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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 H04W
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 H04W
管理番号 1316009
審判番号 不服2014-20543  
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-10 
確定日 2016-06-15 
事件の表示 特願2011-120511「異なる無線アクセス技術の下で配備された無線アクセスネットワーク間のハンドオフを実施する方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成23年11月17日出願公開、特開2011-234378〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成18年5月16日(パリ条約による優先権主張 2005年5月19日(US)アメリカ合衆国、2005年6月29日(US)アメリカ合衆国、2006年4月26日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2008-512452号の一部を平成23年5月30日に新たに特許出願したものであって、平成26年6月3日付けで拒絶査定がなされ、同年10月10日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、手続補正がなされたものである。

2.平成26年10月10日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成26年10月10日付けの手続補正を却下する。

[理由]
2-1.補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、

「 【請求項1】
無線送信/受信ユニット(WTRU)における使用のための方法であっ
て、
前記WTRUが、コアネットワークへ、前記アクセスネットワーク情報の要求を示すアクセスネットワーク情報要求メッセージを送信することと、
前記WTRUが、前記コアネットワークから、2つ以上の技術タイプのアクセスネットワークに関連するアクセスネットワーク情報を含むアクセス
ネットワーク情報メッセージを受信することであって、前記アクセスネットワーク情報は、各々のアクセスネットワークに対するハンドオフポリシーを含むことと、
前記WTRUが、前記アクセスネットワーク情報に基づいてターゲットアクセスネットワークを選択することと、
前記WTRUが、前記ハンドオフポリシーに基づいて、前記ターゲットアクセスネットワークへのハンドオフを開始することと
を備えることを特徴とする方法。」

と補正された。
上記請求項1の発明を特定する事項である
「前記WTRUが、前記コアネットワークから、2つ以上の技術タイプのアクセスネットワークに関連するアクセスネットワーク情報を含むアクセス
ネットワーク情報メッセージを受信することであって、前記アクセスネットワーク情報は、各々のアクセスネットワークに対するハンドオフポリシーを含むこと」
及び
「前記WTRUが、前記ハンドオフポリシーに基づいて、前記ターゲットアクセスネットワークへのハンドオフを開始すること」
が、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内のものであるか、以下に検討する。

2-2.当初明細書等の記載
当初明細書等には、「ハンドオフポリシー」に関連して、以下の記載がある。

(1)「 【0009】
図1は、複数のRAN110a、110bを含み、異なるRATの下で配備された無線通信システム100におけるハンドオフプロセス、およびオールIPネットワーク(AIPN)とすることができるコアネットワーク120を示している。コアネットワーク120は、公衆交換電話網(PSTN)130、インターネット140などの他のネットワークに接続されている。RAN110a、110bのそれぞれは、汎用アクセスネットワーク(GAN)、GERAN、UTRAN、E-UTRAN、IEEEベースのイン
ターワーキングWLAN(I-WLAN)、または任意の種類の無線アクセスネットワークとすることができる。
【0010】
多様なRAN110a、110bの間のモビリティを最適化するために、コアネットワーク120は、コアネットワーク120のオペレータがWTRU150を最も好適なRAN110a、110bに仕向けることができるようにするモビリティ管理(MM)122用のオープンインターフェイスを提供する。コアネットワーク120は、さらに、WTRU150が、セッション制御(SC)124、認証、認可、アカウンティング(AAA)126、およびポリシー制御128などの他のAIPNサービスにアクセスできるようにするオープンインターフェイスを提供する。
【0011】
WTRU150は、少なくとも2つの異なるRATとの通信をサポートするように構成された少なくとも2つの無線ユニットを装備するマルチモードWTRUである。例えば、WTRU150は、E-UTRAN用の1つの無線ユニットおよびI-WLAN用の他の無線ユニットを含むことができる。WTRU150は、RANの1つに対して接続を確立し、ハンドオフ基準がターゲットRANにより満たされる場合にターゲットRANへのハンドオフを実行することができる。
【0012】
ハンドオフは、手動でまたは自動で開始することができる。WTRU150のユーザーによって開始された手動ハンドオフプロセスでは、ユーザー
は、代替のRATが現在の地理的位置に存在することを認識しており、それらを切り換える。自動ハンドオフプロセスは、WTRUもしくはRAN110a、110bによって、またはコアネットワーク120により開始することができる。
【0013】
WTRU開始ハンドオフにおいて、WTRU150は、代替のRATの存在を検出し、WTRU150のユーザーのプリファレンスに基づいてハンドオフプロセスを開始する。WTRU150は、必要な情報(ハンドオフポリシー、リソースステータスなど)をネットワーク(すなわち、RAN110bまたはコアネットワーク120)から受信する。WTRU150は、RAN110a、110bのカバレッジエリアのロケーションを追跡し、所定のハンドオフ基準に基づいてハンドオフプロセスを開始する。
【0014】
システム開始ハンドオフにおいて、コアネットワーク120(またはRAN110a、110b)は、WTRU150が複数のRATをサポートすることができることを認識し、WTRU150から必要な情報(電力測定な
ど)を要求する。コアネットワーク120(またはRAN110a、110b)は、WTRU150のロケーションを追跡し、WTRU150がター
ゲットRANのカバレッジエリア内にあると、一組の基準(WTRU150のモビリティ、要求された帯域幅、アプリケーション、負荷分散、加入者のプロファイル、WTRU150により提供された測定レポートなど)に基づいてハンドオフ手順を開始する。」

