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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1315258
審判番号 不服2015-1339  
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-01-23 
確定日 2016-06-01 
事件の表示 特願2013-192757「ファイル記憶システム及びファイル記憶方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 2月 6日出願公開、特開2014- 27675〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 経緯
1 経緯
本件出願は、平成21年4月1日に出願した特願2009-88958号の一部を平成25年9月18日に新たな出願としたものであって、平成26年6月6日付けで拒絶理由の通知がなされ、これに対し、平成26年8月1日付けで手続補正がなされたが、平成26年10月15日付け(発送日同年10月28日)で拒絶査定がなされた。
本件は、上記拒絶査定を不服として平成27年1月23日付けで請求された拒絶査定不服審判であって、請求と同時に手続補正がなされた。

2 査定の概要
原査定の理由は、概略、次のとおりである。

[査定の理由]
請求項1?12に係る発明は、下記の刊行物に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開2002-209131号公報
引用文献2:特開2005-223795号公報
引用文献3:特開2008-311725号公報(周知技術)
引用文献4:特開2008-104147号公報(周知技術)

第2 補正却下の決定
平成27年1月23日付けの手続補正について次のとおり決定する。

[補正却下の決定の結論]
平成27年1月23日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成27年1月23日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてする補正を含む補正である。

補正前の請求項1?12
「 【請求項1】
画像の撮影を行う撮像部を備えた端末と、前記端末と通信を行うサーバーとを有するファイル記憶システムであって、
前記端末は、前記撮像部によって撮影された画像を一意に識別する識別情報として、前記撮像部によって撮影された画像の撮影年月日及び時刻と前記端末を識別する情報とを組み合わせた情報を生成し、さらに、当該画像を示す画像ファイルに基づき、当該画像ファイルよりもファイルサイズの小さな小容量情報を示す小容量情報ファイルを生成し、該生成された小容量情報ファイルと、前記識別情報とを対応付けて記憶するとともに、前記画像ファイルと前記識別情報とを前記サーバーへ送信し、その後、前記小容量情報の選択を受け付けると、該選択された前記小容量情報を示す小容量情報ファイルと対応する前記識別情報を前記サーバーへ送信し、
前記サーバーは、前記端末から送信された前記画像ファイルと前記識別情報とを受信すると、該受信した前記画像ファイルと前記識別情報とを対応付けて記憶し、その後、前記端末から送信された前記識別情報を受信すると、該受信した前記識別情報に対応する前記画像ファイルを当該端末へ送信し、
前記端末と前記サーバーとの間の通信が赤外線通信である、ファイル記憶システム。
【請求項2】
画像の撮影を行う撮像部を備えた端末と、前記端末と通信を行うサーバーとを有するファイル記憶システムであって、
前記端末は、前記撮像部によって撮影された画像を一意に識別する識別情報を生成し、さらに、当該画像を示す画像ファイルに基づき、当該画像ファイルよりもファイルサイズの小さな小容量情報を示す小容量情報ファイルを生成し、該生成された小容量情報ファイルと、前記識別情報とを対応付けて記憶するとともに、前記画像ファイルと前記識別情報とを前記サーバーへ送信し、その後、前記小容量情報の選択を受け付けると、該選択された前記小容量情報を示す小容量情報ファイルと対応する前記識別情報を前記サーバーへ送信し、
前記サーバーは、前記端末から送信された前記画像ファイルと前記識別情報とを受信すると、該受信した前記画像ファイルと前記識別情報とを対応付けて記憶し、その後、前記端末から送信された前記識別情報を受信すると、該受信した前記識別情報に対応する前記画像ファイルを当該端末へ送信し、
前記端末は、前記撮像部によって撮影された画像の画像名の入力を受け付け、該受け付けた画像名と当該端末を識別する情報との組み合わせを前記識別情報とし、
前記端末と前記サーバーとの間の通信が赤外線通信である、ファイル記憶システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のファイル記憶システムにおいて、
前記小容量情報は、前記撮像部によって撮影された画像のサムネイル画像であるファイル記憶システム。
【請求項4】
請求項3に記載のファイル記憶システムにおいて、
前記サムネイル画像は、前記撮像部によって撮影された画像が動画像である場合、当該動画像よりも単位時間当たりの画面の更新回数を少なくした動画像であるファイル記憶システム。
【請求項5】
請求項3に記載のファイル記憶システムにおいて、
前記サムネイル画像は、前記撮像部によって撮影された画像が動画像である場合、当該動画像の最初の画像を示す静止画像であるファイル記憶システム。
【請求項6】
請求項3に記載のファイル記憶システムにおいて、
前記サムネイル画像は、前記撮像部によって撮影された画像が動画像である場合、当該動画像の表示サイズを小さくした動画像であるファイル記憶システム。
【請求項7】
画像の撮影を行う撮像部を備えた端末と、前記端末と通信を行うサーバーとを有するファイル記憶システムにおけるファイル記憶方法であって、
前記端末が、前記撮像部によって撮影された画像を一意に識別する識別情報として、前記撮像部によって撮影された画像の撮影年月日及び時刻と前記端末を識別する情報とを組み合わせた情報を生成する処理と、
前記端末が、当該画像を示す画像ファイルに基づき、前記識別情報と対応付けられ、当該画像ファイルよりもファイルサイズの小さな小容量情報を示す小容量情報ファイルを生成する処理と、
前記端末が、前記画像ファイルと前記識別情報とを前記サーバーへ送信する処理と、
前記サーバーが、前記端末から送信された前記画像ファイルと前記識別情報とを受信すると、該受信した前記画像ファイルと前記識別情報とを対応付けて記憶する処理と、
前記端末が、前記小容量情報の選択を受け付ける処理と、
前記端末が、前記選択された前記小容量情報を示す小容量情報ファイルと対応する前記識別情報を前記サーバーへ送信する処理と、
前記サーバーが、前記端末から送信された前記識別情報を受信すると、該受信した識別情報に対応する前記画像ファイルを当該端末へ送信する処理と、を有し、
前記端末と前記サーバーとの間の通信が赤外線通信である、ファイル記憶方法。
【請求項8】
画像の撮影を行う撮像部を備えた端末と、前記端末と通信を行うサーバーとを有するファイル記憶システムにおけるファイル記憶方法であって、
前記端末が、前記撮像部によって撮影された画像の画像名の入力を受け付ける処理と、
前記端末が、前記撮像部によって撮影された画像を一意に識別する識別情報として、前記受け付けた画像名と当該端末を識別する情報とを組み合わせた情報を生成する処理と、
前記端末が、当該画像を示す画像ファイルに基づき、前記識別情報と対応付けられ、当該画像ファイルよりもファイルサイズの小さな小容量情報を示す小容量情報ファイルを生成する処理と、
前記端末が、前記画像ファイルと前記識別情報とを前記サーバーへ送信する処理と、
前記サーバーが、前記端末から送信された前記画像ファイルと前記識別情報とを受信すると、該受信した前記画像ファイルと前記識別情報とを対応付けて記憶する処理と、
前記端末が、前記小容量情報の選択を受け付ける処理と、
前記端末が、前記選択された前記小容量情報を示す小容量情報ファイルと対応する前記識別情報を前記サーバーへ送信する処理と、
前記サーバーが、前記端末から送信された前記識別情報を受信すると、該受信した識別情報に対応する前記画像ファイルを当該端末へ送信する処理と、を有し、
前記端末と前記サーバーとの間の通信が赤外線通信である、ファイル記憶方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載のファイル記憶方法において、
前記小容量情報は、前記撮像部によって撮影された画像のサムネイル画像であるファイル記憶方法。
【請求項10】
請求項9に記載のファイル記憶方法において、
前記サムネイル画像は、前記撮像部によって撮影された画像が動画像である場合、当該動画像よりも単位時間当たりの画面の更新回数を少なくした動画像であるファイル記憶方法。
【請求項11】
請求項9に記載のファイル記憶方法において、
前記サムネイル画像は、前記撮像部によって撮影された画像が動画像である場合、当該動画像の最初の画面を示す静止画像であるファイル記憶方法。
【請求項12】
請求項9に記載のファイル記憶方法において、
前記サムネイル画像は、前記撮像部によって撮影された画像が動画像である場合、当該動画像の表示サイズを小さくした動画像であるファイル記憶方法。」

