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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 G08G
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G08G
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 G08G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G08G
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 G08G
管理番号 1318504
審判番号 不服2015-5378  
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-03-21 
確定日 2016-08-15 
事件の表示 特願2012- 10864「交通安全支援システム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月 1日出願公開,特開2013-149191〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成24年 1月23日の出願であって,平成26年10月23日付けで拒絶理由を通知し(発送日:同年10月28日),同年11月17日に意見書,手続補正書が提出されたが,平成27年 1月16日付けで拒絶査定(発送日:平成27年 1月28日)がなされ,これに対して,同年 3月21日に本件審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成27年 3月21日付けの手続補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成27年 3月21日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正の内容
本件補正前の平成26年11月17日付け手続補正書に記載された特許請求の範囲は,以下のとおりである。
「【請求項1】
高精度位置特定機能,音声・表示出力機能,センター装置との通信機能,を有する移動体端末群と,詳細な道路・建築物等の道路周辺施設形状・位置情報を含む地図データベース,移動体端末との通信機能,記憶機能,演算処理機能,を有するセンター装置,から構成され,
各移動体端末においては,周期的に移動体の位置特定を行い,位置特定結果をセンター装置に送信する,
センター装置においては,各移動体端末から周期的に送られてくる移動体位置特定情報の履歴から,移動体毎の現時点以降一定時間内の当該移動体位置の移動状態予測を行うとともに,前記各移動体の位置移動予測結果に対応する周辺他移動体の移動予測結果との相互比較,あるいは各移動体の移動予測結果に対応する道路周辺施設の形状・寸法データとの相対関係比較,を移動体毎に行い,前記比較結果が交通安全上支障ある移動体に関しその旨を当該移動体に送信することによって移動体の安全移動支援を行うことを特徴とする交通安全支援システム。
【請求項2】
移動体における位置特定は,特定タイミングを同期させて行うことを特徴とする,請求項1記載の交通安全支援システム。
【請求項3】
移動体からセンター装置への送信情報中に,移動体種別,移動体形状・寸法,移動体中の位置特定機能設置場所等,当該移動体を二次元的に平面として,あるいは三次元的に立体として,特定できる形状情報を含め,
センター装置においては,各移動体の移動状態を前記各移動体の二次元あるいは三次元の形状情報に対応した二次元あるいは三次元の移動軌跡として予測するとともに,各移動体間あるいは各移動体-道路周辺施設間の異常接近・衝突の危険判定を,対応する移動体間あるいは移動体-道路周辺施設間の二次元的あるいは三次元的予測軌跡の位置的・時間的接近量・交差量から判定することを特徴とする請求項1記載の交通安全支援システム。」

これに対し,本件補正により,特許請求の範囲は,以下のように補正された。
「 【請求項1】
移動体種別,移動体形状・寸法,移動体中の位置特定機能設置場所等,当該移動体を二次元的に平面として,あるいは三次元的に立体として,特定できる高精度な移動体形状情報を有し,かつ位置特定を移動体の移動速度に対応した周期でかつ他移動体と同期したタイミングで高精度に行う位置特定機能,音声・表示出力機能,センター装置との通信機能,を有する移動体端末群と,前記高精度位置特定機能に対応した詳細かつ高精度な道路・建築物等の道路周辺施設形状・位置情報を含む地図データベース,移動体端末との通信機能,記憶機能,演算処理機能,を有するセンター装置,から構成され,
各移動体端末においては,
あらかじめセンター装置に,移動体形状情報を送信しておくとともに,位置特定機能により特定された位置特定結果をセンター装置に送信する,
センター装置においては,各移動体端末から周期的に送られてくる移動体位置特定結果の履歴から,各移動体の移動状態を前記各移動体の二次元あるいは三次元の形状情報に対応した二次元あるいは三次元の移動軌跡として予測するとともに,各移動体間あるいは各移動体-道路周辺施設間の異常接近・衝突の危険判定を,対応する移動体間あるいは移動体-道路周辺施設間の二次元的あるいは三次元的予測軌跡の位置的・時間的接近量・交差量から判定し,前記判定結果が交通安全上支障ある移動体に関しその旨を当該移動体端末に送信する,ことによって移動体の安全移動支援を行うことを特徴とする交通安全支援システム。」(当審にて,補正された箇所に下線を付した。)。

