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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G02B
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G02B
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 G02B
管理番号 1315989
審判番号 不服2015-6352  
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-04-03 
確定日 2016-07-08 
事件の表示 特願2013-525111「複合ロッドレンズアレイにより構成された画像読取り装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 3月 1日国際公開、WO2012/024873、平成25年11月14日国内公表、特表2013-541722、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2010年12月10日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年8月24日 中国、2010年9月28日 中国)を国際出願日とする出願であって、平成26年2月24日付けで拒絶理由が通知され、同年5月29日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、平成26年11月28日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という)がなされ、これに対し、平成27年4月3日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされ、その後、当審において平成28年3月1日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という)が通知され、同年5月20日に手続補正がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし6に係る発明は、平成28年5月20日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願の請求項1ないし6に係る発明(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)は次のとおりである。
「 【請求項1】
発光して、走査範囲内に原稿を均一に照らす光源と、原稿から反射されてきた反射光を電気信号に変換し外部に出力する線形アレイ画像センサーと、上記反射光をフォーカスして、上記線形アレイ画像センサーの表面にイメージングする複合ロッドレンズアレイと、を含む画像読取り装置であって、
前記複合ロッドレンズアレイは、
第1共役長さTC1、第1高さZ1及び第1直径Ф1を有する複数の第1のロッドレンズを少なくとも1つのアレイに配列することにより構成する第1のロッドレンズアレイと、
第2共役長さTC2、第2高さZ2及び第2直径Ф2を有する複数の第2のロッドレンズを少なくとも1つのアレイに配列することにより構成する第2のロッドレンズアレイと、
支持用の第1の側板及び支持用の第2の側板と、を含み、
前記少なくとも1列の第1のロッドレンズアレイと前記少なくとも1列の第2のロッドレンズアレイが、支持用の上記第1の側板と支持用の上記第2の側板との間に挟まれ、
前記第1のロッドレンズアレイの第1共役長さTC1と、前記第2のロッドレンズアレイの第2共役長さTC2とは一致せず、
前記第1のロッドレンズアレイの焦点位置と前記第2のロッドレンズアレイの焦点位置との差が1mm以内であり、
前記ロッドレンズアレイの表面に焦点位置調節装置が配置され、前記焦点位置調節装置が、ロッドレンズアレイの表面に配置された光透過性の調節体であり、
前記焦点位置調節装置は、前記ロッドレンズアレイの長手方向に全領域をカバーし、前記ロッドレンズアレイの幅方向にTC値が小さいもののみをカバーし、
前記焦点位置調節装置は、前記ロッドレンズアレイの線形アレイ画像センサーに近い側の、焦点位置が前記線形アレイ画像センサーの表面に達していないレンズアレイの端面に配置されることを特徴とする画像読取り装置。
【請求項2】
前記第1のロッドレンズアレイの高さZ1と前記第2のロッドレンズアレイの高さZ2とは一致せず、第1のロッドレンズアレイの直径Ф1と第2のロッドレンズアレイの直径Ф2とは一致しないことを特徴とする請求項1に記載の画像読取り装置。
【請求項3】
前記複数の第1のロッドレンズアレイが第1の側板寄りに互いに近く配列され、前記複数の第2のロッドレンズアレイが第2の側板寄りに互いに近く配列されることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取り装置。
【請求項4】
前記複数の第1のロッドレンズアレイと前記複数の第2のロッドレンズアレイとは交差して配列することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取り装置。
【請求項5】
前記複数の第1のロッドレンズアレイが互いに近く配列し、前記複数の第2のロッドレンズアレイが、第1のロッドレンズアレイの両側にて、前記第1の側板及び第2の側板にそれぞれ近く配列することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取り装置。
【請求項6】
前記ロッドレンズアレイの原稿に近い側のレンズアレイの表面にも前記ロッドレンズアレイの幅方向にTC値が大きいもののみをカバーするように前記焦点位置調節装置を配置し、2種類のレンズアレイの焦点位置を原稿のフローティング範囲の両側近くに位置させるようにすることを特徴とする請求項1に記載の画像読取り装置。」

第3 原査定の理由について
1.原査定の理由の概要
この出願の請求項7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



引用文献1:特開平11-261763号公報
引用文献2:特開平10-133003号公報
引用文献3:特開平11-234474号公報
引用文献4:特開昭63-78663号公報

引用文献1又は2には、ロッドレンズの表面にさらに焦点位置を調整する装置を設けることについて明示の記載はない。
しかしながら、引用文献3には、ロッドレンズの画像センサー側の表面に焦点位置を調整する透明平行板31を備えることが記載され(段落【0015】?【0023】及び図4等参照)、また、引用文献4にも同様の透明の平行板を設けることが記載されており(第3頁右上欄第7行目?右下欄5行目及び第1図等参照)、焦点距離を調整する手段をロッドレンズアレイの一方の面に設けることは周知の事項である。
よって、引用文献1又は2のロッドレンズについてその焦点距離を調整するための方法として引用文献3及び4に記載されたような周知の手段を採用することに格別の困難性はない。

2.原査定の理由についての当審の判断
(1)引用文献1の記載事項
ア 引用文献1には、次の(ア)ないし(エ)の事項が記載されている。
(ア)「【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために1の手段として本発明は、原稿面を照射する照明手段、前記照射された原稿面からの反射光を結像する集光手段、前記結像された光を受光して光電変換する受光手段を備えた画像読取装置において、前記集光手段は互いに焦点距離の異なるすくなくとも2種類の焦点距離を有する複数のレンズを配置して構成されることを特徴とする。
【0011】上記課題を解決するための第2の手段として本発明は、前記第1の手段において、前記受光手段において略同一面にそれぞれの焦点が一致するように前記複数のレンズが配置されていることを特徴とする。
【0012】上記課題を解決するための第3の手段として本発明は、前記第1の手段又は第2の手段において、前記集光手段における焦点距離の異なるレンズは光軸に直交する方向に屈折率の変化するロッドレンズであり、光軸方向に互いにずれた位置に配置されることを特徴とする。
【0013】上記課題を解決するための第4の手段として本発明は、前記第1の手段乃至第3の手段のいずれかの前記集光手段おいて、レンズを複数列に配列し、互いに焦点距離の異なるレンズを異なる列に配列したことを特徴とする。
【0014】上記課題を解決するための第5の手段として本発明は、前記第1の手段乃至第4の手段のいずれかの前記集光手段おいて、隣り合うレンズ同士が互いに焦点距離が異なるレンズとなるようにレンズが配列されていることを特徴とする。」

(イ)「【0017】レンズアレイ26は図1および図2に示すように、前記原稿面の読み取りラインに平行な方向に焦点距離TCが互いに異なる2種類のロッドレンズすなわち第1ロッドレンズ36aと第2ロッドレンズ36bが交互に配列されてなり、保持枠37により保持されている。
【0018】第1ロッドレンズ36aおよび第2ロッドレンズ36bは共に図17に示して説明した従来のロッドレンズ126aと同様に光軸に直交する方向に屈折率分布を持った透光材よりなっており、第1ロッドレンズ36aの焦点距離TC1と第2ロッドレンズ36bの焦点距離TC2の間にはTC1<TC2の関係がある。Sは受光素子アレイ24における原稿読取受光素子21が配置されているセンサ面である。図2に示すように第1ロッドレンズ36aの透明板27側の焦点A1の位置する第1焦点面Saは、第2ロッドレンズ36bの透明板27側の焦点A2の位置する第2焦点面Sbaよりオフセット量dc=TC2ーTC1の距離だけ後方に位置し、第1ロッドレンズ36aの受光素子アレイ24側の焦点B1と第2ロッドレンズ36bの受光素子アレイ24側の焦点B2とは共に前記センサ面Sに位置するように、第1ロッドレンズ36aと第2ロッドレンズ36bは光軸方向にも互いにずれて配置されている。なお、図2においては図1に示した透明板27および原稿29は表示を省いているが、透明板27の上面が第1焦点面Saの近傍となるように配置されている。」

