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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する B62J
審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正する B62J
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する B62J
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する B62J
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する B62J
審判 訂正 2項進歩性 訂正する B62J
審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する B62J
審判 訂正 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降) 訂正する B62J
管理番号 1319416
審判番号 訂正2016-390060  
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-11-25 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2016-04-25 
確定日 2016-08-04 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3585486号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3585486号の特許請求の範囲及び図面を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲及び図面のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第3585486号は、平成12年2月9日(優先権主張 平成11年9月7日)に出願した特願2000-31685号の一部を平成15年12月26日に新たに特許出願としたものであって、平成16年8月13日に設定登録され、平成28年4月25日に本件訂正審判の請求がされたものである。

第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第3585486号の特許請求の範囲及び図面を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲及び訂正図面のとおり、訂正後の請求項1ないし5について訂正することを認める、との審決を求めるものである。

第3 本件訂正の内容
本件訂正の内容は、次のとおりである。

1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記ヘッドボックスは、その左右から前記左右のメインフレームが枝分かれするとともに」とあるのを「前記ヘッドボックスは、車体中央に沿って前後方向に直線状に長く配設される本体部とその後端で左右に分かれて左右のメインフレームにつながる部分を有し、前記本体部の前端部に開口部を有し、前記本体部の後端に設けられた開口のみから前記エアクリーナへ外気を導くとともに」と訂正する。

2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「前記ヘッドボックスの前後方向へ貫通して設けられた通路内に中空柱状部を前記ヘッドボックスと一体成形し」とあるのを「前記ヘッドボックスの前後方向へ貫通して設けられた通路内に前記ヘッドボックスと一体成形された中空柱状部を設け」と訂正する。

3 訂正事項3
図4において、参照符号「17」の引出線を訂正する。また、同図において、参照符号「12」の近傍に記載された参照符号「12a」を「12b」に訂正するとともにその引出線を訂正する。

第4 当審の判断
以下、上記訂正事項1ないし3について検討する。
また、検討に際し、本件特許の願書に添付した明細書を以下,「本件明細書」という。

1 訂正の目的の適否について
(1)訂正事項1について
訂正事項1は「ヘッドボックス」に関し、「その左右から前記左右のメインフレームが枝分かれするとともに」という構成を「車体中央に沿って前後方向に直線状に長く配設される本体部とその後端で左右に分かれて左右のメインフレームにつながる部分を有し、」という構成に変更するとともに、「前記本体部の前端部に開口部を有し、前記本体部の後端に設けられた開口のみから前記エアクリーナへ外気を導くとともに」という構成を付加するものである。
ここで、「ヘッドボックス」に関し「前記本体部の前端部に開口部を有し、前記本体部の後端に設けられた開口のみから前記エアクリーナへ外気を導くとともに」という構成を付加することは、特許請求の範囲の減縮に該当することは明らかである。

次に、「ヘッドボックス」に関し「その左右から前記左右のメインフレームが枝分かれするとともに」という構成を「車体中央に沿って前後方向に直線状に長く配設される本体部とその後端で左右に分かれて左右のメインフレームにつながる部分を有し、」という構成に変更することの、訂正の目的について検討する。
本件訂正前の請求項1における「前記ヘッドボックスは、その左右から前記左右のメインフレームが枝分かれするとともに」という記載は、ヘッドボックスに対して左右のメインフレームが枝分かれしているものと、左右のメインフレーム自体が枝分かれしているものとの2通りの解釈ができるため、不明瞭な記載である。
そして、本件訂正後の請求項1における「前記ヘッドボックスは、車体中央に沿って前後方向に直線状に長く配設される本体部とその後端で左右に分かれて左右のメインフレームにつながる部分を有し」という記載は、ヘッドボックスの本体部の後端で左右に分かれた部分が左右のメインフレームにつながるというものであり、上述した2通りの解釈のうちの一方の解釈である、ヘッドボックスに対して左右のメインフレームが枝分かれしているものであることが明瞭となるものであるから、訂正事項1は、明瞭でない記載の釈明を目的としたものでもある。
さらに、訂正事項1に関し、本件訂正前の請求項1の「前記ヘッドボックスは、その左右から前記左右のメインフレームが枝分かれするとともに」は、本件訂正後の請求項1の「前記ヘッドボックスは、車体中央に沿って前後方向に直線状に長く配設される本体部とその後端で左右に分かれて左右のメインフレームにつながる部分を有し、前記本体部の前端部に開口部を有し、前記本体部の後端に設けられた開口のみから前記エアクリーナへ外気を導くとともに」に関する発明特定事項を全て包含するものであるから、全体として発明の減縮に該当するため、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

したがって、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(2)訂正事項2について
本件訂正前の請求項1の記載は、「・・・自動2輪車の吸気構造」であるから、本件訂正前の請求項1に係る発明の対象は、「吸気構造」という「物」であることは明らかである。
さらに、本件訂正前の請求項1には、「前記ヘッドボックスの前後方向へ貫通して設けられた通路内に中空柱状部を前記ヘッドボックスと一体成形し」と特定されていることから、吸気構造が有するヘッドボックスと一体である「中空柱状部」に関し、「一体成形し」という「製造方法」が記載されている。
ここで、「物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合において、当該特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号にいう『発明が明確であること』という要件に適合するといえるのは、出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情が存在するときに限られると解するのが相当である」(最高裁第二小法廷判決平成27年6月5日(平成24年(受)第1204号))と判示されている。
そこで、上記判示事項を踏まえて検討すると、本件訂正前の請求項1の「中空柱状部を前記ヘッドボックスと一体成形し」との「中空柱状部」の製造方法が記載されているから、「発明が明確であること」という要件を欠くおそれがあるものである。
そして、訂正事項2は、「発明が明確であること」という要件を欠くおそれがある本件訂正前の請求項1を、「車体前方を覆うカウリングの中央部に設けた外気導入口から導入した外気を前記エアクリーナへ導くようにした自動2輪車」として、「前記ヘッドボックスの前後方向へ貫通して設けられた通路内に前記ヘッドボックスと一体成形された中空柱状部を設け」たことを特定する本件訂正後の請求項1に訂正するものであって、「発明が明確であること」という要件を満たすものである。
したがって、当該訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。
すなわち、訂正事項2は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

