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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04W
管理番号 1319831
審判番号 不服2015-14464  
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-07-31 
確定日 2016-09-21 
事件の表示 特願2013-214240「ワイヤレス・ネットワーク接続へのアクセス・ポイントを多重化するためのコンセントレータ」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 3月20日出願公開、特開2014- 53926〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、2009年(平成21年)6月23日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2008年6月23日 米国、2008年7月9日 米国、2008年8月7日 米国、2009年6月18日 米国)を国際出願日とする特願2011-516539号の一部を平成25年10月11日に新たな特許出願としたものであり、平成26年10月28日付けで拒絶理由が通知され、平成27年2月4日付けで手続補正がなされ、平成27年3月26日付けで拒絶査定(謄本送達日平成27年3月31日)がなされ、これに対して平成27年7月31日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされたものである。


第2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成27年7月31付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された、次の事項により特定されるものである。

「【請求項1】
アクセス・ポイントから受信したダウンリンク・パケットから局所的に一意の識別子を抽出することと、
前記局所的に一意の識別子に関係するモバイル・デバイス識別子と異種アクセス・ポイント識別子とを判断することと、
前記ダウンリンク・パケット中の前記局所的に一意の識別子を前記モバイル・デバイス識別子と置き換えることと、
前記ダウンリンク・パケットを前記異種アクセス・ポイント識別子に関係する異種アクセス・ポイントに送信することとを備える方法。」


第3.引用例
原査定の拒絶の理由で引用された刊行物1(Mitsubishi Electric, "EUTRAN Proxy in support of massive deployment of HNBs", 3GPP TSG RAN WG3 Meeting #59, 5 February 2008, R3-080062, pp.1-6)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(1)第2頁第4行?第13行及び図1(HNB展開のためのプロキシ・ベースのアーキテクチャ)
「According to that architecture, the proxy function acts as one X2 proxy and one S1 proxy and is in charge of a set of home eNodeBs.
The S1-C proxy is connected to all MMEs in a pool through S1-C interfaces (similarly to macro eNodeBs), while connected to each home eNodeB via one single S1-C interface. Thus, home e-NodeBs behind a HNB proxy are hidden from the MME, and conversely, each home e-NodeB sees the HNB proxy as one single (virtual) MME.
On its southbound side, X2 proxy is connected to each home eNodeB it is in charge of, through one X2 interface per home eNodeB. On its northbound side, it is connected through other X2 interfaces to macro eNodeBs managing cells overlapping one or several home eNodeBs managed by the proxy. Thus, from the viewpoint of macro eNodeB's X2 connectivity, the set of home eNode Bs behind a proxy appears as a single (virtual) node with a single X2 interface. X2 proxy would typically be connected to few macro eNodeBs (e.g. ranging from 1 to 10).」
(下線は当審において付したものである。当審訳:「このアークテクチャによれば、プロキシ機能は1つのX2プロキシ及び1つのS1プロキシとして動作し、一組のホームeNodeBを受け持つ。
S1-Cプロキシは、S1-Cインターフェイスを通じてプールの中にある全てのMMEと接続され(マクロeNodeBと同様)、同時に1本のS1-Cインターフェイスを通じて各ホームeNodeBに接続される。このように、HNBプロキシの後ろにあるホームeNodeBはMMEからは隠れ、逆に、各ホームeNodeBにはHNBプロキシが単一の(仮想の)MMEに見える。
下流側では、X2プロキシは、ホームeNodeB毎に1本のX2インターフェイスを通して、担当する各ホームeNodeBに接続される。上流側では、X2プロキシは、他のX2インターフェイスを通して、当該プロキシに管理される1つ又はいくつかのホームeNodeBをオーバーラップしているセルを管理するマクロeNodeBに接続される。このように、マクロeNodeBのX2接続性の視点からは、プロキシの後ろにある一組のホームeNodeBは、単一のX2インターフェイスで接続された単一の(仮想の)ノードとなって現れる。X2プロキシは、典型的には、少数のマクロeNodeB(例えば、1から10の範囲)に接続される。」)


(2)第3頁第3行?第18行及び第3頁の表
「For the sake of convenience, we here define two reference points between HNB proxy and HNB/MME as follows:
- S1-h the S1-C interface between HNB proxy and HNB,
- S1-m the S1-C interface between HNB proxy and MME.
Basically, the HNB proxy has to maintain for each user context present in one HNB, the association between the following information:

VMME_UE_Id and VENB_UE_Id are determined by the HNB proxy at the time of setting up the UE context (e.g. at the time of transition to active mode, or upon handover to HNB cell). HNB_UE_Id is determined by the home eNodeB, MME_UE_Id is determined by MME. In each UE context, the HNB proxy maintains in addition the identifiers of the home e-NodeB and the MME which both deal with that UE.
・Once the context is established, the HNB proxy handles the S1-m signalling message as follows:
- it extracts the pair MME_UE_Id and VENB_UE_Id of the incoming S1-m, and
- it looks in the table the associated context to read the identifier of HNB dealing with the context.
- It identifies the destination HNB from the UE context indexed by the VENB_UE_Id
- it replaces in the received message the value MME_UE_Id with VMME_UE_Id, and the value VENB_UE_Id with HNB_UE_Id as stored in the association table.
- it sends the modified message to the destination HNB via the corresponding S1-h interface.」
(下線は当審において付したものである。当審訳:簡便のために、HNBプロキシとHNB/MMEとの間の2つの参照点を以下のとおり定義する:
- S1-h HNBプロキシとHNBとの間のS1-Cインターフェイス
- S1-m HNBプロキシとMMEとの間のS1-Cインターフェイス
基本的に、HNBプロキシは、一つのHNBにある各ユーザーコンテキストのために、次の情報の間の関係を維持しなければならない:

VMME_UE_Id及び VENB_UE_Idは、 (例えば、アクティブ・モードへの移行時点で、又はHNB セルへのハンドオーバーに際して)UEコンテキストをセットアップする時に、HNBプロキシによって決定される。HNB_UE_Id はホームeNodeBによって決定され、MME_UE_Id は、MMEによって決定される。各UEコンテキストにおいて、HNBプロキシは、さらにそのUEを扱うホームe-NodeB及びMMEの識別子を維持する。
・一度、コンテキストが確立されると、HNBプロキシはS1-m信号メッセージを以下のように取り扱う:
- HNBプロキシは、入来してきたS1-mメッセージから、MME_UE_Id及びVENB_UE_Idのペアを抽出し、
- HNBプロキシは、表の中の関連付けられたコンテキストを見て、そのコンテキストを取り扱うHNBの識別子を読み取る。
- HNBプロキシは、VENB_UE_Idによってインデックスを付けられたUEコンテキストから行き先HNBを識別し、
- HNBプロキシは、受信したメッセージ中の値MME_UE_IdをVMME_UE_Idで置換し、値VENB_UE_Id を、関連付けられた表に格納されているHNB_UE_Idで置換し、
- HNBプロキシは、対応するS1-hインターフェイスを介して、修正されたメッセージを行き先HNBへ送信する。)

(3)第4頁第2行?第4行
「On X2 interfaces, the HNB proxy has a similar behaviour as for S1 interfaces, i.e. it extracts some specific IEs from received message, looks on a table, identifies the destination node, patches in the message these specific IEs with new values coming from the table, and forwards the message to the destination node.」
(下線は当審において付したものである。当審訳:X2インターフェイスについて、HNBプロキシはS1インターフェイスと同様の行動をする、すなわち、HNBプロキシは、受信したメッセージからいくつかの特定のIEを抽出し、表を見て、行き先ノードを識別し、メッセージ中のこれら特定のIEに表からの新しい値でパッチを当て、そのメッセージを行き先ノードへ送信する。)

したがって、刊行物1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「HNBプロキシが、
S1インターフェイスについては、
S1-Cインターフェイスを通じて各HNBに接続され、同時にS1-Cインターフェイスを通じてMMEと接続され、
一つのHNBにある各ユーザーコンテキストのために、UEコンテキストのセットアップ時にHNBプロキシによって決定されたVMME_UE_Id及びVENB_UE_Idと、MMEによって決定されたMME_UE_Id及びHNBによって決定されたHNB_UE_Idとをそれぞれ関連付けて維持するとともに(上記記載(2)の表参照)、各UEコンテキストにおいて、さらにそのUEを扱うHNB及びMMEの識別子を維持し、
一度、コンテキストが確立されると、
入来してきたS1-mメッセージから、MME_UE_Id とVENB_UE_Idのペアを抽出し、
表の中の関連付けられたコンテキストを見て、そのコンテキストを取り扱うHNBの識別子を読み取り、
VENB_UE_Id によってインデックスを付けられたUEコンテキストから行き先HNBを識別し、
受信したメッセージ中の値MME_UE_Id をVMME_UE_Idで置換し、値VENB_UE_Id を、関連付けられた表に格納されているHNB_UE_Idで置換し、
対応するS1-hインターフェイスを介して、修正されたメッセージを行き先HNBへ送信する方法であって、
X2インターフェイスについては、
下流側では、HNB毎に1本のX2インターフェイスを通して、担当する各HNBに接続され、上流側では、他のX2インターフェイスを通して、マクロeNodeBに接続され、
S1インターフェイスと同様に、受信したメッセージからいくつかの特定のIEを抽出し、表を見て、行き先ノードを識別し、メッセージ中のこれら特定のIEに表からの新しい値でパッチを当て、そのメッセージを行き先ノードへ送信する方法。」


