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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01C
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01C
管理番号 1316718
審判番号 不服2015-5527  
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-03-24 
確定日 2016-07-06 
事件の表示 特願2010-515465「人のナビゲーション用の支援装置」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 1月15日国際公開、WO2009/007256、平成23年 3月 3日国内公表、特表2011-506913〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、2008(平成20)年6月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2007(平成19)年7月12日、フランス共和国)を国際出願日とする出願であって、平成22年1月12日に特許法第184条の5第1項に規定する国内書面が提出され、平成22年3月11日に特許法第184条の4第1項に規定する明細書、請求の範囲、図面及び要約書の日本語による翻訳文が提出され、平成22年3月12日に明細書及び請求の範囲の補正書が提出され、平成25年8月6日付けで拒絶理由が通知されたのに対し、平成25年12月13日に意見書及び手続補正書が提出され、平成26年5月14日付けで拒絶理由が通知されたのに対し、平成26年9月11日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成26年11月28日付けで拒絶査定がされ、平成27年3月24日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出されたものである。

第2.平成27年3月24日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成27年3月24日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正
(1)本件補正の内容
平成27年3月24日提出の手続補正書による手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に関しては、本件補正前の(すなわち、平成26年9月11日提出の手続補正書によって補正された)特許請求の範囲の請求項1の下記(ア)の記載を、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の下記(イ)の記載へと補正するものである。

(ア)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1
「 【請求項1】
人のナビゲーション用の支援装置であって、
前記装置が人に装着され、それが少なくとも:
-メモリ内に、出発点(A)と到着点(B)との間の、人の経路が計画される場所(1)のデジタル化されたマップ、及び位置決定ソフトウェアを備えるコンピュータ(41)と、
-コンピュータ(41)につながれたヒューマン・マシン・インターフェース(45)と、
-人に装着されてコンピュータにつながれた、人の動き及び前記マップにおける人の位置についての情報を配信する少なくとも1つのセンサーが慣性ユニットである一組のセンサー(42)と
を備え、
位置決定ソフトウェア(43)が、センサー(42)及びヒューマン・マシン・インターフェース(45)から由来する信号の処理を行ない、デジタル化されたマップと、人により装着されたセンサー及びインターフェースから由来する情報とによって提供されるデータの融合を行ない、次にこれらのデータに基づき人の位置を計算し、移動すべきルートの計算が前記マップ上にマークされている識別されかつ到達される経路(A,B)の中間目標物に応じて更新され、一度特別の中間目標物に到達すれば、新しい中間目標物を提供し、出発位置が固定位置によって入力され、前記特別の中間目標物の識別と前記計算された人の位置の調整とが、少なくとも1つのセンサー(42)により検出される人の特徴的な動きによって行われることを特徴とする装置。」

(イ)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1
「 【請求項1】
人のナビゲーション用の支援装置であって、
前記装置が人に装着され、それが少なくとも:
-メモリ内に、出発点(A)と到着点(B)との間の、人の経路が計画される場所(1)のデジタル化されたマップ、及び位置決定ソフトウェアを備えるコンピュータ(41)と、
-コンピュータ(41)につながれたヒューマン・マシン・インターフェース(45)と、
-人に装着されてコンピュータにつながれた、人の動き及び屋内空間における前記マップにおける人の位置についての情報を配信する少なくとも1つのセンサーが慣性ユニットである一組のセンサー(42)と
を備え、
位置決定ソフトウェア(43)が、センサー(42)及びヒューマン・マシン・インターフェース(45)から由来する信号の処理を行ない、デジタル化されたマップと、人により装着されたセンサー及びインターフェースから由来する情報とによって提供されるデータの融合を行ない、次にこれらのデータに基づき事前学習に頼ることなく人の相対位置を計算し、前記センサーのドリフトを決定し、該決定したドリフトに起因する横方向の位置決めエラーを取り除くように前記屋内空間における人の位置に関して再調整を行い、少なくとも前記一組のセンサーに由来する信号のシグネチャを決定し、該決定したシグネチャに基づいて人の特徴的な動きを決定し、移動すべきルートの計算が前記マップ上にマークされている識別されかつ到達される経路(A,B)の中間目標物に応じて更新され、一度特別の中間目標物に到達すれば、新しい中間目標物を提供し、出発位置が固定位置によって入力され、前記特別の中間目標物の識別と前記計算された人の位置の調整とが、少なくとも1つのセンサー(42)により検出される人の特徴的な動きによって行われることを特徴とする装置。」
(なお、下線は、補正箇所を示すために請求人が付したものである。)

(2)本件補正の目的
本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1における発明特定事項である「前記マップにおける人の位置についての情報」を「屋内空間における前記マップにおける人の位置についての情報」とし、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1における発明特定事項である「人の位置を計算し」を「事前学習に頼ることなく人の相対位置を計算し」とするとともに、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1における発明特定事項である「位置決定ソフトウェア(43)」の機能について「前記センサーのドリフトを決定し、該決定したドリフトに起因する横方向の位置決めエラーを取り除くように前記屋内空間における人の位置に関して再調整を行い、少なくとも前記一組のセンサーに由来する信号のシグネチャを決定し、該決定したシグネチャに基づいて人の特徴的な動きを決定し」という事項を付加して限定するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。
したがって、本件補正は、特許請求の範囲の請求項1に関しては、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

2.独立特許要件についての判断
本件補正における特許請求の範囲の請求項1に関する補正は、前述したように、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するので、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下に検討する。

2.-1 引用文献1
(1)引用文献1の記載
本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2007-93433号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「歩行者の動態検知装置」に関し、図面とともに、例えば、次のような記載がある。なお、下線は、理解の一助のため当審で付したものである。

(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行動態の検知装置において、平面での歩行動態の認識装置と高度変化を検知する手段を用い、平面での歩行動態と高度変化の組み合わせにより、上下移動も加味した歩行動態を検知する事を特徴とする、歩行者の動態検知装置。
【請求項2】
請求項1において、歩行動態の認識装置の特徴量を検知する手段として加速度変化や電界強度の変動・ジャイロセンサを使う事を特徴とする歩行者の動態検知装置。
【請求項3】
請求項1において、高度変化を検知する手段として気圧計やGPSによる高度・RFIDから求めた高度を利用することを特徴とする歩行者の動態検知装置。
【請求項4】
請求項1において、歩行者の動態に応じた運動消費カロリーのテーブルを設け、歩行者の動態検知結果から上記テーブルを参照して、歩行者の動態に応じた運動消費カロリーを出力することを特徴とする歩行者の動態検知装置。
【請求項5】
請求項1において、歩行者の動態検知結果から上下移動に伴う歩行区間における気圧変動のみを積分し高度変化を検知することを特徴とする歩行者の動態検知装置。
【請求項6】
請求項1において、平面歩行時の歩幅推定装置を有し、平面歩行時には平面歩行時の歩幅推定装置を用い、上下移動を伴う歩行動態の場合には、対応する歩行動態に応じた歩幅補正を行い歩行者の移動速度や移動距離を検知することを特徴とする歩行者の動態検知装置。
【請求項7】
歩行動態の検知装置と検知した歩行動態に対応する地理情報を有し、検知した歩行動態情報をもとに対応する地理情報を探索し位置情報と進行方向情報を検知することを特徴とする歩行者の動態検知装置。
【請求項8】
請求項7において、検知した歩行者の位置情報及び進行方向を慣性航法の補正情報として利用する事を特徴とする歩行者の動態検知装置。
【請求項9】
請求項1,2,3,4,5,6,7,8のいずれか1項において、歩行者用ナビゲーション装置を実現する事を特徴とする歩行者の動態検知装置。
【請求項10】
上記請求項1,2,3,4,5,6,7,8のいずれか1項において、作業員の遠隔位置及び動態検知を実現する事を特徴とする歩行者の動態検知装置。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】ないし【請求項10】)

