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審決分類 審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  F04C
審判 全部無効 1項3号刊行物記載  F04C
審判 全部無効 2項進歩性  F04C
審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  F04C
管理番号 1319418
審判番号 無効2015-800172  
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-11-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2015-09-03 
確定日 2016-07-25 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4250713号発明「一軸偏心ねじポンプ及びその取扱方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4250713号の特許請求の範囲を平成27年11月26日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第4250713号(請求項の数7、以下、「本件特許」という。)の発明についての出願は、平成15年5月30日に特許出願された特願2003-154384号に係るものであって、その請求項1?7に係る発明について、平成21年1月30日に特許権の設定登録がなされた。

これに対して、平成27年9月3日に、本件特許の請求項1?7に係る発明の特許に対して、日本ソセーエ業株式会社(以下、「請求人」という。)により本件無効審判〔無効2015-800172号〕が請求されたものであり、兵神装備株式会社(以下、「被請求人」という。)により指定期間内の平成27年11月26日付けで訂正請求書(以下、「本件訂正請求書」という)及び審判事件答弁書が提出され、請求人より平成28年1月12日付けで審判事件弁駁書が提出されたものである。

また、平成28年4月12日付けで被請求人より口頭審理陳述要領書、平成28年4月13日付けで請求人より口頭審理陳述要領書が提出され、平成28年5月11日に口頭審理が行われたものである。

第2 訂正について
1.訂正請求の内容
被請求人が請求する訂正の内容は、以下のとおりである(下線は訂正された箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「ステータ内でロータを偏心回転させるポンプユニットと、前記ロータを偏心回転させる駆動源を有する駆動ユニットとを備える一軸偏心ねじポンプにおいて、
前記駆動ユニットと前記ポンプユニットとは着脱可能に連結され、
前記ポンプユニット側に、前記ポンプユニット内のポンプ室からの液漏れを防止する回転シール手段が配置され、
前記回転シール手段は、回転部材であるドライブシャフトに対し設けられ、
前記ポンプユニットは、前記駆動ユニットから取り外された状態において、前記ドライブシャフトが軸方向に移動しないように構成する部材を備え、前記部材がドライブシャフトに設けられていることを特徴とする一軸偏心ねじポンプ。」とあるのを、
「ステータ内でロータを偏心回転させるポンプユニットと、前記ロータを偏心回転させる駆動源を有する駆動ユニットとを備える一軸偏心ねじポンプにおいて、
前記駆動ユニットが、前記駆動源にて回転駆動される出力軸を備え、前記出力軸に係合部が形成される一方、
前記ポンプユニットは、ロータに連結されたドライブシャフトを有し、前記ドライブシャフトに前記係合部が係脱可能に係合される被係合部が形成され、
前記駆動ユニットとポンプユニットとの間に、前記出力軸の係合部とドライブシャフトの被係合部とが係合した状態で、前記駆動ユニットとポンプユニットとの連結を行うコネクタが設けられ、
前記駆動ユニットと前記ポンプユニットとは着脱可能に連結され、
前記ポンプユニット側に、前記ポンプユニット内のポンプ室からの液漏れを防止する回転シール手段が配置され、
前記回転シール手段は、回転部材であるドライブシャフトに対し設けられ、
前記ポンプユニットは、前記駆動ユニットから取り外された状態において、前記ドライブシャフトが軸方向に移動しないように構成する部材を備え、前記部材がドライブシャフトに設けられていることを特徴とする一軸偏心ねじポンプ。」
と訂正する。

2.訂正の可否に対する判断
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された「着脱可能に連結され」について、どのような構成や態様により「着脱可能」とされているかについては特定する記載がなされていなかったものを限定したもので、構成要件の付加であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする。
また、本件特許の願書に添付した明細書又は図面(以下、「特許明細書等」という)には、「【請求項4】
前記駆動ユニットは、減速機付きモータにて回転駆動される出力軸を有し、この出力軸に係合部が形成される一方、
前記ポンプユニットは、ロータに連結されたドライブシャフトを有し、このドライブシャフトに前記係合部が係脱可能に係合される被係合部が形成され、
前記駆動ユニットとポンプユニットとの間に、前記出力軸の係合部とドライブシャフトの被係合部とが係合した状態で、前記駆動ユニットとポンプユニットとの連結を行うコネクタが設けられている請求項1?3のいずれかに記載の一軸偏心ねじポンプ。」との記載がある。
さらに、特許明細書等の段落0037には、「駆動部14(減速機付きモータ)」との記載があり、「減速機付きモータ」は「駆動部」である。
そうすると、特許明細書等には、「前記駆動ユニットが、前記駆動源にて回転駆動される出力軸を備え、前記出力軸に係合部が形成される一方、
前記ポンプユニットは、ロータに連結されたドライブシャフトを有し、前記ドライブシャフトに前記係合部が係脱可能に係合される被係合部が形成され、
前記駆動ユニットとポンプユニットとの間に、前記出力軸の係合部とドライブシャフトの被係合部とが係合した状態で、前記駆動ユニットとポンプユニットとの連結を行うコネクタが設けられ」る構成が記載されていると認められる。
そして、この訂正は一群の請求項ごとに請求されたものである。
よって、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とし、特許明細書等に記載した事項の範囲内のものであって、一群の請求項ごとに請求されたものであり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

3.小括
したがって、平成27年11月26日付けの訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第134条の2第3項の規定に適合し、特許法第134条の2第9項の規定によって準用する特許法第126条第4項から第6項の規定に適合するので、当該訂正を認める。


第3.本件特許発明
本件特許請求の範囲は上記訂正によって訂正されたので、その請求項1?7に係る発明は、平成27年11月26日付けで請求された訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認める。(A.?U.,H’.?J’.の文字は当審で付与。)
「【請求項1】
A.ステータ内でロータを偏心回転させるポンプユニットと、前記ロータを偏心回転させる駆動源を有する駆動ユニットとを備える一軸偏心ねじポンプにおいて、
H’.前記駆動ユニットが、前記駆動源にて回転駆動される出力軸を備え、前記出力軸に係合部が形成される一方、
I’.前記ポンプユニットは、ロータに連結されたドライブシャフトを有し、前記ドライブシャフトに前記係合部が係脱可能に係合される被係合部が形成され、
J’.前記駆動ユニットとポンプユニットとの間に、前記出力軸の係合部とドライブシャフトの被係合部とが係合した状態で、前記駆動ユニットとポンプユニットとの連結を行うコネクタが設けられ、
B.前記駆動ユニットと前記ポンプユニットとは着脱可能に連結され、
C.前記ポンプユニット側に、前記ポンプユニット内のポンプ室からの液漏れを防止する回転シール手段が配置され、
D.前記回転シール手段は、回転部材であるドライブシャフトに対し設けられ、
E.前記ポンプユニットは、前記駆動ユニットから取り外された状態において、前記ドライブシャフトが軸方向に移動しないように構成する部材を備え、前記部材がドライブシャフトに設けられている
ことを特徴とする一軸偏心ねじポンプ。」(以下、訂正後の特許発明を「訂正発明1」という。)
「【請求項2】
F.1台の駆動ユニットに対し着脱可能に取り付けられるポンプユニットを複数台有する
請求項1記載の一軸偏心ねじポンプ。」(以下、訂正後の特許発明を「訂正発明2」という。)
「【請求項3】
G.前記複数台のポンプユニットは、ポンプユニットごとにポンプ移送される対象液が異なるものである
請求項2記載の一軸偏心ねじポンプ。」(以下、訂正後の特許発明を「訂正発明3」という。)
「【請求項4】
H.前記駆動ユニットは、減速機付きモータにて回転駆動される出力軸を有し、この出力軸に係合部が形成される一方、
I.前記ポンプユニットは、ロータに連結されたドライブシャフトを有し、このドライブシャフトに前記係合部が係脱可能に係合される被係合部が形成され、
J.前記駆動ユニットとポンプユニットとの間に、前記出力軸の係合部とドライブシャフトの被係合部とが係合した状態で、前記駆動ユニットとポンプユニットとの連結を行うコネクタが設けられている
請求項1?3のいずれかに記載の一軸偏心ねじポンプ。」(以下、訂正後の特許発明を「訂正発明4」という。)
「【請求項5】
K.前記ポンプユニットは、
L.ロータ及びステータを有するポンプ本体と、
M.このポンプ本体の一端部に設けられるエンドスタッドと、
N.前記ポンプ本体の他端部に一端部が接続されるポンプケーシングと、
O.このポンプケーシングの他端部側に設けられ前記ポンプ室を形成するサポートハウジングと、
P.前記ポンプケーシングをポンプ本体に中間アダプタを介してクランプするクランプ装置と
を備えるものである請求項4記載の一軸偏心ねじポンプ。」(以下、訂正後の特許発明を「訂正発明5」という。)
「【請求項6】
Q.前記ドライブシャフトに着脱可能な位置決めリングが取り付けられ、
R.前記サポートハウジングと中間アダプタとによって前記位置決めリングが、回転可能でかつポンプ長手方向の移動が規制されるように挟まれ、
S.かつサポートハウジングに取り付けられた軸受により前記ドライブシャフトの回転を支持するようにした
請求項5記載の一軸偏心ねじポンプ。」(以下、訂正後の特許発明を「訂正発明6」という。)
「【請求項7】
T.前記駆動ユニットの出力軸に、一端部に前記ドライブシャフトが挿入されるカップリングスリーブの他端部が一体的に取付けられ、このカップリングスリーブ内にドライブピンがスリーブ直径方向に設けられる一方、
U.前記ドライブシャフトに駆動ユニット側端部をU字形に切り欠いて切り欠き部が形成されると共に、前記コネクタで連結される際に、前記切り欠き部とドライブピンとが係合することで、前記出力軸とドライブシャフトとが動力伝達可能に連結される
請求項4?6のいずれかに記載の一軸偏心ねじポンプ。」(以下、訂正後の特許発明を「訂正発明7」という。)

第4 当事者の主張
1.請求人の主張、及び提出した証拠の概要
(1)請求人は、特許第4250713号の特許請求の範囲における請求項1?7についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書、平成28年1月12日付け審判事件弁駁書、平成28年4月13日付け口頭審理陳述要領書、平成28年5月11日の口頭審理において、甲第1?12号証を提示し、以下の無効理由1?4,1’?4’を主張した。

・無効理由1:
本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であって、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるため、本件特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。(審判請求書第6頁「(3)無効審判請求の根拠」「○1(原文は○の中に1。以下、同様に記載する。)」)
具体的には、甲第1号証には構成要件A?Dに相当する事項が記載されており、甲第1号証に記載の「ラジアル軸受79」は、駆動軸80が軸方向に移動しないように構成する部材であり構成要件Eに相当し、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明である。(審判請求書第19?20頁)

・無効理由2:
本件特許の請求項1?7に係る発明は、甲第1?12号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるため、本件特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。(審判請求書第6頁「(3)無効審判請求の根拠」「○2」)
すなわち、
-1-1:本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項から、当業者が容易に想到し得たものである。(審判請求書第20?21頁)
-1-2:本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第3?5号証に記載された事項から、当業者が容易に想到し得たものである。(審判請求書第20?21頁)
-1-3:本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第6?8号証に記載された事項から、当業者が容易に想到し得たものである。(審判請求書第21?22頁)
-2:本件特許の請求項2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2?10号証に記載された事項から、当業者が容易に想到し得たものである。(審判請求書第22?23頁)
-3:本件特許の請求項3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2?10号証に記載された事項から、当業者が容易に想到し得たものである。(審判請求書第23頁)
-4:本件特許の請求項4に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び本件特許公報に記載された従来例、甲第2?10号証に記載された事項から、当業者が容易に想到し得たものである。(審判請求書第23?24頁)
-5:本件特許の請求項5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び本件特許公報に記載された従来例、甲第2?10号証に記載された事項から、当業者が容易に想到し得たものである。(審判請求書第24?25頁)
-6:本件特許の請求項6に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び本件特許公報に記載された従来例、甲第2?11号証に記載された事項から、当業者が容易に想到し得たものである。(審判請求書第25?26頁)
-7:本件特許の請求項7に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び本件特許公報に記載された従来例、甲第2?12号証に記載された事項から、当業者が容易に想到し得たものである。(審判請求書第26?27頁)

