのうちいずれかに当選し、(d)欄で示されるように当選した入賞役を報知するナビ演出が実行されている。タイミング4?タイミング5の間に、12枚A?12枚C、オレンジ、およびチェリーのうちいずれかに3回当選しているが、当該3回の当選に関しては、すべてナビ演出が行なわれる。これにより、12枚A?12枚C、オレンジ、およびチェリーのうちいずれかに3回当選するまでは、遊技者は、オレンジやチェリーに入賞させないように、初期遊技状態を維持し遊技を行なうことができる。
【0349】
タイミング6は、12枚A?12枚C、オレンジ、およびチェリーのうちいずれかに当選したときであって、当該当選が初期遊技状態に制御されてから4回目の当選であるときのタイミングを示している。タイミング6では、(d)欄で示されるように当選した入賞役を報知するナビ演出が実行されていない。
【0350】
なお、12枚A?12枚C、オレンジ、およびチェリーのうちいずれかに当選したときであって、当該当選が初期遊技状態に制御されてから4回目以上の当選であるときであっても、所定確率に従ってランダムにナビ演出を行なうか否かを決定して実行するように構成してもよい。
【0351】
また、12枚A?12枚C、オレンジ、およびチェリーのうちいずれかに当選したときであって、当該当選が初期遊技状態に制御されてから4回目以上の当選であるときには、12枚A?12枚C、オレンジ、およびチェリーのうちいずれかに当選している旨を報知する演出(たとえば、当選役に関わらず所定のキャラクタを出現させる演出等)を実行するように構成してもよい。
【0352】
タイミング7は、オレンジおよびチェリーのうちいずれかに当選したときのタイミングを示している。また、タイミング8は、タイミング7で当選した入賞役に入賞し、RT1?RT4のうちいずれかに制御されたときのタイミングを示している。タイミング8では、(a)欄で示されるようにRT1?RT4に制御され、(b)欄で示されるようにRT1?RT4に移行されてから10ゲームに亘って行なわれる復活連続演出が開始されている。なお、タイミング8で制御されたRTがRT2またはRT4であった場合には、復活連続演出中に初期遊技状態が復活したまたは復活する旨の復活成功演出が行なわれる。また、タイミング8で制御されたRTがRT1またはRT3であった場合には、RT1またはRT3に制御されており、復活連続演出中に初期遊技状態が復活しない旨の復活失敗演出が行なわれる。復活に成功する旨および失敗する旨を報知するタイミングは、復活連続演出が開始されてから10ゲームが終了した後BETコマンドを新たに受信するまでのタイミングであればよい。
【0353】
タイミング9は、タイミング8で制御されたRTがRT2またはRT4であって、10ゲーム消化したことにより当該RTが終了したときのタイミングを示している。タイミング9では、復活に成功したため、(a)欄で示されるように初期遊技状態に再度制御され、(b)欄で示されるように高確率連続演出が開始されている。なお、タイミング9以降では、タイミング4?タイミング6で説明したように、初期遊技状態に制御されてから12枚A?12枚C、オレンジ、およびチェリーのうちいずれかに当選したときであって、当該当選した回数が3回までの当選に関してすべてナビ演出が行なわれる一方、当該当選した回数が4回以上の当選に関してナビ演出が実行されない。
【0354】
タイミング10は、オレンジおよびチェリーのうちいずれかに当選したときのタイミングを示している。また、タイミング11は、タイミング10で当選した入賞役に入賞し、RT1?RT4のうちいずれかに制御されたときのタイミングを示している。タイミング11では、(a)欄で示されるようにRT1?RT4に制御され、(b)欄で示されるようにRT1?RT4に移行されてから10ゲームに亘って行なわれる復活連続演出が開始されている。
【0355】
タイミング12は、タイミング11で制御されたRTがRT1またはRT3であって、10ゲーム消化したときのタイミングを示している。タイミング12では、復活に失敗したため、(a)欄で示されるようにRTへ継続して制御され、(b)欄で示されるように低確率時演出が開始されている。なお、タイミング12以降は、ビッグボーナス入賞して当該ビッグボーナスが終了するか、または、規定ゲーム数消化するまで、RT1またはRT3への制御が維持される。
【0356】
タイミング13は、規定ゲーム数消化したときのタイミングを示している。タイミング13では、(a)欄で示されるように初期遊技状態に制御され、(b)欄で示されるように高確率連続演出が開始されている。
【0357】
なお、初期遊技状態に制御されている間は、高確率連続演出が実行されるが、初期遊技状態に継続して制御された継続回数に応じて高確率連続演出の態様(演出内容)を変化させてもよい。たとえば、図30のタイミング1で開始された初期遊技状態は、タイミング3?タイミング8の期間、およびタイミング9?タイミング11の期間の2度にわたり継続して制御されている。このため、高確率連続演出の態様は、タイミング1?タイミング2の期間、タイミング3?タイミング8の期間、およびタイミング9?タイミング11の期間各々で異ならせてもよい。
【0358】
また、継続して初期遊技状態に制御されている間に獲得したメダル枚数を液晶表示器51や遊技補助表示器12に表示するように構成してもよい。たとえば、図30のタイミング1?タイミング8に至るまでの間(ビッグボーナス中を含めてもよく、またビッグボーナス中を含めなくてもよい)、メダルを獲得する毎に、メダル枚数を計数して、計数した合計メダル枚数を液晶表示器51に表示するようにしてもよい。また、タイミング9において初期遊技状態に再度制御されているため、当該タイミング9?タイミング10に至るまでの間においても、メダル枚数を再度表示し、タイミング8に至るまで計数された合計メダル枚数に獲得したメダル枚数を加算した合計メダル枚数を液晶表示器51に表示するようにしてもよい。なお、合計メダル枚数の表示は、初期遊技状態に継続して制御されている間表示し、一旦RT1またはRT3に制御された場合に合計メダル枚数の計数がリセットされる。
【0359】
図29に戻り、図29(b)は、音量調節処理を示すフローチャートである。音量調節処理では、CPU91aは、遊技音を通常音量(ここでは最大)にして出音しているときに、所定の消音条件成立で現在出音中の遊技音の音量を最小(消音)する消音処理(ステップSs601)を行なう。所定の消音条件とは、たとえば、遊技状態コマンドを受信してから(前回ゲーム終了時から)所定時間経過したこと、クレジット返却コマンドを受信(クレジット精算)したこと、BETコマンドを受信してから(BET操作されてから)所定時間経過したこと、BET解除コマンドを受信(BETキャンセル)したこと、当選状況通知コマンドを受信してから(ゲーム開始から)リール停止コマンドを受信することなく所定時間経過したこと、およびリール停止コマンドを受信してから(停止操作してから)新たなリール停止コマンドを受信することなく所定時間経過したこと等をいう。
【0360】
一方、遊技音を消音しているときに、所定の解除条件成立で消音を解除して遊技音を通常音量にして出音させる解除処理(ステップSs602)を行なう。所定の解除条件とは、たとえば、BETコマンドを受信したこと、当選状況通知コマンドを受信したこと、およびリール停止コマンドを受信したこと等をいう。
【0361】
次に、サブ制御部91のCPU91aが実行する音量調節処理の内容について、図31?図34に示すタイミングチャートに基づいて説明する。
【0362】
ここで、たとえば、前述した連続演出が行なわれているときであって前回のゲームが終了した後から次ゲームが開始されるまでの間における連続遊技効果音の音量調節処理の一例を、図31(a)のタイミングチャートに基づいて説明する。まず、連続演出が開始された場合、連続演出の種類に応じた連続遊技効果音の音量を最大(MAX)にして出音を開始する(ta1)。その後、連続演出中における所定のゲームが終了して遊技状態コマンドを取得した時点から(ta2)、賭数の設定が行なわれることなく30秒が経過した場合(ta3)は、遊技の進行が中断しているとして、現在出音中の連続遊技効果音の音量を最小(消音)とする。
【0363】
その後、遊技者による賭数の設定操作がなされてBETコマンドを取得した時点で(ta4)、遊技の進行が再開したとして、連続遊技効果音の音量を元のレベル、すなわち、最大まで上げる(元のレベルに戻す)。
【0364】
次に、前述した連続演出が行なわれているときであって前回のゲームが終了したときから30秒が経過する前にクレジットの精算がなされた場合の一例を、図31(b)のタイミングチャートに基づいて説明する。まず、連続演出が開始された場合、連続演出の種類に応じた連続遊技効果音の音量を最大(MAX)にして出音を開始する(tb1)。その後、連続演出中における所定のゲームが終了して遊技状態コマンドを取得した時点から(tb2)、賭数の設定が行なわれることなく30秒が経過する時点(tb4)よりも前の所定時点で遊技者による精算操作によりクレジットの精算がなされた時点で(tb3)、現在出音中の連続遊技効果音の音量を最小(消音)とする。
【0365】
その後、遊技者による賭数の設定操作がなされてBETコマンドを取得した時点で(tb5)、遊技の進行が再開したとして、連続遊技効果音の音量を元のレベル、すなわち、最大まで上げる(元のレベルに戻す)。
【0366】
次に、前回のゲームが終了したときから30秒が経過する前に賭数の設定がなされ、さらにその後新たな賭数の設定がなされないまま所定時間が経過した場合の一例を、図32(a)のタイミングチャートに基づいて説明する。
【0367】
まず、連続演出が開始された場合、連続演出の種類に応じた連続遊技効果音の音量を最大(MAX)にして出音を開始する(tc1)。その後、連続演出中における所定のゲームが終了して遊技状態コマンドを取得した時点から(tc2)30秒が経過する時点(tc4)よりも前に賭数の設定がなされ、該賭数の設定に基づいて送信されたBETコマンドを取得した場合(tc3)、連続遊技効果音の音量は下げずに現在の音量が維持される。
【0368】
次いで、tc3において賭数の設定がなされてBETコマンドを取得した時点から、新たなBETコマンドや当選状況通知コマンドを取得することなく、30秒が経過した時点で(tc5)、現在出音中の連続遊技効果音の音量を最小(消音)とする。
【0369】
その後、遊技者による賭数の設定操作がなされて新たにBETコマンドを取得した時点で(tc6)、遊技の進行が再開したとして、連続遊技効果音の音量を元のレベル、すなわち、最大まで上げる(元のレベルに戻す)。
【0370】
次に、前回のゲームが終了したときから30秒が経過する前に賭数の設定がなされ、さらにその後賭数の精算がなされた場合の一例を、図32(b)のタイミングチャートに基づいて説明する。
【0371】
まず、連続演出が開始された場合、連続演出の種類に応じた連続遊技効果音の音量を最大(MAX)にして出音を開始する(td1)。その後、連続演出中における所定のゲームが終了して遊技状態コマンドを取得した時点から(td2)30秒が経過する時点(td5)よりも前に賭数の設定がなされ、該賭数の設定に基づいて送信されたBETコマンドを取得した場合(td3)、連続遊技効果音の音量は下げずに現在の音量が維持される。
【0372】
次いで、td3において賭数の設定がなされてBETコマンドを取得した時点から、新たなBETコマンドや当選状況通知コマンドを取得することなく、30秒が経過する時点(td6)よりも前の時点で、遊技者による賭数の精算(BETキャンセル)がなされた場合(td4)、現在出音中の連続遊技効果音の音量を最小(消音)とする。
【0373】
その後、遊技者による賭数の設定操作がなされて新たにBETコマンドを取得した時点で(td7)、遊技の進行が再開したとして、連続遊技効果音の音量を元のレベル、すなわち、最大まで上げる(元のレベルに戻す)。
【0374】
このように本実施例では、CPU91aは、前回のゲームが終了してから計時を開始するとともに、該計時を開始してから30秒が経過する前にBETコマンドを取得した場合、該BETコマンドを取得した時点で新たに計時を開始し、その時点から新たにBETコマンドまたは当選状況通知コマンドを取得することなく30秒が経過したときにも、連続遊技効果音の音量を下げるようになっていたが、計時を開始してから30秒が経過する前にBETコマンドを取得した場合に、新たに計時を開始しなくてもよい。
【0375】
ここで、本実施例の変形例としての音量調節処理の一例を、図33のタイミングチャートに基づいて説明すると、連続演出が開始された場合、連続演出の種類に応じた連続遊技効果音の音量を最大(MAX)にして出音を開始する(te1)。その後、ビッグボーナス中における所定のゲームが終了して遊技状態コマンドを取得した時点から(te2)30秒が経過する時点(te4)よりも前に階数の設定がなされ、該賭数の設定に基づいて送信されたBETコマンドを取得した場合(te3)、連続遊技効果音の音量は下げずに現在の音量を維持するとともに、その時点から新たに計時を開始することなく、そのままの状態に維持する。
【0376】
次いで、te2においてゲームが終了した時点(te2)から当選状況通知コマンドを取得することなく30秒が経過した時点(te4)で、現在出音中の連続遊技効果音の音量を最小(消音)とする。
【0377】
その後、遊技者によるゲームの開始操作がなされて当選状況通知コマンドを取得した時点で(te5)、遊技の進行が再開したとして、連続遊技効果音の音量を元のレベル、すなわち、最大まで上げる(元のレベルに戻す)。
【0378】
次に、連続演出が行なわれているときであってゲームが開始された後における連続遊技効果音の音量調節処理の一例を、図34(a)のタイミングチャートに基づいて説明する。
【0379】
たとえば、連続演出が開始された場合、連続演出の種類に応じた連続遊技効果音の音量を最大(MAX)にして出音を開始する(tf1)。その後、連続演出中における所定のゲームが開始されて当選状況通知コマンドを取得した時点から(tf2)、リールの停止操作が行なわれてリール停止コマンドを取得することなく60秒が経過した場合(tf3)、その時点で、ゲームが開始してから遊技者によるリール停止コマンドを取得しないまま所定時間である60秒が経過した、すなわち遊技の進行が中断しているとして、現在出音中の連続遊技効果音の音量を最小(消音)とする。
【0380】
その後、遊技者による第1リールの停止操作がなされてリール停止コマンドを取得した時点で(tf4)、遊技の進行が再開したとして、連続遊技効果音の音量を元のレベル、すなわち、最大まで上げる(元のレベルに戻す)。
【0381】
次いで、第1または第2リールの停止操作後における連続遊技効果音の音量調節処理の一例を、図34(b)のタイミングチャートに基づいて説明する。
【0382】
たとえば、連続演出が開始された場合、連続演出の種類に応じた連続遊技効果音の音量を最大(MAX)にして出音を開始する(tg1)。その後、連続演出中における所定のゲームが開始されて当選状況通知コマンドを取得した後(tg2)、第1または第2リールの停止操作が行なわれてリール停止コマンドを取得した時点から(tg3)、第2または第3リールのリール停止操作、つまり、新たなリール停止コマンドを取得することなく60秒が経過した場合(tg4)、その時点で、第1または第2リールの停止操作がなされてから新たにリール停止コマンドを取得しないまま所定時間である60秒が経過した、すなわち遊技の進行が中断しているとして、現在出音中の連続遊技効果音の音量を最小(消音)とする。
【0383】
その後、遊技者による第2または第3リールの停止操作がなされてリール停止コマンドを取得した時点で(tg5)、遊技の進行が再開したとして、連続遊技効果音の音量を元のレベル、すなわち、最大まで上げる(元のレベルに戻す)。
【0384】
次に、打ち込み器具が接続され難いようにするために、遊技制御基板40と遊技用電子部品との間のコネクタ接続の解除を規制している点について説明する。具体的には、遊技制御基板40と投入メダルセンサ31との間のコネクタ接続、すなわち遊技制御基板40の基板側コネクタ620aとケーブル600aのケーブル側コネクタ610aとの接続、ケーブル600aのケーブル側コネクタ611aと操作部中継基板110の基板側コネクタ621aとの接続、操作部中継基板110の基板側コネクタ622gとケーブル601gのケーブル側コネクタ612gとの接続についてこれらコネクタ同士の接続の解除を規制している。基板側コネクタ620aとケーブル側コネクタ610aとの接続は、コネクタ規制部材500によってその解除が規制され、ケーブル側コネクタ611aと基板側コネクタ621aとの接続、および基板側コネクタ622gとケーブル側コネクタ612gとの接続は、コネクタ規制部材650によってその解除が規制されるようになっている。