(イ)「【0001】
本発明は、歩行者の動態検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平地での歩行者の動態検知技術に関しては、従来、歩行に伴う歩行者の上下の振動を加速度センサを用いて観測しスペクトル解析を用いて歩行状態を認識している(例えば、特許文献1参照)。また、従来は、認識した歩行状態と地理データ(建物内部の通路データや道路データなど)を比較し、認識された歩行状態に対応する位置を推定している。
【0003】
さらに、認識された歩行状態から歩幅を推定して移動距離を算出している(例えば、特許文献2及び非特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平10-113343号公報
【特許文献2】特開2004-085511号公報
【非特許文献1】電子情報通信学会論文誌A,Vol.J87-A,No.1,pp.78-86,2004年1月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術では、歩行者の動きにより生じる物理的な力(加速度・角速度など)を観測し歩行状態を認識する。加速度・角速度のみでも階段歩行時に観測される波形から階段歩行を認識できるが、階段歩行に近い平地での走行運動と誤認識する可能性が高くなる。また、動作認識結果と地理情報を比較し位置の補正を行う場合、誤認識により間違った位置と判断する可能性が高くなる。さらに、この従来技術の位置の特定方法では、歩行者の進行方向に関しては考慮されていない。
【0006】
また、従来技術では、歩幅を推定して移動距離を算出しているが、階段の上り下り時の移動距離までは考慮されていない。
【0007】
本発明は、上下移動を伴うような歩行動態においても、正確な歩行状態を認識することができる歩行者の動態検知装置を提供する。」(段落【0001】ないし【0007】)

(ウ)「【0008】
上記目的を達成するため、本発明では、平地での歩行動作の認識装置と上下移動を検知できる手段を併用し、平地での歩行動作の認識装置から出力される認識結果との組合わせににより認識精度が向上できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上下移動を伴うような歩行動態が認識できるようになる。」(段落【0008】及び【0009】)

(エ)「【0010】
図1は、本発明の一実施例である、歩行者の動態検知装置を示す。動態変化検知装置1は動態変化信号を検知する。動態変化信号とは、歩行者の移動に伴う加速度変化を検知する装置から出力される信号や、歩行者の角速度,関節の変位,歩行者の位置や移動に伴い基準局から送信される電界強度の変化等を検知する装置から出力される信号である。動態認識装置2は、「歩く」「走る」等の歩行者の動態や動態の変化を認識する。例えば、動態変化検知装置1として、歩行者の動態に伴う上下の加速度変化を検知する加速度センサを用い、動態認識装置2は、動態変化信号を周波数解析しその特徴量から「歩く」「走る」等の歩行者の動態変化を認識する。また、動態変化検知装置1として、基準局から送信されている電波を歩行者が所持している端末で受信するする受信装置を用いても良く、動態認識装置2は、歩行者の移動に伴い観測される電波の電界強度波形変化の特徴量を用いて歩行者の動態や動態の変化を認識しても良い。高度検知装置3は歩行者の高度を検知する。高度検知装置3としては、例えば、気圧変化を観測する気圧センサが用いられる。また、高度検知装置は、GPS等の衛星測位装置から得られる高度情報を利用して高度を検知したり、RFIDや無線ビーコンなどのID情報と、事前に計測しておいた高度情報との対応を示すテーブルを参照し高度を検知したりしても良い。高度変化勾配検知装置4は、歩行者の高度の変化勾配すなわち単位時間あたりの高度変化を検知する。例えば、気圧センサを用いて観測した気圧データを単位時間で微分して高度変化勾配が検知される。組合せ分類・認識装置5は、動態認識装置2及び高度変化勾配検知装置4から出力される結果を、分類用テーブル記憶装置6に記憶されている分類テーブルを用いて分類し、歩行者の動態認識結果として出力する。
【0011】
次に処理の流れを図2を用いて説明する。なお、図1では動態検知信号1や高度検知装置3として様々な装置がある旨を述べたが説明の簡素化のために以後、動態検知信号として加速度,高度検知装置として気圧センサを用いた場合を例にとり説明を行う。
【0012】
21で加速度センサの値を入力する。例えば、加速度センサから出力されるアナログ信号をA/Dコンバータを持ちいて信号の取り込みを行う。取り込んだ加速度センサの出力は22でFFT等を用いて周波数領域に変換される。23で周波数領域に変換されたデータから歩行者の歩調を表すスペクトルの周波数とそのスペクトルの強さを抽出する。24このスペクトルの強さをメンバーシップ関数をもちいて分類し歩行者の動態(「静止」
「歩く」「走る」など)を認識する。(特開平10-113343の認識装置と同様の認識処理)これにより、歩行者が平面上を移動したと仮定した場合の歩行者の動態が認識される。
【0013】
加速度センサと並行して24において気圧センサの値をA/Dコンバータなどを用いて入力する。入力された気圧センサの値を25で単位時間あたりで微分し気圧の変化量に変換する。」(段落【0010】ないし【0013】)

(オ)「【0014】
歩行動態の認識判定結果24及び気圧勾配の算出25の結果を元に分類処理27では2種類の判定結果を複合して歩行動態を認識する。この27では以下のような処理を行う。
【0015】
例として歩行者が上下方向に移動する可能性として、階段,エレベータがある場合を例にとる。また、分類のテーブル(6)の一例として分類テーブルの内容を図3に示す。
【0016】
歩行者が平面上を移動する場合、上下移動に伴う気圧変動がないため観測される気圧変動はその時点における海面気圧に連動した気圧変動となる。この気圧変動は、低気圧や台風の通過により急激に変化する場合があるが数hPa以下である。例えば、2005年の台風11号通過時の横浜の最大気圧変動は26日AM3時からAM4時の1時間で5.1hPaとなっている。この気圧変動を高度の変動に変換すると約43mとなり、1時間の時間で約43m、1分で約70cmの高度変化を行ったのと同じ気圧変動が観測される。これに比べ、歩行者が階段を登る場合、通常1フロアー4m程度を10?15秒程度で移動する。従って、1分では約16m移動することになり、台風接近時に比べ約20倍程度気圧勾配が異なってる。従って、この気圧勾配を利用してある気圧勾配を閾値として大きな気圧勾配の場合、上下移動のある移動と判断でき、気圧勾配がある閾値よりも小さい場合、平面上での移動と判断できる。図3では、横軸が歩行動態の種類、縦軸が気圧変動の有無を表している。気圧勾配の閾値は38のラインである。38を境に気圧変動が小さい場合が平面移動36、大きな場合が上下移動あり37と判定される。気圧勾配だけでは歩行動態に関してまでは判定できない。そこで、歩行動態の判定24で行った判定結果を組み合わせて歩行動態を判定する。図3の横軸が24で判定した結果である。33が静止状態、34が歩行状態、35が走行状態になっている。
【0017】
気圧勾配で平面と判定(36)され、24で静止と判定された場合、平面移動との交点である平地で静止301が判定結果として出力される。同様に、歩行(34)の場合には、平地を歩行(302)が、走行(35)の場合には平地を走行(303)が認識結果となる。
【0018】
気圧勾配で上下移動あり(37)と判定され、24で静止と判断された場合には、歩行者の動きが静止であるのに気圧変動があるのでエレベータで移動(304)と判断される。同様に、気圧勾配が37の領域であり歩行(34)と認識された場合には階段を歩いて移動(305)、走行(35)と判定された場合には階段を走って移動(306)と判断される。認識結果は28として出力される。」(段落【0014】ないし【0018】)

