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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1317403
審判番号 不服2014-24964  
総通号数 201 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-12-05 
確定日 2016-07-20 
事件の表示 特願2013-510203「愛玩動物の炎症を抑制および予防し、炎症状態を緩和する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年11月17日国際公開、WO2011/143104、平成25年 8月15日国内公表、特表2013-532128〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成23年5月9日(パリ条約による優先権主張2010年5月12日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成25年1月11日付けで手続補正書が提出された後、平成26年3月13日付けで拒絶理由が通知され、同年8月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1?9に係る発明は、平成25年1月11日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項により特定されるものと認められところ、そのうち請求項1に係る発明は、次のとおりのものである。(以下、「本願発明」という。)

「【請求項1】
イヌの炎症を抑制もしくは予防し、および/または炎症状態を緩和する方法であって、50?200ppmのリポ酸、500?2000IU/kgのビタミンE、40?200ppmのビタミンC、50?300ppmのカルニチン、および乾燥物質基準で1?10%の野菜ブレンドを含む食餌を与えることを含む方法。」

3.引用例Aに記載の発明に基づく進歩性について
(1)引用例Aの記載
原査定の拒絶の理由に引用された、本願優先日前に頒布された刊行物である、特表2008-519838号公報(以下、「引用例A」という。原査定の拒絶の理由における引用文献2)には、次の事項が記載されている。
なお、下線は審判合議体による。

(1a)【特許請求の範囲】
「【請求項1】
老齢哺乳動物において遺伝子発現を調節する方法であって:
1以上の酸化防止剤を含有する組成物を投与することを含み、
組成物中の1以上の酸化防止剤の総量が哺乳動物において1以上の遺伝子の発現の調節を行うために十分である、前記方法。
・・・
【請求項3】
哺乳動物がイヌである、請求項1に記載の方法。
・・・
【請求項7】
組成物がビタミンE、ビタミンC、L-カルニチン、およびリポ酸からなる群から選択される1以上の酸化防止剤を含有する、請求項1に記載の方法。
・・・
【請求項9】
組成物がホウレンソウポマス、トマトポマス、柑橘類果肉、ブドウポマス、ニンジン顆粒、ブロッコリー、緑茶、コーングルテンミール、米糠、藻類、クルクミン、セレン、およびその混合物からなる群から選択される1以上の酸化防止剤を含有する、請求項1に記載の方法。
・・・
【請求項19】
1以上の遺伝子が炎症誘発性遺伝子を含有する、請求項1に記載の方法。
・・・
【請求項22】
1以上の遺伝子がNF-KB経路遺伝子を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
1以上の遺伝子が免疫機能に関連する1以上の産物をコードする遺伝子を含有する、請求項1に記載の方法。
・・・ 」

(1b)【0029】?【0033】
「 【0029】
ある態様では、酸化防止剤または酸化防止剤の混合物は、哺乳動物にフードの構成要素またはフードサプリメントとして与えられてもよい。フード中に投与される量はすべてフードのwt%(乾物基準)であり、本来遊離物質として測定される活性物質として計算される。最大酸化防止剤量は毒性を示すべきではない。好ましくは、酸化防止剤、またはその混合物はそれらが与えられた哺乳動物の1以上の遺伝子を調節するために有効な量で哺乳動物に与えられる。かかる量は哺乳動物の種および酸化防止剤(複数の酸化防止剤)の型に依存して変化することになる。
【0030】
ある態様では、組成物のビタミンE含有量は少なくとも約250ppm、少なくとも約500ppm、または少なくとも約1,000ppmからである。必要ではないが、一般に約2,000ppm、または約1,500ppmの最大量を超えない。
【0031】
ある態様では、組成物のビタミンC含有量は少なくとも約50ppm、少なくとも約75ppm、または少なくとも約100ppmから、約1,000ppmまで、約5,000ppmまで、または約10,000ppmまでである。
【0032】
ある態様では、組成物のリポ酸含有量は少なくとも約25ppm、少なくとも約50ppm、または少なくとも約100ppmから、約100ppm、もしくは約600ppmまで、または哺乳動物に毒性でない量までである。
【0033】
別の態様では、リポ酸含有量の範囲は約100ppmから約200ppmまでであってもよい。
ある態様では、イヌの場合のL-カルニチン含有量は最少で約50ppm、約200ppm、または約300ppmであってもよい。・・・」

(1c)【0059】
「ある態様では、本発明は炎症/免疫‐関連遺伝子のダウンレギュレーションにより炎症反応を低下させる方法を提供する。」

(1d)【0068】?【0078】(実施例1)
「【0068】
実施例1
この実施例は、酸化ストレスの指標として、還元型対酸化型グルタチオンの比(GSH:GSSG)の生化学的基準を使用して測定し、種々の酸化防止剤を与えられた老齢マウスが経験した酸化ストレスの緩和を説明する。
【0069】
GSH:GSSG比は、Jones,D.P.,Redox Potential of GSH/GSSG Couple:Assay and Biological Significance,METHODS ENZYMOL.,348:93-112(2002)に記載の方法により測定した。
・・・
【0071】
C57BL6マウスは長命実験室マウス系統である。
特記しない限り、すべての老化促進マウスおよびC57BL6マウスは、フードAまたはフードBに交換されるまで対照フードを与えられた。フードAまたはフードBに交換されたマウスは、少なくとも6ヶ月間対応するフードを与えられた(対照マウスは対照フードだけを与えられた)。特記しない限り、フードAは5?13ヶ月齢まで与えられ、フードBは7?17ヶ月齢まで与えられた。特記しない限り、使用されたフード組成は表2に挙げた通りであった。表2の量は、総重量の百分率で表わした、組成物に添加された出発材料の量である。
【0072】
【表2】


【0073】
フードベースA内容物:トウモロコシ、家禽粉、コメ、ダイズミルラン、コーングルテンミール、ダイズ油、油脂、種々雑多な成分(すなわち、ビタミン類、ミネラル類など)。
【0074】
フードベースB内容物:コーン、ダイズミルラン、ダイズミール、コーングルテンミール、油脂、種々雑多な成分(すなわち、ビタミン類、ミネラル類など)。
対照フード、フードA、およびフードB間の主要構成要素の相違点は表3に示す。表3の量は、組成物に添加された量であり、総重量の百分率で表される。
【0075】
【表3】


【0076】
分析的解析は、対照フードが17%タンパク質、10%油脂、約200ppmビタミンE、および<32ppmビタミンCを含有したことを示す。分析的解析はフードAが17%タンパク質、10%油脂、約500ppmビタミンE、約80ppmビタミンC、約300ppmL-カルニチン、および約125ppmリポ酸を含有することを示した。分析的解析はフードBが19%タンパク質、10%油脂、約500ppmビタミンE、および約80ppmビタミンCを含有することを示した。
【0077】
酸化ストレスに対する酸化防止剤に富んだフードAおよびBの効果を測定した。1種の実験では、酸化バランスの基準である、還元型グルタチオン(GSH)と酸化型グルタチオン(GSSG)の濃度は、対照フードまたはフードAを食べた老化促進マウス、および対照フードを食べた1群の正常マウス(C57BL/6)の血漿において測定した。対照フードを与えられた老化促進マウスのGSH:GSSG比は、対照フードを与えられたC57BL/6マウスまたはフードAを与えられた老化促進マウスのGSH:GSSG比より低かった。これらの結果は、対照フードを与えられた老化促進マウスは正常マウスより酸化ストレスを多くうけたことを示す。結果はまた、改善されたGSH:GSSG比によって示されるように、フードA(すなわち、ビタミンE、ビタミンC、リポ酸、およびL-カルニチンを補充されたフード)がこの酸化ストレスを緩和したことを示す。
【0078】
別の実験では、17ヶ月齢の老化促進マウス血漿中のGSH:GSSG比に対するフードB(すなわち、複合酸化防止剤‐強化フード)の効果を測定した。フードBを与えられた老化促進マウスは、対照フードを与えられた老化促進マウスより高いGSH:GSSG比を有した。これらの結果は、老化促進マウスが経験する酸化ストレスをフードBが緩和することを示す。」