2.目的要件について
本件補正が,特許法第17条の2第5項の各号に掲げる事項を目的とするものに該当するかについて検討する。
特許法第17条の2第5項2号の「特許請求の範囲の減縮」は,特許法第36条第6項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限られる。
そして,補正前の請求項と補正後の請求項との対応関係が明白であって,かつ,補正後の請求項が補正前の請求項を限定した関係になっていることが明確であることが要請され,補正前の請求項と補正後の請求項とは,一対一又はこれに準ずるような対応関係に立つものでなければならない。
(1)本件補正前の請求項1に記載された発明も,本件補正後の請求項1に記載された発明も,「交通安全支援システム」に係るものであるから,仮に,本件補正前の請求項1が本件補正後の請求項1に対応するものとして検討する。
(1-1)本件補正前の請求項1に記載された発明の「移動体毎の現時点以降一定時間内の当該移動体位置の移動状態予測を行うとともに,前記各移動体の位置移動予測結果に対応する周辺他移動体の移動予測結果との相互比較,あるいは各移動体の移動予測結果に対応する道路周辺施設の形状・寸法データとの相対関係比較,を移動体毎に行い」という発明特定事項を,本件補正後の請求項1に記載された発明では,「各移動体の移動状態を前記各移動体の二次元あるいは三次元の形状情報に対応した二次元あるいは三次元の移動軌跡として予測するとともに,各移動体間あるいは各移動体-道路周辺施設間の異常接近・衝突の危険判定を,対応する移動体間あるいは移動体-道路周辺施設間の二次元的あるいは三次元的予測軌跡の位置的・時間的接近量・交差量から判定し」という発明特定事項に補正した。
そうすると,本件補正前の請求項1に記載された発明の「移動体毎の現時点以降一定時間内の当該移動体位置の移動状態予測を行う」という発明特定事項のうち少なくとも「現時点以降一定時間内の」という直列的に記載された発明特定事項の一部を削除しており,かつ,本件補正後の請求項1に記載された発明の他の発明特定事項を参照しても同一又は類似のものはないから,本件補正は,「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正には該当しない。
(1-2)本件補正前の請求項1に記載された発明の「高精度位置特定機能」は,本件補正後の請求項1に記載された発明の「高精度に行う位置特定機構」に対応し,本件補正前の請求項1に記載された発明の「高精度位置特定機能」は,「第3 3.」でも述べるが,単なるGPS受信機等の高精度位置特定機能であるのに対して,本件補正後の請求項1に記載された発明の「高精度に行う位置特定機能」は,「移動体種別,移動体形状・寸法,移動体中の位置特定機能設置場所等,当該移動体を二次元的に平面として,あるいは三次元的に立体として,特定できる高精度な移動体形状情報を有し,かつ位置特定を移動体の移動速度に対応した周期でかつ他移動体と同期したタイミングで高精度に行う位置特定機能」とまで限定された構成であって,本件補正前の請求項1に記載された発明の「高精度位置特定機構」は,移動体の形状情報を備えず,位置特定を移動速度に対応した周期で,他移動体と同期したタイミングで行うことにより位置特定をより高精度にするという構成が存在しないから,移動体の形状情報,及び,位置特定の周期とタイミングに関し,本件補正前の請求項1に記載された「高精度位置特定機能」をどの様に限定しても導き出せるものではない。
そうであれば,請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の解決しようとする課題が同一である「特許請求の範囲の減縮」には該当しない。
(2)本件補正前の請求項1を引用する本件補正前の請求項2に記載された発明(以下,「本件補正の請求項2に記載された発明」という。)も,本件補正後の請求項1に記載された発明も,「交通安全支援システム」に係るものであるから,仮に,本件補正前の請求項2が本件補正後の請求項1に対応するものとして検討する。
(2-1)上記(1-1)と同様に,本件補正前の請求項2に記載された発明の「移動体毎の現時点以降一定時間内の当該移動体位置の移動状態予測を行う」という発明特定事項のうち少なくとも「現時点以降一定時間内の」という直列的に記載された発明特定事項の一部を削除しており,かつ,本件補正後の請求項1に記載された発明の他の発明特定事項を参照しても同一又は類似のものはないから,本件補正は,「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正には該当しない。
(2-2)本件補正前の請求項2に記載された発明は,本件補正前の請求項1に記載された発明に,移動体における位置特定は,特定タイミングを同期させて行うことを付加したものである。
そうすると,この事項と上記(1-2)の事項を併せて考慮すれば,本件補正後の請求項1に記載された発明の「高精度に行う位置特定機能」は,「移動体種別,移動体形状・寸法,移動体中の位置特定機能設置場所等,当該移動体を二次元的に平面として,あるいは三次元的に立体として,特定できる高精度な移動体形状情報を有し,」他移動体と同期したタイミングだけでなく「かつ,位置特定を移動体の移動速度に対応した周期で高精度に行う位置特定機能」とまで限定された構成であって,本件補正前の請求項2に記載された「高精度位置特定機能」をどの様に限定しても,移動体の形状情報,及び,位置特定のタイミングに関し,移動体の移動速度に対応した周期は導き出せるものではない。
そうであれば,請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の解決しようとする課題が同一である「特許請求の範囲の減縮」には該当しない。
(3)本件補正前の請求項1を引用する本件補正前の請求項3に記載された発明(以下,「本件補正の請求項3に記載された発明」という。)も,本件補正後の請求項1に記載された発明も,「交通安全支援システム」に係るものであるから,仮に,本件補正前の請求項3が本件補正後の請求項1に対応するものとして検討する。
(3-1)上記(1-1)と同様に,本件補正前の請求項3に記載された発明の「移動体毎の現時点以降一定時間内の当該移動体位置の移動状態予測を行う」という発明特定事項のうち少なくとも「現時点以降一定時間内の」という直列的に記載された発明特定事項の一部を削除しており,かつ,本件補正後の請求項1に記載された発明の他の発明特定事項を参照しても同一又は類似のものはないから,本件補正は,「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正には該当しない。
(3-2)本件補正前の請求項3に記載された発明の「高精度位置特定機能」は,本件補正後の請求項1に記載された発明の「高精度に行う位置特定機構」に対応し,本件補正後の請求項1に記載された発明の「高精度に行う位置特定機能」は,移動体種別,移動体形状・寸法,移動体中の位置特定機能設置場所等,当該移動体を二次元的に平面として,あるいは三次元的に立体として,特定できる高精度な移動体形状情報を有するだけでなく,「かつ位置特定を移動体の移動速度に対応した周期でかつ他移動体と同期したタイミングで高精度に行う位置特定機能」とまで限定された構成であって,このようなタイミングは,本件補正前の請求項3に記載された「高精度位置特定機能」をどの様に限定しても導き出せるものではない。
そうであれば,請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の解決しようとする課題が同一である「特許請求の範囲の減縮」には該当しない。
(4)よって,本件補正前の請求項1?3のいずれも本件補正後の請求項1に対応するものではないので,本件補正は,特許請求の範囲の減縮を目的とする補正とは認められない。
また,本件補正が,請求項の削除,誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的としたものでないことも明らかである。
(5)したがって,本件補正は,特許法第17条の2第5項の規定に違反するものである。

3.独立特許要件について
本件補正が,特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であると仮定して,本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下,「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本願補正発明の「位置特定を移動体の移動速度に対応した周期でかつ他移動体と同期したタイミングで高精度に行う」という発明特定事項については,移動体と他移動体が存在するので,移動体を特定できなければ位置特定はできないが,移動体のうち何れを移動体とし何れを他移動体とするのかが不明である。
仮に,全ての移動体が本願補正発明の移動体になり得るとすると,各移動体の移動速度は通常不均一であるから,各移動体の移動速度に対応した周期で各移動体が位置特定を行うと,位置特定の周期が各移動体毎に別々になるため,複数の他移動体と同期したタイミングで位置特定を行えなくなるから,この発明特定事項は明確でない。
ここで,「移動体の移動速度」を各移動体の移動速度ではなく,特定の移動体の移動速度に対応した周期として,複数の他移動体をその周期と同期したタイミングで行うことであると解したとしても,このような事項は発明の詳細な説明には何ら記載されていないし,特定の移動体の移動速度に対応した周期で複数の他の移動体の全てと同期したタイミングで一律に位置特定を行うことにより,速度の速い移動体は位置特定回数が不足し,速度の遅い移動体は位置特定回数が多すぎることとなり,衝突の予測を正確に行えるか否かは不明である。
そうすると,本願補正発明の「位置特定を移動体の移動速度に対応した周期でかつ他移動体と同期したタイミングで高精度に行う」ことは,当業者が実施できる程度に発明の詳細な説明に明確かつ十分に記載されていないと言わざるを得ない。
(2)よって,特許請求の範囲の記載は,特許法第36条第6項第2項に規定する要件を満たしておらず,発明の詳細な説明の記載は,特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから,この出願は,特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4.小括
以上のとおり,本件補正は,特許法第17条の2第5項の規定,及び,同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり,同法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって,補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成27年 3月21日付けの手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1?3に係る発明は,平成26年11月17日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定される,「第2 1.」の本件補正前の請求項1?3に記載されたとおりのものと認められる(以下,本件補正前の請求項1に係る発明を「本願発明」という。)。

2.引用例及びその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された,本願の出願前に頒布された刊行物である特開2005-4542号公報(以下「刊行物1」という。)には,「移動体通信装置,サーバ装置又は歩行誘導装置,及び,衝突防止システム」に関し,図面とともに以下の事項が記載または示されている(下線は,当審により付与した。)。