また、当初明細書等には、「アクセスネットワーク情報」に関連して、以下の記載がある。

(2)「 【0015】
オペレータは、ローカルで利用可能な第三世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)および非3GPPアクセス技術に関係するWTRU(オプションとして、WTRUからの要求に応じて)アクセスネットワーク間情報を提供することができる。アクセスネットワーク間情報は、ローカルで利用可能な3GPPおよび非3GPPアクセス技術に基づくオペレータプリファレンスを含むことができ、情報は、WTRUの機能および/または加入に基づいてWTRUが使用できるアクセス技術および/またはネットワークに制限することができる。
【0016】
以降、本発明は、E-UTRANおよびIEEEベースのI-WLANを参照して説明
されるであろう。しかし、本発明は、任意の種類のRATを使用して任意の種類のRAN
に適用可能であることに留意されたい。
【0017】
図2は、本発明によるロケーションに基づくE-UTRAN160からI-WLAN170へのWTRU開始ハンドオフのプロセス200のシグナリングの図である。WTRU150は、現在、E-UTRAN160にアタッチされており、ブロードキャスト制御チャネル(BCCH)などのE-UTRANチャネルをリッスンしている(ステップ202)。E-UTRAN160は、E-UTRAN160のカバレッジエリア内で利用可能なRANのリスト(例えば、I-WLAN、UTRAN、GERAN、またはGAN)を送信する(すなわち、ブロードキャスト、マルチキャスト、またはユニ
キャストする)(ステップ204)。WTRU150は、このリストを受信し、格納する(ステップ206)。WTRU150は、次いで、リストにあるRANのサービスエリアのロケーションに対する要求をE-UTRAN160に送信する(ステップ208)。E-UTRAN160は、次いで、ロケーション情報を取り出して、WTRU150に送信する(ステップ21
0)。このリストは、サービスエリアロケーション、リストされているRANによって使用される無線技術、サポートされている周波数およびデータ
レートなどに関する情報含むことができる。
【0018】
WTRU150は、E-UTRAN160のカバレッジエリアの辺りを移動するときにそのロケーションを常時モニタする。そのロケーションが代替のRAN(I-WLAN170など)のカバレッジエリアの範囲内にある場合、WTRU150は、ハンドオフ手順をトリガする(ステップ212)。WTRU150がI-WLAN170のカバレッジエリアの範囲内にあるとWTRU150が判定した場合、WTRU150は、メッセージをI-WLAN170に送信してWLANサービスを開始する(ステップ214)。I-WLAN170が、このメッセージを受信すると、I-WLAN170
は、認証手順を開始して、WTRU150を認証し、インターワーキングのケースに応じて新しいIPアドレスを割り当てることができる(ステップ216)。認証メッセージは、I-WLAN170とE-UTRAN160との間で交換される(ステップ218)。WTRU150が認証されると、I-WTRU170は、WLANサービスへのアクセスが許可されたことを示すアクセス許可メッセージをWTRU150に送信する(ステップ22
0)。WTRU150は、次いで、ハンドオフ開始メッセージをE-UTRAN160に送信することによりI-WLAN170へのハンドオフを開始する(ステップ222)。I-WLAN170経由でデータをルートするための制御メッセージが、E-UTRAN160とI-WLAN170との間で交換される(ステップ224)。新しいルートが確立されると、E-UTRAN160は、ハンドオフ完了メッセージをWTRU150に送信し(ステップ226)、WTRU150に提供されるサービスが、I-WLAN170を介して再開される(ステップ228)。」

