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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04M
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H04M
管理番号 1315477
審判番号 不服2015-6851  
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-04-10 
確定日 2016-07-04 
事件の表示 特願2013- 88269「位置特定においてローカル地図および注釈を提供および利用するための方法と装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 9月26日出願公開、特開2013-192238、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成2011年12月22日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2008年12月22日 米国、2008年12月22日 米国、2009年12月17日 米国)を国際出願日とする出願である特願2011-542560号)の一部を平成25年4月19日に新たな出願としたものであって、平成26年3月20日付けで拒絶理由が通知され、同年6月30日付けで手続補正がされ、同年12月11日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、平成27年4月10日に拒絶査定不服の審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がされ、その後、当審において平成27年11月30日付けで拒絶理由が通知され、平成28年3月15日付けで手続補正がされるとともに、意見書が提出されたものである。


第2 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1-12に係る発明は、平成28年3月15日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1-12に記載された事項により特定されるものと認められる。
本願の特許請求の範囲の請求項1-12に係る発明(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)は以下のとおりである。

「【請求項1】
移動デバイスのための方法であって、
1つまたは複数の無線ネットワーク要素から無線で送信された、ネットワークを用いた通信のための1つまたは複数の信号を受信するステップであって、前記1つまたは複数の信号に少なくとも部分的に基づいて、移動デバイスが前記1つまたは複数の無線ネットワーク要素を介して前記ネットワークと通信する、ステップと、
前記移動デバイスによる、受信された1つまたは複数の前記信号に少なくとも部分的に基づいて、前記ネットワークを介してアクセス可能なローカル地図データベースにある関連するローカル地図を識別するステップと、
ローカル座標系を有する前記関連するローカル地図、および前記関連するローカル地図に関連する前記1つまたは複数の無線ネットワーク要素までの距離を推定するための注釈を獲得するステップとを備え、
前記識別するステップは、
前記移動デバイスによる、受信された1つまたは複数の前記信号のMAC ID(媒体アクセス制御識別子)に少なくとも部分的に基づいて、前記関連するローカル地図を識別するステップと、
1つまたは複数の前記信号を介して、前記関連するローカル地図がアクセス可能であるロケーションを示すURI(Uniform Reference Identifier)を受信するステップとのうちの1つを備え、
前記注釈は、(a)前記1つまたは複数の無線ネットワーク要素のうち少なくとも1つに関連する信号強度測定と距離の間の関係を示す1つまたは複数のパラメータと、(b)前記1つまたは複数の無線ネットワーク要素のうち少なくとも1つに関連する往復時間測定と距離の間の関係を示す1つまたは複数のパラメータと、(c)前記1つまたは複数の無線ネットワーク要素のうち少なくとも1つに関連する少なくとも1つ処理遅延の測定とのうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ローカル地図の識別が前記URIの受信を含んでいる場合、1つまたは複数の前記無線ネットワーク要素のうち少なくとも1つに、IP(インターネットプロトコル)アドレスを求めるDHCP(動的ホスト構成プロトコル)要求を送信するステップと、1つまたは複数の前記無線ネットワーク要素のうち少なくとも1つからDHCP Offer応答の中で前記URIを受信するステップとをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ローカル地図の識別が前記URIの受信を含んでいる場合、前記URIを、ネットワーク層のブロードキャストパケットを介して、またはリンク層のブロードキャストフレームから、受信することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ローカル地図の識別が前記URIの受信を含んでいる場合、802.11プローブ要求に対する信号応答の中で前記URIを受信するステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ローカル地図の識別が前記URIの受信を含んでいる場合、前記URIを、無線ネットワーク要素の1つまたは複数のSSID(サービスセット識別子)の中に符号化する、および/または、前記URIは、前記関連するローカル地図が格納されたネットワークアドレスを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記移動デバイス上で前記関連する地図を表示するステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記注釈は、少なくとも1つの事前定義された関心対象地点に対応する表記をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
1つまたは複数の前記無線ネットワーク要素は、少なくとも1つのフェムトセルを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
請求項1乃至8に記載のいずれかのステップを実行するように処理装置によって実行可能な命令を格納している記憶媒体を備えるコンピュータ可読記録媒体。
【請求項10】
1つまたは複数の無線ネットワーク要素から無線で送信された、ネットワークを用いた通信のための1つまたは複数の信号を受信するための手段と、
関連するローカル地図、および前記関連するローカル地図に関連する前記1つまたは複数の無線ネットワーク要素までの距離を推定するための注釈を取得するための手段であって、前記1つまたは複数の信号に少なくとも部分的に基づいて、装置が前記1つまたは複数の無線ネットワーク要素を介して前記ネットワークと通信する、手段と、
受信された1つまたは複数の前記信号に少なくとも部分的に基づいて、前記関連するローカル地図を識別するための手段とを備え、
前記関連するローカル地図は、ローカル座標系を有し、
前記注釈は、(a)前記1つまたは複数の無線ネットワーク要素のうち少なくとも1つに関連する信号強度測定と距離の間の関係を示す1つまたは複数のパラメータと、(b)前記1つまたは複数の無線ネットワーク要素のうち少なくとも1つに関連する往復時間測定と距離の間の関係を示す1つまたは複数のパラメータと、(c)前記1つまたは複数の無線ネットワーク要素のうち少なくとも1つに関連する少なくとも1つ処理遅延の測定とのうちの少なくとも1つを備え、
前記識別するための手段は、受信された1つまたは複数の前記信号のMAC ID(媒体アクセス制御識別子)に少なくとも部分的に基づいて、前記ネットワークを介してアクセス可能なローカル地図データベースにある前記関連するローカル地図を識別することを可能とし、
前記受信するための手段は、1つまたは複数の前記信号を介して、前記関連するローカル地図がアクセス可能であるロケーションを示すURI(Uniform Reference Identifier)を受信することを可能とすることを特徴とする装置。
【請求項11】
前記関連する地図を表示する手段をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
1つまたは複数の前記無線ネットワーク要素は、少なくとも1つのフェムトセルを備えることを特徴とする請求項10に記載の装置。」


