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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  B42F
管理番号 1314725
審判番号 無効2015-800116  
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2015-04-23 
確定日 2016-05-09 
事件の表示 上記当事者間の特許第5657822号発明「ルーズリーフ綴具」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第5657822号は、平成26年4月9日に出願され、同年12月5日に設定登録がなされたものである。
そして、本件無効審判請求に係る手続の経緯は、以下のとおりである。
平成27年4月23日 無効審判請求書提出
平成27年7月29日 審判事件答弁書提出
平成27年11月16日 口頭審理陳述要領書提出(請求人)
平成27年11月16日 審判事件弁駁書提出
平成27年11月16日 上申書提出(請求人)
平成27年11月27日 口頭審理
平成27年12月11日 上申書提出(被請求人)


第2 本件特許発明
本件特許の請求項1ないし8に係る発明は、本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された次のとおりのものである(以下、それぞれ「本件特許発明1」?「本件特許発明8」という。また、これらを総称して「本件特許発明」という。)。
「【請求項1】
互いに平行する向きで隣り合わせに配置した二枚の基板と、それらの基板のそれぞれに形成され、該基板の表面側に延びて相互に共同してリング形状をなす複数対の半リング部分とを具えてなり、各基板の回動変位により、複数対の半リング部分を、対をなす該半リング部分のそれぞれの先端部が互いに近接してリング形状を形成する閉鎖位置と、それぞれの先端部が互いに離隔する開放位置との間で移動可能としたルーズリーフ綴具であって、
少なくとも一方の基板の裏面に、該裏面から間隔をおいて前記基板と平行に延びる一本以上の両端固定シャフトを一体に設けるとともに、他方の基板の裏面で、前記一方の基板の前記両端固定シャフトに隣接する位置に、該両端固定シャフトの周囲を該両端固定シャフトの周方向の一部を除いて取り囲む一個以上のシャフト把持部を一体に設け、前記シャフト把持部で把持させた前記両端固定シャフトの周りで、二枚の基板を回動変位可能とし、
少なくとも一方の基板の裏面に、前記両端固定シャフトのそれぞれの端部が一体的に固定される二個以上の隆起部を一体に設け、
一方の基板側及び/又は他方の基板側の前記隆起部及び/又は前記シャフト把持部の外周面に、該外周面から突出して、半リング部分の開放位置で他方の基板又は一方の基板の裏面に当接するストッパー凸部を一箇所以上設けてなる、ルーズリーフ綴具。
【請求項2】
互いに平行する向きで隣り合わせに配置した二枚の基板と、それらの基板のそれぞれに形成され、該基板の表面側に延びて相互に共同してリング形状をなす複数対の半リング部分とを具えてなり、各基板の回動変位により、複数対の半リング部分を、対をなす該半リング部分のそれぞれの先端部が互いに近接してリング形状を形成する閉鎖位置と、それぞれの先端部が互いに離隔する開放位置との間で移動可能としたルーズリーフ綴具であって、
少なくとも一方の基板の裏面に、該裏面から間隔をおいて前記基板と平行に延びる一本以上の両端固定シャフトを一体に設けるとともに、他方の基板の裏面で、前記一方の基板の前記両端固定シャフトに隣接する位置に、該両端固定シャフトの周囲を該両端固定シャフトの周方向の一部を除いて取り囲む一個以上のシャフト把持部を一体に設け、前記シャフト把持部で把持させた前記両端固定シャフトの周りで、二枚の基板を回動変位可能とし、
少なくとも一方の基板の裏面に、前記両端固定シャフトのそれぞれの端部が一体的に固定される二個以上の隆起部を一体に設け、
前記シャフト把持部又は前記隆起部の端面に、該端面から突出する突起部分を設け、該突起部分を設けた前記シャフト把持部又は前記隆起部に隣接する隆起部又はシャフト把持部の、前記突起部分に対向する端面に、半リング部分の閉鎖位置で前記突起部分に係合する突起係合部分を設けてなる、ルーズリーフ綴具。
【請求項3】
前記シャフト把持部を筒状とし、該筒状のシャフト把持部の側壁に、該シャフト把持部の軸線方向の全長にわたるスリットを設け、該スリットを介して、前記両端固定シャフトが前記シャフト把持部に嵌め込まれてなる、請求項1又は2に記載のルーズリーフ綴具。
【請求項4】
前記一方の基板に、両端固定シャフト及びシャフト把持部のそれぞれを設け、前記他方の基板に、前記一方の基板の両端固定シャフト及びシャフト把持部のそれぞれと係合させたシャフト把持部及び両端固定シャフトのそれぞれを設けてなる、請求項1?3のいずれか一項に記載のルーズリーフ綴具。
【請求項5】
各基板に前記半リング部分を一体に形成してなるプレート部材の二個を組み合わせて構成される、請求項1?4のいずれか一項に記載のルーズリーフ綴具。
【請求項6】
前記基板の裏面側に、二枚の基板の相互を、対をなす前記半リング部分が互いに離隔する方向に付勢する弾性部材を配置し、前記一方の基板及び前記他方の基板のそれぞれに、それらの基板を隣り合わせに配置した姿勢で、該基板の長手方向に沿って互いに対向する向きに延びて前記弾性部材を位置決め保持する位置決めロッドのそれぞれを一体に設けてなる、請求項1?5のいずれか一項に記載のルーズリーフ綴具。
【請求項7】
前記弾性部材を、二枚の基板の相互を付勢する脚部を有するコイルばねとしてなる、請求項6に記載のルーズリーフ綴具。
【請求項8】
二枚の基板のそれぞれの表面に、基板の回動変位を対をなす半リング部分の閉鎖位置で拘束する一箇所以上のプレートロック手段を設けてなる、請求項1?7のいずれか一項に記載のルーズリーフ綴具。」


第3 請求人の主張及び証拠方法
請求人は、「特許第5657822号発明の特許請求の範囲の請求項1ないし8に係る各発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めている。
また、無効理由の概要は以下の1、及び2のとおりであって、本件特許は無効とすべきである旨主張している。
1.本件特許発明1、及び2は、甲第1号証、及び甲第2号証に記載された発明、並びに甲第3?6、9?11号証に記載されたような周知の技術に基づいて、出願前に、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当し、無効とすべきものである(以下、「本件特許発明1」の上記無効理由を「無効理由1-1」といい、「本件特許発明2」の上記無効理由を「無効理由1-2」という。また、これらを総称して「無効理由1」という。)。
2.本件特許発明3ないし8は、甲第1?3号証、甲第7号証、及び甲第8号証に記載された発明、並びに甲第3?6、9?11号証に記載されたような周知の技術に基づいて、出願前に、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当し、無効とすべきものである(以下「無効理由2」という。)。

また、上記無効理由を立証するための証拠方法は、以下のとおりである。
(証拠方法)
[書証]
甲第1号証:特開2011-224869号公報
甲第2号証:実願平2-7977号(実開平3-100483号)のマイク ロフィルム
甲第3号証:国際公開2010/047184号
甲第4号証:国際公開2012/066818号
甲第5号証:特開2005-262637号公報
甲第6号証:別役万愛編、「メカニズム」、第1版、株式会社技報社堂、昭 和51年6月15日、p186-187
甲第7号証:特許第3383650号公報
甲第8号証:実願平5-52618号(実開平7-17578号)のCD- ROM
(以上、無効審判請求書に添付して提出された。)
甲第9号証:特開平9-48194号公報
甲第10号証:実公平8-1113号公報
甲第11号証:特公昭57-35008号公報
甲第12号証:財団法人 日本規格協会編、「IS工業用語大辞典【第5版 】」、第5版、財団法人 日本規格協会、2001年3月3 0日、p720-724
甲第13号証:新村出編、「広辞苑」、第五版、株式会社岩波書店、199 8年11月11日、p980-981
甲第14号証:特許第4663127号公報
(以上、平成27年11月16日付け口頭審理陳述要領書に添付して提出された。)
なお、被請求人は、甲第1ないし14号証の成立を認めている。


第4 被請求人の主張及び証拠方法
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする」との審決を求めている。
また、上記請求人の主張に対し、概略、以下のとおり主張して、本件特許を無効とすべき理由はない旨の主張をしている。
1.無効理由1-1について
本件特許発明1の「両端固定シャフトを設ける」、「二個以上の隆起部を設ける」、及び「シャフト把持部の外周面から突出したストッパー凸部」との発明特定事項は、甲第1号証ないし甲第11号証のいずれにも記載も示唆もされていない。
2.無効理由1-2について
本件特許発明の「両端固定シャフトを設ける」、「二個以上の隆起部を設ける」、及び「突起部分を設け、前記突起部分に対向する端面に、半リング部分の閉鎖位置で前記突起部分に係合する突起係合部分を設けてなる」との発明特定事項は、甲第1号証ないし甲第11号証のいずれにも記載も示唆もされていない。
3.無効理由2について
本件特許発明1、及び2は、甲第1号証ないし甲第11号証に記載された発明に対して進歩性を有することから、本件特許の請求項1、2を引用する本件特許発明3ないし8については検討するまでもなく、それらの先行技術発明に対して進歩性を有するものである。