(ウ)「【0029】以下図面に基づいて本発明の好適な実施の形態の他の一つである画像読取装置の実施例について説明する。図8は本実施例に係る画像読取装置の構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は上面図である。(b)においては原稿29と透明板27の表示は省いてある。図8に示すように、本例の密着型の画像読取装置は光電変換を行うセンサ画素が複数配列された原稿読取受光素子21と、保護膜22と、これが実装された基板23とからなる成る受光素子アレイ24と、原稿を照射する線状光源であるLEDアレイ25と、原稿29の像を受光部である前記受光素子アレイ24に結像するレンズアレイ26と、レンズアレイ26を保持する支持枠37と原稿29を載置する透明板27と、これらの部材を支持する外装ケース28より構成されている。
【0030】ここで、レンズアレイ26は図8(b)に示すように、前記LEDアレイ25に照射される原稿面の読み取りラインLに平行な方向に、焦点距離TCが互いに異なる2種類のロッドレンズすなわち第1ロッドレンズ36aと第2ロッドレンズ36bがそれぞれ列に分かれて2列に配列されてなり、保持枠37により保持されている。第1ロッドレンズ36aおよび第2ロッドレンズ36bは個々には図2に示したものと同様であり、これらの光軸方向における位置関係も図2に示したものと同様である。しかし、平面的な位置関係については以下のように異なっている。
【0031】第1ロッドレンズ36aと第2ロッドレンズ36bの平面的な配列について説明すると、図8(b)に示すように、第1ロッドレンズ36a同士は互いに接触または近接して読み取りラインLと平行に一方の列に配列され、第2ロッドレンズ36b同士も互いに接触または近接して前記の読み取りラインBに平行に他方の列に配列されている。そして、隣り合う2個の第1ロッドレンズ36aに対して共通に1個の第2ロッドレンズ36bが接触又は近接し、隣り合う2個の第2ロッドレンズ36bに対して共通に1個の第1ロッドレンズ36bが接触又は近接するように、互いに半ピッチずつずれて配列されている。第1ロッドレンズ36aの中心軸36ac軸と第2ロッドレンズ36bの中心軸36bcにより軸に垂直な面において、正三角形又形又は略正三角形が構成される。
【0032】前記中心軸36acと36bcを共に含む断面の断面図(図8(b)のAーA断面図)は図示を省くが、図4に示したものと同様である。従って、本実施例のレンズアレイ26の集光作用の原理は図1に示した実施例におけるレンズアレイ26の集光作用と基本的には同様であり、2焦点レンズ系が構成されることにより、センサ面での結像のぼけ(前記実効的なぼけ)を減少させる効果を有する。ただし、本例の場合は、読み取りラインL上の任意に1点に対応する3個のロッドレンズ(2個の第1ロッドレンズ36aと1個の第2ロッドレンズ36b、または1個の第1ロッドレンズ36aと2個の第2ロッドレンズ36b)の光軸が互いに近接しており、光軸の離隔に起因する収差よる結像のぼけに関しては、更にこれを低減する効果が得られる。」

(ウ)図2及び図8は、それぞれ次のとおりである。
【図2】


【図8】


イ そうすると、引用文献1には、
「原稿面を照射する照明手段、前記照射された原稿面からの反射光を結像する集光手段、前記結像された光を受光して光電変換する受光手段を備え、
前記集光手段は互いに焦点距離の異なる少なくとも2種類の焦点距離を有する複数のレンズを配置して構成され、
前記複数のレンズは、前記受光手段において略同一面にそれぞれの焦点が一致するように配置され、
前記集光手段における互いに焦点距離の異なるレンズは光軸に直交する方向に屈折率の変化するロッドレンズであって、光軸方向に互いにずれた位置に配置され、
レンズを複数列に配列し、互いに焦点距離の異なるレンズを異なる列に配列し、隣り合うレンズ同士が互いに焦点距離が異なるレンズとなるようにレンズが配列された、密着型の画像読取装置であって
前記照明手段は、原稿を照射する線状光源であるLEDアレイであり、
前記受光手段は、光電変換を行うセンサ画素が複数配列された原稿読取受光素子と、保護膜と、これが実装された基板とからなる成る受光素子アレイであり、
前記集光手段は、原稿の像を受光部である前記受光素子アレイに結像するレンズアレイと、当該レンズアレイを保持する保持枠とからなり、
前記画像読取装置は、さらに、前記原稿を載置する透明板と、これらの部材を支持する外装ケースを備え、
前記レンズアレイは、前記LEDアレイに照射される原稿面の読み取りラインに平行な方向に、焦点距離TCが互いに異なる2種類のロッドレンズすなわち第1ロッドレンズと第2ロッドレンズがそれぞれ列に分かれて2列に配列され、保持枠により保持されてなり、
前記第1ロッドレンズ及び第2ロッドレンズは共に光軸に直交する方向に屈折率分布を持った透光材よりなっており、第1ロッドレンズの焦点距離TC1と第2ロッドレンズ36bの焦点距離TC2の間にはTC1<TC2の関係があり、
前記第1ロッドレンズの前記透明板側の焦点の位置する第1焦点面は、前記第2ロッドレンズの前記透明板側の焦点の位置する第2焦点面よりオフセット量dc=TC2-TC1の距離だけ後方に位置し、前記第1ロッドレンズの前記受光素子アレイ側の焦点と前記第2ロッドレンズの前記受光素子アレイ側の焦点とが共に前記センサ面に位置するように、前記第1ロッドレンズと前記第2ロッドレンズは光軸方向にも互いにずれて配置されている、
画像読取装置。」の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。