・無効理由3:
本件特許の請求項1の記載は、特許を受けようとする発明が明確でないので、特許法第36条第6項第2号に現定する要件を満たしていないため、本件特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。(審判請求書第6?7頁「(3)無効審判請求の根拠」「○3」)
すなわち、
-1:本件特許の請求項1の「回転シール手段」は、本件特許の段落0017の記載から、軸方向に移動するドライブジャブトと共に移動する構成を有するものに限定される。
本件特許の段落0071には、「回転シール手段」として「U-パッキン」や「グランドパッキン」が記載されており、U-パッキンやグランドパッキンは軸方向に移動するドライブジャブトと共に移動しないものである。
本件特許の請求項1の「回転シール手段」には、ドライブシャフトの軸方向への移動に伴い移動しないものも含まれていることから、本件特許の請求項1の記載は、特許を受けようとする発明が明確でない。(審判請求書第27?28頁)
-2:本件特許の請求項1の「部材」は、本件特許の段落0049,0057,0059の記載からみて、「部材」の移動規制手段がなければ成立しない。
本件特許の請求項1には「部材」の移動規制手段が記載されていないことから、本件特許の請求項1の記載は、特許を受けようとする発明が明確でない。(審判請求書第28?29頁)

・無効理由4:
本件特許の請求項6に係る発明について、発明の詳細な説明には、当業者が実施できる程度に十分かつ明確に記載されていないので、願書に添付された明細書は特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていないため、本件特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。(審判請求書第7頁「(3)無効審判請求の根拠」「○4」)
本件特許の請求項6には「サポートハウジングに取り付けられた軸受」と記載されている。
本件特許の図5に、無潤滑ブッシュ19はサポートハウジング6に、無潤滑ブッシュ19がサポートハウジング6より突出した状態で取りけられていることが図示されている。
本件特許の発明の詳細な説明を見ると、本件特許の請求項6の「軸受」を具体的に説明する記述は段落0048にしかなく、無潤滑ブッシュ19を取り付ける部品及び位置などを示唆する記述もなく、単に抽象的、機能的に記載してあるだけで、それを具現すべき材料、装置、工程などが不明瞭であることから、当業者が本件特許の請求項6に係る発明を実施することができないため、実施可能要件を満たしていないことは明らかである。
発明の詳細な説明には、当業者が本件特許発明6を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない。(審判請求書第29?31頁)

・無効理由1’:
訂正発明1は、甲第1号証に記載された発明と同一であって、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるため、本件特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
具体的には、甲第1号証には構成要件A?Dに相当する事項が記載されており、甲第1号証に記載の「ラジアル軸受79」は、駆動軸80が軸方向に移動しないように構成する部材であり構成要件Eに相当し、訂正発明1は、甲第1号証に記載された発明である。

・無効理由2’:
訂正発明1?7は、進歩性等の欠如に関する無効理由を解消していないため、本件特許は特許法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきである。(弁駁書第5頁)
具体的には、
(a)甲第1号証に記載された発明において、クラッチ板81,82に摩擦クラッチ81や噛み合いクラッチを用いることは周知技術である。(弁駁書第2?3頁)
(b)駆動ユニットとポンプユニットとの間に、出力軸の係合部とドライブシャフトの被係合部とが係合した状態で、駆動ユニットとポンプユニットとの連結を行う、即ち駆動ユニットとポンプユニットが接触した後に駆動ユニット及びポンプユニットとの連結を行う、駆動ユニット及びポンプユニットとは別個に設けた「コネクタ」を有している点で、訂正発明1と甲第1号証に記載された発明とは相違する。
しかしながら、「コネクタ」で2つの機器を連結することは周知事項に過ぎない。(弁駁書第4?5頁)
(c)甲9号証には、ギアポンプPの装着台数に応じた任意の数の軸ユニット3を連結する、と記載され、1台のポンプ駆動用モーターに対し着脱可能に取り付けられるギアポンプを複数台有するねじポンプ、複数台のギアポンプは、ギアポンプごとにポンプ移送される塗料の色が異なるねじポンプが記載されている。(弁駁書第5頁)

・無効理由3’:
訂正後の請求項1の記載は、特許を受けようとする発明が明確でないので、特許法第36条第6項第2号に現定する要件を満たしていないため、本件特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。
すなわち、
-1:訂正後の請求項1の「回転シール手段」は、本件特許の段落0017の記載から、軸方向に移動するドライブジャブトと共に移動する構成を有するものに限定される。
本件特許の段落0071には、「回転シール手段」として「U-パッキン」や「グランドパッキン」が記載されており、U-パッキンやグランドパッキンは軸方向に移動するドライブジャブトと共に移動しないものである。
訂正後の請求項1の「回転シール手段」には、ドライブシャフトの軸方向への移動に伴い移動しないものも含まれていることから、訂正後の請求項1の記載は、特許を受けようとする発明が明確でない。
-2:訂正後の請求項1の「部材」は、本件特許の段落0049,0057,0059の記載からみて、「部材」の移動規制手段がなければ成立しない。
訂正後の請求項1には「部材」の移動規制手段が記載されていないことから、訂正後の請求項1の記載は、特許を受けようとする発明が明確でない。

・無効理由4’:
訂正発明6について、発明の詳細な説明には、当業者が実施できる程度に十分かつ明確に記載されていないので、願書に添付された明細書は特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていないため、本件特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。
訂正後の請求項6には「サポートハウジングに取り付けられた軸受」と記載されている。
本件特許の図5に、無潤滑ブッシュ19はサポートハウジング6に、無潤滑ブッシュ19がサポートハウジング6より突出した状態で取りけられていることが図示されている。
本件特許の発明の詳細な説明を見ると、訂正後の請求項6の「軸受」を具体的に説明する記述は段落0048にしかなく、無潤滑ブッシュ19を取り付ける部品及び位置などを示唆する記述もなく、単に抽象的、機能的に記載してあるだけで、それを具現すべき材料、装置、工程などが不明瞭であることから、当業者が訂正後の請求項6に係る発明を実施することができないため、実施可能要件を満たしていないことは明らかである。
発明の詳細な説明には、当業者が訂正発明6を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない。

[証拠方法]
甲第1号証:特開平8-266546号公報
甲第2号証:特開平7-328698号公報
甲第3号証:特公昭59-4558号公報
甲第4号証:特開平9-264264号公報
甲第5号証:特開平10-89263号公報
甲第6号証:特開平7-308619号公報
甲第7号証:特開平8-74733号公報
甲第8号証:特開平8-173885号公報
甲第9号証:特開平11-241689号公報
甲第10号証:特許第2750665号公報
甲第11号証:特開2000-356223号公報
甲第12号証:実願昭61-20339号(実開昭62-136413号)のマイクロフィルム

2.被請求人の主張
これに対して、被請求人は、平成27年11月26日付け訂正請求書及び審判事件答弁書、平成28年4月12日付け口頭審理陳述要領書、平成28年5月11日の口頭審理において、乙第1?3号証を提示し、請求人の無効理由に対して以下のように反論した。

[無効理由に対する反論]
特許第4250713号の特許請求の範囲を本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、請求項1?7に係る一群の請求項ごとに訂正することを求める。
本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。

[証拠方法]
乙第1号証:被請求人の製造販売する本件特許発明に係る製品カタログ「ヘイシンモーノポンプ、ヘイシンロボディスペンサー」の表紙、14ページ及び奥付の写し
乙第2号証:被請求人の製造販売する本件特許発明に係る製品カタログ「ヘイシンディスペンサーHD型」の表紙、5ページ及び奥付の写し
乙第3号証:平成27年3月20日発行 一般財団法人日本規格協会発行の「JISB01166、パッキン及びガスケット用語」表紙、25ページ、奥付


第5 当審の判断
1.無効理由1’について
(1)甲第1号証の記載事項
本件特許出願前に頒布された刊行物である甲第1号証には、「医療用吸引装置」に関して、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付与。)。
ア.「【請求項1】 断面形状が長円形の螺旋状の内周面を有するステータと、このステータ内にステータの中心軸線に対して偏心した回転軸線まわりに回転自在に挿入され、断面形状が円形であって、ステータの内周面の1/2のピッチで螺旋状に形成されるロータとを有する吸引管と、
吸引管の吐出側の軸線方向一端部が固定され、吸引管から吐出される吸引物を収容する収容空間を有するケーシングと、
ケーシングに設けられ、前記ロータの回転軸線と同軸を成す出力軸を有する回転駆動源と、
ケーシングの収容空間内に設けられ、回転駆動源の出力軸と、回転軸線から偏心したロータの前記吐出側の軸線方向一端部とを連結する連結手段とを含むことを特徴とする医療用吸引装置。」
イ.「【請求項3】 回転駆動源は、電動モータを内蔵するモータ本体と、このモータ本体に着脱自在に装着され、電動モータへ駆動電力を供給する電源ユニットとを含むことを特徴とする請求項1または2記載の医療用吸引装置。」
ウ.「【請求項4】 ケーシングおよび連結手段は、回転駆動源に着脱自在に設けられることを特徴とする請求項1?3のいずれかに記載の医療用吸引装置。」
エ.「【0010】さらに本発明に従えば、ケーシングおよび連結手段は、回転駆動源に着脱自在に設けられるので、容易に分離して回転駆動源を水や洗浄液によって漏らすことなしに、ケーシングおよび吸引管内の洗浄作業を行うことができ、メンテナンス性が向上される。」
オ.「【0019】図3は、ケーシング23付近の拡大断面図である。図1および図2をも参照して、前記ケーシング23は、たとえばフッ素樹脂などの合成樹脂から成り、大略的に円筒状の筒部51と、筒部51の軸線方向一端部から半径方向内方に屈曲して延び、前記吸引管22の吐出側の軸線方向一端部が固定される端壁52と、筒部51の軸線方向他端部に半径方向外方に突出して一体的に形成される外向きフランジ53と、筒部51の前記外向きフランジ53よりもさらに外方に延び、外周部には外ねじ54が形成される螺合部55と、筒部51から一半径線方向に突出して延び、前記収納空間48に連通し、容器25の接続筒部56が嵌まり込む嵌合孔57が形成される嵌合部58とを有する。」
カ.「【0020】回転駆動源24は、電動モータ61を内蔵するモータ本体62と、このモータ本体62に着脱自在に装着され、電動モータ61へ駆動電力を供給する電源ユニット63とを有する。モータ本体62は、モータケーシング64と、このケーシング64に一体的に形成され、術者が把持する把手65とを有する。モータケーシング64は、たとえば合成樹脂から成り、電動モータ61の出力軸66が挿通して突出し、かつ前記ケーシング23の螺合部55が螺着される螺合部67が形成される。この螺合部67の内周部には内ねじ68が刻設されるとともに、ケーシング23の螺合部55において外向きフランジ53寄りの付け根に装着された環状のシール材69が周方向全周にわたって弾発的に当接する直円筒状のシール面70とが形成される。」
キ.「【0022】前記ケーシング23には、その軸線方向中央部よりも外向きフランジ53寄りの位置で半径方向内方に突出する取付座77が一体的に形成される。この取付座77には、収容空間48寄りにグランドパッキン78が装着されるとともに、電動モータ61の出力軸66側にはラジアル軸受79が装着される。このラジアル軸受79としては、たとえばころがり玉軸受を用いることができる。ラジアル軸受79によって駆動軸80が出力軸66と同軸に軸支される。この駆動軸80の外周面には、前記グランドパッキン78の内周面が弾発的に周方向全周にわたって当接し、収容空間48を気密に遮断している。」
ク.「【0023】このような駆動軸80の軸線方向一端部にはクラッチ板81が固定され、また前記出力軸66にはクラッチ板82が固定される。駆動軸80の軸線方向他端部には、自在継手83を介して連結軸84の軸線方向一端部が連結される。連結軸84の軸線方向他端部は自在継手85によって前記ロータ45に連結される。これらの駆動軸80、各クラッチ板81,82、各自在継手83,85および連結軸84を含んで連結手段86が構成される。このような連結手段86によってロータ45と出力軸66とが連結された状態では、図4に示されるように、ロータ45の円形断面の中心を通る軸線L4に対して距離eだけ偏心してロータ45の回転軸線L2が配置され、このロータ45の回転軸線L2に対してさらに距離eだけステータ44の中心軸線L1が偏心して配置され、電動モータ61の出力軸66の回転軸線L5はロータ45の回転軸線L2と同軸を成している。」
ケ.「【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の医療用吸引装置21の概略的構成を示す断面図である。

