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審決分類 |
審判 査定不服 特39条先願 特許、登録しない。 C07D |
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管理番号 | 1317691 |
審判番号 | 不服2015-2949 |
総通号数 | 201 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-09-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-02-16 |
確定日 | 2016-08-03 |
事件の表示 | 特願2013-149167「C型肝炎の治療に有用な化合物の合成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年11月14日出願公開、特開2013-231072〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2008年7月31日〔パリ条約による優先権主張外国庁受理2007年8月8日(US)米国〕を国際出願日として出願した特願2010-520174号の一部を、平成25年7月18日に新たな特許出願として出願したものであって、 平成25年8月16日付けで手続補正がなされ、平成26年7月9日付けの拒絶理由通知に対して、平成26年9月25日付けで意見書の提出がなされるとともに手続補正がなされ、 平成26年10月8日付けの拒絶査定に対して、平成27年2月16日付けで審判請求がなされたものである。 第2 本願発明 本願の発明は、平成26年9月25日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものであって、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 式: 【化1】 の化合物または医薬的に許容されるその塩の製造方法であって; (a)式(3): 【化2】 (式中、LGは脱離基である) の化合物を式(4): 【化3】 (式中、PGは窒素保護基である) の化合物と反応させること; (b)酢酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、スルファミン酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、またはアンモニアから選択される試薬で工程(a)の生成物を処理すること; および、 (c)脱保護剤で工程(b)の生成物を処理すること、 を含む方法。」 第3 原査定の理由 原査定の拒絶の理由は、「この出願については、平成26年7月9日付け拒絶理由通知書に記載した理由1によって、拒絶をすべきものです。」というものである。 そして、当該「平成26年7月9日付け拒絶理由通知書」には、理由1として『1.この出願の下記の請求項に係る発明は、同日出願された下記の出願に係る発明と同一と認められ、かつ、下記の出願に係る発明は特許されており協議を行うことができないから、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない。』との理由が示されるとともに、その下記の欄の「備考」には「分割出願である本願の原出願であって、すでに特許査定された特願2010-520174号の請求項1?22に係る発明は、本願の請求項1?4に係る発明と同一である。」との指摘がされている。 第4 当審の判断 1.同日発明 原査定で引用された「特願2010-520174号」の出願(以下「同日出願」という。)は、分割出願である本願の原出願であって、平成25年7月26日に特許第5324574号として設定登録されたものである。 そして、この同日出願に係る発明は、特許公報に掲載された特許請求の範囲の請求項1?22に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1及び2に係る発明は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 式(7): 【化1】 [式中、 nは0、1、または2であり; sは0、1、2、3、または4であり; uおよびvは各々独立して、0、1、2、または3から選択され; XはO、S、S(O)、SO_(2)、CH_(2)、CHR^(5)、またはC(R^(5))_(2)から選択されるが;ただし、 nが0である場合、XはCH_(2)、CHR^(5)、またはC(R^(5))_(2)から選択され; R^(1)およびR^(2)は各々独立して、アルコキシ、アルキル、またはハロから選択され;そして、 sが2、3、または4である場合、環上の各R^(5)は独立して、アルコキシ、アルキル、またはアリールから選択され、ここで、該アルキルは隣接する炭素原子と共に縮合した3-から6-員環を適宜形成することができる(該3-から6-員環は1または2個のアルキル基で適宜置換されている)が;ただし、 該イミダゾール環を置換する2つのヘテロ環は同一である] の化合物または医薬的に許容されるその塩の製造方法であって; (a)式(3): 【化2】 (式中、 u、v、R^(1)、およびR^(2)は式(7)に記載の通りであり; そして、 LGは脱離基である) の化合物を式(4): 【化3】 (式中、PGは窒素保護基である) の化合物と反応させること; (b)酢酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、スルファミン酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、またはアンモニアから選択される試薬で工程(a)の生成物を処理すること; および、 (c)脱保護剤で工程(b)の生成物を処理すること、 を含む方法。 