【0385】
次に、遊技制御基板40を収納する基板ケース200およびコネクタ規制部材500の詳細な構造について説明する。
【0386】
図35および図36は、基板ケース200および基板ケース200をスロットマシン1の本体をなす筐体に取り付けるための取付ベース250、コネクタ規制部材500を示す分解斜視図であり、図37は、基板ケース200を取付ベース250に組み付けた状態を示す斜視図であり、図38は、コネクタ規制部材500を構成する取付側部材510およびコネクタキャップ520の要部拡大斜視図であり、図39(a)は、図38のA-A断面図であり、図39(b)(c)は、図38のB-B断面図であり、図40は、基板ケース200を取付ベース250に組み付け、更に取付側部材510に対してコネクタキャップを装着した状態を示す斜視図であり、図41(a)は、図40のC-C断面図であり、図41(b)は、図40のD-D断面図である。
【0387】
基板ケース200は、図35および図36に示すように、遊技制御基板40の裏面側を覆うケース本体としての下部ケース201と、遊技制御基板40の実装面側を覆う上部ケース203と、から構成され、遊技制御基板40を挟持するように組み付けられるものである。なお、遊技制御基板40の実装面には、特に詳細な図示はしないが、CPU41a、ROM41b、RAM41c等の電子素子や、他の基板からのケーブルの一端に設けられたケーブル側コネクタ等が接続される基板側コネクタ620a?620c等が多数実装されている。
【0388】
下部ケース201は、透明な合成樹脂からなり、略長方形状に形成される底板201aと、該底板の周囲を囲むように形成された側壁と、により上面が開放する直方体状に成形されている。
【0389】
下部ケース201の一方の短辺の側壁201cには、2つの封止片211、211が外方に突出して設けられているとともに、他方の短辺の側壁201dには、2対の係止部210が外方に突出して設けられている。また、下部ケース201の底板201aの裏面における側壁201dよりの両長辺側端には、後述する取付側部材510の係止片511が係合する係合溝212がそれぞれ形成されている。
【0390】
上部ケース203は、透明な合成樹脂からなり、図35および図36に示すように、下面が開放するとともに、上面中央が膨出し、両短辺側に段部203a、203bが形成された凸型の箱状に成形されている。上部ケース203の下面は、下部ケース201と同型であり、下部ケース201と上部ケース203とを組み付けることで、内部に遊技制御基板40を収容する空間が形成されるようになっている。
【0391】
上部ケース203の一方の短辺の側壁203cには、下部ケース201の一方の短辺の側壁201cに設けられた封止片211、211と対応する箇所にそれぞれ封止片231、231が外方に突出して設けられており、封止片231、231の間には、等間隔に4つの封止片232が外方に突出して設けられている。上部ケース203の他方の短辺の側壁203dには、下部ケース201の他方の短辺の側壁に設けられた2対の係止部210と対応する箇所にそれぞれ1対の係止部210と係合する係合部230がそれぞれ設けられている。また、上部ケース203の他方の短辺の側壁203dには、係合部230よりも外方よりの位置に、後述する取付ベース250の係止孔251a、251aに係合する係止片235、235がそれぞれ設けられている。
【0392】
また、上部ケース203の両短辺側の段部203a、203bには、それぞれ凹部203e、203fが形成されているとともに、特に、段部203bの凹部203fの底面には、基板ケース200内に収容した遊技制御基板40の基板側コネクタ620aに対応する箇所に基板側コネクタ620aを挿通可能な挿通孔234が形成されている。
【0393】
取付ベース250は、基板ケース200をスロットマシン1の本体をなす筐体に対して固定するための部材である。取付ベース250は、合成樹脂からなり、図35および図36に示すように、下部ケース201の底板201aよりも大きい略長方形状に形成される底板250aと、該上板の周縁辺のうち2つの長縁辺に形成された側壁250b、250cとにより上面が開放する直方体状に形成されている。取付ベース250の底板250aには、複数箇所にビス孔252が形成されているとともに、一方の短辺側の縁辺には、中央部に切り欠き250eを有する側壁250dが形成されており、底板250aには、側壁250dの切り欠き250eから中央に向かって1対のガイド254、254が設けられている。ガイド254、254の対向する面には、後述する固着部材255の両端部に形成された係止部257、257が嵌入されるガイド溝254a、254aが形成されている。
【0394】
固着部材255は、合成樹脂からなり、上面に4カ所の固着孔256が形成された固着片255aの両端から下方(図中後方)に伸びる垂下片255b、255bが延設され、更に垂下片255b、255bの両端部から左右方向(図中上下方向)を向く係止部257、257が形成された略コ字状に成形されている。固着部材255は、その係止部257、257を取付ベース250のガイド254、254に形成されたガイド溝254a、254aに対してそれぞれ嵌入することで、取付ベース250に取り付けられる。
【0395】
取付ベース250における側壁250dが形成された短辺側には、先端に内方向きの係止爪253aを有する係止柱253が底板250aから立設されているとともに、反対側の短辺側の両端部には、上部ケース203の係合部230が挿入される係止孔251a、251aが底板250aから連設された係止孔部251、251が立設されている。
【0396】
コネクタ規制部材500は、図35および図36に示すように、基板ケース200に対して取り付けられる取付側部材510と、取付側部材510に対して装着され、基板側コネクタ620aに接続されたケーブル側コネクタ610aの一部を被覆するコネクタカバー520と、から構成され、取付側部材510を基板ケース200に対して取り付け、コネクタカバー520を装着することで、基板側コネクタ620aからのケーブル側コネクタ610aの抜脱が規制される。
【0397】
取付側部材510は、透明な合成樹脂からなり、図35および図36に示すように、基板ケース200を構成する下部ケース201および上部ケース203の表面形状に沿った形状に成形されている。詳しくは、取付側部材510は、上部ケース203の係合部230が設けられた短辺側に装着されるものであり、その形状は、基板ケース200への取付時に上部ケース203における段部203bの凹部203fの底面に当接するとともに、ケーブル側コネクタ610aを逃がす切り欠き512および内側に係止孔513aを有する筒状の係止孔部513が形成された基片510aの両端から起立する起立片510b、510bを介して上部ケース203における段部203bの両端部上面に当接する上片510c、510cが延設され、更に上片510c、510cの両端から垂下する側片510d、510dを介して係止部257、257が内向きに延設された形状であり、基板ケース200への取付時に、取付側部材510の基片510a、上片510c、510cの基板ケース200に対する対向面が上部ケース203における段部203bの上面および凹部203fの底面にそれぞれ当接するようになっている。
【0398】
係止孔部513における係止孔513aの内面には、図38に示すように、中心を挟んで対向する位置に係止溝514が、係止孔513aの下端から上方に向かって設けられている。係止溝514は、係止孔513aの下端からの深さの浅い浅溝部514aとそれよりも深い深溝部514bとからなる略L字状で、対向する係止溝514、514の浅溝部514a、514a同士、深溝部514b、514b同士が、それぞれ中心を挟んで対向する位置に形成されている。すなわち係止溝514、514は、中心を挟んで点対称に形成されている。
【0399】
コネクタカバー520は、透明な合成樹脂からなり、図35および図36に示すように、基板ケース200に取り付けられた取付側部材510に対して取り付けた際に、基板側コネクタ620aに接続されたケーブル側コネクタ610aの一部を被覆する断面視略コ字状の被覆部521が成形されているとともに、被覆部521の長手方向側面の一方の側面521aに取付側部材510における係止孔部513の係止孔513aの内周とほぼ同径の係止筒522が接続片522aを介して設けられている。
【0400】
被覆部521の一方の側面521aの下端は、取付側部材510に取り付けた際にその基片510aの上面に当接するとともに、側面521aの背面には、リブ521b、521bが設けられ、そのリブ521b、521bの下面も基片510aの上面に当接するようになっている。
【0401】
係止筒522は、図38に示すように、中心を挟んで対向する位置に、先端に外向きの係止爪523aが形成され、内方に弾性変形可能な係合部523、523が設けられている。係合部523、523は、その係止爪523a、523aが、コネクタカバー520を基板側コネクタ620aにケーブル側コネクタ610aが接続されている状態で取付側部材510に取り付けた際に、係止孔513aに形成された係止溝514、514の浅溝部514a、514aに対して係合する位置に設けられている。
【0402】
次に、コネクタ規制部材500の基板ケース200への取付状況および基板ケース200の筐体への取付状況について説明する。
【0403】
まず、基板ケース200を構成する下部ケース201および上部ケース203の内部に遊技制御基板40を収容して封止状態とする。下部ケース201および上部ケース203を封止状態とするには、下部ケース201の2対の係止部210に対して、それぞれ対応する上部ケース203の係合部230を係合させた後、下部ケース201のいずれかの封止片211と上部ケース203の対応する封止片231とをワンウェイネジにて固着する。
【0404】
ワンウェイネジは、周知のように、一方向の回転によってネジを螺着することができるが、他方向に回転させようとしても回転させることができない、すなわち、そのネジを緩めることができない機能を有するネジである。このため、下部ケース201のいずれかの封止片211と上部ケース203の対応する封止片231とをワンウェイネジにて固着すると、封止片211および封止片231のいずれか一方を破断させなければ、これらの固着を解除できないようになっている。
【0405】
そして、封止片211および封止片231を固着することにより、下部ケース201に対する上部ケース203の長手方向の移動が規制され、その結果、下部ケース201の係止部210に対する上部ケース203の係合部230の係合の解除も規制されることとなり、上部ケース201と下部ケース203は、内部に遊技制御基板40を収容した状態で一体化され、封止片211および封止片231を破断しなければ、開放することができない状態となる。
【0406】
次に、遊技制御基板40を封止状態とした基板ケース200に対して取付側部材510を取り付ける。取付側部材510は、その両側片510d、510dを外方に向かって弾性変形させ、上部ケース203の段部203bに装着する。そして弾性変形を解除することで、係止片511、511を下部ケース201の裏面における係合溝212、212に係合させることで取り付けられる。この際、取付側部材510の基片510a、上片510c、510cは、それぞれ上部ケース203の段部203b上面、凹部203fの底面に当接するとともに、基片510aに設けられた切り欠き512が、上部ケース203の凹部203fに設けられた挿通孔234と一致し、これら切り欠き512および挿通孔234を介して、基板ケース200に収容された遊技制御基板40の基板側コネクタ620aが基板ケース200内から外部に露出するようになっている。
【0407】
次に、取付ベース250のビス孔252を介して取付ネジ259を筐体側の壁に螺入し、取付ベース250を筐体に対して固定するとともに、固着部材255の係止部257、257を取付ベース250の係合溝254a、254aにそれぞれ嵌入し、固着部材255を取付ベース250に対して装着する。
【0408】
次に、取付側部材510が取り付けられた基板ケース200を取付ベース250に対して組み付ける。詳しくは、基板ケース200の一端側に突出する係止片235、235をそれぞれ取付ベース250の係止孔部251、251の係止孔251a、251aに挿入した後、図37に示すように、基板ケース200を取付ベース250の側壁250b、250cの間に収容させるとともに、係止柱253の係止爪253aによって基板ケース200の他端側段部203aの上面を係止して基板ケース200を取付ベース250に仮止めする。この状態で上部ケース203の一端に設けられた4つの封止片232と取付ベース250に装着された固着部材255の固着孔256がそれぞれ対応する位置となり、この状態で、いずれかの封止片232の上方から対応する固着孔256に対して前述のワンウェイネジを螺入することで、封止片232と固着部材255とを固着する。
【0409】
そして、封止片232および封止片固着部材255を固着することにより、基板ケース200の封止片232側の端部における取付ベース250からの取り外し方向への移動が規制されるとともに、係止柱253によって基板ケース200の封止片232側への水平移動も規制されるので、基板ケース200の一端側に突出する係止片235、235を取付ベース250の係止孔251a、251aから外すことも不可能となる。更に、この状態では、取付ベース250の底板250aのビス孔252は全て基板ケース200に被覆され、取付ネジへの259へのアクセスも不能となり、取付ベース250を筐体から取り外すことも不可能となる。このようにして、取付側部材510が取り付けられた基板ケース200は、取付ベース250を介して筐体に固定され、封止片232または固着部材255を破断しなければ、基板ケース200を筐体から取り外すことができない状態となる。
【0410】
また、取付側部材510が取り付けられた基板ケース200が取付ベース250(筐体)に対して取り外し不能に固定されると、図41(a)に示すように、取付側部材510の側片510d、510dが取付ベース250の側壁250b、250cの内面に当接し、狭持されて取付側部材510の両側片510d、510dの外方への変形が規制されるため、取付側部材510を基板ケース200から取り外すことが不可能となる。
【0411】
次に、図37に示すように、基板ケース200の挿通孔234および取付側部材510における基片510aの切り欠き512を介して露呈する遊技制御基板40の基板側コネクタ620aに対してケーブル600aのケーブル側コネクタ610aを接続した後、これら基板側コネクタ620aとケーブル側コネクタ610aを接続した状態で、図40に示すように、コネクタカバー520の被覆部521でケーブル側コネクタ610aの上方を被覆するとともに、コネクタカバー520の係止筒522を取付側部材510における係止孔部513の係止孔513aに嵌入させる。これにより係止筒522の係合部523、523は、係止孔513aの内周に当接して内方に弾性変形する。この際、係合部523、523は、被覆部521でケーブル側コネクタ610aを被覆する位置とすると、自ずと係止孔513aの内面に形成された係合溝514、514のうち浅溝部514a、514aに位置決めされることとなり、係止筒522を更に嵌入し、係合部523、523の先端の係止爪523a、523aが係合溝514、514の浅溝部514a、514aに到達することで、図39(a)に示すように、係合部523、523の内方への弾性変形が開放され、係止爪523a、523aがそれぞれ浅溝部514a、514aに係合し、係止筒522の上方への移動が規制されるとともに、被覆部521の側面521aと基板側コネクタ620aおよびケーブル側コネクタ610aの側面とが当接して、係止筒522の係止孔部513に対する回転が規制されることにより、取付側部材510とコネクタカバー520とが連結し、一体化されたコネクタ規制部材500が形成された状態となる。この状態では、係合部523、523が係止孔部513によって被覆されるため、外部から係合部523、523を内方に弾性変形させることが不可能となり、コネクタカバー520または取付側部材510を破断しなければ、コネクタカバー520を取付側部材510から取り外すことが不可能となる。
【0412】