(カ)「【0019】
図4は本発明で判定した実際の例である。横軸は経過時間である。波形40は気圧データであり左側の軸がAD変換した値、右側が高度に変換した値になっている。波形42は23で抽出した歩調スペクトルの強度である。左側の軸にスペクトル強度の量が表記されている。スペクトル強度が0.05を超えると歩行状態と判定され0.4を超えると走行状態と判定される。この例では0.4 を超えるスペクトル強度が存在しないので、この区間では静止及び歩行のみを行っている。波形41が判定結果である。判定された結果は右の軸に記載されており、41の引き出し線付近は静止状態と判定されている。先ず区間43を見てみる。この区間では気圧の変動がなく、歩調スペクトルの強さが0.05?0.1程度の値(歩行状態)を示している。従って、気圧勾配がなく歩行状態であるので歩行(平地での歩行)と判定されている。区間44では気圧勾配があり、動態は静止状態である。従って、エレベータと判断されている。このとき気圧勾配の傾きの符号を利用し、この例のように符号が正であるのでエレベータ上りと判定することも可能である。区間45では気圧勾配が正の傾きを持ち、歩調スペクトルの強さから歩行状態を表している。従って、階段を上っていると判定されている。区間46では、気圧勾配の傾きが負、動態が歩行状態であるので階段を下っていると判定されている。
【0020】
このように平面と仮定した歩行動態認識装置と気圧勾配による認識を組み合わせることにより上下運動を伴った歩行動態を認識できるようになる。
【0021】
図5は高度勾配の閾値を図3によりも多くし、気圧勾配の閾値を歩行動作の激しさ(歩行に比べて走行の方が激しい)に応じ気圧勾配閾値に傾きを設け、更に多くの歩行動態を認識するようにした実施形態である。上下移動の認識対象は、階段の他に坂道,エスカレータを追加している。歩行者が静止状態における気圧勾配の閾値は、静止してエスカレータに乗っていると認識する閾値501とエレベータ移動と認識する502からなる。閾値501や閾値502は、エスカレータやエレベータの上昇速度をもとに決定される。歩行動作が伴っている場合、歩行による高度上昇変化を加える必要があるいため、エスカレータの高度上昇変化に加え、歩行の激しさ(速度)を加味した気圧勾配の閾値が必要になってくる。図5において気圧勾配の閾値直線504及び505が走行動作になるにつれて大きな閾値にしているのはそのためである。歩行動態の認識の振り分けは図3で行った装置と同様に、24で認識した結果と気圧勾配の閾値の関係より図5のテーブルにより行う。また同様に28から認識結果を出力する。
【0022】
このように本実施形態では気圧勾配の閾値を上下移動方法に応じて複数設けることにより上下運動を伴った歩行動態の認識の種類を拡張できるようになる。」(段落【0019】ないし【0022】)

(キ)「【0027】
次に、上記発明で認識した歩行動態を利用し上下移動を伴う歩行においても正確な歩幅を推定し位置検知技術に応用する装置について図6及び図7を用いて説明する。図7が歩幅推定及び位置検知を行うための構成図、図6は歩幅推定を行うための説明図である。平面歩行における歩行者の移動速度(移動距離)の推定は従来技術で述べられているが、大まかに下記のような処理を行う。
(1)上下の加速度変化波形を周波数解析し歩調を表す周波数とそのスペクトル強度を抽出する。
(2)これより歩幅は
歩幅=歩調スペクトルの強度×動作毎の係数
(動作毎の係数は歩行と走行では歩行形態が異なり歩幅に変換する係数が異なる値を利用する)
(3)歩幅から移動速度は
移動速度=歩幅×歩調
(4)移動距離
移動距離=移動速度の時間積分
で求めている。水平面を移動する場合、歩行動態の違いによる歩幅の変動を考慮しているため、歩いた場合でも走った場合でも正確な移動速度を求めることが出来る。処が、階段を移動する場合、上り方向と下り方向では異なった強さのスペクトル強度を示してしまい(図4の区間45及び区間46)、上りと下りで異なった移動距離となってしまう。これは、上り階段に比べ下り階段では着地時に受ける加速度が大きいためである。また、階段の踏面の寸法は一定であるので歩行動態の違いにより歩幅が変化することはない(段飛ばしは除く)。
【0028】
そこで、図7の70の上下移動を考慮した歩幅推定装置を用いて推定を行う。70には動態の認識装置(2)で得られる歩調スペクトルの周波数と歩調スペクトルの強さ及び歩行の動態認識結果出力(7)が入力データして利用される。70の処理内容を図6を用いて説明する。60及び61は加速度センサ単独で認識した歩行の状態を表している。60が歩行、61が走行である。動態認識結果出力(7)で平地移動(63)と認識された場合には、平地移動での歩幅推定計算(従来技術の歩幅推定方法)65及び66を行う。階段移動(64)と認識された場合には歩行動態に依存せず67のように固定歩幅×歩調の計算を行い移動速度を算出する。この固定歩幅の値は、標準的な踏面の長さ約30cm程度にしてもよいし、精度を上げるために階段の踏面の長さを地理情報の中に入れておき、歩行者が通過している階段の踏面の長さを利用してもかまわない(歩行者がどこの階段を通過しているかを判断する装置については後述する)。このようにして歩幅(移動速度)を推定した後は、71の進行方向の検知装置で歩行者の移動方向を検知し、72の移動軌跡の算出方法で、移動速度と移動方向を積分し移動軌跡を求め、移動軌跡を出力(73)できるようになる。
【0029】
本実施形態では、階段などの上下移動を伴うような歩行形態でも正確な歩幅推定を行う事ができるようになり、またこの歩幅より移動軌跡を推定できるようにもなる。」(段落【0027】ないし【0029】)

(ク)「【0030】
次に、認識した歩行者の動態と周囲の地理情報を比較し認識した歩行状態に対応する位置を推定する実施形態について、図8,図10を用いて説明する。図8は階段移動の説明図である。図10は本実施形態を実現するための構成図である。図10の101は歩行動態の認識装置でありこれまで説明してきた、上下方向の移動を含む歩行動態を認識する装置である。102は歩行者の位置検知装置である。例えば、図7で説明した歩幅推定による移動軌跡の検知装置でもかまわないしGPSや無線LANによる位置検知装置でもかまわない。この実施形態で説明する位置検知装置は、102による位置検知装置により検知された位置情報よりも更に高精度な位置を検知することが目的である。103は地理情報であり、建物の位置や階段・エレベータ等の建物内部の構造や位置情報、更に外の道路や地形情報が格納されている。104は歩行動態による地理情報の検索方法である。ここでは、102で検知した歩行動態に対応する地理情報の位置を大まかな位置情報102を用い103のデータベースから探索する処理を行う。ここで、歩行動態に対応する地理情報とは、階段歩行=「階段の地理情報」,エレベータ移動=「エレベータの地理情報」,エスカレータ移動=「エスカレータの地理情報」等を示している。従って、階段歩行を認識している場合歩行者は階段の場所にいることになるので階段の地理情報を参照することにより階段の位置情報などが取得できるようになる。階段が複数ある場合を想定し、102で検知した歩行者の大まかな位置情報を元に103の地理情報データベースから一番近くにある対応する地理情報を探索する。これにより歩行者動態検知結果とおおまかな現在位置から対応する地理情報を探索するかとが出来、地理情報の中の位置情報から位置を推定できるようになる。(ここまでは、特開平10-113343号公報と同様の処理である)更に、108の歩行動態の変化を利用した地理情報変化点の検知と進行方向検知処理を用いて検知精度の向上と進行方向の検知を行う。処理の方法を図8及び図9を用いて説明する。80は階段を表している104の処理で歩行者がこの階段の中にいると判定されているとする。この階段は87に示すように上り方向が北、下り方向が南側を向いている。歩行者が区間81(階段)から区間82(平地)へ向かった場合を考える。この場合、歩行者の動態認識結果は区間81を移動中には「上り階段」、区間82を移動中は「平面歩行」と認識される。従って、動態認識結果が「上り階段」から「平面歩行」へ変化する85の地点は上り階段の終点となる。階段の形状と位置データは地理情報データベースの中に格納されているのでこの情報を元に85の位置を割り出す事が出来る。このように、歩行動態の変化点を参照することにより104で検索した結果よりも更に詳細な位置情報を求めることが出来る。更に、この階段は上り方向は北に向かっているので階段を上っている歩行者は北を向いて歩行していることになる。従って、歩行者の進行方向も検知できるようになる。下りの場合も同様である。区間83では「下り階段」区間84では「平面歩行」と認識されその変化点が下り階段の終点である86の位置となる。進行方向は下り階段を歩行してきたので南方向に移動していると判定される。
【0031】
このように、本実施形態では歩行動態の認識結果と地理情報を比較し歩行者がいる場所を推定する事が可能になり、歩行者の現在位置と進行方向を検知することができるようになる。」(段落【0030】及び【0031】)