第3 当審の拒絶理由について

1.当審拒絶理由の理由1の概要

平成27年11月30日付け拒絶理由通知書に記載された拒絶理由1の概要は以下のとおりである。

「この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。


請求項1において、
(1)「1つまたは複数の無線ネットワーク要素から無線で送信された、ネットワークを用いた通信のための1つまたは複数の信号を受信するステップであって、前記1つまたは複数の信号に少なくとも部分的に基づいて、移動デバイスが前記ネットワークと通信する、ステップと、」の「ネットワークを用いた通信のための1つまたは複数の信号を受信するステップ」における「ネットワーク」が、「1つまたは複数の無線ネットワーク要素」に関わる「ネットワーク」である点が明確に記載されておらず発明の構成が不明瞭であって、「移動デバイスが前記ネットワークと通信する、ステップ」の「前記ネットワーク」が、「ネットワークを用いた通信のための1つまたは複数の信号を受信するステップ」における「ネットワーク」と、「1つまたは複数の無線ネットワーク要素」に関わる「ネットワーク」のいずれを指すのかが、日本語として不明瞭である。

(2)「前記移動デバイスによる、受信された1つまたは複数の前記信号に少なくとも部分的に基づいて、関連するローカル地図を識別するステップと、」の「関連するローカル地図を識別するステップ」が、どこに格納されている「ローカル地図」を、どの装置で「識別する」のか不明であって、「識別する」という動作が、具体的にどのような動作を意味するものであるのか日本語として不明である。(例えば、格納された複数の地図から、1つの関連する地図を選択する動作を含むのか否か。)
請求項2ないし5の「ローカル地図」の「識別」においても、同様に不明瞭である。

(3)「事前定義された座標系を有する前記関連するローカル地図、および前記関連するローカル地図に関連する注釈を獲得するステップとを備え、」において、「注釈」の定義が明らかでない。
発明の詳細な説明を参酌すると、段落【0054】には、「一部の実施形態において、前記注釈を、ローカル地図の中に示されるトイレ330の上に直接に表示することが可能である。前記注釈を、例えば、テキストで、または大きい「×」で反映することが可能であり、且つ前記トイレ330が利用できないことを示すようにローカル地図302上のトイレ330の上に示すことが可能である。あるいは、注釈ウインドウ385を、ユーザに注釈を表示するのに利用してもよい。例えば、「レストランの向かいのトイレは、現在、利用できません」と書かれたテキスト注釈を表示することが可能である。」と記載されており、「注釈」は、ユーザに表示される情報であると認められるが、段落【0050】には、「注釈は、1つまたは複数の無線ネットワーク要素の少なくとも1つに関連する往復時間測定と距離の間の関係を示す1つまたは複数のパラメータを備える」と記載されており、この2つのどちらを意味するのか、あるいは、両方を含む意味なのか不明瞭である。
また、前者の「注釈」は、ユーザの端末の位置が特定された後で受信するものであるし、後者の「注釈」は、ユーザの端末の位置が特定される前に受信するものであって、ユーザの端末の位置の特定に利用されるものであると認められるので、仮に両方を含む意味である場合両者に共通する「注釈」という言葉の定義(あるいは概念)が日本語として何を意味するのか不明である。

