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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A61G
管理番号 1318330
審判番号 訂正2016-390053  
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-10-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2016-04-08 
確定日 2016-07-12 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5898939号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5898939号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1乃至2〕について訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第5898939号は、平成23年12月9日に出願(特願2011-270182号)されたものであって、その請求項1乃至6に係る発明は、平成28年3月11日に特許権の設定登録がされ、その後、本件訂正審判が請求されたものである。


第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件審判請求の趣旨は、特許第5898939号の特許請求の範囲を審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1乃至2について一群の請求項ごとに訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は以下のとおりである。(下線部は訂正箇所を示す。)

1.訂正事項1
本件特許請求の範囲の請求項1に「上記ナースコール子機からの呼び出しに対して上記応答が行われたときに、上記担当看護師特定部により特定された担当看護師を呼び出すための呼出ボタンを表示させる表示制御部」とあるのを、「上記ナースコール子機からの呼び出しに対して応答が行われた後に、ナースコール親機の待機画面に表示されている患者一覧の中から特定の患者を選択する操作が行われたときに、上記担当看護師特定部により特定された担当看護師を呼び出すための呼出ボタンを表示させる表示制御部」に訂正する。

2.訂正事項2
本件特許請求の範囲の請求項2に「特定する」とあるのを、「特定し、上記表示制御部は、上記ナースコール子機からの呼び出しに対して応答が行われた後に上記ナースコール親機の待機画面に表示されている患者一覧の中から特定の患者を選択する操作が行われたときに代えて、上記ナースコール子機からの呼び出しに対して応答が行われた後に患者との通話を終了させる操作が行われたときに、上記担当看護師特定部により特定された担当看護師を呼び出すための呼出ボタンを表示させる」に訂正する。

第3 当審の判断
1.訂正事項1について
(1)訂正の目的
本件訂正前における請求項1の記載では、「担当看護師特定部」が担当看護師を特定するタイミングは、「上記ナースコール子機からの呼び出しに対して応答が行われた後に、ナースコール親機の待機画面に表示されている患者一覧の中から特定の患者を選択する操作が行われたとき」であるにもかかわらず、「表示制御部」が呼出ボタンを表示するタイミングは、それより時間的に前の「上記ナースコール子機からの呼び出しに対して応答が行われたとき」であったために、時間的な矛盾が生じていた。
訂正事項1は「表示制御部」が呼出ボタンを表示するタイミングと「担当看護師特定部」が担当看護師を特定するタイミングとの整合を図ることによって、「表示制御部」の記載を明確化するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
(2)特許請求の範囲の拡張又は変更、新規事項の追加の存否
訂正事項1は、矛盾していた「表示制御部」が呼出ボタンを表示するタイミングと「担当看護師特定部」が担当看護師を特定するタイミングとを整合させる訂正であって、「表示制御部」の「上記担当看護師特定部によって特定された担当看護師」という記載の意味を明確化するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。
また、願書に添付した明細書又は図面(以下「特許明細書等」ということがある。また、下線は当審にて付与。)の段落【0044】に「担当看護師特定部28は、ナースコール子機4,5からの呼び出しに対する応答後に所定の操作が行われたときに、呼び出しを行った患者の担当看護師とその連絡先(携帯端末8の内線番号)を特定する。・・・(略)」と記載され、段落【0062】に「すなわち、ナースコール親機1のディスプレイには、ナースコール子機4,5からの呼び出しがないときには、図7(a)に示すような待機画面が表示されている。・・・(略)」と記載され、段落【0064】に「また、上記第1の実施形態において、担当看護師の呼出ボタン51を表示させるトリガとなる所定の操作は、呼出履歴の中から特定の患者を選択する操作に限定されない。例えば、図7(a)に示す待機画面において、特定の患者を選択する操作を行ったときに、図9に示すような個人ポップアップ画面を表示させる。そして、この個人ポップアップ画面に担当看護師の呼出ボタン51を表示させるようにしてもよい。この場合における所定の操作は、待機画面において特定の患者を選択する操作ということになる。」と記載されているから、特許明細書等には、ナースコール子機4,5からの呼び出しに対する応答後に所定の操作が行われたとき(段落【0044】)であって、ナースコール親機1のディスプレイには待機画面が表示され(段落【0062】)、所定の操作として、待機画面において特定の患者を選択する操作を行ったとき(段落【0064】)に、担当看護師を呼び出すための呼出ボタン51を表示させる(段落【0064】)こと、すなわち、「上記ナースコール子機からの呼び出しに対して応答が行われた後に、ナースコール親機の待機画面に表示されている患者一覧の中から特定の患者を選択する操作が行われたときに、上記担当看護師特定部により特定された担当看護師を呼び出すための呼出ボタンを表示させる」こと、が記載されていると認められる。
したがって、上記訂正事項1は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

