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審決分類 審判 一部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  G03B
審判 一部無効 発明同一  G03B
審判 一部無効 1項3号刊行物記載  G03B
審判 一部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G03B
審判 一部無効 2項進歩性  G03B
管理番号 1315967
審判番号 無効2015-800080  
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2015-03-30 
確定日 2016-05-09 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4348457号発明「高ダイナミックレンジのディスプレイ、ディスプレイコントローラ及び画像表示方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4348457号の明細書、及び、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、及び、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許は、2003年3月13日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2002年3月13日、米国)を国際出願日とする出願(特願2003-575176号、出願人;ザ ユニバーシティ オブ ブリティッシュ コロンビア)に係り、平成21年7月1日付けで、出願人が、ザ ユニバーシティ オブ ブリティッシュ コロンビアからドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイション(以下、「被請求人」という。)に変更され、その後、平成21年4月27日付けの手続補正によって補正された願書に添付した(特許法第184条の6第2項の規定により「願書に添付して提出した」とみなされた。)明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「本件特許明細書等」という。)の内容について、特許第4348457号として平成21年7月31日に設定登録されたものである。
本件特許無効審判事件は、請求人 岡本 敏夫 (以下、「請求人」という。)が、「特許第4348457号の請求項1?6、8、10?13、17?30、32、36、37、39?41、47?62に係る発明についての特許を無効にする。審判請求費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めて、平成27年3月30日に請求したものであって、当該審判請求後の手続は以下のとおりである。

平成27年 8月12日 審判事件答弁書(以下、単に「答弁書」という 。)の提出
訂正請求
同 年 9月18日 審判事件弁駁書(以下、単に「弁駁書」という 。)の提出
同 年11月11日 審理事項通知
同 年12月15日 被請求人 口頭審理陳述要領書(以下、「被請 求人陳述要領書」という。)の提出
平成28年 1月12日 請求人 口頭審理陳述要領書(以下、「請求人 陳述要領書」という。)の提出
同 年 2月 2日 第1回口頭審理


第2 平成27年8月12日付けの訂正請求について
平成27年8月12日付けの訂正請求(以下、「本件訂正」という。)の適否について、以下に検討する。
1.本件訂正請求の内容
本件訂正は、「特許第4348457号の明細書、特許請求の範囲を本件請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正することを求める。」とするものであって、その内容は以下のとおりである。
なお、下記の訂正事項1ないし3は、請求項1?47からなる一群の請求項に係る訂正であり、下記の訂正事項4ないし6は、請求項48?54からなる一群の請求項に係る訂正であり、訂正事項7ないし9は、請求項55?62からなる一群の請求項に係る訂正である。

(ア)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「コントローラとを備えたディスプレイ。」とあるのを、「コントローラと、ディフューザと、前記光源からの光が前記デイフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系とを備えたディスプレイ。」に訂正する。請求項1の記載を引用する請求項2?47も同様に訂正する。
(イ)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5に「ディフューザ」とあるのを、「前記ディフューザ」に訂正する。請求項5の記載を引用する請求項10?13、20?47も同様に訂正する。
(ウ)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項17に「像形成用光学機器を備える」とあるのを、「像形成用光学機器を前記光学系として備える」に訂正する。請求項17の記載を引用する請求項18?47も同様に訂正する。
(エ)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項48に「ディスプレイコントローラであって、」とあるのを、「ディスプレイコントローラであって、ディスプレイはディフューザと、前記光源からの光が前記ディフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系とを備え、」に訂正する。請求項48の記載を引用する請求項49?54も同様に訂正する。
(オ)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項51に「前記所望の照度値に基づく量だけする」とあるのを、「前記所望の照度値に基づく量だけ変調する」に訂正する。請求項51の記載を引用する請求項52?54も同様に訂正する。
(カ)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項51に「前記光源から前記空間光変調器の当該制御可能な素子に入射する光の強度によって割った前記所望の照度値に基づく量」とあるのを、「前記光源から前記空間光変調器の当該制御可能な素子に入射する光の強度によって割られた前記所望の照度値に基づく量」に訂正する。請求項51の記載を引用する請求項52?54も同様に訂正する。
(キ)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項55に「前記空間光変調器の面を前記発光素子のアレイからの光によって照射し、」とあるのを、「前記空間光変調器の面を前記発光素子のアレイからの光によって照射し、前記発光素子のアレイからの光がディフユーザを通過して前記空間光変調器に達するように前記発光素子のアレイからの光は光学系によって前記空間光変調器と前記ディフューザとに投影され、」に訂正する。請求項55の記載を引用する請求項56?62も同様に訂正する。
(ク)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項59に「前記所望の照度値に基づく量だけする」とあるのを、「前記所望の照度値に基づく量だけ変調する」に訂正する。請求項59の記載を引用する請求項60?62も同様に訂正する。
(ケ)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項59に「前記光源から前記空間光変調器の当該制御可能な素子に入射する光の強度によって割った前記所望の照度値に基づく量」とあるのを、「前記光源から前記空間光変調器の当該制御可能な素子に入射する光の強度によって割られた前記所望の照度値に基づく量」に訂正する。請求項59の記載を引用する請求項60?62も同様に訂正する。

2.本件訂正の目的、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
(1)被請求人の主張
本件訂正の目的については、以下のとおりである。
ア 訂正事項1は、訂正後の請求項1に係る発明では、光学系が光源からの光を投影することによって、光源からの光が光学系、ディフューザ、空間光変調器の順に投影される旨を明らかにすることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
イ 訂正事項2は、訂正事項1により請求項5が引用する請求項1に「ディフューザ」を記載したことから、請求項5のディフューザは前記されることとなり、よって、請求項5に記載の「ディフューザ」が請求項1に前記されていることを明瞭にするものである
ウ 訂正事項3は、本件訂正の訂正事項1により、請求項17が引用する請求項1に、「像形成用光学機器」に対応する「光学系」を記載したことから、請求項17の像形成用光学機器は対応する用語が前記されることとなり、よって、請求項17に記載の「像形成用光学機器」に対応する発明特定事項が請求項1に前記されていることを明瞭にするものである。
エ 訂正事項4は、本件訂正後の請求項48に係る発明では、光学系が光源からの光を投影することによって、光源からの光が光学系、ディフューザ、空間光変調器の順に投影される旨を明らかにすることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
オ 訂正事項5は、本件訂正前の請求項51に係る発明では、「前記所望の照度値に基づく量だけする」という記載が、何を「する」のか不明瞭であったが、「変調」を追加し、「前記所望の照度値に基づく量だけ変調する」というように、何を「する」のか動作を明瞭にするものである。
カ 訂正事項6は、請求項51が本来意図する「割られる対象」は、「前記空間光変調器の制御可能な素子へ入射する光」ではなく、「割った」の直後の文言である「前記所望の照度値」であるから、「前記所望の輝度値」の直前の修飾語を、能動態である「割った」ではなく、受動態である「割られた」へと訂正することで、「割られる対象」が「前記所望の照度値」であることを明瞭にするものである。
キ 訂正事項7は、本件訂正後の請求項55に係る発明では、光学系が発光素子のアレイからの光を投影することによって、発光素子のアレイからの光が光学系、ディフューザ、空間光変調器の順に投影される旨を明らかにすることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
ク 訂正事項8は、本件訂正前の請求項59に係る発明では、「前記所望の照度値に基づく量だけする」という記載が、何を「する」のか不明瞭であったが、「変調」を追加し、「前記所望の照度値に基づく量だけ変調する」というように、何を「する」のか動作を明瞭にするものである。
ケ 訂正事項9は、請求項59が本来意図する「割られる対象」は、「前記空間光変調器の制御可能な素子へ入射する光」ではなく、「割った」の直後の文言である「前記所望の照度値」であるから、「前記所望の輝度値」の直前の修飾語を、能動態である「割った」ではなく、受動態である「割られた」へと訂正することで、「割られる対象」が「前記所望の照度値」であることを明瞭にするものである。

(2)当審の判断
ア 一群の請求項について
請求項1は、請求項2?47で直接または間接的に引用されているから、請求項1?47は一群の請求項を構成するものであり、請求項48は、請求項49?54で直接または間接的に引用されているから、請求項48?54は一群の請求項を構成するものであり、請求項55は、請求項56?62で直接または間接的に引用されているから、請求項55?62は一群の請求項を構成するものであり、本件訂正は、一群の請求項ごとに請求するものである。

イ 訂正事項1
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1の「ディスプレイ」に「ディフューザと、前記光源からの光が前記デイフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系とを備えた」構成を加えて限定することにより、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、本件特許明細書【0066】には「光変調器20上のLED52の照射パターンが広げられるように、ディフューザ22A(図8の破線で示す)をアレイ50と光変調器20の間に配置させてもよい」と記載され、【0056】には「ディフューザ22AはLED52の発光特性と連携して、光変調器20の後ろ側の面全体にわたってLED52からの光の強度変動を滑らかにさせている」と記載され、【0069】には「図10は、光源52のアレイ50が適当な光学系17によって光変調器20上に像形成されている」と記載され、また、【0045】には「より低分解能の光変調器からより高分解能の光変調器のうちのある画素上に入射する光の強度は、より低分解能の空間光変調器の各画素からの光をより高分解能の空間光変調器上に分布させている周知の方法から計算することが可能である」と記載されている。
したがって、訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

ウ 訂正事項2
訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項5に「ディフューザ」とあるのを、「前記ディフューザ」に訂正するものであり、明瞭でない記載を釈明するものである。
したがって、訂正事項2は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

エ 訂正事項3
訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項17に「像形成用光学機器を備える」とあるのを、「像形成用光学機器を前記光学系として備える」に訂正するものであり、明瞭でない記載を釈明するものである。
したがって、訂正事項3は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

オ 訂正事項4
訂正事項4は、本件訂正前の請求項48に「ディスプレイはディフューザと、前記光源からの光が前記ディフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系とを備え」る構成を加えて限定することにより、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、訂正事項4は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、本件特許明細書【0066】には「光変調器20上のLED52の照射パターンが広げられるように、ディフューザ22A(図8の破線で示す)をアレイ50と光変調器20の間に配置させてもよい。」と記載され、【0056】には「ディフューザ22AはLED52の発光特性と連携して、光変調器20の後ろ側の面全体にわたってLED52からの光の強度変動を滑らかにさせている。」と記載され、【0069】には「図10は、光源52のアレイ50が適当な光学系17によって光変調器20上に像形成されている」と記載され、また、【0045】には「より低分解能の光変調器からより高分解能の光変調器のうちのある画素上に入射する光の強度は、より低分解能の空間光変調器の各画素からの光をより高分解能の空間光変調器上に分布させている周知の方法から計算することが可能である」と記載されている。
したがって、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

カ 訂正事項5
訂正事項5は、特許請求の範囲の請求項51に「前記所望の照度値に基づく量だけする」とあるのを、「前記所望の照度値に基づく量だけ変調する」に訂正するものであり、明瞭でない記載を釈明するものである。
したがって、訂正事項5は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

キ 訂正事項6
訂正事項6は、特許請求の範囲の請求項51に「前記光源から前記空間光変調器の当該制御可能な素子に入射する光の強度によって割った前記所望の照度値に基づく量」とあるのを、「前記光源から前記空間光変調器の当該制御可能な素子に入射する光の強度によって割られた前記所望の照度値に基づく量」に訂正するものであり、明瞭でない記載を釈明するものである。
したがって、訂正事項6は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

ク 訂正事項7
訂正事項7は、本件訂正前の請求項55の「前記空間光変調器の面を前記発光素子のアレイからの光によって照射」することについて「前記発光素子のアレイからの光がディフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記発光素子のアレイからの光は光学系によって前記空間光変調器と前記ディフューザとに投影され」る構成として限定することにより、特許請求の範囲を減縮するものである。
したがって、訂正事項7は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、本件特許明細書【0066】には「光変調器20上のLED52の照射パターンが広げられるように、ディフューザ22A(図8の破線で示す)をアレイ50と光変調器20の間に配置させてもよい。」と記載され、【0056】には「ディフューザ22AはLED52の発光特性と連携して、光変調器20の後ろ側の面全体にわたってLED52からの光の強度変動を滑らかにさせている。」と記載され、【0069】には「図10は、光源52のアレイ50が適当な光学系17によって光変調器20上に像形成されている」と記載され、また、【0045】には「より低分解能の光変調器からより高分解能の光変調器のうちのある画素上に入射する光の強度は、より低分解能の空間光変調器の各画素からの光をより高分解能の空間光変調器上に分布させている周知の方法から計算することが可能である」と記載されている。
したがって、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

ケ 訂正事項8
訂正事項8は、特許請求の範囲の請求項59に「前記所望の照度値に基づく量だけする」とあるのを、「前記所望の照度値に基づく量だけ変調する」に訂正するものであり、明瞭でない記載を釈明するものである。
したがって、訂正事項8は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

コ 訂正事項9
訂正事項9は、特許請求の範囲の請求項59に「前記光源から前記空間光変調器の当該制御可能な素子に入射する光の強度によって割った前記所望の照度値に基づく量」とあるのを、「前記光源から前記空間光変調器の当該制御可能な素子に入射する光の強度によって割られた前記所望の照度値に基づく量」に訂正するものであり、明瞭でない記載を釈明するものである。
したがって、訂正事項9は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

3.本件訂正についてのむすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号又は第3号に適合し、かつ、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第4項、第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、本件訂正による訂正を認める。


第3 訂正特許発明
本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1?62に係る発明(以下、それぞれ、「訂正特許発明1」?「訂正特許発明62」という。)は、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1?62に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
各々が制御可能な光出力を有する発光素子の2次元アレイを備える光源と、
前記光源からの光を変調するように配置された複数の制御可能な素子を備える空間光変調器であって、前記光源が有する発光素子よりも多くの制御可能な素子を有している、前記空間光変調器と、
前記光源の前記発光素子を駆動して所望の画像の近似を提供するとともに、前記空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し、その計算した強度に基づき前記空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動して、得られる画像を前記所望の画像に近づけるように接続されているコントローラと、
ディフューザと、
前記光源からの光が前記ディフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系と
を備えたディスプレイ。
【請求項2】
前記光源の前記発光素子の各々は前記空間光変調器の複数の対応する制御可能な素子を照射するように配置されている請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項3】
前記光源の前記発光素子の各々は前記空間光変調器の8個以上の数の対応する制御可能な素子に対応している請求項2に記載のディスプレイ。
【請求項4】
前記光源の各発光素子は前記空間光変調器の145個以下の数の対応する制御可能な素子に対応している請求項2に記載のディスプレイ。
【請求項5】
前記光源と前記空間光変調器の中間に配置された前記ディフューザを備える請求項1乃至4のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項6】
前記光源と前記空間光変調器との中間に配置された反射壁式チャンネルのグリッドを備える請求項1乃至4のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項7】
前記反射壁式チャンネルは6角形であり、かつハニカム構造で配列されている請求項6に記載のディスプレイ。
【請求項8】
前記発光素子の各々は前記反射壁式チャンネルのうちの1つの中に光を発する請求項6または7に記載のディスプレイ。
【請求項9】
前記空間光変調器の制御可能な素子の各々は前記反射壁式チャンネルのうちの1つだけからの光で照射を受ける請求項6乃至8のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項10】
前記空間光変調器と観察位置との間に配置されたディフューザを備える請求項1乃至9のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項11】
前記空間光変調器の位置において前記光源の複数の発光素子の各々から入射する光の分布が、矩形分布と、0.3×d2から3×d2までの範囲内にある半値全幅を有する広がり関数とのコンボリューションからなり、d2は前記光源の隣接する発光素子によって変調された光分布の前記空間光変調器上での中心-中心間隔である請求項1乃至9のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項12】
前記光源の前記発光素子の各々は離散的で選択可能な輝度レベルの数Nを有しており、かつ前記空間光変調器の制御可能な素子は離散的で選択可能な輝度レベルの数Mを有しており、かつN<Mである請求項1乃至11のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項13】
前記光源の前記発光素子の各々は離散的で選択可能な輝度レベルの数Nを有しており、かつ前記空間光変調器の制御可能な素子は離散的で選択可能な輝度レベルの数Mを有しており、かつN>Mである請求項1乃至11のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項14】
前記光源と前記空間光変調器の間にある1つまたは複数の追加的な光変調段を備える請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項15】
前記1つまたは複数の追加的な光変調段の各々は、コリメータと、前段の空間光変調器で変調された光がその上に像形成される空間光変調器とを備える請求項14に記載のディスプレイ。
【請求項16】
前記1つまたは複数の追加的な光変調段の各々はディフューザを備える請求項15に記載のディスプレイ。
【請求項17】
前記光源を前記空間光変調器上に像形成するように配置された像形成用光学機器を前記光学系として備える請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項18】
前記ディスプレイが光を観察者にむけて反射するように構成された表示画面を備える前面投影型のディスプレイを備える請求項17に記載のディスプレイ。
【請求項19】
前記空間光変調器が前記表示画面と一体化されている請求項18に記載のディスプレイ。
【請求項20】
対応する発光素子が最大の光出力にありかつ前記空間光変調器の対応する素子が最大の照射を提供するように設定されている点である第1の点と、対応する発光素子が最小の光出力にありかつ前記空間光変調器の対応する素子が最小の照射を提供するように設定されている点である第2の点との照度の比が、1000:1を超えている請求項1乃至19のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項21】
対応する発光素子が最大の光出力にありかつ前記空間光変調器の対応する素子が最大の照射を提供するように設定されている点である第1の点と、対応する発光素子が最小の光出力にありかつ前記空間光変調器の対応する素子が最小の照射を提供するように設定されている点である第2の点との照度の比が、1500:1を超えている請求項1乃至19のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項22】
前記発光素子の各々は固体発光素子を備える請求項1乃至21のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項23】
前記固体発光素子は発光ダイオードを備える請求項22に記載のディスプレイ。
【請求項24】
前記発光ダイオードは白色光を発する請求項23に記載のディスプレイ。
【請求項25】
前記固体発光素子によって発せられる光の色は制御可能である請求項22に記載のディスプレイ。
【請求項26】
前記固体発光素子は3色LEDのアレイを備え、各3色LEDが、単一のハウジング内部に封入された赤色LED、緑色LED、青色LEDを備える請求項25に記載のディスプレイ。
【請求項27】
前記空間光変調器の前記制御可能な素子は透過度可変のディスプレイ素子を備える請求項1乃至26のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項28】
前記透過度可変のディスプレイ素子は液晶ディスプレイ素子を備える請求項27に記載のディスプレイ。
【請求項29】
前記空間光変調器はカラー空間光変調器を備える請求項1乃至28のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項30】
前記空間光変調器の各制御可能な素子は複数のカラーサブ画素を備える請求項29に記載のディスプレイ。
【請求項31】
前記空間光変調器の各制御可能な素子は、3つのサブ画素であって、その1つが赤色フィルタに関連付けされており、その1つが緑色フィルタに関連付けされており、またその1つが青色フィルタに関連付けされている3つのサブ画素を備える請求項1乃至30のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項32】
前記コントローラは、前記制御可能な素子を定期的にリフレッシュし、かつ制御可能な素子がリフレッシュされているときに、対応する発光素子を減光またはオフするように構成されている請求項1乃至31のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項33】
前記発光素子のうちの少なくとも1つから迷光を受け取り、前記迷光の強度を表す迷光強度信号を発生させるように結合された光検出器であって、前記コントローラは、前記迷光強度信号を受け取り、前記発光素子のうちの少なくとも1つからの迷光の強度およびある基準値に少なくとも一部で基づいて前記発光素子の前記少なくとも1つに対する電流補正を決定し、前記発光素子の少なくとも1つの制御に関して前記電流補正を使用するように構成されている光検出器を備える請求項1乃至32のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項34】
前記コントローラは、前記発光素子のうちのある不良素子が動作していないと判定すると、前記発光素子のうちの前記不良素子に隣接する別の発光素子の強度を増加させるように構成されている請求項1乃至33のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項35】
前記コントローラは、前記発光素子のうちのある不良素子が動作していないと判定すると、前記制御可能な素子のうち前記不良の発光素子に対応する素子の透過度を増加させるように構成されている請求項1乃至34のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項36】
前記発光素子は正則アレイに配列されている請求項1乃至35のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項37】
前記アレイは矩形アレイである請求項36に記載のディスプレイ。
【請求項38】
前記アレイは6角形アレイである請求項36に記載のディスプレイ。
【請求項39】
前記発光素子の隣接する素子間に配置された光バリアを備える請求項1乃至38のいずれかに記載のディスプレイ。
【請求項40】
前記発光素子のデューティサイクルを変化させることによって前記発光素子の前記制御可能な光出力を個々に変化させるための制御回路を備える請求項1乃至39のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項41】
前記発光素子に供給される駆動用電流を変化させることによって前記発光素子の前記制御可能な光出力を個々に変化させるための制御回路を備える請求項1乃至40のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項42】
前記光検出器は、前記迷光が平板導波路によって受け取られるように結合されている請求項33に記載のディスプレイ。
【請求項43】
前記発光素子は、平板状導波路のアパーチヤ内に受け容れられており、かつ前記導波路は前記発光素子が横方向に発した光を取り込んでいる請求項42に記載のディスプレイ。
【請求項44】
前記平板状導波路は前記発光素子の後ろに位置している請求項43に記載のディスプレイ。
【請求項45】
前記発光素子の前に位置する平板状導波路と、前記発光素子が発した光を検出するように前記平板状導波路と結合されている光センサとを備える請求項1乃至32のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項46】
前記平板状導波路の1つの表面は前記発光素子が発した光の一部分を前記平板状導波路内に導けるのに十分なように粗面処理されている請求項45に記載のディスプレイ。
【請求項47】
前記コントローラは、前記光源が有する発光素子よりも前記空間光変調器が多くの制御可能な素子を有していることに由来するアーチファクトを低減させるように前記空間光変調器の前記制御可能な素子を制御するように構成されている請求項1乃至46のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項48】
発光素子の2次元アレイを備える光源の光出力を制御するとともに、前記光源からの光を変調するように配置されて、前記光源が有する発光素子よりも多くの制御可能な素子を有している空間光変調器の制御可能な素子の光透過を制御するために接続可能なディスプレイコントローラであって、
ディスプレイはディフューザと、前記光源からの光が前記ディフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系とを備え、
前記光源の前記発光素子の光出力を制御して所望の画像の近似を提供するための第1の制御信号を生成し、
前記空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し、
その計算した強度に基づき前記空間光変調器の前記制御可能な素子の光透過を制御して、得られる画像を前記所望の画像に近づける第2の制御信号を生成するように構成されているディスプレイコントローラ。
【請求項49】
前記光源が有する発光素子よりも前記空間光変調器が多くの制御可能な素子を有していることに由来するアーチファクトを低減させるように、前記空間光変調器の制御可能な素子を制御するように構成されている請求項48に記載のディスプレイコントローラ。
【請求項50】
前記第1の制御信号は、前記光源の発光素子に対応する画像エリアに関する所望の照度値の平均値または重み付き平均値である照度に影響を及ぼすように、前記光源の各発光素子を制御するものである請求項48または49に記載のディスプレイコントローラ。
【請求項51】
前記第2の制御信号は、前記空間光変調器の制御可能な素子へ入射する光を、前記光源から前記空間光変調器の当該制御可能な素子に入射する光の強度によって割られた前記所望の照度値に基づく量だけ変調するように前記空間光変調器の各制御可能な素子を制御するものである請求項50に記載のディスプレイコントローラ。
【請求項52】
前記制御可能な素子を定期的にリフレッシュし、制御可能な素子がリフレッシュされているときに、対応する発光素子を減光またはオフするように構成されている請求項48乃至51のいずれか一項に記載のディスプレイコントローラ。
【請求項53】
前記発光素子のデューティサイクルを変化させることによって前記発光素子の前記制御可能な光出力を個々に変化させる制御回路を備える請求項48乃至52のいずれか一項に記載のディスプレイコントローラ。
【請求項54】
前記発光素子に供給される駆動用電流を変化させることによって前記発光素子の前記制御可能な光出力を個々に変化させる制御回路を備える請求項48乃至53のいずれか一項に記載のディスプレイコントローラ。
【請求項55】
高いダイナミックレンジの画像の表示方法であって、
第1の画像データの組によって決定される明度を有するように個々に制御可能な発光素子のアレイを備える光源を制御して、所望の画像の近似を提供し、
各々が制御可能な透過度を有している制御可能な素子のアレイを備える空間光変調器であって、前記光源が有する発光素子よりも多くの制御可能な素子を有している前記空間光変調器の面を前記発光素子のアレイからの光によって照射し、前記発光素子のアレイからの光がディフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記発光素子のアレイからの光は光学系によって前記空間光変調器とディフューザとに投影され、
前記空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し、
その計算した強度に少なくとも部分的に基づき前記空間光変調器の前記制御可能な素子の透過度を第2の画像データの組によって制御して、得られる画像を前記所望の画像に近づけること
を含む方法。
【請求項56】
前記第2の画像データの組は前記第1の画像データの組と比べて分解能がより高い請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記第2の画像データの組は、前記光源が有する発光素子よりも前記空間光変調器が多くの制御可能な素子を有していることに由来するアーチファクトを低減させるように選択されている請求項55または56に記載の方法。
【請求項58】
前記第1の画像データの組は、前記光源の各発光素子を制御して、前記光源の発光素子に対応する画像エリアに関する所望の照度値の平均値または重み付き平均値である照度に影響を及ぼすように選択されている請求項55乃至57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記第2の画像データの組は、前記空間光変調器の各制御可能な素子を制御して、当該制御可能な素子へ入射する光を、前記光源から前記空間光変調器の当該制御可能な素子に入射する光の強度によって割られた前記所望の照度値に基づく量だけ変調するように選択されている請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記制御可能な素子を定期的にリフレッシュすること、及び、制御可能な素子がリフレッシュされているときに、対応する発光素子を減光またはオフすることを備える請求項55乃至59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記発光素子のデューティサイクルを変化させることによって前記発光素子の前記制御可能な光出力を個々に変化させることを備える請求項55乃至60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記発光素子に供給される駆動用電流を変化させることによって前記発光素子の前記制御可能な光出力を個々に変化させることを備える請求項55乃至61のいずれか一項に記載の方法。」


第4 請求人の主張
請求人は、審判請求書、弁駁書、及び、請求人陳述要領書において、本件特許について、概略、以下の理由により無効とすべきものであると主張している。
1.優先権について
本件訂正後の訂正特許発明1?62は、パリ条約による優先権主張の効果が認められないので、新規性及び進歩性に係る判断基準日は、本件出願の国際出願日(2003年3月13日)となる。
2.新規性進歩性について(無効理由1)
訂正特許発明1?6、8、10?13、17?30、32、36、37、39?41、47?62は、甲第1?4号証を主たる引例として、甲第1?16、28?33号証により新規性又は進歩性が欠如するから、その特許が特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第123条第1項第2号に該当する。
3.拡大先願について(無効理由2)
仮に、パリ条約による優先権主張の効果が認められる場合には、訂正特許発明1、2、4?6、8、10?12、20?25、27?30、36、37、39?41、47?50、53?58、61、62は、甲第1号証に基づき拡大先願により、その特許が特許法第29条の2の規定に違反してされたものであり、特許法第123条第1項第2号に該当する。
4.記載不備について(無効理由3)
訂正特許発明1、4、6、8、12、13、17、18、20、21、25、32、39?41、47?62は、平成14年法律第24号による改正前の特許法第36条第4項(以下、単に「特許法第36条第4項」という。)、特許法第36条第6項第1号、または、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、特許法第123条第1項第4号に該当する。
5.請求人の提示した証拠方法
請求人が提示した証拠方法は以下のとおりである。
甲第1号証:特開2002-99250号公報
甲第2号証:特開平10-282470号公報
甲第3号証:特開2001-100689号公報
甲第4号証:特開平6-167690号公報
甲第5号証:特開2001-142409号公報
甲第6号証:特表平8-505014号公報
甲第7号証:特開2000-275605号公報
甲第8号証:特開平11-237608号公報
甲第9号証:特開2001-188230号公報
甲第10号証:特開平9-183252号公報
甲第11号証:特開平9-52385号公報
甲第12号証:特開平8-111545号公報
甲第13号証:特開平6-71940号公報
甲第14号証:特開平3-71111号公報
甲第15号証:特開2000-298203号公報
甲第16号証:特開2000-56727号公報
甲第17号証:鈴木八十二編、「トコトンやさしい液晶の本」、日刊工業新聞社、2002年2月28日初版、P30、31
甲第18号証:無効2013-800140事件(特許第5079759号)、平成25年12月19日付、特許権者提出の審判事件答弁書
甲第19号証の1:米国仮出願60/363,563明細書等
甲第19号証の2:米国仮出願60/363,563明細書等の翻訳文
甲第20号証の1:国際公開03/077013号
甲第20号証の2:国際公開03/077013号の翻訳文
甲第21号証:仮出願(甲19)と国際公開(甲20)の対比表
甲第22号証:特表2005-520188号公報(本件特許の公表公報)
甲第23号証:特許第5079759号公報(本件特許と別の登録公報)
甲第24号証:特許第4348457号公報(本件特許の登録公報)
甲第25号証:鈴木八十二編、「トコトンやさしい液晶の本」、日刊工業新聞社、2002年2月28日初版、P88、89
甲第26号証:特開2000-276921号公報
甲第27号証:オムロン技術用語集[平成27年9月12日検索]
インターネット<URL:http://www.omron.co.jp/r_d/dictionary/dic_word_fu.html>
甲第28号証:鈴木八十二編著、「よくわかる液晶ディスプレイのできるまで」、日刊工業新聞社、2005年11月28日初版、P202-204
甲第29号証:特開2000-10095号公報
甲第30号証:特開平10-133588号公報
甲第31号証:特開平9-297222号公報
甲第32号証:特開2000-353413号公報
甲第33号証:特開2002-341343号公報
甲第34号証:特開2000-89009公報
甲第35号証:goo辞書[平成27年9月12日検索]
インターネット<URL:http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/233059/m0u/>
甲第36号証:特開2000-147488号公報
甲第37号証:液晶用語集 技術情報:シャープ[平成27年12月21日検索]
インターネット<URL http://www.sharp.co.jp/products/lcd/glossary/file7.html>
甲第38号証:「特許・実用新案審査基準 特許庁」、「第III部 特許要件」、「第2章 第2節 進歩性」、「3.1.2 動機付け以外に進歩性が否定される方向に働く要素」(平成27年9月改訂)
甲第39号証:特開2002-244092号公報

第5 被請求人の反論
被請求人は、答弁書、及び、被請求人陳述要領書において、概略、以下のとおり反論している。
1.新規性進歩性について(無効理由1)
訂正特許発明1?6、8、10?13、17?30、32、36、37、39?41、47?62は、特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項に規定する要件を満たすから特許法第123条第1項第2号の無効理由を有さない。
2.拡大先願について(無効理由2)
訂正特許発明1、2、4?6、8、10?12、20?25、27?30、36、37、39?41、47?50、53?58、61、62は特許法第29条の2に規定する要件を満たすから特許法第123条第1項第2号の無効理由を有さない。
3.記載不備について(無効理由3)
訂正特許発明1、4、6、8、12、13、18、20、21、25、32、39?41、47?62は、特許法第36条第4項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たすから特許法第123条第1項第4号の無効理由を有さない。
4.被請求人の提示した証拠方法
被請求人の提示した証拠方法は 以下のとおりである。
乙第1号証:特願2000-287499号の平成15年12月26日付けの意見書

第6 当審の判断
1 優先権について
(1)米国仮出願60/363,563号(以下、単に「仮出願」という。)の明細書及び訂正明細書の記載
本件特許の優先権主張の基礎となる仮出願の明細書には、以下の記載がある。(翻訳は当審における仮訳である。)
「[0043] 次いで、コントローラは、得られる画像を所望の画像に接近させることにより、より高い分解能ディスプレイの画素を設定することがある。このことは例えば、所望の照度値を、より低分解能の光変調器からより高分解能の光変調器の対応する画素上に入射する光の強度によって割ることによって実施することが可能である。」
一方、仮出願の明細書[0043]の対応する記載として、訂正明細書には、以下の記載がある。
「【0045】
次いで、コントローラは、得られる画像を所望の画像に接近させることにより、より高い分解能ディスプレイの画素を設定することがある。このことは例えば、所望の照度値を、より低分解能の光変調器からより高分解能の光変調器の対応する画素上に入射する光の強度によって割ることによって実施することが可能である。より低分解能の光変調器からより高分解能の光変調器のうちのある画素上に入射する光の強度は、より低分解能の空間光変調器の各画素からの光をより高分解能の空間光変調器上に分布させている周知の方法から計算することが可能である。より低分解能の空間光変調器の画素のうちの1つまたは複数からの寄与を足し合わせることによって、より低分解能の空間光変調器の画素を設定する際の方式に関して、より高分解能の空間光変調器の任意の画素が照射を受ける強度を決定することが可能である。」

(2)判断
訂正特許発明1の「ディフューザと、前記光源からの光が前記ディフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系とを備えたディスプレイ」において、「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算」する構成の「光の強度を計算」することに関し、訂正明細書には、「より低分解能の光変調器からより高分解能の光変調器のうちのある画素上に入射する光の強度は、より低分解能の空間光変調器の各画素からの光をより高分解能の空間光変調器上に分布させている周知の方法から計算することが可能である」(【0045】、下線は、当審で付した。)と記載されている。
一方、上記「光の強度を計算」することに関し、仮出願の明細書には、「次いで、コントローラは、得られる画像を所望の画像に接近させることにより、より高い分解能ディスプレイの画素を設定することがある。このことは例えば、所望の照度値を、より低分解能の光変調器からより高分解能の光変調器の対応する画素上に入射する光の強度によって割ることによって実施することが可能である。」([0043])と記載されている。
ここで、上記記載の「光の強度によって割ること」は、訂正特許発明1の「光の強度を計算」することに、一見対応しているようにもみえるが、訂正特許発明1は、「光源からの光」と「空間光変調器」の間に「ディフューザ」が存在しているから、技術常識に照らせば、上記訂正明細書の【0045】に記載された「周知の方法」は、単純に「所望の照度値を、より低分解能の光変調器からより高分解能の光変調器の対応する画素上に入射する光の強度によって割ること」によって、「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算」するものではないといえる。
また、訂正特許発明1の「ディフューザと、前記光源からの光が前記ディフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系とを備えたディスプレイ」において、「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算」する構成は、仮出願の明細書の他の箇所にも記載されていない。
そうすると、訂正特許発明1の上記「光の強度を計算」することは、仮出願の明細書または図面に記載した事項の範囲内のものではない。
よって、訂正特許発明1は、優先権主張の効果が認められない。
また、訂正特許発明48,55も、同様の理由により優先権主張の効果が認められない。
さらに、訂正特許発明1、48、55のいずれかを直接または間接的に引用する訂正特許発明2?47,49?54、56?62も優先権主張の効果が認められない。
したがって、訂正特許発明1?62の新規性進歩性の判断の基準日は、本件特許の実際の出願日の2003年3月13日である。