【請求項2】 nが1であり; sが0であり; uおよびvが各々0であり;そして、 XがCH_(2)である、 請求項1に記載の方法。」 2.本願発明と同日出願の請求項2に係る発明との対比・判断 (1)対比 本願発明と同日出願の請求項2に係る発明(以下「同日発明」という。)とを対比すると、両者は 『式:【化1】 の化合物または医薬的に許容されるその塩の製造方法であって; (a)式(3):【化2】 (式中、LGは脱離基である) の化合物を式(4):【化3】 (式中、PGは窒素保護基である) の化合物と反応させること; (b)酢酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、スルファミン酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、またはアンモニアから選択される試薬で工程(a)の生成物を処理すること; および、 (c)脱保護剤で工程(b)の生成物を処理すること、 を含む方法。』である点において一致し、次の(α)?(γ)の3つの点において一応相違する。 (α)式:【化1】が、本願発明においては「式:【化1】 」であるのに対して、同日発明においては「式(7):【化1】 [式中、nが1であり;sが0であり;uおよびvが各々0であり;そして、XがCH_(2)である;ただし、該イミダゾール環を置換する2つのヘテロ環は同一である]」である点。 (β)式(3):【化2】が、本願発明においては「式(3):【化2】 (式中、LGは脱離基である)」であるのに対して、同日発明においては「式(3):【化2】 (式中、u、v、R^(1)、およびR^(2)は式(7)に記載の通りであり;そして、LGは脱離基である)」である点。 (γ)式(4):【化3】が、本願発明においては「式(4):【化3】 (式中、PGは窒素保護基である)」であるのに対して、同日出願においては「式(4):【化3】 (式中、PGは窒素保護基である)」である点。 (2)判断 そこで、上記(α)?(γ)の相違点について検討する。 上記(α)の相違点について、同日発明の「式(7):【化1】」において、sが0である場合は「R^(5)」が存在しないこととなり、u及びvが各々0である場合は「R^(1)」及び「R^(2)」の各々が存在しないこととなり、nが1でxがCH_(2)である場合は式(7)の両末端のイミダゾール環を置換する2つのヘテロ環が同一の立体配置を有するピロリジン環を構成することとなる。 してみると、同日発明の「式(7):【化1】」を具体的に書き下すと「 」となるので、本願発明の「式:【化1】」と完全に合致する。 したがって、上記(α)の点について両者に相違はない。 上記(β)の相違点について、同日発明の「式(3):【化2】」において、u及びvは各々0となるから、その「R^(1)」及び「R^(2)」の各々は存在しないこととなる。 してみると、同日発明の「式(3):【化2】」を具体的に書き下すと「 」となるので、本願発明の「式(3):【化2】」と完全に合致する。 したがって、上記(β)の点について、両者に相違はない。 上記(γ)の相違点について、同日発明の「式(4):【化3】」において、sは0となるから、その「R^(5)」は存在しないこととなり、nが1でxがCH_(2)である場合はピロリジン環を構成することとなる。 してみると、同日発明の「式(4):【化3】」を具体的に書き下すと「 」となるので、本願発明の「式(4):【化3】」と完全に合致する。 したがって、上記(γ)の点について、両者に相違はない。 よって、本願発明は、同日発明と同一であり、かつ、同日発明は特許されており協議を行うことができないから、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない。 3.本願発明と同日出願の請求項1に係る発明との対比・判断 本願発明と同日出願の請求項1に係る発明とを対比すると、後者は発明特定事項に関して形式上又は事実上の選択肢を有するものであって、当該選択肢中のいずれか一のみを発明特定事項と仮定したときの発明である上記同日発明が、両者の対比を行ったときに発明特定事項に相違点がない。 してみると、本願発明と同日出願の請求項1に係る発明は、両者とも同一のものと認められる。 したがって、本願発明は、同日出願の請求項1に係る発明と同一であり、かつ、同日出願の請求項1に係る発明は特許されており協議を行うことができないから、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができない。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明は特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
審理終結日 | 2016-03-01 |
結審通知日 | 2016-03-08 |
審決日 | 2016-03-22 |
出願番号 | 特願2013-149167(P2013-149167) |
審決分類 |
P
1
8・
4-
Z
(C07D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 伊藤 幸司 |
特許庁審判長 |
井上 雅博 |
特許庁審判官 |
辰己 雅夫 木村 敏康 |
発明の名称 | C型肝炎の治療に有用な化合物の合成方法 |
代理人 | 鮫島 睦 |
代理人 | 森本 靖 |