を、次のとおり補正後の請求項1?4に補正するものである。

「 【請求項1】
画像の撮影を行う撮像部を備えた端末と、前記端末と通信を行うサーバーとを有するファイル記憶システムであって、
前記端末は、情報を一時的に記憶する一時記憶部に前記撮像部によって撮影された前記画像の画像ファイルが記憶されたことを検知した場合に、前記一時記憶部から前記画像ファイルを取得し、前記撮像部によって撮影された前記画像を一意に識別する識別情報として、前記撮像部によって撮影された前記画像の撮影年月日及び時刻と前記端末を識別する情報とを組み合わせた情報を生成し、さらに、前記一時記憶部から取得した前記画像ファイルに基づき、当該画像ファイルよりもファイルサイズの小さな小容量情報のサムネイル画像のサムネイル画像ファイルを生成し、前記一時記憶部から取得した前記画像ファイルの前記画像が動画像である場合は、当該動画像よりも単位時間当たりの画面の更新回数を少なくした動画像、当該動画像の最初の画像を示す静止画像、当該動画像の表示サイズを小さくした動画像、をサムネイル画像とした前記サムネイル画像ファイルを生成し、該生成されたサムネイル画像ファイルと、前記識別情報とを対応付けて記憶部に記憶するとともに、前記一時記憶部から取得した前記画像ファイルと前記識別情報とを前記サーバーへ送信し、その後、前記サムネイル画像の選択を受け付けると、該選択された前記サムネイル画像の前記サムネイル画像ファイルと対応付けられた前記識別情報を前記サーバーへ送信し、
前記サーバーは、前記端末から送信された前記画像ファイルと前記識別情報とを受信すると、該受信した前記画像ファイルと前記識別情報とを対応付けて記憶し、その後、前記端末から送信された前記識別情報を受信すると、該受信した前記識別情報に対応する前記画像ファイルを当該端末へ送信し、
前記端末と前記サーバーとの間の通信が赤外線通信である、ファイル記憶システム。
【請求項2】
画像の撮影を行う撮像部を備えた端末と、前記端末と通信を行うサーバーとを有するファイル記憶システムであって、
前記端末は、情報を一時的に記憶する一時記憶部に前記撮像部によって撮影された前記画像の画像ファイルが記憶されたことを検知した場合に、前記一時記憶部から前記画像ファイルを取得し、前記撮像部によって撮影された前記画像を一意に識別する識別情報を生成し、さらに、前記一時記憶部から取得した前記画像ファイルに基づき、当該画像ファイルよりもファイルサイズの小さな小容量情報のサムネイル画像のサムネイル画像ファイルを生成し、前記一時記憶部から取得した前記画像ファイルの前記画像が動画像である場合は、当該動画像よりも単位時間当たりの画面の更新回数を少なくした動画像、当該動画像の最初の画像を示す静止画像、当該動画像の表示サイズを小さくした動画像、をサムネイル画像とした前記サムネイル画像ファイルを生成し、該生成されたサムネイル画像ファイルと、前記識別情報とを対応付けて記憶部に記憶するとともに、前記一時記憶部から取得した前記画像ファイルと前記識別情報とを前記サーバーへ送信し、その後、前記サムネイル画像の選択を受け付けると、該選択された前記サムネイル画像の前記サムネイル画像ファイルと対応付けられた前記識別情報を前記サーバーへ送信し、
前記サーバーは、前記端末から送信された前記画像ファイルと前記識別情報とを受信すると、該受信した前記画像ファイルと前記識別情報とを対応付けて記憶し、その後、前記端末から送信された前記識別情報を受信すると、該受信した前記識別情報に対応する前記画像ファイルを当該端末へ送信し、
前記端末は、前記撮像部によって撮影された画像の画像名の入力を受け付け、該受け付けた画像名と当該端末を識別する情報との組み合わせを前記識別情報とし、
前記端末と前記サーバーとの間の通信が赤外線通信である、ファイル記憶システム。
【請求項3】
画像の撮影を行う撮像部を備えた端末と、前記端末と通信を行うサーバーとを有するファイル記憶システムにおけるファイル記憶方法であって、
前記端末が、情報を一時的に記憶する一時記憶部に前記撮像部によって撮影された前記画像の画像ファイルが記憶されたことを検知した場合に、前記一時記憶部から前記画像ファイルを取得し、前記撮像部によって撮影された前記画像を一意に識別する識別情報として、前記撮像部によって撮影された前記画像の撮影年月日及び時刻と前記端末を識別する情報とを組み合わせた情報を生成する処理と、
前記端末が、前記一時記憶部から取得した前記画像ファイルに基づき、当該画像ファイルよりもファイルサイズの小さな小容量情報のサムネイル画像のサムネイル画像ファイルを生成し、前記一時記憶部から取得した前記画像ファイルの前記画像が動画像である場合は、当該動画像よりも単位時間当たりの画面の更新回数を少なくした動画像、当該動画像の最初の画像を示す静止画像、当該動画像の表示サイズを小さくした動画像、をサムネイル画像とした前記サムネイル画像ファイルを生成し、該生成されたサムネイル画像ファイルと、前記識別情報とを対応付けて記憶部に記憶する処理と、
前記端末が、前記一時記憶部から取得した前記画像ファイルと前記識別情報とを前記サーバーへ送信する処理と、
前記サーバーが、前記端末から送信された前記画像ファイルと前記識別情報とを受信すると、該受信した前記画像ファイルと前記識別情報とを対応付けて記憶する処理と、
前記端末が、前記サムネイル画像の選択を受け付ける処理と、
前記端末が、前記選択された前記サムネイル画像の前記サムネイル画像ファイルと対応付けられた前記識別情報を前記サーバーへ送信する処理と、
前記サーバーが、前記端末から送信された前記識別情報を受信すると、該受信した識別情報に対応する前記画像ファイルを当該端末へ送信する処理と、を有し、
前記端末と前記サーバーとの間の通信が赤外線通信である、ファイル記憶方法。
【請求項4】
画像の撮影を行う撮像部を備えた端末と、前記端末と通信を行うサーバーとを有するファイル記憶システムにおけるファイル記憶方法であって、
前記端末が、前記撮像部によって撮影された前記画像の画像名の入力を受け付ける処理と、
前記端末が、情報を一時的に記憶する一時記憶部に前記撮像部によって撮影された前記画像の画像ファイルが記憶されたことを検知した場合に、前記一時記憶部から前記画像ファイルを取得し、前記撮像部によって撮影された前記画像を一意に識別する識別情報として、前記受け付けた画像名と当該端末を識別する情報とを組み合わせた情報を生成する処理と、
前記端末が、前記一時記憶部から取得した前記画像ファイルに基づき、当該画像ファイルよりもファイルサイズの小さな小容量情報のサムネイル画像のサムネイル画像ファイルを生成し、前記一時記憶部から取得した前記画像ファイルの前記画像が動画像である場合は、当該動画像よりも単位時間当たりの画面の更新回数を少なくした動画像、当該動画像の最初の画像を示す静止画像、当該動画像の表示サイズを小さくした動画像、をサムネイル画像とした前記サムネイル画像ファイルを生成し、該生成されたサムネイル画像ファイルと、前記識別情報とを対応付けて記憶部に記憶する処理と、
前記端末が、前記一時記憶部から取得した前記画像ファイルと前記識別情報とを前記サーバーへ送信する処理と、
前記サーバーが、前記端末から送信された前記画像ファイルと前記識別情報とを受信すると、該受信した前記画像ファイルと前記識別情報とを対応付けて記憶する処理と、
前記端末が、前記サムネイル画像の選択を受け付ける処理と、
前記端末が、前記選択された前記サムネイル画像の前記サムネイル画像ファイルと対応付けられた前記識別情報を前記サーバーへ送信する処理と、
前記サーバーが、前記端末から送信された前記識別情報を受信すると、該受信した識別情報に対応する前記画像ファイルを当該端末へ送信する処理と、を有し、
前記端末と前記サーバーとの間の通信が赤外線通信である、ファイル記憶方法。」