(4)「注釈を獲得するステップ」について記載されているが、獲得した「注釈」をその後のどのように利用するか不明である。

・・・(中略)・・・

よって、請求項1、2、13および請求項1、13を引用する請求項3?12、請求項14,15に係る発明は明確でない。 」

2.当審拒絶理由の理由2の概要

平成27年11月30日付け拒絶理由通知書に記載された拒絶理由2の概要は以下のとおりである。

「この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

請求項1、3、6、8、11、12、13、14、15について、
引用文献1(段落【0023】?【0030】)には、発信機から無線で送信された発信信号を受信し、発信信号に含まれるURLを用いて、ユーザが現在居る場所の地図情報のウェブページにアクセスする携帯端末が記載されている。
一方、引用文献2(段落【0032】)には、概ね現在位置を中心とした地図を画面に表示した上に、ホットスポットの位置、名称、施設のアイコン、地図縮尺も合わせて表示されることが記載されており、これらの表示情報は、本願発明の「地図に関連する注釈」といえる。
引用文献1の地図情報に、引用文献2の「地図に関連する注釈」を合わせることは、当業者が容易に想到し得ることである。
引用文献3(段落[0049]?[0050]、[0075]、[0078])には、アクセスポイントに接続するためのビーコン信号にサービスのためのサーバのURLを含ませ、アクセスポイントから該ビーコン信号を発信させることが、記載されているから、引用文献1における発信信号をネットワークNのアクセスポイント(または基地局)から携帯端末に送るように構成することは当業者が容易に想到し得ることである。

・・・(中略)・・・

拒絶の理由が新たに発見された場合には拒絶の理由が通知される。

引 用 文 献 等 一 覧
1.特開2002-132771号公報
2.特開2004-72546号公報
3.国際公開第2007/120447号
・・・(略)・・・」

3.当審拒絶理由の理由1の判断
(1)平成28年3月15日付け手続補正書によって、本願の特許請求の範囲は、上記「第2 本願発明」の項で、特許請求の範囲の請求項1ないし請求項12として認定したとおりに補正された。これにより、本願の特許請求の範囲の上記各請求項に係る発明は明確となった。
特に、理由1の(3)について、本願発明の「注釈」が、「前記関連するローカル地図に関連する前記1つまたは複数の無線ネットワーク要素までの距離を推定するための注釈」である点が明確にされ、さらに、「前記注釈は、(a)前記1つまたは複数の無線ネットワーク要素のうち少なくとも1つに関連する信号強度測定と距離の間の関係を示す1つまたは複数のパラメータと、(b)前記1つまたは複数の無線ネットワーク要素のうち少なくとも1つに関連する往復時間測定と距離の間の関係を示す1つまたは複数のパラメータと、(c)前記1つまたは複数の無線ネットワーク要素のうち少なくとも1つに関連する少なくとも1つ処理遅延の測定とのうちの少なくとも1つを備える」との限定が加えられた。
よって、当審拒絶理由の理由1の(1)?(4)は解消した。

4.当審拒絶理由の理由2の判断

(1)刊行物の記載事項

引用文献1には、「情報配信システム」(発明の名称)として図面とともに以下の事項が記載されている。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、周辺地図や地域情報などを配信する情報配信システムに関するものである。」(2頁右欄)

イ 「【0021】
【発明の実施の形態】
図1、2に、この発明の第1実施例について説明する。図1は、第1実施例における情報配信システムを示すブロック図である。ウェブサイト1と携帯端末2とは、通信ネットNを介して、お互い信号を送受信する通信ネット信号送受信部3、4をそれぞれ備えている。
また、携帯端末2は、狭域通信信号発信機7の信号を受信する狭域通信信号受信部8と、この受信部8を機能させる専用ボタン9とを備えている。そして、上記狭域通信信号発信機7をレストラン10などの店に設けている。さらに、携帯端末2は、携帯端末2を操作するための操作部5と、受信した情報などを表示する表示部6とを備えている。
なお、上記狭域通信信号発信機7をレストラン10などの店に限らず、電信柱や看板などどこに設けてもよい。
【0022】
上記ウェブサイト1は、発信機7を設置した周辺の地図情報を町レベルか、それよりも小さい単位で保存し、それらの単位ごとにURLを備えている。」(3頁右欄?4頁左欄)