(ケ)「【0032】
次に、前述の歩行動態の検知装置を利用した位置及び進行方向の検知装置を利用し、単位時間あたりの速度と進行方向を積分して位置を検知する装置(自立的位置検知装置あるいは慣性航法)の位置補正として利用する実施形態について図11,図12,図13を用いて説明する。図11は本実施形態の処理フロー、図12及び図13は検知した移動軌跡の例である。
【0033】
図12は、図7を用いて説明した装置で求めた移動軌跡の例である。125は出発位置、120及び121は階段である。図12の例で実際に歩行した経路は、125を出発点として階段120を3フロアー分上り3フロアー上の階層を階段121の階段の方向に移動し121の階段を3フロアー分下がり再度125の地点に戻るように行った。実際に図7の装置で検知した移動軌跡は124である。125の出発地点から120の階段までは正確な移動軌跡を示している。処が、120の階段を上っている間に、ジャイロなどの方向検知センサのドリフトのために方位に誤差が蓄積してしまい階段121に到達していると考えられる点線で囲んだ領域123になっても移動軌跡124は階段の121の位置に達していない。本実施形態ではこのような状況に陥っても正確な位置に補正する装置を提供する。先ず、図11の110で歩行者の初期位置をセットする。歩行者が自分の位置を地図から確認して位置座標や進行方向を入力しても良いし、GPSなど絶対位置の検知できる装置が使える領域であればこの装置で検知した絶対位置及び進行方向を入力データとしてもかまわない、或はRFIDなどを利用して位置に対応するID情報を発信するタグなどを敷設し、このID情報を読み取る事により位置情報を検知し検知した位置情報を入力データとしてもかまわない。111で歩行動態の検知及び地理情報を利用した位置及び進行方向の推定方法の処理を行う。この処理は例えば図10で説明した装置を用いる。ここでは(1)位置及び進行方向の推定が可能か否かの判断、(2)可能な場合の位置及び進行方向の算出を行う。位置及び進行方向の推定が可能な場合分岐112により113の推定した位置及び進行方向を用い現在位置及び進行方向の再セットを行う。位置及び進行方向の推定が可能な場合とは、階段の上り下りなどを認識し該当する位置が推定できた場合である。例えば、図12,図13の例では、階段120及び121を歩行者が通過した場合にこの状検知なり、階段の位置及び進行方向が再セットされる。その後114の単位時間ごとの速度と進行方向検知装置で速度と進行方向を検知し(例えば図7で説明した装置)、115において時間積分を行い移動軌跡を算出し116で現在の位置と進行方向が出力される。分岐112で位置及び進行方向が推定できない場合(階段以外の場所を歩行中など)は113の再セット処理を行わず、114,115の処理を行い116で現在の位置と進行方向が出力される。以後、再度111の処理に戻り処理を繰り返して連続的に位置と進行方向情報を出力する。図13は、図12と同じデータを用い本実施形態の効果を示したものである。132から出発した移動軌跡は階段の領域134に入ると120の階段の位置と進行方向に合致するように補正されていいる(途中移動軌跡が切れている場所が補正処理が行われた場所)。更に、121の階段の領域131へ進むと、同様に階段121の位置と進行方向が合致するように補正されている。最終的に終点133に到達するが出発点132とほぼ同じ位置となっており図12の終点126に比べ位置検知精度が向上していることがわかる。
【0034】
なお、上記実施形態では、GPSによる位置補正は、初期位置のセット(110)のみに利用しているが、分岐112において動態検知による位置補正に加え、GPSの精度が信頼できるか否かの判断を行い精度が信頼できる値の場合、113の補正値をGPSの値を用いて行ってもかまわない。精度が信頼できるか否かの判定はDOPなどの情報をりようしてもかまわない。また、動態検知による位置補正及びGSPによる位置検知両方が位置検知可能と判断された場合には、精度が高い動態検知による位置補正を選択してもかまわない。
【0035】
本実施形態によれば、自律位置検知装置の補正装置として利用する事ができ、誤差が時間と共に増加する、自律位置検知装置の位置補正手段として利用できる。」(段落【0032】ないし【0035】)

(コ)「【0036】
次に、本発明を利用した歩行者ナビゲーション端末に関して図14を用いて説明する。144は加速度センサ、142は気圧センサ、147は方向センサ(磁気方位やジャイロセンサ)である。143はGPS装置である。146は地理情報のデータベース、141が演算処理用CPU、145が表示装置となっている。これらの装置が一体化され140が歩行者ナビゲーション端末となっている。
【0037】
144は図1の動態変化信号の検知装置(1)に142は高度検知装置(3)に対応するセンサである。141演算処理用CPUでは、144及び142の情報をもとに図1を用いて説明した歩行者の動態検知、147のセンサを追加して利用し図7を用いて説明した歩行者の移動軌跡の検知装置、図10を用いて説明した歩行動態による位置及び方向の検知装置などが処理される。また、143のGPSはGPS衛星の電波が良好に受信できる屋外などでは、GPSから取得した位置情報を自分の位置としてそのまま利用したり、受信状態が悪くなる直前の値を図11で説明した装置の110の初期位置のリセット情報として利用する。146は地理情報であり、歩行動態の検知結果から対応する地理情報(階段の位置など)を探索したり、図11で説明した移動軌跡の検知装置で求めた移動軌跡と、周囲の地理情報(建物や階段,道などの情報)を描画するためのデータが格納されている。146及び141で処理した結果が145の表示装置を用いて描画される。描画される情報としては、図1により求めた歩行動態の検知結果や運動消費カロリー、図7や図10,図11により求めた歩行者の現在の移動軌跡とそれと重ねて表示した地理情報などである。これにより端末140を持った歩行者は、自分が今どこにいるかを表示画面145を見ることにより確認できるようになり自分がどこにいるかを把握できるようになる。なお、本実施形態では、自分の現在位置と移動軌跡の検知方法について述べているが、これらの情報をもとにカーナビゲーション(以下カーナビ)で一般的に行われている、経路探索情報をもとにした経路案内を行っても構わない。カーナビと本実施例の違いは、(1)GPSが使える領域ではカーナビと同様、(2)GPSが使えない場合、カーナビでは移動距離を車速パルスなどを利用するが本実施形態では歩幅推定技術を利用、(3)位置検知誤差が生じる場合、カーナビでは道路に沿って位置を補正(マップマッチング)するが、本実施形態では歩行動態に対応した地理情報(階段やエレベータ,エスカレータなど)で補正する違いがある。
【0038】
本実施形態によれば歩行者用のナビゲーションが可能になる。
【0039】
次に、表示画面(表示用端末)151を分離した例を図15に示す。図14との違いは、表示画面を分離しただけで処理内容は同様である。これは、歩行者の動態検知や歩幅推定を行うためには、144の加速度センサや147の方向センサを人間の重心位置である腰の位置に置くのが望ましい。処が、図14の例の場合、通常腰の位置に取りつけて検知処理を行ったとしても、現在位置を確認するために画面を見る必要があり、結果的に腰から外し画面を見る動作により検知結果に誤認識や位置検知誤差が生じてしまう可能性が出てくる。従って、図15の例では、センサ部分を搭載した152のくしに装着する装置と、利用者が手に持って画面などを確認できる利用者が見る表示端末153に分離して、通信回線150を用い画面情報等の情報をやり取りしながら表示する構成にしている。通信回線150は有線でも良いし無線を用いても構わない。これにより、画面と歩行者の動態検知を行うセンサを分離する事が可能になるので歩行動態の誤認識や位置検知誤差が生じにくくなる。なお、端末分離の目的は、歩行者の動態検知を行うセンサを一番条件の良い場所に配置するのが目的である。図15の構成では演算用CPUや地理情報146を腰に装着する端末側に配置しているが、位置精度に影響を与える144や147だけを腰に装着する端末152側に配置しその他のセンサや処理回路を153の利用者が見る表示端末側に配置しても構わない。
【0040】
本実施形態によれば、歩行動態の検知精度や移動軌跡の検知精度に影響を与えるセンサ群を条件の良い場所に分離して配置できるといった効果がある。

(サ)「【0043】
上記、実施例によれば、つぎのような作用・効果を生じる。
【0044】
平面と仮定した歩行動態認識装置と気圧勾配による認識を組み合わせることにより上下運動を伴った歩行動態を認識できるようになる。
【0045】
歩行動態に応じた運動消費カロリーを検知することが出来るようになる。
【0046】
上下移動を伴う歩行動態の区間だけ気圧変の量を考慮することにより、海面気圧変動の影響を補正することが可能になる。
【0047】
階段などの上下移動を伴うような歩行形態でも正確な歩幅推定を行う事ができるようになり、またこの歩幅より移動軌跡を推定できるようにもなる。
【0048】
歩行動態の認識結果と地理情報を比較し歩行者がいる場所を推定する事が可能になり、歩行者の現在位置と進行方向を検知することができるようになる。
【0049】
自律位置検知装置の補正装置として利用する事ができ、誤差が時間と共に増加する、自律位置検知装置の位置補正手段として利用できる。
【0050】
歩行者用のナビゲーションが可能になる。また、作業員の位置及び動態を遠隔地から検知可能になる。」(段落【0043】ないし【0050】)

