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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A63F
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する A63F
管理番号 1318327
審判番号 訂正2016-390066  
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-10-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2016-05-13 
確定日 2016-07-07 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5703733号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5703733号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯

本件審判の請求に係る特許5703733号(以下、「本件特許」という。)は平成22年12月15日に出願され、平成27年3月6日に特許権の設定登録がなされ、その後、平成28年5月13日に本件訂正審判が請求されたものである。

第2 請求の趣旨

本件審判請求の趣旨は、本件特許の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである(以下、下線部は訂正箇所を意味する。)。

第3 訂正の内容

1.訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1のうち、
「前記貼付手段は、前記第1変形形態とされた前記変形対象オブジェクトと、前記第2変形形態とされた前記変形対象オブジェクトには、共通の前記テクスチャが貼り付けるものであり、」とある記載を、
「前記貼付手段は、前記第1変形形態とされた前記変形対象オブジェクトと、前記第2変形形態とされた前記変形対象オブジェクトに、共通の前記テクスチャを貼り付けるものであり、」と訂正する。

2.訂正事項2
明細書の段落【0007】のうち、
「前記貼付手段は、前記第1変形形態とされた前記変形対象オブジェクトと、前記第2変形形態とされた前記変形対象オブジェクトには、共通の前記テクスチャが貼り付けるものであり、」とある記載を、
「前記貼付手段は、前記第1変形形態とされた前記変形対象オブジェクトと、前記第2変形形態とされた前記変形対象オブジェクトに、共通の前記テクスチャを貼り付けるものであり、」と訂正する。

3.訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1のうち、
「前記表示制御手段は、前記第1変形形態とされた前記変形対象オブジェクトを利用した前記生成データに対応する第1変形画像と、前記第1変形形態とされた前記変形対象オブジェクトを利用した前記生成データに対応する第2変形画像とを、交互に前記表示部に表示させる手段を有することを特徴とする遊技機。」とある記載を、
「前記表示制御手段は、前記第1変形形態とされた前記変形対象オブジェクトを利用した前記生成データに対応する第1変形画像と、前記第2変形形態とされた前記変形対象オブジェクトを利用した前記生成データに対応する第2変形画像とを、交互に前記表示部に表示させる手段を有することを特徴とする遊技機。」と訂正する。

4.訂正事項4
明細書の段落【0007】のうち、
「前記表示制御手段は、前記第1変形形態とされた前記変形対象オブジェクトを利用した前記生成データに対応する第1変形画像と、前記第1変形形態とされた前記変形対象オブジェクトを利用した前記生成データに対応する第2変形画像とを、交互に前記表示部に表示させる手段を有することを特徴とする遊技機。」とある記載を、
「前記表示制御手段は、前記第1変形形態とされた前記変形対象オブジェクトを利用した前記生成データに対応する第1変形画像と、前記第2変形形態とされた前記変形対象オブジェクトを利用した前記生成データに対応する第2変形画像とを、交互に前記表示部に表示させる手段を有することを特徴とする遊技機。」と訂正する。

第4 当審の判断

1.訂正事項1

(1)訂正の目的について

訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1に記載されていた事項について、明瞭でない記載の釈明をしようとするものである。

ここで、「貼付手段」について、
本件特許明細書段落【0007】の2段落目に「前記オブジェクトに対して前記テクスチャを張り付ける貼付手段」として記載されていることから、訂正前の記載においても本訂正事項1に係る「貼付手段」が「前記変形対象オブジェクト」に「共通の前記テクスチャ」を貼り付けることが読み取れる事項である一方、
「前記貼付手段」は、訂正前の本件特許請求の範囲の請求項1には「前記貼付手段は、前記第1変形形態とされた前記変形対象オブジェクトと、前記第2変形形態とされた前記変形対象オブジェクトには、共通の前記テクスチャが貼り付けるものであり、」と記載されており、「貼付手段」が何に対して何を貼り付けるのか意味が通らない記載となっていた。

そこで、訂正事項1は、訂正前の本件特許請求の範囲の請求項1に記載されていた
「前記貼付手段は、前記第1変形形態とされた前記変形対象オブジェクトと、前記第2変形形態とされた前記変形対象オブジェクトには、共通の前記テクスチャが貼り付けるものであり、」という記載を、
訂正前の明細書段落【0007】の2段落目の段落の記載に基づいて、
「前記貼付手段は、前記第1変形形態とされた前記変形対象オブジェクトと、前記第2変形形態とされた前記変形対象オブジェクトに、共通の前記テクスチャを貼り付けるものであり、」
と訂正するものである。

そして、上記訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明に該当する。

(2)新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について

上記訂正事項1は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項又は記載した事項から自明な事項であり、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであるから、訂正事項1は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものである。
また、訂正事項1は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

2. 訂正事項2

(1)訂正の目的について

訂正事項2は、上記訂正事項1の訂正により、本件訂正前の請求項1における明瞭でない記載の釈明の訂正を行った結果、記載表現が一致しなくなった本件特許明細書の段落【0007】の記載を、訂正後の請求項1の記載に整合させるための訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。

(2)新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について

上記訂正事項2は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項又は記載した事項から自明な事項であり、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであるから、訂正事項2は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものである。
また、訂正事項2は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

3.訂正事項3

(1)訂正の目的について

訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項3に記載されていた事項について、誤記の訂正をしようとするものである。

本件特許に係る願書に最初に添付された明細書の段落【1042】-【1043】には、
「屈折用オブジェクトOB10の変形形態について詳細に説明する。本実施の形態では、屈折用オブジェクトOB10の変形形態は複数種類設定されている。当該複数種類の変形形態のうちの第1変形形態の屈折用オブジェクトOB10と、第2変形形態の屈折用オブジェクトOB10とについて図77(b)及び図77(c)を用いて説明する。図77(b)は第1変形形態の屈折用オブジェクトOB10を説明するための説明図、図77(c)は第2変形形態の屈折用オブジェクトOB10を説明するための説明図である。なお、説明の便宜上、以降の説明において、第1変形形態の屈折用オブジェクトOB10を単に第1変形形態OB10aと、第2変形形態の屈折用オブジェクトOB10を単に第2変形形態OB10bという。
図77(b)及び図77(c)に示すように、各変形形態OB10a,OB10bは、テクスチャが貼り付けられる板面に凹凸が形成されるように変形している。」
という記載があり、同じく段落【1044】には、
「これら各変形形態OB10a,OB10bに対して、背景画像のうち各変形形態OB10a,OB10bが配置される領域に対応した部分のテクスチャがマッピングされることにより、歪み画像が表現される。この場合、所定の更新タイミングとなる度に、屈折用オブジェクトOB10を、X方向への位相が異なる第1変形形態OB10aと第2変形形態OB10bとに交互に変形させることにより、X方向に進行する水の流れに対応した歪み画像を表現することができる。」
という記載があることから、屈折用オブジェクトOB10を、第1変形形態とされた屈折用オブジェクトOB10aと第2変形形態とされた屈折用オブジェクトOB10bとに交互に変形させることにより、歪み画像が表現される。

また、本件特許に係る願書に最初に添付された明細書の段落【1113】-【1120】には、
「【1113】
次に、歪み演出の様子について図84を用いて説明する。図84は、歪み演出を説明するための説明図であり、図84(a)は歪み演出が開始される前の画像を説明するための説明図、図84(b)は第1変形形態OB10aに基づく歪み画像を説明するための説明図、図84(c)は第2変形形態OB10bに基づく歪み画像を説明するための説明図である。・・・
【1115】
歪み演出が開始されると、・・・図84(b)に示すように・・・第1歪み画像CP15が表示される。・・・
【1116】
歪み演出の開始タイミングに対して次のフレームでは、・・・図8(c)に示すように・・・第2歪み画像CP16が表示される。
【1117】
その後、フレーム毎に各歪み画像CP15,CP16が交互に表示される。・・・
【1119】
以上の通り、図柄画像CP11の変動表示が行われる場合に、歪み領域PE1に各歪み画像CP15,CP16を交互に表示する・・・
【1120】
この場合、屈折用オブジェクトOB10を第1変形形態OB10a又は第2変形形態OB10bに変形させ、これらに対して背景画像の一部をテクスチャとして貼り付けることにより各歪み画像CP15,CP16を作成した。」
という記載がある。

ここで、上記段落【1116】の「図8(c)」という記載について、上記段落【1113】では「図84(c)は第2変形形態OB10bに基づく歪み画像を説明する説明図である」という記載があることや、第2歪み画像CP16は図84(c)に記載されていることから、上記段落【1116】における「図8(c)」は「図84(c)」の誤記であることは自明である。

以上のことから、本件特許に係る願書に最初に添付された明細書の記載では、屈折用オブジェクトOB10を変形させた第1変形形態とされた屈折用オブジェクトOB10aを表す第1歪み画像CP15と、屈折用オブジェクトOB10を変形させた第2変形形態とされた屈折用オブジェクトOB10bを表す第2歪み画像CP16が交互に表示されることは明らかである。

そうすると、訂正前の特許請求の範囲の請求項1に記載されている「第2変形画像」は、「第1変形形態とされた変形対象オブジェクトを利用した生成データに対応する第1変形画像」とは異なり、正しくは「第2変形形態とされた変形対象オブジェクトを利用した生成データに対応する」画像であるといえる。

そこで、訂正事項3は、本件特許請求の範囲の請求項1のうち、
「前記表示制御手段は、前記第1変形形態とされた前記変形対象オブジェクトを利用した前記生成データに対応する第1変形画像と、前記第1変形形態とされた前記変形対象オブジェクトを利用した前記生成データに対応する第2変形画像とを、交互に前記表示部に表示させる手段を有することを特徴とする遊技機。」という記載を、
「前記表示制御手段は、前記第1変形形態とされた前記変形対象オブジェクトを利用した前記生成データに対応する第1変形画像と、前記第2変形形態とされた前記変形対象オブジェクトを利用した前記生成データに対応する第2変形画像とを、交互に前記表示部に表示させる手段を有することを特徴とする遊技機。」
と訂正するものである。

そして、上記訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる、誤記の訂正を目的とするものに該当する。

(2)新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について

上記訂正事項3は、本件特許に係る願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項又は記載した事項から自明な事項であり、本件特許に係る願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであるから、訂正事項3は、本件特許に係る願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものである。
また、訂正事項3は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

4. 訂正事項4

(1)訂正の目的について

訂正事項4は、上記訂正事項1の訂正により、本件訂正前の請求項3における誤記の訂正を行った結果、記載表現が一致しなくなった本件特許明細書の段落【0007】の記載を、訂正後の請求項3の記載に整合させるための訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。

(2)新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について

上記訂正事項4は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項又は記載した事項から自明な事項であり、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものであるから、訂正事項4は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものである。
また、訂正事項4は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

5.特許出願の際に独立して特許をうけることができることについて

上記訂正事項3は、訂正後の請求項1に記載された発明について、訂正前の請求項1の「第1変形形態」という誤記を、正しい記載である「第2変形形態」に訂正しただけであるから、当該訂正により特許請求の範囲に記載された事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けられないとする理由はなく、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
なお、上記訂正事項1,2,4は、特許法第126条第1項ただし書第3号の「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであるから,特許法第126条第7項の規定は適用されない。

第5 むすび

以上のとおりであるから、本件審判請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号、第3号に掲げる事項を目的とし、かつ同法同条第5項、第6項ないし第7項の規定に適合する。


よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遊技機
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機としては、例えば液晶表示装置といった表示装置を備えたものが知られている。当該遊技機では、画像用のデータが予め記憶されたメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像用のデータを用いて表示装置の表示部にて所定の画像が表示されることとなる。
【0003】
また、近年では、2次元の画像を単純に表示するのではなく、3次元で規定された画像データを用いることで、より立体的な画像の表示を行おうとする試みがなされている。当該表示を行う場合には、仮想3次元空間上に3次元画像データであるポリゴンが設定されるとともに、そのポリゴンに対して文字や模様などの2次元画像データであるテクスチャが貼り付けられ、このテクスチャが貼り付けられたポリゴンを所望の視点から平面上に投影した生成データが生成される。そして、その生成データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、立体的な画像が表示されることとなる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-208830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、遊技への注目度を高めるために、表示部に表示される画像をよりリアルに表現する演出が行われる場合がある。当該演出としては、例えば光の屈折に基づく空間の歪みを表現する演出がある。この場合、例えば光の屈折の反映度を演算により導出させる構成とすると、処理負荷の増大化が懸念される。一方、光の屈折を反映した画像データを予め記憶しておく構成とすると、データ量の増大化が懸念される。
【0006】
本発明は、上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、歪んだ画像を好適に表示させることが可能な遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、
オブジェクトの画像データ及び当該オブジェクトに貼り付けられるテクスチャの画像データを含む各種画像データが記憶された画像データ記憶手段と、仮想3次元空間内に前記オブジェクトを配置する配置手段と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段と、前記オブジェクトに対して前記テクスチャを貼り付ける貼付手段と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記テクスチャが貼り付けられたオブジェクトを投影し、当該投影平面に投影されたデータに基づいて生成データを生成する描画用設定手段と、を有するデータ生成手段によって生成された生成データを記憶する記憶手段と、
当該記憶手段に記憶された生成データに対応した画像を表示部に表示させ、且つ予め定められた更新タイミングとなった場合に画像の内容を更新させる表示制御手段と、
を備えている遊技機において、
前記オブジェクトには、背景画像が歪む演出を実行する場合に用いられ、かつ変形対象として設定された変形対象オブジェクトが含まれており、
前記データ生成手段は、当該変形対象オブジェクトを変形させることにより、前記画像の少なくとも一部を歪ませて、互いに歪み形状の異なる第1変形形態及び第2変形形態を形成する歪み形成手段を備え、
前記貼付手段は、前記第1変形形態とされた前記変形対象オブジェクトと、前記第2変形形態とされた前記変形対象オブジェクトに、共通の前記テクスチャを貼り付けるものであり、
前記表示制御手段は、前記第1変形形態とされた前記変形対象オブジェクトを利用した前記生成データに対応する第1変形画像と、前記第2変形形態とされた前記変形対象オブジェクトを利用した前記生成データに対応する第2変形画像とを、交互に前記表示部に表示させる手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、歪んだ画像を好適に表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】パチンコ機を示す正面図である。
【図2】(a)?(j)図柄表示装置の表示面における表示内容を説明するための説明図である。
【図3】(a),(b)図柄表示装置の表示面における表示内容を説明するための説明図である。
【図4】パチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】当否抽選などに用いられる各種カウンタの内容を説明するための説明図である。
【図6】主制御装置にて実行されるタイマ割込み処理を示すフローチャートである。
【図7】主制御装置にて実行される通常処理を示すフローチャートである。
【図8】主制御装置にて実行される遊技回制御処理を示すフローチャートである。
【図9】主制御装置にて実行される変動開始処理を示すフローチャートである。
【図10】主制御装置の処理構成の別形態であってメイン処理を示すフローチャートである。
【図11】主制御装置の処理構成の別形態であってタイマ割込み処理を示すフローチャートである。
【図12】表示CPUにて実行されるメイン処理を示すフローチャートである。
【図13】表示CPUにて実行されるV割込み処理を示すフローチャートである。
【図14】表示CPUにて実行されるタスク処理を示すフローチャートである。
【図15】(a)?(c)描画リストの内容を説明するための説明図である。
【図16】VDPにて実行される描画処理を示すフローチャートである。
【図17】描画処理の実行に伴い描画データが作成される様子を説明するための説明図である。
【図18】VDPにて実行されるZバッファを用いた隠面処理を示すフローチャートである。
【図19】表示CPUにて実行されるマスク用の演算処理を示すフローチャートである。
【図20】(a),(b)第1のマスク表示の具体的な内容を説明するための説明図である。
【図21】(a)?(d)第2のマスク表示の具体的な内容を説明するための説明図である。
【図22】表示CPUにて実行されるマスク用の演算処理を示すフローチャートである。
【図23】表示CPUにて実行される操作発生コマンド対応処理を示すフローチャートである。
【図24】表示CPUにて実行される表示モード背景用の演算処理を示すフローチャートである。
【図25】表示CPUにて実行される図柄用演算処理を示すフローチャートである。
【図26】VDPにて実行される背景用の設定処理を示すフローチャートである。
【図27】VDPにて実行される背景用の描画データ作成処理を示すフローチャートである。
【図28】第1表示モード用の別保存データ及び第2表示モード用の別保存データが作成されるタイミングを示すタイミングチャートである。
【図29】(a),(b)連結オブジェクトを説明するための説明図である。
【図30】表示CPUにて実行される連結オブジェクト用の演算処理を示すフローチャートである。
【図31】VDPにて実行される連結オブジェクト演出用の設定処理を示すフローチャートである。
【図32】(a)?(c)連結オブジェクト演出を説明するための説明図である。
【図33】(a)は粒子分散用オブジェクトを説明するための説明図であり、(b)は粒子分散用テクスチャを説明するための説明図であり、(c)?(e)はキーデータを説明するための説明図である。
【図34】(a)は表示CPUにて実行される連結オブジェクト用の演算処理を示すフローチャートであり、(b)はブレンド用テーブルを説明するための説明図である。
【図35】VDPにて実行される粒子分散演出用の設定処理を示すフローチャートである。
【図36】(a)は粒子分散演出を説明するための説明図であり、(b-1)及び(b-2)は各粒子単体画像がどのような軌跡で変位するのかを簡易的に説明するための説明図である。
【図37】VDPにて実行される粒子分散演出用の設定処理の別形態を示すフローチャートである。
【図38】(a)は海面用オブジェクトを説明するための説明図であり、(b)は法線マップデータを説明するための説明図である。
【図39】(a),(b)一対の法線マップデータを海面用オブジェクトに適用する手法を説明するための説明図である。
【図40】(a)?(c)各面データに対する変更データの適用の仕方を説明するための説明図である。
【図41】(a)は表示CPUにて実行される海面表示用の演算処理を示すフローチャートであり、(b)は海面用アニメーションデータを説明するための説明図である。
【図42】VDPにて実行される海面表示用の設定処理を示すフローチャートである。
【図43】VDPにて実行される法線パラメータの設定処理を示すフローチャートである。
【図44】(a)?(c)各面データに色情報を設定する手法を説明するための説明図である。
【図45】(a)はVDPにて実行される海面表示用の色情報設定処理を示すフローチャートであり、(b)はVDPにて実行される海面用の調整処理を示すフローチャートである。
【図46】(a)は海面表示を説明するための説明図であり、(b)は海面表示が行われている領域の色情報の設定態様を簡易的に説明するための説明図である。
【図47】VDPにて実行される海面表示用の色情報設定処理の別形態を示すフローチャートである。
【図48】表示CPUにて実行される開閉実行モード時の演出用演算処理を示すフロチャートである。
【図49】(a)はVDPにおいてピントを調整する上で用いられるVRAMの各エリアを説明するための説明図であり、(b)はVDPにて実行される描画データ合成処理を示すフローチャートである。
【図50】(a)はVDPにて実行されるピント演出用の調整処理を示すフローチャートであり、(b)はピント範囲及び各ぼかし範囲を説明するための説明図である。
【図51】(a)はVDPにて実行されるぼかし発生処理を示すフローチャートであり、(b-1)及び(b-2)はぼかし発生処理に際しての単位エリアの抽出態様を説明するための説明図である。
【図52】(a)はピント表示が行われていない状態を説明するための説明図であり、(b)はピント表示が行われている状態を説明するための説明図である。
【図53】(a)は特別オブジェクトを説明するための説明図であり、(b-1)?(b-3)は第1部分テクスチャを説明するための説明図であり、(c-1)?(c-4)は第2部分テクスチャを説明するための説明図である。
【図54】表示CPUにて実行される特別キャラクタ用の演算処理を示すフローチャートである。
【図55】VDPにて実行される特別キャラクタ用のテクスチャマッピング処理を示すフローチャートである。
【図56】(a),(b)模様変更表示の内容を説明するための説明図である。
【図57】ラウンド動画像データのデータ構成を説明するための説明図である。
【図58】(a)ラウンド動画像データによる表示内容を説明するための説明図であり、(b)挿入画像データによる表示内容を説明するための説明図である。
【図59】表示CPUにより実行されるラウンド演出用の演算処理を示すフローチャートである。
【図60】動画デコーダによるデコード処理を示すフローチャートである。
【図61】VDPにより実行されるラウンド演出用の設定処理を示すフローチャートである。
【図62】VDPにより実行されるラウンド演出用マッピング処理を示すフローチャートである。
【図63】(a)?(d)ラウンド演出の様子を説明するための説明図である。
【図64】別形態におけるラウンド動画像データのデータ構成を説明するための説明図である。
【図65】(a)第1ラウンド動画像データの圧縮態様を説明するための説明図であり、(b)第2ラウンド動画像データの圧縮態様を説明するための説明図であり、(c)各ラウンド動画像データのビットレートを説明するためのグラフである。
【図66】別形態におけるラウンド演出用の演算処理を示すフローチャートである。
【図67】(a)別形態におけるラウンド演出用の設定処理を示すフローチャートであり、(b)別形態におけるラウンド演出用マッピング処理を示すフローチャートである。
【図68】ラウンド演出の実行態様を説明するためのタイムチャートである。
【図69】(a),(b)砂浜背景画像を表示させるのに用いられる各オブジェクトを説明するための説明図である。
【図70】砂浜背景画像を表示させるのに用いられる各テクスチャを説明するための説明図である。
【図71】視点が変更されることによるパースペクティブの変化を説明するための説明図である。
【図72】演出用背景画像を作成する場合の各オブジェクトの設定態様を説明するための説明図である。
【図73】砂浜背景用演算処理を示すフローチャートである。
【図74】(a)砂浜疾走演出の背景用演算処理を示すフローチャートであり、(b)各オブジェクトの視点からの距離と当該視点に対する相対速度との関係を説明するための説明図である。
【図75】砂浜疾走演出の演出用演算処理を示すフローチャートである。
【図76】(a)砂浜背景画像が表示された表示面を示す説明図であり、(b)砂浜疾走演出の様子を説明するための説明図である。
【図77】(a)屈折用オブジェクトを説明するための説明図であり、(b)第1変形形態を説明するための説明図であり、(c)第2変形形態を説明するための説明図であり、(d)屈折用αデータを説明するための説明図である。
【図78】歪み演出演算処理を示すフローチャートである。
【図79】(a)第1座標マッピングデータを説明するための説明図であり、(b)第2座標マッピングデータを説明するための説明図である。
【図80】第2の実施形態における描画処理を示すフローチャートである。
【図81】歪み演出用の設定処理を示すフローチャートである。
【図82】歪み演出用テクスチャマッピング処理を示すフローチャートである。
【図83】歪み演出用融合処理を示すフローチャートである。
【図84】歪み演出の様子を説明するための説明図である。
【図85】(a)ベースオブジェクト及び部分オブジェクトを説明するための説明図であり、(b)ベーステクスチャを説明するための説明図であり、(c)各部分テクスチャを説明するための説明図である。
【図86】瞬き演出用演算処理を示すフローチャートである。
【図87】瞬き演出の様子を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて説明する。図1はパチンコ機10の正面図である。
【0011】
パチンコ機10は、図1に示すように、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機本体12とを有する。遊技機本体12は、内枠(図示略)と、その内枠の前方に配置される前扉枠14と、内枠の後方に配置される裏パックユニット(図示略)とを備えている。
【0012】
遊技機本体12のうち内枠が、左右両側部のうち一方を支持側として外枠11に回動可能に支持されている。また、内枠には、前扉枠14が回動可能に支持されており、左右両側部のうち一方を支持側として前方へ回動可能とされている。また、内枠には、裏パックユニットが回動可能に支持されており、左右両側部のうち一方を支持側として後方へ回動可能とされている。
【0013】
なお、遊技機本体12には、その回動先端部に施錠装置(図示略)が設けられており、遊技機本体12を外枠11に対して開放不能に施錠状態とする機能を有しているとともに、前扉枠14を内枠に対して開放不能に施錠状態とする機能を有している。これらの各施錠状態は、パチンコ機10前面にて露出させて設けられたシリンダ錠17に対して解錠キーを用いて解錠操作を行うことにより、それぞれ解除される。
【0014】
内枠には遊技盤20が搭載されている。遊技盤20には前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口21,可変入賞装置22,上作動口23,下作動口24,スルーゲート25、可変表示ユニット26、メイン表示部33及び役物用表示部34等がそれぞれ設けられている。
【0015】
一般入賞口21、可変入賞装置22、上作動口23及び下作動口24への入球が発生すると、それが遊技盤20の背面側に配設された検知センサ(図示略)により検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。その他に、遊技盤20の最下部にはアウト口27が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口27を通って遊技領域から排出される。また、遊技盤20には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘28が植設されていると共に、風車等の各種部材が配設されている。
【0016】
ここで、入球とは、所定の開口部を遊技球が通過することを意味し、開口部を通過した後に遊技領域から排出される態様だけでなく、開口部を通過した後に遊技領域から排出されない態様も含まれる。但し、以下の説明では、アウト口27への遊技球の入球と明確に区別するために、可変入賞装置22、上作動口23、下作動口24又はスルーゲート25への遊技球の入球を、入賞とも表現する。
【0017】
上作動口23及び下作動口24は、作動口装置としてユニット化されて遊技盤20に設置されている。上作動口23及び下作動口24は共に上向きに開放されている。また、上作動口23が上方となるようにして両作動口23,24は鉛直方向に並んでいる。下作動口24には、左右一対の可動片よりなるガイド片(サポート片)としての電動役物24aが設けられている。電動役物24aの閉鎖状態(非サポート状態又は非ガイド状態)では遊技球が下作動口24に入賞できず、電動役物24aが開放状態(サポート状態又はガイド状態)となることで下作動口24への入賞が可能となる。
【0018】
可変入賞装置22は、遊技盤20の背面側へと通じる大入賞口22aを備えているとともに、当該大入賞口22aを開閉する開閉扉22bを備えている。開閉扉22bは、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉鎖状態になっており、内部抽選において開閉実行モードへの移行に当選した場合に遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。ここで、開閉実行モードとは、大当たり当選となった場合に移行することとなるモードである。当該開閉実行モードについては、後に詳細に説明する。可変入賞装置22の開放態様としては、所定時間(例えば30sec)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置22が繰り返し開放される態様がある。
【0019】
メイン表示部33及び役物用表示部34は、遊技領域の下部側に設けられている。メイン表示部33では、上作動口23又は下作動口24への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、上作動口23又は下作動口24への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。つまり、本パチンコ機10では、上作動口23への入賞と下作動口24への入賞とが内部抽選において区別されておらず、上作動口23又は下作動口24への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が共通の表示領域であるメイン表示部33にて明示される。そして、上作動口23又は下作動口24への入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、メイン表示部33にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、開閉実行モードへ移行する。
【0020】
なお、メイン表示部33は、複数のセグメント発光部が所定の態様で配列されてなるセグメント表示器により構成されているが、これに限定されることはなく、液晶表示装置、有機EL表示装置、CRT、ドットマトリックス等その他のタイプの表示装置によって構成されていてもよい。また、メイン表示部33にて変動表示される絵柄としては、複数種の文字が変動表示される構成、複数種の記号が変動表示される構成、複数種のキャラクタが変動表示される構成又は複数種の色が切り換え表示される構成などが考えられる。
【0021】
役物用表示部34では、スルーゲート25への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート25への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。スルーゲート25への入賞に基づく内部抽選の結果が電役開放状態への移行に対応した当選結果であった場合には、役物用表示部34にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、電役開放状態へ移行する。電役開放状態では、下作動口24に設けられた電動役物24aが所定の態様で開放状態となる。
【0022】
可変表示ユニット26には、絵柄の一種である図柄を変動表示する図柄表示装置31が設けられている。また、可変表示ユニット26には、図柄表示装置31を囲むようにしてセンターフレーム32が配設されている。このセンターフレーム32は、その上部がパチンコ機10前方に延出している。これにより、図柄表示装置31の表示面の前方を遊技球が落下していくのが防止されており、遊技球の落下により表示面の視認性が低下するといった不都合が生じない構成となっている。
【0023】
図柄表示装置31は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。なお、図柄表示装置31は、液晶表示装置であることに限定されることはなく、プラズマディスプレイ装置、有機EL表示装置又はCRTといった他の表示装置であってもよい。
【0024】
図柄表示装置31では、上作動口23又は下作動口24への入賞に基づいて図柄の変動表示が開始される。すなわち、メイン表示部33において変動表示が行われる場合には、それに合わせて図柄表示装置31において変動表示が行われる。そして、例えば、遊技結果が大当たり結果となる遊技回では、図柄表示装置31では予め設定されている有効ライン上に所定の組み合わせの図柄が停止表示される。
【0025】
図柄表示装置31の表示内容について、図2及び図3を参照して詳細に説明する。図2は図柄表示装置31にて変動表示される図柄を個々に示す図であり、図3は図柄表示装置31の表示面Gを示す図である。
【0026】
図2(a)?(j)に示すように、絵柄の一種である図柄は、「1」?「9」の数字が各々付された9種類の主図柄と、貝形状の絵図柄からなる副図柄とにより構成されている。より詳しくは、タコ等の9種類のキャラクタ図柄に「1」?「9」の数字がそれぞれ付されて主図柄が構成されている。
【0027】
図3(a)に示すように、図柄表示装置31の表示面Gには、複数の表示領域として、上段・中段・下段の3つの図柄列SA1,SA2,SA3が設定されている。各図柄列SA1?SA3は、主図柄と副図柄が所定の順序で配列されて構成されている。詳細には、上図柄列SA1には、「1」?「9」の9種類の主図柄が数字の降順に配列されると共に、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。下図柄列SA3には、「1」?「9」の9種類の主図柄が数字の昇順に配列されると共に、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。
【0028】
つまり、上図柄列SA1と下図柄列SA3は18個の図柄により構成されている。これに対し、中図柄列SA2には、数字の昇順に「1」?「9」の9種類の主図柄が配列された上で「9」の主図柄と「1」の主図柄との間に「4」の主図柄が付加的に配列され、これら各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、中図柄列SA2に限っては、10個の主図柄が配されて20個の図柄により構成されている。そして、表示面Gでは、これら各図柄列SA1?SA3の図柄が周期性をもって所定の向きにスクロールするように変動表示される。
【0029】
図3(b)に示すように、表示面Gは、図柄列毎に3個の図柄が停止表示されるようになっており、結果として3×3の計9個の図柄が停止表示されるようになっている。また、表示面Gには、5つの有効ライン、すなわち左ラインL1、中ラインL2、右ラインL3、右下がりラインL4、右上がりラインL5が設定されている。そして、上図柄列SA1→下図柄列SA3→中図柄列SA2の順に変動表示が停止し、いずれかの有効ラインに同一の数字が付された図柄の組み合わせが形成された状態で全図柄列SA1?SA3の変動表示が終了すれば、後述する通常大当たり結果又は15R確変大当たり結果の発生として大当たり動画が表示されるようになっている。
【0030】
本パチンコ機10では、奇数番号(1,3,5,7,9)が付された主図柄は「特定図柄」に相当し、15R確変大当たり結果が発生する場合には、同一の特定図柄の組み合わせが停止表示される。また、偶数番号(2,4,6,8)が付された主図柄は「非特定図柄」に相当し、通常大当たり結果が発生する場合には、同一の非特定図柄の組み合わせが停止表示される。
【0031】
また、後述する明示2R確変大当たり結果となる場合には、同一の図柄の組み合わせとは異なる所定の図柄の組み合わせが形成された状態で全図柄列SA1?SA3の変動表示が終了し、その後に、明示用動画が表示されるようになっている。
【0032】
なお、図柄表示装置31における図柄の変動表示の態様は上記のものに限定されることはなく任意であり、図柄列の数、図柄列における図柄の変動表示の方向、各図柄列の図柄数などは適宜変更可能である。また、図柄表示装置31にて変動表示される絵柄は上記のような図柄に限定されることはなく、例えば絵柄として数字のみが変動表示される構成としてもよい。
【0033】
また、いずれかの作動口23,24への入賞に基づいて、メイン表示部33及び図柄表示装置31にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまでが遊技回の1回に相当する。
【0034】
センターフレーム32の前面側における左上部分には、メイン表示部33及び図柄表示装置31に対応した第1保留発光部35が設けられている。遊技球が上作動口23又は下作動口24に入賞した個数は最大4個まで保留され、第1保留発光部35の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
【0035】
センターフレーム32の右上部分には、役物用表示部34に対応した第2保留発光部36が設けられている。遊技球がスルーゲート25を通過した回数は最大4回まで保留され、第2保留発光部36の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。なお、各保留発光部35,36の機能が図柄表示装置31の一部の領域における表示により果たされる構成としてもよい。
【0036】
遊技盤20には、レール部37が取り付けられており、当該レール部37により誘導レールが構成され、内枠において遊技盤20の下方に搭載された遊技球発射機構(図示略)から発射された遊技球が遊技領域の上部に案内されるようになっている。遊技球発射機構は、前扉枠14に設けられた発射ハンドル41が操作されることにより遊技球の発射動作が行われる。
【0037】
内枠の前面側全体を覆うようにして前扉枠14が設けられている。前扉枠14には、図1に示すように、遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした窓部42が形成されている。窓部42は、略楕円形状をなし、図示しない窓パネルが嵌め込まれている。窓パネルは、ガラスによって無色透明に形成されているが、これに限定されることはなく合成樹脂によって無色透明に形成してもよい。
【0038】
窓部42の周囲には、発光手段が設けられている。当該発光手段の一部として表示発光部44が窓部42の上方に設けられている。また、表示発光部44の左右両側には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部45が設けられている。
【0039】
前扉枠14における窓部42の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部46と下側膨出部47とが上下に並設されている。上側膨出部46内側には上方に開口した上皿46aが設けられており、下側膨出部47内側には同じく上方に開口した下皿47aが設けられている。上皿46aは、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿47aは、上皿46a内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。上皿46a及び下皿47aには、裏パックユニットに搭載された払出装置から払い出された遊技球が排出される。
【0040】
上側膨出部46においてパチンコ機10前方を向く領域には、遊技者により手動操作される操作部を具備する演出用操作装置48が設けられている。演出用操作装置48の操作部は、図柄表示装置31の表示面Gなどにおける演出内容を所定の演出内容とするために遊技者により手動操作される。
【0041】
内枠の背面側には、主制御装置と、音声発光制御装置と、表示制御装置とが搭載されている。また、内枠の背面に対しては既に説明したとおり裏パックユニットが設けられており、当該裏パックユニットには、払出装置を含む払出機構部と、払出制御装置と、電源及び発射制御装置とが搭載されている。以下、パチンコ機10の電気的な構成について説明する。
【0042】
<パチンコ機10の電気的構成>
図4は、パチンコ機10の基本的な電気的構成を示すブロック図である。
【0043】
<主制御装置50>
主制御装置50は、遊技の主たる制御を司る主制御基板51を具備している。なお、主制御装置50において主制御基板51などを収容する基板ボックスに対して、その開放の痕跡を残すための痕跡手段を付与する又はその開放の痕跡を残すための痕跡構造を設けておくようにしてもよい。当該痕跡手段としては、基板ボックスを構成する複数のケース体を分離不能に結合するとともにその分離に際して所定部位の破壊を要する結合部(カシメ部)の構成や、引き剥がしにして粘着層が接着対象に残ることで剥がされたことの痕跡を残す封印シールを複数のケース体間の境界を跨ぐようにして貼り付ける構成が考えられる。また、痕跡構造としては、基板ボックスを構成する複数のケース体間の境界に対して接着剤を塗布する構成が考えられる。
【0044】
主制御基板51には、MPU52が搭載されている。MPU52には、当該MPU52により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM53と、そのROM53内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM54と、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路、乱数発生器としての各種カウンタ回路などが内蔵されている。
【0045】
なお、ROM53として、制御プログラムや固定値データの読み出しに際してランダムアクセスが可能であって、記憶保持に外部からの電力供給が不要な記憶手段(すなわち、不揮発性記憶手段)が用いられている。また、制御及び演算部分と、ROM53と、RAM54とが1チップ化されている構成は必須ではなく、各機能がそれぞれ別チップとして搭載されている構成としてもよく、一部の機能が別チップとして搭載されている構成としてもよい。
【0046】
MPU52には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU52の入力側には、電源及び発射制御装置57が接続されている。電源及び発射制御装置57は、例えば、遊技場等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御基板51に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を供給する。ちなみに、当該動作電力は主制御基板51だけでなく、払出制御装置55や後述する表示制御装置130といった他の機器にも供給される。
【0047】
なお、MPU52と電源及び発射制御装置57との電力経路上に停電監視基板を設けてもよい。この場合、当該停電監視基板により停電の発生が監視され、停電の発生が確認された場合にはMPU52に対して停電信号が送信されるようにすることで、MPU52において停電時用の処理を実行することが可能となる。
【0048】
また、MPU52の入力側には、図示しない各種センサが接続されている。当該各種センサの一部として、一般入賞口21、可変入賞装置22、上作動口23、下作動口24及びスルーゲート25といった入賞対応入球部に対して1対1で設けられた検知センサが含まれており、MPU52において各入球部への入賞判定(入球判定)が行われる。また、MPU52では上作動口23及び下作動口24への入賞に基づいて大当たり発生抽選及び大当たり結果種別抽選を実行するとともに、各遊技回のリーチ発生抽選や表示継続期間の決定抽選を実行する。
【0049】
ここで、MPU52にて各種抽選を行うための構成について説明する。
【0050】
MPU52は遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり発生抽選、メイン表示部33の表示の設定、図柄表示装置31の図柄表示の設定、役物用表示部34の表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図5に示すように、大当たり発生抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、確変大当たり結果や通常大当たり結果等の大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄表示装置31が外れ変動する際のリーチ発生抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、メイン表示部33及び図柄表示装置31における変動表示時間を決定する変動種別カウンタCSとを用いることとしている。さらに、下作動口24の電動役物24aを電役開放状態とするか否かの抽選に使用する電動役物開放カウンタC4を用いることとしている。
【0051】
各カウンタC1?C3,CINI,CS,C4は、その更新の都度前同値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM54の所定領域に設定された抽選カウンタ用バッファ54aに適宜格納される。このうち抽選カウンタ用バッファ54aにおいて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3に対応した情報は、上作動口23又は下作動口24への入賞が発生した場合に、取得情報記憶手段としての保留球格納エリア54bに格納される。
【0052】
保留球格納エリア54bは、保留用エリアREと、実行エリアAEとを備えている。保留用エリアREは、第1保留エリアRE1、第2保留エリアRE2、第3保留エリアRE3及び第4保留エリアRE4を備えており、上作動口23又は下作動口24への入賞履歴に合わせて、抽選カウンタ用バッファ54aに格納されている大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各数値情報が保留情報として、いずれかの保留エリアRE1?RE4に格納される。
【0053】
この場合、第1保留エリアRE1?第4保留エリアRE4には、上作動口23又は下作動口24への入賞が複数回連続して発生した場合に、第1保留エリアRE1→第2保留エリアRE2→第3保留エリアRE3→第4保留エリアRE4の順に各数値情報が時系列的に格納されていく。このように4つの保留エリアRE1?RE4が設けられていることにより、上作動口23又は下作動口24への遊技球の入賞履歴が最大4個まで保留記憶されるようになっている。また、保留用エリアREは、保留数記憶エリアNAを備えており、当該保留数記憶エリアNAには上作動口23又は下作動口24への入賞履歴を保留記憶している数を特定するための情報が格納される。
【0054】
なお、保留記憶可能な数は、4個に限定されることはなく任意であり、2個、3個又は5個以上といったように他の複数であってもよく、単数であってもよい。
【0055】
実行エリアAEは、メイン表示部33の変動表示を開始する際に、保留用エリアREの第1保留エリアRE1に格納された各値を移動させるためのエリアであり、1遊技回の開始に際しては実行エリアAEに記憶されている各種数値情報に基づいて、当否判定などが行われる。
【0056】
上記各カウンタについて詳細に説明する。
【0057】
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0?599の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0?599)。大当たり乱数カウンタC1は定期的に更新され、遊技球が上作動口23又は下作動口24に入賞したタイミングで保留球格納エリア54bに格納される。
【0058】
大当たり当選となる乱数の値は、ROM53における当否情報群記憶手段としての当否テーブル記憶エリアに当否テーブルとして記憶されている。当否テーブルとしては、低確率モード用の当否テーブルと、高確率モード用の当否テーブルとが設定されている。つまり、本パチンコ機10は、当否抽選手段における抽選モードとして、低確率モードと高確率モードとが設定されている。
【0059】
上記抽選に際して低確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、大当たり当選となる乱数の数は2個である。一方、上記抽選に際して高確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、大当たり当選となる乱数の数は20個である。なお、低確率モードよりも高確率モードの方の当選確率が高くなるのであれば、上記当選となる乱数の数は任意である。
【0060】
大当たり種別カウンタC2は、0?29の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。大当たり種別カウンタC2は定期的に更新され、遊技球が上作動口23又は下作動口24に入賞したタイミングで保留球格納エリア54bに格納される。
【0061】
本パチンコ機10では、複数の大当たり結果が設定されている。これら複数の大当たり結果は、(1)開閉実行モードにおける可変入賞装置22の開閉制御の態様、(2)開閉実行モード終了後の当否抽選手段における抽選モード、(3)開閉実行モード終了後の下作動口24の電動役物24aにおけるサポートモード、という3つの条件に差異を設けることにより、複数の大当たり結果が設定されている。
【0062】
開閉実行モードにおける可変入賞装置22の開閉制御の態様としては、開閉実行モードが開始されてから終了するまでの間における可変入賞装置22への入賞の発生頻度が相対的に高低となるように高頻度入賞モードと低頻度入賞モードとが設定されている。具体的には、高頻度入賞モードでは、開閉実行モードの開始から終了までに、大入賞口22aの開閉が15回(高頻度用回数)行われるとともに、1回の開放は30sec(高頻度時間)が経過するまで又は大入賞口22aへの入賞個数が10個(高頻度個数)となるまで継続される。一方、低頻度入賞モードでは、開閉実行モードの開始から終了までに、大入賞口22aの開閉が2回(低頻度用回数)行われるとともに、1回の開放は0.2sec(低頻度時間)が経過するまで又は大入賞口22aへの入賞個数が6個(低頻度個数)となるまで継続される。
【0063】
本パチンコ機10では、発射ハンドル41が遊技者により操作されている状況では、0.6secに1個の遊技球が遊技領域に向けて発射されるように遊技球発射機構58が駆動制御される。これに対して、低頻度入賞モードでは、上記のとおり1回の大入賞口22aの開放時間は0.2secとなっている。つまり、低頻度入賞モードでは、遊技球の発射周期よりも1回の大入賞口22aの開放時間が短くなっている。したがって、低頻度入賞モードにかかる開閉実行モードでは実質的に遊技球の入賞が発生しない。
【0064】
なお、高頻度入賞モード及び低頻度入賞モードにおける大入賞口22aの開閉回数、1回の開放に対する開放制限時間及び1回の開放に対する開放制限個数は、高頻度入賞モードの方が低頻度入賞モードよりも、開閉実行モードが開始されてから終了するまでの間における可変入賞装置22への入賞の発生頻度が高くなるのであれば、上記の値に限定されることはなく任意である。具体的には、高頻度入賞モードの方が低頻度入賞モードよりも、開閉回数が多い、1回の開放に対する開放制限時間が長い又は1回の開放に対する開放制限個数が多く設定されていればよい。
【0065】
但し、高頻度入賞モードと低頻度入賞モードとの間での特典の差異を明確にする上では、低頻度入賞モードにかかる開閉実行モードでは、実質的に可変入賞装置22への入賞が発生しない構成とするとよい。例えば、高頻度入賞モードでは、1回の開放について、遊技球の発射周期と開放制限個数との積を、開放制限時間よりも短く設定する一方、低頻度入賞モードでは、1回の開放について、遊技球の発射周期と開放制限個数との積を、開放制限時間よりも長く設定する構成としてもよい。また、遊技球の発射間隔及び1回の大入賞口22aの開放時間が上記のものでなかったとしても、低頻度入賞モードでは、前者よりも後者の方が短くなるように設定することで、実質的に可変入賞装置22への入賞が発生しない構成を容易に実現することができる。
【0066】
下作動口24の電動役物24aにおけるサポートモードとしては、遊技領域に対して同様の態様で遊技球の発射が継続されている状況で比較した場合に、下作動口24の電動役物24aが単位時間当たりに開放状態となる頻度が相対的に高低となるように、低頻度サポートモード(低頻度サポート状態又は低頻度ガイド状態)と高頻度サポートモード(高頻度サポート状態又は高頻度ガイド状態)とが設定されている。
【0067】
具体的には、低頻度サポートモードと高頻度サポートモードとでは、電動役物開放カウンタC4を用いた電動役物開放抽選における電役開放状態当選となる確率は同一(例えば、共に4/5)となっているが、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、電役開放状態当選となった際に電動役物24aが開放状態となる回数が多く設定されており、さらに1回の開放時間が長く設定されている。この場合、高頻度サポートモードにおいて電役開放状態当選となり電動役物24aの開放状態が複数回発生する場合において、1回の開放状態が終了してから次の開放状態が開始されるまでの閉鎖時間は、1回の開放時間よりも短く設定されている。さらにまた、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で最低限確保される確保時間として短い時間が選択されるように設定されている。
【0068】
上記のように高頻度サポートモードでは、低頻度サポートモードよりも下作動口24への入賞が発生する確率が高くなる。換言すれば、低頻度サポートモードでは、下作動口24よりも上作動口23への入賞が発生する確率が高くなるが、高頻度サポートモードでは、上作動口23よりも下作動口24への入賞が発生する確率が高くなる。そして、下作動口24への入賞が発生した場合には、所定個数の遊技球の払出が実行されるため、高頻度サポートモードでは、遊技者は持ち球をあまり減らさないようにしながら遊技を行うことができる。
【0069】
なお、高頻度サポートモードを低頻度サポートモードよりも単位時間当たりに電役開放状態となる頻度を高くする上での構成は、上記のものに限定されることはなく、例えば電動役物開放抽選における電役開放状態当選となる確率を高くする構成としてもよい。また、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で確保される確保時間(例えば、スルーゲート25への入賞に基づき役物用表示部34にて実行される変動表示の時間)が複数種類用意されている構成においては、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、短い確保時間が選択され易い又は平均の確保時間が短くなるように設定されていてもよい。さらには、開放回数を多くする、開放時間を長くする、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で確保される確保時間を短くする(すなわち、役物用表示部34における1回の変動表示時間を短くする)、係る確保時間の平均時間を短くする及び当選確率を高くするのうち、いずれか1条件又は任意の組み合わせの条件を適用することで、低頻度サポートモードに対する高頻度サポートモードの有利性を高めてもよい。
【0070】
大当たり種別カウンタC2に対する遊技結果の振分先は、ROM53における振分情報群記憶手段としての振分テーブル記憶エリアに振分テーブルとして記憶されている。そして、かかる振分先として、通常大当たり結果と、明示2R確変大当たり結果と、15R確変大当たり結果とが設定されている。
【0071】
通常大当たり結果は、開閉実行モードが高頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが低確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。但し、この高頻度サポートモードは、移行後において遊技回数が終了基準回数(具体的には、100回)に達した場合に低頻度サポートモードに移行する。換言すれば、通常大当たり結果は、通常大当たり状態(低確率対応特別遊技状態)へ遊技状態を移行させる大当たり結果である。
【0072】
明示2R確変大当たり結果は、開閉実行モードが低頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。これら高確率モード及び高頻度サポートモードは、当否抽選における抽選結果が大当たり状態当選となり、それによる大当たり状態に移行するまで継続する。換言すれば、明示2R確変大当たり結果は、明示2R確変大当たり状態(明示高確率対応遊技状態)へ遊技状態を移行させる大当たり結果である。
【0073】
15R確変大当たり結果は、開閉実行モードが高頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。これら高確率モード及び高頻度サポートモードは、当否抽選における抽選結果が大当たり状態当選となり、それによる大当たり状態に移行するまで継続する。換言すれば、15R確変大当たり結果は、15R確変大当たり状態(高確率対応特別遊技状態)へ遊技状態を移行させる大当たり結果である。
【0074】
なお、上記各遊技状態との関係で通常遊技状態とは、当否抽選モードが低確率モードであり、サポートモードが低頻度サポートモードである状態をいう。
【0075】
振分テーブルでは、「0?29」の大当たり種別カウンタC2の値のうち、「0?9」が通常大当たり結果に対応しており、「10?14」が明示2R確変大当たり結果に対応しており、「15?29」が15R確変大当たり結果に対応している。
【0076】
上記のように、確変大当たり結果として、明示2R確変大当たり結果が設定されていることにより、確変大当たり結果の態様が多様化する。すなわち、2種類の確変大当たり結果を比較した場合、遊技者にとっての有利度合いは、開閉実行モードにおいて高頻度入賞モードとなり且つサポートモードでは高頻度サポートモードとなる15R確変大当たり結果が最も高く、開閉実行モードにおいて低頻度入賞モードとなるもののサポートモードでは高頻度サポートモードとなる明示2R確変大当たり結果が最も低くなる。これにより、遊技の単調化が抑えられ、遊技への注目度を高めることが可能となる。
【0077】
なお、確変大当たり結果の一種として、開閉実行モードが低頻度入賞モードとなり、さらに開閉実行モードの終了後には、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードがそれまでのモードに維持されることとなる非明示2R確変大当たり結果(非明示高確率対応遊技結果又は潜伏確変状態となる結果)が含まれていてもよい。この場合、確変大当たり結果のさらなる多様化が図られる。
【0078】
さらにまた、当否抽選における外れ結果の一種として、低頻度入賞モードの開閉実行モードに移行するとともに、その終了後において当否抽選モード及びサポートモードの移行が発生しない特別外れ結果が含まれていてもよい。上記のような非明示2R確変大当たり結果と当該特別外れ結果との両方が設定されている構成においては、開閉実行モードが低頻度入賞モードに移行すること、及びサポートモードがそれまでのモードに維持されることで共通しているのに対して、当否抽選モードの移行態様が異なっていることにより、例えば通常遊技状態において非明示2R確変大当たり結果又は特別外れ結果の一方が発生した場合に、それが実際にいずれの結果に対応しているのかを遊技者に予測させることが可能となる。
【0079】
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0?238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。リーチ乱数カウンタC3は定期的に更新され、遊技球が上作動口23又は下作動口24に入賞したタイミングで保留球格納エリア54bに格納される。
【0080】
ここで、本パチンコ機10には、図柄表示装置31における表示演出の一種として期待演出が設定されている。期待演出とは、図柄の変動表示を行うことが可能な図柄表示装置31を備え、開閉実行モードが高頻度入賞モードとなる遊技回では変動表示後の停止表示結果が特別表示結果となる遊技機において、図柄表示装置31における図柄の変動表示が開始されてから停止表示結果が導出表示される前段階で、前記特別表示結果となり易い変動表示状態であると遊技者に思わせるための表示状態をいう。
【0081】
期待演出には、上記リーチ表示と、当該リーチ表示が発生する前段階などにおいてリーチ表示の発生や特別表示結果の発生を期待させるための予告表示との2種類が設定されている。
【0082】
リーチ表示には、図柄表示装置31の表示面Gに表示される複数の図柄列のうち一部の図柄列について図柄を停止表示させることで、高頻度入賞モードの発生に対応した大当たり図柄の組み合わせが成立する可能性があるリーチ図柄の組み合わせを表示し、その状態で残りの図柄列において図柄の変動表示を行う表示状態が含まれる。また、上記のようにリーチ図柄の組み合わせを表示した状態で、残りの図柄列において図柄の変動表示を行うとともに、その背景画像において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものや、リーチ図柄の組み合わせを縮小表示させる又は非表示とした上で、表示面の略全体において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものが含まれる。
【0083】
図柄の変動表示に係るリーチ表示について具体的には、図柄の変動表示を終了させる前段階として、図柄表示装置31の表示面内の予め設定された有効ライン上に、高頻度入賞モードの発生に対応した大当たり図柄の組み合わせが成立する可能性のあるリーチ図柄の組み合わせを停止表示させることによりリーチラインを形成させ、当該リーチラインが形成されている状況下において最終停止図柄列により図柄の変動表示を行うことである。
【0084】
図3の表示内容について具体的に説明すると、最初に上段の図柄列SA1において図柄の変動表示が終了され、さらに下段の図柄列SA3において図柄の変動表示が終了された状態において、いずれかの有効ラインL1?L5に同一の数字が付された主図柄が停止表示されることでリーチラインが形成され、当該リーチラインが形成されている状況化において中段の図柄列SA2において図柄の変動表示が行われることでリーチ表示となる。そして、高頻度入賞モードが発生する場合には、リーチラインを形成している主図柄と同一の数字が付された主図柄がリーチライン上に停止表示されるようにして中段の図柄列SA2における図柄の変動表示が終了される。
【0085】
予告表示には、図柄表示装置31の表示面において図柄の変動表示が開始されてから、全ての図柄列SA1?SA3にて図柄が変動表示されている状況において、又は一部の図柄列であって複数の図柄列にて図柄が変動表示されている状況において、図柄列SA1?SA3上の図柄とは別にキャラクタを表示させる態様が含まれる。また、背景画像をそれまでの態様とは異なる所定の態様とするものや、図柄列SA1?SA3上の図柄をそれまでの態様とは異なる所定の態様とするものも含まれる。かかる予告表示は、リーチ表示が行われる場合及びリーチ表示が行われない場合のいずれの遊技回においても発生し得るが、リーチ表示の行われる場合の方がリーチ表示の行われない場合よりも高確率で発生するように設定されている。
【0086】
リーチ表示は、高頻度入賞モードとなる開閉実行モードに移行する遊技回では、リーチ乱数カウンタC3の値に関係なく実行され、低頻度入賞モードとなる開閉実行モードに移行する遊技回では、リーチ乱数カウンタC3の値に関係なく実行されない。また、開閉実行モードに移行しない遊技回では、ROM53のリーチ用テーブル記憶エリアに記憶されたリーチ用テーブルを参照して、所定のタイミングで取得したリーチ乱数カウンタC3がリーチ表示の発生に対応している場合に実行される。一方、予告表示を行うか否かの決定は、主制御装置50において行うのではなく、音声発光制御装置60において行われる。
【0087】
変動種別カウンタCSは、例えば0?198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCSは、メイン表示部33における変動表示時間と、図柄表示装置31における図柄の変動表示時間とをMPU52において決定する上で用いられる。変動種別カウンタCSは、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、メイン表示部33における変動表示の開始時及び図柄表示装置31による図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCSのバッファ値が取得される。なお、変動表示時間の決定に際しては、ROM53の変動表示時間テーブル記憶エリアに予め記憶されている変動表示時間テーブルが参照される。
【0088】
電動役物開放カウンタC4は、例えば、0?250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。電動役物開放カウンタC4は定期的に更新され、スルーゲート25に遊技球が入賞したタイミングで電役保留エリア54cに格納される。そして、所定のタイミングにおいて、その格納された電動役物開放カウンタC4の値によって電動役物24aを開放状態に制御するか否かの抽選が行われる。
【0089】
MPU52の出力側には、払出制御装置55が接続されているとともに、電源及び発射制御装置57が接続されている。払出制御装置55には、例えば、上記入賞対応入球部への入賞判定結果に基づいて賞球コマンドが送信される。払出制御装置55は、主制御装置50から受信した賞球コマンドに基づいて、払出装置56により賞球や貸し球の払出制御を行う。電源及び発射制御装置57には、発射ハンドル41が操作されていることに基づいて発射許可コマンドが送信される。電源及び発射制御装置57は、主制御装置50から受信した発射許可コマンドに基づいて、遊技球発射機構58を駆動させ遊技球を遊技領域に向けて発射させる。
【0090】
また、MPU52の出力側には、メイン表示部33及び役物用表示部34が接続されており、これらメイン表示部33及び役物用表示部34の表示制御がMPU52により直接行われる。つまり、各遊技回に際しては、MPU52においてメイン表示部33の表示制御が実行される。また、電動役物24aを開放状態とするか否かの抽選結果を明示する場合に、MPU52において役物用表示部34の表示制御が実行される。
【0091】
また、MPU52の出力側には、可変入賞装置22の開閉扉22bを開閉動作させる可変入賞駆動部、及び下作動口24の電動役物24aを開閉動作させる電動役物駆動部が接続されている。つまり、開閉実行モードにおいては大入賞口22aが開閉されるように、MPU52において可変入賞駆動部の駆動制御が実行される。また、電動役物24aの開放状態当選となった場合には、電動役物24aが開閉されるように、MPU52において電動役物駆動部の駆動制御が実行される。
【0092】
また、MPU52の出力側には、音声発光制御装置60が接続されており、当該音声発光制御装置60に対して演出用の各種コマンドを送信する。
【0093】
<主制御装置50のMPU52にて実行される処理>
次に、MPU52にて実行される処理について説明する。
【0094】
MPU52は、電源の立ち上げ後において所定の遊技進行用処理を繰り返し実行する。本パチンコ機10では、当該遊技進行用処理として、第1の周期で繰り返し実行される通常処理と、第1の周期よりも短い第2の周期で起動され、通常処理に対して割り込んで実行されるタイマ割込み処理と、が設定されている。
【0095】
図6は、タイマ割込み処理を示すフローチャートである。なお、本処理はMPU52により定期的に(例えば2msec周期で)起動される。
【0096】
先ずステップS101では、読み込み処理を実行する。当該読み込み処理では、各種入賞検知センサの状態を読み込み、これら各種入賞検知センサの状態を判定して入賞検知情報を保存する処理を実行する。また、賞球の発生に対応した入賞検知センサにおいて遊技球の入賞が検知されている場合には、払出制御装置55に対して賞球の払い出し指示を行うための賞球コマンドを設定する。
【0097】
続くステップS102では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする。
【0098】
続くステップS103では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値に達した際それぞれ0にクリアする。
【0099】
続くステップS104では、スルーゲート25への入賞に伴うスルー用の入賞処理を実行する。スルー用の入賞処理では、電役保留エリア54cに記憶されている役物保留記憶数が4未満であることを条件として、前記ステップS103にて更新した電動役物開放カウンタC4の値を電役保留エリア54cに格納する。
【0100】
その後、ステップS105にて、作動口23,24への入賞に伴う作動口用の入賞処理を実行する。作動口用の入賞処理では、上作動口23又は下作動口24への入賞が発生していた場合には、保留球格納エリア54bに記憶されている始動保留記憶数が上限数(例えば、「4」)未満であることを条件として、前記ステップS103にて更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各数値情報を保留球格納エリア54bの保留用エリアREに格納する。この場合、保留用エリアREの空き保留エリアRE1?RE4のうち最初の保留エリア、すなわち現状の始動保留記憶数と対応する保留エリアに格納する。ステップS105の処理を実行した後に、本タイマ割込み処理を終了する。
【0101】
図7は、通常処理を示すフローチャートである。通常処理は電源投入に伴い起動されるメイン処理が実行された後に開始される処理である。その概要として、ステップS201?ステップS209の処理が4msec周期の処理として実行され、その残余時間でステップS210及びステップS211のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
【0102】
ステップS201では、タイマ割込み処理又は前回の通常処理で設定したコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する。具体的には、賞球コマンドの有無を判定し、賞球コマンドが設定されていればそれを払出制御装置55に対して送信する。また、所定の演出用コマンドが設定されている場合にはそれを音声発光制御装置60に対して送信する。
【0103】
続くステップS202では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCSを1加算すると共に、カウンタ値が最大値に達した際にはカウンタ値を0にクリアする。
【0104】
続くステップS203では、各遊技回における遊技を制御するための遊技回制御処理を実行する。この遊技回制御処理では、大当たり判定、図柄表示装置31による図柄の変動表示の設定、及びメイン表示部33の表示制御などを行う。
【0105】
その後、ステップS204では、遊技状態を移行させるための遊技状態移行処理を実行する。遊技状態移行処理では、大当たり当選に対応した遊技回が終了している場合に開閉実行モードへの移行処理を実行し、可変入賞装置22の開閉処理を開始する。なお、開閉実行モードを開始する場合、開閉実行モード中、及び開閉実行モードを終了する場合などに、開閉実行モード用の各種コマンドを音声発光制御装置60に送信する。また、開閉実行モードが終了した場合には、当該モードの開始契機となった遊技回に係る大当たり種別に対応させて、当否抽選モードの移行やサポートモードの移行を実行する。
【0106】
続くステップS205では、デモ表示用処理を実行する。デモ表示用処理では、開閉実行モード中ではない状況で遊技回の終了後において新たな遊技回が開始されることなく予め定められたデモ開始用の開始待ち期間(例えば、0.1sec)が経過したか否かの判定処理を実行する。また、MPU52への電力供給が開始されてから又はパチンコ機10がリセットされてから、新たに遊技回が開始されることなく予め定められたデモ開始用の開始待ち期間(例えば、3sec)が経過したか否かの判定処理を実行する。そして、経過していると判定した場合には、デモ表示用のコマンドを音声発光制御装置60に送信する。
【0107】
なお、デモ表示とは、予め定められた開始待ち期間が経過している場合に、図柄表示装置31の表示面Gにて表示される開始待ち演出のことをいう。デモ画像では、図柄列SA1?SA3上に停止表示されている図柄が所定の動作を行っている画像が表示されるが、これに限定されることはなく、例えば、図柄が所定の動作を行っている画像の表示の後に又はそれに代えてメーカ名、機種名若しくは所定のキャラクタによる動画が表示される構成としてもよい。また、図柄列SA1?SA3上において変動表示される図柄のアニメーションによりデモ表示を行う構成においては、当該図柄として、直前の遊技回で最終停止表示された図柄を用いる構成としてもよい。この場合、デモ表示の多様化が図られる。
【0108】
続くステップS206では、下作動口24に設けられた電動役物24aを駆動制御するための電役サポート用処理を実行する。この電役サポート用処理では、RAM54の電役保留エリア54cに格納されている情報を用いて電動役物24aを開放状態とするか否かの判定、電動役物24aの開閉処理及び役物用表示部34の表示制御などを行う。
【0109】
その後、ステップS207では、遊技球発射制御処理を実行する。遊技球発射制御処理では、電源及び発射制御装置57から発射許可信号を入力していることを条件として、所定期間(例えば、0.6sec)に1回、遊技球発射機構58のソレノイドを励磁する。これにより、遊技球が遊技領域に向けて打ち出される。
【0110】
続くステップS208では、RAM54に電断フラグが格納されているか否かを判定する。電断フラグは、電断の発生が確認された場合に格納され、次回のメイン処理にて消去されるフラグである。
【0111】
電断フラグが格納されていない場合は、繰り返し実行される複数の処理の最後の処理が終了したこととなるので、ステップS209にて次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4msec)が経過したか否かを判定する。そして、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び変動種別カウンタCSの更新を繰り返し実行する。
【0112】
つまり、ステップS210では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする。また、ステップS211では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCSを1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値に達した際0にクリアする。
【0113】
ここで、ステップS201?S207の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(すなわち、大当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCSについてもランダムに更新することができる。
【0114】
一方、ステップS208にて、電断フラグが格納されていると判定した場合は、電源遮断が発生したことになるので、ステップS212以降の電断時処理を実行する。つまり、ステップS212では、タイマ割込み処理の発生を禁止し、その後、ステップS213にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS214にてRAM54のアクセスを禁止した後に、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
【0115】
次に、ステップS203の遊技回制御処理を図8等のフローチャートを参照して説明する。
【0116】
遊技回制御処理では、先ずステップS301にて、開閉実行モード中か否かを判定する。開閉実行モード中である場合には、ステップS302以降の処理を実行することなく、本遊技回制御処理を終了する。つまり、開閉実行モード中である場合には、作動口23,24への入賞が発生しているか否かに関係なく、遊技回が開始されることはない。
【0117】
開閉実行モード中でない場合には、ステップS302にて、メイン表示部33が変動表示中であるか否かを判定する。メイン表示部33が変動表示中でない場合には、ステップS303?ステップS305の遊技回開始用処理に進む。
【0118】
遊技回開始用処理では、先ずステップS303にて、始動保留球数Nが「0」であるか否かを判定する。始動保留球数Nが「0」である場合とは、保留球格納エリア54bに保留情報が記憶されていないことを意味する。したがって、そのまま本遊技回制御処理を終了する。
【0119】
始動保留球数Nが「0」でない場合には、ステップS304にて保留球格納エリア54bの保留用エリアREに記憶されているデータを変動表示用に設定するためのデータ設定処理を実行する。具体的には、保留用エリアREの第1保留エリアRE1に格納されているデータを実行エリアAEにシフトする。その後、第1保留エリアRE1?第4保留エリアRE4に格納されているデータを下位エリア側に順にシフトさせる。その後、ステップS305にて変動開始処理を実行した後に、本遊技回制御処理を終了する。
【0120】
ステップS305の変動開始処理について、図9のフローチャートを参照しながら説明する。
【0121】
ステップS401にて、今回の変動開始処理に対応した保留情報が大当たり当選に対応しているか否かを判定するための当否判定処理を実行する。具体的には実行エリアAEにシフトされた保留情報のうち大当たり乱数カウンタC1に係る数値情報と、現状の当否抽選モードに対応した当否テーブルとを参照して、大当たり当選となるか否かを判定する。
【0122】
続くステップS402では大当たり当選であるか否かを判定する。大当たり当選である場合には、ステップS403にて種別判定処理を実行する。種別判定処理では、実行エリアAEにシフトされた保留情報のうち大当たり種別カウンタC2に係る数値情報と、振分テーブルとを参照して、大当たり種別を特定する。
【0123】
続くステップS404では、大当たり結果に対応した停止結果設定処理を実行する。具体的には、今回の変動開始に係る遊技回においてメイン表示部33に最終的に停止表示させる絵柄の態様の情報を、ROM53に予め記憶されている大当たり結果用の停止結果テーブルから特定し、その特定した情報をRAM54に記憶する。この大当たり結果用の停止結果テーブルには、メイン表示部33に停止表示される絵柄の態様の種類が、大当たり結果の種類毎に相違させて設定されており、ステップS404では、ステップS403にて特定した大当たり結果の種類に応じた絵柄の態様の情報をRAM54に記憶する。
【0124】
一方、ステップS402にて、大当たり当選ではないと判定した場合には、ステップS405にて、外れ時用の停止結果設定処理を実行する。具体的には、今回の変動開始に係る遊技回においてメイン表示部33に最終的に停止表示させる絵柄の態様の情報を、ROM53に予め記憶されている外れ時用の停止結果テーブルから特定し、その特定した情報をRAM54に記憶する。この場合に選択される絵柄の態様の情報は、大当たり結果の場合に選択される絵柄の態様の情報とは異なっている。
【0125】
ステップS404又はステップS405の処理を実行した後は、ステップS406にて、変動表示時間の設定処理を実行する。
【0126】
かかる処理では、RAM54の抽選カウンタ用バッファ54aにおける変動種別カウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCSの値を取得する。また、今回の遊技回において図柄表示装置31にてリーチ表示が発生するか否かを判定する。具体的には、今回の変動開始に係る遊技回が大当たり結果である場合には、リーチ表示が発生すると判定する。また、大当たり結果ではない場合であっても、実行エリアAEに格納されているリーチ乱数カウンタC3に係る数値情報がリーチ発生に対応した数値情報である場合には、リーチ表示が発生すると判定する。
【0127】
リーチ表示が発生すると判定した場合には、ROM53に記憶されているリーチ発生用変動表示時間テーブルを参照して、今回の変動種別カウンタCSの値に対応した変動表示時間情報を取得し、その変動表示時間情報をRAM54に設けられた変動表示時間カウンタにセットする。一方、リーチ表示が発生しないと判定した場合には、ROM53に記憶されているリーチ非発生用変動表示時間テーブルを参照して、今回の変動種別カウンタCSの値に対応した変動表示時間情報を取得し、その変動表示時間情報を上記変動表示時間カウンタにセットする。ちなみに、リーチ非発生用変動表示時間テーブルを参照して取得され得る変動表示時間は、リーチ発生用変動表示時間テーブルを参照して取得され得る変動表示時間と異なっている。
【0128】
なお、リーチ非発生時における変動表示時間情報は、始動保留球数の数が多いほど、変動表示時間が短くなるように設定されている。また、サポートモードが高頻度サポートモードである状況においては低頻度サポートモードである状況よりも、保留情報の数が同一である場合で比較して、短い変動表示時間が選択されるようにリーチ非発生用変動表示時間テーブルが設定されている。但し、これに限定されることはなく、始動保留球数やサポートモードに応じて変動表示時間が変動しない構成としてもよく、上記の関係とは逆であってもよい。さらには、リーチ発生時における変動表示時間に対して、上記構成を適用してもよい。また、各種大当たり結果の場合、外れリーチ時の場合及びリーチ非発生の場合のそれぞれに対して個別に変動表示時間テーブルが設定されていてもよい。
【0129】
ステップS406にて、変動表示時間の設定処理を実行した後は、ステップS407にて、変動用コマンド及び種別コマンドを設定する。変動用コマンドには、変動表示時間の情報が含まれる。ここで、上記のとおりリーチ非発生用変動表示時間テーブルを参照して取得される変動表示時間は、リーチ発生用変動表示時間テーブルを参照して取得される変動表示時間と異なっているため、変動用コマンドにリーチ発生の有無の情報が含まれていなかったとしても、サブ側の制御装置である音声発光制御装置60では変動表示時間の情報からリーチ発生の有無を特定することは可能である。この点、変動用コマンドには、リーチ発生の有無を示す情報が含まれているとも言える。なお、変動用コマンドにリーチ発生の有無を直接示す情報が含まれていてもよい。
【0130】
また、種別コマンドには、遊技結果の情報が含まれる。つまり、種別コマンドには、遊技結果の情報として、通常大当たり結果の情報、明示2R確変大当たり結果の情報、15R確変大当たり結果の情報、及び外れ結果の情報のいずれかが含まれる。
【0131】
ステップS407にて設定された変動用コマンド及び種別コマンドは、通常処理(図7)におけるステップS201にて、音声発光制御装置60に送信される。ステップS407の処理を実行した後は、ステップS408にてメイン表示部33において絵柄の変動表示を開始させる。その後、本変動開始処理を終了する。
【0132】
遊技回制御処理(図8)の説明に戻り、メイン表示部33が変動表示中である場合には、ステップS306?ステップS309の処理を実行する。当該処理では、先ずステップS306にて、今回の遊技回の変動表示時間が経過したか否かを判定する。
【0133】
変動表示時間が経過していない場合には、ステップS307にて変動表示用処理を実行する。変動表示用処理では、メイン表示部33における表示態様を変更する。その後、本遊技回制御処理を終了する。
【0134】
変動表示時間が経過している場合には、ステップS308にて変動終了処理を実行する。変動終了処理では、上記ステップS404又はステップS405の処理にてRAM54に記憶した情報を特定し、その情報に対応した絵柄の態様がメイン表示部33にて表示されるように当該メイン表示部33を表示制御する。
【0135】
続くステップS309では、変動終了コマンドを設定する。ここで設定された変動終了コマンドは、通常処理(図7)におけるステップS201にて、音声発光制御装置60に送信される。音声発光制御装置60では、受信した変動終了コマンドに基づいて、その遊技回における演出を終了させる。また、それに対応したコマンドが、音声発光制御装置60から表示制御装置70に送信され、表示制御装置70ではその遊技回における最終停止図柄の組み合わせを確定表示(最終停止表示)させる。その後、本遊技回制御処理を終了する。
【0136】
<主制御装置50のMPU52における処理構成の別形態>
MPU52にて実行される処理構成は、上記のものに限定されることはなく、以下の処理構成であってもよい。図10及び図11は、MPU52における処理の別形態を説明するためのフローチャートであり、図10は動作電力の供給が開始された場合に実行されるメイン処理を示し、図11は当該メイン処理に対して定期的に割り込んで起動されるタイマ割込み処理を示す。
【0137】
図10に示すように、メイン処理では先ずステップS501にて、電源投入に伴う立ち上げ処理を実行する。続くステップS502では、RAM54のアクセスを許可する。その後、ステップS503では、電源及び発射制御装置57に設けられたRAM消去スイッチがオンされているか否かを判定し、続くステップS504ではRAM54に電断フラグが格納されているか否かを判定する。また、ステップS505ではRAM判定値を算出し、続くステップS506では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。
【0138】
RAM消去スイッチがオンされておらず、さらに電断フラグが格納されているとともにRAM判定値が正常である場合には、ステップS507にてRAM54から電断フラグを消去するとともに、ステップS508にてRAM判定値を消去する。その後、ステップS509にて割込み許可を設定し、ステップS510にて乱数初期値カウンタCINIの更新を実行し、ステップS511にて変動種別カウンタCSの更新を実行する。そして、ステップS509?ステップS511の処理を実行した後は、ステップS509に戻り、ステップS509?ステップS511の処理を繰り返す。
【0139】
なお、ステップS509にて割込み許可の設定を行った直後に割込み禁止の設定を行う構成としてもよい。この場合、後述するタイマ割込み処理は、割込み禁止の設定が行われている状況において起動タイミングとなった場合には、次回の割込み許可の設定が行われるまでその実行が待機される構成としてもよい。
【0140】
一方、RAM消去スイッチが押されていれば、ステップS512?ステップS513の処理に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値により記憶保持されたデータの異常が確認された場合も同様にステップS512?ステップS513の処理に移行する。
【0141】
ステップS512では、RAM54の使用領域を「0」にクリアし、ステップS513では、RAM54の初期設定を実行する。その後、ステップS509?ステップS511の処理に移行する。
【0142】
図11は、当該別形態におけるタイマ割込み処理を示すフローチャートである。
【0143】
タイマ割込み処理では、ステップS601?ステップS605にて、上記ステップS101?ステップS105と同様の処理を実行する。
【0144】
その後、ステップS606にて、変動種別カウンタCSの更新処理を実行し、ステップS607にて遊技回制御処理を実行し、ステップS608にて遊技状態移行処理を実行し、ステップS609にてデモ表示用処理を実行し、ステップS610にて電役サポート用処理を実行し、ステップS611にて遊技球発射制御処理を実行し、ステップS612にて外部出力処理を実行する。その後、本タイマ割込み処理を終了する。これら各処理の詳細な内容は、上記図7?図9を参照して説明した内容と同様である。
【0145】
<音声発光制御装置60>
次に、音声発光制御装置60について説明する。
【0146】
音声発光制御装置60は、図4に示すように、MPU62が搭載された音声発光制御基板61を具備している。MPU62には、当該MPU62により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM63と、そのROM63内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM64と、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路、乱数発生器としての各種カウンタ回路などが内蔵されている。
【0147】
なお、ROM63として、制御プログラムや固定値データの読み出しに際してランダムアクセスが可能であって、記憶保持に外部からの電力供給が不要な記憶手段(すなわち、不揮発性記憶手段)が用いられている。また、制御及び演算部分と、ROM63と、RAM64とが1チップ化されている構成は必須ではなく、各機能がそれぞれ別チップとして搭載されている構成としてもよく、一部の機能が別チップとして搭載されている構成としてもよい。
【0148】
MPU62には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU62の入力側には演出用操作装置48及び主制御装置50が接続されているとともに、MPU62の出力側には各種発光部35,36,44、スピーカ部45及び表示制御装置130が接続されている。
【0149】
MPU62では、主制御装置50から送信された変動用コマンドを受信することで、遊技回用の演出を開始させる必要があることを認識し、遊技回用演出開始処理を実行する。また、主制御装置50から送信された終了コマンドを受信することで、遊技回用の演出を終了させる必要があることを認識し、遊技回用演出終了処理を実行する。また、主制御装置50から送信された大当たり演出用の各種コマンドを受信することで、大当たり演出を開始させる必要があること又は進行させる必要があることを認識し、大当たり演出用処理を実行する。また、主制御装置50から送信されたデモ表示用のコマンドを受信することで、デモ表示を開始させる必要があることを認識し、デモ表示用処理を実行する。
【0150】
なお、MPU62において主制御装置50からコマンドを受信するとは、主制御装置50からコマンドを直接受信する構成に限定されることはなく、中継基板に中継されたコマンドを受信する構成も含まれる。
【0151】
遊技回用演出開始処理では、変動用コマンド及び種別コマンドの両コマンドに基づいて、該当遊技回の変動表示時間を把握する変動表示時間の把握処理と、リーチ表示の有無を把握するリーチ表示把握処理と、大当たり結果の有無を把握する大当たり結果発生の把握処理と、大当たり結果が発生する場合における大当たり種別を把握する大当たり種別の把握処理と、を実行する。また、リーチ表示把握処理、大当たり結果発生の把握処理及び大当たり種別の把握処理における把握結果に基づいて、本遊技回において図柄表示装置31の表示面Gに最終停止表示させる図柄の種類を決定する図柄種別把握処理を実行する。そして、上記各把握処理の結果に基づいて、変動表示時間の情報及び表示演出の種類の情報を含む変動パターンコマンドと、最終停止表示させる図柄の種類の情報を含む図柄指定コマンドを、表示制御装置130に送信する。
【0152】
また、遊技回用演出開始処理では、上記各把握処理の他に、予告表示を行うか否かの予告表示抽選処理を実行する。この場合、当該抽選処理では、予告表示の種別抽選についても実行される。そして、予告表示の発生当選である場合には、予告表示の種別の情報を含む予告コマンドを、表示制御装置130に送信する。
【0153】
また、遊技回用演出開始処理では、上記各処理の処理結果に基づいて、遊技回用の表示発光テーブルと遊技回用の音声テーブルとをROM63から読み出す。遊技回用の表示発光テーブルにより、該当する遊技回の進行過程における表示発光部44の発光態様が規定される。また、遊技回用の音声テーブルにより、該当する遊技回の進行過程におけるスピーカ部45からの出力態様が規定される。
【0154】
遊技回用演出終了処理では、現状の遊技回における表示発光部44の発光制御及びスピーカ部45の音声出力制御を終了する。また、当該遊技回用演出終了処理では、遊技回用演出を終了させるべき情報を含む終了コマンドを、表示制御装置130に送信する。
【0155】
大当たり演出用処理では、受信している大当たり演出用の各種コマンドに基づいて、オープニング時、各ラウンド時、各ラウンド間及びエンディング時などの演出態様を把握し、その把握結果に対応した大当たり演出用のコマンドを表示制御装置130に送信する。また、当該把握結果に基づいて、大当たり演出用の表示発光テーブルと大当たり演出用の音声テーブルとをROM63から読み出し、大当たり演出中における表示発光部44の発光態様やスピーカ部45からの音声の出力態様を規定する。
【0156】
デモ表示用処理では、受信しているデモ表示用のコマンドに基づいて、デモ表示の演出態様を把握し、その把握結果に対応したデモ表示用のコマンドを表示制御装置130に送信する。また、当該把握結果に基づいて、デモ表示用の表示発光テーブルとデモ表示用の音声テーブルとをROM63から読み出し、デモ表示中における表示発光部44の発光態様やスピーカ部45からの音声の出力態様を規定する。
【0157】
なお、主制御装置50から送信されたコマンドに基づいてMPU62にて実行される処理は、上記処理以外にも、第1保留発光部35や第2保留発光部36を発光制御するための処理が含まれる。
【0158】
また、MPU62では、演出用操作装置48の操作部が操作されたことに基づき当該演出用操作装置48から送信される操作信号を受信することで、演出用操作装置48が操作されたことを認識し、操作対応処理を実行する。また、操作されている状態が解除された場合にも操作信号の立下りによってそれを認識し、操作対応処理を実行する。
【0159】
ここで、演出用操作装置48の操作に対応した演出の一部として、演出用操作装置48が操作されたことに基づき、表示モードが変更される演出が実行される。表示モードとは、遊技回が開始されるまでの間に表示される待機画像や遊技回が実行されている状況で表示される遊技回画像の種類を所定の種類に定める状態であり、複数種類の表示モードが設定されている。かかる表示モードの詳細な内容、及び演出用操作装置48の操作に基づく表示モードの切り換えに係る処理構成については後に詳細に説明する。
【0160】
<表示制御装置130>
表示制御装置130のハード構成について説明する。
【0161】
表示制御装置130は、図4に示すように、表示CPU131と、ワークRAM132と、メモリモジュール133と、VRAM134と、ビデオディスプレイプロセッサ(VDP)135と、が搭載された表示制御基板136を備えている。
【0162】
表示CPU131は、表示制御装置130においてメイン制御部としての機能を有しており、制御プログラム等の読み出し、解釈及び実行を行う。詳細には、表示CPU131は表示制御基板136に搭載された入力ポート137に対してバスを介して接続されており、音声発光制御装置60から送信された各種コマンドは入力ポート137を通じて表示CPU131に入力される。なお、表示CPU131において音声発光制御装置60からコマンドを受信するとは、音声発光制御装置60からコマンドを直接受信する構成に限定されることはなく、中継基板に中継されたコマンドを受信する構成も含まれる。
【0163】
表示CPU131は、バスを介してワークRAM132、メモリモジュール133及びVRAM134と接続されており、音声発光制御装置60から受信したコマンドに基づいて、メモリモジュール133に記憶された各種データをワークRAM132やVRAM134に転送させる転送指示を行う。また、表示CPU131は、バスを介してVDP135と接続されており、音声発光制御装置60から受信したコマンドに基づいて、図柄表示装置31に3次元画像(3D画像)を表示させるための描画指示を行う。以下、メモリモジュール133、ワークRAM132、VRAM134及びVDP135について説明する。
【0164】
メモリモジュール133は、制御プログラム及び固定値データを含む制御用データを予め記憶しているとともに、3次元画像を表示するための各種画像データを予め記憶している記憶手段である。当該メモリモジュール133は、記憶保持に外部からの電力供給が不要な不揮発性の半導体メモリを有してなる。ちなみに、記憶容量は4Gビットであるが、かかる記憶容量は表示制御装置130における制御が良好に実行されるのであれば任意である。また、当該メモリモジュール133は、パチンコ機10の使用に際して、非書き込み用であって読み出し専用のメモリ(ROM)として用いられる。
【0165】
メモリモジュール133に記憶されている各種画像データには、図柄表示装置31に表示される図柄やキャラクタなどのオブジェクト用の画像データと、当該オブジェクトに貼り付けられるテクスチャ用の画像データと、1フレーム分の画像において最背面の画像を構成する背面用の画像データとが含まれている。
【0166】
ここで、オブジェクトとは、仮想3次元空間に相当する3次元の座標系であるワールド座標系に配置される3次元の仮想物体であり、複数のポリゴンによって構成された3次元情報である。また、ポリゴンとは、複数個の3次元座標の頂点で定義される多角形平面である。オブジェクト用の画像データには、例えばサーフェスモデルを適用するため、オブジェクト毎に予め設定された基準座標を原点として、各ポリゴンの頂点座標情報が設定されている。つまり、各オブジェクト用の画像データでは、自己完結のローカル座標系において各ポリゴンの相対位置(すなわち、向きやサイズ)が3次元的に定義されている。
【0167】
テクスチャとは、オブジェクトの各ポリゴンに貼り付ける画像であり、テクスチャがオブジェクトに貼り付けられることにより、オブジェクトに対応する画像、例えば図柄やキャラクタなどを含む表示画像が生成される。テクスチャ用の画像データの持ち方は、任意であるが、例えばビットマップ形式データと、ビットマップ画像の各ピクセルでの表示色を決定する際に参照される色パレットテーブルとの組み合わせを少なくとも含んでいる。
【0168】
最背面の画像は、2次元画像(2D画像)を構成している。背面用の画像データの持ち方は、任意であるが、例えば2次元の静止画像データが圧縮された状態のJPEG形式データとして記憶保持されている。ちなみに、当該背面用の画像データがワールド座標系に配置される場合には板ポリゴンが利用される。
【0169】
ワークRAM132は、メモリモジュール133から読み出されて転送された制御用データを一時的に記憶しておくとともに、フラグ等を一時的に記憶しておくための記憶手段である。ワークRAM132は、記憶保持に外部からの電力供給が必要な揮発性の半導体メモリを有してなり、詳細には当該半導体メモリとしてDRAMが用いられている。但し、DRAMに限定されることはなくSRAMといった他のRAMを用いてもよい。なお、記憶容量は1Gビットであるが、かかる記憶容量は表示制御装置130における制御が良好に実行されるのであれば任意である。また、ワークRAM132は、パチンコ機10の使用に際して、読み書き両用として用いられる。
【0170】
ワークRAM132には、表示CPU131からメモリモジュール133へのデータ転送指示に基づき、当該メモリモジュール133から制御用データが転送される。そして、表示CPU131は、ワークRAM132に転送された制御用データを必要に応じて内部のメモリ領域(レジスタ群)に読み込み、各種処理を実行する。
【0171】
VRAM134は、図柄表示装置31に対して画像出力を行うために必要な各種データを一時的に記憶しておくための記憶手段である。当該VRAM134は、記憶保持に外部からの電力供給が必要な揮発性の半導体メモリを有してなり、詳細には当該半導体メモリとしてSDRAMが用いられている。但し、SDRAMに限定されることはなく、DRAM、SRAM又はデュアルポートRAMといった他のRAMを用いてもよい。なお、記憶容量は2Gビットであるが、かかる記憶容量は表示制御装置130における制御が良好に実行されるのであれば任意である。また、当該VRAM134は、パチンコ機10の使用に際して、読み書き両用として用いられる。
【0172】
VRAM134は展開用バッファ141を備えており、展開用バッファ141には、表示CPU131からメモリモジュール133へのデータ転送指示に基づき、当該メモリモジュール133から画像データが転送される。この場合、当該画像データは、その画像データを用いたVDP135における処理の実行タイミングとなるまでに事前に転送される。また、VRAM134には、VDP135により描画データ(生成データ)が作成されるフレームバッファ142が設けられている。また、VRAM134には、Zバッファ143、スクリーン用バッファ144及びモード用バッファ145が設けられているが、これらの詳細については後に説明する。
【0173】
VDP135は、表示CPU131からの描画指示に基づき、展開用バッファ141に記憶保持されているデータを用いて、具体的には加工することにより、図柄表示装置31に対して描画を行う画像生成デバイスであり、図柄表示装置31において液晶表示部31aを駆動制御するように組み込まれた画像処理デバイス31bを操作する一種の描画回路である。VDP135はICチップ化されているため「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は、描画専用のファームウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。
【0174】
詳細には、VDP135は、ジオメトリ演算部151と、レンダリング部152と、レジスタ153と、表示モード制御部154と、表示回路155と、を備えている。また、これら各回路はバスを介して相互に接続されているとともに、表示CPU131用のI/F156及びVRAM134用のI/F157と接続されている。
【0175】
表示CPU131用のI/F156は、表示CPU131から送信された描画指示情報としての描画リストをレジスタ153に記憶させる。ジオメトリ演算部151は、レジスタ153に格納された描画リストに基づいて、配置対象として指定されているオブジェクトをワールド座標系内に配置する。また、ジオメトリ演算部151は、オブジェクトをワールド座標系内に配置する場合及び配置した後に、各種の座標変換処理を実行する。そして、最終的に表示面Gのスクリーン座標に対応する3次元空間に対応させて、オブジェクトをクリッピングする。
【0176】
レンダリング部152は、レジスタ153に格納された描画リストに基づいて、クリッピングされた各オブジェクトに対して光源調整や、テクスチャの貼付を行い、オブジェクトの外観を決定する。また、レンダリング部152は、各オブジェクトを所定の2次元平面上に投影させて2次元データを作成するとともに、深度情報に基づく各種調整を行い2次元データである1フレーム分の描画データをフレームバッファ142に作成する。1フレーム分の描画データとは、予め定められた更新タイミングで図柄表示装置31の表示面Gにおける画像が更新される構成において、一の更新タイミングにおける画像を表示させるのに必要なデータのことをいう。
【0177】
なお、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152が動作するための制御プログラムの全てが描画リストにより提供される構成としてもよく、制御プログラムを予め記憶したメモリをVDP135に内蔵させ、当該制御プログラムと描画リストの内容によってジオメトリ演算部151及びレンダリング部152が処理を実行する構成としてもよい。また、メモリモジュール133から制御プログラムを事前に読み出す構成としてもよい。また、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152がプログラムを利用することなく、描画リストに対応したハード回路の動作のみで処理を実行する構成としてもよい。
【0178】
ここで、フレームバッファ142には、複数のフレーム領域142a,142bが設けられている。具体的には、第1フレーム領域142aと、第2フレーム領域142bとが設けられている。これら各フレーム領域142a,142bは、それぞれ1フレーム分の描画データを記憶可能な容量に設定されている。具体的には、各フレーム領域142a,142bにはそれぞれ、液晶表示部31a(すなわち表示面G)のドット(画素)に所定の倍率で対応させた多数の単位エリアが含まれている。各単位エリアは、いずれの色を表示するかを特定するためのデータを格納可能な記憶容量を有している。より詳細には、フルカラー方式が採用されており、各ドットにおいてR(赤),G(緑),B(青)のそれぞれに256色の設定が可能となっている。これに対応させて、各単位エリアにおいては、RGB各色に1バイト(8ビット)が割り当てられている。つまり、各単位エリアは、少なくとも3バイトの記憶容量を有している。
【0179】
なお、フルカラー方式に限定されることはなく、例えば各ドットにおいて256色のみ表示可能な構成においては、各単位エリアにおいて色情報を格納するために必要な記憶容量は1バイトでよい。
【0180】
フレームバッファ142に第1フレーム領域142a及び第2フレーム領域142bが設けられていることにより、一方のフレーム領域に作成された描画データを用いて図柄表示装置31への描画が実行されている状況において、他のフレーム領域に対して今後用いられる描画データの作成が実行される。つまり、フレームバッファ142として、ダブルバッファ方式が採用されている。
【0181】
表示回路155では、第1フレーム領域142a又は第2フレーム領域142bに作成された描画データに基づいて液晶表示部31aの各ドットに対応した画像信号が生成され、その画像信号が、表示回路155に接続された出力ポート138を介して図柄表示装置31に出力される。詳細には、出力対象のフレーム領域142a,142bから表示回路155へ描画データが転送される。その転送された描画データは図柄表示装置31の解像度に対応したものとなるように、図示しないスケーラにより解像度調整が行われて階調データに変換される。そして、当該階調データに基づいて図柄表示装置31の各ドットに対応した画像信号が生成されて出力される。なお、表示回路155からは水平同期信号又は垂直同期信号などの同期信号も出力される。
【0182】
また、表示モード制御部154では、表示モードに対応した画像の表示を行う場合に、レジスタ153に格納された描画リストに基づいて、所定の処理を実行する。当該所定の処理については後に説明する。
【0183】
<表示CPU131における基本的な処理>
次に、表示CPU131における基本的な処理について説明する。
【0184】
<メイン処理>
先ず、表示CPU131への動作電力の供給が開始された場合や、パチンコ機10のリセットが行われた場合に起動されるメイン処理について説明する。図12はメイン処理を示すフローチャートである。
【0185】
メイン処理では、先ずステップS701にて、初期設定処理を実行する。
【0186】
初期設定処理では、表示回路155のスケーラの初期調整処理を実行する。当該初期調整処理では、VRAM134の各フレーム領域142a,142bに作成される描画データに基づいて画像信号が出力される場合に、その画像信号が液晶表示部31aのドット数に対応させて出力されるように、VDP135に対して解像度初期調整用コマンドを送信する。この初期調整値は、パチンコ機10の設計段階において調整されており、その調整結果が解像度初期調整用コマンドとして設定されている。
【0187】
VDP135に解像度初期調整用コマンドが送信されることで、VDP135のレジスタ153におけるスケーラの解像度調整用のエリアに初期調整値に対応した数値情報が格納される。これにより、VDP135から図柄表示装置31に画像信号が出力される場合、描画データに対応した画像信号が液晶表示部31aのドット数に調整された状態で出力される。
【0188】
また、初期設定処理では、地色の初期調整処理を実行する。当該初期調整処理では、VRAM134の各フレーム領域142a,142bの単位エリアに初期値として設定される数値情報が初期数値情報となるように、VDP135に対して地色初期調整用コマンドを送信する。この初期数値情報は、パチンコ機10の設計段階において調整されており、その調整結果が地色初期調整用コマンドとして設定されている。
【0189】
VDP135は地色初期調整用コマンドが送信されることで、VDP135のレジスタ153における地色調整用のエリアに初期数値情報が格納される。これにより、描画データが作成される場合に初期数値情報からの更新が行われなかった単位エリアに対応したドットでは、地色が表示されることとなる。なお、初期の地色として本パチンコ機10では黒色が設定されているが、これに限定されることはなく任意である。
【0190】
ステップS701にて初期設定処理を実行した後は、ステップS702にて、各種割込みを許可する。これにより、表示CPU131においてコマンド割込み処理及びV割込み処理を実行することが許容される。その後、メイン処理では、ステップS702の処理を繰り返す。
【0191】
<コマンド割込み処理>
次に、コマンド割込み処理について説明する。
【0192】
コマンド割込み処理は、音声発光制御装置60からストローブ信号を受信した場合に、その時点で実行されている処理が何であったとしても最優先で起動される処理である。コマンド割込み処理では、入力ポート137にて受信しているコマンドを、ワークRAM132に設けられたコマンドバッファに転送し、さらにコマンドを新たに受信したことを示すフラグを対応するエリアにセットする。その後、コマンド割込み処理を終了し、当該コマンド割込み処理の起動前の処理に復帰する。
【0193】
<V割込み処理>
次に、V割込み処理について、図13のフローチャートを参照しながら説明する。V割込み処理は、予め定められた周期、具体的には20msec周期で繰り返し起動される。
【0194】
なお、VDP135は図柄表示装置31に1フレーム分の画像信号を出力する場合、表示面Gの左上の隅角部分にあるドットから画像信号の出力を始めて、当該ドットを一端に含む横ライン上に並ぶドットに対して順次画像信号を出力するとともに、各横ラインに対して上から順に左から右のドットへと画像信号を出力する。そして、表示面Gの右下の隅角部分にあるドットに対して最後に画像信号を出力する。この場合に、VDP135は当該最後のドットに対して画像信号を出力したタイミングで、表示CPU131へV割込み信号を出力して1フレームの画像の更新が完了したことを表示CPU131に認識させる。このV割込み信号の出力周期は20msecとなっている。この点、V割込み処理は、V割込み信号の受信に同期して起動されると見なすこともできる。但し、V割込み信号を受信していなくても、前回のV割込み処理が起動されてから20msecが経過している場合には、新たにV割込み処理が起動される。
【0195】
V割込み処理では、先ずステップS801にて、コマンド解析処理を実行する。具体的には、ワークRAM132のコマンドバッファに格納されているコマンドの内容を解析する。続くステップS802では、ステップS801の解析結果に基づいて、新規コマンドを受信しているか否かを判定する。新規コマンドを受信している場合には、ステップS803にて、コマンド対応処理を実行する。
【0196】
コマンド対応処理では、受信しているコマンドに対応したプログラムを実行するためのデータテーブルをメモリモジュール133から読み出す。データテーブルとは、受信したコマンドに対応した動画を図柄表示装置31の表示面Gに表示させる場合において、画像の各更新タイミングにおける1フレーム分の画像を表示させるのに必要な処理が定められた情報群である。
【0197】
ここで、表示CPU131が音声発光制御装置60から受信するコマンドとしては、既に説明したとおり、変動パターンコマンド、図柄指定コマンド及び予告コマンドがある。これらのコマンドを受信した場合、それら各コマンドに対応した遊技回用演出を図柄表示装置31にて実行するために必要なデータテーブルを読み出す。また、上記受信するコマンドとしては終了コマンドがあり、当該コマンドを受信した場合には現状実行されている遊技回用演出を最終停止させるために必要なデータテーブルを読み出す。また、上記受信するコマンドとしては、大当たり演出用の各種コマンドがあり、当該コマンドを受信した場合には大当たり演出を実行するために必要なデータテーブルを読み出す。また、上記受信するコマンドとしては、デモ表示用のコマンドがあり、当該コマンドを受信した場合にはデモ表示を実行するために必要なデータテーブルを読み出す。さらに読み出したデータテーブルに基づき、処理を実行する場合に必要な他のプログラムデータも読み出す。
【0198】
ステップS803にてコマンド対応処理を実行した後は、ステップS804にて、ポインタ更新処理を実行する。当該ポインタ更新処理では、データテーブルに設定されているポインタの情報を、1フレーム分進めるように更新する。これにより、今回の更新タイミングに対応した1フレーム分の画像を表示させるために必要な処理を、表示CPU131において把握することが可能となる。
【0199】
続くステップS805では、タスク処理を実行する。タスク処理では、今回の更新タイミングに対応した1フレーム分の画像を表示させるために、VDP135に描画指示を行う上で必要なパラメータの演算を行う。当該タスク処理の詳細については後に説明する。
【0200】
続くステップS806では、描画リスト出力処理を実行する。描画リスト出力処理では、今回の処理回に係る更新タイミングに対応した1フレーム分の画像を表示させるための描画リストを作成し、その作成した描画リストをVDP135に送信する。この場合、当該描画リストでは、直前のタスク処理にて把握された画像が描画対象となり、さらに当該タスク処理にて更新したパラメータの情報が合わせて設定される。VDP135では、この描画リストに従ってVRAM134のフレーム領域142a,142bに描画データを作成する。このVDP135における処理については後に詳細に説明する。その後、本V割込み処理を終了する。
【0201】
<表示CPU131におけるタスク処理>
ここで、タスク処理について、図14のフローチャートを参照しながら説明する。
【0202】
タスク処理では先ずステップS901にて、制御開始用の設定処理を実行する。制御開始用の設定処理では、今回の処理回で表示CPU131において新たに制御(演算)を開始する個別画像を設定するための処理を実行する。なお、個別画像とは、背面用の画像データなどの静止画像データにより規定される一の2次元画像や、オブジェクト用の画像データとテクスチャ用の画像データとの組み合わせにより規定される一の3次元画像のことである。
【0203】