ウ 「【0023】
上記狭域通信信号発信機7は、記憶部11と狭域通信信号発信部12とを備えている。そして、この記憶部11には、次のような情報を記憶している。
記憶部11は、ウェブサイト1に保存した情報のうち、その発信機7近くの情報のURLだけを記憶している。つまり、記憶部11は、この発信機7近くの周辺地図情報のURL、地域情報のURL、道案内情報のURLなどの地域密着情報のURLを記憶している。また、この記憶部11は、上記周辺地図情報のURL、上記地域情報のURL、上記道案内情報のURLなどのURLを選択するためのメニューを記憶している。
【0024】
発信機7は、上記記憶部11に記憶したメニューおよびその項目のURLを信号にして、常時発信している。」(4頁左欄)

エ 「【0028】
このようなシステム構成により、上記ウェブサイト1の情報を利用するユーザーが、例えば現在居る場所の地図情報を取得する手順を、図2で説明する。
ユーザーが「東京都千代田区平河町2-16-15」のレストラン前にいる場合、まず、ステップ1で、端末2の狭域通信信号受信部8を機能させる専用ボタン9を押す。この専用ボタン9を押すことにより、レストラン10の入口に設置された発信機7から発信する狭域通信信号を受信する。この受信した信号は、メニュー画面とメニュー項目に応じたURLである。このURLは、その発信機7周辺の情報に関するものである。そして、端末2の表示部6には、メニューとして周辺地図情報、地域情報、最寄駅までの道案内情報の各項目が表示される。
【0029】
ステップ2で、ユーザーがメニューから周辺地図情報の項目を選択すると、それに関連付けられるURLのウェブページにアクセスする。これにより、「東京都千代田区平河町2-16-15」の地図が端末2の表示部6に表示される。つまり、発信機7の位置が「東京都千代田区平河町2-16-15」に正確に特定されている。そのため、位置を正確に特定した発信機7を基準として、周辺地図が表示される。
【0030】
このように第1実施例によれば、ウェブサイト1の情報を利用するユーザーは、携帯端末2を操作して、メニュー情報を受信した後、メニュー項目を選択するだけで、その項目に関連づけられたウェブページのURLにアクセスするようにしている。つまり、メニュー情報を受信した後、周辺地図情報の項目を選択するだけで、位置を正確に特定された発信機7を基準とした地図情報のウェブページにアクセスすることができる。そのため、携帯端末2を操作して周辺地図を検索する必要がなく、操作が簡単になり、現在地周辺の地図を取得するまでのクリックなどの操作回数は少なくなる。つまり、携帯端末2の操作が簡単で、目的の情報を素早く取得できる。
上記ウェブサイト1と接続する回数が少なくなるので、それだけユーザーのパケット通信料金も安くなる。」(4頁右欄)

オ 「【0032】
さらに、上記第1実施例において、上記発信機7の住所の情報を、上記記憶部11の情報に追加して記憶させてもよい。これにより、発信機7からの信号を端末2で受信すると、現在地が表示部6に表示される。そのため、この信号を端末2に受信した人は、自分の現在地を簡単に知ることができる。
」(4頁右欄?5頁左欄)

上記摘記事項ア?オの記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、引用文献1には、以下の技術事項が記載されていると認められる。

(ア)上記摘記事項ア?オから、引用文献1には、「携帯端末のための方法」が記載されていると認められる。そして、「方法」の各段階を「ステップ」と称することは任意である。

(イ)上記摘記事項イの【0021】の「ウェブサイト1と携帯端末2とは、通信ネットNを介して、お互い信号を送受信する通信ネット信号送受信部3、4をそれぞれ備えている。」の記載と図1より、「携帯端末が、通信ネットを介して通信する」といえる。

(ウ)上記摘記事項ウの【0023】の「狭域通信信号発信機7は、記憶部11と狭域通信信号発信部12とを備えている。そして、この記憶部11には、次のような情報を記憶している。記憶部11は、ウェブサイト1に保存した情報のうち、その発信機7近くの情報のURLだけを記憶している。つまり、記憶部11は、この発信機7近くの周辺地図情報のURL、地域情報のURL、道案内情報のURLなどの地域密着情報のURLを記憶している。」と、上記摘記事項ウの【0024】の「発信機7は、上記記憶部11に記憶したメニューおよびその項目のURLを信号にして、常時発信している。」と、上記摘記事項エの【0028】「ステップ1で、端末2の狭域通信信号受信部8を機能させる専用ボタン9を押す。この専用ボタン9を押すことにより、レストラン10の入口に設置された発信機7から発信する狭域通信信号を受信する。この受信した信号は、メニュー画面とメニュー項目に応じたURLである。このURLは、その発信機7周辺の情報に関するものである。そして、端末2の表示部6には、メニューとして周辺地図情報、地域情報、最寄駅までの道案内情報の各項目が表示される。」と、上記摘記事項エの【0029】の「ユーザーがメニューから周辺地図情報の項目を選択すると、それに関連付けられるURLのウェブページにアクセスする。」の各記載から、「狭域通信信号発信機から無線で送信された、狭域通信信号を受信する」、「前記狭域信号に基づいて、携帯端末が通信ネットを介して通信する」、「前記携帯端末による、受信された前記狭域通信信号に基づいて、前記通信ネットを介してアクセス可能なウエッブサイトメニューから、関連する周辺地図情報の項目を選択する」、「前記周辺の地図情報を取得する」、「前記狭域通信信号を介して、前記関連する周辺地図情報のウェブページにアクセスするためのURLを受信する」といえる。