(1e)【0083】?【0087】、【0095】、【0117】?【0120】及び【0128】?【0137】)(実施例2?5)
「【0083】
・・・
実施例2
種々の酸化防止剤‐含有フードを与えられた老化促進マウスにおける酸化防止剤(複数の酸化防止剤)に対するゲノム反応は、mRNA発現解析により測定した。
【0084】
3群の5-6匹の老化促進マウスは、先の実施例1で説明した対照フード、フードAまたはフードBを与えられた。フードの組成は先の実施例1と同じであった。
分子生物学技術は、当業者に公知の標準プロトコル、たとえばSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY(1989)に示されたものに従う。組織はマウスから得て、RNAはその組織から抽出した。抽出されたRNAは組織(肝臓、副腎、および大脳皮質)およびフード(対照、A、またはB)ごとにプールし、全部で9種のプールしたRNA試料を得た。プールした総RNA試料はさらに、取扱説明書に従ってMu74Av2高密度オリゴヌクレオチドアレイ(Mu74Av2 GeneChip,Affymetrix,Santa Clara,CA)を使用して処理し、遺伝子発現(mRNA)を得た。Microarray Analysis Suite(MAS)5.0(Affymetrix)を使用して、ハイブリダイズし、ビオチン化したRNAフラグメントの蛍光強度を計算した。すべての統計解析は、MAS5.0により行った。それぞれのmRNAは32種の異なるプローブ‐特異的結合のための16種のプローブ、および非特異的結合のための16種のプローブにより解析した。p<0.05を持つすべてのシグナルは有意であるとみなし、生物学的効果の解析に使用した。約4,000?8,000種の遺伝子が検出された。検出値は10?6,000の範囲であった。p値の範囲は0.0001?0.05であった。有意な差は、1群の遺伝子の32種のプローブすべての強度と他の群の遺伝子のそれらを比較することにより測定した。p値<0.05は有意に異なるとみなした。
【0085】
種々の組織の全遺伝子発現に対するフードAおよびBの効果が測定された。表6はGeneChipアッセイにより検出された遺伝子の総数を示す。
【0086】
【表6】 (審判合議体注;表6の記載は省略する。)
【0087】
フードAおよびBの効果は対照フードを与えられたマウスから得られた3種の組織の遺伝子発現特性と比較した。
・・・
【0095】
実施例4
老化促進マウス副腎の種々のクラスの遺伝子発現に対するフードAおよびBの効果は先に記載のGeneChipアッセイによって測定した。
・・・
【0117】
・・・
炎症誘発性遺伝子:機能的遺伝子解析は、炎症誘発性遺伝子の発現レベルが抑制されることを示した。影響を受けたこのファミリーメンバーのリストは表13に示す。
【0118】
【表13】


【0119】
*数字の前のハイフンは減少を示す。たとえば、‐3.7の倍数変化は、遺伝子発現レベルの3.7倍の低下を示す。^(#)NCは遺伝子発現レベルの変化が2倍未満であったことを意味する。
【0120】
これらの結果は、炎症に関連する遺伝子がフードAによって抑制されたことを示す。これらの効果の一部は、肥満細胞および侵入するマクロファージのような具体的細胞集団の減少に起因してもよい。これらの遺伝子の抑制は炎症誘発性転写因子のサブユニット、核因子カッパB(NF-κB)、マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼ、および転写刺激因子および活性化因子(STAT)をコードする遺伝子の抑制により、部分的に説明してもよい。
・・・
【0128】
・・・
NF-κB経路遺伝子:機能的遺伝子解析は、活性なNF-κB経路の指標またはその活性の重要な調節因子である産物をコードする遺伝子の発現レベルが抑制されることを示した。影響を受けたこのファミリーメンバーのリストは表16に示す。
【0129】
【表16】


【0130】
*数字の前のハイフンは減少を示す。たとえば、‐8.0の倍数変化は、遺伝子発現レベルの8.0倍の低下を示す。^(#)NCは遺伝子発現レベルの変化が2倍未満であったことを意味する。
【0131】
これらの結果は、フードAが活性なNF-κB経路の指標またはその活性の重要な調節因子のいずれかである産物をコードする遺伝子の発現を抑制したことを示す。・・・転写因子NF-κBのサブユニットをコードする遺伝子の調和した抑制が炎症を引き起こし免疫反応を調節する遺伝子の抑制の説明となってもよい(図2も参照されたい)。
【0132】
実施例5
老化促進マウスの肝臓における種々のクラスの遺伝子の発現に対するフードAおよびBの効果は、先に記載のGeneChipアッセイを使用して測定した。
【0133】
免疫機能関連遺伝子:機能的遺伝子解析は、免疫機能関連遺伝子がフードAおよびBによって抑制されることを示した。影響を受けたこのファミリーメンバーのリストは表17に示す。
【0134】
【表17】


【0135】
*数字の前のハイフンは減少を示す。たとえば、‐78.8の倍数変化は、遺伝子発現レベルの78.8倍の低下を示す。^(#)NCは遺伝子発現レベルの変化が2倍未満であったことを意味する。
【0136】
これらの結果は、フードAおよびBが免疫機能に関連する遺伝子を抑制したことを示す。免疫グロブリン重および軽(可変、抗原結合)ペプチド鎖をコードする遺伝子の調和した抑制はフードAおよびBが免疫系の体液性“アーム”を調節してもよいことを示唆し、リンパ球の機能制御におけるそれぞれの重要性を示唆する。これらの転写物は通常リンパ球に関連し、転写物が肝臓で検出されたことから、データはフードAおよびBがリンパ系、少なくとも肝臓のそれを標的としてもよいことを示唆する。リンパ球機能に対するフードAおよびBの抑制効果は、CD79,CD52およびCD24のmRNAの抑制によってさらに支持される。表17に示すように、フードBはリンパ球活性の抑制においてより強力であると考えられる。
【0137】
フードAおよびBは副腎および肝臓において抗炎症性特性を有する。これらの遺伝子の抑制は、炎症誘発性転写因子のサブユニット、核因子カッパB(NF-κB)、マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼ、ならびに転写刺激因子および活性化因子(STAT)をコードする遺伝子の抑制により、部分的に説明されてもよい。」

(1f)【0164】
「本明細書では、本発明の典型的な好ましい態様が開示されていて、特定の用語が使用されるが、それらは包括的で説明的な意味だけで使用され、限定のためではなく、発明の範囲は以下の特許請求の範囲に示される。明らかに、本発明の多くの改変および変更が上記の教示の観点において可能である。したがって具体的に記載するというよりは、添付の特許請求の範囲の範囲内で本発明を実施してよいと理解すべきである。」

(2)引用例Aに記載された発明
(1)に示した引用例Aの記載によれば、引用例Aには、「老齢哺乳動物において遺伝子発現を調節する方法であって:1以上の酸化防止剤を含有する組成物を投与することを含み、組成物中の1以上の酸化防止剤の総量が哺乳動物において1以上の遺伝子の発現の調節を行うために十分である、前記方法。」(上記(1a)の請求項1)が記載されており、「組成物がビタミンE、ビタミンC、L-カルニチン、およびリポ酸からなる群から選択される1以上の酸化防止剤を含有する」こと(同請求項7)、「1以上の遺伝子」が、「炎症誘発性遺伝子を含有する」こと(同請求項19)、「NF-KB経路遺伝子を含有する」こと(同請求項22)、「免疫機能に関連する1以上の産物をコードする遺伝子を含有する」こと(同請求項23)も記載されている。
さらに、引用例Aには、「ある態様では、本発明は炎症/免疫‐関連遺伝子のダウンレギュレーションにより炎症反応を低下させる方法を提供する。」と記載されている(上記(1c))。また、引用例Aには、「酸化防止剤または酸化防止剤の混合物は、哺乳動物にフードの構成要素・・・として与えられてもよい」(上記(1b)の【0029】)ことが記載され、具体的な実施例として、「1以上の酸化防止剤を含有する組成物」として、ビタミンE、ビタミンC、L-カルニチン、およびリポ酸を含有するフードA(上記(1d)の表2)を、実験室マウスに少なくとも6ヶ月間与え(同【0071】)、機能的遺伝子解析を行った結果、炎症誘発性遺伝子の発現レベルが抑制されたこと(上記(1e)の表13及び【0117】)、活性なNF-κB経路の指標またはその活性の重要な調節因子である産物をコードする遺伝子の発現レベルが抑制されたこと(同表16及び【0128】)、免疫機能に関連する遺伝子が抑制されたこと(同表17及び【0136】)が示され、これらの遺伝子レベルの発現レベルの抑制結果を受けて、「フードAおよびBは副腎および肝臓において抗炎症性特性を有する。これらの遺伝子の抑制は、炎症誘発性転写因子のサブユニット、核因子カッパB(NF-κB)、マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼ、ならびに転写刺激因子および活性化因子(STAT)をコードする遺伝子の抑制により、部分的に説明されてもよい。」(同【0137】)と記載されている。 (下線は、審判合議体による。)
してみると、引用例Aには、
「老齢哺乳動物において炎症/免疫‐関連遺伝子の発現を抑制することにより、炎症反応を低下させる方法であって:
老齢哺乳動物に、1以上の酸化防止剤を含有するフード組成物を投与することを含み、
組成物中の1以上の酸化防止剤の総量が哺乳動物において炎症/免疫‐関連遺伝子の発現を抑制するために十分であり、
1以上の酸化防止剤が、ビタミンE、ビタミンC、L-カルニチン、およびリポ酸を含有する方法。」
の発明(以下「引用例A発明」という。)が記載されていると認められる。