2 補正の適合性
(1)補正の目的
本件補正は、請求項1における「画像ファイル」が一時記憶部に記憶されること、「小容量情報ファイル」がサムネイル画像のサムネイル画像ファイルであることを限定するものであり、請求項2、請求項7、請求項8も同様に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。

(2)独立特許要件
上記のとおり本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的としているので、本件補正後における発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かを、以下に検討する。

(3)補正後発明
補正後の請求項1?4に係る発明のうち請求項1に係る発明は、次のとおりのものである(この発明を以下「補正後発明」という。)。

(補正後発明)
(A)画像の撮影を行う撮像部を備えた端末と、前記端末と通信を行うサーバーとを有するファイル記憶システムであって、
(B1)前記端末は、情報を一時的に記憶する一時記憶部に前記撮像部によって撮影された前記画像の画像ファイルが記憶されたことを検知した場合に、前記一時記憶部から前記画像ファイルを取得し、前記撮像部によって撮影された前記画像を一意に識別する識別情報として、前記撮像部によって撮影された前記画像の撮影年月日及び時刻と前記端末を識別する情報とを組み合わせた情報を生成し、
(B2)さらに、前記一時記憶部から取得した前記画像ファイルに基づき、当該画像ファイルよりもファイルサイズの小さな小容量情報のサムネイル画像のサムネイル画像ファイルを生成し、前記一時記憶部から取得した前記画像ファイルの前記画像が動画像である場合は、当該動画像よりも単位時間当たりの画面の更新回数を少なくした動画像、当該動画像の最初の画像を示す静止画像、当該動画像の表示サイズを小さくした動画像、をサムネイル画像とした前記サムネイル画像ファイルを生成し、該生成されたサムネイル画像ファイルと、前記識別情報とを対応付けて記憶部に記憶するとともに、
(B3)前記一時記憶部から取得した前記画像ファイルと前記識別情報とを前記サーバーへ送信し、
(B4)その後、前記サムネイル画像の選択を受け付けると、該選択された前記サムネイル画像の前記サムネイル画像ファイルと対応付けられた前記識別情報を前記サーバーへ送信し、
(C1)前記サーバーは、前記端末から送信された前記画像ファイルと前記識別情報とを受信すると、該受信した前記画像ファイルと前記識別情報とを対応付けて記憶し、
(C2)その後、前記端末から送信された前記識別情報を受信すると、該受信した前記識別情報に対応する前記画像ファイルを当該端末へ送信し、
(D)前記端末と前記サーバーとの間の通信が赤外線通信である、
(E)ファイル記憶システム。

((A)?(E)は当審で付与した。以下各構成要件を「構成要件A」等という。)

(4)刊行物の記載及び刊行物に記載された発明
ア 刊行物1
(ア)刊行物1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-209131号公報(上記引用文献1、以下「刊行物1」という。)には、「電子カメラおよび画像システム」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子カメラおよび画像システムに関し、特に撮像した画像データを通信手段により外部の画像データベースに伝送して保存するとともに、外部の画像データベースに保存した画像データを通信手段により受信して表示する電子カメラおよび画像システムに関するものである。」

「【0007】そこで本発明は、撮像した画像データを通信により外部の画像データベースに送信保存するとともに、所望の画像データを選択して外部の画像データベースから通信により受信し、再生表示する電子カメラおよび画像システムにおいて、所望の画像データの選択と選択された画像データの再生表示が迅速かつ確実に行われる電子カメラおよび画像システムを提供することを目的とする。」

「【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明を適用した電子カメラと画像データを保存する外部の画像データベースから構成される電子カメラシステム(画像システム)の概念図である。図1において、電子カメラ100は無線通信機能を備え、無線携帯電話回線110により無線基地局120と交信する。無線基地局120は有線または無線の一般公衆電話回線130(またはインターネット回線)により画像データを保存する個人使用のパソコン140、画像データベース150、画像データベース160と接続されている。ここでパソコン140も画像データベースの一種と見なす。
【0015】このような構成において、電子カメラ100により撮影された画像データは、無線携帯電話回線110、無線基地局120、一般公衆電話回線130を経由し、パソコン140、画像データベース150、画像データベース160に保存される。また逆にパソコン140、画像データベース150、画像データベース160に保存された画像データは、一般公衆電話回線130、無線基地局120、無線携帯電話回線110を経由し、電子カメラ100に送られて表示される。
【0016】図2は、図1に示した本発明を適用した電子カメラシステム(画像システム)のブロック構成図であり、画像データを伝送する通信媒体(図1の無線携帯電話回線110、無線基地局120、一般公衆電話回線130)は省略して示してある。図2において、電子カメラ100は、画像データを生成する撮像回路101を備え、内蔵メモリ102に画像ファイル103とサムネイル画像ファイル104を格納しており、撮影および画像情報の表示および外部との通信を行う撮影表示通信手段105を備えている。画像ファイル103は撮像回路101により撮影された画像データおよび外部から受信した画像データの情報を含んでいる。サムネイル画像ファイル104は、電子カメラ100から外部に送信された画像データのサムネイル画像データの情報含んでいる。
【0017】個人用のパソコン140は、メモリ141に画像ファイル142を格納する。画像ファイル142は、電子カメラ100から送信された画像データの情報を含んでいる。画像データベース150は、メモリ151に画像ファイル152を格納する。画像ファイル152は、電子カメラ100から送信された画像データの情報を含んでいる。画像データベース160は、メモリ161に画像ファイル152を格納する。画像ファイル162は、電子カメラ100から送信された画像データの情報を含んでいる。メモリカード170は、画像ファイル171とサムネイル画像ファイル172を格納する。画像ファイル171は電子カメラ100により撮影された画像データの情報を含んでいる。サムネイル画像ファイル172は、電子カメラ100から外部に送信された画像データのサムネイル画像データの情報含んでいる。
【0018】以上のような構成において、電子カメラ100の撮像回路101によって撮影された画像データは一旦内蔵メモリ102に格納された後、パソコン140または画像データベース150または画像データベース160に送信され、記憶保存される。また送信された画像データのサムネイル画像データおよび画像データの送信先を表す送信先情報および画像データを識別するための画像識別情報は、サムネイル画像ファイルに格納される。
【0019】電子カメラ100が外部に保存記憶された画像データを抽出して再生表示する場合には、まず撮影表示通信手段105は内蔵メモリ102からサムネイル画像ファイル104を読み込み、サムネイル画像データを表示する。ユーザーは該サムネイル画像データを参照して、所望の画像データを選択する。次に撮影表示通信手段105は、選択された画像データに関連付けて保存されている送信先情報に基づいて該送信先の画像データベースのメモリにアクセスし、選択された画像データの画像識別情報に応じて該画像データベースのメモリから選択された画像データを受信し、該画像データを表示する。
【0020】上記のように電子カメラ100の内蔵メモリ102に外部の画像データベースに送信した画像データのサムネイル画像データおよび画像データの送信先情報、画像識別情報を保存記憶しているので、画像再生のため所望の画像データを選択する際には、外部の画像データベースにアクセスすることなく電子カメラ100単独で即サムネイル画像データの表示を行うことができるとともに、選択された画像データに関連した送信先情報と画像識別情報を用いて所望の画像データを、該画像データが保存されている画像データベースから一発で受信できるので、迅速な再生表示が可能となる。」