コネクタカバー520を取付側部材510に対して取り外し不能に取り付けると、図41(a)(b)に示すように、被覆部521によってケーブル側コネクタ610aの上面の一部が被覆され、ケーブル側コネクタ610aの基板側コネクタ620aからの抜き方向への移動が規制され、ケーブル側コネクタ610aの基板側コネクタ620aからの抜脱が規制されるようになっている。
【0413】
このように、取付側部材510を基板ケース200に取り付けた状態で、基板ケース200を筐体に対して固着した後、ケーブル側コネクタ610aを基板側コネクタ620aに接続し、その状態で基板側コネクタ620aの一部を上方から被覆するようにして取付側部材510に取り付けることによって、ケーブル側コネクタ610aの基板側コネクタ620aからの抜脱が不能化されるようになっている。
【0414】
次に、ケーブル側コネクタ610aと基板側コネクタ620aとの接続を解除する際の状況について説明する。
【0415】
ケーブル側コネクタ610aと基板側コネクタ620aとの接続を解除するには、取付側部材510またはケーブルカバー520を破断してコネクタカバー520を取付側部材510から取り外すか、基板ケース200の封止片232または固着部材255を破断して、基板ケース200を取付ベース250から取り外し、コネクタカバー520が取り付けられた状態のままの取付側部材510を基板ケース200から取り外す必要がある。
【0416】
たとえば、ケーブル600aの故障などによりケーブル側コネクタ610aを基板側コネクタ620aから外す必要がある場合には、前者の方法で取り外し、基板の故障などにより基板ケース200ごと交換する場合には、後者の方法で取り外せばよい。
【0417】
まず、ケーブル600aを交換するにあたり、ケーブル側コネクタ610aを基板側コネクタ620aから外す必要がある場合に、コネクタカバー520を取付側部材510から取り外す方法について説明すると、最初に、ニッパーなどの工具でコネクタカバー520の被覆部521と係止筒522とを繋ぐ接続片522aを破断する。これにより被覆部521が分離するとともに、係止筒522の係止孔部513に対する回転が可能な状態となる。この状態で、係止筒522を、上面視反時計回りに回転させることで、係合部523、523が係合溝514、514の浅溝部514a、514aから深溝部514b、514bの位置に移動し、図39(a)に示すように、係止爪523a、523aが浅溝部514a、514aに係合している状態から、図39(b)に示すように、係止爪523a、523aと浅溝部514a、514aの係合が解除された状態となる。これにより、係止筒522の上方への移動が可能となり、図39(c)に示すように、係止筒522を上方に引き抜くと、係止爪523a、523aが深溝部514b、514bに係合するが、この状態では、係合部523、523が露呈するため、内方に弾性変形させることが可能となり、係合部523、523を内方に弾性変形させることにより、係止爪523a、523aと深溝部514b、514bとの係合が解除され、係止筒522を取付側部材510から取り外すことができ、これによりコネクタカバー520が取付側部材510から完全に分離し、コネクタカバー520によるケーブル側コネクタ610aの抜き方向の移動の規制も解除されるので、ケーブル側コネクタ610aと基板側コネクタ620aとの接続を解除することができるようになる。
【0418】
なお、コネクタカバー520を取付側部材510から取り外すと、被覆部521と係止筒522とが破断し、一度破断すると元の状態とはならないため、ケーブル側コネクタ610aと基板側コネクタ620aとの接続を解除した痕跡が残ることとなる。
【0419】
次に、基板ケース200ごと交換するにあたり、ケーブル側コネクタ610aを基板側コネクタ620aから外す必要がある場合に、取付側部材510をコネクタカバー520ごと基板ケース200から取り外す方法について説明すると、最初に、ニッパーなどの工具で固着部材255と固着されている基板ケース200の封止片232を破断する。これにより、基板ケース200の封止片232側の端部における取付ベース250からの取り外し方向への移動が可能となるので、係止柱253の係止爪253aと基板ケース200の段部203eとの係合を解除する。これに伴って封止片232側への水平方向への移動も可能となるので、基板ケース200の係止片235、235を取付ベース250の係止孔251a、251aから取り外す。これにより、基板ケース200が取付ベース250から取り外され、取付側部材510の側片510d、510dを外方に変形することが可能な状態となり、取付側部材510からコネクタカバー520を取り外すことなく、取付側部材510を基板ケース200から取り外すことが可能となり、これによりコネクタカバー520と一体化された状態で取付側部材510を基板ケース200から取り外すことにより、コネクタカバー520によるケーブル側コネクタ610aの抜き方向の移動の規制も解除されるので、ケーブル側コネクタ610aと基板側コネクタ620aとの接続を解除することができるようになる。
【0420】
なお、この方法によっても取付側部材510を基板ケース200から取り外すためには、固着部材255と固着されている基板ケース200の封止片232を破断する必要があり、一度破断すると元の状態とはならないため、ケーブル側コネクタ610aと基板側コネクタ620aとの接続を解除した痕跡が残ることとなる。
【0421】
また、この方法によれば、基板ケース200の封止片232が破断され、固着部材255に残るが、取付側部材510からコネクタカバー520を取り外すことなく、取付側部材510を基板ケース200から取り外せるため、交換用に遊技制御基板40が収容された新たな基板ケース200にコネクタカバー520が組み付けられた状態の取付側部材510を取り付けることで、新たな基板ケース200においてケーブル側コネクタ610aと基板側コネクタ620aとの接続の解除が不能化されるとともに、新しい固着部材255を取付ベース250に装着し、コネクタカバー520が組み付けられた状態の取付側部材510を取り付けた新たな基板ケース200を取付ベース250に取り付けて固着部材255と封止片232とを固着することで、再び取付側部材510の取り外しが不可能な状態となり、ケーブル側コネクタ610aと基板側コネクタ620aとの接続を解除した場合には、その痕跡を残せる状態となる。すなわちこのような場合には、取付側部材510とコネクタカバー520とを再利用することが可能となる。
【0422】
なお、本実施の形態では、取付側部材510の係止部511、511を外方に弾性変形させた状態で、基板ケース200の裏面に形成された係止溝514、514に係合させることで、取付部材510が基板ケース200に取り付けられるとともに、取付側部材510が取り付けられた基板ケース200が取付ベース250(筐体)に対して取り外し不能に固定されると、取付側部材510の側片510d、510dが取付ベース250の側壁250b、250cの内面に当接し、狭持されて取付側部材510の両側片510d、510dの外方への変形が規制されるため、取付側部材510を基板ケース200から取り外すことが不可能となる構成であるが、たとえば、取付側部材の一部を基板ケース200の裏面でネジや取り外し可能な係止ピンで固定するとともに、基板ケース200を筐体(取付ベース)に取り外し不能に取り付けた際に、これらネジや係止ピンが隠蔽される構造とし、基板ケース200を筐体に対して取り付けることで、取付側部材の基板ケース200からの取り外しが規制される構成としてもよく、取付側部材を基板ケース200に取り付けた状態で、基板ケース200を筐体に対して固着した後、取付側部材が基板ケース200から取り外せなくなる構成であれば、どのような構成を採ってもよい。
【0423】
次に、コネクタ規制部材650の詳細な構造について説明する。
図42は、コネクタ規制部材650を構成する載置台660およびカバー部材680を示す分解斜視図であり、図43は、載置台660に対してカバー部材680を組み付けた状態を示す斜視図であり、図44(a)は、図43のE-E断面図であり、図44(b)は、図43のF-F断面図である。
【0424】
コネクタ規制部材650は、図42および図43に示すように、操作部中継基板110を載置する載置台660と、載置台660を上方から被覆するカバー部材680と、から構成され、載置台660に操作部中継基板110を収容した後、操作部中継基板110の基板側コネクタ621a、622gに、それぞれに対応するケーブル600a、601gのケーブル側コネクタ611a、612gを接続した後、カバー部材680をケース体610に取り付けることで、基板側コネクタ621a、622gからのケーブル側コネクタ611a、612gの抜脱が規制される。
【0425】
載置台660は、透明な合成樹脂からなり、操作部中継基板110よりも大径の略長方形状に成形されている。操作部中継基板110には、図42に示すように、基板側コネクタ621a、622a、622b、622c、622d?622f、622gが実装されており、載置台660の長辺側の両側面、および短辺側の一方の側面には、操作部中継基板110を載置した際に、操作部中継基板110において差し込み口が実装面と水平方向に開口する基板側コネクタ622a、622b、622c、622d?622f、622gが位置する部位を避けて、外方に突出するように、係止孔661bを有する係止孔部661がそれぞれ1つずつ接続片661aを介して設けられている。係止孔661bの内周面には、中心を挟んで対向する位置に中心向きの係止爪661c、661cが1対形成されている。
【0426】
カバー部材680は、透明な合成樹脂からなり、載置台660とほぼ同形状に成形されており、一方の長辺側には、操作部中継基板110の基板側コネクタ621aに対応する位置に手前に向かって膨出するカバー部681が、他方の長辺側には、操作部中継基板110の基板側コネクタ622a、622bに対応する位置に手前側に向かって膨出するカバー部688、基板側コネクタ622c、622g、622d?622fに対応する位置に手前に向かって膨出するカバー部689がそれぞれ形成されている。
【0427】
カバー部681の上面681aには、ケーブル600aのケーブル側コネクタ611aの長辺の長さよりも狭い、基板側コネクタ621aに接続されたケーブル600aを逃がすための切り欠き681bが外側の側面にかけて形成され、これにより、上面681aの両側端には、それぞれ被覆面681c、681が形作られる。
【0428】
カバー部688には、基板側コネクタ622a、622bに接続されたケーブル612a、612bを逃がすための切り欠き682aが形成されているとともに、カバー部689には、基板側コネクタ622cに接続されたケーブル612cを逃がすための切り欠き682b、基板側コネクタ622gに接続されたケーブル612gを逃がすための切り欠き632c、基板側コネクタ622d?fに接続されたケーブル612d?fを逃がすための切り欠き682dがそれぞれ形成されている。特に、基板側コネクタ622gに接続されたケーブル612gを逃がすための切り欠き682cは、ケーブル601gの長辺の長さよりも狭幅に形成されており、その両端には、カバー部689から垂下する被覆片683、683がそれぞれ設けられている。
【0429】
また、カバー部材680の長辺側の両側面、および短辺側の一方の側面には、載置台660の係止孔部661と対応する位置に、外方に突出するように、係止孔661bの内周面とほぼ同径の係止筒684が接続片684aを介して設けられている。係止筒684の外周面には、係止孔661bの内周に設けられた1対の係止爪661cと対応する箇所にそれぞれ係止孔684が形成されており、係止爪661cが係合できるようになっている。
【0430】
次に、載置台660とカバー部材680の取付状況について説明すると、まず、図42に示すように、載置台660に操作部中継基板110を載置し、基板側コネクタ621a、622a、622b、622c、622d?622f、622gにそれぞれ対応するケーブル側コネクタ611a、612a、612b、612c、612d?612f、612gを接続する。これらケーブル側コネクタを基板側コネクタに接続した後、カバー部材680を載置台660に対して取り付ける。
【0431】
詳しくは、カバー部材680の係止筒634を載置台660の対応する係止孔部661の係止孔661bに嵌入する。そして係止筒634を係止孔661bに押し込むことにより、係止孔661b内の係止爪661cが係止筒684の係止孔684に係合する。これにより、外方から係止爪661cと係止孔684との係合を解除することが不可能な状態となり、図43に示すように、載置台660とカバー部材680とが、係止孔部661または係止筒634を破断しなければ取り外し不能に組み付けられた状態となる。
【0432】
そして、載置台660とカバー部材680とが組み付けられると、図44(a)に示すように、操作部中継基板110の基板側コネクタ621aに接続されたケーブル側コネクタ611aの両端部上面がカバー部材680の被覆部681c、681cに被覆され、ケーブル側コネクタ611aの基板側コネクタ621aからの抜き方向への移動が規制され、ケーブル側コネクタ611aの基板側コネクタ621aからの抜脱が規制されるようになっている。
【0433】
また、載置台660とカバー部材680とが組み付けられると、図44(b)に示すように、操作部中継基板110の基板側コネクタ622gに接続されたケーブル側コネクタ612gの両端部上面がカバー部材680の被覆片683、683に被覆され、ケーブル側コネクタ612gの基板側コネクタ622gからの抜き方向への移動が規制され、ケーブル側コネクタ612gの基板側コネクタ622gからの抜脱が規制されるようになっている。
【0434】
次に、ケーブル側コネクタ611aと基板側コネクタ621aとの接続およびケーブル側コネクタ612gと基板側コネクタ622gとの接続を解除する際の状況について説明する。
【0435】
ケーブル側コネクタ611aと基板側コネクタ621aとの接続およびケーブル側コネクタ612gと基板側コネクタ622gとの接続を解除するには、ニッパーなどの工具でカバー部材680の係止筒684を繋ぐ接続片684aを破断する。これにより、カバー部材680の本体と係止筒684とが分離して、カバー部材680を載置台660から取り外すことが可能となり、カバー部材680を載置台660から取り外すことにより、被覆部681c、681cによるケーブル側コネクタ611aの抜き方向の移動の規制が解除されるとともに、被覆片683、683によるケーブル側コネクタ612gの抜き方向の移動の規制も解除されるので、ケーブル側コネクタ611aと基板側コネクタ621aとの接続およびケーブル側コネクタ612gと基板側コネクタ622gとの接続を解除することができるようになる。
【0436】
なお、カバー部材680を載置台660から取り外すと、カバー部材680の本体と係止筒684とが破断し、一度破断すると元の状態とはならないうえに、分離した係止筒684が載置台660の係止孔部661の係止孔661b内に残るため、ケーブル側コネクタ611aと基板側コネクタ621aとの接続およびケーブル側コネクタ612gと基板側コネクタ622gとの接続との接続を解除した痕跡が残ることとなる。
【0437】
次に、前述した実施の形態により得られる主な効果を説明する。
(1) 前述した実施の形態においては、図9(a)で説明したように、ビッグボーナスが終了したとき、およびRT1?RT4のいずれかで規定ゲーム数消化してRTが終了したときのうちいずれかのタイミングで制御される初期遊技状態の方が、オレンジやチェリーに入賞して制御されるRT1?RT4よりも、リプレイに当選する確率が高くなるように判定値数が設定されている。また、RT1?RT4は、予め定められている規定ゲーム数を消化することにより、初期遊技状態に制御される。このため、たとえばRT1?RT4を終了させる旨が内部決定されることや初期遊技状態に制御される旨が内部決定されること等により当該RT1?RT4を終了させるような遊技者が関与し得ないスロットマシンと比較して、遊技者がゲームを規定ゲーム数分行なうことにより当該RT1?RT4を終了させることができるため、遊技者のゲームへの介入度合いを高めて遊技の興趣を向上させることができる。
【0438】
また、オレンジおよびチェリーのうち入賞した種類に応じて、規定ゲーム数が異なるRT1?RT4に制御される。これにより、オレンジおよびチェリーのうち入賞した種類によって、初期遊技状態に再び制御されるまでに必要な消化ゲーム数を異ならせることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0439】