(3)本願発明と引用例A発明との対比
本願発明と引用例A発明とを対比する。
本願発明の「イヌ」は、哺乳動物であるから、引用例A発明の「老齢哺乳動物」は、「哺乳動物」である点で、本願発明の「イヌ」と一致する。また、引用例A発明の「フード組成物」は、本願発明の「食餌」に、引用例A発明の「L-カルニチン」は、本願発明の「カルニチン」に、さらに、引用例A発明の「炎症反応を低下させる方法」は、本願発明の「炎症を抑制もしくは予防し、および/または炎症状態を緩和する方法」に相当する。
ここで、引用例A発明においては、「炎症反応を低下させる方法」が、「炎症/免疫‐関連遺伝子の発現を抑制することにより」と特定されているが、本願発明の「炎症を抑制もしくは予防し、および/または炎症状態を緩和する方法」は、概念上、「炎症/免疫‐関連遺伝子の発現を抑制することにより炎症を抑制もしくは予防し、および/または炎症状態を緩和する方法」を包含すると解されるし、本願明細書に、「本発明は、愛玩動物、たとえばイヌまたはネコの炎症を抑制および予防し、炎症状態・・・を緩和する方法であって、炎症バイオマーカーの発現を測定し、そして炎症バイオマーカーのうち1種類以上の発現を低下させるために、リポ酸を含む食餌をたとえば少なくとも2週間の期間与えることを含み・・・たとえば50?200ppmのリポ酸を含有する乾燥食物を含む方法を提供する。」(【0005】)、「食物組成物が健康な高齢のイヌの炎症バイオマーカーおよび遺伝子発現に及ぼす効果を評価するために試験を実施した。」(実施例1【0009】)と記載され、実施例1の炎症のバイオマーカーの変化及び脳健康関連遺伝子の発現変化についての結果の記載を受けて、「この試験は、被験食の給餌が、炎症バイオマーカーの減少によって、また潜在的に脳健康関連遺伝子の発現を変化させることによって、高齢のイヌの生活の質に正の効果を及ぼすことを示唆する。」(【0021】)と記載されていることからみて、本願発明の、「炎症を抑制もしくは予防し、および/または炎症状態を緩和する方法」は、引用例A発明の「炎症/免疫‐関連遺伝子の発現を抑制することにより、炎症反応を低下させる方法」を除外していないと認められる。してみると、引用例A発明の「炎症/免疫‐関連遺伝子の発現を抑制することにより、炎症反応を低下させる方法」は、本願発明の「炎症を抑制もしくは予防し、および/または炎症状態を緩和する方法」に相当すると認められる。

そうすると、本願発明と引用例A発明とは、
「哺乳動物の炎症を抑制もしくは予防し、および/または炎症状態を緩和する方法であって、リポ酸、ビタミンE、ビタミンC、カルニチンを含む食餌を与えることを含む方法」
で一致し、次の点で相違する。
<相違点>
(1)本願発明では、哺乳動物が「イヌ」に限定されているのに対し、引用例A発明では、「老齢哺乳動物」である点(以下、「相違点1」という。)
(2)本願発明では、食餌中に含まれる「リポ酸、ビタミンE、ビタミンC、カルニチン」の含量について、「50?200ppmのリポ酸、500?2000IU/kgのビタミンE、40?200ppmのビタミンC、50?300ppmのカルニチン」と特定されているのに対し、引用例A発明においては、係る含量特定がなく、また、これらの4成分が、「1以上の酸化防止剤」に該当するものとして特定されている点(以下、「相違点2」という。)
(3) 本願発明では、食餌が、「乾燥物質基準で1?10%の野菜ブレンド」を含むことが特定されているのに対し、引用例A発明においては、係る特定がない点(以下、「相違点3」という。)

(4)判断
相違点について検討する。
(i)相違点1について
本願明細書に、高齢のイヌに被験食を投与する実施例が記載されているとおり(【0010】)、本願発明のイヌは老齢のイヌであってもよいから、哺乳動物が老齢哺乳動物である点は、本願発明と引用例A発明との相違点とはならない。そして、引用例Aの請求項3に、「哺乳動物がイヌである」(上記(1a))と記載されているから、引用例A発明における老齢哺乳動物として、イヌを採用することは、引用例Aに記載の示唆に従って、当業者が容易になし得ることである。

(ii)相違点2について
まず、本願発明において、食餌中に含まれる「リポ酸、ビタミンE、ビタミンC、カルニチン」について、「酸化防止剤」であるとの特定がなされていない点については、引用例Aに同じ物質が記載されている以上、当然に同じ機能が奏されるのであるから、本願発明において、これらが酸化防止剤であるとの特定がなされていないことは、実質的な相違点ではない。
次に、食餌中に含まれる「リポ酸、ビタミンE、ビタミンC、カルニチン」の含量について、引用例Aには、「酸化防止剤または酸化防止剤の混合物は、哺乳動物にフードの構成要素・・・として与えられてもよい。フード中に投与される量はすべてフードのwt%(乾物基準)であり、本来遊離物質として測定される活性物質として計算される。・・・好ましくは、酸化防止剤、またはその混合物はそれらが与えられた哺乳動物の1以上の遺伝子を調節するために有効な量で哺乳動物に与えられる。かかる量は哺乳動物の種および酸化防止剤(複数の酸化防止剤)の型に依存して変化することになる。」(上記(1b)の【0029】)と記載され、続いて、「組成物のビタミンE含有量は少なくとも約250ppm・・・一般に約2,000ppm、または約1,500ppmの最大量を超えない」、「組成物のビタミンC含有量は少なくとも約50ppm・・・から、約1,000ppmまで」、「組成物のリポ酸含有量は少なくとも約25ppm・・・もしくは約600ppmまで」、「リポ酸含有量の範囲は約100ppmから約200ppmまで」、「イヌの場合のL-カルニチン含有量は最少で約50ppm、約200ppm、または約300ppmであってもよい」と記載され(同【0030】?【0033】)、さらに、表2のフードAでは、ppm換算で、リポ酸が140ppm、ビタミンEが550ppm、ビタミンCが250ppm、L-カルニチンが260ppm添加したフードが記載され、また、フードの成分組成に関し、「分析的解析はフードAが17%タンパク質、10%油脂、約500ppmビタミンE、約80ppmビタミンC、約300ppmL-カルニチン、および約125ppmリポ酸を含有することを示した。」(上記(1d)の【0076】)と記載されており、いずれも本願発明で特定される範囲と重複している。
(なお、引用例AのビタミンE含量はIU表記ではないが、抗酸化作用が知られる代表的な合成ビタミンEであるα-トコフェロールは、dl体の酢酸エステルであって、その1mgが1IUとされており、dl体のα-トコフェロール酢酸エステルを100とした場合、天然ビタミンEであるd体のα-トコフェロールで149となる(「生化学辞典(第3版)」、1998、(株)東京化学同人、p1108の「ビタミンE」の項目参照。)から、これを食餌1kg当たりに換算すると、「ビタミンE含有量約250ppm?約2,000ppm」は、合成ビタミンEで約250?約2000IU/kg、天然ビタミンEで約373?約2980IU/kgであって、本願発明の範囲とほとんど重複している。)

してみると、引用例A発明の、「ビタミンE、ビタミンC、L-カルニチン、およびリポ酸を含有するフード」をイヌに適用する場合に、引用例Aの上記記載を適宜勘案して、最適化し、本願発明で特定される含有量のものとすることは、当業者が適宜なし得る程度のことに過ぎないと解される。

(iii)相違点3について
引用例Aの表2には、フード組成として、野菜である「ブロッコリー」を1.5重量%含有した例がフードBとして記載されている(上記(1d))し、「1以上の酸化防止剤を含有する組成物」を構成する酸化防止剤が本願発明の「野菜ブレンド」に相当する場合が、「ホウレンソウポマス、トマトポマス、・・・ニンジン顆粒、ブロッコリー・・・およびその混合物からなる群から選択される1以上の酸化防止剤」(上記(1a)の請求項9)である場合として示唆されている。また、引用例Aにも、「明らかに、本発明の多くの改変および変更が上記の教示の観点において可能である。」(上記(1f))と記載されているとおり、当業者は、引用例Aの記載や示唆、本願優先日当時の技術常識に基づいて、適宜引用例A発明を改変することが可能であると認められるから、引用例A発明の食餌を、更に、「乾燥物質基準で1?10%の野菜ブレンド」を含むものとすることは、当業者が適宜なし得ることである。

(iv)本願発明の効果について
本願明細書には、「イヌの炎症を抑制もしくは予防し、および/または炎症状態を緩和」する本願発明の効果に関し、「リポ酸食が高齢のイヌの炎症バイオマーカーに及ぼす効果」と題する実施例1の【0010】に、29匹の高齢の健康なイヌを試験に含め、「すべてのイヌに対照である維持食を28日間与えた後、被験食を与えた」こと、「被験食は高レベルのオメガ3脂肪酸、リポ酸、果実および野菜ブレンドからの抗酸化剤、ビタミンCおよびE、ならびにL-カルニチンを含有する」こと、被験食を摂取させ、14日後に、血清および全血試料を採集して「炎症およびホルモンのバイオマーカーならびに遺伝子発現の変化を測定した」ことが記載されている。そして、その結果、「被験食を摂取した後、被験食を与えた高齢のイヌはIL-4、IL-6、IL-10、KC、および総サイトカインがより低かった」ことが記載されている。(下線は、当審合議体による。以下、同様。)
また、【0012】には、29匹の去勢/卵巣切除した健康なイヌに、「基礎的な維持用対照食を28日間与えた」後、「被験食」を摂取させ、「14日後に試料を採集した」こと、【0013】には、「食物に応答した炎症およびホルモンのバイオマーカーの変化を測定した」こと、【0015】の「表1:食餌の含量」と題する表中には、対照食及び被験食について、食餌中にビタミンEが1183IU/kg、カルニチンが291ppm、リポ酸が101ppm、野菜ブレンドが6.30%含まれる他に、粗タンパク質、脂肪、粗繊維、総食物繊維、可溶性繊維、カルシウム、リンも特定量含有された「イヌ用被験食」、及び、食餌中にビタミンEが94IU/kg、カルニチンが10ppm、リポ酸が0ppm、野菜ブレンドが0%(すなわち、リポ酸と野菜ブレンドは含まれていない)の他に、粗タンパク質、脂肪、粗繊維、総食物繊維、可溶性繊維、カルシウム、リンが特定量含有された「イヌ用対照食」が記載され、【0016】の「表2:被験食に応答した血漿中で測定した炎症及びホルモンのバイオマーカー」と題する表中に、インターロイキン-10、インターロイキン-4、インターロイキン-6、KCケモカイン及び総ケモカインの血漿中濃度の平均値についてのt検定において0.05より小さい値であったことが示されている。
更に、【0020】?【0021】に「この試験で、健康な高齢のイヌを維持用対照食の給餌後に被験食に切り換えた後、炎症マーカーIL-4、IL-10、IL-6、KCおよび総サイトカインの減少が立証された。・・・この試験は、被験食の給餌が、炎症バイオマーカーの減少によって、・・・高齢のイヌの生活の質に正の効果を及ぼすことを示唆する。」と記載されている。(なお、「IL」は、「インターロイキン」と同義である。)