2 新規性進歩性について
(1)甲第1号証を主引例とした場合の新規性進歩性の欠如について
(1)-1 引用刊行物
(ア)甲第1号証(特開2002-99250号公報)
甲第1号証には、次のように記載されている。
ア 発明の詳細な説明の記載
「【0005】一方、従来時間的に一定であったバックライトの輝度を画像情報に応じて時間的に可変とすることにより、表示のダイナミックレンジを広げようとする提案もなされている。すなわち、黒情報が多く表示される画像に対してはバックライトを暗く、白情報が多く表示される画像に対してはバックライトを明るく点灯する、というものである。」
「【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る表示装置は、画像表示部と、前記画像表示部の画像表示領域を照明するものであって、複数の照明領域を有する照明部と、入力画像信号に基づいて前記照明部の各照明領域の輝度を制御する照明輝度制御部と、前記照明輝度制御部で得られる前記照明部の各照明領域に対する輝度情報に基づいて前記入力画像信号を変換し、変換された画像信号を前記画像表示部に向けて供給する画像信号変換部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】前記画像信号変換部は、前記輝度情報に基づいて前記入力画像信号の階調を変換する機能を有することが好ましい。
【0011】本発明では、入力画像信号に基づいて照明部の各照明領域の輝度が制御されることから、画面全体のうち、明るい画像情報を多く含むような表示部分に対しては照明光の輝度を高く、逆に暗い画像情報を多く含むような表示部分に対しては照明光の輝度を低くすることができ、画面全体のダイナミックレンジを拡大することができる。ただし、照明領域毎に照明光の輝度を変化させることから、入力画像信号をそのままの階調で画像表示部に供給した場合には、表示画像の輝度が各照明領域間でずれてしまう。本発明では、各照明領域に対する照明光の輝度に応じて入力画像信号を変換するため、各照明領域の照明光の輝度に応じて変換された適正な階調により、各照明領域間で表示画像の輝度にずれのない適正な画像を得ることができる。」
「【0014】また、複数種類の発光素子を用いた場合、一般的に発光素子の種類によって発光色が異なる(スペクトル分布が異なる)が、発光色の違いに応じた色補償を行う色補償部を設けることにより、色ずれの少ない高品位の画像を得ることが可能となる。
【0015】また、前記照明部の各照明領域を隔壁によって分割することにより、隣接する照明領域間における照明光の相互干渉を抑制することができ、より高品位の画像を得ることが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】まず、本発明の実施形態に係る表示装置の概要について説明する。
【0017】本表示装置は大きく分けて、非発光型表示素子、複数に分割された照明領域を有する照明装置、各照明領域に対して独立に輝度を制御できる照明制御回路、及び画像信号を変換する画像変換回路を有している。
【0018】非発光型表示素子としては、透過型液晶パネルが最適である。透過型液晶パネルは多階調表示可能であれば良く、TFT等のスイッチング素子を備えたアクティブマトリクス型、パッシブマトリクス型を問わない。液晶表示モードについても、現在実用化されているTN、VA、IPS、OCBなどのネマチック系液晶の他、反強誘電性液晶などのスメクチック系液晶も使用可能である。また、電気的に多階調表示できないSSFLCなどでも、時間的にスイッチングを行うことによって擬似的に多階調表示が可能であることから、使用可能である。
【0019】空間的に輝度を制御するためには、光源を複数備えるか、或いは光源光を領域毎に遮断及び透過できるシャッタを設ければよい。光源を複数備える場合は、蛍光管を複数列設け、それらを独立に発光制御するか、LEDを組み合わせるのが効果的である。特に、画面全体を一括して輝度制御する場合には蛍光管の輝度を制御し、特定の領域について輝度制御する場合にはLEDを用いるのが望ましい。ラスタ表示など画面全体にわたって階調が均一な場合にはバックライトの輝度が面内均一であることが望ましく、画面内に明暗が生じる場合には画像情報に応じて連続的な輝度変化が生じることが望ましい。
【0020】画像変換回路は、バックライトの輝度分布情報に基づき、液晶パネルに入力する画像情報を変換することで、画面内で正しい階調再現が得られるようにする回路である。バックライトの輝度制御と画像情報変換は、例えば以下のような手順によって行われる。
【0021】まず、入力された画像情報をバックライトの制御領域単位毎に分析し、平均もしくは最頻の階調と、最大階調及び最小階調を抽出する。これらの画像情報を基に、バックライトの輝度分布が決定される。すなわち、画像情報が明るい輝度情報を多く含む場合はバックライトの輝度を高く、暗い輝度情報を多く含む場合はバックライトの輝度を低く設定する。
【0022】次に、このバックライト制御結果を基に、より小面積の画像領域毎に階調シフト量を決定する。このとき、画像領域を照明するバックライト輝度制御値が同一であっても、階調シフト量が同一であるとは限らない。なぜならば、画像領域を直接照明する輝度制御値が同じであっても、周りの画像情報によって画像照明領域周辺の輝度制御値が変化し、バックライト照明領域間のクロストークによって画像領域を照明する輝度値が変化するからである。従って、画像を照明する輝度制御値のマトリクス情報に基づいて、適正な階調シフト量が決定される。階調シフト量も一般には線形ではなく、階調と表示輝度レベルを関係付けるγ特性に従って非線形にシフトされる。
【0023】以下、本発明の具体的な実施形態について図面を参照して説明する。
【0024】(実施形態1)図1は、本実施形態の表示装置本体の構成例を示した図である。表示装置本体は、透過型液晶ライトバルブ(LCD11)と背面照明装置(バックライト12)から構成されており、LCD背面からの照明により画像が表示される。
【0025】LCD11、バックライト12は各々複数の領域に分割されており、LCD11においては、領域毎のRGB階調変換データに基づいて画素毎にRGB信号が変調制御される。バックライト12においては、LCD12の領域毎の画像輝度情報に基づいて輝度制御が行われる。本実施形態においては、図2に示すように、LCD11を6×8領域(図2(a))、バックライト12を3×4領域に分割した(図2(b))。便宜上、LCD11における領域を(i,j)、バックライト12における領域を[i,j]で示す。
【0026】図3は、本実施形態の表示装置における主として信号処理について示したブロック図である。
【0027】RGB入力画像信号は、一旦フレームメモリ13に蓄積された後、LCD領域毎に読み出される。読み出されたデータに基づいて画像輝度演算回路14でLCD領域毎の輝度値が算出され、算出されたLCD領域毎の輝度データが画像輝度データ保持部15に送られる。画像輝度データ保持部15からのLCD領域毎の輝度データに基づき、バックライト領域毎のバックライト輝度レベルがB/L(バックライト)輝度演算回路16によって算出され、算出されたバックライト領域毎の輝度データがバックライト輝度データ保持部17に送られる。バックライト輝度制御回路18は、バックライト輝度演算回路16の演算結果に基づき、バックライト輝度を領域毎に制御する。
【0028】一方、フレームメモリ13に蓄積されたRGB入力画像信号は1画素毎に順次読み出され、階調変換回路19により該画素領域を照明するバックライト12の輝度データに基づき階調変調を受ける。さらに、該画素領域周辺におけるバックライト輝度情報に基づき、階調補正用LUT(ルックアップテーブル)20のデータを用いて、階調補正回路21により適正な階調補正を受け、最終的にLCDドライバ22に入力されるRGB信号(R”G”B”)に変換される。以下、このシーケンスについて詳述する。
【0029】図4は、本実施形態におけるバックライトの輝度レベルと、輝度及び階調信号との対応関係を示した図である。
【0030】本実施形態では、バックライトの輝度レベル制御を3段階とした。また、本実施形態のLCDの仕様は、コントラストが200、ドライバへの入力信号レベルがRGB各8bitであり、γ値(入力信号レベル対透過率)はCRTと同様の2.2である。LCDに白表示信号(R=G=B=255)を入力した際に得られる白輝度として、レベル2における白表示輝度250cd/m^(2) を基準(ゲイン1)とし、レベル1のバックライト輝度を0.2倍、レベル3では3.0倍に設定した。
【0031】このとき、各バックライト輝度レベルにおける入力RGB信号対輝度は、
B=G{K+[W-K]×(S_(RGB /255))^(γ)} (1)
で表される。ここで、B:バックライト輝度(cd/m^(2) )、G:ゲイン、W:ゲイン1における白表示輝度、K:ゲイン1における黒表示輝度(=W/コントラスト)、S_(RGB) :入力信号(0?255)、γ:ガンマ値、である。図5(a)及び図5(b)は、各バックライト輝度レベルにおける、入力RGB信号レベルと画面輝度との関係を示した図である。
【0032】図6(a)及び図6(b)は、バックライトレベル1?3の全範囲を用いて8bit表示を行った場合の、階調信号R’G’B’と画面輝度との関係を示した図である。
【0033】階調信号R’G’B’のレベルS_(R'G'B')と画面輝度Bとの関係は、
B=K_(min) +[W_(max) -K_(min) ]×(S_(R'G'B')/255)^(γ) (2)
で表される。ここで、W_(max) は最大白表示輝度、K_(min) は最小黒表示輝度であり、本実施形態ではそれぞれ、レベル3における白表示輝度(750cd/m^(2) )、レベル1における黒表示輝度(0.25cd/m^(2 ))である。各レベルの白、黒表示輝度から階調信号R’G’B’における各レベルの表示可能信号範囲を求めることができ、レベル1では0?74、レベル2では12?154、レベル3では22?255となる。
【0034】バックライト輝度を制御する本発明において、入力信号RGBは階調信号R’G’B’に他ならないから、(1)、(2)式を用いてLCDドライバに入力すべき階調信号R”G”B”を求めることができる。入力階調信号R’G’B’とLCD出力用階調信号R”G”B”との関係を図7に示す。γ値が1でない場合には両者は非線形の関係となるが、実際には図7に示すようにほぼ線形の関係で近似できるため、階調変換処理は小規模な回路で実現可能である。
【0035】次に、階調変換処理後に行う階調補正方法について、これまでに述べてきたバックライト輝度レベルの決定方法とともに具体的に説明する。
【0036】図8は、フレームメモリに蓄積された画像に対応した入力RGB信号レベルについて、図2(a)の画素領域毎に平均輝度階調を算出した結果の一例を示した図である。RGB信号と信号輝度レベルYとの関係は、各RGB信号の視感度を考慮して
Y=0.30R+0.59G+0.11B (3)
のように表すことができる。(3)式の係数は、RGB各色度点と白色点、すなわち表示系の仕様により決定される。また、誤差は増えるが、計算負荷を軽減するために、視感度の高いG値で代替することも可能である。
【0037】本実施形態においては、2×2画素領域がバックライト単位領域に相当(図2参照)しており、図8からバックライト領域毎に平均輝度が図10(a)のように算出できる。同様に、画素領域毎の信号レベルの最大値、最小値から、バックライト領域上のRGB信号の最大値、最小値が算出可能である。
【0038】バックライト各領域の輝度レベルは、これら平均、最大、最小輝度信号レベルから、図9に示すような手順で決定される。
【0039】すなわち、例えば平均輝度信号レベルに基づいて適当なバックライト輝度レベルを選択し、他のパラメータ(ここでは最大、最小値)が、選択されたバックライト輝度レベルにおける表示可能信号レベル範囲に収まるかどうかを判断する。いずれかのパラメータが範囲外の場合は、繰り返し処理によりバックライト輝度レベルが選択される。全てのパラメータがいずれのバックライト輝度レベルにおいても表示可能信号レベル範囲に含まれない場合には、最小値もしくは最大値のいずれかが含まれるようなバックライト輝度レベルを選択する。最大値、最小値のうちどちらを優先的に範囲内とするかは任意であり、自動或いは手動で判断基準を切り替えても良い。自動的に切り替える際の一方針としては、平均輝度信号レベルが表示可能信号レベル範囲中央に最も近く位置するようなバックライト輝度レベルを選択する、等があげられる。固定の場合は、視感度的に敏感な最小値側を優先するのが一般的に望ましいが、表示画像の絵柄にも依存するので一概には言えない。
【0040】本実施形態では、図10(a)に示したようなバックライト領域毎のRGB表示平均輝度信号レベルから、図10(b)に示したようなバックライト輝度レベルを選択した。
【0041】フレームメモリから順次読み出されたRGB信号レベルは、各照明領域のバックライト輝度レベル情報(図10(b)参照)から、図7に示すような関係に基づいて階調変換が行われる。しかしながら、以下に示すような理由により、階調補正処理を行う必要が生じる。
【0042】図11は、図10(b)において輝度レベル1を選択した領域[2,2]と、[2,2]の画面下側に位置し、輝度レベル3を選択した領域[3,2]の白表示時における輝度の空間分布を模式的に示した図である。
【0043】バックライト輝度を領域毎に変調すると、照明領域間のクロストークにより、ある画素領域を照明するバックライト輝度には、直下のバックライト領域輝度だけではなく、隣接照明領域の輝度が重畳される。すなわち、隣接領域からの照明光の回り込みにより、階調変換に使用したバックライト輝度から実際のバックライト輝度がずれる(照明誤差)という現象が生ずる。
【0044】図11では、簡単のために二つの領域間のスロストークを示したが、実際には図10(b)に示すよう[2,2]領域の周囲の領域すなわち、[1,1]、[1,2]、[1,3]、[2,1]、[2,3]、[3,1]、[3,2]、[3,3]において選択された輝度レベルの組み合わせにより、実際のバックライト輝度分布が決定される。照明領域の分割数、領域面積、バックライトの設計等によってクロストークが決定されるため、条件によっては、隣接領域以外の照明領域における輝度レベル変化の影響を受けることもあり得る。例えば、ある画素領域について輝度レベル1を選択したバックライトの実輝度が、階調変換時の輝度データに対して20%の誤差を含む(20%輝度が高い)場合には、図12に示すように2?5階調程度の階調変換誤差が生じ、画素領域間の擬似輪郭や階調反転などの妨害として視認されることになる。
【0045】照明誤差による階調変換誤差を補償するため、本実施形態では図3に示すように、階調補正用LUT20を使用して階調補正回路21により最終的なLCDドライバ用信号R”G”B”を出力するようにした。階調補正用LUT20には、画素領域毎に、あるバックライト照明領域の輝度レベルとそれに隣接するバックライト照明領域の輝度レベルの組み合わせに対応した階調補正テーブルデータが格納されており、バックライトの輝度レベル情報を参照しながら階調補正量を決定するようになっている。
【0046】以上のように、バックライト輝度レベルに応じた階調補正を施すことにより、妨害の無い表示が可能となる。バックライト輝度制御を行わない従来の表示(白輝度250cd/m^(2) 、コントラスト200)に対し、本実施形態においては、白輝度750cd/m^(2) 、実効コントラスト3000の、高品位な表示を行うことが可能となる。」
「【0048】図13は、図1における主としてバックライト12の構造を模式的に示した図である。本例では、冷陰極蛍光管101を複数本、LCD11直下に配置した直下型構造となっている。
【0049】バックライト12の各照明領域は、図13に示すように、反射板を兼ねた不透明な隔壁102によって仕切られており、隔壁を突き抜ける形で冷陰極蛍光管101が配置されている。特に図示していないが、これら蛍光管101を定常点灯した場合、隔壁102の影などは生じずに、面内でほぼ均一にLCD11を照明する。また、蛍光間102下には、輝度調節用のLED(図示省略)が各領域内に配置されている。
【0050】図14は、バックライト12の断面構造を示した図である。本例においては、通常の直下型バックライト構造と同様に、反射板の上方に冷陰極蛍光管を配置し、さらにその上方に、輝度を均一化するための第1拡散シート、正面輝度ゲイン向上用のプリズムシート、第2拡散シートを配置するとともに、蛍光管直下に白色のLEDチップ103を配置している。このLED103には、正面光度の高いレンズタイプでは無く、視角の広い、いわゆるオーバルタイプのLEDを使用している。
【0051】このように、従来光取り出し効率の悪かった蛍光管の直下にLEDを配置することで、蛍光管の光利用効率の低下が抑制されるとともに、LEDの影などが輝度の均一性に影響を及ぼすことが防止される。また、LEDからの発光が蛍光管の存在する法線方向に抑制された出射分布をとるので、両者の光利用効率を最大限に活用することができる。
【0052】図15は、蛍光管101とLED103の点灯方法について示した図である。本例では、図15に示すように、蛍光管101をインバータ回路104によって定常点灯とし、B/L輝度制御回路105(図3におけるB/L輝度制御回路18に対応)によりLED103で輝度制御を行うようにした。LED103の輝度制御は制御信号に従って行われ、照明領域毎にセグメント的に制御される。照明輝度の最も低いバックライト輝度レベル1では、蛍光管101のみが点灯しており、LEDは発光しない。輝度レベル2及び輝度レベル3において、LED103への電流量を制御することで、2段階にLED103の発光強度を制御し、所望のバックライト輝度が得られる。
【0053】このような点灯方式をとることで、照明均一性及び色度均一性に優れた蛍光管により全体の照明均一化を行うことができるとともに、蛍光管は定常点灯されるため複数のインバータ回路を必要としない。また、応答性に優れるとともに、直流点灯によって制御性に優れたLEDを、効果的に輝度向上目的で使用可能となる。さらには、本点灯方式と従来のバックライト定常点灯方式の切り換えが容易になるため、使用目的に応じて適宜表示方法を選択することが可能となる。
【0054】なお、図15では特に明示しなかったが、照明領域内のLEDの電流量を個別に調整することにより、LED点灯時における照明領域内の輝度均一性を向上させることが可能である。
【0055】図16は、白色LED(日亜化学製 NSPW300PS)と冷陰極蛍光管(ハリソン電機製 225L3PFJ)を組み合わせた場合の発光スペクトル分布と、TFT-LCD内に設けられた代表的なカラーフィルタの分光透過率特性を示した図である。」
「【0065】また、本手法は、白色LEDだけでなく、RGBそれぞれのLEDを配置した場合にも有効である。図19は、RGB各色のLEDの発光スペクトル、冷陰極管の発光スペクトル、RGBカラーフィルタの分光透過率を示した図である。本構成においては、各色のLEDの発光強度を独立に制御可能であるので、図20に示すように、LEDによる白色点を蛍光管の白色点に一致させることは容易である。」
「【0069】(実施形態3)図25は、本発明の第3の実施形態における主要部の構成を示した図である。本実施形態は、バックライト光源に冷陰極管を用いず、白色LED121のみで複数の照明領域を構成したことを特徴とする。本実施形態では、冷陰極管及びインバータを使用しないので、光源の軽量化及び単純化が図れる。」
「【0075】
【発明の効果】本発明によれば、広いダイナミックレンジを有する高品位の画像を表示することが可能となる。」
イ 図面の記載
「【図1】


「【図2】


「【図3】


「【図10】


「【図11】


「【図13】


「【図14】


「【図25】


ウ 甲第1号証記載の発明
上記ア及びイの記載によると、甲第1号証には、以下の発明(以下、「甲1-1発明」という。)が記載されていると認められる。
「各々が制御可能な光出力を有するLED、及び、定常点灯する冷陰極蛍光管101の3×4領域の2次元アレイを備える光源であるバックライト12と、
バックライト12からの光を変調するように配置された複数の画素を備え、バックライト12が有するLEDよりも多くの制御可能な画素を有している空間光変調器であるLCD11と、
RGB入力画像信号の近似である3×4領域の画像信号を算出し、バックライト12の各領域に応じたLEDを駆動して、該画像信号を提供するようにバックライト12と接続されている照明輝度制御部、及び、照明輝度制御部で算出したバックライト輝度情報に基づき、LCD11の画素を駆動して、表示される画像を妨害の無いRGB入力画像信号に応じた画像に近づけるようにLCD11と接続されている画像信号変換部とを備え、
バックライト12は、反射板の上方に冷陰極蛍光管101を配置し、さらにその上方に、輝度を均一化するための第1拡散シート、正面輝度ゲイン向上用のプリズムシート、第2拡散シートを配置するとともに、冷陰極蛍光管101直下に白色のLEDチップ103を配置している、
表示装置。」

また、上記ア及びイの記載によると、甲第1号証には、以下の発明(以下、「甲1-2発明」という。)も記載されていると認められる。
「LED及び定常点灯する冷陰極蛍光管101の3×4領域の2次元アレイ備える光源であるバックライト12の光出力を制御するとともに、光源であるバックライト12からの光を変調するように配置されて、バックライト12が有するLEDよりも多くの制御可能な画素を有しているLCD11の制御可能な画素の光通過を制御するために接続可能な表示装置の制御を行う部分であって、
バックライト12は、反射板の上方に冷陰極蛍光管101を配置し、さらにその上方に、輝度を均一化するための第1拡散シート、正面輝度ゲイン向上用のプリズムシート、第2拡散シートを配置するとともに、冷陰極蛍光管101直下に白色のLEDチップ103を配置しており、
バックライト12のLEDの光出力を制御して、RGB入力画像信号の近似である3×4領域の画像信号を提供するために第1の制御信号を生成し、
バックライト輝度情報に基づき、LCD11の画素を駆動して、表示される画像を妨害の無いRGB入力画像信号に応じた画像に近づける第2の制御信号を生成するように構成されている、
表示装置の制御を行う部分。」

さらに、上記ア及びイの記載によると、甲第1号証には、以下の発明(以下、「甲1-3発明」という。)も記載されていると認められる。
「ダイナミックレンジを拡大するものであり、
LED及び定常点灯する冷陰極蛍光管101の3×4領域の2次元アレイ備える光源であるバックライト12の光出力を制御するとともに、光源であるバックライト12からの光を変調するように配置されて、バックライト12が有するLEDよりも多くの制御可能な画素を有しているLCD11の制御可能な画素の光通過を制御するために接続可能な表示装置の製造方法であって、
バックライト12は、反射板の上方に冷陰極蛍光管101を配置し、さらにその上方に、輝度を均一化するための第1拡散シート、正面輝度ゲイン向上用のプリズムシート、第2拡散シートを配置するとともに、冷陰極蛍光管101直下に白色のLEDチップ103を配置しており、
バックライト12のLEDの光出力を制御して、RGB入力画像信号の近似である3×4領域の画像信号を提供するために第1の制御信号を生成し、
バックライト輝度情報に基づき、LCD11の画素を駆動して、表示される画像を妨害の無いRGB入力画像信号に応じた画像に近づける第2の制御信号を生成するように構成されている、
表示装置の製造方法。」

(イ)甲第7号証(特開2000-275605号公報)
甲第7号証には、次の事項が記載されている。
ア 発明の詳細な説明の記載
「【0048】次に、本発明の第5実施形態に係る液晶表示装置について説明する。図17は本発明の第5実施形態を示した図である。本発明の第5実施形態の特徴は、高輝度表示を実現する場合に適した直下型照明構造となっている点である。本第5実施形態では照明領域は白色の隔壁704で仕切られており、各照明領域においては図18に示すようにR発光LED701、G発光LED702、B発光LED703が千鳥状に配置されている。画面の短辺方向から見た照明領域間のLEDと隔壁との配置状態が、図19の断面図に示されている。
【0049】一方、同一照明領域である画面長辺方向から見た断面図である図20では、点光源である各LEDからの発光を画面均一発光に変換するため、レンズ拡散シート704は図に示すようなPMMA製光路制御レンズシート801と拡散シート802より構成されることになる。この第5実施形態においては、1つのLEDチップを1つのLEDモールドレンズパッケージに納めたLEDを光源として用いた例を示したが、第3実施形態で説明したようなR,G,B発光LEDチップを1つのLEDモードレンズパッケージに収め、高輝度表示を必要とする屋外用ディスプレイや車載用ディスプレイに本発明を適用することが可能である。
【0050】なお、本発明では、画面領域毎に表示色を切り換えるためにRGB画像の情報を複数領域に分割、合成するためのマルチプレクサ回路を設け、例えば各RGB画像の画面上部、中央部、下部の3つの領域について入れ子にすることで各サブフィールド(前記RGBフィールドに相当する期間)を形成する。例えば、第1サブフィールドをR画像上部、G画像中央部、B画像下部というように複数のRGB3原色の画像情報を用いて一つのサブフィールド情報が形成されるようにする。一方、バックライトは各サブフィールドにおいて画像情報に対応する照明色を選択し、各表示領域毎に同期させて点灯する。画面の分割数はバックライトの照明分割数以下であればよく、概ね20?50分割であることが望ましい。色割れ妨害を低減させるためには分割数を増やすことが望ましい。
【0051】更に、表示領域間で異なる色情報の画像を表示させる場合、表示領域境界でバックライトの照明色の混合が生じて、表示再現域や分割妨害が生じる可能性がある。この妨害を低減させるためにはバックライトの照明期間に消灯期間を設け、あるデューティ比によって点灯する際、異なる照明色が隣り合う領域間で同時に点灯しないようにすれば良い。即ち、異なる表示領域間には消灯した表示領域が少なくとも1領域以上含まれるようにすることが望ましい。この方法を実現する手段として、画像の書き換えを飛び越しにより行う方法が有効である。」
イ 図面の記載
「【図17】


「【図19】


「【図20】



ウ 甲第7号証記載の発明
上記ア及びイの記載によると、甲第7号証には、以下の発明(以下、「甲7発明」という。)が記載されていると認められる。
「PMMA製光路制御レンズシート801、及び、拡散シート802を有するレンズ拡散シート705を、各LED701、702、703により構成される光源の上方に配置した液晶表示装置。」

(1)-2 訂正特許発明1?6、8、10?13、17?30、32、36、37、39?41、47に対して
(ア)対比
訂正特許発明1と甲1-1発明とを対比する。
ア 甲1-1発明の「各々が制御可能な光出力を有するLED、及び、定常点灯する冷陰極蛍光管101の3×4領域の2次元アレイを備える光源であるバックライト12」は、訂正特許発明1の「各々が制御可能な光出力を有する発光素子の2次元アレイを備える光源」に相当する。

イ 甲1-1発明の「バックライト12からの光を変調するように配置された複数の画素を備え、バックライト12が有するLED103よりも多くの制御可能な画素を有している空間光変調器であるLCD11」は、訂正特許発明1の「光源からの光を変調するように配置された複数の制御可能な素子を備える空間光変調器であって、前記光源が有する発光素子よりも多くの制御可能な素子を有している、前記空間光変調器」に相当する。

ウ 甲1-1発明の「照明輝度制御部」及び「画像信号変換部」は、両者で訂正特許発明1の「コントローラ」に相当するから、甲1-1発明の「RGB入力画像信号の近似である3×4領域の画像信号を算出し、バックライト12の各領域に応じたLEDを駆動して、該画像信号を提供するようにバックライト12と接続されている照明輝度制御部、及び、照明輝度制御部で算出したバックライト輝度情報に基づき、LCD11の画素を駆動して、表示される画像を妨害の無いRGB入力画像信号に応じた画像に近づけるようにLCD11と接続されている画像信号変換部」と、訂正特許発明1の「光源の前記発光素子を駆動して所望の画像の近似を提供するとともに、前記空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し、その計算した強度に基づき前記空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動して、得られる画像を前記所望の画像に近づけるように接続されているコントローラ」とは、「光源の前記発光素子を駆動して所望の画像の近似を提供するとともに、前記空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動して、得られる画像を前記所望の画像に近づけるように接続されているコントローラ」で一致する。

エ 甲1-1発明の「第2拡散シート」は、訂正特許発明1の「ディフューザ」に相当する。
また、甲1-1発明の「プリズムシート」と訂正特許発明1の「投影する光学系」とは、「光学系」である点で共通する。
そして、甲1-1発明の「空間光変調器であるLCD11」は、「バックライト12から」達する「光を変調する」ものであるから、甲1-1発明の「バックライト12は、反射板の上方に冷陰極蛍光管101を配置し、さらにその上方に、輝度を均一化するための第1拡散シート、正面輝度ゲイン向上用のプリズムシート、第2拡散シートを配置するとともに、冷陰極蛍光管101直下に白色のLEDチップ103を配置している」構成と、訂正特許発明1の「ディフューザと、前記光源からの光が前記ディフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系とを備えた」構成とは、「ディフューザと、前記光源からの光が前記ディフューザを通過して前記空間光変調器に達するようにする光学系とを備えた」構成で一致する。
なお、一般に、「投影する」とは、「物の影を平面に映し出すこと」(大辞林 小学館 第一版<増補・新装版>第一刷)、「物の影が平面上に映ること。又、平面上に映し出すこと」(明鏡国語辞典 大修館書店 初版)であるところ、甲1-1発明の「プリズムシート」は単に光を偏向するものであって、平面に物の影を映し出すものではないから、甲1-1発明の「プリズムシート」は訂正特許発明1の「投影する光学系」に相当するとはいえない。
また、平成28年2月2日の第1回口頭審理調書における「訂正後の請求項1に係る「前記光源からの光が前記ディフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」は、焦点を有する収束光学系を意味するものであり、プリズムシートは含まない。 」との被請求人の陳述からみても、甲1-1発明の「プリズムシート」は訂正特許発明1の「投影する光学系」に相当するとはいえない。

オ 甲1-1発明の「表示装置」は、訂正特許発明1の「ディスプレイ」に相当する。

上記アないしオの対比から、訂正特許発明1と甲1-1発明とは、
「各々が制御可能な光出力を有する発光素子の2次元アレイを備える光源と、
前記光源からの光を変調するように配置された複数の制御可能な素子を備える空間光変調器であって、前記光源が有する発光素子よりも多くの制御可能な素子を有している、前記空間光変調器と、
前記光源の前記発光素子を駆動して所望の画像の近似を提供するとともに、前記空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動して、得られる画像を前記所望の画像に近づけるように接続されているコントローラと、
ディフューザと、
前記光源からの光が前記ディフューザを通過して前記空間光変調器に達するようにする光学系とを備えたディスプレイ。」で一致し、以下1-1の点で相違する。

(相違点)
1-1 「空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動」する際に、訂正特許発明1は、「前記空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し、その計算した強度に基づき」行っており、「光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」「を備えた」ものであるのに対し、甲1-1発明は、「照明輝度制御部で算出したバックライト輝度情報に基づき」行っており、ディフューザと空間光変調器とに「投影する光学系」を備えていない点。

(イ)判断
甲7発明の「PMMA製光路制御レンズシート801」は、上記「第6」「2」「(1)」「(1)-2」「(ア)」「エ」で述べた甲1-1発明の「プリズムシート」と同様に、平面に物の影を映し出す焦点を有する光学系ではなく、単に光を偏向させるものであるから、訂正特許発明1の「投影する光学系」に相当するとはいえない。
そうすると、請求人が提示した全ての証拠には、訂正特許発明1の「ディスプレイ」において、「光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」「を備えた」点が記載されていない。
よって、訂正特許発明1は、甲1-1発明とはいえないし、甲1-1発明及び甲7発明から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
仮に、空間光変調器を備えたディスプレイにおいて、光源からの光をディフューザと空間光変調器とに投影する光学系を設けることが周知技術であったとしても、甲1-1発明は、「照明輝度制御部で算出したバックライト輝度情報に基づき、LCD11の画素を駆動」するものであるから、訂正特許発明1の「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算」するものとは異なるものである。
しかも、訂正特許発明1は、「光源からの光が前記ディフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」を設けたものであるから、「ディフューザ」及び「光学系」の影響も考慮して、「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し」ており、甲1-1発明及び周知技術から、このような計算方法を想到することは困難である。
よって、訂正特許発明1は、甲1-1発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、訂正特許発明2?6、8、10?13、17?30、32、36、37、39?41、47は、訂正特許発明1の構成要件を全て備えたものであって、訂正特許発明1が、甲1-1発明とはいえないし、甲1-1発明、甲7発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、訂正特許発明1と同様に、甲1-1発明とはいえないし、甲1-1発明、甲7発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(1)-3 訂正特許発明48?54に対して
(ア)対比
訂正特許発明48と甲1-2発明とを対比すると、訂正特許発明1と甲1-1発明との対比と同様の手法及び結果により、両者は、
「発光素子の2次元アレイを備える光源の光出力を制御するとともに、前記光源からの光を変調するように配置されて、前記光源が有する発光素子よりも多くの制御可能な素子を有している空間光変調器の制御可能な素子の光透過を制御するために接続可能なディスプレイコントローラであって、
ディスプレイはディフューザと、前記光源からの光が前記ディフューザを通過して前記空間光変調器に達するようにする光学系とを備え、
前記光源の前記発光素子の光出力を制御して所望の画像の近似を提供するための第1の制御信号を生成し、
前記空間光変調器の前記制御可能な素子の光透過を制御して、得られる画像を前記所望の画像に近づける第2の制御信号を生成するように構成されているディスプレイコントローラ。」で一致し、以下1-2の点で相違する。

(相違点)
1-2 「空間光変調器の前記制御可能な素子の光透過を制御して、得られる画像を前記所望の画像に近づける第2の制御信号を生成する」際に、訂正特許発明48は、「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算」しており、「光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」を備えているのに対し、甲1-2発明は、「バックライト輝度情報に基づき、LCD11の画素を駆動」しており、ディフューザと空間光変調器とに「投影する光学系」を備えていない点。

(イ)判断
上記相違点は、上記「第6」「2」「(1)」「(1)-2」「(ア)」で述べた訂正特許発明1と甲1-1発明との1-1の相違点と同様のものであるから、上記「第6」「2」「(1)」「(1)-2」「(イ)」で検討した理由と同様の理由により、訂正特許発明48?54は、甲1-2発明とはいえないし、甲1-2発明及び甲第7発明から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(1)-4 訂正特許発明55?62に対して
(ア)対比
訂正特許発明55と甲1-3発明とを対比すると、訂正特許発明1と甲1-1発明との対比と同様の手法及び結果により、両者は、
「高いダイナミックレンジの画像の表示方法であって、
第1の画像データの組によって決定される明度を有するように個々に制御可能な発光素子のアレイを備える光源を制御して、所望の画像の近似を提供し、
各々が制御可能な透過度を有している制御可能な素子のアレイを備える空間光変調器であって、前記光源が有する発光素子よりも多くの制御可能な素子を有している前記空間光変調器の面を前記発光素子のアレイからの光によって照射し、
前記発光素子のアレイからの光が、光学系によってディフューザを通過して前記空間光変調器に達するようにされ、
前記空間光変調器の前記制御可能な素子の透過度を第2の画像データの組によって制御して、得られる画像を前記所望の画像に近づけること
を含む方法。」で一致し、下記1-3の点で相違する。

