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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
管理番号 1317789
審判番号 不服2015-16415  
総通号数 201 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-09-07 
確定日 2016-08-04 
事件の表示 特願2011- 64073「伝送端末、伝送方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成23年12月15日出願公開、特開2011-254453〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成23年3月23日(優先権主張平成22年5月6日)の出願であって、平成27年1月21日付けの拒絶理由の通知に対し、平成27年3月30日付けで手続補正がなされたが、平成27年6月4日付けで拒絶査定がなされた。
これに対し、平成27年9月7日に拒絶査定不服審判が請求され、請求と同時に手続補正がなされ、当審における平成28年3月9日付けの拒絶理由の通知に対し、平成28年5月16日付けで手続補正がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1ないし5に係る発明は、平成28年5月16日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
なお、A.?D.については、説明のために当審にて付したものである。(以下、「構成A」、・・・、「構成D」という。)

「A.所定の中継装置を経由して、インターネットを介して他の伝送端末へ、画像データ及び、前記他の伝送端末と共有する画面の表示データを送信する伝送端末であって、
B.前記伝送端末と前記他の伝送端末との間で前記中継装置を介して実行されるデータ伝送を管理する前記インターネットを介して前記伝送端末に接続された伝送管理システムによって認証される前記伝送端末と接続され且つ前記表示データを前記伝送端末に送信する外部入力装置から、前記表示データを受信する受信手段と、
C.前記伝送管理システムによる認証後に、前記伝送管理システムから通知される前記他の伝送端末の稼動状態がオンライン状態である前記他の伝送端末の中でユーザの操作に応じて選択された前記他の伝送端末に、前記受信手段で受信した前記表示データを前記中継装置を介して送信する送信手段と、
を有することを特徴とする
D.伝送端末。」

3.引用発明
当審の拒絶理由に引用された、特開2009-111640号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「情報送信方法および情報送受信表示方法」として、図面とともに以下の事項が記載されている。

ア.「【0002】
テレビ会議など、離れた場所にいる複数の参加人で電子データの会議資料を共有するとき、たとえば高精細大型モニタの表示領域の一部分または全体に会議資料を表示する方法がある。通信回線によって多地点が接続されてテレビ会議が実施される場合、会議資料は、通信回線によって接続されている地点に備えられているすべてのモニタに表示されるか、または予め選択されたモニタに表示される。」

