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審決分類 |
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 取り消して特許、登録 H04W 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W |
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管理番号 | 1317454 |
審判番号 | 不服2015-2571 |
総通号数 | 201 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-09-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-02-10 |
確定日 | 2016-08-16 |
事件の表示 | 特願2013- 40590「移動端末装置および送信方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 5月23日出願公開、特開2013-102551、請求項の数(5)〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成22年8月16日(国内優先権主張 平成22年2月15日)を出願日とする特願2010-181684号の一部を,平成25年3月1日に新たな出願としたものであって,平成26年2月13日付けで拒絶理由が通知され,同年4月16日に手続補正がなされたが,同年10月30日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,平成27年2月10日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに,同日付けで手続補正がなされたものである。 第2 補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成27年2月10日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正後の本願発明 平成27年2月10日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)は,特許請求の範囲の請求項1を以下のように補正することを含むものである。(以下これを,「補正後の本願発明」という。) 「 システム帯域を複数のコンポーネントキャリアで構成可能な移動通信システムにおいて,1つ又は複数のコンポーネントキャリアを介して基地局装置と無線通信する移動端末装置であって, 上りリンクに複数のコンポーネントキャリアが割り当てられた場合に,前記複数コンポーネントキャリアのいずれかに上り制御情報信号を多重する多重部と, 前記複数コンポーネントキャリアの総送信電力を,規定送信電力以下とするように送信電力を制御する送信電力制御部と, 前記基地局装置に上りリンクに割り当てられた前記コンポーネントキャリアを介して上りリンク信号を送信する送信部と,を備え, 前記送信電力制御部は,前記総送信電力が前記規定送信電力を超える場合に,前記上り制御情報信号が多重された前記コンポーネントキャリアに対して所望の送信電力を割り当て,他のコンポーネントキャリアの送信電力を所望の送信電力から一律に低減することにより前記総送信電力が前記規定送信電力を超えないように制御し,さらに前記他のコンポーネントキャリアの送信電力を0にしても前記総送信電力が前記規定送信電力を超える場合に,前記上り制御情報信号が多重されたコンポーネントキャリアの送信電力を低減することを特徴とする移動端末装置。」 2.新規事項の有無について 補正後の本願発明は,「前記送信電力制御部は,前記総送信電力が前記規定送信電力を超える場合に,前記上り制御情報信号が多重された前記コンポーネントキャリアに対して所望の送信電力を割り当て,他のコンポーネントキャリアの送信電力を所望の送信電力から一律に低減することにより前記総送信電力が前記規定送信電力を超えないように制御」するという事項を含むものである。 ここで,願書に最初に添付した明細書(以下,「出願当初の明細書」という。),特許請求の範囲(以下,「出願当初の特許請求の範囲」という。)又は図面(以下,「出願当初の図面」という。)(以下,これらをまとめて「出願当初の明細書等」という。)のうち,「コンポーネントキャリア」に対する送信電力の制御について記載があるのは,出願当初の明細書の段落【0073】ないし【0077】,【0081】,出願当初の特許請求の範囲の【請求項1】ないし【請求項6】,及び,出願当初の図面の図12(a)ないし(c)のみである。しかしながら,これらの記載を含め,出願当初の明細書等には,他のコンポーネントキャリアの送信電力を所望の送信電力から低減する処理を「一律」に行うことは,記載されていない。また,出願当初の図面の図12(b)には,図12(a)の記載に比して,「他のコンポーネントキャリア」に相当するCC#2とCC#3の送信電力が,同程度に低減されている様子が見てとれる。しかしながら,図面は,寸法が付記されているなど特別な事情がない限り,実際の寸法を反映したものとはいえないから,出願当初の図面の図12(a)及び図12(b)の記載から直ちに,「他のコンポーネントキャリア」の送信電力を「一律」に低減することを導き出すことはできない。また,「他のコンポーネントキャリア」の送信電力を低減する場合に,「一律」に低減することが,出願時の技術常識であったとも認められない。 そうすると,出願当初の明細書等には,「前記送信電力制御部は,前記総送信電力が前記規定送信電力を超える場合に,前記上り制御情報信号が多重された前記コンポーネントキャリアに対して所望の送信電力を割り当て,他のコンポーネントキャリアの送信電力を所望の送信電力から一律に低減することにより前記総送信電力が前記規定送信電力を超えないように制御」するという事項は記載されておらず,そのような事項を付加する補正を含む本件補正は,当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものである。 したがって,本件補正は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲または図面に記載した事項の範囲内においてしたものではないから,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 3.むすび 以上のとおり,本件補正は,特許法第17条の2第3項(新規事項)の規定に違反するので,特許法第159条第1項の規定で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 平成27年2月10日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の特許請求の範囲は,平成26年4月16日付けで手続補正された特許請求の範囲となり,その請求項1ないし5に係る発明は,特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 そして,本願については,原査定の拒絶の理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また,ほかに本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2016-08-01 |
出願番号 | 特願2013-40590(P2013-40590) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H04W)
P 1 8・ 561- WY (H04W) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 久松 和之、東 昌秋、篠田 享佑 |
特許庁審判長 |
大塚 良平 |
特許庁審判官 |
山中 実 林 毅 |
発明の名称 | 移動端末装置および送信方法 |
代理人 | 青木 宏義 |
代理人 | 守屋 芳隆 |
代理人 | 天田 昌行 |