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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B65G 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 B65G 審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 B65G |
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管理番号 | 1320178 |
審判番号 | 不服2016-2170 |
総通号数 | 203 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-11-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-02-12 |
確定日 | 2016-10-25 |
事件の表示 | 特願2011-190785「パーツフィーダの駆動装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 3月21日出願公開、特開2013- 52945、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成23年9月1日の出願であって、平成27年4月15日付けで拒絶理由が通知され、これに対して平成27年6月16日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成27年11月9日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対して平成28年2月12日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に明細書及び特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出されたものである。 第2 平成28年2月12日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否 1 本件補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲に関して、本件補正により補正される前の(すなわち、平成27年6月16日に提出された手続補正書により補正された)下記の(1)に示す請求項1ないし5を、下記の(2)に示す請求項1ないし4と補正するものである。 (1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし5 「 【請求項1】 振動源が取り付けられた板ばねの生成する振動を用いてパーツを搬送するパーツフィーダの駆動装置であって、垂直面に取り付けられるものにおいて、 互いに平行に配された複数の平板状ばねにより構成され、前記平板状ばねの各一端は前記垂直面に差し込まれて固定され、各他端は相互に固定された自由端をなし、前記平板状ばねが水平に配された一対の水平平行ばねと、 対向配置された一対の垂直部、およびこれら垂直部の各一端間を繋ぐ水平部によりコ字状に形成され、前記垂直部の各他端が前記一対の水平平行ばねにおける前記自由端にそれぞれ固定されたコ字状ばねとをそなえ、 前記水平平行ばねおよび前記コ字状ばねに設けられた振動源が発生する振動により、前記コ字状ばねの前記水平部に垂直面内での楕円運動を起こさせることを特徴とするパーツフィーダの駆動装置。 【請求項2】 請求項1記載のパーツフィーダの駆動装置において、 前記水平平行ばねは、前記コ字状ばねに対して上面から見て直角をなすように固定されたことを特徴とするパーツフィーダの駆動装置。 【請求項3】 請求項1記載のパーツフィーダの駆動装置において、 前記水平平行ばねは、前記コ字状ばねに対して上面から見て直線をなすように固定されたことを特徴とするパーツフィーダの駆動装置。 【請求項4】 請求項1記載のパーツフィーダの駆動装置において、 前記水平平行ばねは、前記コ字状ばねに対して上面から見て直角未満の任意角度をなすように斜めに固定されたことを特徴とするパーツフィーダの駆動装置。 【請求項5】 請求項1記載のパーツフィーダの駆動装置において、 前記振動源は、前記ばねの端部寄りに固定されたことを特徴とするパーツフィーダの駆動装置。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし4 「 【請求項1】 振動源が取り付けられた板ばねの生成する振動を用いてパーツを搬送するパーツフィーダの駆動装置であって、垂直面に取り付けられるものにおいて、 互いに平行に配された複数の細長い平板状ばねにより構成され、前記平板状ばねの各一端は前記平板状ばねの長手方向が水平になるように前記垂直面に差し込まれて固定され、各他端は相互に固定された自由端をなし、前記平板状ばねが水平に配された一対の水平平行ばねと、 細長い平板状ばねが対向配置された一対の垂直部、およびこれら垂直部の各一端間を繋ぐ水平部によりコ字状に形成され、前記垂直部の各他端が前記一対の水平平行ばねにおける前記自由端にそれぞれ固定されたコ字状ばねとをそなえ、 前記水平平行ばねおよび前記コ字状ばねの前記垂直部に設けられた振動源が発生する振動により、前記コ字状ばねの前記水平部に垂直面内での楕円運動を起こさせることを特徴とするパーツフィーダの駆動装置。 【請求項2】 請求項1記載のパーツフィーダの駆動装置において、 前記水平平行ばねは、前記コ字状ばねに対して上面から見て直角をなすように固定されたことを特徴とするパーツフィーダの駆動装置。 【請求項3】 請求項1記載のパーツフィーダの駆動装置において、 前記水平平行ばねは、前記コ字状ばねに対して上面から見て直線をなすように固定されたことを特徴とするパーツフィーダの駆動装置。 【請求項4】 請求項1記載のパーツフィーダの駆動装置において、 前記水平平行ばねは、前記コ字状ばねに対して上面から見て直角未満の任意角度をなすように斜めに固定されたことを特徴とするパーツフィーダの駆動装置。」 2 補正事項 (1)本件補正前の請求項1についての補正 本件補正は、本件補正前の上記1(1)における請求項1を、本件補正後の上記1(2)における請求項1にする補正(以下、「補正事項1」という。)を含むものである。 (2)本件補正前の請求項5についての補正 本件補正は、本件補正前の上記1(1)における請求項5を削除する補正(以下、「補正事項2」という。)を含むものである。 3 本件補正の適否 (1)補正事項1について 補正事項1は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項(以下、「請求項1に係る発明の発明特定事項」という。)である「一対の水平平行ばね」を構成する「互いに平行に配された複数の平板ばね」について、その形状が「細長い」こと、及び「平板状ばねの各一端」が「垂直面に差し込まれて差し込まれて固定され」る態様が「平板状ばねの長手方向が水平になるように」されていることを限定する補正を含むものである。 また、補正事項1は、本件補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項である「コ字状ばね」について、「細長い平板状ばね」で形成されることを限定する補正を含むものである。 さらに、補正事項1は、本件補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項である「振動源」について、コ字状ばねに設ける位置を「コ字状ばねの垂直部」に限定する補正を含むものである。 