【図3】医療用吸引装置21のケーシング23付近の拡大断面図である。」
コ.図1には、吸引管22及びケーシング23と、電動モータ61を有するモータ本体62とを備える医療用吸引装置21が記載されている。
サ.図3には、医療用吸引装置21において、モータ本体62は、出力軸66を備え、この出力軸66にクラッチ板82が設けられる一方、
ケーシング23は、駆動軸80を有し、この駆動軸80にクラッチ板82が噛み合うクラッチ板81が設けられ、
モータ本体62とケーシング23との間に螺合部55,67が設けられ、クラッチ板81とクラッチ板82とが噛み合った状態、かつ、螺合部55,67が螺着された状態で、モータ本体62とケーシング23とが連結された状態となっており、
ケーシング23側に、グランドパッキン78が配置され、
該グランドパッキン78は、駆動軸80に対し設けられ、
ケーシング23は、ラジアル軸受79を備え、該ラジアル軸受79が駆動軸80に設けられている構成が記載されている。
シ.記載事項コの「吸引管22」は、記載事項アの「吸引管」であって、「断面形状が長円形の螺旋状の内周面を有するステータと、このステータ内にステータの中心軸線に対して偏心した回転軸線まわりに回転自在に挿入され、断面形状が円形であって、ステータの内周面の1/2のピッチで螺旋状に形成されるロータとを有する」ものである。
また、記載事項コの「ケーシング23」は、記載事項アの「ケーシング」であって、「吸引管の吐出側の軸線方向一端部が固定され、吸引管から吐出される吸引物を収容する収容空間を有する」ものである。
そうすると、記載事項コの「吸引管22」及び「ケーシング23」は、「ステータ44内でロータ45を偏心回転させる吸引管22及びケーシング23」といえる。
ス.記載事項サの「モータ本体62」は、記載事項カの「電動モータ61を内蔵するモータ本体62」との記載から、「電動モータ61を内蔵する」ものであり、その「電動モータ61」は、「電動モータ61の出力軸66」との記載から、「出力軸66」を備えるものであり、その「出力軸66」は、記載事項アの「回転駆動源の出力軸と、回転軸線から偏心したロータの前記吐出側の軸線方向一端部とを連結する連結手段」との記載から、連結手段によってロータの吐出側の軸線方向一端部と連結されるものであり、その「ロータ」は、記載事項アの「ステータ内にステータの中心軸線に対して偏心した回転軸線まわりに回転自在に挿入され」るものであるから、上記「モータ本体62」は、「ロータ45を偏心回転させる電動モータ61を有するモータ本体62」といえる。
セ.記載事項サの「モータ本体62」は、記載事項イの「モータ本体」であって、「電動モータを内蔵する」ものであり、その「電動モータ」は、記載事項カの「電動モータ61の出力軸66」との記載から、「出力軸」を備えるものであり、その「出力軸」は、記載事項クの「出力軸66にはクラッチ板82が固定される」ものであるから、「モータ本体62は、電動モータ61にて回転駆動される出力軸66を備え、この出力軸66にクラッチ板82が固定される」といえる。
ソ.記載事項サの「ケーシング23」は、「駆動軸80を有」するものであり、その「駆動軸80」は記載事項クの「駆動軸80」であり、「駆動軸80の軸線方向一端部にはクラッチ板81が固定され」るものであるから、「ケーシング23は、駆動軸80を有し、この駆動軸80にクラッチ板82が噛み合うクラッチ板81が固定される」といえる。
タ.記載事項サの「駆動軸80」は、記載事項クの「駆動軸80」であり、「駆動軸80、各クラッチ板81,82、各自在継手83,85および連結軸84を含んで連結手段86が構成され」「連結手段86によってロータ45と出力軸66とが連結された状態」との記載から、「ロータ45に連結された駆動軸80」といえる。
チ.記載事項サの「ケーシング23」は、記載事項ウ及びエの「ケーシング」であって、「回転駆動源に着脱自在に設けられる」ものであり、その「回転駆動源」は、記載事項カの「回転駆動源24」であり、「回転駆動源24は、電動モータ61を内蔵するモータ本体62と、…とを有する」との記載から、「モータ本体62」を有するものであるから、「モータ本体62とケーシング23とは着脱可能に連結される」といえる。
ツ.記載事項サの「グランドパッキン78」は、記載事項キの「グランドパッキン78」であり、「取付座77には、収容空間48寄りにグランドパッキン78が装着され」「駆動軸80の外周面には、前記グランドパッキン78の内周面が弾発的に周方向全周にわたって当接し、収容空間48を気密に遮断している」との記載から、「ケーシング23側に、前記ケーシング23内のポンプ室からの液漏れを防止するグランドパッキン78が配置され、前記クラッドパッキン78は、回転部材である駆動軸80に対し設けられる」といえる。
テ.記載事項サの「ラジアル軸受79」は、記載事項キの「ラジアル軸受79」であり、「取付座77には、…電動モータ61の出力軸66側にはラジアル軸受79が装着され」「このラジアル軸受79としては、たとえばころがり玉軸受を用いることができ」「ラジアル軸受79によって駆動軸80が出力軸66と同軸に軸支される」との記載から、「ケーシング23は、駆動軸80を軸支するラジアル軸受79を備え、該ラジアル軸受79が駆動軸80に設けられている」といえる。
ト.記載事項サの「ラジアル軸受79」は、記載事項キの「ラジアル軸受79」であって、「たとえばころがり玉軸受を用いることができる」ものであり、少なくとも駆動軸80のラジアル方向の移動を規制するものと認められるから、「駆動軸80の移動を規制するラジアル軸受79」といえる。

上記記載事項及び図面の記載から、甲第1号証には、次の発明が記載されているものと認められる。
「ステータ44内でロータ45を偏心回転させる吸引管22及びケーシング23と、ロータ45を偏心回転させる電動モータ61を有するモータ本体62とを備える医療用吸引装置において、
モータ本体62は、電動モータ61にて回転駆動される出力軸66を備え、この出力軸66にクラッチ板82が固定される一方、
ケーシング23は、ロータ45に連結された駆動軸80を有し、この駆動軸80にクラッチ板82が噛み合うクラッチ板81が固定され、
モータ本体62とケーシング23との間に螺合部55,67が設けられ、クラッチ板81とクラッチ板82とが噛み合った状態、かつ、螺合部55,67が螺着された状態で、モータ本体62とケーシング23とが連結された状態となっており、
モータ本体62とケーシング23とは着脱可能に連結され、
ケーシング23側に、ケーシング23内のポンプ室からの液漏れを防止するグランドパッキン78が配置され、
該グランドパッキン78は、回転部材である駆動軸80に対し設けられ、
ケーシング23は、駆動軸80を軸支し駆動軸80の移動を規制するラジアル軸受79を備え、該ラジアル軸受79が駆動軸80に設けられている医療用吸引装置。」(以下、「引用発明」という。)

(2)訂正発明1と引用発明との対比
訂正発明1と引用発明を対比する。
(ア)引用発明の「ステータ44内でロータ45を偏心回転させる吸引管22及びケーシング23」は、訂正発明1の「ステータ内でロータを偏心回転させるポンプユニット」に相当し、以下同様に、
「ロータ45を偏心回転させる電動モータ61を有するモータ本体62」は、「前記ロータを偏心回転させる駆動源を有する駆動ユニット」に、
「電動モータ61にて回転駆動される出力軸66」は、「前記駆動源にて回転駆動される出力軸」に、
「出力軸66にクラッチ板82が固定される」構成は、「出力軸に係合部が形成される」構成に、
「ロータ45に連結された駆動軸80」は、「ロータに連結されたドライブシャフト」に、
「駆動軸80にクラッチ板82が噛み合うクラッチ板81が固定され」る構成は、「ドライブシャフトに前記係合部が係脱可能に係合される被係合部が形成され」る構成に、
「モータ本体62とケーシング23とは着脱可能に連結され」る構成は、「前記駆動ユニットと前記ポンプユニットとは着脱可能に連結され」る構成に、
「ケーシング23側に、ケーシング23内のポンプ室からの液漏れを防止するグランドパッキン78が配置され」る構成は、「前記ポンプユニット側に、前記ポンプユニット内のポンプ室からの液漏れを防止する回転シール手段が配置され」る構成に、
「該グランドパッキン78は、回転部材である駆動軸80に対し設けられ」る構成は、「前記回転シール手段は、回転部材であるドライブシャフトに対し設けられ」る構成にそれぞれ相当する。
(イ)引用発明の「医療用吸引装置」は、「ステータ44内でロータ45を偏心回転させる」ものであるから、訂正発明1の「一軸偏心ねじポンプ」に相当する。
(ウ)引用発明の「モータ本体62とケーシング23との間に螺合部55,67が設けられ、クラッチ板81とクラッチ板82とが噛み合った状態、かつ、螺合部55,67が螺着された状態で、モータ本体62とケーシング23とが連結された状態となって」いる構成と、訂正発明1の「前記駆動ユニットとポンプユニットとの間に、前記出力軸の係合部とドライブシャフトの被係合部とが係合した状態で、前記駆動ユニットとポンプユニットとの連結を行うコネクタが設けられ」る構成とは、駆動ユニットとポンプユニットとの間に、駆動ユニットとポンプユニットとの連結を行う連結手段が設けられる点で共通する。
(エ)引用発明の「ケーシング23は、駆動軸80を軸支し駆動軸80の移動を規制するラジアル軸受79を備え、該ラジアル軸受79が駆動軸80に設けられている」構成と、訂正発明1の「前記ポンプユニットは、前記駆動ユニットから取り外された状態において、前記ドライブシャフトが軸方向に移動しないように構成する部材を備え、前記部材がドライブシャフトに設けられている」構成とは、ドライブシャフトの移動を規制する部材がドライブシャフトに設けられている点で共通する。

そうすると両者は、
「a.ステータ内でロータを偏心回転させるポンプユニットと、前記ロータを偏心回転させる駆動源を有する駆動ユニットとを備える一軸偏心ねじポンプにおいて、
h.前記駆動ユニットが、前記駆動源にて回転駆動される出力軸を備え、前記出力軸に係合部が形成される一方、
i.前記ポンプユニットは、ロータに連結されたドライブシャフトを有し、前記ドライブシャフトに前記係合部が係脱可能に係合される被係合部が形成され、
j.前記駆動ユニットとポンプユニットとの間に、前記駆動ユニットとポンプユニットとの連結を行う連結手段が設けられ、
b.前記駆動ユニットと前記ポンプユニットとは着脱可能に連結され、
c.前記ポンプユニット側に、前記ポンプユニット内のポンプ室からの液漏れを防止する回転シール手段が配置され、
d.前記回転シール手段は、回転部材であるドライブシャフトに対し設けられ、
e.ドライブシャフトの移動を規制する部材がドライブシャフトに設けられている
一軸偏心ねじポンプ。」(a.?e.,h.?j.の文字は当審で付与。)
で一致し、次の点で相違する。