(2)引用文献1記載の事項
上記(1)(ア)ないし(サ)並びに図1ないし図16の記載から、引用文献1には、次の事項が記載されていることが分かる。

(タ)上記(1)(ア)ないし(サ)(特に(コ))並びに図1ないし図16(特に図14及び図15を参照。)の記載から、引用文献1には、歩行者ナビゲーション端末140として利用可能な歩行者の動態検知装置が記載されていることが分かる。また、(1)(エ)ないし(カ)の記載から、歩行者の動態検知装置は、加速度センサ等を用いて、歩行者の歩調を表すスペクトルの周波数とそのスペクトルの強さを抽出して、歩行者の動態(「静止」「歩く」「走る」など)を認識するものであることが分かる。また、(1)(エ)等の記載から、加速度センサ等を、気圧センサ、GPS、RFID等の高度検知装置3と組み合わせて、上下移動を伴う動態検知が可能である歩行者の動態検知装置とすることができることが分かる。また、(1)(ク)等の記載から、歩行者の動態検知装置101と歩行者の位置検知装置102と地理情報103とにより、歩行者が階段を歩行したことを検知できることが分かる。

(チ)上記(1)(コ)(特に段落【0036】)並びに図14及び図15の記載から、引用文献1に記載された歩行者ナビゲーション端末140は、人に取り付けられ、加速度センサ144、気圧センサ142、方向センサ(磁気方位やジャイロセンサ)147、GPS装置143、地理情報のデータベース146、演算処理用のCPU141、表示装置145等を備えるものであることが分かる。また、技術常識からみて、地理情報のデータベース146は記憶装置に格納され、演算処理用のCPU141はソフトウェアを備えることは明らかである。

(ツ)上記(1)(コ)(特に段落【0039】)並びに図14及び図15の記載から、引用文献1に記載された歩行者ナビゲーション端末140は、図15のように表示画面(表示用端末)151を分離してもよいことが分かる。また、位置精度に影響を与える加速度センサ144及び方向センサ(磁気方位やジャイロセンサ)147だけを腰に装着する端末152側に配置しその他のセンサ(GPS(装置)143等)や処理回路を利用者が見る表示端末(表示用端末)側に配置してもよいことが分かる。

(テ)上記(1)(コ)(特に段落【0037】)の記載から、演算処理用CPU141では、加速度センサ144及び気圧センサ142の情報をもとに歩行者の動態検知が処理され、方向センサ(磁気方位やジャイロセンサ)147を追加して利用し歩行者の移動軌跡の検知装置が処理され、歩行動態による位置及び方向の検知装置などが処理されることが分かる。

(ト)上記(1)(コ)(特に段落【0036】及び【0037】)の記載から、146は地理情報のデータベースであり、歩行動態の検知結果から対応する地理情報(階段の位置など)を探索したり、図11で説明した移動軌跡の検知装置で求めた移動軌跡と、周囲の地理情報(建物や階段,道などの情報)を描画するためのデータが格納されていることが分かる。

(ナ)上記(1)(ケ)(特に段落【0033】)の記載から、図12及び13の例は、出発点から階段120及び階段121を移動して終点に戻る移動軌跡をとるように計画されることが分かる。また、図12の例では、ジャイロなどの方向検知センサのドリフトのために誤差が蓄積してしまうが、図13の例では、出発点132から出発した移動軌跡は、階段120の領域134に入ると階段120の位置と進行方向に合致するように補正(再セット)され、さらに、階段121の領域131へ進むと、同様に階段121の位置と進行方向に合致するように補正(再セット)されて終点133に到達することが分かる。

(ニ)上記(1)(ケ)(特に段落【0033】)の記載から、歩行者の初期位置を、GPSを用いて絶対位置を入力データとしてセットすることができることが分かる。

(ヌ) 上記(1)ケ(特に段落【0034】)の記載から、図11の分岐112において(階段等における)動態検知による位置補正に加え、(再セットのための)113の補正値をGPSを用いて行ってもよいことが分かる。

(ネ)上記(1)コ(特に段落【0037】)の記載から、位置検知誤差が生じる場合、従来のカーナビでは道路に沿って位置を補正(マップマッチング)することが分かる。

(3)引用発明
上記(1)及び(2)並びに図1ないし16の記載から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「歩行者ナビゲーション端末140であって、
前記歩行者ナビゲーション端末140が人に装着され、それが少なくとも、
記憶装置内に、出発点132と終点133との間の、人の移動軌跡が計画される場所の地理情報データベース146、及びソフトウェアを備える演算処理用CPU141と、
演算処理用CPU141につながれた表示用端末151と、
人に装着されて演算処理用CPU141につながれた、人の動き及び屋内空間における前記地理情報データベース146における人の位置についての情報を配信する加速度センサ144及び方向センサ147と
を備え、
ソフトウェアが、加速度センサ144及び方向センサ147及び表示用端末151に取り付けられたGPS143の信号の処理を行ない、地理情報データベース146と、人に装着された加速度センサ144及び方向センサ147及びGPS143の情報とによって提供されるデータのやり取りを行ない、次にこれらのデータに基づき事前学習に頼ることなく人の相対位置を計算し、前記加速度センサ144及び方向センサ147のドリフトを決定し、該決定したドリフトに起因する横方向の位置検知誤差を取り除くように前記歩行動態に対応した地理情報で再セットを行い、少なくとも前記加速度センサ144及び方向センサ147に由来する信号のスペクトルを決定し、該決定したスペクトルに基づいて歩行動態を決定し、移動軌跡の計算が前記地理情報データベース上にマークされている識別されかつ到達される移動軌跡の階段等に応じて更新され、階段120において再セットを行った後、次の階段121において再セットを行い、出発位置が絶対位置によって入力され、前記階段等の識別と前記計算された人の位置の再セットとが、加速度センサ144及び方向センサ147により検出される歩行動態によって行われる、歩行者ナビゲーション端末140。」

2.-2 引用文献2
(1)引用文献2の記載
本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開平7-113652号公報(以下、「引用文献2」という。)には、「走行経路案内装置」に関し、図面とともに、例えば、次のような記載がある。なお、下線は、理解の一助のため当審で付したものである。

(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 道路地図を表す地図データが記憶された地図データ記憶手段と、
経路探索された車両の走行経路を表す経路データが記憶された経路データ記憶手段と、
車両の現在位置および進行方向を検出する車両位置検出手段と、
上記車両位置検出手段が検出した車両の現在位置から、走行経路の終点である目的地への方向を算出する方向算出手段と、
上記地図データ記憶手段に記憶された地図データに基づき、上記方向算出手段により算出された方向が表示画面の真上となるように、表示手段に道路地図を表示し、かつ、上記経路データ記憶手段に記憶された経路データに基づき、該表示手段に表示された道路地図上に走行経路を表示し、更に、上記車両位置検出手段により検出された車両位置および車両の進行方向を示す車両記号を該表示手段の表示画面上の特定位置に表示する地図表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする走行経路案内装置。
【請求項2】 請求項1に記載の走行経路案内装置において、
上記経路データ記憶手段に記憶された経路データに基づいて、出発地から目的地までの走行経路中に、該目的地を含む中間目的地を設定する中間目的地設定手段を設け、
上記方向算出手段は、車両位置検出手段が検出した車両の現在位置から、上記中間目的地設定手段により設定された走行経路の目的地方向にある最も近い中間目的地への方向を算出することを特徴とする走行経路案内装置。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】及び【請求項2】)