したがって、特許請求の範囲の請求項1についての本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項を限定したものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、補正事項1は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そして、補正事項1により、請求項1を引用する請求項2ないし4についても、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する補正がなされたことになる。 そこで、補正事項1によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に係る発明(以下、順に「本願補正発明1」ないし「本願補正発明4」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。 ア 刊行物 (ア)刊行物1 a 刊行物1の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物であって、本件出願前に頒布された刊行物である特開平11-180525号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 (a)「【0010】図1、図2及び図3において、第1の実施の形態による楕円振動フィーダは全体として21で示されるが、従来と同様な構造のトラフ22の中央底部には中間部材23が一体的に固定されており、これに対となる水平板ばね間のスペーサ部となる中間部材24が一体的に固定され、更にこれに可動コア25が固定されている。これが空隙をおいて第2電磁石34と対向している。また、垂直に垂下する第2の可動コア35’を取り付け、これは第1電磁石35と空隙をおいて対向している。電磁石34、35はベースブロック26に固定されている。また、このベースブロック26の両端面には垂直板ばね27、28の下端部が固定される。垂直板ばね27、28の上端部は左右で対となっており、中間に位置する部材24と同厚さのスペーサ部材33a、34bにボルトにより、固定されている。左右で一対、又は上下で一対となった水平板ばね29、30及び31、32はその内側端部及び外側端部において、ボルトbにより固定される。以上のようにして上下で対となる水平板ばね29、30は第1のスペーサ部材33a、第2のスペーサ部材としての中間部材24を介挿させて、これに固定され、他方の対の板ばね31、32も第1のスペーサ部材33b、第2のスペーサ部材(共用)としての中間部材24を介在させてボルトbにより、これに固定されている。ベースブロック26は防振ゴムGにより床上に支持されている。 【0011】本発明の第1の実施の形態による楕円振動フィーダ21は以上のように構成されるが、次にこの作用について説明する。 【0012】第2の電磁石34のコイルには第2電圧が印加され、また第1の電磁石35のコイルには、第2電磁石のコイルに印加される電圧とはある位相差をもった第2電圧(周波数は同一)が印加される。これによりそれぞれ可動コア25、35’を吸引させて、トラフ22に楕円振動を行なわせるのであるが、これは上述したように垂直方向の振動変位と水平方向の振動変位との間に所定の位相差をもつように、上述の第1、第2電圧間に位相差をもたせたのであるが、このリニア楕円振動フィーダ21においては水平方向には共振するような周波数で、第1電磁石35のコイルに電圧を印加している。垂直方向の共振周波数からはある周波数離れた駆動周波数でトラフ20は上下方向に駆動される。よって上述の楕円振動を行なう。 【0013】本発明の第1の実施の形態によれば、水平板ばね29、30及び32、32間には図示するようにこれら板ばね29、30、31、32の厚さよりも遥かに大きい(図示では約2.5倍として図示している)第1、第2のスペーサ部材24、33a、33bを介在させて、これらに両端部で固定されている。従って仮に第1電磁石35と第1可動コア35’との吸引方向や板ばね27、28の組み立て方が水平板ばね29、30及び31、32に対し、厳密に垂直ではないとしても、スペーサ部材24、33a、33b及び上記一対の板ばね29、30と31、32で構成される垂直振動用の板ばねは、その長手方向の周りの捩じりに対しては大きな曲げ剛性を示す。よって、従来生じていた捩じり振動はなく、ほゞ所望の上下方向の振動のみを行なわせる。よってトラフ22は所望の楕円振動を行なう。よってこの内部で移送されている材料または部品に搬送ムラなく、左方又は右方へと搬送されることができる。」(段落【0010】ないし【0013】) (b)「【0014】図4、図5及び図6は本発明の第2の実施の形態による楕円振動フィーダを示すが、全体としては51で示され、トラフ52の中央底部には中間部材53が固定され、これに更に板ばね取付部材54が一体的に固定されている。この中央部には第2の可動コア61が固定されており、これと空隙をおいて第2の電磁石60が横E字型の基台55に固定されている。これは図6に明示されるように中間部に板ばね取付部55aを下方に突出させており、これに整列して第1のスペーサ部材56が配設され、水平な板ばね71、72の中間部に介在されてボルトbにより取付部55aに固定されている。更にこの板ばね71、72の両端部は板ばね取付部としての第2のスペーサ部材57a、57bを介在させ、この上下にボルトbにより固定されている。ブロック状のスペーサ部材57a、57bの厚みは同一である。基台55は防振ゴム64により、床上に支持されている。 【0015】本発明の第2の実施の形態は以上のように構成されるが、次にこの作用について説明する。 【0016】本実施の形態においてもこの水平方向の共振周波数は垂直板ばね58、59のばね常数やトラフ52の質量等により決定され、また垂直方向の共振周波数は板ばね71、72のばね常数及びトラフの質量等によって決定されるのであるが、第1の実施の形態と同様に水平方向にはほゞ水平方向の共振周波数と同じ駆動周波数で駆動され、同じ駆動周波数で垂直方向の加振用の第2電磁石60で駆動される。よって第1の実施の形態と同様にトラフ52は所望の楕円振動を行なうのであるが、本実施の形態においても水平方向用の板ばね58、59、電磁石62、可動部63の組み立て誤差があったとしても水平板ばね71、72間にはこれらの厚みの約3倍程度のブロック状のスペーサ部材56a、57a、57bを介在させて、その中間部及び両端部で固定されているので、その長手方向の周りの捩じり曲がり剛性は非常に高く、上記大きな誤差があったとしても捩じれることがなく、トラフ52に所望の楕円振動を行なわせることができる。よって搬送むらがなく材料や部品をスムーズに搬送することができる。」(段落【0014】ないし【0016】) (c)「【0017】図7は本発明の第3の実施の形態を示し、全体は81で示されているが、上記実施の形態と同様にトラフ82は同様な内部構造を有し、その中心部には取付部82aが固定されており、これに第1の水平板ばね88、89、96、97の厚みの約3倍程度の第1のスペーサ部材83が取り付けられており、更にこの左右にこれと同厚の板ばね取付ブロック84a、84bが第2のスペーサ部材として配設され、これらに水平板ばね88、89及び他の対の板ばね96、97の両端部がボルトbにより固定されている。更に左右のスペーサ部材としても共用されている取付ブロック84a、84bには垂直板ばね86、87の上端部が固定され、この下端は基台85に固定されている。リニア楕円振動フィーダ81全体は防振ゴム100により、床上に支持されている。