・「【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は,移動体通信装置,サーバ装置,又は歩行誘導装置に関する。また,上記各装置がおこなう各方法に関する。特に,準天頂衛星を利用した歩行ナビゲーションシステムの提供と,歩行ナビゲーションシステムとカーナビゲーションシステムを連携させることにより,精度の高い衝突防止システムの提供に関するものである。」

・「【0005】
本発明は,交通事故を回避する装置を提供することを目的とする。
【0006】
また,ユーザを安全確実に誘導する装置を提供することを目的とする。」

・「【0008】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
実施の形態1では,準天頂衛星の精度の高い測位情報を利用することにより,歩行者を歩道地図情報に従って誘導する歩行ナビゲーションシステムを実現し,さらに歩行者の誘導と同時に歩行者の詳細な位置情報を,電話網及びインターネット網を介してカーナビゲーションシステムに通知することにより,見通しの悪い気象条件や,建物の蔭に隠れていて直接センシングができない歩行者の位置をリアルタイムにカーナビゲーションシステムに伝え,自動車の進行方向における歩行者の存在をドライバに告知し,さらに衝突の危険が大きい場合はブレーキを制御して事故を自動回避する衝突防止機能を備えた,ナビゲーション間連携システムを提供する。また,歩行者の情報や自動車の情報を記録するサーバがインターネットに接続されており,そのサーバが衝突の可能性を判定して警告を発することによりカーナビゲーションシステムと歩行ナビゲーションシステムに危険性を通知するシステムを提供する。言い換えれば,歩行ナビゲーションシステム及び歩行ナビゲーションシステムと連携して動作するカーナビゲーションシステムを提供する。
【0009】
図1は,実施の形態1におけるシステムの構成を示す図である。
実施の形態1におけるナビゲーション間連携システム1は,図1に示すように,準天頂衛星500とGPS(Global Positioning System)衛星300との衛星群と,歩行ナビゲーションシステム2(移動体通信装置,歩行誘導装置の一例である)と,カーナビゲーションシステム3(移動体通信装置の一例である)と,移動体情報管理サーバ4(サーバ装置の一例である),各ナビゲーションシステムからインターネット網に接続するための通信網や無線LAN(ローカルエリアネットワーク)等の通信手段5を備えている。通信網の具体例としてはPHS(登録商標)(Personal Handyphone System)のPIAFS(Personal HandyphoneSystem Internet Access Forum Standard)を使い,最大128Kbpsのデータ通信網により走行中の車からインターネットに常時接続する方法などが考えられる。
【0010】
歩行ナビゲーションシステム2は,準天頂衛星500等の衛星群からの測位情報(例えば,GPS情報)を受け取り,歩行者用の歩道地図上における歩行者の現在位置を特定し,歩道の状況を例えば,センサで検知して,歩道地図上の情報と照合し,歩道地図に記載されていない障害物などを検出した場合は,その障害物の情報と現在の自分の位置情報を電話網や無線LANを通してインターネットに送信する機能をもつ。移動体情報管理サーバ4は,歩行ナビゲーションシステム2とカーナビゲーションシステム3からの位置情報と速度情報,地図更新情報を受け取り,歩行者と車の相互の位置関係を記述した地図を出力する。」

・「【0013】
図5は,準天頂衛星を利用した測位システムの構成を示す図である。
図5において,GPS衛星300は,測位情報を放送する。準天頂衛星500と静止衛星の一例であるMTSAT(Multi-functional Transport Statellite:運輸多目的衛星)550とは,GPS補完衛星でもあり,測位情報として,例えば,ディファレンシャル測位補正データとインテグリティデータと等を有する高精度測位情報を放送する。ここでは,MTSAT550を用いているが静止衛星の一例として用いたものであり,他の静止衛星であっても構わない。ユーザは,移動体通信装置200を用いて,例えば,1機の準天頂衛星500と3機のGPS衛星300との組み合わせ,1機の準天頂衛星500と3機の静止衛星との組み合わせ,或いは,1機の準天頂衛星500と,GPS衛星300とMTSAT550とによる3機の衛星との組み合わせ,すなわち,少なくとも準天頂衛星500を含む4機の衛星群により測位に必要な位置情報を得ることができる。また,4機に限らず4機より多くの衛星群により測位に必要な位置情報を得ても構わない。
地上には,測位情報配信センター局,全国に配置される電子基準点を配置する。電子基準点は,固定点として自己の基準位置を有する。全国に配置される電子基準点は,例えば,隣接する複数の電子基準点で取り囲む範囲を1つのメッシュとして全国を電子基準点網で網羅する。全国に配置される電子基準点は,上記4機以上の衛星群により測位に必要な位置情報を得る。そして,自己の有する基準位置と上記4機以上の衛星群により得た位置情報による位置との誤差等の測位補正情報を測位情報配信センター局に出力する。ここでは,全国を電子基準点網で網羅するため,メッシュ内のある位置においても補正精度を向上させることができる。測位情報配信センター局は,全国に配置される電子基準点より測位補正情報を入力し,入力された測位補正情報を収集,統合して収集統合情報を作成し,所定のアンテナを介して準天頂衛星500等の衛星に送信する。上記準天頂衛星500等は,測位情報配信センター局より所定のアンテナを介して準天頂衛星500等の衛星に送信された収集統合情報に基づき,高精度測位情報を放送する。
ユーザは,遮蔽が少ない高仰角である準天頂衛星500を少なくとも用いることで,山影等に位置することによる遮蔽や建物等の障害物による遮蔽を極力回避し,遮蔽を回避することにより測位可能時間を改善することができる。また,ユーザは,少なくとも準天頂衛星500を含む4機以上の衛星群と地上に配置された測位情報配信センター局及び全国に配置される電子基準点とを有するシステムにより補正された高精度測位情報を得ることにより,高精度の位置情報を得ることができる。このように,ユーザは,準天頂衛星500を用いることにより,高精度の位置情報,例えば,地上において,25cmの誤差範囲の精度で位置情報を得ることができる。
【0014】
図6は,歩行ナビゲーションシステムの構成を示す図である。
図6における歩行ナビゲーションシステム2は,受信部220と,歩行地図データ(歩道に関する情報を有する地図情報の一例である)を保持,記憶しており歩道の状態の変化に対応して地図を更新していく歩道地図記録装置202(地図情報記憶部の一例である)と,パイロンなどの存在を検知するカメラ206と,準天頂衛星500等の衛星群からの信号から現在位置をわり出して,歩道地図上の位置を特定して歩行者を目的地までの安全な経路で誘導する歩行ナビゲーション制御装置205(誘導部の一例である)と,誘導経路を表示する表示するディスプレイ204(出力部の一例である)と,音声で進行方向を誘導するスピーカ203(出力部の一例である),アンテナ208,209,ユーザの目的地を入力する入力キー210(目的地入力部の一例である)を有している。受信部220は,準天頂衛星500等の衛星群からの信号を受信する準天頂信号受信装置201(衛星受信部の一例である)と,移動体情報管理サーバ4からの情報を受信する移動体情報送受信装置207(情報受信部の一例である)を有している。
【0015】
準天頂信号受信装置201は,準天頂衛星500等の衛星群からの信号として,GPS情報,高精度測位情報の一例としてのディファレンス測位補正データをアンテナ208を介して受信する。
図7は,衛星群からの信号の一例を示す図である。
図7において,準天頂信号受信装置201は,4機の衛星群よりGPS情報として,衛星軌道情報,衛星時計情報,電離層補正データ,他の衛星の位置情報を受信する。また,準天頂衛星500,或いは静止衛星からディファレンス測位補正データを受信する。
【0016】
歩行ナビゲーション制御装置205は,準天頂衛星500等の衛星群からの信号から現在位置を取得し,直前に記録した位置と比較することにより,移動速度と移動方向を求めて図示していない記憶装置に記録する。
図8は,位置情報の一例を示す図である。
図8において,自己の位置情報として,x,y,z座標,測位した時刻,測位した日付けを有している。また,歩道地図記録装置202は,歩道に関する情報の他に歩道以外の地図情報(MAP)も記憶している。
【0017】
歩行ナビゲーション制御装置205は,現在位置と,歩道地図記録装置202から取り出した地図を参照して歩道地図上の位置を特定するとともに,目的地までの経路を探索して,歩道の整備状況や横断歩道の有無,段差や障害物の存在を考慮して,安全性が高く移動距離が短い最適な経路を導き出す。ここで,歩道地図記録装置202は,歩行地図データとして,歩道の整備状況や横断歩道の有無,段差や障害物の存在等の歩道の状態を把握可能な精度の地図を記憶している。準天頂衛星500を用いた高精度測位が,例えば,誤差25cm級で可能であれば,この25cm以上の歩道の状態が識別可能な精度の地図であると高精度測位の効果があがる分なおよい。
【0018】
歩行ナビゲーション制御装置205は,上記歩道地図記録装置202により記憶された地図情報と上記準天頂信号受信装置201により受信されたGPS情報等とに基づいて,上記歩道に関する情報を用いながら上記入力キー210により入力されたユーザの目的地まで上記ユーザを誘導する。言い換えれば,歩行ナビゲーション制御装置205は,目的地までの誘導経路に基づいて,スピーカ203を用いて音声で進行方向を指示するか,ディスプレイ204上に矢印で図示するなどして,経路に沿って移動するように誘導する。また,進路上に段差や障害物がある場合や,横断歩道の手前に差し掛かった場合に,ユーザにその存在をスピーカ203を用いた音声やディスプレイ204上のサインにより告知する。」