イ.「【0028】
図1は、本発明の実施の一形態である情報送信方法および情報送受信表示方法を用いるテレビ会議システム1の構成およびそれを構成するテレビ会議端末10の構成を示すブロック図である。
【0029】
テレビ会議システム1は、ネットワーク9に接続される複数の通信装置であるテレビ会議端末装置(以下「テレビ会議端末」という)、たとえばテレビ会議端末10および第2?第4のテレビ会議端末12?14によって構成される。ネットワーク9は、LAN( Local Area Network)などの通信回線によって構成される。第2?第4のテレビ会議端末12?14を含む複数のテレビ会議端末は、テレビ会議端末10と同じ構成であり、以下、複数のテレビ会議端末の個々のテレビ会議端末を特定しないで説明する場合は、単にテレビ会議端末10という。
【0030】
テレビ会議端末10は、テレビ会議端末部100およびデータ読取部130を含む。テレビ会議端末部100は、制御部101、表示部102、撮影部103、集音部104、データ読込部105、操作部106、通信部107、多地点接続制御部110、および記憶部120を含んで構成され、テレビ会議を実現する。
【0031】
制御部101は、図示しないCPU(Central Processing Unit)ならびにそのCPUで実行されるプログラムを記憶する半導体メモリあるいはハードディスク装置などの図示しない記憶装置を含む。CPUおよび記憶装置は、一般的に用いられるものであり、説明は省略する。制御部101は、記憶装置に記憶されるプログラムをCPUで実行することによって、表示部102、撮影部103、集音部104、データ読込部105、操作部106、通信部107、多地点接続制御部110、および記憶部120を制御する。
【0032】
表示部102は、LCD(Liquid Crystal Display)あるいはCRT(Cathode Ray Tube)などの表示装置によって構成され、制御部101から指示される映像を表す映像情報、たとえば通信部107によって他のテレビ会議端末10から受信した映像情報などの情報を表示する。撮影部103は、テレビカメラなどの撮影装置によって構成され、他のテレビ会議端末10へ送信するための映像を撮影し、撮影した映像を表す映像情報を制御部101に送る。集音部104は、マイクロフォンなどの集音装置によって構成され、他のテレビ会議端末10へ送信するための音声を集音し、集音した音声を表す音声情報を制御部101に送る。制御部101は、撮影部103から受け取った映像情報および集音部104から受け取った音声情報、ならびに配布資料などの送信情報を、通信部107によって、他のテレビ会議端末10に送信する。図には示していないが、テレビ会議端末部100に含まれるスピーカなどの音出力装置によって、通信部107によって他のテレビ会議端末10から受信した音声情報を出力する。
【0033】
データ読込部105は、制御部101の指示によって、他のテレビ会議端末10へ送信するためのデータ、および後述する識別マークをデータ読取部130から読み込む。他のテレビ会議端末10へ送信するために読み込まれたデータは、制御部101を介して、記憶部120に含まれる一時記憶部126に記憶され、一時記憶部126に記憶された読み込まれたデータは、通信部107によって、制御部101を介して読み出されて他のテレビ会議端末10に送信される。識別マークは、制御部101を介して、識別マーク記憶部121に記憶される識別マークリスト22に登録される。
【0034】
操作部106は、たとえばテレビ会議端末10を操作するためのリモートコントロール(以下「リモコン」という)、マウス、およびキーボードによって構成され、設定操作、テレビ会議接続開始操作、および資料配付操作などの操作を行う。リモコンは、数字を入力するためのテンキー、表示部の画面に表示されるポインタを上下左右に移動させるための上下左右方向キー、およびポインタで選択した画面上の操作ボタンを押すため、あるいはチェックボックスを操作するための決定キーなどの操作キーを含む。キーボードは、表示部102に表示されるソフトウエアキーボードであってもよい。
【0035】
通信部107は、制御部101の指示によって他のテレビ会議端末10と通信し、情報を送受信する。多地点接続制御部110がある場合は、多地点接続制御部110を介して、他のテレビ会議端末10と通信する。多地点接続制御部110は、多地点に設置される複数のテレビ会議端末10を1つのテレビ会議として接続する機能を有し、テレビ会議を開始するとき、多地点接続制御部110に接続されている他の装置が、多地点接続制御部110のないテレビ会議端末10であるのか、多地点接続制御部110のあるテレビ会議端末10の多地点接続制御部110であるのかを判別することができる。