本実施の形態によれば水平の板ばね88、89、96、97の両面にはそれぞれジルコン酸鉛やチタン酸鉛等でなる圧電素子88a、88b、89a、89b、96a、96b及び97a、97bが貼着されている。同様に垂直板ばね86、87の両面にも同様にジルコン酸鉛やチタン酸鉛等でなる圧電素子86a、86b及び87a、87bが貼着されている。これらに電極の一部が図示されているようにそれぞれ第1、第2電圧が印加される。なお、それぞれの板ばね88、89、96、97の表側に取り付けられた圧電素子88a、96a、89a、97aは裏面側に取り付けられている圧電素子88b、89b、96b、97bとは一方が延びる場合には他方が縮むように電圧を与えるべく、極性が定められている。垂直な板ばね86、87の両面に取り付けられている圧電素子86a、86b、87a、87bについても同様である。 【0018】本実施の形態においても水平方向にほゞ共振するような駆動周波数の電圧が圧電素子86a、86b、87a、87bに印加される。水平方向の振動変位と垂直方向の振動変位との間に所定の位相差をもった第1、第2の電圧が印加される。 【0019】本実施の形態においても厚いスペーサ部材83、84a、84bを介在させて、一対の板ばね88、89及び96、97はその両端部において固定されているので、水平方向の加振力に対して垂直に組み立てなかったとしてもその長手方向の周りの捩じり曲げ剛性が非常に大きくなり、捩じれることはなく、よってトラフ82は所望の楕円振動を行なうことができる。更に本実施の形態によれば、上記の実施の形態と異なり、第1、第2の電磁石が省略されているので、その構造は非常に簡素化されるとともに板ばね88、89、96、97及び86、87のそれぞれ取付部材83、84a、84b、85への組み立てが非常に簡単になる。 【0020】以上のような実施形態でトラフ内の材料又は部品の搬送むらをなくし、本来の楕円振動による高速搬送を行うことができる。更に従来例と比べトラック形状の開口4aを形成させることになるので加工が簡単である。」(段落【0017】ないし【0020】) b 上記a及び図面の記載から分かること b-1 第2の実施の形態の記載から分かること (a)上記a(b)及び図4ないし6の記載によれば、刊行物1には、垂直板ばね58、59及び水平板ばね71、72の生成する振動を用いて部品を搬送する楕円振動フィーダ51の駆動装置が記載されていることが分かる。 (b)上記a(b)及び図4ないし6の記載(特に、段落【0014】及び図4ないし6の記載)によれば、楕円振動フィーダ51の駆動装置が、床上に支持されるものであることが分かる。 (c)上記a(b)及び図4ないし6の記載(特に、段落【0014】及び図4ないし6の記載)によれば、楕円振動フィーダ51の駆動装置が、互いに平行に配された細長い水平な板ばね71、72により構成され、水平な板ばね71、72の中間部は水平な板ばね71、72の長手方向が水平になるように基台55の下方に突出した取付部55aに第1のスぺーサ部材56を介在させて固定され、各端は相互に固定された自由端をなし、水平な板ばね71、72が水平に配された水平平行ばねを備えることが分かる。 (d)上記a(b)及び図4ないし6の記載(特に、段落【0014】及び図4ないし6の記載)によれば、楕円振動フィーダ51の駆動装置が、細長い平板状ばねが対向配置された一対の垂直部、およびこれら垂直部の各一端間を繋ぐ水平部によりコ字状に形成され、垂直部の各他端が一対の水平平行ばねにおける自由端にそれぞれ固定されたコ字状ばねを備えることが分かる。 (e)上記a(b)及び図4ないし6の記載(特に、段落【0014】及び【0016】並びに図4の記載)によれば、楕円振動フィーダ51の駆動装置が、基台55とコ字状部材の板ばね取付部材54との間に設けられた第1の電磁石62と可動部63からなる水平方向の加振用の加振器及び第2の電磁石60と第2の可動コア61からなる垂直方向の加振用の加振器が発生する振動により、コ字状部材の板ばね取付部材54に垂直面内での楕円運動を起こさせることが分かる。 b-2 第3の実施の形態の記載(前提として第1の実施の形態の記載も参考にする。)から分かること (a)上記a(a)及び(c)並びに図1ないし3及び7の記載(特に、段落【0017】ないし【0020】及び図7の記載)によれば、刊行物1には、圧電素子86a、86b、87a、87b、88a、88b、89a、89b、90a、90b、91a、91bが取り付けられた垂直板ばね86、87及び水平板ばね88、89、90、91の生成する振動を用いて部品を搬送する楕円振動フィーダ81の駆動装置が記載されていることが分かる。 なお、刊行物1の段落【0017】ないし【0020】の水平板ばね96、97、圧電素子96a、96b、97a、97bは、図7の90、91、90a、90b、91a、91bにそれぞれ対応するものとして、認定を行った。 (b)上記a(c)並びに図7の記載(特に、段落【0017】及び図7の記載)によれば、楕円振動フィーダ81の駆動装置が、床上に支持されるものであることが分かる。 (c)上記a(a)及び(c)並びに図1ないし3及び7の記載(特に、段落【0017】及び図7の記載)によれば、楕円振動フィーダ81の駆動装置が、互いに平行に配された複数の細長い水平板ばね88、89、90、91により構成され、水平板ばね88、89、90、91の各一端は水平板ばね88、89、90、91の長手方向が水平になるようにトラフに固定された取付部82aに取り付けられた第1のスぺーサ部材に固定され、各他端は相互に固定された自由端をなし、水平板ばね88、89、90、91が水平に配された一対の水平平行ばねを備えることが分かる。 (d)上記a(a)及び(c)並びに図1ないし3及び7の記載(特に、段落【0017】及び図7の記載)によれば、楕円振動フィーダ81の駆動装置が、細長い水平板ばね88、89、90、91が対向配置された一対の垂直板ばね86、87、およびこれら垂直板ばね86、87の各一端間を繋ぐ基台85によりコ字状に形成され、垂直板ばね86、87の各他端が一対の水平平行ばねにおける自由端にそれぞれ固定されたコ字状部材を備えることが分かる。 (e)上記a(c)及び図7の記載(特に、段落【0017】ないし【0019】及び図7の記載)を上記(d)とあわせてみれば、楕円振動フィーダ81の駆動装置が、水平平行ばねおよびコ字状部材の垂直板ばね86、87に設けられた圧電素子86a、86b、87a、87b、88a、88b、89a、89b、90a、90b、91a、91bが発生する振動により、一対の水平平行ばねが固定された第1のスペーサ部材に垂直面内での楕円運動を起こさせることが分かる。 c 引用発明A 上記a及びb-1を総合して、本願補正発明1の表現に倣って整理すると、刊行物1には、次の事項からなる発明(以下、「引用発明A」という。)が記載されていると認める。 「垂直板ばね58、59及び水平板ばね71、72の生成する振動を用いて部品を搬送する楕円振動フィーダ51の駆動装置であって、床上に支持されるものにおいて、 互いに平行に配された細長い水平な板ばね71、72により構成され、前記水平な板ばね71、72の中間部は前記水平な板ばね71、72の長手方向が水平になるように基台55の下方に突出した取付部55aに第1のスぺーサ部材56を介在させて固定され、各端は相互に固定された自由端をなし、前記水平な板ばね71、72が水平に配された水平平行ばねと、 細長い水平な板ばね71、72が対向配置された一対の垂直板ばね58、59、およびこれら垂直板ばね58、59の各一端間を繋ぐ板ばね取付部材54によりコ字状に形成され、前記垂直板ばね58、59の各他端が前記水平平行ばねにおける前記自由端にそれぞれ固定されたコ字状部材とをそなえ、 前記基台55と前記コ字状部材の前記板ばね取付部材54との間に設けられた第1の電磁石62と可動部63からなる水平方向の加振用の加振器及び第2の電磁石60と第2の可動コア61からなる垂直方向の加振用の加振器が発生する振動により、前記コ字状部材の前記板ばね取付部材54に垂直面内での楕円運動を起こさせる楕円振動フィーダ51の駆動装置。」 