・「【0020】
歩行ナビゲーション制御装置205は,カメラ206で撮影された進行方向の映像から工事中のエリアに配置されたパイロンを判別して,その位置を付加情報として歩道地図記録装置202に記録するとともに,障害物の情報を追加した上で誘導経路を再度求め直してユーザの誘導経路を変更する。言い換えれば,歩行ナビゲーションシステム2は,パイロンの色や形を判別して,障害物として記録する。
【0021】
以上のように,歩行ナビゲーションシステム2は,歩行者用の歩道地図を利用して,歩道の範囲内を維持しながら歩道の段差や障害物を避けて歩行者を誘導するとともに,横断歩道の信号の手前でユーザにその旨を告知する。
【0022】
歩行ナビゲーションシステム2における移動体情報送受信装置207は,現在の,位置,速度,方向,障害物情報をアンテナ209を介して,例えば,電話網や無線LANを使いインターネットを通して移動体情報管理サーバ4に送信する。
【0023】
以上のように,歩行ナビゲーションシステム2は,直前に測定した位置情報と今回測定した位置の情報から歩行者の速度と移動方向を求めるとともに,位置情報,速度,方向,障害物情報を電話網や無線LANを使いインターネットを通して移動体情報管理サーバ4に送信する機能をもつ。
【0024】
図9は,カーナビゲーションシステムの構成を示す図である。
図9において,カーナビゲーションシステム3は,受信部322と,車道地図データを保持しており歩道の状態の変化に対応して地図を更新していく車道地図記録装置312と,準天頂衛星500等の衛星群からの信号から現在位置をわり出して,車道地図上の位置を特定して目的地までの安全な経路で自動車を誘導するカーナビゲーション制御装置315(誘導部,衝突予測判断部の一例である)と,誘導経路を表示するディスプレイ314(出力部の一例である)と,音声で進行方向を誘導するスピーカ313(出力部の一例である)と,危険がある場合にブレーキを作動させるブレーキ制御装置318(制動装置制御部の一例である),アンテナ320,321と,進行方向の障害物などの存在を検知するカメラ316を有している。受信部322は,準天頂衛星500等の衛星群からの信号を受信する準天頂信号受信装置311(衛星受信部の一例である)と,移動体情報管理サーバ4からの情報を受信する移動体情報送受信装置317(情報受信部の一例である)とを有している。
【0025】
準天頂信号受信装置311は,準天頂衛星500等の衛星群からの信号として,GPS情報,高精度測位情報の一例としてのディファレンス測位補正データをアンテナ320を介して受信する。
衛星群からの信号の一例は,図7と同様である。準天頂信号受信装置311は,4機の衛星群よりGPS情報として,衛星軌道情報,衛星時計情報,電離層補正データ,他の衛星の位置情報を受信する。また,準天頂衛星500,或いは静止衛星からディファレンス測位補正データを受信する。
【0026】
カーナビゲーション制御装置315は,準天頂衛星500等の衛星群からの信号から現在位置を取得し,直前に記録した位置と比較することにより,移動速度と移動方向を求めて図示していない記憶装置に記録する。
位置情報の一例は,図8と同様であり,自己の位置情報として,x,y,z座標,測位した時刻,測位した日付けを有している。また,車道地図記録装置312は,地図情報(MAP)を記憶している。
【0027】
カーナビゲーション制御装置315は,現在位置と,車道地図記録装置312から取り出した地図を参照して車道地図上の位置を特定するとともに,目的地までの経路を探索して,移動距離が短い最適な経路を導き出す。ここで,車道地図記録装置312は,歩行地図データとして,歩道の整備状況や横断歩道の有無,段差や障害物の存在等の歩道の状態を把握可能な精度の地図を記憶している。準天頂衛星500を用いた高精度測位が,例えば,誤差25cm級で可能であれば,この25cm以上の歩道の状態,及び車道が識別可能な精度の地図であると高精度測位の効果があがる分なおよい。
【0028】
カーナビゲーション制御装置315は,カメラ316で撮影された進行方向の映像から,例えば,歩道が工事中となっており車道のエリアにせり出して配置されたパイロンを判別して,その位置を付加情報として車道地図記録装置312に記録するとともに,移動体情報送受信装置317,アンテナ321を介して上記付加情報を電話網や無線LANを使いインターネットを通して移動体情報管理サーバ4に送信する。
【0029】
カーナビゲーション制御装置315は,準天頂衛星500等の信号から現在位置を取得し,直前に記録した位置と比較することにより,移動速度と移動方向を求めて図示していない記憶装置に記録するとともに,移動体情報送受信装置317,アンテナ321を介して電話網や無線LANを使いインターネットを通して移動体情報管理サーバ4に送信する。
【0030】
図10は,移動体情報管理サーバの構成を示す図である。
図10において,移動体情報管理サーバ4は,アンテナ430とインターネット等のネットワークとを介して歩行ナビゲーションシステム2とカーナビゲーションシステム3から情報を受け取り,歩行ナビゲーションシステム2とカーナビゲーションシステム3へ情報を送信する情報送受信装置421と,位置情報や障害物情報を記憶する移動体情報記憶装置422と,衝突の予測と事故発生を検知する処理装置423を有している。
【0031】