制御開始用の設定処理について具体的には、先ず現状設定されているデータテーブルに基づいて、今回の処理回で制御開始対象となる個別画像が存在しているか否かを判定する。存在している場合には、ワークRAM132において、個別画像の制御を行う上で各種演算を行うための空きバッファ領域を検索して、制御開始対象として把握されている個別画像に1対1で対応するように空きバッファ領域を確保する。さらに、確保した全ての空きバッファ領域に対して初期化処理を実行するとともに、初期化した空きバッファ領域に対して、個別画像に応じた制御開始用のパラメータを設定する。
【0204】
続くステップS902では、制御更新対象を把握する。この制御更新対象は、制御開始処理が完了している個別画像であって今回の処理回以降に1フレーム分の画像に含まれる可能性がある個別画像が対象となる。
【0205】
続くステップS903では、背景用演算処理を実行する。背景用演算処理では、背景の画像を構成することとなる最背面用の画像や、背景用キャラクタについて、ワールド座標系内における座標、回転角度、スケール、明暗を付けるためのライトの情報、投影を行うためのカメラの情報、及びZテスト指定などといった描画リストを作成する上で必要な各種パラメータを演算して導き出す処理を実行する。
【0206】
続くステップS904では、演出用演算処理を実行する。演出用演算処理では、リーチ表示、予告表示及び大当たり演出といった各種演出において表示対象となる個別画像について、上記各種パラメータを演算して導き出す処理を実行する。
【0207】
続くステップS905では、図柄用演算処理を実行する。図柄用演算処理では、各遊技回において変動表示の対象となる図柄の画像について、上記各種パラメータを演算して導き出す処理を実行する。
【0208】
ちなみに、ステップS903?ステップS905の各処理では、ステップS901にて設定された制御開始用のパラメータを更新する処理を実行する。また、ステップS903?ステップS905の各処理では、個別画像の各種パラメータを画像更新タイミングとなる度に特定のパターンに従って変化させるように設定されたアニメーション用データが用いられる。このアニメーション用データは、メモリモジュール133に予め記憶されており、個別画像の種類に応じて定められている。
【0209】
その後、ステップS906にてワールド座標系への配置対象の把握処理を実行した後に、本タスク処理を終了する。ワールド座標系への配置対象の把握処理では、上記ステップS903?ステップS905の各処理により制御更新対象となった各個別画像のうち、今回の描画リストにおいて描画対象として設定する個別画像を把握する処理を実行する。当該把握は、現状設定されているデータテーブルに基づいて行われる。ここで把握された個別画像が、描画リストにおいて描画対象として設定される。
【0210】
つまり、表示CPU131にて制御対象となる個別画像の方が、VDP135にて制御対象となる個別画像よりも多く設定されているため、ステップS906においてその調整を行っている。但し、これに限定されることはなく、表示CPU131において制御対象となる個別画像と、VDP135において制御対象となる個別画像とが同一である構成としてもよく、この場合、ステップS906の処理を実行する必要がなくなる。
【0211】
なお、ステップS901の制御開始用の設定処理において、表示CPU131の処理負荷を分散させるべく、各個別画像の制御開始タイミングが分散させて設定されている構成としてもよい。
【0212】
<VDP135における基本的な処理>
次に、VDP135にて実行される基本的な処理について説明する。
【0213】
VDP135では、表示CPU131から送信されたコマンドに基づいてレジスタ153の値を設定する処理、表示CPU131から送信された描画リストに基づいてフレームバッファ142のフレーム領域142a,142bに描画データを作成する処理、フレーム領域142a,142bに作成された描画データに基づいて図柄表示装置31に画像信号を出力する処理が少なくとも実行される。
【0214】
上記各処理のうち、レジスタ153の値を設定する処理は、表示CPU131用のI/F156に付随する図示しない回路によって、コマンドを受信した場合にその都度実行される。また、描画データを作成する処理は、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152の協同により、予め定められた周期(例えば、20msec)で繰り返し実行される。また、画像信号を出力する処理は、表示回路155によって、予め定められた画像信号の出力開始タイミングとなることで実行される。
【0215】
以下、上記描画データを作成する処理について詳細に説明する。当該処理の説明に先立ち、表示CPU131からVDP135に送信される描画リストの内容について説明する。図15(a)?(c)は描画リストの内容を説明するための説明図である。
【0216】
描画リストには、ヘッダ情報が設定されている。ヘッダ情報には、当該描画リストに係る1フレーム分の画像を、第1フレーム領域142a及び第2フレーム領域142bのうちいずれを作成対象とするかを示す情報であるターゲットバッファの情報が設定されている。また、ヘッダ情報には、各種指定情報が設定されている。各種指定情報の内容については後に説明する。なお、VDP135にて取り扱う画像データとして動画像データが含まれている場合には、ヘッダ情報において、デコード指定の有無及びデコード対象となる動画像データがメモリモジュール133において記憶されているアドレスの情報が設定されていてもよい。
【0217】
描画リストには、上記ヘッダ情報以外にも、今回の描画データの作成に際してワールド座標系への配置対象となる複数種類の画像データが設定されており、さらに各画像データの描画順序の情報と、各画像データのパラメータ情報とが設定されている。詳細には、描画順序の情報が連番の数値情報となるようにして設定されているとともに、各数値情報に1対1で対応させてパラメータの情報が設定されている。
【0218】
図15(a)の描画リストでは、背面用の画像データが最初の描画対象として設定されているとともに、背景用オブジェクトAが2番目、背景用オブジェクトBが3番目、・・・として設定されている。また、これら背景用の画像データよりも後の順番として、演出用の画像データが設定されており、例えば演出用オブジェクトAがm番目、演出用オブジェクトBがm+1番目、・・・として設定されている。また、これら演出用の画像データよりも後の順番として、図柄用の画像データが設定されており、例えば図柄用オブジェクトAがn番目、図柄用オブジェクトBがn+1番目、・・・として設定されている。
【0219】
なお、描画リストにおいて各画像データが設定されている順番は上記のものに限定されることはなく、設定されている順番が上記のものとは逆の順番であってもよく、図柄用の画像データの後に演出用の画像データ又は背景用の画像データが設定されていてもよく、所定の演出用の画像データと他の演出用の画像データとの間の順番に図柄用の画像データが設定されていてもよい。
【0220】
パラメータの情報P(1),P(2),P(3),・・・,P(m),P(m+1),・・・,P(n),P(n+1),・・・には、複数種類のパラメータが設定されている。背面用の画像データのパラメータP(1)について具体的には、図15(b)に示すように、メモリモジュール133において背面用の画像データが記憶されているエリアのアドレスの情報と、背面用の画像データを設定する場合におけるワールド座標系内の位置を示す座標の情報(X値の情報,Y値の情報,Z値の情報)と、背面用の画像データを設定する場合におけるワールド座標系内の回転角度を示す回転角度の情報と、背面用の画像データの初期状態として設定されているスケールに対して、ワールド座標系に設定する際の倍率を示すスケールの情報と、背面用の画像データを設定する場合における全体の透過情報(又は透明情報)を示す一律α値の情報と、が設定されている。
【0221】
ここで、座標の情報は、オブジェクト用の画像データの全頂点について個別に設定される。また、この座標の情報はオブジェクト用の画像データに対して設定されているが、テクスチャ用の画像データには設定されていない。テクスチャ用の画像データは、各ピクセルの座標値が、オブジェクト用の画像データの各頂点に関連付けて予め定められている。この座標値は、ワールド座標系における座標値とは異なるUV座標値であり、オブジェクト用の画像データ及びテクスチャ用の画像データの組み合わせに対して付属させた状態でメモリモジュール133に記憶されている。このUV座標値はテクスチャマッピングする際にVDP135により参照される。
【0222】
パラメータ(P1)には、背面用の画像データを描画用の仮想2次元平面上に投影する場合における仮想カメラの座標及び向きの情報を含むカメラの情報と、背面用の画像データをレンダリングする場合における陰影を決定する仮想光源の位置及び向きの情報を含むライトの情報と、が設定されている。
【0223】
パラメータ(P1)には、隠面消去を行う手法の一種であるZバッファ法の適用有無を示すZテスト指定の情報が設定されている。Zバッファ法とは、ワールド座標系内において多数のオブジェクトや2次元画像が奥行き方向(Z軸方向)に重なった場合に、Z軸上に並ぶ各ピクセル(又は各ボクセル、各画素、各ポリゴン)について視点からの距離を順次参照し、最も視点に近いピクセルに設定されている数値情報をフレーム領域142a,142bにおける対応する単位エリアに設定する深度調整用の処理方法である。当該Zバッファ法を適用する場合に、VRAM134に設けられたZバッファ143が利用される。Zバッファ143を利用した隠面処理の具体的な処理構成については後に説明する。
【0224】
なお、上記隠面消去を行う手法としてZバッファ法以外にも、Zソート法が設定されている。Zソート法とは、Z軸上に並ぶ各ピクセルについて、各ピクセルに設定されている数値情報をフレーム領域142a,142bにおける対応する単位エリアに順次設定する深度調整用の処理方法である。当該Zソート法を適用する場合には、各ピクセルに設定されているα値が参照されて、Z軸上に並ぶ各ピクセルの色情報に対応した数値情報に対して対応するα値が適用された状態で、それら数値情報の加算処理や融合用の演算処理が実行されることとなる。Zソートによる隠面処理の具体的な処理構成の説明は省略するが、エフェクト画像を表示させる場合に起動される。
【0225】
パラメータ(P1)には、αデータの適用有無及び適用対象を示すαデータ指定の情報と、フォグの適用有無及び適用対象を示すフォグ指定の情報と、背景画像を表示するために作成された背景画像用の描画データについて別保存の有無を示す別保存指定の情報と、が設定されている。
【0226】
ここで、α値とは対応するピクセルの透過情報のことである。このα値の描画リスト上における設定の仕方として、上記一律α値を指定する方法と、αデータ指定を行う方法とがある。一律α値とは、一の画像データの全ピクセルに対して適用される透過情報のことであり、表示CPU131における演算結果として導出される数値情報である。当該一律α値は、画像データの全ピクセルに一律で適用される。一方、αデータとは、2次元の静止画像データやテクスチャ用の画像データの各ピクセル単位で適用される透過情報のことであり、画像データとしてメモリモジュール133に予め記憶されている。当該αデータは、同一の静止画像データ又は同一のテクスチャ用の画像データの範囲内において各ピクセル単位で透過情報を相違させることができる。このαデータは、一律α値を設定するためのプログラムデータに比べデータ容量が大きい。
【0227】
上記のように一律α値とαデータとが設定されていることにより、2次元の静止画像データやテクスチャ用の画像データの透過度をピクセル単位で細かく制御するのではなく全ピクセルに対して一律で制御すればよい状況では一律α値で対応することができることで必要なデータ容量の削減が図られるとともに、αデータを適用することによって透過度をピクセル単位で細かく制御することも可能となる。
【0228】
フォグとは、ワールド座標系において所定方向、具体的にはZ軸方向の位置に対する明るさの度合いを調整するための情報である。フォグは、霧を表現したり、洞窟内を表現したりする場合に使用される。ここで、1フレーム分の画像の全体に対して単一のフォグを適用してもよい。この場合、1フレーム分の画像に一定の態様でフォグがかかることとなる。また、これに代えて、1フレーム分の画像の全体に対して複数のフォグを適用してもよい。この場合、Z軸方向の奥側に配置されているオブジェクトに対してその他のオブジェクトと同様のフォグを適用すると暗すぎることで質感がでないような状況において、当該オブジェクトには別のフォグを設定する構成とするとよい。これにより、上記質感を損なわせないようにしつつ、フォグを設定することによる効果を得ることができる。
【0229】
別保存とは、一旦作成した背景画像用の描画データをその後のフレームにおいてそのまま使用するために、フレーム領域142a,142bとは別に設けられたモード用バッファ145に書き込み保存しておくことをいう。モード用バッファ145には、図4に示すように、各表示モードに1対1で対応するように、第1モード用領域145aと、第2モード用領域145bとが設けられている。この別保存の具体的な内容については、後に詳細に説明する。
【0230】
パラメータP(2)といった他のパラメータでは、図15(c)に示すように、上記図15(b)の各種情報のうち、背面用の画像データの情報に代えて、オブジェクトの情報とテクスチャの情報とが設定されている。これらの情報としては、メモリモジュール133においてオブジェクトやテクスチャが記憶されているエリアのアドレスの情報が設定されている。
【0231】
VDP135における描画処理について、図16のフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下の説明では、描画処理の実行に伴い描画データが作成される様子を、図17を参照しながら説明する。
【0232】
先ずステップS1001では、表示CPU131から新たな描画リストを受信しているか否かを判定する。新たな描画リストを受信している場合には、ステップS1002にて、背景用の設定処理を実行する。
【0233】
背景用の設定処理では、今回の描画リストにて指定されている画像データのうち、背景画像を表示するための背面用の画像データ及びキャラクタ用のオブジェクトを把握する。そして、それら画像データやキャラクタ用のオブジェクトが、ワールド座標系に既に配置されているか否かを判定する。
【0234】
配置されていない場合には、ワールド座標系への配置を行うために参照する空きバッファ領域を画像データ毎に検索し、空きバッファ領域を確保した場合にはその領域の初期化処理を実行する。その後、メモリモジュール133においてその画像データが記憶されているアドレスを把握して読み出すとともに、描画リストに指定された座標、回転角度及びスケールとなるように、その画像データについてのローカル座標系の座標値をワールド座標系の座標値に変換させるワールド変換処理を実行して、上記確保したバッファ領域に設定する。
【0235】
配置されている場合には、既に確保されたバッファ領域に設定されている各種パラメータの更新処理を実行する。また、背景用の設定処理では、既にワールド座標系に配置されている画像データのうち、今回の描画リストに指定されていない背景用の画像データを消去する制御終了処理を実行する。
【0236】
続くステップS1003では、演出用の設定処理を実行する。演出用の設定処理では、今回の描画リストにて指定されている画像データのうち、演出画像を表示するためのオブジェクトを把握する。そして、その把握したオブジェクトが、ワールド座標系に既に配置されているか否かを判定する。配置されていない場合には、上記背景用の設定処理において説明した場合と同様に、配置を開始するための処理を実行する。配置されている場合には、各種パラメータの更新処理を実行する。また、演出用の設定処理では、既にワールド座標系に配置されている画像データのうち、今回の描画リストに指定されていない演出用の画像データを消去する制御終了処理を実行する。
【0237】
続くステップS1004では、図柄用の設定処理を実行する。図柄用の設定処理では、今回の描画リストにて指定されている画像データのうち、図柄を表示するためのオブジェクトを把握する。そして、その把握したオブジェクトが、ワールド座標系に既に配置されているか否かを判定する。配置されていない場合には、上記背景用の設定処理において説明した場合と同様に、配置を開始するための処理を実行する。配置されている場合には、各種パラメータの更新処理を実行する。また、図柄用の設定処理では、既にワールド座標系に配置されている画像データのうち、今回の描画リストに指定されていない図柄用の画像データを消去する制御終了処理を実行する。
【0238】
上記ステップS1002?ステップS1004の処理が実行されることにより、図17に示すように、X軸,Y軸,Z軸で規定されたワールド座標系内に、描画リストにより配置対象として指定されている最背面画像PC1と、各種オブジェクトPC2?PC10とが、同じく描画リストにより指定されている座標、回転角度及びスケールで配置されたシーンの設定が完了する。
【0239】
なお、図17においては、最背面画像PC1や各種オブジェクトPC2?PC10が配置されている様子を簡易的に示している。また、最背面画像PC1は、各種オブジェクトPC2?PC10の全てに対してZ軸方向の座標が奥側に設定されている必要はなく、例えば、最背面画像PC1が曲げられた状態又は傾斜した状態で配置されていることにより、一部のオブジェクトよりもZ軸方向の座標が手前側となる構成としてもよい。但し、この一部のオブジェクトとX軸方向の座標及びY軸方向の座標が同一である最背面画像PC1の領域は、そのオブジェクトよりもZ軸方向の座標が奥側であることにより、全てのオブジェクトが最背面画像PC1により覆われない状態となる。
【0240】
続くステップS1005では、カメラ座標系(カメラ空間)への変換処理を実行する。カメラ座標系への変換処理では、描画リストにより指定されたカメラの情報により、視点の座標及び向きを決定するとともに、その視点の座標及び向きに基づいて、ワールド座標系を、視点を原点としたカメラ座標系(カメラ空間)に変換する。これにより、図17に示すように、カメラ形状で示す視点PC11が設定され、それに対応した座標系が設定された状態となる。
【0241】
ここで、カメラの情報は、個別画像(最背面画像PC1及び各種オブジェクトPC2?PC10)毎に設定されており、実際には個別画像毎にカメラ座標系が存在することとなる。このように個別画像毎にカメラ座標系が設定されることにより、視点切換を個別に行うことが可能となり、描画データの作成の自由度が高められる。但し、説明の便宜上、図17には全ての個別画像が単一の視点に設定されている状態を示す。
【0242】
続くステップS1006では、視野座標系(視野空間)への変換処理を実行する。視野座標系への変換処理では、上記各カメラ座標系を、視点からの視野(視野角)に対応する視野座標系に変換する。これにより、各個別画像について、対応する視点の視野内に含まれている場合にはそれが抽出されるとともに、視点から近い個別画像が拡大されるとともに、視点から遠い個別画像が縮小される。
【0243】
続くステップS1007では、クリッピング処理を実行する。クリッピング処理では、ステップS1006にて抽出された各個別画像が、それぞれ対応する視点を共通の原点として把握される。そして、その状態で描画対象のフレーム領域142a,142b(すなわち、図柄表示装置31の表示面G)に応じたスクリーン領域PC12(図17を参照)に対応する空間を基準として、ステップS1006にて抽出された各個別画像をクリッピングする。
【0244】
続くステップS1008では、ライティング処理を実行する。ライティング処理では、描画リストにより指定されたライトの情報により、仮想光源の種類、座標及び向きを決定するとともに、上記クリッピング処理により抽出された各オブジェクトについて上記仮想光源に基づき陰影や反射等を演算する。
【0245】
続くステップS1009では、色情報の設定処理を実行する。色情報の設定処理では、上記クリッピング処理により抽出された各オブジェクトに対して、ピクセル単位(すなわちポリゴン単位)又は頂点単位で、色情報を設定することで、各オブジェクトの外観を決定する。かかる色情報の設定処理では、基本的に、上記クリッピング処理により抽出された各オブジェクトに対して、それぞれに対応するテクスチャを貼り付けるテクスチャマッピング処理が実行される。また、状況によっては、バンプマッピングや透明度マッピングなどの処理が実行される。
【0246】
その後、ステップS1010及びステップS1011にて、ステップS1007にて抽出され、さらにライティング処理や色情報の設定処理が完了した各個別画像を、仮想2次元平面であるスクリーン領域PC12に投影(例えば、透視投影や平行投影)することで描画データを作成する。
【0247】
具体的には、先ずステップS1010にて、背景用の描画データ作成処理を実行する。背景用の描画データ作成処理では、背景画像として設定されている最背面画像及びオブジェクトに対して隠面消去を行いながらスクリーン領域PC12への投影を行うことで、背景用の描画データを作成する。
【0248】
ここで、VRAM134には、図4に示すようにスクリーン用バッファ144が設けられており、スクリーン用バッファ144には背景用の描画データが書き込まれる背景用のバッファと、演出用の描画データ及び図柄用の描画データがまとめて書き込まれる演出及び図柄用のバッファとが設定されている。また、背景用のバッファ、演出及び図柄用のバッファには、スクリーン領域PC12のピクセル数と同一のドット数のエリアが設定されている。ステップS1010にて作成される背景用の描画データは、背景用のバッファに書き込まれる。なお、描画リストにおいて背景用の画像データが指定されていない場合には、背景用の描画データは作成されない。
【0249】
続くステップS1011では、演出及び図柄用の描画データ作成処理を実行する。演出及び図柄用の描画データ作成処理では、演出画像として設定されているオブジェクト及び図柄として設定されているオブジェクトに対して隠面消去を行いながらスクリーン領域PC12への投影を行うことで、スクリーン用バッファ144における演出及び図柄用のバッファに演出及び図柄用の描画データを作成する。なお、描画リストにおいて演出及び図柄用の画像データが指定されていない場合には、演出及び図柄用の描画データは作成されない。
【0250】
その後、ステップS1012にて、描画データ合成処理を実行した後に、本描画処理を終了する。ステップS1012の描画データ合成処理では、ステップS1010及びステップS1011の処理によりそれぞれ個別にスクリーン用バッファ144に作成されている背景用の描画データと、演出及び図柄用の描画データとを合成して、その合成結果を描画対象のフレーム領域142a,142bに1フレーム分の描画データとして書き込む。
【0251】
この場合、その書き込む順序は、背景用の描画データ→演出及び図柄用の描画データの順序で奥側から手前側に並ぶように規定されている。したがって、描画対象のフレーム領域142a,142bに対して、先ず背景用の描画データを書き込み、次に演出及び図柄用の描画データを書き込む。この際、描画の実行対象となったピクセルに完全透過のα値が設定されている場合には奥側の画像がそのまま利用され、半透過のα値が設定されている場合にはα値を基準とした比率での奥側の画像と手前側の画像との融合が行われ、不透過のα値が設定されている場合には奥側の画像に対する手前側の画像の上書きが行われるように、融合用の演算が実行される。
【0252】
ここで、融合用の演算についてより詳細に説明すると、描画対象のフレーム領域142a,142bにおける各ドットのRGBの各数値情報は、演出及び図柄用の描画データにおける描画対象となったピクセルに設定されているα値を基準として、
R:「奥側画像のR値」×(「1」-「α値」)+「手前側画像のR値」×「α値」
G:「奥側画像のG値」×(「1」-「α値」)+「手前側画像のG値」×「α値」
B:「奥側画像のB値」×(「1」-「α値」)+「手前側画像のB値」×「α値」
となる。
【0253】
ちなみに、各描画データは1フレーム分の面積を有するように規定されているが、演出及び図柄用の描画データにおいて投影が行われなかったブランク部分については完全透過のα値が設定されている。
【0254】
上記1フレーム分の描画データの作成は20msec周期の範囲内で完了するように行われる。また、作成された描画データに基づいて表示回路155から図柄表示装置31に画像信号が出力されるが、既に説明したとおりダブルバッファ方式が採用されているため、当該画像信号の出力は当該出力に係るフレームに対して1フレーム分後の描画データの作成と並行して行われる。また、表示回路155は1フレーム分の画像信号の出力が完了する毎に参照対象とするフレーム領域142a,142bを交互に切り換えるセレクタ回路を有しており、当該セレクタ回路による切換によって、描画データの描画対象となっているフレーム領域142a,142bが画像信号を出力するための出力対象とならないように規制されている。
【0255】
なお、上記ステップS1002?ステップS1007までがジオメトリ演算部151により実行される処理であり、上記ステップS1008?ステップS1012がレンダリング部152により実行される処理である。
【0256】
<Zバッファ143を利用したマスク表示>
次に、Zバッファ143を利用したマスク表示について説明する。
【0257】
Zバッファ143は、既に説明したとおり、Zバッファ法による隠面消去を行う場合に利用される。ここで、VDP135にて実行されるZバッファを用いた隠面処理について、図18のフローチャートを参照しながら説明する。
【0258】
Zバッファを用いた隠面処理は、描画リストにてZテスト指定がなされている場合に、描画処理(図16)におけるステップS1010及びステップS1011の各描画データ作成処理にて起動される。また、表示CPU131は、Zテスト指定を行う場合、Zバッファを用いた隠面処理において基準となるスクリーン領域PC12のZ軸を、ワールド座標系のZ軸に対して平行となるように設定し、Z軸方向に平行な方向に並ぶ各ピクセル間において表示対象とするピクセルを決定する。
【0259】
ステップS1010の背景用の描画データ作成処理では、背面用の画像及び背景用のオブジェクトが隠面処理の対象となり、ステップS1011の演出及び図柄用の描画データ作成処理では、演出用のオブジェクト及び図柄用のオブジェクトが隠面処理の対象となる。また、演出及び図柄用の描画データ作成処理における隠面処理では、演出用のオブジェクト及び図柄用のオブジェクトのいずれがも設定されていないブランク部分については、完全透過のα値が設定される。
【0260】
Zバッファ143は1個のみ設定されており、スクリーン用バッファ144における背景用のバッファと同一のドット数のエリアを有しているとともに、演出及び図柄用のバッファと同一のドット数のエリアを有している。
【0261】
先ずステップS1101では、スクリーン領域PC12(図17を参照)における今回の投影対象ドットを基準として、そのZ軸上に含まれる個別画像であって、今回のテスト対象となった個別画像の対象ピクセルに設定されているZ値を把握する。続くステップS1102では、Zバッファ143において上記描画対象ドットと1対1で対応したドットのエリアに設定されているZ値を把握する。
【0262】
続くステップS1103では、ステップS1101にて把握した個別画像のZ値が、ステップS1102にて把握したZバッファ143のZ値よりもZ軸方向の手前側に対応しているか否かを判定する。手前側に対応している場合には、ステップS1104に進み、ステップS1101にて把握したZ値を、Zバッファ143におけるステップS1102にて参照したドットのエリアに上書きする。続くステップS1105では、ステップS1101にて参照したピクセルに設定されている色情報といった描画用の数値情報を、スクリーン用バッファ144における描画対象のバッファにおいて、今回の投影対象ドットのエリアに上書きする。その後に、ステップS1106に進む。
【0263】
一方、ステップS1103にて、手前側に対応していないと判定した場合には、ステップS1104?ステップS1105の処理を実行することなく、ステップS1106に進む。つまり、テスト対象となったピクセルのZ値が、既にZバッファ143の対象ドットに設定されているZ値と同一又はZ軸方向の奥側である場合には、Zバッファ143の更新は行われないとともに、既に設定されている描画用の数値情報がそのまま保持される。一方、テスト対象となったピクセルのZ値が、既にZバッファ143の対象ドットに設定されているZ値よりもZ軸方向の手前側である場合には、Zバッファ143の更新が行われるとともに、描画用の数値情報も更新される。
【0264】
ステップS1106では、投影対象ドットを基準としたZ軸上に含まれる全ての対象ピクセルに対して、Zテストが完了したか否かを判定する。完了していない場合には、ステップS1101に戻り、新たな対象ピクセルに対してZテストを行う。
【0265】
完了している場合には、ステップS1107にて、スクリーン領域PC12の全てのドットに対してZテストが完了しているか否かを判定する。完了していない場合には、ステップS1108にて、投影対象ドットを更新した後にステップS1101に戻り、新たな投影対象ドットに対してZテストを行う。完了している場合には本隠面処理を終了する。
【0266】
上記のように隠面処理が実行されることにより、Z軸上に複数の個別画像が並んだとしても、視点に近い側の個別画像のみが表示されることとなる。ここで、本実施形態では、当該隠面処理を利用して背景用のキャラクタのマスク(すなわち、部分表示)が実行される。そして、このマスクは、表示CPU131においてオブジェクトのZ値をマスク用に設定することで行われる。
【0267】
以下、表示CPU131にて実行されるマスク用の演算処理について、図19のフローチャートを参照しながら説明する。なお、当該マスク用の演算処理は、データテーブルにおいて参照したエリアにマスク用の演算処理を実行すべきことが示されている場合に、タスク処理(図14)におけるステップS903の背景用演算処理にて実行される。
【0268】
先ずステップS1201では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、今回の処理回が第1のマスク表示に対応しているか否かを判定する。ここで、マスク表示として、第1のマスク表示と第2のマスク表示とが設定されている。第1のマスク表示は、キャラクタを一部表示させた状態を複数フレームに亘って維持させる表示態様であり、第2のマスク表示は、キャラクタの全体を表示させた状態からマスクするピクセルを複数フレームに亘って除々に増加させ最終的に消滅させる表示態様である。
【0269】
第1のマスク表示に対応している場合には、ステップS1202にて、現状設定されているデータテーブルに基づいてマスク対象のオブジェクトを把握する。続くステップS1203では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、ステップS1202にて把握したオブジェクトにおいてマスク対象となるピクセルを把握する。
【0270】
その後、ステップS1204にてZ値の設定処理を実行した後に、本演算処理を終了する。当該Z値の設定処理では、上記オブジェクトにおいてマスク対象となっているピクセルについては、そのZ値が最背面の画像よりも奥側となるように設定され、マスク対象となっていないピクセルについては、そのZ値が最背面の画像よりも手前側であって本来表示すべき位置に対応するように設定される。
【0271】
上記のようにマスク用の演算処理が実行されて、上記Z値の設定されたオブジェクトを描画対象として含む描画リストがVDP135に送信されることにより、VDP135においては隠面処理としてZバッファを用いた隠面処理(図18)が実行され、最終的に第1のマスク表示が表示面Gにて行われる。第1のマスク表示の具体的な内容について、図20を参照しながら説明する。なお、説明の便宜上、図20では、3次元画像を2次元画像として示す。
【0272】
図20(a)は第1のマスク表示が行われることなく通常通りにキャラクタCH1が表示される場合を示している。また、図20(a?1)は当該キャラクタCH1に対応したオブジェクトPC13の各ピクセルに対して表示CPU131において指定されたZ値のイメージ図であり、図20(a?2)は表示面Gでの表示態様を示す。この場合、図20(a?1)に示すように、各ピクセルには最背面の画像よりも手前側となるようにZ値が設定されているため、図20(a?2)に示すようにキャラクタCH1はその全体が表示される。
【0273】
図20(b)は第1のマスク表示が行われる場合を示している。また、図20(b?1)は当該キャラクタCH1に対応したオブジェクトPC13の各ピクセルに対して表示CPU131において指定されたZ値のイメージ図であり、図20(b?2)は表示面Gでの表示態様を示す。この場合、図20(b?1)に示すように、各ピクセルの一部には最背面の画像よりも手前側となるようにZ値が設定されているが、残りのピクセルには最背面の画像よりも奥側となるようにZ値が設定されている。したがって、図20(b?2)に示すように、キャラクタCH1は上記手前側となるようにZ値が設定されたピクセルに対応した箇所のみが表示される。
【0274】
なお、同一のキャラクタCH1について第1のマスク表示用に対応したZ値の設定パターンが、表示CPU131の制御プログラムで複数種類設定されている構成としてもよい。この場合、同一のキャラクタCH1について第1のマスク表示の態様を複数種類設定することが可能となる。
【0275】
マスク用の演算処理(図19)の説明に戻り、ステップS1201にて、今回の処理回が第1のマスク表示に対応していないと判定した場合には、今回の処理回は第2のマスク表示に対応していることを意味しているため、ステップS1205に進む。ステップS1205では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第2のマスク表示の開始タイミングであるか否かを判定する。
【0276】
開始タイミングである場合には、ステップS1206にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、マスク対象のオブジェクトを把握する。続くステップS1207では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、マスク用の専用テーブルを読み出す。このマスク用の専用テーブルは、今回の第2のマスク表示が完了するまで記憶保持される。続くステップS1208では、上記マスク用の専用テーブルに初期消去対象として設定されているピクセルを把握する。
【0277】
その後、ステップS1209にてZ値の設定処理を実行した後に、本演算処理を終了する。当該Z値の設定処理では、上記オブジェクトにおいて、ステップS1208にて初期消去対象として把握されたピクセルについては、そのZ値が最背面の画像よりも奥側となるように設定され、初期消去対象となっていないピクセルについては、そのZ値が最背面の画像よりも手前側であって本来表示すべき位置に対応するように設定される。
【0278】
一方、ステップS1205にて開始タイミングでないと判定した場合には、ステップS1210に進む。ステップS1210では、ワークRAM132に設定されている消去対象カウンタを更新する。続くステップS1211では、現状読み出されているマスク用の専用テーブルにおいて、ステップS1210にて更新した消去対象カウンタの値に対応したデータを確認し、消去対象のピクセルを把握する。
【0279】
その後、ステップS1212にてZ値の設定処理を実行した後に、本演算処理を終了する。当該Z値の設定処理では、上記オブジェクトにおいて、ステップS1211にて消去対象として把握されたピクセルについては、そのZ値が最背面の画像よりも奥側となるように設定され、消去対象となっていないピクセルについては、そのZ値が最背面の画像よりも手前側であって本来表示すべき位置に対応するように設定される。
【0280】
上記のようにマスク用の演算処理が実行されて、上記Z値の設定されたオブジェクトを描画対象として含む描画リストがVDP135に送信されることにより、VDP135においては隠面処理としてZバッファを用いた隠面処理(図18)が実行され、最終的に第2のマスク表示が表示面Gにて行われる。第2のマスク表示の具体的な内容について、図21を参照しながら説明する。なお、説明の便宜上、図21では、3次元画像を2次元画像として示す。
【0281】
図21(a)はマスク用の専用テーブルに設定されている情報のイメージ図を示しており、図21(b)は第2のマスク表示が行われることなく通常通りにキャラクタCH2が表示される場合を示している。図21(a)に示すように、キャラクタCH2に対応したオブジェクトPC14は複数のピクセルを有しており、マスク用の専用テーブルでは、それら複数のピクセルが複数ずつグループ分けされているとともに各グループに対して消去対象となるフレーム順序が設定されている。具体的には、「a1」として示すグループが初期消去対象として設定されており、その後は、「a2」として示すグループ→「a3」として示すグループ→「a4」として示すグループ→「a5」として示すグループの順序で消去対象となる。
【0282】
第2のマスク表示が開始され、「a1」として示すグループが消去対象となったフレームにおいては、図21(c)に示すように、「a1」のグループに対応したピクセル部分が欠けた状態でキャラクタCH2が表示される。また、その後のフレームにおいて、「a2」として示すグループが消去対象となった場合には、図21(d)に示すように、「a1」のグループに加え、「a2」のグループに対応したピクセル部分が欠けた状態でキャラクタCH2が表示される。そして、最終的に「a5」として示すグループが消去対象となったフレームにおいては、キャラクタCH2が表示されない状態となる。
【0283】
以上のとおり、Zバッファ143を利用してオブジェクトのマスクを行うことができる。また、本構成によれば、表示CPU131のプログラム上でマスク用の演算を行うだけでよく、VDP135において画像データの一種であるマスクデータを設定する必要が生じない。したがって、画像データを記憶しておくのに必要な記憶容量を増加させることなく、マスク表示を行うことができる。
【0284】
また、表示CPU131においては各オブジェクトのZ値を調整するだけでよいため、表示CPU131の処理負荷をさほど増加させることなく上記マスク表示を行うことができる。また、第1のマスク表示及び第2のマスク表示といった複数種類のマスク表示を、上記のような優れた効果を奏することができる。
【0285】
また、非表示とする部分には最背面画像よりも奥側のZ値が設定される。最背面画像はいずれのフレームにおいても常に背面を構成する画像であるため、Z軸(奥行き方向)の位置として絶対的な基準となる。これを基準に非表示とする部分のZ値を設定することで、非表示とする場合のZ値の設定態様を画一的なものとすることが可能となり、当該Z値の設定に係る処理の処理負荷の軽減が図られる。
【0286】
なお、第1のマスク表示及び第2のマスク表示のいずれか一方のみが設定されている構成としてもよい。また、第2のマスク表示において複数のピクセル毎に消去されるのではなく、1ピクセル毎に消去される構成としてもよく、消去対象となったピクセルが再度表示対象に設定されることがある構成としてもよい。
【0287】
また、上記Z値の設定を逆に行うことで、複数フレーム分の表示期間に亘ってキャラクタが順次消去されるのではなく、複数フレーム分の表示期間に亘ってキャラクタが順次出現するように表示される構成としてもよい。
【0288】
<Zバッファ143を利用したマスク処理の別形態>
Zバッファ143を利用したマスク表示の別形態について説明する。
【0289】
図22は表示CPU131にて実行されるマスク用の演算処理の別形態を示すフローチャートである。
【0290】
先ずステップS1301では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、開始タイミングであるか否かを判定する。開始タイミングである場合には、ステップS1302にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、マスク対象のオブジェクトを把握するとともに、ステップS1303にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、初期マスク用テーブルを読み出す。
【0291】
続くステップS1304では、マスク抽選処理を実行する。マスク抽選処理では、ワークRAM132に設けられた抽選用カウンタに現状設定されている数値情報を読み出し、その数値情報に対応した消去対象の情報を、ステップS1303にて読み出した初期マスク用テーブルから抽出する。
【0292】
抽選用カウンタは、例えばメイン処理(図12)にてステップS702の処理を実行する度に更新されるように構成されており、さらにはカウンタ値が1周した場合には初期値がランダムに選択される構成となっている。また、初期マスク用テーブルでは、抽選用カウンタの各カウンタ値に1対1で対応させて消去対象の情報が設定されているとともに、その消去対象の情報は、マスク対象のオブジェクトを構成する全ピクセルのうち複数のピクセルを1グループとして、各グループと1対1で対応している。
【0293】
続くステップS1305では、ステップS1304にて取得した消去対象の情報から、消去対象のピクセルを把握する。その後、ステップS1306にてZ値の設定処理を実行した後に、本演算処理を終了する。このZ値の設定処理では、上記オブジェクトにおいて、ステップS1305にて消去対象として把握されたピクセルについては、そのZ値が最背面の画像よりも奥側となるように設定され、消去対象となっていないピクセルについては、そのZ値が最背面の画像よりも手前側であって本来表示すべき位置に対応するように設定される。
【0294】
一方、ステップS1301にて開始タイミングではないと判定した場合には、ステップS1307に進む。ステップS1307では、既に読み出されている初期マスク用テーブルから、既に消去対象として設定された消去対象の情報が除外されるように、そのマスク用テーブルを書き換える。例えば、既に消去対象として設定された消去対象の情報に対応している上記カウンタ値が、他の消去対象の情報に重複して割り当てられるように、書き換える。この割り当てはランダムに行われてもよく、テーブル上で直下位のカウンタ値に対応した消去対象の情報に割り当てられる構成としてもよい。
【0295】
その後、ステップS1307にて書き換えたマスク用テーブルを利用して、ステップS1304?ステップS1306の処理を実行した後に、本演算処理を終了する。
【0296】
以上のとおり、本別形態によれば、消去対象となるピクセルがランダムに選択されることとなるため、マスク表示の態様を多様化することができる。
【0297】
なお、Zバッファ143を利用したマスク表示を、背景用のキャラクタではなく、演出用のキャラクタや図柄に対して適用してもよい。例えば、演出用のキャラクタに対して適用する場合、隠面処理が背景用の画像データ及び演出用の画像データに対してまとめて実行されるようにすることで、上記構成と同様に、最背面画像のZ値を基準にして、表示対象及び非表示対象のZ値の振分を行えばよい。また、図柄に対して適用する場合、隠面処理が背景用の画像データ、演出用の画像データ及び図柄用の画像データに対してまとめて実行されるようにすることで、上記構成と同様に、最背面画像のZ値を基準にして、表示対象及び非表示対象のZ値の振分を行えばよい。
【0298】
また、隠面処理が背景、演出及び図柄に対して個別に行われる場合であっても、VDP135において最背面画像よりも奥側のZ値が設定されているピクセルは描画対象としないと定められているのであれば、上記構成と同様に、最背面画像のZ値を基準にして、表示対象及び非表示対象のZ値の振分を行えばよい。
【0299】
また、表示対象及び非表示対象のZ値の振分が、最背面画像のZ値を基準にして行われるのではなく、例えば非表示対象のZ値として視点よりも手前のZ値が設定され、表示対象のZ値として視点よりも奥側のZ値が設定される構成としてもよい。
【0300】
また、Zバッファ143を利用した隠面処理は、ワールド座標系のZ軸を基準に行われるのではなく、視点の向く方向を基準に行われる構成としてもよい。
【0301】
<表示モードの切換に係る構成>
次に、表示モードの切換に係る構成について説明する。
【0302】
表示モードとは、既に説明したとおり、遊技回が開始されるまでの間に表示される待機画像や遊技回が実行されている状況で表示される遊技回画像の種類を所定の種類に定める状態であり、複数種類の表示モードが設定されている。具体的には、第1表示モードと第2表示モードとが設定されている。
【0303】
第1表示モードと第2表示モードとでは、背景画像の表示態様及び各図柄の表示態様が相互に異なっている。具体的には、同一の番号が付された図柄で比較した場合、第1表示モードと第2表示モードとで図柄の外形や形状は同一となっているが、色や模様が異なっている。また、背景画像については、第1表示モードと第2表示モードとで、最背面画像の種類が異なっているとともに、最背面画像の手前にて表示されるキャラクタの数及び種類が異なっており、表示されるキャラクタの数は第1表示モードの方が第2表示モードよりも多く設定されている。
【0304】
表示モードの切換は、演出用操作装置48の操作に基づき行われる。具体的には、遊技回や開閉実行モードが実行されていない状況で演出用操作装置48が操作されることで、表示モードが順次切り換えられるようになっている。また、遊技回が実行されている状況における所定の条件下で演出用操作装置48が操作されたことに基づき切り換えられるようになっている。
【0305】
表示モードの切換に係る具体的な処理構成を説明する。
【0306】
図23は、表示CPU131にて実行される操作発生コマンド対応処理を示すフローチャートである。操作発生コマンド対応処理はV割込み処理(図13)におけるステップS803のコマンド対応処理にて実行される。
【0307】
先ずステップS1401では、音声発光制御装置60からモード切換用の操作発生コマンドを受信しているか否かを判定する。受信していない場合にはそのまま本操作コマンド対応処理を終了し、受信している場合にはステップS1402に進む。
【0308】
ステップS1402では、第1切換可能期間であるか否かを判定する。第1切換可能期間とは、遊技回及び開閉実行モードのいずれもが実行されていない期間である。第1切換可能期間であるかを特定するための情報はデータテーブルにおいて設定されており、ステップS1402では、現状設定されているデータテーブルに基づいて第1切換可能期間であるか否かを判定する。第1切換可能期間である場合には、ステップS1403にて、ワークRAM132に設けられた所定のエリアに対して第1切換実行フラグをセットする。
【0309】
一方、第1切換可能期間ではない場合には、ステップS1404に進み、第2切換可能期間であるか否かを判定する。第2切換可能期間とは、遊技回が実行されている状況において開始タイミングから実行途中における予め定められた基準タイミングまでの期間である。具体的には、図柄表示装置31にて遊技回用演出が実行される場合、全図柄列SA1?SA3での図柄の変動表示を開始→全図柄列SA1?SA3での高速変動表示→低速変動表示を経由した各図柄列SA1?SA3の順次停止という表示の流れを含む。この場合に、第2切換可能期間は、全図柄列SA1?SA3での図柄の変動表示が開始されてから全図柄列SA1?SA3での高速変動表示が終了するタイミングまでの期間である。
【0310】
なお、図柄の変動表示の態様を、全図柄列SA1?SA3での図柄の変動表示を開始→全図柄列SA1?SA3の加速期間→全図柄列SA1?SA3での高速変動表示(高速は一定速度)→低速変動表示(低速は一定速度)を経由した各図柄列SA1?SA3の順次停止という表示の流れとしてもよい。この場合、第2切換可能期間を、全図柄列SA1?SA3での高速変動表示が実行されている期間としてもよい。
【0311】
また、高速変動表示と低速変動表示との間に中速変動表示が含まれていてもよい。つまり、図柄の変動表示の態様は、2段階、3段階又は4段階以上といったように複数段階で切り換わるのであれば具体的な段階数は任意である。この場合、第2切換可能期間を、各段階のうち遊技者における図柄の識別性が低い低識別な段階の期間としてもよい。
【0312】
また、図柄の変動表示の流れにおいて相対的に低識別態様での変動表示→高識別態様での変動表示という状態を含むのであれば具体的な変動態様は任意であり、例えばいずれの態様であっても変動速度は同一であるが、低識別態様での変動表示では図柄が透明、半透明、中抜き又は一部を除いた状態で表示され、高識別態様での変動表示では図柄の全体が表示される構成としてもよい。この場合、第2切換可能期間を、低識別態様での変動表示が行われている期間としてもよい。
【0313】
第2切換可能期間であるかを特定するための情報はデータテーブルにおいて設定されており、ステップS1404では、現状設定されているデータテーブルに基づいて第2切換可能期間であるか否かを判定する。第2切換可能期間ではないと判定した場合には、そのまま本操作発生コマンド対応処理を終了し、第2切換可能期間である場合には、ステップS1405にて、ワークRAM132に設けられた所定のエリアに対して第2切換実行フラグをセットする。
【0314】
ステップS1403及びステップS1405のいずれかの処理を実行した後は、ステップS1406に進む。ステップS1406では、表示モード用のカウンタを更新する。
【0315】
表示モード用のカウンタとは、表示CPU131にて現状の表示モードを特定するためのカウンタであり、ワークRAM132に設けられている。表示モード用のカウンタには各表示モードに1対1で対応させてカウンタ値が設定されている。本実施形態では上記のとおり表示モードとして第1表示モード及び第2表示モードの2種類が設定されているため、上記カウンタ値として第1表示モードに対応した「0」の数値と、第2表示モードに対応した「1」の数値とが設定されている。この場合、表示モード用のカウンタの初期値は「0」として設定されているため、表示CPU131への動作電力の供給が開始された場合や、パチンコ機10のリセットが行われた場合には第1表示モードが設定される。
【0316】
ステップS1406では、演出用操作装置48が1回操作される度に表示モードが予め定められた順序に従って順次切り換えられるように表示モード用のカウンタを更新する。具体的には、表示モード用のカウンタが「0」であり第1表示モードに設定されている状況においてステップS1406の処理を実行する場合には、表示モード用のカウンタを「1」として第2表示モードに切り換えるとともに、表示モード用のカウンタが「1」であり第2表示モードに設定されている状況においてステップS1406の処理を実行する場合には、表示モード用のカウンタを「1」として第1表示モードに切り換える。ステップS1406の処理を実行した後に、本操作発生コマンド対応処理を終了する。
【0317】
次に、表示CPU131にて実行される表示モード背景用の演算処理について、図24のフローチャートを参照しながら説明する。表示モード背景用の演算処理は、タスク処理(図14)におけるステップS903の背景用演算処理にて実行される。なお、大当たり演出を実行する場合などには表示モードに対応した背景画像は表示されないため表示モード背景用の演算処理は実行されず、待機画像を表示する場合や遊技回用の演出を実行する場合などに表示モード背景用の演算処理が実行される。
【0318】
先ずステップS1501では、ワークRAM132に設けられた表示モード用のカウンタを参照し、第1表示モードであるか否かを判定する。第1表示モードである場合には、ステップS1502にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、今回の更新対象の第1最背面画像を把握する。続くステップS1503では、その把握した第1最背面画像の各種パラメータを演算して制御用の情報を更新する。続くステップS1504にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第1表示モードに対応したオブジェクトであって背景用の更新対象のオブジェクトを把握する。続くステップS1505では、その把握したオブジェクトの各種パラメータを演算して制御用の情報を更新する。
【0319】
一方、第2表示モードである場合には、ステップS1506にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、今回の更新対象の第2最背面画像を把握する。続くステップS1507では、その把握した第2最背面画像の各種パラメータを演算して制御用の情報を更新する。続くステップS1508にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第2表示モードに対応したオブジェクトであって背景用の更新対象のオブジェクトを把握する。続くステップS1509では、その把握したオブジェクトの各種パラメータを演算して制御用の情報を更新する。
【0320】
なお、ステップS1502の処理の実行タイミングでは、第1最背面画像及び第1表示モードに対応した背景用のオブジェクトに対する制御開始用の設定処理(ステップS901)は完了している。また、ステップS1506の処理の実行タイミングでは、第2最背面画像及び第2表示モードに対応した背景用のオブジェクトに対する制御開始用の設定処理(ステップS901)は完了している。
【0321】
ステップS1505又はステップS1509の処理を実行した後は、ステップS1510にて、ワークRAM132に第1切換実行フラグ又は第2切換実行フラグのいずれかがセットされているか否かを判定する。いずれかの切換実行フラグがセットされている場合には、ステップS1511にて、処理負荷の大きい状況であるか否かを判定する。
【0322】
処理負荷の大きい状況とは、今回の描画リストに指定された画像データに対するジオメトリ演算及びレンダリングの両方がVDP135にて実行される場合に、処理落ちが発生する程度にVDP135の処理負荷が大きい又は処理落ちが発生しないまでもVDP135の処理負荷が比較的大きい状況のことをいう。なお、処理負荷の大きい状況か否かの情報はデータテーブルにおいて定められており、その情報に基づいてステップS1511の判定を行う。
【0323】
処理負荷の大きい状況ではない場合には、ステップS1512にて、今回の表示モードに対応した背景画像は別保存済みであるか否かを判定する。ここで、別保存とは、各表示モードに対応した背景画像を表示させるための背景用の描画データを個別に保存するとともにその保存している状態を維持することである。別保存に際しては、VRAM134に設けられたモード用バッファ145が用いられる(図4を参照)。
【0324】
モード用バッファ145には、第1表示モードに対応した背景画像を表示させるための背景用の描画データが書き込まれる第1モード用領域145aと、第2表示モードに対応した背景画像を表示させるための背景用の描画データが書き込まれる第2モード用領域145bと、が設けられている。また、VDP135には、背景用の描画データを第1モード用領域145a及び第2モード用領域145bのいずれかへ書き込む機能と、その書き込まれた背景用の描画データを読み出してスクリーン用バッファ144に書き込む機能と、を有する表示モード制御部154を備えている。
【0325】
別保存済みではない場合にはステップS1513にて別保存の実行指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了し、別保存済みである場合にはそのまま本演算処理を終了する。
【0326】
上記のように表示モード背景用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、第1表示モード又は第2表示モードのいずれかに対応した背景用の画像データの使用指示の情報が設定される。また、ステップS1513の処理が実行されている場合には別保存の実行指定情報が設定される。別保存の実行指定情報には、別保存を実行すべきことを示す情報が含まれているとともに、別保存先のアドレスの情報も含まれている。
【0327】
一方、処理負荷の大きい状況である場合(ステップS1511:YES)には、ステップS1514にて、切換先の表示モードの背景画像が別保存済みであるか否かを判定する。別保存済みではない場合にはそのまま本演算処理を終了する。一方、別保存済みである場合にはステップS1515にて別保存データの使用指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了する。
【0328】
上記のように表示モード背景用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、第1表示モード及び第2表示モードのいずれかに対応した背景用の画像データの使用指示の情報が設定される。また、ステップS1515の処理が実行されている場合には別保存データの使用指定情報が設定される。別保存データの使用指定情報には、別保存データを使用すべきことを示す情報が含まれているとともに、その別保存データが保存されているアドレスの情報も含まれている。
【0329】
次に、表示CPU131にて実行される図柄用演算処理について、図25のフローチャートを参照しながら説明する。図柄用演算処理はタスク処理(図14)のステップS905にて実行される。
【0330】
先ずステップS1601では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、図柄について制御更新用の処理を実行する必要があるか否かを判定する。実行する必要がない場合として大当たり演出を実行している場合が含まれ、実行する必要がある場合として遊技回用の演出を実行している場合及び待機画像を表示している場合が含まれる。実行する必要がない場合にはそのまま本図柄用演算処理を終了し、実行する必要がある場合にはステップS1602にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、遊技回の実行中であるか否かを判定する。
【0331】
遊技回の実行中でない場合には、ステップS1603にて、ワークRAM132に第1切換実行フラグがセットされているか否かを判定する。第1切換実行フラグがセットされている場合には、ステップS1604にて、制御対象の図柄を切換先の表示モードに対応させて変更する。具体的には、ワークRAM132において図柄の制御を行う上で確保されている各空きバッファ領域のパラメータ用の情報はそのまま保持させながら、制御対象の図柄の情報(例えば記憶されているアドレスの情報)のみを切換先の表示モードに対応した情報に書き換える。なお、ステップS1603及びステップS1604の処理が、タスク処理(図14)における制御開始用の設定処理(ステップS901)にて実行される構成としてもよい。また、ステップS1603にて肯定判定をした場合に第1切換実行フラグをクリアする。
【0332】
ステップS1603にて否定判定をした場合又はステップS1604の処理を実行した場合は、ステップS1605に進む。ステップS1605では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、制御対象となる図柄のオブジェクトを把握し、続くステップS1606にて、そのオブジェクトの各種パラメータを演算して更新する。その後、本図柄用演算処理を終了する。
【0333】
上記のように図柄用演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、第1表示モード又は第2表示モードのいずれかに対応した図柄用の画像データの使用指示の情報が設定される。
【0334】
遊技回の実行中である場合(ステップS1602:YES)には、ステップS1607にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、全図柄列SA1?SA3において高速変動表示中であるか否かを判定する。全図柄列SA1?SA3において高速変動表示中である場合には、ステップS1608にて、ワークRAM132に第2切換実行フラグがセットされているか否かを判定する。
【0335】
第2切換実行フラグがセットされている場合には、ステップS1609にて、制御対象の図柄を切換先の表示モードに対応させて変更させることが可能であるか否かを判定する。これは今回の描画リストに対応した描画処理(図16)がVDP135にて実行される場合に、制御対象の図柄を切換先の表示モードに対応させて変更させようとすると、処理落ちが発生するか否かを基準として、処理落ちが発生しないのであれば変更させることが可能となり、処理落ちが発生するのであれば変更させることが不可であると判定される。
【0336】
例えば、今回の描画リストにおいて表示モードの切換に対応した背景用の画像データが新たに設定される場合にはVDP135においてワールド座標系への画像データの設定を新たに設定し直す必要が生じるため、VDP135の処理負荷を大きくなる。したがって、この場合は、図柄を変更させることが不可であると判定される。一方、今回の描画リストにおいて背景用の画像データとして別保存データが設定されている場合、又は前回の描画リストに係る表示モードと同一の表示モードに対応した背景用の画像データが設定される場合にはVDP135においてワールド座標系への画像データの設定を新たに設定し直す必要が生じないため、VDP135の処理負荷は比較的小さくなる。したがって、この場合は、図柄を変更させることが可能であると判定される。
【0337】
なお、変更させることが可能か否かの情報はデータテーブルにおいて定められており、その情報に基づいてステップS1609の判定を行う。また、ステップS1608にて肯定判定をした場合に第2切換実行フラグをクリアする。
【0338】
ステップS1609にて、変更させることが可能であると判定した場合には、ステップS1610にて、制御対象の図柄を切換先の表示モードに対応させて変更する。この処理の具体的な内容は、ステップS1604と同様である。ステップS1610の処理を実行した後はステップS1613に進む。
【0339】
一方、ステップS1609にて、変更させることが可能ではないと判定した場合には、ステップS1611にて、ワークRAM132に設けられた所定のエリアに対して変更待機フラグをセットした後に、ステップS1613に進む。変更待機フラグは、制御対象の図柄の変更が待機されていることを表示CPU131にて特定するためのフラグである。変更待機フラグがセットされている場合には、ステップS1608にて、第2切換実行フラグがセットされていないと判定されたとしても、ステップS1612の処理が実行されることで、ステップS1609の処理が実行される。なお、第2切換実行フラグ及び変更待機フラグの両方がセットされていない場合には、そのままステップS1613に進む。また、変更待機フラグはステップS1612にて肯定判定をした際にクリアされる。
【0340】
ステップS1613では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、制御対象となる図柄のオブジェクトを把握し、続くステップS1614にて、そのオブジェクトの各種パラメータを演算して更新する。その後、本図柄用演算処理を終了する。
【0341】
上記のように図柄用演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、第1表示モード又は第2表示モードに対応した図柄用の画像データの使用指示の情報が設定される。この場合に、ステップS1609にて、切換先の表示モードに対応した図柄に変更させることができないと判定した場合には、切換元の表示モードに対応した図柄の画像データの使用指示の情報がそのまま描画リストに設定される。そうすると、最終的に表示モードに対応しない図柄が表示面Gに表示されることとなるが、第2切換実行フラグがセットされるタイミングは高速変動表示中であるため、遊技者は上記の状態を認識することができない又は認識しづらい。
【0342】
また、切換先の表示モードに対応した図柄に変更させることができない場合には、変更待機フラグがセットされて、その後の処理回で変更が行われる。これにより、VDP135において処理落ちを発生させないようにしつつ、表示モードの切換を良好に行うことができる。なお、高速変動表示が行われている範囲で、切換先の表示モードに対応した図柄の変更が行われるように、VDP135の処理負荷が調整されている。
【0343】
高速変動表示中ではない場合(ステップS1607:NO)には、ステップS1615に進む。ステップS1615では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、制御対象となる図柄のオブジェクトを把握し、続くステップS1616にて、そのオブジェクトの各種パラメータを演算して更新する。その後、本図柄用演算処理を終了する。上記のように図柄用演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、第1表示モード又は第2表示モードに対応した図柄用の画像データの使用指示の情報が設定される。
【0344】
次に、VDP135にて実行される背景用の設定処理を、図26のフローチャートを参照しながら説明する。なお、背景用の設定処理は、描画処理(図16)におけるステップS1002にて実行される。
【0345】
先ずステップS1701では、今回の描画リストにおいて別保存データの使用指定が設定されているか否かを判定する。設定されている場合には、ステップS1702にて、その指定に対応した別保存データを背景用の描画データとして設定するための情報をレジスタ153に記憶させる。
【0346】
設定されていない場合(ステップS1701:NO)又はステップS1702の処理を実行した後は、ステップS1703に進む。ステップS1703では、今回の描画リストに指定されている最背面画像を把握するとともに、ステップS1704にて、その最背面画像について指定されている各種パラメータを把握する。その後、ステップS1705にて、その最背面画像について、ワールド座標系への設定処理を実行する。この設定に係る内容は、既に説明したとおりである。
【0347】
続くステップS1706では、今回の描画リストに指定されている背景用のオブジェクトを把握するとともに、ステップS1707にて、そのオブジェクトについて指定されている各種パラメータを把握する。その後、ステップS1708にて、そのオブジェクトについて、ワールド座標系への設定処理を実行した後に、本背景用の設定処理を終了する。
【0348】
上記のように背景用の設定処理が実行されることにより、別保存データの使用指定が設定されていない状況だけでなく、別保存データの使用指定が設定されている状況であっても、描画リストにて指定されている画像データをワールド座標系に設定することができる。そして、これに伴って、例えば今回の描画リストが表示モードの切換に係るものである場合には、切換先の表示モードに対応した画像データの制御開始用の設定を行うことができる。
【0349】
次に、VDP135にて実行される背景用の描画データ作成処理を、図27のフローチャートを参照しながら説明する。なお、背景用の描画データ作成処理は、描画処理(図16)におけるステップS1010にて実行される。
【0350】
先ずステップS1801では、レジスタ153に別保存データの使用設定の情報がセットされているか否かを判定する。セットされていない場合には、ステップS1802にて、隠面処理を実行して、スクリーン用バッファ144に背景用の描画データを作成する。隠面処理については、既に説明したとおりである。
【0351】
続くステップS1803では、今回の描画リストにおいて別保存の実行指定が設定されているか否かを判定する。設定されていない場合には、そのまま本描画データ作成処理を終了する。設定されている場合には、ステップS1804にて、モード用バッファ145の第1モード用領域145a及び第2モード用領域145bのうち対象となるモード用領域へ、ステップS1802にて作成された背景用の描画データを書き込む。これにより、背景用の描画データの別保存が行われる。その後に、本描画データ作成処理を終了する。
【0352】
一方、ステップS1801にて、レジスタ153に別保存データの使用設定の情報がセットされている場合には、ステップS1805に進む。ステップS1805では、モード用バッファ145の第1モード用領域145a及び第2モード用領域145bのうち、今回指定されているモード用領域から別保存データを読み出し、その読み出した別保存データを、今回の背景用の描画データとして、スクリーン用バッファ144に書き込む。その後に、本描画データ作成処理を終了する。
【0353】
上記のように背景用の描画データ作成処理が実行されることにより、ジオメトリ演算及びレンダリングを通じた背景用の描画データ、又は別保存データに係る背景用の描画データがスクリーン用バッファ144に格納される。また、各表示モードに対応した画像が表示されるフレームにおいては、その後に演出及び図柄用の描画データ作成処理(ステップS1011)が実行されて、演出及び図柄用の描画データが作成されるとともに、描画データ合成処理(ステップS1012)が実行されて、1フレーム分の描画データが作成される。
【0354】
ここで、第1表示モード用の別保存データ及び第2表示モード用の別保存データが作成されるタイミングを、図28のタイミングチャートを参照しながら説明する。
【0355】
図28(A)は第1表示モードに対応した背景用の描画データPD1を示し、図28(B)は第2表示モードに対応した背景用の描画データPD2を示す。また、図28(a)はパチンコ機10の電源のON/OFFの状態を示し、図28(b)は第1表示モードの有無を示し、図28(c)は第2表示モードの有無を示し、図28(d)は第1表示モード用の別保存データの有無を示し、図28(e)は第2表示モード用の別保存データの有無を示す。
【0356】
t1のタイミングでパチンコ機10の電源がON操作されることで、表示CPU131への電力供給が開始され、表示CPU131にて処理が開始される。また、表示モードは第1表示モードに設定されているため、t1のタイミングよりも後のタイミングで、第1表示モードに対応した画像を表示させるために、描画リストが表示CPU131からVDP135に出力され、さらにその描画リストに基づきVDP135にて第1表示モードに対応した描画データの作成が開始される。
【0357】
その後、t2のタイミングで、第1表示モードに対応した背景用の描画データPD1の作成が完了することで、その描画データが第1表示モード用の別保存データとしてモード用バッファ145の第1モード用領域145aに記憶される。この第1表示モードに対応した背景用の描画データPD1による背景画像では、図28(A)に示すように、最背面画像の手前にて「A」?「F」にて示す3次元のキャラクタ画像が表示される。また、第1モード用領域145aに記憶された別保存データは、VRAM134への電力供給が継続されている間は記憶保持される。また、t2のタイミング又はその後の所定のタイミングで、第1表示モードに対応した画像の表示が開始される。
【0358】
その後、t3のタイミングで演出用操作装置48が操作されることに基づき、表示モードが第1表示モードから第2表示モードに切り換えられる。そして、第2表示モード用の描画データが作成され、第2表示モードに対応した画像の表示が開始される。また、当該タイミングにおいて第2表示モードに対応した背景用の描画データPD2の作成が完了するため、その描画データが第2表示モード用の別保存データとしてモード用バッファ145の第2モード用領域145bに記憶される。この第2表示モードに対応した背景用の描画データPD2による背景画像では、図28(B)に示すように、最背面画像の手前にて「G」?「J」にて示す3次元のキャラクタ画像が表示される。また、第2モード用領域145bに記憶された別保存データは、VRAM134への電力供給が継続されている間は記憶保持される。
【0359】
ここで、第1表示モードに対応した背景用の描画データPD1は、第2表示モードに対応した背景用の描画データPD2に比べて、設定されるオブジェクトの数が多い。そうすると、第2表示モードから第1表示モードの切換がVDP135の処理負荷の大きい状況で行われると、VDP135にて処理落ちが発生してしまうことが懸念される。これに対して、両別保存データのうち、第1表示モード用の別保存データを電源立ち上げ時の初期設定が行われている時間を利用して作成しておくことで、処理負荷の大きい状況で表示モードが第1表示モードに切り換えられた場合には、その別保存データを利用して処理落ちを回避することができる。
【0360】
一方、第2表示モードに対応した背景用の描画データPD2は、その作成にかかるVDP135の処理負荷が小さく、VDP135の処理負荷の大きい状況で第2表示モードへの切換が行われたとしても、処理落ちが発生しないように設定されている。但し、第2表示モードに対応した背景用の描画データPD2についても別保存は行われ、処理落ちが発生しないまでも比較的処理負荷が大きい状況で第2表示モードへの切換が行われた場合には、その別保存データが利用される。
【0361】
上記のように別保存データが作成されることで、t4?t9のタイミングで示すように、表示モードの切換が短時間で繰り返し実行された場合などには、それぞれの表示モードにおいて別保存データを利用して背景用の画像を表示することで、処理落ちの発生を阻止することができる。
【0362】
また、別保存の対象は背景画像であり、図柄といった変動が注目される個別画像は含まれない。これにより、個別画像が変動している状況で表示モードの切換が行われた場合に、別保存データを使用した画像の表示を行ったとしても、変動が注目される個別画像の動きは継続されるため、遊技者が違和感を抱きづらくなる。
【0363】
なお、表示モードは2段階に限定されることはなく、3段階又は4段階以上設定されていてもよい。この場合であっても、各表示モードに対応した背景用の描画データを別保存しておくことで、表示モードの切換を良好に行うことができる。
【0364】
また、表示モードの切換タイミングがいずれであっても、図柄の種類の切換が待機されることなく行われる構成としてもよい。また、図柄は表示モード間で相違しない構成としてもよい。
【0365】
また、演出用のキャラクタも表示モードに依存して切り換わる構成としてもよい。この場合、演出用のキャラクタは別保存の対象ではない構成としてもよく、別保存の対象である構成としてもよい。
【0366】
<連結オブジェクトを用いて3次元画像を表示するための構成>
次に、連結オブジェクトを用いて3次元画像を表示するための構成について説明する。
【0367】
連結オブジェクトは、複数の部品オブジェクト(部分オブジェクト)が連結部を関節として連結された一単位のオブジェクトであり、各部品オブジェクトを相対的に変位させることで3次元画像のキャラクタに動きを与えるために設定されている。連結オブジェクトを用いることにより、3次元画像のキャラクタをスムーズに動作させることができる。なお、連結オブジェクトが骨格部と関節部とを有していることに鑑みれば、ボーンモデルと称することもできる。
【0368】
連結オブジェクトは、所定の動作を行うキャラクタを表示するために設定されている。ここで、本実施形態では、共通のキャラクタを表示するための連結オブジェクトが複数種類設定されている。この複数種類の連結オブジェクトについて、図29を参照しながら説明する。
【0369】
図29(a),(b)に示すように、共通のキャラクタを表示するために、第1の連結オブジェクトPC15と、第2の連結オブジェクトPC16とが設定されている。これら第1の連結オブジェクトPC15及び第2の連結オブジェクトPC16はそれぞれ複数の連結部CT1,CT2を有しているが、相互に異なる箇所に連結部CT1,CT2が設定されている。
【0370】
具体的には、第1の連結オブジェクトPC15は膝部分に連結部が設けられていないが、肘部分に連結部CT1が設けられており、図29(a?1),(a?2)に示すような動作の表示が可能となっている。一方、第2の連結オブジェクトPC16は肘部分に連結部が設けられていないが、膝部分に連結部CT2が設けられており、図29(b?1),(b?2)に示すような動作の表示が可能となっている。上記のように異なる箇所に連結部が設定されていることにより、第1の連結オブジェクトPC15を使用した場合と第2の連結オブジェクトPC16を使用した場合とで、キャラクタに異なる動作をさせることが可能となる。
【0371】
なお、両連結オブジェクトPC15,PC16は共通する箇所に連結部CT1,CT2を有しているが、共通する箇所に連結部CT1,CT2を有していない構成としてもよい。また、両連結オブジェクトPC15,PC16に対しては共通のテクスチャがマッピングされるが、それぞれ個別にテクスチャが設定されている構成としてもよい。複数の連結オブジェクトPC15,PC16を用意しておくことでキャラクタに異なる動作をさせることが可能であれば、連結部CT1,CT2の位置やキャラクタの種類は任意である。
【0372】
以下、上記両連結オブジェクトPC15,PC16を用いてキャラクタが動作している様子を表示するための具体的な処理構成を説明する。
【0373】
図30は、表示CPU131にて実行される連結オブジェクト用の演算処理を示すフローチャートである。連結オブジェクト用の演算処理はタスク処理(図14)のステップS904における演出用演算処理にて実行される。また、連結オブジェクト用の演算処理は、連結オブジェクトPC15,PC16を用いた演出が実行される遊技回に対応したデータテーブルが設定されている場合に起動される。
【0374】
先ずステップS1901では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、連結オブジェクトPC15,PC16を用いた演出の実行中(上記キャラクタが表示中)であるか否かを判定する。演出の実行中ではない場合にはステップS1902にて、連結オブジェクトPC15,PC16を用いた演出の開始タイミングであるか否かを判定する。開始タイミングではない場合にはそのまま本演算処理を終了し、開始タイミングである場合にはステップS1903に進む。
【0375】
ステップS1903では、連結オブジェクト演出の開始指定情報を記憶し、続くステップS1904にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第1の連結オブジェクトPC15及び第2の連結オブジェクトPC16を制御対象として把握する。ちなみに、ステップS1904の処理の実行タイミングでは、直前の制御開始用の設定処理(ステップS901)にて、両連結オブジェクトPC15,PC16に対して制御開始用の処理が完了している。また、制御が開始された両連結オブジェクトPC15,PC16の制御用の情報は、連結オブジェクトPC15,PC16を用いた今回の一連の演出が完了するまではワークRAM132に記憶保持される。
【0376】
続くステップS1905では、第1の連結オブジェクトPC15の各種パラメータを演算して、当該第1の連結オブジェクトPC15に係る制御用の情報を更新する。また、ステップS1906では、第2の連結オブジェクトPC16の各種パラメータを演算して、当該第2の連結オブジェクトPC16に係る制御用の情報を更新する。
【0377】
続くステップS1907では、第1演出期間の指定情報を記憶する。ここで、連結オブジェクトPC15,PC16を用いた演出は、その全体の演出期間が複数種類の演出期間、具体的には第1演出期間,第2演出期間及び第3演出期間に区分けされている。そして、第1演出期間及び第3演出期間は第1の連結オブジェクトPC15を用いてキャラクタが表示され、第2演出期間は第2の連結オブジェクトPC16を用いてキャラクタが表示される。その後、ステップS1908にて、両連結オブジェクトPC15,PC16のうち第1の連結オブジェクトPC15のパラメータが今回の描画リストにて指定されるように設定する。
【0378】
続くステップS1909では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第1演出期間用の他のオブジェクトであって今回の更新対象のオブジェクトを把握する。ちなみに、ステップS1909の処理の実行タイミングでは、直前の制御開始用の設定処理(ステップS901)にて、今回の更新対象のオブジェクトに対して制御開始用の処理が完了している。その後、ステップS1910にて、上記把握した他のオブジェクトの各種パラメータを演算して、これら他のオブジェクトに係る制御用の情報を更新した後に、本演算処理を終了する。
【0379】
上記のように連結オブジェクト用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、両連結オブジェクトPC15,PC16の使用指示の情報が設定されるとともに、それらオブジェクトPC15,PC16に対して第1の連結オブジェクトPC15のパラメータが設定される。また、連結オブジェクトPC15,PC16を用いた演出を開始させるべきことを示す連結オブジェクト演出の開始指定情報と、第1演出期間であることを示す第1演出期間の指定情報とが、描画リストに設定される。
【0380】
一方、連結オブジェクトPC15,PC16を用いた演出の実行中である場合(ステップS1901:YES)には、ステップS1911にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第1演出期間中であるか否かを判定する。第1演出期間中である場合には、ステップS1904?ステップS1910の処理を実行した後に、本演算処理を終了する。ちなみに、今回は第1演出期間中であるため、当該第1演出期間の進行に伴って第1の連結オブジェクトPC15が予め定められた第1の動作(図29(a)を参照)をするように、ステップS1905にてパラメータの演算が行われる。
【0381】
上記のように連結オブジェクト用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、両連結オブジェクトPC15,PC16の使用指示の情報が設定されるとともに、それらオブジェクトPC15,PC16に対して第1の連結オブジェクトPC15のパラメータが設定される。また、第1演出期間であることを示す第1演出期間の指定情報が、描画リストに設定される。
【0382】
ステップS1911にて、第1演出期間中ではないと判定した場合には、ステップS1912にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第2演出期間中であるか否かを判定する。第2演出期間中である場合には、ステップS1913にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第1の連結オブジェクトPC15及び第2の連結オブジェクトPC16を制御対象として把握する。
【0383】
続くステップS1914では、第1の連結オブジェクトPC15の各種パラメータを演算して、当該第1の連結オブジェクトPC15に係る制御用の情報を更新する。また、ステップS1915では、第2の連結オブジェクトPC16の各種パラメータを演算して、当該第2の連結オブジェクトPC16に係る制御用の情報を更新する。ちなみに、今回は第2演出期間中であるため、当該第2演出期間の進行に伴って第2の連結オブジェクトPC16が予め定められた第2の動作(図29(b)を参照)をするように、ステップS1915にてパラメータの演算が行われる。
【0384】
続くステップS1916では、第2演出期間の指定情報を記憶し、さらにステップS1917にて、両連結オブジェクトPC15,PC16のうち第2の連結オブジェクトPC16のパラメータが今回の描画リストにて指定されるように設定する。
【0385】
続くステップS1918では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第2演出期間用の他のオブジェクトであって今回の更新対象のオブジェクトを把握する。ここで、第2演出期間は第1演出期間よりも演出が発展した状態であり、少なくとも第1演出期間から第2演出期間への切り換えに際して表示されるオブジェクト数は増加する。第1演出期間から第2演出期間への切り換えに際して増加した分のオブジェクトに対する制御開始用の設定処理(ステップS901)は、ステップS1918の処理の実行タイミングにおいて完了している。その後、ステップS1919にて、上記把握した他のオブジェクトの各種パラメータを演算して、これら他のオブジェクトに係る制御用の情報を更新した後に、本演算処理を終了する。
【0386】
上記のように連結オブジェクト用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、両連結オブジェクトPC15,PC16の使用指示の情報が設定されるとともに、それらオブジェクトPC15,PC16に対して第2の連結オブジェクトPC16のパラメータが設定される。また、第2演出期間であることを示す第2演出期間の指定情報が、描画リストに設定される。
【0387】
ステップS1912にて、第2演出期間中ではないと判定した場合には、第3演出期間であることを意味するため、ステップS1920に進む。ステップS1920では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第1の連結オブジェクトPC15及び第2の連結オブジェクトPC16を制御対象として把握する。
【0388】
続くステップS1921では、第1の連結オブジェクトPC15の各種パラメータを演算して、当該第1の連結オブジェクトPC15に係る制御用の情報を更新する。ちなみに、今回は第3演出期間中であるため、当該第3演出期間の進行に伴って第1の連結オブジェクトPC15が予め定められた第1の動作(図29(a)を参照)をするように、ステップS1921にてパラメータの演算が行われる。また、ステップS1922では、第2の連結オブジェクトPC16の各種パラメータを演算して、当該第2の連結オブジェクトPC16に係る制御用の情報を更新する。
【0389】
続くステップS1923では、第3演出期間の指定情報を記憶し、さらにステップS1924にて、両連結オブジェクトPC15,PC16のうち第1の連結オブジェクトPC15のパラメータが今回の描画リストにて指定されるように設定する。
【0390】
続くステップS1925では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第3演出期間用の他のオブジェクトであって今回の更新対象のオブジェクトを把握する。ここで、第3演出期間は第2演出期間よりも演出が発展した状態であり、少なくとも第2演出期間から第3演出期間への切り換えに際して表示されるオブジェクト数は増加する。第2演出期間から第3演出期間への切り換えに際して増加した分のオブジェクトに対する制御開始用の設定処理(ステップS901)は、ステップS1925の処理の実行タイミングにおいて完了している。その後、ステップS1926にて、上記把握した他のオブジェクトの各種パラメータを演算して、これら他のオブジェクトに係る制御用の情報を更新した後に、本演算処理を終了する。
【0391】
上記のように連結オブジェクト用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、両連結オブジェクトPC15,PC16の使用指示の情報が設定されるとともに、それらオブジェクトPC15,PC16に対して第1の連結オブジェクトPC15のパラメータが設定される。また、第3演出期間であることを示す第3演出期間の指定情報が、描画リストに設定される。
【0392】
次に、VDP135にて実行される連結オブジェクト演出用の設定処理を、図31のフローチャートを参照しながら説明する。連結オブジェクト演出用の設定処理は、描画処理(図16)におけるステップS1003の演出用の設定処理にて実行される。また、連結オブジェクト演出用の設定処理は、今回の描画リストに連結オブジェクト演出の開始指定、第1演出期間乃至第3演出期間の指定のいずれかが設定されている場合に起動される。
【0393】
先ずステップS2001では、今回の描画リストにおいて連結オブジェクト演出の開始指定が設定されているか否かを判定する。設定されている場合には、ステップS2002にて、今回の描画リストに基づいて、メモリモジュール133において第1の連結オブジェクトPC15が記憶されているアドレスを把握して、当該第1の連結オブジェクトPC15を読み出す。また、ステップS2003にて、今回の描画リストに基づいて、メモリモジュール133において第2の連結オブジェクトPC16が記憶されているアドレスを把握して、当該第2の連結オブジェクトPC16を読み出す。
【0394】
続くステップS2004では、第1演出期間用の一律α値の設定処理を実行する。具体的には、第1の連結オブジェクトPC15の一律α値を不透過情報である「1」に設定するとともに、第2の連結オブジェクトPC16の一律α値を完全透過情報である「0」に設定する。これにより、第1の連結オブジェクトPC15の全ピクセルに対して予め設定されている色情報(当初から各ピクセルに設定されているα値の情報を含む)がそのまま適用されるのに対して、第2の連結オブジェクトPC16の全ピクセルに対して「0」のα値が一律に適用される。
【0395】
続くステップS2005では、今回の描画リストにおいて第1の連結オブジェクトPC15に対して指定されているパラメータを、両連結オブジェクトPC15,PC16のパラメータとして把握する。その後、ステップS2006にて、両連結オブジェクトPC15,PC16について、ワールド座標系への設定処理を実行する。
【0396】
今回は連結オブジェクト演出の開始指定に係る処理回であるため、両連結オブジェクトPC15,PC16のワールド座標系への配置を行う。また、両連結オブジェクトPC15,PC16の形状は概ね一致しているが、各部品オブジェクトの連結部が相違している。そうすると、第1の連結オブジェクトPC15のパラメータを第2の連結オブジェクトPC16にそのまま適用しようとしても座標指定が一致しないピクセルが生じるが、そのようなピクセルに対してはVDP135側において所定の調整が行われる。
【0397】
続くステップS2007では、今回の描画リストに指定されている第1演出期間用の他のオブジェクトを把握するとともに、ステップS2008にて、そのオブジェクトについて指定されている各種パラメータを把握する。その後、ステップS2009にて、そのオブジェクトについて、ワールド座標系への設定処理を実行した後に、本連結オブジェクト演出用の設定処理を終了する。
【0398】
上記のように連結オブジェクト演出用の設定処理が実行されることにより、ワールド座標系に対して両連結オブジェクトPC15,PC16の配置が同時に開始される。また、両連結オブジェクトPC15,PC16に対して同一のパラメータが適用されるため、ワールド座標系の同一の位置に対して両連結オブジェクトPC15,PC16が重ねて配置される。但し、ステップS2004の処理が実行されていることにより、第2の連結オブジェクトPC16はレンダリングに際して完全透明のオブジェクトとして扱われるため、表示面Gには両連結オブジェクトPC15,PC16のうち第1の連結オブジェクトPC15のみが表示される。
【0399】
一方、ステップS2001にて、今回の描画リストにおいて連結オブジェクト演出の開始指定が設定されていないと判定した場合には、ステップS2010に進む。ステップS2010では、今回の描画リストにおいて第1演出期間の指定が設定されているか否かを判定する。
【0400】
設定されている場合には、ステップS2004?ステップS2009の処理を実行した後に、本設定処理を終了する。この場合、ステップS2006では、ワールド座標系に設定されている両連結オブジェクトPC15,PC16の各種パラメータを、描画リストにおいて第1の連結オブジェクトPC15に対応させて設定されているパラメータの情報から把握して更新する。
【0401】
上記のように連結オブジェクト演出用の設定処理が実行されることにより、両連結オブジェクトPC15,PC16の各種パラメータは更新されるが、ステップS2004の処理が実行されるため、表示面Gには両連結オブジェクトPC15,PC16のうち第1の連結オブジェクトPC15のみが表示される。また、ステップS2005で更新されるパラメータは、第1の連結オブジェクトPC15に対応しているため、第1演出期間の進行に伴って、表示面Gでは第1の動作を行うように第1の連結オブジェクトPC15が表示される。
【0402】
ステップS2010にて、今回の描画リストにおいて第1演出期間の指定が設定されていないと判定した場合には、ステップS2011に進む。ステップS2011では、今回の描画リストにおいて第2演出期間の指定が設定されているか否かを判定する。
【0403】
設定されている場合には、ステップS2012にて、第2演出期間用の一律α値の設定処理を実行する。具体的には、第1の連結オブジェクトPC15の一律α値を完全透過情報である「0」に設定するとともに、第2の連結オブジェクトPC16の一律α値を不透過情報である「1」に設定する。これにより、第2の連結オブジェクトPC16の全ピクセルに対して予め設定されている色情報(当初から各ピクセルに設定されているα値の情報を含む)がそのまま適用されるのに対して、第1の連結オブジェクトPC15の全ピクセルに対して「0」のα値が一律に適用される。
【0404】
続くステップS2013では、今回の描画リストにおいて第2の連結オブジェクトPC16に対して指定されているパラメータを、両連結オブジェクトPC15,PC16のパラメータとして把握する。その後、ステップS2014にて、両連結オブジェクトPC15,PC16について、ワールド座標系への設定処理を実行する。
【0405】
今回は第2演出期間の更新に係る処理回であるため、ワールド座標系に設定されている両連結オブジェクトPC15,PC16の各種パラメータを、描画リストにおいて第2の連結オブジェクトPC16に対応させて設定されているパラメータの情報から把握して更新する。この場合に、両連結オブジェクトPC15,PC16の形状は概ね一致しているが、各部品オブジェクトの連結部が相違している。そうすると、第2の連結オブジェクトPC16のパラメータを第1の連結オブジェクトPC15にそのまま適用しようとしても座標指定が一致しないピクセルが生じるが、そのようなピクセルに対してはVDP135側において所定の調整が行われる。
【0406】
続くステップS2015では、今回の描画リストに指定されている第2演出期間用の他のオブジェクトを把握するとともに、ステップS2016にて、そのオブジェクトについて指定されている各種パラメータを把握する。その後、ステップS2017にて、そのオブジェクトについて、ワールド座標系への設定処理を実行した後に、本連結オブジェクト演出用の設定処理を終了する。ここで、今回の処理回が第1演出期間から第2演出期間への切り換えに係るタイミングである場合には、表示されるオブジェクトの数が増加するため、ステップS2017ではそれに応じた処理を実行する。
【0407】
上記のように連結オブジェクト演出用の設定処理が実行されることにより、両連結オブジェクトPC15,PC16の各種パラメータは更新されるが、ステップS2012の処理が実行されるため、表示面Gには両連結オブジェクトPC15,PC16のうち第2の連結オブジェクトPC16のみが表示される。また、ステップS2013で更新されるパラメータは、第2の連結オブジェクトPC16に対応しているため、第2演出期間の進行に伴って、表示面Gでは第2の動作を行うように第2の連結オブジェクトPC16が表示される。
【0408】
ステップS2011にて、今回の描画リストにおいて第2演出期間の指定が設定されていないと判定した場合には、今回の描画リストにおいて第3演出期間の指定が設定されていることを意味するため、ステップS2018に進む。
【0409】
ステップS2018では、第3演出期間用の一律α値の設定処理を実行する。具体的には、第1の連結オブジェクトPC15の一律α値を不透過情報である「1」に設定するとともに、第2の連結オブジェクトPC16の一律α値を完全透過情報である「0」に設定する。これにより、第1の連結オブジェクトPC15の全ピクセルに対して予め設定されている色情報(当初から各ピクセルに設定されているα値の情報を含む)がそのまま適用されるのに対して、第2の連結オブジェクトPC16の全ピクセルに対して「0」のα値が一律に適用される。
【0410】
続くステップS2019では、今回の描画リストにおいて第1の連結オブジェクトPC15に対して指定されているパラメータを、両連結オブジェクトPC15,PC16のパラメータとして把握する。その後、ステップS2020にて、両連結オブジェクトPC15,PC16について、ワールド座標系への設定処理を実行する。
【0411】
今回は第3演出期間の更新に係る処理回であるため、ワールド座標系に設定されている両連結オブジェクトPC15,PC16の各種パラメータを、描画リストにおいて第1の連結オブジェクトPC15に対応させて設定されているパラメータの情報から把握して更新する。
【0412】
続くステップS2021では、今回の描画リストに指定されている第3演出期間用の他のオブジェクトを把握するとともに、ステップS2022にて、そのオブジェクトについて指定されている各種パラメータを把握する。その後、ステップS2023にて、そのオブジェクトについて、ワールド座標系への設定処理を実行した後に、本連結オブジェクト演出用の設定処理を終了する。ここで、今回の処理回が第2演出期間から第3演出期間への切り換えに係るタイミングである場合には、表示されるオブジェクトの数が増加するため、ステップS2023ではそれに応じた処理を実行する。
【0413】
上記のように連結オブジェクト演出用の設定処理が実行されることにより、両連結オブジェクトPC15,PC16の各種パラメータは更新されるが、ステップS2018の処理が実行されるため、表示面Gには両連結オブジェクトPC15,PC16のうち第1の連結オブジェクトPC15のみが表示される。また、ステップS2019で更新されるパラメータは、第1の連結オブジェクトPC15に対応しているため、第3演出期間の進行に伴って、表示面Gでは第1の動作を行うように第1の連結オブジェクトPC15が表示される。
【0414】
次に、連結オブジェクト演出の内容について、図32を参照しながら説明する。
【0415】
図32は連結オブジェクト演出を説明するための説明図である。また、図32(a)は第1演出期間を示し、図32(b)は第2演出期間を示し、図32(c)は第3演出期間を示す。なお、図32(a?1),(b?1),(c?1)はワールド座標系のイメージ図であり、図32(a?2),(b?2),(c?2)は表示面Gを示す。また、図32(a?2),(b?2),(c?2)では背景画像や図柄を省略しているが、実際には各演出用の画像の奥側にて背景画像が表示されるとともに手前側にて図柄が表示される。
【0416】
第1演出期間では、図32(a?1)に示すように、両連結オブジェクトPC15,PC16がワールド座標系に設定されるが、第2の連結オブジェクトPC16に対しては透明化処理が行われる。したがって、図32(a?2)に示すように、表示面Gには第1の連結オブジェクトPC15に対応したキャラクタCH3が表示され、第1演出期間の進行に伴って第1の動作が行われる。また、その他のオブジェクトに対応した画像として、「A」?「C」に示すキャラクタCH4?CH6が表示される。
【0417】
第2演出期間では、図32(b?1)に示すように、両連結オブジェクトPC15,PC16がワールド座標系に設定されるが、第1の連結オブジェクトPC15に対しては透明化処理が行われる。したがって、図32(b?2)に示すように、表示面Gには第2の連結オブジェクトPC16に対応したキャラクタCH3が表示され、第2演出期間の進行に伴って第2の動作が行われる。
【0418】
ここで、図32(a?2)と図32(b?2)とで比較した場合、両キャラクタCH3は異なる形状であるかのように示されているが、実際には両連結オブジェクトPC15,PC16に対して同一のテクスチャがマッピングされ、連結部(関節部分)が目立たなくなる。したがって、第1演出期間から第2演出期間に切り換わったとしても、キャラクタCH3に関して表示面Gでは同一、略同一又は同様の画像が表示され、遊技者はその切り換わりを認識しづらくなっている。但し、遊技者が切り換わりの発生を認識しづらいのであれば、両連結オブジェクトPC15,PC16に対して個別にテクスチャが設定されていてもよい。
【0419】
また、第2演出期間では、その他のオブジェクトに対応した画像として、「A」?「E」に示すキャラクタCH4?CH8が表示される。このキャラクタCH4?CH8の数は、第1演出期間の場合よりも多い数である。
【0420】
第3演出期間では、図32(c?1)に示すように、両連結オブジェクトPC15,PC16がワールド座標系に設定されるが、第2の連結オブジェクトPC16に対しては透明化処理が行われる。したがって、図32(c?2)に示すように、表示面Gには第1の連結オブジェクトPC15に対応したキャラクタCH3が表示され、第3演出期間の進行に伴って第1の動作が行われる。また、第3演出期間では、その他のオブジェクトに対応した画像として、「A」?「G」に示すキャラクタCH4?CH10が表示される。このキャラクタCH4?CH10の数は、第2演出期間の場合よりも多い数である。
【0421】
以上のとおり、共通のキャラクタに対して複数の連結オブジェクトPC15,PC16が設定されていることにより、関節部分を利用した動作の種類に応じて表示対象となる連結オブジェクトPC15,PC16を切り換えることができる。例えば、複数種類の動作を単一の連結オブジェクトで行おうとすると、それだけ分の連結部及び部品オブジェクトをその単一の連結オブジェクトに対して設定する必要が生じる。そうすると、一の画像データのデータ容量が大きくなってしまい、メモリモジュール133において単一の画像データとして記憶可能な容量を超えてしまうことが懸念され、超えないとしても単一の画像データを扱う上での処理時間や転送時間の長時間化が懸念される。これに対して、複数の連結オブジェクトPC15,PC16として設定されているため、上記のような不都合を生じさせることなく、キャラクタに対して複数種類の動作を行わせることが可能となる。
【0422】
また、パチンコ機10の設計段階においては演出の修正が行われる機会が多く、キャラクタの動作についての修正の度に連結オブジェクトの全体の動きを見直していると、設計に要する期間が多大なものとなってしまう。これに対して、上記のように行わせたい動作の種類に応じて複数の連結オブジェクトPC15,PC16を設定することで、演出の修正を行う必要が生じたとしても、既に作成済みの連結オブジェクトPC15,PC16の全てを修正する必要がなくなる。よって、パチンコ機10の設計を良好に行えるようにしながら、キャラクタに対して複数種類の動作を行わせることが可能となる。
【0423】
また、キャラクタを表示させるために連結オブジェクトが切り換えられるタイミングよりも前に切換元のオブジェクトだけでなく切換先のオブジェクトについても、表示CPU131において制御対象とされるとともに、VDP135においてワールド座標系への配置対象とされる。これにより、切換タイミングとなった場合に表示CPU131及びVDP135では、切換先のオブジェクトに対して制御開始処理を実行するのではなく、当該制御開始処理よりも処理負荷が小さい制御更新処理を実行すればよいため、切換タイミングにおける処理負荷が軽減される。
【0424】
特に、切換タイミングでは、演出が発展し、表示されるオブジェクトの数が増加するため、表示CPU131及びVDP135にとって処理負荷が比較的大きくなるタイミングである。この場合に、切換先のオブジェクトに対して制御開始処理を行う構成を想定すると、表示CPU131やVDP135において処理落ちが発生することが懸念されるが、上記のとおり切換先のオブジェクトについて制御更新処理を実行すればよいため、当該処理落ちの発生を阻止することができる。
【0425】
また、ワールド座標系に両連結オブジェクトPC15,PC16を同時に配置するとともに、適用する一律α値を完全透過情報と不透過情報とで切り換える構成であるため、表示CPU131では両者の切換に関して一律α値の切換指定をすればよく、VDP135ではその指定に従って適用する一律α値を切り換えればよい。よって、表示CPU131及びVDP135の処理構成の複雑化を抑えながら、上記のような優れた効果を奏することができる。