(相違点)
1-3 「空間光変調器の前記制御可能な素子の透過度を第2の画像データの組によって制御」する際に、訂正特許発明55は、「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し、その計算した強度に基づき」行っており、「光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」を備えているのに対し、甲1-5発明は、「バックライト輝度情報に基づき」行っており、ディフューザと空間光変調器とに「投影する光学系」を備えていない点。

(イ)判断
上記1-3の相違点は、上記「第6」「2」「(1)」「(1)-2」「(ア)」で述べた訂正特許発明1と甲1-1発明との1-1の相違点と同様のものであるから、上記「第6」「2」「(1)」「(1)-2」「(イ)」で検討した理由と同様の理由により、訂正特許発明55?62は、甲1-3発明とはいえないし、甲1-3発明及び甲7発明から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(1)-5 請求人の主張について
請求人は、平成28年1月12日付けの口頭審理陳述要領書第1頁第21行?第2頁第21行において、「甲1の「プリズムシート」が「光源からの光」を「前記ディフューザ」と「前記空間光変調器」との両方に投影するといえるかは、「投影(投影する)」の解釈の仕方、又はディフューザの薄さによる実際的な像形成の形態による」として、以下アないしウの主張をしている。
ア 「被請求人の平成27年12月15日付け口頭審理陳述要領書の第5頁第三段落には『「投影」は、影が平面上にぼんやりとでも映っていたり、焦点が合っていなくても漠然と影の存在を視認できたりといった広い意味も含む』という記載があり、訂正発明1に係る「投影」が、上記の広い意味で解釈されるのであれば、これと同様に甲1の「プリズムシート」は、「光源からの光」を「前記ディフューザ」と「前記空間光変調器」との両方に投影するといえる。」
イ 「被請求人の上記口頭審理陳述要領書の第5頁の第四段落には『「前記光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する」という記載の「投影する」は、光源からの光をディフューザと空間光変調器とに向けて投影した、という投影の方向性を示している。』という記載があり、訂正発明1に係る「投影する」が、上記のように投影の方向性を示す意味で解釈されるのであれば、これと同様に甲1の「プリズムシート」は、「光源からの光」を「前記ディフューザ」と「前記空間光変調器」とに向けて投影するものといえる。」
ウ 「被請求人の上記口頭審理陳述要領書の第5頁末行付近に『またディフューザは薄いのであり、ディフューザに像形成したとしても、実際には空間光変調器に像形成することとほぼ同意である。』という記載があり、この記載に基づき、ディフューザの薄さにより、ディフューザに像形成することと、空間光変調器に像形成することは、実際的には同意になるのであれば、これと同様に甲1の「プリズムシート」も、「光源からの光」を「前記ディフューザ」と「前記空間光変調器」との両方に投影するといえる。」
(アの主張に対して)
上記「第6」「2」「(1)」「(1)-2」「(ア)」「エ」で述べたように、甲1-1発明の「プリズムシート」は単に光を偏向するものであって、平面に物の影を映し出すものではないから、甲1-1発明の「プリズムシート」は訂正特許発明1の「投影する光学系」に相当するとはいえない。
(イの主張に対して)
被請求人の平成27年12月15日付け口頭審理陳述要領書に記載された「投影の方向性」とは、あくまでも「投影」することが前提であるところ、一般に、「投影する」とは、「物の影を平面に映し出すこと」(大辞林 小学館 第一版<増補・新装版>第一刷)、「物の影が平面上に映ること。又、平面上に映し出すこと」(明鏡国語辞典 大修館書店 初版)であって、甲1-1発明の「プリズムシート」は単に光を偏向するものであるから、甲1の「プリズムシート」は、「光源からの光」を「前記ディフューザ」と「前記空間光変調器」とに向けて投影するものとはいえない。
(ウの主張に対して)
甲1-1発明の「プリズムシート」は、単に光を偏向するものであって、像形成するものとはいえないから、「光源からの光」を「前記ディフューザ」と「前記空間光変調器」とに向けて投影するものとはいえない。
請求人の主張については以上のとおり、採用できない。

(2)甲第2号証を主引例とした場合の新規性進歩性の欠如について
(2)-1 引用刊行物
(ア)甲第2号証(特開平10-282470号公報)
甲第2号証には、次の事項が記載されている。
ア 発明の詳細な説明の記載
「【0013】上記のように発光ダイオードをバックライトの光源として用いた場合、輝度の輝度の切り替えを敏速に行うことができるため、画面のフレーム毎に輝度を切り替えることが可能となる。しかしながら、従来のように、バックライトとして放電ランプを用いた場合、フレーム毎に輝度を切り替えることは困難であるため、バックライトの輝度は常に最高の輝度で光らせておき、輝度の低い画像を表示するためには、液晶層により光をある程度の量遮断する必要性が生じる。従って、従来のようにバックライトとして放電ランプを用いると、光を無駄にすることになり、この無駄な光の分だけ消費電力も高くなってしまう。
【0014】次に以下では、発光ダイオードを用いてフレーム毎に輝度を切り替えた場合の本発明の透過型液晶表示装置の駆動方法について説明する。
【0015】本発明の特徴は、図2におけるは表示すべき情報のメモリーおよび演算回路15とバックライトの輝度切り替え回路17にある。この点を、これらの回路でなされる駆動についてフローチャートである図4を用いて説明する。
【0016】メモリーおよび演算回路15に、まず液晶パネルの特性から決定される赤、緑、青のそれぞれの実現可能最大輝度(ここでは、各々R100、G100、及びB100と記載することとする)の数値をストアしておく。
【0017】次に表示すべき1フレーム内の各赤画素、各緑画素、各青画素の表示情報(具体的には輝度の大きさに関する情報)、R(x,y)、G(x,y)、B(x、y)の数値を、液晶表示装置のメモリーおよび演算回路15に対して外部から伝える。このR(x,y)について説明すると、例えばR(1,2)とは(1,2)という座標で与えられた赤の表示を行う画素の輝度に関する情報を示すものとなっている。具体的に説明すると、例えばR100が100(任意単位)という輝度であり、(1,2)という座標において、赤の表示輝度を50(任意単位)としたい場合、このR(1,2)には、実現可能最大輝度に対する実際に表示したい輝度の割合である50%という情報が記録されている。この情報に基づいて光源から照射された光のうちの50%を遮断するように液晶層をコントロールしてやれば、(1,2)という座標において所望の輝度の赤表示を行うことができる。
【0018】ここで、1フレーム中には通常、赤、緑、青の表示を行う画素が各々複数個存在し、それぞれの画素の輝度も異なる。上記の伝達の際に、1フレーム中に複数存在する赤、緑、及び青の画素中で、それぞれの色の最大輝度(絶対値)を演算回路15で比較演算する。この比較演算について説明する。例えば赤の表示を行う画素が100個存在し、この100個の赤の画素には輝度情報として、上記したような50%という情報を持つ画素以外に30%や80%等というように異なる輝度情報を有する画素が存在したとする。上記の100個の情報の中の最大値が80%であった場合には、赤の実現可能最大輝度×80%を最大輝度(絶対値)として求める。上記のようにして比較演算された赤、緑、及び青の最大輝度を、MAXR、MAXG、MAXBとして決定し、記憶させる。
【0019】次に、メモリー15内のR(x,y)、G(x,y)、B(x、y)という輝度情報の変換を行う。具体的には、図に示しているように、演算回路15により、新しい赤、緑、青の表示信号を、R(x,y)×R100/MAXR、G(x,y)×G100/MAXG、B(x,y)×B100/MAXB、により計算し、これに従って駆動波形を計算し、各画素に電圧を印加する。
【0020】上記の計算について具体例とともに、以下に詳細に説明する。前述した例と同じように、例えばR100が100(任意単位)という輝度であり、(1,2)という座標において、赤の表示輝度を50(任意単位)としたい場合、このR(1,2)には、実現可能最大輝度に対する実際に表示したい輝度の割合である50%という情報が記録されている。その後演算により、特定の1フレーム中の赤の最大輝度情報が80%であった場合、MAXR=100(任意単位)×80%=80(任意単位)となる。ここで、R(1,2)×R100/MAXRの計算を行うと、50%×100/80=62.5%となる。すなわち、R(1,2)という輝度情報には、最初50%という情報がもりこまれていたわけであるが、特定のフレームにおける赤の最大輝度を100から80(いずれも任意単位)に変更したために、R(1,2)の輝度情報をこれらにリンクさせて50%から62.5%に変更したわけである。」
「【0024】(実施の形態2)約10インチのカラー表示液晶パネル(ツスティッドネマチック・モード、表示容量VGA、カラーフィルター付き)を公知の手法で製作した。次に、カラー表示液晶パネル部と、バックライト部を、対応してN個の複数の領域に区分、分割する。
【0025】各領域のバックライトは図5の如く形成する。図5は本実施の形態における液晶表示素子の構成断面図を示したものである。同図において、23は液晶セル、24はアクリル導光板、25は突起、26は発光ダイオード群を示している。
【0026】本実施の形態は、上記したように各発光ダイオードの位置に特殊性があるのみで、その他の部分については上記した実施の形態1と同様である。また、本実施の形態における液晶表示装置の駆動方法についても、上記した実施の形態1と同様であり、1フレームにおいて、各色において、各領域において、表示すべき画素情報において、最大輝度値を抽出し、この輝度値になるよう、発光ダイオードへの電力供給を絞り、その分、液晶の透過率を高めるように液晶への電圧を与える。これにより、実施の形態1と同様に、消費電力の削減が図れる。
【0027】しかし、本実施の形態では、上記した実施の形態1の場合と異なり、光源をN個の領域に分割することにより、さらなる効果を得ることができる。この理由について以下詳細に説明する。
【0028】実施の形態1の際と同様に、今、赤の表示を行いたい画素が100個存在し、R100=100(任意単位)であったとする。そして、この100個の赤の表示画素のうち、80(任意単位)の輝度で赤表示を行いたいものが1個で、その他は全て50以下の赤表示を行うものであったとする。ここで、上記の実施の形態1のような駆動を行うと、MAXR=80で赤の発光ダイオードを光らせる必要性が生じる。しかしながら、本実施の形態のように、光源領域を複数に分割すると、たまたま80(任意単位)の画素が含まれている領域の赤の発光ダイオードのみMAXR=80とし、その他の領域の赤の発光ダイオードはMAXR=50としてやればよくなり、実施の形態1と比較して更に消費電力を削減することができる。」
イ 図面の記載
「【図2】


「【図3】


「【図4】


「【図5】












ウ 甲第2号証記載の発明
上記ア及びイの記載によると、甲第2号証には、以下の発明(以下、「甲2-1発明」という。)が記載されていると認められる。
「各々が制御可能な光出力を有する発光ダイオードの2次元アレイを備えるバックライト部と、
バックライト部からの光を変調するように配置された複数の制御可能な画素を備える液晶セルであって、バックライト部が有する発光ダイオードよりも多くの制御可能な画素を有している、液晶セルと、
バックライト部の発光ダイオードを駆動して1フレームに応じた所望の画像の近似を提供するとともに、1フレームの画素の輝度に関する情報に基づいて液晶セルの制御可能な画素に電圧を印加して駆動して、得られる画像を、1フレームに応じた所望の画像に近づける制御を行うようにバックライト部及び液晶セルに接続されている演算回路と、
を備えた液晶表示装置。」

また、上記ア及びイの記載によると、甲第2号証には、以下の発明(以下、「甲2-2発明」という。)が記載されていると認められる。
「発光ダイオードの2次元アレイを備えるバックライト部の光出力を制御するとともに、バックライト部からの光を変調するように配置されて、バックライト部が有する発光ダイオードよりも多くの制御可能な画素を有している液晶セルの制御可能な画素の光透過を制御するために接続可能な演算回路であって、
バックライト部の発光ダイオードを駆動して1フレームに応じた所望の画像の近似を提供するための第1の制御信号を生成し、
1フレームの画素の輝度に関する情報に基づいて液晶セルの制御可能な画素に電圧を印加して駆動して、得られる画像を、1フレームに応じた所望の画像に近づける第2の制御信号を生成する
ように構成されている演算回路。」

さらに、上記ア及びイの記載によると、甲第2号証には、以下の発明(以下、「甲2-3発明」という。)が記載されていると認められる。
「バックライトの輝度は常に最高の輝度で光らせておき、
発光ダイオードの2次元アレイを備えるバックライト部の光出力を制御するとともに、バックライト部からの光を変調するように配置されて、バックライト部が有する発光ダイオードよりも多くの制御可能な画素を有している液晶セルの制御可能な画素の光透過を制御するために接続可能な方法であって、
バックライト部の発光ダイオードを駆動して1フレームに応じた所望の画像の近似を提供するための第1の制御信号を生成し、
1フレームの画素の輝度に関する情報に基づいて液晶セルの制御可能な画素に電圧を印加して駆動して、得られる画像を、1フレームに応じた所望の画像に近づける第2の制御信号を生成する
方法。」

(イ)甲第28号証(「よくわかる液晶ディスプレイのできるまで」)
甲第28号証には、次の事項が記載されている。
ア 本文の記載
「9.3
光学フィルムの種類と特徴^((17))
バックライトは、線光源や面光源の光を効率良くLCDパネルに照射できるように各種の光学フィルムを利用しています。ここでは、代表的な光学フィルムについて述べます。
9-3-1.プリズムシート^((18))
液晶パネルの輝度を向上させるためにプリズムシート(Prism Sheet)を用います。このプリズムシートには(1)屈折型プリズムシート(上向きに設置するプリズムシート)と(2)全反射型プリズムシート(下向きに設置するプリズムシート)があります。
前者の屈折型プリズムシートは熱可塑性^((注1))樹脂シートにプリズム形状を高圧力で転写して形成します。このプリズムシートは頂角90°を持つもので2枚直交して配置して用います。このプリズムシートの下には偏角効果のために下拡散シートを設け、さらに、導光体、反射フィルム等を設けます。このプリズムシート下の導光体には白色ドットパターン^((注2))が印刷され、その散乱効果によって法線からほぼ60°のピークを持って出射した光束1(実際の標記は、数字の1を○で囲ったもの)が下拡散シートの散乱屈折効果によって法線より30°偏角され、さらに、屈折型プリズムシートで法線方向へ偏角されてパネルへ入射されます(図9-9参照)。ここで直交した2枚のプリズムシートによって光の水平、垂直成分がともに法線方向へ集光され、輝度向上になります。ここで、下拡散シートを経た光束のうち、屈折型プリズムシートの法線方向に入射した光束2(実際の標記は、数字の2を○で囲ったもの)が存在します。この光束2(実際の標記は、数字の2を○で囲ったもの)は屈折型プリズムシートの両斜面にあたり、再帰反射して導光体へ戻され、再度、同じ効果によって輝度向上のために再利用されます。このメカニズムは、多くの部材の中を光が通過するためにフルネル反射損失や光の吸収損失等があり、光の利用効率が若干、低くなります。」(第202頁第12行?第204頁第6行)
イ 図面の記載



ウ 甲第28号証記載の事項
上記イの図面の記載によると、反射フィルム上に、白色ドットパターン付きくさび型導光板、拡散シート、互いに直交した2枚のプリズムシート、拡散シートを順に配置したバックライトが見て取れる。
上記ア及びイの記載によると、甲第28号証には、以下の事項が記載されていると認められる。
「液晶パネルのバックライトにおいて、反射フィルム上に、白色ドットパターン付きくさび型導光板、拡散シート、互いに直交した2枚のプリズムシート、拡散シートを順に配置した事項。」

(ウ)甲第29号証(特開2000-10095号公報)
甲第29号証には、次の事項が記載されている。
ア 発明の詳細な説明の記載
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透過形の表示装置に使用されるバックライトユニット、及びそれを用いた液晶表示装置に関するものである。」
「【0016】図1は、本発明のバックライトユニットに於ける実施例を示す断面図を示すものである。図1において、導光板1の裏面には光均斉化のためのドットパターンが形成され、その面上には反射シート2が配置されている。導光板1の表面側(出射光面側)には、拡散シート3と、一枚以上のプリズムシート4が順番に重ねられた状態で配置されている。更に前記プリズムシート4の上部には、厚さが0.2mm以上の拡散シート(拡散板)5が前記プリズムシート4を全面を覆って配置されている。また、導光板1の側面部には蛍光ランプ6がランプリフレクター7によって導光板1の入光側を除いて覆われた状態で配置されている。以上の部材は枠体(ハウジング)8に装着保持される構成となっている。
【0017】この構成に於いて用いる最上部の拡散シート(拡散板)5は、プリズムシートによる視角を狭くする暗黒反転現象の軽減及びプリズムシートの傷付き防止の効果と共に、プリズムシート4が熱や湿度により変形し輝度ムラ現象を起こすことを防止するため通常の厚みよりもベース厚を上げた0.2mm以上のものを採用している。」
イ 図面の記載
「【図1】



ウ 甲第29号証記載の事項
上記ア及びイの記載によると、甲第29号証には、以下の事項が記載されていると認められる。
「液晶表示装置のバックライトにおいて、裏面にドットパターンが形成され、反射シート2が配置された導光板1の表面側に、拡散シート3と、プリズムシート4が順番に重ねられ、プリズムシート4の上部には、拡散シート5が配置されている事項。」

(エ)甲第30号証(特開平10-133588号公報)
甲第30号証には、次の事項が記載されている。
ア 発明の詳細な説明の記載
「【0022】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)液晶表示装置の照明装置であるバックライト装置の実施形態1を図1から図3により説明する。図1は実施形態1のバックライト装置の分解斜視図である。
【0023】図1のフレーム1には、拡散シート2、プリズムシート3、プリズムシート4、拡散シート5、導光板6と反射シート7が順次位置決めされる。次に、管状光源のランプを保持したランプホルダー8を矢印A方向に差し込む。最後に、バックカバー9が、フレーム1に数箇所(図1では5箇所)タッピングねじ10でねじ止めされる。液晶パネルは、図1では、フレーム1の下側(光の出射方向)に取付けられる。
【0024】図2は、図1の組立て終了後の平面図である。
【0025】図3(a)は、図2のD-D断面図、図3(b)は、図2のE-E断面図である。図3の1はフレームであり、2は拡散シート、3はプリズムシート、4もプリズムシート、5は拡散シートである。6は導光板、7は反射シート、8はランプホルダー、11はランプ、9はバックカバーである。
【0026】拡散シート2、5はポリカーボネイト、プリズムシート3、4はポリエステル等で形成された薄いシート状のものである。
【0027】プリズムシート3、4は、バックライトの発光輝度の指向性を液晶表示装置の正面方向に強めるための光学シートで、50μmほどのピッチ、頂角が概ね90度のプリズム形状に配列した薄いシートである。
【0028】拡散シート2、5およびプリズムシート3、4は、1枚ずつ使用したり、2枚ずつ使用したり、どちらかが2枚で、もう片方が1枚で使用されることもある。また、プリズムシートの代わりにウエーブシートが使用されることもある。
【0029】図3に示すように、透明な導光板6の端部にランプ11が配置され、それを覆うようにランプホルダー8が配置される。透明な導光板6の底面(反射シート7側)には、ランプ11から距離が離れるほど密となる拡散反射パターン物が施され、これによりランプ11からの光束を拡散面光源として透明な導光板6の上面(拡散シート2等の側)より射出することができる。」
イ 図面の記載
「【図3】
(a)


ウ 甲第30号証記載の事項
上記ア及びイの記載によると、甲第30号証には、以下の事項が記載されていると認められる。
「液晶表示装置のバックライト装置において、フレーム1に、拡散シート2、プリズムシート3、プリズムシート4、拡散シート5、導光板6と反射シート7が順次位置決めされる事項。」

(オ)周知技術
上記(イ)ないし(エ)の記載からみて、下記の周知技術が認定できる。
「液晶パネルのバックライトにおいて、導光板上に、拡散シート、プリズムシート、拡散シートが順に配置されること。」

(2)-2 訂正特許発明1?6、8、10?13、17?30、32、36、37、39?41、47に対して
(ア)対比
訂正特許発明1と甲2-1発明とを対比する。
ア 甲2-1発明の「各々が制御可能な光出力を有する発光ダイオードの2次元アレイを備えるバックライト部」は、訂正特許発明1の「各々が制御可能な光出力を有する発光素子の2次元アレイを備える光源」に相当する。

イ 甲2-1発明の「バックライト部からの光を変調するように配置された複数の制御可能な画素を備える液晶セルであって、バックライト部が有する発光ダイオードよりも多くの制御可能な画素を有している、液晶セル」は、訂正特許発明1の「光源からの光を変調するように配置された複数の制御可能な素子を備える空間光変調器であって、前記光源が有する発光素子よりも多くの制御可能な素子を有している、前記空間光変調器」に相当する。

ウ 甲2-1発明の「バックライト部の発光ダイオードを駆動して1フレームに応じた所望の画像の近似を提供するとともに、1フレームの画素の輝度に関する情報に基づいて液晶セルの制御可能な画素に電圧を印加して駆動して、得られる画像を、1フレームに応じた所望の画像に近づける制御を行うようにバックライト部及び液晶セルに接続されている演算回路」と、訂正特許発明1の「光源の前記発光素子を駆動して所望の画像の近似を提供するとともに、前記空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し、その計算した強度に基づき前記空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動して、得られる画像を前記所望の画像に近づけるように接続されているコントローラ」とは、「光源の前記発光素子を駆動して所望の画像の近似を提供するとともに、前記空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動して、得られる画像を前記所望の画像に近づけるように接続されているコントローラ」で一致する。

エ 甲2-1発明の「液晶表示装置」は、訂正特許発明1の「ディスプレイ」に相当する。

上記アないしエの対比から、訂正特許発明1と甲2-1発明とは、
「各々が制御可能な光出力を有する発光素子の2次元アレイを備える光源と、
前記光源からの光を変調するように配置された複数の制御可能な素子を備える空間光変調器であって、前記光源が有する発光素子よりも多くの制御可能な素子を有している、前記空間光変調器と、
前記光源の前記発光素子を駆動して所望の画像の近似を提供するとともに、前記空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動して、得られる画像を前記所望の画像に近づけるように接続されているコントローラと
を備えたディスプレイ。」で一致し、下記2-1の点で相違する。

(相違点)
2-1 「空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動」する際に、訂正特許発明1は、「前記空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し、その計算した強度に基づき」行っており、「ディフューザと、前記光源からの光が前記ディフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系とを備えた」構成を有するのに対し、甲2-1発明は、「1フレームの画素の輝度に関する情報に基づいて」行っており、ディフューザと空間光変調器とに「投影する光学系」を備えていない点。

(イ)判断
上記「第6」「2」「(2)」「(2)-1」「(オ)」で認定した上記周知技術の「プリズムシート」は、上記「第6」「2」「(1)」「(1)-2」「(ア)」「エ」で述べた甲1-1発明の「プリズムシート」と同様に、平面に物の影を映し出す焦点を有する光学系ではなく、単に光を偏向させるものであるから、訂正特許発明1の「投影する光学系」に相当するとはいえない。
そうすると、請求人が提示した全ての証拠には、訂正特許発明1の「ディスプレイ」において、「光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」「を備えた」点が記載されていない。
よって、訂正特許発明1は、甲2-1発明とはいえないし、甲2-1発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
仮に、空間光変調器を備えたディスプレイにおいて、光源からの光をディフューザと空間光変調器とに投影する光学系を設けることが周知技術であったとしても、甲2-1発明は、「1フレームの画素の輝度に関する情報に基づいて液晶セルの制御可能な画素に電圧を印加して駆動」するものであるから、訂正特許発明1の「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算」するものとは異なるものである。
しかも、訂正特許発明1は、「光源からの光が前記ディフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」を設けたものであるから、「ディフューザ」及び「光学系」の影響も考慮して、「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し」ており、甲2-1発明及び周知技術から、このような計算方法を想到することは困難である。
よって、訂正特許発明1は、甲2-1発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、訂正特許発明2?6、8、10?13、17?30、32、36、37、39?41、47は、訂正特許発明1の構成要件を全て備えたものであって、訂正特許発明1が、甲2-1発明とはいえないし、甲2-1発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、訂正特許発明1と同様に、甲2-1発明とはいえないし、甲2-1発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(2)-3 訂正特許発明48?54に対して
(ア)対比
訂正特許発明48と甲2-2発明とを対比すると、訂正特許発明1と甲2-1発明との対比と同様の手法及び結果により、両者は、
「発光素子の2次元アレイを備える光源の光出力を制御するとともに、前記光源からの光を変調するように配置されて、前記光源が有する発光素子よりも多くの制御可能な素子を有している空間光変調器の制御可能な素子の光透過を制御するために接続可能なディスプレイコントローラであって、
前記光源の前記発光素子の光出力を制御して所望の画像の近似を提供するための第1の制御信号を生成し、
前記空間光変調器の前記制御可能な素子の光透過を制御して、得られる画像を前記所望の画像に近づける第2の制御信号を生成するように構成されているディスプレイコントローラ。」で一致し、下記2-2の点で相違する。

(相違点)
2-2 「空間光変調器の前記制御可能な素子の光透過を制御して、得られる画像を前記所望の画像に近づける第2の制御信号を生成する」際に、訂正特許発明48は、「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算」しており、「光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」を備えているのに対し、甲2-2発明は、「1フレームの画素の輝度に関する情報に基づいて液晶セルの制御可能な画素に電圧を印加」しており、ディフューザと空間光変調器とに「投影する光学系」を備えていない点。

(イ)判断
上記2-2の相違点は、上記「第6」「2」「(2)」「(2)-2」「(ア)」で述べた訂正特許発明1と甲2-1発明との2-1の相違点と同様のものであるから、上記「第6」「2」「(2)」「(2)-2」「(イ)」で検討した理由と同様の理由により、訂正特許発明48?54は、甲2-2発明ではないし、甲2-2発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)-4 訂正特許発明55?62に対して
(ア)対比
訂正特許発明55と甲2-3発明とを対比すると、訂正特許発明1と甲2-1発明との対比と同様の手法及び結果により、両者は、
「高いダイナミックレンジの画像の表示方法であって、
第1の画像データの組によって決定される明度を有するように個々に制御可能な発光素子のアレイを備える光源を制御して、所望の画像の近似を提供し、
各々が制御可能な透過度を有している制御可能な素子のアレイを備える空間光変調器であって、前記光源が有する発光素子よりも多くの制御可能な素子を有している前記空間光変調器の面を前記発光素子のアレイからの光によって照射し、
前記空間光変調器の前記制御可能な素子の透過度を第2の画像データの組によって制御して、得られる画像を前記所望の画像に近づけること
を含む方法。」で一致し、下記2-3の点で相違する。

(相違点)
2-3 「空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動」する際に、訂正特許発明55は、「前記空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し、その計算した強度に基づき」行っており、「ディフューザと、前記光源からの光が前記ディフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系とを備えた」構成を有するのに対し、甲2-3発明は、「1フレームの画素の輝度に関する情報に基づいて」行っており、ディフューザと空間光変調器とに「投影する光学系」を備えていない点。

(イ)判断
上記2-3の相違点は、上記「第6」「2」「(2)」「(2)-2」「(ア)」で述べた訂正特許発明1と甲2-1発明との2-1の相違点と同様のものであるから、上記「第6」「2」「(2)」「(2)-2」「(イ)」で検討した理由と同様の理由により、訂正特許発明55?62は、甲2-2発明ではないし、甲2-3発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)甲第3号証を主引例とした場合の新規性進歩性の欠如について
(3)-1 引用刊行物
(ア)甲第3号証(特開2001-100689号公報)
甲第3号証には、次の事項が記載されている。
ア 特許請求の範囲の記載
「【請求項1】 光源と、該光源からの照明光を変調する光変調器とを備えた表示装置において、前記照明光が分割されており、かつ分割された各照明光ごとにその光量を変調する光量調節手段を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】 前記光量調節手段は、前記分割された各照明光ごとの照明光量を、その照明光により照明される前記光変調器上の領域の表示輝度に応じて調節することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】 前記表示装置が投射型表示装置であることを特徴とする請求項1または2記載の表示装置。
【請求項4】 前記照明光を分割する手段および前記光量調節手段が、前記光変調器を照明する照明系中の該光変調器と実質的に共役な位置に配置された第2の光変調器であることを特徴とする請求項3記載の表示装置。
【請求項5】 前記表示装置が直視型表示装置であることを特徴とする請求項1または2記載の表示装置。
【請求項6】 前記照明光を分割する手段および前記光量調節手段が、前記光変調器の裏面に近接して配置された第2の光変調器であることを特徴とする請求項5記載の表示装置。
【請求項7】 前記光量調節手段により分割された照明光のピッチが前記光変調器の画素ピッチの10倍以上であることを特徴とする請求項1?6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項8】 前記光源を複数個有し、各光源が前記光変調器上の別々の領域を照明することにより、前記照明光が分割されていることを特徴とする請求項5記載の表示装置。
【請求項9】 前記光量調節手段が、前記複数個の各光源を互いに独立に調光する手段であることを特徴とする請求項8記載の表示装置。」
イ 発明の詳細な説明の記載
「【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、あらゆる映像信号に対しても、ダイナミックレンジを拡大し高コントラストな高画質を実現する方式を提案することである。」
「【0007】
【作用】分割された各照明光で、光変調器上の別々の領域を照明し、かつ各照明光の光量をその照明光で照明される領域での表示輝度に応じて調整することにより、光変調器の照明光量を固定した場合に比べて高コントラストで色再現性の良い、高品質の表示を実現することができる。」
「【0009】図1において、1はランプ用リフレクタ、2は発光管(ランプ)、3ははえの目インテグレータ、4はPS変換光学素子、6,24はリレーレンズ、7,9,11,12はミラー、8,10はダイクロミラー、13,14,15はフィールドレンズ、16,17,18は第1の光変調器である液晶パネル、19,20,21は偏光板、22はクロスプリズム、23は投射レンズである。120は照明光を分割するとともに光量を調節(調光)するための第2の光変調器で、例えば液晶パネル等を使用できる。上記光変調器120は、はえの目インテグレータ3のランプ側に極力近接して設けられている。図1において、ランプ側の第1はえの目レンズ3aは、各液晶パネル16,17,18と実質的に共役関係になっており、そのはえの目レンズのアスペクト比は使用している液晶パネル16,17,18と同等のものとなっている。従って液晶パネルへ分割照明を行なうため、光変調器120は第1はえの目レンズ3aに隣接して設けられており、分割照明光が光変調器である液晶パネル16,17,18に結像するようになっている。この配置は、実質的に分割照明可能であればよく、共役位置からのわずかなずれは許容し得る。光変調器として、液晶パネルを用いる時、極力光量ロスを防ぐために、PS変換素子4は、赤外、紫外カットフィルタ101を介してランプ2と第1はえの目レンズ3aとの間に設けられている。」
「【0012】図2は、図1のプロジェクタの電気ブロック図である。図2において、18,17,16は、R、G、B各色表示対応の液晶パネル、54は各液晶パネルに印加する信号と電源を供給するドライバ回路、55はDAコンバータ、56はメモリである。メモリ56は、現状の表示データと次のフレームで表示するデータ等を保持する。57はDSP部で、δ調整、インターレース信号のノンインターレース信号への変換、使用している液晶パネルの画素数と入力信号との画素数とが対応しない場合の解像度変換、および色調整節等の処理だけでなく、照明光変調にともなう各色の信号レベルを算出する演算等を実行する。58はタイミング発生回路、59は電源ON-OFFおよび各種設定を行うリモコンである。60はリモコンからの信号を受け、かつ、各種入力信号切替等を行うための制御パネルである。63はマイコンで、バスを介して、メモリ56、DSP部57、タイミング発生回路58、制御パネル60、電源66、ランプ用バラスト64等の各ブロックが接続され、それら各ブロックの制御を行なっている。バラスト64にはランプ65が接続されている。67はADコンバータ、68はスイッチである。69は信号処理回路で、NTSC信号のデコード、ノイズ低減処理、帯域制限フィルタリングおよび信号レベル調節等の信号処理を行なう。71はPC(パソコン)入力端子、72はNTSC入力端子で、本ブロック図には、アナログ入力信号のみ記載されているが、それに限らず、LVDS、TMDS等の入力端子や、デジタルTV用D3端子等も設けても有効であることは言うまでもない。70は音声回路アンプ、73はスピーカ、74はACインレットである。
【0013】140は光変調器120を駆動するためのデジタル信号をアナログ信号に変換するためのDA変換器で、DA変換が液晶パネル用のDAコンバータ55で対応できる場合は省略できる。141は光変調器用ドライバである。
【0014】本実施例において、光変調器への信号、さらにそれにともなう液晶パネルへの信号をどう処理するかについて、図3を用いて説明する。図3は山へ太陽が沈み、夜空になるシーンを4つに分割したものである。
【0015】時刻t_(1 )の時、第1象限の位置にあたる領域150の最大輝度は8、第4象限の領域151は8、第3象限の領域は100、第2象限の領域153は8となる。分割しない時は、この時刻t_(1) の最大輝度は100となっていたのに対し、152の領域以外は最大輝度レベルが極めて下がっている。したがって、領域150,151,153は、光変調器120を透過する光量(照明光量レベル)を8まで落とし、その照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し印加する。
【0016】時刻t_(2) の画像の場合、160の領域の最大輝度は6、161の最大輝度は6、162の最大輝度は80、163の最大輝度は6、さらに時刻t_(3 )の画像の場合、170の最大輝度は30、171の最大輝度は2、172の最大輝度は2、173の最大輝度は2となる。時刻t_(2 )とt_(3) に移行する場合、第3象限の領域である162から172は最大輝度が80から2へ急速に変化する。このような場合、照明光を急速に変えると、光変調器の応答速度と液晶パネルの応答速度との関係から、連続的な滑らかな表示輝度特性が得られない場合もある。この場合は照明光量を急速に落とさず、滑らかに連続的に変化する駆動方式も有効である。
【0017】さらに分割領域ごとで照明レベルをどこに設定するかについて説明する。
<1>1フィールド(フレーム)中の各領域中の画素の最大輝度をその領域の最大輝度とする方式
この方法は、最大輝度算出としては、最も簡素な方法で画像データをメモリに格納する時にコンパレータを設け、各象限の最大輝度のデータを検出すれば良い。」
「【0027】実施例2
次に図4、図5を用いて本発明の第2の実施例について説明する。図4(a)は、直視型液晶表示装置の断面図で、201a,201bはバックライト、213は発光管、214は導光板、202は拡散板、203は入射光側偏光板、204は液晶セル、205は出射側の偏光板である。入射光側偏光板203、液晶セル204および出射側の偏光板205は偏光板付液晶セルユニット206を構成している。
【0028】図4(b)は、(a)の平面図で、この図から分かるように、表示領域の右側領域215は、バックライト201aにより照明し、左側領域216はバックライト201bにより照明する。右側と左側との境界部217は両者の照明の平均値が照明される。これはバックライト光が拡散板202により拡散することにより平均化される。
【0029】図4(c)は、入射光側偏光素子203の一つの構成例を示す。図4(a)においては、入射光側偏光素子203として単純な偏光板を用いた例を示したが、図4(c)に示すような多層構造の偏光素子を用いるのがより好ましい。図4(c)において、207は剥離ライナ、208は粘着剤、209は偏光板、210は粘着剤、211はコレステリック液晶フィルムで例えば、日東電工のPCF-350や、3M社製DBEF(Dual Brightness Enhancement Film)等が好適である。212は保護フィルムである。上記膜構造体を用いることにより、導光板214からの出射光束のうちS偏光光束もP偏光光束へ変換して液晶セル上に照明することができ、高輝度が達成できる。
【0030】図4(b)の例は、液晶セルの左右にバックライト光源を配置したが、図5に示すごとく、液晶セルの上下にそれぞれ2分割したバックライト201c,201d,201e,201fを設けることにより217に示すような水平方向への分割と、218に示すような垂直方向への分割を行ない、表示画素の分割数を増やすことも可能である。
【0031】実施例3
次に本発明の第3の実施例について図6を用いて説明する。図4と同等箇所は、同一番号で記し、説明は省略する。221は従来使用されている(非分割型の)バックライト、222は透過型のPDLC(高分子分散型液晶)セルである。
【0032】高分子分散液晶セルの上下電極に電圧を印加しない時は、上記液晶セル部で導光板221からの光が拡散して、液晶セル206の角度特性よりユーザーが見る光量は減少する。一方、PDLC222に印加する電圧を徐々に大きくすると、分散された光分子材料と液晶との屈折率差が縮小し、導光板からの光拡散量が減少し、所望の電圧(例えば、10μmギャップの時、11V)で透明体となる。これらの高分子分散液晶セルを分割しておき、液晶セル206への照明光量を領域ごと変更することができた。
【0033】但し、照明ピッチLと液晶セルの画素ピッチpとし、モアレが出にくいピッチに照明ピッチを選択することが好適である。モアレのピッチをmとすると、
【0034】
【数1】
・・・(略)・・・
となる。したがって、照明ピッチLと画素ピッチpとが近い場合、モアレの波長(ピッチ)mが大きくなり目立つ。照明ピッチLを画素ピッチpの10倍以上とすればその時のモアレ波長mは、m≒1.1pで、ほぼ目立たなくなる。よって、照明領域の分割ピッチは少なくとも10倍以上が望ましい。
【0035】
【発明の効果】以上述べたように、直視型の表示装置でも、液晶DMDを用いた投射型表示装置においても、画面上の高輝度領域には、高輝度照明を、低輝度領域には光量を落とした照明を行なうことにより、白はより白く、黒はより黒く、表示画像のダイナミックレンジが拡大し、より高コントラストで、色再現性の良い表示が実現できた。また、ランプ等により、光量を変調する時は、低輝度画面ではランプパワーを抑制できるために、より低消電力比にも役立つ利点を持っている。」
ウ 図面の記載
「【図2】