(3)訂正事項3について
本件訂正前の図4は、本件明細書の段落【0012】に、「図4はヘッドボックス及びエアクリーナ部分の断面図である。」と記載されるように、ヘッドボックス及びエアクリーナ部分の断面を示すものである。

ア 符号17の引き出し線について
本件訂正前の図4に示される参照符号「17」の引き出し線の引き出し位置の部材に関し、本件明細書の段落【0018】には、「本体部12の左右方向略中央部上下には翼状断面をなす中空柱状部16が設けられ、その中央部には貫通穴17が上下に貫通して形成され」と記載されるように、参照符号「17」で示される部材は、「貫通穴17」であり、該「貫通穴17」は、中空柱状部16の中央部に上下に貫通して形成されることが示されている。
しかしながら、本件訂正前の図4に示される参照符号「17」の引き出し線の引き出し位置の部材は中空柱状部16を示すものであり、中空柱状部16の中央部に形成された部分ではないので、上記段落【0018】の「貫通穴17」に関する説明の内容とは整合しない。
そうすると、本件訂正前の図4は、参照符号「17」の引き出し線の引き出し位置を誤って記載したものであることは明らかであり、本件訂正前の図4に示される参照符号「17」の引き出し線の引き出し位置を、中空柱状部16の中央部に形成された部材の位置とする本件訂正後の図4は、本件訂正前の図4の誤記を訂正するものである。

イ 参照符号「12a」及び参照符号「12a」の引き出し線について
本件訂正前の図4に示される参照符号「12a」に関し、本件明細書の段落【0017】には、「本体部12の前端部12aは前方へ矢形をなす斜面状の開口部であり、この開口部内へ吸気ダクト3の後端部が差し込まれ、前端部12aの縁部左右に形成された取付部14において側方からボルト15により連結されている。」と記載されるように、参照符号「12a」で示される部材は、「前端部12a」であり、該「前端部12a」は、本体部12の前方へ矢形をなす斜面状の開口部であり、縁部左右に形成された取付部14において側方からボルト15により連結されていることが示されている。
そして、本件訂正前の図4に示される2つの参照符号「12a」のうち左側の参照符号「12a」の引き出し線の引き出し位置の部材は前端部を示すものであるから、参照符号「12a」の表記及びその引き出し線の引き出し位置は誤りとはいえない。
しかしながら、本件訂正前の図4に示される2つの参照符号「12a」のうち右側の参照符号「12a」の引き出し線の引き出し位置の部材は取付部14を示すものであり、前端部に形成された部材ではないので、上記段落【0017】の「前端部12a」に関する説明の内容とは整合しない。
さらに、本件明細書の段落【0019】には、「本体部12内における中空柱状部16近傍の空間12b、13a(図4)を左右2分している」との記載があるところ、本件訂正前の図4には参照符号「12b」が記載されていない。
そうすると、本件訂正前の図4は、参照符号「12b」を参照符号「12a」と誤って記載するとともに、その引き出し線の引き出し位置も誤って記載したものであることは明らかであり、本件訂正前の図4に示される右側の参照符号「12a」を参照符号「12b」に訂正するとともに、その引き出し線の引き出し位置を、本体部12内における中空柱状部16近傍の空間の位置とする本件訂正後の図4は、本件訂正前の図4の誤記を訂正するものである。

したがって、訂正事項3は、誤記の訂正を目的とするものである。

(4)訂正の目的のまとめ
以上のとおり、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮及び特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正のうち、誤記の訂正を目的とするものである。

2 新規事項の追加について
(1)訂正事項1について
本件明細書の段落【0017】には、「ヘッドボックス1は車体中央に沿って前後方向へ直線状に長く配設される本体部12と、その後端で左右へ分かれる腕部13とを一体化した平面視略Y字状をなし」と記載されているから、ヘッドボックス1は、車体中央に沿って前後方向へ直線状に長く配設され、後端で左右に分かれる腕部13を有する本体部12を有することが分かる。
また、本件訂正前の図2の記載から、本体部12の後端はエアクリーナ21まで到達していることが、本件訂正前の図2及び4の記載から、本体部12の後端で左右へ分かれる腕部13が、メインフレーム2につながることが分かる。
そして、本件明細書の段落【0017】には、「本体部12の前端部12aは前方へ矢形をなす斜面状の開口部であり」と記載されているから、本体部12の前端には開口部である前端部12aがあることが分かる。
さらに、本件明細書の段落【0019】には、「背面壁19の左右に形成された開口19aを通してエアクリーナ21へ連通している」と記載されており、前述のように本体部12の後端はエアクリーナ21まで到達していることから、背面壁19の左右に形成された開口19aは、本体部12の後端に設けられていることが分かる。
加えて、本件訂正前の図2、4及び6の記載から、ヘッドボックス1は開口19aのみしか、エアクリーナ21へ連通していないから、開口19aのみからエアクリーナ21へ外気を導くことが分かる。
つまり、本件明細書の段落【0017】、【0019】並びに本件訂正前の図2、4及び6の記載から、ヘッドボックス1は、車体中央に沿って前後方向に直線状に長く配設される本体部12とその後端で左右に分かれて左右のメインフレームにつながる腕部13を有し、本体部12の前端部に開口部である前端部12aを有し、本体部12の後端に設けられた開口19aのみからエアクリーナ21へ外気を導く構成が記載されているといえる。
よって、訂正事項1は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。