なお、上記無効理由に反論するための証拠方法は、提出されていない。


第5 主な各甲号証に記載されている事項
1.甲第1号証
甲第1号証には、以下のとおり記載されている(なお、下線は審決で付した。以下同じ。)。
(1)「【0009】
図1は、この発明にかかる綴具を用いた手帳の斜視図解図であり、図2Aは、この発明にかかる綴具の全体の斜視図解図であり、図2Bは、この発明にかかる綴具の部分的に拡大した斜視図解図である。図3は、この発明にかかる綴具の斜視図解図であり、(A)は全体の図で、(B)(C)は半割杆の図である。図4は、第1綴具部材の斜視図解図であり、(A)は右側の図であり、(B)は左側の図であり、図5は、第2綴具部材の斜視図解図であり、(A)は右側の図であり、(B)は左側の図である。図6は、この発明にかかる綴具を分解した状態における斜視図解図であり、図7は、閉じた状態における綴具の正面図解図であり、図8は、閉じた状態における綴具の背面図解図である。図9Aは、図7A-A部分断面図解図であり、図9Bは、図7B-B断面図解図であり、図9Cは、図7C-C断面図解図である。図10は、開き始めた状態における綴具の正面図解図であり、図11は、開き始めた状態における綴具の背面図解図である。図12Aは、図10A-A部分断面図解図であり、図12Bは、図10B-B断面図解図であり、図12Cは、図10C-C断面図解図である。図13は、手帳のリーフの開き方を示す平面図解図であり、(A)は閉じた状態の図で、(B)は半分捲った状態の図で、(C)は360度捲った状態の図である。図14は、綴具の説明図であり、図15は、手帳の説明図であり、(A)は全体の図であり、(B)はリーフの図である。
この発明の綴具10は、複数の綴杆部12と、前記綴杆部12を連結する軸受部14と、前記綴杆部12を連結して前記綴杆部12を構成する第1綴杆20及び第2綴杆30を開閉させるときの中心となる軸部16とを備える綴具10であって、綴杆部12を捩って閉じている綴杆部12を開くことができるように構成されている。
この綴具10は、主として、一般的にセルリング式ノートと称されるノートに類似した手帳用として構成され、綴具10の綴杆部12に沿ってリーフ110を回転させて360度広げること、すなわち綴杆部12に綴じられたリーフ110を綴杆に沿って捲り、360度捲りかえし、閉じたときに両端にあるリーフ110の表側と裏側とが軸受部14及び軸部16を挟んで接し合うことができるように、構成されている。
通常、綴じ穴のある筆記する用紙の表側及び裏側に該用紙よりも比較的硬質の表紙が積層されており、この明細書及び特許請求の範囲においては、リーフ110の表側及び裏側には、用紙、合成樹脂製ポケット等の表面側の表表紙の表側と裏面側の裏表紙の裏側とを含まれる。」
(2)「【0010】
綴具10は、第1綴具部材18Aと第2綴具部材18Bとから構成されており、第1綴具部材18Aと第2綴具部材18Bとは、綴具10の長さ方向における中央を中心にした対称形であり、それぞれ、綴杆部12,軸受部14及び軸部16を備えている。」
(3)「【0011】
綴杆部12は、第1綴具部材18Aの第1綴杆20と第2綴具部材18Bの第2綴杆30とを有しており、前記綴杆部12を構成する第1綴杆20及び第2綴杆30は、一対の第1綴具部材18Aの第1綴杆20と第2綴具部材18Bの第2綴杆30とが向き合うように、前記綴杆部12を連結する軸受部14及び軸部16の各々にその長手方向に適宜な間隔をおいて、軸受部14及び軸部16の外側部ないし上側部から突設されている。そして、前記第1綴杆20及び第2綴杆30は、前記軸受部14及び軸部16を中心にして左右に分かれた、対称形である。
複数の第1綴杆20は、各第1綴杆20の間において、各第1綴杆20の基部と連設された第1架設部42によって、適宜な間隔をおいて、綴具10の長手方向に並列されている。
複数の第2綴杆30は、各第2綴杆30の間において、各第2綴杆30の基部と連設された第2架設部44によって、適宜な間隔をおいて、綴具10の長手方向に並列されている。」
(4)「【0012】
前記軸受部14は、第1綴具部材18Aの第1軸受部50と第2綴具部材18Bの第2軸受部60とを有しており、第1軸受部50と第2軸受部60とは、綴具10の長さ方向の中央を中心にして対称形である。第1軸受部50及び第2軸受部60は、向こう側から手前側に連続して長手方向に直線状にのびる、中実半円筒状で断面略C字状であり、第1軸受部50は、第1綴杆20に連続して一体的に形成され、第2軸受部60は、第2綴杆30に連続して一体的に形成されている。」
(5)「【0013】
前記軸受部14は、綴杆部12に綴じられたリーフ110を第1綴杆20及び第2綴杆30に沿って捲り、360度捲りかえし、閉じたときに両端にあるリーフ110の表側と裏側とが軸受部14を挟んで接し合うことができるように、下部において、第1綴杆20及び第2綴杆30の基部と近接した位置にて連設されている。
前記軸受部14は、綴杆ののびる方向と直交する方向にのびる長さと綴杆ののびる方向に連続する太さとを有し、綴杆部12に綴じられたリーフ110を綴杆部12に沿って捲り、360度捲りかえし、閉じたときに両端にあるリーフ110の表側と裏側とが軸受部14を挟んで接し合うことができるように構成されている。すなわち、第1軸受部50は、第1綴杆20の基部に連設され、第2軸受部60は、第2綴杆30の基部に連設され、且つ第1軸受部50は、複数の第1綴杆20を連結するように、複数の第1綴杆20に架設され、第2軸受部60は、複数の第2綴杆30を連結するように、複数の第2綴杆30に架設されている。
第1軸受部50は、軸部16を装填するための第1軸受部50の開口部52を半割杆20Aとは反対側の側面に形成されており、且つ第2軸受部60は、第2軸受部60の開口部62を半割杆30Aとは反対側の側面に形成されている。そして、第1軸受部50は、前記開口部52に続く内面が円弧状の軸受凹部54を形成され、第2軸受部60は、開口部62に続く内面が円弧状の軸受凹部64を形成されている。」
(6)「【0014】
第1綴具部材18Aは、第1綴杆20の基部に連設された第1受け部80を有し、第2綴具部材18Bは、第2綴杆30の基部に連設された第2受け部90を有している。綴杆部12の基部に連設された第1受け部80と綴杆部12の基部に連設された第2受け部90との間に形成された収容部82に、前記軸部16の長手方向に圧縮し且つ弾発力をかける弾発部材102が介装されている。そして、前記第1受け部80及び第2受け部90並びに弾発部材102は、前記第1綴杆20と第2綴杆30の先端を合わせて閉鎖するとき及び第1綴杆20と第2綴杆30の先端を離間させるときに回転中心となる。」
(7)「【0016】
前記軸部16は、第1綴杆20及び第2綴杆30ののびる方向に直交する方向にのびる長さと第1綴杆20及び第2綴杆30ののびる方向に連続する太さとを有し、長手方向に連続する輪郭の一部が円弧状で、第1綴杆20及び第2綴杆30の基部と連設され且つ複数の第1綴杆20及び第2綴杆30を連設するように複数の第1綴杆20及び第2綴杆30に架設されている。
軸部16は、第1綴具部材18Aの第1軸部120と第2綴具部材18Bの第2軸部130とを有しており、第1軸部120と第2軸部130とは、綴具10の長さ方向の中央を中心にして対称形である。
第1軸部120及び第2軸部130は、向こう側から手前側に連続して長手方向に直線状にのびる中実柱状で断面略真円状であり、第1軸部120は第1綴杆20に連続して一体的に形成され、第2軸部130は第2綴杆30に連続して一体的に形成されている。
軸部16を構成する第1綴具部材18Aの第1軸部120は、該円弧状の領域において、前記第2綴具部材18Bの第2軸受部60の開口部62から軸受部14の内面が円弧状で長手方向にのびる軸受凹部64に揺動自在に嵌合され、第2綴具部材18Bの第2軸部130は、該円弧状の領域において、前記第1綴具部材18Aの第1軸受部50の開口部52から軸受部14の内面が円弧状で長手方向にのびる軸受凹部54に揺動自在に嵌合されている。
軸部16(第1軸部120と第2軸部130)は、前記軸受部14(第1軸受部50と第2軸受部60)の長手方向にのびて、左右に分かれた一対の第1綴具部材18Aの第1軸受部50と第2綴具部材18Bの第2軸受部60とを長さ方向に直線状に並んだ状態で連結し、前記第1綴杆20の自由端20bと第2綴杆30の自由端30bとを合わせて閉鎖するとき及び第1綴杆20の自由端20bと第2綴杆30の自由端30bとを離間させるときに回転中心となり、綴杆部12に綴じられたリーフ110を第1綴杆20及び第2綴杆30に沿って捲り、360度捲りかえすことができるように構成されている。」
(8)「【0018】
第1綴具部材18Aの第1軸受部50は、手前側の第1軸受部50aと中間の第1軸受部50bとに分かれて形成されており、第1綴具部材18Aの第1受け部80は、手前側の第1軸受部50aと中間の第1軸受部50bとの間に形成されている。
第1綴具部材18Aの第1軸部120は、向こう側の第1軸部120aと中間の第1軸部120bとに分かれて形成されている。そして、向こう側の第1軸部120aは、中間の第1軸受部50bから向こう側に連続して形成されており、中間の第1軸部120bは、第1受け部80から手前側に連続して形成されている。
第2綴具部材18Bの第2軸受部60は、向こう側の第2軸受部60aと中間の第2軸受部60bとに分かれて形成されており、第2綴具部材18Bの第2受け部90は、向こう側の第2軸受部60aと中間の第2軸受部60bとの間に形成されている。
第2綴具部材18Bの第2軸部130は、手前側の第2軸部130aと中間の第2軸部130bとに分かれて形成されている。そして、手前側の第2軸部130aは、中間の第2軸受部60bから手前側に連続して形成されており、第2軸部130bは、第2受け部90から向こう側に連続して形成されている。」
(9)「【0027】
前記軸受部14は、その側面に、第1綴杆20及び第2綴杆30の開き角度をリーフ110の挿入し易い角度、例えば約60?70度に規制するための第1の開き角規制部70及び第2の開き角規制部72を形成されている。
第1の開き角規制部70は、第1綴具部材18Aの第1軸受部50の開口部52の口縁部の接合面52aと第2綴具部材18Bの第2架設部44の下端の接合面44bとから構成され、一方、第2の開き角規制部72は、第2綴具部材18Bの第2軸受部60の開口部62の口縁部の接合面62aと第1綴具部材18Aの第1架設部42の下端の接合面42bとから構成されている。
そして、綴杆部12を閉じたときに、第1綴具部材18Aの第1の開き角規制部70の接合面52aと第2綴具部材18Bの第1の開き角規制部70の接合面44bとは、図9において示すように、略70度開いた傾斜面であって対向しており、綴杆部12を開いたときに、第1綴具部材18Aの第1の開き角規制部70の接合面52aと第2綴具部材18Bの第1の開き角規制部70の接合面44bとは、図12において示すように、接し合い、半割杆20Aと半割杆30Aの開き角度を、リーフ110の挿入しや易い角度に規制する。
また、綴杆部12を閉じたときに、第2綴具部材18Bの第2の開き角規制部72の接合面62aと第1綴具部材18Aの第2の開き角規制部72の接合面42bとは、図9において示すように、略70度開いた傾斜面であって対向しており、綴杆部12を開いたときに、第2綴具部材18Bの第2の開き角規制部72の接合面62aと第1綴具部材18Aの第2の開き角規制部72の接合面42bとは、図12において示すように、接し合い、半割杆20Aと半割杆30Aの開き角度を、リーフ110の挿入しや易い角度に規制する。」
(10)「【0020】
この実施の形態においては、第1綴具部材18Aの向こう側の第1軸部120aと中間の第1軸部120bとは、長手方向に一直線状にのび、同一の太さを有する略々円柱状であり、第1綴具部材18Aを構成する半割杆20A及び第1架設部42と、半割杆20A及び第1架設部42の下側において連続して一体的に形成されており、第2綴具部材18Bの手前側の第2軸部130aと中間の第2軸部130bとは、長手方向に一直線状にのび、同一の太さを有する略々円柱状であり、第2綴具部材18Bを構成する、半割杆30A及び第2架設部44と、半割杆30A及び第2架設部44の下側において連続して一体的に形成されている。
第1綴具部材18Aの向こう側の第1軸部120aと中間の第1軸部120bとは、第2綴具部材18Bの第2軸受部60の軸受凹部64に嵌合する形状を備えており、第2綴具部材18Bの手前側の第2軸部130aと中間の第2軸部130bとは、第1綴具部材18Aの第1軸受部50の軸受凹部54に嵌合する形状を備えている。」
(11)「【0028】
軸部16並びに第1受け部80及び第2受け部90は、閉じられた第1綴杆20及び第2綴杆30の開くことを阻止する軸部回転規制部74を端部に形成されている。
前記軸部回転規制部74は、第2綴具部材18Bの手前側の第2軸部130aの手前側に形成された突起部76と第1綴具部材18Aの第1軸受部50の手前側に切り欠き形成された規制凹部56及び第1綴具部材18Aの向こう側の第1軸部120aの向こう側に形成された突起部78と第2綴具部材18Bの第2軸受部60の向こう側に切り欠き形成された規制凹部66とから構成されており、第2綴具部材18Bの突起部76と第1綴具部材18Aの規制凹部56と及び第1綴具部材18Aの突起部78と第2綴具部材18Bの規制凹部66とは、綴杆部12が閉じられたときに綴杆部12の開く方向とは反対側の端縁に係止される面を備えている。
第1綴具部材18Aの突起部78は、半割杆20A側に、第2綴具部材18Bの規制凹部66の対向部と係止される(綴具10の長さ方向にのびる)平面を備えており、第1綴具部材18Aの規制凹部56の対向部は、半割杆20A側に、第2綴具部材18Bの突起部76と係止される(綴具10の長さ方向にのびる)平面を有している。
また、第2綴具部材18Bの突起部76は、半割杆30A側に、第1綴具部材18Aの規制凹部56の対向部と係止される(綴具10の長さ方向にのびる)平面を備えており、第2綴具部材18Bの規制凹部66の対向部は、半割杆30A側に、第1綴具部材18Aの突起部78と係止される(綴具10の長さ方向にのびる)平面を備えている。
更に、他の突起部76は、第2綴具部材18Bの軸部16(第2軸部130b)の手前側と第2受け部90の向こう側に軸部16(第2軸部130b)と略々同じ幅と略々同じで、中間の第1軸受部50bの規制凹部56よりわずかに短い長さを有して突設され、他の突起部78は、第1綴具部材18Aの軸部16(第1軸部120b)の向こう側と第1受け部80の手前側に軸部16(第1軸部120b)と略々同じ幅と略々同じで、中間の第2軸受部60bの規制凹部66よりわずかに短い長さを有して突設されている。
第1受け部80の突起部78の手前側端と中間の第2軸受部60bの向こう側端とは、綴杆部12を閉鎖したときに隙間があいており、第2受け部90の突起部76の向こう側端と中間の第1軸受部50bの手前側端とは、綴杆部12を閉鎖したときに隙間があいている。
而して、綴杆部12を閉じたときに、第1綴具部材18Aの突起部78及び規制凹部56の対向部の平面と第2綴具部材18Bの突起部76及び規制凹部66の対向部の平面と接し合い、第1綴具部材18Aと第2綴具部材18Bとを幅方向に引き離す力、綴杆部12の径方向に引き離す力が働いても、第1綴具部材18Aの半割杆20Aと第2綴具部材18Bの半割杆30Aとは離れない。
綴杆部12を開くときには、向こう側の第2軸受部60aの規制凹部66と突起部78とは長さ方向に摺動し、手前側の第1軸受部50aの規制凹部56と突起部76とは長さ方向に摺動して、且つ第1受け部80の突起部78と中間の第2軸受部60bの規制凹部66とは摺動し、第2受け部90の突起部76と中間の第1軸受部50bの規制凹部56とは摺動する。而して、第1綴具部材18Aと第2綴具部材18Bとは、綴具10の長さ方向に相対移動させることができ、第1綴杆20と第2綴杆30とを綴具10の幅方向に開くことができる。」