「【図3】


「【図4】


「【図5】


エ 甲第3号証記載の発明
エ-1 実施例2(図4,5)として記載された発明
上記アないしウの記載によると、甲第3号証には、以下の発明(以下、「甲3-1発明-1」という。)が記載されていると認められる。
「各々が制御可能な照明光を出力する発光管を二行二列の二次元アレイに配置した四つのバックライトで構成されるバックライトユニットと、
バックライトユニットからの照明光を変調するように配置された複数の制御可能な画素を備える液晶セルであって、バックライトユニットが有する発光管よりも多くの制御可能な画素を有している、液晶セルと、
バックライトユニットを構成する各バックライトの発光管を駆動して1フレームに応じた所望の画像の近似を提供するとともに、バックライトの照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し、液晶セルの制御可能な画素に液晶駆動信号レベルを印加して、得られる画像を1フレームに応じた所望の画像に近づけるように接続されているマイコンと、
を備えた表示装置。」

また、上記アないしウの記載によると、甲第3号証には、以下の発明(以下、「甲3-2発明-1」という。)が記載されていると認められる。
「発光管を二行二列の二次元アレイに配置したバックライトユニットの照明光を制御するとともに、バックライトユニットからの照明光を変調するように配置されて、バックライトユニットが有する発光管よりも多くの制御可能な画素を有している液晶セルの制御可能な画素の光透過を制御するために接続可能なマイコンであって、
バックライトユニットの発光管を駆動して1フレームに応じた所望の画像の近似を提供するための第1の制御信号を生成し、
バックライトの照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し、液晶セルの制御可能な画素に液晶駆動信号レベルを印加して、得られる画像を1フレームに応じた所望の画像に近づけるように第2の制御信号を生成する
ように構成されているマイコン。」

さらに、上記アないしウの記載によると、甲第3号証には、以下の発明(以下、「甲3-3発明-1」という。)が記載されていると認められる。
「ダイナミックレンジを拡大し高コントラストな高画質を実現する方法であり、
発光管を二行二列の二次元アレイに配置したバックライトユニットの照明光を制御するとともに、バックライトユニットからの照明光を変調するように配置されて、バックライトユニットが有する発光管よりも多くの制御可能な画素を有している液晶セルの制御可能な画素の光透過を制御するために接続可能な方法であって、
バックライトユニットの発光管を駆動して1フレームに応じた所望の画像の近似を提供するための第1の制御信号を生成し、
バックライトの照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し、液晶セルの制御可能な画素に液晶駆動信号レベルを印加して、得られる画像を1フレームに応じた所望の画像に近づけるように第2の制御信号を生成する
ように構成されている方法。」

エ-2 実施例1(図1)として記載された発明
上記アないしウの記載によると、甲第3号証には、以下の発明(以下、「甲3-1発明-2」という。)が記載されていると認められる。
「発光管2の照明光を変調するように各々が制御可能であり、変調した光出力を有する画素の2次元アレイを備える第2の光変調器120と、
第2の光変調器120からの分割照明光を変調するように配置された複数の制御可能な画素を備える第1の光変調器16、17、18であって、第2の光変調器120が有する画素よりも多くの制御可能な画素を有している、第1の光変調器と、
第2の光変調器120の画素を駆動して1フレームに応じた所望の画像の近似を提供するとともに、バックライトの照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し、第1の光変調器16、17、18の制御可能な画素に液晶駆動信号レベルを印加して、得られる画像を1フレームに応じた所望の画像に近づけるように接続されているマイコン63と、
を備えた表示装置。」

また、上記アないしウの記載によると、甲第3号証には、以下の発明(以下、「甲3-2発明-2」という。)が記載されていると認められる。
「発光管2の照明光を変調するように各々が制御可能であり、変調した光出力を有する画素の2次元アレイを備える第2の光変調器120と、
第2の光変調器120からの分割照明光を変調するように配置された複数の制御可能な画素を備える第1の光変調器16、17、18であって、第2の光変調器120が有する画素よりも多くの制御可能な画素を有している、第1の光変調器とを備えた表示装置のマイコン63であって、
第2の光変調器120の画素を駆動して1フレームに応じた所望の画像の近似を提供するとともに、バックライトの照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し、第1の光変調器16、17、18の制御可能な画素に液晶駆動信号レベルを印加して、得られる画像を1フレームに応じた所望の画像に近づけるように接続されているマイコン63。」

さらに、上記アないしウの記載によると、甲第3号証には、以下の発明(以下、「甲3-3発明-2」という。)が記載されていると認められる。
「ダイナミックレンジを拡大し高コントラストな高画質を実現する方式であり、
発光管2の照明光を変調するように各々が制御可能であり、変調した光出力を有する画素の2次元アレイを備える第2の光変調器120と、
第2の光変調器120からの分割照明光を変調するように配置された複数の制御可能な画素を備える第1の光変調器16、17、18であって、第2の光変調器120が有する画素よりも多くの制御可能な画素を有している、第1の光変調器と、
第2の光変調器120の画素を駆動して1フレームに応じた所望の画像の近似を提供するとともに、バックライトの照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し、第1の光変調器16、17、18の制御可能な画素に液晶駆動信号レベルを印加して、得られる画像を1フレームに応じた所望の画像に近づけるように接続されているマイコン63と、
を備えた表示装置の表示方法。」

エ-3 実施例3(図6)として記載された発明
上記アないしウの記載によると、甲第3号証には、以下の発明(以下、「甲3-1発明-3」という。)が記載されていると認められる。
「バックライト221の照明光を変調するように各々が制御可能であり、変調した光出力を有する画素の2次元アレイを備える高分子分散型液晶セル222と、
高分子分散型液晶セル222からの分割照明光を変調するように配置された複数の制御可能な画素を備える液晶セル206であって、高分子分散型液晶セル222が有する画素よりも多くの制御可能な画素を有している、液晶セル206と、
高分子分散型液晶セル222の画素を駆動して1フレームに応じた所望の画像の近似を提供するとともに、バックライトの照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し、液晶セル206の制御可能な画素に液晶駆動信号レベルを印加して、得られる画像を1フレームに応じた所望の画像に近づけるように接続されているマイコン63と、
を備えた表示装置。」

また、上記アないしウの記載によると、甲第3号証には、以下の発明(以下、「甲3-2発明-3」という。)が記載されていると認められる。
「バックライト221の照明光を変調するように各々が制御可能であり、変調した光出力を有する画素の2次元アレイを備える高分子分散型液晶セル222と、
高分子分散型液晶セル222からの分割照明光を変調するように配置された複数の制御可能な画素を備える液晶セル206であって、高分子分散型液晶セル222が有する画素よりも多くの制御可能な画素を有している、液晶セル206とを備えた表示装置のマイコン63であって、
高分子分散型液晶セル222の画素を駆動して1フレームに応じた所望の画像の近似を提供するとともに、バックライトの照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し、液晶セル206の制御可能な画素に液晶駆動信号レベルを印加して、得られる画像を1フレームに応じた所望の画像に近づけるように接続されているマイコン63。」

さらに、上記アないしウの記載によると、甲第3号証には、以下の発明(以下、「甲3-3発明-3」という。)が記載されていると認められる。
「ダイナミックレンジを拡大し高コントラストな高画質を実現する方式であり、
バックライト221の照明光を変調するように各々が制御可能であり、変調した光出力を有する画素の2次元アレイを備える高分子分散型液晶セル222と、
高分子分散型液晶セル222からの分割照明光を変調するように配置された複数の制御可能な画素を備える液晶セル206であって、高分子分散型液晶セル222が有する画素よりも多くの制御可能な画素を有している、液晶セル206と、
高分子分散型液晶セル222の画素を駆動して1フレームに応じた所望の画像の近似を提供するとともに、バックライトの照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し、液晶セル206の制御可能な画素に液晶駆動信号レベルを印加して、得られる画像を1フレームに応じた所望の画像に近づけるように接続されているマイコン63と、
を備えた表示装置の表示方法。」

(3)-2 訂正特許発明1?6、8、10?13、17?30、32、36、37、39?41、47に対して
(3)-2-1 甲3-1発明-1からの新規性進歩性の欠如について
(ア)対比
訂正特許発明1と甲3-1発明-1とを対比する。
ア 甲3-1発明-1の「各々が制御可能な照明光を出力する発光管を二行二列の二次元アレイに配置にした四つのバックライトで構成されるバックライトユニット」と、訂正特許発明1の「各々が制御可能な光出力を有する発光素子の2次元アレイを備える光源」とは、「各々が制御可能な光出力を有する発光部材の2次元アレイを備える光源」で一致する。

イ 甲3-1発明-1の「バックライトユニットからの照明光を変調するように配置された複数の制御可能な画素を備える液晶セルであって、バックライトユニットが有する発光管よりも多くの制御可能な画素を有している、液晶セル」と、訂正特許発明1の「光源からの光を変調するように配置された複数の制御可能な素子を備える空間光変調器であって、前記光源が有する発光素子よりも多くの制御可能な素子を有している、前記空間光変調器」とは、「光源からの光を変調するように配置された複数の制御可能な素子を備える空間光変調器であって、前記光源が有する発光部材よりも多くの制御可能な素子を有している、前記空間光変調器」で一致する。

ウ 甲3-1発明-1の「バックライトユニットを構成する各バックライトの発光管を駆動して1フレームに応じた所望の画像の近似を提供するとともに、バックライトの照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し、液晶セルの制御可能な画素に液晶駆動信号レベルを印加して、得られる画像を1フレームに応じた所望の画像に近づけるように接続されているマイコン」と、訂正特許発明1の「光源の前記発光素子を駆動して所望の画像の近似を提供するとともに、前記空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し、その計算した強度に基づき前記空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動して、得られる画像を前記所望の画像に近づけるように接続されているコントローラ」とは、「光源の前記発光部材を駆動して所望の画像の近似を提供するとともに、前記空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動して、得られる画像を前記所望の画像に近づけるように接続されているコントローラ」で一致する。

エ 甲3-1発明-1の「表示装置」は、訂正特許発明1の「ディスプレイ」に相当する。

上記アないしエの対比から、訂正特許発明1と甲3-1発明-1とは、
「各々が制御可能な光出力を有する発光部材の2次元アレイを備える光源と、
前記光源からの光を変調するように配置された複数の制御可能な素子を備える空間光変調器であって、前記光源が有する発光部材よりも多くの制御可能な素子を有している、前記空間光変調器と、
前記光源の前記発光部材を駆動して所望の画像の近似を提供するとともに、前記空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動して、得られる画像を前記所望の画像に近づけるように接続されているコントローラと、
を備えたディスプレイ。」で一致し、下記3-1-1-ア及び3-1-1-イの点で相違する。

(相違点)
3-1-1-ア 「2次元アレイを備える光源」における「発光部材」が、訂正特許発明1は、「発光素子」であるのに対し、甲3-1発明-1は「発光管」である点。
3-1-1-イ 「空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動」する際に、訂正特許発明1は、「前記空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し、その計算した強度に基づき」行っており、「ディフューザと、前記光源からの光が前記ディフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系とを備えた」構成を有するのに対し、甲3-1発明-1は、「バックライトの照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し、液晶セルの制御可能な画素に液晶駆動信号レベルを印加」しており、ディフューザと空間光変調器とに「投影する光学系」を備えていない点。

(イ)判断
まず、上記3-1-1-イの相違点について検討する。
上記「第6」「2」「(2)」「(2)-1」「(オ)」で認定した上記周知技術の「プリズムシート」は、上記「第6」「2」「(2)」「(2)-2」「(イ)」で述べたように、平面に物の影を映し出す焦点を有する光学系ではなく、単に光を偏向させるものであるから、訂正特許発明1の「投影する光学系」に相当するとはいえない。
そうすると、請求人が提示した全ての証拠には、訂正特許発明1の「ディスプレイ」において、「光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」「を備えた」点が記載されていない。
よって、上記3-1-1-アの相違点について検討するまでもなく、訂正特許発明1は、甲3-1発明-1とはいえないし、甲3-1発明-1及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
仮に、空間光変調器を備えたディスプレイにおいて、光源からの光をディフューザと空間光変調器とに投影する光学系を設けることが周知技術であったとしても、甲3-1発明-1は、「バックライトの照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し、液晶セルの制御可能な画素に液晶駆動信号レベルを印加」するものであるから、訂正特許発明1の「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算」するものとは異なるものである。
しかも、訂正特許発明1は、「光源からの光が前記ディフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」を設けたものであるから、「ディフューザ」及び「光学系」の影響も考慮して、「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し」ており、甲3-1発明-1及び周知技術から、このような計算方法を想到することは困難である。
よって、訂正特許発明1は、甲3-1発明-1及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、訂正特許発明2?6、8、10?13、17?30、32、36、37、39?41、47は、訂正特許発明1の構成要件を全て備えたものであって、訂正特許発明1が、甲3-1発明-1とはいえないし、甲3-1発明-1及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、訂正特許発明1と同様に、甲3-1発明-1とはいえないし、甲3-1発明-1及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(3)-2-2 甲3-1発明-2からの進歩性の欠如について
訂正特許発明1と甲3-1発明-2とを対比する。
ア 甲3-1発明-2の「発光管2の照明光を変調するように各々が制御可能であり、変調した光出力を有する画素の2次元アレイを備える第2の光変調器120」と、訂正特許発明1の「各々が制御可能な光出力を有する発光素子の2次元アレイを備える光源」とは、「各々が制御可能な光出力を有する2次元アレイの光源」で一致する。

イ 甲3-1発明-2の「第2の光変調器120からの分割照明光を変調するように配置された複数の制御可能な画素を備える第1の光変調器16、17、18であって、第2の光変調器120が有する画素よりも多くの制御可能な画素を有している、第1の光変調器」と、訂正特許発明1の「光源からの光を変調するように配置された複数の制御可能な素子を備える空間光変調器であって、前記光源が有する発光素子よりも多くの制御可能な素子を有している、前記空間光変調器」とは、「光源からの光を変調するように配置された複数の制御可能な素子を備える空間光変調器であって、光源よりも多くの制御可能な素子を有している、前記空間光変調器」で一致する。

ウ 甲3-1発明-2の「第2の光変調器120の画素を駆動して1フレームに応じた所望の画像の近似を提供するとともに、バックライトの照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し、第1の光変調器16、17、18の制御可能な画素に液晶駆動信号レベルを印加して、得られる画像を1フレームに応じた所望の画像に近づけるように接続されているマイコン63」と、訂正特許発明1の「光源の前記発光素子を駆動して所望の画像の近似を提供するとともに、前記空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し、その計算した強度に基づき前記空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動して、得られる画像を前記所望の画像に近づけるように接続されているコントローラ」とは、「光源を駆動して所望の画像の近似を提供するとともに、前記空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動して、得られる画像を前記所望の画像に近づけるように接続されているコントローラ」で一致する。

エ 甲3-1発明-2の「表示装置」は、訂正特許発明1の「ディスプレイ」に相当する。

上記アないしエの対比から、訂正特許発明1と甲3-1発明-2とは、
「各々が制御可能な光出力を有する2次元アレイの光源と、
光源からの光を変調するように配置された複数の制御可能な素子を備える空間光変調器であって、前記光源よりも多くの制御可能な素子を有している、前記空間光変調器と、
前記光源を駆動して所望の画像の近似を提供するとともに、前記空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動して、得られる画像を前記所望の画像に近づけるように接続されているコントローラと、
を備えたディスプレイ。」で一致し、下記3-1-2-ア及び3-1-2-イの点で相違する。

(相違点)
3-1-2-ア 「2次元アレイの光源」が、訂正特許発明1は、「発光素子」からなるのに対し、甲3-1発明-2は、「発光管2の照明光を変調」し、「変調した光出力を有する画素」「を備える第2の光変調器120」である点。
3-1-2-イ 「空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動」する際に、訂正特許発明1は、「前記空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し、その計算した強度に基づき」行っており、「ディフューザと、前記光源からの光が前記ディフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系とを備えた」構成を有するのに対し、甲3-1発明-2は、「バックライトの照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し、液晶セルの制御可能な画素に液晶駆動信号レベルを印加」しており、ディフューザと空間光変調器とに「投影する光学系」を備えていない点。

(イ)判断
まず、上記3-1-2-イの相違点について検討する。
上記「第6」「2」「(2)」「(2)-1」「(オ)」で認定した上記周知技術の「プリズムシート」は、上記「第6」「2」「(2)」「(2)-2」「(イ)」で述べたように、平面に物の影を映し出す焦点を有する光学系ではなく、単に光を偏向させるものであるから、訂正特許発明1の「投影する光学系」に相当するとはいえない。
そうすると、請求人が提示した全ての証拠には、訂正特許発明1の「ディスプレイ」において、「光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」「を備えた」点が記載されていない。
よって、上記3-1-1-アの相違点について検討するまでもなく、訂正特許発明1は、甲3-1発明-2及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
仮に、空間光変調器を備えたディスプレイにおいて、光源からの光をディフューザと空間光変調器とに投影する光学系を設けることが周知技術であったとしても、甲3-1発明-2は、「バックライトの照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し、第1の光変調器16、17、18の制御可能な画素に液晶駆動信号レベルを印加」するものであるから、訂正特許発明1の「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算」するものとは異なるものである。
しかも、訂正特許発明1は、「光源からの光が前記ディフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」を設けたものであるから、「ディフューザ」及び「光学系」の影響も考慮して、「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し」ており、甲1-1発明及び周知技術から、このような計算方法を想到することは困難である。
よって、訂正特許発明1は、甲3-1発明-2及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、訂正特許発明2?6、8、10?13、17?30、32、36、37、39?41、47は、訂正特許発明1の構成要件を全て備えたものであって、訂正特許発明1が、甲3-1発明-2及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではないから、訂正特許発明1と同様に、甲3-1発明-2及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)-2-3 甲3-1発明-3からの進歩性の欠如について
訂正特許発明1と甲3-1発明-3とを対比する。
ア 甲3-1発明-3の「バックライト221の照明光を変調するように各々が制御可能であり、変調した光出力を有する画素の2次元アレイを備える高分子分散型液晶セル222」と、訂正特許発明1の「各々が制御可能な光出力を有する発光素子の2次元アレイを備える光源」とは、「各々が制御可能な光出力を有する2次元アレイの光源」で一致する。

イ 甲3-1発明-3の「高分子分散型液晶セル222からの分割照明光を変調するように配置された複数の制御可能な画素を備える液晶セル206であって、高分子分散型液晶セル222が有する画素よりも多くの制御可能な画素を有している、液晶セル206」と、訂正特許発明1の「光源からの光を変調するように配置された複数の制御可能な素子を備える空間光変調器であって、前記光源が有する発光素子よりも多くの制御可能な素子を有している、前記空間光変調器」とは、「光源からの光を変調するように配置された複数の制御可能な素子を備える空間光変調器であって、前記光源よりも多くの制御可能な素子を有している、前記空間光変調器」で一致する。

ウ 甲3-1発明-3の「高分子分散型液晶セル222の画素を駆動して1フレームに応じた所望の画像の近似を提供するとともに、バックライトの照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し、液晶セル206の制御可能な画素に液晶駆動信号レベルを印加して、得られる画像を1フレームに応じた所望の画像に近づけるように接続されているマイコン63」と、訂正特許発明1の「光源の前記発光素子を駆動して所望の画像の近似を提供するとともに、前記空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し、その計算した強度に基づき前記空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動して、得られる画像を前記所望の画像に近づけるように接続されているコントローラ」とは、「光源を駆動して所望の画像の近似を提供するとともに、前記空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動して、得られる画像を前記所望の画像に近づけるように接続されているコントローラ」で一致する。

エ 甲3-1発明-3「表示装置」は、訂正特許発明1の「ディスプレイ」に相当する。

上記アないしエの対比から、訂正特許発明1と甲3-1発明-3とは、
「各々が制御可能な光出力を有する2次元アレイの光源と、
光源からの光を変調するように配置された複数の制御可能な素子を備える空間光変調器であって、前記光源よりも多くの制御可能な素子を有している、前記空間光変調器と、
前記光源を駆動して所望の画像の近似を提供するとともに、前記空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動して、得られる画像を前記所望の画像に近づけるように接続されているコントローラと、
を備えたディスプレイ。」で一致し、下記3-1-3-ア及び3-1-3-イの点で相違する。

(相違点)
3-1-3-ア 「2次元アレイの光源」が、訂正特許発明1は、「発光素子」からなるのに対し、甲3-1発明-3は「バックライト221の照明光を変調」し、「変調した光出力を有する画素」「を備える高分子分散型液晶セル2222」である点。
3-1-3-イ 「空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動」する際に、訂正特許発明1は、「前記空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し、その計算した強度に基づき」行っており、「ディフューザと、前記光源からの光が前記ディフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系とを備えた」構成を有するのに対し、甲3-1発明-3は、「バックライトの照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し、液晶セルの制御可能な画素に液晶駆動信号レベルを印加」しており、ディフューザと空間光変調器とに「投影する光学系」を備えていない点。

(イ)判断
まず、上記3-1-3-イの相違点について検討する。
上記「第6」「2」「(2)」「(2)-1」「(オ)」で認定した上記周知技術の「プリズムシート」は、上記「第6」「2」「(2)」「(2)-2」「(イ)」で述べたように、平面に物の影を映し出す焦点を有する光学系ではなく、単に光を偏向させるものであるから、訂正特許発明1の「投影する光学系」に相当するとはいえない。
そうすると、請求人が提示した全ての証拠には、訂正特許発明1の「ディスプレイ」において、「光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」「を備えた」点が記載されていない。
よって、上記3-1-3-アの相違点について検討するまでもなく、訂正特許発明1は、甲3-1発明-3及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
仮に、空間光変調器を備えたディスプレイにおいて、光源からの光をディフューザと空間光変調器とに投影する光学系を設けることが周知技術であったとしても、甲3-1発明-3は、「バックライトの照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し、液晶セル206の制御可能な画素に液晶駆動信号レベルを印加」するものであるから、訂正特許発明1の「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算」するものとは異なるものである。
しかも、訂正特許発明1は、「光源からの光が前記ディフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」を設けたものであるから、「ディフューザ」及び「光学系」の影響も考慮して、「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し」ており、甲3-1発明-3及び周知技術から、このような計算方法を想到することは困難である。
よって、訂正特許発明1は、甲3-1発明-3及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、訂正特許発明2?6、8、10?13、17?30、32、36、37、39?41、47は、訂正特許発明1の構成要件を全て備えたものであって、訂正特許発明1が、甲3-1発明-3及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではないから、訂正特許発明1と同様に、甲3-1発明-3及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)-3 訂正特許発明48?54に対して
(3)-3-1 甲3-2発明-1からの新規性進歩性の欠如について
訂正特許発明48と甲3-2発明-1とを対比すると、訂正特許発明1と甲3-1発明-1との対比と同様の手法及び結果により、両者は、
「発光部材の2次元アレイを備える光源の光出力を制御するとともに、前記光源からの光を変調するように配置されて、前記光源が有する発光部材よりも多くの制御可能な素子を有している空間光変調器の制御可能な素子の光透過を制御するために接続可能なディスプレイコントローラであって、
前記光源の前記発光部材の光出力を制御して所望の画像の近似を提供するための第1の制御信号を生成し、
前記空間光変調器の前記制御可能な素子の光透過を制御して、得られる画像を前記所望の画像に近づける第2の制御信号を生成するように構成されているディスプレイコントローラ。」で一致し、下記3-2-1-ア及び3-2-1-イの点で相違する。

(相違点)
3-2-1-ア 「発光部材の2次元アレイを備える光源」における「発光部材」が、訂正特許発明48は、「発光素子」であるのに対し、甲3-2発明-1は「発光管」である点。
3-2-1-イ 「空間光変調器の前記制御可能な素子の光透過を制御して、得られる画像を前記所望の画像に近づける第2の制御信号を生成する」際に、訂正特許発明48は、「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算」しており、「光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」を備えているのに対し、甲3-2発明-1は、「バックライトの照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し」ており、ディフューザと空間光変調器とに「投影する光学系」を備えていない点。

(イ)判断
上記3-2-1-イの相違点は、上記「第6」「2」「(3)」「(3)-2」「(3)-2-1」「(ア)」で述べた訂正特許発明1と甲3-1発明-1発明との3-1-1-イの相違点と同様のものであるから、上記「第6」「2」「(3)」「(3)-2」「(3)-2-1」「(イ)」で検討した理由と同様の理由により、訂正特許発明48?54は、甲3-2発明-1とはいえないし、甲3-2発明-1及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(3)-3-2 甲3-2発明-2からの進歩性の欠如について
訂正特許発明48と甲3-2発明-2とを対比すると、訂正特許発明1と甲3-1発明-2との対比と同様の手法及び結果により、両者は、
「2次元アレイの光源の光出力を制御するとともに、前記光源からの光を変調するように配置されて、前記光源よりも多くの制御可能な素子を有している空間光変調器の制御可能な素子の光透過を制御するために接続可能なディスプレイコントローラであって、
前記光源の光出力を制御して所望の画像の近似を提供するための第1の制御信号を生成し、
前記空間光変調器の前記制御可能な素子の光透過を制御して、得られる画像を前記所望の画像に近づける第2の制御信号を生成するように構成されているディスプレイコントローラ。」で一致し、下記3-2-2-ア及び3-2-2-イの点で相違する。

(相違点)
3-2-2-ア 「2次元アレイの光源」の「発光部材」が、訂正特許発明48は、「発光素子」からなるのに対し、甲3-2発明-2は「発光管2の照明光を変調」し、「変調した光出力を有する画素」「を備える第2の光変調器120」である点。
3-2-2-イ 「空間光変調器の前記制御可能な素子の光透過を制御して、得られる画像を前記所望の画像に近づける第2の制御信号を生成する」際に、訂正特許発明48は、「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算」しており、「光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」を備えているのに対し、甲3-2発明-2は、「バックライトの照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し」ており、ディフューザと空間光変調器とに「投影する光学系」を備えていない点。

(イ)判断
上記3-2-2-イの相違点は、上記「第6」「2」「(3)」「(3)-2」「(3)-2-2」「(ア)」で述べた訂正特許発明1と甲3-1発明-2発明との3-1-2-イの相違点と同様のものであるから、上記「第6」「2」「(3)」「(3)-2」「(3)-2-2」「(イ)」で検討した理由と同様の理由により、訂正特許発明48?54は、甲3-2発明-2及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)-3-3 甲3-2発明-3からの進歩性の欠如について
訂正特許発明48と甲3-2発明-3とを対比すると、訂正特許発明1と甲3-1発明-3との対比と同様の手法及び結果により、両者は、
「2次元アレイを備える光源の光出力を制御するとともに、前記光源からの光を変調するように配置されて、前記光源よりも多くの制御可能な素子を有している空間光変調器の制御可能な素子の光透過を制御するために接続可能なディスプレイコントローラであって、
前記光源の光出力を制御して所望の画像の近似を提供するための第1の制御信号を生成し、
前記空間光変調器の前記制御可能な素子の光透過を制御して、得られる画像を前記所望の画像に近づける第2の制御信号を生成するように構成されているディスプレイコントローラ。」で一致し、下記3-2-3-ア及び3-2-3-イの点で相違する。

(相違点)
3-2-3-ア 「2次元アレイを備える光源」が、訂正特許発明48は、「発光素子」からなるのに対し、甲3-2発明-3は「バックライト221の照明光を変調」し、「変調した光出力を有する画素」「を備える高分子分散型液晶セル2222」である点。
3-2-3-イ 「空間光変調器の前記制御可能な素子の光透過を制御して、得られる画像を前記所望の画像に近づける第2の制御信号を生成する」際に、訂正特許発明48は、「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算」しており、「光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」を備えているのに対し、甲3-2発明-2は、「バックライトの照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し」ており、ディフューザと空間光変調器とに「投影する光学系」を備えていない点。

(イ)判断
上記3-2-3-イの相違点は、上記「第6」「2」「(3)」「(3)-2」「(3)-2-3」「(ア)」で述べた訂正特許発明1と甲3-1発明-3発明との3-1-3-イの相違点と同様のものであるから、上記「第6」「2」「(3)」「(3)-2」「(3)-2-3」「(イ)」で検討した理由と同様の理由により、訂正特許発明48?54は、甲3-2発明-3及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)-4 訂正特許発明55?62に対して
(3)-4-1 甲3-3発明-1からの新規性進歩性の欠如について
訂正特許発明55と甲3-3発明-1とを対比すると、訂正特許発明1と甲3-1発明-1との対比と同様の手法及び結果により、両者は、
「高いダイナミックレンジの画像の表示方法であって、
第1の画像データの組によって決定される明度を有するように個々に制御可能な発光部材のアレイを備える光源を制御して、所望の画像の近似を提供し、
各々が制御可能な透過度を有している制御可能な素子のアレイを備える空間光変調器であって、前記光源が有する発光部材よりも多くの制御可能な素子を有している前記空間光変調器の面を前記発光部材のアレイからの光によって照射し、
前記空間光変調器の前記制御可能な素子の透過度を第2の画像データの組によって制御して、得られる画像を前記所望の画像に近づけること
を含む方法。」で一致し、下記3-3-1-ア及び3-3-1-イの点で相違する。

(相違点)
3-3-1-ア 「発光部材の2次元アレイを備える光源」における「発光部材」が、訂正特許発明55は、「発光素子」であるのに対し、甲3-3発明-1は「発光管」である点。
3-3-1-イ 「空間光変調器の前記制御可能な素子の透過度を第2の画像データの組によって制御」する際に、訂正特許発明55は、「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し、その計算した強度に基づき」行っており、「光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」を備えているのに対し、甲3-3発明-1は、「バックライトの照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し、液晶セルの制御可能な画素に液晶駆動信号レベルを印加」し、ディフューザと空間光変調器とに「投影する光学系」を備えていない点。

(イ)判断
上記3-3-1-イの相違点は、上記「第6」「2」「(3)」「(3)-2」「(3)-2-1」「(ア)」で述べた訂正特許発明1と甲3-1発明-1発明との3-1-1-イの相違点と同様のものであるから、上記「第6」「2」「(3)」「(3)-2」「(3)-2-1」「(イ)」で検討した理由と同様の理由により、訂正特許発明55?62は、甲3-3発明-1とはいえないし、甲3-3発明-1及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(3)-4-2 甲3-3発明-2からの進歩性の欠如について
訂正特許発明55と甲3-3発明-2とを対比すると、訂正特許発明1と甲3-1発明-2との対比と同様の手法及び結果により、両者は、
「高いダイナミックレンジの画像の表示方法であって、
第1の画像データの組によって決定される明度を有するように個々に制御可能な発光部材のアレイを備える光源を制御して、所望の画像の近似を提供し、
各々が制御可能な透過度を有している制御可能な素子を備える空間光変調器であって、前記光源が有する発光部材よりも多くの制御可能な素子を有している前記空間光変調器の面を前記発光部材からの光によって照射し、
前記空間光変調器の前記制御可能な素子の透過度を第2の画像データの組によって制御して、得られる画像を前記所望の画像に近づけること
を含む方法。」で一致し、下記3-3-2-ア及び3-3-2-イの点で相違する。

(相違点)
3-3-2-ア 「発光部材のアレイを備える光源」における「発光部材」が、訂正特許発明55は、「発光素子」からなるのに対し、甲3-3発明-2は「発光管2の照明光を変調」し、「変調した光出力を有する画素」「を備える第2の光変調器120」である点。
3-3-2-イ 「空間光変調器の前記制御可能な素子の透過度を第2の画像データの組によって制御」する際に、訂正特許発明55は、「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し、その計算した強度に基づき」行っており、「光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」を備えているのに対し、甲3-3発明-2は、「バックライトの照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し、第1の光変調器16、17、18の制御可能な画素に液晶駆動信号レベルを印加」し、ディフューザと空間光変調器とに「投影する光学系」を備えていない点。