(2) 前述した実施の形態のスロットマシン1においては、取付側部材510とコネクタカバー520とからなるコネクタ規制部材500を基板ケース200に取り付けることで、当該基板ケース200に収容された遊技制御基板の基板側コネクタ620aとケーブル側コネクタ610aとの抜脱が規制されるとともに、この状態で基板ケース200を取付ベース250に取り付けて固着部材255と封止片232とを固着することで、基板ケース200からのコネクタ規制部材500の取り外しが規制されることになり、基板ケース200の封止片232を破断して基板ケース200と筐体(取付ベース250)との固着を解除しなければ、基板側コネクタ620aからケーブル側コネクタ610aを抜脱できない状態となる。すなわち封止片232の破断という痕跡を残さなければケーブル側コネクタ610aを抜脱することができない状態となり、痕跡を残さずに打ち込み器具などの不正器具を接続することができなくなるため、不正が行なわれた可能性があることを確実に発見することができるようになる。
【0440】
また、故障などにより遊技制御基板40を収容した基板ケース200ごと遊技制御基板40を交換する場合には、封止片232を破断して基板ケース200と筐体(取付ベース250)との固着を解除すれば、コネクタ規制部材500を基板ケース200から取り外してケーブル側コネクタ610aを基板側コネクタ620aから抜脱可能となるため、無駄にコネクタ規制部材500を破壊したり、基板ケース200を破壊して開封することなく基板側コネクタ620aからケーブル側コネクタ610aを分離させることができる。
【0441】
また、コネクタ規制部材500を取付側部材510とコネクタカバー520とから構成し、取付側部材510を基板ケース200に取り付けた後、ケーブル側コネクタ610aを基板側コネクタ620aに接続し、その状態で基板側コネクタ620aの一部を上方から被覆するようにして取付側部材510に取り付けることによって、ケーブル側コネクタ610aの基板側コネクタ620aからの抜脱が不能化されるようになっており、ケーブル側コネクタ610aを基板側コネクタ620aに接続した後、基板側コネクタ620aの周辺に位置する取付側部材510の係止孔部513の係止孔513aにコネクタカバー520の係止筒522を嵌入し、コネクタカバー520を取付側部材510に取り付けるのみで、コネクタカバー520によりケーブル側コネクタ610aの一部が被服され、ケーブル側コネクタ610aの抜き方向への移動が規制されるので、ケーブル側コネクタ610aの基板側コネクタ620aに対する抜脱を規制するにあたり、その組み付け作業を軽減できる。
【0442】
また、遊技制御基板40が基板ケース200に収容された状態であっても、そのままの状態でケーブル側コネクタ610aを基板側コネクタ620aに接続し、その後コネクタカバー520を取り付けるのみでよく、このような場合には、ケーブル側コネクタ610aの基板側コネクタ620aに対する抜脱を規制するにあたり、その組み付け作業を一層効果的に軽減できる。
【0443】
また、コネクタカバー510は、ケーブル側コネクタ610aと基板側コネクタ620aとの接続部分全体を被覆するのではなく、ケーブル側コネクタ610aの抜き方向側の一部のみを被覆する構成であるため、ケーブル側コネクタ610aの基板側コネクタ620aに対する抜脱を確実に規制できるばかりでなく、コネクタカバー510の製造に必要な材料が少なく済む。
【0444】
また、コネクタカバー520は、取付側部材510に対して1カ所の係止筒522のみで取り付けられるので、コネクタカバー520および取付側部材510の構造を簡素化できることから好ましいが、コネクタカバー520に係止筒522を複数箇所設けるとともに、取付側部材510にもそれぞれ対応する箇所に係止孔513aを設け、コネクタカバー520を複数箇所で取付側部材510に対して取り付けるようにしてもよく、このようにすることで、ケーブル側コネクタ610aの基板側コネクタ620aに対する抜脱をより強固に規制することができる。更にこの場合には、ケーブル側コネクタ610aと基板側コネクタ620aとの接続部分を跨ぐ複数箇所でコネクタカバー520を複数箇所で取付側部材510に対して取り付けることが好ましく、このようにすれば、ケーブル側コネクタ610aの基板側コネクタ620aに対する抜脱を更に強固に規制することができる。
【0445】
また、コネクタカバー520が取付側部材510に対して1カ所の係止筒522のみで取り付けられるが、コネクタカバー520の一方の側壁には、取付側部材510の基片510aの表面に当接するリブ521b、521bが形成されており、コネクタカバー520の移動が規制されるため、ケーブル側コネクタ610aの基板側コネクタ620aに対する抜脱を確実に規制することができる。
【0446】
また、取付側部材510の基片510aから延設される両端部には、内向きの係止部511、511がそれぞれ形成されており、係止部511、511を外方に弾性変形させた状態で、基板ケース200に組み付けて基板ケース200の裏面に形成された係止溝514、514に係合させることで、取付部材510が基板ケース200に取り付けられるようになっているため、コネクタ規制部材500を基板ケース200に取り付けるにあたり、ネジやピンなどの他の部材を用いることなく取り付けることができるので、部品点数を削減できる。
【0447】
また、コネクタ規制部材500を構成する取付側部材510を基板ケース200に取り付けた際に、取付側部材510の基片510a、上片510c、510cの基板ケース200に対する対向面が上部ケース203における段部203bの上面および凹部203fの底面にそれぞれ当接するようになっており、コネクタ規制部材500と基板ケース200の表面との間に不正部品などが取り付けられることを効果的に防止することができる。
【0448】
また、コネクタ規制部材500を構成する取付側部材510およびコネクタカバー520は、ともに透明な合成樹脂材にて構成されているため、基板ケース200内の視認性がコネクタ規制部材500により損なわれることがないので、遊技制御基板40の監視に支障をきたすことがない。また、コネクタ規制部材500と基板ケース200との隙間に不正部品が取り付けられた場合でも容易に発見することが可能となる。
【0449】
また、本実施の形態では、遊技制御基板40と投入メダルセンサ31との間のコネクタ接続、すなわち遊技制御基板40の基板側コネクタ620aとケーブル600aのケーブル側コネクタ610aとの接続、ケーブル600aのケーブル側コネクタ611aと操作部中継基板110の基板側コネクタ621aとの接続、操作部中継基板110の基板側コネクタ622gとケーブル601gのケーブル側コネクタ612gとの接続についてこれらコネクタ同士の接続の解除を、コネクタ規制部材500およびコネクタ規制部材650によって規制するようになっている。これにより、遊技制御基板40と投入メダルセンサ31との間のいずれかのコネクタを不正な打ち込み器具等のコネクタに差し替えて接続し、遊技制御基板40のメイン制御部41にゲームの進行に関わる不正な信号を入出力させるといった不正行為を行なうことが困難となるため、不正営業の実施等を効果的に防止できる。
【0450】
また、遊技制御基板40と投入メダルセンサ31との間のコネクタ接続を解除するためには、基板ケース200の封止片232やコネクタカバー520の接続片522a、カバー部材680の接続片684aを破断しなければならず、これにより、遊技制御基板40と投入メダルセンサ31との間のコネクタ接続が1つでも解除されると、その痕跡が残るとともに、その痕跡を消すことはきわめて困難であるため、上記不正行為をより効果的に抑制することができる。
【0451】
また、本実施の形態では、遊技制御基板40と投入メダルセンサ31との間に中継基板が1つのみであるが、複数の中継基板を経由する場合には、その間に存在するコネクタ接続全てについて抜脱を規制することが好ましく、このようにすることで遊技制御基板40と投入メダルセンサ31との間のいずれかのコネクタを不正な打ち込み器具等のコネクタに差し替えて接続し、遊技制御基板40のメイン制御部41にゲームの進行に関わる不正な信号を入出力させるといった不正行為を行なうことが困難となるため、不正営業の実施等を効果的に防止できる。
【0452】
また、本実施の形態では、ゲームの進行に応じて遊技制御基板40に対して信号を入力する第1の電子部品5、6、7、8、31、33L、33C、33R、35およびゲームの進行に応じて遊技制御基板40から信号が出力される第2の電子部品32L、32C、32R、34のうち、投入メダルセンサ31と遊技制御基板40との間のコネクタ接続のみコネクタ規制部材を設けてコネクタ同士の接続の解除を規制している。すなわちその信号がなければ遊技を進行させることができない投入メダルセンサ31(投入メダルセンサ31からの信号が入力されなければ賭数を設定できずゲームを開始することが不可能となる)と遊技制御基板40との間のコネクタ接続のみコネクタ規制部材を設けてコネクタ同士の接続の解除を規制しており、他の電子部品と遊技制御基板40との間でコネクタ同士の接続を解除して打ち込み器具のコネクタに差し替えた場合でも、実質的に遊技を自動的にゲームを進行させることができなくなるため、最小限の規制で不正行為を防止することが可能となり、これらコネクタ同士の接続を解除するための部品点数を減らすことができる。
【0453】
なお、本実施の形態では、投入メダルセンサ31と遊技制御基板40との間のコネクタ接続のみコネクタ規制部材を設けてコネクタ同士の接続の解除を規制しているが、スタートレバー7と遊技制御基板40との間のコネクタ接続のみコネクタ規制部材を設けてコネクタ同士の接続の解除を規制するようにしても同様の効果が得られる。また、リールの回転開始後、リールの停止操作がなされるまでリールが停止する構成でないものであれば、ストップスイッチ8L、8C、8Rのいずれかと遊技制御基板40との間のコネクタ接続のみコネクタ規制部材を設けてコネクタ同士の接続の解除を規制するようにしても同様の効果が得られる。
【0454】
また、本実施の形態では、メイン制御部41とゲームの進行上必要な信号の入出力が行なわれる複数の電子部品とを接続する複数の信号線が、遊技制御基板40と操作部中継基板110との間では1本のケーブル600aで接続されているため、遊技制御基板40の基板側コネクタ610aとケーブル側コネクタ620aとのコネクタ接続、すなわち1カ所のコネクタ接続のみ接続の解除を規制することで、複数の信号線同士の接続の解除を規制することが可能となり、これらコネクタ接続の解除を規制するための部品を複数用意する必要がなく、これらの部品点数を削減できる。
【0455】
なお、メイン制御部41とゲームの進行上必要な信号の入出力が行なわれる複数の電子部品とを接続する複数の信号線が、複数のケーブルを介して接続される場合でも、基板側コネクタを近接する位置に配置するとともに、1つの部品でこれら複数の基板側コネクタと複数のケーブル側コネクタとの接続の解除を規制することで、これらコネクタ接続の解除を規制するための部品を複数用意する必要がなく、これらの部品点数を削減できる。
【0456】
また、本実施の形態では、遊技制御基板40と操作部中継基板110とを接続するケーブル600aのケーブル側コネクタ611aと操作部中継基板110の基板側コネクタ621aとの接続の解除、操作部中継基板110と投入メダルセンサ31とを接続するケーブル601gのケーブル側コネクタ612gと操作部中継基板110の基板側コネクタ622gとの接続の解除が、1つのコネクタ規制部材650によって、同時に規制されるので、これら複数のコネクタ接続の解除を規制するための部品を複数用意する必要がなく、これらの部品点数を削減できる。
【0457】
(3) また、本実施の形態では、メイン制御部41のバックアップ電源が、遊技制御基板40からケーブル600a-操作部中継基板110-ケーブル601g-投入メダルセンサ31-ケーブル601g-操作部中継基板110-ケーブル600aを経由した後、メイン制御部41に供給されるようになっており、スロットマシン1に対する電力供給が遮断されている状態で、遊技制御基板40の基板側コネクタ620aとケーブル600aのケーブル側コネクタ610aとの接続、ケーブル600aのケーブル側コネクタ611aと操作部中継基板110の基板側コネクタ621aとの接続、操作部中継基板110の基板側コネクタ622gとケーブル601gのケーブル側コネクタ612gとの接続、のいずれかの接続を解除することで、バックアップ電源の供給ラインが切断され、メイン制御部41のRAM41cのデータを保持できず、消失することとなる。すなわち遊技制御基板40と投入メダルセンサ31との間のコネクタ同士の接続が1カ所でも解除されると、メイン制御部41のRAM41cに保持されているバックアップデータが消失するようになっている。一方、打ち込み器具などの不正器具を接続するには、コネクタの抜き差しが必要となるが、打ち込み器具を使用し、不正に特別役の当選を設定しても、正規のコネクタと交換するためにコネクタの接続を解除することでRAM41cのデータが初期化されてしまうので、打ち込み器具を使用して特別役が当選した状態に設定したスロットマシン1を、遊技店の営業開始時等において遊技客に提供するといった不正営業を防止することができる。
【0458】
なお、本実施の形態では、バックアップ電源が、遊技制御基板40から投入メダルセンサ31を経由して再度遊技制御基板40に戻り、メイン制御部41に対して供給されることで、この間のコネクタ接続が解除された場合にRAM41cのデータが消失するようになっているが、ゲームの進行上必ず必要な信号の入出力がなされる電子部品(たとえば、スタートレバー7や、リールの回転開始後、リールの停止操作がなされるまでリールが停止する構成でないものにおけるストップスイッチ8L、8C、8Rなど)を経由するものであっても、上記と同様の効果が得られる。
【0459】
(4) また、バックアップ電源を蓄積するコンデンサや電池などを、ゲームの進行上必ず必要な信号の入出力がなされる電子部品の取付基板やこれら電子部品の中継基板(操作部中継基板110など)に搭載し、これら取付基板や中継基板に搭載されたコンデンサや電池などからのバックアップ電源の供給ラインが、電子部品の信号線とともにケーブルを介して遊技制御基板に接続され、メイン制御部41に対して供給されるようにしてもよく、この場合でも、これら取付基板や中継基板と遊技制御基板40との間のコネクタ接続が解除された場合にRAM41cのデータが消失することとなるため、上記と同様の効果を得られるうえに、遊技制御基板40には取付基板や中継基板に搭載されたコンデンサや電池などからケーブルを介してバックアップ電源が供給されることとなるため、ケーブルを抜いた際にメイン制御部41に対してバックアップ電源を供給し続けるためには、基板間を跨いでバックアップ電源の供給ラインを短絡させる必要があり、バックアップ電源を供給し続けた状態でコネクタ接続を解除することが非常に困難となるため、打ち込み器具の接続を効果的に防止することができる。
【0460】
(5) また、本実施の形態では、バックアップ電源を電子部品を経由させてメイン制御部41に対して供給することで、コネクタ接続が解除された場合にRAM41cのデータを消失させるようにしているが、たとえば、停電時においても常に特定の信号を出力する信号出力回路を搭載するとともに、停電時においても常に特定の信号を検出するとともに、特定の信号の検出が途切れた場合には、その旨を記憶する信号監視回路を遊技制御基板40に搭載し、この特定の信号の出力経路が遊技制御基板40からゲームの進行上必ず必要な信号の入出力がなされる電子部品を経由して遊技制御基板40に戻り、信号監視回路に入力される構成とし、メイン制御部41が起動時に、信号監視回路に特定の信号の検出が途切れた旨が記憶されているか否かを確認し、特定の信号の検出が途切れた旨が記憶されている場合に、初期化を実行し、RAM41cに記憶されているデータをクリアするようにしてもよく、このようにした場合でも、打ち込み器具を使用して特別役が当選した状態に設定したスロットマシン1を、遊技店の営業開始時等において遊技客に提供するといった不正営業を防止することができる。
【0461】
(6) また、本実施の形態では、メイン制御部41の起動時に電断前の状態に復帰し、かつ電断前から特別役が当選している場合には、CPU41aが特別役の当選を示す電源投入コマンドを送信し、特別役の当選を示す電源投入コマンドをサブ制御部91が受信すると、特別役の当選を示す告知演出を実行するとともに、この告知演出は特別役の入賞を示す入賞情報コマンドを受信するまで、すなわち当選した特別役が入賞するまで継続して実行されるようになっている。