「【0029】図5は、図3および図4に示した電子カメラ100の内部の電気構成例を示すブロック図であって、各構成要素は各種情報データおよび制御データを伝送するためのデータ/制御バス51を介して互いに接続されている。CPU50(中央処理ユニット)は電子カメラ100全体の制御を行う手段であって、操作キー65からの入力情報、タッチタブレット66からの入力情報に応じて電子カメラ100の動作を行う。
【0030】電子カメラ100が撮影モードに設定された場合には、被写体からの光束は撮影レンズ10により光量調節のための絞り53を介し、CCD55上に被写体像として形成される。複数の画素を備えたCCD55(チャージカップルドデバイス)は被写体像を撮像するための電荷蓄積型イメージセンサーであり、CCD55上に形成された被写体像の光強度に応じた電気的な画像信号を出力する。DSP59(デジタルシグナルプロセッサ)は、CCD55に水平駆動パルスを供給するとともに、CCD駆動回路56を制御し、CCD55にCCD垂直駆動パルスを供給させる。
【0031】画像処理部57はCPU50に制御され、CCD55が光電変換した画像信号を所定のタイミングでサンプリングし、そのサンプリングした信号を、所定のレベルに増幅する。CPU50は、ROM67(リードオンリメモリ)に記憶されている制御プログラムに従い各部を制御する。A/D変換回路58(アナログデジタル変換回路)は画像処理部57でサンプリングした画像信号をデジタル化して画像データにし、DSP59に供給する。
【0032】DSP59はA/D変換回路58より供給された画像データをバッファメモリ60に一旦記憶させる。CPU50はバッファメモリ60に記憶された画像データをフレームメモリ69に記憶させ、右LCD22、左LCD21に表示させる。なおバッファメモリ60およびフレームメモリ69はDRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)等の揮発性メモリにより構成される。
【0033】またCPU50はバッファメモリ60に格納された画像データのコントラストから検出された被写体像の焦点調節状態に応じてレンズ駆動回路52により撮影レンズ10を自動焦点させる。EEPROM68(電気的消去書き込み可能ROM)は不揮発性のメモリであって、電子カメラ100の動作に必要な情報や、サムネイル画像ファイルを記憶する。
【0034】測光回路14は被写体の輝度を測定し、その測定結果である測光データをCPU50に出力する。CPU50は測光データに応じて、CCD55の露光時間、感度をCCD駆動回路56により設定するとともに、絞り53の絞り値を絞り制御回路54により制御する。CPU50は被写体が暗い場合には、撮影時にストロボ駆動回路72によりストロボ11を発光させる。
【0035】マイクロフォン13は被写体側または撮影者側から音声情報を入力し、その音声情報をA/DおよびD/A回路73(デジタルアナログ回路)に供給する。A/DおよびD/A回路73は音声情報を音声データにデジタル化し、CPU50に出力する。
【0036】GPS回路61(グローバルポジショニングシステム回路)は、地球の周りを周回している複数の衛星からの情報を用いて電子カメラ100の位置情報(場所情報)を検出し、CPU50に供給する。姿勢検出回路62は撮影時の電子カメラ100の姿勢を検出するために周知の姿勢センサなどから構成され、姿勢情報をCPU50に供給する。姿勢情報は撮影時に画面のどちらが天を向いているか(天地情報)を示す。
【0037】タイマ74は時計回路を内蔵し、現在の時刻に対応する時間情報をCPU50に供給する。CPU50は電子カメラ100の動作設定を行う場合は、上LCD20、右LCD22、左LCD21に動作情報を表示しながら、操作キー65やタッチタブレット66から入力される情報に基づいて動作設定を行う。
【0038】電源スイッチ16は電源制御のためにユーザーにより操作される操作部材であって、このスイッチの操作情報がCPU50に供給される、CPU50はこの操作情報に応じて、電源制御回路64により電子カメラシステムの電源63のON/OFF制御を行う。
【0039】以上のような構成においてCPU50は画像撮影時(レリーズボタン15が操作された場合)には、バッファメモリ60に記憶された画像データと該画像データを識別するための画像名情報(ファイル名等)を、無線通信回路71により無線通信回線を通じて指定された外部の画像データベースに転送して、画像識別情報として画像ファイルの一部に記憶させる。なお送信先の画像データベースの指定は手動または自動(デフォルト指定)により行われる。
【0040】またCPU50は画像撮影時の上記音声情報、場所情報、姿勢情報、時間情報を無線通信回路71により無線通信回線を通じて外部の画像データベースに上記画像データとともに転送し、画像識別情報として画像ファイルの一部に記憶させる。
【0041】またCPU50は撮影時の撮影条件(撮影レンズの識別、焦点距離、開放F値、撮影距離、露光時間、CCDの設定感度、測光モード、露出モード、露出補正値、ストロボ有無等)の撮影情報と撮影した電子カメラ100を識別するためのカメラ個体識別情報(電子カメラ100の種別番号、製造シリアル番号等)も無線通信回路71により無線通信回線を通じて外部の画像データベースに送信し、画像識別情報として画像ファイルの一部に記憶させる。
【0042】またCPU50は無線通信回路71により無線通信回線を通じて外部の画像データベースと情報をやりとりし、上LCD20、右LCD22、左LCD21にそれらの情報を表示しながら、操作キー65やタッチタブレット66から入力される情報に基づいて画像データに関するキーワードやコメントあるいは電子カメラ100のユーザーに関する情報を入力することも可能である。その場合CPU50はタッチタブレット66から入力されるコメントあるいはキーワードのテキスト情報を無線通信回路71により無線通信回線を通じて外部の画像データベースに送信し、画像識別情報として画像ファイルの一部に記憶させる。
【0043】上記画像名情報、音声情報、場所情報、姿勢情報、時間情報、キーワード情報、コメント情報、撮影情報、カメラ個体識別情報、ユーザー情報は、画像データを識別するための画像識別情報であり、これにより例えば画像名が同一の画像データがあっても別な画像として画像データを識別することが可能になる。例えば画像名(画像ファイル名)には限りがあり、時として同一な画像名が与えられる場合があるが、同一な画像名の画像データでも、撮影時間、撮影したカメラ、撮影したユーザー、撮影した場所、キーワード等から異なる画像データとして識別することが可能になる。
【0044】またCPU50は、画像データのサムネイル画像データをバッファメモリ60に格納された画像データから作成するとともに、作成したサムネイル画像データを画像名情報および送信先の画像データベースを識別するための送信先情報と関連付けてサムネイル画像ファイルとしてEEPROM68に保存する。その後CPU50は、バッファメモリ60から送信済みの画像データを削除する。
【0045】なおCPU50は、画像撮影時の場所情報、姿勢情報、時間情報、撮影情報、カメラ個体識別情報、ユーザー情報、画像撮像後に入力されるキーワード情報、コメント情報等の画像識別情報もサムネイル画像ファイルの一部として記憶させる。
【0046】画像データを再生表示し鑑賞する場合には、CPU50はEEPROM68に保存されているサムネイル画像ファイルからサムネイル画像データをフレームメモリ69にセットし、右LCD22または左LCD21に表示する。CPU50はタッチタブレット66により選択されたサムネイル画像データに基づき、それに対応する画像データの画像識別情報を無線通信回路71により無線通信回線を通じて送信先情報に対応する外部の画像データベースに送信し、該画像データベースから前記画像識別情報に対応した画像データを供給してもらう。CPU50は受信した画像データをフレームメモリ69にセットし、右LCD22または左LCD21に表示する。」