上記(ア)?(ウ)を総合すると、引用文献には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(引用発明)
「携帯端末のための方法であって、
狭域通信信号発信機から無線で送信された、狭域通信信号を受信するステップであって、前記狭域通信信号に基づいて、携帯端末が通信ネットを介して通信する、ステップと、
前記携帯端末による、受信された前記狭域通信信号に基づいて、前記通信ネットを介してアクセス可能なウエッブサイトのメニューから関連する周辺地図情報の項目を選択するステップと、
前記関連する周辺地図情報を取得するステップとを備え、
前記選択するステップは、
前記狭域通信信号を介して、前記関連する周辺地図情報のウェブページにアクセスするためのURLを受信するステップを備え、
る方法。」

引用文献2には、「無線通信システム」(発明の名称)として図面とともに以下の事項が記載されている。

(カ) 「【0021】
上述の第1及び第2の実施形態では、無線端末が、ホットスポットの通信サービスエリア内、即ち、無線基地局との間で無線通信が可能な空間内に存在していることを検知していたが、無線端末の周辺にホットスポットが複数存在し、無線端末の操作者が無線回線を接続するホットスポットを選択する場合がある。操作者がホットスポットを選択する場合の、第3の実施形態について説明する。
【0022】
第3の実施形態に係る無線通信システムの構成および動作は、第1の実施形態あるいは第2の実施形態と同様である。第3の実施形態が第1の実施形態あるいは第2の実施形態と異なる点は、無線端末が、複数のホットスポットの通信サービスエリア、すなわち、複数の無線基地局との間で無線通信が可能な空間内に存在していることを検知した時、無線端末2あるいは無線端末21あるいは設定用無線通信網専用端末3が備える表示装置において、ホットスポットの選択を要求する選択画面を表示し、操作者に選択結果を入力させる機能が追加されていることである。
【0023】
ホットスポットの選択画面の例を図8に示す。図8では、表示装置に表示されたホットスポットの識別子(A0,A1,…,E5)のリストと、このリストに対応して表示される入力ガイダンスに応じて、使用するホットスポットを選択する。操作者は、ホットスポット選択を要求する選択画面3001に表示された入力ガイダンスに応じて、利用するホットスポットの識別子に対応する番号を選択し入力するなどの操作をする。無線端末2あるいは無線端末21あるいは設定用無線通信網専用端末3は、この操作により選択されたホットスポットに関して、図4あるいは図7に示したフローの処理を実行する。この場合、無線端末2の表示画面から利用するホットスポットを選択した場合には、設定情報管理装置4と直接通信してこのホットスポットの設定情報を入手するが、無線端末21の表示画面から利用するホットスポットを選択した場合には、選択したホットスポットの識別子を設定用無線通信網専用端末3に通知して、図7の処理フローに従ってホットスポットの設定情報を入手する。また、設定用無線通信網専用端末3が備える表示装置から利用するホットスポットを選択した場合には、図7の処理9022以下のフローに従いホットスポットの設定情報を入手する。
【0024】
なお、ホットスポットの選択画面を表示する際、図8の選択画面3001のようにホットスポットの識別子を表示する方法の他に、図9に示すように、ホットスポットの識別子とそのホットスポットの管理者名・店舗名・設置場所の名称などといった利用者に識別し易いホットスポット名称を対応させた情報を、予め無線端末2あるいは無線端末21あるいは設定用無線通信網専用端末3に記憶させておき、ホットスポットの選択画面には、選択可能なホットスポットに対応したホットスポットの管理者名・店舗名・設置場所の名称などといった利用者に識別し易いホットスポット名称を表示し、これに対応した数字を選択入力させる選択画面3002でもよい。」(7頁)