【0462】
(7) また、サブ制御部91は、電源投入コマンドか、メイン制御部41の制御状態が初期化された旨を示す初期化コマンドを受信するまでは、バックアップが正常であってもその演出状態に復帰することもなく、他のコマンドを受信してもそれに応じて演出の制御は行なわないようになっている。このため、起動時にメイン制御部41とサブ制御部91のコマンド送信ラインを非接続とし、その後メイン制御部41とサブ制御部91とを接続しても、サブ制御部91は、電源投入コマンドや初期化コマンドを受信していないため、演出の制御が行なわれることはなく、起動時にメイン制御部41とサブ制御部91のコマンド送信ラインを非接続としても、サブ制御部91側で電源投入コマンドの受信を回避し、特別役の当選を示す告知演出の実行を回避することは不可能であり、このようにメイン制御部41の起動時に電断前の状態に復帰し、かつ電断前から特別役が当選している場合には、必ず特別役の当選が報知されることとなる。
【0463】
一方、打ち込み器具などの不正器具を接続するには、一度電源を切る必要がある(電源を切らずにコネクタを外すと故障の原因となる)が、上記の構成により、無理矢理コネクタの接続を解除して打ち込み器具を使用し、不正に特別役の当選を設定しても、メイン制御部41を再起動させた際に、特別役に当選していることが外部から容易に判別できてしまうので、打ち込み器具を使用して特別役が当選した状態に設定したスロットマシン1を、遊技店の営業開始時等において遊技客に提供するといった不正営業を効果的に抑止することができる。
【0464】
また、告知演出は特別役の入賞を示す入賞情報コマンドを受信するまで、すなわち当選した特別役が入賞するまで継続して実行されるので、特別役が入賞すること、すなわち特別役の当選フラグがクリアされるまでは告知演出が停止することはなく、遊技店によって特別役の当選を維持したまま告知演出を解除することが不可能となるため、打ち込み器具を使用して特別役が当選した状態に設定したスロットマシン1を、遊技店の営業開始時等において遊技客に提供するといった不正営業をより一層効果的に抑止することができる。
【0465】
(8) 前述した実施の形態においては、オレンジに入賞したときのRT平均規定ゲーム数は、RT1:RT3=0.3:0.7であるため、(0.3×500+0.7×10)=157となる。また、チェリーに入賞したときのRT平均規定ゲーム数は、RT2:RT4=0.4:0.6であるため、(0.4×330+0.6×10)=138となる。また、オレンジに入賞する確率とチェリーに入賞する確率とは同じである。このため、RT平均規定ゲーム数は、(157+138)/2=147.5となる。一方、ビッグボーナスの当選確率は、ビッグボーナス(1)およびビッグボーナス(2)の合計判定値数が(10+10+50+50+20+20+20+20+50+50)=300であるため、300/65536≒1/218となる。以上より、ビッグボーナスの当選確率の逆数(218)が、RT平均規定ゲーム数(147.5)よりも大きな値になるように設定されている。このため、RT1?RT4のいずれかに制御された場合であっても、ビッグボーナスに当選するまでの平均ゲーム数消化するまでに当該RT1?RT4が終了して初期遊技状態に制御されることに対し遊技者に期待感を抱かせることができ、適度に遊技者の期待感を煽ることができる。
【0466】
(9) 前述した実施の形態において、オレンジA?XまたはチェリーA?Xのいずれかに当選する確率は、合計判定値数が(2195+1881)=4076であるため、4076/65536≒1/16となる。また、RT2およびRT4の規定ゲーム数として、10が設定されている。以上より、RT2およびRT4の規定ゲーム数(10)は、オレンジA?XまたはチェリーA?Xのいずれかに当選する確率の逆数(16)よりも小さい値となるように設定されている。このため、RT2およびRT4に制御された場合には、オレンジA?XまたはチェリーA?Xのいずれかに当選するまでの平均ゲーム数消化するまでに当該RTが終了して初期遊技状態に制御されることに対し遊技者に期待感を抱かせることができ、適度に遊技者の期待感を煽ることができる。
【0467】
(10) 前述した実施の形態におけるスロットマシン1にあっては、ボーナス中演出、高確率連続演出、および復活連続演出が実行されているときに継続的に連続遊技効果音が出音されている状態で、前回のゲームが終了してから賭数の設定がなされないまま所定時間である30秒が経過した場合、すなわち、前回のゲームが終了してからゲームの進行に関わる操作がなされない状態が所定時間である30秒間継続した場合だけでなく、精算スイッチ10によるクレジットの精算操作に応じて精算処理(返却制御)が行なわれること、または精算スイッチ10による賭数の返却操作に応じて精算処理(解除制御)が行なわれることでも連続遊技効果音の音量が下がる。すなわち、連続遊技効果音が出音されている状態では、前回のゲームが終了してから所定時間である30秒が経過する前であっても、遊技者の意思により連続遊技効果音の音量を下げることができるため、遊技を中断しても周囲の遊技者に迷惑をかけることがない。
【0468】
(11) 前述した実施の形態では、ゲームが開始してから、すなわちリール2L、2C、2Rの回転が開始したときからストップスイッチ8L、8C、8Rが有効に操作されない状態が60秒続いた場合や、いずれかのリール2L、2C、2Rの回転が停止し、該停止したリール2L、2C、2Rに対応する可変表示部に表示結果が導出された後、未だ表示結果が導出されていない可変表示部がある場合には、最後にストップスイッチ8L、8C、8Rが有効に操作されてからストップスイッチ8L、8C、8Rが有効に操作されない状態が60秒続いたときに、遊技音の音量が下がることで、遊技を中断しても周囲の遊技者に迷惑をかけることがない。
【0469】
なお、連続遊技効果音の出音中の状態において、1ゲーム内において促進報知が開始されて連続遊技効果音の音量が一度下げられた後、当該ゲームにおいて遊技が再開して促進報知の終了とともに連続遊技効果音の音量が元に戻されたのち、再びいずれかのリール2L、2C、2Rに対応するリール停止操作がなされたときから、変動表示中のリール2L、2C、2Rに対応するリール停止操作がなされない状態が所定の音量低減待ち時間である60秒よりも短い音量低減待ち時間(たとえば30秒)続いたときにも、遊技音の音量が下がるように構成してもよい。
【0470】
(12) 前述した実施の形態では、連続演出の実行途上においては、デモ演出や履歴表示演出が実行されない。つまり、デモ演出の演出データや履歴表示演出の演出データのCGROM142からの読み出しと演出データ領域への書き込みが禁止されているので、実行中の連続演出の演出データがデモ演出や履歴表示演出の演出データによって上書きされて演出データ領域から消去されてしまうことがない。消去されることがないから、改めて連続演出の演出データをCGROM142から読み出して、実行演出データ領域に書き込まなければならないということも生じない。
【0471】
このため、現在の遊技の進行状況とは直接的には関係しないデモ演出や履歴表示演出を実行するために、データ量の大きい連続演出の演出データをCGROM142から読み出し、一時記憶メモリ155の実行演出データ領域に書き込む処理のオーバーヘッドが重複して生じることがなくなる。連続演出の実行途上においては選択スイッチ56および決定スイッチ57の操作も無効化したままにしているので、演出モードが切り替えられることがなく、演出モードが異なるだけで同じ状況に対応した演出データをCGROM142から読み出し、一時記憶メモリ155の実行演出データ領域に書き込まなければならないというオーバーヘッドが生じるのも防ぐことができる。
【0472】
また、連続演出を行なうための処理を演出制御基板90側において行なっているため、遊技制御基板40側において当該処理を行なう制御負担を演出制御基板90側に分担でき、遊技制御基板40側の制御負担を軽減することができる。
【0473】
(13) 前述した実施の形態においては、RT1?RT4に制御する契機となるオレンジおよびチェリーの入賞役を構成する図柄のうち左リール2Lの図柄を入賞ライン上に引込めるか否かは、遊技者のストップスイッチ8Lの操作タイミングに左右される。たとえば、オレンジに当選しているときは、左リール2Lの下段に図柄番号15?20および0の図柄が位置しているタイミングでストップスイッチ8Lが操作されたときに、オレンジを入賞ライン上に引き込むことができる。また、チェリーに当選しているときには、左リール2Lの下段に図柄番号1?14の図柄が位置しているタイミングでストップスイッチ8Lが操作されたときに、チェリーを入賞ライン上に引き込むことができる。このため、遊技者のストップスイッチ8Lの操作タイミング次第で、当選しているオレンジまたはチェリーを入賞させないようにすることができる。その結果、RT1?RT4に制御するか否かに、遊技者の遊技技術を介入させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0474】
一方、RT1?RT4に制御する契機となるオレンジおよびチェリーの入賞役を構成する図柄のうち右リール2Rの図柄は、遊技者のストップスイッチ8Rの操作タイミングに左右されることなく、入賞ライン上に引込み可能である。これにより、少なくともオレンジおよびチェリーの入賞役を構成する図柄のうち右リール2Rの図柄を入賞ライン上に引込めないために、当選しているオレンジまたはチェリーを取りこぼしてしまうことを防止することができる。その結果、オレンジおよびチェリーの入賞が発生する確率を開発段階で設定した確率に近づけることができ、その結果RT1?RT4に制御される確率の設定を容易に行なうことができる。
【0475】
(14) 従来の多くのスロットマシンで、左リール2Lに「チェリー」の図柄が導出されたことによって、中と右リール2C、2Rに導出された図柄の種類を問わずに小役入賞となる役を適用している。また、前述した実施の形態における入賞役パネル89には、オレンジA?Xを入賞させる図柄の組合せとして“オレンジ-any-any”と記され、チェリーA?Xを入賞させる図柄の組合せとして“チェリー-any-any”と記されている。さらに、RT2に制御する契機となるオレンジXを構成する図柄の組合せと、RT1に制御する契機となるオレンジA?Hを構成する図柄の組合せとは、右リール2Rに導出される図柄だけである。メダルの払出枚数も同じであり、可変表示装置2に導出された表示態様を見たときに、仮に目押しの必要であった左リール2Lへの「オレンジ」の導出を認識できたとしても、右リール2Rに導出された図柄の違いを認識できない限り、遊技者にはオレンジA?オレンジXのいずれかに入賞したことが分かるのみで、オレンジXに入賞したか否か区別できない。このため、遊技者は、左リール2Lの図柄が「オレンジ」で共通するオレンジXとオレンジA?Hとの区別することができず、同様に、左リール2Lの図柄が「チェリー」で共通するチェリーXとチェリーA?Hとの区別することができない。その結果、RTへ制御されたことを認識できても、RT2またはRT4に制御されたか否かについて認識できないように構成されている。これにより、RTが終了して初期遊技状態に制御されるまでに必要な消化ゲーム数を特定不能にすることができ、次のゲームでRTが終了するかもしれないといった期待感を遊技者に抱かせることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0476】
(15) 前述した実施の形態における内部抽選では、オレンジA?オレンジXの9種類、チェリーA?チェリーXの9種類、オレンジA?オレンジHの8種類、チェリーA?チェリーHの8種類が同時に抽選対象となっているが、当選フラグはオレンジA?オレンジXおよびチェリーA?チェリーXのそれぞれで別個に設定されるものとなっている。また、入賞フラグも、オレンジA?オレンジXおよびチェリーA?チェリーXのそれぞれで別個に定められている。このように異なる入賞役に対して、別個の当選フラグ、別個の入賞フラグを定めることによって、たとえば、この実施の形態にかかるスロットマシン1の仕様を利用して新たなスロットマシンを設計する場合において、当該新たなスロットマシンでオレンジXのみを入賞役として定め、オレンジA?オレンジHを入賞役として定めない場合でも、容易に設計変更が行なえるようになる。
【0477】
(16) 前述した実施の形態においては、RAM41cに記憶されているデータに異常が生じた場合には、RAM異常エラー状態に制御され、ゲームの進行が不能化されると共に、設定変更モードに移行し、設定変更操作に基づいて設定値を新たに選択・設定しなければ、ゲームの進行が不能化された状態が解除されない。すなわち、RAM41cに記憶されているデータに異常が生じても、スロットマシン1により自動的に設定された設定値ではなく、設定変更操作に基づいて選択・設定された設定値(一般的に、設定変更操作は遊技店の従業員により行なわれるので、遊技店側が選択した設定値である)に基づいてゲームが行なわれることが担保されるので、ゲームの公平性を図ることができる。
【0478】
(17) 前述した実施の形態においては、内部抽選において抽選対象の役に当選とするか否かを決定する際に、設定値ワーク41c-4に格納されている設定値が適正な値(1?4の範囲の値)でなければ、デフォルトの設定値(たとえば、設定1)に基づく確率で当選とするか否かを決定するのではなく、この場合にもRAM異常エラー状態に制御され、ゲームの進行が不能化されると共に、設定変更モードに移行し、設定変更操作に基づいて設定値を新たに選択・設定しなければ、ゲームの進行が不能化された状態が解除されない。賭数が適正な値でないときも、同様にRAM異常エラー状態に制御される。すなわち内部抽選において抽選対象となる役に当選とするか否かの決定を適正に行なうことができない場合も、設定変更操作に基づいて選択・設定された設定値に基づいて改めてゲームが行なわれることが担保されるので、ゲームの公平性を図ることができる。
【0479】
(18) また、RAM41cに記憶されたデータに異常が生じるのは、停電時やメイン制御部41が暴走する等、制御に不具合が生じて制御を続行できないときがほとんどである。これらの状態から復旧してメイン制御部41が起動するときにおいてのみデータが正常か否かの判断を行なうようになっているので、RAM41cに記憶されたデータが正常か否かの判定をデータに異常が生じている可能性が高い状況においてのみ行なうことができる。すなわち、RAM41cに記憶されたデータに異常が生じている可能性の低い状況では、当該判定を行なわずに済み、メイン制御部41の負荷を軽減させることができる。
【0480】
(19) 前述した実施の形態においては、特に電源が遮断されたときに生じる電圧低下信号の入力により実行される電断割込処理において、RAM41cに記憶されているデータに基づいてRAMパリティを計算してパリティ格納領域41c-7にセットし、次回起動時において、その際に計算して得られたRAMパリティをパリティ格納領域41c-7に格納されていたRAMパリティと比較して、RAM41cのデータが正常であるか否かを判定している。このように電源が遮断されたときに生じる電圧低下信号の入力時と起動時のRAMパリティを比較するのみでRAM41cのデータが正常か否かを判定できるので、当該判定を正確かつ簡便に行なうことができる。
【0481】
(20) 前述した実施の形態においては、RAM41cのデータに異常が生じて、ゲームの進行が不能化された場合には、ゲームの進行が不能化された状態を解除する条件となる設定値の変更操作が有効となる設定変更モード(設定変更処理)へ移行することに伴って、RAM41cに記憶されているデータが初期化される。このため、RAM41cのデータに異常が生じたことに伴うデータの初期化と設定値の選択・設定に伴うデータの初期化とを1度で行なうことができるので、無駄な処理を省くことができる。
【0482】
さらに、メイン制御部41の起動時には、RAM41cのデータが正常であるか否かを判定する前に、設定キースイッチ37がONの状態であるか否かを判定し、その時点で設定キースイッチ37がONの状態であると判定した場合には、RAM41cのデータが正常であるか否かの判定は行なわずに、設定変更モードに移行する。こうしてRAM41cのデータが正常であるか否かの判定を行なわずに新たに設定値が選択・設定されることにより、無駄な処理を省くことができるようになる。
【0483】