「【0050】図6?図12は図2に示す電子カメラシステム(画像システム)における、パソコン140、画像データベース150、画像データベース160および電子カメラ100のメモリの構成を示す。図6はパソコン140、画像データベース150、画像データベース160のメモリ141、メモリ151、メモリ161の構成であって、ファイル配置テーブル(FAT:ファイル アロケーション テーブル)と画像ファイルの大きく2つの部分から構成される。
【0051】FATはメモリ141、メモリ151、メモリ161内に格納される各画像ファイルの格納開始アドレスを示すファイルであって、図7に示すように画像ファイル(画像0001.fil等)の格納開始アドレスが格納されている。画像ファイルは、図8に示すように、画像名情報データ、音声情報データ、場所情報データ、姿勢情報データ、時間情報データ、コメント情報データ、キーワード情報データ、撮影情報データ、カメラ個体識別情報データ、ユーザー情報データ、画像データからなる。
【0052】撮影情報データは、図9に示すように、撮影時の各種カメラ設定情報が格納される。図10は電子カメラ100の内蔵メモリ102の構成であって、ファイル配置プログラム(FAT)、画像ファイル、サムネイル画像ファイルの大きく3つの部分から構成される。なお電子カメラ100に内蔵される内蔵メモリ102は記憶容量が限られているため、外部の画像データベースに送信した画像データは保存しない構成となっている。
【0053】図11に示すようにFAT(電子カメラ100)は内蔵メモリ102内に格納される各ファイルの格納開始アドレスを示すファイルであって、外部の画像データベースから再生のために読み出された画像ファイル(画像0033.fil等)の格納開始アドレス、サムネイル画像ファイル(画像1234.thm等)の格納開始アドレスが格納されている。
【0054】サムネイル画像ファイルは、図12に示すように、送信先情報データ、画像名情報データ、場所情報データ、姿勢情報データ、時間情報データ、コメント情報データ、キーワード情報データ、撮影情報データ、カメラ個体識別情報データ、ユーザー情報データ、アクセス回数情報データ、サムネイル画像データからなる。」

「【図8】



「【図9】



「【図12】



(イ)刊行物1に記載された発明
刊行物1には、電子カメラと、電子カメラと通信を行い、画像を保存する画像データベースから構成される画像システムが記載されている(段落【0001】、【0007】、【0014】)。
そして、刊行物1には、次のことが記載されている。
(あ)CPU50は電子カメラ100全体の制御を行う手段であって、電子カメラ100の動作を行う(段落【0029】)。
(い)CPU50は画像撮影時には、バッファメモリ60に記憶された画像データと該画像データを識別するための画像名情報(ファイル名等)、時間情報、撮影条件の撮影情報と撮影した電子カメラ100を識別するためのカメラ個体識別情報等を、無線通信回路71により無線通信回線を通じて指定された外部の画像データベースに転送して、画像識別情報として画像ファイルの一部に記憶させる(段落【0039】?【0041】、【図8】)。
(う)CPU50は、画像データのサムネイル画像データをバッファメモリ60に格納された画像データから作成するとともに、作成したサムネイル画像データを画像名情報、撮影時の時間情報、撮影情報、カメラ個体識別情報等の画像識別情報および送信先の画像データベースを識別するための送信先情報と関連付けてサムネイル画像ファイルとしてEEPROM68に保存する(段落【0044】?【0045】、【図12】)。
(え)画像データを再生表示し鑑賞する場合には、CPU50はEEPROM68に保存されているサムネイル画像ファイルにおけるサムネイル画像データを表示し、CPU50は選択されたサムネイル画像データに基づき、それに対応する画像データの画像識別情報を外部の画像データベースに送信し、該画像データベースから前記画像識別情報に対応した画像データを供給してもらい、表示する(段落【0046】)。

CPU50は、電子カメラ100全体の制御を行うものであり、電子カメラ100の動作を行うものであり(上記(あ))、CPU50の動作は、電子カメラ100の動作といえるから、上記のCPU50は、電子カメラ100と言い換えることができる。
そして、上記(い)は、電子カメラ100と画像データベースの動作の記載であるが、電子カメラの動作と画像データベースの動作に分けると次のとおりである。
(い-1)電子カメラ100は、画像撮影時には、バッファメモリ60に記憶された画像データと該画像データを識別するための画像名情報(ファイル名等)、時間情報、撮影条件の撮影情報と撮影した電子カメラ100を識別するためのカメラ個体識別情報等を、無線通信回路71により無線通信回線を通じて指定された外部の画像データベースに転送する。
(い-2)画像データベースは、電子カメラ100から転送された画像データと該画像データを識別するための画像名情報(ファイル名等)、時間情報、撮影条件の撮影情報と撮影した電子カメラ100を識別するためのカメラ個体識別情報等を識別情報として画像ファイルの一部に記憶させる。
さらに、上記(え)は、電子カメラ100として記載されているが、この記載から、画像データベースの動作は、「電子カメラから画像識別情報を受信し、受信した画像識別情報に対応した画像データを電子カメラ100に送信する」ものと認められる。したがって、上記(え)の記載を、電子カメラの動作と画像データベースの動作に分けると次のとおりである。
(え-1)画像データを再生表示し鑑賞する場合には、電子カメラ100は、EEPROM68に保存されているサムネイル画像ファイルにおけるサムネイル画像データを表示し、選択されたサムネイル画像データに基づき、それに対応する画像データの画像識別情報を外部の画像データベースに送信し、該画像データベースから前記画像識別情報に対応した画像データを供給してもらい、表示する。
(え-2)画像データベースは、電子カメラから画像識別情報を受信し、受信した画像識別情報に対応した画像データを電子カメラ100に送信する。

そうすると、電子カメラの動作は上記(い-1)、(う)、(え-1)のとおりであり、画像データベースの動作は上記(い-2)、(え-2)のとおりであるから、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。

(刊行物1発明)
(a)電子カメラと、電子カメラと通信を行い、画像を保存する画像データベースから構成される画像システムであって、
(b1)電子カメラ100は、画像撮影時には、バッファメモリ60に記憶された画像データと該画像データを識別するための画像名情報(ファイル名等)、時間情報、撮影条件の撮影情報と撮影した電子カメラ100を識別するためのカメラ個体識別情報等を、無線通信回路71により無線通信回線を通じて指定された外部の画像データベースに転送し、
(b2)電子カメラ100は、画像データのサムネイル画像データをバッファメモリ60に格納された画像データから作成するとともに、作成したサムネイル画像データを画像名情報、撮影時の時間情報、撮影情報、カメラ個体識別情報等の画像識別情報および送信先の画像データベースを識別するための送信先情報と関連付けてサムネイル画像ファイルとしてEEPROM68に保存し、
(b3)電子カメラ100は、画像データを再生表示し鑑賞する場合には、EEPROM68に保存されているサムネイル画像ファイルにおけるサムネイル画像データを表示し、選択されたサムネイル画像データに基づき、それに対応する画像データの画像識別情報を外部の画像データベースに送信し、該画像データベースから前記画像識別情報に対応した画像データを供給してもらい、表示し、
(c1)画像データベースは、電子カメラ100から転送された画像データと該画像データを識別するための画像名情報(ファイル名等)、時間情報、撮影条件の撮影情報と撮影した電子カメラ100を識別するためのカメラ個体識別情報等を画像識別情報として画像ファイルの一部に記憶させ、
(c2)画像データベースは、電子カメラから画像識別情報を受信し、受信した画像識別情報に対応した画像データを電子カメラ100に送信する、
(d)画像システム。

((a)?(d)は当審で付与した。以下各構成を「構成a」等という。)