(イ)判断
上記3-3-2-イの相違点は、上記「第6」「2」「(3)」「(3)-2」「(3)-2-2」「(ア)」で述べた訂正特許発明1と甲3-1発明-2発明との3-1-2-イの相違点と同様のものであるから、上記「第6」「2」「(3)」「(3)-2」「(3)-2-2」「(イ)」で検討した理由と同様の理由により、訂正特許発明55?62は、甲3-3発明-2及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)-4-3 甲3-3発明-3からの進歩性の欠如について
訂正特許発明55と甲3-3発明-3とを対比すると、訂正特許発明1と甲3-1発明-3との対比と同様の手法及び結果により、両者は、
「高いダイナミックレンジの画像の表示方法であって、
第1の画像データの組によって決定される明度を有するように個々に制御可能なアレイを備える光源を制御して、所望の画像の近似を提供し、
各々が制御可能な透過度を有している制御可能な素子のアレイを備える空間光変調器であって、前記光源が有するアレイよりも多くの制御可能な素子を有している前記空間光変調器の面を前記光源のアレイからの光によって照射し、
前記空間光変調器の前記制御可能な素子の透過度を第2の画像データの組によって制御して、得られる画像を前記所望の画像に近づけること
を含む方法。」で一致し、下記3-3-3-ア及び3-3-3-イの点で相違する。

(相違点)
3-3-3-ア 「個々に制御可能なアレイを備える光源」が、訂正特許発明55は、「発光素子」からなるのに対し、甲3-3発明-3は「バックライト221の照明光を変調」し、「変調した光出力を有する画素」「を備える高分子分散型液晶セル2222」である点。
3-3-3-イ 「空間光変調器の前記制御可能な素子の透過度を第2の画像データの組によって制御」する際に、訂正特許発明55は、「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し、その計算した強度に基づき」行っており、「光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」を備えているのに対し、甲3-3発明-3は、「バックライトの照明光量に対応した液晶駆動信号レベルを算出し、液晶セル206の制御可能な画素に液晶駆動信号レベルを印加」し、ディフューザと空間光変調器とに「投影する光学系」を備えていない点。

(イ)判断
上記3-3-3-イの相違点は、上記「第6」「2」「(3)」「(3)-2」「(3)-2-3」「(ア)」で述べた訂正特許発明1と甲3-1発明-3発明との3-1-3-イの相違点と同様のものであるから、上記「第6」「2」「(3)」「(3)-2」「(3)-2-3」「(イ)」で検討した理由と同様の理由により、訂正特許発明55?62は、甲3-3発明-3及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)甲第4号証を主引例とした場合の進歩性の欠如について
(4)-1 引用刊行物
(ア)甲第4号証(特開平6-167690号公報)
甲第4号証には、次の事項が記載されている。
ア 発明の詳細な説明の記載
「【0008】
【作用】この発明の第1のカラー液晶プロジェクターにおいては、白黒画像表示時には、透過率変調手段で各色用液晶パネルの透過率を各色用液晶パネルから出射された光の合成光が白色光となるように制御する一方、高精細液晶パネルに白黒画像の信号に比例する透過率となる電圧を印加することにより、高精細液晶パネルに白黒画像を形成させることができる。また、カラー画像表示時には、各色用液晶パネルの透過率と高精細液晶パネルの透過率とを調整することにより、高精細液晶パネルから出射される光の透過率を各成分の信号に比例させてカラー画像を表示させることができる。」
「【0011】図1はこの発明の一実施例に係るカラー液晶パネルの光学系の構成図であり、このカラー液晶パネルは、光源1の白色光をリフレクター2で反射してダイクロイックミラー4に入射させ、G成分の光と他の成分の光とに分光し、G成分の光を反射ミラー5及びコンデンサーレンズ6を介してG色用液晶パネル7に入射させるようにしている。
【0012】また、他の成分の光を別のダイクロイックミラー8でR成分の光とB成分の光とに分光し、R成分の光をコンデンサレンズ9を介してR色用液晶パネル10に入射させ、R色用液晶パネル10から出射した光とG色用液晶パネル7から出射した光とを又別のダイクロイックミラー11で合成するようにしている。
【0013】更に、B成分の光をコンデンサレンズ12を介してB色用液晶パネル13に入射させ、その出射光は反射ミラー14を介して更に別のダイクロイックミラー15に入射させ、このダイクロイックミラー15に上記ダイクロイックミラー11から入射する合成光と合成して結像用レンズ16に入射るようにしている。
【0014】結像用レンズ16を透過した合成光は、コンデンサーレンズ18を介して、上記のG、R、Bの各色用液晶パネル7、10、13よりも高精細の高精細液晶パネル19に入射し、この高精細液晶パネル19を透過した光が投射レンズ20により拡大投射されるようにしている。
【0015】上記各色用液晶パネル7、10、13及び高精細液晶レンズ19の透過率を変調する透過率変調手段は、図2の回路ブロック図に示すように、信号源から入力R信号31、入力G信号32及び入力B信号33を入力するととにも、クロック源から動作タイミングを制御するシンクロ信号(SYNC)34を入力するようにしている。
【0016】入力R信号31、入力G信号32及び入力B信号33はそれぞれ逆γ補正回路35、36、37に入力され、それぞれ図3に示すようなR_(1 )信号、G_(1) 信号、B_(1 )信号に逆γ補正される。また、これらR_(1) 信号、G_(1) 信号及びB_(1 )信号は最大値信号作成回路38に入力され、これらに基づいて同一時間(1H)上における最大値信号Maxが作り出される。
【0017】上記各γ補正信号R_(1) 、G_(1) 、B_(1) と最大値Maxとはそれぞれ除算回路39、40、41に入力され、各除算回路39、40、41においてγ補正信号を最大値Maxで除算した商が求められ、これらの商(R_(1 )/Max、G_(1) /Max、B_(1) /Max)に比例する透過率になる電圧を各ビデオ処理回路42、43、44によって各色用液晶パネル10、7、13に印加するようにしている。また、上記最大値Maxに比例する透過率になる電圧を別のビデオ処理回路45によって高精細液晶パネル19に印加するようにしている。
【0018】なお、各ビデオ処理回路42、43、44、45は、液晶V-T特性補正、極性反転、ビデオアンプ等の信号処理を行った後、各色用液晶パネル10、7、13あるいは高精細液晶パネル19内のドライバーICに出力するように構成れている。
【0019】また、各色用液晶パネル10、7、13及び高精細液晶パネル19の動作タイミングはシンクロ信号34を入力するタイミングコントローラ46によって制御される。すなわち、タイミングコントローラ46ではシンクロ信号34からサンプリングクロックなどのタイミング信号を作り出し、各色用液晶パネル10、7、13及び高精細液晶パネル19内のドライバーICに出力している。このサンプリングクロックによって制御されるサンプリングポイントと各色用液晶パネル10、7、13及び高精細液晶パネル19の画素との関係は例えば図4に示すように設定される。」
「【0024】カラー表示時には、各色用液晶パネル10、7、13にそれぞれR_(1) /Max、G_(1) /Max、B_(1) /Maxに比例した透過率になる電圧が印加され、これにより透過率変調された各成分の光が合成されて高精細液晶パネル19に入射される。各色用液晶パネル10、7、13と高精細液晶パネル19とを光路上で重ねた場合、最後に高精細液晶パネル19から出射される光の透過率は重ねられた各色用液晶パネル10、7、13の透過率と高精細液晶パネル13の透過率との積になる。従って、最後に高精細液晶パネル19から出射される光の透過率を成分ごとに見れば(R_(1) /Max)×Max=R_(1) 、(G_(1) /Max)×Max=G_(1) 、(B_(1) /Max)×Max=B_(1) となり、カラー画像が表示される。
【0025】加えて、このカラー液晶プロジェクターにおいては、1枚の高精細液晶パネル19とこれの透過率を制御する手段とを付加するだけで高精細画像を得ることができ、3枚の各色用液晶パネル10、7、13を高精細化する場合に比べて安価に画像の高精細化を図ることができる。」
「【0033】カラー画像を表示する時には、光路上で重ねられた各色用液晶パネル10、7、13と高精細液晶パネル19とを通り、最後に高精細液晶パネル19から出射される光の透過率は重ねた液晶パネルの透過率どうしを乗算した商であり、したがって、高精細液晶パネル19から出射される各成分の光の透過率は、例えばR成分については、〔a(R_(1) のα乗)/f(R_(1) 、G_(1) 、B_(1 ))〕の(1/α)乗〕×〔f(R_(1) 、G_(1) 、B_(1) )〕の(1/α)乗=〔a(R_(1 )のα乗)〕の(1/α)乗=aの(1/α)乗×R_(1) となり、G成分は同様にbの(1/α)乗×G_(1) 、B成分はcの(1/α)乗×B_(1) となり、カラー表示ができる。
【0034】ここで、指数関数を用いずα=1としても画像は表示されるが、光の利用率がR、G、Bで平均して平均して1/3になってしまうが、本例のようにα>1として指数関数を導入することにより光の利用率を高めることができる。例えばα=2とすれば、光の利用率は約58%、α=3とすれば光の利用率は約69%に高められる。」
イ 図面の記載
「【図1】


「【図2】


「【図4】


ウ 甲第4号証記載の発明
上記ア及びイの記載によると、甲第4号証には、以下の発明(以下、「甲4-1発明」という。)が記載されていると認められる。
「光源1の光を変調するように、各々が制御可能な透過率変調された光出力を有する画素の2次元アレイを備えるR、G、B色用液晶パネル7、10、13と、
光源1からのR、G、B色用液晶パネル7、10、13を介した光を変調するように配置された複数の制御可能な画素を備える高精細液晶パネル19であって、R、G、B色用液晶パネル7、10、13が有する画素よりも多くの制御可能な画素を有している、高精細液晶パネル19と、
各色用液晶パネル7、10、13の画素に電圧を印加して所定の画像に近似したものを提供するとともに、各色用液晶パネル7、10、13による透過率変調された各成分の光の強度を各除算回路39、40、41で演算し、その演算した光の強度に係る最大値Maxに比例する透過率になる電圧を高精細液晶パネル19の制御可能な画素に印加して駆動し、得られる画像を入力信号に係る所定の画像に近づけるように各色用液晶パネル7、10、13及び高精細液晶パネル19と接続されている回路ユニット35?45と、
を備えたカラー液晶プロジェクター。」

また、上記ア及びイの記載によると、甲第4号証には、以下の発明(以下、「甲4-2発明」という。)が記載されていると認められる。
「光源1の光を変調するように、各々が制御可能な透過率変調された光出力を有する画素の2次元アレイを備えるR、G、B色用液晶パネル7、10、13と、
光源1からのR、G、B色用液晶パネル7、10、13を介した光を変調するように配置された複数の制御可能な画素を備える高精細液晶パネル19であって、R、G、B色用液晶パネル7、10、13が有する画素よりも多くの制御可能な画素を有している、高精細液晶パネル19とを備えたカラー液晶プロジェクターの回路ユニット35?45であって、
各色用液晶パネル7、10、13の画素に電圧を印加して所定の画像に近似したものを提供するとともに、各色用液晶パネル7、10、13による透過率変調された各成分の光の強度を各除算回路39、40、41で演算し、その演算した光の強度に係る最大値Maxに比例する透過率になる電圧を高精細液晶パネル19の制御可能な画素に印加して駆動し、得られる画像を入力信号に係る所定の画像に近づけるように各色用液晶パネル7、10、13及び高精細液晶パネル19と接続されているカラー液晶プロジェクターの回路ユニット35?45。」

さらに、上記ア及びイの記載によると、甲第4号証には、以下の発明(以下、「甲4-3発明」という。)が記載されていると認められる。
「光の利用率を高めることができ、
光源1の光を変調するように、各々が制御可能な透過率変調された光出力を有する画素の2次元アレイを備えるR、G、B色用液晶パネル7、10、13と、
光源1からのR、G、B色用液晶パネル7、10、13を介した光を変調するように配置された複数の制御可能な画素を備える高精細液晶パネル19であって、R、G、B色用液晶パネル7、10、13が有する画素よりも多くの制御可能な画素を有している、高精細液晶パネル19とを備えたカラー液晶プロジェクターの表示方法であって、
各色用液晶パネル7、10、13の画素に電圧を印加して所定の画像に近似したものを提供するとともに、各色用液晶パネル7、10、13による透過率変調された各成分の光の強度を各除算回路39、40、41で演算し、その演算した光の強度に係る最大値Maxに比例する透過率になる電圧を高精細液晶パネル19の制御可能な画素に印加して駆動し、得られる画像を入力信号に係る所定の画像に近づけるように各色用液晶パネル7、10、13及び高精細液晶パネル19と接続されているカラー液晶プロジェクターの表示方法。」

(4)-2 訂正特許発明1?6、8、10?13、17?30、32、36、37、39?41、47に対して
(ア)対比
訂正特許発明1と甲4-1発明とを対比する。
ア 甲4-1発明の「光源1の光を変調するように、各々が制御可能な透過率変調された光出力を有する画素の2次元アレイを備えるR、G、B色用液晶パネル7、10、13」と、訂正特許発明1の「各々が制御可能な光出力を有する発光素子の2次元アレイを備える光源」とは、「各々が制御可能な光出力を有する2次元アレイの光源」で一致する。

イ 甲4-1発明の「光源1からのR、G、B色用液晶パネル7、10、13を介した光を変調するように配置された複数の制御可能な画素を備える高精細液晶パネル19であって、R、G、B色用液晶パネル7、10、13が有する画素よりも多くの制御可能な画素を有している、高精細液晶パネル19」と、訂正特許発明1の「光源からの光を変調するように配置された複数の制御可能な素子を備える空間光変調器であって、前記光源が有する発光素子よりも多くの制御可能な素子を有している、前記空間光変調器」とは、「光源からの光を変調するように配置された複数の制御可能な素子を備える空間光変調器であって、前記光源よりも多くの制御可能な素子を有している、前記空間光変調器」で一致する。

ウ 甲4-1発明の「各色用液晶パネル7、10、13の画素に電圧を印加して所定の画像に近似したものを提供するとともに、各色用液晶パネル7、10、13による透過率変調された各成分の光の強度を各除算回路39、40、41で演算し、その演算した光の強度に係る最大値Maxに比例する透過率になる電圧を高精細液晶パネル19の制御可能な画素に印加して駆動し、得られる画像を入力信号に係る所定の画像に近づけるように各色用液晶パネル7、10、13及び高精細液晶パネル19と接続されている回路ユニット35?45」と、訂正特許発明1の「光源の前記発光素子を駆動して所望の画像の近似を提供するとともに、前記空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し、その計算した強度に基づき前記空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動して、得られる画像を前記所望の画像に近づけるように接続されているコントローラ」とは、「光源を駆動して所望の画像の近似を提供するとともに、前記空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動して、得られる画像を前記所望の画像に近づけるように接続されているコントローラ」で一致する。

エ 甲4-1発明の「カラー液晶プロジェクター」は、訂正特許発明1の「ディスプレイ」に相当する。

上記アないしエの対比から、訂正特許発明1と甲4-1発明とは、
「各々が制御可能な光出力を有する2次元アレイの光源と、
前記光源からの光を変調するように配置された複数の制御可能な素子を備える空間光変調器であって、前記光源よりも多くの制御可能な素子を有している、前記空間光変調器と、
前記光源を駆動して所望の画像の近似を提供するとともに、前記空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動して、得られる画像を前記所望の画像に近づけるように接続されているコントローラと、
を備えたディスプレイ。」で一致し、下記4-1-ア及び4-1-イの点で相違する。

(相違点)
4-1-ア 「2次元アレイの光源」が、訂正特許発明1は、「発光素子」からなるのに対し、甲4-1発明は、「光源1の光を変調」し、「透過率変調された光出力を有する画素」「を備えるR、G、B色用液晶パネル7、10、13」である点。
4-1-イ 「空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動」する際に、訂正特許発明1は、「前記空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し、その計算した強度に基づき」行っており、「光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」「を備えた」ものであるのに対し、甲4-1発明は、「各色用液晶パネル7、10、13による透過率変調された各成分の光の強度を各除算回路39、40、41で演算し、その演算した光の強度に係る最大値Maxに比例する透過率になる電圧を高精細液晶パネル19の制御可能な画素に印加」しており、ディフューザと空間光変調器とに「投影する光学系」を備えていない点。

(イ)判断
まず、上記4-1-イの相違点について検討する。
上記「第6」「2」「(2)」「(2)-1」「(オ)」で認定した上記周知技術の「プリズムシート」は、上記「第6」「2」「(2)」「(2)-2」「(イ)」で述べたように、平面に物の影を映し出す焦点を有する光学系ではなく、単に光を偏向させるものであるから、訂正特許発明1の「投影する光学系」に相当するとはいえない。
そうすると、請求人が提示した全ての証拠には、訂正特許発明1の「ディスプレイ」において、「光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」「を備えた」点が記載されていない。
よって、上記4-1-アの相違点について検討するまでもなく、訂正特許発明1は、甲4-1発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
仮に、空間光変調器を備えたディスプレイにおいて、光源からの光をディフューザと空間光変調器とに投影する光学系を設けることが周知技術であったとしても、甲4-1発明は、「各色用液晶パネル7、10、13による透過率変調された各成分の光の強度を各除算回路39、40、41で演算し、その演算した光の強度に係る最大値Maxに比例する透過率になる電圧を高精細液晶パネル19の制御可能な画素に印加」するものであるから、訂正特許発明1の「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算」するものとは異なるものである。
しかも、訂正特許発明1は、「光源からの光が前記ディフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」を設けたものであるから、「ディフューザ」及び「光学系」の影響も考慮して、「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し」ており、甲4-1発明及び周知技術から、このような計算方法を想到することは困難である。
よって、訂正特許発明1は、甲4-1発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、訂正特許発明2?6、8、10?13、17?30、32、36、37、39?41、47は、訂正特許発明1の構成要件を全て備えたものであって、訂正特許発明1が、甲4-1発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではないから、訂正特許発明1と同様に、甲4-1発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)-3 訂正特許発明48?54に対して
(ア)対比
訂正特許発明48と甲4-2発明とを対比すると、訂正特許発明1と甲4-1発明との対比と同様の手法及び結果により、両者は、
「2次元アレイを備える光源の光出力を制御するとともに、前記光源からの光を変調するように配置されて、前記光源よりも多くの制御可能な素子を有している空間光変調器の制御可能な素子の光透過を制御するために接続可能なディスプレイコントローラであって、
前記光源の光出力を制御して所望の画像の近似を提供するための第1の制御信号を生成し、
前記空間光変調器の前記制御可能な素子の光透過を制御して、得られる画像を前記所望の画像に近づける第2の制御信号を生成するように構成されているディスプレイコントローラ。」で一致し、下記4-2-ア及び4-2-イの点で相違する。

(相違点)
4-2-ア 「2次元アレイを備える光源」が、訂正特許発明48は、「発光素子」からなるのに対し、甲4-2発明は、「光源1の光を変調」し、「透過率変調された光出力を有する画素」「を備えるR、G、B色用液晶パネル7、10、13」である点。
4-2-イ 「空間光変調器の前記制御可能な素子の光透過を制御して、得られる画像を前記所望の画像に近づける第2の制御信号を生成する」際に、訂正特許発明48は、「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算」しており、「光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」を備えているのに対し、甲4-2発明は、「各色用液晶パネル7、10、13による透過率変調された各成分の光の強度を各除算回路39、40、41で演算し、その演算した光の強度に係る最大値Maxに比例する透過率になる電圧を高精細液晶パネル19の制御可能な画素に印加」しており、ディフューザと空間光変調器とに「投影する光学系」を備えていない点。

(イ)判断
上記4-2-イの相違点は、上記「第6」「2」「(4)」「(4)-2」「(ア)」で述べた訂正特許発明1と甲4-1発明との4-1-イの相違点と同様のものであるから、上記「第6」「2」「(4)」「(4)-2」「(イ)」で検討した理由と同様の理由により、訂正特許発明48?54は、甲4-2発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)-4 訂正特許発明55?62に対して
(ア)対比
訂正特許発明55と甲4-3発明とを対比すると、訂正特許発明1と甲4-1発明との対比と同様の手法及び結果により、両者は、
「高いダイナミックレンジの画像の表示方法であって、
第1の画像データの組によって決定される明度を有するように個々に制御可能なアレイの光源を制御して、所望の画像の近似を提供し、
各々が制御可能な透過度を有している制御可能な素子のアレイを備える空間光変調器であって、前記アレイの光源よりも多くの制御可能な素子を有している前記空間光変調器の面を前記アレイ光源からの光によって照射し、
前記空間光変調器の前記制御可能な素子の透過度を第2の画像データの組によって制御して、得られる画像を前記所望の画像に近づけること
を含む方法。」で一致し、下記4-3-ア及び4-3-イの点で相違する。

(相違点)
4-3-ア 「アレイの光源」が、訂正特許発明55は、「発光素子」からなるのに対し、甲4-3発明は、「光源1の光を変調」し、「透過率変調された光出力を有する画素」「を備えるR、G、B色用液晶パネル7、10、13」である点。
4-3-イ 「空間光変調器の前記制御可能な素子の透過度を第2の画像データの組によって制御」する際に、訂正特許発明55は、「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し、その計算した強度に基づき」行っており、「光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」を備えているのに対し、甲4-3発明は、「各色用液晶パネル7、10、13による透過率変調された各成分の光の強度を各除算回路39、40、41で演算し、その演算した光の強度に係る最大値Maxに比例する透過率になる電圧を高精細液晶パネル19の制御可能な画素に印加」しており、ディフューザと空間光変調器とに「投影する光学系」を備えていない点。

(イ)判断
上記4-3-イの相違点は、上記「第6」「2」「(4)」「(4)-2」「(ア)」で述べた訂正特許発明1と甲4-1発明との4-1-イの相違点と同様のものであるから、上記「第6」「2」「(4)」「(4)-2」「(イ)」で検討した理由と同様の理由により、訂正特許発明55?62は、甲4-3発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(5)新規性進歩性についてのむすび
以上のとおり、訂正特許発明1?6、8、10?13、17?30、32、36、37、39?41、47?62は、甲第1?3号証に記載された発明ではなく、甲第1?16、28?33号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、特許法第29条第1項第3号、及び、特許法第29条第2項の規定に違反するものではなく、特許法第123条第1項第2号に該当しない。

3 拡大先願について
特許法第29条の2の規定により無効であるとの請求人の主張は、仮に、訂正特許発明1?62の優先権主張の効果が認められる場合のものである。
上記「第6」「1」「(2)」で述べたように、訂正特許発明1?62は優先権主張の効果が認められず、甲第1号証は本件特許出願時の公知文献であるから、特許法第29条の2の規定による無効理由は検討しない。

4 記載不備について
4-1 訂正明細書の記載
訂正明細書には、以下の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、ディジタル画像を表示するためのディスプレイに関する。」
「【発明が解決しようとする課題】
【0008】
表示された画像内に広い範囲の光強度を再生することを可能とする、経済性に優れたディスプレイが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は画像を表示するためのディスプレイを提供する。本発明の一実施形態は、発光素子のアレイを備える光源を備えたディスプレイを提供する。この素子の各々は1つの制御可能な光出力と、光源からの光を変調するように配置された複数の制御可能な素子を備えた空間光変調器とを有している。空間光変調器による変調を受けた光源からの光は、ディフューザによって観察するエリアまで導かれる。」
「【0015】
本発明は、高いダイナミックレンジによって画像をレンダリングすることが可能なディスプレイを提供する。本発明によるディスプレイは、2つの光変調段を備えている。光は各段を直列に通過してダイナミックレンジの向上された画像を生ずる。
【0016】
図1は、本発明の単純な実施形態に従うディスプレイ10を模式的に示す。図1における素子の大きさおよびこれらの間の距離は縮尺通りではない。ディスプレイ10は光源12を備えている。光源12は、例えば白熱ランプやアーク灯などの投影ランプ、レーザー、あるいは、適当な別の光源を備えてもよい。光源12は、光をディスプレイ10の残りの部分に伝えるために協働する、1つまたは複数のミラー、レンズ、あるいは他の光学素子を備えた光学系を備えてもよい。
【0017】
図示した実施形態では、光源12からの光は、第1の光変調器16の方向に導かれている。光源12は、第1の光変調器16に対して実質的に均一な照射を提供することが好ましい。光変調器16は、個々にアドレス指定可能な素子からなるアレイを備えている。光変調器16は例えば、透過型の光変調器の一例であるLCD(液晶ディスプレイ)、または反射型の光変調器の一例であるDMD(変形可能なミラーデバイス)を備えてもよい。ディスプレイドライバ回路(図1には図示せず)は、表示されている画像を規定するデータに従って光変調器16の素子を制御する。
【0018】
第1の光変調器16によって変調された光は、適当な光学系17によって背面投影スクリーン23上に像形成している。第1の光変調器16のある小さいエリアからの光は、光学系17によって、背面投影スクリーン23上の対応するエリアにまで導かれている。図示した実施形態では、光学系17は、焦点距離fを有するレンズを備えている。一般に、第1の光変調器16が変調した光を背面投影スクリーン23上に像形成する光学系17は、1つまたは複数のミラー、レンズまたは別の光学素子を備えてもよい。こうした光学系は、第1の光変調器が変調した光を第2の光変調器上に像形成させる機能を有する。光学系17は像形成手段と言うこともある。」
「【0034】
図6Aおよび6Bに示しているように、スクリーン34は、光を観察者の眼の方向に優先的に導くように機能するレンズ素子40を備えることが好ましい。図示した実施形態では、レンズ素子40はプロジェクタ37から発せられた光円錐の頂点と実質的に一致した焦点を有するフレネルレンズを備えている。レンズ素子40は、ホログラフィックレンズなどの別の種類のレンズを備えることも可能である。レンズ素子40は、スクリーン34から反射された光に所望の度合いの拡散を提供する散乱中心45を組み込んでいる。図示した実施形態では、第2の光変調器36は反射層43が裏打ちされかつバッキング47上に取り付けられた多数の画素42を有する反射性LCDパネルを備えている。
【0035】
光変調器36が可変の再帰反射性能を有する素子からなるアレイを備える場合には、これらの素子自体を、再帰反射した光をスクリーン34の前において観察エリアの方向に優先的に導くように設計することが可能である。反射層43は散乱中心45の効果の増強、あるいは散乱中心45の代用のいずれかのために光を散乱させるパターンであってもよい。
【0036】
図4に示すように、コントローラ39は、画像38を規定するデータを第1の光変調器16および第2の光変調器36の各々に提供する。コントローラ39は例えば、適当なディスプレイアダプタを装備したコンピュータを備えることが可能である。スクリーン34上の任意の点の照度は、第1の光変調器16および第2の光変調器36内における当該の点に対応する画素の合成効果によって決定される。最小照度は、第1および第2の光変調器の対応する画素がその「最も暗い」状態に設定されている点に存在する。最大照度は、第1および第2の光変調器の対応する画素がその「最も明るい」状態に設定されている点に存在する。別の点は中間的な照度値を有する。最大照度値は例えば、10^(5)d/m^(2)オーダーとすることがあり得る。最小照度値は例えば、10^(-2)cd/m^(2)オーダーとすることがあり得る。
【0037】
光変調器ならびにその関連する制御回路のコストはその光変調器内のアドレス指定可能な素子の数に伴って増大する傾向がある。本発明の幾つかの実施形態では、その光変調器のうちの1つは、その光変調器の別の1つまたは複数の光変調器と比べて有意に高い空間分解能を有する。1つまたは複数の光変調器がより低分解能のデバイスである場合、本発明のこうした実施形態によるディスプレイのコストを低減させることができる。光変調器のうちの1つがカラー光変調器(複数のモノクロ光変調器の組み合わせによって、例えば図6に示すようなカラー光変調器を構成させることがある)であり、かつ光変調器のうちの1つがより高分解能の光変調器であるような2つ以上の光変調器を備えるカラーディスプレイでは、このより高分解能の光変調器もカラー光変調器とすべきである。幾つかの実施形態では、より高分解能の光変調器がより低い分解能の光変調器上に像形成されている。別の実施形態では、より低い分解能の光変調器がより高分解能の光変調器上に像形成されている。
【0038】
図5は、図1に示すようなディスプレイ10の画素に関する可能な1構成を示す。第2の光変調器20の9個の画素42が第1の光変調器16の各画素44に対応している。第2の光変調器20のうち第1の光変調器16の各画素44に対応する画素42の数は、設計選択の問題として変更されえる。第1および第2の光変調器16および20(または36)のうちより高い方の分解能の光変調器の画素44は、所望の全体分解能が得られるように十分に小さくすべきである。一般に、分解能の上昇とコストの上昇との間にはトレードオフの関係がある。典型的なディスプレイの1つでは、より高分解能の光変調器は各方向に少なくとも数百個の画素、またより典型的には各方向で1000個を超える画素を有する画素のアレイを提供することになる。
【0039】
第1および第2の光変調器のうちより低い方の分解能の光変調器の画素42のサイズによって、そのスケールにわたって最大強度から最小強度まで高信頼に移行することが可能なスケールが決定される。例えば、最大照度の小さいスポットの画像を最小照度の大きいバックグラウンド上に表示したいと希望する状況を表す図5Aを検討してみる。スポット47内に最大の照度を得るには、第1および第2の光変調器の各々のうちスポット47に対応する画素をその最大照度値になるように設定すべきである。ある光変調器の画素がこれ以外の光変調器の画素と比べて分解能がより低い場合には、このより低分解能の光変調器の幾つかの画素をスポット47の境界に跨らせることになる。例えば図5Aがこのケースとなる。
【0040】
スポット47の外部には2つの領域が存在する。領域48ではより低分解能の光変調器がその最も高照度の値に設定されるため、この領域ではその照度を最小値に設定することが可能ではない。領域49ではその光変調器の両方をその最低の照度値に設定することが可能である。例えば、第1および第2の光変調器の各々が1から100単位の照度範囲を有している場合には、領域47は100×100=10,000単位の照度を有する可能性があり、領域48は100×1=100単位の照度を有することになり、かつ領域49は1×1=1単位の照度を有することになる。
【0041】
光変調器の一方がもう一方と比べてより低い分解能を有しているため、より低分解能の光変調器の各画素はより高分解能の光変調器の複数の画素に対応する。より低分解能の光変調器の任意の1つの画素に対応する点およびより高分解能の光変調器の別の画素に対応する点が、デバイスのダイナミックレンジの両極にある照度値を有することは不可能である。こうした点の間での照度の最大差は、より高分解能の光変調器により提供されるダイナミックレンジによって決定される。
【0042】
ディスプレイが接近した間隔とした点の照度をディスプレイのフルダイナミックレンジだけ互いに異ならせることが不可能であることは一般に問題とならない。人間の眼の有する固有の散乱は大きいため、任意のイベントにおいて非常に短い距離にわたって生じるような照度の大きな変化を認識することは不可能である。
【0043】
より低分解能の空間光変調器とより高分解能の空間光変調器との両方を含む本発明によるディスプレイでは、コントローラ39は、より低分解能の空間光変調器の各画素に関する値を決定し、さらにより高分解能の空間光変調器を制御する信号を調整し、より低分解能の空間光変調器の各画素がこのより高分解能の空間光変調器の複数の画素に共通であるということに由来するアーチファクトを低減させている。このことは、数多くの方法のうちのいずれかによって実施できる。
【0044】
単に一例を挙げると、より低分解能の空間光変調器の各画素がより高分解能の空間光変調器の複数の画素に対応するケースを検討してみる。所望の画像を指定する画像データはコントローラに供給される。この画像データは、より高分解能の空間光変調器の画素の各々に対応する画像エリアに関する所望の照度を示している。このコントローラは、所望の画像に関する1つの近似が提供されるようにより低分解能の光変調器の画素を設定されえる。このことは例えば、より低分解能のディスプレイの各画素に対応する画像エリアに関する所望の照度値の平均値または重み付き平均値を決定することによって達成させることが可能である。
【0045】
次いで、コントローラは、得られる画像を所望の画像に接近させることにより、より高い分解能ディスプレイの画素を設定することがある。このことは例えば、所望の照度値を、より低分解能の光変調器からより高分解能の光変調器の対応する画素上に入射する光の強度によって割ることによって実施することが可能である。より低分解能の光変調器からより高分解能の光変調器のうちのある画素上に入射する光の強度は、より低分解能の空間光変調器の各画素からの光をより高分解能の空間光変調器上に分布させている周知の方法から計算することが可能である。より低分解能の空間光変調器の画素のうちの1つまたは複数からの寄与を足し合わせることによって、より低分解能の空間光変調器の画素を設定する際の方式に関して、より高分解能の空間光変調器の任意の画素が照射を受ける強度を決定することが可能である。
【0046】
低い分解能の画素が大きすぎると、観察者はある画像内の明るい素子の周囲に光暈(halo)を認識し得るほどになることがある。こうした低分解能の画素は十分に小さくし、暗いバックグラウンド上への明るい斑点(patch)の出現や、明るいバックグラウンド上への暗いスポットの出現を受容不可能なほどに劣化させないことが好ましい。より低分解能の光変調器の画素ごとにより高分解能の光変調器上で、約8個から約144個の範囲の画素、より好ましくは約9個から36個の範囲の画素を提供することが近年のところ現実的であると考えられる。
【0047】
画素42および44の各々によってその画像上の点(複数のこともある)の照度を調整することが可能であるようなステップのサイズは、必ずしも等しくはない。より低分解能の光変調器の画素はより高分解能の光変調器の画素と比べてより粗いステップで光強度を調整してもよい。例えば、より低分解能の光変調器は、各画素の光強度を8ステップで1から512単位の強度範囲にわたって調整することを可能としており、一方より高分解能の光変調器は各画素の光強度を512ステップで同じ範囲にわたって調整することを可能でありえる。図5では画素42および44をいずれも正方形として図示しているが、このことは必須ではない。画素42および/または44は、矩形、3角形、6角形、円形、あるいは長円形など別の形状とさせることも可能である。」
「【0052】
上述した実施形態では、光源からの光は第1の光変調器によって空間変調させ、次いで第2の光変調器上に像形成されている。本発明者らは、この光源の機能と第1の光変調器の機能とは、各々が制御可能な輝度を有する発光素子からなるアレイを備える光源を設けることによって組み合わせることが可能であるものと理解している。これらの発光素子は半導体デバイスでありえる。例えば、発光素子は発光ダイオード(LED)を備えることがある。これらのLEDの各々は、LEDを通って流れる電流の制御を可能にしており、これによりLEDが発する光の輝度に対する制御を可能にするドライバ回路によって駆動させている。このコントローラはさらに、あるいは代替的に、対応するLEDのデューティサイクルを制御することがある。以下に記載するが、この駆動用回路は、各LEDまたはLEDの各グループに供給されている電流を監視することがあり、また各LEDまたはLEDの各グループに供給されている電流の大きさが予期しない値である場合にエラー信号を発生させることがある。こうしたエラー信号は、コントローラによって不良のLEDを補償するために使用されてもよい。」
「【0066】
上述のように、図7および7Aを参照すると、光変調器20は、LEDアレイ50による光変調器20の照射が光変調器20上での位置に従って滑らかに変化するような方式で照射を受けることが好ましい。このことは、LEDアレイ50内に光変調器20上で若干重複したパターンで光を発するLED52を設けることによって達成することが可能である。各LED52が発した光は、光変調器20上に入射するLED52からの光の強度変動が矩形プロファイルと広がり関数とのコンボリューションとなるようにして広がり関数によって特徴付けすることがある。この広がり関数は、0.3×d2から3×d2(ここで、d2は光変調器20上の隣接するLED52の照射パターン同士の間の光変調器20上での中心-中心間隔である)の範囲にある半値全幅を有することが好ましい。光変調器20上のLED52の照射パターンが広げられるように、ディフューザ22A(図8の破線で示す)をアレイ50と光変調器20の間に配置させてもよい。」
「【0084】
適正なタイミングを用いると、空間光変調器20の各横列をリフレッシュする時点で、対応するLED52をオフにするか、あるいは暗くすることが可能である。これ以外のときには、対応するLED52を、観察者が所望の輝度を認識するように十分にオーバードライブさせることが可能である。観察者の眼はLED52の速いフリッカを認識することが不可能である。その代わりに観察者は平均輝度を認識している。典型的には、LED52の動作を多重化(multiplex)することが望ましい。LEDを多重化方式で動作させている場合、LED52の多重化を空間光変調器52のリフレッシュと同期させることによってモーションブラーの補正を実行することが可能である。」