(3)「 【0135】
98.第1のRANがローカルで利用可能な第三世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)および非3GPPアクセス技術に関係するアクセスネットワーク間情報をWTRUに送信することを備える実施形態97に記載の方法。
【0136】
99.WTRUがアクセスネットワーク間情報を受信し、その情報を格納することを備える実施形態97?98に記載の方法。
【0137】
100.WTRUがアクセスネットワーク間情報に基づきハンドオフを開始することを備える実施形態97?99に記載の方法。
【0138】
101.アクセスネットワーク間情報は、WTRUからの要求に応じて提供される実施形態98?100に記載の方法。
【0139】
102.オペレータプリファレンスは、ローカルで利用可能な3GPPおよび非3GPPアクセス技術に基づいてアクセスネットワーク間情報に含まれる実施形態98?101に記載の方法。
【0140】
103.アクセスネットワーク間情報は、WTRUの機能またはWTRU加入またはその両方に基づいてWTRUが使用できるアクセス技術および
ネットワークに制限される実施形態98?102に記載の方法。」

2-3.新規事項について
当初明細書等には、上記(1)のように、WTRUが、「ハンドオフポリシー」をコアネットワークから受信することは記載されているが、「ハンドオフポリシー」が、「アクセスネットワーク情報」に含まれて受信されることまでは記載されていない。
そして、当初明細書等には、「アクセスネットワーク情報」との記載がなく、「アクセスネットワーク間情報」が、特許請求の範囲に記載された「アクセスネットワーク情報」に対応するものと考えられるが、その「アクセスネットワーク間情報」に「ハンドオフポリシー」が含まれることは、記載も示唆もされていない。
上記(2)及び(3)のように、当初明細書等には、「アクセスネット
ワーク情報」として、ローカルで利用可能な3GPPおよび非3GPPアクセス技術に基づくオペレータプリファレンス、RANによって使用される無線技術、サポートされている周波数およびデータレートなどに関する情報を含むことが示唆されているとしても、「ハンドオフポリシー」が含まれることまでは示されていない。
そして、WTRUが、「ハンドオフポリシー」をコアネットワークから受信するために、「アクセスネットワーク情報」に含まれる「ハンドオフポリシー」として受信することだけが可能なわけではなく、「アクセスネット
ワーク情報」に含まれない「ハンドオフポリシー」を受信することも可能なことは明らかである。
したがって、WTRUが、「ハンドオフポリシー」をコアネットワークから受信することからは、「アクセスネットワーク情報」に含まれる「ハンドオフポリシー」として受信することが自明といえるわけではない。
また、ハンドオフポリシーに基づいて、ハンドオフを開始することが当然のことであるとしても、ハンドオフポリシーがWTRUにあらかじめ設定されたものでも良いことは明らかであるから、コアネットワークから、「アクセスネットワーク情報」に含まれる「ハンドオフポリシー」として受信したハンドオフポリシーに基づくことが自明なわけではない。
以上のことから、上記請求項1の発明を特定する事項である
「前記WTRUが、前記コアネットワークから、2つ以上の技術タイプのアクセスネットワークに関連するアクセスネットワーク情報を含むアクセス
ネットワーク情報メッセージを受信することであって、前記アクセスネットワーク情報は、各々のアクセスネットワークに対するハンドオフポリシーを含むこと」
及び
「前記WTRUが、前記ハンドオフポリシーに基づいて、前記ターゲットアクセスネットワークへのハンドオフを開始すること」
は、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものではなく、本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。