イ 刊行物2の記載
原査定の拒絶の理由に引用された特開2005-223795号公報(上記引用文献2、以下「刊行物2」という。)には、「画像撮像装置、画像編集システム及び画像編集方法」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。

「【0052】
この静止画と動画が混在して撮影した場合は、静止画については上記実施例1と同様に、カメラ1側の第一メモリ2に高画質データ及び縮小データとアドレス情報(第1の編集情報)が記録され、動画についてはその動画を構成する各コマの高画質データとその縮小データ及び各コマ毎のアドレス情報が記録される。この記録の様子を図7に示す。
【0053】
この動画の縮小データについては、フレームレートを落とす方法を用いてもよく、例えば、高画質データは1秒間に30フレーム(コマ)数を再生するのであれば、縮小データは1秒間に15フレーム数として、ファイルサイズを小さくしてもよい。」

「【0061】
図8(a)は、まず図7のように撮影された静止画と動画の縮小データをカメラ1の表示部11にサムネイル表示した状態であり、撮影順に1は静止画、2は動画、3、4、5は静止画、6は動画、7は静止画、8は動画、9は静止画で、各動画は最初のコマが表示され、かつ動画であることを示す「M」が表示されている。」

「【0071】
なお、動画の縮小データが全コマに対して作成されない場合、例えば、一連の動画データの最初の1コマの画像にのみ縮小データが作成される場合とか、所定コマ数ごとに縮小データが作成されるような場合には、その作成された縮小画像が表示される。そして、操作者は選択したい動画に対応する縮小画像を選択する。選択方法は静止画の場合と同様である。この操作により、表示された縮小画像に代表される動画データに対してしおり情報を入力する。」

(5)対比
ア 補正後発明と刊行物1発明との対比
(ア)構成要件Aと構成aとを対比する。
刊行物1発明における「電子カメラ100」、「画像データベース」は、補正後発明における「画像の撮影を行う撮像部を備えた端末」、「サーバー」に相当する。
刊行物1発明における「画像システム」は、構成c1において、「画像データベース」において「画像ファイル」を記憶するから、「ファイル記憶システム」といえる。
したがって、補正後発明と刊行物1発明とは、「画像の撮影を行う撮像部を備えた端末と、前記端末と通信を行うサーバーとを有するファイル記憶システム」として一致する。

(イ)構成要件B1及びB3と構成b1とを対比する。
刊行物1発明における「バッファメモリ60」は、補正後発明の「情報を一時的に記憶する一時記憶部」に相当する。刊行物1発明においては「情報を一時的に記憶する一時記憶部に前記撮像部によって撮影された前記画像の画像データが記憶され」る点で補正後発明と共通するものの、「画像データ」が、補正後発明においては「画像ファイル」であるのに対し、刊行物1発明においては「画像ファイル」と特定されていない点で相違する。
構成b1における「該画像データを識別するための画像名情報(ファイル名等)、時間情報、撮影条件の撮影情報と撮影した電子カメラ100を識別するためのカメラ個体識別情報等」は、構成c1において「画像識別情報」として画像ファイルの一部に記憶されるから、「画像識別情報」といえる。そして、刊行物1発明は、構成b1において、画像撮影時には、バッファメモリに記憶された画像データと「画像識別情報」を画像データベースに転送するから、バッファメモリから画像データを取得し、「画像識別情報」を生成しているといえ、該「画像識別情報」は、「前記撮像部によって撮影された前記画像を一意に識別する識別情報」といえる。
構成b1における「時間情報」は、電子カメラにおいては通常撮影した年月日時刻であるから、補正後発明における「前記撮像部によって撮影された前記画像の撮影年月日及び時刻」に相当し、構成b1における「カメラ個体識別情報」は、補正後発明における「前記端末を識別する情報」に相当する。そうすると、刊行物1発明は、「前記撮像部によって撮影された前記画像を一意に識別する識別情報として、前記撮像部によって撮影された前記画像の撮影年月日及び時刻と前記端末を識別する情報とからなる情報を生成」する点で共通する。しかしながら、「前記撮像部によって撮影された前記画像の撮影年月日及び時刻と前記端末を識別する情報とからなる情報」が、補正後発明においては「組み合わせた」情報であるのに対し、刊行物1発明においては「組み合わせた」情報ではない点で相違する。
さらに、補正後発明においては、画像ファイルを取得するタイミングが「情報を一時的に記憶する一時記憶部に前記撮像部によって撮影された前記画像の画像ファイルが記憶されたことを検知した場合」であるのに対し、刊行物1発明においては、そのように特定されていない点で相違する。
また、刊行物1発明は、構成b1において、画像撮影時には、バッファメモリに記憶された画像データと「画像識別情報」を画像データベースに転送するから、「前記一時記憶部から取得した前記画像データと前記識別情報とを前記サーバーへ送信」する点で、補正後発明と共通する。そして、「画像データ」における相違については上記のとおりである。
以上まとめると、補正後発明と刊行物1発明とは、
「前記端末は、情報を一時的に記憶する一時記憶部に前記撮像部によって撮影された前記画像の画像データを記憶し、前記一時記憶部から前記画像データを取得し、前記撮像部によって撮影された前記画像を一意に識別する識別情報として、前記撮像部によって撮影された前記画像の撮影年月日及び時刻と前記端末を識別する情報とからなる情報を生成し、」
「前記一時記憶部から取得した前記画像データと前記識別情報とを前記サーバーへ送信」
する点で一致する。
しかしながら、
「画像データ」が、補正後発明においては「画像ファイル」であるのに対し、刊行物1発明においては「画像ファイル」と特定されていない点(相違点1)で相違し、
「前記撮像部によって撮影された前記画像の撮影年月日及び時刻と前記端末を識別する情報とからなる情報を生成」するにおける「・・・とからなる情報」が、補正後発明においては「組み合わせた」情報であるのに対し、刊行物1発明においては「組み合わせた」情報ではない点(相違点2)で相違し、
画像データを取得するタイミングが、補正後発明においては、「情報を一時的に記憶する一時記憶部に前記撮像部によって撮影された前記画像の画像ファイルが記憶されたことを検知した場合」であるのに対し、刊行物1発明においては、そのように特定されていない点(相違点3)で相違する。

(ウ)構成要件B2と構成b2とを対比する。
刊行物1発明における「EEPROM68」は、補正後発明における「記憶部」に相当する。
「画像データ」における相違については上記(イ)のとおりである。
刊行物1発明は、「画像データのサムネイル画像データをバッファメモリ60に格納された画像データから作成するとともに、作成したサムネイル画像データを・・・画像識別情報・・・と関連付けてサムネイル画像ファイルとしてEEPROM68に保存」するから、「前記一時記憶部から取得した前記画像データに基づき、当該画像データよりもサイズの小さな小容量情報のサムネイル画像のサムネイル画像データを生成し、該生成されたサムネイル画像データと、前記識別情報とを対応付けて記憶部に記憶する」点で、補正後発明と共通する。
しかしながら、補正後発明においては、「前記一時記憶部から取得した前記画像ファイルの前記画像が動画像である場合は、当該動画像よりも単位時間当たりの画面の更新回数を少なくした動画像、当該動画像の最初の画像を示す静止画像、当該動画像の表示サイズを小さくした動画像、をサムネイル画像とした前記サムネイル画像ファイルを生成」するのに対し、刊行物1発明においては、画像が動画像である場合におけるサムネイル画像について特定されていない点(相違点4)で相違する。

(エ)構成要件B4と構成b3とを対比する。
刊行物1発明は、「サムネイル画像データを表示し、選択されたサムネイル画像データに基づき、それに対応する画像データの画像識別情報を外部の画像データベースに送信」するから、「その後、前記サムネイル画像の選択を受け付けると、該選択された前記サムネイル画像の前記サムネイル画像データと対応付けられた前記識別情報を前記サーバーへ送信」する点で、補正後発明と共通する。
そして、「画像データ」における相違については上記(イ)のとおりである。