【0426】
また、表示CPU131からVDP135には、ワールド座標系に同時に配置される両連結オブジェクトPC15,PC16のうち表示対象の連結オブジェクトに対してのパラメータ情報のみが提供される。これにより、描画リストに設定されるデータ量の軽減が図られる。また、VDP135では、両連結オブジェクトPC15,PC16のパラメータの更新を同一の態様で行えばよいため、VDP135の処理負荷の軽減が図られる。
【0427】
なお、第1演出期間?第3演出期間の切換では、キャラクタの数が増加することに代えて又は加えて、上記複数の連結オブジェクトが用意されているキャラクタとは異なる演出用のキャラクタの動作が新たに追加される構成としてもよく、上記複数の連結オブジェクトが用意されているキャラクタとは別に処理負荷の大きい演出用のキャラクタの表示が開始される構成としてもよい。
【0428】
また、第2の連結オブジェクトPC16の表示CPU131における制御開始タイミングやVDP135における制御開始タイミングは、第1の連結オブジェクトPC15と同一ではなくてもよい。例えば、第1演出期間から第2演出期間への切換タイミングよりも前ではあるが、第1の連結オブジェクトPC15の制御開始タイミングよりも後のタイミングであってもよい。
【0429】
また、演出期間の切換タイミングにおける処理負荷が上記構成よりも増加するが、当該切換タイミングにおいて第2の連結オブジェクトPC16の制御が開始される構成としてもよい。この場合、第1の連結オブジェクトPC15と第2の連結オブジェクトPC16とがワールド座標系に同時に配置されることがないため、一律α値を調整して表示対象を切り換える制御を行わなくてもよい。
【0430】
また、ワールド座標系に同時に配置されている両連結オブジェクトPC15,PC16について、表示対象の切換を一律α値の調整により行うのではなく、レンダリング対象の切換により行う構成としてもよい。この場合、表示対象ではない側の連結オブジェクトは、レンダリングが行われないこととなるため、上記構成よりもレンダリング時の処理負荷が軽減される。
【0431】
また、第3演出期間が不具備である構成としてもよく、第4演出期間以上の演出期間が設定されている構成としてもよい。また、一のキャラクタに対して、3個以上の連結オブジェクトが用意されている構成としてもよい。
【0432】
<粒子分散演出を行うための構成>
次に、粒子分散演出を行うための構成について説明する。
【0433】
粒子分散演出とは、連続する複数フレーム(複数の画像更新タイミング)に亘って、多数の粒子単体画像が分散していくかのように表示される演出のことである。この分散に際しては、多数の粒子単体画像における少なくとも一部の画像同士がそれぞれ異なる軌道で変位していくように表示される。粒子分散演出に際しては、多数の粒子単体画像に対して1対1で対応させて設定された多数の頂点データを有する粒子分散用オブジェクトと、当該粒子分散用オブジェクトに対応させて設定され、各頂点データに対応した位置にそれぞれ対応する粒子単体画像を表示させるための多数の単体画像データを有する粒子分散用テクスチャとが用いられる。
【0434】
これら粒子分散用オブジェクト及び粒子分散用テクスチャについて、図33(a)及び図33(b)を参照しながら詳細に説明する。図33(a)は粒子分散用オブジェクトPC17を説明するための説明図であり、図33(b)は粒子分散用テクスチャPC18を説明するための説明図である。
【0435】
図33(a)に示すように、粒子分散用オブジェクトPC17は、頂点データと、当該頂点データに対応した座標データと、これら以外である他のデータとを含んでいる。頂点データは、頂点(1),頂点(2),頂点(3),・・・,頂点(99),頂点(100)と多数設定されており、VDP135では、これら頂点データによって粒子分散用オブジェクトPC17における各頂点が識別される。座標データは、各頂点データに1対1で対応させて、座標(1),座標(2),座標(3),・・・,座標(99),座標(100)と多数設定されており、VDP135では、これら座標データによって粒子分散用オブジェクトPC17における各頂点のワールド座標系内における位置が認識される。
【0436】
他のデータには、例えば粒子分散用オブジェクトPC17の初期スケールのデータや、全頂点データに対して一律に適用される初期α値のデータや、粒子分散用オブジェクトPC17の初期回転角度のデータなどが含まれている。
【0437】
図33(b)に示すように、粒子分散用テクスチャPC18は、単体データと、当該単体データに対応した相関データと、当該単体データに対応した単体画像データと、これら以外である他のデータとを含んでいる。単体画像データは、各単体データに1対1で対応させて、単体画像データ(1),単体画像データ(2),単体画像データ(3),・・・,単体画像データ(99),単体画像データ(100)と多数設定されている。各単体画像データは、例えばビットマップ形式データと、ビットマップ画像の各ピクセルでの表示色を決定する際に参照される色パレットテーブルとの組み合わせを少なくとも含んでいる。各単体画像データは同一種類の粒子単体画像を表示させるデータとなっている。具体的には「球形の泡」を表示させるデータとなっており、各単体画像データの一部又は全部において当該「球形の泡」の形状、初期状態における大きさ、及び色彩は異なっている。この場合、粒子分散演出を実行する上でのVDP135における処理負荷の軽減を図りながら、同時に表示させる粒子単体画像の数を多くすべく、初期状態におけるスケールで全単体画像データを設定したとしても、表示面Gにて、全粒子単体画像を同時に表示させることが可能な構成となっている。
【0438】
なお、各単体画像データの少なくとも一部について又は全部について粒子の種類が相違していてもよい。また、同一種類の粒子であるとともに、その形状、初期状態におけるスケール、及び色彩が同一であってもよい。
【0439】
粒子分散用テクスチャPC18の単体データは、単体(1),単体(2),単体(3),・・・,単体(99),単体(100)と多数設定されており、VDP135では、これら単体データによって粒子分散用テクスチャPC18に設定されている多数の単体画像データが個別に認識される。相関データは、各単体データに1対1で対応させて、頂点(1),頂点(2),頂点(3),・・・,頂点(99),頂点(100)と多数設定されており、VDP135では、これら相関データによって粒子分散用テクスチャPC18における各単体画像データが粒子分散用オブジェクトPC17における各頂点データのいずれに対応しているかが認識される。
【0440】
他のデータには、各単体画像データに対して個別に適用されるα値のデータや、各単体画像データに対して一律に適用されるα値のデータなどが含まれている。
【0441】
ここで、粒子分散用オブジェクトPC17における各座標データには、それぞれ初期データが設定されており、これら初期データはそれぞれ異なる座標となっている。粒子分散用オブジェクトPC17の各座標データは書き換え可能となっており、当該粒子分散用オブジェクトPC17がワールド座標系に設定される場合には、上記各座標データが初期データとは異なる座標のデータに書き換えられた状態で設定される。かかる書き換えを行うために使用される書き換え用基準データとして、複数種類のキーデータKD1?KD3が設定されている。
【0442】
キーデータKD1?KD3は、少なくとも2種類設定されており、具体的には、図33(c)?(e)に示すように、第1キーデータKD1、第2キーデータKD2及び第3キーデータKD3の3種類が設定されている。これら各キーデータKD1?KD3は、それぞれ、相関データと、当該相関データに対応した座標データとを含んでいる。
【0443】
具体的には、第1キーデータKD1の相関データ、第2キーデータKD2の相関データ、及び第3キーデータKD3の相関データはいずれも、適用対象である粒子分散用オブジェクトPC17の各頂点データと1対1で対応させて設定されており、頂点(1),頂点(2),頂点(3),・・・,頂点(99),頂点(100)と多数設定されている。
【0444】
一方、第1キーデータKD1の座標データ、第2キーデータKD2の座標データ、及び第3キーデータKD3の座標データはそれぞれ、各相関データに1対1で対応させて多数設定されているが、同一の相関データ間で比較した場合において相違している。
【0445】
具体的には、第1キーデータKD1の座標データは、座標(1-1),座標(2-1),座標(3-1),・・・,座標(99-1),座標(100-1)と多数設定されており、第2キーデータKD2の座標データは、座標(1-2),座標(2-2),座標(3-2),・・・,座標(99-2),座標(100-2)と多数設定されており、第3キーデータKD3の座標データは、座標(1-3),座標(2-3),座標(3-3),・・・,座標(99-3),座標(100-3)と多数設定されている。また、頂点(1)に対応している座標データが、第1キーデータKD1では座標(1-1)、第2キーデータKD2では座標(1-2)、及び第3キーデータKD3では座標(1-3)であり、頂点(100)に対応している座標データが、第1キーデータKD1では座標(100-1)、第2キーデータKD2では座標(100-2)、及び第3キーデータKD3では座標(100-3)であるように、一の頂点データに対してそれぞれ異なる座標データが設定されている。
【0446】
ちにみに、各キーデータKD1?KD3は、α値のデータや、回転角度のデータが設定されていないこととの関係で、粒子分散用オブジェクトPC17よりもデータ容量が小さく設定されている。
【0447】
各キーデータKD1?KD3は、上記のとおり、各粒子単体画像の変位軌道を決定付けるべく設定されているものであり、粒子分散用オブジェクトPC17に対して適用される順序が予め定められている。具体的には、第2キーデータKD2は、第1キーデータKD1よりも各粒子単体画像の変位方向先側の座標データを設定する場合に用いられ、第3キーデータKD3は、第2キーデータKD2よりも各粒子単体画像の変位方向先側の座標データを設定する場合に用いられる。粒子分散用オブジェクトPC17をワールド座標系に設定する場合には、上記キーデータKD1?KD3の座標データが各頂点データに対して適用されることにより、各頂点データに対応した各粒子単体画像がそれぞれの軌道で変位する。
【0448】
この場合に、少なくとも所定のフレーム数間においては複数のキーデータKD1?KD3、より詳細には2個のキーデータKD1?KD3の座標データが融合された状態で各頂点データに対して適用される。具体的には、粒子分散演出の最初のフレーム(すなわち画像更新タイミング)における各頂点データの座標データを決定付ける第1キーデータKD1は、最初のフレームよりも後の複数フレームである第1フレーム数(例えば99フレーム)分に相当する第1フレーム期間に亘って用いられる。第2キーデータKD2は、上記第1フレーム期間、当該第1フレーム期間に対して次のフレームに相当する第1切換対象フレーム、及びそれ以降の複数フレームである第2フレーム数分に相当する第2フレーム期間に亘って用いられる。第3キーデータKD3は、上記第2フレーム期間に亘って用いられる。この場合に、上記第1フレーム数と上記第2フレーム数とは同一のフレーム数となっている。
【0449】
なお、第3キーデータKD3の後に第4キーデータが設定されていてもよく、この場合には、第3キーデータKD3は、上記第2フレーム期間、当該第2フレーム期間に対して次のフレームに相当する第2切換対象フレーム、及びそれ以降の複数フレームである第3フレーム数(第1フレーム数及び第2フレーム数と同一フレーム数)分に相当する第3フレーム期間に亘って用いられ、第4キーデータは、上記第3フレーム期間に亘って用いられる。
【0450】
かかる構成であることにより、上記キーデータKD1?KD3の数が、粒子分散演出が実行される場合の連続フレーム数よりも少ない数、より詳細には、粒子分散演出に際して、粒子分散用オブジェクトPC17における各頂点データの座標データが変更される回数よりも少ない数に設定されている構成であっても、各粒子単体画像が変位する様子を滑らかに表示することが可能となる。
【0451】
以下に、粒子分散用オブジェクトPC17、粒子分散用テクスチャPC18及び各キーデータKD1?KD3を用いて粒子分散演出を実行するための具体的な処理構成を説明する。なお、粒子分散用オブジェクトPC17、粒子分散用テクスチャPC18及び各キーデータKD1?KD3は、メモリモジュール133に予め記憶されている。
【0452】
図34(a)は、表示CPU131にて実行される粒子分散演出用の演算処理を示すフローチャートである。粒子分散演出用の演算処理は、タスク処理(図14)のステップS904における演出用演算処理にて実行される。また、粒子分散演出用の演算処理は、粒子分散演出が実行される遊技回に対応したデータテーブルが設定されている場合に起動される。
【0453】
先ずステップS2101では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、粒子分散演出の実行中であるか否かを判定する。演出の実行中ではない場合にはステップS2102にて、粒子分散演出の開始タイミングであるか否かを判定する。開始タイミングではない場合にはそのまま本演算処理を終了し、開始タイミングである場合にはステップS2103に進む。
【0454】
ステップS2103では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、粒子分散用オブジェクトPC17を制御対象として把握する。ちなみに、ステップS2103の処理の実行タイミングでは、直前の制御開始用の設定処理(ステップS901)にて、粒子分散用オブジェクトPC17に対して制御開始用の処理が完了している。また、制御が開始された粒子分散用オブジェクトPC17の制御用の情報は、粒子分散演出が完了するまではワークRAM132に記憶保持される。
【0455】
続くステップS2104では、メモリモジュール133から第1キーデータKD1及び第2キーデータKD2を読み出す初期読み出し処理を実行するとともに、ステップS2105では、粒子分散用オブジェクトPC17について、座標以外の各種パラメータを演算して、当該粒子分散用オブジェクトPC17に係る制御用の情報を更新する。その後、ステップS2106にて粒子分散演出の開始指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了する。
【0456】
上記のように粒子分散演出用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、粒子分散用オブジェクトPC17の使用指示の情報が粒子分散用テクスチャPC18の使用指示の情報とともに設定され、さらに上記ステップS2104にて読み出した第1キーデータKD1及び第2キーデータKD2と、上記ステップS2105にて算出したパラメータとが設定される。また、粒子分散演出を開始すべきことを示す粒子分散演出の開始指定情報が、描画リストに設定される。
【0457】
ステップS2101にて粒子分散演出中であると判定した場合には、ステップS2107にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、キーデータの更新タイミングであるか否かを判定する。かかる更新タイミングは、上述した第1切換対象フレームに相当する。
【0458】
キーデータの更新タイミングではない場合(ステップS2107:NO)には、ステップS2108に進む。当該ステップS2108では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、粒子分散用オブジェクトPC17を制御対象として把握する。
【0459】
続くステップS2109では、キーデータのブレンド割合を決定する処理を実行する。かかるブレンド割合を決定する処理では、メモリモジュール133に予め記憶されている図34(b)に示すようなブレンド用テーブルBTを参照することで、現状設定されている2個のキーデータKD1?KD3の各座標データをブレンドする際のブレンド比率のデータを読み出し、その読み出したデータによる各座標データのブレンドを行う。
【0460】
ブレンド用テーブルBTについて詳細には、当該ブレンド用テーブルBTには、フレーム数のデータが設定されているとともに、各フレーム数のデータに1対1で対応させて、前側のキーデータに設定されている各座標データに適用すべき比率と、後側のキーデータに設定されている各座標データに適用すべき比率とが設定されている。この場合、フレーム数が1増加する度に、すなわち各粒子単体画像の座標の更新タイミングとなる度に、一定の比率でブレンド割合が変化するようにブレンド用テーブルBTが設定されている。具体的には、前側のキーデータについては、各更新タイミングとなる度に、1%ずつブレンドする際の比率が減少し、後側のキーデータについては、各更新タイミングとなる度に、1%ずつブレンドする際の比率が増加し、さらに各更新タイミングにおいて前側のキーデータの比率と後側のキーデータの比率との和が100%となるように、ブレンド用テーブルBTが設定されている。
【0461】
なお、ブレンド用テーブルBTは、各更新タイミングとなるどに1%ずつ比率が変化していくように設定されている構成に限定されることはなく、2%ずつ又は3%ずつといったように2%以上ずつ変化していくように設定されていてもよく、また一定の比率ではなく異なる比率で変化していくように設定されていてもよい。
【0462】
ステップS2109では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、ブレンド用テーブルBTを参照する。また、ステップS2109では、当該データテーブルに設定されている現状のポインタ情報に基づいて、ブレンド用テーブルBTにおいて参照すべきフレーム数を把握するとともに、そのフレーム数に設定されている前側のキーデータの比率と後側のキーデータの比率とを読み出す。この場合、現状設定されているデータテーブルが第1キーデータKD1及び第2キーデータKD2であれば、第1キーデータKD1が前側のキーデータに相当し、第2キーデータKD2が後側のキーデータに相当する。
【0463】
その後、ステップS2110にて、粒子分散用オブジェクトPC17について、座標以外の各種パラメータを演算して、当該粒子分散用オブジェクトPC17に係る制御用の情報を更新するとともに、ステップS2111にて、粒子分散演出の更新指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了する。
【0464】
上記のように粒子分散演出用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、粒子分散用オブジェクトPC17の使用指示の情報が粒子分散用テクスチャPC18の使用指示の情報とともに設定され、さらに上記ステップS2109にて決定したブレンド割合のデータと、上記ステップS2110にて算出したパラメータとが設定される。また、粒子分散演出を更新すべきことを示す粒子分散演出の更新指定情報が、描画リストに設定される。
【0465】
ステップS2107にて、キーデータの更新タイミングであると判定した場合には、ステップS2112に進む。当該ステップS2112では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、粒子分散用オブジェクトPC17を制御対象として把握する。
【0466】
続くステップS2113では、新たなキーデータを読み出す処理を実行する。かかる処理では、現状設定されている2個のキーデータのうち後側のキーデータに対して次の順番のキーデータKD1?KD3をメモリモジュール133から読み出す。具体的には、第1キーデータKD1及び第2キーデータKD2が現状設定されているため、これらのうち後側のキーデータは第2キーデータKD2となり、それに対して次の順番のキーデータは第3キーデータKD3となる。
【0467】
その後、ステップS2114にて、粒子分散用オブジェクトPC17について、座標以外の各種パラメータを演算して、当該粒子分散用オブジェクトPC17に係る制御用の情報を更新するとともに、ステップS2115にて、粒子分散演出の更新指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了する。
【0468】
上記のように粒子分散演出用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、粒子分散用オブジェクトPC17の使用指示の情報が粒子分散用テクスチャPC18の使用指示の情報とともに設定され、さらに上記ステップS2112にて読み出した第3キーデータKD3と、上記ステップS2113にて算出したパラメータとが設定される。また、粒子分散演出を更新すべきことを示す粒子分散演出の更新指定情報が、描画リストに設定される。
【0469】
ちなみに、第3キーデータKD3が新たに設定された次の処理回からは、粒子分散演出の終了タイミングとなるまで、ステップS2107にて否定判定をし、ステップS2108?ステップS2111の処理を実行する。この場合においてステップS2109では、第2キーデータKD2を前側のキーデータ及び第2キーデータKD2を後側のキーデータとして、ブレンド割合が順次決定される。
【0470】
次に、VDP135にて実行される粒子分散演出用の設定処理を、図35のフローチャートを参照しながら説明する。粒子分散演出用の設定処理は、描画処理(図16)におけるステップS1003の演出用の設定処理にて実行される。また、粒子分散演出用の設定処理は、今回の描画リストに粒子分散演出の開始指定情報及び粒子分散演出の更新指定情報のいずれかが設定されている場合に起動される。
【0471】
先ずステップS2201では、今回の描画リストにおいて粒子分散演出の開始指定情報が設定されているか否かを判定する。設定されている場合には、ステップS2202にて、今回の描画リストに基づいて、メモリモジュール133において粒子分散用オブジェクトPC17が記憶されているアドレスを把握して、当該粒子分散用オブジェクトPC17をVRAM134の展開用バッファ141に読み出す。その後、ステップS2203では、今回の描画リストに設定されている第1キーデータKD1及び第2キーデータKD2をレジスタ153に記憶させる。
【0472】
続くステップS2204では、初期適用処理を実行する。初期適用処理では、粒子分散用オブジェクトPC17の各頂点データに対応した各座標データを、第1キーデータKD1に設定されている各座標データに書き換えることにより、各頂点データの開始座標を設定する。また、ステップS2205では、今回の描画リストにおいて粒子分散用オブジェクトPC17に対して指定されている座標以外のパラメータを、当該粒子分散用オブジェクトPC17の他のパラメータとして把握する。
【0473】
その後、ステップS2206にて、粒子分散用オブジェクトPC17について、ワールド座標系への設定処理を実行した後に、本設定処理を終了する。これにより、第1キーデータKD1に設定されている各座標データに対応した座標で、粒子分散用オブジェクトPC17の各頂点データが設定される。また、VDP135における描画処理(図16)の色情報の設定処理(ステップS1009)では、上記のような座標に設定された各頂点データに対して、それぞれ各頂点データに対応した粒子単体画像データが設定される。
【0474】
一方、ステップS2201にて、今回の描画リストにおいて粒子分散演出の開始指定が設定されていないと判定した場合には、ステップS2207に進む。ステップS2207では、今回の描画リストにおいて新たなキーデータが指定されているか否かを判定する。
【0475】
指定されていない場合には、ステップS2008にて、座標のブレンド処理を実行する。当該ブレンド処理では、現状設定されている2個のキーデータ、具体的には第1フレーム期間であれば第1キーデータKD1及び第2キーデータKD2の各座標データを、今回の描画リストにおいて設定されているブレンド割合のデータに従ってブレンドする。
【0476】
この場合、先ず第1キーデータKD1の一の頂点データに対応した座標データを読み出すとともに、第2キーデータKD2の上記頂点データに対応した座標データを読み出す。そして、前者の座標データを(x1,y1,z1)、後者の座標データを(x2,y2,z2)、ブレンド用テーブルBTから読み出した前側のキーデータの比率をrt1、及びブレンド用テーブルBTから読み出した後側のキーデータの比率をrt2とした場合において、ブレンド後の座標データ(x,y,z)が、
x:x1×rt1+x2×rt2
y:y1×rt1+y2×rt2
z:z1×rt1+z2×rt2
となるようにブレンドを行う。また、かかるブレンドを、全頂点データに対応した座標データに対して実行する。
【0477】
続くステップS2209では、今回の描画リストにおいて粒子分散用オブジェクトPC17に対して指定されている座標以外のパラメータを、当該粒子分散用オブジェクトPC17の他のパラメータとして把握する。その後、ステップS2210にて、上記ステップS2208におけるブレンド結果である各座標データを既にワールド座標系に設定されている粒子分散用オブジェクトPC17に対して設定するとともに、上記ステップS2209において把握したパラメータを当該粒子分散用オブジェクトPC17に対して設定した後に、本設定処理を終了する。
【0478】
この場合、上記ブレンド結果である各座標データの設定に際しては、粒子分散用オブジェクトPC17の各頂点データに対応した各座標データを、ステップS2208におけるブレンド結果である各座標データに書き換える。これにより、ステップS2208のブレンド結果に対応した座標で、粒子分散用オブジェクトPC17の各頂点データが設定される。また、VDP135における描画処理(図16)の色情報の設定処理(ステップS1009)では、上記のような座標に設定された各頂点データに対して、それぞれ各頂点データに対応した粒子単体画像データが設定される。
【0479】
ステップS2207にて、今回の描画リストにおいて新たなキーデータが指定されていると判定した場合には、ステップS2211にて、キーデータの更新処理を実行する。当該更新処理では、レジスタ153に現状記憶されている2個のキーデータのうち、前側のキーデータ、具体的には第1キーデータKD1を、今回の描画リストにおいて設定されている新たなキーデータ、具体的には第3キーデータKD3に書き換える。
【0480】
続くステップS2212では、更新時の適用処理を実行する。具体的には、第2キーデータKD2に設定されている各座標データを把握する。また、ステップS2213では、今回の描画リストにおいて粒子分散用オブジェクトPC17に対して指定されている座標以外のパラメータを、当該粒子分散用オブジェクトPC17の他のパラメータとして把握する。
【0481】
その後、ステップS2214にて、上記ステップS2212において把握した各座標データを既にワールド座標系に設定されている粒子分散用オブジェクトPC17に対して設定するとともに、上記ステップS2214において把握したパラメータを当該粒子分散用オブジェクトPC17に対して設定した後に、本設定処理を終了する。
【0482】
この場合、上記ステップS2212にて把握した各座標データの設定に際しては、粒子分散用オブジェクトPC17の各頂点データに対応した各座標データを、上記ステップS2212にて把握した各座標データに書き換える。これにより、第2キーデータKD2に対応した座標で、粒子分散用オブジェクトPC17の各頂点データが設定される。また、VDP135における描画処理(図16)の色情報の設定処理(ステップS1009)では、上記のような座標に設定された各頂点データに対して、それぞれ各頂点データに対応した粒子単体画像データが設定される。
【0483】
ちなみに、第3キーデータKD3が新たに設定された次の処理回からは、粒子分散演出の終了タイミングとなるまで、ステップS2207にて否定判定をし、ステップS2208?ステップS2210の処理を実行する。この場合においてステップS2208では、第2キーデータKD2及び第3キーデータKD3を用いて座標のブレンドが実行される。
【0484】
次に、粒子分散演出の内容について、図36を参照しながら説明する。
【0485】
図36(a)は粒子分散演出を説明するための説明図であり、図36(b-1)及び(b-2)は各粒子単体画像がどのような軌跡で変位するのかを簡易的に説明するための説明図である。
【0486】
図36(a)に示すように、粒子分散演出は遊技回用の演出として実行され、具体的には遊技回が終了する場合において一の有効ライン上に大当たり図柄の組み合わせが停止表示された場合に、粒子分散演出が実行される。粒子分散演出では、表示面Gにおいて「球形の泡」である粒子単体画像PTが多数表示されるとともに、それら多数の粒子単体画像PTが連続する複数フレームに亘ってそれぞれ所定の軌道で変位するように表示される。
【0487】
当該所定の軌道について、図36(b-1)及び(b-2)を参照しながら具体的に説明すると、第1キーデータKD1の各座標データが設定された状態では、粒子単体画像PT1、粒子単体画像PT2及び粒子単体画像PT3のそれぞれは、図36(b-1)において実線にて示す開始座標に対応した位置にて表示される。この場合、各粒子単体画像PT1?PT3は、それぞれ異なる位置にて表示される。
【0488】
その後の第1フレーム期間では、第1キーデータKD1及び第2キーデータKD2のブレンド処理が実行されることにより、図36(b-1)の二点鎖線で示すように、粒子単体画像PT1、粒子単体画像PT2及び粒子単体画像PT3のそれぞれが異なる軌道で変位しているかのように表示される。この場合、第1キーデータKD1と第2キーデータKD2とのブレンド処理によって座標が決定されるため、各粒子単体画像PT1?PT3の変位軌道は直線状となっている。
【0489】
第1フレーム期間が経過した場合には、第2キーデータKD2の各座標データが設定されることにより、粒子単体画像PT1、粒子単体画像PT2及び粒子単体画像PT3のそれぞれは、図36(b-2)において実線にて示す切換対象座標に対応した位置にて表示される。この場合、各粒子単体画像PT1?PT3は、それぞれ異なる位置にて表示される。
【0490】
その後の第2フレーム期間では、第2キーデータKD2及び第3キーデータKD3のブレンド処理が実行されることにより、図36(b-2)の二点鎖線で示すように、粒子単体画像PT1、粒子単体画像PT2及び粒子単体画像PT3のそれぞれが異なる軌道で変位しているかのように表示される。この場合、第1キーデータKD1と第2キーデータKD2とのブレンド処理によって座標が決定されるため、各粒子単体画像PT1?PT3の変位軌道は直線状となっている。また、第2フレーム期間における各粒子単体画像PT1?PT3の軌道は、第1フレーム期間の場合における軌道とは異なっている。
【0491】
以上のとおり、粒子分散演出では、粒子分散用オブジェクトPC17における各頂点データの座標データを、複数種類のキーデータKD1?KD3のブレンドを利用しながら設定するようにしたことにより、データ容量の削減及び処理負荷の軽減という両者のバランスを図りながら、多数の粒子単体画像が分散していくかのような表示演出を行うことが可能となる。
【0492】
すなわち、単体画像データの座標データが全フレーム数に亘って設定されたアニメーションデータを全単体画像データに1対1で対応させて設定する構成も考えられるが、この場合、それだけデータ容量が必要となる。これに対して、上記のように複数種類のキーデータKD1?KD3のブレンドを利用することで、上記のように全てのアニメーションデータを設定する構成に比べて、必要なデータ容量を削減することが可能となる。
【0493】
その一方、全単体画像データの座標データをプログラムに基づく処理のみによって算出する構成も考えられるが、この場合、各粒子単体画像が相互に異なる軌道で変位表示されるとすると、それだけ複雑であって膨大なプログラムが必要となる。これに対して、上記のように複数種類のキーデータKD1?KD3のブレンドを利用することで、座標データを算出するための情報がプログラム側とデータ側とで適度に分散されることとなり、処理負荷の軽減が図られる。
【0494】
また、単体画像データを個別のオブジェクトとして設定するのではなく、粒子分散用オブジェクトPC17の各頂点データに対応させて設定したことにより、表示CPU131からVDP135に送信される描画リストのデータ容量を削減することが可能となる。
【0495】
また、VDP135においても単体画像データを設定するためのオブジェクトを読み出す場合において、各単体画像データに対応した個別のオブジェクトをそれぞれ読み出すのではなく、粒子分散用オブジェクトPC17として読み出すことが可能であるため、当該読み出しに要する処理負荷の軽減が図られる。
【0496】
また、第1キーデータKD1及び第2キーデータKD2のブレンド処理は、表示CPU131ではなくVDP135にて実行されるため、表示CPU131の処理負荷の軽減を図ることが可能となる。
【0497】
<粒子分散演出用の設定処理の別形態>
図37は、VDP135にて実行される粒子分散演出用の設定処理の別形態を説明するためのフローチャートである。
【0498】
先ずステップS2301では、今回の描画リストにおいて粒子分散演出の開始指定情報が設定されているか否かを判定する。設定されている場合には、ステップS2302にて、今回の描画リストに基づいて、メモリモジュール133において粒子分散用オブジェクトPC17が記憶されているアドレスを把握して、当該粒子分散用オブジェクトPC17を読み出す。その後、ステップS2303では、今回の描画リストに設定されている第1キーデータKD1及び第2キーデータKD2をレジスタ153に記憶させる。
【0499】
続くステップS2304では、今回の描画リストに基づいて、メモリモジュール133において第1テクスチャ及び第2テクスチャが記憶されているアドレスを把握する。
【0500】
ここで、本別形態では、各キーデータKD1?KD3に1対1で対応させてテクスチャも複数種類設定されている。具体的には、第1キーデータKD1、第2キーデータKD2及び第3キーデータKD3に1対1で対応させて第1テクスチャ、第2テクスチャ及び第3テクスチャが設定されている。なお、キーデータが4種類以上設定されている構成においては、それに対応させてテクスチャも4種類以上設定されていればよい。
【0501】
各テクスチャには、図33にて示した粒子分散用テクスチャPC18と同様に、各頂点データに1対1で対応させて単体画像データが設定されている。このように単一の粒子分散用オブジェクトPC17に対して複数種類のテクスチャが設定されていることにより、粒子分散用オブジェクトPC17の一の頂点データに対して設定される単体画像データの種類が複数フレームの経過(すなわち複数の更新タイミングの経過)に伴って変更され、さらに当該変更が粒子分散用オブジェクトPC17の多数の頂点データ、より詳細には全頂点データに対して行われる。
【0502】
例えば、第1テクスチャでは、第1の頂点データに対する単体画像データが、第1単体画像(例えば図36に示す「○」)を表示するための第1単体画像データであるのに対して、第2テクスチャでは、第1の頂点データに対する単体画像データが、第2単体画像(例えば図36に示す「□」)を表示するための第2単体画像データとなっている。同様に、第1テクスチャでは、第2の頂点データに対する単体画像データが、第3単体画像(例えば図36に示す「△」)を表示するための第3単体画像データであるのに対して、第2テクスチャでは、第2の頂点データに対する単体画像データが、第3単体画像とは異なる単体画像(例えば図36に示す「○」)を表示するための単体画像データとなっている。
【0503】
ステップS2304の処理を実行した後は、ステップS2305にて、上記ステップS2204と同様に、初期適用処理を実行する。これにより、粒子分散用オブジェクトPC17の各頂点データに対応した各座標データが、第1キーデータKD1に設定されている各座標データに対応した開始座標に設定される。
【0504】
その後、ステップS2306にて、今回の描画リストにおいて粒子分散用オブジェクトPC17に対して指定されている座標以外のパラメータを、当該粒子分散用オブジェクトPC17の他のパラメータとして把握するとともに、ステップS2307にて、粒子分散用オブジェクトPC17について、ワールド座標系への設定処理を実行した後に、本設定処理を終了する。また、VDP135における描画処理(図16)の色情報の設定処理(ステップS1009)では、上記のような座標に設定された各頂点データに対して、第1テクスチャ及び第2テクスチャのうち第1テクスチャのみが粒子分散用オブジェクトPC17に対して適用される。これにより、第1テクスチャに対応した単体画像が、第1キーデータKD1に対応した座標で表示されることとなる。
【0505】
一方、ステップS2301にて、今回の描画リストにおいて粒子分散演出の開始指定が設定されていないと判定した場合には、ステップS2308に進む。ステップS2308では、今回の描画リストにおいて新たなキーデータが指定されているか否かを判定する。
【0506】
指定されていない場合には、ステップS2309にて、レジスタ153に設けられているブレンド用カウンタの数値情報を1加算されるように更新する。ここで、ブレンド用カウンタとは、複数のキーデータを用いた座標データのブレンドを行う場合、及び複数のテクスチャを用いた単体画像データのブレンドを行う場合において、そのブレンドの割合をVDP135にて特定するためのカウンタである。
【0507】
ブレンド用カウンタは、初期値として「0」が設定されており、カウンタ値が「1」の場合には、前側のキーデータ(例えば第1キーデータKD1)の比率を99%とするとともに後側のキーデータ(例えば第2キーデータKD2)の比率を1%とし、さらに前側のテクスチャ(例えば第1テクスチャ)の比率を99%とするとともに後側のテクスチャ(例えば第2テクスチャ)の比率を1%とする。また、カウンタ値が「2」の場合には、前側のキーデータ(例えば第1キーデータKD1)の比率を98%とするとともに後側のキーデータ(例えば第2キーデータKD2)の比率を2%とし、さらに前側のテクスチャ(例えば第1テクスチャ)の比率を98%とするとともに後側のテクスチャ(例えば第2テクスチャ)の比率を2%とする。また、カウンタ値が「99」の場合には、前側のキーデータ(例えば第1キーデータKD1)の比率を1%とするとともに後側のキーデータ(例えば第2キーデータKD2)の比率を99%とし、さらに前側のテクスチャ(例えば第1テクスチャ)の比率を1%とするとともに後側のテクスチャ(例えば第2テクスチャ)の比率を99%とする。つまり、フレーム数が先に進むほど、前側のキーデータの適用比率が低減される一方、後側のキーデータの適用比率が増加され、同様に前側のテクスチャの適用比率が低減される一方、後側のテクスチャの適用比率が増加される。
【0508】
なお、上記のようなブレンド用カウンタの数値情報に対応したブレンド割合の情報は、予めテーブル情報としてメモリモジュール133に記憶されているが、これに限定されることはなく、ブレンド用カウンタの数値情報に対応したブレンド割合の情報を、プログラムにて定められた演算式によって算出する構成としてもよい。
【0509】
続くステップS2310では、座標のブレンド処理を実行する。当該ブレンド処理では、現状設定されている2個のキーデータ、具体的には第1フレーム期間であれば第1キーデータKD1及び第2キーデータKD2の各座標データを、上記ステップS2309の更新処理後におけるブレンド用カウンタの数値情報に対応したブレンド割合に従ってブレンドする。このブレンドの具体的な演算方法は、上記ステップS2208の場合と同様である。
【0510】
続くステップS2311では、テクスチャのブレンド処理を実行する。当該ブレンド処理では、現状把握されている2個のテクスチャ、具体的には第1フレーム期間であれば第1テクスチャ及び第2テクスチャの各単体画像データを、上記ステップS2309の更新処理後におけるブレンド用カウンタの数値情報に対応したブレンド割合に従ってブレンドする。
【0511】
例えば、先ず第1テクスチャの一の頂点データに対応した単体画像データを読み出すとともに、第2テクスチャの上記頂点データに対応した単体画像データを読み出す。そして、前者の単体画像データ(ここでは説明の便宜上、1ピクセルとする)におけるRGBの各色情報を(r1,g1,b1)、後者の単体画像データ(ここでは説明の便宜上、1ピクセルとする)を(r2,g2,b2)、ブレンド用カウンタの数値情報に対応した前側のテクスチャの比率をrt3、及びブレンド用カウンタの数値情報に対応した後側のテクスチャの比率をrt4(rt3+rt4=1)とした場合において、ブレンド後の単体画像データ(r,g,b)が、
r:r1×rt3+r2×rt4
g:g1×rt3+g2×rt4
b:b1×rt3+b2×rt4
となるようにブレンドを行う。また、かかるブレンドを、全頂点データに対応した単体画像データに対して実行する。
【0512】
その後、ステップS2312にて、今回の描画リストにおいて粒子分散用オブジェクトPC17に対して指定されている座標以外のパラメータを、当該粒子分散用オブジェクトPC17の他のパラメータとして把握するとともに、ステップS2313にて、粒子分散用オブジェクトPC17について、ワールド座標系への設定処理を実行した後に、本設定処理を終了する。
【0513】
この場合、上記ブレンド結果である各座標データの設定に際しては、粒子分散用オブジェクトPC17の各頂点データに対応した各座標データを、ステップS2310におけるブレンド結果である各座標データに書き換える。また、VDP135における描画処理(図16)の色情報の設定処理(ステップS1009)では、上記のような座標に設定された各頂点データに対して、ステップS2311におけるブレンド結果である各単体画像データが適用される。これにより、ステップS2311のブレンド結果に対応した単体画像が、ステップS2310のブレンド結果に対応した座標で表示されることとなる。
【0514】
ここで、上記のようにVDP135側にてブレンド用カウンタを用いてブレンド割合を導出する構成であるため、表示CPU131においてはブレンド割合を導出するための処理は実行されない。これにより、表示CPU131の処理負荷の軽減が図られる。
【0515】
なお、表示CPU131は、第1キーデータKD1と第2キーデータKD2との組み合わせや、第2キーデータKD2と第3キーデータKD3との組み合わせといった、所定のキーデータの組み合わせを用いる場合におけるそれらキーデータのブレンド割合を変更する回数をVDP135に対して指示し、その指示に従ってVDP135がその所定のキーデータの組み合わせについて各変更回におけるブレンド割合を独自に決定する構成としてもよい。この場合、所定のキーデータの組み合わせとして同一のものを用いる期間が複数種類存在している場合において、特定の期間ではそれ以外の期間に比べてVDP135の処理負荷が大きい場合、その特定の期間では、表示CPU131が指示する変更回数を少なくすることで、VDP135の処理負荷の軽減を図ることが可能となる。また、上記構成において、VDP135が、各変更回において一定の割合でブレンド割合が変更されていくように設定されている構成としてもよく、この場合、指示された変更回数に応じて一義的に各変更回のブレンド割合を導出できるようなデータが設定されていてもよく、演算によって各変更回のブレンド割合を導出する構成としてもよい。
【0516】
ステップS2308にて、今回の描画リストにおいて新たなキーデータが指定されていると判定した場合、ステップS2314にてブレンド用カウンタの初期化を実行する。これにより、次回の処理回からはブレンド割合の算出が最初から開始されることとなる。
【0517】
続くステップS2315では、キーデータの更新処理を実行する。当該更新処理では、レジスタ153に現状記憶されている2個のキーデータのうち、前側のキーデータ、具体的には第1キーデータKD1を、今回の描画リストにおいて設定されている新たなキーデータ、具体的には第3キーデータKD3に書き換える。また、ステップS2316では、新たなテクスチャを把握する。当該処理では、レジスタ153に現状記憶されている2個のテクスチャのうち、前側のテクスチャ、具体的には第1テクスチャを、今回の描画リストにおいて設定されている新たなテクスチャ、具体的には第3テクスチャに書き換える。なお、この書き換えに際してはメモリモジュール133からの第3テクスチャの読み出しが行われる。
【0518】
続くステップS2317では、更新時の適用処理を実行する。具体的には、第2キーデータKD2に設定されている各座標データを把握する。また、ステップS2318では、今回の描画リストにおいて粒子分散用オブジェクトPC17に対して指定されている座標以外のパラメータを、当該粒子分散用オブジェクトPC17の他のパラメータとして把握する。
【0519】
その後、ステップS2319にて、上記ステップS2317において把握した各座標データを既にワールド座標系に設定されている粒子分散用オブジェクトPC17に対して設定するとともに、上記ステップS2318において把握したパラメータを当該粒子分散用オブジェクトPC17に対して設定した後に、本設定処理を終了する。
【0520】
この場合、各座標データの設定に際しては、粒子分散用オブジェクトPC17の各頂点データに対応した各座標データを、上記ステップS2317にて把握した各座標データに書き換える。また、VDP135における描画処理(図16)の色情報の設定処理(ステップS1009)では、上記のような座標に設定された各頂点データに対して、第2テクスチャ及び第3テクスチャのうち第2テクスチャのみが粒子分散用オブジェクトPC17に対して適用される。これにより、第2テクスチャに対応した単体画像が、第2キーデータKD2に対応した座標で表示されることとなる。
【0521】
ちなみに、第3キーデータKD3及び第3テクスチャが新たに設定された次の処理回からは、粒子分散演出の終了タイミングとなるまで、ステップS2308にて否定判定をし、ステップS2309?ステップS2313の処理を実行する。この場合においてステップS2310では、第2キーデータKD2及び第3キーデータKD3を用いて座標のブレンドが実行され、ステップS2311では、第2テクスチャ及び第3テクスチャを用いて単体画像データのブレンドが実行される。
【0522】
上記のように粒子分散演出を実行させるための別形態では、演出が進行することに伴って同一のオブジェクトに適用されるテクスチャが相違されることにより、粒子分散演出の表示態様に変化を与えることが可能となり、当該表示演出の単調化が抑えられる。この場合に、表示態様が変更されるフレーム毎に異なるテクスチャが用いられるのではなく、第1の更新タイミングに対応したテクスチャと、それよりも複数の更新タイミング後である第2の更新タイミングに対応したテクスチャとのブレンドを行うことで、それら第1の更新タイミングと第2の更新タイミングとの間において用いる画像データを作成する構成であるため、予め記憶されておくテクスチャの数を減らすことが可能となり、データ容量の削減が図られる。
【0523】
また、各テクスチャは、各キーデータに1対1で対応させて設定されており、さらに各テクスチャの切り換えは、各キーデータの切り換えに合わせて行われる。よって、VDP135における切り換えに係る処理の処理負荷の軽減が図られる。
【0524】
<粒子分散演出についての他の別形態>
・上記粒子分散演出(図35の場合及び図37の場合)において、キーデータKD1?KD3の数をより多く設定するとともに、用いるキーデータKD1?KD3の切り換えが発生するまでのフレーム数を少なく設定する(例えば10フレーム毎)ことで、座標データのブレンドを実行しながら、単体画像が直線状ではなく、曲線状の軌跡を描くように変位表示される構成としてもよい。
【0525】
・キーデータKD1?KD3を用いてブレンドを行う対象を、座標データに加えて又は代えて、透明度を設定するためのα値としてもよく、テクスチャマッピングを実行しなくても頂点データの色情報や複数の頂点データからなるポリゴンの色情報を決定することを可能とする頂点カラーとしてもよい。また、オブジェクトに対するテクスチャの相対的な貼り付け位置を決定するためのUV値を変更させて、同一のテクスチャを貼り付ける場合であっても表示態様を変更させるUVスクロールを行う構成においては、そのUV値をキーデータのブレンドを用いて変更する構成としてもよい。
【0526】
・第1フレーム期間と第2フレーム期間とが同一のフレーム数である構成に限定されることはなく、これらフレーム期間に含まれるフレーム数が異なっていてもよい。この場合、各フレーム期間に応じたブレンド処理を行う必要がある。
【0527】
・単体画像を表示させるための単体画像データの種類が同一である構成としてもよい。この場合、粒子分散用テクスチャPC18において各単体データに対応させて単体画像データを設定しておく必要がないため、当該粒子分散用テクスチャPC18のデータ容量の削減が図られる。
【0528】
・2種類のキーデータを用いてブレンドを行う構成に代えて、3種類以上のキーデータを用いてブレンドを行う構成としてもよい。この場合、これら3種類のキーデータをブレンドする比率を適宜変更することにより、単体画像が変位する場合の軌道を直線状ではなく、曲線状とすることが可能となる。また、3種類以上のキーデータを用いてブレンドを行う場合、例えば、それら3種類以上のキーデータから仮想の円弧や球面を算出により想定し、その想定した仮想の円弧や球面に沿って変位していくように単体画像が表示される構成としてもよい。
【0529】
・VDP135が、キーデータを利用して頂点データを算出する専用の回路を有する構成としてもよい。また、VDP135が、キーデータを利用しない場合において頂点データを算出する専用の回路を有する構成としてもよい。これら回路を個別に有する構成とすることにより、それぞれの頂点データの算出に特化させることが可能となり、頂点データの算出を好適に行うことが可能となる。
【0530】
・上記のようにキーデータを利用してパラメータデータを導出する構成を、スプライトデータといった2次元情報の画像データを利用して画像表示を行う構成に適用してもよい。例えばスプライトデータをフレームバッファ142に設定する場合の座標のパラメータを導出する上で、複数のキーデータのブレンドを行う構成としてもよい。
【0531】
<海面表示を行うための構成>
次に、海面表示を行うための構成について説明する。
【0532】
海面表示とは、背景において海面を表示させるための演出であり、さらにその海面が連続する複数フレーム(複数の画像更新タイミング)に亘って、波打つように表示される演出のことである。なお、海面表示は、上述した第1表示モード及び第2表示モードのうち第1表示モードにおいて実行される表示演出である。海面表示に際しては、海面用オブジェクトと、当該海面用オブジェクトの動きを細かく変化させるための法線マップデータとが用いられる。
【0533】
これら海面用オブジェクト及び法線マップデータについて、図38(a),(b)を参照しながら詳細に説明する。図38(a)は海面用オブジェクトPC19を説明するための説明図であり、図38(b)は法線マップデータND1,ND2を説明するための説明図である。
【0534】
図38(a)に示すように、海面用オブジェクトPC19は、複数の頂点データによって規定される面データ(ポリゴン)SDを、複数行及び複数列となるように多数有している。この場合、各面データSDは、行の情報と列の情報との組合せを有している(以下、この情報を順番情報ともいう)。例えば図38(a)において左下角部分の面データSDは第1列第1行の情報を順番情報として有しており、図38(a)において右上角部分の面データSDは第25列第25行の情報を順番情報として有している。
【0535】
各面データSDは4個の頂点データによる四角形として定義されているが、これに限定されることはなく、3個の頂点データによる三角形として定義されていてもよく、5個以上の頂点データによる他の多角形として定義されていてもよい。また、任意の一の面データSDは、他の面データSDと隣接しており、当該一の面データSDの頂点データは当該他の面データSDの頂点データを兼用している。つまり、各面データSDは隣り合う面データSD同士において辺が共通している。したがって、基本的には一の頂点データの座標データを変更した場合には、複数の面データSDが変形されることとなり、隣り合う2個の頂点データよりなる一の辺の座標データを変更した場合には、複数の面データSDの向きが変更されることとなる。
【0536】
海面用オブジェクトPC19には、上記各面データSDの初期状態における座標や面の向きを決定すべく各頂点データの初期座標データが設定されている。また、これ以外にも、海面用オブジェクトPC19の初期スケールのデータや、全頂点データ(又は面データSD)に対して一律に適用される初期α値のデータや、海面用オブジェクトPC19の初期回転角度のデータなどが含まれている。
【0537】
ここで、海面用オブジェクトPC19の各面データSDは、隣接する複数の面データSDをまとめることで複数群に区分けされており、具体的には第1面データ群、・・・、第k面データ群(kは2以上の整数であり、本実施の形態ではk=25)を有している。各面データ群に含まれる面データSDの数は、複数である所定数(具体的には25個)で同一となっているが、少なくとも一部の面データ群間において含まれる面データSDの数が異なっていてもよい。なお、図38(a)においては、太線で囲んだ各単位が面データ群に相当する。
【0538】
上記各面データ群は、表示CPU131における制御に基づき、それぞれ個別に座標及び面の向きが決定される。詳細には、第1面データ群に含まれる全面データSDが所定の方向を向く同一の面を構成し、その状態において第1面データ群にて基準となる面データSDの座標が所定の座標となるように、第1面データ群に含まれる各面データSDの座標及び面の向きが決定される。つまり、海面用オブジェクトPC19の各面データSDの座標及び向きは、先ず海面データ群の単位で大まかに決定される。以下、この各面データ群の単位で決定された座標及び向きを、第1段階の形態とも言う。
【0539】
なお、基準となる面データSDは、各面データ群において単一の面データSDであるが、複数の面データSDであってもよい。また、面データSDを基準として座標を設定するのではなく、面データ群の隅角部分を構成する頂点データに対して基準となる座標を設定する構成としてもよく、この場合、隅角部分の全てに対して基準となる座標を設定してもよく、一の隅角部分に対してのみ基準となる座標を設定してもよい。また、海面用オブジェクトPC19を一連のものとすべく、隣接する面データ群においては、両者の境界部分における頂点データの座標が同一となるように、上記座標及び面の向きが決定される。
【0540】
法線マップデータND1,ND2は、各面データ群の単位で第1段階の形態が決定された後において、各面データ群に含まれる各面データSDの向きを相互に異ならせるためのデータであり、複数種類、具体的には2種類の法線マップデータND1,ND2がメモリモジュール133に予め記憶されている。各法線マップデータND1,ND2はそれぞれ、各面データSDの向きを第1段階の形態から変化させるための単位法線データUNDを多数有している。なお、以下の説明では、一対の法線マップデータND1,ND2の一方を第1法線マップデータND1、他方を第2法線マップデータND2とも言う。
【0541】
図38(b)は、多数の単位法線データUNDを多数有している法線マップデータND1,ND2のイメージ図であり、複数行及び複数列となるように配列された各四角部分が単位法線データUNDを示す。この場合、各法線マップデータND1,ND2において各単位法線データUNDはそれぞれ、行の情報と列の情報との組合せを有している(以下、この情報を順番情報ともいう)。例えば図38(b)において左下角部分の単位法線データUNDは第1列第1行の情報を順番情報として有しており、図38(b)において右上角部分の単位法線データUNDは第35列第35行の情報を順番情報として有している。
【0542】
各単位法線データUNDは、各面データSDの向きを第1段階の形態から変化させる場合における方向のデータ及びその方向に変化させる際の変化量のデータ(以下、変更データともいう)を有している。この場合、一の法線マップデータND1,ND2において、一部の単位法線データUND間ではその変化させる方向のデータ及びその方向への変化量のデータが同一となっている。但し、これに限定されることはなく、全ての単位法線データUND間において相違していてもよい。
【0543】
一対の法線マップデータND1,ND2間において、各単位法線データUNDにより決定される変更データとして同一のものは含まれているが、変更データの配列は一致していない。この場合、一対の法線マップデータND1,ND2間における全ての順番情報において、各単位法線データUNDにより決定される変更データが相違していてもよく、少なくとも一部の順番情報において各単位法線データUNDにより決定される変更データが相違している構成としてもよい。各法線マップデータND1,ND2において、単位法線データUNDの数は同一となっているが異なっていもよい。
【0544】
各法線マップデータND1,ND2における単位法線データUNDの数は、海面用オブジェクトPC19を構成する面データSDの数よりも多く設定されている。かかる構成において、各法線マップデータND1,ND2の単位法線データUNDを海面用オブジェクトPC19の面データSDに適用する場合、全面データSDが各法線マップデータND1,ND2に含まれる範囲において、基準となる面データSDに適用する単位法線データUNDが選択され、その関係を基準とするとともに面データSD側の順番情報と単位法線データUND側の順番情報とを利用することで、上記基準となる面データSD以外の面データSDに対応させる単位法線データUNDが選択される。
【0545】
より詳細に説明すると、面データSDを第m列第n行分有している構成において(m及びnは1以上の整数)、基準となる面データSDが第1列第1行であり、それに対応する単位法線データUNDが第s列第t行である場合(s及びtは1以上の整数)、今回使用する単位法線データUNDは第s列?第(s+m-1)列であって、第t列?第(t+n-1)行分となる。したがって、それら単位法線データUNDが法線マップデータND1,ND2から読み出される。そして、その読み出された各単位法線データUNDは、第s列第t行の順番情報が第1列第1行となる演算によって順番情報の変換が行われるとともに、その変換後の順番情報と同一の順番情報の面データSDに対応付けられる。
【0546】
図39(a)及び(b)を参照しながら、一対の法線マップデータND1,ND2を海面用オブジェクトPC19に適用する手法を説明する。
【0547】
図39(a)に示すように、法線マップデータND1,ND2を用いて海面用オブジェクトPC19の面データSDの向きを変更させる場合には、一対の法線マップデータND1,ND2が海面用オブジェクトPC19に対して同時に適用される。この場合、海面表示の開始時においては、一方の法線マップデータND1の隅角部分の単位法線データUNDが海面用オブジェクトPC19の同じ側の隅角部分と一致し、且つ海面用オブジェクトPC19の全ての面データSDがそれぞれ異なる単位法線データUNDと対応しているようにデータ設定が行われる。また、他方の法線マップデータND2についても同様に、当該法線マップデータND2の隅角部分の単位法線データUNDが海面用オブジェクトPC19の同じ側の隅角部分と一致し、且つ海面用オブジェクトPC19の全ての面データSDがそれぞれ異なる単位法線データUNDと対応しているようにデータ設定が行われる。
【0548】
この場合、同一の面データSDに対して一方の法線マップデータND1の単位法線データUNDと他方の法線マップデータND2の単位法線データUNDとが同時に対応することとなる。これら単位法線データUNDの変更データを面データSDに適用する場合には、一方の法線マップデータND1に対応した変更データによる面データSDの向きと、他方の法線マップデータND2に対応した変更データによる面データSDの向きとの中間の向きとなるように、各変更データのブレンドが実行され、そのブレンドした結果の変更データが面データSDに対して適用される。
【0549】
なお、図39(a)では、開始時に基準となる隅角部分の位置が、一方の法線マップデータND1と他方の法線マップデータND2とで異なる構成となっているが、同一であってもよい。この場合であっても、一対の法線マップデータND1,ND2間において変更データの配列が異なっているため、面データSDに適用される変更データの内容が両法線マップデータND1,ND2で同一となる事象が全ての面データSDに対して発生してしまうことはない。
【0550】
その後、海面表示におけるフレーム数が進行していくことに伴って、図39(b)に示すように、海面用オブジェクトPC19の基準となる面データSDに対して対応する単位法線データUNDが、両法線マップデータND1,ND2のそれぞれにおいて変更される。但し、この変更に際しては、海面用オブジェクトPC19の全ての面データSDがそれぞれ異なる単位法線データUNDと対応しているように変更が行われる。
【0551】
このように基準となる面データSDに対応する単位法線データUNDを変更させることにより、各面データSDの向きが変更される態様を除々に変化させることが可能となり、海面表示を変化に富んだものとすることが可能となる。また、一対の法線マップデータND1,ND2をブレンドする構成であることにより、パチンコ機10の設計段階において上記変更データのバリエーションをある程度抑えたとしても、面データSDに対して実質的に適用される変更データのバリエーションを増やすことが可能となる。
【0552】
次に、図40を参照しながら、各面データSDに対する変更データの適用の仕方を説明する。
【0553】
既に説明したように各面データSDに対して単位法線データUNDが個別に対応付けられるが、それら全ての面データSDに対して単位法線データUNDによる変更データが適用されるわけではなく、各面データ群において一部の面データSD1に対してのみ単位法線データUNDによる変更データが適用される。詳細には、同一の頂点データを共有する面データSD同士に対して同時に変更データの適用が行われないように、適用対象となる面データSD1が予め定められている。
【0554】
詳細には、各面データ群において変更データが適用される面データSD1は、図40(a)に示すように一部に限られており、それら適用対象の面データSD1間には、他の面データSD2が存在することで、適用対象の面データSD1同士において頂点データを共有していない。また、適用対象の面データSD1は面データ群においてその隅角部分を構成していないため、面データ群間で見た場合であっても、適用対象の面データSD1同士において頂点データを共有していない。このような構成であることにより、法線マップデータND1,ND2を利用してランダムに面データSDの向きを変更する構成であったとしても、適用対象の面データSD1間にはそれら面データSD1の向きの違いを吸収するための緩衝用の面データSD2が存在することとなり、海面用オブジェクトPC19の面としての連続性を担保することが可能となる。
【0555】
適用対象の面データSD1に対して変更データが適用されることにより、各面データSDの向きが第1段階の形態から変更される様子を図40(b-1)及び(b-2)に示す。図40(b-1)に示すように、第1段階の形態では、所定の面データ群に含まれる各面データSD1,SD2は、同一の方向を向いており、同一の面を形成している。
【0556】
これら面データSD1,SD2のうち、2番目と4番目が適用対象の面データSD1であり、これら2番目及び4番目の面データSD1に対して、両法線マップデータND1,ND2のブレンド結果である変更データが適用される。この際、図40(b-2)に示すように、2番目及び4番目の面データSD1がそれぞれ対応する変更データに基づく向きに変更される。また、適用対象の面データSD1ではなく緩衝用の面データSD2である1番目、3番目及び5番目の各面データSD2は、第1段階の形態からの変化量が最も少ない態様において海面用オブジェクトPC19の面としての連続性を担保するようにして向きが変更される。
【0557】
以下に、海面用オブジェクトPC19の各面データSDの向きを設定するための具体的な処理構成を説明する。
【0558】
図41(a)は、表示CPU131にて実行される海面表示用の演算処理を示すフローチャートである。海面表示用の演算処理は、タスク処理(図14)のステップS903における背景用演算処理にて実行される。また、海面表示用の演算処理は、第1表示モードである状況で実行されるものであり、図24におけるステップS1502?ステップS1505の処理の一部として実行される。
【0559】
先ずステップS2401では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、海面表示の実行中であるか否かを判定する。海面表示の実行中ではない場合にはステップS2402にて、海面表示の開始タイミングであるか否かを判定する。開始タイミングではない場合にはそのまま本演算処理を終了し、開始タイミングである場合にはステップS2403に進む。
【0560】
ステップS2403では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、海面用オブジェクトPC19を制御対象として把握する。ちなみに、ステップS2403の処理の実行タイミングでは、直前の制御開始用の設定処理(ステップS901)にて、海面用オブジェクトPC19に対して制御開始用の処理が完了している。また、制御が開始された海面用オブジェクトPC19の制御用の情報は、海面表示が完了するまではワークRAM132に記憶保持される。
【0561】
続くステップS2404では、第1法線マップデータND1及び第2法線マップデータND2を制御対象としてVDP135に指示するための情報を記憶する。但し、表示CPU131では、これら第1法線マップデータND1及び第2法線マップデータND2を海面用オブジェクトPC19に実際に適用するために必要な演算処理は実行しない。つまり、表示CPU131は、第1法線マップデータND1及び第2法線マップデータND2については、これらデータND1,ND2を使用すべきことをVDP135に対して指示するものの、これらデータND1,ND2を実際に制御するための演算処理を実行しない。これにより、表示CPU131の処理負荷の軽減が図られる。
【0562】
続くステップS2405では、メモリモジュール133から海面用アニメーションデータをワークRAM132に読み出す。図41(b)は海面用アニメーションデータADを説明するための説明図である。海面用アニメーションデータADは、海面用オブジェクトPC19を面データ群の単位で制御するためのデータであり、当該海面用アニメーションデータADによって各面データ群の基準座標及び向きが決定されることで、海面用オブジェクトPC19について第1段階の形態が決定される。
【0563】
より詳細には、海面用アニメーションデータADには、連番となるようにして複数のポインタ情報が設定されており、各ポインタ情報のそれぞれには、各面データ群について基準座標のデータ及び向きのデータが設定されている。例えば、第1面データ群に対しては、第1のポインタ情報に対応させて、基準座標のデータ(A1-1)及び向きのデータ(B1-1)が設定されており、第2のポインタ情報に対応させて、基準座標のデータ(A1-2)及び向きのデータ(B1-2)が設定されており、第fのポインタ情報(fは3以上の整数であり、例えば「50」)に対応させて、基準座標のデータ(A1-f)及び向きのデータ(B1-f)が設定されている。また、第2面データ群、・・・、第k面データ群に対しても各ポインタ情報に対応させて基準座標のデータ及び向きのデータが設定されている。
【0564】
ポインタ情報は、海面表示が行われている状況において1フレーム分進行する場合(画像更新タイミングとなる度)に更新され、ポインタ情報の更新に伴って基準座標のデータ及び向きのデータの組合せが次の順番のものに変更されることとなる。この場合に、それら連続する基準座標のデータ及び向きのデータは、各面データ群において第1段階の形態が動きの連続性を有するように設定されている。
【0565】
また、各面データ群間においてポインタ情報の進行に伴う基準座標のデータ及び向きのデータの配列態様は相違しているが、隣接する面データ群間において形態上の連続性が損なわれないようにそれら基準座標のデータ及び向きのデータが設定されている。つまり、複数の辺が他の面データ群と接している面データ群は、それら他の面データ群の基準座標及び向きが決定されれば、それら他の面データ群と接している状態を解除しない限り、基準座標及び向きに制約が生じ、場合によっては一義的に定まることとなる。このような状況において、当該他の面データ群と接している状態を解除しないようにして、各面データ群の基準座標及び向きが予め定められている。具体的には、既に説明したとおり、隣接する面データ群においては、両者の境界部分における頂点データの座標が同一となるように、基準座標のデータ及び向きのデータが決定されている。
【0566】
図41(a)の説明に戻り、ステップS2405にて海面用アニメーションデータADを読み出した後は、ステップS2406にて、当該海面用アニメーションデータADから初期設定データを把握する。具体的には、開始用のデータとして、第1のポインタ情報に対応させて設定されている基準座標のデータ及び向きのデータの組合せが、全面データ群について読み出される。その後、ステップS2407にて海面表示の開始指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了する。
【0567】
上記のように海面表示用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、海面用オブジェクトPC19の使用指示の情報が設定されるとともに、第1法線マップデータND1及び第2法線マップデータND2の使用指示の情報が設定される。さらにまた、上記ステップS2406にて把握した第1段階の形態についての初期設定データが設定されるとともに、海面表示を開始すべきことを示す海面表示の開始指定情報が、描画リストに設定される。
【0568】
ステップS2401にて海面表示の実行中であると判定した場合には、ステップS2408に進む。ステップS2408では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、海面用オブジェクトPC19を制御対象として把握する。また、ステップS2409では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第1法線マップデータND1及び第2法線マップデータND2を制御対象として把握する。
【0569】
続くステップS2410では、既にワークRAM132に読み出されている海面用アニメーションデータADのポインタ情報を1増加させるように更新し、ステップS2411にて、その更新後のポインタ情報に対応した更新データを把握する。この把握処理について具体的には、更新用のデータとして、更新後のポインタ情報に対応させて設定されている基準座標のデータ及び向きのデータの組合せが、全面データ群について読み出される。その後、ステップS2412にて、海面表示の更新指定情報を記憶した後に、本演算処理を終了する。
【0570】
上記のように海面表示用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、海面用オブジェクトPC19の使用指示の情報が設定されるとともに、第1法線マップデータND1及び第2法線マップデータND2の使用指示の情報が設定される。また、上記ステップS2411にて把握した第1段階の形態についての更新データが描画リストに設定される。さらにまた、海面表示を更新すべきことを示す海面表示の更新指定情報が、描画リストに設定される。
【0571】
なお、海面用アニメーションデータADのポインタ情報は、海面表示が実行される全フレーム数に対応していてもよいが、本パチンコ機10では、海面表示が実行される全フレーム数よりもポインタ情報の数が少なく設定されている。この場合、海面表示の実行中においてポインタ情報が最後の順番のものとなってしまうが、最後の順番となった次のフレームにおいては最初のポインタ情報に復帰される。また、このようにポインタ情報がループすることに鑑みて、ポインタ情報が最後の順番における第1段階の形態と、ポインタ情報が最初の順番における第1段階の形態とが海面用オブジェクトPC19の動きとして連続性を有していることが好ましい。
【0572】
次に、VDP135にて実行される海面表示用の設定処理を、図42のフローチャートを参照しながら説明する。海面表示用の設定処理は、第1表示モードである状況で実行されるものであり、図26におけるステップS1703?ステップS1708の処理の一部として実行される。また、海面表示の設定処理は、今回の描画リストに海面表示の開始指定情報及び海面表示の更新指定情報のいずれかが設定されている場合に起動される。
【0573】
先ずステップS2501では、今回の描画リストにおいて海面表示の開始指定情報が設定されているか否かを判定する。設定されている場合には、ステップS2502に進む。
【0574】
ステップS2502では、今回の描画リストに基づいて、メモリモジュール133において海面用オブジェクトPC19が記憶されているアドレスを把握して、当該海面用オブジェクトPC19をVRAM134の展開用バッファ141に読み出す。また、ステップS2503では、今回の描画リストに基づいて、メモリモジュール133において第1法線マップデータND1及び第2法線マップデータND2が記憶されているアドレスを把握して、これら第1法線マップデータND1及び第2法線マップデータND2をVRAM134の展開用バッファ141に読み出す。
【0575】
続くステップS2504では、今回の描画リストに設定されている初期設定データ(海面用アニメーションデータADから抽出されたデータ)を把握し、ステップS2505にて、その把握した初期設定データを適用した状態で海面用オブジェクトPC19をワールド座標系に設定する。これにより、海面用オブジェクトPC19が第1段階の形態となった状態でワールド座標系に設定される。
【0576】
続くステップS2506では、第1法線マップデータND1のワールド座標系への初期設定処理を実行するとともに、ステップS2507では、第2法線マップデータND2のワールド座標系への初期設定処理を実行する。これにより、図39(a)を参照しながら説明した状態となるように、海面用オブジェクトPC19の各面データSDに対して第1法線マップデータND1の単位法線データUND及び第2法線マップデータND2の単位法線データUNDが対応付けられる。
【0577】
その後、ステップS2508にて、法線パラメータの設定処理を実行した後に、本設定処理を終了する。かかる法線パラメータの設定処理について、図43のフローチャートを参照しながら説明する。なお、法線パラメータとは、面データSDの向きを決定付けるパラメータのことであり、具体的には当該面データSDを構成する頂点データの座標を決定付けるものである。
【0578】
法線パラメータの設定処理では、先ずステップS2601にて、レジスタ153に設けられた適用カウンタの初期化処理を実行する。本処理において適用カウンタは、第1法線マップデータND1及び第2法線マップデータND2の単位法線データUNDに設定されている変更データを適用する対象の面データSD1をVDP135にて特定するための役割を有しており、適用カウンタが初期化された状態においては当該適用対象の面データSD1の数に対応した数値情報が適用カウンタに設定される。
【0579】
続くステップS2602では、第1法線マップデータND1において適用カウンタの現状の数値情報に対応した単位法線データUNDから変更データを読み出す。具体的には、先ず適用カウンタの現状の数値情報に対応した面データSD1を把握し、その後に第1法線マップデータND1において当該面データSD1に対応付けられている単位法線データUNDを把握する。そして、その単位法線データUNDに設定されている変更データを読み出す。
【0580】
続くステップS2603では、第2法線マップデータND2において適用カウンタの現状の数値情報に対応した単位法線データUNDから変更データを読み出す。具体的には、先ず適用カウンタの現状の数値情報に対応した面データSD1を把握し、その後に第2法線マップデータND2において当該面データSD1に対応付けられている単位法線データUNDを把握する。そして、その単位法線データUNDに設定されている変更データを読み出す。
【0581】
続くステップS2604では、上記ステップS2602にて第1法線マップデータND1から読み出した変更データと、上記ステップS2603にて第2法線マップデータND2から読み出した変更データとのブレンド処理を実行する。このブレンド処理に際しては、既に説明したとおり、第1法線マップデータND1に対応した変更データによる面データSD1の向きと、第2法線マップデータND2に対応した変更データによる面データSD1の向きとの中間の向きとなるように、各変更データのブレンドが実行される。
【0582】
なお、当該ブレンドは、各変更データを適用した場合における面データSD1の各向きの中間となるように行われる構成に限定されることはなく、所定の比率で第1法線マップデータND1に係る変更データ寄り又は第2法線マップデータND2に係る変更データ寄りとなる構成としてもよい。
【0583】
続くステップS2605では、上記ステップS2604にてブレンドした結果の変更データを、適用カウンタの現状の数値情報に対応した面データSD1に対して適用する。これにより、当該面データSD1については第1段階の形態における向きから、上記ブレンド後の変更データに対応した向きに変更される。但し、既に説明したとおり、変更データは第1段階の形態を基準としてそこからの相対的な変化量として与えられているため、変更データがそのまま適用されるのではなく、第1段階の形態における向きを基準として、そこからブレンド後の変更データに対応した方向であって対応した変化量分だけ変更される。
【0584】
続くステップS2606では、適用カウンタの現状の数値情報に対応した面データSD1に対して隣接する面データSD2、すなわち適用対象の面データSD1と頂点データを共有する面データSD2(既に説明した緩衝用の面データSD2に相当)の向きを、当該共有する頂点データの座標の変更に合わせて変更する処理を実行する。この場合、今回の適用対象の面データSD1と共有していない頂点データについては、第1段階の形態から座標を変更させずに、隣接する面データSD2の向きを変更する。
【0585】
続くステップS2607では、適用カウンタの数値情報を1減算することにより、法線パラメータの設定を行う対象が次の適用対象の面データSD1に移行するように適用カウンタの数値情報を更新する。
【0586】
その後、ステップS2608にて、その更新後の適用カウンタの数値情報が、全ての適用対象の面データSD1に対する設定が完了したことを表す情報となっているか否か、すなわち適用カウンタの数値情報が「0」となっているか否かを判定する。ステップS2608にて否定判定をした場合には、ステップS2602に戻り、新たな適用対象の面データSD1に対してステップS2602?ステップS2607の処理を実行し、ステップS2608にて肯定判定をした場合には、本設定処理を終了する。
【0587】
海面表示用の設定処理(図42)の説明に戻り、ステップS2501にて否定判定をした場合には、ステップS2509にて、今回の描画リストに設定されている更新データ(海面用アニメーションデータADから抽出されたデータ)を把握し、ステップS2510にて、その把握した更新データを、ワールド座標系に既に設定されている海面用オブジェクトPC19に設定する。この場合、上記更新データが、海面用オブジェクトPC19の各面データ群の座標及び向きのデータに対して上書きされる。これにより、海面用オブジェクトPC19が、再度、第1段階の形態となった状態でワールド座標系に設定される。
【0588】
続くステップS2511では、第1法線マップデータND1の更新処理を実行するとともに、ステップS2512では、第2法線マップデータND2の更新処理を実行する。これにより、図39(b)を参照しながら説明した状態となるように、海面用オブジェクトPC19の各面データSDに対応付けられる第1法線マップデータND1の単位法線データUND及び第2法線マップデータND2の単位法線データUNDが変更される。
【0589】
その後、ステップS2508の法線パラメータの設定処理を実行した後に、本設定処理を終了する。当該法線パラメータの設定処理は、既に説明したとおりである。
【0590】
以上のように海面用オブジェクトPC19を構成する各面データSDのワールド座標系における座標及び向きが決定される。そして、それら面データSDに対しては、描画処理(図16)におけるステップS1009の色情報の設定処理にて色情報の設定が行われる。この場合に、当該面データSDに対する色情報の設定は、テクスチャマッピング処理とは異なる手法にて行われる。かかる手法について説明する。
【0591】
図44(a)?(c)は、各面データSDに色情報を設定する手法を説明するための説明図である。
【0592】
色情報の設定処理(ステップS1009)は、図16に示すように、各オブジェクトのワールド座標系への設定処理が完了し、さらにステップS1006の視野座標系への設定処理、及びステップS1007のクリッピング処理が実行された後に、実行される。したがって、色情報の設定処理が実行されるタイミングでは既に、海面用オブジェクトPC19の各面データSDの座標及び向きが視野座標系に変換された状態で設定されている。
【0593】
この状態では、図44(a)に示すように、視野座標系の基準となる視点VDが設定されているとともに、その視点VDよりも上方の位置となるように海面用オブジェクトPC19が設定されている。つまり、本パチンコ機10における海面表示は、海中を背景とする表示であって、その海中から見上げた状態で海面が表示される演出のことである。
【0594】
各面データSDに対する色情報の設定に際しては、海面用オブジェクトPC19の上方に仮に光源している場合において、その光源からの透過光を面データSDの座標及び向きとの関係で、視点VDの位置にて視認することが可能となるか否かを想定して、上記光源からの光が透過することに対応した面データSDと、上記光源からの光が海面用オブジェクトPC19の上方側にて全反射して透過しないことに対応した面データSDとに振り分ける。
【0595】
この振分に際しては、上記光源を描画処理(図16)のライティング処理(ステップS1008)にて設定するのではなく、視点VDに対する面データSDの角度が所定の角度未満であるか否かにより、その面データSDを、透過光の多い分類と、透過光の少ない分類とのいずれかに振り分ける。
【0596】
より詳細には、図44(b-1)及び(b-2)に示すように、先ず面データSDの座標及び向きのデータを利用して、視点VDから当該面データSDを見た場合の角度である屈折角βを算出する。この算出に際しては、座標及び向きのデータに対して1対1で対応させて屈折角のデータが設定されたテーブルをメモリモジュール133から読み出して用いられるが、算出式のプログラムを予め用意しておき、その算出式で屈折角を算出するようにしてもよい。
【0597】
ここで、面データSDに対する色情報の設定は、大気中から海面への光の入射を前提としているため、屈折角βが大きいほど、入射角αは大きくなり、入射角αが大きくなるほど、光量は少なくなる。これを前提として、VDP135では、屈折角βを算出した後は、その屈折角βが所定の基準角度未満であるか否かを判定する。そして、屈折角βが所定の基準角度未満である場合(例えば図44(b-1)の場合)には、その屈折角βを生じさせる面データSDを透過光が多い分類とし、屈折角βが所定の基準角度以上である場合(例えば図44(b-2)の場合)には、その屈折角βを生じさせる面データSDを透過光が少ない分類とする。ちなみに、視点VD側とは逆側を向く方向の成分を有している場合といったように、視点VD側を向く成分を向く方向に有していない面データSDは、全て透過光が少ない分類とされる。
【0598】
上記のような分類を行った後は、図44(c)に示すようなカラーテーブルCTを用いて各面データSDの色情報を決定する。カラーテーブルCTは、メモリモジュール133に予め記憶されており、複数のカラーNO.のデータと、これらカラーNO.のデータに1対1で対応させて色情報が設定されている。また、カラーテーブルCTには、いずれの色情報を面データSDに対して適用するかを決定する際に参照される相関データが設定されている。
【0599】
この場合、カラーNO.「7」は、上記透過光が少ない分類とされた面データSDに対して適用されるものである。一方、カラーNO.「1」?「6」は、上記透過光が多い分類とされた面データSDに対して適用されるものであり、かかる分類の面データSDに対しては色情報が複数種類設定されている。当該分類の面データSDに対していずれの色情報を設定するかは、当該面データSDの向きによって決定されるのではなく、視点VDからのZ軸方向の距離によって決定される。
【0600】
詳細には、面データSDのうち一の隅角部分(例えば図38(a)の状態で見て左下角部分)の頂点データを基準頂点データとして、その基準頂点データのZ座標のデータが、第1段階の閾値である「Z1」以下である場合(すなわち「Z1」よりもZ座標が視点VDに近い場合)には色情報として「CL1」が選択され、第1段階の閾値である「Z1」よりも大きく且つ第2段階の閾値である「Z2」以下である場合には色情報として「CL2」が選択され、第2段階の閾値である「Z2」よりも大きく且つ第3段階の閾値である「Z3」以下である場合には色情報として「CL3」が選択される。そして、以下同様にして、各閾値の範囲に対応させて「CL4」及び「CL5」が選択され、上記基準頂点データのZ座標のデータが、第5段階の閾値である「Z5」よりも大きい場合には色情報として「CL6」が選択される。
【0601】
これら色情報「CL1」?「CL6」は、後側ほど暗い色となるように設定されており、具体的には、色情報「CL1」は白色として設定され、色情報「CL6」は暗い青色として設定され、色情報「CL2」?「CL5」はそれらの中間色として設定されている。また、色情報「CL7」は、色情報「CL6」よりも暗い色として設定されており、具体的には黒色に近い青色として設定されている。
【0602】
以下に、各面データSDに色情報を設定するための具体的な処理構成を説明する。
【0603】
図45(a)は、VDP135にて実行される海面表示用の色情報設定処理を示すフローチャートである。海面表示用の色情報設定処理は、描画処理(図16)におけるステップS1009の色情報の設定処理にて実行される。また、海面表示用の色情報設定処理は、今回の描画リストにおいて海面表示の開始指定情報及び海面表示の更新指定情報のいずれかが設定されている場合に起動される。
【0604】
先ずステップS2701では、上記適用カウンタの初期化処理を実行する。本処理において適用カウンタは、色情報の設定を行う対象の面データSDをVDP135にて特定するための役割を有しており、適用カウンタが初期化された状態においては海面用オブジェクトPC19に含まれる面データSDの数に対応した数値情報が適用カウンタに設定される。
【0605】
続くステップS2702では、海面用オブジェクトPC19において適用カウンタの現状の数値情報に対応した面データSDから向きのデータを把握し、ステップS2703にて、その把握した向きのデータから上記屈折角を算出する。そして、ステップS2704にて、その算出した屈折角が基準角度以上であるか否かを判定する。
【0606】
基準角度以上である場合には、ステップS2705にて、カラーテーブルCTにおけるカラーNO.7の色情報(「CL7」)を、今回対象となった面データSDに対して設定する。一方、基準角度未満である場合には、ステップS2706にて、今回対象となった面データSDのZ座標のデータを読み出し、ステップS2707にて、カラーテーブルCTと照合することにより、対応するカラーNO.の色情報(「CL1」?「CL6」のいずれか)を、今回対象となった面データSDに対して設定する。
【0607】
ステップS2705又はステップS2707の処理を実行した後は、ステップS2708にて、適用カウンタの数値情報を1減算することにより、色情報の設定を行う対象が次の面データSDに移行するように適用カウンタの数値情報を更新する。その後、ステップS2709にて、その更新後の適用カウンタの数値情報が、全ての面データSDに対する色情報の設定が完了したことを表す情報となっているか否か、すなわち適用カウンタの数値情報が「0」となっているか否かを判定する。
【0608】
ステップS2709にて否定判定をした場合には、ステップS2702に戻り、新たな面データSDに対してステップS2702?ステップS2708の処理を実行する。一方、ステップS2709にて肯定判定をした場合には、本色情報設定処理を終了する。
【0609】
図45(b)は、VDP135にて実行される海面用の調整処理を示すフローチャートである。当該海面用の調整処理は、描画処理(図16)におけるステップS1010の背景用の描画データ作成処理にて実行される。より詳細には、図27では省略するとともに説明も省略していたが、ステップS1802とステップS1803との間にて実行される。つまり、背景用の3次元画像データが2次元画像データに変換された後に、海面用の調整処理が実行される。
【0610】
先ずステップS2711では、今回の描画リストにおいて海面表示の開始指定情報及び海面表示の更新指定情報のいずれかが設定されているか否かを判定する。いずれもが設定されていない場合には、そのまま本調整処理を終了する。いずれかが設定されている場合には、ステップS2712にて、海面のぼかし処理を実行した後に、本調整処理を終了する。
【0611】
海面のぼかし処理では、隠面処理(ステップS1802)を利用して作成された背景用の2次元画像データにおいて、ガウスフィルタを利用したぼかし処理を実行する。詳細には、海面表示に対応した領域から1のピクセルを抽出するとともに、そのピクセルを中心としてX軸方向の両側に所定数(例えば5個)のピクセルを抽出する。その後、中心としたピクセルからの距離に応じた重み付けを、ガウス関数を利用して決定し、その決定した重み付けを適用した状態で各ピクセルの色情報のブレンド(合成)を行う。また、同様に、同一のピクセルを中心としてY軸方向の両側に所定数(例えば5個)のピクセルを抽出する。その後、中心としたピクセルからの距離に応じた重み付けを、ガウス関数を利用して決定し、その決定した重み付けを適用した状態で各ピクセルの色情報のブレンドを行う。そして、海面表示に対応した領域を構成している全ピクセルに対して、上記ガウスフィルタを利用したぼかし処理を実行する。
【0612】
次に、海面表示の内容について、図46を参照しながら説明する。
【0613】
図46(a)は海面表示を説明するための説明図であり、図46(b)は海面表示が行われている領域の色情報の設定態様を簡易的に説明するための説明図である。
【0614】
図46(a)に示すように、複数の図柄が変動表示されている背景では、海中を示す画像が表示されている。この背景の上部にて海面表示SPがなされている。この場合、海面を表示させるための面データSDの向きが細かく制御されているとともに、その細かく制御された状態に応じた色情報が設定されていることにより、海面の向きが細かく表現されるとともに大気中から海中への光の透過がリアルに表現されている。よって、リアルな海面表示SPを行うことが可能となっている。
【0615】
また、海面用オブジェクトPC19の第1段階の形態を設定した後に、各面データSDの向きを調整する構成であるため、海面の大きな動きは規則的なものとしながら、その規則的な大きな動きの中で各面データSDの向きに不規則性を与えることが可能となる。
【0616】
また、各面データSDの動きを個別に制御する際には、法線マップデータND1,ND2を利用したことにより、各面データSDの向きを演算によって個別に変化させる必要が生じない。よって、処理負荷の軽減を図りながら、上記のような優れた効果を奏することが可能となる。特に、法線マップデータND1,ND2のワールド座標系における位置を変化させることにより、海面表示SPの進行に伴って各面データSDに対応付けられる単位法線データUNDを変更させる構成であるため、海面表示SPの進行に伴って面データSDの向きを複雑に変化させる場合において、同一の法線マップデータND1,ND2を利用し且つ同一の適用処理を利用することが可能となるため、記憶容量の削減及び処理負荷の軽減が図られる。
【0617】
また、海面用アニメーションデータADを利用した大まかな動きの決定は表示CPU131にて実行し、法線マップデータND1,ND2を利用した細かな面の向きの決定はVDP135にて実行する構成であるため、処理負荷の分散が図られる。
【0618】
また、既に説明したとおり、海面のぼかし処理が実行されることにより、図46(b)に示すように、光の透過がほとんどないことに対応した色情報が設定されたピクセルPS(左側のピクセルPS)と、光の透過が最もあることに対応した色情報が設定されたピクセルPS(右側のピクセルPS)との間には、これら両ピクセルPSの色情報をブレンドさせたピクセルPS(中央側のピクセルPS)が存在することとなる。これにより、海面表示SPを行っている領域にて個別に色情報が設定される構成において色情報が相違する部分の境界を目立たなくすることが可能となる。
【0619】
また、2次元画像とした後に当該ぼかし処理を実行するため、3次元画像の状態でぼかし処理を実行する構成に比べて、処理負荷の軽減が図られる。
【0620】
<海面表示用の色情報設定処理の別形態>
図47は、VDP135にて実行される海面表示用の色情報設定処理の別形態を説明するためのフローチャートである。
【0621】
先ずステップS2801では、上記ステップS2701と同様に、適用カウンタの初期化処理を実行する。続くステップS2802では、上記ステップS2702と同様に、海面用オブジェクトPC19において適用カウンタの現状の数値情報に対応した面データSDから向きのデータを把握し、ステップS2803にて、上記ステップS2703と同様に、その把握した向きのデータから屈折角を算出する。
【0622】
続くステップS2804では、上記ステップS2803にて算出した屈折角の情報から色情報を導出する。この場合、色情報の導出に際しては、屈折角の情報と色情報とが対応付けられたカラーテーブルをメモリモジュール133から読み出し、屈折角の情報に対応した色情報を読み出す。つまり、本別形態では、屈折角の情報から直接的に色情報が読み出される。
【0623】
その後、ステップS2805にて、今回対象となった面データSDのZ座標のデータを読み出し、ステップS2806にて、その読み出したZ座標のデータに対応した色情報の調整処理を実行する。この場合、視点VDから遠い距離に存在する面データSDほど、ステップS2804にて設定された色情報を暗い色側にシフトさせる場合のシフト量が大きくなる処理が実行される。
【0624】
続くステップS2807では、適用カウンタの数値情報を1減算することにより、色情報の設定を行う対象が次の面データSDに移行するように適用カウンタの数値情報を更新する。その後、ステップS2808にて、その更新後の適用カウンタの数値情報が、全ての面データSDに対する色情報の設定が完了したことを表す情報となっているか否か、すなわち適用カウンタの数値情報が「0」となっているか否かを判定する。ステップS2808にて否定判定をした場合には、ステップS2802に戻り、新たな面データSDに対してステップS2802?ステップS2807の処理を実行する。一方、ステップS2808にて肯定判定をした場合には、本色情報設定処理を終了する。
【0625】
<他の別形態>
・一の法線マップデータND1,ND2に含まれる単位法線データUNDの数が海面用オブジェクトPC19に含まれる面データSDの数以下である構成としてもよい。この場合、同一の法線マップデータND1,ND2を複数並べることにより、面データSDの全てに対して単位法線データUNDを対応付けるようにすればよい。
【0626】
・法線マップデータND1,ND2は複数種類設定されている必要はなく、単一の法線マップデータが設定されている構成としてもよい。この場合、海面表示に際して、当該単一の法線マップデータのみを海面用オブジェクトPC19に適用する構成としてもよい。当該構成であっても、海面用オブジェクトPC19に適用される法線マップデータの位置を変化させることで、海面表示の進行に伴って各面データSDの向きを変化させることが可能となる。また、当該単一の法線マップデータを複数同時に読み出すとともに、それら複数の法線マップデータにおいて海面用オブジェクトPC19に適用する位置を相互に異ならせることにより、複雑な面の向きの制御を可能とする構成としてもよい。
【0627】
・法線マップデータND1,ND2の単位法線データUNDを適用する対象は、同一の頂点データを共有する複数の面データSDが同時に適用対象とならないように制限されている構成に限定されることはなく、全面データSDに対して単位法線データUNDを適用する構成としてもよい。但し、本構成においては、一の頂点データに対して異なる座標が同時に設定されることとなるため、その調整を別途行う必要がある。例えば、頂点データの座標設定を行う際の優先度を隣接する面データSD同士において予め定めておき、優先度が高い面データSDについては単位法線データUNDをそのまま適用し、優先度が低い面データSDについては優先度が高い面データSDにより決定される頂点データの座標を維持しながら、第1段階の形態の状態よりも自身に適用される単位法線データUNDにより決定される向きに近付けるように調整する構成としてもよい。
【0628】
・各面データSDに対する色情報の設定は、カラーテーブルCTを利用した設定の仕方や、上記図47に示した設定の仕方に限定されることはなく、例えば、描画処理(図16)のライティング処理にて仮想光源を、海面用オブジェクトPC19を挟んで視点VDの反対側に設定し、その仮想光源からの光の透過量を各面データSDについて個別に算出する構成としてもよい。この場合、光の透過量に応じた色情報を、予め定められたテーブル情報を利用して導出し、その導出結果の色情報を各面データSDに設定する構成が考えられる。また、各面データSDに対して初期の色情報が予め設定されており、その色情報を上記算出した透過量との関係で調整する構成が考えられる。
【0629】
・海面用オブジェクトPC19が視点VDの上方に設定されている構成に限定されることはなく、海面用オブジェクトPC19が視点VDの下方に設定されている構成としてもよい。この場合、各面データSDの向きを上記各手法により決定した後に、それら各面データSDの向きが光を反射し易い向きであれば明るい色情報を設定し、それら各面データSDの向きが光を透過し易い向きであれば暗い色情報を設定する。この設定に際しては、予め用意されたテーブル情報を利用してもよく、仮想光源を利用して実際に算出する構成としてもよい。
【0630】
・導出した屈折角が所定の角度以下である面データSDについては、視点VDからのZ軸方向の距離に関係なく、最も明るい色情報を設定する構成としてもよい。また、これに代えて、導出した屈折角が所定の角度以下である面データSDについては、他の屈折角の場合よりも明るい色情報を設定するとともに、その色情報をベースとして、視点VDからのZ軸方向の距離が遠いほど暗くなるように色情報の調整を行うようにしてもよい。
【0631】
・上記のように面の向きを制御して色情報を設定する処理構成は、海面である必要はなく、川や池といった他の水面であってもよい。また、経時的に面の状態を変化させる透過膜や、反射膜を表現する際に、上記のような面の向きを制御して色情報を設定する処理構成を適用してもよい。
【0632】
・マップデータを利用して制御するパラメータの対象は、向きや座標に限定されることはなく、面の色や面の透明値であってもよい。
【0633】
・法線マップデータND1,ND2に含まれる単位法線データUNDの数が、海面用オブジェクトPC19に含まれる面データSDの数よりも少ない構成としてもよい。この場合、一の法線マップデータND1,ND2を海面用オブジェクトPC19における所定数の面データSDに対して適用するとともに、同一の法線マップデータND1,ND2を残りの面データSDに対して再度適用すればよい。
【0634】
・法線パラメータの設定処理(図43)にて、ステップS2606の処理、すなわち隣接する面データの調整処理が実行されない構成としてもよい。この場合、緩衝用の面データSD2については、当該面データSD2が有する複数の頂点データのうち、適用対象の面データSD1と共有している頂点データは法線マップデータND1,ND2の適用に伴い変更されるが、共有していない頂点データは第1段階の形態において設定されている座標が維持される。この場合であっても、緩衝用の面データSD2の向きやサイズは、適用対象の面データSD1の向きやサイズの変更に応じて変更されることとなる。
【0635】
・面データSDの向きを直接制御する法線マップデータND1,ND2に代えて、海面用オブジェクトPC19の各頂点データの座標を直接制御するマップデータを用いる構成としてもよい。この場合、当該マップデータを海面用オブジェクトPC19に適用することで、頂点データの座標が変更され、その変更の結果として面データSDの向きが変更されることとなる。本構成であれば、制御対象が面ではなく頂点となるため、法線マップデータND1,ND2を利用していた場合のような適用対象の面データSD1と緩衝用の面データSD2との切り分けを行う必要がなくなる。なお、マップデータにおいて設定される各頂点データの制御量は、第1段階の形態における座標からの変化量であることが好ましい。
【0636】
・海面用オブジェクトPC19が複数の面データ群に区別されている構成は必須ではなく、このような区別がなされていない構成としてもよい。この場合、法線マップデータND1,ND2などを利用して海面用オブジェクトPC19の各面データSDのそれぞれ個別に制御されることとなる。
【0637】
・同一の更新タイミングにおいて、面データ群単位での制御を行うことに基づく第1段階の形態の設定と、法線マップデータND1,ND2などを利用した面データSDの向きの個別の制御との両方を行う構成に限定されることはなく、例えば一の更新タイミングにおいて上記第1段階の形態の設定を行い、次以降の更新タイミングにおいて面データSDの向きの個別の制御を行い、さらにそれらを繰り返していく構成としてもよい。この場合、一の更新タイミングにおける処理負荷の軽減が図られる。
【0638】
・視点VDからのZ軸方向の距離に応じて色情報を選択する構成に限定されることはなく、X座標、Y座標及びZ座標により定まる視点VDからの距離に応じて色情報を選択する構成としてもよい。また、これに代えて、視点VDからのX軸方向の距離に応じて色情報を選択する構成としてもよく、Y軸方向の距離に応じて色情報を選択する構成としてもよい。また、視点VDからの距離ではなく、対象となるオブジェクトの回転位置やスケールに応じて色情報を選択する構成としてもよい。
【0639】
<ピント表示を行うための構成>
次に、ピント表示を行うための構成について説明する。
【0640】
ピント表示とは、表示面Gにおいて複数種類の個別画像が、表示面Gの奥行き方向の位置がそれぞれ異なるかのようにして同時に表示される場合において、奥行き方向の所定の位置又は範囲に存在している個別画像にピントが合い、当該個別画像については模様の境界や曲り部分の境界、さらに外縁部分が鮮明に表示されるのに対して、それよりも手前側及び奥側に存在しているかのようにして表示されている個別画像についてはピントがずれていて、模様の境界や曲り部分の境界、さらには外縁部分が不鮮明となってぼかした状態で表示される表示演出のことである。
【0641】
ピント表示は、遊技回中及び開閉実行モード中のうち相対的に画像表示に要する処理負荷が低い開閉実行モード中に実行される。つまり、遊技回中においては、各図柄列SA1?SA3において予め定められたアニメーションデータに従って図柄の変動表示を行う必要があるのに起因して、表示CPU131のタスク処理(図14)ではステップS903?ステップS905の処理が少なくとも実行される。その一方、開閉実行モード中においては、各図柄列SA1?SA3において図柄の変動表示を行う必要がないため、表示CPU131のタスク処理(図14)ではステップS903及びステップS904は実行されるが、ステップS905は実行されない。この分だけ、開閉実行モード中においては表示CPU131の処理負荷が軽減されているため、その軽減されている分を利用して、ピント表示用の制御が実行される。