・相違点1:
訂正発明1は、連結手段として「コネクタ」を備えるものであり、その「コネクタ」は、「前記出力軸の係合部とドライブシャフトの被係合部とが係合した状態で、前記駆動ユニットとポンプユニットとの連結を行う」ものであるのに対して、引用発明は、連結手段として「螺合部55,67」を備えるものであって、「クラッチ板81とクラッチ板82とが噛み合った状態、かつ、螺合部55,67が螺着された状態で、モータ本体62とケーシング23とが連結された状態となって」いる点。

・相違点2:
訂正発明1の「部材」は、「前記駆動ユニットから取り外された状態において、前記ドライブシャフトが軸方向に移動しないように構成」されるものであるのに対して、引用発明の「ラジアル軸受79」は、「モータ本体62」から取り外された状態において、「駆動軸80」が軸方向に移動しないように構成されるものとして特定されていない点。

(3)相違点についての判断
ア.上記相違点1について検討する。
(ア)請求人の主張
請求人は以下の主張をしている。
(a)審判請求書で、「特許発明4の発明特定事項I、Jに関しては、甲第1号証に記載された発明の発明特定事項i、jと共通にし、甲第1号証には発明特定事項Hにおける減速機付きモータに関する記載がない点で特許発明4と相違するが、モータを選択する上で減速機付きのものを採用することは、例えば本件特許掲載公報【0005】?【0008】に従来例として記載された一軸偏心ねじポンプに減速機102を有するモータ116が記載されていることからも明らかな様に、甲第1号証の電動モータ61に上記従来例の減速機102を設けることに何ら困難性は無く、設計事項の範囲内であることは明らかである。
よって、特許発明4は、本件特許掲載公報に記載された従来例及び甲第1号証乃至甲第10号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるため、特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。」(審判請求書第22?23頁「[特許発明4の進歩性について]」「(a)」?「(b)」。なお、「甲第1号証に記載された発明の発明特定事項i、j」は、「7 (1)請求の理由の要約」の「甲第1号証 特開平8-266546号公報 【0019】、【0020】、【0023】、図3 …
i 前記ケーシングは、ロータに連結された駆動軸を有し、この駆動軸に前記クラッチ板が係脱可能に係合されるクラッチ板が形成され
j 前記モータ本体とケーシングとの間に、前記出力軸のクラッチ板と駆動軸のクラッチ板とが係合した状態で、前記モータ本体とケーシングとの連結を行う螺合部が設けられている
一軸偏心ねじポンプ」)
(b)平成28年1月12日付け審判事件弁駁書で、「甲第1号証の【0022】第3?9行目には、『取付座77には、収容空間48寄りにグランドパッキン78が装着されるとともに、電動モータ61の出力軸66側にはラジアル軸受79が装着される。このラジアル軸受79としては、たとえばころがり玉軸受を用いることができる。ラジアル軸受79によって駆動軸80が出力軸66と同軸に軸支される。』と記載され、ラジアル軸受79の外輪が取付座77に、内輪が駆動軸80に固定されていることは自明であることから、ラジアル軸受79により駆動軸80が軸方向に移動しないことも自明である。
又、【0010】には、『さらに本発明に従えば、ケーシングおよび連結手段は、回転駆動源に着脱自在に設けられるので、容易に分離して回転駆動源を水や洗浄液によって漏らすことなしに、ケーシングおよび吸引管内の洗浄作業を行うことができ、メンテナンス性が向上される。』と記載されている。
又、【0019】第8?10行目には『筒部51の前記外向きフランジ53よりもさらに外方に延び、外周部には外ねじ54が形成される螺合部55と、』と記載され、【0020】第8?11行目には『ケーシング23の螺合部55が螺着される螺合部67が形成される。この螺合部67の内周部には内ねじ68が刻設される』と記載され、【0023】第1?5行目には『このような駆動軸80の軸線方向一端部にはクラッチ板81が固定され、また前記出力軸66にはクラッチ板82が固定される。駆動軸80の軸線方向他端部には、自在継手83を介して連結軸84の軸線方向一端部が連結される。』と記載され、図3には、符号“81”、“82”で表された2枚のクラッチ板の噛み合った状態で、符号“55”で表された螺合部の符号“54”で表された外ねじと、符号“67”で表された螺合部の符号“68”で表された内ねじとが螺合状態で、符号“62”で表されたモータ本体に対し符号“23”で表されたケーシングが連結された状態が記載されている。
つまり、駆動ユニットとポンプユニットとの間に、出力軸の係合部とドライブシャフトの被係合部とが係合した状態で、駆動ユニットとポンプユニットとの連結を行う、即ち駆動ユニットとポンプユニットが接触した後に駆動ユニット及びポンプユニットとの連結を行う、駆動ユニット及びポンプユニットとは別個に設けた『コネクタ』を有している点で、甲第1号証とは相違することは認める。
然しながら、本件訂正発明1のコネクタの具体例としては、ポンプユニットU1側に取り付けられた被係合具21と、駆動ユニットU6側にスプリング22を介して取り付けられ被係合具21に係合可能に係合する係合具23とを有し、スプリング22の伸縮力を利用してワンタッチで、連結状態と連結解除状態との切換えができるものであったり、スイングボルト61を、Y方向に回転して、駆動ユニットU6側の減速機取付ベース15の取付凹部15b内に係合し、その係合状態で締付ナット62で締め付けることにより、両ユニットU1,U6を一体に連結するものが例示されているが、これら『コネクタ』は全て周知のもので、これら『コネクタ』で2つの機器を連結することは周知事項に過ぎない。
よって、甲第1号証のものは、基本的技術思想を共通にする。」(審判事件弁駁書第3?5頁「(3)C.に対して」「イ.」)
(c)なお、請求人は、口頭審理審理事項通知書「3.請求人に対して」の「イ.本件訂正発明1と甲第1号証に記載された発明の構成要素を対比して、対応関係を説明してください。」との指示に対しても、甲第1号証のどの記載事項が、訂正発明1の「前記出力軸の係合部とドライブシャフトの被係合部とが係合した状態で、前記駆動ユニットとポンプユニットとの連結を行う」構成に対応するのかの補足説明は行わなかった。

(イ)請求人の主張についての検討
(a)まず、請求人も、上記(ア)(b)において「駆動ユニットとポンプユニットとの間に、出力軸の係合部とドライブシャフトの被係合部とが係合した状態で、駆動ユニットとポンプユニットとの連結を行う、即ち駆動ユニットとポンプユニットが接触した後に駆動ユニット及びポンプユニットとの連結を行う、駆動ユニット及びポンプユニットとは別個に設けた『コネクタ』を有している点で、甲第1号証とは相違することは認める。」としているように、引用発明は「コネクタ」を備えるものではないので、上記(ア)(a)の「特許発明4の発明特定事項I、Jに関しては、甲第1号証に記載された発明の発明特定事項i、jと共通」するとの主張は採用できるものでない。
(b)「『コネクタ』で2つの機器を連結することは周知事項に過ぎない。」「甲第1号証のものは、基本的技術思想を共通にする。」との主張は、本件に係る発明の進歩性を否定する趣旨の主張であって、無効理由1’(特許法第29条第1項第3号)に沿った主張ではないと解されるが、そもそも、「『コネクタ』で2つの機器を連結することは周知事項」であり、「甲第1号証のものは、基本的技術思想を共通にする」部分があるとしても、そのことは、引用発明の「螺合部55,67」を、実質的に「前記出力軸の係合部とドライブシャフトの被係合部とが係合した状態で、前記駆動ユニットとポンプユニットとの連結を行うコネクタ」であるという根拠にはならない。
(c)さらに、「前記出力軸の係合部とドライブシャフトの被係合部とが係合した状態で、前記駆動ユニットとポンプユニットとの連結を行うコネクタ」であることに関する主張は、上記(ア)(a)のみであるが、甲第1号証の記載は、上記(1)に記載したとおりのものであって、「j 前記モータ本体とケーシングとの間に、前記出力軸のクラッチ板と駆動軸のクラッチ板とが係合した状態で、前記モータ本体とケーシングとの連結を行う螺合部が設けられている」が記載されていると認められるものではない(すなわち、「出力軸の係合部とドライブシャフトの被係合部とが係合した状態」で「連結を行う」コネクタとはいえない。)。
(d)一方、訂正発明1の連結手段である「コネクタ」は、「前記出力軸の係合部とドライブシャフトの被係合部とが係合した状態で、前記駆動ユニットとポンプユニットとの連結を行うコネクタ」であり、この「コネクタ」による連結開始時点で、出力軸の係合部とドライブシャフトの被係合部とが係合した状態のものであって、「他の問題として、組立時に、カップリングスリーブ103にドライブシャフト104を嵌挿して、ドライブピン110を挿入する際に、位置決め(軸方向及び回転方向の位置決め)を行いにくいという問題もある。」(本件特許の段落0012)という課題を解決し、「このようにすれば、駆動ユニットとポンプユニットとの連結・連結解除が、駆動ユニット側の出力軸の係合部とドライブシャフトの被係合部との係合関係やコネクタを利用することで簡単かつ確実に実現される。」(本件特許の段落0026)という効果を奏するものである。
(e)そうすると、相違点1は、実質的な相違点である。

(ウ)主張(a)?(b)以外の検討
上記(2)で検討したように、引用発明の連結手段は「螺合部55,67」であって、「前記出力軸の係合部とドライブシャフトの被係合部とが係合した状態で、前記駆動ユニットとポンプユニットとの連結を行うコネクタ」ではない。
一方、訂正発明1の連結手段である「前記出力軸の係合部とドライブシャフトの被係合部とが係合した状態で、前記駆動ユニットとポンプユニットとの連結を行うコネクタ」は、上記(イ)(d)に記載した作用効果を生ずるものである。
この点からしても、相違点1は、実質的な相違点である。

イ.上記相違点2について検討する。
(ア)請求人の主張
請求人は以下の主張をしている。
(a)審判請求書で、「甲第1号証には、医療用吸引装置として使用されている、ステータ44内でロータ45を偏心回転させる吸引管22及びケーシング23と、ロータ45を偏心回転させる電動モータ61を有するモータ本体62とを備える一軸偏心ねじポンプにおいて、モータ本体62とケーシング23とは着脱可能に連結され、ケーシング23側に、ケーシング23内のポンプ室からの液漏れを防止するグランドパッキン78が配置され、該グランドパッキン78は、回転部材である駆動軸80に対し設けられている一軸偏心ねじポンプが記載されており、上記発明特定事項A?Dと同一である。
而も、ケーシング23には、ころがり玉軸受であるラジアル軸受79が駆動軸80に設けられており、このラジアル軸受79は、外輪がケージンク23に固定状態で、内輪に駆動軸80が貫通状態且つ固定状態であることは自明であり、駆動軸80は、モータ本体62に対しケーシング23が取付け状態であろうと、取外し状態であろうと、常に軸方向に移動しないことも自明である。
つまり、甲第1号証に記載の発明におけるケーシング23にあっては、モータ本体62から取り外された状態において、駆動軸80が軸方向に移動しないように構成する部材(ラジアル軸受79)を備え、該部材(ラジアル軸受79)が駆動軸80に設けられていることに疑問の余地はなく、上記発明特定事項Eと同一である。
これは、本件特許掲載公報中、図9に、ドライブシャフトに設けられている、ドライブシャフトが軸方向に移動しないように構成する部材として、符号“41”で表されたアンギュラ玉軸受を備えた一軸偏心ねじポンプが記載されていることからも明らかである。」(審判請求書第20頁「[特許発明1の新規性について]」「(a)」?「(d)」)