(2)引用文献2の記載事項
ア 引用文献2には、次の(ア)ないし(エ)の事項が記載されている。
(ア)「【0050】(第1の実施形態)図1は、本発明の第1の実施形態によるロッドレンズアレイを用いたイメージスキャナの一実施形態の概略構成を示す断面斜視図であり、図2はそのロッドレンズアレイの部分拡大端面図である。本実施形態では、3種類のロッドレンズを用いてロッドレンズアレイを構成している。
【0051】図1及び図2において、1はロッドレンズアレイであり、2は読取り原稿であり、3はCCDモノクロイメージセンサアレイであり、4は3原色LEDが順に配列された照明用のLEDアレイである。
【0052】ロッドレンズアレイ1は、異なる作動波長帯域を持ち特性の異なる3種類のロッドレンズ11,12,13を、いずれもZ方向に向けた状態でそれぞれY方向に多数配列して各色のロッドレンズアレイを形成し、これら3種類のロッドレンズアレイをロッドレンズが最密充填される様にX方向に配列し(いわゆる俵積み)、そのY方向の両端に端部部材15を当てがい、これらを2枚の側板14により挟持し、ロッドレンズの外周面の周囲に接着剤16を充填して、固定配置して、得られるものである。ロッドレンズ11は赤色に着色されており、ロッドレンズ12は緑色に着色されており、ロッドレンズ13は青色に着色されている。
【0053】読取り原稿2は、不図示の搬送手段によりX方向に搬送される様になっている。
【0054】イメージセンサアレイ3は、多数の受光素子17がY方向に配列されてなるものである。
【0055】LEDアレイ4は、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の3原色をそれぞれ発光する赤色(R)発光LED18R、緑色(G)発光LED18G及び青色(B)発光LED18Bを多数この順に繰り返しY方向に配列してなるものである。
【0056】カラー画像読取動作時には、LEDアレイ4のLED18R,18G,18Bが順次切り替え点灯され、読取り原稿2の下面で反射されたR光は主としてロッドレンズ11を通過してイメージセンサアレイ3に結像せしめられR画像情報信号が得られ、読取り原稿2の下面で反射されたG光は主としてロッドレンズ12を通過してイメージセンサアレイ3に結像せしめられG画像情報信号が得られ、、読取り原稿2の下面で反射されたB光は主としてロッドレンズ13を通過してイメージセンサアレイ3に結像せしめられB画像情報信号が得られる。
【0057】この様なロッドレンズとLEDの発光スペクトルとの組み合わせに対して前記(2)式から計算される所定波長(後述の様にして各ロッドレンズに応じてそれぞれ定められる)における共役長TCが、3種類のロッドレンズについて等しくなる様に、3種類のロッドレンズ11,12,13の集束パラメータgが互いに異なる値に設定されている。従って、3原色の照明光により照明された読取り原稿2の読取位置の物点19からの反射光は、各原色に対応するロッドレンズを通過することにより、モノクロイメージセンサアレイ3上において、常に同一の結像点20に良好に結像される。これにより色収差の影響が最小限に抑制され、解像度が著しく高められる。
【0058】次に、以上の様な各発光色に対応するロッドレンズの設計手法について説明する。
【0059】第1に、3種類のロッドレンズ11,12,13に対する所定波長(λsi:i=1,2,3)を設定する。該所定波長は、共役長TCを決定する際の基準となる波長であり、基本的には作動波長帯域内に任意に設定することができる。一例として、各原色LEDの発光スペクトルのピーク波長(λpj:j=1,2,3)に一致させることができる。即ち、ロッドレンズ11の所定の波長(λs1)は660nmであり、ロッドレンズ12の所定の波長(λs2)は525nmであり、ロッドレンズ13の所定の波長(λs3)は450nmである。
・・・(中略)・・・
【0064】第3に、例えばG用ロッドレンズ12について、所定波長525nmにおける共役長TC及びレンズ長Z_(0) を定め、g値(g2)を前記式(2)から求める。他のR用及びB用のロッドレンズ11,13については、G用ロッドレンズ12と同一のレンズ長のもとで、各所定波長660nm及び450nmでの共役長をG用ロッドレンズ12の所定波長525nmでの共役長TCと同一に設定し、この場合のg値(g1,g3)を前記式(2)からそれぞれ求める。その結果、波長525nmにおけるR用ロッドレンズ11のg値(g1)はG用ロッドレンズ12のg値(g2)よりも高い値になり、波長525nmにおけるB用ロッドレンズ13のg値(g3)はG用ロッドレンズ12のg値(g2)よりも低い値になる。各色に対する所定波長(λsi)におけるg値(gi:i=1,2,3)は殆ど等しい値になる。
【0065】以上の様にして設計されたロッドレンズ11,12,13の特性値を以下の表2に示す。
【0066】
【表2】

以上の様にして得られた3種類のロッドレンズ11,12,13を図1及び図2の様に3列に配列したロッドレンズアレイ1の可視光波長範囲(400?760nm)のMTFの測定結果(測定方法は前記の通り)を、図4に示す。参考のために、図5に各ロッドレンズ11,12,13をそれぞれ単独で配列したロッドレンズアレイの可視光波長範囲のMTFの測定結果をR,G,Bとして示す。」

(イ)「【0074】(第2の実施形態)図6は、本発明の第2の実施形態によるロッドレンズアレイの部分拡大端面図である。本実施形態のロッドレンズアレイは、前記図1に示されている様な構成のイメージスキャナに適用することができる。
【0075】図6において、ロッドレンズアレイ1は、異なる作動波長帯域を持ち特性の異なる同一長さの2種類のロッドレンズ21,22を、いずれもZ方向に向けた状態でそれぞれY方向に多数配列して各色のロッドレンズアレイを形成し、これら2種類のロッドレンズアレイをロッドレンズが最密充填される様にX方向に配列し(いわゆる俵積み)、これらを2枚の側板23により挟持し、ロッドレンズの外周面の周囲に接着剤24を充填し、固定配置して、得られるものである。
【0076】ロッドレンズ21の所定波長(λs1)はR用LEDの発光スペクトルのピーク波長(λp1)とG用LEDの発光スペクトルのピーク波長(λp2)とのほぼ中間の590nmとされており、ロッドレンズ22の所定波長(λs2)はG用LEDの発光スペクトルのピーク波長(λp2)とB用LEDの発光スペクトルのピーク波長(λp3)とのほぼ中間の480nmとされている。
【0077】ロッドレンズ21の作動波長帯域(WB1)は、R光とG光とを通過させるために図7に示されるY-50の分光透過率を持つ様に設定される。また、ロッドレンズ22の作動波長帯域WB2は、G光とB光とを通過させるために図7に示されるB-460の分光透過率を持つ様に設定される。即ち、2つのロッドレンズの作動波長帯域は一部が互いに重なり合っている。尚、以上の分光透過率曲線は、保谷ガラス(株)製の光学フィルタと同等のものであり、同様な分光透過率となる様に着色することにより各ロッドレンズを得ることができる。
【0078】ロッドレンズ21,22の集束パラメータgは、前記第1の実施形態と同様にして、各々の所定波長における共役長TCどうしが等しくなる様に、前記式(2)に基づき設定されている。
【0079】以上の様にして設計されたロッドレンズ21,22の特性値を以下の表4に示す。
【0080】
【表4】

以上の様にして得られた2種類のロッドレンズ21,22を図6の様に2列に配列したロッドレンズアレイ1の可視光波長範囲のMTFの測定結果(測定方法は前記の通り)を、図8に示す。参考のために、図9に各ロッドレンズ21,22をそれぞれ単独で配列したロッドレンズアレイの可視光波長範囲のMTFの測定結果をRG,GBとして示す。」

(ウ)「【0084】(第3の実施形態)図10は、本発明の第3の実施形態によるロッドレンズアレイの断面図であり、図11は、その部分拡大端面図である。本実施形態のロッドレンズアレイは、前記図1に示されている様な構成のイメージスキャナに適用することができる。
【0085】図10及び図11において、ロッドレンズアレイ1は、同等の集束パラメータgを持つ長さの異なる2種類の無色のロッドレンズ31,32を、いずれもZ方向に向けた状態でそれぞれY方向に多数配列して各色のロッドレンズアレイを形成し、これら2種類のロッドレンズアレイをロッドレンズが最密充填される様にX方向に配列し(いわゆる俵積み)、これらを2枚の側板35により挟持し、ロッドレンズの外周面の周囲に接着剤36を充填して接合し、ロッドレンズ31の下端面に前記図7に示されるY-50フィルタ33を接着し、ロッドレンズ32の下端面に前記図7に示されるB-460フィルタ34を接着して、得られるものである。ここで、Z方向長さに関するロッドレンズ31の中心とロッドレンズ32の中心とは同一平面上にある。
【0086】フィルタ33,34付きのロッドレンズ31,32の所定波長及び作動波長帯域は前記第2の実施形態にて説明したものと同様である。本実施形態では、ロッドレンズ31,32の長さZ_(01),Z_(02)は、互いに異なり、各々の所定波長における共役長TCどうしが等しくなる様に、設定されている。
【0087】以上の様にして設計されたロッドレンズ31,32の特性値を以下の表6に示す。
【0088】
【表6】

以上の様に、前記第2の実施形態では、2種類のロッドレンズの長さを同一とし且つ集束パラメータgを各々の所定波長における共役長TCどうしが等しくなる様に前記式(2)に基づき設定しているが、本第3の実施形態では、2種類のロッドレンズの集束パラメータgを同一とし且つ各々のレンズ長を所定波長における共役長TCどうしが等しくなる様に前記式(2)に基づき設定しているものである。尚、2種類のロッドレンズの集束パラメータgが同じでない場合にも、前記式(2)に基づきレンズ長Z_(0) を調整し、所定波長における共役長TCを等しくすることが可能である。」