(21) 前述した実施の形態においては、メイン制御部41のRAM41cにおけるスタック領域41c-6のうち未使用スタック領域および未使用領域41c-8が1ゲーム毎に初期化されるので、スタック領域41c-6のうち未使用スタック領域および未使用領域41c-8等のRAM41cの未使用の領域を利用して不正プログラムを格納させても、当該不正プログラムが常駐してしまうことを防止できる。
【0484】
(22) 前述した実施の形態においては、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)が作動している間は、常にレギュラーボーナスに制御されることにより、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)中においてメダルを最も速く増加させることができるので、従来のようにJACIN入賞に伴いレギュラーボーナスが作動するよりもビッグボーナスへの移行に伴う遊技者の興趣を高めることができる。
【0485】
また、特に、前述した実施の形態におけるビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)のように、たとえば、レギュラーボーナスへの移行回数でビッグボーナスが終了することなく、ビッグボーナス中のメダルの払出総数が規定値(たとえば、270枚以上)に到達することで終了条件が成立する場合には、ボーナス中の純増枚数を高めることができるので、さらにビッグボーナスへの移行に伴う遊技者の興趣を高めることができる。
【0486】
(23) 前述した実施の形態においては、遊技状態毎に役別テーブルに登録されている各抽選対象役の判定値数の格納先のアドレスは、設定値に応じて異なっている場合もあるが、設定値に関わらずに当選確率を同一とするものとした役については、設定値に関わらずに判定値数が共通化して格納されるものとなる。このように判定値数を共通化して格納することで、そのために必要な記憶容量が少なくて済むようになる。もっとも、役別テーブルにおいて、内部抽選の対象役と遊技状態が同じで設定値に応じて参照される判定値数を格納したアドレスが異なっていても、異なるアドレスにおいて格納されている判定値数が同じである場合がある。
【0487】
一般に開発段階においては、少なくとも一部の役について設定値に応じて判定値数を調整しながら(すなわち、内部抽選の当選確率を調整しながら)、シミュレーションを行なっていくものとしている。当初の判定値数として、設定値に応じて異なる判定値数を登録しておいたが、シミュレーションにより調整を行なった結果として、設定値が異なる場合の判定値数が同一になる場合もある。当初の判定値数として、設定値に応じて同一の判定値数を登録しておいたが、シミュレーションの結果により当初から登録してあった判定値数がそのまま用いられる場合もある(シミュレーションの結果により当初とは異なる判定値数すなわち、設定値に応じて異なる判定値数となる場合もある)。そして、それぞれの場合におけるシミュレーションで適切な結果の得られた判定値数を、量産用の機種に設定する判定値数として選ぶものとしている。
【0488】
ここで、シミュレーションにより調整された判定値数が結果として設定値に関わらずに同じになったとしても、その開発段階でのアドレス割り当てと同じアドレスの割り当てで判定値数をROM41bに記憶して、そのまま量産用の機種とすることができる。このため、量産用の機種において判定値数の格納方法を開発用の機種から変更する必要がなく、最初の設計段階から量産用の機種に移行するまでの開発を容易に行なうことができるようになる。
【0489】
また、内部抽選は、取得した内部抽選用の乱数に、役別テーブルから参照された各役の判定値数を加算していき、その加算の結果がオーバーフローしたか否かによって、それぞれの役の当選の有無を判定するものとしている。このため、各役の判定値数をそのまま用いて内部抽選を行なうことができる。なお、実際の当選判定を行なう前に当選判定用テーブルを生成する場合にはループ処理が2回必要になるが、この実施の形態によれば、抽選処理におけるループ処理が1回で済むようになり、抽選処理全体での処理効率が高いものとなる。
【0490】
(24) 前述した実施の形態では、スタートスイッチ7の操作によりゲームが開始してからリール2L、2C、2Rの全てが回転停止して可変表示装置2に表示結果が導出されるまで、さらに当該表示結果に応じてメダルが払い出される場合にはメダルの払い出しを完了するまでは、透過領域オブジェクトが設定されて、液晶表示器51の透過領域(入賞判定領域)が非表示(完全な透過状態)に設定される。つまり、リール2L、2C、2Rが回転している間は、液晶表示器51に表示される画像によってリール2L、2C、2R、特に入賞判定の対象となる領域の視認性が確保されることとなり、ゲームの進行に影響を与えることがない。また、リール2L、2C、2Rの全てが回転停止した後でも、メダルの払い出しがある場合にはこれを完了するまでは透過領域(入賞判定領域)が非表示に設定される。このため、メダルの払い出しを生じさせることとなった小役の入賞を確実に把握することが可能になる。
【0491】
さらに、リール2L、2C、2Rの全てが回転停止した後には液晶表示器51の透過領域(入賞判定領域)と透過領域(入賞判定領域)以外の領域で一体的な画像で演出が行なわれるものとなるが、リール2L、2C、2Rの全てが回転停止した後であっても透過領域(入賞判定領域)は半透過状態に設定される(ただし、メダルの払い出しがあるときには、メダルの払い出しを完了してから半透過状態に設定される)。透過領域(入賞判定領域)が半透過状態になるとは言っても、透過領域(入賞判定領域)と透過領域(入賞判定領域)以外の領域に一体的に画像を表示して演出を行なうことができるので、可変表示装置2よりもさらに大きな液晶表示器51の大画面を生かしたダイナミックな演出を行なうことができる。メダルの払い出しがある場合には透過領域(入賞判定領域)にまで画像が表示されるのはメダルの払い出しを完了してからであるが、メダルの払い出しがあるか否かに関わらずリール2L、2C、2Rの全てが回転停止すれば液晶表示器51において画像の表示による演出が開始されることとなる。このように演出の開始タイミングを統一することができるため、演出の開始タイミングの制御を簡易なものとすることができ、また、遊技者にとっても液晶表示器51において画像の表示による演出が開始される契機が分かり易くなる。
【0492】
また、本来の演出の画像の色が濃い(すなわち、透過度が低い)ときであっても、透過領域における画像の色は薄い(すなわち、透過度が高い)ものとなるので、背後にあるリール2L、2C、2Rに停止して表示されている図柄に対して一定の視認性を確保することができる。図柄の視認性を確保することができることから、可変表示装置2の表示結果としてリーチ目、チャンス目或いはハズレ目といった特別役の当選の有無に関連した表示結果を確認することができ、スロットマシン本来の遊技性を損なわない。
【0493】
スタートスイッチ7の操作からリール2L、2C、2Rの全てが回転開始するまで(ただし、メダルの払い出しがある場合は払い出し完了まで)は、透過領域(入賞判定領域)が非表示に設定されるが、そのための処理として透過領域(入賞判定領域)の範囲に対応した透過領域オブジェクトを設定するものとしている。ここで、各フレーム期間において液晶表示器51に表示する画像の画像データをフレームバッファメモリ156に書き込む場合に、透過領域オブジェクトは最先に処理されるものとなっている。このため、仮に1フレーム期間の間に何らかの問題が生じて画像データの描画が正常に行なえないことがあったとしても、透過領域(入賞判定領域)は必ず非表示に設定される。このため、リール2L、2C、2Rの回転が継続している間は、リール2L、2C、2Rに描かれた図柄の視認性を担保することができる。
【0494】
また、スタートスイッチ7の操作からリール2L、2C、2Rの全てが回転開始するまで(ただし、メダルの払い出しがある場合は払い出し完了まで)に透過領域オブジェクトを設定して、透過領域(入賞判定領域)を非表示にするのは、どのような遊技状態で行なわれるゲームであるかに関わらずに必ず行なわれる制御となっている。このため、スロットマシン1の遊技状態がどのようになっていても、リール2L、2C、2Rの回転が継続している間は、リール2L、2C、2Rに描かれた図柄の視認性を担保することができる。
【0495】
さらに、液晶表示器51の液晶ドライバは、VDP141から画像信号が供給されないときには、液晶パネルの各画素の駆動信号として透明の画像に対応した駆動信号を出力するので、仮にサブ制御部91や表示制御回路92の故障があった場合でも、液晶表示器51の透過領域(入賞判定領域)の部分の背面にあるリール2L、2C、2Rに描かれた図柄の視認性を担保することができる。
【0496】
一方、リール2L、2C、2Rの全てが回転停止して液晶表示器51に画像が表示されることとなっても、液晶表示器51の透過領域(入賞判定領域)に含まれる各画素のRGB値は、白加算処理または半透明処理が施されることによって、本来の画像のRGB値よりも高くなり、透過性が高くなる。このため、透過領域(入賞判定領域)と、透過領域(入賞判定領域)以外の領域を含む広い領域で全体としてダイナミックな演出を行なうことが可能になるとともに、リール2L、2C、2Rに描かれた図柄の視認性を高くすることができる。
【0497】
ここで行なわれる白加算処理や半透明処理は、四則演算だけの比較的単純な計算だけで済むものであるので、透過領域に含まれる画素のRGB値を高くするための計算に処理負荷が大きくならない。さらに、演出データや画像の表示状態によって白加算処理か半透明処理かを選択して適用できるようにすることで、透過領域(入賞判定領域)以外の領域に表示される画像との一体性と、透過領域(入賞判定領域)の背面にあるリール2L、2C、2Rに描かれた図柄の視認性とのバランスを図ることができる(図柄の視認性の確保に重点を置くなら白加算処理の方が優れ、画像の一体性に重点を置くなら半透明処理の方が優れる)。
【0498】
また、現在の遊技の進行状況を示す演出ではないが、スタートスイッチ7の操作から可変表示装置2の表示結果の導出までのゲーム中の期間ではないゲームとゲームの間の期間において、所定期間に亘って遊技操作が行なわれていないとデモ演出が実行され、選択スイッチ56および決定スイッチ57の操作によって履歴表示演出の実行を遊技者が指示すると履歴表示演出が実行される。さらに、このゲームとゲームの間の期間において選択スイッチ56および決定スイッチ57を操作するとによって演出モードを切り替えることができる。
【0499】
これらのデモ演出や履歴表示演出が行なわれる場合は、透過領域オブジェクトは設定されず、また、透過領域(入賞判定領域)が半透過状態ともされない。つまり、デモ演出や履歴表示演出は、液晶表示器51のうちで透過領域(入賞判定領域)も透過領域(入賞判定領域)以外の領域も同じ状態で画像が表示されるものとなる。もっとも、これらのデモ演出や履歴表示演出が行なわれる場合には、遊技者によって遊技が進行されておらず(単にゲームからゲームに移行する間にインターバルだけという訳でもない)、リール2L、2C、2Rに描かれた図柄の視認性が全く問題とならない。このようにリール2L、2C、2Rに描かれた図柄の視認性が全く問題とならないところでは、透過領域(入賞判定領域)を非表示にも半透過にもしないことで、液晶表示器51の全体の領域を使って一体性のある演出をダイナミックに行なうことができるようになる。
【0500】
上記した演出の画像を表示するための液晶表示器51を構成する液晶パネルには、表面光沢処理が施されている。このような液晶パネルでは、ノングレア処理を施した液晶パネルに比べて背面から照射される光も散乱させずに(すなわち、ノングレア処理を施した液晶パネルに比べて高い透過性で)、遊技者の目に届くこととなる。このため、リール2L、2C、2Rに描かれた図柄の視認性をより高めることができるものとなる。
【0501】
さらに、液晶表示器51の背面から照射される光というのは、透過領域ではリール2L、2C、2Rの内部に設けられたリールLED55の光、透過領域以外の領域では液晶表示器51内のバックライトの光ということとになる。ここで、リールLED55に動作電力を供給する電源回路と液晶表示器51内のバックライトに動作電力を供給する電源回路とは、別系統となっているため、リールLED55とバックライトとの共倒れによって液晶表示器51の背面から光(反射光を除く)が全く照射されなくなってしまうことがほとんど起こり得なくなるので、液晶表示器51に表示される画像が視認できなくなってしまうことを防ぐことができる。
【0502】
また、サブ制御部91が備えるリセット/割込コントローラによりVDP141からのイベント割り込み信号がON状態になることによりイベント割り込みの発生が検出される。CPU91aは、リセット/割込コントローラによりイベント割り込みの発生が検出されずにイベント割り込み待ちタイマ値が制限時間判定値に発生すると、所定のループ処理に入り、タイマ割込の発生に対応する演出制御割り込み処理を開始させないようにする。そして、リセット回路95がクリアされないためにタイムアウトが発生し、サブ制御部91のリセット端子にON状態のリセット信号が入力され、サブ制御部91にリセットを発生させて再起動させる。この場合には、スロットマシン1への電力供給が開始された場合と同様に、ステップS401の演出初期設定処理が実行され、VDP141の初期設定が行なわれることとなる。このため、サブ制御部91の側でVDP141におけるイベント割り込みの発生が検出されずに予め定められた待機期間が経過した場合に、専用の処理を実行することなくVDP141の初期設定を行なうことができ、プログラム容量の増大や複雑化を防止しつつ、異常な表示状態から適切に復帰させることができる。
【0503】
また、サブ制御部91では、タイマ割込の発生に対応して演出制御割り込み処理を実行した場合には、その中で演出バックアップ処理を実行し、演出バックアップ用データをRAM91cのバックアップ領域に設定して記憶させる。そして、サブ制御部91の再起動に対応して演出制御復旧処理を実行した場合には、RAM91cのバックアップ領域に記憶されている演出バックアップ用データにより、サブ制御部91の制御状態を再起動される以前の状態に復旧させる。これにより、サブ制御部91の側でVDP141におけるイベント割り込みの発生が検出されずに予め定められた待機時間が経過した場合に、途中となっていた表示動作を再起動後に続きがら実行することができ、異常な表示状態からの適切な復旧が可能になる。また、サブ制御部91が再起動される場合に、制御状態を復旧させるための特別な制御を行なう必要がないので、処理の複雑化を防止しつつ、異常な表示状態から適切に復旧させることができる。
【0504】
本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形態様について説明する。
【0505】
(1) スロットマシン1に設けられた操作部(スタートレバー7、1枚BETスイッチ5、MAXBETスイッチ6、精算スイッチ10、ストップスイッチ8L、8C、8R、選択スイッチ56、決定スイッチ57、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38等)の特定の操作を検出したときに、RT状態を初期化できるようにしてもよい(遊技状態フラグの値を初期遊技状態を示す値に更新)。その特定の操作は、たとえば、2以上の操作部の所定の操作を組合せたものとすることが考えられるが、設定変更に関わる操作とはまったく異なる手順であってもよく、設定変更のための操作の一部の操作を含む、他の操作との組合せによる操作手順であってもよい。
【0506】
(2) 前述した実施の形態では、メイン制御部41の起動時に電断前の状態に復帰し、かつ電断前から特別役が当選している場合には、CPU41aが特別役の当選を示す電源投入コマンドを送信し、特別役の当選を示す電源投入コマンドをサブ制御部91が受信すると、特別役の当選を示す告知演出を実行する例について説明した。しかし、特別役の当選を示す告知演出を行なうだけでなく、復帰させる遊技状態を報知する告知演出を実行するように構成してもよい。たとえば、復帰させる遊技状態が、初期遊技状態であるときには、CPU41aが初期遊技状態を示す電源投入コマンドを送信してサブ制御部91に初期遊技状態を示す告知演出を実行するように構成してもよい。また、復帰させる遊技状態が、RTであるときには、CPU41aがそのRTの種類を示す電源投入コマンドを送信してサブ制御部91にRTの種類を示す告知演出を実行するように構成してもよい。なお、復帰させる遊技状態とは、制御される遊技状態すべて(たとえば、初期遊技状態、RT1?RT5、ボーナス等)であってもよく、また、制御される遊技状態のうち所定の遊技状態(たとえば、初期遊技状態、RT1?RT5、ボーナス等のうち、初期遊技状態およびボーナスだけ)であってもよい。