(キ) 「【0032】
また、利用ホットスポット選択画面は図8あるいは図9あるいは図12に示したような文字表示の他に、図13に示すように、候補のホットスポットの位置を地図の形態で表示させてもよい。この選択画面3004では、概ね現在位置を中心とした地図を画面に表示した上に、現在位置から一定の範囲内にあり現在利用可能なホットスポットの位置とホットスポット名称あるいはホットスポットが設けられている施設名称が選択キーと関連付けられて表示されている。また移動に便利なように、施設のアイコンや地図縮尺もあわせて表示される。このような地図情報及び施設情報は、無線端末2あるいは無線端末21あるいは設定用無線通信網専用端末3の内部に記憶させておいてもよいし、設定情報管理装置4から通知してもよい。このように無線端末の現在位置も示すことで、候補のホットスポットと現在位置の関係を示し、ホットスポットを選択させる判断材料としてもよい。また、前記地図の縮尺は、無線端末の操作者の移動能力や移動手段、すなわち徒歩あるいは自動車乗車などにより変化させてもよい。」(9頁)

上記(カ)、(キ)を総合すると、引用文献2には、「地図データを表示する際に、ホットスポットの位置、施設名称等の地図関連情報を併せて表示すること。」(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認める。
引用文献3には、「USING A WIRELESS BEACON BROADCAST TO PROVIDE A DEDIA MESSAGE」(発明の名称)として、明細書の段落[0049]?[0050]、[0075]、[0078]を総合すると、「アクセスポイントに接続するためのビーコン信号にサービスのためのサーバのURLを含ませ、アクセスポイントから該ビーコン信号を発信させること。」(以下、「引用発明3」という。)が記載されていると認める。

(2)対比

本願発明と引用発明とを対比する。

(a)引用発明の「携帯端末」は、本願発明の「移動デバイス」に含まれる。

(b)引用発明の「狭域通信信号発信機」と、本願発明の「無線ネットワーク要素」とは、後述する相違点を除いて、「無線送信機」である点で共通する。

(c)引用発明の「ウェブサイト」は、狭域通信信号発信機の周辺地図情報のURLを保存しているから、本願発明の「ローカル地図データベース」に相当する。

(d)引用発明の「ウェブページにアクセスするためのURL」は、本願発明の「ロケーションを示すURI(Uniform Reference Identifier)」に相当する。

(e)上記(a)?(b)の結果を踏まえると、引用発明の「狭域通信信号発信機から無線で送信された、狭域通信信号を受信するするステップであって、前記狭域通信信号に基づいて、携帯端末が通信ネットを介して通信する、ステップ」と、本願発明の「1つまたは複数の無線ネットワーク要素から無線で送信された、ネットワークを用いた通信のための1つまたは複数の信号を受信するステップであって、前記1つまたは複数の信号に少なくとも部分的に基づいて、移動デバイスが前記1つまたは複数の無線ネットワーク要素を介して前記ネットワークと通信する、ステップ」とは、後述する相違点を除いて、「1つの無線送信機から無線で送信された、ネットワークを用いた通信のための1つの信号を受信するステップであって、前記信号に少なくとも部分的に基づいて、移動デバイスが、前記ネットワークと通信する」点で共通する。

(f)引用発明の「関連する周辺地図情報」は、「狭域通信信号発信機」の周辺に関連する狭い範囲の地図情報であるので、本願発明の「関連するローカル地図」に相当する。また、地図情報が、その地図固有の座標系を有していることは一般的な事項であり、該座標を「ローカル座標系」と呼ぶことは任意であるから、引用発明の「前記周辺地図情報」は、「ローカル座標系を有する前記関連するローカル地図」と言い換えることができる。
したがって、引用発明の「関連する周辺地図情報を取得する」と、本願発明の「ローカル座標系を有する前記関連するローカル地図、および前記関連するローカル地図に関連する前記1つまたは複数の無線ネットワーク要素までの距離を推定するための注釈を獲得する」とは、「ローカル座標系を有する前記関連するローカル地図を獲得する」点で共通する。

(g)上記(c)、(f)の結果を踏まえると、引用発明の「前記携帯端末による、受信された前記狭域通信信号に基づいて、前記通信ネットを介してアクセス可能なウエッブサイトのメニューから関連する周辺地図情報を選択する」は、本願発明の「前記移動デバイスによる、受信された1つの前記信号に少なくとも部分的に基づいて、前記ネットワークを介してアクセス可能なローカル地図データベースにある関連するローカル地図を識別する」に相当する。