移動体情報管理サーバ4は,歩行ナビゲーションシステム2とカーナビゲーションシステム3から情報送受信装置421を介して受信した,位置情報,速度情報,移動方向情報,障害物情報を移動体情報記憶装置422に記録する。そして,移動体情報管理サーバ4における情報送受信装置421は,インターネットを介してカーナビゲーションシステム3と歩行ナビゲーションシステム2に当該ナビゲーションの周囲の情報を抽出して送信する機能を備える。
【0032】
また,移動体情報管理サーバ4は,位置情報,速度情報,移動方向情報から0.1秒から数秒後の到達地点を予測して,衝突の危険があると判断した場合に,インターネットを通してカーナビゲーションシステム3と歩行ナビゲーションシステム2に警告を発信する手段を備える。本実施の形態1では,処理装置423が到達地点の予測と,衝突の危険の有無を判断し,情報送受信装置421が警告を発信する。
本実施の形態によれば,複数の移動体通信装置に衝突の危険が生じていることを警告し,相手に注意を促すことができる。
【0033】
移動体情報管理サーバ4は,歩行ナビゲーションシステム2とカーナビゲーションシステム3から受信した位置情報,速度情報,移動方向情報を常時監視して,道路地図上の車の位置を特定するとともに,車と歩行者がすれ違った次の瞬間から歩行者が道の真中で長時間停止した状態になった場合や,車がガードレールの外に飛び出す動きをした場合などに,事故が発生したと判断して緊急通報を行う。本実施の形態1では,処理装置423が,移動体情報記憶装置422に記録された位置情報,速度情報,移動方向情報を常時監視して,道路地図上の車の位置を特定するとともに,車と歩行者がすれ違った次の瞬間から歩行者が道の真中で長時間停止した状態になった場合や,車がガードレールの外に飛び出す動きをした場合などに,事故が発生したと判断する。そして,情報送受信装置421が緊急通報を行う。
【0034】
本実施の形態によれば,複数の移動体通信装置の位置と各移動体通信装置の移動方向と各移動体通信装置の移動速度とを管理し,付近の移動体通信装置に相手の情報を送信し,相手に注意を促すことができる。
【0035】
移動体情報管理サーバ4の動作について説明する。
図11は,移動体情報管理サーバの動作の一例を説明するフローチャート図である。
情報送受信装置421は,歩行ナビゲーションシステム2とカーナビゲーションシステム3からインターネットを通して送信されてきた情報を無線LANや電話網経由で受け取り,移動体情報記憶装置422に入力する。移動体情報記憶装置422は,歩行ナビゲーションシステム2から受け取った,歩行者位置,歩行者速度,歩行者移動方向,障害物位置,を記憶し,カーナビゲーションシステム3から受け取った,走行中の車位置,速度,移動方向,を記憶する(ステップB1)。
処理装置423は,移動体情報記憶装置422の情報を参照して,各歩行者と走行中の車の0.1秒から数秒後の移動位置を計算する(ステップB2)。
処理装置423は,計算の結果,各歩行者と走行中の車とが衝突する可能性を調べる(ステップB3)。
処理装置423は,衝突する可能性があると判断した場合は,情報送受信装置421を用いて歩行者が所持する歩行ナビゲーションシステム2と走行中の車に搭載されたカーナビゲーションシステム3とに警告を送信する(ステップB4)。
処理装置423は,歩行者と走行中の車との移動経路の軌跡を調べて,歩行者と走行中の車が衝突したか,あるいは走行中の車同士が衝突したかを調べる(ステップB5)。
処理装置423は,歩行者と走行中の車が衝突したか,あるいは走行中の車同士が衝突したかを判断する(ステップB6)。
処理装置423は,衝突したと判断した場合は,情報送受信装置421から緊急機関,例えば,救急車の要請のための消防機関,或いは警察機関等に緊急通報を行う(ステップB7)。
情報送受信装置421は,カーナビゲーションシステム3に向けて,歩行者の位置,速度,移動方向,を送信する(ステップB8)。
情報送受信装置421は,歩行ナビゲーションシステム2に,走行中の車の位置,速度,移動方向,と障害物の位置を送信する(ステップB9)。
【0036】
上記フローチャートでは,情報送受信装置421は,歩行ナビゲーションシステム2から歩行者位置,歩行者速度,歩行者移動方向,障害物位置を,カーナビゲーションシステム3から走行中の車位置,速度,移動方向を無線LANや電話網経由で受け取っているが,情報送受信装置421が,歩行ナビゲーションシステム2から準天頂信号受信装置201がアンテナ208を介して衛星より受信したGPS情報と,カーナビゲーションシステム3から準天頂信号受信装置311がアンテナ320を介して衛星より受信したGPS情報とをそれぞれ受信して,処理装置423が歩行ナビゲーションシステム2のGPS情報に基づいて,歩行者位置,歩行者速度,歩行者移動方向,障害物位置を演算し,カーナビゲーションシステム3のGPS情報に基づいて,走行中の車位置,速度,移動方向を演算してもよい。かかる場合,移動体情報記憶装置422は,処理装置423により演算された歩行ナビゲーションシステム2のGPS情報に基づく歩行者位置,歩行者速度,歩行者移動方向,障害物位置と,カーナビゲーションシステム3のGPS情報に基づく走行中の車位置,速度,移動方向とを記憶する。或いは,情報送受信装置421は,歩行ナビゲーションシステム2とカーナビゲーションシステム3との内,一方から位置,速度,移動方向等を受信し,他方から位置計算等がされていないGPS情報を受信しても構わない。」