【0036】
記憶部120は、半導体メモリあるいはハードディスク装置などの記憶装置によって構成され、識別マーク記憶部121、送信条件記憶部122、受信条件記憶部123、パスワード記憶部124、接続情報記憶部125、および一時記憶部126を含む。
【0037】
識別マーク記憶部121は、制御部101からの指示によって、データ読込部105で読み込まれた識別マークごとにセキュリティレベルが登録される識別マークリスト22を記憶する。識別マークは、テレビ会議で配付される配付資料に付されるマークであり、配布資料に識別マークが付されていると、会議資料には開示が制限されている開示制限情報が含まれていることを示す。セキュリティレベルは、情報の開示の度合いである。すなわち、情報の開示が許可される対象者を制限するレベルを示す開示レベルである。識別マークリスト22には、識別マークごとにセキュリティレベルが登録される。識別マークのセキュリティレベルを表す情報が、開示レベル情報である。
【0038】
送信条件記憶部122は、送信条件リスト23を記憶する。送信条件記憶部122は、配付資料の送信側のテレビ会議端末10において配付資料を送信するときに送信可否を判断する場合に用いる記憶部である。送信条件リスト23には、配付資料の送信先のテレビ会議端末10のセキュリティレベルなどの情報が、送信先のテレビ会議端末10ごとに設定される。テレビ会議端末10のセキュリティレベルを表す情報が、装置開示レベル情報である。受信条件記憶部123は、受信条件リスト24を記憶する。受信条件記憶部123は、配付資料の受信側のテレビ会議端末10において配付資料を表示するときに表示可否を判断する場合に用いる記憶部である。受信条件リスト24には、受信側のテレビ会議端末10のセキュリティレベルおよび配付資料の送信元のテレビ会議端末10のセキュリティレベルなどの情報が、テレビ会議端末10ごとに設定される。
【0039】
パスワード記憶部124は、設定登録および設定変更などが許可された者を識別するための認証用パスワード(以下単に「パスワード」ともいう)を記憶する。接続情報記憶部125は、受信側のテレビ会議端末10のテレビ会議端末接続情報が登録された受信側テレビ会議端末接続情報テーブル20、およびすべてのテレビ会議端末10のテレビ会議端末接続情報が登録された全テレビ会議端末接続情報テーブル21を記憶する。テレビ会議端末接続情報は、各テレビ会議端末10のIP(Internet Protocol)アドレスあるいは電話番号などの接続情報およびプロダクトIDを含む情報である。テレビ会議端末接続情報には、セキュリティレベルなどの情報を含めてもよい。一時記憶部126は、制御部101が、表示部102、撮影部103、集音部104、データ読込部105、操作部106、通信部107、および多地点接続制御部110を制御するために必要な情報を記憶する。
【0040】
データ読取部130は、データを読み取る機器、たとえば複写機能、印刷機能、およびスキャナ機能などを有する複合機131、パーソナルコンピュータ(以下「パソコン」という)132、原稿を読み取るスキャナ133、およびメモリカードに記憶される情報を読み取るメモリカードリーダ134を含み、データ読込部105の指示によってデータを読み取り、読み取ったデータをデータ読込部105に送る。データ読取部130に含まれる機器は、これらに限定されるものではなく、他の機器でもよい。そして、必ずしもこれらの機器すべてを含む必要はなく、必要な機器を含めればよい。
【0041】
図1に示したテレビ会議端末10は、表示部102、撮影部103、集音部104、多地点接続制御部110、およびデータ読取部130を含んでいるが、これらの部位は、テレビ会議端末10に接続される外付けの装置としてもよい。さらに、多地点接続制御部110も、必ずしもテレビ会議端末10に含める必要はなく、テレビ会議端末10とは独立する多地点接続制御装置としてネットワーク9に接続して構成し、ネットワーク9を介してテレビ会議端末10の通信部107に接続してもよい。図1に示したテレビ会議システム1では、第2のテレビ会議端末12?第4のテレビ会議端末14は、多地点接続制御部110を含んでおらず、ネットワーク9を介して、第1のテレビ会議端末11の多地点接続制御部110に接続される。」