(h)引用発明の「前記狭域通信信号を介して、前記関連する周辺地図情報のウェブページにアクセスするためののURLを受信する」が、本願発明の「1つまたは複数の前記信号を介して、前記関連するローカル地図がアクセス可能であるロケーションを示すURI(Uniform Reference Identifier)を受信するステップとのうちの1つを備え」のうちの、択一的な選択肢である「1つの前記信号を介して、前記関連するローカル地図がアクセス可能であるロケーションを示すURI(Uniform Reference Identifier)を受信するステップ」に相当する。

以上より、(a)?(h)の検討により、本願発明と引用文献とは、以下の点で一致し、相違する。

(一致点)
「移動デバイスのための方法であって、
1つの無線送信機から無線で送信された、ネットワークを用いた通信のための1つの信号を受信するステップであって、前記1つの信号に少なくとも部分的に基づいて、移動デバイスが1つの無線ネットワーク要素を介してネットワークと通信する、ステップと、
前記移動デバイスによる、受信された前記1つの信号に少なくとも部分的に基づいて、前記ネットワークを介してアクセス可能なローカル地図データベースにある関連するローカル地図を識別するステップと、
ローカル座標系を有する前記関連するローカル地図を獲得するステップと、
を備え、
前記識別するステップは、
前記1つの信号を介して、前記関連するローカル地図がアクセス可能であるロケーションを示すURI(Uniform Reference Identifier)を受信するステップとを備えた方法。」

(相違点1)
一致点の「1つの無線送信機から無線で送信された、ネットワークを用いた通信のための1つの信号を受信するステップ」における「無線送信機」が、本願発明では、「無線ネットワーク要素」であるのに対して、引用発明では、「狭域通信信号発信機」であって、「狭域通信信号発信機」は、ネットワークと接続されていない点。

(相違点2)
一致点の「ローカル座標系を有する前記関連するローカル地図を獲得するステップとを備え、」に関して、本願発明が「および前記関連するローカル地図に関連する前記1つまたは複数の無線ネットワーク要素までの距離を推定するための注釈を獲得する」をさらに有し、前記「注釈」が「前記関連するローカル地図に関連する前記1つまたは複数の無線ネットワーク要素までの距離を推定するための注釈」であり、加えて、「前記注釈は、(a)前記無線ネットワーク要素に関連する信号強度測定と距離の間の関係を示すパラメータと、(b)前記無線ネットワーク要素に関連する往復時間測定と距離の間の関係を示すパラメータと、(c)前記無線ネットワーク要素に関連する処理遅延の測定とのうちの1つを備える」のに対して、引用発明は、「注釈を獲得するステップ」を有さない点。

(3)判断
まず、(相違点2)について検討する。
引用文献2には、引用発明2として、「地図データを表示する際に、ホットスポットの位置、施設名称等の地図関連情報を併せて表示すること。」が記載されていると認める。
しかしながら、引用発明2の「地図関連情報」が「無線ネットワーク要素までの距離を推定するため」に用いられることは記載も示唆もなく、周辺地図を表示させる際に、付加的に表示される表示情報に過ぎないから、「無線ネットワーク要素までの距離を推定するため」に用いられることが自明であるともいえない。よって、引用発明2の「地図関連情報」は、本願発明の「無線ネットワーク要素までの距離を推定するための注釈」に相当するものではない。
また、引用発明3には、本願発明の(相違点2)に係る構成について、記載も示唆もされていない。

したがって、本願発明は、(相違点1)について検討するまでもなく、引用発明及び引用発明2、3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。また、本願の特許請求の範囲の請求項10に係る発明は、本願発明の方法の発明をカテゴリーの異なる装置の発明としたものであって、本願発明と同様に、当業者が引用発明及び引用発明2、3に基づいて、当業者が容易に発明することができたとはいえない。

また、本願の特許請求の範囲の請求項2-9に係る発明は、請求項1を引用して請求項1に係る発明をさらに限定したものであり、同様に、本願の特許請求の範囲の請求項11、12に係る発明は、請求項10を引用して請求項10に係る発明をさらに限定したものであるので、引用発明及び引用発明2、3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 したがって、本願の特許請求の範囲の請求項1-12に係る発明は当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、当審で通知した拒絶理由によって本願を拒絶することはできない。