4-2 各記載不備について
(1)訂正特許発明1について
ア 請求人の主張の概要
(ア)訂正特許発明1の「光源の前記発光素子を駆動して所望の画像の近似を提供するとともに、前記空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し、その計算した強度に基づき前記空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動して、得られる画像を前記所望の画像に近づけるように接続されているコントローラ」「を備えた」構成(以下、「構成1」という。)は、訂正明細書【0044】、【0045】の記載に対して、あまりにも漠然としており、その技術的範囲は訂正明細書の記載に対して広すぎるから、訂正特許発明1はサポート要件及び実施可能要件を満たしていない。(審判請求書「6.」「(51)」「(51)-1」参照。)
(イ)訂正特許発明1の「光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」「を備えた」構成(以下、「構成2」という。)に関し、光学系17は、第1の光変調器16が変調した光を背面投影スクリーン23上(第2の光変調器上の面)に像形成することが、訂正明細書【0018】に説明されているものの、背面投影スクリーン23上(第2の光変調器上)に像形成すれば、対象が異なるディフューザ上に像形成することは物理的に不可能であり、この点については、訂正明細書に説明されていないから、訂正特許発明1はサポート要件及び実施可能要件を満たしていない。(弁駁書「5.」「(12)」「(12)-1」「B.」参照。)
(ウ)訂正特許発明1の「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算」する構成に関し、「光源からの光が前記ディフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」「を備えた」ことまで考慮して、「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算」するは訂正特許明細書に記載されていないから、訂正特許発明1はサポート要件及び実施可能要件を満たしていない。(弁駁書「5.」「(12)」「(12)-1」「C.」参照。)

イ 被請求人の反論の概要
訂正明細書【0044】及び【0045】に記載された制御のー例である「割る」ことから、技術常識に照らせば、空間光変調器の他の制御を類推できるので、訂正特許発明1はサポート要件及び実施可能要件を満たすものである。(答弁書「6」「(12)」「(12)-1」)

ウ 判断
(ア)請求人の(ア)の主張に対して
本願発明が解決しようとする課題は、「表示された画像内に広い範囲の光強度を再生することを可能とする」(【0008】)こと、すなわち、「高いダイナミックレンジによって画像をレンダリングすることが可能なディスプレイを提供する」(【0015】)ことである。
一方、訂正明細書には、「本発明によるディスプレイは、2つの光変調段を備えている。光は各段を直列に通過してダイナミックレンジの向上された画像を生ずる」(【0015】)と記載されているところ、「光源の機能と第1の光変調器の機能とは、各々が制御可能な輝度を有する発光素子からなるアレイを備える光源を設けることによって組み合わせることが可能であるものと理解している」(【0052】)と記載されているから、上記【0015】に記載された、光が直列に通過する2つの光変調段のうち、第1の変調器は光源とともに発光素子のアレイに換えてもダイナミックレンジの向上を図ることができるといえる。
そして、訂正特許発明1は、「光源の前記発光素子を駆動して所望の画像の近似を提供するとともに、前記空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し、その計算した強度に基づき前記空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動して、得られる画像を前記所望の画像に近づける」構成、すなわち、「所望の画像の近似を提供」する「光源の前記発光素子」、及び、「制御可能な素子」を有する「空間光変調器」を備えた構成を含むものであるから、上記課題を達成できるものであるといえ、サポート要件違反とはいえない。
また、訂正特許発明1の構成1に関し、訂正明細書【0045】には、「コントローラは、得られる画像を所望の画像に接近させることにより、より高い分解能ディスプレイの画素を設定することがある。このことは例えば、所望の照度値を、より低分解能の光変調器からより高分解能の光変調器の対応する画素上に入射する光の強度によって割ることによって実施することが可能である。より低分解能の光変調器からより高分解能の光変調器のうちのある画素上に入射する光の強度は、より低分解能の空間光変調器の各画素からの光をより高分解能の空間光変調器上に分布させている周知の方法から計算することが可能である。より低分解能の空間光変調器の画素のうちの1つまたは複数からの寄与を足し合わせることによって、より低分解能の空間光変調器の画素を設定する際の方式に関して、より高分解能の空間光変調器の任意の画素が照射を受ける強度を決定することが可能である。」と記載されており、当該記載を考慮すれば、当業者であれば実験等を行うことにより、構成1を実施することは可能であることは自明である。
(イ)請求人の(イ)の主張に対して
一般に、ディフューザはかなり薄いものであるから、例えば、本願の図10に記載された、光変調器20とディフューザ22のように互いに接して配置されている場合は、1つの光学系でディフューザと光変調器の両方に投影することが可能であることは明らかである。
また、平成28年2月2日の第1回口頭審理調書における「訂正後の請求項1に係る「前記光源からの光が前記ディフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」は、焦点を有する収束光学系を意味するものであり、プリズムシートは含まない。 」との被請求人の陳述からみて、「投影する光学系」とは焦点を有する収束光学系を意味するものであり、焦点が合っている否かは問わないものであるといえることからみても、1つの光学系でディフューザと光変調器の両方に投影することは可能であるといえる。
(ウ)請求人の(ウ)の主張に対して
訂正特許発明1の「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算」する構成については、訂正明細書【0045】に低分解能の変調器から高分解能の変調器に入射する光の強度を計算することが記載されており、また【0052】に低分解能の光変調器を発光素子からなるアレイを備える光源に換えてもよいことが記載されている。
そして、【0056】には、「ディフューザ22AはLED52の発光特性と連携して、光変調器20の後ろ側の面全体にわたってLED52からの光の強度変動を滑らかにさせている。」、【0066】には、「光変調器20上のLED52の照射パターンが広げられるように、ディフューザ22A(図8の破線で示す)をアレイ50と光変調器20の間に配置させてもよい。」と記載されており、これらの記載からみて、「光源からの光が前記ディフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系」「を備えた」場合についても、「空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算」することが記載されていることは明らかである。

(2)訂正特許発明4について
ア 請求人の主張の概要
訂正特許発明4は、「光源の各発光素子は前記空間光変調器の145個以下の数の対応する制御可能な素子に対応している」構成を有するが、訂正明細書には、空間光変調器の素子が144個までの記載しかなく、145個の記載がないから、訂正特許発明4はサポート要件違反である。(審判請求書「6.」「(51)」「(51)-2」参照。)

イ 被請求人の反論の概要
訂正明細書【0046】には「約8個から約144個の範囲の画素」と記載されており、訂正特許発明4の「制御可能な素子」が「145個以下」であるからといって、サポート要件違反であるとはいえない。(答弁書「6」「(12)」「(12)-2」)

ウ 判断
訂正明細書【0046】には、「より低分解能の光変調器の画素ごとにより高分解能の光変調器上で、約8個から約144個の範囲の画素、より好ましくは約9個から36個の範囲の画素を提供することが近年のところ現実的であると考えられる」と単に一つの実施態様として144個までの範囲の画素について記載されており、この記載からすれば145個以上の画素を排除しているとも認められないから、145個の画素についても記載されているに等しいといえる。

(3)訂正特許発明6、8について
ア 請求人の主張の概要
請求項6,8は請求項1を直接または間接的に引用するものであるから、訂正特許発明6、8は「光学系」及び「反射壁式チャンネルのグリッド」の両方を備えることになるが、そのような構成は訂正明細書に記載されていない。
よって、訂正特許発明6、8はサポート要件及び実施可能要件を満たしていない。(弁駁書「5.」「(12)」「(12)-3」及び「(12)-4」参照。)

イ 被請求人の反論の概要
技術常識に照らせば、「反射壁式チャンネルのグリッド」と「ディフューザ」との間に「光学系」を設けることに何ら阻害要因がないから、訂正特許発明6、8はサポート要件及び実施可能要件を満たすものである。(被請求人陳述要領書「5.」「(3)」「1」及び「2」(1,2はそれぞれ数字を丸で囲ったもの))

ウ 判断
本願発明の課題は、「表示された画像内に広い範囲の光強度を再生することを可能とする」(【0008】)ことであるところ、訂正特許発明6、8は「光学系」及び「反射壁式チャンネルのグリッド」がなくとも上記課題は達成できることは技術常識から自明であるから、訂正特許発明6、8はサポート要件違反ではない。
また、光源及び変調器を備えたディスプレイにおいて、光学部材を適宜用いることが技術常識であるから、訂正明細書には「光学系」及び「反射壁式チャンネルのグリッド」の両方を備えることが実質的に記載されているといえる。

(4)訂正特許発明12、13について
ア 請求人の主張の概要
訂正特許発明12は、「光源の前記発光素子の各々は離散的で選択可能な輝度レベルの数Nを有しており、かつ前記空間光変調器の制御可能な素子は離散的で選択可能な輝度レベルの数Mを有しており、かつN<Mである」構成を、訂正特許発明13は、「光源の前記発光素子の各々は離散的で選択可能な輝度レベルの数Nを有しており、かつ前記空間光変調器の制御可能な素子は離散的で選択可能な輝度レベルの数Mを有しており、かつN>Mである」構成をそれぞれ有するものである。
一方、上記構成に関し、訂正明細書【0047】には、「より低分解能の光変調器は、各画素の光強度を8ステップで1から512単位の強度範囲にわたって調整することを可能としており、一方より高分解能の光変調器は各画素の光強度を512ステップで同じ範囲にわたって調整することを可能でありえる。」と記載されているものの、この記載は、「光源の前記発光素子の」「輝度レベルの数N」について記載されたものではないから、訂正特許発明12、13はサポート要件及び実施可能要件を満たしていない。(審判請求書「6.」「(51)」「(51)-3」及び「(51)-4」参照。)

イ 被請求人の反論の概要
LEDに流す電流量を離散的で選択可能な複数レベルで調整すれば、LEDの発光量つまり輝度レベルも離散的で選択可能な複数レベルで調整できることは自明であるし、輝度レベルの大小関係「N<M」については、訂正明細書【0047】に記載されているから、訂正特許発明12、13はサポート要件及び実施可能要件を満たすものである。(答弁書「6」「(12)」「(12)-3」及び「(12)-4」)

ウ 判断
訂正明細書【0052】には、低分解能の光変調器を発光素子からなるアレイを備える光源に換えてもよいことが記載されているから、この記載及び【0047】の記載からすると、訂正明細書には「光源の前記発光素子の」「輝度レベルの数N」について実質的に記載されているといえる。

(5)訂正特許発明17について
ア 請求人の主張の概要
訂正特許発明17は、「光源を前記空間光変調器上に像形成するように配置された像形成用光学機器を前記光学系として備える」構成は、光学系に相当する像形成用光学機器が像形成する対象は、前記光源という記載となっており、不明瞭である。(弁駁書「5.」「(12)」「(12)-7」)

イ 被請求人の反論
訂正特許発明17については、被請求人の反論はなかった。

ウ 判断
訂正特許発明17の「光源を前記空間光変調器上に像形成するように配置された像形成用光学機器を前記光学系として備える」構成は、光学系に相当する像形成用光学機器が像形成する対象が、空間光変調器であることを意味しているのは明らかであって、不明瞭とはいえない。

(6)訂正特許発明18について
ア 請求人の主張の概要
請求項18は請求項1を間接的に引用するものであるが、訂正特許発明18は、ディフューザを備え、かつ、ディスプレイが前面投影型であることを特定するものであるが、前面投影型のディスプレイで、空間光変調器の入射面側に「ディフューザ」を配置したものは、訂正明細書に記載されていないから、訂正特許発明18はサポート要件及び実施可能要件を満たしていない。(弁駁書「5.」「(12)」「(12)-8」参照。)

イ 被請求人の反論の概要
技術常識に照らせば、前面投影型のディスプレイに、「ディフューザ」を配置することは当然可能であるから、訂正特許発明18はサポート要件及び実施可能要件を満たすものである。(被請求人陳述要領書「5.」「(3)」「3」(3は数字を丸で囲ったもの))

ウ 判断
訂正明細書【0034】及び【0035】並びに図6、6A及び6Bには、光変調器36も備えた「前面投影型のディスプレイ」が記載されており、これらの記載には「ディフューザ」は明記されていないものの、他の実施例には光変調器の前面や後面にディフューザを設けることが記載されており、上記「前面投影型のディスプレイ」における光変調器36の前面側にディフューザを設けることは、当業者にとって自明な事項であるから、訂正明細書には、ディフューザを備え、かつ、ディスプレイが前面投影型であることが実質的に記載されているといえる。

(7)訂正特許発明20、21について
ア 請求人の主張の概要
(ア)訂正特許発明20は、「対応する発光素子が最大の光出力にありかつ前記空間光変調器の対応する素子が最大の照射を提供するように設定されている点である第1の点と、対応する発光素子が最小の光出力にありかつ前記空間光変調器の対応する素子が最小の照射を提供するように設定されている点である第2の点との照度の比が、1000:1を超えている」構成を、訂正特許発明21は、「対応する発光素子が最大の光出力にありかつ前記空間光変調器の対応する素子が最大の照射を提供するように設定されている点である第1の点と、対応する発光素子が最小の光出力にありかつ前記空間光変調器の対応する素子が最小の照射を提供するように設定されている点である第2の点との照度の比が、1500:1を超えている」構成をそれぞれ有するものである。
一方、訂正明細書【0040】等に照度に関する記載があるが、この記載は「発光素子」を用いたものではないから、訂正特許発明20、21はサポート要件及び実施可能要件を満たしていない。(審判請求書「6.」「(51)」「(51)-5」及び「(51)-6」参照。)
(イ)訂正特許発明20、21の上記構成の照度の比を下限とする臨界的意義が、訂正明細書に記載されていないから、訂正特許発明20、21はサポート要件及び実施可能要件を満たしていない。(弁駁書「5.」「(12)」「(12)-9」及び「(12)-10」参照。)

イ 被請求人の反論の概要
(ア)請求人の(ア)の主張に対して
LEDに流す電流量を調整すればLEDの発光量つまり輝度も調整できることは、当業者には自明であるし、訂正明細書【0036】及び【0040】に、空間光変調器のダイナミックレンジについて記載されており、当業者であればこの記載の空間光変調器に換えて発光素子にすることが可能である。(答弁書「6」「(12)」「(12)-5」及び「(12)-6」)

ウ 判断
(ア)請求人の(ア)の主張に対して
訂正明細書【0052】には、低分解能の光変調器を発光素子からなるアレイを備える光源に換えてもよいことが記載されているから、この記載及び【0040】の記載からすると、訂正明細書には「発光素子」を用いた場合について実質的に記載されているといえる。また、その場合の照度が、訂正特許発明20、21の特定に適合しうるように設定しうることは当業者には自明である。
(イ)請求人の(イ)の主張に対して
一般に、「数値の臨界的意義」と「サポート要件」には何の関係もなく、特許請求の範囲に記載された数値の臨界的意義が明細書に記載されていないからといって、サポート要件違反や実施可能要件違反とはならないから、訂正特許発明20、21はサポート要件及び実施可能要件を満たしていないとはいえない。

(8)訂正特許発明25について
ア 請求人の主張の概要
訂正特許発明25は、「固体発光素子によって発せられる光の色は制御可能である」構成を有するが、このような構成は訂正明細書に記載されていないし、そもそも固体発光素子は単一色しか発することができないから、訂正特許発明25はサポート要件及び実施可能要件を満たしていない。(審判請求書「6.」「(51)」「(51)-7」参照。)

イ 被請求人の反論の概要
訂正明細書【0053】には、「LEDは3色のLEDからなるアレイを備えてもよい。各々が赤色、緑色および青色のLEDのすべてを単一のハウジング内部に封入して含んでいるような3色LEDが一般に市販されている。1つまたは複数の白色LEDを用いて第2の光変調器の各画素グループを照射することもある」と記載されており、また、3色のONとOFFを切り換えることで色を制御することは、当業者にとって自明である。(答弁書「6」「(12)」「(12)-7」)

ウ 判断
フルカラーLEDなど、RGBの光量を制御可能な固体発光素子が本件出願前に市販されていることからも分かるように、固体発光素子によって発せられる光の色を制御することは技術常識から自明な事項であるから、訂正特許発明25の上記構成は、訂正明細書に実質的に記載されているといえる。

(9)訂正特許発明32、52、60について
ア 請求人の主張の概要
訂正特許発明32は、「コントローラは、前記制御可能な素子を定期的にリフレッシュ」する構成を、訂正特許発明52、60は、「制御可能な素子を定期的にリフレッシュ」する構成を有するが、訂正明細書【0084】には、リフレッシュを行うことが記載されているものの、リフレッシュを定期的に行うことは記載されていないから、訂正特許発明32、52、60はサポート要件及び実施可能要件を満たしていない。(審判請求書「6.」「(51)」「(51)-8」、「(51)-16」及び「(51)-24」参照。)

イ 被請求人の反論の概要
訂正明細書【0084】には、空間光変調器20の各横列をリフレッシュする時点で、対応するLED52をオフにするか、暗くすることが可能である旨が記載されおり、この記載によれば、定期的に空間光変調器20をリフレッシュすることを当業者には自明である。(答弁書「6」「(12)」「(12)-8」、「(12)-16」及び「(12)-24」)

ウ 判断
リフレッシュを定期的に行うことは慣用手段であるし、リフレッシュを行うことと本願発明の課題とは直接関係しないものであるから、リフレッシュを定期的に行うことは、当業者にとって自明であり訂正明細書に実質的に記載されているといえる。

(10)訂正特許発明39について
ア 請求人の主張の概要
請求項39は請求項1を直接または間接的に引用するものであるから、訂正特許発明39は「光学系」及び「光バリア」の両方を備えることになるが、そのような構成は訂正明細書に記載されていない。
よって、訂正特許発明39はサポート要件及び実施可能要件を満たしていない。(弁駁書「5.」「(12)」「(12)-13」参照。)

イ 被請求人の反論の概要
技術常識に照らせば、「光バリア」を備えた「光源」と、「ディフューザ」との間に「光学系」を設けることに何ら阻害要因がないから、訂正特許発明39はサポート要件及び実施可能要件を満たすものである。(被請求人陳述要領書「5.」「(3)」「4」(4は数字を丸で囲ったもの))

ウ 判断
本願発明の課題は、「表示された画像内に広い範囲の光強度を再生することを可能とする」(【0008】)ことであるところ、訂正特許発明39は「光学系」及び「光バリア」がなくとも課題は達成できるから、訂正特許発明39はサポート要件違反ではない。
また、光源及び変調器を備えたディスプレイにおいて、光学部材を適宜用いることが技術常識であるから、「光学系」及び「光バリア」の両方を備えることは、当業者にとって自明であり、実質的に訂正明細書に記載されているといえる。

(11)訂正特許発明40、53、61について
ア 請求人の主張の概要
訂正特許発明40、53、61は、「発光素子のデューティサイクルを変化させる」構成を有するものであるが、訂正明細書(【0052】)には、発光素子のデューティサイクルを制御することが記載されているものの、「発光素子のデューティサイクルを変化させる」ことは記載されていない。
よって、訂正特許発明40、53、61はサポート要件及び実施可能要件を満たしていない。(審判請求書「6.」「(51)」「(51)-9」、「(51)-17」及び「(51)-25」参照。)

イ 被請求人の反論の概要
訂正明細書【0052】には、「これらのLEDの各々は、LEDを通って流れる電流の制御を可能にしており、これによりLEDが発する光の輝度に対する制御を可能にするドライバ回路によって駆動させている」と記載されており、この記載からすると、デューティサイクルを変化させることが実質的に記載されていることが当業者には自明である。(答弁書「6」「(11)」「(12)-9」、「(12)-17」及び「(12)-25」)

ウ 判断
訂正明細書の「LEDのデューティサイクルを制御する」(【0052】)との記載に、発光素子のデューティーサイクルを変化させることが含まれることは明らかであるし、LEDのデューティーサイクルを変化させること自体は周知技術であるから、発光素子のデューティサイクルを変化させることは、当業者にとって自明な事項であり、実質的に訂正明細書に記載されているといえる。

(12)訂正特許発明41、54、62について
ア 請求人の主張の概要
訂正特許発明41、54、62は、「発光素子に供給される駆動用電流を変化させる」構成を有するものであるが、訂正明細書(【0052】)には、「LEDを通って流れる電流の制御を可能に」することが記載されているものの、「発光素子に供給される駆動用電流を変化させる」は記載されていない。
よって、訂正特許発明41、54、62はサポート要件及び実施可能要件を満たしていない。(審判請求書「6.」「(51)」「(51)-10」、「(51)-18」及び「(51)-26」参照。)

イ 被請求人の反論の概要
訂正明細書【0052】に記載された「LEDを通って流れる電流」は「LEDの駆動用電流」であり、「LEDを通って流れる電流の制御」は、当然に「LEDに供給される駆動用電流を変化させる」ことを意味することは当業者には自明であるから、訂正特許発明41、54、62はサポート要件及び実施可能要件を満たすものである。(答弁書「6」「(12)」「(12)-10」、「(12)-18」及び「(12)-26」)

ウ 判断
訂正明細書(【0052】)には、「LEDを通って流れる電流の制御を可能に」することが記載されており、当該「電流の制御」に「駆動用電流を変化させる」を含むことは明らかであって、「発光素子に供給される駆動用電流を変化させる」ことは、当業者にとって自明な事項であり、実質的に訂正明細書に記載されているといえる。

(13)訂正特許発明47、49について
ア 請求人の主張の概要
訂正特許発明47は、「コントローラは、前記光源が有する発光素子よりも前記空間光変調器が多くの制御可能な素子を有していることに由来するアーチファクトを低減させるように前記空間光変調器の前記制御可能な素子を制御するように構成されている」構成を、訂正特許発明49は、「光源が有する発光素子よりも前記空間光変調器が多くの制御可能な素子を有していることに由来するアーチファクトを低減させるように、前記空間光変調器の制御可能な素子を制御するように構成されている」構成を有するが、訂正明細書には、「アーチファクトを低減させる」具体的手段が記載されていないから、訂正特許発明47、49は明確性要件、サポート要件及び実施可能要件を満たしていない。(審判請求書「6.」「(51)」「(51)-11」及び「(51)-13」参照。)

イ 被請求人の反論の概要
訂正明細書【0046】には、アーチファクトの具体例を記載しており、「得られる画像を所望の画像に接近させること」(【0045】)がコントローラによる制御の目的であって、その目的を達成するための一例が、「所望の照度値を、より低分解能の光変調器からより高分解能の光変調器の対応する画素上に入射する光の強度によって割ること」であるから、訂正明細書には、「アーチファクトを低減させる」具体的手段が記載されており、訂正特許発明47、49は明確性要件、サポート要件及び実施可能要件を満たすものである。(答弁書「6」「(12)」「(12)-11」及び「(12)-13」)

ウ 判断
本願発明の解決しようとする課題は、「表示された画像内に広い範囲の光強度を再生することを可能とする」(【0008】)ことであるところ、訂正特許発明47、49の上記構成は、本願発明の課題と直接関係せず、仮に該構成がなくとも課題を達成することができるから、訂正特許発明47、49はサポート要件を満たしている。
また、「空間光変調器」「を備えたディスプレイ」において、「アーチファクトを低減させる」ことは、周知技術であって、「アーチファクトを低減させる」ことに関し訂正明細書に具体的に記載されていなくとも、訂正特許発明47、49の上記構成は、当業者にとって自明な事項であり実質的に訂正明細書に記載されているといえるから、訂正特許発明47、49は明確性要件、実施可能要件を満たしている。

(14)訂正特許発明48について
ア 請求人の主張の概要
訂正特許発明48は、訂正特許発明1と同様に、サポート要件及び実施可能要件を満たしていない。(審判請求書「6.」「(51)」「(51)-12」及び弁駁書「5.」「(12)」「(12)-17」参照。)

イ 被請求人の反論の概要
訂正特許発明48は、訂正特許発明1と同様に、サポート要件及び実施可能要件を満たすものである。(答弁書「6」「(12)」「(12)-12」)

ウ 判断
上記「第6」「4」「4-2」「(1)」「ウ」で訂正特許発明1の記載不備について述べた理由と同様に、訂正特許発明48は、サポート要件及び実施可能要件を満たしているといえる。

(15)訂正特許発明50について
ア 請求人の主張の概要
訂正特許発明50は、「第1の制御信号は、前記光源の発光素子に対応する画像エリアに関する所望の照度値の平均値または重み付き平均値である照度に影響を及ぼすように、前記光源の各発光素子を制御するものである」構成を有するが、訂正明細書には、「より低分解能のディスプレイの各画素に対応する画像エリアに関する所望の照度値の平均値または重み付き平均値を決定することによって達成させることが可能である」(【0044】)と記載されているだけであり、「照度に影響を及ぼすように、」「各発光素子を制御する」ことは記載されていないから、訂正特許発明50は、サポート要件及び実施可能要件を満たしていない。(審判請求書「6.」「(51)」「(51)-14」参照。)

イ 被請求人の反論の概要
訂正明細書【0044】には、「決定した所望の照度値の平均値又は重み付けの平均値」である照度の影響を及ぼすように、「低分解能の光変調器の制御可能な素子」を制御することが記載されており、また、【0052】には、光源の機能と第1の光変調器の機能を各々が制御可能な輝度を有する発光素子からなるアレイを備える光源に置換可能なことが記載されているから、「決定した所望の照度値の平均値又は重み付けの平均値」である照度の影響を及ぼすように、「各発光素子を制御する」ことが、訂正明細書に実質的に記載されているといえる。(答弁書「6」「(12)」「(12)-14」)

ウ 判断
本願発明の課題は、「表示された画像内に広い範囲の光強度を再生することを可能とする」(【0008】)ことであるところ、訂正特許発明50の上記構成は、本願発明の課題と直接関係せず、仮に該構成がなくとも課題を達成することができるから、訂正特許発明50はサポート要件を満たしている。
また、訂正明細書には、「より低分解能のディスプレイの各画素に対応する画像エリアに関する所望の照度値の平均値または重み付き平均値を決定することによって達成させることが可能である。」(【0044】)と記載されており、「照度値の平均値または重み付き平均値を決定する」ことは「照度に影響を及ぼす」ことといえるから、訂正特許発明50の上記構成は、当業者にとって自明な事項であり、訂正明細書に実質的に記載されているといえる。

(16)訂正特許発明51について
ア 請求人の主張の概要
(ア)訂正特許発明51の「空間光変調器の制御可能な素子へ入射する光を、前記光源から前記空間光変調器の当該制御可能な素子に入射する光の強度によって割られた前記所望の照度値に基づく量」は、訂正明細書【0044】の記載と異なるから、訂正特許発明51は、サポート要件及び実施可能要件を満たしていない。(審判請求書「6.」「(51)」「(51)-15」参照。)
(イ)訂正特許発明51の「所望の照度値に基づく量だけ変調するように前記空間光変調器の各制御可能な素子を制御する」構成に関し、訂正明細書には、変調を行う量を「所望の照度値に基づく量だけ」に限定する記載は存在しないから、訂正特許発明51はサポート要件及び実施可能要件を満たしていない。(弁駁書「5.」「(12)」「(12)-16」参照。)
(ウ)本件訂正前の請求項51に記載された「所望の照度値に基づく量だけする」は意味不明である。(審判請求書「6.」「(51)」「(51)-15」参照。)

イ 被請求人の反論の概要
(ア)請求人の(ア)の主張について
訂正特許発明51の「前記所望の照度値に基づく量だけする」を「前記所望の照度値に基づく量だけ変調する」と訂正したことで、訂正特許発明51は、明確性要件を満たすものとなった。(答弁書「6」「(12)」「(12)-15」)
(イ)請求人の(ウ)の主張について
訂正特許発明51の「割った」を「割られた」と訂正したことで、訂正特許発明51は、サポート要件及び実施可能要件を満たすものとなった。(答弁書「6」「(12)」「(12)-15」)

ウ 判断
(ア)請求人の(ア)の主張について
訂正特許発明51の「第2の制御信号は、前記空間光変調器の制御可能な素子へ入射する光を、前記光源から前記空間光変調器の当該制御可能な素子に入射する光の強度によって割られた前記所望の照度値に基づく量だけ変調するように前記空間光変調器の各制御可能な素子を制御するものである」構成は、訂正明細書【0045】の「所望の照度値を、より低分解能の光変調器からより高分解能の光変調器の対応する画素上に入射する光の強度によって割る」との記載を単に言い換えただけのものであるから、上記構成は訂正明細書に実質的に記載されている。
(イ)請求人の(イ)の主張について
訂正特許発明51の「所望の照度値に基づく量だけ変調するように前記空間光変調器の各制御可能な素子を制御する」構成の「所望の照度値に基づく量だけ」なる記載は、変調を行う量を「所望の照度値に基づく量だけ」に限定するものではなく、「所望の照度値に基づく量」を変調する意味であって、この構成は訂正明細書に記載されているものである。
(ウ)請求人の(ウ)の主張について
本件訂正により当該記載は、「所望の照度値に基づく量だけ変調する」と訂正されたから、訂正特許発明51は明確性要件を満たしている。

(17)訂正特許発明55について
ア 請求人の主張の概要
(ア)訂正特許発明55は、訂正特許発明1と同様に、サポート要件及び実施可能要件を満たしていない。(審判請求書「6.」「(51)」「(51)-19」及び弁駁書「5.」「(12)」「(12)-24」参照。)
(イ)訂正特許発明55の「第1の画像データの組」及び「第2の画像データの組」は意味が不明であるから、訂正特許発明55は、明確性要件、サポート要件及び実施可能要件を満たしていない。(審判請求書「6.」「(51)」「(51)-19」)
(ウ)訂正特許発明55の「入射する光の強度を計算」は、その主体が不明であるから、訂正特許発明55は、明確性要件を満たしていない。(審判請求書「6.」「(51)」「(51)-19」)

イ 被請求人の反論の概要
(ア)請求人の(ア)の主張について
上記「第6」「4」「4-2」「(1)」「イ」で訂正特許発明1の記載不備について述べた理由と同様に、訂正特許発明55は、サポート要件及び実施可能要件を満たしているといえる。(答弁書「6」「(12)」「(12)-19」)
(イ)請求人の(イ)の主張について
「画像データの組」という記載の意味が「画像データ」の複数というものを意味することは、当業者には自明である。(答弁書「6」「(12)」「(12)-19」)
(ウ)請求人の(ウ)の主張について
訂正特許発明55の「入射する光の強度を計算」する主体は「光源を制御」、「入射する光の強度を計算」、「素子の透過度を第2の画像データの組によって制御」できれば良く、不明確ではない。(答弁書「6」「(12)」「(12)-19」)

ウ 判断
(ア)請求人の(ア)の主張について
上記「第6」「4」「4-2」「(1)」「ウ」で訂正特許発明1の記載不備について述べた理由と同様に、訂正特許発明55は、サポート要件及び実施可能要件を満たしているといえる。
(イ)請求人の(イ)の主張について
訂正特許発明55の「第1の画像データの組」及び「第2の画像データの組」は、「画像データの組」が複数の画像データを意味していると認められるから、普通に理解ができるものである。
(ウ)請求人の(ウ)の主張について
訂正特許発明55の「入射する光の強度を計算」する主体によって、「入射する光の強度を計算」が変わる訳ではなく、主体を特定しなくとも明確性違反とはいえない。

(18)訂正特許発明56について
ア 請求人の主張の概要
(ア)訂正特許発明56の「第1の画像データの組」及び「第2の画像データの組」は意味が不明であるから、訂正特許発明56は、明確性要件、サポート要件及び実施可能要件を満たしていない。(審判請求書「6.」「(51)」「(51)-20」参照。)
(イ)訂正特許発明56の「第2の画像データの組は前記第1の画像データの組と比べて分解能がより高い」構成は、「画像データの組」の「分解能」についての構成であるが、ピクセル数は分解能を意味するわけではないから、訂正特許発明56は明確性要件、サポート要件及び実施可能要件を満たしていない。(審判請求書「6.」「(51)」「(51)-20」参照。)

イ 被請求人の反論の概要
(ア)請求人の(イ)の主張について
第1画像のデータのピクセル数と、第2画像のデータのビクセル数とを共通の寸法あたりで比較すれば、分解能が高低は容易に把握できるから、訂正特許発明56は明確性要件、サポート要件及び実施可能要件を満たすものである。(答弁書「6」「(12)」「(12)-20」)