したがって、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。

(2)訂正事項2について
本件明細書の段落【0004】には、「前記前後方向へ貫通して設けられた通路内に中空柱状部をヘッドボックスと一体成形し」と記載されているから、訂正事項2は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第5項の規定に適合する。

したがって、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は、本件訂正前の図4の符号17の引き出し線の引き出し位置並びに符号12aの表記及び引き出し線の引き出し位置を、本件明細書の段落【0012】及び【0017】ないし【0019】の記載に整合させるものであって、新たな事項を追加するものではない。
また、本件訂正前の図4は願書に最初に添付した図面の図4であり、本件明細書の段落【0012】及び【0017】ないし【0019】も、願書に最初に添付した明細書の段落【0012】及び【0017】ないし【0019】である。

したがって、誤記の訂正を目的とする訂正事項3は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。

以上のとおり、訂正事項1ないし3は、特許法第126条第5項に規定する要件に適合するものである。

3 特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更について
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、上記1(1)のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とし、本件請求項1ないし5に係る発明を実質上拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項2について
本件訂正前の請求項1の「前記ヘッドボックスの前後方向へ貫通して設けられた通路内に中空柱状部を前記ヘッドボックスと一体成形し」たという構成と、本件訂正後の請求項1の「前記ヘッドボックスの前後方向へ貫通して設けられた通路内に前記ヘッドボックスと一体成形された中空柱状部を設け」という構成との差異は、「方法」の構成であるか「物」の構成であるかの、単なる表現形式上の差異にしかすぎない。
したがって、訂正事項2は、本件請求項1ないし5に係る発明を実質上拡張し、又は変更するものではない。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は、本件訂正前の図4の符号17の引き出し線の引き出し位置並びに符号12aの表記及び引き出し線の引き出し位置を、本件明細書の記載に適合させるものであるから、本件請求項1ないし5に係る発明を実質上拡張し、又は変更するものではない。

(4)小括
上記(1)ないし(3)で検討したように、訂正事項1ないし3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に規定する要件に適合するものである。

4 独立特許要件について
(1)訂正発明
本件訂正後の請求項1ないし5に係る発明(以下、それぞれ「訂正発明1」ないし「訂正発明5」という。)は、それぞれ、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1ないし5により特定される次のとおりのものである。

「 【請求項1】
左右に分かれて前後方向へ延びる一対のメインフレームを有する車体フレームと、前記左右のメインフレーム間に配置されたエアクリーナと、前記車体フレームの前端部に設けられてハンドル操向軸を回動自在に支持するヘッドボックスとを備え、このヘッドボックス中央部に前後方向へ貫通して設けられた通路を介して、車体前方を覆うカウリングの中央部に設けた外気導入口から導入した外気を前記エアクリーナへ導くようにした自動2輪車において、
前記ヘッドボックスは、車体中央に沿って前後方向に直線状に長く配設される本体部とその後端で左右に分かれて左右のメインフレームにつながる部分を有し、前記本体部の前端部に開口部を有し、前記本体部の後端に設けられた開口のみから前記エアクリーナへ外気を導くとともに、前記ヘッドボックスの前後方向へ貫通して設けられた通路内に前記ヘッドボックスと一体成形された中空柱状部を設け、かつ、この中空柱状部には上下へ貫通した貫通穴を設けたことを特徴とする自動2輪車の吸気構造。
【請求項2】
前記中空柱状部は、前記貫通穴を横切る方向の断面において前部が曲面をなす前後方向に長い形状をなし、その長手方向を車体の前後方向へ向けて配置され、かつこの長手方向の側面を前記走行風が流れることを特徴とする請求項1に記載した自動2輪車の吸気構造。
【請求項3】
前記エアクリーナは、内部のエアクリーナエレメントへ至る空間を区画する部材を備えたことを特徴とする請求項1に記載した自動2輪車の吸気構造。
【請求項4】
前記外気導入口は、前記カウリングの前面中央に設けられ、このカウリングの最も前方へ張り出すノーズ部に向かって次第に幅狭になることを特徴とする請求項1に記載した自動2輪車の吸気構造。
【請求項5】
前記ヘッドボックス背面の左右方向中央に前記前後方向の通路の後端に開口を設け、この後端開口に、左右のメインフレーム間に挟まれて配置された前記エアクリーナの前部に設けられている連通口を連通接続したことを特徴とする請求項1に記載した自動2輪車の吸気構造。」

(2) 刊行物1に記載された発明

ア 刊行物1
(ア)刊行物1の記載事項
本件原出願の国内優先権主張日前に頒布された刊行物である特開平10-35559号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の記載がある。

1a 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数のヘッドライトを備える自動二輪車に関する。」(段落【0001】)

1b 「【0011】請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記走行風導入口を車幅方向中央に開口せしめ、該走行風導入口から取り入れられた走行風を走行風導入通路を経てエアクリーナ、ラジエータ又はオイルクーラに導くよう構成したことを特徴とする。」(段落【0011】)