(オ)構成要件C1と構成c1とを対比する。
刊行物1発明は、「画像データベースは、電子カメラ100から転送された画像データと該画像データを識別するための画像名情報(ファイル名等)、時間情報、撮影条件の撮影情報と撮影した電子カメラ100を識別するためのカメラ個体識別情報等を画像識別情報として画像ファイルの一部に記憶させ」るものであり、電子カメラ100から転送された画像データと画像識別情報は、「端末」から送信され、受信されたものといえるから、「前記サーバーは、前記端末から送信された前記画像データと前記識別情報とを受信すると、該受信した前記画像データと前記識別情報とを対応付けて記憶」する点で共通する。
そして、「画像データ」における相違については上記(イ)のとおりである。

(カ)構成要件C2と構成c2とを対比する。
刊行物1発明は、「画像データベースは、電子カメラ100から画像識別情報を受信し、受信した画像識別情報に対応した画像データを電子カメラ100に送信する」から、「前記端末から送信された前記識別情報を受信すると、該受信した前記識別情報に対応する前記画像データを当該端末へ送信」する点で、補正後発明と共通する。
そして、「画像データ」における相違については上記(イ)のとおりである。

(キ)構成要件Dについて
刊行物1発明においては、通信は赤外線通信ではない。
したがって、「通信」が、補正後発明においては「赤外線通信」であるのに対し、刊行物1発明においては「赤外線通信」でない点(相違点5)で相違する。

(サ)構成要件Eと構成dとを対比すると、上記(ア)のとおり、「ファイル記憶システム」として一致する。

イ 一致点、相違点
以上より、補正後発明と刊行物1発明の一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
画像の撮影を行う撮像部を備えた端末と、前記端末と通信を行うサーバーとを有するファイル記憶システムであって、
前記端末は、情報を一時的に記憶する一時記憶部に前記撮像部によって撮影された前記画像の画像データを記憶し、前記一時記憶部から前記画像データを取得し、前記撮像部によって撮影された前記画像を一意に識別する識別情報として、前記撮像部によって撮影された前記画像の撮影年月日及び時刻と前記端末を識別する情報とからなる情報を生成し、
さらに、前記一時記憶部から取得した前記画像データに基づき、当該画像データよりもサイズの小さな小容量情報のサムネイル画像のサムネイル画像データを生成し、該生成されたサムネイル画像データと、前記識別情報とを対応付けて記憶部に記憶するとともに、
前記一時記憶部から取得した前記画像データと前記識別情報とを前記サーバーへ送信し、
その後、前記サムネイル画像の選択を受け付けると、該選択された前記サムネイル画像の前記サムネイル画像データと対応付けられた前記識別情報を前記サーバーへ送信し、
前記サーバーは、前記端末から送信された前記画像データと前記識別情報とを受信すると、該受信した前記画像データと前記識別情報とを対応付けて記憶し、
前記端末から送信された前記識別情報を受信すると、該受信した前記識別情報に対応する前記画像データを当該端末へ送信する、
ファイル記憶システム。

(相違点1)
「画像データ」が、補正後発明においては「画像ファイル」であるのに対し、刊行物1発明においては「画像ファイル」と特定されていない点

(相違点2)
「前記撮像部によって撮影された前記画像の撮影年月日及び時刻と前記端末を識別する情報とからなる情報を生成」するにおける「・・・とからなる情報」が、補正後発明においては「組み合わせた」情報であるのに対し、刊行物1発明においては「組み合わせた」情報ではない点

(相違点3)
画像データを取得するタイミングが、補正後発明においては、「情報を一時的に記憶する一時記憶部に前記撮像部によって撮影された前記画像の画像ファイルが記憶されたことを検知した場合」であるのに対し、刊行物1発明においては、そのように特定されていない点

(相違点4)
補正後発明においては、「前記一時記憶部から取得した前記画像ファイルの前記画像が動画像である場合は、当該動画像よりも単位時間当たりの画面の更新回数を少なくした動画像、当該動画像の最初の画像を示す静止画像、当該動画像の表示サイズを小さくした動画像、をサムネイル画像とした前記サムネイル画像ファイルを生成」するのに対し、刊行物1発明においては、画像が動画像である場合におけるサムネイル画像について特定されていない点

(相違点5)
「通信」が、補正後発明においては「赤外線通信」であるのに対し、刊行物1発明においては「赤外線通信」でない点

(6)相違点の判断
ア 相違点1について
データを記憶する際に、ファイルとして記憶することは普通のことであるから、刊行物1発明において「画像データ」をファイルとして記憶することは当業者が容易に想到し得ることであり、ファイルとして記憶された画像データは「画像ファイル」といえる。

イ 相違点2について
画像の識別情報として、「前記撮像部によって撮影された前記画像の撮影年月日及び時刻と前記端末を識別する情報とを組み合わせた情報」を用いることは、周知技術(例えば、特開2007-219713号公報段落【0081】、特開2008-160736号公報段落【0003】、特開2008-219091号公報【0027】、特開2007-66061号公報段落【0026】、特開2004-40182号公報段落【0030】等参照)である。
そうすると、刊行物1発明における「画像識別情報」として「前記撮像部によって撮影された前記画像の撮影年月日及び時刻と前記端末を識別する情報とを組み合わせた情報」を用いることは当業者が容易に想到し得ることである。

ウ 相違点3について
特開2006-134037号公報(以下「刊行物3」という。)の段落【0026】?【0027】には、次の記載がある。
「図2において、まず、デジタルカメラ102が被写体を撮影し(ステップS201)、この撮影により横3200、縦1600画素、各画素あたり16ビットの画像データ(以下「大画像データ」という。)を生成して(ステップS202)、この生成された大画像データを一時記憶メモリに保存する(ステップS203)。
次に、ステップS203で保存された大画像データ(図6の大画像データ300)から縦横1/4に間引いた小画像データ(図6の小画像データ304)(第1のサムネイル画像)を生成し(ステップS204、図6)(第1のサムネイル画像作成手段)、これを不揮発性メモリに保存する(ステップS205)。」
上記記載のデジタルカメラは、撮影により画像データを生成し、一時記憶メモリに保存し、保存された画像データからサムネイル画像を生成し、不揮発性メモリに保存するものである(以下「刊行物3発明」という。)。
刊行物1発明における「電子カメラ100」に上記デジタルカメラを適用することは当業者が容易に着想することであり、適用することにより、「電子カメラ100」は、撮影により画像データを生成し、一時記憶メモリに保存し、保存された画像データからサムネイル画像を生成するから、一時記憶メモリから画像データを取得するタイミングは、一時記憶メモリに画像データが記憶された時となる。
そうすると、刊行物1発明に刊行物3発明を適用して、画像データを取得するタイミングを「情報を一時的に記憶する一時記憶部に前記撮像部によって撮影された前記画像の画像ファイルが記憶されたことを検知した場合」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

エ 相違点4について
刊行物1の図9に示されている「撮影情報データ」には、「動画/静止画」の項目があり、刊行物1には、動画を撮影することが示唆されているといえる。
そして、刊行物2に示されているように動画におけるサムネイル画像としては、「動画を構成する各コマの縮小データ」(上記(4)イの段落【0052】)、「フレームレートを落とした縮小データ」(上記(4)イの段落【0053】)、「動画データの最初の1コマの画像のみの縮小データ」(上記(4)イの段落【0071】)がある。ここで、「動画を構成する各コマの縮小データ」は、補正後発明における「当該動画像の表示サイズを小さくした動画像」に相当し、「フレームレートを落とした縮小データ」は、補正後発明における「動画像よりも単位時間当たりの画面の更新回数を少なくした動画像」に相当し、「動画データの最初の1コマの画像のみの縮小データ」は、補正後発明における「当該動画像の最初の画像を示す静止画像」に相当する。
そうすると、刊行物1発明において、動画を撮影するようにすることは、当業者が容易に着想することであり、その際、刊行物2に記載された技術事項を勘案し、サムネイル画像を「当該動画像の表示サイズを小さくした動画像」、「動画像よりも単位時間当たりの画面の更新回数を少なくした動画像」、「当該動画像の最初の画像を示す静止画像」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