上記(1)?(11)の開示事項を総合すると、甲第1号証には、以下のとおりの発明が示されていると認められる(以下「甲第1号証発明」という。)。
「複数の綴杆部12と、前記綴杆部12を連結する軸受部14と、前記綴杆部12を連結して前記綴杆部12を構成する第1綴杆20及び第2綴杆30を開閉させるときの中心となる軸部16とを備える綴杆部12を捩って閉じている綴杆部12を開くことができるように構成されている綴具10であって、
綴具10は、第1綴具部材18Aと第2綴具部材18Bとから構成されており、第1綴具部材18Aと第2綴具部材18Bとは、綴具10の長さ方向における中央を中心にした対称形であり、それぞれ、綴杆部12、軸受部14及び軸部16を備えており、
前記綴杆部12を構成する第1綴杆20及び第2綴杆30は、一対の第1綴具部材18Aの第1綴杆20と第2綴具部材18Bの第2綴杆30とが向き合うように、前記綴杆部12を連結する軸受部14及び軸部16の各々にその長手方向に適宜な間隔をおいて、軸受部14及び軸部16の外側部ないし上側部から突設されており、
複数の第1綴杆20は、各第1綴杆20の間において、各第1綴杆20の基部と連設された第1架設部42によって、適宜な間隔をおいて、綴具10の長手方向に並列され、
複数の第2綴杆30は、各第2綴杆30の間において、各第2綴杆30の基部と連設された第2架設部44によって、適宜な間隔をおいて、綴具10の長手方向に並列され、
前記軸受部14は、第1綴具部材18Aの第1軸受部50と第2綴具部材18Bの第2軸受部60とを有し、第1軸受部50は、第1綴杆20に連続して一体的に形成され、第2軸受部60は、第2綴杆30に連続して一体的に形成されているおり、
第1軸受部50は、軸部16を装填するための第1軸受部50の開口部52を半割杆20Aとは反対側の側面に形成されており、且つ第2軸受部60は、第2軸受部60の開口部62を半割杆30Aとは反対側の側面に形成されて、第1軸受部50は、前記開口部52に続く内面が円弧状の軸受凹部54を形成され、第2軸受部60は、開口部62に続く内面が円弧状の軸受凹部64を形成されており、
第1綴具部材18Aは、第1綴杆20の基部に連設された第1受け部80を有し、第2綴具部材18Bは、第2綴杆30の基部に連設された第2受け部90を有し、綴杆部12の基部に連設された第1受け部80と綴杆部12の基部に連設された第2受け部90との間に形成された収容部82に、前記軸部16の長手方向に圧縮し且つ弾発力をかける弾発部材102が介装されており、
軸部16は、第1綴具部材18Aの第1軸部120と第2綴具部材18Bの第2軸部130とを有しており、
第1軸部120及び第2軸部130は、向こう側から手前側に連続して長手方向に直線状にのびる中実柱状で断面略真円状であり、第1軸部120は第1綴杆20に連続して一体的に形成され、第2軸部130は第2綴杆30に連続して一体的に形成され、
軸部16を構成する第1綴具部材18Aの第1軸部120は、該円弧状の領域において、前記第2綴具部材18Bの第2軸受部60の開口部62から軸受部14の内面が円弧状で長手方向にのびる軸受凹部64に揺動自在に嵌合され、第2綴具部材18Bの第2軸部130は、該円弧状の領域において、前記第1綴具部材18Aの第1軸受部50の開口部52から軸受部14の内面が円弧状で長手方向にのびる軸受凹部54に揺動自在に嵌合されており、
第1綴具部材18Aの第1軸部120は、向こう側の第1軸部120aと中間の第1軸部120bとに分かれて形成され、向こう側の第1軸部120aは、中間の第1軸受部50bから向こう側に連続して形成されており、中間の第1軸部120bは、第1受け部80から手前側に連続して形成され、
第2綴具部材18Bの第2軸部130は、手前側の第2軸部130aと中間の第2軸部130bとに分かれて形成され、手前側の第2軸部130aは、中間の第2軸受部60bから手前側に連続して形成されており、第2軸部130bは、第2受け部90から向こう側に連続して形成され、
第1綴具部材18Aの向こう側の第1軸部120aと中間の第1軸部120bとは、長手方向に一直線状にのび、同一の太さを有する略々円柱状であり、第1綴具部材18Aを構成する半割杆20A及び第1架設部42と、半割杆20A及び第1架設部42の下側において連続して一体的に形成されており、第2綴具部材18Bの手前側の第2軸部130aと中間の第2軸部130bとは、長手方向に一直線状にのび、同一の太さを有する略々円柱状であり、第2綴具部材18Bを構成する、半割杆30A及び第2架設部44と、半割杆30A及び第2架設部44の下側において連続して一体的に形成されており、
前記軸受部14は、その側面に、第1綴杆20及び第2綴杆30の開き角度をリーフ110の挿入し易い角度、例えば約60?70度に規制するための第1の開き角規制部70及び第2の開き角規制部72を形成され、
第1の開き角規制部70は、第1綴具部材18Aの第1軸受部50の開口部52の口縁部の接合面52aと第2綴具部材18Bの第2架設部44の下端の接合面44bとから構成され、一方、第2の開き角規制部72は、第2綴具部材18Bの第2軸受部60の開口部62の口縁部の接合面62aと第1綴具部材18Aの第1架設部42の下端の接合面42bとから構成されており、
閉じられた第1綴杆20及び第2綴杆30の開くことを阻止する軸部回転規制部74は、第2綴具部材18Bの手前側の第2軸部130aの手前側に形成された突起部76と第1綴具部材18Aの第1軸受部50の手前側に切り欠き形成された規制凹部56及び第1綴具部材18Aの向こう側の第1軸部120aの向こう側に形成された突起部78と第2綴具部材18Bの第2軸受部60の向こう側に切り欠き形成された規制凹部66とから構成されており、第2綴具部材18Bの突起部76と第1綴具部材18Aの規制凹部56と及び第1綴具部材18Aの突起部78と第2綴具部材18Bの規制凹部66とは、綴杆部12が閉じられたときに綴杆部12の開く方向とは反対側の端縁に係止される面を備えている、綴具10。」