ウ.「【0043】
図3は、多地点接続形態がテレビ会議システム1および第2のテレビ会議システム1aとは異なる第3のテレビ会議システム1bの構成を示す図である。第3のテレビ会議システム1bは、多地点接続制御部110を含まない3つのテレビ会議端末10、すなわち第1のテレビ会議端末11?第3のテレビ会議端末13が、それぞれネットワーク9を介して、第1の多地点接続制御装置111に接続される構成である。」

エ.「【0102】
図29は、表示部102に表示される接続画面46の一例を示す図である。接続画面46は、受信側のテレビ会議端末10を接続する接続先および接続方法を設定するための画面である。接続先は、受信側のテレビ会議端末10が直接接続される他のテレビ会議端末10あるいは受信側のテレビ会議端末10が直接接続される多地点接続制御装置である。
接続画面46には、「テレビ会議に接続します」というメッセージ461、接続情報を入力するための接続情報入力欄として、丸印および「IPアドレス」が付記されたIPアドレス入力欄462、ならびに丸印および「電話番号」と付記された電話番号入力欄463、「OK」ボタン464、および「キャンセル」ボタン465が表示される。
【0103】
IPアドレス入力欄462は、接続先のIPアドレスを入力するための入力領域であり、電話番号入力欄463は、接続先の電話番号を入力するための入力領域である。接続方法には、IPアドレスによる接続方法および電話番号による接続方法があり、IPアドレス入力欄462に付記される丸印および電話番号入力欄463に付記される丸印のうちのいずれかを、画面に表示されるポインタで指定することによって選択することができ、選択された丸印が黒い丸印となる。図29に示した接続情報入力欄は、IPアドレスによる接続方法が選択されており、IPアドレス入力欄462に付記される丸印が黒丸とされ、IPアドレス入力欄462に「192.168.10.10」と入力されたIPアドレスが示されている。「OK」ボタン464は、入力を完了するための操作ボタンであり、「キャンセル」ボタン465は、接続情報の入力を中止するための操作ボタンである。
【0104】
接続画面46での接続先および接続方法の設定で、パスワードによる認証を行う場合は、接続画面46にパスワード入力欄を設けて、パスワードを入力させることによって認証を行った後、接続先および接続方法の設定を可能にしてもよい。さらに、すべてのテレビ会議端末10および多地点接続制御装置のIPアドレスあるいは電話番号を、いずれかの装置に予め登録しておいて、その登録されているIPアドレスあるいは電話番号の中から選択して設定するようにしてもよい。」

オ.「【0107】
図31は、表示部102に表示される第1の配付資料選択画面48の一例を示す図である。第1の配付資料選択画面48は、配付資料を読み取る機器を選択するための画面である。第1の配付資料選択画面48には、「接続機器一覧表」と付記された機器の一覧表、スクロールボタン481、および「キャンセル」ボタン482が表示される。
【0108】
「接続機器一覧表」と付記された機器の一覧表、およびスクロールボタン481は、それぞれ図20に示した「接続機器一覧表」と付記された機器の一覧表、およびスクロールボタン371と同じであり、重複を避けるために説明は省略する。「キャンセル」ボタン482は、配付資料の読み取りを中止するための操作ボタンである。
【0109】
図32は、表示部102に表示される第2の配付資料選択画面49の一例を示す図である。第2の配付資料選択画面49は、配付資料の読み取りの開始を指示するための画面であり、図31に示した第1の配付資料選択画面48で、複合機131あるいはスキャナ133など原稿から識別マークを読み取る機器が選択されたときに表示される。第2の配付資料選択画面49には、「資料を読み込みます」および「準備ができたらOKを押してください」というメッセージ491、「OK」ボタン492、および「キャンセル」ボタン493が表示される。
【0110】
「OK」ボタン492は、メッセージ491を確認し、配付資料の読み取りの開始を指示するための操作ボタンである。「キャンセル」ボタン493は、配付資料の読み取りを中止するための操作ボタンである。「キャンセル」ボタン493が操作されたときは、前の画面に戻るようにしてもよいし、配付資料の読み取りを中止するようにしてもよい。
【0111】
図33は、表示部102に表示される第3の配付資料選択画面50の一例を示す図である。第3の配付資料選択画面50は、読み取るべき配付資料の情報を含むファイルを選択するための画面であり、図32に示した第2の配付資料選択画面49で、パソコン132あるいはメモリカードリーダ134など識別マークの情報を含むファイルを記憶する機器が選択されたときに表示される。第3の配付資料選択画面50には、「資料を選択してください」と付記されたファイルの一覧表、スクロールボタン501、および「キャンセル」ボタン502が表示される。
【0112】
「資料を選択してください」と付記されたファイルの一覧表、スクロールボタン501、および「キャンセル」ボタン502は、それぞれ図22に示された「識別マーク画像ファイルを選択してください」と付記されたファイルの一覧表、スクロールボタン391、および「キャンセル」ボタン392と同じであり、重複を避けるために説明は省略する。配布資料が複数のファイルに含まれる場合は、複数のファイルを選択してもよい。」

