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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H05K
管理番号 1319504
審判番号 不服2016-3682  
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-03-09 
確定日 2016-10-04 
事件の表示 特願2013- 41869「発熱部品の放熱構造およびこれを用いたオーディオ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 9月18日出願公開、特開2014-170835、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成25年3月4日の出願であって、平成27年10月16日付けで拒絶理由が通知され、同年12月9日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年12月25日(発送日:平成28年1月5日)に拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、同年3月9日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2.本願発明
本願の請求項1ないし3に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)は、平成27年12月9日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願発明1ないし3は以下のとおりである。
「【請求項1】
多層基板に面実装した発熱部品で発生した熱を、サーマルビアを介して前記発熱部品から前記多層基板の厚み方向と面方向に伝えて前記多層基板に圧接された伝熱部材へ導き、前記伝熱部材を介して放熱部材へ放熱する発熱部品の放熱構造において、
前記発熱部品が面実装された領域を前記多層基板の厚み方向に熱伝導させる領域とし、前記多層基板の厚み方向に熱伝導させる領域の前記サーマルビアを、前記多層基板のパターンに沿って面方向に熱伝導させる領域より高密度に配置するとともに、
前記伝熱部材が圧接された領域の前記サーマルビアを、前記発熱部品に近い側から遠ざかるに連れて高密度に配置したことを特徴とする発熱部品の放熱構造。
【請求項2】
前記多層基板のパターンに沿って面方向に熱伝導させる領域は、前記発熱部品が面実装された領域の周囲の領域であることを特徴とする請求項1記載の発熱部品の放熱構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の発熱部品の放熱構造を備えたオーディオ装置。」

第3.原査定の理由について
1.原査定の理由の概要
平成27年12月9日付けの手続補正で補正された請求項1ないし3に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



刊行物1:特開2012-222179号公報
刊行物2:国際公開第2011/125344号(周知技術を示す文献)
刊行物3:国際公開第2012/127695号(周知技術を示す文献)
刊行物4:特開2005-64168号公報(周知技術を示す文献)
刊行物5:特開2005-108387号公報(周知技術を示す文献)

(請求項1に対して)
ヒートシンクの取付において、熱伝導グリス、熱伝導シート等を介して取り付けることで界面における熱伝導性を高めることは、刊行物2([0005])及び刊行物3(明細書第1ページ第12ないし18行)に記載されているように当業者に周知の技術事項にすぎない。この熱伝導グリス、熱伝導シート等の手段が上記相違点における伝熱部材に相当する。
請求項1に記載された発明における基板の放熱部に放熱体を取り付けるにあたり、熱伝導性を高めるために周知の構成を付加することに、格段の困難を要するものではないし、顕著な作用効果を奏するものでもない。
刊行物1に記載された発明における伝熱柱状体を配する放熱部側スルーホールが、請求項1における「前記伝熱部材が圧接された領域の前記サーマルビア」に相当する。
放熱部の領域内で、スルーホール及び伝熱柱状体をどのような分布で配置するかは、当業者が必要に応じて適宜設定しうる単なる設計変更程度の事項にすぎない。請求項1に記載された分布で配置することにより、他の分布で配置したものと比較して、進歩性を肯定するに足る顕著な作用効果を奏するものとは認められない。

(請求項2に対して)
刊行物1の図1の記載からみて、請求項2における「前記多層基板のパターンに沿って面方向に熱伝導させる領域は、前記発熱部品が面実装された領域の周囲の領域であること」は刊行物1に記載されているものと認められる。

(請求項3に対して)
オーディオ装置においては高温を発する電子部品が使用され、電子部品の放熱に基板も使用されることは、刊行物4(【0002】)及び刊行物5(【0029】ないし【0031】)に記載されている様に当業者に周知である。
刊行物1に記載された発明に係る基板及び電子部品等の構造を、周知の用途に適用することに、格段の困難を要するものではないし、顕著な作用効果を奏するものでもない。

第4.当審の判断
1.刊行物の記載事項
(1)原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1(特開2012-222179号公報)には、「プリント配線板」に関し、図面(特に、【図1】ないし【図3】参照。)とともに次の事項が記載されている。
ア.「【0001】
本発明は、放熱性に優れたプリント配線板に関する。」