2.甲第2号証
甲第2号証には、以下のとおり開示されている。
(1)「表紙に固着される固定基板(1)に対し回動自在に回転基板(13)を止着して固定基板(1)及び回転基板(13)にそれぞれの先端部を互いに係止することにより綴込リングを形成するリング片(3)(3)´を突設してなる樹脂製のリングバインダーにおいて、固定基板(1)又は回転基板(13)の一方の基板の側縁部にU字溝(5)を下面に開設したヒンジ軸受部(6)を設け、又他方の基板の側縁部にはヒンジ軸受部(6)と対応して切欠部(15)を設けると共に該切欠部(15)内には前記U字溝(5)に回転可能に嵌入する支軸(15)を架設し、さらに固定基板(1)又は回転基板(13)の一方の基板の側縁部に回転基板(13)を付勢するばねを取付けるための片持ピン(9)を突設し、又他方の基板の側縁部には片持ピン(9)の先端部位を嵌入させるピン受U字溝(18)を設けたことを特徴とするリングバインダー。」(第1頁第4行?第2頁第5行)
(2)「次に、回転基板(13)は・・・(中略)・・・一方の長手辺の側縁における中央部に近い2個所に切欠部(15)を設けて該切欠部(15)内に両端支持の支軸(16)を架設し・・・(中略)・・・成形されている。」(第9頁第2?15行)

上記(1)、及び(2)の開示事項を総合すると、甲第2号証には、以下のとおりの事項が示されていると認められる(以下「甲第2号証発明」という。)。
「固定基板(1)に対し回動自在に回転基板(13)を止着して固定基板(1)及び回転基板(13)にそれぞれの先端部を互いに係止することにより綴込リングを形成するリング片(3)(3)´を突設してなる樹脂製のリングバインダーにおいて、固定基板(1)又は回転基板(13)の一方の基板の側縁部にU字溝(5)を下面に開設したヒンジ軸受部(6)を設け、又他方の基板の側縁部にはヒンジ軸受部(6)と対応して切欠部(15)を設けると共に該切欠部(15)内には前記U字溝(5)に回転可能に嵌入する両端支持の支軸(16)を架設したリングバインダー。」

3.甲第3号証
甲第3号証には、以下のとおり開示されている。
(1)「[請求項1] 複数の綴杆部と、前記綴杆部を連結するための連結部と、前記綴杆部を構成する綴杆を開閉させるときの中心となる軸部とを備える綴具であって、
前記綴杆部を構成する綴杆は、一対の綴杆が向き合うように、前記連結部を構成する一対の連結部の各々にその長手方向に適宜な間隔をおいて、連結部の外側部ないし上側部から突設され、
前記連結部は、綴杆部に綴じられたリーフを綴杆に沿って捲り、360度捲りかえし、閉じたときに両端にあるリーフの表側と裏側とが軸部を挟んで接し合うことができるように、下部において綴杆の基部と近接した位置に軸部を連設され、
前記軸部は、
シャフト部とシャフト部の受け部とを備え、
前記シャフト部は、前記連結部の長手方向にのび、一対の連結部を連結し、
前記受け部は、前記綴杆部及び/又は連結部に連設され、シャフト部を装填するための開口部を側面に形成され、
前記綴杆の先端を合わせて閉鎖するとき及び綴杆の先端を離間させるときに回転中心となり、綴杆部に綴じられたリーフを綴杆に沿って捲り、360度捲りかえすことができるように構成された、綴具。」

上記(1)の開示事項を総合すると、甲第3号証には、以下のとおりの発明が示されていると認められる(以下「甲第3号証記載事項」という。)。
「複数の綴杆部と、前記綴杆部を連結するための連結部と、前記綴杆部を構成する綴杆を開閉させるときの中心となる軸部とを備える綴具であって、
前記軸部は、
シャフト部とシャフト部の受け部とを備え、
前記シャフト部は、前記連結部の長手方向にのび、一対の連結部を連結し、
前記受け部は、前記綴杆部及び/又は連結部に連設され、シャフト部を装填するための開口部を側面に形成された綴具。」

4.甲第4号証
甲第4号証には、以下のとおり開示されている。
(1)「[0018]
本実施形態の綴じ具0は、互いに相対的に回動する第一の綴じ桿部材1及び第二の綴じ桿部材2と、両綴じ桿部材1、2が支持する綴じ桿の開放状態/閉止状態を切り替えるために操作される操作部材3と、操作部材3を弾性付勢する弾性付勢部材たるコイルばね4とを構成部材とする。」
(2)「[0019]
第一の綴じ桿部材1の形状と第二の綴じ桿部材2の形状とは相似している。第一の綴じ桿部材1は、軸心方向に対して平行に長尺な棒状の基体11と、基体11から伸び出した綴じ桿要素12と、基体11から離間し当該綴じ桿部材1の回転中心となる軸体13と、この軸体13を基体11に連接する腕部14とを備える。本実施形態では、これら基体11、綴じ桿要素12、軸体13及び腕部14を樹脂一体成形している。」
(3)「[0021]
軸体13は、円筒状の外周をなし、軸心方向に沿って伸長している。軸体13は複数(図示例では、綴じ桿要素12の本数の約半数)存在し、それらが同心軸上に所定の間隙を隔てて並んでいる。軸体13は、その軸心が基体11の内側面111と略同一平面上にあるように、基体11からやや内側方に偏倚している。」
(4)「[0023]
腕部14は、一つの軸体13について二つ存在し、軸体13の軸心方向に沿った両端部をそれぞれ基体11に接合している。腕部14における、基体11の内側面111に連なる内方の側面141は、基体11の内側面111に対して傾斜している。他方、腕部14における、基体11の外側面112に連なる外方の側面142は、基体11の外側面112と略面一であるとともに、基体11の底面114よりも若干突出するところまで垂下している。この腕部14の外方の突出部143は、図5等に示しているように、軸心方向に沿った両端縁が外側面視Rをとったような曲面状となっている。」
(5)「[0026]
第二の綴じ桿部材2は、第一の綴じ桿部材1側の基体11と同等に長尺な棒状の基体21と、基体21から伸び出した綴じ桿要素22と、基体21から離間し当該綴じ桿部材2の回転中心となる軸体23と、この軸体23を基体21に連接する腕部24とを備える。そして、やはりこれら基体21、綴じ桿要素22、軸体23及び腕部24を樹脂一体成形している。」
(6)「[0028]
軸体23は、第一の綴じ桿部材1側の軸体13と略同径の円筒状の外周をなし、軸心方向に沿って伸長している。軸体23は複数存在し、それらが同心軸上に所定の間隙を隔てて並んでいる。これら軸体23は、第一の綴じ桿部材1側の複数の軸体13の間隙に収まるように配設してある。第二の綴じ桿部材2側の軸体23の軸心方向寸法は第一の綴じ桿部材1側の軸体13の間隙のそれに略等しく、第一の綴じ桿部材1側の軸体13の軸心方向寸法は第二の綴じ桿部材2側の軸体23の間隙のそれに略等しい。軸体23は、その軸心が基体21の内側面211と略同一平面上にあるように、基体21からやや内側方に偏倚している。」
(7)「[0030]
腕部24は、軸体23の軸心方向に沿った両端部をそれぞれ基体21に接合している。腕部24における、基体21の内側面211に連なる内方の側面241は、基体21の内側面211に対して傾斜している。他方、腕部24における、基体21の外側面212に連なる外方の側面242は、基体21の外側面212と略面一であるとともに、基体21の底面214よりも若干突出するところまで垂下している。この腕部24の外方の突出部243は、図8等に示しているように、軸心方向に沿った両端縁が外側面視Rをとったような曲面状となっている。」
(8)図5から、「軸体13、23及び腕部14、24は、基体11、21の裏面に設けられている」ことが看取できる。