(イ)「【0009】
【作用】上記のように構成された請求項1に記載の走行経路案内装置においては、車両の走行に従って、車両位置検出手段が車両の現在位置を検出し、方向算出手段がこの検出された車両の現在位置から、経路探索された走行経路の終点である目的地への方向を算出する。
【0010】すると、地図表示制御手段は、地図データ記憶手段から地図データを読み出し、この読み出した地図データに基づいて、方向算出手段により算出された方向が表示手段の表示画面の真上となるような道路地図を表示手段に表示し、かつ、経路データ記憶手段に記憶された走行経路をこの道路地図上に表示し、更に、車両位置検出手段により検出された車両位置および車両の進行方向を示す車両記号を表示画面の特定位置に表示する。
【0011】つまり、請求項1に記載の走行経路案内装置では、表示手段に表示される道路地図は、常に、走行経路の終点である目的地が表示手段の真上となるように表示される。また、請求項2に記載の走行経路案内装置においては、予め設定され、経路データ記憶手段に記憶された経路データに基づいて、中間目的地設定手段が、出発地から目的地までの走行経路中に、目的地を含む中間目的地を設定する。
【0012】そして、方向算出手段が、車両位置検出手段が検出する車両の現在位置において、その現在位置から走行経路の目的地方向にある最も近い中間目的地の方向を算出する。すると、地図表示制御手段は、地図データ記憶手段から地図データを読み出し、この読み出した地図データに基づいて、方向算出手段により算出された方向が表示手段の表示画面の上方と一致するような道路地図を表示手段に表示し、かつ、経路データ記憶手段に記憶された走行経路をこの道路地図上に表示し、更に、車両位置検出手段により検出された車両位置および車両の進行方向を示す車両記号を表示画面の特定位置に表示する。
【0013】つまり、請求項2に記載の走行経路案内装置においては、走行経路の終点である目的地の方向にある現在位置に最も近い中間目的地が表示画面の真上になるように道路地図が表示され、その中間目的地に到達する毎に、表示画面の真上に位置する中間目的地が変わる。」(段落【0009】ないし【0013】)

(ウ)「【0014】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面と共に説明する。図2は、本発明が適用された実施例の車両用ナビゲーション装置の概略構成を表すブロック図である。
【0015】図2に示すように、本実施例のナビゲーション装置は、車両の走行距離を検出する距離センサ2、車両の進行方向を検出する方位センサ4、外部操作によって各種処理の実行指令や走行経路の目的地などを入力するための入力装置6、地図を表示するための地図データおよび走行経路を算出するための道路ネットワークデータが記憶された地図データ記憶手段としての外部記憶装置8、道路地図や車両の現在位置を表すマーク等を表示するCRT,液晶ディスプレイ等からなる表示手段としての表示装置10、距離センサ2,方位センサ4,入力装置6,外部記憶装置8等から各種データを読み取り、そのデータに基づき表示装置10に地図表示等を行なう制御装置12とから構成されている。
【0016】ここで、制御装置12は、CPU,ROM,RAM,入出力ポートおよびこれら各部を結ぶバスラインを備えた周知のマイクロコンピュータとして構成されており、さらに表示装置10を駆動する表示コントローラを備えている。そして、制御装置12は、入力装置6より走行経路の案内を実行する指令が入力されると、後述する走行経路案内処理を実行する。
【0017】また、前述した外部記憶装置8には、全国を所定の大きさのブロック毎に分割し、その分割された各領域を1区画として作成された道路ネットワークデータが記憶されている。そして、道路ネットワークデータには、道路網を構成する分岐点あるいは交差点(ノード)に関するノード情報と、各ノードに接続された道路(リンク)に関するリンク情報とが含まれている。このうち、ノードとしては、高速道路出入口,有料道路出入口,国道交差点などの種別があり、これらノードの種別毎に識別されて記憶されている。また、リンクとしては、高速道路,一般国道,主要道路などの種別があり、ノードと同様、リンクの種別毎に識別されて記憶されている。また、これらノードおよびリンクには、実際に走行した時の走り易さを表す指標であるコスト係数が付与されている。」(段落【0014】ないし【0017】)

(エ)「【0018】以下、制御装置12が実行する走行経路案内処理について図3?図4に示すフローチャートに沿って説明する。なお、走行経路案内処理は、走行経路およびその走行経路上に中間目的地を設定し、その後、車両の進行に伴って、車両の現在位置から中間目的地への方向を逐次算出するための処理であって、表示装置10に道路地図や走行経路,車両の現在位置等を表示する処理は、制御装置12において走行経路案内処理とは別に周期的に実行される地図表示処理により行なう。
【0019】図3に示すように、走行経路案内処理が開始されると、まず、ステップ110にて、入力装置6を介して走行経路の終点である目的地が入力されるのを待つ。そして、目的地が入力されるとステップ120に進む。ここで、目的地を入力する方法としては、表示装置10に道路地図を表示させ、道路地図上に表示されたカーソルを移動させて所望の場所を指定する方法、都道府県名,市町村名,字,番地等を順次入力して指定する方法、有名な建物や場所の名称を入力して指定する方法などがある。
【0020】ステップ120では、車両の現在位置からステップ110にて入力された目的地までの走行経路を探索する。この走行経路探索は、外部記憶装置8に記憶された道路データのリンク情報およびノード情報に基づき、各リンクやノードに付与されたコスト値の合計が最小となるように、ダイクストラ法を使用して、道路ネットワークよりコスト最小ルートを算出する。
【0021】この走行経路探索により作成される経路データは、経路探索処理により選択されたリンクおよびノードを順番に羅列したものとなっている。続くステップ130では、走行経路案内処理の基点となる中間目的地を設定する中間目的地設定処理を実行する。
【0022】この中間目的地設定処理は、図4に示すように、まずステップ250にて、ステップ120で作成された経路データから、走行経路上のノードを検索し、続くステップ260にて、検索されたノードは中間目的地としての条件を満たしているか否かを判断する。そして、中間目的地としての条件を満たしていれば、ステップ270に進んでそのノードを中間目的地として設定してからステップ280に進み、ステップ260にて検索されたノードは中間目的地としての条件を満たしていないと判断された場合、そのままステップ280に移行する。
【0023】ここで、ノードが中間目的地として設定される条件は、ノードの種別や、ノードにおけるリンクの接続状態などにより決められている。例えば、そのノードが高速道路入出口であるか否かを、ノード情報に含まれるノード種別から判定したり、また、国道に進入する交差点であるか否かを、経路データにおいて、そのノードの前後に登録されているリンクの種別を確認することにより判定する。
【0024】ステップ280では、設定された走行経路上のすべてのノードについて検索したか否かを判断し、まだ検索していないノードがあればステップ250に戻って次のノードを検索し、全てのノードについて検索したならば、本処理を終了する。
【0025】つまり、ステップ110?ステップ130の処理においては、走行経路を設定すると共に、走行経路上の所定の条件を満たすノードを中間目的地として設定している。例えば、図5(a)に示すように、現在車両が地点S0に位置している場合、ステップ110において目的地S1が入力されると、ステップ120の走行経路設定処理により、図中太線で示すような走行経路が設定される。そして、ステップ130の中間目的地設定処理により、高速道路入口である第1のインターチェンジIC1および高速道路出口である第2のインターチェンジIC2が中間目的地として設定される。」(段落【0018】ないし【0025】)

