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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F21S
管理番号 1316851
審判番号 不服2015-4645  
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-03-10 
確定日 2016-07-13 
事件の表示 特願2012-514130号「ランプアセンブリおよび製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年12月 9日国際公開、WO2010/141721、平成24年11月15日国内公表、特表2012-529154号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2010年(平成22年)6月3日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2009年6月3日,(US)米国)を国際出願日とする出願であって、平成26年2月5日付けで拒絶理由が通知され、同年5月9日に意見書及び手続補正書が提出され、同年10月30日付けで拒絶査定がされ、平成27年3月10日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、同年4月22日に審判請求書を補正する手続補正書が提出され、同年6月26日付けで前置報告がされ、同年10月29日に上申書が提出されたものである。

第2 当審の判断
1 本願発明
本願の請求項1?24に係る発明は、平成27年3月10日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?24に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項2に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。なお、本願発明は、当該補正による変更はない。
「ランプアセンブリであって、
レンズと、
一体化金属部品の形態のランプ筐体とを備え、前記ランプ筐体は、前記レンズと協働して、ランプチャンバ外側の周囲雰囲気から概ね流体的に分離されるランプチャンバを少なくとも部分的に規定し、さらに
前記ランプチャンバ中に設けられかつ前記ランプ筐体によって載置される少なくとも1つのランプを備え、
前記ランプ筐体自体は、前記少なくとも1つのランプからの熱が前記周囲雰囲気に伝達されるように前記ランプチャンバ外側の前記周囲雰囲気に露出するヒートシンクを規定し、
前記ランプ筐体はチキソ成形によって形成される、ランプアセンブリ。」

2 刊行物1の記載事項及び刊行物1に記載された発明
(1)刊行物1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献1として示され、本願の優先日前に頒布された米国特許出願公開2007/0076413号明細書(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
なお、かっこ書きで当審において翻訳した文を付記し、以下、翻訳文の用語を用いることとする。

(1a)
「[0015] With reference to the figures, the power LED lamp according to the present invention, generally designated by the reference numeral 1, comprises a lamp body 2, which acts as a heat sink by being provided with a plurality of fins 3 which are indeed adapted to dissipate the heat generated by a plurality of power LEDs, which are accommodated within the lamp body and are arranged on a disk-like element 4. The power LEDs, designated by the reference numeral 5, are thus arranged in a selected position on the disk-like element 4, which is accommodated within the body 2 of the lamp. 」
([0015] 図面を参照すると、符号1により一般に指定された本発明によるパワーLEDランプは、ランプボディ2を備え、当該ランプボディ2は、複数のパワーLEDが発生する熱を放散するように適合された複数のフィン3を設けることで、ヒートシンクとして機能し、当該複数のパワーLEDは、ランプボディ内に収容され、そして、複数のパワーLEDは、円盤状要素4上に配置されている。符号5により指定された複数のパワーLEDは、円盤状要素4上の選択された位置に配置されており、当該円盤状要素4は、ランプボディ2内に収容されている。)

(1b)
「[0018] ・・・ Moreover, the lamp according to the invention is completed by a plurality of conical lenses 7, which are arranged at each of the LEDs 5 and are provided so as to protrude from a disk-like element 8, which acts as a covering for the body 2 of the lamp, which is dome-shaped. 」
([0018] ・・・また、本発明のランプは、複数の円錐レンズ7を有し、当該複数の円錐レンズは、複数のLED5のそれぞれに配置され、そして、円盤状要素8から突出するように設けられ、当該円盤状要素8は、ランプのボディ2のためのカバーとして機能し、当該ランプのボディ2はドーム形状である。)

なお、図1において、「パワーLED」を示す複数の部材のうち、2箇所に符号8が記載されているが、上記(1b)の記載等から符号5の誤記と認める。

(2)刊行物1に記載された発明

ここで、上記(1a)、(1b)には「ランプボディ2」自体の詳細な構造の説明はないものの、図1、3等の記載及びランプアセンブリの分野の技術常識を考慮すれば、「ランプボディ2」は「一体化」されたものであることは自明のことといえる。


また、上記(1b)より、「円錐レンズ7が突出するように設けられた円盤状要素8」は、「ランプボディ2」のカバーとして機能するものであり、それによりカバーされた「ランプボディ2」の内部の空間は「ランプチャンバ」ということができる。そして、刊行物1には、該「ランプチャンバ」とその外側とを流体的に連通することの記載もなく、図1?3等の記載とランプアセンブリの分野の技術常識を考慮すれば、「ランプボディ2」は、「円錐レンズ7が突出するように設けられた円盤状要素8と協働して、ランプチャンバ外側の周囲雰囲気から概ね流体的に分離されるランプチャンバを少なくとも部分的に規定し」という事項を有しているということができる。