かかる本願明細書の実施例の記載によれば、対照である維持食と比べ、本願発明で特定される食餌成分の他に、更に、「高レベルのオメガ3脂肪酸」も含まれる被験食(【0010】)、あるいは、「ビタミンC」を含有するか否かが被験食、対照食共に不明の食餌(【0015】の表1)を高齢のイヌに摂取させたこと、及び、被験食を与えた高齢のイヌは、血漿炎症マーカーであるIL-4、IL-10、IL-6、KCおよび総サイトカインが減少したことは理解できるが、上記本願明細書の記載は、「50?200ppmのリポ酸、500?2000IU/kgのビタミンE、40?200ppmのビタミンC、50?300ppmのカルニチン、および乾燥物質基準で1?10%の野菜ブレンドを含む食餌」とすることによる、本願発明の特有の効果を、適切に確認できるものになっているとはいえない。
なお、「高レベルのオメガ3脂肪酸」が、上記血漿炎症マーカーの減少効果に関係ないと言える技術常識があるとも認められない。

一方で、以下の理由により、本願発明の効果は、引用例Aの記載から当業者が予測し得る範囲内の効果に過ぎないものと認められる。

既に、「(2)引用例Aに記載された発明」の項目でも言及したとおり、引用例Aには、「1以上の酸化防止剤を含有する組成物」として、ビタミンE、ビタミンC、L-カルニチン、およびリポ酸を含有するフードA(上記(1d)の表2のフードA)を、実験室マウスに少なくとも6ヶ月間与え(同【0071】)、機能的遺伝子解析を行った結果、炎症誘発性遺伝子の発現レベルが抑制されたこと(上記(1e)の表13及び【0117】)、活性なNF-κB経路の指標またはその活性の重要な調節因子である産物をコードする遺伝子の発現レベルが抑制されたこと(同表16及び【0128】)、免疫機能に関連する遺伝子が抑制されたこと(同表17及び【0136】)が具体的な結果として示されている。
また、引用例Aには、「1以上の酸化防止剤を含有する組成物」として、ビタミンE、ビタミンC、米糠、海洋性オイル等多種の成分を配合し、更に、野菜である「ブロッコリー」も1.5重量%含有したフードB(上記(1d)の表2のフードB)を、実験室マウスに少なくとも6ヶ月間与え(同【0071】)、機能的遺伝子解析を行った結果、免疫機能に関連する遺伝子が抑制されたこと(同表17及び【0136】)が具体的な結果として示されている。
そして、引用例Aにおいては、これらの遺伝子レベルの発現レベルの抑制結果を受けて、「フードAおよびBは副腎および肝臓において抗炎症性特性を有する。これらの遺伝子の抑制は、炎症誘発性転写因子のサブユニット、核因子カッパB(NF-κB)、マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼ、ならびに転写刺激因子および活性化因子(STAT)をコードする遺伝子の抑制により、部分的に説明されてもよい。」(同【0137】)と記載されている。
そうすると、引用例Aの記載に接した当業者は、リポ酸、ビタミンE、ビタミンC、L-カルニチンを含む食餌に、さらに、野菜ブレンドを添加した食餌の場合においても、イヌの炎症を抑制もしくは予防し、および/または炎症状態を緩和できるという効果が奏されることを予測できるといえる。

ここで、イヌの炎症を抑制もしくは予防し、および/または炎症状態を緩和する方法において投与される食餌を、本願発明のように、リポ酸、ビタミンE、ビタミンC、及びカルニチンを特定量含み、かつ、野菜ブレンドを特定量含む食餌とすることで奏される効果が、引用例A発明のフード組成物を与えた場合に奏される効果に比べて、当業者の予測を超える特に有利な効果であるといえるかについても検討すると、先に述べたとおり、本願明細書の記載は、本願発明の食餌とすることによる本願発明特有の効果を、適切に確認できるものになっているとはいえない。その上、本願明細書の実施例では、上述のとおり、効果を、血漿中の炎症マーカーである、IL-4、IL-10、IL-6、KCおよび総サイトカイン含有量の平均値の変化についてのt-検定の結果により確認している一方で、引用例A発明の効果は、引用例A発明のフード組成物を与えた動物の肝臓や腎臓における抗炎症特性を有する遺伝子の発現特性を比較解析することで確認されているものであり(上記(1e)の表13、表16及び表17)、両者は、効果を確認するための試験法が異なっているために、効果の程度について直接比較することはできない。
そうすると、本願明細書の記載からは、「50?200ppmのリポ酸、500?2000IU/kgのビタミンE、40?200ppmのビタミンC、50?300ppmのカルニチン、および乾燥物質基準で1?10%の野菜ブレンドを含む食餌」をイヌに与えることで奏される本願発明の効果が、引用例A発明の食物をイヌに与えることで奏される効果と比較して、特に有利な効果であることは、当業者は理解し得ない。

しかも、本願明細書には、本願発明について、【0004】?【0006】に、それぞれ、「本発明は、愛玩動物、たとえばイヌ・・・の炎症を抑制および予防し、炎症状態、特に関節炎および関節痛を緩和する方法であって、リポ酸を含む食餌をたとえば少なくとも2週間の期間与えることを含み、・・・たとえば50?200ppmのリポ酸を含有する乾燥食物を含む方法を提供する。」、「本発明は、愛玩動物、たとえばイヌ・・・の炎症を抑制および予防し、炎症状態、特に関節炎および関節痛を緩和する方法であって、炎症バイオマーカーの発現を測定し、そして炎症バイオマーカーのうち1種類以上の発現を低下させるために、リポ酸を含む食餌をたとえば少なくとも2週間の期間与えることを含み、たとえばその際、食餌が10?10,000ppmのリポ酸を含有する食物・・・を含む方法を提供する。」、「本発明方法に使用するための食餌には、・・・たとえば500?2000IU/kgのビタミンE、・・・たとえば40?200ppmのビタミンC、・・・たとえば50?300ppmのカルニチン、および・・・たとえば50?250ppmのカルニチンを含むイヌ類の食餌、たとえば下記のものを含むイヌ用の食餌が含まれる」と記載され、表1に、500?2000IU/kgのビタミンE、40?200ppmのビタミンC、50?300ppmのカルニチン、50?300ppmのカルニチン、1?10%の野菜ブレンドを含むイヌ用食餌が記載されている。
かかる本願明細書の記載によれば、本願発明は、「リポ酸」を含む食餌であることで、イヌの炎症を抑制もしくは予防し、および/または炎症状態を緩和する、との技術的思想に基づく発明であり、その一態様として、50?200ppmのリポ酸、500?2000IU/kgのビタミンE、40?200ppmのビタミンC、50?300ppmのカルニチン、および乾燥物質基準で1?10%の野菜ブレンド(本願発明の食餌成分)を含む食餌が記載されているといえる。
そして、引用例A発明のフード組成物には、本願明細書において、イヌの炎症を抑制もしくは予防し、および/または炎症状態を緩和する効果を奏する成分として着目されていた「リポ酸」が含まれているのであるし、その含有量も、引用例Aの【0033】(上記(1b))では「約100ppmから約200ppm」と、本願発明と同程度とすることが記載されていることからすると、この点からも、リポ酸を含有している引用例A発明の食餌による効果に比べて、本願発明が有利な効果を奏しているとは、本願明細書の記載からは理解できない。
(なお、仮に、請求人が、本願発明の方法のように、食餌をリポ酸、ビタミンE、ビタミンC、及びカルニチンを特定量含み、かつ、乾燥物質基準で1?10%の野菜ブレンドを含むものとすることで、引用例A発明のフード組成物を与える方法とする場合に比べて、有利な効果が奏されることを示した場合であっても、そのような効果は、本願明細書に記載されていたものとはいえない。)

以上述べたとおり、本願発明の効果は、引用例Aの記載から、当業者が予測し得る範囲内の効果に過ぎないものと言わざるを得ない。

(v)小結
以上のとおり、本願発明は、引用例A発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。


4.引用例Bに記載の発明に基づく進歩性について
(1)引用例Bの記載
原査定の拒絶の理由に引用された、本願優先日前に頒布された刊行物である、国際公開第2010/009468号(以下、「引用例B」という。原査定の拒絶の理由における引用文献1)には、次の事項が記載されている。
なお、下線は審判合議体による。また、引用例Bは、英語で記載されているので、一部日本語として理解しにくい表記を修正した他は、基本的に、引用例Bの対応公表特許公報である特表2011-528556号公報の対応箇所をその訳文として採用した。