第4.対比(一致点、相違点の認定)
(1)引用発明のHNBプロキシがX2インターフェイスを通じてマクロeNodeBから受信するメッセージは、ダウンリンクのメッセージであり、パケットで送信されることも技術常識である。また、引用発明のマクロeNodeB、行き先HNB及び行き先ノードが、ユーザー端末からのアクセス・ポイントとして機能し得ることも技術常識であるから、引用発明のHNBプロキシがX2インターフェイスを通じてマクロeNodeBから受信したメッセージは、本願発明の「アクセス・ポイントから受信したダウンリンク・パケット」に相当する。
また、引用発明のHNBプロキシは、X2インターフェイスを通じてマクロeNodeBと通信する場合においても、S1インターフェイスの場合と同様に、UEコンテキストのセットアップ時に決定したVENB_UE_IdとHNBによって決定されたHNB_UE_Idとを関連付けて維持し、コンテキスト確立後に当該HNBプロキシが受信したメッセージから抽出するいくつかの特定のIEには、「VENB_UE_Id」が含まれるものと認められる。
そして、この「VENB_UE_Id」はIdであるから、「一意の識別子」ということができる。
そうすると、引用発明のHNBプロキシは、「アクセス・ポイントから受信したダウンリンク・パケットから一意の識別子を抽出」しているといえる。
もっとも、引用発明の「VENB_UE_Id」が、「局所的に」一意であるのか、「グローバルに」一意であるのかは不明である。

(2)本願発明にいう「異種」は、本願の願書に最初に添付した明細書とみなされる外国語書面の翻訳文の段落63及び図6の記載から明らかなように、X2インターフェイスを使用してコンセントレータ構成要素を介して通信する「eNB/HeNB602」と「HeNB504」との関係を含む概念であるから、引用発明において、「マクロeNodeB」からみた「行き先ノード」も、本願発明にいう「異種」ということができ、引用発明の「行き先ノード」及びその識別子である「HNBの識別子」は、それぞれ本願発明の「異種アクセス・ポイント」及び「異種アクセス・ポイント識別子」に相当する。
そして、引用発明のHNBプロキシは、S1インターフェイスの場合と同様に、X2インターフェイスを通じてマクロeNodeBから受信したメッセージ中からVENB_UE_Idを抽出し、表の中の関連付けられたコンテキストを見て、そのコンテキストを取り扱うHNBの識別子を読み取るものと認められるから、「一意の識別子に関係する異種アクセス・ポイント識別子を判断」しているといえる。
さらに、引用発明では、S1インターフェイスを通じて受信したメッセージ中のVENB_UE_Idを、関連付けられた表に格納されているHNB_UE_Idで置換しており、X2インターフェイスについても同様に、受信したメッセージ中のVENB_UE_Idに対して表からの新しい値であるHNB_UE_Idでパッチを当てる、即ち、置換するものと認められる。
この「HNB_UE_Id」は、UEのIdであると解されるから、本願発明にいう「モバイル・デバイス識別子」に相当し、引用発明のHNBプロキシは、「一意の識別子に関係するモバイル・デバイス識別子を判断」し、「ダウンリンク・パケット中の一意の識別子をモバイル・デバイス識別子と置き換え」ているといえる。

(3)引用発明のHNBプロキシは、対応するS1-hインターフェイスを介して、修正されたS1-m信号メッセージを行き先HNBに送信しており、X2インターフェイスを通じてマクロeNodeBから受信したメッセージについても、同様にパッチを当てたメッセージを行き先ノードに送信しているから、引用発明においても、本願発明と同様、「ダウンリンク・パケットを異種アクセス・ポイント識別子に関係する異種アクセス・ポイントに送信」しているといえる。

したがって、本願発明と引用発明の一致点・相違点は、次のとおりである。

[一致点]
「アクセス・ポイントから受信したダウンリンク・パケットから一意の識別子を抽出することと、
前記一意の識別子に関係するモバイル・デバイス識別子と異種アクセス・ポイント識別子とを判断することと、
前記ダウンリンク・パケット中の前記一意の識別子を前記モバイル・デバイス識別子と置き換えることと、
前記ダウンリンク・パケットを前記異種アクセス・ポイント識別子に関係する異種アクセス・ポイントに送信することとを備える方法」である点。

[相違点]
一意の識別子が、本願発明では、局所的に一意であるのに対して、引用発明では、局所的に一意なのか、グローバルに一意なのか不明である点。


第5.判断
上記相違点について検討する。
引用発明のVENB_UE_Idの先頭の文字「V」は、「Virtual」つまり「仮想」の意味であり、仮想的な識別子についてはグローバルに一意である必要性はなく、局所的に一意で十分であるから、VENB_UE_Id を局所的に一意の識別子とすることは、当業者が容易に想到できたことである。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


第6.むすび
本願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-04-22 
結審通知日 2016-04-26 
審決日 2016-05-09 
出願番号 特願2013-214240(P2013-214240)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊東 和重  
特許庁審判長 加藤 恵一
特許庁審判官 北岡 浩
佐藤 智康
発明の名称 ワイヤレス・ネットワーク接続へのアクセス・ポイントを多重化するためのコンセントレータ  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 井関 守三  
代理人 奥村 元宏  
代理人 福原 淑弘  
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