1c 「【0019】先ず、図1及び図2に示す自動二輪車1の概略構成を説明すると、図中、2は矩形断面を有する中空状の車体フレームであって、該車体フレーム2の前方の部位にはヘッドパイプ3が一体に形成されている。そして、図3に示すように、ヘッドパイプ3にはパイプ状のステアリングシャフト4が挿通しており、該ステアリングシャフト4の上下はベアリング5,6によってヘッドパイプ3に回動自在に支持されている。
【0020】而して、上記ステアリングシャフト4のヘッドパイプ3から突出する上下端部にはトップブリッジ7及びボトムブリッジ8を介してフロントフォーク9の上部が支持されており、図1に示すように、該フロントフォーク9の下端部には前輪10が回転自在に軸支されている。尚、フロントフォーク9の上端部には、図1に示すハンドル11が結着されている。
【0021】ところで、前記メインフレーム2は、図4に示すように、ヘッドパイプ3から左右に分岐して車体後方に向かって斜め下方に延出する左右一対のメインフレーム部2aと、ヘッドパイプ5から車幅方向中央を車体前方に向かって延出する単一のエアダクト部2bを一体に有しており、エアダクト部2bはカウリング12の前面中央に開口している。尚、車体フレーム2のメインフレーム部2a内のヘッドパイプ3の後方には縦リブ2cが設けられており、この縦リブ2cによって車体フレーム2のヘッドパイプ3周りの剛性が高められる。
【0022】而して、本実施の形態に係る自動二輪車1においては、図2に示すように、車体前面の前記カウリング12の左右には2つのヘッドライト13が該ヘッドライト13の縦寸法H以上の所定の間隔Bを隔てて並設され、各ヘッドライト13のボディ13aは各々別体に構成されており、これらのボディ13aも所定の間隔を設けて配置されている。そして、カウリング12の左右のヘッドライト13で挟まれる空間に前記メインフレーム2のエアダクト部2bの前端が開口している。尚、図1において、40はメータである。」(段落【0019】ないし【0022】)

1d 「【0026】而して、本実施の形態に係る自動二輪車1は走行風過給システムを備えるものであって、該走行風過給システムの一部は車体フレーム2によって構成されている。即ち、本実施の形態においては、車体フレーム2の内部が走行風導入通路を構成しており、図4及び図5に示すように、車体フレーム2の左右一対のメインフレーム部2aの内側壁の相対向する部位には円形の走行風排出口29が形成されている。
【0027】他方、前記エンジン16には、図4に示すように、4つの気筒16aが横方向(車幅方向)に並設されており、各気筒16aにはキャブレタ30がそれぞれ接続されている。そして、エンジン16の上方にはエアクリーナ31が配設されており、このエアクリーナ31には前記キャブレタ30がそれぞれ接続されている。又、このエアクリーナ31の前部左右にはファンネル31aが突設されており、各ファンネル31aは車体フレーム2のメインフレーム部2aに形成された前記走行風排出口29を貫通して車体フレーム2内の走行風導入通路に開口している。尚、図1に示すように、エンジン16の各気筒16aからは排気管32が導出しており、その端部にはマフラー33が接続されている。
【0028】ここで、エアクリーナ31の車体フレーム2への組付構造の詳細を図6に示すが、本実施の形態においては、前記ファンネル31aはエアクリーナ31とは別体に構成され、これは車体フレーム2に予め組み込まれている。そして、上下に2分割されたエアクリーナ31に形成されたフランジ部31bでファンネル31aを挟み込むようにしてフランジ部31bを締着することによって、エアクリーナ31がファンネル31aを介して車体フレーム2に組み付けられる。
【0029】ところで、本実施の形態に係る走行風過給システムにおいては、車体フレーム2内に形成される走行風導入通路の途中に水切り手段が設けられている。即ち、図4及び図5に示すように、車体フレーム2のエアダクト部2b内底部のヘッドパイプ3よりも上流側位置には高さの低い衝立リブ34が全幅に亘って突設されるとともに、メインフレーム部2a内の壁面であって、且つ、前記走行風排出口29が開口する部位近傍の上流側には邪魔板状の衝立リブ35がファンネル31aの開口部を覆い隠すように斜めに突設されており、これらの衝立リブ34,35によって水切り手段が構成されている。
【0030】又、図5に示すように、車体フレーム2のメインフレーム部2a内のファンネル31aが開口する部位よりも下流側には、金網又は樹脂ネットで構成されるメッシュ部材36が設けられている。
【0031】而して、自動二輪車1の走行時においては、車体前面に開口する車体フレーム2のエアダクト部2bから走行風が流入し、この走行風は図4及び図5に矢印にて示すように車体フレーム2内の走行風導入通路を車体後方に向かって流れ、ヘッドパイプ3の周囲を通って左右に分岐した後、各ファンネル31aからエアクリーナ31内に導入される。そして、エアクリーナ31内においては、走行風の動圧分が静圧に変換されるためにエアクリーナ31の内圧(静圧)が高められ、圧力の高い新気が各キャブレタ30に供給されて各キャブレタ30において圧力の高い混合気が形成されるため、エンジン16の各気筒16aには多量の混合気が供給(過給)されて各気筒16aにおける混合気の充填効率が高められ、この結果、エンジン16の出力向上が図られる。尚、本実施の形態では、温度の低い走行風を混合気の過給に利用したが、温度の低い走行風をラジエータ17或は不図示のオイルクーラー等に導いて冷却水やオイルの冷却に供するようにしても良い。
【0032】ところで、雨天等において雨水等の水滴が走行風と共に走行風導入通路に侵入しても、水滴は先ず衝立リブ34によって分離されて除去され、衝立リブ34を通過した水滴は更に衝立リブ35によって分離されて除去されるため、水滴がファンネル31aを通ってエアクリーナ31内に侵入することがなく、エアクリーナ31内には走行風(新気)のみが導入される。尚、衝立リブ34によって分離された水滴は車体フレーム12の前端開口部から排出され、衝立リブ35によって分離された水滴はリヤアームブラケット14の底部に開口する水抜き孔15から外部に排出される。
【0033】以上のように、本実施の形態においては、自動二輪車1に左右一対のヘッドライト13を設け、各ヘッドライト13のボディ13aを各々別体としてこれらの間に所定の間隔Bを設けたため、発熱源である各ヘッドライト13の放熱性が高められる。
【0034】又、本実施の形態においては、走行風圧の最も高い車体前面の隣接する2つのヘッドライト13の間に走行風導入口を構成するメインフレーム2のエアダクト部2bを開口せしめたため、最大風圧が有効に利用されて高い過給圧が確保され、エンジン16の充填効率が高められて該エンジン16の出力向上が図られる。尚、走行風過給システムを備えていない自動二輪車であっても、走行風導入口を本実施の形態のように走行風圧が最大となる位置に開口せしめれば、温度の低い(密度の高い)走行風が走行風導入口から効率良く取り入れられてキャブレタでの混合気形成に供されるため、エンジンの充填効率が高められてエンジン出力の向上が図られる。」(段落【0026】ないし【0034】)