d 引用発明B 上記a及びb-2を総合して、本願補正発明1の表現に倣って整理すると、刊行物1には、次の事項からなる発明(以下、「引用発明B」という。)が記載されていると認める。 「圧電素子86a、86b、87a、87b、88a、88b、89a、89b、90a、90b、91a、91bが取り付けられた垂直板ばね86、87及び水平板ばね88、89、90、91の生成する振動を用いて部品を搬送する楕円振動フィーダ81の駆動装置であって、床上に支持されるものにおいて、 互いに平行に配された複数の細長い水平板ばね88、89、90、91により構成され、前記水平板ばね88、89、90、91の各一端は前記水平板ばね88、89、90、91の長手方向が水平になるようにトラフに固定された取付部82aに取り付けられた第1のスぺーサ部材に固定され、各他端は相互に固定された自由端をなし、前記水平板ばね88、89、90、91が水平に配された一対の水平平行ばねと、 細長い水平板ばね88、89、90、91が対向配置された一対の垂直板ばね86、87、およびこれら垂直板ばね86、87の各一端間を繋ぐ基台85によりコ字状に形成され、前記垂直板ばね86、87の各他端が前記一対の水平平行ばねにおける前記自由端にそれぞれ固定されたコ字状部材とをそなえ、 前記水平平行ばねおよび前記コ字状部材の前記垂直板ばね86、87に設けられた圧電素子86a、86b、87a、87b、88a、88b、89a、89b、90a、90b、91a、91bが発生する振動により、前記一対の水平平行ばねが固定された前記第1のスペーサ部材に垂直面内での楕円運動を起こさせる楕円振動フィーダ81の駆動装置。」 (イ)刊行物2 a 刊行物2の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物であって、本件出願前に頒布された刊行物である特許第3558584号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0012】 【発明の実施の形態】 以下、この発明の実施の形態について図面を基にして説明する。図1,図2はこの発明の第一実施形態を示すもので、この実施形態の振動フィーダ10は、1枚の板ばね1の両端から所定距離の2ヶ所を折り曲げて、その中央部を給送部11、両端部を保持脚部2としたものである。給送部11に対して保持脚部2は、一方の保持脚部2が90°よりわずかに大きく折り曲げられ、他方の保持局部2は一方の保持脚部2と平行になるように折り曲げられている。保持脚部2の両端部は、ベース板4に差し込まれて固定されている。そして、保持脚部2の両面には、圧電駆動装置である圧電セラミックス板3が貼り付けられ、保持脚部2が揺動可能に設けられている。 【0013】 この振動フィーダ1の動作原理は、図7に示すように、保持脚部2に設けられた圧電セラミックス板3に対して、図示しない駆動装置により所定周波数の信号が加えられると、その信号の周波数で揺動する。これにより、被搬送物は、給送部11上で矢印で示すように振動しながら給送方向に送られる。 【0014】 ここで、図1のような基本構成では、保持脚部2が振動すると、それと同じ断面の給送部11では、撓んでしまって振動フィーダの機能が得られないように思われるが、以下の理由により従来の振動フィーダと同様に、給送部11は保持脚部2の折り曲げ部の端の振動方向に全体が一体で振動するとみなせる。 【0015】 まず第1に、面内曲げの最低次の固有振動は、給送部11の曲げ剛性が低くても曲がらずに両側の保持脚部2のみが同方向に単純に曲るとみなせるモード形状になるので、このモードで共振するように、駆動電圧の周波数を合わせて、上部の給送部11を長手方向斜めに直線振動させる。これにより、微小振動ならば、保持脚部2の折り曲げ部の端は、保持脚部2の長手方向に直角な方向に振動するとみなせるようになる。 【0016】 第2に、給送部11の両側の保持脚部2は給送部11に対して所定の角度に折り曲げられ、折り曲げによる加工硬化によって折り曲げ部は、振動しても折り曲げ角が変化せず、剛節とみなせる状態になっている。従って、あたかも従来の振動フィーダのように、板ばねを剛体の給送部にばね押えで固定したのと同等の性能を有する。 【0017】 以上の2点により、給送部11は従来の振動フィーダと同様に、保持脚部2の折り曲げ部の端の振動方向に全体が一体で振動する。なお、振動方向は、保持脚部2の折り曲げ角だけで決めることができる。 ・・・中略・・・ 【0020】 さらに、図4に示すように、給送部11となる板ばね1の下面に、補強材15を取付けて断面係数を大きくして給送部11の曲げ鋼性を高め、給送部11がたわむのを抑えても良い。そのほか、図5、図6に示すように、給送部11となる板ばね部分1の上面に、給送路16を取付けて断面係数を大きくして給送部11の曲げ剛性を高め、給送部11がたわむのを抑えることもできる。」(段落【0012】ないし【0020】) b 刊行物2に記載された技術事項 上記a並びに図1、2、5及び6の記載によれば、刊行物2には、次の事項(以下、「刊行物2に記載された技術事項」という。)が記載されていると認める。 「振動フィーダ10において、細長い平板状ばねが対向配置された一対の保持脚部2、及びこれら保持脚部2の各一端間を繋ぐ給送部11によりコ字状に形成されたコ字状ばねをそなえ、 コ字状ばねの保持脚部2の両端部は、ベース板4に差し込まれて固定され、 コ字状ばねの保持脚部2に設けられた圧電セラミックス板3が発生する振動により、コ字状ばねの給送部11に長手方向斜めに直線振動をさせる技術。」 イ 引用発明Aを主とした検討 (ア)対比 本願補正発明1と引用発明Aとを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 ・引用発明Aにおける「垂直板ばね58、59及び水平板ばね71、72」は、本願補正発明1における「板ばね」に相当し、以下同様に、「部品」は「パーツ」に、「楕円振動フィーダ51の駆動装置」は「パーツフィーダの駆動装置」に、「水平な板ばね71、72」は「平板状ばね」に、「水平平行ばね」は「水平平行ばね」に、「垂直板ばね58、59」は「垂直部」に、「第1の電磁石62と可動部63からなる水平方向の加振用の加振器及び第2の電磁石60と第2の可動コア61からなる垂直方向の加振用の加振器」は「振動源」に、それぞれ相当する。 ・引用発明Aにおける「垂直板ばね58、59及び水平板ばね71、72」は、本願補正発明1における「振動源が取り付けられた板ばね」に、「板ばね」という限りにおいて一致する。 ・引用発明Aにおける「楕円振動フィーダ51の駆動装置であって、床上に支持されるもの」は、本願補正発明1における「パーツフィーダの駆動装置であって、垂直面に取り付けられるもの」に、「パーツフィーダの駆動装置であって、所定場所に取り付けられるもの」という限りにおいて一致する。 ・引用発明Aにおける「互いに平行に配された細長い水平な板ばね71、72により構成され」、「各端は相互に固定された自由端をなし、水平な板ばね71、72が水平に配された水平平行ばね」は、本願補正発明1における「互いに平行に配された複数の細長い平板状ばねにより構成され」、「各他端は相互に固定された自由端をなし、平板状ばねが水平に配された一対の水平平行ばね」に、「互いに平行に配された細長い平板状ばねにより構成され」、「端部は相互に固定された自由端をなし、平板状ばねが水平に配された水平平行ばね」という限りにおいて一致する。 ・引用発明Aにおける「水平な板ばね71、72の中間部は水平な板ばね71、72の長手方向が水平になるように基台55の下方に突出した取付部55aに第1のスぺーサ部材56を介在させて固定され」は、本願補正発明1における「平板状ばねの各一端は平板状ばねの長手方向が水平になるように垂直面に差し込まれて固定され」に、「平板状ばねの所定部分は平板状ばねの長手方向が水平になるように所定場所に固定され」という限りにおいて一致する。 ・引用発明Aにおける「板ばね取付部材54」は、本願補正発明1における「水平部」に、「水平部材」という限りにおいて一致する。 また、引用発明Aにおける「コ字状部材」は、本願補正発明1における「コ字状ばね」に、「コ字状部材」という限りにおいて一致する。 そして、引用発明Aにおける「細長い水平な板ばね71、72が対向配置された一対の垂直板ばね58、59、およびこれら垂直板ばね58、59の各一端間を繋ぐ板ばね取付部材54によりコ字状に形成され」た「コ字状部材」は、本願補正発明1における「細長い平板状ばねが対向配置された一対の垂直部、およびこれら垂直部の各一端間を繋ぐ水平部によりコ字状に形成され」た「コ字状ばね」に、「細長い平板状ばねが対向配置された一対の垂直部、およびこれら垂直部の各一端間を繋ぐ水平部材によりコ字状に形成され」た「コ字状部材」という限りにおいて一致する。 ・引用発明Aにおける「基台55とコ字状部材の板ばね取付部材54との間に設けられた第1の電磁石62と可動部63からなる水平方向の加振用の加振器及び第2の電磁石60と第2の可動コア61からなる垂直方向の加振用の加振器」は、本願補正発明1における「水平平行ばねおよびコ字状ばねの垂直部に設けられた振動源」に、「所定箇所に設けられた振動源」という限りにおいて一致する。 そして、引用発明Aにおける「基台55とコ字状部材の板ばね取付部材54との間に設けられた第1の電磁石62と可動部63からなる水平方向の加振用の加振器及び第2の電磁石60と第2の可動コア61からなる垂直方向の加振用の加振器が発生する振動により、コ字状部材の板ばね取付部材54に垂直面内での楕円運動を起こさせる」は、本願補正発明1における「水平平行ばねおよびコ字状ばねの垂直部に設けられた振動源が発生する振動により、コ字状ばねの水平部に垂直面内での楕円運動を起こさせる」に、「所定箇所に設けられた振動源が発生する振動により、コ字状部材の水平部材に垂直面内での楕円運動を起こさせる」という限りにおいて一致する。 したがって、両者は、 「板ばねの生成する振動を用いてパーツを搬送するパーツフィーダの駆動装置であって、所定場所に取り付けられるものにおいて、 互いに平行に配された細長い平板状ばねにより構成され、前記平板状ばねの所定部分は前記平板状ばねの長手方向が水平になるように所定場所に固定され、端部は相互に固定された自由端をなし、前記平板状ばねが水平に配された水平平行ばねと、 細長い平板状ばねが対向配置された一対の垂直部、およびこれら垂直部の各一端間を繋ぐ水平部材によりコ字状に形成され、前記垂直部の各他端が前記一対の水平平行ばねにおける前記自由端にそれぞれ固定されたコ字状部材とをそなえ、 所定箇所に設けられた振動源が発生する振動により、前記コ字状部材の前記水平部材に垂直面内での楕円運動を起こさせるパーツフィーダの駆動装置。」の点で一致し、以下の点で相違している。 a 相違点1A 「板ばね」に関し、本願補正発明1においては、「振動源が取り付けられた板ばね」であるのに対して、引用発明Aにおいては、「板ばね」であるところ、振動源が取り付けられたものではない点(以下、「相違点1A」という。)。 b 相違点2A 「パーツフィーダの駆動装置であって、所定場所に取り付けられるもの」に関し、本願補正発明1においては、「パーツフィーダの駆動装置であって、垂直面に取り付けられるもの」であるのに対して、引用発明Aにおいては、「楕円振動フィーダ51の駆動装置であって、床上に支持されるもの」である点。(以下、「相違点2A」という。)。 c 相違点3A 「互いに平行に配された細長い平板状ばねにより構成され」、「端部は相互に固定された自由端をなし、平板状ばねが水平に配された水平平行ばね」に関し、本願補正発明1においては、「互いに平行に配された複数の細長い平板状ばねにより構成され」、「各他端は相互に固定された自由端をなし、平板状ばねが水平に配された一対の水平平行ばね」であるのに対して、引用発明Aにおいては、「互いに平行に配された細長い水平な板ばね71、72により構成され」、「各端は相互に固定された自由端をなし、水平な板ばね71、72が水平に配された水平平行ばね」である点。(以下、「相違点3A」という。)。 d 相違点4A 「平板状ばねの所定部分は平板状ばねの長手方向が水平になるように所定場所に固定され」ることに関し、本願補正発明1においては、「平板状ばねの各一端は平板状ばねの長手方向が水平になるように垂直面に差し込まれて固定され」るのに対して、引用発明Aにおいては、「水平な板ばね71、72の中間部は水平な板ばね71、72の長手方向が水平になるように基台55の下方に突出した取付部55aに第1のスぺーサ部材56を介在させて固定され」る点。(以下、「相違点4A」という。)。 e 相違点5A 「細長い平板状ばねが対向配置された一対の垂直部、およびこれら垂直部の各一端間を繋ぐ水平部材によりコ字状に形成され」た「コ字状部材」に関し、本願補正発明1においては、「細長い平板状ばねが対向配置された一対の垂直部、およびこれら垂直部の各一端間を繋ぐ水平部によりコ字状に形成され」た「コ字状ばね」であるのに対して、引用発明Aにおいては、「細長い水平な板ばね71、72が対向配置された一対の垂直板ばね58、59、およびこれら垂直板ばね58、59の各一端間を繋ぐ板ばね取付部材54によりコ字状に形成され」た「コ字状部材」である点。(以下、「相違点5A」という。)。 f 相違点6A 「所定箇所に設けられた振動源が発生する振動により、コ字状部材の水平部材に垂直面内での楕円運動を起こさせる」ことに関し、本願補正発明1においては、「水平平行ばねおよびコ字状ばねの垂直部に設けられた振動源が発生する振動により、コ字状ばねの水平部に垂直面内での楕円運動を起こさせる」のに対して、引用発明Aにおいては、「基台55とコ字状部材の板ばね取付部材54との間に設けられた第1の電磁石62と可動部63からなる水平方向の加振用の加振器及び第2の電磁石60と第2の可動コア61からなる垂直方向の加振用の加振器が発生する振動により、コ字状部材の板ばね取付部材54に垂直面内での楕円運動を起こさせる」点。(以下、「相違点6A」という。)。 (イ)判断 a 本願の明細書には、発明の目的について、「立体的な配置に適したパーツフィーダを提供することを目的とする。」(本願明細書の段落【0009】を参照。)と記載され、また、発明の効果について、「本発明は ・・・中略・・・ 設置対象が限定されることなく水平な床面および垂直壁面を含む種々の場所に設置し得るパーツフィーダを提供することができる。」(本願明細書の段落【0011】を参照。)と記載されており、さらに、審判請求書において、発明の効果について、「そして、この差し込み構造を平面視すると、1台のパーツフィーダ用の単位平面面積に複数台のパーツフィーダを垂直方向に重ねて設置することができることを意味する。これは、機器組み立て工場においてパーツフィーダを設置する上では、空間を立体的に有効利用できることを意味し、従来の平面的に並べて配置しただけの場合に起きる、設置台数の制約が大幅に緩和されることが明らかである。」(審判請求書の「2.本願発明の特許性」の欄を参照。)と記載されている。 