(イ)請求人の主張についての検討
(a)請求人は、上記(ア)(a)において「ころがり玉軸受であるラジアル軸受79が駆動軸80に設けられており、このラジアル軸受79は、外輪がケージンク23に固定状態で、内輪に駆動軸80が貫通状態且つ固定状態であることは自明であり、駆動軸80は、モータ本体62に対しケーシング23が取付け状態であろうと、取外し状態であろうと、常に軸方向に移動しないことも自明である。」と主張している。
(b)しかしながら、引用発明の「ラジアル軸受79」は、ころがり玉軸受であるラジアル軸受であって、軸支する駆動軸のラジアル方向の移動を規制するものではあるが、軸支する駆動軸のスラスト方向の移動を規制するものとは限らないから、「このラジアル軸受79は、…常に軸方向に移動しないことも自明である。」との主張は採用できない。
(c)一方、訂正発明1の「部材」は、「前記駆動ユニットから取り外された状態において、前記ドライブシャフトが軸方向に移動しないように構成する」ものであって、「このように分割したポンプ部分をさらに分解して、洗浄することになるが、ステーボルト115のスイング支点(ヒンジピン114)が、駆動部側のコネクチングハウジング113に設けられているので(図13(b)参照)、ポンプ部分を分割している状態では、メカニカルシール108の固定側をサポートしているサポートハウジング118が軸方向(ポンプ長手方向)において規制されていない。サポートハウジング118が規制されていないことにより、分解・洗浄・組立場に運ぶ際に、サポートハウジング118が減速機102側に移動し、ポンプケーシング109とサポートハウジング118をシールしているOリング39、メカニカルシール108を構成するOリング108a、Oリング108bを設けているシール部分及び摺動シール面(図13(a)のイ部参照)の部分のシール機能が損なわれ、ポンプケーシング109(ポンプ室)内の対象液が漏れるという問題がある。」(本件特許の段落0010)という課題を解決し、「また、ポンプユニットは、駆動ユニットから取り外された状態において、回転シール手段が設けられるドライブシャフト(回転部材)が軸方向に移動しないように構成する部材を備え、その部材がドライブシャフトに設けられているので、ポンプユニットを駆動ユニットから取外した状態においても、ポンプユニットに設置した回転シール手段が移動しない(例えばメカニカルシールのシール面が開いたりしない)。よって、回転シール手段によるシール機能は確保され、その回転シール手段を設けている部分を通じてポンプケーシング内の対象液が外部に漏れない。」(本件特許の段落0017第2段落)、「一軸偏心ねじポンプは、吐出口・吸込口の位置及び吐出圧・吸込圧により、ドライブシャフト7に作用する力の大きさ及び方向が決まる。そして、図13に示す従来構造では、このドライブシャフト104にかかる軸方向及び半径方向の力は減速機102に内蔵された軸受で受けるようになっている。そのため、ポンプの仕様によっては.減速機102内蔵の軸受では、強度不足の場合がある。」「図9に示すように、組合わせアンギュラ玉軸受41を使用すれば、スラスト及びラジアル方向の力を支持することができるので、上記問題を解消できると共に、ドライブシャフト7のラジアル力による撓みを防止することもできる。」(本件特許の段落0060?0061)という効果を奏するものである。
(d)そうすると、相違点2は、実質的な相違点である。

(ウ)主張(a)以外の検討
引用発明の「ラジアル軸受79」は、ころがり玉軸受であるラジアル軸受であって、軸支する駆動軸のスラスト方向の移動を規制するものとは限らない。
一方、訂正発明1の「部材」は、「前記駆動ユニットから取り外された状態において、前記ドライブシャフトが軸方向に移動しないように構成する」ものであって、上記(イ)(c)に記載した作用効果を生ずるものである。
この点からしても、相違点2は、実質的な相違点である。

ウ.小括
訂正発明1と引用発明とは、相違点1,2で相違しており、それら相違点1,2は何れも実質的な相違点であるので、訂正発明1は、本件特許出願前に頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明であるとはいえない。

2.無効理由2’について
2-1.訂正発明1に関して
(1)甲第1?12号証の記載事項
ア.甲第1号証の記載事項は、上記「1.(1)」のとおり。
イ.甲第2号証の図6には、ドライブジャブト12を備える一軸偏心ねじポンプが記載されている。
ウ.甲第3号証の第1図には、駆動軸24における、ベアリング22の左側部分を部分的に拡径させて形成した位置決めリングが、ベアリング22の内輪に当接した状態で表された一軸偏心ねじポンプが記載されている。
エ.甲第4号証の図1には、駆動軸2における、左側のボールベアリング3の左側部分を部分的に拡径させて形成した位置決めリングが、左側のベアリング3の内輪に当接した状態で表された一軸偏心ねじポンプが記載されている。
オ.甲第5号証の図1には、右側に表された2個のころがり玉軸受を貫通状態のドライブシャフトにおける、左側のころがり玉軸受の左側部分を部分的に拡径させて形成した位置決めリングが、左側のころがり玉軸受の内輪に当接した状態で表された一軸偏心ねじポンプが記載されている。
カ.甲第6号証の段落0017第4?7行目に「13?19は固定部材、20、21は固定部材13、14、15、16、17、18、19と主軸10の間に形成された上部スラスト流体軸受及び下部スラスト流体軸受」と、段落0020第1?3行目に「主軸10は2つの前記スラスト流体軸受20、21によって支持されているため、傾斜することなく軸方向位置が規制される。」と記載され、図2には、主軸10に取り付けられた、該主軸10とは別体の、スラスト流体軸受20,21が記載され、上方のスラスト流体軸受20は、固定部材14,15で、下方のスラスト流体軸受21は、で表された固定部材17,18で夫々挟まれたねじポンプが記載されている。
キ.甲第7号証の段落0034第3?6行目に「19a、20aは上部及び下部スラスト軸受の固定側、19b、20bは主軸10に固定された上部スラストエアー軸受及び下部スラストエアー軸受のつば」と、段落0039第1?3行目に「主軸10のスラスト方向は上下の2つの静圧エアー軸受19、20によって非接触で支持されている。」と記載され、図2には、主軸10に取り付けられた、つば19b,20bと、軸受19a,20aの固定側で構成された静圧エアー軸受19,20を有するねじポンプが記載されている。
ク.甲第8号証の段落0019第3?6行目に「13?19は固定部材、20、21は固定部材13、14、15、16、17、18、19と主軸10の間に形成された上部スラスト流体軸受及び下部スラスト流体軸受」と、段落0028第1?3行目に「主軸10は2つの前記スラスト流体軸受20、21によって支持されているため、傾斜することなく軸方向位置が規制される。」と記載され、図1には、主軸10に取り付けられた、該主軸とは別体の、スラスト流体軸受20,21を有し、上方のスラスト流体軸受20は、固定部材14,15で、下方のスラスト流体軸受21は、固定部材17,18で夫々挟まれたねじポンプが記載されている。
ケ.甲第9号証の請求項1第1?3行目には、「ポンプ駆動用モータ(2)の回転が一又は二以上連結した軸ユニット(3)を介して回転駆動型ポンプ(P)の駆動軸(20)に伝達されるポンプ装置」と、段落0017第8?10行目には、「ギアポンプPの装着台数に応じた任意の数の軸ユニット3を連結する。」と、第15?18行目には、「各軸ユニット3の分岐管5にギアポンプPを装着し、各ギアポンプPに各色塗料の流人流出を行う塗料ホース(図示せず)を接続し」と、段落0022第6?9行目には、「回転駆動型ポンプとしては、ギアポンプP、ベーンポンプ、ネジポンプのようにロータを回転させて塗料などを吐出させるものに限らず」と記載されている。
コ.甲第10号証の段落0026第2?7行目には、「基体2の中間部にエアモーター又は電動モーター等の駆動モーター38を設置し、該駆動モーター38の回転軸38aにはロータリージョイントカップリッグ39を取付けると共に、ロータリージョイントカップリング39の先端側である装着開口部7の対向面に貫設溝状の駆動嵌合部39aを形成し」と、段落0027第4?7行目には、「ミキサーパイプ40の中間部には…ミキシングローター42を回転自在に内装し」と、段落0028第4?7行目には、「ミキサーヘッド41から突出した回転軸部46の…最先端部に板状の被駆動嵌合部49を突出形成している。」と、段落0047第3?6行目には、「80はロータリー・ミキサー3、3a…を自動交換可能な注入機であり、主機台81の水平基台81aに注入機80の基体2を取付けると共に、注入機80の後方側に交換機台83を設置し」と、第8?9行目には、「交換機台83の水平基台83bに交換用ロータリー・ミキサー3、3a…の保管部86を設け」と、段落0055第4?5行目には、「多数のロータリー・ミキサー3、3a…を載置し」と記載され、図6には、複数のロータリー・ミキサー3,3a,3zが記載されている。
サ.甲第11号証の図1には、回転軸24と、この回転軸24に取り付けられたスラスト円板27が記載され、このスラスト円板27を挟む部材が、外殻を構成する一部材であるラジアル軸受箱21と、スラスト軸受用軸受箱26であるポンプ用の油潤滑軸受が記載されている。
シ.甲第12号証の第6頁第9?10行目に「駆動軸(3)の上端面に開口する嵌合溝(32)を形成する」と、第6頁第19行目?第7頁第4行目に「回転軸(5)の下端部に、前記駆動軸(3)に套嵌可能な筒状部(52)を設け、該筒状部(52)の下端開口部位に、該筒状部(52)内を直径方向に横断するピン(53)を設けている。」と、第8頁第15?18行目に「筒状部(52)内を横断する前記ピン(53)が前記嵌合溝(32)に嵌合し、斯くして前記回転軸(5)が前記駆動軸(3)に直ちに連動連結する」と、第10頁第15?17行目には、「前記回転軸を前記駆動軸に即座に連動連結することが出来、組立て作業が極めて簡単に行なえる」と記載され、第3図には、駆動軸3の端部をU字形に切り欠いて嵌合溝32を形成し、連結される際に、嵌合溝32とピン53とが係合することで、回転軸5と駆動軸3とが動力伝達可能に連結されたスクリューコンベヤが記載されている。
(2)引用発明との対比は、上記「1.(2)」のとおり。
(3)相違点についての判断
ア.上記相違点1について検討する。
(ア)請求人の主張
既に、上記「1.(3)ア.(ア)」に示したとおりの主張をしている。

(イ)請求人の主張についての検討
(a)仮に、請求人が主張するように、一般的に「コネクタ」で2つの機器を連結することが周知であったとしても、引用発明の「螺合部55,67」を「コネクタ」に変更するには、そのように変更を行う動機付けが必要であるところ、甲第1号証には「螺合部55,67」を「コネクタ」に変更することを示唆する記載は存在しない。
(b)また、請求人も「駆動ユニットとポンプユニットとの間に、出力軸の係合部とドライブシャフトの被係合部とが係合した状態で、駆動ユニットとポンプユニットとの連結を行う、即ち駆動ユニットとポンプユニットが接触した後に駆動ユニット及びポンプユニットとの連結を行う、駆動ユニット及びポンプユニットとは別個に設けた『コネクタ』を有している点で、甲第1号証とは相違することは認める。」としつつ、「『コネクタ』で2つの機器を連結することは周知事項に過ぎない。」「甲第1号証のものは、基本的技術思想を共通にする。」と主張するのみであって、請求人の主張自体を参酌しても、引用発明の「螺合部55,67」を「コネクタ」変更するに足りる動機付けは、認識できない。
(c)さらに、「前記出力軸の係合部とドライブシャフトの被係合部とが係合した状態で、前記駆動ユニットとポンプユニットとの連結を行うコネクタ」であることに関しては、上記「1.(3)ア.(ア)(a)」の主張がなされたのみであるが、甲第1号証の記載は、上記「1.(1)」に記載したとおりのものであって、「j 前記モータ本体とケーシングとの間に、前記出力軸のクラッチ板と駆動軸のクラッチ板とが係合した状態で、前記モータ本体とケーシングとの連結を行う螺合部が設けられている」が記載されていると認められるものではない。(すなわち、「出力軸の係合部とドライブシャフトの被係合部とが係合した状態」で「連結を行う」コネクタとはいえない。)