(イ) 上記(ア)及び図面の記載から分かること

1f 上記(ア)1aの記載から、刊行物1には自動二輪車が記載されていることが分かる。

1g 上記(ア)1c及び図4の記載から、自動二輪車は、左右に分岐して車体後方に向かって延出する左右一対のメインフレーム部2aを有する車体フレーム2を有していることが分かる。

1h 上記(ア)1c並びに図1及び4の記載から、自動二輪車は、左右一対のメインフレーム部2a間に配置されたエアクリーナ31を有していることが分かる。

1i 上記(ア)1c並びに図4及び5の記載から、自動二輪車は、車体フレーム2の前方に設けられてステアリングシャフト4を回動自在に支持する車体フレーム2の前方の部分を有していることが分かる。

1j 上記(ア)1c及び1d並びに図4及び5の記載を上記1iとあわせてみると、自動二輪車は、車体フレーム2の前方の部分に前後方向へ貫通して設けられた走行風導入通路を有していることが分かる。

1k 上記(ア)1bないし1d並びに図4及び5の記載から、自動二輪車は、車体前面のカウリング12の車幅方向中央に設けた走行風導入口から導入した走行風をエアクリーナ31へ導くことが分かる。

1l 上記(ア)1c及び1d並びに図4及び5の記載を上記1iとあわせてみると、自動二輪車における、車体フレーム2の前方の部分は、車幅方向中央に沿って前後方向に直線状に長く配設される部分と、車体フレーム2の前方の部分の後端で左右に分かれて左右一対のメインフレーム部2aにつながる部分とを有していることが看取できる。

1m 上記(ア)1c及び1d並びに図4及び5の記載を上記1iとあわせてみると、自動二輪車における、車体フレーム2の前方の部分の前端部に開口部があることが看取できる。

1n 上記(ア)1b及び1c並びに図4及び5の記載から、自動二輪車は、メインフレーム部2aに形成された走行風排出口29のみからエアクリーナ31へ走行風を導くことが分かる。

1o 上記(ア)1c並びに図3ないし5の記載から、自動二輪車における、ヘッドパイプ3には上下にステアリングシャフト4が挿通していることから、ヘッドパイプ3には上下へ貫通した貫通穴が設けられていることが看取できる。
したがって、上記(ア)1c並びに図3ないし5の記載を上記1jとあわせてみると、自動二輪車は、車体フレーム2の前方の部分に前後方向へ貫通して設けられた走行風導入通路内に、車体フレーム2の前方の部分と一体に形成されているヘッドパイプ3を設け、かつ、ヘッドパイプ3には上下へ貫通した貫通穴を設けたことが分かる。

1p 上記(ア)1c並びに図4及び5の記載から、自動二輪車は、走行風を混合気の供給に利用する構造を備えていることが分かる。

(ウ) 刊行物1発明
上記(ア)及び(イ)並びに図1ないし図9の記載から、刊行物1には次の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていると認める。
「左右に分岐して車体後方に向かって延出する左右一対のメインフレーム部2aを有する車体フレーム2と、左右一対のメインフレーム部2a間に配置されたエアクリーナ31と、車体フレーム2の前方に設けられてステアリングシャフト4を回動自在に支持する車体フレーム2の前方の部分とを備え、この車体フレーム2の前方の部分に前後方向へ貫通して設けられた走行風導入通路を介して、車体前面のカウリング12の車幅方向中央に設けた走行風導入口から導入した走行風をエアクリーナ31へ導くようにした自動二輪車において、
車体フレーム2の前方の部分は、車幅方向中央に沿って前後方向に直線状に長く配設される部分とその後端で左右に分かれて左右一対のメインフレーム部2aにつながる部分を有し、車体フレーム2の前方の部分の前端部に開口部を有し、メインフレーム部2aに形成された走行風排出口29のみからエアクリーナ31へ走行風を導くとともに、車体フレーム2の前方の部分に前後方向へ貫通して設けられた走行風導入通路内に、車体フレーム2の前方の部分と一体に形成されているヘッドパイプ3を設け、かつ、ヘッドパイプ3には上下へ貫通した貫通穴を設けた自動二輪車の走行風を混合気の供給に利用する構造。」

イ 刊行物2
(ア)刊行物2の記載事項
本件原出願の国内優先権主張日前に頒布された刊行物である、特開平5-286472号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

2a 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車体前部をカウリングで囲んだ場合にエンジン付近に走行風を導入する自動二輪車の導風装置に関し、詳細には導風通路面積を拡大できるようにした通路構造の改善に関する。」(段落【0001】)