なお、請求人は、審判請求書において、
「(2)請求項1の第2段落の補正は、補正前の請求項3の一部を組み入れたものであり、段落番号[0013],[0017]の記載に基づいてお
り、限定的な減縮に相当します。請求項9にも同様の補正を加えています。また、「ハンドオーバ」という用語を、明細書の記載に合わせて「ハンドオフ」と修正しました。
段落番号[0012]に記載されているように、ハンドオフは、手動または自動で開始することができ、自動ハンドオフプロセスは、WTRUまたはコアネットワークにより開始することができます。自動ハンドオフプロセスのうち、WTRU開始ハンドオフにおいて、WTRUは、コアネットワークへ、アクセスネットワーク情報の要求を送信し(段落番号[0017])、アクセスネットワーク情報をコアネットワークから受信します(段落番号
[0013],[0017])。WTRUは、この情報を用いて、ハンドオフ手順をトリガします(段落番号[0013],[0018])。
すなわち、WTRUは、自動ハンドオフプロセスを実行する場合に、ハンドオフ手順をトリガする前に、コアネットワークに、アクセスネットワーク(RAN)のサービスエリアのロケーションに対する要求を送信し、コア
ネットワークからRANのロケーション情報を取得します(段落番号[0017])。コアネットワークからのRANの情報には、ハンドオフポリ
シー、リソースステータスなどが含まれ、WTRUは、RANのカバレッジエリアのロケーションを追跡し、所定のハンドオフ基準に基づいてハンドオフプロセスを開始します(段落番号[0013])。
以上により、WTRUがコアネットワークからアクセスネットワーク情報を受け取る構成が明確となり、当初明細書の記載に基づいた構成であることも明確になったと思料いたします。」
と主張している。
上記主張では、コアネットワークからのRANの情報に、ハンドオフポリシーが含まれるとしているが、前述のとおり、当初明細書等には、アクセスネットワーク情報といえるRANの情報に、ハンドオフポリシーが含まれることは記載されていない。
ハンドオフポリシーには、特定のRANに対するハンドオフ基準に基づいた、アクセスネットワーク情報といえるものがあるとしても、例えば、RANの情報によらず、WTRUがその受信状態の悪化に基づいて、ハンドオフを開始するようなハンドオフポリシーが使用可能なことは明らかである。
そのため、当初明細書等において、WTRUが、コアネットワークから受信するハンドオフポリシーを、アクセスネットワーク情報といえるもののみに限定して解釈する理由はないので、当初明細書等には、コアネットワークからのRANの情報には、ハンドオフポリシーが含まれることが記載されているとする、上記請求人の主張は採用できない。

2-4.むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.特許請求の範囲の記載
平成26年10月10日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲は、平成25年8月1日付けの手続補正書の特許請求の範囲に記載されたとおりのものであり、その請求項1の記載は次のとおりである。

「 【請求項1】
無線送信/受信ユニット(WTRU)における使用のための方法であっ
て、
前記WTRUが、2つ以上の技術タイプのアクセスネットワークに関連するアクセスネットワーク情報を含むアクセスネットワーク情報メッセージを受信することであって、前記アクセスネットワーク情報は、各々のアクセスネットワークに対するハンドオーバポリシーを含むことと、
前記WTRUが、前記アクセスネットワーク情報に基づいてターゲットアクセスネットワークを選択することと、
前記WTRUが、前記ハンドオーバポリシーに基づいて、前記ターゲットアクセスネットワークへのハンドオーバを開始することと
を備えることを特徴とする方法。」