2.訂正事項2について
(1)訂正の目的
訂正事項1による訂正前の請求項2の記載では、「担当看護師特定部」が担当看護師を特定するタイミングは「上記ナースコール子機からの呼び出しに対して応答が行われた後に患者との通話を終了させる操作が行われたとき」であるにもかかわらず、「表示制御部」が呼出ボタンを表示するタイミングは、それより時間的に前の「上記ナースコール子機からの呼び出しに対して応答が行われたとき」であったために、時間的な矛盾が生じていた。
訂正事項2は、この矛盾を解消するために、「表示制御部」が「上記ナースコール子機からの呼び出しに対して応答が行われた後に患者との通話を終了させる操作が行われたときに、上記担当看護師特定部により特定された担当看護師を呼び出すための呼出ボタンを表示させる」とすることで「担当看護師特定部」と「表示制御部」とのタイミングを一致させるとともに、上記訂正事項1により請求項1の「表示制御部」が「上記ナースコール子機からの呼び出しに対して応答が行われた後に、ナースコール親機の待機画面に表示されている患者一覧の中から特定の患者を選択する操作が行われたときに、上記担当看護師特定部により特定された担当看護師を呼び出すための呼出ボタンを表示させる表示制御部」と訂正されたこととの整合を図るために「上記表示制御部は、上記ナースコール子機からの呼び出しに対して応答が行われた後に上記ナースコール親機の待機画面に表示されている患者一覧の中から特定の患者を選択する操作が行われたときに代えて、」という事項を付加したものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
(2)特許請求の範囲の拡張又は変更、新規事項の追加の存否
訂正事項2は、「表示制御部」が呼出ボタンを表示するタイミングと「担当看護師特定部」が担当看護師を特定するタイミングとの整合を図るとともに、訂正事項1との整合を図ることによって、「表示制御部」の「上記担当看護師特定部によって特定された担当看護師」という記載の意味を明確化するものであるから実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。
また、特許明細書等の段落【0044】に「担当看護師特定部28は、ナースコール子機4,5からの呼び出しに対する応答後に所定の操作が行われたときに、呼び出しを行った患者の担当看護師とその連絡先(携帯端末8の内線番号)を特定する。・・・(略)」と記載され、段落【0065】に「別の例として、図7(b)に示した患者情報のポップアップ画面を、応答後に行われる通話中の際にも引き続き表示させておく。そして、通話を終了させる操作(例えば、ナースコール親機1のハンドセット1aをオンフックする操作)が行われたときに、図10のようにポップアップ画面に担当看護師の情報と呼出ボタン51とを追加して表示させるようにしてもよい。この場合における所定の操作は、通話を終了させる操作ということになる。」と記載されているから、特許明細書等には、ナースコール子機からの呼び出しに対して応答が行われた後に所定の操作が行われたとき(段落【0044】)であって、通話を終了させる操作が行われたときに、担当看護師の呼出ボタン51を表示させる(段落【0065】)こと、すなわち、「ナースコール子機からの呼び出しに対して応答が行われた後に患者との通話を終了させる操作が行われたときに、上記担当看護師特定部により特定された担当看護師を呼び出すための呼出ボタンを表示させる」ことが記載されていると認められる。
したがって、訂正事項2は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