2b 「【0013】図において、1は本実施例装置を備えた自動二輪車、2は該自動二輪車1の車体フレームであり、これはヘッドパイプ3と、該ヘッドパイプ3から後方斜め下方に延びる左,右一対のメインフレーム4,4と、該両メインフレーム4,4の後端部に接続されたリヤアームブラケット5,5とを備え、該両リヤアームブラケット5,5同士はクロスメンバで一体的に接続されている。
【0014】上記ヘッドパイプ3により、下端で前輪6を軸支する前フォーク7の操向軸7aが左右に操向自在に軸支されており、上記リヤアームブラケット5により、後端で後輪8を軸支するリヤアーム9が上下に揺動自在に枢支されている。」(段落【0013】及び【0014】)

2c 「【0019】上記メインフレーム4,4の前部4a,4aと上記ヘッドパイプ3とは鋳造によって一体的に形成されている。また上記前部4a,4aの後縁は平面視で円弧状をなしており、該円弧状部分には底壁4b,天壁4cが固着されている。これによりメインフレーム4のヘッドパイプ3接合部は箱状になっている。また上記底壁4bには上記ラジエータ23,23との干渉を回避する逃げ凹部4eが形成されており、さらに底壁4bの逃げ凹部4e,4e間部分には送風口4dが形成されている。そしてこの送風口4dは導風ダクト24によって上記スロットルボディ21,22に接続されている。なお、前部4a,4aの鋳造範囲については図1に二点鎮線で示す部分より前側のみとしても良い。このようにすればそれだけ鋳型が小さくて済む。
【0020】ここで上記ヘッドパイプ3は、上述のように前フォーク7の操向軸7aを上,下一対の軸受25,25で軸支している。そしてこのヘッドパイプ3の上記両軸受25,25間部分には導風凹部3aが凹設されており、該導風穴3aと上記メインフレーム4の前部4aの側壁4fとの間の空間,上記ヘッドパイプ接合部の箱状部分,及び上記送風口4dに至る経路がエンジン近傍に走行風を供給する導風通路2aとなっている。
【0021】そして上記車体フレーム2の前部には、走行風を上記導風通路2aに導入する導風アタッチメント26が着脱可能に装着されている。この導風アタッチメント26はダクト状のもので、上記左,右のメインフレーム4,4の前部4a,4a,ヘッドパイプ3及び上記前フォーク7の左,右のフォーク本体7b,7bの側方を囲み、さらに前方に延びる形状を有している。またこの導風アタッチメント26は上記フォーク本体等を囲む左,右ダクト部27,27と、これからさらに前方に延びる導入ダクト部28との3部品で構成されている。なお、これらの3部品を一体的に形成しても構わない。
【0022】上記左,右ダクト部27,27は、結合ボルト29aによって互いに締結されて一体化されており、かつ上記前部4aの側壁4fに取り付けボルト29bで締付け固定されている。この左,右ダクト部27,27は上記メインフレーム4の前部4aの1/2程度の高さを有するダクト状のものであり、上記フォーク本体7bを操向動作に支障を来すことなく挿通する繭状の挿通穴27aが貫通形成されている。」(段落【0019】ないし【0022】)

2d 「【0025】そして本実施例装置では、走行風が導入ダクト部28から左,右ダクト部27,27に導入され、その一部は該左,右ダクト部27,27の中央部分からヘッドパイプ3の導風凹部3a部分を通ってメインフレーム4の箱状部分に流入し、これの送風口4dから導風ダクト24を介してエンジン10に供給される。従って、低温の走行風をラジエータ24を通過した温風が混入することなくエンジンに供給でき、エンジンの充填効率を向上できる。」 (段落【0025】)

(イ) 刊行物2技術
したがって、上記(ア)並びに図1ないし図6の記載から、刊行物2には次の技術(以下、「刊行物2技術」という。)が記載されていると認める。
「メインフレーム4の箱状部分の送風口4dから導風ダクト24を介してエンジン10に走行風を導入する自動二輪車の導風装置。」

ウ 刊行物3
(ア)刊行物3の記載事項
本件原出願の国内優先権主張日前に頒布された刊行物である、実願平3-97804号(実開平5-40092号)のCD-ROM(以下、「刊行物3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

3a 「【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は、フェアリングを備えた自動二輪車において、エンジンのエアクリーナに空気を有効に導くための吸気通路に関するものである。」 (段落【0001】)

3b 「【0005】
この考案は上述の点に鑑みなされたもので、空気取り入れ口からエアクリーナに至る吸気ダクトの長さを短縮でき、屈曲部分をほとんどなくし、走行時の動圧をエアクリーナへの空気の導入に有効に利用できる、自動二輪車の吸気通路を提供することを目的としている。」 (段落【0005】)