【0642】
図48は、表示CPU131にて実行される開閉実行モード時の演出用演算処理を示すフローチャートである。開閉実行モード時の演出用演算処理は、タスク処理(図14)のステップS904における演出用演算処理にて実行される。また、開閉実行モード時の演出用演算処理は、開閉実行モードに対応したデータテーブルが設定されている場合に起動される。
【0643】
先ずステップS2901では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、今回の更新対象となる演出用のオブジェクトを把握する。ちなみに、ステップS2901の処理の実行タイミングでは、上記演出用のオブジェクトに対する制御開始用の設定処理(ステップS901)は完了している。続くステップS2902では、その把握した演出用のオブジェクトの各種パラメータを演算して制御用の情報を更新する。
【0644】
続くステップS2903では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、今回の更新対象となる教示用のオブジェクトを把握する。教示用のオブジェクトとは、遊技の状況を遊技者に教示可能とする画像を表示する場合に利用されるオブジェクトのことであり、例えばラウンド中であれば、現状のラウンドが何番目のラウンドであるかといった内容が教示用のオブジェクトを用いて教示される(図52参照)。また、開閉実行モードへの移行の契機となった遊技回において有効ライン上に最終停止表示された図柄の組合せの種類の情報が教示用のオブジェクトを用いて教示される(図52参照)。ちなみに、ステップS2903の処理の実行タイミングでは、上記教示用のオブジェクトに対する制御開始用の設定処理(ステップS901)は完了している。続くステップS2904では、その把握したオブジェクトの各種パラメータを演算して制御用の情報を更新する。
【0645】
続くステップS2905では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、開閉実行モードにおけるピント演出期間であるか否かを判定する。ピント演出期間は、遊技者による演出用操作装置48の操作に基づきピント表示を行うことが可能な期間のことである。本パチンコ機10では、開閉実行モードの一部の期間としてピント演出期間が設定されており、具体的には第1ラウンド目といった所定のラウンド(すなわち可変入賞装置22への入賞が可能となる期間)にピント演出期間が設定されている。但し、これに限定されることはなく、複数のラウンドに対してピント演出期間が設定されていてもよく、オープニングやエンディングにおいてピント演出期間が設定されていてもよく、ラウンド間にピント演出期間が設定されていてもよく、所定のラウンドとその次のラウンドに亘ってピント演出期間が設定されていてもよく、開閉実行モードの全体がラウンド演出期間として設定されていてもよい。
【0646】
ピント演出期間ではない場合(ステップS2905:NO)には、そのまま本演出用演算処理を終了する。このように開閉実行モード時の演出用演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、上記ステップS2901にて把握された演出用のオブジェクトの使用指示の情報が、それらオブジェクトに対応したテクスチャの使用指示の情報とともに設定される。また、当該描画リストには、上記ステップS2902にて算出したパラメータが設定され、さらには上記ステップS2903にて把握された教示用のオブジェクトの使用指示の情報が設定されるとともに、上記ステップS2904にて算出したパラメータが設定される。
【0647】
ピント演出期間である場合(ステップS2905:YES)には、ステップS2906にて、ピント選択期間であるか否かを判定する。ピント演出期間には、その開始タイミングから300フレームといった所定の複数のフレーム数(所定の複数の画像更新タイミング)に亘って遊技者によってピントを選択可能とするピント選択期間が設定されている。当該ピント選択期間にて遊技者によるピント選択指示が演出用操作装置48の操作に基づきなされた場合に、ピント表示実行期間が行われるように設定されている。このピンと表示実行期間は、実行対象となっているラウンドの終了まで行われる。ピント選択期間にてピント選択の対象となる個別画像は、その後に続くピント表示実行期間においても表示が継続されるため、ピント選択期間におけるピント選択の結果を反映したピント表示を実行することが可能となる。
【0648】
なお、ピント表示実行期間は、少なくとも500フレームといった所定の複数のフレーム数(所定の複数の画像更新タイミング)に亘って実行される。また、所定のラウンドがピント選択期間として設定されており、それ以降のラウンドがピント表示実行期間として設定されている構成としてもよい。
【0649】
ピント選択期間である場合(ステップS2906:YES)には、ステップS2907にて、ピント選択用のパラメータ調整処理を実行するとともに、ステップS2908にて、ピント選択の実行指定情報を記憶した後に、本演出用演算処理を終了する。
【0650】
上記のように開閉実行モード時の演出用演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、上記ステップS2901にて把握された演出用のオブジェクトの使用指示の情報が、それらオブジェクトに対応したテクスチャの使用指示の情報とともに設定される。また、当該描画リストには、上記ステップS2902にて算出したパラメータが設定され、さらには上記ステップS2903にて把握された教示用のオブジェクトの使用指示の情報が設定されるとともに、上記ステップS2904にて算出したパラメータが設定される。また、当該描画リストには、上記ステップS2901にて把握された演出用のオブジェクトのパラメータとして、ピント選択用のパラメータが設定されるとともに、ピント選択の実行指定情報が設定される。
【0651】
ここで、ピント選択期間においては、表示面Gにてピント選択を可能とする個別画像が除々に切り換えられていると遊技者が認識可能な表示が行われる。例えば、複数の個別画像が表示面Gの奥行き方向にずれて配置されているかのように同時に表示されている状態において、それら複数の個別画像が順次、ピント選択可能状態へと遷移される。このピント選択可能状態とする方法は任意であるが、例えば個別画像の周縁を囲むようにして環状部を表示させるとともに、その環状部を点滅表示させる構成や、個別画像を拡大表示させる構成や、個別画像を拡大させた後に縮小表示させる構成や、個別画像を指し示す別画像を表示させる構成が考えられる。このようなピント選択可能状態の表示は、ピント選択の実行指定情報が設定された描画リストが出力されている状況において、VDP135にて上記ピント選択用のパラメータが参照されることで実行される。
【0652】
なお、本パチンコ機10においては、ピント選択が可能となる個別画像は背景の手前にて表示される演出用の個別画像であるが、背景の画像が含まれていてもよい。
【0653】
一方、ピント選択期間ではない場合(ステップS2906:NO)には、ステップS2909に進む。ステップS2909では、ピント表示の実行中であるか否かを判定する。ピント表示の実行中ではない場合には、ステップS2910にて、音声発光制御装置60からピント指示コマンドを受信しているか否かを判定する。ピント指示コマンドは、ピント選択期間にて遊技者によるピント選択指示がなされた場合において、当該ピント選択期間の終了タイミングにて音声発光制御装置60から送信されるコマンドであり、当該ピント指示コマンドにはピント選択指示された個別画像の情報が含まれる。
【0654】
ステップS2910にて否定判定をした場合には、そのまま本処理を終了する。このように開閉実行モード時の演出用演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストは、上記ステップS2905にて否定判定をして本演出用演算処理を終了した場合と同様の情報が設定される。
【0655】
ステップS2910にて肯定判定をした場合には、ステップS2911にてピント範囲の算出処理を実行する。ピント範囲の算出処理では、ピント指示コマンドに含まれているピント選択指示対象の個別画像の情報からピントを合わせる範囲を算出する処理を実行する。この場合、ピント演出期間にて表示される個別画像の種類は、パチンコ機10の設計段階において既に定められているため、ピント選択対象となる個別画像に1対1で対応させてピント範囲のデータがピント範囲テーブルとして予め定められている。したがって、ステップS2911では、先ずメモリモジュール133からピント範囲テーブルを読み出し、上記ピント選択指示対象となった個別画像に対応したピント範囲のデータを読み出す。その後、ステップS2912にて、ピント演出の実行指定情報を記憶した後に、本演出用演算処理を終了する。
【0656】
上記のように開閉実行モード時の演出用演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、上記ステップS2901にて把握された演出用のオブジェクトの使用指示の情報が、それらオブジェクトに対応したテクスチャの使用指示の情報とともに設定される。また、当該描画リストには、上記ステップS2902にて算出したパラメータが設定され、さらには上記ステップS2903にて把握された教示用のオブジェクトの使用指示の情報が設定されるとともに、上記ステップS2904にて算出したパラメータが設定される。また、当該描画リストには、上記ステップS2911にて算出したピント範囲のデータが設定されるとともに、ピント演出の実行指定情報が記憶される。
【0657】
ステップS2910にて肯定判定をした場合には、ピント表示の実行状態となる。このピント表示の実行状態への設定は、例えばデータテーブルにおいてピント表示の実行状態か否かを区別するためのフラグに「1」をセットすることなどによって行われる。ピント表示の実行状態となった場合には、ステップS2909にて肯定判定をし、ステップS2912にてピント演出の実行指定情報を記憶した後に、本演出用演算処理を終了する。
【0658】
このように開閉実行モード時の演出用演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、上記ステップS2901にて把握された演出用のオブジェクトの使用指示の情報が、それらオブジェクトに対応したテクスチャの使用指示の情報とともに設定される。また、当該描画リストには、上記ステップS2902にて算出したパラメータが設定され、さらには上記ステップS2903にて把握された教示用のオブジェクトの使用指示の情報が設定されるとともに、上記ステップS2904にて算出したパラメータが設定される。また、当該描画リストには、今回のピント演出に対応したピント範囲のデータが設定されるとともに、ピント演出の実行指定情報が設定される。
【0659】
VDP135では、表示CPU131から送信される描画リストに基づいて、ピント選択期間用の画像表示を行うとともに、ピント表示実行期間用の画像表示を行う。この場合、ピント選択期間用の画像表示については、ピント選択用のパラメータを参照しながら描画処理(図16)を実行することに基づき、既に説明したようなピント選択可能状態となる個別画像が順次切り換わるような画像表示が行われる。一方、ピント表示実行期間用の画像表示は、3次元画像データの状態から2次元画像データの状態に移行させる処理が実行された後に、ピントを調整するための処理が実行されることにより行われる。
【0660】
以下、VDP135においてピントを調整するための具体的な構成について説明する。図49(a)は、VDP135においてピントを調整する上で用いられるVRAM134の各エリアを説明するための説明図である。
【0661】
図49(a)に示すように、VRAM134には、第1フレーム領域142a及び第2フレーム領域142bを有するフレームバッファ142と、Zバッファ143とが設けられている。これら各バッファ142,143については既に説明したとおりであり、フレームバッファ142の各フレーム領域142a,142bには、図柄表示装置31への描画を実行する際に参照される2次元データである描画データが作成され、Zバッファ143は、隠面処理(図18)を実行する際にZ軸方向の座標データを一時的に記憶するために利用される。
【0662】
VRAM134には、上記各バッファ142,143以外にも、VDP135においてピントを調整するためのエリアとして、ぼかし用バッファ181が設けられている。ぼかし用バッファ181は、フレーム領域142a,142bと同一数の単位エリアを有している。つまり、各フレーム領域142a,142bは相互に同一数の単位エリアを有しており、それと同一の数の単位エリアを、ぼかし用バッファ181は有している。ぼかし用バッファ181は、一のフレーム領域に作成されている描画リストをそのままの状態で一時記憶することが可能となっている。
【0663】
なお、描画リストをそのままの状態で一時記憶させることができるのであれば、ぼかし用バッファ181における単位エリアの数は、一のフレーム領域が有する単位エリアの数よりも多くてもよい。
【0664】
VDP135においてピントを調整するための処理は、描画処理(図16)におけるステップS1012の描画データ合成処理にて実行される。図49(b)は、描画データ合成処理を示すフローチャートである。
【0665】
描画データ合成処理では、先ずステップS3001にて、今回の描画リストにおいてピント演出の実行指定情報が設定されているか否かを判定する。設定されていない場合には、ステップS3002に進む。
【0666】
ステップS3002では、直前のステップS1010において既に作成されてスクリーン用バッファ144に記憶されている背景用の描画データを、今回の描画対象のフレーム領域142a,142bに書き込む。その後、ステップS3003にて、直前のステップS1011において既に作成されてスクリーン用バッファ144に記憶されている演出及び図柄用の描画データを、上記のように背景用の描画データが書き込まれたフレーム領域142a,142bに書き込んだ後に、本合成処理を終了する。
【0667】
この場合においてα値を参照しながら演出及び図柄用の描画データが書き込まれることは、既に説明したとおりである。また、開閉実行モードにおいては、演出及び図柄用の描画データにおいて図柄は存在しておらず、演出用の個別画像に対応したデータのみが存在している。さらにまた、開閉実行モードにおいては、演出及び図柄用の描画データに、教示用のオブジェクトに対して教示用のテクスチャを貼り付けることに基づき作成された教示用の個別画像のデータが含まれており、当該教示用の個別画像のデータに対しては他の個別画像のデータが手前側から重なることがないように演出及び図柄用の描画データが作成されている。
【0668】
一方、今回の描画リストにおいてピント演出の実行指定情報が設定されている場合には、ステップS3004に進む。ステップS3004では、上記ステップS3002と同様に、直前のステップS1010において既に作成されてスクリーン用バッファ144に記憶されている背景用の描画データを、今回の描画対象のフレーム領域142a,142bに書き込む。続くステップS3005では、上記ステップS3003と同様に、直前のステップS1011において既に作成されてスクリーン用バッファ144に記憶されている演出及び図柄用の描画データを、上記のように背景用の描画データが書き込まれたフレーム領域142a,142bに書き込む。その後、ステップS3006にて、ピント演出用の調整処理を実行した後に、本合成処理を終了する。
【0669】
図50(a)はピント演出用の調整処理を示すフローチャートである。
【0670】
ピント演出用の調整処理では、先ずステップS3101?ステップS3107にて、ピント演出を実行するために参照するぼかしマップデータを作成するためのぼかしマップ作成処理を実行する。ぼかしマップデータは、2次元画像データである描画データにおいて、当該描画データが作成されているフレーム領域142a,142bの各単位エリアに設定された色情報が、3次元画像データの状況にてどのようなZ軸方向の座標を有していたのかをVDP135にて特定するためのマップデータである。つまり、フレーム領域142a,142bの各単位エリアに1対1で対応させてZ軸方向の座標データが設定されたデータである。
【0671】
ここで、既に説明したとおり、背景用の描画データや演出及び図柄用の描画データは、描画処理(図16)にて、ワールド座標系に対して各オブジェクトを設定し(ステップS1002?ステップS1004)、カメラ座標系への変換処理(ステップS1005)を経て、視野座標系への変換処理(ステップS1006)を実行し、さらにその状態で、クリッピング処理(ステップS1007)、ライティング処理(ステップS1008)及び色情報の設定処理(ステップS1009)を実行した後に、作成する。この場合において、各描画データは、フレーム領域142a,142bに対して作成されるものであるため、当該描画データの作成に際して、上記のように視野座標系にて色情報の設定処理が行われたデータの状態は維持されており、描画データの作成後においても新たな描画処理が起動されるまでは維持される。そして、この視野座標系にて色情報の設定処理が行われた状態のデータを利用して、ぼかしマップデータが作成される。
【0672】
ぼかしマップ作成処理では、Zバッファ143を利用して、隠面処理(図18)と同様の処理を実行することに基づき、ぼかしマップデータを作成する。但し、隠面処理(図18)では、背景用の画像データのみを処理対象として背景用の描画データを作成し、演出及び図柄用の描画データのみを処理対象として演出及び図柄用の描画データを作成する構成であったが、ぼかしマップ作成処理では、このような区別を行うことなく、視野座標系においてクリッピングされた全ての画像データをまとめて処理対象として扱う。
【0673】
ぼかしマップ作成処理について具体的には、先ずステップS3101にて、スクリーン領域PC12(図17を参照)における今回の投影対象ドットを基準として、そのZ軸上に含まれる個別画像であって、今回のテスト対象となった個別画像の対象ピクセルに設定されているZ値を把握する。続くステップS3102では、Zバッファ143において上記描画対象ドットと1対1で対応したドットのエリアに設定されているZ値を把握する。
【0674】
続くステップS3103では、ステップS3101にて把握した個別画像のZ値が、ステップS3102にて把握したZバッファ143のZ値よりもZ軸方向の手前側に対応しているか否かを判定する。手前側に対応している場合には、ステップS3104に進み、ステップS3101にて把握したZ値を、Zバッファ143におけるステップS3102にて参照したドットのエリアに上書きする。その後にステップS3105に進む。
【0675】
一方、ステップS3103にて、手前側に対応していないと判定した場合には、ステップS3104の処理を実行することなく、ステップS3105に進む。つまり、テスト対象となったピクセルのZ値が、既にZバッファ143の対象ドットに設定されているZ値と同一又はZ軸方向の奥側である場合にはZバッファ143の更新は行われない。一方、テスト対象となったピクセルのZ値が、既にZバッファ143の対象ドットに設定されているZ値よりもZ軸方向の手前側である場合には、Zバッファ143の更新が行われる。
【0676】
ステップS3105では、投影対象ドットを基準としたZ軸上に含まれる全ての対象ピクセルに対して、Zテストが完了したか否かを判定する。完了していない場合には、ステップS3101に戻り、新たな対象ピクセルに対してZテストを行う。
【0677】
完了している場合には、ステップS3106にて、スクリーン領域PC12の全てのドットに対してZテストが完了しているか否かを判定する。完了していない場合には、ステップS3107にて、投影対象ドットを更新した後にステップS3101に戻り、新たな投影対象ドットに対してZテストを行う。完了している場合には、ぼかしマップデータの作成が完了したことを意味するため、ステップS3108に進む。
【0678】
上記のようにぼかしマップデータが作成されることにより、合成描画データの各単位エリアに対応した色情報がZ軸方向においてどのような座標を有するものであるか否かをVDP135にて特定することが可能となる。よって、各単位エリアに対応した色情報について、奥行き方向の相対的な位置関係をVDP135にて特定することが可能となる。
【0679】
ピント演出用の調整処理では、ステップS3101?ステップS3107にて、ぼかしマップデータを作成した後に、ステップS3108に進む。
【0680】
ステップS3108では、描画データ合成処理(図49(b))におけるステップS3004及びステップS3005の処理により、描画対象のフレーム領域142a,142bに作成された合成描画データを、ぼかし用バッファ181に保存する。続くステップS3109では今回の描画リストにおいて設定されているピント範囲のデータを読み出す。
【0681】
その後、ステップS3110?ステップS3117にて、その読み出したピント範囲のデータに基づいて、ぼかし処理を実行する。当該ぼかし処理では、今回の描画対象のフレーム領域142a,142bにおける単位エリアについて、ぼかし処理の実行対象であるか否かの判定処理を実行するとともに、実行対象であると判定した単位エリアに対して、ぼかしを生じさせる処理を実行し、さらにこれらの処理を今回の描画対象のフレーム領域142a,142bに含まれる全ての単位エリアに対して実行する。
【0682】
ここで、Z軸方向の座標データがピント範囲に対応している単位エリアに対しては、ぼかしを生じさせる処理は実行れないが、当該ピント範囲はZ軸方向の単一の座標データに対応しているのではなく、図50(b)に示すように、Z軸方向に連続する複数の座標データに対応している。つまり、ピント範囲は、ある程度の被写界深度を有するように設定されており、表示面Gに表示される画像をぼかし過ぎないようにされている。ピント範囲は具体的には任意であるが、3次元画像データの状態においてZ軸方向に所定の厚みを有する一の演出用の個別画像の全体を含めることが可能な範囲となるように設定されていることが好ましい。
【0683】
Z軸方向の座標データがピント範囲から外れている単位エリアについては、ピント範囲から遠い距離に存在するものほど、ぼかしの度合いが大きくなるように設定されている。具体的には、図50(b)に示すように、ピント範囲から遠ざかるに従って段階的にぼかしの度合いが大きくなるように、第1ぼかし範囲と、第2ぼかし範囲と、第3ぼかし範囲とが設定されている。
【0684】
第1ぼかし範囲はピント範囲から連続するようにして設定されており、Z軸方向においてピント範囲から遠ざかる側に連続する複数の座標データに対応している。第1ぼかし範囲は、ピント範囲の奥側及び手前側の両方に存在する。また、第2ぼかし範囲は第1ぼかし範囲から連続するようにして設定されており、Z軸方向においてピント範囲及び第1ぼかし範囲から遠ざかる側に連続する複数の座標データに対応している。第2ぼかし範囲は、奥側の第1ぼかし範囲のさらなる奥側及び手前側の第1ぼかし範囲のさらなる手前側の両方に存在する。また、第3ぼかし範囲は第2ぼかし範囲から連続するようにして設定されており、Z軸方向においてピント範囲、第1ぼかし範囲及び第2ぼかし範囲から遠ざかる側に連続する複数の座標データに対応している。第3ぼかし範囲は、奥側の第2ぼかし範囲のさらなる奥側及び手前側の第2ぼかし範囲のさらなる手前側の両方に存在する。
【0685】
第1ぼかし範囲、第2ぼかし範囲、及び第3ぼかし範囲は具体的には任意であるが、3次元画像データの状態においてZ軸方向に所定の厚みを有する一の演出用の個別画像の全体を含めることが可能な範囲となるように、それぞれ設定されていることが好ましい。この場合、第1ぼかし範囲、第2ぼかし範囲、及び第3ぼかし範囲に含まれるZ軸方向の座標データの数は相互に同一であり且つその座標データの数はピント範囲と同一であるが、ピント範囲とは異なっていてもよく、相互に異なっていてもよい。例えばピント範囲から遠いぼかし範囲ほど含まれるZ軸方向の座標データの数が多くなる構成としてもよい。
【0686】
ピント範囲は、既に説明したとおり、遊技者の演出用操作装置48の操作に基づき変更されるものであるため、メモリモジュール133に予め記憶されているピント範囲用のデータは、当該ピント範囲に含まれることとなるZ軸方向に連続する座標データの数のデータとして設定されている。そして、遊技者による演出用操作装置48の操作に基づき、そのピント範囲を設定する上で基準となるZ軸方向の座標が決定され、その座標を基準として、ピント範囲用のデータに含まれるZ軸方向の座標データの数が実際の座標データの範囲として変換されることで、ピント範囲が設定される。この場合、ピント範囲を設定する上で基準となるZ軸方向の座標は、ピント範囲の最も手前側の座標又は最も奥側の座標として設定しておくことが好ましい。最も手前側の座標として設定しておくことで、その基準となった座標に対して、ピント範囲用のデータに設定されている座標データの数を単純に加算するだけで、ピント範囲を設定することが可能となる。また、最も奥側の座標として設定した場合であっても、その基準となった座標に対して、ピント範囲用のデータに設定されている座標データの数を単純に減算するだけで、ピント範囲を設定することが可能となる。
【0687】
同様に、第1ぼかし範囲、第2ぼかし範囲及び第3ぼかし範囲についても、メモリモジュール133に予め記憶されている各ぼかし範囲用のデータは、当該ぼかし範囲に含まれることとなるZ軸方向に連続する座標データの数のデータとして設定されている。そして、上記のように決定されたピント範囲に基づき、各ぼかし範囲の基準となる座標が決定され、その基準となる座標に対して各ぼかし範囲用のデータを適用することにより、各ぼかし範囲を設定することが可能となる。
【0688】
上記のとおりピント範囲の手前側及び奥側のそれぞれに対して、第1ぼかし範囲、第2ぼかし範囲及び第3ぼかし範囲を設定可能な構成であるが、既に説明したとおりピント範囲は遊技者の演出用操作装置48の操作に基づき決定される。そうすると、ピント範囲が最も手前側に存在する演出用の個別画像に対応させて設定されることがある。この場合には、各ぼかし範囲は、ピント範囲に対して奥側にのみ設定されることとなる。
【0689】
図50(a)の説明に戻り、ぼかし処理では、先ずステップS3110にて、今回の単位エリアに対応したZ軸方向の座標データを、ステップS3101?ステップS3107にて作成したぼかしマップデータから読み出す。続くステップS3111では、ステップS3110にて読み出したZ軸方向の座標データが、ステップS3109にて読み出したピント範囲内に含まれるか否かを判定する。ピント範囲内に含まれている場合には、その単位エリアに対しては、ぼかしを生じさせる処理を実行する必要がないため、ステップS3112?ステップS3115の処理を実行することなくステップS3116に進む。
【0690】
ピント範囲内に含まれていない場合には、ステップS3112にて、今回の単位エリアが教示用の個別画像を表示するための教示用エリアに対応しているか否かを判定する。教示用の個別画像は、既に説明した教示用のオブジェクトを利用して表示される画像のことである。教示用エリアに対応している場合には、ステップS3113?ステップS3115の処理を実行することなくステップS3116に進む。つまり、教示用の個別画像に対しては、ぼかしを生じさせる処理は実行されない。これにより、ピント演出を行う場合であっても、教示用の個別画像を利用した情報の教示を好適に行うことが可能となる。
【0691】
ちなみに、教示用の個別画像が表示される位置は、遊技者による演出用操作装置48の操作態様に関係なく不変であるため、教示用エリアに含まれる単位エリアのアドレスは事前に定められており、そのデータはメモリモジュール133に予め記憶されている。
【0692】
ステップS3112にて否定判定をした場合には、ステップS3113に進む。ステップS3113では、ぼかし範囲の決定処理を実行する。具体的には、ステップS3110にて読み出したZ軸方向の座標データが、第1ぼかし範囲、第2ぼかし範囲及び第3ぼかし範囲のいずれに含まれているのかを判定し、ぼかしを生じさせる上で対象となるぼかし範囲を決定する。その後、ステップS3114にて、ぼかし発生処理を実行する。
【0693】
ぼかし発生処理について、図51(a)のフローチャートを参照しながら説明する。
【0694】
先ずステップS3201では、上記ステップS3113にて第1ぼかし範囲が決定されたか否かを判定する。第1ぼかし範囲が決定されている場合には、ステップS3202にて、今回の単位エリアを基準として、X軸方向のそれぞれに第1所定数の単位エリアを特定し、それら単位エリアのそれぞれから色情報を抽出する。この抽出は、今回の描画対象となっているフレーム領域142a,142bからではなく、ぼかし用バッファ181から行う。また、ステップS3202では、今回の単位エリアに設定されている色情報の抽出も行うが、この抽出もぼかし用バッファ181から行う。
【0695】
続くステップS3203では、X軸方向のぼかし発生処理を実行する。当該ぼかし発生処理では、ガウスフィルタを利用してぼかしを生じさせる。つまり、今回の対象となっている単位エリアを中心として、当該中心とした単位エリアからのX軸方向の距離に応じた重み付けを、上記抽出した各単位エリアに対してガウス関数を利用して決定し、その決定した重み付けを適用した状態で、上記中心とした単位エリアの色情報、及び上記抽出した単位エリアの色情報のブレンドを行う。このブレンド結果の色情報は、レジスタ153に一時記憶される。
【0696】
続くステップS3204では、今回の単位エリアを基準として、Y軸方向のそれぞれに第1所定数の単位エリアを特定し、それら単位エリアのそれぞれから色情報を抽出する。この抽出は、ぼかし用バッファ181から行う。また、ステップS3204では、今回の単位エリアに設定されている色情報の抽出も行うが、この抽出もぼかし用バッファ181から行う。
【0697】
続くステップS3205では、Y軸方向のぼかし発生処理を実行する。当該ぼかし発生処理では、ガウスフィルタを利用してぼかしを生じさせる。つまり、今回の対象となっている単位エリアを中心として、当該中心とした単位エリアからのY軸方向の距離に応じた重み付けを、上記抽出した各単位エリアに対してガウス関数を利用して決定し、その決定した重み付けを適用した状態で、上記中心とした単位エリアの色情報、及び上記抽出した単位エリアの色情報のブレンドを行う。このブレンド結果の色情報は、レジスタ153に一時記憶される。
【0698】
その後、ステップS3206にて、ブレンド処理を実行する。具体的には、上記ステップS3203にて算出したブレンド結果の色情報と、上記ステップS3205にて算出したブレンド結果の色情報とを、同一の比率でブレンドする。その後、本ぼかし発生処理を終了する。
【0699】
上記のようにぼかし発生処理が実行されることにより、図51(b-1)に示すように、今回の対象となっている単位エリアを基準として、X軸方向の両側にそれぞれ第1所定数分の単位エリアに設定されている各色情報と、Y軸方向の両側にそれぞれ第1所定数分の単位エリアに設定されている各色情報とが、上記今回の対象となっている単位エリアの色情報に対してブレンドされる。
【0700】
ステップS3201にて否定判定をした場合には、ステップS3207にて、上記ステップS3113において第2ぼかし範囲が決定されたか否かを判定する。第2ぼかし範囲が決定されている場合には、ステップS3208にて、今回の単位エリアを基準として、X軸方向のそれぞれに、第1所定数よりも多い第2所定数の単位エリアを特定し、それら単位エリアのそれぞれから色情報を抽出する。この抽出は、ぼかし用バッファ181から行う。また、ステップS3208では、今回の単位エリアに設定されている色情報の抽出を、ぼかし用バッファ181から行う。
【0701】
続くステップS3209では、X軸方向のぼかし発生処理を実行する。かかる処理の具体的な内容は、上記ステップS3203と同様である。
【0702】
続くステップS3210では、今回の単位エリアを基準として、Y軸方向のそれぞれに、第1所定数よりも多い第2所定数の単位エリアを特定し、それら単位エリアのそれぞれから色情報を抽出する。この抽出は、ぼかし用バッファ181から行う。また、ステップS3210では、今回の単位エリアに設定されている色情報の抽出を、ぼかし用バッファ181から行う。
【0703】
続くステップS3211では、Y軸方向のぼかし発生処理を実行する。かかる処理の具体的な内容は、上記ステップS3205と同様である。
【0704】
その後、ステップS3212にて、ブレンド処理を実行する。具体的には、上記ステップS3209にて算出したブレンド結果の色情報と、上記ステップS3211にて算出したブレンド結果の色情報とを、同一の比率でブレンドする。その後、本ぼかし発生処理を終了する。
【0705】
上記のようにぼかし発生処理が実行されることにより、図51(b-2)に示すように、今回の対象となっている単位エリアを基準として、X軸方向の両側にそれぞれ第2所定数分の単位エリアに設定されている各色情報と、Y軸方向の両側にそれぞれ第2所定数分の単位エリアに設定されている各色情報とが、上記今回の対象となっている単位エリアの色情報に対してブレンドされる。この場合、ブレンド対象となる単位エリアの数が図51(b-1)の場合よりも多くなるため、第1ぼかし範囲の場合よりも第2ぼかし範囲の場合の方が、ぼかしの度合いが大きくなる。
【0706】
ステップS3207にて否定判定をした場合には、上記ステップS3113において第3ぼかし範囲が決定されたことを意味する。第3ぼかし範囲が決定されている場合には、ステップS3213にて、今回の単位エリアを基準として、X軸方向のそれぞれに、第2所定数よりも多い第3所定数の単位エリアを特定し、それら単位エリアのそれぞれから色情報を抽出する。この抽出は、ぼかし用バッファ181から行う。また、ステップS3213では、今回の単位エリアに設定されている色情報の抽出を、ぼかし用バッファ181から行う。
【0707】
続くステップS3214では、X軸方向のぼかし発生処理を実行する。かかる処理の具体的な内容は、上記ステップS3203と同様である。
【0708】
続くステップS3215では、今回の単位エリアを基準として、Y軸方向のそれぞれに、第2所定数よりも多い第3所定数の単位エリアを特定し、それら単位エリアのそれぞれから色情報を抽出する。この抽出は、ぼかし用バッファ181から行う。また、ステップS3215では、今回の単位エリアに設定されている色情報の抽出を、ぼかし用バッファ181から行う。
【0709】
続くステップS3216では、Y軸方向のぼかし発生処理を実行する。かかる処理の具体的な内容は、上記ステップS3205と同様である。
【0710】
その後、ステップS3217にて、ブレンド処理を実行する。具体的には、上記ステップS3214にて算出したブレンド結果の色情報と、上記ステップS3216にて算出したブレンド結果の色情報とを、同一の比率でブレンドする。その後、本ぼかし発生処理を終了する。上記のようにぼかし発生処理が実行されることにより、ぼかしの度合いを、第2ぼかし範囲の場合よりも大きくすることが可能となる。
【0711】
ピント演出用の調整処理(図50(a))の説明に戻り、ステップS3114にて、ぼかし発生処理を実行した後は、ステップS3115にて、当該ぼかし発生処理にて算出した結果の色情報を、描画対象となっているフレーム領域142a,142bにおける今回の単位エリアに対して上書きした後に、ステップS3116に進む。これにより、各ぼかし範囲に対応した状態の色情報が単位エリアに設定されることとなる。
【0712】
ここで、このようにぼかしを生じさせた結果の色情報が順次、描画対象となっているフレーム領域142a,142bに設定される構成において、ぼかし発生処理では、上記のとおり、フレーム領域142a,142bから色情報を読み出すのではなく、ぼかし用バッファ181から色情報を読み出す。これにより、所定の単位エリアにぼかしを発生させる場合において、既にぼかしを生じさせた結果の色情報が用いられないようにすることが可能となる。よって、ぼかし発生処理を実行する順番に依存しない態様で、ぼかしを生じさせることが可能となる。
【0713】
ステップS3116では、今回の描画対象のフレーム領域142a,142bについて全ての単位エリアを、上記ステップS3110?ステップS3115の処理の実行対象としたか否かを判定する。完了していない場合には、ステップS3117にて、対象単位エリアを更新した後にステップS3110に戻り、新たな対象単位エリアに対して、上記ステップS3110?ステップS3115の処理を実行する。完了している場合には、本調整処理を終了する。
【0714】
次に、ピント表示の内容について、図52を参照しながら説明する。
【0715】
図52(a)はピント表示が行われていない状態を示し、図52(b)はピント表示が行われている状態を示す。
【0716】
ピント表示が行われていない状態では、図52(a)に示すように、各演出用の個別画像CH11,CH12,CH13、背景の画像(海面の画像、砂浜の画像及び空の画像)CH14及び各教示用の個別画像CH15,CH16は、いずれもピントが合った状態となっている。したがって、これら各画像CH11?CH16は、その模様の境界や曲がり部分の境界、さらに外縁部分が鮮明に表示されている。
【0717】
一方、ピント表示が行われている状態では、図52(b)に示すように、演出用の個別画像CH11及び当該個別画像CH11が存在している砂浜部分の背景の画像CH14については、ピント範囲に含まれているため、鮮明に表示されているが、他の演出用の個別画像CH12,CH13及び他の部分の背景の画像CH14については、ピント範囲から外れているため、模様の境界や曲り部分の境界、さらには外縁部分がぼかした状態で表示され、不鮮明となっている。特に、ぼかした状態は、ピント範囲に含まれている演出用の個別画像CH11から表示面Gの奥行き方向において手前側及び奥側に遠くなるように表示されているものほど、その度合いが大きくなっている。これにより、遊技者に対して、演出用の個別画像CH11にピントが合っていると認識させることが可能となる。
【0718】
但し、ピント表示が行われている状態であっても、図52(b)に示すように、教示用の個別画像CH15,CH16は、図52(a)と同様に鮮明に表示されている。これにより、ピント表示が行われているとしても、教示用の個別画像CH15,CH16を利用した情報の教示を良好に行うことが可能となる。また、教示用の個別画像CH15,CH16は、他の画像よりも手前側に配置されているかのように表示されているため、ぼかし発生の対象から除外されたとしても、ピント表示の対象から除外されている遊技者に明確に認識させることができ、ピント表示を良好に行うことが可能となる。
【0719】
また、上記ピント表示に際しては、ぼかしマップデータがメモリモジュール133に予め記憶されているのではなく、VDP135にてその都度作成される。これにより、データ容量の削減を図ることが可能となる。特に、遊技者による演出用操作装置48の操作に基づきピント範囲を設定するようにしたことにより、遊技者の遊技への積極参加を可能とした構成においては、ぼかしマップデータを事前に予め設定しておこうとすると、データ容量が膨大なものとなる。また、このデータ容量の膨大化を抑えようとすると、演出用操作装置48の操作に基づき選択できるピント範囲のパターンが少なくなってしまう。これに対して、上記のように、ぼかしマップデータをVDP135にてその都度作成するようにしたことにより、データ容量の削減を図りつつ、遊技者の遊技への積極参加を好適に促すことが可能となる。
【0720】
その一方、上記のようにぼかしマップデータを作成するようにすると、それだけVDP135の処理負荷が増加する。これに対して、ぼかしを発生させる際には、3次元画像の状態で行うのではなく、2次元画像の状態で行うようにしたことにより、色情報の平均化に際して複雑な処理を実行する必要がなくなり、ぼかしを発生させる上での処理負荷の軽減が図られる。
【0721】
<ピント表示の別形態>
・ぼかしマップデータを描画データの作成に際して作成する構成に限定されることはなく、ぼかしマップデータをメモリモジュール133に予め記憶させておく構成としてもよい。この場合に、ピント範囲が演出用操作装置48の操作に基づき選択される構成であれば、その選択に係る全てのバリエーションに対応させて、ぼかしマップデータを予め作成しておく必要がある。また、ピント範囲が演出用操作装置48の操作に基づき選択されずに、一定の態様でぼかし表示が行われるのであれば、その態様に則したぼかしマップデータを予め作成しておけばよい。
【0722】
上記のようにぼかしマップデータが予め作成されている構成においては、ぼかしマップデータにおいて各単位エリアに対応させて設定されているデータは、Z軸方向の座標データである必要はなく、ピント範囲、及び各ぼかし範囲のうち、いずれの範囲に該当しているかを示すデータであってもよい。
【0723】
・ぼかしを生じさせるための色情報の平均化処理は、3次元画像データを2次元画像データに変換した後に行う必要はなく、3次元画像データの状態において行うようにしてもよい。この場合、基準となるピクセルに対して、その周囲のピクセルをブレンドする際には、基準となるピクセルからそれら周囲のピクセルまでの距離を3次元の状態で算出し、その算出結果に応じた重み付けをそれら周囲のピクセルの色情報に適用した状態でブレンド処理を行うようにすればよい。
【0724】
・ぼかしを生じさせるための色情報の平均化処理は、ガウス関数を利用して中心からの距離に応じた重み付けを行うのではなく、抽出した色情報を均等にブレンドする構成としてもよい。この場合、ぼかし表示のリアルさは低減されてしまうものの、処理負荷の軽減は図られる。
【0725】
・ぼかしを生じさせるための色情報の平均化処理は、X軸方向及びY軸方向のそれぞれについて行う構成に限定されることはなく、いずれか一方についてのみ行う構成としてもよい。この場合、ぼかし表示のリアルさは低減されてしまうものの、処理負荷の軽減は図られる。
【0726】
・ぼかしを生じさせるための色情報の平均化処理に際しては、描画対象のフレーム領域142a,142bに設定されている描画データを、ぼかし用バッファ181に別保存した状態で行う構成に限定されることはなく、描画対象のフレーム領域142a,142bをそのまま利用する構成としてもよい。この場合、所定の単位エリアの色情報についてぼかしを生じさせる場合において、既にぼかしを生じさせた単位エリアの色情報が用いられることになり、ぼかしを生じさせる処理の順番がぼかしの度合いに影響を与えることとなるが、ぼかし用バッファ181を別途設ける必要がない点で、記憶容量の削減が図られるとともに、ぼかし用バッファ181への別保存を行う必要がない点で、処理負荷の軽減が図られる。
【0727】
・ぼかしマップデータを作成する際にZバッファ143以外のバッファを用いるようにしてもよい。この場合、VRAM134に、ぼかしマップデータを作成するための専用のバッファを設けるようにしてもよい。
【0728】
・背景用の描画データと、演出及び図柄用の描画データとを個別に作成し、それらを合成して1フレーム分の描画データを作成する構成ではなく、ステップS1009にて色情報の設定処理を実行した後は、1フレーム分の描画データをまとめて作成する構成としてもよい。当該構成においては、隠面処理を利用して当該1フレーム分の描画データを作成した場合、Zバッファ143には各単位エリアに対応したZ軸方向の座標データが設定されていることとなる。したがって、この隠面処理にてZバッファ143に作成されたデータを、ぼかしマップデータとしてそのまま利用することが可能となる。
【0729】
・遊技回用の演出としてピント表示を行うようにしてもよい。この場合、上記のように教示用の個別画像を、ぼかし対象から除外したのと同様に、各図柄列SA1?SA3にて変動表示されている図柄は、ぼかし対象から除外してもよい。また、リーチ中の演出として、ピント表示を行うのであれば、先に停止表示されている図柄列SA1,SA3上において、リーチラインを形成している図柄を、ぼかし対象から除外してもよく、それに加えて又は代えて、最終停止図柄列SA2の図柄を、ぼかし対象から除外してもよい。リーチラインを形成している図柄を除外することで、リーチ図柄の種類の識別性を低下させることなく、ピント表示をリーチ演出として利用することが可能となり、最終停止図柄列SA2の図柄を除外することで、最終停止図柄列SA2においてリーチライン付近に存在している図柄の識別性を低下させることなく、ピント表示をリーチ演出として利用することが可能となる。
【0730】
また、リーチラインを形成している図柄又はその種類を教示する画像の表示は行いながら、図柄列SA1?SA3を非表示として、ピント表示を利用したリーチ演出を行う構成においては、リーチラインを形成している図柄又はその種類を教示する画像は、ぼかし対象から除外するようにしてもよい。これにより、リーチ図柄の種類の識別性を低下させることなく、ピント表示をリーチ演出として利用することが可能となる。
【0731】
また、遊技回用の演出としてピント表示を行う場合において、ぼかし対象から除外する対象は、図柄以外であってもよく、例えば表示面Gにて保留情報の数を教示するための画像を表示するのであれば、当該保留情報の数を教示するための画像を、ぼかし対象から除外してもよい。
【0732】
3次元画像データを用いた画像表示を行うのではなく、スプライトデータといった2次元画像データを用いた画像表示を行う構成において、ピント表示を行うようにしてもよい。この場合、フレーム領域142a,142bへのスプライトデータの設定に際して、各スプライトデータに、表示面Gの奥行き方向に対応する座標データを設定しておき、その座標データが、ピント範囲及び各ぼかし範囲のうちいずれに含まれるかによって、ぼかし表示を行う構成が考えられる。
【0733】
・ワールド座標系に画像データを設定した後に、パラメータ群を含むマップデータを作成する処理を実行する構成を、ピント表示以外の目的で行うようにしてもよい。
【0734】
例えば、1フレーム分の画像において所定の領域が点滅しているかの表示を行う上で、オブジェクトの面の向きに応じて点灯及び消灯のいずれかを設定する構成において、ワールド座標系や視野座標系に設定されている状態において各面の向きをパラメータとして読み取り、それらを集合させたデータとしてマップデータを作成する。そして、投影後の描画データに対して、その作成したマップデータを元に色情報の加工を行うことにより、点滅表示を行うようにしてもよい。
【0735】
また、例えば、1フレーム分の画像において海面といった形状が経時的に変化する面の表示を行う上で、オブジェクトの面の向きに応じて各面データに設定する色情報を選択する構成において、ワールド座標系や視野座標系に設定されている状態において各面の向きをパラメータとして読み取り、それらを集合させたデータとしてマップデータを作成する。そして、投影後の描画データに対して、その作成したマップデータを元に色情報の加工を行うことにより、面表示を行うようにしてもよい。
【0736】
<模様変更表示を行うための構成>
次に、模様変更表示を行うための構成について説明する。
【0737】
模様変更表示とは、特別キャラクタを複数フレーム(複数の画像更新タイミング)に亘って連続して表示させる場合において、その特別キャラクタの外縁形状は同一としながら、フレームの進行に伴って模様を変化させる表示演出のことである。但し、模様を単純に変化させるのではなく、当該特別キャラクタの一部の模様の変更については、当該特別キャラクタに対応した特別オブジェクトに貼り付ける第1部分テクスチャの種類を切り換えるのに対して、当該特別キャラクタの他の模様の変更については、特別オブジェクトに貼り付ける第2部分テクスチャの種類は同一のものとしながら、その第2部分テクスチャの特別オブジェクトに対する相対的な貼り付け位置を変化させることにより、模様を変化させる。
【0738】
これら特別オブジェクト、第1部分テクスチャ及び第2部分テクスチャについて、図53(a)?(c)を参照しながら詳細に説明する。図53(a)は特別オブジェクトPC20を説明するための説明図であり、図53(b-1)?(b-3)は第1部分テクスチャPC21?PC23を説明するための説明図であり、図53(c-1)?(c-4)は第2部分テクスチャPC24?PC27を説明するための説明図である。
【0739】
図53(a)に示すように、特別オブジェクトPC20は、多数のポリゴンを含み、立体的な形状に対応したデータとして作成されており、複数のパーツ部BP,AP1?AP4を有している。これら複数のパーツ部BP,AP1?AP4として、本体パーツ部BPと、当該本体パーツ部BPに付属する複数の付属パーツ部AP1?AP4とを有している。特別キャラクタは、鯨を人型に適用したキャラクタであり、本体パーツ部BPはその顔部分及び胴体部分に相当し、各付属パーツ部AP1?AP4は胴体部分から連続する手部分及び足部分に相当している。
【0740】
本体パーツ部BPには、図53(b-1)?(b-3)に示すように、顔の模様(目や口の模様)及び胴体が光に反射しているかのような表示を行うための模様の両方を含む画像を表示させるための第1部分テクスチャPC21?PC23が貼り付けられる。これら第1部分テクスチャPC21?PC23は、本体パーツ部BPの全体を覆うことが可能なように設定されている。また、顔の模様を表示させるためのデータは、これらデータが貼り付けられることとなる本体パーツ部BPの位置(座標)が各第1部分テクスチャPC21?PC23間において同一となっている。その一方、胴体が光に反射しているかのような表示を行うためのデータについては、これらデータが貼り付けられることとなる本体パーツ部BPの位置(座標)が各第1部分テクスチャPC21?PC23間において異なっている。
【0741】
つまり、第1部分テクスチャPC21?PC23は、本体パーツ部BPにおいて貼り付けられる位置が変化しない不変模様を表示させるためのデータと、本体パーツ部BPにおいて貼り付けられる位置が変化する変化模様を表示させるためのデータとを有しており、第1部分テクスチャPC21?PC23間において、不変模様を表示させるためのデータ構成は共通であるが、変化模様を表示させるためのデータ構成は相違している。
【0742】
一方、付属パーツ部AP1?AP4には、図53(c-1)?(c-4)に示すように、手や足の部分が光に反射しているかのような表示を行うための模様を含む画像を表示させるための第2部分テクスチャPC24?PC27が貼り付けられる。これら第2部分テクスチャPC24?PC27は、付属パーツ部AP1?AP4に1対1で対応させて設けられており、さらに一の付属パーツ部AP1?AP4に対して一の第2部分テクスチャPC24?PC27のみが設けられている。各第2部分テクスチャPC24?PC27は、対応する付属パーツ部AP1?AP4を覆うことが可能なように設定されている。この場合、各第2部分テクスチャPC24?PC27のそれぞれにおいて、境界部分を生じさせる模様はそれに対して逆側の境界部分を生じさせる模様と連続性を有するように設定されている。
【0743】
第1部分テクスチャPC21?PC23及び第2部分テクスチャPC24?PC27の特別オブジェクトPC20に対する貼り付けは、予め定められたUV座標値に基づき行われる。UV座標値は、既に説明したとおりであり、オブジェクト用の画像データ及びテクスチャ用の画像データの組み合わせに対して付属させた状態でメモリモジュール133に記憶されており、テクスチャ用の画像データの各ピクセルをオブジェクト用の画像データの各ピクセルに1対1で対応させることが可能となる。
【0744】
上記特別キャラクタを表示させる場合には、特別オブジェクトPC20の本体パーツ部BPに対しては、貼り付け対象となる第1部分テクスチャPC21?PC23が予め定められた順序で変更される。この順序は、上記変化模様が変化していく態様が連続性を有するように設定されている。一方、特別オブジェクトPC20の付属パーツ部AP1?AP4に対しては、それぞれに対応する一の第2部分テクスチャPC24?PC27が貼り付けられることとなるが、その貼り付けを行う際に参照するUV座標値が初期の設定状態から予め定められた態様で変更される。このUV座標値の変更は、各第2部分テクスチャPC24?PC27に対応した各模様のそれぞれが変化していく態様が連続性を有するように設定されている。
【0745】
以下、特別オブジェクトPC20、第1部分テクスチャPC21?PC23及び第2部分テクスチャPC24?PC27を用いて模様変更表示を実行するための具体的な処理構成を説明する。なお、特別オブジェクトPC20、第1部分テクスチャPC21?PC23及び第2部分テクスチャPC24?PC27は、メモリモジュール133に予め記憶されている。
【0746】
図54は、表示CPU131にて実行される特別キャラクタ用の演算処理を示すフローチャートである。特別キャラクタ用の演算処理は、タスク処理(図14)のステップS904における演出用演算処理にて実行される。また、特別キャラクタ用の演算処理は、特別キャラクタが表示される遊技回に対応したデータテーブルが設定されている場合に起動される。
【0747】
先ずステップS3301では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、特別キャラクタの表示中であるか否かを判定する。特別キャラクタの表示中ではない場合にはステップS3302に進む。ステップS3302では、特別キャラクタ表示の開始タイミングであるか否かを判定する。開始タイミングではない場合にはそのまま本演算処理を終了し、開始タイミングである場合にはステップS3303に進む。
【0748】
ステップS3303では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、特別オブジェクトPC20を制御対象として把握する。ちなみに、ステップS3303の処理の実行タイミングでは、直前の制御開始用の設定処理(ステップS901)にて、特別オブジェクトPC20に対して制御開始用の処理が完了している。また、制御が開始された特別オブジェクトPC20の制御用の情報は、特別キャラクタの表示が完了するまでワークRAM132に記憶保持される。
【0749】
続くステップS3304では、第1部分テクスチャの初期設定処理を実行する。具体的には、複数種類の第1部分テクスチャPC21?PC23のうち使用の順番が最初に設定されている第1部分テクスチャPC21を特定し、その第1部分テクスチャPC21の使用指示情報を記憶する。なお、複数種類の第1部分テクスチャPC21?PC23の使用順番のデータは、テーブル情報として、メモリモジュール133に予め記憶されている。
【0750】
続くステップS3305では、各第2部分テクスチャの初期設定処理を実行する。ここで、表示CPU131では、各第2部分テクスチャPC24?PC27のUV座標値を変更させる場合、初期座標値からの変化量をそれぞれの第2部分テクスチャPC24?PC27に1対1で対応させて導出し、その導出した各変化量をVDP135に提供する。VDP135では、その提供された各変化量のデータを、それぞれ対応する各初期座標値に対して適用する。この場合、一の第2部分テクスチャPC24?PC27で見た場合、当該第2部分テクスチャPC24?PC27には多数のピクセルが含まれているため、初期座標値はそれら多数のピクセル毎に存在している。したがって、一の第2部分テクスチャPC24?PC27に対応する変化量のデータは、当該一の第2部分テクスチャPC24?PC27の各初期座標値に対して一律に適用される。
【0751】
例えば、一の第2部分テクスチャPC24?PC27を構成する所定のピクセルの初期座標値が(U1、V1)であり、他のピクセルの初期座標値が(U2、V2)である状況において、変化量のデータが(w1、w2)である場合には、上記所定のピクセルのUV座標値は、(U1+w1、V1+w2)に設定され、他のピクセルのUV座標値は、(U2+w1、V2+w2)に設定される。したがって、付属パーツ部AP1?AP4に対する第2部分テクスチャPC24?PC27の相対位置が同一の方向性であって同一の変化量で変更されることとなる。ステップS3305は、初期設定処理であるため、変化量は存在しないことに対応したデータが記憶される。
【0752】
なお、第2部分テクスチャPC24?PC27のUV座標値を初期座標値から変更させるための変化量のデータは、テーブル情報として、使用順序の情報と1対1で対応させて設定されており、このテーブル情報は、メモリモジュール133に予め記憶されている。また、当該テーブル情報は、各第2部分テクスチャPC24?PC27に対して個別に設定されている。
【0753】
その後、ステップS3306にて、特別キャラクタの開始指定情報を記憶するとともに、ステップS3307にて、特別オブジェクトPC20について、各種パラメータを演算して、当該特別オブジェクトPC20に係る制御用の情報を更新した後に、本演算処理を終了する。
【0754】
上記のように特別キャラクタ用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、特別オブジェクトPC20の使用指示の情報が設定されるとともに、上記ステップS3304にて記憶した第1部分テクスチャPC21の使用指示情報と、上記ステップS3305にて導出した各変化量のデータとが設定される。さらにまた、当該描画リストには、上記ステップS3307にて算出したパラメータが設定されるとともに、特別キャラクタの開始指定情報が設定される。
【0755】
ステップS3301にて特別キャラクタの表示中であると判定した場合には、ステップS3308にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、特別オブジェクトPC20を制御対象として把握する。
【0756】
続くステップS3309では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、第1部分テクスチャPC21?PC23の更新タイミングであるか否かを判定する。第1部分テクスチャPC21?PC23の更新タイミングは、所定の複数である第1特定数フレームに1回、すなわち所定の複数である第1特定数の画像更新タイミングに対して1回として設定されており、さらにこの更新タイミングは一定となっている。但し、これに限定されることはなく、各フレームに1回、すなわち各画像更新タイミングに対して1回として設定されていてもよく、所定の第1部分テクスチャPC21?PC23から次の第1部分テクスチャPC21?PC23の更新タイミングとなるまでのフレーム数(画像更新タイミング数)と、当該第1部分テクスチャPC21?PC23からさらに次の第1部分テクスチャPC21?PC23の更新タイミングとなるまでのフレーム数(画像更新タイミング数)とが異なっていてもよい。
【0757】
第1部分テクスチャPC21?PC23の更新タイミングではない場合には、ステップS3310にて、前回の処理回にて記憶した第1部分テクスチャPC21?PC23の使用指示情報をそのまま記憶する。一方、第1部分テクスチャPC21?PC23の更新タイミングである場合には、ステップS3311にて、次の順番の第1部分テクスチャPC21?PC23に対応した使用指示情報を記憶する。
【0758】
ステップS3310又はステップS3311の処理を実行した後は、ステップS3312にて、各第2部分テクスチャPC24?PC27に適用するUV座標値の更新タイミングであるか否かを判定する。UV座標値の更新タイミングは、所定の複数である第2特定数フレームに1回、すなわち所定の複数である第2特定数の画像更新タイミングに対して1回として設定されており、さらにこの更新タイミングは一定となっている。但し、これに限定されることはなく、各フレームに1回、すなわち各画像更新タイミングに対して1回として設定されていてもよく、所定のUV座標値から次のUV座標値の更新タイミングとなるまでのフレーム数(画像更新タイミング数)と、当該UV座標値からさらに次のUV座標値の更新タイミングとなるまでのフレーム数(画像更新タイミング数)とが異なっていてもよい。
【0759】
また、UV座標値の更新タイミングは、第1部分テクスチャPC21?PC23の更新タイミングと同期しているが、非同期であってもよい。非同期とする上では、各更新周期を相違させる構成が考えられる。この場合に、UV座標値の更新タイミングを、第1部分テクスチャPC21?PC23の更新タイミングよりも短い周期としてもよく、長い周期としてもよいが、UV座標値の更新側であれば更新周期を短くしてもデータ容量への影響がほとんどないことに鑑みて、UV座標値の更新タイミングを第1部分テクスチャPC21?PC23の更新タイミングよりも短い周期とすることが好ましい。
【0760】
UV座標値の更新タイミングではない場合には、ステップS3313にて、前回の処理回にて記憶した各変化量のデータをそのまま記憶する。一方、UV座標値の更新タイミングである場合には、ステップS3314にて、次の順番の各変化量のデータを記憶する。
【0761】
ステップS3313又はステップS3314の処理を実行した後は、ステップS3315にて、特別キャラクタの継続指定情報を記憶するとともに、ステップS3307にて、特別オブジェクトPC20について、各種パラメータを演算して、当該特別オブジェクトPC20に係る制御用の情報を更新した後に、本演算処理を終了する。
【0762】
上記のように特別キャラクタ用の演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、特別オブジェクトPC20の使用指示の情報が設定されるとともに、上記ステップS3310及びステップS3311のいずれかにて記憶した第1部分テクスチャPC21?PC23の使用指示情報と、上記ステップS3313及び上記ステップS3314のいずれかにて記憶した各変化量のデータとが設定される。さらにまた、当該描画リストには、上記ステップS3307にて算出したパラメータが設定されるとともに、特別キャラクタの継続指定情報が設定される。
【0763】
VDP135では、特別キャラクタを表示させるべき描画リストを受信した場合には、描画処理(図16)における演出用の設定処理(ステップS1003)にて、特別オブジェクトPC20をワールド座標系に設定する処理を実行する。この場合、ワールド座標系に設定する際の座標、スケール及び回転角度なども描画リストにて指定されているため、それらを適用した状態で特別オブジェクトPC20を設定する。また、特別キャラクタは、複数フレームに亘って所定の方向に変位するかのように表示されるため、それに即した描画リストがVDP135に対して適用され、それに即した状態でワールド座標系への特別オブジェクトPC20の設定が行われる。
【0764】
また、VDP135では、特別キャラクタを表示させるべき描画リストを受信した場合、描画処理(図16)における色情報の設定処理(ステップS1009)にて、特別オブジェクトPC20に対して第1部分テクスチャPC21?PC23及び第2部分テクスチャPC24?PC27を貼り付ける。当該テクスチャの貼り付けに係る処理について、以下に説明する。
【0765】
図55は、特別キャラクタ用のテクスチャマッピング処理を示すフローチャートである。特別キャラクタ用のテクスチャマッピング処理は、今回の描画リストに特別キャラクタの開始指定情報及び特別キャラクタの継続指定情報のいずれかが設定されている場合に起動される。
【0766】
先ずステップS3401では、今回の描画リストにおいて設定されている第1部分テクスチャPC21?PC23の使用指定情報を把握する。続くステップS3402では、ステップS3401にて把握した使用指定情報に対応した第1部分テクスチャPC21?PC23をメモリモジュール133から読み出す。その後、ステップS3403にて、上記ステップS3402にて読み出した第1部分テクスチャPC21?PC23を、特別オブジェクトPC20の本体パーツ部BPに貼り付ける。これにより、本体パーツ部BPへのテクスチャの貼り付けが完了する。
【0767】
続くステップS3404では、レジスタ153に設けられた付属パーツカウンタに、付属パーツ部AP1?AP4の数に対応した情報である「4」をセットし、ステップS3405に進む。ステップS3405では、現状の付属パーツカウンタの数値情報が示す付属パーツ部AP1?AP4に対応した第2部分テクスチャPC24?PC27をメモリモジュール133から読み出す。
【0768】
続くステップS3406では、現状の付属パーツカウンタの数値情報が示す付属パーツ部AP1?AP4に対応した初期座標値のデータを読み出す。また、ステップS3407では、今回の描画リストにおいて設定されている変化量のデータのうち、現状の付属パーツカウンタの数値情報が示す付属パーツ部AP1?AP4に対応した変化量のデータを把握する。そして、ステップS3408において、ステップS3406にて読み出した初期座標値に対して、ステップS3407にて把握した変化量を適用することで、今回のUV座標値を導出する。その後、ステップS3409では、ステップS3408にて導出したUV座標値に従って、ステップS3405にて読み出した第2部分テクスチャPC24?PC27を、対応する付属パーツ部AP1?AP4に貼り付ける。
【0769】
続くステップS3410では、付属パーツカウンタの数値情報を1減算し、ステップS3411にて、減算後の付属パーツカウンタの数値情報が「0」であるか否かを判定する。「0」ではない場合には、ステップS3405に戻り、次の付属パーツ部AP1?AP4に対して上記ステップS3405?ステップS3409による第2部分テクスチャPC24?PC27の貼り付け処理を実行する。ステップS3411にて、付属パーツカウンタの数値情報が「0」であると判定した場合には、本テクスチャマッピング処理を終了する。
【0770】
次に、模様変更表示の内容について、図56を参照しながら説明する。
【0771】
図56(a),(b)は模様変更表示の内容を説明するための説明図である。
【0772】
特別キャラクタCH17を利用した模様変更表示は、図56(a),(b)に示すように、遊技回中において、所定の有効ライン上にてリーチラインが形成され、最終停止図柄列SA2にて図柄の変動表示が行われている状況で実行される。本パチンコ機10では、当該遊技回が開閉実行モードの移行契機となる期待度を高いことを遊技者に報知するための演出として模様変更表示が行われる。なお、特別キャラクタCH17を用いた模様変更表示は、開閉実行モードの移行契機となる遊技回においてのみ所定の確率で発生する構成としてもよい。
【0773】
模様変更表示では、特別キャラクタCH17が所定の方向に変位表示される。この場合に、特別キャラクタCH17の変位に伴って、当該特別キャラクタCH17に付されている模様が変更される。具体的には、特別キャラクタCH17の表面が光に照らされて反射するとともに、その反射して明るくなっている箇所が変位していくように模様が変更される。この模様の変更は、本体パーツ部BP及び各付属パーツ部AP1?AP4のそれぞれにて発生する。その一方、特別キャラクタCH17に表示されている目や口の位置は一定となっている。
【0774】
以上のように、特別オブジェクトPC20の一部に対しては、複数種類のテクスチャPC21?PC23を予め記憶させておき、貼り付け対象とするテクスチャPC21?PC23を順次変更するのに対して、特別キャラクタCH17の他の部分に関しては単一のテクスチャPC24?PC27としながら、そのテクスチャPC24?PC27のUV座標値を順次変更する構成としたことにより、データ容量と処理負荷とのバランスを図りながら模様変更表示を行うことが可能となる。
【0775】
また、目や口といった特別キャラクタにおいてその外縁に対する相対位置が変化しない模様が存在している箇所は、単一のテクスチャのUV座標値の切り換えにより模様の変更を行うのではなく、貼り付け対象とするテクスチャPC21?PC23を順次変更することによって模様の変更を行うようにしたことにより、当該箇所の模様を変更する際の処理負荷の軽減を図ることが可能となる。
【0776】
その一方、比較的サイズの小さい付属パーツ部AP1?AP4については、単一のテクスチャPC24?PC27のUV座標値の切り換えにより模様の変更を行うようにしたことにより、UV座標値の変更に伴って模様の形状が若干変形してしまったとしても、それが目立たないようにすることが可能となる。
【0777】
<模様変更表示の別形態>
・第2部分テクスチャPC24?PC27が各付属パーツ部AP1?AP4に1対1で対応させて設定されている構成に代えて、所定の第2部分テクスチャは複数の付属パーツ部AP1?AP4に対して共通して用いられる構成としてもよく、一の第2部分テクスチャが全ての付属パーツ部AP1?AP4に対して共通して用いられる構成としてもよい。この場合、各付属パーツ部AP1?AP4の模様の態様を異ならせる上では、UV座標値の初期設定値をそれぞれ相違させるようにするとよい。
【0778】
・各付属パーツ部AP1?AP4において貼り付け対象の第2部分テクスチャPC24?PC27のUV座標値が変更される速度は、同一である構成に限定されることはなく、一部については相違している構成としてもよく、全部が相違している構成としてもよい。
【0779】
・本体パーツ部BPと付属パーツ部AP1?AP4の少なくとも一つとを跨ぐようにして模様が付されている構成としてもよい。この場合、特別キャラクタの外観を変更する場合において、上記跨いでいる部分における模様の連続性が担保されるように、第1部分テクスチャPC21?PC23が変更される場合の上記跨いでいる模様の変化態様と、第2部分テクスチャPC24?PC27が変更される場合の上記跨いでいる模様の変化態様とを対応付けることが好ましい。
【0780】
<ラウンド演出に係る構成について>
次に、ラウンド演出に係る構成について説明する。
【0781】
ラウンド演出は、開閉実行モードにおけるラウンド遊技が行われている場合に実行され得る演出である。開閉実行モードでは複数回のラウンド遊技が行われるように設定されており、ラウンド演出は、開閉実行モードに移行する場合に実行されるラウンド演出抽選にて当該ラウンド演出を行うことに当選した場合に、ラウンド遊技が行われる度に実行される。なお、上記ラウンド演出抽選で当選しなかった場合には、開閉実行モード時の演算処理等が実行されることとなる。
【0782】
なお、ラウンド遊技とは、既に説明した通り、(1)可変入賞装置22の開放時間が所定時間を経過すること、(2)可変入賞装置22への遊技球の総入賞個数が所定個数となること、のいずれか一方の条件が満たされるまで継続する遊技のことである。
【0783】
ラウンド演出では、動画像データが用いられる。動画像データとは、1フレーム分の静止画像データを基準として複数の差分データを有するようにフレーム間圧縮されて、例えばMPEG2方式で符号化された画像データである。当該動画像データが、VDP135に設けられた動画デコーダ(図示略)によってデコードされた場合には、複数フレーム分の静止画像データに展開される。これら静止画像データを順次描画することにより、一連のムービーが再生される。
【0784】
本パチンコ機10に設定されている動画像データについて図57を参照しながら説明する。
【0785】
図57に示すように、ラウンド演出で用いられる動画像データとして、ラウンド動画像データRMD0が設定されている。ラウンド動画像データRMD0は、最初のアドレスにファイルデータが設定され、それに続けて各フレームの圧縮データが設定されている。なお、各フレームの圧縮データにはフレームヘッダが付随している。
【0786】
圧縮データは、基準データに相当する1フレーム分のIピクチャデータと、第1の差分データに相当する複数フレーム分のPピクチャデータと、第2の差分データに相当する複数フレーム分のBピクチャデータと、を有している。
【0787】
Iピクチャデータは、復号に際して、当該データ単独で1フレーム分の静止画像データを作成することができるデータである。Pピクチャデータは、復号に際して、1フレーム又は複数フレーム前のIピクチャデータ若しくはPピクチャデータを参照して前方向予測を行うことで、1フレーム分の静止画像データを作成することができるデータである。Bピクチャデータは、復号に際して、1フレーム又は複数フレーム前のIピクチャデータ若しくはPピクチャデータと、1フレーム又は複数フレーム後のIピクチャデータ若しくはPピクチャデータとを参照して双方向予測を行うことで、1フレーム分の静止画像データを作成することができるデータである。
【0788】
ラウンド動画像データRMD0の圧縮データでは、1フレーム目のデータとしてIピクチャデータが設定されている。また、2フレーム目,…,m?1フレーム目のデータとしてBピクチャデータが設定されている。また、mフレーム目のデータとしてPピクチャデータが設定されている。また、m+1フレーム目,…,n?1フレーム目のデータとしてBピクチャデータが設定されている。また、nフレーム目のデータとしてPピクチャデータが設定されている。なお、ピクチャデータの配列パターンは上記のものに限定されることはなく任意である。
【0789】
ラウンド動画像データRMD0から作成される静止画像データのサイズは、表示面Gに対応させて設定されており、具体的には表示面G全体に表示させることが可能な大きさに設定されている。
【0790】
また、ラウンド演出では、上記ラウンド動画像データRMD0とは別に、静止画像データである挿入画像データIPD0が用いられる。上記ラウンド動画像データRMD0及び挿入画像データIPD0の内容について図58を参照しながら説明する。図58(a)はラウンド動画像データRMD0に設定されている画像の一部の内容を示し、図58(b)は挿入画像データIPD0に設定されている画像を示す。
【0791】
ラウンド動画像データRMD0には、図58(a-1)に示すように、波立っている様子を示す第1背景画像BP1に対して重なるようにして、サーフィンをしている様子を示す第1移動キャラクタ画像MP1及び蛸の画像である第2移動キャラクタ画像MP2が付加された基準データ(Iピクチャデータ)RMD1が設定されている。
【0792】
また、図58(a-2),(a-3)に示すように、第1背景画像BP1を有さないが、各移動キャラクタ画像MP1,MP2が移動するのに対応した差分データ(Pピクチャデータ又はBピクチャデータ)RMD2が設定されている。基準データRMD1により1フレーム分の静止画像データが作成されるとともに基準データRMD1に対して差分データRMD2が適用されることにより、基準データRMD1に設定された第1背景画像BP1に対して各差分データRMD2に設定された各移動キャラクタ画像MP1,MP2が付加された1フレーム分の静止画像データが作成される。
【0793】
ちなみに、ラウンド動画像データRMD0には、各移動キャラクタ画像MP1,MP2が表示面Gからフレームアウトするように設定されている。具体的には各移動キャラクタ画像MP1,MP2がフレームアウトした位置まで移動するように差分データが設定されている。
【0794】
また、ラウンド動画像データRMD0には、図58(a-3)に示すように、雲が示された第2背景画像BP2が描画された基準データRMD3が設定されている。
【0795】
さらに、ラウンド動画像データRMD0には、図58(a-4)に示すように、男の子の第3移動キャラクタ画像MP3が拡大して描画された基準データRMD4が設定されている。また、図示は省略するが、ラウンド動画像データRMD0には、第3移動キャラクタ画像MP3が所定の動作を行うのに対応した差分データが設定されている。
【0796】
上記各データRMD1?RMD4により作成される静止画像データを、動画用オブジェクトに順次貼り付けることにより、一連の動画表示が行われる。
【0797】
挿入画像データIPD0は、図58(b)に示すように、表示面Gの一部に表示される画像に対応したものであり、表示面G全体を表示させるのに用いられる画像データよりもそのサイズ及びデータ量(データ容量)が小さく設定されたデータである。
【0798】
挿入画像データIPD0には、表示態様が異なる複数種類の画像データが設定されている。具体的には、挿入画像データIPD0には、図58(b-1)に示すように、2人の女の子が示された第1挿入キャラクタ画像IP1が描画された第1挿入画像データIPD1と、図58(b-2)に示すように、3人の女の子が示された第2挿入キャラクタ画像IP2が描画された第2挿入画像データIPD2と、が設定されている。
【0799】
ラウンド演出では、ラウンド動画像データRMD0に設定された一連のラウンド動画が再生される。そして、当該動画の再生中の所定のタイミングにて、挿入画像データIPD0を用いて挿入キャラクタ画像が挿入表示される。この場合、ラウンドに応じて、用いられる挿入画像データIPD0が異なるように設定されている。
【0800】
ラウンド動画像データRMD0及び挿入画像データIPD0を用いてラウンド演出を行うための具体的な処理構成について以下に説明する。
【0801】
図59は、表示CPU131にて実行されるラウンド演出用の演算処理を示すフローチャートである。ラウンド演出用の演算処理は、開閉実行モードに対応したデータテーブルが設定された場合に、タスク処理(図14)におけるステップS904の演出用演算処理にて起動される。
【0802】
先ずステップS3501では、開閉実行モードに対応したデータテーブルに基づいてラウンド演出の実行中であるか否かを判定する。開閉実行モードに対応したデータテーブルは、ラウンド演出としてラウンド動画が複数回再生されるよう設定されており、具体的には、ラウンド数と同じ回数だけラウンド動画が再生されるように設定されている。
【0803】
ラウンド演出が実行中でない場合には、ステップS3502に進み、開閉実行モードに対応したデータテーブルに基づいてラウンド動画の再生開始タイミングであるか否かを判定する。具体的には、開閉実行モードに対応したデータテーブルには、ラウンド動画を複数回再生させることに対応させて、ラウンド動画の再生開始タイミングが複数設定されている。当該再生開始タイミングは、ラウンド遊技の開始タイミングと同期しており、詳細にはラウンド遊技の開始タイミングよりも1処理回分(20msec)だけ前のタイミングとなるよう構成されている。
【0804】
なお、ラウンド動画像データRMD0をデコードするのに上記1処理回分の期間よりも長い期間を要する場合には、ラウンド動画の再生開始タイミングを、ラウンド遊技の開始タイミングよりも上記ラウンド動画像データRMD0をデコードするのに要する期間分だけ更に前に設定しておくとよい。これにより、デコードに要する期間によって生じ得るタイムラグに好適に対応することができる。要は、ラウンド動画の再生と、ラウンド遊技の開始とが同一タイミングとなるように、ラウンド動画像データRMD0をデコードするのに要する期間を考慮してラウンド動画の再生開始タイミングが設定されていればよい。
【0805】
ラウンド動画の再生開始タイミングでない場合には、そのまま本ラウンド演出用の演算処理を終了する一方、ラウンド動画の再生開始タイミングである場合には、ステップS3503に進み、ワークRAM132に設けられたラウンドカウンタエリアに記憶されているラウンドカウンタRCの更新処理を実行する。ラウンドカウンタRCは、表示制御装置130にてラウンド数を把握するためのものである。ラウンドカウンタRCは、開閉実行モードに対応したデータテーブルが設定された場合に初期値として「0」が設定される。
【0806】
ステップS3503では、ラウンドカウンタRCを1加算する処理を実行する。これにより、ラウンドカウンタRCを把握することにより、1の開閉実行モードにおいてラウンド動画が再生された回数を把握することができる。すなわち、ラウンドカウンタRCを把握することにより、現状行われているラウンド遊技が何ラウンド目であるかを特定することができる。
【0807】
その後、ステップS3504にて、開閉実行モードに対応したデータテーブルに基づいて、各種アドレスを把握する。具体的には、VRAM134の展開用バッファ141においてラウンド動画像データRMD0が格納されているアドレスと、当該ラウンド動画像データRMD0をデコードして複数フレーム分の静止画像データを作成した場合に、それら静止画像データを格納しておくエリアのアドレスと、を把握する。
【0808】
続くステップS3505では、VDP135にてラウンド動画像データRMD0をデコードするように指定するデコード指定情報を記憶して、本演算処理を終了する。
【0809】
上記演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理(ステップS806)において、ラウンド動画像データRMD0のデコード指定情報が設定された描画リストが作成され、VDP135に送信される。
【0810】
ラウンド演出が実行中である場合には、ステップS3506に進み、動画用オブジェクトを把握する。動画用オブジェクトは、静止画像データをマッピングするためのオブジェクトである。動画用オブジェクトは、矩形板状の板ポリゴンで構成されている。板ポリゴンはポリゴン数の少ないオブジェクトともいうことができ3次元方向への凹凸のない平面状に構成された低精細のデータである。
【0811】
動画用オブジェクトのサイズは、表示面G全体の画像を表示することが可能なサイズに設定されている。具体的には、動画用オブジェクトの板面のサイズが上記静止画像データと同一サイズに設定されている。
【0812】
動画用オブジェクトを把握した後は、ステップS3507にて、当該動画用オブジェクトに対してマッピングする静止画像データを特定するための処理を実行する。具体的には、ラウンド動画像データRMD0から作成された静止画像データのうち今回のフレーム番号に対応した静止画像データが格納されているアドレスを把握する。このアドレスの把握は、現状設定されている開閉実行モードに対応したデータテーブルに基づいて行われる。
【0813】
続くステップS3508では、動画用オブジェクトに適用されるパラメータを決定する演算処理を実行する。そして、ステップS3509にて、ラウンド動画像データRMD0から作成した静止画像データを使用することを示す動画像指定情報を記憶する。
【0814】
ステップS3509の処理の実行後は、ステップS3510?ステップS3518にて、挿入画像データIPD0に係る演算処理を実行する。
【0815】
先ず、ステップS3510にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて挿入キャラクタ画像が表示中であるか否かを判定する。挿入キャラクタ画像が表示中でない場合にはステップS3511に進み、挿入キャラクタ画像の表示開始タイミングであるか否かを判定する。
【0816】
具体的には、開閉実行モードに対応したデータテーブルには、ラウンド動画中に挿入キャラクタ画像の表示開始タイミング(挿入タイミング)が予め定められている。詳細には、挿入キャラクタ画像の挿入タイミングはラウンド動画の内容に対応させて設定されており、各移動キャラクタ画像MP1,MP2がフレームアウトしたタイミングと基準データRMD4の表示タイミングとの間、詳細には基準データRMD3の表示タイミングに設定されている。当該データテーブルに基づいて、挿入キャラクタ画像の挿入タイミングであるか否かを判定する。
【0817】
挿入キャラクタ画像の挿入タイミングである場合には、ステップS3512?ステップS3516にて挿入キャラクタ画像の挿入に係る処理を実行する。
【0818】
具体的には、先ずステップS3512にて、挿入画像データIPD0を描画するための挿入用オブジェクトを把握する。挿入用オブジェクトは、矩形板状の板ポリゴンで構成されている。板ポリゴンは、既に説明した通り、ポリゴン数の少ないオブジェクトともいうことができ3次元方向への凹凸のない平面状に構成された低精細のデータである。
【0819】
挿入用オブジェクトは、挿入画像データIPD0に対応させて設定されている。詳細には、挿入用オブジェクトの板面のサイズと挿入画像データIPD0のサイズとが同一となるように、挿入用オブジェクトのサイズが設定されている。これにより、圧縮等の特別な処理をすることなく、挿入用オブジェクトに対して挿入画像データIPD0をマッピングすることができ、当該マッピングにより挿入キャラクタ画像を表示させることができる。
【0820】
ここで、挿入画像データIPD0は、表示面Gにおいて部分的に表示される画像に係る画像データである。このため、当該挿入画像データIPD0に対応させて設定された挿入用オブジェクトは、表示面G全体の画像を表示させるのに用いられる動画用オブジェクトよりも小さく設定されている。
【0821】
挿入用オブジェクトを把握した後は、ステップS3513?ステップS3515にて、挿入用オブジェクトに対してマッピングする画像データ(テクスチャ)を把握する処理を実行する。この場合、現状のラウンド動画が何回目のラウンドであるかに応じて、マッピングする画像データを異ならせる。
【0822】
具体的には、先ずステップS3513にて、今回のラウンド演出が何回目のラウンドに対応したものであるかを把握する。具体的には、ラウンドカウンタRCを把握する。
【0823】
そして、ステップS3514にて、各挿入画像データIPD1,IPD2のうち、ステップS3513にて把握されたラウンドカウンタRCに対応した1の画像データを選択する。詳細には、ステップS3513にて把握されたラウンドカウンタRCが奇数である場合には、第1挿入キャラクタ画像IP1に対応する第1挿入画像データIPD1を選択し、ステップS3513にて把握されたラウンドカウンタRCが偶数である場合には、第2挿入キャラクタ画像IP2に対応する第2挿入画像データIPD2を選択する。そして、当該選択された挿入画像データのアドレスを設定する。
【0824】
その後、ステップS3515にて、挿入用オブジェクトの各種パラメータの演算処理を実行する。この場合、挿入用オブジェクトの座標は、ワールド座標系に変換した場合に表示面Gの中央に挿入キャラクタ画像が表示されるように設定されているとともに、動画用オブジェクトよりも前になるよう設定されている。
【0825】
その後、ステップS3516にて、挿入キャラクタ画像を表示することを示す画像挿入指定情報を設定し、本演算処理を終了する。
【0826】
上記演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理(ステップS806)において作成される描画リストには、動画指定情報が設定される。また、当該描画リストには、動画用オブジェクトが設定されるとともに、当該動画用オブジェクトに適用される各種パラメータが設定される。この場合、当該パラメータには、動画用オブジェクトに対してマッピングされる画像データ(テクスチャ)としてラウンド動画像データRMD0から作成された静止画像データのアドレスが含まれている。
【0827】
さらに、今回の演算処理が挿入キャラクタ画像の挿入タイミングである場合には、今回のラウンド演出に対応した挿入キャラクタ画像を表示するための情報、具体的には挿入用オブジェクト、及び当該挿入用オブジェクトに適用されるパラメータが設定されるとともに、画像挿入指定情報が設定される。この場合、上記パラメータには、挿入用オブジェクトに対してマッピングされる画像データ(テクスチャ)として、今回のラウンドに対応した挿入画像データのアドレスが含まれている。
【0828】
挿入キャラクタ画像が表示中である場合には、ステップS3510を肯定判定し、ステップS3517及びステップS3518にて、現状表示されている挿入キャラクタ画像の表示を維持する処理を実行する。具体的には、ステップS3517にて、挿入用オブジェクトを把握し、ステップS3518にて、現状設定されている挿入用オブジェクトのパラメータを維持する演算を行う。この場合、挿入用オブジェクトに対してマッピングされる挿入画像データのアドレスも維持する。そして、ステップS3516にて画像挿入指定情報を設定し、本演算処理を終了する。
【0829】
上記演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理(ステップS806)において作成される描画リストには、動画指定情報が設定されるとともに、今回のフレーム番号に対応した静止画像データに対応した画像を表示させるための情報が設定される。
【0830】
また、挿入キャラクタ画像が表示中である場合には、描画リストには、今回のラウンドに対応した挿入キャラクタ画像に対応した画像を表示するための情報が設定される。
【0831】
なお、ラウンド演出用の演算処理において、現在のラウンド遊技が何ラウンド目であるかを認識させるための個別画像の演算処理を実行する構成としてもよい。この場合、遊技者が今回のラウンド遊技が何ラウンド目であるかを容易に確認することができる。
【0832】
また、開閉実行モード中は、図柄用演算処理(ステップS905)はスキップするよう構成されている。これにより、開閉実行モード中は、図柄の変動表示が表示されないため、ラウンド動画像データRMD0によるラウンド動画に遊技者の注意を惹きつけることができるとともに、開閉実行モード中における処理負荷の軽減を図ることができる。なお、これに限られず、開閉実行モード中に図柄の変動表示を行わせる構成としてもよい。
【0833】
さらに、ラウンド動画の再生中は、背景用の設定処理(ステップS903)はスキップするよう構成されている。この場合であっても、動画用オブジェクトに対してラウンド動画像データRMD0から作成された静止画像データが貼り付けられることにより、表示面G全体に亘って上記静止画像データに係る画像が表示される。つまり、上記動画表示に係る画像が背景画像として機能する。これにより、背景用の設定処理に係る処理負荷分だけ、処理負荷の軽減を図ることができる。
【0834】
次に、VDP135の動画デコーダにて実行されるデコード処理について、図60のフローチャートを参照しながら説明する。当該デコード処理は、表示CPU131から送信される描画リストにいずれかのデコード指定情報が設定されている場合に起動される。また、当該デコード処理は、VDP135にて実行される描画処理(図16)とは非同期で起動される。
【0835】
先ずステップS3601では、描画リストにて指定されたアドレスの情報から、ラウンド動画像データRMD0のアドレスを把握する。続くステップS3602では、描画リストにて指定された展開先アドレスの情報から、ラウンド動画像データRMD0の展開先のエリアを把握する。
【0836】
続くステップS3603では、ステップS3601にて把握したアドレスからラウンド動画像データRMD0を読み出すとともに、当該ラウンド動画像データRMD0をデコードする。そして、そのデコード結果の各静止画像データを、ステップS3602にて把握したアドレスの各エリアに書き込む。その後、本デコード処理を終了する。
【0837】
ちなみに、デコード指定情報が設定された描画リストをVDP135が受信してから、ラウンド動画の1フレーム目の静止画像データを作成するまでに要する期間は、描画リストの受信周期(20msec)よりも小さく設定されている。これにより、デコード指定情報が設定された描画リストを受信してから、1フレーム目の静止画像データに対応したアドレスが設定された描画リストを受信するまでには、1フレーム目の静止画像データが作成されている。よって、アドレスに対応した静止画像データが存在しないという事態が発生しないようになっている。
【0838】
なお、デコード処理は、描画処理と非同期で起動される構成としたが、これに限られない。例えば、描画処理にて所定のエリアに書き込まれた静止画像データを用いた描画が完了したことに基づいて、新たなフレームに係る静止画像データを展開する構成としてもよい。この場合、デコードされた静止画像データが用いられる毎に静止画像データを順次展開するため、1度に全部を展開して保存する構成と比較して、静止画像データを書き込むためのエリアの領域を少なくすることができる。さらに、デコードしながらラウンド動画を再生する構成であるため、デコードによるタイムラグを小さくすることができる。
【0839】
次に、VDP135にて実行されるラウンド演出用の設定処理について、図61のフローチャートを参照しながら説明する。
【0840】
ラウンド演出用の設定処理は、描画処理(図16)のステップS1003にて実行される演出用の設定処理の一部の処理として実行される。また、描画リストにおいて動画像指定情報が設定されている場合に、当該ラウンド演出用の設定処理が実行される。
【0841】
先ずステップS3701では、描画リストにて設定されている動画用オブジェクトを把握し、ステップS3702にて、描画リストに基づいて当該動画用オブジェクトに対して適用される各種パラメータを把握する。
【0842】
その後、ステップS3703にて、動画用オブジェクトについてワールド座標系への設定処理を実行し、ステップS3704に進む。
【0843】
続くステップS3704では、描画リストにおいて画像挿入指定情報が記憶されているか否かを判定する。画像挿入指定情報が記憶されていない場合には、そのまま本設定処理を終了する一方、画像挿入指定情報が記憶されている場合には、ステップS3705にて今回の描画リストに設定されている挿入用オブジェクトを把握し、ステップS3706にて描画リストに基づいて挿入用オブジェクトに対して適用されるパラメータを把握する。そして、ステップS3707にて、挿入用オブジェクトについてワールド座標系への設定処理を実行し、本設定処理を終了する。
【0844】
上記のように設定処理が実行されることにより、ワールド座標系において動画用オブジェクトと挿入用オブジェクトとの配置が同時に開始される。この場合、動画用オブジェクトの前側に挿入用オブジェクトが重なるように配置される。
【0845】
次に、ラウンド演出用マッピング処理について図62のフローチャートを用いて説明する。当該ラウンド演出用マッピング処理は、描画処理(図16)の色情報の設定処理(ステップS1009)において、ラウンド演出に係る描画リスト(動画指定情報が設定された描画リスト)が作成された場合に起動される。
【0846】
先ず、ステップS3801では、今回の設定対象の静止画像データが格納されているアドレスの情報を、描画リストから把握する。続くステップS3802では、ステップS3801にて把握したアドレスの情報から今回の描画対象の静止画像データを把握する。続くステップS3803では、動画用オブジェクトに対してステップS3802にて把握した静止画像データをマッピングする。この場合、静止画像データの座標値は、動画用オブジェクトに対して予め設定されているUV座標値であり、動画用オブジェクトに対する静止画像データの貼付位置は一義的に決まっている。
【0847】
その後、ステップS3804では、今回の描画リストに画像挿入指定情報が設定されているか否かを判定する。画像挿入指定情報が設定されていない場合には、そのまま本処理を終了する一方、画像挿入指定情報が設定されている場合には、ステップS3805にて今回の描画リストに設定されている挿入キャラクタ画像データのアドレスの情報を把握する。
【0848】
ステップS3806では、ステップS3805にて把握したアドレスの情報から今回の描画対象の挿入画像データを把握する。その後、ステップS3807にて、挿入用オブジェクトに対してステップS3806にて把握した挿入キャラクタ画像データをマッピングして、本処理を終了する。
【0849】
以上の処理が実行されることにより、表示面Gにてラウンド動画像データRMD0に係るラウンド動画が再生されることとなる。また、画像挿入指定情報が設定されている場合には、当該ラウンド動画に対して重なるようにして挿入キャラクタ画像が表示される。
【0850】
ここで、ラウンド動画には、第2背景画像BP2のみが描画されており、各挿入キャラクタ画像は設定されていない。そして、ラウンド数に対応した挿入キャラクタ画像が第2背景画像BP2に対して重なるように表示される構成となっているため、挿入画像データIPD0を表示面G全体に表示される画像データとして用意する必要がない。これにより、挿入画像データIPD0のデータ量の削減を図ることができる。
【0851】
すなわち、表示面Gの一部を変更する場合には、共通した部分(第2背景画像BP2)に係るデータを動画像データに設定し、個別の部分(各挿入キャラクタ画像IP1,IP2)に係るデータを別に用意することにより、全体としてのデータ量の削減を図ることができる。
【0852】
また、動画像データの特性上、連続するフレーム毎に静止画像データを設定する必要がある。この必須の静止画像データを用いて第2背景画像BP2を描画することにより、必須の静止画像データを好適に利用することができ、ラウンド演出に係るデータ量の削減を図ることができる。
【0853】
さらに、例えば第2背景画像BP2に重ねて第2挿入キャラクタ画像IP2が描かれた画像に対して、第1挿入キャラクタ画像IP1を上書きしようとすると、真ん中に表示される女の子を消去するべく、当該女の子に対応した領域に対して第2背景画像BP2を描画する必要が生じることに起因して上書き対象となる領域が大きくなったり、消去対象となる領域とその他の領域とで異なるα値が設定されたαデータを別途設けたりする必要が生じ得る。このため、処理負荷の増大化が生じたり、データ量の増大化が生じたりする場合がある。これに対して、第2背景画像BP2に係る静止画像データを動画像データに設定し、変更対象となる挿入キャラクタ画像に係る画像データを動画像データとは別に用意することにより、上記不都合を回避することができる。
【0854】
なお、動画用オブジェクトの板面は平面であるため、静止画像データに係る画像が湾曲することがない。これにより、静止画像データに係る画像がそのまま表示されることとなる。
【0855】
また、動画用オブジェクト及び挿入用オブジェクトについては平行投影されるように構成されている。これにより、パースペクティブの関係上、表示面Gの縁側の画像が湾曲したりするのを抑えることができる。
【0856】
次にラウンド演出の様子について、図63を用いて説明する。図63は、ラウンド演出の様子を示すタイムチャートである。
【0857】
ラウンド演出の開始タイミングであるt1のタイミングでは、図63(a)に示すように、第1背景画像BP1及び各移動キャラクタ画像MP1,MP2が表示される。
【0858】
そして、時間の経過(フレーム番号の更新)に伴って、各移動キャラクタ画像MP1,MP2が所定方向に移動する。例えば、t2のタイミングでは、図63(b)に示すように、各移動キャラクタ画像MP1,MP2が波に乗って移動する様子が表示される。そして、各移動キャラクタ画像MP1,MP2がフレームアウトする。
【0859】
その後、画像挿入タイミングであるt3のタイミングにて、第2背景画像BP2を背景として挿入キャラクタ画像が表示される。この場合、今回のラウンド演出が奇数ラウンド目である場合には、図63(c-1)に示すように、第1挿入キャラクタ画像IP1が表示される。一方、今回のラウンド演出が偶数ラウンド目である場合には、図63(c-2)に示すように、第2挿入キャラクタ画像IP2が表示される。
【0860】
その後、t4のタイミングでは、図63(d)に示すように、第3移動キャラクタ画像MP3が表示される。そして、当該第3移動キャラクタ画像MP3が所定の動作を行った後、ラウンド演出が終了する。
【0861】
以上の通り、ラウンド遊技が開始される度にラウンド動画を再生する構成とし、更にラウンド動画の再生中に、当該ラウンド動画に係る画像に対して重なるように今回のラウンドに対応した挿入キャラクタ画像を表示させるラウンド演出を実行する構成とした。これにより、1のラウンド動画像データRMD0を用いて複数の表示態様の動画を視認させることができるため、ラウンド毎にラウンド動画像データRMD0を用意する構成と比較して、メモリモジュール133に記憶させておくデータ量を削減することができる。
【0862】
特に、開閉実行モードにおいては、同一の遊技、すなわち、ラウンド遊技が繰り返し行われる。この場合、ラウンド遊技が繰り返し行われることに対応させて、同一のラウンド演出を繰り返し実行する構成とすると、ラウンド演出への注目度が低下するおそれがある。かといって、ラウンド遊技毎に異なる動画表示を行う構成とすると、当該動画表示に係る動画像データのデータ量の増大化が懸念される。
【0863】
これに対して、本パチンコ機10によれば、ラウンド動画の再生中に、今回のラウンドに対応した挿入キャラクタ画像を表示させる構成とすることにより、同一のラウンド動画を用いて、ラウンド演出のバリエーションの多様化を図ることができる。
【0864】
なお、挿入画像データIPD0として第1挿入画像データIPD1及び第2挿入画像データIPD2の2種類を用意したが、これに限られず、例えばラウンド数分だけ挿入画像データを用意する構成としてもよい。この場合、各ラウンドに対して各挿入画像データを対応付けて設定するとよい。これにより、ラウンド演出の多様化を図るとともに、挿入画像データに基づいて表示される画像に基づいて今回のラウンド遊技が何ラウンド目であるかを把握することが可能となる。
【0865】
さらに、挿入画像データをラウンド数よりも多く用意し、各ラウンドにおける挿入キャラクタ画像の挿入タイミングにて、複数の挿入画像データのうち1の挿入画像データを選択する構成としてもよい。これにより、挿入される挿入キャラクタ画像のランダム性を高め、挿入キャラクタ画像への注目度を高めることができる。
【0866】
また、挿入キャラクタ画像が表示されている状況において、挿入画像データIPD0に適用されるパラメータは変更しない構成としたが、これに限られず、適用されるパラメータを順次更新する構成としてもよい。この場合、一律α値を更新する構成とすれば、挿入キャラクタ画像をフェードイン又はフェードアウトさせることが可能となり、倍率情報を更新する構成とすれば、挿入キャラクタ画像の拡大又は縮小表示を行うことが可能となる。
【0867】
挿入キャラクタ画像をフェードイン又はフェードアウトさせる場合には、挿入キャラクタ画像と、当該挿入キャラクタ画像の背面側に描画されている動画に係る画像とのブレンディング処理を実行する構成としてもよい。これにより、挿入キャラクタ画像と動画に係る画像との親和性を高めることができ、挿入キャラクタ画像と動画に係る画像とを同時に表示させることによって生じ得る違和感を軽減することができる。
【0868】
また、ラウンド動画に限られず、例えばスーパーリーチ表示を行う場合や、ノーマルリーチ表示を行う場合に本発明を適用してもよい。この場合、スーパーリーチ表示中に再生されるリーチ動画に係るリーチ動画像データを用意するとともに、当該リーチ動画の再生中に挿入される挿入画像の挿入画像データを複数種類用意する。そして、表示CPU131は、スーパーリーチ表示を行う場合に、複数種類の挿入画像データのうち1の画像データを抽選する処理を実行し、抽選された挿入画像データのアドレスをデータテーブルに設定する。そして、挿入画像の挿入タイミングである場合に、データテーブルに設定された挿入画像データのアドレスに基づいて、今回の挿入画像データを把握し、当該挿入画像データに基づいて描画を行わせる。これにより、1のリーチ動画像データを用いて、複数種類のスーパーリーチ表示を行うことが可能となる。
【0869】
また、上記構成では、ラウンド毎にラウンド動画を再生する構成としたが、これに限られず、例えば複数のラウンドに跨って再生される一連のムービーであってもよい。この場合、開閉実行モードが終了するまで繰り返し上記一連のムービーを再生させる構成とするとよい。この場合であっても、一連のムービーの途中に異なる挿入キャラクタ画像を挿入することにより異なるムービーのように認識させることができる。
【0870】
上記複数のラウンドに跨って一連のムービーを再生する場合、各ラウンド間のインターバル期間中に挿入キャラクタ画像を表示させる構成としてもよい。これにより、複数のラウンドに跨って再生されるムービーにおいてインターバル期間中であることを遊技者に好適に認識させることができる。
【0871】
また、基準データRMD3には、第2背景画像BP2のみが描画されていたが、これに限られず、例えば第1挿入キャラクタ画像IP1及び第2背景画像BP2双方が描画されたものとしてもよい。この場合、第1挿入キャラクタ画像IP1に対して第2挿入キャラクタ画像IP2が重なるように、第2挿入画像データIPD2の座標を設定するとよい。これにより、画像を挿入する場合と挿入しない場合とで異なるラウンド演出を表示させることができる。但し、動画像データを有効に活用できる点、奥側に表示される画像を上書きするために画像データのサイズを大きめに確保する必要がある点等を鑑みれば、基準データRMD3には、第2背景画像BP2のみが描画されている構成の方がよい。
【0872】