(ウ)「1.(3)ア.(ア)」の主張(a)?(b)以外の検討
上記(イ)に記載したように、引用発明の連結手段は「螺合部55,67」であるところ、あえてそれを、「コネクタ」に変更することを示唆する記載は、甲第1?12号証のいずれにも発見できない。
一方、訂正発明1の連結手段である「コネクタ」は、「前記出力軸の係合部とドライブシャフトの被係合部とが係合した状態で、前記駆動ユニットとポンプユニットとの連結を行うコネクタ」であり、この「コネクタ」による連結開始時点で、出力軸の係合部とドライブシャフトの被係合部とが係合した状態ものであって、「他の問題として、組立時に、カップリングスリーブ103にドライブシャフト104を嵌挿して、ドライブピン110を挿入する際に、位置決め(軸方向及び回転方向の位置決め)を行いにくいという問題もある。」(本件特許の段落0012)という課題を解決し、「このようにすれば、駆動ユニットとポンプユニットとの連結・連結解除が、駆動ユニット側の出力軸の係合部とドライブシャフトの被係合部との係合関係やコネクタを利用することで簡単かつ確実に実現される。」(本件特許の段落0026)という効果を奏するものである。
そして、引用発明の「螺合部55,67」を、あえて「コネクタ」変更するに足りる動機付けが存在しない限り、甲第1?12号証に記載された発明に基いて、相違点1に係る訂正発明1の構成を、当業者が容易に想到し得たということはできない。
さらに、「前記出力軸の係合部とドライブシャフトの被係合部とが係合した状態で、前記駆動ユニットとポンプユニットとの連結を行う」コネクタとすることを示唆する記載も、甲第1?12号証のいずれにもない。
そうすると、甲第1?12号証に記載された発明に基いて、相違点1に係る訂正発明1の構成を、当業者が容易に想到し得たということはできない。

イ.上記相違点2について検討する。
(ア)請求人の主張
請求人は、上記「1.(3)イ.(ア)」に加えて以下の主張をしている。
(b)審判請求書で、「駆動ユニット側方向とした場合、甲第2号証のドライブシャフト12は、直近に設けられたハウジング11内の段差部に位置決めリングが当接して、ドライブシャフト12が図面上軸方向右側へ移動しないことは明らかであり、甲第3号証の駆動軸24は位置決めリングがベアリング22に当接状態で、甲第4号証の駆動軸2は位置決めリングがボールベアリング3に当接状態で、甲第5号証のドライブシャフトは位置決めリングがころがり玉軸受に当接状態であるため、夫々が、図面上軸方向右側へ移動しないことは明らかである。
よって、甲第1号証の駆動軸80及びケーシング23に甲第2号証の位置決めリング及び段差部を設けたり、或いは甲第1号証の駆動軸80に甲第3号証乃至甲第5号証の位置決めリングを設けてラジアル軸受79に当接させることで、駆動軸80が駆動部側の軸方向に移動しないようにすることは、当業者であれば容易に想到し得る程度のことに過ぎない。」(審判請求書第21頁「[特許発明1の進歩性について]」「(e)」?「(f)」。なお、平成28年5月11日の口頭審理において、「甲第2号証における『位置決めリング』の存在は主張しない。」と修正された。(平成28年5月11日第1回口頭審理調書))
(c)「又、本件特許掲載公報中、【0049】には『この位置決めリング10(フランジ部10a)は、(ポンプケーシング5の駆動ユニットU6側の端部に嵌合されている)サポートハウジング6と中間アダプタ9との間に、回転可能なようにかつドライブシャフト7の軸方向に移動しないように、所定の範囲内にある隙間をもって挟まれている。』と、【0057】には『(i)図8に示すように、位置決めリング10のフランジ部10aをサポートハウジング6及び中間アダプタ9で、外周縁と中間アダプタ9との間に所定の隙間をもつように挟み、(位置決めリング10が外側に嵌合される)ドライブシャフト7が軸方向に移動しないようにすることもできる。この場合は、ドライブシャフト7の軸方向の動きを、ハ部及びヘ部で規制している。』と記載されており、これらは正に、ドライブシャフトに設けた位置決めリングを2つの部材で挟むスラスト軸受の構成で、ドライブシャフトが軸方向に移動しないように構成する部材及び該部材の移動を規制する部材を有していることになるが、このスラスト軸受を使用したねじポンプは甲第6号証乃至甲第8号証に記載されている。
よって、甲第1号証の駆動軸80に、甲第6号証乃至甲第8号証のスラスト軸受を採用して、本件特許掲載公報の【0049】又は【0057】に記載の一軸偏心ねじポンプの様に、位置決めリング10を2つの部材で挟んで、ドライブシャフト7が軸方向に移動しないようにすることは、当業者であれば容易に想到し得る程度のことに過ぎない。」(審判請求書第21?22頁「[特許発明1の進歩性について]」「(g)」?「(h)」)
(d)平成28年4月13日付け口頭審理陳述要領書で、「甲第6?8号証に記載の『スラスト軸受』は、確かにモーター内部に配置されているモーターシャフトを支持するものであるが、回転体の軸方向に働く力(スラスト、推力)を受け止める軸受として『スラスト軸受』は公知であり、ケーシング23内の原動軸80を支持するためにスラスト軸受を採用することに困難性はない。」(平成28年4月13日付け口頭審理陳述要領書第2頁「(5)」)

(イ)請求人の主張についての検討
(a)請求人は、上記「1.(3)イ.(ア)(a)」において、「ころがり玉軸受であるラジアル軸受79が駆動軸80に設けられており、このラジアル軸受79は、外輪がケージンク23に固定状態で、内輪に駆動軸80が貫通状態且つ固定状態であることは自明であり、駆動軸80は、モータ本体62に対しケーシング23が取付け状態であろうと、取外し状態であろうと、常に軸方向に移動しないことも自明である。」と主張しているが、引用発明の「ラジアル軸受79」は、軸支する駆動軸のスラスト方向の移動を規制するものとは限らないから、「このラジアル軸受79は、…常に軸方向に移動しないことも自明である。」との主張は採用できない。
(b)また、平成28年5月11日の口頭審理において、「甲第2号証における『位置決めリング』の存在は主張しない」と修正されたので、上記(ア)(b)の「甲第1号証の駆動軸80及びケーシング23に甲第2号証の位置決めリング及び段差部を設け」「ラジアル軸受79に当接させることで、駆動軸80が駆動部側の軸方向に移動しないようにすることは、当業者であれば容易に想到し得る程度のことに過ぎない。」との主張は採用できない。
(c)さらに、上記(ア)(b)において、「或いは甲第1号証の駆動軸80に甲第3号証乃至甲第5号証の位置決めリングを設けてラジアル軸受79に当接させることで、駆動軸80が駆動部側の軸方向に移動しないようにすることは、当業者であれば容易に想到し得る程度のことに過ぎない。」と主張している。当該主張のように「位置決めリング」を設けるには、引用発明の「駆動軸80」に「位置決めリング」を新たに設けるに足りる動機付けが必要であるが、甲第1号証及び甲第3?5号証の何れにも、引用発明の「駆動軸80」に「位置決めリング」を新たに設けることを示唆する記載は存在せず、請求人の主張を参酌しても、引用発明の「駆動軸80」に「位置決めリング」を新たに設ける動機付けは、認識できない。
(d)さらに、上記(ア)(c)において、「甲第1号証の駆動軸80に、甲第6号証乃至甲第8号証のスラスト軸受を採用して、本件特許掲載公報の【0049】又は【0057】に記載の一軸偏心ねじポンプの様に、位置決めリング10を2つの部材で挟んで、ドライブシャフト7が軸方向に移動しないようにすることは、当業者であれば容易に想到し得る程度のことに過ぎない。」との主張している。当該主張のように「スラスト軸受」を設けるには、引用発明の「駆動軸80」に「スラスト軸受」を新たに設けるに足りる動機付けが必要であるが、甲第1号証及び甲第6?8号証の何れにも、引用発明の「駆動軸80」に「スラスト軸受」を新たに設けることを示唆する記載は存在せず、請求人の主張を参酌しても、引用発明の「駆動軸80」に「スラスト軸受」を新たに設ける動機付けは、認識できない。
(e)さらに、上記(ア)(d)の主張のように、回転体の軸方向に働く力(スラスト、推力)を受け止める軸受として「スラスト軸受」が公知であるとしても、引用発明の「駆動軸80」に「スラスト軸受」を設けるには、引用発明の「駆動軸80」に「スラスト軸受」を新たに設けるに足りる動機付けが必要であるが、甲第1号証及び甲第6?8号証の何れにも、引用発明の「駆動軸80」に「スラスト軸受」を新たに設けることを示唆する記載は存在しない。

(ウ)「1.(3)イ.(ア)」の主張(a)、上記主張(b)?(d)以外の検討
上記(イ)に記載したように、引用発明の「駆動軸80」に「位置決めリング」又は「スラスト軸受」を新たに設けることを示唆する記載は、甲第1?12号証のいずれにもない。
一方、訂正発明1の「部材」は、「前記駆動ユニットから取り外された状態において、前記ドライブシャフトが軸方向に移動しないように構成する」ものであって、「このように分割したポンプ部分をさらに分解して、洗浄することになるが、ステーボルト115のスイング支点(ヒンジピン114)が、駆動部側のコネクチングハウジング113に設けられているので(図13(b)参照)、ポンプ部分を分割している状態では、メカニカルシール108の固定側をサポートしているサポートハウジング118が軸方向(ポンプ長手方向)において規制されていない。サポートハウジング118が規制されていないことにより、分解・洗浄・組立場に運ぶ際に、サポートハウジング118が減速機102側に移動し、ポンプケーシング109とサポートハウジング118をシールしているOリング39、メカニカルシール108を構成するOリング108a、Oリング108bを設けているシール部分及び摺動シール面(図13(a)のイ部参照)の部分のシール機能が損なわれ、ポンプケーシング109(ポンプ室)内の対象液が漏れるという問題がある。」(本件特許の段落0010)という課題を解決し、「また、ポンプユニットは、駆動ユニットから取り外された状態において、回転シール手段が設けられるドライブシャフト(回転部材)が軸方向に移動しないように構成する部材を備え、その部材がドライブシャフトに設けられているので、ポンプユニットを駆動ユニットから取外した状態においても、ポンプユニットに設置した回転シール手段が移動しない(例えばメカニカルシールのシール面が開いたりしない)。よって、回転シール手段によるシール機能は確保され、その回転シール手段を設けている部分を通じてポンプケーシング内の対象液が外部に漏れない。」(本件特許の段落0017第2段落)、「一軸偏心ねじポンプは、吐出口・吸込口の位置及び吐出圧・吸込圧により、ドライブシャフト7に作用する力の大きさ及び方向が決まる。そして、図13に示す従来構造では、このドライブシャフト104にかかる軸方向及び半径方向の力は減速機102に内蔵された軸受で受けるようになっている。そのため、ポンプの仕様によっては.減速機102内蔵の軸受では、強度不足の場合がある。」「図9に示すように、組合わせアンギュラ玉軸受41を使用すれば、スラスト及びラジアル方向の力を支持することができるので、上記問題を解消できると共に、ドライブシャフト7のラジアル力による撓みを防止することもできる。」(本件特許の段落0060?0061)という効果を奏するものである。
そして、引用発明の「駆動軸80」に「位置決めリング」又は「スラスト軸受」を新たに設けるに足りる動機付けが存在しない限り、甲第1?12号証に記載された発明に基いて、相違点2に係る訂正発明1の構成を、当業者が容易に想到し得たということはできない。
そうすると、甲第1?12号証に記載された発明に基いて、相違点2に係る訂正発明1の構成を、当業者が容易に想到し得たということはできない。