3c 「【0010】
【実施例】
以下、この考案の自動二輪車の吸気通路の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本実施例にかかる吸気通路を備えた自動二輪車の概要を示す側面図である。同図に示すように、自動二輪車Aにおいて、ステアリングヘッドパイプ1の両側にメインフレーム2の一端が結合され、メインフレーム2にアンダーフレーム3の一端が結合されている。またヘッドパイプ1には、前輪5を懸架した一対のフロントフォーク4が回動自在に軸支されている。
【0011】
前記メインフレーム2とアンダーフレーム3で囲まれた空間に、エンジン6がシリンダ6a側を前傾させて搭載されている。ヘッドパイプ1の後方に配備された燃料タンク8の下方で前記エンジン6の上方に、エアクリーナボックス9が配設されている。ヘッドパイプ1の前面からエンジン6の両側後方にかけて、フェアリング10が装着されている。なお、図1中の符号7は、ラジエータである。 図2?図5は本考案の吸気通路の実施例を示すものである。図2および図3に示すようにフェアリング10の前面に、図4のように一対の横長の空気取り入れ口11・11が開設されている。そして、この2つの空気取り入れ口11から前記エアクリーナボックス9の前面の開口9aにかけて、吸気ダクト12が設けられている。この吸気ダクト12は、前部13・一対の分岐部14・後部15から構成されている。
【0012】
前部13は、図3のように上方より見て2つの空気取り入れ口11をもつ略扇形であり、また図2のように側方より見て像の鼻のような形状の筒体からなり、前部13の後端は一対の分岐部14に接続されている。また前部13の後端部13aの付近では、図3のようにその両側を内方にやや絞って凹状に形成し、ステアリング操作時にフロントフォーク4と干渉しないようにしている。前部13はフェアリング10と同じ材質の合成樹脂や、硬質ゴムなどで形成されている。
【0013】
一対の分岐部14は、図2および図5のように、それぞれ中央に仕切り部材14aを備えた断面が繭形の金属製パイプからなり、ヘッドパイプ1およびメインフレーム2(図3)と同一材料の、たとえばアルミニュム合金などから形成されている。これらの分岐部(パイプ)14は、図3および図5のようにヘッドパイプ1の両側部分を分岐部14の片面形状に添うように切り欠き、その切り欠き箇所1aを通り且つ図3のようにメインフレーム2を貫通させて、ヘッドパイプ1およびメインフレーム2に溶接により一体に固着されている。この構成により、各分岐部14は補強部材としても機能する。
【0014】
後部15は、図3のように上方より見て二股状の筒体からなり、後部15の前端部が一対の分岐部14に接続され、後端部がエアクリーナボックス9の開口9aに接続されている。後部15も、前部13と同じ材質の合成樹脂や硬質ゴムから形成されている。
【0015】
上記の構成からなる吸気ダクト12は、空気取り入れ口11からエアクリーナボックス9の開口9aに至るまで、その長さ方向にわたり開口断面積がほぼ一定になるように、前部13・一対の分岐部14・後部15の内部空間の開口断面がそれぞれ設定されている。また吸気ダクト12は、図2のようにその長手方向にわたりほぼ水平に配置するのが望ましく、自動二輪車Aの走行時に生じる動圧(ラム圧)が、空気取り入れ口11からエアクリーナボックス9に導入される空気の増量化に有効に作用するようにしている。」(段落【0010】ないし【0015】)

(イ) 刊行物3技術
上記(ア)並びに図1ないし図7の記載から、刊行物3には次の技術(以下、「刊行物3技術」という。)が記載されていると認める。
「吸気ダクト12の後部15のみがエアクリーナボックス9の開口9aに接続されている自動二輪車の吸気通路。」

(3)対比・判断

訂正発明1と刊行物1発明とを対比すると、
刊行物1発明における「左右に分岐して車体後方に向かって延出する」は、その機能、構成及び技術的意義から、訂正発明1における「左右に分かれて前後方向へ延びる」に相当し、以下同様に、「左右一対の」は「一対の」に、「メインフレーム部2a」は「メインフレーム」に、「車体フレーム2」は「車体フレーム」に、「エアクリーナ31」は「エアクリーナ」に、「車体フレーム2の前方に設けられて」は「車体フレームの前端部に設けられて」に、「ステアリングシャフト4」は「ハンドル操向軸」に、「回動自在に支持する」は「回動自在に支持する」に、「車体フレーム2の前方の部分」は「ヘッドボックス」に、「前後方向へ貫通して設けられた走行風導入通路」は「前後方向へ貫通して設けられた通路」に、「車体前面のカウリング12」は「車体前方を覆うカウリング」に、「車幅方向中央」は「中央部」に、「走行風導入口」は「外気導入口」に、「走行風」は「外気」に、「自動二輪車」は「自動2輪車」にそれぞれ相当する。
また、刊行物1発明における「車幅方向中央」は、その機能、構成及び技術的意義から、訂正発明1における「車体中央」に相当し、以下同様に、「車幅方向中央に沿って前後方向に直線状に長く配設される部分」は「車体中央に沿って前後方向に直線状に長く配設される本体部」に、「車体フレーム2の前方の部分の前端部」は「本体部の前端部に」に、「開口部」は「開口部」に、「走行風」は「外気」にそれぞれ相当する。
さらに、刊行物1発明における「メインフレーム部2aに形成された走行風排出口29のみからエアクリーナ31へ走行風を導く」は、訂正発明1における「本体部の後端に設けられた開口のみから前記エアクリーナへ外気を導く」と、「外気を導く車体フレームに設けられた開口のみからエアクリーナへ外気を導く」という限りにおいて一致する。
そして、刊行物1発明における「ヘッドパイプ3」は、その機能、構成及び技術的意義から、訂正発明1における「中空柱状部」に相当し、以下同様に、「車体フレーム2の前方の部分と一体に形成されているヘッドパイプ3」は「ヘッドボックスと一体成形された中空柱状部」に、「上下へ貫通した貫通穴」は「上下へ貫通した貫通穴」に、「走行風を混合気の供給に利用する構造」は「吸気構造」にそれぞれ相当する。

よって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。

<一致点>
「左右に分かれて前後方向へ延びる一対のメインフレームを有する車体フレームと、左右のメインフレーム間に配置されたエアクリーナと、車体フレームの前端部に設けられてハンドル操向軸を回動自在に支持するヘッドボックスとを備え、このヘッドボックス中央部に前後方向へ貫通して設けられた通路を介して、車体前方を覆うカウリングの中央部に設けた外気導入口から導入した外気を前記エアクリーナへ導くようにした自動2輪車において、
ヘッドボックスは、車体中央に沿って前後方向に直線状に長く配設される本体部とその後端で左右に分かれて左右のメインフレームにつながる部分を有し、本体部の前端部に開口部を有し、外気を導く部材に設けられた開口のみからエアクリーナへ外気を導くとともに、ヘッドボックスの前後方向へ貫通して設けられた通路内にヘッドボックスと一体成形された中空柱状部を設け、かつ、この中空柱状部には上下へ貫通した貫通穴を設けた自動2輪車の吸気構造。」