(2a)【特許請求の範囲】
「【請求項1】
高齢または超高齢のペット動物の老化プロセスと関係する生物学的機能を調節するための方法であって、前記方法は、
少なくとも約9重量%のタンパク質と、
少なくとも約5重量%の脂肪と、
少なくとも約0.05重量%の少なくとも1つのオメガ-3多価不飽和脂肪酸と、
を含む組成物を前記動物に給餌することを含む、方法。
・・・
【請求項3】
前記動物は、ネコ、イヌ、およびウマから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
高齢または超高齢の動物の老化プロセスと関係する生物学的機能を調節する方法であって、前記方法は、
ドコサヘキサエン酸およびエイコサペンタエン酸から選択される、少なくとも1つのオメガ-3多価不飽和脂肪酸と、
少なくとも1つの抗酸化物質と、
コリン、マンガン、メチオニン、システイン、L-カルニチン、リシン、およびそれらの混合物から選択される、少なくとも1つの栄養素と、
を含む組成物を前記動物に給餌することを含む、方法。
・・・
【請求項10】
前記組成物は、ビタミンE、ビタミンC、タウリン、ベータカロテン、カルニチン、リポ酸、およびシスチンから選択される、1つ以上の抗酸化物質を含む、請求項4に記載の方法。
・・・
【請求項15】
高齢または超高齢の小型種のあるいは中型種のイヌ動物の老化プロセスと関係する生物学的機能を調節するための方法であって、前記方法は、
約60?約70重量%の炭水化物と、
動物性タンパク質および植物性タンパク質から選択される、約15?約25重量%のタンパク質と、
動物性および植物性脂肪から選択される、約5?約7重量%の脂肪と、
約2.5?約4重量%の少なくとも1つのオメガ-3多価不飽和脂肪酸と、
約1?約2重量%の繊維と、
約1?約2重量%のミネラルと、
約0.5?約1.5重量%のビタミンと、
を含む組成物を前記動物に給餌することを含む、方法。
・・・
【請求項18】
前記方法は、老化プロセスと関係する生物学的機能を調節するために有効量の前記組成物を前記動物に給餌することを含み、前記老化プロセスと関係する生物学的機能の調節は、血液凝固と血小板活性化および凝集、骨および筋肉の保全性、炎症反応、軟骨変性および疼痛反応、DNA損傷および修復経路、神経機能、グリコーゲン合成および分解、解糖、糖新生、ペントースリン酸経路、老化プロセス、ならびに電子伝達から選択される、1つ以上の生物学的経路における改善によって明らかとされる、請求項1に記載の方法。
・・・
【請求項25】
前記方法は、前記動物の生活の質を向上させるために有効量の前記組成物を前記動物に給餌することを含み、生活の質の向上は、炎症、DNA修復、細胞生存、脂肪またはコレステロール代謝、タンパク質合成、細胞増殖、および細胞死から選択される、生物学的経路と関係または関連するタンパク質をコードする、1つ以上の老化遺伝子の発現における有益な変化によって明らかとされる、請求項1に記載の方法。・・・」

(2b) [0029]? [0040]
「 [0029] 用語「抗酸化物質」とは、遊離基と反応し、それらを中和可能な物質を意味する。そのような物質の例証的実施例として、ベータカロテン、セレン、コエンザイムQ10(ユビキノン)、ルテイン、トコトリエノール、大豆イソフラボン、S-アデノシルメチオニン、グルタチオン、タウリン、N-アセチルシステイン、ビタミンE、ビタミンC、リポ酸、およびL-カルニチンが挙げられる。1つ以上の抗酸化物質を有用レベルで含有する食物の例として、イチョウ、緑茶、ブロッコリー、柑橘類果肉、葡萄搾汁かす、トマト搾汁かす、人参、ホウレン草、および様々な果物類食餌および野菜類食餌が挙げられるが、それらに限定されない。抗酸化物質の単位は、「ppm」として提供され得るが、また、適切な量の抗酸化物質は、例えば、ビタミンE等の所与の抗酸化物質の場合、必要および慣例に応じて、「IU/kg」として提供され得ることが、当業者によって理解されるであろう。
・・・
[0033] 本明細書で使用されるとき、動物の生活の質を「改善させる」または「向上させる」とは、敏捷性、活力、軟骨の保護、筋肉量の維持、消化率、ならびに皮膚および毛の質から選択される、1つ以上の特性の改善または向上を指す。加えて、血液凝固と血小板活性化および凝集、骨および筋肉の保全性、炎症反応、軟骨変性および疼痛反応、DNA損傷および修復経路、神経機能、グリコーゲン合成および分解、解糖、糖新生、ペントースリン酸経路、老化プロセス、ならびに電子伝達における改善/向上もまた、想定される。
・・・
[0038] 本明細書で使用されるとき、語句「老化プロセスと関係する生物学的機能を調節する」とは、動物における加齢のプロセスに関与し得る、遺伝子の上方調節または下方調節を指す。これらの遺伝子は、例えば、炎症、DNA修復または細胞生存、脂肪またはコレステロール代謝、タンパク質合成、免疫調節、細胞増殖、および細胞死等のいくつかの生物学的機能において役割を有する、タンパク質をコードする、遺伝子を含み得る。
発明
[0039] 本発明は、高齢または超高齢の動物の生活の質を改善あるいは向上させるための組成物および方法を包含する。方法は、少なくとも約9重量%のタンパク質と、少なくとも約5重量%の脂肪と、少なくとも約0.05重量%オメガ-3多価不飽和脂肪酸とを含む組成物を動物に給餌することを含む。方法は、高齢または超高齢の動物において、敏捷性を向上させ、活力を改善し、軟骨を保護し、筋肉量を維持し、消化率を向上し、ならびに皮膚および毛の質を改善するために有用である。また、方法は、動物において、血液凝固と血小板活性化および凝集、骨および筋肉の保全性、炎症反応、軟骨変性および疼痛反応、DNA損傷および修復経路、神経機能、グリコーゲン合成および分解、解糖、糖新生、ペントースリン酸経路、老化プロセス、および電子伝達経路から選択される、1つ以上の生物学的経路を改善するために有用であって、そのような改善はまた、ゲノムレベルでの有益な全体的変化にも反映される。また、本明細書では、本発明の組成物を投与することを含む、これらの生物学的経路と関係または関連する障害あるいは疾患に罹患している動物を治療するための方法も、想定される。
[0040] 理論に拘束されるわけではないが、本発明の効果は、高齢または超高齢の動物の食餌へのオメガ-3多価不飽和脂肪酸の添加による、生理学的効果の結果であり得る。同様に、抗酸化物質、コリン、および他の栄養素も、高齢または超高齢の動物の生活の質を向上させる役割を果たし得る。」

(2c) [0049]
「・・・本発明の方法は、イヌの生活の質を向上させるために有効量の組成物を超高齢の中型種のまたは小型種のイヌに給餌することを含む。組成物は、概して、以下:
(a)
(i)少なくとも約0.02%(または、約0.02%?約0.3%、または約0.05%?約0.3%、または約0.05%?約0.2%)DHAと、
(ii)少なくとも約0.1%(または、約0.1%?約0.5%、または約0.2%?約0.5%、または約0.2%?約0.3%)EPA、
のうちの少なくとも1つと、
(b)少なくとも約9%(または、約9%?約30%、または約18%?約30%、または約18%?約20%)のタンパク質と、
(c)少なくとも約7%(または、約7%?約24%、または約14%?約24%、または約14%?約16%)の脂肪と、
(d)
(i)少なくとも約250IU/kg(または、約250IU/kg?約1500IU/kg、または約500IU/kg?約1500IU/kg、または約500IU/kg?約1000IU/kg)のビタミンEと、
(iv)少なくとも約50ppm(または、約50ppm?約500ppm、または約100ppm?約500ppm、または約100ppm?約301ppm)のビタミンCと、
(v)少なくとも約600ppm(または、約600ppm?約2400ppm、または約1260ppm?約2400ppm、または約1260ppm?約1545ppm)のタウリンと、
(vi)少なくとも約50ppm(または、約50ppm?約200ppm、または約100?約160、または約100?約155)のリポ酸と、
(vii)少なくとも約50ppm(または、約50ppm?約500ppm、または約200ppm?約500ppm、または約200ppm?約350ppm)のカルニチン、
のうちの少なくとも1つ、を含む。」

(2d)[0059]
「さらなる実施形態では、本発明は、以下の表IAに示されるような成分を含む組成物を動物(例えば、場合によっては、小型種の、中型種の、または大型種のイヌあるいはネコ)に給餌することを含む、高齢または超高齢の動物の生活の質を改善するための方法を提供する。


(2e)[0087]?[00131](実施例1?5)
「[0087] 本発明は、以下の実施例によって、さらに例証され得るが、これらの実施例は、例証目的のためだけに含まれるにすぎず、別途具体的に示されない限り、発明の範囲を限定するように意図されるものではないことを理解されるであろう。

実施例1
[0088] 高齢または超高齢の中型種のあるいは小型種のイヌのために調合される組成物を表2に示す。


・・・
[0090] ・・・
実施例4
対照対超高齢のペット用食物のゲノム分析
[0091] 本発明の超高齢のペット用食物組成物の栄養効果をさらに特性化するために、対照動物と比較して、組成物を給餌された動物からの遺伝子発現プロファイルをアッセイし、その結果を以下に詳述する。

材料および方法:
研究設計:
[0092] 14日間、Super Senior K9食餌を給餌前および後に、従来の方法によって、9匹のビーグル犬から血液試料を採血する(全18試料)。14日間の試験後に採取された各試料を、その対照と比較する。