b そこで、これら発明の目的及び効果に特に関連する、相違点2A及び4Aについて先ず検討する。 相違点2A及び4Aの検討に先立ち、刊行物2に記載された技術事項発明を上記相違点2に係る本願補正発明1の発明特定事項の用語及びその上位概念の用語を用いて表現するために、本願補正発明1と刊行物2に記載された技術事項とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対応関係を検討する。 ・刊行物2に記載された技術事項における「細長い平板状ばね」は本願補正発明1における「細長い平板状ばね」に相当し、以下同様に、「給送部11」は「水平部」に、「コ字状ばね」は「コ字状ばね」に、「圧電セラミックス板3」は「振動源」に、それぞれ相当する。 ・刊行物2に記載された技術事項における「振動フィーダ10」は、本願補正発明1における「パーツフィーダ」に、「フィーダ」という限りにおいて一致する。 ・刊行物2に記載された技術事項における「保持脚部2」は、本願補正発明1における「垂直部」に、「脚部」という限りにおいて一致する。 ・刊行物2に記載された技術事項における「ベース板4」は、本願補正発明1における「垂直面」に、「所定場所」という限りにおいて一致する。 ・刊行物2に記載された技術事項における「コ字状ばねの保持脚部2に設けられた圧電セラミックス板3が発生する振動により、コ字状ばねの給送部11に長手方向斜めに直線振動をさせる」は、本願補正発明1における「水平平行ばねおよびコ字状ばねの垂直部に設けられた振動源が発生する振動により、コ字状ばねの水平部に垂直面内での楕円運動を起こさせる」に、「コ字状ばねの脚部に設けられた振動源が発生する振動により、コ字状ばねの水平部に所定の運動を起こさせる」という限りにおいて一致する。 したがって、刊行物2に記載された技術事項は、本願補正発明1の用語及び本願補正発明の上位概念の用語で表現すると、次のとおりの技術(以下、「刊行物2に記載された技術」という。)ということができる。 「フィーダにおいて、細長い平板状ばねが対向配置された一対の脚部、及びこれら脚部の各一端間を繋ぐ水平部によりコ字状に形成されたコ字状ばねをそなえ、 コ字状ばねの脚部の両端部は、所定場所に差し込まれて固定され、 コ字状ばねの脚部に設けられた振動源が発生する振動により、コ字状ばねの水平部に所定の運動を起こさせる技術。」 相違点2A及び4Aについて検討すると、刊行物2に記載された技術は、コ字状ばねの脚部の両端部が、所定場所に差し込まれて固定されるものの、「振動」「フィーダ」の「駆動装置」であって、「垂直面に取り付けられるもの」において、さらに「振動」「フィーダ」の構成要素である「平板状ばね」を「垂直面に差し込まれて固定」された事項(以下、「特定事項A」という。)を開示若しくは示唆するものではない。 しかも、特定事項Aを導き出す証拠は見当たらない。 そうすると、引用発明Aにおいて、刊行物2に記載された技術を参酌したとしても、上記相違点2A及び4Aに係る本願補正発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことではない。 c したがって、仮に相違点1A、3A、5A及び6Aに係る本願補正発明1の発明特定事項とすることを当業者が容易に想到できたとしても、本願補正発明1は、引用発明A及び刊行物2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 また、本件補正発明2ないし4は、本願補正発明1をさらに限定したものであるので、同様に、引用発明A及び刊行物2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 ウ 引用発明Bを主とした検討 (ア)対比 本願補正発明1と引用発明Bとを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 ・引用発明Bにおける「圧電素子86a、86b、87a、87b、88a、88b、89a、89b、90a、90b、91a、91b」は、本願補正発明1における「振動源」に相当し、以下同様に、「垂直板ばね86、87及び水平板ばね88、89、90、91」は「板ばね」に、「部品」は「パーツ」に、「楕円振動フィーダ81の駆動装置」は「パーツフィーダの駆動装置」に、「水平板ばね88、89、90、91」は「平板状ばね」に、「水平平行ばね」は「水平平行ばね」に、「垂直板ばね86、87」は「垂直部」に、それぞれ相当する。 ・引用発明Bにおける「楕円振動フィーダ81の駆動装置であって、床上に支持されるもの」は、本願補正発明1における「パーツフィーダの駆動装置であって、垂直面に取り付けられるもの」に、「パーツフィーダの駆動装置であって、所定場所に取り付けられるもの」という限りにおいて一致する。 ・引用発明Bにおける「水平板ばね88、89、90、91の各一端は水平板ばね88、89、90、91の長手方向が水平になるようにトラフに固定された取付部82aに取り付けられた第1のスぺーサ部材に固定され」は、本願補正発明1における「平板状ばねの各一端は平板状ばねの長手方向が水平になるように垂直面に差し込まれて固定され」に、「平板状ばねの各一端は平板状ばねの長手方向が水平になるように所定場所に固定され」という限りにおいて一致する。 ・引用発明Bにおける「基台85」は、本願補正発明1における「水平部」に、「水平部材」という限りにおいて一致する。 また、引用発明Bにおける「コ字状部材」は、本願補正発明1における「コ字状ばね」に、「コ字状部材」という限りにおいて一致する。 そして、引用発明Bにおける「細長い水平板ばね88、89、90、91が対向配置された一対の垂直板ばね86、87、およびこれら垂直板ばね86、87の各一端間を繋ぐ基台85によりコ字状に形成され」た「コ字状部材」は、本願補正発明1における「細長い平板状ばねが対向配置された一対の垂直部、およびこれら垂直部の各一端間を繋ぐ水平部によりコ字状に形成され」た「コ字状ばね」に、「細長い平板状ばねが対向配置された一対の垂直部、およびこれら垂直部の各一端間を繋ぐ水平部材によりコ字状に形成され」た「コ字状部材」という限りにおいて一致する。 ・引用発明Bにおける「一対の水平平行ばねが固定された第1のスペーサ部材に垂直面内での楕円運動を起こさせる」は、本願補正発明1における「コ字状ばねの水平部に垂直面内での楕円運動を起こさせる」に、「所定部材に垂直面内での楕円運動を起こさせる」という限りにおいて一致する。 そして、引用発明Bにおける「水平平行ばねおよびコ字状部材の垂直板ばね86、87に設けられた圧電素子86a、86b、87a、87b、88a、88b、89a、89b、90a、90b、91a、91bが発生する振動により、一対の水平平行ばねが固定された第1のスペーサ部材に垂直面内での楕円運動を起こさせる」は、本願補正発明1における「水平平行ばねおよびコ字状ばねの垂直部に設けられた振動源が発生する振動により、コ字状ばねの水平部に垂直面内での楕円運動を起こさせる」に、「水平平行ばねおよびコ字状部材の垂直部に設けられた振動源が発生する振動により、所定部材に垂直面内での楕円運動を起こさせる」という限りにおいて一致する。 したがって、両者は、 「振動源が取り付けられた板ばねの生成する振動を用いてパーツを搬送するパーツフィーダの駆動装置であって、所定場所に取り付けられるものにおいて、 互いに平行に配された複数の細長い平板状ばねにより構成され、前記平板状ばねの各一端は前記平板状ばねの長手方向が水平になるように所定場所に固定され、各他端は相互に固定された自由端をなし、前記平板状ばねが水平に配された一対の水平平行ばねと、 細長い平板状ばねが対向配置された一対の垂直部、およびこれら垂直部の各一端間を繋ぐ水平部材によりコ字状に形成され、前記垂直部の各他端が前記一対の水平平行ばねにおける前記自由端にそれぞれ固定されたコ字状部材とをそなえ、 前記水平平行ばねおよび前記コ字状部材の前記垂直部に設けられた振動源が発生する振動により、所定部材に垂直面内での楕円運動を起こさせるパーツフィーダの駆動装置。」