上記(1)?(8)の開示事項を総合すると、甲第4号証には、以下のとおりの発明が示されていると認められる(以下「甲第4号証記載事項」という。)。
「互いに相対的に回動する第一の綴じ桿部材1及び第二の綴じ桿部材2と、両綴じ桿部材1、2が支持する綴じ桿の開放状態/閉止状態を切り替えるために操作される操作部材3と、操作部材3を弾性付勢する弾性付勢部材たるコイルばね4とを構成部材とする綴じ具0において、
第一の綴じ桿部材1、及び第二の綴じ桿部材2は、軸心方向に対して平行に長尺な棒状の基体11、21と、基体11、21から伸び出した綴じ桿要素12、22と、基体11、21の裏面に、該裏面から離間し当該綴じ桿部材1の回転中心となる軸体13、23と、この軸体13、23を基体11、21の裏面に連接する腕部14、24とを備え、基体11、21、綴じ桿要素12、22、軸体13、23及び腕部14、24を樹脂一体成形しており、
軸体13、23は、円筒状の外周をなし、軸心方向に沿って伸長して、複数存在し、それらが同心軸上に所定の間隙を隔てて並んでおり、
腕部14、24は、一つの軸体13、23について二つ存在し、軸体13、23の軸心方向に沿った両端部をそれぞれ基体11、21に接合している綴じ具0。」

5.甲第5号証
甲第5号証には、以下のとおり開示されている。
(1)「【請求項1】
支持部と、
この支持部に対向し前記支持部に向かい近接傾斜する傾斜面を有する対向部と、
前記支持部と前記対向部とが近接する側に形成された入口を含み、前記支持部と前記対向部との間への記録材の挿入を許容する挿入口と、
前記傾斜面に沿って移動自在に前記支持部と前記対向部との間に収納され、前記挿入口における前記支持部と前記対向部との対向方向の間隔よりも径が大きい回転体と、
この回転体の前記入口へ向かう方向と直交する方向のうち前記支持部に沿った方向への前記回転体の移動を規制する規制部と、
前記回転体を前記入口へ向けて付勢する付勢部材と、
を備えるクリップ。」
(2)「【請求項4】
前記回転体は、軸と、この軸の両端部に遊嵌されたリング部材とから構成されている、請求項1ないし3の何れか一記載のクリップ。」
(3)図5から、「リング部材は、軸より大径である」ことが看取できる。

上記(1)?(3)の開示事項を総合すると、甲第5号証には、以下のとおりの発明が示されていると認められる(以下「甲第5号証記載事項」という。)。
「支持部と、
この支持部に対向し前記支持部に向かい近接傾斜する傾斜面を有する対向部と、
前記支持部と前記対向部とが近接する側に形成された入口を含み、前記支持部と前記対向部との間への記録材の挿入を許容する挿入口と、
前記傾斜面に沿って移動自在に前記支持部と前記対向部との間に収納され、前記挿入口における前記支持部と前記対向部との対向方向の間隔よりも径が大きい回転体と、
この回転体の前記入口へ向かう方向と直交する方向のうち前記支持部に沿った方向への前記回転体の移動を規制する規制部と、
前記回転体を前記入口へ向けて付勢する付勢部材と、
を備え、
前記回転体は、軸と、この軸の両端部に遊嵌された軸より大径であるリング部材とから構成されているクリップ。」

6.甲第6号証
甲第6号証には、以下のとおり開示されている。
(1)「8 平主軸
取付鍔を有するもの。」
(2)図8から、「取付鍔は、軸より大径である」ことが看取できる。

上記(1)?(2)の開示事項を総合すると、甲第6号証には、以下のとおりの発明が示されていると認められる(以下「甲第6号証記載事項」という。)。
「取付鍔は、軸より大径である平主軸。」

7.甲第9号証
甲第9号証には、以下のとおり開示されている。
(1)「【0017】この実施例におけるリングとじ具1は、例えば樹脂製のもので、図1に示すように、固定基板2の側縁2aに沿って2枚の回動基板3を蝶着機構4を介して回動可能に蝶着してなるもので、この回動基板3の回動により回動基板3に突設される綴り桿5を開閉可能に構成してなるものである。」
(2)「【0020】蝶着機構4は、固定基板2の切欠部22の中央2カ所から外側方に突設される第1の軸受部41と、第1の軸受部41に対応して回動基板3の基端部31の中央2カ所に配設される第1の軸部42と、固定基板2の切欠部22の長尺方向両端に穿設される第2の軸受部43と、第2の軸受部43に対応して回動基板3の基端部31の長尺方向両端から突設される第2の軸部44とから構成される。第1の軸受部41は、図4に示すように、長尺方向に延出して下方に開口してなる溝411を具備している。第1の軸部42は、第1の軸受部41に対応する位置で回動基板3の基端部31を切り欠いた切欠部32に長尺方向に延出して配設される断面円形のものである。第2の軸受部43は、固定基板2の切欠部22の長尺方向両端から長尺方向に延出して下方に開口してなるもので、固定基板2の下面に開口する開口43aは、図5に示すように、第2の軸受部43の長尺方向端近傍では外側方の半分のみで下方に連通するよう構成する。第2の軸部44は、外径が第2の軸受部43よりやや小なる円柱形状のもので、第2の軸受部43の開口43aの形状に対応させて先端44aを外側方より切り欠き断面半円形状として、図5に示す回動基板3の回動位置でのみ開口43aを介して第2の軸受部43に挿脱可能となるよう構成している。」

上記(1)?(2)の開示事項を総合すると、甲第9号証には、以下のとおりの発明が示されていると認められる(以下「甲第9号証記載事項」という。)。
「固定基板2の側縁2aに沿って2枚の回動基板3を蝶着機構4を介して回動可能に蝶着してなるリングとじ具1において、
蝶着機構4は、固定基板2の切欠部22の中央2カ所から外側方に突設される第1の軸受部41と、第1の軸受部41に対応して回動基板3の基端部31の中央2カ所に配設される第1の軸部42と、固定基板2の切欠部22の長尺方向両端に穿設される第2の軸受部43と、第2の軸受部43に対応して回動基板3の基端部31の長尺方向両端から突設される第2の軸部44とから構成され、第1の軸受部41は、長尺方向に延出して下方に開口してなる溝411を具備し、第1の軸部42は、第1の軸受部41に対応する位置で回動基板3の基端部31を切り欠いた切欠部32に長尺方向に延出して配設される断面円形のものであるリングとじ具1。」

8.甲第10号証
甲第10号証には、以下のとおり開示されている。
(1)「【請求項1】長手方向の両端位置の一方の側縁上面に、上端に嵌着孔部を有した固定綴杆を立設し、かつ、この固定綴杆と夫々対向する長手方向の他方の側面の各位置に、倒L字状に突出して下面で開口するC字状の嵌合部を有した左右一対の軸承片を夫々隔設して成る台板と、前記一対の軸承片の嵌合部に回動可能に支承される回動軸の両端に、軸承片の外側縁と夫々摺接する摺接片を夫々設け、かつ、中央に、遊端に前記固定綴杆の嵌着孔部と嵌着する嵌着軸部を有した下向きコ字状の綴軸の基端を、直交状に突設して成る回動綴杆とから構成したことを特徴とする綴込具。」
(2)第6図から、「摺接片は、回動軸より大径である」ことが看取できる。

上記(1)?(2)の開示事項を総合すると、甲第10号証には、以下のとおりの発明が示されていると認められる(以下「甲第10号証記載事項」という。)。
「長手方向の両端位置の一方の側縁上面に、上端に嵌着孔部を有した固定綴杆を立設し、かつ、この固定綴杆と夫々対向する長手方向の他方の側面の各位置に、倒L字状に突出して下面で開口するC字状の嵌合部を有した左右一対の軸承片を夫々隔設して成る台板と、前記一対の軸承片の嵌合部に回動可能に支承される回動軸の両端に、軸承片の外側縁と夫々摺接する回動軸より大径である摺接片を夫々設け、かつ、中央に、遊端に前記固定綴杆の嵌着孔部と嵌着する嵌着軸部を有した下向きコ字状の綴軸の基端を、直交状に突設して成る回動綴杆とから構成した綴込具。」