(エ)図1、図6及び図10は、それぞれ次のとおりである。
【図1】


【図6】


【図10】


イ そうすると、引用文献2には、次の引用発明2-1ないし2-3が記載されている。
(ア)引用発明2-1(【0050】ないし【0066】及び図1の「第1の実施形態」についての記載に基づく発明)
「3種類のロッドレンズを用いて構成したロッドレンズアレイを用いたイメージスキャナであって、
前記ロッドレンズアレイと、CCDモノクロイメージセンサアレイと、3原色LEDが順に配列された照明用のLEDアレイを含み、
前記ロッドレンズアレイは、異なる作動波長帯域を持ち特性の異なる3種類のロッドレンズ(第1ないし第3ロッドレンズ)を、いずれもZ方向に向けた状態でそれぞれY方向に多数配列して各色のロッドレンズアレイを形成し、これら3種類のロッドレンズアレイをロッドレンズが最密充填されるように(いわゆる俵積みにして)X方向に配列し、そのY方向の両端に端部部材を当てがい、これらを2枚の側板により挟持し、ロッドレンズの外周面の周囲に接着剤を充填して固定配置して得られ、
第1ロッドレンズは赤色に着色されており、第2ロッドレンズは緑色に着色されており、第3ロッドレンズは青色に着色されており、
読取り原稿は、搬送手段によりX方向に搬送されるようになっており、
前記イメージセンサアレイは、多数の受光素子がY方向に配列されてなり、
前記LEDアレイは、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の3原色をそれぞれ発光する赤色発光LED、緑色発光LED及び青色発光LEDを多数この順に繰り返しY方向に配列してなり、
カラー画像読取動作時には、前記LEDアレイの赤色発光LED、緑色発光LED、青色発光LEDが順次切り替え点灯され、読取り原稿の下面で反射されたR光は主として第1ロッドレンズを通過してイメージセンサアレイに結像せしめられてR画像情報信号が得られ、読取り原稿の下面で反射されたG光は主として第2ロッドレンズを通過してイメージセンサアレイに結像せしめられG画像情報信号が得られ、読取り原稿の下面で反射されたB光は主として第3ロッドレンズを通過してイメージセンサアレイに結像せしめられB画像情報信号が得られ、
各ロッドレンズと各LEDの発光スペクトルとの組み合わせに対し各ロッドレンズに応じてそれぞれ所定波長が定められ、
第1ロッドレンズの所定波長は660nmであり、第2ロッドレンズの所定波長は525nmであり、第3ロッドレンズの所定波長は450nmであり、
前記所定波長における共役長TCが、前記3種類のロッドレンズについて等しくなるように、前記3種類のロッドレンズの集束パラメータgが互いに異なる値に設定され、
第2ロッドレンズについて、所定波長525nmにおける共役長TC及びレンズ長Z_(0) をそれぞれTC=9.10mm、Z_(0) =4.20mmに定め、第1及び第3ロッドレンズについては、第2ロッドレンズと同一のレンズ長(すなわち4.20mm)のもとで、各所定波長660nm及び450nmでの共役長を第2ロッドレンズの所定波長525nmでの共役長TCと同一に(すなわち9.10mmに)設定し、
また、第1ないし第3ロッドレンズの波長570nmでの共役長は、それぞれ、8.70mm、9.42mm、10.34mmとなり、
これにより、3原色の照明光(R、G、B)により照明された読取り原稿の読取位置の物点からの反射光は、各原色に対応するロッドレンズを通過することにより、モノクロイメージセンサアレイ上において、常に同一の結像点に良好に結像され、これにより色収差の影響が最小限に抑制され、解像度が著しく高められた、
イメージスキャナ。」

(イ)引用発明2-2(【0074】ないし【0080】及び図6の「第2の実施形態」についての記載に基づく発明)
「2種類のロッドレンズを用いて構成したロッドレンズアレイを用いたイメージスキャナであって、
前記ロッドレンズアレイと、CCDモノクロイメージセンサアレイと、3原色LEDが順に配列された照明用のLEDアレイを含み、
前記ロッドレンズアレイは、異なる作動波長帯域を持ち特性の異なる2種類のロッドレンズ(第1及び第2ロッドレンズ)を、いずれもZ方向に向けた状態でそれぞれY方向に多数配列してロッドレンズアレイを形成し、これら2種類のロッドレンズアレイをロッドレンズが最密充填されるように(いわゆる俵積みにして)X方向に配列し、そのY方向の両端に端部部材を当てがい、これらを2枚の側板により挟持し、ロッドレンズの外周面の周囲に接着剤を充填して固定配置して得られ、
第1ロッドレンズは赤色(R)光と緑色(G)光とを通過させるための分光透過率となるように着色されており、第2ロッドレンズは緑色(G)光と青色(B)光とを通過させるための分光透過率となるように着色されており、
読取り原稿は、搬送手段によりX方向に搬送されるようになっており、
前記イメージセンサアレイは、多数の受光素子がY方向に配列されてなり、
前記LEDアレイは、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の3原色をそれぞれ発光する赤色発光LED、緑色発光LED及び青色発光LEDを多数この順に繰り返しY方向に配列してなり、
カラー画像読取動作時には、前記LEDアレイの赤色発光LED、緑色発光LED、青色発光LEDが順次切り替え点灯され、読取り原稿の下面で反射されたR光は主として第1ロッドレンズを通過してイメージセンサアレイに結像せしめられてR画像情報信号が得られ、読取り原稿の下面で反射されたG光は第1ロッドレンズ及び第2ロッドレンズを通過してイメージセンサアレイに結像せしめられG画像情報信号が得られ、読取り原稿の下面で反射されたB光は主として第2ロッドレンズを通過してイメージセンサアレイに結像せしめられB画像情報信号が得られ、
各ロッドレンズと各LEDの発光スペクトルとの組み合わせに対し各ロッドレンズに応じてそれぞれ所定波長が定められ、
第1ロッドレンズの所定波長は590nmであり、第2ロッドレンズの所定波長は480nmであり、
前記所定波長における共役長TCが、前記2種類のロッドレンズについて等しくなるように、前記2種類のロッドレンズの集束パラメータgが互いに異なる値に設定され、
第1ロッドレンズについて、所定波長590nmにおける共役長TC及びレンズ長Z_(0) をそれぞれTC=9.10mm、Z_(0) =4.20mmに定め、第2ロッドレンズについては、第1ロッドレンズと同一のレンズ長(すなわち4.20mm)のもとで、所定波長480nmでの共役長を第2ロッドレンズの所定波長590nmでの共役長TCと同一に(すなわち9.10mmに)設定し、
また、第1及び第2ロッドレンズの波長570nmでの共役長は、それぞれ、8.99mm、9.89mmとなり、
これにより、3原色の照明光(R、G、B)により照明された読取り原稿の読取位置の物点からの反射光は、対応するロッドレンズを通過することにより、モノクロイメージセンサアレイ上において、常に同一の結像点に良好に結像され、これにより色収差の影響が最小限に抑制され、解像度が著しく高められた、
イメージスキャナ。」