また、挿入キャラクタ画像を表示させる構成としたが、これに限られず、例えばt3のタイミング?t4のタイミングに亘って別の挿入用動画を再生する構成としてもよい。この場合、t3のタイミングにて挿入用動画を再生することができるように、当該t3のタイミングよりも前のタイミングにて挿入用動画のデコードを行うとよい。また、挿入用動画は、表示面Gにおける所定の領域に対応した動画としてもよいし、表示面G全体の動画としてもよい。
【0873】
上記構成では、一連のラウンド動画の再生中に、当該ラウンド動画に関連した挿入キャラクタ画像を表示させる構成としたが、これに限られず、ラウンド動画の態様とは関連しない特定画像をラウンド動画とは別に表示させる構成としてもよい。この場合、特定画像はラウンド動画が再生される期間のうち一部の期間において表示される構成としてもよいし、ラウンド動画が再生される期間全体に亘って表示させる構成としてもよい。
【0874】
特定画像としては、例えば現状のラウンドが何番目のラウンドであるかを遊技者に教示可能な教示画像や、又はラウンド動画の再生回数を教示可能な教示画像や、大当たり当選となった場合に表示面Gにて表示された大当たり図柄の組み合わせを構成した図柄画像又は当該図柄画像に対応した画像等としてもよい。
【0875】
この場合、例えば教示画像の表示に係る処理としては、ラウンド動画とは別に各種教示用の画像データ(教示用のオブジェクト及び教示用のテクスチャ)を用意して、ラウンド動画に係る画像に対して上記教示用のオブジェクト及び教示用のテクスチャを用いて作成される教示画像を挿入して表示させる構成や、所定の教示画像が含まれたラウンド動画を用意する構成が考えられる。
【0876】
上記所定の教示画像が含まれたラウンド動画を用意する構成において、教示画像の内容を変更する場合には、当該ラウンド動画に含まれている上記所定の教示画像に対して重なるように変更先の教示画像を描画する。具体的には、上記所定の教示画像が表示される領域に重なるように変更先の教示用のオブジェクトを配置する。これにより、ラウンド動画に含まれている上記所定の教示画像に対して変更先の教示画像が上書きされ、当該変更先の教示画像が表示されることとなる。
【0877】
かかる構成において、挿入キャラクタ画像を挿入表示する場合、当該挿入キャラクタ画像によって上記教示画像が上書きされないように、挿入用オブジェクトと教示用のオブジェクトとの位置関係を設定する。具体的には、ワールド座標系において、視点に対して挿入用オブジェクトよりも近い側に教示用のオブジェクトが配置されるように両者の座標を設定する。これにより、教示画像が挿入キャラクタ画像によって見えなくなるという不都合を回避することができる。
【0878】
また、2次元表示を行う構成に対して上記画像挿入の発明を適用してもよい。具体的には、例えば挿入する画像に対応した画像データをスプライトデータとしてメモリモジュール133に対して予め記憶させておくとともに、当該スプライトデータに適用される各種パラメータ情報を記憶させておく。そして、動画像データをデコードすることにより作成される静止画像データをフレームバッファ142に書き込み、当該フレームバッファ142に対して挿入する画像に係るスプライトデータを書き込む処理を実行すればよい。
【0879】
<ラウンド演出を行う場合の別形態>
ラウンド演出を行う場合の別形態について図64?図68を用いて説明する。
【0880】
本別形態では、ラウンド動画像データRMD0の構成が異なっている。その異なる点について図64を用いて説明する。図64は、本別形態におけるラウンド動画像データRMD0の構成を説明するための説明図である。
【0881】
本別形態では、ラウンド動画像データRMD0は、挿入キャラクタ画像が表示されるタイミングにて分割されており、詳細には、ラウンド動画の開始タイミングから、当該各移動キャラクタ画像MP1,MP2がフェードアウトするまでの第1ラウンド動画に対応した第1ラウンド動画像データRMD0aと、第3移動キャラクタ画像MP3が表示されてからラウンド動画の終了タイミングまでの第2ラウンド動画に対応した第2ラウンド動画像データRMD0bと、に分割されている。
【0882】
第1ラウンド動画像データRMD0a及び第2ラウンド動画像データRMD0bの圧縮態様について図65を用いて説明する。図65は各ラウンド動画像データRMD0a,RMD0bの圧縮態様を説明するための説明図であって、図65(a)は第1ラウンド動画像データRMD0aの圧縮態様を説明するための説明図、図65(b)は第2ラウンド動画像データRMD0bの圧縮態様を説明するための説明図、図65(c)は各ラウンド動画像データRMD0a,RMD0bのビットレートを説明するためのグラフである。
【0883】
既に説明した通り、第1ラウンド動画像データRMD0aと、第2ラウンド動画像データRMD0bとは、符号化された圧縮データであり、基準データと、差分データとを有している。この場合、各ラウンド動画の再生時間が同一であり且つ各ラウンド動画像データRMD0a,RMD0bに含まれる基準データが同一であっても、ラウンド動画の内容に応じて、第1ラウンド動画像データRMD0a及び第2ラウンド動画像データRMD0bのデータ量が異なる場合が生じる。
【0884】
具体的には、第1ラウンド動画と第2ラウンド動画とを比較すると、第1ラウンド動画の方が第2ラウンド動画よりも移動対象キャラクタの数が多い分だけ、第1ラウンド動画の方が、第2ラウンド動画よりも動きが激しいとともに、複雑なもの(高精細なもの)となっている。このため、図65(a-1)及び図65(b-1)に示すように、第1ラウンド動画像データRMD0aの差分データは、第2ラウンド動画像データRMD0bの差分データよりも大きくなる。
【0885】
ここで、ラウンド動画像データRMD0全体で割り当てることが可能なデータ量は予め定められており、当該データ量に合うように各ラウンド動画像データRMD0a,RMD0bを調整する必要がある。この場合、各ラウンド動画像データRMD0a,RMD0bのビットレートを調整することにより、ラウンド動画全体の画質を維持しつつ、所望のデータ量に設定することができる。
【0886】
具体的には、動きが少ないもの又は比較的複雑でないもの(低精細なもの)に対してはビットレートを下げても画質は低下しにくい。一方、動きが大きいものや比較的複雑なものに対してビットレートを下げると、ブロックノイズやモスキートノイズが大量に発生し、画質が大きく低下する。このため、図65(a-2)に示すように、第1ラウンド動画像データRMD0aに対しては比較的大きなビットレートを割り当てることで、比較的大きなデータ量(FS1)を確保し、第1ラウンド動画の画質の低下を抑制する。一方、図65(b-2)に示すように、第2ラウンド動画像データRMD0bに対しては比較的小さなビットレートを割り当てることで、比較的小さなデータ量(FS2)を確保し、第2ラウンド動画像データRMD0bのデータ量の削減を図ることができる。これにより、ラウンド演出で用いられる一連のラウンド動画の画質の低下を抑制することができる。
【0887】
すなわち、図65(c)に示すように、第1ラウンド動画像データRMD0aのビットレートを上げ、第2ラウンド動画像データRMD0bのビットレートを下げて設定することにより、各ラウンド動画像データRMD0a,RMD0bが同一のビットレートで設定される場合(図65(c)の点線参照)と比較して、トータルのデータ量が同一にも関わらず、ラウンド動画の画質の低下が抑制されている。これにより、ラウンド動画像データRMD0を所望のデータ量に設定しつつ、ラウンド動画の画質の低下を抑制することができる。
【0888】
ちなみに、各ラウンド動画像データRMD0a,RMD0bを作成する段階における圧縮処理について詳細に説明すると、各ラウンド動画像データRMD0a,RMD0bは、複数回(具体的には2回)に亘る圧縮処理を行うことにより作成されている。具体的には、先ず1回目の圧縮処理では、予め設定されたラウンド動画像データRMD0全体のデータ量を把握し、そのデータ量となるように各ラウンド動画像データRMD0a,RMD0bに対して割り当てる各データ量FS1,FS2を把握し、それらの各データ量FS1、FS2に対応したビットレートを把握する。そして、2回目の圧縮処理にて、1回目の圧縮処理にて把握されたビットレートを用いて実際の圧縮処理を実行する。これにより、ラウンド動画像データRMD0が予め設定されたデータ量となるようになっている。
【0889】
ここで、各ラウンド動画像データRMD0a,RMD0bの圧縮においては、それぞれ個別に設定されたビットレートに基づくデータ量となるように、差分データを簡略化することにより差分データを圧縮し、基準データは簡略化されないようになっている。基準データは各差分データ(Pピクチャデータ及びBピクチャデータ)の基準となるデータであるため、基準データの画質が低下すると、フレーム間圧縮による誤差に起因するラウンド動画全体の画質が著しく低下するからである。
【0890】
また、本別形態では、挿入画像データIPD0が異なっている。具体的には、本別形態における挿入画像データIPD0のサイズは、当該挿入画像データIPD0に係る画像が表示面G全体に表示可能となるように設定されている。そして、挿入画像データIPD0には、第2背景画像BP2に重ねて第1挿入キャラクタ画像IP1が描画された挿入画像データと、第2背景画像BP2に重ねて第2挿入キャラクタ画像IP2が描画された挿入画像データと、が設けられている。すなわち、本別形態の挿入画像データIPD0は、表示面G全体に表示される一枚の画像そのものを示すものである。なお、以降の説明において挿入画像データIPD0を用いて表示される画像、すなわち第2背景画像BP2に重ねて各挿入キャラクタ画像IP1,IP2のいずれが描画された画像を単に挿入画像とも言う。
【0891】
本別形態では、これら分割された各ラウンド動画像データRMD0a,RMDbを所定の間隔を介して順次デコードし、第1ラウンド動画及び第2ラウンド動画を所定の間隔を介して順次再生するとともに、当該間隔中に上記挿入画像データIPD0を用いて、第2背景画像BP2と、各挿入キャラクタ画像IP1,IP2のいずれか一方とが一体となった挿入画像を表示させることにより、一連のラウンド動画を再生させる。
【0892】
次に、本別形態におけるラウンド演出用の演算処理について図66のフローチャートを用いて説明する。
【0893】
先ず、ステップS3901では、現状設定されているデータテーブル、詳細には開閉実行モードに対応したデータテーブルに基づいて、挿入キャラクタ画像が表示中であるか否かを判定する。挿入キャラクタ画像が表示中でない場合には、ステップS3902に進み、現状設定されているデータテーブルに基づいて挿入キャラクタ画像の表示開始タイミングであるか否かを判定する。挿入キャラクタ画像の表示開始タイミングは、開閉実行モードに対応したデータテーブルに予め定められており、詳細には第1ラウンド動画の終了タイミングと同一に設定されている。
【0894】
挿入キャラクタ画像の表示開始タイミングでない場合には、ステップS3903に進み、現状設定されているデータテーブルに基づいてラウンド動画に係る演出が実行中であるか否かを判定する。この場合、第1ラウンド動画又は第2ラウンド動画に係る演出が実行中であるか否かを判定する、
ラウンド動画に係る演出が実行中でない場合には、ステップS3904にて第1ラウンド動画の再生開始タイミングであるか否かを判定する。第1ラウンド動画の再生開始タイミングでない場合には、そのまま本演算処理を終了する一方、第1ラウンド動画の再生開始タイミングである場合には、ステップS3905にてラウンドカウンタRCを1加算する処理を実行し、ステップS3906及びステップS3907にて、第1ラウンド動画像データRMD0aのデコードに係る処理を実行する。
【0895】
詳細には、ステップS3906にて、VRAM134の展開用バッファ141において第1ラウンド動画像データRMD0aが格納されているアドレスと、当該第1ラウンド動画像データRMD0aをデコードして複数フレーム分の静止画像データを作成した場合に、それら静止画像データを格納しておくエリアのアドレスと、を把握する。
【0896】
そして、ステップS3907では、第1ラウンド動画像データRMD0aのデコード指定情報を設定し、本演算処理を終了する。
【0897】
上記演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理(ステップS806)において、第1ラウンド動画像データRMD0aのデコード指定情報が設定された描画リストが作成され、VDP135に送信される。VDP135の動画レコーダは、上記デコード指定情報が設定された描画リストを受信したことに基づいて、第1ラウンド動画像データRMD0aのデコード処理を実行する。当該デコード処理は、既に説明した通りであるため、説明を省略する。
【0898】
ラウンド動画に係る演出が実行中である場合には、ステップS3908?ステップS3910にてラウンド動画に対応した静止画像データを描画対象として設定する処理を実行する。この場合、デコードされているラウンド動画像データRMD0が第1ラウンド動画像データRMD0aである場合には、第1ラウンド動画に係る静止画像データが描画対象として設定される一方、デコードされているラウンド動画像データRMD0が第2ラウンド動画像データRMD0bである場合には、第2ラウンド動画に係る静止画像データが描画対象として設定される。なお、当該処理の具体的な構成については、既に説明した通りであるため、説明を省略する。
【0899】
その後、ステップS3911にて、ラウンド演出を実行することをVDP135にて特定させるためのラウンド演出指定情報を設定し、本演算処理を終了する。
【0900】
上記演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理(ステップS806)において、動画用オブジェクトが描画対象として設定されるとともに、当該動画用オブジェクトに対して適用される各種パラメータが設定される。当該各種パラメータには、動画用オブジェクトに対してマッピングされる画像データとして静止画像データのアドレスが含まれている。
【0901】
一方、挿入キャラクタ画像の表示開始タイミングである場合には(ステップS3902:YES)、ステップS3912?ステップS3915にて、挿入キャラクタ画像を描画対象として設定する処理を実行する。
【0902】
ここで、本別形態の挿入用オブジェクトのサイズは、挿入画像データIPD0のサイズに対応させて設定されている。具体的には、挿入画像データIPD0のサイズと同一になるように挿入用オブジェクトのサイズが設定されている。つまり、本別形態においては、挿入用オブジェクトと動画用オブジェクトとは同一である。
【0903】
なお、ステップS3912?ステップS3915の具体的な処理構成は既に説明した通りであるため、説明を省略する。
【0904】
ステップS3912?ステップS3915の処理の実行後は、ステップS3911にてラウンド演出指定情報を設定し、本演算処理を終了する。
【0905】
上記演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理(ステップS806)において、挿入用オブジェクトが描画対象として設定されるとともに、当該挿入用オブジェクトに対して適用される各種パラメータが設定される。当該各種パラメータには、挿入用オブジェクトに対してマッピングされる画像データとして今回のラウンド遊技に対応した挿入画像データのアドレスが含まれる。
【0906】
ここで、挿入用オブジェクトのサイズは表示面G全体に対応したものとなっており、且つ当該挿入用オブジェクトにマッピングされる挿入画像データIPD0のサイズは表示面G全体に対応したものに設定されている。そして、本別形態における挿入画像データIPD0には、第2背景画像BP2が予め描画されている。これにより、本別形態においては、挿入画像は背景画像として機能する。すなわち、本別形態において挿入画像は、背景画像とキャラクタ画像とを合わせた1の画像であると言える。これにより、ラウンド動画が再生されない状況であっても表示面G全体に所定の画像が表示される。
【0907】
挿入キャラクタ画像が表示中である場合(ステップS3901:YES)、ステップS3916に進み、現状設定されているデータテーブルに基づいて第2ラウンド動画の再生開始タイミングであるか否かを判定する。第2ラウンド動画の再生開始タイミングは、挿入画像の表示開始タイミング(第1ラウンド動画の終了タイミング)から所定期間が経過したタイミングに設定されている。
【0908】
第2ラウンド動画の再生開始タイミングでない場合には、ステップS3917及びステップS3918にて、挿入画像の表示を維持するための処理を実行し、ステップS3911にてラウンド演出指定情報を設定し、本演算処理を終了する。これらの処理は、既に説明した通りであるため、説明を省略する。
【0909】
一方、第2ラウンド動画の再生開始タイミングである場合には、ステップS3919及びステップS3920にて、第2ラウンド動画を再生させるための処理を実行する。具体的には、ステップS3919にて、VRAM134の展開用バッファ141において第2ラウンド動画像データRMD0bが格納されているアドレスと、当該第2ラウンド動画像データRMD0bをデコードして複数フレーム分の静止画像データを作成した場合に、それら静止画像データを格納しておくエリアのアドレスと、を把握する。
【0910】
そして、ステップS3920では、第2ラウンド動画像データRMD0bのデコード指定情報を設定し、本演算処理を終了する。
【0911】
上記演算処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理(ステップS806)において、第2ラウンド動画像データRMD0bのデコード指定情報が設定された描画リストが作成され、VDP135に送信される。VDP135の動画レコーダは、上記デコード指定情報が設定された描画リストを受信したことに基づいて、第2ラウンド動画像データRMD0bのデコード処理を実行する。
【0912】
かかる処理によれば、第1ラウンド動画又は第2ラウンド動画の再生中である場合には、動画用オブジェクトが描画対象として設定された描画リストが作成される一方、第1ラウンド動画の終了タイミングと第2ラウンド動画の開始タイミングとの間の期間中は、挿入用オブジェクトが描画対象として設定された描画リストが作成される。この場合、1の描画リストに、動画用オブジェクトと挿入用オブジェクトとの双方が設定されないようになっている。
【0913】
ちなみに、ステップS3919及びステップS3920の処理を実行した処理回に対して次の処理回以降は、ステップS3908?ステップS3911の処理が実行される。これにより、第2ラウンド動画に係る静止画像データが動画用オブジェクトに対してマッピングされる画像データとして設定されることとなる。
【0914】
以上説明した通り、ラウンド演出用の演算処理では、1処理回毎に今回の描画対象が設定される。これにより、1処理回毎に描画リストが設定され、VDP135では1処理回毎に画像が更新されるように描画処理が実行される。つまり、1フレーム毎に画像の更新が行われ、ラウンド動画が再生される期間に亘って、フレームレートは同一に設定されている。
【0915】
次に、本別形態におけるラウンド演出用の設定処理について図67(a)のフローチャートを用いて説明する。本別形態におけるラウンド演出用の設定処理は、受信した描画リストにラウンド演出指定情報が設定されている場合には、起動するよう構成されている。
【0916】
先ず、ステップS4001では、描画対象となるオブジェクトを把握する。具体的には、第1ラウンド動画又は第2ラウンド動画が再生中である場合には、動画用オブジェクトが把握される。一方、第1ラウンド動画の終了タイミングと第2ラウンド動画の開始タイミングとの間の期間中である場合には、挿入用オブジェクトが把握される。
【0917】
その後、ステップS4002にて、描画リストに基づいて、描画対象のオブジェクトに適用されるパラメータを把握する。その後、ステップS4003にて、上記ステップS4001にて把握された動画用オブジェクトについてワールド座標系への設定処理を実行し、本設定処理を終了する。
【0918】
次に、本別形態のラウンド演出用マッピング処理を図67(b)のフローチャートを用いて説明する。
【0919】
先ず、ステップS4101では、描画対象となるオブジェクトに対して適用されるパラメータのうち、マッピングする画像データ(テクスチャ)のアドレスを把握する。この場合、描画リストに動画用オブジェクトが設定されている場合には、フレーム番号に対応した静止画像データのアドレスを把握する一方、描画リストに挿入用オブジェクトが設定されている場合には、今回のラウンド遊技に対応した挿入画像データIPD0のアドレスを把握する。
【0920】
続くステップS4102では、上記ステップS4101にて把握されたアドレスに基づいて、マッピングする画像データ(テクスチャ)を把握する。そして、ステップS4103では、描画対象となるオブジェクトに対して上記ステップS4102にて把握された画像データをマッピングして、本マッピング処理を終了する。
【0921】
次に、本別形態におけるラウンド演出の実行態様を図68のタイムチャートを用いて説明する。図68(a)は第1ラウンド動画の再生期間を示すタイムチャート、図68(b)は挿入画像の表示期間を示すタイムチャート、図68(c)は第2ラウンド動画の再生期間を示すタイムチャートである。
【0922】
先ず、図68(a)に示すように、ラウンド遊技の開始タイミングであるt11のタイミングにて、表示面Gにて第1ラウンド動画の再生が開始される。そして、t12のタイミングにて第1ラウンド動画が終了すると、図68(a)及び図68(b)に示すように、表示面Gには、第1ラウンド動画に代えて挿入画像データIPD0に係る挿入画像が表示される。詳細には、第2背景画像BP2に重なるようにして、第1挿入キャラクタ画像IP1又は第2挿入キャラクタ画像IP2が表示される。
【0923】
その後、図68(b)及び図68(c)に示すように、t13のタイミングにて挿入画像に代えて第2ラウンド動画が開始され、t14のタイミングにて当該第2ラウンド動画が終了する。これにより、表示面Gにて、第1ラウンド動画→挿入画像→第2ラウンド動画の順に画像が表示される1連のラウンド演出が行われることとなる。
【0924】
そして、次のラウンド遊技の開始タイミングであるt15のタイミングにて、再度第1ラウンド動画から順次再生される。
【0925】
以上詳述した本実施の形態によれば、1連のラウンド動画に係るラウンド動画像データRMD0を、ラウンド動画中の動きの激しさに応じて複数の単位データ(第1ラウンド動画像データRMD0a及び第2ラウンド動画像データRMD0b)に分割した。そして、各ラウンド動画像データRMD0a,RMD0b毎にビットレートを調整することにより、ラウンド動画像データRMD0を予め定められたデータ量に設定しつつ、効率的な画質調整を行うことができる。
【0926】
詳細には、第1ラウンド動画中の動きが比較的激しいことに起因して差分データが比較的大きくなり易いことが想定される第1ラウンド動画像データRMD0aに対しては、比較的高いビットレートでエンコード処理を行うことにより、第1ラウンド動画の画質を維持することができる。一方、第2ラウンド動画中の動きが比較的穏やかであることに起因して差分データが比較的小さくなり易いことが想定される第2ラウンド動画像データRMD0bに対しては、比較的低いビットレートでエンコード処理を行うことにより、画質を維持しつつ、第2ラウンド動画像データRMD0bのデータ量の削減を図ることができる。
【0927】
特に、ラウンド動画像データRMD0のデータ量を抑える点に着目すれば、ラウンド動画のフレームレート、具体的には画像の更新タイミングを抑制することも考えられる。しかしながら、フレームレートを変更する構成とすると、現状のフレームレートを把握するための処理等のフレームレートを変更するための処理が別途必要なり、処理負荷の増大化及び上記処理に係るプログラム容量の増大化が懸念される。
【0928】
これに対して、本別形態によれば、上記フレームレートの変更に係る処理を実行することなく、ラウンド動画像データRMD0のデータ量を抑制することができる。すなわち、データ量の削減を、処理により補償する構成ではなく圧縮態様で実現している。これにより、パチンコ機10に係る処理負荷の増大化を抑制しつつ、ラウンド動画像データRMD0のデータ量の削減を図ることができる。
【0929】
また、エンコード処理が行われた動画像データのデータ量は、差分データのデータ量に関わらずビットレートに依存する。つまり、エンコーダは、差分データのデータ量に関わらず動画像データのデータとしてビットレートに対応したデータ量を確保することとなる。この場合、差分データが小さくなり易いことが想定される動画に対して比較的高いビットレートでエンコード処理を行った場合、実際には何もデータが格納されていない無駄なデータ量を確保することとなり、データ量の無駄が発生する。これに対して、本別形態によれば、上記無駄なデータの発生を抑制することができるため、データ量の削減を図ることができる。
【0930】
また、第1ラウンド動画と第2ラウンド動画との間に挿入画像を表示させ、当該挿入画像を、現在のラウンド演出に係るラウンドに応じて異ならせる構成とした。これにより、1のラウンド動画像データRMD0を用いて、複数態様のラウンド演出を行うことができる。よって、複数態様のラウンド演出を好適に行いつつ、データ量の削減を図ることができる。
【0931】
さらに、第1ラウンド動画像データRMD0aをデコードするタイミングと、第2ラウンド動画像データRMD0bをデコードするタイミングとが異なるため、ラウンド動画を再生するためのデコードに係る処理負荷が分散されている。これにより、局所的な処理負荷の増大に起因する処理落ちの発生を抑制することができる。
【0932】
なお、本別形態では、ラウンド動画中において場面が切り換わることにより、動きの激しさや複雑さが異なる構成としたが、これに限られず、場面の切り換わりと、動きの激しさ等とが、同期しない構成としてもよい。この場合、場面の切り換わり毎に動画像データを分割する構成としてもよい。これにより、各場面毎に複数の単位動画像データを用意し、これら単位動画像データを組み合わせることにより、一連のラウンド動画の多様化を図ることができる。また、組み合わせ毎に一連の動画像データを用意する構成と比較して、動画像データに係るデータ量の削減を図ることができる。但し、ビットレートの割り当てを好適に行うことができる観点に着目すれば、動きの激しさ等を基準にラウンド動画像データRMD0を分割する構成の方が好ましい。
【0933】
また、1のラウンド動画を2つの動画像データに分割したが、これに限られず、3つ以上の動画像データに分割する構成としてもよい。但し、動画像データの特性上、1の動画像データ中に、差分データの基準となる規準データが設けられている必要がある。当該基準データは、圧縮対象とはならない又は圧縮するとしても圧縮率が差分データと比較して小さい。このため、ラウンド動画像データRMD0全体のデータ量が却って増大化するおそれがある。よって、1のラウンド動画像データRMD0を複数の動画像データに分割することに起因する基準データの増加と、ビットレートとの調整によるラウンド動画像データRMD0全体のデータ量の削減と、の関係を考慮して、動画像データの分割態様を決定するとよい。具体的には、分割によって生じ得る基準データの増加に起因するデータ量の増加量が、分割した動画像データのビットレート調整により確保可能なデータ量の削減量よりも小さい場合には、動画像データを分割し、上記増加量が上記削減量よりも大きい場合には、分割することなく1の動画像データとして扱うとよい。
【0934】
また、各ラウンド動画像データRMD0a,RMD0bは基準データのデータ量が同一であると仮定したが、これに限られず、異なる構成であってもよい。また、各ラウンド動画像データRMD0a,RMD0bにより再生される各ラウンド動画の再生時間は同一と仮定したが、これに限られず、異なる構成であってもよい。これらの場合であっても、各ラウンド動画像データRMD0a,RMD0bに係るビットレートを調整することにより、ラウンド動画像データRMD0全体のデータ量を好適に調整することができる。
【0935】
また、第1ラウンド動画と第2ラウンド動画との間に所定の期間を設ける構成としたが、これに限られず、例えば第1ラウンド動画と第2ラウンド動画とを連続して表示させる構成としてもよい。この場合、挿入画像を表示しない構成としてもよく、第1ラウンド動画中、第2ラウンド動画中、又は各ラウンド動画に跨って挿入画像を表示する構成としてもよい。
【0936】
<砂浜背景画像を表示するための構成及び砂浜疾走演出を行うための構成>
次に、砂浜背景を表示するための構成及び砂浜疾走演出を行うための構成について説明する。
【0937】
砂浜背景画像は、砂浜から海を見た場合の画像であり、所定の周期で波が砂浜に打ち寄せられている様子を示す画像である。砂浜背景画像は、図柄の変動表示が行われる場合の背景画像として用いられる。
【0938】
砂浜疾走演出は、開閉実行モードにおけるラウンド遊技が行われている場合に実行され得る演出である。詳細には、砂浜疾走演出は、開閉実行モードに移行する場合に実行される演出抽選処理にて当該砂浜疾走演出を行うことに当選した場合に実行される演出である。
【0939】
砂浜疾走演出は、複数の図柄画像が砂浜を疾走する演出である。当該演出では、砂浜背景画像に描かれた風景を別の角度、詳細には当該風景をローアングルから見た場合の画像が背景画像として用いられる。
【0940】
ここで、本パチンコ機10には、投影パターンとして透視投影と平行投影とが設定されており、表示する画像の内容に応じてこれらの投影パターンを使い分けている。透視投影とは、ワールド座標系に配置された各オブジェクトを所定の視点から見た状態で投影することをいい、具体的には各オブジェクトの各ポリゴンの頂点が所定の視点に向けて直線的に移動するように投影することをいう。これにより、視点からの距離に応じて各オブジェクトに係る画像は変化するように表示される。
【0941】
これに対して、平行投影は、各オブジェクトをスクリーン領域PC12から見たそのままの状態で投影することをいい、具体的には各オブジェクトの各ポリゴンの頂点がスクリーン領域PC12に対して垂直に移動するように投影することをいう。これにより、所定の視点からの距離に関わらず、各オブジェクトの各画像は常に一定の大きさで表示される。これらの投影パターンの使い分けについては後述する。
【0942】
砂浜背景画像の表示に際しては、複数のオブジェクトと、当該各オブジェクトそれぞれに対応させて設定された複数のテクスチャが用いられる。
【0943】
砂浜背景画像の表示に用いられる複数のオブジェクトについて図69を用いて説明する。図69は各オブジェクトOB1?OB4を説明するための説明図である。
【0944】
なお、以降の説明において、特に断りがない限り、ワールド座標系を基準として説明し、視点は+Z方向を向いているとする。
【0945】
図69(a)に示すように、砂浜背景画像の表示に係るオブジェクトとして、砂浜を表示にするのに用いられる砂浜オブジェクトOB1、波を表示するのに用いられる波オブジェクトOB2、海を表示するのに用いられる海オブジェクトOB3及び空を表示するのに用いられる空オブジェクトOB4が設定されている。各オブジェクトOB1?OB4は矩形の板ポリゴンで構成されており、その長手方向のサイズはスクリーン領域PC12の長手方向のサイズよりも大きく設定されている。
【0946】
各オブジェクトOB1?OB4は、特定視点PV1から透視投影された場合に、砂浜から見た海の映像となるように配置される。具体的には、ワールド座標系における特定視点PV1から見て奥行き方向(+Z方向)に向かって、砂浜オブジェクトOB1、波オブジェクトOB2、海オブジェクトOB3、空オブジェクトOB4の順番に配置されるように各オブジェクトOB1?OB4の座標が設定されている。
【0947】
また、図69(b)に示すように、砂浜オブジェクトOB1、波オブジェクトOB2及び海オブジェクトOB3はスクリーン領域PC12(投影平面)に対して傾斜して配置されている。これにより、特定視点PV1から透視投影した場合に、各オブジェクトOB1?OB3により表示される個別画像毎に遠近感(奥行き感)を付与することができる。
【0948】
また、隣接するオブジェクトの一部がオーバーラップして重なり合うように配置されており、各オブジェクトOB1?OB3が連続している。具体的には、波オブジェクトOB2の手前側の端部が砂浜オブジェクトOB1の奥側の端部の上に重なっており、海オブジェクトOB3の手前側の端部が波オブジェクトOB2の奥側の端部の上に重なっている。この場合、波オブジェクトOB2は、砂浜オブジェクトOB1及び海オブジェクトOB3に対してオーバーラップしているため、波オブジェクトOB2が傾斜方向に移動しても各オブジェクトOB1?OB3間の連続性は確保されている。
【0949】
なお、空オブジェクトOB4は、海オブジェクトOB3の奥側の端部から連続するように配置されている。当該空オブジェクトOB4は+Y方向に起立して配置されている。
【0950】
各オブジェクトOB1?OB4に対応させて、複数のテクスチャTD1?TD4が設けられている。これら各テクスチャTD1?TD4について図70を用いて説明する。図70は、各テクスチャTD1?TD4を説明するための説明図である。なお、図面の関係上、各テクスチャTD1?TD4のうち一部を示す。また、2点鎖線は投影領域を示す。
【0951】
図70に示すように、各テクスチャTD1?TD4は、各オブジェクトOB1?OB4に対応させて矩形の画像データとして設定されている。各テクスチャTD1?TD4には、それぞれ貼り付けられるオブジェクトに対応した画像が描かれており、具体的には、砂浜オブジェクトOB1に対応するテクスチャとして砂浜が描かれた砂浜テクスチャTD1が設けられており、波オブジェクトOB2に対応するテクスチャとして波が描かれた波テクスチャTD2が設けられており、海オブジェクトOB3に対応するテクスチャとして海が描かれた海テクスチャTD3が設けられており、空オブジェクトOB4に対応するテクスチャとして空が描かれた空テクスチャTD4が設けられている。
【0952】
ここで、各テクスチャTD1?TD4は、特定視点PV1から各オブジェクトOB1?OB3を見た場合に奥行き感のある砂浜背景画像となるように設定されている。具体的には、特定視点PV1から実際に見た場合の映像に対応したものであって、全体として所定のパースペクティブが掛かった(遠近感が生じる)画像データが各テクスチャTD1?TD4として設定されている。この場合、各テクスチャTD1?TD4は、各オブジェクトOB1?OB4により表示される各個別画像間のパースペクティブ(遠近感)が整合するように、特定視点PV1と各オブジェクトOB1?OB4との距離に対応させて設定されている。これにより、各オブジェクトOB1?OB4が連続して配置されている状況において特定視点PV1から各オブジェクトOB1?OB4を透視投影した場合に、パースペクティブの整合性が取れた奥行き感のある砂浜背景画像が生成されることとなる。
【0953】
以上の通り、各オブジェクトOB1?OB4を連続させながらスクリーン領域PC12(YZ平面)に対して傾けて配置するとともに、当該各オブジェクトOB1?OB4に対して貼り付ける各テクスチャTD1?TD4として、特定視点PV1から見た映像に対応したものであって、全体として所定のパースペクティブが掛かるように各個別画像間のパースペクティブの整合性を取った画像データを用いることにより、板ポリゴンを用いて奥行き感のある砂浜背景画像を作成することができる。これにより、比較的少ない処理負荷及びデータ量で、現実感のある画像を遊技者に対して視認させることができる。
【0954】
ちなみに、各個別画像に係るパースペクティブは、各テクスチャTD1?TD4の画像データよりも、特定視点PV1及び各オブジェクトOB1?OB4間の距離の方が支配的になっている。つまり、各個別画像に係るパースペクティブは、上記距離の変化に対して大きく変化する。
【0955】
次に、砂浜疾走演出について説明する。
【0956】
砂浜疾走演出とは、連続する複数フレームに亘って、複数の図柄画像が所定の方向に向けて砂浜を走っているように表示される演出である。この演出では、砂浜背景画像を表示するのに用いた各オブジェクトOB1?OB4及び各テクスチャTD1?TD4が用いられる。
【0957】
ここで、砂浜疾走演出で用いられる背景画像(以降、砂浜背景画像と区別するために演出用背景画像という)は、砂浜背景画像とは視点が異なっている。このため、特定視点PV1に基づいて決定された各テクスチャTD1?TD4を用いると、パースペクティブの整合性が取れなくなり、違和感のある画像となってしまう。
【0958】
当該現象について図71を用いて説明する。図71は、パースペクティブの変化を説明するための説明図である。なお、説明の便宜上、波オブジェクトOB2及び空オブジェクトOB4を省略し、砂浜オブジェクトOB1及び海オブジェクトOB3を連続させたもので説明する。
【0959】
既に説明した通り、砂浜オブジェクトOB1及び海オブジェクトOB3はスクリーン領域PC12に対して傾斜しているため、特定視点PV1及び各オブジェクトOB1,OB3間の距離は、各オブジェクトOB1,OB3の部位に応じて異なっている。具体的には、特定視点PV1から砂浜オブジェクトOB1の手前側の端部までの距離R1、特定視点PV1から海オブジェクトOB3の手前側の端部までの距離R2、特定視点PV1から海オブジェクトOB3の奥側の端部までの距離R3、の順に大きくなっている(R1<R2<R3)。かかる状況において、特定視点PV1を視点として透視投影を行うことにより、各距離R1?R3に応じたパースペクティブが掛かった画像が得られる。
【0960】
この場合、パースペクティブの掛かり具合は各距離R1?R3の比率に依存している。具体的には、距離R1に対する距離R2の比率が高いほど砂浜オブジェクトOB1のパースペクティブはより掛かる。そして、距離R2に対する距離R3の比率が高いほど海オブジェクトOB3のパースペクティブはより掛かる。
【0961】
また、砂浜オブジェクトOB1及び海オブジェクトOB3に対して貼り付けられる各テクスチャTD1、TD3は、各オブジェクトOB1,OB3(実際には波オブジェクトOB2も含む)により表示される各個別画像間のパースペクティブ(遠近感)が整合するように、上記比率を考慮して設定されている。これにより、パースペクティブの整合性が取れた画像を表示させることが可能となっている。
【0962】
ここで、視点を特定視点PV1から-Y方向に移動させて別視点PV2に設定した場合、各距離R1?R3がそれぞれ距離R1’?R3’に変化し、上記比率が変化する。これにより、透視投影した場合のパースペクティブの掛かり具合が異なることとなる。すると、距離R1?R3に合わせて設定された各テクスチャTD1,TD3を用いると、各オブジェクトOB1,OB3間におけるパースペクティブの整合性が取れなくなる。これにより、全体として違和感のある画像となる。
【0963】
特に、各オブジェクトOB1,OB3を所定の方向に移動させて画像の更新を行う場合には、各オブジェクトOB1,OB3に係る画像のパースペクティブが異なることに起因する違和感が目立ち易い。具体的には、奥側に表示されている海が、手前側に表示されている砂浜よりも速く移動したりする。
【0964】
また、視点から画角を変更すると、パースペクティブの掛かり具合が異なることとなるため、上記パースペクティブのずれが目立ち易くなる。
【0965】
これに対して、本実施の形態では、演出用背景画像を作成する場合には、透視投影に代えて平行投影を行う構成とし、さらに奥行き方向の距離に応じて各オブジェクトOB1,OB3のサイズを調整する構成とした。これらの構成について図72を用いて説明する。図72は、演出用背景画像を作成する場合の各オブジェクトOB1,OB3の設定態様を説明するための説明図である。
【0966】
平行投影とは、既に説明した通り、各オブジェクトの各ポリゴンの頂点がスクリーン領域PC12に対して垂直に直線的に移動するように投影する手法である。当該平行投影を行う場合、視点からの距離に依存しない画像、すなわち遠近感がない画像が表示される。
【0967】
具体的には、砂浜オブジェクトOB1及び海オブジェクトOB3を平行投影すると、スクリーン領域PC12には、海オブジェクトOB3が砂浜オブジェクトOB1よりも奥側にあるのにも関わらず、両者が視点からの距離に対応したサイズ調整がなされることなく表示される。これにより、両者の間に生じ得るパースペクティブのずれが軽減されることとなる。
【0968】
特に、各個別画像に係るパースペクティブは、各テクスチャTD1,TD3に係るパースペクティブよりも、視点及び各オブジェクトOB1,OB3間の距離に基づくパースペクティブの方が支配的となっているため、上記距離の変化に基づくパースペクティブのずれは目立ち易い。
【0969】
これに対して、平行投影を行うことにより、上記距離に基づくパースペクティブ自体が付加されないため、パースペクティブのずれを軽減することが可能となる。
【0970】
なお、この場合、各テクスチャTD1,TD3に基づくパースペクティブは反映されるが、当該パースペクティブのずれは、上記距離に基づくパースペクティブのずれよりも目立ちにくい。このため、遊技者としては違和感を抱きにくい。
【0971】
なお、各テクスチャTD1,TD3のパースペクティブをなくす処理を実行してもよい。これにより、よりパースペクティブの矛盾のない画像を遊技者に対して視認させることができる。
【0972】
具体的には、例えば各テクスチャTD1,TD3において手前側にマッピングされる領域ほど横方向(X方向)に縮小させ、奥側にマッピングされる領域ほど横方向に拡大させる補正処理を実行するとよい。また、例えば各オブジェクトOB1,OB3を、手前側が長辺で奥側が短辺とする台形オブジェクトとし、当該台形オブジェクトに対してテクスチャをマッピングする構成としてもよい。
【0973】
平行投影を行う場合、本来砂浜よりも遠くに存在するために、砂浜よりも小さく見えるはずの海がサイズ調整されることなく表示されるため、奥行き感のない画像となる。換言すれば、砂浜及び海間の大きさの比率が視点からの距離に対応していないため、奥行き感のない画像となる。
【0974】
これに対して、上記比率が上記視点からの距離に対応するように各オブジェクトOB1,OB3の倍率が設定されている。具体的には、視点からの距離が大きくなるほど、各オブジェクトOB1,OB3の大きさが徐々に小さくなるように各オブジェクトOB1,OB3の大きさが設定されている。
【0975】
より詳細に説明すると、変更された視点から砂浜オブジェクトOB1及び海オブジェクトOB3を透視投影すると、図72に示す領域Aにて砂浜オブジェクトOB1に係る画像である砂浜画像が表示される。そして、図72に示す領域Bにて海オブジェクトOB3に係る画像である海画像が表示される。上記各領域A,Bの大きさの比率は、視点からの距離に依存したものである。
【0976】
各オブジェクトOB1,OB3のサイズ及び座標(詳細にはY座標)は、平行投影された場合に当該各オブジェクトOB1,OB3に係る画像が表示される領域が上記各領域A,Bと同一となるように設定されている。これにより、擬似的に遠近感のある演出用背景画像が表示されることとなる。
【0977】
なお、説明の便宜上、波オブジェクトOB2を省略した態様で説明したが、波オブジェクトOB2が設定されている状況についても同様である。
【0978】
上記各画像表示に係る具体的な処理構成について以下に説明する。
【0979】
先ず、砂浜背景用演算処理について図73のフローチャートを用いて説明する。当該砂浜背景用演算処理は、現状設定されているデータテーブルが砂浜背景画像の表示に対応したものである場合に、表示CPU131のタスク処理(図14)における背景用演算処理(ステップS903)にて実行される。
【0980】
ステップS4201では、砂浜背景画像を表示するのに必要な各オブジェクトOB1?OB4を把握する。
【0981】
その後、ステップS4202にて、各オブジェクトOB1?OB4の座標及び角度を更新する。具体的には、ワールド座標系に配置された場合に、各オブジェクトOB1?OB4が奥行き方向(特定視点PV1から遠ざかる方向)に連続して並ぶように且つ空オブジェクトOB4を除く各オブジェクトOB1?OB4がスクリーン領域PC12に対して所定の角度傾くように各座標を設定する。
【0982】
続くステップS4203では、各テクスチャのアドレス設定処理を実行する。具体的には、各オブジェクトOB1?OB4に対して貼り付けられる各テクスチャTD1?TD4のアドレスを設定する。その後、ステップS4204にてその他のパラメータを更新する演算処理を行う。
【0983】
続くステップS4205では、各オブジェクトOB1?OB4を透視投影することを特定するための情報である透視投影指定情報を設定する。そして、ステップS4206にてその他の背景用オブジェクトを把握し、ステップS4207にて当該その他の背景用オブジェクトのパラメータの更新に係る演算処理を行い、本砂浜背景用演算処理を終了する。
【0984】
かかる処理が行われた場合、その後に行われる描画リスト出力処理(ステップS806)では、描画対象として各オブジェクトOB1?OB4が設定されるとともに、当該各オブジェクトOB1?OB4に対して適用される各種パラメータが設定された描画リストが作成される。また、描画リストには、透視投影指定情報が設定されている。VDP135は、上記描画リストを受信した場合には、各オブジェクトOB1?OB4を既に説明した通りの位置関係となるように各オブジェクトOB1?OB4を配置し、透視投影を行う。これにより、遠近感のある画像が作成される。
【0985】
次に、砂浜疾走演出の背景用演算処理について図74(a)のフローチャートを用いて説明する。砂浜疾走演出の背景用演算処理は、現状設定されているデータテーブルが砂浜疾走演出に対応したものである場合に、表示CPU131のタスク処理(図14)におけるステップS903の背景用演算処理にて実行される。
【0986】
先ずステップS4301では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、砂浜疾走演出中であるか否かを判定する。
【0987】
砂浜疾走演出中でない場合には、ステップS4302に進み、砂浜疾走演出の開始タイミングであるか否かを判定する。
【0988】
砂浜疾走演出の開始タイミングでない場合にはそのまま本演算処理を終了する一方、砂浜疾走演出の開始タイミングである場合には、ステップS4303?ステップS4308にて、演出用背景画像を描画するための初期設定処理を実行する。
【0989】
具体的には、先ずステップS4303にて、各オブジェクトOB1?OB4を把握する処理を実行する。
【0990】
そして、ステップS4304にて、各オブジェクトOB1?OB4の座標を調整する処理を実行し、更にステップS4305にて、各オブジェクトOB1?OB4に対して適用される倍率を調整する処理を実行する。具体的には、各オブジェクトOB1?OB4に対して、演出用背景画像に対応した座標及び倍率を設定する。詳細には、各オブジェクトOB1?OB4が平行投影された場合に、当該平行投影された領域が砂浜背景画像を表示させる場合の各オブジェクトOB1?OB4の座標系において別視点PV2から透視投影を行った場合の投影領域と重なるように、各オブジェクトOB1?OB4の座標及び倍率を設定する。
【0991】
その後、ステップS4306にて視点として別視点PV2を設定し、ステップS4307にて、その他のパラメータの初期設定に係る演算処理を実行する。そして、ステップS4308にて、平行投影指定情報を設定する。当該平行投影指定情報は、VDP135において各オブジェクトOB1?OB4を平行投影するように指示するための情報である。
【0992】
その後、ステップS4309にてその他の背景用オブジェクトを把握し、ステップS4310にて当該その他の背景用オブジェクトに対して適用される各種パラメータを更新に係る演算処理を実行して、本演算処理を終了する。
【0993】
かかる処理が行われた場合、その後の描画リスト出力処理(ステップS806)にて作成される描画リストには、描画対象として各オブジェクトOB1?OB4が設定されるとともに、当該各オブジェクトOB1?OB4に対して適用される各種パラメータが設定される。当該各種パラメータは、各オブジェクトOB1?OB4が平行投影される場合に対応したものである。
【0994】
また、上記描画リストには平行投影指定情報が設定されている。VDP135は、上記描画リストを受信した場合には、各オブジェクトOB1?OB4を把握し、各オブジェクトOB1?OB4に対して平行投影に対応したパラメータを適用した状態で、別視点PV2を基準とする平行投影を行う。これにより、砂浜背景画像の視点(特定視点PV1)とは異なる視点(別視点PV2)から見た演出用背景画像が作成される。
【0995】
砂浜疾走演出中である場合には、ステップS4311?ステップS4314にて、演出用背景画像をスクロールするための処理を実行する。具体的には、先ずステップS4311にて、各オブジェクトOB1?OB4を把握する。
【0996】
続くステップS4312では、視点の位置を更新する処理を実行する。具体的には、現状設定されている視点から第1変位量だけ-X方向に変位させる処理を実行する。
【0997】
その後、ステップS4313にて、各オブジェクトOB1?OB4に適用されるパラメータを更新する演算処理を実行する。具体的には、各オブジェクトOB1?OB4を現状の座標から所定の変位量だけ-X方向に移動させる。当該所定の変位量は、-X方向への視点の変位量よりも小さい範囲内で、各オブジェクトOB1?OB4と視点との距離に応じて設定されている。
【0998】
具体的には、図74(b)の説明図に示すように、視点と各オブジェクトOB1?OB4とのZ方向の距離が大きくなるほど、視点に対する各オブジェクトOB1?OB4の相対速度が小さくなるように、各オブジェクトOB1?OB4の変位量が設定されている。詳細には、視点と各オブジェクトOB1?OB4のZ方向の距離との距離が大きくなるほど、各オブジェクトOB1?OB4の変位量と第1変位量との差分が小さくなるように各オブジェクトOB1?OB4の変位量が設定されている。これにより、視点に対して手前側に配置されているオブジェクトほど+X方向に速く移動するように見え、視点に対して奥側に配置されているオブジェクトほど+X方向に遅く移動するように見える。よって、擬似的な遠近感を表現することができる。
【0999】
また、波オブジェクトOB2については、-X方向への変位だけでなく、Y座標及びZ座標についても座標を更新する処理を実行する。具体的には、図69(b)に示すように、波オブジェクトOB2を、傾斜角度を維持した状態で手前側に進むようにY座標及びZ座標を設定する。これにより、波が手前側に打ち寄せてくる様子を表現することができる。
【1000】
すなわち、砂浜オブジェクトOB1に対して波オブジェクトOB2を、視点から見て重なり合うように(詳細にはZ方向にずらして)配置し、当該波オブジェクトOB2を砂浜オブジェクトOB1に対して相対的に変位させることにより、砂浜に対して重なるように波が表示されることとなる。
【1001】
そして、波オブジェクトOB2の初期位置からの変位量が予め特定量となった場合には、座標を維持するとともに、波オブジェクトOB2が徐々に消えていくように一律α値を更新する処理を実行する。そして、一律α値が所定の値(例えば完全透過のα値)となったことに基づいて、再度波オブジェクトOB2を初期位置に配置して一連の処理を実行する。これにより、波が打ち寄せて消えていく様子を繰り返し見せることができ、リアルな波を実現することができる。
【1002】
その後、ステップS4314にて平行投影指定情報を設定し、ステップS4309及びステップS4310の処理を実行して、本演算処理を終了する。
【1003】
かかる処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、背景用画像を表示するのに必要な各オブジェクトOB1?OB4が描画対象として設定されるとともに、当該各オブジェクトOB1?OB4に対して適用されるパラメータ情報が設定される。当該各種パラメータには、視点が-X方向に移動するよう設定されているとともに、視点と各オブジェクトOB1?OB4との距離が大きくなるに従って当該視点に対する相対速度が小さくなるように各オブジェクトOB1?OB4の座標の変位量が設定されている。これにより、演出用背景画像が+X方向にスクロールするように表示されることとなる。
【1004】
なお、視点が移動することにより、投影対象となる領域が各オブジェクトOB1?OB4の端側の領域にとなった場合には、現状投影対象となっている各オブジェクトOB1?OB4に対して視点の進行方向の先側に同一の各オブジェクトOB1?OB4を連続して設定するように構成されている。これにより、視点が各オブジェクトOB1?OB4よりも速い速度で移動することに起因して演出用背景画像が途切れてしまう不都合を回避することができる。
【1005】
また、各テクスチャTD1?TD4における視点の移動方向に対応した両端部、具体的にはX方向の両端部は、描かれた模様が連続するように設定されているとよい。これにより、オブジェクトの切れ目が把握されにくいため、遊技者に対して違和感を与えにくい。
【1006】
次に、砂浜疾走演出の演出用演算処理について図75のフローチャートを用いて説明する。砂浜疾走演出の演出用演算処理は、現状設定されているデータテーブルが砂浜疾走演出に対応したものである場合に、タスク処理(図14)における演出用演算処理(ステップS904)にて実行される処理である。
【1007】
先ず、ステップS4401では、現状設定されているデータテーブルに基づいて砂浜疾走演出中であるか否かを判定する。
【1008】
砂浜疾走演出中でない場合には、ステップS4402に進み、現状設定されているデータテーブルに基づいて砂浜疾走演出の開始タイミングであるか否かを判定する。
【1009】
砂浜疾走演出の開始タイミングでない場合にはそのまま本演算処理を終了する一方、砂浜疾走演出の開始タイミングである場合には、ステップS4403に進み、疾走対象の図柄オブジェクトを把握する。そして、ステップS4404にて当該図柄オブジェクトに対して適用される各種パラメータ情報の初期設定に係る演算処理を実行する。この場合、図柄オブジェクトが平行投影された場合に、当該図柄オブジェクトに係る画像が砂浜画像に重なるように図柄オブジェクトの座標を設定する。詳細には、砂浜オブジェクトOB1とスクリーン領域PC12との間に図柄オブジェクトを配置する。
【1010】
その後、ステップS4405にて、今回の描画対象となる教示用のオブジェクトを把握する。教示用のオブジェクトは、既に説明した通り、遊技状況を遊技者に教示可能となる画像を表示する場合に利用されるオブジェクトであり、詳細には現状のラウンドが何番目のラウンドであるかを教示するためのオブジェクトと、開閉実行モードが連続して行われた回数を示すためのオブジェクトと、が設定されている。ステップS4405では、これらの教示用のオブジェクトを把握する。
【1011】
そして、ステップS4406にて上記教示用のオブジェクトに対して適用される各種パラメータ情報の初期設定に係る演算処理を実行する。この場合、教示用のオブジェクトが演出用背景画像の生成に用いられる各オブジェクトOB1?OB4よりも視点側に配置されるように当該教示用のオブジェクトの座標を設定する。そして、本演算処理を終了する。
【1012】
かかる処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理(ステップS806)にて作成される描画リストには、図柄オブジェクト及び教示用のオブジェクトが描画対象として設定されるとともに、これらのオブジェクトに対して適用されるパラメータが設定される。これらのオブジェクトは演出用背景画像の生成に用いられる各オブジェクトOB1?OB4よりも視点側に配置されるようになっている。これにより、上記各オブジェクトに対して平行投影が行われることにより、演出用背景画像に対して重なるようにして図柄画像及び教示用画像が表示されることとなる。
【1013】
砂浜疾走演出中である場合には、ステップS4407にて疾走対象の図柄オブジェクトを把握する処理を実行する。そして、ステップS4408にて図柄オブジェクトに適用されるパラメータを更新する演算処理を実行する。具体的には、-X方向の視点の移動に伴って図柄オブジェクトが移動するように図柄オブジェクトの座標を更新する。この場合、視点の変位量と図柄オブジェクトの変位量とを同一に設定する。これにより、視点の移動と図柄オブジェクトの移動とを同期させることができ、図柄画像の移動に伴って視点が追従していくように見せることができる。
【1014】
続くステップS4409及びステップS4410では、視点の移動に伴う教示用のオブジェクトの更新処理を実行する。具体的には、先ずステップS4409にて教示用のオブジェクトを把握する。そして、ステップS4410にて、教示用のオブジェクトに適用されるパラメータを更新する演算処理実行する。詳細には、-X方向の視点の移動に伴って教示用のオブジェクトが移動するように当該教示用のオブジェクトの座標を更新する。この場合、視点の変位量と教示用のオブジェクトの変位量とを同一に設定する。これにより、視点の移動と教示用のオブジェクトの移動とを同期させることができ、教示用画像を常に表示させることが可能となる。
【1015】
なお、上記処理では、便宜上、ステップS4403?ステップS4406の処理と、ステップS4407?ステップS4410の処理と、を分けて表示したが、これに限られず、これらの処理を共通化してもよい。この場合、データテーブル上に各更新タイミングにおいて設定すべき画像データを予め設定しておき、更新タイミングとなる度に、当該更新タイミングに対応した上記各種画像データを適宜読み出し、描画に係る設定処理を行う構成とすればよい。
【1016】
次に、砂浜背景画像及び砂浜疾走演出の様子について図76を用いて説明する。図76(a)は砂浜背景画像が表示された表示面Gを示す説明図、図76(b)は砂浜疾走演出の様子を説明するための説明図である。
【1017】
図76(a)に示すように、砂浜背景画像BP10には、手前側から順に、第1砂画像BP11、第1波画像BP12、第1海画像BP13、第1空画像BP14が表示されている。砂浜背景画像BP10は、遠近感のある画像であり、具体的には例えば第1海画像BP13においては奥側(水平線)に近づくに従って波の間隔及び波の幅が小さくなるようになっている。
【1018】
砂浜疾走演出では、図76(b)に示すように、手前側から順に、第2砂画像BP21、第2波画像BP22、第2海画像BP23、第2空画像BP24が表示された画像であって砂浜背景画像BP10とは視点が異なる演出用背景画像BP20が表示される。この場合、第2砂画像BP21→第2波画像BP22→第2海画像BP23→第2空画像BP24の順に小さく表示されるため、遠近感のある画像となっている。
【1019】
そして、演出用背景画像BP20に対して重なるように図柄画像CP1?CP3及び教示用画像CP4,CP5が表示される。そして、演出用背景画像BP20が+X方向に対応する方向である右方向に移動することにより、当該図柄画像CP1?CP3が-X方向に対応する方向である左方向に向けて移動するように見える。この場合、第2砂画像BP21→第2波画像BP22→第2海画像BP23→第2空画像BP24の順に、移動速度は遅くなっている。これにより、奥側(視点から遠く)にあるものほどゆっくり移動するように見え、遠近感が生じている。
【1020】
以上の通り、各オブジェクトOB1?OB4を奥行き方向に並べて配置するとともに、各オブジェクトOB1?OB4に対して貼り付けるテクスチャとして、特定視点PV1から見た場合の画像に対応したものを用意し、これらを透視投影することにより砂浜背景画像BP10を表示させる構成において、特定視点PV1とは異なる別視点PV2に基づく演出用背景画像BP20を表示させる場合には各オブジェクトOB1?OB4を平行投影する構成とした。これにより、用いるテクスチャの共通化を図りつつ、視点の変更に伴うパースペクティブの整合性のずれを抑制することができる。よって、テクスチャの共通化を図ることができる点でデータ量の削減を図ることができる。
【1021】
特に、比較的簡素なオブジェクトである板ポリゴンで構成された各オブジェクトOB1?OB4を投影平面に対して傾斜して配置し、これら各オブジェクトOB1?OB4を透視投影することにより、比較的少ない処理負荷でパースペクティブが掛かった砂浜背景画像BP10を生成することができる。一方、視点が異なると、透視投影に基づくパースペクティブの掛かり具合のずれが目立ち易くなる。
【1022】
これに対して、視点が異なる演出用背景画像BP20を生成する場合には、パースペクティブを生じさせない平行投影を行うことにより、上記ずれの発生を抑制することができる。
【1023】
この場合、視点と各オブジェクトOB1?OB4との距離が大きくなるほど、各オブジェクトOB1?OB4の倍率を小さくするとともに、視点に対する各オブジェクトOB1?OB4の相対移動速度を小さくする構成とした。これにより、平行投影により得られる画像を遠近感のある画像に見せることができる。
【1024】
なお、上記構成では、各オブジェクトOB1?OB4は板状ポリゴンであったが、これに限られず、例えば各オブジェクトOB1?OB4のいずれかを、表示対象となる画像に対応させて設定された3次元の特定オブジェクトとして構成してもよい。この場合、当該特定オブジェクトに対応させてテクスチャを設け、当該テクスチャを上記特定オブジェクトに貼り付ける構成とする。これにより、上記特定オブジェクトに係る画像については視点の変化に対応することができる一方、他のオブジェクトについては視点の変化に対応することができず、パースペクティブの整合性が取れなくなる事態が生じ得る。これに対して、視点が変化した場合には平行投影を行うことにより、両者のずれを軽減することができる。
【1025】
また、上記構成では、別視点PV2は特定視点PV1を-Y方向に移動した位置としたが、これに限られず、例えばZ方向にずらした位置にしてもよく、任意である。
【1026】
また、各オブジェクトOB1?OB4に係る画像間のパースペクティブの整合性について説明したが、これに限られず、例えば最背面画像等の2次元画像データに係る画像と、1のオブジェクトに係る画像との整合性についても同様である。つまり、1のオブジェクトと2次元画像データとを組み合わせて1の画像を表示させる場合にも視点の変化に伴う透視投影と平行投影との切換を適用することができる。
【1027】
上記構成では、砂浜背景画像BP10を表示するのに用いられるテクスチャを、演出用背景画像BP20を表示するのに用いる構成としたが、これに限られず、所定の画像を表示するのに用いられるテクスチャを、上記所定の画像とは視点が異なる画像を表示するのに用いる構成であればよく、具体的な表示内容については任意である。
【1028】
また、上記構成では、視点を-X方向に移動させる構成としたが、これに限られず、移動させない構成としてもよい。この場合、各オブジェクトOB1?OB4を+X方向に移動させる構成とし、その移動量を視点からの距離に応じて異ならせる構成とするとよい。また、視点の移動方向は-X方向としたが、これに限られず、任意である。
【1029】
上記構成では、各オブジェクトOB1?OB4を平行投影した場合の領域が、各オブジェクトOB1?OB4を透視投影した場合の領域と重なるように、各オブジェクトOB1?OB4の座標及び倍率を設定したが、これに限られない。要は、別視点PV2に対応した画像であって遠近感が生じるように各オブジェクトOB1?OB4の座標及び倍率を調整する構成であればよい。
【1030】
さらに、演出用背景画像BP20を表示させる場合に、各オブジェクトOB1?OB3の傾斜角度を、砂浜背景画像BP10を表示させる場合の傾斜角度から変更する構成としてもよく、各オブジェクトOB1?OB3の傾斜角度を個別に変更してもよい。
【1031】
また、砂浜疾走演出にて描画対象となる教示用のオブジェクト及び図柄オブジェクトに対する投影パターンとしては、平行投影及び透視投影どちらでもよい。平行投影を行う場合には図柄画像CP1?CP3及び教示用画像CP4,CP5を見易く表示させることができる一方、透視投影を行う場合には上記各画像CP1?CP5を立体的に表示させることができる。
【1032】
また、教示用のオブジェクトの投影パターンを平行投影に設定し、図柄オブジェクトの投影パターンを透視投影にする構成としてもよい。この場合、教示用画像CP4,CP5を見易く表示させつつ、砂浜疾走演出に係る図柄画像CP1?CP3を立体的に表示させることができる。
【1033】
<第2の実施形態>
本実施の形態では、表示演出として歪み演出及び瞬き演出を行うための構成を備えている。そして、歪み演出に合わせて描画処理が第1の実施形態と異なっている。以下に、各演出を行うための構成について説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【1034】
<歪み演出を行うための構成について>
歪み演出を行うための構成について説明する。
【1035】
歪み演出は、図柄の変動表示が行われる場合に背景画像の一部が歪む演出である。具体的には、背景画像として水中の様子が描かれた画像が表示されている状況において特定方向にスクロールする図柄の変動表示が開始される場合に、背景画像の一部の領域、詳細には図柄に対して当該図柄の進行方向とは逆側の領域が歪むように表示される。これにより、遊技者としては、当該歪みを、図柄がスクロールを開始することにより形成された流れに起因する光の屈折として認識することが想定される。よって、水中での図柄のスクロールをリアルに認識させることができる。
【1036】
当該歪み演出で用いられる構成について図77を用いて説明する。図77(a)は屈折用オブジェクトOB10を示す説明図、図77(b)及び図77(c)は屈折用オブジェクトOB10を変形させた様子を説明するための説明図、図77(d)は屈折用オブジェクトOB10に対して適用される屈折用αデータSKD1を説明するための説明図である。
【1037】
図77(a)に示すように、屈折用オブジェクトOB10は矩形状の板ポリゴンで構成されている。板ポリゴンはポリゴン数の少ないオブジェクトともいうことができ3次元方向(詳細にはローカル座標系でのZ方向)への凹凸のない平面状に構成された低精彩の画像データである。
【1038】
屈折用オブジェクトOB10の形状(サイズ)は、歪みを発生させたい歪み領域PE1に対応させて設定されており、具体的には、視野座標系への変換処理を行った場合に歪み領域PE1を覆うことができるように設定されている。詳細には、屈折用オブジェクトOB10の形状は、屈折用オブジェクトOB10が平行投影された場合の表示領域が歪み領域PE1よりも大きくなるように設定されている。このため、屈折用オブジェクトOB10を歪み領域PE1に対して重なるように配置された状態で平行投影が行われた場合には、歪み領域PE1に対して屈折用オブジェクトOB10に係る画像が表示されることとなる。
【1039】
屈折用オブジェクトOB10には、格子状に頂点座標が設定されている。当該頂点座標には、ローカル3次元座標が設定されており、各頂点座標のZ座標(奥行き方向の座標)は同一に設定されている。
【1040】
屈折用オブジェクトOB10の頂点座標は歪み領域PE1に対応させて設定されており、具体的には屈折用オブジェクトOB10の外縁部を構成する頂点座標以外の頂点座標によって形成される領域が歪み領域PE1と略同一となるように設定されている。
【1041】
上記屈折用オブジェクトOB10は変形可能に構成されている。具体的には、屈折用オブジェクトOB10の各頂点座標のZ座標はそれぞれ個別に変位可能となっており、当該Z座標が変位することにより屈折用オブジェクトOB10は歪むようになっている。
【1042】
屈折用オブジェクトOB10の変形形態について詳細に説明する。本実施の形態では、屈折用オブジェクトOB10の変形形態は複数種類設定されている。当該複数種類の変形形態のうちの第1変形形態の屈折用オブジェクトOB10と、第2変形形態の屈折用オブジェクトOB10とについて図77(b)及び図77(c)を用いて説明する。図77(b)は第1変形形態の屈折用オブジェクトOB10を説明するための説明図、図77(c)は第2変形形態の屈折用オブジェクトOB10を説明するための説明図である。なお、説明の便宜上、以降の説明において、第1変形形態の屈折用オブジェクトOB10を単に第1変形形態OB10aと、第2変形形態の屈折用オブジェクトOB10を単に第2変形形態OB10bという。
【1043】
図77(b)及び図77(c)に示すように、各変形形態OB10a,OB10bは、テクスチャが貼り付けられる板面に凹凸が形成されるように変形している。具体的には、各変形形態OB10a,OB10bは、屈折用オブジェクトOB10の外縁部を構成する頂点座標のZ座標を基準として、歪み領域PE1に対応する各頂点座標のZ座標がそれぞれ所定量だけ変位することにより変形している。詳細には、X方向における両端の頂点座標を固定端とするZ成分を持つ1周期の正弦波が形成され且つY方向における両端の頂点座標を始点及び終点とする円弧が形成されるように歪み領域PE1に含まれる各頂点座標のZ座標が変位している。そして、各変形形態OB10a,OB10bは、上記正弦波の位相がπだけずれている。
【1044】
これら各変形形態OB10a,OB10bに対して、背景画像のうち各変形形態OB10a,OB10bが配置される領域に対応した部分のテクスチャがマッピングされることにより、歪み画像が表現される。この場合、所定の更新タイミングとなる度に、屈折用オブジェクトOB10を、X方向への位相が異なる第1変形形態OB10aと第2変形形態OB10bとに交互に変形させることにより、X方向に進行する水の流れに対応した歪み画像を表現することができる。これにより、図柄のX方向のスクロールに伴って、X方向の水の流れが形成されたように視認させることができ、図柄のスクロールと歪み画像との関連付けを好適に行うことができる。
【1045】
また、歪み演出では、屈折用オブジェクトOB10が配置される領域に表示される歪み画像と、その領域の周縁の画像とを馴染ませるために、屈折用αデータSKD1が用いられる。αデータは、既に説明した通り、画像データの各ピクセル単位で適用される透過情報のことであり、画像データとしてメモリモジュール133に予め記憶されている。
【1046】
屈折用αデータSKD1は、図77(d)に示すように、その外形が適用対象となる屈折用オブジェクトOB10と一致するようにそのサイズが設定されている。屈折用αデータSKD1は、異なるα値が設定された複数の領域に区分けされている。
【1047】
屈折用αデータSKD1を区分けする領域は、中央側の透明度よりも縁側の透明度の方が高くなるように形成されている。詳細には、屈折用αデータSKD1は、屈折用αデータSKD1の中央領域に設けられ、不透過情報である「1」が設定された不透過領域SKA0と、当該不透過領域SKA0を囲むように設けられ、部分透過情報(0<α1<1)が設定された第1部分透過領域SKA1と、当該第1部分透過領域SKA1を囲むように設けられ、第1部分透過領域SKA1よりも透過率が高い部分透過情報(0<α2<α1)が設定された第2部分透過領域SKA2と、に区分けされている。
【1048】
屈折用オブジェクトOB10(第1変形形態OB10a及び第2変形形態OB10bを含む)に対して屈折用αデータSKD1が適用されることにより、屈折用オブジェクトOB10に含まれる各ピクセルに対して屈折用αデータSKD1に含まれるα値が適用される。
【1049】
また、歪み画像を表示面Gの奥側にて重なる画像と重ね合わせる場合には、その重ね合わせに係る各ドットでは、屈折用αデータSKD1にて定められているα値と屈折用オブジェクトOB10に設定されている一律α値とを基準とした数値情報の融合(すなわち、ブレンディング)が行われる。具体的には、屈折用αデータSKD1に設定されているα値を個別α値とすると、
R:「奥側画像のR値」×(「1」-「個別α値」×「一律α値」)+「歪み画像のR値」×「個別α値」×「一律α値」
G:「奥側画像のG値」×(「1」-「個別α値」×「一律α値」)+「歪み画像のG値」×「個別α値」×「一律α値」
B:「奥側画像のB値」×(「1」-「個別α値」×「一律α値」)+「歪み画像のB値」×「個別α値」×「一律α値」
の演算が行われる。
【1050】
屈折用αデータSKD1が適用されることにより、歪み画像は、中央領域から縁側に向かうに従って徐々に透明となる。これにより、歪み画像の縁が背景画像に馴染み、当該歪み画像の縁が目立ちにくくなっている。
【1051】
また、歪み画像は、一律α値を反映した状態で表示される。具体的には、一律α値が小さい場合、歪み画像よりも奥側画像が反映される。一方、一律α値が大きい場合には歪み画像が奥側画像よりも反映される。
【1052】
歪み演出の具体的な処理構成について説明する。
【1053】
図78は、表示CPU131にて実行される歪み演出演算処理を示すフローチャートである。歪み演出演算処理は、タスク処理(図14)におけるステップS904の演出用演算処理において、現状設定されているデータテーブルが歪み演出に対応したデータテーブルである場合に実行される。
【1054】
先ず、ステップS4501では、現状設定されているデータテーブルに基づいて、歪み演出の実行中であるか否かを判定する。
【1055】
歪み演出の実行中でない場合には、ステップS4502に進み、現状設定されているデータテーブルに基づいて、歪み演出の開始タイミングであるか否かを判定する。具体的には、現状設定されているデータテーブルに、歪み演出の開始タイミングであることを特定する情報が設定されているか否かを判定する。当該歪み演出の開始タイミングは図柄の変動開始タイミングと同一に設定されている。これにより、歪み演出は図柄の変動開始が行われる場合に実行されることとなる。
【1056】
開始タイミングでない場合にはそのまま本演算処理を終了する一方、開始タイミングである場合には、ステップS4503?ステップS4507にて屈折用オブジェクトOB10の初期設定に係る処理を実行する。具体的には、先ずステップS4503にて、屈折用オブジェクトOB10を把握する。そして、ステップS4504にて、当該屈折用オブジェクトOB10の座標の初期設定を行う。
【1057】
当該座標は、データテーブル上に予め設定されている。詳細には、図柄画像に対して当該図柄画像のスクロール方向とは逆側の領域が歪み領域PE1として設定されており、当該歪み領域PE1に対して重なるように屈折用オブジェクトOB10の座標が設定されている。より詳細には、屈折用オブジェクトOB10が投影された場合に屈折用オブジェクトOB10の外縁部を構成する頂点座標以外の頂点座標が歪み領域PE1に含まれるように屈折用オブジェクトOB10の座標が設定されている。
【1058】
その後、ステップS4505にて、一律α値として不透過情報である「1」を設定する。続くステップS4506では、屈折用オブジェクトOB10に適用されるその他のパラメータの演算処理を行う。
【1059】
そして、ステップS4507にて、座標マッピングデータの初期設定を行う。当該座標マッピングデータについて図79を用いて説明する。図79は座標マッピングデータを説明するための説明図である。詳細には、図79(a)は第1座標マッピングデータMD1を説明するための説明図、図79(b)は第2座標マッピングデータMD2を説明するための説明図である。
【1060】
各座標マッピングデータMD1,MD2は、屈折用オブジェクトOB10を構成する各頂点座標のZ方向の変位量を決定するために用いられるデータである。各座標マッピングデータMD1,MD2には、屈折用オブジェクトOB10の各頂点に対して1対1に対応させてZ方向の変位量が設定されている。詳細には、屈折用オブジェクトOB10の頂点がX方向に10個、Y方向に7個だけマトリックス状に設定されていることに対応させて、屈折用オブジェクトOB10を構成する頂点のうち左上端の頂点に対して適用されるZ方向の変位量をZ(1,1)としてマトリックス状にZ(a,b)(a:1?10、b:1?7)が設定されている。なお、説明の便宜上、第1座標マッピングデータMD1に設定されているZ(a,b)をZ1(a,b)と、第2座標マッピングデータMD2に設定されているZ2(a,b)といい、Z(a,b)はZ1(a,b)及びZ2(a,b)の双方を示すものだとする。
【1061】
Z(a,b)は、屈折用オブジェクトOB10の外縁を形成する各頂点のZ座標を基準とするZ方向の変位量が設定されたものである。詳細には、屈折用オブジェクトOB10の外縁を形成する各頂点に対応したZ(1,b)、Z(10,b),Z(a,1),Z(a,7)には「0」が設定されており、その他のZ(x,y)(x:2?9、y:2?6)には、各変形形態OB10a,OB10bに対応した変位量が設定されている。
【1062】
具体的には、Z1(x,y)は、屈折用オブジェクトOB10が第1変形形態OB10aに変形するよう設定されている。一方、Z2(x,y)は、屈折用オブジェクトOB10が第2変形形態OB10bに変形するよう設定されている。
【1063】
ステップS4507では、初期設定として第1座標マッピングデータMD1のアドレス情報を描画リストに設定する処理を実行する。これにより、第1座標マッピングデータMD1のアドレス情報が設定された描画リストが作成される。そして、VDP135では、当該アドレス情報に基づいて第1座標マッピングデータMD1を取得し、屈折用オブジェクトOB10の各頂点に対して、当該各頂点に対応するZ座標の変位量の分だけ変位させることで、屈折用オブジェクトOB10を第1変形形態OB10aに変形させる処理を実行する。
【1064】
なお、ステップS4507では、現状どちらの座標マッピングデータが設定されているかを表示CPU131にて特定するための処理を実行する。具体的には、ワークRAM132には、現状設定されている座標マッピングデータを特定するための情報を格納する特定記憶領域が設けられている。ステップS4507では、当該特定記憶領域に対して、第1座標マッピングデータMD1に対応した情報を設定する。
【1065】
ステップS4507の処理の実行後は、ステップS4508?ステップS4510にて、屈折用αデータSKD1の設定を行う。具体的には、ステップS4508にて屈折用αデータSKD1を把握し、ステップS4509にて、屈折用αデータSKD1の座標を屈折用オブジェクトOB10と同一座標に設定する。そして、ステップS4510にて屈折用αデータSKD1に適用されるその他のパラメータの演算処理を行う。
【1066】
その後、ステップS4511にてその他の演出用オブジェクトを把握し、ステップS4512にて当該演出用オブジェクトに適用されるパラメータの演算処理を行う。
【1067】
続くステップS4513では、VDP135にて歪み演出が行われることを特定するための歪み演出指定情報を設定し、本演算処理を終了する。
【1068】
かかる処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理(ステップS806)にて作成された描画リストには、少なくとも屈折用オブジェクトOB10及び屈折用αデータSKD1が設定される。この場合、屈折用オブジェクトOB10及び屈折用αデータSKD1は同一座標に設定されている。
【1069】
また、当該描画リストには、第1座標マッピングデータMD1のアドレス情報及び歪み演出指定情報が設定されている。
【1070】
一方、歪み演出実行中である場合(ステップS4501:YES)、ステップS4514にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、透明化期間中であるか否かを判定する。具体的には、歪み演出に対応したデータテーブルには、透明化期間であることを特定するための情報が設定されている。当該透明化期間は、歪み演出の終了タイミングに対して複数フレーム(例えば10フレーム)前のタイミングから歪み演出の終了タイミングまでの期間に設定されている。ステップS4514では、現状設定されているデータテーブルに当該情報が設定されているか否かを判定する。
【1071】
透明化期間中でない場合には、ステップS4515にて屈折用オブジェクトOB10を把握し、ステップS4516にてパラメータの演算処理を実行する。この場合、初期設定された各種パラメータを維持する。
【1072】
その後、ステップS4517にて、屈折用オブジェクトOB10の変形を更新する処理、すなわち座標マッピングデータを更新する処理を実行する。具体的には、特定記憶領域に記憶されている情報に基づいて、前の処理回にて設定された座標マッピングデータを把握する。そして、前の処理回にて把握された座標マッピングデータとは異なる座標マッピングデータのアドレスを設定するとともに、特定記憶領域に今回設定した座標マッピングデータに対応した情報を格納する。例えば、前の処理回にて第1座標マッピングデータMD1が設定された場合には第2座標マッピングデータMD2を設定し、前の処理回にて第2座標マッピングデータMD2が設定された場合には第1座標マッピングデータMD1を設定する。
【1073】
そして、ステップS4508?ステップS4513の処理を実行し、本演算処理を終了する。
【1074】
以上の処理が実行された場合、少なくとも屈折用オブジェクトOB10及び屈折用αデータSKD1が設定された描画リストが作成される。この場合、屈折用オブジェクトOB10及び屈折用αデータSKD1に対して適用されるパラメータは維持されている。
【1075】
また、今回作成された描画リストには、前回作成された描画リストに設定された座標マッピングデータとは異なる座標マッピングデータのアドレスが設定されているとともに、歪み演出指定情報が設定されている。
【1076】
透明化期間中である場合(ステップS4514:YES)、ステップS4518にて屈折用オブジェクトOB10を把握する。そして、ステップS4519にて一律α値を更新する。具体的には、一律α値を所定値(例えば0.1)だけ減算する処理を実行する。
【1077】
その後、ステップS4520にてその他のパラメータの演算処理を実行し、ステップS4521にて座標マッピングデータの更新処理を実行する。そして、ステップS4508?ステップS4513の処理を実行して、本演算処理を終了する。これらの処理については既に説明した通りであるため、説明を省略する。
【1078】
以上の処理が実行された場合、屈折用オブジェクトOB10に適用される一律α値が異なる描画リストが作成される。当該一律α値は、フレーム毎に徐々に小さくなる。
【1079】
ここで、透明化期間と一律α値の減算値とは対応させて設定されている。具体的には、歪み演出の終了タイミングにおいて一律α値が「0」となるように、減算値と透明化期間とが設定されている。詳細には、透明化期間に係るフレーム数=1/減算値となるように両者が設定されている。これにより、屈折用オブジェクトOB10に貼り付けられた画像が徐々に消えていき、歪み演出の終了タイミングでは完全に消えるようになっている。
【1080】
なお、タスク処理(図14)の図柄用演算処理(ステップS905)では、歪み演出の開始と同期して、図柄の変動表示の開始に係る処理が実行される。具体的には、各図柄画像が所定の方向(左方向)に向けてスクロールするための処理が実行される。
【1081】
次に、本実施の形態におけるVDP135にて行われる描画処理について図80のフローチャートを用いて説明する。当該描画処理は、予め定められた周期にて定期的に行われるループ処理であり、詳細には描画リストが作成される周期(20msec)よりも短い周期で行われる。この場合、描画処理の実行に係る時間は、描画リストの受信間隔よりも短く設定されている。これにより、描画処理が行われている最中に新たな描画リストが受信されてないようになっている。
【1082】
さらに、描画処理の実行に係る時間と、描画リストが作成され当該描画リストを受信するまでの時間とを合わせた時間が、画像の更新間隔よりも短くなるように設定されている。これにより、画像の更新間隔よりも描画に係る時間が長くなる事態が生じないようになっている。
【1083】
先ず、ステップS4601にて、新たな描画リストを受信したか否かを判定する。新たな描画リストを受信していない場合にはそのまま本処理を終了する一方、新たな描画リストを受信している場合には、ステップS4602?ステップS4608にて先に背景用の描画データ(背景画像)を作成する。
【1084】
具体的には、先ずステップS4602にて背景用の設定処理を実行する。そして、当該ステップS4602にて把握された最背面画像及び背景用のオブジェクトに対して、ステップS4603?ステップS4608の処理を実行する。これにより、背景用の描画データが先に作成され、背景用のバッファに書き込まれる。
【1085】
その後、ステップS4609?ステップS4616の処理を実行することにより、演出及び図柄用の描画データを作成する。そして、ステップS4617にて描画データ合成処理を実行し、本描画処理を終了する。
【1086】
かかる構成によれば、演出用及び図柄用の描画データの作成に係る処理を実行する前段階で、背景画像の作成が完了している。これにより、演出用及び図柄用の描画データの作成に係る処理を実行する場合に、背景画像を用いることが可能となっている。
【1087】
次に、歪み演出用の設定処理について図81のフローチャートを用いて説明する。歪み演出用の設定処理は、描画リストに歪み演出指定情報が設定されている場合に、描画処理(図80)のステップS4609の演出用の設定処理にて実行される。
【1088】
先ず、ステップS4701では、描画リストに設定されている屈折用オブジェクトOB10を把握する。
【1089】
その後ステップS4702にて、描画リストに設定されている座標マッピングデータのアドレス情報に基づいて、今回適用される座標マッピングデータを把握する。続くステップS4703では、ステップS4702にて把握された座標マッピングデータを用いて屈折用オブジェクトOB10を変形させる。
【1090】
具体的には、座標マッピングデータを参照することにより、屈折用オブジェクトOB10を構成する各頂点に対応するZ方向の変位量を把握する。そして、ローカル座標系における各頂点のZ座標を、把握されたZ方向の変位量だけ変位させる。これにより、屈折用オブジェクトOB10が第1変形形態OB10a又は第2変形形態OB10bに変形する。
【1091】
その後、ステップS4704にて第2変形形態OB10bに対して適用される各種パラメータを把握する。そして、ステップS4705にて、第1変形形態OB10a又は第2変形形態OB10bについてワールド座標系への設定処理を実行し、ステップS4706に進む。
【1092】
ステップS4706では、その他の演出用オブジェクトを把握し、ステップS4707では当該演出用オブジェクトに対して適用されるパラメータを把握する。そして、ステップS4708にて、その他の演出用オブジェクトについてワールド座標系への設定処理を実行し、本設定処理を終了する。
【1093】
上記のように設定処理が実行されることにより、屈折用オブジェクトOB10を変形することで形成された第1変形形態OB10a又は第2変形形態OB10bがワールド座標系に配置される。
【1094】
次に、歪み演出用テクスチャマッピング処理について図82のフローチャートを用いて説明する。歪み演出用テクスチャマッピング処理は、描画リストに歪み演出指定情報が設定されている場合に、描画処理(図80)のステップS4615における色情報の設定処理にて実行される。
【1095】
歪み演出用テクスチャマッピング処理では、屈折用オブジェクトOB10(詳細には各変形形態OB10a,OB10bのいずれか)に対して貼り付けられるテクスチャとして背景画像の一部を用いる処理を実行する。
【1096】
ステップS4801では、今回の描画対象として設定されている背景画像を把握する。具体的には、描画処理(図80)のステップS4608にて背景用のバッファに書き込まれた背景用の描画データを把握する。
【1097】
続くステップS4802では、ステップS4801にて把握された背景画像を用いて、屈折用オブジェクトOB10に貼り付けるテクスチャを作成する処理を実行する。具体的には、把握された背景画像をトリミングすることにより、当該背景画像のうち屈折用オブジェクトOB10に係る領域、具体的には屈折用オブジェクトOB10が投影される領域に対応した部分の画像データを抜き出す。この場合、当該画像データのサイズが屈折用オブジェクトOB10のサイズと同一になるように抜き出す。
【1098】
なお、トリミングの際には、背景用のバッファに書き込まれている背景用の描画データ自体は変更せず、別途バッファを用いて行う。
【1099】
その後、ステップS4803にて、屈折用オブジェクトOB10(第1変形形態OB10a又は第2変形形態OB10b)に対して、ステップS4802にて抜き出した部分の画像データをテクスチャとして貼り付ける。この場合、ラップマッピング手法又はUVラッピング手法で行う。
【1100】
その後、ステップS4804にて、描画リストに基づいてその他のオブジェクトに対して貼り付けられるテクスチャを把握し、ステップS4805にて各オブジェクトに対してテクスチャを貼り付けて本処理を終了する。
【1101】
かかる構成によれば、屈折用オブジェクトOB10に対して、当該屈折用オブジェクトOB10の投影領域に対応した背景画像が貼り付けられる。この場合、屈折用オブジェクトOB10が第1変形形態OB10a又は第2変形形態OB10bに変形した状態で投影されることにより、屈折用オブジェクトOB10の投影領域に対応する歪み領域PE1の背景画像が歪む。これにより、歪みに対応したテクスチャを別途設けることなく、背景画像の一部が歪む様子を表現することができる。
【1102】
ここで、既に説明した通り、屈折用オブジェクトOB10に貼り付けられるテクスチャのサイズと屈折用オブジェクトOB10のサイズとは同一に設定されている。これにより、他の領域に表示される画像の画質と比較して、屈折用オブジェクトOB10が変形することによって生じ得る歪み画像の画質の低下が目立ちにくい。
【1103】
なお、歪み演出を実行する場合における描画処理(図80)のステップS4616の演出及び図柄用の描画データ作成処理では、平行投影で投影することで描画データを作成する。これにより、視点からの距離を考慮して屈折用オブジェクトOB10のサイズを設定する必要がないため、屈折用オブジェクトOB10のサイズの設定を簡単に行うことができる。
【1104】
但し、平行投影に限られず透視投影を行う構成としてもよい。この場合、屈折用オブジェクトOB10が投影された場合に当該屈折用オブジェクトOB10の投影領域が歪み領域PE1に対応するように、視点からの距離を考慮して屈折用オブジェクトOB10のサイズ及び屈折用オブジェクトOB10の座標が設定されているとよい。
【1105】
次に、歪み演出用融合処理について図83のフローチャートを用いて説明する。歪み演出用融合処理は、描画リストに歪み演出指定情報が設定されている場合に、描画処理(図80)の描画データ合成処理(ステップS4617)において実行される。なお、説明の便宜上、フレームバッファ142のうち、変形した屈折用オブジェクトOB10が投影された領域に含まれるドットに対応する単位エリアを対象として説明し、その他の領域に含まれるドットに対応する単位エリアについては説明を省略する。さらに、最初に対象となるドットは予め定められているとする。
【1106】
先ずステップS4901では、演出用の描画データに基づいて、屈折用オブジェクトOB10が投影された領域に含まれるドットのうち今回の対象ドットに対応した対象ピクセルの数値情報を把握する。当該数値情報が歪み画像の数値情報(「m」とする)に対応する。
【1107】
そして、ステップS4902にて、屈折用αデータSKD1に基づいて、今回の対象ドットに対応する個別α値を把握し、ステップS4903にて、描画リストに基づいて屈折用オブジェクトOB10に対して適用される一律α値を把握する。
【1108】
続くステップS4904では、背景用の描画データに基づいて、背景画像における今回の対象ドットに対応する対象ピクセルの数値情報を把握する。当該数値情報が奥側画像の数値情報(「n」とする)に対応する。
【1109】
そして、ステップS4905にて、上記ステップS4901?ステップS4904の処理により把握された把握結果に基づいて融合処理(ブレンディング処理)を実行し、その融合結果を、フレームバッファ142における各単位エリアのうち今回の対象ドットに対応した単位エリアに書き込む。
【1110】
上記融合処理では、先に説明した演算式が用いられる。すなわち、n×(1-「個別α値」×「一律α値」)+m×「個別α値」×「一律α値」の演算を行う。
【1111】
続くステップS4906では、屈折用オブジェクトOB10の投影領域に含まれる全ドットについて融合処理が完了しているか否かを判定する。完了していない場合には、ステップS4907にて対象ドットを更新する処理を実行し、ステップS4901に戻る。これにより、新たな対象ドットに対して融合処理を実行することとなる。完了している場合には、本融合処理を終了する。
【1112】
以上の処理が実行されることにより、歪み画像と背景画像との融合が行われることとなる。つまり、一律α値が「1」である場合には、外縁部に向かうに従って透明となる歪み画像が表示される。一方、一律α値が「0」である場合には、背景画像がそのまま表示される。
【1113】
次に、歪み演出の様子について図84を用いて説明する。図84は、歪み演出を説明するための説明図であり、図84(a)は歪み演出が開始される前の画像を説明するための説明図、図84(b)は第1変形形態OB10aに基づく歪み画像を説明するための説明図、図84(c)は第2変形形態OB10bに基づく歪み画像を説明するための説明図である。なお、図面の関係上、表示面Gの一部を示すとともに、歪み演出の対象となる図柄画像CP11及び海中の様子を示す背景画像の一部として2つの珊瑚画像CP12のみを表示するが、実際には複数の個別画像及び最背面画像が表示される。
【1114】
図84(a)に示すように、歪み演出が開始される前には、図柄画像CP11が停止表示されている。この場合、表示面Gにおける歪み領域PE1、具体的には図柄画像CP11に対して当該図柄画像CP11のスクロール方向(左方向)とは逆側の領域(右側領域)には、珊瑚が描かれた2つの珊瑚画像CP12が並んで表示されている。
【1115】
歪み演出が開始されると、図柄画像CP11が左方向にスクロール移動する。この場合、図84(b)に示すように、歪み領域PE1には、膨張した膨張珊瑚画像CP13と収縮した収縮珊瑚画像CP14が描かれた第1歪み画像CP15が表示される。この場合、膨張珊瑚画像CP13が図柄画像CP11側に表示され、収縮珊瑚画像CP14がそれとは反対側に表示される。
【1116】
歪み演出の開始タイミングに対して次のフレームでは、図8(c)に示すように、歪み領域PE1には、膨張珊瑚画像CP13及び収縮珊瑚画像CP14の位置関係が逆になった第2歪み画像CP16が表示される。
【1117】
その後、フレーム毎に各歪み画像CP15,CP16が交互に表示される。これにより、図柄画像CP11に対して当該図柄画像CP11の進行方向とは逆側の領域にて水中の流れが形成されたことに起因して揺らいでいるように見える。
【1118】
そして、図柄画像CP11のスクロール(歪み演出)が開始されてから、所定数のフレームが更新されたことに基づいて、歪み領域PE1には、徐々に膨張珊瑚画像CP13及び収縮珊瑚画像CP14に代えて、珊瑚画像CP12が表示される。
【1119】
以上の通り、図柄画像CP11の変動表示が行われる場合に、歪み領域PE1に各歪み画像CP15,CP16を交互に表示することにより、図柄画像CP11のスクロールにより水中に流れが形成されて奥側の背景が揺らいだように見せることができる。これにより、水中における図柄のスクロールを、よりリアルに表現することが可能となる。
【1120】
この場合、屈折用オブジェクトOB10を第1変形形態OB10a又は第2変形形態OB10bに変形させ、これらに対して背景画像の一部をテクスチャとして貼り付けることにより各歪み画像CP15,CP16を作成した。これにより、歪みを表現するためのテクスチャを別途用意する必要がないため、画像を歪ませるのに要するデータ量の削減を図ることができる。
【1121】
また、屈折用オブジェクトOB10の描画に係る処理を実行する前に背景画像の描画データを作成し、当該描画データを用いて屈折用オブジェクトOB10への貼付対象となるテクスチャを作成する構成とした。これにより、屈折用オブジェクトOB10に対して貼り付けるテクスチャを予め用意しておく必要がないため、テクスチャのデータ量の更なる削減を図ることができる。
【1122】
具体的には、背景用の各種オブジェクトをワールド座標系に配置し、これらを投影することにより歪み対象となる描画データ、すなわち背景用の2次元画像データを取得する。その後、屈折用オブジェクトOB10を配置し且つ変形させた状態で当該屈折用オブジェクトOB10に対して歪み対象となる描画データをテクスチャとして貼り付け且つ投影する構成とした。これにより、テクスチャの作成に係る処理を描画処理の一部として用いることができるため、処理負荷の軽減を図ることができる。換言すれば、描画処理の途中段階で作成される画像をテクスチャとして用いることができる。
【1123】
ここで、テクスチャの各単位領域(ピクセル)には、色情報として3色分の数値情報が格納されている。このため、Z方向の変位量のみが設定されている座標マッピングデータと比較して、情報量が大きくなり易い。この点、上記構成によれば、情報量が比較的少ない座標マッピングデータのみを用いて各歪み画像CP15,CP16を表示することができるため、各歪み画像CP15,CP16に係るテクスチャを別途設ける構成と比較して、歪み演出に係るデータ量を小さくすることができる。
【1124】
また、屈折用オブジェクトOB10が平行投影された場合の表示領域が歪み領域PE1よりも大きくなるように屈折用オブジェクトOB10の形状を設定し屈折用オブジェクトOB10を変形させる場合に当該屈折用オブジェクトOB10の外縁部のZ座標は変更しない構成とした。これにより、屈折用オブジェクトOB10に係る画像と、その他の画像との境界が目立つことを回避することができる。
【1125】
さらに、各歪み画像CP15,CP16の外縁部に向かうに従って当該各歪み画像CP15,CP16が透明となるように屈折用αデータSKD1を設けた。これにより、屈折用オブジェクトOB10に係る画像と、その他の画像との境界をより好適に目立ちにくくすることができる。
【1126】
そして、歪み演出が終了する場合には、各歪み画像CP15,CP16を徐々に透明にする構成とした。これにより、各歪み画像CP15,CP16から珊瑚画像CP12に移り変わる場合に当該移り変わりを目立ちにくくすることができる。
【1127】
なお、上記構成では、歪みを表現する場面として、図柄画像CP11が変動表示を開始する場面を設定したが、これに限られず、任意である。例えば、物体が高速移動することによって生じる衝撃波を表現するのに用いてもよく、場面の切換、図柄画像CP11を別の図柄画像に切り換える場合に用いてもよい。この場合、歪ませたい領域(歪み領域PE1)に合わせて屈折用オブジェクトOB10の形状を設定する。
【1128】
また、歪みを表現する演出に限られず、画像の一部又は全部を変化させる表示演出に対して本発明を適用することができる。例えば屈折用オブジェクトOB10に対して適用されるパラメータを変更することにより画像の一部を拡大又は縮小させる構成としてもよく、回転させる構成としてもよい。さらに、表示面Gに表示されている画像の一部を他の領域と比較して透明にしてもよい。
【1129】
さらに、例えば、投影された場合に表示面G全体を表示可能な特定オブジェクトを設け、当該特定オブジェクトに対して背景用のバッファに記憶されている背景画像の描画データをそのまま貼り付ける。そして、予め定められた更新タイミングとなる度に、上記特定オブジェクトを複数の部品オブジェクトに分割し、当該部品オブジェクトをそれぞれ独立して移動させることにより、表示面Gに表示されていた背景画像が割れたように視認させる演出を行うことができる。これにより、場面の切換等を好適に行うことができる。
【1130】
また、上記構成によれば、屈折用オブジェクトOB10に対して貼り付けられるテクスチャが屈折用オブジェクトOB10と同一のサイズとなるように背景画像をトリミングする構成としたが、これに限られず、例えば異なるサイズとなるようにトリミングする構成としてもよい。この場合、屈折用オブジェクトOB10のサイズに合わせて拡大又は縮小処理を実行するとよい。これにより、上記拡大又は縮小処理により屈折用オブジェクトOB10尾に貼り付けられる画像が歪むため、歪み画像をより歪ませることができる。但し、上記構成の場合、歪み画像と他の画像との境界が目立ち易くなるため、当該境界の目立ち易さを考慮すれば上記構成の方がよい。
【1131】
また、屈折用オブジェクトOB10が平行投影された場合の表示領域が歪み領域PE1よりも大きくなるように屈折用オブジェクトOB10の形状を設定したが、これに限られず、例えば上記表示領域が歪み領域PE1と一致するように屈折用オブジェクトOB10の形状を設定してもよい。この場合、屈折用オブジェクトOB10を変形させる場合には屈折用オブジェクトOB10の外縁部を構成する頂点座標についても変位させる構成とするとよい。
【1132】
また、上記構成では、第1座標マッピングデータMD1及び第2座標マッピングデータMD2を交互に用いることにより、背景画像が揺らいだように見せる構成としたが、これに限られず、例えば徐々に歪みが大きくなる又は小さくなる演出及びこれらの演出を組み合わせた演出を実行する構成としてもよい。
【1133】
上記構成では、歪みの対象は背景画像の一部であったが、これに限られず、例えば背景画像の全部を歪ませる構成としてもよい。この場合、表示面G全体を覆うことが可能な屈折用オブジェクトを設け、当該屈折用オブジェクトに対して背景用のバッファに記憶されている背景画像の描画データをそのまま貼り付ける構成とする。
【1134】
また、背景画像に限られず、図柄画像、所定のキャラクタ画像又は表示面Gに表示されている画像そのものの全部又は一部を歪ませる構成としてもよい。この場合、屈折用オブジェクトの描画に係る処理を実行する前に、歪ませたい対象を含む画像に係る描画データを予め作成しておき、屈折用オブジェクトの描画に係る処理において、上記描画データに基づいて屈折用オブジェクトに対して貼り付けるテクスチャを作成して、貼り付ける構成とするよい。
【1135】
また、上記構成では、屈折用オブジェクトOB10の変形を各座標マッピングデータMD1,MD2を用いることで実現したが、これに限られず、例えば4次元関数(x、y、z、t)を定義し、当該4次元関数に基づいて各頂点のZ方向の変位量を導出することにより屈折用オブジェクトOB10を変形させる構成としてもよい。この場合、歪み演出に係るデータ量の更なる削減を図ることができる。但し、VDP135の処理負荷の増大化、高精細な歪みに起因する関数の複雑化等に鑑みれば、各座標マッピングデータMD1,MD2を用いる構成の方が好ましい。
【1136】
なお、上記構成では、屈折用オブジェクトOB10を、当該屈折用オブジェクトOB10の板面に凹凸が形成されるように各頂点座標のZ座標を変位させて変形させたが、これに限られず、例えばX座標及びY座標の少なくとも一方を変位させる構成としてもよい。この場合、格子状に配置された各頂点により渦が形成されるように各頂点のXY座標を設定するとよい。これにより、各頂点に対応させてテクスチャを貼り付けることにより歪んだ画像を表現することが可能となる。但し、処理負荷の観点に着目すれば、Z方向の変位のみの方がよい。
【1137】
また、上記構成では、先に背景用の描画データ(2次元画像データ)を作成した後に、演出用及び図柄用の描画データを作成する構成としたが、これに限られず、例えば第1の実施の形態のように、背景用、演出用及び図柄用の各オブジェクトをワールド座標系に配置し、当該各オブジェクトに対して投影することで各描画データを作成する構成としてもよい。この場合、2回描画処理を実行する構成とするとよい。具体的には、1回目では屈折用オブジェクトOB10を除く各オブジェクトを配置し投影することにより各描画データを作成し、2回目では屈折用オブジェクトOB10を含む各オブジェクトを配置し投影して各描画データを作成する。この場合、2回目の描画処理にて、1回目の描画処理にて作成された背景用の描画データを用いて屈折用オブジェクトOB10に対して貼り付けるテクスチャを作成する構成とする。これにより、背景画像の一部をテクスチャとして用いることができる。但し、上記構成の場合、同一処理を重複して行う必要があるため、無駄な処理が増え、処理負荷の増大化が懸念される。この点に着目すれば、先に背景用の描画データを作成した後に、演出用及び図柄用の描画データを作成する構成の方が優れている。
【1138】