【0507】
なお、報知器としては、専用の報知器を設けてもよく、あるいは、メイン制御部41が直接制御するクレジット表示器11や遊技補助表示器12、ペイアウト表示器13、サブ制御部91が制御する液晶表示器51などのゲームの進行において使用する表示器を利用してもよい。
【0508】
(3) 前述した実施の形態では、図19のS603において、BETカウンタの値が0であるか否かが判定され、0でないときにBET数を精算する解除制御が行なわれ、0であるときにBET数を精算しないと判定しクレジットカウンタの値に基づきクレジットを精算する返却制御が行なわれる例について説明した。すなわち、解除制御と返却制御とが別個独立に行なわれる例について説明した。しかし、解除制御と返却制御とが1回の操作で行なわれるものであってもよい。たとえば、精算スイッチ10が操作されると、BETカウンタおよびクレジットカウンタの値に基づき、解除制御と返却制御とを行なうように構成してもよい。また、解除制御とは、BET数に対応するメダルを払い出すものに限らず、BET数をクレジット加算するもの等、BET数を解除できるものであればよい。
【0509】
また、前述した実施の形態では、賭数の精算及びクレジットの精算を1つの精算スイッチ10にて行える、つまり、賭数が設定されているときには、該賭数に相当するメダル数を返却するスイッチとして機能し、賭数及びクレジット双方があるときには、クレジットに相当するメダル数のみを返却するスイッチとして機能するようになっていたが、賭数及びクレジットそれぞれの返却を別個のスイッチにてできるようにしてもよい。
【0510】
(4) 前述した実施の形態では、初期遊技状態またはRT1?RT4のいずれかに制御されている場合に、ビッグボーナスに当選すると、リプレイが21000/65536≒1/3.1で当選するRT5に制御される。これにより、ビッグボーナスに当選しているか否かについて、遊技者がリールに停止された図柄の組合せから特定し難くするとともに、液晶表示器51aやその他の演出手段によりビッグボーナスに当選しているか否かの演出に遊技者を注目させて演出効果を高めることができる。
【0511】
なお、RT5におけるリプレイの当選確率を初期遊技状態と同程度に高め(たとえば、判定値数を40000等)、かつ初期遊技状態中にビッグボーナスに当選して制御されるRT5中においても、引き続き前述した高確率連続演出を行なう場合には、初期遊技状態中であってもRT5中であっても何らかの入賞役に入賞する可能性が極めて高くなる。しかし、RT5に制御されている場合には、初期遊技状態であるときと比較して、リプレイの当選確率が低くなる分だけ内部抽選においてはずれとなる確率が高くなる。このように構成した場合、高確率連続演出中に、何らの入賞役にも入賞しなかったことまたは所定回連続して入賞しなかったことを条件として、ボーナスに当選しているか否かを報知する演出を行なうように構成してもよい。これにより、高確率連続演出が行なわれているときには、初期遊技状態に再度制御されることに対する期待感を抱かせるとともに、ビッグボーナスに当選していることに対する期待感を抱かせ、遊技の興趣を効果的に向上させることができる。
【0512】
また、RT1?RT4中にビッグボーナスに当選して制御されるRT5中においても、引き続き前述した復活連続演出を行なう場合には、復活連続演出が行なわれているときに、仮にリプレイが所定回数(たとえば、3回)連続して入賞したときにはビッグボーナスに当選しているか否かを報知するボーナス当選演出を行なうように構成してもよい。これは、オレンジやチェリーは、図9で説明したように、ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)と同時に当選する場合も生じ、オレンジやチェリーに入賞した場合には、ビッグボーナスにも当選しており遊技状態がRT5に制御されている場合も考えられ、そのうち特にRT5に制御されている場合にはRT1?RT4に制御されている場合と比較してリプレイに当選する確率が高いためである。これにより、復活連続演出が行なわれているときには、初期遊技状態に再度制御されることに対する期待感を抱かせるとともに、ビッグボーナスに当選していることに対する期待感を抱かせ、遊技の興趣を効果的に向上させることができる。
【0513】
(5) 前述した実施の形態では、コネクタ規制部材500を基板ケース200に取り付けることによるコネクタの抜脱を規制する方法を、遊技制御基板40と操作部中継基板110とを接続するケーブル600aと、遊技制御基板40とのコネクタ接続に適用しているが、その他のコネクタ接続、たとえば、操作部中継基板110とケーブル600aとのコネクタ接続、操作部中継基板110と遊技用電子部品とを接続するケーブル601a?gと操作部中継基板110とのコネクタ接続、遊技制御基板40とリール中継基板120とを接続するケーブル600bと、遊技制御基板40とのコネクタ接続、リール中継基板120とケーブル600bとのコネクタ接続、リール中継基板120と遊技用電子部品とを接続するケーブル601h?mと操作部中継基板110とのコネクタ接続、遊技制御基板40と電源基板100とを接続するケーブル600cと、遊技制御基板40とのコネクタ接続、電源基板100とケーブル600cとのコネクタ接続、電源基板100と遊技用電子部品とを接続するケーブル601n、oと電源基板100とのコネクタ接続、遊技制御基板40と演出中継基板80とを接続するケーブル600dと、遊技制御基板40とのコネクタ接続、演出中継基板80とケーブル600dとのコネクタ接続、演出中継基板80と演出制御基板90とを接続するケーブル601pと演出中継基板80とのコネクタ接続、ケーブル600pと演出制御基板90とのコネクタ接続などに適用してもよい。すなわち、複数の遊技用電子部品を中継基板を経由して遊技制御基板に接続する構成において、遊技用電子部品側ケーブルおよび遊技制御基板側ケーブルが接続される中継基板側のコネクタ接続部分のすべて、中継基板側ケーブルが接続される遊技制御基板側のコネクタ接続部分のすべてについて、上記規制手法を漏れなく適用してもよい。
【0514】
(6) 前述した実施の形態では、コネクタ同士の接続の解除を規制する方法について説明しているが、たとえば、投入メダルセンサ31やスタートレバー7などのゲームの進行上必要な信号の入出力を行なう電子部品と、これら電子部品とケーブルとの接続箇所に対して、外部からアクセス不能に被覆する被覆部材を取り付けることが好ましく、このようにすることで、ゲームの進行上必要な信号の入出力を行なう電子部品とケーブルとの接続箇所に対して打ち込み器具などの不正器具が取り付けられてしまうことを防止できる。また、これら電子部品とケーブルとの接続箇所を被覆する被覆部材を取り外した際に、その痕跡が残る構造(被覆部材の一部を破壊しなければ取り外せない構造など)とすることが好ましく、このようにすることで、不正器具が取り付けられた痕跡を残すことが可能となり、事後に不正行為があった可能性を把握できる。
【0515】
(7) 前述した実施の形態では、コネクタ規制部材500を基板ケース200と別体に構成し、基板ケース200を取付ベース250から取り外すことで、基板ケース200からコネクタ規制部材500を取り外し、コネクタの抜脱の規制を解除できるようになっているが、たとえば、コネクタ規制部材500を一度基板ケース200に取り付けた場合には、基板ケース200またはコネクタ規制部材500の一部を破壊しなければ、コネクタ規制部材500を基板ケース200から取り外してコネクタの抜脱の規制を解除できないようにしてもよい。
【0516】
(8) 前述した実施の形態では、コネクタ規制部材500を取付側部材510とコネクタカバー520とから構成し、取付側部材510を基板ケース200に対して取り付けた後、基板側コネクタにケーブル側コネクタを接続した状態で、コネクタカバー520を取付側部材510に装着することで、コネクタの抜脱が規制されるようになっているが、基板側コネクタにケーブル側コネクタを接続した状態で、最初から一体化されたコネクタ規制部材500を基板ケース200に取り付けることでコネクタの抜脱が規制されるようにしてもよい。
【0517】
(9) 前述した実施の形態では、基板ケースに収容された基板の基板側コネクタとケーブル側コネクタの接続の解除を規制する方法として、コネクタ規制部材500を用いた例を説明したが、他の方法であってもよい。
【0518】
(10) 前述した実施の形態では、ボーナス中演出、高確率連続演出、および復活連続演出等の連続演出実行中には、複数ゲームにわたり継続的に連続遊技効果音を出音する例について説明したが、これら連続遊技効果音は、ボーナス中演出、高確率連続演出、および復活連続演出とで、異なる効果音(楽曲等)であってもよい。連続遊技効果音は、複数のゲームにわたり継続的に出音される連続遊技効果音が適用されていたが、1ゲームを超えて連続遊技効果音を継続して出音されるもの、つまり、ゲーム中に出音を開始してから、当該ゲームが終了した後も継続して連続遊技効果音を出音するものであれば、たとえば1ゲームが終了した後、次以降のゲームが開始されるまでの間継続して出音するものに限定されるものではなく、たとえば1ゲームが終了した後、少なくとも次ゲームが開始可能な状態となるまでの間(所定数の賭数が設定されるまでの間)継続して出音するもの等も含まれる。
【0519】
(11) 前述した実施の形態では、効果音の音量を下げる場合、最大(MAX)からレベル0(消音)まで一気に下がるようになっていたが、たとえば漸次音量を小さくするようにしてもよいし(フェードアウト)、経過時間に応じて段階的に音量を小さくするようにしてもよい。さらに、遊技再開時にも、音量を漸次音量を大きくするようにしてもよいし、経過時間に応じて段階的に音量を大きくするようにしてもよい。
【0520】
(12) 前述した実施の形態では、スロットマシンから出力される効果音の音量を下げる制御として、効果音の音量を最大(MAX)からレベル0まで一気に下がる制御を行なう例について説明したが、たとえば効果音の音量を最大以下の音量に制御するものであってもよいし、下げる際には、現在の音量よりも小さい音量にまで下げるものであれば、必ずしも音量レベルを0、すなわち消音しなくてもよく、周囲の遊技者に迷惑をかけない程度の音量であれば、レベル0以上の音量に下げるものであってもよい。また、スロットマシンから出力される効果音の音量を下げる制御として、音量を下げるものに限らず、効果音の出力を停止する制御や、他の楽曲(たとえば、音量が静かな楽曲、緩やかな楽曲等)に変更する制御を行なうものであってもよい。
【0521】
(13) 前述した実施の形態においては、特別入賞としてビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)を例にして説明した。しかし、特別入賞としてはこれらに限るものでない。特別入賞としては、たとえば、所定のストップボタンの操作から対応するリールの回転を停止するまでの最大停止遅延時間が75ミリ秒に短縮されるチャレンジボーナスであってもよい。
【0522】
(14) 前述した実施の形態においては、初期遊技状態がRT1?RT4よりもリプレイに当選する確率が高い遊技状態である例について説明した。しかし、初期遊技状態は、RT1?RT4よりもリプレイに当選する確率が高い遊技状態に限るものでない。たとえば、初期遊技状態は、内部抽選において所定の入賞役が当選した場合にその旨をランプ等により告知するAT(Assist Time)であってもよい。
【0523】
(15) 上記の実施の形態では、設定値の変更を行なう際には、使用中のスタック領域を除いてRAM41cの全てのデータが初期化されるものとなっていた。もっとも、RAM41cのデータを初期化するためには、設定値の変更を行なう際にさらに別個の初期化操作(たとえば、設定キースイッチ37をON状態として電源を投入する際に、さらにデータクリアリセット/設定スイッチ38も操作する)を行なうことが必要になるものとしてもよい。RAM異常エラー状態からは、単なる設定値の変更操作だけではなく初期化操作も行なってRAM41cのデータを初期化することで復帰できるようにしてもよい。具体的には、図13のステップS103においてYESと判断された後、さらに、リセット/設定スイッチ38が操作されているか否かを判断するステップを設けて、当該ステップによりリセット/設定スイッチ38が操作されていると判断されたときに、ステップS109の処理に進めるように構成してもよい。
【0524】
(16) 上記の実施の形態では、設定値の変更に伴って、設定値ワーク41c-4の他、使用中のスタック領域を除いてRAM41cの全てのデータが初期化されるものとなっていた。しかし、このように設定値の変更に伴って、使用中のスタック領域を除いてRAM41cの全てのデータが初期化されるものに限らず、設定値の変更を行なう操作とは別個の初期化操作(たとえば、リセット/設定スイッチ38の操作)を行なうことに伴って、設定値ワーク41c-4と使用中のスタック領域とを除いてRAM41cの全てのデータが初期化され、設定値の変更に伴って、設定値ワーク41c-4に新たな設定値が記憶されるものであってもよい。
【0525】
具体的には、図13のステップS102が行なわれた後、リセット/設定スイッチ38が操作されているか否かを判断するステップを設けて、当該ステップによりリセット/設定スイッチ38が操作されていると判断されたときに、設定値ワーク41c-4と使用中のスタック領域とを除いてRAM41cの全てのデータを初期化する処理を行ない、さらに設定キースイッチ37がON状態となっているか否かを判断する処理を行ない、当該処理により設定キースイッチ37がON状態となっているときにステップS110の処理に進め、設定キースイッチ37がON状態となっていないときに割込禁止を解除する処理を行ない、ゲーム制御処理に進めるように構成してもよい。なお、リセット/設定スイッチ38が操作されていないときにはステップS104の処理に進めるように構成してもよい。これにより、RAM異常エラー状態からは、単なる設定値の変更操作だけではなく初期化操作も行なってRAM41cのデータを初期化することで復帰できる。また、設定値異常を除くRAM異常エラー状態からは、初期化操作のみを行なうことによりRAM41cのデータを初期化することができ復帰できる。
【0526】
(17) 上記の実施の形態では、リール1周に対して8ステップ毎(1図柄毎)に分割した21の領域(コマ)が定められており、停止制御テーブルとして、それぞれの領域(領域番号)に対応して、引込コマ数(停止位置)が一意的に定められた停止制御テーブル、すなわち1図柄が変動する範囲の領域に対応して停止位置が一意的に定められた停止制御テーブルを用いてリールの停止制御を行なっているが、たとえば、1図柄未満の領域毎、たとえば1ステップ、すなわちリールモータを駆動する際の最小単位毎に、引込ステップ数や引込コマ数(停止位置)を一意的に定めた停止制御テーブルを用いてリールの停止制御を行なってもよく、このようにすることで、リールモータのステップ数単位で停止位置を変化させることが可能となり、停止操作位置に対する停止位置をさらに多様化することができる。この場合も、上記の実施の形態における停止制御テーブルの選択と同様に、リールを停止させる際の制御が複雑化することがないという効果を得ることができる。
【0527】
(18) 上記の実施の形態では、役別テーブルに登録されたアドレスに記憶された判定値数を内部抽選用の乱数に加算していき、その加算の結果オーバーフローが生じたときに、当該役に当選するものとしていた。これに対して、取得した判定値数を取得した内部抽選用の乱数の値から順次減算して、減算の結果を新たな内部抽選用の乱数の値とするものとしてもよい。判定値数を内部抽選用の乱数の値から減算するときには、減算の結果にオーバーフロー(ここでは、減算結果がマイナスとなること)が生じたかどうかを判定するものとすることができる。
【0528】
(19) 上記の実施の形態では、内部抽選は、取得した内部抽選用の乱数の値に遊技状況に応じた各役の判定値数を順次加算していき、加算結果がオーバーフローしたときに当該役を当選と判定するものとしていた。これに対して、遊技状況に応じた各役の判定値数に応じて、各役を当選と判定する判定値を定めた当選判定用テーブルをゲーム毎に作成し、取得した内部抽選用の乱数の値を各役の判定値と比較することで、内部抽選を行なうものとしてもよい。