ウ 判断
(ア)請求人の(ア)の主張について
訂正特許発明56の「第1の画像データの組」及び「第2の画像データの組」は、「画像データの組」が複数の画像データを意味していると認められるから、普通に理解ができるものである。
(イ)請求人の(イ)の主張について
厳密には、「分解能」は寸法あたりのピクセル数を示すものであるが、ドット状のディスプレイの場合、「分解能」がピクセル数を意味することもあり、しかも訂正特許発明56の「分解能」がピクセル数のことを意味しない特段の理由も見当たらないから、訂正特許発明56は明確性要件、サポート要件及び実施可能要件を満たすものである。

(19)訂正特許発明57について
ア 請求人の主張の概要
(ア)訂正特許発明57は、「第2の画像データの組は、前記光源が有する発光素子よりも前記空間光変調器が多くの制御可能な素子を有していることに由来するアーチファクトを低減させるように選択されている」構成を有するが、訂正明細書には、「アーチファクトを低減させる」具体的手段が記載されていないから、訂正特許発明57は明確性要件、サポート要件及び実施可能要件を満たしていない。(審判請求書「6.」「(51)」「(51)-21」参照。)
(イ)訂正特許発明57の「第2の画像データの組」は意味が不明であるから、訂正特許発明57は、明確性要件、サポート要件及び実施可能要件を満たしていない。(審判請求書「6.」「(51)」「(51)-21」参照。)

イ 被請求人の反論の概要
(ア)請求人の(ア)の主張に対して
上記「第6」「4」「4-2」「(13)」「イ」で述べた理由と同様に、訂正明細書には、「アーチファクトを低減させる」具体的手段が記載されており、訂正特許発明57は明確性要件、サポート要件及び実施可能要件を満たすものである。(答弁書「6」「(12)」「(12)-21」)
(イ)請求人の(イ)の主張に対して
上記「第6」「4」「4-2」「(17)」「イ」「(イ)」で述べた理由と同様に、訂正特許発明55の「第1の画像データの組」及び「第2の画像データの組」は、「画像データの組」が複数の画像データを意味していると認められるから、普通に理解ができるものである。(答弁書「6」「(12)」「(12)-21」)

ウ 判断
(ア)請求人の(ア)の主張に対して
本願発明の課題は、「表示された画像内に広い範囲の光強度を再生することを可能とする」(【0008】)ことであるところ、訂正特許発明57の上記構成は、本願発明の課題と直接関係せず、仮に該構成がなくとも課題を達成することができるから、訂正特許発明57はサポート要件を満たしている。
また、「空間光変調器」「を備えたディスプレイ」において、「アーチファクトを低減させる」ことは、周知技術であるから、「アーチファクトを低減させる」ことに関し訂正明細書に具体的に記載されていなくとも、訂正特許発明57の上記構成は実質的に明細書に記載されており、訂正特許発明57は明確性要件、実施可能要件を満たしているといえる。
(イ)請求人の(イ)の主張に対して
訂正特許発明57の「第2の画像データの組」は、「画像データの組」が複数の画像データを意味していると認められるから、普通に理解ができるものである。

(20)訂正特許発明58について
ア 請求人の主張の概要
(ア)訂正特許発明58は、「第1の画像データの組は、前記光源の各発光素子を制御して、前記光源の発光素子に対応する画像エリアに関する所望の照度値の平均値または重み付き平均値である照度に影響を及ぼすように選択されている」構成を有するが、「照度に影響を及ぼすように、」「各発光素子を制御する」ことに関し、訂正特許発明50と同様に、サポート要件及び実施可能要件を満たしていない。(審判請求書「6.」「(51)」「(51)-22」参照。)
(イ)訂正特許発明58の「第1の画像データの組」及び「第2の画像データの組」は、訂正特許発明55と同様に、明確性要件、サポート要件及び実施可能要件を満たしていない。(審判請求書「6.」「(51)」「(51)-22」参照。)

イ 被請求人の反論の概要
(ア)請求人の(ア)の主張に対して
上記「第6」「4」「4-2」「(15)」「イ」で訂正特許発明50の記載不備について述べた理由と同様に、訂正特許発明58は、サポート要件及び実施可能要件を満たしているといえる。(答弁書「6」「(12)」「(12)-22」)
(イ)請求人の(イ)の主張に対して
上記「第6」「4」「4-2」「(17)」「イ」で訂正特許発明55の記載不備について述べた理由と同様に、訂正特許発明58は、明確性要件、サポート要件及び実施可能要件を満たしているといえる。(答弁書「6」「(12)」「(12)-22」)

ウ 判断
(ア)請求人の(ア)の主張に対して
上記「第6」「4」「4-2」「(15)」「ウ」で訂正特許発明50の記載不備について述べた理由と同様に、訂正特許発明58は、サポート要件及び実施可能要件を満たしているといえる。
(イ)請求人の(イ)の主張に対して
上記「第6」「4」「4-2」「(17)」「ウ」で訂正特許発明55の記載不備について述べた理由と同様に、訂正特許発明58は、明確性要件、サポート要件及び実施可能要件を満たしているといえる。

(21)訂正特許発明59について
ア 請求人の主張の概要
(ア)訂正特許発明59は、「第2の画像データの組は、前記空間光変調器の各制御可能な素子を制御して、当該制御可能な素子へ入射する光を、前記光源から前記空間光変調器の当該制御可能な素子に入射する光の強度によって割られた前記所望の照度値に基づく量だけ変調するように選択されている」構成を有するものであるが、上記「第6」「4」「4-2」「(16)」「ア」で述べた訂正特許発明51と同様の記載不備が存在するから、訂正特許発明59は、訂正特許発明51と同様に、サポート要件及び実施可能要件を満たしていない。(審判請求書「6.」「(51)」「(51)-23」参照。)
(イ)訂正特許発明59は、上記「第6」「4」「4-2」「(17)」「ア」で述べた訂正特許発明55と同様の記載不備が存在するから、訂正特許発明59は、訂正特許発明55と同様に、サポート要件及び実施可能要件を満たしていない。(審判請求書「6.」「(51)」「(51)-23」参照。)

イ 被請求人の反論の概要
(ア)請求人の(ア)の主張に対して
上記「第6」「4」「4-2」「(16)」「イ」で訂正特許発明51の記載不備について述べた理由と同様に、訂正特許発明59は、サポート要件及び実施可能要件を満たしているといえる。(答弁書「6」「(12)」「(12)-23」)
(イ)請求人の(イ)の主張に対して
上記「第6」「4」「4-2」「(17)」「イ」で訂正特許発明55の記載不備について述べた理由と同様に、訂正特許発明59は、明確性要件、サポート要件及び実施可能要件を満たしているといえる。(答弁書「6」「(12)」「(12)-23」)

ウ 判断
(ア)請求人の(ア)の主張に対して
上記「第6」「4」「4-2」「(16)」「ウ」で訂正特許発明51の記載不備について述べた理由と同様に、訂正特許発明59は、サポート要件及び実施可能要件を満たしているといえる。
(イ)請求人の(イ)の主張に対して
上記「第6」「4」「4-2」「(17)」「ウ」で訂正特許発明55の記載不備について述べた理由と同様に、訂正特許発明59は、明確性要件、サポート要件及び実施可能要件を満たしているといえる。

(22)記載不備についてのむすび
以上のとおり、訂正特許発明1、4、6、8、12、13、17、18、20、21、25、32、39?41、47?62は、特許法第36条第4項、同条第6項第1号、及び、同条第6項第2号に規定する要件を満たしており、特許法第123条第1項第4号に該当しない。

第7 むすび
以上のとおり、訂正特許発明1?6、8、10?13、17?30、32、36、37、39?41、47?62の特許は、請求人の主張する無効理由及び証拠方法によっては、無効とすることはできないものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とする。
よって、結論の通り審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
高ダイナミックレンジのディスプレイ、ディスプレイコントローラ及び画像表示方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディジタル画像を表示するためのディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2002年3月13日に出願された「HIGH DYNAMIC RANGE DISPLAY DEVICES」と題する米国特許出願第60/363,563号の出願日の優先権を主張するものである。
【0003】
ダイナミックレンジとは、あるシーンの最も照度が高い部分とシーンの最も照度が低い部分との強度の比である。例えば、映像投影システムによって投影された画像は300:1の最大ダイナミックレンジを有してもよい。
【0004】
人間の視覚系は、非常に高いダイナミックレンジを有するシーン内のフィーチャを認識することが可能である。例えば、ある人が日差しの明るい日に照明をつけていないガレージ内をのぞき込んだ場合に、隣接する日照を受けているエリアの照度がそのシーンの影になった部分の照度と比べて数千倍より大きい場合であっても対象物のディテールを確認することが可能である。こうしたシーンのリアルなレンダリングを生成させるには、1000:1を超えるダイナミックレンジを有するディスプレイが必要となることがあり得る。「高いダイナミックレンジ」という用語は、ダイナミックレンジが800:1以上であることを意味している。
【0005】
現在のディジタル式イメージングシステムは、そのシーンのダイナミックレンジが保全されているようなシーンのディジタル表現を取り込みかつ記録することが可能である。コンピュータ式イメージングシステムは高いダイナミックレンジを有する画像を合成することが可能である。しかし、近年の表示テクノロジは、高いダイナミックレンジを忠実に再生させる方式での画像のレンダリングが可能ではない。
【0006】
ブラックハムらの米国特許第5,978,142号には、画像をスクリーン上に投影するためのシステムが開示されている。このシステムは、そのいずれもが光源からの光を変調している第1および第2の光変調器を有している。これらの光変調器の各々は、光源からの光をその画素レベルにおいて変調している。これら光変調器の両者が変調された光がスクリーン上に投影される。
【0007】
ギボンらのPCT出願PCT/US01/21367には、事前変調器(pre modulator)を含む投影システムが開示されている。この事前変調器は、変形可能なミラーディスプレイ装置上に入射する光の量を制御する。選択したエリア(例えば、四分円の1つ)を暗転させるために別の事前変調器を使用することもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
表示された画像内に広い範囲の光強度を再生することを可能とする、経済性に優れたディスプレイが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は画像を表示するためのディスプレイを提供する。本発明の一実施形態は、発光素子のアレイを備える光源を備えたディスプレイを提供する。この素子の各々は1つの制御可能な光出力と、光源からの光を変調するように配置された複数の制御可能な素子を備えた空間光変調器とを有している。空間光変調器による変調を受けた光源からの光は、ディフューザによって観察するエリアまで導かれる。
【0010】
本発明の別の態様は、各々が制御可能な光透過を提供する制御可能な素子のアレイを備える空間光変調器と、空間光変調器の複数の対応する制御可能な素子を照射するように配置されており、かつ各々が制御可能な光出力を有している固体発光素子のアレイを備える光源と、ディフューザとを備えるディスプレイを提供する。ディフューザ上のある点の照度は、発光素子のうちの前記点に対応する素子の光出力を制御しかつ前記制御可能な素子のうちの前記点に対応する素子の光透過を制御することによって制御されえる。
【0011】
本発明のさらに別の態様は、第1の空間分解能で空間変調された光を提供するための光提供手段と、前記第1の分解能と異なる第2の分解能で光をさらに空間変調するための空間変調手段と、画像データによって規定される画像を表示するように前記第1および第2の空間変調手段を制御するための手段とを備えるディスプレイを提供する。
【0012】
本発明はさらに、画像を表示するための方法を提供する。本方法は、第1の画像データの組によって決定される明度を有するように個々に制御可能な発光素子のアレイを制御する工程と、空間光変調器の面を前記発光素子のアレイからの光によって照射する工程であって、前記空間光変調器は各々が制御可能な透過度を有している素子のアレイを備える照射工程と、前記空間光変調器の素子の透過度を第2の画像データの組によって制御する工程とを含んでいる。
【0013】
本発明の別の態様、ならびに本発明の具体的な実施形態の特徴について以下に記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
添付の図面は本発明の非限定的な実施形態を示している。
以下の説明の全体を通じ、本発明に関するより完全な理解が得られるように具体的な詳細を記述している。しかし、本発明はこれらの個別項目なしに実施されることもある。別の件として、本発明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、よく知られている素子は詳細に図示したり記載したりしていない。したがって、本明細書および図面は、限定の意味ではなく、例示の意味と見なすべきである。
【0015】
本発明は、高いダイナミックレンジによって画像をレンダリングすることが可能なディスプレイを提供する。本発明によるディスプレイは、2つの光変調段を備えている。光は各段を直列に通過してダイナミックレンジの向上された画像を生ずる。
【0016】
図1は、本発明の単純な実施形態に従うディスプレイ10を模式的に示す。図1における素子の大きさおよびこれらの間の距離は縮尺通りではない。ディスプレイ10は光源12を備えている。光源12は、例えば白熱ランプやアーク灯などの投影ランプ、レーザー、あるいは、適当な別の光源を備えてもよい。光源12は、光をディスプレイ10の残りの部分に伝えるために協働する、1つまたは複数のミラー、レンズ、あるいは他の光学素子を備えた光学系を備えてもよい。
【0017】
図示した実施形態では、光源12からの光は、第1の光変調器16の方向に導かれている。光源12は、第1の光変調器16に対して実質的に均一な照射を提供することが好ましい。光変調器16は、個々にアドレス指定可能な素子からなるアレイを備えている。光変調器16は例えば、透過型の光変調器の一例であるLCD(液晶ディスプレイ)、または反射型の光変調器の一例であるDMD(変形可能なミラーデバイス)を備えてもよい。ディスプレイドライバ回路(図1には図示せず)は、表示されている画像を規定するデータに従って光変調器16の素子を制御する。
【0018】
第1の光変調器16によって変調された光は、適当な光学系17によって背面投影スクリーン23上に像形成している。第1の光変調器16のある小さいエリアからの光は、光学系17によって、背面投影スクリーン23上の対応するエリアにまで導かれている。図示した実施形態では、光学系17は、焦点距離fを有するレンズを備えている。一般に、第1の光変調器16が変調した光を背面投影スクリーン23上に像形成する光学系17は、1つまたは複数のミラー、レンズまたは別の光学素子を備えてもよい。こうした光学系は、第1の光変調器が変調した光を第2の光変調器上に像形成させる機能を有する。光学系17は像形成手段と言うこともある。
【0019】
図示した実施形態では、背面投影スクリーン23は第2の光変調器20およびコリメータ18を備えている。コリメータ18の主たる機能は、背面投影スクリーン23を通過させて、光を観察するエリアの方向に優先的に導くことである。コリメータ18は、フレネルレンズ、ホログラフィックレンズ、または代替的には、観察エリアの方向に光を導くように動作する1つまたは複数のレンズや別の光学素子の別の配列を備えてもよい。
【0020】
図示した実施形態では、コリメータ18はスクリーン23に対してほぼ直交する方向に第2の光変調器20の素子を通過するように光を伝播させる。コリメータ18から入射する光は、第2の光変調器20を通過するに連れてさらに変調を受ける。次いでこの光は、送出される光をある方向範囲にわたって散乱させるディフューザ22を通過し、これによって第1の光変調器16からみてディフューザ22の反対側に位置する観察者がスクリーン23の全体エリアから発せられる光を見ることが可能となる。一般に、ディフューザ22は、光を水平及び垂直面内の異なる角度範囲まで散乱させてもよい。ディフューザ22は、少なくとも所望の観察箇所から見た際にその最大散乱角度がスクリーン23によって限定される角度と等しいような角度範囲にわたって第2の光変調器20によって変調された光が散乱されるように選択されるべきである。
【0021】
背面投影スクリーン23は、第1の光変調器16と面積が異なってもよい。例えば、背面投影スクリーン23は第1の光変調器16と比べて面積がより大きくてもよい。このような場合、光学系17は第1の光変調器16による変調を受けた光のビームを拡張させ、背面投影スクリーン23上において第1の光変調器16と比べてより大きな対応するエリアを照射する。
【0022】
第2の光変調器20は、第1の光変調器16と同じタイプとする場合や、別のタイプとする場合があり得る。第1の光変調器16および第2の光変調器20の両者が光を偏光させるタイプのものである場合、第2の光変調器20は実現可能な程度で、その偏光面が第1の光変調器16から該面上に入射する光面と一致する方向とすべきである。
【0023】
ディスプレイ10はカラーディスプレイであってもよく、次のようなさまざまな方式によって達成できる。
・第1の光変調器16と第2の光変調器20のうちの一方をカラー光変調器とすること。
・さまざまなカラーに関して並列に動作している複数のさまざまな第1の光変調器16を提供すること。
・さまざまなカラーフィルタを第2の光変調器20の前でその光経路内に迅速に導入するためのメカニズムを提供すること。
【0024】
上述した第1の手法の一例として、第2の光変調器20は、各々が多数の色付きサブ画素を備える複数の画素を有するLCDパネルを備えてもよい。例えば、各画素は3つのサブ画素であって、その1つが赤色フィルタに関連付けされており、その1つが緑色フィルタに関連付けされており、またその1つが青色フィルタに関連付けされているような3つのサブ画素を備えてもよい。これらのフィルタはLCDパネルと一体化させてもよい。
【0025】
図1Aに示すように、光源12、第1の光変調器16および光学系17はすべて、コントローラ39からの信号38Aによって規定される画像を背面投影スクリーン23の後ろ側に投影させるように配置されたディジタル映像プロジェクタ37の一部でありえる。第2の光変調器20の素子は、高いダイナミックレンジを有する画像を観察者に提供するようにコントローラ39からの信号38Bによって制御されている。
【0026】
コントローラ39は、適当な任意のデータプロセッサを備えてもよい。コントローラ39は、コントローラ39に対して本発明によるディスプレイの動作制御を可能にするインタフェースと協働した適当な制御ソフトウェアを動作させている1つまたは複数のマイクロプロセッサを備えてもよい。こうしたコントローラの全体的な構造、ならびに所望の機能を提供するようにこうしたコントローラをプログラムするための全般的な技法は当業者にはよく知られており、本明細書では詳細に記載していない。
【0027】
図2に示すように、本発明によるディスプレイ10Aは1つまたは複数の追加的な光変調段24を備えてもよい。追加的な光変調段24の各々は、コリメータ25と、光変調器26と、光変調器26からの光を次の追加的な光変調段24上またはコリメータ18上のいずれかに集束させている光学系27とを備えている。図2のデバイス10Aでは、2つの追加的な光変調段24を存在させている。本発明のこの実施形態によるデバイスは、1つまたは複数の追加的な光変調段24を有してもよい。
【0028】
出力ディフューザ22上の任意の点の照度は、光変調器16、20および26の対応する素子が通過させる光の量を制御することによって調整することが可能である。この制御は、光変調器16、20および26の各々を駆動するように接続した適当な制御系(図2では図示せず)が行ってもよい。
【0029】
上述したように、光変調器16、20および26はすべてが同じタイプであってもよく、2種類以上のタイプであってもよい。図3は、変形可能なミラーデバイスを備える第1の光変調器16Aを含む、本発明の代替的実施形態によるディスプレイ10Bを示す。変形可能なミラーデバイスは、各画素が「オン」か「オフ」のいずれかとなり得るという意味で「バイナリ」デバイスである。画素を迅速にオンとオフにさせることによってさまざまな見かけ上の輝度レベルを生成することができる。こうしたデバイスは例えば、米国特許第4,441,791号および同第4,954,789号に記載されており、ディジタル映像プロジェクタにおいて通常使用されている。光源12および第1の光変調器16(または、16A)は、例えば市販のディジタル映像プロジェクタからの光源および変調器でありえる。
【0030】
図4は、本発明による前面投影タイプのディスプレイ10Cを示す。ディスプレイ10Cはスクリーン34を備える。プロジェクタ37は画像38をスクリーン34上に投影する。プロジェクタ37は、適当な光源12と、第1の光変調器16と、第1の光変調器16によって規定される画像をスクリーン34上に投影するのに適した光学系17とを備える。プロジェクタ37は、市場で入手可能なディスプレイプロジェクタを備えてもよい。スクリーン34は第2の光変調器36を組み込んでいる。第2の光変調器36はスクリーン34の対応するエリアに対する照度に影響を及ぼすように個々に制御することが可能な多数のアドレス指定可能な素子を備えている。
【0031】
光変調器36はさまざまな構造のうちのいずれかを有する。例えば、光変調器36は、各々が反射性バッキングの前に制御可能な透過度を有するLCD素子からなるアレイを備えてもよい。プロジェクタ37が投影した光は、各LCD素子を通過し、さらに反射性バッキングによって反射されLCD素子を通過して戻される。スクリーン34上の任意の点における照度は、当該の点においてプロジェクタ37が受け取った光の強度、ならびに光変調器36(例えば、当該の点にあるLCD素子)がその中を通って伝播する光をどの程度吸収するかによって決定される。
【0032】
光変調器36はさらに、可変の再帰反射性能を有する素子からなるアレイを備えることも可能である。これらの素子はプリズム状でありえる。こうした素子は例えば、ホワイトヘッドによる「Passive High Efficiency Variable Reflectivity Image Display Device」と題する米国特許第5,959,777号、ならびにホワイトヘッドらによる「Electrophoretic, High Index and Phase Transition Control of Total Internal Reflection in High Efficiency Variable Reflectivity Image Displays」と題する米国特許第6,215,920号に記載されている。
【0033】
光変調器36はさらに、例えば、アルバートらによる「Shutter Mode Microencapsulated Electrophoretic Display」と題する米国特許第6,172,798号、コミスキーらによる「Electro-osmotic Displays and Materials for Making the Same」と題する米国特許第6,120,839号、ヤコブソンによる「Electronically Addressable Microencapsulated Ink and Display」と題する米国特許第6,120,588号、ヤコブソンらによる「Eledtrophoretic Displays Using Nanoparticles」と題する米国特許第6,323,989号、アルバートによる「Electrophoretic Displays with Luminescent Particles and Materials for Making the Same」と題する米国特許第6,300,932号、あるいはコミスキーらによる「Microcell Electrophoretic Displays」と題する米国特許第6,327,072号に記載されている電気泳動ディスプレイ素子からなるアレイを備えることも可能である。
【0034】
図6Aおよび6Bに示しているように、スクリーン34は、光を観察者の眼の方向に優先的に導くように機能するレンズ素子40を備えることが好ましい。図示した実施形態では、レンズ素子40はプロジェクタ37から発せられた光円錐の頂点と実質的に一致した焦点を有するフレネルレンズを備えている。レンズ素子40は、ホログラフィックレンズなどの別の種類のレンズを備えることも可能である。レンズ素子40は、スクリーン34から反射された光に所望の度合いの拡散を提供する散乱中心45を組み込んでいる。図示した実施形態では、第2の光変調器36は反射層43が裏打ちされかつバッキング47上に取り付けられた多数の画素42を有する反射性LCDパネルを備えている。
【0035】
光変調器36が可変の再帰反射性能を有する素子からなるアレイを備える場合には、これらの素子自体を、再帰反射した光をスクリーン34の前において観察エリアの方向に優先的に導くように設計することが可能である。反射層43は散乱中心45の効果の増強、あるいは散乱中心45の代用のいずれかのために光を散乱させるパターンであってもよい。
【0036】
図4に示すように、コントローラ39は、画像38を規定するデータを第1の光変調器16および第2の光変調器36の各々に提供する。コントローラ39は例えば、適当なディスプレイアダプタを装備したコンピュータを備えることが可能である。スクリーン34上の任意の点の照度は、第1の光変調器16および第2の光変調器36内における当該の点に対応する画素の合成効果によって決定される。最小照度は、第1および第2の光変調器の対応する画素がその「最も暗い」状態に設定されている点に存在する。最大照度は、第1および第2の光変調器の対応する画素がその「最も明るい」状態に設定されている点に存在する。別の点は中間的な照度値を有する。最大照度値は例えば、10^(5)d/m^(2)オーダーとすることがあり得る。最小照度値は例えば、10^(-2)cd/m^(2)オーダーとすることがあり得る。
【0037】
光変調器ならびにその関連する制御回路のコストはその光変調器内のアドレス指定可能な素子の数に伴って増大する傾向がある。本発明の幾つかの実施形態では、その光変調器のうちの1つは、その光変調器の別の1つまたは複数の光変調器と比べて有意に高い空間分解能を有する。1つまたは複数の光変調器がより低分解能のデバイスである場合、本発明のこうした実施形態によるディスプレイのコストを低減させることができる。光変調器のうちの1つがカラー光変調器(複数のモノクロ光変調器の組み合わせによって、例えば図6に示すようなカラー光変調器を構成させることがある)であり、かつ光変調器のうちの1つがより高分解能の光変調器であるような2つ以上の光変調器を備えるカラーディスプレイでは、このより高分解能の光変調器もカラー光変調器とすべきである。幾つかの実施形態では、より高分解能の光変調器がより低い分解能の光変調器上に像形成されている。別の実施形態では、より低い分解能の光変調器がより高分解能の光変調器上に像形成されている。
【0038】
図5は、図1に示すようなディスプレイ10の画素に関する可能な1構成を示す。第2の光変調器20の9個の画素42が第1の光変調器16の各画素44に対応している。第2の光変調器20のうち第1の光変調器16の各画素44に対応する画素42の数は、設計選択の問題として変更されえる。第1および第2の光変調器16および20(または36)のうちより高い方の分解能の光変調器の画素44は、所望の全体分解能が得られるように十分に小さくすべきである。一般に、分解能の上昇とコストの上昇との間にはトレードオフの関係がある。典型的なディスプレイの1つでは、より高分解能の光変調器は各方向に少なくとも数百個の画素、またより典型的には各方向で1000個を超える画素を有する画素のアレイを提供することになる。
【0039】
第1および第2の光変調器のうちより低い方の分解能の光変調器の画素42のサイズによって、そのスケールにわたって最大強度から最小強度まで高信頼に移行することが可能なスケールが決定される。例えば、最大照度の小さいスポットの画像を最小照度の大きいバックグラウンド上に表示したいと希望する状況を表す図5Aを検討してみる。スポット47内に最大の照度を得るには、第1および第2の光変調器の各々のうちスポット47に対応する画素をその最大照度値になるように設定すべきである。ある光変調器の画素がこれ以外の光変調器の画素と比べて分解能がより低い場合には、このより低分解能の光変調器の幾つかの画素をスポット47の境界に跨らせることになる。例えば図5Aがこのケースとなる。
【0040】
スポット47の外部には2つの領域が存在する。領域48ではより低分解能の光変調器がその最も高照度の値に設定されるため、この領域ではその照度を最小値に設定することが可能ではない。領域49ではその光変調器の両方をその最低の照度値に設定することが可能である。例えば、第1および第2の光変調器の各々が1から100単位の照度範囲を有している場合には、領域47は100×100=10,000単位の照度を有する可能性があり、領域48は100×1=100単位の照度を有することになり、かつ領域49は1×1=1単位の照度を有することになる。
【0041】
光変調器の一方がもう一方と比べてより低い分解能を有しているため、より低分解能の光変調器の各画素はより高分解能の光変調器の複数の画素に対応する。より低分解能の光変調器の任意の1つの画素に対応する点およびより高分解能の光変調器の別の画素に対応する点が、デバイスのダイナミックレンジの両極にある照度値を有することは不可能である。こうした点の間での照度の最大差は、より高分解能の光変調器により提供されるダイナミックレンジによって決定される。
【0042】
ディスプレイが接近した間隔とした点の照度をディスプレイのフルダイナミックレンジだけ互いに異ならせることが不可能であることは一般に問題とならない。人間の眼の有する固有の散乱は大きいため、任意のイベントにおいて非常に短い距離にわたって生じるような照度の大きな変化を認識することは不可能である。
【0043】
より低分解能の空間光変調器とより高分解能の空間光変調器との両方を含む本発明によるディスプレイでは、コントローラ39は、より低分解能の空間光変調器の各画素に関する値を決定し、さらにより高分解能の空間光変調器を制御する信号を調整し、より低分解能の空間光変調器の各画素がこのより高分解能の空間光変調器の複数の画素に共通であるということに由来するアーチファクトを低減させている。このことは、数多くの方法のうちのいずれかによって実施できる。
【0044】
単に一例を挙げると、より低分解能の空間光変調器の各画素がより高分解能の空間光変調器の複数の画素に対応するケースを検討してみる。所望の画像を指定する画像データはコントローラに供給される。この画像データは、より高分解能の空間光変調器の画素の各々に対応する画像エリアに関する所望の照度を示している。このコントローラは、所望の画像に関する1つの近似が提供されるようにより低分解能の光変調器の画素を設定されえる。このことは例えば、より低分解能のディスプレイの各画素に対応する画像エリアに関する所望の照度値の平均値または重み付き平均値を決定することによって達成させることが可能である。
【0045】
次いで、コントローラは、得られる画像を所望の画像に接近させることにより、より高い分解能ディスプレイの画素を設定することがある。このことは例えば、所望の照度値を、より低分解能の光変調器からより高分解能の光変調器の対応する画素上に入射する光の強度によって割ることによって実施することが可能である。より低分解能の光変調器からより高分解能の光変調器のうちのある画素上に入射する光の強度は、より低分解能の空間光変調器の各画素からの光をより高分解能の空間光変調器上に分布させている周知の方法から計算することが可能である。より低分解能の空間光変調器の画素のうちの1つまたは複数からの寄与を足し合わせることによって、より低分解能の空間光変調器の画素を設定する際の方式に関して、より高分解能の空間光変調器の任意の画素が照射を受ける強度を決定することが可能である。
【0046】
低い分解能の画素が大きすぎると、観察者はある画像内の明るい素子の周囲に光暈(halo)を認識し得るほどになることがある。こうした低分解能の画素は十分に小さくし、暗いバックグラウンド上への明るい斑点(patch)の出現や、明るいバックグラウンド上への暗いスポットの出現を受容不可能なほどに劣化させないことが好ましい。より低分解能の光変調器の画素ごとにより高分解能の光変調器上で、約8個から約144個の範囲の画素、より好ましくは約9個から36個の範囲の画素を提供することが近年のところ現実的であると考えられる。
【0047】
画素42および44の各々によってその画像上の点(複数のこともある)の照度を調整することが可能であるようなステップのサイズは、必ずしも等しくはない。より低分解能の光変調器の画素はより高分解能の光変調器の画素と比べてより粗いステップで光強度を調整してもよい。例えば、より低分解能の光変調器は、各画素の光強度を8ステップで1から512単位の強度範囲にわたって調整することを可能としており、一方より高分解能の光変調器は各画素の光強度を512ステップで同じ範囲にわたって調整することを可能でありえる。図5では画素42および44をいずれも正方形として図示しているが、このことは必須ではない。画素42および/または44は、矩形、3角形、6角形、円形、あるいは長円形など別の形状とさせることも可能である。
【0048】
より低分解能の光変調器の画素は、その光強度がより低分解能の光変調器の画素を横断するのに連れて適度に滑らかに変化するように若干拡散するような光を発することが好ましい。これは、より低分解能の光変調器の画素の各々からの光が図7に示すような隣接する画素内に拡がるケースである。図7Aに示すように、より低分解能の光変調器内の画素の強度プロファイルは、多くの場合、その画素の有効幅に等しい幅d_(1)を有する矩形プロファイルとコンボリューションされたガウス広がり関数(spread function)によって近似することが可能である。この広がり関数は、所望な滑らかに変化する光強度が得られるように、d_(2)が画素間の中心-中心の間隔であるとして0.3×d_(2)から3×d_(2)までの範囲にある半値全幅を有することが好ましい。典型的には、d_(1)は概ねd_(2)に等しい。
【0049】
図5の実施形態において、各画素42は3つのサブ画素43R、43Gおよび43B(明瞭にするため、図5では幾つかの画素42に関してはサブ画素を省略している)を備えている。サブ画素43R、43Gおよび43Bは独立にアドレス指定可能である。これらの画素は、第2の光変調器20内に組み込まれた赤色、緑色および青色のカラーフィルタのそれぞれに関連付けされている。多数の色付きサブ画素を含むと共に本発明での使用に適したLCDパネルのさまざまな構造は当技術分野において周知である。
【0050】
前面投影タイプのディスプレイ(例えば、図4のディスプレイ10C)は、第1の光変調器16に対してカラー情報を提供する高分解能の光変調器を備え、かつ光変調器36にモノクロ光変調器を備えることが典型的に最も実用的である。光変調器36は、その素子の境界が視覚的に目障りなパターンを形成させることがないように、適度に小さいアドレス指定可能な素子を有することが好ましい。例えば、光変調器36は、プロジェクタ37と同じ数のアドレス指定可能な素子を有することがある(ただし、こうした素子はそれぞれ、典型的には、プロジェクタ37の光変調器16内の対応する素子と比べて有意に大きな寸法を有する)。
【0051】
プロジェクタ37は適当な任意の構造を有してもよい。そのプロジェクタ37にとって必要なことは、スクリーン34上に画像が提供されるように空間変調を受けた光を投影することが可能であることがそのすべてである。図6は、本発明の別の代替的実施形態による表示システム10Dを示す。システム10Dは、図4を参照しながら上述したように組み込んだ光変調器36を有するスクリーン34を備えている。システム10Dは、3つのカラーのそれぞれに対する別々の光変調器16R、16Gおよび16Rを有するプロジェクタ37Aを備えている。光変調器16R、16Gおよび16Bの各々によって変調された光は、3つの色付きフィルタ47R、47Gおよび47Bのうちの対応する1つによってフィルタ処理されている。この変調光は、光学系17によってスクリーン34上に投影されている。単一の光源12によって3つの光変調器16R、16G、および16Bのすべてに対して光を供給することや、別々の光源(図示せず)を設けることもある。
【0052】
上述した実施形態では、光源からの光は第1の光変調器によって空間変調させ、次いで第2の光変調器上に像形成されている。本発明者らは、この光源の機能と第1の光変調器の機能とは、各々が制御可能な輝度を有する発光素子からなるアレイを備える光源を設けることによって組み合わせることが可能であるものと理解している。これらの発光素子は半導体デバイスでありえる。例えば、発光素子は発光ダイオード(LED)を備えることがある。これらのLEDの各々は、LEDを通って流れる電流の制御を可能にしており、これによりLEDが発する光の輝度に対する制御を可能にするドライバ回路によって駆動させている。このコントローラはさらに、あるいは代替的に、対応するLEDのデューティサイクルを制御することがある。以下に記載するが、この駆動用回路は、各LEDまたはLEDの各グループに供給されている電流を監視することがあり、また各LEDまたはLEDの各グループに供給されている電流の大きさが予期しない値である場合にエラー信号を発生させることがある。こうしたエラー信号は、コントローラによって不良のLEDを補償するために使用されてもよい。
【0053】
本発明の好ましい一実施形態では、そのLEDは白色光を発するタイプのものである。例えば、そのLEDは3色のLEDからなるアレイを備えてもよい。各々が赤色、緑色および青色のLEDのすべてを単一のハウジング内部に封入して含んでいるような3色LEDが一般に市販されている。1つまたは複数の白色LEDを用いて第2の光変調器の各画素グループを照射することもある。
【0054】
図8は、拡散層22を備える背面投影スクリーン53がLED52のアレイ50によって照射されている本発明の一実施形態によるディスプレイ60を通過するあるセクションを示す。各LED52の輝度はコントローラ39によって制御されている。スクリーン53は光変調器20を含んでいる。光変調器20の後ろ側の面がLEDアレイ50によって照射される。図8Aは、光変調器20の制御可能な素子(画素)42が各LED52に対応する場合におけるディスプレイ60の一部分の正面概略図である。この制御可能な素子42の各々は複数の色付きサブ画素を備えることがある。
【0055】
LED52は適当な任意の方式によってアレイ50の形に配列させてもよい。LED52に関する同様の2つの配列を図9Aおよび9Bに示す。図9Aは、光源51の矩形アレイ50Aを示す。図9Bは、光源51の6角形アレイ50Bを示す。光源51はLED52を備えることがある。光源51が離散的なデバイスを備える場合には、例えば光源51を図9Aまたは9Bに示すようにして互いに詰め込むことによって光源51同士の間で規則正しい間隔を維持させることがある。
【0056】
ディフューザ22AはLED52の発光特性と連携して、光変調器20の後ろ側の面全体にわたってLED52からの光の強度変動を滑らかにさせている。
同様の効果は、光変調器20をLED52から離して間隔をとることによってディフューザ22Aを用いずに得ることが可能である。光変調器20をLED52から離して間隔をとっている場合、各LED52からの光を、近傍にあるLED52に対応する空間光変調器20のエリアのエッジ部に対する照射に寄与させることが可能である。
【0057】
ディスプレイをある大きな角度範囲にわたって視認可能とする必要があるケースでは、こうした間隔があると視差の問題を生じさせることがあり得る。図8Bに示すように観察者がディスプレイを真正面から見ていない場合には、この観察者には空間光変調器20のある画素がその画素に対応しないLED52によって照射されて見えることがある。例えば、図8Bでは、エリア21AはLED52Aに対応しており、かつエリア21BはLED52Bに対応する。しかし、視差があるために、観察者にはエリア21A内の画素がLED52Bによって照射されているように見える。
【0058】
図8Cは、図8Bに図示した視差の問題を回避する代替的な構造を示す。図8Cでは、反射壁式チャンネル123のグリッド122は、アレイ50と空間光変調器20の間に配置させている。好ましい一実施形態では、チャンネル123は断面が6角形であり、かつグリッド122は図8Dに示すようなハニカム構造を備えている。チャンネル123はさらに、正方形、3角形、矩形、その他など別の断面形状を有することも可能である。チャンネル123を画定する壁は薄くすることが好ましい。グリッド122は、例えばアルミニウムハニカム材料からなるセクションを備えることが可能である。
【0059】
チャンネル123は中空とすることがあるが、必ずしも必須ではない。チャンネル123は、光を透過させる材料からなる柱状部(column)が、光をその位置で内部反射させる(好ましくは、内部全反射させる)壁を有するようにすることによって設けられることがある。この柱状部は、狭いエアギャップ、あるいは光をその位置で内部反射させている界面を提供するような1つまたは複数の材料内のクラッド(clad)によって分離させることがある。この柱状部は、LED52をその内部に封入している材料と一体化させることがある。図8Gは、内部反射壁を有する柱状部123AがLED52Cと一体化となって形成されている本発明の一実施形態を示す。柱状部123Aは6角形、3角形、正方形、その他などさまざまな断面形状を有してもよい。
【0060】
各LED52からの光はチャンネル123を通過する。図8Eに示すように、LEDからの光の一部はチャンネル123を真っ直ぐに通過し、また光の一部はチャンネル123の反射壁124から反射される。空間光変調器20上のある点における照度は、反射した光と非反射の光の両方による寄与を受けている。反射成分はチャンネル123のエッジの周囲でより強くなる傾向があり、一方非反射成分はチャンネル123の中心に向かってより強くなる傾向がある。この結果、各LED52の空間光変調器20の対応する部分の照射に関する均一性は、グリッド122を存在させることによって改善されることになる。均一性のこの増加を図8Fに示す。
【0061】
グリッド122はギャップ57(図8Cおよび8E参照)だけ空間光変調器20から若干間隔をとり、これにより、グリッド122の隣接するチャンネル123を分離させている壁によって識別可能な影が生じるのを回避している。
【0062】
チャンネル123の幾何学構成は設計目標を達成させるように変更してもよい。各チャンネル123の幅によって主に、空間光変調器20に当たる光の強度を変更可能とする際に用いる分解能が決定される。所与のチャンネル幅および断面形状では、チャンネル123がより長くなるように製作することによって、各チャンネル123によって提供される照射の均一性を増大させることが可能である。しかし、こうすると、光を空間光変調器20に伝える際の効率は低下する。
【0063】
照射の効率と均一性との間における適度なトレードオフは、チャンネルエッジの近傍で、非反射と1回反射の光成分の各々がLED52の軸上の非反射成分の強度の概ね半分の長さLを有するようにチャンネル123を設けることによって達成させてもよい。これを近似的に達成させるための1方法は、LED52の軸とチャンネル123のエッジとの間の角度θがLED52の半角度θ_(1/2)と等しくなるように長さLを選択することである。この半角度(half angle)とは、LED52によって提供される照射が、LED52の軸上における前進方向の照射強度の半分に等しい強度となるような角度である。この条件は、Lが式(1)の条件を満足するようにする(ここで、Rはチャンネル123の半値幅である)ことによって提供される。
【0064】
【数1】