イヌ血液からのリンパ球の単離
・・・
[00118] ・・・
RNAプローブ調製および混成
・・・
遺伝子発現分析:
[00122] ・・・分析される遺伝子の発現レベルは、以下の実施例に含まれる表に示される(上向矢印は、遺伝子発現における「上方調節」または増加を指し、下向矢印は、「下方調節」を示す)。同様に、いくつかの表中、上向または下向矢印もまた、一目瞭然のように、特定の経路に関与する、あるタンパク質の活性の増加あるいは減少を示す。

遺伝子リストの選択:
[00123] 18の試料中少なくとも9つにおけるその「存在」判定に基づいて、15,411の遺伝子が、さらなる分析用に選択される。
[00124] 遺伝子チップ分析の結果は、1088の遺伝子が、対照と超高齢用食餌治療群との間で異なって発現することを示す。これらの1088の遺伝子の発現レベルは、分散が等しくならないことが想定される、パラメータ試験(Welch t試験)を使用して、「食餌」別にグループ化すると、統計的に有意となる。p値カットオフは、0.01であって、多重検定の補正を伴わない。それらの選択基準を使用すると、約154の遺伝子のみ、偶然にも、制限を通過することが予測されるであろう。ゲノムデータは、以下に詳述される。

結果:
疼痛および炎症と関係する遺伝子に及ぼす栄養素の効果

[00125] 遺伝子チップデータの分析に基づいて、P<0.01レベル時の変化した1,088の遺伝子の発現レベルを対照発現レベルと比較した(10は、上方調節され、残りは、下方調節された)。P<0.001レベル時、データは、35の遺伝子の発現が、超高齢用食物を給餌されたビーグル犬において、下方調節されたことを示す。これらの下方調節された遺伝子のうち9つは、炎症および疼痛反応に関連するものと同定される。これらの遺伝子の下方調節は、疼痛緩和、軟骨保護(損傷減)、および炎症反応の減少をもたらすと予測され得る。本明細書に開示される組成物は、疼痛および/または炎症疾患に罹患している動物を治療するための治療的療法の一部であり得る。これらの遺伝子および炎症および疼痛反応におけるその推定される役割は、以下の表5?6に提供される。 ・・・


・・・
[00129] ・・・
実施例5
老化プロセスと関係する遺伝子の遺伝子発現プロファイルの比較:対照食餌対超高齢用食餌と比較した健康な成齢のイヌ対高齢のイヌ
[00130] イヌの遺伝子発現プロファイルは、成齢のイヌから老齢(高齢)のイヌとなるイヌの老化に伴って変化する。これは、例えば、ブドウ糖代謝、血液凝固および骨、ならびに筋肉保全性等の多数の生物学的経路と関係する遺伝子だけではなく、老化プロセス、または一般に、加齢と関係する遺伝子にも当てはまる。本種類の「老化」関係遺伝子に関して、我々は、本発明による超高齢用食餌を高齢イヌに給餌することによって、リンパ球内のこれらのうちのちのある遺伝子の遺伝子発現プロファイルは、老齢のイヌのものから、成齢のイヌのプロファイルに近似するようになる傾向にあることを見出した。したがって、本発明による超高齢用食餌を給餌された老齢のイヌは、その遺伝子プロファイルを健康な成齢のイヌの遺伝子プロファイルにより近似させるよう改変させることが可能である。
[00131] 以下の表15-20に示される結果は、老化プロセスによって正常に改変された遺伝子が、一般的老化変化において標的とされる栄養的戦略を通して調節可能であることを示す。具体的には、結果は、超高齢用食餌が給餌されると、老齢の動物における発現レベルと比較した場合、概して、リンパ球内の遺伝子の発現レベルが健康な成齢の動物における発現レベルのように反対方向に移行することを示す。すなわち、健康な成齢の動物における発現レベルが、老齢の動物と比較して高い(すなわち、老齢の動物では「下方調節されている」)場合、超高齢用食餌が給餌された老齢の動物もまた、対照食餌を給餌された老齢の動物と比較して、概して、より高い発現レベルを有する(「上方調節される」ように改変される)。同様に、健康な成齢の動物における発現レベルが、老齢の動物と比較して低い(老齢の動物において「上方調節されている」)場合、超高齢の用食餌が給餌された老齢の動物もまた、対照食餌が給餌された老齢の動物と比較して、概して、より低い発現レベルを有する(「下方調節される」ように改変される)。したがって、老齢のイヌにおける老化関連遺伝子の発現レベルは、老齢のイヌが本発明の超高齢用食餌を給餌されると、有益に改変され得、したがって、イヌに生活の質の改善がもたらされ得る。




(2)引用例Bに記載された発明
(1)に示した引用例B(上記(2c)の [0049])には、「イヌの生活の質を向上させるために有効量の組成物を超高齢の中型種のまたは小型種のイヌに給餌する」方法であって、該組成物が、
「(a)(i)少なくとも約0.02%・・・DHAと、
(ii)少なくとも約0.1%・・・EPA、
のうちの少なくとも1つと、
(b)少なくとも約9%・・・のタンパク質と、
(c)少なくとも約7%・・・の脂肪と、
(d)
(i)少なくとも約250IU/kg(または、約250IU/kg?約1500IU/kg、または約500IU/kg?約1500IU/kg、または約500IU/kg?約1000IU/kg)のビタミンEと、
(iv)少なくとも約50ppm(または、約50ppm?約500ppm、または約100ppm?約500ppm、または約100ppm?約301ppm)のビタミンCと、
(v)少なくとも約600ppm(または、約600ppm?約2400ppm、または約1260ppm?約2400ppm、または約1260ppm?約1545ppm)のタウリンと、
(vi)少なくとも約50ppm(または、約50ppm?約200ppm、または約100?約160、または約100?約155)のリポ酸と、
(vii)少なくとも約50ppm(または、約50ppm?約500ppm、または約200ppm?約500ppm、または約200ppm?約350ppm)のカルニチン、
のうちの少なくとも1つ、を含む。」が、記載されている。

また、上記条件に合致する具体例として、引用例Bの表IA(上記(2d)[0059])には、
DHAが0.22%(上記(a)(i)成分に相当)、
EPAが0.32%(同(ii)成分に相当)、
粗タンパク質が20.1%(上記(b)成分に相当)、
脂肪が16.45%(上記(c)成分に相当)、
ビタミンE1492IU/kg(上記(d)(i)の「少なくとも約250IU/kg(または、約250IU/kg?約1500IU/kg・・・)のビタミンE」成分に相当)、
ビタミンC127ppm(同(iv)の「少なくとも約50ppm(または、約50ppm?約500ppm・・・)のビタミンC」成分に相当)、
タウリン1400ppm(同(v)の「少なくとも約600ppm(または、約600ppm?約2400ppm・・・)のタウリン」成分に相当)、
リポ酸101ppm(同(vi)の「少なくとも約50ppm(または、約50ppm?約200ppm・・・)のリポ酸」成分に相当)、
カルニチン314ppm(同(vii)の「少なくとも約50ppm(または、約50ppm?約500ppm・・・)のカルニチン」成分に相当)、
が、含まれている超高齢用小型/中型イヌ用の食物組成物を、「動物(・・・小型種の、中型種の・・・イヌ・・・)に給餌することを含む、高齢または超高齢の動物の生活の質を改善するための方法」が記載されている(表IA(上記(2d)[0059]))。
そうすると、引用例Bの「イヌの生活の質を向上させるために有効量の組成物を超高齢の中型種のまたは小型種のイヌに給餌する」方法に使用される食餌組成物には、その態様として、上記(d)成分が、上記(i)、(iv)?(vii)の全てを含む場合が含まれていると認められる。

してみると、引用例Bには、
「小型種或いは中型種の高齢または超高齢のイヌの生活の質を改善するための方法であって、イヌに、
(a)(i)少なくとも約0.02%のDHA、
(ii)少なくとも約0.1%のEPA、
(b)少なくとも約9%のタンパク質、
(c)少なくとも約7%の脂肪、
(d)
(i)約250IU/kg?約1500IU/kgのビタミンEと、
(iv)約50ppm?約500ppmのビタミンCと、
(v)約600ppm?約2400ppmのタウリンと、
(vi)約50ppm?約200ppmのリポ酸と、
(vii)約50ppm?約500ppmのカルニチン、
を含む食物を給餌することを含む方法」
の発明(以下「引用例B発明」という。)が記載されていると認められる。