9.甲第11号証
甲第11号証には、以下のとおり開示されている。
(1)「双方の羽根板の先端部をそれぞれケース本体とカバーに固定するとともに一方の羽根板の基端部に一体形成した軸と他方の羽根板の基端部に一体形成した弾性わん曲片とを軸結合したプラスチック製ヒンジ」(第1頁左欄下から15?11行)
(2))第5図から、「一方の羽根板の基端部には、切欠部が設けられ、該切欠部内に軸を架設したもの」であることが看取できる。

上記(1)?(2)の開示事項を総合すると、甲第11号証には、以下のとおりの発明が示されていると認められる(以下「甲第11号証記載事項」という。)。
「双方の羽根板の先端部をそれぞれケース本体とカバーに固定するとともに一方の羽根板の基端部に一体形成した軸と他方の羽根板の基端部に一体形成した弾性わん曲片とを軸結合したプラスチック製ヒンジであって、
一方の羽根板の基端部には、切欠部が設けられ、該切欠部内に軸を架設したものであるヒンジ。」


第6 当審の判断
1.無効理由1-1について
(1)対比
本件特許発明1と甲第1号証発明とを対比すると、
後者における「『第1綴杆20の基部』、及び『第1架設部42』、並びに『第2綴杆30の基部』、及び『第2架設部44』」は、その構造、機能、作用等からみて、前者における「基板」に相当し、以下同様に、「『第1綴杆20』、及び『第2綴杆30』」は「半リング部分」に、「綴具10」は「ルーズリーフ綴具」に、「『接合面42b』、及び『接合面44b』」は「(基板の)裏面」に、「『軸受部14』、『第1軸受部50』、『第2軸受部60』、『中間の第1軸受部50b』、及び『中間の第2軸受部60b』」は「シャフト把持部」に、「『第1受け部80』、『中間の第1軸受部50b』、『第2受け部90』、及び『中間の第2軸受部60b』」は「隆起部」に、それぞれ相当する。
また、後者においては、第1綴具部材18Aと第2綴具部材18Bとは、綴具10の長さ方向における中央を中心にした対称形であり、第1綴杆20及び第2綴杆30は、一対の第1綴具部材18Aの第1綴杆20と第2綴具部材18Bの第2綴杆30とが向き合うように、綴杆部12を連結する軸受部14及び軸部16の各々にその長手方向に適宜な間隔をおいて突設されており、複数の第1綴杆20は、各第1綴杆20の間において、各第1綴杆20の基部と連設された第1架設部42によって、適宜な間隔をおいて、綴具10の長手方向に並列され、複数の第2綴杆30は、各第2綴杆30の間において、各第2綴杆30の基部と連設された第2架設部44によって、適宜な間隔をおいて、綴具10の長手方向に並列されているから、後者における「『第1綴杆20の基部』、及び『第1架設部42』、並びに『第2綴杆30の基部』、及び『第2架設部44』(基板)」は、「互いに平行する向きで隣り合わせに配置した二枚の」ものであることは明らかである。
また、後者における「『第1綴杆20』、及び『第2綴杆30』(半リング部)」は、一対の第1綴具部材18Aの第1綴杆20と第2綴具部材18Bの第2綴杆30とが向き合うように、前記綴杆部12を連結する軸受部14及び軸部16の各々にその長手方向に適宜な間隔をおいて、軸受部14及び軸部16の外側部ないし上側部から突設されており、複数の第1綴杆20は、各第1綴杆20の間において、各第1綴杆20の基部と連設された第1架設部42によって、適宜な間隔をおいて、綴具10の長手方向に並列され、複数の第2綴杆30は、各第2綴杆30の間において、各第2綴杆30の基部と連設された第2架設部44によって、適宜な間隔をおいて、綴具10の長手方向に並列されているから、「基板の表面側に延びて相互に共同してリング形状をなす複数対の」ものであることは明らかである。
また、後者における「綴具10(ルーズリーフ綴具)」は、複数の綴杆部12と、前記綴杆部12を連結する軸受部14と、前記綴杆部12を連結して前記綴杆部12を構成する第1綴杆20及び第2綴杆30を開閉させるときの中心となる軸部16とを備える綴杆部12を捩って閉じている綴杆部12を開くことができるように構成されているから、「各基板の回動変位により、複数対の半リング部分を、対をなす該半リング部分のそれぞれの先端部が互いに近接してリング形状を形成する閉鎖位置と、それぞれの先端部が互いに離隔する開放位置との間で移動可能とした」ものであることは明らかである。
また、後者における「『軸部16』、『第1軸部120』、及び『第2軸部130』」と前者における「両端固定シャフト」とは、「シャフト」との概念で共通する。
また、後者における「第1軸部120」は、長手方向に一直線状にのび、同一の太さを有する略々円柱状であり、第1綴具部材18Aを構成する半割杆20A及び第1架設部42と、半割杆20A及び第1架設部42の下側において連続して一体的に形成されており、後者における「第2軸部130」は、長手方向に一直線状にのび、同一の太さを有する略々円柱状であり、第2綴具部材18Bを構成する半割杆30A及び第2架設部44と、半割杆30A及び第2架設部44の下側において連続して一体的に形成されているから、後者における「『第1軸部120』、及び『第2軸部130』」は、「少なくとも一方の基板の裏面に、該裏面から間隔をおいて前記基板と平行に延びる一本以上のシャフトを一体に設ける」ものといえる。
また、後者においては、軸部16を構成する第1綴具部材18Aの第1軸部120は、円弧状の領域において、第2綴具部材18Bの第2軸受部60の開口部62から軸受部14の内面が円弧状で長手方向にのびる軸受凹部64に揺動自在に嵌合され、第2綴具部材18Bの第2軸部130は、円弧状の領域において、第1綴具部材18Aの第1軸受部50の開口部52から軸受部14の内面が円弧状で長手方向にのびる軸受凹部54に揺動自在に嵌合され、第1軸受部50、及び第2軸受部60は、それぞれ、第1綴杆20、第2綴杆30に連続して一体的に形成されているから、後者における「『第1軸受部50』、及び『第2軸受部60』」は、「他方の基板の裏面で、一方の基板のシャフトに隣接する位置に、該シャフトの周囲を該シャフトの周方向の一部を除いて取り囲む一個以上のシャフト把持部を一体に設けた」ものといえ、また、後者は、「シャフト把持部で把持させたシャフトの周りで、二枚の基板を回動変位可能とした」ものといえる。
また、後者においては、向こう側の第1軸部120aは、中間の第1軸受部50bから向こう側に連続して形成されており、中間の第1軸部120bは、第1受け部80から手前側に連続して形成され、手前側の第2軸部130aは、中間の第2軸受部60bから手前側に連続して形成されており、第2軸部130bは、第2受け部90から向こう側に連続して形成されているから、後者は、「少なくとも一方の基板の裏面に、シャフトの端部が一体的に固定される二個以上の隆起部を一体に設けた」ものといえる。
また、後者における「『第1軸受部50の開口部52の口縁部の接合面52a』、及び『第2綴具部材18Bの第2軸受部60の開口部62の口縁部の接合面62a』」と前者における「ストッパー凸部」とは、「ストッパー部」との概念で共通する。
また、後者における「第1の開き角規制部70」は、第1綴具部材18Aの第1軸受部50の開口部52の口縁部の接合面52aと第2綴具部材18Bの第2架設部44の下端の接合面44bとから構成され、一方、「第2の開き角規制部72」は、第2綴具部材18Bの第2軸受部60の開口部62の口縁部の接合面62aと第1綴具部材18Aの第1架設部42の下端の接合面42bとから構成されているから、「一方の基板側及び他方の基板側のシャフト把持部に、半リング部分の開放位置で他方の基板又は一方の基板の裏面に当接するストッパー部を一箇所以上設けている」といえる。
したがって、両者は、
「互いに平行する向きで隣り合わせに配置した二枚の基板と、それらの基板のそれぞれに形成され、該基板の表面側に延びて相互に共同してリング形状をなす複数対の半リング部分とを具えてなり、各基板の回動変位により、複数対の半リング部分を、対をなす該半リング部分のそれぞれの先端部が互いに近接してリング形状を形成する閉鎖位置と、それぞれの先端部が互いに離隔する開放位置との間で移動可能としたルーズリーフ綴具であって、
少なくとも一方の基板の裏面に、該裏面から前記基板と平行に延びる一本以上のシャフトを一体に設けるとともに、他方の基板の裏面で、前記一方の基板の前記シャフトに隣接する位置に、該シャフトの周囲を該シャフトの周方向の一部を除いて取り囲む一個以上のシャフト把持部を一体に設け、前記シャフト把持部で把持させた前記シャフトの周りで、二枚の基板を回動変位可能とし、
少なくとも一方の基板の裏面に、前記シャフトの端部が一体的に固定される二個以上の隆起部を一体に設け、
一方の基板側及び/又は他方の基板側の前記隆起部及び/又は前記シャフト把持部に、半リング部分の開放位置で他方の基板又は一方の基板の裏面に当接するストッパー部を一箇所以上設けてなる、ルーズリーフ綴具。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1]
シャフトに関して、本件特許発明1は、「基板の裏面から間隔をおいて」延びる「両端固定シャフト」であるのに対し、甲第1号証発明は、第1綴杆20に連続して一体的に形成された第1軸部120、及び第2綴杆30に連続して一体的に形成された第2軸部130である点。
[相違点2]
本件特許発明1は、「両端固定シャフトのそれぞれの端部が」隆起部に固定されているのに対し、甲第1号証発明は、向こう側の第1軸部120aが、中間の第1軸受部50bから向こう側に連続して形成されており、中間の第1軸部120bが、第1受け部80から手前側に連続して形成され、手前側の第2軸部130aが、中間の第2軸受部60bから手前側に連続して形成されており、第2軸部130bが、第2受け部90から向こう側に連続して形成されている点。
[相違点3]
ストッパー部に関して、本件特許発明1は、一方の基板側及び/又は他方の基板側の前記隆起部及び/又は前記シャフト把持部の「外周面に、該外周面から突出して、」半リング部分の開放位置で他方の基板又は一方の基板の裏面に当接する「ストッパー凸部」を設けているのに対し、甲第1号証発明は、第1の開き角規制部70が、第1綴具部材18Aの第1軸受部50の開口部52の口縁部の接合面52aと第2綴具部材18Bの第2架設部44の下端の接合面44bとから構成され、一方、第2の開き角規制部72が、第2綴具部材18Bの第2軸受部60の開口部62の口縁部の接合面62aと第1綴具部材18Aの第1架設部42の下端の接合面42bとから構成されている点。