【0065】
各LEDにつき1つのチャンネル123または別の光源を設けることが一般に望ましい。本発明の幾つかの実施形態では、各チャンネル123は複数のLEDを有する。本発明の一実施形態では、各チャンネル123は異なる色相(例えば、赤色、緑色および青色)を有する3つのLEDを有する。こうした実施形態では、人間の眼は色相の違いに敏感であるためLEDの各々からの光が空間光変調器20の位置で均一に分布するようにそのチャンネル123を十分に長くすることが重要である。
【0066】
上述のように、図7および7Aを参照すると、光変調器20は、LEDアレイ50による光変調器20の照射が光変調器20上での位置に従って滑らかに変化するような方式で照射を受けることが好ましい。このことは、LEDアレイ50内に光変調器20上で若干重複したパターンで光を発するLED52を設けることによって達成することが可能である。各LED52が発した光は、光変調器20上に入射するLED52からの光の強度変動が矩形プロファイルと広がり関数とのコンボリューションとなるようにして広がり関数によって特徴付けすることがある。この広がり関数は、0.3×d_(2)から3×d_(2)(ここで、d_(2)は光変調器20上の隣接するLED52の照射パターン同士の間の光変調器20上での中心-中心間隔である)の範囲にある半値全幅を有することが好ましい。光変調器20上のLED52の照射パターンが広げられるように、ディフューザ22A(図8の破線で示す)をアレイ50と光変調器20の間に配置させてもよい。
【0067】
幾つかの用途では、間隔を近づけた画素同士のその上での照射レベルが大幅に異なるようなディスプレイを提供することが望ましいことがある。このことは、光変調器20上での隣接する光源の照射パターンが大幅に重なり合わないようにアレイ50の光源の各々から発せられた光を限定することによって、ある程度の平滑度を犠牲にして達成させることがある。このことは例えば、図9Cに示すようにアレイ50の光源の各々からの光の広がりを限定する光バリア56を設けることによって達成させることがある。光バリア56を用いると、アレイ50の各光源は光変調器20の対応する画素だけを照射することになる。このことはさらに、実質的に重複のない照射パターンを光変調器20上に投影する光源52を設けることによって達成させることがある。いずれのケースにおいても、観察者に対して表示される最終画像は、各光源52からの光が隣接する光源に対応する幾つかの画素に有意の照射が提供されるほどに十分に拡がることを許容するような実施形態の場合と比べて若干より鮮鋭に見えることがある。多くのケースでは、人間の眼の限界のために、この鮮鋭度レベルの増大は認識されないことになる。
【0068】
光変調器20はモノクロ光変調器でありえる。別法として、光変調器20は高分解能のカラー光変調器でありえる。光変調器20は例えば、LCDアレイを備えることがある。ディスプレイ60は極めて薄肉とすることが可能である。例えば、ディスプレイ60は厚さが10センチメートル以下でありえる。
【0069】
図10は、光源52のアレイ50が適当な光学系17によって光変調器20上に像形成されている点を除けば、図8のディスプレイ60と同様の投影タイプのディスプレイ70を示す。
【0070】
コントローラ39は、低分解能バージョンの画像を空間光変調器20上に表示させるようにアレイ50の素子を制御することがある。コントローラ39は、高い空間分解能を有するフィーチャを提供するか、さもなければ上述のようにアレイ50によって提供される画像を補正するように空間光変調器20の素子を制御することがある。
【0071】
高分解能で高品質のディスプレイの光源としてLED52を使用することに関する問題点の1つは、ある指定された電流レベルで発された光の輝度が個々のLED間で大きく変動する可能性があることである。この変動は製造過程の変動に起因する。さらに、LED52が発生させることになる光の輝度はLEDの経年に従って予測不可能な様式でゆっくりと低下する傾向がある。したがって、アレイ50内の異なるLED52間での輝度の違いを補償するようにLEDアレイ50を較正するためのメカニズムを提供することが望ましい。
【0072】
図11に模式的に表す較正メカニズム78は、LED52の各々が発する光を検出する光検出器80を提供する。光検出器80は、異なる各LED52からの光を取り込むために異なる各位置に移動させることがある。別法として、LED52からの光を光検出器80まで導くための適当な光学系を設けることがある。コントローラ39は光検出器80から信号81を受け取っている。信号81は、アレイ50内の各LED52が発した光の所与の電流に対する輝度を示している。LED52が発した光の輝度が所望の値と異なる場合には、コントローラ39は、各LED52に加えられる電流に適用するための補正値を決定する。コントローラ39は引き続きこの補正値を適用する。較正メカニズム78は、ディスプレイの初期較正のために使用できる。較正メカニズム78は、任意選択では、各LED52に加える電流に適用する補正値を決定すること、ならびに得られた較正情報をコントローラ39に利用可能とすること、などの幾つかの較正タスクを実行する較正コントローラ39Aを含みえる。
【0073】
較正メカニズムはディスプレイの通常の動作を妨害しないようにして設けることが望ましい。これを達成するための方法の1つは、前進方向以外の方向にLEDが発した光を検出することである。図11Aは典型的なLED52を示す。LED52が発した光の大部分は、矢印55Aによって示すように前進方向に導かれている。各LED52が発した光のうちの常に少ない一部分は矢印55Bによって示すような横方向、あるいは矢印55Cによって示すような後ろ方向に発される。前進方向以外の方向に発された光は「迷光」と呼ばれることがある。1つまたは複数の光検出器80Aを、各LED52からの迷光を検出するように配置させてもよい。
【0074】
本発明の一実施形態による較正メカニズム90を図11Bに示す。較正メカニズム90では、小型の光学導波路82によってLED52からの迷光を光検出器80まで伝えている。各LED52が発した光のうちのごくわずかな部分のみが導波路82によって取り込まれる。導波路82と対応するLED52との間の結合に変化がない限り、LED52が発した光のうち導波路82によって取り込まれる比率は一定のままである。1つの光検出器80Aまたは幾つかの光検出器80Aを、アレイ50のエッジの位置など都合のよい箇所に配置させてもよい。
【0075】
図11Cは本発明の別の実施形態による較正メカニズム90Aを示す。メカニズム90Aでは、個々の光学導波路82を平板状光学導波路82Aに置き換えている。LED52のための電源導線は導波路82A内の穴83を通過させている。1つまたは複数の光検出器80Aは、光学導波路82Aのエッジの位置に配置させている。LED52のいずれかによって後ろ方向に発された光は光学導波路82Aの内部でトラップされ光検出器(複数のこともある)80Aによって検出される。
【0076】
図11Dは、平板状光学導波路82BによってLED52が横方向に発した光を収集しかつこの光を1つまたは複数の光検出器80Aに伝える別の光学較正メカニズム90Bを示す。
【0077】
図11Eは、平板状光学導波路82CによってLED52が前進方向に発した光のある少ない一部分を収集しかつこの光を1つまたは複数の光検出器80Aに伝える別の光学較正メカニズム90Cを示す。導波路82Cは、この内部を前進方向で通過する光の一部が導波路82C内でトラップされ光検出器80A(複数のこともある)に伝えられるような構造である。これを達成させるには、導波路82Cの表面の1つ(典型的には、LED52と向かい合った表面)を若干粗面処理し、光の一部を概して導波路82Cの面内に散乱されるようにすることや、幾つかの散乱中心を導波路82Cの材料内に設けてもよい。図示した実施形態では、導波路82Cは、ギャップ57をグリッド122と空間光変調器20の間に維持するスペーサの役割をしている。較正メカニズム80Cは、光検出器80A(複数のこともある)への光の伝播を妨害する可能性があるような、光学導波路82C内への穴83の貫通が必要ないという利点を有する。
【0078】
動作時においては、アレイ50は先ず、例えば較正メカニズム78(図11)を用いて工場出荷較正される。工場出荷較正の後、または工場出荷較正の間に、LED52はある較正レベルの電流を用いて1度に1つずつオンにする。光検出器80A(複数のこともある)は、各LED52に関する迷光の計測に使用される。各LED52に関して検出した迷光の量に関する情報は基準値として格納されることがある。LEDアレイ50の寿命の全体にわたって、メカニズム90を用いて各LED52の輝度を監視することが可能である。その用途に応じて、こうした輝度計測は、そのディスプレイを初期化した時点で、あるいはディスプレイを使用中において定期的に実施されることがある。1つまたは複数のLED52に関する輝度計測は連続する画像フレームを表示させる合間に実施されてもよい。
【0079】
LED52の輝度の経時的な変化(典型的には、格納された基準値と比較して光検出器80A(複数のこともある)が検出した迷光の量が減少することによって示されるような変化)をメカニズム90が検出すると、コントローラ39は、そのLED52の輝度の変化を補償するようにLED52に提供される電流を自動的に調整することが可能である。
【0080】
較正メカニズム90はさらに、LED52の不良を検出するためにも使用することが可能である。LED52は傾向として極めて高信頼であるが、これらは不良となることもあり得る。較正メカニズム90は、コントローラ39がLED52を「ON」とするように制御したときにLED52からの光がまったく検出されないことによってLED52の不良を検出することが可能である。LED52またはLED52の横列のある種の不良状況は、コントローラ39と関連付けしたLED駆動用電子機器によって検出させることもある。1つまたは複数のLED50を通るように電流を通過した時点で供給される電流がまったくないか、その電流が予期しない値であることを駆動用電子機器が検出した場合、この駆動用電子機器はコントローラ39によって検出可能なエラー信号を発生させることがある。
【0081】
コントローラ39が1つまたは複数のLED52の不良を検出した場合、コントローラ39は、1つまたは複数の近傍にあるLED52の輝度を増加させること、空間光変調器20のその不良のLED52に対応した素子を調整して光の透過を大きくすること、あるいはこの両方によってその不良(複数のこともある)を補償することがある。本発明のこの実施形態によるフォールトトレラントなディスプレイでは、LED52が不良となった後に、隣接するLED52からのスピルオーバ光によってこの不良のLED52に対応するエリアを照射し、当該エリアでその画像が十分に見えるようにする。
【0082】
コントローラ39が近傍にあるLED52の輝度を増加するように構成されている場合、コントローラ39は、空間光変調器20のうち不良のLEDに対応するエリアの画像コンテンツにその一部で基づくことによって増加量を決定することがある。画像コンテンツがそのエリアを明るくさせることを求めている場合には、画像コンテンツがそのエリアを暗くさせることを求めている場合と比べて近傍にあるLEDの輝度をさらに増加させることがある。得られる画像品質は劣化することになるが、破滅的な障害は避けられることになる。
【0083】
本発明の幾つかの実施形態では、空間光変調器の対応する素子がリフレッシュを受けている間には、各LED52を暗くするか、あるいはオフにする。幾つかの空間光変調器は、リフレッシュを観察者が認識可能となる程度に十分にゆっくりとリフレッシュする。このために、「モーションブラー」と呼ぶ望ましくない効果を生じることになる。
【0084】
適正なタイミングを用いると、空間光変調器20の各横列をリフレッシュする時点で、対応するLED52をオフにするか、あるいは暗くすることが可能である。これ以外のときには、対応するLED52を、観察者が所望の輝度を認識するように十分にオーバードライブさせることが可能である。観察者の眼はLED52の速いフリッカを認識することが不可能である。その代わりに観察者は平均輝度を認識している。典型的には、LED52の動作を多重化(multiplex)することが望ましい。LEDを多重化方式で動作させている場合、LED52の多重化を空間光変調器52のリフレッシュと同期させることによってモーションブラーの補正を実行することが可能である。
【0085】
上の開示に照らして当業者には明らかであろうが、本発明の精神および趣旨を逸脱することなく本発明の実施に際して多くの代替形態および修正形態が可能である。例えば以下がある。
【0086】
ディフューザ22とコリメータ18を互いに結合させることが可能である。
ディフューザ22とコリメータ18の順序を逆にすることが可能である。
光の拡散および/またはコリメーションを実行させるように協働する複数の素子を設けることが可能である。
【0087】
別の素子に光を拡散させかつ何か別の機能を実行させることによって、ディフューザ22の機能を提供することが可能である。こうしたケースでは、この別の素子はディフューザを設えていると言われることがあり、かつこうした素子を備えた装置はディフューザを備えている。
【0088】
スクリーン23内における第2の光変調器20、コリメータ18およびディフューザ22の順序はさまざまとすることが可能である。
第1の光変調器16を駆動する信号38Aは、第2の光変調器20を駆動する同じデータを備えることがあり、あるいは別のデータを備えることもある。
【0089】
固定の較正電流に関する光出力を計測する代わりに、あるいはこうした光の計測に追加して、較正メカニズム78および/または90によって、LED52が所望の輝度を提供し得るまでLED52への電流を調整することが可能である。
【0090】
このように、本発明の趣旨は、添付の特許請求の範囲によって規定される内容を含んでいるが、これに限るものではない。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の一実施形態によるディスプレイを表した概略図。
【図1A】図1のディスプレイの具体的実施形態の概略図。
【図2】4つの空間光変調器を備える本発明の代替的実施形態によるディスプレイを表した概略図。
【図3】本発明の別の実施形態による背面投影タイプのディスプレイを表した概略図。
【図4】本発明のまた別の実施形態による前面投影タイプのディスプレイを表した概略図。
【図5】本発明によるディスプレイ内にあるより高分解能の空間光変調器の画素とより低分解能の空間的光変調器の画素との間の可能な関係の1つを表した図。
【図5A】ある光変調器が別の光変調器と比べてより低い分解能を有するようにすることによる効果を表した図。
【図6】代替的なプロジェクタ構造を有する前面投影タイプのカラーディスプレイを表した概略図。
【図6A】図6のカラーディスプレイの前面投影スクリーンの一部分の拡大断面図。
【図6B】図6のカラーディスプレイの前面投影スクリーンの一部分の拡大断面図。
【図7】位置の違いによって滑らかに変動する光強度が生成されるように、より低分解能の光変調器の画素からより高分解能の光変調器上に像形成される光を重複させる方法を示すグラフ。
【図7A】光変調器のある画素の画像に関する位置の違いによる光強度の変動を正方形プロファイルと広がり関数のコンボリューションとして表現することを可能にする方法を表すグラフ。
【図8】本発明の代替的実施形態によるディスプレイの断面概略図。
【図8A】図8のディスプレイの正面概略図。
【図8B】その内部で空間光変調器がアレイ状の光源の正面に間隔を空けているディスプレイの断面概略図。
【図8C】アレイ状の光源と空間光変調器の間に配置されたグリッドを有するディスプレイの概略図。
【図8D】6角形グリッドの等角図。
【図8E】グリッドを貫通する1つのチャンネルにおいて、空間光変調器上に入射する反射された光成分と非反射の光成分を表す概略図。
【図8F】照射の均一性を改善させるように反射された光成分と非反射の光成分を足し合わせることを可能にする方法を表したグラフ。
【図8G】1つのグリッドを形成する内部反射部材がLEDを封入している材料と一体化させて形成されているディスプレイを表した概略図。
【図9A】図8の実施形態で使用することが可能である発光素子のアレイの可能な構成の1つを表した図。
【図9B】図8の実施形態で使用することが可能である発光素子のアレイの可能な構成の1つを表した図。
【図9C】鮮鋭度を増大させるための光バリアの使用を表した図。
【図10】本発明の代替的実施形態による投影タイプのディスプレイを表す概略図。
【図11】較正メカニズムのブロック図。
【図11A】迷光がLEDから出る経路を示しているLEDの図。
【図11B】代替的な較正メカニズムの概略図。
【図11C】代替的な較正メカニズムの概略図。
【図11D】代替的な較正メカニズムの概略図。
【図11E】代替的な較正メカニズムの概略図。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が制御可能な光出力を有する発光素子の2次元アレイを備える光源と、
前記光源からの光を変調するように配置された複数の制御可能な素子を備える空間光変調器であって、前記光源が有する発光素子よりも多くの制御可能な素子を有している、前記空間光変調器と、
前記光源の前記発光素子を駆動して所望の画像の近似を提供するとともに、前記空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し、その計算した強度に基づき前記空間光変調器の前記制御可能な素子を駆動して、得られる画像を前記所望の画像に近づけるように接続されているコントローラと、
ディフューザと、
前記光源からの光が前記ディフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系と
を備えたディスプレイ。
【請求項2】
前記光源の前記発光素子の各々は前記空間光変調器の複数の対応する制御可能な素子を照射するように配置されている請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項3】
前記光源の前記発光素子の各々は前記空間光変調器の8個以上の数の対応する制御可能な素子に対応している請求項2に記載のディスプレイ。
【請求項4】
前記光源の各発光素子は前記空間光変調器の145個以下の数の対応する制御可能な素子に対応している請求項2に記載のディスプレイ。
【請求項5】
前記光源と前記空間光変調器の中間に配置された前記ディフューザを備える請求項1乃至4のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項6】
前記光源と前記空間光変調器との中間に配置された反射壁式チャンネルのグリッドを備える請求項1乃至4のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項7】
前記反射壁式チャンネルは6角形であり、かつハニカム構造で配列されている請求項6に記載のディスプレイ。
【請求項8】
前記発光素子の各々は前記反射壁式チャンネルのうちの1つの中に光を発する請求項6または7に記載のディスプレイ。
【請求項9】
前記空間光変調器の制御可能な素子の各々は前記反射壁式チャンネルのうちの1つだけからの光で照射を受ける請求項6乃至8のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項10】
前記空間光変調器と観察位置との間に配置されたディフューザを備える請求項1乃至9のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項11】
前記空間光変調器の位置において前記光源の複数の発光素子の各々から入射する光の分布が、矩形分布と、0.3×d_(2)から3×d_(2)までの範囲内にある半値全幅を有する広がり関数とのコンボリューションからなり、d_(2)は前記光源の隣接する発光素子によって変調された光分布の前記空間光変調器上での中心-中心間隔である請求項1乃至9のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項12】
前記光源の前記発光素子の各々は離散的で選択可能な輝度レベルの数Nを有しており、かつ前記空間光変調器の制御可能な素子は離散的で選択可能な輝度レベルの数Mを有しており、かつN<Mである請求項1乃至11のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項13】
前記光源の前記発光素子の各々は離散的で選択可能な輝度レベルの数Nを有しており、かつ前記空間光変調器の制御可能な素子は離散的で選択可能な輝度レベルの数Mを有しており、かつN>Mである請求項1乃至11のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項14】
前記光源と前記空間光変調器の間にある1つまたは複数の追加的な光変調段を備える請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項15】
前記1つまたは複数の追加的な光変調段の各々は、コリメータと、前段の空間光変調器で変調された光がその上に像形成される空間光変調器とを備える請求項14に記載のディスプレイ。
【請求項16】
前記1つまたは複数の追加的な光変調段の各々はディフューザを備える請求項15に記載のディスプレイ。
【請求項17】
前記光源を前記空間光変調器上に像形成するように配置された像形成用光学機器を前記光学系として備える請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項18】
前記ディスプレイが光を観察者にむけて反射するように構成された表示画面を備える前面投影型のディスプレイを備える請求項17に記載のディスプレイ。
【請求項19】
前記空間光変調器が前記表示画面と一体化されている請求項18に記載のディスプレイ。
【請求項20】
対応する発光素子が最大の光出力にありかつ前記空間光変調器の対応する素子が最大の照射を提供するように設定されている点である第1の点と、対応する発光素子が最小の光出力にありかつ前記空間光変調器の対応する素子が最小の照射を提供するように設定されている点である第2の点との照度の比が、1000:1を超えている請求項1乃至19のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項21】
対応する発光素子が最大の光出力にありかつ前記空間光変調器の対応する素子が最大の照射を提供するように設定されている点である第1の点と、対応する発光素子が最小の光出力にありかつ前記空間光変調器の対応する素子が最小の照射を提供するように設定されている点である第2の点との照度の比が、1500:1を超えている請求項1乃至19のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項22】
前記発光素子の各々は固体発光素子を備える請求項1乃至21のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項23】
前記固体発光素子は発光ダイオードを備える請求項22に記載のディスプレイ。
【請求項24】
前記発光ダイオードは白色光を発する請求項23に記載のディスプレイ。
【請求項25】
前記固体発光素子によって発せられる光の色は制御可能である請求項22に記載のディスプレイ。
【請求項26】
前記固体発光素子は3色LEDのアレイを備え、各3色LEDが、単一のハウジング内部に封入された赤色LED、緑色LED、青色LEDを備える請求項25に記載のディスプレイ。
【請求項27】
前記空間光変調器の前記制御可能な素子は透過度可変のディスプレイ素子を備える請求項1乃至26のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項28】
前記透過度可変のディスプレイ素子は液晶ディスプレイ素子を備える請求項27に記載のディスプレイ。
【請求項29】
前記空間光変調器はカラー空間光変調器を備える請求項1乃至28のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項30】
前記空間光変調器の各制御可能な素子は複数のカラーサブ画素を備える請求項29に記載のディスプレイ。
【請求項31】
前記空間光変調器の各制御可能な素子は、3つのサブ画素であって、その1つが赤色フィルタに関連付けされており、その1つが緑色フィルタに関連付けされており、またその1つが青色フィルタに関連付けされている3つのサブ画素を備える請求項1乃至30のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項32】
前記コントローラは、前記制御可能な素子を定期的にリフレッシュし、かつ制御可能な素子がリフレッシュされているときに、対応する発光素子を減光またはオフするように構成されている請求項1乃至31のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項33】
前記発光素子のうちの少なくとも1つから迷光を受け取り、前記迷光の強度を表す迷光強度信号を発生させるように結合された光検出器であって、前記コントローラは、前記迷光強度信号を受け取り、前記発光素子のうちの少なくとも1つからの迷光の強度およびある基準値に少なくとも一部で基づいて前記発光素子の前記少なくとも1つに対する電流補正を決定し、前記発光素子の少なくとも1つの制御に関して前記電流補正を使用するように構成されている光検出器を備える請求項1乃至32のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項34】
前記コントローラは、前記発光素子のうちのある不良素子が動作していないと判定すると、前記発光素子のうちの前記不良素子に隣接する別の発光素子の強度を増加させるように構成されている請求項1乃至33のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項35】
前記コントローラは、前記発光素子のうちのある不良素子が動作していないと判定すると、前記制御可能な素子のうち前記不良の発光素子に対応する素子の透過度を増加させるように構成されている請求項1乃至34のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項36】
前記発光素子は正則アレイに配列されている請求項1乃至35のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項37】
前記アレイは矩形アレイである請求項36に記載のディスプレイ。
【請求項38】
前記アレイは6角形アレイである請求項36に記載のディスプレイ。
【請求項39】
前記発光素子の隣接する素子間に配置された光バリアを備える請求項1乃至38のいずれかに記載のディスプレイ。
【請求項40】
前記発光素子のデューティサイクルを変化させることによって前記発光素子の前記制御可能な光出力を個々に変化させるための制御回路を備える請求項1乃至39のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項41】
前記発光素子に供給される駆動用電流を変化させることによって前記発光素子の前記制御可能な光出力を個々に変化させるための制御回路を備える請求項1乃至40のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項42】
前記光検出器は、前記迷光が平板導波路によって受け取られるように結合されている請求項33に記載のディスプレイ。
【請求項43】
前記発光素子は、平板状導波路のアパーチャ内に受け容れられており、かつ前記導波路は前記発光素子が横方向に発した光を取り込んでいる請求項42に記載のディスプレイ。
【請求項44】
前記平板状導波路は前記発光素子の後ろに位置している請求項43に記載のディスプレイ。
【請求項45】
前記発光素子の前に位置する平板状導波路と、前記発光素子が発した光を検出するように前記平板状導波路と結合されている光センサとを備える請求項1乃至32のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項46】
前記平板状導波路の1つの表面は前記発光素子が発した光の一部分を前記平板状導波路内に導けるのに十分なように粗面処理されている請求項45に記載のディスプレイ。
【請求項47】
前記コントローラは、前記光源が有する発光素子よりも前記空間光変調器が多くの制御可能な素子を有していることに由来するアーチファクトを低減させるように前記空間光変調器の前記制御可能な素子を制御するように構成されている請求項1乃至46のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項48】
発光素子の2次元アレイを備える光源の光出力を制御するとともに、前記光源からの光を変調するように配置されて、前記光源が有する発光素子よりも多くの制御可能な素子を有している空間光変調器の制御可能な素子の光透過を制御するために接続可能なディスプレイコントローラであって、
ディスプレイはディフューザと、前記光源からの光が前記ディフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記光源からの光を前記ディフューザと前記空間光変調器とに投影する光学系とを備え、
前記光源の前記発光素子の光出力を制御して所望の画像の近似を提供するための第1の制御信号を生成し、
前記空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し、
その計算した強度に基づき前記空間光変調器の前記制御可能な素子の光透過を制御して、得られる画像を前記所望の画像に近づける第2の制御信号を生成するように構成されているディスプレイコントローラ。
【請求項49】
前記光源が有する発光素子よりも前記空間光変調器が多くの制御可能な素子を有していることに由来するアーチファクトを低減させるように、前記空間光変調器の制御可能な素子を制御するように構成されている請求項48に記載のディスプレイコントローラ。
【請求項50】
前記第1の制御信号は、前記光源の発光素子に対応する画像エリアに関する所望の照度値の平均値または重み付き平均値である照度に影響を及ぼすように、前記光源の各発光素子を制御するものである請求項48または49に記載のディスプレイコントローラ。
【請求項51】
前記第2の制御信号は、前記空間光変調器の制御可能な素子へ入射する光を、前記光源から前記空間光変調器の当該制御可能な素子に入射する光の強度によって割られた前記所望の照度値に基づく量だけ変調するように前記空間光変調器の各制御可能な素子を制御するものである請求項50に記載のディスプレイコントローラ。
【請求項52】
前記制御可能な素子を定期的にリフレッシュし、制御可能な素子がリフレッシュされているときに、対応する発光素子を減光またはオフするように構成されている請求項48乃至51のいずれか一項に記載のディスプレイコントローラ。
【請求項53】
前記発光素子のデューティサイクルを変化させることによって前記発光素子の前記制御可能な光出力を個々に変化させる制御回路を備える請求項48乃至52のいずれか一項に記載のディスプレイコントローラ。
【請求項54】
前記発光素子に供給される駆動用電流を変化させることによって前記発光素子の前記制御可能な光出力を個々に変化させる制御回路を備える請求項48乃至53のいずれか一項に記載のディスプレイコントローラ。
【請求項55】
高いダイナミックレンジの画像の表示方法であって、
第1の画像データの組によって決定される明度を有するように個々に制御可能な発光素子のアレイを備える光源を制御して、所望の画像の近似を提供し、
各々が制御可能な透過度を有している制御可能な素子のアレイを備える空間光変調器であって、前記光源が有する発光素子よりも多くの制御可能な素子を有している前記空間光変調器の面を前記発光素子のアレイからの光によって照射し、前記発光素子のアレイからの光がディフューザを通過して前記空間光変調器に達するように前記発光素子のアレイからの光は光学系によって前記空間光変調器と前記ディフューザとに投影され、
前記空間光変調器の各制御可能な素子へ入射する光の強度を計算し、
その計算した強度に少なくとも部分的に基づき前記空間光変調器の前記制御可能な素子の透過度を第2の画像データの組によって制御して、得られる画像を前記所望の画像に近づけること
を含む方法。
【請求項56】
前記第2の画像データの組は前記第1の画像データの組と比べて分解能がより高い請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記第2の画像データの組は、前記光源が有する発光素子よりも前記空間光変調器が多くの制御可能な素子を有していることに由来するアーチファクトを低減させるように選択されている請求項55または56に記載の方法。
【請求項58】
前記第1の画像データの組は、前記光源の各発光素子を制御して、前記光源の発光素子に対応する画像エリアに関する所望の照度値の平均値または重み付き平均値である照度に影響を及ぼすように選択されている請求項55乃至57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記第2の画像データの組は、前記空間光変調器の各制御可能な素子を制御して、当該制御可能な素子へ入射する光を、前記光源から前記空間光変調器の当該制御可能な素子に入射する光の強度によって割られた前記所望の照度値に基づく量だけ変調するように選択されている請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記制御可能な素子を定期的にリフレッシュすること、及び、制御可能な素子がリフレッシュされているときに、対応する発光素子を減光またはオフすることを備える請求項55乃至59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記発光素子のデューティサイクルを変化させることによって前記発光素子の前記制御可能な光出力を個々に変化させることを備える請求項55乃至60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記発光素子に供給される駆動用電流を変化させることによって前記発光素子の前記制御可能な光出力を個々に変化させることを備える請求項55乃至61のいずれか一項に記載の方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2016-03-11 
結審通知日 2016-03-15 
審決日 2016-03-28 
出願番号 特願2003-575176(P2003-575176)
審決分類 P 1 123・ 113- YAA (G03B)
P 1 123・ 121- YAA (G03B)
P 1 123・ 537- YAA (G03B)
P 1 123・ 161- YAA (G03B)
P 1 123・ 536- YAA (G03B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 北川 創  
特許庁審判長 川端 修
特許庁審判官 土屋 知久
森林 克郎
登録日 2009-07-31 
登録番号 特許第4348457号(P4348457)
発明の名称 高ダイナミックレンジのディスプレイ、ディスプレイコントローラ及び画像表示方法  
代理人 本田 淳  
代理人 恩田 誠  
代理人 恩田 博宣  
代理人 本田 淳  
代理人 恩田 誠  
代理人 恩田 博宣  
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