(ウ)引用発明2-3(【0084】ないし【0088】及び図10の「第3の実施形態」についての記載に基づく発明)
「2種類のロッドレンズを用いて構成したロッドレンズアレイを用いたイメージスキャナであって、
前記ロッドレンズアレイと、CCDモノクロイメージセンサアレイと、3原色LEDが順に配列された照明用のLEDアレイを含み、
前記ロッドレンズアレイは、同等の集束パラメータgを持ち長さの異なる2種類の無色のロッドレンズ(第1及び第2ロッドレンズ)を、いずれもZ方向に向けた状態で、Z方向長さに関する第1ロッドレンズの中心と第2ロッドレンズの中心とが同一平面上にあるようにして、それぞれY方向に多数配列してロッドレンズアレイを形成し、これら2種類のロッドレンズアレイをロッドレンズが最密充填されるように(いわゆる俵積みにして)X方向に配列し、そのY方向の両端に端部部材を当てがい、これらを2枚の側板により挟持し、ロッドレンズの外周面の周囲に接着剤を充填して固定配置して得られ、
第1ロッドレンズの下端面には赤色(R)光と緑色(G)光とを通過させるための分光透過率を有する第1フィルタが接着されており、第2ロッドレンズの下端面には緑色(G)光と青色(B)光とを通過させるための分光透過率を有する第2フィルタが接着されており、
読取り原稿は、搬送手段によりX方向に搬送されるようになっており、
前記イメージセンサアレイは、多数の受光素子がY方向に配列されてなり、
前記LEDアレイは、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の3原色をそれぞれ発光する赤色発光LED、緑色発光LED及び青色発光LEDを多数この順に繰り返しY方向に配列してなり、
カラー画像読取動作時には、前記LEDアレイの赤色発光LED、緑色発光LED、青色発光LEDが順次切り替え点灯され、読取り原稿の下面で反射されたR光は主として第1ロッドレンズを通過してイメージセンサアレイに結像せしめられてR画像情報信号が得られ、読取り原稿の下面で反射されたG光は第1ロッドレンズ及び第2ロッドレンズを通過してイメージセンサアレイに結像せしめられG画像情報信号が得られ、読取り原稿の下面で反射されたB光は主として第2ロッドレンズを通過してイメージセンサアレイに結像せしめられB画像情報信号が得られ、
各ロッドレンズと各LEDの発光スペクトルとの組み合わせに対し各ロッドレンズに応じてそれぞれ所定波長が定められ、
第1ロッドレンズの所定波長は590nmであり、第2ロッドレンズの所定波長は480nmであり、
前記所定波長における共役長TCが、前記2種類のロッドレンズについて等しくなるように、前記2種類のロッドレンズの長さZ_(01)、Z_(02)は、互いに異なる値に設定され、
第1ロッドレンズについて、所定波長590nmにおける共役長TC及びレンズ長Z_(0) をそれぞれTC=9.10mm、Z_(01)=4.22mmに定め、第2ロッドレンズについて、所定波長480nmにおける共役長TCが第1ロッドレンズの所定波長590nmでの共役長TCと同一に(すなわち9.10mmに)なるように、そのレンズ長Z_(02)を4.10mmに定め、
また、第1及び第2ロッドレンズの波長570nmでの共役長は、それぞれ、8.994mm、9.917mmとなり、
これにより、3原色の照明光(R、G、B)により照明された読取り原稿の読取位置の物点からの反射光は、対応するロッドレンズを通過することにより、モノクロイメージセンサアレイ上において、常に同一の結像点に良好に結像され、これにより色収差の影響が最小限に抑制され、解像度が著しく高められた、
イメージスキャナ。」

(3)引用文献3及び4の記載事項並びに当該記載事項から把握される周知技術
引用文献3には、ロッドレンズの受光素子側の表面に焦点位置を調整する透明平行板31を備えることが記載されており(段落【0015】?【0023】及び図4を参照。)、また、引用文献4にも同様の透明の平行板を設けることが記載されている(第3頁右上欄第7行目?右下欄5行目及び第1図を参照。)。
したがって、イメージセンサーのロッドレンズアレイの受光素子側の面に焦点距離を調整する手段を設けることは、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に、周知の事項である。

(4)対比
ア 本願発明と引用発明1との対比
(ア)一致点及び相違点
引用発明1の「『照明手段』、『線状光源』である『LEDアレイ』」、「『受光手段』、『センサ画素がが複数配列された原稿読取受光素子と、保護膜と、これが実装された基板とからなる成る受光素子アレイ』」、「『集光手段』、『ロッドレンズ』の『レンズアレイ』」、「画像読取装置」及び「保持枠」は、それぞれ、本願発明の「光源」、「線形アレイ画像センサー」、「複合ロッドレンズアレイ」、「画像読取り装置」及び「『第1の側板』、『第2の側板』」に相当する。
そうすると、本願発明と引用発明1とは、
「発光して、走査範囲内に原稿を均一に照らす光源と、原稿から反射されてきた反射光を電気信号に変換し外部に出力する線形アレイ画像センサーと、上記反射光をフォーカスして、上記線形アレイ画像センサーの表面にイメージングする複合ロッドレンズアレイと、を含む画像読取り装置であって、
前記複合ロッドレンズアレイは、
第1共役長さTC1、第1高さZ1及び第1直径Ф1を有する複数の第1のロッドレンズを少なくとも1つのアレイに配列することにより構成する第1のロッドレンズアレイと、
第2共役長さTC2、第2高さZ2及び第2直径Ф2を有する複数の第2のロッドレンズを少なくとも1つのアレイに配列することにより構成する第2のロッドレンズアレイと、
支持用の第1の側板及び支持用の第2の側板と、を含み、
前記少なくとも1列の第1のロッドレンズアレイと前記少なくとも1列の第2のロッドレンズアレイが、支持用の上記第1の側板と支持用の上記第2の側板との間に挟まれ、
前記第1のロッドレンズアレイの第1共役長さTC1と、前記第2のロッドレンズアレイの第2共役長さTC2とは一致しない、
画像読取り装置。」である点で一致する。
他方、本願発明と引用発明1は、次の点において相違する。

相違点1:
前記「第1のロッドレンズアレイ」の焦点位置と前記「第2のロッドレンズアレイ」の焦点位置との差が、
本願発明では、1mm以内であるのに対し、
引用発明1では、不明である点。

相違点2:
本願発明では、「ロッドレンズアレイの表面に焦点位置調節装置が配置され、前記焦点位置調節装置が、ロッドレンズアレイの表面に配置された光透過性の調節体であり、前記焦点位置調節装置は、前記ロッドレンズアレイの長手方向に全領域をカバーし、前記ロッドレンズアレイの幅方向にTC値が小さいもののみをカバーし、前記焦点位置調節装置は、前記ロッドレンズアレイの線形アレイ画像センサーに近い側の、焦点位置が前記線形アレイ画像センサーの表面に達していないレンズアレイの端面に配置される」のに対し、
引用発明1では、ロッドレンズアレイの表面に焦点位置調整装置が配置されていない点。

(イ)相違点2についての判断
引用発明1では、第1ロッドレンズと第2ロッドレンズが光軸方向に互いにずれて配置されていることによって前記第1ロッドレンズの受光素子アレイ側の焦点と前記第2ロッドレンズの受光素子アレイ側の焦点とが共にセンサ面に位置するようにされているのだから、いずれかのロッドレンズの受光素子アレイ側の焦点位置が前記センサの表面に達していないということはない。したがって、引用発明1の第1ロッドレンズ又は第2ロッドレンズの受光素子アレイ側の端面に焦点位置調節装置を配置することによってセンサの表面に達していないロッドレンズの受光素子アレイ側の焦点位置をセンサの表面に達するようにする必要は何ら認められない。
すなわち、引用発明1において、当業者が、第1ロッドレンズ又は第2ロッドレンズの受光素子アレイ側の端面に焦点位置調節装置を配置する動機づけがまったくないのであるから、例え、ロッドレンズアレイの受光素子側の面に焦点距離を調整する手段を設けることが本願の優先日前に周知の事項であったとしても、そのようにすることが当業者にとって容易であるとはいえない。