カ.「【0145】
図44は、制御部101が実行する第1のテレビ会議接続処理を示すフローチャートである。第1のテレビ会議接続処理は、テレビ会議に参加するテレビ会議端末10を接続して会議を開始し、配布資料の送受信を行って配布資料を表示し、会議が終了すると接続を切断する処理を行う。操作部106によってテレビ会議の開始が指示されると、ステップG1に移る。
【0146】
ステップG1では、表示部102に接続画面46を表示する。ステップG2では、接続情報が入力され、OKボタン464が押されたか否かを判定する。接続情報は、IPアドレスもしくは電話番号などの接続情報であり、具体的には、IPアドレス入力欄462にIPアドレス、もしくは電話番号入力欄463に電話番号が入力される。OKボタン464が押されると、ステップG3に進み、OKボタン464が押されないと、ステップG2に戻る。ステップG3では、入力された接続情報を、一時記憶部に保存つまり記憶する。
【0147】
ステップG4では、入力された接続情報に従い、通信部107によって通信を開始し、テレビ会議を開始する。ステップG5では、接続状況調査処理を呼び出して処理した後、ステップG6に進む。ステップG6では、撮影部103によって、周囲の様子を撮影し、撮影した映像データを接続先へ送信する。ステップG7では、集音部104によって、周囲の音声を集音し、集音した音声データを接続先へ送信する。
【0148】
ステップG8では、操作部106で資料配付のための操作があったか否かを判定する。資料配付のための操作があると、ステップG12に進み、資料配付のための操作がないと、ステップG9に進む。受信ステップであるステップG9では、他のテレビ会議端末10から配付資料が送付されてきたか否かを判定する。配付資料が送付されてくると、ステップG13に進み、配付資料が送付されてこないと、ステップG10に進む。
【0149】
ステップG10では、操作部106で接続終了の指示があったか否かを判定する。テレビ会議の終了指示があると、接続終了の指示があると判定し、ステップG11に進み、テレビ会議の終了指示がないと、接続終了の指示がないと判定し、ステップG5に戻る。ステップG11では、接続を切断し、テレビ会議を終了して、第1のテレビ会議接続処理を終了する。ステップG12では、資料配付処理を呼び出して処理した後、ステップG9に進む。表示ステップであるステップG13では、受信した配付資料を表示部102に表示して、ステップG10に進む。」

上記ア.?カ.の記載及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、以下の事項が認定できる。

(a)上記イ.(段落0029、0032、0038)には、テレビ会議端末は、LANによって構成されるネットワークに接続され、映像情報および配布資料を、他のテレビ会議端末に送信すること、受信側のテレビ会議端末(他のテレビ会議端末)において配付資料を表示することが記載されている。
また、上記ウ.には、テレビ会議端末が、それぞれネットワークを介して、多地点接続制御装置に接続される構成が記載されており、映像情報および配布資料は、多地点接続制御装置を経由して送信されるといえる。

すなわち、上記イ.、ウ.の記載から、引用文献1には、多地点接続制御装置を経由して、LANを介して他のテレビ会議端末へ、映像情報および他のテレビ会議端末で表示される配布資料を送信するテレビ会議端末についての記載がある。

(b)上記イ.(段落0040)、オ.の記載から、引用文献1のテレビ会議端末は、複合機、パソコン、スキャナ等のデータ読取部から、他のテレビ会議端末へ送信するための配付資料を読み込むためのデータ読込部を有するものである。

(c)上記エ.の記載から、引用文献1のテレビ会議端末は、登録されているIPアドレスあるいは電話番号の中から選択して設定することにより、接続先および接続方法を設定、すなわち、接続情報の入力を行うものである。
また、上記カ.の記載、図44のフローから、引用文献1のテレビ会議端末は、接続情報を入力し、テレビ会議を開始し、配付資料を送信するものである。

すなわち、上記エ.、カ.の記載から、引用文献1のテレビ会議端末は、登録されているIPアドレスあるいは電話番号の中から選択して設定することにより、接続情報の入力を行い、テレビ会議を開始し、配付資料を送信するものである。

そうすると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用文献1発明」という。)が開示されている。
なお、a.?d.については、説明のために当審にて付したものである。
(以下、「構成a」、・・・、「構成d」という。)