(3)本願発明と引用例B発明との対比
本願発明と引用例B発明とを対比すると、引用例B発明の「小型種或いは中型種の高齢または超高齢のイヌ」は、本願発明の「イヌ」に相当するし、引用例B発明の「(a)(i)」等の表記が、単に、便宜上のために記載されているに過ぎないことは明らかであるし、「約」のついた数字が当該数字自体を含むことも明らかであるから、本願発明と引用例B発明とは、
「イヌに、
50ppm?200ppmのリポ酸と、
ビタミンEと、
ビタミンCと、
カルニチン
を含む食餌を与えることを含む方法」
で一致し、次の点で相違する。(なお、以下において、引用例B発明の(a)(i)等の表記は省略した。)
<相違点>
(1)本願発明の方法は、「イヌの炎症を抑制もしくは予防し、および/または炎症状態を緩和する方法」であるのに対し、引用例B発明は「イヌの生活の質を改善するための方法」である点(以下、「相違点1」という。)
(2)本願発明の方法においては、イヌに与えられる食餌中のビタミンE、ビタミンC、カルニチンの含量について、「500?2000IU/kgのビタミンE」、「40?200ppmのビタミンC」、「50?300ppmのカルニチン」と特定されているのに対し、引用例B発明においては、それぞれの成分が、「約250IU/kg?約1500IU/kgのビタミンE」、「約50ppm?約500ppmのビタミンC」、「約50ppm?約500ppmのカルニチン」と特定されている点。(以下、「相違点2」という。)
(3)本願発明の方法においては、イヌに与えられる食餌が、さらなる成分として、「乾燥物質基準で1?10%の野菜ブレンド」を含有することが特定されているのに対し、引用例B発明の方法においては、かかる成分についての特定はない一方で、さらになる成分として、食餌が、「少なくとも約0.02%のDHA」、「少なくとも約0.1%のEPA」、「少なくとも約9%のタンパク質」、「少なくとも約7%の脂肪」、及び、「約600ppm?約2400ppmのタウリン」を含むことが特定されている点(以下、「相違点3」という。)

(4)判断
相違点について検討する。
(i)相違点1について
引用例Bには、引用例B発明の「イヌの生活の質を改善するための方法」に関し、「本明細書で使用されるとき、動物の生活の質を「改善させる」または「向上させる」とは、・・・から選択される、1つ以上の特性の改善または向上を指す。加えて、・・・炎症反応・・・、ならびに電子伝達における改善/向上もまた、想定される。」((上記(2b)[0033])、「本発明は、高齢または超高齢の動物の生活の質を改善あるいは向上させるための・・・方法を包含する。・・・方法は、動物において、血液凝固と血小板活性化および凝集、・・・炎症反応・・・および電子伝達経路から選択される、1つ以上の生物学的経路を改善するために有用であって、そのような改善はまた、ゲノムレベルでの有益な全体的変化にも反映される。」(同[0039])と記載されていることから、引用例B発明の「イヌの生活の質を改善するための方法」には、「イヌの炎症反応を改善する方法」が包含されているといえ、また、そのような改善は、「ゲノムレベルでの有益な全体的変化にも反映される」といえる。
また、上記の記載に加えて、引用例Bの特許請求の範囲(上記(2a))において、「高齢または超高齢のペット動物の老化プロセスと関係する生物学的機能を調節するための方法」に関する請求項1を引用する請求項25に、「前記方法は、前記動物の生活の質を向上させるために有効量の前記組成物を前記動物に給餌することを含み、生活の質の向上は、炎症・・・から選択される、生物学的経路と関係または関連するタンパク質をコードする、1つ以上の老化遺伝子の発現における有益な変化によって明らかとされる」と記載されていることに鑑みれば、引用例Bにおいては、「高齢または超高齢の動物の生活の質を改善あるいは向上させる」ことは、「高齢または超高齢のペット動物の老化プロセスと関係する生物学的機能を調節する」ことと同義であると認められる。
そして、引用例Bには、具体例として、実施例4に、14日間、Super Senior K9食餌を給餌したビーグル犬(これは、「小型種或いは中型種のイヌ」に相当すると認められる。)からの血液試料のゲノム分析結果が記載され、「疼痛および炎症と関係する遺伝子に及ぼす栄養素の効果」に関し、超高齢用食物を給餌されたビーグル犬において「下方調節された遺伝子のうち9つは、炎症および疼痛反応に関連するものと同定される。これらの遺伝子の下方調節は、疼痛緩和、軟骨保護(損傷減)、および炎症反応の減少をもたらすと予測され得る。本明細書に開示される組成物は、疼痛および/または炎症疾患に罹患している動物を治療するための治療的療法の一部であり得る。これらの遺伝子および炎症および疼痛反応におけるその推定される役割は、以下の表5?6に提供される」(上記(2e)[00125])と記載され、表6に、「エイコサノイド経路(炎症反応)に関与する下方調節酵素」として下方調節された遺伝子と、その想定される役割が記載されている。
ここで、実施例4でビーグル犬に給餌された「Super Senior K9」食餌自体の組成は、必ずしも明らかではないが、引用例Bの[0001]に、「本発明は、・・・オメガ-3多価不飽和脂肪酸を含有する食物組成物を使用することに関する。」と記載されているし、引用例Bの実施例1に、「高齢または超高齢の中型種のあるいは小型種のイヌのために調合される組成物を表2に示す。」(同[0088])として記載されている組成によれば、食餌には、少なくとも、特徴的な原料成分として、「オメガ脂肪」が含まれていると認められるから、実施例4でビーグル犬に給餌された「Super Senior K9」食餌には、オメガ脂肪である「オメガ-3多価不飽和脂肪酸」(これには、EPA及びDHAが含まれる。)が含まれていると認められる。そうすると、引用例Bの記載に接した当業者は、「少なくとも約0.02%のDHA」及び「少なくとも約0.1%のEPA」も含む引用例B発明の食餌を給餌することで、イヌの炎症反応が改善できることを期待できると認められる。
さらに、実施例5には、「老化プロセスと関係する遺伝子の遺伝子発現プロファイルの比較」が具体的に記載され、「炎症と関係する老化遺伝子」と題する表15の結果等に基づいて、「老齢のイヌにおける老化関連遺伝子の発現レベルは、老齢のイヌが本発明の超高齢用食餌を給餌されると、有益に改変され得、したがって、イヌに生活の質の改善がもたらされ得る。」と記載されている(同[00131])。

してみると、引用例Bには、「イヌの生活の質を改善するための方法」が、「炎症疾患に罹患している動物(イヌ)を治療するための治療的療法」である場合についての明確な示唆があるといえる。そして、「炎症疾患に罹患している動物(イヌ)を治療するための治療的療法」は、本願発明の「イヌの炎症を抑制もしくは予防し、および/または炎症状態を緩和する方法」に相当すると認められるから、引用例B発明の方法を、炎症疾患に罹患しているイヌを治療するための方法に適用し、「イヌの炎症を抑制もしくは予防し、および/または炎症状態を緩和する方法」とすることは、当業者が容易になし得ることであると認められる。

(ii)相違点2について
引用例B発明の方法において、イヌに与えられる食餌中のビタミンE、ビタミンC及びカルニチンの含量は、その含量範囲が本願発明と重複関係にあるし、本願明細書の記載を検討しても、本願発明の方法においてイヌに与えられる食餌中のビタミンE、ビタミンC及びカルニチンについての数値限定に、格別の臨界的意義があるとも解されないから、相違点2は、実質的に相違点とはならないと認められる。
仮に、相違点であるとしても、食餌中の各成分は、引用例Bの示唆の範囲内で、イヌの種類や年齢等によって当業者が適宜調整し得るものであるから、引用例B発明において、イヌに与えられる食餌中のビタミンE、ビタミンC、カルニチンの含量を、「500?2000IU/kgのビタミンE」、「40?200ppmのビタミンC」、「50?300ppmのカルニチン」を満足する組成の食餌とすることは、当業者が容易になし得ることであると認められる。

(iii)相違点3について
イヌに与えられる食餌について、引用例B発明の方法の食餌中の他の成分を含有する点が、本願発明においては特定されていない点については、本願発明の方法では、食餌について、「・・リポ酸、・・ビタミンE、・・ビタミンC、・・カルニチン、および・・を含む」と規定されており(下線は審判合議体による。)、他の食餌成分を含む場合の態様を包含していると認められるから、引用例B発明が他の成分を含有する点は、実質的には相違点にはならない。このことは、本願明細書において、本願発明の方法において使用される食餌が、15-25%の粗タンパク質、10-20%の脂肪等を含む旨記載されていること(【0007】の表1)や、本願明細書の実施例において、引用例Bの請求項4の記載(上記(1)の(2a))からも、DHAやEPAがその代表例であることが明らかな「オメガ3脂肪酸」が、本願明細書において、実施例の食餌として記載されていることからも明らかである(【0010】)。
さらに、引用例B発明において、イヌに与えられる食餌を、「乾燥物質基準で1?10%の野菜ブレンド」を更に含有するものとする点については、引用例B発明の食餌に含有される、リポ酸、ビタミンE、ビタミンC、カルニチン、タウリンは、いずれも、食餌中の抗酸化物質として配合されているものであるところ(引用例Bについての、上記(2a)の請求項4及び10の記載参照。)、引用例Bには、食餌に含ませることのできる抗酸化物質に関し、「1つ以上の抗酸化物質を有用レベルで含有する食物の例として、イチョウ、緑茶、ブロッコリー、柑橘類果肉、葡萄搾汁かす、トマト搾汁かす、人参、ホウレン草、および様々な果物類食餌および野菜類食餌が挙げられるが、それらに限定されない。」(上記(2b)[0029]、なお、下線は、当審合議体による。)と記載されており、食餌中に、野菜ブレンドを添加することも示唆されているといえる。
また、配合量についても、例えば、引用例Bの請求項15に、高齢または超高齢の小型種のあるいは中型種のイヌの食餌として、「約60?約70重量%の炭水化物と、動物性タンパク質および植物性タンパク質から選択される、約15?約25重量%のタンパク質と、動物性および植物性脂肪から選択される、約5?約7重量%の脂肪と、約2.5?約4重量%の少なくとも1つのオメガ-3多価不飽和脂肪酸と、約1?約2重量%の繊維と、約1?約2重量%のミネラルと、約0.5?約1.5重量%のビタミン」なる記載がなされている(上記(2a))ことからみて、本願発明の範囲とする点に格別の困難性は見いだせない。
したがって、引用例B発明において、イヌに与えられる食餌を、「乾燥物質基準で1?10%の野菜ブレンド」も含有するものとすることは、当業者が容易になし得ることであると認められる。