イ.「【0021】
図1は、本実施例のプリント配線板Pの概略断面図である。プリント配線板Pは、基板本体1と、基板本体1の外層領域Sに位置する発熱体Fを取り付けるべき受熱部12と、図示しない放熱体に接触させるべき放熱部13と、受熱部12と放熱部13との間に放熱径路14とを具備する。
【0022】
さらに、放熱径路14は、基板本体1の内層領域に設けた厚銅箔層15と、厚銅箔層15と受熱部12とを連通させ得る位置に設けられ内部に銅製の伝熱柱状体16を配してなる受熱部側スルーホールT1と、厚銅箔層15と放熱部13とを連通させ得る位置に設けられ内部に銅製の伝熱柱状体15を配してなる放熱部側スルーホールT2とを具備してなる。
【0023】
基板本体1は、ガラスエポキシ樹脂等の各絶縁性樹脂10と、導電径路17とを形成してなる多層構造のものであるが、絶縁性樹脂は上記に限定されるものではない。
【0024】
外層領域Sには、発熱体Fを取り付けるべき受熱部12と、図示しないリテーナ等の放熱体に接触させるべき放熱部13とを備えている。発熱体Fは、高電力を消費して発熱する発熱素子であり例えばDC/DCコンバータやIC等の電子部品などである。また、受熱部12は外層領域Sの一方の領域に設けられており、放熱部13は外層領域Sの両方の領域に設けられている。なお、この放熱部13は、図示しない放熱体であるリテーナや、ヒートシンク等に接続される。」

ウ.「【0028】
受熱部側スルーホールT1は、厚銅箔層15と受熱部12とを連通させ得る位置に設けられ内部に銅製の伝熱柱状体16を配してなる。放熱部側スルーホールT2は、厚銅箔層15と放熱部13とを連通させ得る位置に設けられ内部に銅製の伝熱柱状体16を配してなる。本実施形態における受熱部側スルーホールT1及び放熱部側スルーホールT2は図1及び図2に示されるように基板本体1にそれぞれ複数本備えられている。図2は、発熱体Fが搭載される領域である受熱部12を上から見た概略図である。このように、基板本体1に複数本の受熱部側スルーホールT1を設けることにより、発熱体Fや厚銅箔層15との接触面積をスルーホールT1の径を大きくする場合よりも広いものとすることができる。このため、発熱体Fの発熱量に応じて、銅ペーストが充填された受熱部側スルーホールT1の本数を効果的に調整することが可能である。もちろん、放熱部側スルーホールT2の本数についても、同様に調整することが可能である。」

エ.「【0032】
図1に点線にて示す通り、受熱部12に取り付けられた発熱体Fから発熱した熱が、受熱部12から受熱部側スルーホールT1の内部に配設された銅製の伝熱柱状体16に伝達される。その後、銅製の伝熱柱状体16に伝達された熱が、厚銅箔層15へ伝達され、厚銅箔層15を介して放熱部側スルーホールT2の方向に伝達される。続いて、厚銅箔層15から熱が放熱部側スルーホールT2の内部に配設された銅製の伝熱柱状体16に伝達され、さらに、図示しない放熱体を接触させるべき放熱部13に伝達され、図示しないリテーナ等の放熱体から放出される。」

オ.記載事項イ.の段落【0021】の「プリント配線板Pは、基板本体1と、基板本体1の外層領域Sに位置する発熱体Fを取り付けるべき受熱部12と」との記載、記載事項イ.の段落【0022】の「放熱径路14は、基板本体1の内層領域に設けた厚銅箔層15と、厚銅箔層15と受熱部12とを連通させ得る位置に設けられ内部に銅製の伝熱柱状体16を配してなる受熱部側スルーホールT1と、厚銅箔層15と放熱部13とを連通させ得る位置に設けられ内部に銅製の伝熱柱状体15を配してなる放熱部側スルーホールT2とを具備してなる。」との記載、記載事項イ.の段落【0023】の「基板本体1は、ガラスエポキシ樹脂等の各絶縁性樹脂10と、導電径路17とを形成してなる多層構造のものである」との記載、記載事項イ.の段落【0023】の「放熱部13は、図示しない放熱体であるリテーナや、ヒートシンク等に接続される。」との記載及び記載事項エ.の「発熱体Fから発熱した熱段」との記載並びに【図1】によれば、発熱体Fの放熱経路14は、多層構造の基板本体1の外層領域Sに位置する受熱部12に取り付けた発熱体Fで発熱した熱を、内部に銅製の伝熱柱状体16を配してなる受熱側スルーホールT1、厚銅箔層15及び内部に銅製の伝熱柱状体16を配してなる発熱側スルーホールT2を介して前記発熱体Fから前記多層構造の基板本体1の厚み方向と面方向に伝えて前記多層構造の基板本体1の放熱部13へ導き、前記放熱部13を介して放熱体へ放熱することが分かる。