・「【0040】
或いは,移動体情報送受信装置207は,上記所定の情報として,上記移動体の外部から上記移動体と上記他の移動体との間に衝突の危険が生じていることを警告する情報としての警告情報を受信する。言い換えれば,所定の情報として,移動体情報管理サーバ4における情報送受信装置421から歩行者と走行中の車とが衝突する可能性があると判断された警告を示す警告情報を受信する。そして,スピーカ203,或いはディスプレイ204は,上記移動体情報送受信装置207により受信された所定の情報に基づき,上記移動体と他の移動体との衝突予測を示す衝突予測情報を出力し,ユーザに上記衝突予測を知らせる。言い換えれば,スピーカ203,或いはディスプレイ204は,上記移動体情報送受信装置207により警告情報が受信された場合に,上記衝突予測情報を出力し,歩行者であるユーザに上記衝突予測を知らせるようにしてもよい。言い換えれば,歩行ナビゲーション制御装置205は,移動体情報管理サーバ4から衝突の警告を受け取ると,スピーカ203で警告音を出すとともにディスプレイ204に警告のサインを表示して歩行者であるユーザに危険を知らせる。」

・「【0045】
或いは,移動体情報送受信装置317は,上記所定の情報として,上記移動体の外部から上記移動体と上記他の移動体との間に衝突の危険が生じていることを警告する情報としての警告情報を受信する。言い換えれば,所定の情報として,移動体情報管理サーバ4における情報送受信装置421から歩行者と走行中の車とが衝突する可能性があると判断された警告を示す警告情報を受信する。そして,スピーカ313,或いはディスプレイ314は,上記移動体情報送受信装置317により受信された所定の情報に基づき,上記移動体と他の移動体との衝突予測を示す衝突予測情報を出力し,搭乗するユーザ,特に運転手に上記衝突予測を知らせる。言い換えれば,スピーカ313,或いはディスプレイ314は,上記移動体情報送受信装置317により警告情報が受信された場合に,上記衝突予測情報を出力し,搭乗するユーザに上記衝突予測を知らせるようにしてもよい。」

・「【0050】
以上のように,GPSを利用したナビゲーションシステムでも,特に,位置情報の測定誤差が大きく,歩行者を安全に且つ正確に目的の場所に誘導することが困難であるもの,例えば,補正後の誤差は1メートルと大きいため歩行者を誘導する用途には適さない基準局を利用した誤差補正の技術ではなく,例えば,準天頂衛星を利用した高精度測位(例えば,補正後の誤差25cm級)のGPSを用いたナビゲーションシステムを利用して,歩行者を安全に且つ正確に目的の場所に誘導する。さらに,準天頂衛星を利用することにより建物の蔭に隠れている歩行者に対して,その正確な位置情報を自動車側が把握して交通事故を回避する衝突防止制御をおこなう。」

・「【0061】
【発明の効果】
この発明によれば,歩行者と走行中の車の間で,お互いの正確な位置情報を把握することができ,これまで視界から外れていて回避が困難であったケースでも衝突の可能性を予測して回避することができる。また,衛星へのアップリンク手段を不要とすることができる。」

・刊行物1の段落【0010】の「移動体情報管理サーバ4は,歩行ナビゲーションシステム2とカーナビゲーションシステム3からの位置情報と速度情報,地図更新情報を受け取り,歩行者と車の相互の位置関係を記述した地図を出力する。」という記載,段落【0033】の「移動体情報管理サーバ4は,歩行ナビゲーションシステム2とカーナビゲーションシステム3から受信した位置情報,速度情報,移動方向情報を常時監視して,道路地図上の車の位置を特定するとともに,車と歩行者がすれ違った次の瞬間から歩行者が道の真中で長時間停止した状態になった場合や,車がガードレールの外に飛び出す動きをした場合などに,事故が発生したと判断して緊急通報を行う。」という記載から,移動体情報管理サーバ4が道路地図やガードレールを判断するものであることが理解できる。

・刊行物1の段落【0023】,【0024】,【0029】の記載からみて,各移動体通信装置は,直前に測定した位置情報と今回測定した位置情報から移動速度と移動方向を求めて,位置情報,移動速度,移動方向の情報を移動体情報管理サーバ4に送信することが理解できる。

そうすると,これらの事項に基づいて,本願発明の表現に倣って整理すると,刊行物1には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「準天頂衛星500等の衛星群からGPS情報,高精度測位情報を受信する準天頂信号受信装置201,311により信号を取得して現在位置をわり出す歩行ナビゲーション制御装置205及びカーナビゲーション制御装置315,スピーカ203,313及びデイスプレイ204,314,移動体情報管理サーバ4と送信又は受信する移動体情報送受信装置207,317,を有する移動体通信装置としての歩行ナビゲーションシステム2,カーナビゲーションシステム3と,歩行ナビゲーションシステム2,カーナビゲーションシステム3との情報送受信装置421,移動体情報記憶装置422,処理装置423,を有し,道路地図やガードレールを判断する移動体情報管理サーバ4,から構成され,
各移動体通信装置は,直前に測定した位置情報と今回測定した位置情報から移動速度と移動方向を求めて,位置情報,移動速度,移動方向の情報を移動体情報管理サーバ4に送信する,
移動体情報管理サーバ4においては,前記移動体情報記憶装置422が歩行ナビゲーションシステム2から受け取った歩行者位置,歩行者速度,歩行者移動方向を記憶した情報,カーナビゲーションシステム3から受け取った走行中の車位置,速度,移動方向を記憶した情報から,前記処理装置423は各歩行者と走行中の車の0.1秒から数秒後の移動位置を計算し,計算の結果,各歩行者と走行中の車とが衝突する可能性を調べ,衝突する可能性があると判断した場合には,前記情報送受信装置421は歩行者が保持する歩行ナビゲーションシステム2と走行中の車に搭載されたカーナビゲーションシステム3とに警告を送信し,移動体情報送受信装置207,317は前記警告情報を受信して,スピーカ203,313あるいはディスプレイ204,314は衝突予測情報を出力する衝突防止システム。」