[引用文献1発明]
「a.多地点接続制御装置を経由して、LANを介して他のテレビ会議端末へ、映像情報および他のテレビ会議端末で表示される配布資料を送信するテレビ会議端末であって、
b.複合機、パソコン、スキャナ等のデータ読取部から、他のテレビ会議端末へ送信するための配付資料を読み込むためのデータ読込部を有し、
c.登録されているIPアドレスあるいは電話番号の中から選択して設定することにより、接続情報の入力を行い、テレビ会議を開始し、配付資料を送信する
d.テレビ会議端末。」

4.本願発明と引用文献1発明との対比と一致点・相違点の認定

ア.対比
(ア-1)構成Aについて
引用文献1発明の構成aの「テレビ会議端末」、「他のテレビ会議端末」は、映像情報や配付資料を送受信する端末であるから、本願発明の構成Aの「伝送端末」、「他の伝送端末」に相当する。
引用文献1発明の構成aの「多地点接続制御装置」は、「テレビ会議端末」と「他のテレビ会議端末」を接続し、映像情報や配付資料を送受信しているものであるから、本願発明の構成Aの「所定の中継装置」に相当する。
引用文献1発明の構成aは、「LANを介して」他のテレビ会議端末へ送信するのに対し、本願発明の構成Aは、「インターネットを介して」他の伝送端末へ送信している点で相違するものの、「ネットワークを介して」いる点で共通する。
引用文献1発明の構成aの「映像情報」は、本願発明の構成Aの「画像データ」に相当する。
上記ア.に記載されているように、テレビ会議においては、離れた場所にいる複数の参加人で会議資料を共有するために、会議資料は、すべてのモニタ、または、予め選択されたモニタに表示されるものである。そうすると、引用文献1発明の構成aの「他のテレビ会議端末で表示される配布資料」についても、他のテレビ会議端末と共有するために配付し、モニタに表示されるデータであるといえるので、本願発明の構成Aの「前記他の伝送端末と共有する画面の表示データ」に相当する。

したがって、引用文献1発明の構成aと、本願発明の構成Aは、「所定の中継装置を経由して、ネットワークを介して他の伝送端末へ、画像データ及び、前記他の伝送端末と共有する画面の表示データを送信する伝送端末」である点で共通する。
しかし、他の伝送端末へ送信するネットワークに関して、引用文献1発明は、「LAN」であるのに対し、本願発明は、「インターネット」である点で相違する。

(ア-2)構成Bについて
引用文献1発明の構成bの「複合機、パソコン、スキャナ等のデータ読取部から、他のテレビ会議端末へ送信するための配付資料を読み込むためのデータ読込部」において、「複合機、パソコン、スキャナ等のデータ読取部」は、データ読込部を介してテレビ会議端末と接続されているといえ、他のテレビ会議端末へ送信するための配付資料をテレビ会議端末に送信するといえる。そして、データ読込部は、他のテレビ会議端末へ送信するための配付資料を受信するといえる。
そうすると、引用文献1発明の構成bの「複合機、パソコン、スキャナ等のデータ読取部から、他のテレビ会議端末へ送信するための配付資料を読み込むためのデータ読込部」を言い換えると、『テレビ会議端末と接続され且つ他のテレビ会議端末へ送信するための配付資料をテレビ会議端末に送信する複合機、パソコン、スキャナ等のデータ読取部から、他のテレビ会議端末へ送信するための配付資料を受信するデータ読込部』といえる。
ここで、『他のテレビ会議端末へ送信するための配付資料』は、構成aの「他のテレビ会議端末で表示される配布資料」であるから、本願発明の構成Bの「前記表示データ」に相当する。また、引用文献1発明の構成bの『データ読込部』は、『配付資料を受信する』ものであるから、本願発明の構成Bの「受信手段」に相当するといえる。
したがって、『テレビ会議端末と接続され且つ他のテレビ会議端末へ送信するための配付資料をテレビ会議端末に送信する複合機、パソコン、スキャナ等のデータ読取部から、他のテレビ会議端末へ送信するための配付資料を受信するデータ読込部』は、本願発明の構成Bの「前記伝送端末と接続され且つ前記表示データを前記伝送端末に送信する外部入力装置から、前記表示データを受信する受信手段」に相当する。