オ 相違点5について
赤外線通信は、周知技術(例えば、特開2008-311725号公報(上記引用文献3)段落【0069】、特開2008-104147号公報(上記引用文献4)段落【0030】等参照)であるから、刊行物1発明において、「通信」を「赤外線通信」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

カ そして、補正後発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

キ したがって、補正後発明は、刊行物1、刊行物2及び刊行物3に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反している。

3 まとめ
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成27年1月23日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?12に係る発明は、平成26年8月1日付け手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?12に記載した事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明は、次のとおりのものである(この発明を以下「本願発明」という。)。

(本願発明)
(A)画像の撮影を行う撮像部を備えた端末と、前記端末と通信を行うサーバーとを有するファイル記憶システムであって、
(B1’)前記端末は、前記撮像部によって撮影された画像を一意に識別する識別情報として、前記撮像部によって撮影された画像の撮影年月日及び時刻と前記端末を識別する情報とを組み合わせた情報を生成し、
(B2’)さらに、当該画像を示す画像ファイルに基づき、当該画像ファイルよりもファイルサイズの小さな小容量情報を示す小容量情報ファイルを生成し、該生成された小容量情報ファイルと、前記識別情報とを対応付けて記憶するとともに、
(B3’)前記画像ファイルと前記識別情報とを前記サーバーへ送信し、
(B4’)その後、前記小容量情報の選択を受け付けると、該選択された前記小容量情報を示す小容量情報ファイルと対応する前記識別情報を前記サーバーへ送信し、
(C1)前記サーバーは、前記端末から送信された前記画像ファイルと前記識別情報とを受信すると、該受信した前記画像ファイルと前記識別情報とを対応付けて記憶し、
(C2)その後、前記端末から送信された前記識別情報を受信すると、該受信した前記識別情報に対応する前記画像ファイルを当該端末へ送信し、
(D)前記端末と前記サーバーとの間の通信が赤外線通信である、
(E)ファイル記憶システム。

((A)?(E)は当審で付与した。補正後発明と同じ構成要件には同じ符号を付与した。(B1’)?(B4’)は構成要件B1?B4に対応するものの、構成要件B1?B4と異なることを意味している。)

2 対比
本願発明は、補正後発明の構成要件B1における「情報を一時的に記憶する一時記憶部に前記撮像部によって撮影された前記画像の画像ファイルが記憶されたことを検知した場合に、前記一時記憶部から前記画像ファイルを取得し、」の限定(上記相違点3)がなく、補正後発明の構成要件B2における「前記一時記憶部から取得した前記画像ファイルの前記画像が動画像である場合は、当該動画像よりも単位時間当たりの画面の更新回数を少なくした動画像、当該動画像の最初の画像を示す静止画像、当該動画像の表示サイズを小さくした動画像、をサムネイル画像とした前記サムネイル画像ファイルを生成し、」の限定(上記相違点4)がなく、「小容量情報のサムネイル画像のサムネイル画像ファイル」が「小容量情報ファイル」である。
さらに、本願発明は、補正後発明の構成要件B3の「前記一時記憶部から取得した前記画像ファイル」が「前記画像ファイル」であり(この相違は、上記構成要件B1における相違に伴うものである。)、補正後発明の構成要件B4の「前記サムネイル画像」、「該選択された前記サムネイル画像の前記サムネイル画像ファイル」が、それぞれ「前記小容量情報」、「該選択された前記小容量情報を示す小容量情報ファイル」である(この相違は、上記構成要件B2における相違に伴うものである)。
刊行物1発明は、上記第2の2(4)ア(イ)の刊行物1発明を援用する。
構成要件B1’と構成b1とを対比すると、上記第2の2(5)ア(イ)の相違点2と同じ相違がある。
構成要件B2’と構成b2とを対比すると、「画像データ」が、本願発明においては「画像ファイル」であるのに対し、刊行物1発明においては「画像ファイル」と特定されていない点で相違し、「小容量情報データ」が、本願発明においては「小容量情報ファイル」であるのに対し、刊行物1発明においては「小容量情報ファイル」と特定されていない点で相違する。
その他の点は上記第2の2(5)の対比を援用する。
そうすると、本願発明と刊行物1発明との一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
画像の撮影を行う撮像部を備えた端末と、前記端末と通信を行うサーバーとを有するファイル記憶システムであって、
前記端末は、前記撮像部によって撮影された画像を一意に識別する識別情報として、前記撮像部によって撮影された画像の撮影年月日及び時刻と前記端末を識別する情報とからなる情報を生成し、
さらに、当該画像を示す画像データに基づき、当該画像データよりもファサイズの小さな小容量情報を示す小容量情報データを生成し、該生成された小容量情報データと、前記識別情報とを対応付けて記憶するとともに、
前記画像データと前記識別情報とを前記サーバーへ送信し、
その後、前記小容量情報の選択を受け付けると、該選択された前記小容量情報を示す小容量情報データと対応する前記識別情報を前記サーバーへ送信し、
前記サーバーは、前記端末から送信された前記画像データと前記識別情報とを受信すると、該受信した前記画像データと前記識別情報とを対応付けて記憶し、
その後、前記端末から送信された前記識別情報を受信すると、該受信した前記識別情報に対応する前記画像データを当該端末へ送信し、
前記端末と前記サーバーとの間の通信が赤外線通信である、
ファイル記憶システム。

(相違点1)
「前記撮像部によって撮影された前記画像の撮影年月日及び時刻と前記端末を識別する情報とからなる情報を生成」するにおける「・・・とからなる情報」が、本願発明においては「組み合わせた」情報であるのに対し、刊行物1発明においては「組み合わせた」情報ではない点

(相違点2)
「画像データ」が、補正後発明においては「画像ファイル」であるのに対し、刊行物1発明においては「画像ファイル」と特定されていない点

(相違点3)
「小容量情報データ」が、本願発明においては「小容量情報ファイル」であるのに対し、刊行物1発明においては「小容量情報ファイル」と特定されていない点

(相違点4)
「通信」が、補正後発明においては「赤外線通信」であるのに対し、刊行物1発明においては「赤外線通信」でない点

3 判断
(1)相違点1について
相違点1は、上記第2の2(5)イの相違点2と同じであるから、上記第2の2(6)イの判断を援用する。

(2)相違点2について
相違点2は、上記第2の2(5)イの相違点1と同じであるから、上記第2の2(6)アの判断を援用する。

(3)相違点3について
データを記憶する際に、ファイルとして記憶することは普通のことであるから、刊行物1発明において「小容量情報データ」であるサムネイル画像データをファイルとして記憶することは当業者が容易に想到し得ることであり、ファイルとして記憶されて小容量情報データは「小容量情報ファイル」といえる。

(4)相違点4について
相違点4は、上記第2の2(5)イの相違点5と同じであるから、上記第2の2(6)オの判断を援用する。

(5)そして、本願発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

(6)したがって、本願発明は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものと認められる。

4 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-12-25 
結審通知日 2016-01-05 
審決日 2016-01-18 
出願番号 特願2013-192757(P2013-192757)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 赤穂 州一郎豊島 洋介  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 小池 正彦
戸次 一夫
発明の名称 ファイル記憶システム及びファイル記憶方法  
代理人 丸山 隆夫  

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