カ.記載事項イ.の段落【0022】の「放熱径路14は、基板本体1の内層領域に設けた厚銅箔層15と、厚銅箔層15と受熱部12とを連通させ得る位置に設けられ内部に銅製の伝熱柱状体16を配してなる受熱部側スルーホールT1と、厚銅箔層15と放熱部13とを連通させ得る位置に設けられ内部に銅製の伝熱柱状体15を配してなる放熱部側スルーホールT2とを具備してなる。」との記載及び記載事項エ.の「図1に点線にて示す通り、受熱部12に取り付けられた発熱体Fから発熱した熱が、受熱部12から受熱部側スルーホールT1の内部に配設された銅製の伝熱柱状体16に伝達される。その後、銅製の伝熱柱状体16に伝達された熱が、厚銅箔層15へ伝達され、厚銅箔層15を介して放熱部側スルーホールT2の方向に伝達される。続いて、厚銅箔層15から熱が放熱部側スルーホールT2の内部に配設された銅製の伝熱柱状体16に伝達され、さらに、図示しない放熱体を接触させるべき放熱部13に伝達され、図示しないリテーナ等の放熱体から放出される。」との記載並びに【図1】によれば、発熱体Fが取り付けられた領域は、多層構造の基板本体1の厚み方向に熱伝導させる領域であることが分かり、この多層構造の基板本体1の厚み方向に熱伝導させる領域に、内部に銅製の伝熱柱状体16を配してなる受熱側スルーホールT1が配置されることが分かる。また、【図1】によれば、多層構造の基板本体1の厚銅箔層15に沿って面方向に熱伝導させる受熱部12と放熱部13との間の領域には、内部に銅製の伝熱柱状体16を配してなるスルーホールが配置されていないことから、この内部に銅製の伝熱柱状体16を配してなる受熱側スルーホールT1は、多層構造の基板本体1の厚銅箔層15に沿って面方向に熱伝導させる受熱部12と放熱部13との間の領域より高密度に配置されているといえる。さらに、放熱部13が設けられる領域に内部に銅製の伝熱柱状体16を配してなる発熱側スルーホールT2が配置されていることが分かる。

上記の記載事項及び認定事項並びに図示された事項を総合し、本願発明1の記載ぶりに則って整理すると、刊行物1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「多層構造の基板本体1の外層領域Sに位置する受熱部12に取り付けた発熱体Fで発熱した熱を、内部に銅製の伝熱柱状体16を配してなる受熱側スルーホールT1、厚銅箔層15及び内部に銅製の伝熱柱状体16を配してなる発熱側スルーホールT2を介して前記発熱体Fから前記多層構造の基板本体1の厚み方向と面方向に伝えて前記多層構造の基板本体1の放熱部13へ導き、前記放熱部13を介して放熱体へ放熱する発熱体Fの放熱経路14において、
前記発熱体Fが取り付けられた領域を前記多層構造の基板本体1の厚み方向に熱伝導させる領域とし、前記多層構造の基板本体1の厚み方向に熱伝導させる領域の前記内部に銅製の伝熱柱状体16を配してなる受熱側スルーホールT1を、多層構造の基板本体1の厚銅箔層15に沿って面方向に熱伝導させる受熱部12と放熱部13との間の領域より高密度に配置するとともに、
前記放熱部13が設けられる領域に内部に銅製の伝熱柱状体16を配してなる発熱側スルーホールT2を配置した発熱体Fの放熱経路14。」

(2)原査定の拒絶の理由で周知技術を示す例として引用された刊行物2(国際公開第2011/125344号)には、「基板及び基板の製造方法」に関し、図面とともに次の事項が記載されている。
「[0005]特許文献1や特許文献2に示したように、電子部品を実装する基板にフィンなどの放熱部材を取り付けることは従来より行われており、基板に放熱部材を取り付ける場合には、基板と放熱部材との間にグリース等を介在させる構造(以降、放熱構造ということがある)としているのが一般的である。
従来のような放熱構造では、基板と放熱部材とが互いに位置ズレが生じる場合がある。また、基板と放熱部材との間にグリースを介在させる際に、グリース中にボイドが形成し易く、ボイドが形成されてしまうと、グリースの熱伝導率の向上を図ったとしても、期待した効果が得られない場合がある。」