第4 原査定の理由について
1.原査定の理由の概要

平成26年3月20日付けの拒絶理由には、以下の拒絶理由が記載されている。

「この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項 1、3、6、8、11?15(請求項12については、請求項1、3、6、8、11を引用する場合)
・引用文献等 1、2
・備考
引用文献1(特に、段落【0021】?【0035】、図1、2を参照)には、発信機は、周辺地図を表示するためのURLを含んだ信号を発信しており、携帯端末が前記信号を受信し、前記URLのウェブページにアクセスすることで、携帯端末に周辺地図を表示させることが記載されている。なお、前記周辺地図は、発信機周辺のエリアの地図となっており、エリア単位毎にURLが提供され、かつエリア毎に周辺地図がウェブサイトに保存されていることから、本願発明における「ローカル地図」に相当する。
ここで、地図データを表示する際に、その地図に関連する施設の名称も表示させることは、例えば、引用文献2(特に、段落【0032】を参照)に示されるように周知であり、当該周知に鑑みれば、引用文献1記載の発明において、周辺地図を表示させる際に、施設の名称(本願発明における「注釈」に相当)も表示させることは、当業者が容易に想到し得たことである。
なお、引用文献1に記載された発信機を、フェムトセルとして構成することは、当業者が適宜なし得た設計事項である(請求項11、15について)。

・請求項 2、12(請求項12については、請求項2を引用する場合)

・・・(中略)・・・

拒絶の理由が新たに発見された場合には拒絶の理由が通知される。

引 用 文 献 等 一 覧
1.特開2002-132771号公報
2.特開2004-072546号公報

・・・(中略)・・・ 」

また、平成26年12月11日付けの拒絶査定における備考には、以下の事項が記載されている。

「1.請求項1、3、6、8、12?14について
引用文献1には、発信機は、周辺地図を表示するためのURLを含んだ信号を発信しており、携帯端末が前記信号を受信し、前記URLのウェブページにアクセスすることで、携帯端末に周辺地図を表示させることが記載されている(段落【0021】?【0035】、図1、2を参照)。ここで、前記周辺地図は、発信機周辺のエリアの地図となっており、エリア単位毎にURLが提供され、かつエリア毎に周辺地図がウェブサイトに保存されていることから、本願発明における「ローカル地図」に相当する。また、URLを含んだ信号は、携帯端末がネットワークを用いて前記URLのウェブページへアクセスするための信号であるから、本願発明における「ネットワークを用いた通信のための」「信号」に相当する。
ここで、地図データを表示する際に、その地図に関連する施設の名称も表示させることは、例えば、引用文献2(特に、段落【0032】を参照)に示されるように周知であり、当該周知に鑑みれば、引用文献1記載の発明において、周辺地図を表示させる際に、施設の名称(本願発明における「注釈」に相当)も表示させることは、当業者が容易に想到し得たことである。

2.請求項2、4、5、7、9?11、15について

・・・(中略)・・・

3.したがって、本願請求項1?15に係る発明は、引用文献記載の発明を基に、当業者であれば容易になし得たものであって、出願人の主張は妥当ではない。

引 用 文 献 等 一 覧
1.特開2002-132771号公報(先の拒絶理由通知書における引用文献1)
2.特開2004-072546号公報(先の拒絶理由通知書における引用文献2)

・・・(略)・・・ 」

2.原査定の理由の判断

(1)刊行物の記載事項
上記「第3 当審の拒絶理由について」の項の「4 当審拒絶理由の理由2の判断」の項の「(1)刊行物の記載事項」の項で、引用文献1、引用文献2について、記載した事項と同様である。

(2)対比
上記「第3 当審の拒絶理由について」の項の「4 当審拒絶理由の理由2の判断」の項の「(2)対比」と同様であるが、拒絶査定不服の審判請求時の補正で限定的に減縮された構成、すなわち、(相違点2)に含まれる一部の構成については、原査定の理由では検討していない。

(3)判断
上記「第3 当審の拒絶理由について」の項の「4 当審拒絶理由の理由2の判断」の項の「(3)判断」と同様の主旨であるが、拒絶査定不服の審判請求時の補正で限定的に減縮された少なくとも(相違点2)の「無線ネットワーク要素までの距離を測定するための注釈」に係る構成について、原査定の拒絶の理由では検討されておらず、原査定の拒絶の理由によって進歩性を否定することはできない。

第5 むすび
以上のとおり、原査定の拒絶の理由、あるいは、当審で新たに通知した拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-06-17 
出願番号 特願2013-88269(P2013-88269)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (H04M)
P 1 8・ 121- WY (H04M)
最終処分 成立  
前審関与審査官 丸山 高政角張 亜希子白川 瑞樹  
特許庁審判長 大塚 良平
特許庁審判官 林 毅
山中 実
発明の名称 位置特定においてローカル地図および注釈を提供および利用するための方法と装置  
代理人 村山 靖彦  
代理人 黒田 晋平  

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