そして、刊行物1には「当該ランプボディ2は、複数のパワーLEDが発生する熱を放散するように適合された複数のフィン3を設けることで、ヒートシンクとして機能し、」(上記(1a))と記載されているから、「ランプボディ2自体」は、「1つの円盤状要素4」に配置された「複数のパワーLED5」からの熱が周囲雰囲気に伝達されるようにランプチャンバ外側の周囲雰囲気に露出するヒートシンクを規定しているということができる。

以上のことから、刊行物1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認める。
「パワーLEDランプ1であって、
円錐レンズ7が突出するように設けられた円盤状要素8と、
一体化の形態のランプボディ2とを備え、前記ランプボディ2は、前記円錐レンズ7が突出するように設けられた円盤状要素8と協働して、ランプチャンバ外側の周囲雰囲気から概ね流体的に分離されるランプチャンバを少なくとも部分的に規定し、さらに
前記ランプチャンバ中に設けられかつ前記ランプボディ2によって載置される1つの円盤状要素4に配置された複数のパワーLED5を備え、
前記ランプボディ2自体は、前記1つの円盤状要素4に配置された複数のパワーLED5からの熱が前記周囲雰囲気に伝達されるように前記ランプチャンバ外側の前記周囲雰囲気に露出するヒートシンクを規定しているパワーLEDランプ1。」

3 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「パワーLEDランプ1」は本願発明の「ランプアセンブリ」に相当し、以下、同様に、「ランプボディ2」は「ランプ筐体」に、「ランプチャンバ」は「ランプチャンバ」に、「1つの円盤状要素4に配置された複数のパワーLED5」は「ランプ」に相当するといえる。そして、本願発明の「少なくとも1つのランプ」ということと、引用発明の「1つの円盤状要素4に配置された複数のパワーLED5」とは、ランプが1つであることを含むという限度で一致するといえる。

そうすると、本願発明と引用発明とは次の点で一致する。
[一致点]
「ランプアセンブリであって、
一体化の形態のランプ筐体とを備え、前記ランプ筐体は、ランプチャンバ外側の周囲雰囲気から概ね流体的に分離されるランプチャンバを少なくとも部分的に規定し、さらに
前記ランプチャンバ中に設けられかつ前記ランプ筐体によって載置される少なくとも1つのランプを備え、
前記ランプ筐体自体は、前記少なくともランプからの熱が周囲雰囲気に伝達されるように前記ランプチャンバ外側の前記周囲雰囲気に露出するヒートシンクを規定しているランプアセンブリ。」

そして、両者は次の点で相違する。
[相違点1]
本願発明が、ランプ筐体が「前記レンズと協働して、」ランプチャンバを少なくとも部分的に規定しているのに対して、引用発明は、ランプボディ2(「ランプ筐体」に相当。)が「前記円錐レンズ7が突出するように設けられた円盤状要素8と協働して、」ランプチャンバを少なくとも部分的に規定している点。

[相違点2]
「一体化の形態のランプ筐体」という事項に関し、本願発明が、「金属部品」であり「チキソ成形によって形成される」ものであるのに対して、引用発明では、材質、成形手段とも明らかでない点。

4 判断
上記相違点について判断する。
[相違点1]について
引用発明の「円錐レンズ7」は、刊行物1に作用等の直接的な記載はないもののランプアセンブリにおける技術常識を考慮すれば、「パワーLED5」からの光を所望の配光とするためのものと認められる。そして、そのような所望の配光を得るためのレンズの配設態様として、ランプ筐体の前面に設けられる、いわゆる「カバータイプのレンズ」を配することは、ランプアセンブリの技術分野においてごく一般的に用いられている手段であり、引用発明においても、「円錐レンズ7が突出するように設けられた円盤状要素8」に代えて、そのようなレンズを採用して、ランプ筐体が「レンズと協働して、」ランプチャンバを少なくとも部分的に規定する構成となすことは、当業者であれば所望により適宜なし得た設計変更にすぎない。
したがって、引用発明において、上記相違点1に係る本願発明の事項を有するものとすることは、当業者が容易になし得たことである。