<相違点>
「外気を導く車体フレームに設けられた開口のみからエアクリーナへ外気を導く」構成に関し、訂正発明1においては(車体フレームの前端部に設けられたヘッドボックスの)「本体部の後端に設けられた開口のみからエアクリーナへ外気を導く」構成であるのに対し、刊行物1発明においては(車体フレーム2の)「メインフレーム部2aに形成された走行風排出口29のみからエアクリーナ31へ走行風を導く」構成である点(以下、「相違点」という。)。

<相違点についての判断>
刊行物2技術における「メインフレーム4の箱状部分の送風口4dから導風ダクト24を介してエンジン10に走行風を導入する自動二輪車の導風装置」は、エアクリーナを有しているか否かが不明であるとともに、送風口4dのみからエアクリーナへ外気を導くというものではない。

刊行物3技術における「吸気ダクト12の後部15のみがエアクリーナボックス9の開口9aに接続されている自動二輪車の吸気通路」は、吸気ダクト12がメインフレーム2と異なる部材であるため、メインフレーム2の後端に設けられた開口のみからエアクリーナへ外気を導くというものではない。

すなわち、刊行物2技術及び刊行物3技術はともに、相違点に係る訂正発明1の発明特定事項のうちの、(車体フレームの前端部に設けられたヘッドボックスの)「本体部の後端に設けられた開口のみからエアクリーナへ外気を導く」という事項に対応する構成を備えていない。
したがって、刊行物1発明において、刊行物2技術または刊行物3技術を適用して、相違点に係る訂正発明1の発明特定事項とすることを、当業者が容易に想到することができたとはいえない。

よって、訂正発明1は、刊行物1発明及び刊行物2技術または刊行物3技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
そして、訂正発明2ないし5は、訂正発明1をさらに限定したものであるので、同様に、刊行物1発明及び刊行物2技術または刊行物3技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、他に本件訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないとすべき理由を発見しない。

したがって、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正事項1及び誤記の訂正を目的とする訂正事項3は、特許法第126条第7項に規定する要件に適合するものである。

第5.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号ないし第3号に掲げる事項を目的とし、また、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に分かれて前後方向へ延びる一対のメインフレームを有する車体フレームと、前記左右のメインフレーム間に配置されたエアクリーナと、前記車体フレームの前端部に設けられてハンドル操向軸を回動自在に支持するヘッドボックスとを備え、このヘッドボックス中央部に前後方向へ貫通して設けられた通路を介して、車体前方を覆うカウリングの中央部に設けた外気導入口から導入した外気を前記エアクリーナへ導くようにした自動2輪車において、
前記ヘッドボックスは、車体中央に沿って前後方向に直線状に長く配設される本体部とその後端で左右に分かれて左右のメインフレームにつながる部分を有し、前記本体部の前端部に開口部を有し、前記本体部の後端に設けられた開口のみから前記エアクリーナへ外気を導くとともに、前記ヘッドボックスの前後方向へ貫通して設けられた通路内に前記ヘッドボックスと一体成形された中空柱状部を設け、かつ、この中空柱状部には上下へ貫通した貫通穴を設けたことを特徴とする自動2輪車の吸気構造。
【請求項2】
前記中空柱状部は、前記貫通穴を横切る方向の断面において前部が曲面をなす前後方向に長い形状をなし、その長手方向を車体の前後方向へ向けて配置され、かつこの長手方向の側面を前記走行風が流れることを特徴とする請求項1に記載した自動2輪車の吸気構造。
【請求項3】
前記エアクリーナは、内部のエアクリーナエレメントへ至る空間を区画する部材を備えたことを特徴とする請求項1に記載した自動2輪車の吸気構造。
【請求項4】
前記外気導入口は、前記カウリングの前面中央に設けられ、このカウリングの最も前方へ張り出すノーズ部に向かって次第に幅狭になることを特徴とする請求項1に記載した自動2輪車の吸気構造。
【請求項5】
前記ヘッドボックス背面の左右方向中央に前記前後方向の通路の後端に開口を設け、この後端開口に、左右のメインフレーム間に挟まれて配置された前記エアクリーナの前部に設けられている連通口を連通接続したことを特徴とする請求項1に記載した自動2輪車の吸気構造。
【図面】



















 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2016-07-13 
結審通知日 2016-07-15 
審決日 2016-07-26 
出願番号 特願2003-435016(P2003-435016)
審決分類 P 1 41・ 856- Y (B62J)
P 1 41・ 852- Y (B62J)
P 1 41・ 832- Y (B62J)
P 1 41・ 841- Y (B62J)
P 1 41・ 121- Y (B62J)
P 1 41・ 851- Y (B62J)
P 1 41・ 853- Y (B62J)
P 1 41・ 854- Y (B62J)
最終処分 成立  
前審関与審査官 稲葉 大紀  
特許庁審判長 伊藤 元人
特許庁審判官 金澤 俊郎
梶本 直樹
登録日 2004-08-13 
登録番号 特許第3585486号(P3585486)
発明の名称 自動2輪車の吸気構造  
代理人 千葉 剛宏  
代理人 千馬 隆之  
代理人 千葉 剛宏  
代理人 千馬 隆之  
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