ウ.小括
したがって、訂正発明1は、甲第1号証に記載された発明を主引用発明として、甲第2?12号証に記載された発明(事項)を組み合わせて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2-2.訂正発明2?7に関して
(1)甲第1号証の記載事項は、上記「1.(1)」のとおり。
(2)対比・判断
訂正発明2?7は、訂正発明1を引用する形式で記載された発明であるから、訂正発明2?7と甲第1号発明とを対比すると、両者は少なくとも、上記「1.(2)」の一致点で一致し、少なくとも「相違点1」及び「相違点2」で相違する。
そして、上記「2-1.(3)」に記載したのと同様に、訂正発明2?7は、甲第1号証に記載された発明を主引用発明として、甲第2?12号証に記載された発明(事項)を組み合わせて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3.無効理由3’について
(1)請求人の主張
請求人は以下の主張をしている。
(a)審判請求書で、「発明特定事項C、Dとして、【請求項1】第4?6行目に『前記ポンプユニット側に、前記ポンプユニット内のポンプ室からの液漏れを防止する回転シール手段が配置され、前記回転シール手段は、回転部材であるドライブシャフトに対し設けられ、』と記載されているが、ドライブシャフトに対し回転シール手段が設けられているのであり、ここでの『に対し』とは『を対象として』の意味と解釈され、ドライブシャフトを対象として回転シール手段を設けることで、ポンプ室からの液漏れを防止しているのであり、回転シール手段も周知のものを使用していることから、この回転シール手段の設け方も周知である、との考え方も理解出来なくはない。
しかし、【0017】第8行目?文末には、『また、ポンプユニットは、駆動ユニットから取り外された状態において、回転シール手段が設けられるドライブシャフト(回転部材)が軸方向に移動しないように構成する部材を備え、その部材がドライブシャフトに設けられているので、ポンプユニットを駆動ユニットから取外した状態においても、ポンプユニットに設置した回転シール手段が移動しない(例えばメカニカルシールのシール面が開いたりしない)。よって、回転シール手段によるシール機能は確保され、その回転シール手段を設けている部分を通じてポンプケーシング内の対象液が外部に漏れない。』と記載されていることから、特許発明1の回転シール手段は、軸方向に移動するドライブジャブトと共に移動する構成を有するものに限定されることになる。
そして、【0071】には『(vii)回転シール手段4(軸封)は、メカニカルシール、U-パッキン(商品名:ロト・バリシール)のほか、グランドパッキンなど何れでも可能である。』と記載されており、メカニカルシールはドライブシャフトの軸方向への移動に伴い移動するが、U-パッキンやグランドパッキンは移動しないことは明らかであり、具体的には、図10において、符号“7”で表されたドライブシャフトが軸方向に移動しても、符号“4'”で表された回転シール手段にして、符号“51”で表されたU-パッキンが移動しないことは明らかである。
よって、請求項1に記載の回転シール手段には、ドライブシャフトの軸方向への移動に伴い移動しないものも含まれていることから、請求項1の記載は、特許を受けようとする発明が明確でなく、本件特許の願書に添付された明細書は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないため、本件特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。」(審判請求書第27?28頁「(a)」?「(d)」)
(b)「発明特定事項Eとして、【請求項1】第7?9行目に『前記ポンプユニットは、前記駆動ユニットから取り外された状態において、前記ドライブシャフトが軸方向に移動しないように構成する部材を備え、前記部材がドライブシャフトに設けられている』と記載されているが、ポンプユニット内に回転自在に内装されているドライブシャフトに、該ドライブシャフトが軸方向に移動しないように構成する部材(以降、“部材”と称する)が設けられていることから、この“部材”はドライブジャブトと共に回転することとなるため、ポンプユニットにおけるドライブシャフト以外の部位に設けた、“部材”の移動規制手段が無ければ成立しないことは明らかである。
そこで、明細書中、“部材”について、【0049】には第1の実施例が、【0057】には第2の実施例が、【0059】には第3の実施例が夫々記載されており、【0049】には、『この位置決めリング10(フランジ部10a)は、(ポンプケーシング5の駆動ユニットU6側の端部に嵌合されている)サポートハウジング6と中間アダプタ9との間に、回転可能なようにかつドライブシャフト7の軸方向に移動しないように、所定の範囲内にある隙間をもって挟まれている。』と、【0057】には、『(i)図8に示すように、位置決めリング10のフランジ部10aをサポートハウジング6及び中間アダプタ9で、外周縁と中間アダプタ9との間に所定の隙間をもつように挟み、(位置決めリング10が外側に嵌合される)ドライブシャフト7が軸方向に移動しないようにすることもできる。この場合は、ドライブシャフト7の軸方向の動きを、ハ部及びへ部で規制している。』と、【0059】には、『(ii)図9に示すように、ドライブシャフト7の軸方向の位置決めに、組合わせアンギュラ玉軸受41を用いることもできる。つまり、組合わせアンギュラ玉軸受41で、ドライブシャフト7の軸方向の移動を規制している。この場合も、図8に示す場合と同様に、ドライブシャフト7の切り欠き部7bとカップリングスリーブ16のドライブピン38との間には隙間が形成されている。』と記載されており、何れにも“部材”及び移動規制手段が記載されていることは明らかである。
よって、請求項1には“部材”の移動規制手段が記載されていないことから、請求項1の記載は、特許を受けようとする発明が明確でなく、本件特許の願書に添付された明細書は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないため、本件特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。」(審判請求書第28?29頁「(a)」?「(c)」)
(c)平成28年4月13日付け口頭審理陳述要領書で、「【0071】には回転シール手段4(軸封)はメカニカルシール、U-パッキンのほか、グランドパッキンなど何れでも可能であると記載されている。
メカニカルシールはドライブシャフトの軸方向への移動に伴い移動するが、U-パッキン、グランドパッキンは移動しない。
よって、回転シール手段を明確にしなければ、回転シール手段は限定されたことにならない。
回転シール手段はシール機能を確保するために設けられていることからすれば、『回転シール手段がドライブシャフトに対して設けられ』とは、単に『同転シール手段がドライブシャフトに対して設けられ』たもの全般を指し示すものではなく、『回転シール手段がドライブシャフトに対し、ドライブシャフトの軸方向への移動を規制することによって、シール機能が確保するように設けられ』たものに限定解釈すべきである。
けだし、メカニカルシール及びリップ型シールのいずれも、ドライブシャフトの軸方向への移動に伴い非固定側部材が摺動接触している部分(摺動シール面)において位置ズレを生じ、シール機能が損なわれる特性を有する。
よって、特許請求の範囲の記載は明確ではない。」(平成28年4月13日付け口頭審理陳述要領書第3頁「(6)」)

(2)請求人の主張についての検討
ア.請求人は、上記(a)及び(c)において、訂正後の請求項1の「前記ポンプユニット側に、前記ポンプユニット内のポンプ室からの液漏れを防止する回転シール手段が配置され、前記回転シール手段は、回転部材であるドライブシャフトに対し設けられ」との記載を摘示し、「回転シール手段」には、ドライブシャフトの軸方向への移動に伴い移動しないものも含まれていることから、訂正後の請求項1の記載は、特許を受けようとする発明が明確でない旨を主張しているので、まず当該主張について検討する。
訂正後の請求項1の「前記ポンプユニット側に、前記ポンプユニット内のポンプ室からの液漏れを防止する回転シール手段が配置され、前記回転シール手段は、回転部材であるドライブシャフトに対し設けられ」との記載から、「回転シール手段」は、「ポンプユニット側」に配置され、「ポンプユニット内のポンプ室からの液漏れを防止する」機能を有し、「回転部材であるドライブシャフトに対して設けられる」ものであることが明確に把握できる。
よって、訂正後の請求項1の「前記ポンプユニット側に、前記ポンプユニット内のポンプ室からの液漏れを防止する回転シール手段が配置され、前記回転シール手段は、回転部材であるドライブシャフトに対し設けられ」との記載は明確である。

イ.また、請求人は、上記(b)において、訂正後の請求項1の「前記ポンプユニットは、前記駆動ユニットから取り外された状態において、前記ドライブシャフトが軸方向に移動しないように構成する部材を備え、前記部材がドライブシャフトに設けられている」との記載を摘示し、「部材」の移動規制手段が記載されていないことから、訂正後の請求項1の記載は、特許を受けようとする発明が明確でない旨を主張しているので、次に当該主張について検討する。
訂正後の請求項1の「前記ポンプユニットは、前記駆動ユニットから取り外された状態において、前記ドライブシャフトが軸方向に移動しないように構成する部材を備え、前記部材がドライブシャフトに設けられている」との記載から、「部材」は、ポンプユニットが「駆動ユニットから取り外された状態において、」「ドライブシャフトが軸方向に移動しないようにする」機能を有し、「ドライブシャフトに設けられている」ものであることが明確に把握できる。
また、ドライブシャフトが軸方向に移動しないようにする機能を実現するには、「部材」と、当該「部材」と対となる移動規制手段が必要であることは自明であり、当該移動規制手段が文言として訂正後の請求項1に記載されていないことをもって、特許を受けようとする発明が明確でないとはいえない。