4.原審の拒絶理由
拒絶査定の理由となった、平成25年11月29日付けで通知された拒絶理由は、以下のとおりである。

「 平成25年8月1日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。


出願人は、前記手続補正書により、補正前の請求項1に係る発明に「前記アクセスネットワーク情報は、各々のアクセスネットワークに対するハンドオーバポリシーを含むこと」という記載と、「前記WTRUが、前記ハンドオーバポリシーに基づいて、前記ターゲットアクセスネットワークへのハンドオーバを開始すること」とを追加した。
当該補正について検討したが、補正前の、明細書において、「ポリ
シー」」という用語は、段落【0010】の「コアネットワーク120は、さらに、WTRU150が、セッション制御(SC)124、認証、認可、アカウンティング(AAA)126、およびポリシー制御128などの他のAIPNサービスにアクセスできるようにするオープンインターフェイスを提供する。」という記載と、段落【0013】の「WTRU150は、必要な情報(ハンドオフポリシー、リソースステータスなど)をネットワーク
(すなわち、RAN110bまたはコアネットワーク120)から受信す
る。WTRU150は、RAN110a、110bのカバレッジエリアのロケーションを追跡し、所定のハンドオフ基準に基づいてハンドオフプロセスを開始する。」という記載が認められる。
当該段落【0010】には、「ポリシー制御」がなれることが記載されているものの、ポリシーをどのように得るのかは記載も示唆もない。当該段落【0013】には、「ハンドオフポリシー」をネットワークから受信することが記載されているものの、どのタイミングで受信するかは記載されていない。WTRUがネットワークから何らかの信号を受信するタイミングとしては、補正後の請求項の「アクセスネットワーク情報」から得る他に、段落
【0034】等の「追加の情報の要求」によって得る手法も考えられ、「アクセスネットワーク情報」から得ることに限定することが当業者にとって自明とする根拠は何ら見いだせない。したがって、当該補正は、当初明細書等の範囲内でしたものではない。
請求項9も同様であるので、当該補正がなされた請求項1及び9に記載した事項は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内にないことが明らかであるから、当該請求項に係る発明については新規性進歩性等の特許要件についての審査を行っていない。
なお、請求項1又は9を引用する各請求項も同様である。」

5.判断
上記拒絶理由で引用した「前記アクセスネットワーク情報は、各々のアクセスネットワークに対するハンドオーバポリシーを含むこと」という発明を特定する事項は、平成26年10月10日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1の「前記WTRUが、前記コアネットワークから、2つ以上の技術タイプのアクセスネットワークに関連するアクセスネットワーク情報を含むアクセスネットワーク情報メッセージを受信することであって、前記アクセスネットワーク情報は、各々のアクセスネットワークに対するハンドオフポリシーを含むこと」の「前記アクセスネットワーク情報は、各々のアクセスネットワークに対するハンドオフポリシーを含むこと」に対応する。
また、上記拒絶理由で引用した「前記WTRUが、前記ハンドオフポリ
シーに基づいて、前記ターゲットアクセスネットワークへのハンドオフを開始すること」という発明を特定する事項は、平成26年10月10日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1の「前記WTRUが、前記ハンド
オーバポリシーに基づいて、前記ターゲットアクセスネットワークへのハンドオーバを開始すること」に対応する。
したがって、上記2.平成26年10月10日付けの手続補正についての補正却下の決定と同様の理由で、平成25年8月1日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1の、「前記アクセスネットワーク情報は、各々のアクセスネットワークに対するハンドオーバポリシーを含むこと」、及び「前記WTRUが、前記ハンドオーバポリシーに基づいて、前記ターゲットアクセスネットワークへのハンドオーバを開始すること」は、当初明細書等に記載した事項の範囲内のものではなく、平成25年8月1日付けでした手続補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。

6.むすび
以上のとおり、平成25年8月1日付けでした手続補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、本願は特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-01-12 
結審通知日 2016-01-19 
審決日 2016-02-01 
出願番号 特願2011-120511(P2011-120511)
審決分類 P 1 8・ 561- Z (H04W)
P 1 8・ 55- Z (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 齋藤 哲阿部 圭子  
特許庁審判長 近藤 聡
特許庁審判官 久松 和之
加藤 恵一
発明の名称 異なる無線アクセス技術の下で配備された無線アクセスネットワーク間のハンドオフを実施する方法および装置  
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所  
復代理人 濱中 淳宏  

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