(ウ)小括
したがって、相違点1について検討するまでもなく、本願発明は、当業者が引用発明1に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

イ 本願発明と引用発明2-1との対比
(ア)一致点及び相違点
引用発明2-1の「照明用のLEDアレイ」、「CCDモノクロイメージセンサアレイ」、「3種類のロッドレンズを用いて構成したロッドレンズレイ」、「イメージスキャナ」及び「側板」は、それぞれ、本願発明の「光源」、「線形アレイ画像センサー」、「複合ロッドレンズアレイ」、「画像読取り装置」及び「『第1の側板』、『第2の側板』」に相当する。
また、引用発明2-1では、第1の「ロッドレンズアレイ」の焦点位置と第2の「ロッドレンズアレイ」の焦点位置との差が、波長570nmでは1mm以内(TCの差が9.42-8.70=0.72又は10.34-9.42=0.92であり、焦点位置の差がTCの差よりも小さいことは明らか)であり、また、各々の所定波長では0mmである。
そうすると、本願発明と引用発明2-1とは、
「発光して、走査範囲内に原稿を均一に照らす光源と、原稿から反射されてきた反射光を電気信号に変換し外部に出力する線形アレイ画像センサーと、上記反射光をフォーカスして、上記線形アレイ画像センサーの表面にイメージングする複合ロッドレンズアレイと、を含む画像読取り装置であって、
前記複合ロッドレンズアレイは、
第1共役長さTC1、第1高さZ1及び第1直径Ф1を有する複数の第1のロッドレンズを少なくとも1つのアレイに配列することにより構成する第1のロッドレンズアレイと、
第2共役長さTC2、第2高さZ2及び第2直径Ф2を有する複数の第2のロッドレンズを少なくとも1つのアレイに配列することにより構成する第2のロッドレンズアレイと、
支持用の第1の側板及び支持用の第2の側板と、を含み、
前記少なくとも1列の第1のロッドレンズアレイと前記少なくとも1列の第2のロッドレンズアレイが、支持用の上記第1の側板と支持用の上記第2の側板との間に挟まれ、
前記第1のロッドレンズアレイの焦点位置と前記第2のロッドレンズアレイの焦点位置との差が1mm以内である、
画像読取り装置。」である点で一致する。
他方、本願発明と引用発明2-1は、次の点において相違する。

相違点3:
本願発明では、「第1のロッドレンズアレイの第1共役長さTC1と、第2のロッドレンズアレイの第2共役長さTC2とは一致しない」のに対し、
引用発明2-1では、波長570nmでの第1のロッドレンズアレイの共役長と第2のロッドレンズアレイの共役長とは一致しないが、各々の所定波長での第1のロッドレンズアレイの共役長と第2のロッドレンズアレイの共役長とは一致する点。

相違点4:
本願発明では、「ロッドレンズアレイの表面に焦点位置調節装置が配置され、前記焦点位置調節装置が、ロッドレンズアレイの表面に配置された光透過性の調節体であり、前記焦点位置調節装置は、前記ロッドレンズアレイの長手方向に全領域をカバーし、前記ロッドレンズアレイの幅方向にTC値が小さいもののみをカバーし、前記焦点位置調節装置は、前記ロッドレンズアレイの線形アレイ画像センサーに近い側の、焦点位置が前記線形アレイ画像センサーの表面に達していないレンズアレイの端面に配置される」のに対し、
引用発明2-1では、ロッドレンズアレイの表面に焦点位置調整装置が配置されていない点。

(イ)相違点4についての判断
引用発明2-1では、第1ロッドレンズと第2ロッドレンズは、各々の作動波長帯域と集束パラメータgが異なり、各々の所定波長の光において共役長TCが共に9.10mmとなるように設定されており、それにより、3原色の照明光(R、G、B)により照明された読取り原稿の読取位置の物点からの反射光は、各原色に対応するロッドレンズを通過することにより、モノクロイメージセンサアレイ上において、常に同一の結像点に良好に結像するようにされているのだから、いずれかのロッドレンズの受光素子アレイ側の焦点位置が前記モノクロイメージセンサアレイの表面に達していないということはない。したがって、引用発明2-1の第1ロッドレンズ又は第2ロッドレンズのモノクロイメージセンサアレイ側の端面に焦点位置調節装置を配置することによってモノクロイメージセンサアレイの表面に達していないロッドレンズのモノクロイメージセンサアレイ側の焦点位置をモノクロイメージセンサの表面に達するようにする必要は何ら認められない。
すなわち、引用発明2-1において、当業者が、第1ロッドレンズ又は第2ロッドレンズのモノクロイメージセンサアレイ側の端面に焦点位置調節装置を配置する動機づけがまったくないのであるから、例え、ロッドレンズアレイの受光素子側の面に焦点距離を調整する手段を設けることが本願の優先日前に周知の事項であったとしても、そのようにすることが当業者にとって容易であるとはいえない。

(ウ)小括
したがって、相違点3について検討するまでもなく、本願発明は、当業者が引用発明2-1に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

ウ 本願発明と引用発明2-2との対比
(ア)一致点及び相違点
引用発明2-2の「照明用のLEDアレイ」、「CCDモノクロイメージセンサアレイ」、「2種類のロッドレンズを用いて構成したロッドレンズレイ」、「イメージスキャナ」及び「側板」は、それぞれ、本願発明の「光源」、「線形アレイ画像センサー」、「複合ロッドレンズアレイ」、「画像読取り装置」及び「『第1の側板』、『第2の側板』」に相当する。
また、引用発明2-2では、第1の「ロッドレンズアレイ」の焦点位置と第2の「ロッドレンズアレイ」の焦点位置との差が、波長570nmでは1mm以内(TCの差が9.89-8.99=0.90であり、焦点位置の差がTCの差よりも小さいことは明らか)であり、また、各々の所定波長では0mmである。
そうすると、本願発明と引用発明2-2とは、
「発光して、走査範囲内に原稿を均一に照らす光源と、原稿から反射されてきた反射光を電気信号に変換し外部に出力する線形アレイ画像センサーと、上記反射光をフォーカスして、上記線形アレイ画像センサーの表面にイメージングする複合ロッドレンズアレイと、を含む画像読取り装置であって、
前記複合ロッドレンズアレイは、
第1共役長さTC1、第1高さZ1及び第1直径Ф1を有する複数の第1のロッドレンズを少なくとも1つのアレイに配列することにより構成する第1のロッドレンズアレイと、
第2共役長さTC2、第2高さZ2及び第2直径Ф2を有する複数の第2のロッドレンズを少なくとも1つのアレイに配列することにより構成する第2のロッドレンズアレイと、
支持用の第1の側板及び支持用の第2の側板と、を含み、
前記少なくとも1列の第1のロッドレンズアレイと前記少なくとも1列の第2のロッドレンズアレイが、支持用の上記第1の側板と支持用の上記第2の側板との間に挟まれ、
前記第1のロッドレンズアレイの焦点位置と前記第2のロッドレンズアレイの焦点位置との差が1mm以内である、
画像読取り装置。」である点で一致する。
他方、本願発明と引用発明2-2は、次の点において相違する。

相違点5:
本願発明では、「第1のロッドレンズアレイの第1共役長さTC1と、第2のロッドレンズアレイの第2共役長さTC2とは一致しない」のに対し、
引用発明2-2では、波長570nmでの第1のロッドレンズアレイの共役長と第2のロッドレンズアレイの共役長とは一致しないが、各々の所定波長での第1のロッドレンズアレイの共役長と第2のロッドレンズアレイの共役長とは一致する点。