の点で一致し、以下の点で相違している。 a 相違点1B 「パーツフィーダの駆動装置であって、所定場所に取り付けられるもの」に関し、本願補正発明1においては、「パーツフィーダの駆動装置であって、垂直面に取り付けられるもの」であるのに対して、引用発明Bにおいては、「楕円振動フィーダ81の駆動装置であって、床上に支持されるもの」である点(以下、「相違点1B」という。)。 b 相違点2B 「平板状ばねの各一端は平板状ばねの長手方向が水平になるように所定場所に固定され」ることに関し、本願補正発明1においては、「平板状ばねの各一端は平板状ばねの長手方向が水平になるように垂直面に差し込まれて固定され」るのに対して、引用発明Bにおいては、「水平板ばね88、89、90、91の各一端は水平板ばね88、89、90、91の長手方向が水平になるようにトラフに固定された取付部82aに取り付けられた第1のスぺーサ部材に固定され」る点。(以下、「相違点2B」という。)。 c 相違点3B 「細長い平板状ばねが対向配置された一対の垂直部、およびこれら垂直部の各一端間を繋ぐ水平部材によりコ字状に形成され」た「コ字状部材」に関し、本願補正発明1においては、「細長い平板状ばねが対向配置された一対の垂直部、およびこれら垂直部の各一端間を繋ぐ水平部によりコ字状に形成され」た「コ字状ばね」であるのに対して、引用発明Bにおいては、「細長い水平板ばね88、89、90、91が対向配置された一対の垂直板ばね86、87、およびこれら垂直板ばね86、87の各一端間を繋ぐ基台85によりコ字状に形成され」た「コ字状部材」である点。(以下、「相違点3B」という。)。 d 相違点4B 「水平平行ばねおよびコ字状部材の垂直部に設けられた振動源が発生する振動により、所定部材に垂直面内での楕円運動を起こさせる」ことに関し、本願補正発明1においては、「水平平行ばねおよびコ字状ばねの垂直部に設けられた振動源が発生する振動により、コ字状ばねの水平部に垂直面内での楕円運動を起こさせる」のに対して、引用発明Bにおいては、「水平平行ばねおよびコ字状部材の垂直板ばね86、87に設けられた圧電素子86a、86b、87a、87b、88a、88b、89a、89b、90a、90b、91a、91bが発生する振動により、一対の水平平行ばねが固定された第1のスペーサ部材に垂直面内での楕円運動を起こさせる」点。(以下、「相違点4B」という。)。 (イ)判断 上記イ(イ)aに示した発明の目的及び効果に特に関連する、相違点1B及び2Bについて先ず検討する。 上記イ(イ)で示した刊行物2に記載された技術は、コ字状ばねの脚部の両端部が、所定場所に差し込まれて固定されるものの、「振動」「フィーダ」の「駆動装置」であって、「垂直面に取り付けられるもの」において、さらに「振動」「フィーダ」の構成要素である「平板状ばね」を「垂直面に差し込まれて固定」された事項(以下、上記イ(イ)と同様に、「特定事項A」という。)を開示若しくは示唆するものではない。 しかも、特定事項Aを導き出す証拠は見当たらない。 そうすると、引用発明Bにおいて、刊行物2に記載された技術を参酌したとしても、上記相違点1B及び2Bに係る本願補正発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことではない。 したがって、仮に相違点3B及び4Bに係る本願補正発明1の発明特定事項とすることが容易に想到できたとしても、本願補正発明1は、引用発明B及び刊行物2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 また、本件補正発明2ないし4は、本願補正発明1をさらに限定したものであるので、同様に、引用発明B及び刊行物2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 エ まとめ 上記イ及びウのとおりであるから、本願補正発明1ないし4は、特許法第29条第2項に規定により特許出願の際に独立して特許を受けることができないものではない。 したがって、補正事項1は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するところ、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するものである。 また、補正事項1には、特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するところはない。 (2)補正事項2について 補正事項2は、特許法第特許法第17条の2第5項第1号に規定する特許請求の範囲の削除を目的とするものに該当する。 また、補正事項2には、特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するところはない。 4 小括 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合し、適法になされたものである。 第3 本願発明 本件補正は、上記第2で検討したとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1ないし4に係る発明(以下、順に「本願発明1」ないし「本願発明4」という。)は、上記第2の1(2)に示した、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。 第4 原査定の理由について 1 原査定の理由の概要 (1)平成26年6月27日付けで通知した拒絶理由 平成26年6月27日付けで通知した拒絶理由は、概ね次のとおりである。 「この出願は、次の理由によって拒絶をすべきものです。これについて意見がありましたら、この通知書の発送の日から60日以内に意見書を提出してください。 理由 1.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ●理由1(明確性)について ・請求項 2-6 (1)請求項3-5に係る発明において、コ字状ばねのどの部分(例えば、垂直部なのか、水平部なのか)と、水平平行ばねとの間の位置関係を指し示すものなのか明らかでなく、また、「平面的に見て」とはどの平面から見たときの位置関係なのか(例えば、側面から見たときなのか、上面から見たときなのか)明らかでないから、水平平行ばねとコ字状ばねとの位置関係が不明確である。 (2)請求項2に係る発明において、「前記一対の水平平行ばね」、「前記自由端」の前に一対の水平平行ばねや自由端を特定する構成がなく、この「前記一対の水平平行ばね」、「前記自由端」が何を指し示すものなのか不明である。 (3)請求項6に係る発明の「前記圧電振動子」とは、どのようなものなのか不明である(「前記振動源」のことか)。 また、請求項6に係る発明の「前記ばね」とは、どのばねのことなのか(平板状ばねなのか、水平平行ばねなのか、コ字状ばねなのか)不明である。 よって、請求項2-6に係る発明は明確でない。 ●理由2(進歩性)について ・請求項 1-5 ・引用文献等 1-2 ・備考 (請求項1) 引用文献1(段落0014-0016、0022、図4-6に記載された「第2の実施の形態」を参照)には、互いに平行に配された水平板ばね71、72(平板状ばね)と、対向配置された一対の垂直板ばね58、59(垂直部)とを備え、前記水平板ばね71、72の中央は基台55(駆動装置の本体)に固定され各両端は相互に固定された自由端をなし、前記一対の垂直板ばね58、59の各一端が板ばね取付部材54(水平部)に固定され、前記一対の垂直板ばね58、59の各他端が前記水平板ばね71、72の前記自由端にそれぞれ固定され、前記水平板ばね71、72に設けられた圧電素子(振動源、段落0022を参照)により楕円運動を起こさせる楕円振動フィーダ(パーツフィーダの駆動装置)が記載されている(以下、「引用文献1に記載された発明A」という。)