(2)判断
上記相違点について以下検討する。
ア.相違点1、及び2について
甲第2号証発明は、上記「第5 2.」のとおりであって、甲第2号証発明における「『固定基板(1)』、及び『回転基板(13)』」は、本件特許発明1における「基板」に、相当し、以下同様に、「『リング片(3)』、及び『リング片(3)´』」は「半リング部分」に、「リングバインダー」は「ルーズリーフ綴具」に、それぞれ相当する。
また、甲第2号証発明における「支軸(15)」は、基板の側縁部に形成された切欠部(15)を架設して(架け渡して)、その両端を基板に支持しているから、本件特許発明1における「両端固定シャフト」に相当すると共に、切欠部が形成された基板の側縁部から間隔をおいて設けられているといえる。
しかしながら、甲第2号証発明における「支軸(15)(両端固定シャフト)」は、上記のとおり、基板の側縁部に形成された切欠部に設けたものであって、本件特許発明1のように「基板の裏面」に設けられているものではないし、「両端固定シャフトのそれぞれの端部が基板の裏面に設けられた隆起部に固定されている」ものではない。
してみると、甲第2号証発明は、上記相違点1、及び2に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものではない。
また、甲第3号証記載事項は、上記「第5 3.」のとおりであって、甲第3号証記載事項における「連結部」は、本件特許発明1における「基板」に、相当し、以下同様に、「綴杆」は「半リング部分」に、「綴具」は「ルーズリーフ綴具」に、それぞれ相当する。
しかしながら、甲第3号証記載事項における「シャフト部」は、綴杆を開閉させるときの中心となるものではあるが、綴杆部や連結部とは別体であって、連設されたものでない。
してみると、甲第3号証記載事項は、上記相違点1、及び2に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものではない。
また、甲第4号証記載事項は、上記「第5 4.」のとおりであって、甲第4号証記載事項における「基体11、21」は、本件特許発明1における「基板」に、相当し、以下同様に、「桿要素12、22」は「半リング部分」に、「綴じ具0」は「ルーズリーフ綴具」に、それぞれ相当する。
また、甲第4号証記載事項における「軸体13、23」は、基体11、21の裏面から離間し、一つの軸体13、23について二つ存在する腕部14、24に連接されているから、本件特許発明1における「両端固定シャフト」に相当すると共に、「基体11、21の裏面から間隔をおいて」延びるものといえる。
また、甲第4号証記載事項における「腕部14、24」は、基体11、21の裏面に設けられ、一つの軸体13、23について二つ存在し、軸体13、23の軸心方向に沿った両端部をそれぞれ基体11、21に接合しているから、本件特許発明1における「隆起部」に相当すると共に、「基体11、21の裏面に、軸体13、23のそれぞれの端部に固定されている」ものといえる。
してみると、甲第4号証記載事項は、上記相違点1、及び2に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものである。
また、甲第5号証記載事項は、上記「第5 5.」のとおりであるが、甲第5号証記載事項における「クリップ」は、記録材を挟み込んで保持するものであって、本件特許発明1における「ルーズリーフ綴具」とは、そもそもその技術分野において異なるものである。
また、仮に、甲第5号証記載事項における「軸」と本件特許発明1における「両端固定シャフト」とが、「シャフト」という概念で共通するとしても、甲第5号証記載事項における「軸」は、本件特許発明1における「両端固定シャフト」のように「基板の裏面から間隔をおいて」延びるものではないし、「両端固定シャフトのそれぞれの端部が基板の裏面に設けられた隆起部に固定されている」ものでもない。
してみると、甲第5号証記載事項は、上記相違点1、及び2に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものではない。
また、甲第6号証記載事項は、上記「第5 6.」のとおりであって、一般的な軸の構造が示されているにすぎない。
また、仮に、甲第6号証記載事項における「軸」と本件特許発明1における「両端固定シャフト」とが、「シャフト」という概念で共通するとしても、甲第6号証記載事項における「軸」は、本件特許発明1における「両端固定シャフト」のように「基板の裏面から間隔をおいて」延びるものではないし、「基板の裏面に両端固定シャフトのそれぞれの端部が基板の裏面に設けられた隆起部に固定されている」ものでもない。
してみると、甲第6号証記載事項は、上記相違点1、及び2に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものではない。
甲第9号証記載事項は、上記「第5 7.」のとおりであって、甲第9号証記載事項における「『固定基板2』、及び『回動基板3』」は、本件特許発明1における「基板」に、相当し、以下同様に、「リングとじ具1」は「ルーズリーフ綴具」に、それぞれ相当する。
また、甲第9号証記載事項における「第1の軸部42」は、回動基板3の基端部31を切り欠いた切欠部32に長尺方向に延出して配設されるから、本件特許発明1における「両端固定シャフト」に相当すると共に、切欠部32が形成された回動基板3の側縁から間隔をおいて設けられているといえる。
しかしながら、甲第9号証記載事項における「第1の軸部42(両端固定シャフト)」は、上記のとおり、回動基板3の側縁に形成された切欠部32に設けたものであって、本件特許発明1のように「基板の裏面」に設けられているものではないし、両端固定シャフトの「それぞれの端部が基板の裏面に設けられた隆起部に固定されている」ものではない。
してみると、甲第9号証発明は、上記相違点1、及び2に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものではない。
甲第10号証記載事項は、上記「第5 8.」のとおりであって、甲第10号証記載事項における「台板」は、本件特許発明1における「基板」に、相当し、以下同様に、「『固定綴杆』、及び『下向きコ字状の綴軸』」は「半リング部分」に、「綴込具」は「ルーズリーフ綴具」に、それぞれ相当する。
しかしながら、甲第10号証記載事項における「回動軸」は、下向きコ字状の綴軸を開閉させるときの中心となるものではあるが、本件特許発明1のように「基板の裏面」に設けられているものではないし、「両端固定シャフトのそれぞれの端部が基板の裏面に設けられた隆起部に固定されている」ものではない。
してみると、甲第10号証記載事項は、上記相違点1、及び2に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものではない。
また、甲第11号証記載事項は、上記「第5 9.」のとおりであるが、甲第11号証記載事項における「ヒンジ」は、ケース本体とカバーに用いられるものであって、本件特許発明1における「ルーズリーフ綴具」とは、そもそもその技術分野において異なるものである。
また、仮に、甲第11号証記載事項における「軸」と本件特許発明1における「両端固定シャフト」とが、相当するものであるとしても、甲第5号証記載事項における「軸」は、羽根板の基端部に設けられた切欠部内に架設したものであるから、本件特許発明1のように「基板の裏面」に設けられているものではないし、両端固定シャフトの「それぞれの端部が基板の裏面に設けられた隆起部に固定されている」ものでもない。
してみると、甲第11号証記載事項は、上記相違点1、及び2に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものではない。
以上を踏まえると、甲第4号証記載事項のみが、上記相違点1、及び2に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えているといえる。
そして、甲第1号証発明と甲第4号証記載事項とは、ルーズリーフ綴具という共通の技術分野に属し、また、共に基板の裏面に設けられたシャフトであって、二枚の基板を回動変位可能とするものであるから、甲第1号証発明に甲第4号証記載事項を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。
したがって、甲第1号証発明において、甲第4号証記載事項を適用することにより、相違点1、及び2に係る本件特許発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

イ.相違点3について
上記「(1)」のとおり、甲第1号証発明は、相違点3に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものではない。
また、上記相違点3に係る本件特許発明1の発明特定事項が、当業者にとって設計事項であるとする根拠もない。
そして、本件特許発明1は、上記相違点3に係る本件特許発明1の発明特定事項を具備することにより、本件特許細書に記載の「半リング部分3a、3bが所定の開き角度θを超えて開くことのないように規制するべく機能する」(段落【0038】)という作用効果を奏するものである。
したがって、相違点3に係る本件特許発明1の発明特定事項は、甲第1号証発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
そして、甲第1号証発明において、他に相違点3に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものとなすことを、当業者が容易に想到し得たといえる根拠も見当たらない。
よって、甲第1号証発明において、上記相違点3に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものとすることについて、当業者が容易に想到し得るものではない。

(3)小括
よって、甲第1号証発明において、上記相違点3に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものとすることが、当業者にとって容易に想到し得るものではないから、本件特許発明1についての特許は、無効理由1-1により無効とすることはできない。