【0529】
(20) 上記の実施の形態では、判定値数記憶領域は、2バイトの領域を用いて、それぞれの場合における判定値数を記憶するものとしていた。もっとも、一般的なスロットマシンでは、特別役の判定値数は、いずれの遊技状況においても255を超えるものが設定されることはあり得ない。このように255を超える判定値数を設定する必要がないものについては、1バイトの領域だけを用いて、判定値数を記憶するものとしてもよい。
【0530】
(21) 上記の実施の形態では、判定値数は、設定値1?4の全体に共通して記憶されているか、設定値1?4のそれぞれに対して個別に記憶されているかであった。もっとも、設定値1?4の全体に共通して判定値数が記憶されない(設定値についての共通フラグが設定されない)ものとして、たとえば、設定値1?2については判定値数が共通、設定値3?4については判定値数が共通のものとすることもできる。
【0531】
(22) 上記の実施の形態では、可変表示装置2は、外周部に複数の図柄を所定順に配した3つのリール2L、2C、2Rを備えるものとし、これらのリール2L、2C、2Rの回転駆動によって図柄を可変表示させるものとしていた。しかしながら、液晶表示装置などの表示装置上で仮想的に図柄を可変表示させるものを、上記のような可変表示装置2の代わりに用いてもよい。
【0532】
(23) 上記の実施の形態では、賭数の設定や入賞に伴う遊技用価値の付与に用いる遊技媒体としてメダルを適用したスロットマシンを例として説明した。しかしながら、本発明を具現化するスロットマシンは、パチンコ遊技機で用いられている遊技球を遊技媒体として適用したスロットマシン(いわゆるパロット)であってもよい。遊技球を遊技媒体として用いる場合は、たとえば、メダル1枚分を遊技球5個分に対応させることができ、上記の実施の形態で賭数として3を設定する場合は、15個の遊技球を用いて賭数を設定するものに相当する。
【0533】
(24) 上記の実施の形態では、サブ制御部91からの演出データの書き込み指令に応じて表示制御回路92のVDP141が該指令に対応した演出データをCGROM142から読み出し、一時記憶メモリ155の演出データ領域に転送させるものとしていた。そして、液晶表示器51に表示する画像の画像データをフレームバッファメモリ156に展開する際には、演出データ領域に転送された演出データを読み出すものとしていた。もっとも、フレームバッファメモリ156への画像データの展開は、演出データのCGROM142から一時記憶メモリ155の演出データ領域への転送のための指令とは別の演出開始指令によりなされていた。これに対して、遊技の進行状況に応じて実行される演出として連続演出のように複数ゲームの期間に跨って継続的に実施される演出がないのであれば、各演出を開始させる際にCGROM142から一時記憶メモリ155の演出データ領域へ演出データを転送させ、そのままフレームバッファメモリ156への画像データの展開を開始させることができ、両者で1回だけCPU91aからVDP141へ指令を出力すればよい。特に演出モードに応じた画像のように表示される頻度が高いものであれば、一時記憶メモリ155に常駐させておけば便利である。
【0534】
(25) 上記の実施の形態では、リールの回転が開始したときおよび、リールが停止し、かつ未だ回転中のリールが残っているときに、ROM41bに格納されているテーブルインデックスおよびテーブル作成用データを参照して、回転中のリール別に停止制御テーブルを作成しているが、各遊技状態のそれぞれについての内部当選状態、およびリールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置または停止済みのリールの停止操作位置)別の停止制御テーブルを予めROM41bに登録しておき、テーブルインデックスに基づいて、遊技状態のそれぞれについての内部当選状態、およびリールの停止状況に応じて必要な停止制御テーブルを特定可能とし、リールの回転が開始したときおよび、リールが停止し、かつ未だ回転中のリールが残っているときに、テーブルインデックスを参照して、回転中のリール別に停止制御テーブルを設定するようにしてもよい。
【0535】
(26) 上記の実施の形態では、停止操作位置に対する引込コマ数を一意的に定めた複数の停止制御テーブルのうち、各遊技状態のそれぞれの内部当選状態、リールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置または停止済みのリールの停止操作位置)に対して一意的に定められた停止制御テーブルを選択し、選択した停止制御テーブルに従ってリールの停止制御を行なっているが、停止操作位置に対する停止位置を一意的に定めた複数の停止位置特定テーブルを停止制御テーブルの替わりに用いて、停止操作が検出された際に、停止位置特定テーブルを参照し、停止操作位置に対応して一意的に特定される停止位置でリールを停止させる制御を行なうようにしてもよい。
【0536】
また、停止位置に対する停止優先度を定めることにより、停止操作位置(リール基準位置からのステップ数)に対して停止位置を一意的に定めた複数の停止優先テーブルを停止制御テーブルの替わりに用いて、停止操作が検出された際に、停止優先テーブルを参照し、停止操作位置から引込可能範囲(最大5コマ)内にある全ての停止位置の停止優先度を比較し、最も停止優先度の高い停止位置でリールを停止させる制御を行なうようにしてもよい。
【0537】
また、各遊技状態のそれぞれの内部当選状態、リールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置または停止済みのリールの停止操作位置)に対して一意的に定められた引込コマ数を選択し、停止操作が行なわれた際に、選択された引込コマ数の範囲内に対象となる停止位置が位置する場合には、当該停止位置を引き込んで停止させる引込制御を行ない、停止が禁止された停止位置を停止させないように他の停止位置を引き込んで停止させる蹴飛ばし制御(いわゆるコントロール方式の制御)を行なうようにしてもよい。このように引込制御および蹴飛ばし制御を行なうことで、停止操作位置(リール基準位置からのステップ数)に対して停止位置が一意的に決まるので、引込制御および蹴飛ばし制御により表示結果を導出させる制御は、停止操作位置に対して停止位置を一意的に特定する制御パターンといえる。
【0538】
また、各遊技状態のそれぞれの内部当選状態、リールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置または停止済みのリールの停止操作位置)に対して一意的に定められた制御パターンを選択し、その制御パターンに従ってリールの停止制御を行なうものであれば、停止制御テーブルによるリールの停止制御、停止優先テーブルによるリールの停止制御、引込制御および蹴飛ばし制御によるリールの停止制御を併用して行なうものであってもよく、たとえば、最初に停止したリールのみ停止制御テーブルを用いてリールの停止制御を行ない、他のリールについては、引込制御および蹴飛ばし制御によりリールの停止制御を行なうようにしてもよい。
【0539】
(27) 上記の実施の形態では、各遊技状態のそれぞれの内部当選状態、およびリールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置または停止済みのリールの停止操作位置)に対して一意的に定められた制御パターンを選択し、その制御パターンに従ってリールの停止制御を行なっているが、少なくとも各遊技状態のそれぞれの内部当選状態に対して定められた制御パターンを選択し、その選択した制御パターンに従ってリールの停止制御を行なうものであればよい。
【0540】
(28) 上記の実施の形態では、メダル並びにクレジットを用いて賭数を設定するスロットマシンを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、遊技球を用いて賭数を設定するスロットマシンや、クレジットのみを使用して賭数を設定する完全クレジット式のスロットマシンであってもよい。
【0541】
さらに、流路切替ソレノイド30や投入メダルセンサ31など、メダルの投入機構に加えて、遊技球の取込を行なう球取込装置、球取込装置により取り込まれた遊技球を検出する取込球検出スイッチを設けるとともに、ホッパーモータ34や払出センサ35など、メダルの払出機構に加えて、遊技球の払出を行なう球払出装置、球払出装置により払い出された遊技球を検出する払出球検出スイッチを設け、メダルおよび遊技球の双方を用いて階数を設定してゲームを行なうことが可能であり、かつ入賞の発生によってメダルおよび遊技球が払い出されるスロットマシンに適用してもよい。
【0542】
(29) 前述した実施の形態におけるRT1?RT4中のリプレイ当選確率は、共通確率(約1/7.2)である例について説明した。しかし、RT1?RT4中のリプレイ当選確率は、各々異なるように、リプレイの判定値数を設定させたものであってもよい。たとえば、リプレイの判定値数として、RT1のときに9100が、RT2のときに9200が、RT3のときに9050が、RT4のときに9000が設定されているものであってもよい。この場合には、RT1?RT4のリプレイ当選確率は、1/7.28?1/7.12の範囲になる。このように構成した場合であっても、初期遊技状態におけるリプレイ当選確率は、約1/1.36であるため、前述したRT1?RT4のうち最もリプレイ当選確率が高い1/7.12よりも高く設定されている。このように、初期遊技状態におけるリプレイ当選確率は、RT1?RT4のリプレイ当選確率が複数設定されている場合であってもそのうち最も高い確率よりも高く設定されているものであればよい。
【0543】
(30) なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0544】
1 スロットマシン、2L,2C,2R リール、8L,8C,8R ストップスイッチ、40 遊技制御基板、41 メイン制御部、41a CPU、41b ROM、41c RAM、42 乱数発生回路、43 サンプリング回路、51 液晶表示器、60a,60b 演出用扉、90 演出制御基板、91 サブ制御部、91a CPU、91b ROM、91c RAM、92 表示制御回路、141 VDP、142 CGROM、155 一時記憶メモリ、156 フレームバッファメモリ、200 基板ケース、250 取付ベース、500 コネクタ規制部材、510 取付側部材、520 コネクタカバー。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームを開始させることが可能となり、複数種類の識別情報を変動表示させる可変表示部として左可変表示部と中可変表示部と右可変表示部とを有する可変表示装置を備え、すべての可変表示部に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、すべての可変表示部各々に導出された表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能であるスロットマシンであって、
いずれの可変表示部にも表示結果が導出される前に、前記遊技用価値を用いることなく次のゲームを行なうことが可能な再ゲーム入賞と、前記遊技用価値の付与を伴う付与入賞とを含む複数種類の入賞各々の発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、
前記事前決定手段の決定結果に応じて、すべての可変表示部各々に表示結果を導出させる導出制御手段と、
初期遊技状態と、前記初期遊技状態よりも遊技者にとって不利な不利遊技状態とを含む複数種類の遊技状態のうちいずれかに制御する遊技状態制御手段とを備え、
前記導出制御手段は、前記事前決定手段により前記再ゲーム入賞の発生を許容する旨が決定されているときには必ず前記再ゲーム入賞を発生させる再ゲーム入賞表示結果の組合せを導出させ、
前記遊技状態制御手段は、
予め定められた初期化条件が成立したときに、前記初期遊技状態に制御する初期遊技状態制御手段と、
前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときに、前記複数種類の入賞のうち予め定められた第1不利移行入賞が発生したことを条件として、前記不利遊技状態のうち最大ゲーム数が第1ゲーム数に定められている不利遊技状態であって、制御されてから前記第1ゲーム数を消化する間において、所定演出が実行された後、前記初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御される旨を報知する演出が実行される第1不利遊技状態に制御し、前記複数種類の入賞のうち、入賞を発生させる表示結果の組合せを構成する前記左可変表示部の識別情報が前記第1不利移行入賞と共通する一方で前記右可変表示部の識別情報が前記第1不利移行入賞と異なるように定められた第2不利移行入賞が発生したことを条件として、前記不利遊技状態のうち最大ゲーム数が前記第1ゲーム数よりも多い第2ゲーム数に定められている不利遊技状態であって、制御されてから前記第1ゲーム数を消化する間において、前記所定演出が実行された後、前記初期遊技状態へ前記第1ゲーム数の消化後に制御されない旨を報知する演出が実行される第2不利遊技状態に制御する不利遊技状態制御手段とを含み、
前記事前決定手段は、
前記初期遊技状態において、前記付与入賞と、前記再ゲーム入賞とを含む複数種類の入賞各々の発生を許容する旨を所定確率で決定し、
前記不利遊技状態において、前記付与入賞の発生を前記初期遊技状態であるときと同じ確率で許容し、前記再ゲーム入賞の発生についてのみ前記初期遊技状態であるときよりも低い確率であって前記第1不利遊技状態であるか前記第2不利遊技状態であるかに関わらず同じ確率で許容するように、複数種類の入賞各々の発生を許容するか否かを決定し、
さらに前記初期遊技状態であるか前記不利遊技状態であるかに関わらず、前記第1不利移行入賞の発生を許容するか否かおよび前記第2不利移行入賞の発生を許容するか否かを決定し、
前記不利遊技状態制御手段は、
前記第1不利遊技状態に制御していることを特定しているときにおいては、前記第1不利移行入賞および前記第2不利移行入賞のいずれが発生しても前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに前記第1不利遊技状態および前記第2不利遊技状態のいずれにも制御せず、前記第1不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が前記第1ゲーム数に到達するまで当該第1不利遊技状態に制御し、
前記第2不利遊技状態に制御していることを特定しているときにおいては、前記第1不利移行入賞および前記第2不利移行入賞のいずれが発生しても前記初期遊技状態に制御されていることを特定しているときとは異なり新たに前記第1不利遊技状態および前記第2不利遊技状態のいずれにも制御せず、前記第2不利遊技状態に制御してから消化したゲーム数が前記第2ゲーム数に到達するまで当該第2不利遊技状態に制御し、
前記初期遊技状態制御手段は、
前記第1不利遊技状態が開始された後に消化したゲーム数が前記第1ゲーム数に到達したときに、当該第1不利遊技状態を終了させて前記初期遊技状態に制御し、
前記第2不利遊技状態が開始された後に消化したゲーム数が前記第2ゲーム数に到達したときに、当該第2不利遊技状態を終了させて前記初期遊技状態に制御することを特徴とする、スロットマシン。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2016-02-29 
結審通知日 2016-03-02 
審決日 2016-03-15 
出願番号 特願2010-286178(P2010-286178)
審決分類 P 1 113・ 121- YAA (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲高▼橋 祐介  
特許庁審判長 本郷 徹
特許庁審判官 瀬津 太朗
長崎 洋一
登録日 2012-08-03 
登録番号 特許第5052665号(P5052665)
発明の名称 スロットマシン  
代理人 森田 俊雄  
代理人 岸 彰  
代理人 白井 宏紀  
代理人 中田 雅彦  
代理人 岸 彰  
代理人 岩坪 哲  
代理人 森田 俊雄  
代理人 深見 久郎  
代理人 中田 雅彦  
代理人 深見 久郎  
代理人 白井 宏紀  
代理人 速見 禎祥  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