(オ)「【0026】このようにして、走行経路および中間目的地が設定されると、以下では、車両の進行に伴って、車両の現在位置から中間目的地への方向を算出する処理が行われる。即ち、ステップ140にて、ステップ130の中間目的地設定処理により中間目的地が設定されたか否かを判断し、中間目的地が一つでも設定されていれば、ステップ150に移行し、設定された中間目的地の中から、走行経路の出発地に最も近い中間目的地を目標地点として設定し、ステップ160に進む。
【0027】ステップ160では、距離センサ2が出力する走行距離データおよび方位センサ4が出力する進行方向データに基づき、車両の現在位置を算出し、続くステップ170では、車両の現在位置が目標地点に到達しているか否かを判断する。そして、まだ目標地点に到達していなければ、ステップ180に移行して、車両の現在位置から目標地点への方向を算出する方向算出手段としての処理を実行し、再びステップ160に戻る。
【0028】なお、車両の現在位置から目標地点への方向は、車両の現在位置および目標地点における夫々の相対座標に基づき、例えば目標地点が現在位置の真北にある場合を0°として算出された角度により示される。先のステップ170にて、車両の現在位置が目標地点に到達していれば、ステップ190に移行し、目標地点として現在設定されている中間目的地からみて、走行経路の終点である目的地方向に、次の中間目的地が設定されているか否かを判断し、次の中間目的地が設定されていれば、ステップ200に移行して、その中間目的地を新たな目標地点として設定し、ステップ160に戻る。
【0029】一方、ステップ190にて、次の中間目的地が設定されていないと判断されるか、または先のステップ140にて、中間目的地設定処理により中間目的地が一つも設定されなかったと判断された場合、ステップ210に移行して、ステップ110にて入力された走行経路の目的地を目標地点として設定して、ステップ220?ステップ240の処理を実行する。
【0030】ステップ220?ステップ240においては、先のステップ160?180と同様の処理が実行される。即ち、ステップ220にて、距離センサ2が出力する走行距離データおよび方位センサ4が出力する進行方向データに基づき、車両の現在位置を算出し、続くステップ230にて、車両の現在位置が目標地点に到達しているか否かを判断する。そして、車両の現在位置が目標地点に到達していなければ、ステップ240に移行し、車両の現在位置から目標地点への方向を算出して、再びステップ220に戻り、逆に、車両の現在位置が目標地点、即ち目的地に到達していれば、本処理を終了する。
【0031】次に、制御装置12において実行される、地図表示制御手段としての地図表示処理について説明する。この地図表示処理においては、表示装置10における上方向を真北とした地図表示のための座標を、走行経路案内処理において算出された角度だけ回転させることにより、目標地点の位置する方向が表示地図の上方向となるようにし、その回転した座標上で車両の現在位置を中心とした地図を表示すると共に、その表示された地図上に走行経路を識別表示し、また車両の現在位置に車両位置,車両の進行方向を示すマークを表示する。
【0032】つまり、走行経路案内処理と地図表示処理とにより、車両の現在位置が目標地点に到達するまでの間は、現在位置から目標地点への方向を算出する処理を繰り返し行ない、この算出された方向に基づいて、設定した目標地点が表示地図の真上に位置するように地図を表示する。そして、車両の現在位置が目標地点に到達すると、次の中間目的地があればこの中間目的地を順次新たな目標地点として設定し、また、中間目的地がなければ、走行経路の終点である目的地を目標地点として設定して、目的地に到達するまで、方向の算出および地図の表示を繰り返す。」(段落【0026】ないし【0032】)

(2)引用文献2記載の事項
上記(1)(ア)ないし(オ)並びに図1ないし図5の記載から、引用文献2には、次の事項が記載されていることが分かる。

(カ)(1)(ウ)及び図2の記載から、引用文献2には、表示装置10、距離センサ2、方位センサ4、入力装置6、外部記憶装置8及び制御装置12を備えるナビゲーション装置が記載されていることが分かる。

(キ)(1)(ア)(イ)及び(エ)並びに図1ないし図5の記載から、引用文献2に記載されたナビゲーション装置において、走行経路案内処理は、走行経路およびその走行経路上に中間目的地を設定し、その後、車両の進行に伴って、車両の現在位置から中間目的地への方向を逐次算出するための処理であって、表示装置10に道路地図や走行経路,車両の現在位置等を表示する処理は、制御装置12において走行経路案内処理とは別に周期的に実行される地図表示処理により行なうことが分かる。

(ク)(1)(オ)及び図1ないし図5の記載から、引用文献2に記載されたナビゲーション装置において、走行経路および中間目的地が設定されると、設定された中間目的地の中から、走行経路の出発地に最も近い中間目的地を目標地点として設定し、現在位置が目標地点に到達していれば、目標地点として現在設定されている中間目的地からみて、走行経路の終点である目的地方向に、次の中間目的地が設定されているか否かを判断し、次の中間目的地が設定されていれば、その中間目的地を新たな目標地点として設定し、また、中間目的地がなければ、走行経路の終点である目的地を目標地点として設定して、目的地に到達するまで、方向の算出および地図の表示を繰り返すことが分かる。

(3)引用文献2記載の技術
上記(1)及び(2)並びに図1ないし5の記載から、引用文献2には、次の技術(以下、「引用文献2記載の技術」という。)が記載されているといえる。

「ナビゲーション装置において、中間目的地を目標地点として設定し、現在位置が目標地点に到達して、次の中間目的地が設定されていれば、当該次の中間目的地を新たな目標地点として設定して、経路を案内する技術。」

2.-3 対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「歩行者ナビゲーション端末140」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願補正発明における「人のナビゲーション用の支援装置」及び「装置」に相当し、以下同様に、「記憶装置」は「メモリ」に、「出発点132」は「出発点(A)」に、「終点133」は「到着点(B)」に、「移動軌跡」は「経路」及び「移動すべきルート」並びに「経路(A,B)」に、「場所」は「場所(1)」に、「地理情報データベース146」は「デジタル化されたマップ」及び「マップ」に、「ソフトウェア」は「位置決定ソフトウェア」に、「演算処理用CPU141」は「コンピュータ(41)」に、「表示用端末151」は「ヒューマン・マシン・インターフェース(45)」に、「加速度センサ144及び方向センサ147」は「少なくとも1つのセンサーが慣性ユニットである一組のセンサー(42)」及び「センサー(42)」並びに「一組のセンサー」に、「表示用端末151に取り付けられたGPS143の信号」は「ヒューマン・マシン・インターフェース(45)から由来する信号」に、「人に装着された加速度センサ144及び方向センサ147」は「人により装着されたセンサー」に、「GPS143の情報」は「インターフェースから由来する情報」に、「やり取り」は「融合」に、「位置検知誤差」は「位置決めエラー」に、「歩行動態に対応した地理情報で再セット」は「屋内空間における人の位置に関して再調整」に、「スペクトル」は「シグネチャ」に、「歩行動態」は「人の特徴的な動き」に、「階段等」は「中間目標物」及び「特別の中間目標物」に、「再セット」は「調整」に、それぞれ相当する。
また、引用発明における「出発位置が絶対位置によって入力され」は、「出発位置が所定の位置によって入力され」という限りにおいて、本願補正発明における「出発位置が固定位置によって入力され」に相当する。
また、引用発明における「移動軌跡の計算が前記地理情報データベース上にマークされている識別されかつ到達される移動軌跡の階段等に応じて更新され」は、「移動すべきルートの計算が前記マップ上にマークされている識別されかつ到達される経路の特別の地点に応じて更新され」という限りにおいて、本願補正発明における「移動すべきルートの計算が前記マップ上にマークされている識別されかつ到達される経路の中間目標物に応じて更新され」に相当する。
また、引用発明における「階段120において再セットを行った後、次の階段121において再セットを行い」は、「一度特別の地点に到達すれば、次の特別の地点を提供し」という限りにおいて、本願補正発明における「一度特別の中間目標物に到達すれば、新しい中間目標物を提供し」に相当する。
また、引用発明における「前記階段等の識別と前記計算された人の位置の再セットとが、加速度センサ144及び方向センサ147により検出される歩行動態によって行われる」は、「特別の地点の識別と前記計算された人の位置の調整とが、少なくとも1つのセンサーにより検出される人の特徴的な動きによって行われる」という限りにおいて、本願補正発明における「特別の中間目標物の識別と前記計算された人の位置の調整とが、少なくとも1つのセンサーにより検出される人の特徴的な動きによって行われる」に相当する。

以上から、本願補正発明と引用発明は、
「人のナビゲーション用の支援装置であって、
前記装置が人に装着され、それが少なくとも、
メモリ内に、出発点と到着点との間の、人の経路が計画される場所のデジタル化されたマップ、及び位置決定ソフトウェアを備えるコンピュータと、
コンピュータにつながれたヒューマン・マシン・インターフェースと、
人に装着されてコンピュータにつながれた、人の動き及び屋内空間における前記マップにおける人の位置についての情報を配信する少なくとも1つのセンサーが慣性ユニットである一組のセンサーと
を備え、
位置決定ソフトウェアが、センサー及びヒューマン・マシン・インターフェースから由来する信号の処理を行ない、デジタル化されたマップと、人により装着されたセンサー及びインターフェースから由来する情報とによって提供されるデータの融合を行ない、次にこれらのデータに基づき事前学習に頼ることなく人の相対位置を計算し、前記センサーのドリフトを決定し、該決定したドリフトに起因する横方向の位置決めエラーを取り除くように前記屋内空間における人の位置に関して再調整を行い、少なくとも一組のセンサーに由来する信号のシグネチャを決定し、該決定したシグネチャに基づいて人の特徴的な動きを決定し、移動すべきルートの計算が前記マップ上にマークされている識別されかつ到達される経路の特別の地点に応じて更新され、一度特別の地点に到達すれば、新しい特別の地点を提供し、出発位置が所定の位置によって入力され、前記特別の地点の識別と前記計算された人の位置の調整とが、少なくとも1つのセンサーにより検出される人の特徴的な動きによって行われる、装置。」
である点で一致し、次の点で相違又は一応相違する。