そうすると、引用文献1発明の構成bと、本願発明の構成Bは、「前記伝送端末と接続され且つ前記表示データを前記伝送端末に送信する外部入力装置から、前記表示データを受信する受信手段」という点で共通する。

しかし、引用文献1発明は、本願発明のような「前記伝送端末と前記他の伝送端末との間で前記中継装置を介して実行されるデータ伝送を管理する前記インターネットを介して前記伝送端末に接続された伝送管理システム」を有しておらず、該伝送管理システムによって「前記伝送端末」が、「認証される」ものではない点で相違する。

(ア-3)構成Cについて
上記(ア-2)の検討より、引用文献1発明の構成cの「配付資料」は、本願発明の構成Cの「前記受信手段で受信した前記表示データ」に相当する。
そして、引用文献1発明の構成cにおける「配付資料を送信する」ことは、構成aのように、他のテレビ会議端末に、多地点接続制御装置を経由して送信するものであり、そのような送信するための手段を有するものであるから、引用文献1発明は、本願発明の構成Cの「前記他の伝送端末に、前記受信手段で受信した前記表示データを前記中継装置を介して送信する送信手段」に相当する構成を有している。

引用文献1発明の構成cは、「登録されているIPアドレスあるいは電話番号の中から選択して設定することにより、接続情報の入力を行い、テレビ会議を開始」するものであり、「登録されているIPアドレスあるいは電話番号の中から選択して設定する」ことは、他のテレビ会議端末の中で接続する端末をユーザが選択することであるから、本願発明の構成Cの「前記伝送管理システムから通知される前記他の伝送端末の稼動状態がオンライン状態である前記他の伝送端末の中でユーザの操作に応じて選択された」とは、「前記他の伝送端末の中でユーザの操作に応じて選択された」という点で共通する。

そうすると、引用文献1発明の構成cと、本願発明の構成Cは、「前記他の伝送端末の中でユーザの操作に応じて選択された前記他の伝送端末に、前記受信手段で受信した前記表示データを前記中継装置を介して送信する送信手段」を有するという点で共通する。

しかし、上記(ア-2)で検討したように、引用文献1発明は、伝送管理システムによって「前記伝送端末」が、「認証される」ものではないため、「前記表示データを前記中継装置を介して送信する」ことに関して、「前記伝送管理システムによる認証後」ではない点、
前記他の伝送端末の中から選択することに関して、前記他の伝送端末が、引用文献1発明は、「登録されているIPアドレスあるいは電話番号」であるのに対し、本願発明は、「前記伝送管理システムから通知される前記他の伝送端末の稼動状態がオンライン状態である前記他の伝送端末」である点で相違する。

(ア-4)構成Dについて
上記(ア-1)で検討したように、引用文献1発明の「テレビ会議端末」は、本願発明の「伝送端末」に相当する。

したがって、本願発明と引用文献1発明は、以下の点で一致ないし相違している。

[一致点]
「所定の中継装置を経由して、ネットワークを介して他の伝送端末へ、画像データ及び、前記他の伝送端末と共有する画面の表示データを送信する伝送端末であって、
前記伝送端末と接続され且つ前記表示データを前記伝送端末に送信する外部入力装置から、前記表示データを受信する受信手段と、
前記他の伝送端末の中でユーザの操作に応じて選択された前記他の伝送端末に、前記受信手段で受信した前記表示データを前記中継装置を介して送信する送信手段と、
を有することを特徴とする伝送端末。」

[相違点]
相違点1
他の伝送端末へ送信するネットワークに関して、本願発明は、「インターネット」であるのに対し、引用文献1発明は、「LAN」である点。

相違点2
本願発明は、「前記伝送端末と前記他の伝送端末との間で前記中継装置を介して実行されるデータ伝送を管理する前記インターネットを介して前記伝送端末に接続された伝送管理システム」を有し、該伝送管理システムによって「前記伝送端末」が、「認証される」のに対し、引用文献1発明は、そのような伝送管理システムを有しておらず、「前記表示データを前記中継装置を介して送信する」ことに関して、「前記伝送管理システムによる認証後」ではない点。