2.無効理由1-2について
(1)対比
本件特許発明2と甲第1号証発明とを対比すると、
後者における「『第1綴杆20の基部』、及び『第1架設部42』、並びに『第2綴杆30の基部』、及び『第2架設部44』」は、その構造、機能、作用等からみて、前者における「基板」に相当し、以下同様に、「『第1綴杆20』、及び『第2綴杆30』」は「半リング部分」に、「綴具10」は「ルーズリーフ綴具」に、「『接合面42b』、及び『接合面44b』」は「(基板の)裏面」に、「『軸受部14』、『第1軸受部50』、『第2軸受部60』、『中間の第1軸受部50b』、及び『中間の第2軸受部60b』」は「シャフト把持部」に、「『第1受け部80』、『中間の第1軸受部50b』、『第2受け部90』、及び『中間の第2軸受部60b』」は「隆起部」に、それぞれ相当する。
また、上記「1.(1)」のとおりであるから、後者における「『第1綴杆20の基部』、及び『第1架設部42』、並びに『第2綴杆30の基部』、及び『第2架設部44』(基板)」は、「互いに平行する向きで隣り合わせに配置した二枚の」ものであることは明らかである。
また、上記「1.(1)」のとおりであるから、後者における「『第1綴杆20』、及び『第2綴杆30』(半リング部)」は、「基板の表面側に延びて相互に共同してリング形状をなす複数対の」ものであることは明らかである。
また、上記「1.(1)」のとおりであるから、後者における「綴具10(ルーズリーフ綴具)」は、「各基板の回動変位により、複数対の半リング部分を、対をなす該半リング部分のそれぞれの先端部が互いに近接してリング形状を形成する閉鎖位置と、それぞれの先端部が互いに離隔する開放位置との間で移動可能とした」ものであることは明らかである。
また、後者における「『軸部16』、『第1軸部120』、及び『第2軸部130』」と前者における「両端固定シャフト」とは、「シャフト」との概念で共通する。
また、上記「1.(1)」のとおりであるから、後者における「『第1軸部120』、及び『第2軸部130』」は、「少なくとも一方の基板の裏面に、該裏面から間隔をおいて前記基板と平行に延びる一本以上のシャフトを一体に設ける」ものといえる。
また、上記「1.(1)」のとおりであるから、後者における「『第1軸受部50』、及び『第2軸受部60』」は、「他方の基板の裏面で、一方の基板のシャフトに隣接する位置に、該シャフトの周囲を該シャフトの周方向の一部を除いて取り囲む一個以上のシャフト把持部を一体に設けた」ものといえ、また、後者は、「シャフト把持部で把持させたシャフトの周りで、二枚の基板を回動変位可能とした」ものといえる。
また、上記「1.(1)」のとおりであるから、後者は、「少なくとも一方の基板の裏面に、シャフトの端部が一体的に固定される二個以上の隆起部を一体に設けた」ものといえる。
なお、甲第1号証には、「綴杆部12を閉じたときに、第1綴具部材18Aの突起部78及び規制凹部56の対向部の平面と第2綴具部材18Bの突起部76及び規制凹部66の対向部の平面と接し合い、第1綴具部材18Aと第2綴具部材18Bとを幅方向に引き離す力、綴杆部12の径方向に引き離す力が働いても、第1綴具部材18Aの半割杆20Aと第2綴具部材18Bの半割杆30Aとは離れない」(段落【0028】)と記載されているように、甲第1号証発明の突起部76、78、と規制凹部56、66から構成される軸部回転規制部74は、突起部76、78と規制凹部56、66とが単に接しているのみで互いに係合するものでないものであって、第1綴具部材18Aと第2綴具部材18Bとを幅方向に引き離す力が作用した際に、その幅方向の変位をロックするものである。
一方、本件特許発明2の突起部分、及び突起係合部分は、互いに係合するものであって、半リング部が開く方向への回動変位をロックするものである。
してみると、後者における「突起部76、78」と前者における「突起部分」とは、その作用、機能が異なるものであるから、相当するものではない。また、同様に、後者における「規制凹部56、66」と前者における「突起係合部分」とは、相当するものではない。
したがって、両者は、
「互いに平行する向きで隣り合わせに配置した二枚の基板と、それらの基板のそれぞれに形成され、該基板の表面側に延びて相互に共同してリング形状をなす複数対の半リング部分とを具えてなり、各基板の回動変位により、複数対の半リング部分を、対をなす該半リング部分のそれぞれの先端部が互いに近接してリング形状を形成する閉鎖位置と、それぞれの先端部が互いに離隔する開放位置との間で移動可能としたルーズリーフ綴具であって、
少なくとも一方の基板の裏面に、該裏面から前記基板と平行に延びる一本以上のシャフトを一体に設けるとともに、他方の基板の裏面で、前記一方の基板の前記シャフトに隣接する位置に、該シャフトの周囲を該シャフトの周方向の一部を除いて取り囲む一個以上のシャフト把持部を一体に設け、前記シャフト把持部で把持させた前記シャフトの周りで、二枚の基板を回動変位可能とし、
少なくとも一方の基板の裏面に、前記シャフトの端部が一体的に固定される二個以上の隆起部を一体に設け
突出する突起部分を設け、半リング部分の閉鎖位置で前記突起部分に係合する突起係合部分を設けてなる、ルーズリーフ綴具。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1]
シャフトに関して、本件特許発明2は、「基板の裏面から間隔をおいて」延びる「両端固定シャフト」であるのに対し、甲第1号証発明は、第1綴杆20に連続して一体的に形成された第1軸部120、及び第2綴杆30に連続して一体的に形成された第2軸部130である点。
[相違点2]
本件特許発明2は、「両端固定シャフトのそれぞれの端部が」隆起部に固定されているのに対し、甲第1号証発明は、向こう側の第1軸部120aが、中間の第1軸受部50bから向こう側に連続して形成されており、中間の第1軸部120bが、第1受け部80から手前側に連続して形成され、手前側の第2軸部130aが、中間の第2軸受部60bから手前側に連続して形成されており、第2軸部130bが、第2受け部90から向こう側に連続して形成されている点。
[相違点4]
本件特許発明2は、「前記シャフト把持部又は前記隆起部の端面に、該端面から突出する突起部分を設け、該突起部分を設けた前記シャフト把持部又は前記隆起部に隣接する隆起部又はシャフト把持部の、前記突起部分に対向する端面に、半リング部分の閉鎖位置で前記突起部分に係合する突起係合部分を設けてなる」のに対し、甲第1号証発明は、閉じられた第1綴杆20及び第2綴杆30の開くことを阻止する軸部回転規制部74は、第2綴具部材18Bの手前側の第2軸部130aの手前側に形成された突起部76と第1綴具部材18Aの第1軸受部50の手前側に切り欠き形成された規制凹部56及び第1綴具部材18Aの向こう側の第1軸部120aの向こう側に形成された突起部78と第2綴具部材18Bの第2軸受部60の向こう側に切り欠き形成された規制凹部66とから構成されており、第2綴具部材18Bの突起部76と第1綴具部材18Aの規制凹部56と及び第1綴具部材18Aの突起部78と第2綴具部材18Bの規制凹部66とは、綴杆部12が閉じられたときに綴杆部12の開く方向とは反対側の端縁に係止される面を備えている点。

(2)判断
上記相違点について以下検討する。
ア.相違点1、及び2について
上記「1.(1)」のとおりであるから、甲第1号証発明において、甲第4号証記載事項を適用することにより、相違点1、及び2に係る本件特許発明2の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

イ.相違点4について
上記「(1)」のとおり、甲第1号証発明は、相違点4に係る本件特許発明2の発明特定事項を備えるものではない。
また、上記相違点4に係る本件特許発明2の発明特定事項が、当業者にとって設計事項であるとする根拠もない。
したがって、相違点4に係る本件特許発明2の発明特定事項は、甲第1号証発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
そして、甲第1号証発明において、他に相違点4に係る本件特許発明2の発明特定事項を備えるものとなすことを、当業者が容易に想到し得たといえる根拠も見当たらない。
よって、甲第1号証発明において、上記相違点4に係る本件特許発明2の発明特定事項を備えるものとすることについて、当業者が容易に想到し得るものではない。

(3)小括
よって、甲第1号証発明において、上記相違点4に係る本件特許発明2の発明特定事項を備えるものとすることが、当業者にとって容易に想到し得るものではないから、本件特許発明2についての特許は、無効理由1-2により無効とすることはできない。

3.無効理由2について
(1)本件特許発明3?8について
本件特許発明3?8は、本件特許発明1、または2の発明特定事項をその発明特定事項の一部とするものであって、上記「1.」、及び「2.」のとおり、本件特許発明1、及び2が、当業者にとって容易に発明することができたものとはいえないのであるから、同様に本件特許発明3?8は、当業者が容易に発明することができたものとはいえない。

(2)小括
したがって、本件特許発明3?8についての特許は、無効理由3により無効とすることはできない。


第7 むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては本件特許発明1ないし8についての特許を無効にすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-03-14 
結審通知日 2016-03-17 
審決日 2016-03-30 
出願番号 特願2014-80587(P2014-80587)
審決分類 P 1 113・ 121- Y (B42F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 荒井 隆一  
特許庁審判長 吉村 尚
特許庁審判官 黒瀬 雅一
山本 一
登録日 2014-12-05 
登録番号 特許第5657822号(P5657822)
発明の名称 ルーズリーフ綴具  
代理人 岡田 全啓  
代理人 アクシス国際特許業務法人  
代理人 扇谷 一  
代理人 竹中 俊夫  
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