〈相違点〉
(1)「出発位置が所定の位置によって入力され」に関して、本願補正発明においては、「出発位置が固定位置によって入力され」るのに対し、引用発明においては、「出発位置が絶対位置によって入力され」る点(以下、「相違点1」という。)。
(2)「移動すべきルートの計算が前記マップ上にマークされている識別されかつ到達される経路の特別の地点に応じて更新され」、「一度特別の地点に到達すれば、次の特別の地点を提供し」、「特別の地点の識別と計算された人の位置の調整とが、少なくとも1つのセンサーにより検出される人の特徴的な動きによって行われる」に関して、本願補正発明においては、「移動すべきルートの計算がマップ上にマークされている識別されかつ到達される経路の中間目標物に応じて更新され」、「一度特別の中間目標物に到達すれば、新しい中間目標物を提供し」、「特別の中間目標物の識別と前記計算された人の位置の調整とが、少なくとも1つのセンサーにより検出される人の特徴的な動きによって行われる」のに対し、引用発明においては、「移動軌跡の計算が地理情報データベース上にマークされている識別されかつ到達される移動軌跡の階段等に応じて更新され」、「階段において再セットを行った後、次の階段において再セットを行い」、「階段等の識別と前記計算された人の位置の再セットとが、加速度センサ及び方向センサにより検出される歩行動態によって行われる」点(以下、「相違点2」という。)。

2.-4 判断
上記各相違点について検討する。
(1)相違点1に関し、本願明細書には「固定位置」という用語は使用されておらず、本願補正発明における「固定位置」が何を意味するか必ずしも明らかではないが、出発位置に関して、本願明細書には、
「図1は本発明による装置を用いる原理を示している。使用者は適切なヒューマン・マシン・インターフェースHMIを介して、使用者がいる位置、使用者の出発点A、及び使用者の到着点Bを表示する。出発点Aは、RFIDと呼ばれる無線識別標識、又はいずれかの他の絶対位置決定手段のいずれかによって与えられ、あるいは確認されて、使用者によりナビゲーション装置へ入力されることが出来る。地下鉄の通路1は本発明の可能な用途の一例である。次に使用者は、使用者が入って行く地下鉄の駅の入口である出発点Aに入り、この駅入口はRFID標識により確認され得る。使用者はさらに、この場合には使用者が行きたい地下鉄駅である到着点Bを表示する。」(段落【0017】及び【0018】)
と記載されていることから、本願補正発明における「固定位置」は、「絶対位置」又は「移動しない位置」を意味すると解するのが合理的である。
これに対し、引用文献1には、出発点として「絶対位置」を入力すること(段落【0033】)が記載されている。また、出発点として住所、地名、施設、緯度・経度等を入力することは、ナビゲーションの技術分野において本願の優先日前に周知の技術(以下、「周知技術1」という。例えば、拒絶査定時に周知技術を示す例として提示された特開2002-286491号公報(特に段落【0018】)の記載を参照。)である。
してみれば、上記相違点1は実質的な相違点でないか、又は、当該技術分野における周知技術であるから、相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項は、当業者が容易に想到できたものである。

(2)次に、相違点2に関し、移動すべきルート上に中間目標物を設け、該中間目標物に到達すれば、新しい中間目標物を提供する技術は、ナビゲーションの技術分野において本願の優先日前に周知の技術(以下、「周知技術2」という。例えば、引用文献2記載の技術、特開2002-139344号公報(特に段落【0031】及び【0032】並びに図1ないし8を参照。)及び特開2004-508561号公報(特に段落【0024】を参照。)等の記載を参照。)である。
また、「特別の中間目標物」について、本願明細書中には明確な定義はないが、請求項1の記載からみて、「特別の地点の識別と計算された人の位置の調整とが、少なくとも1つのセンサーにより検出される人の特徴的な動きによって行われる」ようなものと認められる。また、本願明細書において、「人の特徴的な動き」は、一組のセンサーに由来する信号のシグネチャに基づいて決定されるものであり、本願の明細書の記載によれば、「例えば階段あるいは方向の変化のような、経路の重要地点に到達した際」に、位置の再調整を可能にする「信号のシグネチャ」が得られる(本件補正の根拠とされる段落【0036】の記載を参照。)のであるから、明細書に記載された「例えば階段」が本願発明における「特別の中間目標物」に該当する。
一方、引用発明においては、階段等において加速度センサ及び方向センサにより検出される歩行動態によって、計算された人の位置の再セットが行われるのであるから、本願発明においても、引用発明においても、階段等における「人の特徴的な動き」により人の位置の再調整(再セット)が行われている。
してみれば、引用発明において、階段等を人の位置の再調整(再セット)を行う「特別の中間目標物」とし、周知技術2を適用して、特別の中間目標物に到達すれば新しい中間目標物を提供するようにすることにより、相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことである。

(3)まとめ
そして、本願補正発明は、全体として検討しても、引用発明並びに周知技術1及び2から予測される以上の格別の効果を奏すると認めることはできず、本願補正発明は、引用発明並びに周知技術1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4)請求人の主張について
なお、請求人は、審判請求書において、「本願の請求項1の発明は、・・・特に、ドリフトに起因する横方向の位置決めエラーを取り除くように屋内空間における人の位置に関して再調整を行うことを特徴としている。そして、この特徴により、本願の明細書の段落[0024]に「推定が使用者を壁の内部に位置決めした場合、システムはその軌道に沿った進行の推定を維持しつつ、使用者を通路1の中央に再調整する。」と記載しているような効果を奏することとなる。」(審判請求書の4.本願発明と引用文献との対比の欄)と主張する。
しかしながら、本願補正発明は、上記のように、「例えば階段あるいは方向の変化」があったとき(段落【0036】を参照。)に、「シグネチャに基づく人の特徴的な動き」によって「計算された人の位置の調整」を行うものであるから、階段等を必要とするものである。
また、請求人が主張する「推定が使用者を壁の内部に位置決めした場合、システムはその軌道に沿った進行の推定を維持しつつ、使用者を通路1の中央に再調整する。」という効果は、引用文献1の段落【0030】及び【0033】に記載された効果と同様のものである。また、引用文献1において「位置検知誤差が生じる場合、カーナビでは道路に沿って位置を補正(マップマッチング)する」(段落【0037】)と記載されている(より詳細には、例えば特開2001-108457号公報の「現在位置100から駐車場113までは道路データを用いた公知のMM(審決注:「マップマッチング」のこと)を用いて現在位置を補正することができる。すなわち、検出した現在位置と道路データを照合し、現在位置に最も近い道路上に現在位置を引き込む処理を行う。」(段落【0023】。下線は当審で付した。)という記載を参照。)ように、ナビゲーションの分野において周知の効果である。

3.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。

第3.本願発明について
1.本願発明
上記のとおり、平成27年3月24日付けの手続補正は却下されたため、本願の請求項1ないし5に係る発明は、平成26年9月11日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲、平成22年3月12日提出の手続補正書によって補正された明細書、及び平成22年3月11日に翻訳文が提出された図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるものであり、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2.の[理由]1.(1)(ア)【請求項1】のとおりのものである。

2.引用発明
本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2007-93433号公報)記載の発明(引用発明)及び引用文献2(特開平7-113652号公報)記載の技術は、前記第2.の[理由]2.-1の(3)及び2.-2の(3)に記載したとおりである。

3.対比・判断
前記第2.の[理由]1.(2)で検討したとおり、本件補正は、該補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明、すなわち本願発明の発明特定事項をさらに限定するものであるから、本願発明は、実質的に本願補正発明における発明特定事項の一部を省いたものに相当する。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含む本願補正発明が、前記第2.の[理由]2.-3及び2.-4に記載したとおり、引用発明並びに周知技術1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明並びに周知技術1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明並びに周知技術1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

第4.むすび
上記第3.のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないので、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-02-08 
結審通知日 2016-02-09 
審決日 2016-02-22 
出願番号 特願2010-515465(P2010-515465)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G01C)
P 1 8・ 121- Z (G01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 貴雄  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 金澤 俊郎
松下 聡
発明の名称 人のナビゲーション用の支援装置  
代理人 木村 高久  
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