(3)原査定の拒絶の理由で周知技術を示す例として引用された刊行物3(国際公開第2012/127695号)には、「金属-セラミックス接合基板およびその製造方法」に関し、図面とともに次の事項が記載されている。
「近年、電気自動車、電車、工作機械などの大電流を制御するために、パワーモジュールが使用されている。従来のパワーモジュールでは、ベース板と呼ばれている金属板または複合材の一方の面に金属-セラミックス絶縁基板が半田付けなどにより固定され、この金属-セラミックス接合基板の金属回路板上に半導体チップが半田付けにより固定されている。また、ベース板の他方の面(裏面)には、ねじ止めなどにより熱伝導グリースを介して金属製の放熱フィンや冷却ジャケットが取り付けられている。」(明細書第1ページ第12ないし18行)

(4)原査定の拒絶の理由で周知技術を示す例として引用された刊行物4(特開2005-64168号公報)には、「金属ベース回路基板およびその製造方法」に関し、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0002】
回路基板、特に金属ベース回路基板は、金属板上の一主面上に絶縁層を介して回路を設けた構造を有する(特許文献1、特許文献2参照)ので、絶縁層を高熱伝導化することにより、高集積化されたICなどの高発熱性電子部品からの発熱を効率良く放熱できる特徴があること、更に機械的強度にも優れる特徴があることから、音響機器用回路基板、自動車等の車載用回路基板、冷暖房機器用回路基板などとして広く産業界で使用されている。」

(5)原査定の拒絶の理由で周知技術を示す例として引用された刊行物5(特開2005-108387号公報)には、「光ヘッド装置、実装用FPC、放熱方法、FPCの製造方法」に関し、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0029】
本発明によれば、レーザ光を駆動する駆動ICを実装するFPCの両面に、導電性材料と絶縁性材料の積層構造を設け、このFPCの片面における積層構造を部分的に除去して放熱穴を形成し、この放熱穴の領域面をフレームで覆うこととしたから、駆動ICの放熱効果をより向上できるFPCを製造することが可能となる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る光ヘッド装置は、以上説明したように直接的又は放熱部材を介して間接的に熱伝導性を有するフレームに熱を逃すような構成となっており、駆動ICで発生した熱を効果的に逃すことができ、ひいては駆動ICの誤作動等の防止に資することとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、実装用FPCを光ヘッド装置に用いた場合について説明するが、本発明はこれに限らず、電卓、カメラ、磁気ヘッド、時計、電話機、音響機器、OA機器など、様々な精密電子機器に用いることができる。」

2.対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、その技術的意義、機能または構造からみて、引用発明における「多層構造の基板本体1」は本願発明1における「多層基板」に相当し、以下同様に、「外層領域Sに位置する受熱部12に取り付けた」は「面実装した」に、「発熱体F」は「発熱部品」に、「発熱した熱」は「発生した熱」に、「内部に銅製の伝熱柱状体16を配してなる受熱側スルーホールT1」及び「内部に銅製の伝熱柱状体16を配してなる発熱側スルーホールT2」は「サーマルビア」に、「放熱体」は「放熱部材」に、「放熱経路13」は「放熱構造」に、「発熱体Fが取り付けられた領域」は「発熱部品が取り付けられた領域」に、「多層構造の基板本体1の厚銅箔層15に沿って面方向に熱伝導させる受熱部12と放熱部13との間の領域」は「多層基板のパターンに沿って面方向に熱伝導させる領域」に、それぞれ相当する。
また、引用発明における「放熱部13」は、伝熱性を有することは明らかであるから「伝熱部」という限りにおいて、本願発明1における「圧接された伝熱部材」に相当し、また、引用発明における「放熱部13が設けられる領域」は、「伝熱部が設けられる領域」という限りにおいて、本願発明1における「伝熱部材が圧接された領域」に相当する。