したがって、「本件特許の請求項1の記載は、特許を受けようとする発明が明確でない」とはいえない。

4.無効理由4’について
(1)請求人の主張
請求人は以下の主張をしている。
(a)審判請求書で、「【請求項6】第3?4行目に『サポートハウジングに取り付けられた軸受』とあり、サポートハウジング6が、ポンプケーシング5の他端部側に設けて該ポンプケーシング5内にポンプ室を形成するためのものであることは、上記発明特定事項Oからも明らかで、このサポートハウジッグ6でポンプケーシング5の他端開口部を塞ぐ構成であることも明らかで、それに伴いドライブシャフト7がサポートハウジング6を貫通することも明らかなため、この貫通部位に軸受が向けられているであろうことは推察可能である。
それを証明する様に、図5、10?12に符号“19”で表された無潤滑ブッシュは、確かに符号“6”で表されたサポートハウジングに、無潤滑ブッシュ19がサポートハウジング6より突出した状態で取りけられている。
そこで、発明の詳細な説明を見ると、この軸受を具体的に説明する記述は【0048】にしかなく、その内容は『なお、ドライブシャフト7の軸方向の移動は、駆動部14側方向の移動についてはドライブピン38との係合により、ポンプ本体2側方向の移動に対しては、無潤滑ブッシュ19によりそれぞれ規制されている。この場合、サポートハウジング6と位置決めリング10との間には隙間が形成されている。』であり、取付け状態のポンプユニットにおけるドライブシャフト7のポンプ本体2側方向への移動を無潤滑ブッシュ19により規制していることが記載されている。
しかし【0049】には、『この位置決めリング10(フランジ部10a)は、(ポンプケーシング5の駆動ユニットU6側の端部に嵌合されている)サポートハウジング6と中間アダプタ9との間に、回転可能なようにかつドライブシャフト7の軸方向に移動しないように、所定の範囲内にある隙間をもって挟まれている。』と記載されている。
つまり、【0048】での位置決めリング10とサポートハウジング6の『隙間』は、ドライブシャフト7を軸方向に移動させないことに何ら関与していないのに対し、【0049】での位置決めリング10とサポートハウジング6の『所定の範囲内にある隙間』は、ドライブジャブト7を軸方向に移動させないことにに関与していると判断せざるを得ない。
図面に基づき説明されている筈の上記【0048】で説明された無潤滑ブッシュ19や、上記【0049】で説明されたサポートハウジング6及び中間アダプタ9が記載された図5、10、12を見ると、位置決めリング10が無潤滑ブッシュ19に当たっていることで、ドライブシャフト7がポンプユニットU1側方向に移動しないことは明らかで、サポートハウジング6はドライブシャフト7が軸方向に移動しないための機能を何ら有していないことは明らかである。
つまり、上記【0049】に該当する、無潤滑ブッシュ19を有する一軸偏心ねじポンプは、図面中に存在しない。
百歩譲って、無潤滑ブッシュ19がサポートハウジング6の一部であると仮定すると、無潤滑ブッシュ19と位置決めリング10との間に隙間があることになり、隙間をもって挟まれているのに軸方向に移動しないのであれば、前記隙間を維持する手段が別途必要になるが、【発明の実施の形態】及び図面には記載されていない。
更に、『移動しない』が、全く移動しないことだけを意味するのではなく、位置決めリング10がサポートハウジング6又は中間アダプタ9のどちらかに当たる程度に極僅かに移動することを含んでいることを仮に認めたとしても、上記【0048】の記述には、無潤滑ブッシュ19を取り付ける部品及び位置などを示唆する記述もなく、単に抽象的、機能的に記載してあるだけで、それを具現すべき材料、装置、工程などが不明瞭であることから、当業者が特許発明6を実施することができないため、実施可能要件を満たしていないことは明らかである。
よって、発明の詳細な説明には、当業者が特許発明6を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないことから、願書に添付された明細書は特許法第36条第4項に規定する要件を満たしておらず、本件特許は同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。」(審判請求書第29?31頁「(a)」?「(j)」)
(b)平成28年4月13日付け口頭審理陳述要領書で、「『軸受』はサポートハウジング6に取り付けられたとあるだけで、図面中に符号もないため、位置決めリング10とサポートハウジング6の『隙間』はドライブシャフトを軸方向に移動させないことに何ら関係していない。
【0049】の記載は意味不明と言わざるを得ない。
位置決めリング10はサポートハウジング6と中間アダプタ9との間に回転可能なようにかつドライブシャフト7の軸方向に移動しない様に所定の範囲内にある隙間をもって挟まれている、とあるが、位置決めリング10は無潤滑ブッシュ19により軸方向への移動を規制されている。」(平成28年4月13日付け口頭審理陳述要領書第3頁「(7)」)

(2)請求人の主張についての検討
ア.請求人は、上記(a)において、訂正後の請求項6の「サポートハウジングに取り付けられた軸受」との記載に関し、「発明の詳細な説明を見ると、この軸受を具体的に説明する記述は【0048】にしかなく、」「上記【0048】の記述には、無潤滑ブッシュ19を取り付ける部品及び位置などを示唆する記述もなく、単に抽象的、機能的に記載してあるだけで、それを具現すべき材料、装置、工程などが不明瞭であることから、当業者が特許発明6を実施することができないため、実施可能要件を満たしていないことは明らかである。」と主張しているので、まず当該主張について検討する。
本件特許には以下の事項が記載されている。
(ア)発明の詳細な説明の「【0048】
なお、ドライブシャフト7の軸方向の移動は、駆動部14側方向の移動についてはドライブピン38との係合により、ポンプ本体2側方向の移動に対しては、無潤滑ブッシュ19によりそれぞれ規制されている。この場合、サポートハウジング6と位置決めリング10との間には隙間が形成されている。
【0049】
この位置決めリング10(フランジ部10a)は、(ポンプケーシング5の駆動ユニットU6側の端部に嵌合されている)サポートハウジング6と中間アダプタ9との間に、回転可能なようにかつドライブシャフト7の軸方向に移動しないように、所定の範囲内にある隙間をもって挟まれている。」と記載されている。
(イ)図5に、サポートハウジング6、中間アダプタ9、位置決めリング10、位置決めリング10のフランジ部10a、無潤滑ブッシュ19があり、サポートハウジング6に無潤滑ブッシュ19が取り付けられ、サポートハウジング6と中間アダプタ9との間には隙間があり、その隙間にはフランジ部10aが位置し、フランジ部10aは、サポートハウジング6に取り付けられた無潤滑ブッシュ19と、中間アダプタ9とに接する構成が図示されている。

上記記載事項(ア)及び(イ)には、サポートハウジング6に取り付けられる無潤滑ブッシュ19が記載されており、これは訂正後の請求項6の「サポートハウジングに取り付けられた軸受」の具体例といえる。
そうすると、本件特許の発明の詳細な説明には、「サポートハウジングに取り付けられた軸受」を実施できる程度に記載されているといえる。

イ.また、請求人は、上記(a)及び(b)において、「百歩譲って、無潤滑ブッシュ19がサポートハウジング6の一部であると仮定すると、無潤滑ブッシュ19と位置決めリング10との間に隙間があることになり、隙間をもって挟まれているのに軸方向に移動しないのであれば、前記隙間を維持する手段が別途必要になるが、【発明の実施の形態】及び図面には記載されていない。
更に、『移動しない』が、全く移動しないことだけを意味するのではなく、位置決めリング10がサポートハウジング6又は中間アダプタ9のどちらかに当たる程度に極僅かに移動することを含んでいることを仮に認めたとしても、上記【0048】の記述には、無潤滑ブッシュ19を取り付ける部品及び位置などを示唆する記述もなく、単に抽象的、機能的に記載してあるだけで、それを具現すべき材料、装置、工程などが不明瞭であることから、当業者が特許発明6を実施することができないため、実施可能要件を満たしていないことは明らかである。」
「『軸受』はサポートハウジング6に取り付けられたとあるだけで、図面中に符号もないため、位置決めリング10とサポートハウジング6の『隙間』はドライブシャフトを軸方向に移動させないことに何ら関係していない。
【0049】の記載は意味不明と言わざるを得ない。
位置決めリング10はサポートハウジング6と中間アダプタ9との間に回転可能なようにかつドライブシャフト7の軸方向に移動しない様に所定の範囲内にある隙間をもって挟まれている、とあるが、位置決めリング10は無潤滑ブッシュ19により軸方向への移動を規制されている。」と主張しているので、次に当該主張について検討する。
本件特許の記載事項は上記ア.の(ア)及び(イ)のとおり。
上記記載事項(ア)及び(イ)には、無潤滑ブッシュ19が取り付けられたサポートハウジング6と中間アダプタ9とによって、位置決めリング10のフランジ部10aが、回転可能でかつポンプ長手方向の移動が規制されるように挟まれ、かつサポートハウジング6に取り付けられた無潤滑ブッシュ19により前記ドライブシャフトの回転を支持するようにした構成が記載されている。
そうすると、「前記サポートハウジングと中間アダプタとによって前記位置決めリングが、回転可能でかつポンプ長手方向の移動が規制されるように挟まれ、かつサポートハウジングに取り付けられた軸受により前記ドライブシャフトの回転を支持するようにした」構成を実施できる程度に記載されているといえる。

したがって、「発明の詳細な説明には、当業者が特許発明6を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていない」とはいえない。

5.無効理由1?4について
本件の請求項1?7に係る発明は、平成27年11月26日付けで訂正された訂正発明1?7であり、それら訂正発明1?7の特許は、無効理由1?4により「無効とすべきものである」とはいえない。


第6 むすび
以上のとおり、請求人の主張及び証拠方法によっては、訂正発明1?7の特許を無効とすることができない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータ内でロータを偏心回転させるポンプユニットと、前記ロータを偏心回転させる駆動源を有する駆動ユニットとを備える一軸偏心ねじポンプにおいて、
前記駆動ユニットが、前記駆動源にて回転駆動される出力軸を備え、前記出力軸に係合部が形成される一方、
前記ポンプユニットは、ロータに連結されたドライブシャフトを有し、前記ドライブシャフトに前記係合部が係脱可能に係合される被係合部が形成され、
前記駆動ユニットとポンプユニットとの間に、前記出力軸の係合部とドライブシャフトの被係合部とが係合した状態で、前記駆動ユニットとポンプユニットとの連結を行うコネクタが設けられ、
前記駆動ユニットと前記ポンプユニットとは着脱可能に連結され、
前記ポンプユニット側に、前記ポンプユニット内のポンプ室からの液漏れを防止する回転シール手段が配置され、
前記回転シール手段は、回転部材であるドライブシャフトに対し設けられ、
前記ポンプユニットは、前記駆動ユニットから取り外された状態において、前記ドライブシャフトが軸方向に移動しないように構成する部材を備え、前記部材がドライブシャフトに設けられていることを特徴とする一軸偏心ねじポンプ。
【請求項2】
1台の駆動ユニットに対し着脱可能に取り付けられるポンプユニットを複数台有する請求項1記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項3】
前記複数台のポンプユニットは、ポンプユニットごとにポンプ移送される対象液が異なるものである請求項2記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項4】
前記駆動ユニットは、減速機付きモータにて回転駆動される出力軸を有し、この出力軸に係合部が形成される一方、
前記ポンプユニットは、ロータに連結されたドライブシャフトを有し、このドライブシャフトに前記係合部が係脱可能に係合される被係合部が形成され、
前記駆動ユニットとポンプユニットとの間に、前記出力軸の係合部とドライブシャフトの被係合部とが係合した状態で、前記駆動ユニットとポンプユニットとの連結を行うコネクタが設けられている請求項1?3のいずれかに記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項5】
前記ポンプユニットは、ロータ及びステータを有するポンプ本体と、このポンプ本体の一端部に設けられるエンドスタッドと、前記ポンプ本体の他端部に一端部が接続されるポンプケーシングと、このポンプケーシングの他端部側に設けられ前記ポンプ室を形成するサポートハウジングと、前記ポンプケーシングをポンプ本体に中間アダプタを介してクランプするクランプ装置とを備えるものである請求項4記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項6】
前記ドライブシャフトに着脱可能な位置決めリングが取り付けられ、
前記サポートハウジングと中間アダプタとによって前記位置決めリングが、回転可能でかつポンプ長手方向の移動が規制されるように挟まれ、かつサポートハウジングに取り付けられた軸受により前記ドライブシャフトの回転を支持するようにした請求項5記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項7】
前記駆動ユニットの出力軸に、一端部に前記ドライブシャフトが挿入されるカップリングスリーブの他端部が一体的に取付けられ、このカップリングスリーブ内にドライブピンがスリーブ直径方向に設けられる一方、
前記ドライブシャフトに駆動ユニット側端部をU字形に切り欠いて切り欠き部が形成されると共に、前記コネクタで連結される際に、前記切り欠き部とドライブピンとが係合することで、前記出力軸とドライブシャフトとが動力伝達可能に連結される請求項4?6のいずれかに記載の一軸偏心ねじポンプ。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2016-05-30 
結審通知日 2016-06-01 
審決日 2016-06-16 
出願番号 特願2003-154384(P2003-154384)
審決分類 P 1 113・ 536- YAA (F04C)
P 1 113・ 113- YAA (F04C)
P 1 113・ 121- YAA (F04C)
P 1 113・ 537- YAA (F04C)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 中川 真一
特許庁審判官 前田 浩
藤井 昇
登録日 2009-01-30 
登録番号 特許第4250713号(P4250713)
発明の名称 一軸偏心ねじポンプ及びその取扱方法  
代理人 ▲崎▼山 博教  
代理人 西山 聞一  
代理人 ▲崎▼山 博教  
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