。 引用文献2(特に、段落0012、図1を参照)には、1枚の板ばね1の両端から所定距離の2箇所を折り曲げて、中央部の給送部11(水平部)、両端部の保持脚部2からなるばねを形成することが記載されている。 そして、引用文献1に記載された発明Aに引用文献2に記載された上記構成を適用して、一対の垂直板ばね58、59及び板ばね取付部材54を、一体の「コ字状ばね」とすることは、当業者が容易に想到できたことである。 また、水平板ばね71、72(平板状ばね)の中央が基台55(駆動装置の本体)に固定され各両端が相互に固定された自由端をなす構成に代えて、水平板ばね71、72を各一対のものとし、もって、「前記平板状ばねの各一端は前記駆動装置の本体に固定され各他端は相互に固定された自由端をなし、前記平板状ばねが水平に配された一対の水平平行ばね」を備える構成とすることは、当業者が適宜なし得る設計変更に過ぎない。 加えて、水平板ばね71、72と同様に、垂直板ばね58、59を駆動する振動源を、当該垂直板ばね58、59に設けられた圧電素子とすることにも、格別の困難性はない。 以上のとおりであるから、請求項1に係る発明は、引用文献1-2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到できたものである。 (請求項2) 引用文献1(段落0017-0019、図7に記載された「第3の実施の形態」を参照)には、各一端が基台85(駆動装置の本体)に固定され、各他端が一対の水平平行ばねにおける自由端にそれぞれ固定される一対の垂直板ばね86、87(垂直部)と、互いに平行に配された複数の板ばね88、89、96、97により構成され、前記板ばね88、89、96、97の各一端はトラフ82(駆動装置の搬送路)に連結され各他端は相互に固定された自由端をなし、前記板ばね88、89、96、97が水平に配された一対の水平平行ばねとを備え、前記水平平行ばねおよび前記垂直板ばね86、87に設けられた圧電素子86a、86b、87a、87b、88a、88b、89a、89b、96a、96b、97a、97b(振動源)が発生する振動により前記トラフ82に垂直面内での楕円運動を起こさせる楕円振動フィーダ(パーツフィーダの駆動装置)も記載されている(以下、「引用文献1に記載された発明B」という。)。 そして、引用文献1に記載された発明Bに、引用文献2に記載された発明を適用して、一対の垂直板ばね86、87を、一体の「コ字状ばね」とすることは、当業者が容易に想到できたことである。 (請求項3,5) 引用文献1の図4、図7にはそれぞれ、水平平行ばねが、コ字状ばねに対して側面視で直角をなすように固定される構成が示されている。また、水平平行ばねとコ字状ばねとがなす角度を直角未満の角度とすることは、当業者が適宜なし得る設計変更に過ぎない。 (請求項4) 引用文献1の図4-7より、水平平行ばねが、コ字状ばねに対してで直角をなすように固定される構成が示されているといえる。 ・請求項 6 ・引用文献等 1-3 ・備考 引用文献3には、圧電素子11a、11b(圧電振動子)を、板ばね10(ばね)の端部寄りに固定する構成が記載されている。 <引用文献等一覧> 1.特開平11-180525号公報 2.特許第3558584号公報 3.特開昭63-258311号公報」 (2)原査定の理由 原査定の理由は、概ね次のとおりである。 「この出願については、平成27年 4月15日付け拒絶理由通知書に記載した理由1-2によって、拒絶をすべきものです。 なお、意見書及び手続補正書の内容を検討しましたが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。 備考 ●理由2(特許法第29条第2項)について ・請求項 1,3,5 ・引用文献等 1-3 出願人は、平成27年6月16日付け手続補正書において、請求項1に係る発明を、パーツフィーダの駆動装置が「垂直面に取り付けられる」ものであり、平板状ばねの各一端が「垂直面に差し込まれて固定」されるものである構成に限定している。 しかしながら、引用文献1に記載された発明において、各一対の水平板ばね71、72(平板状ばね)を基台55に対し固定する構造として、各一対の水平板ばね71、72を基台55の板ばね取付部55aの垂直面に差し込む構成を選択することに、何ら困難性はない。また、上記固定構造を選択することにより、格別の効果を奏するものでもない。 なお、補正後の請求項1に係る発明には、出願人が意見書において主張する「複数のパーツフィーダを立体的に配置して組み合わせることを実現する」ための構成が何ら特定されておらず、「機器組立工場におけるパーツフィーダ設置上の制約を大幅に緩和する」という効果を奏するものとは認められない。 補正後の請求項3において特定した水平平行ばね及びコ字状ばねの配置は、引用文献1の図4-6に示されている。 補正後の請求項5において特定した事項は、引用文献3に記載されているものである。 よって、請求項1、3、5に係る発明は、引用文献1-3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 ●理由1(特許法第36条第6項第2号)について ・請求項 5 請求項5に係る発明の「前記ばね」とは、どのばねのことなのか(平板状ばねなのか、水平平行ばねなのか、コ字状ばねなのか)、依然として不明である。 よって、請求項5に係る発明は明確でない。 <拒絶の理由を発見しない請求項> 平成27年6月16日付け手続補正書による補正後の請求項(2,4)に係る発明については、現時点では、拒絶の理由を発見しない。 <引用文献等一覧> 1.特開平11-180525号公報 2.特許第3558584号公報 3.特開昭63-258311号公報」 2 原査定の理由の判断 (1)理由1について 本件補正によって、平成27年6月16日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲における請求項5は削除された。 したがって、原査定の理由1は解消した。 (2)理由2について 本願発明1ないし4は、上記第2の3(1)で示した本願補正発明1ないし4と同じであるから、上記第2の3(1)ア及びイの検討を踏まえると、同様に、引用発明A及び刊行物2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 したがって、原査定の理由2によっては、本願を拒絶することはできない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2016-10-12 |
出願番号 | 特願2011-190785(P2011-190785) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(B65G)
P 1 8・ 575- WY (B65G) P 1 8・ 537- WY (B65G) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 大谷 光司 |
特許庁審判長 |
伊藤 元人 |
特許庁審判官 |
槙原 進 梶本 直樹 |
発明の名称 | パーツフィーダの駆動装置 |
代理人 | 玉真 正美 |
代理人 | 朝倉 悟 |
代理人 | 中村 行孝 |
代理人 | 永井 浩之 |
代理人 | 佐藤 泰和 |