そこで、両者は、本願発明1の用語を用いて表現すると、次の点で一致する。
[一致点]
「多層基板に面実装した発熱部品で発生した熱を、サーマルビアを介して前記発熱部品から前記多層基板の厚み方向と面方向に伝えて前記多層基板の伝熱部へ導き、前記伝熱部を介して放熱部材へ放熱する発熱部品の放熱構造において、
前記発熱部品が面実装された領域を前記多層基板の厚み方向に熱伝導させる領域とし、前記多層基板の厚み方向に熱伝導させる領域の前記サーマルビアを、前記多層基板のパターンに沿って面方向に熱伝導させる領域より高密度に配置するとともに、
前記伝熱部が設けられる領域にサーマルビアを配置した発熱部品の放熱構造。」

そして、両者は次の各点で相違する。
[相違点1]
「伝熱部」が、本願発明1においては、「圧接された伝熱部材」であるのに対して、引用発明においては、放熱部13である点。

[相違点2]
本願発明1においては、伝熱部材が圧接された領域、すなわち、放熱部材が設けられる領域の「サーマルビア」を、「発熱部品に近い側から遠ざかるに連れて高密度に配置した」のに対して、引用発明においては、放熱部13が設けられる領域に、内部に銅製の伝熱柱状体16を配してなる発熱側スルーホールT2を配置しているが、発熱部品に近い側から遠ざかるに連れて高密度に配置したものではない点。

3.判断
上記相違点2について検討する。
本願発明1では、伝熱部材が圧接された領域、すなわち、放熱部材が設けられる領域の「サーマルビア」を、「発熱部品に近い側から遠ざかるに連れて高密度に配置した」ことにより、サーマルビア5をピッチaで高密度に配置した構成と比べて、発熱部品1から熱伝導ラバー4までの熱伝導経路における熱抵抗を低下させることができ(本願明細書段落【0020】を参照。)、領域2c内における熱伝導率を確保できるため、発熱部品1で発生した熱を効率的に放熱板3へ放熱することができ(本願明細書段落【0025】を参照。)、サーマルビア5の数の増加を抑制させることができる(本願明細書段落【0028】を参照。)。
周知技術として引用された刊行物2(前記「1(2)」を参照。)には、基板及び基板の製造方法に関して、伝熱部材としてグリースを用いることが記載されている(以下、「刊行物2に記載された事項」という。)。
周知技術として引用された刊行物3(前記「1(3)」を参照。)には、金属-セラミックス接合基板およびその製造方法」に関して、伝熱部材として熱伝導グリースを用いることが記載されている(以下、「刊行物3に記載された事項」という。)。
周知技術として引用された刊行物4(前記「1(4)」を参照。)には、「金属ベース回路基板およびその製造方法」に関して、音響機器用回路基板において高発熱性電子部品からの発熱を効率良く放熱することが記載されている(以下、「刊行物4に記載された事項」という。)。
周知技術として引用された刊行物5(前記「1(5)」を参照。)には、「光ヘッド装置、実装用FPC、放熱方法、FPCの製造方法」に関して、駆動ICの放熱効果を向上できるFPCを音響機器に用いることが記載されている(以下、「刊行物5に記載された事項」という。)。
すると、周知技術として引用された刊行物2ないし5に記載された事項(以下、「周知技術」という。)は、本願発明1の上記相違点2に係る発明特定事項である「伝熱部材が圧接された領域のサーマルビアを、発熱部品に近い側から遠ざかるに連れて高密度に配置した」点について、記載または示唆するものではない。
そうすると、引用発明に上記周知技術を適用したとしても、相違点2に係る本願発明1の発明特定事項とはならない。
したがって、上記相違点2に係る構成を具備する本願発明1は、相違点1について検討するまでもなく、引用発明及び上記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
本願発明2及び3は、本願発明1をさらに限定したものであるので、本願発明1と同様に、引用発明及び上記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

第5.むすび
以上のとおり、本願の請求項1ないし3に係る発明は、当業者が引用発明及び上記周知技術に基いて容易に発明をすることができたものではないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-09-20 
出願番号 特願2013-41869(P2013-41869)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H05K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 井出 和水  
特許庁審判長 森川 元嗣
特許庁審判官 小関 峰夫
中川 隆司
発明の名称 発熱部品の放熱構造およびこれを用いたオーディオ装置  
代理人 田澤 英昭  
代理人 辻岡 将昭  
代理人 中島 成  
代理人 濱田 初音  
代理人 坂元 辰哉  
代理人 井上 和真  
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