また、変形対象となる画像が更新される構成であってもよい。例えば、図柄画像CP11のスクロールに伴って歪み領域PE1を順次スクロールさせる構成としてもよい。この場合、所定の更新タイミング(例えば各フレーム)毎に屈折用オブジェクトOB10の座標を更新するとともに、歪み演出用マッピング処理(図82)におけるトリミング処理(ステップS4802)においてトリミングする領域を、屈折用オブジェクトOB10の座標に合わせて変更するようにするとよい。これにより、データ量の増大化を招くことなく、歪み領域PE1の変位に好適に対応することができる。
【1139】
また、歪み領域PE1を固定しつつ背景画像を変位させる構成としてもよい。この場合であっても、フレーム毎に背景画像に係る背景用の描画データを生成し、さらにフレーム毎に当該背景用の描画データを用いて屈折用オブジェクトOB10に対して貼り付けるテクスチャを生成する構成であるため、変位した背景画像を歪ませることができる。
【1140】
なお、背景画像の変位としては、所定の方向への背景画像のスクロールが考えられる。当該スクロールは、背景画像を構成するオブジェクトの移動又は視点の移動により実現することができる。
【1141】
また、画像の一部を加工して表示演出を行う構成は、2次元表示に係る構成に適用してもよい。具体的には、メモリモジュール133に複数種類のスプライトデータを記憶させておき、当該スプライトデータを用いて所定の画像に係る描画データを生成する。そして、当該描画データをフレームバッファ142に設けられた仮バッファに記憶させておき、当該描画データの一部を抜き出し、当該抜き出したデータをスプライトデータとして扱う構成とするとよい。これにより、描画データに係る画像の一部を拡大又は縮小したり、所定の方向に移動させたりする表示演出を行うことができる。
【1142】
さらに抜き出したデータを別のスプライトデータに対して重ねることにより、抜き出したデータに係る画像に上書きすることもできる。
【1143】
また、屈折用オブジェクトOB10に対して貼り付けるテクスチャは、投影することにより作成されたものであったが、これに限られず、例えば予めメモリモジュール133に記憶させておく構成としてもよい。但し、テクスチャのデータ量の増大化に着目すれば、投影することで作成する構成の方がよい。
【1144】
また、屈折用オブジェクトOB10は板状ポリゴンであったが、これに限られず、任意の形状のポリゴンを用いてもよい。但し、処理負荷の観点に着目すれば、板状ポリゴンである構成の方がよい。
【1145】
上記構成では、屈折用オブジェクトOB10の変形形態を、第1変形形態OB10aと第2変形形態OB10bとに交互に切り換えることで、歪みを表現したが、これに限られず、例えば2つの屈折用オブジェクトOB10を設け、各屈折用オブジェクトOB10をそれぞれ第1変形形態OB10aと、第2変形形態OB10bとに変形させて、両者を短辺部にて連結させる構成としてもよい。この場合、連結したものを所定の方向にスクロールさせる構成とするとよい。この場合であっても、揺らいだ画像を好適に表示させることができる。
【1146】
<瞬き演出を行うための構成について>
次に、瞬き演出を行うための構成について説明する。
【1147】
瞬き演出とは、所定のキャラクタ画像が瞬きをする演出である。
【1148】
当該瞬き演出では、所定のキャラクタ画像を表示するのに用いられるベースオブジェクトOB21及びベーステクスチャTD11と、目の部分を変更するのに用いられる部分オブジェクトOB22及び部分テクスチャTD12とが用いられる。これらの各構成について図85を用いて説明する。図85(a)はベースオブジェクトOB21及び部分オブジェクトOB22を説明するための説明図、図85(b)はベーステクスチャTD11を説明するための説明図、図85(c)は部分テクスチャTD12を説明するための説明図である。なお、ベースオブジェクトOB21と部分オブジェクトOB22との関係を説明するために、図85(a)においてベースオブジェクトOB21と部分オブジェクトOB22とを重ねて示すとともに、部分オブジェクトOB22を点線で示す。さらに、ベーステクスチャTD11と部分テクスチャTD12との関係を説明するために、図85(b)において部分テクスチャTD12の外形を点線で示す。
【1149】
ベースオブジェクトOB21は、図85(a)に示すように、複数の部品オブジェクトからなる1単位のオブジェクトであり、各部品オブジェクトに適用されるパラメータを更新することで3D画像のキャラクタに動きや変化を与えることができる。
【1150】
また、ベースオブジェクトOB21において、キャラクタの頭部に対応した頭部オブジェクトOB31に貼り付けるテクスチャとしてベーステクスチャTD11が設定されている。ベーステクスチャTD11は、図85(b)に示すように、顔が描かれた画像データである。ベーステクスチャTD11は頭部オブジェクトOB31に対応させた矩形状の画像データとして設定されている。具体的には、ベーステクスチャTD11は、3次元の頭部オブジェクトOB31を2次元に展開した場合の画像データに対応させて設定されており、展開した画像データと同一の形状となるように縦横ピクセル数が設定されている。当該ベーステクスチャTD11が頭部オブジェクトOB31に対して貼り付けられることにより、顔が表現されることとなる。
【1151】
なお、髪型については、頭部オブジェクトOB31とは別に髪型オブジェクトOB32が設けられているとともに、当該髪型オブジェクトOB32に対して貼り付ける髪型テクスチャが設けられている。これらを用いて髪型を表現し、髪型オブジェクトOB32と頭部オブジェクトOB31とを重ねあわせることにより、キャラクタの頭部を表現する。
【1152】
また、ベーステクスチャTD11は矩形状の画像データとして設定されている構成としたが、これに限られず、頭部オブジェクトOB31の形状に合わせて異なる形状の画像データとして設定してもよい。
【1153】
部分オブジェクトOB22は、当該部分オブジェクトOB22が投影された場合にベースオブジェクトOB21における目の表示領域を覆うことが可能となるようにその形状及びサイズが設定されている。具体的には、部分オブジェクトOB22は、図85(a)に示すように、ベースオブジェクトOB21において目が表示される領域と同一の形状となる矩形板状ポリゴンで構成されている。これにより、ワールド座標系においてベースオブジェクトOB21が配置され、視点とベースオブジェクトOB21との間であって且つベースオブジェクトOB21において目が表示される領域に対して重なるように部分オブジェクトOB22が配置された状態で平行投影が行われた場合には、ベーステクスチャTD11の目に代えて、部分オブジェクトOB22の画像が表示されることとなる。この場合、部分オブジェクトOB22に対して、ベーステクスチャTD11の目とは態様が異なるテクスチャが貼り付けられることにより、目の態様が異なるキャラクタ画像が表示される。
【1154】
当該部分オブジェクトOB22に対して貼り付けるテクスチャとして複数種類(具体的には3種類)の部分テクスチャTD12が設けられている。
【1155】
部分テクスチャTD12について説明すると、部分テクスチャTD12のサイズは部分オブジェクトOB22と同一に設定されており、具体的には、部分オブジェクトOB22の形状と同一となるように、部分テクスチャTD12の各縦横ピクセル数が設定されている。このため、部分オブジェクトOB22に対して部分テクスチャTD12は変形することなく貼り付けられることとなる。
【1156】
この場合、ベーステクスチャTD11のピクセル数は頭部オブジェクトOB31全体の大きさに対応させて設定されており、部分テクスチャTD12のピクセル数は頭部オブジェクトOB31のうち目の部分に対応させて設定されているため、図85(b)に示すように、部分テクスチャTD12の方がベーステクスチャTD11よりもサイズが小さく、データ量が少ない画像データとなっている。
【1157】
部分テクスチャTD12には目が開いた状態の画像データである第1部分テクスチャTD21(図85(c-1)参照)と、目が開いた状態と目が閉じた状態との中間状態の画像データである第2部分テクスチャTD22(図85(c-2)参照)と、目が閉じた状態の第3部分テクスチャTD23(図85(c-3)参照)と、が設定されている。第1部分テクスチャTD21は、ベーステクスチャTD11の目の部分と同一の画像が描かれたテクスチャである。
【1158】
部分オブジェクトOB22に対して貼り付けるテクスチャを第1部分テクスチャTD21→第2部分テクスチャTD22→第3部分テクスチャTD23→第2部分テクスチャTD22→第1部分テクスチャTD21を1周期として順次切り換えることにより、瞬きを表現することができる。
【1159】
瞬き演出の具体的な処理構成について説明する。
【1160】
図86は、表示CPU131にて実行される瞬き演出用演算処理を示すフローチャートである。瞬き演出用演算処理は、タスク処理(図14)のステップS904における演出用演算処理において、現状設定されているデータテーブルが瞬き演出に対応したものである場合に起動される。
【1161】
先ずステップS5001にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、瞬き演出中であるか否かを判定する。
【1162】
瞬き演出の実行中でない場合には、ステップS5002に進み、現状設定されているデータテーブルに基づいて、瞬き演出の開始タイミングであるか否かを判定する。
【1163】
瞬き演出の開始タイミングでない場合にはそのまま本演算処理を終了する一方、瞬き演出の開始タイミングである場合には、ステップS5003に進み、ベースオブジェクトOB21を把握する。そして、ステップS5004に進み、ベーステクスチャTD11を含むベースオブジェクトOB21に対して貼り付けられる各種テクスチャのアドレス情報を設定する。
【1164】
その後、ステップS5005にて、ベースオブジェクトOB21に対して適用されるその他のパラメータの初期設定に係る演算処理を行う。
【1165】
続くステップS5006では、部分オブジェクトOB22を把握する。そして、ステップS5007にて当該部分オブジェクトOB22の初期座標を設定する。初期座標はデータテーブルに予め設定されており、具体的には、ワールド座標系に変換した場合にベースオブジェクトOB21よりも前側(視点側)であって投影(平行投影)した場合にベースオブジェクトOB21において目が表示される領域と重なるように配置されるよう設定されている。
【1166】
その後、ステップS5008では、部分テクスチャTD12のアドレス情報の初期設定を行う。具体的には、第1部分テクスチャTD21のアドレス情報を設定する。そして、ステップS5009にてその他のパラメータの初期設定に係る演算処理を実行する。
【1167】
その後、ステップS5010にて瞬き演出指定情報を描画リストに設定して本演算処理を終了する。当該瞬き演出指定情報は、VDP135において瞬き演出に係る描画処理を実行することを特定するのに用いられる情報である。
【1168】
かかる処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストには、ベースオブジェクトOB21及び部分オブジェクトOB22が描画対象として設定されるとともに、各オブジェクトOB21,OB22に対応したパラメータが設定される。この場合、投影した場合にベースオブジェクトOB21の頭部オブジェクトOB31及びベーステクスチャTD11による目の画像に重なるように部分オブジェクトOB22及び第1部分テクスチャTD21による目の画像が表示されるように各オブジェクトOB21,OB22の座標が設定されている。また、上記描画リストには、瞬き演出指定情報が設定されている。
【1169】
一方、瞬き演出中である場合には、ステップS5011?ステップS5013にて、ベースオブジェクトOB21の設定に係る処理を実行する。具体的には、ステップS5011にて、ベースオブジェクトOB21を把握し、ステップS5012にて各種テクスチャのアドレスを設定する。そして、ステップS5013にてその他のパラメータの演算処理を行う。この場合、初期設定された各種パラメータを維持する処理を実行する。
【1170】
その後、ステップS5014?ステップS5018にて部分オブジェクトOB22の設定に係る処理を実行する。具体的には、先ずステップS5014にて部分オブジェクトOB22を把握する。そして、ステップS5015にて、現状設定されているデータテーブルに基づいて、部分テクスチャTD12の更新タイミングであるか否かを判定する。具体的には、瞬き演出に対応したデータテーブルには、所定数のフレーム毎に部分テクスチャTD12の更新タイミングを特定するための情報が設定されている。ステップS5015では、上記情報が設定されているか否かを判定する。
【1171】
部分テクスチャTD12の更新タイミングでない場合には、ステップS5016に進み、前回の部分テクスチャTD12のアドレス情報を設定する。そして、ステップS5017にてその他のパラメータの演算処理を実行し、ステップS5010にて瞬き演出指定情報を設定し、本演算処理を終了する。
【1172】
かかる処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理では、前回作成された描画リストと同一の描画リストが作成される。
【1173】
一方、部分テクスチャTD12の更新タイミングである場合には、ステップS5018に進み、前回の部分テクスチャに対して次の部分テクスチャのアドレス情報を設定する処理を実行する。具体的には、瞬き演出に対応したデータテーブルには、部分オブジェクトOB22に対する貼付対象となる各部分テクスチャTD21?TD23の順序が予め設定されている。詳細には、第1部分テクスチャTD21→第2部分テクスチャTD22→第3部分テクスチャ→第2部分テクスチャTD22を1周期として設定されている。ステップS5018では、上記周期に基づいて、前回の描画リストにおいて設定された部分テクスチャに対して次の部分テクスチャを把握し、当該次の部分テクスチャに対応したアドレスを設定する処理を実行する。
【1174】
そして、ステップS5017及びステップS5010の処理を実行して本演算処理を終了する。
【1175】
かかる処理が実行された場合、その後の描画リスト出力処理にて作成される描画リストは、前回作成された描画リストと比較して、部分オブジェクトOB22に対して貼り付けられる部分テクスチャTD12が異なっている。
【1176】
VDP135は、瞬き演出指定情報が設定された描画リストを受信した場合、各オブジェクトOB21,OB22に設定されている座標に基づいてワールド座標系への設定を行う。そして、ベースオブジェクトOB21に対してベーステクスチャTD11を含む各種テクスチャをマッピングするとともに、部分オブジェクトOB22に対して今回描画リストに設定されている部分テクスチャTD12をマッピングし、演出及び図柄用の描画データ作成処理にて、各オブジェクトOB21,OB22を平行投影し、描画データを作成する。これにより、目の部分が部分テクスチャTD12の画像に置き換わったキャラクタ画像が作成される。
【1177】
この場合、部分テクスチャTD12の更新タイミングに係る描画リストには、前回の描画リストとは異なる部分テクスチャTD12が設定されているため、表示面Gには、前回の処理により表示されたキャラクタ画像と比較して、目の態様が異なるキャラクタ画像が表示されることとなる。
【1178】
次に、瞬き演出の様子について図87を用いて説明する。図87は、瞬き演出を説明するための説明図であり、具体的には図87(a)は瞬き演出の開始タイミングにおいて表示面Gに表示される画像を説明するための説明図、図87(b)及び図87(c)はキャラクタ画像CP22の表示態様の移り変わりを時系列で示した説明図である。なお、説明の便宜上、キャラクタ画像CP22以外の画像を省略して示すが、実際には背景画像及び図柄画像等が表示される。
【1179】
瞬き演出が開始される場合、図87(a)に示すように、ベースオブジェクトOB21及びベーステクスチャTD11を含む各種テクスチャを用いて作成されたベース画像CP21を有するキャラクタ画像CP22が表示される。この場合、ベース画像CP21における重ね合わせ領域PE2(詳細には目の領域)には、部分オブジェクトOB22及び第1部分テクスチャTD21を用いて作成された第1部分画像CP23が表示される。
【1180】
なお、既に説明した通り、第1部分テクスチャTD21に描かれている目の画像は、ベース画像CP21における目の画像と同一であるため、実際にはベース画像CP21と同一の画像が表示されることとなる。
【1181】
その後、部分テクスチャTD12の更新タイミングとなることに基づいて、図87(b)に示すように、重ね合わせ領域PE2には、部分オブジェクトOB22及び第2部分テクスチャTD22を用いて作成された第2部分画像CP24が表示される。
【1182】
そして、次の更新タイミングとなることに基づいて、図87(c)に示すように、重ね合わせ領域PE2には、部分オブジェクトOB22及び第3部分テクスチャTD23を用いて作成された第3部分画像CP25が表示される。
【1183】
以上のように、第1部分画像CP23→第2部分画像CP24→第3部分画像CP25の順に更新されることにより、目が徐々に閉じていく様子が表現される。
【1184】
その後、更新タイミングとなる度に、重ね合わせ領域PE2には、第2部分画像CP24→第1部分画像CP23が表示される。
【1185】
すなわち、第1部分画像CP23→第2部分画像CP24→第3部分画像CP25→第2部分画像CP24→第1部分画像CP23→…、という順序で繰り返し画像が更新されることにより、キャラクタ画像CP22が瞬きをしているように見える。
【1186】
以上の通り、キャラクタ画像CP22の目の部分に対して局所的に部分オブジェクトOB22を配置し、所定の更新タイミングとなる度に当該部分オブジェクトOB22に対して貼り付ける部分テクスチャTD12を更新することにより、キャラクタ画像CP22の瞬きを表現することができる。この場合、部分テクスチャTD12はベーステクスチャTD11の一部の領域のテクスチャであるため、ベーステクスチャTD11と比較してデータ量が小さい。これにより、ベーステクスチャTD11を複数用意する構成と比較して、瞬き演出を行うのに必要なデータ量の削減を図ることができる。
【1187】
すなわち、ベース画像CP21を、変化対象となる部位と変化対象とならない部位とに区分けし、変化対象となる部位のみに対応したテクスチャを設け、当該テクスチャとベース画像CP21とを用いてキャラクタ画像の動作を表現する構成とした。これにより、ベース画像CP21全体に係るテクスチャ、すなわちベーステクスチャTD11を複数用意する必要がない。よって、データ量の削減を図りつつ、特定キャラクタ画像の一部を変化させることが可能となる。
【1188】
この場合、例えば頭部オブジェクトOB31を、目の部分に対応した目オブジェクトと、目よりも下の部分に対応した第1オブジェクトと、目よりも上の部分に対応した第2オブジェクトとに分割し、当該目オブジェクトに対して貼り付けるテクスチャを変更することにより、瞬きを表現する構成も考えられる。しかしながら、かかる構成の場合、頭部オブジェクトOB31を分割することに起因して描画対象となるオブジェクト数が増加し、把握対象となる頂点数が増加する。このため、処理負荷の増大化が懸念される。
【1189】
これに対して、本形態によれば、1の頭部オブジェクトOB31と、描画に係る処理負荷が比較的少ない板状ポリゴンである1の部分オブジェクトOB22とで瞬きを実現することができる。これにより、瞬き演出を行うのに要する処理負荷の増大化を抑制することができる。
【1190】
なお、瞬きについて説明したが、これに限られず、1単位の個別画像の一部を変化させる場合に本発明を適用することができる。具体的には、変化対象となる領域に対して重なるように部分オブジェクトを配置し、当該部分オブジェクトに対して当該領域に表示される変化後の部分画像に対応した部分テクスチャを貼り付ければよい。例えば、口を変える場合、服の模様を一部変更する場合にも本発明を適用することができる。
【1191】
また、瞬き演出を行う場合に、ベース画像CP21の目の画像と同一の第1部分テクスチャTD21を用意して、当該第1部分テクスチャTD21を用いて第1部分画像CP23を表示させる構成としたが、これに限られず、第1部分テクスチャTD21を用意しない構成としてもよい。これにより、瞬き演出に要するデータ量の削減を好適に図ることができる。この場合、瞬き演出に対応したデータテーブルに、ベース画像CP21をそのまま表示する期間であることを特定するための情報を設定し、ステップS5013の処理の実行後に、当該期間中であるか否かを判定する処理を実行する。当該判定処理にて、ベース画像CP21をそのまま表示する期間であると判定した場合には、部分オブジェクトOB22の設定に係る処理(ステップS5014?ステップS5017)を実行することなく、本演算処理を終了する。一方、ベース画像CP21をそのまま表示する期間でないと判定した場合には、部分オブジェクトOB22の設定に係る処理を実行する構成とするとよい。これにより、ベース画像CP21の一部を流用して瞬き演出を行うことが可能となる。但し、上記判定処理に係る処理負荷分だけ瞬き演出用演算処理の処理負荷が大きくなることに着目すれば、第1部分テクスチャTD21を予め用意しておく構成の方がよい。
【1192】
特に、一般的に定期処理では、最大負荷が付与された場合であっても処理落ちしないように設計する必要がある。このため、上記構成の場合、上記判定処理及び部分オブジェクトOB22の設定に係る処理が実行された場合であっても処理落ちしないように設計する必要がある。これに対して、第1部分テクスチャTD21を用意する構成の場合、上記判定処理が必要なく、その分だけ余裕を持たせることができる。これにより、瞬き演出に要するテクスチャのデータ量の削減と、瞬き演出に起因する処理負荷の増大化の抑制とのバランスを取ることができる。
【1193】
なお、瞬きの途中態様の様子を示す第2部分テクスチャTD22を設ける構成としたが、これに限られず、例えば第1部分テクスチャTD21及び第3部分テクスチャTD23に基づいて中間態様の部分テクスチャを作成する構成としてもよい。この場合、中間態様の部分テクスチャに係る画像データを用意する必要がないため、データ量の削減を図ることができる。但し、中間態様の部分テクスチャの作成に係る処理負荷を考慮すれば、中間態様の部分テクスチャを予め用意しておく構成の方が好ましい。
【1194】
上記構成においては、部分オブジェクトOB22を設け、ベースオブジェクトOB21に対して部分オブジェクトOB22が重なるように両者の位置関係を設定することで瞬き演出を実現させる構成としたが、これに限られず、部分オブジェクトOB22を設けない構成としてもよい。この場合、部分テクスチャTD12を頭部オブジェクトOB31における目の領域に対して直接上書きする構成としてもよい。具体的には、ベーステクスチャTD11が貼り付けられた頭部オブジェクトOB31の目の領域に対応する頂点に対応付けて部分テクスチャTD12のUV座標を設定し、当該部分テクスチャTD12を上記目の領域に貼り付ける処理を実行する。但し、部分オブジェクトOB22は板ポリゴンであるため、当該部分オブジェクトOB22を構成する頂点の数は頭部オブジェクトOB31における目の領域を形成する頂点の数よりも少なくなり易い。このため、部分オブジェクトOB22を用いて瞬き演出を行う構成の方が、マッピングに係る処理負荷が軽くなり易い。
【1195】
さらに、髪型オブジェクトOB32に対して貼り付けるテクスチャを複数種類設け、当該髪型オブジェクトOB32に貼り付けるテクスチャを場面に応じて切り換える構成としてもよい。
【1196】
<その他の実施形態>
なお、上述した各実施形態の記載内容に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能である。例えば以下のように変更してもよい。ちなみに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態の構成に対して、個別に適用してもよく、組み合わせて適用してもよい。
【1197】
(1)描画データを作成する上で必要となる画像データを、その必要となったタイミングでメモリモジュール133から読み出すのではなく、その必要となるタイミングよりも前に事前にVRAM134に読み出しておく構成としてもよい。このような事前読み出しを行うことにより、描画データの作成を好適に行うことが可能となる。特に、メモリモジュール133としてNAND型フラッシュメモリを用いる場合には、読み出しに要する時間がNOR型フラッシュメモリよりも長時間化してしまう傾向にあるため、このような構成に、上記事前読み出しの構成を適用すると効果的である。なお、VDP135において使用される画像データに加えて又は代えて、表示CPU131において使用されるプログラムやデータが事前に読み出される構成としてもよい。
【1198】
(2)演出用の描画データが書き込まれる演出用のバッファと、図柄用の描画データが書き込まれる図柄用のバッファとが個別に設けられており、最終的な生成データの生成に際しては、背景用のバッファに書き込まれた描画データと、演出用のバッファに書き込まれた描画データと、図柄用の描画データに書き込まれた描画データと、が合成される構成としてもよい。また、これに代えて、第1演出用の描画データが作成されるバッファと、第2演出用の描画データが作成されるバッファとが存在していて、第1演出用の描画データは背景用の描画データと図柄用の描画データとの間に存在し、第2演出用の描画データは最前面に存在するように、描画データの合成が行われる構成としてもよい。
【1199】
(3)カメラ(視点)がワールド座標系に配置される画像データ毎に個別に設定される構成としたが、これに代えて、ワールド座標系に配置される全画像データに対して単一のカメラが共通して設定される構成としてもよい。
【1200】
(4)ワールド座標系に配置された画像データは、背景画像、演出画像及び図柄画像の単位で投影される構成としたが、背景画像及び演出画像の単位でまとめて投影される構成としてもよく、演出画像及び図柄画像の単位でまとめて投影される構成としてもよく、全てがまとめて投影される構成としてもよい。
【1201】
(5)上作動口23への入賞に係る保留情報と下作動口24への入賞に係る保留情報とが区別して記憶されるとともに、下作動口24への入賞に係る保留情報が優先して消化される構成を適用してもよく、これとは逆に上作動口23への入賞に係る保留情報が優先して消化される構成を適用してもよい。
【1202】
また、上記構成において、複数の作動口が上下に並設されているのではなく、上作動口23に対応した第1作動口と、下作動口24に対応した第2作動口とが左右に並設された構成としてもよく、これら両作動口が斜めに並設された構成としてもよい。さらにまた、発射ハンドル41の操作態様に応じて、第1作動口への入賞のみ又は第2作動口への入賞のみを狙えるように、両作動口を離間して配置する構成としてもよい。
【1203】
また、上記構成において、メイン表示部33に、上作動口23への入賞に基づき取得された保留情報の当否判定の結果を表示する第1表示領域と、下作動口24への入賞に基づき取得された保留情報の当否判定の結果を表示する第2表示領域とを設けてもよい。この場合、上作動口23への入賞に基づき取得された保留情報が当否判定の対象となることに先立って又は当否判定の対象となったことに基づいて、第1表示領域において絵柄の変動表示が開始されるとともに当該当否判定に対応した停止結果を表示し係る1遊技回の変動表示が終了される。また、下作動口24への入賞に基づき取得された保留情報が当否判定の対象となることに先立って又は当否判定の対象となったことに基づいて、第2表示領域において絵柄の変動表示が開始されるとともに当該当否判定に対応した停止結果を表示し係る1遊技回の変動表示が終了される。
【1204】
(6)上作動口23への入賞に係る保留情報が当否判定の対象となった場合と、下作動口24への入賞に係る保留情報が当否判定の対象となった場合とで、遊技者が得られる利益が異なる構成としてもよい。また、上記各実施形態のように作動口を複数設ける構成においては、作動口の数は2個に限定されることはなく、3個以上であってもよい。また、作動口が1個のみ設けられた構成としてもよい。
【1205】
(7)主制御装置50から出力されるコマンドに基づいて、音声発光制御装置60により表示制御装置70,130が制御される構成に代えて、主制御装置50から出力されるコマンドに基づいて、表示制御装置70,130が音声発光制御装置60を制御する構成としてもよい。また、音声発光制御装置60と表示制御装置70,130とが別々に設けられた構成に代えて、両制御装置が一の制御装置として設けられた構成としてもよく、それら両制御装置のうち一方の機能が主制御装置50に集約されていてもよく、それら両制御装置の両機能が主制御装置50に集約されていてもよい。また、主制御装置50から音声発光制御装置60に出力されるコマンドの構成も任意である。
【1206】
(8)上記各実施形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
【1207】
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数の周回体として複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作されることでリールが停止した後に、表示窓から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組み合わせが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも、本発明を適用できる。この場合、スロットマシンの各種制御に対して本発明を適用できるとともに、リールとは別に液晶表示装置といった表示装置を備えた構成においては当該表示制御装置における画像の表示に係る制御に対して本発明を適用できる。
【1208】
また、取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも、本発明を適用できる。
【1209】
<上記実施形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【1210】
<特徴A群>
特徴A1.表示部(表示面G)を有する表示手段(図柄表示装置31)と、
データ生成手段(表示CPU131、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152)によって生成された生成データ(描画データ)を用いて前記表示部に画像を表示させ、且つ予め定められた更新タイミングとなった場合に画像の内容を更新させる表示制御手段(VDP135の表示回路155)と、
を備え、
前記データ生成手段は、画像データを用いるとともに当該画像データによる画像の表示態様を決定付けるパラメータデータを適用することに基づき前記生成データを生成するものである遊技機において、
前記データ生成手段は、
複数の個別画像を含む画像群を前記表示部に表示させる場合に適用する前記パラメータデータを導出する導出手段(VDP135におけるステップS2204、ステップS2208及びステップS2212の処理を実行する機能、又はVDP135におけるステップS2305、ステップS2310、ステップS2317)と、
当該導出手段により導出された前記パラメータデータを、特定画像データ(粒子分散用オブジェクトPC17)に適用した状態で当該特定画像データを用いることに基づき、前記表示部に前記画像群を表示させる生成データの生成を可能とする画像群用手段(VDP135におけるステップS2206、ステップS2210及びステップS2214の処理を実行する機能、又はVDP135におけるステップS2307、ステップS2313及びステップS2319の処理を実行する機能)と、
を備え、
前記導出手段は、第1更新タイミングにて前記画像群を表示させる場合に適用する第1パラメータデータ(例えば第1キーデータKD1)と、当該第1更新タイミングよりも後である第2更新タイミングにて前記画像群を表示させる場合に適用する第2パラメータデータ(例えば第2キーデータKD2)とを用いて、それら第1更新タイミングと第2更新タイミングとの間の更新タイミングにて前記画像群を表示させる場合に適用する特定パラメータデータを導出する特定導出手段(VDP135におけるステップS2208の処理を実行する機能、又はVDP135におけるステップS2310の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
【1211】
特徴A1によれば、複数の個別画像を含む画像群が表示されることにより、表示内容の複雑化が可能となり、表示部にて表示されている画像に対する遊技者の興味を高めることが可能となる。
【1212】
この場合に、第1パラメータデータと第2パラメータデータとを用いて、第1更新タイミングと第2更新タイミングとの間の更新タイミングにおける特定パラメータデータが導出される構成であるため、当該特定パラメータデータを予め記憶させておく必要がない点でデータ容量の削減が図られ、さらには第1パラメータデータ及び第2パラメータデータのそれぞれに対する連続性を担保することが可能となる。
【1213】
さらにまた、第1更新タイミングと第2更新タイミングとの間の更新タイミングにおいて画像群に含まれる複数の個別画像を表示させるためのパラメータデータが、特定パラメータデータとして、第1パラメータデータと第2パラメータデータとを用いてまとめて導出される。これにより、画像群に含まれる複数の個別画像間において、パラメータデータを導出する上で参照すべきパラメータデータは同一の更新タイミングに対応したものである。よって、特定パラメータデータを導出する上での処理負荷の軽減が図られる。
【1214】
特徴A2.前記画像群には、第1個別画像(例えば粒子単体画像PT1)と第2個別画像(例えば粒子単体画像PT2)とが含まれており、
前記第1パラメータデータは、前記第1個別画像を表示させる場合に適用されるパラメータデータと、前記第2個別画像を表示させる場合に適用されるパラメータデータと、を含み、
前記第2パラメータデータは、前記第1個別画像を表示させる場合に適用されるパラメータデータと、前記第2個別画像を表示させる場合に適用されるパラメータデータと、を含み、
前記特定導出手段は、前記第1パラメータデータと前記第2パラメータデータとを用いて、前記第1個別画像を表示させる場合に適用されるパラメータデータと、前記第2個別画像を表示させる場合に適用されるパラメータデータとを含む前記特定パラメータデータを導出するものであることを特徴とする特徴A1に記載の遊技機。
【1215】
特徴A2によれば、第1パラメータデータ、第2パラメータデータ及び特定パラメータデータのそれぞれには、画像群に含まれる第1個別画像及び第2個別画像のそれぞれに対応したパラメータデータが存在することとなる。これにより、第1更新タイミングと第2更新タイミングとの間の更新タイミングにおいて画像群に含まれる複数の個別画像を表示させるためのパラメータデータが、特定パラメータデータとしてまとめて導出される構成において、時間の経過に伴って第1個別画像及び第2個別画像の表示態様を変化させる場合に、その変化していく態様をそれぞれの個別画像に対応させたものとすることが可能となる。
【1216】
特徴A3.前記特定導出手段は、前記第1パラメータデータと前記第2パラメータデータとを所定の比率でブレンドすることにより前記特定パラメータデータを導出するものであることを特徴とする特徴A1又はA2に記載の遊技機。
【1217】
特徴A3によれば、第1パラメータデータと第2パラメータデータとをそのまま利用しながら特定パラメータデータを導出することが可能となる。
【1218】
特徴A4.前記画像群には、第1個別画像と第2個別画像とが含まれており、
前記第1パラメータデータは、前記第1個別画像を表示させる場合に適用されるパラメータデータと、前記第2個別画像を表示させる場合に適用されるパラメータデータと、を含み、
前記第2パラメータデータは、前記第1個別画像を表示させる場合に適用されるパラメータデータと、前記第2個別画像を表示させる場合に適用されるパラメータデータと、を含み、
前記特定導出手段は、
前記第1パラメータデータと前記第2パラメータデータとを用いて、前記第1個別画像を表示させる場合に適用される第1特定パラメータデータと、前記第2個別画像を表示させる場合に適用される第2特定パラメータデータとを含む前記特定パラメータデータを導出するものでり、
且つ、特定の更新タイミングにて前記特定パラメータデータを導出する場合において、前記第1特定パラメータデータを導出する場合における前記所定の比率と、前記第2特定パラメータデータを導出する場合における前記所定の比率とが同一であることを特徴とする特徴A3に記載の遊技機。
【1219】
特徴A4によれば、第1パラメータデータ、第2パラメータデータ及び特定パラメータデータのそれぞれには、画像群に含まれる第1個別画像及び第2個別画像のそれぞれに対応したパラメータデータが存在することとなる。これにより、第1更新タイミングと第2更新タイミングとの間の更新タイミングにおいて画像群に含まれる複数の個別画像を表示させるためのパラメータデータが、特定パラメータデータとしてまとめて導出される構成において、時間の経過に伴って第1個別画像及び第2個別画像の表示態様を変化させる場合に、その変化していく態様をそれぞれの個別画像に対応させたものとすることが可能となる。
【1220】
また、このように各個別画像に対応した各パラメータデータを含むようにして特定パラメータデータを導出する構成において、第1個別画像に対応した第1特定パラメータデータを導出する場合に用いられる所定の比率と、第2個別画像に対応した第2特定パラメータデータを導出する場合に用いられる所定の比率とが同一となっている。これにより、所定の比率の情報を共通して使用することが可能となり、所定の比率がそれぞれ異なる構成に比べて処理負荷の軽減が図られる。
【1221】
特徴A5.前記第1更新タイミングと前記第2更新タイミングとの間には、前記画像群の表示態様が変更される更新タイミングが複数存在しており、
前記特定導出手段は、前記第1更新タイミングと前記第2更新タイミングとの間にて前記画像群の表示態様が変更される複数の更新タイミングのそれぞれにおいて、前記第1パラメータデータと前記第2パラメータデータとを用いて前記特定パラメータデータを導出するものであることを特徴とする特徴A1乃至A4のいずれか1に記載の遊技機。
【1222】
特徴A5によれば、第1更新タイミングと第2更新タイミングとの間に含まれる複数の更新タイミングのそれぞれにおいて同一の特定パラメータデータを用いるのではなく、それぞれの更新タイミングにて個別に特定パラメータデータが導出される構成であるため、第1パラメータデータから第2パラメータデータへと除々に近付くようにパラメータデータを導出することが可能となる。これにより、画像群の表示態様を一連のものとして遊技者に視認させることが可能となる。
【1223】
また、複数の更新タイミングのそれぞれにおいて用いられるパラメータデータが第1パラメータデータと第2パラメータデータとを用いて導出される構成であるため、それらパラメータデータを予め記憶させておく構成に比べ、データ容量の削減が図られる。さらにまた、それら複数のパラメータデータは、いずれも第1パラメータデータと第2パラメータデータとを用いて導出されるため、それら複数のパラメータデータを導出する上で参照すべきパラメータデータの種類を変更する必要が生じない。よって、処理負荷の軽減が図られる。
【1224】
特徴A6.前記特定導出手段は、前記第1パラメータデータと前記第2パラメータデータとを所定の比率でブレンドすることにより前記特定パラメータデータを導出するものであり、
前記データ生成手段は、前記複数の更新タイミングのそれぞれにおいて、前記第1パラメータデータと前記第2パラメータデータとをブレンドする場合における前記所定の比率を決定する比率決定手段(表示CPU131におけるステップS2109の処理を実行する機能、又はVDP135におけるステップS2309の処理を実行する機能)を備え、
当該比率決定手段は、前記複数の更新タイミングにおいて一の更新タイミングから次の更新タイミングとなった場合の前記所定の比率の変化量と、当該次の更新タイミングからさらに次の更新タイミングとなった場合の前記所定の比率の変化量とが同一となるように前記決定を行うものであることを特徴とする特徴A5に記載の遊技機。
【1225】
特徴A6によれば、第1更新タイミングと第2更新タイミングとの間の複数の更新タイミングのそれぞれでは、一定の変化量で所定の比率を変更していくだけでよいため、所定の比率を変化させる上での構成の簡素化が図られる。
【1226】
特徴A7.一の更新タイミングにおける画像を表示させるのに必要は画像データを指定する情報及び当該画像データに適用するパラメータデータを少なくとも含む描画指示情報(描画リスト)を出力する描画指示手段(表示CPU131)を備え、
前記表示制御手段は、前記描画指示手段にて指示されている情報に従って画像の表示を行わせるものであり、
当該表示制御手段が、前記特定導出手段を有していることを特徴とする特徴A1乃至A6のいずれか1に記載の遊技機。
【1227】
特徴A7によれば、描画指示手段側において特定パラメータデータを導出する必要がないため、当該描画指示手段の処理負荷の軽減が図られる。
【1228】
特徴A8.前記第1パラメータデータ、前記第2パラメータデータ及び前記特定パラメータデータは、前記画像群が表示される位置を決定するための座標情報を含んでいることを特徴とする特徴A1乃至A7のいずれか1に記載の遊技機。
【1229】
特徴A8によれば、既に説明したような優れた効果を奏しながら、画像群に含まれる各個別画像の位置が変化していく画像を表示することが可能となる。
【1230】
特徴A9.前記特定パラメータデータに対応した座標情報は、前記画像群に含まれる各個別画像の位置が、前記第1パラメータデータにより定まる位置と、前記第2パラメータデータにより定まる位置とを結ぶ仮想直線上となるようにする座標情報であることを特徴とする特徴A8に記載の遊技機。
【1231】
特徴A9によれば、第1パラメータデータにより定まる位置から、第2パラメータデータにより定まる位置へと移動しているように画像群を表示させる場合において、それらの両位置を結ぶ直線上を移動するように特定パラメータデータを導出するだけでよいため、第1パラメータデータと第2パラメータデータとを用いて特定パラメータデータを導出する上で、当該導出に際しての処理負荷の軽減が図られる。
【1232】
特徴A10.前記導出手段は、前記第1パラメータデータ及び前記第2パラメータデータを記憶手段(メモリモジュール133)から読み出すことで導出するものであることを特徴とする特徴A1乃至A9のいずれか1に記載の遊技機。
【1233】
特徴A10によれば、第1更新タイミングにおいては第1パラメータデータを読み出して用い、第2更新タイミングにおいては第2パラメータデータを読み出して用いるだけでよいため、それら更新タイミングにおける処理負荷の軽減が図られる。その一方、第1更新タイミングと第2更新タイミングとの間の更新タイミングにおいては、第1パラメータデータと第2パラメータデータとを用いて特定パラメータデータを導出すればよいため、それだけパラメータデータを記憶しておくためのデータ容量が削減できる。つまり、本構成によれば、データ容量及び処理負荷の両方のバランスを図りながら、画像群を用いた表示を行うことが可能となる。
【1234】
特徴A11.前記データ生成手段は、仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトの画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS1002?ステップS1004の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS1006の処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトの画像データを投影し、当該投影平面に投影されたデータに基づいて生成データを生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS1010?ステップS1012の処理を実行する機能)と、を備え、
前記特定画像データは、オブジェクトの画像データに対応しており、前記画像群に含まれる前記複数の個別画像はそれぞれ、前記オブジェクトの画像データの各頂点データに対応していることを特徴とする特徴A1乃至A10のいずれか1に記載の遊技機。
【1235】
特徴A11によれば、3次元情報を利用したリアルな画像表示を可能とした構成において、画像群の表示に際しては一のオブジェクトを仮想3次元空間に配置すればよいため、処理負荷の軽減を図りながら、画像群を表示させることが可能となる。
【1236】
特徴A12.前記配置手段は、一の更新タイミングにおける画像を表示させるのに必要な画像データを指定する情報及び当該画像データに適用するパラメータデータを少なくとも含む描画指示情報(描画リスト)を描画指示手段(表示CPU131)が出力したことに基づき、当該描画指示情報にて指示されている情報に従って前記画像データを前記仮想3次元空間に配置することにより、当該描画指示情報に対応した生成データの生成が可能となるようにするものであり、
前記描画指示手段は、前記画像群を表示させる場合、前記特定画像データの使用指示情報を前記描画指示情報に含ませるものであり、
前記配置手段は、前記描画指示情報に前記特定画像データの使用指示情報が含まれている場合、前記特定画像データを前記仮想3次元空間に配置することにより、前記画像群を表示させる生成データの生成が可能となるようにするものであることを特徴とする特徴A11に記載の遊技機。
【1237】
特徴A12によれば、画像群を表示させる場合において描画指示手段は、一のオブジェクトについての使用指示情報を描画指示情報に含ませるだけでよいため、描画指示情報の設定に要する処理負荷の軽減が図られるとともに、描画指示情報のデータ容量の削減が図られる。
【1238】
特徴A13.仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトの画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS1002?ステップS1004の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS1006の処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトの画像データを投影し、当該投影平面に投影されたデータに基づいて生成データ(描画データ)を生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS1010?ステップS1012の処理を実行する機能)と、を有するデータ生成手段(表示CPU131、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152)によって生成された生成データを記憶する記憶手段(フレームバッファ142)と、
当該記憶手段に記憶された生成データに対応した画像を表示手段(図柄表示装置31)に出力表示する表示制御手段(VDP135の表示回路155)と、
を備えている遊技機において、
前記データ生成手段は、複数の個別画像を含む画像群を前記表示部に表示させる場合に適用するパラメータデータを導出する導出手段(VDP135におけるステップS2204、ステップS2208及びステップS2212の処理を実行する機能、又はVDP135におけるステップS2305、ステップS2310、ステップS2317)を備え、
前記配置手段は、当該導出手段により導出された前記パラメータデータを、特定画像データ(粒子分散用オブジェクトPC17)に適用した状態で当該特定画像データを用いることに基づき、前記表示部に前記画像群を表示させる生成データの生成を可能とする画像群用手段(VDP135におけるステップS2206、ステップS2210及びステップS2214の処理を実行する機能、又はVDP135におけるステップS2307、ステップS2313及びステップS2319の処理を実行する機能)と、
を備え、
前記導出手段は、第1更新タイミングにて前記画像群を表示させる場合に適用する第1パラメータデータ(例えば第1キーデータKD1)と、当該第1更新タイミングよりも後である第2更新タイミングにて前記画像群を表示させる場合に適用する第2パラメータデータ(例えば第2キーデータKD2)とを用いて、それら第1更新タイミングと第2更新タイミングとの間の更新タイミングにて前記画像群を表示させる場合に適用する特定パラメータデータを導出する特定導出手段(VDP135におけるステップS2208の処理を実行する機能、又はVDP135におけるステップS2310の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
【1239】
特徴A13によれば、3次元情報を利用したリアルな画像表示が可能となり、さらには複数の個別画像を含む画像群が表示されることにより表示内容の複雑化が可能となる。よって、表示部にて表示されている画像に対する遊技者の興味を高めることが可能となる。
【1240】
この場合に、第1パラメータデータと第2パラメータデータとを用いて、第1更新タイミングと第2更新タイミングとの間の更新タイミングにおける特定パラメータデータが導出される構成であるため、当該特定パラメータデータを予め記憶させておく必要がない点でデータ容量の削減が図られ、さらには第1パラメータデータ及び第2パラメータデータのそれぞれに対する連続性を担保することが可能となる。
【1241】
さらにまた、第1更新タイミングと第2更新タイミングとの間の更新タイミングにおいて画像群に含まれる複数の個別画像を表示させるためのパラメータデータが、特定パラメータデータとして、第1パラメータデータと第2パラメータデータとを用いてまとめて導出される。これにより、画像群に含まれる複数の個別画像間において、パラメータデータを導出する上で参照すべきパラメータデータは同一の更新タイミングに対応したものである。よって、特定パラメータデータを導出する上での処理負荷の軽減が図られる。
【1242】
特徴A14.仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトの画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS1002?ステップS1004の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS1006の処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトの画像データを投影し、当該投影平面に投影されたデータに基づいて生成データを生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS1010?ステップS1012の処理を実行する機能)と、を有するデータ生成手段(表示CPU131、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152)によって生成された生成データ(描画データ)を記憶する記憶手段(フレームバッファ142)と、
当該記憶手段に記憶された生成データに対応した画像を表示手段(図柄表示装置31)に出力表示する表示制御手段(VDP135の表示回路155)と、
を備えている遊技機において、
前記表示制御手段は、特定の生成データを用いることにより、複数の個別画像を含む画像群を同時に表示させる構成であり、
前記画像群を表示させるために前記配置手段により前記仮想3次元空間に配置される画像データは、当該画像群に含まれる前記複数の個別画像のそれぞれが、各頂点データに対応付けられている特定オブジェクトの画像データ(粒子分散用オブジェクトPC17)であることを特徴とする遊技機。
【1243】
特徴A14によれば、3次元情報を利用したリアルな画像表示が可能となる。この場合に、画像群の表示に際しては一のオブジェクトを仮想3次元空間に配置すればよいため、処理負荷の軽減を図りながら、画像群を表示させることが可能となる。
【1244】
特徴A15.前記配置手段は、一の更新タイミングにおける画像を表示させるのに必要な画像データを指定する情報及び当該画像データに適用するパラメータデータを少なくとも含む描画指示情報(描画リスト)を描画指示手段(表示CPU131)が出力したことに基づき、当該描画指示情報にて指示されている情報に従って前記画像データを前記仮想3次元空間に配置することにより、当該描画指示情報に対応した生成データの生成が可能となるようにするものであり、
前記描画指示手段は、前記画像群を表示させる場合、前記特定オブジェクトの画像データの使用指示情報を前記描画指示情報に含ませるものであり、
前記配置手段は、前記描画指示情報に前記特定オブジェクトの画像データの使用指示情報が含まれている場合、当該特定オブジェクトの画像データを前記仮想3次元空間に配置することにより、前記画像群を表示させる生成データの生成が可能となるようにするものであることを特徴とする特徴A14に記載の遊技機。
【1245】
特徴A15によれば、画像群を表示させる場合において描画指示手段は、一のオブジェクトについての使用指示情報を描画指示情報に含ませるだけでよいため、描画指示情報の設定に要する処理負荷の軽減が図られるとともに、描画指示情報のデータ容量の削減が図られる。
【1246】
上記特徴A群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
【1247】
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機としては、例えば液晶表示装置といった表示装置を備えたものが知られている。当該遊技機では、画像用のデータが予め記憶されたメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像用のデータを用いて表示装置の表示部にて所定の画像が表示されることとなる。
【1248】
2次元画像データを用いて画像の表示が行われる場合についてより詳細に説明すると、画像データ用のメモリには背景を表示するための画像データと、キャラクタなどを表示するための画像データとが記憶されている。また、それら画像データを読み出すことで、背景の手前にてキャラクタなどを表示させるための生成データが、VRAMといった記憶手段に対して生成される。そして、その生成データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、上記背景の手前にキャラクタなどが配置された画像が表示部にて表示される。
【1249】
また、近年では、2次元の画像を単純に表示するのではなく、3次元で規定された画像データを用いることで、より立体的な画像の表示を行おうとする試みがなされている。当該表示を行う場合には、仮想3次元空間上に3次元画像データであるポリゴンが設定されるとともに、そのポリゴンに対して文字や模様などの2次元画像データであるテクスチャが貼り付けられ、このテクスチャが貼り付けられたポリゴンを所望の視点から平面上に投影した生成データが生成される。そして、その生成データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、立体的な画像が表示されることとなる。
【1250】
ここで、個別画像の表示方向を複雑なものとしたり、複数の個別画像を同時に表示させることにより、表示部にて表示されている画像に対する遊技者の興味を高めることが可能となると考えられる。しかしながら、このような画像の表示を行う場合に、処理負荷が極端に増加してしまうことや、データ容量が極端に増加してしまうことは好ましくない。
【1251】
本発明は、上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、処理負荷を抑えながら、表示演出を良好に行うことが可能な遊技機を提供することを目的とするものである。
【1252】
<特徴B群>
特徴B1.仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトの画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS1002?ステップS1004の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS1006の処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトの画像データを投影し、当該投影平面に投影されたデータに基づいて生成データ(描画データ)を生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS1010?ステップS1012の処理を実行する機能)と、を有するデータ生成手段(表示CPU131、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152)によって生成された生成データを記憶する記憶手段(フレームバッファ142)と、
当該記憶手段に記憶された生成データに対応した画像を表示手段(図柄表示装置31)に表示させ、且つ予め定められた更新タイミングとなった場合に画像の内容を更新させる表示制御手段(VDP135の表示回路155)と、
を備えている遊技機において、
前記配置手段による前記仮想3次元空間への配置対象となるオブジェクトの画像データには、複数の面を定めることが可能なデータを有し且つそれら複数の面データ(面データSD)によって3次元形状を定めることが可能な多面オブジェクトの画像データ(海面用オブジェクトPC19)が含まれており、
前記データ生成手段は、
複数の更新タイミングに亘って前記多面オブジェクトの画像データに対応した多面画像を表示させるべく前記仮想3次元空間に前記多面オブジェクトの画像データを配置する場合に、前記多面画像の表示態様が変更されるように前記複数の面データのうち少なくとも一部についての前記仮想3次元空間への配置態様を変更させる配置態様変更手段(表示CPU131における海面表示用の演算処理を実行する機能、VDP135における海面表示用の設定処理を実行する機能)と、
当該配置態様変更手段により前記配置態様が変更された前記面データに対して適用する色情報を、当該面データの配置態様に応じて当該面データ単位で変更させることにより、前記多面画像の少なくとも一部の領域の表示色が複数の更新タイミング間において異なることとなる画像表示を可能とする表示色変更手段(VDP135における海面表示用の色情報設定処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
【1253】
特徴B1によれば、複数の面データのうち少なくとも一部についての配置態様が変更されるとともに、当該配置態様が変更された面データに適用される色情報がその配置態様の変更に伴って変更される。これにより、表示演出を複雑化させることが可能となり、表示演出への遊技者の興味を高めることが可能となる。
【1254】
また、上記色情報の変更は、面データの配置態様に応じて当該面データ単位で行われる。これにより、色情報が変更されるパターンに対応させて多数のテクスチャを事前に記憶させておかなくても、面データの配置態様に応じた色情報の設定を行うことが可能となる。よって、データ容量の増大化を抑制しながら、表示演出への遊技者の興味を高めることが可能となる。
【1255】
なお、「前記配置態様変更手段は、前記配置態様を変更させる場合、前記複数の面データのうち少なくとも一部について、向き、形状及びサイズのうち少なくとも一つを変更させる」という構成が上記構成に含まれる。
【1256】
特徴B2.前記配置態様変更手段は、前記複数の面データのうち一部の面データの配置態様を変更させ、且つ他の面データの配置態様を当該一部の面データに対する配置態様の変更に対応させる手段(VDP135における法線パラメータの設定処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴B1に記載の遊技機。
【1257】
特徴B2によれば、各面データ間の連続性を失わせないようにしながら、面データの配置態様を個別に制御することが可能となる。
【1258】
特徴B3.前記配置態様変更手段は、前記多面画像において対応する領域が相互に連続しない非連続の面データ(適用対象の面データSD1)について、向き、形状及びサイズのうち少なくとも一つである所定パラメータを変更させ、且つ前記多面画像において対応する領域が前記非連続の面データに対応する領域と連続する面データ(緩衝用の面データSD2)の前記所定パラメータを、前記非連続の面データに対応させる手段(VDP135における法線パラメータの設定処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴B1又はB2に記載の遊技機。
【1259】
特徴B3によれば、各面データ間の連続性を失わせないようにしながら、面データの配置態様を個別に制御することが可能となる。特に、配置態様を積極的に変更させる対象を非連続の面データとし、当該非連続の面データに連続する面データについては、上記非連続の面データに対応させることにより、このような切り分けを行わずに配置態様の変更を行う構成に比べて、各面データ間の連続性を担保するための調整に要する処理負荷の軽減が図られる。
【1260】
なお、上記特徴B3のより具体的な構成としては、
「前記各面データは、複数の頂点データによって定められるものであり、さらに所定の複数の面データは一部の頂点データを相互に共有しており、
前記配置態様変更手段は、前記頂点データを相互に共有していない面データ(適用対象の面データSD1)について、向き、形状及びサイズのうち少なくとも一つである所定パラメータを変更させ、且つそれら変更対象となった面データと頂点データを共有する面データ(緩衝用の面データSD2)の前記所定パラメータを、前記変更対象となった面データに対応させる手段(VDP135における法線パラメータの設定処理を実行する機能)を備えている」
という構成が考えられる。
【1261】
特徴B4.前記各面データは、複数の頂点データによって定められるものであり、さらに所定の複数の面データは一部の頂点データを相互に共有しており、
前記配置態様変更手段は、前記各頂点データの座標を個別に変更させることにより、前記各面データの向き、形状及びサイズのうち少なくとも一つを変更させるものであることを特徴とする特徴B1又はB2に記載の遊技機。
【1262】
特徴B4によれば、一の頂点データの座標を変更することで、複数の面データの向き、形状及びサイズのうち少なくとも一つを変更することが可能となる。このように面データ単位でパラメータを制御するのではなく、頂点データ単位でパラメータを制御することで、面データ間の連続性を担保させるための処理構成をあえて設定しなくても、面データの配置態様を個別に制御することが可能となる。
【1263】
特徴B5.前記配置態様変更手段は、
前記複数の面データの各配置態様を個別に変更させることを可能とする個別制御データ(第1法線マップデータND1、第2法線マップデータND2)を記憶手段(メモリモジュール133)から読み出すデータ読出手段(VDP135におけるステップS2503を実行する機能)と、
前記個別制御データを前記多面オブジェクトの画像データに適用する場合の態様を前記複数の更新タイミング間において異ならせる適用変更手段(VDP135におけるステップS2506、ステップS2507、ステップS2511及びステップS2512の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴B1乃至B4のいずれか1に記載の遊技機。
【1264】
特徴B5によれば、予め記憶された個別制御データを利用して面データの配置態様を変更させる構成において、その個別制御データを利用しながら、複数の更新タイミング間において多面画像の表示態様を変更させることが可能となる。よって、データ容量及び処理負荷の両方のバランスを図りながら、既に説明したような優れた効果を奏することが可能となる。
【1265】
特徴B6.前記個別制御データは、複数の単位制御データ(単位法線データUND)を有しており、それら単位制御データが前記面データ又は前記面データを定めるデータに適用され、
前記適用変更手段は、前記多面オブジェクトの画像データにおいて前記単位制御データを適用する対象のデータと当該単位制御データとの対応関係を更新タイミングの切り換わりに伴って変更させる対応関係変更手段(VDP135におけるステップS2506、ステップS2507、ステップS2511及びステップS2512の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴B5に記載の遊技機。
【1266】
特徴B6によれば、単位制御データを適用する対象のデータと当該単位制御データとの対応関係を切り換えることによって複数の更新タイミング間において多面画像の表示態様を変更させる構成であるため、個別制御データを利用しながら多面画像の表示態様を変更させる構成において処理負荷を軽減することが可能となる。
【1267】
特徴B7.前記適用変更手段は、前記多面オブジェクトの画像データにおいて前記単位制御データを適用する対象の一のデータに対して複数の前記単位制御データの内容を反映させる複数適用手段(VDP135におけるステップS2506、ステップS2507、ステップS2511及びステップS2512の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴B5又はB6に記載の遊技機。
【1268】
特徴B7によれば、単位制御データを参照しながら配置態様を変更させる構成において、その変更させる配置態様の多様化が図られる。
【1269】
特徴B8.前記個別制御データは、複数の単位制御データ(単位法線データUND)を有しており、それら単位制御データが前記面データ又は前記面データを定めるデータに適用され、
前記データ読出手段は、複数の前記個別制御データを前記記憶手段から読み出すものであり、
前記適用変更手段は、
前記多面オブジェクトの画像データにおいて前記単位制御データを適用する対象の一のデータに対して、前記複数の個別制御データのそれぞれの単位制御データの内容を反映させる複数適用手段(VDP135におけるステップS2507及びステップS2512の処理を実行する機能)と、
前記多面オブジェクトの画像データにおいて前記単位制御データを適用する対象のデータと当該単位制御データとの対応関係を更新タイミングの切り換わりに伴って変更させ且つ当該対応関係の変更を前記複数の個別制御データのそれぞれについて行う対応関係変更手段(VDP135におけるステップS2506及びステップS2511の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴B5又はB6に記載の遊技機。
【1270】
特徴B8によれば、遊技機設計段階における個別制御データの設計の容易化を図りながら、配置態様を複雑に変化させることが可能となる。
【1271】
特徴B9.前記配置態様変更手段は、
複数の前記面データを含む一群のデータについてまとめて配置態様を変更させる第1変更手段(表示CPU131における海面表示用の演算処理を実行する機能、VDP135におけるステップS2504及びステップS2509を実行する機能)と、
当該第1変更手段により配置態様が変更された前記一群のデータに含まれる各面データの配置態様を個別に変更させる第2変更手段(VDP135におけるステップS2506、ステップS2507、ステップS2511及びステップS2512の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴B1乃至B8のいずれか1に記載の遊技機。
【1272】
特徴B9によれば、大きな流れに沿って配置態様を変更するようにしながら、面データ単位での配置態様を複雑に変化させることが可能となる。
【1273】
なお、このような作用効果を生じさせるより具体的な構成としては、「前記第1変更手段により変更される配置態様の種類は、位置、向き及びサイズの少なくとも一つであり、前記第2変更手段により変更される配置態様の種類には、前記第1変更手段により変更される配置対象の種類の少なくとも一部が含まれている」構成が考えられる。
【1274】
また、「前記多面オブジェクトの画像データには、前記一群のデータが複数含まれており、前記第1変更手段は、それら複数の一群のデータの配置態様を個別に変更させるものである」構成が考えられる。
【1275】
特徴B10.前記表示色変更手段は、
前記配置態様変更手段による変更対象となった配置態様に応じて、前記面データに対して適用する色情報が所定の区分に含まれるか否かを特定する区分特定手段(VDP135におけるステップS2702?ステップS2705を実行する機能)と、
当該区分特定手段により前記所定の区分に含まれると特定された前記面データに適用する色情報を、前記配置態様とは異なる種類のパラメータに基づき、複数段階の色情報の中から選択する色情報選択手段(VDP135におけるステップS2706及びステップS2707を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴B1乃至B9のいずれか1に記載の遊技機。
【1276】
特徴B10によれば、配置態様に応じて色情報を変化させながら、さらに配置態様とは異なるパラメータに基づき色情報が決定されるため、色情報を複雑に設定することが可能となる。これにより、リアルな画像表示を実現することが可能となる。
【1277】
特徴B11.前記配置態様変更手段は、前記面データの向きを少なくとも変更させるものであり、
前記表示色変更手段は、前記視点に対する前記面データの角度に基づき、当該面データに適用する色情報を変更させるものであることを特徴とする特徴B1乃至B10のいずれか1に記載の遊技機。
【1278】
特徴B11によれば、面の向きに応じた色情報の設定を行うことが可能となり、多面画像の表示をリアルに行うことが可能となる。
【1279】
特徴B12.前記表示色変更手段は、
前記配置態様変更手段により変更された前記面データの向きに応じて、当該面データに対して適用する色情報が所定の区分に含まれるか否かを特定する区分特定手段(VDP135におけるステップS2702?ステップS2705を実行する機能)と、
当該区分特定手段により前記所定の区分に含まれると特定された前記面データに適用する色情報を、前記向きとは異なる種類のパラメータに基づき、複数段階の色情報の中から選択する色情報選択手段(VDP135におけるステップS2706及びステップS2707を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴B11に記載の遊技機。
【1280】
特徴B12によれば、面の向きに応じて色情報を変化させながら、さらに面の向きとは異なるパラメータに基づき色情報が決定されるため、色情報を複雑に設定することが可能となる。これにより、多面画像の表示をリアルに行うことが可能となる。
【1281】
特徴B13.前記色情報選択手段は、前記区分特定手段により前記所定の区分に含まれると特定された前記面データに適用する色情報を、前記視点からの所定方向の距離に基づき、複数段階の色情報の中から選択するものであることを特徴とする特徴B12に記載の遊技機。
【1282】
特徴B13によれば、面の向きだけでなく面の位置に応じて色情報が変化するため、多面画像の表示をリアルに行うことが可能となる。
【1283】
上記特徴B群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
【1284】
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機としては、例えば液晶表示装置といった表示装置を備えたものが知られている。当該遊技機では、画像用のデータが予め記憶されたメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像用のデータを用いて表示装置の表示部にて所定の画像が表示されることとなる。
【1285】
また、近年では、2次元の画像を単純に表示するのではなく、3次元で規定された画像データを用いることで、より立体的な画像の表示を行おうとする試みがなされている。当該表示を行う場合には、仮想3次元空間上に3次元画像データであるオブジェクトが設定されるとともに、そのオブジェクトに対して文字や模様などの2次元画像データであるテクスチャが貼り付けられ、このテクスチャが貼り付けられたオブジェクトを所望の視点から平面上に投影した生成データが生成される。そして、その生成データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、立体的な画像が表示されることとなる。
【1286】
ここで、表示演出への遊技者の興味を高めるためには、表示演出のさらなる改良を図ることが好ましい。その一方、表示演出のさらなる改良を図る上で、データ容量が極端に増加してしまうことは好ましくない。
【1287】
<特徴C群>
特徴C1.表示部(表示面G)を有する表示手段(図柄表示装置31)と、
データ生成手段(表示CPU131、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152)によって生成された生成データ(描画データ)を用いて前記表示部に画像を表示させ、且つ予め定められた更新タイミングとなった場合に画像の内容を更新させる表示制御手段(VDP135の表示回路155)と、
を備えている遊技機において、
前記表示部における画像の表示態様には、複数の個別画像が前記表示部の奥行き方向にずれた位置関係で表示されていると遊技者に認識されるように表示される態様が含まれており、
前記データ生成手段は、前記奥行き方向の所定の基準位置に対して当該奥行き方向の手前側に存在していると遊技者に認識されるように表示されている個別画像及び当該奥行き方向の奥側に存在していると遊技者に認識されるように表示されている個別画像の少なくとも一方である対象個別画像が、前記基準位置に存在していると遊技者に認識される画像に比べて輪郭線が不鮮明となることで、ぼかした状態で表示されるようにするぼかし設定手段(VDP135におけるピント演出用の調整処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
【1288】
特徴C1によれば、基準位置にピントが合っているかのような表示演出を行うことが可能となり、奥行き感のある表示演出を行うことが可能となる。
【1289】
特徴C2.前記データ生成手段は、画像データを設定することに基づき、前記生成データを生成するものであり、さらに前記奥行き方向の表示位置に対応した奥行きパラメータを適用した状態で前記画像データを設定することに基づき、前記複数の個別画像が前記奥行き方向にずれた位置関係で表示されていると遊技者に認識される表示態様とする構成であり、
前記生成データは、色情報が設定された単位データを多数有しており、
前記ぼかし設定手段は、
前記設定用記憶手段に設定された前記画像データに対応したデータであって前記各単位データを生じさせる各データのそれぞれについて前記奥行きパラメータを導出するパラメータ導出手段(VDP135におけるステップS3101?ステップS3107を実行する機能)と、
前記奥行きパラメータが前記基準位置に対応した基準パラメータに対応していないデータに対してぼかし発生処理を実行することにより、当該データに対応した画像部分がぼかした状態で表示されるようにするぼかし実行手段(VDP135におけるステップS3110?ステップS3115を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴C1に記載の遊技機。
【1290】
特徴C2によれば、ぼかした状態とするための画像データを予め記憶させておく必要がないため、データ容量の削減を図りながら、ぼかした状態での表示を行うことが可能となる。また、各単位データを生じさせる各データのそれぞれについて奥行きパラメータが導出される構成であるため、ぼかした状態の表示を細かく制御することが可能となる。
【1291】
特徴C3.前記表示手段における表示演出として、前記ぼかした状態での表示が複数の更新タイミングに亘って行われるぼかし表示演出が含まれており、
前記パラメータ導出手段は、前記奥行きパラメータの導出を、1回の前記ぼかし表示演出の一の更新タイミングと他の更新タイミングとのそれぞれにおいて行うものであることを特徴とする特徴C2に記載の遊技機。
【1292】
特徴C3によれば、表示演出の進行に応じて、ぼかした状態の表示を変化させることが可能となる。
【1293】
特徴C4.前記データ生成手段は、仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトの画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS1002?ステップS1004の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS1006の処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトの画像データを投影し、当該投影平面に投影された2次元情報のデータに基づいて2次元情報である生成データを生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS1010?ステップS1012の処理を実行する機能)と、を備えており、
前記パラメータ導出手段は、前記投影後の2次元情報のデータに含まれる各単位データのそれぞれについて前記奥行きパラメータを導出するものであり、
前記ぼかし実行手段は、前記投影後の2次元情報のデータに対して、前記奥行きパラメータを利用して前記ぼかし発生処理を実行するものであることを特徴とする特徴C2又はC3に記載の遊技機。
【1294】
特徴C4によれば、奥行きパラメータの導出やぼかし発生処理を、3次元情報のデータに対して行うのではなく、2次元情報のデータに対して行う構成であるため、これら処理負荷の軽減を図りながら、上記のような優れた効果を奏することが可能となる。
【1295】
特徴C5.前記ぼかし実行手段は、前記ぼかし発生処理として、前記投影後の2次元情報のデータに含まれる単位データの色情報をその周囲の単位データの色情報とブレンディングさせる処理(VDP135におけるステップS3206、ステップS3212及びステップS3217を実行する機能)を実行するものであることを特徴とする特徴C4に記載の遊技機。
【1296】
特徴C5によれば、ぼかしの発生に際してブレンディングさせる処理が実行される構成であるため、ぼかした状態の表示演出に際して表示される画像の種類に応じた、ぼかした状態の表示を行うことが可能となり、当該ぼかした状態の表示を好適に行うことが可能となる。この場合に、そのブレンディングさせる処理は、3次元情報のデータに対して行うのではなく、2次元情報のデータに対して行う構成であるため、処理負荷の軽減を図りながら、ぼかした状態の表示を好適に行うことが可能となる。
【1297】
特徴C6.前記データ生成手段は、仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトの画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS1002?ステップS1004の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS1006の処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトの画像データを投影し、当該投影平面に投影された2次元情報のデータに基づいて2次元情報である生成データを生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS1010?ステップS1012の処理を実行する機能)と、を備えており、
前記ぼかし設定手段は、前記投影後の2次元情報のデータに対してぼかし発生処理を実行することにより、前記対象個別画像がぼかした状態で表示されるようにするものであることを特徴とする特徴C1乃至C5のいずれか1に記載の遊技機。
【1298】
特徴C6によれば、ぼかし発生処理を、3次元情報のデータに対して行うのではなく、2次元情報のデータに対して行う構成であるため、処理負荷の軽減を図りながら、上記のような優れた効果を奏することが可能となる。
【1299】
特徴C7.前記ぼかし設定手段は、前記ぼかした状態での表示を行う場合、特別画像(教示用の個別画像CH15,CH16)については、前記基準位置に対して前記奥行き方向にずれた位置に存在していると遊技者に認識されるように表示されるとしても、前記ぼかした状態での表示対象から除外するものであることを特徴とする特徴C1乃至C6のいずれか1に記載の遊技機。
【1300】
特徴C7によれば、ぼかした状態での表示を行う場合、基準位置に対してずれた位置に存在しているように表示されている個別画像に対して一律にぼかした状態での表示を適用しようとすると、遊技者に認識させるべき情報を認識させづらくしてしまう可能性が生じる。これに対して、特別画像については、基準位置に存在しているように表示されているか否かに関係なく、ぼかした状態での表示対象から除外する構成としたことにより、上記のような不都合の発生を抑制しながら、ぼかした状態での表示を実現することが可能となる。
【1301】
なお、前記特別画像には、遊技者に遊技状況を教示するために用いられる教示用画像が含まれる。
【1302】
特徴C8.前記特別画像は、前記基準位置に対して前記奥行き方向の手前側に存在していると遊技者に認識されるように表示される画像であることを特徴とする特徴C7に記載の遊技機。
【1303】
特徴C8によれば、特別画像がぼかした状態の表示対象から除外される構成において、それが意図的に除外されていると遊技者に認識させ易くなる。よって、ぼかした状態の表示演出に違和感を与えることなく、特別画像をぼかした状態の表示対象から除外することが可能となる。
【1304】
特徴C9.遊技者による操作を受け付ける操作受付手段(演出用操作装置48)を備え、
前記ぼかし設定手段は、前記操作受付手段に対する遊技者の操作に基づき、前記基準位置を変更させるものであることを特徴とする特徴C1乃至C8のいずれか1に記載の遊技機。
【1305】
特徴C9によれば、ぼかした状態の表示演出の画一化が抑えられ、当該表示演出への注目度を高めることが可能となる。
【1306】
特徴C10.前記ぼかし設定手段は、予め定められた第1表示期間(遊技回)では前記ぼかした状態の表示を行わず、前記ぼかした状態の表示に要する処理を除いた処理の処理負荷が前記第1表示期間よりも低い第2表示期間(ラウンド遊技)にて前記ぼかした状態の表示を行うものであることを特徴とする特徴C1乃至C9のいずれか1に記載の遊技機。
【1307】
特徴C10によれば、ぼかした状態の表示を行う場合における更新タイミングの処理負荷が極端に増加してしまうことが抑制される。
【1308】
特徴C11.前記データ生成手段は、画像データを設定することに基づき前記生成データを生成するものであり、
前記ぼかし設定手段は、前記画像データによって決定付けられる少なくとも一部の色情報をその周囲の色情報とブレンディングさせることにより、前記対象個別画像がぼかした状態で表示されるようにするものであることを特徴とする特徴C1乃至C10のいずれか1に記載の遊技機。
【1309】
特徴C11によれば、ぼかしの発生に際してブレンディングさせる処理が実行される構成であるため、ぼかした状態の表示演出に際して表示される画像の種類に応じた、ぼかした状態の表示を行うことが可能となり、当該ぼかした状態の表示を好適に行うことが可能となる。
【1310】
特徴C12.前記データ生成手段は、画像データを設定することに基づき、前記生成データを生成するものであり、さらに前記奥行き方向の表示位置に対応した奥行きパラメータを適用した状態で前記画像データを設定することに基づき、前記複数の個別画像が前記奥行き方向にずれた位置関係で表示されていると遊技者に認識される表示態様とする構成であり、
前記ぼかし設定手段は、前記奥行きパラメータが前記基準位置に対応した基準パラメータに対応していない画像データに対してぼかし発生処理を実行することにより、当該画像データに対応した前記対象個別画像がぼかした状態で表示されるようにするものであり、
前記基準パラメータは、前記基準位置が前記奥行き方向の所定範囲に対応するように所定のパラメータ範囲を有していることを特徴とする特徴C1乃至C11のいずれか1に記載の遊技機。
【1311】
特徴C12によれば、被写界深度をある程度広げた状態で、ぼかした状態の表示を行うことが可能となる。よって、ぼかした状態の表示を好適に行うことが可能となる。
【1312】
特徴C13.前記ぼかし設定手段は、前記基準位置から前記奥行き方向に所定距離だけ離れた位置に存在していると遊技者に認識される画像よりも、当該所定距離よりも前記奥行き方向に遠い位置に存在していると遊技者に認識される画像の方が前記ぼかした状態で表示される度合いが大きくなるようにするものであることを特徴とする特徴C1乃至C12のいずれか1に記載の遊技機。
【1313】
特徴C13によれば、ぼかした状態の表示をよりリアルに行うことが可能となる。
【1314】
特徴C14.仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトの画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS1002?ステップS1004の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS1006の処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトの画像データを投影し、当該投影平面に投影されたデータに基づいて生成データ(描画データ)を生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS1010?ステップS1012の処理を実行する機能)と、を有するデータ生成手段(表示CPU131、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152)によって生成された生成データを記憶する記憶手段(フレームバッファ142)と、
当該記憶手段に記憶された生成データに対応した画像を表示手段(図柄表示装置31)に出力表示する表示制御手段(VDP135の表示回路155)と、
を備えている遊技機において、
前記表示部における画像の表示態様には、複数の個別画像が前記表示部の奥行き方向にずれた位置関係で表示されていると遊技者に認識されるように表示される態様が含まれており、
前記データ生成手段は、前記奥行き方向の所定の基準位置に対して当該奥行き方向の手前側に存在していると遊技者に認識されるように表示されている個別画像及び当該奥行き方向の奥側に存在していると遊技者に認識されるように表示されている個別画像の少なくとも一方である対象個別画像が、前記基準位置に存在していると遊技者に認識される画像に比べて輪郭線が不鮮明となることで、ぼかした状態で表示されるようにするぼかし設定手段(VDP135におけるピント演出用の調整処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
【1315】
特徴C14によれば、基準位置にピントが合っているかのような表示演出を行うことが可能となり、奥行き感のある表示演出を行うことが可能となる。
【1316】
上記特徴C群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
【1317】
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機としては、例えば液晶表示装置といった表示装置を備えたものが知られている。当該遊技機では、画像用のデータが予め記憶されたメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像用のデータを用いて表示装置の表示部にて所定の画像が表示されることとなる。
【1318】
2次元画像データを用いて画像の表示が行われる場合についてより詳細に説明すると、画像データ用のメモリには背景を表示するための画像データと、キャラクタなどを表示するための画像データとが記憶されている。また、それら画像データを読み出すことで、背景の手前にてキャラクタなどを表示させるための生成データが、VRAMといった記憶手段に対して生成される。そして、その生成データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、上記背景の手前にキャラクタなどが配置された画像が表示部にて表示される。
【1319】
また、近年では、2次元の画像を単純に表示するのではなく、3次元で規定された画像データを用いることで、より立体的な画像の表示を行おうとする試みがなされている。当該表示を行う場合には、仮想3次元空間上に3次元画像データであるオブジェクトが設定されるとともに、そのオブジェクトに対して文字や模様などの2次元画像データであるテクスチャが貼り付けられ、このテクスチャが貼り付けられたオブジェクトを所望の視点から平面上に投影した描画データが作成される。そして、その描画データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、立体的な画像が表示されることとなる。
【1320】
ここで、表示演出への遊技者の注目度を高めるためには、よりリアルな画像表示を行うことが好ましく、この点について未だ改良の余地がある。
【1321】
<特徴D群>
特徴D1.表示部(表示面G)を有する表示手段(図柄表示装置31)と、
データ生成手段(表示CPU131、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152)によって生成された生成データ(描画データ)を用いて前記表示部に画像を表示させ、且つ予め定められた更新タイミングとなった場合に画像の内容を更新させる表示制御手段(VDP135の表示回路155)と、
を備え、
前記データ生成手段は、画像データを用いるとともに当該画像データによる画像の表示態様を決定付けるパラメータデータを適用することに基づき前記生成データを生成するものである遊技機において、
前記生成データは、色情報が設定された単位データを多数有しており、
前記データ生成手段は、前記各単位データを生じさせる各生成用単位データに対して用いるための集合データ(法線マップデータND1,ND2、ぼかしマップデータ)を導出する集合データ導出手段(VDP135におけるステップS2503を実行する機能、VDP135におけるステップS3101?ステップS3107を実行する機能)を備え、当該集合データ導出手段により導出された集合データに含まれる各単位パラメータデータを前記各生成用単位データに適用することにより前記生成データを生成し、且つ集合データの適用の仕方及び適用する集合データの内容のうち少なくとも一方を変更することにより同一種類の個別画像が異なる態様で表示されることとなる生成データを生成するものであることを特徴とする遊技機。
【1322】
特徴D1によれば、各単位パラメータデータ群が集合データとして扱われるため、データの扱いに関して処理の簡素化が図られる。また、集合データの適用の仕方及び適用する集合データの内容のうち少なくとも一方を変更することにより同一種類の個別画像が異なる態様で表示されることとなる生成データが生成される構成であるため、予め記憶させておく画像データのデータ量を抑えながら、表示演出の多様化を図ることが可能となる。
【1323】
特徴D2.前記集合データ導出手段は、記憶手段(メモリモジュール133)から前記集合データ(第1法線マップデータND1、第2法線マップデータND2)を読み出すことで当該集合データを導出するものであることを特徴とする特徴D1に記載の遊技機。
【1324】
特徴D2によれば、処理負荷の軽減を図りながら、上記のような優れた効果を奏することが可能となる。
【1325】
特徴D3.前記データ生成手段は、仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトの画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS1002?ステップS1004の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS1006の処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトの画像データを投影し、当該投影平面に投影された2次元情報のデータに基づいて2次元情報である生成データを生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS1010?ステップS1012の処理を実行する機能)と、を備えており、
前記集合データ導出手段により導出される前記集合データ(第1法線マップデータND1、第2法線マップデータND2)は、前記仮想3次元空間に配置されている前記オブジェクトの画像データに対して適用されることを特徴とする特徴D1又はD2に記載の遊技機。
【1326】
特徴D3によれば、集合データを利用して3次元情報の画像データの配置態様を変更することが可能となるため、リアルな画像表示を実現しながら、さらに複雑な画像表示を行うことが可能となる。この場合に、その複雑な画像表示を行う場合において、上記のとおり集合データを利用する構成であるため、データ容量及び処理負荷の両方のバランスを図ることが可能となる。
【1327】
特徴D4.前記集合データ導出手段は、前記画像データが設定された状態において、当該設定された状態に応じた前記各単位パラメータデータ(Z値)を特定することにより前記集合データ(ぼかしマップデータ)を導出するものであり、
前記データ生成手段は、その導出された前記集合データを、前記画像データから作成されたデータに対して適用することに基づき、前記生成データを生成するものであることを特徴とする特徴D1乃至D3のいずれか1に記載の遊技機。
【1328】
特徴D4によれば、集合データを予め記憶させておく必要がないため、データ容量の削減を図りながら、上記のような優れた効果を奏することが可能となる。
【1329】
特徴D5.前記集合データ導出手段は、前記集合データを用いて前記生成データが生成される状況において、各生成データのそれぞれに対応した前記集合データを導出するものであることを特徴とする特徴D4に記載の遊技機。
【1330】
特徴D5によれば、各更新タイミングにおいて異なる集合データを用いることが可能となり、表示演出の多様化を図ることが可能となる。また、この場合であっても、集合データは予め記憶されているのではなく、その都度作成されるため、データ容量の削減を図りながら、表示演出の多様化を図ることが可能となる。
【1331】
特徴D6.前記データ生成手段は、仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトの画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS1002?ステップS1004の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS1006の処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトの画像データを投影し、当該投影平面に投影された2次元情報のデータに基づいて2次元情報である生成データを生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS1010?ステップS1012の処理を実行する機能)と、を備えており、
前記集合データ導出手段は、前記配置手段による前記オブジェクトの画像データの配置態様に応じた前記各単位パラメータデータ(Z値)を特定することにより前記集合データ(ぼかしマップデータ)を導出するものであることを特徴とする特徴D4又はD5に記載の遊技機。
【1332】
特徴D6によれば、3次元情報の画像データを利用することでリアルな画像表示を実現した構成において、そのリアルな画像表示を可能とするデータ設定態様に則して集合データが作成されるため、集合データの利用がリアルな画像表示に悪影響を及してしまわないようにすることが可能となる。
【1333】
特徴D7.前記データ生成手段は、仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトの画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS1002?ステップS1004の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS1006の処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトの画像データを投影し、当該投影平面に投影された2次元情報のデータに基づいて2次元情報である生成データを生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS1010?ステップS1012の処理を実行する機能)と、を備えており、
前記集合データ導出手段により導出された前記集合データ(ぼかしマップデータ)は、前記投影後の2次元情報のデータに対して適用されることを特徴とする特徴D1乃至D6のいずれか1に記載の遊技機。
【1334】
特徴D7によれば、集合データは、3次元情報のデータに対して適用されるのではなく、2次元情報のデータに対して適用される構成であるため、処理負荷の軽減を図りながら、上記のような優れた効果を奏することが可能となる。
【1335】
特徴D8.前記データ生成手段は、前記集合データの前記各単位パラメータデータを前記各生成用単位データに適用する場合の態様を複数の更新タイミング間において異ならせることに基づき、同一種類の個別画像の表示態様が変化していくことに対応した前記生成データを生成する生成実行手段(VDP135におけるステップS2506、ステップS2507、ステップS2511及びステップS2512の処理を実行する機能、ステップS1010?ステップS1012を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴D1乃至D7のいずれか1に記載の遊技機。
【1336】
特徴D8によれば、単一の集合データを利用しながら、複数の更新タイミング間において同一種類の個別画像の表示態様を変化させることが可能となる。よって、データ容量及び処理負荷の両方のバランスを図りながら、既に説明したような優れた効果を奏することが可能となる。
【1337】
特徴D9.前記生成実行手段は、前記各単位パラメータデータと前記各生成用単位データとの対応関係を更新タイミングの切り換わりに伴って変更させる対応関係変更手段(VDP135におけるステップS2506、ステップS2507、ステップS2511及びステップS2512の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴D8に記載の遊技機。
【1338】
特徴D9によれば、単位パラメータデータと生成用単位データとの対応関係を切り換えることで、複数の更新タイミング間において画像の表示態様を変更させる構成であるため、集合データを利用しながら画像の表示態様を変更させる構成において、処理負荷を軽減することが可能となる。
【1339】
特徴D10.前記生成実行手段は、前記各生成用単位データにおいて前記単位パラメータデータを適用する対象の一のデータに対して、複数の単位パラメータデータの内容を反映させる複数適用手段(VDP135におけるステップS2506、ステップS2507、ステップS2511及びステップS2512の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴D8又はD9に記載の遊技機。
【1340】
特徴D10によれば、単位パラメータデータを参照しながら表示態様を変更させる構成において、その変更させる表示態様の多様化が図られる。
【1341】
特徴D11.前記集合データ導出手段は、前記集合データを複数導出するものであり、
前記生成実行手段は、
前記各生成用単位データにおいて前記単位パラメータデータを適用する対象の一のデータに対して、前記複数の集合データのそれぞれの単位パラメータデータの内容を反映させる複数適用手段(VDP135におけるステップS2507及びステップS2512の処理を実行する機能)と、
前記各生成用単位データにおいて前記単位パラメータデータを適用する対象のデータと当該単位パラメータデータとの対応関係を更新タイミングの切り換わりに伴って変更させ且つ当該対応関係の変更を前記複数の集合データのそれぞれについて行う対応関係変更手段(VDP135におけるステップS2506及びステップS2511の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする特徴D8に記載の遊技機。
【1342】
特徴D11によれば、遊技機設計段階における集合データの設計の容易化を図りながら、表示態様を複雑に変化させることが可能となる。
【1343】
特徴D12.仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトの画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS1002?ステップS1004の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS1006の処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトの画像データを投影し、当該投影平面に投影されたデータに基づいて生成データ(描画データ)を生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS1010?ステップS1012の処理を実行する機能)と、を有するデータ生成手段(表示CPU131、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152)によって生成された生成データを記憶する記憶手段(フレームバッファ142)と、
当該記憶手段に記憶された生成データに対応した画像を表示手段(図柄表示装置31)に出力表示する表示制御手段(VDP135の表示回路155)と、
を備えている遊技機において、
前記生成データは、色情報が設定された単位データを多数有しており、
前記データ生成手段は、前記各単位データを生じさせる各生成用単位データに対して用いるための集合データ(法線マップデータND1,ND2、ぼかしマップデータ)を導出する集合データ導出手段(VDP135におけるステップS2503を実行する機能、VDP135におけるステップS3101?ステップS3107を実行する機能)を備え、当該集合データ導出手段により導出された集合データに含まれる各単位パラメータデータを前記各生成用単位データに適用することにより前記生成データを生成し、且つ集合データの適用の仕方及び適用する集合データの内容のうち少なくとも一方を変更することにより同一種類の個別画像が異なる態様で表示されることとなる生成データを生成するものであることを特徴とする遊技機。
【1344】
特徴D12によれば、各単位パラメータデータ群が集合データとして扱われるため、データの扱いに関して処理の簡素化が図られる。また、集合データの適用の仕方及び適用する集合データの内容のうち少なくとも一方を変更することにより同一種類の個別画像が異なる態様で表示されることとなる生成データが生成される構成であるため、予め記憶させておく画像データのデータ量を抑えながら、表示演出の多様化を図ることが可能となる。
【1345】
上記特徴D群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
【1346】
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機としては、例えば液晶表示装置といった表示装置を備えたものが知られている。当該遊技機では、画像用のデータが予め記憶されたメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像用のデータを用いて表示装置の表示部にて所定の画像が表示されることとなる。
【1347】