[相違点2]について
まず、引用発明の「ランプボディ2」(「ランプ筐体」に相当。)も、本願発明と同様に、ヒートシンクとしているものであるから、放熱性を考慮したものといえ、ランプボディを作成する上で、放熱性に優れた材質成形方法のものを採用する方が、放熱性の観点からは望ましいことは自明のことである。
そして、チキソ成形することによって放熱性に優れた一体化金属部品の形態の筐体を形成することは、技術分野を問わず、本願の優先日前の周知技術(例えば、特開2005-294213号公報(特に段落【0028】?【0031】参照。)、特開2005-288993号公報(特に段落【0002】、【0016】参照。)、特開2003-294921号公報(特に段落【0008】、【0021】?【0022】参照。)、特開2000-288710号公報(特に段落【0010】、【0015】参照。)等。)であるから、元来放熱性を考慮している引用発明の「ランプボディ2」を形成するにあたり、同様に放熱性を考慮している上記周知技術を採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことといえる。
したがって、引用発明において、上記相違点2に係る本願発明の事項を有するものとすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものといえる。

よって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 審判請求書及び上申書における主張の検討
(1)審判請求書における主張
請求人は、請求項2に係る発明(本願発明)に対し、
「チキソ成形をランプアセンブリの製造に用いれば、たとえば2013年9月3日出版のMaterials and Processes in Automotive Lightingでは、チクソ成形を用いるとランプアセンブリは軽量、コンパクト、熱的に高効率、機械的に強固、低コストとなります。これらは顕著な効果であるため、これらを根拠として請求項2および14に係る発明の進歩性が認められるものであります。
さらに別の報告では、チクソ成形を用いたため、22%軽量化され、31%小型化し、30%熱抵抗が低減されることが明らかにされています。これらは顕著な効果であるため、これらを根拠として請求項2および14に係る発明の進歩性が認められるものであります。」
と主張する。
しかしながら、引用発明において、チキソ成形による一体化金属部品の形態として引用発明の「ランプボディ2」(「ランプ筐体」に相当。)を形成することが当業者にとって容易に想到し得たことであること、そして、その作用効果についても引用発明及び周知技術から予測できる範囲内のものであることは、上記「4」で述べたとおりであるので、上記主張は採用できない。

(2)上申書における主張

請求人は、本審決で「刊行物1」とした「米国特許出願公開第2007/0076413号明細書」に対して、
「引用文献1はLEDライトであるという点、そして熱の放散という点においてのみ本願発明と関連しています。引用文献1ではいかなる材料が用いられるかが述べられていません。放熱フィンの使用において、本願のような方法で放熱をすることは多くの実施例において述べられていません。実際のランプの表面状態においてハウジングから周囲環境へ熱を効果的に伝達し、それによって熱拡散フィンに頼ることなく冷却性能を所望の基準とすることができます。効果的に表面積を増加させることで熱拡散能力を向上させています。
それゆえ、本願発明では放熱フィンに必ずしも頼ることなく所望の性能を得るため十分な放熱面積を得ることができます。
本願発明では金属射出成形またはチキソ成形を用いることで上記の効果を発揮させています。引用文献1では、金属射出成形またはチキソ成形を何ら開示も示唆もしていません。」
と主張する。
しかしながら、本願請求項2には「放熱フィン」を有さないことの特定はなく、「放熱フィンに必ずしも頼ることなく」という主張は、請求項の記載に基づくものではない。
そして、上記(1)と同様に、引用発明において、チキソ成形による一体化金属部品の形態として引用発明の「ランプボディ2」(「ランプ筐体」に相当。)を形成することが当業者にとって容易に想到し得たことであること、そして、その作用効果についても引用発明及び周知技術から予測できる範囲内のものであることは、上記「4」で述べたとおりであるので、上記主張は採用できない。


また、本審決でも周知技術の例示文献とした「特開2005-294213号公報」に対して、
「引用文献2では、金属射出成形またはチキソ成形を用いて放熱性能を向上させることに関しては引用文献2では何ら開示も示唆もされていません。そもそも引用文献2は反射板に関する技術であり、放熱に関する問題は発生しません。そのため、引用文献1との間に課題の共通性が存在しません。」
と主張する。
しかしながら、当該公報の段落【0028】に「・・・反射体の基体が金属材料で形成されているため、放熱性にも優れている。」と記載されているように、当該公報のものも放熱性を考慮したものである上、段落【0030】に「・・・反射体2は、基体10と、・・・とを備えており、照明器具1の筐体を兼ねたものである。・・・」と記載され、段落【0031】に「基体10は、・・・金属チップを溶解して射出成形する方法(チクソモールディング法)などによって任意の形状に成形される。・・・」と記載されているように、当該公報のものもチキソ成形による一体化金属部品の形態として「筐体」を形成しているといえるものであるので、上記主張も採用できない。

6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-02-03 
結審通知日 2016-02-09 
審決日 2016-02-22 
出願番号 特願2012-514130(P2012-514130)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F21S)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 栗山 卓也  
特許庁審判長 氏原 康宏
特許庁審判官 一ノ瀬 覚
出口 昌哉
発明の名称 ランプアセンブリおよび製造方法  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
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