第4 むすび
以上のとおり、本件審判請求における訂正後の請求項1乃至2からなる一群の請求項に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項乃至第6項の規定に適合する。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が使用するナースコール子機からの呼び出しに対し、看護師が所持する携帯端末で応答可能に成されたナースコールシステムであって、
上記看護師と当該看護師が所持する携帯端末の連絡先とを関連付けて記憶する連絡先記憶部と、
上記患者とその担当看護師とを関連付けて記憶する担当看護師記憶部と、
上記ナースコール子機からの呼び出しに対して応答が行われた後に、ナースコール親機の待機画面に表示されている患者一覧の中から特定の患者を選択する操作が行われたときに、当該選択された患者の担当看護師を上記担当看護師記憶部を参照して特定し、当該特定した担当看護師の連絡先を上記連絡先記憶部を参照して特定する担当看護師特定部と、
上記ナースコール子機からの呼び出しに対して上記応答が行われた後に、上記ナースコール親機の待機画面に表示されている患者一覧の中から特定の患者を選択する操作が行われたときに、上記担当看護師特定部により特定された担当看護師を呼び出すための呼出ボタンを表示させる表示制御部とを備えたことを特徴とするナースコールシステム。
【請求項2】
上記担当看護師特定部は、上記ナースコール子機からの呼び出しに対して応答が行われた後に上記ナースコール親機の待機画面に表示されている患者一覧の中から特定の患者を選択する操作が行われたときに代えて、上記ナースコール子機からの呼び出しに対して応答が行われた後に患者との通話を終了させる操作が行われたときに、当該患者の担当看護師を上記担当看護師記憶部を参照して特定し、当該特定した担当看護師の連絡先を上記連絡先記憶部を参照して特定し、
上記表示制御部は、上記ナースコール子機からの呼び出しに対して応答が行われた後に上記ナースコール親機の待機画面に表示されている患者一覧の中から特定の患者を選択する操作が行われたときに代えて、上記ナースコール子機からの呼び出しに対して上記応答が行われた後に患者との通話を終了させる操作が行われたときに、上記担当看護師特定部により特定された担当看護師を呼び出すための呼出ボタンを表示させることを特徴とする請求項1に記載のナースコールシステム。
【請求項3】
患者が使用するナースコール子機からの呼び出しに対し、看護師が所持する携帯端末で応答可能に成されたナースコールシステムであって、
上記看護師と当該看護師が所持する携帯端末の連絡先とを関連付けて記憶する連絡先記憶部と、
上記患者とその担当看護師とを関連付けて記憶する担当看護師記憶部と、
上記ナースコール子機からの呼び出しに対して応答が行われたときに、呼び出しを行った患者の担当看護師を上記担当看護師記憶部を参照して特定し、当該特定した担当看護師の連絡先を上記連絡先記憶部を参照して特定する担当看護師特定部と、
上記ナースコール子機からの呼び出しに対して上記応答が行われたときに、上記担当看護師特定部により特定された担当看護師を呼び出すための呼出ボタンを表示させる表示制御部と、
上記ナースコール子機からの呼び出しを行った患者と、その呼出に対して応答を行った看護師とを関連付けて呼出履歴として記憶する呼出履歴記憶部とを備え、
上記表示制御部は、上記呼出履歴記憶部に記憶された呼出履歴に基づいて上記呼び出しを行った患者の一覧を表示させ、
上記ナースコール子機からの呼び出しに対する応答後に上記一覧の中から特定の患者を選択する操作が行われたときに、当該選択された患者が使用する上記ナースコール子機からの呼び出しに対して応答を行った看護師である応答看護師およびその連絡先を上記呼出履歴記憶部および上記連絡先記憶部を参照して特定する応答看護師特定部を、上記担当看護師特定部に代えてまたは加えて備え、
上記表示制御部は、上記ナースコール子機からの呼び出しに対する応答後に上記一覧の中から特定の患者を選択する操作が行われたときに、上記担当看護師を呼び出すための呼出ボタンに代えてまたは加えて、上記応答看護師を呼び出すための第2の呼出ボタンを表示させることを特徴とするナースコールシステム。
【請求項4】
上記応答看護師特定部は、上記呼出履歴に基づいて表示された一覧の中から特定の患者を選択する操作に代えて、上記ナースコール子機からの呼び出しに対して応答が行われた後に、ナースコール親機の待機画面に表示されている患者一覧の中から特定の患者を選択する操作が行われたときに、当該選択された患者に対する応答看護師およびその連絡先を上記呼出履歴記憶部および上記連絡先記憶部を参照して特定することを特徴とする請求項3に記載のナースコールシステム。
【請求項5】
上記呼出実行部は、上記第2の呼出ボタンが操作されたときに、上記応答看護師特定部により特定された応答看護師の連絡先に対する呼び出しを行うことを特徴とする請求項3または4に記載のナースコールシステム。
【請求項6】
上記ナースコール子機からの呼び出しに対して上記携帯端末以外の機器で応答が行われた場合、上記表示制御部は、上記第2の呼出ボタンを、操作できない非アクティブ状態にして表示させるとともに、上記携帯端末以外の機器で応答が行われたことを表すメッセージを表示させることを特徴とする請求項3または4に記載のナースコールシステム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2016-06-14 
結審通知日 2016-06-20 
審決日 2016-07-01 
出願番号 特願2011-270182(P2011-270182)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (A61G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山口 賢一  
特許庁審判長 高木 彰
特許庁審判官 関谷 一夫
宮下 浩次
登録日 2016-03-11 
登録番号 特許第5898939号(P5898939)
発明の名称 ナースコールシステム  
代理人 橘 和之  
代理人 橘 和之  

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