2次元画像データを用いて画像の表示が行われる場合についてより詳細に説明すると、画像データ用のメモリには背景を表示するための画像データと、キャラクタなどを表示するための画像データとが記憶されている。また、それら画像データを読み出すことで、背景の手前にてキャラクタなどを表示させるための生成データが、VRAMといった記憶手段に対して生成される。そして、その生成データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、上記背景の手前にキャラクタなどが配置された画像が表示部にて表示される。
【1348】
また、近年では、2次元の画像を単純に表示するのではなく、3次元で規定された画像データを用いることで、より立体的な画像の表示を行おうとする試みがなされている。当該表示を行う場合には、仮想3次元空間上に3次元画像データであるオブジェクトが設定されるとともに、そのオブジェクトに対して文字や模様などの2次元画像データであるテクスチャが貼り付けられ、このテクスチャが貼り付けられたオブジェクトを所望の視点から平面上に投影した描画データが作成される。そして、その描画データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、立体的な画像が表示されることとなる。
【1349】
ここで、表示演出への遊技者の興味を高めるためには、表示演出のさらなる改良を図ることが好ましい。その一方、表示演出のさらなる改良を図る上で、データ容量が極端に増加してしまうことは好ましくない。
【1350】
<特徴E群>
特徴E1.仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトの画像データを配置する配置手段(VDP135におけるステップS1002?ステップS1004の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS1006の処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトの画像データを投影し、当該投影平面に投影されたデータに基づいて生成データ(描画データ)を生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS1010?ステップS1012の処理を実行する機能)と、を有するデータ生成手段(表示CPU131、ジオメトリ演算部151及びレンダリング部152)によって生成された生成データを記憶する記憶手段(フレームバッファ142)と、
当該記憶手段に記憶された生成データに対応した画像を表示手段(図柄表示装置31)に表示させ、且つ予め定められた更新タイミングとなった場合に画像の内容を更新させる表示制御手段(VDP135の表示回路155)と、
を備えている遊技機において、
前記データ生成手段は、前記オブジェクトの画像データに対してテクスチャの画像データを設定するテクスチャ設定手段(VDPにおける特別キャラクタ用のテクスチャマッピング処理を実行する機能)を備え、
前記オブジェクトの画像データとして所定個別画像(特別キャラクタ)を表示させる場合に用いられる所定オブジェクトデータ(特別オブジェクトPC20)が含まれており、さらに前記テクスチャの画像データとして前記所定オブジェクトデータに対して設定される所定テクスチャデータ(第1部分テクスチャPC21?PC23、第2部分テクスチャPC24?PC27)が含まれており、
前記所定テクスチャデータは、
前記所定オブジェクトデータの第1パーツデータ(本体パーツ部BP)に対して設定される第1テクスチャデータ(第1部分テクスチャPC21?PC23)と、
前記所定オブジェクトデータの第2パーツデータ(付属パーツ部AP1?AP4)に対して設定される第2テクスチャデータ(第2部分テクスチャPC24?PC27)と、
が含まれており、
前記テクスチャ設定手段は、
前記第1パーツデータに対して設定する前記第1テクスチャデータの種類を変更する第1設定手段(VDP135におけるステップS3401?ステップS3403を実行する機能)と、
前記第2パーツデータに対して前記第2テクスチャデータを設定する場合において、当該第2パーツデータに対する当該第2テクスチャデータの設定位置関係を変更する第2設定手段(VDP135におけるステップS3405?ステップS3409を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
【1351】
特徴E1によれば、所定個別画像の外観を変化させる場合において、設定するテクスチャデータの種類をまとめて変更するのではなく、テクスチャデータの一部である第1テクスチャデータについては種類を変更する一方、テクスチャデータの他の一部である第2テクスチャデータについては第2パーツデータに対する設定位置関係を変更させる構成である。これにより、所定個別画像の一部については外観を複雑に変化させるようにしながら、他の一部については外観の変化の複雑さを低減する代わりにデータ容量の削減が図られる。よって、データ容量と処理負荷とのバランスを図りながら、上記のように所定個別画像の外観を変化させることが可能となる。
【1352】
特徴E2.前記所定個別画像において前記第2パーツデータが占める割合は、前記第1パーツデータが占める割合よりも小さいことを特徴とする特徴E1に記載の遊技機。
【1353】
特徴E2によれば、テクスチャデータの種類ではなく設定位置関係が変更される領域は、テクスチャデータの設定位置関係ではなく種類が変更される領域に比べて、外観を変化させる場合においてその変化が乏しいものとなるが、前者の領域の方が小さいため、所定個別画像全体としては外観が大きく変化していると遊技者に認識させることが可能となる。
【1354】
特徴E3.前記所定オブジェクトデータに対応した所定個別画像において前記第1パーツデータが占める領域には、当該所定個別画像において特定の外縁部分に対する相対位置が変化しない画像部分(目や口の模様部分)が存在していることを特徴とする特徴E1又はE2に記載の遊技機。
【1355】
特徴E3によれば、相対位置が変化すると好ましくない画像部分については、第1テクスチャデータとして設定されているため、当該画像部分を含めた領域の外観の変化を好適に行うことが可能となる。
【1356】
特徴E4.前記第2テクスチャデータは、一方の境界部分に設定されている色情報がその逆側の境界部分に設定されている色情報に対して連続性を有していることを特徴とする特徴E1乃至E3のいずれか1に記載の遊技機。
【1357】
特徴E4によれば、第2テクスチャデータの設定位置関係を変化していった場合において、所定個別画像に模様の境界が生じてしまうことが抑制される。
【1358】
特徴E5.前記第2パーツデータ及び前記第2テクスチャデータの組合せは、複数存在しており、
前記第2設定手段は、一の前記第2テクスチャデータの設定位置関係を変更する場合には他の前記第2テクスチャデータの設定位置関係を変更するものであることを特徴とする特徴E1乃至E4のいずれか1に記載の遊技機。
【1359】
特徴E5によれば、第2テクスチャデータが複数存在している構成において、それら第2テクスチャデータの設定に要する処理負荷の軽減が図られる。
【1360】
上記特徴E群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
【1361】
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機としては、例えば液晶表示装置といった表示装置を備えたものが知られている。当該遊技機では、画像用のデータが予め記憶されたメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像用のデータを用いて表示装置の表示部にて所定の画像が表示されることとなる。
【1362】
また、近年では、2次元の画像を単純に表示するのではなく、3次元で規定された画像データを用いることで、より立体的な画像の表示を行おうとする試みがなされている。当該表示を行う場合には、仮想3次元空間上に3次元画像データであるオブジェクトが設定されるとともに、そのオブジェクトに対して文字や模様などの2次元画像データであるテクスチャが貼り付けられ、このテクスチャが貼り付けられたオブジェクトを所望の視点から平面上に投影した生成データが生成される。そして、その生成データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、立体的な画像が表示されることとなる。
【1363】
ここで、表示演出への遊技者の興味を高めるためには、表示演出のさらなる改良を図ることが好ましい。その一方、表示演出のさらなる改良を図る上で、データ容量が極端に増加してしまうことは好ましくない。
【1364】
<特徴F群>
特徴F1.表示部(表示面G)を有する表示手段(図柄表示装置31)と、
画像データを予め記憶した表示用記憶手段(メモリモジュール133)と、
当該表示用記憶手段に記憶されている画像データを用いて前記表示部に画像を表示させる表示制御手段(表示CPU131、VDP135)と、
を備えている遊技機において、
前記表示用記憶手段は、動画像を再生させるために用いられる圧縮された動画像データを記憶しており、
前記表示制御手段は、
いずれかの動画像データを展開用領域に展開して、その動画像データに対応した画像について複数の更新タイミング分の静止画像データを作成する展開手段(動画デコーダ)と、
当該展開手段により展開された複数の更新タイミング分の静止画像データを、その動画像データにおいて定められている順番で用いることにより、その動画像データに対応した1の動画を前記複数の更新タイミング分の期間に亘って表示させる表示演出を実行する表示演出実行手段(表示CPU131においてラウンド演出用の演算処理を実行する機能、VDP135におけるラウンド演出用の設定処理及びラウンド演出用マッピング処理を実行する機能)と、
を備え、
前記表示演出実行手段は、前記表示演出の演出期間のうち一部の特定期間において所定の画像を挿入することにより、前記1の動画を用いて複数種類の表示パターンの表示演出を実行可能に構成されていることを特徴とする遊技機。
【1365】
特徴F1によれば、1の動画を用いて複数種類の表示パターンの表示演出を実行することにより、表示演出毎に動画像データを用意する構成と比較して、表示演出に要するデータ量の削減を図ることができる。よって、表示演出の多様化を図りつつ、データ量の増大化を抑制することができる。
【1366】
特徴F2.前記表示用記憶手段は、前記所定の画像を表示させるために用いられる画像データであって前記動画像データよりもデータ量が少ない所定画像データ(挿入画像データIPD0)を記憶しており、
前記表示演出実行手段は、前記特定期間において前記所定画像データを用いて前記所定の画像を表示させ得るものであることを特徴とする特徴F1に記載の遊技機。
【1367】
特徴F2によれば、所定画像データを用いて所定の画像が表示される。当該所定画像データは動画像データよりも少ないデータ量に設定されている。これにより、表示演出毎に動画像データを用意する構成と比較して、少ないデータ量で表示演出の多様化を図ることができる。
【1368】
また、所定画像データを用いて所定の画像を表示させる構成の方が、所定の画像を作成して表示させる構成と比較して、所定の画像の作成に係る処理を実行する必要がない分だけ所定の画像の表示に係る処理負荷が軽くなり易い。これにより、表示演出に係るデータ量の削減を図りつつ、所定の画像を表示させるのに要する処理負荷を軽減させることができ、データ量の削減と処理負荷とのバランスを図ることができる。
【1369】
特徴F3.前記表示演出実行手段は、前記特定期間において前記1の動画に係る画像に代えて前記所定の画像を表示させるものであることを特徴とする特徴F1又は特徴F2に記載の遊技機。
【1370】
特徴F3によれば、特定期間において動画に係る画像が表示される場合と所定の画像が表示される場合とがある。これにより、表示演出の表示パターンの1つとして1の動画に係る画像の表示を用いることができる。よって、少ないデータ量で表示演出の多様化を図ることができる。
【1371】
なお、本特徴の具体的な構成としては、「前記表示演出実行手段は、前記特定期間において前記1の動画に係る画像に対して前記所定の画像を上書きするものである」ことが考えられる。かかる構成によれば、動画表示に係る処理にて特別な処理を行うことなく、1の動画に係る画像に代えて所定の画像を表示させることができる。
【1372】
特徴F4.前記表示演出実行手段は、前記特定期間において前記1の動画に係る画像と、前記所定の画像とを重ね合わせることで合成画像を作成し、当該合成画像を表示させるものであることを特徴とする特徴F1又は特徴F2に記載の遊技機。
【1373】
特徴F4によれば、1の動画に係る画像と所定の画像との合成画像が表示されるため、1の動画に係る画像を用いて、当該1の動画に係る画像とは異なる画像を表示させることができる。
【1374】
特に、動画像データの特性上、当該動画像データは、更新タイミング毎の連続するデータを保持する必要がある。この点、本特徴によれば、当該連続するデータを用いて合成画像を作成する構成としたことにより、当該連続するデータを好適に利用することができ、表示演出全体に係るデータ量の削減を好適に行うことができる。
【1375】
また、特徴F2との関係によれば、所定の画像のみで画像表示を行う構成と比較して、所定の画像の表示領域を小さくすることができるため、所定画像データのデータ量の削減を図ることができる。これにより、所定の画像を表示するのに要するデータ量を少なくすることができる。
【1376】
特徴F5.仮想3次元空間内にオブジェクトの画像データを配置する配置手段(VDP135におけるラウンド演出用の設定処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるカメラ座標系への変換処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記画像データを投影させることで作成された投影データを用いて生成データを生成するとともに、前記視点が向く方向に複数の前記画像データが並んでいる場合、その並んでいる各部分において前記視点が向く方向における当該視点からの距離が小さい側の部分を優先して前記生成データに反映させる描画用設定手段(VDP135における演出用の描画データ作成処理を実行する機能)と、によって生成された生成データ(描画データ)を記憶する記憶手段(フレームバッファ142)を備え、
前記表示制御手段は、前記記憶手段に記憶された生成データに対応した画像を前記表示部に表示させるものであり、
前記表示用記憶手段は、前記所定の画像を表示させるために用いられる画像データであって前記動画像データよりもデータ量が少ない所定画像データ(挿入画像データIPD0)を記憶しており、
前記オブジェクトには、
前記動画像データから生成される静止画像データがテクスチャとして貼り付けられる第1オブジェクト(動画用オブジェクト)と、
前記所定画像データがテクスチャとして貼り付けられる第2オブジェクト(挿入用オブジェクト)と、
が含まれており、
前記配置手段は、前記特定期間において、前記視点が向く方向における当該視点からの距離が、前記第1オブジェクトよりも前記第2オブジェクトの方が小さくなるように、前記各オブジェクトを配置するものであることを特徴とする特徴F3又は特徴F4に記載の遊技機。
【1377】
特徴F5によれば、第1オブジェクトに対して、動画像データから生成される静止画像データがテクスチャとして貼り付けられ、当該静止画像データが更新タイミングとなる度に更新されることにより、1の動画が表示される。また、第2オブジェクトに対して、所定画像データがテクスチャとして貼り付けられることにより、所定の画像が表示される。この場合、所定の画像に係る第2オブジェクトが1の動画に係る第1オブジェクトよりも前面側に配置されるため、陰面消去の構成により1の動画に係る画像に対して重なるように所定の画像が表示される。これにより、3次元画像を表示するための陰面消去の構成を利用して、1の動画に係る画像に代えて所定の画像を表示させたり、1の動画に係る画像と所定の画像とを合成させたりすることができる。
【1378】
特徴F6.前記各オブジェクトは、少なくとも一方の面に前記各テクスチャが貼り付けられる板状オブジェクトであることを特徴とする特徴F5に記載の遊技機。
【1379】
特徴F6によれば、各画像データの貼付対象として、比較的処理負荷が少ない板状オブジェクトを用いることにより、処理負荷の軽減を図ることができる。
【1380】
特徴F7.前記動画像データには、所定の単位で分割された第1単位動画像データ(第1ラウンド動画像データRMD0a)と第2単位動画像データ(第2ラウンド動画像データRMD0b)とが含まれており、
前記表示演出実行手段は、前記第1単位動画像データによる動画を表示させた後、前記特定期間が経過したことに基づいて前記第2単位動画像データによる動画を表示させることにより、前記1の動画を表示させるものであり、
前記表示演出実行手段は、前記特定期間に亘って前記所定の画像を表示させるものであることを特徴とする特徴F1又は特徴F2に記載の遊技機。
【1381】
特徴F7によれば、単一の動画像データを用いるのではなく、少なくとも第1単位動画像データ及び第2単位動画像データを用いて1の動画が表示される。これにより、例えば、上記1の動画表示の開始時に第1単位動画像データに対して展開用の処理を実行し、その後第2単位動画像データに対して展開用の処理を実行することが可能となる。この場合、両動画像データ分の展開がまとめて行われる構成に比べ、上記1の動画表示を開始させる際の処理負荷の局所的な増大化を抑制することができる。
【1382】
かかる構成において、所定の画像は、第1単位動画像データによる動画表示と、第2単位動画像データによる動画表示との間に設けられた所定の期間に亘って表示される。これにより、所定の画像を介して、分割した各動画像データに係る動画表示が連続して表示されることとなり、遊技者に1の動画として認識させることができる。
【1383】
また、かかる構成によれば、動画表示に係る処理と、所定の画像表示に係る処理とを同時に行う必要がない。これにより、画像表示に係る処理負荷の軽減を図ることができる。
【1384】
特徴F8.前記表示演出実行手段は、前記特定期間において表示対象となる前記所定の画像を変更可能であることを特徴とする特徴F1乃至F7のいずれか1に記載の遊技機。
【1385】
特徴F8によれば、表示演出が実行される度に特定期間において表示させる所定の画像を異ならせることにより、異なる表示演出であるように認識させることができる。これにより、表示演出の表示パターンの更なる多様化を図ることができる。
【1386】
なお、本特徴の具体的な構成としては、例えば「前記表示用記憶手段には、表示内容が相違する複数種類の所定画像データが記憶されており、前記表示演出実行手段は、前記複数種類の所定画像データのうちいずれかを選択する選択手段を備え、前記選択手段により選択された所定画像データを用いて前記特定期間において前記選択手段により選択された所定画像データに対応した画像を表示させるものである」構成が考えられる。
【1387】
特徴F9.前記表示演出実行手段は、予め定められた特定条件が成立した場合には、前記動画が複数回繰り返し表示されるようにするものであり、前記複数回の動画表示のうち所定回数目の動画表示における前記特定期間では前記所定の画像として第1所定画像を表示させ、前記所定回数目の動画表示とは異なる回数目の動画表示における前記特定期間では前記第1所定画像とは異なる第2所定画像を表示させるものであることを特徴とする特徴F8に記載の遊技機。
【1388】
特徴F9によれば、動画表示が繰り返し実行される場合がある。この場合、所定回数目の動画表示と当該所定回数目とは異なる回数目の動画表示とで、表示される所定の画像が異なるため、全体としてはバリエーションが異なる表示演出が実行されることとなる。これにより、当該表示演出が繰り返し行われることに起因する当該表示演出への注目度の低下を抑制することができる。
【1389】
特徴F10.予め定められた抽選契機に基づいて、遊技状態を遊技者に有利な特定遊技状態に移行させるか否かを判定する判定手段(主制御装置50における当否判定処理を実行する機能)と、
前記判定手段の判定結果が、前記遊技状態を前記特定遊技状態に移行させることに対応した移行対応結果である場合に、前記特定遊技状態に移行させる移行手段(主制御装置50における遊技状態移行処理を実行する機能)と、
を備え、
特定遊技状態では、当該特定遊技状態の所定のタイミングにて開始され、予め定められた終了条件が成立するまで継続される特定単位遊技が複数回繰り返し行われ、
前記表示演出実行手段は、前記特定単位遊技が行われる度に実行されるものであり、1の特定遊技状態中における前記特定単位遊技の実行回数に応じて、異なる前記所定の画像を表示させることが可能であることを特徴とする特徴F8又は特徴F9に記載の遊技機。
【1390】
特徴F10によれば、特定遊技状態中は、特定単位遊技が複数回繰り返し行われる。この場合、特定単位遊技が行われる度に1の動画を用いた表示演出が実行される。これにより、当該表示演出が繰り返し実行されることにより、特定単位遊技が繰り返し行われていることを遊技者が把握することができる。
【1391】
この場合、同一の表示演出が実行されると、遊技者の表示演出への注目度が低下する。かといって、全く異なる表示演出を実行する構成とすると、データ量の増大化という不都合が生じ得る。
【1392】
これに対して、本特徴によれば、特定単位遊技の実行回数に応じて所定の画像を異ならせることにより、特定単位遊技が繰り返し行われる特定遊技状態において1の動画像データを用いてバリエーションの異なる表示演出を実行することが可能となり、上記不都合を回避することができる。
【1393】
上記特徴F群は以下の課題に対して効果的である。
【1394】
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機は、CPUが実装されているとともに遊技に係る制御プログラムが記憶されたメモリ等の素子が実装された制御基板を備えており、その制御基板によって一連の遊技が制御されている。なお、CPUやメモリが個別に制御基板に実装されているのではなく、それらが集積化された状態で制御基板に実装された構成も知られている。
【1395】
上記遊技機においては、例えば液晶表示装置といったように、表示部を有する表示装置が搭載されたものが知られている。かかる遊技機では、画像データが予め記憶された画像データ用のメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像データを用いて表示部にて所定の画像が表示されることとなる。
【1396】
また、画像データとして、動画像データを備えている構成も知られている。動画像データのデータ量は静止画像データに比べて大きいため、画像データ用のメモリには圧縮された状態で記憶されている。当該圧縮された動画像データに係る動画を再生する場合には、デコーダを用いて所定のメモリ領域に動画像データを展開して複数の静止画像データとし、それら複数の静止画像データを画像の更新タイミングとなる度に予め定められた順番で用いる必要がある。
【1397】
ここで、表示演出の多様化を図るべく、複数種類の動画を再生したい場合がある。この場合、動画像データを複数種類設け、当該複数種類の動画像データのうちいずれかをデコードして当該動画像データに係る動画を再生する構成が考えられる。しかしながら、かかる構成では、動画像データのデータ量の増大化が懸念される。
【1398】
<特徴G群>
特徴G1.表示部(表示面G)を有する表示手段(図柄表示装置31)と、
画像データを予め記憶した表示用記憶手段(メモリモジュール133)と、
当該表示用記憶手段に記憶されている画像データを用いて前記表示部に画像を表示させる表示制御手段(表示CPU131、VDP135)と、
を備えている遊技機において、
前記表示用記憶手段は、動画像を再生させるために用いられる圧縮された動画像データを記憶しており、
前記表示制御手段は、
いずれかの動画像データを展開用領域に展開して、その動画像データに対応した画像について複数の更新タイミング分の静止画像データを作成する展開手段(動画デコーダ)と、
当該展開手段により展開された複数の更新タイミング分の静止画像データを、その動画像データにおいて定められている順番で用いることにより、その動画像データに対応した画像の動画を前記複数の更新タイミング分の表示期間に亘って表示させる動画像表示実行手段(VDP135における動画像用の設定処理を実行する機能)と、
を備え、
前記動画像データは、当該動画像データにより表示される動画の態様に応じて、複数の単位動画像データに分割されており、
前記動画像表示実行手段は、前記各単位動画像データによる動画を、予め定められた順序で順次表示することにより、一連の動画を表示させるものであり、
前記各単位動画像データは、当該各単位動画像データにより表示される各動画の態様に応じて、当該各単位動画像データに割り当てられるデータ量が異なるようにして圧縮されていることを特徴とする遊技機。
【1399】
特徴G1によれば、単一の動画像データを用いるのではなく、各単位動画像データを順次用いることにより一連の動画表示が行われる。これにより、例えば、上記一連の動画表示の開始時に1の単位動画像データに対して展開用の処理を実行し、その後、他の単位動画像データに対して展開用の処理を実行することが可能となる。この場合、両単位動画像データ分の展開がまとめて行われる構成に比べ、上記一連の動画表示を開始させる際の処理負荷の局所的な増大化を抑制することができる。
【1400】
かかる構成において、各単位動画像データにより表示される動画の態様に応じて、当該各単位動画像データに割り当てられるデータ量が異なる。これにより、動画の態様に応じて画質を調整することができるため、効率的な画質の調整を行うことができる。
【1401】
特徴G2.前記表示期間には、前記動画の態様が異なる第1区間及び第2区間が含まれており、
前記単位動画像データには、
前記第1区間に対応した第1単位動画像データ(第1ラウンド動画像データRMD0a)と、
前記第2区間に対応した第2単位動画像データ(第2ラウンド動画像データRMD0b)と、
が設けられており、
前記第1単位動画像データと前記第2単位動画像データとで、単位期間当たりにおける画像表示を行うためのデータ量が異なるよう設定されていることを特徴とする特徴G1に記載の遊技機。
【1402】
特徴G2によれば、各単位動画像データの単位期間当たりにおける画像表示を行うためのデータ量を異ならせることにより、各単位動画像データにより表示される動画の画質の低下を抑制しつつ、動画像データ全体のデータ量の削減を図ることができる。
【1403】
特徴G3.前記第1区間及び前記第2区間は、各更新タイミング間における画像の変化量が相対的に大小となる大変化区間及び小変化区間であり、
前記第1単位動画像データは、前記第2単位動画像データよりも、単位期間当たりにおける画像表示を行うためのデータ量が多く設定されていることを特徴とする特徴G2に記載の遊技機。
【1404】
特徴G3によれば、画像の変化量が比較的大きい大変化区間に対応した第1単位動画像データについては、比較的大きいデータ量が割り当てられることとなるため、ブロックノイズやモスキートノイズ等が発生しにくい。
【1405】
一方、画像の変化量が比較的小さい小変化区間に対応した第2単位動画像データについては、比較的小さいデータ量が割り当てられることとなるため、第2単位動画像データのデータ量の削減を図ることができる。
【1406】
特徴G4.前記第1区間及び前記第2区間は、静止画像データに係る画像の精細さが相対的に高低となる高精細区間及び低精細区間であり、
前記第1単位動画像データは、前記第2単位動画像データよりも、単位期間当たりにおける画像表示を行うためのデータ量が多く設定されていることを特徴とする特徴G2又は特徴G3に記載の遊技機。
【1407】
特徴G4によれば、画像の精細さが比較的高い高精細区間に対応した第1単位動画像データについては、比較的大きいデータ量が割り当てられることとなるため、ブロックノイズやモスキートノイズ等が発生しにくい。
【1408】
一方、画像の細かさが比較的低い低精細区間に対応した第2単位動画像データについては、比較的小さいデータ量が割り当てられることとなるため、第2単位動画像データのデータ量の削減を図ることができる。
【1409】
特徴G5.前記更新タイミングの間隔は、各区間に関わらず同一に設定されていることを特徴とする特徴G2乃至G4のいずれか1に記載の遊技機。
【1410】
特徴G5によれば、更新タイミングの間隔は各区間に関わらず同一に設定されているため、各区間に応じて更新タイミングの間隔の変更を行う構成と比較して、当該変更に係る処理分だけ、動画の表示に係る処理負荷の軽減を図ることができるとともに、その変更に係る処理を実行するプログラム分だけプログラム容量の削減を図ることができる。
【1411】
また、この場合であっても、単位期間当たりにおける画像表示を行うためのデータ量を調整することにより、画質の低下を抑制しつつ、動画像データ全体のデータ量を所定量に圧縮することができる。
【1412】
特徴G6.前記表示用記憶手段には、所定の画像に対応した所定画像データ(挿入画像データIPD0)が記憶されており、
前記表示制御手段は、
前記所定画像データを用いて前記表示部に前記所定の画像を表示させる所定画像表示実行手段(表示CPU131のステップS3510?ステップS3516の処理を実行する機能、VDP135のステップS3704?ステップS3707、ステップS3804?ステップS3807の処理を実行する機能)を備え、前記動画像表示実行手段及び前記所定画像表示実行手段の双方を同時に実行することにより、前記動画と前記所定の画像とを同時に表示させることが可能であることを特徴とする特徴G1乃至G5のいずれか1に記載の遊技機。
【1413】
特徴G6によれば、動画と所定の画像とを組み合わせることにより、画像の表示態様の多様化を図ることができる。
【1414】
この場合、動画像及び所定の画像を同時に表示させるために、動画像表示及び所定の画像表示双方の表示制御に係る処理を実行する必要がある。このため、処理負荷の増大化が懸念される。
【1415】
これに対して、特徴G5との関係によれば、更新タイミングの間隔の変更に係る処理負荷の分だけ、動画の表示中の処理負荷を軽減することができる。これにより、動画像及び所定の画像双方を同時に表示させる場合に処理落ちすることを抑制することができる。
【1416】
特徴G7.前記表示用記憶手段には、所定の画像に対応した所定画像データ(挿入画像データIPD0)が記憶されており、
前記動画像表示実行手段は、前記複数の単位動画像データのうち所定の単位動画像データによる動画を表示させた場合には、当該所定の単位動画像データによる動画表示から所定の期間が経過したことに基づいてその後の単位動画像データによる動画を表示させるものであり、
前記表示制御手段は、
前記所定の期間に亘って前記所定画像データを用いて前記表示部に前記所定の画像を表示させる手段(表示CPU131におけるステップS3912?ステップS3915の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴G1乃至G5のいずれか1に記載の遊技機。
【1417】
特徴G7によれば、所定の単位動画像データによる動画表示とその後の単位動画像データによる動画表示との間に設けられた所定の期間に亘って所定の画像が表示される。これにより、所定の画像を介して、分割した両単位動画像データに係る動画表示が連続して表示されることとなり、遊技者に一連の動画として認識させることができる。
【1418】
また、かかる構成によれば、動画表示に係る処理と、所定の画像表示に係る処理とを同時に行う必要がない。これにより、画像表示に係る処理負荷の軽減を図ることができる。
【1419】
上記特徴G群は以下の課題に対して効果的である。
【1420】
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機は、CPUが実装されているとともに遊技に係る制御プログラムが記憶されたメモリ等の素子が実装された制御基板を備えており、その制御基板によって一連の遊技が制御されている。なお、CPUやメモリが個別に制御基板に実装されているのではなく、それらが集積化された状態で制御基板に実装された構成も知られている。
【1421】
上記遊技機においては、例えば液晶表示装置といったように、表示部を有する表示装置が搭載されたものが知られている。かかる遊技機では、画像データが予め記憶された画像データ用のメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像データを用いて表示部にて所定の画像が表示されることとなる。
【1422】
また、画像データとして、動画像データを備えている構成も知られている。動画像データのデータ量は静止画像データに比べて大きいため、画像データ用のメモリには圧縮された状態で記憶されている。当該圧縮された動画像データに係る動画を再生する場合には、デコーダを用いて所定のメモリ領域に動画像データを展開して複数の静止画像データとし、それら複数の静止画像データを画像の更新タイミングとなる度に予め定められた順番で用いる必要がある。
【1423】
ここで、画像データ用のメモリの記憶容量と他の画像データとの関係から、動画像データのデータ量を、予め定められた設定量となるように圧縮する必要が生じる場合がある。この場合、動画像データの圧縮態様によっては、動画像データを用いた動画の画質が低下し、当該動画への注目度が低下するという不都合が生じ得る。
【1424】
<特徴H群>
特徴H1.オブジェクトの画像データ及び当該オブジェクトに貼り付けられるテクスチャの画像データを含む各種画像データが記憶された画像データ記憶手段(メモリモジュール133)と、仮想3次元空間内に前記オブジェクトを配置する配置手段(VDP135におけるステップS4602、ステップS4609、ステップS4610の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるカメラ座標系への変換処理及び視野座標系への変換処理を実行する機能)と、前記オブジェクトに対して前記テクスチャを貼り付ける貼付手段(VDP135における色情報の設定処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記テクスチャが貼り付けられたオブジェクトを投影し、当該投影平面に投影されたデータに基づいて生成データ(描画データ)を生成する描画用設定手段(表示CPU131における描画リストを作成する機能及びVDP135における描画処理を実行する機能)と、を有するデータ生成手段(表示CPU131及びVDP135)によって生成された生成データを記憶する記憶手段(フレームバッファ142)と、
当該記憶手段に記憶された生成データに対応した画像を表示部(表示面G)に表示させ、且つ予め定められた更新タイミングとなった場合に画像の内容を更新させる表示制御手段(表示CPU131及びVDP135)と、
を備えている遊技機において、
前記オブジェクトには、変形対象として設定された変形対象オブジェクト(屈折用オブジェクトOB10)が含まれており、
前記データ生成手段は、当該変形対象オブジェクトを変形させることにより、前記画像の少なくとも一部を歪ませる歪み形成手段(表示CPU131において歪み演出演算処理を実行する機能、及びVDP135において歪み演出用の各種処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
【1425】
特徴H1によれば、変形対象オブジェクトを変形させることにより、表示部に表示される画像の少なくとも一部を歪ませることができる。これにより、画像を歪ませるために専用のテクスチャを用意する必要がない。よって、データ量の増大化を抑制しつつ、画像の歪みを比較的容易に表現することができる。
【1426】
特徴H2.前記歪み形成手段は、前記変形対象オブジェクトを構成する各頂点のうち少なくとも一部の座標を個別に更新することにより、前記変形対象オブジェクトを変形させるものであることを特徴とする特徴H1に記載の遊技機。
【1427】
特徴H2によれば、変形対象オブジェクトを構成する各頂点における少なくとも一部の頂点の座標が更新されることにより、変形対象オブジェクトに基づく個別画像が歪んだように視認させることができる。
【1428】
なお、「前記変形対象オブジェクトを構成する各頂点における座標を指定する座標マッピングデータが設けられており、当該座標マッピングデータは、それぞれ指定されている座標が異ならせて複数種類設定されており、前記歪み形成手段は、前記座標マッピングデータを参照することにより、各頂点の座標を更新するとともに、予め定められた更新タイミングとなる度に前記参照する座標マッピングデータを更新することにより、前記変形対象オブジェクトが揺らぐように変形させるものである」とするとよい。かかる構成によれば、画像の揺らぎを表現することができるとともに、各座標の計算式を与え当該計算式から算出する構成と比較して、変形対象オブジェクトの各頂点の座標を個別に設定する場合に要する処理負荷を軽減することができる。
【1429】
特徴H3.前記歪み形成手段は、前記変形対象オブジェクトを構成する各頂点のうち、当該変形対象オブジェクトに基づく個別画像の外縁に係る頂点については座標を変更しないものであることを特徴とする特徴H2に記載の遊技機。
【1430】
特徴H3によれば、変形対象オブジェクトに基づく個別画像の外縁に係る頂点については座標が変更されないため、変形オブジェクトに基づく個別画像とその周囲の画像との境界が目立ちにくい。これにより、両者を馴染ませつつ、画像の一部を歪ませることができる。
【1431】
特徴H4.前記変形対象オブジェクトは、歪みの対象となる画像に対応させて設定された平面を有する板状オブジェクトであることを特徴とする特徴H1乃至H3のいずれか1に記載の遊技機。
【1432】
特徴H4によれば、変形対象オブジェクトとして比較的簡素な板状オブジェクトを用いることにより、変形対象オブジェクトの変形を容易に行うことができる。これにより、歪ませるための処理負荷の軽減を図ることができる。
【1433】
特徴H5.前記歪み形成手段は、所定の画像を表示させるための所定のオブジェクトよりも前記視点側に前記変形対象オブジェクトを配置し、当該変形対象オブジェクトに対して前記所定の画像に対応した画像データを前記テクスチャとして貼り付けるものであることを特徴とする特徴H1乃至H4のいずれか1に記載の遊技機。
【1434】
特徴H5によれば、変形対象オブジェクトを変形させることにより所定の画像が歪むこととなる。これにより、歪ませる場合と歪ませない場合とで、所定のオブジェクトに対する処理を異ならせる必要がない点で処理の共通化を図ることができる。
【1435】
また、歪ませる場合と歪ませない場合とを、変形対象オブジェクトを配置するか否かで対応することができるため、歪ませる場合と歪ませない場合との切換を比較的容易に行うことができる。
【1436】
特徴H6.前記配置手段は、表示対象として設定されている複数のオブジェクトのうち前記所定のオブジェクトを配置する手段(VDP135におけるステップS4602の処理を実行する機能)を備え、
前記描画用設定手段は、前記所定のオブジェクトを投影し、前記投影平面に投影されたデータに基づいて前記所定の画像を含む画像に対応した所定生成データを生成する手段(VDP135におけるステップS4608の処理を実行する機能)を備え、
前記データ生成手段は、前記所定生成データに含まれる前記所定の画像に対応した画像データを抜き出すことにより前記変形対象オブジェクトに対して貼り付けるテクスチャを生成するテクスチャ生成手段(VDP135におけるステップS4801及びステップS4802の処理を実行する機能)を備え、
前記歪み形成手段は、前記仮想3次元空間内に少なくとも前記変形対象オブジェクトを配置し、当該変形対象オブジェクトに対して前記テクスチャ生成手段により生成されたテクスチャを貼り付け、さらに前記変形対象オブジェクトを投影することにより、前記所定の画像を歪ませるものであることを特徴とする特徴H5に記載の遊技機。
【1437】
特徴H6によれば、所定のオブジェクトに対して1回目の投影を行うことにより所定生成データが生成され、当該所定生成データを用いて変形対象オブジェクトに対して貼り付けられるテクスチャが生成される。そして、当該テクスチャが貼り付けられた変形対象オブジェクトに対して2回目の投影を行うことにより、所定の画像を歪ませることができる。これにより、変形対象オブジェクトに対して貼り付けられるテクスチャを予め記憶させておく必要がない点でデータ量の削減を図ることができる。
【1438】
また、変形対象オブジェクトに対して貼り付けられるテクスチャは、所定のオブジェクトを投影することにより生成される構成となっているため、上記テクスチャに係る画像を、実際に所定のオブジェクトを用いて表示される所定の画像と似せることができる。これにより、変形対象オブジェクトに基づく画像と、その周囲の画像とを馴染ませることができる。
【1439】
特徴H7.前記所定の画像は、前記更新タイミングとなる度に更新可能に構成されており、
前記所定生成データは、前記更新タイミングとなる度に生成されるものであり、
前記テクスチャ生成手段は、前記更新タイミングとなる度に当該更新タイミングにて生成された前記所定生成データを用いて前記変形対象オブジェクトに対して貼り付けるテクスチャを生成するものであることを特徴とする特徴H6に記載の遊技機。
【1440】
特徴H7によれば、更新タイミングとなる度に所定生成データが生成され、変形対象オブジェクトに対して貼り付けられるテクスチャが生成される。これにより、所定の画像が更新された場合であっても、当該更新された所定の画像を歪ませることができる。
【1441】
なお、「前記所定の画像は、前記更新タイミングとなる度に更新可能に構成されており」の具体的な構成としては、例えば「前記配置手段は、前記更新タイミングとなる度に前記所定のオブジェクトが配置される座標を更新することにより、前記所定の画像を所定の方向にスクロールするものである」構成や、「前記更新タイミングとなる度に前記視点を所定の方向に移動させる」構成等が考えられる。
【1442】
特徴H8.前記歪み形成手段は、前記仮想3次元空間内において前記変形対象オブジェクトを配置し、当該変形対象オブジェクトに対して対応するテクスチャを貼り付け、さらに前記変形対象オブジェクトを投影することにより、前記所定の画像が歪んだ歪み画像に対応した歪み生成データ(演出及び図柄用の描画データ)を作成するものであり、
前記データ生成手段は、前記所定生成データと前記歪み生成データとを合成することにより1の生成データを生成する合成手段(VDP135におけるステップS4617の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴H6又は特徴H7に記載の遊技機。
【1443】
特徴H8によれば、所定の画像に係る所定生成データを生成する処理と、歪み生成データを生成する処理とを区分けし、両者を合成することにより1の生成データを生成する構成としたことにより、変形対象オブジェクトに貼り付けるテクスチャを生成する処理を、1の生成データを生成する処理として用いることができる。これにより、処理負荷の軽減を図ることができる。
【1444】
また、上記特徴によれば、2回の投影において重複して配置されるオブジェクトを少なくすることができる。これにより、重複配置及び重複投影等に起因する処理負荷を軽減することができる。
【1445】
特徴H9.前記データ生成手段は、前記オブジェクトに対して、当該オブジェクトによる画像の表示態様を決定付ける各種パラメータ情報を適用することに基づき前記生成データを生成するものであり、
前記各種パラメータ情報には、前記表示部に前記オブジェクトに対して貼り付けられた前記テクスチャの色情報を反映させる場合の度合いを所定の単位領域(ピクセル)毎に決定する個別反映値情報(個別α値)が含まれており、
前記歪み形成手段は、前記変形対象オブジェクトに適用される前記個別反映値情報を調整することにより、前記変形対象オブジェクトに基づく個別画像に係る前記色情報が当該個別画像の外縁に向かうに従って反映されにくくなるようにするものであることを特徴とする特徴H1乃至H8のいずれか1に記載の遊技機。
【1446】
特徴H9によれば、変形対象オブジェクトに基づく個別画像の外縁に向かうに従って当該個別画像に係る色情報が反映されにくくなっている。これにより、変形対象オブジェクトに基づく個別画像の外縁側ほど他の領域と馴染んだ画像が表示される。よって、歪んだ画像が表示される領域とその他の領域との境界を目立ちにくくすることができる。
【1447】
特徴H10.前記データ生成手段は、前記オブジェクトに対して、当該オブジェクトによる画像の表示態様を決定付ける各種パラメータ情報を適用することに基づき前記生成データを生成するものであり、
前記各種パラメータ情報には、前記表示部に前記オブジェクトに対して貼り付けられた前記テクスチャの色情報を反映させる場合の度合いを決定する反映値情報(一律α値)が含まれており、
前記歪み形成手段は、前記変形対象オブジェクトに適用される前記反映値情報を段階的に調整することにより、徐々に前記変形対象オブジェクトに基づく個別画像に係る前記色情報を反映させないようにする手段(表示CPU131にてステップS4519の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴H1乃至H9のいずれか1に記載の遊技機。
【1448】
特徴H10によれば、歪みを表現していた画像は徐々に消えていくため、歪みが消えていく過程が目立ちにくい。これにより、歪みが消えていく場合に遊技者に与える違和感を軽減することができる。
【1449】
特徴H11.前記歪ませる対象となる画像は、前記表示部全体に表示される背景画像の一部であることを特徴とする特徴H1乃至H10のいずれか1に記載の遊技機。
【1450】
背景画像は表示部全体に表示されるものであるため、表示部の一部に表示される個別画像と比較して画像データのデータ量が大きくなり易い。このため、背景画像の一部を歪ませるために複数種類の背景画像データを用意すると、データ量が大きくなり易い。
【1451】
これに対して、本特徴によれば、背景画像データを複数種類用意することなく、背景画像の一部を歪ませることができるため、データ量を好適に削減することができる。
【1452】
上記特徴H群は以下の課題に対して効果的である。
【1453】
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機としては、例えば液晶表示装置といった表示装置を備えたものが知られている。当該遊技機では、画像用のデータが予め記憶されたメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像用のデータを用いて表示装置の表示部にて所定の画像が表示されることとなる。
【1454】
また、近年では、2次元の画像を単純に表示するのではなく、3次元で規定された画像データを用いることで、より立体的な画像の表示を行おうとする試みがなされている。当該表示を行う場合には、仮想3次元空間上に3次元画像データであるポリゴンが設定されるとともに、そのポリゴンに対して文字や模様などの2次元画像データであるテクスチャが貼り付けられ、このテクスチャが貼り付けられたポリゴンを所望の視点から平面上に投影した生成データが生成される。そして、その生成データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、立体的な画像が表示されることとなる。
【1455】
ここで、遊技への注目度を高めるために、表示部に表示される画像をよりリアルに表現する演出が行われる場合がある。当該演出としては、例えば光の屈折に基づく空間の歪みを表現する演出がある。この場合、例えば光の屈折の反映度を演算により導出させる構成とすると、処理負荷の増大化が懸念される。一方、光の屈折を反映した画像データを予め記憶しておく構成とすると、データ量の増大化が懸念される。
【1456】
<特徴I群>
特徴I1.表示部(表示面G)を有する表示手段(図柄表示装置31)と、
データ生成手段(表示CPU131における描画リストを作成する機能及びVDP135における描画処理を実行する機能)によって生成された生成データ(描画データ)を用いて前記表示部に画像を表示させ、且つ予め定められた更新タイミングとなった場合に画像の内容を更新させる表示制御手段(表示CPU131及びVDP135)と、
を備えている遊技機において、
前記データ生成手段は、複数種類の画像データを用いて所定の第1生成データ(背景用の描画データ)を生成し、少なくとも前記第1生成データを利用して前記第1生成データとは異なる第2生成データ(演出及び図柄用の描画データ、又は1の描画データ)を生成するものであり、
前記表示制御手段は、少なくとも前記第2生成データを用いて前記表示部に画像を表示させることを特徴とする遊技機。
【1457】
特徴I1によれば、第1生成データが生成され、当該生成された第1生成データを用いて第2生成データが生成される。これにより、第2生成データを用いた画像表示を行うことにより、第1生成データに係る画像を用いた画像を表示させることができる。よって、表示演出の多様化を図ることができるとともに、第1生成データを予め記憶させておく必要がない点でデータ量の削減を図ることができる。
【1458】
特徴I2.前記データ生成手段は、前記第1生成データの少なくとも一部を加工し、当該加工されたデータを用いて前記第2生成データを生成するものであることを特徴とする特徴I1に記載の遊技機。
【1459】
特徴I2によれば、第1生成データの少なくとも一部が加工されて第2生成データが生成される。これにより、第1生成データをそのまま用いる構成と比較して、表示される画像のバリエーションの多様化を図ることができる。
【1460】
特徴I3.前記データ生成手段は、予め定められた対象画像が複数の更新タイミングに亘って移り変わる表示演出が行われるように、前記対象画像に係る前記第1生成データを生成し、当該第1生成データの少なくとも一部を加工して前記対象画像の移り変わりに対応した前記第2生成データを生成可能であることを特徴とする特徴I2に記載の遊技機。
【1461】
特徴I3によれば、第1生成データ及び第2生成データを用いることにより複数の更新タイミングに亘って対象画像が移り変わる表示演出を実行することができる。これにより、表示演出の多様化を図ることができるとともに、上記移り変わりに対応した画像データを更新タイミング毎に用意しなくてよい点でデータ量の削減を図ることができる。
【1462】
特徴I4.前記データ生成手段は、前記第1生成データと前記第2生成データとを合成することにより、1の更新タイミングに対応する前記生成データを生成する合成手段(VDP135におけるステップS4617の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴I1又は特徴I2に記載の遊技機。
【1463】
特徴I4によれば、第1生成データと第2生成データとを合成することにより1の更新タイミングに対応する生成データが生成されるため、第2生成データで用いられる第1生成データを生成するための処理を、上記生成データを生成するための処理に流用することができる。これにより、1の更新タイミングにて、第1生成データを生成しつつ上記生成データを生成する場合の処理負荷の軽減を図ることができる。
【1464】
特徴I5.前記データ生成手段は、
仮想3次元空間内にオブジェクトを配置する配置手段(VDP135におけるステップS4602、ステップS4609、ステップS4610の処理を実行する機能)と、
前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるカメラ座標系への変換処理及び視野座標系への変換処理を実行する機能)と、
前記オブジェクトに対してテクスチャを貼り付ける貼付手段(VDP135における色情報の設定処理を実行する機能)と、
前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトを投影し、当該投影平面に投影されたデータに基づいて前記生成データを生成する描画用設定手段(VDP135における各種描画データ生成処理を実行する機能)と、
を備え、
前記オブジェクトには、前記第2生成データを生成する場合に用いられる特定オブジェクト(屈折用オブジェクトOB10)が含まれており、
前記第2生成データは、少なくとも前記特定オブジェクトが配置され、当該特定オブジェクトが投影されることにより生成されるものであり、
前記貼付手段は、前記第2生成データを生成する場合には、前記特定オブジェクト(屈折用オブジェクトOB10)に貼り付けられるテクスチャとして、前記第1生成データの少なくとも一部を用いることを特徴とする特徴I1乃至I4のいずれか1に記載の遊技機。
【1465】
特徴I5によれば、特定オブジェクトに対して貼り付けられるテクスチャとして、第1生成データの少なくとも一部が用いられる。これにより、特定オブジェクトに貼り付けるテクスチャを予め記憶しておく必要がない点でデータ量の削減を図ることができる。
【1466】
特徴I6.前記データ生成手段は、
仮想3次元空間内において表示対象となっている複数のオブジェクトのうち所定のオブジェクトを配置する第1配置手段(VDP135におけるステップS4602の処理を実行する機能)と、
前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるカメラ座標系への変換処理及び視野座標系への変換処理を実行する機能)と、
少なくとも前記所定のオブジェクトに対してテクスチャを貼り付ける貼付手段(VDP135における色情報の設定処理を実行する機能)と、
前記視点に基づいて設定される投影平面に対して前記第1配置手段により配置された前記所定のオブジェクトを投影し、当該投影平面に投影されたデータに基づいて前記第1生成データを生成する第1描画用設定手段(VDP135におけるステップS4608の処理を実行する機能)と、
前記第1生成データを用いて、予め定められた特定オブジェクト(屈折用オブジェクトOB10)に対して貼り付けるテクスチャを生成するテクスチャ生成手段(VDP135におけるステップS4801及びステップS4802の処理を実行する機能)と、
前記仮想3次元空間内において少なくとも前記特定オブジェクトを配置する第2配置手段(VDP135におけるステップS4609及びステップS4610の処理を実行する機能)と、
前記視点に基づいて設定される投影平面に対して前記第2配置手段により配置されたオブジェクトを投影し、前記投影平面に投影されたデータに基づいて前記第2生成データを生成する第2描画用設定手段(VDP135におけるステップS4616の処理を実行する機能)と、
を備え、
前記貼付手段は、前記特定オブジェクトに対して前記テクスチャ生成手段により生成されたテクスチャを貼り付けるものであることを特徴とする特徴I1乃至I4のいずれか1に記載の遊技機。
【1467】
特徴I6によれば、所定のオブジェクトに対して1回目の投影を行うことにより第1生成データが生成され、当該第1生成データを用いて特定オブジェクトに対して貼り付けられるテクスチャが生成される。そして、当該テクスチャが貼り付けられた特定オブジェクトに対して2回目の投影を行うことにより、第2生成データを生成することができる。これにより、特定オブジェクトに対して貼り付けられるテクスチャを予め記憶させておく必要がない点でデータ量の削減を図ることができる。
【1468】
また、特定オブジェクトに対して貼り付けられるテクスチャは、所定のオブジェクトを投影することにより生成される構成となっているため、上記テクスチャに係る画像を、実際に所定のオブジェクトを用いて表示される所定の画像と似せることができる。これにより、所定オブジェクトに基づく画像と、その周囲の画像とを馴染ませることができる。
【1469】
さらに、第2生成データを生成するための処理と同様の処理で、特定オブジェクトに対して貼り付けるテクスチャを生成することができるため、処理の流用を図ることができる。
【1470】
特徴I7.前記特定オブジェクトは、変形対象として設定された変形対象オブジェクトであり、
前記配置手段は、変化対象として設定された変化対象画像を表示させるためのオブジェクトに対して前記視点側から重なるように前記変形対象オブジェクトを配置する手段(VDP135における屈折用オブジェクトOB10を配置する機能)を備え、
前記データ生成手段は、前記変形対象オブジェクトを変形させることにより前記変化対象画像を変化させる変化手段(表示CPU131及びVDP135において各歪み画像CP15,CP16を表示させるための機能)を備えていることを特徴とする特徴I5又は特徴I6に記載の遊技機。
【1471】
特徴I7によれば、変形対象オブジェクトに対して貼り付けるテクスチャを記憶させておくことなく変化対象画像を変化させることができる。
【1472】
特徴I8.前記変化手段は、前記変形対象オブジェクトを構成する各頂点のうち少なくとも一部の座標を個別に更新することにより、前記変形対象オブジェクトを変形させるものであることを特徴とする特徴I7に記載の遊技機。
【1473】
特徴I8によれば、変形対象オブジェクトを構成する各頂点における少なくとも一部の頂点の座標が更新されることにより、変形対象オブジェクトに基づく個別画像を変化させることができる。
【1474】
なお、「前記変形対象オブジェクトを構成する各頂点における座標を指定する座標マッピングデータが設けられており、当該座標マッピングデータは、それぞれ指定されている座標が異ならせて複数種類設定されており、前記変化手段は、前記座標マッピングデータを参照することにより、各頂点の座標を更新するとともに、予め定められた更新タイミングとなる度に前記参照する座標マッピングデータを更新することにより、前記変形対象オブジェクトが揺らぐように変形させるものである」とするとよい。かかる構成によれば、画像の揺らぎを表現することができるとともに、各座標の計算式を与え当該計算式から算出する構成と比較して、変形対象オブジェクトの各頂点の座標を個別に設定する場合に要する処理負荷を軽減することができる。
【1475】
特徴I9.前記変化手段は、前記変形対象オブジェクトを構成する各頂点のうち、当該変形対象オブジェクトに基づく個別画像の外縁に係る頂点については座標を変更しないものであることを特徴とする特徴I8に記載の遊技機。
【1476】
特徴I9によれば、変形対象オブジェクトに基づく個別画像の外縁に係る頂点については座標が変更されないため、変形オブジェクトに基づく個別画像とその周囲の画像との境界が目立ちにくい。これにより、両者を馴染ませつつ、変化対象画像を変化させることができる。
【1477】
特徴I10.前記変形対象オブジェクトは、前記変化対象画像に対応させて設定された平面を有する板状オブジェクトであることを特徴とする特徴I7乃至I9のいずれか1に記載の遊技機。
【1478】
特徴I10によれば、変形対象オブジェクトとして比較的簡素な板状オブジェクトを用いることにより、変形対象オブジェクトの変形を容易に行うことができる。これにより、変化対象画像を変化させるための処理負荷の軽減を図ることができる。
【1479】
特徴I11.前記変化手段は、前記変形対象オブジェクトを変形させることにより、前記変化対象画像を歪ませる歪み形成手段(表示CPU131において歪み演出演算処理を実行する機能、及びVDP135において歪み演出用の各種処理を実行する機能)であることを特徴とする特徴I7乃至I10のいずれか1に記載の遊技機。
【1480】
特徴I11によれば、変形対象オブジェクトが変形することにより、画像の歪みを表現することができる。
【1481】
特徴I12.前記データ生成手段は、前記オブジェクトに対して、当該オブジェクトによる画像の表示態様を決定付ける各種パラメータ情報を適用することに基づき前記生成データを生成するものであり、
前記各種パラメータ情報には、前記表示部に前記オブジェクトに対して貼り付けられた前記テクスチャの色情報を反映させる場合の度合いを所定の単位領域(ピクセル)毎に決定する個別反映値情報(個別α値)が含まれており、
前記変化手段は、前記変形対象オブジェクトに適用される前記個別反映値情報を調整することにより、前記変形対象オブジェクトに基づく個別画像に係る前記色情報が当該個別画像の外縁に向かうに従って反映されにくくなるようにするものであることを特徴とする特徴I7乃至I11のいずれか1に記載の遊技機。
【1482】
特徴I12によれば、変形対象オブジェクトに基づく個別画像の外縁に向かうに従って当該個別画像に係る色情報が反映されにくくなっている。これにより、変形対象オブジェクトに基づく個別画像の外縁側ほど他の領域と馴染んだ画像が表示される。よって、変化した画像が表示される領域とその他の領域との境界を目立ちにくくすることができる。
【1483】
特徴I13.前記データ生成手段は、前記オブジェクトに対して、当該オブジェクトによる画像の表示態様を決定付ける各種パラメータ情報を適用することに基づき前記生成データを生成するものであり、
前記各種パラメータ情報には、前記表示部に前記オブジェクトに対して貼り付けられた前記テクスチャの色情報を反映させる場合の度合いを決定する反映値情報(一律α値)が含まれており、
前記変化手段は、前記変形対象オブジェクトに適用される前記反映値情報を段階的に調整することにより、徐々に前記変形対象オブジェクトに基づく個別画像に係る前記色情報を反映させないようにする手段(表示CPU131にてステップS4519の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴I7乃至I12のいずれか1に記載の遊技機。
【1484】
特徴I13によれば、変形対象オブジェクトに基づく画像は徐々に消えていくため、当該画像が消えていく過程が目立ちにくい。これにより、変形対象オブジェクトに基づく画像が消えていく場合に遊技者に与える違和感を軽減することができる。
【1485】
特徴I14.前記第1生成データは、前記表示部全体に表示される背景画像に係る画像データであることを特徴とする特徴I1乃至I13のいずれか1に記載の遊技機。
【1486】
背景画像は表示部全体に表示されるものであるため、表示部の一部に表示される個別画像と比較して画像データのデータ量が大きくなり易い。このため、背景画像の一部を加工するために複数種類の背景画像データを用意すると、データ量が大きくなり易い。
【1487】
これに対して、本特徴によれば、背景画像データを複数種類用意することなく、背景画像の一部を用いた演出を行うことができるため、データ量を好適に削減することができる。
【1488】
上記特徴I群は以下の課題に対して効果的である。
【1489】
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機としては、例えば液晶表示装置といった表示装置を備えたものが知られている。当該遊技機では、画像用のデータが予め記憶されたメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像用のデータを用いて表示装置の表示部にて所定の画像が表示されることとなる。
【1490】
2次元画像データを用いて画像の表示が行われる場合についてより詳細に説明すると、画像データ用のメモリには背景を表示するための画像データと、キャラクタなどを表示するための画像データとが記憶されている。また、それら画像データを読み出すことで、背景の手前にてキャラクタなどを表示させるための生成データが、VRAMといった記憶手段に対して生成される。そして、その生成データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、上記背景の手前にキャラクタなどが配置された画像が表示部にて表示される。
【1491】
また、近年では、2次元の画像を単純に表示するのではなく、3次元で規定された画像データを用いることで、より立体的な画像の表示を行おうとする試みがなされている。当該表示を行う場合には、仮想3次元空間上に3次元画像データであるポリゴンが設定されるとともに、そのポリゴンに対して文字や模様などの2次元画像データであるテクスチャが貼り付けられ、このテクスチャが貼り付けられたポリゴンを所望の視点から平面上に投影した生成データが生成される。そして、その生成データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、立体的な画像が表示されることとなる。
【1492】
ここで、表示演出への注目度を高めるには、表示演出の多様化を図ることが考えられる。しかしながら、当該表示演出の多様化を図るために画像データを複数設ける構成とすると、データ量の増大化が懸念される。
【1493】
<特徴J群>
特徴J1.表示部(表示面G)を有する表示手段(図柄表示装置31)と、
データ生成手段(表示CPU131における描画リストを作成する機能及びVDP135における描画処理を実行する機能)によって生成された生成データ(描画データ)を用いて前記表示部に画像を表示させ、且つ予め定められた更新タイミングとなった場合に画像の内容を更新させる表示制御手段(表示CPU131及びVDP135)と、
を備えている遊技機において、
前記データ生成手段は、前記表示部に表示される特定個別画像(背景画像、キャラクタ画像CP22)の一部である変化対象部位(歪み領域PE1、重ね合わせ領域PE2)を、特定画像データを用いて変化させることにより前記特定個別画像を変化させる変化手段(表示CPU131及びVDP135において各歪み画像CP15,CP16を表示させる機能、及び各部分画像CP23?CP25を表示させる機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
【1494】
特徴J1によれば、特定画像データを用いることにより変化対象画像を変化させることで特定個別画像を変化させることができる。これにより、表示演出の多様化を図ることができる。この場合、特定画像データは変化対象部位を変化させるためのものであるため、特定個別画像全体に対応する画像データと比較して、特定画像データに係るデータ量を小さくすることができる。よって、表示演出の多様化を図りつつ、当該多様化に伴うデータ量の増大化を抑制することができる。
【1495】
特徴J2.前記データ生成手段は、前記特定個別画像に対応した所定生成データを生成する手段(VDP135におけるステップS4608の処理を実行する機能)を備え、
前記変化手段は、前記変化対象部位において前記所定生成データに係る画像に代えて前記特定画像データに基づく画像が表示されるようにするものであることを特徴とする特徴J1に記載の遊技機。
【1496】
特徴J2によれば、変化対象部位において所定生成データに係る画像に代えて特定画像データに基づく画像が表示されることにより、特定個別画像が変化する。これにより、所定生成データに係る画像と特定画像データに係る画像とを組み合わせる構成と比較して、変化対象部位の変化を容易に行うことができる。
【1497】
特徴J3.前記データ生成手段は、
仮想3次元空間内にオブジェクトを配置する配置手段(VDP135におけるステップS4602、ステップS4609、ステップS4610の処理を実行する機能)と、
前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるカメラ座標系への変換処理及び視野座標系への変換処理を実行する機能)と、
前記オブジェクトに対してテクスチャを貼り付ける貼付手段(VDP135におけるステップS4607及びステップS4615の処理を実行する機能)と、
前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトを投影し、当該投影平面に投影されたデータに基づいて前記生成データを生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS4608、ステップS4616及びステップS4617の処理を実行する機能)と、
を備え、
前記オブジェクトには、前記特定個別画像を表示するのに用いられるものであって前記変化対象部位が設定された特定オブジェクトが含まれており、
前記特定画像データは、前記変化対象部位に対応させて設定された特定テクスチャであり、
前記変化手段は、前記特定テクスチャを用いて前記変化対象部位に表示される画像を変化させるものであることを特徴とする特徴J1又は特徴J2に記載の遊技機。
【1498】
特徴J3によれば、特定テクスチャを用いて変化対象部位に表示される画像を変化させることができる。この場合、特定テクスチャは変化対象部位に対応させて設定されているため、特定オブジェクト全体に係るテクスチャを用意する構成と比較して、特定テクスチャのデータ量が小さくなり易い。これにより、データ量の削減を図ることができる。
【1499】
特徴J4.前記オブジェクトには、前記変化対象部位に対応させて形成された板状オブジェクトが含まれており、
前記変化手段は、前記変化対象部位に対して前記板状オブジェクトが前記視点側から重なるように前記特定オブジェクト及び前記板状オブジェクトを配置し、前記板状オブジェクトに対して前記特定テクスチャを貼り付けることにより、前記変化対象部位の画像を前記特定テクスチャに対応した画像に変化させるものであることを特徴とする特徴J3に記載の遊技機。
【1500】
特徴J4によれば、板状オブジェクトは比較的頂点が少ないポリゴンであるため、板状オブジェクトの頂点数が特定オブジェクトにおける変化対象部位に対応する頂点数よりも少なくない易い。これにより、特定オブジェクトの変化対象部位に対して特定テクスチャを貼り付ける構成と比較して、特定テクスチャを貼り付ける処理負荷を軽減することができる。
【1501】
また、変化させる場合と変化させない場合とを、板状オブジェクトを配置するか否かで対応することができるため、変化させる場合と変化させない場合との切換を比較的容易に行うことができる。
【1502】
特徴J5.前記特定テクスチャは複数種類用意されており、
前記変化手段は、予め定められた更新タイミングとなる度に、前記複数種類の特定テクスチャを予め定められた順序で用いることにより、前記変化対象部位において一連の動作が行われるようにするものであることを特徴とする特徴J4に記載の遊技機。
【1503】
特徴J5によれば、用いる特定テクスチャが予め定められた順序で用いられることにより、変化対象部位にて一連の動作が行われる。この場合、1の特定テクスチャのデータ量は特定オブジェクト全体のテクスチャのデータ量よりも小さくなっているため、一連の動作に係るデータ量を大幅に小さくすることができる。これにより、少ないデータ量で上記一連の動作に係る画像の表示を行うことができる。
【1504】
特徴J6.前記データ生成手段は、
仮想3次元空間内にオブジェクトを配置する配置手段(VDP135におけるステップS4602、ステップS4609、ステップS4610の処理を実行する機能)と、
前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるカメラ座標系への変換処理及び視野座標系への変換処理を実行する機能)と、
前記オブジェクトに対してテクスチャを貼り付ける貼付手段(VDP135におけるステップS4607及びステップS4615の処理を実行する機能)と、
前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトを投影し、当該投影平面に投影されたデータに基づいて前記生成データを生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS4608、ステップS4616、ステップS4617の処理を実行する機能)と、
を備え、
前記オブジェクトには、前記特定個別画像を表示するのに用いられるものであって前記変化対象部位が設定された特定オブジェクトが含まれており、
前記特定画像データは、変形対象として設定された変形対象オブジェクトであり、
前記変化手段は、前記変化対象部位に対して前記変形対象オブジェクトが前記視点側から重なるように前記特定オブジェクト及び前記変形対象オブジェクトを配置し、当該変形対象オブジェクトを変形させることにより、前記変化対象部位に表示される画像を変化させるものであることを特徴とする特徴J1又は特徴J2に記載の遊技機。
【1505】
特徴J6によれば、変化対象部位と重なるように変形対象オブジェクトを配置し、当該変形対象オブジェクトを変形させることにより、変形対象オブジェクトに基づく個別画像が変化し、変化対象部位に表示される画像が変化することとなる。これにより、画像を変化させるための画像データとしてテクスチャを複数用意する必要がない点でデータ量の削減を図ることができる。
【1506】
特徴J7.前記変化手段は、前記変形対象オブジェクトを構成する各頂点のうち少なくとも一部の座標を個別に更新することにより、前記変形対象オブジェクトを変形させるものであることを特徴とする特徴J6に記載の遊技機。
【1507】
特徴J7によれば、変形対象オブジェクトを構成する各頂点における少なくとも一部の頂点の座標が更新されることにより、変形対象オブジェクトに基づく個別画像を変化させることができる。
【1508】
なお、「前記変形対象オブジェクトを構成する各頂点における座標を指定する座標マッピングデータが設けられており、当該座標マッピングデータは、それぞれ指定されている座標が異ならせて複数種類設定されており、前記変化手段は、前記座標マッピングデータを参照することにより、各頂点の座標を更新するとともに、予め定められた更新タイミングとなる度に前記参照する座標マッピングデータを更新することにより、前記変形対象オブジェクトが揺らぐように変形させるものである」とするとよい。かかる構成によれば、画像の揺らぎを表現することができるとともに、各座標の計算式を与え当該計算式から算出する構成と比較して、変形対象オブジェクトの各頂点の座標を個別に設定する場合に要する処理負荷を軽減することができる。
【1509】
特徴J8.前記変化手段は、前記変形対象オブジェクトを構成する各頂点のうち、当該変形対象オブジェクトに基づく個別画像の外縁に係る頂点については座標を変更しないものであることを特徴とする特徴J7に記載の遊技機。
【1510】
特徴J8によれば、変形対象オブジェクトに基づく個別画像の外縁に係る頂点については座標が変更されないため、変化対象部位に係る画像とその周囲の画像との境界が目立ちにくい。これにより、両者を馴染ませつつ、変化対象部位の画像を変化させることができる。
【1511】
特徴J9.前記変形対象オブジェクトは、前記変化対象部位に対応させて設定された平面を有する板状オブジェクトであることを特徴とする特徴J6乃至J8のいずれか1に記載の遊技機。
【1512】
特徴J9によれば、変形対象オブジェクトとして比較的簡素な板状オブジェクトを用いることにより、変形対象オブジェクトの変形を容易に行うことができる。これにより、変化対象部位を変化させるための処理負荷の軽減を図ることができる。
【1513】
特徴J10.前記変化手段は、前記変形対象オブジェクトを変形させることにより、前記変化対象部位に係る画像を歪ませる歪み形成手段(表示CPU131において歪み演出演算処理を実行する機能、及びVDP135において歪み演出用の各種処理を実行する機能)であることを特徴とする特徴J6乃至J9のいずれか1に記載の遊技機。
【1514】
特徴J10によれば、変形対象オブジェクトが変形することにより、画像の歪みを表現することができる。
【1515】
特徴J11.前記変化手段は、前記特定オブジェクトよりも前記視点側に前記変形対象オブジェクトを配置し、当該変形対象オブジェクトに対して前記変化対象部位に表示される画像に対応した画像データを前記テクスチャとして貼り付けるものであることを特徴とする特徴J6乃至J10のいずれか1に記載の遊技機。
【1516】
特徴J11によれば、変形対象オブジェクトを変形させることにより変化対象部位の画像が変化することとなる。これにより、変化させる場合と変化させない場合とで、所定のオブジェクトに対する処理を異ならせる必要がない点で処理の共通化を図ることができる。
【1517】
また、変化させる場合と変化させない場合とを、変形対象オブジェクトを配置するか否かで対応することができるため、変化させる場合と変化させない場合との切換を比較的容易に行うことができる。
【1518】
特徴J12.前記配置手段は、表示対象として設定されている複数のオブジェクトのうち前記特定オブジェクトを配置する手段(VDP135におけるステップS4602の処理を実行する機能)を備え、
前記描画用設定手段は、前記特定オブジェクトを投影し、前記投影平面に投影されたデータに基づいて前記特定個別画像を含む画像に対応した所定生成データを生成する手段(VDP135におけるステップS4608の処理を実行する機能)を備え、
前記データ生成手段は、前記所定生成データに含まれる前記特定個別画像の前記変化対象部位に対応した画像データを抜き出すことにより前記変形対象オブジェクトに対して貼り付けるテクスチャを生成するテクスチャ生成手段(VDP135におけるステップS4801及びステップS4802の処理を実行する機能)を備え、
前記変化手段は、前記仮想3次元空間内に少なくとも前記変形対象オブジェクトを配置し、当該変形対象オブジェクトに対して前記テクスチャ生成手段により生成されたテクスチャを貼り付け、さらに前記変形対象オブジェクトを投影することにより、前記変化対象部位の画像を変化させるものであることを特徴とする特徴J11に記載の遊技機。
【1519】
特徴J12によれば、特定オブジェクトに対して1回目の投影を行うことにより所定生成データが生成され、当該所定生成データを用いて変形対象オブジェクトに対して貼り付けられるテクスチャが生成される。そして、当該テクスチャが貼り付けられた変形対象オブジェクトに対して2回目の投影を行うことにより、変化対象部位に係る画像を変化させることができる。これにより、変形対象オブジェクトに対して貼り付けられるテクスチャを予め記憶させておく必要がない点でデータ量の削減を図ることができる。
【1520】
また、変形対象オブジェクトに対して貼り付けられるテクスチャは、特定オブジェクトを投影することにより生成される構成となっているため、上記テクスチャに係る画像を、実際に特定オブジェクトを用いて表示される所定の画像と似せることができる。これにより、変形対象オブジェクトに基づく画像と、その周囲の画像とを馴染ませることができる。
【1521】
さらに、特定オブジェクトに対して貼り付けるテクスチャを生成する処理と、変化対象部位の画像を変化させる処理とが投影するという点で共通しているため、両者の処理構成の共通化を図ることができる。
【1522】
特徴J13.前記特定個別画像は、前記更新タイミングとなる度に更新可能に構成されており、
前記所定生成データは、前記更新タイミングとなる度に生成されるものであり、
前記テクスチャ生成手段は、前記更新タイミングとなる度に当該更新タイミングにて生成された前記所定生成データを用いて前記変形対象オブジェクトに対して貼り付けるテクスチャを生成するものであることを特徴とする特徴J12に記載の遊技機。
【1523】
特徴J13によれば、更新タイミングとなる度に所定生成データが生成され、変形対象オブジェクトに対して貼り付けられるテクスチャが生成される。これにより、特定個別画像が更新された場合であっても、当該更新された特定個別画像を変化させることができる。
【1524】
なお、「前記特定個別画像は、前記更新タイミングとなる度に更新可能に構成されており」の具体的な構成としては、例えば「前記配置手段は、前記更新タイミングとなる度に前記特定オブジェクトが配置される座標を更新することにより、前記特定個別画像を所定の方向にスクロールするものである」構成や、「前記更新タイミングとなる度に前記視点を所定の方向に移動させる」構成等が考えられる。
【1525】
特徴J14.前記変化手段は、前記仮想3次元空間内において前記変形対象オブジェクトを配置し、当該変形対象オブジェクトに対して対応するテクスチャを貼り付け、さらに前記変形対象オブジェクトを投影することにより、前記変化対象部位の画像が変化した変化生成データを作成するものであり、
前記データ生成手段は、前記所定生成データと前記変化生成データとを合成することにより1の生成データを生成する合成手段(VDP135におけるステップS4617の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴J12又は特徴J13に記載の遊技機。
【1526】
特徴J14によれば、特定個別画像を含む画像に対応した所定生成データを生成する処理と、変化生成データを生成する処理とを区分けし、両者を合成することにより1の生成データを生成する構成としたことにより、変形対象オブジェクトに貼り付けるテクスチャを生成する処理を、1の生成データを生成する処理として用いることができる。これにより、処理負荷の軽減を図ることができる。
【1527】
また、上記特徴によれば、2回の投影において重複して配置されるオブジェクトを少なくすることができる。これにより、重複配置及び重複投影等に起因する処理負荷を軽減することができる。
【1528】
特徴J15.前記データ生成手段は、画像データに対して当該画像データによる画像の表示態様を決定付ける各種パラメータ情報を適用することに基づき前記生成データを生成するものであり、
前記各種パラメータ情報には、前記表示部に前記画像データの色情報を反映させる場合の度合いを所定の単位領域(ピクセル)毎に決定する個別反映値情報(個別α値)が含まれており、
前記変化手段は、前記特定画像データに適用される前記個別反映値情報を調整することにより、前記特定画像データに基づく画像に係る前記色情報が当該画像の外縁に向かうに従って反映されにくくなるようにするものであることを特徴とする特徴J1乃至J14のいずれか1に記載の遊技機。
【1529】
特徴J15によれば、特定画像データに基づく画像の外縁に向かうに従って当該画像に係る色情報が反映されにくくなっている。これにより、特定画像データに基づく画像の外縁側ほど他の領域と馴染んだ画像が表示される。よって、変化対象部位の画像と他の領域の画像との境界を目立ちにくくすることができる。
【1530】
特徴J16.前記データ生成手段は、画像データに対して当該画像データによる画像の表示態様を決定付ける各種パラメータ情報を適用することに基づき前記生成データを生成するものであり、
前記各種パラメータ情報には、前記表示部に前記画像データの色情報を反映させる場合の度合いを決定する反映値情報(一律α値)が含まれており、
前記変化手段は、前記特定画像データに適用される前記反映値情報を段階的に調整することにより、徐々に前記特定画像データの色情報を反映させないようにする手段(表示CPU131にてステップS4519の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴J1乃至J15のいずれか1に記載の遊技機。
【1531】
特徴J16によれば、変化対象部位に表示される特定画像データに基づく画像は徐々に消えていくため、変化画像が消えていく過程が目立ちにくい。これにより、変化画像が消えていく場合に遊技者に与える違和感を軽減することができる。
【1532】
特徴J17.前記特定個別画像は、前記表示部に表示される背景画像の一部であることを特徴とする特徴J1乃至J16のいずれか1に記載の遊技機。
【1533】
背景画像は表示部全体に表示されるものであるため、表示部の一部に表示される個別画像と比較して画像データのデータ量が大きくなり易い。このため、背景画像の一部を変化させるために複数種類の背景画像データを用意すると、データ量が大きくなり易い。
【1534】
これに対して、本特徴によれば、背景画像データを複数種類用意することなく、当該背景画像の一部を変化させることができるため、データ量を好適に削減することができる。
【1535】
上記特徴J群は以下の課題に対して効果的である。
【1536】
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機としては、例えば液晶表示装置といった表示装置を備えたものが知られている。当該遊技機では、画像用のデータが予め記憶されたメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像用のデータを用いて表示装置の表示部にて所定の画像が表示されることとなる。
【1537】
2次元画像データを用いて画像の表示が行われる場合についてより詳細に説明すると、画像データ用のメモリには背景を表示するための画像データと、キャラクタなどを表示するための画像データとが記憶されている。また、それら画像データを読み出すことで、背景の手前にてキャラクタなどを表示させるための生成データが、VRAMといった記憶手段に対して生成される。そして、その生成データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、上記背景の手前にキャラクタなどが配置された画像が表示部にて表示される。
【1538】
また、近年では、2次元の画像を単純に表示するのではなく、3次元で規定された画像データを用いることで、より立体的な画像の表示を行おうとする試みがなされている。当該表示を行う場合には、仮想3次元空間上に3次元画像データであるポリゴンが設定されるとともに、そのポリゴンに対して文字や模様などの2次元画像データであるテクスチャが貼り付けられ、このテクスチャが貼り付けられたポリゴンを所望の視点から平面上に投影した生成データが生成される。そして、その生成データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、立体的な画像が表示されることとなる。
【1539】
ここで、表示部に表示されている画像の一部を変化させる表示演出を行うことで、表示演出の多様化を図ることが可能となると考えられる。しかしながら、当該表示演出を行うために例えば表示部全体の画像データを設ける構成とすると、データ量の増大化が懸念される。
【1540】
<特徴K群>
特徴K1.仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトを配置する配置手段(VDP135におけるステップS1002?ステップS1004の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS1005及びステップS1006の処理を実行する機能)と、前記オブジェクトに対してテクスチャを貼り付ける貼付手段(VDP135における色情報の設定処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトを投影する投影手段(VDP135におけるステップS1010及びステップS1011の処理を実行する機能)と、当該投影平面に投影されたデータに基づいて生成データ(描画データ)を生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS1010?ステップS1012の処理を実行する機能)と、を有するデータ生成手段(表示CPU131、VDP135)によって生成された生成データを記憶する記憶手段(フレームバッファ142)と、
当該記憶手段に記憶された生成データに対応した画像を表示部(表示面G)に表示させ、且つ予め定められた更新タイミングとなった場合に画像の内容を更新させる表示制御手段(VDP135)と、
を備えている遊技機において、
前記オブジェクトには、前記表示部に所定の第1所定画像(砂浜背景画像BP10)を表示させる場合に用いられる所定オブジェクト(各オブジェクトOB1?OB4)が含まれており、さらに前記テクスチャには、前記所定オブジェクトに対して貼り付けられるテクスチャであって、予め定められた特定視点から前記所定オブジェクトを見た場合の画像に対応した所定テクスチャ(各テクスチャTD1?TD4)が含まれており、
前記投影手段は、前記オブジェクトを前記投影平面に対して投影する投影パターンとして透視投影及び平行投影を備え、
前記データ生成手段は、
前記視点を前記特定視点に設定し且つ前記投影パターンを前記透視投影に設定することにより、前記所定オブジェクト及び前記所定テクスチャを用いて前記第1所定画像に対応した生成データを生成する第1生成手段(表示CPU131における砂浜背景用演算処理を実行する機能、及びVDP135における描画処理を実行する機能)と、
前記視点を前記特定視点から所定の変更視点に変更し且つ前記投影パターンを前記平行投影に設定することにより、前記所定オブジェクト及び前記所定テクスチャを用いて前記第1所定画像とは異なる第2所定画像に対応した生成データを生成する第2生成手段(表示CPU131における砂浜疾走演出の背景用演算処理を実行する機能、及びVDP135における描画処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
【1541】
特徴K1によれば、視点を特定視点に設定し且つ投影パターンとして透視投影を設定し、さらに所定テクスチャを所定オブジェクトに対して貼り付けることにより、所定オブジェクトを複雑にすることなく、第1所定画像を遠近感のある画像にすることができる。
【1542】
かかる構成において、所定テクスチャは、特定視点から所定オブジェクトを見た場合の画像に対応したものであるため、視点を特定視点から変更視点に変更すると所定オブジェクト及び所定テクスチャにより表示される画像と、他の画像との間で遠近感が整合しない。このため、第2所定画像が違和感のある画像となり、遊技者に対して違和感を与えるおそれがある。
【1543】
これに対して、本特徴によれば、奥行きを考慮しない透視投影を行うことで第2所定画像を生成する構成としたため、所定オブジェクト及び所定テクスチャにより表示される画像と、他の画像との間での遠近感の整合を図ることができる。これにより、同一のテクスチャを用いつつ、異なる2つの所定画像を表示させることができる。よって、データ量の増大化を抑制しつつ、表示演出の多様化を図ることができる。
【1544】
特徴K2.仮想3次元空間内に3次元情報であるオブジェクトを配置する配置手段(VDP135におけるステップS1002?ステップS1004の処理を実行する機能)と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段(VDP135におけるステップS1005及びステップS1006の処理を実行する機能)と、前記オブジェクトに対してテクスチャを貼り付ける貼付手段(VDP135における色情報の設定処理を実行する機能)と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記オブジェクトを投影する投影手段(VDP135におけるステップS1010及びステップS1011の処理を実行する機能)と、当該投影平面に投影されたデータに基づいて生成データ(描画データ)を生成する描画用設定手段(VDP135におけるステップS1010?ステップS1012の処理を実行する機能)と、を有するデータ生成手段(表示CPU131、VDP135)によって生成された生成データを記憶する記憶手段(フレームバッファ142)と、
当該記憶手段に記憶された生成データに対応した画像を表示部(表示面G)に表示させ、且つ予め定められた更新タイミングとなった場合に画像の内容を更新させる表示制御手段(VDP135)と、
を備えている遊技機において、
前記オブジェクトには、前記表示部に所定の第1所定画像(砂浜背景画像BP10)を表示させる場合に用いられる複数の所定オブジェクト(各オブジェクトOB1?OB4)が含まれており、さらに前記テクスチャには、前記各所定オブジェクトに対して貼り付けられるテクスチャであって、予め定められた特定視点から前記各所定オブジェクトを見た場合の画像に対応した複数の所定テクスチャ(各テクスチャTD1?TD4)が含まれており、
前記投影手段は、前記オブジェクトを前記投影平面に対して投影する投影パターンとして透視投影及び平行投影を備え、
前記データ生成手段は、
前記視点を前記特定視点に設定し且つ前記投影パターンを前記透視投影に設定することにより、前記各所定オブジェクト及び前記各所定テクスチャを用いて前記第1所定画像に対応した生成データを生成する第1生成手段(表示CPU131における砂浜背景用演算処理を実行する機能、及びVDP135における描画処理を実行する機能)と、
前記視点を前記特定視点から所定の変更視点に変更し且つ前記投影パターンを前記平行投影に設定することにより、前記各所定オブジェクト及び前記各所定テクスチャを用いて前記第1所定画像とは異なる第2所定画像(演出用背景画像BP20)に対応した生成データを生成する第2生成手段(表示CPU131における砂浜疾走演出の背景用演算処理を実行する機能、及びVDP135における描画処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
【1545】
特徴K2によれば、投影パターンとして透視投影を設定するとともに、各所定オブジェクトを奥行き方向に異なる位置に配置し、さらに各所定テクスチャを各所定オブジェクトに対して貼り付けることにより、各所定オブジェクトを複雑にすることなく、第1所定画像を遠近感のある画像にすることができる。
【1546】
かかる構成において、各所定テクスチャは、特定視点から各所定オブジェクトを見た場合の画像に対応したものであるため、視点を特定視点から変更視点に変更すると、ある所定オブジェクト及びそれに対応した所定テクスチャにより表示される画像と、他の所定オブジェクト及びそれに対応した所定テクスチャとにより表示される画像との間で遠近感が整合しなくなる。このため、第2所定画像が違和感のある画像となり、遊技者に対して違和感を与えるおそれがある。
【1547】
これに対して、本特徴によれば、奥行きを考慮しない透視投影を行うことで第2所定画像を生成する構成としたため、両者の間での遠近感の整合を図ることができる。これにより、同一のテクスチャを用いつつ、異なる2つの所定画像を表示させることができる。よって、データ量の増大化を抑制しつつ、表示演出の多様化を図ることができる。
【1548】
特徴K3.前記第2生成手段は、前記各所定オブジェクトを用いて表示される各画像をそれぞれ同一方向に移動させることにより前記第2所定画像が移動するように前記生成データを生成するものであることを特徴とする特徴K2に記載の遊技機。
【1549】
特徴K3によれば、各所定オブジェクトを用いて表示される各画像を同一方向に移動させることにより、第2所定画像を移動させることができ、表示演出の多様化を図ることができる。一方、各画像を同一方向に移動させると、各画像間の遠近感の不整合が目立ち易くなり、第2所定画像が移動する表示演出が違和感のあるものとなり易い。
【1550】
これに対して、特徴K2によれば、平行投影を行うことにより第2所定画像に対応した生成データを生成する構成としたことにより、上記不整合を目立ちにくくすることができるため、上記表示演出を好適に行うことができる。
【1551】
特徴K4.前記データ生成手段は、前記オブジェクトによる画像の表示態様を決定付けるパラメータ情報を前記オブジェクトに対して適用することに基づき前記生成データを生成するものであり、
前記パラメータ情報には、前記オブジェクトの倍率情報が含まれており、
前記第2生成手段は、前記変更視点及び前記各所定オブジェクト間の距離が大きくなるほど、当該各所定オブジェクトに対して適用される前記倍率情報を小さく設定するものであることを特徴とする特徴K2又は特徴K3に記載の遊技機。
【1552】
特徴K4によれば、変更視点を基準として遠い位置に配置されている所定オブジェクトに係る画像ほど小さく表示される。これにより、擬似的に遠近感が生じるため、平行投影において遠近感のある画像を表現することができる。
【1553】
特徴K5.前記データ生成手段は、前記オブジェクトによる画像の表示態様を決定付けるパラメータ情報を前記オブジェクトに対して適用することに基づき前記生成データを生成するものであり、
前記パラメータ情報には、前記オブジェクトの倍率情報が含まれており、
前記各所定オブジェクトを平行投影した場合の当該各所定オブジェクトが投影される領域が前記各所定オブジェクトを透視投影した場合の領域と同一となるように、前記各所定オブジェクトの倍率情報及び座標が設定されていることを特徴とする特徴K2又は特徴K3に記載の遊技機。
【1554】
特徴K5によれば、各所定オブジェクトを平行投影することにより得られる画像を、各所定オブジェクトを透視投影することにより得られる画像に似せることができる。これにより、平行投影により得られた画像を、あたかも透視投影により得られる遠近感のある画像のように見せることができる。
【1555】
特徴K6.前記第2生成手段は、少なくとも前記各所定オブジェクトを所定の速度で移動させる移動手段(表示CPU131におけるステップS4313の処理を実行する機能)を備え、
前記各所定オブジェクトの移動速度は、前記変更視点及び前記各所定オブジェクト間の距離が大きくなるに従って前記変更視点に対する前記各所定オブジェクトの相対速度が小さくなるように設定されていることを特徴とする特徴K2乃至K5のいずれか1に記載の遊技機。
【1556】
特徴K6によれば、変更視点からの距離が大きい所定オブジェクトほどゆっくり移動するように見え、変更視点からの距離が小さい所定オブジェクトほど速く移動するように見える。これにより、平行投影を行う構成において擬似的に遠近感を発生させることができる。
【1557】
特徴K7.前記各所定オブジェクトはそれぞれ板状オブジェクトであり、
前記各板状オブジェクトは、前記投影平面に対して傾斜した状態で前記特定視点の奥行き方向に並べて配置されており、
前記各所定オブジェクトに対して貼り付けられるテクスチャは、前記特定視点から見た場合の画像に対応するように前記傾斜に対応させて設定されていることを特徴とする特徴K2乃至K6のいずれか1に記載の遊技機。
【1558】
特徴K7によれば、透視投影を行うことにより比較的簡素な板状オブジェクトを用いて遠近感のある画像を生成することができるため、当該画像の表示に係る処理負荷を軽減することができる。一方、視点が変更することに起因する各個別画像間における遠近感のずれが目立ち易い。
【1559】
これに対して、上記特徴K2によれば、平行投影することにより、視点の変更に伴う遠近感のずれを抑制することができる。
【1560】
上記特徴K群は以下の課題に対して効果的である。
【1561】
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。これらの遊技機としては、例えば液晶表示装置といった表示装置を備えたものが知られている。当該遊技機では、画像用のデータが予め記憶されたメモリが搭載されており、当該メモリから読み出された画像用のデータを用いて表示装置の表示部にて所定の画像が表示されることとなる。
【1562】
また、近年では、2次元の画像を単純に表示するのではなく、3次元で規定された画像データを用いることで、より立体的な画像の表示を行おうとする試みがなされている。当該表示を行う場合には、仮想3次元空間上に3次元画像データであるポリゴンが設定されるとともに、そのポリゴンに対して文字や模様などの2次元画像データであるテクスチャが貼り付けられ、このテクスチャが貼り付けられたポリゴンを所望の視点から平面上に投影した生成データが生成される。そして、その生成データに基づいて表示装置に対して信号出力がなされることで、立体的な画像が表示されることとなる。
【1563】
ここで、表示演出への遊技者の興味を高めるためには、表示演出の多様化を図ることが好ましい。その一方、表示演出の多様化を図る上で、データ量の極端な増大化は好ましくない。
【1564】
以下に、以上の各特徴を適用し得る各種遊技機の基本構成を示す。
【1565】
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
【1566】
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の絵柄を可変表示させる絵柄表示装置を備え、始動操作手段の操作に起因して前記複数の絵柄の可変表示が開始され、停止操作手段の操作に起因して前記複数の絵柄の可変表示が停止され、その停止後の絵柄に応じて遊技者に特典を付与する遊技機。
【符号の説明】
【1567】
10…パチンコ機、31…図柄表示装置、48…演出用操作装置、131…表示CPU、133…メモリモジュール、135…VDP、142…フレームバッファ、151…ジオメトリ演算部、152…レンダリング部、155…表示回路、AP1?AP4…付属パーツ部、BP…本体パーツ部、CH15…教示用の個別画像、CH16…教示用の個別画像、KD1…第1キーデータ、KD2…第2キーデータ、ND1…第1法線マップデータ、ND2…第2法線マップデータ、PC17…粒子分散用オブジェクト、PC19…海面用オブジェクト、PC20…特別オブジェクト、PC21?PC23…第1部分テクスチャ、PC24?PC27…第2部分テクスチャ、PT1…粒子単体画像、PT2…粒子単体画像、SD…面データ、SD1…適用対象の面データ、SD2…緩衝用の面データ、RMD0…ラウンド動画像データ、IPD0…挿入画像データ、IP1…第1挿入キャラクタ画像、IP2…第2挿入キャラクタ画像、RMD0a…第1ラウンド動画像データ、RMD0b…第2ラウンド動画像データ、OB1…砂浜オブジェクト、OB2…波オブジェクト、OB3…海オブジェクト、OB4…空オブジェクト、TD1…砂浜テクスチャ、TD2…波テクスチャ、TD3…海テクスチャ、TD4…空テクスチャ、PV1…特定視点、PV2…別視点、BP10…砂浜背景画像、BP20…演出用背景画像、OB10…屈折用オブジェクト、SKD1…屈折用αデータ、MD1…第1座標マッピングデータ、MD2…第2座標マッピングデータ、CP13…膨張珊瑚画像、CP14…収縮珊瑚画像、CP15…第1歪み画像、CP16…第2歪み画像、PE1…歪み領域、OB21…ベースオブジェクト、OB22…部分オブジェクト、OB31…頭部オブジェクト、TD11…ベーステクスチャ、TD12…部分テクスチャ、TD21?TD23…第1?第3部分テクスチャ、CP21…ベース画像、CP23?CP25…第1?第3部分画像、PE2…重ね合わせ領域。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクトの画像データ及び当該オブジェクトに貼り付けられるテクスチャの画像データを含む各種画像データが記憶された画像データ記憶手段と、仮想3次元空間内に前記オブジェクトを配置する配置手段と、前記仮想3次元空間に視点を設定する視点設定手段と、前記オブジェクトに対して前記テクスチャを貼り付ける貼付手段と、前記視点に基づいて設定される投影平面に前記テクスチャが貼り付けられたオブジェクトを投影し、当該投影平面に投影されたデータに基づいて生成データを生成する描画用設定手段と、を有するデータ生成手段によって生成された生成データを記憶する記憶手段と、
当該記憶手段に記憶された生成データに対応した画像を表示部に表示させ、且つ予め定められた更新タイミングとなった場合に画像の内容を更新させる表示制御手段と、
を備えている遊技機において、
前記オブジェクトには、背景画像が歪む演出を実行する場合に用いられ、かつ変形対象として設定された変形対象オブジェクトが含まれており、
前記データ生成手段は、当該変形対象オブジェクトを変形させることにより、前記画像の少なくとも一部を歪ませて、互いに歪み形状の異なる第1変形形態及び第2変形形態を形成する歪み形成手段を備え、
前記貼付手段は、前記第1変形形態とされた前記変形対象オブジェクトと、前記第2変形形態とされた前記変形対象オブジェクトに、共通の前記テクスチャを貼り付けるものであり、
前記表示制御手段は、前記第1変形形態とされた前記変形対象オブジェクトを利用した前記生成データに対応する第1変形画像と、前記第2変形形態とされた前記変形対象オブジェクトを利用した前記生成データに対応する第2変形画像とを、交互に前記表示部に表示させる手段を有することを特徴とする遊技機。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2016-06-13 
結審通知日 2016-06-15 
審決日 2016-06-28 
出願番号 特願2010-279911(P2010-279911)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (A63F)
P 1 41・ 853- Y (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 辻野 安人  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 川崎 優
瀬津 太朗
登録日 2015-03-06 
登録番号 特許第5703733号(P5703733)
発明の名称 遊技機  
代理人 山田 強  
代理人 山田 強  

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