(iv)本願発明の効果について
引用例Bには、具体例として、実施例4に、14日間、Super Senior K9食餌を給餌したビーグル犬(これは、「小型種或いは中型種のイヌ」に相当すると認められる。)からの血液試料のゲノム分析結果が記載され、「疼痛および炎症と関係する遺伝子に及ぼす栄養素の効果」に関し、超高齢用食物を給餌されたビーグル犬において「下方調節された遺伝子のうち9つは、炎症および疼痛反応に関連するものと同定される。これらの遺伝子の下方調節は、疼痛緩和、軟骨保護(損傷減)、および炎症反応の減少をもたらすと予測され得る。本明細書に開示される組成物は、疼痛および/または炎症疾患に罹患している動物を治療するための治療的療法の一部であり得る。これらの遺伝子および炎症および疼痛反応におけるその推定される役割は、以下の表5?6に提供される」(上記(2e)[00125])と記載され、表6に、「エイコサノイド経路(炎症反応)に関与する下方調節酵素」として下方調節された遺伝子と、その想定される役割が記載されている。
ここで、実施例4でビーグル犬に給餌された「Super Senior K9」食餌自体の組成は、必ずしも明らかではないが、引用例Bの[0001]に、「本発明は、・・・オメガ-3多価不飽和脂肪酸を含有する食物組成物を使用することに関する。」と記載されているし、引用例Bの実施例1に、「高齢または超高齢の中型種のあるいは小型種のイヌのために調合される組成物を表2に示す。」(同[0088])として記載されている組成によれば、少なくとも、特徴的な原料成分として、「オメガ脂肪」が含まれていると認められるから、実施例4でビーグル犬に給餌された「Super Senior K9」食餌には、オメガ脂肪である「オメガ-3多価不飽和脂肪酸」が含まれていると認められる。
そうすると、引用例Bの記載に接した当業者は、「オメガ-3多価不飽和脂肪酸」(これには、EPA及びDHAが含まれる。)を含む食餌を給餌することで、イヌの炎症反応が改善できること(すなわち、本願発明でいうところの、「イヌの炎症を抑制もしくは予防し、および/または炎症状態を緩和する」ことができること)を理解できるといえ、「オメガ-3多価不飽和脂肪酸」として、
「(a)(i)少なくとも約0.02%のDHA、(ii)少なくとも約0.1%のEPA」を含み、更に、
「(b)少なくとも約9%のタンパク質、
(c)少なくとも約7%の脂肪、
(d)
(i)約250IU/kg?約1500IU/kgのビタミンEと、
(iv)約50ppm?約500ppmのビタミンCと、
(v)約600ppm?約2400ppmのタウリンと、
(vi)約50ppm?約200ppmのリポ酸と、
(vii)約50ppm?約500ppmのカルニチン、
を含む」引用例B発明の「食物」の場合においても、イヌの炎症を抑制もしくは予防し、および/または炎症状態を緩和できることを予測できるといえる。

ここで、イヌの炎症を抑制もしくは予防し、および/または炎症状態を緩和する方法において投与される食餌を、本願発明のように、リポ酸、ビタミンE、ビタミンC、及びカルニチンを特定量含み、かつ、野菜ブレンドを特定量含む食餌とすることで奏される効果が、引用例B発明の食物を与えた場合に比べて、当業者の予測を超える程度のものであるといえるかについても検討する。
3.(4)の(iv)で述べたとおり、本願発明の効果に関し、本願明細書(実施例)の記載からは、対照である維持食と比べ、本願発明で特定される食餌成分の他に、更に、「高レベルのオメガ3脂肪酸」も含まれる被験食(【0010】)、あるいは、「ビタミンC」を含有するか否かが被験食、対照食共に不明の食餌(【0015】の表1)を高齢のイヌに摂取させたこと、及び、被験食を与えた高齢のイヌは、血漿炎症マーカーであるIL-4、IL-10、IL-6、KCおよび総サイトカインが減少したことは理解できるが、上記本願明細書の記載は、「50?200ppmのリポ酸、500?2000IU/kgのビタミンE、40?200ppmのビタミンC、50?300ppmのカルニチン、および乾燥物質基準で1?10%の野菜ブレンドを含む食餌」とすることによる、本願発明の特有の効果を、適切に確認できるものになっているとはいえない。
その上、本願明細書の実施例では、上述のとおり、効果を、血漿中の炎症マーカーである、IL-4、IL-10、IL-6、KCおよび総サイトカイン含有量の平均値の変化についてのt-検定の結果により確認している一方、引用例Bにおいては、イヌの炎症反応の改善効果は、上述のとおり、オメガ脂肪酸を含むと認められるが、引用例B発明の食物と同じ組成であるかは不明であるSuper Senior K9食餌を与え、イヌの血液試料中の炎症と関係する遺伝子の発現の変化をゲノム解析することで確認されており(上記(2e)の表6及び表15)、当該確認方法は、本願明細書において効果を確認するために行われたものとは試験法が異なっているために、本願明細書に記載の効果と引用例B発明の効果の程度の差異を直接比較することはできない。
そうすると、本願発明が、引用例B発明の食物をイヌに与えることで奏される効果と比較して、有利な効果を有していることは、本願明細書の記載から、当業者は理解し得ない。

しかも、本願明細書には、3.(4)の(iv)に記載したとおりの記載があり、本願発明は、「リポ酸」を含む食餌であることでイヌの炎症を抑制もしくは予防し、および/または炎症状態を緩和するとの技術的思想に基づく発明といえるところ、引用例B発明の方法で与えられる食物は、オメガ脂肪酸であるEPAやDHAの他に、本願明細書において、イヌの炎症を抑制もしくは予防し、および/または炎症状態を緩和する効果を奏する成分として着目していた「リポ酸」が、本願発明の方法の食餌と同程度含まれており、更に、ビタミンE、ビタミンC、カルニチンも含まれているのであるから、この点でも、本願発明の効果が、引用例B発明の効果に比べて格別顕著であるとは、当業者は理解できない。

以上のとおり、本願発明の効果は、引用例Bの記載から当業者が予測し得る範囲を超えた、格別なものとは認められない。

(v)請求人の主張について
請求人は、審判請求書の請求の理由についての平成27年1月8日付けの手続補正書(方式)の(b)(i)において、以下の主張をしている。
「・・・引例1に記載された発明において必須の成分は、該引例1の請求項1の記載から判るようにタンパク質、脂肪、オメガ-3多価不飽和脂肪酸である。よって本願発明とは異なり、リポ酸、ビタミンE、ビタミンC、カルニチン、および野菜ブレンドは引例1記載の発明において必須の成分ではない。
・・・引例1の表1Aに開示されているのは、17種類もの成分を含んでいる組成物である。そのような多くの成分を含んでいる組成物の開示から当業者が、リポ酸、ビタミンE、ビタミンC、およびカルニチンという本願請求項1に規定された特定の酸化防止剤の組み合わせを選択できたとは考えられない。更に本願請求項1でイヌに投与される食餌は野菜ブレンドを含んでいるが、引例1には野菜ブレンドを含む組成物は開示されていない。・・・
目的とする用途・効果という点に関して、引例1には多くの生物学的な効果が記載されている。・・・引例1の方法は格別に炎症の抑制効果に注目したものではない。・・・本願発明と引例1では用途・効果が異なっていることを考慮すると、該引例の開示が当業者に、本願請求項1に規定されている含有量の範囲について何らの示唆・教示を与えるとは考えられない。
以上述べてきたように引例1から本願請求項1記載の発明が容易であったとは考えられない。」

しかしながら、既に述べたとおり、引用例B(請求人のいうところの引例1)には、「リポ酸、ビタミンE、ビタミンC、カルニチン」を含む食餌が記載されていると認められるし、これを野菜ブレンドを含むものとすることが容易であることも既に(iii)で述べたとおりある。また、(ii)で述べたとおり、引用例B発明が他の成分も含有している点は、実質的には相違点にはならない。さらに、引用例Bの記載から、少なくともオメガ3脂肪酸(EPA及びDHA)を含む引用例B発明における食餌が、イヌに投与された場合に炎症反応を低下させることができると解されることは、既に(i)で述べた通りであるし、一方、(iv)で述べたとおり、本願発明の効果は、引用例Bの記載から当業者が予測し得る範囲を超えた、格別なものとは認められないのであるから、請求人の主張は採用できない。

(vi)小結
以上のとおり、本願発明は、引用例B発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上述べたとおり、本願発明(本願請求項1に係る発明)は、引用例Aに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
また、本願発明は引用例Bに記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、他の請求項について検討するまでもなく、本願については拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-02-19 
結審通知日 2016-02-22 
審決日 2016-03-09 
出願番号 特願2013-510203(P2013-510203)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 福永 千尋  
特許庁審判長 蔵野 雅昭
特許庁審判官 渕野 留香
安川 聡
発明の名称 愛玩動物の炎症を抑制および予防し、炎症状態を緩和する方法  
代理人 小林 泰  
代理人 竹内 茂雄  
代理人 辻本 典子  
代理人 山本 修  
代理人 小野 新次郎  
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