相違点6:
本願発明では、「ロッドレンズアレイの表面に焦点位置調節装置が配置され、前記焦点位置調節装置が、ロッドレンズアレイの表面に配置された光透過性の調節体であり、前記焦点位置調節装置は、前記ロッドレンズアレイの長手方向に全領域をカバーし、前記ロッドレンズアレイの幅方向にTC値が小さいもののみをカバーし、前記焦点位置調節装置は、前記ロッドレンズアレイの線形アレイ画像センサーに近い側の、焦点位置が前記線形アレイ画像センサーの表面に達していないレンズアレイの端面に配置される」のに対し、
引用発明2-2では、ロッドレンズアレイの表面に焦点位置調整装置が配置されていない点。

(イ)相違点6についての判断
引用発明2-2では、第1ロッドレンズと第2ロッドレンズは、各々の作動波長帯域と集束パラメータgが異なり、各々の所定波長の光において共役長TCが共に9.10mmとなるように設定されており、それにより、3原色の照明光(R、G、B)により照明された読取り原稿の読取位置の物点からの反射光は、各原色に対応するロッドレンズを通過することにより、モノクロイメージセンサアレイ上において、常に同一の結像点に良好に結像するようにされているのだから、いずれかのロッドレンズの受光素子アレイ側の焦点位置が前記モノクロイメージセンサアレイの表面に達していないということはない。したがって、引用発明2-2の第1ロッドレンズ又は第2ロッドレンズのモノクロイメージセンサアレイ側の端面に焦点位置調節装置を配置することによってモノクロイメージセンサアレイの表面に達していないロッドレンズのモノクロイメージセンサアレイ側の焦点位置をモノクロイメージセンサの表面に達するようにする必要は何ら認められない。
すなわち、引用発明2-2において、当業者が、第1ロッドレンズ又は第2ロッドレンズのモノクロイメージセンサアレイ側の端面に焦点位置調節装置を配置する動機づけがまったくないのであるから、例え、ロッドレンズアレイの受光素子側の面に焦点距離を調整する手段を設けることが本願の優先日前に周知の事項であったとしても、そのようにすることが当業者にとって容易であるとはいえない。

(ウ)小括
したがって、相違点5について検討するまでもなく、本願発明は、当業者が引用発明2-2に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

エ 本願発明と引用発明2-3との対比
(ア)一致点及び相違点
引用発明2-3の「照明用のLEDアレイ」、「CCDモノクロイメージセンサアレイ」、「2種類のロッドレンズを用いて構成したロッドレンズレイ」、「イメージスキャナ」及び「側板」は、それぞれ、本願発明の「光源」、「線形アレイ画像センサー」、「複合ロッドレンズアレイ」、「画像読取り装置」及び「『第1の側板』、『第2の側板』」に相当する。
また、引用発明2-3では、第1の「ロッドレンズアレイ」の焦点位置と第2の「ロッドレンズアレイ」の焦点位置との差が、波長570nmでは1mm以内(TCの差が9.917-8.994=0.923であり、焦点位置の差がTCの差よりも小さいことは明らか)であり、また、各々の所定波長では0mmである。
そうすると、本願発明と引用発明2-3とは、
「発光して、走査範囲内に原稿を均一に照らす光源と、原稿から反射されてきた反射光を電気信号に変換し外部に出力する線形アレイ画像センサーと、上記反射光をフォーカスして、上記線形アレイ画像センサーの表面にイメージングする複合ロッドレンズアレイと、を含む画像読取り装置であって、
前記複合ロッドレンズアレイは、
第1共役長さTC1、第1高さZ1及び第1直径Ф1を有する複数の第1のロッドレンズを少なくとも1つのアレイに配列することにより構成する第1のロッドレンズアレイと、
第2共役長さTC2、第2高さZ2及び第2直径Ф2を有する複数の第2のロッドレンズを少なくとも1つのアレイに配列することにより構成する第2のロッドレンズアレイと、
支持用の第1の側板及び支持用の第2の側板と、を含み、
前記少なくとも1列の第1のロッドレンズアレイと前記少なくとも1列の第2のロッドレンズアレイが、支持用の上記第1の側板と支持用の上記第2の側板との間に挟まれ、
前記第1のロッドレンズアレイの焦点位置と前記第2のロッドレンズアレイの焦点位置との差が1mm以内である、
画像読取り装置。」である点で一致する。
他方、本願発明と引用発明2-3は、次の点において相違する。

相違点7:
本願発明では、「第1のロッドレンズアレイの第1共役長さTC1と、第2のロッドレンズアレイの第2共役長さTC2とは一致しない」のに対し、
引用発明2-3では、波長570nmでの第1のロッドレンズアレイの共役長と第2のロッドレンズアレイの共役長とは一致しないが、各々の所定波長での第1のロッドレンズアレイの共役長と第2のロッドレンズアレイの共役長とは一致する点。

相違点8:
本願発明では、「ロッドレンズアレイの表面に焦点位置調節装置が配置され、前記焦点位置調節装置が、ロッドレンズアレイの表面に配置された光透過性の調節体であり、前記焦点位置調節装置は、前記ロッドレンズアレイの長手方向に全領域をカバーし、前記ロッドレンズアレイの幅方向にTC値が小さいもののみをカバーし、前記焦点位置調節装置は、前記ロッドレンズアレイの線形アレイ画像センサーに近い側の、焦点位置が前記線形アレイ画像センサーの表面に達していないレンズアレイの端面に配置される」のに対し、
引用発明2-3では、ロッドレンズアレイの表面に焦点位置調整装置が配置されていない点。

(イ)相違点8についての判断
引用発明2-3では、第1ロッドレンズと第2ロッドレンズは、同等の集束パラメータgを持つが、各々の所定波長の光において共役長TCが共に9.10mmとなるように各々のロッドレンズ長さが互いに異なる値に設定されるとともに、Z方向長さに関する第1ロッドレンズの中心と第2ロッドレンズの中心とが同一平面上にあるようにされており、それにより、3原色の照明光(R、G、B)により照明された読取り原稿の読取位置の物点からの反射光は、各原色に対応するロッドレンズを通過することにより、モノクロイメージセンサアレイ上において、常に同一の結像点に良好に結像するようにされているのだから、いずれかのロッドレンズの受光素子アレイ側の焦点位置が前記モノクロイメージセンサアレイの表面に達していないということはない。したがって、引用発明2-3の第1ロッドレンズ又は第2ロッドレンズのモノクロイメージセンサアレイ側の端面に焦点位置調節装置を配置することによってモノクロイメージセンサアレイの表面に達していないロッドレンズのモノクロイメージセンサアレイ側の焦点位置をモノクロイメージセンサの表面に達するようにする必要は何ら認められない。
すなわち、引用発明2-3において、当業者が、第1ロッドレンズ又は第2ロッドレンズのモノクロイメージセンサアレイ側の端面に焦点位置調節装置を配置する動機づけがまったくないのであるから、例え、ロッドレンズアレイの受光素子側の面に焦点距離を調整する手段を設けることが本願の優先日前に周知の事項であったとしても、そのようにすることが当業者にとって容易であるとはいえない。

(ウ)小括
したがって、相違点7について検討するまでもなく、本願発明は、当業者が引用発明2-3に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

(5)まとめ
したがって、本願発明は、当業者が引用発明1、引用発明2-1、引用発明2-2又は引用発明2-3に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
本願の請求項2ないし6に係る発明は、本願発明をさらに限定したものであるので、本願発明と同様に、当業者が引用発明1、引用発明2-1、引用発明2-2又は引用発明2-3に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

第4 当審拒絶理由について
1.当審拒絶理由の概要
【理由1】本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。