3.発明の対比
本願発明と引用発明とを対比すると,後者の「衝突防止システム」は前者の「交通安全支援システム」に相当し,以下同様に,「移動体情報管理サーバ4」は「センター装置」に,「移動体通信装置としての歩行ナビゲーションシステム2,カーナビゲーションシステム3」は「移動体端末群」に,「移動体通信装置」又は「歩行ナビゲーションシステム2,カーナビゲーションシステム3」は「移動体端末」に,「歩行者位置」及び「走行中の車の位置」は「移動体位置特定情報」に,「衝突する可能性」は「交通安全上支障」に,「スピーカ203,313あるいはディスプレイ204,314に衝突予測情報を出力する」態様は「移動体の安全移動支援を行う」態様に,それぞれ相当する。
本願の明細書の
「【0005】
本願発明による,移動体間の接近・衝突等の危機検知は,移動体に搭載したレーダ,カメラ等によって検知しようとするものではなく,移動体に搭載したGPS受信機等の高精度位置特定機能で自移動体位置を検知し,他移動体が検知した当該移動体位置との相互関係によって危険を検知しようとするものである。」
「【0006】
システムは,GPS受信機等の高精度位置特定機能,センター装置との通信機能,音声・表示出力機能,を有する移動体端末群と,・・・」
「【0007】
移動体端末の有する位置特定機能としては,高精度(特定誤差:数十センチメートル以下)の位置特定機能を有するGPS受信機を想定する。」(下線は,当審にて付記した。)の記載事項からみて,前者の「高精度位置特定機能」は「移動体に搭載したGPS受信機等」と解されるところ,後者の「準天頂衛星500等の衛星群からGPS情報,高精度測位情報を受信する準天頂信号受信装置201,311により信号を取得して現在位置をわり出す歩行ナビゲーション制御装置205及びカーナビゲーション制御装置315」は前者の「高精度位置特定機能」を有する。
以下同様に,後者の「スピーカ203,313及びデイスプレイ204,314」は前者の「音声・表示出力機能」を有し,後者の「送信又は受信する移動体情報送受信装置207,317」は前者の「通信機能」を有し,後者の「情報送受信装置421」は前者の「通信機能」を有し,後者の「移動体情報記憶装置422」は前者の「記憶機能」を有し,後者の「処理装置423」は前者の「演算処理機能」を有する。
後者の「準天頂衛星500等の衛星群からGPS情報,高精度測位情報を受信する準天頂信号受信装置201,311により信号を取得して現在位置をわり出す歩行ナビゲーション制御装置205及びカーナビゲーション制御装置315,スピーカ203,313及びデイスプレイ204,314,移動体情報管理サーバ4と送信又は受信する移動体情報送受信装置207,317,を有する移動体通信装置としての歩行ナビゲーションシステム2,カーナビゲーションシステム3」は前者の「高精度位置特定機能,音声・表示出力機能,センター装置との通信機能,を有する移動体端末群」に相当する。
後者の「歩行ナビゲーションシステム2,カーナビゲーションシステム3との情報送受信装置421,移動体情報記憶装置422,処理装置423,を有し,道路地図やガードレールを判断する移動体情報管理サーバ4」と,前者の「詳細な道路・建築物等の道路周辺施設形状・位置情報を含む地図データベース,移動体端末との通信機能,記憶機能,演算処理機能,を有するセンター装置」とは,「移動体端末との通信機能,記憶機能,演算処理機能,を有し,道路関連の情報を判断するセンター装置」の点で共通する。
後者の「各移動体通信装置は,直前に測定した位置情報と今回測定した位置情報から移動速度と移動方向を求めて,位置情報,移動速度,移動方向の情報を移動体情報管理サーバ4に送信する」態様と,前者の「各移動体端末においては,周期的に移動体の位置特定を行い,位置特定結果をセンター装置に送信する」態様とは,「各移動体端末においては,移動体の位置特定を行い,位置特定結果をセンター装置に送信する」点で共通する。
後者の「移動体情報管理サーバ4においては,前記移動体情報記憶装置422が歩行ナビゲーションシステム2から受け取った歩行者位置,歩行者速度,歩行者移動方向を記憶した情報,カーナビゲーションシステム3から受け取った走行中の車位置,速度,移動方向を記憶した情報から,前記処理装置423は各歩行者と走行中の車の0.1秒から数秒後の移動位置を計算し,計算の結果,各歩行者と走行中の車とが衝突する可能性を調べ,衝突する可能性があると判断した場合には,前記情報送受信装置421は歩行者が保持する歩行ナビゲーションシステム2と走行中の車に搭載されたカーナビゲーションシステム3とに警告を送信し,移動体情報送受信装置207,317は前記警告情報を受信して,スピーカ203,313あるいはディスプレイ204,314は衝突予測情報を出力する」態様と,前者の「センター装置においては,各移動体端末から周期的に送られてくる移動体位置特定情報の履歴から,移動体毎の現時点以降一定時間内の当該移動体位置の移動状態予測を行うとともに,前記各移動体の位置移動予測結果に対応する周辺他移動体の移動予測結果との相互比較,あるいは各移動体の移動予測結果に対応する道路周辺施設の形状・寸法データとの相対関係比較,を移動体毎に行い,前記比較結果が交通安全上支障ある移動体に関しその旨を当該移動体に送信することによって移動体の安全移動支援を行う」態様とは,「センター装置においては,各移動体端末から送られてくる移動体位置特定情報を含む記憶した情報から,移動体毎の現時点以降一定期間内の当該移動体位置の移動状態予測を行うとともに,前記各所定の移動体の位置移動予測結果に対応する周辺の他の所定の移動体の移動予測結果との相互比較,を移動体毎に行い,前記比較結果が交通安全上支障ある移動体に関しその旨を当該移動体に送信することによって移動体の安全移動支援を行う」点において共通する。

そうすると,両者は,
「高精度位置特定機能,音声・表示出力機能,センター装置との通信機能,を有する移動体端末群と,移動体端末との通信機能,記憶機能,演算処理機能,を有し,道路関連の情報を判断するセンター装置,から構成され,
各移動体端末においては,移動体の位置特定を行い,位置特定結果をセンター装置に送信する,
センター装置においては,各移動体端末から送られてくる移動体位置特定情報を含む記憶した情報から,移動体毎の現時点以降一定期間内の当該移動体位置の移動状態予測を行うとともに,前記各所定の移動体の位置移動予測結果に対応する周辺の他の所定の移動体の移動予測結果との相互比較,を移動体毎に行い,前記比較結果が交通安全上支障ある移動体に関しその旨を当該移動体に送信することによって移動体の安全移動支援を行う,交通安全支援システム。」
の点で一致し,以下の各点で相違すると認められる。
<相違点1>
道路関連の情報の格納に関し,本願発明では,センター装置が有する「詳細な道路・建築物等の道路周辺施設形状・位置情報を含む地図データベース」であるのに対して,引用発明では,歩行ナビゲーションシステム2又はカーナビゲーションシステム3が道路地図やガードレールの情報を格納している点。
<相違点2>
各移動体端末における移動体の位置特定が,本願発明では,「周期的に」行われるのに対して,引用発明では,そのような特定はなされていない点。
<相違点3>
センター装置における,各移動体端末から送られてくる移動体位置特定情報を含む記憶した情報に関して,本願発明では,各移動体端末から「周期的に」送られてくる移動体位置特定情報の「履歴」であるのに対して,引用発明では,各移動体通信装置は,直前に測定した位置情報と今回測定した位置情報から移動速度と移動方向を求めて,位置情報,移動速度,移動方向の情報を移動体情報管理サーバ4に送信し,歩行ナビゲーションシステム2から受け取った歩行者位置,歩行者速度,歩行者移動方向を記憶した情報,カーナビゲーションシステム3から受け取った走行中の車位置,速度,移動方向を記憶した情報である点。
<相違点4>
本願発明では,「各移動体」の位置移動予測結果に対応する周辺「他移動体」の移動予測結果との相互比較,あるいは「各移動体の移動予測結果に対応する道路周辺施設の形状・寸法データとの相対関係比較」を移動体毎に行うのに対して,引用発明では,各歩行者の位置移動予測結果に対応する周辺の走行中の車の移動予測結果との相互比較,を移動体毎に行う点。