相違点3
前記他の伝送端末の中から選択することに関して、前記他の伝送端末が、本願発明は、「前記伝送管理システムから通知される前記他の伝送端末の稼動状態がオンライン状態である前記他の伝送端末」であるのに対し、引用文献1発明は、「登録されているIPアドレスあるいは電話番号」である点。

5.当審の判断
上記相違点について検討する。

(5-1)相違点1について
当審の拒絶理由に引用された特開2002-238040号公報(特に、段落0033、図1等を参照。以下、「引用文献2」という。)、特開2004-64394号公報(特に、段落0002等を参照。以下、「引用文献3」という。)に記載されているように、インターネットを介したビデオ会議システムは、当業者にとって周知の構成である。引用文献1発明のネットワークに関して、LANというネットワークに代えて、インターネットにすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

(5-2)相違点2について
例えば、当審の拒絶理由に引用された引用文献3(特に、段落0022?0035等を参照。)に、インターネットを介して通信端末に接続された基地局(テレビ通信システム)で、通信回線を監視し、端末の認証を行い、端末認証が成功すると、テレビ会議の通信を行うことが記載されているように、インターネットを介して伝送端末に接続された装置において、データ伝送を管理し、端末の認証を行い、端末認証後、データ送信するテレビ会議システムは、当業者にとって周知の構成である。
引用文献1発明におけるテレビ会議端末において、データ伝送を管理したり、端末認証を行おうとすることは、当然に想定できることであり、その際に、上記周知の構成を適用し、「前記伝送端末と前記他の伝送端末との間で前記中継装置を介して実行されるデータ伝送を管理する前記インターネットを介して前記伝送端末に接続された伝送管理システム」を有するようにし、該伝送管理システムによって「前記伝送端末」が「認証され」、「前記表示データを前記中継装置を介して送信する」ことに関して、「前記伝送管理システムによる認証後」とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

(5-3)相違点3について
当審の拒絶理由に引用された引用文献2(特に、段落0033、0050?0054、0059?0064、0074?0077、図1、5を参照)には、アドレス帳ウインドウに相手先リストが表示され、各相手先にはオフラインであるか、又はオンラインであるかのステータスを、インターネットを介したビデオ会議用サーバより受信することにより表示されること、また、ログイン後にユーザが一覧の中からオンラインである相手を選択して通話開始ボタンを押し、相手が通話に応じると、通話が確立し、ビデオ会議をするビデオ会議システムが記載されている。
ここで、ビデオ会議用サーバは、ビデオ会議用のサーバであるから、相手先のステータスを管理するだけでなく、ビデオ会議に関しての様々なデータ等も管理するサーバと捉えるのが自然であり、上記引用文献3のような周知の構成、すなわち、データ伝送の管理や認証を行うことも含むものと考えられる。
引用文献1発明においては、登録されているIPアドレスあるいは電話番号の中から選択して設定するものであるが、テレビ会議を行うにあたっては、稼働状態がオンラインの端末でないと、通信ができないものであるから、端末選択にあたって、稼働状態を考慮することは当然に考えることであり、その際に、上記引用文献2の構成を適用することにより、「前記伝送管理システムから通知される前記他の伝送端末の稼動状態がオンライン状態である前記他の伝送端末の中で」選択することは、当業者が容易に想到し得るものである。

よって、各相違点については、格別のものではなく、本願発明に関する作用・効果も、引用文献1発明と、引用文献2に記載された技術及び周知の技術から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願発明は、引用文献1に記載された発明と、引用文献2に記載された技術及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。

6.まとめ
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明と、引用文献2に記載された技術及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、本願は、その余の請求項について言及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-06-03 
結審通知日 2016-06-07 
審決日 2016-06-20 
出願番号 特願2011-64073(P2011-64073)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 後藤 嘉宏矢野 光治富樫 明  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 渡邊 聡
渡辺 努
発明の名称 伝送端末、伝送方法、及びプログラム  
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