本願明細書の発明の詳細な説明には、焦点位置調節装置8が、(i)複合ロッドレンズアレイを構成するレンズアレイ201とレンズアレイ202のうち、レンズアレイ201の光電変換センサー3に近い側(画像面側)の表面に取り付けられたこと(【0044】、【0049】、図15)、(ii)焦点位置調節装置8が取り付けられる前には、レンズアレイ201の画像面が光電変換センサー3の表面より約0.5mm上の位置にあったものが、取り付けられた後には、レンズアレイ201の焦点位置(画像面)が遠い方へドリフトされ、ほとんど光電変換センサー3の表面に移るようになったこと(【0049】)、及び、(iii)焦点位置調節装置8が、ロッドレンズアレイ201の画像面に加え、さらにロッドレンズアレイ202の対物面側の表面にも取り付けられたこと(【0050】、図18)が記載されているものの、当該焦点位置調節装置8が、レンズアレイ201の原稿10に近い側(対物面側)の表面のみに取り付けられることや、そのように取り付けられた場合に奏する作用・効果については、何ら記載されていないといわざるを得ない。
ところが、本願の請求項1には、焦点位置調節装置がロッドレンズアレイの「表面」に配置されること、及び、前記焦点位置調節装置が、前記ロッドレンズアレイの幅方向にTC値が小さいもののみをカバーすることしか特定されていないから、当該「表面」が、ロッドレンズアレイのTC値が小さいもの(実施例ではロッドレンズアレイ201)の対物面側の表面のみであってもよいこととなる。そうすると、請求項1における、ロッドレンズアレイへの焦点位置調節装置の配置についての記載は、発明の詳細な説明に記載された技術的範囲を超えて拡張ないしは一般化されているといわざるを得ない。
また、本願の請求項8には、焦点位置調節装置がロッドレンズアレイの「原稿に近い側のレンズアレイの表面」に配置されることが特定されており、しかも、請求項8は請求項1に従属しているから、前記焦点位置調節装置は、前記ロッドレンズアレイの幅方向にTC値が小さいもの(実施例ではロッドレンズアレイ201)のみをカバーすることも特定されていることとなる。そうすると、請求項8における、ロッドレンズアレイへの焦点位置調節装置の配置についての記載は、当該焦点位置調節装置が、前記ロッドレンズアレイのうちTC値が小さいものの原稿に近い側(対物面側)の表面に取り付けられることを特定していることとなり、発明の詳細な説明に記載された技術的範囲を超えて拡張ないしは一般化されているといわざるを得ない。
上記のとおりであるから、本願の請求項1及び請求項8に係る発明は発明の詳細な説明に記載したものでない。
また、本願の請求項2ないし6は、請求項1の記載を引用して記載されているから、請求項2ないし6に係る発明もまた、発明の詳細な説明に記載したものでない。

【理由2】本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。



本願の請求項1には、画像読取り装置が含む「複合ロッドレンズアレイ」が、「第1のロッドレンズアレイ」及び「第2のロッドレンズアレイ」とどのような関係にあるのかが何も記載されておらず、このため、画像読取り装置の構成が不明りょうなものとなっている。
上記のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は明確でない。
また、本願の請求項2ないし8は、請求項1の記載を引用して記載されているから、請求項2ないし8に係る発明もまた明確でない。

【理由3】本件出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。



本願の請求項6には、光透過性調節体の厚さがN1(N1は隣り合って配列する同一レンズアレイの列数)*Ф1より小さいことが特定されているが、発明の詳細な説明には、光透過性調節体の厚さがN1(N1は隣り合って配列する同一レンズアレイの列数)*Ф1より小さいことがどのような技術上の意義を有するかについて、どこにも記載されていない。
上記のことからみて、本願の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号の経済産業省令(特許法施行規則第24条の2)に定めるところにより記載したものでない。

2.当審拒絶理由についての当審の判断
(1)平成28年5月20日になされた手続補正
平成28年5月20日になされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、本願の特許請求の範囲を次のアないしウのように補正するものである。
ア 本件補正前の請求項7に記載の発明特定事項である「前記焦点位置調節装置は、前記ロッドレンズアレイの線形アレイ画像センサーに近い側の、焦点位置が前記線形アレイ画像センサーの表面に達していないレンズアレイの端面に配置される」を請求項1に繰り入れ記載し、本件補正前の請求項7を削除すると共に、本件補正前の請求項8(本件補正後の請求項6)の「前記焦点位置調節装置が前記ロッドレンズアレイの原稿に近い側のレンズアレイの表面に配置され」を、「前記ロッドレンズアレイの原稿に近い側のレンズアレイの表面にも前記ロッドレンズアレイの幅方向にTC値が大きいもののみをカバーするように前記焦点位置調節装置を配置し」と補正。
イ 本件補正前の請求項1の「・・・を含む画像読取装置であって、」の後に「前記複合ロッドレンズアレイは、」を挿入するとともに、本件補正前の請求項1の「・・・第2の側板を含み」を「・・・第2の側板と、を含み」とすることにより、「複合ロッドレンズアレイ」が「第1のロッドレンズアレイ」及び「第2のロッドレンズアレイ」を含むことを明確にする補正。
ウ 本件補正前の請求項6を削除する補正。

(2)理由1についての判断
上記(1)アの補正により、本件補正後の請求項1に係る発明において、「焦点位置調節装置」が「ロッドレンズアレイの線形アレイ画像センサーに近い側の、焦点位置が前記線形アレイ画像センサーの表面に達していないレンズアレイの端面に配置される」ことが特定されたため、当該請求項1における、ロッドレンズアレイへの焦点位置調節装置の配置についての記載は、発明の詳細な説明に記載された技術的範囲を超えて拡張ないしは一般化されているとは、もはやいえなくなった。
また、上記(1)アの補正により、本件補正後の請求項6(本件補正前の請求項8)に係る発明において、「前記ロッドレンズアレイの原稿に近い側のレンズアレイの表面にも前記ロッドレンズアレイの幅方向にTC値が大きいもののみをカバーするように前記焦点位置調節装置を配置」することが特定されたため、当該請求項6における、ロッドレンズアレイへの焦点位置調節装置の配置についての記載が、発明の詳細な説明に記載された技術的範囲を超えて拡張ないしは一般化されているとは、もはやいえなくなった。

(2)理由2についての判断
上記(1)イの補正により、本件補正後の請求項1に係る発明において、「複合ロッドレンズアレイ」が「第1のロッドレンズアレイ」及び「第2のロッドレンズアレイ」を含むことが明確になっため、当該請求項1に係る発明が明確でないとは、もはやいえなくなった。

(3)理由3についての判断
上記(1)ウの補正により、本件補正前の請求項6が削除されたため、本願明細書の発明の詳細な説明に、本件補正前の請求項6に特定されていた、光透過性調節体の厚さがN1(N1は隣り合って配列する同一レンズアレイの列数)*Ф1より小さいことがどのような技術上の意義を有するかについて何ら記載されていないという不備は、もはや存在しないものとなった。

(4)小括
したがって、本願の請求項1ないし6に係る発明が発明の詳細な説明に記載したものでないとはいえなくなった。
また、本願の請求項1ないし6に係る発明が明確でないとはいえなくなった。
さらに、本願の発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号の経済産業省令(特許法施行規則第24条の2)に定めるところにより記載したものでないとはいえなくなった。
そうすると、もはや、当審で通知した拒絶理由によって本願を拒絶することはできない。

第5 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-06-28 
出願番号 特願2013-525111(P2013-525111)
審決分類 P 1 8・ 536- WY (G02B)
P 1 8・ 121- WY (G02B)
P 1 8・ 537- WY (G02B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 横川 美穂  
特許庁審判長 藤原 敬士
特許庁審判官 西村 仁志
清水 康司
発明の名称 複合ロッドレンズアレイにより構成された画像読取り装置  
代理人 藤本 昇  
代理人 中谷 寛昭  
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