4.相違点の検討
<相違点1について>
引用発明では,移動体情報管理サーバ4(センター装置)が道路地図やガードレールのような道路関連の情報を判断するものとなっている。
ナビゲーション装置において,センター装置側に地図データベースを持たせることは慣用手段である。
合議体の問い合わせに対する平成28年 4月 5日付けの請求人のファクシミリにより,本願発明の「道路周辺施設」とは「道路およびその周辺建築物」の意である旨回答された。
地図データベースに,道路の形状,サイズ,位置等の情報,建造物(建物,ガードレール,電柱,標識,信号機,樹木等)の形状,サイズ,位置等の情報を記憶することは,出願前において周知の事項である(必要があれば,原査定の拒絶の理由で引用された特開2006-284195号公報の段落【0025】を参照のこと。)から,引用発明の移動体情報管理サーバ4(センター装置)が判断する道路関連の情報に,上記周知の事項を適用して,詳細な道路・建築物等の道路周辺施設形状・位置情報を加えることは当業者が適宜なし得たことであり,その際,地図データベースは移動体端末又はセンター装置のいずれかに設けられるので,移動体情報管理サーバ4(センター装置)に当該地図データベースを設けることは,適宜なし得たことである。

<相違点2について>
GPS信号を受信して測位(位置特定)を行うGPS受信システムにおいて,測位(位置特定)を周期的に行うことは,常套手段にすぎない(必要があれば,原査定の拒絶の理由で引用された特開2000-338219号公報の段落【0001】,【0024】を参照のこと。)。
そして,引用発明における移動体の位置特定に上記常套手段を適用して,相違点2に係る本願発明の発明特定事項を採用することは,当業者が適宜なし得たことである。

<相違点3について>
引用発明においても,直前に測定した位置情報と今回測定した位置情報を用いているから移動体位置特定情報の「履歴」を利用していると解することもできる。
また,ナビゲーション装置において,衝突の危険性を判断するために自車や他者(物体)の位置特定情報の履歴を用いることは慣用手段である(必要があれば,特開2006-146948号公報の段落【0046】,【0052】,特開2007-172541号公報の段落【0025】を参照のこと。)
そして,<相違点2について>で述べたとおり,GPS受信システムにおいて位置特定を周期的に行うことは常套手段であるから,位置情報等の移動体情報管理サーバ4(センター装置)への送信を周期的にすることに何ら困難性はなく,また,移動体の移動の予測をより正確に行って衝突の予測の精度を上げるために,参照する過去の位置特定情報を増やすように「履歴」を利用することは,当業者にとって通常の動機といえるから,引用発明において,上記慣用手段を考慮して,相違点3に係る本願発明の発明特定事項を採用することは,当業者が容易に想到し得たことである。
なお,引用発明では,移動体端末側で移動体位置特定情報から移動速度,移動方向を算出しているのに対して,本願発明は,センター装置において移動体位置特定情報から全て移動予測しているが,センター装置と移動体端末のどちらに計算負担を負わせるかについては,当業者が適宜選択可能な事項といえる。

<相違点4>
引用発明は,各歩行者と走行中の車との衝突を予測するものであるが,一般的に車対車や歩行者対歩行者等,衝突対象が何であれ衝突の危険を予測することは慣用されることである(以下,「慣用手段」という。必要があれば,特開2006-146948号公報の段落【0046】,特開2005-50117号の段落【0021】を参照のこと。)。
合議体の問い合わせに対する平成28年 4月 5日付けの請求人のファクシミリにより,本願発明の「道路周辺施設」とは「道路およびその周辺建築物」の意である旨回答された。
引用発明を開示する刊行物1の段落【0033】には,「移動体情報管理サーバ4は,歩行ナビゲーションシステム2とカーナビゲーションシステム3から受信した位置情報,速度情報,移動方向情報を常時監視して,道路地図上の車の位置を特定するとともに,車と歩行者がすれ違った次の瞬間から歩行者が道の真中で長時間停止した状態になった場合や,車がガードレールの外に飛び出す動きをした場合などに,事故が発生したと判断して緊急通報を行う。」との記載があり,ここで,「車がガードレールの外に飛び出す動きをした場合」とは,ガードレールは道路に沿って設けられるものであるので,各移動体の移動結果に対応する道路周辺施設(道路およびその周辺建築物)のうちの道路の形状データとの相対関係比較を行った結果を表すものともいえ,刊行物1の記載事項においても「事故」を相対関係の比較で判断することが例示されている。
また,移動体の現在位置と道路周辺の建築物の形状・寸法データの相対関係比較を行って,移動体の衝突防止のために安全移動支援を行うことも,本願の出願前に周知の事項(必要があれば,特開2002-168642号公報の段落【0041】,【0044】,【0046】,【0051】?【0065】,特開2005-274344号公報の段落【0025】?【0027】,【0031】,特開2009-97289号公報の段落【0021】?【0043】を参照のこと。)である。
そうすると,引用発明及び上記周知の事項は,いずれも移動体の衝突防止のために安全移動支援を行うものであるから,移動体同士の衝突を予測するものである引用発明において,より安全性を増すために,上記慣用手段のように任意の衝突対象との予測を用いることは適宜なし得ることと認められ,その際に,上記刊行物1の記載事項や上記周知の事項のように更に道路周辺施設(道路及びその周辺建築物)の形状・寸法データとの相対関係比較を用いて,相違点4に係る本願発明の発明特定事項とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

そして,本願発明の効果について検討しても,引用発明,刊行物1の記載事項,上記周知の事項,上記常套手段及び上記慣用手段からみて格別顕著なものがもたらされるものではない。

以上を総合すると,上記相違点にかかわらず,本願発明は,引用発明,刊行物1の記載事項,上記周知の事項,上記常套手段及び上記慣用手段に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものというべきである。

5.むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明,刊行物1の記載事項,上記周知の事項,上記常套手段及び上記慣用手段に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そうすると,本願は,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,拒絶されるべきであるとした原査定は妥当である。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-06-21 
結審通知日 2016-06-22 
審決日 2016-07-05 
出願番号 特願2012-10864(P2012-10864)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (G08G)
P 1 8・ 536- Z (G08G)
P 1 8・ 57- Z (G08G)
P 1 8・ 121- Z (G08G)
P 1 8・ 537- Z (G08G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 奥隅 隆島倉 理  
特許庁審判長 堀川 一郎
特許庁審判官 矢島 伸一
藤井 昇
発明の名称 交通安全支援システム  

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